文教委員会速記録第八号

平成二十年六月二十三日(月曜日)
第三委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十四名
委員長古館 和憲君
副委員長早坂 義弘君
副委員長門脇ふみよし君
理事斉藤あつし君
理事鈴木 一光君
理事石川 芳昭君
伊藤 ゆう君
松葉多美子君
中山 信行君
伊藤まさき君
古賀 俊昭君
大山とも子君
服部ゆくお君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長渡辺日佐夫君
次長三橋  昇君
総務部長高西 新子君
教育庁教育長中村 正彦君
総務部長志賀 敏和君

本日の会議に付した事件
意見書について
付託議案の審査(決定)
・第百三十七号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・議員提出議案第十三号 公立の小学校及び中学校の耐震化促進のための助成に関する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○古館委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書三件につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○古館委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百三十七号議案及び議員提出議案第十三号を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○門脇委員 議員提出議案第十三号、公立の小学校及び中学校の耐震化促進のための助成に関する条例について、反対の立場から意見を申し上げます。
 民主党は、公立学校の耐震化促進については、法律により全国的に耐震診断を義務づけ、補強、改築費用のかさ上げを図るなど一層の取り組みが必要と考え、国において学校施設耐震化促進法を提案し、成立を目指してまいりました。
 四川大地震で多くの学校施設が倒壊したことを契機に、今般、議員立法により、改正地震防災対策特別措置法が可決、成立したことは皆様方ご承知のとおりであります。
 この法律では、耐震補強事業への補助率を現行の二分の一から三分の二に引き上げるほか、自治体に耐震診断の実施、公表を義務づけております。
 つい先日、六月二十日に発表となりました公立学校の耐震改修状況調査結果では、都立高校は全国一の耐震化率、小中学校は全国第七位ということで、もちろん一〇〇%を目指すわけですが、かなり頑張っていると改めて認識をしました。こうした情報を公開することで、都民の目に実態が見えるということは、耐震化に対する財政支出をふやしていく上で必要なことですし、歓迎をいたします。
 また、都においても、一〇〇%耐震化を目指し、公立学校だけに限らず、防災上重要な建物の耐震化に取り組んでおり、民主党としてさまざまな提案、要望をいたしております。
 私たち民主党は、従来から、公立小中学校だけではなく、私立の小中学校、高校、幼稚園、そして専修、各種学校まで含めた耐震化促進助成の充実を求めてきており、これに応じて、都の補助制度も補助率アップ、補助対象の拡大が実現し、充実してまいりました。
 私立学校の耐震化事業は、殊さら条例でなくても実施、充実されてきたものであります。今後の支援、拡充については、理事者、都議会とも一致して取り組めるものと確信をいたしております。
 このような中で、公立小中学校だけに限定した条例を提案することの意味は一体どこにあるんでしょうか。既成の方針を上書きする条例提案はいわばパフォーマンスにすぎず、子どもの命にかかわる事柄を利用するのは不誠実という声すら聞こえてまいります。
 民主党は、今後とも区市町村への支援拡充とともに、地震に強いまちづくりの推進、耐震診断、耐震化促進に向けて取り組むことを申し上げ、反対意見といたします。
 以上です。

