委員長 | 大西さとる君 |
副委員長 | 星 ひろ子君 |
副委員長 | 村上 英子君 |
理事 | 岡田眞理子君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 馬場 裕子君 |
畔上三和子君 | |
遠藤 守君 | |
島田 幸成君 | |
滝沢 景一君 | |
遠藤 衛君 | |
古賀 俊昭君 | |
大津 浩子君 | |
服部ゆくお君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化スポーツ局 | 局長 | 秋山 俊行君 |
総務部長 | 小林 清君 | |
広報広聴部長 | 石原 清次君 | |
都民生活部長 | 平林 宣広君 | |
消費生活部長 | 清宮眞知子君 | |
私学部長 | 小笠原広樹君 | |
文化振興部長 | 桃原慎一郎君 | |
スポーツ振興部長 | 安藤 英二君 | |
東京マラソン事業担当部長 | 岸本 良一君 | |
参事 | 高橋 博君 | |
参事 | 萩原まき子君 | |
参事 | 藤井 秀之君 | |
参事 | 板垣 一典君 |
本日の会議に付した事件
生活文化スポーツ局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化スポーツ局所管分
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 生活文化スポーツ局所管分
・東京都美術館条例の一部を改正する条例
・東京都写真美術館条例の一部を改正する条例
・東京都美術館(二十一)改修工事請負契約
・東京都美術館(二十一)改修電気設備工事請負契約
・東京都美術館(二十一)改修空調設備工事請負契約
請願の審査
(1)二一第一二四号 ゆたかな教育、私学助成の拡充に関する請願
(2)二一第一二八号 選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書の提出に関する請願
(3)二一第一三二号 すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願
(4)二一第一三三号 私立幼稚園に対する公費助成の大幅な増額を求めることに関する請願
(5)二一第一三五号 すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願
(6)二一第一三八号 私立専修・各種学校の教育・研究条件の改善と父母負担の軽減を求めることに関する請願
○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び請願の審査を行います。
なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○秋山生活文化スポーツ局長 平成二十二年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております生活文化スポーツ局関係の議案につきましてご説明を申し上げます。
今回提出を予定しております議案は、予算案二件、条例案二件、契約案三件の計七件でございます。
私から議案の概要をご説明申し上げます。
初めに、予算案についてご説明を申し上げます。
まず、平成二十二年度予算案についてでございます。
お手元のA3カラー版の参考資料、平成二十二年度生活文化スポーツ局所管予算案の概要の一ページ目をごらんください。
総括表でございますが、予算総額は二千九十五億七千百万円で、前年度比二百九十八億八千七百万円、一六・六%の増となっております。
それでは、二十一年度と比べまして大きく変動している事項を中心にご説明を申し上げます。
まず歳入でございますが、総額六百五十九億九千八百万余円で、前年度比約三百七十億円の増となっております。
主な要因でございますが、一点目が国庫支出金の増でございます。後ほど総務部長から詳細をご説明申し上げますが、これは、国が来年度から私立高等学校等に通う生徒の保護者に対しまして、就学支援金を都道府県を経由して支給することとしたためでございます。全額国費負担となるため、国庫支出金に計上しております。
二点目は、繰入金の増でございます。これは、昨年、国からの交付金により造成いたしました消費者行政活性化基金や、高等学校等生徒修学支援基金からの繰入金、当局が所管する文化施設、体育施設の改修経費に充当するための社会資本等整備基金からの繰入金などを計上したためでございます。
次に歳出でございますが、生活文化スポーツ費は三百二十一億五百万円で、前年度比約三十四億円の減となっております。主な要因は、計量検定所費の減でございます。二十一年度は、計量検定所の移転、改築に向け他会計が所有する都有地を所管がえするための予算を計上していたためでございます。
次に、学務費は千七百七十四億六千六百万円で、前年度比約三百三十億円の増となっております。助成費の増によるものでございますが、主な要因は、先ほど歳入でご説明をいたしましたが、国が来年度から就学支援金を都道府県を経由して支給することとしたため、新たに歳出予算に計上したほか、私立高等学校等特別奨学金補助や、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業につきまして、補助対象者数の拡大を見込んだこと、国の幼稚園就園奨励制度の変更に伴う園児保護者の負担増に対する激変緩和を図るため、私立幼稚園等就園奨励特別補助を創設したことなどによるものでございます。
後ほど総務部長から詳細をご説明申し上げます。
続きまして、平成二十一年度補正予算案でございます。
お手元の資料第2号、平成二十一年度生活文化スポーツ局所管補正予算説明書をごらんください。
一ページをお開き願います。これは、都税収入の大幅な減収に対する措置として、一部事業の財源に都債を充当するため、歳入予算三十一億五千万円の補正を行いますとともに、給与改定による給与費の更正等により、歳出予算十二億六千六百万余円の減額補正を行うものでございます。
続きまして、条例案及び契約案についてご説明を申し上げます。
お手元の資料第3号、平成二十二年第一回東京都議会定例会議案の概要をごらんいただきたいと存じます。
表紙を一枚おめくり願います。目次に、今定例会に提出を予定しております議案を示しております。
まず、東京都美術館条例の一部を改正する条例でございます。本条例は、東京都美術館の大規模改修に伴い、貸出施設の名称を改めるとともに、利用料金を改定するものでございます。
続きまして、東京都写真美術館条例の一部を改正する条例でございます。本条例は、東京都写真美術館の地下一階の展示室について、施設名、利用料金等を規定するものでございます。
次に、契約案でございますが、今回提出を予定しておりますのは、東京都美術館の老朽化に伴い行われる改修工事に係る契約案三件でございます。
詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小林総務部長 局長からの概要説明に引き続きまして、私から、今定例会に提出を予定しております議案の詳細についてご説明申し上げます。
初めに、予算案についてご説明申し上げます。
まず、平成二十二年度予算案についてでございます。
恐縮ですが、もう一度お手元のA3カラー版の参考資料、平成二十二年度生活文化スポーツ局所管予算案の概要をごらんください。
資料の二ページ目をお開きください。
まず、Ⅰ、私学助成、文化・スポーツ振興等の重点的な取り組みについてご説明申し上げます。
まず初めに、私立学校助成のさらなる充実でございます。
現在、都内の学校に在学、在園する児童生徒等のうち、私立学校に在学、在園する割合は、高等学校で約六割、幼稚園では約九割を占めております。
私立学校が東京の公教育に果たす役割は非常に大きいものとなっておりまして、そのため都では、都内私立学校の振興のため、各種事業を実施しております。
二十二年度も引き続き、私立学校に対する基幹的補助であります経常費補助を堅持するほか、学校の安全性を高めるための耐震工事などの施設整備に関する補助や、保護者の経済的負担の軽減を目的とする事業等を充実してまいります。
それでは、具体的な事業についてご説明申し上げます。
1、私立学校経常費補助でございます。
私立学校の教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化等を図るため、経常費の一部を補助するものでございますが、経常費補助の算出基礎となっております地方教育費調査における公立学校の実績値がふえていることを受けまして、補助額が増加をしております。
また、特別支援学校につきましては、本年度に引き続き補助単価を引き上げることとしております。
二十二年度は、前年度比約三十億円増の千百八十億三千四百万余円を計上しております。
次に、私立高等学校等就学支援金でございます。これは局長からの概要説明でも触れさせていただきましたが、国が来年度から制度を新設するもので、公立高等学校の授業料を無償化するとともに、私立高等学校等に通う生徒の保護者に対しましては、就学支援金として授業料の一定額を助成するもので、全額が国費負担となります。
国が都道府県を通じて学校設置者に代理受領させる支給方法としたため、都の予算に計上することとしたものでありまして、二百四十九億六百万余円を計上しております。
次に、3、私立高等学校等特別奨学金補助でございます。
私立高等学校等に通う生徒の保護者のうち、平均的な所得以下の保護者の方に対しまして、所得に応じて授業料の一部を助成し、公私格差を是正するものでございます。
二十二年度は補助対象者数の拡大を見込んでおりまして、前年度比約十億円増の四十三億三千七百万余円を計上しております。
なお、本事業につきましては、昨年の第四回都議会定例会におきまして、昨年五月に成立した国の補正予算に基づき、高等学校等生徒修学支援基金を設置した際に、その基金を財源とする予算の補正を行いましたが、二十二年度におきましても基金を財源の一部に充当しております。
また、先ほどの就学支援金制度の新設に伴いまして、就学支援金とあわせて事業の組みかえを行うことといたしまして、授業料の公私格差を是正し、所得に応じた授業料負担の軽減を図っているところでございます。
次に、4、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業でございます。
私立幼稚園等に通う園児保護者の負担軽減を図るため、所得に応じて保育料の一部を補助する事業でございます。
二十二年度は補助対象者数の拡大を見込んでおりまして、前年度比約一億七千万円増の五十四億九千万余円を計上しております。
次に、5、私立幼稚園等就園奨励特別補助でございます。
これは、国の幼稚園就園奨励制度の変更によりまして、都の補助対象園児の七割を超える階層で保護者負担が大幅にふえることとなったため、保護者負担の激変緩和を図るための緊急的な措置といたしまして、先ほどの私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業とは別制度の事業として新たに創設したものでありまして、二十二年度限りの補助といたしまして、九億二千四百万余円を計上しております。
次に、6、私立学校安全対策促進事業費補助でございます。
私立学校の耐震化の一層の促進を図るため、本年度に引き続きまして、特に危険性の高いIs値〇・三未満の建物につきまして、耐震補強、改築工事に対する補助率五分の四を継続するとともに、補助対象限度額の引き上げ等を予定しております。
また、新たに緊急地震速報受信装置の整備費に対する補助を行うこととしております。
二十二年度は、前年度比約二十五億円増の八十一億千四百万余円を計上しております。
次に、7、地上デジタルテレビ整備費補助などの環境整備費補助でございます。
小中高等学校、幼稚園、特別支援学校、専修学校高等課程におけます地上デジタル放送視聴に必要な経費の一部、及び私立幼稚園等におけます遊具等の整備に関する経費の一部を補助するものでございます。
