委員長 | 大西さとる君 |
副委員長 | 星 ひろ子君 |
副委員長 | 村上 英子君 |
理事 | 岡田眞理子君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 馬場 裕子君 |
畔上三和子君 | |
遠藤 守君 | |
島田 幸成君 | |
滝沢 景一君 | |
遠藤 衛君 | |
大津 浩子君 | |
古賀 俊昭君 | |
服部ゆくお君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 大原 正行君 |
次長総務部長事務取扱 | 松田 芳和君 | |
理事 | 岩佐 哲男君 | |
都立学校教育部長 | 森口 純君 | |
地域教育支援部長 | 松山 英幸君 | |
指導部長 | 高野 敬三君 | |
人事部長 | 直原 裕君 | |
福利厚生部長 | 谷島 明彦君 | |
教職員服務・特命担当部長 | 岡崎 義隆君 | |
参事 | 中島 毅君 | |
参事 | 前田 哲君 | |
参事 | 高畑 崇久君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十九号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・第六十三号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第六十四号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第六十五号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・第六十七号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○大西委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成二十二年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布しております。
朗読は省略いたします。
平成二十二年三月十五日
東京都議会議長 田中 良
文教委員長 大西さとる殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(金)午後五時
(別紙1)
文教委員会
第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中
歳出 文教委員会所管分
債務負担行為
(別紙2省略)
○大西委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより教育庁関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分及び第五十九号議案から第六十七号議案までを一括して議題といたします。
予算及び付託議案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松田次長 去る二月十九日の当委員会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会要求資料の目次をお開き願います。
ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十九件でございます。
では、一ページをお開き願います。1、教員の都単独加配の状況(過去五年間)でございます。
僻地教育や、児童自立支援施設内の教育等の充実のために、都単独で加配をしている区市町村立小中学校教員の人数について、小中学校別及び項目別にお示ししてございます。
二ページをお開き願います。2、時間講師一覧の登載者数と任用数(小・中・高等学校別)でございます。
平成二十二年三月一日現在で、時間講師一覧に登載されている人数と、平成二十二年三月一日現在で任用されている時間講師の人数を小中高等学校別にお示ししてございます。
なお、複数の校種で同時に任用されている場合及び同一校種内であっても、複数の学校で任用されている場合には、それぞれ計上しております。
三ページをごらん願います。3、時間講師の任用状況(区市町村別)でございます。
平成二十一年四月一日から平成二十二年三月一日までに任用された時間講師の延べ人数を、小中学校別及び区市町村別にお示ししてございます。
四ページをお開き願います。4、就学援助の認定基準及び援助費目でございます。
生活保護世帯に準じる準要保護者を認定するための基準とその援助費目について、区市町村別の状況をお示ししてございます。
五ページをごらん願います。5、特別支援学級の設置状況の推移(区市町村別、過去五年間)でございます。
区市町村立小中学校における特別支援学級の設置状況の推移を、区市町村別及び小中学校別にお示ししてございます。
六ページをお開き願います。6、都立特別支援学校スクールバス予算の推移でございます。
都立特別支援学校において運行しているスクールバスに係る予算額等の推移をお示ししてございます。
七ページをごらん願います。7、都道府県別中学校卒業者の進学率の推移(過去十年間)でございます。
このページから次の八ページにかけまして、中学校卒業者の全日制高校及び高等専門学校への進学率の推移について、それぞれ都道府県別にお示ししてございます。
九ページをお開き願います。8、都立高校の授業料減免状況の推移(全日制・定時制別、過去十年間)でございます。
都立高校における授業料減免者数と免除率の推移を、各事由別及び全日制、定時制の別にお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。9、都立高校の募集人員数と応募者数、合格者数の推移でございます。
都立高校の入学選抜における募集人員と応募者数、合格者数の推移を全日制、定時制の別にお示ししてございます。
一一ページをごらん願います。10、学校教職員定数の推移でございます。
平成十三年度以降の学校教職員定数の推移を各校種別にお示ししてございます。
一二ページをお開き願います。11、教員の休職者数の推移(過去五年間)でございます。
当該年度に新規に病気休職となった教員数の推移を精神神経系疾患を理由とするものとそれ以外とに分けて、各校種別にお示ししてございます。
一三ページをごらん願います。12、小・中学校における養護教諭定数の状況でございます。
養護教諭定数の都基準と国基準との差について、それぞれ小中学校別にお示ししてございます。
一四ページをお開き願います。13、小・中学校における事務職員の配置基準と実際の配置状況でございます。
平成二十一年度の事務職員の配置基準と配置状況について、それぞれ小中学校別にお示ししてございます。
一五ページをごらん願います。14、小・中学校における事務職員の標準的職務内容でございます。
小中学校の学校事務職員の標準的職務内容をお示ししてございます。
なお、本表は、学校事務職員が総括または関与すべき標準的職務内容として示したものであり、具体的な職務内容は、各区市町村教育委員会がそれぞれ定めることとなります。
一六ページをお開き願います。15、小・中学校及び都立学校における栄養士の配置基準と実際の配置状況でございます。
平成二十一年度の栄養士の配置基準と配置状況について、それぞれ各校種別にお示ししてございます。
一七ページをごらん願います。16、特別支援教育支援員活用状況(区市町村別)でございます。
平成二十一年五月一日現在の特別支援教育支援員の活用人数について、区市町村別にお示ししてございます。
一八ページをお開き願います。17、都立高校の中途退学者数及び中途退学率の推移(過去十年間)でございます。
都立高校における年度別の中途退学者数と中途退学率の推移を全日制、定時制の別にお示ししてございます。
一九ページをごらん願います。18、都立高校授業料の滞納額の推移(過去十年間)でございます。
都立高校授業料の滞納額について、年度別にお示ししてございます。
二〇ページをお開き願います。都立学校数と入学者数の推移(校種別、過去十年間)でございます。
年度別の都立学校数と入学者数について、各校種別にお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○大西委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより予算及び付託議案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大津委員 最初に、強い体をつくる東京っ子政策と、自然環境教育について質問をさせていただきます。
今回、初めて欧州の教育視察に行ってまいりました。フィンランド等では、補充指導を充実することで学力全体の向上を図り、世界一の成績を誇っておりましたし、また、ドイツでは、五感を使った自然体験の重要性をうたったドイツの森の幼稚園というのが五十年ほど前からできておりました。
視察外ではありましたけれども、スウェーデンでは、森の幼稚園を初め公立の小中学校において、自然環境教育というものを既にカリキュラムに取り入れている国がございます。
日本でも、こうした自然環境の効果が五感を通じて脳の刺激や集中力等、さまざまな効果が実証されれば、いずれ公立小中においても、こうした教育を取り入れたいという私の願いもございます。
今では、東京の市街地は、欧州のように自然環境に恵まれているところはまだまだ少ないのですが、そこで、お伺いをいたします。現在、東京の小学校、中学校においては、自然になれ親しむなどの自然体験学習というものはどのように行われているのか、お伺いをいたします。
○高野指導部長 都内の小学校では、生活科や理科などの学習で、構内にある樹木や生息している昆虫などの観察、動物の飼育、花や野菜、稲などの栽培、近隣の公園などに出かけての動植物との触れ合いなど、身近な自然に親しむ活動をしているところでございます。
中学校の理科では、身近な池などの小さな生物を顕微鏡で観察するなど、生物のすむ環境について視野を広げ、自然の事物や現象について理解を深める学習をしているところでございます。
また、総合的な学習の時間に、近くを川が流れている地域では川の水質や生態系を調べたり、森林がある地域では間伐をしたりするなど、環境調査や自然保護などに取り組んでいるところでございます。
さらには、遠足で都立公園などを訪れ、自然の中で全身を使った遊びや、自然の素材を生かしたものづくりなどの体験を行ったり、宿泊を伴う移動教室などで、ふだん経験できない、自然との触れ合いを行う活動をしているところでございます。
○大津委員 こうした自然環境教育ということで、東京であれば身近な公園や川や森林や里山や、さまざまな自然環境を生かした学習については、教育委員会としての所見はどのようなものか、お伺いをいたします。
○高野指導部長 自然環境を生かした学習では、子どもたちは自然のすばらしさや不思議さに感動する体験や、自然の中で体を動かし、互いに助け合って作業する体験などを通しまして、自然や動植物を大切にしようとする心、あるいは生命を尊重する心、思いやりの心などをはぐくむことができると考えております。
自然体験の減少といった子どもたちを取り巻く状況の変化があることを踏まえますと、今後とも学校教育におきましては、子どもたちの発達段階に応じて自然を生かした学習の充実を図る必要があると考えております。
○大津委員 本来、子どもの心と体をたくましく育てるためには、大自然の中で伸び伸びと育てることが必要であると思います。
欧州では、既にそうした体全体、五感で感覚を磨き、自然の中で互いに協力をし、人間と自然の共生というものを理解し、集中力を養い、切れない子どもやたくましい子どもを育成しております。
先日もスウェーデン大使館でスウェーデン、リンショーピング大学の教授が屋外活動の効果と重要性を、やはり集中力が高まる、忍耐強くなる、いらいらしない、さまざまな効果を発表しておりました。
一方、東京でも、ストレスの解消に効果があるといわれております東京都の檜原村にある森林セラピーロードというのがございます。このセラピーロードは都民の森の中にございますけれども、森林セラピー実行委員会というところで正式に認定されていた効果が幾つか挙げられていました。
例えば、森の中をたった十五分歩くだけで、緊張、不安、混乱、怒り、敵意、これらが減少をし、活気が上昇しております。
また、十五分森をいすに座って眺めるだけで血圧が下がり、脈拍数が減少。一方、自律神経の中でも副交感神経が活性化されるというデータを審査基準として、セラピーロードとして檜原村が認定をされているところでもあります。
今後、子どもたちの心と体をたくましく育てていくために、単に体を動かして体力、筋力だけを高めるだけではなくて、情操や感性を含めて学校で取り組むべきカリキュラムを開発して、充実をさせていってほしいと要望いたします。
欧州の自然環境を生かした教育は、子どもの体力向上にも貢献するものと考えています。昨年十月のこの委員会で私は、強い体をつくる東京っ子政策について、集中的に質問をさせてもらったところでもあります。
子どもたちの小中学校の体力が初めての四十七都道府県との比較により、下から約七番目になっていたことを受け、いち早く教育委員会が進めてきたこの強い体をつくる東京っ子政策においては、非常に画期的なものであると大変評価をしております。
教育委員会が子どもの体力向上推進本部を設置して検討を続けているという現在、進捗状況、そして検討状況、今後の方向性についてお伺いをいたします。
○高野指導部長 東京都の子どもの体力は、全国平均を大きく下回っておりまして、その全国平均は、戦後ピークであったとされる昭和五十年代の子どもと比べれば、また大きく低下しているところでございます。
そこで、子どもの体力向上推進本部では、子どもの体力低下の現状や原因、背景について分析いたしますとともに、体力を高める方策についてさまざまな視点から検討を重ね、東京都の子どもの体力を三年後には全国平均まで、十年後には昭和五十年代の水準にまで向上させることを目標としたところでございます。
体力向上は一朝一夕に解決できる問題ではないことから、子どもの体力向上推進本部では、十年後までの取り組みを三つの期間に分けまして、平成二十二年度から二十四年度までを第一期とし、平成二十二年六月を目途に、子どもの体力向上方策第一次推進計画を策定することにいたしまして、各学校の体力向上に向けた個別の取り組みを開始する予定でございます。
次に、平成二十五年度から二十七年度までを第二期といたしまして、第一期の取り組みの検証を踏まえた新たな施策を展開するとともに、平成二十八年度から三十年度までを第三期といたしまして、十年後の到達目標達成に向けた総仕上げを行ってまいる予定でございます。
○大津委員 子どもの体力の全体の底上げをしていくことは大変難しい面もありますし、また、常に現状を把握して、多角的に取り組みを展開していく必要があると考えます。
十年計画のホップ・ステップ・ジャンプ、最初の三年後の目標を実現していくためには、できるところから始めていくという計画のもと、今年度、平成二十二年度はどのような具体的取り組みを行う予定であるのか、お伺いをいたします。
○高野指導部長 平成二十二年度につきましては、全公立学校を対象に、体力テストの結果を踏まえた一校一取り組み運動を展開いたします。小学校においては、こうした取り組みに加えまして、すべての学級で一学級一実践運動を実施してまいります。
また、すぐれた実践を行った学校につきましては、広く顕彰するとともに、家庭と連携を図り、親子で外遊びに取り組むことを目的とするモデル事業や、子どもたちに運動の機会や時間を確保することを目的とした部活動のモデル事業を、それぞれ小学校十校で行う予定でございます。
さらに、中学生二年生による東京駅伝大会を今年度に引き続きまして来年度も開催いたしまして、体力向上に向けたムーブメントを醸成してまいります。
加えて、子どもたちの生活に関する実態調査や、校庭の芝生化が与える教育的効果に関する専門的な調査研究を実施するなどいたしまして、子どもの体力を向上させるさまざまな取り組みを推進してまいります。
○大津委員 一校一取り組み運動では、体力向上に向けた取り組みを各学校が工夫をして実践をするとの計画のようです。
学校では、単に筋肉を鍛えるだけの実践や取り組みだけではなく、情操や五感を取り入れた、こうしたいろいろな取り組みも行っていただきたいと思います。
スポーツクラブでたくさん汗を流している方も見かけますけれども、本来は、家の草刈りや、例えば毎日食べているご飯の稲作を実際に水田で行ったりなど、人間は自然や集団や家庭の中で動くこと、はたきをかける、ぞうきんがけをする、こうしたことでも本来は強い体、体力をつくる基礎にもなってきたものと考えます。
たくましい心や精神力を育てて、体全体で感覚や五感を磨いてこそ、本来の強い心と体をつくることになると考えています。
昨年十月の文教委員会で、校庭の芝生化についても質問をいたしました。既に補助金、またメンテナンスも予算がとられ、既に取り組んできた学校もたくさんあります。学校の中で自然に芝生の上で転がって遊べるという芝生というのも、子どもの強い体をつくる環境づくりにとてもいい環境であると考えています。
東京都の教育委員会では、この校庭芝生化がもたらす教育効果を実証するための事業を行ったと伺いましたが、どのような教育効果がもたらされているのか、その分析結果や調査結果をぜひお聞かせください。
○高野指導部長 本年度行いました校庭を芝生化した学校とそうでない学校との比較、分析調査の結果によりますと、芝生ではない学校や部分的に芝生にしている学校では、休み時間開始直後に平均して十五人程度しか校庭に出ていないのに対しまして、全面芝生化の学校では、平均して五十二・三人が校庭に出ているという調査結果を得ているところでございます。
このように芝生化した学校では、芝生化していない学校と比べまして、休み時間開始直後から、多数の子どもが校庭に出る傾向が見られ、素足で駆け回ったり、逆立ちや側転をしたりするなど、遊びの種類がふえ、積極的に体を動かす姿が多くなったという結果が得られているところでございます。
こうしたことから、校庭の芝生化は、子どもにとって魅力ある場となっておりまして、校庭で遊ぶ時間も長くなることから、体力向上に効果的であると考えておるところでございます。
○大津委員 子どもたちが自然の中に飛び込んでいくということが本来の姿であり、校庭の芝生化も実証実験により一定の効果も上げつつ、学校は可能な限り自然環境を取り入れていくということを望んでおります。
自然環境教育においては、改めて施設をつくることもあるかもしれませんが、既にある近所の公園、例えば都立公園、そして、自然環境の豊かな多摩地域では、先ほどのセラピーロードや、他局の持っている里山、横沢入、あきる野市の里山では、既に地元の小学校が稲作、水田をつくっているという実績も上げております。
また、都立公園以外、環境局、港湾局の持っている公園もありますし、そうした東京都の保有する優良な施設を自然として最大限に生かした教育も行って、心も体もたくましい東京っ子を育成していくことが大切であると考えます。
そういう意味で、強い体をつくる、また、強い心をつくる東京っ子政策、強い体から人をかばう気持ちが生まれ、いじめもなくなり、優しさも芽生えていくものと信じたいと思います。
教育委員会はもちろんのこと、子どもの体力向上に向けて、生育環境や人々のライフスタイルなど、総合的に東京都全体としてとらえ直していく必要があると思います。都立公園やいろんなセラピーロードや里山等、それらを最大限に生かすときにも、局同士の横の連携も重要になってくるかと思います。このため、大原教育長には先頭に立って、子どもの体力向上の陣頭指揮をとってほしいと願っています。
子どもの体力向上推進本部においては、家庭、地域に対する啓発を進める施策や、局横断的な施策を進めると伺っておりますが、教育委員会の所見をお伺いします。
○大原教育長 日本の子どもの体力というのは、まことに憂慮すべき状況に今ございます。特に東京の子どもの体力というのは、全国平均を大きく下回っておりまして、まさに危機的な状況にあるといっても過言ではございません。
そこで、子どもの体力の向上につきましては、高い目標を設定して全力を挙げて取り組むことといたしました。すなわち三年後には全国平均にまで持ち上げる。そして、十年後には、子どもたちの体力がピークであったといわれている三十年前のレベルにまで持ち上げていこうという目標であります。
この目標を達成していくためには、教育委員会や学校のみの努力では、到底そこまで到達することができないと思います。そこで、家庭、地域、行政の協力を取りつけることも非常に重要な課題になってまいります。
私は、昨年、二十三区二十六市のすべての首長さんに個別にお会いをして、子どもの体力の状況と、行政も総力を挙げてこれに取り組んでいく必要があるということを訴えてまいりました。
さらに、都教育委員会としては、この三月二十一日に第一回目を行いますけれども、中学生駅伝大会ですとか、あるいは家庭を巻き込んだ体力向上モデル事業を実施するなど、具体的な行動を展開してまいります。
さらに、オール都庁での取り組みが必要不可欠でございますので、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇にお示ししましたように、来年度から建設局では、都立公園に安心で自由な子どもの遊び場を整備してくれる運びとなっております。
このように、局横断的な施策を展開いたしまして、各局連携を強めて、まさに全庁を挙げてこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
○大津委員 ありがとうございます。体力は知力や気力の源でありまして、変化の激しい社会を担う子どもにとって生きる力の基盤でもあります。今こそ真剣に考えないと、日本の社会の活力は失い、打つべき対策を講じずに時間が過ぎていけば、大きな痛手を負うことになります。
大原教育長からは頼もしい答弁をちょうだいいたしました。私自身もこの問題に取り組むとともに、賛同していただける方が非常にふえてまいりました。また、芝生サポーターやスポンサーの人たちもたくさん応援している状況でもあります。これら取り組んでいくことを皆さんとともにお約束をして、質問を終わらせていただきます。
○村上委員 今、都議会において、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例が提案されていますけれども、これに関連して何点かお伺いさせていただきます。
都教育委員会は、平成九年九月に都立高校改革推進計画を策定し、生徒の多様なニーズにこたえ、魅力ある学校づくりを進めるために、順次新しいタイプの学校を設置してまいりました。
今回廃止が提案されている高校についても、ことし三月に最後の卒業生を送り出し、既に開校されている新しいタイプの高校である総合学科高校や産業高等学校等に発展的に統合されますが、新しい高校では一人一人の生徒に応じた、多様で柔軟な教育が展開されているものと聞いています。
そこで、都立高校改革の効果についてお伺いいたします。都立高校改革は、都民の理解を得ており、都民の期待が大きいと考えております。それをはかる尺度の一つに、志願者からの人気があらわれる入学選抜の応募倍率が挙げられると思いますが、最近の応募倍率はどのような状況になっているのか、お伺いいたします。
○森口都立学校教育部長 都立高校全日制の推薦に基づく選抜の応募倍率は、平成二十年度は二・八九倍、平成二十一年度は二・九五倍、平成二十二年度は三・〇三倍でございまして、また、一般入試の応募倍率につきましては、平成二十年度は一・四五倍、平成二十一年度は一・五〇倍、平成二十二年度につきましては一・五三倍でございまして、いずれも年々上昇の傾向にございます。
○村上委員 都立高校改革は十分な成果を上げており、応募倍率にもあらわれていると理解いたしました。
さて、入学選抜に合格し、都立高校に入学することを決めた生徒たちは、新年度を目前に控え、期待に胸を膨らませながら高校生活の準備をしていることと思われます。
こうした中、現在国会においては、我々自由民主党は審議時間を十分にとるべきとして主張したものの、公立高等学校による授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案が三月十六日、昨日に衆議院本会議で可決され、引き続き参議院に送付され、平成二十二年四月一日の施行に向け審議されることとなりましたが、いまだ制度の詳細が明らかになっておらず、生徒、保護者には、来年度の都立高校の授業料の取り扱いについて、詳細には伝わってないものと思われます。
私たち自由民主党は、所得制限なく無償化することは、過度の平等主義につながり、反面、私立に通う生徒には学費負担を課す点で、この制度は不平等を拡大するものであり、十分に時間をかけていかなければならないものであり、早急に決めてしまうことには、基本的には反対の立場であります。
しかし、国会で法律案を審議している中、四月からの新学期の開始を間近に控え、都立高校生や保護者は、授業料を払うことになるのかどうか、大変心配しているのではないかと思います。
そこで、次の質問をさせていただきます。授業料徴収の法的根拠について伺います。国は、公立高校の授業料を不徴収とするといっておりますが、都立高校の授業料を徴収する法的根拠、そして、条例の適用関係はそもそもどのようになっているのか、改めてご説明ください。
○森口都立学校教育部長 都立高等学校の授業料徴収の法的根拠につきましては、学校教育法第六条に定める学校においては授業料を徴収することができるという規定によりまして、東京都立学校の授業料等徴収条例を定めまして、同条例第一条により授業料を徴収することとしております。
同条例の委任を受けまして、東京都教育委員会規則でございます東京都立学校の授業料等徴収条例施行規則によりまして、より具体的な手続をしてございます。
○村上委員 現在の都立高校の授業料徴収の体系についてはわかりました。
今までこれらの根拠をもとに授業料徴収が行われてきたわけですが、現在国会で審議されている公立高等学校における授業料不徴収制度とはどのようなものなのか、お伺いいたします。
○森口都立学校教育部長 今国会に提出されております公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案によりますと、現在、生徒、保護者に負担を求めております公立高等学校の授業料を来年度から不徴収とし、国が地方公共団体に対して、授業料不徴収交付金を交付する制度でございます。
○村上委員 法律で授業料不徴収、条例で授業料徴収となっているということの矛盾についてお伺いをさせていただきます。
本来、地方公共団体が条例により徴収してきた授業料を、公立高校については法律により不徴収とし、その財源を国から地方に交付するといった制度であるというのは、今のご説明でわかりました。
それでは、法律案は今国会での成立が見込まれ、平成二十二年四月一日から法律が施行された場合に、授業料は不徴収となるわけですが、一方で都の条例では、授業料を徴収するということになっております。
