文教委員会速記録第十二号

平成二十一年九月十七日(木曜日)
第三委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長大西さとる君
副委員長星 ひろ子君
副委員長村上 英子君
理事岡田眞理子君
理事谷村 孝彦君
理事馬場 裕子君
畔上三和子君
遠藤  守君
島田 幸成君
滝沢 景一君
遠藤  衛君
古賀 俊昭君
大津 浩子君
服部ゆくお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長総務部長事務取扱松田 芳和君
理事岩佐 哲男君
都立学校教育部長森口  純君
地域教育支援部長松山 英幸君
指導部長高野 敬三君
人事部長直原  裕君
福利厚生部長谷島 明彦君
教職員服務・特命担当部長岡崎 義隆君
参事中島  毅君
参事前田  哲君
参事高畑 崇久君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 教育庁関係
契約議案の調査
・第百三十七号議案 都立総合芸術高等学校(仮称)(二十一)改築及び改修工事請
負契約
・第百三十八号議案 都立武蔵野北高等学校(二十一)改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百三十一号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・都内公立学校における新型インフルエンザへの対応について

○大西委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○大西委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十一年九月十五日
東京都議会議長 田中  良
文教委員長 大西さとる殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百三十七号議案 都立総合芸術高等学校(仮称)(二十一)改築及び改修工事請負契約
第百三十八号議案 都立武蔵野北高等学校(二十一)改修工事請負契約
2 提出期限 平成二十一年九月十七日(木)

○大西委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百三十七号議案及び第百三十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、契約案件に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○大西委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三十一号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田次長 去る九月三日の当委員会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の目次をお開き願いたいと思います。
 ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は四件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都立高校改革推進計画策定時における学校数推計とこの先十年間の生徒数推計等でございます。
 計画を策定した平成九年度時点では、平成二十三年度の都立高校全日制課程の学校数を百七十八校程度と推計しております。
 また、都立高校全日制課程に在籍する生徒数でございますが、平成二十年五月一日時点で十一万六千八十四人となっております。
 なお、下段には、平成二十年度教育人口等推計に基づく、この先十年間の都内公立中学校卒業者数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。2、都内公立中等教育学校での保護者平均負担額と都内公立中学校での保護者平均負担額(平成十九年度)でございます。
 都内公立中等教育学校と都内公立中学校における保護者負担額の平均を、PTA会計等の区分ごとに、支出額とその内訳についてお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。3、久我山青光学園(仮称)の統合前及び統合後の児童・生徒数と教職員配置状況でございます。
 平成二十一年五月一日現在の久我山盲学校及び青鳥特別支援学校久我山分校の児童生徒数及び教職員の配置状況と、統合後の久我山青光学園(仮称)で想定される児童生徒数及び教職員配置数をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。久我山盲学校のスクールバス経路と通学所要時間でございます。
 久我山盲学校の現在のスクールバスの経路と通学所要時間ごとのスクールバス利用の有無と生徒数についてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島田委員 条例案の中にあります都立久我山盲学校は、今回の条例改正案では、久我山青光学園というふうに名称変更されるとありますけども、この名称案が上がった経緯をお伺いしたいと思います。

○前田参事 改正学校教育法が平成十九年四月に施行され、複数の障害種別に対応した教育を行うことができる特別支援学校の設置が可能となったため、都教育委員会では、視覚障害教育部門と知的障害教育部門を併置する久我山青光学園を設置することといたしました。
 久我山青光学園の名称につきましては、久我山盲学校と青鳥特別支援学校久我山分校の保護者アンケートの結果や教職員の要望、近隣地域の施設名称や都民の意見を踏まえて、学校が考えた複数の校名候補の中から、最も適切なものを教育委員会で選定しました。
 久我山青光という名称は、久我山盲学校、青鳥特別支援学校久我山分校で共通し、地域でもなじんでいる久我山という地名に、青鳥特別支援学校の青の文字と盲学校に関連する光の文字を盛り込み、両校が一体となって新しい学校をつくり上げるイメージから命名したものでございます。

○島田委員 この件ですけども、東京都立特別支援学校PTA連合会から、この学校が、盲学校と知的障害特別支援学校の併設校となることが周知及び理解されるまで、しばらくの間、校名の後に、盲知併設校と入れてほしいという要望が上がっています。
 例えば、当分の間、旧久我山盲学校、旧青鳥特別支援学校久我山分校というように、旧学校名も含めて表示するなどの方法が考えられると思いますけども、この要望にどうこたえるか、お伺いしたいと思います。

○前田参事 学校名は久我山青光学園でございますけれども、PTAからの要望にあるように、校名の後ろに併置校であることがわかるように表示することは、校門に掲げる校名板や校内の案内表示、ホームページなどにおいて可能でございます。
 また、最寄り駅などの地域の案内板などにつきましては、学校から関係機関に表示内容について依頼していくことになります。
 今後、開設準備校長と相談しながら、具体的な表示方法、例えば、委員からお話のありましたように、新校名の後ろに旧校名を表記するといった表示方法について検討してまいります。
 さらに、本条例について議決をいただいた後に、区市町村教育委員会に、久我山青光学園が視覚障害と知覚障害の併置校であることを周知するとともに、東京都の公報やホームページを通して、併置校であることを広く都民にお知らせしてまいります。

○島田委員 今いろいろご説明いただきましたが、皆さんもご承知のとおり、学校教育は、学校、幼児、児童生徒、保護者が一体となって運営されるのが望ましい形だと思います。
 今後の運営を考え、保護者の気持ちも十分配慮しながら、今おっしゃったような対応をぜひお願いしたい、そういうふうに思います。
 これにて質問の方を終わらせていただきます。

○遠藤(衛)委員 私からは、調布地区特別支援学校(仮称)の養護教諭、栄養士の配置についてお伺いします。
 今回、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例において、都立久我山青光学園という異なる障害種別が併置された学校、いわゆる併置校の設置が提案されているところであります。
 東京都特別支援教育推進計画第二次計画によりますと、今後もさまざまな併置校が計画されているところであります。ここに、皆さんもいただいていると思いますけども、この計画書であります。
 平成二十四年開校予定の府中地区特別支援学校(仮称)は、知的障害と肢体不自由の併置校であり、開校時には三百六十名以上の児童生徒が在籍することが予想されると伺っております。
 先日、その母体校である府中特別支援学校及び府中朝日特別支援学校、その他通学区域の変更によって、新しい学校に在籍変更する可能性のある調布特別支援学校及び小金井特別支援学校等の保護者の方々から、新たに設置される学校の教員配置について大変心配しているというお話を伺いました。
 その内容は、児童生徒数が増加するにもかかわらず、養護教諭は現在の二足すが四にならず二になってしまい、半数になってしまうというところであります。
 このような児童生徒数の多い併置校の教員配置については、先般、平成二十年十一月の文教委員会におきまして、我が党の村上委員からも質問があったところであります。
 養護教諭と栄養士の教員配置についての考え方につきまして、重ねてお伺いをいたします。

○直原人事部長 複数の障害教育部門を併置する特別支援学校の教職員につきましても、その他の特別支援学校と同様に、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、いわゆる標準法に基づいて定めた都の教職員定数の配置基準により、配置人数を算定しているところでございます。
 具体的には、教諭については障害種別ごとの学級数に基づき配置人数を算定する一方、栄養士を含め教諭以外の職員は学校単位で人数を算定し、また養護教諭につきましては、学校単位で人数を算定した上、児童生徒数による補正基準により増員を行って配置人数を決定しております。
 こうした状況のもとで、在籍する児童生徒数など学校の状況を踏まえ、正規職員に加え、さらに養護教諭については経験豊富な非常勤教員の配置や賃金職員の活用、また、栄養士についても賃金職員の活用など、必要な対応を検討するとともに、校内の緊密な協力体制の整備につきまして、学校に対し、指導、支援を行ってまいります。

○遠藤(衛)委員 今の答弁にもあるとおり、養護教諭、栄養士の配置数は、国の標準法に基づいているということでありますが、そもそも現行の標準法は、都が現在設置を進めている児童生徒の多い併置校を想定していなかったんではないか。そうであれば、保護者に対し、併置校になる不安を払拭するためにも、標準法を改めるよう働きかけることを含め、東京都としても何らか対応を考えるべきだと考えますけども、見解をお聞きいたします。

○直原人事部長 現在、標準法におきましては、養護教諭、栄養士の配置について、児童生徒数の多い併置校に関する特段の定めは設けられておりません。
 併置校における人的配置のあり方につきましては、今後、東京都教育委員会として、今までに開校した併置校の状況等を検証しながら、改めてさまざまな観点から検討してまいります。