二十二年度は、八億三千四百万余円を計上しております。
次に、8、育英資金事業費補助でございます。
経済的理由により修学困難な方々に対する育英資金の貸付事業を実施するものでございます。二十二年度は補助対象者数の拡大を見込んでおりまして、前年度比約三億六千万円増の二十三億八千七百万余円を計上しております。
なお、本事業につきましても、先ほどの特別奨学金と同様に、高等学校等生徒修学支援基金を財源の一部に充当しております。
以上が私立学校助成に係る主な事業でございます。
次に、地域力の向上に向けた取り組みでございます。
都は、地域の活性化に向けた町会、自治会活動を支援し、地域住民のつながり、地域の課題を解決する力、いわゆる地域力を再生することを目指しております。
二十二年度も市民活動、国際交流、伝統文化、スポーツ振興などの地域の取り組みへの支援を継続することといたしまして、助成総額は本年度と同様一億円を計上しております。
次に、だれもが安心して消費生活を送ることができる社会の実現でございます。
まず、1、東京都消費者行政活性化基金事業でございます。
国からの交付金で設立いたしました東京都消費者行政活性化基金を活用いたしまして、区市町村における消費生活相談窓口の強化等に向けた取り組みへの助成を行うとともに、都といたしましても、都や区市町村の相談員のレベルアップを目的といたしました東京消費生活相談アカデミーや、テーマ別特別相談、消費者教育教材の作成等の事業を実施するものでございます。二十二年度は四億九千四百万余円を計上しております。
次に、2、公衆浴場対策でございますが、公衆浴場のクリーンエネルギー化、耐震化を目的とした補助等、各種補助事業を継続するものでございます。二十二年度は八億三千六百万余円を計上しております。
次に、スポーツ都市東京の実現を目指した取り組みでございます。
まず、1、総合的な競技力向上方策の推進でございます。
平成二十五年の東京国体に向けまして、ジュニアアスリート発掘、育成事業の充実など、選手強化、指導者育成、医科学サポート体制の整備等、総合的な競技力向上方策を推進するものでございます。
なお、地区体育協会へ補助を行いますジュニア育成地域推進事業につきましても、引き続き継続をしてまいります。
二十二年度は、六億九千八百万余円を計上しております。
次に、2、地域スポーツクラブの支援でございます。
地域の日常的なスポーツ活動の場といたしまして、地域住民みずからが主体となって運営する地域スポーツクラブですが、平成二十八年までに都内百クラブの設置を目指して、地域スポーツクラブ育成セミナー等の支援策を実施いたします。
二十二年度は、千七百万余円を計上しております。
次に、3、東京マラソン・東京大マラソン祭りの実施でございます。
今月二十八日に第四回目として開催されます東京マラソン二〇一〇では、定員三万五千人のところ約三十一万人の応募がありまして、当せん倍率が八・九倍となるなど、東京マラソン・東京大マラソン祭りは、参加者だれもが楽しめるスポーツイベントとして定着してまいりましたが、二十二年度は、第五回目の開催に向けまして二億四百万余円を計上しております。
次に、文化の創造・発信都市東京のプレゼンス確立に向けた取り組みでございます。
1、東京文化発信プロジェクトの展開でございます。
東京の文化的魅力を発信する東京大茶会、キッズ伝統芸能体験、フェスティバルトーキョー等の多様なイベントを実施するものでございます。
二十二年度は、十六億千二百万余円を計上しております。
続きまして、三ページをごらんいただきたいと思います。
Ⅱ、都立文化施設・体育施設の計画的な改修、整備でございます。
当局は、多数の文化施設、体育施設を所管しておりますが、これらの施設では設備機械等の老朽化が進んでおります。今後、昨年二月に財務局が策定いたしました主要施設十カ年維持更新計画に基づきまして、計画的な改修等を推進していく予定でございます。
まず、都立文化施設の計画的な改修でございます。
1、東京芸術劇場の大規模改修でございます。
老朽化が著しい東京芸術劇場を全面リニューアルいたしまして、東京の新たな文化発信拠点として整備するものでございます。
二十四年度にリニューアルオープンの予定でございますが、二十二年度は、実施設計及び改修工事に係る経費といたしまして、二十八億七百万余円を計上しております。
次に、2、東京都美術館の大規模改修でございます。
二十四年度のリニューアルオープンに向けまして、本年度に引き続き改修工事を行うため、二十二年度は六億二千二百万余円を計上しています。
次に、3、庭園美術館等の文化施設の改修、維持補修でございます。二十二年度は、庭園美術館の改修に係る実施設計費、東京文化会館の舞台設備改修等に係る経費といたしまして、九億百万余円を計上しております。
次に、都立体育施設の計画的な改修、整備でございます。
1、駒沢オリンピック公園総合運動場等の体育施設の改修、維持補修でございます。
二十二年度は、駒沢オリンピック公園総合運動場の陸上競技場のグラウンド改修、東京体育館及び東京武道館の改修の実施設計に係る経費といたしまして、十六億二千七百万余円を計上しております。
次に、2、武蔵野の森総合スポーツ施設の整備でございます。
本施設につきましては、昨年四月に武蔵野の森総合スポーツ施設基本構想を策定いたしましたが、現在、この基本構想を踏まえた基本計画の策定を進めているところでございます。
二十二年度は、平成二十五年の東京国体の開催に必要となる味の素スタジアムの補助競技場の整備経費、補助競技場以外の施設の基本設計に係る経費といたしまして、十億二百万余円を計上しております。
なお、今後のそれぞれ施設の改修予定につきましては、スケジュール表に年次予定を整理しておりますので、ごらんをいただきたいと思います。
次に、Ⅲ、債務負担行為でございます。
債務負担行為といたしまして、東京芸術劇場改修工事など合計で十件、二百八十九億六千七百万余円を予定しております。
以上が平成二十二年度予算案でございます。
なお、詳細につきましては、お手元の資料第1号、平成二十二年度生活文化スポーツ局所管予算説明書を後ほどご参照いただきたいと思います。
続きまして、平成二十一年度補正予算案でございます。
恐縮ですが、お手元の資料第2号、平成二十一年度生活文化スポーツ局所管補正予算説明書をごらんいただきたいと思います。
二ページをお開きください。今回の補正予算は、都税収入の大幅な減収に対する措置として行うものでございます。
まず歳入ですが、都債の生活文化スポーツ債で、三十一億五千万円を計上しております。これは、計量検定所費及び文化振興費の一部事業に減収補てん債を充当するためのもので、歳出において、財源更正もあわせて行っております。
次に歳出ですが、給与改定等の影響による給与費の更正を行い、生活文化スポーツ費の中の管理費で三億二千五百万余円、学務費の中の管理費で三千六百万余円の減額補正を行っております。
また、計量検定所費につきましては、計量検定所の移転、改築に向け、他会計が所有する都有地を所管がえするための予算を計上しておりましたが、評価額の確定により明らかとなった不用額九億四百万余円の減額補正を行っております。
以上が平成二十一年度補正予算案でございます。
続きまして、条例案の詳細についてご説明を申し上げます。
お手元の配布資料第3号、平成二十二年第一回東京都議会定例会議案の概要をごらんいただきたいと思います。
一ページをお開きください。1、東京都美術館条例の一部を改正する条例でございます。
(1)の改正理由及び改正内容をごらんいただきたいと思います。東京都美術館は、現在の建物となってから三十五年近くが経過し、施設や設備の老朽化が進んでいることから、設備の全面更新に加え、ユニバーサルデザインの整備、鑑賞環境や利便性の向上等を図るため、大規模改修を行う予定でございます。
本条例は、その改修工事後のリニューアルオープンに当たりまして、貸出施設の一部の名称を改めるとともに、利用料金の上限額を改定するものでございます。
利用料金の上限額につきましては、全施設について一平米当たりの単価を八十八円から百円に改定するものでございます。
施行期日につきましては、平成二十二年四月五日としております。
続いて、二ページをお開きください。2、東京都写真美術館条例の一部を改正する条例でございます。
(1)の改正理由及び改正内容をごらんいただきたいと思います。本条例は、東京都写真美術館の地下一階の展示室につきまして、展示内容の多様化に伴い、柔軟な施設利用とするため、所要の規定整備を行うとともに、施設名、貸出単位、利用料金の上限額を規定し、貸出施設として位置づけるものでございます。
施行期日につきましては、平成二十二年四月一日としております。
以上が条例案でございます。
次に、契約案の詳細についてご説明申し上げます。三ページをお開きいただきたいと思います。
今回提案を予定しております契約案は三件でございます。いずれも東京都美術館の老朽化に伴い行われる改修工事に係るもので、工事場所は台東区上野公園八番三十六号でございます。
まず、1、東京都美術館(二十一)改修工事請負契約でございます。
契約相手は大成・名工・山口建設共同企業体、契約金額は四十億九千五百万円、契約の方法は一般競争入札、工期は契約確定の日から平成二十三年十一月三十日まで、工事概要は記載のとおりでございます。
次に、2、東京都美術館(二十一)改修電気設備工事請負契約でございます。
契約相手は中電工・旭・清進建設共同企業体、契約金額は十九億九千三百九十五万円、契約の方法は一般競争入札、工期は契約確定の日から平成二十三年十一月三十日まで、工事概要は記載のとおりでございます。
最後に、3、東京都美術館(二十一)改修空調設備工事請負契約でございます。
契約相手は大氣・東海・當木建設共同企業体、契約金額は二十三億六千二百五十万円、契約の方法は一般競争入札、工期は契約確定の日から平成二十三年十一月三十日まで、工事概要は記載のとおりでございます。
四ページには、東京都美術館案内図及び配置図を記載しておりますので、ご参照いただきたいと思います。
なお、お手元の配布資料の資料第4号、平成二十二年第一回東京都議会定例会議案につきましては、後ほどごらんいただきたいと存じます。
以上、今定例会に提出を予定しております議案の詳細についてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大西委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
○畔上委員 十二項目の資料をお願いしたいと思います。
一点目は、スポーツ振興施策に係る予算の推移。
二点目は、各都道府県の主な公立スポーツ施設の設置状況。
三番目は、文化振興施策に係る予算及び決算の推移。
そして四番目は、スポーツムーブメントと文化発信プロジェクトの実績。
五番目が、条例で定める利用料金の上限額と実際に適用している料金、体育施設、文化施設の料金です。
それから六点目が、私立学校教育費における公費負担と私費負担の推移。
七点目が、私立学校経常費補助の生徒一人当たりの単価及び全国順位の推移。
八番目が、今年度の都道府県別の私立高等学校授業料の軽減補助。
九番目が、今年度の都道府県別の私立高等学校生徒の納付金の平均額。
十番目が、東京都育英資金の貸し付けを受けた都立高校生及び私立高校生の人数の推移。
十一点目が、授業料軽減助成を受給した私立高校生等の人数の推移。
そして最後に、国の就学支援金と都の特別奨学金の所得別の支援金の額と該当人数をお願いしたいと思います。
○大西委員長 ほかにございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 それでは、ただいま畔上委員から資料要求がありました。これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。
理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○大西委員長 次に、請願の審査を行います。
