文教委員会速記録第二号

平成二十一年二月十六日(月曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長大山とも子君
副委員長服部ゆくお君
副委員長大西さとる君
理事伊藤 興一君
理事吉原  修君
理事今村 るか君
遠藤  守君
早坂 義弘君
野上ゆきえ君
谷村 孝彦君
村上 英子君
古館 和憲君
古賀 俊昭君
初鹿 明博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長影山 竹夫君
理事岩佐 哲男君
総務部長松田 芳和君
都立学校教育部長森口  純君
地域教育支援部長皆川 重次君
指導部長高野 敬三君
人事部長直原  裕君
福利厚生部長秦  正博君
教育政策担当部長石原 清志君
参事高畑 崇久君
参事中島  毅君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
・平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 教育庁所管分
・東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例
・学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
請願陳情の審査
(1)二〇第一〇四号 希望する子どもたちに寄宿舎教育を保障することに関する請願
(2)二〇第一〇七号 すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願
(3)二〇第一〇九号 すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願
(4)二〇第一一五号 東京都立大泉高等学校敷地内の樹木保護等に関する陳情
(5)二〇第一一七号 故意による違法行為に対する求償に関する請願
(6)二〇第一一八号 違法行為を教唆扇動した都議に謝罪を求める決議に関する請願

○大山委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 傍聴人の人数についてお諮りいたします。
 本委員会の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○大山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○大原教育長 平成二十一年第一回都議会定例会に提案を予定しております議案の概要につきましてご説明申し上げます。
 ご審議いただきます教育庁関係の案件は、平成二十一年度教育庁所管予算案一件、平成二十年度教育庁所管補正予算案一件、条例案六件でございます。
 初めに、平成二十一年度教育庁所管予算案についてご説明いたします。
 都教育委員会では、時代の変化に主体的に対応し、日本の未来を担う人間を育成する教育がますます重要となるとの認識のもとに、教育目標を定め、子どもたちが知性、感性、道徳心や体力をはぐくみ、人間性豊かに成長することを目指して、具体的な施策を進めているところであります。
 平成二十一年度におきましては、平成二十年五月に策定いたしました東京都教育ビジョン(第二次)に掲げた施策を着実に推進するとともに、社会情勢の急激な変化によりもたらされる新たな課題に対しても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 それでは、お手元の資料、平成二十一年度教育庁所管予算説明書をごらんいただきたいと存じます。
 二ページをお開きください。平成二十一年度教育庁所管予算の総括表でございます。
 最上段にございますように、歳出予算額は七千七百七十五億八千八百万円で、前年度に比べ百三十二億八千七百万円、一・七%の減となっております。
 また、歳入予算額は千六百七十四億二千五百万余円でございまして、前年度に比べ百四十二億二千二百万余円の増でございます。
 平成二十一年度の東京都の予算は、日本経済が危機に直面する中にあって、短期、中長期両面から、都政が今日なすべき役割を確実に果たすことによって、都民へ安心をもたらし、希望を指し示す予算と位置づけられております。
 都教育委員会といたしましても、内部努力と事務事業の見直しを進める一方、直面するさまざまな課題を解決するために教育施策の充実を図ることといたしまして、学習のつまずきを防ぐ指導基準である東京ミニマムを活用するなど、児童生徒の確かな学力の定着と伸長、中学生東京駅伝や体育授業充実のための非常勤講師措置など、スポーツ教育の推進、環境教育(CO2削減)推進事業、教育人材バンク事業、インターネット、携帯ネットの適正利用の啓発、指導など、積極的な予算確保に努めたところでございます。
 都教育委員会は、これらの事業を着実に推進し、都民の教育への期待にこたえてまいる所存でございます。
 続きまして、平成二十年度教育庁所管補正予算案についてでございます。給与関係費につきましての減額補正を行うものでございます。
 次に、条例案でございますが、東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例外五件でございます。
 以上が平成二十一年第一回都議会定例会に提案を予定しております教育庁関係の案件でございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。

○松田総務部長 初めに、平成二十一年度教育庁所管予算案についてご説明いたします。
 お手元資料の平成二十一年度教育庁所管予算説明書をごらん願います。
 まず、表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと存じます。
 教育庁所管予算につきまして、教育委員会及び事務局の運営以下、九つの項目に分けてお示しするとともに、債務負担行為をお示ししてございます。
 それでは、二ページをお開き願います。教育庁所管予算の総括表でございますが、歳出予算及び歳入予算の総額等につきましては、ただいま教育長からご説明申し上げましたので、次の三ページから、歳出予算につきまして、主要な事業を中心にご説明させていただきます。
 1、教育委員会及び事務局の運営に要する経費でございます。
 歳出計は、上から三行目になりますが、二百七十一億五千五百万円でございます。
 経費の内容は、三ページから一二ページにかけて記載してございますが、九ページをお開き願います。
 概要欄の1、(3)新型インフルエンザ対策ですが、発生時に迅速かつ適切な行動がとれるようにするため、区市町村教育委員会及び公立学校参加による図上訓練を実施するとともに、学校における流行拡大を防止するため、都立学校に体温計やマスクなどを整備する経費を計上しております。
 一三ページをお開き願います。2、小中学校の運営に要する経費でございます。
 歳出計は、三行目になりますが、四千三百十四億九千二百万円でございます。また、下から二行目に、特定財源といたしまして、国庫支出金である義務教育教職員給与金など一千百二十一億九百万余円を見込んでございます。
 一四ページをお開き願います。(1)小学校の運営でございます。
 概要欄をごらんください。小学校の規模は、学校数千三百十四校、児童数五十六万三千二十一人、教職員定数三万百七十九人でございます。
 経費の内容ですが、一五ページをお開き願います。
 概要欄の2、(5)スポーツ教育の推進ですが、スポーツ教育推進校に指定された小中学校の体育の授業を充実するため、非常勤講師を配置する経費を計上してございます。
 一六ページをお開き願います。(2)中学校の運営でございます。
 概要欄をごらんください。中学校の規模ですが、区市町村立中学校数は、本校、分校合わせまして六百二十五校で、うち一校には通信教育を併設してございます。生徒数は、本校、分校が二十二万五千百五十人、通信教育が百六十人でございます。
 その下にお示ししてございます都立中高一貫教育校は六校で、生徒数は二千三百六十人でございます。
 中学校の教職員定数は、次の一七ページに記載してございます。区市町村立、都立を合わせまして一万四千九百九十九人でございます。
 経費の内容は、一八ページから二〇ページにかけて記載してございますが、教員、事務職員等の人件費、都立中高一貫教育校の入学検査に要する経費などでございます。
 二一ページをお開き願います。3、高等学校の運営に要する経費でございます。
 歳出計は、上から三行目になりますけれども、一千三百二十二億七千八百万円でございます。
 概要欄をごらんください。学校数は、全日制が百七十八校、定時制は七十二校、通信制は三校でございます。生徒定員は、全日制が十二万二千二百五十人、定時制は一万八千七百二十人、通信制は二千八十人でございます。
 次の二二ページをお開き願います。教職員定数は一万一千三百九十三人でございます。
 経費の内容は、二三ページから二六ページにかけて記載してございますが、二五ページをお開き願います。
 概要欄の(11)都立学校ICT計画ですが、全都立高校の校内LAN整備、教員への端末配備などに要する経費を計上してございます。
 二七ページをお開き願います。4、特別支援学校の運営に要する経費でございます。
 歳出計は、上から三行目になりますが、六百十五億五千万円でございます。
 概要欄をごらんください。1の都立特別支援学校は、学校数が五十四校一分校、幼児、児童生徒数は九千九百三十五人でございます。その内訳といたしまして、二八ページにかけまして障害種別ごとに規模をお示ししてございます。
 また、2の区立特別支援学校は、下段の表にございますとおり、学校数が五校、児童生徒数は二百五十人でございます。
 教職員定数は、次の二九ページに記載してございますが、都立、区立合計で五千五百二十人でございます。
 経費の内容は、三〇ページから三三ページにかけて記載してございますが、三一ページをお開き願います。
 概要欄(7)には、特別支援学校がセンター的機能としての役割を果たすために必要な経費や、肢体不自由特別支援学校への介助専門家の導入に要する経費等を計上してございます。
 次の三二ページの(9)には、高等学校と同様にICT計画に伴うLAN整備等に必要な経費を計上してございます。
 三四ページをお開き願います。5、教職員の福利厚生に要する経費でございます。
 歳出予算額は、一行目にございますように十九億八千三百万円でございます。
 経費の内容は、公立学校共済組合東京都負担金や、次の三五ページにございます教職員住宅の維持管理及び建設に要する経費等でございます。
 三六ページをお開き願います。6、退職手当及び年金に要する経費でございます。
 歳出予算額は、七百七十六億七千八百万円でございます。
 経費の内容は、公立学校教職員の恩給費や、次の三七ページにございます教育委員会事務局職員及び公立学校教職員の退職手当等に要する経費でございます。
 三八ページをお開き願います。7、教育指導の充実に要する経費でございます。
 歳出計は、上から三行目になりますが、四十九億三千四百万円でございます。
 経費の内容は、三九ページから四五ページにかけて記載してございますが、三九ページをごらんください。
 概要欄の2、登校支援員活用事業では、中学校期に急増する不登校の未然防止に向け、退職教員等を登校支援員として活用し、登校時の家庭訪問や学習のつまずきへの支援等を行ってまいります。
 四〇ページをお開き願います。概要欄の10、スポーツ教育の推進では、児童生徒が積極的に運動やスポーツに親しみ、健康増進及び体力向上を図るとともに、児童生徒の心身の調和的発達を実現するため、スポーツ教育推進校の指定拡大や中学生東京駅伝の実施などに必要な経費を計上してございます。
 四六ページをお開き願います。8、社会教育の振興に要する経費でございます。
 歳出計は、上から三行目になりますが、七十五億二千七百万円でございます。
 経費の内容は、四七ページから五三ページにかけて記載してございますが、五〇ページをお開き願います。
 概要欄の11、乳幼児期からの子供の教育支援プロジェクトでは、乳幼児期からの子どもの発達に関する基礎理論を踏まえた保護者向け教材の配布や、地域で子どもの育ちを支える担い手の養成などに要する経費を計上してございます。
 また、15の教育サポーターの養成では、都立高校の教育活動を支援するため、福祉、環境など四分野についてプログラムを開発し、人材を養成する経費を計上してございます。
 五四ページをお開き願います。9、都立学校等施設整備に要する経費でございます。
 歳出予算額は、一行目にございますように、三百二十九億九千百万円でございます。
 経費の内容につきましては、五五ページから六〇ページにかけて記載してございますが、五五ページをごらんください。
 概要欄の1、新しいタイプの高等学校の建設等として、大田桜台高校外四校の建設等に要する経費、八王子桑志高等学校外七校の改修等に要する経費を計上してございます。
 五六ページをお開き願います。概要欄の2、特別支援学校再編に伴う施設整備として、仮称南多摩地区学園養護学校外十二校の施設整備に要する経費を計上してございます。
 五九ページをお開き願います。概要欄の5、都立学校の環境対策として、校庭の芝生化、太陽光発電設備の設置など、地球環境負荷低減を目的とした事業に係る経費を計上してございます。
 以上で教育庁所管歳出予算に関する説明を終わらせていただきます。
 次に、債務負担行為のⅠについてご説明申し上げます。
 六二ページをお開き願います。都立学校校舎等新改築工事に係る債務負担行為でございます。
 新しいタイプの高等学校の建設や都立学校校舎等の耐震補強につきましては、工期が複数年度にわたるため、概要欄の3、全体計画にお示ししております計三十八校に関し、平成二十二年度から二十六年度までに支出を予定する経費でございます。
 次の六三ページは、給食調理業務の安定的な運用や内容の充実を図るため、平成二十二年度及び二十三年度に支出を予定する経費でございます。
 次の六四ページの教職員住宅賃貸借に係る債務負担行為につきましては、公立学校共済組合との教職員住宅譲渡契約締結に伴う譲渡代金の二十年間にわたる元利金支払いに係る経費でございます。
 六五ページ、六六ページは、既に議決をいただいております債務負担行為を参考として記載してございます。
 以上で平成二十一年度教育庁所管予算案の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、平成二十年度教育庁所管補正予算についてご説明いたします。
 お手元の平成二十年度教育庁所管補正予算説明書をごらんください。
 一ページをお開き願います。歳出予算の補正予算額は、マイナス二百三十九億八千三百万余円でございます。
 二ページをお開き願います。補正予算額の内容でございますが、給与改定などにより、不用額となることが見込まれる給与関係費について減額補正を行うものでございます。
 以上で補正予算案のご説明を終わらせていただきます。
 続きまして、お手元の資料、平成二十一年第一回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案のご説明をさせていただきます。
 目次をお開きいただきます。今回提案を予定しております条例案は六件でございます。
 一ページをお開き願います。東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 市町村立学校職員給与負担法等に基づく給与、旅費等の事務について、新たに瑞穂町、日の出町、奥多摩町、檜原村へ移譲するとともに、学校教育法及び学校給食法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 施行日は、平成二十一年四月一日からとしておりますが、一部の規定につきましては、公布の日からとしております。
 七ページをお開き願います。学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 平成二十一年度における児童生徒数の増減、学校の新設、廃止等に伴い、学校種別ごとに学校職員の定数を改めるものでございます。
 施行日は、平成二十一年四月一日としております。
 九ページをお開き願います。教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 教育職員免許法の改正による教員免許更新制の導入等に伴い、新たに徴する手数料に係る規定を設けるほか、規定を整備するものでございます。
 施行日は、平成二十一年四月一日としております。
 一三ページをお開き願います。学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 学校給食法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 施行日は、平成二十一年四月一日としております。
 一五ページをお開き願います。学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 都立青鳥特別支援学校都市園芸科の廃止に伴い、有害薬品取扱手当の支給対象から削除するため、規定を整備するものでございます。
 施行日は、平成二十一年四月一日としております。
 一七ページをお開き願います。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
 都立高校改革推進計画及び特別支援教育推進計画に基づき、都立高等学校七校を廃止するほか、二校の位置を改めるため、規定を整備するものでございます。
 施行日は、平成二十一年四月一日としております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○大山委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。

○古館委員 それでは、十六点お願いします。
 一つは、小中高教員の都単加算の状況、項目別人数で十一年から二十一年まで。
 二つ目に、男女混合名簿の実施率の推移、平成十一年度以降。
 三番目が、就学援助の認定基準及び援助費目、これは区市町村別。
 四番目が、心身障害学級の設置状況の推移、これは区市町村別、過去五年間。
 五番目が、都立盲・ろう・養護学校スクールバス予算、十一年から二十一年度案。
 六番目が、都道府県別中学校卒業者の全日制高校、高専進学率、十一年から二十年。
 七番目が、都立高校の授業料と減免状況、及び育英資金利用者数の推移、十一年から二十年、全日制と定時制別で。
 八番が、都立高校の募集人数と応募者数、合格者数、これは十一年度から二十年度。
 九番が、各都道府県の主な公立社会体育施設の設置状況について。
 十番目が、学校教職員定数の推移、学校種別、それから十一年から二十一年度で。
 十一番目が、教員の休職者数、学校種別、精神神経系疾患、その他過去五年間で。
 十二番が、養護教諭を国基準で配置した場合と都基準で配置した場合の人数の差。
 十三番目が、都内の特別支援教育支援員の配置状況、区市町村別で。
 十四番目が、高校中退率の変化、十一年から二十年度、全日制、定時制別で。
 十五番目が、三カ月以上授業料を滞納している生徒数の変化、十一年から二十年度で。
 十六番目が、都立学校数と入学者数の推移、校種別、十一年から二十一年度。
 以上です。

