文教委員会速記録第五号

平成二十二年三月十八日(木曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長大西さとる君
副委員長星 ひろ子君
副委員長村上 英子君
理事岡田眞理子君
理事谷村 孝彦君
理事馬場 裕子君
畔上三和子君
遠藤  守君
島田 幸成君
滝沢 景一君
遠藤  衛君
大津 浩子君
古賀 俊昭君
服部ゆくお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長秋山 俊行君
総務部長小林  清君
広報広聴部長石原 清次君
都民生活部長平林 宣広君
消費生活部長清宮眞知子君
私学部長小笠原広樹君
文化振興部長桃原慎一郎君
スポーツ振興部長安藤 英二君
東京マラソン事業担当部長岸本 良一君
参事高橋  博君
参事萩原まき子君
参事藤井 秀之君
参事板垣 一典君

本日の会議に付した事件
 生活文化スポーツ局関係
  予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化スポーツ局所管分
  付託議案の審査(質疑)
・第五十七号議案 東京都美術館条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 東京都写真美術館条例の一部を改正する条例

○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化スポーツ局所管分及び第五十七号議案、第五十八号議案を一括して議題といたします。
 予算及び付託議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小林総務部長 去る二月十八日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してあります平成二十二年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願いたいと思います。
 目次に記載のとおり、九件の資料がございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、スポーツ振興施策に係る予算の推移でございます。
 当局が所管するスポーツ振興施策に係る予算額につきまして、表の左側に記載の区分ごとに、平成十八年度から二十二年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、各都道府県の主な公立スポーツ施設の設置状況でございます。
 地方公共団体が設置いたしました一定規模以上の体育館や水泳プールなどの主なスポーツ施設につきまして、その設置数を都道府県別に記載しております。
 三ページをお開き願います。3、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成十八年度から二十年度までの予算現額及び決算額並びに平成二十一年度及び二十二年度の当初予算額を記載しております。
 なお、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、東京文化発信プロジェクトの内容と予算でございます。
 東京大茶会やキッズ伝統芸能体験などの多様なイベント展開により、東京の文化的魅力を内外に発信する東京文化発信プロジェクトの予算額につきまして、表の左側に記載の区分ごとに、平成二十年度から二十二年度までの過去三カ年の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、スポーツムーブメントの内容と予算でございます。
 都民のスポーツ機運の醸成を目指し、都民が気軽に参加できるスポーツイベントの開催や、さまざまなスポーツ情報の発信などを行いますスポーツムーブメントの予算額につきまして、表の左側に記載の区分ごとに、平成二十年度から二十二年度までの過去三カ年の推移を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、都道府県別私立高等学校授業料軽減補助(平成二十一年度)でございます。
 平成二十一年度の各都道府県における授業料軽減補助の実施状況につきまして、本ページから九ページまでにわたって記載をしております。
 次に、一〇ページをお開き願います。7、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額(平成二十一年度)でございます。
 平成二十一年度におけます授業料、入学料、施設設備費といった生徒納付金の平均額につきまして、都道府県別に記載しております。
 一一ページをお開き願います。8、東京都育英資金の貸し付けを受けた都立高校生及び私立高校生の人数の推移でございます。
 平成十六年度から二十年度までの過去五年間におけます東京都育英資金の貸し付けを受けました都立高校生及び私立高校生の人数の推移を記載しております。
 なお、平成十七年度以降の新規分から、国の高校奨励金事業が都に移管をされたため、平成十七年度以降の貸付人数が増加をしております。
 一二ページをお開き願います。9、授業料軽減助成を受給した私立高校生等の人数の推移でございます。
 平成十六年度から二十年度までの過去五年間におけます授業料軽減助成事業の受給者数の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより予算及び付託議案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島田委員 私の方から予算に関連いたしまして、私学助成と、そしてNPO法人の認可、監督業務について、二件お伺いしたいというふうに思います。
 まず初めに、私学助成であります。
 今年度の都内高校の平均授業料は、都立高校が十二万二千四百円、都内私立高校は平均で四十一万七千円でありますが、高等学校の無償化法案が一昨日、十六日に衆議院で可決されました。年度内の成立に向けて順調に進んでおります。この法案が成立すれば、この四月から公立は授業料が無料になり、私学もすべての生徒が十二万円の就学支援金を受け取ることとなり、一定の負担軽減が図られることとなります。
 また、さきの委員会で私が質問した際、都は来年度実施予定の国の就学支援金制度を踏まえて、平均所得以下の低所得者世帯を対象に特別奨学金補助を実施し、さらに負担軽減を図るとのことであり、負担軽減におきましては、かなり前進したということがいえると思います。
 しかしながら、先ほどの資料にもありましたけども、授業料における公私間格差を考えても、一定の所得を除いて依然として約三十万円の差は解消されていない状況にあります。この公私間格差是正のために、我が会派は、私立高校の保護者に対し、一律五万円の学費負担軽減補助を都に求めているところであります。これをこの場でも改めて要望したいというふうに思います。
 東京都は、五七%が私立学校で学ぶという、私立が公教育に果たしている役割が非常に高く、私学なくしては高校教育を語れない、全国の中でも大変ユニークな地域であります。また、全国の私学行政をリードしていく、そういう責任も求められていると思っております。
 保護者負担の軽減が一定程度実現された今、学校経営から見た公私間格差を解消し、経常費補助に関する充実も重要な課題であるというふうに思っております。
 去る二月二十一日、読売新聞紙上で、公費支出を考える私学三校長座談会が行われ、その中で高等教育の公費支出が紹介されていました。日本私立中学校高等学校連合会の調べでは、二〇〇七年度全日制高校生一人当たりの国、自治体の公費支出は、公立学校が百十九万一千百四十円に対し、私立高校が三十四万六千二百八十九円ということで開きがあるわけでございます。いわゆる公私間格差、この一人当たりの公費の支出から見る公私間の格差は、この数字から見ると三・四倍あるといっていいと思います。
 そこで、東京における生徒一人当たりの教育コスト、これは都立と私立でそれぞれどのように違うのかお伺いしたいというふうに思います。

○小笠原私学部長 生徒一人当たりの学校教育経費についてでございますが、平成二十年度の全日制高等学校について申し上げれば、都立高校につきましては、教育庁の中央教育費調査における学校教育費総額でいうと約百二十八万八千円となります。これに対しまして私立高校は、各学校の決算総額をもとに、生徒数で割り返した額でいいますと約百二十二万一千円となります。
 ただし、これらの額につきましては、例えば、都立高校において、年度により債務償還費などの数値変動が大きかったり、また、公私で教員の年齢構成が異なることなどから、この数万円の差が、直ちに公私の教育コストの差を示すものではないと考えております。

○島田委員 今、お答えいただきましたように、公立も私立も一人当たりの教育コストというのは大体百二十万から百三十万ぐらい。年によっても違いますから、それぐらいかかるということでございます。
 先ほどちょっとありましたけども、そういう状況にあって、公立と私立の学校運営費がかかるわけでございますけども、それにおいて、一人当たり公費が幾ら投入されているのかお伺いしたいと思います。

○小笠原私学部長 生徒一人当たりの公費負担額についてでございますが、平成二十年度の全日制高等学校について申し上げれば、都立高校につきましては、先ほどの約百二十八万八千円から授業料などの学校への納付金を差し引いて約百十八万円となります。
 一方、私立高校につきましては、都は学校の運営や生徒の教育に係る経常的な経費に対する補助として経常費補助を行っておりまして、その総額を生徒数で割り返した額で申し上げますと約三十六万一千円となります。
 なお、経常費補助のほかにも都では、私立高校に対しまして、例えば保護者負担を軽減するための私立高等学校等特別奨学金補助約三十一億円、生徒の安全を確保するための校舎等の耐震化に係る私立学校安全対策促進事業費補助約五億円などの補助金も交付しております。

○島田委員 先ほども冒頭に申し上げたとおり、いろんな授業料軽減措置はあるにしても、経常費の補助額、公費の投入額からいえば、先ほど申し上げたとおり、一人当たり、公立高校においては百十八万、そして私立高校においては三十六万ということで、多少は変わると思いますけども、三・四倍、三・五倍というふうな形で公私間格差があるというのが現実のところだと思います。
 こういう中で、私学助成の方針として、公立高校における経常的な経費の二分の一という考え方があるということをお伺いしております。先ほどお答えにあった三十六万円、私学に対する公費補助というのは、それを考えますとちょっと低いのではないかと。なぜそのような補助額になるのか理由をお聞きしたいと思います。

○小笠原私学部長 先生のご質問は、公立高校の百十八万円の二分の一が私立学校に対する経常費補助になるのではというご趣旨かと思いますが、この経常費補助は、都内の公立高校の経常的経費の決算値をもとに、私立学校の標準的運営費を算出し、その二分の一を補助するものでございます。
 経常的経費の範囲につきましては、私立学校振興助成法や東京都私立学校教育助成条例及び同施行規則におきまして、教職員の人件費、備品、図書等の教育研究に係る経費、光熱水費などの経費と定められておりまして、経常費補助は都立高校の公費負担額に含まれます土地や建物に係る経費、借入金に係る返済経費、退職金などを除いた経費の二分の一を補助額としております。このため、この条件に基づいて計算をいたしますと、生徒一人当たりの額は三十六万一千円となるものでございます。
 なお、私立学校における校舎等の施設につきましては、私立学校が学校として存立する基礎となる資産であり、設置者である学校法人みずからが設置し、管理すべきものであるということから、その施設整備に係る経費は、学校運営費に対する補助である経常費補助には含めていないものでございます。

○島田委員 今のご答弁にもありましたが、土地の取得だとか建物、建築経費など、いわゆる投資的な経費、これは学校設置者が自己負担すると。そこには公的補助はないということだと思います。
 土地建物は学校経営に不可欠な基本財産であり、それらをみずから私立の学校法人が用意してこそ、私立学校の自立性だとか独立性、また、経営の健全性を示すバロメーターでもあるというふうに思いますので、公的補助の対象にしないということはうなずけるところであります。
 ただ、私学を取り巻く経営状況、これは少子化に伴う生徒の減少、補助率の大きい耐震改築補修補助があっても、学校側は常に一定割合をみずから負担しなければならず、それらの負担が私学経営に重くのしかかっているということも事実だというふうに思います。
 私立学校の三分の二が赤字経営になっているという状況を考えますと、学校運営に係る生徒一人当たりの公私間の公費支出の差を埋めて、今いったような厳しい私学経営を支えていくということも同時に大切なことだと考えております。
 そのような考えの中、保護者負担の軽減だけでなく、経常費補助などを通じて学校経営の安定化を図ることも重要だというふうに考えております。今後の私学振興について、どのように考えるかお伺いしたいと思います。