初めに、請願二一第一二四号、請願二一第一三二号、請願二一第一三三号、請願二一第一三五号及び請願二一第一三八号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小笠原私学部長 私学助成の拡充等に関する請願についてご説明申し上げます。
ご審査いただきますのは、五件でございます。
お手元に配布しております請願審査説明表の一ページをごらんください。
請願二一第一二四号、豊島区の、私学助成の拡充とゆたかな教育の創造をめざす都民連絡会、村田茂さん外二万六千百二十人からの、ゆたかな教育、私学助成の拡充に関する請願でございます。
二ページをごらんください。請願二一第一三二号、千代田区の、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会、丸木政臣さん外八十五万五千五百十四人からの、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願でございます。
三ページをごらんください。請願二一第一三三号、千代田区の、私学助成をすすめる都民の会、伊豆明夫さん外三十六万六千八百三十一人からの、私立幼稚園に対する公費助成の大幅な増額を求めることに関する請願でございます。
四ページをごらんください。請願二一第一三五号、国分寺市の、三多摩高校問題連絡協議会、古賀禧子さん外二千二百五十八人からの、すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願でございます。
五ページをごらんください。請願二一第一三八号、千代田区の、東京私立学校教職員組合連合、今井道雄さん外七千七人からの、私立専修・各種学校の教育・研究条件の改善と父母負担の軽減を求めることに関する請願でございます。
以上の五件でございます。
請願の要旨につきましては、説明表に記載されておりますように、私立学校の運営費等に対する各種補助の拡充、保護者の経済的負担の軽減、学校における教育環境の整備充実などに関するもので、重複する部分も多くございますことから、現在の状況につきましては、審査説明表に記載されている事項ごとではなく、請願の趣旨、内容により事項を分けて、概略をご説明させていただきます。
第一に、私立学校の運営費等に対する補助についてでございます。
私立学校に対する助成につきましては、教育条件の維持向上、保護者の経済的負担軽減、学校の経営の健全性を高めることを目的として実施しており、その充実に努めております。
初めに、小中高等学校と幼稚園について申し上げます。
まず、私立学校経常費補助につきましては、私立学校の標準的運営費の二分の一を補助するという基本的な考え方に基づき補助を行っております。
高等学校の学級規模の縮小につきましては、この経常費補助におきまして四十人学級編制推進補助を設けるなど、その実現に努めております。各学校における具体的な教員の人数や配置の決定につきましては、設置基準に基づき、各学校の自主的な判断によって行われております。
なお、経常費補助の算定に当たりましては、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律等で定められた教職員数を基準として、所要の経費を見込んでおります。
次に、私立幼稚園のうち、経常費補助の対象となっていない学校法人園以外の幼稚園に対する私立幼稚園教育振興事業費補助につきましては、第二次財政再建推進プランにおきまして、学校法人化を促進するため、その補助単価の見直しを行ったところでございます。
私立幼稚園への三歳児の就園及び教育時間外に園児を預かる預かり保育につきましては、経常費補助などにおいて就園促進補助及び預かり保育事業補助の制度を設けており、状況を踏まえ、その充実に努めているところでございます。
また、私立幼稚園の障害児に対する特別支援教育につきましては、特別支援学校等経常費補助などを実施しているところでございまして、これにつきましても、状況を踏まえ、その充実に努めているところでございます。
経常費補助の拡充につきましては、国に対し、毎年、補助の充実を要望しております。
続いて、専修学校、各種学校の関連について申し上げます。
まず、専修学校の高等課程につきましては、運営費補助として、私立専修学校教育振興費補助を行っております。この事業につきましては、国の助成制度がなく、都が単独で補助を行っていることから、補助金の増額には一定の限界がございます。このため、専修学校の高等課程につきましては、高等学校と同様の助成制度の創設を国に要望しております。
また、専修学校の専門課程につきましては、大学、短大と並ぶ高等教育機関という位置づけから、助成制度の創設を要望しております。
専修学校、各種学校の設置につきましては、都では、学校法人によることを原則としておりますが、法人化につきましては、設置者の責任において行うものと考えております。
続いて、私立学校の財務状況の情報公開について申し上げますと、私立学校法が改正され、平成十七年四月一日から、学校法人には利害関係人に対する財務書類等の公開が義務づけられたところでございます。
それでは、第二に、保護者の経済的負担の軽減についてでございます。
私立高等学校等への特別奨学金補助につきましては、平均的な所得の都民が対象となるような支給基準を設定し、生活保護世帯や住民税非課税世帯などにはより高い補助額を設定しており、すべての家庭への支援範囲の拡大や補助額の大幅な増加については考えておりません。
なお、国の就学支援金の制度により、私立高校等の生徒に対して一律十一万八千八百円を支給する予定であり、特別奨学金の補助単価については、国の就学支援金の制度を踏まえ、保護者の負担がより軽減されるよう設定していく予定でおります。
また、私立の小中学校が、家計状況等の理由により生徒の授業料を減免した場合には、学校に対して補助する授業料減免制度を設けております。
私立幼稚園等への園児保護者負担軽減事業費補助につきましては、平均的な所得の都民が対象となるような支給基準の設定と所得階層に応じた補助額の設定により実施しており、対象枠の拡大や一律の入園料補助は考えておりません。
なお、国の就園奨励費補助金におきまして、年収が三百六十万を超え六百八十万円以下の世帯について補助単価が減額され、保護者負担が大幅に増加することから、都におきまして緊急対応といたしまして激変緩和措置を講じる予定でおります。
第三に、私立学校における教育環境の整備についてでございます。
耐震化が必要な校舎等に対しては、安全対策促進事業費補助を実施し、平成二十一年度には、倒壊等の危険性が高い建物に対する補助率を引き上げるなど、耐震化に係る補助制度の充実に努めております。
また、老朽校舎の改築等につきましては、財団法人東京都私学財団が実施している、長期で低利な施設設備資金の貸し付けに対し利子補給を行うなど、支援に努めているところでございます。
専修学校の施設設備の整備につきましては、私立専修学校教育環境整備費補助を実施しております。
最後に、育英資金事業につきましては、平成二十一年度には私立の高等学校等に在学する生徒への貸付単価を増額するなど、制度の充実に努めているところでございます。
また、専修学校に対して日本学生支援機構が実施しています奨学金事業につきましては、貸与人員、貸与月額とも充実されてきております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。
○大西委員長 説明は終わりました。
本件について発言願います。
○島田委員 私の方から、請願審査に絡みまして私立高等学校の保護者の負担軽減についてお伺いしたいというふうに思います。
先ほどの説明の中にもありましたけれども、政府は、公立高校の授業料無償化を行うに当たり、私立学校の生徒に対しても、高等学校等就学支援金として授業料の一定額、十一万八千八百円を助成する法案を提出いたしました。
現在、東京都では、私立学校生徒への授業料軽減補助として、平均所得以下の世帯を対象に特別奨学金補助を実施しておりますけれども、その概要と実績についてお伺いしたいというふうに思います。
○小笠原私学部長 都は、私立学校等に通学している生徒の保護者の負担を軽減し、修学を容易にすることを目的といたしまして、私立高等学校等特別奨学金補助を実施しております。
この事業は、東京都私学財団が実施する授業料軽減助成に対し必要な経費を補助するもので、一定所得以下の保護者を対象に、所得状況に応じて授業料の一部を補助しております。
平成二十一年度の補助単価は、生徒一人当たり、生活保護世帯は十九万七千円、住民税非課税または均等割のみ世帯は十四万八千円、所得が一定基準以下の世帯は九万八千円となっております。
なお、一定基準とは、平均的所得以下として家族四人の標準世帯の総収入で約七百六十万円としておりますが、平成二十年度における実際の標準世帯の総収入は約六百七十万円であり、現行の所得基準は、これを約九十万円上回っている状況でございます。
平成二十年度のこの事業の実績は、補助総額三十二億三千七百四十八万円、補助対象生徒数は二万九千四百七十七人となっております。
○島田委員 東京都は、平成二十二年度予算案において、国の就学支援金制度にあわせて、特別奨学金補助を上乗せするような形で補助を考えているようでありますけれども、国の制度に合わせた再構築をどのように行おうとしているのか、現段階での考えをお伺いしたいと思います。
○小笠原私学部長 都の平成二十二年度予算案におきましては、国の就学支援金の制度を踏まえ、私立高等学校等特別奨学金補助のセーフティーネットの機能をより一層高め、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて保護者負担の軽減を図ることとしております。
○島田委員 今ありましたけれども、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて保護者負担の軽減を図ろうということでありますけれども、具体的にどう考えるか、来年度予算案に、その特別奨学金の具体的な考え方をお伺いしたいというふうに思います。
○小笠原私学部長 平成二十二年度予算案におきましては、国の就学支援金に都の特別奨学金をあわせた形で、保護者の所得に応じて公私格差の是正を図っていく考えでございます。
平成二十二年度予算案における特別奨学金の額につきましては、生活保護世帯は十七万九千四百円、住民税非課税または均等割のみ世帯は十三万九千四百円、所得が一定基準以下の世帯は九万九千四百円と設定しております。
○島田委員 国の就学支援金と都の特別奨学金があるわけでありますけれども、今話されましたけれども、所得基準とその整合性がしっかりとれているのか大事だと思うんですけれども、その辺の考えをお伺いしたいと思います。
○小笠原私学部長 国の就学支援金につきましては、所得に応じて支援金を加算する所得の具体的基準の考え方が示されてはおりますが、国の説明会などでは、今のところ案であり、確定事項ではないとの説明がされております。
国と都で具体的な所得基準が極端に異なるものではありませんが、正式には現在国会に提出されている法案が成立した後に政令等で決まるものでありますので、都としては、正式に決まった時点で適切に対応してまいります。
○島田委員 私学に通う生徒、全体の割合で五六・七%ということで、東京都では多くの生徒が私学に通っているということであります。
今後は、特別奨学金補助の対象枠を拡大していただき、高校を選ぶ際に、授業料でなく、だれもが教育内容で選ぶことができるよう、公私の格差を是正し、学びの機会均等を実現していただきたいということをご要望申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○村上委員 幼稚園教育に関連して幾つかお伺いいたします。
まず、国の政権交代による影響が幼稚園児の保護者を直撃した一件でございます。
国が園児の保護者の負担軽減を図るため実施している幼稚園就園奨励費補助につきましては、自公政権のもと、対象となるすべての所得階層において補助単価を引き上げることとしておりました。ところが、民主党政権にかわると、子ども手当を理由に、低所得者への給付を重点化したため、対象園児の七割を超える多くの世帯で補助単価が激減され、大きな負担増となることとなりました。
