文教委員会速記録第七号

平成二十二年五月三十一日(月曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長大西さとる君
副委員長星 ひろ子君
副委員長村上 英子君
理事岡田眞理子君
理事谷村 孝彦君
理事馬場 裕子君
畔上三和子君
遠藤  守君
島田 幸成君
滝沢 景一君
遠藤  衛君
大津 浩子君
古賀 俊昭君
服部ゆくお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長並木 一夫君
総務部長小林  清君
広報広聴部長石原 清次君
都民生活部長平林 宣広君
消費生活部長清宮眞知子君
私学部長小笠原広樹君
文化振興部長桃原慎一郎君
スポーツ振興部長安藤 英二君
東京マラソン事業担当部長岸本 良一君
参事高橋  博君
参事萩原まき子君
参事藤井 秀之君
参事板垣 一典君
教育庁教育長大原 正行君
次長総務部長事務取扱松田 芳和君
理事岩佐 哲男君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長松山 英幸君
指導部長高野 敬三君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長谷島 明彦君
参事中島  毅君
参事前田  哲君
参事高畑 崇久君

本日の会議に付した事件
 生活文化スポーツ局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
 教育庁関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
・都立大泉高等学校・附属中学校(二十二)改築工事請負契約
報告事項(説明・質疑)
・東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例について
陳情の審査
(1)二二第二号 業者テストの個人情報管理に関する陳情
(2)二二第一九号 東京都教育委員会委員の選任に関する陳情

○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 この際、管内視察について申し上げます。
 お諮りいたします。
 管内視察の実施の有無、日時、視察先等につきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○大西委員長 次に、先般の人事異動に伴い、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課担当書記の永井義信君でございます。
 議案法制課担当書記の竹内朋子さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○大西委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局及び教育庁関係の第二回定例会提出予定案件の説明聴取並びに教育庁関係の報告事項の聴取及び陳情の審査を行います。
 なお、本日は、提出予定案件については、説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項については、説明を聴取した後、質疑終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、生活文化スポーツ局長に並木一夫君が就任されました。
 また、幹部職員に交代がありましたので、並木局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○並木生活文化スポーツ局長 去る五月十六日付をもちまして、生活文化スポーツ局長に就任しました並木一夫でございます。
 委員長を初め、委員の皆様方のご指導を賜りまして、当局の所管しております事務事業が円滑かつ適切に推進できますよう、真摯に取り組んでまいる所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 引き続きまして、さきの人事異動に伴いまして、当委員会との連絡員に交代がありましたので、ご紹介させていただきます。
 参事で総務課長事務取扱の鳥田浩平でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○大西委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○大西委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○並木生活文化スポーツ局長 平成二十二年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております生活文化スポーツ局関係の議案についてご説明申し上げます。
 今回、提出を予定しております議案は、補正予算案一件でございます。私から概要をご説明申し上げます。
 まず、お手元の資料第1号、平成二十二年度生活文化スポーツ局所管補正予算説明書をごらんいただきたいと思います。
 一ページをお開きください。
 これは、東京マラソンの運営主体の法人化に伴い、当該法人の基本財産に充当するためのものでございまして、歳出予算として八億円を計上しております。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小林総務部長 局長からの概要説明に引き続きまして、私から今定例会に提出を予定しております議案の詳細についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の参考資料、東京マラソンの法人化についてをごらんいただきたいと思います。
 まず、法人設立の必要性でございます。
 平成十九年二月の二〇〇七年大会から始まりました東京マラソンは、三十一万人を超えるランナーが応募する大きなスポーツイベントに成長してまいりましたが、その運営は、これまで年一回のマラソン大会を運営する組織として、単年度ごとに任意団体である組織委員会を設置いたしまして、大会を開催してまいりました。
 しかしながら、今後ともこの大会を安定的に開催をしていくとともに、これをさらに発展させまして、年間を通じてさまざまなニーズにこたえていく取り組みを実施していくためには、財政基盤の確立によります自律的な運営が図られ、恒常的かつ機動的な運営体制の確保が必要なことから、これまでの任意団体から法人組織に移行するものでございます。
 具体的には、資料右側の大会の運営方法にございますように、二〇一〇年の大会までは、東京都と財団法人日本陸上競技連盟が大会を主催し、組織委員会に大会運営を委任しておりましたが、二〇一一年の大会以降は、主催と運営の一元化を図りまして、財団が大会を主催、運営することといたしたいと考えております。
 次に、法人の概要でございます。
 名称は一般財団法人東京マラソン財団といたします。
 設立の目的は、一、東京マラソンの安定的運営及び魅力の向上。二、ランニングスポーツの普及振興。三、都民の健康増進、豊かな都民生活の形成の三点でございます。
 設立時期は六月末といたしまして、二〇一一年大会から大会を主催、運営する予定でございます。
 設立者は東京都と日本陸連で、基本財産といたしまして、八・八億円を積み立てる予定でございます。
 また、財団には評議員会と理事会を設置いたしまして、理事長には国際マラソンロードレース協会会長の帖佐寛章氏にご就任いただく予定でございます。
 次に、その他でございますが、東京マラソンを最大限に盛り上げるイベントといたしまして実施しております東京大マラソン祭りにつきましては、引き続き東京都が実施をしてまいります。
 また、この財団は都の監理団体となる予定でございますので、都の監査、議会報告等を通じて、財団に対する指導を行ってまいります。
 以上、今定例会に提出を予定しております議案についてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。