○小笠原私学部長 東京都の私学振興策につきましては、これまでも本会議や委員会においてお答えしているところでございますが、都といたしましては、都内の高校生の約六割が通学する私立高校が公教育に果たしている役割は重要であると認識しておりまして、保護者負担の軽減だけでなく、経常費補助などを通じて学校経営の安定化を図ることも大切であると考えております。
 今後とも経常費補助を初めとして、特別奨学金や育英資金などの幅広い施策を総合的に活用し、私立学校の振興に努めてまいります。

○島田委員 今後とも経常費のことを含めて、また、保護者の負担も減らしていっていただきたいというふうに思いますが、建学の理念を重視し、進学実績、あるいはスポーツの実績を伸ばすという独自の教育を行っている私立学校は、公立学校とお互いに切磋することで東京の教育力を上げていくと考えております。
 同じ土俵の上での競争ならよいかと思いますが、今の公私間の格差のままではハンディが大き過ぎて、その戦いにならないという声も上がっているところであります。衆議院で可決された高校無償化法案の附帯決議においても、私学助成の拡充を図るというふうに附帯決議されております。
 今後は、都はそうした国の動向も踏まえつつ、保護者への授業料補助だけでなく、私学に対する経常費補助もますます充実していただくよう強く要望いたしまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次に、NPO法人の監督業務についてお伺いしたいというふうに思います。
 オリンピック招致委員会の活動報告書が提出された二〇一六年オリンピック・パラリンピックの総括が今行われているわけでありますけども、この招致委員会の活動は、ご承知のとおり、NPO法人の招致委員会が中心として行われておりました。
 先日行われた予算特別委員会では、我が会派の花輪議員が、招致委員会の正会員が二十一名しかいなかったことを指摘しまして、オリンピック招致の機運が盛り上がらなかった原因が、招致活動が知事を中心とする政治主導で行われて、IOCが望むような国民主導、都民主導の招致活動にならなかったからではという疑問を投げかけられています。
 東京都は生活文化局が所管し、管轄NPO法人の認証事務及び監督事務を行っております。東京都のNPO法人の認可、監督業務についてお伺いしたいというふうに思います。
 最初に、今までこのNPO法人等に問題があり、指導したり、あるいは監督したことがあるか、そのような実績をお伺いしたいというふうに思います。

○平林都民生活部長 NPO法人制度では、法人の自主性を重んじる立場から、毎年度、事業報告書等の報告を法人に義務づけ、市民に公開することで、市民による監督を期待し、行政の関与は必要最小限にした運用を行っております。
 行政による直接的な監督としては、NPO法に基づきまして、法人から報告を受けたり、あるいは、立入検査や改善命令を行っておりまして、法施行から平成二十二年二月までの約十一年間で、合わせて三十五件となっております。また、事業報告書等が三年以上未提出で、活動実態がなくなった法人につきましては、設立の認証の取り消しというのを百五十九件行っております。

○島田委員 今までいろいろ問題があるNPO法人に対しては、指導したり、監督した実績があるということでございます。
 さきの一般質問では、我が会派の西沢けいた議員が質疑を行いました。NPO法人オリンピック招致委員会は、石原知事が会長を務めているNPO法人であり、今のところ、報告書にもあるとおり、六億九千万円もの負債を抱えまして、また、返済計画もまだ今のところ示されておりません。この法人には二十五億円もの税金が投入されており、多くの都民が注目しているところでございます。
 都はNPO法人を指導監督していく立場であるというふうに思いますが、今回の高額な負債があるかもしれないというようなことについて、このNPO法人から何らかの相談があったのか、あるいは助言を求められたことがあったのか。また、今後、どのように指導監督していくのかお伺いしたいというふうに思います。

○平林都民生活部長 個別の法人の相談についてはお答えできませんけれども、事業年度が四月から三月までの平成二十一年度の事業報告書等は、毎事業年度初めの三カ月以内、すなわち六月末までに提出されることになっておりまして、必要に応じて適切に対応してまいります。

○島田委員 ぜひその事業報告書、これが出たところで適切に対応していただきたいというふうに思います。この法人の負債の借り手は、これは主に株式会社電通であるというふうに聞いております。東京都は、電通に多額の業務を委託している立場にあると思います。電通と都は、利害関係にある団体であります。石原知事が会長を務めるNPO法人が、都が、都と利害関係のある電通と六億九千万円もの負債を負うことになれば、これは大きな問題ではないかというふうに思っております。生活文化局にしっかり指導監督をしていただきたい、そういうふうに思っております。
 次の質問ですが、この前、NPO法人の定款、この招致委員会の定款があるわけでありますが、この定款を見ると、目的の項目には、東京都がオリンピック競技大会に選ばれることを目的とすると。東京都がオリンピック競技大会に選ばれることを目的とすると定款の目的のところに書いてあるわけであります。で、解散の項目を見ると、目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能と、解散の中には、事業、その目的が達せられない場合は、招致が達せられない場合は解散するというふうに、定款を見るとそう書いてありました。ということであります。招致が失敗した今、その目的というものはなくなって、--六字削除--直ちに残っている負債を処理して解散するべきであるというふうに、--五字削除--見るんですけれども、所轄官庁の生活文化局はどういうふうに思っているのか、お伺いしたいと思います。

○平林都民生活部長 個別の法人についてはお答えしかねますけれども、NPO法上は、事業の成功の不能というのを理由として解散する場合には、NPO法人みずからが判断し、これを所轄庁が認定するものでありまして、所轄庁が職権で行う規定とはなっておりません。

○島田委員 管轄の立場としては、それから法律上はそういうことなのかもしれませんけども、この法人は多額な負債があると。--十五字削除--この法人には多額の税金が投入されております。特定企業への多額の随意契約があるということなど、これまで多くの問題が指摘され、本当に多くの都民が、不信感があるんじゃないかなと、そういうふうに思います。
 都は、しっかり監督していかなくてはいけない立場であると思いますが……(発言する者あり)

○大西委員長 ご静粛にお願いします。

○島田委員 東京都は、今いったように、所管のNPO法人の監督をする立場にあるわけであります。招致委員会の会長は石原知事であり、行政の責任者であります。すなわち、NPO法人を監督する立場でもあるわけです。石原知事は、NPO法人を監督する立場でもあり、そして運営する立場でもあると。これがちょっと問題があるんじゃないかと。お互いの利益相反する関係にある。こういうところで監督できるのかどうか、問題はないのか。そもそもこのNPO法人を都が認可したことに問題はないのかお伺いしたいというふうに思います。(発言する者あり)

○平林都民生活部長 NPO法では、認証主義により、設立や解散などの定めが細かく規定され、NPO法人が法律に定める要件を満たす場合には、所轄庁はこれを認証しなければならないとされております。NPO法上、役員につきましては、欠格事由や親族等の制限が定められておりますけれども、知事がNPO法人の代表者となることを制約する定めはなく、特段の問題はないと思っております。

○谷村委員 委員長、ちょっと速記とめてください。

○大西委員長 はい、速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○大西委員長 では、速記を始めてください。

○谷村委員 ただいまの島田委員の発言には、特定したNPO法人に対する発言に関して、定款にちょっと誤りがあるのではないかと思いますので、このまま質問を続けられると少し大きな課題が残ると思いますので、一度理事会を開いていただくことを動議として求めます。

○大津委員 事実誤認かどうかにつきましては、議事録を理事会で別途確認していただくとして、次の質問を続行したらいかがでしょうか。

○大西委員長 ただいま二つの動議が出されましたので、一たんこの場を休憩とさせていただき、理事会を開かせていただきます。
   午後一時三十六分休憩

   午後二時一分開議

○大西委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 先ほどの谷村理事、大津委員の動議につきましては、後ほど理事会で協議させていただくこととなりました。ご了承願います。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○村上委員 初めに、私学行政について何点か伺います。
 まず、国の政権交代による施策の変更が都政にどのような影響を及ぼしているかについて、本定例会においてさまざまな分野で取りざたされています。
 私学行政についていえば、その一つとして、先日の請願審査において私が取り上げました国の幼稚園就園奨励費補助の問題がございます。この件につきまして、我が党は、本会議の代表質問と予算特別委員会の総括質疑で取り上げ、補助対象園児の七割を超える多くの世帯で補助単価が減額され、負担増となっていることを指摘し、緊急対応としての都の特別補助の創設を評価いたしました。
 また、本来は、国の制度変更によるものであり、国の責任において制度を是正すべきことから、国に対して強く要望することを求め、都も補助対象であるすべての保護者の負担を軽減することなどについて、強く国に対して要望するとの答弁をいただきました。まずは早期に要望することをお願いいたします。
 民主党さんも、復活要望で十分の十の補てんを要望されるんであれば、また、先ほど島田委員の質問にも私学という話がありましたけれども、要望されるんであれば、しっかりと国への働きかけをお願いしたいと思います。また、意見書を国に提出する話に賛成していただければよかったのにと、今さらながら残念でたまりません。
 次の国の施策により、都政のみでなく学校関係者にも混乱を招いているものとして、高校無償化に伴う私立高校生への就学支援金の支給があります。いわゆる高校無償化法案は、十六日、衆議院で可決されました。
 自由民主党は、限られた財源の中では所得制限を設け、真に支援が必要な世帯に給付すべしとの観点から反対をいたしました。私学関係者からも、例えば高額所得者に対しても一律に支給することをやめて、低所得者に配分することの方がより効果的であるとの発言もあります。
 また、就学支援金の支給対象は、日本国内に住所を有する者となっており、在住外国人高校生は対象になる一方で、外国にある教育施設に通う日本人高校生は支給対象とならないことなどの問題もあります。
 高校無償化については、制度開始まであと二週間しかありませんが、今になっても法案が成立していないため、政省令も出ておらず、制度の詳細が明らかになっておりません。これは、民主党政権がマニフェストに拘泥する余り、十分な議論を行わずに、拙速にその実現を図ろうとしたことに原因があるといえます。
 昨日も本委員会におきまして、都立高校の無償化について教育庁に質問いたしました。授業料不徴収となる公立でさえ、現場が対応に苦慮していることがわかり、生徒に支給する就学支援金を学校設置者が代理受給するという複雑な仕組みをとっている私立に関しては、さらに対応に苦慮しているのではないかと想像いたします。
 そこでまず、私学について、都が就学支援金の支給事務を実施するに当たっての制度的な問題点と考えている点についてお伺いいたします。