この見直しに対する幼稚園関係者の怒りは尋常ではなく、国が頼りにならないのならば、都で何とかしてもらえないだろうかという要望が我が党に多く寄せられました。我が党はいち早く国に対する意見書を提案したほか、十二月の予算要望で、保護者負担の激変緩和を図るため、必要な処置を都に求めてまいりました。
そして、生活文化スポーツ局が追加で予算要求し、さらに我が党からの復活要望を受け、このたび臨時的、緊急的処置として、私立幼稚園就園奨励費特別補助が創設されるとのことで、保護者にとってはこの補助がどれだけありがたいことかは、要望に来られたお母さん方のお顔を思い出すたびに痛感いたします。
国の制度改正の概要がわかったのが年末で、都の予算もほぼ固まっていた時期に緊急に対応していただき、評価をいたします。
国は地域主権などといっていますけれども、現実には、一方的な制度変更により混乱を招き、地方に迷惑をかけております。我が党はこれまで、国に対していうべきことは地方の立場で主張してまいりました。今回の制度変更に対しては、都からも国に制度改善の要望を出す方向が明確にされておりますので、ぜひ早急に実行していただきたいと思います。
さて、都内では、園児の九割は私立幼稚園に通っており、幼児教育の中心である私立幼稚園に対して東京都は、経常費補助により教育条件の維持向上と保護者の負担軽減を図るほか、耐震診断、耐震補強工事などへの補助を充実し、木造校舎が多く、耐震化が他の学種に比べておくれている幼稚園の教育環境の向上に対して積極的に支援しております。
また、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業や、私立幼稚園預かり保育推進補助は、保護者の負担を軽減し、幼稚園教育の振興に寄与するほか、少子化対策としても十分機能しております。
これまでの都議会の審議の中で、経常費の一人当たりの単価の全国順位を問題にして、都の対策が不十分であるやの議論がなされたことがあります。これこそ木を見て森を見ずでありまして、学校や保護者に対するさまざまな補助により、総合的に教育環境の充実、保護者の負担軽減を図っている点は、他県にぬきんでているといっても過言ではないと思います。
私は幼稚園関係者の方々とお話しする機会が多いのですが、多くの方から都の私立幼稚園施策の充実に対しては、お褒めの言葉をいただいております。今後とも適時適切な対応をお願いしたいと思います。
そこで、まず、基幹的補助である私立幼稚園の経常費補助についてお伺いいたします。
平成二十一年度から幼稚園の実態に合わせるために算定の方法を改善したとのことですが、その内容についてお伺いいたします。
○小笠原私学部長 私立幼稚園の経常費補助につきましては、私立幼稚園の実績値などをもとに運営に係る標準的な経費を算出し、その二分の一を補助することにより、教育条件の維持向上、保護者の負担軽減に努めております。
平成二十一年度には、幼稚園関係者からの強い要望も踏まえまして、新たに経常費補助の人件費に諸手当を算入し、より実態に近い積算方式として改善を図りました。その結果、各都道府県の平成二十二年度予算要求時の調査ではありますが、園児一人当たり単価の比較では、全国平均が十七万二千七百五十八円であるのに対して、都の一人当たり単価は十七万三千八百三十四円であり、平均をやや上回るまでになっております。
○村上委員 文科省の全国順位は、経常費の対象範囲などが都道府県によりまちまちであることから、一つの参考にすぎないとは思いますが、教職員の手当分を算入することで、より実態に近い補助となったものと考えます。今後とも、幼稚園運営の実態に即した経常費補助にするために努力をしていただきたいと思います。
次に、先ほど申し上げたように、都は、経常費補助のほかにも各種施策を実施し、総合的に私立幼稚園教育の充実を図っておりますが、園児保護者の負担軽減や耐震化対策など、具体的な施策について、確認の意味も含めてお伺いいたします。
○小笠原私学部長 まず、園児保護者の負担軽減でございますが、都では一定所得以下の園児保護者に対して、所得状況に応じて保育料の一部を補助する私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業を実施し、国の幼稚園就園奨励費補助や区市町村の補助とあわせて、保護者の負担の軽減を図っております。
都道府県が単独で実施している保護者の負担軽減事業につきましては、東京都のほかには十八府県で実施しておりますが、そのほとんどが園児が第二子や第三子であることを条件としております。
都では所得基準に該当する園児すべてを対象としており、都内の私立幼稚園児の約六割が補助対象となっております。平成二十二年度予算額は五十四億九千万円であり、園児一人当たりに換算すると約三万五千円となります。
これを先ほどの経常費の単価十七万三千八百三十四円に加えますと、都の園児一人当たりの単価は二十万円を超える額となり、これは全国上位に位置づけられるものと考えております。
また、都の私立幼稚園に対する耐震化対策といたしましては、園児の生命を守る観点から、耐震診断や補強工事等に対する補助率を従来の三分の二から、補助率としては非常に高率である五分の四へと引き上げました。その結果、平成二十一年四月一日現在、幼稚園の耐震化率は約六二%にまで達しましたが、引き続き各幼稚園に対して補助制度を活用した耐震診断、補強工事等の実施を促してまいります。
このように、経常費補助を初め保護者の負担軽減事業や施設整備に対する補助などにより、副委員長お話しのとおり、総合的に私立幼稚園教育の充実に努めております。
○村上委員 今お聞きいたしますと、園児保護者の負担軽減について、都では当然に第一子から対象としていることが、他府県ではいろいろと制限がかかっていることや、耐震化の補助制度などは非常に高い補助率を適用するなど、充実していることがわかりました。幼稚園関係者の方々が常々いっておられる、都の私立幼稚園教育に対する施策のすばらしさに改めて合点がいきました。
今後とも、基幹的補助である経常費補助とあわせて、保護者負担軽減補助や施設設備に関する補助などにより、総合的に教育条件の維持向上、保護者負担の軽減に取り組んでいただくようにお願いをして、私の質問を終わります。
○畔上委員 一括審査となりました請願について、請願者の方々にもお話を伺ってきましたが、とりわけ私学に関していえば、私学に通う家庭はみんな経済的に豊かなのだと思わないでほしい。子どもの成長を願って車を売って入学金を準備した。公立中学で不登校になって悩んだ末の私立だった。下の子も私立を希望しているけれども、二人はとても無理だなどなど、本当に、私立に通う子どもたちに対する経済的な支援がいかに重要かということを、私は請願者の皆さんの声を聞いて改めて痛感いたしました。
ゆきとどいた教育をすすめる都民の会の署名では八十五万五千五百十四人、ほかの私学助成等の充実を求める請願署名を合わせますと八十八万人を超える人たちの切実な思いが出されたわけで、その重みを東京都としてどう受けとめていらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。
○小笠原私学部長 ご質問の請願につきましては、都民の方々の声として受けとめておりますが、請願内容につきましては、予算にかかわることでもあり、本委員会を初めとして議会での審議等も踏まえ、適切に対応してまいります。
○畔上委員 私は、都民の切実なこうした声をしっかり受けとめていただきたいと思います。
子どもたちの家庭における格差と貧困の問題、その問題を通して私学助成の拡充についても、この間、当委員会で質疑をさせていただきましたが、今、卒業式を目前にして私学において深刻な事態が生まれている。学費滞納で卒業できない、そういう生徒がいるという問題について伺いたいと思うんです。
私学における学費滞納状況について調査をされていますでしょうか。それから、もし調査をされているとしたら、経年的にはふえているのかどうか、その点について伺います。
○小笠原私学部長 文部科学省の調査によりますと、平成二十年度末の都内の私立高等学校における滞納状況は、滞納者数は七百十七人で、その割合は〇・四%でございます。
なお、前年も〇・四%でございました。
○畔上委員 三月で七百十七人。三月で滞納しているということは、卒業できない、進級できないということにつながってしまうわけです。学校独自の減免制度や育英資金制度、こういう現行制度を活用しても、三月でもし滞納しているという事態であるならば、私はやっぱり制度の改善、そしてまた新たな制度などをつくって、経済的な理由による、中退せざるを得ない、また卒業できない、こんな生徒を絶対つくってはならないというふうに思うんです。
学費滞納を理由に卒業できない、それから進級できない、そういった生徒の実態を私はしっかり調べて、学校独自の授業料の減免、これに対する補助率を引き上げる、また、制度導入の学校をふやしたり、育英資金の貸し付けについても家計急変にさかのぼって対応できるようにすべきと思うんですが、いかがでしょうか。
○小笠原私学部長 都では、私立学校が家計状況または家計状況の急変という理由により生徒の授業料を減免した場合に、学校に対して補助する授業料減免制度を経常費補助の中に設けております。その補助率は、平成二十年度までは、学校の減免額の三分の二としていましたが、平成二十一年度から、生徒の修学上の経済的負担のさらなる軽減を目的として、家計状況の急変による場合の補助率を三分の二から五分の四に引き上げたところでございます。
また、できる限り多くの学校において授業料減免制度を導入してもらうため、平成二十一年度から、減免制度を整備している学校に対して定額の補助を行うことといたしました。
次に、東京都育英資金につきましては、家計状況の急変があり修学が困難になった場合、特別募集として、学年、時期を問わず申請を受け付けております。貸付期間につきましては、申し込みがあった月から修業年限の終了月までとしております。
○畔上委員 それでも三月には七百十七人の子どもたちが滞納しているという状況なわけです。政府は、授業料滞納で卒業できない高校生がいるとして、この緊急事態に生活福祉資金の貸し付けの特例措置を行いました。今年度に限りですが、高校の授業料については遡及して貸し付けることができると。単年度で、対象要件が非課税世帯ということで、私は問題点もあると思っていますが、やはり授業料滞納で卒業できない子をつくらないようにという取り組みを行ったことは大変重要だというふうに思っております。
しかし、この制度は、私もマスコミ報道で知ったんですが、二月十二日の通達ですから、私学関係者に周知徹底をしないと、まさに宝の持ちぐされになりかねないというふうに思うんです。何よりも高校生の保護者が学校にも相談できずに悩んでいる場合もあるわけですから、私は各学校に周知徹底をすると同時に、私学部として緊急の相談ホットライン、相談窓口を開設すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○小笠原私学部長 現在におきましても、就学支援につきまして、制度を所管する部署で情報提供するとともに、生徒、保護者、学校などからの問い合わせに対応しております。
また、特別奨学金や育英資金などを実施している財団法人東京都私学財団におきましては、問い合わせに十分対応するとともに、各種制度をパンフレットに掲載するなど、情報提供にも努めているところでございます。
○畔上委員 現在は努めているということですが、相談窓口はないということであります。そういう点では、滞納している家庭は、ただでさえ学校には負い目を感じて、なかなか相談に行けないというふうに思うんですね。そういう点では、既に授業料滞納の子どもたちが現存しているわけですから、卒業できない子どもたちをつくらないと。その姿勢で私学部として、ぜひ相談窓口設置を進めていっていただきたいということを強く要望したいと思います。
