文教委員会速記録第十四号

平成二十一年十月二十七日(火曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長大西さとる君
副委員長星 ひろ子君
副委員長村上 英子君
理事岡田眞理子君
理事谷村 孝彦君
理事馬場 裕子君
畔上三和子君
遠藤  守君
島田 幸成君
滝沢 景一君
遠藤  衛君
古賀 俊昭君
大津 浩子君
服部ゆくお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長総務部長事務取扱松田 芳和君
理事岩佐 哲男君
都立学校教育部長森口  純君
地域教育支援部長松山 英幸君
指導部長高野 敬三君
人事部長直原  裕君
福利厚生部長谷島 明彦君
教職員服務・特命担当部長岡崎 義隆君
参事中島  毅君
参事前田  哲君
参事高畑 崇久君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
事務事業について(質疑)

○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田次長 去る九月三日の当委員会において要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は二十二件でございます。
 それでは一ページをお開き願います。1、教育庁所管の廃止・終了及び見直し事業(過去五年間)でございます。
 平成十六年度から二十年度までの過去五年間において、廃止、終了及び見直しをいたしました事業について、各年度別に事業名とその内容をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。2、都立高校の施設整備費の推移(過去十年間)でございます。
 都立高校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額について、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。3、都立特別支援学校の施設整備費の推移(過去十年間)でございます。
 都立特別支援学校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額について、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。4、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移及び教職員定数の推移(平成十二年度-二十一年度)でございます。
 このページから次の五ページにかけまして、都立高校及び都立特別支援学校の平成二十一年度定数配当基準と、過去十年間にわたる主な推移をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。このページでは、教職員定数の推移を学校種別に、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 七ページをごらん願います。5、都立高校及び都立特別支援学校教員の在校年数別人数と平均在校年数でございます。
 校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、主任養護教諭、養護教諭の別で、都立高校と都立特別支援学校の障害種別ごとに、それぞれ在校年数別人数と平均在校年数をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。6、教育管理職選考、主幹教諭選考、主任教諭選考の合格予定者数、受験者数、合格者数の推移(平成十四年度-二十一年度)でございます。
 平成十四年度から二十一年度にかけまして、それぞれの選考ごとに、選考年度別の合格予定者数等の実績をお示ししてございます。
 なお、平成二十一年度の合格者数については、教育管理職選考の合格発表を十一月下旬、主幹教諭選考の合格発表を十二月上旬に予定しておりまして、現段階で確定しておりません。
 また、平成二十一年度の主任教諭選考については、来年二月上旬の合格発表に向け、現在、選考の申し込みを受け付けている段階でございまして、受験者数、合格者数とも確定しておりません。
 九ページをごらん願います。7、主幹教諭の配置計画と配置数の実績、充足率(平成十五年度-二十一年度)でございます。
 主幹制度の当初の配置計画と設置数をお示しするとともに、平成十五年度から二十一年度にかけまして、配置数実績と必要数に対する充足率を、任用年度ごとに校種別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。8、区市町村立小・中学校普通教室の冷房設備設置状況でございます。
 区市町村立小中学校における普通教室への冷房設備設置状況についてお示ししてございます。
 一一ページをごらん願います。9、平成二十年度都立高校部活動振興予算の重点配付額一覧でございます。
 平成二十年度の部活動振興予算の重点配付の状況について、学校経営支援センター三所、三支所の地区及び配付額の別に、それぞれ学校名をお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。10、東京都公立学校教員採用者数の推移(過去五年間)でございます。
 平成十七年度から二十一年度までの過去五年間における東京都公立学校教員の採用者数についてお示ししてございます。
 なお、平成十九年度から導入した期限つき任用教員の任用数については、括弧内に外数としてお示ししてございます。
 一三ページをごらん願います。11、都立高校における日本語教育が必要な生徒の受入れ状況及び教職員配置状況でございます。
 海外帰国生徒や在京外国人生徒など、日本語教育が必要な生徒の都立高校における受け入れ状況と配置教員数についてお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。12、日本語学級の所在地、児童・生徒数、教員数及び使用言語でございます。
 このページから次の一五ページにかけまして、日本語学級を設置している学校、在籍している児童生徒数、教員数及び児童生徒の主な使用言語の種類についてお示ししてございます。
 一六ページをお開き願います。13、平成二十一年度において学級編制の弾力化を実施する道府県の状況についてでございます。
 このページから次の一七ページにかけまして、各道府県における学級編制の弾力化の実施状況をお示ししてございます。
 一八ページをお開き願います。14、区市町村立小・中学校の学級規模別学級数(過去五年間)でございます。
 平成十七年度から二十一年度までの過去五年間における区市町村立小中学校の一学級当たりの人数別の学級数についてお示ししてございます。
 一九ページをごらん願います。15、東京都公立小・中学校児童・生徒の就学援助受給者の推移(過去十年間)でございます。
 就学援助は、区市町村が経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、学用品等購入のために行う扶助制度でございまして、平成十一年度から二十年度までの過去十年間における就学援助を受けた児童生徒数及び受給率の推移を、要保護、準要保護の別にお示ししてございます。
 二〇ページをお開き願います。16、公立学校教員の年代別退職者数(校種別、過去五年間)でございます。
 平成十六年度から二十年度までの過去五年間における退職者数について、年代別、校種別にお示ししてございます。
 二一ページをごらん願います。17、都内公立小・中学校及び都立高校における図書購入費の推移(過去十年間)でございます。
 平成十年度から十九年度までの過去十年間における図書購入費の推移を校種別にお示ししてございます。
 二二ページをお開き願います。18、都内公立図書館資料購入費の推移(過去十年間)でございます。
 平成十二年度から二十一年度までの過去十年間における都内公立図書館の資料購入費の当初予算額を、都立と区市町村立の別にお示ししてございます。
 二三ページをごらん願います。19、都立特別支援学校の寄宿舎の入舎希望者数と受入数(平成十八年度-二十年度)でございます。
 平成十八年度から二十年度において、都立特別支援学校の寄宿舎に入舎を希望した児童生徒数とその受け入れ数を学校別にお示ししてございます。
 二四ページをお開き願います。20、平成二十一年度都立特別支援学校の保有普通教室の状況でございます。
 平成二十一年五月一日現在、都立特別支援学校で保有している普通教室の数を学校別にお示ししてございます。
 二五ページをごらん願います。21、障害の程度が「重度」である児童・生徒の割合と重度・重複学級数(過去十年間)でございます。
 都立特別支援学校児童生徒実態調査における障害の程度が重度である児童生徒の割合と、都立特別支援学校における重度重複学級の設置数を、それぞれ障害種別の各学部別にお示ししてございます。
 二六ページをお開き願います。22、平成二十一年度小・中学校へのスクールカウンセラーの区市町村別配置状況でございます。
 平成二十一年度における区市町村別の設置学校数とスクールカウンセラーの配置数を、小中学校別にお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○馬場委員 本日、教育庁関係の事務事業質疑ということで、何点かお願いを申し上げます。
 教育は、人が人を育てる、人の力によるというところが大変多いと私は考えております。そんな学校の現場から、小人数学級編制を求める声が日増しに高まっているというふうに受けとめております。
 まず第一番のご質問は、学級編制と定数、指導方法工夫改善加配、この両面から質問させていただきます。
 これまでも、十三年の法改正により、四十人以下とすることが可能となっております。他の道府県では実情に合わせてさまざまな学級編制の弾力化を実施している、きょう、先ほどのご説明の資料にもございました。三十五人、三十人、また地域の教育委員会の要望で実施をしていると。
 また、国の方の最近の動きでは、この十月八日、政府の地方分権改革推進委員会が第三次勧告を提出しております。国が一律の基準で自治体の仕事を縛る八百九十二項目の義務づけ、枠づけの廃止を求めておりますし、その中で学級編制や教職員定数を条例で定められるように求めている。
 そんな動きのある中で、都はこれまで、国の定めによる標準法に基づき、かたくなに一学級四十人とし、定数増がない中で、小人数指導が必要な場合は加配で対応せざるを得ない状況でおります。国基準の指導方法工夫改善加配は少人数指導、チームティーチング、選択履修拡大の三種類の枠がありまして、平成十七年度から五年間、毎年、これは小学校で千二百五十六名、中学校で九百四十九名、小中合わせて二千二百五名の同数での加配が続いている状況です。
 このような状況、定数の改善はなく、加配で賄っているというふうにいえるわけですが、まず都は、この指導方法工夫改善加配として、チームティーチングから小人数指導へ導入の変更を求めているというふうに文書にありますが、この理由をまずお伺いいたします。

○直原人事部長 都教育委員会が指定した研究推進校から、少人数指導を通して児童生徒が学習に対する理解を深めたり、意欲を高めたりすることができるなどの成果が報告されております。こうしたことを受けまして、都教育委員会としましては、学校の実態を踏まえた上で、学習集団を主として習熟度別に編制する少人数指導が有効な指導方法であると考えられる場合には、従来のチームティーチングからの移行を進めております。
 なお、国における第六次義務教育諸学校教職員定数改善計画に基づきチームティーチングを、第七次改善計画に基づき少人数指導を導入した経緯がございまして、現在はあわせて指導方法工夫改善として、区市町村教育委員会の要望を受けて加配を行っているところでございます。

○馬場委員 チームティーチング、それなりに、そして少人数の学級の必要性、特に習熟度別にこれは使われているというふうに思いますが、この方向性が少人数学級へという形へ誘導なさっているというふうに受けとめられるというふうに思います。
 ということは、都がおっしゃっているように、個に応じた多様な教育の推進を主導、主要施策にしているということ、少人数の学級が必要であるということをご認識になっているというふうに私は受けとめております。
 それでは、今の国への加配申請が五年間一定数で来ているわけですが、この加配申請はどのようにされてきているのか。また、必要としている区市町村からどのような加配の要望を受けておられるのか、伺います。

○直原人事部長 指導方法工夫改善加配につきましては、例年十月ごろに文部科学省から翌年度加配数の計画に関する資料提出の依頼がございまして、その計画数について文部科学省へ提出いたします。その後、翌年二月ごろに加配予定数の通知があり、四月に正式に決定となります。
 都におきましては、平成二十一年度、二千二百五名の加配措置の決定を受けておりますが、過去五年間、国における全国の加配数の枠に変わりがないことから、都においても加配数は変わっておりません。
 また、指導工夫改善加配の充実につきましては、区市町村教育長会等から要望を受けているところでございます。今後とも、国の次期教職員定数改善計画に関する動向及び都の財政状況を踏まえまして検討してまいります。

○馬場委員 今ご説明がありましたように、国が決めているので、その国の決めている数字に合わせて毎年申請せざるを得ないというような状況が続いてきているということだというふうに思います。
 それでは、今も要望があるというご認識のご答弁がありましたが、地域がどうしているのかというところで、区市町村において学級編制の弾力化の実施、これは実施している実態があるのかどうか、把握していらっしゃるのかどうか、お尋ねします。

○松山地域教育支援部長 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、いわゆる標準法の第四条及び第五条によりまして、都道府県教育委員会が学級編制の基準を定め、区市町村教育委員会は事前に都道府県教育委員会に協議し、同意を得なければならないとされております。
 これまで、都教育委員会が区市町村教育委員会独自に行う学級編制の弾力化に同意した例はございません。

○馬場委員 同意した例はないということは、実態はあっても、都は認識をしていない、受けとめていないということだというふうに思わざるを得ません。地域からは大きく、こうした都の体制について、実情に合わせた教育現場、都が出して主要政策としている個に応じた多様な教育の推進ということについては、今のままではだめなんだというような大きな要望が来ているはずです。この実態をまず調査をして、数字が出れば、それを実行しなければならないからやらないのだろうというふうに、私もわかりますが、でも、このままでいいというふうに私は思っておりません。
 ぜひとも当面、望まれているような小学校の一年生での段階的導入も含めて、この地域からの要望を調査し、どういう状況で都教委として配置をすれば、定数の問題、それから加配の問題もすればいいのかというようなことを、国の決めではなくて、地域の実情に合わせた計画にぜひともしていっていただきたい。要望をして、次の質問に移ります。
 次に、教員採用についてお伺いをいたします。
 先日、都教委は三十年ぶりに小学校教員について追加採用試験を行うことになったとの新聞の報道がありました。教員採用選考の合格の倍率が低下していることへの対応とのことですが、新規採用教員の増加傾向は予想し得たはずではないでしょうか。
 そもそも東京には、教員免許状を取得できる大学が集中しているというふうに見えます。東京で免許を取得した学生に、都の採用選考を受験してもらえればよいのではないかと思えるのですが、そこでまず、都教委が教員免許状を授与した件数の推移、この十年でどういう状況でしょうか。

○直原人事部長 東京都教育委員会の教員免許状の総授与件数は、平成十一年度から平成二十年度について見ますと、約四万件から四万五千件程度で推移しております。このうち小学校免許状につきましては約二千二百件から三千件程度で、やや増加傾向にございます。全国に占める割合で見ますと、総授与件数では約二〇%でございますが、小学校免許状では一一%であり、都の割合は低いものとなっております。これは、小学校免許状を取得できる教員養成課程のある大学は限定されておりまして、全国に分散しているためでございます。

○馬場委員 学生さんはたくさんいらして、免許の申請はたくさんあるけれども、今回、東京で不足をしてきておる小学校の免許状、これは東京でも、授与する数だけでも全体でも一一%しかないという状況なんだということがわかりました。
 小学校の教員採用選考の合格倍率、これについても平成十一年度では十・二倍、このときは二百人というふうに出ておりましたが、昨年度行った二十一年度の採用選考では二・六倍にまで低下しています。倍率低下の原因について、都はどのようなご認識でいらっしゃいますか。

○直原人事部長 都における小学校教員採用選考の受験者は、平成十一年度は約二千人でしたが、その後、ほぼ毎年増加しまして、平成二十一年度は約四千人と倍増しております。しかしながら、団塊世代及びそれに続く世代の大量退職が続いていること等から、採用数を大幅にふやしているため、受験者の増加が追いつかず、合格倍率がお話しのように低下したものでございます。
 なお、本年度につきましては、受験者数が約四千九百人と前年度に比べ二〇%増加したことから、合格倍率は三・五倍と、前年度の二・六倍から持ち直しております。

○馬場委員 今年度は合格倍率、持ち直したというご答弁ですが、今後とも大量の採用が必要となります。東京の教育の質を今後とも担保していくことが必要だと考えますが、教育長のご見解を伺います。

○大原教育長 教員の大量退職は今後十年間は継続すると見込まれまして、教員の質の維持向上のために採用試験の受験者数の確保、増加の取り組みを行うことは喫緊の課題であるというふうに認識をしております。この倍率の低下は、東京都だけではなく、首都圏、さらには日本の大都市圏共通に生じている現象でございます。
 他方、全国に目を転じますと、教員志望者は多いが地元県の採用枠が小さいために、合格倍率が非常に高くなっている地域も少なくありません。また、全国の教員養成課程のある国立大学、これは四十八、現在ございますけれども、この卒業生について見ますと、平成二十年三月卒の卒業生、教員免許を持って卒業した学生さんの数は一万三百五十九人でございます。このうちで正規の教員、教職についた数は三千二百六人、それ以外、すなわち臨時の教員になったり、あるいは、全く教職とは関係のない職についたり、未就職であったり、あるいは進学したりという人が七千百五十三人おります。つまり、正規教員に採用されているのは、この教員専門の養成課程を出た学生さんの中の、平均して三〇%くらいでございます。こういう状況がございます。
 教員を目指して教員養成課程のある大学へ進学したにもかかわらず、そして、免許をきちんと取得したにもかかわらず、多くの学生さんが正規教員に採用されていないということは重要な問題であるというふうに私どもは認識しております。
 こうした要求を踏まえまして、都教育委員会では、優秀であるけれども、採用枠が小さいために地元県では採用されなかった、いわば、埋もれてしまった人材が東京都の採用選考を受験できるような新たな仕組みの構築を他県にも呼びかけているところでございます。
 なお、先ほど理事からお話のありました、小学校教員の第二回選考採用についても、こうした取り組みの一環と位置づけておりまして、人材確保の方法の一つとして、積極的にいろんな方策を進めていかなければいけないというふうに考えております。

○馬場委員 教育長からご答弁いただきましたが、なぜこの東京で学んだ学生さんが東京を受験してくれないのか、地域の人が望まないのかというようなことについて、先般の新聞の記事の中にも、怖いイメージがあるとか、余りにも倍率が低いので不安というようなコメントがありました。
 こうした状況は、なぜなんだろうと私自身も考えておりましたが、やはり、この間の都教委の中には、私が思いついたもので申し上げれば、いわゆる一〇・二三通達、日の丸・君が代の問題、管理教育、つまり、教育現場で自分たちの能力、知識を生かしてやっていく、そんな現場として望まれていない。であったら、なぜ東京の学生さんが東京で小学校を含めて教員になっていかないのか。東京の教育に戻ってくることだというふうに思います。
 こうしたさまざまな、教育長が述べられなかったような問題も私はあるというふうに考えておりますので、今後ぜひとも、そういう意味では、東京へ多くの教員志望の方が来ていただく、東京の教育現場を、子どもたちのために、子どもたちのためにしっかりした教育現場をつくっていっていただけるようお願いを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、特別支援教育のろう教育のあり方についてお尋ねをいたします。
 私が区議会議員になったときに、地元の品川のろう学校に伺いました。その折は、私も初めてでしたので、手話は使われないんですかと質問したところで、いや、学校では口話法だけで、手話は使わせておりませんというような、そうした都のろう教育がありました。それが最近は、手話や指文字等を使うというような状況になってきている。生徒さんを拝見しているとそういうふうに思われます。
 今回は質問は、都ですので、都立のろう学校というふうにさせていただきますが、今までの口話の教育から、手話やさまざまな、コミュニケーション手段というふうにいわれておりますが、取り入れていらっしゃいます。
 こうした都立ろう学校の教育方針、つまり、教育についての方針の変更なのかどうか、その辺も含めて、変更についてお答えいただきたいと思います。

○高野指導部長 ろう学校の教育は、大正時代ごろから、保有する聴覚を活用した指導や発音指導、唇や口の動きを読む読話指導等によりまして、聴覚口話教育を重視しておりました。
 しかしながら、平成五年三月の国の聴覚障害児のコミュニケーション手段に関する調査研究協力者会議報告において、聴覚障害のある児童生徒がコミュニケーションにおける困難等に対応し克服していけるようにするため、必要に応じてさまざまなコミュニケーション手段を選択、活用して指導を行うことが大切であると報告されました。
 さらに、平成十一年三月に告示されました盲学校、聾学校及び養護学校学習指導要領においても、生徒の聴覚障害の状況等に応じまして、音声、文字、手話等のコミュニケーション手段の適切な活用を図り、意思の相互伝達が正確かつ効果的に、効率的に行われるようすることが示されております。
 そのため、現在の都立ろう学校では、聴覚障害等の状況に応じまして、手話も含めた多様なコミュニケーション手段を用いて指導を行うようにしております。

○馬場委員 コミュニケーション手段というお話を伺いました。
 ろう教育は、教育としてしっかり教育の中身を、何というんでしょうか、学校で実現しなければなりません。そのコミュニケーション手段として今お話しされたわけですが、この手話というのも、私の品川の八潮というところに明晴学園さんがありまして、手話が、そもそも教育言語の一つというお考えで教育を進められていらっしゃいます。
 こうした今の都立のろう学校のいわゆる教育方針とコミュニケーション手段という二つあるというふうに思いますが、この辺のところを整理して、今後のろう教育をしっかり都として担っていかなければならないというふうに思っておりますが、こうした状況については、平成十二年の三月にコミュニケーション指導等の研究委員会報告というのを出されております。ここには、この委員会の設置の趣旨、現状、課題、改善策及び残された課題の解決に向けての提言というふうに報告がされております。
 この報告を受けて、都は、どんな取り組みを進めていらしたのか伺います。

○高野指導部長 平成十二年三月のコミュニケーション指導等の研究委員会報告では、コミュニケーション指導の課題といたしまして、これまで以上に、幼児、児童生徒の障害の状況や発達段階を考慮して、個に応じたコミュニケーション手段の適切な選択がなされなければならないことなどが示されております。
 こうした内容を受けまして、都教育委員会は平成十三年度に、啓発資料「明日にむかって-きこえに障害のある子どもたちのために-」、これを作成いたしまして、学校、保護者、相談担当者などに配布し、一人一人に応じて、身ぶり、表情、指さしなどから始める乳幼児期からの適切なコミュニケーション指導を推進してまいりました。
 また、平成十五年度から十七年度には、都立葛飾ろう学校をITを活用した教育推進校に指定いたしまして、最新の情報機器を活用した多様なコミュニケーション方法の開発を行ってまいりました。
 現在、都立ろう学校の初任者研修や校内研修の内容を充実させたり、ICT機器の整備を順次行ったりするなどいたしまして、多様なコミュニケーション手段を用いた指導ができる教員の育成を図っているところでございます。

○馬場委員 ありがとうございました。
 今、大塚ろう学校の城南分教室の募集停止の話が聞こえてまいります。今お話しいただいたように、ろう教育にとっては大変な状況、過渡期も含めて。ですので、このろう教育のこの検討、研究報告、これに基づいて、十分な今後の計画をもう一度きちんと出すべきだというふうに私は思っております。
 そのことを本日は申し述べ、次の質問に移ります。
 最近、いじめや不登校などの問題行動への対策のために、スクールパートナー事業を推進しているとあります。本日の委員会に提出いただきました主要事務事業の概要、二一ページぐらいからずっと見ていたのですが、それぞれのページに本当にいろいろな目的、心の東京革命の中でのスクールカウンセラーの配置、教育支援コーディネーターの派遣。いじめ問題では、スクールカウンセラー派遣、自殺予防、スクールソーシャルワーカーの活用。不登校の対応事業としては、登校支援員活用事業、スクールパートナー事業の推進連絡会議、アドバイザリースタッフの派遣、健全育成学校支援員。まだまだ事業において、さまざまなこうした学校関係の支援員が事業の中にあるわけですが、こうしたものを一緒にしてスクールパートナー事業というふうにおっしゃっているのかなというふうに思いますが、このスクールパートナー事業を例にとって、これまでの経過と現状についてお伺いいたします。

