委員長 | 大山とも子君 |
副委員長 | 服部ゆくお君 |
副委員長 | 大西さとる君 |
理事 | 伊藤 興一君 |
理事 | 吉原 修君 |
理事 | 今村 るか君 |
遠藤 守君 | |
早坂 義弘君 | |
野上ゆきえ君 | |
谷村 孝彦君 | |
村上 英子君 | |
古館 和憲君 | |
古賀 俊昭君 | |
初鹿 明博君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化スポーツ局 | 局長 | 秋山 俊行君 |
総務部長 | 小林 清君 | |
広報広聴部長 | 石原 清次君 | |
都民生活部長 | 平林 宣広君 | |
消費生活部長 | 清宮眞知子君 | |
私学部長 | 小笠原広樹君 | |
文化振興部長 | 廣瀬 秀樹君 | |
スポーツ振興部長 | 細井 優君 | |
東京マラソン事業担当部長 | 岸本 良一君 | |
参事 | 萩原まき子君 | |
参事 | 高橋 博君 | |
参事 | 桃原慎一郎君 | |
参事 | 池田 俊明君 | |
教育庁 | 教育長 | 大原 正行君 |
次長 | 影山 竹夫君 | |
理事 | 岩佐 哲男君 | |
総務部長 | 松田 芳和君 | |
都立学校教育部長 | 森口 純君 | |
地域教育支援部長 | 皆川 重次君 | |
指導部長 | 高野 敬三君 | |
人事部長 | 直原 裕君 | |
福利厚生部長 | 秦 正博君 | |
教育政策担当部長 | 石原 清志君 | |
参事 | 高畑 崇久君 | |
参事 | 中島 毅君 |
本日の会議に付した事件
生活文化スポーツ局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
・駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
請願の審査
(1)二〇第七一号 大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書の提出に関する請願
教育庁関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例
・東京都立図書館条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・平成十八年度都立日本橋高校入学者選抜における日本橋高校での不正操作について
陳情の審査
(1)二〇第四三号 府中地区特別支援学校(仮称)の設置計画に関する陳情
(2)二〇第四五号 平成二十一年度の東京都公立高等学校定時制及び通信制課程の教育振興に関する陳情
(3)二〇第六二号の三 パーキンソン病を始めとする難病患者の救済施策等に関する陳情
○大山委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局、教育庁関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び請願陳情の審査並びに教育庁関係の報告事項の聴取を行います。
なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求することにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○秋山生活文化スポーツ局長 平成二十年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております当局関係の案件につきましてご説明申し上げます。
今回、提出を予定しております議案は、条例案二件、事件案一件の合計三件でございます。
お手元の資料第1号、平成二十年第四回東京都議会定例会議案の概要をごらんいただきたいと存じます。
表紙を一枚おめくりいただきますと、目次として議案の一覧をお示ししてございます。
初めに、条例案の二件についてご説明申し上げます。
まず、東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例でございます。
統計法の改正等に伴い、所要の規定を整備する必要があるため、改正を行うものでございます。
次に、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例案でございます。
特定非営利活動促進法の改正等に伴い、電磁的方法による社員の表決に関する規定等を定める必要があるため、改正をするものでございます。
続きまして、事件案についてご説明申し上げます。
これは、地方自治法の規定に基づきまして、駒沢オリンピック公園総合運動場の管理運営を行う指定管理者の指定につきまして議会にお諮りをするものでございます。
詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小林総務部長 局長からの概要説明に引き続きまして、私から、今定例会に提出を予定しております議案の詳細についてご説明申し上げます。
お手元の資料第1号、平成二十年第四回東京都議会定例会議案の概要の一ページをお開き願います。
東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例の概要でございます。
1、目的をごらんください。
本条例は、都の実施機関が保有する個人情報の取り扱い等に関して定めたものでございますが、統計法等に基づく統計調査に係る個人情報につきましては、統計法等によって管理運用されていることから、本条例を適用しないこととなってございます。
今回、統計法が改正をされ、これに伴いまして、統計報告調整法が廃止されるとともに、東京都統計調査条例が一部改正されたため、本条例の中でこれらの法律等から引用しております用語につきまして、所要の規定を整備するものでございます。
施行期日につきましては、平成二十一年四月一日から施行することとしております。
次に、二ページをお開きください。特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例の概要でございます。
本条例は、特定非営利活動法人の設立等に関しまして必要な事項を定めたものでございますが、今回の主な改正は三点でございます。
2の主な改正内容をごらんください。
まず、(1)、社員総会における表決権の行使に係る電磁的方法の規定の新設でございます。
公益法人制度改革に伴います関係法律の施行により、社員総会の表決権を定めた民法の規定が廃止をされたため、特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法に直接規定されることとなりました。
これに伴いまして、社員総会の欠席者の表決権の手段につきまして、従来の書面または代理人による行使に加えて、電子メール等の電磁的方法が可能となったため、本条例におきまして、その電磁的方法を定めるものでございます。
続いて、(2)、所轄庁が行う定款等の縦覧、閲覧の電子化の新設でございます。
NPO法で定めます所轄庁が行うNPO法人の定款等の縦覧、閲覧につきましては、東京都では書面により行ってまいりましたが、書面にかえて電磁的記録により行えるよう、直接規定をいたします。
最後に、(3)、NPO法人が行う定款等の備え置き、作成及び閲覧の電子化の新設でございます。
先ほどの(2)の規定は、所轄庁である東京都が行うものでございますが、この(3)は、NPO法人が行う定款等の備え置き、作成及び閲覧について、書面にかえて電磁的記録により行えるよう規定するものでございます。
施行期日につきましては、主な改正内容のうち、(1)と(3)は公布の日から、(2)につきましては平成二十一年四月一日から施行を予定しております。
次に、三ページをお開き願います。駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定についてでございます。
これは、地方自治法第二百四十四条の二第三項の規定によりまして、公の施設の管理を行わせる者を規定するものでございます。
対象となります施設は、駒沢オリンピック公園総合運動場でございます。
指定管理者は、財団法人東京都スポーツ文化事業団で、指定の期間は、平成二十一年四月一日から平成二十六年三月三十一日までの五年間でございます。
なお、お手元の配布資料の資料第2号、平成二十年第四回東京都議会定例会議案につきましては、後ほどごらんいただきたいと存じます。
以上で、今定例会に提出を予定しております議案についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○大山委員長 次に、請願の審査を行います。
請願二〇第七一号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小笠原私学部長 お手元に配布しております請願審査説明表の表紙の次をごらんください。
請願番号二〇第七一号、大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書の提出に関する請願についてご説明申し上げます。
請願者は、国立市学費ZEROネット東京事務局長平野義尚さんでございます。
請願の要旨は、国に対し、大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書を提出していただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、大学の学費負担軽減に関して東京都が実施しておりました育英資金事業につきましては、平成十一年度以降、国が大学生等に対する貸付規模の大幅な拡充を図ったことから、国との役割分担を整理し、平成十二年度をもって事業を終了いたしました。なお、都道府県の所轄である高校等に通う生徒に対する育英資金事業につきましては、都が引き続き実施しております。
現在、国が実施しております大学生に対する経済的支援といたしましては、奨学金事業と授業料の減免制度がございます。
奨学金事業につきましては、独立行政法人日本学生支援機構が、学生の学力や家計状況等に応じて、無利子または有利子の貸与制奨学金事業を実施しております。
平成十八年度実績では、全大学生約二百七十万人のうち、約二十五万人が無利子の、約五十万人が有利子の奨学金の貸与を受けており、これら貸与を受けた者は全体の約二八%に当たります。
次に、授業料等の減免制度でございますが、文部科学省令におきまして、国立大学法人は、経済的理由等により授業料等の納付が困難な者に対し、授業料等免除など経済的負担の軽減を図るために必要な措置を講じる旨の規定がされており、各国立大学において、それぞれの授業料等減免制度が設けられております。
また、国は、学生が経済的に修学困難であることを要件として、私立大学がそれぞれに実施する授業料の減免事業等について、経費の一部を補助しております。
以上、請願に関するご説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言願います。
○古館委員 それでは、大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書の提出に関する請願についてご質問をいたします。
本請願は、国に対して、大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書を出してほしい、こういう請願であります。私も、若い方たちから要請を受けまして、学生の状況についていろいろお話も聞きました。
学費ZEROネットの皆さんが都内の三十の大学や専門学校、ここで千二百九十二人の学生から聞き取り調査を行ったということで、これはそれをまとめたものもあります。青山学院大学あるいは首都大学、東京大学、早稲田大学、そして専門学校と、そういうたくさんの学校、大学の皆さんの声がぎっしり詰まったものであります。自分の大学の学費について、七五・七%、約八割の学生が、高いので値下げしてほしいと、これが調査の結果出ている内容であります。
高い学費でどういう状況になっているのか、非常にリアルな内容が、学生の皆さんが聞いて、書きとめたものがあります。
例えば、高い学費はもちろんのこと、税金、家賃なども重なって、親が後期までの学費を払えない、奨学金をもらってもやりくりできないので、大学をやめないといけなくなった、友達が二人、学費が払えなくなってやめてしまったなどなど、まさに高学費の壁が夢や進路を奪っている状況にあります。
母子家庭の友人は、バイト漬けで声が出なくなり、休学して精神科へ行くような状況になりました。朝食もありませんし、昼たまになしと。夜、五百円まで。まさに心も体も壊されている。友人で、母子家庭なので、親に負担をかけたくないためにアルバイトもたくさんする、授業にも余り出てこれない。せっかく大学に入学しても安心して勉強できない子どもさんがやはりかなりいるんですね。学ぶために大学に入ったのに、学びが壊されている、こういう状況にあります。これは見過ごせないという思いを強くしております。
この間、大学の学費はどんどん上がってきました。国立大学の学費で見ますと、一九七〇年のときには年間一万二千円、これが学費の状況であります。ところが、今年度は、標準額で見ますと五十三万五千八百円ですから、約四十五倍にもなりました。こんなに上がった物価はほかにはありません。
日本政策金融公庫、前国民生活金融公庫ですが、十月十五日に発表した調査によりますと、在学中の子ども一人にかかる一年間の在学費用は、私立大学では百五十九万七千円、高校入学から大学卒業までにかかる費用はおよそ一千二十四万円となっております。世帯の年収に対する在学費用の割合は平均で三四%ですが、二〇%以上三〇%未満、この方々が二八・九%と一番多く、次いで四〇%以上という世帯が二六・二%に上っております。
そんな中、先日、東大生の一人が、自分は両親が亡くなってしまいました、しかし東大で今年度から年収四百万円以下の家庭は学費を全額免除するという制度ができたので、自分は大学に行ける、だから他の大学にもこういう制度を広げたい、経済的な理由で学ぶことを奪われないようにしたい、このように語ってくれております。
この制度ができて、東大では、全額免除者が前年に比べて一・七倍にもなっております。このような授業料の免除や減額の制度、これは、経済的な理由で学業をあきらめざるを得ない学生を少なくするという大きな力になっています。
それで伺いますが、東京都の場合には、高校生が対象ですけれども、授業料負担を軽減する制度を持っておりますけれども、これはどのような目的で、また、どのように実施しているんでしょうか。
○小笠原私学部長 授業料負担を軽減する制度として、都では私立高等学校等特別奨学金補助を実施しております。
この事業は、保護者の経済的負担を軽減し、私立学校での修学を容易にすることを目的とする事業であり、その内容は、東京都私学財団が実施する高校生等への特別奨学金の支給事業に対する補助でございます。支給年額は、所得に応じて、生活保護世帯では十九万七千円、住民税非課税、均等割のみの世帯は十四万八千円、住民税一定基準以下の世帯は九万八千円となっており、平成二十年度予算におきましては、約二万九千人を対象に三十二億四千万円余を支給することとなっております。
○古館委員 これちょっと総額でいうとわかりますか。幾らぐらいになりますか。
○小笠原私学部長 平成二十年度予算におきます総額ということだと思いますが、三十二億四千万円余、正確に申し上げますと三十二億四千六百四十万六千円でございます。
○古館委員 都の制度で、授業料が免除になる制度がありません。
こうした額の面ではまだまだ不十分ですけれども、保護者の経済的負担を軽くして、経済的な理由で勉強することをあきらめることがないように、その一助とすることを目的として授業料の減額の制度があるということ。東京都も地方自治体として実施しているのですから、我々都議会が国に対して、私立大学の授業料負担を減らす、そういう直接助成制度をつくることだとか、あるいは国公立大学の授業料の減免を広げること、こういうことを都議会として提案することはとても重要だと考えています。