次に、特別奨学金について伺いたいと思います。
先ほども国の高等学校等就学支援金との関連の質疑がございました。高校生については支給する額も先ほど説明がありましたけれども、概算要求の当初は、年収五百万未満の世帯は二十三万七千六百円まで支給するんだというふうになっておりましたし、また要望の強かった低所得者層への給付型の奨学金制度も、これも今回は見送られてしまったというのが実態だというふうに思います。
私立学校が公教育を担って、東京の高校生の五七%が私立に通っているということから見ても、公立高校の授業料だけを無償化するのではやっぱり不十分であって、私立の高校も無償化していくということでなければ、やはり教育の機会均等を保障しているとは、私はいえないというふうに思うんです。
都内の私立高校の授業料の平均額は四十二万二千七百円。特別奨学金を入れても、年収五百万円ですと、自己負担は授業料だけでも二十万円を超えるというのが実態です。
この負担をより軽減するために、私は、都として、おおむね年収五百万未満の世帯は授業料無償となるように特別奨学金を拡充すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○小笠原私学部長 都の平成二十二年度予算案は、国の就学支援金の制度を踏まえて、私立高等学校等特別奨学金補助のセーフティーネットの機能を一層高め、一定所得以下の保護者を対象に所得に応じて保護者負担の軽減を図ることとしており、お話の年収五百万円未満の世帯まで無償化するような補助制度は考えておりません。
なお、国の平成二十二年度予算の概算要求時点におきましては、就学支援金を二倍支給する基準として、年収五百万円未満という区分が設定されておりましたけれども、最終的な政府予算案ではその区分は設けられておりません。
また、都の特別奨学金におきましても、年収五百万円の区分について新たに設けることは考えておりません。
○畔上委員 確かに、現在の特別奨学金に係る財政とどのぐらいの差が生まれるのかということについては特定できないにしても、私は、都の財政力をもってすれば、できない金額ではないというふうに思うんです。私、試算してみたんですけれども、約三十六億円でこれができるわけです。やっぱり前向きな検討を強く求めたいというふうに思います。
また、国の就学支援金事業も活用すれば、私立高校の入学金、それから施設費等を対象とする減免制度を創設することができるというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○小笠原私学部長 平成二十一年度の生徒が学校に支払う都内私立高校の学校納付金の平均は、入学金につきましては入学支度金貸付制度がございますので、それを除きますと約六十二万円となっております。
一方、生徒、保護者への負担軽減策といたしましては、国の就学支援金及び都の特別奨学金と育英資金がございまして、これらをすべて利用した場合、平成二十二年度においては、生活保護世帯の場合、年間約八十四万円が手当てされる予定でございます。
また、特別奨学金を受けることのできる所得階層のうち、最も所得が高い世帯におきましても、年間約六十四万円が手当てされることになるため、これらにより修学上必要な費用は賄えるものと考えております。
○畔上委員 私学の負担の場合、授業料以外で、初年度平均は四十五万円です。先日、ある私立高校を受験した生徒が親に内緒で学校側に、家庭の経済的事情を考えて辞退したという話をして、それを後で知った親が本当に切なく、子どもにまでこんなに負担をかけているんだと思うと悲しくて仕方がないというお話を伺いました。
ことしの高校受験の状況を見ますと、都立の応募倍率が、二万九千八百五十一人に対して、応募が四万五千七百八十九人、一・五三倍になっています。単独の選抜になって以来、最高といわれる状況になっています。そういわれていた去年よりも上回ったわけです。都立単独の子も非常に多いと聞いています。
一方、私学はどうかというと、マスコミ報道ですけれども、前年度よりも倍率が高いというふうに報道されていたので、私もよく調べてみたんですけれども、よくよく見ますと、私学の場合、非常に二極化していると。本当に私学を選択できない家庭もやっぱりふえているんじゃないかということを感じました。
受験状況はすべて経済的な事情とはいいませんが、やっぱり経済的な要因が背景にあることは明らかだというふうに思うんです。私は、給付型の奨学金制度を先送りしてしまった政府の責任も非常に大きいと思っていますけれども、この間、我が党が繰り返し提案、要求してきた高校生の給付型の奨学金制度を東京都が先行してつくっていくべきだというふうに、私は改めて申し上げたいと思います。
次に、私立幼稚園に対する公費助成の大幅な増額を求めることに関する請願について伺いたいと思います。
先ほど村上副委員長の方から、国の幼稚園の就園奨励費の改定問題でご意見がございました。私どもも復活予算の中で、都として特別補助を創設すべきだということを求めてきましたが、この特別補助を創設したということは、私は一歩前進だと考えます。
しかし、あくまでも東京都は、これは激変緩和措置だということでありまして、単年度の措置としているということはやはり問題だというふうに思っています。一万二千四百円の支給というのは国がカットした分の三分の二ということですが、当然国に負担増の撤回を求める。これは当たり前のことです。それは当然のことです。しかし、都としても、さらなる拡充が求められるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小笠原私学部長 先ほど村上副委員長からご指摘がありましたけれども、今回の国の幼稚園就園奨励費補助の制度変更により負担増となる世帯が多くいることから、今後、補助制度の対象となるすべての世帯が負担増となることのないよう、補助制度の改善を国に求めていくこととしております。
また、今回の私立幼稚園等就園奨励特別補助は、国の制度変更を受け、緊急的、臨時的措置として創設するものでありまして、都としては、この特例補助の継続や、さらなる負担軽減策は考えておりません。
○畦上委員 もちろん国に強く求めるのは基本だと思います。しかし、保護者にすれば、単年度だけでは、その後の負担が重くなるわけです。ですから、やはり国に強く求めると同時に、都としても拡充を求めたいと思います。
私立幼稚園は地域差もありますが、少ない公立幼稚園の中で大切な幼児期の教育機関としての役割を果たしています。しかし、保護者負担がまだまだ大きいというのが私は実態だと思います。
私学部の調査資料でも、今年度の保育料は三十万六千八百九十三円と。初年度の納入金総額平均は四十四万七千五百四十五円にも上っています。一方、都の学校法人の園に対する経常費補助は、先ほどもお話がありましたが、十七万何がしです。
昨年度の実績で見ると、子ども一人当たりの単価で見ると、十四万八千五百八十七円ということで、これは先ほど全国のランクの話がありましたが、全国のランクで見れば、四十四番目ということになるわけです。
先ほど村上副委員長の答弁の中で、ほかの補助を加えると平均より上回るということですが、これについては我が党も昨年の本会議で経常費補助をふやすよう求めてきて、諸手当などを上乗せして増額させたということについては非常に重要だというふうに思っています。(「重要というのはどっちが重要なんだよ」と呼ぶ者あり)前進だということです。しかし、さらなる補助の拡充を図るべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小笠原私学部長 私立幼稚園に対する経常費補助につきましては、私立幼稚園の実績値などをもとに標準的な運営費を算出し、その二分の一を補助しております。
平成二十一年度には、経常費補助について、新たに人件費に諸手当を算入し、より実態に近い積算方法に改善を図ったところでございます。
それにより、各都道府県の平成二十二年度予算要求時の調査ではありますが、都の園児一人当たりの単価は十七万三千八百三十四円となり、全国平均の十七万二千七百五十八円をやや上回るレベルにまでなっております。
ご質問の経常費の全国順位につきましては、経常費の対象範囲などが都道府県によりまちまちであること。また、都においては、幼稚園への他の補助制度も充実していることから、この順位のみをもって、都の幼稚園に対する補助が他府県に比べ劣っているとすることは適切ではないと考えております。
具体的には、都では経常費補助のほかにも、園児保護者負担軽減事業や施設整備に関する補助などを実施しており、総合的に保護者負担の軽減や教育環境の維持向上を図っております。
例えば、園児保護者負担軽減事業につきましては、都のほかでは十八府県で実施されているのみでございますが、実施している都府県の中でも、都では基準に該当する全園児を対象とするなど、他府県に比べてかなり手厚い補助を行っております。
都の園児保護者負担軽減事業の平成二十二年度予算額は五十四億九千万円であり、園児一人当たりに換算すると約三万五千円になります。これを先ほどの経常費の単価十七万三千八百三十四円に加えますと、都の園児一人当たりの単価は二十万円を超える額となり、これは全国上位に位置づけられるものと考えております。
○畔上委員 現実問題として、私立幼稚園で働く人たちの賃金もなかなか上がらないという状況もございます。そういう点ではさらなる拡充を求めたいと思います。
経常費補助については、幼稚園に支給する補助ということでありますが、じゃ、保護者の保育料で、全国平均で見たらどうなるのか。調べてみましたら、入園料を入れても三十三万二千五百二十八円と、先ほど申し上げた四十四万の東京は、全国平均よりも十万円以上高いというふうになるわけです。
やはり区市町村による補助も当然あるわけですけれども、かなり自治体間の格差がある。そういう中では、やはり私は、自治体間の格差を解消するためにも、東京都が補助を拡充する努力をすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小笠原私学部長 私立幼稚園児の保護者負担軽減につきましては、国の幼稚園就園奨励費補助と都の私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の実施により、保護者の所得状況に応じて適切に負担軽減を図っております。
区市町村では、それぞれの地域の実情に応じて独自に上乗せ補助を実施しているものでございます。
○畔上委員 同じ東京都内に住む子どもたちですから、補助の拡充で格差を解消していただきたいというふうに思います。
この問題の最後に、私立幼稚園における障害児補助について伺いたいと思います。
この間、経年的に見ますと、障害児の補助、この金額が変わっていないんですけれども、それはなぜでしょうか。
○小笠原私学部長 都では私立幼稚園に対しまして、教育条件の維持向上、保護者負担の軽減などを目的に、幼稚園の運営費補助として経常費補助金を交付しております。
障害児が在園する幼稚園に対しましては、これに加えまして、特別支援教育の振興、発展を図るため、私立幼稚園特別支援教育事業費補助などを実施しております。
具体的には、障害児が二人以上在園する学校法人立の幼稚園については、国において、都道府県が補助金を交付した場合にそれを補助する制度があり、都は、国と同単価の補助金を国からの補助金に上乗せして幼稚園に交付しております。
また、国の補助対象とならない個人立等の幼稚園に対しましては、都単独で先ほどの国の単価と同額の補助金を交付しており、障害児に係る特別支援教育の推進を図っております。
都といたしましては、今後とも経常費補助の措置状況や国の動向を踏まえ、私立幼稚園に対する障害児教育の充実に努めてまいります。
○畔上委員 ある幼稚園では、百二十人の定員に対して百十一名在籍しているんですが、そのうち十名が、障害児といわれる子どもたちが在籍しています。
隣近所の幼稚園に通園を申し込んだら断られたということで、積極的に障害児を受け入れている幼稚園なんですが、そうやって一割を超える子どもたちが障害があるということです。