○遠藤(衛)委員 これまでも府中地区特別支援学校、仮称でありますけども、に通学することとなる児童生徒の保護者に対して、教育委員会は何度か説明などして、新しい学校の説明を行ってきたところでありますけども、保護者の間でも併置化に対する理解が深まっているとは聞いておりますけども、しかし、さっきの話のように依然として職員配置などについて懸念する声が保護者にあることも事実であります。
 こういう事態を踏まえて、都教育委員会としては今後も併置化に対する保護者への理解を深めていくことがより必要であろうと思いますけども、見解をお伺いいたします。

○前田参事 府中地区特別支援学校(仮称)の設置に当たりまして、依然として不安を持つ保護者の方々がいらっしゃることは承知してございます。
 こうした不安を解消するために、今後も保護者の方々に丁寧な説明を行い、その理解を深めながら、保護者の方々の期待にこたえられる学校づくりを進めてまいります。

○遠藤(衛)委員 昨年、先ほども申しましたけども、我が党の村上委員の質問に対しましても、保護者の不安解消、さらには保護者の意見を真摯に受けとめ、計画に反映するという教育長の答えがあることからも、二十四年の開校までに東京都独自の制度を含め、何らかの結論を出すべく、最善の努力をしていただきたい。そのことが、現在計画中の各学校保護者の不安や心配をなくすことにもなるというふうに思っております。
 大原教育長を先頭に、保護者に心配をかけず、子どもが安心して学べる環境づくり、あわせて自立心をはぐくむ、このことも教育の重要な役割の一つであります。そのような学校を必ず実現していただくように強くお願い申し上げまして質問を終わりますけども、大原教育長、何か思いがございましたらお聞かせください。

○大原教育長 都教育委員会といたしましては、保護者のいろんな意見を真摯に受けとめますとともに、これまで開校した併置校の状況等を検証しながら、多様な観点から検討、改善を加えまして、子どもたちが安心して学べる環境づくりや、障害に基づく種々の困難を改善、克服する自立心をはぐくむ教育を充実いたしまして、都民や保護者の期待にこたえていく学校づくりを進めていく決意でございます。

○谷村委員 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例案に関連して質問をいたします。
 本条例案は、都立高校改革推進計画等に基づき、新しいタイプの高校七校、特別支援学校二校を設置するものでございますが、これまで都教委では、画一的な教育が行われてきた都立高校について、生徒のニーズの多様化等による諸課題に対応するために、都立高校改革推進計画を平成九年度に発表し、今日まで都立高校の改革を進めてこられました。
 この間、第一次実施計画から始まり、第三次実施計画に当たる新たな実施計画を策定し、これに基づき改革を推進しておられるわけでありますが、本定例会における石原都知事の所信表明演説におきましても、八王子などに設置する中高一貫教育四校を初め、音楽科、美術科に加えて舞台表現科を新たに備える芸術高校など計七校を設置いたします、これにより都立高校の改革推進計画をおおむね達成いたしますと述べられております。
 私は、平成七年から都議会公明党の政調会事務局に勤めておりましたので、議員としては平成十三年からですが、これまでの改革に向けた取り組みで、教育庁の方々のご苦労というものはなかなか大変なものがあったということを少なからず理解をさせていただいております。ある会合では、時の教育長、横山教育長だったと思いますけれども、ヒトラーと口汚くののしられたときもありました。
 そこで、十年を超える壮大な改革でもありますので、その成果をお尋ねしても語り尽くせないものがあろうかと思いますし、時間にも限りがありますので、概括的で結構でございますので、これまでの都立高校改革の内容及び成果について、まずお伺いをしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立高校改革推進計画は、高校への進学率が九六%を超える中で、生徒の能力、適性、興味、関心、進路希望の多様化が一段と進むとともに、一部には学校生活に適応できず中途退学する生徒が増加するなど、都立高校の多様な課題に対応するため、平成九年度に策定したものでございます。
 この間でございますが、新しいタイプの高校設置、学区の廃止や自校作成問題による学力検査の導入など入学者選抜制度の改善、学校運営連絡協議会の設置による外部評価の推進、学校経営計画の策定、自律経営推進予算の創設、習熟度別少人数指導の充実、主幹制度の導入、学校施設の耐震補強や改築、改修の推進など、都立高校が抱える課題を解決し、都民の期待にこたえるための学校づくりを目指して、全国に先駆けた数々の施策を計画的かつ着実に展開してまいりました。
 改革の具体的な成果といたしまして、都立高校改革推進計画を策定いたしました平成九年度には三・六%であった都立高校全日制の中退率が、平成二十年度には二・二%に低下するとともに、都立高校合格後の入学辞退率も二・八%から平成二十年度には一%と大幅に減少いたしました。
 また、平成十三年九月に指定いたしました日比谷高校など四校の進学指導重点校では、指定前と指定後の五年間を比較すると、難関国公立大学への現役合格者数は四二・六%増加いたしました。
 また、平成十九年度に公表いたしました都立高校に関する都民意識調査においても、都立高校改革推進計画についての印象を調査したところ、七割以上の回答者から賛同できるとの回答を得ており、都民には肯定的に受けとめられており、都立高校改革に基づき実施してきた施策は、多様な生徒のニーズに対して着実な成果を上げてきたと考えております。

○谷村委員 大変に大きな成果を上げておられることに改めて敬意を表したいと思っております。
 そこで、都立高校改革推進計画の中心事業ともいうべき新しいタイプの高校設置についてでありますが、これまでどのような学校を設置し、個性化、特色化を図ってこられたのか、まず一点。
 そしてまた、今回提案されている中高一貫教育校等、来年度開校する七校を新たに設置することによって、都立高校改革推進計画に基づく新しいタイプの高校設置の進捗状況はどうなるのか、改めてお伺いをいたします。

○森口都立学校教育部長 新しいタイプの高校につきましては、既存校の発展的統合、改編を基本に設置しております。
 新しいタイプの高校といたしましては、六年間の一貫した教養教育を行うことを通して、社会のさまざまな分野で信頼されるリーダーとなり得る人材の育成を目指す中高一貫教育校十校、多様な科目を設置して普通教育と専門教育を総合的に行う総合学科高校九校、大学等へ進学し、継続して学習することを前提とした新しいタイプの工業高校である科学技術高校二校、小中学校時代に不登校経験のある生徒や高校の中途退学者など、さまざまな生徒を受け入れるチャレンジスクール五校、多様な専門科目を設置し、学年制のよさを残した単位制の新たなタイプの昼夜間定時制四校、我が国の芸術文化のさまざまな分野を支えていく人材を育成する総合技術高校など、九タイプ、計四十九校を計画化いたしました。
 このほか、既存の学校を個性化、特色化に応じた指定校とすることにより、改革を推進する学校として、進学実績の向上を目指す進学指導重点校七校及び進学指導特別推進校五校、力を発揮し切れずにいる生徒に基礎的、基本的学力を身につけることを目的としたエンカレッジスクール五校を指定いたしました。
 今回提案している学校は、すべて新しいタイプの高校として、中高一貫教育校四校、総合学科高校、科学技術高校及び総合芸術高校各一校の計七校を設置するものでございます。これにより、計画した四十九校のうち、四十八校が開校することとなり、新しいタイプの高校設置はおおむね達成することになります。
 今後は、平成二十三年度に開校を予定しております仮称北地区総合学科高校の開校に向けて鋭意準備を進めてまいります。

○谷村委員 来年度、さらに四校が開校する中高一貫教育校は、既に開校している学校においては、毎年、応募倍率が非常に高く、都民からの注目、期待が大変に強く感じられる学校となっているわけであります。
 平成十七年度開校の白鴎高校附属中学校の十四・二六倍を皮切りに、昨年度開校の立川国際中等教育学校では十四・五六倍、武蔵高校附属中学校では十五・六一倍と、それぞれ驚くべき応募倍率となっております。今後、卒業生も輩出していく段階では、具体的な成果も期待されるわけであります。
 また、公明党がこれまで設置を推進し、高く評価をしておりますチャレンジスクールでは、充実したキャリア教育を初め、生徒のニーズにこたえた多様な教育が展開されており、毎年、募集人員を超える入学希望者が受験をしております。
 こうした応募状況から見ても、新しいタイプの高校として設置している中高一貫教育校とチャレンジスクールは、まさに生徒のニーズに合った学校だと思いますが、改めて都教委としてどのような評価をされているのか、お伺いいたしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 まず、中高一貫教育校についてでございますが、現在開校している六校では、各学校におきまして、日本の伝統文化を学ぶことや自然科学教育、国際理解教育の推進、実技教科での英語指導、社会貢献の志の育成など、それぞれ特色ある教育活動を展開しております。
 また、中学生と高校生が部活動や学校行事でともに活動するなど、交流も盛んでございます。
 最初に開校いたしました白鴎高校附属中学校は、平成二十二年度末に卒業生を輩出いたしますが、既に多くの中学三年生が英検準二級にチャレンジし、高い合格実績を上げているほか、中学生の主張での受賞やディベート甲子園への出場など、多くの場面で生徒の言語力や表現力、実践的な英語力の向上が見られます。
 また、特色ある教育活動や学校行事を通して、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーもはぐくまれており、将来、社会で活躍するリーダーに必要な資質が順調に育っていると考えております。
 次に、チャレンジスクールについてでございますが、小中学校時代に、学力の基礎、基本の段階からつまずいている生徒が多いため、基礎、基本からの学び直しが不可欠でございます。
 平成十九年に公表いたしました新しいタイプの高校における成果検証委員会報告において、八割以上の生徒が、チャレンジスクールでは基礎、基本を大事にし、学習進度に応じてわかる授業を行ってくれると評価しております。
 また、人間関係が不得手な生徒も多く、少人数指導に対して七割以上の生徒が、きめ細かな指導を行ってくれるので、安心して勉強できるとの評価もございました。
 こうしたことから、都教育委員会としては、中高一貫教育校やチャレンジスクールが、生徒の多様なニーズや都民の期待に十分こたえられているものと考えております。

