文教委員会速記録第十八号

平成二十年十二月十二日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長大山とも子君
副委員長服部ゆくお君
副委員長大西さとる君
理事伊藤 興一君
理事吉原  修君
理事今村 るか君
遠藤  守君
早坂 義弘君
野上ゆきえ君
谷村 孝彦君
村上 英子君
古館 和憲君
古賀 俊昭君
初鹿 明博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長秋山 俊行君
総務部長小林  清君
広報広聴部長石原 清次君
都民生活部長平林 宣広君
消費生活部長清宮眞知子君
私学部長小笠原広樹君
文化振興部長 廣瀬 秀樹君
スポーツ振興部長細井  優君
東京マラソン事業担当部長岸本 良一君
参事萩原まき子君
参事高橋  博君
参事桃原慎一郎君
参事池田 俊明君
教育庁教育長大原 正行君
次長影山 竹夫君
理事岩佐 哲男君
総務部長松田 芳和君
都立学校教育部長森口  純君
地域教育支援部長皆川 重次君
指導部長高野 敬三君
人事部長直原  裕君
福利厚生部長秦  正博君
教育政策担当部長石原 清志君
参事高畑 崇久君
参事中島  毅君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 生活文化スポーツ局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十八号議案 東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十九号議案 特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
・第二百四十四号議案 駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
 教育庁関係
契約議案の調査
・第二百三十七号議案 都立武蔵村山高等学校(二十)改修工事請負契約
付託議案の審査
・第二百二十号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二十一号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二十二号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二十三号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二十四号議案 東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二十五号議案 東京都立図書館条例の一部を改正する条例(質疑)
・議員提出議案第二十九号 東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
報告事項(質疑)
・平成十八年度都立日本橋高校入学者選抜における日本橋高校での不正操作について

○大山委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○大山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査及び生活文化スポーツ局、教育庁関係の付託議案の審査並びに教育庁関係の報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十年十二月十日
東京都議会議長 比留間敏夫
文教委員長 大山とも子殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第二百三十七号議案 都立武蔵村山高等学校(二十)改修工事請負契約
2 提出期限 平成二十年十二月十二日(金)

○大山委員長 これより生活文化スポーツ局に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十八号議案、第二百十九号議案及び第二百四十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。

○吉原委員 それでは、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例について、何点かお伺いをいたします。
 ことしは、平成十年十二月に施行されました特定非営利活動促進法が施行されて以来、十年の節目の年になりました。この十年間で多くの団体が法人格を取得し、そして今や、法人の数は全国で三万五千、東京都で六千を超えてなお増加しております。福祉や環境保護、まちづくり、そして国際協力など幅広い分野において社会貢献活動を展開しています。今後もNPO法人は、市民の自由な意思のもとに、営利を目的としない社会サービスの供給主体として、それぞれが試行錯誤を続けながら活躍のフィールドを広げていくことがさらに期待されているところであります。
 今回の条例改正案もそうでありますけれども、条例文というのは文言のいい回しが複雑でわかりにくいところがあるわけであります。
 そこでまず、改めて今回の条例改正のポイントについてわかりやすく説明を願いたいと思います。

○平林都民生活部長 今回の条例改正による電子化のポイントには三点ございます。
 一点目は、NPO法人の社員総会についてです。社員総会に欠席される方の表決権につきまして、従来の書面や代理人による行使に加えまして、電子メール等でも行えるようになることでございます。
 二点目は、所轄庁である都の手続についてです。新規の設立認証に関しては定款、事業計画書等の縦覧を、また、既存の法人につきましては活動状況がわかる定款、事業報告書等の閲覧を行いますが、この手続を、従来の書面による縦覧、閲覧にかえまして、執務室内のパソコンなどのほか、インターネットで行えるようになることでございます。
 三点目は、NPO法人に、法律で定められている定款等の書類の保存、作成、閲覧につきまして、従来すべて紙ベースで行っておりましたが、今後はパソコン上で作成、保存することで足りまして、閲覧もパソコンの画面上で行えるようになることでございます。

○吉原委員 昨今のパソコンあるいはインターネットの普及などによって、情報化の進展が多く見られるようになりました。その点から申し上げれば、今回の条例改正は当然のことのように思うわけであります。市民が支援し、監視するNPO制度の趣旨からいたしますと、NPOの情報がインターネットで見られるようになることは都民にとって大きな効果があると思いますが、パソコンやインターネットなど情報化機器を利用することによっての利点について伺います。

○平林都民生活部長 理事ご指摘のように、NPO法人の制度は、所轄庁による監督をできるだけ少なくする反面、法人の活動内容を情報公開することによって、市民がその活動を評価し、支援するものでございます。
 都においてもこのことを重視し、NPO法の運用指針におきまして、NPO法人みずからが広く市民に対して自主的に説明するよう求め、さらに、認証、監督の各段階におきまして、法令違反等の疑義がある法人に対して、市民への説明要請の制度を実施しております。
 今後、法人がパソコン等で資料を作成したりすることによって効率的に資料作成ができるとともに、都民が自宅からインターネットで希望のNPO法人の定款等の書類を容易に見ることができるようになります。これによりまして法人が行う活動が活発になり、また、それへの参加と支援がさらに促進されるとともに、法人に対する市民のチェック機能も有効に働くものと考えております。

○吉原委員 私もNPO法人の閲覧書類を見たことがありますけれども、役員名簿などには役員や社員の住所など個人情報が含まれているわけであります。これまでは実際に来庁した人しか閲覧できなかったのに対して、インターネットによる場合については、不特定多数の都民がNPO法人に関する情報を見ることができることになるわけであります。
 しかし、個人情報保護の観点から申し上げて、一定の配慮をする必要があると思うわけでありますけれども、その点についてはどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。

○平林都民生活部長 ご指摘のとおり、インターネットで公開される情報の中には、個人の氏名や住所が記載された役員名簿、社員名簿など、個人情報を含む書類がございます。インターネットによる公開は、所轄庁が行う情報公開の利便性向上につながりますけれども、情報に対するアクセスが容易になることや不特定多数の都民が縦覧、閲覧できるようになることなど考えますと、個人情報保護の観点から一定の配慮が必要であると考えております。
 まず、特定の個人が識別される点につきましては、役員、社員等の氏名のみ公開し、住所は非開示として、インターネットでは見られないようにする予定でございます。
 また、犯罪防止の観点からは、法人や個人の印影などにつきまして非開示とすることを考えております。

○吉原委員 一定の配慮がされているということであります。
 今回の条例の改正は、制度の運用に大きな変化が生じるため、都民やNPO法人に確実に周知されることが大切だと思います。特に東京のNPO法人は六千を超えているわけでありまして、その中には、今まで情報化に縁が薄かった団体も少なからず含まれているので、配慮が必要ではないかというふうに思います。
 今回の制度改正について、都は広く都民に対して、また、既存のNPO法人に対してどのように周知するおつもりなのか、お伺いをいたします。

○平林都民生活部長 まず、都民全体への周知といたしましては、都発行の実用的なマニュアルである特定非営利活動法人ガイドブックや都のホームページに掲載するほか、NPO法人の設立を希望する都民からの相談等の機会をとらえて、このたびの制度改正について説明を行ってまいります。
 また、これに加えて、約六千の都所轄法人すべてに対しまして、今回の条例改正の趣旨や内容につきまして簡潔にまとめた文書を送付するなど、きめ細やかな周知に努めてまいります。

○吉原委員 日ごろから、NPO法人の関係者から、書類作成や閲覧などの事務が面倒だ、活動を行うに当たって大きな負担となっていると聞いておりました。今回の改正によって書類作成がパソコン上で可能になり、保存、閲覧も電子化が可能になったということで、事務処理の効率化が十分図られるようになると思います。
 また、法人の情報がインターネット公開によって都民のNPO法人に対する理解が深まるとともに、活動への支援の輪が広がって、また、都民による法人に対する緩やかな監視とも相まって、法人制度のさらなる発展にもつながっていくことと思います。
 今後のNPO活動のさらなる発展を期待いたしまして、質問を終わります。

○野上委員 特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例について伺います。
 公益法人制度改革関連法案が平成十八年五月に成立し、平成二十年十二月一日から施行されますが、この新たな関連法の制定とともに、民法の改正も行われました。これを受けて、従来、民法を準用していた特定非営利活動促進法、NPO法も改正されました。今回の改正は、準用していた民法の条文の内容を直接規定する形で行われたものというふうに認識しております。
 まず、第三条についてですが、社員総会における表決権行使の手段として、書面による表決にかえて電磁的方法による表決が可能、つまりは、社員総会へ出席できない社員が電子メール等で表決権を行使できるようになりました。このことは、NPO法人にとっては書面と電磁的方法の双方を準備しなければならないというコストあるいは多少の時間がかかるものの、議決権行使比率が高まることなどが期待されます。多様な都民が参加するNPO法人活動を発展促進するために非常に有効であると考えます。
 次に、第八条から十条についてですが、改正商法においても既に株主総会の招集通知や株主総会の議決権行使についての書面をメール等で代用できるようになったり、また、会社関係書類等の電子化が既に図られております。パーソナルコンピューターや、あるいはインターネットのブロードバンド化の普及にかんがみて、管理運営に関して迅速適正な対応を実施することができるよう、意思決定の方法を新たに追加採用したものと認識しております。
 そこで、実際にNPO法人が電子的な手続を採用するには、定款等の変更が必要となるのでしょうか。また、都にとって、その旨の周知はどのように行うのか、伺います。

○平林都民生活部長 NPO法人が社員総会の欠席者の表決権行使に電子メール等を利用する場合には、NPO法の規定により定款で定めることとされていることから、まず、NPO法人が定款変更し、それに対する都の認証が必要となります。
 また、法では、NPO法人が定款等の書類を作成して事務所に備え置き、都民からの請求に対して閲覧させることとしておりますが、その書類の作成、保存、閲覧を電子化することにつきましては、法令等に定款に関する規定がないので、定款変更の必要はございません。
 これらのことにつきましては、条例の改正内容とあわせまして、都のホームページ等において周知を図ってまいります。

○野上委員 この一部を改正する条例については、今、ご答弁いただきましたけれども、ホームページ等でより広い周知をしていただいて、事務処理上に問題が来さないように、また、せっかく効率的になった新たな手段ですので、皆さんにわかっていただけるようにご説明をしていただきたいと思います。
 先ほども吉原理事からも質問がありましたけれども、NPO法人がより一層説明責任を果たしていくためには、情報化を活用していくことと個人情報の保護の両面で対応が求められると思います。一口にNPO法人といっても、資金が潤沢な国際的に活躍するNPO法人から、手づくりでやっているNPO法人、例えば私の友人にもおりますけれども、自宅の一階を改造して介護サービスをやっていたり、あるいはご近所の方を集めてごみ拾いをやっている、そういったNPO法人、身近な地域の活動をしているNPO法人から、本当にさまざまな形態があると思います。特に、慢性的に資金不足の状態が続いているNPO法人が大半でありますし、活動推進を図る上で、こういった事務的なことであるとか、あるいは活動をより広げていくことというのは、非常に資金面で大きな課題となっています。
 大半の地域経済活性化型のNPO法人は、少数の人員で運営されているのが現状です。人員体制の確立などが困難、そして運営上、人員の確保が困難であるからこそ、また事務的な処理ができなくなる、また、活動の範囲が狭まってしまう、そういった悪循環も抱えている、そういった課題を抱えているNPO法人も多く見受けられます。例えば、このシステムの管理の専門家を雇えない法人などは、バックアップなどの保存を確実にする方法や情報漏えい、改ざん等によるトラブル防止のノウハウに不安があるのではないかと思います。
 例えば、アメリカでNPO法人のマネジメントが進んでいるというふうに伺っていますが、その理由の一つとしては、NPOのスタッフへの教育を行う大学院の充実したカリキュラムが指摘されておりますが、カリキュラムを、例えばNPO法人と大学スタッフが共同で作成するなど、実践的なスキルの向上を図る場も必要であると考えています。
 そこで、NPO法人が情報化を行うに当たり、都として指導、支援をするのか、伺います。

○平林都民生活部長 当然のことながら、定款などの作成、保存といったNPO法人内部の情報化につきましては、法人がそれぞれの事情により、また必要により実施すべきものと考えております。
 都といたしましては、個人情報の取り扱いやセキュリティー確保のための社員に対するパスワードの付与など、情報化に際しての留意点につきまして、都発行の特定非営利活動法人ガイドブック等によりまして情報提供してまいります。

○野上委員 第七条関係は、定款等の縦閲覧の手続を電子化することでありますが、具体的にはどのようになるのでしょうか。
 関連して、設立の認証申請などについて、電子申請を利用することについてはどのように考えていらっしゃるのか、伺います。

○平林都民生活部長 NPO法人の認証に際しまして、都は従来、定款等の縦覧、閲覧を書面により行っておりましたが、今後はインターネットでも見られるようになります。
 電子申請につきましては、NPO法人の設立や定款変更の申請の際に、住民票などの添付書類やあるいは押印が必要なものが多く、電子申請になじみにくいこと、また、電子申請を行っている内閣府におきましては、所轄約二千八百法人のうち、平成十九年度で二十三件しか利用されていないことなど、費用対効果の点からも見て、現在、都では実施しておりません。
 したがって、情報化のさらなる進展、関係諸制度の整備の動向などを注視いたしまして、今後とも適切に対応してまいります。

○野上委員 社会保険庁などは、電子化したといっても、電子媒体を窓口まで提出しなければいけないということになっていたりしますので、電子化が進めば進むほど手間がよりかかるというようでは、本来の目的からどんどん外れてしまいますので、そのところはある程度仕組みをつくるということも一方では必要だと思います。
 電子的方法導入によって、瞬時にこちらからの情報が送付できるというふうなメリットがあるものの、一方では、ウイルスによる汚染であるとか被害、他人による成り済ましなど、電子的世界特有の問題点も指摘されているところです。特に組織の運営を決定する総会においての表決権、株主総会であれば議決権に当たりますけれども、その行使に当たっては本人確認というのはこれからもっと重要になってくると思います。
 今後、より電子化が進んでいくと考えていますが、その際に問題となるのは、やっぱり本人確認、電子署名を利用するであるとか、住基ネットを活用するであるとか、そういった方法もとられていくことと思います。
 そういった中で、東京都としても、電子ドキュメントを証拠物として残すために、原本として残す、原本であることを証明する、そういったことの仕組みをつくっていくのも必要であると考えます。
 今後も、電子化を進めてNPO法人の促進、活動の支援が行えるような活動あるいは仕組みをつくっていただけますよう要望いたしまして、質問を終わります。

