文教委員会速記録第三号

平成二十年三月十七日(月曜日)
第三委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長古館 和憲君
副委員長早坂 義弘君
副委員長門脇ふみよし君
理事斉藤あつし君
理事鈴木 一光君
理事石川 芳昭君
伊藤 ゆう君
松葉多美子君
中山 信行君
伊藤まさき君
古賀 俊昭君
大山とも子君
服部ゆくお君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長中村 正彦君
総務部長志賀 敏和君
学務部長新井 清博君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長秦  正博君
指導部長岩佐 哲男君
生涯学習部長皆川 重次君
特別支援教育推進担当部長荒屋 文人君
人事企画担当部長直原  裕君
参事石原 清志君
参事森口  純君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十六号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第六十 号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第六十三号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第六十四号議案 東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
・第六十五号議案 東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十四条の二の規定に基づく職務権限の特例に関する条例
・第六十七号議案 東京都スポーツ振興審議会に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都教育ビジョン(第二次)中間まとめについて
請願の審査
(1)二〇第三号 小学校の専科教員削減計画の中止に関する請願
(2)二〇第四号 東京都立高校の授業料の値上げの中止と高校生の学費負担軽減に関する請願

○古館委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古館委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○古館委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十年三月十四日
東京都議会議長 比留間敏夫
文教委員長 古館 和憲殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(水)午後五時

(別紙1)
文教委員会
第一号議案 平成二十年度東京都一般会計予算中、
        歳出、債務負担行為 文教委員会所管分

(別紙2省略)

○古館委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑並びに請願の審査を行います。
 それでは、これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑並びに請願の審査を行います。
 第一号議案、平成二十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第五十六号議案から第六十七号議案まで及び報告事項、東京都教育ビジョン(第二次)中間まとめについて並びに請願二〇第三号、請願二〇第四号を一括して議題といたします。
 予算案、付託議案及び報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る二月十五日の当委員会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の目次をお開き願います。今回、要求のございました資料は、次のページにかけまして記載のとおり十八件でございます。
 一ページをお開き願います。教員の都単独加配の状況でございます。
 僻地教育や児童自立支援施設内の教育等の充実のために、都単独で加配をしている区市町村立学校教員の人数について、校種別、項目別にお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。区市町村による非常勤講師の任用状況でございます。
 非常勤講師を独自で任用している区市町村の数とその任用数についてお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。男女混合名簿の実施率の推移でございます。
 都内公立学校における男女混合名簿の実施率について、調査を実施した年度の結果を校種別にお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。就学援助の認定基準及び援助費目でございます。
 生活保護世帯に準ずる準要保護者を認定するための基準とその援助費目について、区市町村における状況をお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。特別支援学級の設置状況の推移でございます。
 区市町村立小中学校における特別支援学級の設置状況の推移について、区市町村別、校種別にお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。都立特別支援学校スクールバス予算でございます。
 特別支援学校において運行しているスクールバスに係る予算額等についてお示ししてございます。
 七ページをごらん願います。都道府県別中学校卒業者の全日制高校・高専進学率でございます。
 中学校卒業者の全日制高校及び高等専門学校への進学率について、都道府県別にお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。都立高等学校授業料改定の推移でございます。
 平成十一年度以降における都立高等学校全日制の授業料改定の推移についてお示ししてございます。
 九ページをごらん願います。都立高校の授業料減免状況でございます。
 都立高校における事由別の授業料減免者の人数と免除率について、全日制、定時制の課程別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。都立高校授業料値上げ額の内訳でございます。
 授業料改定額の内訳についてお示ししてございます。
 一一ページをごらん願います。区市町村立小中学校の耐震診断・耐震化の状況でございます。
 平成十九年四月一日現在における区市町村立小中学校校舎などの耐震化状況について、区市町村別にお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。学校教職員定数の推移でございます。
 平成十一年度以降の学校教職員定数の推移について、校種別にお示ししてございます。
 一三ページをごらん願います。教員の休職者数でございます。
 当該年度に新規に病気休職となった教員数について、精神神経系疾患を理由とするものとそれ以外に分けて、校種別にお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。平成二十年度他県等公立高等学校授業料額一覧でございます。
 平成二十年度における全日制高等学校の授業料予定額について、各自治体別にお示ししてございます。
 一五ページをごらん願います。都立高校の募集人数と応募者数、合格者数でございます。
 都立高校の入学選抜における募集人員と応募者数、合格者数について、全日制、定時制の課程別にお示ししてございます。
 一六ページをお開き願います。「小学校教職員定数配当基準」改定の影響がある学校数でございます。
 配当基準改定の影響を受ける十五及び十六学級規模校の推計学校数についてお示ししてございます。
 一七ページをごらん願います。小・中学校における養護教諭定数の状況でございます。
 養護教諭の定数配当における都基準と国基準との差について、校種別にお示ししてございます。
 一八ページをお開き願います。特別支援教育支援員活用状況でございます。
 平成十九年度に配置された特別支援教育支援員の活用人数について、区市町村別にお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○古館委員長 次に、請願二〇第三号及び第四号について、理事者の説明を求めます。

○松田人事部長 二〇第三号、小学校の専科教員削減計画の中止に関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、生かそう一九四七教育基本法!子どもと教育を守る東京連絡会代表、三上満さんから提出されたものでございます。
 本請願の要旨は、小学校の十五学級校、十六学級校の専科教員削減計画を中止していただきたいとするものでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、小学校の教職員定数は、これまで国のいわゆる義務標準法を踏まえつつ、さまざまな教育課題や児童数の変化等に適切に対応してきたところでございます。
 平成二十年度の小学校の教職員定数におきましては、児童数の増加に伴う教員定数の増を図った上で、十五学級規模校及び十六学級規模校につきまして、非常勤教員や非常勤講師の配置などの代替措置を講じ、専科担当教員の配置人数を三人から二人に変更することとしたものでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○新井学務部長 二〇第四号、都立高校の授業料の値上げの中止と高校生の学費負担軽減に関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、扇谷道子様外五百四十五人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、次のことを実現していただきたいというもので、教育委員会の所管は、1及び2の内容でございます。
 まず、平成二十年四月からの都立高校の授業料の値上げを中止すること、次に、2、東京都立高校の授業料を値下げすることでございます。
 これに関する現在の状況でございますけれども、都立高校の授業料につきましては、これまで国が示す地方交付税算定基準及び他の道府県の動向等を考慮し、改定を行ってきたものでございます。
 既に地方交付税算定基準は平成十九年度に改定されていることに加えまして、普通教室冷房化事業に伴う経費についても、受益者負担を考慮すべきことから、今回改定を行う必要がございます。
 なお、経済的に厳しい状況にある家庭につきましては、従来から減免制度が適用されておりまして、これにより就学機会を確保できるよう、制度の周知徹底を図ってまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○古館委員長 説明は終わりました。
 先ほどの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○服部委員 ただいまの二〇第三号、小学校の専科教員削減計画の中止に関する請願に関連して、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 一つは、この請願にもありますように、小学校の教職員の定数配当基準の改定。ここに、今、教育庁から資料をいただきましたけれども、影響がある学校数ですけれども、十五学級規模校で六十四校、また、十六学級規模校で同じ六十四校、合わせると百二十八校になりますか。これは、小学校全体の数が千三百十六校ですから、その一割近くが該当していく、そういうことになろうと思います。この点について質疑をさせていただきますが、きょう随分大勢の方が、随分大きな時間をとっておられる方もおると思いますが、私は議会運営上、要点のみ簡潔に質問をさせていただきたいと思います。
 現在、小学校では、いわゆる小一プロブレム、小一問題とか、モンスターペアレンツとか、これまでに見られなかった課題が非常に顕在化しつつあります。一方、東京都では児童数の増加が今後見込まれるわけですけれども、それから、教員の大量退職に伴って新規採用の若い教員が増加しております。
 こうした状況を踏まえて、平成二十年度の小学校教職員定数における都教育委員会の基本的な考え方について、まずお伺いをいたします。

○松田人事部長 平成二十年度の小学校の教職員定数の基本的な考え方は、児童数の増加やさまざまな教育課題に適切に対応するために必要な教職員定数を確実に措置するというものでございます。
 また、正規の教員だけではなくて、平成二十年度から配置する退職教員を活用した非常勤教員や非常勤講師の活用を図りまして、学校全体の人的資源の充実を図っていく方針でございます。

○服部委員 今の児童数の増加に対応するための教職員定数を措置するということですけれども、平成二十年度は児童数がどの程度増加すると見込んでいるのか、また、教職員定数は前年度に比べてどのようになっているのか、お伺いします。

○松田人事部長 平成二十年度におきます都内公立小学校の児童数は五十六万一千六百六十七人と推計しておりまして、平成十九年五月一日現在の在籍児童数と比較しまして、四千六百九十八人の増を見込んでございます。
 また、小学校の教職員定数につきましては、児童数の増に対応しまして、全体で三万百二十六人としておりまして、平成十九年度と比べますと、百六十一人の増員を図っております。

○服部委員 今答弁がありましたように、教職員定数の増を図る一方で、専科担当教員、この配置人数を見直すということですけれども、具体的な見直しの内容について改めて伺います。

○松田人事部長 特別支援学級などを除きました通常の学級の総数が十五学級及び十六学級となる小学校につきまして、平成十九年度までは学級担任となる教員のほか、専科担当教員として三人を配置してきましたけれども、平成二十年度からは専科担当教員の配置を二人としまして、代替措置として非常勤教員または非常勤講師を配置することといたしました。

○服部委員 小学校の専科指導としては図工、音楽、家庭科のほか、理科などの場合もありますけれども、専科担当教員が二人となった場合には、多くの学校で家庭科担当の教員が配置できなくなる、このように聞いております。
 そこで伺いますが、今回のこの配当基準の見直しの対象となる学校では、一週間にどの程度、家庭科の授業が行われているのか、伺います。

○松田人事部長 小学校の学習指導要領におきまして、家庭科の年間授業時数の標準は、第五学年で六十時間、第六学年で五十五時間と定められております。これに基づく一週間の授業時数は一学級当たりの平均で、約一・六時間から一・七時間となります。
 学校全体の一週間の授業時数につきましては、第五学年、第六学年の学級数により異なりますが、その合計が六学級となる場合、すなわち五学年と六学年を合わせて六学級になる場合には、おおむね週十時間の家庭科の授業が行われることになります。

○服部委員 家庭科というのは高学年、五学年、六学年だけだと思いますけれども、それがおおむね週十時間の家庭科の授業ということで、第五学年で六十時間、第六学年で五十五時間と定められた中で行われているわけでありますが、この専科担当教員は、学校において学習指導のほかにも校務分掌などにおいても大変重要な役割を担っていると私は思います。
 専科担当教員の配置数見直しに当たっては、非常勤教員や非常勤講師を配置していくということですけれども、専科担当教員の減が学級担任の負担増とならないよう、担任の先生の負担増にならないよう、都教委としてはどのように配慮していくのか、伺います。

○松田人事部長 非常勤教員は原則として一日八時間、月十六日勤務する日勤講師でございまして、退職教員の豊富な経験を生かしつつ、授業での学習教科指導ばかりでなく、校務分掌などの業務も担う職でございます。
 都教育委員会では、専科担当教員の配置人数の一部見直しに伴いまして、該当校については区市町村教育委員会と連携の上、非常勤教員や継続して任用される再雇用職員の配置を図っており、多数の学校に非常勤教員等が配置される見込みでございます。
 なお、非常勤教員等が配置されない学校につきましても、週十時間を上限として非常勤講師を配置することで、校内体制の工夫等により対応することは可能であると考えております。

○服部委員 ただいまの答弁のように、教職員定数に算定される教員だけでなく、非常勤教員の豊富な経験を生かすなど、多様な人材を活用して、学校の総合的な体制整備を行うという考え方は理解いたしますが、多様な人材の活用によって専門性の高い指導者を確保するという効果も期待されます。
 小学校においても、実習教科あるいは実技教科の指導は、より専門的な知識、技術を持った指導者が必要であり、そこには個々の教員の指導力の向上を図ることが重要であります。
 関連してですけれども、今オリンピック招致に向けて東京都は取り組んでいるわけでありますけれども、東京都全体がその機運を盛り上げて全力で取り組んでいこう、こうした中で、小学校の特に高学年の体育における専門性の高い指導が必要だと私は考えています。
 今月の四日でしたか、都内の児童生徒の体力テストの結果、都教委で公表されましたけれども、見出しにあるように、中高生下げどまり、小学生は低下傾向。小学生はどんどん体力が下がっている、これはオリンピック招致で頑張ろうといっているときに、やっぱり子どもたちの体力も含めて、そういった機運を盛り上げることも私は重要だと思うんです。
 先日、都教育委員会は、平成十九年度の、今申し上げましたが、東京都児童生徒の体力調査の結果を発表しましたけれども、まずその結果をどのように考えているのか、伺います。

○岩佐指導部長 調査の結果、東京都の児童生徒の体格は向上しておりますが、体力については、親の世代が子どもであった三十年前のときと比べますと全体的に低下をしております。体力低下の背景には、子どもが外遊びする時間や場所が減少したこと、生活が便利になり、日常的に体を動かさなくなったことなどがあると考えられます。このため、家庭、地域、学校がともに連携して、子どもの体力向上に取り組む必要がございます。
 都教育委員会は、児童生徒の体力の向上を図るため、体育の授業や学校行事、部活動等の振興に一層努めるとともに、平成二十年度にはスポーツ教育推進校を小中高等学校で展開してまいります。

○服部委員 今、体力低下の背景について答弁がありましたけれども、今の授業時間、先ほど家庭科についてはお聞きしましたけれども、十年前と比べて小学校の体育の授業は何時間減っているのか、今度の学習指導要領の見直しで何時間ふえるのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 十年前は、小学校の体育の授業時数は一年生が百二時間、二年生から六年生までが百五時間でございました。現行の学習指導要領では、一年生から六年生まですべての学年が九十時間となっております。
 今回改定されます学習指導要領では、一年生が百二時間に、二年生から四年生までが百五時間にふえますが、五、六年生につきましては現行と同じ九十時間となる予定でございます。

○服部委員 子どもの体力の低下というのはさまざまな要因はあると思いますが、こうした授業時間が減っているという事実、これもやはり考えなければならないことだと思います。今後、新指導要領のもとに、低学年については若干ふえますけど、高学年についてもこのことを--やはり試験勉強や受験勉強をするのだって、体力がついてなければ、それはやっていけませんよ。
 そんなことも含めて、子どもたちの体力向上を図るために家庭とか地域あるいは学校の部活動での取り組み、これも必要ですけれども、特にすべての子どもがかかわる体育の授業について、これまで以上に充実を図るべきであり、そのために、より専門性の高い指導者の配置を図るべきと考えます。
 外部の人材でなくても、例えば中学校の体育担当の教員などが小学校を支援する、そういった方法も検討すべきと思いますけれども、その点どうでしょう。

○松田人事部長 都教育委員会では、質の高い教育を行うためには、すべての教員について継続的に資質能力の向上を図っていくことが重要であると考えております。
 また、平成二十年度から児童生徒の体力向上やスポーツ普及を目的といたしまして、スポーツ教育推進校を指定し、都内に展開していく予定でございまして、今後、推進校の取り組みによる成果や課題等を踏まえて、外部人材の活用や小中学校の連携策など、人的支援のあり方について積極的に検討してまいります。

○服部委員 学校の現場においてはさまざまな人材の活用を図っていくという今の考え方は妥当なものだと思いますけれども、教育効果を上げるためには、やはり豊富な経験あるいは高い専門性、こういったものを活用する目的に合致した人材を配置していくことが重要だと思います。
 今後とも、学校運営体制の一層の充実を図ることを期待するわけですが、今、子どもたちが、小学生ですけれども、夏休みにラジオ体操会などがあると、ラジオ体操を知らないんですね。学校で教えてもらっていない、というところも多くあります。ラジオ体操を知らないんですよ。ストレッチなら知っているようなんだけれども、それでラジオ体操を教えている方々が非常に困っているようなこともあるんですけれども、例えば、こういったラジオ体操も、さっき部外のというお話もありましたけれども、ラジオ体操連盟だとか、いろいろそういった方がおられるわけで、都教委の方からも協力をいただいてラジオ体操をみんなでそろってやるようなことだとか、今まで申し上げてきたように、特に小学校の高学年になると、もう体も相当大きいし、担任の先生が、例えばいろんな競技スポーツのルールなど説明するのもなかなか大変だという話を現場からも伺っておりますし、ぜひこういった高学年の体育については、今申し上げた中学校の体育の教員による小学校の支援と同時に、やはり非常勤講師の配置あるいは非常勤教員の配置、そういったものをして、少し体力のレベルアップをこれからも図るべきだと申し上げて、大分時間的に、十五分ほど、私短縮をさせていただいて質問を終了させていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 大変コンパクトに質問をされましたので、私もプレッシャーを受けながら、できるだけコンパクトに質疑をしてまいりたいというふうに思います。
 それでは、まず早速ですけれども、重要文化財の防火体制について伺いたいというふうに思います。
 つい先般ですけれども、韓国の、特にソウルの顔ともいわれる南大門が焼け落ちるという事件がありました。ちょうど私、あのときにソウル市内にいたものですから、ソウル市民の落胆ぶりというものもまさに目の当たりにしてきたわけであります。放火による犯行と報道をされて、現に犯人が捕まったようですけれども、その蛮行にはソウル市民ならずとも心を痛めているところでございます。
 そこで、東京都指定の文化財のうち建造物というものはどれほどあるのか、お伺いしたいと思います。