○谷村委員 今、具体的な事例を挙げてお答えいただきましたけれども、大変にすばらしい成果をそれぞれ出されていると思います。
 そこで、改築及び改修工事の契約案件でも上がっておりますが、都立総合芸術高校ですけれども、これにつきましては、我が党の松葉多美子議員が平成十七年第四回定例会の一般質問で、日本バレエ協会からの要望等を紹介して、当時、まだ仮称でしたが、都立総合芸術高校構想、この段階で、バレエなど舞踊専門の勉強ができる舞踊科、あるいは舞台芸術科の設置を提案してきた経緯があります。
 それに対して当時の中村教育長が、クラシックバレエを初め、日本舞踊、モダンダンスなどを総合的に学べる学科についても基本計画の中に取り入れられるよう検討を進めてまいりますとお答えになっておられます。その結果、音楽科、美術科に加えまして舞台表現科が新たに設置されたものと理解をしております。
 そこで、このたび都立高校設置条例の一部を改正する条例案及び契約案件に都立総合芸術高校が上がっておりますので、この都立総合芸術高校の開校に向けた準備状況及び舞台表現科についてどういう段階に入っているのか、お伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 新たに設置いたします舞台表現科の準備につきましては、既に入学選抜方法も決定しております。現在、準備の最終段階であります教育課程について、学校案をもとに専門家の意見を聞きながら最終調整を行っているほか、開校後の指導体制の確立や、芸術文化施設との具体的な連携方法などの検討を進めております。
 生徒募集の一環として、第一線で活躍するバレエダンサーなどを講師とした体験入学を本年七月二十九日、三十日の二日間行いました。定員六十名のところ、応募が百三十名を超えまして、急遽、定員を倍にして、希望者全員を受け入れたところでございます。
 その参加者のほとんどは、演劇、舞踊の経験者、もしくは希望者であり、演劇の専攻はとてもおもしろかった、ずっとバレエを習っているが、手や足の基礎から教わったのがわかりやすかったなど、参加した生徒の意見も含めまして、総合芸術高校に対する生徒の期待の高さがうかがえました。

○谷村委員 この舞台表現科について、大変大きな期待の高まりの一端をご紹介いただきまして、大変にありがとうございます。
 そこで、舞台表現科における演劇や舞踊、あるいはバレエの授業には、申し上げるまでもなく高い専門性が必要であり、都立高校の教員による指導はなかなか困難な面もあると思います。舞台表現科の指導者はどういう方を選定し、また、どのように確保していくのかお伺いをいたします。

○森口都立学校教育部長 総合芸術高校は、さまざまな芸術分野において高度な専門性を持ち、活躍できる人材の育成を目指しており、演劇、舞踊ともに専門性と質の高い授業がまず不可欠でございます。
 開校後に、舞台表現科の中心となる教員を養成するため、現在、大学の演劇系芸術学部に教員を派遣するとともに、外部人材を積極的に活用し、各分野の専門家の中から指導者を選定し、市民講師として委嘱する予定でございます。
 市民講師の選定につきましては、現在、演劇関係の芸術学部を持つ大学を初め、新国立劇場や東京芸術劇場などの協力が得られ、それぞれの団体の中から指導適任者を選定している状況でございます。
 特に、バレエの指導者については、日本を代表するバレエ団に指導者の選定を依頼したところでございます。

○谷村委員 文化芸術都市東京が創立する唯一の芸術の専門高校ですので、開校に向けて、さらに全力で取り組んでいただきますように、また、多くの期待にこたえていただくべく、改めてお願いをいたしておきます。
 最後に、私の地元にあります東村山高校ですが、先月、都立高校改革推進計画に基づくエンカレッジスクールとして指定をされました。
 当初、一部の教員が検討段階での情報をPTA会長に意図的に漏らすなどして、PTAの皆さんから大きな不安が巻き起こりました。これまでの都立高校改革においても、ちょっとした誤解から大きな不安や心配を招いて大騒ぎになってきたという経緯もあるわけであります。
 申し上げるまでもなく、学校の統廃合も含め、改革を進めていくには、在籍する生徒だけではなく、保護者やOBの方々にとっても、とても神経質になりやすい重大な課題でもあります。
 エンカレッジスクールの指定を受けることに対する誤解もあったかと思いますが、この学校のOBでもある、ある政党の議員も動き始めて大きな騒ぎになりつつありましたが、学校関係者や都教委の方々からの真摯なご説明に、心配されていたPTAの方々も皆さんご安心をされたと、納得をされたと伺っております。
 そこで、東村山高校では、進学を積極的に応援するなど、進路希望の実現に力を入れたエンカレッジスクールとして、進学応援型エンカレッジスクールとして支援を強化していくということですが、具体的にはどのような学校を目指していくのか、お伺いをいたします。

○森口都立学校教育部長 東村山高校につきましては、これまで入学者の選抜倍率が低迷している、中途退学率が減少しないといった、こうした課題に取り組んできたところでございますが、依然、厳しい状況が続いていることなどから、学校の改革に向けた支援を行うため、都教育委員会がエンカレッジスクールとして指定いたしました。
 エンカレッジスクールとしての東村山高校の特徴でございますが、習熟度別少人数指導により、基礎、基本を早期に習得、発展させ、進学などの進路希望実現に向けたきめ細かい指導を行うとともに、近隣の大学との連携や地域との協力により、体験学習やキャリア教育を充実し、職業観や進学に対する意識を向上させていくことでございます。
 東村山高校におきましては、これまで取り組んでまいりましたスポーツ活動による学校の活性化や生活指導の徹底、地域交流、国際交流などをさらに発展的に活用するとともに、既存のエンカレッジスクールの成果検証を踏まえ、学力の到達度を一層的確に把握する手法の検討、実施など、新たな取り組みを展開することにより、生徒の持つ能力を飛躍的に伸ばす学校を目指してまいります。

○谷村委員 ありがとうございます。東村山高校が東京で一番のエンカレッジスクールになりますように期待をいたしております。
 また、新たにエンカレッジスクールに指定されたことなどにより、ひときわ輝く学校になりますように、学校関係者のご努力にも期待したいと思います。
 混迷する現代文明において、また、いまだ争いの絶えない国際社会において、そして、哲学不在と指摘されて久しい我が国において、今、教育がとりわけ重要であります。地球的規模で立ち向かっていかねばならない難題といわれているものも、我が国が抱えている諸課題も、そして、東京が先駆的にそれらに立ち向かって乗り越えようとしても、そのかぎは、つまるところ、教育に帰結してしまいます。
 人類史や文明観、あるいは、さまざまな社会科学的アプローチをするまでもなく、教育ほど崇高な事業、教育にまさるものはないわけであります。
 この都立高校改革を推進してこられた方々、あるいは現在進めておられる方々、そして、この改革を受けて教壇に立っておられる方々に重ねて敬意を表したいと思います。
 知事の所信表明演説にも、今後もカリキュラムの拡充や教員の資質向上を進め、引き続き一人一人を鍛えて伸ばす教育を充実してまいりますとありましたが、大詰めを迎えている都立高校の改革推進計画ですが、今後とも着実な実施を進めていただいて、東京の改革から全国にさらなる波動を起こしていただきますよう心より念願をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○畔上委員 それでは、まず今回、新たに四校設置される中高一貫校について伺います。
 第一に、既に開設されております中高一貫校六校についてですが、資料はいただきましたが、一般枠の今年度の入試の倍率、応募倍率の平均と推移はどうなっているでしょうか、
 まず伺います。