○古館委員 それでは、駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定に関して、意見を述べます。
 駒沢オリンピック公園の総合運動場は、多くの都民に親しまれ、活用されております。今回は大規模な改築、改修が予定されているため、管理運営の実績と蓄積されたノウハウを持つということで、特命の指定ということであります。社会教育という観点からも長期的な展望を持って事業ができるよう、継続性が求められております。
 実際に老朽化は非常に著しいので、私たちも一刻も早く改修することが必要だ、そのように考えておりますし、要望もしてまいりました。スポーツ団体からも、改修などへの要望がさまざま出されております。
 過日、私も別の用事で、この駒沢オリンピック公園で高校生の都全体の競技大会をやっていました、そのときに先生のお話をちょっと聞く機会がありましたが、駒沢競技場というのは東京都全体から見ると一番等距離ぐらいにあって生徒が集まりやすいというふうに先生がいっていたので、ああ、そうなのかということも新たな認識として出たわけでありますけれども、既に行われた硬式野球場の改修工事のときは、かわりに軟式野球場を使うようにもいわれたとか、野球場が小さくてネットも低いために球が場外に飛び出して、そこにいた人に当たる、こういうような事故も起きたそうであります。
 現在も使用する機会があって、ネットを少し高くするなどの改善は施されたものの、まだ心配な状況であります。さらなる改善が必要ですし、新たな改修工事に当たっては安全の確保を万全に、こういう要望とか、テニスコートが狭く、ストロークの長いボールを受けるために後ろに下がることができない、せっかくのコートだが、有効に活用し切れていない、改修に当たってはぜひ広くしてほしい、こういう強い要望も出されました。
 第一球技場、第二球技場は人工芝になったら使用料が値上げしたと。改修に伴い、値上げのないようにしてほしい、これも強い要望として出されております。
 また、人工芝にしたことによってコートのラインを自分たちで引かなければならず、ペンキ代の負担が非常に重い、何とかならないのか、こういう声も使っている方々から出される、そういう具体的な要望もありました。
 改修計画を進めるに当たりましては、利用者の方々の要望もしっかり聞きながら進めていってもらいたい、このことを要望しておきます。
 以上です。

○大山委員長 ほかに発言ありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。

○大山委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百三十七号議案を議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○大山委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百二十号議案から第二百二十五号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田総務部長 去る十一月二十八日の当委員会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の目次をお開き願います。
 ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は五件でございます。
 一ページをお開き願います。1、日比谷図書館を千代田区に移管するに当たり、千代田区と話し合いをしている内容、2、日比谷図書館についての千代田区の基本的な考え方でございます。
 施設設備や蔵書、施設改修工事、サービス内容に関して千代田区と話し合いをしている内容、また、日比谷図書館についての千代田区の基本的な考え方をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。3、日比谷図書館利用者の人数と割合でございます。
 平成十九年十一月三十日現在及び平成二十年十一月三十日現在での登録者カードの発行数、また、登録者における千代田区在住者等の割合をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。4、日比谷図書館の蔵書数と移管予定の蔵書数でございます。
 平成二十年十一月三十日現在の蔵書数を分類別、和洋書別にお示ししてございます。
 なお、蔵書はすべて移管する予定でございます。
 四ページをお開き願います。5、年間図書購入費と日比谷図書館の受け入れ冊数でございます。
 都立図書館全体の年間図書購入費及び日比谷図書館において受け入れている図書の冊数を、平成十五年度から平成十九年度の五年間にわたりお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○村上委員 今議会には、主任教諭の導入に対応した給与条例の一部改正が提案されています。私は、主任教諭の導入を柱とする今回の教員の任用、給与制度の改正は、学校内の体制を大きく変えるものだと考えております。さきに行われました我が党の三宅先生の代表質問に対して、大原教育長から、主任教諭は校務分掌上の重要な役割と若手教員の育成を担っていくという答弁を得ており、主任教諭が学校内において重要な役割を担うことについては理解いたしました。
 ところで、私は、さきの決算特別委員会の第二分科会で、副校長への業務集中解消について質問いたしましたが、その際、副校長が負担と感じている具体的な内容として、調査報告事務や校務分掌組織に分担させられない業務などがあると伺いました。
 今回、主任教諭が学校内でその役割を着実に果たすことにより、こうした要因が解消され、副校長、主幹教諭の業務集中の是正が図られるのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

○中島参事 委員お話しのとおり、現在、学校におきましては、地域との連携などの業務はどの分掌にも属さないとされ、管理職等の仕事となることが多く、それが副校長、主幹教諭への業務集中の一因となっているものと考えております。
 今回、主任教諭を導入し、その職責として校務分掌上の重要な役割を担うことを明確化したことにより、主任教諭がより適切に校務を担い、着実に職務を果たしていくことで、これまでどの分掌にも属さないとされていた職務につきましても分担が明らかになり、組織として取り組むことができるようになるものと考えております。
 こうしたことで、副校長や主幹教諭が現在よりも学校の組織マネジメントの中心としての役割を果たすことができるようになるものと考えております。

○村上委員 学校の組織体制を強化していくためにも、主任教諭にはしっかりと職責を果たしてもらわなければならないわけですが、そのためには、給与面においても頑張っている教員が報われるようにする必要があると考えます。
 そこでお伺いいたしますが、主任教諭は、現行の教諭の職を分化して新たに設置したものと聞いていますが、主任教諭以外の教諭とでは給与にどの程度の差がつくのか、教えてください。

○中島参事 教員の人事制度におきましては、採用後、主幹教諭や校長、副校長に昇任する者を除き、現状では、より責任の重い上位の職に昇任する仕組みがなく、年功的かつ一律的に給与が上昇する仕組みとなっております。
 主任教諭制度の導入によりまして、教諭は選考に合格して初めて主任教諭に昇任し、職責に応じた給与を受けることとなります。
 新たな教育職給料表においては、主任教諭の給料水準が現行の教諭と同程度の水準となっており、主任教諭に昇任しなければ従来のように給料が上昇しなくなることから、当然のことながら、主任教諭と主任教諭以外の教諭で給与差が生じることになります。

○村上委員 これまでの年功的な給与体系を改め、意欲や専門性があれば主任教諭を目指すことができるような仕組みを構築することができれば、若手教員にとっても主任教諭が一つの目標になると思います。
 では、新たな教育職給料表において主任教諭の給料を一〇〇とした場合、主任教諭に昇任せず、教諭の職のままでとどまる者の給与月額はどの程度となるのか、お伺いいたします。

○中島参事 給料表における最も給料月額が高い号級、いわゆる最高号級で比較いたしますと、主任教諭を一〇〇とした場合、主任教諭以外の教諭は九四でございます。

○村上委員 職責に応じて主任教諭と教諭の給料を設定しているということについては、理解できました。主任教諭が活躍することにより、学校の課題解決能力が向上していくことを強く期待するものです。
 しかしながら、学校における課題はさまざまであり、学校運営のかなめとなる校長、副校長の強いリーダーシップやマネジメント能力がなければ、学校教育をめぐる課題を解決することはできません。
 また、東京都が国に先駆けて導入した主幹教諭については、学校運営の中核として活躍しており、学校の課題解決能力の向上に寄与していると伺っております。
 こうしたことから、優秀な校長、副校長及び主幹教諭を確保育成していくことはぜひとも必要であり、意欲ある教員に校長、副校長、主幹教諭を目指すように促すには、処遇面においても改善を行い、給与面のめり張りをつけることも重要であると考えます。
 そこで、お伺いします。現行給与表において、教諭の給料月額を一〇〇とした場合、小中学校の校長、副校長及び主幹教諭の指数は幾つになるのか、また、主任教諭導入後の新たな給料表において、主任教諭を一〇〇とした場合、同じように校長、副校長及び主幹教諭の指数は幾つになるのか、それぞれお伺いいたします。

○中島参事 先ほどと同様、最高号級で比較いたしますと、現行の給料表においては、教諭を一〇〇とした場合、小中学校の校長は一一三、副校長は一〇五、主幹教諭は一〇一となっております。
 また、新たな教育職給料表においては、主任教諭を一〇〇とした場合、校長は一一八、副校長は一一二、主幹教諭は一〇五となっており、これまでと比べて職層ごとの給料のめり張りが拡大しております。

○村上委員 校長、副校長についても処遇改善が図られていることが、今のご説明でよくわかりました。
 現場の校長、副校長と直接話す機会がありまして、近年では、地域の協力を得ながら教育活動を進めていく必要があったり、一部の保護者による理不尽な要求への対応が迫られるなど、教育をめぐる課題は日々困難度を増しています。
 学校は、そうした中においても学力向上や健全育成を進めていく必要があり、校長、副校長の強いリーダーシップが非常に重要であることから、管理職の責任もこれまで以上に重くなっていくと思います。
 一方、国においては、人材確保法に基づく教員給与の優遇措置を見直す方向を示しており、実際に今年度から縮減措置が行われると聞いております。
 しかしながら、今後とも教育改革を促進していくためには、校長、副校長、さらに頑張ってもらわなければならない、こんなふうに考えております。そのためにも、処遇面においても、引き続き校長、副校長の処遇改善も含め、さらにめり張りはりのある給与体系としていくことが必要であると考えますが、都教育委員会は今後どのように取り組んでいくのかお伺いし、私の質問を終わります。

○中島参事 委員お話しのように、校長、副校長の職務の困難度や重要性はますます増大してきていることから、管理職の職責等に応じた適切な処遇を行うことが重要であると認識しております。
 都教育委員会は、国における教員給与の見直しの動向を注視しつつ、今後とも関係機関と協議し、校長、副校長を初めとする教員の職責、能力、業績をより一層重視しためり張りある給与制度の構築に取り組んでまいります。

○伊藤委員 それでは、私の方からも、本委員会に付託をされております学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例について、何点か質問させていただきます。
 今日、学校教育をめぐる課題が多様化、複雑化、深刻化している中にあって、校長、副校長の先生を初め、学校教員の方々は大変なご苦労をされ、また一生懸命に児童生徒のために尽くされていることに、心から敬意を表するものであります。
 また、今、団塊の世代の教員の大量退職に伴い、今まで以上に優秀な人材の確保や若手教員の育成、教員の意識、能力の向上が喫緊の課題となっております。
 こうした中、みずから、より責任の重い立場を担って教育現場で頑張っていこうという教員が陸続と輩出されることに大きく期待するものでございますけれども、選考試験を経て新たな職務、職責についた教員に対し、その仕事にふさわしい、また、魅力ある給与水準を設定することは大変に意義のあることだと考えております。
 そこでまず、現在は校長、副校長、主幹教諭以外の教諭については、年功的、一律的な任用、給与制度となっておりますけれども、今回の主任教諭導入によって、教員の年功的、一律的な任用、給与の仕組みがどのように変わるのか、伺いたいと思います。

○中島参事 教員の人事制度におきましては、採用後、主幹教諭や校長、副校長に昇任する者を除き、現状では責任の重い上位の職に昇任する仕組みがなく、年功的かつ一律的に給与が上昇する仕組みとなっております。
 このため、今回の教員の人事制度の改正は、主任教諭の導入を柱といたしまして、給料表において主任教諭の職務の級を新設するなど、めり張りのある任用、給与制度へと大きく転換を図るものでございます。
 具体的には、主任教諭制度においては、教諭は選考に合格して初めて主任教諭に昇任し、職務の級が上がり、職責に応じた給与を受けるという仕組みに改正するものでございます。

○伊藤委員 より責任の重い立場を担うことに見合った給与体系の仕組みになるということがよくわかりました。
 先日、我が党に、ある高校で勤務をしている先生から、主任教諭に昇任しなければ給料が月額約四万円も下がってしまうという話が寄せられました。一瞬どきっと驚きましたけれども、調べてみますと、 給料表の最高号級で比較すると、新しい給料表の中、主任教諭でない教諭の給料月額は、現在の高校教諭の給料表の2級の給料月額よりも三万九千二百円低いということでございました。
 そこで、主任教諭に昇任しなければ現在よりも給与が下がってしまうのかどうなのか、伺いたいと思います。

○中島参事 新たな教育職給料表においては、主任教諭の給与水準は、現行の教諭と同程度の水準となっております。したがいまして、今後、主任教諭に昇任せず、教諭の職のままでいる者の給料水準につきましては、若年層を除き、現行制度のままであれば得られたであろう給料水準よりも下回ることとなります。
 加えて、新たな教育職給料表においては、高齢層の昇給幅の抑制により、年功的要素が是正されたものとなっております。
 こうしたことから、ご指摘のとおり、現行の教諭と主任教諭にならない教諭の最高号級の月額の差は三万九千二百円となっております。
 ただし、現在在職している教員が新たな給料表へ移行するに当たっては、個々の教員の移行前の給料月額に満たない者につきましては、いわゆる現給保障の考え方をとることにより、現在受けている給料が下がることのないよう、適切に措置することとしております。

○伊藤委員 新たな給料表への移行にあっては、主任教諭にならない教諭に対しても一定の配慮がなされているということで、安心いたしました。
 私は、今回の給料表の改正は、教員の質を高め、士気を向上させていく側面があると考えております。しかし、教員の中には、今回の制度改正の意義や内容を正しく理解していらっしゃらない先生方も大勢いらっしゃるのではないかと思います。
 そこで、新たな制度の趣旨や考え方などについて、区市町村教育委員会や都立学校はもちろん、教員一人一人が正しく理解できるよう、丁寧に周知することが重要だと考えますけれども、見解を伺います。

○中島参事 委員ご指摘のとおり、教員の人事制度改正の詳細を丁寧に周知していくことは、大変重要なことであると認識しております。
 都教育委員会は、これまでも区市町村教育委員会の教育長、都立学校長、小中学校長等を対象に、主任教諭制度導入の趣旨や選考方法、給与制度見直しの具体的な内容などにつきまして、説明を行ってきたところでございます。
 今後は、委員ご指摘の趣旨も踏まえまして、新たな給料表への移行の考え方や現給保障の内容などにつきましても、改めて文書を発出するなど、制度改正の内容が学校の管理職や教員に正しく伝わるよう、その周知徹底に努めてまいります。