○畔上委員 五点お願いしたいと思います。
 一点目は、東京マラソン法人化設立の経緯にかかわる文書。
 二点目は、東京マラソン大会経費の詳細内訳。
 三点目、東京マラソンの中止に伴う損害金の算出根拠。
 四番目、スポーツ団体に関する補助金、分担金の推移十二年分。
 五番目、都が主催、または共催して実施したスポーツ大会への支出十二年分をお願いしたいと思います。

○大西委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 ただいま畔上委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。

○大西委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○大原教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、紹介させていただきます。
 都立学校教育部長の直原裕でございます。
 人事部長の岡崎義隆でございます。
 なお、当委員会との連絡等に当たらせていただきます総務課長の松川桂子でございますが、本日は病気療養のため欠席とさせていただいております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○大西委員長 紹介は終わりました。

○大西委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○大原教育長 平成二十二年第二回都議会定例会に提出を予定いたしております議案の概要につきましてご説明申し上げます。
 初めに、条例案でございますが、東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例でございまして、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の施行に伴い、所要の規定を整備するものでございます。
 次に、契約案でございますが、都立大泉高等学校附属中学校(二十二)改築工事請負契約でございまして、老朽化した校舎、体育館等の改築工事を行うものでございます。
 以上が教育庁関係の案件でございます。
 詳細につきましては、総務部長事務取扱次長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松田次長 議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
 まず、お手元の資料、平成二十二年第二回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案のご説明をさせていただきます。
 目次の次の一ページをお開き願います。東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例でございます。
 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の施行に伴い、現在、都立学校生徒の授業料等は不徴収となっておりますが、生徒間の負担の公平の観点から、都立学校の授業料等を不徴収とすることが適当でないと認められる場合における授業料等徴収対象者を定めるなどの規定を整備するものでございます。
 施行日は平成二十二年七月一日としております。
 次に、お手元の資料、平成二十二年第二回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして、契約案のご説明をさせていただきます。
 目次の次の一ページをお開き願います。都立大泉高等学校附属中学校(二十二)改築工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約の金額は二十一億八千四百万円、契約の相手方は東京都千代田区三番町二番地、飛島・小沢組建設共同企業体でございます。
 工期は契約確定の日から平成二十四年三月九日まででございます。
 都立高校改革推進計画に基づき、本年四月に開校した都立大泉高等学校附属中学校において、老朽化した校舎、体育館等の改築工事を施行する必要があるものでございまして、四ページから七ページにかけまして各階の平面図を、八ページに契約案の概要をそれぞれお示ししてございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○大西委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。