法律と条例が矛盾した状態となるように思えますが、平成二十二年第一回東京都議会定例会で条例改正が必要なのではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○森口都立学校教育部長 法律案は現在国会で審議されておりますが、詳細につきましては政省令にゆだねられておりまして、いまだにその内容が不明でございます。不徴収制度の詳細が明らかになっていないため、条例改正案の提出を行えない状況にございます。
しかしながら、四月から同法律が施行された時点で、法律が優先し、都は授業料を徴収できないということになるため、今議会で条例改正をしなくても、不徴収制度が施行されるといったことになります。
○村上委員 それでは、不徴収制度により、全員が対象になるのかどうかについてお伺いさせていただきます。
法律の施行により、平成二十二年四月一日から授業料は不徴収になるので、特に問題はないとの説明でしたけれども、都民である都立高校の生徒、保護者の立場を思い、もう少し具体的にお尋ねさせていただきますが、授業料不徴収の具体的内容はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
そもそも法案では、不徴収の対象者についてどのように規定をしているのか、留年者や中途退学した後、再度都立学校に入学した生徒を含め、都立高校に在籍する生徒全員について授業料が不徴収になるのかどうか、お伺いさせていただきます。
○森口都立学校教育部長 法律案第三条第一項本文に、公立高等学校では授業料を徴収しないことが規定されていますが、同項ただし書きに、生徒間の負担の公平の観点から、相当でないと認められる特別の事由がある場合はこの限りでないと。不徴収の例外があり得ることが示されており、地方公共団体が徴収対象者を定め、授業料を徴収することも想定されております。
○村上委員 それでは、不徴収と徴収の区分はどこで決まるのかについてお伺いをさせていただきます。
法律案第三条第一項ただし書きの規定により、授業料を徴収することも可能であるということですが、では実際に国の交付の基準はどうなっているのか、このただし書きによる徴収を決めるのは、法律によるものなのか、政令によるものなのか、あるいは東京都の条例によるものなのか、お伺いさせていただきます。
○森口都立学校教育部長 法律案によりますと、交付金の算定基準につきましては、政令により定めるといったことになっておりますが、ただし書きによる授業料徴収に関しては、文部科学省によりますと、地方公共団体の判断で条例により定めるものと聞いております。このため政省令が示された後、平成二十二年第二回都議会定例会への条例案の提出を検討しているところでございます。
○村上委員 国の交付金の算定基準は政令で定められるとのことですが、政令により交付金が交付される生徒とされない生徒では、当然扱いが変わってくるものと思われます。政令の具体的な内容について、文部科学省から事前の連絡はあったのかどうか、この点についてお伺いいたします。
○森口都立学校教育部長 法律案が一月二十九日に閣議決定されてから、政令の内容について、文部科学省からいまだ示されておりません。また、国会の審議においても同様に、そのことは明らかになっておりません。
昨日ですが、現時点での交付金の考え方について、事務担当者あてにメールにより情報提供がございました。しかし、国の交付金の算定方法については確定したものではなく、文部科学省において精査し、改めて連絡をするといった内容でございました。
○村上委員 今のご答弁の中で、事務担当者あてにメールにより情報提供があったということですが、ただ、これは正規の手続ではなくて、今ご答弁いただいたように、文部科学省においては、精査し、改めて連絡するということで間違いないでしょうか。--では、四月一日からの法の施行まで、もう半月もありません。三月十二日の時事通信社の報道によれば、一月に文部科学省が開いた自治体担当者説明会では、留年分は交付金の算定の対象外とする方向で検討し、留年分を不徴収とするかは、各自治体の判断にゆだねるとされていたところですが、官庁速報の内容として、文部科学大臣は、留年分の交付金算定について最大限前向きに検討させていただきたいと答弁を変えられました。交付金算定の考え方が変更される可能性が出てまいりました。
法律案に不徴収制度の詳細が記載されていない、政令の内容についてもその方向性が揺れている、詳細がどうなっているのか見えないということとなります。今、条例改正した場合の問題点についてお伺いいたします。
一方で法律は、地方公共団体が公立高校の授業料不徴収の例外を決めることを認めています。通常は、法律の改正を受けて条例改正を行うことと思いますが、今、条例改正した場合にはどのような問題点があるのか、お伺いいたします。
○森口都立学校教育部長 授業料不徴収の対象が不明である中で、先に条例で授業料不徴収の例外を定め、その後に政令が定める国の交付対象外の範囲が示された場合ですが、差異があった場合には当然に授業料の還付が生じるなど、生徒、保護者に迷惑がかかることや事務手続上混乱するため、この時期に条例改正することは適当でないと考えております。
○村上委員 今のご答弁で、還付が生じる、あるいは生徒、保護者に迷惑がかかるということで、条例改正するのは適当ではないということでした。大変苦慮していることがよくわかりますが、それでは、平成二十二年度以降の都の対応についてお伺いさせていただきます。
このままでは法律は成立し、条例は改正をしないということになりますが、改めて確認させていただきますが、授業料を徴収することと徴収しないことについて、法律と条例とどちらが優先するのか、お答えください。
○森口都立学校教育部長 法律が条例に優先することとなるため、東京都は授業料の徴収を行えないといったことになります。
○村上委員 当然、法律が優先となりますよね。
では、平成二十二年第二回東京都議会定例会への条例改正案の提出を検討しているとのことですが、四月から条例改正までの間の授業料の取り扱いはどうなるのでしょうか。授業料を徴収するのですか、それともしないのですか。
○森口都立学校教育部長 授業料を徴収する対象を定める条例改正までの間につきましては、法律の規定により不徴収の原則が優先するため、東京都は授業料の徴収はできないということになります。
なお、法律の成立後、平成二十二年都議会定例会で条例改正した場合ですが、不利益不遡及の原則によりまして、四月分にさかのぼって授業料を徴収することもできないといったことになります。
○村上委員 条例改正後の取り扱いについてお伺いいたします。
条例改正までの間、授業料は徴収しないということになるという説明でしたけれども、それでは、条例改正以降の取り扱いについて、都では授業料を徴収する生徒はいるのでしょうか。どのようにお考えなのか、お伺いいたします。
○森口都立学校教育部長 法律及び政省令が成立し、授業料不徴収の対象者など、制度の内容が明らかになった後、国の交付金の対象外の生徒につきまして、授業料を徴収すべきものかどうか検討してまいります。
○村上委員 授業料不徴収に関係して質問をさせていただいてまいりましたが、国の法整備のおくれによって地方が振り回されているという印象を否めません。これは、民主党のマニフェストを優先して結論ありきで、十分に時間をかけて議論してこなかった結果が今日をもたらしているのではないでしょうか。法案を成立させるという行為に起因するものと考えます。
国会では、朝鮮学校の取り扱いが先送りにされました。そもそも公立学校の取り扱いについても、地方議会での具体的な条例審議が尽くされない中で、国の制度が動き出す事態となっています。これは、まさに都議会軽視につながるものと考えます。
先ほども述べましたけれども、四月からの新学期の開始を間近に控え、授業料を払うことになるのかどうか心配している都立高校生のためにも、今後、授業料不徴収制度の詳細が明らかになった後には、ぜひ都においては、広報を初め、生徒、保護者等に対して適切かつ速やかに対応することをお願いして、次の質問に移らせていただきます。
次の質問は、小一問題、中一ギャップに関して、昨年の都議会第四回定例会の代表質問で、我が党の服部ゆくお議員がその対応策について提案した内容を受けて、都教育委員会は、この四月から新たに小一問題、中一ギャップのための教員加配を行う予算措置を講じました。
都教育委員会がこうした学校現場の課題に対して迅速に施策を講じたことについては、高く評価いたします。特に、この施策を講じることになった発端として、数年前からマスコミなどで報じられてきました小一問題、中一ギャップについて、その実態を明らかにしたことに大きな意味があると考えています。
そこで、都教育委員会が実施した小一問題、中一ギャップの実態調査において、どのような実態が明らかになったのか、お伺いいたします。
○高野指導部長 昨年七月に都内の小中学校の全校長等を対象に、小一問題と中一ギャップについてアンケート調査を実施したところでございます。調査の結果からは、小一問題については、回答した校長のおよそ四人に一人が、平成二十年度に在籍した学校で、小学校入学後の落ちつかない状況がいつまでも解消されず、授業規律が成立しないといった児童の不適応状況を経験していたことがわかりました。
具体的には、小一問題を経験した校長の六八・五%が授業中勝手に教室の中を立ち歩いたり、教室の外に出ていったりする、あるいは六二・一%が担任の指示どおりに行動しない、五〇・三%の校長が児童同士のけんかやトラブルが日常的に起きているといった児童の不適応状況があったと回答しているところでございます。
また、その発生と終了の時期につきましても、四月に発生する場合と、年度末まで解決できない場合がどちらとも約五〇%を超えておりまして、深刻化する状況が少なくないことがわかりました。
次に、中一ギャップについてでございますが、本年度都内公立中学校に入学した第一学年生徒二千二十六名に質問したところ、約八〇%の生徒が入学前に中学校生活について何らかの不安を持っていたということがわかりました。
また、これら入学前に不安があったと回答した生徒のうち、約七〇%が学習面について、約四八%が友達関係について、約四五%が生活面について不安を持っていたことが明らかとなりました。
具体的には、学習面では勉強の内容が難しくなるのではないかということ、生活面では学校の決まりが厳しくなるのではないかというようなこと、あるいは友達関係では上級生や同級生が仲よくしてくれるだろうかといったことなどについて不安を持っている生徒が多くいることがわかった次第でございます。
こうした中学校入学に当たっての不安は、入学後も解消されないまま、入学三カ月後においても依然として約五〇%の中学生が不安を持っているという結果でございました。
○村上委員 昨年七月に都立の小中学校を対象に、小一問題、中一ギャップについてアンケート調査を行った結果、今ご答弁があったような内容が出てきたわけですけれども、期間にしても四月早々、あるいは一年を通してというような、期間的にも大変ばらつきがあるように伺いました。
そのような児童生徒の不適応状況の実態を踏まえて、どのような目的で小学校第一学年、中学校第一学年へ教員加配を行うことにしたのか、お伺いいたします。
○高野指導部長 国の学力調査の分析によりますと、授業中に私語が少なく、落ちついていると回答した学校の方が平均正答率が高い傾向が見られました。
また、学校の決まりや規則を守っていると回答した児童生徒の方が平均正答率が高い傾向が見られたところでございます。
都教育委員会では、小中学校の入学直後は、その後の充実した学校生活を送るための基礎を固める重要な時期であり、この時期に学習規律を確保したり、円滑に学校生活への適応が図られるよう指導したりすることは、児童生徒に学力を身につけさせる上で、極めて重要であると考えております。
こうしたことから、小中学校の入学直後の時期に、児童生徒に学力を身につけさせる上での基盤を構築するために、小学校第一学年、中学校第一学年への教員加配を行うこととしたわけでございます。
○村上委員 教員加配をしたことのご説明を伺ったんですが、確かに学力を身につけさせるということも大変大事なんですが、先ほど中一ギャップのところで伺ったときに、中学の入学前に大きな不安を抱えているというお話でしたけれども、やはり一度入学をし卒業するまでの間、精神的にも安定した形で学校に在籍をするということも大変大事なことだと思います。
今回の教員加配の措置は、東京都版の新しい学級編制方針のもとに実施されるということですけれども、どのような場合に教員加配が行われるのか、お伺いいたします。
○直原人事部長 小学校第一学年及び中学校第一学年につきまして、四十人の学級編制基準に基づき算定すると、一学級の児童生徒数の平均が三十九人を超えることになる場合、一学級の児童生徒数を三十九人として学級編制することができるように教員を加配するものです。
例えば、一学年に七十九人の児童がいる場合に、四十人の学級編制基準に基づき算定しますと、四十人と三十九人の二学級になりますが、平均三十九・五人と三十九人を超えるために、この場合、教員を一名加配して、二十七人、二十六人、二十六人の三学級に編制することもできるようになります。
○村上委員 一学級の児童生徒の数を三十九人として学級編制することができるように教員加配をすることということですが、導入された加配教員の活用方法についてはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
○直原人事部長 加配された教員の活用につきましては、学級規模の縮小やチームティーチングの導入などを想定しておりまして、それらの活用方法については、学校の実情に合った最適策を、学校の意向を踏まえ、区市町村教育委員会が選択できる仕組みといたしました。
○村上委員 ただいまのご答弁で小一問題、中一ギャップの予防、解決のために加配された教員を活用して、学級規模の縮小ができるというお話でありました。
学級編制基準についてはどのようになるのか、お伺いいたします。
○松山地域教育支援部長 新しい学級編制の方針についてでございますが、加配された教員を活用して学級規模を縮小することが、小一問題、中一ギャップの予防、解決のための最適策であると学校及び区市町村教育委員会が判断した場合、平成二十二年度におきましては、小学校第一学年、中学校第一学年に限りまして、四十人を下回る基準で学級編制することを認めることとするものでございます。
都教育委員会といたしましては、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定の規模が必要であると考えております。
加配教員を活用した学級規模の縮小は、少人数学級の実施そのものを目的としたものではなく、一学級の児童生徒の数を四十人とする学級編制基準に変更はございません。
○村上委員 小一問題、中一ギャップの予防、解決のための教員加配の措置は、今後三年間段階的に導入していくということですが、来年度の教員加配の規模はどのようになっているのか、また、三年間の教員加配の措置の見通しはどのようになっているのか、あわせてお伺いいたします。
○直原人事部長 小学校と中学校の教員加配の規模は、各学校の児童生徒数の推計をもとに、教員定数の配当基準に当てはめて推計を行っておりまして、平成二十二年度は百二十八人、平成二十三年度は三百二十人となり、平成二十四年度には五百五十一人を見込んでいるところでございます。
○村上委員 今回、小一問題、中一ギャップへの対応として、児童生徒の不適応状況の実態調査の結果を踏まえて、実施する本施策の効果については、都民はもちろんのこと、全国からも注目されていると考えます。
そこで、本施策の効果検証をどのように行うのか、また効果検証の評価はだれが行うのか、伺います。
○高野指導部長 都教育委員会は、教員加配の効果検証を行うため、児童の適応状況の変化や生徒の不適応状況を予防、解決するための学校の取り組み状況につきまして、都内、公立全小中学校を対象に継続的に把握してまいります。
また、教員加配措置校に対しましては、加配教員の活用状況とそれに伴う児童生徒の適応状況を年間にわたって継続的に把握してまいります。
効果検証の評価につきましては、都教育委員会が設置した検討委員会において、こうした把握により得た結果をもとにした分析、検討を平成二十二年度から毎年行いまして、三年後には総括的な検証を行う予定でございます。
なお、検討委員会は、学識経験者や保護者代表といった外部委員のほか、区市町村教育委員会代表等を含めた委員により構成してまいります。
○村上委員 児童生徒一人一人に学力を身につけさせていくことは学校の責務であり、その実現のために講じた今回の都教育委員会の施策の成果について、期待するとともに、これからも学校現場の課題解決に向けて効果的な施策を推進していくことを切に要望しておきます。
次に、これらの課題の解決に向けて、学校現場で中心的な役割を担う教員管理職、特に副校長を取り巻く多忙感についてお伺いいたします。
今まで議論してまいりました子どもたちを取り巻く家庭環境や社会環境も大きく変化し、すべての学校が多様な課題を抱えています。
さらに、学校の小規模化など、小中学校を取り巻く環境の変化なども相まって、教員一人一人が担う役割は増加しています。特に、校長と教員との間で重要な役割を果たす副校長の多忙感は一層深まっております。
私は、以前から副校長の事務負担軽減を図る特効薬があるわけではなく、さまざまな手だてを講じていく必要があると、決算特別委員会や文教委員会で指摘してまいりました。その後、非常勤職員の活用、時間講師任用事務のシステム化、主任教諭の導入等、学校組織の整備や事務の効率化を図る取り組みが行われたと聞いております。
さらに今回、都教育委員会が小中学校の業務処理調査を実施するということは高く評価できます。
そこで、この調査の内容についてお伺いいたします。平成十九年度に実施した副校長等に対するアンケート調査では、校内の業務分担が不明確なため、さまざまな業務が副校長に集中し、雑務に追われる実態が明らかになっています。
現在、副校長が取り組んでいる業務を詳細に分析し、より効果的、効率的な学校運営組織や業務の進め方、適切な校務分担のあり方を明らかにするため、都教育委員会では、小学校や中学校といった校種や地域、学校の規模などのバランスを考慮しながら、サンプル校を選定した上、業務処理調査を実施するとしています。
今までの手だてによっても、なお教育管理職選考における受験倍率の回復傾向が顕著とはなっていませんが、副校長の多忙感を解消することにより、副校長が本来担うべき役割である学校経営や、教職員の育成に多くの時間を割くことができ、教育の質の向上や、優秀な教育管理職となる人材の確保にも寄与するものと考えます。
学校経営で自主的な役割を果たし、教職員の育成に注力する教育管理職の本来の姿を見て、教育管理職を目指す若手教員も増加傾向に転じると考えます。調査結果を踏まえ、副校長の事務を補佐する職員の配置など、さまざまな制度を検討する必要があるということを指摘して、質問を終わらせていただきます。
○谷村委員 それではまず冒頭に、今回提出されております学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案について、簡単に二問、お尋ねいたします。
このたびの条例改正の趣旨について、まず改めてお伺いいたします。
○高畑参事 現在、期末勤勉手当につきましては、職員の退職後に、在職中の懲戒免職処分相当の非違行為が発覚した場合、期末勤勉手当の支給日までに非違行為を行った職員が死亡した場合には、期末勤勉手当を不支給とすることができるとされておりますが、期末勤勉手当の支給日に非違行為を行った職員が生存している場合には、期末勤勉手当が支給されることになり、都民の理解を得るのは困難でございます。
このため、学校職員の給与に関する条例の一部を改正し、期末勤勉手当の支給日におきまして、在職中に懲戒免職処分相当の非違行為を行った職員が死亡している場合、生存している場合のいずれの場合におきましても、期末勤勉手当を不支給とすることとし、公務に対する都民の信頼回復と、期末勤勉手当の適正な支給を図るものでございます。
○谷村委員 それでは、確認の意味でお伺いをしておきますけれども、教育庁関連の教職員につきまして、今、この条例改正に該当する方、いわゆる非違行為が発覚したケースというのが過去にあったのかどうかだけ確認をさせていただく、なかったということでよろしいんでしょうか。
○高畑参事 これまでそのような事例はございません。
○谷村委員 ありがとうございます。この条例改正も大事ではありますけれども、ぜひ今後もそういう対象になられる方が出てこられないことを心より期待をしておきたいと思います。
次に、学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例案についてお伺いをいたします。
この条例改正によって、新人教員を育成する再任用教員を今後五年間で五百人採用するということですが、現在の鳩山政権では教員養成六年制、六年間をかけて教員を養成しようという議論があるわけですが、都の教育委員会では、新人教員を現場で育成することを重視している取り組みを始めるという趣旨であると思います。
国で検討している教員養成六年制と比べて、都が取り組もうとされるこの現場重視の育成につきましては、どのような効果があるのか、そして、この条例案では予算の範囲内となっておりますけれども、平成二十二年度における予算額と人員規模についてお伺いをいたします。
○直原人事部長 都教育委員会は、再任用教員を活用した新人教員の研修制度を今回実施することといたしました。平成二十二年度の予算額は五億三千万円で、新人教員を育成する再任用教員を百名程度採用する予定でございます。
この検証の効果についてでございますが、まず現行の研修制度では、学校内の他の学級を担任している教員の中から指導教員を命じ、新人教員の育成に当たらせております。これに対し、今回新たに実施する研修は、再任用教員が新人教員とペアで一つの学級を担任しながら、専任で子どもへの指導や保護者対応などの日常業務を通して育成することができるため、よりきめ細かく新人教員を育成することができるようになると考えております。
さらに、新人教員がベテラン教員を手本として、日常の教育活動を行いながらノウハウを学び、また、不安や負担感など抱えている悩みについても日常的に相談できるようになることから、大きな効果が期待できるというふうに考えております。
○谷村委員 ありがとうございます。過日の予算特別委員会で民主党議員の発言を聞いておりますと、こういう再任用制度も敷衍すれば、彼らの論理でいくと天下り、下るわけじゃないですから天滑りとでもいうのでしょうか、そんな論理になるのかもしれませんが、この新人教員の育成には、豊富な経験と知識を持ったOB教員の方々の力を現場で生かしていくことは大変に重要であると思います。
ただし、再任教員の採用につきましては、新人教員の育成をしっかりすることのできる、資質の高い方の採用をぜひお願いしたいと思います。野球でよくいわれますけれども、名選手が必ずしも名監督になるとは限りませんので、新人教員にとってかえって成長を阻害、あるいは新人教員にとってストレスになってしまうようなことにならないように、ぜひともお願いをしたいと思います。
次に、外部指導者、人材、専門家の活用策についてお伺いをいたします。
まず、土曜日の補習の充実に係る外部指導者活用事業についてでありますが、まず平成二十年度における小中学校の土曜日における補習の実施状況についてお伺いをいたします。
○高野指導部長 土曜日における補習の公立学校の実施校数は、小学校が二百五十七校であり全体の一九・六%、中学校が百四十四校で二三・二%でございます。
現在、多くの小中学校では、当該校の教員が補習指導を実施しておりますけれども、中には外部指導者を補習に活用している例もございます。この場合、小学校では地域住民が最も多く九十九校、中学校では大学生が最も多く六十校となってございます。
○谷村委員 土曜日の補習につきましては、その数、あるいは割合につきまして、まだまだ多くの課題があるようであります。都教委は、平成二十二年度から外部指導者を活用して土曜日の補習を行う小中学校を支援する事業を実施するとのことでありますけれども、その目的についてお伺いいたします。
○高野指導部長 現在、土曜日の補習を実施したくとも、部活動などの指導があるために、教員による十分な指導体制がとれないなどの理由から実施できない学校がございます。このため、土曜日の補習を新たに実施する公立小中学校が、学校の正規の教員ではなく、退職教員、非常勤講師、保護者、大学生等の外部指導者を導入する際にかかる経費の二分の一を、東京都教育委員会におきまして、区市町村に対しまして一定期間補助する事業を行うこととしたものでございます。
このことによりまして、将来、区市町村が土曜日の補習を独自の学力向上施策として円滑に実施できるようにすることを目的としてございます。
○谷村委員 経費の二分の一を市区町村に一定期間補助するということですけれども、この一定期間というのがまだまだ今後の実施状況について慎重に見きわめる必要が、市区町村の側からしてみれば残るのではないかというふうに思います。
特に財政的に厳しい市町村の方では、この一定期間というのが余り短いとなかなか手を挙げられないという実態もありますので、一定期間というのは本当に全体的な軌道に乗ることをしっかりと見きわめての支援をお願いしたいと思います。
次に、土曜日の補習の充実に係る外部指導者活用事業の具体的な内容についてお伺いいたします。
○高野指導部長 補習等は、児童生徒が自主的に参加するものでございまして、その目的は基礎的、基本的な事項の確実な定着や発展的な学習を通じた学力の伸長を図るものでございます。
本事業の補助対象の学年及び教科につきましては、小学校は第四学年から第六学年までの国語、算数、中学校は全学年の国語、数学及び英語でございまして、一学校当たり一年間の補助対象、総時間数は、小学校におきましては二百四十時間、中学校におきましては三百六十時間を上限として実施するものでございます。
本事業における平成二十二年度の補助対象校数は、これまでの調査結果等をもとに、小学校五十校、中学校三十五校といたしまして、その後順次拡大することを計画しているものでございます。
○谷村委員 ぜひ補助対象校数を着実に上げていっていただきたいと思います。
また、都立高校におきましてもこうした土曜日の補習の充実に係る外部指導者活用事業に取り組むというふうに伺っておりますけれども、その具体的な内容についてお伺いいたします。
○高野指導部長 平成二十年度都立高校の土曜日の補習の実施校数は、全日制は九十二校であり全体の五一・一%、定時制は七校で八・六%でございました。
本事業の対象となる都立高校は、進学指導重点校や進学指導特別推進校などを除く全日制普通科高校でございます。対象の学年及び教科につきましては、全学年の国語、数学、英語などの五教科でございまして、一学校当たり一年間の予算措置を行う総時間数は二百七十時間を上限としているところでございます。
本事業における対象校数につきましては五十校でございまして、報奨額の全額を一定期間予算措置するものでございます。
○谷村委員 都立高校における外部指導者を活用した補習の充実により、都議会公明党の代表質問でも出させていただきましたけれども、学力の伸長を図る取り組みにつきましては、ぜひ強化、拡充をお願いしたいと思います。