東京都として補助しているということはわかっておりますけれども、その園長先生も、都としていただいているけれども、本当にまだ足りないと。この補助では、常時人を雇うことができないんだというふうにおっしゃっていました。国の補助単価は上がっていない、これは承知しておりますけれども、やはり発達障害の子もふえているわけで、人がつけられないというふうになれば、当然手をかけてあげられないというふうになるわけです。ですから、私は、障害児の受け入れを促進させていく、そういうためにも補助の拡充をすることを強く求めたいというふうに思います。
そのことを申し上げて質問を終わりたいと思います。
○星委員 私からも私学について質問をさせていただきます。
家庭の状況にかかわらず、すべての子どもたちが安心して学べる教育環境が必要だと考えます。現在の高校進学率は九七%を超え、都内の私立高校に通っている生徒の割合は、先ほどもお話がありましたけれども六割ということですから、この長く続く景気状況の悪化の中で、公立高校に通学している子どもたちと同様、私学に通われている子どもたちの環境も大変厳しいものと推測できます。
先日、都立高校の応募状況が発表されましたが、わずかな学校を除いて競争率はまた前年を上回っており、希望した都立高校に入れなかった、あるいはさまざまな理由で私学に行かざるを得ない生徒たちがいることも事実です。当座、入学金、授業料を何とか工面できても、保護者の収入が一気に減ってしまうこともある社会経済状況ですから、不測の事態に備えた援助の仕組みの強化が必要と思います。
そこでお聞きします。私学の状況ですが、高校の授業料の滞納状況について、先ほど畔上委員からもご質問がありましたので、私の方からは滞納者の人数や割合を東京都と国に分けて、東京都と国レベルの平均が対比できるようにお聞かせいただきたいと思います。
○小笠原私学部長 文部科学省の調査によりますと、平成二十年度末の全国の私立高等学校における授業料の滞納状況は、授業料滞納者数が九千五十六人で、高校生全体に占める割合は〇・九%でございます。なお、これは前年の〇・八%と比べ、〇・一ポイントの上昇となっております。
次に、都内の私立高等学校の滞納状況は、滞納者数は七百十七人で、その割合は〇・四%でございます。なお、前年も〇・四%でございました。
○星委員 今のお答えですと、国が〇・九のところ、東京都では前年同様〇・四というところで、国平均よりはややいいというところの中ですけれども、この七百十七名という数字は多いというふうにとっていいのか、少ないといっていいのかわかりませんけれども、いずれにしても七百十七名は救える数だというふうに私は考えております。
質問で、家計の急変時に対応するため、学校も授業料減免制度を持っているというふうにお聞きしておりますけれども、そもそも制度を持っている学校はどのくらいあるのか。また、その制度の普及に対してどのような対応をしているのかお聞かせいただきたいと思います。
○小笠原私学部長 都におきましては、私立学校が家計状況、または家計状況の急変という理由により生徒の授業料を減免した場合に、学校に対して補助する授業料減免制度を経常費補助の中で行い、保護者の経済的負担の軽減を図っております。
平成二十年度に補助を行った実績で見ますと、減免制度を持っている学校数は、高等学校が百三十七校、これは全二百三十八校中五七・六%、中学校が九十五校、これは全学校百八十校中の五二・八%、小学校が二十一校、これは五十三校中三九・六%となっております。
都といたしましては、この制度について、私学団体主催の学習会議や補助金説明会など、さまざまな機会をとらえて制度の趣旨や内容の説明を行い、制度の活用や学校を通じた保護者、生徒への周知を積極的に働きかけております。
なお、昨今の経済情勢の悪化により、私立学校に通う生徒の家計は大変厳しくなっており、また、私立学校自体も厳しい経営環境にあることから、都では平成二十一年度より、家計状況の急変による場合の補助率を三分の二から五分の四に引き上げるとともに、減免制度の導入促進を図るため、減免制度を整備している学校を対象に定額補助を行うことといたしました。
○星委員 ありがとうございました。今のお答えですと、減免制度を持っている学校は、私立高校に関しまして二百三十八校中百三十七校という半数、五七%ということですが、私は、こういった減免の制度を学校自体が持つことはとても重要だと思うのですけれども、これは私学においても同様だと思いますが、この少なさが課題ではないかと思うんですが、経常費の補助率を二十一年度から上げたということですが、この事業は、学校経営の配慮に重点が置かれるべき事業ではなくて、困難な子どもたちのために使われるということに期待をいたします。
いただいた資料でございまして、減免制度の設置の数もありますけれども、ちょっとショックだったのは、例えば、家計急変に対して百二十三校の私立高等学校が減免制度を持っていても、実際に実施をしている学校が三十七校しかないという。これは二十年度の数字ですので、補助率を変えたということの成果というか結果があらわれるのは今後だというふうに思いますけれども、私は、学校側、あるいは保護者側にもこの制度をぜひ周知していっていただきたいというふうに思います。これは強く要望させてください。
今や高校の進学率は九七%あるということで、高校はほとんど義務教育といっても過言ではないというふうに思います。貧困により中卒、中途退学などということになった場合は、結果的に労働市場において圧倒的に不利でありますし、ワーキングプアになる可能性も高まります。私は、最低保障されるべき教育とは、今日は高校も当然含まれると考え、請願の趣旨に賛同し、質問を終わります。
○大西委員長 ほかに発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
初めに、請願二一第一二四号をお諮りいたします。
本件中、第一項から第三項まで、第七項及び第十項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一二四号中、第一項から第三項まで、第七項及び第十項は趣旨採択と決定いたしました。
次に、請願二一第一三二号及び請願二一第一三五号につきましては、教育庁関係もございますので、決定は明日十九日の教育庁所管分の審査の際に行い、本日のところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一三二号及び請願二一第一三五号は継続審査といたします。
次に、請願二一第一三三号をお諮りいたします。
本件中、第四項から第六項までを趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一三三号中、第四項から第六項までは趣旨採択と決定いたしました。
次に、請願二一第一三八号をお諮りいたします。
本件中、第三項、第四項、第五項(1)を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認めます。よって、請願二一第一三八号中第三項、第四項、第五項の(1)は趣旨採択と決定いたしました。
○大西委員長 次に、請願二一第一二八号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○萩原参事 請願二一第一二八号、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書の提出に関する請願についてご説明申し上げます。
請願者は、小金井市の淡路若代さん外千八十七人でございます。
請願の要旨でございますが、国に対し、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書を提出することでございます。
現在の状況でございますが、夫婦の姓については、民法第七百五十条により、夫または妻の姓を選択することとなっております。
選択的夫婦別姓制度については、平成八年二月に国の法制審議会が、夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫もしくは妻の氏を称し、または各自の婚姻前の氏を称するものとする。夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は婚姻の際に、夫または妻の氏を子が称する氏として定めなければならないとする民法の一部を改正する法律案要綱を法務大臣に答申いたしましたが、政府として国会提出には至りませんでした。
政府は現在、開会中の通常国会に、選択的夫婦別姓の導入を含む民法等改正案を提出すする予定であると聞いております。
簡単でございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大西委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言を願います。
○馬場委員 このたび提出されました二一第一二八号、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書の提出に関する請願についてお伺いをしていきたい。また、意見も含めて申し上げたいというふうに思います。
まず、今、ご説明いただきましたが、民法の第七百五十条、夫婦の姓について。私どもは今まで男女平等という意識、憲法のもとで、これは差別に当たるというふうに認識をして、この選択的夫婦別姓制度を一日も早く実現をしたいという方向で今まで活動してまいりました。
まず、この選択的夫婦別姓制度を、なぜ選択的という名前を入れなければならないかというようなことについて、これが国際的にどういうふうに見られているかということから入っていきたいというふうに思います。
日本は、女子差別撤廃条約を批准しております。そして、ここから、前回は二〇〇三年七月、今回は二〇〇九年七月二十三日、女子差別撤廃委員会から最終見解。二度にわたって、本日は民法に関することのみ申し上げますが、ここに関しての見解が出されました。
特に、民法についての差別的な事柄については三点ありますが、特に日本の政府に、夫婦の氏の選択、民法では姓といわないで氏と呼んでいるそうですが、民法の中に残る差別的な条項を削除し、立法や行政実務を条約に適合させることを求める旨の改善勧告という形で二度出されておりますし、今回は特にそのフォローアップとして、二年後までにこの改善をしたかということの報告を義務づけられています。
民法で特に勧告を受けている点、差別的な法規定という形で指摘をされている点ですが、この委員会の資料によりますと、男女ともに婚姻適齢を十八歳に設定すること。女性のみに課せられている六カ月の再婚禁止期間を廃止すること及び選択的夫婦別氏制度を採用することをその内容とする、民法改正のために早急な対策を講じるよう締約国に要請をする。さらに、嫡出でないこと、その母親に対する民法、戸籍法の差別的規定を撤廃するようというさまざまな、多岐にわたる勧告がされているわけです。
本条約の規定に沿うよう国内法を整備するという義務に基づくべきであるということをさらに指摘され、二年後のフォローアップを求められているものです。
今回、請願が出されておりますが、その反対の意見が述べられております。同一家庭内で親子間や兄弟間に異なる姓が生じる結果、家族のきずなを弱めることにつながるとともに、子どもに与える精神的影響もはかり知れないというふうに書かれております。さらに、我が国の将来に大きな禍根を残すことになるというふうに書かれております。
では、今現在、この民法の規定のために同姓でなければ結婚ができないという状況が、こういう規定のためにどういう状況になっているかというようなことを調べてみました。
まず、実際に法律上の姓を同一にできない場合に、法律上の結婚ができないという大きな状況があります。それから、同一の姓にするけれども、どちらかが旧姓を通称使用していくという選択、この二つしかないわけです。
こうしたことが結果的に、では家族の構成を壊しているか。そんなことはないというふうに多くの意見がございます。
