委員長 | 大西さとる君 |
副委員長 | 星 ひろ子君 |
副委員長 | 村上 英子君 |
理事 | 岡田眞理子君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 馬場 裕子君 |
畔上三和子君 | |
遠藤 守君 | |
島田 幸成君 | |
滝沢 景一君 | |
遠藤 衛君 | |
古賀 俊昭君 | |
大津 浩子君 | |
服部ゆくお君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 大原 正行君 |
次長総務部長事務取扱 | 松田 芳和君 | |
理事 | 岩佐 哲男君 | |
都立学校教育部長 | 森口 純君 | |
地域教育支援部長 | 松山 英幸君 | |
指導部長 | 高野 敬三君 | |
人事部長 | 直原 裕君 | |
福利厚生部長 | 谷島 明彦君 | |
教職員服務・特命担当部長 | 岡崎 義隆君 | |
参事 | 中島 毅君 | |
参事 | 前田 哲君 | |
参事 | 高畑 崇久君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 教育庁所管分
・学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・都立江東地区第二養護学校(仮称)(二十一)改築工事請負契約
請願の審査
(1)二一第一二六号 寄宿舎削減計画を見直し、寄宿舎の充実を求めることに関する請願
(2)二一第一三〇号 教育委員会に対し教科書採択の真相究明のため再審議を求めることに関する請願
(3)二一第一三二号 すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願
(4)二一第一三五号 すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願
(5)二一第一三九号 外国人教育の条件改善を国に求める意見書に関する請願
○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○大西委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び請願の審査を行います。
なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件につきまして、理事者の説明を求めます。
○大原教育長 平成二十二年第一回都議会定例会に提出を予定しております議案の概要につきましてご説明申し上げます。
ご審議いただきます教育庁関係の案件は、平成二十二年度教育庁所管予算案一件、平成二十一年度教育庁所管補正予算案一件、条例案九件、契約案一件でございます。
初めに、平成二十二年度教育庁所管予算案についてご説明申し上げます。
都教育委員会では、時代の変化に主体的に対応し、日本の未来を担う人間を育成する教育が重要であるとの認識のもとに、教育目標を定め、子どもたちが知性、感性、道徳心や体力をはぐくみ、人間性豊かに成長することを目指して、具体的な施策を進めているところでございます。
平成二十二年度におきましては、子どもの学力と体力の一層の向上を図るための具体的な施策を積極的に実施し、都民の期待にこたえてまいりたいと考えております。
それでは、お手元の資料、平成二十二年度教育庁所管予算説明書をごらんいただきたいと存じます。
二ページをお開きください。平成二十二年度教育庁所管予算の総括表でございます。
最上段にございますように、歳出予算額は七千六百四十九億三千八百万円で、前年度に比べ百二十六億五千万円、一・六%の減となっております。
また、歳入予算額は千七百七十八億二千万余円でございまして、前年度に比べ百三億九千五百万余円の増でございます。
平成二十二年度の東京都の予算は、大幅な税収減に直面し、今後も厳しい財政環境が想定される中にあって、都財政の健全性を堅持するとともに、東京の現在と将来に対して、今日、都がなすべき役割を積極的に果たす予算と位置づけられております。
都教育委員会といたしましても、内部努力と事務事業の見直しを進める一方、直面するさまざまな課題を解決するために教育施策の充実を図ることといたしまして、小一問題、中一ギャップを予防、解決するため、東京都版の新しい学級編制方針として、学級規模の縮小等を可能とする教員配置、児童生徒の学力向上を図るため、都独自の学力調査である読み解く力に関する悉皆調査、子どもの基礎体力向上を図るため、すべての学校や学級において、一校一取り組み、一学級一実践の推進、小学校新規採用教員の育成を図るため、経験豊かなベテランである再任用教員の配置など、積極的な予算確保に努めたところでございます。
都教育委員会は、これらの事業を着実に推進し、都民の教育への期待にこたえてまいる所存でございますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
以上、平成二十二年度予算案の概要をご説明申し上げました。
続きまして、平成二十一年度教育庁所管補正予算案についてでございますが、現時点において不用額が明らかな給与関係費などにつきまして減額補正を行うものでございます。
次に、条例案でございますが、学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例外八件でございます。
次に、契約案でございますが、都立江東地区第二養護学校(仮称)(二十一)改築工事請負契約の一件でございます。
以上が平成二十二年第一回都議会定例会に提出を予定しております教育庁関係の案件でございます。
詳細につきましては、総務部長事務取扱次長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○松田次長 初めに、平成二十二年度教育庁所管予算案についてご説明いたします。
お手元の平成二十二年度教育庁所管予算説明書をごらん願いたいと思います。
まず、表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと存じます。
教育庁所管予算につきまして、教育委員会及び事務局の運営以下、九つの項目に分けてお示しするとともに、債務負担行為をお示ししてございます。
それでは、二ページをお開き願います。教育庁所管予算の総括表でございます。
歳出予算及び歳入予算の総額等につきましては、ただいま教育長からご説明申し上げましたので、次の三ページから、歳出予算につきまして、主要な事業を中心にご説明させていただきます。
三ページをごらん願います。1、教育委員会及び事務局の運営に要する経費でございます。
歳出計は、上から三行目になりますが、二百七十三億九千五百万円でございます。
経費の内容は、三ページから一二ページにかけて記載してございます。
それでは、一三ページをお開き願います。2、小中学校の運営に要する経費でございます。
歳出計は、三行目になりますが、四千二百六十九億五千九百万円でございまして、うち職員費として四千百七億七千九百万余円を計上しております。また、下から二行目に、特定財源といたしまして、国庫支出金である義務教育費国庫負担金など一千九十九億二千九百万余円を見込んでございます。
一四ページをお開き願います。(1)、小学校の運営でございます。
概要欄をごらんください。小学校の規模は、学校数千三百十一校、児童数五十六万三千六百七十七人、教職員定数三万二百二人でございます。
経費の内容ですが、一五ページをお開き願います。
概要欄の2、(5)、スポーツ教育の推進ですが、スポーツ教育推進校に指定された小学校の体育の授業を充実するため、非常勤講師を配置する経費を計上しております。
一六ページをお開き願います。(2)、中学校の運営でございます。
概要欄をごらんいただきたいと思います。中学校の規模ですが、区市町村立中学校数は、本校、分校合わせまして六百二十五校で、うち一校には通信教育を併設してございます。生徒数は、本校、分校が二十二万三千八百六十七人、通信教育が百六十人でございます。
その下にお示ししております都立中高一貫教育校は、二十二年度に新たに開校する四校を含めて計十校となり、生徒数は三千二百人でございます。
一七ページをお開き願います。教職員定数は、区市町村立、都立を合わせて一万五千百十九人でございます。
経費の内容は、次の一八ページから二〇ページにかけて記載してございます。
一八ページをごらんください。概要欄の2、(3)、スポーツ教育の推進において、小学校と同様、体育の授業を充実するための非常勤講師を配置する経費などを計上しております。
二一ページをお開き願います。3、高等学校の運営に要する経費でございます。
歳出計は、三行目になりますけれども、千二百八十億二千七百万円でございまして、うち職員費として一千四十四億二千四百万余円を計上しております。
概要欄をごらんください。学校数は、全日制が百八十一校、定時制は五十五校、通信制は三校でございます。生徒定数は、全日制が十二万四千四百五十人、定時制は一万八千八百十人、通信制は二千八十人でございます。
二二ページをお開き願います。教職員定数は一万一千三百三人でございます。
経費の内容は、二三ページから二六ページにかけて記載してございますけれども、二五ページをお開き願います。
概要欄の(11)、都立学校ICT計画ですが、全都立高校に整備した校内LAN、教育用機器、教員用の端末などの運用経費を計上してございます。
二七ページをお開き願います。4、特別支援学校の運営に要する経費でございます。
歳出計は、三行目になりますが、六百二十億九千五百万円でございまして、うち職員費として五百二十一億九千六百万余円を計上しております。
概要欄をごらんください。1の都立特別支援学校は、学校数が五十五校、幼児、児童生徒数は一万三百四十二人でございます。その内訳といたしまして、二八ページにかけまして、障害種別ごとに規模をお示ししてございます。
また、2の区立特別支援学校は、下段の表にございますとおり、学校数が五校、児童生徒数は二百四十九人でございます。
それでは、二九ページをお開き願います。教職員定数ですが、都立、区立合計で五千六百八十八人でございます。
経費の内訳は、三〇ページから三三ページにかけて記載しておりますけれども、三一ページをお開き願います。
概要欄の(7)、特別支援教育の推進には、特別支援学校がセンター的機能としての役割を果たすために必要な経費や、肢体不自由特別支援学校への介助専門家の導入に要する経費等を計上してございます。
三四ページをお開き願います。5、教職員の福利厚生に要する経費でございます。
歳出予算額は、一行目にございますように二十億三千五百万円でございます。
経費の内容は、公立学校共済組合東京都負担金や、次の三五ページにございます教職員住宅の維持管理等に要する経費でございます。
三六ページをお開き願います。6、退職手当及び年金に要する経費でございます。
歳出予算額は、七百二十七億三千二百万円でございます。
経費の内容は、公立学校教職員の恩給費や、次の三七ページにございます教育委員会事務局職員及び公立学校教職員の退職手当等に要する経費でございます。
三八ページをお開き願います。7、教育指導の充実に要する経費でございます。
歳出計は、三行目になりますが、五十三億一千四百万円でございます。
経費の内容は、このページから四五ページにかけて記載してございますけれども、四〇ページをお開き願います。
概要欄の9、公立小中学校及び都立高校における補習の充実では、外部人材を活用した土曜日の補習を実施する区市町村を支援するとともに、都立高校における補習の充実に要する経費を計上しております。
それでは、四六ページをお開き願います。8、社会教育の振興に要する経費でございます。
歳出計は、三行目になりますけれども、七十三億九千八百万円でございます。
経費の内容は、次の四七ページから五三ページにかけて記載しておりますが、五〇ページをお開き願います。
概要欄の13、放課後子ども教室推進事業では、放課後や週末等に小学校等を利用して、子どもたちの安全・安心な居場所を確保するための経費を計上してございます。
五四ページをお開き願います。9、都立学校等施設整備に要する経費でございます。
歳出予算額は、一行目にありますように、三百二十九億八千三百万円でございます。
経費の内容については、次の五五ページから六〇ページにかけて記載しておりますけれども、五六ページをお開き願います。
概要欄にございますように、2、特別支援学校再編に伴う施設整備や、3、特別支援学校の普通教室確保に要する経費などを計上しております。
次に六一ページをお開き願います。債務負担行為のⅠについてご説明申し上げます。
次の六二ページをお開き願います。都立学校校舎等新改築工事に係る債務負担行為でございます。
新しいタイプの高等学校の建設や特別支援学校再編に伴う施設整備などにつきましては、工期が複数年度にわたるため、概要欄の3、全体計画にございます計三十校に関し、平成二十三年度から二十七年度までに支出を予定する経費をお示ししてございます。
次の六三ページは、給食調理業務の安定的な運用や内容の充実を図るため、平成二十三年度及び二十四年度に支出を予定する経費をお示ししてございます。
次の六四ページから六六ページは、既に議決をいただいております債務負担行為を参考として記載しております。
以上で平成二十二年度教育庁所管予算案の説明を終わらせていただきます。
続きまして、平成二十一年度教育庁所管補正予算案についてご説明を申し上げます。
お手元の平成二十一年度教育庁所管補正予算説明書をごらんいただきたいと思います。
一ページをお開き願います。表の中ほど、歳出予算の補正予算額は、マイナス二百六十四億一千五百万余円でございます。
二ページをお開き願います。歳入予算につきましては、歳出予算の減額補正に伴いまして必要な財源を更正するものでございます。
三ページをお開き願います。歳出予算でございますが、給与改定等に伴う給与費の不用見込み額のほか、非常勤講師報酬や都立学校施設整備に係る契約差金など、現時点で不用となることが明らかな経費について減額補正を行うものでございます。
以上で補正予算案の説明を終わらせていただきます。
続きまして、お手元の資料、平成二十二年第一回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案のご説明をさせていただきます。
目次をお開き願います。今回提出を予定しております条例案は九件でございます。
一ページをお開き願います。学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例でございます。
平成二十二年度における児童生徒数の増減、学校の新設、廃止等に伴い、学校種別ごとに学校職員の定数を改めるほか、平成二十二年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの間、初任教養のための都教育委員会が行う研修を受講中の小学校教員のうち五百人以内については、毎年度予算の範囲内で定数外とすることができる旨の附則を設けるものでございます。
施行日は、平成二十二年四月一日としております。
次に、三ページをお開き願います。学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
労働基準法の改正に伴いまして、超過勤務手当の支給にかわる代休措置に関する規定などを整備するとともに、育児介護休業法の改正に伴い、三歳未満の子を育てる職員の超過勤務の免除に関する規定などの整備を行うものでございます。
施行日は、労働基準法の改正に伴う規定は平成二十二年四月一日から、また育児介護休業法の改正に伴う規定は平成二十二年七月一日からとしております。
次に九ページをお開き願います。東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
東京都特別職報酬等審議会の答申の趣旨を踏まえまして、東京都教育委員会委員の報酬の額を改定するものでございます。
施行日は、平成二十二年四月一日としております。
一一ページをお開き願います。東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
国における退職手当制度の見直しを踏まえ、東京都教育委員会教育長の退職手当及び期末手当の支給に関し、新たな支給制限等の制度を設けるほか、所要の規定を整備するものでございます。
施行日は、平成二十二年三月三十一日でございますが、期末手当の支給に関する規定は平成二十二年四月一日からとしております。
一五ページをお開き願います。学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
労働基準法の改正に伴いまして、超過勤務手当の支給割合等に関する規定の整備を行うものでございます。あわせて、国における退職手当制度の見直しを踏まえ、学校職員の期末勤勉手当の不支給及び一時差しとめ等に関して、所要の見直しを行うものでございます。
施行日は、平成二十二年四月一日としております。
次に、二七ページをお開き願います。学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
特殊勤務手当の見直しに伴い、平成二十一年度末までとしている小笠原業務手当の支給期限を三年間、時限延長するものでございます。
施行日は、公布の日からとしております。