○森口都立学校教育部長 現在開校しております都立中高一貫教育校は六校で、平成二十一年度における一般枠の応募倍率の平均は八・五三倍でございます。
 既設校の状況を見ますと、最初に開校いたしました白鴎高校附属中学校や、多摩地域で初めて開校いたしました立川国際中等教育学校及び武蔵高等学校附属中学校における開校初年度の応募倍率は約十四倍でございましたが、開校後三年の学校におきましては、六倍から九倍の状況になってございます。

○畔上委員 平均八・五三倍、倍率が六-九倍と、相当な高さであります。首都圏の中学受験ネットというのがありますが、これを見ますと、いわゆる偏差値が高くなるほど倍率も上がっているという傾向が示されていますが、幾つかの学校を調べてみましたが、私立の中学よりも、公立の中高一貫校の方が倍率が高くなっているという現状がございます。
 こういう高倍率をどう受けとめていらっしゃるのか。結果、中高一貫校の倍率が、高倍率によるいわゆる受験の低年齢化、これを招いているのではないでしょうか。その見解を伺いたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立中高一貫教育校は、六年間の一貫した教養教育を行うことで社会のさまざまな分野で信頼されるリーダーの育成を目指しております。
 各校におきましては、特色ある教育活動を展開しており、生徒の様子から言語力や表現力、実践的な英語力、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーなどが順調に育っていることがうかがえます。
 高倍率につきましては、都立中高一貫教育校の教育理念や各校の教育方針、教育内容、指導方法などについて都民から高い評価を受けているものであると考えております。
 都立中高一貫教育校におきましては、小学校からの報告書と、小学校で学習する内容や身近な生活に関係する内容を取り上げまして、学習活動への適応能力、学ぶ意欲などを見る適性検査等の結果により入学者を決定しておりまして、学力検査は行ってございません。
 こうしたことから、受験の低年齢化を招いているとは考えておりません。

○畔上委員 私は、都民に一定の評価があるというのは、別に否定しているわけでありませんが、今お答えがありました受験の低年齢化を招いているとは考えていないと。また、学力検査ではなくて、あくまでも適性検査だというご答弁だったんですが、実態はそうでしょうか。
 塾などの資料によりますと、私立のように難しい計算を解くような問題ではないものの、文章や図表などを読み解く高い考察力を求め、私立入試並みの対策が必要なところが多くなっているなどとされております。そして、実際に都立一貫校に入るための塾もあり、また通信教育もある。既に受験対策も行われているわけです。
 本来、受験のこうした低年齢化を防ぐために、公立の中学における学力検査を禁止していたのにかかわらず、結局、難しい適性検査で受験の低年齢化を起こしているんじゃないでしょうか。
 九月五日付の朝日新聞なんですが、ここには公立の中高一貫校をめぐっては、入学選抜の問題が難しく、難関化して、とても小学校の学習内容では対応できない、公立の教育のあり方から外れているといった批判が出ている、文部科学省の諮問機関の中央教育審議会も検証を始めているという報道がなされておりました。中央教育審議会が検証を始めたということについてはどう受けとめられているんでしょうか、伺います。

○森口都立学校教育部長 公立の中高一貫教育校につきましては、全国でさまざまな形で設置されておりまして、それぞれ何か事情が違うというふうに聞いております。
 文部科学省が中高一貫教育制度の成果と課題につきまして、今後、実態調査を把握した上で検証を行っていくということは承知しておりますが、今後の進め方などについては未定であるというふうに聞いております。

○畔上委員 今、私はどう受けとめたのかという認識を伺ったんですが、文科省の動きを確認したわけではありません。都の教育庁として、あくまでも受験競争をあおっていないんだというお話なんですけれども、やはり私は、こういう受験競争の低年齢化を招いている現実があるわけですから、競争教育を激化させるような、こういう都立の中高一貫校、一貫教育ですね、これはやはり改めるべきだということを指摘したいと思います。
 そこで伺いたいんですが、公立中学と中高一貫校の保護者の負担の差はどのぐらいあるのか、伺いたいと思います。

○森口都立学校教育部長 平成十九年度における一年間の保護者負担額は、都立中高一貫教育校四校の平均が十二万二千四百六十五円、都内公立中学校六百三十五校の平均額は七万九千百五円であり、その差は四万三千三百六十円でございます。

○畔上委員 子どもの一学年の差が既に四万三千三百六十円ということですが、入る前の段階でも、先ほどもちょっと塾の話をいたしましたが、受験のための塾通いが必要になったらどうなるかということで調べてみましたら、ある塾では通信添削が一万五千円、教材セットが六千三百円、そして塾の模擬試験が五千二百五十円ということで、同じ公立中学でありながら、保護者の所得によって受験をあきらめざるを得ない、そういう子どもをつくってしまうんではないでしょうか。その点、伺いたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立中高一貫教育校におきましては、一年次の宿泊移動教室、二、三年次の外国語研修旅行、前期課程で使用する教材など、特色ある教育活動に伴う経費が必要となります。
 このことにつきましては、あらかじめ学校説明会において、各校の中高一貫教育校における特色ある教育活動の内容とともに、必要な経費について詳しく説明しており、保護者の理解は得られているものと考えております。
 保護者負担額の徴収に当たりましては、分割方式や積立方式をとるなど、保護者の負担に配慮しております。また、こうした経費を就学援助の対象としている自治体もあるというふうに伺っております。

○畔上委員 いわゆる特色のある教育については費用が必要だという認識のように伺えたんですが、やはり私は、この問題というのは公立中学の担うべき役割は何なのかという、そういう根本問題にかかわるんだと思うんです。そして、リーダー育成を教育の目的にするなら、このぐらいの差があっていいということでは絶対あり得ないと私は思うんです。本来の公教育の役割を大いに議論していく必要があるということを申し述べて、次の質問に移りたいと思います。
 それでは、次の質問ですが、特別支援学校の久我山青光学園の設置について伺いたいと思います。
 この学校は、世田谷区にある久我山盲学校と、その盲学校の校庭を借りて設置されていた青鳥特別支援学校の分校を統合して、視覚障害者部門と知的障害者の部門を併置した学校となるわけです。
 先ほど島田委員の方から最寄り駅の地域の案内表示等、盲知併置校だということをはっきり明記してほしいという要望があって、それについてどうかというご質問もありました。それに対しては、検討するというご答弁がありました。
 私は現場の学校にも行ってみたんですけれども、久我山駅をおりますと、目の前に盲学校はこちらという表示がありまして、駅から点字ブロックも学校まで続いておりました。地域の方々は子どもたちのことを理解して、温かく見守って支援しているということでありましたけれども、実際に行ってみますと、歩道やガードレールもない部分もあったり、それから交通量の結構ある道路を子どもたちが通学しているということで、なかなか大変だなと。そういう点では、ますます地域の見守りということは大事になっているんじゃないかと思います。
 そこで伺いたいんですが、私は、保護者の方からは、先ほど当面の間というお話があったんですが、当面ではなく、ずっと併置のあれをつくってほしいんだという希望も伺っております。当面にするのか、恒久的にするのか、その辺も含めてきちんと現場の皆さんの声を聞いて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○前田参事 学校名は久我山青光学園でございますけれども、校門に掲げる校名板などにより、視覚障害教育部門と知的障害教育部門を併置する学校とわかるように表示することは可能でございます。
 今後、開設準備校長と相談をしながら、学校内だけでなく、最寄り駅などの地域の案内表示などについても工夫してまいります。

○畔上委員 学校や保護者の皆さんの意見を十二分によく聞いて、適切に対処していただきたいと思います。
 次に、併置によって人的配置が削減されるという問題なんですが、先ほど遠藤委員からも質問がありました。それに対して賃金職員の対応など検討していくということでありましたが、現在の教員の配置状況より、統合することによって、どの職種が何人削減されるのか、具体的に示していただきたいと思います。

○直原人事部長 平成二十一年五月一日を基準としまして、現在の都立久我山盲学校と都立青鳥特別支援学校久我山分校の教職員数合計と、来年度開校予定の都立久我山青光学園の教職員数を比較しますと、その差は三名でございまして、その内訳は、養護教諭一名、事務職員一名、栄養職員一名でございます。