○高野指導部長 スクールパートナー事業につきましては二つございまして、児童生徒へのカウンセリング、保護者からの相談、教員の研修での専門的な助言を主な役割とするスクールカウンセラーを学校に配置したり、もう一つでございますけれども、児童生徒の教育上の問題について相談に乗る専門家や、児童生徒の話し相手や遊び相手となる学生スタッフを活用したアドバイザリースタッフ、こうしたものを学校、家庭に派遣したりしているものでございます。
 スクールカウンセラーにつきましては、平成七年度から平成十二年度までは国の委託事業、平成十三年度からは補助事業として実施しております。平成十五年度からは、都内全公立中学校に配置いたしまして、平成二十一年度は小学校百三十二校、高等学校六十校へ配置拡大を図ったところでございます。
 アドバイザリースタッフにつきましては、平成十年度から都の単独事業として開始いたしておりまして、学校や区市町村教育委員会の要請に応じまして専門家スタッフの定期派遣、緊急派遣、あるいは学生スタッフの学校派遣、家庭派遣を行っているものでございます。平成二十年度につきましては、専門家スタッフ二百四十二回、学生スタッフ四百八十七回の派遣を行ったところでございます。

○馬場委員 各種それぞれに事業目的を持ってこうした方を置かれているわけですが、多様化、複雑化、深刻化する児童生徒の問題行動に対しましては、学校や地域のニーズを的確に把握し、学校をサポートしていくことが必要と、これは私もそう考えます。
 そのためには、限られた資格にとらわれずに、さまざまな事業で、幅広い人材を積極的に活用していくことが今後必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○高野指導部長 スクールカウンセラーは、いじめ、不登校、問題行動の背景となっている児童生徒の不安や悩みへのカウンセリング、子育てに関する保護者への助言、援助、また学校における相談体制を充実させるための教職員への助言、援助など心の問題に関して、深く広範囲な活動を職務としておりまして、高度に専門的な知識や経験が必要であることから、臨床心理士の資格を有する者を学校に配置してございます。
 アドバイザリースタッフにつきましては、学校や区市町村教育委員会の要請に応じまして、心理の専門家、教育や心理学を学ぶ学生を派遣しておりまして、特定の資格に限定したものではございません。
 スクールパートナー事業以外に、都においては、不登校児童生徒の個別の支援を行う登校支援員活用事業、問題行動の解決を図る健全育成学校支援員派遣事業や、社会福祉機関等とのネットワークにより問題行動の解決に当たる、国のスクールソーシャルワーカー活用事業などがございまして、多様な人材を活用しているところでございます。
 今後とも区市町村教育委員会と連携いたしまして、より一層幅広い人材が活用できるようにしてまいります。

○馬場委員 スクールカウンセラーは国の委託事業、国との関係の中で置かれている。国の方が今回は資格要件を拡大して、医師や臨床心理士に準ずるものというふうに範囲を拡大してきております。これは、もちろん臨床心理士、医師の専門の力が必要だということを否定しているものではありません。
 しかしながら、この国の事業が、一日八時間、週二回でしたでしょうか、週一回でしたでしょうか、限られた配置しかできていない中で、それぞれの学校は、やはり多くの身近な家庭や地域と結ぶ、そんなスクールカウンセラーを希望しているという状況だと私は受けとめております。
 国がそういう意味で拡大をしてきたところで、ぜひとも都の方も地域が使いやすい--国の予算、財政面のこともおありとは思いますが、やはりこれだけ今答弁をいただいたような状況の中で、的確な、必要な人材を各地域で求めているのにこたえるためには、国のある意味、緩和してきたところも利用をして、東京としても、しっかりスクールパートナー事業、学校等の問題解決に当たられるということを考えるべきだというふうに思っております。
 ぜひ今後、この資格要件等について地域ともご協議の上、ご検討いただきたいというふうに思います。
 最後に、東京未来塾についてお尋ねをいたします。
 本年の第一回定例会の時間をいただいて東京未来塾の質問をさせていただきました。この東京未来塾、五年がたち、今、六期生が学んでいると伺っております。
 第一回定例会のときに問題点を投げかけました。東京未来塾は、そもそも首都大学東京と東京都教育委員会が、連携という言葉を使われておりますが、連携をし、都内すべての高等学校三年生を対象にして、日本の将来を担い得る改革型リーダーを育成する、そういう資質を持った人材をお預かりして育成をするということを目的に開設されたものです。
 しかし、未来塾は首都大学東京特別推薦入学枠、今、申し上げました首都大学との連携ということ、見える形といったらいいんでしょうか、首都大学の特別推薦入学枠を持っていらっしゃいます。
 この設立、そもそも未来塾をつくった理念と、首都大に優秀な人材が欲しかったというようなことがマッチして未来塾ができたのではないかというふうに思っておりますが、首都大学東京と連携をするという意味、もう一度お答えいただきたいと思います。

○高野指導部長 東京未来塾の趣旨は、日本の将来を担い得る改革型リーダーの育成でございまして、首都大学東京が設立した際の理念とも一致するため、未来塾の指導を受け継いだ大学教育が可能となるために連携することといたしました。
 未来塾においては、首都大東京と連携して、ゼミナールや講義などの教育を行いまして、学問の真髄に触れさせる中で、将来の進路に向けた意欲や、みずから問題を解決する力などを育てているところでございます。

○馬場委員 教育庁が指導部の中に設置している未来塾、今申し上げました理由、設立の目的があるわけですが、定員は今までも五十名、そして首都大学東京が設置している特別推薦枠も五十名ということで、今まで未来塾の生徒が首都大学東京に入学をするということが前提に、改革型リーダー育成というような事業が進められてきているというふうに思っております。そういうふうにとらえられているという状況です。
 それでは、この未来塾、どういうふうにこの形がなっているかというと、高校三年生の在籍する校長が未来塾へ推薦をする。首都大学を希望しているんだったら、未来塾へどうかというような声かけが多いというふうに聞いております。
 しかし、受験、もうそろそろ十一月に入ると特別入試があるわけですが、首都大学の方はしっかり五十名の、それぞれのところに、学部ごとに入試の枠を持っていて、首都大は首都大の欲しい人材をテスト、入試をするという状況になっております。
 未来塾はほかの受験と違いまして、未来塾が成績評価をできるというふうに私は伺っております。都立高校の三年生としての成績と未来塾での成績をもって首都大の特別入試を受けるという状況にあります。
 しかしながら、五十名の枠、五十名で首都大が決めた枠に入試を合わせていかなければいけない、希望を合わせていかなければいけないわけですから、その生徒の中ではいろいろな課題が生じ、結果的には昨年は数名の不合格者を出してしまいました。
 この間、高校三年生という大学への受験の最終段階に来て、未来塾に入塾をし、首都大への希望を持って未来塾で頑張った子どもたちが、数名ですが不合格になったということは、やはり大変--なぜなんだというところを私もずっとこの間検討してまいりました。
 この結果は、首都大が欲しがっている人材と、未来塾で育ててきた人材とが合わなかったといわざるを得ないのですが、そうした中で今回、第六期生もまた受験のシーズンを迎えることになります。
 昨年のそうした結果を見て、今回、本年度、都教委は未来塾事業をどのように改善なさったのかお伺いをいたします。

○高野指導部長 首都大学東京への進学を目指す塾生は、在籍する高校の校長の推薦を受けまして、首都大学東京が実施する特別推薦入学選抜試験に合格するとともに、未来塾の全課程を修了した場合に、初めて入学が可能となるものでございます。また、生徒の希望によっては、他の大学進学を否定しているものでもございません。
 選抜試験である以上、合否につきましては、学校からの調査書、面接、小論文に加えまして、未来塾での学習成果をもとに大学が決定するものであるため、これまで未来塾への入塾が即首都大東京合格ではないことを募集に当たっての説明会や、入塾後の保護者説明会等において、学校、生徒本人、保護者に繰り返し説明するとともに、保護者が東京都教育委員会に提出する入塾届には首都大学東京への進学は特別推薦入学選抜試験、これは首都大東京が実施するものでございますが、これに合格し、かつ未来塾の全課程を修了することが要件であることを明確に記してまいりました。
 したがいまして、保護者はその入塾届に署名、捺印をして了解し入塾してきたわけでございますが、今年度は特に思い違いのないように、そのことを明確に記しました事業案内や未来塾通信を配布いたしまして、念を入れて塾生及びその保護者に確認をしたところでございます。
 こうしたことに加えまして未来塾では、塾生の進路指導の一層の支援のために、塾生が在籍する高校への訪問や関係高校連絡会の開催、塾生に対する個別の進路相談、首都大学東京を受験するに当たっての保護者会の開催、あるいは塾生と保護者、塾による三者面談を充実させております。
 さらに、英語や数学の基礎学力テストや補習、補講等、在籍高校と連携した基礎学力の向上の支援も一層充実させているところでございます。
 また、東京未来塾と首都大学東京が連携を深めるとともに、未来塾事業の一層の充実を図るため、本年度、首都大学東京関係者と東京都教育委員会関係者から成る東京未来塾事業連携委員会を設置したところでございます。
 この委員会においては、首都大東京が求める学生像と東京未来塾が育成する生徒像に関すること、あるいはまた東京未来塾生の資質、能力の育成に関すること等を現在検討しているところでございます。

○馬場委員 ありがとうございました。
 そもそも未来塾が塾として首都大への単なる塾になってしまってはならない。でも高校三年生にリーダー養成を中心にやれば、首都大に入る受験体制というのは大変難しくなってくる。その瀬戸際での連携事業ということで、その意味では、ぜひとも最後にご答弁いただきましたように、首都大との事業連携委員会、ここで本人も保護者も望んでいる、未来塾生が望んでいる、しっかり連携をとっていただいて、首都大が望んでいること、そして未来塾がしていることを相互に学校と都教委との間の連携をしっかりとっていただいて、高校の三年生、未来塾に入ってよかったというような状況をぜひともつくっていただきたいというふうにお願いをして質問を終わります。

○遠藤(衛)委員 これからの委員会運営のために一言申し上げたいというふうに思います。
 理事会で出たことは、話は聞いておりますけれども、実は今、馬場委員の質問の中に、ろうあ学校の関係が出ました。
 これは、さきの理事会で一般事務事業と陳情請願を分けてやるという理事会決定、それをこの委員会は承認、認めたわけであります。この委員会はそういったルールにのっとってやっぱり運営されていくべきであります。短い時間であったかもしれませんけれども、やはりそういうことが出ますと、今後こういうことがだんだんだんだん広がっていきますと、非常に運営、委員会にも支障を来すというふうに思っています。
 決してこの質問をしてはいけないというんじゃないんですよね。する場はありますから、ぜひそのようなことのないように、委員長のもとで、これからの運営のために、しっかりとこの委員会を運営していただきたい。委員長の方にはそういう権限もございますので、ぜひひとつその辺、運営のためにご協力をお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

○畔上委員 今のお話なんですけれども、理事会では良識を持ってということでお話ができていると思います。そういう点では、私は、事務事業というのは本来何についても発言ができると、質問ができるという機会でありますので、それは、それぞれが良識を持って対応すればよいということであると思います。

○遠藤(衛)委員 ここで議論するつもりはありませんけれども、先ほど申しましたようにちゃんと、確かに大きく見れば同じ事務かもしれない。しかし、事前にそういうふうに分けてあるわけですよ。委員会の運営という観点から。
 だから、そういうものをしっかりと守っていただきたいということを申し上げたんであって、決してこの質問をしてはいけないとか、そういうことを決していっているわけではない。やはり議員たるもの、決めたルールはしっかりと守る。これが議員の私は姿勢であろうというふうに思っています。

○大西委員長 ご指摘は賜りました。ご指摘はご指摘として承りましたので、それを各自が自分でご判断されながら良識ある運営を続けていきたいと思いますので、ご協力のほどお願いを申し上げます。
 それでは、議事を続けさせていただきます。

○村上委員 私の方からは東京都教育の日、平成十一年第四回都議会定例会において、ただいま退席をしておりますけれども、我が会派の政調会長である服部議員が教師の日の制定を提案したことに始まり、平成十四年には、これも我が会派の三名の議員の紹介により教育の日設定に関する請願が趣旨採択されたことにより、平成十六年に制定されたものであります。
 ことしは子どもの体力向上をテーマに、十一月七日土曜日に都民広場で小学生の親子を対象としたスポーツに親しむイベントを、大会議場では大人を対象としたシンポジウムが予定をされています。これがチラシでございまして、これが東京都教育の日ということで、こういったポスターですとか事業の一覧、そしてまた、大会議室ではシンポジウムなんかも行われるというようなチラシもご用意をいただいております。
 そこで、きょうのこの委員会の中にも新しい先生がいっぱいいらっしゃいますので、改めて東京都教育の日設定の意義、目的は何か、お伺いをさせていただきます。

○松山地域教育支援部長 都は平成十二年に、家庭、学校、地域の教育力が低下している実態を踏まえ、心の東京革命行動プランに仮称教育の日の設定を示しました。
 その後、お話のありましたとおり、平成十四年第三回都議会定例会において、教育の日設定に関する請願が趣旨採択されたことを受け、平成十六年二月に、十一月の第一土曜日を東京都教育の日としたところでございます。
 その意義、目的といたしましては、都民の教育に対する関心を高め、東京の教育を見詰め直し、次代を担う子どもたちの教育に関する取り組みを都民全体で推進し、都における教育の充実と発展を図ることを掲げてございます。

○村上委員 ことしの十一月の第一土曜日、すなわち十一月七日が迫っているわけですけれども、記念行事の開催に万全を期してほしいということはもちろんなんですが、実は私の周りでは、平成十六年の制定以来、五年を経過している中で、この教育の日の存在が都民に十分に浸透していないんではないか、まだまだ足りないんではないかなというような、そんな状況を感じています。
 ぜひ東京都教育の日について、この五年間の実績をお伺いしたいと思います。

○松山地域教育支援部長 教育の日につきましては、毎年度テーマを設定しておりまして、平成十七年度は学校と地域、家庭の連携、平成十八年度から二十年度にかけましては、子どもの生活習慣確立に関連したテーマを設定、今年度は子どもの体力向上といたしました。
 こうしたテーマの周知を図るため、毎年児童生徒からポスターや標語等を募集いたしまして、優秀作品を、先ほど先生がお持ちのポスター、リーフレットなどに掲載いたしまして配布いたしますとともに、テーマに関連したフォーラム等を開催しております。また、国公私立学校等におきましては、各年度のテーマや教育の日の趣旨に沿った保護者や地域の人々が参加するさまざまな事業を実施してきております。
 これらの学校等で実施される事業数は、平成十七年度には約六千件でございましたが、平成二十一年度には約七千五百件と着実に増加し、教育の日の趣旨が浸透してきているものと考えられます。

○村上委員 今のご答弁の中でポスター部門の受賞であったり、こういったことがチラシにしっかりと明記をされているということは、受賞された方にとっての励みにもなりましょうし、学校にとってもさらに力を入れていこうというようなことにもなるんではないかと思っています。
 また、今お話があった部分として、同じような形なんですが、(チラシを示す)この「とうきょうの教育」ということで、小学校版、中学校版、こういったものの中にも、子どもたちの体力向上、あるいは子どもたちの体の動かす機会をもっとふやしていこうよ、こんなようなことの取り組みについてもしっかりとPRがされているわけですけれども、ここで改めてお伺いをさせていただきます。東京都教育の日の各種事業について、どのような手段でPRを行っているのかお伺いさせていただきます。

○松山地域教育支援部長 教育の日の広報につきましては、「広報東京都」や東京都のホームページに掲載いたしますとともに、十月下旬から十一月上旬にかけて、都営地下鉄の主要駅及び東京メトロ全駅でのポスター掲示などを行っております。
 また、国公私立学校等におきましても、その年のテーマや教育の日の趣旨にかなう約七千五百の行事を、それぞれの学校などにおいて実施しておりまして、こうした事業を通じて保護者や地域の人々への教育の日の趣旨の浸透を図っております。
 今後も広報活動の充実に努めまして、教育の日の趣旨をさらに浸透させてまいります。

○村上委員 ことしの東京都教育の日のテーマは、子どもの体力向上と伺っています。子どもの体力向上に関して、先日発表された文部科学省の調査では、子どもの体力、運動能力は、この十年間でわずかではありますけれども、向上している、向上に向かった兆しがあるということが明らかになりました。
 最近では、学習塾ではなくて、子どもが駆けっこや鉄棒などを習う体育塾が繁盛しているというような報道がありました。本来、そうした学習は、学校教育で充実するものではないかと考えます。昔は先生が教えていたことを、今は塾にお金を払って体育を習うようになってきており、世の中も変わってきたものだなということを改めて感じさせていただきました。
 そしてまた、先日、生活文化スポーツ局で、スポーツ・運動に関する世論調査というものが発表されました。実は、この中の概要版の中で幾つか気になるところがありましたので、あわせてご紹介させていただきます。
 標本数としては約三千の方にお話を伺っておるわけですけれども、この中で教育の日、あるいは体力向上ということで、子どものスポーツや外遊びの環境を充実するために必要なことということで、子どもが体を動かしたくなる場の充実、これは校庭の芝生化なども含めて、五五%であるということのデータが出ています。
 また、あわせて学校の体育施設の有効活用、これは三八%というデータが出ておりました。
 また、子どものスポーツや外遊びの環境が悪くなったと感じる点の中に、身近にスポーツを指導してくれる人が少ない、これが一〇・八%ということで記載をされておりました。
 そしてまた、ジュニア期からの選手育成に関する関心という項目では、関心がある、そしてまた、子どもたちにそういった指導を行う必要があるとお答えになった方が七〇%いらっしゃいました。
 あわせてジュニア層を育成するために必要なことという問いかけについては、身近な場所でスポーツを体験する機会をふやすが六二%、そしてまた、コーチ、トレーナーなど、専門的指導者の養成と活用が四四%、そして、アスリートなどの指導を受ける機会をふやすが三七%と続いておりました。
 こうやって考えてみますと、今ちょっとお話に触れさせていただきましたけれども、体育塾ということで、耳なれない塾の名前ではありますけれども、こういうところにお金を払って子どもを通わせるんではなくて、ぜひ学校の体育の充実を図っていっていただきたいなという思いでいっぱいでございます。
 そこでお伺いをさせていただきます。今後、学校体育を充実するために、現在、都教育委員会では、子どもの体力向上を図るため、スポーツ教育推進校を指定していると伺います。どんな取り組みを進めているのかお伺いさせていただきます。

○高野指導部長 都教育委員会は、お話しのように子どもの体力向上に向けまして、スポーツ教育の推進を重要施策としておりまして、現在、都内公立小学校百四十校、中学校四十校、都立高等学校十五校、都立特別支援学校五校、合計二百校をスポーツ教育推進校として指定しております。
 スポーツ教育推進校では、児童生徒の健康増進に向けた取り組み、体育授業の内容や方法の改善充実、全国体力テスト平均値以上を目標とした体力向上の取り組みなどを積極的に行っております。
 またアスリートを学校に招待し、児童生徒がアスリートと交流したり、専門的な指導を受けたりするなど、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

○村上委員 各地域において特色ある取り組みを行う学校が多くなるのは子どもにとってもいいことでありますし、学校が地域の誇りとなることも大切だと考えます。特にスポーツを特色とした学校では、子どもたちが心身ともに元気になり、健康増進、体力向上につながるものではないかと思います。
 一方、東京都は平成二十五年に国体を控えております。渋谷区は、東京体育館で水泳を開催することとなっております。今後、学校においても国内最大のスポーツの祭典である国民体育大会についてきちんと学習することが大切だと感じております。さらに、地元東京出身の選手たちが東京国体で活躍することは、スポーツの振興を一層進めるものと確信しております。
 開催まであと四年となりました。東京都の子どもの体力が四十七都道府県の中で、低いレベルであると伺います。活躍できる選手が生まれてくるのかが大変心配です。地域においては、ジュニアスポーツの普及が必要であると考えますが、学校においても、東京国体を視野に入れ、競技力向上を図る必要があると考えますが、東京国体に向けた教育委員会の取り組みをお伺いさせていただきます。

○高野指導部長 これまで都教育委員会は、中学や高校の総合体育大会の開催、部活動推進指定校の指定、外部指導員の導入、部活動予算の重点配付などによりまして、運動部活動の振興を通しましてスポーツの普及に努めてまいりました。東京国体において地元東京の選手や高校生が活躍するためには、運動部活動による競技力の向上に重点化することも必要であります。
 このため、平成二十年度から、中学校体育連盟や高等学校体育連盟と連携を図りまして、中学生では二十競技、高校生では四十競技において、強化練習会、これを実施するとともに、都立高校においては、ボート、セーリング、カヌー、馬術、自転車競技など、競技人口の少ない種目の育成強化のために、国体強化部活動候補を指定いたしまして、競技力の向上に取り組んでまいりました。
 その結果、今年夏の全国中学校体育大会において、公立中学校の生徒が柔道男子個人戦六十六キログラム級や陸上男子八百メートルで個人優勝、水泳競技では個人競技で五人が各種目で個人優勝をいたしまして、男子四百メートルリレーでは団体優勝するなどの成果もございました。
 高校生段階においては、都立小松川高校の女子生徒がボート競技女子シングルスカルでインターハイ個人優勝、日本カヌースラロームジュニア選手権大会では、都立青梅総合高校の生徒二人が個人優勝、個人準優勝を飾るなど、少しずつではございますが、強化事業の成果があらわれてきていると認識してございます。

○村上委員 今の部長のお話の中で、大変優秀な成績を上げられたということは大変うれしく思っておりますし、ぜひこういう取り組みに力を入れていっていただきたいと思っております。
 ただ、現在の中学の二年生たちが東京国体の主力選手となるわけです。引き続き競技力の向上に努め、地元東京の選手が活躍する大会となるよう、私たちも願っているところでございます。
 体力を向上するためのスポーツ教育の推進についても、国体に向けた競技力向上にしても、いずれも指導者の指導力によるところが大きいと考えます。教職員は多忙な中で、特色ある教育活動や部活動の指導にも頑張っているわけです。専門的な指導によって、児童生徒は大きく伸びることができ、学校の特色づくりにも貢献するものであると思います。
 学校選択制が広がる中で、非常勤講師を校長が選ぶことのできるシステムというものが広がっているとお伺いいたします。小学校では、音楽などの教科において、専科教員の果たす役割は大変大きいものがあると思います。体育について、専科教員の状況がどうなっているのかお伺いいたします。