こうした取り組みのほかに、都立高校におきましては、進学校に対して新たに進学指導診断を実施するとのことでありますが、この進学指導診断のねらいについてお伺いいたします。
○高野指導部長 都立高校において生徒の進学希望を実現し、進学実績の向上を図ることにつきましては、生徒、保護者、都民の切実な願いでございます。これまで都教育委員会は、進学指導重点校などを指定いたしまして、学力向上を図るとともに、生徒の進学希望を踏まえた指導内容や指導方法の工夫、改善を行うなどして、各学校の進学実績の向上に取り組んでまいりました。
進学指導診断は、こうした取り組みに加えまして、これまでの自校の進学指導の取り組みを外部専門家の視点で検証いたしまして、新たな進学指導体制を構築し、進学指導の一層の充実を図ることをねらいとして実施するものでございます。
○谷村委員 新しい、大変にすばらしい取り組みだと思います。
そこで、進学指導診断の内容について、どのようになるのかお伺いいたします。
○高野指導部長 具体的には、平成二十二年度に進学指導特別推進校、進学指導推進校など十校に対しまして、予備校の進学データ分析の専門家などを学校に年間を通しまして継続的に派遣していくものでございます。
こうした外部の専門家の助言を受けることによりまして、学校が進学指導にかかわる学校経営計画、あるいは校内の進学指導体制、あるいは、国語、数学、英語などの必修教科の教科指導力、また、進学データ分析の手法、活用等の充実を図っていくものでございます。
都教育委員会は、こうした診断の結果を全都立高校などに提供することによりまして、進学指導の一層の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
○谷村委員 大変にすばらしい外部人材を導入した取り組みだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
次に、特別支援学校における外部人材の導入についてでありますけれども、都教委では、特別支援教育推進計画第二次実施計画に基づき、都立肢体不自由特別支援学校に介護の専門家を導入する新たな事業を展開しておられますが、どのような事業であるのか、改めてお伺いをいたします。
○前田参事 都立の肢体不自由特別支援学校では、児童生徒の重度重複化に伴いまして、教員は教科等の指導や生活指導のほかに、移動や排せつ介助などの業務を担っております。
本事業は、こうしたこれまで教員が担っていた介助などの業務に介護等の専門家を活用することで、学校における安全体制の向上を図るとともに、教員と介護との専門家がそれぞれの専門性を生かしながら、相互が連携したチームアプローチにより、個に応じた新たな指導体制を構築するものでございます。
本事業は、本年度から来年度までの二年間、永福学園と青峰学園の肢体不自由教育部門で試行実施しております。
○谷村委員 この介助などの業務に介護等の専門家を活用する際に、この事業によって教員が減らされるというふうに共産党さん等が危惧をする声を上げられておりましたけれども、永福学園と青峰学園の二校で二年間試行実施をされたというふうに伺っておりますが、間もなくその一年目が終わろうとしております。
そこで、この一年間の試行実施でどのような成果が上がったのか、お伺いをいたします。
○前田参事 例えば永福学園では、児童生徒一人一人に十分対応できる体制が組めるよう、男女比などに配慮して介護福祉士等を配置しております。
また、医療的ケアの充実のため、定数配置の常勤看護師のほかに、常時勤務できる看護師も配置しております。
こうした対応によりまして、教員が教科などの指導に専念できる体制が整うとともに、これまで肢体不自由支援学校、特別支援学校で課題になっていった同性介助や宿泊行事における医療的ケアにも対応できるようになっています。
このように、外部の専門家を導入することで、教員の役割がさらに明確となり、児童生徒の安全の確保や、健康の管理等の質を向上させることができました。
このほか、自立活動の時間においては、理学療法士や作業療法士などの専門家も導入しており、こうした専門家の助言などにより、教員の専門性も高まっております。
○谷村委員 肢体不自由特別支援学校では重い障害の子どもが多く、教科の指導を専門とする教員だけでは、これまで十分な対応ができなかったというのも実情であります。
実際に大きな事故も現場で起きているというふうにお伺いしました。誤嚥であったり、骨折に至ったりということが起こっているようでございますけれども、さまざまな分野での専門家が相互に連携したチームアプローチを行う体制は、既に医療や福祉の現場で導入されており、成果を上げております。
教育現場にもこのチームアプローチを導入しようとするのは、まさに全国に先駆けての画期的な取り組みであると思います。試行実施の検証を十分に行っていただき、どんな障害の重い子どもでも安心して学校生活を送り、専門性の高い指導を受けられる体制をぜひつくっていただきたいと思います。期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、特別支援学校における放課後子ども教室についてでありますが、特別支援学校の子どもたちは障害の種別や程度が多様であるために、放課後等に余暇活動を楽しむ機会が極めて限られております。
市区町村で実施している放課後子ども教室等においても、受け入れは十分に進んでいるとはいえない状況にあります。子どもたちの自立と社会参加のためには、特別支援学校も活用した放課後等における居場所の整備が必要であります。
我が党は、これまで特別支援学校における子どもたちの居場所づくりにつきまして、何としても設置をするべきだと繰り返し主張してきましたが、それに対して都教委からは、外部の教育資源を活用した特別支援学校を支援する仕組みづくり事業において、モデル事業を実施し、その検証を行うと答弁をされております。
そこでまず、昨年度から七校においてこのモデル事業が実施されましたけれども、その検証結果についてお伺いいたします。
○松山地域教育支援部長 モデル事業を実施した結果、確認された課題でございますが、特別支援学校において放課後等に児童生徒の体験交流活動を実施するためには、区市町村におきます放課後子ども教室推進事業と異なり、障害の種別や程度に対応した数多くの支援人材を確保することが必要でございます。
また、特別支援学校の場合、通学区域が広く、学校周辺だけでは十分な人材の確保は困難でありますため、地域住民のほか、企業、大学、NPO等と連携して、継続的に支援活動を実施できるようにする必要があり、支援のための組織の確立が必要でございます。
なお、モデル事業を実施した七校の中で、支援組織が整いました大塚ろう学校及びあきる野学園の二校につきましては、来年度から区市町村の小学校と同様に、国庫補助事業として放課後子ども教室を実施する予定でございます。
○谷村委員 来年度からは大塚ろう学校、そしてあきる野学園の二校について、事業を活用した放課後子ども教室を進めていただけるというお答えをいただきまして、大変にありがとうございます。
そこで、この平成二十二年度からですけれども、その検証を踏まえて新たな事業を開始するということですが、実施の規模も含めて今後の事業展開についてお伺いをいたします。
○松山地域教育支援部長 モデル事業では、地域のサークル、企業、大学なども参画して、さまざまな人々との交流や、多様な体験活動が行われておりまして、こうした活動に児童生徒が参加することを通じて、社会性が身についたり、興味、関心、意欲、積極性が高まるなどの効果があらわれております。
今後、放課後等において体験交流活動が安定的に実施されるよう、平成二十二年度には、支援組織が確立されていない五校を対象に、新たに支援推進事業を実施し、人材確保や支援組織の運営方法など、モデル事業によって得られた成果を引き継いでまいります。
また、平成二十三年度以降、支援組織が確立した学校から順次、放課後子ども教室に移行していく予定でございまして、今後、この支援推進事業の実施により、特別支援学校における放課後子ども教室の拡充に努めてまいります。
○谷村委員 この事業は、障害のある児童生徒の放課後、土日等に安全で安心な活動場所を確保して、さまざまな体験活動や交流活動を通じて、心豊かで健やかにはぐくまれる環境づくりを推進する事業であると思います。
事業継続のためには、さまざまな課題があるというふうに伺ってはおりますけれども、障害のある児童生徒の自立と社会参加の促進には欠かせない事業であると思いますので、今後とも支援組織の確立、そしてその強化を図っていただき、ぜひとも定着、拡充を図っていただきたいと思います。
ここで一たん質問を終わらせていただきます。後ほどの民主党さんの質問時間等の状況を見て、あと四十分弱、後ほど質問させていただくかもしれませんので、よろしくお願いいたします。
○畔上委員 来年度から小一、中一で学級の算定規模が三十九人となりますが、まずこのことについて伺いたいと思います。
我が党は、これまで繰り返し少人数学級を求めてまいりましたが、このたびの教員を加配して、TTや少人数学級を実施することになったことは、貴重な一歩だというふうに思っております。
各区市町村がこの制度をどう受けとめて、またどのように活用したいと考えているのか、私も各区市町村の議員団を通じまして自治体に聞き取りを行ってきました。三月四日時点で二十三区市にお聞きをすることができたんですが、半分ぐらいの自治体では、学校の現場判断に任せる方向だということでした。また、少人数学級や学級をふやす方向だというふうにいったのが三分の一ぐらいありました。
学級規模の縮小には活用しないと、そういうふうに回答したところはありませんでした。また、教育委員会からも、それから保護者からも歓迎の声が上がっておりましたが、いかに少人数学級が待ち望まれていたかということを私は示したものだというふうに思います。
また、クラスを分ける際に、教室が足りなくなる可能性もあるということで、特別教室を転用して、その特別教室には設置されていなかったクーラーを新たに設置する必要が生じるなど、教室設備の確保や、学校の統廃合計画の見直しが課題となる、そういった区市もありました。
都教委が区市町村に対する説明会を行っておりますけれども、都教委に対する要望、各自治体からどんな要望が上がっていたか、まず伺います。
○松山地域教育支援部長 小一問題、中一ギャップの予防、解決のための教員加配に関する説明会につきましては、昨年十二月に区市町村教育委員会の教育長を対象に、本年一月に区市町村教育委員会の担当者を対象に実施したところでございます。
その際、区市町村からは、都としての学級編制に対する見解や、教員加配に関する効果検証などの質問がありましたが、意見や要望はございませんでした。
○畔上委員 説明を受けてすぐということなんでそうだったかもしれませんが、既に現場ではいろいろな声も出ていますので、何点か伺いたいと思います。
一つは、新採の教員が小一、中一加配として来た場合、少人数学級にして担任をさせるのはちょっと難しいんではないかという声がありましたが、加配教員を担任にするかどうかの判断は、現場で行うことと考えてよろしいんでしょうか。
○直原人事部長 加配された教員の活用につきましては、学級規模の縮小やチームティーチングの導入などを想定しておりまして、それらの活用方法については、学校の実情に合った最適策を、学校の意向を踏まえ、区市町村教育委員会が選択できる仕組みといたしました。
○畔上委員 また、加配の人数、先ほどもご説明がありました百二十八人、これは小学校五十八人、それから中学が七十人と見込んでいるということですが、該当する学校が見込みよりも多い場合にはどのように対応されるんでしょうか。
○直原人事部長 今後の加配対象校の状況の推移を見ながら、条例で定められた定数の範囲内で判断していくことになります。
○畔上委員 条件が当てはまる学校が除外されるようなことは、絶対あってはならないというふうに思います。
私の聞き取りでは、既に独自に小一、中一対策を講じてきた多くの区市町村の現場からは、歓迎の声とともに、区独自の非常勤講師の配置では限界があって、正規教員の配置増が必要であるとか、もっと加配をふやして使い勝手をよくしてほしいとか、さらなる学級規模の縮小を求める声、また三年間の暫定措置に対する不満の声なども上がっています。
都教委は、あくまでも小一プロブレム、そして中一ギャップ対策だということでありますが、現場では既にさまざまな対策を講じてきました。だからこそ、こうした声が上がってきたのだというふうに思います。
先ほど都教委は、三年間効果検証して、そして三年後に総括的検証を実施するというふうにご答弁されたんですけれども、そうしますと、先ほど検討委員会を立ち上げるということですが、その検討委員会で今後の方向性を決めるということでしょうか。
○高野指導部長 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、効果検証の評価につきましては検討委員会で行っていく予定でございます。
これにつきましては、児童生徒の適応状況に関して、具体的に分析、検討を行っていくものでございまして、方向性ということについて今ご質問がございましたけれども、まずはこの検証を行っていくという組織でございます。
○畔上委員 私、今手元に持っているんですが、日本教育新聞によりますと、文科省は二月十八日に、今後の学級編制や教職員定数の改善のあり方について、各教育団体から意見を聞いたという報道がされておりました。
そこで、東京都の木村教育委員長が会長の全国都道府県教育委員長協議会、そして、大原教育長が会長であります全国都道府県教育長協議会、これは四十七都道府県にアンケート調査を実施されて、二月十八日の文科省のヒアリングの席で、そのアンケート調査結果を踏まえながら、少人数学級が実現するように、大幅な定数改善が必要だとして、学級編制の標準の見直しを求めていらっしゃいます。
アンケートでは、小中学校の学級編制は三十人がいいというのが最も多く、高校の全日制では三十五人、定時制では三十人が適正な学級編制基準と回答した都道府県が多かったというふうに報道されております。
実は、先日も私の事務所に小学校のお母さんたちが相談に見えたんです。それは、その学年では一月に一人引っ越しちゃった。そのために、これまで二十七人の三クラスだったのに、来年度になると四十人の二クラスになっちゃうと。そうすると、せっかく落ちついてみんな勉強にも励んでいるのに、四十人では先生の目も行き届かなくなっちゃうから、何とかならないでしょうかという相談だったわけです。
保護者の皆さんが、やはり少人数学級は全学年を対象にしてほしいという声を上げているわけです。そういう点で、私は全学年での実施についても検討すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○松山地域教育支援部長 小学校や中学校への入学直後の時期は、その後の充実した学校生活を送るための基礎を固める重要な時期でございます。この時期に小一問題、中一ギャップが発生し、学習規律が確保できなかったり、学習不適応が発生したりいたしますと、子どもたちに学力を身につけさせる上での基盤を構築することが困難になります。
このため、この問題を予防、解決する方策の一つとして、平成二十二年度は小学校第一学年、中学校第一学年を対象に教員の加配を行うこととし、加配された教員の活用については、学級規模の縮小やチームティーチングの導入など、学校の実情に合った最適策が選択される仕組みとするものでございます。
都教育委員会としては、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむために、学級には一定規模が必要であると考えております。
さらに、基礎学力の向上に配慮してきめ細かな指導を行っていくためには、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考えております。
対象学年以外は、これまでどおり四十人を基準として学級を編制し、少人数指導の充実を図っていくことが望ましいと考えております。
○畔上委員 これまでのご答弁を繰り返されたんですけれども、私はかなり進んできたなというふうに思ったんですよね。木村教育委員長、そして大原教育長の名前で、こうやって国に対して少人数学級が実現するように大幅な定数改善が必要だと。そして、学級編制の標準の見直しも求めているんですから、せめて、私は国の加配教員を、国が少人数学級に活用してもいいですよというふうになっているわけですから、都としても、少人数指導だけじゃなくて、少人数学級に活用できるようにする。
そうすれば、先ほど相談を受けたと私が申し上げましたケースは救われるわけですよ。人もお金もふやさないでも、現に今時点でできるわけですから、すぐにこのことについては実現していただきたいというふうに思います。
また、規模の縮小についても、都は、小一、二と、中一については三年間で三十七人まで引き下げるということですけれども、せめて三十五人ぐらいにしてほしかったという現場の率直な声も伺っています。
学力の世界一で注目を集めましたフィンランドは二十四人以下学級など、世界では三十人学級が当たり前の流れになっているわけです。このたび文科省もそういうこともあって、少人数学級に言及してきたわけです。そして、具体的な学級規模や実施時期については、まだ明確になっておりませんけれども、そうした動きがあるわけです。
子どもたちにとっては、やはり今、今が大事なんだと。一年一年が本当に大事な教育期間なわけです。私は、政府に対して、早期な少人数学級の実施を求めると同時に、率先して都教委が実施をしていただきたいということを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
○大原教育長 先ほど私どもの木村教育委員長と、それから私の名前を二度にわたって引用して、少人数学級について都教委が要望したように聞こえるご発言がございましたが、私ども都教委の考え方は、先ほど松山部長から答弁したとおりでございます。
それから、名前の出ました全国都道府県教育委員長協議会の会長は木村でございます。それから、全国教育委員会教育長協議会の会長は、私、大原でございまして、先ほど、畔上委員が引用された要望というのは、全国組織で取りまとめたものを私どもの名前で文科省に提出をしたものでございまして、都教委の考えと一致しているわけではございません。
○畔上委員 別に都教委が要望したなんていっていないですよ。教育長の名前で、全国のアンケートでそういうふうに答えているというふうにいったわけですよ。それで、しかもそういった全国的な流れがあるということを私がいったわけですよ。
事務職員の職務内容について伺いたいと思います。
学校を取り巻く環境が複雑多様化する中で、児童生徒が安心して通える学校にするために、日々子どもたちを支えていくのが学校事務職員の皆さんになるわけです。私も地元の小中学校などをよく訪問していますが、事務職員の方も子どもの安全確保のために、危険な箇所をどうやって改善しようかと校長先生と話していたり、学校教育の中で大切な役割を果たしています。
とりわけ、貧困化が深刻になるもとで、就学援助を受ける児童生徒がふえて、東京全体では平均で四人に一人の割合で就学援助を受けていて、学校事務職員の果たす役割というのはますます重要になってきているわけです。
ところが、東京の実態を調べてみますと、小学校千三百十四校、中学校六百二十七校に対して、今年度の学校事務職員の配置状況、都費で正規の事務職員を配置されていない学校は百八十三校もありまして、それは再任用で対応しているということでありますが、しかし、再任用の実態を見てみますと、再任用のうち九一%、ほとんどが週四日間、短時間勤務職員となっています。そのために、一日不足分は、臨時職員交付金、アルバイトで対応しているのが実態なわけです。
しかも、国の基準では、就学援助が百人を超えて、全生徒の二五%以上の学校には都費で正規職員の一人を加配する準用加配を行うこととなっていますが、その基準で見ますと、今の東京都の場合、本来つけるべき事務職員を五百人もつけていないということになるわけです。
そうした中で、突然、ことしの一月二十九日付で都教委から区市町村の教育委員会教育長あてに、学校事務職員の標準的職務についてというものが通知されております。これで、現場の中では大きな戸惑いの声が上がっているわけですが、なぜ急にこうした職務内容の通知を出したのでしょうか。理由をお聞かせください。
○直原人事部長 地域との連携強化、学校安全の確保など、学校への期待は一層高まっております。それにこたえるため、各学校でさまざまな取り組みを行っており、特に副校長や主幹教諭に業務が集中し、多忙感が生じておりますが、事務職員がどのような役割を果たすべきかに関して、ほとんどの区市町村教育委員会では、これまで具体的に定められていないのが現状でございます。
また、小中学校事務職員の具体的な職務をどう定めていくかはかねてから大きな懸案となっておりまして、一方では、事務職員がみずからの職務範囲を限定的にとらえたり、前例踏襲で業務を行うなどの実態が課題となっておりました。
このような状況を受けまして、今般、事務職員が小中学校において適切に役割を果たし、あわせて事務職員の学校運営の参画を進めることを目的としまして、標準的職務を定め、通知文を発したものでございます。
○畔上議員 今、事務職員の職務の定めがないとおっしゃったんですが、東京都教育委員会教育長名で事務職員の事務分掌についてという文書がありまして、これが基準となってもともとは仕事をされていたわけですね。ですから基準がなかったわけではないというふうに思うんです。
それで、この通知を見ますと、事務職員が一人のときの分掌事務と職員加配のときの事務について、きちんと事務内容が記載されています。そして、あとは現場での判断でいろいろ仕事を進めていったというふうに伺っています。
それが、今回の学校事務職員の標準的職務という通知にはそういったものが全くなくて、二十項目の職務の分類が記載されていて、本来管理職、先ほども副校長のお話がありましたが、そういった副校長などの仕事も入ってきております。
例えば、この通知を見ますと、副校長が仕事としていました官公庁やPTA、地域などの各団体との連絡調整、それから外部指導員などとの連絡調整、出勤簿の管理、こういうものまで具体的な職務例として入っているんですけれども、これは事務職員の仕事を超えているのじゃないかというふうに思うんです。
今回の標準的職務の通知には、事務職員が総括、あるいは関与というふうになっているんですが、では、一体だれが総括なのか、関与なのかの判断をするんでしょうか。
○直原人事部長 この標準的職務は、事務職員が中心的な役割を担っていくべき職務について定めたものでございます。区市町村教育委員会においても、この趣旨を踏まえて、事務職員の職務について、規則等により規定されるものと考えております。
○畔上委員 今、中心的役割というふうにおっしゃったんですが、深く教育内容にかかわるものまで事務職員が中心的役割を担うというのは、私は現実的ではないというふうに思うんです。
また、冒頭述べましたように、この間、事務職員は都の行政改革実行プログラムによって、再任用の活用の拡大が図られて、正規の事務職員がいない学校も生まれてきているわけです。そればかりか、必要な配置さえされてこなかったということを先ほども申し上げました。
そういう中で、これ以上の仕事量になったら対応し切れないと。子どもたちのためにと頑張ってきたけれども、事務職員を続ける自信がないといった声も伺っています。
労働強化につながらないのかと考えるんですが、都教委はどのようにその点は考えているんでしょうか。
○直原人事部長 小中学校の教育活動は、教員を初めとするさまざまな職種の職員によって成り立っておりまして、行政職という立場からされていく事務職員の職務は、非常に重要であるというふうに考えております。その責務を着実に果たしていくためには、事務職員がこれまでにはない新たな役割を担う場合も当然あり得るというふうに考えております。
○畔上委員 事務職員の仕事は本当に大事なものだというふうに思います。教員の多忙化の問題は、教育長がこの間の本会議答弁などでも認識を持っていらっしゃるということもわかりました。
私も副校長先生に何人かお話を伺ったんですけれども、ある副校長さんはこうおっしゃっていたんですね。朝七時に出勤後、夜九時まで勤めてからの帰宅が日常茶飯事で、日曜日の出勤もあると。平成二十年四月から日勤講師制度が始まったけれども、月十六日で学級担任は任せられないから、結局欠員が生じたときに副校長を中心とした学校対応となっているのが実態なんだというふうにお話もされていました。
なぜこんなに多忙になってしまったのかと。それは、教育長が本会議でも小中学校では多種多様な課題への対応が求められているんだというふうにご答弁されていましたが、本当にそのとおりだと私も思うんですが、それにもかかわらず、全体の職員定数査定の中で教職員定数も削減されてきた。
例えば、小学校の十四学級の教員定数が十七人から十六人に削減される。中学校も、十五学級以上なら生徒指導担当教員がついていたものを、十八学級以上じゃないとつけられないといった配置基準の見直しや削減が行われてきた。そういう中で、私はやっぱり矛盾が噴出してるんだと思うんですね。その問題をまともに解決をしないで、事務職員の業務をふやして解決するやり方というのは、私は間違っているんだというふうに思うんです。
教員もやはり事務職員も必要な配置はきちんと行っていく、そのことが解決の道であるということを指摘したいと思います。
そして、次の質問に移りたいと思います。時間講師の報酬についてです。
時間講師の任用は、年間任用と短期任用というやり方ですが、教員の病気等の臨時的な欠員、それから教科編成上の端数時数などに対応して任用されることになっています。臨時とはいえ、正規教員と同様に授業を行っています。ですから、時間講師は、採用を受けたら、すぐに授業を受け持つかテストをつくり、採点も行うということです。
都立高校で理科系の授業を受け持っているある時間講師の方は、授業時間の三倍から四倍は予習に充てるようにと、ベテランの先生から指導も受けたということです。授業と授業の合間、通勤途上の電車の中、帰宅後、日曜日も自宅でと、時間を見つけては予習の時間を充てているといっていました。子どもたちに理科のおもしろさを伝えたい、物事を科学的に見る目を養ってほしいと、教育に情熱を傾けているわけです。
都教委は、学校教育において時間講師の身分、職務をどう位置づけていらっしゃるんでしょうか。まず伺います。
○高畑参事 東京都の公立学校に勤務する時間講師の身分は、地方公務員法第三条第三項第三号に規定する特別職の地方公務員でございます。講師は、学校教育法第三十七条第十六項におきまして、教諭または助教諭に準ずる職務に従事するとされており、時間講師の主な職務は、児童生徒に対する学習指導でございます。
具体的には、校長の学校経営方針や学校が定めるカリキュラムに沿って、正規教員と同様に児童生徒に対する授業を行います。
○畔上委員 正規の教員と同じ仕事をするということですね。
先ほど申し上げました都立学校に勤務している時間講師の方は社会人から教員になった方で、講師経験は一年目ですが、週四日十二時間、月給は九万円です。それでは生活が成り立たないということから、中学校もかけ持ちで週五日合計十六時間教壇に立っていますが、それでも合計十二万円。高校の正規の教員の授業の受け持ち時間数は週十八時間ですから、ほとんど同じように働いても、わずか十三万から十四万ということになるわけです。