もう一つは、奨学金の問題です。学費ZEROネットの調査でも、奨学金について、奨学金を卒業した後に何十年も返済しなければならないというのは精神的にきつい、ちゃんと返せるか不安だ、奨学金を受けているが、将来は弁護士希望なので、もし司法試験に受からなかった場合に返済できないのではないかといつも不安を感じている、NGOで働きたいけど、返せそうにないから悩んでいるなど、奨学金を借りても返済ができるか、また、職業選択さえ自由にならない状況になっているんじゃないか、こういうこともいわれております。
そこで、お伺いしますけれども、現在、無利子の奨学金を大学四年間借りた場合に、四年間で幾らになるでしょうか。
○小笠原私学部長 大学につきましては、都としては制度を所管しておりませんが、独立行政法人日本学生支援機構が発行している二〇〇八年版の奨学金ガイドによりますと、無利息の奨学金では、国公立大学で自宅外通学の場合は、貸与月額五万一千円、四年間では貸与総額は二百四十四万八千円となります。私立大学で自宅外通学の場合は、月額六万四千円で、総額三百七万二千円となります。
○古館委員 学校を卒業する時点で既にこうしたかなりの金額、はっきりいえば借金を背負うことになっているんですね。
就職ができるのか、高学歴ワーキングプアなどといわれる状況で、なかなかおいそれと借りられないと。しかも、ひどいことに返済をしなければならないどころか、利子までつける、これが今の奨学金になっておりまして、有利子の奨学金が七割を占めているわけです。
ことしの春も、十万人の大学受験者が奨学金を受ける資格がありながら、無利子奨学金から締め出されております。
そこで伺いますけれども、有利子奨学金の場合に、私立大学で毎月十二万円の奨学金を四年間受けた場合に、返済する額は幾らになるでしょうか、お尋ねいたします。
○小笠原私学部長 先ほどの二〇〇八年版の奨学生ガイドの返還料の記述によりますと、利息つきの奨学金では、国公私立を問わず貸与月額は選択制となっており、最高額の十二万円を選択した場合で、年利率を一・五%と仮定した場合、返還総額は約六百七十一万円と記述されております。
○古館委員 これは本当に大きな額なんですね。こういう金額を卒業と同時に背負っていくということになるんですね。
国の奨学金をすべて無利息に戻すこと、これは世界の流れなんですね。例えばイギリスでは、年収三百万円に達するまでは返済を猶予する制度になっておりますが、日本ではこういうことがなっていないから、日本でそういうことをする必要というのは極めて強い願いとしてあります。
また、OECD諸国を見ますと、三十カ国中二十六カ国は給付の奨学金です。世帯収入や兄弟姉妹の人数などの条件に応じて支給されることになっています。デンマークもフィンランドもフランスもオーストラリアもアメリカもそうです。
ZEROネットの調査でも、友達も最近親が非正規になってしまい、大学に通い続けるということが危うくなっているなどという記述もあるように……(発言する者あり)
○大山委員長 発言中です。
○古館委員 親の失業や病気などの事情で、授業料減免だけでは学業が続けられていない場合があります。(「質問の趣旨が違うじゃないか。学費の問題を取り上げているんだよ、学費の。ずっと奨学金の話じゃないか」と呼ぶ者あり)学費の問題に関連していっているんですよ。(発言する者あり)そんな若者を出さないために、日本でも経済的困難の程度に応じて必要な経済的支援を行う給付制奨学金制度を提案することも極めて重要になっています。
○大山委員長 発言中ですから静かにしてください。
○古館委員 国の高等教育予算の水準、これはOECD加盟国全体の平均が一・〇%なのに対して、日本は〇・五%にすぎません。加盟国中最下位なんですね。これをせめてOECD諸国並みに近づけることも必要であります。
若者が学ぶことは社会の財産でありますし、教育の利益を得ているのは個人のみならず社会全体です。若い世代が大学などで新しい知識や技術、理想を身につけることは、社会の発展にとって不可欠な営みであり、それは社会にとっての貴重な財産ということができます。学生が受益者だから授業料は上げて当然という論は、負担できない学生を教育から排除するものであり、憲法と教育基本法が禁じる、経済的地位による教育上の差別を生み出すことになりかねません。
同時に重要なことは、学費の段階的無償化を定めた国際人権規約を国が批准することであります。(発言する者あり)日本は国際人権規約に加わりながら、高校と大学を段階的に無償化する条項について留保したままであります。(発言する者あり)条約加盟百五十七カ国中、日本とルワンダとマダガスカルの三国のみという情けない状況です。(発言する者あり)これを一刻も早く脱するように、世界一高い学費の……
○大山委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○大山委員長 速記を始めてください。
○古館委員 ですから、今、学費が無償というのは世界の流れなんです。条約加盟の百五十七カ国中、日本と先ほどいいましたルワンダとマダガスカルの三国のみ、こういう状況にあるんですね。
世界一高い学費の負担軽減を進める姿勢を明確にするように、やはり我々自身が政府に対してもきちんと物をいう、このことが重要であると考えております。
以上で、この請願につきましては採択を主張して、私の発言を終わります。
以上です。
○大山委員長 ほかに発言はありますか。
発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、継続審査とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第七一号は継続審査といたします。
請願の審査を終わります。
以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
○大山委員長 これより教育庁関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○大原教育長 平成二十年第四回都議会定例会に提案を予定しております議案につきましてご説明申し上げます。
本定例会におきましてご審議いただきます教育庁関係の案件は、条例案六件、契約案一件でございます。
お手元の平成二十年第四回東京都議会定例会議案(条例)の目次をお開きいただきたいと存じます。
一の学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は、平成二十年度東京都人事委員会勧告などに基づきまして、学校職員の給与を改定するほか、所要の改正を行うものでございます。
二の都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例から五の東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例までは、給与改定及び特殊勤務手当の見直しに伴い、所要の規定を整備するものでございます。
六の東京都立図書館条例の一部を改正する条例は、都立日比谷図書館を千代田区に移管するため、規定を整備するものでございます。
続きまして、契約案でございますが、都立武蔵村山高等学校(二十)改修工事請負契約の一件でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○松田総務部長 議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、平成二十年第四回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして条例案のご説明をさせていただきます。
目次をお開き願います。
今回提案を予定しております条例案は六件でございます。
一ページをお開き願います。学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
平成二十年十月の都人事委員会勧告などに基づきまして、教員給与を見直すとともに、今年度の公民較差に基づく学校職員の給料及び諸手当の規定ほかを改正するものでございます。
主な改正内容につきましては、恐縮ですが四四ページをお開き願います。
このページから四七ページにかけまして、教員給与の見直しにより、給料表を教育職給料表へ一本化すること、給料表の職務の級を五級制から六級制にすることのほか、規定を整備するとともに、四八ページ以降のとおり、給料表の改正を行うものでございます。
施行日は公布の日の属する月の翌月の初日としておりますが、教員給与の見直しに関する改正規定については、平成二十一年四月一日からとしております。
五七ページをお開き願います。都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
行政職給料表(一)の職務の級の統合に伴い、規定を整備するものでございます。
施行日は、平成二十一年四月一日としております。
五九ページをお開き願います。義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例でございます。
先ほど申し上げました教員給与の見直しに伴い、規定を整備するものでございます。
施行日は、平成二十一年四月一日としております。
六一ページをお開き願います。学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
現在支給されている教育業務連絡指導手当、いわゆる主任手当を廃止することに伴い、規定を整備するものでございます。
施行日は平成二十一年四月一日としております。
六五ページをお開き願います。東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例でございます。
行政職給料表(一)の職務の級の統合に伴い、規定を整備するものでございます。
施行日は平成二十一年四月一日としております。
六七ページをお開き願います。東京都立図書館条例の一部を改正する条例でございます。
都立日比谷図書館を千代田区に移管するため、都立日比谷図書館に関する規定を削除するものでございます。
施行日は平成二十一年四月一日としております。
なお、都立日比谷図書館は平成二十一年三月末で閉館し、その後、千代田区において必要な改修工事を行い、平成二十二年度中に千代田区立日比谷図書館として開館する予定でございます。
次に、お手元の資料、平成二十年第四回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして契約案のご説明をさせていただきます。
目次をお開き願います。
今回提案を予定しております契約案は、都立武蔵村山高等学校(二十)改修工事請負契約の一件でございます。
一ページをお開き願います。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は十一億八千百二十五万円、契約の相手方は、東京都中央区新川一丁目十七番二十二号、松井・篠木建設共同企業体でございます。
工期は、契約確定の日から平成二十二年五月三十一日まででございます。
校舎の老朽化に伴い工事を施行する必要があるものでございまして、四ページから六ページにかけまして各階の平面図を、七ページに契約案の概要をそれぞれお示ししてございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○大山委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
○古館委員 一つは、日比谷図書館を千代田区に移管するに当たり、千代田区と話し合いをしている内容についてです。その一つ、施設設備や蔵書に関して、二つ、施設改修工事に関して、三つ、サービス内容に関して、四つ、運営費などに関して、これが第一です。
二番目に、日比谷図書館についての千代田区の基本的な考え方について。
三つ目が、日比谷図書館利用者の、千代田区民と千代田区以外在住者の人数と割合について。
四つ目に、現在の日比谷図書館の蔵書数、開架、それから閉架別に、それと、移管予定の蔵書数とその内容について。
最後の五つ目が、日比谷図書館の年間図書購入費と冊数、そしてその内容について。
以上です。
○大山委員長 ほかに資料要求ございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 それでは、ただいま古館委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○大山委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○大原教育長 このたび、平成十八年度都立日本橋高等学校入学者選抜におきまして、当時の校長、副校長が受検者の得点を不正に操作し、本来合格するはずであった受検者二名が不合格になったとの告発がございました。
都教育委員会では、直ちに調査委員会を設置し、当該校についての事実確認を行いますとともに、全都立高校を対象に過去四年間にさかのぼり調査を実施いたしました。
その結果、日本橋高校の平成十八年度入学者選抜で不正が行われましたことを確認するとともに、その他の高校では不正が一切なかったことを確認したところでございます。
今回判明いたしました合格候補者の決定における不正操作は、都立高校入学者選抜制度の根幹にかかわることであり、断じてあってはならないことでございます。
元受検生を初め、今現在、都立高校を志望し受検に向けて取り組んでいる中学生、保護者並びにすべての都民の皆様の都立高校入学者選抜に対する信頼を損なったことに対しまして、心からおわびを申し上げます。
また、大山委員長を初め委員の皆様方には多大なご心配、ご迷惑をおかけすることとなりましたことを重ねて深くおわびを申し上げます。
今後、都教育委員会といたしましては、原因を徹底究明し、再発防止策を講じますとともに、都立高校入学者選抜に対する信頼回復に全力を挙げて取り組んでまいりますので、何とぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。
なお、詳細につきましては、都立学校教育部長からご報告をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○森口都立学校教育部長 平成十八年度都立日本橋高等学校入学者選抜における不正操作について、資料に基づきご説明をいたします。
資料をごらんいただきたいと思います。
1の事件の概要でございますが、平成十八年度入学者選抜において、当該高等学校を平成十七年度に暴力事件等の生活指導上の課題により退学した生徒二名が再受検いたしました。入学後の生活指導上の課題が再発することを懸念した当該高等学校の当時の校長及び副校長は、当該生徒二名の成績を不正に操作し、不合格といたしました。
2、東京都教育委員会の対応でございます。
事件の全容を解明し、再発防止策を講じ、あわせて全都立高等学校の入学者選抜が厳正かつ公平、公正に実施されていることを確認するため、教育庁次長を委員長とする調査委員会を設置し、全都立高等学校を対象に調査を実施いたしました。
調査の結果は、3にございますように、不正な操作が行われたのは平成十八年度の当該校においてだけでございまして、他の都立高校では厳正かつ公正、公平に入学者選抜が実施されていたことを確認いたしました。
次に、二枚目のA3の資料をごらんいただきたいと思います。調査委員会の実施した調査及び調査結果、調査により判明した不正操作の詳細、調査結果を踏まえた再発防止策及び今後の対応をお示ししてございます。
いずれにしましても、今回の不祥事は都立高校の入学者選抜の根幹にかかわることであり、都民の皆様の都立高校の入学者選抜に対する信頼を著しく失うことになりました。
都教育委員会は、原因を徹底究明し、早急に再発防止策を講じ、失われた信頼の回復に全力を挙げて取り組む所存でございます。
以上、簡単ではございますが、ご説明とさせていただきます。
○大山委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○大山委員長 次に、陳情の審査を行います。
初めに、陳情二〇第四三号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○高畑参事 二〇第四三号、府中地区特別支援学校(仮称)の設置計画に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陳情は、調布市の田中真由美さん外二人の方から提出されたものでございます。