二九ページをお開き願います。東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
学校職員の特殊勤務手当の見直しと同様に、平成二十一年度末までとしている小笠原業務手当の支給期限を三年間、時限延長するものでございます。
施行日は、公布の日からとしております。
三一ページをお開き願います。都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の一部を改正する政令の施行等に伴いまして、公務災害補償の補償基礎額を改定するものでございます。
施行日は、公布の日からとしております。
三五ページをお開き願います。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
都立高校改革推進計画及び東京都特別支援教育推進計画に基づき、都立高等学校六校、都立特別支援学校一校を廃止するものでございます。
施行日は、平成二十二年四月一日としております。
次に、お手元の資料、平成二十二年第一回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして、契約案のご説明をさせていただきます。
目次をお開き願います。今回提出を予定しております契約案は一件でございます。
一ページをごらんいただきたいと思います。都立江東地区第二養護学校(仮称)(二十一)改築工事請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は十九億九千九百二十万円、契約の相手方は東京都新宿区西新宿六丁目十六番六号、大日本・太陽建設共同企業体でございます。
工期は、契約確定の日から平成二十四年二月十日まででございます。
東京都特別支援教育推進計画に基づき、都立江東地区第二養護学校(仮称)を設置するため、既存校舎の改築工事を施行する必要があるものでございまして、四ページから七ページにかけまして各階の平面図を、八ページは契約案の概要をそれぞれお示ししてございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○大西委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言願います。
○畔上委員 資料を十九項目、お願いしたいと思います。
教員の都の単独加配の状況、過去五年間。
小中高学校の講師の登録数と任用数、区市町村による非常勤講師の任用の状況、小中高別、また区部、多摩地域別。
就学援助の認定基準及び援助費目、今年度。
特別支援学級の設置状況の推移、過去五年間。
都立特別支援学校スクールバス予算の推移、九九年度以降。
都道府県別の中学校卒業者の全日制高校、高専進学率の推移。
都立高校の授業料減免状況。
都立高校の募集人員と応募者数、合格者数、そして学校教職員定数の推移、過去十年間。
それから、教員の休職者数の推移、過去五年間。
小中高学校における養護教諭の定数の状況、都基準と国基準及びその差引人数。
小中学校における事務職員の配置基準と実際の配置状況。
小中学校における事務職員の職務内容。
小中学校、都立学校の栄養士の配置基準と実際の配置状況、常勤、非常勤。
それから、特別支援教育支援員活用状況。
都立学校の中途退学者数及び中途退学率の推移、過去十年間。
都立高校の授業料の滞納額の推移、過去十年間。
都立学校数と入学者数の推移、十年間です。
お願いいたします。
○大西委員長 ほかにございますでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 なければ、ただいま畔上委員から資料要求がありました。これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○大西委員長 次に、請願の審査を行います。
初めに、請願二一第一二六号、請願二一第一三二号及び請願二一第一三五号は内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○森口都立学校教育部長 請願二一第一二六号、寄宿舎削減計画を見直し、寄宿舎の充実を求めることに関する請願、請願二一第一三二号、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願、請願二一第一三五号、すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願の三件について、ご説明申し上げます。
まず、請願二一第一二六号、寄宿舎削減計画を見直し、寄宿舎の充実を求めることに関する請願についてでございます。
本請願は、東京都寄宿舎連絡会世話人代表大塚啓子さん外八千七百七十一人から提出されたものでございます。
本請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものです。
まず、1、東京都特別支援教育推進計画を見直し、これ以上の寄宿舎の削減を行わないこと及び3、東京都特別支援教育推進計画の第三次実施計画では、寄宿舎の新たな削減を行わないことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、寄宿舎は、通学困難な児童生徒に宿舎を提供し、就学を保障することを目的として設置しているものであります。
都教育委員会は、これまで特別支援学校の設置やスクールバスの整備を図りながら、通学困難の解消に努めてきており、東京都特別支援教育推進計画の策定前の平成十五年度には、通学困難を理由とする寄宿舎への入舎は減少し、年間宿泊率は三八・八%となっておりました。こうした状況を踏まえ、東京都特別支援教育推進計画において、計画策定時、十一舎あった寄宿舎を五舎にすることとしました。
引き続き計画に基づき、特別支援学校の規模と配置の適正化等を進め、学校設置を行う予定であり、今後も寄宿舎の配置の適正化を進めてまいります。
次に、2、都立立川ろう学校と都立江戸川特別支援学校の寄宿舎の廃止計画を撤回すること。また、当面、廃止は延期し、廃止見直しのための調査、検討を進めることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画に基づき、寄宿舎の規模と配置の適正化を図っているところであり、第二次実施計画において、平成二十一年度末に立川ろう学校、平成二十二年度末に江戸川特別支援学校の寄宿舎を閉舎することとしております。
次に、4、入舎基準を見直し、家庭の事情や教育的な理由での入舎を認めることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、寄宿舎の管理運営に関する規則は、昭和三十二年に制定されたものであり、現在とは社会情勢等が異なっていたことから、通学困難のほかに、家庭の事情、教育上入舎による入舎を認めてきた経緯があります。
しかし、社会情勢等の変化に伴い、寄宿舎の入舎実態も大きく変化しており、平成十八年度に入舎理由を本来の設置目的である通学困難に限定し、家庭の事情及び教育上入舎を削減したものであります。
なお、通学困難には、保護者が長期の病気の場合、家庭に複数の障害がある家族がいる場合や家族の介護等の理由により、保護者の長期で継続的な通学の付き添いが困難な場合も含まれます。
次に、5、希望する子どもたちが希望どおり入舎できるよう、寄宿舎指導員の増員、施設設備の改善などの条件整備をすることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、特別支援学校の寄宿舎指導員の定数については、国の基準に基づき、寄宿舎の収容定員を基礎として必要数を配置しております。また、寄宿舎の施設設備については、必要な改善を行っております。
次に、請願二一第一三二号、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会代表丸木政臣さん外八十五万五千五百十四人から提出されたものでございます。
本請願の趣旨は、都において、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めるために、次のことを実現していただきたいというもので、教育委員会の所管は5、7、9、10、12及び13の内容でございます。
まず、5、公立の小学校、中学校及び高等学校の三十人以下学級、ただし、高等学校専門学科は二十五人、定時制は二十人を早期に実現すること。また、子どもたちと直接向き合う教職員を増員することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定規模が必要であり、さらに基礎学力向上に配慮して、きめ細かな指導を行っていくためには、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考えております。
また、国の基準により、公立高等学校の一学級の生徒数については、定時制課程は昭和四十二年度から、全日制課程は平成五年度から四十人を標準としています。
都においては、定時制課程について、昭和四十八年度から都単独で三十人学級にするとともに、全日制課程の職業学科について、平成十二年度から都立高校改革推進計画に基づき、ホームルーム定員の三十五人化を計画的に導入してきており、全日制課程三十人、専門学科二十五人、定時制課程二十人の学級定員とすることは考えておりません。
なお、小学校や中学校への入学直後の時期は、その後の充実した学校生活を送るための基礎を固める重要な時期であることから、小一問題及び中一ギャップを予防、解決するために、小学校第一学年、第二学年及び中学校第一学年を対象に教員を加配し、学級規模の縮小やチームティーチングの導入など、学校の実情に即した最適策が選択可能な仕組みを平成二十二年四月から導入できるよう、加配に必要な定数を予算原案に盛り込んでおります。
次に、7、教材費など、義務教育段階で教育に係る経費について完全無償化することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、義務教育にかかわる費用のうち、公費で負担すべきものについては既に無償化されているところであります。
なお、修学旅行費、学用用品などは保護者の負担となっておりますが、こうした費用等についても、経済的理由により負担が困難な児童生徒の保護者に対し、区市町村教育委員会は必要な援助を行っております。
次に、9、都立高等学校の授業料を値上げしないことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都立高等学校の授業料については、国が示す地方交付税算定基準及び他の道府県の動向等を考慮し、受益者負担の適正化を図った上で改定を行うこととしております。
なお、本年一月、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案が閣議決定されたところであり、今後、国の動向を注視し、適切に対応してまいります。
次に、10、公立学校の老朽校舎の改築、特に耐震補強を早急に行うことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、区市町村立学校の施設については、原則として設置者である区市町村が国の補助制度を活用して整備を行うこととされておりますが、学校施設の耐震化については、その緊急性及び重要性にかんがみ、平成二十四年度末までに完了することを目指し、財政支援、人的支援など、都独自の支援事業を実施しております。
また、都立学校の老朽校舎の改築や大規模改修に当たっては、新たなタイプの学校設置、既存建物の建築年数、建物及び附帯設備等の老朽度合いを基本としつつ、今後変動が予想される高等学校や特別支援学校における幼児、児童生徒数の推移、環境負荷、都市整備の動向等を総合的に勘案し、計画的に整備を進めております。
都教育委員会は、これまで計画的に耐震化のための整備を行ってまいりましたが、東京都耐震改修促進計画の策定に伴い、部室棟を含め、常時、幼児、児童生徒が利用する棟については、平成二十二年度末までにすべての都立学校において耐震化が完了するよう整備を進めております。
次に、12、障害のある子どもたちの教育の充実に向けて、教室不足を解消するとともに、教職員をふやすこと。また、寄宿舎をなくさないことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は、幼児、児童生徒の実態を踏まえ、東京都特別支援教育推進計画第一次実施計画及び第二次実施計画に基づき、知的障害特別支援学校十三校で普通教室の増築、永福学園を初め、知的障害特別支援学校十校の新設、知的障害が軽い生徒を対象とした特別支援学校四校の高等部に併置する肢体不自由教育部門の新設など、特別支援学校の規模と配置の適正化に努めているところでございます。
特別支援学校及び特別支援学級の教員については、国の基準を踏まえつつ、学級数等に応じて必要な定数を措置しているところでございます。
寄宿舎につきましては、さきの請願二一第一二六号の1及び3でご説明したことと同様でございますので、説明は省略させていただきます。
次に、13、通常学級に在籍する、特別な手だてを必要とする子どもたちの教育条件を整備することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒への対応については、都内すべての公立小中高等学校において、特別支援教育の充実のための委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など、体制の整備を進めてまいりました。
また、特別支援学校のセンター的機能の発揮などにより、各学校を支援するとともに、教員の資質向上のための研修等に努めております。
次に、請願二一第一三五号、すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、三多摩高校問題連絡協議会代表古賀禧子さん外二千二百五十八人から提出されたものでございます。
本請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというもので、教育委員会の所管は1から4及び6の内容でございます。
まず、1、人格の完成を目指し、どの子どもも大切にする教育を進めるため、公立の小学校、中学校、高等学校での三十人学級を実現することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、本件に関しましては、さきの請願二一第一三二号の5でご説明したことと同様でございますので、説明は省略させていただきます。
次に、2、公立高等学校への進路希望者が全員入学できるように、これまでの都の就学計画を抜本的に見直すことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都内全日制高等学校の就学計画は、私学関係者とで構成する公私連絡協議会における協議を経て策定しております。
この就学計画では、都内の公立中学校卒業予定者の全日制高等学校進学希望率を上回る九六%を計画進学率とし、都立高等学校と私立高等学校の受け入れ割合を定め、各年度の生徒受け入れ分担数を決定しております。これに基づき、公私ともに募集を行っており、全日制課程進学希望者に対し、必要な募集人員を確保しております。
次に、3、中学校卒業生の増加に合わせて、必要な公立高等学校を建設することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都内全日制高等学校の就学計画につきましては、ただいまご説明したとおりでございます。今後とも、都内公立中学校卒業予定者数の動向、地域バランスや交通の利便性などを考慮し、それぞれの学校の状況に応じ、都立高等学校に入学を希望する生徒を各学校において適切に受け入れてまいります。
次に、4、公立高等学校の授業料を無償化することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都立高等学校においては、受益者負担の観点から授業料を徴収しておりますが、さきに請願二一第一三二号の9でご説明したとおり、本年一月に、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校就学支援金の支給に関する法律案が閣議決定されたところであり、今後、国の動向を注視し、適切に対応してまいります。
次に、6、障害のある子どもたちに行き届いた教育ができるよう、教育条件等の改善を早急に行うことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、本件に関しましては、さきの請願二一第一三二号の12でご説明したことと同様でございますので、説明は省略させていただきます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○大西委員長 説明は終わりました。
本件について発言願います。
○馬場委員 私からは、一二六号、寄宿舎削減計画を見直し、寄宿舎の充実を求めることに関する請願について何点か伺います。
まず、この寄宿舎の目的は、先ほどご説明をいただきました。通学困難な児童生徒に宿舎を提供し、就学を保障することを目的として設置しているものであるというふうに今はいわれております。