○大山委員長 ほかに資料要求ある方ございますか。よろしいですか。--ただいま古館委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○大山委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願二〇第一〇四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高畑参事 請願二〇第一〇四号、希望する子どもたちに寄宿舎教育を保障することに関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、東京都寄宿舎連絡会世話人代表の織田桂さん外二万五千五百六十三人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、希望する子どもたちに寄宿舎教育を保障するため、次のことを実践していただきたいというもので、まず、1、設置を希望したり、新設する特別支援学校には必ず寄宿舎を設置することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、寄宿舎は、通学が困難な児童生徒に宿舎を提供し、就学を保障することを目的として設置しているものでございます。
 都教育委員会は、これまで特別支援学校の設置やスクールバスの整備を図りながら通学困難の解消に努めてきているところでございます。
 さらに、公共交通機関の発達などにより、通学困難を理由とする寄宿舎への入舎が減少しており、東京都特別支援教育推進計画の策定前の平成十五年度における年間宿泊率は三八・八%でございました。このため、東京都特別支援教育推進計画において、計画策定時十一舎あった寄宿舎を五舎にすることとしたものでございます。
 今後も、計画に基づき、特別支援学校の規模と配置の適正化等を推進していくことから、通学困難を理由とする寄宿舎への入舎がますます減少していくと見込まれますので、寄宿舎の規模と配置の適正化を進めてまいります。
 次に、2、江戸川特別支援学校、立川ろう学校の寄宿舎を廃舎しないことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は東京都特別支援教育推進計画に基づき、寄宿舎の規模と配置の適正化を図っているところであり、江戸川特別支援学校と立川ろう学校の寄宿舎は、第二次実施計画において閉舎することとしているものでございます。
 次に、3、平成二十七年度までに現在九舎の寄宿舎を五舎に減らす計画を見直すことでございます。
 これに関する現在の状況につきましては、さきの1でご説明したことと同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に、4、寄宿舎管理運営規則を見直し、家庭事情、教育的理由による入舎を認めることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、寄宿舎の管理運営に関する規則は、昭和三十二年に制定されたものであり、現在とは社会情勢等が異なっていたことから、通学困難のほかに、家庭の事情、教育上入舎による入舎を認めてきた経緯がございます。
 しかし、社会情勢等の変化に伴い、寄宿舎の入舎実態も大きく変化してきたことから、平成十八年度に入舎理由を本来の設置目的である通学困難に限定し、家庭の事情及び教育上入舎を削除したものでございます。
 なお、通学困難には、家族に複数の障害児者がいたり、保護者が長期の病気や家族の介護等の理由により、通学の付き添いが困難な状況が長期で継続的な場合も含まれます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 本件についてご発言願います。

○初鹿委員 それでは、請願二〇第一〇四号について、何点か確認の意味も込めて質問させていただきます。
 この寄宿舎の統廃合の問題については、数年間にわたって議論も重ねられてきましたし、昨年、ちょうど一年前ですね、去年の二月十五日に同趣旨の請願がこの文教委員会で不採択となっておりますので、議会として意思表示を既にしているということで、その決定について、また議論を蒸し返すつもりはありません。
 しかし、このような形でほぼ同じような内容の請願が改めて提出されたり、去年の暮れですか、NHKのニュースでも、どちらかというと寄宿舎の廃舎に批判的な内容の報道がされたりということがあるということは、寄宿舎がなくなってしまうことに対して児童生徒の父兄が不安を持っている、その不安が解消し切れていないということのあかしではないかなと思います。ですから、まず皆さんにお願いしたいのは、こういう関係者の方、父兄の方々の不安が解消できるように、今後もより一層努力をしていただきたいと思います。
 さて、一年前の請願が不採択になったときに、一方でまた、江戸川養護学校の寄宿舎廃舎後に、生活訓練が充実できる生活訓練室整備に関する請願というものが一緒に出されて、そちらの方は趣旨採択になりました。このときの質疑の中で、答弁の中で、特別支援学校の児童生徒に対しては、基本的生活習慣の確立とともに、集団生活のマナーを身につける指導も重要だというお答えをされていると思います。これは当然のことだと思いますが、つまりは、この生活訓練室がこれまで寄宿舎で担ってきた機能を十分に果たせるかどうかということを、父兄の方はまだ心配をされているのではないかなと思うんです。ですから、この辺をはっきりと示していくということがまず必要だと思います。
 そこで、まず最初にお伺いしたいのは、この寄宿舎が廃舎された後に生活訓練室を整備するということですが、ブランクができるようでは困ると思うんです。本来必要とされている生活訓練がきちんと毎年行われるようにならなければならないと思いますので、この江戸川特別支援学校の寄宿舎廃舎後の生活訓練室の整備の状況について、具体的に計画をお聞かせください。

○高畑参事 平成二十二年度末に都立江戸川特別支援学校の寄宿舎を閉舎した後は、同校校舎内に生活訓練室を整備いたします。
 また、平成二十六年度に都立江戸川特別支援学校と都立小岩特別支援学校を再編して新たに開校する江戸川地区特別支援学校(仮称)にも生活訓練室を整備していく予定でございます。

○初鹿委員 今の説明ですと、寄宿舎がなくなった直後は、今の校舎の中に生活訓練室を整備をして、そして、小岩の今の特別支援学校と一緒に整備される今度の新しい支援学校の校舎の中に生活訓練室を整備していって、二十六年度にはそちらの新しい方で活用ができるようにするという、そういうことでよろしいんですね。
 このようにきちんと整備がされるということは安心できることにつながるのだと思いますが、整備をすればいいというものではなくて、内容の充実というものが重要だと思いますので、この生活訓練室の活用の方法や指導内容について充実をしっかりと図っていただいて、父兄の方、関係者の方の不安を解消するようにしていただきたいと思います。
 また、寄宿舎というのは、通学困難な生徒のために限定するというように、これからはしていくということですが、今までは、通学困難だけではなくて、家庭の事情や、また教育上の理由ということで入舎をしてきた経緯があったと思うんです。特に家庭の事情などで入舎をされているということから、父兄の方々は多少レスパイトすることができたり、そういうどちらかというと福祉的な要素を担ってきていたんだと思います。
 教育をつかさどる皆さん方のところが、必ずしも福祉的なところまでやる必要があるのかどうかというのは私も疑問を感じるわけですが、それに代替されるような機能が、各自治体や、また福祉の分野で整っていないということが最大の不安の原因になっていると思いますので、皆さん方、自分たちは教育が所管だからということで、それで後は知らないよという姿勢ではなくて、地元の自治体とか東京都の福祉保健局とか関係局と連携をとって、とにかくお子さんたちが家庭の事情や何らかの事情で教育を受ける機会を失う、損なうようなことがないように、その辺は関係局、関係区にしっかりと働きかけをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では次に、立川ろう学校の寄宿舎の問題について伺います。
 現在寄宿舎が併設されているろう学校は、都内でこの立川ろう学校だけであります。ですから、ここが廃舎されると、寄宿舎のあるろう学校は一つもなくなってしまうわけですね。当初の説明ですと、各障害の種別ごとに一つずつ寄宿舎は残していくという説明をされていたと記憶しているんですね。そのことからすると、父兄の方々や関係者の方々が、聴覚障害のある児童生徒の寄宿舎がなくなってしまうんじゃないかという印象を持たれているんではないかなと思うんです。
 ですから、その辺の説明をもうちょっときちんとしていくことが重要ではないかなと思いますので、改めて確認させていただきますが、平成二十一年度末に立川ろう学校の寄宿舎が廃舎された後、二十二年度以降に聴覚障害の児童生徒が入舎できる寄宿舎があるということを具体的に説明していただけないでしょうか。

○高畑参事 都立立川ろう学校の寄宿舎を閉舎した後は、平成二十二年度から、都立葛飾盲学校の寄宿舎を視覚障害部門と聴覚障害部門の併置型の寄宿舎といたしまして、視覚障害のある児童生徒のほか、聴覚障害のある児童生徒を受け入れてまいります。

○初鹿委員 今後は、立川から葛飾盲学校の寄宿舎の方に移って、聴覚障害の児童生徒はそこの寄宿舎に入舎することになるということですね。
 そこで考えなければならないのは、視覚障害と聴覚障害の障害の特性が全く異なるということだと思います。現在の盲学校の寄宿舎は、視覚障害者用につくられているはずです。となると、聴覚障害者の方々が日常生活する上で必要な設備というのは、今のところ備わっていないんですね。視覚障害者の方の場合は、点字ブロックが必要であったり、私も視察に行って見てきましたが、手すりがあって、トイレの前にはリボンがついていて、そこがちょうど正面が入り口になっているという印がついていたりというような、そういう工夫がされているわけですね、視覚障害者の方には。
 聴覚障害の方には、全くそういうものは必要ないわけですよね。逆に、むしろ聴覚障害の方は、例えばご飯の時間だとか何かの時間なのが一斉にわかるような電光掲示板のようなもので、目で見て知らせるものが必要になってくると思うんです。ですから、障害の特性が全く違うということを考えると、視覚障害者の寄宿舎にこれから聴覚障害者の児童生徒を入れるわけですから、その設備というものもしっかり充実していくことが必要なんだと思うんですね。
 例えば、火事や災害が起こったときに、大体火災報知器がついていると思います。視覚障害の方だと、ブーっと鳴れば音で気づくと思いますけれども、聴覚障害の方は音が鳴っても気づきませんよね。起きている、目が覚めているときだったら、電光掲示板に何か点滅させて合図をすれば気がつくかもしれませんけれども、夜間に寝ているときに火事があったというときに、では、どうするのか。一人ずつ起こすのも大変なんだと思いますね。
 ですから、そういうときに、例えば火災報知器が反応してブザーが鳴るのと同時に、何か別の端末が振動して、例えばまくらの下に入れておいたら気づくような、そういうような設備を整えるとか、聴覚障害者向けの設備を整えていくことが必要だと思いますが、この点についてはどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○高畑参事 聴覚障害のある児童生徒のために必要な設備につきましては、現在、都立葛飾盲学校が都立ろう学校の意見を聞きながら検討を行っているところでございます。
 今後、都教育委員会といたしましては、学校と連携を図りながら必要な設備を整備してまいります。

○初鹿委員 ぜひ十分に設備を整えて、障害の特性が違うということをしっかり考えて準備をしていただければなと思います。
 葛飾盲学校の寄宿舎にこれから入ることになるわけですが、ろう学校と若干距離があるんですよね。普通寄宿舎というのは、学校の敷地内に併設されていたり、離れていても目と鼻の先にあるというのが今までの例だったと思うんです。ところが、今度は歩いて二キロぐらいになるんですか。大人の足で十五分ぐらい。これがお子さんの足だともう少しかかるかな、二十分ぐらいかかるのかなという感じがします。
 現在、立川のろう学校に入舎されている方は、高校生、中学生だということですから、それぐらいの年齢になれば問題はないのかもしれません。しかし、そうはいっても、近道だと住宅街を入っていくようになるんですけれども、今これぐらいの季節だと夜暗いですよね。特に女子生徒をお持ちの親御さんなんかは、今、犯罪も多くなっているわけですから、その辺の心配も出てくると思います。
 また、小学生、今いないんですけれども、これから何年間もずっと同じように、この寄宿舎に聴覚障害の児童生徒を受け入れるということになれば、例えば島しょ地区に住んでいて、どうしても寄宿舎に入れて通わせなければならないというケースが出てくる可能性もあると思うんですね。そうなったときに、小学生のお子さんが二キロぐらい、大体三十分ぐらいかけて歩くことに不安を感じる親御さんも少なからずいるんじゃないかなと思います。
 特に、先ほどもいいましたけれども、昨今の治安状況を考えますと、連れ去りだ、何だというのが本当に毎日のように起こっているわけですから、通学の安全というのも考えなければならないと思うんです。
 最後にお伺いしますが、この通学の安全性の確保について、どのようにお考えになっているのか、お聞かせください。

○高畑参事 都立葛飾盲学校の寄宿舎から都立葛飾ろう学校への通学に関しましては、児童の登下校の経路を検討した上で必要な安全策を講じてまいります。

○初鹿委員 最後に念押しをさせていただきますが、何度もこういう請願が出てくるということは、父兄の皆さん、なくなった後どうなるだろうかと不安なんですよね。ですから、都教委としては、その不安を解消するようにしっかりと今後も説明をしていただくようにお願いして、私からの質問を終わらせていただきます。

○古館委員 それでは、二〇第一〇四号、希望する子どもたちに寄宿舎教育を保障することに関する請願、これについて私の方でもただしたいと思います。
 寄宿舎につきましては、既に昨年度、青鳥養護学校の寄宿舎が廃舎となりました。そして、今年度、八王子養護学校の寄宿舎が八王子盲学校の寄宿舎に統合されてしまいました。さらに今後、第二次実施計画によりまして、寄宿舎を適正な規模に配置する、このような言葉で、唯一のろう学校である立川ろう学校の寄宿舎を二十一年度には、江戸川特別支援学校の寄宿舎、これを二十二年度にそれぞれ廃舎する計画で、当初十一あったものが既に九舎に減らされてしまいました。平成二十七年までには、寄宿舎を五舎にまで減らしていくというのが都の教育委員会の方針であります。
 そこで、寄宿舎をなくさないで、子どもたちに寄宿舎教育を保障してほしい、こういうことで、この間、寄宿舎のお母さん方が私のところにも要請に来てくださいましたが、寄宿舎を何としても存続してほしいということで、障害児を抱えて生活するだけでも大変なのに、新宿駅だとか秋葉原駅で署名を集めて、何と二万五千筆も集めたとのことでありました。お母さん方の熱意に本当に胸が打たれる思いをいたしました。
 こうした活動がマスコミに注目され、NHKニュースでも取り上げられたとのことで、私も拝見しました。教育庁の三浦課長も出演しておりました。テレビでは、江戸川特別支援学校の寄宿舎の様子、特に小学校六年生の女の子の生活を中心に追っておりました。
 このお子さんは脳性麻痺で、自分で歩くことはもちろん、体を自由に動かすことも難しい、そういうお子さんです。母子家庭で、お母さんは病気もあり、寄宿舎に入る前は、お子さんの方は元気でも、我が子をスクールバスの停留所まで送っていけないので学校を休ませた、こういう話もありました。
 宿舎に入る前はお家で泣いてばかりいたとのことでありますが、寄宿舎に入って毎日学校にきちんと通えるし、本当に明るく安定して過ごしているのだなということは、あの映像を通じてお子さんの表情からも一目瞭然でありました。寄宿舎の大切な役割が本当によく伝わってくる感動的なニュースでもあったと思います。
 そこでお尋ねしますけれども、この寄宿舎を報道したNHKニュースを都教委はどのように受けとめていますか、お答えいただきたいと思います。
   〔発言する者あり〕

○大山委員長 私語はやめてください。

○高畑参事 報道内容につきましては承知しておりますが、都教育委員会といたしまして、特に申し上げることはございません。

○古館委員 特に申し上げることはないということですけれども、東京の特別支援学校に通う子どものニュースですから、何らかのコメントがあってもしかるべきかなと思いますけれども、寄宿舎の日常の様子や子どもたちの表情、家庭での生活の様子、お母さんのお話など、ありのままの姿、その思いが凝縮されて映し出された映像でありました。これを見てコメントがないというのは、どういうことなんでしょうか。東京の教育行政をつかさどる教育庁の態度とは私は思えないです。
 私がニュースを見て強く感じたのは、寄宿舎が廃舎されたら、この親子はどうなってしまうんだろうかということでありました。寄宿舎に入る前は、ご自身の病気とお子さんの世話が大変で、連絡帳にはもう限界ですと書いていたお母さん。通学困難での入舎は認めるとはいっても、寄宿舎が廃舎されたら入舎しようがないじゃありませんか。
 そこでお尋ねしますけれども、寄宿舎が廃舎になったら、NHKニュースに出ていたような親子はどうしたらいいんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○高畑参事 今お話しのNHKの報道の中で、若干説明不足のために誤解を生じかねない点もございましたので申し上げますが、インタビューを受けておりました保護者並びにそのお子さんにつきましては、通学困難の定義の中に入りますので、寄宿舎に入舎を継続できるものと考えております。