本陳情の趣旨は、府中地区特別支援学校(仮称)の配置計画に関して、できるだけ早い時期に次のことを実現していただきたいというもので、まず、1、当該地域の小中学校の固定制及び通級制の特別支援学級に通っている私たちの子どもや通常学級に通っている子どもたち、そして未就学児の保護者向けに説明会を開き、保護者の質問に丁寧に答えることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、府中地区特別支援学校(仮称)につきましては、平成二十年十月十七日に基本計画検討委員会報告書を取りまとめ、同月二十二日、再編対象校である都立府中特別支援学校、都立府中朝日特別支援学校及び周辺の都立調布特別支援学校、都立小金井特別支援学校並びに府中市、調布市、小金井市、三鷹市、狛江市の小中学校の特別支援学級等に通学する児童生徒の保護者を対象とする説明会を開催し、学校の概要を説明するとともに、保護者の方々からの意見や要望を聞いたところでございます。
今後も、設計や工事のそれぞれの段階で、学校や保護者等に対し説明をしてまいります。
次に、2、この配置計画の推進に当たっては、一人一人のニーズに応じた教育が行われるための教育環境の整備、つまり、四百名という大規模校に見合った保健室及びスタッフの充実、教室不足の解消、体育施設等の充実、スクールバスの整備などを実施することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、府中地区特別支援学校(仮称)については、基本計画検討委員会報告書に基づき、今後、教育庁、財務局、学校等による基本設計検討委員会を設置し、施設整備に関する検討を行う予定でございます。
また、教職員の配置やスクールバスの配車等については、在籍児童生徒数や教職員定数配当基準等を踏まえ、教育環境の整備に努めてまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言を願います。
○村上委員 府中地区の特別支援学校の設置計画に関する陳情に関連して質問をさせていただきます。
まだ仮称ですが、府中地区特別支援学校は、東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画に基づき、肢体不自由のある児童生徒のための小学部、中学部、高等部を設置する府中特別支援学校と、知的障害の生徒のための高等部を設置する府中朝日特別支援学校を発展的に統合するとともに、地域でふえている義務教育段階の知的障害の児童生徒も受け入れるため、小学部、中学部を設置し、平成二十四年度に新たに開校すると伺っています。
今月十一日に、私も、地元の遠藤先生のご案内をいただき、早速、他の自民党都議五名とともに現地を視察してまいりました。それに基づいて質問をさせていただきます。
まず、視察をしてきた内容について、何点か述べさせていただきます。
京王線の飛田給の駅をおりますと、サッカー場としても有名な味の素スタジアムがあります。この地域は、武蔵野の名残を残すケヤキや桜の並木道があり、とても閑静な環境で、まさに文教地区といえるんではないかというような、大変すばらしい環境でした。
府中特別支援学校と府中朝日特別支援学校は、その中の広大な敷地に建っておりました。一体化された設計の校舎は、仕切りの塀もなく、中庭を通って行き来することもできました。
まず、肢体不自由教育を行っている府中特別支援学校では、車いすに乗っている子どもたちが多くおりましたけれども、小中学校や高校と同じ教科書で授業を受けている子どもたちもいました。
また、外部の専門家も加わって、手足を動かす訓練を受けたり、コミュニケーションの訓練を受けたりしている子どもたちもたくさんいらっしゃいました。
そして、私たちは給食の試食もさせていただきました。初期食などやわらかい給食を食べている子どもや、経管栄養の子どもたちもいました。
医療的なケアが必要な子どもへの対応として、非常勤看護師も配置されていました。一人一人の障害に応じた、きめ細かな教育が行われている学校であるとの印象を持ちました。
また、経管栄養の子どもたちに対するケアの中では、保護者との連絡をしっかりととっているというような実際の現場も拝見をしてまいりました。
次に、知的障害の教育を行っている高等部の府中朝日特別支援学校では、ちょうど卒業後の就労や自立に向けての職業教育を行っていました。一般企業から仕事を請け負い、教室を実際の仕事場のように配置して、レトルト製品や、ちょうどお菓子の箱詰めなどを行っていました。また、大変感激したのは、電気器具の部品の大変細かいものの組み立て作業などを行っている現場にも立ち会うことができました。
このような取り組みの成果として、ここ数年、一般企業に就労する生徒がふえてきているということもお伺いいたしました。
さらに、部活動も盛んで、卒業後も地域のソフトボールやサッカーなどのクラブチームに参加して活躍している人がたくさんいるとの報告を受け、大変うれしく思いましたし、卒業後の自立と社会参加に向けてダイナミックな教育を展開している学校であるとの印象を持ちました。
今回の視察を通して、これから入学する子どもたちや、その保護者の皆さんにとっても大いに期待できる教育が引き続き展開されるのではないかという実感を持ちました。
新しい学校は、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門が併設され、知的障害教育部門には小中学部が加わります。併置化により施設を共有して有効活用したり、二つの教育部門の専門性を相互に補完したりして、重度重複化している特別支援学校の教育課題に対応した指導が展開されるものと期待しております。
しかし、その一方で、指導体制や指導内容について、まだ未知の部分が多くあり、これから入学してくる子どもたちの保護者は、陳情書にもあるように、多くの不安を抱えております。
東京都における特別支援教育の体制整備という重要な施策の中での計画ではありますが、その趣旨や府中地区特別支援学校を新たにつくる意義、メリットなどを地域や保護者の方に十分に説明をし、理解と協力を得ながら学校づくりを進めていくことが重要であると考えます。
そこで、質問に入らせていただきますが、まず、知的障害の児童生徒については、保護者たちが特別支援学校に期待することの第一は、将来、自立したり社会参加したりするための力をしっかりと身につけさせてくれる教育ではないかと思います。「十年後の東京」においても、将来三万人の障害者の雇用をふやす計画が示されているところですが、特別支援学校では、福祉的就労ではなく、一般就労につながるような職業教育を充実させていくことが大切です。
最初の質問ですが、まず、都教育委員会として、特別支援学校における就労支援の体制を今後どのように構築していくのか、お伺いいたします。
○高畑参事 障害のある生徒に対する就労支援は、将来の自立と社会参加を図る上で極めて重要でございます。
このため、都教育委員会は、知的障害特別支援学校高等部設置校の中から職業教育改善校を指定し、一般就労率四〇%を目指した指導を行うとともに、障害者雇用に関する理解啓発や、雇用及び就業体験の受け入れ先を開拓するため、毎年、企業向けセミナーを開催するなど、障害のある生徒に対する就労支援を行っているところでございます。
今後は、小学部からのキャリア教育と連動した職業教育の充実に努めるとともに、民間を活用して雇用先や就業体験の受け入れ先の開拓を行い、そこで得られた情報を特別支援学校に提供する新たな就労支援の仕組みを構築してまいります。
○村上委員 それでは、具体的に、新しく開校する府中地区特別支援学校においては、職業教育の充実に関してどのような特色ある教育課程を編成していくおつもりなのか、お伺いいたします。
○高野指導部長 府中地区特別支援学校においては、高等部の二年次から、生徒の実態や進路希望等に応じまして教育課程を作業種別ごとに類型化いたしまして、職業教育の充実を図ってまいります。
具体的には、食品加工やリサイクルなどの流通サービス業への就労を目指した作業学習や、農園芸や木工などの製造業への就労を目指した作業学習を展開していく予定でございます。
また、東京ビルメンテナンス協会と連携いたしまして、掃除の仕方や技能についての検定制度を取り入れるなどして、小学部から一貫したキャリア教育を推進いたしまして、将来の職業生活や社会自立の基盤を培ってまいります。
○村上委員 現在、都立の知的障害特別支援学校高等部の卒業生の一般企業への就労率は約三五%程度と伺っております。今お聞きしたような職業教育の工夫によって、一層企業就労へ結びつけていってほしいと思っています。
また、知的障害の児童生徒にとっては、小学部から高等部までの一貫した教育を受けられる新しい学校となるわけですが、将来の自立と社会参加に向けて、職業教育以外に魅力ある教育を展開していっていただきたい、こんなふうに思っています。
現在の状況では、まだ未確定の部分もあるかと思いますが、職業教育以外にも教育内容として何か特色を考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○高野指導部長 府中地区特別支援学校の知的障害教育部門では、外部指導員を活用いたしまして、バスケットボールやサッカーなどの部活動を通しまして児童生徒の運動能力の向上を図ってまいります。
また、肢体不自由教育部門に導入する言語聴覚士などの外部の専門家を活用いたしまして、社会性やコミュニケーション能力にかかわる自立活動の指導の充実を図っていくことを計画してございます。
○村上委員 ぜひ外部指導員やあるいは外部の専門家を導入して特色ある教育活動を展開していっていただきたい、こんなふうに考えています。
また、現在、知的障害特別支援学校には自閉症の児童生徒が約四割在籍していると伺っています。
先日、英字新聞でも取り上げたんですが、英語の活動、英語教育というものを特別支援学校で試みているということで、これは平成十九年十二月二十五日の新聞記事にもありますし、また、平成二十年九月四日の新聞記事、こういったような形で新聞記事にも取り上げているんですが、英語教育を取り上げることによって、表現力、集中力のアップを図る、あるいは日常活動にも非常にいい影響を与えているというような、こんな新聞発表もいただいておりますので、これに関連してちょっと質問をさせていただきたいと思います。
この新聞の記事というのは、江戸川区立の二之江小学校の知的障害特別支援学級で総合的な学習の時間において英語活動を取り入れたということでしたけれども、その結果、自閉症をあわせ有する子どもたちの表情が非常に明るくなり、表現力や集中力が上がったなどの成果が報告され、関係者の関心を集めているというような報告をいただきました。
もちろん、特別支援学級と特別支援学校では、子どもたちの実態も違いますし、教育課程も違うでしょう。そして、時間の設定等についても違いがあることは十分承知をしています。
しかし、今度改訂される新しい学習要領の中で、知的障害特別支援学校には外国語活動は設定されていないというように聞いております。しかし、東京都では、これまでに自閉症の教育課程を開発し、今後新たに開設する府中地区特別支援学校についても、基本計画検討委員会の報告書の中で、自閉症の教育を充実させていく、こんなふうに記されております。
府中地区特別支援学校について、これから教育内容を詳細に検討していくのであれば、このような英語活動の導入なども含めて、自閉症の子どもたちなどの能力を伸ばすような特色ある教育を行っていってほしいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
○高野指導部長 東京都教育委員会では、平成十七年度から、知的障害特別支援学校における自閉症の教育課程の研究開発に着手してまいりました。
この成果を生かしまして、府中地区特別支援学校においても、自閉症の児童生徒に対しまして、対人関係や社会生活にかかわる指導に重点を置いた教育を展開していく計画でございます。
お話しの江戸川区の特別支援学級での英語活動については、自閉症の指導にかかわるユニークな実践でございまして、今後、府中地区特別支援学校の教育課程を検討していく際に参考としてまいります。
○村上委員 自閉症教育については世界各国でさまざまな取り組みや研究がなされているようですが、ぜひ東京都から新たな取り組みとして発信していっていただくことを期待申し上げます。
次に、通学区域について伺います。
肢体不自由教育部門と知的障害教育部門高等部の通学区域は、変更はないとのことですが、知的障害教育部門の小中学部に関しては、調布特別支援学校や小金井特別支援学校との調整で、通学区域が大きく変わると思います。どのような区域になるのか、お伺いいたします。
○高畑参事 府中地区特別支援学校の知的障害教育部門小学部及び中学部の児童生徒の通学区域は、現在の調布特別支援学校の通学区域となっている府中市の一部の地域及び小金井特別支援学校の通学区域となっている小金井市の一部の地域を想定しております。
○村上委員 ぜひ通学区域については早い時期に、関係する市の教育委員会や保護者の方々あるいは関係者の方に早くに示していただきますようにお願いを申し上げます。
次に、肢体不自由教育部門の教育内容について質問させていただきます。
基本計画検討委員会の報告書では、理学療法士などの外部の専門家を活用すると示されています。現在、他の肢体不自由特別支援学校においても教員以外の外部の専門家を導入しているとのことですが、今までの教員だけでの指導体制と異なり、さまざまな職種の方々が授業に入ってくるわけですが、子どもたちにとってどのような教育的効果があるのか、お伺いいたします。
○高野指導部長 東京都教育委員会では、平成十六年度から、肢体不自由特別支援学校に理学療法士や作業療法士などの外部専門家を計画的に導入してきております。
既に導入した学校においては、教員が外部専門家から運動や動作の技能の向上などを目指した自立活動の指導に関する助言などを得ることができまして、児童生徒の多面的な実態把握や評価ができるようになるとともに、指導内容、方法の改善充実を図るなど、教育効果が出ております。
○村上委員 教員と外部の専門家との連携体制を構築することは、子どもたちへの専門性の提供という面で大きな教育効果が期待されるところです。これとともに、未来の肢体不自由教育を担う人材の育成も視野に入れて、効果的、効率的な外部の専門家の導入を計画的に進めていっていただきたいと思います。
陳情には、一人一人のニーズに応じた教育を行うための教育環境の整備について、教室や保健室あるいは厨房、食堂、体育館、プールなどの体育施設、スクールバスの配車の充実などが挙げられております。このことについて、今後どのようなスケジュールで検討が進められていくのでしょうか。また、増築する校舎や改修する教室などの基本設計に保護者の意見は反映されるのでしょうか、お伺いいたします。
○高畑参事 府中地区特別支援学校の施設整備につきましては、基本計画検討委員会報告に基づき、今年度、教育庁、財務局、学校等の関係者で構成する基本設計検討委員会を設置し、検討を行う予定でございます。基本設計に当たっては、学校を通じて保護者の意見等を反映させてまいります。
また、スクールバスにつきましては、開校の前年度である平成二十三年度に通学区域を最終決定し、在籍する児童生徒の居住地等を勘案して配車をしていく予定でございます。
○村上委員 肢体不自由の児童生徒の保護者の中には、知的障害教育部門と併置になることで、学校内での移動などの際に肢体不自由の子どもが知的障害の子どもとぶつかってけがをすることを心配している保護者の方もいらっしゃいます。また、逆に、知的障害の子どもの保護者にとっては、自分の子どもが肢体不自由の子どもにけがを負わせてしまうのではないかと、こんな不安を持っていらっしゃる方もいるようです。
このような不安を解消するために、学校の意見だけではなく、保護者の意見も十分に聞いて基本設計に臨んでいっていただきたいと思います。