○伊藤委員 今回の制度改正によって、多くの教員に、ぜひ校長、副校長と、目指していただきたいと念願をいたしまして、次の質問に移ります。
 続けて、東京都立図書館条例の一部を改正する条例に関連して、質問させていただきます。
 この条例改正は、日比谷図書館の千代田区移管に向けた規定の整備を図ることを目的とした改正案ということでございますけれども、まず初めに、改めて都立図書館の担う役割とは何か、伺いたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 都立図書館の役割でございますけれども、都民の調査研究の支援や区市町村立図書館の支援に努めることを目的として、都民の需要を広域的かつ総合的に把握いたしまして、資料及び情報収集、整理、保存及び提供することでございます。

○伊藤委員 都立図書館の目的は、都民の調査研究と区市町村立図書館の支援という基本的な考え方はよくわかりました。
 また、これまで都教委は、都立図書館の新しいサービスのあり方を検討してきたと聞いております。平成十四年一月には、都立図書館のあり方検討委員会の第一次報告がまとめられ、そして、第一次報告をもとに、区市町村立図書館との連携の問題やIT社会に対応した図書館サービスの提供などを加えて整理したのが平成十七年八月の第二次都立図書館のあり方検討委員会報告であり、さらには、これらの都立図書館改革の内容を具体化し、その実現を図るために、十八年八月には都立図書館改革の具体的方策を発表しておられます。
 そこで、この都立図書館改革の具体的方策について現在どのように進捗しているのか、進捗状況を伺いたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 都立図書館改革の具体的方策は、第二次都立図書館あり方検討委員会報告に基づきまして、おおむね三年間、平成二十一年度を当面の目標とする取扱期間の中で実施する事業を整理したもので、現在、その方策の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 具体的には、中央図書館のワンストップサービスを来年一月から開始いたします。あわせて、重点的情報サービスの充実といたしまして、都市・東京情報サービスを開始いたします。
 多摩図書館には、東京マガジンバンクを来年五月に創設いたします。
 また、各図書館において、その時々に応じたタイムリーな企画展を実施しております。
 そのほか、区市町村立図書館との連携、協力、都の行政施策との連携など、具体的方策に掲げた改革を着実に進めてまいります。

○伊藤委員 都立図書館改革の具体的な方策に書かれた内容を着実に実現に向けて進めているということがわかりました。
 その中に今回の条例改正案である日比谷図書館の地元千代田区への移管も含まれているということでございますけれども、今後、この日比谷図書館を移管した後、都立図書館全体の方向性はどのようになるのか、伺いたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 日比谷図書館は個人貸出サービスを中心に業務運営を行っていますことから、これを地元千代田区に移管いたしまして、都教育委員会は、中央図書館と多摩図書館の二館で広域的自治体の図書館といたしまして、広範囲にわたる資料の収集及び提供と、図書館の図書館として、区市町村立図書館に対する協力、支援を進めてまいります。
 さらに、中央図書館と多摩図書館との役割分担として、特に多摩図書館は公立図書館として初めて試みる東京マガジンバンクを設置いたしまして、そのマガジンバンクと青少年サービスを中心とした業務を担ってまいります。

○伊藤委員 日比谷図書館を地元千代田区に移管した後は、中央図書館と多摩図書館の二館が都立図書館としての役割を担い、さらにサービスの充実に努めていくということでございました。
 そこで今、多摩図書館では、新たな取り組みとして、東京マガジンバンクと、また、今までも取り組んでこられた児童、青少年サービスを中心とした業務を行うというご答弁でございましたけれども、児童、青少年向けサービスについて、今までどのような取り組みをされてきたのか、伺いたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 多摩図書館では、通常業務といたしまして、児童、青少年向けの図書を収集し、提供するほか、大きく分けますと、図書館内での取り組み、都立学校への支援、区市町村立図書館への支援の三つの取り組みを行ってきております。
 多摩図書館内での取り組みといたしましては、定期的な読み聞かせの実施や子ども読書フォーラムの開催、児童、青少年への読書活動の啓発資料作成などを行っております。
 都立学校への支援といたしましては、特別支援学校でのお話し会の開催や授業教材としてのまとまった冊数の本の貸し出しなどを行っております。
 区市町村立図書館への支援といたしましては、区市町村立図書館職員への児童、青少年サービスに係る研修などを実施しております。

○伊藤委員 児童、青少年向けにさまざまな観点からの取り組みを進められているということでございました。今後もさらに都立図書館としての特色を生かした特別支援学校などの図書、また読書環境の充実など、事業を発展させていただきたいと要望いたします。
 今、子どもたちを取り巻く環境の中に、インターネット世界が大きなものを占めております。児童、青少年が何かを知りたい、調べたいというときに、インターネットを開けば容易に情報を得ることができるわけでございます。しかし、一方では、インターネット検索による情報の中には、本来、児童、青少年が触れてはいけない内容や偏った情報もたくさんあふれているのが現状でございます。
 私は、児童、青少年が自分の力で積極的にみずからの関心のある事柄について、図書によっても調べる力をつけていくということが大切だというふうに考えております。これは第一義的には、学校の先生方が子どもたちに対して調べ学習についての指導を行うことが必要であるわけでございますけれども、都立図書館としても、児童、青少年が図書を活用した調べる力をつけさせるために、積極的な情報発信をすべきであると考えますけれども、いかがでしょうか。

○皆川地域教育支援部長 児童、青少年がわからないことを本で調べるということは、大変大事なことであると考えております。都立図書館では「高校生のための調べ方案内」というリーフレットを作成し、館内に配布用として用意するとともに、その内容を都立図書館のホームページにも掲載しております。
 現在、そのテーマとして「身近な環境を調べる」など三つのテーマのリーフレットを用意しておりますけれども、今後も引き続き、新たなテーマについてのリーフレットを作成することにより、その充実を図ってまいります。

○伊藤委員 リーフレットを作成しておられる、また、リーフレットの続編を作成するとのことでございました。私も見せていただきましたけれども、せっかくのリーフレットでございます。館内に配布用として置いておくだけでなくて、ぜひとも都立学校等、高校生等に配布をしていただきたい。また、先ほど申し上げた調べる力をつけさせていくためにも、できれば中高生にはこうしたことをしっかりと、教育の一環として、このリーフレットを活用していただきたいというふうに要望をさせていただきます。
 最後の質問として、今まで都教委が行ってこられました視聴覚ライブラリー授業として、日比谷図書館の一六ミリフィルムの貸し出しについて質問させていただきます。
 これは、かつて私自身も日比谷図書館へフィルムを借りに何度も通った経験がございますので、特別な思いがございます。地域の子どもたちのために映写会などを企画すると、意外にも、集まってきた子どもたちは目を輝かせて、この一六ミリフィルムの作品を見詰めておりました。最近は、ビデオやDVDを使って、ほとんどは各家庭でテレビ画面による作品の鑑賞が主流を占めているわけですけれども、みんなで一堂に集まって、また大人が映画フィルムの映写機を操作する様子を見ながら、カチカチカチというあの独特な映写機の音を聞きながら、フィルムを見ながら、その作品を鑑賞する一六ミリフィルムは、その感動をみんなで共有をしたりとか、また、その感動も、さらに、一人で見るよりも大きなものを得られるのではないかというふうに私は考えます。
 こうした一六ミリフィルムの貸し出しが時代の流れとともに少なくなっているというふうにも聞いておりますけれども、この視聴覚ライブラリー、一六ミリフィルムにつきまして、改めてその意義とこれまでの事業成果をお尋ねしたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 視聴覚ライブラリーの一六ミリフィルム貸出事業は、昭和二十三年に開始されまして、最盛期では年間一万二千件以上の貸し出しがありましたが、ビデオの普及等により次第に実績は減少し、ここ数年の貸出件数は千七百件前後で横ばいの状況でございます。
 人気のある作品の内容としては、小学校低学年や就学前の幼児を対象とした評判のよい絵本を動画化したものが多い状況にございます。
 こうした作品を目にする機会が限られた島しょ部では、特に多くの希望が寄せられておりまして、その数は、貸出総数の二割から三割を占めております。
 こうした状況を見ても、良質の作品を子どもたちに提供するという目的のもと、社会教育における視聴覚教育の振興について、区市町村が担えない広域的な役割を果たしていると考えております。

○伊藤委員 最盛期では年間一万二千件の貸し出しがあったものが、ここ数年、千七百件前後と随分数が下がったようにも思われますけれども、一方では、この社会にあってもまだ千七百件の貸し出しがあるわけでございます。今、ご答弁いただいたように、現在においてもその意義は失われていないということがよくわかりました。
 また、特に映画館がない島しょ地域においては希望が多いということでございましたけれども、そこで伺いたいと思います。今まで日比谷図書館で行ってきたこの一六ミリフィルムの貸し出しの事業は、日比谷図書館が千代田区へ移管されることになってどのようになるのか、伺いたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 日比谷図書館は千代田区に移管いたしますけれども、一六ミリフィルムの貸し出しは、都教育委員会の事業といたしまして、多摩図書館で引き続き今後も、区市町村の視聴覚ライブラリーの支援及び社会教育等における視聴覚教育の振興を図ってまいります。
 また、貸出方法は、予約を電話やメールなどで行っていただき、カウンターでお渡しいたします。希望者には、費用は負担していただきますけれども、宅配をご利用いただきます現在の方法を継続することといたします。

○伊藤委員 一六ミリフィルムの貸し出しについては多摩図書館に引き継がれるということを聞きまして、安心をいたしました。今後も継続していただく中で、ぜひ良質な作品や、また非常に古いフィルムが多くなっておりますので、ぜひ新しい作品など、ライブラリーの充実を図っていただきたいと要望いたします。
 今回の条例提案である日比谷図書館の地元千代田区への移管につきましては、第二次都立図書館のあり方検討委員会報告にも書かれているように、今なお多くの利用者に愛されている日比谷図書館の機能を今後も継続していくという意味と、都立図書館がその本来の役割を特化していくという二つの目的を兼ね備えた決断であったことを確認いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○古館委員 それでは、私も何点かお尋ねをいたします。
 一つは、第二百二十号議案の学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例についてであります。
 今回の給与改定の最大の特徴は、主任教諭、この任用制度を導入したということですね。それから、小学校と中学校、高校、この給料表を一本化して、教育職の給料表を新たに新設して、フラット化をより強めた、昇任しなければ給与水準が上がらない仕組みにしたことが大きな問題であります。そのほかにもさまざまな問題はありますけれども、この二点に絞って、きょうは質問したいと思います。
 まず、聞いておきたいんですけれども、現在の小中学校の教諭の給料月額について、この場合に、新卒で入都した教諭の場合、それから、四十五歳と五十五歳の給料月額、また、現在の高校の教諭で、同様に四十五歳と五十五歳の給料月額、そして、新しい給料表になった場合の教諭の四十五歳と五十五歳の月額給料を教えていただきたいと思います。

○中島参事 給料月額についてでございますけれども、年齢ごとの給料月額は、採用年齢や前歴等によって異なることから、ここでは、大学卒業後新卒で採用されたその後は、標準のいわゆる四号昇給をしていくと仮定した場合の給料月額をモデルとしてお示しいたしますと、数字を申し上げます。四十五歳では、現在の給料表によると、小中学校教諭は三十八万八千八百円、高校教諭は三十九万六千七百円、新たな給料表によると、主任教諭は三十九万九千四百円、主任教諭以外の教諭は三十七万六千四百円でございます。
 また、五十五歳では、現在の給料表によりますと、小中学校教諭は四十二万一千四百円、高校教諭は四十三万五千三百円、新たな給料表によると、主任教諭は四十二万六千円、主任教諭以外の教諭は三十九万七千二百円でございます。
 なお、四十五歳及び五十五歳、それぞれの教諭の給料月額について、現在の給料表による額より新たな給料表による額が低いのは、新給料表において主任教諭の給料水準が現行の給与と同程度の水準となっており、主任教諭に昇任せず、教諭の職のままでいる者につきましては、若年層を除き、現行制度のままであれば得られたであろう給料水準よりも下回ることとなっているためでございます。
 また、五十五歳の給料月額について、現在の給料表による高校の教諭より、新たな給料表による主任教諭の給料月額が低いのは、高齢層の昇給幅の抑制により年功的要素が是正されているためでございます。

○古館委員 今の答弁で、現在の小中学校の教諭は、四十五歳で月額三十八万八千八百円、五十五歳が四十二万一千四百円、高校は、四十五歳で三十九万六千七百円で、五十五歳で四十三万五千三百円。新給料だと、それぞれこれらを下回る。四十五歳の場合に三十八万八千八百円から三十七万六千四百円、こういう形でマイナスになる。五十五歳の場合でも、四十二万一千四百円の人が、新給料になると三十七万六千四百円--今、四十五歳でいいましたか--五十五歳だと三十九万七千二百円。ですから、それぞれ、今回の状況でいくと減額になっていくということなんですね。
 つまり、教諭の場合に、小中学校では、四十五歳で、今いったような一万二千四百円--これは月額ですね--の減額と。五十五歳だと二万四千二百円の、一カ月ですね、減額になると。年間ですと、四十五歳では十七万五千四百六十円の減額ですね。それから、五十五歳では三十四万二千四百三十円の減額、かなり大きいですね。高校の教諭の場合だと、四十五歳で月額二万三百円、年間にすると二十八万七千二百四十五円、これが五十五歳になりますと、上がって月額で三万八千百円、年間にすると何と五十三万九千百十五円も減額になるんですね。これは本当に大変なことです。生活設計が根底から崩れかねない、こういう事態になっているんですね。
 そこで、先ほどちょっと現給保障というのがいわれたんですけれども、これは、減る人はだれもいないということなんですか。

○中島参事 今回の人事給与制度改正に当たりまして、職員への影響等を考慮し、いわゆる現給保障の考え方をとっているところでございます。

○古館委員 だから、聞いているのは、これで、現給保障ということでマイナスというふうにはならないと、そういうふうに理解していいんですかということをいっているんです。それで、全体のマイナスになる人たちがこれで全部カバーされるということなんですかということなんです、聞いているのは。

