文教委員会速記録第十二号

平成二十年十月二日(木曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長古館 和憲君
副委員長早坂 義弘君
副委員長門脇ふみよし君
理事斉藤あつし君
理事石川 芳昭君
理事鈴木 一光君
伊藤まさき君
伊藤 ゆう君
松葉多美子君
中山 信行君
服部ゆくお君
川井しげお君
古賀 俊昭君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長秋山 俊行君
総務部長小林  清君
教育庁教育長大原 正行君
次長影山 竹夫君
総務部長松田 芳和君

本日の会議に付した事件
 意見書について
付託議案の審査(決定)
・第百五十七号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 文教委員会所管分
・第百六十六号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十七号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十八号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・議員提出議案第十六号 東京都奨学費給付条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○古館委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書中、意見書二件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

私学振興に関する意見書(案)
 東京の私立学校は、それぞれ独自の建学の精神や教育理念に基づき、社会や都民の多様化する要請に応じて、個性的で特色ある教育を積極的に展開している。
 平成十八年十二月に改正された教育基本法の第八条では、私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が私立学校教育の振興に努めることが規定された。この規定は、今後の私学振興に対して重要な意義付けをしたものである。
 しかしながら、少子化の進行による児童生徒の減少等から、私立学校の経営は極めて厳しい状況にある。現在、政府は国と地方との役割を見直し、財政面での地方分権改革を進めているが、その中で、「私立高等学校等経常費助成費補助金」が廃止され、一般財源化されるようなことがあった場合、地方交付税の不交付団体である東京都にとっては、私学振興に多大な影響を与えるおそれがあり、決して看過することはできない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、平成二十一年度予算編成に当たり、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 私立学校振興助成法に基づく国庫補助制度を堅持すること。
二 私立高等学校等の授業料等軽減補助事業に対する国の補助制度を創設し、保護者負担の軽減を図ること。
三 私立高等学校等施設高機能化整備費補助金及び私立高等学校等IT教育設備整備推進事業費補助金を拡充強化すること。
四 私立学校施設の耐震化に向けた補助率の引上げ、建物緑化などのエコスクールの推進等、補助制度を拡充すること。
五 都道府県の行う私立高等学校奨学金等事業に対する国の支援を拡充すること。
六 私立専修学校については、専門課程及び高等課程に対する新たな助成制度を設けること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十年 月 日
東京都議会議長 比留間敏夫
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣  あて

地方消費者行政の充実・強化に関する意見書(案)
 昨今の消費者を取り巻く状況として、次々販売やキャッチセールスなど高齢者や若者を狙う悪質商法の増加、さらには、架空請求や多重債務問題など、深刻な消費者被害が相次いでいる。また、食品偽装表示事件の多発や輸入冷凍餃子ぎょうざへの毒物混入事件などに加え、シュレッダーによる指の切断事故など、身近な商品等の安全性に関する社会的不安が高まっている。このため、都内の消費者相談窓口には、多くの相談が寄せられている。このような消費者被害の増大や商品・サービスへの不安・不信は、健全で良質な市場経済の発展にも悪影響を及ぼすと考えられる。
 こうした中、国は、消費者・生活者重視の観点から、消費者行政を一元化し、強化する方針を打ち出している。
 消費者行政は、地域の実情に即して、各地方自治体が消費生活センターを始めとする現場で担ってきたものであり、国の消費者行政の強化が真に力を発揮し、消費者被害の防止と救済を実効性あるものとするためには、地方消費者行政の充実・強化こそが重要である。そのためには、地方自治体の消費者相談窓口において消費者被害が迅速かつ適切に解決されるよう、消費生活センターの設置及びあっせん等の機能を法的に位置付けるなど、地方消費者行政の体制を拡充・強化することが必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方消費者行政の充実・強化を図るために必要な法制度の整備及び財政措置を講ずるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十年 月 日
東京都議会議長 比留間敏夫
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
経済産業大臣
消費者行政推進担当大臣  あて