○直原人事部長 小学校専科教員につきましては、専科教員の配置数の枠内で、一般に実技教科といわれている音楽、図工等から学校が選択した教科の希望に基づきまして教員を配置しております。
 専科教員の配置数は、一学級から五学級までの学校で一名、六学級から十六学級までの学校で二名、十七学級以上の学校で三名となりますが、一般的に音楽、図工、家庭科を選択する学校が多い状況にございます。
 一方、体育を選択する学校は少なく、平成二十年度に体育を選択した学校は、全都で四校でございました。

○村上委員 今のお話を聞くと、小学校における体育専科教員の状況というのは、わずかに四校であるというお話でした。子どもの体力向上やスポーツ教育を推進していくために、非常勤講師や専門的な指導力を有する外部人材を導入していると伺っておりますが、指導面で学校をサポートする体制を整えることも有効な手だてであると考えます。都教育委員会の具体的な取り組みとその成果の検証についてお伺いいたします。

○高野指導部長 本年度、小学校百四十校、中学校四十校をスポーツ教育推進校と指定いたしました。このスポーツ教育推進校の三〇%に当たる五十四校に、より一層学校体育の充実を図るために、それぞれ一人ずつ保健体育の免許など専門的な資格を有する非常勤講師を措置したところでございます。
 導入した学校の校長からは、現在の状況を聞き取った結果、体育授業の質が高まるなど高い評価がございまして、専門的指導者の導入は子どもの体力向上やスポーツ教育の推進に貢献できるものであると認識してございます。
 また、都教育委員会は、中学校部活動の廃部問題を防止するために、積極的に外部指導員を導入しようとする区市町村に対しまして、導入経費の二分の一を補助する事業を行ってございます。現在、二十三の区市町村から申請がございまして、四百十四人の外部指導員が導入されてございます。その結果、例えば九月にも報道がございましたが、江東区ではこの事業を活用して、四校の中学校で野球部が復活したなどの事例が報告されているところでございます。
 いずれの事業も本年度から始めたものでございますので、今後、お話しのように、専門的な指導者を導入した結果や成果をさらに検証してまいりたいと思います。

○村上委員 今のお話の中でも専門的な指導者、あるいは外部指導者ということですけれども、先ほどちょっと触れましたスポーツ・運動に関する世論調査の中でも、ぜひそういったようなものを積極的に活用してほしいというようなデータも出ているわけですから、ぜひ前向きにご検討をお願いしていきたいと思っております。
 また、今、体育の専科教員のことについてきょうはお話を伺ったわけですけれども、先日、委員会の中で、特別支援学校の中の養護教員、あるいは栄養士の先生が足りない、こんなお話が我が党の遠藤議員からもありました。全く内容的なものは違っても、先生の数が足りない、携わる方が足りないということについては同じであろう、一足す一が二や三にならない、それが今の現実でございますので、ここは国の法制度という問題も、大きな壁があるのは十分承知をしておりますけれども、やっぱり一緒になって見直しを要望していきたいな、こんなふうに思っております。
 また、先ほど冒頭の中で申し上げたように、今、体育の専門の塾にお金を払って子どもを通わせている、こんな親御さんがふえているというこの現状の中で、国の政策の中で子ども手当というものがあるわけですけれども、これを私は否定するものではありませんが、これと同時に、やっぱり学校の環境整備の促進なんかにも十分力を入れなければ、配慮が欠けているのではないのかなと、こんなふうに思っております。
 学校教育の充実は、必ず子どもたちにとってのプラスに作用されるわけですから、ぜひ都教育委員会としても前向きに、積極的にお取り組みいただきますようにお願いを申し上げ、私からの質問といたします。ありがとうございました。

○遠藤(守)委員 私からは四点について大きく質問させていただきたいと思います。
 一点目は、特別支援教育推進計画の第三次実施計画の策定について、二点目は、都立学校のICT計画について、三点目は、学校に対する保護者等からの理不尽な要求への対応について、そして最後が都立学校における天窓の改修について、この四点について順次質疑をさせていただきたいと思います。
 初めは、平成十六年十一月に公表されました特別支援教育推進計画に関連してでございます。
 近年、特に入学希望者がふえております知的障害をお持ちになる児童生徒さんへの対応についてお伺いしたいと思います。この推進計画に基づきまして、第一次、第二次の実施計画が策定、また推進されておりますけれども、平成十九年度に策定をされました第二次実施計画における児童生徒の数の推計、いわゆる予測値でありますけれども、平成二十年度は小中高等部合わせて六千三百八十九人、平成二十一年度は同じく六千百十四人と、このような推計値がありますけれども、実際の人数はそれぞれどうであったか、まずご報告をいただきたいと思います。

○前田参事 特別支援学校における知的障害のある児童生徒の在籍者数は、平成二十年度は六千四百九人、二十一年度は確定値ではございませんけれども、六千九百人余りでございます。

○遠藤(守)委員 推計と実績の値の差が平成二十一年度では、今、答弁いただきました約八百人と大きく異なっているわけであります。第二次実施計画では、この推計というものをどういう考え、または方法に基づいて推計をしたのか、その推計と実際に八百人という乖離が出たわけでありますけれども、その八百人という乖離が出た原因をどうとらえているか、あわせてお答えいただきたいと思います。

○前田参事 特別支援学校における小中高等部の過去の在籍者数の傾向などを踏まえて、第二次実施計画では統計的手法を用いながら推計したものでございます。
 その後、大きな乖離が生じた原因でございますけれども、平成十六年度に一次計画、その後、二次計画を策定して、これまでの間に発達障害者支援法、障害者自立支援法及び改正学校教育法が施行されました。これらの法律の施行以後、特別支援教育の役割、重要性が増し、特別支援学校への都民の期待が高まったことなどにより、児童生徒数が増加したものと考えております。

○遠藤(守)委員 答弁では、国で新しい法律ができ、また法改正があり、そしてそれに基づいてその人数がふえてきたと、こうしたことだと思います。
 それでは、実際のこうした増加傾向を踏まえて、平成二十三年度から行われる第三次計画策定に向けてはどのように推計、この国の法改正の動き等々を踏まえて、どのように取り組んでいくのか、お答えいただきたいと思います。

○前田参事 法改正後の児童生徒数の増加状況を踏まえながら、統計的手法を用いて推計してまいりますが、特に増加傾向の顕著な知的障害のある児童生徒につきましては、一次実施計画に基づき設置した知的障害が軽い生徒を対象とした学校への生徒の受け入れ状況なども考慮しながら、データをより細かく分析しつつ、推計をしていきたいと思っております。

○遠藤(守)委員 これまでいただきました答弁からすれば、今後、知的障害のある児童生徒数は、第二次実施計画の推計値を相当レベル上回るものになることが容易に予想されるわけでありますけれども、そうだとすると、その子どもたちを受け入れるための教室や、または学校そのものが新たに必要になるものと考えられるわけであります。
 現状においても、さまざまな委員の皆さんからもご指摘があるとおり、教室が不足していて、または子どもたちをめぐる教育環境というものは決して良好であるとはいえない状況であると思います。
 今後策定の第三次計画に向けて、その課題を都教委としてどうとらえて解決していくつもりなのか、現在、さまざまな検討がなされていると思いますけれども、最新の検討状況と、そのポイントについてご報告をいただきたいと思います。

○前田参事 都教育委員会としては、必要な教室を確保することは重要な課題ととらえておりまして、これまでの計画におきましても、学校施設の改修や増築及び新設などにより、教育の確保対策を進めてきたところでございます。
 第三次実施計画の策定に当たりましては、各学校の現況や今年度実施の推計調査などを踏まえ、増改築が可能な学校施設の精査や通学区域の適正化及び就学、入学相談のあり方などについても検討する必要があると考えております。
 特に、学校施設に関する課題につきましては、外部の専門家も加えた検討組織をつくり、検討を始めているところでございますが、今後はほかの課題についても、必要な検討組織を設置するなどして、第三次実施計画策定に向け、学校施設や設備などの教育諸条件など特別支援教育の充実策の検討を進めてまいります。

○遠藤(守)委員 児童生徒がふえるからといいまして、単純かつ機械的に教室や学校をふやすということは、都の財政状況を初め、さまざまな事情から困難であるということは予想がつくわけでありますけども、とはいっても、子どもたちの教育環境は維持向上させる必要はあるわけであります。ぜひ今、答弁いただいたとおり、さまざまな検討を加えるとともに、あわせて特別支援教育を担う教員の人員及び資質、専門性の向上についても検討を加え、都民の期待にこたえる第三次計画を策定していただきたい、このように要望して、次の質問に移らせてもらいます。
 二点目は、都立学校のICT計画であります。
 この都立学校におけるIT基盤の整備につきましては、私は平成十九年二月の一般質問で訴えて以来、事あるごとに今日まで継続をして質疑させていただいております。
 そこで、本日も、現在、皆さんが進めております都立学校ICT化計画の進捗状況について何点か確認も含めて質問させていただきたいと思います。
 一点目は、このICT計画のまさに心臓部ともいわれております都立学校ICTセンター、これは学習用コンテンツを一元的に蓄積して、管理して発信していく、この心臓部でありますけれども、これの構築状況についてご報告をいただきたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立学校ICTセンターにつきましては、インターネットや学習コンテンツを一元的に管理できるように、平成二十年度末に既に構築を完了したところでございます。

○遠藤(守)委員 二十年度末には構築を完了したということであります。この都立学校のICTセンターでは、都立学校の教員がみずから作成した教材を共用化することが大きな目的だったと思います。
 しかし、現在、この学習コンテンツの蓄積が著作権の問題から、必ずしも十分でない、滞っていると、このようにも聞いております。私は、このICT計画のさまざまな策定、または実施に当たっては、これまで専門家の提案、意見を十分踏まえて行うように繰り返し繰り返し指摘をしてきましたが、この著作権に関してはどう対応してきたのかご報告をいただきたいと思います。

○高野指導部長 都教育委員会は、学習コンテンツの蓄積に関しまして、昨年度、都立学校ICTセンターの構想に合わせて検討を進めてきたところでございます。その際、都立学校ICTセンターのハード面の整備を進めつつ、著作権の問題について所管庁である文化庁や教科書出版会社の専門家の意見を聞いたところ、都立学校ICTセンターに学習コンテンツを格納した場合、インターネットによる公衆送信の方式では、不特定多数の利用が可能となることから、膨大な著作権料が必要になることがわかった次第でございます。

○遠藤(守)委員 この著作権の問題は、基本的かつ大変重要な問題であります。今後、こうした著作権の問題等を配慮し、学習コンテンツの整備、積み上げをしていくべきだと思いますけれども、今の答弁では、私はずっとやりとりをやっていてわかりますけれども、初めての委員の方もいらっしゃいます。また傍聴の方もいらっしゃるんで、もう少し丁寧に詳しく、このICTセンターの格納の現状についてご報告をいただきたいと思います。

○高野指導部長 今後、都教育委員会は、先生ご指摘の点を踏まえまして、基本的には、著作権料のかからない学習コンテンツを外部委託により作成していくことといたします。また、都立学校の教員が作成したICT用教材も積極的に活用してまいりたいと考えております。さらに必要に応じて、著作権料がかかる市販のすぐれた学習コンテンツにつきましても、借り上げなどの方法により活用していきたいと思います。
 ただいまご質問のあったICTセンターについてでございますけれども、こうした活用を図る際、都立学校ICTセンターにおける学習コンテンツの蓄積エリア、これをインターネットでだれでも利用可能な一般公開エリアと都立学校の教員だけが利用可能な限定公開エリア、こうした二つのエリアに分けまして、著作権料がかからない学習コンテンツは一般公開エリアに、一般公開エリアに蓄積いたしますと膨大な著作権料がかかる学習コンテンツは限定公開エリアに蓄積していくことで、支払わなければならない著作権料を必要最低限度にとどめていきたいと考えております。
 こうしたことによりまして、都教育委員会はすべての都立学校の教員及び生徒が学習コンテンツを効果的に使えるようにし、教員の授業力、授業改善や生徒の学力向上を一層推進してまいりたいと考えております。

○遠藤(守)委員 ただいまは、都立学校の教員についての答弁を種々伺ってまいりましたけれども、都立学校の教員だけではなく、区市町村の小中学校の教員にも使えるようにシステム構築を図るべきであると。これも繰り返し訴えてまいりましたが、改めてこの点はどうなっているかお答えいただきたいと思います。

○森口都立学校教育部長 区市町村の小中学校の教員につきましても、インターネットによって一般公開エリアに直接アクセスすることで学習コンテンツを利用することが可能でございます。今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携して、区市町村の小中学校の教員に対し、本システムの利用について周知してまいります。

○遠藤(守)委員 今回、都立学校ICTセンターの構築に当たっては、著作権の問題等、専門家の意見の確認や、また学習コンテンツの整備について十分精査されないまま、いわばハードの整備が先行してきたといえると思います。現段階では、ハード面の構築がかねがね完了しつつあり、今後は、ぜひ著作権の問題等を十分に配慮しつつ、学習コンテンツの蓄積を拡充した上で、さらに区市町村の小中学校の教員等への活用の拡大を積極的に図っていただきたい、これを要望して、次の質問に移ります。
 三点目は、学校に対する保護者等からの理不尽な要求への対応についてお伺いいたします。
 私たち都議会公明党は、平成二十年第三回定例会における代表質問におきまして、学校に対する保護者等からの要求のうち、理不尽なものに関する実態を問うたわけであります。
 その際、都教委からは、保護者等の要望の中には、離婚調停等の家庭内の争議に学校が巻き込まれるなど、余りにも理不尽なものがあり、長期化、深刻化するなど、学校だけでは解決が困難な事例が全公立学校二千四百十八校のうち、約九%に当たる二百三十四校で発生している、こうした数字を都教委が示しました。
 こうした背景も踏まえ、この同じ質問で、我々公明党は、子どもたちの適切な教育環境を確保するためには、学校事例の問題解決の研修を積み重ねてきている行政書士、司法書士、弁護士などの法律の専門家を活用し、対処できる仕組みづくりをしていくべきであると提案をいたしました。以来、約一年が経過をしたわけでありますけれども、その仕組みづくりが現在どうなって、どう機能しているのかお答えいただきたいと思います。

○高野指導部長 都教育委員会は、お話しのような解決困難な案件の対応のために、本年五月、行政書士、弁護士、医師、警察OBなどの専門家、並びに保護者の代表等を活用いたしました学校問題解決サポートセンターを設置いたしまして、公平中立な立場で学校等への指導、助言、保護者への助言を行ったり、双方へ解決策を提示したりするシステムを構築したところでございます。
 これまでサポートセンターに寄せられた相談は、十月二十六日、昨日現在で総数九十八件でございます。その内訳は、小学校に関する案件が三十九件、中学校が十九件、高等学校が十五件、特別支援学校が二件、その他私立学校に関する案件や学校種別がわからないものなどで二十三件ございました。
 相談につきましては、校長OBや指導主事など、サポートセンターの職員が対応してきたところでございますが、サポートセンターが学校から切り離し解決に当たる必要があると判断いたしまして、当事者の合意を得て、専門家で構成するケース会議において当事者双方の意見を聞いて対応した事例、こうした事例は、昨日現在で一件でございます。

○遠藤(守)委員 先ほどちょっとご紹介したとおり、離婚調停等こうしたもの、常識では考えられないような要求を繰り返す保護者による教育現場の混乱は、何としても防がなければならないわけであります。そうした特異な事例への対応で、本来、子どもの教育に専念すべき教員の皆さんの力をそいでは断じてならないと、このように思うわけであります。
 一方で、具体的な事例に基づく苦情等への対応の仕方について、現場からは、情報提供をしてもらいたい、こういう声が私のもとにも寄せられておりますし、皆さんのもとにも届いているかと思います。つまり、学校は、よりよい解決策を保護者との間で見出すために、その対応の仕方などを具体的に助言してほしいと、このような切なる願いを持っているんだろうと思うわけであります。
 都教委はこれまで、経験や職層に応じた教員研修を行って、こうした問題に対する教員の能力の育成というものを図ってきたと思いますけれども、保護者等からの苦情に対してより適切に対応するために、都教委として、さらなる具体的支援を行っていく必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。

○高野指導部長 これまで学校問題解決サポートセンターは、弁護士等の専門家による学校管理職対象の講演会や個別相談会を実施したほか、学校経営支援センターや区市町村教育委員会主催の講演会等に対しまして講師を派遣するなど、学校を支援してまいりました。
 また、九月十九日には、学校、保護者、地域住民、PTA等が日ごろから連携を図り、共働し、お互いの立場、考え方を理解し合うために、専門家によるシンポジウムを開催し、理不尽なクレーム等の問題の未然防止の啓発を図ってまいりました。
 今後は、学校が保護者、地域住民等からの多様化、複雑化する意見要望に適切に対応するために、その具体的な対応方法を示した学校問題解決のための手引、こうしたものを年度内に新たに作成、配布し、各学校を支援してまいりたいと考えております。

○遠藤(守)委員 新たな取り組みでこの学校現場の参考になる手引書を作成するという答弁であったと思います。ぜひこれが有効に活用されるようにアフターフォローもお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、平成二十一年度各会計定例監査報告書、(資料を示す)これでありますけれども、これについて都教委も何点か指摘を受けております。特に私は、都立学校の天窓の改修について、一点質問させていただきたいと思います。
 皆様方ご案内のとおり、昨年六月、杉並区の第十小学校におきまして、小学校六年生の男子児童が屋上天窓から一階床に転落して、命を亡くされるという大変痛ましい事故が起こったわけであります。今、私が持っています監査報告によりますと、この天窓の事故を受けて、都教委がとった対応について、このような指摘がなされております。
 都教育庁は、この天窓からの転落事故を受け、緊急の調査を実施したが、平成二十一年六月十二日の監査日現在、ことしの六月十二日ですね、五百十カ所の天窓の改修のめどが立っていない。生徒の安全の確保の必要があって緊急調査を実施させたものであり、速やかに改善されたい。このような指摘がありました。
 この指摘を見る限り、天窓の改修について、昨年六月の事故後、何ら都教委は対応していないと、このような印象も持ちますけれども、実際はどうであったかご報告いただきたい。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会はこれまでも都立学校に対し、生徒の安全確保のため、校舎屋上出入り口の施錠管理や無断の立入禁止など、施設利用上の指導を行ってまいりました。
 昨年六月の杉並区立小学校における転落事故を受けまして、全都立学校に対し、改めて学校全施設の安全点検の実施と生徒に対する安全教育の指導を行うとともに、天窓を設置している全校について緊急調査を実施いたしました。
 調査の結果、落下防止対策が必要な百二十五校六百九十五カ所のうち、五十六校百八十五カ所について二十年度中に防護ネットや覆いネットの取りつけ工事を行ったところでございます。
 また、改修が済んでいない学校につきましては、校舎屋上出入り口の施錠管理を改めて徹底するとともに、改修が完了するまでの間、屋上への立ち入りを全面禁止するなど、事故防止の徹底を図っております。

○遠藤(守)委員 平成二十年度中に当面実施可能な改修については行ったと。そして、全面立入禁止などの安全対策も講じたと。これが第一段階であると思います。
 しかし、今の答弁では、いまだ改修が必要な学校が多く残っているということも片方の事実であると思います。なぜ平成二十年度に実施できなかったのか。また、それらの学校について今後どのように対処していくのか、今後の進め方についてお答えいただきたい。

○森口都立学校教育部長 平成二十年度中に改修できなかった六十五校五百十カ所につきましては、天窓の形状から、改修部材が特注になることや、屋上防水など、校舎建物の構造や建物本体への影響、また、施設設備の保守管理上の問題もあることなどから、各学校の建物の状況に応じた個別の検討が必要でございました。このため、改築、改修及び解体を予定しております学校二十五校百七十カ所を除きました四十五校三百四十カ所につきましては、今年度中に防護さく、防護網を設けるなど、必要な改修を行ってまいります。

○遠藤(守)委員 初めてこの監査の指摘を読んだときに私は大変驚いて、遺憾な状況だと憂慮したわけでありますけれども、今、部長の答弁を聞いて、当面の必要な対応をとっているということで、ひとまず安心をいたしました。
 一日の多くを過ごす学校が安全・安心の場でなくてはならないということはいうまでもないわけでありますが、子どもたち、私も小学校五年と三年の息子、娘がおります。こうした子どもたちの冒険心、また好奇心というのは、時として、我々大人の想像を超えた行動をとるわけであります。また、都立学校にはもちろん特別支援学校等の現場もあるわけでありますので、そういう子どもたち、児童生徒の特性を十分認識し、学校での安全管理、安全指導を徹底充実させていくとともに、子どもたちのこうした目線に立って十分な安全性を備えた施設整備が重要であると思います。二度と杉並での痛ましい事故が起こらないように、一層の取り組みをすべきことを要望いたしまして、私からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○大西委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時一分開議

○大西委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 先ほどの答弁の中で、理事者の方から数字の訂正をちょっと求められておりますので、この発言を許します。

○森口都立学校教育部長 先ほど、遠藤守議員に対する答弁の中で、数字が間違っておりましたので、訂正させていただきます。
 二十年度中に改修できなかった六十五校五百十カ所と申し上げましたが、六十九校五百十カ所の間違いでございました。また、次の改築、改修及び解体を予定している学校を二十五校百七十カ所と申し上げましたが、二十四校百七十カ所の間違いでございました。
 申しわけございません。

○大西委員長 それでは、質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○畔上委員 それでは、まず初めに特別支援教育推進計画について、大綱四点伺いたいと思います。
 第一に、ろう学校について伺います。
 東京都は、都立ろう学校の在籍者数が減少傾向をしているとおっしゃっていますが、しかし、統計資料を見ますと、推進計画のスタート時の二〇〇四年度時で、小学部が百九十七人、昨年は二百八人、ことしは二百二十一人と、減るどころかふえております。しかも、都の推計でも今後のろう学校の児童生徒数はふえていく見込みとなっております。つまり、五年前と比較して、都教委が一次計画で見通した集団による教育活動の確保は難しい状況が生じるとは現在いえないのではないでしょうか、伺います。