○畔上委員 現在、久我山の盲学校が、子どもたちが約五十人、青鳥養護の方が約百人、合わせて百五十人いるわけです。この間、知的障害の子どもたちはふえているわけですから、子どもはふえることはあっても、減らないということが予想されるわけです。そういう中で、事務職員を削減するということですけれども、事務量は減るどころかむしろふえるんじゃないかというふうに思うんです。
 視察をさせていただきましたけれども、教材も先生方が本当に大変工夫をされていて、一人一人に合ったものを使っていました。こうした教材も一つ一つ事務手続が必要になってくるわけです。併置して事務量はむしろふえるということになって、私は事務職員は減らすべきではないというふうに思います。
 栄養士の部分につきましても、今、一名削減ということですけれども、栄養士は寄宿舎もここはあるわけですから、昼食だけでなく、朝食、夕食もあるわけです。食育といいながら大事な栄養士を減らすということは私は問題があるというふうに思っています。
 教職員の配置は、やっぱり併置したことによって教育条件が低下したなどということが決してあってはならないと。そのためには十分な配置をすることを求めたいと思います。
 養護教員については、具体的にちょっと伺いたいと思うんです。今まで三人、二つの、分校とそれから盲学校の方で三人いたのに、二人に減らしてしまうということはなぜなんでしょうか。

○直原人事部長 養護教諭は、学校単位で配置人数を決定しておりまして、併置前におきましては、都立青鳥特別支援学校久我山分校においては二名、都立久我山盲学校においては一名となっております。併置後の都立久我山青光学園は、一校として配置人数を切って決定し、二名となります。

○畔上委員 今のお話を伺っていると、併置校になったら教育条件が悪化したということになるわけです。子どもたちも減っていないのに養護の先生が減ってしまうというのは非常におかしいと思うんですね。
 特に久我山青光学園の場合には、幼稚部、それから小学部、中学部と年齢の幅も広い、そして障害も一人一人さまざまだということで、私、視察したときも、実は視覚障害と聴覚障害、重複障害を持った生徒さんでしたけれども、パニックを起こされていて、本当に先生方の熱意と、それから愛情で子どもたちの成長が支えられているんだなということを現場で目の当たりにしてきました。
 私自身も実は障害者の施設で働いてきたんですけれども、子どもの心の変化も大変デリケートでして、やはり必要な職員体制が崩れると、どうしても子どもたちにはね返ってしまう。やっぱり教職員は現状でも必死に頑張っているわけですから、減らすべきでは絶対ないというふうに思うんです。せめて現行の三人にすべきだというふうに思うんです。
 先ほど、併置校の人的配置は検討するというふうに、遠藤委員からの質問に対してお答えがありましたけれども、そうしますと、現行の配置基準どおりでは十分でないんだということを認められたということでよろしいんでしょうか。

○直原人事部長 養護教諭の配置人数の算定方法についてでございますが、複数の障害教育部門を併置する特別支援学校の教職員につきましても、その他の特別支援学校と同様に、いわゆる標準法に基づいて定めた、都の教職員定数の配置基準により配置人数を算定しているところでございます。

○畔上委員 私が今伺ったのは、先ほど併置校の人的配置は検討するというふうにご答弁されたわけです。遠藤委員の質問に対して。ですから、そういうご答弁をされたということは、現在の配置基準というのは十分でないということを認めたということですか。そのように伺っているんです。

○直原人事部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、併置校における人的配置のあり方については、今後、東京都教育委員会としまして、今までに開校した併置校の状況等を検証しながら、改めてさまざまな観点から検討していくこととしております。

○畔上委員 先ほども標準法に基づいて定めた都の教職員の配置基準だということだったんですが、そもそも児童生徒が六十一人以上だったら、百人でも二百人でも二人ということ自身、やっぱりおかしいと思うんですね。
 そういう点では、今、検討するということでありますので、配置基準をやっぱり実態に合ったように見直していただきたいと、これは強く求めていきたいと思います。
 あわせて、久我山は設置にまだ時間があるわけですから、必要な養護教諭配置を強く求めたいと思います。
 次に、通学問題なんですけれども、現在の通学時間で九十分を超え大変という保護者の声も伺っております。通学バスの利用のあるなしにかかわらず、六十分を超える児童生徒は何人いるんでしょうか。

○前田参事 九月一日現在、久我山盲学校に在籍している四十八名の幼児、児童生徒のうち、通学に六十分を超える者は十八名でございます。
 なお、この十八名のうち八名が、利用形態は異なりますが、寄宿舎を利用してございます。

○畔上委員 そうしますと、三割以上の子どもたちが通学に一時間以上もかかっているということであります。しかも、幼稚部のお子さんでもそうした状態があると。寄宿舎の利用もあるけれども、毎日ではない子どもたちもいると。それに、小さい子どもたちにとっては、寄宿舎というのは現実的ではないというふうに思うんです。
 スクールバスの路線も、朝、渋谷など、非常にラッシュの混雑する駅などまで電車で行って、そこからスクールバスで行くということなんですが、渋谷の場合だと、そこから七十分またスクールバスに乗らなきゃいけないと。通学で大変な苦労をするわけですね。
 私たち大人でも、これだけの通勤時間になりますと大変疲れるわけで、子どもたちにとっては本当に大きな負担になるというふうに思うんです。
 教育庁の方で、通学で自立をさせていくことが大事なんだというふうにいわれていたんですけれども、私は幼児の子どもに自立を求めるのは、発達段階を全く見ていない間違った考え方だというふうに思うんですね。
 せめて通学負担の軽減になるような、スクールバスの本数をふやすとか、それから、きめ細かく回れるようにするとか、その年度の子どもたちの状況に応じて運行を改善する、こういう検討が私は求められていると思います。ぜひその検討をお願いして私の質問を終わりたいと思います。

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○大西委員長 次に、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○大西委員長 次に、報告事項、都内公立学校における新型インフルエンザへの対応についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○大津委員 今月六日時点で、世界保健機関では、世界全体の新型インフルエンザによる死亡者数が三千二百五人に達したというように発表しております。
 過去、インフルエンザの歴史を見ますと、いろんな周期で類似をしたケースがあるように見受けられます。例えば、スペイン風邪が一九一七年、大正六年に、春、ヨーロッパで流行し、その後、日本では八月から、夏から流行が始まり、十月にピークを迎えました。
 また、アジア風邪は一九五七年、昭和三十二年一月に中国本土で始まり、その後、日本では五月ごろから最初の流行が、そして九月から十二月にかけては第二波の流行が始まりました。
 そして、一九六八年には香港風邪が流行をしてきていました。
 さて、この夏にも、こうした新型のインフルエンザですが、基本的には四十年の周期で世界的に大きな流行を繰り返すということを指摘する感染症の専門家もいるようです。
 夏に感染拡大し、若年者に感染しやすいなど、今回のインフルエンザは、過去の新型インフルエンザに似ています。
 そこで、東京都としましては、今回の新型豚インフルエンザ、どういった層、年代、年齢に感染しやすいか、また今回の特徴をどのように把握されているのか、ご見解をお願いいたします。

○松山地域教育支援部長 新型のインフルエンザの流行は、昭和四十三年の香港のインフルエンザ大流行以来、四十一年ぶりとなります。
 今回の新型インフルエンザの特徴といたしましては、感染力は強いものの、多くの感染者は軽症のまま回復していること、抗インフルエンザ薬の治療が有効であることなど、季節性のインフルエンザと類似していることでございます。
 感染しやすい年代でございますが、東京都健康安全研究センターが発表しました五月二十日から七月二十三日までの都内二百二十九人の確定患者のうち、十歳代が一番多く四六・七%、次に十歳未満、二十歳代がそれぞれ一八・三%となっております。
 また、七月二十四日から八月二十四日までの集団発生事例について見ますと、百八十一集団のうち、小中学校が五十五集団、保育園、幼稚園が四十一集団、高等学校が二十五集団と上位を占めております。
 このように、小中学生を中心とした若年層の感染者が多くなっております。これは集団生活が一つの原因であると考えております。

○大津委員 若年者の感染が多いという中で、公立小中学校及び都立高等学校の感染者の実態把握はどのようにされているのでしょうか。

○松山地域教育支援部長 現在、すべての公立小中学校及び都立学校におきまして、日々健康観察を実施するとともに、学級閉鎖等の臨時休業及びインフルエンザ様疾患による欠席者の情報収集によりまして、集団感染の動向等について注意深い監視を行っております。
 また、福祉保健局との連携のもと、同一学級または部活動単位等で七日以内にインフルエンザ様症状による二名以上の欠席者が発生した場合、所轄の保健所に連絡し、保健所が積極的な疫学的調査を開始するためのクラスターサーベイランスを実施しております。
 調査結果でございますが、夏季休業終了後、九月十三日までの臨時休業の累計件数でございますけども、休校が小学校一校、中学校二校、学年閉鎖が小学校四十九校、中学校二十八校、都立学校三校、学級閉鎖が小学校二百四十七校、中学校九十一校、都立学校二十六校となっております。これらを学級換算で見ますと、都全体の二・九%となります。
 また、夏季休業終了後、これまでの欠席者数の累計でございますが、小学校二千八百八十九人、中学校千三百九十九人、都立学校三百四十七人となっております。これらは都全体の〇・五%となります。