子どもたちの安全確保については、施設が整っているだけでは十分ではありません。その施設を職員がどのように配置して使いこなしていくかが問われているところだと思います。学校事故等がないように、十分に安全管理に努めていってほしいと考えています。
次に、教職員の配置人数あるいは定数についてお伺いいたします。
保護者の皆さんは、新しい学校の運営体制について強い関心を持っていらっしゃいます。指導体制は十分確保できるのか、授業の質は維持できるのかなど、子どもを通学させる親として当然、健常者の保護者の方以上に大きな不安を抱えていらっしゃると思います。
異なる障害部門を併置する場合の教職員の配置については、去る九月二十九日の本文教委員会でも質疑のあったところですが、保護者の皆さんが大変心配しているということもありますので、改めて併置校の教職員の配置人数はどのような基準、考え方で決定していくのか、お伺いさせていただきます。
○直原人事部長 異なる障害部門を併置する特別支援学校の教職員につきましても、他の特別支援学校と同様に、国のいわゆる標準法に基づく都の教職員定数の配置基準によりまして配置人数を算定しております。
具体的には、教諭については障害部門ごとの学級数に基づき配置人数を算定する一方、教諭以外の職員は学校単位で人数を算定しますが、このうち、副校長、養護教諭、事務職員は、併置校に対する補正基準を適用し、増員を行った上で配置人数を決定しております。
○村上委員 教諭については障害部門ごとに人数を算定し、養護教諭などは補正基準により増員するとのことでありますけれども、養護教諭は、増員した場合でも二名の配置となります。併置校は児童生徒数も多く、二人の養護教諭で子どもたちの健康管理が今までのように行えるのかどうかということで、大変大きな心配、不安を抱えています。
そこで伺います。児童生徒数の多い併置校の養護教諭の配置について、保健室の運営体制の整備などのため、新たな対応を図る必要があるのではないでしょうか、お伺いいたします。
○直原人事部長 養護教諭につきましては、先ほど申し上げましたとおり、学校単位で人数を算定した上で、併置校に対する補正基準により配置人数を増員いたしますが、今後、在籍する児童生徒数など学校の状況を踏まえまして、さらに非常勤教員の配置や賃金職員の活用など必要な対応を図ってまいります。
○村上委員 先ほど外部人材の導入の話もありましたが、教職員だけではなく、多様な人材を活用し、特別支援学校の学校運営体制の一層の充実を図るようお願いいたします。
併置化は、子どもたちにとって大きなメリットがあるからだと考えます。陳情された保護者の方も、併置について反対はしていません。しかし、保護者の中には、知肢併置のメリットがあるのかどうかということを心配している方もいらっしゃるようです。併置することによって、予算軽減や効率的な学校設置などという行政的なメリットは当然あるのでしょうが、子どもの教育環境におけるメリットについても明確に示していってほしいというのが保護者の正直な気持ちではないかと思います。それがないのであれば、敷地を二分して二校にすればいいのではないか、こんな意見も出てくると考えます。
改めて伺います。どうして一校にする必要があるのでしょうか。子どもたちのメリットや効果としてどんなことがあるのか、率直にお聞きしたいと思います。
○高野指導部長 併置校におきましては、各障害部門の教員がそれぞれの専門性を共有し合い、児童生徒一人一人について多面的に実態を把握するとともに、教科指導や自立活動に関する多様な指導方法や教材、教具を工夫するなどいたしまして、一人一人の障害の状況に即した教育活動を一層充実できると考えております。
また、学校生活全般においても、異なる障害のある児童生徒が得意なことや力を発揮できることを生かしまして、互いに助け合い、支え合う体験を積み、思いやりの心や自信をはぐくむことができるなどのメリットがあると考えております。
○村上委員 今、メリットの中で、互いに助け合い、支え合う体験を積み、あるいは思いやりの心や自信をはぐくむことができるというようなご答弁をいただきました。大変今のご答弁は、私、うれしく思いました。
府中地区特別支援学校は、広大な敷地、そしてすばらしいデザインの校舎で、知的障害と肢体不自由の子どもを教育する施設となり、地域からも注目を集めることとなるでしょう。このような存在感のある教育施設になりますと、地域における特別支援教育のセンター的役割を果たすことも期待されるところであるかと思います。
そして、そのような機能を担うためには、地域の方々に十分学校の特色や機能を理解してもらうことが必要であると考えます。
地域の理解教育を推進するための取り組みを何か考えていらっしゃるのでしょうか、お伺いさせていただきます。
○高野指導部長 府中地区特別支援学校においては、特別支援教育コーディネーターを地域の幼稚園、保育所、小学校、中学校などに派遣いたしまして、教員に対する特別支援教育の専門研修や早期からの教育相談を充実させまして、地域における特別支援教育の推進を支援してまいります。
また、副籍制度を活用いたしまして、府中地区特別支援学校に在籍する児童生徒と居住する地域の小中学校との交流及び共同学習を通しまして、障害のある児童生徒に対する理解教育を推進してまいります。
○村上委員 乳幼児から学校卒業までを見通した地域の特別支援教育のセンター的機能を果たす学校となることを大いに期待させていただきます。
次に、保護者に対する説明会の予定についてお伺いいたします。
特に、府中地区特別支援学校の開校は平成二十四年四月であり、知的障害教育部門の対象となる子どもは、現在、府中朝日特別支援学校に在籍する生徒ではなく、周辺の小中学部設置校である調布特別支援学校や小金井特別支援学校、さらには当該地域の小中学校の固定制あるいは通級制の特別支援学級に通っている子どもや通常の学級に通っている障害のある子ども、そして幼稚園や保育所、障害幼児通園施設に通っている未就学の子どもたちです。
こうした子どもたちの保護者の方々に、都教育委員会として今後どのようなスケジュールで説明していくおつもりなのか、お伺いさせていただきます。
○高畑参事 再編対象校及び周辺の都立特別支援学校並びに府中市、調布市、小金井市、三鷹市、狛江市の小中学校の特別支援学級に通学する児童生徒の保護者の方々には、本年十月二十二日に学校の概要を説明したところでございます。また、十二月十三日に第二回の保護者説明会を開催する予定でございます。
今後も、基本設計が終了した段階など、適切な時期に保護者の方々等に対して説明をしてまいります。
○村上委員 説明会の開催についても保護者の一番の要望であると思いますので、回数や時期、十分な発言の機会の設定などを工夫して、保護者の不安をなくしていくように努めていっていただきたいと思います。
最後に、この府中地区特別支援学校の設置に当たり、教育長の決意のほどをお伺いしたいと思います。お願いします。
○大原教育長 府中地区の特別支援学校、仮称でございますが、これの設置に当たりまして保護者の方々がさまざまな不安を抱かれることはまことにもっともなことであると考えております。
この不安を解消するためには、保護者の方々に懇切丁寧な説明を行い、また、その意見を真摯に受けとめていかなければならないと認識をしております。
都教育委員会といたしましては、こうした保護者の皆様に対するきめ細かい対応に加えまして、児童生徒一人一人の障害の状態に応じた指導を充実していくことで、今後とも、都民及び児童生徒、保護者の皆様の期待に十分こたえてまいります。
○村上委員 ありがとうございました。
以上、府中地区特別支援学校に関しての質問をさせていただきました。
新しい学校をつくっていくというための業務量は多く、担当される方々のご苦労も大変多いとお察しをいたします。
しかし、それに見合う子どもたちやその保護者の期待や希望があります。東京都特別支援教育推進計画に基づき、新たに開校した特別支援学校は、いずれも子どもたちやその保護者、また広く都民からの絶大な期待にこたえているものであると私どもも認識しています。
今後とも広く関係者の意見を聞き、すばらしい特別支援学校をつくっていってほしいと願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○谷村委員 それでは、私からも、仮称府中地区特別支援学校の設置計画に関する陳情につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
これは、府中地区特別支援学校を考える有志の会代表田中真由美さん外二名から出された陳情でございます。今、村上先生の方からもるるございました。重なるところもあるかもしれませんけれども、この陳情の趣旨といたしましては、平成二十四年度から統合される、もう仮称を省略しますが、この府中地区特別支援学校について、実際に統合されたときから入学をされる、あるいは通われる児童生徒あるいはその保護者の方々にこそむしろ丁寧なご説明、またご理解等をいただかなければいけないのではないか。だから、しっかりと説明会を開き、また、現在未就学児の方々も含めて説明会を開き、保護者の質問に丁寧に答えていただきたい。そして、統合されれば、四百名という大規模に見合った保健室、スタッフの充実、教室不足の解消、体育施設等々、また、スクールバスの整備などを実施することという、こういう陳情の願意になっているわけでございます。
特に、統合される二校に在籍している保護者には一定の情報が伝えられているけれども、それ以外の地域の小中学校に通っていらっしゃる保護者の方々には情報が全く入ってこないというような経緯もあったようでございますので、これについて、この府中地区特別支援学校を考える有志の会の皆様が疑問や不安に思っておられることにつきまして、この委員会でも確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。
十月二十二日に説明会が開かれ、次は十二月十三日に開かれるということだと思いますが、その説明会と重なる点もあるかもしれませんが、委員会の場で改めてお尋ねをさせていただきたいと思います。
まず、第一点目に、府中朝日特別支援学校と府中特別支援学校、これは、以前は府中養護学校として知的障害と肢体不自由の併置の学校だったわけであります。これが平成三年に、知的障害教育を行う高等部単独校の府中朝日特別支援学校と、肢体不自由教育を行う小学部、中学部、高等部の府中養護学校の二校に分離したという経緯があるわけですね。今回、統合しようという計画になっておるわけですけれども、かつては分離をしたという経緯があるわけでございますので、その分離したときの理由は何だったのか、そして、なぜ一回分離した学校をまた改めて府中地区特別支援学校として統合するのか、その点についてご説明をお願いいたします。
○高畑参事 府中特別支援学校は、昭和五十二年、肢体不自由教育部門の小学部、中学部、高等部及び知的障害教育部門の高等部の併設校として開校いたしました。
その後、中学校の心身障害学級や通常の学級から入学する知的障害のある生徒が大幅に増加したことから、平成三年、校舎の大規模改修に合わせて知的障害教育部門を分離し、高等部単独校として府中朝日特別支援学校を開校いたしました。
昨年十一月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画で府中特別支援学校と府中朝日特別支援学校を統合することにいたしましたのは、平成十九年四月に施行されました改正学校教育法の特別支援学校制度の趣旨を踏まえますとともに、知的障害特別支援学校小学部、中学部設置校である調布特別支援学校及び小金井特別支援学校の過密解消を図るためでございます。
○谷村委員 それでは、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置する、一たん分離したものをもう一回統合するという計画になったわけですけれども、そのメリットにつきましては先ほどの質疑でもありましたが、改めてメリット、そしてデメリットはどういうものというふうに認識されているのか、お尋ねをいたします。
○高野指導部長 併置するメリットといたしましては、各障害部門の教員がそれぞれの専門性を共有し合いまして、児童生徒一人一人について多面的に実態を把握するとともに、教科指導や自立活動に関する多様な指導方法や教材、教具を工夫するなどいたしまして、一人一人の障害の状態に即した教育活動を一層充実することでございます。
また、学校生活全般において、異なる障害のある児童生徒が得意なことや力を発揮できることを生かして、互いに助け合い、支え合う体験を積みまして、思いやりの心や自信をはぐくむことができるなどのメリットがあると考えております。
両部門が合同で授業や行事を行う際には、それぞれの障害特性に応じた安全面での配慮が必要でございまして、こうしたことにつきましては、今後、十分検討してまいります。
○谷村委員 この陳情を出されておられます有志の会の皆様は、単に知肢併置が不安だというふうにおっしゃっているわけではないわけで、既存の知肢併置校の保護者の方々のお話も十分伺われているようであります。知的と肢体の保護者同士とても仲がよくて、PTAも、異なる障害が一つになるとなると大変な面もあるそうですけれども、それはそれで楽しい面もあるというふうに伺われていると。それぞれの専門性の交流により、より豊かな教育内容になる面もあると。また、同じ地域に住む保護者同士が理解し合っていけるということで、今回この陳情を出されている中では大変なご理解をいただいているわけですが、今回の統合計画に関して、保護者の方々の不安を払拭し、そしてその意義が広く理解されて、保護者、関係者の意識が前向きに高まっていけるようにという、こういう願いがこの陳情にはあるわけでございます。
その意味で、もう少し疑問点や不安点についてお尋ねをしたいと思いますけれども、今、メリットを十分理解できるご説明をいただきました。デメリットということでいけば、それぞれの障害特性に応じた安全面での配慮というのができるのかどうかというところに大きくかかわってくるんだろうと思いますが、そこで、都立特別支援学校の適正な児童生徒というのは、都の教育委員会として大体何人ぐらいが適正規模というふうにお考えになっておられるのか、そういう適正規模数というものがイメージとしてあるのかどうか、そして、府中地区特別支援学校の初年度の児童生徒数というのが実際に大体何人ぐらいになるかというふうに予想されているのか、お伺いをいたします。
○高畑参事 まず、特別支援学校の適正な児童生徒数についてでございますが、特別支援学校におきましては、児童生徒数がどの程度であれば適正であるか、法令上の定めはございません。
都教育委員会といたしましては、児童生徒数をもって判断するのではなく、地域や保護者からの期待にこたえ、教育活動や学校運営を適切に実施できるようにすることが重要であると考えております。
次に、府中地区特別支援学校の開校初年度でございます平成二十四年度の児童生徒数の想定でございますが、知的障害教育部門につきましては、小学部及び中学部の新設及び通学区域の見直しなどによりまして、二百三十人程度と想定しております。また、肢体不自由教育部門につきましては、これまでの児童生徒数の推移を踏まえまして、百三十人程度と想定しております。
○谷村委員 特に法令上の定めもないし、特にこれと決まった適正規模というものがあるわけでもないと。ただ、平成二十四年度の開校初年度では、知的が二百三十人、肢体が百三十人、合計三百六十人程度の学校になるというふうにお答えをいただいたと思うんですが、こうした規模の学校になった場合に、じゃ、具体的な適正数とか法令上の問題はないとしても、例えば給食ですけれども、これぐらいの児童生徒さんの規模になったときに、教員の方々が児童生徒さんたちと一緒に食事をとるということが可能な規模の学校になるという認識でよろしいのかどうか、お尋ねいたします。
○高畑参事 給食につきましては、在籍する学級等で児童生徒が教員とともにとることになります。
○谷村委員 教室でしっかり教員の方も児童生徒さんと給食はとれるということで確認をさせていただきました。
また、現在、府中朝日の方では、普通教室が不足をしていて、特別教室などを転用してどうにか普通教室を確保しているというふうに聞いておりますが、統合によって、特に知的の小中学部ができるわけですが、そういう校舎が増設されると思いますけれども、この転用されている教室というのはすべて解消されて、普通教室が確保できるのかどうか。一番ご心配されているところでもありますので、明快にお答えをいただきたいと思います。