○前田参事 聴覚障害特別支援学校に在籍する生徒数の推移でございますが、委員ご指摘のとおり、現状では若干の増加傾向にございますが、増加傾向の原因としましては、主に中学部の生徒の増でございまして、これは中高一貫の学校をつくること等によって生徒数がふえたというふうに考えておりまして、現状としましては、大きな増加傾向等はないというふうに、平成十六年の状況とほぼ並行の推移というふうに考えてございます。

○畔上委員 減ってないということでございます。私は、永福の分教室のお母さんたちから、ぜひ一次計画を見直してほしいという声をいただきました。都の教育委員会もそうした声を聞いていると思いますけれども、こうした声をどう受けとめていらっしゃいますか。

○前田参事 分教室を存続させてほしいといった保護者の声につきましては、今後、仮に募集停止等になった等の場合に、大塚ろう学校本校または他のろう学校への通学上の不安や心配から生じているものというふうに受けとめております。
 都の教育委員会としましては、該当する保護者会等の開催や個別面談の実施により、保護者の意見、要望、個々の事情などについて把握しているところでございますが、引き続き、今後とも保護者の方々に対して丁寧な説明を行っていきたいというふうに考えております。

○畔上委員 丁寧な説明ということでありましたが、やはり私は、不安にしっかり対応するというのであれば、一次計画にある条件を変えることだというふうに思います。
 分教室の教育内容につきましては、ぜひ後日質問したいと思います。
 そもそも再編計画で、このように広い東京で聴覚障害の小学部がたった三カ所でいいということが私は問題だと思っておりますが、再編計画の考え方の基本は何でしょうか。

○前田参事 都立ろう学校の在籍者数は、昭和三十四年度の千五百二十一人をピークに減少を続けまして、平成十六年度、第一次実施計画策定時には五百九十一人となっておりました。
 こうした中で、幼児、児童生徒のコミュニケーションの力や学力の伸長、社会性の育成などを図るのに必要な学級、学校規模の維持が難しいといった状況になっていたために、平成十六年度の特別支援教育推進計画第一次計画におきまして、ろう学校の再編整備を行うこととしたものでございます。

○畔上委員 私が冒頭申し上げましたように、再編計画時の一次計画の当初と今と実態が異なっている、減少傾向ではないということが明らかになっているわけです。そういう点では、私は東京のろう教育をどう進めていくのか、それから、子どもにとって最善の教育とは何かということを、十分な議論を踏まえた第三次計画を策定すべきだというふうに思います。その中で、やはり一次計画の条件をしっかり見直すべきであるということを私は申し上げて、次の質問に入りたいと思います。
 次に、重度重複障害学級についてです。
 重度重複学級は、特別支援学校のPTA連合会の要望でも出されておりますが、ぜひふやすこと、これは切実な要求となっております。現況がどうなっているかということで資料の提出をお願いいたしましたが、これを見てみますと、この十年、重度重複の障害の子はふえているという実態があるにもかかわらず、学級数は変わっていないという事態が明らかになりました。学校長の申請と都の教育委員会の判断が異なる学級数はどのくらいあるのでしょうか。

○前田参事 都教育委員会は、学校との事前相談を踏まえ、校長から申請のあった児童生徒について、社会性の発達や日常生活の自立の程度などを総合的に判断して、重度重複学級への措置が適切であるかどうか認定しているところでございます。
 重度重複学級につきましては、この認定した児童生徒数に応じた数で学級を編制しているところでございます。

○畔上委員 ただいま、事前相談をしているというお話だったんですけれども、現場で必要だというものを都教委が切っているというのが現状ではないでしょうか。
 今、認定基準のお話がありましたけれども、その認定基準の判断、これは何を基準に判断されているのか伺います。

○前田参事 重度とは児童生徒の障害の状況、発達の側面、行動的側面、疾病的側面から総合的にとらえた状態でございまして、重複とは学校教育法施行令第二十二の三に定める程度の障害を二つ以上あわせ有する状態でございます。
 先ほどもちょっと触れましたが、重度重複学級の対象児童生徒の認定につきましては、事前相談を踏まえて、学校長から申請のあった児童生徒の障害や発達の状態などについて、都教育委員会が社会性の発達や、日常の基本的生活の自立の程度などを総合的に判断して認定しているものでございます。

○畔上委員 実態としては、重度重複の子どもたちがふえていると。要望もあると。しかし、総合的に判断して認定したということは、結局、私は、総量の規制が前提にあるから現場の必要性が抑え込まれているんだというふうに思うんです。やはり実態に応じた対応をすべきであって、私は学校長からの申請というのは、まさに実態に合った判断だというふうに思うんです。
 そういう点では、校長からの申請をすべて認めるべきだと思うんですが、いかがですか。

○前田参事 重度重複学級の学級編制につきましては、児童生徒の障害の状態が多様化していることを踏まえ、児童生徒数の推移等を勘案しながら、適切に対応してまいります。

○畔上委員 私は、これまでふえてきているのに学級をふやしてこなかった、まさに実態に合っていないということで取り上げたわけでございます。やっぱり実態に合った必要な学級数、これをしっかりと確保すべきだというふうに思います。そういう点では、財政的なものを優先させる、そういう考え方で行ってはならないというふうに思います。
 子どもにとってやっぱり必要な重度の重複学級、これを設置していただきたいということを強く求めて、寄宿舎の問題に移りたいと思います。
 寄宿舎の問題ですが、五年前には十一あった寄宿舎を二〇一五年までに五つに減らす、そういう計画となっております。
 その理由は、就学の保障のために家庭の事情や教育上の理由を認めてきたけれども、社会情勢は変化しているから、通学困難に限定するんだというふうにしていますが、寄宿舎が果たしている教育的役割を過小評価する、私は縮小だというふうに思います。
 幾つか具体的に伺いたいと思います。
 まず、都教委が今年度末に閉鎖をするとしています立川のろう学校についてです。立川ろう学校の保護者に、現在どんな説明をしていますか。

○前田参事 特別支援教育推進第二次実施計画に関する説明会を都教委主催で行っておりまして、その際、立川ろう学校の寄宿舎が閉舎になることについて保護者に説明してございます。また、学校におきましても、保護者への説明や学校だよりで周知を図っているところでございます。

○畔上委員 来年度、葛飾盲学校の寄宿舎に立川ろう学校から移ると表明している児童生徒は何人でしょうか。

○前田参事 現時点では、立川ろう学校の寄宿舎に入っている生徒に葛飾盲学校の寄宿舎へ入所したいといった希望はないと聞いております。

○畔上委員 だれもいないと。なぜかと。私はこの保護者の皆さんの判断というのは当然だろうというふうに思うんです。
 立川から葛飾、本当に全く知らない、行ったこともないところに行くということは、とても子どもたちを不安にさせるだけで、とても行かせられないと。しかも、葛飾から立川ろうに通うということはまず無理だということで、結局、寄宿舎をかわる子は、学校まで転校しなきゃならない、そういう状況になるわけですから、私は、行かない、希望しないというのは当然だというふうに思うんですね。
 今、保護者の方や子どもたちは本当に大きな不安を募らせております。立川ろうは、ご存じのようにスポーツクラブが大変盛んな学校で、夕方遅くまでクラブをやっています。そこから一時間以上かけて帰宅する、ある中学部の女の子なんですけれども、クラブ活動を終えて青梅の方まで果たして帰れるんだろうかと。本当に不安でいっぱいだと。真っ暗なところを、しかも、耳の聞こえない女の子です。考えてみてください。
 今の教育条件が明らかに低下すると。そういうふうにわかっていながら寄宿舎をなくすというのは、私は明らかにおかしいと思うんですね。立川ろう学校の寄宿舎にいる子どもたちは全員移転を保護者が拒否をしたと。その思いに、私は心が痛まないのかと思うんです。なぜ希望者がゼロだというふうに考えていますか。

○前田参事 現時点では、葛飾盲の方の宿舎に移動を希望する保護者がないというふうに私どもの方では聞いております。
 ただ、今後、希望者があるといったことも考えられますので、葛飾盲学校寄宿舎に聴覚障害の児童生徒を受け入れるための施設整備などについては適宜対応していきたいと思っております。

○畔上委員 立川ろうの寄宿舎を利用しているある高校生なんですけれども、その子は、寄宿舎の仲間や先生に何度も助けられたと。寄宿舎は僕にとって一つの家であり、家族、大切な宝だというふうに語っています。
 子どもたちの成長にとって欠かすことのできないこういう寄宿舎を、私は、まず廃止ありきというやり方、これは絶対納得できない。今回の寄宿舎廃止計画は見直して撤廃すべきだということを強く求めたいと思います。
 次に、八王子の盲学校の寄宿舎についてですが、ここは昨年度から八王子盲学校と知的障害の八王子特別支援学校が統合された寄宿舎です。統合前のそれぞれの寄宿舎の定員と指導員の定数、統合後の定員と定数を伺いたいと思います。

○直原人事部長 寄宿舎統合前の平成十九年度の八王子盲学校の寄宿舎入舎定員は四十人、寄宿舎指導員定員は十二人であり、八王子特別支援学校の寄宿舎入舎定員は三十人、寄宿舎指導員定数は十二人でございます。
 寄宿舎統合後、平成二十一年度の八王子盲学校の寄宿舎入舎定員は七十人、寄宿舎指導員定数は十四人でございます。

○畔上委員 生徒の定員は二つの舎で合計七十人になったと。しかし、指導員は二つの合計の二十四人ではなく十四人だと。生徒は三十人ふえたのに指導員は二人しかふえていないと。なぜなんでしょうか。

○直原人事部長 寄宿舎統合後の現在、八王子盲学校の寄宿舎は、八王子盲学校と八王子特別支援学校両校の児童生徒を受け入れております。寄宿舎指導員定数は入舎定員に応じて決定しておりますが、算定は障害種別に行っておりまして、視覚障害のある児童生徒に対する指導員については八人、知的障害のある児童生徒に対する指導員については六名となり、合計で十四人となります。
 なお、統合前の寄宿舎指導員定数はそれぞれ十二人と申し上げましたが、これは、いわゆる標準法におきまして、寄宿舎指導員定数は一舎当たり十二人を下限とするとされているためでございます。

○畔上委員 今、説明がありましたけれども、子どもの実態を見ると、この配置基準というのは合っていない、不十分だといわざるを得ないと思います。子どもたちの障害の重度化によって、一人の子どもに手が必要になってきているということで、定員四十人の寄宿舎も今は二十人程度しか受けられていないというのがきょう提出されました資料でも明らかです。
 しかも、八王子盲学校の寄宿舎の場合は、視覚障害と知的障害の子どもたちでさまざまな配慮と、それから当然異なる対応が必要になってくるわけです。ところが、障害が重度化するという問題も、それから障害種の違う子どもたちが同居するという問題も、標準法ではそもそも想定されていないわけです。
 教育委員会が義務教育の標準法の想定を超えた、こういうやり方をしているわけですから、私は、指導員の配置についても、標準法はこうだからと、しゃくし定規に当てはめるという、こういうやり方じゃなくて、やっぱり必要な定数、この上乗せをきちんと行うというのが当然だというふうに思うんです。
 しかも、この寄宿舎は島の子どもたちが寄宿しているわけで、土日もあけているわけです。その分、平日の対応が薄くなっている。標準法に基づく計算で、十四人だから十四人ですよということでは余りにも現実を見ていない配置だというふうに思うんです。
 しかも、十四人の配置というのは正職員で配置されていない。基準さえ守られていないという現状をどうお考えなんでしょうか。

○直原人事部長 この八王子盲学校の寄宿舎指導員でございますが、現在、常勤の寄宿舎指導員十二人のほかに、再任用短時間職員二人、そのほかに一般賃金職員一人を配置しているところでございます。

○畔上委員 事は子どもの安全にかかわる問題です。私は、基準そのものも不十分なところに、さらに正規での配置ができていないと。今、十二人という答えでしたけれども、これは行政の怠慢といわざるを得ない。何かあってからでは本当に遅過ぎるわけです。直ちに正規職員での十四人の確保、そして実態に合った改善を求めたいと思います。
 次に、城北の特別支援学校の寄宿舎ですが、生活の基本であるトイレが一部使えないと。雨が降ると下水が上がってきて使えなくなることもあると。改修を毎年要望しても直してもらえないと。私も現場へ行きましたけれども、そういう声を聞きました。
 都教委は、区画整理との関係で見通しが立たないんだというお話でしたけれども、トイレというのは生活の基本的な設備です。家でトイレが何年も直らないなんていうことはあり得ないわけで、そういう点では本当に知恵を絞って、私は直ちに改善すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○前田参事 施設設備の改修につきましては、毎年、各学校とヒアリングを行っておりまして、危険防止、安全確保など、優先度の高いものから計画的に対応しているところでございます。本件につきましても、学校とのヒアリングの結果を踏まえ、対応してまいります。

○畔上委員 区画整理事業にひっかかっているということが、ここの大きなネックになっているとは思うんですけれども、私は、この区画整理事業はいつになるか現時点では見通しが立っていないと。そういう点では、区画整理事業待ちではならないというふうに思うんですね。直ちに改善を求めたいと思います。
 また同時に、今後、区画整理にかかわるからといって、この寄宿舎を廃止したりしないように、私は強く申し添えておきたいと思います。
 次に、入舎条件の緩和についてなんですが、都の規則を見ますと、入舎条件は、校長への申請で通学困難となっています。通学困難の解釈について、通学時間九十分以上と決めつけるんじゃなくて、一定時間の通学に体力的、精神的に耐えられない児童生徒、それから、両親が働いていて毎日の付き添いが困難な場合など、通学困難と認めているという説明も伺っていますが、現場では必ずしもそうなってない学校があると伺っています。通学時間の九十分だけで判断している、そういうところもあります。
 私は、一つには、通学時間のみで判断は誤りであるということを徹底すべきだと思います。そして、いま一つは、実態に合った入所基準に変えていく。必要性が認められる、そういう子どもの場合には入所できるような入所基準の緩和、これを行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○前田参事 寄宿舎は、通学が困難な児童生徒に宿舎を提供し就学を保障することを目的としていることから、利用については、一定の家庭事情を含めた通学困難による入舎に限定しているところでございます。このことから、入舎基準を緩和することは考えておりません。
 なお、都教育委員会としましては、学校の適正配置やスクールバスの整備を進めながら、これまで通学困難の解消に努めてきているところでございます。

○畔上委員 今、通学困難の解釈の問題ではご答弁ないんですが、私は、このことにつきましては、やっぱり子どもの状況をよく見ていくこと。それから、保護者や関係者の意見を十分聞いて決めるべきだと思っております。解釈を九十分というふうに時間に狭めることのないように、ぜひこれは指導をしていただきたいと求めたいと思います。
 私は、この間、寄宿舎を幾つか視察させていただいて、利用者の方々からもいろいろご意見を伺ってきました。そういう中で、寄宿舎というのが子どもの成長にとって、とりわけ社会性を身につける上でも本当に大きな役割を果たしているということを実感いたしました。
 同時に、都教委に対して、この寄宿舎の入所者の実態とか、それから、今の家庭環境における寄宿舎の役割について、しっかり真剣に受けとめる姿勢を持っていただきたいというふうに思いました。
 特に十一舎から五舎にする計画については、入舎希望者の家庭状況を初め、特別支援学校に通う子どもの状況、それから移動支援などの福祉の実態調査、保護者のニーズ調査、こういった調査を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○前田参事 寄宿舎は、先ほど申し上げましたけれども、通学が困難な児童生徒に宿舎を提供し、就学を保障することを目的としているものでございまして、委員がお話しのようなすべての保護者を対象とする調査をする必要はないと考えてございます。
 なお、寄宿舎を設置している学校では、毎年度、保護者に対して次年度の入舎希望をとっておりまして、希望する児童生徒や保護者の状況については把握してございます。

○畔上委員 私は、やはり実態をきちんと把握してこそ必要な教育条件の整備というものができるんだというふうに思うんです。調査ぐらいしっかりやっていただきたいと思います。
 立川ろう学校、それから江戸川特別支援学校、今度の、来年の三月の廃舎という計画がありますけれども、これはぜひ見直しをして、やはり希望者が入れるよう入舎基準の改善、それから指導員や看護師さんの体制の拡充、そういうことこそやっていくべきだというふうに申し上げまして、第三次計画の質問に移りたいと思います。
 第三次計画ですが、来年度に第三次計画の時期を迎えますが、第三次計画の策定の時期と検討体制、これはどうなっているんでしょうか。

○前田参事 特別支援教育推進計画第三次実施計画につきましては、来年度中に策定を予定しております。また、策定に当たりましては、学識経験者や学校関係者などを加えた検討組織を設置して、課題に対応した具体的な施策を検討してまいります。

○畔上委員 一次計画が策定されてから五年が経過したわけですけれども、そういう中で、国では特別支援教育をめぐる制度改正が行われたり、それから、障害者自立法が施行されたり、今度またその法律の廃止が議論されたり、そういう面では、障害のある子どもたちをめぐる状況というのは本当に大きく今動いているというふうに思うんです。
 東京でも一次計画、二次計画をやってみて、果たしてどうだったのか。その総括の上に立って、私は三次計画をつくることが大切だというふうに思うんです。そういう点で、やはり総括をする上で、現場の教職員や保護者の意見、これを十分に反映させる仕組みが不可欠だというふうに思います。
 先ほど関係者を含めた検討委員会ということでしたけれども、各障害別の保護者の代表、それから現場の教職員、こういった方々も検討組織に入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 同時に、第三次計画についてはパブリックコメント、これにつきましては、第二次計画のときに、ちょうど夏休みにパブコメをやってお母さんたちも全然知らなかったと、こんな事態がありました。そういう点では、そういう事態が起こらないようにすべきだと思いますが、あわせて伺いたいと思います。

○前田参事 これまで第一次、第二次の実施計画策定時には、具体的な検討組織の中でPTAの代表者を加えていたといった経緯もございますので、三次計画におきましても同様の方法については検討してまいります。
 また、第二次実施計画策定時には中間のまとめを公表し、保護者に意見を求めておりまして、三次計画策定時にも同様の方法について検討していきたいと考えております。

○畔上委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 総括の上に立って、知的障害の特別支援学校の増設を初め、切実な要望にこたえた第三次計画を強く求めまして、次の質問に移りたいと思います。
 都立学校の臨時学級増の問題です。
 都立学校の適正な規模と配置の積算基礎となっております都内の公立中学校卒業生の人口推計が計画当初の九七年時よりも増加していること、これは二〇〇二年の都議会においても我が党の委員が指摘してきました。にもかかわらず、二〇〇二年度以降も全日制の四十三校の募集停止、二十四校の開設で、差し引き全日制だけでも十九校がなくなりました。
 今年度から、都は全日制都立高校の進学者受け入れを十九の臨時増学級で対応し、来年度については四十三の学級増を計画しております。四十三の学級増をどこで図るのかということについては、先日発表がなされました。臨時学級増の対象になる学校の基準はどのようなものなのでしょうか。
 それから、臨時学級増は学校の意向で決まるんでしょうか。基準と具体策をお示ししていただきたいと思います。

○森口都立学校教育部長 現在、島しょ地域を除きました学年制の都内全日制普通科都立高校につきましては百十一校でございます。
 また、来年度、増学級の対象となる学校が四十三校で四十四学級でございます。四十三ではなくて四十四学級の増でございます。
 それから、学級増につきましては、設置者である東京都教育委員会が学校の施設であるとか、それから、生徒の状況、地域バランス等を踏まえて最終的に判断するものでございます。

○畔上委員 全日制の高校の適正規模という考え方でいけば一学年六学級と。しかし、今回の臨時増学級によって、先日公表された資料を見ますと、学級増の対象校のうち、一学年が七、八学級になるのは実に三十八校、八八%で適正規模を超える、そういう状況になっております。
 そもそも一学年四十四学級といえば、七校分の学校が必要ということになるわけです。都教委は各学校に一学級なんだというふうにおっしゃると思うんですけれども、教育現場で、高校で一学級をふやすというのは本当に大変なことなんですね。どの教室を活用しようか、どうやって教室を生み出そうかと苦労しながらつくり出しているのが実態です。
 そういう点では、一学年が六学級という適正配置、適正規模という考え方は今後も継続するのでしょうか。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、都立高校改革推進計画に基づきまして、一校当たり十八学級を基本として全日制課程の適正な規模の確保を図っております。ただし、それぞれの学校の状況に応じ、最大二十四学級、最少十二学級程度で調整を毎年行っております。

○畔上委員 つまり、十八学級ということは一学年六学級ということですよね。そうであるならば、私は今の事態、本当に早く改善しなければならないというふうに思うんです。先ほど二十四学級というお話もありましたけれども、現実に教室を探すのが大変という事態になっているわけです。
 来年度、新設四校、十六学級ふやすとしていますけれども、新設といっても、この間の統廃合によるものです。それから、さらに募集停止で四学級減る。中高一貫校の変更による高校の学級減が十三学級あるということで、合わせて十七学級が減るわけです。そうなると新設校の学級増を上回る、こういう事態になっていくわけですね。
 不足分は、あくまでも臨時学級増で行っていくんだという、今、方針でありますけれども、そうであるならば、臨時学級増が解消するのは何年のことと推定しているんでしょうか。また、おおむね五年でどのぐらいの学級増が必要かと考えているんでしょうか。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、都内の公立中学校卒業予定者の全日制高等学校進学希望率を上回る九六%を計画進学率といたしまして、公私協議のもと、毎年度、単年度の計画として就学計画を定め、都立高校に入学を希望する生徒を受け入れていることから、現在は将来の学級数または学級増をお答えすることはできません。
 今後とも生徒数の動向、地域バランスや施設条件等を踏まえ、都立高校への進学について適切に対応してまいります。