○大津委員 新聞報道によりますと、世界保健機関では、早期の学校閉鎖によって治療が必要な患者が最大で五〇%減少するとし、流行のピーク時に治療の需要を三〇から五〇%減らすことが可能となっています。
 また、学校閉鎖の具体的な時期につきましては、住民の一%が感染する前に学校閉鎖を実施できれば最大の効果があるとも報道ではなっておりますけれども、そこで、学級閉鎖の基準は既に定めてありますけれども、こうした学級閉鎖の効果と、そして今も感染が拡大をしておりますので、今後の学級閉鎖のあり方についてはどのようにお考えなのか、ご見解をお願いします。

○松山地域教育支援部長 臨時休業の有効性についてでございますが、国立感染症研究所の調査結果によりますと、学校閉鎖はその学校及び地域での流行の広がりを阻止するのに有効であったとしております。
 各学校におきましては、これまでの季節性インフルエンザ発生時にも学級閉鎖等の措置を講じてきておりまして、感染拡大の防止に効果のあることは、経験上、一定の知見として既に確立しているものと考えております。
 今後も引き続き、綿密な健康観察やクラスターサーベイランスを徹底いたしまして、学校における集団感染の端緒をいち早くとらえ、所轄の保健所と相談の上、早目の学級閉鎖等の適切な対応をとり、集団感染の拡大防止に努めてまいります。
 また、区市町村教育委員会に対しましても、都に準じた取り組みを求めてまいります。

○大津委員 それでは、臨時休業措置を行った場合に、例えばこの秋、いろいろと文化祭ですとか体育祭、そういったイベントがございます。そのようなイベントについての対応はどのようにされていくのか。また、学校以外におきますと、塾や習い事、地域の運動クラブ、イベント等、外で遊んでいるケースも考えられます。
 これらについては、国では一律の外出禁止等の要請はしないとはしていますが、東京都の考えはどうなのか、あわせてご見解をお願いいたします。

○松山地域教育支援部長 都教育委員会は八月二十八日付で、都立学校長及び区市町村教育委員会に対しまして、新型インフルエンザによる臨時休業の基準等を通知しております。その中で臨時休業中の過ごし方につきまして、学習指導として、児童生徒の健康状態に応じてこれまでの学習内容の復習を中心にした課題を示し、家庭での学習について指導すること、生活指導といたしまして、人の集まる場所など感染の可能性のある場所への無用な外出を控えさせ、感染の予防に努めるよう指導することとしております。
 また、新型インフルエンザに関するリーフレット「新型インフルエンザうつらない・うつさない」を都独自に作成いたしまして、昨日までにすべての公立小中学校及び都立学校の児童生徒の保護者に対して配布したところでございます。その中でも、臨時休業中の外出を控えることを求めております。
 また、学校行事等開催における感染予防対策でございますけれども、日ごろから健康的な生活の心がけや手洗い、せきエチケットの励行に加えまして、熱などの症状がある場合は参加を控えるなどを呼びかけております。
 また、来校者に対しましては、消毒用アルコール等を設置するとともに、感染予防対策にご協力いただくよう、ホームページ等で周知を図っているところでございます。

○遠藤(守)委員 公明党の遠藤でございます。前期に続いて二回目の文教委員会の所属でございます。一年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私からも、報告事項でございます都内公立学校における新型インフルエンザへの対応についてをめぐりまして、今、大津委員からもお話ありましたんで、ダブっている部分もあります。それを割愛して質疑をしたいと思います。
 きょうの新聞、朝刊ですけれども、新型インフルの感染が約一・四倍に拡大をしてきたと、このような厚生労働省の発表がございました。先ほど、最新の都内の公立学校における流行状況については答弁がありましたけれども、私たちに説明をいただいた九月三日、これはちょうど夏休みが多くの学校で終わる時期であります、それから約二週間ぐらいたっていますけれども、この間の傾向、どんな傾向があるのか、ご答弁いただきたいと思います。

○松山地域教育支援部長 現在、都教育委員会では、休校等の措置状況につきまして、毎週月曜日から日曜日までの分を翌週の水曜日に定期的に発表しております。
 お尋ねの昨今の増加傾向でございますけれども、八月三十一日の月曜日から九月六日日曜日までの学級閉鎖数が二百五十四、九月七日月曜日から九月十三日日曜日までの学級閉鎖数は五百五十四でございまして、増加傾向にございます。
 なお、直近であります九月十五日火曜日の欠席者数でございますが、小学校が千三百六十三名、中学校八百十八名、都立学校百四十七名でございます。

○遠藤(守)委員 このインフルエンザの流行状況を踏まえて、臨時休業ですとか、または学級閉鎖、また学校閉鎖、学年閉鎖、さまざまなレベル、段階で行われておりますけれども、さきの説明では、その基準につきましてさまざまな数字が出ております。
 例えば、欠席率が学級内の一〇%を超えた場合ですとか、また、その休業期間は四日間とすると、こういう数字が出ておりますけれども、改めて、こうした数字の基準ですね。あと、さらにこれは国の厚生省が出している数字と同じなのか。それとも、東京は、もうご案内のとおり最も学校数が多いですから、東京独自で定めているのか。それも踏まえて、この基準について教えてもらえればと思います、

○松山地域教育支援部長 ご指摘の都教育委員会の臨時休業の基準でございますが、福祉保健局の感染症の専門家や東京都医師会と協議をし、決定したものでございます。
 この基準におきまして、学級閉鎖は当該学級の児童生徒のおおむね一〇%以上がインフルエンザ様疾患で欠席した場合に検討し、休業期間は四日間を原則として行うこととしております。こちらは都独自の基準ということでございます。
 一〇%の欠席率の基準についてでございますが、季節性インフルエンザの臨時休業がおおむね二〇%から三〇%までの欠席率で行われている実態を勘案いたしまして、感染力がより強い新型インフルエンザの場合は、早目に臨時休業を検討するために設定したものでございます。
 原則四日間の休業期間につきましては、これまでの症例等から、新型インフルエンザの潜伏期間が三日程度と考えられますので、学校で感染したといたしましても、発症するのは臨時休業の期間中ということになりまして、学校での再流行を防ぐことができるという趣旨に基づくものでございます。

○遠藤(守)委員 済みません、ちょっと私が聞き漏らしたかもしれませんけれども、今、ご答弁いただいた数字というのは、全国一律なのか、それとも都教委で独自なのか。であるとすれば、全国の一律のものより上回っているのかどうか、それをもう一回教えてもらえますか。

○松山地域教育支援部長 全国かなりまちまちでございまして、学級閉鎖、学年閉鎖、休校それぞれ、一人の患者発生で学級閉鎖をするというようなところもございます。あるいは、五人ですとか、二学級以上の学級閉鎖が重なりますと学年閉鎖にするというところもございますし、全国まちまちでございます。
 東京都は、学年閉鎖につきましては、二学級以上の学級閉鎖があった場合に学年閉鎖、二学年以上が学年閉鎖になった場合は休校を検討するとしております。これは、おおむね全国の平均的な対応であるというふうにとらえております。

○遠藤(守)委員 全国の平均的という答弁でございました。
 次いで、先ほど、大津委員とのやりとりでもありましたけれども、付随して、この臨時休業中における学習の代替案について都教委としてどう考えているか、お示しいただきたいと思います。

○高野指導部長 新型インフルエンザ発生に伴いまして学校が臨時休業を行う場合には、都からの通知をもとに、あらかじめ教員が準備した課題を出し、生徒に自宅で学習するよう指導した上で、休業の措置をとってございます。
 また、その休業時の措置を踏まえまして、臨時休業後の学習活動の補てんにつきましては、通常のインフルエンザと同様に、各学校が校長の判断により授業の進度に応じて指導内容の工夫を加えたり、補習や補講を行ったりするなど、学校の実態に即して適切に対応しているところでございます。

○遠藤(守)委員 それでは、いよいよ秋になりまして、さまざまなイベントが学校を中心に行われております。都立学校でも修学旅行が大変に大きなイベントでありますけれども、このインフルエンザの感染に伴う都立学校における修学旅行の中止または延期の決定について、その判断はどこがどのような基準で行っているのか、お示しいただきたいと思います。

○高野指導部長 各都立学校では、生徒の状況をもとにいたしまして、学校医や保健所の意見を踏まえ、都教育委員会の関連部署と相談しながら、最終的には校長の判断で、適切に修学旅行等の中止、延期の決定をしている状況でございます。