都立の学校の教壇に立っている、そういう時間講師が、まさに生活保護基準以下ぐらいの本当に厳しい生活をせざるを得ない、こういう実態を都教委はどう受けとめていらっしゃいますか。
○高畑参事 例えば新規採用された正規の教諭と、経験年数が一年未満の時間講師で上限となる週二十六時間の授業を担当するものとの年収を比較した場合、正規教諭の方が約六十五万円上回ることになりますが、仮にこの時間講師が週四十時間勤務した場合には、時間講師の方が約百十万円上回ることになります。
また同様に、経験年数が十二年となる正規の教諭と、週二十六時間授業を担当する時間講師の年収を比較した場合、正規教諭の方が約百十万円上回ることになりますが、仮にこの時間講師が正規教諭と同じく週四十時間勤務した場合には、時間講師の方が約百五十万円上回ることになります。
○畔上委員 週四十時間の時間講師の方なんていますか。週四十時間や二十六時間なんて、大体そういう時間が設定できるわけがないんですよ。一つの学校でそんなんだったら、正規の職員を入れるはずでしょう。そんな架空のやり方でごまかしたらいけませんよ。
事前の授業の準備をして、テストをつくり採点する、とても勤務内にはできないで残って仕事をしても、結局そのお金はもらえないから、月の手取りはやっぱり十二万余なんですよ。それでも子どもに学習する楽しさを知ってほしいと必死で頑張っているわけですよ。
それでも生活が成り立たないと。昼間は、教員の仕事で目いっぱいで、夜アルバイトをして生計を立てると。
一般の教員の給与を参考にしているということですけれども、さっき二十六時間とか四十時間なんていったけれども、高校の一般の先生だって十八時間ですよ。そんな二十六時間もできるわけないじゃないですか。
私は、現行の時間講師の報酬が低過ぎるといわざるを得ません。時間講師の報酬は、経験年齢で上がる仕組みだということなんですけれども、一年目で千九百円、二年目で七十円のアップにすぎません。
また、時間講師の場合には雇用保険にも入れない方がいます。雇用保険は、正規の教員以上、週二十時間以上働かないと雇用保険の対象から外されると。これは法的な規制でそうなっているということであります。
民間の塾でさえ、授業の準備時間やテストの採点は別枠で手当てしている。そういう民間の塾もあるわけです。私は、何らかの待遇改善を検討すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○高畑参事 時間講師の報酬単価は、講師本人の経験年数に応じて定めてあります。この単価は経験年数が同じ教諭をもとに決定しており、適切な水準にあるものと考えております。
また、時間講師の報酬は、担当しているすべての持ち時数に応じて算出をしております。報酬単価は、一般職員の給与改定率に基づき改定を行っており、適切な額が支払われているものと考えております。
○畔上委員 本人の意思で授業時間数が決まるわけでもなく、あくまでも学校の都合で授業時間数も決まるわけです。もっと働きたいと思っても、二校、三校ダブって働くわけだけれども、その学校によって授業を重ならないようにするというのはすごい大変なことなわけですよ。
現在、先ほどもいいましたように一授業千九百円と。しかし、これは時給ではありません。先ほどもちょっと説明がありましたが、授業の準備も全部含めての報酬だと。冒頭にお話ししたように、一時間授業をするのに、三倍から四倍の予習などの時間、テストの採点、こういうのも全部含めるわけですから、本来の時給換算でいえば、時給六百円ぐらいになっちゃうわけですよ。最低賃金も下回っちゃう。
私は、時間講師の生活実態、とりわけ経験の若い時間講師のアンケート調査などを行って、きちんと実態を把握すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○高畑参事 先ほどもご答弁申し上げましたが、時間講師の報酬は、担当しているすべての持ち時数に応じて算出をしております。報酬単価は、一般職員の給与改定率に基づき改定を行っておりまして、適切な額が支払われているものと考えております。
○畔上委員 給与改定率に伴ってということで改定して、先日減っちゃったわけですよね。こうした時間講師は、都の教育を支える重要な役割を果たしているわけです。教育における教員の処遇の悪化というのは、私は教育の劣化に結びつく問題だと思うんです。
だから、例えば埼玉県、非常勤講師の時給は二千八百円ですよ。教職員の病気の代員は、県費負担の教員を採用して、一カ月以上勤務すれば二十三万円です。東京都の現実を無視した、こういう時間講師の報酬の改善は、私は急務だといわなければならないと思います。時間講師の実態をきちんと把握して、改善を強く求めたいと思います。
本会議答弁で、官製ワーキングプアを生み出しているという認識はないというふうに、これは都教委ではありませんが、都が答弁されていたんですが、私はまさに官製ワーキングプアだといわざるを得ないと思います。
そこで伺いますが、時間講師は今年度どのぐらい任用しているんでしょうか。
○高畑参事 時間講師の任用は、一年間の任用である年間任用と、年間任用以外の短期任用がございます。
昨年七月一日現在の時間講師の実員数は四千六百十九人でございます。
○畔上委員 時間講師の任用は年々増加していて、四年前より七百四十四人も増加していると。学校の教員数と比較しますと、全体の教員定数の七・四%に当たる、そういう人数になるわけです。
司書教諭や特別支援コーディネーター、主幹制度などで多忙な先生に、新たな仕事がふえた分、時間軽減で時間講師を任用する。また、病気での休職に対応して時間講師を任用するとして、そうやって時間講師をどんどんふやしてきたわけです。
子どもたちの成長にとって、今、本当に困難の多い状況の中で、学校教育の果たす役割、教員の果たす役割がますます重要になっているときに、非正規の教員が多くなっているという状態は、私はやはり問題があるというふうに思います。計画的、また集団的な教育を弱体化させるゆゆしき問題だというふうに考えています。
本来、教育内容の充実のためには、正規の教員をきちんと配置すべきところを時間講師や臨時教員で職員で穴埋めをすると。そして、それに加えて、先ほども事務職員の職務の拡大という問題もいいましたが、そういう形で対応するというのはやはり問題があるというふうに思うんです。
今年度の教職員の定数は六万二千九十一人です。五年前の平成十六年、二〇〇四年は六万二千三百四人と。その時点に比べても二百十三人減っていると。来年は二百二十一人ふやすということで、ほぼ同じぐらいということになるわけですが、しかし、この五年間で子どもの数、児童生徒は二万三千人ふえているんですよ。子どもが二万三千人もふえているのに、先生を減らしてきた。やっぱり私はここに問題があるんだというふうに思うんです。
教員配置の問題というのは、子どもたちの教育条件に深くかかわる問題なわけです。時間講師の待遇改善と、それから教職員の配置の拡充を強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
○星委員 まず、高等学校卒業予定者の就職内定状況についてお伺いをいたします。
学生の進学、就職など、進路に関する情報誌発行や、ガイダンスの企画、開催などを中心に行っている民間企業が、高校生の就職状況について調査を行い、ホームページ上で公開しております。
それによりますと、今日の経済不況が高卒就職に対してどのような状況にあるか、東京とほかの首都圏地域との比較になっています。昨年七月に厚生労働省が発表した高卒の求人倍率では、他地域と比較して幾分よいといわれている東京都ですが、現実はどうなっているのか、大変興味深いものの調査になっております。
これによりますと、卒業後、就職から上級学校への進学に進路を変更する生徒は増加傾向にあり、東京都では一七・二%、東京都以外では二六%。卒業後、フリーターになりそうな生徒は、東京都では四一・三%、東京都以外では六一%。就職から進学への切りかえに対しては、学力的な事情から断念せざるを得ない生徒が増加している高校は、東京都で二〇・六%、東京都以外では一九・五%。一方、経済的な事情から断念せざるを得ない生徒が増加している高校は、東京都では六八・九%、東京以外では五九・八%。
東京では求人状況がほかと比較すると幾分よいものの、家計の経済状況は東京都の方が深刻で、就職から上級学校への進学に切りかえを断念している様子がうかがえます。
就職試験に落ちた生徒のメンタル面でのサポートを危惧する声や、余りに急激な経済変化に、高校生のみならず、教員、保護者などの周辺に位置する人たちも対応し切れていない状況があるとの意見も複数出されているということです。
そこで質問をいたしますが、今年度の高等学校卒業予定者のうち、東京都における就職内定率は、昨年度と比較してどのような状況にあるのか、まずお伺いいたします。
○高野指導部長 昨年十二月末現在における東京都の高等学校卒業予定者の就職内定状況に関する文部科学省調査によれば、就職内定率は七一・〇%となっておりまして、一昨年同期の七七・六%に比べまして六・六ポイントの下降となってございます。
○星委員 六・六ポイントの下降ということで、さらに厳しい状況になっていると思われますが、このような厳しい状況の中、都の教育委員会は都立高校に対してどのような支援策を行ってきたか、お伺いいたします。
○高野指導部長 都教育委員会は、これまで各学校に対しまして就職を希望する高校生を対象に、面接指導や小論文指導などの就職指導を行うとともに、外部機関との連携を図るよう指導してまいりました。
特に現下の厳しい雇用状況の中、今年度、都教育委員会は、就職を希望するすべての生徒の進路実現を図るため、東京労働局や産業労働局との連携を強化したところでございます。
こうした都教委の働きかけによりまして、東京労働局がハローワーク職員による個別の学校訪問の時期を早めて実施するとともに、就職面接会も複数開催したほか、産業労働局も新たに就職相談会を実施するなど、各学校の就職希望者を支援する取り組みを行ってきました。
また、まだ就職の決まっていない生徒を支援するため、東京しごとセンターがこの三月十五日でございますが、この日に開設した新卒緊急応援窓口を積極的に活用するよう、各学校に通知を出し周知したところでございます。
○星委員 いろいろ努力をされているということはわかりました。
この雇用の問題は、確かに産業、経済、社会全体の問題なので、学校だけでとても解決する問題ではないかもわかりませんけれども、これからも関係局と連携を強化して、一層の取り組みの強化をお願いいたします。
次に、キャリア教育についてお伺いをいたします。
今日の産業、経済、雇用を取り巻く目まぐるしい変化、多様化、流動化の状況は、就職、進学を問わず、子どもの進路決定に関し大きな影響を与えます。
また、生徒の社会人、職業人としての基礎的、基本的な資質をめぐる課題も指摘され、高い早期離職率、フリーター志向、いわゆるニートと呼ばれる若者の存在等も社会の大きな課題です。
このような中、子どもたちが働くということを通じ、生きる力を身につけ、社会で直面するさまざまな困難に立ち向かい、自立できるようにするためのキャリア教育は、大変重要なカリキュラムだと認識します。
しかし、この学びは、教師だけでなく企業や地域の方々のご理解とご協力が不可欠です。しかしながら、私の経験ですが、中学生の職場体験、三日間の受け入れ先としてご協力していただける地域の事業所が固定化してとても数が少ないこと、また歓迎してくださる受け入れ先でも、子どもたちはまるでゲストのような扱いでイベント化していること。
受け入れ先の方のご意見を聞き、子どもたちの様子を見ていて感じたことですが、職業、職種、さらに働き方というのは、現在、本当に多様化しているにもかかわらず、教育の現場ではこのことに対応できていないのではないかということです。
子どもたちが職業についてさまざまなメディアなどを通じて、あこがれや夢とともに入手する情報と、あるいは生活していくための収入を得るという意味での仕事、最近では一も二もなく安定した職場、収入から公務員ということを挙げる子どもが小学生からいるといった世の中で、さきの質問でも取り上げました現実の就労をめぐる厳しい現実の中、学校が教育の目標で職業観や生きる力を導きたくとも、さまざまな課題があり、対応していく必要があるのではないかと思っています。
そこで質問いたしますが、都立高校においては、現在どのようなキャリア教育を行っているのか、また、都教育委員会は、都立高校におけるキャリア教育をどのように支援をしているのか、お伺いをいたします。
○高野指導部長 都立高校においては、各学校が年間指導計画を作成いたしまして、大学への体験入学や、企業における就業体験、卒業生や企業経営者による進路講演会なども取り入れるなどしまして、各教科、特別活動、総合的な学習の時間など、教育活動全体を通じましてキャリア教育を推進しているところでございます。
都教育委員会は、キャリア教育のすぐれた実践事例を進路指導資料などに掲載したり、広く都民に公開するフォーラムや実践連絡協議会などを開催したりするなどいたしまして、都立高校におけるキャリア教育を現在支援しているところでございます。
こうした取り組みを通じまして、生徒の目的意識や学ぶ意欲を高め、望ましい勤労観、職業観を育成しているところでございます。
○星委員 お答えをいただきました。
小学生においては職場見学、中学生では職業体験、高校生においてはいわゆる就労体験ということになるんだと思いますけれども、この就労体験というところでは、高校生、今、インターンシップという方法でキャリア教育を行っているというふうにお伺いしましたが、このことをさらに推進をしていく必要があると思うんですけれども、東京都教育委員会ではこのインターンシップについては、現在どのような取り組みを行っているでしょうか。
○高野指導部長 都教育委員会は、平成十八年度から国際ロータリーとインターンシップに関する基本協定を締結いたしまして、受け入れ企業の拡大を図るとともに、国際ロータリーとの連絡会を開催いたしまして、そこでの協議に基づき、実施方法を改善するなど、普通科高校を中心とした各学校のインターンシップの充実に努めてまいりました。
専門高校においては、関連する企業と連携してインターンシップを行っているところでございまして、特に昨年度からは、ものづくり企業において工業高校の生徒が熟練者から実践的な技術、技能を学ぶことを目的とした技能習得型インターンシップ事業もあわせて行っているところでございます。
○星委員 ありがとうございます。
ただ、事前にちょっとインターンシップの実施状況について数字をいただいたんですが、専門学科、総合学科に関しては、八一%、八七%という、学校で実施をされていると。普通科においては、割合が五六・五%という非常に少ないというふうに私は感じます。
さらに、このインターンシップに関しては、夏休みや春休みのような休業の間に希望者が参加をするという形をとっていますので、非常に実際のインターンシップの参加をするという生徒の数というのは一部の方に限られているんではないかと思いますので、即卒業して仕事ということではなくて、キャリア教育の理念からいいますと、大学に進学しても、その先の職業という、大人としての職業観ということを培うということですので、ぜひ普通科におきましても、三年間に必ず一度は参加ができるような充実に今後努めていただきたいということを意見として述べさせていただきます。
次に、特別支援学校では、キャリア教育、職業教育に関してどのような取り組みをしているのか、お伺いをいたします。障害のある子どもたちの自立と社会参加に向けて、職業教育は大変重要と考えますが、特別支援学校においてはどのような状況でしょうか。
○高野指導部長 都立知的障害特別支援学校では、将来障害のある生徒が社会に出て必要とされる力を身につけさせるため、基礎的な知識や技能の習得を図る職業教育を現在行っているところでございます。
例えば、従来から実施してきました木工製品や陶器の制作などの知識、技能を向上させる指導に加えまして、平成二十年度から都教育委員会が開発した都立特別支援学校用の各種技能検定を活用いたしまして、清掃技能、接遇技能、パソコン入力技能、こうした習得を目指す指導を現在行っているところでございます。
○星委員 軽い知的障害の生徒の企業就労を目指す都立特別支援学校では、どのような職業教育を行っていますか。
○高野指導部長 知的障害が軽い生徒を対象とした特別支援学校では、雇用現場に通ずる実践的な知識や技能、態度の育成を図るために、生徒の進路希望などに応じまして、教育課程を作業種ごとに類型化したコースを設定し、企業就労を目指した職業教育を行ってございます。
例えば平成十九年度に開校いたしました永福学園では、ビルクリーニングやロジスティクス、福祉、食品のコースを設定し、一年次から段階的なインターンシップや、実践的な職業技術の習得を図る校内における実習などを通しまして、希望する生徒全員の企業就労を目指した指導を行っているところでございます。
○星委員 今、お聞きしたようですと、特別支援学校の方がさらにきめの細かい職業教育をされているということで、親の願いは子どもの自立です。ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
最後に、メンタルヘルスについてお伺いいたします。
昨年の文部科学省の調査発表によると、精神疾患による休職者数が平成二十年度全国で五千四百人を超え、十六年連続で増加をしています。東京都では何とその一割に当たる五百四十人が休職しているとお伺いしております。
これだけの数の教員がいわゆる心の病を理由に教壇から姿を消しているという事実は、教育行政の根幹にかかわる事態だといっても過言ではありません。若手の教師の中には、要望が多様化している保護者対応などで疲弊し、まじめな教師であればあるほど精神的にめいってしまい、気がついたときには重症の精神疾患となっている例があるというふうにお伺いしています。
そこで質問いたします。現在、都教育委員会は、教員に対してメンタルヘルス相談はどのような体制で実施をしておりますか。
○谷島福利厚生部長 都教育委員会では、相談窓口を医療機関に委託し、平日に常設するほか、土曜日には臨時の相談窓口として利用しやすいホテル等も活用し、精神科医、臨床心理士が電話や面接に応じております。
また、学校に直接臨床心理士や教員OBが出向きまして訪問相談を実施するなど、さまざまな相談体制をとっているところでございます。
○星委員 さまざまな取り組みをされているということですが、多様な相談体制の取り組みを行っているにもかかわらず、うつ病などの精神疾患が重篤化し、休職期間が長期化するということが現実に起こっているわけですが、それについて、原因はどのようなことだというふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○谷島福利厚生部長 うつ病などの心の病は、本人も病気に気づかず、また、周りの家族や職員も注意を払い切れず、関心も高くないため、本人が不眠や目まいなど体調不良の身体症状が出てからの相談や受診となりやすく、重症化する例が多いと聞いております。
実際に精神疾患による病気休暇を取得した教員の三分の二は、精神科医への受診が休暇に入る直前となっておりまして、手おくれ受診といえる状況でございます。
○星委員 確かに手おくれ受診といえる状況だということもいわれておりますけれども、心の病についての啓発は、ここのところでメディア、あるいは私もよく見かけますが、駅などの広告などでも、眠れなくなったら早目に受診をなんていうようなポスターも見たことがあります。
しかしながら、まだまだ自分は大丈夫だとか、自分は無関係だと。あるいは、まじめな方ほどすべてを自分の力不足だというところの中で抱え込んでしまうというようなこともあるかと思いますので、とにかく、全教員に向けて体制というところの中の部分では強化をしていっていただきたいと思いますが、いろいろ私も相談に乗ることが多いんですが、特に経験の浅い若手の教員、人間関係から来るストレスというものがすごくあると思うんですけれども、とりわけ初任者に対して、学校現場での保護者の対応などに対しての研修などはどのように行っているでしょうか。
○高野指導部長 初任者は、教育公務員特例法に基づく必修の初任者研修における校内研修で、各学校の管理職や指導担当教諭から、保護者と連携を図った学級経営について、学校、学級の実態に即して学んでいるところでございます。
また、都教育委員会が実施している都立高等学校及び都立特別支援学校教員対象の初任者研修では、こうした校内における研修に加えまして、教職員研修センターで行う研修において、平成二十一年度は年間二回、民間企業などから講師を招聘いたしまして、演習を取り入れながら、学校における接遇マナーなど、社会人の常識や保護者への対応のあり方について学んでおるところでございます。
○星委員 新規採用の教員を学校現場に今度配置するに当たり、教育委員会として留意されていることはありますでしょうか。
○直原人事部長 新規採用教員が円滑に教育活動をスタートできるよう、小学校につきましては、平成十九年度新規採用教員から、正式採用前の三月の段階で四月から勤務する学校に出向きまして、授業観察や児童との交流などの実践的な活動を体験する任用前学校体験を実施しております。
平成二十二年度に採用する教員からこの制度を中学校にも広げまして、既にこの三月から実施しているところです。
また管理職OB等が各学校を巡回して、新規採用教員から相談を受けたり、助言をしたりする教育アドバイザー制度を実施しております。
さらに、平成二十二年度から、退職した優秀で指導力のある教員を育成担当の教員として再任用し、小学校の新人教員とペアを組ませ、その育成に当たる研修制度を実施いたします。二十二年度は百名規模とし、順次拡大する予定でございます。
今後とも、都教育委員会といたしまして、新規採用教員への支援を行ってまいります。
○星委員 最後に、心の病である精神疾患は、今、私が質問させていただいた若い教員ということだけでなくて、どうやら五十代ぐらいの方たちもとても多いというふうにお伺いをしていますけれども、性別の差や特定の年齢で発症するというような特徴がないというふうにもお伺いしています。すべての教員にとって重要な取り組みというふうに考えます。
一般企業と比較いたしましても、二・五倍というようなこともいわれております。非常に教育現場、教育環境に置かれている中でのストレスというのがさまざまあるのかなと思いますが、メンタルヘルスの予防に向けては、これがとても大事だと思いますが、どのような取り組みを実施していく予定なのでしょうか。
○谷島福利厚生部長 心の病は一般的に、本人が病気を自覚することなく放置しておきますと重度化する傾向がございますので、自覚を促す対策を講じなければ、大きな予防効果は期待できないと考えております。
このため、都教育委員会では、早期自覚、早期対処を基本方針といたしまして、メンタルヘルス予防に積極的に取り組む新たな対策に着手することといたしました。具体的には、すべての教員を対象に、定期健康診断にメンタルヘルス項目を新たに追加して自覚を促すとともに、研修用のDVDを作成し配布し、また初任者や副校長昇任者に対するカウンセリングの実施等を通じまして、メンタルヘルス相談への抵抗感を薄め、学校全体で築き合うメンタルヘルス意識の醸成など、さまざまな予防対策を展開してまいります。
○大西委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十二分休憩
午後三時三十九分開議
○大西委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○岡田委員 さきに大津委員もお話ししていましたけれども、私たち民主党文教委員会では、先月、フィンランド、デンマーク、イギリスに、教育を中心に据えた海外視察をさせていただいてまいりました。
その視察では、子どもたちの確かな学力、そして教員養成について大きな収穫を得てまいりました。今後の東京都の教育に向けて、大いに生かしてまいりたいと思っているところでございます。
そこで、今回は、東京都の教育の実情と比べる上でも、私からは大きく三点の内容について質問をさせていただきます。
まず、学力に関連して伺います。
昨今、子どもたちの学力の低下が問題となり、特に中学生になっても小学校でつくべき学力が身についていないことから、ますます勉強嫌いになったり、不登校になったりするといった報告があることを聞いております。
また、大学の医学部の先生からは、昨今の学生の中には医学部であっても自分の考えを文章でまとめられない学生もいるとのことで、小学校で作文教育をきちんとされてこなかったのではないかといわれたことがあります。
学習につまずきを持ったまま卒業していってしまう児童や生徒が結構いるのではないかと思われます。
そこで、都教育委員会としては、このような現状があることから、児童生徒の学習のつまずきの傾向や原因をどのように把握しているかを伺います。
○高野指導部長 都教育委員会では、これまで都や国の学力調査結果をもとに、児童生徒の誤った回答を分析するなどいたしまして、学習のつまずきの傾向や原因を把握してまいりました。その中で、当該学年で確実に身につけておかなければ、その後の学年において学習を行う際につまずきの要因になると思われる内容があることが明らかとなってまいりました。
例えば、国語科では、小学校一、二年において主語と述語との関係、小学校三、四年におきましては修飾と被修飾との関係など、また、算数、数学科におきましては、小学校二年生において掛け算、九九、小学校二年、三年において繰り下がりのある引き算、中学校一年において正の数、負の数の計算などがございました。
○岡田委員 現場の学校の先生たちは多忙の中も、それぞれの先生がどの子にもわかるような授業をしようとさまざまな工夫をして、指導されていることと思いますが、このような学習のつまずきがなぜ起きると考えられているか、その点をお伺いいたします。
○高野指導部長 現在、都内公立小中学校におきましては、授業改善推進プランを作成いたしまして、習熟度別少人数指導を取り入れるなどいたしまして、児童生徒の学力の実態を踏まえた授業計画を立てまして、個に応じた指導を推進しているところでございます。
しかしながら、児童生徒の実態に応じた指導が必ずしも十分でなかったり、あるいはまた、家庭学習の習慣が定着していなかったりした場合には、学習のつまずきの状況が見られると考えております。
○岡田委員 やはり子どもたちの実態をしっかりとらえること、そこから始まるのだと思います。
そこで、これら子どもたちの学習のつまずきを防ぐためには、都教育委員会としてはどのような取り組みをしてきたかを伺います。
○高野指導部長 都独自の学力調査の結果から、児童生徒の学習のつまずきの傾向や原因を把握、分析するなどいたしまして、平成二十年十月に児童生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準、いわゆる東京ミニマムを作成するとともに、教員に対しましては、直接趣旨を徹底するため、区市町村教育委員会並びに学校を対象とした説明会を開催してまいりまして、その周知を図ってきたところでございます。