○中島参事 現在、在職している教員が新たな給料表へ移行するに当たっては、個々の教員の移行前の給料月額に満たない者につきましては、いわゆる現給保障の考え方をとることにより、現在受けている給料が下がることのないよう適切に措置することとしております。

○古館委員 それは何によって担保されるんですか。今、そういうことを聞いたんですが、例えば条例の中にそれが明記されていますとかということなんでしょうか、どうなんですか。

○中島参事 条例の中に明記されてございます。

○古館委員 それで、その問題については改めて論議したいと思いますけれども、先ほどからいっているように、現状は減るんです。こんなに給料が減るわけですから、下がった分の仕事量、これは、責任は減るということで考えているんですか、教育庁は。どうなんですか。

○中島参事 従来から教諭には、学級担任や教科担任としての幅広い視野に裏づけられた的確な児童生徒理解に基づく実践的、効果的な指導業務はもとより、学校運営上の重要な役割、主幹教諭の補佐、同僚や若手教員への助言、支援などを求めてまいりました。
 一方、教員の約八五%を占める教諭の職にある者の間で、職務の困難度や責任の度合いに大きな違いが生じております。このような実態に対しまして、職責、能力、業績をより適切に評価し、処遇することで、教員一人一人の意欲を引き出し、資質能力の向上を図っていくことが必要であります。
 このため、教諭の職について、職務の困難度や責任の度合いに応じて主任教諭と主任教諭以外の教諭の二つの職に分化し、それぞれの職に適切な処遇を行っていくものでございます。

○古館委員 今のは、はっきりいってとんでもない話なんですね。先ほどの答弁では、主任教諭の任用開始後、これらの役割について主任教諭が行う、こういうふうにいっているということは、普通の教諭は、同僚や若手教員への助言、支援などの指導的役割を果たすことはない、こういうことでしょうか。教諭の、事実上、その職務内容や職責が相対的に軽減されるというけれども、学級や教科の担任として子どもと向き合っている教諭の職務内容、職責、これがどうして軽減されるんでしょうか。子どもたちにとっては、担任の先生は主任教諭であろうが教諭であろうが、変わりはないんです。教諭本来の職務は、憲法二十六条と学校教育法に基づいて教育をつかさどる、こういうことですね。主任教諭と教諭の間に、教育指導で職責が違うことになれば、子どもは平等に教育を受ける権利、これ自体を侵害することになります。
 そこでお尋ねしますけれども、都教委がいうように、仮に重い責任があるのなら、主任教諭の給料は大幅に上がるのでしょうか。先ほどの比較と同様に、四十五歳と五十五歳の主任教諭の給料月額、これは幾らですか、お示しください。

○中島参事 新たな給料表によります主任教諭につきましては、四十五歳では三十九万九千四百円、五十五歳では、新たな給料表による主任教諭は四十二万六千円というふうになっております。

○古館委員 それで、そのことで、どれだけ増額になるんですか。

○中島参事 現行の小中の教諭との比較で申しますと、新たな給料表によります主任教諭につきましては、一万六百円ふえます。給料月額でふえることになります。また、五十五歳で、同様に小中の教諭との比較で見ますと、四千六百円増額ということになります。
 高校の教諭との比較でございますけれども、主任教諭になりますと、四十五歳で二千七百円の増額でございます。ただ、五十五歳につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、高齢層の昇給カーブのフラット化等の影響によりまして、九千三百円の減というふうになっております。

○古館委員 だから、さっき、みんな上がるとかというふうにいっているんですけれども、重い責任を主任という形で負わせるんですけれども、そんなにいっているほど、月額で、四十五歳で一万六百円、年とっていくと、だんだんだんだんもらうお金が少なくなっていって、五十五歳だと四千六百円。逆に、五十五歳だと、月額で九千三百円減っちゃうんですね。こういうようなことです。
 結局、同じ教諭であるにもかかわらず、給料で差をつけて、分断を持ち込んで、はっきりいえば生活設計まで狂わせてしまう。しかも、主任教諭にならない場合の減額、これは大きいけれども、主任教諭となっても増額はわずかなんですね。むしろ、さっきいった高校では減額だと。とんでもない制度なんです。
 聞きますけれども、主任教諭制度というのは、法的にはどのように位置づけられているんでしょうか。法的に教諭と主任教諭はどのように違うんですか。

○中島参事 主任教諭は、東京都教育委員会及び各区市町村教育委員会が地方教育行政の組織及び運営に関する法律に定める教育委員会の組織編制権に基づき、所管する学校の管理運営規則を改正し、設置した職でございます。主任教諭も主任教諭以外の教諭も、いずれも学校教育法上は教諭でございます。

○古館委員 今、答弁ありましたけれども、いずれも教諭なんですよ。(「当たり前じゃないか」と呼ぶ者あり)いや、当たり前じゃないですよ。そこを東京都が、主任教諭とかただの教諭というふうにやっていると。ところが、法的にはそういう関係では、何も上下の関係はないんですよ。つまり学校教育法上は、主任教諭も教諭も、両方とも同じ教諭、こういうことなんですね。
 学校教育法は、学校を構成する教職員の職とそれぞれの職務を定めているけれども、それは児童生徒に普通教育を保障するための教育活動を組織的に行う、そういう職員構成であって、行政上の職の配置とは根本的に違うんです。学級担任や教科担任として子どもたちと向き合う教諭等は、日常の教育活動を直接に責任を持って自覚的に進めており、上司の指示、命令のもとに、上司に責任を負って職務を行うのでは、本来、教育は成り立たないですね。わざわざ主任教諭を任用して給料で差をつけるというのは、学校現場の実情に全く合わないものといわざるを得ません。
 今回の給与改定には、以上、重大な問題があることを指摘しておきます。
 次に、都立日比谷図書館の千代田区移管についてお尋ねをいたします。
 日比谷図書館につきましては、鈴木都政のときに第三次東京都長期計画の中で、日比谷図書館の改築が計画の中に位置づけられておりました。これを受けて平成九年三月に新日比谷図書館基本構想が出され、その中では、新しい改築後の日比谷図書館を、情報メディアを核とし、新聞、雑誌、外国語資料、児童、青少年資料等の図書館サービスを行う拠点とする、つまり、立地を生かして積極的に都立図書館として活用していこうという構想がありました。
 しかし、平成十年、財政難を理由に改築しないことになりまして、これらの機能充実をやめてしまったんですね。そして、ついに三年前に、第二次都立図書館あり方検討委員会、これは都教委の内部組織でありますけれども、この報告書の中で千代田区への移管ということが出てきたんです。
 この間、私も都立日比谷図書館に行ってまいりました。日曜日でしたけれども、たくさんの人が来ていました。閲覧室もかなり詰まっておりまして、新聞コーナーでは、普段読めないいろいろな新聞、雑誌などに目を通している人もたくさんいました。一見するとホームレス風の人も、何人かで新聞を一生懸命読んでいました。閲覧室や閲覧コーナーでは、二十代の学生風の人から三十代、四十代の男性、女性、本やノートを広げていたんですね。
 実は、私の住む板橋は都営三田線が走っておりまして、日比谷図書館は三田線の駅に近いところにあって、板橋からも利用者が結構行っているんです。板橋区民にとっても、とても人気のある図書館がこの日比谷図書館であります。(「板橋には図書館ないの」と呼ぶ者あり)あります。板橋区民からも、日比谷図書館は都立、都営で継続をとの声が上がっているんです。
 それで、日比谷図書館を千代田区に移管する理由というのは、一体何なんでしょうか。

○皆川地域教育支援部長 都立図書館は、広域的自治体の図書館として広範囲にわたる資料の収集、保存及びこれに基づく情報サービスの提供並びに区市町村立図書館の支援を行うものであります。
 しかしながら、日比谷図書館は、図書の個人貸出サービスを中心に業務運営を行っておりまして、区市町村立図書館の役割であることから、都はその運営を継続する必要性は薄いと判断し、千代田区に移管するものでございます。

○古館委員 個人貸し出しが多いということは、とてもいいことだと私は思っています。本来、都立だとか区立だとか、どこでどういうふうにそういう線を引くのかというのは、本当にわかりません。
 それで聞きますけれども、都立図書館、すなわち中央図書館があって、日比谷図書館があって、多摩図書館、三館が今、都立の図書館なんですね。それで、入館者数と複写枚数、それぞれこの三館について教えていただきたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 平成十九年度ですけれども、都立図書館三館それぞれの入館者数は、中央図書館が二十九万七千五百十人、日比谷図書館は五十九万一千五百八十一人、多摩図書館は七万四千七百六十九人であります。
 また、十九年度複写枚数ですけれども、中央図書館は二百十万五千八十枚、日比谷図書館は三十一万四千六百八十六枚、多摩図書館は十三万八千四百十六枚でございます。

○古館委員 今の入館者数、これだって断然に日比谷図書館がトップなんです。六十万近い方がこの日比谷図書館を訪れているんですね。結局これは、立地もよくて、今でも広く都民に利用されている図書館だということを都民自身が証明しているんですよ、これは。利用者も、カード登録者のうち千代田区民というのは一%台なんですね。(「千代田区民だって都民の一人だ」と呼ぶ者あり)だから、一%台なんです。千代田区在勤を合わせて約三割でしかありません。七割は千代田区とは関係ない、そういう他の地域から、この日比谷図書館を利用している。このことをやっぱりきちんと見る必要があるんです。複写枚数も多摩の二倍以上の枚数ですからね。つまり、貸出中心というけれども、持ち出しできない資料や雑誌などを調べに来て、コピーしていくという形でも相当利用されているんです。これで、かつての基本構想の方向で日比谷図書館が充実されてきたら、どんなにか都民に利用される図書館になったかと思いますが、今でも広く都民に利用されております。
 それに、貸し出しだって、都民のニーズをつかみ、都立として区市町村図書館をリードするには必要な機能です。他の県では、貸し出しをしていない県立図書館なんてありません。日比谷図書館は、千代田区移管ではなくて、都立として充実すべきことを強く述べておきます。
 それで、日比谷図書館が千代田区に移管したらどうなるのかという話です。都立図書館改革の具体的方策という中に、年間約七十万人の都民、都内居住者及び通勤、通学者等というふうに括弧で書いていますが、この年間約七十万人の都民が利用していることから、そのサービスは継続する必要があります。
 このため、第一線の直接サービスを行う図書館として一層充実するよう地元千代田区への移管を図るとしていますけれども、七十万人が利用している図書館を一層充実させるために、都として千代田区に対して、じゃ、どのようなことを求めているんですか。

○皆川地域教育支援部長 ご指摘の具体的方策の中では、その前段ですけれども、日比谷図書館は図書の個人貸出サービスを中心に業務運営を行っており、区市町村立図書館の役割であることから、都立として運営を継続する必要性は薄いとした記述がございます。そのため、ご指摘の部分は、地元千代田区への移管を図ることが日比谷図書館の存続と一層の充実につながる方策であるという趣旨でございます。
 都としては、覚書の中にあるとおり、日比谷図書館の名称と現行図書館サービスの継続・向上に努めるよう求めているところでございます。

○古館委員 結局、都として、この問題については、やっぱり貸し出しのサービスということについても、都立だからやらないということは、そういう考え方というのはおかしいと思うんですね。やはりそういう中で、現行図書館サービスの継続・向上に努めるというふうに、今お答えがありましたけれども、じゃ、具体的にはどのようなサービスを継続・向上させるのか、また、継続されないサービスというのはあるでしょうか。

○皆川地域教育支援部長 去る十月に都と区の教育委員会で取り交わした覚書の中で、千代田区は、移管後も現行図書館サービスの継続・向上に努めるものとしております。
 千代田区によれば、継続・向上に努める図書館サービスとは、図書館資料の閲覧、貸し出し、レファレンス等のサービスを指す、詳細については検討中としてございます。

○古館委員 ちょっと答弁漏れなんですけれども、継続されないサービスというのはあるのか。

○皆川地域教育支援部長 詳細については検討中ということでございます。

○古館委員 要するに、現在検討中ということで、はっきりいってこれは千代田区の考え方と。だから、ちょっと質問をペーパーでそちらに渡したときに、検討中、検討中というのがいっぱい出てくるんですよ。結局は、東京都が主体としてどういう図書館をしっかり守っていくのかということが土台になきゃいけないなというふうに思うんですね。
 ところが、千代田自身も今、現在検討中。その検討中が何回も出てくるところに、じゃ、何でそういう話が今、もう先にまとまっちゃうのかというところにも、一つ、私は非常に疑問を感じているところであります。
 図書館資料の閲覧、貸し出し、レファレンス等のサービスを指すということでありますけれども、閲覧、貸し出しといっても、本や資料がなければ、閲覧とか貸し出しというのはできませんよね。そういうことで、現在ある十四万冊の蔵書はすべて日比谷図書館に収蔵されるんでしょうか。これは一体どういうふうになるんですか。

○皆川地域教育支援部長 千代田区によれば、区立図書館全体の中で活用するとしております。

○古館委員 ここの日比谷図書館で活用するのじゃなくて、全体で活用すると。ということは、移管後、日比谷図書館に行っても、これまで見られた本が見られるかどうかわからない、こういうような状況ですね。
 それでは、続けて聞きますけれども、地方紙などの新聞、雑誌の購入は継続されるんでしょうか。

○皆川地域教育支援部長 千代田区によれば、新聞や雑誌については、現日比谷図書館を特徴づけるサービスであると認識しており、基本的には継続の方向で検討中としております。

○古館委員 今も、それもまた検討中の話になっているわけですね。ですから、古い本だとか資料が、やっぱり日比谷図書館だからこそあるというのが、それこそあるんですよ。行くと、昔からの皇居の地図が年代ごとにちゃんと張られて見られるんですから。つまり、そういうものというのは非常に貴重なものなんですね。それが、日比谷図書館に行けば、今なら見られる。
 また、最新の本だとか資料が常にそろっていることが重要なんです。現行サービスを継続というんだったら、図書の収蔵、購入は、少なくともこれまでの水準を維持し、向上させるようにしっかりやっていただきたい。
 そこでお伺いしますけれども、千代田区在住、在勤でない都民、都内在勤者へのサービスはどうなるんでしょうか。千代田区在住、在勤者と違いはあるんですか。お答えいただきたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 千代田区によれば、千代田区立図書館の現在のサービスにおいては、現状において図書の貸出冊数については、区民は一回十冊まで、区民以外は五冊までという区民に対する優遇以外に、区別は行っていないということであります。
 今後のあり方については、区立図書館全体のサービスのあり方を見直す中で別途検討するとしております。