実は、この寄宿舎の問題、再編の計画が出てきた以降、私は、前回、平成十八年二月二十一日の文教委員会で、また、その後は二十一年、昨年の二月十六日、これは当時の、初鹿都議からこの件に関して質問をさせていただきました。
今、通学困難な理由はもちろんなんですが、後で触れさせていただきますが、このときにもはっきりご答弁いただいていなかったというふうに認識しているんですが、まずもう一つの当時の目的、自立、つまり、ここの請願にも四項目めに教育的な理由というふうに触れられておりますが、自立支援とか集団教育、集団訓練というようなことも含まれていたというふうに思っております。
このときに、こうした目的はどうなるのですかという質問で、児童生徒の自立に向けた生活訓練は、生活訓練室を整備して充実していくというふうにご答弁をいただいております。
昨年の初鹿都議の質問でも、ここで、特に今回廃止が予定をされております江戸川特別支援学校は寄宿舎を閉舎した後、生活訓練室を整備するまでに四年から五年ぐらい、工事のためにブランクが生じてしまう。このことについてのご答弁がなかったように思います。この江戸川特別支援学校における生活訓練というようなものをどういうふうに対応していらっしゃるおつもりか、まずお伺いいたします。
○前田参事 江戸川特別支援学校では、日常生活の指導などの授業の中で基本的な生活習慣の確立、自立に向けた生活訓練を目指す指導を行っているところでございます。
小学部高学年からは、近隣の宿泊施設BumB、東京スポーツ文化館などを利用した宿泊行事などを通して自立に向けた生活訓練を行っており、寄宿舎閉舎後の工事期間中についても同様の宿泊行事を実施する予定でございます。
○馬場委員 生活支援というか自立支援、集団の生活をしっかりして、社会に出ていっていただく。そういう意味では、私は大きく教育的役割を持っているというふうに実は思っているのですが、その部分を今の特別支援学校の中でしっかり果たしていくということについては、やはり今の都の状況の中で、実際には、かなり大変な状況かなというふうにも思っております。
しかしながら、そうした教育目的でのインクルーシブ教育や、社会に出ていったときにしっかり社会とコミュニケーションがとれるような、そして社会にとっても受け入れができるような、そうした環境をつくっていくことも含めて私は必要だというふうに思っているんですが、これは確かに教育庁だけで、特別支援学校だけでできることではないかなという、そんな思いもありますので、今後、そういう意味では、子どもたちの福祉的な生活支援ということも含めて、これは全体で考えていかなければならないというふうに思っております。
特に江戸川特別支援学校の寄宿舎については、残してほしいという地元の皆さんの要望が大変強く、私もいろいろな方々からいただいております。廃校したら、この後のところを、それではそうした福祉的なものに、子どもの教育支援等に使えるのではないかと。運営主体を変えればいいのではないかというようなご提案までいただいているのですが、この寄宿舎廃止後の活用予定について伺います。
○前田参事 都教育委員会では、東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画において、江戸川特別支援学校は隣接する小岩特別支援学校との再編を行い、平成二十六年度に江戸川地区特別支援学校(仮称)として開校する予定としております。
寄宿舎の敷地につきましては、知的障害教育部門の校舎棟建設用地の一部として活用することとしております。
○馬場委員 そうなんですね。残念ながらといいますか、今の状況の特別支援教育全体のことを考えると、ここはあけて使えるというところではない状況なんだというふうに教育庁は考えていらっしゃると。特別支援教育全体では使いたいところなんだということなので、その意味では、地域からご要望のあるような状況をどういうふうにクリアしたらいいかという、そうした宿題は残るわけですが、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、子どもたちが教育を受ける環境、生活訓練ということも含めて、教育庁だけでない部分での地域との連携も含めて、私も検討していきたいというふうに思っておりますが、ぜひともこういった点、これからもご検討いただきたいというふうに思います。
それでは、第一の目的の通学困難者を解消するという目的が再編整備の中できちんと守られるのかということが、やはり保護者、またご本人も含めて大きな課題だというふうに思っております。
ご説明にもありましたが、もちろん通学困難という状況がいろいろ考えられるわけですが、都教委の考えている通学困難で受け入れられる条件というのでしょうか、その中に、請願者の四項目めにも、もう一つ、家庭の事情というのも十分考慮してほしいということがございます。しかし、この家庭の事情というところをどこまで受けとめられるのかというようなことが、やはり一番大きな問題点になるというふうに思いますが、通学困難の中の家庭の事情によるということを認めるという、そのことについてどういうご認識か伺います。
○前田参事 家庭の事情につきましては、保護者の長期で継続的な通学の付き添いが困難な場合といったような規定がございまして、こういった通学困難な期間としては、おおむね一カ月程度を考えております。
それから、通学困難な状況が生じた場合には、年度途中においても児童生徒を受け入れて、柔軟な対応をしていくように考えております。
○馬場委員 通学困難な期間をおおむね一カ月というご答弁がありましたけれども、一カ月というのは、事前にわかって、きちんと対応できるという意味の一カ月だというふうに、双方の事務的なことを考えればそう思いますが、一カ月以上は子どもを通学できない状況には置かないということだと思いますが、じゃ、一カ月以内なら休ませてもしようがないかということには、やはりならないというふうに思うんですね。
また、その状況においても、その回数等も含めて、何というのでしょうか、利用というか、必要だということが、子どもももちろんですが、保護者の状況がどこまでそれを受け入れられるかというようなことになるというふうに思います。
その状況で、当初の策定前の平成十五年の、データとしていただけるものと、直近のと、というふうにお願いしましたら、平成二十年の利用のデータをいただきました。知的の青鳥と八王子が閉舎したということもあると思いますが、全体に寄宿舎の利用実態は減ってきている。学校ごとに、十五年から利用がふえているのは立川の二四%が三〇%と、肢体の城北の三〇%が三二・七%。あとは減少していっているという状況にあります。
そして、入舎の許可をしている理由ごとにいただきました。これは多分、二十一年五月一日現在ですね。今年度の当初の数字ですね。入舎許可の理由。寄宿舎の定数が三百九十四ありますが、そのうち入舎許可が出ている生徒。当初の在住の生徒が九名、それから、九十分以上という理由で入られている方が三十一名、その他、全部で足すと二百四ということでございます。
週当たりの宿泊回数等もいただきましたが、やはり保護者本人の状況等も見た場合に、まだまだいろいろな条件で、この寄宿舎を使いたい、使わなければならない条件があるのではないかというふうに思っております。
私は、やはりすべての子ども、小中高生は、特に義務教育、すべての子どもが、極端にいえば一日たりとも、本人の都合以外で通学ができないという状況をつくってはならないというふうに思っております。
そうしたところで、今後そういう意味では、都教委のおっしゃる通学困難の児童は絶対に生じさせないというような状況を、そこの再編整備の中でつくっていただきたいというふうに思っておりますが、このことについてご認識を伺いたいと思います。
○前田参事 都教育委員会といたしましては、今後も東京都特別支援教育推進計画に基づき、新しい学校の設置やスクールバスの増車などを計画的に実施して、通学時間の短縮化を図り、通学困難の解消に努めてまいります。
また、寄宿舎につきましては、通学困難を理由とする児童生徒を引き続き適切に受け入れてまいります。
○馬場委員 今回、そういう意味では、ちょうど適正化の中間に来たというふうに思っております。状況を見る中で、寄宿舎の再編整備はせざるを得ないものと私は思いますが、その中で子どもに影響がいってはならないと。ですので、今後、特に特別支援を必要とする子どもたちの保護者の負担も大変大きいというふうに思っております。
そういう意味では、あらゆる制度、そして私どもの地域のそうした仕組みも含めて、こうした特別支援の中で通学をしっかり守る、そうした体制はつくっていかなければならないというふうに思っておりますので、今回の請願については採択するという、賛成するわけにはいきませんが、子どもを保障するということだけはしっかりお約束をしていただきたいとお願いをして、質問を終わります。
○畔上委員 まず、都立高校の授業料の負担軽減についてです。
高校の卒業や入学の季節を迎えたわけですが、今、派遣切りなどの雇用破壊や国内外の未曾有の経済危機の中で、学費が払えなくなった、それから、通学費がないので退学したなど、深刻な事態が広がっています。
全国調査によりますと、私立高校の授業料滞納者数が昨年で一昨年の三倍、二万四千四百九十人に上ります。多くの若者が学費が払えずに高校を卒業できない、また、中退せざるを得ないということになりかねません。また、学費が準備できなくて高校進学をあきらめる、そういう若者がふえることも心配しております。
そういう点では、経済的な理由で都立高校から排除される、そういう子どもたちをつくらないと。そのためにも全力で取り組むのは、私は都教委の責務だというふうに思いますが、まずその認識を伺いたいと思います。
○森口都立学校教育部長 平成二十年度中の経済的理由による中途退学者は都立高校生約十三万人のうち、全日制で五十七人、定時制で六十八人、合計百二十五人でありまして、全体十三万人のうち〇・〇九六%に当たることとなります。
都教育委員会においては、経済的に厳しい状況の家庭等について、従来から授業料減免制度を設け、就学機会の確保に努めております。
また、減免制度が受けられない生徒については、奨学金制度の活用が可能であり、都教育委員会としては、機会あるごとに、この奨学金制度の周知徹底を図っているところでございます。
なお、一月に公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案が閣議決定されたところであり、今後、国の動向を注視し、適切に対応してまいります。
○畔上委員 減免制度は、確かに今、都立高校で、全日制では一割、それから定時制では二割の生徒が利用されている大事な制度でございます。また、奨学金制度もありますけれども、こうした制度があっても、先ほどお話があったような経済的な理由で中退している子どもたちが百二十五人いるということであります。私は、だからこそ、今、進級できない、卒業できない、そういう生徒をつくらない具体的な手だてが急がれているんだというふうに思うんです。
その一つが、昨日の生活文化局の質疑でも申し上げましたが、政府がこの緊急事態に対して、二〇〇九年度の卒業生に限っての生活福祉資金の貸し付けを滞納時にさかのぼって貸し付けるという制度の活用です。これは二月十二日の通達ということもあって、制度の徹底というのが私は急がれると思います。福祉保健局とも連携をして周知徹底をしていただいて、都立高校においても、経済的な事情で卒業できない、こういう生徒を絶対に生まないように強く求めたいと思います。
先ほどご説明のありました公立高校の授業料の不徴収の問題ですが、これはすべての子どもたちの教育を受ける権利を保障するという観点から立てば大きな前進だというふうに思っています。
しかし、都立高校の授業料は、この国の標準額よりも三千六百円高額ということで、このままでは無償とならなかった。そこで私たちは、国の授業料との差額分を都で責任を持って支給するようにということを求めさせていただきましたが、この四月から、差額分は都として支給し、授業料は不徴収としたことは評価しておりますが、その分、別の形で保護者に負担を求めることがないようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○森口都立学校教育部長 都立高校の授業料におきましては、国による公立学校の授業料不徴収の措置に伴い、都の条例上の料額と国の負担額との差額についても、法の対象者からは不徴収とすることとしております。
都の条例上の料額と国の負担額との差額により生ずる減収分につきましては、教育サービスの低下とならないよう、都の内部努力により経費を削減して対応してまいります。
○畔上委員 都の保護者が負担する教育費の調査報告書によりますと、都立高校の場合は、授業料以外で一人平均年間五万三百三十九円かかっております。そうした中で、経済的な理由ということがはっきりしている中途退学の生徒が、先ほどもご説明のあった百二十五人の子どもたちなわけです。
ですから、私は、授業料の不徴収だけでなく、やはり教育の一環として経済的支援を考えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○森口都立学校教育部長 保護者負担の軽減を図るため、都立高等学校運営費標準を定めまして、公費で負担すべきものと私費で負担すべきもの、こういった経費負担区分を明確にしてございます。
学校納付金につきましては、積立方式により保護者負担の平準化を行い、また、卒業アルバムや修学旅行経費につきましては、それぞれ限度額、上限額を定めているところでございます。
○畔上委員 修学旅行なども私費負担が当たり前のような、そういう考え方を私は早く改めてほしいというふうに思います。都としても、やはり授業料のみならず、実質的に高校の無償化を取り組むよう強く求めたいと思います。
次に、緊急に対策を講じなければいけない問題としてあるのが、都立高校の新一年生の受け入れの拡大です。今回の募集で都立高校全日制に進学を希望する公立中学三年生は五万四千三十三人と、三年連続で増加しております。都立の受け入れ枠四万二千六百人を一万人以上も超える、こういう事態になっています。
昨年は全日制の入試倍率が単独選抜が始まって以来最高になるとともに、定時制の応募も激増して、二次募集でも不合格者の子どもたちが百十四人ありました。その結果、昨年の公立中学卒業生の全日制の高校進学率は八九・九%と、九割を下回るということで都民に衝撃を与えました。
このままでは、ことしはさらに深刻な事態になるということが予想されるわけです。それだけに私は都立と私立が協力して、高校教育を担ってきた歴史を踏まえつつ、緊急措置として都立の募集枠を拡大するとともに、私立高校への経済的支援をさらに拡充するなど、実効ある対策をとることを求めてきたわけですが、私立については昨日質疑をいたしました。
都立高校については、我が党としては二月四日に緊急申し入れを行いましたが、その際に都教委は、既に都立高校の受け入れ枠を公私協で協議をして決めているので、今受け入れをふやすのは無理だというふうにご答弁されています。緊急の公私協議会を開くことをしませんでした。
私は、せめて公私協の枠外で、都教委の独自の判断でできる定時制の高校の受け入れを拡大すべきではないでしょうか。伺います。
○森口都立学校教育部長 公私協議会につきましては、全日制に就学する生徒ということでございますが、二次募集で残念ながら不合格になりました生徒につきましては、通常は全日制の二次募集、それから定時制の二次募集、その後に、定時制の場合には三次募集、四次募集を行います。また、通信制課程の募集がその後ということで、こういった受験が可能であるという制度でございます。
こうした全体の応募状況と、それから定時制課程に在籍している生徒数から判断いたしまして、生徒の受け入れ枠は確保していると考えておりまして、現在のところ募集人員をふやす予定はございません。
○畔上委員 今、四月以降の三次、四次の募集があるというお話だったんですが、ことしの実績を調べてみますと、多摩地域は、三次の普通科は募集はゼロ。単位制も、商業も工業もゼロですよ。あったのは、あきる野の併合科で四人だけです。
公私協議会についても、希望しているにもかかわらず、高校に進学していない子どもがいることに心を痛めて、実質、進学率を向上させるために実効ある対策を協議する、そういうふうに書いてあるんです。これはずっと表明されているにもかかわらず、都民や保護者から見ると、その議論が全然見えてこないわけです。実際に受験する生徒や保護者の立場からの意見を反映させる、そういう仕組みも今ないわけです。
私は、私学関係者や都教委、そして生文に加え、保護者、それから都民などが参加をした場でこの問題についても真剣に議論して、ぜひ解決の方策を見出していただきたいということを強く求めたいと思うんです。十五の春を泣かせる、そういうことは絶対にあってはならないというふうに思います。その立場で取り組んでいただきたいと思うんです。
次に、障害児の特別支援学校について伺いたいと思います。
前回の委員会において、江戸川の特別支援学校の詰め込みの問題を指摘して、葛西臨海地域に新設校を求めましたが、教室不足というのは全都的に深刻であります。特別支援学校の現在の学級数は二千四学級ですが、保有教室は千六百七十八教室、そのうち転用の教室が三百六十四教室ですから、教室は六百九十教室も不足しているということになるわけです。本来必要な教室数の三分の一以上が不足しているということになるわけです。