○古館委員 仮にの話で、例えばここはもう入れなくなってしまう。転校だとか、あるいは福祉的対応だとか、こういうふうに恐らく局は指示するかもしれないですね。転校というんですけれども、肢体不自由障害児にとっては、環境が激変するということだとか、これまで築いてきた人間関係だとか、大人との信頼関係が断ち切られる。だれも知っている人のいない遠くの学校へ行くというのは、障害のない大人が考えるほど簡単なものじゃないんですね。こういうこともやっぱりきちんと考えに入れないといけないんですよ。
 福祉で対応できる現状ではありません。福祉で対応できるというんだったら、この親子だって寄宿舎に入る前に福祉で対応していただいたと思うんですね。だから、こういうような形で実際に寄宿舎がない学校では、お母さんの体調が悪くてスクールバスのバス停に連れていけなくて学校を休ませてしまったというのは、よく聞く話じゃないんですか。恐らく担当者だって聞いていると思いますよ。
 特別支援教育推進計画というのは、特別支援教育を充実させるための計画なんです。これでは、充実どころか後退じゃありませんか。もともとないならばまだしも、現にある、障害児がよりよく学校に通えるための教育条件を切り下げる必要は全くないんじゃありませんか、いかがですか。

○高畑参事 寄宿舎は、通学困難な児童生徒に宿舎を提供し、就学を保障することを目的として設置しているものでございます。
 都教育委員会は、これまで特別支援学校の設置やスクールバスの整備等を図りながら通学困難の解消に努めてまいりました。その結果、通学困難な児童生徒の入舎が減少してきていることから、平成十六年十一月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画におきまして、計画策定時十一舎あった寄宿舎を五舎にすることとしたものであり、都教育委員会としては、計画どおり寄宿舎の配置と規模の適正化を進めてまいります。

○古館委員 本当に冷たい答弁だと思うんです。都教委は、十一あった特別支援学校の寄宿舎、これを順次縮小していくんですよね。撤回して再考する必要が私はある、このように思うんですね。あれだけ、ニュースも含めて、障害を持たれている親御さんも一生懸命になって寄宿舎を存続させてほしいということは、それだけの価値が、意義があるからなんですよ。
 きちんと撤回して再考する必要があると思いますが、いかがですか。

○高畑参事 先ほどもご答弁申し上げましたが、都教育委員会といたしましては、計画どおり寄宿舎の配置と規模の適正化を進めてまいります。

○古館委員 普通だったら、もっとつくりましょうというのが大きな流れでなきゃいけないと思うんだけれども、本来は、寄宿舎はもともと教育的効果ということも非常に重要だったんですよね。
 教育的効果について聞きますけれども、寄宿舎の教育的効果につきましては、寄宿舎を利用しているご家庭の皆さんはもちろんですが、広く実感されて認められているところです。
 寄宿舎の皆さんがさまざまな声を寄せてくださいました。息子さんが都内の盲学校の寄宿舎に入舎している母親のOさん。寄宿舎のおかげで、閉じこもりがちな息子が明るくなって、食べ物の好き嫌いもなくなった。何としても寄宿舎を残してほしいと語っております。
 Sさんの娘さんは、地元の公立小学校に通っていたころは手話をほとんど使えなかった。ところが、寄宿舎の友人と手話で会話する、そういうふうになってからめきめき上達したというんですね。語彙もふえて、表情も豊かになってきたなど、寄宿舎の果たしている役割が子どもたちにとって大きなものがあったということです。寄宿舎の教育効果については、国も認めているんです。
 そこで伺いますが、寄宿舎について文部科学省の報告書、何て書いてあるかというと、二十一世紀の特殊教育の在り方についてで、入舎した障害のある児童生徒等が毎日の生活を営みながら生活のリズムをつくるなど、生活基盤を考え、自立し、社会参加する力を培う重要な場、このように文科省の報告書では指摘をしていることについて、どのように評価されていますか。

○高畑参事 平成十三年一月に二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議から出された二十一世紀の特殊教育の在り方について最終報告にも記述されておりますように、特別支援学校の寄宿舎では、学校における指導と並行して、基本的生活習慣の確立や集団生活のマナーを身につけるなどの指導を行ってまいりましたが、このような指導は、寄宿舎の有無にかかわらず、すべての児童生徒に対して生活指導や宿泊行事等の中で重点的に行っていくものでございます。

○古館委員 それは、余り的を射てないんですよ。なぜかといったら、文科省は何に対していっているかというと、寄宿舎についていっているんです。毎日の生活を営みながら、このようにいって、日常生活が重要だといっているんです。学校での生活指導や宿泊行事は、生活ではないんです。それに生活習慣やマナーだけじゃないんです。
 例えば、日本福祉大学の大泉教授は何といっているかというと、生活を無視、軽視した教育では、人は真に育たない。思春期、青年期の自立への羽ばたきにとって、寄宿舎生活の意義は極めて大切なものです、このように述べているんですね。こうした効果を素直に認めて、請願にもあるとおり、教育入舎も認めて、希望する子どもたちには寄宿舎教育を保障すべきなんですね。(「幾つつくらなきゃいけないんだ」と呼ぶ者あり)せめて復活させればいいんですよ。
 現在廃舎が決まっている江戸川特別支援学校と立川ろう学校の寄宿舎について伺います。
 江戸川特別支援学校には、寄宿舎を廃舎したら生活訓練室を新たに整備することになっていますね。この生活訓練室について、ある都議会議員がラジオ番組で、廃舎になったらすぐ使えるようにしたいというような、あたかも廃舎後すぐに整備されるようなことをいっておりました。
 そこで伺いますが、生活訓練室はいつ完成する予定ですか。
〔「聞いたよ、今」「同じ質問繰り返さないようにしてよ、委員長」と呼び、その他発言する者あり〕

○大山委員長 私語はやめてください。(「大事な質問をしているんだよ」「議事進行」と呼び、その他発言する者あり)速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○大山委員長 速記を再開してください。

○高畑参事 江戸川地区特別支援学校(仮称)に設置する生活訓練室につきましては、今後、基本設計等を検討していく中で完成年度を決定してまいります。

○古館委員 だから、あたかもすぐに整備されるようなっていうことではないんですよ。
 私も先日、課長も一緒でしたけれども、江戸川特別支援学校を訪問したときのお話では、寄宿舎の廃舎は平成二十二年度末だけれども、生活訓練室ができるのは平成二十七年度、五年後ですね。そういうふうにいわれたと思いますが、違うんですか、いかがですか。

○高畑参事 繰り返しの答弁になりますが、生活訓練室につきましては、今後、基本設計等を検討していく中で完成年度を決定していくことになります。

○古館委員 結局、二十二年度末ということが、廃舎はそういうふうにいわれているけれども、生活訓練室というのはまだ五年ぐらい、こういうことだということなんですよね。
 今の厨房を平成二十六年度まで使って、その後、その場所を生活訓練室に改修するというお話でしたから、課長も一緒にいてのお話でしたから、少なくとも直ちに使えるわけではないんですね。私はそういうふうに実感しましたし、それで生活訓練室にかかわる人員配置というのはどのようになるんでしょうか。

○高畑参事 生活訓練室は、生活指導や校内宿泊学習などの教育活動を実施する際に使用する部屋であり、このために人員配置するということはございません。

○古館委員 つまり、寄宿舎はちゃんと人員も配置して、集団生活ができるように保障する。ところが、この生活訓練室にかかわる人員配置と聞いたら、人員配置するということはない。だから、全然人員がいないんですよ、これに対しては。人員配置がないということは、授業を受け持っている先生方が対応するということですから、使えたとしても、やはり宿泊訓練などの年に一回、二回の行事という可能性が高いんですね。先ほどから申し上げているとおり、このままでは寄宿舎とは似て非なるものにしかならないということです。
 また、その都議会議員は、家庭の事情で通学困難な場合は、東部療育センターに入所したり、ショートステイを利用したりして、東部療育センターまでスクールバスを通して通学することもできるというようなことをいっていましたけれども、しかし、東部療育センターは最重度の子しか入れないんです。しかも調べてみたら、入所待機者が平成十八年度末で全都で六百十一人も待機しているんです。ショートステイのベッドも、看護師不足で三分の一程度しか使えない状況になっているんです。東部療育センターがあるから安心という状況ではないんですね。
 生活訓練室とか福祉での対応とかいうが、教育的効果でも、通学困難の対応も、江戸川特別支援学校の寄宿舎を廃舎して現実に全く問題ありません、大丈夫ですといえるような状況にはないということです。
 立川ろう学校についても、なぜ廃舎なのかという声が渦巻いているんですよ。聴覚障害のお子さんは、家庭でも聴覚障害者が自分一人の場合は孤独なんです。話せるのは、手話のできるお母さんだけとか。寄宿舎で手話でたくさんおしゃべりすることが本当に好きだし、大切なんです。立川ろう学校の寄宿舎廃止は、障害種別ごとに一舎残すという都教育委員会の方針にも反する、こういう声にどのようにお答えしますか。

○高畑参事 東京都特別支援教育推進計画におきましては、寄宿舎の規模と配置の適正化を進めていくに当たりまして、各障害部門の寄宿舎を配置すること、複数の障害部門を併置する設置形態を導入することなどを基本的な考え方としております。
 この考え方に基づきまして、都立立川ろう学校の寄宿舎を閉舎した後は、平成二十二年度から、都立葛飾盲学校の寄宿舎を視覚障害部門と聴覚障害部門の併置型の寄宿舎といたしまして、視覚障害のある児童生徒のほか、聴覚障害のある児童生徒を受け入れてまいります。

○古館委員 盲学校とろう学校の併置、はっきりいって、これは廃舎するための詭弁なんですよ。なぜかというと、声が聞こえない聴覚障害の子と手話が見えない視覚障害者の子を一緒にして、お互いどうやって話をするんですか。必要な設備だって、全然違うんです。非現実的とも思えるような場所を用意して、盲学校と併置しましたからろう学校の寄宿舎は残したことになるんです、このようにいわれたって、納得できないんじゃありませんか。
 現在決まっている江戸川特別支援学校と立川ろう学校の寄宿舎の廃止は、撤回すべきであります。私は、都民の人口の中でほんの少ない人数の寄宿舎の皆さんが、障害児を抱えて大変な中、二万五千人もの署名をどんな思いで集めたか。教育を口にする部署であれば、その願い、その重みはしっかり受け取るべきだと私は考えています。そして、二万五千人の署名があるということは、その背景にはもっと多くの寄宿舎を支持する都民がいるんです。その意味をしっかり認識していただきたい。
 そこでお尋ねしますが、寄宿舎は廃止ではなく、今ある寄宿舎をさらに活用していく。そのために、未設置校への拡大、障害の重い子どもを入舎できるよう、寄宿舎の条件整備、さらには教職員の増配置こそ必要だと考えますが、いかがですか。

○高畑参事 寄宿舎は、通学困難な児童生徒に宿舎を提供し、就学を保障することを目的として設置しているものでございます。都教育委員会におきましては、特別支援学校の設置等により、通学困難な児童生徒が減少してきていることを踏まえ、寄宿舎の規模と配置の適正化を進めているところであり、未設置校へ拡大することは考えておりません。
 また、都教育委員会では、寄宿舎の定員に応じて、国のいわゆる義務標準法等で定める基準を踏まえまして、児童生徒数に対応した指導員の配置を行っております。児童生徒の定員が少ない寄宿舎につきましても、最低十二人の指導員を配置するよう基準を定めており、寄宿舎指導員の配置基準を見直すことは考えておりません。

○古館委員 少なくとも今ある寄宿舎の廃舎は行わず、教育的価値を認め、活用していくことは、これを強く要望して採択を主張しておきます。
 以上です。

○今村委員 それでは、私からも質疑をさせていただきたいというふうに思います。
   〔発言する者あり〕

○大山委員長 お静かに願います。今、質問者が立っています。

○今村委員 改めて、先ほどの説明にもありましたけれども、確認の意味も含めて幾つか質疑をしてまいりたいと思いますけれども、まず、都立特別支援学校寄宿舎は、いつから、どのような目的で設置をされているのかを伺いたいと思います。

○高畑参事 現在の都立特別支援学校の寄宿舎は、通学が困難な児童生徒に宿舎を提供し、就学を保障することを目的として、昭和三十二年に制定されました寄宿舎の管理運営に関する規則に基づきまして設置しております。

○今村委員 今のご答弁では、都では一九五七年に設置しておりますし、一九七四年には、国の養護学校義務化の五年前になるわけですけれども、希望者全員就学を東京都は実施をしておると思います。この寄宿舎を初め、当時、特に養護学校義務化の前になりますけれども、就学免除が多かった時代に、教育を受ける権利を保障する、こういった東京都の取り組みというものは、この寄宿舎においても大変大きな意義があったのではないかというふうに考えておりますし、確認したいと思います。
 そこで、次の質疑に移りますけれども、特別支援学校の定員というもの、今は決められておりますけれども、この基準というものがはっきりしないというふうにお伺いをしておりますけれども、現在の都立特別支援学校寄宿舎の定員の推移と、そして入舎児童生徒数の推移についてお答えいただきたいと思います。

○高畑参事 東京都特別支援教育推進計画策定時の平成十六年度は、寄宿舎数十一舎、定員四百二十九人、入舎児童生徒数二百六十二人。都立青鳥特別支援学校の寄宿舎が閉舎した後の平成十九年度は、寄宿舎数十舎、定員三百九十四人、入舎児童生徒数二百三十三人。都立八王子特別支援学校の寄宿舎が閉舎し、都立八王子盲学校の寄宿舎に統合した後の平成二十年度は、寄宿舎数九舎、定員三百九十四人、入舎児童生徒数二百二人と推移しております。
 なお、平成二十年度の入舎児童生徒のうち、半数以上が週に三日以内の宿泊となっております。

○今村委員 やはり定員の基準というものはお答えもないようでありますし、はっきりしないようでありますけれども、廃舎の数を抜きますと定員がほぼ変わらない状況で、児童生徒数の減少だけをとらえて稼働率であらわしますと、それが低下しているということであると思いますけれども、こうした数字だけを見ると、今ある寄宿舎、制度としての寄宿舎を使っている保護者の皆さんからすれば、なぜ私たちのときにこういった廃舎が行われるのか、統廃合が行われるのかというふうに思われるのは、ごく普通ではないかと思います。
 そこで、もう少し現在の寄宿舎の状況を確認するために、都立特別支援学校寄宿舎定員に対し、寄宿舎指導員の配置基準と現職員数及び指導員の総人件費について伺います。

○直原人事部長 都立特別支援学校における寄宿舎指導員についてでございますが、肢体不自由特別支援学校では、寄宿舎の定員に応じて児童生徒三人に一人の割合で指導員を配置し、肢体不自由以外の特別支援学校では、児童生徒五人に一人の割合で指導員を配置しております。また、児童生徒の定員が少ない寄宿舎についても、最低十二人の指導員を配置するよう基準を定めているところです。
 現職員数についてですが、平成二十年四月現在、九つある寄宿舎全体で百二十八人の指導員を配置しており、その人件費は、平均年齢をモデルに試算しますと、年間約十億四千万円となります。