また、確かな学力向上実践研究推進校といたしまして、小学校六校、中学校三校を指定いたしまして、東京ミニマムの効果的な活用を研究開発しているところでございます。
さらには、学力向上には家庭の協力も欠かせないことから、平成二十一年六月には東京ミニマムの保護者用パンフレットを作成いたしまして、小学校一年から六年までのすべての家庭に配布いたしまして、家庭への啓発を図ってきたところでございます。
○岡田委員 ありがとうございました。東京ミニマムについてはわかりました。
まだ策定されてから日が浅いので十分ではないと思われますけれども、この東京ミニマムについて、学校や保護者の反応はどうでしょうか、教えてください。
○高野指導部長 東京ミニマムについての学校対象の説明会に参加いたしました教員のアンケートによりますと、学習のつまずきの傾向が調査結果に基づいて明らかになっており、授業の具体的場面で生かしていきたいといった声や、校内研修においてすべての教員で共通理解を図りたいといった回答がございました。
また、保護者を含めた都民からは、我が子のつまずきを見つける物差しになったといった声や、家庭でどのようなことに取り組めばよいか非常に参考になったなどの声も寄せられております。
こういった反響を踏まえまして、今後とも学力向上のための施策を推進してまいりたいと考えております。
○岡田委員 やはり確かな学力を身につけさせるためには、学校現場での授業と、家庭学習による復習などが大切だと思われます。殊に授業で新しく習ったときに基礎的なところがしっかりと理解できていれば、あとは応用の中で定着が図られていくものです。
しかしながら、その初めの授業で理解できない子やつまずいた子には、そのときすぐに手当てをしてあげることが望ましいわけですが、一人の担任の先生だけでは手が足りないのが現状です。
フィンランドでは、子どもたちのニーズに応じた教育が当たり前であり、学習につまずいた子どもにはすぐサポートするといった体制ができていました。個別の指導がしっかりと根づいているのです。
これは、東京でも学校によっては行われています。二年前に台東区の千束小学校を視察しましたが、この学校にはNPOの日本教育再興連盟から派遣された大学生がボランティアで教室に入り、子どもたちの学習補助をしていました。四年生のあるクラスでは、面積の学習でつまずいた子が学生さんにアドバイスをもらって、ああそうかと目を輝かせていた光景が今も忘れられません。
東京には大学がたくさんあります。大変恵まれた環境にあります。子どもたちの学力向上を図る上で、また将来の教員確保の上でも、各大学と連携して学生ボランティアの活用を推進する必要があると考えますが、いかがでしょうか。所見を伺います。
○高野指導部長 現在、ほとんどの区市町村教育委員会では、大学や個々の大学生と連携するなどいたしまして、学習支援員として担任を補助したり、放課後の補習で個別指導をしたりするなど、ボランティア等による大学生の活用を図っているところでございます。
都教育委員会では、平成二十二年度より、土曜日の補習等においても大学生を含めた人材の活用を図るなど、区市町村教育委員会の学力向上の取り組みを支援していきます。
○岡田委員 ありがとうございます。これからも積極的なそういった大学生の活用をお願いしたいと思います。
次に、東京未来塾について伺います。
子どもたちが確かな学力を身につけることの重要さと同時に、大きく国家的な見地で見詰めてみますと、社会のリーダーとなり得る人材の育成という点で、この東京未来塾の事業理念は評価できるものと考えます。
そこで、これまでの成果について伺います。
○高野指導部長 都教育委員会は、首都大学東京と高等学校との連携により、日本の将来を担い得る改革型リーダーとしての資質を持つ人材を育成することを目的といたしまして、平成十六年度にこの未来塾を設置したところでございます。
これまで未来塾の塾生は、教職員研修センターにおいて年間六十日程度、各界の第一人者を招聘した特別講義の受講、あるいは、みずから課題設定して探求活動を行う課題解決学習、そしてまた首都大東京と連携したゼミナールや企業等での体験学習、これらを通しまして課題解決能力や幅広い教養、社会貢献の志をはぐくむことができたと考えております。
○岡田委員 内容的にはやはりすばらしいことをやっているのだなと私もつくづく思いましたけれども、昨年の第一定例議会で馬場議員が、五名の不合格になった生徒のことで質問をしています。未来塾に入塾し学んだからといって、すべての生徒が首都大学東京に入学できるとは限らないこともわかりました。
これからこの未来塾を目指そうとしている生徒や保護者、学校関係者のためにも、これまで未来塾で学んだ生徒たちのその後を知らせることも重要と考えます。入塾した生徒たちの追跡調査はどうなっているかを伺います。
○高野指導部長 未来塾を卒塾した生徒は、選抜試験である大学入試を経まして、首都大学東京を初めとする大学に進学しておりまして、未来塾で研究テーマとして学んだことをもとに、専門的な課題に意欲的に取り組んできたと報告を受けております。
昨年三月、未来塾の第一期生が大学を卒業いたしましたが、公官庁、民間企業への就職を初め、大学院への進学などが報告されております。
追跡調査ということでございますけれども、現在未来塾の担当の方で、こういった卒業生がどうなるかについて今後把握をしてまいりたいと考えております。
○岡田委員 今お答えいただきましたけれども、やはりこの追跡調査は、これからの未来塾の発展のためにも検証していくことが重要と思われます。ぜひしっかりと行っていただき、また、本人のプライベートにかからない範囲での調査結果の公表などもしていただきたいと思います。
そこで、この塾制度事業に関して、都民や教育関係者、生徒たちからの反響や声はどのように受けとめられておりますでしょうか、伺います。
○高野指導部長 未来塾の講座を参観した都民からは、日本人としての自覚や誇りを持ち、国際社会で活躍できる自立した人間を育成することを未来塾に期待したい、こういった声や、一年間かけてテーマを研究していくことは大きな自信につながるものであり、こうした経験を今後の大学生活に生かしてほしいと思うなどの評価を受けているところでございます。
また、塾生が就業体験、いわゆるインターンシップでございますけれども、そういったものを行った企業等からは、目標を持って創意工夫しながら業務に取り組みまして、与えられたこと以上の成果を上げた、あるいは、塾生は体験活動中にさまざまなことに関心を持ち、私たちにもよい刺激となったといった声が寄せられているところでございます。
○岡田委員 それでは、今後、この未来塾をどのように発展させていくかを伺います。
○高野指導部長 都教育委員会は、これまでも特別講義の講師の充実、ゼミナールなどにおける発表の機会の拡大など、未来塾の講座の充実に努めてまいりました。また、平成二十一年度は、東京未来塾と首都大東京が一層の連携を深めるために、東京未来塾事業連携委員会を設置したところでございます。
今後とも首都大学東京や在籍高校との連携を一層図りまして、未来塾で実施している各種講座のさらなる改善に努め、二十一世紀の東京の創造的発展を担い得る若い人材を育成していきたいと考えております。
○岡田委員 東京未来塾事業連携委員会を設置されたということで、これからもますます東京都の教育の前進のためにも、この未来塾が首都大学東京との連携をしっかりとって、学びたいと意欲を燃やす生徒たちの希望をかなえるための門戸を確保し、発展することを願っております。
最後に、東京教師養成塾について伺います。
このたびの視察におきまして、フィンランドでは、教員養成をしているユヴァスキュラ大学に行ってまいりましたが、フィンランドでは教員になるには修士課程修了が条件となっており、また教育実習は大学の一年生から行われるとのことでした。PISAでの優秀な成績は教員養成にも大きく関係していることがわかりました。
そこで、東京都では東京教師養成塾を二〇〇四年度から開塾していますが、設立した経緯とねらいについて伺います。
○高野指導部長 児童生徒の教育をつかさどる教員に対し都民は、熱意と使命感、豊かな人間性と組織人としての協調性、そして実践的な指導力や社会性などの資質を求めているところです。
こうしたことから、都教育委員会は東京教師養成塾を平成十六年に開塾いたしまして、これまで教員を養成している大学、区市町村教育委員会と連携いたしまして、実践的指導力や社会性を備え、即戦力として活躍できる高い志を持った教員を学生段階から養成してまいりました。
○岡田委員 ありがとうございます。
丸六年が経過したわけですが、この教師養成塾の成果はどうなっているでしょうか、伺います。
○高野指導部長 塾生は一年間で特別教育実習、ゼミナール、講義、体験活動の四講座を受講しております。これらの講座を通しまして塾生は、実践的な指導力、柔軟な対応力、組織の一員としての自覚、社会の課題を的確にとらえ、さまざまな知識を融合して実践的に課題を解決する力などを身につけ、教師としての使命感、社会に貢献する志、社会人としての責任ある態度をはぐくんでおります。
平成二十二年四月一日採用予定者を含みまして、これまでに六百五十一名が東京都の教員に採用されまして、所属校の校長からは、教育に対する熱意と使命感が高い、こういった声や、発問等を工夫して子どもの反応を生かした授業を行うことができる、あるいはまた、初任者研修などにおきましてリーダー的役割を担っている、こういった評価を得ているところでございます。
○岡田委員 ありがとうございました。
東京都では団塊の世代の方々の大量退職に伴い新規教員の採用が見込まれるところですが、受験倍率が低いことから質の低下が危ぶまれているとも聞いております。この十年余り、あいさつができない、それから遊びに行くような格好で通勤してくるなど、常識的な範囲での規範が身についていないといったことの悩みを訴える現場の校長先生の声も聞いております。
少子化に伴い一学年の学級数が減少したため、かつての三クラス、四クラスのときにあったような学年での教師同士の日常的な研修が成り立たなくなった今、教育の現場に入る前の大学時代での教師養成塾は非常に貴重であります。
本来は各大学での指導の中で行われるべきだと思いますが、このような事業をより拡大して、さらに東京の教育を充実させていただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○遠藤(衛)委員 私からは、特別支援教育について質問させていただきます。
障害のある児童生徒の保護者は、就労、自立のための施策に大きな期待をしているところであります。
障害者の就労、自立に向けて、都は「十年後の東京」で、平成二十七年までに三万人以上の障害者雇用を目指すと明記しております。また、都教委は特別支援教育推進計画で、永福学園など知的障害が軽い生徒を対象とした就労を目指す高等部を新設するとともに、既存の知的障害高等部においても就労に向けたさまざまな取り組みを行っております。
現在では、特別支援学校高等部の卒業生の約四割が一般企業に就職をしております。一方、小中学部においては、知的障害を伴う自閉症の児童生徒に対して教育課程の複線化を図るなど、障害に応じた取り組みを行っております。
私は、こうした知的障害特別支援学校の就労、自立に向けた取り組みが、障害のある児童生徒の保護者に期待を持って受け入れられたその結果として、生徒増につながったのではないかと考えております。
生徒数の増加の要因は、例えば発達障害者支援法の成立や特別支援教育をめぐる制度改正など、障害者を取り巻く環境整備などいろいろだと思いますが、私は何より都教委の特別支援教育推進計画の取り組みが保護者に評価されたものだと思っております。
しかし一方で、生徒増による教室不足という教育環境の悪化を招いたのであります。
知的障害、特別支援学校の生徒の増加状況でございますが、前年度と比べた数字で見ると、平成十八年度は約百八十人、十九年度は約三百六十人、二十年度は約四百九十人、そして二十一年度は約五百人、それぞれ増加をしております。この増加した数字を足しますと、平成十二年度から二十一年度で約千五百人ふえたことになります。
学校現場では、カーテンで教室を仕切って対応するなどしております。こうした状況は早急に解決すべき課題ですけれども、急増する生徒増に対応が追いついていない状況であります。
そこでお伺いいたしますが、平成二十二年度には第三次実施計画を策定することになっていますが、策定に当たり、教室を確保するための具体的な内容についても当然検討されていると思います。今後、特別支援学校において必要となる教室をどのように確保していくのか、まずお伺いいたします。
○前田参事 都教育委員会では、東京都特別支援教育推進第一次、第二次実施計画に基づき、知的障害のある児童生徒の増加に対応するため、都立高等学校跡地等を活用し、知的障害の軽い生徒を対象とした学校の設置を進めるとともに、地域型の知的障害特別支援学校単独校の設置などを通して教室の確保に努めているところでございます。
来年度の第三次実施計画策定に当たりましては、第二次実施計画策定時の想定を超えて知的障害を初めとする障害のある児童生徒数がふえたことから、現在、今後の児童生徒数の推計を行っているところでございまして、この推計値を踏まえ、特別支援学校の規模や配置のあり方、特別支援学校の増改築の可能性や通学区域の適正化、就学、入学相談のあり方などについて検討を進めているところでございます。
今後さらに検討を深め、児童生徒数の増加に対応できるよう、教室を含めた学校施設等の諸条件の充実策について計画に反映させてまいります。
○遠藤(衛)委員 この第三次計画が最後の実施計画だと思いますけれども、これまでの実績、経験も踏まえて、教室不足の解消にもさまざまな知恵を出して、第三次計画に反映をしていただきたい、このことを強く要望しておきます。
次に、第二次実施計画での特別支援計画の取り組みでございますが、個別支援計画は障害のある人を生涯にわたって支援するために策定されている計画で、特別支援教育第二次実施計画でも、この第二次計画にありますように、この三八ページだと思いますけれども、新たな連携として載っております。
第二次実施計画の中には、個別の支援計画に基づく支援のあり方を充実していく必要があると書いてあります。また、第二次実施計画では、エリアネットワークとして特別支援学校と区市の連携のイメージ図も載っておりますが、特別支援学校卒業後の区市との連携が、私にはいま一つよくわからないのであります。
先ほど、高等部卒業生の約四割の生徒が一般企業に就労しているということに触れましたけれども、残りの六割の生徒は地域の福祉施設など地元の区市で生活をしております。卒業後の生活の方が長いということなんですね。
卒業後はもう福祉の担当だとか区市の担当だということではなく、都教委は就学から卒業まで十二年間、就労、自立に向けた取り組みをし、保護者の期待も大きいのですから、卒業後の支援の取り組みづくりについても、地域の区市とも連携して、個別の支援計画の充実に協力をしていただきたいと思うのであります。
第三次計画において充実していく必要があるというような抽象的な表現ではなく、特別支援学校が地域のセンター校として何をしていくのか、どのような支援ができるのか、実施計画なのですから、より具体的な発信をしてほしい。これは要望しておきます。
そこでお伺いをいたします。第三次実施計画策定に当たってどのように取り組んでいくのか、基本的な取り組み姿勢についてお伺いをいたします。
○前田参事 東京都特別支援教育推進計画は、東京の特別支援教育の今後の展望を明らかにし、従来の心身障害教育から特別支援教育への新しい教育制度への転換を図っていこうとするものでございます。
第三次実施計画は、東京都特別支援教育推進計画の締めくくりとなる実施計画であり、特別支援教育を取り巻く環境の変化も踏まえつつ、計画期間終了後の都の特別支援教育の展開も見据えた重要な計画と考えております。
特別支援教育は、障害のある幼児、児童生徒の障害の特性や程度に応じた指導や支援を適切に行い、将来の自立や社会参加を目指していこうとするものでございます。
第三次実施計画の策定に当たっては、幼児、児童生徒に対する教育内容の充実や教育諸条件の整備、乳幼児期から学校卒業後までを見通した区市町村への支援と連携等について、より一層の充実を目指して取り組んでまいります。
○遠藤(衛)委員 第三次計画は、都民も非常に関心を持っておりますし、当然、保護者も期待をしているところでございます。
また、発表後は、計画に基づいて事業も実施されます。第三次実施計画は、これからの特別支援教室を推進する上で非常に重要な計画であります。ですから、結論を出す前に十分議論ができる場を設けていただくことを強く要望して、質問を終わります。
○遠藤(守)委員 私からは、予算案について五点にわたって質問したいと思います。
便宜上、先日いただきましたこの予算説明書のページを追って質問させていただきたいと思います。
まず一点目が学校保健給食費に関連して、これは九ページに載っておりますけれども、都立学校における新型インフルエンザ対策について質問をいたします。
昨年、全国的に流行した新型インフルエンザでありますけれども、従来の季節性のインフルエンザでは見られない、夏においても集団感染が見られ、秋以降、全国的に流行したことは周知のことだと思います。
私は、昨年の第三回定例会文教委員会でも、この新型インフルエンザ対策の強化を求めてまいりましたが、その後、都立学校でも流行したと、このように聞いております。修学旅行、または文化祭等々、さまざまな学校行事に影響があったと思いますけれども、平成二十二年度、来年度の入学者選考を含めて、都立学校において、この新型インフルエンザ、どんな影響があったか、まず質問いたします。
○森口都立学校教育部長 都立学校におきましては、昨年の夏季休業中の部活動や合宿等で新型インフルエンザの集団感染が始まり、秋から学校での流行が本格化しました。
学級閉鎖等の臨時休業のピークは十一月中旬から下旬でございました。学級閉鎖等の臨時休業は、本年二月一日に一校一学級で学級閉鎖を実施した以降はなく、新型インフルエンザは落ちついている状況でございます。
学校全体の閉鎖を行った都立学校は六校でございますが、うち四校は島しょ地区の学校で、特別な事情によるものでございます。
また、重症化して入院するなどの事例も見られませんでした。
都立高校の修学旅行につきましては、新型インフルエンザの影響で中止した一校を除き、旅行先や時期の変更により実施し、文化祭、体育祭等の学校行事についても影響は少ない状況でございました。
また、平成二十二年度入学者選抜における新型インフルエンザ対応につきましては、二月二十三日の一次学力検査日において、過去の平均欠席者数に総志願者数の一〇%を加えた人数以上の欠席者が出た場合、総志願者数の五%に当たる人数を三月九日の分割後期で募集するという特別な措置を講ずることとし、また、特別支援学校も同様の対応を行うことといたしましたが、新型インフルエンザは終息していたため、特別な措置をとることはございませんでした。
○遠藤(守)委員 重症化して入院するという事例なし、そして、文化祭、体育祭等の行事にもほぼ影響なし、そして、いろいろ対策を立てていましたけれども、入試においても、その立てていた対応を特別とる必要はなかったということであります。よかったと思います。
こうした影響が軽微だったようでありますけれども、都教委としてどのような対応をとってきたか、お答えいただきたいと思います。
○森口都立学校教育部長 新型インフルエンザの対応といたしましては、手洗い、うがい、せきエチケットの励行や、児童生徒等の健康観察を十分に行うなど、感染予防策について周知徹底を図るとともに、全都立学校にマスク、非接触型体温計等の資器材を配布いたしました。
感染予防のためには家庭での協力が不可欠であることから、公立学校の全児童生徒及び保護者へ、新型インフルエンザの対応策の徹底と、正しい情報を伝えるためのリーフレットも配布いたしました。
また、二学期以降の都立学校での流行に備え、福祉保健局及び都医師会などと協議を重ね、都立学校の臨時休業の基準等を策定し、夏季休業中に、都立学校を初め関係部署に周知いたしました。
都立学校におきましては、新型インフルエンザ様症状による欠席者数を毎日集約することで日々の感染状況を把握するとともに、学校で新型インフルエンザが発生した場合には、保健所及び学校医と連携し、迅速かつ適切に出席停止や臨時休業を実施し、学校内での感染拡大防止に努めてまいりました。
○遠藤(守)委員 報道では、この秋にも次の流行拡大期があると、このようにいわれておりますけれども、今回の教訓を都教委としてどのように生かすか、お答えいただきたいと思います。
○森口都立学校教育部長 新型インフルエンザの正しい知識や情報を学校及び家庭に随時速やかに周知することで、冷静に行動することができたといったことがまず挙げられると思います。中でも、感染予防には手洗い、うがい、せきエチケットなどの基本的な生活指導、児童生徒等の健康観察が有効でございました。
学校は集団感染が発生しやすい場ではございますが、都立学校での集団感染状況の報告から、部活動や合宿等の学校行事で感染が広がりやすく、対外試合などでは他校へも感染するなど、学校内外へ影響を及ぼすこともございました。
しかし、学校の感染状況を速やかに把握し、部活動の中止や臨時休業等の相談をするなど、保健所や学校医と連携、協力することで、感染拡大を防ぐ効果がございました。
今後策定される全庁的な事業継続計画、いわゆるBCPでございますが、その一部となる教育庁版新型インフルエンザBCPを策定する上で、こうした教訓を反映させてまいります。
○遠藤(守)委員 今答弁いただきましたとおり、今回の新型インフルエンザでの対応はさまざまな教訓になったと思います。
しかし、今般の新型インフルエンザに変異等が見られた場合には、過去の新型インフルエンザ流行の事例から、強毒化したり、感染力が高まる危険性も指摘をされております。ぜひ今回の教訓を生かして、今、答弁ありましたBCPを初め有効な手だてを講じていただきたい、そのように思います。
次いで、小中学校の運営費、予算書の一三ページになりますけれども、学校事務職員のあり方について質問させいただきます。
先ほど共産党の議員から、いささか偏った立場、主張に立っての質問がありましたんで、改めて確認を含めて質問させていただきたいと思います。
私は、先日の一般質問におきまして、副校長の多忙感について取り上げ、副校長の事務を補助するスクールアシスタント、これは仮称でありますけれども、これを配置すべきと提案いたしました。
その際、教育長から関連して、来年度、公立小中学校における業務処理調査研究事業、こうしたものを新たに行い、副校長のみならず、副校長を補佐する主幹教諭、また主任教諭、教諭、また、今回質問のメーンでありますけれども、事務職員のそれぞれの職務内容や業務運営上の課題について明らかにすると、このように答弁がございました。
そこで、この事務職員について伺いますけれども、小中学校には教員をサポートするために都費でこの事務職員が配置されておりますけれども、一部の事務職員には、都から指示された仕事や都費関係の仕事しかしない職員も一部にいるというように聞いております。
地域の中で学校が組織的に機能していくためには、力ある事務職員のサポートが欠かせないと思います。同時に、校長や副校長といった管理職と事務職員が連携を深めて、教員を支えて支援することが、ひいては子どもたちのためになると、このように思うわけであります。
そこでまず、学校に事務職を配置する法的な根拠とその基準について伺いたいと思います。
○直原人事部長 学校教育法第三十七条には、小学校には校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならないと規定されておりまして、この条文は、中学校、高等学校に準用されております。
また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律により、その任命権は都教育委員会に、服務監督権は区市町村教育委員会にあるとされております。
このため、職務の遂行に当たっては、区市町村教育委員会の規則、規程に従い、かつ校長、副校長の命に従わなければならないものでございます。
○遠藤(守)委員 ところが、都教委が平成二十年四月に公表した報告書によりますと、こんな記述があるわけであります。
一部の地域では、事務職員は外部からの電話をとらないなど、その職務範囲を過度に限定したり、副校長の監督外にしたりする慣行が見られる、このような記述があるわけであります。
こうした記述どおりの慣行が広く行われているのであれば、全くゆゆしい事態であると思います。都教委として、こうした事態に対してどう対応してきたのか、お答えいただきたいと思います。
○直原人事部長 多様化する教育へのニーズに対応し、特色ある学校づくりを進めるためには、教員と事務職員がそれぞれの職責や役割を理解しながら職務を遂行しなければなりません。
このため、教育庁内に区市町村教育委員会職員を加えた小中学校事務職員の活用等に関する検討会を設置いたしまして、校長、副校長や事務職員からもヒアリングを行って、事務職員の職務内容や人事管理の課題などを検討いたしました。この検討結果を踏まえまして、今般、事務職員の標準的な職務を定め、区市町村教育委員会に通知したところでございます。
○遠藤(守)委員 文書を発出したというのは良といたしますけれども、これだけで問題が解決するとは決して思わないわけであります。
都教委として、今後、先ほど答弁がありましたけれども、服務監督権は区市町村教育委員会にあると、このような答弁でした。この区市町村に対してどのような取り組みを促し求めていくのか、答弁いただきたいと思います。
○直原人事部長 都教育委員会としましては、事務職員の服務監督権を有する各区市町村教育委員会に対しまして、今回発出した通知の趣旨を踏まえ、学校事務職員の職務についての規則等を定めていただくようお願いをしております。
これに基づきまして、各学校長は、当該学校に所属する事務職員の具体的な職務範囲を事務分掌表などに明記することになります。
また、事務職員が、学校経営方針に基づき、自己申告書に自分自身の職務目標が着実に記載できるようになるというふうに考えております。
さらに、あらゆる機会をとらえまして、先進的な取り組みをしている区市町村や、他の道府県での事務職員の活用例などにつきましても、その情報を提供するなど、今回の通知の実効性の担保を図ってまいります。
○遠藤(守)委員 通知のやりとり、また情報のやりとり、これは確かに結構なことであると思いますけれども、この事務職員の育成そのものが片や重要だと。必要だと思います。これまでどのような育成をしてきて、今後、今回文書を発出したことにあわせて、それをどう進化させていくのか、お答えいただきたいと思います。
○直原人事部長 小中学校の事務職員は、大多数が一校一人のいわゆる一人職場であり、行政系の上司、同僚が身近に存在しないために、職場内でのOJTを通じての人材育成が難しい状況もございまして、区市町村が実施する研修にも参加させるなど、これまで育成を図ってまいりました。
都教育委員会としては、今後、事務職員を対象とした集合研修の充実を図るとともに、区市町村教育委員会が事務職員の研修を実施しやすいように、ノウハウの提供や、先進的な取り組みを実施している区市町村の事例を紹介するなど、支援をしてまいります。