○遠藤(守)委員 皆様の目にとまったかと思いますけれども、昨日の東京新聞の夕刊に、またヤフーでもいろいろ出ていますけれども、和歌山の私立ですけれども、中高、中学校と高校で、この新型インフルの感染の疑いありという方が四百八十九人、約五百人感染のおそれありと、こんな報道がありました。十日時点では十人ぐらいの感染者であったようでございますけれども、それから五日間の間に約五百人ということで、一気に五十倍感染をした疑いがあるという報道でした。
 五日から十五日のこの十日間に何があったかというと、九日、十日の二日間にわたって、この中高合同で文化祭をしていたと。十三日には、これまた中高合同で体育祭を行っていたと。これが大きな感染の原因になったのではないか、こういう新聞報道でありました。
 この感染が拡大したことについて、これはあくまでも東京新聞のくだりですけれども、和歌山県は、これは教育委員会だと思いますけれども、学校の判断が甘かったといわざるを得ない、このように指摘しているそうです。一方、学校側は、中止にするという判断は難しかった、こういっているわけですね。教育委員会は学校の判断が甘いと。学校現場は中止にするという判断は難しかった、こういっているわけです。
 ここで、まだ確定したわけじゃないですけれども、五百人の感染者が出ているという疑いがあるということでありますので、今、指導部長は、関係部署と相談をしながら、最終的には校長の判断で決めると、このようにいわれましたけれども、これは本当につかさつかさでよく相談をしていただいて、間違っても、この判断は校長がしたことだ、都教委は判断が甘かった、このようなことに、学校現場にしわ寄せが行くことがないように、くれぐれもお取り計らいをしていただきたいと思うわけであります。
 なお、今、私は修学旅行の中止、延期、この判断はどうかということでお伺いしましたけれども、文化祭または体育祭、こうした学校総体の大きい行事、このすべて、今、指導部長がお話しになられた、こうした対応と原則同じであるか、もう一回、確認ですけれども、いいですか。

○高野指導部長 先ほどの答弁につきましては、修学旅行等の学校行事ということでお話し申し上げましたが、今お尋ねの文化祭、体育祭等々の、大勢の子どもたちが集まって集団で行う活動等につきましても、先ほどご答弁申し上げたと同じように、学校医、保健所の意見を踏まえまして、都教育委員会の関連部署にぜひ相談をいただいた上で、都教委と一緒になって結論を出していきたいと考えております。
 以上です。

○遠藤(守)委員 それが、残念ながら、このインフルエンザの拡大によって修学旅行がキャンセルせざるを得ない、こういう場合には、キャンセル料というものが発生するおそれがあるわけでありますけれども、これについての負担の考え方、都教委はどういう考え方を持っているか、お示しいただきたいと思います。

○森口都立学校教育部長 各都立学校におきましては、旅行先や実施時期の変更などを旅行業者と協議し、可能な限りキャンセル料を発生しないよう対応しておりますが、やむを得ずキャンセル料が生じた場合には、保護者に新たな負担をかけることなく、学校徴収金の範囲内でキャンセル料と修学旅行の経費を支払っております。

○遠藤(守)委員 学校徴収金、いわゆる積立金の範囲内で仮にキャンセル料が生じた場合でもそれを賄って、旅行先を変えるなり、期間を縮小するなりということで、トータルで賄う、保護者の追加負担は一切ないという理解でよろしいですか。
 それでは、これまでは学校内の行事等々ですけれども、いよいよ、今度は都立学校を目指すということで、冬になると都立の高校入試が始まります。そこで、一月下旬から実施する都立高校入試における、このインフルエンザ対策、どのような観点から、また、どのような対応をしていくのか、ご説明いただきたいと思います。

○森口都立学校教育部長 高校入試に際して、受検生は日ごろから栄養であるとか休養などの健康管理や手洗い、うがいなど感染予防に心がけ、万全の体調で試験に臨むことが大切でございます。
 これまでも受検当日に体調を崩し、体調不良の申し出があった場合には、別室受検により個別に対応してまいりましたが、新型インフルエンザは感染力が強く、現行以上の対応が必要であると考えております。
 今後も、インフルエンザの流行状況の把握に努めるとともに、検査会場の確保、監督者の配置や入学者選抜の実施方法について、国の動向を踏まえつつ、福祉保健局、区市町村教育委員会、校長会など、関係部署と十分連携協議し検討してまいります。

○遠藤(守)委員 これまでもさまざま対応してきたけれども、現行以上の対応が必要であると。この認識に基づいて、今、関係機関と連携しながら検討していくという答弁だと思います。
 私もかつて都立高校の受検者の一人でありまして、ちょうど夏休み過ぎていよいよということで、クラブ活動も三年生は終わりで一直線という時期でありますので、ぜひ、いざという場合の状況、慎重な上にも慎重、しかしながら、受検生、また、家族はどうなるのかなと、こう不安に思っておりますので、ぜひ迅速な決定もあわせていただきたいと思います。
 最後に、特別支援学校におけるインフルエンザの対応ですけれども、さきの説明ではやや不満足でありますので、特別支援学校では一般の学校以上に慎重な対策を講じておられると思いますけれども、現在の特別支援学校における、この対策の柱についてご答弁いただきたいと思います。

○森口都立学校教育部長 特別支援学校におきましては、新型インフルエンザに罹患した場合、重症化するおそれのある基礎疾患を持つ児童生徒が在籍していることから、通常の予防策に加え、特別な配慮が必要でございます。
 このため、二学期が始まる前の八月二十八日に臨時校長連絡会を開催いたしまして、インフルエンザ予防についての注意喚起を行うとともに、感染すると重症化するおそれのある児童生徒などの把握、学校医や児童生徒の主治医と保護者との連絡体制、校内体制の早急な整備について指示を行いました。
 また、病院内分教室においては、重い基礎疾患のある児童生徒が在籍していることから、教職員のマスク着用とアルコール消毒とによる予防策を徹底いたしました。
 さらに、アジアユースパラゲームズを校外学習として特別支援学校の児童生徒が観戦することを予定しておりましたが、こうした状況にかんがみ、ハイリスクの児童生徒が多く在籍している肢体不自由と病弱の特別支援学校につきましては、残念ではございますが、参加を見送る措置をとりました。

○遠藤(守)委員 いずれにいたしましても、先ほどの答弁でもありましたとおり、この新型インフルエンザは比較的若い世代に感染が広がりやすいという傾向があるようであります。
 最近のニュースでも、全く特別な疾患がなかった、しかも、たしか二十四歳というお若い方だったと思いましたけれども、残念ながら命をなくされたという痛ましいニュースも流れておりました。
 ぜひ、今回の大きな、目に見えない敵との戦いでありますけれども、都内の公立学校の中から重症化の方が一人も起こらないような形で、万全の体制で臨んでいただきたいこと、そして、それに向けて私たち議会も全面的に協力申し上げることを誓いまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○畔上委員 まず、新型インフルエンザから子どもたちの命と健康を守るために、昼夜を分かたぬご奮闘、そして、対策を進めてくださっている教育庁に対しまして、教育庁の職員の皆さん、そして学校の教職員の皆さんに敬意を表したいと思います。
 特に、今お話もありました特別支援学校なんですけれども、この特別支援学校では、やはり障害のある体の弱い子どもたちが多いわけですから、一度かかったら重症化になる、命にかかわる問題にもなるわけですから、リスクも非常に高いわけです。
 そうした中で、現在まで特別支援学校では一人の欠席も出していないということを伺っています。私も現場に行って伺ってきたら、特別支援学校では、研修の学生さんが入り口のところで熱をはかって、七度以上あったら研修もお断りするというぐらい慎重な対応をされていました。
 そういう点では、本当に現場の皆さんもご努力されているなというふうに思っていますが、さらなる対策の充実を求めて二点伺いたいと思うんです。
 最初の一点は、都立学校内での感染予防対策なんですが、消毒液の使い方などは学校によって若干違っているようですけれども、都立高校への予算配付はマスク、生徒一人一枚、職員二枚、単価は五十枚入りで千三百五十円だということで、非常に低額の配当予算になっているということで、学校の持ち出しがあったということも伺っています。
 また、消毒液やマスクの不足分は、もともと学校に配分されている自律経営予算でやるようにという指示もあるようですけれども、結局その分、本来の経営予算で行うべき教材や図書購入など、その辺の費用が減ってしまうわけですから、やはり私は、このマスクや消毒液などの感染予防対策予算は十分に学校に配付すべきだというふうに思うんですが、その点、まず伺います。

○森口都立学校教育部長 新型インフルエンザ対策資器材といたしまして、先ほどお話のあったマスクのほかに、迅速に体温測定できる非接触型体温計というのも全校に配布しておりまして、一秒ちょっとで体温がわかるといった接触しない形を既に配布しているところでございます。それからあと、先ほど申し上げた病院内の教室については、教職員用のマスク、アルコール消毒等を行っております。
 それから、消毒薬ですが、文化祭などの学校行事におきましては、やっぱり多くの来校者が見込まれるといったケースが考えられますが、やはり各校の状況に応じて対応してございます。
 自律経営予算でございますが、自律経営予算が先に使われてなくなる、ほかが使えないというような趣旨でしたが、これにつきましては、都立学校におきましてはこれまでも緊急的に、必要な経費につきましては、まず自律経営推進予算を活用いたしまして柔軟に学校で対応できるようにしてございます。
 なお、これに伴いまして、学校予算の不足が見込まれる場合には、都教育委員会といたしまして必要な予算は従来から配付しております。