○今村委員 国の基準が児童生徒五人に対して一人の配置基準ということですと、東京都は肢体不自由児童生徒の寄宿舎には単独で加算しているということだと思いますし、さらに、おおむねですけれども、十億四千万円の予算で寄宿舎に通う障害児童生徒の教育を受ける権利を保障しているということにもなると思いますが、この点は大いに評価したいと思います。
 先ほどの定員の定めについても、指導員の最低人数だけは十二名を確保するということはわかりました。この寄宿舎での生活というもの自身に教育的意義があることは、十分理解するものでありますけれども、真に学校教育として、またこれから社会に巣立っていく児童生徒のその先のことも含めまして、社会の中でしっかりと生きていくための教育というものがなされなければいけないと思いますし、それは寄宿舎だけではなくて、通常の教育でもできるのではないかというふうに考えます。
 そこで、東京都立特別支援学校寄宿舎の現在の管理運営費、これについてお伺いをしたいと思います。

○高畑参事 平成二十年度の寄宿舎の管理運営費は、九舎合計で一億四千八百五十二万七千円となっております。

○今村委員 今のご答弁からわかるように、教育というのは、一番大切なのは子どもたちにいかに教育するかということでありますから、管理運営費というものよりも、やはり指導員など人件費が大変かかるということでありますけれども、これは決して多い少ないの議論ではなくて、十分に子どもたちには予算をかけるべきだというふうに私は思っております。
 そこで、もう一度、これまでの寄宿舎設置の意義と、それを踏まえた総括をどのようにされて、この第一次計画や第二次計画に反映されてきたのかをお伺いしたいと思います。

○高畑参事 寄宿舎の管理運営に関する規則が制定された昭和三十二年当時は、家庭を取り巻く状況等を勘案し、通学困難のほかに、家庭の事情及び教育的理由による入舎を認め、生活指導などにおきまして一定の役割を果たしてまいりました。
 しかし、生活指導などは、寄宿舎設置の有無にかかわらず、特別支援学校におきましては重要な指導内容であり、必ずしも寄宿舎で行われなければならないものではございません。
 これに加えまして、社会情勢等の変化に伴い、寄宿舎の年間平均宿泊率が低下してきたことから、東京都教育委員会は、平成十六年十一月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画におきまして、十一舎あった寄宿舎を段階的に五舎にすることとしたものでございます。

○今村委員 今回の寄宿舎の問題などは、二〇〇四年十一月策定の東京都特別支援教育推進計画に位置づけ化をされておりますけれども、そのもととなる二〇〇三年十二月のこれからの東京都の特別支援教育の在り方について最終報告の初めの項に次のように書かれています。
 一九九四年六月に発表されたサラマンカ宣言では、障害のある子どもを含むすべての子どもたちが教育を受ける権利を有しており、その一人一人の特性や関心、能力及び教育ニーズを考慮して教育計画が立案され、実施されるべきであるとして、すべての子どもたちの教育を受ける権利と教育ニーズに対するアプローチの改善の方向が確認された。
 このサラマンカ宣言は、インクルージョンのことを示しているということでありますけれども、東京都内でも養護学校義務化以前から一部ではインテグレーション、統合教育の実践が行われ、都もその取り組みを進めてきたのは承知しております。インクルージョンやインクルーシブエデュケーションの考え方、取り組み方が、この推進計画に出てこないのは私は疑問であります。
 先ほどの質疑でも明らかなように、教育の権利保障のために寄宿舎にかけている予算を減らすことなく、その予算を通学や学校での教育に対する支援など、インクルージョンの考え方に充てることも必要ではないでしょうか。私は、どの子も地域の学校にと願うものですけれども、特別支援学校に通い、寄宿舎を利用されている保護者の皆さんとの十分な話し合いを今後していただくよう要望するものですけれども、これからの寄宿舎を含む特別支援教育のあり方について、国がこうしたインクルージョンの考え方を示さないならば、東京都が今までも率先してきたように、こうした議論をされることを要望して終わりたいと思います。

○大山委員長 ほかに発言ございますか。よろしいですか。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○大山委員長 起立少数と認めます。よって、請願二〇第一〇四号は不採択と決定いたしました。

○大山委員長 次に、請願二〇第一〇七号、請願二〇第一〇九号及び陳情二〇第一一五号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○森口都立学校教育部長 請願二〇第一〇七号、すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願、請願二〇第一〇九号、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願、陳情二〇第一一五号、東京都立大泉高等学校敷地内の樹木保護等に関する陳情の三件についてご説明申し上げます。
 まず、請願二〇第一〇七号、すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、三多摩高校問題連絡協議会代表、古賀禧子さん外二千六百二十八人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいというもので、教育委員会の所管は、1、2及び4の内容でございます。
 まず1、人格の完成を目指し、どの子も大切にする教育を進めるために、公立の小学校、中学校、高等学校への三十人学級を実施することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会では、教科等の特性に応じて、習熟度別学習集団など、学級とは異なる多様な学習集団が編成できるよう、少人数指導の充実に努め、教育水準の向上を図っているところでございます。
 小中学校におきましては、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級に一定規模が必要であると考えており、学級編制基準は、国の標準である四十人としております。
 また、高等学校におきましては、国の基準により、一学級の生徒数について、定時制課程は昭和四十二年度から、全日制課程は平成五年度から四十人学級を標準としております。
 一方、都におきましては、定時制課程について、昭和四十八年度から都単独で三十人学級にするとともに、全日制課程の職業学科について、平成十二年度から都立高校改革推進計画に基づき、ホームルーム定員の三十五人化を計画的に導入してきておりますが、全日制課程のすべての学科について三十学級とすることは考えておりません。
 次に、2、高校進学希望者が全員入学できるように就学計画を立てることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都内全日制高等学校の就学計画は、私学関係者とで構成する公私連絡協議会における協議を経て策定しております。
 この就学計画では、都内の公立中学校卒業予定者の全日制高等学校進学希望率を上回る九六%を計画進学率とし、都立高等学校と私立高等学校の受け入れ割合を定め、各年度の生徒受け入れ分担数を決定しているところでございます。
 これに基づきまして、公私ともに募集を行っており、全日制課程進学希望者に対し、必要な募集人員を確保しております。
 次に、4、障害のある子どもたちに行き届いた教育ができるよう、学校、学級、教職員の数をふやすなど、教育条件の改善を早急に行うことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は、児童生徒の実態を踏まえ、東京都特別支援教育推進計画第一次実施計画及び第二次実施計画に基づき、知的障害特別支援学校十三校で普通教室の増築、永福学園を初め知的障害特別支援学校十校の新設、知的障害が軽い生徒を対象とした特別支援学校四校の高等部に併置する形での肢体不自由教育部門の新設など、特別支援学校の規模と配置の適正化に努めているところでございます。
 また、区市町村立学校における特別支援学級の設置運営につきましては、設置者である区市町村の教育委員会が行っております。
 なお、特別支援学校及び特別支援学級の教職員につきましては、国の基準を踏まえつつ、学級数等に応じて必要な定数を措置しているところでございます。
 次に、請願二〇第一〇九号、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、東京私立学校教職員組合連合気付、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会代表、丸木政臣さん外八十六万九千五百六十五人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めるために、次のことを実現していただきたいというもので、教育委員会の所管は、1の(6)、(7)、(9)及び2以下の内容でございます。
 まず、1、経済的な格差によって子どもたちの進路選択が狭められることのないように、学費負担軽減をするため、次のことを行うことといたしまして、(6)義務教育段階での教育に係る経費は完全無償化とすることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、義務教育にかかわる費用のうち、公費で負担すべきものにつきましては、既に無償化されているところでございます。
 なお、修学旅行費、学用品費などは保護者の負担となっておりますが、こうした費用等につきましても、経済的理由により負担が困難な児童生徒の保護者に対して、区市町村教育委員会が必要な援助を行っているところでございます。
 次に、(7)授業料減免制度を拡充することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都立学校の授業料、入学料の納付が困難な生徒の就学を援助するために、生活保護受給世帯及び同程度の世帯につきましては全額免除、生活保護受給世帯に準じる世帯につきましては二分の一に減額する制度を導入しており、今後も制度の周知を図ってまいります。
 次に、(9)都立高校の授業料の値上げをしないことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都立高校の授業料につきましては、国が示す地方交付税算定基準及び他の道府県の動向等を考慮し、受益者負担の適正化を図った上で改定を行うこととしております。
 次に、2、どの子にも行き届いた教育が保障され、基礎的な学力が身につくようにするため、次のことを行うことといたしまして、(1)都以外の道府県では何らかの形で少人数学級が実現しているので、都においても、公立の小学校、中学校及び高等学校の三十人学級(ただし、高校専門学科は二十五人、定時制は二十人)を早期に実現すること、及び(2)公立学校の教職員の数をふやすことでございます。
 これにつきましては、さきの請願二〇第一〇七号の1でご説明したことと同様でございますので、説明を省略させていただきます。
 なお、学級定員を高校専門学科二十五人、定時制二十人とすることは考えておりません。
 次に、(3)学習指導要領の押しつけをやめて、各学校での創意工夫が生かされるようにするなど早期に見直しをすることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、学習指導要領は、学校教育法の委任を受けて定められた学校教育法施行規則の規定に基づき文部科学大臣が公示している教育課程の基準であり、各学校におきましては、学習指導要領に基づき教育課程を編成するものとされております。
 現行の学習指導要領は、学校週五日制のもと、各学校がゆとりの中で創意工夫を生かした特色ある教育、特色ある学校づくりを展開し、児童生徒に学習指導要領の示す基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせることはもとより、みずから課題を見つけ、みずから考え、主体的に判断し、問題を解決する力を身につけるなどの生きる力を育てることを基本的なねらいとしております。
 次に、(4)老朽校舎の改築、特に耐震診断、耐震補強を早急に行うことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、区市町村立学校の施設につきましては、設置者である区市町村が国の補助制度を活用して整備を行っているところでございますが、校舎等の耐震化事業につきましては、その緊急性及び重要性にかんがみ、平成二十四年度末までに耐震化を完了することを目指し、一般財源の補助や国庫補助額と契約額の単価差補助の財政支援、技術(建築)職員のあっせんや雇用経費の補助等の人的支援など、都独自の支援事業を実施しているところでございます。
 また、都立学校の老朽校舎の改築や大規模改修に当たりましては、新たなタイプの学校設置、既存建物の建築年数、建物及び附帯設備等の老朽度合いを基本としつつ、今後変動が予想される高校や特別支援学校における児童生徒数の推移、環境負荷、都市整備の動向等を総合的に勘案し、個別の学校を決定し、計画的に整備を進めてまいります。
 都教育委員会では、これまで計画的に耐震化のための整備を行ってまいりましたが、東京都耐震改修促進計画の策定に伴い、部室棟を含め、常時生徒が利用する棟につきましては、平成二十二年度末までに耐震化が完了するよう整備を進めております。
 次に、3、障害児学級の教育条件を改善するため、次のことを行うことといたしまして、(1)児童生徒増に伴う教室不足や大規模校化を解消するため、障害児学校や障害児学級をふやすとともに、寄宿舎をなくさないことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、平成十六年十一月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画に基づき施策を推進し、教育諸条件の改善を図っているところでございます。
 なお、本件の前段にございます児童生徒増に伴う教室不足や大規模校化を解消するため、障害児学校や障害児学級をふやすことにつきましては、さきの請願二〇第一〇七号の4でご説明したことと同様でございますので、説明を省略させていただきます。
 また、後段の寄宿舎をなくさないことにつきましても、さきに採決をいただきました請願二〇第一〇四号の1でご説明したことと同様でございますので、説明を省略させていただきます。
 次に、(2)障害の重い子どもたちに豊かな教育を保障するため、教員をふやすことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、重度重複学級も含め、特別支援学校及び特別支援学級の教員につきましては、国の基準を踏まえつつ、学級数等に応じて必要な定数を措置しているところでございます。
 次に、(3)通常学級に在籍する特別な手だてを必要とする子どもたちのための教育条件を整備することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒への対応につきましては、都教育委員会として、教員の資質向上のための研修等に努めるとともに、特別支援学校のセンター機能の発揮などにより、各学校への支援を図っているところでございます。
 次に、陳情二〇第一一五号、東京都立大泉高等学校敷地内の樹木保護等に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、大泉高校の桜並木を守る会代表、関馨さん外三千七百四十九人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいといたしまして、まず、1、練馬地区中高一貫六年制学校開設工事について、早急に地域住民及び学校関係者等を対象とする説明会を開催することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)は、平成十四年に策定いたしました都立高校改革推進計画、新たな実施計画に基づき、平成二十二年度に開校する予定でございます。
 その施設整備計画といたしましては、二十年度に基本設計、二十一年度に実施設計、二十二年度に工事着工を予定しており、平成二十年十月三日に基本設計に着手したところでございます。
 練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)の概要につきましては、近隣住民の方などを対象とした説明会を本年一月二十二日に実施し、練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)の教育目標や理念など、新たな学校が目指す教育内容や、それを実現するために必要な施設整備の考え方などについて説明させていただきました。
 今後、設計作業を進めていく中で、改めて建築計画説明会を開催するとともに、工事着手前には工事説明会を開催することとしております。
 次に、2、都立大泉高等学校敷地内の樹木を現況のまま保存することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都におきましては、緑の東京十年プロジェクトにおきまして、緑あふれる東京の再生を目指した施策を展開しているところであり、緑化の推進や芝生化などについて全庁的な取り組みを実施しているところでございます。
 都教育委員会は、練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)の施設整備におきましても、校門から玄関までのアプローチの桜を含む並木など、可能な限り既存樹木の保存に努めるとともに、校舎等の建物の一体的整備を行うことにより、一層の緑化推進を目指していく予定でございます。
 なお、既に枯木化した樹木や、老木化により樹勢の衰えた樹木及び区の指導要綱に伴う道路拡幅部分に当たる樹木につきましては、緑の再生や世代交代の観点から計画的な補植を行うなど、周辺環境に十分配慮していくとともに、一層の緑化推進にも努めてまいります。
 次に、3、練馬地区中高一貫六年制学校の施設は、極力、現在の都立大泉高等学校の施設を活用することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)におきましては、六年間を通じたキャリア教育の実施や、放課後、学習支援ルームに教員が常に待機し、生徒の質問に答えるティーチャー・イン・レディネスなど特色ある教育活動を行うとともに、中高一貫教育校ならではの学年を超えた交流活動を行っていく予定でございます。
 そのためには、多目的室や学習支援ルームなど新たな教室を整備する必要があり、大泉高校の既存施設の活用を前提といたしますと、これらに要するスペースが不足するため、校舎の増築が必要でございます。
 また、大泉高校は、既に建築後、四十五年以上経過し、老朽化が進んでいるため、大規模な改修が必要でございます。
 一方、この校舎は、これまで増築を重ねており、増築や大規模改修に当たりましては、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づくバリアフリー化への対応も必要となります。
 また、平成十九年六月施行の建築基準法の改正により、構造上、既存建物と増築建物との接続が困難になるなど、施設整備上、大きな制約を受けることになりました。
 これらの状況や建物としての残存寿命を総合的に勘案いたしますと、練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)につきましては、全体的な改築が必要であると判断いたしました。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 本件についてご発言願います。