○畔上委員 必要な学校を整備するのは当然都の責任でありますけれども、学校をつくるのに五年くらいのスパンは必要だというふうに思うんですね。それが推計できないとなれば、本当に後手後手に回ってしまうということだと思うんです。
 私は、公式に示されている人口推計を使って、公私協の第三次中期計画の基準で、じゃ、推計したらどうなるのかと計算してみますと、二十年度比で二〇一四年、八十一学級臨時増学級が必要だというふうになるんですね。
 もう臨時増学級八十一ですよ。臨時増学級なんていう規模ではありません。私がこの質問の冒頭に申し上げましたように、やっぱり先の見通しなく統廃合を繰り返してきた。このこと、都立高校改革の推進計画で全日制高校の統廃合は私は明らかに間違いだったということだと思うんです。
 この責任、どこにあるのかと。再三、人口推計に基づいて統廃合計画の見直しを都民や、また、我が党もいってきましたけれども、区議会でもそういった声が寄せられたり求められてきたのに、その声にもこたえてこなかった。統廃合を繰り返してきた。そういう都教委の、私は誤りだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○森口都立学校教育部長 先ほど、将来の学級増数等につきましては、現時点ではお答えすることはできませんと申し上げたのは、公私分担比率であるとか募集停止、それから、新規の開設校、増学級、さまざまな要素が入ってまいりますので、人口推計から単純に学級増を推計することはできません。
 都は、これまでも都立高校改革推進計画におきまして、学校の小規模化や全定併置校の課題を解決し、教育環境の確保や教育の機会均等を図る観点から、地域バランスや交通の利便性などを考慮し、都立高校の規模と配置の適正化を図るとともに、進学指導重点校やチャレンジスクールなど、生徒一人の個性、能力、創造性などを伸ばすことのできる特色ある学校づくりを推進し、都民の信頼にこたえてまいりました。
 都立高校へ進学を希望する生徒につきましては、今後とも公立中学校卒業予定者数に基づきまして毎年度就学計画を定め、学校の個性化、特色化の推進や規模と配置の適正化を図りながら、各学校において適切に受け入れてまいります。

○畔上委員 毎年毎年やっていくということですけれども、そんなことをしていたら、必要な高校の整備ができなくなっちゃうじゃないですか。足りなくなるというのは明らかなわけです。私は、これまでの統合計画、これはしっかり総括して、今、あいている校舎、これを活用するなどして、速やかな新たな高校設置、これをすべきだというふうに求めたいと思います。
 やっぱりそういったみずからの施策の失敗を現場に押しつける、こういうやり方はやめるべきだというふうに思います。先ほども少人数学級のお話がありました。本会議でも指摘をしましたけれども、少人数学級はまさに全国的な流れになっていると。各党が総選挙の選挙公約にもしていると。(「各党ってどこよ」と呼ぶ者あり)みんなやってる。当然、高校において実施の方向に努力すべきです。自民党もやってきました。そうしたときに、教室が足りないから大幅な学校増設を一気に進めるというのは、私はこれは非現実的だと思うんですね。
 そういう点では、今からきちんと高校のゆとりある教室、教育条件の整備の努力、これは行うべき課題だというふうに思うんですね。ましてや、今、現に都立高校に入りたくても入れない、そういう子どもたちも生まれているわけですから、私は速やかに都立高校の増設、これをすべきだということを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
 江東区の夢の島にありますBumBのプールの休止問題についてです。BumBのプールの天井のボルトが落ちて使用が休止になった、こういう経緯は、改選前の当委員会での説明があったということを議事録でも読ませていただきました。
 しかし、私が納得できなかったのは、三月四日にボルトが発見、四月には調査して、足場を取ったのは四月二十四日と。五月には調査結果報告があったと。しかし、その後、実に五カ月も、今、プール使用禁止、これが続いているということです。
 東京都とPFI区部のユースプラザとの契約書、これも読みましたけれども、第五十条で、都の費用での既存施設の改修となっていました。どういう段取りでプールの改修工事が進められ、いつになったら都民が利用できるということを明らかにできるのか、現状を示してください。

○松山地域教育支援部長 現在、プール修繕工事の施工業者を決定する手続を進めているところでございます。これまでに入札公告、業者指名が終了しておりまして、十一月五日に実施する入札において施工業者が決定する予定であり、工期は年度内としております。

○畔上委員 五月に調査結果報告が出されているのに、五カ月も設計にかかっていると。工事に入らないと。その理由は何でしょうか、教えてください。

○松山地域教育支援部長 今回のボルトの落下に伴いますプール天井の修繕ですが、あらかじめ予定されていた工事ではないため、ボルト落下を発見したとき、三月四日でございますけれども、この時点では予算編成作業も終了しておりました。
 そのため、通常の手続では、今年度は調査、設計、予算要求を行いまして、来年度に契約工事となってしまいます。しかし、来年度の工事では、その間のプールの休業期間が延びてしまうこととなり、利用者の皆様への影響が大きいことから、年度内に工事を完了させるべく、経費の確保や設計を進めてきておりまして、十一月五日には入札を実施する運びとなったところでございます。

○畔上委員 そういう経過があったということなら、なぜ都民や利用者にそう説明しないんでしょうか。いつ工事に入って、いつごろ使える見通しを立てているのか、この間、全く説明されていません。
 団体利用者の方は、利用料を予約時に払っているそうなんですけれども、四月の時点では全額返還されたと。しかし、五月以降は月ごとに、今月も使えそうにありませんからと返還されると。いつ使えるのか使えないか全然わからないと。その都度返還されれば、当然、近いうちに利用できるんじゃないかというふうに考えるのは、私は自然だというふうに思うんですね。
 百歩譲っても、これまで見通しが立たなかったということでありますけれども、そうであったとしても、設計が終わっているのに、都民には工期も、試運転の時期も、いつから営業かということも、いまだに未定だというふうになっているのは、余りにもずさんなんじゃないでしょうか。説明がなされていないんじゃないでしょうか。

○松山地域教育支援部長 三月に落下したボルトが発見された後、翌日から当該状況をインターネット及び館内に表示しております。その後、四月に状況についての詳しい説明と利用者のご意見を伺う説明会を都とPFI事業者の双方出席のもとで行いました。
 その後の状況につきましては、五月、七月、十月と、東京スポーツ文化館のホームページ上及び館内掲示によりお知らせしておりまして、また、十一月五日のお知らせにおきましては、修繕工事について入札手続に入った旨の情報と、工事施工業者決定後、速やかに工事の内容等について説明会を開催する旨を通知しているところでございます。

○畔上委員 私は江東区なので、区民の利用も結構ここはあるんですけれども、とりわけ団体の利用の方にとっては、この長期の利用停止期間というのは致命的なんですね。江東区内には、区内の室内プールが五カ所、都立の辰巳プールもあるんですけれども、どこも団体利用で三コースぐらいは使われているということで、BumBのプール利用団体に貸す余裕はないという状況であります。
 辰巳が一部貸したということなんですけれども、スポーツ団体の場合、長い間お休みになると、どうしても、コーチに教えてもらえないならとほかの団体にかわったり、やめざるを得ないという問題が起こってくるわけですね。
 それで、土曜日に利用していたあるクラブなんですけれども、ことしの三月の会員数が四十八名でしたけれども、見通しが立たないということで七人が退会と。現在も休会が七人と。平日に提供された辰巳プールは、働きながら土曜日に活動するというクラブなので、それは利用できないということで、現在三カ所に分かれて練習しているということなんですが、個人開放のところで練習しているために、集まってコーチに教えてもらうということはできないということであります。
 クラブの方は、クラブにとっても打撃だけれども、やっぱり都民にとってもスポーツの機会が失われる結果となっているんだというふうに語っていましたが、そういった状況をつくり出したこと、これについてはどうご認識されているんでしょうか。

○松山地域教育支援部長 今回のボルト落下による営業停止は、不測の事態とはいえ、利用団体を初め利用者の皆様にはご迷惑をおかけしております。
 この四月には、近隣の江東、江戸川、中央の各区のプールに対しまして、貸し切りコース確保の依頼をしたところでございます。
 今後は早期再開に向け、工事を着実に進めてまいりたいと考えております。

○畔上委員 今、お話にあったように、依頼しても実際利用はできなかったということであります。
 都民の社会教育の活動、スポーツ活動が中断されたと。私は、そういう問題については緊迫感がないというふうに思うんです。利用団体から再三説明を求められていたにもかかわらず、利用者から説明を求められていたにもかかわらず、十一月に予定されている説明会まで、まともな説明がなされていないんですね。
 私は、少なくとも都民のスポーツ振興に責任持って取り組もうという姿勢があるんだったら、毎月毎月、やっぱり今月は使えませんでした、やっぱり今月は使えませんでしたって、そういうやり方は余りにもひどいと思うんですね。だから、ちゃんと見通しができたんだったら、きちんとそれを住民の皆さんに示すべきなんですよ。
 この説明責任なんですけれども、だれが説明責任を持つのでしょうか。

○松山地域教育支援部長 PFI事業契約書におきまして、利用者への対応、施設の管理運営はPFI事業者が行い、既存棟の大規模修繕は都が行うとしております。
 したがいまして、今回のプール営業停止修繕工事につきまして、都は施設の設置者の立場から、PFI事業者は施設の管理運営者の立場から、都及びPFI事業者双方が責任を持って対応していくものと考えております。

○畔上委員 都に説明責任があるというんなら、私はなおのことだと思うんですけれども、またBumBの場合なんですけれども、PFIとの事業契約で、既存施設の改修期間、これは都がPFI事業者に対して減収分の補償をすることになっています。どのぐらい東京都は補償する見通しなんでしょうか。

○松山地域教育支援部長 PFI事業契約書におきましては、大規模修繕により利用ができなかった場合には、都はPFI事業者がこうむった損害を補償するとしております。
 補償金額を算出するためには、工事工程の決定などの手続を経まして、営業停止期間を確定させる必要がございます。
 その後、営業停止期間における損失額や運営経費等を算出する必要がございまして、都とPFI事業者双方が協議した上で決定していくことになります。

○畔上委員 今の時点ではどのぐらいかは不明だけれども、休館中の営業補償はあるということであります。
 減収分の補償があるから、そういう点ではBumBは痛くもかゆくもないと。そういう点で、民間企業にとっては早く利用を再開しようというインセンティブが働かないんですよね。
 都教委としては、都民に接しているわけではないから、都民が困っているという、そういう緊迫感もない。先の見通しも年度内と、きょう初めてそれをいったんですよね。ホームページでもそのことは明らかにされていないし、再三利用者の皆さんが求めても、質問されても、それを提示することはなかったということであります。
 私はそういう点で、このBumBが始まったとき、議事録も読ませていただきましたけれども、文教委員会で都教委はこうおっしゃっていたんですね。民間のノウハウを活用することによって、利用者のニーズに応じた質の高いサービスを提供するんだと。
 しかし、今いったように、説明もちゃんとできない、こういうサービスが果たして質の高いサービスといえるんでしょうか。

○松山地域教育支援部長 先ほど来、説明をしていないということが繰り返し述べられておりますが、私どもといたしましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、状況に応じて説明をしてきております。また、十月の段階では入札手続に入った旨の情報提供をしているところでございます。
 現在、入札直前という非常に微妙な時期にございますので、不確定な要素を持ったお知らせ、説明というのは困難な状況にあると考えております。

○畔上委員 私は、やっぱり都民の大切な教育、スポーツ施設として、いかに都民の利便性を高めていくかという姿勢が見られないという点で、本当に問題だというふうに思っているんです。
 そういう点では、社会教育、スポーツ施設の目的をしっかり担うべき施設、これをPFI事業にゆだねた結果だといわれても仕方がないというふうに思うんですね。PFI事業の見直しも含めて、どう都民サービスを向上させていくのか、真剣に検討をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、私は、部活動について伺いたいと思います。クラブ活動の意義について伺います。

○高野指導部長 部活動は、学校が教育活動の一環として計画、実施するものでございまして、思いやりの心、自主性、社会性などを育て、豊かな人間関係や生涯学習の基礎づくり、さらには生徒の個性、能力の伸長や体力の向上、健康の増進などをはぐくむ上で重要な教育活動であると認識しております。

○畔上委員 今、クラブ活動も経済的な理由で我慢する子どもが出てきております。都教委におけます部活動の基本問題検討委員会、ここでも私費負担が多い、活動費用を負担できずに退部する例があると指摘をしております。中学の部活動は就学援助の対象にもなっておりますが、実態に合った援助になっているのかどうか、これは私は検証が必要だと思っています。
 また、就学援助から外れる児童生徒の中にも負担が重くなっている、そういうケースがあるんじゃないでしょうか。私は、だれもが部活動に参加できるように支援する必要があるというふうに考えています。東京都の部活動に係る費用の負担の基本的な考え方について伺います。

○松山地域教育支援部長 ただいま中学校のお話がありましたので、中学校のことと理解をしてお答えさせていただきますが、部活動に係る経費には、公費負担すべきものと個人負担すべきものとがございまして、一般的には利益が個人に還元されるものにつきましては個人負担と考えられますが、具体的には、設置者であります区市町村が部活動に係る個人負担のあり方について決定すべきものでございます。

○畔上委員 設置者である区市町村で決定するものというのは、基本はそのとおりだというふうに思うんですけれども、東京の中学生の学校の部活動の参加状況を見ますと、八四・八%なんですね。学校以外のクラブもふえていると、先ほどもそういった質疑がありましたけれども、ふえているとはいっても、一般的には子どもたちのクラブ活動の場というのは圧倒的に学校なんですね。そういう点では、その中で経済的な事情によって退部などが起こってしまうというのは、やっぱりあってはならないことだというふうに思うんです。
 そういう点では、私はこの部活動については、都教委も重要な教育活動だというふうにおっしゃっているわけですから、支援のあり方もありますけれども、支援についてぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 それから、その指導をする先生方なんですけれども、部活動の指導における特殊勤務手当について、国は昨年の十月に改正を行いました。そして、土日の部活動手当を二千四百円に倍加する、それから対外運動競技の引率指導業務を三千四百円に改善をしております。
 しかし、都教委の現状は、土日については千六百円になったんですけれども、国の改正に実態は追いついていないと。対外引率は、いまだに据え置かれたままとなっております。そういう点では、部活の指導業務の適切な評価の問題であると私は思います。早急な改善を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

○星委員 よろしくお願いをいたします。
 私からは、まず、高校教育についてお聞きをしたいと思います。
 子どもたちの背景には、社会、生活、経済、地域、家庭など、さまざまな要因がありますが、どのような境遇にあっても、子どもたちが安心して学べる環境を整えることが必要だと考えています。
 今日、長引く不況で保護者の収入減により、高校の入学、進学を断念せざるを得ない子どもがふえてきているといわれています。生活に困窮する高校生には、授業料の減免措置や奨学金の制度もありますが、高校生活には、交通費、部活動など、ほかにも費用がかかり、アルバイトの時間がふえ、不規則、不安定な生活も重なって、学業に専念できず、中退する子どもも多いといわれています。経済的な理由だけでなく、学習のつまずきや人間関係などから休みがち、結果、中途退学になるケースもあるのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、せっかく入学した高校生活を断念せざるを得ないようなことにならないよう、また、さまざまな事情で中退をしても、また学びたいと思ったときには広く門戸があけられている都立高校を望んでいます。
 そこで、幾つか東京都の実態、現状の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
 まず、都立高校において、中途退学者は年々減少傾向にあると聞いていますが、中途退学の主な理由はどういった状況になっていますでしょうか。また、やめる理由の把握についてはどういった手法で調査をされているのでしょうか。

○高野指導部長 都立高等学校全日制における中途退学者数は、平成十五年度は三千三百八人でございましたが、平成二十年度においては、二千五百十二人と減少している状況でございます。
 また、中途退学の主な理由といたしましては、平成二十年度を例に挙げますと、学校生活、学業不適応が三六・二%と最も高く、次いで進路変更が三一・三%、学業不振が二一・七%となってございます。
 なお、把握の手法でございますが、保護者の申し出に基づく理由について学校がきちんと把握しているという状況でございます。

○星委員 ありがとうございました。
 二十年度では二千五百十二人ということで、生徒全体でいいますと十一万人以上ぐらいですけれども、そうすると、この結果が二%程度だと思うんですが、これが東京都以外のほかの府県と比べるとどういう状況なのか、私もまだちょっと調査をし切れていないんですけれども、百人に二人か三人というところの中の部分だと思います。東京都教育委員会のご努力もあると思いますけれども、しかし、現状、二千五百人以上が当初の学校を離れるということが現実にあるわけですから、今後も取り組みの強化をぜひお願いしたいと思います。
 それと、割合の方ですが、今、パーセントでいっていただいた中では、学業不振だとか学業不適応というのがおよそ二割、三割という中で合わせていくと、特に経済的理由による中途退学というところの部分は極めて少ない数字になると思うんですけれども、この辺のところが、こういった調査結果、例年ホームページ上で公開されておりまして、今回も十九年度ぐらいまでは公表をされていると思いますけれども、この辺の部分で、私は今、お答えの中にもありましたけれども、本人やご家庭の申し出による退学理由というところなんだと思うんですけれども、なかなかやっぱり経済的なことが背景にあっても、それが申し出制によるというところの中の部分では、正直申し上げて正確な把握になっているのかなと。もっと貧困ということ、経済的事情ということがベースにあってということも実はあって、そこからいろいろな経過を経て学校から離れてしまうということもあるのではないかなと思いますので、余りこういうデータというものが、やっぱり公開をされるんですけれども、もう少し私は丁寧な調査というか手法についても研究をしていただきたいというふうに思います。これは指摘をしたいと思います。
 次に、中途退学という事態に至る前には、子どもたちは何らかのシグナルを発すると思います。学力の急な落ち込み、ちょくちょく欠席するとか、荒れた行動であるとか、沈んだ様子だとか、現場で把握した場合、当然担任や学年の先生方が働きかけはされていると思いますけれども、東京都教育委員会では、中途退学を減らすため、こういった学習面でのフォローや人間関係のトラブルなどに対して、どのような取り組みを現状行っているのか、お伺いをいたします。

○高野指導部長 中途退学防止の取り組みについてでございますが、都教育委員会は中途退学者の多い学校に対しまして、少人数指導を実施するための教員の加配等を行うとともに、学校が作成した中途退学防止改善計画書をもとに、学習面でのつまずきに対応するため、放課後や長期休業期間を活用して補習、補講を行うなど、個に応じてきめ細かい指導を行うよう都立高校に対して徹底を促しているところでございます。
 また、生徒の悩みなどに適切に対応するため、スクールカウンセラーの配置や心理の専門家、教育や心理学を学ぶ学生であるアドバイザリースタッフなどを派遣したりいたしまして、学校の教育相談機能の充実に努めているところでございます。

○星委員 ありがとうございました。
 一定のご答弁をいただきました。この件に関しましては、もう少し福祉や医療の専門家による相談体制みたいなものについて、特にスクールカウンセラー、臨床心理士の方、あるいはアドバイザリースタッフ、こういった取り組みに関して、もう少し実態について詳しくお聞かせをいただきたいと思いますけれども、それはまた別の次の機会にいたしたいと思います。
 そしてまた、さらに以前、小学校、中学校でかなり保健室登校ということが問題になっていた時期もありまして、現在もそうなのかもしれませんけれども、これが最近では高校においてもこういう状況があるというような指摘もあります。
 こういったことについて、いろいろな事態が、子どもたちの心理面のことも含めていろいろなことがあるのかなというふうに思いますので、またこれはぜひ次の機会にお聞きをしたいと思います。
 それでは、都立高校の今度は戻りたいといった場合に関しての募集方法についてですが、中途退学者向けの募集というのはどのような状況になっていますでしょうか。

○森口都立学校教育部長 全日制第一学年において約三十単位を修得し、第一学年の課程を修了しているなど、各学年の課程を修了した高等学校中途退学者を対象に、第一学期補欠募集において編入学試験を実施しております。
 また、チャレンジスクール及び昼夜間定時制高等学校の入学者選抜におきまして、高等学校中途退学者を対象に修得単位数に応じて、十九単位を修得している者につきましては第二学年相当、また、十八単位以下を修得している者につきましては、第一学年相当を受検することができる特別枠を設けております。
 こうした募集によりまして、退学前に修得した単位を卒業単位に加えることができるとともに、これまでの学習成果をもとに、さらに勉学を続けていこうとする生徒を支援しております。

○星委員 ありがとうございました。
 募集については、一年に一度の年度末であり、本人がやめた学年に戻れるということは、なかなか単位の取得がされていない中では現実には厳しくて、下の学年からのまたやり直しにならざるを得ないというようなことです。
 そうならないために、恐らく学校に学籍を維持させながらいろんな引き戻す努力を現場では払われているのではないかと思いますけれども、恐らく五月の連休明けから来なくなる、夏休み明けから来なくなるというようなケースも出てくる中で、数カ月経てまた高校に戻りたいという気持ちになっても、翌年の三月の編入試験まで待たなければならないというような現状の中で、やはりちょっと厳しいものがあるかなと思います。
 学年のやり直しをするというときに、やっぱり時間があき過ぎないというようなことがとても重要だと思います。また、今のお答えの中では、チャレンジスクールや昼夜間定時制というところの中では、いろいろな配慮がされているということもあるというふうにお答えをいただきましたけれども、転学においては、編入制度が学期ごとにあるというような中では、私は今後中退者にもできるだけ早く復学できるような弾力的な編入というか、そういう制度というものが必要ではないかと思いますので、これは要望いたします。
 最後に、授業料の納入方法について一言、これは意見を申し上げたいと思います。
 以前から都立高校の授業料の納入方法の変更に伴い、保護者から意見をいただいてまいりました。今まで十回に分けて払えていたのに、十七年度ぐらいからだと思いますけれども、前期、後期二回ということが基本になってしまい、大変厳しいというご意見をいただいていました。
 お伺いすると、今まで同様、実は分納で十回で払うということも可能だということですが、それは事務局での特別な申請が必要となってくるということです。私は事務の効率化なのかどうかわかりませんけれども、生徒、家庭にとって極めて配慮に欠けるやり方であったんではないかというふうに思います。
 今、国では高校無償化の動きも検討されておりまして、非常に期待をして、今後、動きを注目していますけれども、現行の中においては、後期分ということになるんだと思いますけれども、十回で払っていく分納ということならば、高校生が、生徒自身がアルバイトをしながら月々払えるということもあるわけで、私は特別な事情で申請をして分納にするということではなくて、ごく当たり前に十回で払うという、そういう方法というか、そういう周知の仕方ということをぜひお願いしたいと思います。これは要望をしておきます。