私は先日、中野の特別支援学校を視察しましたが、この学校では既に、二〇〇二年度の、八年前なんですけれども、我が党都議団が視察したときにも、既に教室不足に悩まされていた。その当時でも二百八人。しかし、今、子どもたちの数は三百二人と増加しています。
普通教室の不足に対応するために特別教室が転用されたり、また、教室をカーテンで仕切ったりという事態が常態化しているわけです。カーテンで仕切った教室では子どもたちの声や先生の声が交錯して、授業にも重大な支障が生じていて、私も先生にお話を聞いていたんですけれども、カーテンの向こうから子どもたちの声が聞こえて、お話が聞こえませんでした。
私は、改めて中野の特別支援学校の沿革を調べてみたんですけれども、開校当時は十八学級九十七人。二十二年前、途中でプレハブ校舎をつくって高校生も入って、それはいまだにプレハブなんですけれども、学校の敷地は、小さな公園を特別教室に少し足しましたが、ほとんど変わっていません。それにもかかわらず、十八学級は五十八学級になっている。九十七人が三百二人と三倍にふえているんです。こんな詰め込みは普通の学校ではあり得ないんです。中野の特別支援学校の場合、どう対処しようとしているんでしょうか。
○前田参事 中野特別支援学校につきましては、東京都特別支援教育推進計画、第一次実施計画におきまして、校舎の増築による対応をしてきているところでございます。
今後も第二次実施計画を着実に推進する中で、学校の適正配置や通学区域の変更などにより対応してまいりたいと考えております。
○畔上委員 校舎の増築をしても足りないということなんです。
抽象的なご答弁なんですが、ということは、中野の特別支援学校は現在過密であるということをお認めになるんでしょうか。
○前田参事 中野特別支援学校につきましては、今申し上げましたような校舎の増築ですとか、それから特別教室等を普通教室化するなどの方策により、教育活動に支障がないような工夫を行いながら、現在必要な教室を確保しているところでございます。
○畔上委員 支障が起きていることも認めないというのはとんでもないことだと私は思うんです。
平成十一年に東京都が作成した養護学校の整備標準というのがあります。この整備標準を見ますと、現状における問題点は何かということがここにも書いてあります。これは東京都自身が書いていることですが、十年前のこの資料に、知的障害養護学校の教室としての独立性が損なわれるために声が筒抜けになり、授業にも支障を来していると。カーテンなどの仕切りで教育活動に支障があるということも指摘しているわけです。
みずから認めてきたのにもかかわらず、抜本的な改善もしないで年々深刻化させてしまった事態。そして、教育条件として余りにも基本的な教室の確保という問題に対して、繰り返し現場からも要望せざるを得ない。こういう事態に都教委はどういう対策を講じてきたんでしょうか。
○前田参事 都教委としましては、東京都特別支援教育推進計画に基づく学校の適正配置を進めながら、増改修や特別教室の普通教室化、さらには通学区域の変更などにより対応してきているところでございます。
○畔上委員 障害のある子どもたちの学習権が脅かされているという緊迫感が全然ないですよね。現時点での特別支援学校を何校つくるつもりでしょうか。
○前田参事 平成二十二年度以降開校する学校は、第一次実施計画においては三校、第二次実施計画においては七校でございます。
○畔上委員 十校純増であるならば理解できるんですが、計画では五十五校と、学校の総数は全然ふえていないんですよ。学校の総数はふやさないで、統廃合で大規模化させて何とかクリアしようというのが実態じゃないでしょうか。それでは足りないんですよ。だから、学校増設をというのが保護者の皆さんからの切実な願いなんですよ。
都の施設標準から見て、現行の特別支援学校でこの施設標準が守られている学校は一体何校あるんですか。
○前田参事 特別支援学校の施設につきましては、それぞれの学校の用地の状況や建築条件などを踏まえまして、適用される法令等に基づき、必要な教室数等を整備しているところでございます。
○畔上委員 ということは、施設標準が守られている学校はないということですか。
○前田参事 繰り返しになりますけれども、特別支援学校の施設につきましては、学校の敷地等の状況に応じて必要な施設を整備しているということでございます。
それから、児童生徒数の増減による普通教室の確保につきましては、先ほども申し上げましたように、特別教室の普通教室化を含めて対応しているところでございます。
○畔上委員 標準を守られている学校の数はいえないということですね。
都の作成した施設標準によると、知的障害児の特別支援学校の教室は五十六・九平米で、その設置条件も詳細に書いております。みずからつくった施設の目安も無視して、学校もつくらない、そしてその場しのぎのやり方で現場に無理を押しつけてきた。今、教室不足が生まれているのはその結果だというふうに思うんですね。本当に許せないと思います。
第三次の計画の議論が始まっているわけですけれども、この第三次計画の議論の中で教室不足問題はどんな議論になっているんでしょうか。
○前田参事 第三次実施計画につきましては、平成二十二年度中、今年度中に策定することとしております。
教室確保の問題などにつきましては、まず、児童生徒数の推計や学校の状況を検証することが大切であると考えておりまして、そうした検証を踏まえて、今後議論を深めていきたいと考えております。
○畔上委員 不足は明白であり、日々の子どもたちの教育にかかわる重大な問題なわけですから、早急に増設を求めたいと思いますが、その辺の考えを伺いたいと思います。
○前田参事 ただいまお答えしましたけれども、児童生徒数の推計や学校の状況等を検証した上で、必要な教室確保について適切に対応していきたいと考えております。
○畔上委員 私は、障害のある子どもたちの教育権を保障するために、やっぱり学校増設は早急に取り組んでいかなきゃいけない課題だというふうに思っております。そのことを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
寄宿舎の廃止の問題についてです。
立川ろう学校、それから江戸川特別支援学校の寄宿舎を廃止しようとしておりますが、私はこの間、寄宿舎の廃止はいかに道理がないのか、子どもたちの人権を脅かすものじゃないかということを指摘させていただいて、撤回を求めてまいりましたが、都教委の姿勢はかたくなであります。
私は、改めて立川ろう学校の寄宿舎の生活が一体どういうものなのか、どんな役割を果たしているのか、夜、見学をさせていただきました。また、寄宿舎生活をされている生徒さんのご自宅にも伺ってきました。そこで私は、家庭環境と就学保障は本当に切っても切れない問題で、その中でいかに寄宿舎が大きな役割を果たしているのかということを痛感しました。
ある舎生なんですが、この子は、小学校は普通の小学校でした。友達も温かく、よい環境でいたんですけれども、聞こえないことで相手のいうことなどが理解できるまで非常に時間がかかって、自分なりに悩んで、中学から立川ろうに入りました。寄宿舎に入っていませんでしたけれども、通学中のJRの事故に遭って、駅員さんに学校に連絡してほしいと伝えてもなかなか理解してもらえなかったということでパニック状態になって、少しそのことがトラウマ状態になってしまったと。
そこで、自分と家族で話し合って、寄宿舎に入ったわけです。そして、寄宿舎に入って、学習面でも生活面でも自信をつけて、毎日楽しく学校に通えるようになったということなんです。その生徒さんは、私が成長できたのは寄宿舎に入ったおかげだというふうに語っていました。
その子はこれまでおとなしい子でしたけれども、寄宿舎に入ってからはよく笑う子になったというふうに伺いました。障害のある子どもが笑顔で過ごせるということは、家族にとっても本当に大きな励みになることだというふうに思うんです。
ちなみに、その生徒さんが通学時間どれだけかかるのか。片道一時間四十分です。寄宿舎が廃止となったら、四月からは毎日片道一時間四十分の通学になるわけです。帰宅はバスと電車を乗り継いで、バス停から自宅まで真っ暗な道を歩くことに大変心配をしているお母さんは、駅まで車で迎えに行ってあげたいというふうに考えているんですけれども、兄弟の面倒、それから親の介護と、とても送迎ができないと不安でいっぱいなわけです。
また、ある別の舎生なんですけれども、脳性麻痺を持つ十二歳の子どものお母さんがこんなメッセージを新聞に載せていました。四年前に夫が三人の幼子を残して病死。私も持病があって働くことは難しい。そこで救いなのが寄宿舎だ。通学が困難な障害児が放課後から翌朝まで過ごす単なるケアではなく、仲間や先生の丁寧なかかわりの中で得がたい社会性を身につけることができる。しかし、東京都は減らそうとしている。五年後の息子たちとの暮らしが見えない。そういって締めくくっています。
滋賀県では、父子家庭のお父さんがやはり寄宿舎が廃止となることを受けて、先が見えないと二人の障害のあるお嬢さんを道連れにして、無理心中までしているわけです。
寄宿舎の存在というのは、第二の家庭であって、困難を抱える家庭のよりどころになっているわけです。だからこそ、三月に立川、そして来年度に江戸川だと。廃止に向けた準備が着々と強行されている中においても、どうしてもなくさないでほしいんだという切実な声をこうやって都議会に請願されているんだと思うんです。都教委はこのなくさないでほしいという声をどう受けとめているんですか。
○前田参事 寄宿舎の閉舎につきましては、平成十六年度に策定した特別支援教育推進計画において、その適正な規模と配置にかかわる考え方を示し、計画終了期間までの間に十一舎から五舎とすることとしております。
また、立川ろう学校及び江戸川特別支援学校の寄宿舎の閉舎につきましては、第二次実施計画において示しているところでございます。
この計画につきましては、都民や保護者の方に公表するとともに、閉舎となる学校の保護者や児童生徒に対しても繰り返し説明してきているところでございます。
○畔上委員 納得していないからこういう請願が出るんじゃないですか。通学困難な子が減っているから寄宿舎を十一から五舎に削減するというふうにおっしゃいましたけれども、今、都教委は通学困難な子まで切ろうとしているんですよ。
先ほどいった片道一時間四十分、通学にまだ不安を抱えながらも、それでも頑張って通うと、けなげに必死に立川ろうに通い続けると子どもたちはいっているわけですよ。都教委が今やろうとしているのは、この中学生に、あなたは今の学校に通いたいなら三時間以上かけて通いなさいよと。それが嫌だったら、友達と別れて一人で転校して、そして視力障害の子どもたちの寄宿舎に入りなさい、そう迫っているんですよ。
障害者の権利条約の第七条では、子どもの最善の利益、原則と意見表明権を明記しているわけです。それを全く無視したやり方じゃないでしょうか。どうですか。
○前田参事 立川ろう学校の寄宿舎の閉舎につきましては、当該学校の児童生徒や保護者の方々に対しては、保護者会等を通じて繰り返し説明をしているところでございまして、理解を得られているものと考えております。
○畔上委員 しかも、聴覚障害の子どもたちの単独の寄宿舎は一つもなくなってしまうわけです。葛飾の視力障害の子どもたちの寄宿舎と一緒にするんだということなんですけれども、聴覚障害の子どもたちというのは手話と口話がコミュニケーションの手段なんですよね。ところが、それが見えない視覚障害の子と一緒になると、そういう点では声が頼りの子と、手話が頼りの子どもたちがどうやってコミュニケーションをとるんでしょうか。寄宿舎は寝泊まりするだけの宿舎、そう考えているんですか。
○前田参事 寄宿舎の基本的な役割につきましては、通学が困難な児童生徒に宿舎を提供して就学を保障するというものでございます。
今お話のありました児童生徒のコミュニケーションの問題につきましては、盲学校とろう学校の教職員が十分に連携して配慮して対応していきたいというふうに考えております。
○畔上委員 学校で疲れて、ほっとしながら友達や先生とコミュニケーションをとっていく場で、とても難しいコミュニケーションの場をあえてつくる、そういう意図がわかりません。
都教委はこれまで少なくとも、寄宿舎の社会性を身につける大事な役割を認めてきたわけです。それなのに、これまでの入所基準を変えて、家庭の事情と教育的に必要だという項目を削って、通学困難だけにしてしまったわけです。その理由というのは、家庭養育状況の改善と福祉サービスの整備だというふうにいっています。
しかし、この間、格差と貧困の広がりが社会問題になっている今、障害児の家庭というのは、普通の家庭以上に困難を抱えていることは先ほども述べたとおりです。何を根拠に養育状況が改善した、また福祉サービスが整備されたとおっしゃるのでしょうか。
○前田参事 繰り返しになりますが、寄宿舎は通学困難な児童生徒の就学を保障することを目的として設置しているものでございます。
都教育委員会としましては、この通学困難の解消のために、東京都特別支援教育推進計画に基づく都立特別支援学校の規模と配置の適正化、それからスクールバスの一層の整備による通学時間の短縮化等を図ってきており、今後もこの計画を着実に推進する中で、通学困難の解消に努めていきたいと考えております。
○畔上委員 今の説明では通学困難の改善の説明ですよね。設置目的は、家庭の事情と教育の必要というものがあったのにそれを削った説明はまともにできないということですよ。
先の見通しが立たない不安を家族で抱えるのは一体どういうものなのか。経済的な負担がどれだけあるのか。どれぐらいいらいら感があって、家族関係がどういう状況になっているのか。家庭環境と就学保障という問題は密接にかかわっているものなんですよ。家庭環境と就学保障のかかわりをどう考えているんですか。
○前田参事 繰り返しになりますが、寄宿舎は、例えば島しょ地区に居住する生徒などのように非常に通学が困難な場合に、その就学を保障するために設置されている施設でございます。
児童生徒の家庭環境などにより、通学に支障が生じるような場合には、保護者、学校、区市町村などが連携しながら対応していく必要があると考えております。
○畔上委員 困難な家庭の状況があるからこそ、寄宿舎が第二の家庭としての大きな役割を果たしているんじゃないでしょうか。
保護者の皆さんがどんな思いで寄宿舎に子どもを預けているのか。あるお母さんは、こういっています。寄宿舎に子どもが泊まっている間、本当は親も心配でつらいんだと。だけれども、どんなに頑張ってもほとんどは親の方が先にいく。そのことを子どもが小さいうちから考える気持ち。親から巣立つという言葉はあるけれども、本当に障害のある子どもたちにそんな日が来るのか。そう考えながら、自分がいなくなってもちゃんと生活できるようにしてほしい。何よりもどんな人にも愛されるように、そんな願いを込めて、寄宿舎を利用しています。こういっています。
家庭の実態と家族の思いをしっかりと受けとめて、家族の困難に向き合って一人一人の子どもたちの教育を受ける権利を本気で守る、私はそういうことこそ教育委員会の仕事だというふうに思うんですが、希望調査や実態調査、私はすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○前田参事 寄宿舎に入舎する上で必要な児童生徒の情報につきましては、プライバシーにも配慮しながら学校において把握しているところでございます。
○畔上委員 実態調査もやらない、保護者の切実な声も聞かない、とにかく立川と江戸川の寄宿舎廃止ありきと。これは本当に明らかに障害者の権利条約にも違反していますよ。権利条約のかなめというのは、私たちを抜きに私たちのことを決めないでほしい。これが私は障害者の権利条約のかなめだというふうに思うんですね。教育の現場で、この権利条約を守るべきなんじゃないでしょうか。
○前田参事 寄宿舎につきましては、通学困難な児童生徒の就学保障のために、学校教育法上に規定されたものでございまして、障害者権利条約の考え方に反するものではないと考えております。
○畔上委員 守っていないから私はいっているんです。ことし第三次の計画がありますけれども、その策定に向けた委員会が設置されているわけですが、メンバーの中に寄宿舎の保護者は入っていますか。
○前田参事 第三次実施計画につきましては、平成二十二年度中に策定することとしており、検討を行っているところですが、策定に当たっては、これまでと同様にパブリックコメントを通して、都民、保護者の方々の意見については聞いていこうと考えております。
○畔上委員 メンバーには入っていないということですね。やはり一次計画以降、自立支援法が制定されたり、経済的困難が広がったり、障害児をめぐる環境も、本当に今大きく変わっているわけです。だから、やっぱり一次計画を前提にしてどんどん計画を進めるというのは間違っているというふうに思うんですね。
第三次計画をつくる際に、検討委員会をなぜつくったか。その検討委員会をつくったのは、今後の障害児の教育のあり方についてもっと議論して、それで、今の子どもたちに何が必要なのか。その議論の中で、私は寄宿舎の役割についても議論していくべきだというふうに思うんです。
立川と江戸川については、私はせめて三次計画の議論の中で方向性を出すべきであって、今廃止すべきではないということを考えますが、いかがでしょうか。
○前田参事 立川ろう学校、それから江戸川特別支援学校の寄宿舎の閉舎につきましては、第二次実施計画に位置づけられておりますが、この計画策定に当たりましては、パブリックコメントで都民のご意見もいただきながら策定してきているものでございます。今後も寄宿舎につきましては、計画どおり配置の適正化を推進してまいります。