○遠藤(守)委員 事務職員の方に、そのスキル、能力を生かして十分に働いてもらうことは当然であると思います。ただし、小中学校の設置者は区市町村であるわけであります。
こうした中、区市町村採用の事務職員を、都が給与を負担して小中学校に配置する動きがあるように聞いております。こうしたねらいと現在の取り組み状況について答弁いただきたいと思います。
○直原人事部長 区市町村立小中学校の都費負担の事務職員は、区市町村の事務に従事しておりますが、任命権が都にあるため、地域に応じた学校づくりに矛盾すると指摘する声もございます。
このため、都教育委員会では、本年四月から一部の市と協定を結びまして、市採用の事務職員を、都が給与を負担して小中学校の事務職員として配置することを先行的に実施することといたしました。
今後は、この成果を検証しまして、区市町村との連携をより一層図ってまいります。
○遠藤(守)委員 区市町村の職員を活用する、これはとてもいい取り組みだと思います。地域に応じた学校づくりが今まさに求められており、タイムリーな政策だと思われます。ぜひこうした成果を検証して、多くの区市町村に広めていっていただきたい、このように要望いたします。
次いで、ものづくり人材育成の推進、予算説明書二四ページでありますけれども、これに関して都立工業高校の取り組みについて質問させていただきたいと思います。
日本の発展を支えてきたのは間違いなく中小のものづくり企業であります。しかし、技術者の高齢化による大量退職の時代を迎えて、これまで蓄積をしてきた技術、または技能の継承を図ることは喫緊の課題となっております。そのためにも、ものづくり企業を支える人材の育成の必要性というものが指摘されているわけであります。
あわせて同時に、厳しい経済状況の中、高校の新卒者の就職難が社会問題となっております。現に、私の地元大田区にある高校でも、昨年度と比較して求人社数が二百社程度も減少しております。
こうした中、実は工業高校は比較的堅調に生徒を就職させていると聞いております。ものづくりの基礎、基本を学んだ生徒がものづくりの企業に就職し、技術、技能を継承する仕組みは最も大事であると考えております。
こうした観点に立ちまして、以下何点か質問させていただきます。
ものづくり人材の育成で中心的な役割を担っているのが都立の工業高校でありますけれども、この工業高校の生徒の今年度の就職内定状況は、高校全体や普通科と比較してどのようになっているか。また、昨年同時期における工業高校の就職内定率は、普通科と比べてどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
○高野指導部長 昨年十二月末現在における全国の高等学校卒業予定者の就職内定状況に関する文部科学省調査によれば、工業高校の就職内定率は八八・四%でございまして、高校全体の就職内定率が七四・八%であるのに対しまして一三・六ポイント高い状況となってございます。また、普通科の就職内定率六五・一%に対しまして、工業高校は八八・四%と二三・三ポイントも上回っている状況でございます。
昨年同時期の就職内定率と比較いたしますと、普通科が九・八ポイントの下降であるのに対しまして、工業高校は四・六ポイントの下降にとどまっている状況でございます。
○遠藤(守)委員 国の調査ですけれども、工業高校卒業者の内定率というのは非常に高いんだなということを私も改めて今の答弁で痛感しました。驚きました。
ところで、都教委では、この工業教育の充実のために、都立工業高校の教員を対象として、高い専門性、また技術を身につけてもらう企業派遣研修、また、生徒自身が長期間企業で実習を行うデュアルシステムを実施しておりまして、いずれも高い評価を受けているということであります。新年度には、ぜひこうした取り組みを充実させるべきと思いますけれども、見解を伺います。
○森口都立学校教育部長 企業派遣研修につきましては、来年度から新たに、ものづくり企業に工業科教員を年間を通して週一回派遣し、高度な熟練技術を身につけさせるとともに、製品を企画、設計する段階から製造や品質管理までのプロセスも学ばせ、ものづくりに関して幅広い視野を持ち、意欲的な取り組みや工夫ができる教員を養成してまいります。
また、企業と学校が連携して生徒を育成するデュアルシステムにつきましては、企業実習を通じて即戦力となるものづくり人材育成として高い評価を得ていることから、企業ニーズや企業集積地等の地域バランスを勘案し、来年度から準備を進め、平成二十三年度入学生から順次拡大してまいります。
○遠藤(守)委員 都教委はこれまで、都立工業高校の教育内容、また取り組みをさまざまな方法で情報発信してきております。工業高校のすぐれた進路指導や教育条件など、もっと効果的にPRする必要があると思います。
そこで、このPRに当たっては、工業高校卒業後の進路として、先ほど答弁にありましたとおり、就職にまず有利であることはもちろんでありますけれども、より高度な技術の習得を目指して大学進学もできること等、この工業高校のメリットというものを大いに中学生や、また保護者に対してアピールしていくべきだと思います。今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○森口都立学校教育部長 小中学校の早い段階から、ものづくりを通して得られる楽しさや完成したときの達成感を体験できる夏休み工作スタジオを実施しておりますが、来年度から全工業高校で拡大実施するとともに、保護者も参加する親子ものづくり教室を新たに設け、工業高校への理解啓発とものづくりへの興味、関心を高めてまいります。
また、中学生へのPRにつきましては、都立高等学校等合同説明会、都庁舎等での生徒作品展示、工業科生徒研究成果発表会で生徒の学習成果を紹介するとともに、工業高校を案内するリーフレットを配布するなど、中学生や保護者の理解促進を図っております。
今後は、こうした取り組みに加え、中学校と連携したものづくりフェアの開催、出前授業、個別学校訪問や学校見学会等の進路選択の機会をとらえ、資格取得を生かした就職、都立産業技術高等専門学校四年次への編入、高大接続による首都大学東京への進学など、複線型人材育成を行う工業高校の取り組みとその魅力を、ものづくりに興味、関心のある生徒へ直接伝えてまいります。
○遠藤(守)委員 大きな四点目でありますけれども、特別支援学校の運営、予算書三一ページでありますけれども、この特別支援学校における医療的ケアの充実について質問をさせていただきます。
現在、都立肢体不自由特別支援学校では、常時医療的な配慮を必要とする子どもたちが増加傾向にあり、各学校ではこうした子どもたちに対して医療的ケアを行っております。この医療的ケアとはそれほど一般的な言葉ではないと思います。私自身も深くは知りません。
そこで、現在、肢体不自由特別支援学校で具体的にどのようなケアが行われているのか、お伺いしたいと思います。
○前田参事 たんの吸引や、鼻などから管を通して栄養補給をする経管栄養など、家族や看護師などが日常的に行っている医療的介護行為を医師法上の医療行為と区別して、医療的ケアと呼んでおります。
都教育委員会では、肢体不自由特別支援学校に在籍する医療的ケアを必要とする児童生徒のために複数の常勤看護師を配置するとともに、非常勤看護師も導入してございます。
現在、肢体不自由特別支援学校で実施することができる医療的ケアの範囲は、吸引、経管栄養、導尿、酸素管理など、九つの行為でございますが、そのうち、教員や養護教諭は医師の指導、助言を受け、看護師立ち会いのもと、咽頭、のどの手前までの吸引と、看護師による留置チューブの先端確認後の経管栄養の二つの行為が実施できます。その他の行為は、学校に配置している看護師が行っているところでございます。
○遠藤(守)委員 都教委では、都立肢体不自由特別支援学校における医療的ケアを必要とする子どもたちの生命の安全を確保するために、常勤の看護師に加えて非常勤看護師を全校に配置するなど、全国を先導する取り組みを進めておられ、高く評価したいと思います。
しかし、その一方で、近年、他の障害種別の特別支援学校にも医療的ケアが必要な子どもが通っているわけであります。こうした子どもたちの医療的ケアは、現在どのように行われているのか、お伺いしたいと思います。
○前田参事 肢体不自由特別支援学校以外の障害種別の特別支援学校にも医療的ケアが必要な児童生徒が通っておりますが、この場合は、保護者が同伴するなど、保護者の責任で医療的ケアを行っております。
○遠藤(守)委員 今の答弁でありますと、常時医療的ケアを必要とする児童生徒はさまざまな学校に在籍していると。ただし、現状では、看護師が配置されている肢体不自由特別支援学校のみでしか医療ケアを行えないと。その結果、他の障害種別の学校では、保護者の同伴を求めなければならないと。これが現状だということが明らかになりました。
保護者の方が同伴できると、こうした経済的、また社会的に確かな方があればいいですけれども、やはりそうした方ばかりではないと思います。他の障害種別の特別支援学校でも、非常勤の看護師を配置するなどによって、医療的ケアができる体制整備をしていくべきだと思います。これについては強く要望しておきたいと思います。
次に、肢体不自由特別支援学校と地域の小中学校の通常学級との連携について質問いたします。
現在、区市町村立小中学校では、身体に障害のある子どもが通常の学級で他の子どもたちと一緒に授業を受けているケースがあると、このように聞いております。今、はやり言葉でいえば、インクルージョンという言葉が使われている中で、障害のない子どもと障害のある子どもがともに学び、遊ぶ。こうしたことは、特別支援教育の流れとして自然だと思います。
中には、こうしたお子さんの中には機能障害自体に対する専門的な指導が必要なお子さん方も一部いると聞いております。こうした子どもたちに対しては、現在どのような支援が行われているのか、お答えしていただきたいと思います。
○前田参事 通常の学級に在籍する肢体不自由の児童生徒に対しては、各区市町村の判断で、移動や排せつ、姿勢保持の介助などのための介助員の配置などに取り組んでいる事例がございます。
○遠藤(守)委員 こうした小中学校の通常学級に在籍する肢体不自由の子どもの中には、少数でありますけれども、先ほど申し上げたとおり、機能訓練が必要な子どもたちが在籍していると聞いております。
いうまでもなく、肢体不自由特別支援学校では、機能訓練など専門的な指導を行っておりますけれども、こうした地域の小中学校の通常学級に通っている子どもたちにも、こうした専門的な訓練が受けられるような体制をつくるということは、私は極めて有意義なことだと思いますけれども、都教委の見解を求めたいと思います。
○前田参事 肢体不自由特別支援学校が地域のセンター的機能を発揮し、小中学校の通常の学級に在籍する肢体不自由の児童生徒のための支援を行っている例がございます。
具体的には、当該児童生徒の在籍校からの要請に応じて、肢体不自由特別支援学校の特別支援教育コーディネーターが学校を訪問し、行動観察等の実態把握を行い、支援の方法や接し方などを担任に助言し、実際の指導場面で模範を示したり、教育相談の一環として、保護者や児童生徒への支援を行ったりしております。
今後ともこうした取り組みを充実させてまいります。
○遠藤(守)委員 今、参事に答弁いただきましたけれども、ただいまの答弁によれば、現状はあくまで肢体不自由特別支援学校のコーディネーター等が地域の小中学校を訪問して、さまざまな支援を行っているというようでありますけれども、私はそうした取り組みは、それはそれとして是といたしますけれども、やはり専門性や設備が整っている肢体不自由特別支援学校を舞台にした支援を柱とすべきであります。
これまでの取り組みは取り組みとして、ぜひこうした観点も検討していただきたい、このように要望をいたしておきます。
最後になりますけれども、教職大学院について質問をいたします。
教員養成の専門職大学院であります教職大学院は、実践的指導力を育てる実習重視であり、高度な実践力、対応力を備えた専門職、修士の資格が得られるわけでございます。優秀な教員の確保、またはリーダー育成のために、最適な施策の一つであるわけであります。
こうした中、我が党は既に平成十八年の第一回定例会におきまして、教員養成大学との連携の重要性を指摘し、その後、継続して高度な実践力、応用力を備えた教員を育成していくための具体的方策として、この教職大学院制度の活用を訴えておりました。
都教育委員会は、平成二十年度に開設をされました創価、玉川、東京学芸、早稲田の四校に加え、平成二十一年度に開設をされた帝京大学の五つの教職大学院と連携しております。よって、二年が経過したことになりますけれども、今、都教委ではこの二年間の連携事業の評価を行っていると聞いております。
そこで、まず最初に、その二年間の成果と、あわせて、その成果ばかりでなく、課題も明らかになっておりますんで、その成果と課題についてあわせてお伺いしたいと思います。
○高野指導部長 都教育委員会は、平成二十年四月からすぐれた新人教員の養成、確保や、東京都の教育の中核を担い得る教員や、高い専門性とすぐれた行政感覚を持つ指導主事を育成するために、教職大学院との連携事業を開始したところでございます。
平成二十年度、二十一年度の二年間において、都教育委員会は、各大学院を初め、学生が実習を行うすべての連携協力校を訪問いたしまして、大学院の講義や連携協力校での実習を実際に参観するとともに、大学関係者、連携協力校関係者、学生からのヒアリングを実施いたしまして、教職大学院の成果について把握してまいりました。
その結果、学部卒業生であるストレートマスターは、少人数で高度な理論を学ぶ講義と年間三十日以上の教育実習を通しまして、通常の学部段階よりも実践的な教育内容、方法等を身につけていること、また、管理職候補者を含めた現職教員は、これまで実践してきたことを理論と結びつけ直し、指導方法等を改善してきたことなどの成果が明らかとなりました。
また、ストレートマスターが実習を行った学校の管理職からは、学部段階の教育実習生とは違いまして、教職大学院生は教員になるという強い志や課題意識を持っており、積極的に学校経営やさまざまな校務分掌にかかわるなど、即戦力として期待できるといった声を聞いてございます。
そして、課題についてでございますけれども、教職大学院の評価を実施した結果、ストレートマスターや、教員として七年以上の経験を有している現職教員、学校の経営者としての活躍が期待される管理職候補者、それぞれの到達目標をより明確に設定する必要があることや、三者がともに学んでいるという特性を踏まえまして、教職大学院における指導方法等をより工夫する必要があるといった課題が五つの教職大学院共通に見られました。
さらには、各大学が持つ特色を生かしまして、英会話、理科実験の指導方法や現場で必要とされる法律の知識など、学校教育に生かせる専門的な知識、技能等を習得できるようにすることなど、教職大学院の魅力をさらに高めていくことも課題として考えられます。
○遠藤(守)委員 ところで、都教育委員会は、この教職大学院に、ぜひこれだけは学ばせてほしいという、こうしたカリキュラムを提示し、それを実行するという約束のもと、各大学と協定を結んでいると聞いております。
今、答弁をされましたさまざまな課題を踏まえるとともに、学習指導要領も改訂されて新しい内容になることから、この都教委が提示するカリキュラムも今後、改訂していくべきだと思います。これについて所見を求めまして、質問を終わらせていただきます。
○高野指導部長 都教育委員会は、平成十八年十月に、すべての教職大学院の学生が学ぶ共通カリキュラムやストレートマスターの学校における実習カリキュラムを作成し、連携を希望する大学に示したところでございます。
こうしたカリキュラムは、教育課程の編成、実施に関する領域、あるいは各教科等の実践的な指導方法に関する領域、そしてまた、生活指導、教育相談に関する領域、学級経営、学校経営に関する領域、そして最後に学校教育と教員のあり方に関する領域、これら全部で五つの領域で構成されておりまして、各大学と都教育委員会はこれに基づき連携協定を結んでまいりました。
都が連携している教職大学院は、この共通カリキュラム等に基づき、講義等を実施しておりますが、さきに答弁した課題を踏まえまして、今後、都教育委員会は、ストレートマスターと現職教員、管理職候補者がともに学ぶことで身につけられる知識など、教職大学院ならではの付加価値を一層明確に示していく必要がございます。
また、お話しのように、学習指導要領が改訂され、小学校は平成二十三年度、中学校は二十四年度、高等学校が二十五年度に新しい学習指導要領による教育課程が開始されることから、その内容を取り入れていく必要がございます。
こうしたことから、都教育委員会は、連携している大学院に示している共通カリキュラム、そして実習カリキュラムを改訂する必要があると認識してございます。そのため、四月に検討委員会を設置いたしまして、具体的な改訂作業を行い、八月を目途に新たなカリキュラムを提示いたしまして、早ければ来年四月には各大学がカリキュラムを改善することができるようにしてまいりたいと考えております。
○島田委員 私の方からは、教員加配についてお伺いしたいというふうに思います。
このたび都は、小一問題、中一ギャップの予防、解決のために、小学校、中学校、低学年それぞれに段階的に教員加配を行う計画でありますが、この加配についてお伺いしたいと思います。
小一問題、中一ギャップとは、そもそもどのような現象をいうのか。また、なぜそのような現象が起こるのか。先ほども同じような質問がありましたので、端的にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○高野指導部長 都教育委員会では、いわゆる小一問題については、小学校入学後の落ちつかない状況がいつまでも解決されないまま、授業規律が成立しない状況へと拡大し、こうした状況が数カ月間にわたって継続するという状況としてとらえております。
また、いわゆる中一ギャップについては、中学校一年生の生徒が中学入学後の環境の変化によって、学習や生活、友人関係などに関する不安やストレスを持つ状態ととらえてございます。
このような小一問題と中一ギャップの要因については、さまざまなものが複雑に絡み合っておりまして、その要因を特定することは難しいものと考えております。
先ほどもご答弁を申し上げましたように、私どもが行った校長対象のアンケート調査結果では、小一問題の発生の要因について、児童に耐性が身についていない、あるいは児童に基本的な生活習慣が身についていない、あるいは家庭の教育力が低下している、さらにまた、教員の指導力が必ずしも十分ではなかったことなどを校長が挙げております。
中学校対象のアンケート調査では、中学入学前の不安について、中学生は学習面、生活面、友達関係に関することを挙げております。
○島田委員 今あったように、授業規律だとか、そういったものがずっと続くことによって不適応が発生していくと。そういう不適応をなくすために、今回加配を考えているというような趣旨のことだと思いますが。
いろいろ現状を調べた、加配を考えていく上で、計画していく上で、調査した調査書があるわけでありますが、この東京都公立学校、小中学校における第一学年の児童生徒の学校生活の適応状況に係る実態調査を見ると、不適応状況が発生した学級の児童数を見てみますと、少人数学級でも不適応が発生しているというデータがあります。
二十一人以上二十五人以下で一一・五%、二十六人以上三十人以下で二一%、三十人以上三十五人以下で三八・二%ということで、既に三十五人以下の少人数学級で、足すと七〇%不適応が発生しているという状況がこのデータから見ることができます。
このような状況、現状を見ると、この加配が直接、小一問題、あるいは中一ギャップの問題解決になるのであろうかということがうかがえるわけでありますけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。
○直原人事部長 加配による効果としまして、加配教員を学級規模の縮小やチームティーチングのために活用することで、入学して間もない児童生徒の学習面や生活面などに関する不適応状況の兆候を察知し、より迅速に対応することができます。
例えば、登校渋りなどの不適応状況に対応したり、授業中、学習に集中して取り組めるように、個に応じた指導がよりしやすくなるというふうに考えております。区市町村教育委員会は、学校の状況から考え、問題の予防、解決に最も有効と考えられる教員の活用方法を選択することになります。
○島田委員 加配が全く不適応状況の解決策にならないということはないと思うんですけれども、やはり私は小一問題、中一ギャップの問題解決には総合的な対策が必要だと思っております。
保護者の協力、あるいは教員の資質の向上だとか、あるいは、小学校だったら幼稚園や保育園との連携、中学校だったら小学校の連携というように、各教育機関の接続ですね。つまり、一貫教育体制の整備が必要だと、そういうふうに思っております。
私の地域、羽村市なんですけれども、選挙区でありますが、小中一貫教育の推進を掲げて改革を行っております。例えば今、幼稚園だとか保育園でありますと、一生懸命活動しましょうと、生徒を動かすような、そういう活動が多いわけでありますけれども、小一になったら、急に教室に着座して授業を聞きなさいというような、そういう教育の中身の違いというものがあります。そういう意味で、教育のカリキュラム内容とかシステムをスムーズに移行していくような、そういう接続の部分が大切かなと。
小学校、中学校の接続でいえば、中学校は教科担任制でありますけれども、小学校は一人の先生が教えていくと。小学校の高学年部分で教科担任制を少し取り入れていくとか、そういったような各教育機関の連携、すなわち一貫教育の考え方、そういうことが必要なのかなと、そういうふうに思っております。
今申し上げたように、小一問題、中一ギャップの問題の解決には総合的な対策が必要であるというふうに私は思っております。都は、加配以外に、この問題を解決するために、どのような対策を検討しているのか、お伺いしたいと思います。
○高野指導部長 いわゆる小一問題や中一ギャップの原因については、個々の児童生徒によりさまざまでございまして、その予防、解決のためには個に応じたきめ細かな指導を行うことを基盤に据えながら、さまざまな対策を講じていくことが重要と考えております。
そのため、都教育委員会では、今年度、就学前教育と小学校教育との円滑な接続のために、保育所、幼稚園と小学校との連携の方策を明らかにいたしました就学前教育プログラムを開発しているところでございます。
また、平成二十二年度につきましては、小学校との連続性を重視して、保育の内容、方法等を明らかにいたしました就学前教育カリキュラムを開発する予定でございます。さらには、区市町村教育委員会を対象とした連絡協議会等において、小学校と中学校との連携を重視した取り組み事例などを情報提供しているところでございます。
都教育委員会といたしましては、教員加配の施策とともに、今後ともこうした取り組みを行うことによりまして、小一問題や中一ギャップの予防、解決への対策を進めてまいりたいと考えております。
○島田委員 先ほどのアンケートの中にも、例えば中学生にアンケートをしたところ、中学校に入学するときに、学習面、あるいは生活面、あるいは友達関係で、いろいろ中学に入ると生活が大きく変わっていくと。小学校から中学校に大きく変わっていくと、勉強が難しくなるんじゃないかとか、友達ができるのかなとか、そういう不安があると思うんですね。そういう不安を各教育機関に進むときになくしていく、そういうことがそれぞれの問題の解決になるのかなと思っております。
実は私、中学校、私立の学校で校長をしておりまして、これらの問題に対応したいと思いまして、やったことがあるんですけれども、小学校受験が終わりまして、中学校に受験してくるわけでありますけれども、受験が決まって、合格が決まって入る前に、三月ぐらいに八十人ぐらい生徒が入ってくるんですけれども、その保護者全員に面談を三月ぐらいにしました。
その生徒の個々の状況、学校生活はどうなのかとか、どういう教科が好きなのかとか、そういう面談をしまして、そういう不安をなくしてあげるような、そういうことを、結構大変だったんですけれども、面談をして、コミュニケーションをして不安をなくして、それで中学校に入ってもらうと、そういうようなこともしました。
ですので、加配も確かに大切でありますけれども、これらの問題を解決するために、総合的な対策をぜひ行っていただきながら、教育内容の充実を図り、都民の期待にこたえるような教育体制の確立を望みまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
次は、土曜日の講習拡大に伴う人材活用支援事業であります。
都内の小中学校は学校五日制を採用しております。学校行事、クラブ活動、地域活動を行うために、土曜日を利用しているわけであります。私の地域は西多摩の地域なわけでありますけれども、私の地域は地域の都のネットワークが比較的密接な地域でありまして、また、スポーツクラブだとかクラブ活動が活発な地域であります。
土曜日は地域の行事、あるいはクラブの公式戦などが組まれることが多く、土曜日に補習等が組まれると現場が混乱するというような状況もあります。また、地域においては二学期制を採用したり、長期休業を利用し、授業時間を工夫して、授業時間を確保しているわけであります。
その上で、土曜日が補習ということになると、これはあくまで自主的な補習なわけでありますけれども、児童生徒の過度な負担にもなりかねない。ゆとり教育ということでありますけれども、それはどういうふうになるのかと、そういうふうに思う状況もございます。
そのような状況下、土曜日の講習を行うに当たっては、地域の実情を踏まえて、各学校が主体的に取り組むことが大変大切だと思いますけれども、都教委は、平成二十二年度から外部指導者を活用して土曜日の補習を行い、小中学校を支援する事業を実施しますけれども、その目的についてお伺いいたします。
○高野指導部長 お話しのように、土曜日の補習は、学校が地域の実態等を踏まえまして、希望する児童生徒を対象に実施するものでございます。
本事業につきましては、土曜日における補習の実施を新たに希望する公立小中学校が外部指導者を導入する際にかかる経費の二分の一を、都教委において区市町村に一定期間補助するものでございます。
○島田委員 実施計画にあるとおり、小学校四年生から六年生で国語、算数、中学校三学年で国語、数学、英語と実施する予定と聞いております。基礎、基本的な事項の確立の定着を図り、発展的な内容も取り扱うということであります。そして、この補習は今までありましたが、あくまで自主的なものであるということであります。
ただ、小学校や中学校で土曜日に行われる補習に児童や生徒が自発的に出席するという状況をつくるのはなかなか難しい面もあると考えます。補習が活発に行われるよう工夫しなければならないというふうに思いますけれども、土曜日の補習の充実に係る外部指導者活用事業の具体的な内容についてお伺いしたいと思います。
○高野指導部長 本事業の補助対象の学年、教科につきましては、小学校が四年から六年まで、教科は国語、算数、中学校においては全学年の国語、数学、英語でございまして、一学校当たり一年間の補助対象時間総数は、小学校二百四十時間、中学校三百六十時間を上限としております。補助対象校数は、小学校が五十校、中学校が三十五校でございます。