○小笠原私学部長 国の予算の概算要求時には、公立、私立とも、申請書の提出により就学支援金を支給するという枠組みになっておりましたが、最終的な法案におきましては、授業料不徴収となる公立高校生は手続なしに恩恵が受けられる一方、私立高校生は、副委員長お話しのように、就学支援金を学校が代理受領する制度としたため、生徒全員から申請書の提出を受け、都による認定が必要となっております。
 この結果、私立だけが、生徒、学校とのそれぞれで煩雑な事務手続が求められている結果となっておりまして、基本的にこの点が問題と考えております。

○村上委員 今のご答弁の中で、公立の高校生は手続なしに恩恵が受けられる。しかし、私立の場合には、生徒全員から申請書の提出を受けるというようなことで、いろいろと問題のある制度ですけれども、年度内に法案が成立すれば、この四月から事務手続を開始していかなければならないわけです。
 私学関係者の話によれば、先ほど私学部長から答弁のあった問題点のほかにも、家庭の収入状況がわかる課税証明書の取り扱いには、生徒、保護者のプライバシーの観点から細心の注意が必要なことや、申請書などの事務処理を短期間に行わなければならないことなど、学校事務の負担が重いということが指摘をされています。
 学校における事務については、私学のみにその負担を強いているのですから、その負担軽減については、制度を構築している国の責任であり、国として事務手続の簡素化を図っていくべきと考えます。
 都としては、就学支援金の支給事務を進めるに当たって、何らかの負担軽減を図ることができないかと思いますので、その点について伺います。

○小笠原私学部長 法案が成立していないため政省令も示されておらず、詳細な制度が明らかでないことから、都としても支給事務の詳細を定め切れずにおります。
 しかしながら、現実的問題として、四月の制度開始の際には、学校における事務の負担軽減を図り、就学支援金の支給を円滑に行う必要があるため、都といたしましては、私立高校生等への授業料軽減助成の実績のある東京都私学財団のノウハウの活用も含めまして、支援金支給事務の効率的な仕組みを鋭意検討しているところでございます。

○村上委員 学校における事務の負担軽減のほかにも、生徒、保護者にとって、支援金を受けるための申請漏れなどないよう、四月から制度の恩恵が受けられるようにしていくため、この制度の周知を学校や生徒、保護者に図ることが必要であると考えますが、都としてどのような対応をしていくのかお伺いいたします。

○小笠原私学部長 授業開始の四月を間近に控えているにもかかわらず、国の詳細な制度設計がいまだ明らかでないため、学校を通じての生徒、保護者への制度周知につきましては、都としても大変苦慮しているところでございます。
 このような状況の中ですが、都といたしましては、これまで国からの情報を整理した上で、就学支援金の概要や東京都版QアンドAを各学校に情報提供してまいりました。
 また、来週三月二十四日には、現時点での都としての事務手続の考え方を学校に対して示すため、説明会を開催し、四月からの円滑な制度実施に備えることとしております。
 今後とも、追加的に説明会を開催していくことなども含めまして、適時適切に各学校を通じて生徒、保護者に対し情報提供をしてまいる考えでございます。

○村上委員 ただいまの質疑により、この制度の問題点や事務的な課題が具体的に明らかになりました。
 ここにおいても幼稚園の就園奨励費の場合と同様、国が制度設計等をきちんとしないままに拙速に事業を実施しようとしているために、保護者のみではなく、都道府県や私立学校に対しても大きな混乱を招いています。とはいえ、四月は間近に迫っており、制度の詳細が明らかになっていくこととあわせて、学校設置者や生徒、保護者に対して適切かつ速やかな対応をお願いしたいと思います。
 さて、都立高校の無償化により、都立高校は授業料がゼロ、私立高校は依然として約三十万円の負担が必要です。このように授業料の公私間格差が歴然となったため、都民感覚からすれば、私学の授業料の割高感が改めて意識され、生徒が都立高校へ流れてしまうのではないかとの危惧を多くの私学関係者から伺います。
 公立、私立の学校が共存し、切磋琢磨することにより、多様な教育を社会に提供することこそが必要なのではないでしょうか。そのためには、公立と同様に、私立学校における経営の安定が何よりも重要と考えます。特に私立学校の占める割合の高い東京においては、経営安定化のための私学助成の充実を図り、学校運営上の公私格差の是正をしていくことも課題と考えます。
 今回の就学支援金の導入により、全国で三十三の道県が来年度予算案において、前年度より予算を減らしていると文科省がいっております。厳しい財政状況の中、やむを得ない面もあるのかもしれませんが、都においては、従来から私立学校に対する助成を充実し、私学振興に努めてきました。改めて、今後どのように私学振興を図っていくのかお伺いいたします。

○小笠原私学部長 都内の高校生の約六割が通う私立高校は、その建学の精神に基づき、個性的で特色ある教育を展開し、都の公教育において大きな役割を果たしております。
 このため、都はこれまでも私立学校の教育条件の維持向上、生徒の就学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全化を目的とした基幹的補助である経常費補助を実施してきたところでございまして、来年度予算案におきましても、引き続きその確保を図ったところでございます。
 また、保護者負担軽減施策として実施しております特別奨学金につきましては、現下の経済状況などから補助対象者がふえることが見込まれるため、来年度予算案では、前年度より約十億円の増額としております。
 今後とも、公教育において大きな役割を果たしている私立学校が、都民の期待にこたえる質の高い教育を確保していくため、学校運営に対する支援の柱となる経常費補助を中心に、保護者負担の軽減などもあわせて私学助成の充実を図り、私立学校の振興に努めてまいります。

○村上委員 ただいまのご答弁は大変心強く思いました。我が自由民主党は、ずっと変わらず私立学校の振興に力を入れてまいりました。今後とも、よりよい環境整備のために引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。次は、東京都美術館の利用料金上限額の改定についてお伺いいたします。
 上野の東京都美術館が、来月から大規模改修工事のため休館するとのことです。そもそも東京都美術館は、東京府が佐藤慶太郎氏という民間の篤志家から寄附を受け、大正十五年に現代美術の振興を目的とした恒久的な展覧会場として開館したものと聞いています。
 東京都美術館といえば、海外の有名美術館などの作品を新聞社などとの共催で展示する、いわゆる共催展も有名でありますが、平成十九年に六本木に国立新美術館ができるまで、公募展の殿堂として、国内唯一の美術団体、新作発表の場として都民に親しまれてきたことですが、芸術文化の振興に大きな役割を果たしてきたと思っております。
 また、国立新美術館が開館した後も、一部の大きな団体は移ったものの、利用団体数がふえたと聞いており、東京都美術館のニーズは相変わらず高く、改修工事により整備されることは時宜にかなったことと考えます。
 我が党は、これまで東京都美術館の改修に関して、予算特別委員会や文教委員会等で何度か質疑を行い、意見を出してまいりました。その中で、利用者の意見を聞き、改修工事に反映するよう強く要望してまいりました。
 今回、公募団体など、利用者にとって使い勝手がよくなり、また、彫塑室等の利用方法も変更すると伺っておりますが、改めて利用者にとっての改修のメリットを伺っておきたいと思います。

○藤井参事 今回の改修工事の設計に際しましては、展示室の利用者や来館者へのアンケート、ヒアリングを随時実施いたしまして、その意見を反映し進めてまいりました。
 その結果、来館する方々の鑑賞環境の向上といたしまして、展示を見やすくするための照明の改善、冷暖房をきめ細かく調整できるようにすること、さらに、飲食施設の拡充などを行うものでございます。
 さらに、展示をするための利便性の向上といたしまして、展覧会事務室のある公募棟の中間階にエレベーターがとまるようにすること、また、作品搬出入のためのトラック、バスの増設などを行ってまいります。
 従来の彫塑室は、エスカレーターの設置によりアクセスを改善いたしますとともに、立体物に加え、さまざまなジャンルの展示や新たな企画展を展開する場としても活用することといたしました。
 今回の改修によりまして、利用者、観覧者の利便性、快適性は格段に向上するものでございます。

○村上委員 公募団体の利用者にとっても、来館者にとっても使い勝手がよくなるということは今のご答弁で確認できました。
 次に、本定例会に提案されている東京都美術館の展示室を利用する際の料金の改定について、考え方をお伺いいたします。

○藤井参事 都立文化施設の利用に際しましては、受益者負担の考え方から、利用者に一定のご負担をいただくこととしております。今回の料金改定は、平成二十四年度の東京都美術館のリニューアル後に適用になるものでございます。
 東京都の公の施設の使用料は、受益者負担の適正化を図る観点から、原価計算をもとに見直しを行うこととなっておりまして、利便性向上のための建物、設備の改修の結果、施設運営コストがどのように変化するか調査を行いました。その調査結果に基づきまして、条例で定める利用料金の上限額を一平米当たり八十八円から百円に改定することといたしました。

○村上委員 施設の利便性が向上することから、利用者の理解はおおむね得られると思いますが、実際に利用者が支払う料金は、条例で定める利用料金を上限として、指定管理者が定めることとなっています。
 そこで、この指定管理者が定める金額について、利用者の負担が過大とならないように都が指導するべきと考えますが、いかがでしょうか。

○藤井参事 地方自治法の定める利用料金制により、実際に利用者が支払う料金の額は、指定管理者が条例に定める金額を上限といたしまして、東京都の承認を得て設定することとなっております。
 現在、公募展示室の料金は、条例で定めた利用料金のおおむね七五%の額でございます。東京都は指定管理者に対しまして、類似施設の料金も勘案し、改修後も利用者の負担が過大にならないよう設定するよう指導を行いました結果、指定管理者からは、条例による利用料金の改定率と、実際、利用者が支払う料金の改定率は同程度とする予定であると聞いております。