○畔上委員 子どもを本気で守ろうという姿勢のかけらもない冷たい姿勢だなというふうに私は思うんですよね。寄宿舎の役割からいったって、私はやっぱり存続をすべきだと。そのことを強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。
○大西委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
初めに、請願二一第一二六号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第一二六号は不採択と決定いたしました。
次に、請願二一第一三二号をお諮りいたします。
本件中、第十一項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一三二号中第十一項は趣旨採択と決定いたしました。
次に、請願二一第一三五号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第一三五号は不採択と決定いたしました。
○大西委員長 次に、請願二一第一三〇号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○高野指導部長 請願二一第一三〇号、教育委員会に対し教科書採択の真相究明のため再審議を求めることに関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、清瀬市、鎌田慧さん外六百九十五名から提出されたものでございます。
請願の趣旨は、平成二十一年八月十四日の臨時教育委員会において、都立学校中等部の平成二十二年度使用教科書として扶桑社の歴史教科書が採択されたが、その採択の基礎になった教科書調査研究資料には非常に不適正なものがあり、また、当該資料によっても低位にあった当該教科書がなぜ採択されたかについて、真相を究明する必要があるため、都として再審議をしていただきたいというものでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は以下のとおり、その責任と権限において、扶桑社歴史教科書そのものはもとより、採択資料や各種の調査研究資料を参考としつつ、各委員が総合的に検討を行った上で、各都立中高一貫教育校等に最も適している教科書を適正かつ公正に採択しております。
各都立中高一貫教育校等の教科書採択に当たって、主として参考とした資料は、請願に指摘された調査研究資料ではなく、歴史上の人物や現在に伝わる文化遺産などの箇所数を教科書ごとにわかりやすく一覧にした教科書採択資料や、各都立中高一貫教育校等の特色に応じて作成した学校ごとの調査研究資料でございます。
教科書採択資料に使用いたしました扶桑社歴史教科書の調査研究資料の歴史上の人物などの箇所数の数値は適正であり、問題はございません。
請願に指摘された項目の多くは、当該教科書に記載があり、教科書に記載のない一部の項目についても、教科書の記述に関連して指導可能な内容であることから、教科書採択に影響を及ぼすものではございません。
なお、平成二十二年度使用の教科書調査研究に当たりまして、扶桑社歴史教科書は改訂版が発行されず、調査研究が必要となるような内容の修正等もなかったことから、当該教科書の調査研究につきましては、平成十七年度に作成した資料のデータを使用しております。
平成十七年度に調査研究を行った後、平成十八年度以降、四年間にわたり、扶桑社歴史教科書を各都立中高一貫教育校等で使用しておりますが、特に当該教科書の使用に当たり支障は生じておりません。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○大西委員長 説明は終わりました。
本件について発言願います。
○岡田委員 私からは、この請願一三〇号に関して質問させていただきますが、まず、この請願が出されていなかったらわからなかった、そういった事実が非常に大きな問題ととらえますので、そのことを理解するために質問させていただきます。
東京都が決めることということは、どのような事柄におきましても、他の道府県に対して非常に大きな影響を与えかねないことだと思われます。それだけに教科書の採択には細心の注意が払われなければならないのにミスがあったという。そのミスがあったらあったで、都民に対してそのことを明らかにする必要があると考え、そうした観点から質問をさせていただきます。
まず、一つ目ですけれども、この請願では調査研究資料に不適正なところがあるといっていますが、このことが事実かどうかをお示しください。
また、この事実をいつお知りになったのでしょうか、お知らせください。
○高野指導部長 請願で指摘された扶桑社歴史教科書に関する調査研究資料では、教科書に記載されていることになっているが、実際には記載のない項目が一部あることは事実でございます。
なお、調査研究資料には、各教科書の内容について事項別の箇所数を数値で示した資料と、人物名や事項名を索引などから抽出して掲載した資料とがございます。前者の資料の箇所数は、教科書本文から直接数えた数値でございます。請願で指摘された資料は、後者の人物名や事項名を索引などから抽出して掲載した資料でございます。
そして、いつこの事実を知り得たかというご質問でございますけれども、この事実につきましては、昨年十二月上旬に請願が付託されたことにより承知いたしました。
以上でございます。
○岡田委員 昨年十二月上旬におわかりになって、その後の対応というのが非常に問題ではないかと思われますけれども、次に、一般的にこういった調査研究資料というのはどのようなときに作成するものなのか、お知らせください。
○高野指導部長 調査研究資料は、文部科学大臣による教科書検定を経て、新たに教科書が発行されるときや、教科書の改訂版が発行されるときに作成してございます。
例年、誤植、脱字の訂正など、内容の変更を伴わない記載事項の変更が行われることがございますが、このような場合には、調査研究資料の記載内容に変更が生ずるものではないため、調査研究資料を新たに作成することはございません。
○岡田委員 この請願で指摘のあった扶桑社の歴史教科書の調査研究資料は、いつ、だれが、どのように作成したのか。また、平成十三年度からのその経緯を説明してください。
○高野指導部長 扶桑社の歴史教科書につきましては、平成十三年度に初めて調査研究を行いまして、改訂版の発行された平成十七年度に再び調査研究を行いました。平成二十一年度は扶桑社の歴史教科書の改訂版が発行されなかったため、平成十七年度の資料を使用して調査研究資料を作成いたしました。
平成十七年度に行った中学校用社会科教科書の調査研究については、二十三人の中学校社会科教員を調査員として委嘱し、実施したところでございます。調査員が作成した資料は、都教育委員会事務局職員が内容の確認を行いまして、全体をまとめて資料を完成させたものでございます。
○岡田委員 中学校の社会科教員が調査員として実施して、その後、都の職員が内容を確認したということでよろしいのですね。
今回、なぜこのような調査研究資料の誤りが生じたととらえて認識されていますでしょうか、お知らせください。
○高野指導部長 先ほども答弁したように、調査研究資料につきましては、教科書の改訂版が発行されるときや、新たに教科書が作成されるときに作成しているものでございまして、平成二十一年度の扶桑社歴史教科書の調査研究資料は、平成十七年度に作成した資料を使用して作成してございます。
平成十七年度に調査研究を行った際、その前の平成十三年度に作成した調査研究資料をもとにして原稿を作成する段階で、記載事項の削除漏れがあったものと考えてございます。
○岡田委員 今のご説明ですと、ちょっとわかりにくい点があるんですけれども、十七年度に改訂版が発行されたのですから、十三年度の作成資料をもとにというより、新たに資料が作成されなければならなかったわけですよね。これは十七年度に改訂されたわけですから、このときに新たに作成資料というものを本当にもとから、一からつくり直さなくてはならなかったことをやっていなかったというふうにとらえてよいのでしょうか。
まずそれが一つと、続けてお願いいたします。中学校の社会科教員が調査員として委嘱され、この調査員には謝金が出ているのでしょうか。
○高野指導部長 先ほどの答弁につきまして、平成十三年度から改訂版が出たものでございますので、十七年については新たに作成しておるものでございます。
また、今のご質問でございますけれども、調査員に謝金が出ているのかということでございますが、調査員は勤務時間外に調査研究を行うため、一人当たり一万一千八百五十円の謝金が支払われてございます。
○岡田委員 一人当たり一万一千八百五十円の謝金が出て、支払われていながら、このようなミスをするような仕事しかしていなかったということは非常に大きな問題だと思われます。そういった意味では、東京都の教育委員会のチェックも十分ではなかったのではないかと思います。
このようなずさんな状況があったということは本当に大きな問題だと思いますし、十七年度に間違いなく調査研究資料をきちんと作成していれば問題はなかったということですよね。そのようなことが明らかであると思います。
また、この調査研究資料を作成した後、教育委員会では、この教科書が採択されるまでの流れはどのようになっているのでしょうか、お示しください。
○高野指導部長 都教育委員会事務局は、調査研究資料を作成した後、請願で指摘された人物名や事項名を索引などから抽出して掲載した資料ではなく、各教科書の内容について事項別の箇所数を数値で示した資料をもとにいたしまして教科書採択資料を作成してございます。
教育委員は、教科書そのものはもとより、教科書採択資料や各種の調査研究資料を参考といたしまして、採択に向けて検討を行ったものでございます。
教育委員会当日は、各委員の無記名投票で多数決により採択を行いました。
○岡田委員 この請願によりますと、調査研究資料で低位にあった扶桑社の歴史教科書が採択されたといっておりますが、評価の低いものがなぜ採択されたのか、わかるようにご説明をお願いいたします。
○高野指導部長 調査研究資料につきましては、順位をつけて教科書の優劣を判断したものではございませんで、参考資料の一つでございます。扶桑社の歴史教科書は、文部科学大臣による教科書検定を経て発行されているものでございまして、学習指導要領の目標に沿って作成された教科書でございます。
都教育委員会では、その責任と権限において、扶桑社歴史教科書そのものはもとより、教科書採択資料や各種の調査研究資料を参考としつつ、各委員が総合的に検討を行った上で、各都立中高一貫教育校等に最も適している教科書を適正かつ公正に採択しているものでございます。
○岡田委員 採択はそのようにされたということはわかりました。
また、最も適している教科書を採択というのは、言葉でいってしまえば簡単なんですけれども、非常に難しい言葉であるなということを、今、私、改めて思ったわけですけれども、こういった教育委員の方、たしか六名でしたか、この個々の委員の方々はどのような理由でこの教科書に投票されたのかということを都教委ではどのように把握されているでしょうか。
○高野指導部長 どのような理由で扶桑社の教科書に投票したのかというご質問でございますけれども、この件につきましてでございますが、外部からの働きかけに左右されることなく教科書採択を行うため、都教育委員会においては委員の無記名投票による採択を行っているものでございます。
個々の委員がどのような理由で扶桑社の教科書に投票したかは定かではございませんが、仮に教科書を選んだ理由が明らかになるとすると、教育委員個人に対する誹謗中傷等が行われまして、今後の教科書採択において、委員の自由な意思に基づく採択ができなくなるおそれがございます。無記名投票を実施している趣旨から、理由については明らかにできないものと考えてございます。
○岡田委員 この教科書採択に当たっての流れというものがわかりました。
教科書採択というのは細心の注意を払って行わなければならないところであります。そういった意味では、今回の請願によって、教育委員会の調査研究資料の作成段階での一部誤りがあったという事実が明白にされたことがまず重要であると私はとらえ、今後の対応を明らかにしていくことを要望いたします。その上で、この請願に関しましては再審議を求めるまでではないと判断いたしました。
今後はこのようなことがないよう、調査研究資料を作成する段階で細心の注意を払いながら、しっかりと教科書採択に当たっていただきたいと強く望んで、私の質問を終わります。
○古賀委員 教科書は学校教育における最も重要な教材であり、その採択のための手続は客観的な視点と斉一な環境のもとで実施しなければならないとの観点から、当請願に関し、幾つか質問を行います。
この請願では、調査研究資料が適正かどうかを殊さら問題としていますが、そもそも調査研究資料によって教科書を決めるものではありません。教科書は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法などで定めるように、教育委員会の責任と権限に基づいて選ばれなければならないもので、調査研究資料は、教育委員会が教科書を選ぶ際の参考資料にすぎないのであります。
今回の請願から少し離れますけれども、過去に、市、あるいは区において、事前に教科書を一種類、あるいは数種類に絞り込むことが行われていました。これは、例えば教職員組合などの一部の勢力が扶桑社の歴史教科書に反対する運動を行って、この反対運動を背景として、市や区の教育委員会の採択に先立って、学校票などという形で教科書に順位をつけていた。つまり、実質的に絞り込んでいたというものであります。
これは明らかに、採択は採択権者のみずからの権限、責任において適正かつ公正に行う必要があるとする地方教育行政の組織及び運営に関する法律や、教職員の投票によって採択教科書が決定されることを禁じた文部科学省の通知に反することであります。
私は、この点に関してこれまで何度かこの文教委員会で指摘をし、教科書採択の適正化を促してきたところであります。
そこで改めて、確認を含めて、先ほどの答弁、質疑でありましたけれども、私の立場から質問を行います。
都立学校で使用する教科書の採択権はどこにあるのか。その際、調査研究資料はどのような位置づけになるのか、お答えください。
○高野指導部長 都立学校で使用する教科書の採択につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第六号によりまして、都立学校の設置者である都教育委員会が採択権者となってございます。都教育委員会では、東京都教科用図書選定審議会の答申に基づき、採択権者の責任と権限におきまして、最も適切な教科書を採択しているものでございます。
東京都教科用図書選定審議会は、各中高一貫教育校等の特色などを踏まえまして、教科書、調査研究資料を参考といたしまして、都教育委員会の責任と権限において採択するよう答申を出したところでございます。
調査研究資料につきましては、都教育委員会が教科書を採択するに当たっての参考資料としての位置づけでございます。
○古賀委員 教科書の採択権が東京都教育委員会にあること、調査研究資料はあくまでも参考資料であることが改めて、今、確認できました。
次に、先ほどの請願の現在の状況説明で触れられておりましたが、調査研究資料について、さらに少し詳しく説明していただきたいと思います。
今回、都立中高一貫教育校等で使用する歴史教科書を採択するに当たって、どのような資料を作成し、主として参考とした資料はどれで、この請願で指摘されている資料との関係はどうなっているのかを伺います。
○高野指導部長 都教育委員会では、都立中高一貫教育校等の歴史教科書の採択に当たりまして、東京都教科用図書選定審議会により適切と認められた四種類の資料を参考としたところでございます。
四種類の資料のうち、第一でございますが、これは教科書採択資料でございます。これは、歴史上の人物や現在に伝わる文化遺産などの箇所数をすべての教科書について一覧にした資料でございます。
第二の資料、これは学校ごとの調査研究資料でございます。これにつきましては、各都立中高一貫教育校等の特色を踏まえて作成した学校ごとの調査研究資料でございます。
第三の資料でございますが、これは概括的な調査研究資料でございます。これにつきましては、公立学校の各採択権者が共通に参考とするため、各教科書の内容について事項別の箇所数を数値で示した資料でございます。
以上、三種類の資料のうち、第一点に申し上げました教科書採択資料が最も重要な資料でございます。これは、第二、第三の資料の直接教科書本文等から数えた箇所数を基礎に作成したものでございます。
したがいまして、これら三種類の資料が主として参考とした資料ということができるものでございます。
第四の資料でございますが、これは具体的な調査研究資料でございます。これも公立学校の採択権者が共通に資料とするところでございますが、具体的な人物名や事項名を索引などから抽出して掲載した資料にすぎません。請願に指摘された資料はこの資料でございまして、第一の教科書採択資料の基礎となっているものではございません。