○皆川生涯学習部長 東京都指定有形文化財であります建造物のうち木造であるものは五十一件でございます。

○伊藤(ゆ)委員 その一覧を以前いただきましたけれども、増上寺があったり氷川神社があったり、また湯島天神や浅草寺のそれぞれの一部も入っているということですから、まさに東京の顔がこれらに入っているというふうに思います。
 特に浅草寺などは雷門のすぐそばに交番があったり、巡査の目が行き届くというふうに思うんですけれども、ほかの施設では警備員の配備のない施設もあるかと思います。
 木造文化財の中で常時警備が施されていない施設は幾つあるでしょうか。

○皆川生涯学習部長 木造の都指定有形文化財のうち、多くの建造物では所有者や管理者等が居住するほか、警備員、案内人が昼間常駐したり、少なくとも夜間は機械警備をしいているところなど、防犯の観点からの措置が行われておりますが、以上のような措置がなされていないものは三件でございます。

○伊藤(ゆ)委員 それから、消防署からの距離などで、いわゆる防火体制というのがある程度予想されると思うんですけれども、消防車が進入困難な地理的理由などで、消防車両が五分以内に到着困難な建造物文化財の数とその防火体制がどうなっているか、伺いたいと思います。

○皆川生涯学習部長 都教育委員会では、消防車が五分以内に到着困難な文化財建造物というものの数は把握してございませんけれども、防火体制の警備に一義的責任を有する所有者に対する支援といたしまして、文化財の保存施設整備事業等に対して補助を行いまして、所有者に対する防火対策を支援しております。
 また、防火体制につきましては、各文化財に対して、消防法に基づきまして消防設備等の設置、防火管理者の選任、消防計画の作成が義務づけられているほか、火災予防条例に基づき、喫煙や裸火が制限されております。
 加えて、東京消防庁では、消防設備等の維持管理などの確認のため、立入検査を実施するとともに、定期的に防災訓練の指導を実施し、消防演習などを行い、関係者の防災意識の高揚を図っていると聞いております。

○伊藤(ゆ)委員 南大門の例をとって少し考えたいと思うんですけれども、事件当時、南大門には実は監視カメラが四台、それから不審者の侵入を知らせる赤外線センサーが施設内に六台も設置をされていたそうであります。しかし、実際にカメラに不審者は写らなかったということ、また、火災報知機やスプリンクラーもなかったということでございますので、ソウル市民からは、なぜカメラが設置されていたのに写らなかったんだというような不満の声もあるようでございます。
 カメラの設置等については、放火などの想定訓練を具体的に行って、いわゆる犯人の死角になるような角度がないのかなどを再度調査したり、火災警報器の有無やスプリンクラーの有無をこうした施設については調査をするべきと思いますけれども、どうでしょうか。

○皆川生涯学習部長 火災報知機は、木造建造物五十一件のうち四十六件で設置済みでございます。また、スプリンクラーについては、木材への影響を考慮いたしまして、消火栓や消火器を設置する例が多くございますけれども、こうした消火設備は五十一件中四十七件で設置済みでございます。
 今後とも、防火並びに消火設備の維持充実について、文化財保有者と協議を進めるとともに、未設置の文化財に対しては、設置に向けて早急に働きかけていきたいと思っております。
 監視カメラは、文化財の所有者が防犯の観点から自主的に設置するものでございますけれども、都教育委員会では監視カメラの設置を含め、先ほどご説明いたしました文化財の保存施設整備事業の中で補助対象としているところでございます。都教育委員会は、監視カメラに関して、その台数や設置場所について、所有者からの相談に応じつつ対応してまいりたいと思います。

○伊藤(ゆ)委員 これは朝鮮日報の記事なんですけれども、この南大門の事件に当たって、文化財の保護に関し憂慮する声が以前から上がっていたにもかかわらず、上っ面の対策や申しわけ程度の形式的な訓練でお茶を濁してしまっていたのではないか、毎年行ってきた仮想訓練も、建物を見て回り、消火栓を点検するといった形式的なものにとどまっていたんじゃないかというような指摘をされています。
 事実、消防車は南大門の周りに、ソウルじゅうからといってもいいぐらい集まっていましたけれども、当初、やはり国最大の文化財でありますので、放水の量など、文化庁に一々確認をとって、どれぐらいの放水をしたらいいかというようなこともあったそうです。そのときに、文化庁からは慎重に放水をしてもらいたいということもあって、施設の中にくすぶっていた火が結局最後まで消えずに、それが再燃をしてしまって完全な焼失ということになったそうです。
 その主たる理由は、よく調べてみると、南大門は当然、かわらが防水加工されているということですから、外側から水をかけて十分にこれで鎮火できたと思っても、中で火がくすぶっていたということもあって、こういう重要なものについては、できるだけ構造も含めて、ちゃんと事前に消防庁や、あるいは所管の役所は把握をしておくべきじゃなかったかというような声が今寄せられているようでございます。
 そういう意味では、見なれた文化財は、あれば当たり前ですけれども、失ったときに、親しんできた市民にとって大いなる喪失感のあるものというふうに思います。
 防火体制が弱いと思われる施設の洗い出しを徹底的に行って、文化財所有者とよく協議しながら、防火体制の整備サポートを行ってはどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○皆川生涯学習部長 保存施設整備事業に対する補助制度を活用する場合、区市町村教育委員会では、特に修理や防災対策が必要と思われる文化財保有者を中心に、この補助制度の活用を働きかけてまいります。
 そして、所有者から地元区市町村教育委員会を経由いたしまして、都教育委員会に事業計画の希望が提出されてまいります。こうした所有者からの事業希望に対しまして、補助の決定に当たりましては、都職員が現場に向かい、事業の必要性を確認し、所有者と保存修理、修理後の防災体制などについて協議等を行っているところでございます。
 また、文化財の防災体制については、各文化財の保存環境に応じて地元消防署とも連携をとりつつ、その整備を支援しているところでございます。
 今後は、毎年一月に全国各地で防火訓練などを実施する文化財防火デーなどの機会をとらえまして、所有者、区市町村教育委員会及び地元消防署との連携を深め、防災対策の重要性を所有者に改めて訴えていくなど、より一層の文化財保存事業の推進に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひ、徹底的に洗い出しをしていただきたいというふうに思います。
 続いて、パソコン等のリース契約の件についてお伺いをしたいと思います。
 この件については、平成十七年の決算委員会で私が質疑をさせていただきました。そのところ、平成十六年度に東京都立高校が発注した八件のパソコンリース契約の平均落札率が中村教育長の答弁から判明をいたしまして、これが九七%だったという極めて高い落札率が明らかになったことは、教育長もご記憶のところかと思います。
 当時、教育長は、今後は契約方法の必要な改善を図ってまいります、このように答弁をしていただきました。九七%の落札率はその後どのような変化をしたのでしょうか。ご回答をお願いします。

○森口参事 学校経営支援センターを開設いたしました平成十八年度及び十九年度の都立高校における集団学習装置の借り入れ案件は、各十七件でございました。
 十六年度と比較いたしますと、平成十八年度の平均落札率は二割程度、平成十九年度につきましては三割程度それぞれ低下いたしました。

○伊藤(ゆ)委員 落札率が二〇%ないし三〇%それぞれ落ちたということでありますけれども、この落札率の低下で、年額にしますと幾らぐらいの予算抑制になっているのか、お伺いしたいと思います。

○森口参事 平成十九年度のパソコンリース契約におきましては、配付予算額約六千万、落札率の低下に伴います節減額は二千二百万円程度でございます。

○伊藤(ゆ)委員 毎年継続してパソコンリース契約は続いていくわけですから、年額二千二百万円、十年ぐらいすると、もう二億を超えるということですから、大きな予算抑制になったなというふうに思います。
 さて、当時、私がこの件でどんな指摘をさせていただいたか、改めて少し申し上げて、関連の質問をしたいと思いますが、各都立高校がパソコン教室用に導入しているパソコンリース契約、今お話にあったとおり大体年間に八件から十件ぐらい、当時それぞれの学校が、六年に一回リース契約をして、またパソコンやソフトを更新していくという契約でありました。
 そこをよく調べていくと不可解なことが幾つかありました。例えば、平成十六年三月二日に四百十万三千円で落札をしたA社が、同じ一式の別の学校の入札で、一週間後に五百四十八万円以上でまた札入れをしている。当然四百十万円で契約がとれたわけでありますから、次の契約もとりたければ同じ金額四百十万円で入れればいいところを五百四十八万円で応札をしてきた。当然この会社は落とせなかったわけでありますけれども、まず、これがなぜかということ。それからまた、二日後には、今度はこの同じ会社が同じ一式を四百六十一万円で札入れしている。これも全くつじつまの合わないことでありました。
 それから、当時の五年分の入札経過調書をすべて取り寄せて調べたところ、五年間でこのパソコンリースを落札した会社がたしか十数社あったと思いますけれども、その内訳、大手二社がそれぞれ十八件ずつと、落とした件数がぴたりと符合しているという不可解さもございました。このほかにも、その当時の質疑でいろいろ指摘をさせていただいたところでございます。
 こうした当時の九七%という高い落札率に加えて、こういう不可解な出来事があったわけですけれども、こうしたことを見て、談合の疑いが当時なかったのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

○志賀総務部長 平成十六年度の都立高校における集団学習装置借り入れ契約の入札に際して、平均九七%という高い落札率となった状況につきまして、特に談合の情報は把握できませんでしたが、不当な競争があったおそれがあるということで、平成十六年度の決算特別委員会で教育長がご答弁したとおり、従来各学校が行っていたリース契約を学校経営支援センターに集約することを初め、電子入札の導入等、契約事務の改善を図ったところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 当時、談合情報はなかった、これは恐らくそういう同業の会社から、あるいは匿名の指摘がなかったということだと思いますが、まさに私が指摘したのは、事実としてこういう不可解な入札状況があるということが、そもそもまさに談合ではないかという、そういう指摘であり、情報だというふうに思います。そこをもって、確かにおそれがあったと今答弁がありました。
 それであれば、もちろん今回、電子入札化されて改善したことは評価をしたいというふうに思いますけれども、やっぱり談合があったのではないかと疑って、関係者からしっかり事情を聴取する必要があったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○志賀総務部長 ご指摘の平成十六年度の借り入れ契約等に関しまして、談合があったとすれば許されないことでございますので、当時の都立高校の契約担当者、それから関係業者等から事情聴取を含めて改めて必要な調査を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 つまり、当時、平成十七年に私が質疑をさせていただいたときは、そういう指摘を受けたけれども、調査は関係者に対して行わなかった。しかし、今の答弁によれば、これから行うことになるということなんだろうと思うんですけれども、談合情報というのは、当然、先ほどいいましたように、同業者から指摘をされることもあるというふうに思いますが、基本的には東京都として行政をつかさどる皆さん方が、日常より目を凝らしてこういう疑いのある入札が行われていないかどうかをチェックするべきだというふうに思います。ましてや委員会で議論が出て問題指摘があったわけですから、当時、既にこういう調査をちゃんとやっておくべきだったというふうに思うところであります。
 ぜひ調査を行っていただいて、また別の機会でその調査結果についてはお伺いしたいというふうに思っております。
 それでは、今まさに質疑をさせていただいているこのパソコンリース関連、パソコン教室関係予算というのは過去十年間でどのように推移をしてきているでしょうか。

○森口参事 パソコン教室及び外国語学習機能を備えたパソコン教室設備に関する予算についてでございますが、平成十年度は二十六億七千四百四十三万円の予算規模でございましたが、平成十九年度には十億八千七百八十六万円の予算規模になっております。

○伊藤(ゆ)委員 予算が十年間で年々少なくなってきて十億円以上ぐらい、当時から比べれば予算抑制ができているというふうに思うんですけれども、私もこのパソコンリース契約についていろいろ調べていったときに、何に一番金額がかかっているのかということを見ますと、もちろんパソコン本体もそうなんですけれども、パソコン本体、大体三十台、四十台、これで大体市場価格、我々の普通の感覚でもわかるんですが、一番わからなかったのはやっぱりソフトだったんですね。
 これはある小学校でしたけれども、よく調べてみると、一本当たり百七十万円ぐらいするような教育用ソフトがあって、要するにそのソフトを使うと、学校の先生が一つのパソコンを押すと三十台分の電源が入ったり、消したり、子どもたちがどのモニター画面を見ているかということを一つの台で見れる、そういうソフトでありました。
 しかし、よく学校の先生に聞いていきますと、必要だという人もいれば、大体その一つのモニター画面で、三十人分のモニター、どれを見ているかというのをチェックするのは至難のわざであって、どちらかといったら教室の後ろから、子どもたちがどういうふうに今パソコンを動かしているかということを調べた方がよっぽど効率がいいんじゃないかというふうにいわれている方もいました。
 また、子どもたちが電源を入れられないと困るので、こういうソフトを入れていますというようなことも一時期伺いましたけれども、今どきは大体、大人が子どもに携帯電話の扱い方を教わるという時代だと思いますので、小学校も高学年ぐらいになってくると、我々よりよっぽど電子機器の扱いはなれているんじゃないかなということは、皆さんの生活実感の中でもあるんじゃないか、こういうふうに思います。
 そこで、これまでずっとパソコンソフトなども、それぞれの学校判断で導入をされてきたというふうに思いますけれども、例えば、都立高校でいえば普通校と工業高校あるいは商業高校とでは教材に使うソフトも明らかに違うというふうに思います。
 例えば、私もこの間、大田区のある旋盤加工の中小企業に行ってきましたけれども、そういうところでは、一本三百万円ぐらいするようなソフトを使っていたりします。ですから、これらを教える、例えば旋盤加工などを教える工業高校では、穴をあけた場合の金属の強度をシミュレーションしたりするようなソフト、まさに三百万円もするようなソフトが必要かもしれません。
 一方で、普通校では、今、数十万円するソフトが入っているところもあるというふうに伺いますけれども、本当に必要なんだろうかという疑問もあります。教育内容によって、いわゆるこういうのをスペックといいますけれども、ソフトが違ってくるというのは当然だというふうに思います。
 そこで、もう我々の素人レベルの議論ではこの辺になってくるとないので、まさに専門家によって、どういう教育にはどういうものが必要なのかということをちゃんと議論する時代ではないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

○森口参事 専門高校の学習用ソフトにつきましては、それぞれの職業に関する専門の教科、科目に応じたソフトを使用することが必要でございます。例えば、商業高校におきましては模擬的に商取引を行う商業実践用のソフト、また、工業高校におきましては設計、製図を行うCADソフト、工作機械を稼働するためのソフトなどを使用しております。
 専門高校の学科は多岐にわたり学習内容もそれぞれ異なるため、学校に導入する際には、各教科の指導主事等が専門的見地から当該校の教育課程と照らし合わせ、ソフトの必要性や妥当性などのチェックを行っております。
 今後は、都教育委員会と産業技術大学院大学との相互協力及び支援に関する協定に基づき、都立学校等におけるIT環境の整備、情報教育の水準の向上、産業振興の中核を担う人材の育成など、専門的意見を聞いてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、恐れ入りますが、次の質問に移らせていただきます。
 教員定数の削減について、先ほども服部委員から質疑がありましたので、重複しない範囲で三問ほど伺いたいというふうに思います。
 今回の専科教員の削減について、学校現場では突然削減の方針が示されたことに対する戸惑いや批判の声が上がっているわけですけれども、そこで、今回の削減方針をいつの時期にどのように学校に示したのか、伺いたいと思います。

○松田人事部長 専科担当教員の配置人数の見直しの具体的な内容につきましては、校長の来年度の人事構想等に与える影響等を考慮いたしまして、平成十九年の十一月上旬に区市町村教育委員会を通じて各学校に周知したところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 学校では、十月には職員の人事異動の動向も踏まえて、翌年度の学校運営体制の案を決定していると聞いています。
 大幅な方針変更を行う場合は、学校の来年度の構想や人事異動に混乱を来さないよう十分な配慮が必要と思いますが、東京都教育委員会ではどのように対応したのか、伺いたいと思います。

○松田人事部長 都教育委員会では、専科担当教員の配置人数の見直しに当たりまして、異動作業の日程を一部変更いたしまして、来年度の学校運営体制を検討する時間等を十分に確保するなど、必要な対応を図ってきたところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 専科教員削減の代替措置として非常勤講師を配置するとのことでありますけれども、現状においても区市町村教育委員会や学校は適任者を探すのに大変苦労しているというふうであります。
 非常勤講師を措置するに当たっては、こうした点にも十分配慮していくべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○松田人事部長 非常勤講師の任用は各校長の申請に基づき実施しているところでございますけれども、専科担当教員の配置見直しに伴う代替措置として非常勤講師を任用する場合につきましては、円滑に配置が行われるよう都教育委員会といたしましても必要な支援を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございました。ぜひそのようにお願いをしたいと思います。
 次いで、生徒の個人情報の管理改善についてお伺いしたいと思います。
 ちょうど伺おうと思っていたら、きょうの朝刊にも出ていましたが、ある都立高校の先生がUSBのメモリーをなくされたということで処分をされたという記事を拝見いたしました。まさに今、情報化社会になって紙ベースだけでないこうしたUSBの問題点というのが出てくるんだろうと思います。
 そこで、平成十八年三月の質疑で、私は学校現場の個人情報管理について質問させていただきました。教職現場では、仕事量の増加で自宅でも仕事をしたいという声があります。資料や電子ファイルの持ち帰りを一切禁止した方がいいといいたいところですが、まさにこういう実情に合わないルールづくりはかえってルールを形骸化させてしまう、あるいはルーズにさせてしまうという危険性がありますので、持ち帰り可能なものと、絶対にこれだけはだめなんだというものを厳格に分けるべきじゃないですかということを主張させていただきました。
 そこで、答弁では、持ち出し禁止の文書を明確にするということでございましたけれども、どのような改善が図られましたでしょうか。