これは都にも調べていただきたいというふうにお願いをしたんですが、都の職員の皆さん、二十三区も含めて公務員の皆さんの中にも、旧姓の使用ということがあるわけですが、旧姓使用ということについても、旧姓を使用する方にとって大変な負担になっているという訴えがございます。
さまざまな手続の中で、一度結婚をすれば、まず新しい籍、名前に変えて、それからさらに、その上で旧姓の使用というものをお願いしなければなりません。そして、それもできることが、いろいろ規定はありますが、事業に、仕事に、職務上に支障がないことという条件がついていたり、銀行とかもそうですが、法的には一切旧姓は使えないという、まず大きなくくりがあります。
そうした状況の中で、今までこれまでこの選択的夫婦別姓制度が入れば、ここにもありますように、社会の中で仕事を続けたい、一人の個人として暮らしていきたいという多くの方に、女性とは限りません、多くの方に、今、待ち望まれているこの選択的夫婦別姓制度ですので、ぜひとも早期の導入が望まれているのが現状だというふうに私は認識をしております。
そこで、今回、この請願が出たことで、男女平等施策という観点から、所管の男女平等参画、今、参事さんいらっしゃいますが、参画室も含めて、こうした国の動き、それから今回、特にこれを早く進めたいという今の国の動き等について、どういうふうに認識しているか。また、こうした都民の皆さん、職員の皆さん等が、選択的夫婦別姓制度について、これが差別的制度であるから、早く改正してほしいということの認識を参画室として持っていられるかという、そこのところをお聞きをしました。
しかしながら、これは都民の意見を集約できていないということでしたが、国は今、最終的にこの条約に、勧告に基づいて一日も早くというふうに思っているところですが、こうした国の動きを都としてどのように把握されているのか、まず伺います。
○萩原参事 本年一月十四日に開催されました都道府県・政令指定都市男女共同参画主管課長等会議におきまして、先ほど馬場理事からお話の、国連の女子差別撤廃委員会の勧告について内閣府から報告がございまして、国において対応を検討している旨の説明がございました。今後とも、都として国の状況について把握をいたしてまいります。
○馬場委員 国の状況について把握されるのは当然のことでございますが、都の男女平等ということについて、積極的にこれを調査する。また、状況をつかんで、国と早く一緒になって応援をしていくというようなことをすべきだというふうに私は思っております。
なぜこうしたことの不便さを多くの皆さんが訴えている。差別であり、人権問題だということまで含めて訴えている。一日も早い改善を求めている。そうした声を聞いていかなければならないと思いますが、独自調査もなさっていらっしゃらないというようなところで、さらに国でもこのことを進めるということが、二〇〇一年八月に、自民党の森山法務大臣から出された経緯がございます。このときを境に、この選択的夫婦別姓制度に賛成の方がふえたというしっかりとした調査がございます。
そして、さらに世論調査の読み方等についても、すべての人を平均して賛成か反対かという形であらわされる場合もありますが、私は、これから結婚をし、選択をしていかなければ、そのうち結婚ということについて当面していく多くの若い皆さんの意見というものを大きく酌み取らなければならないというふうに思っております。
そして、二十代、三十代の意見は、もう半数を超えて選択的夫婦別姓制度賛成という形で来ているという現状をしっかり踏まえていただきたいというふうに思っております。
先ほども申し述べました職員の皆さんの旧姓使用、これも年々ふえているというふうに伺っております。後日で結構ですが、この実数等も男女平等参画室でしっかりとらえていただきたいというふうに要望をしておきます。
また、これは先ほども差別だからといって、女性差別ということだけではないというふうに申し上げました。これからは男性にとっても、私の経験からは、以前もそうですが、同一の氏を選択しなければならないということは、やはり多くの方の不都合を生んでいるというふうに思います。
自分のことですので、一つの例として申し上げさせていただきます。私の場合、私の両親は、ゆえあって母方の姓に父が同意をし、母方でいきましたが、十数年たって、やはり自分の姓でという父の強い望みで、私の両親は一度離婚をし、また民法の、先ほどの規定の六カ月の再婚禁止期間を待ち、さらに同じ夫婦でもう一度再婚をいたしました。
それでは、この間、私も含めてですが、子ども四人が家族的でなかったかというと、決してそういうことではありませんし、そのどちらにおいても、この間、ある意味、私の両親がそれぞれの氏を使いながら来たと。しかしながら、そうした状況で、請願者がおっしゃっているような、少なくとも同一家庭内での問題があったということではありません。
また、今、旧姓使用をしていらっしゃる、また事実婚をしていらっしゃる多くの皆さんが、社会は認めているのに、認めていないのは法律だけだというふうに強くおっしゃっています。法律が認めていないがために、いろいろな生活に影響が大きいのだと。だから、法律を選択的に変えてくれれば、家族はもっとしっかりした家族関係を持っていけると。
ここで選択的夫婦別姓にしたら家族が一体感がないというふうにおっしゃいますが、では事実婚をしていらっしゃる家族は一体感がないのでしょうか。そういうことではないというふうに私は強く訴えていきたいというふうに思います。
そして、私のところもそうですが、一つの家族でそれぞれの--同居、私の方の家族と両親と住めば、一つの家の中にたくさんの姓を名乗る者が一緒に住むということは、今、当然の状況にあります。
家族という考え方を逆に法で縛るということ自体が差別であり、個人の選択に対する人権の侵害だというふうに大きく声を上げて申し上げ、この選択的夫婦別姓制度導入に反対する請願に反対をするという意見とさせていただきます。
以上です。
○古賀委員 選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書の提出に関する請願を採択する立場で意見を申し上げます。
民主党政権が登場して早々に、この選択的夫婦別姓制度が提案される動きが顕著になってまいりました。政権公約には出ていなかったようでありますけれども、今回、元社会党の千葉景子法務大臣も、この夫婦別姓法案の提出に意欲を示しています。
そもそもこの法案の背景というものが、少しは今述べられましたけれども、理解しておく必要があるというふうに思います。ソ連邦が崩壊をして冷戦構造が大きく転換をして、共産主義、社会主義によるいわゆる革命というものがはっきり敗北をし、その社会変革の方法というのは否定をされたということになります。歴史が否定をしたということであります。
そういった本山、本社は倒産をしたわけでありますけれども、いわゆる外郭団体に当たる支社であるとか分社化された組織が各国に、あるいは各政党として残っている、その勢力が活動を展開する中で、この教育分野、あるいは市民運動がフェミニズム運動として掲げてきたのが、この一つの動きであるということであります。
細川政権のときにもこれは一つ話題になったことを私も記憶しておりますけれども、その後、男女共同参画基本法が制定をされて、このときには制定に携わった自民党の大物議員の人たちも最初はかなり抵抗するのではないかと思われておりましたけれども、当の運動に携わった人たちは、自民党の議員というのはちょろいもんだというようなことを報告書に書いてあるんですね。さして問題を持たないまま、この法案が成立をした。
男女がともに公平な平等な立場で社会を構成し、社会の発展に寄与していくというのは当然のことでありますけれども、この男女共同参画基本法が主目的としたものの一つに、この夫婦別姓制度の導入というものがあるわけです。
そもそもこの夫婦別姓というのは、我が国においては歴史は比較的に浅いものであります。日本においては夫婦同姓というのは明治になって始まったものでありまして、以前は源頼朝の奥さんは北条政子、足利義政の奥さんは日野富子ということで名前は全く別でした。
当時は女性は人質的な役割、あるいは情報収集のための使者として、ある家に嫁ぐ。ですから、相続からは完全に外れておりましたし、当時は預かり腹などということもいわれて、そういった発想で日本では長く、明治まで夫婦別姓が行われてきたわけであります。
しかしながら、そもそも明治以前は、一般庶民、一般国民には氏、姓というのはなかったわけで、明治になって戸籍制度を徹底させて国民全員が名字を名乗ることができるように制度が大きく変わったわけであります。当時は日本も儒教の影響を受けておりましたから、明治政府は別姓を指導したんですね。法律もそうなった。
当時の資料を見てみますと、明治五年に司法省における民法草案というものが発表されて、およそ姓は歴世更改すべからず、名は終身更改すべからず。つまり結婚しても名前というのは変わらないということを、明治五年の司法省はそういうふうに通達をしているわけです。
明治八年には石川県で、妻は生家の、生まれた家の氏を称すべきか、夫の氏を称すべきか伺いを立てて、内務省の見解を求めました。このとき内務省は、生まれたところの姓を用いなさいという訓令を出したわけです。つまり別姓であった。その後、明治九年に太政官指令が出て、正式に夫婦別氏の制度が制定された。
その後、明治三十一年になって法律が施行されて、明治民法による夫婦の姓についての規定が決まったわけでありますけれども、それまでは別姓だったんですが、夫婦を別にしなさいといっても国民は夫婦を同姓にする者が圧倒的に多かったわけで、奥さんは身内扱いされない、旧民法の家制度のもとで夫婦が同姓になったのは、家族は同姓の方がよいという国民の自然な気持ちをあらわしたものとして、だれしもそのことを当然と思ったわけです。そして、民法は、夫婦は同じ氏を名乗るという第七百五十条が制定をされて今日に至り、このときの国民の慣習をそのまま法制化して今日に至っているわけであります。
しかし、歴史は短いんですけれども、これは国民の間に定着をして、我が国の歴史や伝統文化というものを踏まえた中で、これが一つの国民の確固たる価値観となって今日に至っているわけです。
世界でも夫婦別姓が多数であるという主張が、先ほどもちょっとそういうニュアンスのことがあったと思いますけれども、例えば韓国などは、いわゆる儒教の教えというものが大変色濃く残っていますので、夫の姓に入れてもらえないんですね。ですから、今日なお別姓が続いているということで、韓国は別姓で、韓国を見習いなさいという話がよく出るんですけれども、その背景をきちんと学ばなければ、これは未熟な見解であるということになります。
私は今回の法案提出の動きについて、今いろいろいわれております理由が、婚姻後も旧姓で仕事を続けたいと望む女性がふえており、女性の社会進出に便宜を図るために婚姻による改姓に伴う不便、不利益の解消を掲げているものだというふうに思います。
今、私、滝沢さんにお聞きしましたけれども、松任谷由実という人がいますね。呉服屋さん。荒井呉服店、八王子の大きな呉服店ですけれども、あの方はもともと荒井由実だったんですね。しかし、結婚して松任谷由実になりました。それによって歌唱力が落ちたとか、歌手としての能力が後退した、CDが売れなくなったなどということは全くありません。
それから、柔道の田村亮子さん、ヤワラちゃん、谷亮子になりましたけれども、柔道のわざの切れがなくなったとか、そういうことはない。今まで以上にみずからを磨きながら世界一流の選手として活躍し、今日では後進の指導にも当たる、そういった実績を今残しているわけでありまして、何か不便であるとか不利益を女性が一方的に受けているというのは、私は当たらないというふうに思います。
既に国家試験も通称の使用が認められておりますし、パスポートも同様です。多少不便はあるのかもわかりませんけれども、今日、通称使用は着実に低下をして、皆さんの不便を解消するために、その制度が利用されているということであります。