○古賀委員 今の答弁で、今、話題となっている調査研究資料は、教科書採択に当たっての参考資料であること。さらに、請願に指摘された資料は、四種類ある資料の中では、主として参考とされた資料ではなく、索引などから具体的な事項名などを抽出して掲載した資料にすぎず、最も重要な教科書採択資料の箇所数の基礎となっているものではないということがわかったわけであります。
そうすると、仮に請願で指摘された資料に事実と異なる記載があったとしても、第一から第三の資料に影響を与えるものではなく、採択に大きく影響を与えるものではないといえると私は思います。
次に、事実は果たしてどうなっているかという点を質問いたします。
この請願では、教科書に載っていない項目が四十三項目あるとされていますけれども、これらの項目は、ただいまの答弁で説明のあった、具体的な人物名、事項名を索引などから抽出して掲載した資料にすぎない第四の資料に掲載されたものであります。このうち、本当に教科書に記載されていない項目は何項目あるのでしょうか。お答えください。
○高野指導部長 請願では、扶桑社歴史教科書に関する調査研究資料の別紙2-1から3において、教科書に載っていない項目が四十三項目あると指摘してございます。しかし、具体的にどの項目が教科書に載っていない項目なのか、すべては明らかにされておりません。
そこで、別紙2-1から3の資料に掲載されている四百七十六項目のすべてについて確認をした結果、教科書の索引、本文や巻頭末の年表等に記載されていないのは二十五項目でございます。請願に指摘された箇所数は事実と異なるものと考えてございます。
さらに、この二十五項目のうち、教科書本文等からの転記ではないが、類似の用語の記載と考えられる項目が九項目ございます。
したがいまして、請願で指摘された資料の別紙2-1から3に掲載された四百七十六項目のうち、全く教科書に記載のない項目は十六項目であると考えております。
なお、この十六項目につきましても、教科書に密接に関連した記述があるため、教員が授業の中でその記述に関連して生徒に指導を行うことが可能でございまして、学習指導要領の目標を達成する上でも支障はないものと考えてございます。
○古賀委員 今の答弁は非常に重要であったというふうに考えます。
請願では四十三項目も教科書に載っていないといっているわけでありますけれども、実際は教科書に全く記載のないものは四百七十六項目中十六項目のみで、それも授業の中で関連して指導することが可能であって、学習指導要領の目標を達成する上で支障もないということがはっきりしたというふうに信じます。請願の指摘の方が事実と異なった、かなり針小棒大な指摘であるといわざるを得ないようであります。
それでは、次に、少ないとはいえ、教科書に記載のない項目が資料に掲載されているということでありますので、この点について質問をいたします。
なぜ教科書に記載のない項目が資料に掲載されることになってしまったのか、経過を伺います。
○高野指導部長 調査研究資料は、教科書採択に当たりまして教科書の改訂版が発行されるたび、あるいは新たに教科書が発行されるたびに新規作成しているものでございますが、例年行われる細かな修正など、内容に変更がない場合には作成してございません。
扶桑社は平成二十二年度から二十三年度に使用する教科書の改訂を行わなかったため、現在の教科書と同じ内容の教科書が発行されることとなってございます。このため、平成二十一年度に作成いたしました調査研究資料は、扶桑社の教科書について新規の調査研究を実施せず、平成十七年度に作成した資料を使用して作成したものでございます。
平成十七年度に調査研究を行った際、その前の平成十三年度に作成した調査研究資料をもとにして原稿を作成する段階で、記載事項の削除漏れがあったものと考えてございます。
なお、平成十七年度に調査研究を行った後、平成十八年度以降、四年間にわたりまして各中高一貫教育校等で扶桑社の歴史教科書を使用してございますが、特に使用に当たり、支障は生じておりません。
○古賀委員 今の答弁で、教科書に載っていない項目が、わずかではありますが、資料に掲載されてしまった経過について、実は平成十七年度の時点で項目の削除漏れがあったことが原因だということが明らかになったわけです。
それでは、この請願では、採択の再審議を求めているわけですけれども、先ほどの現在の状況説明にもありましたけれども、これまで確認した事実関係、経過を踏まえて、改めて都教委の考え方を伺います。
東京都教育委員会としては、扶桑社歴史教科書の採択について再審議する必要があると考えているのか、いかがでしょうか、伺います。
○高野指導部長 東京都教育委員会では、その責任と権限におきまして、各都立中高一貫教育校等の特色を踏まえて、主として各教科書を一覧にした教科書採択資料などを参考といたしまして、各委員が総合的に検討を行った上で、各都立中高一貫教育校等に最も適している教科書を適正かつ公正に採択しているものでございます。
請願で指摘のあった、索引などから抽出した事項名などを掲載した調査研究資料は、教科書採択に当たりまして主として参考とされた資料ではなく、また主として参考とされた資料の基礎となっているものではございません。
したがいまして、請願で指摘のあった資料の一部に教科書に記載のない項目が掲載されるとしても、教科書採択に影響を及ぼすものではなく、採択の適正性に問題はないことから、再審議を行う必要はないと考えてございます。
こうした事実関係と考え方につきまして、都教育委員会の委員に個別に説明を申し上げまして、全員から再審議を行う必要はないとの了解を得ているものでございます。
○古賀委員 再審議の必要性については、ただいま東京都教育委員会の考え方、方針が示されました。改めて確認をいたしました。私はこの考え方は基本的に正しいと思いますし、納得できるものであります。
ただ一方で、一部とはいえ、調査研究資料に事実と相異なる部分があったことは、軽んじられるべきものではないということは当然であります。
最後に、今後の対応について質問をいたします。
今後、調査研究資料の作成に、ごくごく一部であっても誤りがあってはならないというふうに考えるのは当然のことでありまして、今後どのように都教委として対応するのか、見解をお述べください。
○高野指導部長 各都立中高一貫教育校等で使用いたします教科書を採択することは、都教育委員会の果たすべき役割のうちで最も大切なことの一つであると考えてございます。
今回、請願に指摘のあった調査研究資料は、索引などから事項名を抽出して作成した参考資料にすぎませんが、今後は、主として参考とする資料はもとより、その他の資料につきましても記載に誤りがないよう作成することは必要であると考えてございます。
現在、調査研究項目につきまして精査するとともに、事務処理手順の見直しを行っているところでございまして、平成二十二年度の小学校用教科書の調査研究資料作成から改善を図ってまいります。
○畔上委員 ただいまの質疑を踏まえて伺いたいと思います。
私も教科書を調べてみたんですけれども、調査研究資料と比較検討したんですけれども、確かに歴史上の人物で、ナポレオンとか、それから武田勝頼とか、中江兆民とか、幸徳秋水とか、資料には載っているんですけれども、教科書には載っていないと。我が国の文化遺産を示す事項についても、扶桑社の現行教科書の事項索引には、伊勢神宮とか和歌とか記載されていないのに、資料では記載されることになっていると。
先ほど来のご説明を聞いていると、資料は間違っていたけれども、採択には影響ないんだと。あくまでも参考資料なんだというご説明なんだけれども、それじゃ、何で資料をわざわざつくったのかと。一体何のためにこの資料をつくったのかということになると思うんです。
そもそも以前は、多くの教育委員会が学校の現場の教師の意見を取り入れて教科書採択を行っていたのを、二〇〇一年に教育委員会が各委員の考えで選ぶということでつくらせた資料が調査研究資料なわけです。そして、教育委員会で使うだけでなくて、各市町村の教育委員会などにも、この調査研究資料を有効に活用して採択するようにといって配布しているわけですよね。
それをもって、主として参考とした資料ではないと。採択に影響を及ぼすものではないというふうにおっしゃるんですけれども、そうすると、まさに自分自身がやっていることに意味がないと自分で認めたことになるんじゃないでしょうか。
要するに……
〔傍聴席にて発言する者あり〕
○大西委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○大西委員長 速記を再開してください。
○畔上委員 要するに、調査研究資料とは重要ではないということなんでしょうか、ご答弁ください。
○高野指導部長 教科書調査研究資料につきましては、東京都教育委員会の事務局が教科書の専門的な調査研究を行いまして作成した資料でございます。先ほど答弁いたしましたように、都教育委員会は教科書採択に当たって四種類の資料を参考としておりますけれども、今回請願で指摘された調査研究資料につきましては、索引などから抽出して掲載した資料であるというふうに答弁申し上げました。教科書採択に当たりまして、最も重要とされている教科書採択資料の基礎となっているものでは、それはございません。
以上です。
○畔上委員 資料にすぎないということで、重要ではないということをお認めになったわけです。
そして、都教委が先ほどいった主として参考とした資料は、教科書採択資料と都立中高一貫校の学校ごとの調査研究資料だということですよね。それはどういうものかというのを見たんですけれども、要するに、ある項目について、その教科書に何カ所記述があるかという箇所数、数字の一覧なんですね。
さらに、教科書採択資料には、ミシュランじゃないんだけれども、箇所数が多い教科書には星四つとか、少ない教科書には星一つとかゼロとか、そういうふうになっていました。学校ごとの調査資料も、これは星がついていないんですけれども、箇所数であらわして、多い出版社はどこで、少ないのはどこかとわざわざ書いてあるわけですね。
箇所数だけで教科書のよしあしがわかるかどうかというのは不思議なんですけれども、要するに、箇所数の多い少ないしかわからないものなんです。だから、数字の多い方がふさわしい教科書と判断されるんだろうと都民の方が考えるのは無理がないと私は思うんですけれども、いかがですか。
○高野指導部長 中高一貫校ごとに作成いたしました調査研究資料は、箇所数の多い少ないによって教科書の優劣を判断したものではございません。各教科書の違いが簡潔明瞭にわかるように作成したねらいでございます。
○畔上委員 順位ではないと。あくまでも違いを明確にしたものだということなんですが、例えば、練馬地区の中高一貫校の調査研究資料で、インターネットによる調べ学習の仕方を紹介している箇所数や実際に調べ学習に活用できるホームページアドレスの項目数があるんです。それは、この学校はそういうことを教科として強調していきたいというねらいがあるから書いてあるんですけれども、この項目の調査結果の数値が低くて、ほかの項目の数値も特段高いわけでもない、そういう扶桑社の歴史教科書が採択されているんです。中高一貫校の特色を踏まえて、あえて設定して調査して、主として参考にしているというものが教科書を選ぶ際の判断基準になっていないんじゃないですか。
○高野指導部長 先ほども答弁いたしましたように、中高一貫教育校の特色を踏まえまして調査した項目は、箇所数の多い少ないによって教科書の優劣の判断基準を設けたものでもなく、各教科書の違いが簡単明瞭にわかるようなものに作成したものでございます。
ご指摘のありました大泉高等学校附属中学校の調査研究資料につきましては、ただいま質問にありましたように、インターネットによる調べ学習の仕方を紹介している箇所数などの項目のほか、日本の伝統文化を扱っている箇所数や、世界の歴史とかかわらせて、我が国の歴史を取り上げている記述の箇所数、これについても調査研究を行っているものでございます。
都教育委員会では、その責任と権限におきまして、扶桑社歴史教科書はもとより、教科書採択資料や各種の調査研究資料を参考としつつ、各委員が総合的に検討を行った上で、各中高一貫教育校等に最も適している教科書を適正かつ公正に採択しているものでございます。
○畔上委員 あくまでも適正かつ公正にということですが、不正確な調査研究資料を使い、しかも都教委が主として参考にしたんだという資料は、その学校の特色に合った観点などを扱った箇所数の多い少ないを示した数字のみの資料で、箇所数が多い教科書が採択されているわけでもないとしたら、じゃ、一体何を基準に選んでいるのかわからないというふうに請願者や都民が思うのは私は当然だというふうに思うんですね。
教科書を採択する教育委員会の会議では、各委員がどの教科書を選びたいか無記名投票して、多数決で多い方でいいですね、異議なしと何の議論もなしに決まってしまっていくわけですから、百歩譲って、教科書を教育委員の皆さんが見て決めたんだというかもしれませんが、どうしてその教科書を選んだのか都民には全くわからないわけです。扶桑社の歴史教科書がなぜ採択されたのかについて真相を知りたいというこの請願者の気持ちというのは、私はもっともだというふうに思います。
そもそも教科書を選ぶのは、現場の教育に直接責任を負う教職員の教育権と、それを全うすべき事務にかかわるものであって、同時に子どもたちの教育を受ける権利の基本にかかわるものだというふうに思うんです。
それは政府自身も規制緩和の推進計画の再改定の中で、一九九七年に、将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があると閣議決定しているんです。そうしたことを踏まえて考えても、当然都教委は、当該校の意向をどう反映させたのか、少なくともどうしてその教科書を選んだのか明らかにする責任があるというふうに考えるんです。
大体教科書を選ぶのに、実際にその教科書を使って子どもたちに教える教師の意見を重視するのは、私は当然だというふうに思います。
例えば、教職員組合が教科書を比較検討した資料があったんですけれども、それを見ますと、初めて文字を習う小学校一年生が文字を書いてみたいと思うどんな工夫がされているかとか、これまで耳で聞く音だった言葉を文字にしたときに、教科書の最初の言葉をおはようと伸ばす言葉だと子どもにはわかりづらいんじゃないかなど検討しているわけです。
やっぱり実際に子どもを教えている教師だからこそわかる視点がたくさんあるんだなということを私は改めて思ったんですが、教育の専門家でもなくて、各教科の専門家でもない教育委員の方が教科書を実物と資料だけを見て選ぶなどは無理ですし……
〔発言する者多し〕
○大西委員長 ご静粛にお願いします。
○畔上委員 歴史教科書についていえば、国語や数学など、ほかの教科は学校ごとにさまざまなのに、歴史教科書だけがどの中高一貫校も、そして特別支援学校も同じだというのは、やっぱり政治的意図があるんじゃないかと考えざるを得ない。そういう危惧を覚えるのは私だけじゃないというふうに思うんですね。
最後に、私は扶桑社の教科書に対しては、やはり太平洋戦争、大東亜戦争といって侵略戦争や植民地支配の正当化を学校教育に持ち込む、そんなことは憲法と公教育を掘り崩すものであって、検定に合格すること自身が問題だというふうに考えているんです。
そのことはさておいても、都教委の教科書採択の方法そのものに問題があって、やっぱりどうして扶桑社の教科書が採択されたのかを明らかにしてほしいというこの請願者の気持ちはもっともだと思いますので、趣旨採択を主張して質問を終わります。
○大西委員長 ほかにご発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第一三〇号は不採択と決定いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後三時二十一分休憩
午後三時三十五分開議
○大西委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
請願二一第一三九号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○松山地域教育支援部長 請願二一第一三九号、外国人教育の条件改善を国に求める意見書に関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、墨田区、都議会で全会一致趣旨採択された「外国人の子どもの教育条件の改善に関する請願」を活かす会代表、藤田京子さん外二千九百十六名から提出されたものです。
請願の趣旨は、外国人教育の条件改善を求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
まず、1、外国籍及び外国籍の親を持つ子どもへの全数調査を毎年実施することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会では、文部科学省からの依頼を受けて、日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れ状況及び区市町村における施策の実施状況等にかかわる調査を平成三年度から実施しております。
この調査におきます日本語指導が必要な外国人児童生徒とは、日本語で日常会話が十分にできない者及び日常会話はできても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じている者で、日本語指導が必要なものと定義されております。したがいまして、日常会話ができる児童生徒も調査対象となっています。