○野上委員 陳情二〇第一一五号について幾つか伺わせていただきたいと思います。
 この時期、三月とか四月になると、議員の皆さんもそうですが、お子さんを持っている方々は、公立の高校あるいは中学校、小学校の入学式、卒業式に出向くことが多くなると思います。式典には、多くの保護者、町内会の方、あるいは育成委員の方、歴代校長、そして同窓会の代表の方々、ありとあらゆる、その学校にかかわっていらっしゃる方々が出席されています。
 その場所に私も時々出席させていただいていますが、お話を伺っていると、ご自分たちがかかわっている学校について非常に愛着を持っているし、学校の発展について日々取り組まれていらっしゃる方たちなんだなというふうにお話を伺っているところです。
 学校自体も、生徒たちの学習の環境を整えるということがもちろん一番大切でありますし、教科や、あるいは指導内容の充実というものが非常に求められるところだと思います。しかしながら、一方で、子どもたちの成長、あるいは教科以外の部分で指導を受ける、そういった常に側面から子どもたち、生徒たちを支えて見守り、そして、ともに未来に向けて夢を描く周りの大人たちの活動や姿も大切な学校運営の一つだと私は思っています。
 今回、この陳情一一五号を出された方々は、まさに大泉高校のOBとして、今後、大泉高校のよき伝統、あるいは、ご自分たちが受けてきたすばらしい学習環境を後輩たちに受け継ぎたいということが一点と、あとは、この理由書の一ページにもありましたけれども、かかわっている人たち、ここに書いてありますが、「近隣住民、保護者、卒業生等の関係者は、今後の計画について強い懸念を抱いている」という表現がありますが、まさに学校の運営にかかわっている人たちに対して説明が不足しているのではないか。それは、中止とか計画を見直せというのではなくて、さまざまなかかわり合いの中で、一言も何かお知らせがないのは非常に残念であるというような心情が大きな要素だと私自身は思っています。
 そこで、中高一貫教育校設置の経緯を改めて確認し、そして、都立大泉高校の改築に当たって幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 練馬地区での中高一貫六年制学校は、東京都立大泉高校が改編され、先ほども森口部長が説明されておりましたけれども、平成二十二年四月一日に開校される予定だと伺っております。既に平成二十年の四月に開設準備室が設けられておりますし、その後は、現在の大泉高校の場所に開校するということが決定されております。
 そこで、都立中高一貫教育校の設置の経緯と十校設置を決めた理由について、改めて確認の意味で伺わせてください。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、平成九年六月に出されました中央教育審議会の第二次答申における中高一貫教育の選択的導入を図る旨の提言を踏まえまして、平成九年九月に策定いたしました都立高校改革推進計画の中で、都立の中高一貫教育校の設置について検討することを決定し、中高一貫教育検討委員会を設置いたしました。
 平成十一年四月には学校教育法が改正され、公立の中高一貫教育校の設置が可能となったことから、中高一貫教育検討委員会がまとめました基本構想に基づき、平成十一年十月に策定いたしました都立高校改革推進計画第二次実施計画において、パイロット校を平成十八年度に設置することを決定いたしました。
 その後、平成十三年十月に公表いたしました都立高校に関する都民意識調査では、都立の中高一貫教育校が都全体で十校以上必要との回答が五六%を超え、都立の中高一貫教育校への期待が高いことから、平成十四年十月に策定いたしました都立高校改革推進計画、新たな実施計画において、平成二十二年度までに合計十校の中等教育学校及び併設型中高一貫教育校を設置することを決定した、そういった経過でございます。

○野上委員 それでは、その都立高校に関する都民意識調査で、都立中高一貫教育校を設置する要望が多かったというふうに伺いましたけれども、その調査はどのような方法で行ったのか伺います。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、平成十三年に、都立高校改革推進計画に対する都民の評価及び都民の都立高校に対するニーズ等を把握し、今後の都立高校のあり方について検討する際、参考にすることを目的といたしまして、都立高校に関する都民意識調査を行い、その結果を公表いたしました。
 その中で、中高一貫教育につきましては、中高一貫教育校の必要性や必要理由など、五項目にわたって東京都に在住する方々を対象に調査を行いました。
 なお、調査対象者につきましては、十九歳以上六十歳以下の人二千五百人、高校生五百人、小学校六年生とその保護者一千名、中学校三年生とその保護者一千名の合計五千人であり、調査対象は、ランダムに対象地区を抽出した上で調査員による訪問や、住民基本台帳からの抽出により決定したものでございます。

○野上委員 今、手元に都立高校に関する都民意識調査というのがありますけれども、もとの調査というか、施策を決める重要な調査であると思いますが、その施策を決めるに当たってのデータをきちんと見る必要が実はあると私は思っています。
 現段階で、公立で中高一貫教育校を設置するのがよかったのか、まずかったのかということはもちろんいえませんし、現段階で中止しましょうということも、もちろんそういった意味で申し上げるのではなく、この調査を拝見している限り、東京都の主体性というか、これから東京都の都立高校のあり方をどうしたらいいのかということが非常に見えにくいなと思いました。
 と申しますのは、その施策の基本となった都民の意識調査のアンケートの選択の項目に、非常に誘導的ともとられるような表現の方法で回答を得ている。
 ちょっと読み上げますけれども、例えば選択肢の方法ですが、公立の中高一貫教育校が必要だと思いますかという設問に幾つかの選択肢があるんです。第一番目は、都立高校の半分程度を中高一貫教育校にする。第二に、半分程度の区市町村に設置する。第三に、通学の利便性や地域バランスを考慮して都全体で十校程度配置するというふうにあります。
 幾つかそのほかにもあるんですけれども、わからない、必要ない、無回答というような、いろいろありますけれども、この三番目に当たる都全体で十校程度配置するという選択肢というか項目がありますが、これだけ、選択をする場所に、描写的というか、通学の利便性や地域バランスを考慮して十校配置するというような選択肢のあり方があるので、これについては、都民の意識調査、もちろん教育庁でやっていらっしゃるのだと思いますし、今後も継続して意識調査をされると思いますけれども、正確に施策に反映させるためのデータをとるときは、その辺の選択肢のあり方というのも非常に重要だと思いますので、気をつけてデータの扱いをしていただきたいと思います、意識調査についてもそうですけれども。読み方次第によっては、都民全体の利益にかかわることなので、施策に反映させる調査については非常に気をつけていただきたいと考えております。
 中高一貫教育を導入したということは、公立の学校にとって、都教委にとっては非常にチャレンジングな一つの事業だと私は思っています。というのも、私立学校は、建学の理念を共有したい、また、少子化の時代の中で生徒を確保したいということから中高一貫教育を進めているところが多く見受けられます。
 しかしながら、皆さんご存じのとおり、子どもたちというのは、小学校で伸びる場合もあるし、中学校で飛躍的に成績が上がる場合もあるし、高校になって大学を控えて成績が上がる人もいるし、そういった多くの成長機会が非常にあると私は考えています。つまり、成長過程にある子どもにとって、中学校の入学の段階での成績や能力が固定されないということが非常に重要だと思っています。常に生徒自身が新しいことにチャレンジする、あるいは成績を伸ばすための何か機会が与えられる、学校現場ではそういったことが多く必要になると思います。
 大手学習塾でも、習熟度別クラスを十クラス以上段階的に持つことによって、よりきめ細やかな生徒指導と進学者の増加を図っておりますので、公立学校において中高一貫学校を導入するということは、それだけ手厚い教育の指導が必要になりますし、ある一定のレベルを保つことというのは今まで以上に非常に厳しいものだと私は考えています。
 先日、都議会の同僚の議員が中高一貫校の視察をしてきました。教員の方々は夜遅くまで生徒指導に追われているという状況です。極端にいえば、非組合員でなければ中高一貫校の先生にはなれないんじゃないかというぐらい非常に熱心にやっていらっしゃる。教職員の配置等も非常にこれから問題になってくるのではないかということが懸念されています。
 今の段階で中高一貫校の設置後の成果と検証及び課題というものを問うということは非常に時期尚早であるとは思いますけれども、だれにも平等に教育の機会を与える公教育の役割というものを保てるように、そして、レベルもある一定の水準で保てるように、私自身も経過をちょっと見続けたいと思います。
 そこで、改めて、都立中高一貫教育校の設置のねらいと、この練馬地区中高一貫教育校で行う教育の概要について伺います。

○森口都立学校教育部長 都立の中高一貫教育校は、六年間の一貫した教養教育を行うことで総合的な学力を培い、生徒一人一人が持つさまざまな個性や創造性を伸ばすとともに、倫理観、使命感、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーを育てる教育を行い、社会のさまざまな分野でリーダーとなる人材を育成することをねらいとしております。
 練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)は、都立高校改革推進計画、新たな実施計画に基づきまして平成二十二年度に開校を予定しております併設型中高一貫六年制学校でございます。中学校は三学級、高等学校は五学級の規模を予定しており、高等学校段階でも募集を行うものでございます。
 開校後は、都立大泉高校の文武両道の伝統を継承するとともに、六年間を通じたキャリア教育や習熟度別授業の実施、放課後に教員が学習支援ルームにおいて生徒の質問に答えるティーチャー・イン・レディネスなど、特色ある教育活動を行ってまいります。また、中高一貫教育校ならではの学年を超えた交流活動もさまざまな場面で実施してまいります。

○野上委員 次に、具体的に学校の施設整備、環境整備について伺いたいと思います。
 平成二十二年度に開校予定ということですけれども、二十一年度の予算も審議をされる間近ですので、二十二年度に開校予定ということで、急ピッチで環境整備について進めなくてはいけないと思いますけれども、施設整備についてはどのように考えているのでしょうか。

○森口都立学校教育部長 練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)は、今年度、基本設計、来年度、実施設計を行い、平成二十二年度に開校する必要があり、施設整備につきましても、この新しい学校の教育課程に即した整備を行っていく必要がございます。
 同校におきましては、ティーチャー・イン・レディネスや少人数指導、習熟度別授業を行うための多目的教室や講義室、自習室など、新たな教室を整備する必要がございます。また、中学校に必要な技術室や食堂など、大きな教室を新たに確保する必要があります。また、老朽化への対応も必要であることから、大泉高校の既存校舎の活用ではこれらに要するスペースが不足するため、校舎の改築が必要であると考えております。

○野上委員 今の森口部長の答弁にもありましたけれども、校舎が老朽化しているということですけれども、現在の校舎の状況と築年数はどうなっているのでしょうか。現状を踏まえて改築が必要な理由を伺います。

○森口都立学校教育部長 現在の大泉高等学校の校舎は、校舎自体が増築を繰り返した建物であり、大きく分けて四つの分割した校舎から構成され、渡り廊下によって接続しております。
 これらの校舎は、昭和三十八年から昭和五十八年にかけて六回にわたって増築を繰り返し、建設されたものでございます。大泉高校の校舎は建築後四十五年以上経過しているため老朽化への対応が必要であり、また、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づくバリアフリー化への対応が必要となります。
 一方、平成十九年六月施行の建築基準法の改正により、構造上、既存建物と増築建物との接続が困難になるなど、施設整備上大きな制約を受けることとなりました。
 これらの状況や建物としての残存寿命、中学生及び高校生のゾーニング等を総合的に勘案すると、同校につきましては全体的な改築が必要であると判断したものでございます。

○野上委員 先般行われた住民及び関係者への説明会の中で、校舎改築に当たり、グラウンド側に新校舎を建設する方針と伺いました。現在は、校門というか正門から並木の道を通って校舎が見えるというようなレイアウトになっていますが、それがOBの方あるいは周辺の住民の皆さんにとっては練馬の美しい風景の一つとして、非常に心に残る風景として記憶に皆さんが持っている風景なんですね。
 ところが、そこの場所に校舎を建てないで改築するというのは、現校舎のところに建設しないというのはなぜなんでしょうか。

○森口都立学校教育部長 大泉高校の校舎の改築に当たっては、今年度、基本設計を行って、来年度、実施設計に入りまして、詳細を詰めていく予定でございます。
 現計画におきましては、グラウンド側に新校舎を建設することとしており、二十二年度に着工し、開校二年目の平成二十三年度末に新校舎が完成する見込みでございます。その後、平成二十四年度に現校舎の解体工事とグラウンド、外構整備工事を実施する予定であり、全体の工期は約二年半程度でございます。
 一方、仮に現校舎の位置に新校舎を建設する場合には、二十二年度にグラウンド側に仮設校舎の建設を行い、引っ越しの後、既存校舎を解体、その後に新校舎の建設を行うため、新校舎の建設が開校三年目の平成二十四年度後半となる見込みでございます。二度の引っ越し、仮設校舎の解体、グラウンド改修工事を行うことから、全体の工事期間は約四年半程度となります。現校舎の位置に新校舎を建設する場合、二十二年度に高校に入学する生徒は、学校に入学してから卒業するまでの間、仮校舎で学校生活を送ることとなります。
 こうしたことから、生徒の教育環境の確保、教育活動への影響、工事期間の延長による近隣への配慮、プレハブ校舎設置による財政的な負担などを考慮いたしまして、現校舎の反対側のグラウンド側に新校舎を建築するいわゆる反転改築としたものでございます。

○野上委員 今、部長からプレハブ校舎についての話がありましたけれども、現在の校舎の位置で改築というのはちょっと難しいでしょうか。例えばOBの方や周辺住民の方、学校にかかわりがある方たちからすると、なぜグラウンド側に校舎を建てるのか。もちろん、仮校舎で学生生活がすべて終わってしまうというのは非常に忍びないとは思うんですけれども、プレハブ校舎の財政的な負担ということですけれども、仮校舎を建設する場合としない場合とでは経費的にどのくらい違うのか伺います。

○森口都立学校教育部長 同規模の普通高校における仮設校舎の例では、おおむね七千平米程度の延べ床面積が最低必要となります。この場合、規模は、三階建ての規模が想定できます。
 仮設校舎のリース代ですが、おおむね年間二億円でございます。三年間で約六億円の経費がかかる。これに加えまして、本校舎から仮設校舎間の引っ越しは往復二回ということになりますので、その費用は約二千万程度でございます。

○野上委員 幾つか、グラウンド側に校舎が建った場合、懸念されることがあるかと思います。
 反転改築をすると、現在は東側からと南側からの採光が校舎に入ってくる、採光がとれている状態です。しかしながら、グラウンド側に校舎を建築すると、すぐ一般の住民の方、住居がありますので、東側の採光がとれなくなるのではないかという懸念もあります。
 採光の問題と、あと、周辺住民への目隠しの問題と学習環境をきちんと確保するという問題と、相反する幾つかの問題が生じるかと思いますけれども、解決のめどは立っているのか伺います。

○森口都立学校教育部長 校舎の形状等につきましては現在設計を行っておりますが、生徒の例えば普通教室、特別教室、それら講義室等につきましてはその中で検討していきたいと思っております。
 それから、近隣の方々への問題ですが、建築基準法では日影規制が用途地域ごとに定められておりまして、冬至の日を基準とされております。こうした建築基準法の日影規制等をクリアするのはもちろんでございますが、プライバシーへの配慮も含めて、できる限り近隣への影響がないよう設計の中で検討してまいりたいと思います。

○野上委員 この陳情の中でも大きく書いてあるのが、やはり緑の環境を残すということだと思います。改築をするに当たって、OBの方がずっと大切にしてこられた樹木をみだりに、むやみにというんですかね、むやみに伐採されてしまうのではないかという懸念が非常に大きいと、私自身、伺っていて感じております。
 そこで、練馬地区中高一貫六年制学校の敷地内の樹木について、教育庁としては、残すものと残さないものの判定など、どのようなプロセスで決めていくのか、緑化の確保の考え方について改めて伺います。

○森口都立学校教育部長 現在の大泉高校の敷地内の樹木につきましては、まず、かなり老木化が進んでいるということがいえるかと思いますが、現在進めている基本設計、それから来年度行う実施設計の中で、専門家等を入れた調査を行うなど、樹勢や樹齢など樹木の状況や移植の可能性、それから補植の必要性などを総合的に検討いたしまして、最終的に判断することとなります。
 都教育委員会は、これまでも改築等に当たり、校庭の緑化についても積極的に取り組んできており、今後も、教育環境や周辺環境、景観などにも十分配慮しながら一層の緑化推進に努めてまいります。

○野上委員 具体的には、校門と線路の間の樹木、あそこ、ちょっとうっそうとした緑が今、現状ありますけれども、その間にヒマラヤスギなどが植えてありますが、それに関してはどういうふうに残すのか伺います。