○古館委員 だんだん、これでうまくいくのかなと。なぜかといいますと、今は千代田区民が十冊借りられる。ところが、千代田区民じゃないですよという人は五冊と。(「十冊も持って帰れないよ、重くて」と呼ぶ者あり)それはサービスの問題ですからね。それで、そういう今の日比谷図書館、十冊まで借りられる、こういうお答えなんですね。
 私たちは、千代田区以外に住んでいる人が、仮に十冊じゃなくて五冊ということになったら、これは都立だったら、今はそういうことはあり得ないですよ。ところが、区立になったことでそういうふうになるということについては、やっぱり問題だと思うんですね。
 しかも、千代田区議会への説明によりますと、千代田区に移管した場合に、採算性に配慮した運営ということが出ているんですね。採算性に配慮した運営ってどういうことが具体的に出ているかというと、有料の特別席を設けましょうとか、会員制の閲覧室を考えている、こういうことのようですけれども、これは本当でしょうか。本当だとしたら、有料部分は、閲覧席、閲覧室の何割ぐらいに及ぶんでしょうか。お答えください。

○皆川地域教育支援部長 千代田区によれば、設置するかどうかを含め、今月中にまとめる予定の基本構想において方針を定め、今年度末にまとめる予定の基本計画の中で施設配置について検討するとしております。

○古館委員 先ほどいいましたけれども、こういう形の状況というのは、今後の検討という形で、はっきりいって、東京都はどういう責任を負いますか、この問題については。ちょっと済みませんが、質問させてもらいます。

○皆川地域教育支援部長 先ほどご答弁いたしましたけれども、東京都では、日比谷図書館の機能は区市町村立図書館の機能であるということで、その存続の必要性は薄いという判断をしたところでございます。
 そういう中において、日比谷図書館をさらに発展させるということにつきましては、千代田区に移管することによって、千代田区の中で、覚書の趣旨によりまして充実発展させていただくということであると考えております。

○古館委員 発展させるという話が心配だから、今聞いているわけで、今年度末までにまとめる基本計画で決めるということですけれども、区議会では、有料の席などの検討が説明されたというんですよ、現実に、千代田区議会では。(「区議会でやってくれよ」と呼び、その他発言する者あり)それは議会じゃないです。今、都立の、無料で借りられているところが有料になるということは大問題じゃありませんか、都民として。
 私が日比谷図書館に行ったときは、さっきいいましたが、いろいろな人が必要に応じて利用していました。新聞だとか本だとか熱心に読んでいた。有料の席、会員制の席の導入というのは、だれでも自由に知の宝庫にアクセスできる図書館本来のあり方と反すると思いますが、いかがですか。

○皆川地域教育支援部長 反するとは思いません。

○古館委員 本当に、やっぱり今まで築いてきた図書館なんですから、それが本当に都民にしっかりと引き継がれていけると、そういう点では、やっぱり東京都教育庁の一層の頑張りに期待したいと思っています。
 それから、移管後の運営は直営なんですか、指定管理者制度なんですか、どっちですか。

○皆川地域教育支援部長 千代田区によれば、千代田区立図書館は、全館を指定管理者による運営を行っていることを踏まえ、今後、具体的に運営方法を検討するとしております。

○古館委員 今、全館、千代田では指定管理者によって運営していると。今後、具体的に運営方法を検討するということですけれども、今後検討といっても、だれが見ても指定管理者の運営になる可能性が非常に高いです。だって、今、千代田でやっているわけですからね。
 公共施設に指定管理者制度が導入されて数年になりますけれども、実際にやってみた上でも、図書館への指定管理者の導入はなじまないという認識が、現在の到達点であります。さきの百六十九国会で(発言する者あり)まあ聞いてください。さきの百六十九国会で、図書館など社会教育施設への指定管理者制度の導入による弊害、これを認めた附帯決議が衆参両院で可決されているんです。ですから、これは超党派です。文部科学大臣は、公立図書館への指定管理者制度の導入率は一・八%であることに触れて、その最大の理由は、指定期間が短期であるために、長期的視野に立った運営というものが図書館にはなじまないというか難しいということ、また、職員の研修機会の確保だとか後継者の育成等の機会が難しくなる、こういう問題が指摘されているんです、やっぱりなじまないということで一・八%かなと受けとめている、このように文部科学省の大臣は答弁しているんですね。
 このような状況も踏まえて、指定管理者制度を安易に導入するなどということは、あってはなりません。都として、移管するというのであれば、千代田区民と区民以外でサービスに差をつけない、サービスの有料化はしない、指定管理者制度は導入しない、千代田区に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

○皆川地域教育支援部長 移管後の運営については千代田区が責任を持って考えるべきものであり、区立図書館としての特色を出す余地は当然あるものと考えております。

○古館委員 それにしても、都立のこれだけの歴史ある図書館が一つの区に行くということですから、東京都としては、やっぱりちゃんとそれなりの責任というものをぜひ果たしてもらいたいと思います。
 結局、現行のサービスの維持向上といいますけれども、それならどうなるかわからないと、逆に心配になっちゃうんですね。全部あちらが考えることですよということになっちゃうわけですから。こんな状況で都立日比谷図書館を廃止して千代田区に移管するなどということは認められません。日比谷図書館は都立として存続をして、都民に一層喜ばれる図書館として充実発展されるべきであることを強く申し述べて、質問を終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
 午後二時四十四分休憩

 午後三時一分開議

○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言を願います。

○早坂委員 今般、学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の議案が提案されています。その中には、小学校・中学校教育職員給料表と高等学校等教育職員給料表の一本化という内容が含まれています。
 そこで、長年にわたり二つに分かれていた給料表を一本化する理由について伺います。

○中島参事 現在、小学校・中学校教育職員給料表と高等学校等教育職員給料表の給料水準は、採用後十五年程度までは同じでございますが、それ以降は、高等学校等に勤務する教員の方が高くなっております。これは、国において二つの給料表が創設された昭和二十九年当時の教員の学歴や免許制度の違いなどにより、高等学校等教育職員給料表の方が小学校・中学校教育職員給料表より高い水準に設定されてきたことによるものでございます。
 現在では、教員の職務内容には給料表を異にするほどの校種による違いや校種間の学歴差は既になく、教員免許状の取得要件もほとんど差がないことから、給料表の適用を分ける必要性は薄れてきております。
 加えて、教員の人事管理面におきまして、中学、高校間の校種を超えた人事交流を促進することや、中高一貫教育校における給料表を異にする教員の配置管理などの課題が生じてきております。
 こうしたことから二つの給料表を一本化し、新たに教育職給料表を設置することとしたものでございます。

○早坂委員 都立の中高一貫教育校においては、原則として中学、高校、両方の教員免許を取得している人を配置していると承知していますが、現在、これらの人の給料表適用はどうなっているのか、また、給料表を一本化することによって、今後、教員の配置管理がどのようになるのか、伺います。

○中島参事 中高一貫教育校においては、中学校あるいは中等教育学校前期課程の教諭は、原則として高等学校あるいは後期課程の授業も一部担任することとしてございます。そのため、給料も職務内容に応じて高等学校等教育職員給料表を適用できるよう配慮してきたところでございます。
 しかし、教育課程編成上の都合により、高等学校等の授業の持ち時間数が少ない場合には、小学校・中学校教育職員給料表の適用となり、同一校内におきまして、教員ごとに、あるいは年度ごとに適用する給料表が異なるという事態が生じる可能性がございます。このため、中高一貫教育校におきましては、教育課程の編成や職務の割り振りを柔軟に行うことが困難になっている実態がございました。
 今回、給料表を一本化することにより、すべての教員に対して同一の給料表を適用することとなり、教科指導や校務分掌等について、より柔軟な教員の配置管理が行えるようになるなど、これまで以上に中高一貫教育校における教員間の連携を緊密にすることができるようになると考えております。

○早坂委員 都立中高一貫教育校は、平成十七年度に初めて白鴎高校附属中学校が開校、翌年度には小石川中等教育学校、両国高校附属中学校、桜修館中等教育学校が開校しました。
 各校の一般枠における応募倍率はほぼ七倍から九倍で推移しており、また、本年度開校した立川国際中等教育学校及び武蔵高校附属中学校については十五倍前後になるなど、人気が高く、都民の期待の高さがうかがえます。
 また、平成二十二年度には、一挙に四校が開校する予定になっています。
 白鴎高校附属中学校と小石川中等教育学校では、一般枠とは別に、さまざまな分野で卓越した能力を持つ生徒の能力や才能をより一層伸ばすため、特別枠を設けて、それぞれ特色ある教育を展開していると承知しています。
 そこで、まず、一般枠における入学者決定の方法がどのようなものか、伺います。

○森口都立学校教育部長 一般枠の入学者決定方法についてでございますが、適性検査と成績などが記載されました小学校からの報告書を組み合わせて総合的に判断し、入学者を決定することとしております。

○早坂委員 学校教育法施行規則第百十条第二項において、公立の中等教育学校においては学力検査を行わないものとすると定められていることを踏まえ、都立中高一貫教育校の一般枠募集では、学力検査ではなく、適性検査と小学校の学習状況がわかる報告書をもとに入学者を決めています。
 そこで、学力検査と適性検査との違いについて伺います。

○森口都立学校教育部長 学力検査は、学習指導要領に示された教科の目標に即した学習内容の理解度や達成度を見るものでございます。これに対しまして適性検査は、都立中高一貫教育校のねらいに照らして、学習活動への適応能力、学ぶ意欲や六年間の一貫教育に対する適性等を見るものでございます。
 具体的には、自分自身で問題を発見し、筋道を立てて考えようとする態度や能力等に着目する検査でございまして、生徒の問題のとらえ方によって導かれる答えは多様であり、一つの答えを導く学力検査とは異なるものでございます。

○早坂委員 一般枠募集における適性検査では、子どもの学ぶ意欲や課題発見、解決能力、集団への適性などを判定しているのであり、学力検査のような一つの正解を求めているのではないと理解しました。
 ところで、白鴎高校附属中学校及び小石川中等教育学校では、特定の教科や文化、スポーツ分野などに卓越した能力を持つ子どもに対し、特別枠募集を行っています。この特別枠募集はどのような基準で行っているのか、伺います。

○森口都立学校教育部長 特別枠の入学者決定についてでございますが、各分野ですぐれた能力を持つ生徒を対象とするため、各校で応募基準を定め、応募の際には、卓越した能力を持つことを証明する資料を提出することとしております。
 また、入学者決定においては、適性検査は実施せず、提出された資料や実技検査をもとに面接を実施し、卓越した分野の能力や意欲等を総合的に見ているものでございます。
 なお、検査の客観性や信頼性を高めるため、分野によっては外部の専門家を加え、面接を実施しております。

○早坂委員 入学者の決定に当たっては、一般枠、特別枠、それぞれに工夫していることを伺いました。
 都立中高一貫教育校では、制度発足から二年間、検査会場が狭いという理由から、受検者を絞り込むために、事前に書類審査が行われていました。我が党は、平成十八年度の第一回定例会において、都立の中高一貫教育校は多くの都民に支持を受けており、書類選考を行うことなく、広く受検の機会を確保すべきであると指摘しました。その指摘を踏まえ、東京都教育委員会がその後速やかに対応し、希望する子ども全員が適性検査を受検できるようになり、かつ学校が求める生徒の適性などをより的確に判定できるようになったことを評価したいと思います。
 一部には、公立の中高一貫教育校については抽せんを一律に取り入れるべきとの声があります。しかしながら、抽せんで絞るとなると、入学を希望する子どもが受検の機会すら与えられないこととなり、また学校側も、真に学校の教育理念に合致した子どもを集められないことになるのではないでしょうか。東京都教育委員会の見解を伺います。

○森口都立学校教育部長 抽せんの実施についてでございますが、中高一貫教育校を選択することは、多くの小学六年生にとって初めての進路選択でございます。この大切な場面において、抽せんという運によって、学ぶ意欲がありながら選択のチャンスを与えられないということになります。
 また、都立中高一貫教育校のねらいや各校の特色を十分に理解し、六年間継続して学ぼうとする意欲のある子どもたちに門戸を閉ざすことになりまして、ご指摘のとおり、保護者を初め都民の理解を得ることは極めて難しいと考えております。

○早坂委員 都立中高一貫教育校は、平成二十二年度に四校が開校すると、都内全体で十校体制となります。既に開校した各校においては、それぞれが特色ある教育を実践していると承知しています。都立の中高一貫教育校の設置は、戦後長く六・三・三制のみであった中等教育の多様化、複線化を図るものであり、子どもたちや保護者の選択の幅を広げ、都立学校をより魅力のあるものにする意味において、大きな意義があると考えます。
 今後ますます人材育成が重要になっており、生徒一人一人の個性と創造性を伸ばし、さまざまな分野で活躍できるリーダーを育成することを目指す都立中高一貫教育校には、大きな期待を寄せております。
 そこで、中高一貫教育校の教育理念の実現に向け、東京都教育委員会は今後どのように取り組んでいくのか、その決意を教育長に伺います。