○村上委員 今のご答弁を聞いて安心いたしました。今回、百億円以上の経費をかけて改修を行うわけですけれども、利用者の利便性が格段に向上し、料金の値上げも利用者にとって過大な負担とならないということがよくわかりました。
 利用者が安心して東京都美術館を使えるよう、今後とも東京都は、利用者の意見を聞き、適切な運営が行われるよう、指定管理者を指導監督するよう強く要望いたします。
 また、平成二十三年の早期にパンダが上野動物園にやってまいります。上野公園は多くの人出でにぎわうことが予想されます。東京都美術館も改修後、東京の文化発信拠点の一つである上野の森の特徴ある文化施設として、多くの人を引きつける魅力的な運営が行われるよう強く要望して、次の質問に移ります。(発言する者あり)戻ってきてくれてよかったです。
 次に、地域の底力再生事業助成についてお伺いいたします。
 地域コミュニティの活性化は、住民一人一人が地域に目を向け、活動に興味を持ってもらうことが重要であります。都内には八千以上の町会、自治会の組織があり、都市化や少子高齢化が進んだ地域では、顔が見えるつながりを強化し、いざというときに助け合うことができる活動を行っています。
 このように、地域の活力を増進し、住民相互の互助を推進する町会、自治会活動を支援する地域の底力再生事業助成の事業は、我が党が平成十九年度の新規施策として提案し、実現した事業で、今や地域の発展に不可欠な事業となっております。
 この助成事業については、各地域から高い評価が寄せられており、予算の継続要望が出されております。大幅な税収減となり、都財政がこれまでにない大変厳しい状況の中、我が党の復活要求の結果、来年度もこの事業を継続し、一億円を計上することができました。
 特に私の地元渋谷区でも、町会の連合会が新設した分野別モデル事業の一つである国際交流事業に取り組み、事業所や学校と連携した防災訓練を実施いたしました。多くの外国人が参加し、地域で暮らす人と人とのつながりを深めることができるなど、効果的な事業となりました。
 また、外国人が地域に住みやすいまちづくりを進めるディスカッションの場として開設されました国際化市民フォーラムinTOKYOでも、地域の底力再生事業助成を活用した、外国人市民が参画する地域づくりの事例として、連合会の会長がパネリストで発表し、参加者から大きな拍手をちょうだいいたしました。
 このように分野別モデル事業に取り組んだ町会、自治会では、地域の活性化に対して、それぞれ地域の特性に応じて成果を上げていると思いますが、今年度の実施についてお伺いいたします。

○平林都民生活部長 地域の底力再生事業助成は、平成二十一年度から、スポーツ、伝統文化、国際交流、市民活動の分野別モデル事業を新設して実施してまいりました。
 助成対象事業は、平成二十一年度の総数が百八十二件と前年の一・五倍に増加し、新設の分野別モデル事業はそのうち六八%、百二十四件で、町会、自治会の方々から取り組みやすいという声を聞いております。

○村上委員 今年度の地域力の事業が大幅に増加したということで、百八十二件と前年度の一・五倍、そしてまた、新設の分野別モデルは六八%の百二十四件ということで、大変すばらしいことでありますけれども、地域力の向上のためにどのような事業を実施すればよいのか迷っている、困っている町会、自治会もあるのではないでしょうか。
 これまでの助成事業の中で、実際に地域で取り組んでもらうために参考となるような事業があれば、ぜひ紹介していただきたいと思います。

○平林都民生活部長 町会、自治会活動の参考になる事例といたしまして、まず地区の町会連合会が環境、福祉、防災などの課題に取り組むために、エコ遊びやシニア体験、エコアイデア募集など、住民が中心になった手づくりのイベント事業を実施するとともに、消防、警察、学校、社会福祉協議会など、地域の多様な関係団体が支援することで、幅広い年齢層の住民が参加した事例がございます。
 また、新しい住民がふえ、高齢者が多い地域では、単一の自治会ですけれども、保育園、幼稚園などとの関係団体と連携しまして、子どもたちから、ずっと元気でいてねをテーマに高齢者の絵を募集し、Tシャツにして発表会を開催するなど、絵を通じた子どもと高齢者の交流を促進した事例などが挙げられます。
 来年度は、分野別モデル事業の中から地域に推奨したい地域力向上モデル事例を選び、町会、自治会に紹介することで地域活動のさらなる発展を促進してまいります。

○村上委員 この助成事業は年々内容が充実してきており、また、今の事例の中でも部長からの報告があったように、大変いい事例が幾つもあるようでございます。地域力向上モデル事例もできるということですから、これを大いに使って地域の中で活用していただければありがたいと思います。
 特に都議会自由民主党は、町会・自治会等振興議員連盟を発足させ、町会、自治会の発展を支援してまいりました。私も事務局長として成果が顕著に出ていることに大変うれしく思っております。このような成果が上がっている事例を多くの団体に紹介していただき、各地域で取り組んでもらうことが地域力の向上につながると思います。
 さて、本助成事業は、我が党の強い要望で実現した事業で、平成十九年度から実施しております。来年度は四年目の事業となり、町会、自治会にとっても必要とされている事業になっております。私の地元渋谷区でも地域に浸透してきており、町会、自治会の会長さんたちも、本助成事業を活用して地域を活性化する事業に取り組んでまいりました。
 そこで、四年目ということで、来年度はこれまで以上に事業を発展させる時期に来ていると思いますが、この事業の今後の取り組みについて、ぜひ局長からご所見を伺いたいと思います。

○秋山生活文化スポーツ局長 東京におきましては、都市化の進展とともに、住民の頻繁な転出入、高齢化の進展、単身、小規模世帯の増加などございまして、地域のつながりが極めて希薄化しているという指摘がありまして久しくなるところでございます。
 もちろん、千三百万人の都民がここで日々生活をされておりますので、新たな形でのコミュニティができているということ自体、私も否定はいたしませんけれども、地域に根差した町会、自治会の活動は、地域の活性化を通して防災や治安などの安心・安全、それから福祉、教育、環境、まちづくりを初め、さまざまな課題を解決する自治の原点ともいえる活動だということでございまして、さらにその継続性、広がりを見ますと、これはもう別格のものというふうに考えております。
 地域社会の自治の力を高めながら、町会、自治会の活動を支援するということは、都政、さらには広く自治に携わる者として極めて重要な課題だというふうに考えております。
 地域の底力再生事業でございますけれども、ただいま村上副委員長からご指摘がございましたとおりの経過で平成十九年度にスタートいたしまして、当初三千万でスタートいたしまして、その都度、都議会のご協力を賜って、七千万円、最終的に一億円の予算という形で充実してきております。
 私自身も、町会連合会の会合などになるべく頻繁に通わせていただいております。また、個別の地域の底力事業につきましても、個別に実地に見させていただいたりしておりまして、町会、自治会の方々、地域の方々がこの事業を大変重要視されていると。それから、実際にも極めて充実した事業が行われていることは、私自身の体験からも感じております。
 こうした活動をさらに支援すべく、当局といたしましても、これまで分野別モデル事業を設けたり、一件当たりの助成額を増額するというような形で事業の充実に努めますとともに、申し込み期間の延長、それから事例集、ガイドラインの作成、手続の簡素化など、使い勝手をよくするというような改善にも努めてきたというのが実態でございます。
 また、本事業の実施に伴いまして、町会、自治会への加入率が実際に上昇したという事例とか、それから、本事業がきっかけとなりまして、区部で構成されておりました東京都町会連合会と多摩地区各市等の町会連合会が連携、連絡をする機会を持つようになるなど、個々の事業にとどまらず、広く東京の地域社会の発展につながる、そういった波及効果も生まれているというのも事実でございます。
 来年度は事業開始から四年目となりますが、手探りで始めました事業も骨格がほぼ固まりつつあると。それから、モデル事業も蓄積がどんどん生まれてきたということもございまして、今後は広く地域の町会、自治会の皆様に事業を紹介し、使っていただくための普及期に当たろうかというふうに思っております。
 今般、東京都町会連合会がみずから普及啓発のための地域力向上事例集を作成いたしましたが、我々と共通のこのような認識に基づいて作成されたものだと考えております。
 当局としても、町会連合会等とこれまで以上に連携を図りながら、広く本事業が利用、活用されまして、一層の地域力の向上と地域社会の活性化が図られるよう努めてまいります。

○村上委員 局長の大変力強いご答弁ありがとうございました。地域のために努力している町会、自治会では、今の局長の答弁を聞いて、さぞかし喜ぶことと思います。ありがとうございました。
 我が党の要望で実現したこの事業がさらにレベルアップして、都内各地域で活用されていくことを願います。まさに今こそ人と人のきずな、そして地域のコミュニケーションの必要性を実感する時代でございます。今後ともご理解、ご協力をお願いして質問を終わります。

○遠藤(守)委員 私からは、付託議案であります東京都美術館条例に関連いたしまして、同美術館の公募展示室の利用ルールについて一点お伺いしたいと思います。
 先ほど来お話がありましたとおり、東京都美術館は来月からいよいよ改修工事が始まり、休館します。
 それを前に、先月、リニューアル後の公募展示室の使用に関する新たなルールが公表され、それに基づいて、早速、二年後のリニューアル後の団体使用に向けた説明会があったということでお伺いをいたしております。
 この東京都美術館の公募展示室の使用承認に当たっては、私は、一昨年の各会計決算特別委員会の分科会において、首都美術館にふさわしい一定の格式やレベルを尊重する一方で、公立美術館として広く都民に開かれることも重要であり、リニューアルを契機に公正、公平なルールづくりをすべき旨、訴えさせていただきました。また、その後の文教委員会でも逐次フォローさせていただいたわけであります。
 この都美の改修に向けてはさまざまな報道がありますけれども、先日も、三月十日の朝日新聞の夕刊でこんな記事がありました。団体展、私は今、公募展と申し上げておりますけれども、団体展の聖地、二年間休館と。各団体、代替地探しに動いているという、こんな記事であります。
 この朝日新聞の報道によりますと、〇八年度の入場者総数、これは都美全体でありますけれども、約二百六十三万人、うち百四十三万人、これはこちらで計算しましたけれども、五四%が団体展、すなわち公募展の入場者数であるということであります。
 先ほど村上副委員長の質疑でもありましたけれども、〇七年に国立新美術館が六本木にできて、日展など大きな団体展は移ったが、その分、小規模の団体が入り、現在は年間約二百六十団体が展覧会を開く、公募等の予約は常にいっぱいでありますと、このような形で美術館の関係者のコメントも載っておりました。
 なお、関連して、この記事の中には、この美術館の設計を手がけました故前川國男さんの考え方、コメントも載っておりました。私は、ああそうなのかと思って、なるほどなと思いまして、この前川先生は、東京都美術館をつくるに当たって、設計をするに当たって、平等性というものを大変強く意識して設計されたということであります。
 前川先生の言葉に、美術品にあくまで中立、平静な背景を提供するとの方針を立てた。この先生の哲学を具体的にあらわした形として、現在の公募展の会場となっている公募棟は同じ形で、なおかつ容量も同じ、その四つの会場が配置をされていると、こういった記事がありました。
 前段が長くなりましたけれども、そこで、今回新たに決められましたルール、どのようになったか、変えられたか、そしてこの申し込みの受け付けはいつ開始するのかお答えいただきたいと思います。

