文教委員会速記録第八号

平成二十一年五月二十九日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時十九分開議
 出席委員 十四名
委員長大山とも子君
副委員長服部ゆくお君
副委員長大西さとる君
理事伊藤 興一君
理事吉原  修君
理事今村 るか君
遠藤  守君
米沢 正和君
早坂 義弘君
野上ゆきえ君
谷村 孝彦君
古館 和憲君
古賀 俊昭君
初鹿 明博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長影山 竹夫君
理事岩佐 哲男君
総務部長松田 芳和君
都立学校教育部長森口  純君
地域教育支援部長皆川 重次君
指導部長高野 敬三君
人事部長直原  裕君
福利厚生部長秦  正博君
教育政策担当部長石原 清志君
教職員服務・特命担当部長岡崎 義隆君
参事高畑 崇久君
参事中島  毅君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
付託議案の審査(質疑・決定)
・第百三十号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

○大山委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、先ほどの本会議において付託されました教育庁関係の付託議案の審査を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十号議案、学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○伊藤委員 今回提案の学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案は、現下の厳しい経済、また社会情勢の中、民間企業は軒並み夏のボーナスが減額をされたり、支給されない企業も多いということの中から、この条例案が出されたと理解しております。
 都の人事委員会が、地方公務員法第十四条にのっとって、つまり法にのっとり、ルールにのっとり、社会一般の情勢に適応するように臨時の勧告を出し、これを受け今回の給与条例の改正案が出されたものであります。これは、まじめに働く教員にとっては厳しいものでありますけれども、やむを得ない措置であるというふうに考えております。
 しかし、そうはいっても、実際に学校現場で日夜、まじめに子どもたちのために頑張っている教員にとって、期末手当の手取りが減額されるということは、それはそれで大変なことであるというふうに思います。
 そこで、まずお伺いいたしますけれども、学校職員にとりまして大体どれぐらいの手取りが減額されるのか、おおむねの目安を聞かせていただければと思います。

○中島参事 夏季特別給の額は、教員個々の給与月額によって異なるため、各職層別に、いずれも配偶者及び子ども二人を扶養していることを前提条件としたモデルで試算いたしますと、各職層別の暫定的に減額される額は、四十歳の教諭で約九万円、四十歳の主任教諭で約九万六千円、四十五歳の主幹教諭で約十一万三千円、五十歳の副校長で約十二万六千円、五十五歳の校長で約十四万三千円と見込んでおります。

○伊藤委員 ただいま答弁いただきまして、一般教員にとってやっぱりかなりの減額になる金額を伺いました。もちろん、今回の場合も勤務条件にかかわる案件でありますので、職員団体との話し合い、合意のもとで対応されてきたことだと思います。
 職員団体ということでありますけれども、そこでちょっと伺いたいのが、現在の学校現場での職員団体の加入率はどのぐらいになっているのか、お聞かせ願えればと思います。

○中島参事 都内公立学校における教職員の職員団体への加入状況につきましては、平成二十年十月時点で教職員総数六万八千百九十四名に対しまして、加入者数は二万三千二百四十名であり、加入率は三四・一%でございます。

○伊藤委員 ここで私が一番申し上げたいことは、この労使の交渉の中で、要するに職員団体側と労使交渉される中で、組合等に入っていらっしゃる方は、その組合等が発行されるこのチラシ、あるいは説明、こうしたものを受けて、今回の措置のことをよく周知していることだというふうに思います。
 一方、私が心配するのは、今、加入率を聞きましたけれども、三四・一%という平均値でありますけれども、約六割以上の方は組合に入っていないわけでございまして、今回のこの勧告、また条例について、話を突然聞くということであっては、生活の面でも非常に大変な思いをされる、こんなことをちょっと心配するわけでございます。
 むしろ組合に入っていない方々へやっぱりしっかりと説明をしていく、周知をしていく、またその趣旨を理解していただく、こうしたことが大事だというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。

○中島参事 今回の措置の趣旨や内容につきまして、教職員に周知していくことは必要なことであると考えております。そのため、今後、都立学校におきましては学校長に、区市町村立学校におきましては区市町村教育委員会等にそれぞれ条例改正に関する通知を発出することなどにより、学校長を通じて教職員への周知を図ってまいります。

○伊藤委員 職員団体に加入している、またしていないにかかわらず、学校現場の教員に正しい情報を伝えていただきたい、こう思うものでございます。
 また、特に学校の教員の先生方、先生の毎日対応されている児童生徒さんの向こう側には、この厳しい社会情勢、経済情勢の中で、企業等で本当にご苦労されているお父さん、あるいはお母さんがいらっしゃる。そういう家庭の中から学校に通ってきている子どもたちだということを今まで以上に認識をしていただいて、またしっかりと教育現場を守っていただきたい、こう要望させていただきまして、質問を終わります。

○古館委員 それでは、私からも質問いたします。
 人事委員会の勧告を行うに際しましては、あくまでも労使協議で解決を図るべき、これが我が党の一貫した態度であります。今回の場合、労使合意に至ったとはいえ、不当な政治的圧力に屈した人事院、人事委員会勧告を背景に、労使対等とはいえないような交渉結果となっていること、このことを指摘しないわけにはいきません。
 そこでお伺いいたしますけれども、これまで公務員給与決定方式はどういうルールに基づいて行ってきたんでしょうか、お尋ねいたします。