○新井学務部長 都教育委員会は昨年末に、都立学校におきます個人情報安全管理に関するモデル基準を策定いたしまして、学校における個人情報とセキュリティー管理体制の確立手順に従いまして、各学校ごとに基準を定めることといたしました。
 基準策定に当たりましては、個人情報の学校外の持ち出しを原則禁止とした上で、個別的な情報でプライバシー性が比較的低いものなどにつきましては、各学校の実態を踏まえまして、持ち出し可能な情報としてリストアップできることといたしました。
 さらに、このように限定的に持ち出す場合でありましても、校長の個別許可と電子媒体等へのパスワードの設定を義務づけるなど、詳細なルールづくりを行ったところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 まさに今おっしゃっていただいて、そういう新しいルールづくりを文書化して明確化したんだということは結構なことだと思います。
 しかし、まさに今、原則という言葉が入っていましたけれども、原則、例えばファイルの持ち出しを校長の許可を得てすることができる、こういうようなことでありますが、例えば、まさにきょうの記事じゃありませんけれども、教育現場で私物のUSBを利用することは可能なんでしょうか。

○新井学務部長 都立学校情報セキュリティ対策基準におきまして、私物のUSBメモリーを校内に持ち込み、作業することは原則禁止でございます。ただし、業務上必要であると校長が判断し、所定の手続により校長の許可を得た場合に限りまして学内に持ち込んでパソコン等で作業することを可能としてございます。

○伊藤(ゆ)委員 原則禁止だけれども学校長の許可を得れば大丈夫だという話がありました。例えば、私物のUSBを使って、そして学校現場で作業して、それを帰りの道すがらなくしてしまった、こういう場合というのは、紛失の事実を学校設置管理者は把握できるのでしょうか。

○新井学務部長 先ほどお話しいたしました、学校における個人情報等のセキュリティー管理体制の確立手順、長くて申しわけないんですが、この手順におきまして、校長は学校内に存在する個人情報の含まれた文書及び電子データを個人が保有するUSBメモリー等に保存しているデータも含めまして、すべてリストアップして管理するように定めてございます。
 また、個人情報を含むUSBメモリーを例外的に持ち出す場合にも、返還日が記入された書面によりまして校長が許可するとともに、USBメモリーを紛失した場合は直ちに校長に報告することを、各学校の個人情報安全管理基準では定めることとしております。
 これらのことから、個人情報の含まれたUSBメモリー等が紛失した場合でも、学校長及び都教育委員会が確実に把握できる体制になってございます。

○伊藤(ゆ)委員 確実に把握できる体制にはなっているんだと思いますが、実際にそういうことになるのかどうか。例えば、今の答弁をもとにすると、きょう自分自身が私物のUSBを持っている。そして、まさに体制に従ってやるのであれば、学校長にUSBの許可を求めて、何を入れるかということを何か今おっしゃられたような一覧のところにチェックを入れて、それを学校長に渡す。ですから、校長も何をUSBに落としたのかがわかるという仕組みなんだろうというふうに思います。
 しかし、まずここに一つ問題があるのは、なくしちゃったときになくしたことを報告するということは当然懲罰の対象にもなると思いますので、本当に素直になくしたということを申告されるのかどうかという問題点。
 それから、もう一つは、隣の人が仕事をしているまさに職員の現場の中で、USBを隣の人が使っている、じゃ、おれもといってみんながだんだんだんだんルーズに使い始めていくと、一々学校長に申し出しなくても大体みんなやっていることだからといって、だんだんだんだんその中に原則という一文を皆さんが逆手にとって、そしてこういうものがルーズに運用されちゃうんじゃないでしょうかということが一番の心配点でございます。
 例えば、まさに情報セキュリティーを今つかさどっているNTTデータとか、あるいはまたそういう先端の会社などでは一切そういうものを持ち込ませないんだというようなルールづくりというのも確立をされてきています。きょうの記事がようやく見つかりましたけれども、生徒千八十七人分の個人情報が記録されたUSBメモリーを紛失した都立高校の教員がいたということが書いてあります。千八十七人分というと、多分本来の紙ベースにするとこんなになるでしょう、千枚分ぐらいあるんですからね。ですから、こういうものがこんな小さいUSBのファイルの中でおさまってしまう時代ですから、こういうものに対しては極めて厳格に管理をするべきじゃないかなというふうに思います。
 そこで、個人所有のUSBはもうこの際、学校教育現場では一切禁止にして、そしてプラスアルファ、もしUSBを使うのであれば、東京都が貸与するUSBを一斉に使ってもらう。そして、その中には必ずパスワードが組み込まれていて、普通の人にはあけられないようにしておくということが大事なんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○新井学務部長 現在、都立学校では教員一人一台のパソコン配備がなされておりませんで、共用パソコンで作業せざるを得ない状況がありますことから、個人所有のUSBメモリーの使用を全面的に禁止することは現状では難しいのではないかと考えております。
 都教育委員会では、この間、個人情報の安全管理に関するモデル基準を初めといたしました詳細なルールづくりを行うことによりまして情報管理の徹底を図っておりまして、今後、各学校における実態を踏まえ、引き続き情報管理体制の見直しを図ってまいります。
 なお、都立学校のICT計画事業におきまして、平成二十二年度中にTAIMS端末が教員一人一台配備されることから、端末の配備にあわせて基準等の改正を行いまして、私物のUSBメモリー等の使用を全面的に禁止していく方針でございます。

○伊藤(ゆ)委員 ちょっと先にはなりますが、個人所有のUSB使用の禁止が図られるということですから、その徹底をお願いしたいというふうに思います。
 次いで、これもきょうまた、ちょうど今の記事と一緒に記事に載っていましたけれども、わいせつ教員についてでございます。
 きょうの朝刊でも、区立小学校の先生がわいせつを行って諭旨免職になったということですけれども、なかなか後を絶たないこうした事件であります。一人発生するたびに、教員に対する信頼というものが失われていくというような思いをいたします。
 そこで、わいせつ等で過去十年間で処分を受けた教員数の推移がどうなっているか、お伺いしたいと思います。

○松田人事部長 わいせつ、セクハラ行為によりまして懲戒処分あるいは諭旨免職の措置を受けた者は、平成九年度から十八年度の十年間で合計百四十一名でございます。おおむね年間十人から二十人前後で推移をしております。
 このうち、自校の児童生徒に対するわいせつ、セクハラ行為によりまして懲戒処分等を受けた者は、十年間の合計で六十四人でございます。おおむね年間五人から十人前後でございます。

○伊藤(ゆ)委員 処分の見直しも行ったということで、東京都教育委員会の、まさにこの中にある本庁の職員の方以上に現場の方に対しては厳しいルールというのができたというふうに伺っていますが、相変わらず、今ご答弁にあったとおり、多くの処分者が毎年出ているということでございます。
 そこで、再発防止策について、まず伺いたいと思います。

○松田人事部長 児童生徒を教え導くという崇高な使命を持つ教員の職の特殊性を勘案いたしまして、都教育委員会ではわいせつ行為等に対しては極めて厳しい態度で臨んでおりまして、免職等の厳罰とする一方、懲戒処分基準を全教職員に周知徹底するほかに、ホームページによりまして広く一般にも公開し、都教育委員会の厳しい姿勢を明示しております。
 また、毎年度発出する服務通達におきまして、教職員のわいせつ行為等について厳しく戒めておりますけれども、さらに服務事故の根絶を目指しまして、平成十八年度から年間二回の服務事故防止月間を設けまして、都内全公立学校の全教職員悉皆の研修を初めといたしまして、全都的規模での服務事故防止の啓発活動を行っております。この中で、わいせつ行為等の防止についても啓発に取り組んできております。
 今後一層、教職員への啓発活動に工夫を重ねるなどいたしまして、わいせつ行為等の服務事故の根絶を目指してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 抜本的な再発防止は本当に難しいと思います。言葉は悪いですけれども、やっちゃう人はやっちゃうという感じがいたしますが、何よりも職場というのが子どもに指導する場であります学校ですから、再発防止にも力を入れていただきたいと思います。
 ただ、同時に、大体セクハラやわいせつも予兆があって、だんだんエスカレートしていって、最後に子どもが親を通じて事件が発覚するということが大概なんじゃないかなというふうに思います。
 そこで、子どもが教師からセクハラやわいせつに遭った場合、親や子どもはどのように対処できるのか、伺いたいと思います。

○松田人事部長 まずは担任の教員に相談するのが一般的でございますけれども、相談しづらい場合もありますことから、学校内での相談窓口を設置いたしまして、その窓口を児童生徒等に周知するよう指導をしております。相談窓口が設置された学校では当該校の養護教諭等をセクハラ相談員として選任をいたしまして、児童生徒及び保護者からの相談や苦情の対応をしております。
 今後とも、児童生徒からのセクハラに関する相談に対しまして適切に対応できるよう、指導助言に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、セクハラ相談員は学校内の教師などが担っているということでしたけれども、毎日学校に通う子どもにとって、校内の関係者に、まさにこういう神経質な話をするというのは大いにちゅうちょがあるんじゃないかなというふうに思います。
 例えば、それぞれ娘さんがいらっしゃる方で考えれば、自分の娘がそういう相談をしてきたときに、学校の中の先生に相談をしてしまうと、その情報がどう扱われるかわからない、子どももそういうことはしないでほしいというようなことになるんじゃないのかな、まさにそこでジレンマがあってなかなかいい出せない、いい出すときにはかなり大ごとになっているときだ、こういうことになるんじゃないかなと思いますので、学校外の相談窓口をちゃんとつくって、そういうところを周知していくということが重要なんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○松田人事部長 学校外の相談窓口といたしまして、都教育委員会では、東京都教育相談センターにおきまして電話及び窓口で相談や苦情の対応を行っております。相談件数は、平成十五年度以降、年間十五ないし三十件程度で推移をしておりまして、まだ広く認知されているとは必ずしもいえないことから、今後、相談センターのセクハラ相談の窓口や受付の電話番号等の周知徹底に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。では、よろしくお願いします。
 最後に、夜スペシャルについてお伺いしたいと思います。
 理事会でご了承いただきました資料の配布を私どもの同僚の議員からさせていただきたいと思います。
   〔資料配布〕

○伊藤(ゆ)委員 お手元配布の資料は後ほど参照していただきながら使うとして、まず基本的な考えをお伺いしたいと思います。
 東京都教育委員会として、杉並区の地域本部が導入をされました今回の夜スペシャルについてどのようにお考えになるのか、お伺いします。

○岩佐指導部長 本件につきましては、学校の教育活動外であること、生徒の学力向上という公共の利益のためのものであることが明確になったため、関係法規に照らしまして不適切なものではないと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 杉並区教育委員会とは何度か協議をされていると思うんですけれども、協議はいつからあったんでしょうか。

○岩佐指導部長 事前の相談はございませんでした。昨年の十二月九日付の新聞報道で初めて知るところとなったところでございます。報道後、杉並区教育委員会に詳細問い合わせたところ、実施方法等について教育の機会均等等の確保などの観点から疑義が生じたため、一月七日に同区の教育委員会に対しまして文書で再考を求めました。
 これに対しまして、一月二十三日に疑義に対する検討結果をまとめた文書をいただき、翌二十四日の都の教育委員会におきまして、都教育委員会の見解を決定し、同区教育委員会に伝えたところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 我々議員も、杉並区との協議がいつあったかというのは存じ上げておらなかった方々が大半だと思いますので、当初、東京都教育委員会がこの夜スペシャルについては容認しないんじゃないかと思っていたところ、今度は容認するのではないかという報道があって、そして、どうもその判断が二転三転しているんじゃないかというふうに伝わってきたわけでございます。
 都の判断が二転したんじゃないかと我々が思ったり、あるいはそういうふうに報道をされた理由は何でしょうか。

○岩佐指導部長 本件につきましては、内容に幾つかの疑義が生じましたため問い合わせをしたものでございます。それに対して杉並区教育委員会より回答がございまして、疑義が解消されたものでございます。したがって、判断を変えたものというものではございません。

○伊藤(ゆ)委員 疑義というのは、学校自体がこの夜スペシャルを主催するのか、それともいわゆる第三者が主催をするのか、つまるところ地域本部とこの学校においてはいわれると思いますが、それによってまさに判断が分かれるということを今おっしゃっていただいたんだというふうに思いますけれども、杉並区の場合は、杉並区というよりももうちょっと限定的にいうと、和田中の場合は、藤原校長先生が地域本部を学校に設置されて、そこでボランティアの方々を活用してふだんの学習にも当たっているということですけれども、例えばそれぞれの区でも賛否両論あると思いますが、夜スペシャルをやってもらいたいという声が出てきた場合、他区が実施をするに当たって、地域本部がうちにはありませんよという場合、どのような方法だとこれが東京都教育委員会から見たときに容認されるのか、伺いたいと思います。

○岩佐指導部長 運営する組織のあり方につきましては、各自治体の条例や規則により決定するものでございまして、都教育委員会で判断するものではないと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 そうすると、東京都教育委員会が判断するのではないということになれば、例えばPTAの主催だとかNPOの主催だとか、そういういわゆる学校が主催をするとなると問題が、先ほど答弁にあったように疑義が出てくるということであれば、第三者が主催するということに関しては、東京都教育委員会としては判断するところじゃないということは、そういう方法で可能だというふうに受けとめられるわけでございます。
 さて、それを踏まえた上で質問していきたいというふうに思いますが、前回、十一月の質疑のときに、私は、都の目指す学力とは一体何でしょうかというふうに伺ったところ、都の教育委員会の答弁は、国が目指す学力と考えは変わらない。そのときに質疑をしたのは、まさに国の目指す学力とは何かといえば、基礎的、基本的な知識、技能の習得、知識、技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現など、そして学習意欲であるというふうにいわれていました。まさに東京都が目指す学力もこれなんだと思います。
 これらの学力というのを非常にわかりやすくするために三つに分けるとすれば、人が生きていくために必要な知恵とか、まさにそういう学力だとか、それから、もう一つは、なぜ僕は勉強しなければならないんだろうか、こういうことを気づかせていく、学習意欲を高める学力だと。そして、もう一つは、まさに受験や塾に見られる基礎学力、読み書きそろばんの世界だというふうに思います。
 そこで、三つの学力がそれぞれ学校には、使命として求めていく中であるんだということを押さえた上で、いわゆる進学塾は、都が目指す基礎的、基本的な知識、つまり基礎学力の向上に貢献しているのかどうかということを伺いたいと思います。

○岩佐指導部長 進学塾の目指す学力にはさまざまなものがあると推測されますので、貢献しているかどうかについて言及することはできません。

○伊藤(ゆ)委員 国がまた全国学力調査を再開して、この間、その結果が発表になりました。お手元の資料にはないんですが、もう皆さん、東京都教育委員会にはお持ちだと思います。学校の勉強より進んだ内容や難しい内容を勉強していると答えた通塾の子ども、塾に通っている子どもは、塾に通っていない子どもよりも数学で何と十四点も平均点が違っています。もちろん通塾生の方が上だったということです。
 都はこの数字を見ても、進学塾が基礎的な学力の向上に貢献していないといい切れるのでしょうか。

○岩佐指導部長 国の調査は、通塾している生徒と通塾していない生徒について、それぞれの割合とその平均正答率を示したものでございまして、入塾後の生徒の学力の変化を示したものではございません。したがいまして、この資料をもって、塾に通う、通わないによって学力差が生じるかどうかについて言及することはできません。

○伊藤(ゆ)委員 ちょっと無理のある解説だったんじゃないかなというふうに思います。現に、塾に通っている子が通っていない子に対してどれだけ平均点が高いかということですから、素直に読み取れば、進学塾が基礎学力に一定の貢献をしているというふうに読み取れると思います。
 では、今のお答えがありましたのでお伺いしますが、都は、何で国が進学塾と子どもの学力の関係を調べる調査を今回したというふうに解釈しているんでしょうか。

○岩佐指導部長 塾と学力の関係につきましては、国の今回の調査の中で調査をしているところでございますが、これに基づきましても、塾に通っている生徒の方が学力が高いということを--学力の変容が、塾に入った後、その塾の中で学んで学力をつけたということを示すものではないと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 じゃ、もともと勉強のできる子だったから塾に行っていて、もともと勉強のできない子は塾に行っていないというふうに、今の答弁は逆に解釈できるんですが、恐らくそんなふうに考えていらっしゃる方はいないと思いますので、そこを無理に質問いたしませんけれども、国が、恐らく何十年か前に学力調査をやったときは、こういう統計をとらなかったと思います。しかし、時代が変わって、やはり塾と、それから公立学校の関係というのを、まさに今回、夜スペシャルが始まったように、時代が変わって、調べる必要があるんじゃないかということで、国はこういうことを調査の項目として追加されたんだと思います。
 そして、国の調査というのは当然東京都におりてきていますから、東京都も、それから市区町村もその調査結果を使ってそれぞれの学校の運営に当たるわけですが、そうすると、東京都はこの調査結果を活用する必要性がないというふうにとらえているんでしょうか。

○岩佐指導部長 都教育委員会におきましては、日ごろの学校における学習活動の中で、すべての生徒に確かな学力を身につけるよう指導をしていきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 全然質問に対する答えになっていないので、もう一回いいますけれども、塾に行っているお子さんの学力と、それから行っていないお子さんの学力を相対的に見れば、行っている子の学力が高いですよね。しかも、数学で十四点も高いですよね。この数字というものを学校教育現場において生かしたり、この調査そのものを生かしたりする必要性を感じていないということですか。