○藤井参事 東京都美術館の施設貸し出しは、指定管理者であります財団法人東京都歴史文化財団が行っており、運営ルールにつきましては、専門家の意見を聞いて財団が定めたものでございます。
 リニューアル後、平成二十四年度の公募展示室の使用につきましては、本年四月に資格審査の申し込み受け付けを行う予定でございます。その後、団体の展覧会等の取り組み内容に関する書類の提出を受け、外部有識者による審査委員会により、応募書類の審査を行ってまいります。その結果に基づきまして、大きく四つのグループにランク分けをいたしまして、上位グループから順に会期及び展示室を割り当てていく予定でございます。
 また、原則として審査は五年ごとに実施いたしますが、新規の参入が想定されますことから、毎年新たな申し込みの機会を確保いたしまして、広く開かれた仕組みとしているところでございます。

○遠藤(守)委員 公正で透明な審査を行うべきであると思いますけれども、それでは、その審査の基準はどのようになっているのかご説明いただきたいと思います。

○藤井参事 先月の団体向け説明会でも公表いたしましたが、財団が定めた審査基準は大きく二つございまして、一つは団体の運営力、実績でございます。二点目が、団体活動がリニューアル後の東京都美術館の運営方針をどのくらい踏まえているかという点でございます。
 具体的には、団体の運営力、実績につきましては、安定して公募展を開催できる体制があり、その運営状況が健全であるかどうか、さらに、一定の規模の公募展の実績があるかといったものが基準となります。
 東京都美術館の運営方針との合致の点でございますが、団体の活動につきまして、まず芸術文化の創造活動を促進、支援し、すそ野を拡大するものであるか、二点目としまして、芸術、文化の質の向上を図るものであるかどうか、三点目としまして、新しい芸術表現や表現者の発掘、育成を図るものであるか、四点目としまして、鑑賞者と作品、アーチストとのコミュニケーションを図るものであるかといった観点から審査を行うものでございます。

○遠藤(守)委員 今ご答弁いただきました審査の基準につきましては、これまで、現在の審査基準なるものは、私は以前に、要綱という形だったでしょうか、見せていただきましたけれども、それに比べると、より公正、透明化が図られていると、このように評価をいたしたいと思います。
 ところで、この審査をする方、審査委員はどのような方が人選をされ、また、この審査委員の方の氏名等は公表がなされるのでしょうか。

○藤井参事 審査委員は、審査対象である公募団体とは利害関係がない、美術や書道に関する学識経験者、及び公募団体が開催されている他の美術館の学芸員などを候補として考えております。
 委員と公募団体関係者との接触を防ぎ、公正な審査を行うためにも、委員の名前は公表しないこととしております。

○遠藤(守)委員 問一の答弁でもありましたけれども、今回の運営の新たなルールについては、指定管理者であります財団法人東京都歴史文化財団が制定をし、その審査についても最終的な責任を持ってやると、このように理解をいたしておりますけれども、東京都としても、この新たなルールが厳格に適用され、実質的に多くの団体が公正かつ公平、さらに、先ほど設計者の前川先生の話がありましたけれども、平等にこの公募展に参加する機会が提供されるように、東京都としてもしっかりと目配りをしていただきたいことを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○畔上委員 第五十七号議案の東京都美術館条例の一部改正について伺いたいと思います。
 当美術館は、都民の芸術文化の拠点としての大きな役割を果たしている美術館と。先ほど来もお話がありましたけれども、とりわけ公募展事業は、美術団体の育成、発展に重要な役割を果たしてきたわけです。私も実は、知人の作品を鑑賞に何度か行ったことがあるんですが、大変貴重な場だと感じております。
 改修のメリットというお話もありましたが、今回リニューアルされるということで、さらにこうした公募展事業が発展していくように、ぜひしていただきたいというふうに強く思っているところでございます。
 そこで、まず利用料の問題ですが、利用料の説明が先ほど行われました。そして、指定管理者が設定をし、負担が過大にならないように指導というお話がありましたが、今回限度額の引き上げに伴い、利用料は一五%の値上げというふうになるわけです。利用料値上げというのは、公募展など出品される団体にとっては大変な負担になるということを私、心配しております。
 例えば、公募展示室の一室を借りるのが、現在四万九千五百円、これが五万七千円に上がるわけです。十日間使用する場合は五十七万円となるわけで、七万五千円の値上げとなるわけです。
 展示する場合には、この部屋の利用料だけではなくて、作品を飾るための会場設営の費用、それから、作品を運搬するその費用など、さらに、看板をつくるための費用などなど、一回の作品展で室料の約三倍もの費用がかかっているというのが実態だと伺っております。
 作品の提出者に出品料を徴収して、何とかやりくりされているということもお話を伺っていますが、大変な負担で、ある六十年以上も歴史のある団体では、これ以上の値上げで、もう団体そのものが成り立たなくなってしまうというふうなお話も伺ってきました。
 団体育成の立場に立って、私は値上げはやめるように指導すべきだったと思うんですが、いかがですか。

○藤井参事 東京都の公の施設の使用料は、受益者負担の適正化を図る観点から、原価計算をもとに見直しを行うこととなっております。
 東京都美術館は、この四月から休館いたしまして、約二年間かけて設備の全面更新やバリアフリー化などの大規模改修工事を行う予定でございます。この改修によりまして、利用者、それから、来館者の環境が格段に向上するという中で一定の負担が必要という考え方の中から、大規模改修後の施設運営コストに関して調査を行って、その結果に基づきまして、条例に定める利用料金の上限額を改定することといたしました。

○畔上委員 私は、やはり都民の美術団体の育成の立場が非常に大事だというふうに申し上げているのであります。これまでも美術館が利用料値上げをしますと、会場設営業者の利用料、それから看板業者の利用料、看板料ですね、こういったものも連動して上がっているそうなんです。
 そうなると、都内に百から五百の作品を展示するような美術団体の作品展を行えるような場所はごく限られていて、ここが本当にそういう面では貴重な会場になっているわけですが、そこで、美術団体を財政的な面から存亡の危機に追いやるということは、やっぱりあってはならないというふうに私は思います。都立の美術館だからこそ、先ほど申し上げましたような団体育成の立場で利用料を据え置くべきだということを強く求めていきたいと思います。
 次に、リニューアル後の都立美術館の公募展示について伺いたいと思います。先ほども公募方法の変更があったということで変更内容と、その変更理由の説明がありました。そして、外部有識者の方が審査を行っていくということもお話がありました。
 そこでちょっと伺いますが、そのメンバーはどうやって選定されるのか、外部有識者の選定の仕方を教えていただきたいと思います。

○藤井参事 審査委員は、公募団体とは利害関係がない美術や書道に関する学識経験者、及び公募団体展が開催されている他の美術館の学芸員などを候補としていると聞いております。実際に審査委員の選定に当たりましては、指定管理者である財団が選定をいたします。

○畔上委員 先ほど、公正な審査が必要だから非公開だというふうにご説明があったんですけれども、公正な審査が必要であるというのは当然のことですが、私は、だからこそ公表して、審査も公開して公正を担保すべきだと思うんですけれども、その点いかが考えるんでしょうか。

○藤井参事 委員の公表につきましてでございますが、公にすることにより、委員と公募団体関係者との接触が行われ、外部からの干渉、圧力等により率直な意見交換や意思決定の中立性が損なわれるおそれがあるため、委員名の公表は行わないこととしております。

○畔上委員 圧力などあってはならないことでありますが、少なくとも審査が終わった後にきちんと公表して公平性を担保する、それがやっぱり大事だというふうに思うんです。内密にやるようなことがもしあったら、大変なことなわけです。ですから、少なくとも審査が終わった後、公表すべきではありませんか。

○藤井参事 審査は、毎年応募を受け付けるという形から、継続して行っていく予定でございます。このため、今回の審査が終了したことのみをもって公表いたしますと、今後の委員の委嘱等が困難になるおそれもございまして、事業の適正な遂行に支障を及ぼすものというふうに考えております。

○畔上委員 公募団体展の利用に際しての今回の資格要件には、団体設立後五年以上経過していること、また、公募展を定期的に五回以上実施していることという要件は削除されました。
 そういう点では、新しい団体の利用を促すという部分は否定しませんけれども、今までやってきたことの実績がきちんと適切に評価されるべきだと思いますが、その点は都としてどうお考えでしょうか。

○藤井参事 審査基準につきましては、先ほどご説明したとおり、公募団体としての活動実績というものを踏まえて審査をするということで含まれているというふうに考えております。

○畔上委員 昨年の実績を見ましても、二百五十八団体が利用して一〇〇%の利用実績です。これまで長年利用されてきた団体の方々に何人かお話を伺ってみましたが、皆さん公正な審査を強く望んでおられました。
 公正な審査とともに、公募展の果たしてきた役割、各美術団体の活動を支援していく立場で都の美術館運営を指導していただきたいと、そのことを強く申し上げまして、次の質問に移ります。
 次は、東京平和の日について伺います。ことしは戦後六十五年。三月十日は平和の日で、都内で追悼の集いや、平和の決意を新たにする催しが開催されました。私の地元江東区は、東京大空襲で大きな被害を受けた地ということもありまして、町会連合会で追悼会を行ったり、また、さまざまな集いが取り組まれてきました。
 六十五年という節目ですが、都として、ことしの平和の日はどんな取り組みをされたのか伺います。

○桃原文化振興部長 東京都平和の日の記念行事といたしましては、三月十日の日に空襲犠牲者やその遺族、在日大使館関係者の方々をお招きし、都庁におきまして東京都平和の日記念式典を開催するとともに、墨田区の横網にございます東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の内部公開を行っております。
 また、本年、都庁の第一庁舎一階中央部におきまして空襲写真の展示を行ったところでございます。さらに、二月から三月にかけまして、都内四カ所におきまして東京空襲資料展を開催いたしますとともに、新聞広告等によりまして普及の啓発に努めております。