なお、本調査につきましては、文部科学省より平成二十年度から隔年での実施となる旨通知がありましたが、都教育委員会では、東京都の実態を経年で把握する必要性があることから、平成二十一年度も実態調査を行っております。
次に、2、外国籍及び外国籍の親を持つ子どもへの教育について、そのあり方を検討し、体系的な制度、施策をつくることのうち、(1)、公教育のすべての段階で安心して教育が受けられるよう、制度、施策の見直しを行うことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆる国際人権規約及び国からの通達、通知に基づき、外国籍及び外国籍の親を持つ子どもが公立小中学校へ就学を希望した場合は、いずれの国籍であっても、設置者である区市町村の教育委員会はその入学を認めることとされ、日本人と同様に取り扱うこととされております。
また、現在、都立国際高等学校及び都立立川国際中等教育学校において、一般生徒とは別に帰国生徒及び在京外国人生徒を対象とする募集枠を確保しています。
なお、平成二十年度都立高校入学者選抜から、在日期間が原則三年以内の外国人生徒につきましては、希望に応じて平仮名のルビを振った学力検査問題で受検できることとしております。
続きまして、(2)、日本語学級を国として制度化することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は、公立小中学校に就学している児童生徒のうち、日本語能力が不十分な者に対して、通常の教科についての学習理解及び生活習慣の習得を容易にし、教育効果の向上を図るため、都独自の事業として日本語学級を設置し、教員を配置しております。
また、日本語学級の設置に至らない場合でも、日本語指導を必要としている児童生徒の在籍状況に応じ、区市町村教育委員会からの申請により、毎年度予算の範囲内で日本語指導を担当する加配教員を配置しております。
なお、日本語学級に関します標準法等の関係法令の整備や、外国人児童生徒の日本語指導等に対応する教員の定数に必要な財源確保につきましては、国に対して提案要求しているところでございます。
次に、(3)、教職課程で多文化教育、国際理解教育を実施することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、すべての公立学校において、日本語指導が必要な外国人児童生徒への指導を適切に行うことができるよう、あらゆる教員が日本語の指導力を向上させ、多文化共生の理解を深めることが必要であると考えております。
このことを踏まえ、都教育委員会は、平成二十年度から国に対し、大学の教員養成課程や教員の免許更新講習において、外国人児童生徒に対する日本語指導や多文化共生の理解に関する内容を盛り込むことを提案要求しているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大西委員長 説明は終わりました。
本件について発言願います。
○馬場委員 それでは、私は、一三九号、外国人教育の条件改善を国に求める意見書に関する請願について、全面的に採択することを含めて何点か質疑をさせていただきます。
まず、私が日本語支援が必要な子どもたちの問題を取り扱い始めたのは品川で区議になってからですから、もうそろそろ二十年になろうとしております。やはり地域での少ない数でしたが、問題点として何とか一人でも子どもをしっかり育てたいというふうな地域の皆さんのボランティアの皆さんの大変熱意を受けて、どうしてできないのかとか、いろいろなことを考えてまいりました、どういう支援ができるのだろうかというようなことも含めて。そして都議にさせていただいてからもう四期目になるわけですから、十三年という年数を数えるわけですが、この間、さまざまな状況の中で、できる限りその支援策をとっていきたいというふうに思っておりました。本日の請願を出された多くの皆様とも、ある意味、そうした状況をお話を聞かせていただいたり、対策、支援策を考えたりとしてまいりました。
今回、議会に対して国に意見書を出してくださいというような請願が出されたという背景についても、今申し上げたさまざまな、特に東京なりの、全国の問題でもあるのですが、全国それぞれの地域が持っている状況と東京は少し違っております。
そういうことも踏まえて認識をいただいた上で対策をできるだけとっていきたいという中で、実は大変喜ばしいと思われることが、この意見書を今回出してくださいという請願のもとになっている、平成十九年十月二十二日に開催された首都圏教育長協議会というところで東京都教育長が提案をされ、他の埼玉、千葉、神奈川の賛同が得られたということで、文部科学大臣に十九年十一月十六日、外国人の子どもに対する教育の充実に関する要望書というのが出されました。
この内容は、私ども拝見をして、都でも、教育庁でも、ある意味、しっかり把握していてくださる、問題点はきちんとわかっていらっしゃるのだなという感じで受けとめさせていただきました。
今回の請願項目にももちろんあるわけですが、ざっと項目だけ読ませていただいても、まず入国前における就学機会の周知。これは不就学の子どもたちが一・一%いるということを含めて不就学の子のないようにということ。
二番目に、日本語指導、特別な配慮を要する児童生徒に対応した教員配置の拡充。これもしっかり教育をするという意味では、教員配置が必要だという認知をしていらっしゃるというふうに思いますし、この中では区市町村、学校等の制度の弾力化というのもきちんと述べられてあります。
三つ目には、教員以外の人材の活用への支援。これは、教員以外の外部人材を活用するということについて支援が欲しい。
四つ目は、教員の日本語指導や多文化共生の理解の充実。このことも、やはり教育だけではない地域やさまざまなところで日本語指導をするにおいても、しっかり多文化共生ということを理解した上で、盛り込んだ上でやらなければいけないということの要望。
そして、最後になりますが、五つ目、在留管理制度の見直し。学校教育のみでなく、行政サービス等関連のことが多い居住地においての実態把握等さまざま含めた、そうした把握できる制度を構築することを関係省庁に働きかけることというふうにきちんと整理をされて、要望されています。
そして、この後、この項目に関して、今度は二十年、二十一年と、都教委としてほとんどこの中身に準じて提案をしていただいているということです。
請願の項目の方に戻りますが、一番の外国籍及び外国籍の親を持つ子どもへの全数調査というふうに述べられておりますが、これは実態調査、どういう状況になっているのか、それをきちんと把握することがこうした施策の基本になるという意味で、これはもう今申し上げました教育長が出されている十九年の要望書を見ても、その数値が出ており、そして、このことをもとに要望していらっしゃるということから考えても、やはりこれは国でしっかり全国的に調査すべきであり、今回、隔年になったということで、二十一年度は都が独自でやってくださったということですので、このことについては、引き続き私どもも今回も含めて国に要望する、毎年、そして実はこの調査も、数字というのは、やはり何をどういうふうに把握できるかということ、調査の仕方というのもすごく問題だというふうに思っております。
どういうことを知りたいのか、そして何をどう聞いたらいいのか、そしてもう一つ問題は、だれに聞くかというのが本来あるというふうにも思っています。今までは学校に調査をかけているわけですが、それをもう少し広げてできないかというような思いもありますが、今の状況の中では、もうとにかくしっかり国のレベルでやってほしい。
そして、都にお願いしたいことは、毎年やる国の調査に都独自の調査を上乗せしてやっていただきたいというふうに、これは今後ぜひとも検討していただきたいという要望をしておきます。
二つ目の外国籍及び外国籍の親を持つ子どもへの教育についてというところで、(1)、公教育のすべての段階で安心して教育が受けられる、今回この意見書ということで、かなり大くくりな表現になっておりますが、さっき申し上げました、私が最初に相談されたのは、外国籍の子が日本にいらしたときに、どの学校のどの学年に入っていったらいいのか、また、かつて中学校を卒業した、日本は四月で、外国は違いますから、そういう意味で卒業してしまっているけれども、即中学を卒業した資格は持っているから、日本の義務教育にもう一度入れないと。そんなような生徒さんとか、それから年齢は例えば中学三年、中学二年生に相当するけれども、そういう意味では日本語支援が必要ということを考えると、学年については配慮が必要だというふうに思っている。
それから、受け入れてくれる学校がなかなかなくて、遠くの学校へ通わなければならないような状況とか、さまざまありました。
こうした点から考えると、まず外国人児童生徒が就学を希望する場合に、就学年齢について、弾力的という要望が大変強くあります。この点について都教委のお立場をまず伺います。
○松山地域教育支援部長 昭和五十四年に日本国が批准いたしました経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約に基づき、外国人児童生徒が公立小中学校に就学を希望する場合には、日本人と同様の取り扱いをすることとされております。
公立小中学校へ就学する場合、学齢に相当する学年に就学することが原則でございますが、外国人につきましては、児童生徒の個別の実情に応じて、学齢相当以下の学年への入学が可能とされておりまして、区市町村教育委員会において、弾力的な取り扱いが可能な制度となっております。
○馬場委員 ありがとうございます。区市町村の教育委員会にしっかりこの点をご認識いただくよう、ご協力方よろしくお願いいたします。
二つ目に、国に対して日本語学級について要望していらっしゃいます。この日本語学級というものを要望していらっしゃるんですが、これは都の単独の事業で今までずっと来られたという状況なわけですから、できるだけこれから支援もふやしていきたいということであれば、まずこの日本語学級という制度を国に認めてもらいたいというのは、私どもも都教委も同じ考えだというふうに思います。
こうした要望をしていらっしゃるんですが、国は、今、どのような動きがあるのでしょうか。どんなご認識なのか、状況を伺います。
○松山地域教育支援部長 都教育委員会は、平成二十年六月から四回にわたり、文教予算に対する提案要求におきまして、国として日本語学級を法的に位置づけるよう要求してきております。
現時点では、日本語学級はいまだに制度化されておらず、都の単独事業で実施しているところでございます。
○馬場委員 三つ目には、教育課程で多文化教育、国際理解教育等を実施すること、教育長の要望にもしっかり入っているわけですが、このことについて、同じように国の動きはどのような状況なのか。
また、そういう要求をしていきながら、今までやってこなかった施策の不備を、今、私どもは直していきたいというふうに思っておりますが、その期間、いろいろやることはたくさんありますので、その期間、都としてどんなふうに日本語指導や多文化共生理解、やはり子どもたちは一刻を争うというか、どんどん育っていくわけですから、こうした国の動きと、それについて、都はどういうふうに考えてフォローアップをしていらっしゃるのか、していこうとしていらっしゃるのか伺います。
○高野指導部長 国に対する提案要求につきましては、それが施策として実現されることを目指すものでございますが、都に対する国の特段の動きはないものと理解しております。
東京都では、日本語指導が必要な外国人児童生徒の多様な母語に対応するため、平成二十年度に外国人児童生徒用テキスト、「たのしいがっこう」を十六言語から二十二言語に拡大するとともに、区市町村教育委員会への配布等を通しまして、すべての学校において適切な日本語指導が行われるよう、その活用の促進を図ってまいってきたところでございます。
さらに、平成二十一年度からは、外国人児童生徒に対する日本語指導を教員がより一層効果的に行うことができるよう、二つの区市を日本語指導研究開発モデル地域に指定いたしまして、日本語指導の指導内容や方法、教材の開発を現在行っているところでございます。
○馬場委員 ありがとうございました。やはり最初に申し上げましたように、長く、そして、どんどん今、国際化の中でいろいろな課題が出てきております。具体的なきめ細かなサービス、それから対応方は私どもがやらなければなりません。それについて、制度をどう変えてほしいかということは、しっかり国にいっていきたいというふうに思っております。
今回の意見書を中心に、私ども議会からもしっかりこのことを申し上げていきたいというふうに思っておりますので、採択を希望して質問を終わります。ありがとうございました。
○村上委員 請願二一第一三九号、外国人教育の条件改善を国に求める意見書に関する請願、私も紹介議員の一人として、賛成の立場で幾つか質問をさせていただきます。
まず冒頭、平成二十年末の東京都における外国人の登録者数は四十万二千四百三十二名であり、年々増加傾向にあります。
もちろん、法の手続を経ていない、不法に日本に滞在、入国している人を対象とするものではありませんが、正規な手段を用いて入ってこられている在京外国人の数も年々増加をし、教育に対するニーズはますます高まっています。
平成二十二年度都立高校の入学者選抜において、国際高校の在京外国人生徒対象の募集人員二十五名に対する応募人数は百十二名であり、応募倍率が四・四八倍となっています。結果的に合格者数二十六名ということですから、倍率は四・三倍になったということですけれども、都教育委員会は、平成二十年五月に公表した東京都教育ビジョン(第二次)において、在京外国人生徒枠の設定について検討し、五年後の到達目標として、外国人生徒の都立高校への入学が促進されていることを挙げていますけれども、現在どのような状況で、今後どのような状況、条件整備が必要となるのか、考えていらっしゃるのか質問させていただきます。
○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、現在、文部科学省が実施する日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れ状況等に関する調査に、中学校卒業後の進路希望や在籍期間など、都独自の調査項目を加え実態調査を行っております。
文部科学省は、平成二十年度から本調査を隔年実施としたため、今年度につきましては調査を行いませんが、都教育委員会は毎年継続して調査を実施し、実態の把握に努めております。
条件整備に当たりましては、配置場所、施設面の整備、指導内容、指導方法やその体制、さらに都立高校全体の受け入れ枠などについて、今後十分検討を行っていく必要がございます。
○村上委員 都の教育委員会は、文部科学省の日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れ状況に関する調査ということで、都独自の調査項目を加えて実態調査を行っているということで、日本語指導が必要な外国人児童生徒というのは、日本語で日常会話が十分にできない者及び日常会話はできても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じているもので、日本語指導が必要なものと定義をされているとうたわれております。
そこで、ぜひ外国人生徒の都立高校への入学が促進されるような調査の継続を実施して、十分な検討を行っていただきたいと考えます。都立国際高校の在京外国人生徒枠において、不合格となった生徒が出ますけれども、この生徒に対してどのような対応策を講じていらっしゃるのか、お伺いさせていただきます。
○森口都立学校教育部長 在京外国人生徒枠で不合格になった場合は、一般の入学者選抜を受検することとなりますが、平成二十年度入学者選抜から、在日期間が原則三年以内の外国人生徒につきましては、希望に応じて平仮名のルビを振った学力検査問題で受検できる措置を講じております。
○村上委員 今のご答弁の中で、平成二十年度の都立高校入学者選抜から、希望に応じて平仮名のルビを使った学力検査問題で受検できることとしたというようなご答弁がありました。
これも一つの大きな進歩だというふうにして評価をさせてはいただくんですが、例えば平仮名のルビということだけで果たして意味がわかるのかどうか、この辺の疑問も残るのも率直な疑問でございます。
そんな中で、この実態調査の実施や、現在の在京外国人の入学者選抜の取り組みはわかりましたけれども、都教育委員会として、在京外国人生徒が都立高校に入学した後の教育も重要であると考えます。
ぜひここでお願いをしたいのが、ただ単に枠を広げればよいということではなくて、先ほどご答弁をいただいたように、環境整備、とりわけ配置の場所、あるいは施設面の整備、指導内容や方法、さらには日本語指導や、先ほど馬場委員からもご指摘がありました日本語指導や多文化共生の理解に関する内容を盛り込むよう検討することについて提案要求をしていくということでございますけれども、ただ、ここでちょっとひっかかるのが、実は提案要求をしていく中で、大学の教員養成課程や、教員の免許更新講習においてということですけれども、国は教員の講習を廃止するというようなこともいっているようでございます。