○岩佐指導部長 先ほども答弁申し上げましたとおり、国の調査は、塾で要するに学校の授業よりも進んだ内容を学習する生徒の平均正答率が、学校での学習内容で基本的なことを学んでいる子どもの平均正答率よりも高いというものを示しているのでございまして、塾の中に入って学んだ結果、学力が向上したということを示すデータではないと考えております。
 したがいまして、先ほどいいましたように、学校における教育活動の中ですべての子どもたちに確かな学力を向上させるように取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 こんなこと別に数字を挙げなくたって、一般常識で、塾に通っていれば、通っていない子どもよりも進んだ授業にもなるわけですし、学力が高くなるだろうと思って、大概のお父さん、お母さんたちは、この中にもいらっしゃると思いますけれども、子どもを塾に通わせているんじゃないですか。
 それで、私がいいたいことは、基本的にはやはりそういう数字というものが、少なくとも国の学力調査というのは到達度調査ですから、皆さんの偏差値をばあっと進学塾のように出しましょうということではなくて、どれだけ落ちこぼれている人がいて、どれだけいないのかということをはかるための学力到達度調査です。ですから、平均点が八十点ぐらいになるのです。その中でも十四点も差が出ているんですよ、こういうことをまず指摘をし、ですから、塾に行っているお子さんの学力が高くなっているということが、まさにこの国のデータからもはっきりしているんじゃないですかということを申し上げているので、もうちょっと素直に数字を読んでいただけたらありがたいなというふうに思います。
 そこで、国の調査、国の調査という話がありましたので、ほかの調査結果も、まさに今お手元の資料で見ていきたいというふうに思っております。
 まず、お手元の資料を見ていただきたいと思います。学校外教育費支出月額別の算数学力平均値というのがあります。お茶の水大学でとられた調査結果ですけれども、まさにこれによれば、学校外教育費というのは塾だったり家庭教師だったりします。それがゼロ円のお子さんと、それから五万円を超えるお子さんとでは、これだけ平均点が違いますよ。最大でたしか四十点以上、四十三点も違ったわけでありますけれども、こういう調査結果も具体的に出ているわけです。
 つまりは、学校以外の塾や家庭教師を使っていれば平均点がもっと高くなる。これは何でこれだけ評価が違うか。さっきの十四点よりも四十三点違うかといえば、まさにさっきお話ししたとおりの国の学力調査と基本的にとらえ方が違う。もっと具体的に、受験でこういう差が出てくるということの証左だというふうに思います。
 こういう話をすると、いや、学校というのは基本的に受験勉強の学力を上げるためだけじゃないんだという話になると思います。ですから、私も最初にいったように、学力は三つに分かれているので、その基本的な、まさに塾で教わる学力以外の学力については、多くのお父さん、お母さんたちもまさに学校に期待をしています。
 ここに、独立行政法人労働政策研究・研修機構がとった調査結果があります。こういう緑のグラフです。ここに、一番上に何が書いてあるかというと、学校で身につけさせたい親が期待をする能力は、一番はコミュニケーション能力、その次は人を思いやる力、その後に読み書き、基礎的な学力が出てきて、責任感とか協調性とか忍耐力とか、まさに塾では教えてくれなさそうなことがここにあるわけです。
 ですから、学校現場に必ずしも何も期待していないというわけでは全くありませんけれども、一方で、今度は基礎的な学力について、その学力低下防止策は何かと問えば、ある調査では三六・四%の圧倒的な人たちが学習塾に通わせることだというふうに答えているわけでございます。これも何かデータを見せるまでもなく、皆さんの実感にもそういうことがあるというふうに思っています。
 私がここで申し上げたいのは、塾と、それから学校の役割をもう一回改めて整理していくべきじゃないだろうか。それはなぜかというと、塾に行っているお子さんが物すごく受験勉強に対応できる能力がどんと上がっていくという現状がこういうことにつながっているからだということでございます。
 それは、その次の東京大学が行ったアンケート調査でございます。
 二〇〇六年に東京大学が行ったアンケート調査、この横長のグラフですが、主たる家計支持者のというものですけれども、要するに、東京大学の今通っているお子さんの親の所得を比較していくと、一番左側が四百万円未満の人たちなんです。そこからだんだんに金額が上がってくるんですけれども、つまり親の所得が低ければ低いほど、今多くの人がこの東京大学に通っていない。つまり、大体四百五十万円未満から大体七百五十万円未満ぐらいというのが、恐らく大半の子どもを育てている親の収入であるにもかかわらず、それが大半を占めているどころか、四百五十万円未満に関しては一四・九%、一九九〇年のときには九・八%になっているということでございます。
 それから、もう一つは、世帯の所得別の数学の学力平均値を見ていただくとわかるんですけれども、下が世帯の収入です。収入がふえればふえるほど、その子どもの学力の平均値が高くなっている。
 まさに、塾に通わせられるお金があれば学力の平均値が高くなっているという全体傾向が、今の調査結果を見ておわかりになっていただけると思うんですけれども、見ていただいた上で、こういう調査結果というものを活用して、そして今の学校を取り巻く認識というものを把握していくべきではないですか、こういうことを伺いたいんですけれども、どうでしょうか。

○岩佐指導部長 お茶の水女子大学のデータ等を見せていただきましたけれども、一つのデータであるかと思います。
 ただ、私どもがこれまで掌握していたところでは、家庭の経済収入とその家庭の子どもとの学力の相関関係を示すデータ等については承知しておりませんで、個別には言及することはできませんが、経済的な問題だけではなくて、私どもは学校教育にかかわる者として、先ほど申し上げましたように、すべての子どもたちに確かな学力をつけるように、なお一層取り組んでまいりたいと思っております。

○伊藤(ゆ)委員 一つの調査結果をもとに全体がはかれないということであれば、私が聞いているのは、こういうことをちゃんとはかって、学校に何が求められていて、今学校に何が足りないのかということを、少なくとも基礎的な学力の世界の話ですよ、調査されたらいいと思うんです。一個のことでわからないというんだったら、東京都が自分たちで確信の持てる調査をされたらいいと思いますけれども、どうでしょうか。

○岩佐指導部長 特に調査をする予定はございません。

○伊藤(ゆ)委員 それは、調査の必要性がないということでいいんでしょうか。

○岩佐指導部長 調査の実施に際しましてさまざまな課題もあるかと考えられますので、考えておりません。

○伊藤(ゆ)委員 さまざまな課題というのは何でしょうか。

○岩佐指導部長 収入にかかわる個人的なプライバシーの問題や、あるいは人権等にかかわるような問題があるかと思います。

○伊藤(ゆ)委員 東京マラソンでさえ、それぞれの年収なり職業を書いてくださいという項目をつくっているんですよ。自分のまさに都合のいいところだけプライバシーを持ち出されても、じゃ、東京大学の調査はプライバシーの侵害でしょうか。むしろ、今の現実を把握し、そしてどういう人たちが最高学府といわれているところに入学をされているのかということを、まさに検証材料としてちゃんと調査しているんじゃないですか。
 むしろ、今東京都が、一つの調査結果では何ともいえないとか、あるいは学校教育は学校教育で能力を高めていくので、そういうことは必要じゃないというのは、周りを見ないで、まさに井戸の中の何とかになってしまっていて、自分たちの教育現場だけ見ていればいい、そういう姿勢があるから、今多くの保護者の人たちが学校公教育から期待感を、私立だったり塾だったりに移してしまっているんじゃないですか。
 つまり、私は基本的に公教育はうんと学力が上がっていくべきだと思います。まさに公教育が上がっていくから、親の収入格差が子どもに連鎖しないという、そういう社会がつくれるんじゃないですか。だとしたら、まさに今、塾とそれから公教育と、親がどういうふうにこの環境を見ているのか、教育状況を見ているのかということをちゃんと調査する必要があるんじゃないですか、こういうことを申し上げているわけです。
 実際に今、親の収入格差が子どもの教育格差につながるかもしれないと申し上げましたが、さらにそれ以上のことになるんじゃないかという指摘をしておきたいというふうに思います。
 それは、独立行政法人の労働政策研究・研修機構、皆さんのお手元の配布にもあります、ちょっと見にくいグラフですけれども、要するに、標準の労働者の生涯賃金を大卒と中卒と高卒とで比較をするとどれぐらいになるのかというデータなんです。
 つまり、私は、もちろん手に職があって立派にいろんな仕事をされる方もいらっしゃると思います。それはそれとして、全体傾向として、まさに学校の学歴のある者が生涯賃金にどういう影響を与えるかという客観的なデータとして見ていただければ結構です。
 それによれば、大学卒業生もしくは大学院卒業生は二億八千九百万円、これが多くの大卒の生涯賃金です。それに対して高卒は二億五千六百万円ぐらいになる。中卒だと二億二千二百万円ぐらいになる。大体二千万円ずつぐらいの差が生まれてくるということでございます。この話でいくと、ぐるぐるぐるぐる回るんですけれども、まさに親の収入が低ければ、いや、それでも私は幸せだという人はいるかもしれませんけれども、さっきの見ていただいたとおり、親の所得が低ければ、その分、子どもの教育費に回る金額は下がります。その分、学力は、さっきの傾向からいえばその子どもは下がってしまう。お金をかけてもらえる子は上に上がる。
 そうすると、ぐるぐるぐるぐる循環して、お金持ちの子どもは五万円以上、月々に進学塾なり家庭教師なりつけてもらえる。この循環がずっと続くことが果たして本当にいいことなんでしょうか。その循環をまず把握した上で、教育行政をちゃんと考えるべきなんじゃないでしょうかということを私は申し上げているんですけれども、もう一回、部長、いかがでしょうか。

○岩佐指導部長 学校教育の中で、一人一人の児童生徒の学力の向上に一層努めていきたいと思います。
 なお、今お話を伺いましたことについては、参考とさせていただきたいと思います。

○伊藤(ゆ)委員 精いっぱいのご答弁ありがとうございました。
 それで、これもせっかくつくってきたのでごらんいただければいいんですけれども、世帯の年間収入別、学校種別補助学習費。簡単にいうと、世帯の所得に応じて、今子どもが、例えば私立中とか私立小学校とかいろいろあると思うんですが、それぞれ年間に幾らの学校外、塾だとかなんとかに金を使ってもらっているかということが、こっちの左側の縦のグラフで出てくるわけです。
 ですから、例えば四百万円未満のお父さんたち、お母さんたちの子ども、高校であろうが小学校であろうが、ゼロ円ぐらいから大体、年間で十五万円ぐらいまで使っています。
 ところが、大体一千二百万円ぐらいの所得の人で見ていくと、特にわかりやすい例は、中学の公立です。高校受験が控えているからだと思いますが、これの差がかなり大きなものが、見ていただければわかると思います。要するに、一千二百万円ぐらい以上所得のある人は、年間で子どもにかけられているお金がというか、学校外のお金が三十五万円ぐらいある。片や、大体こっちが十五万円ですから、二十万円ぐらいの差がもう既に生まれてきてしまっていますよということです。
 ですから、今いったことの補助的な資料にすぎませんが、こういうデータというものが各種さまざま出てきています。何で最近出てくるようになったかといったら、この時代、少子化にもかかわらず、塾の経常利益は三年ぐらい前に最高収益になっているわけです。なぜ子どもが少なくなっているのに塾の利益が上がっているかといえば、それは間違いなく一人一人にかけられている子どもの金額というものが、特に塾やそういう進学塾で物すごく大きくなっている。その傾向がまさに見てとれるのでさまざまな、東大も含めてですよ、あるいは独立行政法人も含めて、こういう調査をされているわけです。
 東京都教育委員会というのは、まさにこういう教育を取り巻く環境というのをちゃんと調べて、その上で、どういう対策をとっていくと格差というものがなくなっていくかということをやるところなんじゃないんですかということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
 そこで、私は、この夜スペシャルに少し戻しますけれども、今回の試みというのは、いろんな議論があると思います。しかし、今まで公教育と、それから塾と、敵対的にとらえられてきたものが、少なくとも和田中の先生たちによれば、これで少し塾の、例えばスキルを盗むこともできるかもしれない、なぜ塾にあんなに子どもたちが関心あるのかがわかるかもしれないということをいっているわけでありますし、また同時に、この授業料も一万八千円から二万四千円という、普通の塾に比べれば随分安いものになっているという意味では、なかなか普通の塾には通わせられないという親が、ここだったら通わせられるかもしれないということで行かせられる、一つの教育格差の是正にもつながるかもしれないということを感じているわけでございます。
 まさに、教育現場の多くの先生たちに聞くと、大概、とにかく塾と学校は違うんだ、違うんだ、塾がやっていることというのは、基本的に我々がやっていることと全然違うので、それはもうわきに置いておいてほしいとかいうことになるわけですけれども、もう親自体がそういう意味ではそういう感覚ではなくて、当然、学校の中でも基礎的な学力をもっと高めてほしいという要望もいっぱいあるわけです。
 ですから、幕末時代の鎖国ではありませんので、確かに塾という黒船が今到来してきていて、塾の先生ではなかった学校の先生は危機意識を持っているところがあります。多くの保護者も多分、夜スペシャルが成功すれば、うちでもやってくれ、うちでもやってくれということになってくると思います。それでもなお、学校と塾は違うんだといって鎖国をしていては、まさに親が求める公教育の向上にはつながらないと思います。
 むしろ、塾にのみ込まれる学校ではなくて、塾自体をのみ込んでしまう学校になるためにも、まさに幕末のときに、ジョン万次郎じゃありませんけれども、向こう側の内容というものをよく理解をし、そして学校教育に生かすべきだ、こういうふうに考えるんですけれども、教育長のご所見を伺います。

○中村教育長 先ほど来、難しい問題をご提起いただいておりますけれども、子どもの経済状況、ご家庭の経済状況いかんにかかわらず、児童生徒の学力向上に対する取り組みにつきましては、学校教育において着実に進めていくことが重要であるというふうに考えておりますし、その学校教育の一層の充実を図ることこそが、私ども教育委員会の使命であるというふうに考えております。
 お話の塾につきましては、別に敵対するという考えもございませんし、否定するものでもございません。先日ですか、NHKの夜の特別番組でこの問題を取り上げておりましたけれども、杉並区の夜スペシャルにつきましては賛否両論ございました。この杉並のような、本件のような学校教育外の取り組みにつきましては、学校を管理いたします各教育委員会がそれぞれの実情に応じて判断すべきであるというふうに考えております。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございました。そのようにご検討をいただいて、この資料なども何かの参考にしていただければというふうに思います。
 以上で終わります。

○松葉委員 初めに、子どもの健康づくりについて伺います。
 私は先日、知的発達障害がある方のスペシャルオリンピックス日本、冬季ナショナルゲーム・山形に参加してまいりました。この四年に一遍の夏季、冬季のナショナルゲーム、また世界大会においては、ヘルシーアスリートプログラムが実施をされています。これはスポーツのトレーニングや競技をする能力を高めること、そして生活の質を向上することを目指したプログラムで、無料でさまざまな種類の健康チェックを受けることができます。目の健康チェック、歯科、聴力、栄養・生活習慣、理学療法士によるファンフィットネス、足の総合的なチェックであるフットフィートの六部門になっています。
 私も拝見させていただきましたが、個々人が健康診断を受けた後、どう治療をし、生活を改善するかのアフターケアがすぐれている面に大変感銘を受けました。
 東京都教育ビジョンの第二次の中間のまとめの重点施策二十四には、子どもの体力向上と健康づくりの推進が掲げられております。学校、家庭、地域が一体となって子どもの健康づくりを推進していくとされています。生涯にわたる健康的な生活の基盤をつくる学齢期に健康づくりを推進していくことは大変に重要であると思います。
 そのためには、子どもがふだんから自分の健康状態に関心を持ち、知っていくことが大切であり、そのためには学校の健康診断を活用していく必要があると思います。
 そこで、学校ではどのように健康診断が実施され、結果が説明されているのか伺います。

○新井学務部長 学校保健法の規定に従いまして、毎年四月から六月にかけまして、内科、眼科、耳鼻科、歯科などの定期健康診断がそれぞれの学校医、学校歯科医により実施されております。さらに、小学校一年生、中学校一年生、高校一年生におきましては、心電図や結核などの詳しい検査も実施されております。
 結果につきましては、個別に保護者に知らせるなど、学校と家庭が連携して子どもの健康管理ができるように努めております。

○松葉委員 学校、家庭、地域が一体となって子どもの健康づくりを推進していくためにも定期健康診断の結果を活用していく必要があると思いますが、学校ではどのような取り組みをしているのか伺います。

○新井学務部長 都教育委員会では、各学校におきまして学校、家庭、地域、それぞれが参加する学校保健委員会を開催いたしまして、子どもの健康づくりの推進について協議する機会を設けるように働きかけております。
 定期健康診断の結果についても、学校保健委員会の重要なテーマとして報告、協議し、学校での健康づくりの基礎資料として活用しているところでございます。

○松葉委員 学校保健委員会は、学校における健康づくりにとって大変有意義な組織であると思います。
 ところで、家庭、地域の代表とは具体的にどのような方々が参加されているのか。また、現在、学校保健委員会はすべての公立学校に設置をされているのか伺います。

○新井学務部長 学校保健委員会でございますが、PTAや地元の医師会、歯科医師会、薬剤師会や保健所などの方に参加していただいております。
 都内の公立学校における学校保健委員会の設置率は平成十八年現在で平均で八〇%でございます。

○松葉委員 学校保健委員会にぜひ、平成二十年度から設置が始まる予定でございます栄養教諭なども入って食育の観点も含めるなど、それぞれの学校保健委員会の充実を推進していただくように要望をさせていただきます。
 また、すべての学校に学校保健委員会を設置し、健康づくりを進めていくべきであると考えますが、設置の推進に向けた今後の都教委の取り組みについて伺います。