○畔上委員 我が党は都庁での展示も求めてきましたけれども、これは前進だというふうに思います。ぜひ続けていっていただきたいと思います。
 東京大空襲は、一夜にして十万人もの命を奪い、江東や台東など下町一帯が焦土と化して大きな被害を、悲劇を生んだわけです。江東では三万一千六百八十一人もの方が亡くなったんです。だから、大空襲で家族や親戚を亡くされた方が区内には結構いらっしゃいまして、私もたくさんの方から大空襲の悲惨さについてはお話を伺ってきました。
 しかし、大空襲を体験された方々がだんだん少なくなってきて、戦災孤児や大空襲の体験者の方の証言をしっかり引き継いでいくには、今、手だてを尽くしていかないとならない問題ではないかというふうに思っております。大空襲の記憶を決して風化してはならない。そのためにも、都は積極的な取り組みを強めていただきたいというふうに思っております。
 平和祈念館の建設が凍結されて既に十年がたっております。祈念館をつくるならと、たくさんの方が遺品や当時の様子を伝えるものなどを寄贈されています。それから大分月日がたってしまったわけですけれども、そこで伺いますが、都民から提供された東京大空襲の資料、現在どのぐらいあって、どこにどういう形で保存されているんでしょうか。また、その資料の整理はどのようにされているんでしょうか、伺います。

○桃原文化振興部長 これまで収集を進めてまいりました東京空襲関連の資料といたしましては、寄贈されたもの、購入されたものなどを合わせまして、現在五千四百七十点ございます。
 収集資料の中には、防空用具などの物品類、罹災証明、配給券などの紙類などがございます。これらの資料につきましては、担当の学芸員がそれぞれの資料の性質に合わせまして、博物館等に準じた方法により一括しまして保存しております。
 なお、保存の場所につきましては、東京都庭園美術館の敷地内にございます資料室倉庫でございます。

○畔上委員 五千四百七十点ということで、これだけの多い資料が収集されているというのは、やはり都民の皆さんが二度と再びこのような戦争を繰り返してはいけないという決意のあらわれではないかというふうに思っております。
 資料の整理や研究に早く取り組まないと、先ほども申し上げましたが、体験者の方々がいなくなってしまいます。研究もぜひ積極的に進めていただきたいなというふうに思っております。
 また、広く一般に公開してこそ、この寄贈された資料などが生かされるんだというふうに思うんです。区市町村との協力を得て展示など、先ほどもご説明あったんですが、行っているようなんですが、やはりさまざまな形で、この資料の展示等、利用することを強く求めたいと思います。
 戦争の悲惨、惨禍を語って引き継ぐ、再びこの戦争、惨禍を繰り返してはいけないという決意のもとに、平和と命のとうとさを伝える平和の取り組みを一層強化していただきたいということを求めて質問を終わります。

○星委員 よろしくお願いいたします。今年度予算では、スポーツ都市東京の実現を目指した取り組みとして、総合的な競技力向上やジュニアアスリート発掘、育成、指導者育成、医科学サポート体制整備など、関連予算が拡充をされています。
 いよいよ二十五年の東京国体、多摩・島しょ国体の準備が加速していくことになっていきます。東京国体は多摩の活力につながると信じると同時に、成功のかぎは、都民の理解と市区町村、地域との連携だと思います。
 そのためには、直接参加する多くの競技関係の基盤強化だけでなく、それ以外の都民も日常的に気軽にスポーツに親しめる環境を整備することが大切であると考えます。
 そこで、「十年後の東京」でも、二十五年までに全区市町村に設置を目指している地域スポーツクラブの設立ですが、生涯を通じてさまざまなスポーツを楽しめる場として、すそ野を広げていくために大変有効であると思います。このことについてお聞きしたいと思います。
 私の地域の知人ですが、地元で地域スポーツクラブの設立に向けた準備委員会にかかわっております。昭島市では初めての地域スポーツクラブの立ち上げであり、手探り状態で大変だというふうに聞いています。地域住民の中には、まだまだ地域スポーツクラブをよく知らない方たちがいらっしゃいます。
 そこで東京都は、これまで地域スポーツクラブについてどのように都民にPRをしてきたのかお伺いしたいと思います。

○安藤スポーツ振興部長 地域スポーツクラブを地域に普及させていくためには、都民の理解と参加が不可欠だと認識しております。
 そこで、都民に地域スポーツクラブを広く知ってもらうため、普及啓発のDVDやリーフレットを作成し、区市町村や体育関係施設の窓口などを通じてPRを行うとともに、専用ホームページ、地域スポーツクラブサポートネットによりまして、活動内容の紹介やクラブ立ち上げに向けた情報提供などを行っております。また、地域住民の皆さんにクラブをより理解してもらえるよう地域スポーツクラブ体験事業なども行っております。
 今後ともこうした体験、取り組みを通しまして、地域スポーツクラブについて広く都民の皆さんにPRしてまいります。

○星委員 ぜひ積極的にPRしていただきたいと思います。今回質問するに当たりましては、私もいただきましたが、申しわけありません、私も全然存じ上げていなくて、一体どこでPRしているのかなというところで、それなりの場所に行けば、これが手に入ったのかもわかりませんけれども、まだまだ普及というところの中では、いま一つの状態だというふうに思いますので、ぜひ積極的なPRをよろしくお願いいたします。
 そしてまた、設立、運営に関しての支援も欠かせないものだと思いますけれども、東京都はどのような支援策を講じて、これまでどのような成果があったのかお伺いいたします。

○安藤スポーツ振興部長 都はこれまで、東京都スポーツ文化事業団内の広域スポーツセンターを通じまして、クラブの設立、運営に携わる人材養成の研修の実施や、指導者の派遣、また、クラブを巡回した相談を行うなど、さまざまな支援を行ってまいりました。
 この結果、平成十九年当初は二十二区市町村で四十四クラブでございましたが、今年度末には、三十二区市町村で八十クラブまでふえる見込みとなっております。
 都は、スポーツ振興基本計画におきまして、平成二十八年度までに都内で百クラブ以上にすることを目標に掲げておりまして、この達成に向け、支援策を展開してまいります。

○星委員 お答えありがとうございました。設置数が徐々に増加しているというふうに、今のお答えからもわかりました。
 事前にいただいたスポーツクラブの一覧ですけれども、かなり多くなっておりますけれども、特に多摩地域におきましては、二十六市町村ある中で、今、設置されている市が十五というところでございますね。
 スポーツクラブの個数でも、これは私も非常に興味深く拝見したんですが、多摩地域におきまして三十三設置クラブの実に半数以上、十九クラブが八王子市に集中しているということでとても驚きました。首長の方のいろいろスポーツ振興というところの中の方針なのか、その辺のところがいろいろばらつきがあるなというふうに思いまして、地域にはさまざまな課題があるのではないかというふうに思います。
 それぞれ地域事情も異なっていると思いますけれども、区部においても、実は十六区というところで全部ではありません。これまで以上に地域の実情を踏まえて、きめ細かな支援をしていく必要があると考えますけれども、こうした未設置の区市町村にどのような支援をしていくのか見解をお伺いいたしたいと思います。

○安藤スポーツ振興部長 都では、未設置の区市町村の一部を対象に、今年度から地域住民のスポーツのニーズなどに関する調査を行い、設立に向けた課題を整理するとともに、区市町村の行政担当者を対象に、クラブ設立支援を促進しますセミナーを開始したところでございます。
 また、来年度、平成二十二年度からは、これまでの相談機能をさらに強化するため、広域スポーツセンター内に支援アドバイザーを配置し、クラブ運営に必要なノウハウや、法律等の専門的な相談に対応するようにいたします。
 今後もこうした支援を行うことにより、未設置区市町村における地域スポーツクラブの設立をさらに促進してまいります。

○星委員 国体に関係する競技ということだけではなくて、実に今、さまざまなスポーツの種類があると。高齢者のスポーツも、一昔前はゲートボールというようなところがメジャーだったんですけど、今は本当に高齢者のスポーツの種類も多種多様に広がっておりまして、非常にすばらしいことだと思いますし、これはとにかく介護予防にもなることですので、この広がりは非常にすばらしいなと思いますけれども、片や、いわゆる練習場所、活動場所の確保というところの中で、既存のスポーツ団体との競合により、練習場所が非常に不足しているという状況も漏れ伝わってきております。
 このいただいたパンフレットを見ますと、活動の場所の七五・九%が学校体育施設、一九%が公共のスポーツ施設、いわゆる区市町村の体育館などというようなところであると思いますけれども、そういったところは部活動だとか、あるいは既存のさまざまなスポーツ、これまでのスポーツ団体との中での競合ということが非常に予想されております。
 そこで、ぜひお願いをしたいんですが、地域の企業などの施設みたいなものの開放というようなところの部分もぜひぜひ検討して、東京都が働きかけをしていただけるようなことも検討の一つに加えていただけないかなというふうに思いますので、その場所の設置というのは、地域のスポーツ振興の施設の保障というのは、市区町村の第一義的な役割であるというふうには当然思っておりますけれども、東京都もぜひぜひそういった意味で市区町村の相談に乗っていただけるとか、いろいろな意味でのご努力を引き続きお願いいたしまして質問を終わります。

○滝沢委員 それでは、消費者行政活性化基本事業についてお伺いしたいと思います。
 地方消費者行政活性化交付金は、平成二十一年度から三年間ということでの消費生活相談窓口等の機能を強化する実際の取り組みとして支援するということでございますけれども、国の事業メニューに従いまして都道府県みずから事業を行うとともに、区市町村も基金から助成を受けて事業を実施しているということです。
 この基金に関しては、当委員会において昨年の三月、基金条例設置及び今年度補正予算について審議してきたところでございますけれども、平成二十二年度、予算としての基金、約五億円を計上していますけれども、その配分と都の事業についてお伺いしたいと思います。

○清宮消費生活部長 東京都消費者行政活性化基金につきましては、住民に身近な消費生活相談窓口の充実強化が重要であることから、区市町村に重点的に配分することとしてございます。
 区市町村に対する助成につきましては、国の要領等に合致するすべての事業を対象とし、平成二十二年度は約三億四千万円計上してございます。
 一方、東京都がみずから行う事業につきましては、約一億六千万円の予算を計上し、広域的に実施することが有益な事業や区市町村を支援する視点で有意義な事業に取り組んでまいります。
 具体的には、区市町村など関係機関と共同で行うテーマ別の特別相談を行うほか、若者の消費者被害防止に向けた注意喚起や多重債務相談のPRなどを実施いたします。また、都内の生活協同組合との共同事業の充実や、相談員を対象といたしました年間五十日間の実務研修などに新たに取り組んでまいります。