特に外国人に対する日本語指導、あるいは多文化共生というのはもちろん必要ではありますけれども、日本人にとってもこの部分については大変必要なものだと私は考えます。ぜひこの提案につきましては、先ほどちょっと触れました教員養成課程、あるいは教員の免許更新の講習においても、ぜひ日本語指導、あるいは多文化共生等については検討していただくような提案を強く要求をしていきたいと思っております。
また、あわせてその充実を図るように要望させていただき、質問を終わらせていただきます。
○遠藤(守)委員 請願一三九号に関連いたしまして、賛成の立場から一言意見を申し上げさせていただきます。なお、これまでの質疑と一部重複する部分があると思いますが、ご容赦いただきたいと思います。
東京都における外国人の数は、国際化のさらなる進展、また日本国内での労働力としての需要の増大などから、今後も増加することが大いに予想され、それに伴い、外国人児童、また生徒の就学機会の拡大や教育の充実が重要となってきております。
こうした背景の中、東京都では本年一月に策定いたしました「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇の中で、子どもの学力と社会性をはぐくみ、次代を担う若者を輩出する施策を示し、外国人児童生徒の就学促進や日本語指導の充実を掲げているわけであります。
また、都教育委員会では、平成二十年五月に東京都教育ビジョン(第二次)を策定し、外国人の子どもに対する教育の充実を重点施策の一つに挙げているわけであります。これらの施策を受け、東京都教育委員会では、外国籍の生徒が都立高校で安心して教育を受けられるよう、さまざまな取り組みを行っておるわけであります。
冒頭、部長から都の取り組みについて種々ご説明をいただきましたけれども、その中にもありました都立国際高等学校及び都立立川国際中等教育学校での在京外国人枠の確保に加えて、都立高校の応募資格の中に、日本国内において外国人学校の教育により日本の九年間の義務教育相当の教育を受けた外国人という項目を入れております。
これは、学校教育法第一条に定められた学校でない教育施設での教育を認めることにより、外国籍の生徒が都立学校を受検する機会を拡大しているものであります。このような取り組みは、全国的に見ても先進的な取り組みである、このように聞いておるわけであります。
また、先ほど来お話もありましたけれども、平成二十年度都立高等学校入学者選抜からは、入国後の在日期間が三年以内の外国籍の生徒に対し、希望に応じて平仮名のルビを振った学力検査問題で受検できるように制度を改善いたしております。この措置を活用して受検した外国籍の生徒は、平成二十年度が七十九人、平成二十一年度が百二十六人と着実に増加しており、まさに必要とされていた制度であるということを裏づけているのではないかと思います。
しかしながら、先ほど申し上げました都立国際高等学校の在京外国人枠では、今年度二十五人の募集に対して百十二名が応募し、応募倍率は四・四八倍に上っております。これほどのニーズがある状況を考えると、何らかの解決策を早急に検討する必要があると考えます。
現在、東京都教育ビジョン(第二次)に示された計画に従って改善が進められると思いますけれども、引き続き都立高校における外国人生徒の受け入れ体制の充実を図っていくべきである、このことを強く要望いたします。
私たち都議会公明党は、これまで教育分野にかかわらず、広く都の多文化共生施策について多くの提言をしてまいりました。これまでの東京都教育委員会の取り組みを評価しつつも、さらに充実させていくことを心から期待しております。
また、東京都教育委員会の取り組みが全国的な取り組みとなり、外国籍の生徒がこれまで以上に安心して教育が受けられるよう、国に条件改善を要望する本請願の採択に改めて賛成の意を表明いたしまして、意見表明とさせていただきます。ありがとうございました。
○畔上委員 皆さんからもご指摘があったように、日本に居住する外国人登録者は二百二十万を超え、新たに結婚する二十組のうち一組は外国籍の人と結婚するといわれております。
内外人平等を保障した国際人権規約や子どもの権利条約に基づいて、日本語学級の国の制度化や公立学校への受け入れ枠の改善、教職課程における多文化、国際理解教育の促進など、在日外国人の子どもたちの教育を保障することは待ったなしの課題であると私も思っておりますが、まずそのことに対する都教委の認識を伺いたいと思います。
○松山地域教育支援部長 都教育委員会は、公立小中学校に就学している児童生徒のうち、日本語能力が不十分な者に対して、通常の教科についての学習理解及び生活習慣の習得を容易にし、教育効果の向上を図るため、都独自の事業として日本語学級を設置し、教員を配置しております。
また、日本語学級の設置に至らない場合でも、日本語指導を必要としている児童生徒の在籍状況に応じ、区市町村教育委員会からの申請により、毎年度、予算の範囲内で日本語指導を担当する加配教員を配置しているところでございます。
○畔上委員 都が独自の拡充を行っているということですね。
先ほど来お話があるように、やはり在日外国人の方々にとって、実際にはいろいろなハンディがあって、義務教育も高校教育もなかなか日本人と同じように受けることができない、そういう現状があるというふうに思います。
先ほどもお話がありました、国際高校での倍率、四・三倍という事態になっているわけですけれども、その中で、こんなに倍率が高いので、もうあきらめてしまうという子がいたり、また都立の一般入試にルビを振るという、先ほどお話がありましたが、それは非常にいいことだというふうに思うんですが、それでも対応できない子どもたちもいるわけです。
経済的には私立に行けない、日本語指導のない通信制では、入ったとしてもついていけない。そういう行き場を失った未成年の子どもたちがホストになってしまったなど、さまざまな困難を抱えている現状を私もボランティアの皆さんから伺ってきました。
そういう点では、私は一刻も早く都立高校の枠、先ほどビジョンの改正の中でというお話でしたけれども、受け入れ枠の拡大の具体化を早急にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、東京都教育ビジョン(第二次)におきまして、在京外国人生徒枠の設定について検討し、五年後の到達目標として外国人生徒の都立高校への入学が促進されていることを掲げております。
先ほどもお答えしましたが、現在、文部科学省が実施する日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れ状況等に関する調査に、中学校卒業後の進路希望や在籍期間など、都独自の調査項目を加え、実態調査を毎年行っております。文部科学省は平成二十年度から本調査を隔年実施としておりますため、今年度は調査を行いませんが、都教育委員会は調査を実施し、実態の把握に努めているところでございます。
○畔上委員 この間の倍率を見ましても、日本語教育の必要な子どもたちが確実にふえているわけですから、早急な具体化を求めたいと思います。
次に、夜間中学の日本語学級について伺いたいと思います。
私は請願者の方たちからいろいろお話も伺って、墨田区にあります夜間中学に行って授業参観もさせていただきました。夜間中学の私自身のイメージは、年齢の高い、戦争の混乱や経済的な理由によって教育を受けられなかった多くの人や、中国からの帰国者の方というイメージがあったんですけれども、もちろんそうした人たちのかけがえのない義務教育の場にもなっていますが、夜間中学には在日の外国人の若者がたくさんいるということにびっくりいたしました。
ある中国から来た生徒さんは、以前は江東区の中学校に在学していたんですが、その中学では、日本語は少しわかるけれども、やっぱり言葉が通じないと。そして、そういう中で友達もなかなかできにくい、勉強もわかりにくいということで不登校になってしまったと。しかし、そのお子さんもこの夜間中学に来て、丁寧に日本語を学ぶことができて、自信をつけて、本当に生き生きと学んでいらっしゃいました。
どの子にもきちんと日本語能力がつくように、日本語の授業についていけるような教育が保障されることが本当に大事だなということを、私はこの授業参観を通じて痛感いたしました。
ところが、江東区には、残念ながら、夜間中学というのは一カ所もありません。都内の夜間中学校研究会の調べによりますと、この三十七年間で延べ千六十五人もの江東区の生徒が、ほかの区の夜間中学に通っているということもわかりました。そういう点では、外国人教育の大きな役割を担っている夜間中学、日本語学級を江東区にも設置すべきだというふうに思いますが、各自治体が必要な夜間中学を設置するように、東京都としても指導すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○松山地域教育支援部長 学校教育法施行令第二十五条によりますと、区市町村教育委員会は、二部授業の実施、すなわち中学校夜間学級を設置するときは、都道府県教育委員会に届け出ることとなっておりまして、中学校夜間学級の設置につきましては、区市町村教育委員会が地域の実情に応じて判断するものでございます。
○畔上委員 先ほど具体的な生徒のお話をしましたけれども、たまたまそのお子さんは、墨田まで通って、教育を受ける場を見つけることができたから、本当によかったんですけれども、多くの外国人の子どもたちに日本語指導が必要なのに保障されていない、放置されているという実態があるというふうに思うんです。
文科省の調査によると、日本語指導が必要な小中学生のうち、日本語指導を受けていない子どもが四千人という推計が出ておりますが、東京都の場合は、お聞きしたところ外国人生徒の二割と伺っています。約四百四十人以上の小中学生が日本語指導が必要にもかかわらず、受けられていないということであります。
ボランティアで日本語を教えていらっしゃる方々などにも私はお話を伺いましたが、やっぱり東京都としてどうしたら外国人の子どもたちの教育を保障できるのか、どこを改善すべきなのかを考える上で、子どもたちの生活の実態を丁寧に把握してほしいというのが強い要望でございました。
東京都夜間中学校研究会というところがあるんですが、そこの二〇〇八年十月の調査結果を私は見せていただいたんですが、いろんな設問があって、大変参考になる調査結果だったんですけど、ここで紹介したいのは、生徒たちが困っていること、この四割はやはり言語。日本語がわからないということだったんですね。
そういう点では、私は子どもたちの置かれている生活の実態をしっかり把握していただいて、そして、国に対して日本語学級の制度化を求めることも大変重要だと思いますが、東京都としても、率先して日本語指導の充実にさらに力を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高野指導部長 日本語指導が必要な外国人児童生徒の母語は多様化しておりまして、教員にはそうした児童生徒の実態に応じた教材や指導法が必要となってきております。
こうした状況を踏まえまして、都教育委員会では、平成二十年度には外国人児童生徒用テキストを十六言語から二十二言語に拡大いたしまして、その活用の促進を図るとともに、二十一年度につきましては、教員が効果的に指導を行うことができるように、日本語指導研究開発モデル地域を指定いたしまして、日本語指導の指導内容や方法、教材の開発を現在鋭意行っているところでございます。
○畔上委員 そういうことも非常に大事なことだとは思いますけれども、やっぱり日本語学級は、都内中学ではたった六校というふうになっているわけですから、日本語学級をふやすなど、取り組みを強く求めていきたいと思います。
国に対する意見書はぜひ上げるべきだということを表明して、質問を終わります。
○星委員 それでは、私の方からも、請願二一第一三九号、外国人教育の条件改善を国に求める意見書に関する請願に対しまして、賛成の立場で賛同を示すと同時に、何点か質問をさせていただきたいと思います。皆さん質問をされましたので、なるべく重複しない部分に関してお聞きしたいと思います。
外国人の児童生徒や保護者が学校生活や進学に関することなどを相談できる相談機関があるというふうにお伺いしておりますけれども、どのような相談内容で、どのぐらいあるかお聞かせいただきたいと思います。
○高野指導部長 都教育委員会ではこれまで、外国人児童生徒や保護者の相談に対応いたしますため、教育相談センターにおいて、電話や来所による相談を実施してきたところでございます。
平成二十年七月には、日本語指導が必要な外国人児童生徒や保護者の相談に、よりきめ細かく対応できるように相談窓口を設置いたしまして、母語による相談を希望する外国人に対しまして、通訳を介した来所相談や電話相談を実施するなど、相談体制の一層の充実を図ってきたところでございます。
平成二十一年四月から十二月までの相談についてでございますけれども、電話相談が八十一件、来所相談が二十一件ございまして、相談内容はいずれも都立高校への入学、あるいは進級、進路に関することが多くなってございます。
○星委員 ありがとうございました。ほとんどが入学、進級、進路の相談ということでございます。保護者の方が地域で孤立していくという話も聞いたことがありまして、こういったことにより、児童生徒に与える影響がとても大きいのではないかと思います。ぜひ丁寧な対応をしていただきたいと思います。
それと、事前にいただいた件数だけであれなんですけれども、実は、いじめとかその他というところも、若干ですけれども、相談の中にありますので、教育相談ですけれども、生活相談の中の部分で福祉につなげるような場合が生じた場合など、できればそういったところも配慮していただいて、丁寧な対応をお願いいたします。
続きまして、現在、教職員研修センターで行っている日本語指導にかかわる研修の内容と受講状況についてお知らせください。
○高野指導部長 東京都教職員研修センターにおいて、日本語指導の基本的な知識や技能等に関する研修、そして、日本語指導に係る教材や指導に必要な基礎会話に関する研修、そしてもう一つ、日本語指導と教科指導を統合して進めるカリキュラムに関する研修を実施しているところでございます。
いずれの研修もすべての校種の教員を対象としているところでございまして、平成二十一年度には二百名以上の教員が受講している状況でございます。
○星委員 二百名の教師の方が受講しているということです。研修センターでついたスキルがぜひとも現場で生かされることを望みますし、そもそもそのような必要性があって受講されているものだというふうに思いますけれども、私はぜひ要望したいんですが、これは専門性の向上のための研修ということでございますので、例えば市区町村教育委員会や、あるいは学校独自で、地域の民間NPO、ボランティアの方と連携して、いわゆる国際理解教育だとか外国人教育を行っているような学校もあるというふうにお聞きしております。そういった方に対しても、この研修の門戸をあけていただくような内容の検討も今後していっていただきたい。これは要望いたします。
次に、小中学校に日本語指導が必要な外国人児童生徒が入学した場合に、学校での指導に困難が生じる場合もあります。東京都として区市町村へどのような支援を行っていますでしょうか。
○松山地域教育支援部長 先ほどお答えしたことと重なりますので、重なる部分は簡略化してお答えさせていただきますけれども、都教育委員会は、外国人児童生徒の日本語指導のため、都独自の事業として日本語学級を設置し、教員を配置しております。
また、日本語学級の設置に至らない場合でも、区市町村教育委員会からの申請により、毎年度、予算の範囲内で日本語指導を担当する加配教員を配置しております。
なお、日本語指導が必要な外国人児童生徒の多様な母語に対応いたしますため、平成二十年度には外国人児童生徒用テキスト、「たのしいがっこう」を十六言語から二十二言語に拡大いたしますとともに、区市町村教育委員会への配布等を通じ、すべての校種において活用の促進を図っているところでございます。
○星委員 最後に意見をいわせていただきますが、二〇〇七年度でしょうか、東京都に対して請願が出されて、全会派一致で採択されたということ。今度は国に対しての意見書を出してほしいということなんですが、私も当然、この国において外国人の教育がしっかりと確立されることを望む者でございますし、一日も早く条件の改善をしていっていただきたいと思いますが、東京都におきましても、ぜひ私は積極的に進めていただきたい。
都議会において採択されたということもあって、その結果、教育ビジョンの中の部分の五年間の枠というところの中での検討ということも載っていったんではないかなというふうに思います。議会の意思ということもぜひ尊重していただきまして、東京都も今後さらに進めていただくことを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
○大西委員長 ほかに発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一三九号は採択と決定いたしました。
なお、本日審査いたしました請願中、採択と決定いたしました分で執行機関に送付することを適当と認めるものについては、これを送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
請願の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時二十六分散会
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