○畔上委員 一点お願いいたします。
 公立高校の授業料等徴収についての他県の状況について、資料をお願いしたいと思います。
 以上です。

○大西委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 ただいま畔上委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○大西委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○松田次長 それでは、次に、平成二十二年第二回都議会定例会に提出をしております東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例についてご報告いたします。
 お手元の資料、平成二十二年第二回東京都議会定例会議案(条例)の七ページをお開き願います。
 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の施行に伴い、規定を整備するものでございまして、区市町村立学校職員の子ども手当の認定及び支給に係る事務について、区市及び瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町に移譲するものでございます。
 その他、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の改正に伴う規定整備を行うものでございまして、三歳未満の子を養育する区市町村立学校職員からの請求により、超過勤務を免除する事務等について、区市町村に移譲するものでございます。
 また、施行日は公布の日からとしておりますが、超過勤務を免除する事務に関する規定につきましては、平成二十二年七月一日からとしております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○大西委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○大西委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情二二第二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松山地域教育支援部長 陳情二二第二号、業者テストの個人情報管理に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、世田谷区、後藤雄一さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、世田谷区立中学校において、進路指導等の業者テストの採点を業者に委託していたことが生徒の個人情報の漏えいに当たり、都内の中学校で同様のケースがあると考えられるので、都において調査し、業者テストの採点等における個人情報の管理を厳正に行っていただきたいというものでございます。
 これに関します現在の状況でございますが、個人情報の保護に関する法律においては、地方公共団体は、その保有する個人情報の適正な取り扱いが確保されるよう必要な措置を講ずる旨、規定されておりまして、それぞれの地方公共団体ごとに個人情報の管理を行っているところです。
 世田谷区を初め、各地方公共団体が定めている個人情報保護に関する条例においては、一般的に、外部機関に事務処理委託が行われることを想定した規定が設けられておりまして、この規定に基づいて受託事業者に対象の個人情報を提供することは、個人情報の漏えいに当たるものではありません。
 本件の個人情報の取り扱いに関しましては、受託事業者において個人情報の保護管理体制が確立していること、同事業者が個人情報の目的外使用や外部提供を行っていないこと、委託目的終了後、区教育委員会職員立ち会いのもと、提供個人情報の消去処理を行ったことを、条例に基づき、世田谷区情報公開・個人情報保護審議会に報告した旨、区教育委員会から説明を受けております。
 なお、都教育委員会は、県費負担教職員の任命権者として、服務事故防止の観点から、各区市町村教育委員会に対し、適正な個人情報管理に対する指導や助言を行ってきているところです。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 本件についてご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○大西委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二二第二号は不採択と決定いたしました。

○大西委員長 次に、陳情二二第一九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中島参事 陳情二二第一九号、東京都教育委員会委員の選任に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、千代田区「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク代表、山田朗さんから提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいというものです。
 まず、一、東京都教育委員会委員の選任、承認に当たっては、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する者のうちから、特定の政治思想に偏らず、公正、中立な立場の人物を選任、承認すること。
 次に、二、都民の要望や教育関係者の専門的立場からの意見にも耳を傾けることができる者を選任、承認することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、地方公共団体に置かれる教育委員会の委員の任命につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第一項により、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する者のうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命することとされております。
 また、同条では、そのほかにも、破産者等の欠格条項が定められているほか、委員の定数の二分の一以上が同一の政党に属することがないこと、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮すること、保護者である者が含まれるようにしなければならないこととされております。
 都教育委員会の委員につきましても、同条の定めに従い、都議会の同意を得て、都知事が任命しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 本件についてご発言願います。

○畔上委員 この陳情は、陳情理由にも記載されているとおり、都民の意思を反映して教育行政を実施してほしいという願いからの陳情だと思います。
 陳情者にもお会いしまして、お話も伺ってみました。どうしてこういう陳情を出すことになったかというと、都民の声を反映させる仕組みとして、教育委員会の請願制度があるわけですが、この方々が都教委に請願を出したところ、月二回の教育委員会に上げてもらえず、回答も極めて抽象的な回答しか得られなかったということなんです。なぜこうした回答になったのか全くわからないというお話でした。
 そこで、まず伺いたいと思いますが、昨年度の実績で、都の教育委員会への請願件数と、それに対してどう対処したのかを説明していただきたいと思います。

○中島参事 都教育委員会に提出された請願は、東京都教育委員会請願処理規則及び東京都教育委員会請願取扱要綱等に基づき、教育委員会決定とされる特に重要な事項につきましては、教育委員会へ報告し、既に教育委員会で決定された基本方針等に基づく事項等につきましては、所管課において適切に対応しております。
 平成二十一年度に受理した請願件数は二十件でございました。そのうち、教育委員会への議案審議の中で報告した件数は十件でございます。その他十件の請願は、既に教育委員会に報告している請願と同様の趣旨であるもの及び個別の人事や訴訟に関する請願でございました。

○畔上委員 今、ご説明をいただいたんですが、例えば、同じ教科書採択に関する請願陳情であるにもかかわらず、教育委員会に報告したものと教育委員会に上げずに各部で処理したものということは、先ほどのご説明では、報告の際の方針に基づき回答したものだということなんでしょうか。その違いが何なのか、ご説明していただきたいと思います。

○高野指導部長 平成二十一年度に受理した教科書採択に関する都教育委員会の請願は十五件であり、そのうち十件については、東京都教育委員会請願処理規則及び東京都教育委員会請願取扱要綱に基づき、教育委員会に報告しております。
 これらの請願につきましては、教科書の採択に関連する議案とともに事前に報告を行った上で、請願者に対して回答しているところでございます。
 教育委員会に報告した十件以外の請願五件については、その趣旨が既に教育委員会に報告した請願と同様のものでございまして、その報告の際の都教育委員会の考え方に基づき、請願者に回答を行ったものでございます。