○島田委員 今お伺いしましたけれども、それぞれ行われるわけでありますが、土曜日の講習においては、都は、人材活用支援として、退職教員、非常勤教員、地域人材、大学生など幅広く人材を活用していく計画であると伺っております。
そのこと自体は大変すばらしいことで、賛成することでありますけれども、学校で行う事業となりますと、管理上は責任教諭を置く必要があると思いますし、土曜日の労働時間の問題などもあると思います。これについてどういうふうに対応していくのか。
また、外部人材の活用とはいえども、それぞれの生徒に見合った指導内容を計画していく上では、日ごろの教科指導に当たっている現場の担当教員、これは協力をいただかなくては学習効果は得られないというふうに考えております。
教員の多忙感により教員の疲弊等も伝えられる中、これ以上仕事をふやしてほしくないというような声も多々聞かれて、いろんな問題もあると思いますが、この補習授業を実施して、さらに充実していくために、外部指導者と学校が十分連携する必要があるというふうに考えております。見解を伺いたいと思います。
○高野指導部長 学校が本事業を活用して補習を効果的に実施するためには、当該校の教員が外部指導者と事前に綿密な打ち合わせを行いまして、外部指導者が児童生徒の習熟の程度や、学校経営計画等につきまして十分理解するということが重要かと考えております。
また、補習実施後には外部指導者がその成果を当該校の教員に還元し、通常の授業の充実に役立てるようにすることも必要かと考えております。
○島田委員 今ありましたとおり、この補習に当たっては、地域の実情をしっかりと踏まえ補習を実施し、子どもたちの基礎学力をしっかりつけ、希望の進路の実現に向けサポートできるように、ぜひ体制の整備をよろしくお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
○古賀委員 私は、平成二十年度東京都一般会計予算案のうち、教育費に関連する、付託されている議案等に関連し、質問をさせていただきます。具体的には、児童生徒の確かな学力の定着と伸長に関してであります。
都議会自民党は、東京都の児童生徒の学力向上に関するさまざまな取り組みを行うに当たり、児童生徒の学力の実態を正確に把握する必要があることを以前から訴えてまいりました。
東京都が国に先駆けて、平成十五年度より都独自の学力調査を実施し、その結果を踏まえて、各学校における授業改善推進プランの作成や東京ミニマムの公表など、さまざまな施策を行ってきたことは我が党の主張とも一致することでありまして、高く評価をいたします。
昨年の第三回定例会における我が党の代表質問においても、学力向上のための施策について質問したのに対し、教育長から引き続き学力の把握に努めていく考えであると答弁をいただいたところです。
そこで初めに、都独自の学力調査について伺います。
予算説明書にございます児童生徒の確かな学力の定着と伸長についてでありますけれども、東京都教育委員会は、児童生徒の学力向上を図るための調査において、平成二十二年度に新たな学力調査を実施するとのことでございますけれども、どのような調査を具体的に行うのかお答えください。
○高野指導部長 都教育委員会は、これまで実施してきた都や国の学力調査の分析結果を踏まえまして、平成二十二年度より読み解く力に関する調査を実施することといたしました。
具体的には、調査問題の中に提示された文章や図表、グラフなどから必要な情報を読み取り、問題を解決する過程において、児童生徒一人一人の学習課題を明らかにいたしまして、その課題に応じた指導へと事業改善を図っていくための調査でございます。
本調査はこれまでと同様に、小学校五年生と中学校二年生を対象に悉皆で実施いたしまして、調査結果を児童生徒一人一人に還元していく予定でございます。
○古賀委員 東京都はこれまでどおり、悉皆、つまり全員参加の学力調査を行うということが今確認できました。
一方、国、政権交代が行われて半年がちょうどたつわけでありますけれども、四十三年ぶりに再開をした、平成十九年度からの悉皆調査で実施した全国学力・学習状況調査を平成二十二年度から抽出調査に切りかえるということであります。
抽出調査ということになりますと、対象にならなかった子供たちにとっては、みずからの学力を把握する機会が奪われるということでありまして、また自治体にとっては、子供たち一人一人の学力の定着状況を把握することができなくなります。これまで推進してきた学力向上のための施策自体の見直しを迫られる状況に今立ち至っているわけであります。
平成二十二年度に実施する全国の学力調査における全国の小中学校の抽出率はどうなっているか、東京都の小中学校の抽出率はどのくらいになっているか、お答えください。伺います。
○高野指導部長 全国の小学校の抽出率は二五・二%、中学校の抽出率は四一・四%、小中全体の抽出率は三〇・六%でございます。
また、東京都の小学校の抽出率は一三・三%、中学校の抽出率は二四・七%でございまして、小中全体の抽出率は一七・〇%でございます。
○古賀委員 東京都の抽出率が一七%ということは、逆をいいますと、八三%の小中学校が学力調査を受けられないということになるわけです。抽出による学力調査は機会均等を原則とする義務教育の公平性が担保されないという、誤った方針転換であるというふうに断言せざるを得ません。
ただ、報道等によりますと、抽出されなかった学校も希望すれば参加できるとのことでありますけれども、その仕組みはどうなっているのか、お答えください。
○高野指導部長 抽出の対象とならなかった学校については、区市町村教育委員会が希望すれば、調査問題の提供を受け、利用することができるとなっております。この調査問題の利用希望の場合、各自治体それぞれの教育委員会の判断で独自に実施、集計、分析することとなりまして、その費用は全額自治体が負担することとなります。
こうしたことから、従来とは異なり、希望利用で実施した学校の調査結果は全国のデータに反映されることはなく、また、国から児童生徒一人一人への調査結果である個人票も返却されるものではございません。
○古賀委員 今の答弁ですと、希望利用ということはいっておりますけれども、国から調査問題の提供を受けるだけで、国は採点をしない。児童生徒に個人票として結果が還元されることもないということであります。このことは、結果的に国の学力調査に参加したということにはならない。
東京都教育委員会では、国の全国学力・学習状況調査が抽出調査になったことについてどう考えているか、認識をお答えください。
○高野指導部長 平成十九年度から悉皆調査で実施してまいりました全国学力・学習状況調査においては、都内すべての小中学校は、調査結果をもとに、面談などを通じまして児童生徒に改善事項を具体的に指導するとともに、結果の分析を通して指導計画を見直すなど、授業改善を行ってきたところです。
抽出調査での実施となりますと、都教育委員会における調査結果の活用としては、児童生徒の学力の全体傾向を把握するにとどまることとなります。また、都内すべての小中学校において、これまでのように児童生徒一人一人に対し調査結果を還元して学力向上を図ることや、各学校が自校の児童生徒の学力の実態を把握し、授業改善に役立てることができなくなると考えております。
○古賀委員 これは事業仕分けの対象になったんですね。当初、文部科学省は、政権交代で、抽出方式で四割程度の学校でやろうと。長い間、日教組が廃止、反対をしてきた学力調査でありますので、まずいきなり全部やめるのはためらいがあったと思いますけれども、四割程度は抽出でやろうとしたんですけれども、最終的には事業仕分けで三割ということになったわけです。
ところが、実際に希望する人は、国は一切お金は出さないんですけれども、問題用紙は差し上げますよということで参加の希望をとったら、実に七割を超える希望が出された。つまり、政権交代によって行った、四十三年ぶりの全国一斉の学力調査は、これをなくすということはだめですよというのが民意であるということがわかると思うんですね。七割を超える人たちが、お金は出さなきゃいけないけれども、多少負担になるけれども、またその結果、従来のような結果の還元は受けられないけれども、参加はするということで希望を出したわけです。
今まで学力調査によって成績がよかった秋田などの十一の県は全部参加するんですね。自由参加ということになったんですけれども、文部科学省からは採点はしてくれない、全国集計にも反映されないというんですけれども、しかし、やはり成績がよかった県は引き続き参加をして、全国学力調査によってさらに授業改善等に使っていきたいという意向が示されているわけで、私は民主党にどうこうということはないんですけれども、やはり政策の誤りがそこにあったと。提案には無理があったと。急ブレーキをかけるか急ハンドルを切るようなやり方での政策変更は、事業仕分けはある面では拍手喝采ありましたけれども、結果的には支持されなかったということを、七割以上の学校の参加というのは数字であらわしているわけです。七三・二%というふうに新聞に書いてありましたね。
小学校六年生、中学校三年を対象とした全国学力・学習状況調査は、引き続き悉皆調査でやってもらいたいというのが民意なんですよ。それをやはり踏まえて私たちは議論をしていくことが必要だと思います。
昭和三十年代は、日教組は学力テスト反対闘争というのを激しくやりました。その間ずっとですから、一部抽出方式に変えて、その後なくなったんですけれども、やっと、これをまたやろうということでやっと実施されたにもかかわらず、今回、こういう事態に立ち至っているわけです。
日教組と並んで、共産党も反対なんですね。三回実施された全国学力テストは教育をゆがめると赤旗に書いてある。今回抽出方式になったのは、日本共産党の追求運動の一定の成果だ。抽出率がこの時点では四〇%とまだ高くなっているということが気がかりだ。全国テスト中止の論陣を張ってきたのが共産党だというふうに書いてある。
こういう人たちがいるのは事実ですけれども、しかし、これは国民の支持は受けていない。だから、七割を超える皆さんが小中学校参加をするということになっているわけですので、ぜひ、東京都教育委員会もこういった状況を踏まえて、全国学力状況調査というのは抽出調査にここで変わりますけれども、国家百年の計ということで、教育に対する我々の投資を縮減するということがあってはならない。今の国の責任放棄の状況はあるわけですけれども、ぜひ国レベルの学力調査を今後復活するということを私は強く希望していきたいというふうに思います。
東京都は、国のこうした動きに影響されることなく、これまでも都独自の学力調査を実施してきたわけでありまして、児童生徒一人一人の学力の定着、それから学力を伸ばす、そういう施策を推進していくということを強く求めていきたいというふうに思います。
それで、先ほどからの議論で、教員の加配の問題とか、小一問題とか中一ギャップ、いろいろ議論されておりました。確かに今の教育現場は大変な状況にあるということは私も理解できますけれども、かつて日本はそうじゃなかったんですね。私、先ほどいろいろ資料を見ていましたら、織豊時代というのがあります。今から四百五十年ぐらい前、宣教師のイエズス会のフランシスコ・ザビエルが来日したころから後、織豊というのは豊臣と織田、織田と豊臣、織豊、大体五十年間ぐらいをいうんですね。
その後、ルイス・フロイスなんかが日本に来て、彼らは日本の子供たちの状況を見て、実に興味深いことを書き記しています。このフロイスという人は、岩波書店から出ていますけれども、「ヨーロッパ文化と日本文化」という本をあらわしていますが、このフロイスが永禄八年という年に初めて京に行くんですね。
そのときの印象を書簡に記していますけれども、この日本の国民はその文化と作法、風習の上で、いうも恥ずかしいほど多くの点でイスパニア人に勝っていることを認めざるを得ない。イスパニア人というのはスペイン人です。当時、自分たちは世界最高だと思っているけれども、日本の国民を見たら、礼儀や作法というものについて、一般の風習においても我々はとてもかなわないということをいっているわけです。
それから、子供たちについても、我々の、我々というのはルイス・フロイスたち。我々の子供はその立ち居振る舞いに落ちつきがなく、優雅を重んじない。しかし、日本の子供はその点、非常に完全で、全く称賛に値すると。
四百五十年前の日本には、中一プロブレムとか小一問題とかはないんですよ。なぜこうなったか。ただ教員をふやせばいいとか、カウンセラーを何か置きなさいとか、そういう議論だけで問題を糊塗しようとしている。
学力の面でも同じことがいえると私は思うんですけれども、これもある資料を見ていましたら、幕末の江戸の識字率、文字が読める人は七〇%いた。武士は一〇〇%文字が読めますし、書けます。一般庶民でも五〇%。当時、ロンドンの識字率は三〇%。いかに日本の学力が高かったかですよ。別に教育委員会があるわけではない、教育基本法があるわけではない。しかし、それだけの教育の仕組みをかつて日本は持っていた。世界一の教育水準を誇っていたわけですよ。
そういう過去の知恵に学ぶということも私たちは必要ですから、学力調査をやって、学力がどの程度か、そういうことを客観的に把握するのと同時に、教育費の国内総生産に占める割合がOECDの中で日本は非常に低いということで、これを高めるというのが民主党の政策に掲げられていましたね。
確かにOECD、経済協力開発機構の資料を見ますと、国内総生産に占める教育費の割合というのは日本は非常に低いんですよ。三・三%。これを五%以上にしたいというのが民主党の政策なんですけれども、そのためにお金をどこかから捻出しなきゃいけないというので、事業仕分けで学力調査の六億円を半分に減らし、三億にしちゃった。しかし、学力の水準というのは、調査をしなきゃわからないわけだから、これを毎年やって初めて意味があるわけですよ。
このOECDの資料を見ますと、確かに支出は少ないんだけれども、学校に入ったら卒業する割合は日本は非常に高いんですよね。それから、幼稚園や就学前の教育機会は非常に充実している。それから、大学や短大などの日本の高等教育の水準は、OECDの平均を大きく上回っています。それから、高等学校卒業の率もOECD各国平均を大きく上回って、上から四番目なんです。それから、大学や高等専門学校の高等教育機関の修了する率は九〇%。これは最高なんですね。
だから、教育費の国内総生産に占める割合は非常に低いけれども、よくやってるというのが国際的な比較の中でいわれるわけです。ただ割合が低いから、ふやせ、ふやせで、学力調査が一つのターゲットになって、削減されて、悉皆調査が抽出になってしまった。
輿石さんという参議院の、小沢一郎さんと非常に仲のいい相棒がいますけれども、あの人はことしの二月の地元での講演会で、そのうち全部やめるといっていますね。こういうことを我々は許してはいけないわけで、都教委はいろいろこれからやりづらい面はあろうかと思いますけれども、ぜひ東京都独自の学力調査を踏まえて、子供たちの学力を維持していくための努力というものを引き続きやっていただきたいというふうに思います。
質問はもう必要ないと思うんですけれども、やはり人を育てるというのは非常に大変なことで、先ほど高校卒業生の就職の問題がありましたけれども、大学もそうですよね。今、非常に青息吐息の状態です。ことし二月一日現在で大学生の就職内定率は八〇%、五人に一人決まっていないという状況で厳しい。
やはり人材を育てるという面で手抜きをしてはいけない。学力調査をしなかったために、学力の低下がずっと起きて、やっと始めたものを、車でも急ハンドルを切ったらひっくり返るんですよ。ですから、この政策は誤りであるということを少なくとも気づく、そういう建設的な議論をしていきたい。やめちまえという人もいるわけですけれども、ぜひそのことを強く主張しておきます。
それから、私、去る二月十八日の文教委員会で請願審査の折に、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書の提出に関する請願で意見を述べました。このときに、私はこの夫婦別姓に関連して意見を述べて、既に国家試験も通称の使用が認められておりますし、パスポートも同様です云々とやったんですけれども、私もそれはちゃんと調べてやりました。
その後、共産党の畔上委員が、旧姓や通称使用というのは、結局、住民票、それから保険証、先ほどパスポートとおっしゃいましたが、パスポートは認められておりませんとありましたけれども、パスポートは通称使用が認められているんです。
〔発言する者あり〕
○大西委員長 速記をちょっととめてください。
〔速記中止〕
○大西委員長 では、速記を始めてください。
○滝沢委員 それでは、教育庁関係についての質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず初めに、新しいタイプの学校についてお伺いをしたいと思います。
新しいタイプの学校設置については、本年四月には都立高校改革推進計画において新たなタイプの学校が七校新設されるということで、新入生を迎えるということになりますけれども、施設の準備、準備体制は整っているのか、まずお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、村上副委員長着席〕
○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、平成九年度に策定いたしました都立高校改革推進計画及び三次にわたる実施計画に基づき、これまで新しいタイプの学校を設置してきたところでございます。
平成二十二年度には、中高一貫教育校四校、総合学科高校、科学技術高校及び総合芸術高校の計七校が開校いたします。
各校におきましては、新たな教育課程を実施するために必要な特別教室等の整備や教材、教具の購入など、四月から特色ある教育活動を行うための開校準備を既に完了しております。
さらに、グラウンド等の外構工事を含め、教育課程の進行に伴う施設等整備が今後も必要となりますが、生徒の教育活動に支障を生じないよう、引き続き教育環境の整備に取り組んでまいります。
○滝沢委員 四月に開校される都立の総合芸術高校というのも中にあるんですけれども、都内で唯一の芸術という専門高校でもある、新たな舞台表現科を設置していくというふうに聞いていますけれども、どのような教育活動が行われるのか、お伺いしたいと思います。
○森口都立学校教育部長 都立総合芸術高校は、現在の都立芸術高校を改編し、音楽科、美術科に加え、新たに舞台表現科を設置する、都立で唯一の芸術の専門高校でございます。
新たに設置する舞台表現科には、舞踊と演劇の二つの専攻を設置し、舞台に関するさまざまな知識、演芸、バレエ、日本舞踊などの基礎、基本、さらに各専攻の実践的な技術を習得することとしております。
また、音楽科、美術科及び舞台表現科の全生徒が学科を超えてともに学ぶ総合制作演習では、ミュージカルや映画の制作などにも取り組むこととしております。
このような教育活動を通じて高度の技術、知識の習得を目指すとともに、豊かな教養と広い視野を持ち、東京都の文化振興を支える人材を育成する教育を展開してまいります。
○滝沢委員 新しい四月に開校する環境準備も整っていて、芸術高校については演劇やバレエなど、総合制作演習も中に含まれる等、特色があるということでご答弁いただいたわけですけれども。
その七校の中にまた新たに都立の中高一貫教育校というのが四校開校するということになっていますけれども、高校改革推進計画の新たな実施計画において計画された十校がすべてこの四月に開校するということになりますけれども、八王子において開校する南多摩中等教育学校の倍率が十倍近くになっていると聞いておりますけれども、都立中高一貫校全体の倍率状況はどうだったのか、また倍率から都民、志望する生徒や親御さんの期待はどう高かったのかというふうにうかがえるのかをお伺いしたいと思います。
○森口都立学校教育部長 平成二十二年度における都立中高一貫教育校十校の一般枠の応募倍率平均は七・一四倍でございます。開校年度当初の応募倍率は各校とも高くなる傾向がございます。
平成十七年度に開校した白鴎高等学校附属中学校や、多摩地域で初めて開校した立川国際中等教育学校及び武蔵高等学校附属中学校における開校年度の応募倍率は十四倍を超えておりましたが、開校後数年後には各校とも六から八倍程度となっております。
都立中高一貫教育校は、六年間の一貫した教養教育を行うことで、社会のさまざまな分野で信頼されるリーダーの育成を目指しており、現在各校では特色ある教育活動を行っております。
生徒の育成状況を見ますと、言語力や表現力、実践的な英語力、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーなどが順調に育っていることから、都立中高一貫教育校の設置理念、各校の教育方針、教育内容、指導方法等について、都民から高い評価を受けているものと考えております。
○滝沢委員 倍率が十倍近かったというのと、十七年に開校したところは十四倍を超えたというところがあって、初年度はやはり注目が高くて、非常に倍率が高いということで、経年をかけて六倍に落ちているけれども、やはり中高一貫という中での生徒の方々の受験する希望や、親御さんたちの希望するところ、そして芸術に特化したところや科学に特化したところということでの選択の範囲が、本当にその一人一人の選択わざで広がっていくということでございます。
先日、都立の南多摩高校の定時制の卒業式と閉課程式に行ってきたんですけれども、都立の南多摩高校の定時制が三月で卒業される方をもって閉課程式ということで定時制がなくなって、この四月には、今度、中等学校が含まれた中高一貫として生まれ変わるということで、この一カ月間の間に通学する、そしてまた希望する生徒の中身が変わるということで、当日、施設面での、先ほどお伺いしましたけれども、既に中等学校の校門での表札といいますか、学校名がしっかりと、南側の門と、そして西側の門には打ってありまして、準備は本当に済んでいるんだなというふうに思いましたけれども。
やはり私立の小学校でしたりとか中学校受験、小学校ではお受験といわれているようですけれども、小学校や中学校の受験を希望する方々はもともと私立でいたわけでございまして、やはり中高に対しての期待感、それは公立という中での一貫した教育ということでの希望が高いということが、今回の十倍、そして十七年のときの十四倍にはつながっていると思います。ぜひとも、子どもたちにとって学びの場として、今後ともお願いしたいと思います。
次に、若手教員の育成と退職教員の活用について、あわせてお伺いしていきたいと思います。
新人教員の育成についてでございますけれども、先ほど来、退職された教員を再任用して、新人教員との二人体制ということで学級を組んでいく、一年間担任されるということですけれども、新人教員の育成に向けた導入でありますが、平成二十二年度では百名のペアを育成するという取り組みでありますけれども、対象となる新人教員の選定に当たっての方法についてお伺いしたいと思います。
〔村上副委員長退席、委員長着席〕
○直原人事部長 この制度は、小学校で学級担任をする社会人経験のない大学等新卒の新人教員を対象といたします。新規採用教員複数配置校や若手の多い学校など、新人教員を育成することが難しい学校を中心に学級経営研修実施校として指定しまして、当該校に配置した新人教員を学級経営研修生として指名いたします。新人教員の配置につきましては、区市町村教育委員会と協議の上、都教育委員会が行っております。
○滝沢委員 配置について、新人の学級経営研修生という立場の中での指名してということでございますけれども、その指名して選定するということの中で、カリキュラムがあるとするのであれば、利用してみたいという逆に新人教員の方の育成、もしくはやる気なんかをもってすれば、私はそういう研修制度を研修生になってやってみたいということも、また逆に教員の育成につながっていくんだと思いますけれども、ペアを組む制度を活用してみたい、もしくはまた不安があり志望してみたいなど、本人の希望により選ぶことができないのか、お伺いしたいと思います。
○直原人事部長 今回導入する新人教員育成策は、育成担当の再任用教員が新人教員と二人でペアを組んで学級を担任し、その豊富な教職経験を活用して新人教員を育成する研修制度です。
しかし、単年度では育成能力にすぐれた再任用教員の確保が難しいため、平成二十二年度は百名程度の規模とし、順次拡大していくことといたしました。それまでの間、新人教員の希望も参考にしながら、新人教員の配置を行ってまいります。
○滝沢委員 新人の希望も参考にしながらということですので、ぜひ、いろんな見方をとって選定をして、あなた、研修生としてやりなさいよという指導方法も確かにあると思いますけれども、本人の希望によって、そういう学級経営研修生としての研修を受けてみたい方もいれば、それもまた逆に本人のやる気を奮い立たせたりとか、そういう制度をうまく新人教員の教育につなげられるんではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、再任用の教員の確保が難しいということで初年度は百人ということでございましたけれども、制度導入の準備期間、五百人に対しての考慮する面があったということはありますが、順次拡大していくということでありますので、研修生に選ばれた新人教員が一人で担任する、一人の担任を年度途中で、やっぱりいいですよと希望する方、もしくは、一人でもある程度担任ができるという能力を兼ね備えた方がいる場合もあると思うんです。もともとその制度にプラスして研修ということですから、こなせる研修生もいらっしゃると思うんですが、一年間通してということですけれども、年度途中で別の研修生が学級経営で苦労している場合には、再任用した方の別の研修生で利用できる、もしくは必要としているペアを組みかえることができるのか、お伺いしたいと思います。
○直原人事部長 学級経営研修は、一年間を単位として計画している研修であり、再任用教員が年度途中で抜けた場合、その学級の研修生にとっては十分な研修効果を上げることが難しくなります。
また、二人で一つの学級を担任するために配置した再任用教員を年度途中で配置がえすることは、その学級の児童や保護者に不安を感じさせることにつながる可能性がございます。これらの理由から、都教育委員会としては、一年間ペアで一つの学級を担任させる方針でございます。
なお、学級経営等で苦労している新人教員については、校内の支援体制を充実するとともに、教育アドバイザーの活用などにより対応してまいります。
○滝沢委員 その一年間のカリキュラムということで、年度途中ではペアを組みかえることができないということで、もともとペアを組んでいない新人教員の方々には、その支援体制というのは校内であったりとか、今いわれた教育アドバイザーであったとかというのがあるわけですから、もともと夏までですよとか、本当に教室内での指導に困っている生徒を抱える教員にとってみての育成の対応性、柔軟性というのがやはり今後必要になってくると思いますので、次、お伺いしていきたいと思いますけれども。