○森口都立学校教育部長 ただいまの授業料の分納でございますが、特別の申請は必要ございません。原則は一回、二回、十回、生徒、保護者の希望によって納入は可能でございまして、特別な申請は必要でございません。

○星委員 そうですか。特別な申請といういい方がちょっといけないのかもしれませんけれども、通常、入学時に配布をされる納付書とは別に、十回をご希望されるご家庭に関しては、事務室にお伺いをして、別の書式で申請をすると。(資料を示す)私は、保護者の皆様へということで、後期課程の授業料の納入について、教育委員会の文書をもって質問をいたしております。

○森口都立学校教育部長 私が申し上げましたのは、特別というか、申請をすれば、原則一回ですが、二回、それから十回でも可能ですと申し上げたのでございまして、特別というのがちょっと気にかかったわけでございます。十回も可能ということでございます。
 以上です。

○星委員 では、質問を続行します。
 そうしますと、感性の違いなのかもしれませんけれども、備考欄に、こういう場合は事務局に申し出てくださいということ、私は特別な感覚を受けました。ですから、感性の違いなのかもしれない。その辺のところはやっぱりこういう制度変更というところになったのかもしれないです。ぜひ私は配慮をお願いしたいと思います。
 引き続きまして、特別支援学校について何点かお伺いをいたします。
 今日、特別学校に関してというよりも、いわゆる普通学校、一般の小中学校で放課後対策というものがかなり、放課後子ども事業というものが展開をされておりますけれども、特別支援学校の児童生徒は障害の種別や程度がさまざまであるため、土曜日や日曜日、休日、放課後、夏休みなど、長期休業中に余暇を楽しむ機会というものが極めて限られていると思います。
 東京都教育委員会では、外部の教育資源を活用した特別支援学校を支援する仕組みづくり事業を実施されているというふうに聞いています。この事業の目的についてお伺いをいたします。

○松山地域教育支援部長 お話の事業は、特別支援学校におきます学校教育活動の支援や放課後等における学校外教育活動の充実を図り、特別支援学校の児童生徒の自立と社会参加を促進するため、平成二十年度からモデル事業として実施しております。
 特別支援学校の児童生徒は、障害の種別や程度が多様でありますことから、放課後等の居場所づくりを検討するに当たりましては、特別な配慮が必要でございます。そのため、このモデル事業によりまして試行と検証を行いながら、地域や社会が特別支援学校を支えていくよりよい仕組みを検討しているところでございます。

○星委員 前段申し上げましたように、今日、市区町村の小中学校では、放課後子ども事業というものが展開をされて、全校実施に向けて進んでいます。
 ここでは、障害を持った児童生徒の受け入れというものも可能な限り受け入れているということで、まだ現状、どうも調べますと少ないんですけれども、本来、地域の学校、居住している学校で、さまざまな子どもたちと放課後を過ごすということはとても理想ですが、しかし、特別支援学校に通学する子どもたちは、アクセスや、あるいはサポート体制からいって、それは本当に困難だと思いますので、実際、学校において何らかの対応ができればいいなというふうに思っていたので、このことについて注目というか、関心を持ちました。
 このモデル事業の内容とどういった方が担われているのかということについてお伺いをいたします。

○松山地域教育支援部長 モデル事業実施校におきましては、障害種別や程度に対応した活動、例えば放課後等におきます算数やパソコンなどの学習活動、太鼓や美術などの文化活動、サッカーや卓球、ダンスなどのスポーツ・レクリエーション活動などが行われております。
 これらの活動は、都教育委員会の支援のもとに、保護者、地域住民、大学生、退職教員などが学校と話し合いをしながら実施しているところでございます。また、地域のサークル、企業、大学なども参画しておりまして、さまざまな人々との交流や多様な体験活動が行われております。
 モデル事業実施校の校長からの報告によりますと、こうした活動に児童生徒が参加することを通じまして、社会性が身についたり、興味、関心が高まるなどの効果があらわれているとのことでございます。

○星委員 ご答弁をいただきました。今、モデル事業ということなので、次年度以降どうなっていくかというところなんですけれども、ぜひ私は継続をして拡充をしていっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 ただ、特別支援学校に通う子どもたちの保護者の方々は、ふだんから一日の大半をつききりで生活をされているというふうに私は思いますので、事業はとても進めていただきたいんですけれども、保護者のご協力で行われているということも、今、お答えの中にありましたので、保護者の過重なご負担にならないようにお願いをしたいというふうに思います。
 また、事業の趣旨が生かされるように、学校以外の、保護者以外の幅広い人材の協力がされますように、ぜひこれは要望いたします。
 最後に、特別支援学校に通う保護者の方からちょっとご相談がありまして、その件に関して、これは一点お聞かせをいただきたいと思います。
 平成二十年度公立学校の統計調査報告書によりますと、区立の特別支援学校を含んでおりますけれども、特別支援学校教員の本務者五千百七十四名のうち、男性が二千百二十名、女性が三千五十四名ということで、構成比が男性が四一%、女性が五九%というふうになっております。
 一方、在学者については、区立の特別支援学校も含みますけれども、男子が六千二十五人、女子が三千三百三十人、構成比は男子が六五・二%、女子で三四・八%となっています。
 このように、特別支援学校に通学する児童生徒の男女比の割合は、男子の児童生徒がとても多いにもかかわらず、教員は女性が多いのが現状です。ある男子生徒の保護者から、担当の男性教員が出張のときには、ほかの男性教員が対応できるまで実はトイレを我慢していたという、こういうお話をお伺いしたことがあります。
 いわゆる雇用機会均等法や地方公務員法上、公務員の採用で男女枠を設置するということはできないということは承知しておりますけれども、教員と児童生徒の男女の構成比が逆転しているということは、先ほどのようなトイレを我慢するというような事例が生じるなど、好ましい状況ではないというふうに考えておりますけれども、このような状況に対して都教委はどのようなお考えでしょうか。

○直原人事部長 東京都教育委員会では、各学校の教育課題に適切に対応するとともに、特色ある学校づくりができるよう適材を適所に配置しております。
 このような配置の中、ただいま副委員長お話しの男子生徒への対応事例も含めまして、児童生徒への対応につきましては、職務として正規教員のほか、非常勤教員などもあわせ、学校職員全体で対応しているところでございます。今後とも学校における望ましい教員の構成を確保し、教育活動の充実を図ってまいります。

○星委員 最後に意見を申し上げます。
 特別支援教育における教員人事の配置の件は、有資格者の現状などから今の状況なのかなというふうにも推察しますが、思春期の発達の中にある子どもたちの気持ちをぜひ酌んであげてほしいというふうに思い、問題提起をいたしました。
 お答えだと全体の、今、やりくりの中で努力をされているということですが、民間においては同性介助ということをしっかり位置づけているところも出てきております。東京都も全体職員の配置について、ぜひご検討いただくことを要望申し上げまして、質問を終わります。

○大津委員 強い体をつくる東京っ子教育についてお伺いをします。
 体力があって初めて学校や職場に通い、そして学んだり、働いたりすることができまして、まさに体が資本といわれるゆえんでもあります。高度経済成長期におかれましては、学力づくりや仕事の成果の二の次になってきたのが体力づくりでありました。
 そこで、体力調査についてお伺いをいたします。
 文部科学省は、今月十月十二日、体育の日に、平成二十年度の体力・運動能力調査の結果を公表しました。
 一方、昨年、平成二十年度に、やはり文部科学省が初めて全国体力・運動能力、運動習慣等調査を実施しまして、ことしの一月にその結果を公表いたしました。東京都も参加していますが、二つの全国調査の違いをご説明お願いいたします。

○高野指導部長 毎年、体育の日に公表されます体力・運動能力調査は、昭和三十九年から毎年実施され、小学校一年生から七十九歳までの約七万人の体力、運動能力を各年代別に分析した統計調査でございまして、いわば国民の体力調査でございます。都教育委員会は、例年、区市町村教育委員会や学校の協力を得まして、約七百人程度のデータを文部科学省に提供しているところでございます。
 これに対しまして、平成二十年度に行われた全国体力・運動能力、運動習慣等調査、いわゆる全国体力調査でございますが、これにつきましては、全国の小学校五年生と中学校二年生、合計約百五十五万人のデータを集積した、子どもの体力、運動能力や運動習慣等に関する初の大規模実態調査でございます。東京都からは、約七万五千人の児童生徒のデータが文部科学省に送られまして、その分析結果が都道府県別に公表されたものでございます。

○大津委員 昨年度実施されました全国体力・運動能力、運動習慣等調査は、都道府県別に結果が公表をされたということですので、東京都の具体的な結果についてお伺いします。

○高野指導部長 都道府県別に比較いたしますと、小学校では男女ともに握力、長座体前屈、五十メートル走の三種目が全国平均を上回るものの、それ以外の上体起こし、反復横跳び、二十メートルシャトルラン、立ち幅跳び、ソフトボール投げの五種目では全国平均を大きく下回っており、総合得点では四十七都道府県中、男子が四十位、女子が三十七位という結果でございました。
 中学生について申し上げますれば、すべての種目が全国平均値を下回るだけではなく、男子の反復横跳び、二十メートルシャトルラン、立ち幅跳び、女子のハンドボール投げがいわば全国ワーストスリーに入りまして、総合得点では男子が四十四位、女子が四十二位という結果でございました。

○大津委員 四十七都道府県中、中学生ですと男子が四十四位、女子が四十二位という、下から数えた方が早い結果ではございましたが、東京都の教育委員会は、こうした調査結果をどのように受けとめているのかお伺いをいたします。

○高野指導部長 体力は、気力や知力の基盤をなすものであり、社会生活を健やかに送るために不可欠なものであると考えております。
 この体力が低下いたしますと、子ども自身の健康に悪影響をもたらすだけではなく、そのまま大人になりますと、病気、けが、生活習慣病の増加や次世代の子どもに悪影響をもたらすほか、思いやりやコミュニケーション能力が不足したり、働く意欲の乏しい若者が増加したりするなど、社会生活全体の活力にも影響をもたらすものと考えてございます。
 特に東京都の児童生徒の場合、全国よりも著しい低下傾向を示していることに特色があり、昨年度、七万五千人が参加した全国体力テストの合計得点の分布から推測いたしますと、東京都内の小中学生約九十万人のうち、七〇%に当たる約六十三万人の児童生徒は基礎体力が不足し、この六十三万人のうち、約二十七万人の児童生徒は深刻な運動不足症候群に陥っていると、このように考えられます。こうした状況は極めて深刻であると受けとめているところでございます。

○大津委員 私たちも運動不足症候群ではありますけれども、そういったところで、子供の体力向上推進本部を設置して、検討を始めたということであります。東京都の子どもの体力が全国よりも著しく低下傾向を示していることについて、その背景や原因については、現在、どのように分析しているのか、お伺いします。

○高野指導部長 体力の低下は、身体活動や運動量が減少したことに直接的な原因があるとされております。昭和五十年代から約三十年間という長期にわたる体力低下傾向の背景といたしましては、第一に、生活が便利になって体力の必要性が薄くなり、学力に比べ体力を軽視するなど、人々の意識が変化してきていること。第二に、子どもの遊び場が宅地化などにより減少するとともに、少子化により遊び仲間が減少したことに伴い、以前、だれもが経験した外遊びが塾通いや屋内遊びに取ってかわられてきていることなど、子どもを取り巻く環境が大きく変化していること。第三に、夜型の生活や食生活の変化によりまして、健康の三原則である運動、栄養、休養のバランスが崩れてきていることなどが挙げられると思います。
 このように、社会全体が豊かさを追求してきた代償といたしまして、子どもの体力が低下してきたものと考えております。
 さらに、東京都は、合計特殊出生率が四十七都道府県で最も低い一・〇九となり、極端な少子高齢社会となっていることや、他の道府県に比べて集合住宅や高層住宅が急増しておりまして、子どもの遊ぶ場の不足と外遊びする時間の減少に拍車がかかっていることなどが他の道府県と比べて特異な傾向を示す要因となっているのではないかと、現在、分析しているところでございます。

○大津委員 確かに洗濯やふろたき等、毎日の生活も体を使わない便利な現代社会になってきております。よく小さいときに、日本では昭和三年からラジオ体操が放送で始まりましたけれども、ラジオ体操を毎日行ったり、日が暮れるまで大声を上げてはだしで遊んでいたり、そうした世代の方々は年齢を重ねても元気である傾向が見受けられます。
 今は、便利な生活とともに、今後、それらが一層進むことが予想されますが、成長期の運動やスポーツにより体力を高めておくこと、これらが将来にわたってはどのような効果が期待できるのか。反対に、極度に無理な体力づくりや過度の運動は逆にどのような弊害をもたらすのか、そのお考えを伺います。

○高野指導部長 平成二十年度の国民の体力・運動能力調査の結果から、二十代、三十代は体力低下が認められ、小学校時代に休日でも一日約二万歩は歩いたとされている四十代以上の年代は体力が高いということが明らかとなってございます。このことは、小学校から高等学校での体力が次の年代に持ち越される、いわゆる持ち越し効果、こうした効果と、子どものころの運動やスポーツの習慣は生涯を通じた運動、スポーツ習慣の持続にもつながるといった効果、これら二つの効果があることを示していると考えられます。
 一方、小さいころから運動やスポーツを無理強いしていると、調和のとれた発達、発育に支障があるだけではなく、体を酷使することが故障の原因となったり、いわゆるバーンアウト現象、燃え尽き症候群といわれるスポーツ嫌いを生んだりするなどの弊害をもたらすものと考えております。

○大津委員 昨年の二十年八月二十八日に、日本学術会議では、「我が国の子どもの成育環境の改善にむけて」と題して提言を行いました。これによりますと、現代の子どもたちは孤立化をしており、住居や道路、公園等のあり方が孤立化を促進し、体力だけでなく、社会性や感性、創造性まで奪っている。子どもの生育環境は、我が国最大の環境問題であると指摘をしています。
 渋谷区においても、生活道路にも車が入り、常に交通事故の不安にさらされています。また、都立代々木公園では、ドッグランという犬の遊び場はできたものの、子どもの遊び場はまだありません。また、ほかの公園では、芝生は立入禁止とされ、野球、サッカー禁止の立て札が立っていることもあります。ただでさえ外に遊びに出なくなる傾向がある中で、高層住宅が急増している都市部は子どもや子育てを大切にしない環境になってきているのではないかと危惧しています。
 東京都の子どもの体力を向上させていくためには、子どもの生育環境の改善を含め、さまざまな角度から強い体を育てる教育を展開していくことが必要であると考えます。
 都教育委員会は、今後、どのような対策を計画しているのか、所見を伺います。

○高野指導部長 現在、都教育委員会では、保護者向け広報誌「とうきょうの教育」、都民の日に行った東京都教育実践発表会や東京都教育の日関連事業などを活用いたしまして、子どもの体力の現状や体力向上の必要性を保護者等につぶさにお伝えするようにしております。
 また、区市町村教育委員会と連携いたしまして、学校における体力づくりを推進するとともに、子どもの遊び場が少なくなっている現状を踏まえまして、今年度、校庭芝生化による教育効果を検証する研究事業を実施してございます。
 さらに、先ほどお話のあった、学識経験者や関係各局の委員により構成いたします子供の体力向上推進本部では、東京都の現状や原因の分析を踏まえ、学校教育や地域社会の役割分担、家庭や地域がどのように取り組むかについての啓発、子どもの遊び場やスポーツのできる環境づくり、部活動や地域スポーツクラブ等の振興など、さまざまな視点を整理いたしまして、今後、局横断的な総合的な子どもの基礎体力向上方策を示していく予定でございます。

○大津委員 一方、校庭芝生化による教育効果を検証する研究事業を行っているということですが、どのような事業を行っているのか伺います。

○高野指導部長 東京都は、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる、こうしたことを目標に、環境局は元気な子どもたちを育てる校庭の芝生化事業を実施しておりまして、都教育委員会は、校庭芝生化事業に全面的に協力しております。
 今年度、都教育委員会は、都内公立学校の校庭芝生化の教育効果を検証することを目的といたしまして、研究事業を実施することといたしました。
 現在、五十の小中学校の校庭に平均二百平米の芝生を一時的に導入いたしまして、この十月から来年二月までの五カ月間、児童生徒の遊び、学習活動、けが、体力などの変化につきまして、芝生の学校、それから芝生ではない学校との比較によりまして、芝生の教育効果を実証するための研究を行っているところでございます。
 今後、その成果を取りまとめまして、すべての学校に芝生の教育効果を普及啓発していく予定でございます。

○大津委員 昨年秋、校庭芝生化のサポーターの会が設立をされまして、都庁内でイベントが行われまして、その会長にサッカーの川淵元チェアマンが就任をされました。川淵さんは話の中で、校庭芝生化を始めたら、車いすでいつも校舎の中にいた子どもが、外に出たいといって歩き始めたということを涙ぐんで話しておられました。
 運動不足により、本来は運動すれば前重心のものが後ろ重心に偏り、そして扁平足になりがちになり、背骨が真っすぐに育たないので、背骨の中の自律神経系が弱くなり、集中できない、切れる、そういう子どもたちがふえているのではないかということもいっておられました。
 私は、校庭の芝生は子どもの発育や発達によい影響をもたらすのではないかと考えておりますが、校庭の芝生化はどのような教育効果があるのか、所見を伺います。

○高野指導部長 都教育委員会では、平成十九年度に学識経験者や校庭を芝生化した学校の校長などによります児童生徒の健康づくり、体力向上に向けた校庭芝生化促進協議会を設置いたしまして、芝生の教育効果について検討いたしました。
 校庭を芝生化した学校からは、休み時間にはだしで遊ぶ生徒がふえたこと、児童生徒のけがの防止に役立ち、健康が増進していること、あるいはまた、いやしの効果などの心理面や社会性の育成に効果があること、こういったことが報告され、授業においても思い切り体を動かすことによる運動量の増加や、理科や総合的な学習の時間の学習活動の幅が広がっていることなど、校庭の芝生化はさまざまな好影響をもたらすものであると分析をいたしました。
 このように、校庭の芝生化は、単に都市の緑化や環境保全上の効果だけではなく、また、児童生徒の体力向上のみならず、教育指導上さまざまな効果をもたらすものであると考えております。

○大津委員 はだしで歩ける校庭の芝生化だけでなく、多くの都民が、例えば生活文化局のスポーツ・運動に関する世論調査でも公表されていますように、都民の八割が子どもが自由に遊べる空き地や路地が少なくなったと感じ、五四%の都民が、子どもが体を動かしたくなるような場の充実を望んでいるように、地域の公園や路地など、子どもの遊び場やスポーツできる環境を整備して、子育てをみんなで支え合うような社会や風土をつくっていくことが大切であると思われます。
 これからの首都東京における重要政策、強い体をつくる東京っ子教育について、そのためには教育委員会にとどまらない、縦割りといわれているいろいろな局が携わる中、各局横の連携、横ぐしを刺しての全庁的なオール都庁としての施策がますます必要ではないかと考えています。
 そこで、子供の体力向上推進本部の本部長であります教育長の決意をお伺いしたいと思います。

○大原教育長 体力は、子どもたちが健全、健康に成長していく上で必要不可欠なものでございます。また、知力や気力の源でもあり、変化の激しいこれからの社会を担う子どもたちに必要な生きる力の源泉でございます。
 これまで都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携をして、子どもの体力向上に努めてまいりましたけれども、東京都の児童生徒の体力が全国平均よりもはるかに低いという憂慮すべき状況に陥っております。このため、関係各局の協力を得まして、子供の体力向上推進本部を設置し、現状分析ですとか、あるいは対策の検討を進めているところでございます。
 この検討を踏まえまして、子どもの体力を三年後にはせめて全国平均並みに、そして十年後には子どもの体力がピークであったといわれております三十年前の水準にまで高めていくことができるよう、的確に具体的な対策を講じていきたいと考えております。
 さらに、関係する部局とも緊密に連携を図り、学校教育だけでなく、家庭や地域の協力を得るなど、社会総がかりで取り組む実効性のある体力向上策を展開していきたいと考えているところでございます。

○遠藤(衛)委員 私からは、東京駅伝につきまして質問させていただきます。
 本年一月に文部科学省が発表した全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果ですと、東京都の中学生の体力は男女ともすべての種目で全国平均を下回っている、先ほど来出ております。非常に深刻な状況であります。
 私もちょっと調べたところ、ベネッセという教育研究開発センターの資料でも、特にこの調査で五十メートルとソフトボール、ハンドボールが出ておりますけれども、例えば五十メートルですと、昭和六十年、大分前になりますけれども、このときに一つだけ例を挙げますと、十六歳の子どもは男子で七秒三五。ところが、平成十七年では七秒三九です。ここのところはほとんど変わっていない。ところが、女子になりますと、同じ五十メートルで八秒七九。十七年度には九・〇二と非常な差が出ております。
 また、遠投、ソフトボールの投げる方。これは七歳と十一歳が出ていますけれども、昭和六十年には三十三・九八メートル投げられたのが、平成十七年度には二十九・八メートルと非常な差が出ている。女子においてもそのような差が出ているわけであります。このような状況を打開するために、体力向上の意識を高め、体力づくりに積極的に取り組む姿勢がやはり必要であるというふうに考えています。
 こうした状況の中で、教育委員会は来年三月、中学生の東京駅伝という大会を開催すると聞いております。初めてこうした中学生の大会を開催するとのことでありますが、まず、その開催の目的をお伺いいたします。

○高野指導部長 東京都教育委員会は、平成二十二年三月二十一日、中央区晴海ふ頭におきまして、中学生による駅伝大会を行う予定でございます。
 この大会を開催する目的についてございますけれども、この大会の位置づけは、東京都の中学校教育の一環といたしまして、中学生の健康を増進し、持久力を初めとする中学生全体の基礎体力を底上げすることを目的とするとともに、子どもの体力向上に都民の関心を向けていただくために実施するものでございます。