○森口都立学校教育部長 現在まだ設計をしている段階ではございますが、今お話のありました校門と線路の間の樹木については、セットバック等の問題がありますが、可能な限り緑化の保存に努めてまいります。

○野上委員 それでは、大泉高校というか、こちらの改築の件に関して、パブリックインボルブメントという観点から--パブリックインボルブメントというのはほとんど交通計画とか都市計画に用いられますが、そういった観点から最後に幾つか質問させていただきます。
 公立高校は、先ほども申し上げたとおり、一般的に、私立学校とは異なり、建学の精神、つまりは、生徒、教職員を含めた学校全体で共有できる精神が弱いというふうにいわれています。それを補うのは、もちろん教職員の力でありますし、学校を陰ながら支える地域住民でありますし、大泉高校の場合は既に、全日制で二万二千人強、定時制で二千五百人強、OBがいますので、そういった方たちの生きざまであり、OBのネットワークというものが、公立学校の精神、その伝統を支えるものが非常に大きいのではないかと私は考えます。
 都立大泉高校が中高一貫教育校となるに当たって、「自主創造・文武両道の良き校風を継承して創設されます」というふうに案内がありますが、まさに現状ある校風というのはこういった方たちが、学校にずっとかかわってこられた方々の協力がまさに私は必要だと思っています。もちろん、継承するものは継承して、そして、使い勝手も含めて、改善しなくてはいけないものは校舎も含めて改善しなくてはいけません。
 しかしながら、この大きな変革のとき、社会情勢のときもそうですけれども、改築という大きな大泉高校の転換のときにこそ、地域の自然はもちろん、大泉高校にかかわりを持っている方々の資源というものを活用して、さまざまな意見を反映した、開かれた個性あふれる学校運営を行うことができるのではないかと思います。衆知を集める絶好の機会であると私は思います。
 そこで、先ほども申し上げましたけれども、一月に一回、夏ごろに一回、二十一年の実施設計期間中に一回と計三回の、これから学校の改築に当たって三回の説明会が行われるというふうに伺っておりますが、これでは本当に少ないのではないのかなというふうに思っています。住民の皆さんにしても、私もすぐグラウンドわきに住んでいますけれども、仕事をしていらっしゃる人もいますし、たまたまその日に用事があった場合、この大きな大泉高校の転換期にある重要な会議に出られないというのは非常に残念だなというふうに思っています。
 そこで、住民にできるだけ参加していただきたい、参加してもらうという姿勢が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○森口都立学校教育部長 都立学校の改築等の整備に際しましては、周辺地域住民を対象に、設計作業の進捗に合わせて段階的に計画説明会を実施しております。
 本年一月に、新しい学校の概況、いわゆる教育理念、育てたい生徒像、教育課程、施設設備等の考え方をご説明いたしましたが、その際の意見、要望としては、建物の配置や形状を早期に明らかにしてほしいといった内容がありまして、現在、基本設計において検討を行っているところでございまして、次回は本年夏に開催する予定でございます。
 また、来年度、実施設計を進めるわけですが、この中間においても必要に応じて説明会等を考えております。詳細なスケジュールにつきましては、現在検討をしているところでございます。
 工事の実施に当たりましても、校舎の建設工事、解体工事、グラウンド、外構、それぞれの工事ごとに着工前に説明会を実施しており、その際いただいたご意見につきましては、できる限り反映できるように努力しているところでございます。

○野上委員 例えば、ほかの自治体の学校建築に当たっては、学識経験者、教育専門家、あるいは、その地域の教育長、東京都でいうなれば区市町村の教育委員会の関係者が出たり、もちろん同窓会の方、近隣の住民の方を交えた検討会をやっているところもあるようです。
 東京都でも、専門家や地域住民を交え、あるいはOBの方を交えて、学校の改築に当たって検討委員会の中で設計の検討を行っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会におきましては、新しいタイプの学校の設置に当たりまして、学識経験者や区市町村教育委員会、教育長、学校関係者、中学校やそれから周辺の高校を含め、教育庁関係者などで構成いたします基本計画検討委員会をそれぞれ設けまして、基本的枠組みや基本理念、教育課程に加え、施設整備の方針についても検討を行い、基本計画として取りまとめを行っているところでございます。
 また、設計作業に際しましても、財務局の技術職員、委託された設計事務所、教育庁職員及び当該学校の教職員による検討委員会を設置し、学校の要望や意見を聞きながら設計作業を進めてございます。
 近隣住民の方々に対しては、設計作業の進捗に合わせて段階的に開催する計画説明会の中でいただいたご意見について、できる限り反映するよう努力しているところでございまして、同窓会、PTA等につきましては、学校を通じて適宜情報を提供し、ご意見をいただいているところでございます。

○野上委員 部長の答弁を聞いて、教育庁の事業としては非常に寂しいなというふうに感じました。というのも、それは都市整備局であり、建設局であり、もちろん建物自体は違いますけれども、道路を建設することとは違いますけれども、できる限り、いいっ放し、聞きっ放しにならないような、住民が参加して、市民が参加して社会的合意形成をつくるような場が少なくともほかの局にはある。現状はその意見が反映されるかどうかはわかりませんけれども、その機会をまず与える、そして、いろんな立場の方が一つになって意見をいう場があるということが、私は民主主義にとって非常に重要だと思います。
 それなのにといったら恐縮ですけれども、教育庁の事業でありながら、そういった市民教育、市民参加の場が持てないというのは、説明をしているから、皆さんにはわかっていただいていますよというふうにもちろんおっしゃるかもしれませんけれども、いろんな立場の方が参加して、そしてお互いに意見を補い、そして直すべきところは直す、そういった場をつくること自体が教育の現場のあり方にも私はつながると思っています。
 教育庁の職員の中には、生徒の学習の環境がしっかりしていれば、住民の皆さんの環境については余り考慮しなくてもよろしいというような発言をされていらっしゃる方がいましたけれども、そんなことは到底あり得ないというふうに私は思っています。教育庁としてそれは本当に正すべき態度だと私は思います。
 今後、周辺への配慮や、あるいは地域、あるいはOBの皆さん、学校に関係する方々との合意形成のあり方について、教育庁としてどういうふうに考えているのか伺います。

○森口都立学校教育部長 一月に説明会を実施いたしまして、八十名以上の方々にご参加いただきました。そのときにいろいろ意見をいただいておりますが、桜を残してほしいとか、それから、桜の木は逆に近隣には日照など影響があるとか、それから、反転せずに現在のまましてほしいなどの意見がございました。
 これらの意見につきましては、繰り返しますが、これについては、生徒の教育環境さえ確保ができればいいという考えは全くございません。周辺との、環境はやはり大事でございますので、完成後も協力等いただかなきゃいけません。地域の中の学校として、開かれた学校として、教育庁としては整備する予定でございます。
 練馬地区中高一貫六年制学校の施設整備に関しましては、生徒の教育環境を確保することはもちろんでございますが、日照や緑化などの周辺環境や災害時における地域の防災拠点としての役割など、地域住民の環境にも配慮してございます。これは、大泉、いわゆる練馬地区中高一貫教育校だけではなく、施設整備に当たって必ず配慮しているものでございます。
 大体、基本計画の前には、形状、学校の位置、それから緑化等、イメージが非常につかみにくいといったものがございまして、大体、基本計画の後に活発な意見をいただいている、それから、実施設計でさらに細かい意見をいただいているのが一般的な例でございます。
 今後とも、住民説明会等を開催いたしまして、同窓会も含めて広く意見を伺い、ご理解とご協力を得ながら適切に対応してまいりたいと思います。

○野上委員 最後になりましたけれども、建築工法というのは、釈迦に説法かもしれませんけれども、いろいろありまして、例えば、二〇〇八年の四月に朝日新聞に掲載されましたが、杉並区の私立の光塩女子学院中等科の新校舎の建築工事のときに、生徒たちに愛着のある校舎を最後まで使わせてやりたいということで、引き家工法という工法が取り入れられています。
 大泉高校に当てはめていえば、現状の校舎をグラウンド側に移して、今、現段階にある校舎の土地に新しい校舎を建てるという工法です。もちろん、今の老朽化した大泉高校に一〇〇%当てはまる、それをやってくれというわけではありません。しかしながら、説明会で、こういった引き家工法もあるけれども、こういった事情で大泉高校には当てはまらない、残念ながら、OB会やあるいは同窓生の方の思いにはなかなか届かないところがあるという説明をするのも、一つ実は重要なことだと思っています。
 同窓会の方々から伺うのは、校舎の中から広いグラウンドが見える、そして緑あふれる大泉高校の思い出を引き継いで、そして自分たちの思いを後輩に届けたい。あるいは、円形の教室、公立高校では非常に珍しい校舎だったようですけれども、そういった自分たちしか持ち得ない思い出を次世代の方々とも共有したい、そういった思いからこういった陳情も出ているところだと思います。
 より丁寧に、周辺の皆さんもそうですけれども、同窓会、質問の当初にも申し上げました、学校の関係者は非常に熱心に学校運営に取り組んでいます。皆様方の説明が足らないおかげで、学校運営に本来だったら手助けしてくださるような方々も怒りを持ったり、あるいは、ここに中高一貫教育校ができることは非常に迷惑だという声が上がっては元も子もないと私は思いますので、ぜひ、丁寧な説明会と、同窓会の方々のご心情を踏まえて計画を立て、そして行動をしていただけますようお願いいたしまして、質問を終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合により、十分間休憩いたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時三十四分開議

○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○遠藤委員 それでは、私も、休憩前の野上委員の質疑に続きまして、陳情二〇第一一五号の件について質問させていただきたいと思います。
 なお、この陳情は三つに分かれておりますけれども、私は、第二項目めの都立大泉高等学校敷地内の樹木を現況のまま保存すること、この一点について質問させていただきたいと思います。
 大泉高校を、外観を取り巻きます桜を初めとする樹木は大変立派でございまして、とりわけ校門から玄関に向けてのアプローチ、この桜並木は練馬百選にも選ばれ、在校生また卒業生のみならず、地域の方々の大変憩いの場になっている、このようにお聞きをいたしております。
 私も、当地を訪れたことは残念ながらないんですけれども、現地の航空写真も拝見をいたしました。大変立派な樹木が植えられていて、さぞこれは春になると桜花らんまんで、すばらしい景色になるのではないかと推察をいたします。
 そこで、今回、改築に伴いまして桜並木が伐採されるのではないか、こういうような危惧を、現地の方、または守る会の方、お持ちのようでございますので、この桜並木も含めて大泉高校の桜の本数、規模は、まず、一体現在どうなっているのかをお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 大泉高等学校の正門の前の並木となっている部分の桜の木でございますが、三十三本ございます。そのほか、グラウンド周辺も含め、学校の敷地全体で百十本でございまして、桜の種類はほとんどがソメイヨシノでございます。

○遠藤委員 有名な正門前の並木は三十三本、グラウンド周辺を含めて敷地全体で百十本の主にソメイヨシノがある、こういう答弁でございましたが、では、今回の改修でこの百十本のうち何本手をつけなければならないのか、そのおおよその本数をお聞かせいただきたいと思います。

○森口都立学校教育部長 大泉高等学校に現在植えられているソメイヨシノでございますが、こちらにつきましては、山桜のオオシマザクラとエドヒガンの交配種でございまして、山桜ですと、長ければ千年でも花をつけるといわれています。それに比べソメイヨシノは、成長は非常に早いんですが非常に短命だということで、六十年程度というふうにいわれております。もちろん環境にもよりますが。
 大泉高校の場合には、ほとんどが同時期に植栽されているということがあります。かなり古くなっているということでございまして、場所によっては根が壁に張って、壁そのものが崩壊する危険性のある箇所もございます。また、桜の数本の根元には既にキノコが生えるなど、枯木化、老木化が非常に進んでおります。
 こうしたことから、既に枯木化した樹木や老木化により樹勢の衰えた樹木、及び区の指導要綱に伴う道路拡幅部分に当たる樹木については、残念ながら伐採せざるを得ないと考えておりますが、現段階では詳細な調査を行っておりませんので、本数は未定でございます。
 現在進めている基本設計、今後行う実施設計の中で、樹勢や樹齢などの樹木の状況や補植の必要性などを総合的に検討して最終的に判断してまいりますが、可能な限り既存樹木の保存に努めるとともに、校舎等の建物や近隣との調和を図るなど、一層の緑化推進に取り組んでまいりたいと思っております。

○遠藤委員 今の答弁ですと、さまざまな要因があって伐採せざるを得ない桜の木も出てくる、こんな答弁だと思いますけれども、ただ、樹木全般、特に桜なんかは思いが込められているということであります。ご当地の桜については、大泉高校の前身でございます大泉中学第一期の方々が、学校設立に当たって、その入学生でしょうか、一本一本手植えをされたそのものであるということもお伺いをしております。
 私の地元の大田区でも、かつて都営住宅の建てかえがあったときにやはり同じように、由緒ある桜を残してもらえないか、こういう思いもありました。結果的に、残念ながらそのすべてが残るというわけにはいきませんでしたけれども、やはり桜に対しては特に強い思いを持っているというのがとりわけ日本人の心情でもあろうかと思います。
 ぜひ、伐採しなければならないという、一部あるということですけれども、技術的に可能な限り、移植をするなり何なりの処置をとるべきであると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○森口都立学校教育部長 大泉高校の敷地の周辺の桜の木でございますが、樹齢五十年に及ぶ大樹であるために移植が非常に困難であると考えておりますが、今後、専門的な視点による調査を行うなど、移植の可能性について調査してまいりたいと思います。
 移植が不可能な場合につきましては、緑を保存し、継承する観点から、世代交代に向け計画的な補植を行うなど、周辺環境に十分配慮し、一層の緑化推進に取り組んでまいります。

○遠藤委員 今回陳情を提出されました守る会の方々、大変熱心に運動を続けておられるようでございまして、けさ方いただきましたファクスの時間が一時十八分になっていたりとか、本当にきょうの会議にかける思いというものが、このいただいた書面一つとってもあふれているなということで思います。また、午前中も早朝から、我が会派関係者の方、お訪ねいただきまして、この陳情の願意というものを改めてご報告に来ていただいたわけでございます。
 ただ、この陳情の文面ですと、「樹木を、現況のまま保存すること」、このようにくだりはなっております。厳格な記載となっているけれども、この陳情者の趣旨は、一本も切るなということでは決してないんです、できるだけ桜を含めて樹木を残してほしいというのが守る会の方々の強い思いだということで、ややちょっと筆が滑って、思い余ってこのような厳しい書き方になっているけれども、思いはそうなんだ、こういうことでございました。このままであると私たちは趣旨採択というわけにはいきませんけれども、陳情者の皆さんの思いは十分理解をいたしております。
 教育庁も、さきの答弁にありましたけれども、現存の樹木の保存については全力で努めてほしいことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 最初に、請願二〇第一〇七号、すべての子どもに豊かな教育を保障することを求めることに関する請願にかかわってです。
 三十人、少人数学級は今、大きな都民的な声となって広がっています。請願でも訴えられておりますように、できるようになりたい、わかるまで教えて、これが子どもたちみんなの願いだということは全く同感であります。いうまでもなく、子どもたちに豊かな教育を保障するために、三十人学級、切実な要求となっており、しかも、三十人学級、少人数学級は東京だけがいまだに足を踏み出していない状況にあります。
 都道府県の中で三十人学級、少人数学級を実施していないところ、これは東京都だけになっている、これでよろしいですか。

○皆川地域教育支援部長 他県において少人数学級を実施しているということでございますけれども、少人数学級を実施するといっても、その実施形態というものは、特定の学年や研究指定校に限っている自治体が多く、すべての小中学校のすべての学年で少人数学級を実施している都道府県はない状況でございます。