○畔上委員 つまり、議案に向けて出された請願については教育委員会と。採択後は各部署から、報告の際の方針に基づいて回答しているということですね。
 議案に向けて出された請願しか教育委員会にかけないということはいかがなものかというふうに思うんですが、都議会でも、議決した後に、その議決と反対の意見の請願陳情が出された場合もあるわけですが、都議会の場合は、そうした請願はすべて委員会に付託されて、委員会の場で議論をしているわけです。
 議決した後であっても、都議会が決めたことに対して都民がどう思っているのか、また、議決して実際やってみてどうだったのかという点で、やはり貴重な都民の声なわけですね。その一つ一つをきちんと受けとめて、議論をして、一度決めたことであっても、常に改善していくというのが、本来の民主主義の立場から当然なんではないかと私は思うんです。
 そもそも都民の要望というのは、議案に関係なくさまざまで、むしろそういう声をきちんとくみ上げていくのが請願制度の趣旨なんじゃないでしょうか。そういう点で、都の教育委員会でも、以前はすべての請願が教育委員会の会議にかかっていたわけですよね。それを二〇〇二年に請願処理規則を変えて、現在のそうしたやり方に変えてしまったと。そのときの教育委員会の議事録も読ませていただきましたが、そのときの教育委員の中からも、いろいろ問題があるんじゃないかという意見が出て、議論になっているんですね。教育委員会に出された請願は、決定後であっても、やはり一つ一つきちんと教育委員会の場で議論することを強く求めたいと思います。
 さらに、現在の教育委員会の請願処理規則というお話も先ほどありましたが、その規則に照らしてみても納得いかない点があるんですね。
 そこでちょっと伺いますが、陳情者が一月に教育委員会に提出したという請願は、教育委員会の議題になったのでしょうか。

○高野指導部長 平成二十二年一月に提出された請願の主な趣旨は、教科書採択を教育委員会による採択ではなく、学校による採択とすべきものでございました。
 この請願につきましては、平成二十一年七月に同じ請願者から提出されたものと同様の趣旨でございまして、既に教育委員会において考えが示されていることから、先ほど申し上げましたように、請願処理規則や東京都教育委員会請願取扱要綱に基づき、教育委員会への報告は行わず、所管課において適切に対応したものでございます。

○畔上委員 私は請願も見せていただいたんですが、今、同様の趣旨というお話だったんですけれども、七月の請願は確かに、扶桑社の教科書を採択しないでほしいとか、それから、教科書採択の方法についての請願でありましたが、一月の請願内容は一部違いますよね。
 例えば、教育委員会の傍聴席をふやしてほしいという内容がこの請願の中にはあるんですね。この回答が傍聴人規則で二十人と決まっているというものになっているんですが、先ほどのご説明では、これを事務方でつくって回答したということになるわけですね。
 ところが、請願に関する規則とか要綱とかをたどってみたんですが、傍聴席をふやしてほしいということは、教育委員会の規則を改正することにかかわるものでありますので、決定は部長でもないし課長でもない、教育委員会でやるべきこととなっているわけです。規則で二十人と決まっているから変えませんと回答して、そういう請願があることを教育委員会にもかけないと。これは規則にも反するものなんじゃないでしょうか。
 もっといえば、傍聴人規則の改正を教育委員会で最後に行ったのが二〇〇一年なんですが、十年近く前になるわけです。十年も議題としていない事柄に対して、教育委員会にもかけずに事務方で回答を作成して、送付しておしまいというふうになったら、全く民主的じゃないし、都民の声や状況を反映させて教育行政を発展させていこうということもできなくなってしまうんじゃないでしょうか。私は、こうしたやり方は直ちに改めるべきだということを申し上げておきたいと思います。
 では、先ほどいわれた教育委員会の議題にする問題はどうかということなんですが、教育委員会の議題となった場合は議論しているかというふうに調べたんですが、昨年の七月二十三日、八月十四日の教育委員会では、協議の前に請願が出ていることの説明が委員長からありました。そして、委員の議論は全くありませんでした。しかも、事務局において適切に対応するようにという処理で済まされているわけです。
 ちなみに、ほかの教育委員会ではどうかというふうに幾つか調べたんですが、例えば板橋区の教育委員会では、同様の教科書採択に関する請願陳情についても議論はされておりました。
 そこで、板橋の教育委員さんにお話を伺いましたところ、教育委員会は議会に準じて議論しているんだというお話でありました。教育委員会で議論するのは当然であって、都の教育委員会のように、教育委員会の議題として上がっているにもかかわらず議論しないというふうになったら、どうやって住民の意思を反映させているのかということになるんじゃないかと私は思うんです。そういう面では、まさに教育委員会のあり方が問われているんだと思うんです。
 傍聴についても伺いたいと思うんですが、先ほど傍聴人の数について少し触れましたが、傍聴の希望があればできる限り受け入れるというのが、本来、民主的で開かれた行政のあり方としてあるべき姿だと私は思っております。なぜ都の教育委員会では傍聴人を二十人に制限しているんでしょうか。