○新井学務部長 健康づくりの推進にとどまらず、生活習慣の乱れや食育の推進など、現代の新しい子どもの健康課題に対応していくためには、学校、家庭、地域が連携して取り組む必要がございます。
 そのためには、学校保健委員会が中核的な組織としての役割を果たす必要がございまして、その重要性につきまして都立学校や区市町村教育委員会に周知徹底させまして、平成二十一年度を目途に、都内の公立学校全校に学校保健委員会が設置されるよう指導を働きかけてまいります。

○松葉委員 平成二十一年度を目途として都内の公立学校全校に学校保健委員会を設置するようにというようなご答弁でございましたけれども、WHOが提唱しておりますヘルスプロモーション、いわゆる人々がみずからの健康をコントロールし、改善することができるようにするという考え方がありますけれども、子どもたちが生涯にわたり健康に生活していくために、自分で自分の健康を維持管理していくことができる健康教育が大切だと思います。ぜひとも学校保健委員会を中心に、子どもたちの健康づくりに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、学校支援地域本部事業について伺います。
 地域社会の中で、放課後や週末などに子どもたちが安全で安心して健やかにはぐくまれることを目指して、平成十九年度から放課後子どもプランが実施されています。
 放課後子ども教室につきましては、委員会でも私も何度か取り上げさせていただいております。学校を拠点として子どもたちの適切な遊びや生活の場を確保したり、地域の方々の参画を得ながら学習やスポーツ、文化活動、地域住民との交流活動の取り組みを実施するものであります。次代を担う子どもたちを育成するためには、家庭や地域住民が学校と連携し、多様な教育の機会や場を整備する必要があると考えます。
 このことの重要性は、平成十八年十二月に改正された教育基本法の第十三条として、学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとするという条文が新設されたことでも明らかであります。この教育基本法第十三条の趣旨を受けて、文部科学省では、都道府県教育委員会に対する委託事業として学校支援地域本部事業を施策化したと聞いております。
 そこで、都教育委員会として本事業をどのように実施をしていくのか、説明を伺いたいと思います。

○皆川生涯学習部長 学校支援地域本部事業は文部科学省が平成二十年度の新規事業として施策したものでございます。都教育委員会が国からこの事業の委託を受け、区市町村教育委員会に対し再委託をする事業でございます。
 都教育委員会としては、本事業の実施を通じまして、地域住民やNPO、企業といった多様な教育資源によって学校教育支援活動を活性化する仕組みを区市町村に広げていきたいと考えております。

○松葉委員 学校教育支援活動を実施していく上で、地域にある多様な教育資源を積極的に活用するということは非常に重要なことであると考えます。
 杉並区では平成十四年度から国に先駆ける形で学校教育コーディネーター制度を導入しております。学校教育コーディネーターは、総合的な学習の時間や各教科、部活動などで学校が必要とする外部人材を紹介するとともに、学校と地域のかけ橋として相互の連絡調整を図り、円滑に活動を進めるための支援を行い、着実に成果を上げております。
 また、私が先日訪問いたしました世田谷区の小学校では、企業と連携した環境エネルギー教育の授業が実施されておりました。その授業もコーディネーターが企画したものだと伺いました。社会の第一線で働く大人たちの話を聞き、その授業では電気を起こす実験というのを行っておりましたけれども、大変に生き生きと一生懸命に子どもたちが取り組んでおりました。このように学校の授業や放課後の居場所などを通じて、子どもたちが社会で活躍する方々と出会う機会を広げることは、子どもたちの成長にとって非常に大きな意味があることだと考えます。
 そこで、専門性を有する人材を学校や地域における教育活動に積極的に活用していく、その機会づくりをセッティングする役割が非常に大切だと思います。その意味から求められるのがコーディネーターの存在です。学校支援地域本部事業では、退職教職員やPTA経験者など、学校や、また地域の現状をよく理解している人をコーディネーターとして想定しているようでございますが、都教育委員会としてはコーディネーターの重要性をどのように認識しているのか、見解を伺います。

○皆川生涯学習部長 今、委員からお話がありました杉並区や世田谷区を初めといたしまして、コーディネーター制度を導入している幾つかの区市がございます。そのいずれの地域でも学校教育活動が活性化したという評価を得てございます。
 都教育委員会としては、地域にある多様な教育資源の積極的な活用によりまして、学校教育活動を活性化させ、地域の教育力の向上を図るためにもコーディネーターの存在が不可欠であると考えております。

○松葉委員 コーディネーターの必要性について、都教育委員会が認識をしていることはわかりました。
 では、都教育委員会としてコーディネーターをさらに全都に広げていくために、今後どのような取り組みを進めていくのかについて、具体的な方策についてお伺いいたします。

○皆川生涯学習部長 都教育委員会では区市町村における学校教育支援の取り組みが進むよう、地域教育推進ネットワーク東京都協議会と連携いたしまして、支援活動の中核を担うコーディネーターを養成するとともに、コーディネーターの経験交流や研修機会の提供、さらにはコーディネーターマニュアルの作成などに取り組んでまいります。

○松葉委員 今、コーディネーター養成に力を入れていただく旨のご答弁がありましたけれども、子どもたちの幸福のために学校自身はもちろんのこと、地域社会を挙げて学校教育の支援を行う取り組みをぜひとも積極的に進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○古館委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時七分開議

○古館委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○大山委員 私からは、まず最初に、この間報告を受けました東京都教育ビジョン(第二次)の中間のまとめについて質疑をします。
 この第二次東京都教育ビジョンについては、前回の教育ビジョン策定から五年が経過して、東京都の教育をめぐる状況や課題を再整理し、新たな取り組みの方向や重点施策や五年程度を計画期間とした推進計画を示すということですけれども、計画に当たっては、これまで都教委が実施してきた教育施策がどうだったのか、都民がそれをどう評価しているのか、それから、都民の教育ニーズなどをきちんと把握し、分析することがまず必要だと思っています。
 今回、第二次のビジョンをつくるに当たって、現在の東京都の教育の現状や都民の意見やニーズ、どのように調査したんでしょうか。

○石原参事 今回のビジョンの策定に当たりましては、有識者や公聴会あるいはPTA連合会などからヒアリングを行いまして、子どもたちをめぐる課題や子どもたちに身につけさせたい力などについて把握をしたところでございます。
 今回の中間のまとめの公表に際しましては、パブリックコメントや教育モニターへのアンケートを実施しており、現在、集計分析中でございます。

○大山委員 前回は教育ビジョンの基礎資料を得るということで、都民意識調査を実施いたしました。モニターじゃなくて、都民意識調査を実施しました。都民の声に加えて、わざわざ企業の意見を聞いていることだとか、ビジョンの中では調査結果よりも財界の教育提言が重視されているという問題点はありましたけれども、前回のは、一次のは曲がりなりにも調査を行っています。
 前回から五年が経過しているわけですけれども、習熟度別授業が推進されたり、東京都や国の一斉学力テストが実施されたり、学校選択性が広がったり、都立高校も統廃合計画、実際に統廃合が進みまして、夜間の定時制が半分になってしまったり、それから都立の中高一貫校ができたりということで、激変しているといっていいと思うんです。
 全国的には少人数学級が、東京を除くすべての道府県に広がったという変化もありました。そうしたものが都民にどう評価されているのか。また、前回ビジョンで掲げた三十三の提言が、進捗状況は後ろの方に、これ、出ていますけれども、それが都民にどう評価され、都民ニーズに本当に合っていたのかという調査はありません。
 まず、そうした客観的な調査を行って、きちんと反映させることを求めておきます。
 この中ですけれども、子どもたちが今どういう状況に置かれているのか、こういう分析が不足しているために、本当に今の子どもたちはそうかなと耳を傾けざるを得ない描写が見られます。例えば、一六ページには、子どもの規範意識や倫理観の低下だとか、自己の権利は主張しても、みずからが果たすべき責任の自覚や正義感、志が欠けてきているなどといった指摘があるという表現だけれども、殊さらそれを取り上げて強調しているわけです。自己の権利は主張しても、みずからが果たすべき責任の自覚や正義感、志が欠けてきている、いつ、だれが指摘しているんですか。

○石原参事 先ほど申し上げました件でございますが、十九年九月から十月にかけまして行いました有識者との懇談あるいは公聴会、PTAなど、教育関係者からの意見を伺う中で、例えば権利意識が強く、集団の中で対応できないこと、あるいは規範意識が低下していること、あるいは自分たちが社会を担うという進取の気概を育成することが課題であるというようなことなどの意見が寄せられているところでございます。

○大山委員 これ、どういうのですかともらいましたけれども、ここ、新・東京教育ビジョンに関する有識者等の発言骨子となっていますよ。有識者、A、B、Cと名前も匿名、それから団体名も匿名、そういうものしか出なかったわけですけれども、それがそうですね。
 しかし、私、実際には権利といっても、最近若い人たちと接していて本当に感じるのは、例えば基本的人権や労働基本法を初めとする労働者の権利ですら、学校で十分に教えてもらっていなくて、主張しようにも権利そのものを知らないという現実なんです。
 学校で教えられていないことと、それから、規制緩和によって派遣や非正規雇用など、立場の弱い働き方をしなければならない若者が急増して、有給休暇をとれることすら知らなかったとか、仕事上のちょっとした失敗、例えば運んでいてお皿を割っちゃったとかということをしたら、給料から減らされても仕方がないと思っていたり、あしたから来なくていいよといわれれば、泣き寝入りするしかないと思っていて、労働組合に相談して初めて労働者としての権利を知ったという若者も多いわけです。権利を主張するどころか、意見をいってもいいんだとわかって初めてびっくりする、こういう実態なんですね。
 東京都では、子どもの権利条約の策定の準備が青島知事時代までは進められていました。しかし、立ち消えになっています。都教育委員会に至っては、国連の子どもの権利委員会に名指しで、定時制高校に関連して子どもの権利を保障していない状況を改善するよう指摘されていますけれども、何もしないという状況ですね。こうした態度は改めるべきだと思います。
 子どもたちに基本的人権や思想、信条の自由、学問の自由などの権利だとか、それから子どもにも意見表明権があることなどをきちんと教えることが必要だと思いますけれども、どうですか。

○岩佐指導部長 学習指導要領に基づきまして、児童生徒の発達段階に応じて、社会科や公民科等を通して基本的人権や思想、信条の自由、学問の自由などのさまざまな自由、子どもにも意見表明権があることなどを指導しております。

○大山委員 子どもたちのといいますか若い人たちの現状を見ると、さっき述べたような状況です。ぜひ憲法、それから子どもの権利条約を含めてその立場できちんと引き続きやっていっていただきたいと思います。
 それにつけても、権利ばかり主張して、やることをやらないなど、子どもをゆがんだ目で見ては正しい施策の方向は出てこないと思わざるを得ません。
 親についても同様のゆがみ、親への見方のゆがみを感じました。二〇ページには、一部の親に対しては、子どもを健やかに育てることがみずからの責務であると自覚させる必要があるとか、適切なしつけや子育てを行うことができない一部の親と、こうありますね。もちろん、虐待などについては子どもを守るということを最優先に対応することは当然です。しかし、教育委員会が、一部にだめな親がいるというような評価とレッテルを張って、自覚させる必要があるという上から見おろした物のいい方をするというのはどうなんでしょう。さまざまな事情があって子育てがうまくいかずに悩んでいる親をだめな親と決めつけて、自分はだめな親といわれないんだろうかと親にプレッシャーを与え、追い詰める社会的風潮を生みかねません。
 例えば、生涯学習審議会、十二月にこれを出しました。いろいろ私も意見はありますけれども、これにでも、乳幼児期からの子どもの発達を地域で支えるための教育環境づくりのあり方についてですけれども、自覚させる必要があるなんていう見下したようないい方はありません。そうした姿勢ではよい施策を生むことはできないですから、改善するよう強く要求しておきます。
 次に指摘したいのは、このビジョンは、教育行政が真っ先に取り組むべき教育環境の整備については非常に貧弱だということです。
 例えば、特別な支援が必要な子どもの教育の充実、これ、三六ページです。特別支援学校、小中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒数は急激に増加していると述べると同時に、日本語指導が必要な外国人児童生徒数も増加しているとしていますね。外国人の子どもたちへの教育が施策の柱の一つとして位置づけられたというのは大変重要な前進だと思っています。
 そして、すべての子どもたちに次代を担う力を身につけさせるためには、特別な支援が必要な子どもたちについても、個々に応じた適切な教育環境を整備していくことが求められる、こう述べているわけです。
 問題は、これらをどう実現するかだということですね。書かれている施策は、この間、何回も取り上げてきたので詳しくはいいませんけれども、例えば特別支援教育でも、子どもが急速に増加して教室が足りない超過密状態なのだから、まず学校増設をして教育環境を整えるのが教育行政の第一の仕事です。都内でも、例えば江東区など、子どもたちがふえている地域では、小学校を新設しているんですね。これは当然なことです。しかし、都教委は学校数をふやさないということに固執して--東京都の教育行政の姿勢はきちんと変えて、必要なものは増設もするということで位置づけるべきです。
 外国人、日本語の教育が必要な子どもたちの教育では、相談体制の充実や入試問題にルビを振るなど、今までそれもなかったわけですから一歩前進ではあります。しかし、必要な施策として、就学機会の周知を徹底する必要があると三八ページにありますけれども、本当にそれだけでいいのかということなんです。
 情報提供の充実も必要ですけれども、より根本的には、就学したくても、学校に行きたくても日本語学級が少ない現状をどうしていくのかということが重要です。すべての区市町村に、小学校、中学校それぞれ一校以上は日本語学級を設置する必要があると考えますけれども、どうですか。

○新井学務部長 日本語学級の設置につきましては、設置者でございます区市町村教育委員会が、対象となる児童生徒の状況、学校施設や地域の実情等により判断すべきものでございまして、都教育委員会といたしましては、区市町村教育委員会からの協議に対して同意する立場にございます。

○大山委員 区市町村からきちんと上げられるような体制も含めてとってもらいたいし、上がってきたらきちんと認めてもらいたいと思います。
 都立高校ですけれども、外国人生徒の受け入れ体制の充実といっているわけですね。そういうことをいうんだったら、外国人枠が他県と比べても圧倒的に少ない。この間、私もいってきました。
 受け入れ校、定数を抜本的にふやすことを強く求めますが、どうですか。

○新井学務部長 東京都教育委員会は、平成二十年度に開校いたします都立立川国際中等教育学校におきまして、帰国生徒とともに、在京外国人生徒についても新たな受け入れ枠を確保したところでございます。
 また、二十年度の都立高校入学選抜から、希望者に対しまして学力検査問題に平仮名のルビを振り、外国人生徒に配慮した入学者選抜を実施しております。
 都立高校への入学を希望する生徒のうちで、日本語指導が必要な外国人生徒につきましては、現在実態把握に努めているところでございます。

○大山委員 立川国際中等教育学校で受け入れ枠を確保したんだということなんですけれども、それにしても、近県と比べても枠自体が少ないというのは現実です。と同時に、その実態把握をするというふうにおっしゃいましたけれども、これは重要なことです。ですから、ぜひ丁寧に、日本語の教育が必要などういうレベルにあるのかということも含めてきちんと把握して対応していただきたいと思います。
 ビジョンの中間のまとめでは、教育環境の整備にくくられていなくても、教育環境、教育条件を整備することがまず必要だろうという項目も多いわけです。例えば四四ページには、子どもたちが知的好奇心を伸ばし、思考力や表現力を高め、感性や創造性を豊かにしていくための読書活動をさらに推進する、こうあります。これも重要なことですけれども、まず図書館に本が十分そろっていて、そして本を活用できる、本を生きたものにすることができる司書さんがいて、これが実現するということがあるわけですね。
 高校の図書購入費、予算特別委員会の資料でもらいました。九七年度には、都立高校の図書購入費は五億二千九百万円。それが〇六年度には一億九千七百万円。十年前の何と三七%に減ってしまいました。区市町村の小中学校は、小学校も中学校も十年間で約一・五倍ふやしています。
 学校予算の配分は校長裁量だというのかもしれませんけれども、全体として減っているわけですから、こういうことこそ都教委が真剣に対策を考えるべきですけれども、都立学校の図書購入費を抜本的にふやせるよう予算の増額も含めて対策をとるよう求めますが、どうですか。

○新井学務部長 学校はその特色に応じまして、自律経営推進予算の範囲内で予算を弾力的に活用することによりまして、必要な図書等を計画的に購入することが可能というふうになってございます。

○大山委員 実際、さっき述べたように、十年前の三七%まで減ってしまっているんですよね、図書購入費が。自律経営予算なんだから、学校の使いたいようにするんです、必要なものにするんですというけれども、結局、自律経営予算自体が少ないんじゃないですか。
 あわせて、都立高校の図書館司書の新規採用と配置の充実も求めておきます。
 もう一つ、五三ページに、人間関係を築く基礎となる力の育成というところで、自尊感情や自己肯定感を高め、新たなことや困難なことにも挑戦しようとする意欲を高めるために、指導方法などの研究開発を行う、こうありますね。
 ここでも私は、都教委がまずやるべきは条件整備だと思っています。自己肯定感を持つことや頑張ろうという意欲を持つことは大切なことです。そのためにはどうしたらよいのかという点では、少人数学級が非常に効果があるということが数々の研究や実践、国立教育政策研究所の研究、全国の道府県の実践の結果に示されています。
 少人数学級を実施することにより自己肯定感が育ち、一人一人の存在感が増したとか、発言機会がふえ、積極的に授業に参加するなど学習意欲が高まったなどの多くのよい効果が、全国の道府県が実施した結果として挙げられています。これをどう考えますか。