○高畑参事 府中地区特別支援学校では、知的障害教育部門の小学部、中学部等の増築及び肢体不自由教育部門と知的障害教育部門の併置化に伴う特別教室の共有によりまして、転用教室はすべて解消される予定でございます。
○谷村委員 転用教室はすべて解消される計画であるということで、これはしっかりと期待をしたいと思います。
もう一つ、知肢併置されることによって生じる不安、これも大変大きな、ごもっともな不安だと思いますけれども、知的障害のあるお子さんが肢体不自由の、特に医療的ケアのあるお子さん等にけがをさせてしまうのではないか。ちょっと当たっただけで骨折をされるような重度の方もいらっしゃる場合もあります。また、走り回ってぶつかったりして、あるいは興味本位でチューブを抜いてしまったりとか、こういうことが併置によって起こり得るのではないか。知的障害の児童生徒と重度重複化している肢体不自由の児童生徒さん、これが一緒になって果たして本当に安全は確保されるのか、さまざまな校舎のつくり方によって動線等もきちんと区別ができて、安全が確保されるのかという点についてお伺いをいたしたいと思います。
○高畑参事 児童生徒の安全確保についてでございますが、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置化することにより懸念される不慮の事故を回避するため、今後設置いたします基本設計検討委員会におきまして、児童生徒の動線等について具体的に検討してまいります。
また、それぞれの教育部門が共用部分を使用することになるため、時間割り編成に配慮してまいります。
○谷村委員 重ね重ね安全面につきましては慎重な検討、対応をお願いしたいと思います。
次に、現在、府中朝日、そして府中特別支援学校のそれぞれに保健室が一つあるわけですけれども、この保健室というのは一つになるのか、あるいはどういうふうに運用されるのか、確認をさせていただきたいと思います。
○高畑参事 府中地区特別支援学校には保健室を一カ所設置する予定でございます。既設のもう一カ所の保健室につきましては、児童生徒の健康管理に配慮した施設として有効活用することを含めて、今後、基本設計検討委員会において検討してまいります。
○谷村委員 健康管理に有効利用できるということで、事実上、保健室あるいは健康管理の部屋がそれぞれにあるという基本設計を進めていただくということで、これもまたお願いをしておきたいと思います。
健康管理のかなめとなる--これは先ほどの質疑と重なって恐縮ですが--養護教諭について、この配置人数が減少するということでありました。その、養護教諭の配置人数が減少することについて、もう一度改めてどういう対応をとろうとされているのか、確認をさせていただきたいと思います。
○直原人事部長 養護教諭につきましては、学校単位で配置人数を算定した上で、併置校に対する補正基準を適用し、増員を行うこととしております。
今後、在籍する児童生徒数など学校の状況を踏まえまして、児童生徒の健康管理のために、さらに、非常勤教員の配置や賃金職員の活用など必要な対応を図ってまいります。
○谷村委員 養護教諭に加えて、栄養士さんでありますけれども、異なる障害部門を併置することによって給食の食数というのが当然多くなるわけであります。初年度でも三百六十人の児童生徒さんが入られるわけですが。また、障害の状況によっては、多様な形態の給食を提供しなければならない。栄養士さんが一人になって対応できるのかどうか、そういうものなのかどうかということをちょっとご説明をいただければと思います。
○直原人事部長 特別支援学校の学校栄養職員の定数は、国の基準において、一校一人となっておりまして、都の配置基準においても、それを踏まえ、一校一人としております。
国の動向や都の定数を取り巻く状況を勘案すると、学校栄養職員の定数をふやすことは困難でございますが、学校の実情に応じまして、賃金職員の活用を図ることで適切に対応してまいります。
○谷村委員 児童生徒数の状況によっては、栄養教諭一人だけではなくて、賃金職員の活用を図って適切に対応していただくというご答弁だと思いますので、確認をさせていただいておきたいと思います。
次に、スクールバスでありますが、これは陳情でもあえて出てきているものでありますけれども、肢体不自由の府中特別支援学校には現在スクールバスが配車をされている。知的障害の府中朝日特別支援学校は高等部単独校のために現在スクールバスが配車されていないと。
府中地区特別支援学校になりますと、地域の知的障害のある児童生徒のための小学部、中学部が設置をされるわけであります。当然、スクールバスが知的障害の児童生徒さんのためにも運行されると思いますけれども、スクールバスの発着場所なんですが、現在は肢体の方の正門を通って昇降口に入ったところになろうかと思うんですが、知的の方は全くそれと離れた側に施設、校舎があるわけで、両教育部門のスクールバスの発着場所というのは、知的の方にきちんと合わせて、違う場所でスクールバスというのは発着ができるようになるのかどうか、お伺いをいたします。
○高畑参事 肢体不自由教育部門につきましては、現在の府中特別支援学校のスクールバスの発着場所をそのまま活用する予定でございます。
また、知的障害教育部門につきましては、現段階では、現在の府中朝日特別支援学校の校門付近に発着場所を設置することを考えております。
○谷村委員 それぞれ、スクールバスの発着場所は分けてやるということでよろしいわけですね。ありがとうございます。
あと、統合された場合、二校分の教員の配置がされるわけで、校長先生等はお一人になられるわけですけれども、教員の皆さんの職員室というのはどういうふうになるのか。まだ検討中で、お答えが出ないかもしれませんが、一応お伺いをいたします。
○高畑参事 職員室につきましては、新たに知的障害教育部門の小中学部を設置することなどを勘案いたしまして、今後、基本設計検討委員会におきまして検討してまいります。
○谷村委員 統合されて不便が生じないような設計をお願いしたいと思います。
そして、もう一つ、これは現状でもそうなんだと思うんですけれども、この二つの学校が、一体的に校舎が設計されていますので、空調施設が一カ所になっていると。一カ所の空調施設で、知的と肢体不自由の学校に空調施設が稼動しているものですから、特に体温調節等が苦手な肢体不自由の児童生徒さんにとっては例えば寒過ぎるような状況があったり、動きが激しい知的のお子さんにとっては暑過ぎたりというような、こういう課題があるようでございますけれども、この点は教育委員会としてどのような認識をお持ちなのか、お尋ねをいたします。
○高畑参事 肢体不自由の児童生徒の中には体温調節等が苦手な子どもがいるという課題は認識しております。
○谷村委員 課題があることをご認識いただいているということでありますので、ぜひ統合される際に、あるいは統合するのに向けて、あるいはその前にでも、可能な限り空調施設の改善はお願いをしておきたいと、改めてお願いをしておきたいと思います。
これも先ほどの質疑に重なって大変恐縮ですけれども、異なる障害部門を併置することにより、障害種別ごとに特別支援学校を設置する場合と比較し、全体の教職員定数というのはどういうふうになるのか、改めてお答えをいただきたいと思います。
○直原人事部長 異なる障害部門を併置する特別支援学校の教職員につきましても、他の特別支援学校と同様に、教諭については障害部門ごとの学級数に基づき配置人数を算定しております。一方、校長、養護教諭、事務職員、学校栄養職員等につきましては、学校単位で人数を算定することから、障害部門を併置することにより、配置人数は少なくなります。このことを踏まえまして、副校長、養護教諭、事務職員につきましては、併置校に対する補正基準を設け、増員を行うこととしております。
○谷村委員 最後にもう一点、施設に関連してお尋ねをしておきたいと思います。
現在の府中特別支援学校と府中朝日特別支援学校をつなぐ、通称パルテノンといわれている空間といいますか、場所があるようでございますけれども、その地下に、先ほど申し上げました両校の空調設備があるためか、段差があって廊下が設置できないと。この二つの学校が統合されて一つの校舎として運用されていくわけですので、二つの学校を結ぶ渡り廊下というものがパルテノンのところにできるのか、それとも外づけで渡り廊下がつくられるのかという点について不安に思っていらっしゃる面があるようでございます。特に、外づけの廊下というふうになりますと、天気の悪い日だと、あるいは寒い日でも、外の廊下を使うということになると、児童生徒さんには大変な障害が来る場合もあると思いますし、あるいは給食をワゴンで運ぶようなときには、夏の日ですと食中毒の原因になるようなこともあったりして、衛生面での不安をお持ちになっている点もあると伺っております。
二つの学校をどうやってつないでいくのか、今、検討中かもしれませんけれども、お答えいただければお願いをしたいと思います。
○高畑参事 渡り廊下につきましては、設置するか否かも含めまして、今後、基本設計検討委員会において検討してまいります。
仮に渡り廊下を設置することにした場合には、バリアフリーや衛生面、児童生徒の健康に配慮して設計してまいります。
○谷村委員 ありがとうございました。積極的にお答えいただき、感謝をいたしたいと思います。
今いろいろとお伺いをいたしました。可能な限りでのお答えをいただいたと思います。平成二十四年度には大変すばらしい府中地区特別支援学校ができますように、今回、有志の会の皆様が出されております本陳情につきまして、その趣旨が採択されますことを強く主張いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○古館委員 それでは、私も質問をさせていただきます。
先日、私は、府中朝日特別支援学校と府中特別支援学校、これを視察させていただきました。飛田給の駅をおりて、武蔵野の雑木林、本当にいいところだなと。しかも、大木といいますか、そういう木々もありまして、とても広い敷地の中に二つの学校、しかもぬくもりのある校舎、こういう状況をつぶさに拝見をさせていただきました。大変環境のよいところであります。
都教委の皆さんには、ここで学んでいる、また、将来学ぶことになるであろう子どもたちが健やかに成長できる、よりよいそうした教育条件を整えていただきたい、こういう立場から質問させていただきます。
まず初めに、保護者を初めとする都民への情報提供と、保護者、関係者の意見の反映について伺います。
この陳情を読ませていただきますと、陳情者がなぜ都議会に陳情するに至ったのか、このことでありますが、二校が統合された学校に通うことになる可能性の高い、地域の小中学校に通う子どもたちの保護者には情報が全く入ってこない、そのことが非常に不安を感じている。二校が統合することだけは発表されているけれども、一体学区はどうなるのか。約四百人もの大規模校で大丈夫なのか。校舎やスクールバスはどうなるのか。知肢併置ということで、動きの激しいお子さんが、悪意はなくても肢体不自由のお子さんにぶつかってけがをさせてしまう、こういうことはないのか。本当に心配して不安を感じていらっしゃいます。
それで、お伺いしますけれども、千六百七十七筆の署名をもって、この陳情と同じ要請を都教委にしましたけれども、いまだに回答がないので、やむにやまれず都議会に陳情した、このように陳情書には書かれております。まず、陳情者及び千六百七十七人の要請を受けたのはいつで、その要望にこたえたのはいつなのか、お答えをいただきたいと思います。
○高畑参事 陳情者の方を含む千六百七十七名の方からの要請を受理したのは平成二十年七月二十九日でございます。都教育委員会は、十月十七日に府中地区特別支援学校(仮称)基本計画検討委員会報告書を取りまとめ、十月二十二日に陳情者を含む保護者の方々等に説明したところでございます。
○古館委員 要請を受けたのが七月二十九日ですよね。そこから数カ月何もしていないということなんですよ。で、十月二十二日に初めて説明会を開催したと。説明会を開催してほしいと要望しても、ナシのつぶてで、いわゆるこの間ですと、八、九、十で約三カ月ですね、やっと開催した、こういうわけですね。しかも、当初は、当の地域の小中学校の保護者の皆さんに説明会開催のお知らせが届かなくて、指摘されて慌てて対応したとのことであります。
障害児を持つ保護者の皆さんは、自分たちの子どもが通うはずの学校がどうなっているのか大変心配している。常に情報を提供することは都教委の最低限の責任ですので、要望にはしっかり回答するし、情報はきちんと提供するようにお願いをしたい。強く求めておきます。
説明会の記録も読ませていただきましたが、保護者の皆さんは、現在でも府中朝日が百八十人、府中が百四十九人と、既に大規模といえる学校なんですね。さらに統合により四百人規模の学校になってしまう、このことに不安を感じています。しかも、都教委は、平成二十四年の開校時が人数のピーク、このようにいっています。その人数は、知的の高等部と肢体は今と余り変わらない、知的の小中学部が調布特別支援学校から移ってくる分の五十人だけふえるという、そういう想定ですね。自分の実感から、とても私はそういうふうには思いませんでした。もっとふえるんじゃないか、こんなことになったら一体教育条件はどうなってしまうんだろう、こういう心配をしていらっしゃる方々もたくさんいらっしゃる。
そこで確認しますけれども、知的障害特別支援学校の在籍児童生徒数が最も多くなると見込んでいるのはいつで、どの程度の人数になると見込んでいるのか、東京全体の数字でいいですから、お示しください。
○高畑参事 東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画では、平成十八年度までの実績をもとに、知的障害のある児童生徒数の増加率の低減傾向がそのまま推移して平成二十四年度にピークに達するとし、児童生徒数を六千二百八十三人と推計しております。
○古館委員 平成二十四年度がピークで、今のお答えですと六千二百八十三人とのことであります。
それで、府中の人数のピークは開校時の平成二十四年度とおっしゃっているわけですね。増加率の低減傾向がそのまま推移をしてというのは、現在に比べたらまだふえるけれども、ふえ方のカーブが緩くなるというだけの意味なんですね。現在に比べたらふえて、六千二百八十三人ということなので、じゃあ、今は何人なのかと思って調べてみました。そうすると、大変驚いたんですけれども、ことしの五月一日現在で、都立の知的障害特別支援学校の在学者数は、何と六千四百九人でした。さっき私がいったのは六千二百八十三人。それが既に六千四百九人。都教委の公立学校統計調査報告書の数字ですから、これは正確です。平成二十四年がピークというけれども、ことしの方が多いんですね。増加率の低減傾向がそのまま推移してなんてものじゃないんです。平成二十四年度の方が今より減るという推計になってしまっているんですね。
どうしてこんなことになるのかといいますと、要するに、推計の予想を超えて児童生徒数がふえていっているということなんですね。ちなみに、平成十六年につくった特別支援教育推進計画第一次計画の推計を見ましたら、平成二十年度の知的障害養護学校の在籍者の推計、それが五千六百八人でした。ところが、実際には六千四百九人ですから、推計より八百人もふえているんです。はっきりいって、都教委が根拠としている推計自体が、それを使って計画をつくるには適さないものに既になっているということなんですね。
大体五年後に高等部に来るであろう、今特別支援学校の小学部にいる子どもたち、小学校の特別支援学級の子どもたちの人数も五年前よりずっと今ふえているんです。例えば、府中朝日の主な学区である三鷹、府中、調布、狛江、小金井、この小学校の特別支援学級は、六学年分の人数ですけれども、五年前は合わせて二百七十二人だったのが、ことしは四百一人、このように聞いているんですね。今より人数が減ることになっている推計をもとに立てた計画で無理やりこじつけて説明をするから、保護者の皆さんは、自分の実感とも合わないなということで余計に不安を感じるんじゃないでしょうか。現時点でもっと信頼性のある根拠と推計を示して、保護者や関係者の皆さん、都民のだれが見ても納得のいくような説明をきちんと行うこと、計画を立て直すことを強く求めておきます。