○古館委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○古館委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、文教委員会所管分及び第百六十六号議案から第百六十八号議案まで、並びに議員提出議案第十六号を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○大山委員 文教委員会に付託された第百五十七号議案、百六十六号議案から百六十八号議案及び議員提出議案第十六号に賛成の立場から意見を述べます。
 第百五十七号議案は、小中学校の耐震化を進めるために都独自の補助制度を創設するものであり、賛成します。
 我が党は、小中学校の耐震化を抜本的に促進させるためには東京都独自の補助制度が何としても必要であるとして、昨年の第三回定例会及びことしの第二回定例会で条例提案しました。残念ながら、助成制度案は実効性がないとか、屋上屋を架すものだとか、パフォーマンスにすぎないなどを理由に、他会派の皆様には賛成していただけませんでした。
 しかし、今回、都教委が各区市町村から聞き取りを行い、都独自の財政支援の補正予算を提案したということは、いかに区市町村への財政支援が小中学校の耐震化を進める上で重要な役割を持つのかが明白になったということではないでしょうか。同時に、Is値〇・三以上〇・七未満についても、〇・三未満と同様に国の単価と実勢単価の乖離分を補助する拡充を求めておきます。
 また、私立学校について、私たちは、耐震診断を一刻も早く完了させるために全額補助を行うことなどを求めており、今回の耐震診断の補助率引き上げは歓迎いたします。同時に、耐震診断をして補強工事が必要になったとき、予算がないということで二の足を踏むことがいわれています。毎年、耐震化の補助については拡充していることは評価しているところですが、さらに、耐震化が進まない学校はどういう理由があるのかなど、話を聞きながら、一刻も早く耐震化が完了するよう求めておきます。
 次に、我が党を含め三会派共同で提出した東京都奨学費給付条例について意見を述べます。
 子育て世帯にも貧困が広がり、経済的な格差が親から子に引き継がれていくことが、今大きな問題となっています。それは、貧困によって教育を受ける機会の平等まで奪われているからです。
 一九七一年に中央教育審議会が、学生は教育の受益者であるという口実で、学費値上げに道を開きました。その後、日本では、教育を受ける生徒が受益者、自己責任という考え方が政策的につくられてきました。しかし、これは負担できない生徒を教育から排除するものであり、憲法と教育基本法が禁じる経済的地位による教育上の差別を生み出すことになります。
 若者が学ぶことは社会の財産であり、若い世代が高校や大学などで新しい知識や技術、理想を身につけることは、社会の発展にとって不可欠な営みであり、それは社会にとっての貴重な財産といえます。だからこそ、経済的な問題で教育を受ける権利を阻害してはならないのです。
 この条例を提案したことを知った都民の皆さんからは、とても喜ばれ、ぜひやってほしいと激励されました。高校一年生の息子さんを持つお母さんからは、一学期に息子さんの友人が二人退学をし、そのうち一人は経済的理由だったと伝えました。高い学費に苦しんでいる大学生からも、この条例提案に励まされた、ぜひ実現してほしいとお手紙が来ました。この条例の実現は多くの都民の皆さんの願いです。
 世界の常識は教育費の無償化であり、高校教育については無償が多数派です。OECD加盟三十カ国中、高校の授業料の無償化に到達しているのは二十六カ国に上ります。
 東京都に緊急に求められているのは、経済的な問題で教育を受ける権利を阻害されないよう、東京の子どもたちに教育の機会均等を保障することであり、奨学費の給付はそのための一つの方策です。議会も積極的に役割を果たそうではありませんか。
 ご賛同、よろしくお願いいたしまして、意見表明といたします。

○古館委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、議員提出議案第十六号を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○古館委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第十六号は否決されました。
 次に、第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、文教委員会所管分及び第百六十六号議案から第百六十八号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古館委員長 異議なしと認めます。よって、第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、文教委員会所管分及び第百六十六号議案から第百六十八号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○古館委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古館委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○古館委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、大原教育長から発言を求められておりますので、これを許します。

○大原教育長 所管両局を代表いたしまして、ごあいさつを申し上げます。
 本定例会にご提案申し上げておりました議案等につきましてご審議をいただきまして、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご要望等を踏まえまして、これからの事業執行に万全を期してまいりたいというふうに存じます。
 また、委員長初め委員の皆様には、本委員会の委員就任以来、私どもが所管しております事務事業を通しまして、数々のご指導、ご鞭撻を賜りました。厚く御礼を申し上げますとともに、今後ともどうかよろしくお願いを申し上げます。
 簡単ではございますが、お礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

○古館委員長 発言は終わりました。
 この際、私からもごあいさつを申し上げます。
 文教委員会は、早坂副委員長、そして門脇副委員長、また、理事の皆さん、委員の皆さんのご協力によりまして、この一年間、教育の問題や消費者行政、文化やスポーツ行政の問題など、活発に議論することができたと考えております。
 理事者の皆さんには、委員会質疑などでのご協力に心から感謝申し上げますとともに、これまで質疑、要望等につきましては、今後の事務事業に役立てていただきますように、心からお願い申し上げます。
 議会局の谷口さん、影野さん、寺崎さんにも大きな支えをしていただきました。心から感謝申し上げます。
 関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十一分散会

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