○岩佐指導部長 子どもたちに社会性をはぐくむためには、学級には一定の規模が必要でございまして、四十人学級の中でその社会性をはぐくむことが大切であると考えております。自己肯定感等を子どもに育てる教育活動は、教科の授業はもとより、特別活動や学級経営などさまざまな場面で各学校において取り組んでいるところでございます。
 習熟の程度や興味、関心の違いなど、個人差に応じた学習集団を編制する少人数指導を行うことによりまして、一人一人の児童生徒にとってわかる授業を展開することができ、児童生徒の学ぶ意欲と学力の向上が図られると考えております。

○大山委員 少しは全国の実践だとか、それから研究だとかに学ぼうという姿勢、これ、本当に重要だと思いますし、東京都でもぜひこのビジョンに、五年間ということですよね、入れていないというのは本当に情けないと思っています。
 次に、教員の質の向上についてですけれども、一五ページでは、子どもの指導に十分時間を確保できないといった教員の多忙感があるとしています。
 教員が子どもの指導に十分時間を確保できるようにするためにどんな施策を示したんでしょう。

○松田人事部長 都教育委員会では、これまでも学校全体で組織的に課題に取り組む体制の整備あるいは退職教員や外部人材の積極的な活用などに取り組んできたところでございます。また、ICTの活用などによりまして業務の効率化を図るなど、さまざまな工夫が必要であると考えております。
 こうした取り組みや工夫をより積極的に進めることが教員の多忙感の解消にも資するものであると考えておりまして、教育ビジョンにも盛り込んだところでございます。

○大山委員 というそれだけですよね。中間のまとめにあるように、子どもと接する時間がとれないというのが教員の悩みなんです。ごまかしでなく、そこを深く直視して、質の高い授業のための研究が十分できるような、一時間の授業に一時間の準備の時間を保障できる方策をとることこそ必要です。
 主幹や主任制度などの職の分化だとか人事考課などで給料に差をつけても、教員はやりがいを持って生き生きと仕事ができるわけではありません。この間、主幹の配置目標が全く達成できない、指導主事や管理職になろうという教員が激減していることからも明らかじゃないでしょうか。
 学校に必要なのは教育の自由、自主性、そして民主主義です。今、卒業式、入学式のシーズンになりましたけれども、もう日の丸・君が代の押しつけもやめて、処分はもうやめなさいということを改めていっておきます。
 確かな学力を育成するための授業改善の一層の推進についてということですけれども、第一に、四二ページで、昨年四月に行われた全国学力・学習状況調査報告書が使われていますね。五二ページでも使用されています。この調査結果は、区市町村別の結果を都が公表してはならないとされているものです。ところが、都の教育委員会では、区市町村別の状況はどうなっているか分析して、必要なものは区市町村にも知らせたり、施策に生かすべきだという議論がありました。
 公開できない情報を都が独占して持っていて、それをもとに教育施策を構築するというのは非常に危険です。都が、結果に基づいて、こうすべきだと判断しましたといっても、もとのデータが公開できない以上、だれもそれを事実に基づいて客観的に判断できないからです。
 施策の方向性を裏づける資料に使うなら、抽出の公表できる調査を行うべきですし、そうした序列化や競争激化とともに、こうした矛盾を含む全国学力テストも一斉学力テストもやめるよう、国にもいうべきだと思っています。いってほしいと思っています。
 現在、文科省は学習指導要領の改訂作業を進めており、四三ページでそのことも触れられています。学習指導要領の改訂では、授業時間や学習内容がふえることに加え、学習内容のみならず、指導方法まで事細かに示されていることが問題になっています。
 改訂案は授業時間と学習内容を大幅に増加させるものとなっていることと同時に、各教科の指導内容を示すだけでなく、思考力、判断力、表現力の育成のために考えをまとめて、A4一枚、千字程度で表現するといったことまで細かく例示するなど、指導方法まで指示する内容となっています。学習指導要領に指導方法まで細かく例示されれば、画一的な指導方法が現場に押しつけられる可能性があると懸念されます。
 教育課程や指導方法は、各学校や教師の自主性や創造性を生かし、地域の特性や子どもの状況を見ながらつくり上げ、実践していくものであり、行政が画一的に縛ったり介入すべきものではないと考えますけれども、どうですか。

○岩佐指導部長 教育は地域や学校の実態及び児童の心身の発達段階や特性に応じて効果的に行われることが大切でございます。また、各学校においては教育活動を効果的に展開するためには、学校や教師の創意工夫に負うところが大きく、教育課程は全教職員の協力のもと、校長が責任者となって編成する必要がございます。
 今後とも、都教育委員会は学習指導要領に基づきまして、教育水準を確保し、学校の目的や目標を達成するために基準を設けたり指導資料等を示すなどして、区市町村教育委員会及び学校に適切に指導、助言してまいります。

○大山委員 最初の方にいったように、地域の特性、子どもたちの状況、それから、その教育をつくっていくのは学校の先生たち、それから父母や子どもたちなんですね。だから、介入や画一的に縛ったりすることがないよう、改めて述べておきます。
 それで、教育委員会に必要なものは、介入するんじゃなくて教育条件整備、これに力を入れることだということを述べておきます。
 さらに、この第二次東京都教育ビジョンは、改訂教育基本法で努力義務とされている東京都における教育振興基本計画として位置づけるとしていますね。五ページです。この教育振興基本計画は、国家や行政が、本来学校が自主的、創造的に行うべき教育に対し、事細かに指図する介入につながるのではないかと懸念されているものです。
 東京都教育ビジョンがそうした画一的な教育内容、特定の教育方法、特定の価値観などの現場への押しつけにつながるものとするのではなくて、今の社会の現状を子どもたちや保護者、都民の願いを的確にとらえ、反映した内容として、そのもとで教育行政が本来行うべき教育条件の整備を第一にした内容とすることを強く求めます。
 調査も五年前のもので間に合わせる、それから都民の意見も十分に反映できているかが証明できていないし、発言内容で有識者といっても名前も出せないような資料で、この教育ビジョンを急いで出すんじゃなくて、十分に都民の実態なども反映できるように、教育庁が一番の役割である教育条件の整備についてきちんと施策も出せるように練ってからでいいと思いますので、今急いで出すことはやめてほしいという意見を述べておきます。
 それでは、次は都立高校の授業料の値上げについてです。
 請願も出されて、本当に若い人たちが、高校生も含めて私たちのところにも要請に見えました。多分、議員に要請に来るなどということは初めてという方たちが多かったんでしょうね。ご意見どうですか、こういうふうに水を向けると、本当にどきどきしながら一生懸命勇気を振り絞って話してくれました。この子たちの気持ちをしっかりと受けとめてこたえることが議会の役割だと思います。その立場で質疑をしたいと思います。
 今回の授業料値上げは、現在の年間十一万五千二百円から七千二百円も値上げをして、十二万二千四百円にするという提案であり、石原知事が就任した九九年度の都立高校の授業料と比べると、七年間で一万八千円もの負担増になってしまうということは、定例会前の当委員会で既に明らかにしました。
 そのときも、東京は年収三百万円未満の世帯が三割という事態であること、都立高校に関する都民意識調査の二〇〇七年四月では、都立高校を選んだ理由は、六九・八%が学費が安いからとなっていることは紹介しました。
 都民生活がこのように逼迫する中、どうして都立高校の授業料を値上げするんでしょう。

○新井学務部長 都立高校の授業料についてでございますが、これまで国基準の改定時期に合わせまして改定を行ってきたところでございます。今回は国基準が平成十九年度に改定されたことに加えまして、普通教室冷房化事業に伴い、受益者負担を考慮して改定するものでございます。
 なお、経済的に厳しい状況にある家庭等につきましては、従来から減免制度が適用されておりまして、これにより就学機会が確保できるよう配慮していく考えでございます。

○大山委員 つまり、国の基準に合わせた、冷房費を受益者負担にしてもらう、それから、経済的に大変な家庭には減免制度があるから大丈夫、この三つの理由を答えましたね。私は、これはとんでもない認識だと思っています。
 第一に、国の基準に合わせた、そういいますけれども、国が地方交付税の算定基礎を上げたからといって、それに合わせる道理はありません。国はここ十年近く、二、三年に一回の割合で値上げを繰り返しています。しかし、家計収入が順調に伸びた時代ならいざ知らず、高校生を持つ親の世代の収入は激減しているんです。都の生計分析調査によれば、世帯主が四十五歳から四十九歳の世帯、つまり、中高生を持っているであろう年代の世帯の二〇〇六年の実収入は、知事が就任した九九年に比べて、月ですよ、八万七千円も収入が減っています。五十歳から五十四歳の世帯は十一万円も一カ月に減っているんです。
 さらに、福祉保健局の都民の生活実態と意識という調査があります。これによれば、二〇〇六年は十八歳未満の子どもがいる世帯の一割が年収三百万円未満でした。そして、三割が五百万円未満でした。しかも、その割合は五年前の二倍にも増加しているんです。これらの世帯のすべてが授業料減免対象になるわけではありません。
 こうした状況のもと、国が地方交付税の算定基礎を上げたからといって、不交付団体で、しかも過去最高の都税収入がある東京都が、それに従って値上げをする必要は全くありません。
 現に資料でも出してもらいましたけれども、十県は国基準を下回る授業料を設定しているではありませんか。国基準に合わせるという理由は道理に合いません。
 第二に、冷房経費を受益者負担として値上げに加えていることに対して、冷房は今さら特別なものでもないのに、冷房がなかったことこそ、今の世の中では特別なことだったのに、こう都民の皆さんは本当にびっくりしています。なぜ都立高校授業料の値上げに、冷房使用に伴う経費をのせるんですか。

○新井学務部長 今回の冷房経費につきましては、都教育委員会では、設置工事等については都の負担で実施するとともに、冷房に要する維持管理等の経費については、学識経験者や保護者、学校関係者から成る検討委員会の報告も踏まえまして、受益者負担適正化の観点から保護者負担を求めていくこととしたものでございます。
 普通教室の冷房化に当たりましては、ほとんどの府県において保護者負担を求めておりまして、PTAが設置し、徴収を行っているところや、大阪府のように施設使用料として徴収しているところもございます。東京都におきましては、授業料減免制度の活用が可能となるように配慮し、保護者負担分を授業料に含めることとしたものでございます。

○大山委員 比較をするのに出してくるところが一番授業料の高いところ、大阪府を出してくるような状況、とんでもないですよね。でも、東京都は、全国で二番目に授業料が高くなっちゃうんです。しかも、保護者負担、減免の制度がある、受けられるように、授業料の中に入れてあげたんですよ。そんないい方じゃないですか。とんでもありませんよ。
 今の答弁では、設置工事費等については都の負担。だけど、結局、冷房の維持管理ということでは、電気代だけでなく、冷房機器のリース代まで一〇〇%保護者負担ということではありませんか。今どき冷房設備は特別なものでもありませんし、しかも教室なんですよ。学習にふさわしい環境を整えるのは当然のことです。
 文科省の基準、もちろんご存じだと思いますけれども、夏場は二十五度から二十八度が望ましい、こういっています。こうした施設設備の責任、教育環境を整える責任は、東京都にあるんです。
 そもそも教育条件の整備、それから教育条件を改善したことによって授業料を値上げしたことはあるんでしょうか。

○新井学務部長 都教育委員会といたしましては、生徒の教育環境が向上するよう、従前より必要な予算措置を行っておりまして、教育条件の整備を行ってきたところでございます。都立高等学校の授業料につきましては、受益者負担適正化の観点から、国基準等も参考にして改定しているものでございます。

○大山委員 つまり、今の答弁は、教育条件の整備をするのは東京都教育委員会の責任であり、この間行ってきました、でも、そのために授業料を値上げしたことはありませんということですよね。そのとおりなんですよ。教育条件の整備は東京都の責任なんですから。ですから、当たり前の空調を設置したからといって、授業料に上乗せするなど、とんでもないことだといわざるを得ません。
 文教委員会では、PTAの皆さんの切実な陳情を受けて、冷房設置についても幾度か質疑を行っています。PTAの皆さんの空調施設アンケートでも、教室に置いておいたお弁当が腐ってしまう。もうまさに異常事態だったわけですね。
 生徒の熱中症が毎年ふえて、ひどいときには救急車で運ばれて入院した生徒もいます。本当にもう健康さえも守れない、こういう大変な状況だったわけです。保護者の方は、もう二、三日でいいですから、最も暑い七月中ごろ、一日じゅう生徒とともに教室で過ごしてみてください、こう訴えていたではありませんか。
 検討会が設置され、いろいろやってみましたけれども、全教室で、確実に五度以上温度を下げるためには、冷房が望ましい、そういうふうにこれ、ちゃんと検討会の報告で書いてあります。
 保護者の皆さんが、保護者負担してでも、そういったのは、それほど切実で、このままでは子どもたちの健康も守れない、そう思ったから、その思いの強さ、都がもう動かないことへの怒りなんですね。その気持ちを逆手にとって、保護者負担にするなどということは、あってはならないことです。
 この検討会報告のお話がありましたけれども、報告では何て書いてあるかといったら、全校一斉実施することにより多大な経費がかかるため、一定の受益者負担を求めていく必要がある、こういっていますね。
 都立高校の普通教室の冷房に要する経費の総額は幾らですか。

○新井学務部長 空調設備取りつけ工事に要する経費といたしまして五十七億円、冷房使用に伴う維持管理に要する経費として、一年当たりおよそ四億五千万円を見込んでございます。

○大山委員 私、一昨年六月のこの文教委員会で、残っている学校にすべて設置すると幾らかかるんですか、こういう質問をしました。当時の学務部長さんは、都市ガスを仮に空調に使用した場合に、イニシアルコストは、現段階の試算だというふうに断って、わざわざ検討委員会の資料でも説明しておりますようにと断って、約百六十五億円程度と答えています。
 さっきのご答弁では、空調取りつけ工事に要する経費が五十七億円、維持管理が四・五億円ですね。ですから、初期投資は予定より百八億円も安くなりました。結局、リース機器にしたので、都の負担は百八億円も少なくなったけれども、保護者負担にする額は大きくしたということではないでしょうか。それを平気でリース代も含めて保護者負担などということ自体、許されません。
 工事費用五十七億円は、今年度の予算でほとんど終わっているんじゃないんですか。しかも、冷房機器のリース契約と電気代、メンテナンス等で、一年当たり四・五億円ですね。都が負担できないほどの多大な経費でしょうか。新銀行に四百億円出さなければ、それだけで八十九年分もあります。どうしてこれが東京都にとって多大な経費なんでしょうか。
 しかし、都民にとっては本当に大変な金額です。先ほど、請願を出した高校生たちが要請に来たと話しましたけれども、来てくれた高校生の一人は、バスケ部の友人が夏ごろに、うちは実は母子家庭なんだよね、学費が大変で、もしかしたら学校をやめるかもといって、十一月に本当にやめてしまった、本当につらかった、学費を安くして、こういう高校生が出ないようにしてほしい、そう訴えていました。
 署名を集めるときに、署名をしてくれた人にもいろいろ話を聞いたというんですね。例えば高校一年生の子は、高校に入るために、親が二百万円の借金をし、自分も半分返済することが決まっているとか、ほかの高校生は、弟は今中学三年生で、高校に進学する予定だけれども、自分が私立高校だから、弟は都立しか受けられない、自分自身も経済的な問題で、国公立の大学に進学するしかないし、浪人もできない、こういっています。
 大学生は、妹がことしから高校生になりますが、両親がおらず、学費を払うことがしんどいんです、そんなことを聞きながら、署名を一人一人もらったわけですよね。教育長はこういう声、どう考えているんでしょうか、教育長。

○中村教育長 お話しのように、いろんな経済状態の生徒がいるということは十分承知しております。都教育委員会では、学校納付金につきまして、保護者負担の軽減にこれまでも努めているところでございますけれども、授業料につきましては、従来から授業料の減免制度を設けておりまして、これによりまして就学機会を確保できるというふうに配慮をしているところでございます。また、減免制度を受けられない生徒につきましては、奨学金制度の活用が可能でございまして、都教育委員会といたしましては、この奨学金制度の周知徹底をなお一層図ってまいります。

○大山委員 いろんな経済状況の生徒がいるということはわかるんだ。本当に一人一人聞いてくださいよ。本当に大変な状況なんだということ。さっきいっただけではもう本当に氷山の一角の話ですよね。
 今もおっしゃいましたけれども、減免制度がある、それから奨学金があるんだ、そういいますけれども、減免制度はもちろん重要です。奨学金制度も重要です。しかし、減免制度があれば済むというわけじゃないんですよ。減免制度は、授業料だけの減額免除の制度ですね。
 授業料のほかに、都立高校でかかるお金、積立金や生徒会費や教科書代や制服代など、入学後にかかる費用はどれぐらいかかるんでしょう。何に幾らかかるのか。どこか具体的な学校の例でいいので、示してください。

○新井学務部長 我々が把握しているものでは、平成十九年度学校納付金調査報告書がございまして、これによりますと、十八年度の高等学校、全日制生徒一人当たりの総額は四万九千八百五十四円でございます。内訳といたしましては、修学旅行、遠足等に二万五千九百六十五円、強化活動に四千二百八十一円、儀式、学校行事に六千六百七十八円、生活指導、進路指導に五千二百六十八円、PTA活動の運営費、これに三千九百七十四円、その他三千六百八十八円となっております。

○大山委員 今示されたのはこれですよね。(資料を示す)十九年度保護者が負担する教育費調査報告書、ここにありますけれども、一人当たりの総額は四万九千八百五十四円だというんですけれども、この数字は、四万九千八百五十四円というのは、その年に支出した額なんですよね。使った額。しかし、積立金もありますから、これは収入額を見ないと、保護者が実際にお金を払った額というのは出ないわけです。これは実際に保護者が払った額、徴収した額は九万一千八百五十七円の方ですよね。