年度途中で新人が一人担任できないということで初年度登録ということになるんだと思いますけれども、先ほどいった支援体制でのアドバイザー等が活用できるんであれば、逆に、九月からはアドバイザーに一番初めについた方が担当すれば夏までの間できたりとか、本当に困っている、必要としている新人教員に対しての百人と限られた方をどう円滑に回していくかによって、そのクラスの中での授業がどう進んでいくか、平穏にできるかということも、やはり都教委としてはしっかりと考えていかなければいけないんではないかなというふうに思います。
子どもたちにとっては、普通の授業が受けられる環境づくりだと思いますけれども、そこで伺っていきたいと思います。退職された職員の中には、私立の学校に就職されたりとか、再任用や講師などで活躍される機会があると思いますけれども、その退職者や出産、学校現場を離れた方々が職場で再び活動する機会、そういう機会を持っていくようではありますけれども、教員のデータなど、そういった管理についてさまざまな教育現場において活躍していただける機会、退職者によって活躍していただく機会を持っていただく、そういう機会や活用方法についての都教委の見解をお伺いしたいと思います。
○直原人事部長 豊富な教職経験を持ち、定年を迎えてもなお教育に対する情熱を持ち続けている人材は、教育現場において貴重な存在です。
これまでも退職した教員の中で、希望者を再任用教員や非常勤教員等として採用しておりますが、その際、本人の希望や適性などのデータを参考にして、学級担任や教科担任、少人数指導担当、教育アドバイザーなど、さまざまな形で活用しております。今後とも退職した教員の情報を集め、適材適所に配置し、積極的に活用してまいります。
○滝沢委員 定年を迎えて、なお情熱を持っている方々は、ある程度その百人の中で毎年毎年ふえていかなきゃいけないんだと思いますけれども、その年度途中で必要だったりとか、退職者の方々の適材適所の配置ということはありますけれども、先ほど百人集めるのがことしは予算的な面もあるでしょうけれども、そういった範囲になっていて、現実的に必要とする教員の方々や退職者の方々とペアを組ませる機会というのが重要になってきまして、先ほどの特色ある高校や中高一貫校も含めまして、そういった人事配置や職員、そして学校に対する指導についてお伺いしていきたいと思います。
その中で、多摩教育事務所についてお伺いしたいと思いますけれども、多摩教育事務所については、東京都が教育事務の設置等に関する規則に定めて設置をしているところでありますけれども、多摩教育事務所の設置意義を、東京都が定めた事務所の設置内容についてお伺いしていきたいというふうに思います。
○直原人事部長 東京都多摩教育事務所は、多摩地区における東京都教育委員会の総合的現地機関として、多摩地区全域を管轄区域とし、同地区に関する東京都教育委員会の事務の一部を処理しております。
現在、新学習指導要領への円滑な移行など、今日的な教育課題への対応や、大量退職に伴う大量採用における人材育成が課題でありまして、このため、多摩地区教育委員会や学校に対しまして、適切な指導及び助言を行っていくことが求められております。
○滝沢委員 多摩地域を多摩教育事務所というのが総合的に管理する機関として置いているということで、多摩地域の市町村を多く、広く管轄としているところでありますけれども、多摩教育事務所の設置というのは、その地域、そして多摩教育事務所を活用、利用しながら、指導や人事案件に動いていると思います。
人事行政についてお伺いしたいと思いますけれども、多摩地域においての業務を扱っているということでございますけれども、多摩教育事務所の人事行政はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
○直原人事部長 人事に関する分掌事務としまして、東京都教育事務所設置等に関する規則第四条の規定に基づきまして、管轄区域内の市町村立小中学校に勤務する職員の定数、任免、その他人事に関する業務を担っております。
○滝沢委員 多摩教育事務所の広域な業務内容でしたりとか、人事もある程度、多摩教育事務所の方で設置というか、配置をしていくことができる、そういうふうな認識でいいのかどうかお伺いしたいと思いますけれども、今後の東京都として、多摩教育事務所をどのように役割を任せていくのかお伺いしたいと思うんですけれども、先ほどもありましたように、小一や中一、そういった問題やギャップの問題、そして中高など、先生にとって、そして子どもたちにとって、そして指導する側にとって、そして人事配置にとって、多摩教育事務所の東京都の設置意義の考え方を改めてお伺いしたいと思います。
○直原人事部長 東京都多摩教育事務所は、これまで東京都教育委員会の教育目標、基本方針等に基づき、各市町村教育委員会の主体性を尊重しつつ、多摩地区における学校教育の充実及び振興を図ってまいりました。
今後とも、多摩地区の実態に即した学校経営の改善及び充実を図るため、多摩地区の市町村教育委員会など、関係諸機関等との密接な連携のもとに、学校等に対して的確な指導、助言や支援をきめ細かく推進してまいります。
○滝沢委員 多摩教育事務所は、西多摩にあったりとか北多摩にあったりとか、いろんな施設が統合されたりしていて、広範囲になっていることもあるでしょうし、今後もそういった広域な自治体を任せるということでありますので、いろいろな中での対応ができる、そういった事務所の活用について今後もご尽力いただきたいというふうにご要望させていただきます。
次に、特別支援学校についてお伺いいたします。
特別支援学校の施設についてお伺いしたいと思いますけれども、八王子東の特別支援学校では、昨年十月に台風の際、数カ所に雨漏りが発生して、学校運営に支障が出たということを聞いておりますけれども、特別支援学校の施設整備において特に安全や機能性についての対応が求められると思いますけれども、現状での学校施設の老朽化が進んでいるようなところもあるようでございます。
特別支援学校全体における施設の改修などはどのように進められているのか、お伺いいたします。
○前田参事 特別支援学校校舎の改修、改築については、新たなタイプの学校施設の必要性を示した東京都特別支援教育推進計画や、施設の経年劣化に対応した主要施設の十カ年維持更新計画により、計画的に実施しております。
また、改築の際には、教育活動の一層の活性化や児童生徒の障害の特性に応じた施設設備を整備するとともに、校庭の芝生化、屋上の緑化、太陽光発電設備の導入など、地球環境にも配慮しながら、快適な教育条件の確保に努めております。
○滝沢委員 計画的に学校施設を改修されるということで、八王子東特別支援学校は、今、雨漏りの方を改修していただいているということでありますけれども、計画的に取り組んでいる部分と、既存の計画から漏れているんだけれども、学校の施設が突然壊れたりとか、台風などの影響などによる改修が必要になったということがあると思うんですね。
教育環境を阻害する場合、ふだんの教育現場ではないような不都合な環境に教育現場がなったときには、どのように対応されるのか、お伺いいたします。
○前田参事 日々の教育活動を円滑に進めるためには、安全性や快適性が確保された施設設備の充実が必要です。
このため、各学校からの施設要望に基づき、現地調査及びヒアリングを実施し、必要な補修や部分改修などを行い、適正な施設管理と教育環境の充実に努めています。
なお、児童生徒の安全の確保など、緊急性の高いものについては、学校経営支援センターと連携しながら速やかに対応しております。
○滝沢委員 速やかに対応するということですので、ぜひとも施設面をお願いしたいと思います。
次に、都立図書館についてお伺いしたいと思います。
都立図書館の現状について、まずお伺いしたいと思います。
○松山地域教育支援部長 かつて都立図書館は、日比谷、立川、青梅、八王子、中央、江東と六館ございましたが、区市町村立図書館が充実する中、移管、統合を進め、現在は広域的自治体の図書館として、中央図書館と多摩図書館の二館体制となっております。
平成十四年の都立図書館のあり方検討委員会報告により、都立図書館は、都民の調査研究の支援及び区市町村立図書館の支援に努めることを役割としております。
また、平成十八年の都立図書館改革の具体的方策におきまして、中央図書館と多摩図書館の機能分担を明確にし、中央図書館は中心館として企画運営等の統括機能、多摩図書館は中央図書館にない雑誌サービスと児童、青少年サービスのセンター的機能を有するものとしております。
○滝沢委員 私の子どものころは、八王子には都立の図書館があったんですけれども、今は東京都内で運営する図書館というのは二カ所になったということでございますけれども、今後、都民にとって利便性を持った都立図書館、どのように目指していられるのか、お伺いしたいと思います。
○松山地域教育支援部長 都立図書館は、中央図書館で約百六十万冊、多摩図書館で約六十万冊、ほか雑誌約一万六千種を収蔵しておりまして、豊富な資料を都民に使いやすく提供することは重要な役割でございます。
中央図書館は平成二十一年一月にリニューアルオープンいたしまして、利用者の利便性を高めるためのワンストップサービスを初め、利用者に関心の高い経済活動や医療などの分野の資料を重点的に提供する重点的情報サービス、専門的な調査のために各種オンラインデータベースの利用を可能とした情報サービス、都立図書館をより身近に感じてもらうためのタイムリーな企画展の実施などを行っております。
また、多摩図書館は、平成二十一年五月にリニューアルオープンいたしまして、全国初の雑誌集中サービスであります東京マガジンバンクを創設したほか、乳幼児から高校生世代までが楽しめる本や学習に役立つ本、子どもの読書に関する大人向けの資料を取りそろえた児童青少年エリアを設置しております。
今後も、都民に使いやすく親しみやすい図書館を目指し、サービスの向上を図ってまいります。
○滝沢委員 大規模な図書館として、資料をいろいろな専門性の中で使いやすい、そして、多摩図書館については、子どもたちの読書や学習に役立つ本ということでございますけれども、都立図書館と区市町村立の図書館との連携というのは、かかわりがあるとお伺いしておりますけれども、どのようなのかお伺いいたします。
○松山地域教育支援部長 都立図書館では、その基本的な役割といたしまして、都民の課題解決支援のため、専門書等を中心に、広範かつ豊富な資料を収集、保存して、閲覧サービスやレファレンスサービスを行う一方、区市町村立図書館への協力、支援のため、区市町村立図書館が収集、保存していない資料を貸し出す、協力貸し出しという制度を設けております。
これによりまして、区市町村立図書館が所蔵していない図書でも、利用者からの事前申し込みを受けまして、都立図書館から利用者のお近くの区市町村立図書館に貸し出しているところでございまして、昨年度は約九万五千件の利用がございました。
また、都立図書館及び近隣の区市町村立図書館における蔵書の状況は、都立図書館のウエブサイトにおきます東京都公立図書館横断検索システムにより調べることができ、利用者は、申し込みに先立って、自宅などで在庫を確認することができるようになっております。
○滝沢委員 その検索システムで、今、九万五千という利用者がいるということがありましたけれども、多摩図書館について特化してお伺いしていきたいと思いますけれども、リニューアルオープンをした後、児童や青少年というエリアを活用しているというふうにお伺いしておりますけれども、それについてお伺いしたいと思います。
○松山地域教育支援部長 子どもにとって読書は、広い世界を知り、みずから考え、表現する能力をはぐくむもので、読書環境の整備は非常に重要でございます。
都立図書館は、読書活動と子どもの本に関する専門的機関として、区市町村立図書館に先駆けた事業展開を図ってまいりました。
子ども読書活動の推進に向けた事業といたしましては、子ども読書フォーラムを毎年開催し、各年代の児童、青少年に向けた推薦図書の冊子を作成、配布するほか、リニューアルオープン後は、子どもの本フェスティバルや青少年向け講演会、読み聞かせコーナーにおけるお薦め本の展示、キャリアデザインコーナーにおける進路、進学関連書籍及び高校案内の提供を新たに始めております。
また、学校支援の取り組みといたしましては、各学校に出向いて、学校図書館の整備や読書相談、選書支援を行いますほか、学校支援用資料として、児童の関心に応じ、動物や月、星、木などの自然の種類ごとに薦める本を紹介した冊子を作成し、都内全小学校に配布しております。
最近では、新しい図書館施設を利用した特別支援学校の読み聞かせ、私立中学校の調べ学習などの授業の受け入れも実施いたしました。
また、ことし四月からは、新たにウエブサイト内に学校支援ページを立ち上げることとしておりまして、今後もさまざまな事業を通して児童、青少年の読書環境の充実に努めてまいります。
○滝沢委員 施設としては、多摩地域や東京都内の中でもなくなったけれども、地元の市立の図書館においては、連携やそのシステムをすることによりまして、都立図書館の蔵書の本が読めたりとか、そういった利用ができるということで、専門性を含めた都立の図書館に今後も努めていただきたいと思います。
次に、体力向上施策についてお伺いしたいと思います。
平成二十二年度の新規事業として、先ほど大津委員からも子どもたちの体力向上に向けた質問がございましたけれども、教育委員会において、今回、生活活動や運動習慣等に関する実践研究と、一日六十分運動・スポーツ小学校総合運動部活動実践モデルとして、それぞれ十校において実施するということになっております。
また、児童生徒、生活、遊び、そして、運動習慣等実態調査、第二回中学生東京駅伝大会の実施や校庭芝生化の子どもの体力に及ぼす影響や効果に関する調査研究を行うこととしておりますけれども、これらの体力向上施策を行うことで、どのような方向を目指しているのか、都教委の見解をお伺いしたいと思います。
○高野指導部長 子どもの体力向上は、一朝一夕に解決できる問題ではないという認識から、昨年設置いたしました子どもの体力向上推進本部において、今、委員からお話しのあった平成二十二年度新規事業のように、学校での取り組みを初めとして、家庭や地域に対して子どもの体力向上の必要性を醸成したり、関係する部局とも密接な連携を図り、三年後には全国平均まで、十年後には昭和五十年代の水準にまで東京都の子どもの体力を向上させることを目的として、多角的、総合的な対策を講じてまいります。
○滝沢委員 体力向上については、三年後にはとか十年後にはということでありましたけれども、先ほど、他の委員からもクラブ活動や家庭での指導など、八王子には新しい青少年社会教育施設の整備ということの中での高尾の森わくわくビレッジ等があるんですけれども、地域の子どもたちや、これから幼稚園などは春休みに入って、今週、地域の子どもたちは親御さんたちと卒園だったりとかということで高尾の森を使ったりとか、運動施設自体が身近にあるかないかもありますし、ボール遊びができるかできないかという施設面もありますので、教育委員会でできる範囲、そして家庭でできる範囲、いろいろなものを精査しながら、ぜひ今後も体力向上の総合的な対策を講じていただくようお願いいたしまして、私からの質問は終わります。
○馬場委員 私は、今回提出されております学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例、また、関連して、小学校新規採用教員、新規大卒者の育成についてお伺いをいたします。
先日、三月五日ですが、新宿区立小学校新採用教員の自死に公務災害認定をされたといううれしい報告を受けました。この教員は、二〇〇六年四月に新宿区の小学校に新規採用になった女性の教員ですが、わずか二カ月足らずで二十三歳の生涯をみずから閉じられました。
小学校二年生の担任として全力を尽くして教育の実践に当たりましたが、過重労働、公務上のストレス、学校内のサポート不足など、そうした原因で五月にはうつ病等を罹患し、五月三十一日に自死を図り、翌日亡くなったという状況でございます。
ご両親は、この件で公務災害の申請をいたしました。そして、公務災害の認定に当たって不認定ということになりましたので、この決定を不服として審査会に審査請求を行い、この二〇一〇年二月、地方公務員災害補償基金の東京都支部審査会は、公務災害を不認定とした同支部の決定を取り消し、公務災害を認める逆転裁決をしてくださいました。
この審査請求の中で、さまざまなことがどうした原因だろうかというようなことを含めて、いろいろ検討とされたというふうに聞いています。
この方は、最初の四月に七十六時間五十五分、五月にも六十二時間四十分の時間外労働が記録され、さらにご両親のお話ですと、自宅に持ち帰っての仕事があった。単学級の二年生の児童の担任であった。その他、いろいろな状況、いろいろな要件が重なっているというふうに私も伺っておりますが、要は、新採用教員に対するサポート体制の脆弱さが心身の負荷に極めて重要な影響を与えたということで認定されたというふうに受けとめております。
こうした問題の提起、また、お一人ではないという状況の中で、今回、小学校の新規採用教員の育成についてというようなことがされたというふうに私は、この先生にとっては残念な結果でしたが、ご両親も、自分の子どもだけが自分自身の力不足ということで追い込まれたこうした状況を、何とかそういうことではないんだと、多くの教員、特に新卒の教員の問題なんだということで都教委に対応方要望をしていらっしゃいます。その中で、今回、小学校新規採用教員、新規大卒者を対象とする制度が提案されたわけです。
まず、提出された一部を改正する条例の中に、この課題については附則という形で対応するというふうに書かれております。小学校初任教員のうち、研修受講中の者は、この予算の範囲内で定数外とすることができるというふうに規定されるというふうに説明を受けました。このことの意味をまずお伺いたします。
○直原人事部長 今回、小学校に導入する新人教員育成のための研修において、研修生となる新人教員は、一年間専ら研修を受けることになるため、学校職員の定数に関する条例の附則におきまして、定数外とすることができる旨、定めたものでございます。
現行の研修制度では、学校内の他の学級を担任している教員の中から指導教員を命じ、新人教員の育成に当たらせております。
それに対しまして、今回新たに実施する研修は、退職した優秀で指導力のある教員を育成担当の教員として再任用し、新人教員とペアで一つの学級を担任しながら、専任で子どもへの指導や保護者対応などの日常業務を通して育成するものでございます。
○馬場委員 そうなんです。この制度は、なぜ附則をつけたかというと、再任用職員はすべて定数内にするという取り決めがあるというふうに伺っております。この再任用の職員の待遇は短時間勤務の再任用教員百名ということですが、定数内にカウントをし、そして、新任の教員は研修生、一年間研修するということで、定数外とするということになったと思います。
ただ、二人で一組が百組できるということですので、定数は別にしても、百人分は何らか予算措置をするということで、別にこのことに異を唱えているわけではありません。
この対象となる研修生と新人育成、再任用の教員は、どういう状況でこういうふうになったかということで、少しデータをいただきました。
二十二年四月、もう来月ですね。小学校の先生の採用見込み数、三月十五日現在で千五百三十六人。今後、欠員状況が生じれば、それにまた必要数を採用していくということですが、とりあえず確定している千五百三十六人、このうち、今回の学級経営研修生に該当する新採の方はどのくらいいるんでしょうかというふうにお尋ねしたところ、ことし二十一年で四割、五百五十名ぐらい。つまり、ここ何年かは毎年六百名ほどになるのではないかということでございました。
しかしながら、百名ずつ五年計画、つまり五年でやっと五百、六百に達するかということなんですが、この百名はなぜですかということで先ほどもご質問がありましたが、これは退職した優秀で指導力のある再任用教員が確保できる見込みの数が百名程度だということでございました。
それでは、集めるのに大変な再任用職員、この勤務形態についてお伺いいたします。
○直原人事部長 新人育成教員は、地方公務員法第二十八条の五第一項の定めによる短時間勤務の再任用職員です。一日の正規の勤務時間は、正規教員同様七時間四十五分でありますが、勤務日数は年間二百八日と、正規教員の勤務日数の五分の四に当たります。
○馬場委員 定数に入ってくるけれども、時間が短時間勤務ということで、一日の時間は正規職員と同じなんだけれども、勤務日数が五分の四になる。どこか足りなくなるわけですね。
この問題はまた後で触れますが、小学校ではかつて、こうした状況は加配でやってきたという経過があったというふうに聞いています。最近その加配がなくなって、さらに先ほどもお話がありましたように、新任の先生に対する研修という形で、その対応が変わってきています。授業を持ちながら、担任を持ちながら、新任研修というものもかなり重きが置かれていると。それは、ある意味新任の教員にとっては大きな負担になっていたのではないかと、先ほどの例も含めて思われます。
今回、この制度は二人で一組になりますが、再任用職員は、先ほどのご答弁にもありましたように、短時間勤務であり、新人育成教員として勤務日数は五分の四しかないわけです。新任教員は担任を持つけれども、定数の中に入らず、研修を受けなければならないという、名前も学級経営研修生というふうにつくわけですね。
これは、大学卒の社会経験がない方がこの対象になる、前提になるということですが、このダブルで百組の先生と再任用の先生の組み合わせは、やはりクラス担任を受けられる生徒、保護者、地域の多くの皆さんに、どういうふうなことなんだと。複雑ないい方になると、担任の先生だけれども、研修生。これは多分、再任用の先生と一組でということになったときに、その受け持ちになる生徒の学級というのは、やはりかなりどういうことなんだろうという不安になるというふうに思います。
その意味では、都教委、私どもの願いは、早くよい教員を育成するという目的なんだということを、学校を通じて、学級、地域、生徒、保護者に十分に説明をしていただきたいというふうに思います。
なぜこんなふうにならなければいけないかというようなことを考えてみました。つまり、教員養成に課題があるのではないかと私は思い至りました。
今までも何度か質問をさせていただいておりますが、東京には多くの教職大学があります。こうしたところで多くの免状を持った方が出てきて、東京に就職をしてくれないというような課題の話が今までもたくさんありましたが、東京にある多くの大学の実習生はどこで実習しているのか、どうしているんだろうかということを疑問に感じました。
そこで、都教委として、東京の大学の実習生をどのぐらい受け入れていらっしゃるのか、状況を伺います。
○直原人事部長 都教育委員会では、都内に主たるキャンパスを置く大学等の学生が教育実習を円滑に受けられるよう、大学等からの依頼に基づき、都内公立学校における教育実習生の受け入れの調整を行っております。
教育実習を希望する学生は、平成二十一年度において百六十一大学四千三百四十九人でありまして、受け入れ決定者数は四千九十四人となっております。主な校種別の内訳は、小学校千四百七十一人、中学校千百四十三人、高等学校九百六人でございます。
○馬場委員 ありがとうございます。そうなんですね。こんなにたくさんの実習生を受け入れているという状況があるわけです。小学校千四百七十一人、普通で二十日間、中学校千百四十三人、十日間、高校九百六人、十日でしょうか、その他ということになっているわけです。
これは、それぞれ区市の教育委員会で受け入れてくれているものというふうに私も受けとめておりますが、こういうふうに、ご自分のところで国立大とか私大の中でも、独自の実習生を受け入れるきちんとした対応ができていないところは、都教委にお願いをして、また、区市の実習生としてその研修をしているわけですね。
これは決まっているのか、慣例なのか、なぜ受け入れなきゃいけないのかというようなことも含めて余り定かではないのですが、区市にとっては研修を受け入れた学生がそのまま東京で先生になってくれれば一番いいわけですが、そういうふうな関係にもなっていない。ということは、やはり都としてこれだけの手間、日にち、力を入れているのに、今の東京の中での教員免許を取る大学の制度がきちんと反映していないといわざるを得ないんだというふうに思います。
先ほどから、私どもの都議会民主党が何名か、フィンランド、ユヴァスキュラ大学等、視察に行かせていただいた話が出ておりますが、私も、大学教育研究所を持ち、その大学が附属の実習校を持ち、教員を目指す学生が一年生からかなり多くの時間を実習に割いて、そして、五年間の修士を終えて現場に出たときには、教師としての役割をしっかり果たせるようなシステムになっている、こうしたことを見聞きして帰ってまいりましたので、これは何だろうかというふうに今思っているところでございます。
そういう意味で、先ほどの皆さんからのご質問にも、都教委として、教師養成塾や教職大学院でしょうか、さまざまな取り組みとかを伺いました。しかし、これは今の状況ですと相当の数の問題である。この東京の状況から考えたときには、やはり、これは教員養成をするそれぞれの大学に対して、きちっとこうしたことを申し入れていくような、積極的な、つまり、受け入れ側が何もいえないというのはおかしいのではないかというふうに思いました。
そういう意味で、都教委は、特に小学校の教員養成課程の改善、充実、こうしたことを大学に働きかけていくべきだというふうに考えますが、ご所見を伺います。
○高野指導部長 大学を卒業してすぐ学級担任となる小学校教員につきましては、大量退職に伴う大量採用により、質の確保が喫緊の課題であり、まず大学が教員養成課程の段階から、早期に実践的な指導力を身につけさせていくべきと考えております。
教員養成につきましては本来大学が行うものでございますが、都教育委員会は、小学校の新人教員が現実に抱えているさまざまな課題を解決し、養成段階のさらなる改善、充実を大学とともに進めていくために、今後、各大学に学部四年間の具体的な教員養成カリキュラムの改善に係る方策を提言してまいります。
○馬場委員 最後に要望して終わります。
今のお話のように、教育をどう担っていくかと、それぞれの分野でそれぞれしっかりやっていかない限り、子どもたちのこれからの未来を私たちはきちんと担うことができないというふうに思っております。
この制度も、そういう意味では苦肉の策だというふうに思いますが、費用も含めて、要は研修生百名の加配に当たるのではないかというふうに思っています。この予算までお聞きしませんでしたが、何億というお金が、五年間、五百人になったらどういうふうなことなんだろうかということも含めて考えたときに、やはり、しっかりと国や大学での対応をしていただくことで、こうした費用も含めて、子どもの支援に回せることができるというふうに考えております。
そういう意味で、これからも対応方お願いして質問を終わります。ありがとうございました。
○大西委員長 ほかに発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
予算及び付託議案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時二十一分散会
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