○中島参事 東京都教育委員会会議規則第三十一条は、会議を傍聴しようとする者は委員長の許可を得なければならない。傍聴に関して必要な事項は別に定めると規定しております。
 また、東京都教育委員会傍聴人規則第三条は、傍聴人は、報道関係者で委員長が認める者を除き、二十名をもって定員とすると規定してございます。
 これは、教育委員会室の限られたスペースの中で報道関係者席や傍聴者席を確保し、会議運営に支障のない範囲で、できるだけ多くの傍聴人が入室できるよう配慮し、傍聴人の定員を定めているものでございます。

○畔上委員 今、施設上の問題だというお話だったんですが、私は、これは理由にならないというふうに思うんです。というのは、傍聴については、都議会のこの常任委員会でもそうですが、規則で傍聴規定は定められておりますけれども、希望者が多ければふやしているわけです。当委員会でも倍にふやしたこともありますし、私はまだ経験ないんですが、部屋を変更して傍聴者をふやしたと、そういうこともあったというふうに伺っています。それは、何といっても開かれた議会にするという趣旨で、規則五条で、希望者が多い場合などは委員会に諮って決めるというふうになっているからなんですね。
 では、教育委員会はどうなのか。私はほかの教育委員会も調べてみましたが、現に希望者が多ければふやしている、そういうところもあるわけですね。
 例えば大田区なんですが、議事録を読んでみますと、やはり教科書採択のときに傍聴者がたくさん来られたということで、委員長がこういうふうにおっしゃっているんですね。定員を超える傍聴希望者がいる、これは教科書採択への区民の関心が高まっているためだと思われる。私としては、区民の関心にこたえ、公平公正な開かれた教科書採択を行うために、大田区教育委員会傍聴規則五条ただし書きにより、本日の臨時会における傍聴人の定数を五十人に増員し、定刻までに傍聴を希望した方に傍聴を許可したいと考えるが、いかがかということで諮って、広げているわけなんですね。私は、こういうやり方が民主的なやり方だというふうに思うんです。
 都の教育委員会でも、傍聴規則、先ほどもお話がありましたが、これを改正して、傍聴希望者が多い場合には傍聴席をふやして、できるだけ多くの希望者が傍聴できるようにするということを強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中島参事 都教育委員会の会議の傍聴人の定員につきましては二十人としておりますが、会議の内容につきましては、非公開とする旨、教育委員会がその都度決定したものを除き、ホームページに会議録として掲載するなど、都教育委員会は委員会活動を広く都民に公開することに積極的に取り組んでおります。
 規則を改正し、傍聴人の定員をふやすことにつきましては、教育委員会室の施設的制約や会議の円滑な運営への影響から、現状では困難でございます。
 なお、平成二十一年度の教育委員会の傍聴者数は、公開の会議について、一回当たり平均で五人でございます。

○畔上委員 今、平均のお話がありましたが、しかし、教科書採択の傍聴では五十人を超える傍聴希望が現にあったわけですね。やはり施設上の問題でいうならば、教育庁の上には会議室がたくさんあるわけですから、できない話じゃないというふうに私は思うんです。やはり開かれた教育委員会をしっかりと目指していただきたいと。これは教育委員会でもぜひ議論していただきたいと思います。
 そもそも陳情者の方の思いとしては、教科書採択の方法に意見や疑問があって、教科書採択に当たり、協議も討議もしない、無記名投票による多数決で採択されている、このことの問題を指摘しています。私も二月十九日の当委員会において全く同様の指摘をしてきましたが、なぜ都民の意見が寄せられている歴史教科書に扶桑社の教科書を教育委員会が採択したのか全くわからないではないかと指摘しているわけですね。
 採択理由をきちんと明らかにして、都民への説明責任を果たすというのが教育委員会の責任ではないかというふうに私は思うんです。そういう点からいえば、そうした役割からいっても、陳情の願意は趣旨採択すべきであるというふうに私は思います。そのことを申し述べまして質問を終わりたいと思います。

○大西委員長 ほかにご発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○大西委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二二第一九号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十分散会

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