次に、人員配置について伺います。
陳情では、大規模校に見合った保健室及びスタッフの充実が要望されています。そこで伺いますけれども、養護教諭の人数は現在四人とのことですが、知肢併置校になると何人になるんでしょうか。
○直原人事部長 現在、府中特別支援学校及び府中朝日特別支援学校の養護教諭につきましては、一校一名とする学校単位の配置基準に加え、規模による補正基準を適用し、それぞれ二名の養護教諭を配置しております。
新たに設置する府中地区特別支援学校につきましては、併置校に対する補正基準を適用し、二名を配置することになります。
○古館委員 もう一回いいますけれども、養護教諭の人数は現在四人。それが、今の答弁だと二人、だから二分の一ですね。
そこでまたお尋ねしますが、養護教諭は基本的には一校に一人で、児童生徒数が六十一人以上になると一人プラスの二人になり、また、知肢併置校にはプラス一人と聞いていますので、合わせて三人ではないんでしょうか。どうして二人なんですか。
○直原人事部長 養護教諭につきましては、学校単位で配置人数を算定した上で、該当する特別支援学校について、補正基準を適用し、増員を行っております。補正基準としては、児童生徒数が六十一人以上の場合の規模による補正と併置校に対する補正がございますが、同時に二つの補正を適用することは行っておりません。
○古館委員 結局、四人が二人ということなんですよね。養護の先生は、子どもたちの健康管理や心のケアなど重要な役割を担っていることはいうまでもありません。統合すると、児童生徒数は二校のときよりふえるのに、養護の先生は現在の半分の二人になってしまうとは信じがたいですね。養護の先生の仕事は、子どもの人数がふえれば、ふえた分だけ多くなるんです。
府中朝日と府中の二校にお伺いしたときに、保健室も見せていただきました。府中朝日の方は、ちょうどその日、整形外科のお医者さんに来ていただいて、診察というか相談を行っておりました。知的障害のお子さんの場合、さまざまな原因で体のゆがみとか気になるところがあっても、なかなか専門のお医者さんにかかる機会もなくて小学校、中学校を過ごしてしまうお子さんも多い、学校に来ていただいての相談の場を設けることにしたというご説明でありました。
また、児童精神科のお医者さんにも月一回来ていただいて、発達の相談など、保護者の方も希望すれば受けられる体制を整えているそうで、養護の先生とドクターが連携して、本当に子どもたちが健やかに成長できるように、きめ細かくやっていらっしゃるな、このように感じました。
高等部単独校ということで、中学時代不登校だった子も少なくなく、また、思春期の悩みなどもあるわけで、保健室はそうした子の居場所になったり、養護の先生自身も、けがや病気の手当てはもちろん、子どもたちの相談に乗ったり、忙しくお仕事をされているとのことでありました。朝などは毎日玄関の前に立って、子どもたちの顔を見て、変わったことがないか、いつも気にかけているということでありました。
府中特別支援学校の方も、養護の先生と看護師さんが保健室にいらっしゃいましたが、朝、子どもたちが登校してきたら、体温と血液中の酸素濃度のチェック、授業中もたんの吸引をしたり、もちろん吸引は看護師さんだけですけれども、健康状態を見たりと、各教室を巡回するとのことでした。昼食時は一番忙しくなりますし、医療的ケアの要らない子でも元気なときにどんな状態か把握していないと、発作や異常時にも的確な対応ができないというお話でありました。常に顔を見て健康に気を配っているというお話が伝わってまいりました。これだけの仕事がとても今の半分の人数でできるとは考えられないというのが率直な感想であります。
そもそも、養護の先生が、生徒数六十人以上の場合、六十一人でも四百人でもプラス一しかつかないのは不合理だと思いますし、補正基準の増員はダブルで増員できないといっても、都教委が基準をつくっているんですから、その基準を変えればよいだけじゃないですか。大規模になるんですから、養護教諭の配置を増員することを求めますが、いかがでしょうか。
○直原人事部長 養護教諭につきましては、学校単位で配置人数を算定した上で、併置校に対する補正基準を適用し、増員を行います。今後、在籍する児童生徒数など学校の状況を踏まえまして、さらに、非常勤教員の配置や賃金職員の活用など必要な対応を図ってまいります。
○古館委員 今、非常勤教員の配置だとか賃金職員の活用など必要な対応を図る、このように答弁されたということは、そもそも二人では賄い切れない、このことを暗に認めているんですよね。認めるのであれば、不安定な非常勤や賃金職員などといわないで、きちんと正規の養護教諭を配置することを強く要望しておきます。
人員でいいますと、ほかにも、栄養士が二校の場合は二名配置なのが一名になる、事務職員も合わせて八人が五人になる、用務さんも四人が二名になると聞いております。
栄養士さんについては、先日の事務事業でも質疑しましたけれども、現在の肢体不自由児単独校一校の規模でも、本当は栄養士さんは二人必要だといわれているんです。肢体は四種類の形態食をつくらなければならず、加えて、知的でも肢体でも、アレルギーや肥満の対応など、さまざまな給食を事故なく提供しなければなりません。四百人にもなれば、それだけ個別の対応もふえるわけですし、とても一人で対応できるとは思えません。
事務にしても、用務さんにしても同様です。用務さんなどは、統合しても、敷地の広さは三万六千平方メートルで、減るわけではありません。
こんなに人を減らして、子どもばかりか職員も大変になるとお考えになりませんか。いかがですか。
○直原人事部長 適切な学校運営体制を整備するため、教職員の配置人数の算定に当たり、教諭につきましては障害部門ごとの学級数に基づき配置人数を算定する一方、副校長、養護教諭、事務職員につきましては学校単位で人数を算定しますが、併置校に対する補正基準を適用し、増員を行うこととしております。
○古館委員 今、併置校による補正基準といわれましたけれども、そういうふうにいっても、一般事務だって五十六学級以上という規模による補正ですね、これはプラス一です。知肢の併置の補正、これもプラス一。二つ合わせて二人増員とはならないんです。そうでしょう。職員が減れば、最後にしわ寄せを受けるのは子どもたちなんですね。大規模にして人員削減というのは不合理であるということを強く主張しておきます。
次に、教室の確保について伺いますが、まず、現在の普通教室が幾つあるか、そのうち幾つが転用教室で、幾つがカーテンなどによる間仕切りで一つの教室を二つの学級で使っているのか教えていただきたい。
〔発言する者あり〕
○大山委員長 発言中です。
○高畑参事 平成二十年五月一日現在、府中朝日特別支援学校の普通教室は二十八教室でございます。また、府中特別支援学校の普通教室は二十五教室でございます。
次に、平成二十年五月一日現在の転用教室と、カーテン等で間仕切りしている教室数でございますが、府中朝日特別支援学校は、管理諸室等を転用している教室が七教室ございます。また、府中特別支援学校は、管理諸室等を転用している教室と、カーテン等で間仕切りしている教室が、それぞれ七教室でございます。
○古館委員 だから、二十一ですよね。現在でも普通教室が足りずに、特別教室を転用したり、一つの教室をカーテンなどで仕切って二つの学級で使ったりしているとのことであります。
そこで伺いますけれども、知的、肢体の学級数について、現在はそれぞれ何学級になっているんですか。
○高畑参事 平成二十年五月一日現在、府中朝日特別支援学校の学級数は二十八学級でございます。また、府中特別支援学校の学級数は、分教室及び訪問学級を除くと三十二学級でございます。
○古館委員 つまり、二十八学級と三十二学級。平成二十四年の開校時、すなわちピーク時ではそれぞれ何学級になると推定しているのでしょうか。
○高畑参事 府中地区特別支援学校の開校初年度でございます平成二十四年度の学級数の想定でございますが、知的障害教育部門につきましては、現在の高等部に加えて、小学部、中学部も設置することから、四十二学級を想定しております。また、肢体不自由教育部門につきましては、分教室及び訪問学級を除きますと、小学部、中学部及び高等部合わせて三十二学級を想定しております。東京都特別支援教育推進計画では、平成二十四年度を児童生徒数のピークと推計していることから、これに対応した学級数を想定しております。
○古館委員 結局、今より知的で十四学級ふえるんですね。肢体は同程度ということなんです。
府中地区特別支援学校(仮称)設置に関する基本計画検討委員会の報告書を見せていただきましたけれども、施設一覧では、普通教室数はこの想定と同じ数しかつくらないんですね。先ほど申し上げましたとおり、平成二十四年度にピークが来る、こういう根拠である推計自体に逆に疑問符がついています。今もふえているんですから。このままではいかない、こういうふうに我々は考えています。
保健室も一つとなっていますけれども、知的部門も肢体部門も養護の先生をしっかりつけて、保健室もしっかりあることが必要だと思います。第一、現在の二つの学校は、隣り合っているとはいえ、敷地も大変広いですから、非常に遠いんですね。ぐあいの悪いときや相談したいことがあるとき、例えば知的の生徒が、ふだん余り足を踏み入れることのない肢体部門の建物にある保健室に行くというのは、想像しただけで大変だと思いませんか。保健室は障害種ごとに二室あってもよいんじゃありませんか。どうですか。
○高畑参事 府中地区特別支援学校には保健室を一カ所設置する予定でございます。既設のもう一カ所の保健室につきましては、児童生徒の健康管理に配慮した施設として有効活用することを含めて、今後、基本設計検討委員会において検討してまいります。
○古館委員 この検討は前向き検討でぜひお願いしたいと思います。
先ほどお伺いした、養護の先生二人という前提で検討されているんでしょうから、養護教諭をふやすということも含めて、二室あってもよいんじゃないか、このことも含めてぜひ検討していただきたいと思っています。これは要求です。
ほかにも、厨房は一つでいいのかな。あるいは、現在あるランチルームの記載もなくて、これでは食育などの面で現在より後退する、こういうことがいえないだろうか。図書室も、見学させていただいたときは、府中にも府中朝日にもちゃんと図書室があって、子どもたちが活用して、肢体不自由の子どもたちも絵本を読んでもらうのが大好きです、そういうお話も伺いました。
この報告書では、肢体部門には図書室はなくて、知的部門と兼用となっていますね。子ども読書活動を推進している都教委がこれでいいのかなと、さまざまな疑問が生じてくるわけです。
この施設一覧、例示ということですから、これからまだ保護者や先生方などの意見を取り入れての変更もあり得るだろう、こういうふうに思っていますが、この点は確認しておきます。
保護者の皆さんの思いは、二校が統合して知肢併置になっても、今の施設整備、教職員配置、専門性、現在の教育レベルを落とさないで、むしろさらに教育内容が充実をし、子どもたちにとってよりよい教育環境になるようにしてほしい、このことの願いなんですね。
そこで伺いますが、学校や保護者等との対話を今後とも十分に進めていくことが何よりも必要だし、そのようにすることを求めますが、いかがですか。
○高畑参事 基本計画検討委員会におきましては、再編対象校及び周辺の都立特別支援学校の管理職やPTAの代表等を委員として、教育課程や施設整備など教育環境の整備について検討してまいりました。
今後も、基本設計や実施設計の検討の過程で学校や保護者の方々等の意見を十分に伺ってまいります。
○古館委員 今、学校や保護者等の意見を十分に聞くということですから、本当にそれを十分にやっていただきたい。
そこで、お尋ねしますけれども、保護者を基本設計検討委員会等に入れることについてです。どのように考えているのか。また、将来、高等部に入学することになる、小中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒の保護者に対してどのように情報を提供し、意見を聞いていくのか、お尋ねいたします。
○高畑参事 基本設計検討委員会は、教育庁、財務局、学校等の関係者で構成いたします。しかし、保護者の方々の不安を解消するためには、そのご意見やご要望も十分に設計に反映させる必要があると考えております。そのため、学校を通じて検討状況を保護者の方々に説明し、そのご意見やご要望を反映させてまいります。
また、特別支援学級に在籍する児童生徒の保護者の方々にも適宜情報を提供し、ご意見を反映させるよう配慮してまいります。
○古館委員 ぜひ今答弁されたことを実行していただきたい。
それで、実際に統合後の学校に通うということを考えますと、現在小学生や小学部以下の子どもさんたちなんですね。したがって、しっかりそうした人たちのご父母などの意見もきちんと反映させることを求めておきます。
最後に申し上げたいのは、府中朝日と府中特別支援学校に実際に行ってみて、現場を見させていただいても、統合して大規模化するメリットが見えてこないというのが率直な感想であります。知肢の連携という点では、現在でも府中の言語療法の資格を持つ先生に府中朝日の先生方がアドバイスをいただくなど、現在もなさっていることということでしたけれども、統合したら先生は約二百人にもなって、職員室も別ですし、日常的にはどの程度顔を合わせるのか、そういうことも心配になるような印象を受けました。
逆にデメリットでは、やはり四百名規模の知肢併置となる永福学園では、知的部門と肢体部門では運動会も一緒にできない、こういう話もありましたし、教職員同士の意思疎通、子どもたちの発達段階に応じた集団の大きさ、こういうことを考えますと、養護の先生を初めとする教職員も減ってしまうということを考えると、それも払拭できるものを得るということは、やっぱり私は得ることができませんでした。やはり弊害があると考えざるを得ません。
昨年の委員会で我が会派の大山議員、現在委員長ですが、質問しましたけれども、神奈川県の検討委員会では、子どもたちが集団活動による社会性を養える、そういう規模として百人から百三十人程度、先生も恒常的に意思疎通が可能な五十から六十人が望ましい、知肢併置でも百三十人から百六十人くらいが望ましい、このように提言をしています。私としては、人員削減を図るためか、数合わせのためかはわかりませんけれども、統合し大規模化するのではなく、本来であれば、特別支援学校は新設して、全体の学校数をふやして、東京都特別支援教育の充実を図ることが一番よいと思っております。
この陳情は、統合するにしても、せめて教育条件だけは整えてほしい、この思いですね、皆さん。本当にやむにやまれぬお気持ちであると考えています。今後とも、折に触れて私どもは、日本共産党は取り上げて、請願者の皆さんの不安を取り除けるように……(「請願じゃないよ。請願じゃないぞ」と呼び、その他発言する者あり)陳情ですね。失礼しました。引き続き重大な関心を寄せていくことを述べまして、そして、本件の陳情につきましては採択を主張して質問を終わるものです。
以上です。
〔発言する者あり〕
○大山委員長 ほかに発言ありますか。--発言がなければ、お諮りいたします。(発言する者あり)委員の皆さん、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二〇第四三号は趣旨採択と決定いたしました。(発言する者あり)委員の皆さん、不規則発言は、発言が聞こえませんから、ちゃんと、邪魔をしないようにしてください。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十七分休憩
午後三時三十二分開議
○大山委員長 再開させていただきます。
次に、陳情二〇第四五号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○森口都立学校教育部長 二〇第四五号、平成二十一年度の東京都公立高等学校定時制及び通信制課程の教育振興に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陳情は、東京都公立高等学校定通PTA連合会会長坂口朝美さんから提出されたものでございます。