○滝沢委員 さまざまな事業の中での普及啓発事業を引き続きお願いしたいと思いますけれども、とにかく八王子市の消費者センターは、平成二十一年度から既に自主財源で土曜相談というのを開始しているというふうに聞いておりますけれども、都内の自治体のほとんどは消費生活相談窓口が設置をされているということですけれども、こうした中、この基金は、消費者生活センターの機能強化のために具体的にどのように活用されて、市区町村に取り組みをされているのかお伺いしたいと思います。

○清宮消費生活部長 市区町村の平成二十二年度事業計画によれば、基金の活用につきましては、消費生活センターの相談コーナーを改修して備品や機材の整備を行うなど、相談環境の改善に取り組んでいこうとしているところが多く見られます。また、相談日数や相談員をふやす自治体もあるほか、弁護士や建築士を活用しました相談や高齢者などを対象とした訪問相談を行う自治体もございます。
 そのほか、消費者問題の講義ができる人材を養成する消費者カレッジや、地域で高齢者を見守るマンパワーの育成など、基金活用の二年目に当たることでもあり、それぞれ工夫を凝らし、多様な事業が予定されているところでございます。

○滝沢委員 多様な事業の展開をしながら、しっかりと消費者行政ということでやっていくということでございますけれども、消費者生活行政は、高齢者に対する被害が依然として深刻であるとともに、就職活動にひっかけた若者の消費被害なども多いというふうに聞いております。
 基金を最大限に活用して、市区町村ともども消費生活相談の機能強化や消費啓発、そして消費者教育の一層の充実に取り組むよう求めまして、私の質問を終わります。

○大津委員 今、滝沢委員から消費者行政について質問がありましたところで、引き続き、今度は都民の命と安全を守る立場から、消費者保護についての取り組みについてお伺いをいたします。
 日本では、子どもの火遊びの七割がライターで火災を起こしているということで、昨年、東京都は十一月、子どもに対するライターの安全対策報告書をいち早く発表し、これまたいち早く法律による安全対策の実施を国に要望いたしました。
 一方、今回初めて欧州教育視察に出かけましたが、その際、消費者保護も含め、いろいろとヒアリングもしてまいりました。例えば、イギリスでは、EUの取り組みとともに、平成十八年からEC加盟二十五カ国で規制を義務化しておりました。この規制というのは、日本のように何も規制のないライターではなくて、一回では火がつきにくく設計をされているという安全規制でありました。いろんな火災事故を受けて、昨年、都が国に要望し、国も早速検討を始めてくれましたが、都が国を動かした大きな画期的な事例となりました。
 一方、国の安全規制の方向は、今、いろいろと経済産業省の審査会で討議をされて、夏ごろに大まかな方向性が決まるという予定になっておりますが、実際に法律ができるまでには相当の時間がかかると見込まれます。その間にも、先月、練馬の子どものライターによる火災事故が起き、検討中にも、残念なことに子どもの命が失われてしまいました。こちらの方としましても、先々週、国の方に要望いたしまして、検討中にも命を失わぬよう、早急な法律設定の努力を要望したところであります。
 法規制されるまでの間、都民への注意喚起をどのように行っているのか、それについてお伺いをいたします。

○清宮消費生活部長 委員のお話にもございました子どもでも簡単に点火することができる安価なライターは、国内では年間約六億個流通してございまして、生活の中で身近なものとなっています。
 こうしたことから、都では国に対して、法律による安全対策の実施を要望するとともに、家庭においても日ごろからの取り組みが必要と考え、都民への普及啓発を行っているところでございます。
 具体的には、特に小さな子どもさんのいる家庭では、子どもがライターをいたずらして火災となったり、やけどを負うなどの事故例があることから、普及啓発用リーフレットを七十万部作成し、六歳以下の子どものいるすべての家庭に届くよう、保育所や幼稚園などを通じて配布いたしました。
 リーフレットでは、保護者に対してライターを子どもの手の届くところには置かない、触れさせたり遊ばせたりしない、簡単に操作できるライターを極力購入しない、理解できる年齢になったらば火の怖さを教えることなど、注意喚起してございます。
 また、「広報東京都」や消費生活情報誌「東京くらしねっと」で記事を掲載するなど、広く都民に情報提供しているところでございます。

○大津委員 子どもの火遊びを防ぐには、子どもの成長に応じて火は怖いということを徹底して教えることが欠かせません。今も声が聞こえましたけれども、家庭教育ということであります。
 日常生活の中には、ライター以外にも思いがけない事故が多数潜んでいます。どんな危険がどのように埋もれているのか、早い時点で把握をして、危険の芽を摘むことが大切です。
 視察の際も、例えばデンマークの現地に在駐している日本人の説明によりますと、デンマークでは、教育が徹底をされているために、家庭の中でも、託児所の中でも、徹底して火は怖いものだということを教えるので、ライターによる火遊びということ自体が起こり得ないことなのだという説明を受けております。私たち国民全体としては、この教育を徹底するということも、まず自分たちのやるべき仕事の一つでもあります。
 その上で、東京都は、昨年六月に私が一般質問をさせていただいたときに、ヒヤリ・ハット体験調査をインターネットで行うということを伺いました。事故が起こりやすいと思われる台所をテーマに調査を実施中との答弁でしたが、その後、どのような調査結果が得られ、それをどのように活用されているのかお伺いします。

○清宮消費生活部長 今年度から開始いたしましたヒヤリ・ハット体験調査は、都民一万二千人を対象にインターネットアンケートにより行ってございます。
 台所に潜む危険については、六千人を対象に調査を行い、約一万二千件の情報を収集いたしました。その結果、台所でのヒヤリ・ハット体験はコンロ回りに関するものが多く、五人に一人が衣類への着火を経験していることなどが明らかになっています。
 また、便利グッズとして使われている換気扇フィルターやグリル用の小石に火が燃え移ったような事例も報告されてございます。
 調査結果をもとに、ヒヤリ・ハット体験の具体例を掲載しましたキッチンでの事故防止ガイドを作成するとともに、「東京くらしWEB」などを通して、広く都民に注意喚起いたしました。また、商品の改善や安全基準の作成等にも役立てるよう、国や業界団体へ情報提供いたしました。今後、収集した情報を危害防止対策にも活用してまいります。

○大津委員 こうしたヒヤリ・ハットに注目したインターネットアンケート調査、また、そのほかのわかりやすいさまざまな情報収集、首都東京ならではの衣食住におけるいろんな危険な要素を情報収集し、それを消費者の皆さんに普及啓発、お知らせをしていただけることを強く要望いたします。
 ところで、危害、危険情報は、ライターのように東京都が調査したもの、ヒヤリ・ハット体験調査、また、東京消防庁等の関係機関から得られるものなど、さまざまなルートによる収集をすることができますが、それに加えて、日々都内の消費者、消費生活センターに寄せられる相談情報もあるわけで、その中に危害や危険にかかわる相談も多いので、日ごろから目を配ることも大切であります。
 昨年の十二月、この委員会で質問をさせていただいた日は、いろんな消費者トラブル美容一一〇番をちょうど実施していた日でありました。都の消費生活総合センターで昨年十二月に行いましたこの消費トラブル美容一一〇番について、その相談の概要について、また、措置についてお伺いをいたします。

○清宮消費生活部長 美容に関する消費者トラブルは、若者を中心に日ごろから多く寄せられていまして、中には多額な契約トラブルもあることから、東京都は、委員がおっしゃられましたように、昨年十二月十日と十一日の二日間、弁護士、形成外科医、美容外科医の協力を得て、特別相談消費者トラブル美容一一〇番を初めて実施いたしました。
 二日間で八十二件の相談が寄せられ、そのうち、美容クリニックに関する相談が全体の六割近くを占めており、手術した跡が残った、期待していた効果が得られなかったなどの相談が目立ちしました。
 また、エステにつきましては、事業者の倒産や解約に関するトラブルが多く見られました。それぞれのご相談につきまして、適切なご助言等したところでございます。

○大津委員 たった二日間で八十二件のトラブル、美容ということで特化をした相談で、これだけの件数が集まったというのは、かなりの件数が多分潜在されているのかと思います。
 美容クリニックといいますと、なかなかわかりにくいですけれども、この中には、例えば、毛深くて悩んでいる方、全身脱毛や、また、フェイスリフトといわれる顔のしわ取りや、また、脂肪の吸引等も含まれるわけであります。一方、わきがのレーザー治療ですとか、包茎手術とかも美容クリニックという部門で全部、消費者センターでは集約をされてきていることになりまして、人にはなかなか相談しにくく一人で悩んでいる、本当に切実な方々の声が寄せられているわけであります。
 こうした弱いところにつけ込まれないための消費者保護を率先して東京都としても推し進めていって、都民の命と安全を守っていただきたいと思います。
 ところで、昨年九月に消費者庁が発足しまして、発足したことにより、消費者安全法が施行されました。自治体や国の行政機関等から消費者庁に消費者事故等の情報を一元的に集約する流れが一応これでできたということになりますが、そこで、消費者安全法に基づく事故の情報の集約について、東京都はどのように取り組んでいるのかお伺いします。

○清宮消費生活部長 事故情報の集約につきましては、東京都はこれまでも都民を製品事故などから守るため、都内の消費生活センターや東京消防庁などの関係機関から幅広く危害危険情報を収集して調査分析し、必要な場合には、都民に対する注意喚起などを行ってまいりました。
 消費者安全法の施行に伴い、国に通知される消費者事故情報につきましても、庁内各局及び区市町村との連携、協力により、消費生活部が一元的に把握する仕組みを整備したところでございます。
 さらに、本年一月に消費者事故情報を総括するポストを設け、いわゆるすき間事案を含めました消費者事故情報を総合的に活用するため、体制を強化したところでございます。
 また、集約した情報につきましては、外部の研究機関等を加えた消費者事故等情報検討会で内容を分析し、適切な対応に努めてまいります。