○遠藤(衛)委員 この駅伝大会の趣旨は、教育の一環として、まず健康増進、基礎体力の向上をねらうというものでやることがわかりました。
 それでは、具体的にどのような内容の大会であるのか、その大会の概要をお聞きいたします。

○高野指導部長 この大会は、区市町村対抗の競技形式で駅伝競走を行うものでございます。大会を開催する晴海ふ頭では、選手や観客が一体となって大会を楽しむことができるよう、周回コース、これを設定することとしてございます。
 出場選手は中学二年生といたしまして、男子の部では各チーム十七人の選手が四十二・一九五キロメートルという距離を、女子の部では十六人の選手が三十キロメートルという距離をたすきを用いてリレーするものでございます。
 この大会は、区市町村単位でチームを編成するため、学校や部活動の垣根を越え、多くの中学校から選手が選抜されること。そして、走行距離は長いが、選手一人が走る距離が最長で三キロメートルであること。また、中学校が少なく、チーム編成ができない場合には、他の区市町村と合同でチームを編成することができる、こういった点に特徴がございます。

○遠藤(衛)委員 大会の様子はわかりました。この駅伝大会は、中学生の新たな目標となるのではないかというふうに思います。
 駅伝大会というと、一般の道路を使い、長い距離を走るものだと思っておりましたけれども、今のお話ですと、区市町村対抗であったり、選手と観客が一体となる一カ所でリレーを行ったりするなどの工夫があり、これまでの大会とは一味違ったおもしろい大会になるような気がいたします。
 ここで改めて、教育委員会がこの駅伝大会を開催する意義や大会を開催することで得られる効果等について、どのようにお考えになっているのかお聞かせいただきたいと思います。

○高野指導部長 現在、各中学校や区市町村においては、それぞれ校内マラソン大会、あるいは市民マラソンや駅伝大会等が盛んに行われている状況がございます。
 こうした状況を踏まえまして、区市町村が本大会に出場するに当たっては、各中学校や区市町村の予選会を初めといたしまして、来年三月開催予定の東京駅伝に向けてのさまざまな取り組みを通じて、多くの中学生がより高い目標に向かって切磋琢磨し、持久力の育成や頑張り通す忍耐力をはぐくむことによりまして、中学生全体の体力や精神力の向上に寄与するものと考えてございます。

○遠藤(衛)委員 区市町村を代表する中学生が、全力を尽くしてたすきをつなぐ姿、これは都民の皆さんが見ていて非常に感動を呼ぶんではないかというような思いもいたします。この駅伝大会の成功を祈念するとともに、今後この大会が小学生や中学生の目標となり、体力向上や健全育成に大きな役割を果たすことを私は心から期待するところであります。
 ただ、気になることがあるんですけれども、実は私、陸上競技の二種の公認審判なんですよ。それで、いろいろな大会に出て見られる光景といたしまして、例えば第一走者が入ってきて、たすきを外して第二走者に渡す。そのときに、第二走者がリレーゾーンに来ていないケースがあるんですね。そんなに何回もあるわけじゃないけれども。
 これは、特に中学生あたりだと私語が多くて、今、ゼッケンナンバーとはいいませんけれども、ゼッケンを呼ばれてもわからない。また、自分のゼッケン番号を覚えていない。これ、今、ゼッケン番号といわないんですよね。ナンバーカードといったかね、何かそういういい方になっていますけれども。あるいは、スタートの前にちゃんとトイレに行きなさいといわれても、緊張の余り、やっぱりもよおしちゃうんですね。トイレに行ったりなんかして、結局そこで非常に長いタイムロスがある。そうすると、一生懸命走ってきてたすきを渡そうと思っている子どもが非常におどおどしちゃうんですよね。渡す人がいないから。そんな光景があります。
 これは失格にはならないようでありますけれども、そんなようなことがありますんで、さっき答弁にありましたように、この大会は中学生等の陸上部の大会ではなく、区町村単位でチームを編成して行うと。それだけに、たすきリレーというのが私は非常に心配をしています。ただ、選抜された選手でありますから、そんな心配はないと思いますけれども、ぜひ監督さん等に、たすきがスムーズにリレーされるように、しっかりと指導しておいていただきたいというふうに思っています。
 そこで、このような取り組みに加えて、日常生活においても体力の向上に向けた環境づくりを進めていくことが私は重要だというふうに思っております。そこで、先ほどの質問に出ましたけれども、校庭の芝生化について何点かお伺いをいたします。
 校庭の芝生化は、ダスト舗装--普通の校庭ですよね--の校庭に比べて表面温度が八・三度低い。これは八月時点の調査でありますけれども。また、砂ぼこり等が減ったり、環境面だけでなく、教育的効果も大変大きいものがあります。例えば、芝生になったことによって、子どもの運動量がふえる。そのことが子どもの精神面にもプラスになり、その結果、ストレスの解消等になって、非常に集中して勉強できるようになる。こういうように、教育面でも大変大きな効果が見られるというふうに聞いております。
 特に体育において、鉄棒、私も鉄棒は余り好きじゃなかったんでありますけれども、この鉄棒の下に芝を植えるだけで、子どもは安心してぶら下がれるらしいんですね。そのうちに逆上がりができるようになったという、実際、そういう例もあると聞いております。子どものそういった上達にも非常に大きな役割がある。先ほど来、健康という話がありましたけれども、非常にやはり健康面でもいいわけであります。
 しかし、この芝生化が余り進んでいないのが現状であります。現場の先生とかPTAの方にその理由を聞きますと、芝の維持管理、これが一番心配されております。それと、芝を植えた後の何カ月間の養生期間。この期間に子どもさんがグラウンドを使えない。
 そして、もう一つは、この補助金を出す期間は三年間、それが終わった後、心配がある。やはり学校によってはプールの水を散水したりするんだけれども、プールの水は塩素が非常に高いですよね。それで芝が枯れちゃうとか、いろいろ工夫しているようであります。あるいは、雨水ますをつくって散水用に使うとか、そういう工夫をしているようでありますけれども、いずれにしても、補助期間の終わった、いわゆる三年後も心配しておる。
 あるいはまた、学校の施設開放による利用者の一部に反対の声が上げられているという、これは非常に難しい問題なんであります。
 学校というのは、子どもの勉学の場であります。だけれども、やはり今、開放して、そこを利用してもらうということも進んでおりますけれども、非常にその辺の難しいところがありますけれども、教育委員会は、校庭の芝生化が余り進展しないことをどのようにとらえているのか、まずお伺いいたします。

○松山地域教育支援部長 公立小中学校の校庭芝生化につきましては、「十年後の東京」計画にも掲げられておりまして、都教育委員会といたしましても、関係局と連携し、取り組んでいるところでございます。
 現在、都教育委員会では、先ほど指導部長の答弁にもありましたとおり、芝生化がもたらす諸効果について実証的な分析研究を行っております。
 校庭に二百平方メートル程度の芝生を置いた研究協力校では、教室にこもりがちな児童が校庭に出るようになったり、一年生から六年生の児童が集まって一緒に遊んだりするなど、これまでにはなかった活動が見られるとの報告がございます。
 また、本格的に校庭を芝生化している学校を視察し、校長などの話を伺いますと、子どもたちが目を輝かせて外で遊ぶようになった、けがや不定愁訴などによる保健室の利用が激減したなど、子どもたちの心身の健康に多大な効果があり、維持管理などの大変さを補っても余りある効用が見られるとのことでございます。
 都教育委員会といたしましては、委員ご指摘のような課題を抱えながらも、芝生化を成功させている学校の事例や、芝生化によるさまざまな効果の周知を図り、都民の芝生化への理解を深めますとともに、各教育委員会の教育長や校長にも校庭芝生化の推進役となってもらえるよう働きかけ、実施校の拡大に努めてまいります。

○遠藤(衛)委員 この校庭の芝生化につきましては、教育長と環境局長が協力して、各自治体の首長とか教育長に対して直接働きかけているということを聞いております。私はこの努力に本当に敬意を表したいと思っています。
 このような働きかけは、前にも申したように、教育面、環境面に大変大きな効果があるから、何としても一日でも早く実現をしてほしいという思いからであるというふうに思っております。
 今後、区市町村教育委員会や学校が積極的に取り組み、芝生化が着実に進んでいくよう、教育委員会はどのように取り組んでいくのか。このことは、特に地域の協力が何よりも必要だと思っておりますが、教育長の決意をお聞かせいただきたいと思います。

○大原教育長 ご指摘のとおり、校庭の芝生化は環境面での効果だけでなく、児童生徒が積極的に体を動かし、意欲的に活動するようになることですとか、あるいは友達と交流しながら、芝生のよさを生かした遊びを考え、楽しみ、芝生の心地よさを感じながら心を解放したり、いやしたりすることもできるという精神面での効果もございます。
 校庭の芝生化は、近年、著しく低下しております子どもの体力の向上策といたしましても有効な方策の一つでございまして、児童生徒に心身の健康や教育上の効果をもたらすすばらしい事業であると考えております。
 このため、都は、芝生化に要する整備費ですとか、あるいは維持管理費の補助などの支援事業を実施いたしますほか、東京都農林総合センターにおきまして、校庭に適した芝生の種類に関する研究を行うなど、芝生化の円滑な実施に向けて、東京都が持つあらゆる手段やノウハウを区市町村に提供しているところでございます。
 現在、私は環境局長とともに、各自治体を個別に訪問いたしまして、区市町村長にお会いをして理解を求めているところでございまして、今後も芝生化の着実な進展に向けて、行政と学校と地域が一体となって芝生化に取り組めるよう、私としても今まで以上に積極的に行動してまいる所存でございます。

○遠藤(衛)委員 前向きな力強い決意をありがとうございました。先ほども申しましたように、大変難しい点があることも承知はしておりますけれども、しかし、芝生化の効果は前でも述べたように、健康の三原則、よく食べる、よく動く、よく眠るにつながり、そのことが精神面、あるいはストレスの解消にもつながり、先ほど申しましたように、勉強に集中できるようになる、学力の向上にも当然なるわけであります。
 教育長、そして環境局長さんには大変なご苦労をおかけいたしますけれども、次代を担う子どもたちが健康で明るく伸び伸びと成長をするための、特に教育庁の皆さんには、大原教育長を中心に一丸となって校庭の芝生化事業推進に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○大西委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二分休憩

   午後五時十六分開議

○大西委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○岡田委員 よろしくお願いいたします。私からは、小中学校における特別支援教育の支援に関してご質問させていただきます。
 私ごとですが、三年前まで都内の公立小学校で教員として通常学級と、そして後半は難聴言語障害の通級指導学級におりました。その関係から、きょうは通常の学級における特別支援教育に関して質問させていただきます。
 今、学校の現場では非常に児童の特徴も多様化して、また保護者からの要求も高まり、現場が抱える悩みも増大しつつあるといった傾向にあります。そういった中で特別支援教育の役割は非常に重要であり、これからもますます進化、発展させていかなければならない教育諸問題のうちの最大課題の一つといってよいと思われます。
 まず一つ目に、特別支援教育コーディネーター研修の支援についてお伺いいたします。
 東京都は全国に先駆けて、この特別支援教育を推進しているところでございますが、区市町村における特別支援教育コーディネーターの支援についての地域による格差を感じているところであります。
 区市町村における特別支援教育コーディネーターの果たす役割は、支援を必要とする子どもや保護者にとって、また指導する側の学校関係者にとっても大変重要であると考えます。
 そのためにも区市町村教育委員会が実施する特別支援教育コーディネーター研修の充実が何よりも大切なものでありますが、区市町村の力だけでは充実した研修になっていない場合があります。
 区市町村が実施する特別支援教育コーディネーター研修に対し、都の教育委員会は十分な支援をするべきではないかと考えておりますが、これに関してご見解を伺います。

○高野指導部長 都教育委員会は、平成十六年度より東京都教職員研修センターにおいて小中学校等の特別支援教育コーディネーターを対象に研修を実施いたしまして、区市町村における特別支援教育コーディネーター養成の中核的役割を担う人材の育成に努めてまいりました。
 これら都の研修修了者につきましては、各区市町村における特別支援教育コーディネーター研修の講師を務めるなど、各区市町村における特別支援教育コーディネーター研修のリーダー的役割を果たしてございます。
 支援についてでございますが、今後も都の研修修了者が区市町村で実施した効果的な研修事例を、特別支援教育担当指導主事連絡協議会や都の指導主事による区市町村教育委員会や学校への訪問の際に紹介するなどいたしまして、各区市町村教育委員会が特別支援教育コーディネーター研修の充実を図れるよう支援してまいります。

○岡田委員 このコーディネーターの決め方が地域によって温度差があるということは、それぞれいろいろな区市で特別支援教育に当たっている現場の先生方からも不満の声が聞かれております。
 ある区では、コーディネーター研修を大学などと連携をとりながら実施し、レポート提出や単位修得を厳しく課して行い、その上でコーディネーターの資格を与えているというところもあります。
 また一方のある区では、四月の新学期時に校務分掌の一つとして養護教諭や主幹教諭に当て、その後で都のコーディネーター研修を受けさせるといった状況があります。
 豊富なプログラムで研修を受ける地域と、そうでない地域とでの教員の差は、ひいては子どもへの教育に大きく影響を及ぼすものであります。区市町村によって地域差が出ないような支援体制をしっかりと実施していただきたいと、これは要望させていただきます。
 二つ目に、小中学校における特別支援教育を充実させるための支援について質問させていただきます。
 現在、小中学校の通常の学級に在籍する言語面や情緒面で課題のある軽度発達障害の児童生徒が、近年では難聴言語障害や情緒障害などの通級指導学級の特別な指導を希望するケースが増加しております。
 しかしながら、年度途中からは、新たに指導を希望する児童生徒はほかの児童生徒の指導が終了するまで、しばらくの間、空き待ちをしているような状況があると聞いております。
 そして、こうした背景には、通級指導学級の設置状況の地域格差や通常の学級担任の軽度発達障害の児童生徒に対する指導に手が回らないなど、そういった問題が挙げられております。
 そこで、都教育委員会として、小中学校における特別支援教育を充実させるための支援を行うことが重要であると考えております。都教育委員会のこれまでの支援策と今後の対応についてお伺いいたします。

○前田参事 都におきましては、小中学部を設置する知的障害特別支援学校を地域のセンター校に指定し、各センター校では特別支援教育コーディネーターの教員を指名しております。コーディネーターに指名された教員は、小中学校などからの要請に応じて、発達障害などの児童生徒の指導について助言や援助を行っております。
 また、区市町村立学校の教員などを対象とした特別支援教育にかかわる講座を組み入れた職層に応じた研修を東京都教職員研修センターにおいて実施し、専門性の向上に努めているところでございます。
 今後は、特別支援教育推進計画第三次実施計画の策定作業の中で、区市町村立の小中学校を支援する具体的な施策について検討してまいります。

○岡田委員 この特別支援教育にかかわる教員への研修の実施などに取り組まれていることはわかりますけれども、通常学級で勤務が不適となった教員が通常学級から通級指導学級へ回されているといった現状もあり、現場の学校の校長先生などからは困っているという声も聞かれたりしております。
 やはり、ぜひそれぞれの教員一人一人に対してのこういった専門的な支援をしっかりと、この特別支援教育に関しては教員の適正配置なども望みたいと思っております。これに関しては、特別支援教育推進計画第三次実施計画の中でぜひとも充実した支援が進められるよう、今後もよろしくお願い申し上げます。
 三つ目に、個別の教育支援計画の策定状況についてお伺いいたします。
 この個別の教育支援計画は、障害のある子ども一人一人に基づいた、さまざまな情報に沿って作成されるものであり、特別支援教育にとって非常に大切なものです。小中学校の現在の作成状況と、都の教育委員会の小中学校での作成への支援についてどのようになされているのか、お伺いいたします。

○高野指導部長 平成二十年三月に告示されました小学校、中学校学習指導要領で、障害のある児童生徒が在籍している学校で必要に応じて作成することとなりました個別の教育支援計画につきましては、平成二十年度の文部科学省の調査において、東京都の小学校全体の五〇%、中学校全体の四二%の学校で作成している状況でございます。
 平成十八年度からこれまで都教育委員会は個別の教育支援計画講習会、これを実施いたしまして、幼稚園、小中学校等における個別の教育支援計画の作成及び活用事例等の紹介をしてきております。
 また、東京都特別支援教育推進計画に基づきまして、平成十九年三月に小中学校等のための個別の教育支援計画の策定と活用QアンドAを作成いたしまして、その意義、書式例、活用方法等を示しております。
 今後も個別の教育支援計画の作成に関する指導資料集等の配布や講習会の実施などを通しまして、小中学校が個別の教育支援計画を作成し、それを活用した指導の充実が図られるよう支援してまいります。

○岡田委員 昨年度の調査で、東京都では小学校全体の五〇%、中学校では四二%しか作成できていないということ、これはやはり問題であるのではないかと思われます。子どもたちは日に日に成長していくわけでありますから、すべての学校において一人一人の子どもに基づいた計画が進められていくこと、それが望まれます。
 都教委としても、こういった面での調査をしっかりとして、そして、区市町村の教育委員会への指導をしっかりと行っていただきたいと思っております。
 四つ目に、この個別の教育支援計画に関しまして、学校間の接続にかかわります区市町村への都の支援についてお伺いいたします。
 この個別の教育支援計画は、障害のある子どもが乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援が関係諸機関において行われるようにするため、そのものであります。障害のある子どもや保護者にとって、これは安心を担保される一つでもあります。
 また、子どもを受け入れ、指導を行っていく学校側においても、指導の指針や方針を固めていく上での非常に大事な重要な資料であります。
 そこで、幼稚園や保育所から小学校へ接続にかかわる区市町村教育委員会への都教委としての支援はどのように行われているのでしょうか。お伺いいたします。

○前田参事 障害のある子ども一人一人の状態や特性に応じた支援が障害の発見時点から一貫して受けられるような取り組みを推進していくことが重要でございます。
 これまでに都教育委員会では、幼稚園や保育所などの就学前の機関から小学校への支援の接続については、保護者と就学前の機関が協力して子どもの成長発達、指導支援などの様子を記入し、就学する学校に引き継ぐ就学支援シートを研究開発し、各区市町村での作成活用を推進してきたところでございます。

○岡田委員 都教委としての支援がされていることがわかりましたけれども、これはやはり継続して調査などもしていただき、すべての小学校が幼稚園や保育所からこの就学支援シートが送られてくるよう、そういったところの充実も図っていただきたいと思います。
 また、特別支援教育というのは言葉のとおり特別に支援をしていくことです。これまでどおり、東京都が全国に先駆けて特別支援教育がなされますことを常に希望しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○滝沢委員 それでは、私から質問させていただきたいと思いますけれども、基礎的な、基本的な事項に関する調査事項についてお伺いしていきたいと思います。
 抽出によりまして、小学校四年生、中学校一年生が対象となっていますけれども、小学校五年生、中学校二年生の調査が平成二十年度で終わりとなっているのはなぜか、まずお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 東京都教育委員会では、平成十五年度から都独自の学力調査として、教科の学習状況調査と問題解決能力等に関する調査を小学校五年生と中学校二年生対象に悉皆で、また基礎的、基本的な事項に関する調査を小学校四年生と中学校一年生を対象に抽出で実施しており、調査のねらいや内容に応じまして、対象学年や調査方法を変えながら、およそ三年のスパンで計画してきたところでございます。
 小学校五年生と中学校二年生を対象とした悉皆調査である問題解決能力等に関する調査については、平成十八年度から平成二十年度までの三カ年間の事業計画に基づきまして調査を実施してきましたが、昨年度、その計画を終了したところでございます。

○滝沢委員 抽出の調査を実施して三年となるということですけれども、三年たった中身の成果についてお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 基礎的、基本的な事項に関する調査は、平成十九年度より、国語、算数、数学の教科において、児童生徒の学習のつまずきの傾向や原因を明らかにすることを目的といたしまして、抽出調査により実施しているものでございます。
 この調査をもとに、都教育委員会では、学習の素地として確実に身につけさせておく必要がある資質、能力と、その段階的な指導を明らかにいたしました児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)を昨年十月に作成、公表し、各学校において活用を図っているところでございます。
 基礎的、基本的な事項に関する調査は、今年度三年目となりますが、これまでの調査の結果や学習指導要領の改訂された内容を踏まえまして、今年度、東京ミニマムを改訂するとともに、東京ミニマムに基づいた指導資料を作成する予定でございます。

○滝沢委員 基礎的、基本的な事項に関する学力調査については抽出をしているということで、子どものつまずきということになっていますけれども、地域によっては多くの学校で実施をしていますけれども、どうしてなのか伺いたいと思います。

○高野指導部長 抽出に当たりましては、各区市町村から一定の割合で学校数を算出しておりまして、区市町村によって学校数に差があるため、抽出した学校数が異なること、こういった状況になります。

○滝沢委員 抽出によってということで、どのような基準で抽出校を選定しているのか伺いたいと思います。

○高野指導部長 各区市町村の抽出校の数は、学校数の約一五%としておりまして、抽出校は乱数表による無作為抽出で選定を行っております。
 なお、町村部につきましては学校数が少ないため、西多摩郡四町村と島しょ地区九町村をそれぞれ一つのまとまりとして、その中の学校数の約一五%を抽出してございます。

○滝沢委員 一五%という抽出の基準ということですけれども、実施率自体は違いがあるんですけれども、それはなぜですか。

○高野指導部長 基礎的、基本的な事項に関する調査については、実施を希望する学校も参加してございます。
 そのため、先ほどご説明申し上げました抽出校に、希望する学校も加えた数が実施校数となるため、区市町村ごとの実施率に差が生ずる結果となってございます。

○滝沢委員 そうすると、自治体間で一〇〇%のところもあれば、ゼロ%ということで、抽出一五%と、さらに希望校という中で、全体的に自治体間によっては非常にばらつきがあるということでございますけれども、今後もそういった流れの中、引き続き継続していかれるのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 東京都教育委員会では、児童生徒一人一人に確かな学力の定着と伸長を図り、各学校の授業改善を推進するため、平成十五年度より学力調査を実施してきたところでございます。
 児童生徒の学力の定着状況は毎年差異があることや、学習指導要領が改訂され、学習内容が変わることから、引き続き学力の把握に努めていく考えでございます。