本陳情の趣旨は、定時制及び通信制教育の振興のため、次のことを実現していただきたいとして、まず、1、カウンセラーなどの教育相談員の配置拡大等支援体制の整備に関することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、スクールカウンセラーの配置は、学校におけるカウンセリング等の機能の充実や問題行動等の未然防止のために、平成七年度から国の委託事業として開始され、都立高校においては中途退学率等の高い学校に配置してきたところでございます。
平成二十年度は六十校にスクールカウンセラーを配置し、学校における教育相談体制の充実を支援しております。
また、二十年度高等学校配置校のうち、定時制・通信制課程では十一校、全日制・定時制課程併置校では二十五校にスクールカウンセラーを配置してございます。
今後とも引き続き、中途退学等の課題を抱える高等学校に配置してまいります。
次に、2、部活動の振興促進を目的とする経済的、制度的支援を拡充することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、部活動に係る経費は受益者負担を原則としておりますが、都教育委員会では、部活動の振興を図るため、多くの生徒が共有する物品の購入や外部指導員の導入のための経費を補助しております。
また、全国大会や関東大会への大会参加費、旅費や宿泊費の補助などにつきましては、学校からの申請に基づき予算措置をしているところでございます。
次に、3、給食費に対する補助制度を堅持することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、勤労青少年の高等学校定時制課程への修学を促進し、教育の機会均等などを保障することを目的として、有職者、求職中の者、疾病の者、心身に障害のある者などを対象に、給食食材費の一部補助を実施してございます。
次に、4、給食制度の現状を維持することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都立高等学校の夜間定時制課程においては、生徒の減少による調理の非効率を解消するため、円滑な事業執行及び給食の質の確保を図りながら、グループ方式の導入など、効率的な運営方法への改善に努めているところでございます。
次に、5、閉課程に伴う教職員の適正配置を行うことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都立高等学校の教職員定数については、学級数に応じた都立高等学校教職員定数配当基準に基づき、各校に教職員を配置しているところでございます。
閉課程となる高等学校においても、さまざまな教育活動の水準の維持、確保を図るため、今後とも学校の実情に応じた適切な対応を図ってまいります。
次に、6、定時制専用教室を確保することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、定時制の専用教室として、現在、職員室、生徒会室、教材室、厨房、食堂を設置しております。しかし、普通教室及び体育館などにつきましては、全日制と定時制が共用することとしており、定時制の専用施設とすることは考えておりません。
次に、7、奨学金等学資情報のウエブページ等を構築することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、奨学金に関する情報は、各都立高等学校において、ホームルーム担任等が生徒に周知しているところであります。
また、都教育委員会では、保護者や生徒が奨学金等の情報を一層入手しやすくするため、都教育委員会ホームページに奨学金に関する情報を掲載したところでございます。
次に、8、TAIMSのイントラネット上にキャリア教育連携先のデータベース等を構築することでございます。
都立高等学校では、学校ごとに近隣の企業やNPOとの連携を図り、キャリア教育を推進しているところでございます。
そのため、都教育委員会は、地元の国際ロータリーとの連携によるインターンシップ事業の推進や、教育支援コーディネーターを活用して地域の企業やNPO等の人材を学校へ紹介する事業を行うなど、学校の取り組みを支援しているところでございます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言を願います。
○今村委員 それでは、東京都公立高等学校定時制及び通信制課程の教育振興に関する陳情について質疑を行いたいと思いますけれども、まず、カウンセラー等の教育相談員の配置拡大等支援体制を整備することについてでありますけれども、子どもたち、生徒を取り巻く環境や、また、先生自身に時間的な余裕がなく、生徒児童たちの悩みにゆっくりと寄り添えない状況や、生徒自身が学校関係者には話しにくいことなどを相談したりなど、スクールカウンセラーの要望は多いのではないかと考えます。実際に学校長などを通じスクールカウンセラーの設置要望はどのくらいあるのかを伺います。
また、東京都では、スクールカウンセラーに臨床心理士資格要件を当てておりますけれども、他県では必ずしもこの資格に限定していないと聞いております。臨床心理士資格にとらわれないスクールカウンセラーの設置状況について伺います。
○高野指導部長 平成二十年度にスクールカウンセラー配置を希望した学校は、全都立高校二百一校のうち、百六十一校でございました。
平成二十年度においては、チャレンジスクール、エンカレッジスクール、昼夜間定時制高校のほか、中途退学率の高い学校、問題行動等が多く発生する学校や、心理的なケアを必要とする生徒が多く在籍する学校など、必要性の高い六十校に東京都教育委員会はスクールカウンセラーを重点的に配置したところでございます。
スクールカウンセラーに準ずる者の他県の配置状況についてでございますが、文部科学省の要綱では、スクールカウンセラーに準ずる者の配置は、スクールカウンセラーが十分に確保できない場合などの限定的な措置とされております。現在、スクールカウンセラーに準ずる者は、東京都、埼玉県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、佐賀県を除く一道三十九県で配置されております。
○今村委員 今ご答弁にありましたけれども、八割を超える学校から要望があるということがわかりました。
このスクールカウンセラー設置に対する国の補助が、ことしからだったでしょうか、減額をされ、現在は、国が三分の一、都が三分の二という負担率になり、東京都の負担がふえておりますけれども、多くの学校に設置をしていくためには、今後必ずしも臨床心理士に限定する必要はないのではないでしょうか。
そもそもこの資格は国家資格ではなくて、精神や社会心理、臨床心理、児童心理、心理療法など、それぞれの学会が認定カウンセラーなどを行っているわけであります。また、臨床心理士ですら、発足当時は、心理学専攻で五年の実務経験があれば与えられた資格であります。
今後、国に対して制度の充実を要請することとともに、スクールカウンセラーの設置には、この請願にもあるように、カウンセラー等の教育相談の拡大が陳情の要望になっておりますので、柔軟な対応をするよう要望をしておきたいと思います。
次に、定時制専用教室を確保することについてお伺いをいたします。
登校時間前に登校した生徒の居場所として、全日制と共用で教室などを利用できるようにしている学校はどのくらいあるのか、お伺いをいたします。特に、学習するための場として図書室は大変有効だと考えますけれども、図書室が利用できない学校があるのかどうか、お伺いをいたします。
○森口都立学校教育部長 定時制の生徒が始業前に利用できる部屋としては、図書室、自習室、講義室、多目的室などがございますが、個々の学校ごとの具体的な利用状況につきましては特段調査してございません。
図書室の利用でございますが、図書室につきましては、基本的には両課程の共用ということになっておりますけれども、それぞれの教育活動を円滑に行うために、高校によっては時間帯を分け、全日制は十七時、十七時以降は定時制といったように指導している学校もございます。
早目に登校する定時制の生徒が使用する部屋につきましては、生徒数や施設の配置、利用状況等を踏まえて、それぞれの学校が工夫していくといったことが必要であると考えておりますが、施設の有効利用の面からは、そういった検討が行われるのが望ましいというふうには今認識しております。
○今村委員 時間帯に区切って図書室などを利用している学校もあるようでありますけれども、定時制生徒の居場所として、また学習の場として図書室が有効だというふうに先ほど申し上げましたけれども、実際には、気軽に、いつでも使えるということではないということが今明らかになったわけでありますけれども、併置をしている学校として、余り生徒が、例えば全日制が遅くまでいるとかいうことは望ましくないのかもしれませんけれども、今の現状を考えますと、必ずしも全員が職を持っている生徒ではないわけでありますし、また、いろいろな、さまざまな家庭の事情や経済的な事情もあるかと思いますし、中には、仕事をしていても、休みのときには早く学校に行きたい。通常の定時制の学生が少し早目に、午後に来るぐらいの時間帯に利用するぐらいのことは、逆に図書室を有効に利用すると先ほど答弁がありましたけれども、せっかく併置をしているそのメリットを生かして、それぞれの専用の図書室をつくるまでもなく利用できれば、それにこしたことはないというふうに考えますので、東京都教育委員会としては、こういった現在の状況をどのように考えているのか、改めてお伺いをしたいと思います。
○森口都立学校教育部長 全日制、定時制の生徒が使用する図書室についてでございますが、それぞれ学校によって、生徒数であるとか学科によってやはり違うと思います。ただ、同じ学校の生徒ということがありますので、そういった校内の、全定の中で十分工夫をしていただいて、円滑に、なおかつ、なるべく活用した方がいいわけですので、そういった図書室など、活用がさらに進んでいくように、各校においてそれぞれ工夫、検討していくことが必要であるというふうに考えております。
○今村委員 ありがとうございます。
この陳情には、専用教室を確保することというふうに書いてありますけれども、必ずしも、請願者の坂口さんにお聞きをしたところ、絶対に、逆に定時制の生徒しか利用できない場を望んでいるわけではない。ただ、残念ながら、今、最初の答弁にあったように、それぞれ各学校において図書室、自習室、講義室、多目的室などを共有していただいているようでありますけれども、なかなかきちっとした理由がないと使えないとか、気軽に使えないというようなお声が子どもたちからあるようでありますから、ぜひ併置のメリットを生かして、今のご答弁を各学校によく伝達をしていただいて、子どもたちの学習の場の確保にぜひ努めていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
それでは、イントラネット、TAIMS上にキャリア教育連携先データベースなどを構築することについてお伺いをしたいと思います。
現在、TAIMSは管理職のみに与えられているというふうに聞いておりますけれども、二年後には全教員がアクセスできるようになるものと聞いております。そのときには、当然、キャリア教育についての情報などもアップされるものと考えます。ならば、当分の間、試験的にアップすることができないのでしょうか。キャリア教育実施協議会が開催されますけれども、例えばこのときの資料など、他局の取り組みなどをTAIMSに載せることはすぐにできると思われますけれども、情報提供について都教育委員会の考え方をお伺いいたします。
○高野指導部長 生徒が充実したインターンシップなどを行うようにするためには、生徒の利便性等を考慮しつつ、教員が生徒の希望に合った受け入れ先を慎重に選定していくことが重要であると考えております。
こうしたことから、東京都教育委員会は、平成十九年度から、国際ロータリーとの連携によるインターンシップ事業や教育支援コーディネーター事業を展開いたしまして、事前に教員と関係者が対面方式でインターンシップの実施方法や内容等につきまして十分に協議できる機会を設定するなど、学校を支援してきたところでございます。
お話しのように、TAIMSに企業紹介のデータを掲載することも一つの方策と考えられますが、都教育委員会といたしましては、現時点では、これまでの取り組みを充実し、都立高校におけるキャリア教育の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
○今村委員 今、都教委が、学校と、そして受け入れをしてくださるそうしたロータリーを初め受け入れの会社などと、しっかりとその仲立ちをしてキャリア教育推進に努めていることは十分に理解ができましたし、大変丁寧な取り組みをしていることがよくわかりました。
ぜひ充実をしていただくことは当然でありますけれども、しかし、いつまでも都教委がそういった仲立ちをしているということではなくて、教育問題はたくさんの問題が山積をしておりますし、ぜひ二年後には、先ほど申し上げたように、TAIMSが、全教員が使えるようになるわけでありますので、しっかりと、当然、これらにデータがアップをされているということは、これからは、TAIMSが有効に利用されるためには、これらだけではなくて、さまざまな情報がこのデータベース上に載っかってくるというふうに思いますし、そうでなければ意味がないわけでありますので、このことについては今後協議をしていただきたいというふうに要望して、質問を終わります。
○古館委員 それでは、私も、東京都公立高等学校の定時制及び通信制課程の教育振興に関する陳情について何点かお伺いいたします。
一つは、カウンセラー等教育相談員の配置拡大等支援体制を整備することについてであります。
この件につきましては、昨年も定時制・通信制高校のPTAの皆さんから陳情が出されております。スクールカウンセラーの配置をふやしてほしいという要望が、昨年も一昨年も一番目に出ておりました。やはり今回も最初にスクールカウンセラーというのが出ているわけです。いかにこれは要望が大きいかということを物語っていると思います。
私は先日、定時制高校に伺いました。また、他の学校の先生たちにも聞いてみました。ますますスクールカウンセラーの必要性を実感いたしました。
保健室には毎日、給食時間に多くの生徒が訪れ、深刻な相談などは主に放課後が多いということであります。けがをしたといって保健室に来ても、結局、保健室に来たというその背景は、やっぱり何とかいろんな自分の相談に乗ってもらえないかなということなんかがずっと引いているというようなこともお話がありました。
定時制高校では、生徒をめぐって非常に複雑な状況にあります。ひとり親家庭が約半数いる学校だとか、そのほかにも、家庭が複雑で別居しているとか、両親が別々の相手と再婚していて祖父母と同居、親はいるけれども親の役目を果たしていないとか、いろんな状況がうかがえました。睡眠薬を大量に飲んで登校、ぐあいが悪くなり病院に行こうというが、逃げ出す。親に連絡しないなら病院へ行くと。親も睡眠薬を大量に飲んでいたとか、人生やっていられないという、こういう生徒の話なども伺うことができました。
ですから、養護教諭や担任の先生もスクールカウンセラーに相談すると。まじめな教員ほど抱え込んでしまうので、抱え込まないためにも重要な役割を果たしているのがスクールカウンセラーだということを、我々も聞きながら実感したところであります。
養護教諭や担任、副校長なども対応しているわけですけれども、それでもやっぱり専門家じゃないので限界があると。スクールカウンセラーが配置されている学校でも、スクールカウンセラーの勤務時間というのは週八時間ということで、全定併置校では、全日制と定時制で一人なので、大体十二時から二十時四十五分の勤務時間になっていて、これでは放課後が使えないと。ですから、学校で相談して、その学校のスクールカウンセラーは、勤務時間を超えて、放課後には生徒の深い話を聞いていると。夜の十時過ぎになることもよくあるという話でありました。
このようなスクールカウンセラーは非常に重要で貴重なんですね。本当に生徒の身になって相談に乗ってくれるわけですが、個人の努力では、その人がいるから今までできているというようなことになってしまっています。