○古館委員 随分いろんなことをいっておりますけれども、結局は、東京は三十人学級、少人数学級というのはやっていないということなんですよ。(「共産党のうそがばれた」と呼ぶ者あり)それで、少人数学級、三十人学級で--今うそなんていう話がありますけれども、そんなことはない。順次そういう形で、少人数学級という形で今進めているというのが全国の大きな流れになっているということは事実ですね。
 東京で三十一人以上の学級は、小学校では一万五百八十八学級、それから、中学校では五千四百九十五学級とのことであります。そのほかに四十一人を超える学級もあるんですね。これは全学級に占める割合でいいますと、小学校は六〇%、中学校は八七・八%、人数にすると、小学校では約三十六万八千人、中学校では約十九万五千人に上る児童生徒が三十一人を超える学級に在籍をしている、これが東京の実態ですね。
 共産党都議団は三十人程度学級を実施している杉並に行って、いろいろ話を聞く機会がありました。そこで教員がいったことは、子どもたちのつぶやきで、そのつぶやきが学習の中に生かされていく。ところが、三十五人以上になるとつぶやきが聞こえなくなってしまう、騒がしいという状況になるという話がありました。しかも、少人数だと、先生がその場でプリントの丸つけなどができる。子どもと会話しながら、こういうふうにして頑張ろうね、こういうことなども励ましができる、こういうことなども語ってくれました。山形県、秋田県など、少人数学級になって不登校の子どもが減ってきたとも聞いております。
 そこで、お伺いしますけれども、都として、既に実施しているところの実態把握、実態調査をする考えはありますか。いかがですか。

○皆川地域教育支援部長 学級編制の弾力化を実施している他の道府県の状況につきましては、国の調査などによりまして実態を把握しているところでございます。

○古館委員 だから、問題は、どういうふうに実態把握や実態調査を東京都の教育の方に生かしていくか、このことがとても大事なわけで、その点で東京都民の多くの方々が、少人数学級、三十人学級に早く踏み出してくれ、こういうふうにいっているわけですから、改めて日本共産党としても、直ちに少人数学級に足を踏み出すことを強く求めておきたいと思います。
 続いて、高校の就学計画についてお伺いをいたします。
 高校進学希望者が全員入学できるように就学計画を立ててほしい、こういう請願項目に対して、進学希望率を上回る九六%を計画進学率として、公私の受け入れ割合を決めて定員を決めているということであります。
 そこで、伺いますけれども、計画進学率に対応する実際の進学率は今何%でしょうか。

○森口都立学校教育部長 平成二十年度の進学率の実績でございますが、九一・九七%でございますが、計画進学率は九六%ということでございます。

○古館委員 九六%といって、現実に実際の進学率が今何%かと聞いたら九一・九七ですから、九二%ですね。ですから、四%も差があるんです。枠は用意したんです、九六%と。ところが、実際には高校進学希望者全員が高校に入学できていないということが実態なんですね。しかも、四%で、人数は五千八百四十八人、約六千人もの人が入学できていない。この乖離は無視できないものであります。
 保護者や関係者の皆さんの声を伺いました。まずいわれたのが、石原都政になって学区がなくなり、全都一本での定員になってしまった。それによって、どこの学校に入れそうか非常に読みにくくなったし、島の高校に定員があるからといわれても、島の学校に通えるわけがないということも声として聞かされました。
 八王子に住んでいたら、まず駅に出るまで三十分ぐらいかかるのが普通だそうです。そうすると、東京は交通が発達しているからといわれても、通学可能な場所というのは案外狭いということであります。町田の保護者の方も、町田は神奈川県に囲まれているから、都立で通えるところは限られていると訴えておりました。
 さらに深刻さを増しているのが、経済的な理由で、都立単願、私立には行けない生徒がふえているということであります。一クラス三十六人のうち二十四人が都立単願、滑りどめに私立を受けることすらしないというクラスもあるということであります。
 私たちの感覚では、都立が第一志望だったとしても、滑りどめに私立を確保するというのが普通だと思います。それがそうでなくなっていて、自分はどうせ高校に行けないと子どもたちが無気力になっていくお話は本当に驚きましたし、胸が痛くなりました。
 私立の定員はいつも達成できていませんよね。私立に定員枠があっても通えない子がふえているんです。これでは、定員は希望者全員分設けていますといっても、絵にかいたもちでしかありません。現実に入学可能な場所に定員が用意されているのか、教育費の負担をどうするかなど、どうして希望しているにもかかわらず入学しない生徒が出るのかきちんと分析をして、実際に入ることのできる就学計画を立てていただくこと、これは強く要望しておきたいと思います。
 一〇九号についてであります。
 公立学校の教職員の人数をふやすこと、このことで障害のある子どもたちに行き届いた教育ができるよう、学校、学級、教職員の数をふやすことなどであります。このことについて伺いたいと思います。
 来年度の予算では教職員定数を百十三人ふやすことになっておりますけれども、その主な要因は何でしょうか。

○直原人事部長 平成二十一年度の教職員定数につきましては、総数で六万二千九十一人と見積もっておりまして、平成二十年度定数と比較して百十三人の増員を予定しております。
 定数増の主な要因ですが、小中学校では、児童生徒数の増に適切に対応するとともに、新しい学校づくり支援事業として、小中学校の適正規模化に取り組む区市町村を支援するため必要な人員増を見積もっております。
 また、都立高等学校及び特別支援学校では、大田桜台高等学校や青峰学園等の開設に向けまして必要な教職員定数を措置するとともに、特別支援学校の小中学校特別支援教育に対するセンター的機能の充実のための教員加配の充実等も予定しております。

○古館委員 今ご答弁があっていろいろいわれたんですけれども、結局、新しい学校づくりの重点支援事業というのは、これはどこに重点が置かれるかというと、統廃合した小中学校に加配をつける事業なんですよね。これは六人のプラス。特別支援学校のセンター的機能の充実はプラス三人で、あとは民間委託などによる大幅減などでもあるんです。子どもの増、それに対応する新しい学校の開設でふやしたということが本音なんですね。
 都教委によれば、一九八〇年以来二十九年ぶりの定数増とのことであります。教職員定数がふえるのは二十九年ぶりなんですけれども、最近は都心回帰で子どもの人口が増加傾向といわれますが、どうなっているのかが気になるところであります。
 そこで、伺いますけれども、公立学校の児童生徒数が増加し始めたのはいつからでしょうか。一番少ない年と比べて来年度は何人ふえるのでしょうか。

○直原人事部長 校種別に申し上げますと、都内の公立小学校に在籍する児童数は、平成十二年度に五十二万七千百二十二人となりましたが、それ以降、児童数の増加が続いております。来年度の小学校の児童数は約五十六万三千人と見込んでおりまして、平成十二年度と比較した場合、およそ三万五千九百人の増加となります。
 中学校につきましても、平成十七年度に二十一万六千六百六十四人となって以降、生徒数の増加が続いております。来年度の中学校の生徒数は約二十二万七千五百人と見込んでいることから、平成十七年度と比較しておよそ一万八百人が増加することになります。
 また、高等学校につきましては、平成二十年度まで在籍生徒数の減少が続いておりましたが、平成二十一年度の生徒定員は、平成二十年度から七百十五人増の十四万三千五十人としております。
 特別支援学校の児童生徒数は長期間増加傾向が続いており、平成二十一年度は、平成二十年度の想定児童生徒数から五百五十四人増の一万百八十五人になると見込んでおります。

○古館委員 いろいろ今人数をいっていただきました。全体として非常に多くなっている。小学校は平成十二年、中学校は平成十七年、このときが一番少なくて、それ以降は増加している。高校も去年までは減っていたけれども、ことしからはふえていると。今数字がいわれたとおりであります。特別支援学校はずっとふえているとのことであります。
 それで、小中は前からふえているんですが、高校はことしまで減っていたということで、全体としてはどうなのかと思って調べてみました。
 学校基本調査というのがありますけれども、それで調べてみますと、小中高、特別支援学校全体で、高校も定員じゃなくて実際の人数でいわせていただきますと、児童生徒数が一番少なかったのが平成十六年度でありました。それで、来年度は大体二万五千から六千人ぐらいふえる計算になります。つまり、公立学校の子どもの人数は四、五年前から何万人もふえているんですね。教職員の数はずっと減らし続けてきている、これが今の現状なんです。
 私はこの間、父母の皆さん、教職員組合や校長会の方々の要望なども伺ってまいりましたけれども、先生の数をふやして教育条件を充実させてほしいということは、皆さん共通しておっしゃっていることであります。例えば保護者の皆さんからは、少人数学級にしてほしい、特別支援学級の先生の定数をふやしてほしい、特別支援学校の重度重複学級をふやしてほしいなど、先生をふやして教育を充実させてほしいとの切実な要望が寄せられているのです。
 また、中学校長会は、来年度予算要望書の中で、先生方が授業や外部との調整、会議、生徒指導、部活動などに追われて、人事考課や研修にかかわる事務処理に要する時間が飛躍的にふえてきている、多忙をきわめている現状を訴え、中学校教育が教員たちの奉仕的、献身的な姿勢に支えられて成立しており、勤務条件や職場環境の整備、改善が遅々として進まない状況、これは本当に異様であって、後でまた述べますけれども、教員一人一人が十分に準備を行った上で子どもたちの指導に当たるということこそが、学習指導や生徒指導の質の向上に直結するはずであります、このように皆さん訴えられているんですね。
 教育の質の向上には、政府の教員定数改善を待たずに、都独自の人的措置を初めとした勤務条件、職場環境の整備、これらを行うことが喫緊の重要課題だと求めているのであります。
 したがって、お尋ねをしますが、このように定数改善をしてほしいという声が校長会からも教職員組合からも出ているが、この声に耳を傾けようと思わないんですか。いかがですか。

○直原人事部長 都教育委員会では、これまで、いわゆる義務標準法や国の教職員定数改善計画を踏まえ、必要な教職員定数の改善を図ってきたところでございます。
 教職員定数など、今後の人的配置につきましては、国の定数改善の動向を見きわめつつ、都における教育課題に対応していくため、必要な工夫、改善に努めてまいります。

○古館委員 今たくさんの方々が教職員の増ということをいわれているんですけれども、国の定数改善の方向を見きわめつつといいますけれども、国の改善を待たずに都独自でやってくれ、これも強い要望として出されているんですね。以前、教員の多くが過労死ラインを超えて働いていること、実際に過労死した先生もいることも議会で取り上げられておりました。知事はいつも、国がやらないから都がやりましたというふうにいっているんですけれども、こういうことこそ都が率先してやっぱりやっていくべきだと考えております。
 また、改善を図ってきましたなどというんですけれども、確かに、少人数指導の加配など、国が、定数改善に伴って幾つかの改善はありました。しかし、子どもたちがふえているのにもかかわらず、教員定数は今年度まで減り続けていたのです。
 石原都政はこの間、公務員削減計画を教職員にも当てはめて大規模な削減を行ってまいりました。特別支援学校や定時制高校の給食や用務は民間委託、事務職員や学校司書などの配置基準の切り下げ、小学校や中学校の専科教員、生活指導担当教員の配置基準の切り下げ、さらには、来年度は肢体不自由特別支援学校の先生を二校で二十一人も減らそうとしているのですよ。都立高校、とりわけ夜間定時制高校の統廃合や特別支援学校の大規模化も影響しております。
 まず、公務員削減ありきの姿勢を見直すべきではありませんか。いかがですか。

○直原人事部長 先ほども申し上げましたが、教職員定数など、今後の人的配置につきましては、国の定数改善の動向を見きわめつつ、都における教育課題に対応していくため、必要な工夫、改善に努めてまいります。

○古館委員 それで、教職員の人件費についてですけれども、この十年間で幾ら減額になっているんでしょうか。さらに、来年度はどれだけ減る予定なんでしょうか。

○直原人事部長 高等専門学校を除きます教職員の職員費につきまして、平成十年度と平成二十年度の当初予算を比較した場合、平成十年度の約六千四百十九億円から平成二十年度の約五千九百三億円に約五百十六億円の減少となっております。
 また、平成二十一年度予算案では、教職員の職員費として約五千六百九十九億円を計上しておりますが、教職員定数は百十三人の増を見込む一方で、高年齢の職員の退職に伴い、教職員一人当たりの平均給与額が下がっていることから、平成二十年度と比較して約二百四億円の減額となっております。

○古館委員 いろいろいわれましたけれども、結局、今、教職員の人件費は減ってきている。これは定数にかかわる人件費のみなんですね。それで、合わせて七百二十億円も減っているわけなんですよ。もちろん理由は、人員削減に加えて先生の若返りも理由でしょうけれども、いずれにしても七百二十億円減っているということであれば、教育条件整備に使えばいいんですよ。三十人学級だって、これだけお金があればすぐにできる。それだけあれば公立学校の教職員の配置基準を改善して教職員を増員すること、これだってできるんですね。このことを強く求めて次の質問に移りたいと思います。
 次に、一〇九号でありますけれども、耐震診断、耐震補強についてであります。
 公立小中学校等の耐震化については、今年度九月に補正予算を組み、都の財政支援が実現をいたしました。区市町村では、都の財政支援を活用して、計画を前倒しして進めると決めたところもあります。
 そこで、お尋ねいたしますが、小中学校の耐震診断、耐震補強の今年度の進捗状況はどのようになるでしょうか。お伺いいたします。

○皆川地域教育支援部長 平成二十年四月一日現在ですけれども、九八・九%でありました耐震診断率は、今年度末には九九・三%程度に達する見込みであります。また、平成二十年四月一日現在、七六・七%であった耐震化率は、今年度末には八二・二%程度まで上がる見込みでございます。耐震診断率、耐震化率ともに着実に上昇しており、特に耐震化率の伸びは前年度と比較しても大きくなる見通しでございます。

○古館委員 地震というのはいつ起こってくるかわからないという状況もありますから、前倒しも含めて積極的に、耐震診断だけじゃなくて耐震化の方も大いにやっていただきたいと思っています。
 国庫補助の申請状況についてでありますが、昨年度と比べて国庫補助の申請数というんですか、どの程度伸びているんでしょうか。

○皆川地域教育支援部長 平成二十年度の国庫補助申請棟数ですけれども、三百十八棟でありまして、前年度の二百四十一棟に比べると約三二%増となっております。
 ただし、国庫補助を受けずに区市町村の単費で耐震補強工事を実施する自治体もあることから、国庫補助申請棟数と耐震化実施棟数は一致するものでないことを申し述べておきたいと思います。

○古館委員 少しずつ、そういう意味では前向きに前進しているということは今のご答弁でもわかります。
 それで、早期達成についての見通しについてお伺いをしたいと思いますが、どうでしょうか。

○皆川地域教育支援部長 小中学校の耐震化につきましては、「十年後の東京」などに掲げていた目標を三年前倒しいたしまして、平成二十四年度までに完了することを目指しているところでございます。
 平成二十年四月一日現在、耐震性のない建物棟数は千六百八十五棟でありましたが、そのうちの約四分の一に当たります三百九十八棟について、平成二十年度中に耐震化ができる見通しであります。
 学校設置者である区市町村は、児童生徒の身体、生命の安全を確保するために耐震化の早期完了を目指して取り組んでいるところであります。引き続き、都教育委員会といたしましても、区市町村教育委員会と連携いたしまして、都が掲げた新たな目標を達成したいと考えております。