○中島参事 地方公務員法第二十四条第三項により、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならないとされており、また、同条第六項により、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定めることとされております。
 都におきましては、第三者機関である人事委員会が職員の給与に関して、情勢適応の原則の観点も踏まえ、議会と知事に必要な勧告を行っております。都教育委員会は、人事委員会の勧告を尊重しつつ、職員団体と労使協議を行った後、任命権者として知事に給与に関する条例の立案依頼を行い、知事が議会に条例案を提出し、議会の議決により決定されております。

○古館委員 先ほども情勢適応の原則の観点など、このようにいっていますけれども、人事院の臨時的特別調査ですね。これまでのルールが無視されているんです。しかも、人事院の臨時的特別調査というのは五月一日に行ったものでありまして、妥結額も低くて、これから上がっていくことも予想されている、実態を反映していない調査、このようにいわざるを得ません。
 そこで、こうした中で、都人事委員会としてはどういう対応をこれまで図ってきたのか、お尋ねします。

○中島参事 地方公務員法第十四条は、職員の給与が社会一般の情勢に適応するよう、地方公共団体は随時適当な措置を講じなければならず、そのために必要な措置を人事委員会は勧告できると規定しております。
 今回、都人事委員会が行った臨時勧告は、民間の賃金情勢が急激に変動したことを受け、法の要請する情勢適応の観点から、職員給与を民間の実態に速やかに合わせるための措置を行うよう、暫定的に勧告したものでございます。
 都人事委員会では、現在、民間給与の実態について精緻な調査を実施しており、特別給の年間支給月数につきましても、これまでのルールに従い、秋に勧告が出されるものと認識しております。

○古館委員 認識の方は今いわれた当局の認識なんですけれども、何が問題かといいますと、これまでは大体一万を超える事業所、こういうところを対象にしてさまざまな調査をしてきたんですね。ところが、今回、わずか三百四十社しか調査していないんです。
 しかも、都の人事委員会は、人事院の特別調査をそのまま活用して、都内民間企業の具体的な重複実態などを明らかにしないで、夏季一時金を全国動向と同様に減少傾向にあると一方的に推定しているんですね。
 また、こうした勧告を受けて、都議会自民党などの会派も、勧告を実施する措置を講ずるべきだとする談話を発表して、労使交渉に対する介入という形で行われたことは極めて遺憾であります。
 さらに、こうした公務員の一時金の削減を前倒しして行うことは、まだ決着していない中小零細業者の一時金交渉にも影響を与え、都民の消費の低迷と景気悪化の悪循環、こういうものを加速させるものだ、このことを指摘して質問を終わります。

○大山委員長 ほかに発言ありますか。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○古館委員 それでは、学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例について、日本共産党としての意見を述べます。
 東京都人事委員会は、今月十五日、都職員並びに学校職員の夏季一時金の支給を〇・二カ月分凍結をし、一・九カ月に減額するという勧告を行いました。この勧告は、人事院が五月一日に行った国家公務員の夏季一時金について、支給月数二・一五カ月の分のうち〇・二カ月分の支給を一方的に凍結するという勧告と指導に東京都人事委員会が追随したもので、厳しく批判されなければなりません。
 もともと人事院や人事委員会の勧告は、民間の一時金について、前年の冬とその年の夏の支給額を調査し、その結果に基づいて八月に勧告し、その年度の一時金に反映するというものですが、今回の勧告はルールを無視した上で、前倒しで減額するという前代未聞の勧告となっています。
 これまでは、公務員の賃金については、第三者中立機関である人事院、そして人事委員会が一万を超える事業所を対象に、民間企業において実際に支払われた月例給与勧告を行うことによって、労働基本権制約の代償措置を果たしてきたのです。
 しかし、今回の勧告は、わずか三百四十社の対前年増減比の調査結果に基づいて凍結勧告を行ったもので、勧告に求められてきた科学性、正確性、人事院並びに人事委員会がみずから否定したことは厳しく批判されなければなりません。
 しかも重要なことは、公務員の賃金を下げることと連動して、民間の給与もこれらの影響によって押し下げられていくことが考えられ、結局は公務、民間問わず、賃金の抑制が一層進んでいくことにならざるを得なく、このことを指摘しなければなりません。
 我が党は、公務労働者に真の労働基本権を回復させ、公務員制度を改善させていくことに一層の力を尽くしていくことを表明し、賃金確定については、労使合意を基本とした対応をするという立場から賛成します。
 以上です。

○大山委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第百三十号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認めます。よって、第百三十号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○大山委員長 この際、大原教育長から発言を求められておりますので、これを許します。

○大原教育長 本臨時会にご提案申し上げておりました議案につきましてご審議をいただきまして、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご要望等を踏まえまして、これからの事業執行に万全を期してまいりたいと存じます。今後ともご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
 簡単でございますが、お礼のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○大山委員長 発言は終わりました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十四分散会

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