したがって、質問ですけれども、スクールカウンセラーは、せめて全定併置校であれば、全日制だけの学校のいわゆる二倍の勤務時間に拡大することが求められていると思いますが、見解を伺いたいと思います。
○高野指導部長 東京都公立学校スクールカウンセラー設置要綱により、スクールカウンセラーの勤務は一校につき年間三十五週といたしまして、週一日八時間勤務するものとしております。
全定併置校においては、配置校の校長がスクールカウンセラーの一日の勤務時間の割り振りを工夫いたしまして両課程の生徒や保護者に対応しておりまして、勤務時間の拡大については考えておりません。
○古館委員 一昨年来明らかになっていることですが、都立高校の六十校にスクールカウンセラーを配置している。これは国の補助そのままの配置なんですね。六十校を超える学校から幾ら要望が出されても、国の予算以上は配置しないということで、六十校だけという配置になるんですね。今年度もやっぱり六十校なんです。
したがって、伺いたいと思いますけれども、国と都のそれぞれの財政負担と負担割合はどうなっているんでしょうか。また、一校でどの程度出しているんでしょうか。
○高野指導部長 本事業の平成二十年度予算は十三億一千六百八十七万円でございます。国と都の負担割合は一対二でございますので、国が四億三千八百九十六万円、都が八億七千七百九十一万円負担することとなっております。
なお、一校当たりの支出は百五十万円程度となっております。
○古館委員 ちなみにいっておきますけど、これは高校だけということだけじゃないですよね、今の答弁は。(「全部です」と呼ぶ者あり)そういうことですね。
一校当たりにしたら百五十七万円、二百校に配置しても三億一千四百万でできると。区市町村では、小中学校に都の配置を超えて独自に配置しているんですね。都教委もスクールカウンセラーの役割を評価しているんですから、私は、配置を拡大するべきだ、このように考えているところであります。
経済的な困難があったり、虐待もあると。学校だけでは解決できないことも多いんですね。学校から外部の組織へのつなぎが難しいということが出されておりまして、福祉関係の制度を使いこなすこと、あるいは関係機関との連携をとる必要性、大変感じたところであります。
スクールソーシャルワーカーは今年度から文科省の事業で始まりました。東京都内でも小中学校への配置が始まったところであります。スクールソーシャルワーカーの活動の特徴というのは、文科省の「学校等における児童虐待防止に向けた取組について」という報告書の中にも、児童生徒の直接なかかわりを中心にするんだけれども、家庭訪問、それから家族の支援だとか、学校と子ども及び家族間の関係調整だとか、仲介機能を担った点にあります。さらに、児童生徒の問題とかかわる児童相談所、家庭裁判所などの外部機関との連携活動を行うとともに、地域社会内に自助グループをつくったり、フリースペースをつくったり、社会資源をつくってきたんですね。幅広い活動が展開されているということと、この活動が、問題解決に必要とされるあらゆる方法がとられているということに特徴があると書いているんですね。
子どもをめぐってかかわっているあらゆる関係を総合的に把握したりコーディネートする、試行錯誤しながら発展していく、それには専門的な知識や経験が必要なんだということなんですね。
そこで、お伺いしますが、複雑な状況に置かれている生徒が多いからこそ、定時制高校にスクールソーシャルワーカーの配置が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○高野指導部長 スクールソーシャルワーカーにつきましては、児童生徒の問題行動等へ対応するため、教育分野に関する知識に加えまして、社会福祉等の専門的な知識や技術を用いて、児童生徒が置かれたさまざまな環境へ働きかけたり、関係機関等とのネットワークを活用し支援を行う専門家でございます。
国が定めましたスクールソーシャルワーカー活用事業の趣旨を踏まえまして、平成二十年度には、小中学校を対象として五区十一市の自治体が調査研究に現在取り組んでおりまして、当面は小中学校を対象として配置を継続してまいります。
○古館委員 私は、区市だけに任せないで、こういうような状況というのはやっぱり東京都の--高校生だとかという、今成長しているところに、子どもさんたちにもやっぱりきちんと対応するということがとても望まれているということを申し述べて、ぜひ検討していただきたいというふうに思っています。
次に、給食費に対する補助制度、これは堅持することということで、給食費は現在、一食六十円の補助しかないんですね。昨今の原材料費の値上げもありまして、給食のやりくりも大変になっております。したがって、給食の充実と、生徒の負担を増加させないために、私は補助を拡充することを、これは要望として求めておきます。
次に、給食制度の現状維持の問題でありますけれども、給食制度の現状維持ということですが、都教委の考え方は、生徒数の減少によって調理の非効率を解消するために、グループ方式にしたり、給食センターでつくってお弁当にする、こういうふうなことなんですね。
それで質問しますが、非効率だというけれども、定時制高校の在校生は、一番多い学校と一番少ない学校、それぞれ何人になるんでしょうか。
○森口都立学校教育部長 都立高等学校の定時制課程におきまして、在籍生徒数が最も多い学校は、平成二十年五月一日現在、新宿山吹高等学校で六百九十三名、最も少ない学校は、島しょ地区を除きまして、台東商業の八名でございます。
○古館委員 そうしたら、平均的には何人ぐらいになるんですか。わかればお聞かせください。
○森口都立学校教育部長 済みません、計算しておりません。
○古館委員 じゃあ、後でまた。
私どもは、都のこの配置というのはとても大事だというふうに思っています。
都教委が、食育が重要だというふうに盛んにいっていますけれども、定時制高校生は給食があるのですから、食育の格好な場。本来は日常的にあるということだと思うんですね。
デリバリーとか、いわゆるお弁当にして配達して、それを食べる給食になってしまった学校に伺ってきました。その学校は、調理する会社が比較的近くだから、ほんのりあったかなおみそ汁だったり、そういう状況でありました。調理するところから遠い学校だと冷たくなっていると。だから、ご飯もおかずも冷たいと。献立はバランスがとれて、味もそこそこだと思っています。その点では、栄養士さんの頑張りも私どもは感じたところでありますが、しかし、食育という点、食べる幸せ、自分たちが大切にされているということからいったら、どうなるのかなという疑問を持たざるを得ません。おかわりといっても、ご飯をおかわりできるわけでもなくて、大盛りといっても盛り切りです。
成績と全く関係なく、かかわる調理師さんが学校でつくってくれて、給食時間が近づくと、よいにおいがしてくると。栄養士さんが生徒の食べぐあいを見ながら献立に生かせると。ごく当たり前のことではないかなと思っております。
そこで伺いますけれども、デリバリー給食だと、二週間前までに申し込まないと給食を食べられません。どうして二週間も前に申し込まなきゃならないか、お尋ねいたします。
○森口都立学校教育部長 先ほどの一校当たりの平均でございますが、百十三名でございます。
デリバリーの給食の二週間前の予約ということでございますが、定時制課程におきましては、個々の生徒の終業、就労に関して終わる時間帯がさまざまでありますので、こういったことでいえば、給食を食べる、食べないといったことが起きますので、予約選択制を実施しております。
また、生徒の日々の予約食数と、それから季節や天候などにより変化いたします食材の流通状況、こういったものも勘案して、確実に食材を調達し、調理するためには、二週間程度の期間が必要でございます。
○古館委員 本当に二週間というのはなかなか子どもにとっては読みにくいんですよね。だから、そこのところはぜひ改善をしていくというようなことも含めてやはり考えていかないといけないというふうに思っています。
結局、デリバリーにしたりグループ方式にしたりすると、効率化だといってやっているわけですけれども、そのしわ寄せというのは生徒に行くということじゃないですか。二週間後のことを予約するのはきついんですよね。予約しなければ食べられないし、予約していても休んでしまったりということはあるんです。それぞれの学校でつくっているときは裁量ができますけれども、そういうふうにはならないと。町田高校などでは、改築工事のときに調理室もきちんとつくったんですから、そのまま使えばよいことであります。デリバリーやグループ方式などはやめて、調理室はどこでもあるんですから、ごく当たり前に自分の学校で給食をつくるようにすることを求めておきます。
次に、要望も含めていいますが、閉課程に伴う教職員の適正配置を行うことであります。
この点について、夜間定時制高校は、二〇〇二年度に入学選抜を行った学校は九十二校、二〇〇六年度の入学選抜を行ったのは六十七校、昨年度はさらに十八校が募集停止しましたから、入試をした学校は四十九校になってしまいました。
夜間定時制高校を統廃合していく過程で、例えば視察に伺った町田高校でも、一昨年の入試のとき、八王子地区の定時制が四校統廃合されたんですね。その影響で受検生が多く、二次募集で五人の受検生を落としたと心を痛めておりました。その子たちは、その後、学校の門のところに何度か来て、学校に入りたかったんだと副校長先生に話した、こういうことでもあります。やっぱりこれは切ない話ですね。私たちは、だれもが学ぶ権利を保障される上でも、都立高校の統廃合については反対であります。
同時に、閉課程となるまでの学習環境につきましては、教職員定数、教員異動を含め、学習指導等の継続性が確保されるように適切な教員の配置に努めてまいる、こういうふうに〇六年の二月二十一日の文教委員会で新井参事が答弁をしておられます。この問題については、最低限このことをきちんと守った対応をしていただきたいということを要望としていっておきます。
定時制の専用教室を確保することについてですが、最近は、仕事そのものの多様さなどもあって、夜間の始業時刻よりも早く学校に到着する生徒もおります。試験のときなど、勉強したい生徒もおります。しかし、五時までは学校に入れないので、生徒は居場所がない。こうした生徒の居場所の確保については積極的に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○森口都立学校教育部長 定時制を併置する高校では、普通教室、特別教室、体育施設等は全日制、定時制の共用としております。職員室、生徒会室、教材室、厨房、食堂につきましては定時制専用施設として整備しており、施設の有効活用の観点からも、定時制専用教室を確保することは困難であり、考えておりません。
なお、定時制の生徒が始業時前に学校施設を利用する場合には、校内の工夫により、図書室、自習室、講義室、多目的室、会議室及び特別教室などを活用しているところでございます。
○古館委員 専用教室をつくるということが困難だという答弁でありますけれども、図書室とか自習室とか講義室、多目的室とか、こういうことを活用するというのは学校で判断すればいいんですね。いかがですか。で、それはどれくらいの学校がそういう活用をしているんでしょうか。
○森口都立学校教育部長 施設の管理は校長権限にありますので、校長が判断するということになりますが、ただ、全日制課程、定時制課程につきましては、それぞれ活動内容が違ってまいりますので、そういった校内の調整が十分必要であるというふうに思っております。
それから、各学校の活用でございますが、各学校の生徒数であるとか施設の配置、利用状況などを踏まえて、図書室のほか、自習室、講義室、多目的室などを、校内の工夫により、早目に登校する定時制の生徒が使用する部屋として活用してございますが、やはりそれぞれ学校の実情や工夫により対応しているところでございます。
○古館委員 ですから、学校のそういう責任ということなんですけれども、昼間の子どもさんと夜間の子どもさんがちょうど入り乱れるときなんですよね。だから、早く来て、それで少し自分も休憩したいとか予習したいとかという、そういうことについては、やっぱり私は、教育庁自身もぜひ前向きに学校と相談をしつつ、そういうことを確保してやっていただきたい、このように思っております。
私どもは八項目にわたってすべて賛成でありますが、最後に、奨学金等の学資情報のウエブページ等を構築することについてですが、一言述べておきたいと思います。
進路を決めるときに、経済的な問題で大学進学をあきらめざるを得ないなどのケースは結構あります。奨学金などの情報がわかりやすく検索できれば、展望を持てる生徒も出ると私どもは考えております。こういう意味では、積極的な検討を求めて、私の質問を終わります。
以上です。
○大山委員長 ほかに発言はありますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件中、第一項、第三項及び第七項を趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二〇第四五号中、第一項、第三項及び第七項は、趣旨採択と決定いたしました。
○大山委員長 次に、陳情二〇第六二号の三を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○高野指導部長 二〇第六二号の三、パーキンソン病を始めとする難病患者の救済施策等に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陳情は、東京都パーキンソン病友の会会長清徳保雄さんから提出されたものでございます。
本陳情の趣旨は、パーキンソン病を初めとする難病患者の救済施策等について、次のことを実現していただきたいというもので、文教委員会に付託されたものは、特別支援教育を推進する中に、難病理解のための教育を取り入れることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会では、毎年、各区市や都立学校の特別支援教育を担当する指導主事を対象とした連絡協議会を開催しておりますが、この連絡協議会において、心臓病の子供を守る会や日本てんかん協会等の関係団体の方々から直接難病理解に関する話を伺うなどして、小中学校や都立学校に在籍している心臓病やてんかんのある児童生徒の理解や支援などに関しての理解、啓発を行っております。
今後も、このような取り組みを通しまして、各小中学校や都立学校の児童生徒が難病等の理解を深め、思いやりの心をはぐくんでいくことができるよう、指導、助言に努めてまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
本件についてご発言を願います。
○古館委員 特別支援教育を推進する中に、難病理解のための教育を取り入れることということですけれども、陳情をくださった方のお話によれば、ぜひ小中学生や高校生の皆さんに、ボランティアなどの体験活動などを通じ、難病を抱える方と接して、その生き方などに触れ、豊かな感性を磨き、思いやりの心を育ててほしい、このような考えでこの項目を陳情したとのことでありました。
難病は内部障害なので、外から見ただけではわからない。でも、困っている様子の人がいたら、自然にさっと席を譲り合える社会になってほしい。特別支援教育というのは、障害者を分けて片隅に追いやるのではなく、支援を必要としている人がいれば、社会の中で必要な支援をするというのがその理念なので、その趣旨を生かし、自然に相手の心が思いやれる教育を、押しつけではなく推進してほしいとのことでありました。
おっしゃることはもっともだと思いますので、この陳情には趣旨採択を主張します。
以上です。
○大山委員長 ほかに発言ございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二〇第六二号の三は趣旨採択と決定いたしました。
陳情の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時十三分散会
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