しかしながら、選択的夫婦別姓の導入は、私は家族のあり方に大変革をもたらすものであるということは明らかだというふうに信じます。選択的というから一部の希望者のための例外措置であるかのような印象を与えていますが、国の家族に対する政策としては、同姓夫婦と別姓夫婦とを同じ価値としてみなすという転換を行うことを意味しています。この家族の政策の大転換は、やはり慎重に考えるべきであろうというふうに思うのです。
変えたい人だけ名前を変える、変えない人は変えたくなければそれでいいという選択制、夫婦別姓反対の人は同姓でいけばいいじゃないのと。問題ないじゃないかということをいわれるんですけれども、それは自分の利益や自分の個の考え方だけの価値観を優先させる考え方であって、社会全体にそのことがどのような影響を与えるのか、あるいは国のあり方にこれがどのような影響を及ぼすのか。そういった視点で共同体全体に与える影響というものを考えるということで、選択的制度だからいいという主張は、私は排除されるべきだと思います。
以下、何点か、選択的夫婦別姓、この意見書の述べていることが正当であることを指摘をしたいと存じます。
世論調査の数字が先ほど出ておりましたけれども、世論調査の結果は、国民は夫婦別姓を支持していないということなんですね。平成十八年の内閣府が実施した家族の法制に関する世論調査では、夫婦同姓支持は、通称としてなら認めてもよいという人を合わせて六割を超えています。つまり過半数を超えているわけです。
一方、夫婦別姓支持は三六・六%であります。しかも、夫婦別姓支持のうち、実際にあなたは別姓を希望するかということになりますと、その人はわずか七・六%にしかすぎません。国民が別姓を支持していないのであります。
次に、選択的だから問題がないということを先ほど申し上げましたけれども、むしろ社会に同姓家族と別姓家族が混在することになれば、社会でさまざまな混乱が起きることが当然予想されます。
具体的に申し上げますと、まず一つは、子供が家庭でも学校でも犠牲になる可能性があるということです。親と姓が違うということは、子供に非常に心理的な影響が及びます。それだけでも子供にとっては負担であります。しかも、他人との違いを意識する思春期の学校生活で、いじめやからかいの対象になることも考えておかなければなりません。
混乱の二番目としては、結婚前から離婚の危機が生じるということです。別姓夫婦は婚姻前に子供の姓をどちらに統一するか決めなければならないわけです。少子化の時代に子供がどちらの姓を名乗るかは、当事者以上にそれぞれの実家や親戚の関心事にもなります。親族を交えた話し合いがこじれれば、結婚そのものが困難になる可能性もあるといわなければなりません。決して笑ってはいられない事態も考えられるわけです。
混乱の三番目として、一軒の家に表札がまるで共同住宅のように幾つも並ぶ事態も予想されます。例えば、夫婦別姓で離婚をした男、女、両方が再婚したとします。そうしますと、一軒の家に四個の表札が並ぶ。これは実際に十分考えられます。家族はすべて同じ姓で表札は一つというふうに長い間我々はなれ親しんできたわけでありまして、一軒の家に同じ家族であって表札が四枚並ぶというのは、我々の価値観からすれば異様なことであります。
混乱の四番目として上げておかなければならないのは、家のいわゆるお墓、先祖を供養するお墓が守れなくなる可能性がある。お盆には、我々の社会的、伝統的な慣習の一つとして、さまざまな社会のしきたりを我々が目にすることができるわけでありますけれども、そういった風物詩がなくなる可能性がある。
先祖代々の家のお墓という感覚から、先ほど個の何とかというお話がありましたけれども、個人の墓という意識に変わってくるわけです。今後、たくさんのお墓がもちろん必要になるし、場所も分散せざるを得なくなる。(笑声)笑わなきゃいけないようなことを今やろうとしていることがまさにこっけいなんですけれども、これを真剣に考えている人がいることが不思議でならないんですね。
そうなれば、家族みんなでそろってご先祖のお墓参りということはもうなくなるでしょう、消えるでしょう。ご先祖とか先祖代々とか、こういうのが大嫌いなんですね、夫婦別姓を進める人たちは。私たちは、そういった伝統的な社会慣習というものを守っていきたいというふうに思います。
それから私が一つ思いついたのは、暑中見舞いや年賀状、議員は出せないんですけれども、自筆ならばいいんですが、一般の方々がこういった季節のあいさつ状を出すときにも、事前調査は大変です。年賀状を子供の友達の家に出したい、ご近所のあのご夫婦に出したいということはよくあるわけでありますが、これが簡単ではなくなる。
別姓にしている人にはそれなりのこだわりがあるわけですよ。自分が何という姓を守っているんだと。名乗っているか。自分の姓を守り続けているという非常にこだわりがありますから、間違って年賀状でも出したりすると、大変な問題になる。事前調査が欠かせなくなるわけでありまして、こういったばかげたことも実際に起こる可能性がある。
つまり、夫婦別姓制度の導入を認めるということは、こういったことが予想されることを踏まえなければなりません。
次に、家庭の教育力を高める必要があるときに、家族のきずなを弱める可能性のある政策を私たちは認めるべきではありません。
今回の民法改正では、選択的夫婦別姓の導入のほか、離婚がこれまでより容易になります。また、不倫相手の子供の相続権も平等になります。その結果、どう家族の未来が変わってくるのか。
世界の夫婦別姓先進国の現実は、家族解体で子供が犠牲になっているということを示しているわけです。韓国の例は、先ほど私、申し上げましたけれども、世界でも別姓の国が多いという主張があるんですけれども、韓国や中国の場合には、毛沢東の奥さんは中国は江青、四番目か何かの奥さんだったですね。毛とは名乗れないわけです。韓国も同じです。いわゆる儒教の伝統がいまだに生きているということで、女性は男性の家に入れないという背景があるわけです。
スウェーデンの例がよく出てまいります。消費税のときもよく出ますけれども、ここは離婚率が非常に高くて、子供の半数は非嫡出子であります。スウェーデンの離婚率は五〇%を超えています。平均的な婚姻年数はわずか十年であります。特に若いカップルでは、結婚よりも同棲を選択するケースの方が多く、毎年生まれる新生児の半数が非嫡出子であり、その非嫡出子の九五%は同棲カップルから生まれているんですね。事実婚の男女から生まれているわけです。
フランスはどうであるか。非婚、別居カップルの増加で、子供の三分の一が非嫡出子。フランス全体の一二%、年齢十八から二十四歳に限れば、二〇%以上の人が同棲をしています。さらに子供を持ちながら、あえて別居を選択するカップルもいます。新たな男女の形態もふえ始めているわけです。その結果、今日のフランスでは、三人に一人の子供が結婚しない男女の間から生まれています。
アメリカ、子供の六割は親の離婚を少年期に経験しています。毎年二百万の子供が親の離婚に直面して、子供の六割は、十八歳になるまでに親の離婚を経験しています。その結果、三度、四度と結婚を繰り返すたびに生まれる、親の異なる子供たちが新しい家庭で一つの家族として生活するという異様な形態は、今やアメリカでは全体の二割に達しているわけです。
スウェーデンの青少年犯罪は、我が国の二倍の件数に上るといわれています。統計によれば、非行青少年の発生源は欠陥家庭にあると指摘されています。
またアメリカでは、家庭崩壊による少年非行の激増、麻薬汚染、十代の妊娠、出産、それから再婚したことによる新たな父親、再婚したことによる新たな母親による子供の虐待が社会問題化しています。
我が国においても、青少年の非行化や教育の荒廃の解決のため、家庭の教育力の回復が今求められているときに、これに逆行する、家庭を解体し子供を犠牲にする夫婦別姓は絶対に認めることはできないのであります。
私たちは、今まで国会においては、自民党においてもこの夫婦別姓制度に賛意を示す人たちもいましたけれども、いろいろ自民党内のこれに反対する人たちの努力によって国会の提出には至っていないというのが現実であります。
この請願については、健全な社会を維持していくために、日本の伝統や文化を大切にしながら、日本の家族のきずなを強め、そして連帯感、一体感を守りながら、日本の家族を守ることが日本の繁栄や安定、平和につながるという視点で出された請願でありますので、採択されることを心から願って、意見といたします。
○畔上委員 選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書提出に関する請願に反対する立場で意見表明をさせていただきたいと思います。
実は私自身、通称名で仕事をしておりまして、選択制夫婦別姓制度を早く実現すべきだというふうに考えております。
私の事務所には当選証書が掲げられておりますけれども、その当選証書には戸籍名である私の夫の姓の小山三和子というふうに書いてあります。ですから、私の事務所にいらっしゃる方は、まず当選証書を見て、何でほかの人の当選証書が掲げられてあるのかというふうによくいわれてしまいます。
また、私が一番不便を感じている点では、保険証は小山となっておりますので、病院で小山さんと呼ばれて診察室に入ろうとすると、待合室の人たちからあなた間違っているわよといって、注意されてしまったり、誤解されることが結構あるんです。
このように旧姓や通称使用というのは、結局、住民票、それから保険証--四十一字削除--では許されていないということで、使い分けに伴う混乱や、何よりも名前をごまかしているんじゃないかというふうに疑いの目で見られるというのが非常によくあるということでございます。
反対される方が、先ほど来も一番の採択を主張される理由に出ていらしたのが、家族のきずなが弱まるということでありましたけれども、そのことについて申し上げるならば、私は名前でつながっているものではなくて、愛によって家族はつながっていると、きずなは深めるものであるというふうに思っております。
先ほどお話のありました先祖の墓参り、私は両方の墓参りにしょっちゅう行っております。また、子どももおかげさまでいじめられることなく、夫婦も、そして親子も仲よく過ごしております。
もともと日本で同姓を定めたのは、先ほども明治民法の話がありましたけれども、妻は婚姻によって夫の家に入るとした家制度を強調した明治民法からになっております。当時の女性は、財産権も、それから親権も、それから選挙権も与えられていなかったわけです。
それで、一九四六年の公布された日本国憲法に、二十四条で、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立して、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならないというふうに、結婚と家族生活の平等と同権を規定したわけです。
この憲法に基づいて民法も改正されたわけですが、先ほど部長がご説明されたように、夫または妻の氏を称するということで夫婦同姓が残されたと。そういう中で、一九七九年に国連で女性差別撤廃条約が採択されて、両性の平等ということが世界的に広がってきたということでございます。それを日本も批准したということですが、九六年には民法改正要綱が答申されましたが、いまだに実現していないというのが現在の状況だということでございます。
やっぱり私は、憲法が保障する個人の尊厳と両性の平等、ここの立場に立って早期実現をむしろ求める意見書こそ都議会で上げるべきだということを申し上げまして、私の意見表明とさせていただきたいと思います。
○大西委員長 ほかにご発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立少数と認めます。よって、請願二一第一二八号は不採択と決定いたしました。
なお、本日審査いたしました請願中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
請願の審査を終わります。
以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時十一分散会
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