○中山委員 議員提出議案第十三号について、反対の立場から意見を表明します。
 先ごろの中国四川大地震では、学校が倒壊し、多くの子どもたちが犠牲となり、学校の耐震化の重要性が改めて浮き彫りとなりました。
 日本の小中学校の耐震化率は、連立与党の推進により、平成十四年の四割から十九年には六割に増加、耐震診断の実施率も平成十四年の三割から十九年には九割へと急増していますが、首都直下地震を含め、大地震災害への対策はまさに待ったなしの状況にあります。
 そこで、公明党は、四川大地震の被害状況を踏まえ、五月二十日、福田首相に公立学校等の耐震化促進策として、国の補助率の拡大を訴えました。三十日には与党間で政策合意、その後も民主党との協議を進めるなど、六月十一日には地震防災対策特別措置法の改正案が参議院の本会議で可決、成立されました。
 国の学校耐震化策はまさしく急ピッチに進展し、国庫補助率は現行の二分の一から三分の二に、改築工事を要する場合であっても、現行の三分の一から二分の一へとかさ上げされたのです。
 しかし、都内の公立小中学校の耐震化率は、平成二十年四月現在で七六・七%と、全国平均の六二・三%を大きく上回るものの、区市町村間では大きな差異が生じています。
 そこで、都議会公明党は、本定例会の代表質問で、改正地震防災対策特別措置法の成立後もなお、特に財政状況が厳しい自治体等に対し、都独自の支援策を講じるべきと質問、石原知事は、これまでの耐震化の取り組みをさらに加速させるため、新たに都独自の支援策を早急に講じるなど、公立、私立とも学校などの耐震化を強力に進めていきたいと答弁されました。中村教育長も、区市町村間でのばらつきを踏まえ、耐震化が進まない区市町村の状況をきめ細かく把握し、国の緊急対策にあわせて耐震化の前倒しが図られるよう、必要な支援策を早急に具体化してまいりますと、明快な答弁をしてくださいました。同様の答弁は、自民党の服部議員による代表質問においてもなされております。
 まさに、国も国庫補助をふやし、都も区市町村の現状を踏まえ、きめ細かい都独自の支援策の充実を約束しているのです。
 しかるに、今回、日本共産党はそうした国や都の対応が明らかになった後で、まるで屋上屋を重ねるかのような、しかも雨漏りつきの屋根を重ねるような条例案を提出してきました。すなわち議員提出議案第十三号は、東京都が既に議会答弁で明らかにしている事柄を単に条例化するものであるだけでなく、改正地震防災対策特別措置法に盛り込まれ、都も前提とする耐震強化策よりも対象範囲を後退させた内容となっています。
 一つは、改正地震防災対策特別措置法では、設立主体への財政支援だけではないさまざまな支援策が、区市町村の取り組みを後押しするために組み込まれています。例えば、区市町村への技術者のあっせんに加え、建築士団体への協力要請も行うほか、民間資金を活用して初期投資を抑えるPFI工法について、六月中旬には導入検討マニュアル、七月下旬には導入実務マニュアルを配布するとしています。
 このほかにも、天井落下やガラスの飛散防止、バリアフリー化、アスベスト対策なども、学校等の躯体部分の耐震化と同時の進展を図るために配慮した内容となっています。
 当然、東京都も、区市町村が必要とする技術者の確保、講習会の実施に加え、不足地域へのあっせんなどを検討することになります。都内にあっても、特に町村レベルでは、十分な経験や技術を有する職員や、地元業者が不足することも考えられます。さらに、都内及び周辺県の公立学校等の耐震化が一斉に進むことになれば、町村に限らず、一時的であれ、すぐれた技術を有する建設関係者の確保が困難になることが予想されます。
 公立学校等の耐震化に向けて、国や都が区市町村を支援するべきである点は、財政面だけにとどまらないのです。ところが、共産党の提案は、助成金しか内容としていません。
 もう一つ大きく後退している点は、公立幼稚園への配慮です。改正地震防災対策特別措置法であえて公立学校等との文言を用いている意義はそこにあります。
 いずれにしても、本来、議員提出条例の意義は、議会権能や責任にかかわる事柄をみずから規律しようとする場合や、行政側に積極的な問題解決の姿勢が見られない、あるいは今回の改正地震防災対策特別措置法がそうであるように、現行法規上の過不足を議会側からただす必要がある場合などにおいてこそ効果があるというものです。既に行政が議会に対し責任を持って回答している対策の水準を下回る条例をわざわざつくる必要は全くありません。
 今回の改正地震防災対策特別措置法で国庫補助率のかさ上げの対象としているIs値〇・三未満、すなわち震度六強の地震での倒壊危険度の高い学校の耐震化こそ、急がれるべきです。当然、Is値〇・三以上の耐震化も大切ですが、従前どおりの国庫補助が継続されますし、新たに示された財政以外の支援策は、Is値〇・三以上の耐震化についても適用されることになっています。また、今回のかさ上げ措置が三カ年の時限措置としている点も、現在は五年をめどとする公立学校等の耐震化完了時期を前倒しさせるために必要な措置と考えます。
 今後とも、都議会公明党は、大切な子どもたちの安全の確保に全力を尽くすことを改めて表明するとともに、以上のような理由から、何の実質的効果も持たない共産党の条例案については反対いたします。

○大山委員 日本共産党都議団を代表して、我が党提出の公立の小学校及び中学校の耐震化促進のための助成に関する条例案について、意見を述べます。
 中国四川省の大地震での教訓に学び、今定例会では、学校などの耐震化について各会派が取り上げたということは、それだけ早急な耐震化が切実に求められているのではないでしょうか。
 六月二十日に発表された最新の公立学校の耐震改修状況調査結果についてを見ると、都内で耐震化が必要な建物は千六百八十五棟残されています。そのうち、Is値が〇・三未満という国の緊急対策で補助率アップの対象になるのは四百三棟です。つまり、耐震化が必要であるにもかかわらず、千二百八十二棟は補助率アップの対象から外れてしまいます。この条例が実現すれば、この千二百八十二棟にも補助率を引き上げることができます。
 学校等の耐震改修や改築を前倒しして早急に進めるには大きな財政負担を伴いますから、補助率のアップを耐震化が必要なすべての校舎等に広げることは重要であり、とりわけ財政力が低い自治体には不可欠です。国の緊急対策だけでは耐震化が進まない区市町村があり、都の支援が求められていることは、本会議代表質問で自民党、公明党も発言されていましたので、一致しているのではないでしょうか。
 また、石原知事や中村教育長も、先日の本会議で耐震化率に区市町村でばらつきがあることを認め、耐震化の取り組みを加速させ、前倒しを図るため、都独自の支援が必要との認識を示しました。私学についても財政支援は重要と、都独自の補助は、耐震補強、建てかえとも今年度から対象経費の三分の二に引き上げられましたから、耐震化を進めるために、公立小中学校への補助率アップも同様に行うことが必要です。
 先週、東大和市議会では学校耐震化に対する独自補助を東京都に要望する意見書が全会一致で採択されたように、区市町村からも求められていることは明らかです。条例を成立させ、東京のすべての子どもたちの命と安全を守るために、一刻も早く耐震化一〇〇%を達成しようではありませんか。
 ご賛同よろしくお願いいたしまして、意見表明といたします。

○古館委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、議員提出議案第十三号を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○古館委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第十三号は否決されました。
 続きまして、第百三十七号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古館委員長 異議なしと認めます。よって、第百三十七号議案は、原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○古館委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古館委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○古館委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、中村教育長から発言を求められておりますので、これを許します。

○中村教育長 所管両局を代表いたしまして、ごあいさつをさせていただきます。
 本定例会にご提案申し上げておりました議案等につきまして、ご審議いただき、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご要望等を踏まえまして、これからの事業執行に万全を期してまいります。
 今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、御礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

○古館委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十分散会

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