○大原教育長 都立の中高一貫校の誕生の背景を含めまして、お答えを申し上げます。
 東京都教育委員会では、平成九年六月に出されました中教審の第二次答申における中高一貫教育の意義と選択的導入の趣旨を踏まえるとともに、その前年に行いました都民の意識調査において、公立の中高一貫教育校が必要との声が大きかったことから、平成九年九月に策定をいたしました都立高校改革推進計画の中で、中高一貫教育校の設置について検討することを決めました。
 さらに、平成十一年四月、学校教育法の改正により、公立の中高一貫教育校の設置が可能となったため、同年十月に策定をいたしました第二次実施計画において、パイロット校二校の設置を決定したところでございます。
 その後、平成十三年の都民意識調査で、中高一貫教育校が東京では十校以上必要との意見が全体の五六%を超えましたために、平成十四年に策定をした新たな実施計画で十校を設置することといたしました。
 都立中高一貫教育校は、六年間の一貫した教養教育を行うことで総合的な学力を培い、生徒一人一人が持つさまざまな個性や創造力を伸ばすこと、さらに、倫理観、使命感、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーを育てる教育を行い、将来、社会のさまざまな分野で信頼されるリーダーとなる人材を育成することをねらいといたしております。
 平成十七年に都立で初めての白鴎高校附属中学校が開校しましてから四年が過ぎ、現在開校している六校では、伝統文化を学ぶことや自然科学教育の推進、社会貢献の志を学ぶことなど、教養教育を中心に、受験エリート校化しないよう配慮すべきとの学校教育法改正時の趣旨を踏まえた特色ある一貫教育を展開しております。
 都立中高一貫校の設置につきましては、計画時より都議会議員の皆様にもご理解をいただきますとともに、さまざまなご支援をいただいておるところであり、地域と連携した教育活動も進んでおります。
 平成二十二年度には新たに四校が開校し、いよいよ十校体制が整うわけでございます。
 今後も東京都教育委員会は、都民の皆様の期待にこたえて、都立中高一貫教育校のねらいを堅持し、六年間を見通した計画的な教育活動や異なる年齢間の交流を積極的に進めるなど、中高一貫教育校の利点を生かした特色のある教育を着実に推進してまいります。

○遠藤委員 私からも給与条例の改正案について何点かお伺いしたいと思います。
 都内の公立学校では、教員の大量退職の時期を迎えておりまして、これから先もおよそ十年程度は、毎年二千人前後の退職者が続くものと見込まれておるわけでございます。これに伴って、毎年、大量に新規採用し、学校の若手教員の比率が高まるのは、当然予想できることであります。
 こうした状況が見込まれる中で、優秀な新人教員を採用すること、そして、その採用した若手教員を着実に育成すること、この二つは大変大切な、そして喫緊の課題だと考えます。
 既に都教育委員会では、採用一年目の初任者研修に加えて、二年次から四年次までの若手教員のための研修が整備されていると伺っております。しかしながら、これらの研修は、主に授業に関すること、これが中心で、その他実務上求められるさまざまな実践的な能力の育成への取り組みは十分ではない、このような現場の声、課題も聞かれるわけでございます。
 今回、給与条例の改正案の中で提案をされております主任教諭制度の導入では、主任教諭の役割として、校務分掌上の重要な役割を果たすこと、そして若手教員の育成と説明をされておりますが、後段の若手教員の育成につきまして、主任教諭が具体的にいかなる役割を果たすのか、まずお尋ねしたいと思います。

○直原人事部長 若手教員の育成は、委員もご指摘のとおり、喫緊の課題と認識しており、とりわけ各学校での日常の職務遂行を通じた意図的、計画的な人材育成が重要なことから、その具体的な方法を示して各学校の取り組みを支援するため、ことし十月にOJTガイドラインを作成し、配布いたしました。
 このOJTガイドラインの中で、若手教員のOJTの目標設定や取り組み方法の具体例、主任教諭を活用した学校内での人材育成の仕組みの構築などを具体的に示したところでございます。
 若手教員育成の担当者及びその職責は、初任者の指導教員以外は、これまで必ずしも明確になっておりませんでした。今後、主任教諭は、若手教員に対しまして、授業力の向上に向けた指導方法の工夫改善を助言支援するとともに、保護者との対応や地域との連携の進め方などについても指導しまして、教員に求められる多様な力を育成する役割を担うこととしております。

○遠藤委員 今、答弁いただきましたとおり、若手教員の育成を担う主任教諭の導入によりまして、学校が組織として人材育成を進めていくことによって教員の質の確保を図るよう、要望いたしたいと思います。
 なお、今回の教員の人事制度の改正は、これまでの年功的、そして一律的な要素を改めまして、職責ですとか能力、または業績に見合っためり張りのある任用、給与制度へと大きく転換を図るものであると、このように承知をしております。
 若手教員につきましても、意欲や専門性があれば主任教諭になることができて、積極的に学校運営に貢献することによりまして、職務の困難性や、そして責任の違いに応じた給与を受けることができれば、彼らのモチベーションのアップにもつながるだろうと思います。
 こうしたことから、今後は、若手教員が主任教諭昇任を目指して、みずから資質能力向上に努力することを私も大いに期待するわけでございます。
 次いで、優秀な人材の採用確保についてお伺いしたいと思います。
 採用後の育成のほか、その前段階、いわゆる採用という入り口の段階で、教員としての資質能力に富んだ人材を採用していくことが何より大事だろうと思います。
 そこで、これまで都教育委員会は、優秀な教員の採用に向けてさまざまな取り組み、努力をしてこられたと思いますが、これまでの取り組みについてお尋ねしたいと思います。

○直原人事部長 いわゆる団塊の世代の大量退職に伴う教員の大量採用時代になりまして、新規採用教員の数の確保と同時に、質の確保が求められております。
 このため、都教育委員会はこれまで、採用選考におきまして年齢制限の緩和や大学推薦制の導入を行うとともに、民間企業経験者、他県現職教員、臨時的任用教員等、社会経験や実践的指導力に富んだ者を積極的に採用するための選考方法の工夫改善に努めてきたところでございます。

○遠藤委員 都教委としてさまざまな工夫努力を積み重ねてきたと、こういう答弁でございました。
 その一方、いわゆる都教委の方は採用側でございますけれども、教員を育成する側の大学側の取り組みについては、平成十八年七月の中央教育審議会の答申、今後の教員養成・免許制度の在り方についてに基づいて、学部段階で教員としての基礎的、基本的な資質能力を修得した者の中から、さらに、より実践的な指導力、展開力を備えた教員の育成等を目的といたしました専門職大学院としての教職大学院、これを今年度から設置できることとなったわけでございます。
 このことを受けまして、東京都教育委員会は、教育ビジョン第二次に教職大学院制度の活用を掲げまして、創価大学、玉川大学、東京学芸大学、そして早稲田大学の四つの大学との協定に基づいて本年度から連携授業を開始したと、このように説明を受けております。
 そこで、都教育委員会が連携をしております四つの教職大学院では具体的にどのように新人教員を育成しているのか、お伺いしたいと思います。

○高野指導部長 各大学においては、教員免許を有する学生に対しまして、二年間の専門職学位課程の中で、より実践的な教育内容、方法等の理論を身につけさせ、これからの学校づくりの有力な一員となり得るよう養成しているところでございます。
 そのため都教育委員会は、すぐれた新人教員の養成確保を目的といたしまして、教育課程の編成実施など、すべての学生が学ぶ共通カリキュラムや生徒指導、教育相談など学校における実習カリキュラムを具体的に示しまして、各大学と連携協定を結んでいるところでございます。
 特に協定の中では、学んだ理論と実践との融合を図るため、通常の学部段階での教育実習に比べまして約三倍の実習を都が指定した連携協力校で行いまして、即戦力となり得る教員を養成しているところでございます。

○遠藤委員 今のご答弁では、通常の学部段階での教育実習に比べて約三倍の実習を行っていると、こういうご答弁だと思います。
 私も約二十数年前に教育実習を中学においていたしました。現在は、学部段階での教育実習は四週間と聞いておりますけれども、私がさせていただいたときは約二週間でございまして、本当にあっという間にこの期間が過ぎてしまって、今だから明かしますけれども、どれだけ教職に、現場に立つに当たって実践的な実習ができたかというのは、恥ずかしながら非常に疑問にあるわけでございます。
 それはさておきまして、今、三倍の実習を行っているというご説明だったと思いますけれども、これは当然、量の違いだけではないはずでございます。即戦力となって現場で頑張っていただくためには、質的にも高い実習を行うことが必要であろうと思います。
 そこで、教職大学院では、この質の高い実習、具体的にどのような形で実施しているのか、ご報告いただきたいと思います。

○高野指導部長 都教育委員会が示しました学校における実習カリキュラムに基づきまして、学生は連携協力校において、通常の学部段階での教育実習では十分行えない学校運営にかかわる職務を行っておるところでございます。
 具体的には、授業実践はもとより、指導担当教諭のもとに試験問題の作成、答案返却時における指導、校外学習の引率、朝会、集会における整列指導など、現職教員が実際に学校で行っていることと同様の職務を行っております。
 こうした実践的な実習は連携協力校においても高く評価されておりまして、将来、新人教員のリーダーとして育っていくと期待する校長も多くございます。

○遠藤委員 私の本当につたない経験からしても、今のご答弁でも、本当に非常に実践的な実習を行っている、質の高い実習を行っているんだなということを実感いたしました。
 現在、教職大学院に在籍をしております大学院生は、来年度の東京都の教員採用選考を受験し、そして再来年度には教壇に立つことになります。彼らが東京都の教員になって、即戦力として、教職大学院で培った実践力、そして対応力を発揮していただきたいと、心から熱望をいたします。
 したがって、大学院と都教委との連携事業の充実発展のために、東京都教育委員会としては、各大学でどんな実践的な力が身についているのかを具体的に評価していくことが重要になってくると思うわけであります。そして、その成果を活用して、より連携を深めてカリキュラムを改善していく、そしてそのことが、ひいては東京都の学校教育の向上、学校力の向上につながっていくと思います。
 そこで、都教育委員会は、連携しているこの四つの教職大学院の取り組みについてどう評価していくのか、伺いたいと思います。

○高野指導部長 都教育委員会は、各大学との連携協定に基づきまして、連携大学、区市町村教育委員会、そして学校関係者による連携協議会を設置いたしまして、東京都教育委員会と教職大学院との連携にかかわる評価システムを構築したところでございます。
 本年度、連携協議会は、この評価システムのもと、実際に四大学と、それから、すべての連携協力校を訪問いたしまして、授業参観やヒアリングを通しまして、取り組み内容など教職大学院の成果を把握してまいりました。
 今後、把握した内容をもとに、各教職大学院の取り組みや制度そのものについて評価改善を行いまして、教職大学院での教育がより充実するよう、各大学との協議を行い、優秀な新人教員の養成確保に努めてまいります。

○遠藤委員 今後とも、ぜひ引き続き教職大学院との連携に努めて、優秀な教員の育成に向けた取り組みを全力で進めていただきたい、このように要望いたします。
 最後に、教職大学院の修了者の採用についてお伺いしたいと思います。
 教職大学院の修了者で、教員として即戦力として期待できる優秀な人材を都教育委員会として引き続き東京の教員に迎える努力を行うべきことは当然であります。これまでも採用選考におきましては、例えば社会人選考においては、択一試験を免除し、社会的経験を教職にどのように生かしていくのかという観点で、論文または面接方法を工夫したり、臨時的任用教員経験者を対象とした選考では、択一試験を免除し、論文、面接のほか、学校現場での勤務実績を採用選考に反映させる仕組みを講じてきたとお聞きいたしております。
 これまでの質疑で明らかになりましたように都教育委員会と連携する教職大学院においては、学校現場における実践的な指導力を養成するカリキュラムを実施しております。このことを踏まえ、教職大学院修了者に対する採用においても、都教委として十分工夫を講じて、実践的な指導力があって、教員としてすぐれた資質を有する人材を採用していくべきと考えます。
 そこで、教職大学院修了者に対する選考に当たっての基本的な考え方をお伺いし、私の質問を終わります。

○直原人事部長 これまでも教員採用選考に当たりましては、受験者の特性に応じた選考方法の工夫を講じ、教員としての資質能力にすぐれた人材を採用するよう努めてきたところでございます。
 教職大学院修了者は、実践的な理論のほか、学校現場での実習を豊富に経験していることが大きな特色でございます。教職大学院修了者に対する採用選考に当たりましては、教職大学院による推薦書、小論文、面接等により能力実証を行うとともに、連携協力校での実習実績を選考において適切に反映させる仕組みを構築してまいります。

○大山委員長 ほかにご発言、よろしいでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○大山委員長 次に、議員提出議案第二十九号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○古館委員 それでは、議員提出議案第二十九号、東京都立学校の授業料徴収条例の一部を改正する条例について、提案者を代表して説明いたします。
 本条例改正案は、経済的な困難が高校生を持つ家族にも広がる中、授業料を値下げすることにより経済的な負担を小さくし、経済的理由で教育を受ける権利を阻害されないための一助とするための改正です。
 東京都が行った都民の生活実態と意識の調査によると、高校生の親の年代であろう五十歳から五十九歳の生計中心者の年収が五百万円未満の割合は三六・四%であり、十八歳未満の子どもがいる世帯の年収が五百万円未満の割合は、二九・三%です。つまり、高校生を持つ親世代の約三割から三分の一程度が年収五百万円未満と考えられます。
 国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩氏の研究では、世帯所得四百万から五百万円の生活水準が、人々が考える日本の社会において普通に生活するための最低限の生活ぎりぎりのラインであり、世帯所得がこれを下回ると、必要と感じつつも充足できない項目がふえていくことが示唆されると指摘されています。つまり、高校生を持つ親世代の三分の一程度の世帯は収入が五百万円未満ということですから、普通に生活する上で必要だと思っても充足できない収入だといえます。
 そんな中で、積立金が払えず修学旅行に行けない生徒も、経済的な問題で自分の希望した学校をあきらめざるを得ない生徒もいます。定時制高校では、生徒のアルバイトが家計の足しになっている、アルバイトで自分の学費は出しているなどの生徒も珍しくありません。
 教育費負担が重いのは、低所得者の世帯だけではありません。東京都の「都民のくらしむき」平成十八年では、高校生の子どもを持つ世帯の一カ月当たり消費支出は、平均を大きく上回っていることを示し、子どもが高校、大学に進む時期には、世帯主の収入では家計を支えられないと考えられると分析しているのです。
 都立高校の授業料についていえば、東京都は不交付団体であるであるにもかかわらず、国が地方交付税算定の基礎としている公立高校の授業料基準に従って、最近では二年ごとに値上げを繰り返し、加えて、今年度から、冷房機のリース代、電気代を全額授業料に転嫁したため、都立高校の授業料は、とうとう全国でも二番目に高いものにしてしまいました。
 国際的には、教育は無償化が主流であり、高校の授業料についていえば、無償に到達しているのは、OECD加盟三十カ国の中で二十六カ国になりました。東京での高校進学率は、定時制も入れれば九七%を超え、高校で学ぶことは普通のことになっています。若者が学ぶことは社会の財産であり、教育の利益を受けているのは、個人のみならず社会全体であり、社会の発展にとっても重要なことです。だからこそ、世界の大きな流れは教育の無償化なのです。
 今回の授業料の設定の根拠は、勤労者世帯の収入が低下している中、現在の収入と同程度の収入である一九九〇年度の授業料に合わせました。したがって、全日制は年間十二万二千四百円を八万八千八百円に、定時制は三万三千三百六十円を二万四千円にします。その他の授業料も一九九〇年度に合わせました。必要経費は、全日制と定時制合わせて約三十五億円です。その気になれば、東京都でもすぐにでもできることです。
 以上の趣旨をおくみ取りの上、委員各位のご賛同を心からお願い申し上げ、提案説明といたします。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○大山委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、議員提出議案に対する質疑は終了いたしました。