○新井学務部長 現在、金額といたしましては、四万九千八百五十四円が実質の支出額でございます。

○大山委員 一年間に払った額、使った額と、それから積立金として、修学旅行なんか毎年行くわけじゃないですから、積み立てておくんですよね。ですから、九万一千八百五十七円というのが、保護者から直接徴収した額なんですよ。ちょっとその辺はっきりしてくださいよ。

○新井学務部長 先ほどの金額でございますが、これは一年間の金額ということではございません。九万一千八百五十七円。

○大山委員 とにかく九万一千八百五十七円なわけですね。やっぱり少なく見せよう、少なく見せようという思いが、答弁にもにじみ出ちゃうんじゃないかと思うんです。それはやっぱり高いという気持ちが働いているから、何とか安く見せよう、安く見せようということに働くんじゃないかと思うんです。
 しかも、これだけじゃないんですね。だから、これは教科活動だとか修学旅行、遠足だとか学校行事だとかということなんです。例えばこれは、ある高校が受検生の皆さんへということで配っているお手紙ですね。これは受検のときに渡されるお手紙です。合格及び入学後にかかる諸経費についてという表題で、入学料は五千六百五十円、制服が三万八百七十円、体操服や上履きも合わせて男子が二万三千三百五十円、女子は一万九千九百五十円など、入学料、授業料も入って約三十三万円用意しておいてくださいね、そういうお手紙なんですよね。欄外には、体験授業の講座によっては数千円程度の実費でかかる場合があります、こうなっています。
 そのほかにも、例えば通学のための交通費も大きいですね。例えば高田馬場から駒場高校に通っている知り合いの高校生は、年間、定期代だけで五万六千二百八十円です。学区が全廃されたので、青梅だとか葛飾からも通学してくる子がいるよ、そんなこともいっていました。ほかの高校に通っている生徒の定期代も見てみました。年間二万五千六百円。学校へ通うだけでこれだけかかるんですよ。
 この学校だけじゃありません。例えばこれは、今、都立高校二年生のお母さんが、一年生のときに学校関係だけで支出したものを書いてくれました。教科書二万五千円、それから電子辞書も要るんですね。それからさまざま合わせますと、一年間で三十九万五百六十四円かかったと出してくれました。授業料以外にさまざまかかるわけですね。こういうのは減免もないんですよ。
 どう考えているんでしょう。これでも授業料減免があるから大丈夫というんでしょうか。

○新井学務部長 積立金等の学校納付金でございますが、これは生徒個人の所有物となるものなど、生徒ないしは保護者に還元されるケースとして従来から徴収しているものでございまして、入学時に保護者等に説明し、金額等について理解を得ているところでございます。
 また、学校の実態に応じまして、学校ごとに徴収金額、方法等を定めておりまして、例えば徴収方法を月々の積立方式にすることなどによりまして、負担の平準化を図っている学校もございます。
 都教育委員会におきましては、都立学校運営費標準を定めまして、都立学校における教育諸活動に要する公費と私費の経費分担、区分を明確にするとともに、卒業アルバムや修学旅行の経費で上限額を定めるなど、保護者負担の軽減を図っているところでございます。
 これによりまして、学校納付金の生徒一人当たりの金額は、平成十一年度、全日制で五万六千六百七十五円であったものが、平成十八年度には四万九千八百五十四円になっているものでございます。

○大山委員 上限を定めるということは重要ですよ。しかし、上限を定めるものの項目には、修学旅行だとかという定められた項目だけですよね。もちろんそれは必要ですけれども、それだけでは額は--そのほかにも部活をやったり、それから通学定期があったりということで、かなりの額がかかるんだということなんですよ。
 先ほど奨学金もあるんだといいましたけれども、制度自体はもちろん重要です。しかし、都立高校だと、月額一万八千円受けられますね。三年間で六十四万八千円です。高校を卒業する時点で既に六十四万八千円の借金を背負っているということなんですね。
 半年据え置きで月額四千五百円の返済となりますけれども、今、不安定雇用がふえている時代で、高校を卒業した十八歳、この時点で借金を背負わなければならないということがどんなに負担になるのか、考えなきゃいけないと思うのです。
 さらに、大学に進学しようと思えば、高校で奨学金を受け取れば、大学でも奨学金を受けて、アルバイトもしてということになるんでしょうけれども、自宅通学でも月額五万四千円です。高校と大学で奨学金を受けたら、卒業時点で既に三百七万八千円の借金を背負っているということなんですね。
 こんな状況でも奨学金があればそれで事足りるんだ、そうおっしゃるんでしょうか。

○新井学務部長 奨学金制度はおっしゃったような内容になってございますので、奨学金を活用するかどうかはもちろん、その個人の判断になるかと思っております。

○大山委員 減免がある。でも、減免がきかないものがあるんですよといったら、奨学金があるんです、でも、奨学金を使うか使わないかはあなた次第です。本当に無責任じゃないんでしょうか。
 奨学金を返済するというのはそれなりに大変なわけですよ。例えば先日話を聞いた若い保育士さんですけれども、保育士の資格があるんですよ。でも、なかなか正規の就職がないから、八時間のパート一日、八時間のパートで、三年間働いているんです。でも、手取りで十四万から十五万、お正月とかゴールデンウイークは休みが多いから、十一から十二万ぐらいにしかならないんですね。家賃が五万八千円でとても暮らしていけないということで、結局週に三日間、ほかに夜、居酒屋でアルバイトをしているんだ。どういうときに大変だと思うと聞いたら、お金がなくて友達のお誘いを断らなくてはならないときが悲しいといっていました。
 この彼女は、奨学金を毎月、こんなお給料の中で、一万円返しているんですよ。奨学金を借りるというのはこういうことだということなんですね。値上げの道理はありません。ですから、値下げすることこそ、今必要だといわざるを得ない。
 奨学金の制度は重要ですけれども、受給者を見ると、都立高校、それから都立高専合わせて千九十四人なんですね。それを見ただけでも、奨学金だけではなくて、借金にならない制度、これが求められているんじゃないでしょうか。
 そこで、就学援助のことなんですけれども、小中学校での就学援助を受けている児童生徒、都内では約二四%です。ほとんどの区市町村は就学援助の対象を生活保護基準の一・二倍にしていますから、都立高校の授業料減免の基準とほぼ同じと見ていいと思います。十八年度の授業料減免を受けている生徒の割合は一三・二九%。これらの生徒は、中学生のときまでは就学援助を受けることができたので、学用品費だとか、給食費だとか、新入学用品費だとか、校外活動費だとか、修学旅行費だとか、卒業アルバムだとか、クラブ活動費などが支給されていたんです。ですから、学校に行くに当たっては、最低限の経済的な心配はしなくて済んだんですね。
 ところが、高校に行くと、就学援助がありません。その一方で、都立高校で授業料の減免を受けている生徒も年々着実にふえています。全日制でも減額と免除を合わせて、さっきいった一三・二九%ですね。石原知事就任した年が四・五九%だったんです。ですから、約三倍にも増加しています。
 昨年、高校生にも就学援助の制度が必要ではないか、こう私、質問しました。そうしましたら、修学旅行費等の保護者から徴収する経費につきましては、学校徴収金事務取扱規程等を定めまして、その負担の軽減に努めているところでございます、今後も引き続きこうした施策を実施することによりまして、保護者負担の軽減及び適正化を図ってまいります、こう答弁がありました。さっきもおっしゃっていました。
 つまり、保護者負担軽減は必要だということは認識していらっしゃるということなんじゃないでしょうか。

○新井学務部長 就学援助の制度の導入が必要かどうかということだというふうにお聞きと思いますが。

○大山委員 いえ、違います。ちゃんと質問を聞いていてください。

○新井学務部長 保護者の負担軽減は必要で……

○大山委員 保護者の負担軽減は必要じゃないか、どういう認識ですかと聞いているのです。

○新井学務部長 努めていくことは重要なことだと思っております。

○大山委員 保護者負担軽減に努めていくことは重要だということですよね。保護者負担軽減に努めていくことは重要だという認識なんです。
 例えば京都府や京都市は、これは京都府の要項ですけれども、高校生に対する就学奨学金、奨学金という名前ですけれども、これは支給なんですね、支給要項があります。この趣旨には、教育の機会均等の趣旨にのっとり、生活保護世帯及び市町村民税非課税世帯の子弟の高等学校等への進学を促進し、その世帯の自立、助長を図るため、就学に要する経費について支給するとしています。
 こうやって実施しているところもあるわけですね。ですから、都民の暮らしを見るなら、高校生への就学援助について検討することが必要なんじゃないんでしょうか。

○新井学務部長 今お話がありました就学援助制度でございますが、国が義務教育課程の児童生徒などを対象に、政策的に導入している制度でございまして、高等学校段階において、公費による補助を行うことにつきましては、国に制度はなく、ほとんどの都道府県で実施していないことから、都民のコンセンサスを得ることは難しいというふうに考えております。
 今後とも、私費等につきましては保護者負担の軽減に努めてまいります。

○大山委員 負担軽減は必要だ。それから、実際、国の制度がなくても、独自に京都府も京都市もやっているわけですよ。京都市は、廃止の方向が出されたんですけれども、府民の皆さんの大きな運動があって、継続したんですね。それだけ重要な制度、必要な制度なんだということなんじゃないんですか。
 中高生を持つ保護者の声、もうたくさんありますよ。三人きょうだいの第一子は私立に行かすことができたけれども、経済的に第二子、第三子は私立には行かせられない。教科書代、万単位。副教材も一教科一冊ではない。参考書は安くても千円台、二千円台。そのほかに受験のための参考書もある。大学に行こうとすれば、夏期講習、模擬テストも受けなければならない。
 サッカー部の高校生は、ユニフォームや合宿、遠征など、交通費もかかるといっています。軟式テニスでも、ウエアだとかシューズなどで五、六万円、夏合宿が三万円から五万円、OBが連れていってくれる合宿が二、三万円、こういっていました。
 都立高校も、京都で趣旨で述べているように、教育の機会均等等の趣旨にのっとり、その世帯の自立、助長を図るため、就学のための支援が切実に求められているんじゃないんでしょうか。
 確認しておきたいんですけれども、教育の機会均等等を保障することは、都教委としては重要な仕事であるという認識はあるんですか。

○新井学務部長 先ほどもお話ししましたように、高校段階につきましては、公費による補助を行うことについては、現段階で都民のコンセンサスを得ることは難しいと考えております。
 教育の機会均等はもちろん重要でございます。以上です。

○大山委員 教育の機会均等が重要だという認識があるんだったら、それから子どもたちの実態をきちんと把握しているんだったら、本当に政策的にやるということが今求められているんじゃないんでしょうか。
 高校生活の大きな部分を占めるのは部活ではないでしょうか。さまざまなことに興味を持つ。いろいろなことをやってみたい生徒もいるし、自分はこの学校のこの部活に入りたいと目指して入学する生徒もいるでしょう。
 ところが、部活の予算を見ますと、どうでしょう。これは見積もり段階でもらった資料ですけれども、部活動予算の推移、必修クラブがあった九九年度は十三億九千七百万円、来年度予算は五億一千万円。八億八千七百万円も減額されて、九九年度の何と三七%に激減なんですね。
 部活予算の基本部分をきちんと増額することが求められていますが、どうですか。

○新井学務部長 先ほどの十一年度の数字でございますが、必修クラブがありまして、その予算と一律に比べることはできないというふうには考えております。
 部活動予算の基本的部分につきましては、現在、自律経営推進予算の対象の範囲とされておりまして、学校はその特色において弾力的に活用することが可能でございます。

○大山委員 そんなことをいいますけれども、予算自体が足りないんじゃないんでしょうか。自律経営予算。さっきの図書費もそうですけれども、必修クラブの是非はともかく、総額がこんなに違っているわけですよ。わずか三七%になってしまった。必要なものだって買えないわけです。
 ある都立高校では、オーケストラ部に入るときには、木管と弦楽器は自分で買うように、こういわれるんですって。木管は三十万円以上するし、オーボエなど五十万円。弦楽器も二十万から三十万円で買えますけれども、その友人の高校生は、バイオリンの弦をかえなければならないので、毎月五千円から六千円もかかる、こういっています。その子の友達は、やってみたいと思っていたんだけれども、お金がかかるから、楽器を買わなきゃいけないなんていわれたら、もう最初からあきらめてしまった、こういうんですね。
 こういう状況をどう考えているんでしょう。

○新井学務部長 部活動に要する費用負担につきましては、共有物品と個人負担になじまない物品以外は私費負担を原則としているところでございますが、都教育委員会では、公的負担が可能な範囲で物品購入のための経費等についても予算化しておりまして、部活動の振興を図っているところでございます。

○大山委員 部活動の振興を図っているとおっしゃいましたけれども、楽器さえもそろえられないということなんじゃないんですか。部活動にかかる予算は、受益者負担といいますけれども、お金がなければ、お金がかかる部活は最初からあきらめなさい、そういうことなんでしょうか。

○新井学務部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、都教育委員会では、公費負担が可能な範囲で物品購入のための経費等につきまして予算化しておりまして、部活動の振興を図っているところでございます。

○大山委員 何度も同じ答えはしなくていいんです。さっき教育の機会均等は重要なんだ、そう答弁しているにもかかわらず、やってみたいという生徒が、経済的な理由でできないということ、本当に悲しいというか、つらいことですよね。それが教育の機会均等を保障することになるんでしょうか。
 それぞれの学校の部活予算できちんと必要な物品購入ができているのか、実態は把握しているんでしょうか。把握していないんだったら、実態ぐらい直ちに調べてもらいたいと思います。

○新井学務部長 部活の関係でございますけれども、現在基本的に共有の物品等、それから公費で負担すべき考え方のもの、それから私費負担でやるものということにつきましては、基本的に学校運営費標準を毎年出しておりまして、そこで整理をさせていただいております。その中で適切な役割分担をしていただいているというふうに考えております。

○大山委員 していると思っていますと、思い込んでいたってだめなんですよ。実際楽器が買えなくて、生徒に、買いなさい、そうじゃなかったらできませんよといっているわけですから。さっきの図書費もそうですけれども、自律経営予算だというんだったら、きちんとその予算自体をふやすことを求めておきます。
 続いてですけれども、三十人学級についてです。
 来年度予算でも、三十人を初めとして、少人数学級の準備さえも盛り込まれていないということは、児童生徒、保護者を初め、多くの都民の願いにも背くものです。さらに、先ほどの教育ビジョンにも入っていない。そして、今後三年間の計画である「十年後の東京」実行プログラムにも、三十人学級のさの字もない。本当に驚くべきことです。
 少人数学級を実現させたいという願いは、保護者はもちろんですけれども、都内の自治体も、少人数学級に向けて動き始めているといえるんじゃないでしょうか。
 杉並区では、四月から実質的に三十人程度学級がスタートするようですけれども、杉並区の三十人程度学級について、都はどういうスタンスなんでしょう。

○新井学務部長 杉並区の三十人程度学級ということでございますが、杉並区の取り組みにつきましては、都の学級編制基準どおりに学級編制を行った上で、少人数のグループ集団による指導を行うものでございまして、区が独自に学級編制を行うということではないと、区教育委員会にも確認をしているところでございます。

○大山委員 つまり、都との関係では、学級認定は四十人、二十人未満のクラスはつくらないという約束だからいいんだということですね。このやり方は、都立高校でのエンカレッジ高校と同じ考え方なんじゃないんでしょうか。

○新井学務部長 区市町村立小中学校では、広く一般の児童生徒を対象としていることから、社会的な適応能力をはぐくむために、一定の学級規模を維持しつつ、きめ細かな指導を行うためには、多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考え、実施しているところでございます。
 なお、都立高校におきましては、都立高校改革推進計画に基づきまして、生徒の多様な能力、適性、興味、関心に対応したさまざまなタイプの高校を設置しておりまして、エンカレッジスクールもその一環として、学級の弾力的な運用を行っているものでございます。

○大山委員 私が聞いたのは、四十人で学級認定をして、そして生活集団は小さくする。それは、エンカレッジ高校と杉並でやろうとしているのは同じやり方じゃないんですかと聞いただけなんです。同じか同じじゃないかというので答えてください。

○新井学務部長 杉並の具体的にどういうやり方でなさるかということについては、まだ具体的に我々も把握しておりませんので、エンカレッジと同じか同じではないかということについてはお答えできません。

○大山委員 本当にそんなことをいいますけれども、結局学級認定はエンカレッジも四十人、それから杉並も四十人、そしてエンカレッジはホームルームを少人数、多展開にするということで、生活集団を三十二人ですか、にする。三十何人にするということですよね。杉並だって四十人で学級認定するけれども、実際のクラス集団は二十人未満にはならないということを約束しているんだということですから、同じじゃないですか。
 杉並区だけでなく、足立区も、教員の給与を区費で出しても実施したい、こう強く望んでいますね。しかし、都教委は認めないというようですけれども、どういう考えなんでしょうか。

○松田人事部長 市町村立学校給与負担法など、関係法令の規定によりまして、県費負担教職員の人件費を区市町村が負担することはできないことになっております。また、県費負担教職員の定数は、都条例により定めることとされておりますけれども、特定の区市町村独自の施策につきまして、都条例の内容として決定することは適切ではないと考えております。