○滝沢委員 引き続きされていくということで、次の質問に移りたいと思うんですけれども、教職員の勤務時間についてお伺いしていきたいと思います。
 教職員の勤務形態というのは、まずどうなっているのかお伺いしたいと思います。

○高畑参事 教職員の正規の勤務時間は、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例第三条及び同条例施行規則第二条に基づき、休憩時間を除き、日曜日から土曜日までの一週間について四十時間とされております。
 都教育委員会は、同条例第四条に基づき、月曜日から金曜日までの五日間において、一日につき八時間の正規の勤務時間を割り振っており、具体的な教職員の出退勤の時間等については、校長が学校の実態を踏まえ、定めております。
 また、教育が特に教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことから、一般の行政職とは異なり、教員への命令による超過勤務は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法及び政令によりまして、校外実習その他生徒の実習に関する業務等、四項目に限定されております。
 なお、教員の超過勤務に関しましては、同特別措置法により、給料月額の四%の教職調整額が措置されているため、労働基準法の割り増し賃金の規定の適用は除外されております。

○滝沢委員 今、勤務形態についてお伺いしてきたんですけれども、教職員の方々の病気休職者数というのが年々、ずっと毎年ふえてきていて、病気休職者数はしっかりと人数なり情報を把握しているんですけれども、教職員病気休暇数についてはカウントをとっていない、統計をとっていないということなんですけれども、教職員の方々が病休する率、どんどんふえていくということなんですけれども、それを事前にメンテナンスするとか、低下させていくような手法について、手だてはされているのかお伺いしたいと思います。

○谷島福利厚生部長 都教育委員会は、病気休職対策も含めて、広く教職員の安全と健康の保持及び増進を図っているところでございます。
 まず、がんや成人病などの疾病対策といたしまして、定期健康診断を実施しているほか、教職員の就業中における事故の予防など、職場環境の整備も含めまして、安全衛生委員会の設置や産業医の設置等を行っております。
 また、精神疾患対策としまして、啓発資料の配布、管理職研修の充実、精神科医や臨床心理士による個別相談、精神保健講習会などの予防対策を実施し、医療機関や所属学校における職場復帰訓練の充実に努めてきたところでございます。
 今後とも教職員の病気休職者減少に向けて、対策の一層の充実強化を進めてまいります。

○滝沢委員 病気休職者数を減らしていくということで、それに伴って、逆に期限つき任用の教員数というのが、きょうお配りいただいた資料の中でも、十九年、二十年、二十一年とどんどんふえていくという中では、病気休職に対する、退職も含めたということもありますけれども、やはり年間通して子どもたちにしっかりとした授業ができるような形の体制づくりを今後ともお願いしたいと思います。
 次に、平成十八年に実施されまして、平成十九年、二〇〇七年に公表されました文部科学省の全国教員勤務実態調査では、残業時間量、持ち帰り時間量を合わせると、平均二時間四十四分の超過勤務ということで文部科学省が公表をされていますけれども、東京都の教員の勤務実態については把握されているのかお伺いしたいと思います。

○直原人事部長 文部科学省が平成十八年七月から同年十二月にかけて行った全国教員勤務実態調査は、全国の公立小中学校及び高等学校、計二千五百二十校を対象に行ったものでございます。
 この調査は東京都の教員も対象となっており、東京都の教員の勤務実態も基本的には全国と同様であるというふうに考えております。
 なお、都教育委員会は文部科学省に対し、調査結果が公表された段階で都道府県別の調査結果について問い合わせを行いましたが、集計していないとの回答でございました。

○滝沢委員 国が調べた中での東京都のデータはないということですけれども、東京都として勤務実態調査を実施するお考えというか、予定はあるのかお伺いしたいと思います。

○直原人事部長 文部科学省が実施した全国教員勤務実態調査によりまして、特に教頭、副校長は残業時間が長いこと、教諭等につきましては、残業時間に個人差があることなどが明らかになっております。
 このため、都教育委員会では、副校長、主幹教諭や主要な校務主任を対象としまして、業務が特定の職員に集中している実態と、その要因等について調べるため、平成十九年十月に都独自の勤務実態調査を実施したところでございます。
 この結果、副校長、主幹教諭ともに、調査や報告書の作成などに多くの時間を費やしていることが明らかとなりました。
 長時間勤務など、教員の勤務のあり方につきましては重要な課題ととらえておりまして、今後とも職務改善の取り組みに努めてまいります。

○滝沢委員 それでは、次の質問に移りたいと思いますけれども、小学校における外国語指導ということで、平成二十三年、二〇一一年から新学習指導要綱では小学校の外国語活動が導入されるということで、準備について国によりどう定められているのか、お伺いしたいと思います。

○高野指導部長 平成二十年三月に告示された新しい小学校学習指導要領では、第五学年及び第六学年において外国語活動が新設されました。
 新しい小学校学習指導要領は、平成二十三年度からの全面実施となりますが、平成二十一年、二十二年度は移行措置期間となっておりまして、外国語活動については各学校の判断により、内容の全部または一部を実施することになってございます。

○滝沢委員 平成二十三年から新学習指導要綱での外国語活動という中で、その外国語活動の言語は何なのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 小学校学習指導要領に、外国語活動においては英語を取り扱うことを原則とすると規定されてございます。

○滝沢委員 平成二十三年度から外国語活動をするということで、市区町村では新学習指導要綱を先取りして実施しているところがあるのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 平成二十一年度の文部科学省の教育課程編成・実施状況調査によりますれば、都内の九六・七%の小学校の第五、第六学年において外国語活動を実施しているものでございます。

○滝沢委員 実施しているところがあるということですけれども、東京都の教育委員会では、小学校の外国語活動をどのように進めているのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 都教育委員会では、外国語活動の授業の円滑な実施を目的に、平成二十年度に東京都小学校外国語活動推進委員会、これを設置いたしまして、外国語活動の目標や内容の周知に関すること、指導指針に関すること、指導資料に関すること、教員研修に関することなどにつきまして、東京都としての基本的な考え方を検討いたしまして、その報告書を都内全小学校に配布したところでございます。
 また、同じ平成二十年度ではございますが、小学校外国語活動開発委員会、これを設置いたしまして、文部科学省が共通教材として作成した英語ノート、これを活用した指導と評価の計画について研究開発を行い、発表会を通じまして指導資料を配布し、その成果について普及啓発を図ったところでございます。

○滝沢委員 その方法論として、市区町村での小学校、そのやり方についての統一性というのはあるのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 区市町村の各学校での指導方法等に関するご質問でございますけれども、外国語活動については、学習指導要領の目標及び内容に即して、各学校の創意工夫のもとに適正に進めることが必要であると、このように考えております。

○滝沢委員 各学校の創意工夫ということで、東京都としては、統一性がないんであれば是正するなり、統一性を図っていこうという考えはあるのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 外国語活動に限らず、他の教科等におきましても、学習指導要領では、目標及び内容について定めてございまして、実施方法等については、各学校において、自校の実態や子どもの実態に応じて創意工夫することが必要であると、このように考えております。

○滝沢委員 創意工夫という中ですけれども、小学校の教員の方は全科免許を取得しているけれども、外国語活動の指導法というのは学んでいるのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 小学校学習指導要領では、外国語活動の実施に際しまして、指導計画の作成や授業の実施については、学級担任の教師、または外国語活動を担当する教師がこれを行うこととしておりますが、教科としての位置づけではないので、免許については定めはございません。
 そのため、学級担任等の外国語活動の指導力を向上することができるように、東京都教職員研修センターにおいて、平成二十年、二十一年度の二カ年間にわたりまして、中核教員研修を実施いたしまして、現在、その受講者が校内において研修会を運営し、すべての教師の指導力向上を図る取り組みを計画的に行っているところでございます。
 また、都教職員研修センターでは、教育課題研修や教師道場においても、外国語活動の研修を実施いたしまして、外国語活動の指導力の向上を図っているところでございます。

○滝沢委員 外国語活動の指導法、その活動なんですけれども、東京都としての外国語指導を専任とする教諭なり配置を考えているのかお伺いしたいと思います。

○直原人事部長 小学校の外国語活動は学級担任が中心となって行うこととしており、また、国の定数改善計画におきましても、外国語活動に係る定数措置については示されていないところでございます。このため、外国語活動を専任とする教員の配置は考えておりません。

○滝沢委員 平成二十三年に外国語活動というのが導入されていくということで、先は決まっているので、この二年が、外国語活動に向けた東京都の情報収集なり、各学校なり、対応がいろんな形で出てくると思いますので、ぜひ導入がうまく進むような形で東京都としてもご尽力いただきたいことをお願い申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
 インフルエンザ対策についてお伺いしたいと思いますけれども、この冬、大流行が予想されているという中で、中学校三年生、受検を迎えるわけですけれども、欠席者に対する救済措置は必要だと思いますけれども、東京都としてはどのように対応していくのか、お考えをお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 高校入試に当たりましては、受検者はインフルエンザに感染しないよう、日ごろから手洗い、うがいの励行、せきエチケットの習慣化や、十分な睡眠、栄養摂取など健康管理を行い、万全の体調で入試に臨めるようにすることがまず大切でございます。
 これまでも、受検当日に体調を崩し、体調不良の申し出があった場合には、別室受検により個別に対応してまいりましたが、新型インフルエンザは感染力が強く、現行以上の対応が必要であると考えています。
 今後ともインフルエンザの流行状況の把握に努めるとともに、検査会場の確保、監督員の配置など、入学者選抜の実施方法について、国の動向を踏まえつつ、福祉保健局、区市町村教育委員会、校長会など関係部署と十分連携、協議し、検討してまいります。

○滝沢委員 新型インフルエンザ、今もかかってしまったという子どもたちが大分ふえている中で、この冬、乾燥の季節を迎えて、来年受検を迎える親御さんたちや受検生の方々は既に消毒や何かしていたりするんでしょうけれども、多くの方がかかってしまったりとか、受検の体制づくりの中で新型インフルエンザに感染してしまって、多くの方が逆に大流行してしまったということでの東京都の対応だったり、受検の対応というのがいろいろ精査されるところでありますので、受検生にとって、そしてまた混乱がないような受検の対応ができるような形で、いろいろと思案をしていくことも必要だと思いますので、受検者の救済ということの観点からぜひお願いを申し上げまして、私からの質問は終わります。

○島田委員 私の方から三点。まず中高一貫教育について、そしてオリンピックの学習読本について、そして最後に副校長の多忙な実態について、三点ほどお伺いしたいというふうに思います。
 まず第一点目ですけれども、中高一貫教育についてでございます。
 東京都教育委員会が平成九年に発表し、主要事業として取り組んできた都立高校改革推進計画は、今年度の第三回定例議会において、七校の新しいタイプの高校等の設置が決定し、ほぼ達成されました。
 都立高校改革推進計画における新しいタイプの高校等の設置に基づき、東京都教育委員会は十校の中高一貫教育校を設置してきました。これは新しいタイプの高等学校の中でも特に都民や生徒のニーズが高く、期待されていた学校であり、東京都教育委員会もその教育効果に大きな期待を持って設置したことだと思います。
 そこで改めてお伺いいたしますけれども、東京都教育委員会が中高一貫教育校を設置するに当たり、どのようなねらいと理念を持って設置を行っているのか確認したいというふうに思います。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、都立の中高一貫教育校において、六年間の一貫した教育の中で、みずからの置かれた状況を見きわめ、今後進むべき目標を考え、目標実現のために主体的に行動する力となる教養を身につける教育を行い、子どもの総合的な学力を培うとともに、個の確立を図り、個性と創造性を伸ばすこと、また使命感、倫理感、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーなど、これからの日本を担う人間として求められる資質を育てることを設置の目的としております。
 こうした都立ならではの中高一貫教育を行うことで、将来、社会のさまざまな分野で信頼されるリーダーとなり得る人材の育成を図ってまいります。

○島田委員 ただいま都立中高一貫教育校の設置理念についてお伺いいたしましたが、既に先行四校が高校段階に進んでいると承知しております。
 昨今、区立の中等教育学校における後期課程への進学指導についての報道がありました。(資料を示す)これは九月五日、朝日新聞の夕刊の一面でありますけれども、中高一貫、東京の区立九段校、この学校において、高等学校に一割進まずということで、中学校段階を終えた一期生の生徒のうち、一割強に当たる十八人が高校段階に進まず、ほかの学校に入学していたという報道がありました。
 これは区立の中等教育学校ですので、ここではこれについて詳しくお伺いしませんが、今の、先ほどお伺いした、特に四校、都立中高一貫教育校の高校段階進学時における進路変更の状況についてお伺いしたいというふうに思います。
 また、進路変更に当たりましては、各学校でどのような対応をとっているのかお伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 平成二十一年度、生徒が高校段階に進学した都立の中高一貫教育校は四校でございまして、中学段階を終了した生徒五百九十一名のうち、他校へ進路を変更した生徒は六名でございます。進路変更の主な理由は、生徒の希望による、私立高校や都立高校など特色ある学校への進学でございます。
 中学段階は義務教育であるため、中学三年次に進学意向調査を行う必要があり、生徒が進路変更を希望する場合は、各校で生徒や保護者の希望に基づき、十分な相談を行うなど、生徒の進路実現に向けたきめ細かな指導を行っているところでございます。

○島田委員 きめ細かな指導を行うということでございますけれども、特に中高一貫校におきましては、学力差が六年進むうちについていくというようなこともいわれております。この中等教育学校においては適正検査を行っているわけでございますけれども、これは塾等の試験による、偏差値というものでいっていいのかわかりませんけれども、ここを見ると、偏差値上ではかなり幅広い偏差値になっているという現状でございます。
 このような状況の中で、都立の中高一貫教育で生徒一人一人の学習状況をよく踏まえ、どのように学習指導、個々に応じた指導を行っているのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 都立の中高一貫教育校においては、英語、数学などの学習習熟度に差が出やすい教科の授業を中心に、習熟度別授業や少人数授業、チームティーチングなどの多様な指導形態を導入いたしまして、生徒が意欲的に学習に取り組むことができるよう工夫を行ってございます。また、放課後や始業前の補習、補講、長期休業期間中の補習、補講、随時行う個別指導などを通しまして、生徒一人一人にきめ細かな指導を行っているものでございます。
 こうした取り組みによりまして、生徒の個性や能力の伸長、進路希望の実現に努めているところでございます。

○島田委員 今、きめ細かい指導を行っているということをお伺いしました。基本的に中高一貫教育は六年間面倒を見るということでございます。入学して六年間、最後までしっかり面倒を見て、希望の進路に進めるよう、ぜひご指導の方よろしくお願い申し上げまして、次の質問に移らさせていただきます。
 次は、オリンピックの学習本についてでございます。(資料を示す)こういう立派な本が今使われているわけであります。私は実は、私ごとではございますが、三月三十一日まで私立学校の校長をしておりまして、昨年九月ぐらいだったと思いますけれども、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会からオリンピック学習読本が生徒数送られてきました。
 中身を見ると、オリンピックに関する歴史だとか意義だとかがかなり詳細に記されておりまして、とてもすばらしい内容だと私は思っておりましたけれども、この本が来たのが突然のことであり、活用に関する細かい詳細な指導もお聞きしていなかったので、生徒に配布して持ち帰るよう指導いたしました。
 私は、前回の決算委員会で東京オリンピック・パラリンピック招致本部に問い合わせたところ、私立学校に関しては通知文のみで、各学校に詳細な使い方等を説明せずに配布したということでありました。これは都民の税金で、これを調べますと、制作費が四千万円、それから印刷で四千万円、概略だったと思います。八千万近くお金がかかっておるわけであります。これは都民の税金が使われているものですから、せっかくの補助教材であっても、これがしっかり活用されるべきでなかったかなと、そういうふうに思っております。
 オリンピックの学習読本は都内の公立学校にも配布されたというふうに聞いておりますけれども、教育委員会としてはどのような手順で配布し、活用を図っているのかお伺いしたいというふうに思います。

○高野指導部長 オリンピック学習読本は、オリンピックを正しく理解し、国際社会に貢献できる人材を育成するために、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会が作成した補助教材でありまして、小学生用、中学生用、高校生用の三種類がございます。
 平成二十年八月にこの学習読本が完成したため、都教育委員会は九月に、都立学校や区市町村教育委員会にこの学習読本を紹介するとともに、平成二十年度のスポーツ教育推進校百校に配布したところでございます。スポーツ教育推進校では、この読本の活用について実践研究を行いまして、都教育委員会はその成果を実践報告書としてまとめ、全公立学校に配布いたしました。
 平成二十一年四月に招致委員会が都内すべての公立学校にこの学習読本を配布するという連絡を受けまして、都教育委員会は同時に通知文を発出し、授業等で活用するよう指導したところでございます。

○島田委員 オリンピック招致は残念ながらならなかったわけであります。そういう中で、今後、都教育委員会は、各学校に対して、このオリンピック学習読本をどのように活用、指導していくのかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 東京都教育委員会は、スポーツ教育の推進を重要施策と位置づけておりまして、スポーツすることの意義、オリンピックの歴史や国際社会に果たす役割、フェアプレーの意味などを児童生徒が学習することには大変意義があると考えてございます。また、このたびの学習指導要領の改訂によりまして、今後、中学校、高等学校においては、体育理論の授業の中で、オリンピックの意義や国際社会に果たす役割を学習することとなってございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、オリンピック学習読本や学習指導要領改訂の趣旨を踏まえて作成されました補助教材について、こうしたものの活用を図るよう指導いたしまして、今後とも児童生徒の心身の健全な育成を図るスポーツ教育を一層推進していく所存でございます。

○島田委員 今回のオリンピック招致に関しまして、今、総括がいろんなところでされているわけであります。オリンピックが終わる中で、先日は、オリンピックムーブメントの事業が行われたり、都民はオリンピックのことに関して、また、そのお金の使い道に関して、かなり敏感になっていると私は思っております。そういう中で、今後も使っていくということでありますけれども、もう一度再考する必要があるのではないかなと私は思っております。
 このものはせっかくいいものでありますが、これがしっかり有効にされるんであればいいと思うんですけれども、これが例えば捨てられてしまうとか、そういうことがあってはまずいわけでありますから、もう一度使い方に関しては再考していただきたい。
 そういうふうに思うのと、この中を見てみますと、あるページには、いいませんけれども、企業の名前が入っているページがございました。これは教材でございますので、教育と経済活動とは分離していかないといけないと私は思います。これは後ろの方を見ますと、監修は東京都教育庁指導部となってますので、ぜひその辺は、生徒に直接渡るものでございますから、しっかりもう一度見直していただきたい、そんなふうに思っているわけでございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に、副校長の多忙な実態についてお伺いしたいというふうに思います。
 さきの平成二十一年第三回都議会定例会において、我が党の小山くにひこ議員が小中学校の教員の多忙感について一般質問を行いました。今回、副校長の多忙な実態について、都教育委員会の所見をお伺いしたいというふうに思います。
 都教育委員会は平成十九年度に、副校長、主幹の職務等に関するアンケート調査を実施しているが、まず、副校長の職務をめぐる現状について、そのアンケート調査の結果をお伺いしたいというふうに思います。

○直原人事部長 都教育委員会が平成十九年十月に東京都公立学校の副校長、主幹等を対象に実施した副校長、主幹の職務等に関するアンケート調査の結果、学校経営への参画や教職員の育成が副校長の重要な職責であるとともに、やりがいや職の魅力となっていることがうかがえました。
 一方、副校長が職務遂行上の負担と感じているのは仕事の量であり、報告書の作成や校内での分担が不明確な業務及び事務的な業務に多くの時間を割いていることが明らかとなりました。

○島田委員 今、実態がいわれたわけですけれども、このような多忙な実態では、副校長のなり手がいなくなるのではと心配になります。
 そこで、バロメーターの一つとして、教育管理職選考の受験倍率について、五年間を比較するとどのような状況になっているのかお伺いしたいというふうに思います。

○直原人事部長 若手教員を対象とした教育管理職選考試験のA選考では、平成十七年度に二・二倍であった受験倍率が今年度は一・三倍となっております。また、主幹教諭など中堅教員を対象としたB選考では、平成十七年度に三・四倍であった受験倍率が今年度は一・五倍となっております。

○島田委員 今、半分近くにまで下がっている受験倍率ですね。半分近く下がっているということに私は非常に危機感を覚えます。
 副校長はこれから校長になり、学校で引っ張っていくリーダーとなるわけであります。そのリーダーが少ないと、なりたくないと、そういうふうに思っていることは非常に心配でございます。副校長の多忙な実態を改善しなくてはいけない。なり手を見つけることが難しいと考えますが、これまでの都教育委員会における取り組みをお伺いしたいというふうに思います。

○直原人事部長 都教育委員会ではこれまで、まず、学校全体の事務量を縮減することを目的に、教育委員会等から各学校への調査報告依頼を縮減させるためのモデル校実態調査などを行い、改善に取り組んでおります。また、本年四月から、主幹教諭を補佐する主任教諭制度を導入しまして、学校組織の整備を行いました。
 さらに、学校を支える仕組みとして、昨年度から、退職教員を活用した非常勤教員制度を導入し、学習指導や校務分掌を担わせるなど、学校支援を行っております。今後もこうした取り組みを進め、副校長など教員の職務改善に努めてまいります。

○島田委員 私は、私ごとではありますけれども、イギリスの方で二年間教育機関に在籍しまして、イギリスの各学校を視察したことがあります。
 そういう中で、欧米では、ほとんどの小中学校にスクールセクレタリーという学校専門職が一人から複数配置されております。教員の仕事が効率的に行えるよう、電話対応、あるいは来訪者への対応など、学校の管理面のサポートを担っております。
 日本の学校現場では事務職員を配置しておりますので、欧米のスクールセクレタリーを単純に導入することは難しいと思いますけれども、パートタイムとして学齢期の子どもを持つ女性に人気があるこの制度は、仕組みを少し変えることで、多忙な副校長の支援制度として、都のみならず日本の教育現場にも導入できるのではないかと考えております。
 東京都教育委員会が多忙な副校長を支援するためのさらなる対策を積極的に講じることを期待して、質問を終わりたいと思います。

○大西委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十五分散会

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