○大山委員長 次に、報告事項、平成十八年度都立日本橋高校入学者選抜における日本橋高校での不正操作についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○吉原委員 都立日本橋高校の平成十八年度入学者選考における不正について、十一月二十八日の当委員会にて報告を受けたところであります。
 これまで都議会自由民主党は、都教委の都民に信頼される学校づくりの推進を評価して応援してまいりましたが、今回明らかになりました日本橋高校の入学試験にかかわる不正操作は、至極残念でなりません。
 都教委としてこの事件をどう受けとめ、失われた都民の信頼回復に向けてどう取り組むかについて、何点かお尋ねをしたいと思います。
 まず、今回の日本橋高校における受検者を不合格にするために、校長、副校長が受検者の成績を意図的に改ざんするという前代未聞の事件は、都立高校に対する都民の不信感と同時に、受検生の受検に対する不安を助長することに、残念ながらつながってしまったと思います。
 都教委として今回の事件をどのように明らかにし、対応されたのか、伺います。

○森口都立学校教育部長 今回の事件は、受検者の再チャレンジの気持ちを無にする行為であり、人を育てるべき教育の場において、あってはならないことでございます。
 都教育委員会はこのことを重く受けとめ、事件発覚後、直ちに庁内に調査委員会を設置し、日本橋高校の不正操作事件の原因を究明するとともに、全都立高校の過去四年間の入学選抜資料を点検確認いたしました。
 また、あわせて全都立高校に自己点検の実施を指示したところでございます。
 その結果、平成十八年度の日本橋高校以外のすべての都立高校において入学者選抜が適正に行われていたことを確認し、今回の不正操作事件とあわせて公表したものでございます。
 十一月二十八日の事件公表とあわせて、全都立高校に厳正かつ公正、公平な入学者選抜の実施に向けての通知文を発出いたしました。
 また、都教育委員会からのおわびの文章をホームページに掲載するとともに、区市町村教育委員会に、中学生、保護者に伝わるよう依頼をしたところでございます。
 さらに、十二月二日に高校の臨時校長連絡会を開催し、事件の概要、再発防止策等について説明するとともに、入学者選抜要領で示されている複数の教職員による複数回の点検等の実施について一層の徹底を求め、各学校で二十一年度入学者選抜において、受検生が安心して受検できるよう万全の体制で臨むことを指導いたしました。

○吉原委員 今回の事件では、既に中学校を卒業した受検生の場合、中学校に在籍する受検生と違って、既卒受検者の成績に関する情報が伝わらなかったことも、事件に発展した要素の一つだと考えられます。
 この課題を解決するために、都教委として今後の対応について伺います。

○森口都立学校教育部長 既に中学校を卒業した受検生に対しては、中学校に在籍する受検生と同様に、学力検査等の得点及び調査書の記載事項が伝わるよう、平成二十一年度選抜から学力検査等得点表を高校から直接受検者に送付するなど制度改善を図り、チェック機能を高めてまいります。
 このため、高校に対しては十二月二日の臨時校長連絡会で、また、中学校に対しては十二月十一日に行われた中学校長会地区代表者会で、さらに、区市町村教育委員会に対しては十二月四日、八日にそれぞれ行われた特別区指導室課長会、都市指導室課長会で事件の概要、再発防止策について説明し、都教育委員会が全力を挙げて信頼回復に努める旨を伝え、協力を依頼したところでございます。

○吉原委員 二十一年度からは、既卒の受検者に対しても学力検査等得点表を高校から直接受検者に送付すると、今、答弁をいただきました。当然、既卒の受検者でも、出身中学の調査書が必要になるわけでありますから、中学在籍の受検生と同様に、調査書を発行した中学校にも学力試験等の結果を通知することが大切ではないかというふうに思ってはいます。
 また、調査書発行の際には、現在のように既卒受検者から中学校に対して口頭で調査書を依頼し、発行されるということではなくて、受検者からの申請書の提出によって調査書が発行されるよう、申請書の提出を義務づけるべきだというふうに私は思います。
 この手続と結果があってこそ経緯が明確になりまして、中学校に資料としてまた保存ができるわけであります。そして、そのことが、よりチェックをする機能が働くことになると思っているわけでございますので、ぜひそのことについてもご検討をいただきたいというふうに思います。
 今回の場合は、自主退学した生徒が入試で同じ学校に再チャレンジしたことも一因になっている。既に中学校を卒業した生徒の入学について、都教委として、再発防止策も含めて何らかの方策を立てるべきだというふうに思います。今後の対応についてお尋ねをいたします。

○森口都立学校教育部長 今回の事件では、一度退学した生徒が再入学のため出願をいたしましたが、当時--平成十八年当時でございますが--日本橋高校におきましては、入学者選抜に面接が入っておらず、高校に在学中に、問題行動等を踏まえ、受検生の高校生活への適応性や学ぶ意欲を確認することが不十分でございました。
 このため、入学者選抜で面接を取り入れていない学校において、さまざまな理由で高校を退学し、再入学を希望する受検生等に対し、必要に応じ、学校生活への適応性や学ぶ意欲を直接確認するための面談を導入する必要があると考えております。
 今後設置いたします大学教授等の外部の有識者を加えました入学者選抜制度検討委員会--仮称でございますが--におきまして、中学校、高校の校長等の意見を聞きながら検討を重ね、二十二年度入学者選抜から実施できるよう、入学者選抜制度を工夫、改善してまいります。

○吉原委員 入学試験での選抜方法として、五教科受検、あるいは三教科プラス面接のある学校もありますし、ない学校もありますが、これは学校長の判断にゆだねられているというふうに聞いているわけであります。各学校の特色を学校長の意向によって運営していくことに異を唱えるものではありませんけれども、しかしながら、基本的な入学試験の内容については、学校長にゆだねるものではなくて、制度として適正に運用していくべきものと考えているわけでございまして、そのことについても今後またご検討いただけたら大変ありがたいというふうに思います。
 最後に、人生経験豊かで教師としても実績を積み重ねてこられた校長や副校長であったというふうに思います。その管理職の立場にありながら、二人の再チャレンジ生に対して合否判定を操作しなければならなかった実態の背景というものをしっかりと検証していただきまして、また、新たなルールを確立していただいて、今後の入学者選抜が厳正かつ公平に実施されますように要望して、質問を終わります。

○今村委員 それでは、私も日本橋高校の入学者選抜不正操作について、幾つかお聞きをしたいと思います。
 説明をいただきました資料には、告発の日から始まって、いついつこういった対応をしたという流れが大まかにしか書いてありません。改めてきちっと、都教委が、告発というんでしょうか、通報があってから、この問題に対して迅速に対応したかどうか確認をさせていただきたいと思います。都教委の対応をもう少し詳しく伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

○森口都立学校教育部長 十一月七日に教育庁教育情報課に、平成十八年度入学者選抜における不正行為の内容を記した文書がもたらされました。この情報をもとに都立学校教育部で調査を開始いたしまして、十一月十一日に、当該校が日本橋高校である可能性が高いと判断し、日本橋高校に出向き、十八年度の入学者選抜資料を入手し、照合、点検した結果、教育情報課に持ち込まれました文書にある不正操作が行われたことを確認いたしました。
 あわせまして、当時の校長、副校長から事情聴取を行い、両名が不正操作を行った事実を確認いたしました。
 十一月十三日に入学者選抜調査委員会を設置し、十四日以降、日本橋高校の過去の入学選抜資料の調査や関係者からの事情聴取を行い、不正操作の原因究明に努めるとともに、全都立高校の入学者選抜資料の点検、確認を行い、全都立高校に自己点検を指示いたしました。
 調査結果をまとめまして、十一月二十八日に発表を行いまして、同日、本文教委員会において大原局長がおわびを申し上げ、都立学校教育部長から事件の概要について報告をしたものでございます。

○今村委員 今のご説明によると、告発があってから迅速に対応したことがよくわかりました。
 それでは、過去の試験の調査を行っておりますけれども、いただいた報告によりますと、調査をした内容が、年度がさまざまに差があるようでありますけれども、一体これはどういう事情なのか、お伺いをいたします。

○森口都立学校教育部長 日本橋高校につきましては、教育庁担当者が出向き、平成十七年度から二十年度まで四年間の入学者選抜資料を直接照合、点検いたしました。あわせて当時の校長、副校長、入学選抜に関係した教員などからも事情聴取を行いました。
 他の都立高校につきましても、調査委員会で、平成十七年度から二十年度まで四年間の全受検者データを入力した帳票などの選抜資料の提出を求め、合格者決定に至る選考過程について調査をいたしました。
 特に、今回、成績を不正操作されていた、既に中学校を卒業していた受検者に関しては、過去四年間の学力検査の答案、調査書、自己PRカード等の提出を求め、選抜資料と直接照合、点検いたしました。
 入学選抜資料につきましては、学力検査の答案が一年、調査書、自己PRカードが三年と、資料により保存年限が異なっておりますが、現在確認できるすべての資料により照合、点検をいたしたところでございます。
 また、全都立高校に過去四年間の入学者選抜についての自己点検を指示し、点検報告書の提出を求めたところでございます。その結果、平成十八年度の日本橋高校以外のすべての入学者選抜が適正に行われていたことを確認したものでございます。

○今村委員 今、そのように大変な作業をしながら、過去四年間さかのぼって、不正がなかったということが明らかになったわけでありますので、この間に受検をした皆さんも安心をしていることというふうに思いますけれども、それでは、さらにさかのぼって、過去、入試にかかわる重大な事件はあったのかどうか、あれば、そのすべての事実と、そしてさらに処分内容を伺いたいと思います。

○森口都立学校教育部長 入学者選抜に関する過去の事故の内容でございますが、平成七年度入学者選抜で、小石川高校において入学定員を六十三名超過した入学手続を行っていた件と、平成十一年度入学者選抜で、小石川高校において特記事項の換算式が入っていない誤ったプログラムを使用して合否判定資料を作成し、不適正な合格者の発表を行った件がございました。

○直原人事部長 処分の関係でございますが、平成七年度の事故につきましては、当時の校長は戒告、教頭は文書訓告としております。
 また、平成十一年度の事故につきましては、当時の校長は減給十分の一、一月、教諭は文書訓告といたしました。

○今村委員 今、ご答弁をいただきましたけれども、それ以外には不正がなかったということを確認させていただきたいと思います。
 それでは、今度は、この事件発覚から現在に至るまで、当該校長、そしてまた副校長はどういった状況にあったのか、お聞かせいただきたいと思います。

○直原人事部長 事件発覚後、当時の校長及び副校長は、現任校において勤務しながら事情聴取に応じました。
 その後、当該校長、副校長に対しましては、教育管理職としての研修が必要であるというふうに判断いたしまして、十二月一日付で東京都教職員研修センターでの研修を発令いたしました。

○今村委員 そうすると、今回の人事で、他の高校の管理職が不在になるようなことなどがあってはならないわけでありますけれども、当該校長、そしてまた副校長の現任校及びその現任校に新たに任命された学校の管理職補充はどのようになったのか、確認をさせていただきます。

○直原人事部長 十二月一日付で、当時の校長、副校長の現任校には、他校から適任者を校長、副校長に昇任させまして、学校運営に支障がないようにいたしました。
 また、その昇任した学校には新たな適任者を補充し、学校運営に支障がないようにしたところでございます。

○今村委員 それでは、今回の事件にかかわった校長、副校長以外に、他の教員のかかわりはないのか、先ほど、入学選抜にかかわった教職員の調査を行っているというお話がありましたけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○直原人事部長 校長や副校長以外の教職員の事件への関与の有無につきまして、今後さらに詳細な事実確認を行い、それを踏まえて厳正に対処してまいります。

○今村委員 今後、きちっとした調査で、もし何か不正にかかわるようなことが他の教職員にもあれば、厳正な対処をしていくということをご答弁いただきました。
 それでは、当該校長、そしてまた副校長の処分はどうなるのか、伺います。

○直原人事部長 今回の事件は、都立高校の入学者選抜に対する都民の信頼を大きく損ねるものでございます。教職員を監督する立場にある校長、副校長がかかわっていた点におきましても、極めて重大な問題であるというふうに受けとめております。
 今後さらに詳細な事実確認を行い、厳正に対処してまいります。

○今村委員 来年二月には新たな入試も控えているわけでありますし、きちっとこの問題が、その入試の時期までに対処される方が、受検をされる皆さんも、心の面では、特に保護者は安心をされるかというふうに思いますので、一言申し添えておきたいというふうに思います。
 それでは、マスコミにこの問題が大きく報道されて、特にこれから受検を控えている保護者や、またその受検生など、中学校などでも大きな不安があるのではないかと思います。
 そこで、都立高、また、各市区町村の教育委員会へはどのような内容で通知をしているのか、お伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 都立高校に対しましては、事件公表と同時に、厳正かつ公平公正な入学者選抜の実施についての通知文を発出いたしました。
 十二月二日に臨時校長連絡会を開催し、事件の概要、再発防止策等の説明を行うとともに、二十一年度入学者選抜が万全な体制で実施できるよう指導いたしました。
 市区町村教育委員会に対しましては、事件公表と同時に、事件に対するおわびと事件の概要等をまとめた文書を発出いたしました。
 また、都教育委員会からの都立高校を受検する生徒及び保護者に向けたおわびの文書を管下の中学校に周知するよう依頼したところでございます。
 さらに、特別区指導室課長会、都市指導室課長会、中学校長会において、都教育委員会が全力を挙げて信頼回復に努める旨を説明するとともに、二十一年度入学者選抜に対する協力を依頼したところでございます。