○古館委員 東京都もそういう形でかなり前向きの学校耐震の取り組みということで、これが全体的に広がるという特徴を持っていますから、ぜひこれは子どもの安全確保のためによろしくお願いしたいと思います。
 質問事項の最後ですが、陳情一一五号の都立大泉高校の樹木保護などについて、私の方からも幾つか述べたいと思います。
 地域の皆さんが、大泉高校が練馬地区中高一貫校になることに伴って工事が行われて、それについての陳情であります。
 先ほどもるるご質問などがあり、答弁もありました。それで、可能な限り既存樹木の保存に努める、こういう先ほどからご説明がありました。桜並木についてもそういう形でいわれていると私は理解をしていますが、そこで伺いたいのは、他の樹木や施設についても、工事を進める場合は、地域の皆さんによく説明をして、意向も聞いて、納得の上で進めていく、これは当然のことだと思いますけれども、改めてそのことを求めておきたいと思いますが、いかがですか。

○森口都立学校教育部長 都立学校の改築等の整備に際しましては、周辺地域住民を対象に、新しい学校の概要の説明、施設整備の考え方や建物の形状等の概要が決まった段階での説明、条例に基づく説明など、適宜段階的に計画説明会を実施しております。また、校舎等の建設工事、解体工事、グラウンド、外構工事など、それぞれ工事着工前には必ず工事説明会を実施しております。説明の際にいただいた意見につきましては、その都度、できる限り設計や工事などに反映するよう努めております。
 練馬地区中高一貫六年制学校(仮称)の施設整備におきましても、同様に今後説明会を重ねて開催する予定でございます。

○古館委員 今ご答弁ありましたように、十分に話し合っていただきたいと思います。
 私たちは、東京都が現在進めている中学校段階からの教育を複線化し、リーダー養成のための中高一貫校を設置するということについては、必ずしも賛成しているものではありません。
 しかし、工事に当たって、地域住民の皆さんができるだけ地域の要望を取り入れてほしいとか、地域にとって愛着のあるものを大切にしてほしいという要望はもっともだと私ども考えておりますので、その立場からこの陳情は趣旨採択を主張します。
 以上です。

○大山委員長 ほかに発言ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 ほかに発言がなければ、初めに、請願二〇第一〇七号をお諮りいたします。
 本件中、第三項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第一〇七号中、第三項は趣旨採択と決定いたします。
 次に、請願二〇第一〇九号をお諮りいたします。
 本件中、第一項(8)を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第一〇九号中、第一項(8)は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、陳情二〇第一一五号をお諮りいたします。
 本件中、第一項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二〇第一一五号中、第一項は趣旨採択と決定いたしました。

○大山委員長 次に、請願二〇第一一七号と議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高野指導部長 請願二〇第一一七号、故意による違法行為に対する求償に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、清瀬市、鎌田慧さん外八十名から提出されたものでございまして、平成十五年十一月に東京地裁に提起された裁判の判決に関するものでございます。
 裁判の内容といたしましては、都教育委員会の職員が、元中学校教諭に関して作成した服務事故報告書、研修状況報告書等の個人情報を都議会議員に提供し、プライバシーを侵害したとして、当該元教諭が東京都に対し、損害賠償として二百二十万円余、並びに広報誌への謝罪文掲載を求めたというものでございます。
 平成十八年六月、東京地裁において原告の請求棄却の判決が出されましたが、同十九年二月、東京高裁において、都教育委員会が行った個人情報提供については、その一部が個人情報保護条例に違反しているとして、都から元教諭へ二十二万円余の慰謝料を支払えとの判決が出ました。同二十年六月、最高裁において上告不受理決定がなされ、判決が確定しております。
 本請願の趣旨は、次のことを実現していただきたいというものでございまして、一点目、東京都教育委員会が東京都個人情報の保護に関する条例に違反するという、遵法精神を欠落させ違法な教育行政を行った事実を当該委員会に認めさせ、今後は法令を遵守するよう、行政のチェック機関である都議会として決議すること。
 二点目、違法な個人情報提供により、被害者の増田教諭のプライバシーを当該委員会が侵害したことを認めて、同教諭に謝罪するよう決議すること。
 三点目、当該委員会は、二十六万円弱の賠償金を被害者の増田教諭に支払ったが、明らかな故意による違法行為である悪質さにより、相当額を当該非違行為関係者に求償すべしという要請をされても拒否しているため、都議会は当該委員会に対して求償するよう決議することの三点でございます。
 これに関する現在の状況でございますが、一点目につきましては、都教育委員会は、法令に従って教育行政を進めることは当然と考えており、本件については、判決に従い慰謝料を支払っております。
 二点目につきましては、判決において、損害金の支払いによって本件個人情報にかかわるプライバシーの侵害に対する控訴人の精神的苦痛が慰謝されるとされており、その余の請求を棄却するとされております。
 三点目につきましては、国家賠償法により、故意または重大な過失があった場合には職員に対して求償することができますが、本件職員の行為には故意または重大な過失はなく、判決においても、都教育委員会の職員には、プライバシー侵害について故意または重大な過失があったという認定はなされておりません。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○大山委員長 説明は終わりました。
 本件についてご発言願います。

○古館委員 それでは、故意による違法行為に対する求償に関する請願について、幾つか質問もし、意見を述べます。
 裁判の概要は今説明がありました。まず、お伺いしますけれども、都教委は現在、この請願及び裁判のもととなっている増田さんの個人情報を三人の都議会議員に提供したことは、個人情報保護条例十条及び十一条に照らして適切でなかったという認識に立っておられるんでしょうか。いかがですか。

○高野指導部長 本件情報提供は、行政をチェックする立場にある都議会議員に、行政機関がみずからの裁量により保有する情報を提供したものでございます。
 本件情報提供は、それが行われた平成十一年度において、本件教諭の処分にかかわって、実名で既に新聞報道がなされ、都議会のみならず区議会、国会でも取り上げられている状況であり、その状況を踏まえ、情報提供することが法令上相当な理由があると判断したものでございます。

○古館委員 今のご答弁というのはその当時の判断なんですね。私は、改めて聞きたいのは、それを現時点に立ってどのように考えておられるか、これについてはいかがですか。

○高野指導部長 先ほどもご答弁申し上げたとおり、本件情報提供につきましては、行政をチェックする立場にある都議会議員に、行政機関みずからの裁量により保有する情報を提供したものと認識してございます。

○古館委員 今、過去の話なんですけれども、今後について、こういうことについては適正に行っていくという考え方はおありですか。

○高野指導部長 東京都は、判決が確定したことを受けまして、損害賠償金の支払いを行ったところでございます。今後とも、個人情報の提供に関しては適正に行っていく予定でございます。

○古館委員 適正に行っていくというのは当然のことでありまして、それで、この件に関連しての都教委の都議会議員への資料提供、これは非常に恣意的で、個人情報を扱う行政機関として、人権を守る立場から、情報を慎重に扱って公正に業務を行うという態度に欠けていたのではないかと感じております。
 〇五年の請願陳情審査でも議論になりましたけれども、例えば、三人の都議には問題となる個人情報をファクスで軽く送付する、これは既に当時の議事録にもあります。ところが、同じ情報を別の都議会議員、うちの会派ではありませんが、資料提供を求めると、情報公開条例七条二号によって提供できないというふうに回答する。かと思えば、裁判では、三人の都議に提供したのは、情報公開条例とは関係なく、議員への資料提供を行ったものだから、情報公開条例七条二号違反ではないんだと主張をしています。これははっきりいってつじつまが合わないですね。別の議員も情報公開条例で求めたわけじゃないんですよ。
 さらに、一たん、情報公開条例違反になるからと断った別の都議会議員にも、その議員が本会議で質問すると通告したら、まずいと思ったのか提供されたということなんですね。議員によって全く対応が違う。都教委に都合のいいように、恣意的に行っている、このようにいわれても仕方のない態度だと思っているんですね。
 こうしたことを見れば、請願者がプライバシーを侵されたことをきちんと認めて謝罪をしてほしい、こういう気持ちは、私はもっともなことだと思っております。そうした意味で、この請願は趣旨採択を主張いたします。
 以上です。

○大山委員長 ほかにご発言ありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○大山委員長 起立少数と認めます。よって、請願二〇第一一七号は不採択と決定いたしました。

○大山委員長 次に、請願二〇第一一八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高野指導部長 請願二〇第一一八号、違法行為を教唆扇動した都議に謝罪を求める決議に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、清瀬市、鎌田慧さん外八十八名から提出されたものでございまして、ただいまご審議いただきました請願二〇第一一七号と同様、平成十五年十一月に東京地裁に提起された裁判の判決に関するものでございます。
 説明が重複いたしますが、裁判の内容といたしましては、都教育委員会の職員が、元中学校教諭に関して作成した服務事故報告書、研修状況報告書等の個人情報を都議会議員に提供し、プライバシーを侵害したとして、当該元教諭が東京都に対して、損害賠償として二百二十万円余、並びに広報誌への謝罪文掲載を求めたというものでございます。
 平成十八年六月、東京地裁において原告の請求棄却の判決が出されましたが、同十九年二月、東京高裁において、都教育委員会が行った個人情報提供については、その一部が個人情報保護条例に違反しているとして、都から元教諭へ二十二万円余の慰謝料を支払えとの判決が出ました。同二十年六月、最高裁において上告不受理決定がなされ、判決が確定しております。
 本請願の趣旨は、次のことを実現していただきたいというものでございまして、一点目、土屋たかゆき、古賀俊昭、田代ひろし都議は、都議の地位を悪用して、増田都子教諭(当時)の個人情報を違法に提供するよう東京都教育委員会を教唆扇動した非違行為を都議会において自己批判し、この違法行為により人権侵害された被害者の増田教諭に謝罪すること。
 二点目、上記三都議は、今後このような違法行為を教唆扇動することがないよう、その旨を都議会において誓約することの二点でございます。
 これに関しましては、都教育委員会の職員が都議会議員から本件個人情報を提供するよう教唆扇動を受けた事実はなく、判決においても、本件情報提供は、都教委がみずからの裁量により保有する情報を本件議員らに情報提供したものであるところという認定がなされております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○大山委員長 説明は終わりました。
 本件についてご発言願います。

○服部委員 請願一一八号について、不採択の立場から意見を表明します。
 本請願については、この中で被害者とされている元教諭が、平成九年、自分の授業に関して疑問を呈した保護者に対して、密告電話や密告ファクスを送るという暗い情熱、また、教師の教育内容に介入しようなど、笑止千万な、余りにも浅はかな思い上がりなどと批判する教材プリントをその保護者の子どもが受けている授業において配布したという、そういう事故に端を発していることに注目しなければなりません。
 その後、その子どもは不登校になり、転校せざるを得なくなったのであり、元教諭は東京都教育委員会から懲戒処分を受けているのであります。
 元教諭は、偏向教育、政治的な、一方的な、独善的な考え方を強要し、これは思想の強制であると指摘されています。一番の被害者は、元教諭によって傷ついた子ども、女児、生徒であり、人権を侵害された生徒の母親であったのではないでしょうか。生徒や母親に元教諭は謝罪すべきだと考えます。
 教育は、百年の計で人を植えよといわれます。教師の崇高な使命や職責はまことに重大なものがあります。教育は、教師と児童生徒、保護者の方々との信頼関係で成り立つものといえます。その意味では、元教師は、教師としての資質があったのかどうか、よく自省されるべきと申し上げます。
   〔傍聴席にて発言する者あり〕
〔「何か、委員長、いってるよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○大山委員長 続けてください。
〔「ストップしろよ。とめろよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○大山委員長 発言してください。
〔「傍聴人に何かいってよ」と呼び、その他発言する者あり)〕

○大山委員長 ご静粛に願います。
〔「だれにいってるんだ」と呼び、その他発言する者あり〕

○大山委員長 傍聴者の方です。
〔「委員長は注意しなきゃだめだよ、注意を」と呼び、その他発言する者あり〕

○大山委員長 傍聴者にもちゃんと聞こえるようにね。
 ご静粛に願います。
〔「傍聴者に注意しなきゃだめじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり〕

○大山委員長 しました。
〔「だめだよ、ちゃんと傍聴席に注意しなきゃ。委員長の責任なんだから」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 傍聴の方もご静粛に願います。
 以上です。続けてください。

○服部委員 本件は、東京都教育委員会が、教育行政の適正かつ円滑な運営を目指し、みずからの裁量により、その保有する情報を都議会議員に対して提供したのであります。都議会議員としては、東京都の教育行政をチェックし、是正していくという東京都議会の役割を果たすために、この事故に関する情報の提供を受けたのであります。都議会議員による教唆扇動は全く存在しなかったのであり、東京高等裁判所の判決の中においても、教唆扇動があったという原告の元教諭の主張は取り上げられなかったことでも明らかであります。
 これ以上、個別の事案については論評しませんが、議会と執行機関は二元制であり、議会は執行機関をチェックし、また、執行機関に対してただし、提案をすることが議会の責務であります。そのためには、当然のことながら、法令の遵守を前提として、都政や都民に関するさまざまな出来事に関し積極的に情報収集を行うことが必要であるし、その一環として、執行機関から情報の提供を受けることも重要な事柄です。このことを踏まえて、ぜひ東京都教育委員会においても適切な対応に努めていただきたい。
 我が党は、今後とも適正な教育活動が行われるよう、引き続き教育の正常化を推進することを表明しておきます。
 以上です。

○古館委員 請願第一一八号、違法行為を教唆扇動した都議に謝罪を求める決議に関する請願について意見を述べます。
 この請願は、三人の都議が都教委に、服務事故報告書などの開示されるべきでない個人情報を提供するよう教唆扇動したから謝ってほしいというものであります。(発言する者あり)

○大山委員長 ご静粛に願います。

○古館委員 ところが、先ほどの都教委の説明では、教唆扇動された事実はないということであります。
 教唆扇動という言葉はともかく、この情報提供は、議員への日常的な資料提供の一つとして行われたということだが、素朴な疑問として、議員全員に一律に配布されるものではなくて、この件のような特定の議員に個別に資料提供がなされる場合、議員からの求めに応じて提供されるのが一般的だと考え、増田さんに関する個人情報、この三人の都議会議員から求めがあったから提供したのではないんですか。これは質問としてちょっとお尋ねします。

○高野指導部長 説明の中でも申し上げましたが、判決において条例違反とされる個人情報を含む資料提供につきましては、都議会議員からの求めはございませんでした。

○古館委員 真実は私にはわかりかねますけれども、普通は、議員が、その書類の正式名は知らなかったとしても、こういうことがわかる資料を一式お願いしたいと頼んだからこそ提供されるのではないかという気がしますけれどもね。しかも、その個人情報をこの三人の都議は公開して、増田さんは不特定多数にプライバシーがさらされるという大きな被害をこうむったわけですね。
 それで、私は素朴に思っているんですけれども、それでは、お尋ねしますが、本来提供すべきでない個人情報を提供してしまったのですから、都教委は、情報を提供した都議会議員に対しては、それを他の人間に知らせたり広めたりすることのないよう、三人の都議に対して申し入れることが当然だと思うんですけれども、そのようなことはしなかったんでしょうか。いかがですか。

○高野指導部長 都教育委員会は、教育行政の適正かつ円滑な運営を目指すとともに、都議会議員が都議会において教育行政に対するチェック機能を十分に果たすことに資するため、本件各文書を提供したものでございます。

○古館委員 答弁が全くかみ合っていないんですけれども、要するに行っていないのですよね。そういうことですね。三人の都議会議員も、本来提供されるべきではなかった個人情報を知ってしまったんですから、都議会議員なら、都教委にいわれるまでもなく、それを外に知らせるなどという行為は慎んで、二次被害を防ぐのは当然のことだと考えております。
 都議会議員も個人情報の扱いに対する認識を正しく持つべきだという立場から、趣旨採択を主張します。
 以上です。

○大山委員長 ほかに発言ありますか。
   〔発言する者あり〕

○大山委員長 発言があるときはちゃんと通告してください。
 発言ありますか。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○大山委員長 起立少数と認めます。よって、請願二〇第一一八号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十四分散会

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