○畔上委員 今のご答弁ですと、そうすると、学校の持ち出しがあった場合には、新たに補足するということでよろしいんでしょうか。ぜひ特別対策として、きちんと支給すべき性格のものだというふうに思いますので、その点は十分に、学校の不足だということであったら補正をしていただきたいと思います。
 それから、先ほどお話がありました修学旅行のキャンセル料についてです。公明党の遠藤委員からもお話がありましたけれども、修学旅行のキャンセル料は各学校でも今大きな問題になっているようですが、江東区では修学旅行のキャンセル料は自治体で負担して保護者負担にはしないということをしております。
 文科省の調査でも、キャンセル料が発生した学校で約五割は自治体の負担にしていると。そして、今現在調整中だというところが三四・七%、保護者負担にしているというのは、わずか一六%です。
 既に都立高校で三校、それから特別支援学校で二校キャンセルしたというふうに伺っていますけれども、橘高校では五月に本当はオーストラリアに行く予定だったけれども、中止になって、国内の旅行に変更するということでキャンセル料が発生したわけです。これは保護者負担ということで、一人約二万円かかったということであります。
 先ほどお話があったように、積立金の範囲でやっているんだということだと思いますけれども、私はこの積立金の範囲といえども、本来保護者に戻すべきお金であるというふうに思うんです。
 これから修学旅行のシーズンを迎えて、キャンセル料発生の場合は保護者負担になるという形になりますと、やっぱり今、授業料の減免を受けている子どもたちも一五%もいる中で、非常に負担になるというふうに思うんです。
 修学旅行をやっぱり楽しみにして、本当に一生懸命積み立てをして、頑張って、やっと払っている、そういう生徒たちがいる中で、保護者負担というのは、やはり検討を要するんじゃないか。東京都がキャンセル料は全額負担するということを行うべきだと思うんですが、その点、伺います。

○森口都立学校教育部長 現在の対応につきましては、先ほど答弁したとおりでございますが、先ほど、各自治体によって対応が違うというお話があったと思うんですが、このインフルエンザに伴う修学旅行のキャンセル料の対応につきましては、学校の設置者である各自治体の判断によることとされておりますので、東京都としてはそういうような対応をとっております。

○畔上委員 文科省もキャンセル料の調査を行って、事務連絡の中でこういうふうにいっているんですね。修学旅行の教育的な意義や児童生徒の心情を考慮し、中止でなく、延期したり、改めて実施するなど、配慮をするようということと、それから、あわせてキャンセル料の自治体負担の奨励などもしているわけです。
 修学旅行は本来、私費負担だということでありますけれども、私は教育の一環という、この位置づけをしっかりと持って、東京都が出して当然だというふうに思います。そういう点では、ぜひ前向きなご検討をいただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

○馬場委員 私もインフルエンザの対策について少し情報が入ったりしているものですから、質疑というより、要望も含めてお話しさせていただきたいというふうに思います。
 まず、今回の感染で学校側、それから、私がいただいた資料でも文部科学大臣からの、九月一日付のメッセージも含めてですが、まず子どもたちに手洗い、それからうがいということを奨励なさっているわけですが、心配しているのは、外から帰ったらというふうな指示なんですが、じゃ、学校に行ったり、学校にいる間はどうなんだろうか。学校の施設、今の学校の教育現場で手洗いや子どもたちの数等を考えて、手洗い、うがい、また衛生面での多くの子どもたちが使うような手洗い場の設備というのがされているのだろうかということがちょっと心配になりました。
 それで、学校の状況、生徒数とか学校の規模で、こうした手洗いや流し場の設置がどんなふうになされているのかというふうにお尋ねしたところ、そういう適当な数をつくるということで、特別の規定はありませんというようなことでございました。
 今、子どもたちの、そういう意味では学校の中における生活クオリティー、食事をしたりいろいろ、一日学校にいるわけですから、その間の勉強のほかの生活一般をするという生活の場として考えたときに、今回のこのインフルエンザの問題も含めて、子どもたちの生活をしっかり守るような現場の形になっているのだろうかと。どのぐらい学校で洗い場等の設置がされているのかというふうにお聞きしたいと思ったんですが、そういう数字はお持ちでないということですので、まず今後、学校の施設の中でのクオリティーをしっかり衛生環境、子どもたちがみずから生活をしっかり自分たちで見ていくということも含めて、ぜひとも環境に配慮したそういう設備をしていただきたいというふうに思いました。
 それから、この指示の中の二つ目が、せきや熱が出るなど、かぜやインフルエンザにかかったかなと思ったら、すぐにお医者さんに行ってくださいというのがあります。子どもたちへのメッセージですね。
 それから、保護者や学校の教職員の皆さんへというところにも、子どもたちにかぜやインフルエンザの疑いがあるときは、すぐに医師にかかるように指導してくださいというような文科大臣のメッセージがあります。
 先ほどの畔上さんの質問にもありましたが、家庭内での検温を勧めていることもありますが、学校でも朝、子どもたちの検温をしているやに伺っております。私が確認させていただいたときは、三十八度の熱があったら自宅へと、保護者に連絡をしてということだったんですが、先ほどの質問の中に三十七度でということがありましたので、質問するつもりではなかったのですが、朝というか、学校側の対応について、三十七度、三十八度、どんな状況だったら帰宅をするのかというようなことをもしお答えいただけたら、申しわけありませんがお願いいたします。

○森口都立学校教育部長 基準というのはちょっとまちまちかと思うんですが、現実にほかに感染しているといった場合は、三十七度以下でもその対象としてございます。出席しないようにということで。三十七度、三十八度は、その学校の感染状況によって変えているということでございます。

○馬場委員 そのことも含めてなんですが、先ほど申し上げたインフルエンザかなと思ったらお医者さんにすぐに行ってくださいというような指示も含めて、実はお医者さん側からの、今のところは何とかなっているが、これから流行したときのこういう学校側の対応というのは、大変重症患者さんや窓口、本当に感染している方もいらっしゃる病院なり診療所ですから、そこにわからない子どもたちが行くということ自体、それから時間もかかること自体含めて、ある意味、お医者さんの時間をとってしまうというようなことが危惧をされるというふうにいわれております。
 発熱の有無等で新型インフルエンザの疑いを持つということは、合理的ではないというふうにおっしゃられています。
 教育現場で、心配だから先生も保護者も三十七度、三十八度でお医者さんに行くという心境はとてもよくわかるのですが、そこの辺を今後しっかり指示をしていいのかどうか。いろいろな情報がある中で自分の子どもなり、自分の家族なり、また学校の生徒たちにどういうふうに判断をしたらいいかというのは大変難しい問題だと思いますので、私も質問は避けますが、そういう状況で、私自身、どうしたものだろうかと実は思っているものですから、その点をぜひ、学校の現場でのそうした対応というのは家庭で大きく影響しますので。
 それからもう一つは、病院とお医者さんに大変大きな負担をかける可能性が今後も含めてあるということですので、その辺の注意というか、その辺を配慮しながら、今後の指導に当たっていただきたいというふうに思っております。
 それからもう一つは、先ほども出ましたが、発生をして、何人以上だったら学級閉鎖、そういう措置は了解をしています。しかし、先ほどの公明党の遠藤委員さんのご指摘のように、大流行するときというのは、やっぱりなるべく予兆を早くつかまえることと。さっきの質問と、自分で質問していても難しいなというふうに改めて思っているんですが、一人でも感染した可能性のある人がいたら、全然関係ないところで一人ぽっつりそういう人があらわれたら、そのところには大きな感染の可能性があるというふうにお医者さんがおっしゃっておられます。そういうことも含めて、ぜひとも最大の注意といったらいいんでしょうかね、できる限りの対応をするしかないとは思っておりますが、そういうこともいわれておりますので、お願いを申し上げます。
 それから、ワクチンのお話は出ませんでしたが、予防接種というようなところで、これもどうしていくかというようなこと、今後出てくるというふうに思います。それで、こうしたことも一般のお医者さんなり、病院なりで予防接種という話になると、これもまた大変込み合って困るのではないかというふうにいわれております。
 そうしたことも含めて、何らか学校等でのそういう対応のときも、しっかり保健所なり、地域の教育委員会等も含めて検討しながら、万全の対策をしていただきたいということを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○大西委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時五十一分散会

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