○今村委員 それでは、その通知を受けた市区町村の教育委員会から保護者、生徒児童にはどのような形で--中学校を通してということでありますけれども--伝わっているのか、お伺いをしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 既にほとんどの教育委員会がおわびの文書を管下の中学三年生全員分印刷して配布するなどの周知をしておりますが、今後配布を予定している一部の教育委員会においても、速やかに周知するようお願いしてございます。

○今村委員 まだこれから届くところもあるようでありますから、きちっと通知が届けられることによって大きな安心になるかと思いますので、改めて確認をしていただきますようにお願いを申し上げます。
 それでは、再発防止についてちょっとお伺いしたいと思います。当面の再発防止策については、ご説明をいただいているところでありますけれども、この後、入学者選抜検討委員会が行われるということでありますけれども、この構成メンバーと、いつまでに検討し、そして改善をさせるのか、伺います。

○森口都立学校教育部長 今後、大学教授等外部の有識者を加えた入学者選抜制度検討委員会--仮称でございますが--を設置し、年度末をめどに、不正を防止し、入学者選抜の透明性を高める観点から、現在の選抜制度について検討検証し、学力検査等得点表等の通知につきましては、平成二十一年度入学者選抜から実施したいと思っております。
 また、その他の検討結果につきましては、中学校長、高等学校長、区市町村教育委員会の代表を加えた入学者選抜検討委員会でさらに検討を重ね、来年の夏ごろをめどに方針をまとめ、二十二年度以降の入学者選抜に反映させてまいりたいと考えております。

○今村委員 ぜひそのスケジュールどおりにきちっと進め、二十二年度の入試にもきちっと対策ができるよう期待をしております。
 さて、ここで改めて自主退学のことについて、少しお聞きをしたいと思います。
 まず、二〇〇五年から二〇〇七年までの全都立高校の普通科の中途退学率、それとあわせまして、今回の事案の日本橋高校の中途退学者数と、そして中途退学率、これについてお伺いいたします。

○高野指導部長 都立高校全日制普通科における中途退学率は、平成十七年度一・八%、平成十八年度も同様に一・八%、平成十九年度は一・七%でございました。
 また、都立日本橋高等学校の中途退学者数及び中途退学率につきましては、平成十七年度が二十八人、六・七%、十八年度が三十九人、九・四%、平成十九年度が十二人の三・〇%でございました。

○今村委員 今のご答弁で明らかなように、日本橋高等学校は、当時の全都平均からはかなり高いことが明らかになりました。こうしたことの要因が、もしかしたら今回のことに何かつながったのかもしれませんけれども、幸いなことに、二〇〇七年には退学者が減っております。校長先生初めスクールカウンセラー、学校の努力があったものと評価をいたしますけれども、聞くところによりますと、定時制などは、高いところでは三割も退学者がいるというふうに伺ったことがあります。
 いろいろな事情があるのでしょうけれども、せっかく入学したのですから、できる限り卒業できるように支えていただきたいというふうに思いますので、伺いたいと思いますが、自主退学をした生徒がもう一度、今回、同じ日本橋高校を受検しております。二度入学金を払ってまで学校に通いたい、勉強したいと思う生徒が自主退学者にいることが明らかになったともいえるのではないでしょうか。
 生徒が自主退学する前の学校のサポートが大切です。問題はあるが、学校生活を続けたいと思っている生徒への学校の指導について、都教育委員会の見解を伺います。現場はこれまでどのように指導してきたのか、都教委はどのように指導してきたのか、伺います。

○高野指導部長 退学しようとする生徒にはさまざまな事情がございまして、学校は個別に対応していくものではございますが、一般的には、問題行動など生活指導上の課題のある生徒に対しましては、学校が毅然とした態度で深く反省を求めることが重要であると考えてございます。その上で、学校生活にまじめで意欲的に取り組むよう指導し、生徒がその決意をした場合には、当該生徒に対しまして、問題行動を再び起こさないよう粘り強く指導を行っていくことが重要でありまして、都教育委員会は各学校に対しまして、学年や生活指導部の教員が連携を密にいたしまして、こうした取り組みを組織的に行うよう指導しております。

○今村委員 今回の件で改めて、自主退学者の中には、実は退学を望んでいない場合があることが明らかになったと思いますが、問題があっても学校生活を続けたい、通いたいと思っている生徒への指導については、今後、都教育委員会は学校をどのように指導するのか、見解、つまり決意を述べていただきたいと思います。

○高野指導部長 各学校では生活指導や中途退学の防止に組織的に取り組んでおり、都教育委員会はこれまで、生徒の問題行動に対する指導の改善に向けまして、指導資料集を作成いたしまして、各学校に対し、明確な指導の指針の周知を図るとともに、生活指導主任研修会を通しまして、生活指導の充実を図ってまいりました。
 今後とも、生活指導の課題のある生徒に対しまして、個々の課題により一層適切に対応し、中途退学をする生徒が一人でも少なくなるよう学校を指導してまいります。

○今村委員 この間の経済状況下で、経済的理由により自主退学になるような生徒など出てくることも予測をされますけれども、こうした保護者や、さらには社会的、経済的状況によって学習する権利が奪われることがあれば大きな問題です。そうした生徒を出さないよう最大限のサポートをしなければなりませんし、今回のように入学金を二度払っても同じ学校に行きたいと願う生徒がいたことを真摯に受けとめて、今の決意を進めていただけるよう要望をいたします。
 さらに、今回の当事者であるこのお二人については、丁寧な対応で、ご本人の気持ちを最大限受けとめていただけるよう要望して、質問を終わります。

○古館委員 それでは、平成十八年度の都立日本橋高等学校入学者選抜における合格候補者の決定に際して不正操作が行われ、当該高校を受検した二名が不合格になったとの告発があり、その事実を教育庁が確認したということで報告をいただきました。
 いかなる理由にせよ、合格していた者が故意の操作によって不合格などということは、あってはならないことだということはいうまでもありません。入試の透明性を高めるなど再発防止に努めることは当然ですが、同時に、都教育委員会は、これをみずからのこととして真摯に受けとめ、どうしてこのようなことが起こったのかということを丁寧に分析し、対応することが求められています。
 今回の不正な操作で不合格にされた二人の生徒は、暴力事件など生活指導上の課題により、昨年の十二月に退学した生徒とのことです。それで、質問しようと思いましたが、今、先の方が質問しました。
 日本橋高校におきましては中退者数がどれぐらいに上っているか、平成十六年から、私ども、問いを出しましたが、この中で見ますと、都立日本橋高校の中途退学者数は、平成十六年度は二十三人、五・五%、平成十七年度が二十八人、六・七%、平成十八年度が三十九人、九・四%、そして、平成十九年度になると十二人、三・〇であります。十六年度から十八年度は、残念ながら中途退学者が毎年増加しています。平成十八年度などは、中退率が九・四%というと、約十人に一人が中退している状況であります。
 都立高校全体の全日制の普通科の中退率は一・七%程度ですから、かなり高い中退率といわなければなりません。暴力事件など問題を抱えた生徒が在籍していたり、中退率が高いなど、さまざまな困難がある場合、石原知事は、教師なら使命感を持てというようなことを記者会見でいっていましたが、やはりその解決は教師の使命感だけに求められるものではありません。
 ある都立高校の先生にお話を伺う機会がありましたが、ときには、おまえら教師のいうことなんか全然聞くつもりなんかねえんだよといって、仲間を引き連れて、携帯電話で大声で話しながら授業中の教室に入ってくるなど、授業を妨害するのが目的であるかのような生徒もいたりするとのことであります。
 そうした生徒は、これまでの成長過程で周囲から大切にされてこなかったんだろうなとか、それでも学校に何か期待しているから来ているのかもしれない、このように思うわけですし、何とかしてあげたい、これはみんなの気持ちだと思います。
 それには、本当に長期的なケアというか、指導が必要であろうことは想像にかたくありません。とても熱意だけでは対応できない事態が実際にあるということもあります。すべての子どもたちが立派に成長して卒業してほしいとはだれしも思うことだが、そのためには、手厚い教育条件をどのように整えて、先生方を励まし、バックアップしていくか、これが大切であります。
 そこでお尋ねですが、こうした生活指導上課題があり、中途退学者の多い学校に対して、都教育委員会は具体的にどのような支援を行っているのでしょうか。

○高野指導部長 都教育委員会は、これまで、生徒の問題行動に対する指導の改善に向けまして、指導資料集を作成して、各学校に対し明確な指導の指針の周知を図るとともに、生活指導主任研修会等を通しまして、組織的な生活指導の充実を図ってまいりました。
 また、クラスを分割した授業展開や生徒の興味関心に応じた多様な選択科目の設置など、生徒の学習意欲の向上を図る学校の取り組みを支援してきたところでございます。
 特に生活指導上課題があり、中途退学者の多い学校に対しては、中途退学対応のための少人数指導を認めるとともに、学校が作成いたしました中途退学防止改善計画書をもとに、個別に指導助言を行ったり、スクールカウンセラーの配置や臨床心理士の専門知識を有するアドバイザリースタッフ等の派遣を行いまして、教育相談機能の充実に努めてまいりました。

○古館委員 特に中途退学者の多い学校などには、中途退学対応のための少人数指導、つまり五学級を六展開するなどしてホームルームの人数を少なくすることを認めている。いわゆる加配がつくかどうかという点では、さらに努力をしていただきたいと思っていますけれども、中退防止の計画書、学校につくってもらって、それをもとに指導助言していると、スクールカウンセラーを配置などということでありました。
 それで、日本橋高校に対してはどのような支援が行われていたかでありますが、担当課にお聞きをいたしましたら、ホームルームの多展開はやっていない、中退防止の計画書も、他にもっと中退の多い学校があったので、作成する学校に該当していなかった、スクールカウンセラーも、今は配置されているけれども、平成十七年度当時は配置されていなかったとのことでありました。支援を受けていた状況ではなかったわけです。
 加えて、そもそも日本橋高校は、小学校を転用して高校として使用している学校で、施設的にも少人数教育のためにホームルームを多展開したくてもできないという話も聞いたのですが、これは確認したいんですが、いかがですか。

○高野指導部長 日本橋高校では、第一学年の数学、英語、家庭と第二学年の英語、家庭におきまして、一学級を二分割いたしまして、生徒の実態や教科特性に応じてきめ細かな学習指導を行っております。

○古館委員 それで、日本橋高校の学級数と普通教室数、それは、それぞれ幾つになりますでしょうか。

○森口都立学校教育部長 都立日本橋高等学校の現在の学級数は、各学年四学級で、三学年合わせて十二学級でございます。普通教室の数ですが、学級数と同じ十二室でございます。

○古館委員 小さな学校で、普通教室は学級数と同じ十二、これでは、例えば四学級を五展開したいなと思ってもできないんですよね。
 日本橋高校の施設の配置図を見ましたが、高等学校とは思えないような狭い学校なんですね。率直にいって校舎も狭いし、校庭も狭いんです。校庭はテニスコート一面程度ではありませんか。これで、通常の体育の授業などはここでやっているとのことですから、驚きました。教室数ぎりぎりで多展開も難しい、教室は四十人いて満杯、敷地も狭いとなると、本当に居場所がないんじゃないかなと思います。
 日本橋高校は都教委の支援からも取り残され、施設整備的な教育環境としても大変な学校だった、このようにいえるのではないでしょうか。
 さらに、都教委は六年前、重点支援する学校には人、物、金を優先的に措置して支援するという方針を打ち出し、都立高校への人的配置や予算配分に差をつけてきました。日本橋高校は、この重点支援校にも一度も指定されていないんですよね。いわば人、物、金をつけてもらっていなかったんです。
 都立高校に入学した子どもたちに対して、都教委は、どの子に対しても最善の教育を提供する責任があります。ところが、今、東京都の教育は、とりわけ石原都政のもとで、学校同士を競争させ、支援する学校、しない学校をつくり出し、差をつけてきました。どこの子にも最善の教育を提供しなければならないにもかかわらず、結局は子どもたちへの支援が行き届かない学校が生じている、生じるように仕向けてきたというふうにいっても過言ではありません。私は、問題の根本には大きくこのことが横たわっていると思います。何でも競争させればいいという今の路線は根本から転換するように強く求めます。
 先ほど、課題のある学校への支援としてスクールカウンセラーを配置しているという答弁がありました。でも、残念ながら、当時の日本橋高校には配置されておりませんでした。
 そこで伺いますが、スクールカウンセラーの配置やアドバイザリースタッフの派遣、これはどの程度行われているんでしょうか。また、その効果はどうですか。

○高野指導部長 スクールカウンセラーは、国の補助事業を受けまして、平成十九年度は中途退学等の課題を抱える都立高校六十校に配置しておりまして、配置された学校では、教員の教育相談に関する意識や技能が向上いたしまして、学校の教育相談体制も充実するなどの成果を上げております。
 一方、アドバイザリースタッフにつきましては、学校の要請に基づき派遣する臨床心理の専門家などでございまして、平成十九年度は四十八校に専門家スタッフ三十名、延べ二百六十四回派遣いたしまして、生活指導の課題解決の相談助言を実施してまいりました。

○古館委員 今、お話がありましたが、成果を上げているということであります。ところが、全体で六十人しかいないんですね。そのため、希望しても配置されないこともあるんです。希望校が多いのに人数が少ないから、チャレンジスクールなどを除けば、同じ高校への配置は原則二年、場合によっては継続することもあるとのことですが、二年間しか配置されない、こういうことなんですね。
 日本橋高校に限らず、前回の文教委員会でも質問させていただきましたが、スクールカウンセラーは学校現場からも大変喜ばれ、役立って、配置を拡大してほしいという陳情が出ていたわけです。スクールカウンセラーが配置されると、中退者が減ってくるというお話も聞きました。成果を上げているんですから、どの学校にも支援が行き届くよう、国の補助事業で六十人分ということですけれども、国に拡充を求めるとともに、都が独自にふやせばいいではありませんか。区市町村では、小学校に国が配置する以上に配置しているんですよ。スクールカウンセラーの配置の充実を求めます。
 都教委として今やるべきことは、教職員をふやして、それこそ行き届いた教育を保障すること、また、何よりも生徒のことを最優先にする対応策が極めて重要だと考えております。生徒も教師もともに成長できる教育環境を人的にも予算的にも整備することが都教委としての責任だということを強調して、私の発言を終わります。

○大山委員長 ほかに発言ありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後四時二十二分散会

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