○大津委員 これからも衣食住、生活の中で平気で起きてしまういろんな事故から都民の命と安全をこれからも全力で守っていただきますよう、消費者保護行政に力を入れていただきたいと思います。
 最後に、秋山局長からその決意と、これからの消費者保護行政への強烈な後押しを期待したいということで、決意を述べていただきたいと思います。

○秋山生活文化スポーツ局長 東京では、本当に膨大でさまざまな消費活動が行われておりますから、消費者問題というのも本当にいろいろな形で出現しております。
 例えば、行政処分のもとになる証言をした被害者が、事業者から逆に直接訴えられるというような、これまで我々が想定もしなかったような、ある意味、先鋭的な問題も東京ではあらわれているという状況にあります。
 また、消費者庁ができまして、表現は適切かどうかわかりません。やや矢継ぎ早にさまざまな対策が出されていて、新聞紙上ではいろいろなことが情報としてははんらんしているというような状況でございます。
 ただ、行政としてそれを解決していくためには、何もとっびな対策が必要なわけではございませんで、他の行政と同じように、現場で起きている問題を的確に、早期に把握して、きちんと対応していくという、これに尽きるんだろうというふうに思っております。
 そのためには、大きく二つあろうかと思っています。一つが、情報収集、分析の窓口を広げて、質を高めるということ。第二には、それを担保していく行政組織を整備しないと、なかなかやっていけないという状況にあろうかと思っています。
 第一の点では、先ほど質疑にはございましたが、一万二千人インターネットアンケート調査、まちから攻めの情報収集ということで、間口を一気に広げたということをやっております。また、ライター等の商品テスト、これは本当に地道なものでございますけれども、そういったものを着実に行い、分析の質を高めていくというようなことも行っております。
 第二点の組織の問題でございますけれども、消費者行政の目や耳となります消費生活総合センターの相談員の増員を行いました。また、処遇の改善、それから専門チーム等を細分化して、専門性の向上を図っております。それから、悪質業者を取り締まるという面では、特別機動調査班の増員もいたしました。
 いわばこの二点をバランスよくとって進めていかないと、なかなか現場を持つ自治体での消費者行政は進んでいかないだろうという大きな感想を持っております。
 また、今回、子どものライター使用の件についてご質問がございましたけれども、あの件は、職員がみずからの問題意識に立って、海外の文献の調査、消防庁からの情報収集、それから地道な実験というようなことを行って、実はあそこまでたどり着いたものでございまして、その発表に当たっては、消費者庁や経済産業省と随分ハードな折衝を行ったということで、大変厳しい中であれを発表したというふうに聞いておりまして、その結果、国を動かすというようなところまで成果を上げつつあるという実態でございます。
 ただ、消費者行政をやっておりますと、最終的には、今のライターの件のように、国の法制に行き着いちゃうという点が多々ございます。したがいまして、消費者行政を地道にきちんとやっていくということとともに、必要なものはきちんと国に物申して改善させていくというこの二点で、今後も消費者行政を進めていきたいというふうに思っております。

○馬場委員 男女平等施策推進体制についてお伺いをいたします。
 女子差別撤廃条約が国連で採択されてから三十年を超えてまいりました。しかしながら、この間、日本においても多くの女性の声を受けて、雇用機会均等法や男女平等参画基本法など、数多くの法整備もしてまいりました。雇用の場における差別の解消、子育て支援などの取り組みを進めてきたところでございます。
 しかし、今日でも女性の賃金水準は男性のおよそ七割にとどまるなど、男女の格差はいまだに是正されているとはいえない状況にございます。国際的に見ても、日本の女性の地位を示す指数は大変低いもの、女性差別撤廃条約締結国として、これからも早急な対策をとるよう指摘を受け続けてきているという状況にございます。
 このような現状を踏まえて、男女平等をより一層深めていく観点からお伺いをいたします。
 まず、国内外の状況を的確にとらえて、男女平等施策を進めていくには、男女差別の実態等の現状を把握することが重要であると考えます。都の施策の原点にもなるはずです。そこで、都ではどういった手段で現状把握をしていらっしゃるのか、まずお伺いいたします。

○萩原参事 都における男女平等参画の実態を把握し、男女平等施策の基礎資料とするため、男女の賃金格差、さまざまな分野での女性の参画比率、保育所数、待機児童数の推移など、百を超える各種統計や調査結果を取りまとめた東京の男女平等参画データを毎年作成し、都民に公表しております。
 また、個別課題については、例えば平成二十年に配偶者暴力対策に関するインターネット都政モニターアンケートや、仕事と生活の調和に関する世論調査を実施するなどして、現状把握を行っているところでございます。

○馬場委員 まだ残っている差別の現状を把握していらっしゃるというふうに受けとめました。
 女性の置かれている状況について、さまざまな調査結果により、その現状を把握し、それらを反映して次の行動計画を策定していく、次にどう対策をとっていくかということが男女平等を進めていく上で大切なことだと思います。
 その新たな課題を見つけて取り組んでいくということ、つまり、今回の予算案では、特段、目新しい事業はないと受けとめております。都として新たな方向性を見出すためにどんな取り組みを進めていこうとされているのか伺います。

○萩原参事 現行の男女平等参画のための東京都行動計画では、先ほどご説明いたしました男女平等参画データなどの調査結果を踏まえ、重点課題として、雇用の分野における参画の促進、仕事と家庭、地域生活の調和の推進、配偶者等からの暴力の防止の三つを掲げ、施策を推進しているところでございます。
 また、女性を取り巻く状況は、雇用情勢、子育て環境など大きく変化しており、それに応じて新たなアプローチが求められております。
 そのため、若者の就業意識の変化や、地域における子育て支援の問題など、さまざまな分野の有識者から個別にヒアリングを実施し、社会の変化に対応した新たな課題の把握を行っているところでございます。

○馬場委員 男女差別の実態を把握し、新たな課題の把握にも取り組まれているということですが、この男女差別は長い歴史の中である意味生まれて、今でも継続しているという状況にあります。美しいものというふうな中で、これがなかなか改善されないというふうに受けとめざるを得ない部分もありますが、その解消をしていく。つまり、女性が個人として尊厳等を持って暮らしていかれる、そうした施策をこれからはとるべきだというふうに思っております。
 その解消には、総合的な取り組みが必要だというふうに考えますが、生活文化スポーツ局はその取りまとめをする局だというふうに認識しております。今後、他の局への積極的な指導、連携についてお伺いをいたします。

○萩原参事 男女平等の推進には、雇用、子育て支援、教育など、幅広い分野での取り組みが必要でございます。
 そのため、関係局で構成する東京都男女平等参画推進会議を活用して、それぞれの局において男女平等の視点を取り入れた施策の展開を行うよう働きかけております。
 個別課題の連携事例といたしましては、ワークライフバランスの推進について、雇用の側面から取り組みを進める産業労働局、子育て両立支援の面から取り組む福祉保健局と連携し、また、配偶者暴力対策については、警視庁の犯罪被害者対策との連携を図るなど、必要に応じて具体的な連携を図っております。

○馬場委員 女性が抱えるさまざまな問題、これは社会全般にわたる幅広い問題でございます。今、個別の課題への対策、取り組みについてお伺いをいたしました。これも大事なことで、個別な状況の中から、先ほども消費者問題でありましたように、個別の問題から基本的な問題が浮かび上がってくると、対策が出てくるというふうに私は考えております。
 そのためには、男女平等参画の視点を持つということ、視点に立って、その社会制度、慣行の見直し、意識の改革、こうした基本的な課題について、これは局も、また、私どもも一体となって取り組まなければならないというふうに思っております。
 この間、三月八日の先般の国際女性デーや、六月、これからまいります男女共同参画週間等、さまざまな啓発に取り組む、そんな機会もたくさんあるというふうに思います。もう十年ほどになりますか、女性財団の廃止の折には、局の施策はきちんと続けていくというお約束をさせていただいたはずでございます。
 これから、その啓発事業も含めて、どうもここのところ少なくなっているように思いますこうした啓発、それから一つ一つの個別課題からしっかりとこの差別の問題へ取り組みを進めていただきますようお願いを申し上げます。
 次に、高校無償化対策として、国が就学支援金制度創設に向けて、今、頑張っております。私からは、都民の立場から、ぜひともこの場で発言をさせていただきたいと思います。
 先ほど質問にもありました、提出の手続が大変である。それから、それは家庭の収入の状況等証明書の提出が大変とか、いろいろご意見がありました。
 今回の国が考えております高校無償化、また、私学への就学支援金制度、これは都民に対してきちんと子育て支援をしていく、高校の段階で子どもたちが安心して教育を受ける、そうした状況をつくっていきたいという思いでつくっております。
 国の就学支援金、今のところ約二百四十九億円、二十万人が対象というふうに聞いております。都の特別奨学金、今までと少し形を変えてこれにプラスをして、生活保護世帯は十分の十、ほとんど無償ということで私学で勉強ができる。つまり、こうした施策を進めているところでございます。さらに十億円の上乗せもしていただいた、このことは大変ありがたいというふうに思っております。
 私ども、これから局とともにしなければならないのは、こうして急いでこの施策を進めているのは、一刻も早く、やはり都民の多くの皆さんにこのことを享受していただきたい、これで一刻も早く勉強を進めていただける、安心して生活をしていただきたいと思っているからでございます。
 であれば、局の立場からも、手続は大変かもしれませんが、今まで都でも、都の特別奨学金、ある意味、手続を踏んで、私学財団にお願いをしてこの制度を進めている。これからの国のこの制度についても、しっかり、その意味では、手続をともに協力して、一刻も早く煩雑な手数にならないように、生徒や保護者に負担をかけないようにしていくのが、局も、私どももその任務だというふうに考えております。
 ですので、国の政省令が決まらないということで、何度も何度も答弁いただいておりますが、これは鋭意、私どもは進めているというところで、これは都の責務としてしっかりその点、都民のために協力をいただけますよう心から強く要望して、質問を終わります。

○大西委員長 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後三時三十六分休憩

   午後六時三十分開議

○大西委員長 休憩前に引き続き、委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○島田委員 先ほどの質問の際の定款に関する部分について、一部、速記録から削除をお願い申し上げます。
 以上で質問を終わります。

○大西委員長 ただいま島田委員から、委員会における発言について、一部、速記録から削除してほしい旨、申し出がありました。
 本件は、理事会協議の結果、申し出のとおり取り消しを許可することになりましたので、ご了承願います。
 ほかに発言はございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 予算及び付託議案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時三十一分散会

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