○大山委員 結局東京都の考えの範囲内で、四十人の学級で認定をして、二十人未満の学級をつくらず、自分の区で採用した教員を配置すればいいんだということですね。
 杉並区は、三十人程度学級の実施目的に、児童の学校生活及び学習面にきめ細かに目を配りながら、全人的な力を伸ばし、と述べています。というように、生活面でも学習面でも、少人数学級にすることが、児童の全面発達を保障する教育条件整備であるということを認識して、生活の基礎集団との位置づけを明確にしています。
 足立区にも話を聞きに行きました。小一プロブレム対応として、すんなり学びに入っていくことができるように、落ちつけるように、生活集団は少人数も必要ではないかと、区の文教委員会でも答弁していることです。また、四十人学級を崩すことは都教委は認めないので、四十人学級は崩さないで、何とか実質的に実現させたいともいっているんですね。
 杉並と足立だけではなくて、小中学生に直接責任を持って、姿を目の当たりにしている自治体は、切実に少人数学級を求めているんです。
 各区の少人数学級にしたい、こういう思いをどう受けとめているんでしょう。

○新井学務部長 都教育委員会といたしましては、学級には一定の規模が必要であると考えておりまして、各区市町村教育委員会等に対しまして、その趣旨について周知を図っております。児童生徒に対してきめ細かな指導を行うためには、基礎学力の向上に配慮した多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考えておりまして、習熟度別授業の実施など、各学校の実情に応じた取り組みが行われていると認識しております。
 また、小一問題等に対しましては、区市町村独自に非常勤講師や外部の人材などを活用するなど、さまざまな取り組みが進められているというふうに認識しているところでございます。

○大山委員 本当に十年一日のような答弁。もう三月なんで、卒業式のシーズンなんですから、卒業したらどうでしょうか。一定規模で四十人が必要などとだれが思っているんでしょう。都教委だけですよ。
 非常勤講師などを区市が独自に採用して、足立区は今年度百八十六人も採用しています。学力もつけたい。子どもたちが抱えている暮らしの大変さもあるからこそ、一人一人丁寧に見てあげたい。切実なんです。
 新宿区議会も、先日の予算特別委員会で、杉並区や足立区のようなということで、例を挙げて取り上げています。理事者は、少人数学級の効果はあるというふうに認め、新宿区では杉並や足立のような提案はしていないけれども、区費の講師を十八年度から各学校に一名ずつ配置し、若干違うが、杉並区と同じような展開をしている旨の答弁をしています。
 エンカレッジ高校の校長先生は、小学校でもっと手をかけてあげれば、学力も心も育つことができたのにと語っています。そのとおりじゃないんでしょうか。
 現在のままだと、財政的に踏み出せるところは実施できますけれども、そうでないところは、実施したくてもできなくなってしまいます。せめてホームルームの少人数、多展開について、都費の教員でも認めることが求められていますが、どうですか。

○松田人事部長 都教育委員会が実施しております教員の加配は、具体的な教育課題に対応するために、年度ごとに必要となる学校に措置しているものでございまして、異なる目的で活用することは認めておりません。
 少人数指導のための加配措置につきましても、国の考え方を踏まえて、毎年度各学校が実施を計画する教科や学年、学級、実施方法等を総合的に勘案して、個別の審査の上、配置校を決定しているものでございまして、少人数学級編制等を目的とした活用を認めることはできないものと考えております。

○大山委員 少人数学級編制に活用することはできないというのは、それは都教委がいっているだけなんですよね。目的の異なる活用は認めていないというけれども、都教委がどうしても少人数学級が嫌だというんだったら、杉並区のようなやり方に活用するということを目的にすれば、それで済むわけですよね。目的に合っていればいいわけですから。杉並区のようなやり方にも活用していいですよというふうに都教委がいえば、それで済むことなんです。
 ほかの県でも、少人数指導の加配教員が少人数学級に活用できることに法律が変わってから、急速に少人数学級が進んだわけですよね。都教委も、せめて杉並区や足立区のようなやり方には、都費の教員を配置するべきです。同時に、それだけではなくて、本当に早急に三十人学級に踏み出すことを求めておきます。
 専科教員なんですけれども、三十人学級はやらないで、都教委は専科教員の定数を削減する。とんでもないことをやろうとしています。
 先ほどの説明では、児童数の増加に伴う教員定数の増を図った上でとわざわざ述べていますけれども、児童数がふえたから教員はふやす。これはもう当然のことです。結局、児童数はふえたけれども、教員定数は減らしましたということではないんでしょうか。都民の願いとも時代の方向とも逆行しています。
 資料で出してもらいましたけれども、小学校の十五学級と十六学級の学校で、来年度はそれぞれ六十四校ずつ、合わせて百二十八校、例えば小学校一学級四十人だったら、何と七万九千三百六十人もの子どもたちから、専科教員を一人ずつ奪おう、そういうことですよね。
 まず聞きたいんですけれども、都教委は、専科教員が果たしている役割、どう認識していますか。

○松田人事部長 専科担当教員は、学習指導要領に基づいて一般に実技教科といわれております音楽、図工、家庭科などの学習指導を行うほか、学校行事や校務分掌等において、個々の学校の状況に応じまして必要な役割を担っていると認識しております。

○大山委員 音楽、図工、家庭科などの学習指導を行う。これがいかに大きな役割を果たしているのかということなんです。音楽、図工、家庭科はもちろん、学校によっては理科専科の先生もいます。これらは実技や実験が中心の教科ですね。家庭科は調理や被服、編み物なども男子も楽しくやっています、こういうわけですよ。
 理科の実験は、子どもにとって学習が非常に充実する。先日、もう大人ですよ、小学校のときに、空気に重さがあるという実験をやってくれたことを、今でも鮮明に覚えている、そういう方もいました。子どもたちが楽しみにしている授業なわけです。
 専科の先生は、その専門性を生かして周到な準備をして授業をする。実習や実験や創作活動を行うわけですね。音楽や図工、家庭科、理科などの高い専門性を発揮するからこそ、子どもたちは楽しいし、よくわかるし、自信が持てるんです。
 その上、質の高い授業を実現するには、準備と後片づけも一定の時間がかかります。例えば家庭科なども、調理のときには材料をはかっておくし、片づけもある程度は子どもたちと一緒にできますけれども、次の授業に備えての片づけは時間がかかります。
 同じレベルの指導を学級担任に求めるということは困難なんじゃないんでしょうか。

○松田人事部長 都教育委員会では、平成二十年度から非常勤教員制度を導入いたしまして、専科教員の定数が削減された学校には、非常勤教員あるいは非常勤講師の措置を行う予定でございます。

○大山委員 非常勤教員と非常勤講師を配置するということですね。だから大丈夫なんだというわけですけれども、非常勤講師が正規教員の時間数すべてにいるということなんでしょうか。

○松田人事部長 非常勤講師につきましては、週十時間を上限に措置をすることになっております。

○大山委員 非常勤講師は時間講師で、最高十時間の授業時数のみの穴埋めでしかないわけですね。さっきから話しているように、重要だといっているのは、周到な準備だとか後片づけ、授業の組み立てなんですよね。時間の切り売りではできないことなんです。もちろん本当だったらほかの担任の教員も、周到な授業準備時間を保証することが必要です。なぜ十五学級、十六学級の専科教員定数を削減するんですか。

○松田人事部長 都教育委員会では、平成二十年度から非常勤教員制度の導入を契機に、小学校においても、経験豊富な退職教員など、多様な人材の一層の活用を図るために、教科の授業時数等を勘案いたしまして、十五学級規模校及び十六学級規模校の専科担当教員の配置人数を見直したものでございます。

○大山委員 非常勤教員制度が導入されたから、十五学級、十六学級の専科教員を減らすんだ。非常勤教員というのは、今までの再雇用教員のことですよね。再雇用の教員は定数外で、今年度まで標準的な持ち時数九時間。来年度からは十一時間にふやすんだ、こういうかもしれませんけれども、現在もうこの制度はあるわけですね。
 にもかかわらず、一層の活用を図る観点などというのは一体何なんだということなんですけれども、そういうふうにいうんだったら、非常勤教員は、専科の先生の定数が一人減った学校には、減らしたという理由から、すべて配置されるということなんでしょうか。

○松田人事部長 私どもといたしましては、なるべく多くの学校に非常勤教員を代替措置として導入したいと思っております。現在の見込みとしては、約七五%の学校で非常勤教員が配置できるものと考えております。

○大山委員 普通、活用を図るなどといえば、すべての学校に非常勤教員が配置される、そんないい方ですよ。専科教員定数を減らしても、非常勤の教員は七五%にしかつけられない。二五%の学校は、専科教員は減らされても、非常勤教員もつかない、そういうことですよね。
 今でも教員は長時間過密労働で、子どもと向き合う時間が欲しい、そう切望しているわけです。専科教員が減るということは、校務事務分掌などの負担がさらにふえるということで、ますます担任の教員が子どもたちと向き合う時間などが削減されるということではないんでしょうか。どう考えているんですか。

○松田人事部長 専科担当教員の配置人数の一部見直しの代替措置として配置します非常勤教員は、学習指導のほか、校務分掌などの多様な職務を担う職でございます。また、非常勤教員が配置されない学校に対しましても、先ほども申し上げましたが、必要な非常勤講師時数を措置する予定でございまして、校内体制の工夫等を行うことによりまして、学校内で対応することが十分可能であると考えております。

○大山委員 さっきから非常勤教員、それから非常勤講師といいますけれども、さっき、もうわかっちゃったように、二五%の学校には非常勤教員もつかないんですよ。さらに、非常勤の時間講師というのは、それは十時間のみ。それは配当の基準で十時間のみ。それはもう当然のことじゃないですか。
 教務主任等に対する軽減措置、そんなことをいいましたけれども、具体的にはどういうことなんですか。

○松田人事部長 来年度から教務主任等の授業持ち時数の軽減を一定程度行う予定でございます。

○大山委員 時数軽減ですよね。四時間の時数軽減。結局、校務分掌の処理をするために担任を持っている先生が抜けるということですよね。
 それにしても、専科教員の定数を削減して、それについては時間講師と非常勤教員を充てるとか、校務分掌については主幹の時間軽減がある。教員を減らすということに、学校現場が大変になる。だから、非常勤教員をつけなきゃだめかな、そういうことなんですよね。
 だから、〇六年につくった行財政改革実行プログラムで、平成十九年度から二十一年度までの三年間で、四千人程度の職員定数を削減、これが大前提にあるということじゃないんでしょうか。
 東京都教育庁という東京の子どもたちの教育に責任を持つところが、四千人の職員削減計画があるから、結局どこかで定数削減をしなきゃならない。と、見つけて数合わせをする。子どもたちの教育条件整備に責任を持つところとはとても思えません。
 非常勤教員が来るとか、また時間講師が来るとかといっても、高い専門性と、それから周到な準備、さっきいったみたいに代替はできないわけですね。ですから、東京都教育庁は、子どもたちのためには、教員は削減できないんだ、教員定数は削減できないんだということを、きちんと主張するべきだということを述べておきます。
 次ですけれども、シックスクール関連です。
 化学物質過敏症ということで最近ふえているわけですけれども、シックスクールについては、二〇〇三年に都内の学校で改修改築後の生徒の被害が相次ぎました。都立高校でも世田谷泉高校で、改修工事が完了した実習棟でシックスクールの被害が発生して、生徒の四割近い百九十三名に、目や鼻、のどの痛みや頭痛などの症状が見られて、夏休みも要治療の状態が続いている生徒もいたということは記憶に新しいわけですね。
 身の回りで当たり前のように使われているさまざまな化学物質に反応して苦しむ、化学物質過敏症です。一度に多量の化学物質に暴露されたり、少量でも長期にわたって暴露され続けることによって、その人の体の許容量を超えたときに、拒絶反応として一気に発症します。一度過敏症を獲得すると、その後はもうごく微量の化学物質に接しただけで、強い拒絶反応を繰り返し示すようになるというんですね。
 お話を伺った方の息子さんは、小学校六年生のときに発症して昏睡状態になった。それほどすごかったんですね。もう一人の方は、小学校のときに発症して、神経症状も出て、症状が落ちつくのに五年もかかったというんですね。ばたっと倒れたり、それから運動障害や記憶障害もあるし、うつ状態など、神経症状も出るといいます。
 とりわけ、どんどん化学物質が多くなっている中、空気よりも重いものは地面や床近くにたまっているので、その低い位置の空気を吸っている子どもは、大人より化学物質をより多く取り込んで、脳や体の発達が未発達なほど、取り込んだものの影響を多く受けるといわれています。
 花粉症のようにだれにでもなり得るし、膨大な量の化学物質であふれている現代の日本社会ですから、今は無事だからといって、他人事ではないということなんですね。
 都教委は、シックスクールの世田谷泉の経験などもあるわけですけれども、化学物質過敏症についてどのような認識を持っていますか。

○新井学務部長 室内化学物質対策につきましては、文部科学省が定めました学校環境衛生の基準が示されておりまして、その基準値などを遵守する必要があると考えております。
 さらに、都教育委員会は、都立学校における室内化学物質対策の手引きを策定いたしまして、シックハウス対策など、室内環境を適正保持するための努力をしているところでございます。
 化学物質過敏症でございますけれども、一般的には影響が認められないような極めて微量の化学物質の接触に対して、シックハウス症候群と同様の症状が出てくる状況というふうに考えられているわけですが、統一的な見解や対応方法等ははっきりしていないのが現状であるというふうに認識しております。

○大山委員 対策は法律に基づいてとっているんですよということと、あと、まだ未解明な部分があるんですよということなんですね。しかし、なかなか現実には患者さんがふえているということ、それから化学物質はもうふえ続けているということですから、だれでもなり得るという点では、これもちょっと積極的に取り組んでいかなきゃいけない問題だと思っています。
 冷房機について、都立高校に設置されましたけれども、そのリース機器に使われている化学物質が何であるのか、化学物質過敏症のお子さんを持つ保護者が要望したんですね。しかし、いまだに製品情報、いわゆるMSDSといわれていますけれども、出されていないものがあると聞きました。
 化学物質過敏症の生徒を持つ保護者の方は、空気が冷房機を通って、空調機を通って出てくるわけですから、何でできているのか、どんな化学物質でつくられているのか、塗られているのかということもわかっておかないと、対処のしようがないというわけですよ。
 冷房機の本体に関して、さまざまな部品が使われているからこそ、どうなっているのか、どんな化学物質が使われているのかを知ることが基本なんだというんですね。製品情報についてもいまだに要請中というところがありますけれども、早急に出させることが東京都の役割だと思いますが、どうですか。

○新井学務部長 MSDSシートといいます製造業者のシートでございますが、これは製造業者などの事業者間取引において提出が義務づけられているものでございまして、学校に対して提出は義務づけられておりません。
 ただ、学校における室内化学物質対策の重要性にかんがみまして、今回、空調設置工事に伴いまして、機器リース会社及びメーカーに対して、製品のMSDSシートなど、化学物質にかかわる情報提供を求めているところでございます。一部メーカーからは、いまだ提出がされていないところもございますが、引き続きMSDSシート提出をするよう要請を行っているところでございます。

○大山委員 やはりきちんと出してもらうということが重要だと思うのですね。
 見本にもらったMSDSシートですけれども、製品情報ですね、アイシンガスエンジンオイルL一〇〇〇〇という製品名で、それは、混合物ですと書いてあるんですね。石油系炭化水素及び添加剤と書いてあるんですけれども、肝心な化学式だとか構造式、これが特定できないと書いてあるんですね。官報の公示整理番号と、それからその化学物質がどんな物質なのか、どういうものなのかということを調べるのに、重要なキャスナンバーというのがあるのですけれども、それが企業秘密なので記載できない、こうなっているわけですよ。これは極めて不十分な情報といわなければなりません。
 それはなぜかというと、さまざまな化学物質があるけれども、混合物である。何が入っているかわからなければ、対処のしようがないんです。何が入っているかがわかれば、影響があるものだということがわかれば、一時避難することだってできると保護者はいうわけですよね。何が入っているかわからなかったら対処のしようがない、こういうわけです。
 成分が何なのかということをきちんと知らせることが、化学物質過敏症の生徒の命と健康を守るために必要だと思いますが、どうですか。

○新井学務部長 お話のアイシンエンジンオイルのMSDSシートでございますけれども、法令どおりに記載されておりまして、表示方法には問題はございません。またエンジンオイルなどは屋外で使用するものでございまして、室内環境に影響を及ぼすことはございません。

○大山委員 法律には違反していません、外で使うから大丈夫なんだ。子どもは外だって出るんですよ。
 それで、やはり何を使っているのかということを、きちんと情報提供ぐらい、ちゃんとやってもらわなきゃだめだと思います。企業秘密だというんだったら、情報を必要とする化学物質過敏症の生徒の保護者について、守秘義務を守ってくださいね、そう約束して、情報を提供してもらうということだって考えられるんじゃないんでしょうか。

○新井学務部長 先ほどもご答弁しましたが、エンジンオイルなどは屋外で使用するものでありまして、室内環境には影響がないというふうに考えております。
 化学物質に対するデータにつきましては、個々の状況に応じて、必要があれば、可能な限り提出を求めていくことになろうかと思っております。

○大山委員 可能な限りというのが企業秘密だといって出されない、それから混合物だといって内容が示されないということでは不十分なんですよね。
 例えばこれはある企業が、床のワックスについて保護者がMSDSの資料を求めたところ、MSDSの成分の名前、成分名の詳細と、小型チャンバー法という測定の仕方ですけれども、試験の報告書を、企業秘密にかかわるので、守秘義務を約束して送ってきてくれているんです。きちんとそういうふうにやろうと思えばできるわけですから、可能な範囲でじゃなくて、必要な情報はきちんと出させる、それが都教委の役割なんじゃないんですか。

○新井学務部長 平成十七年二月に改定いたしました都立学校における室内化学物質対策の手引きに基づきまして、リスクコミュニケーションなどの情報提供につきましては、可能な限り提出を求めていく考えでございます。

○大山委員 可能な限りというのか、必要な情報を提供できるように、させるようにしてほしいと思います。
 と同時に、対象者が比較的限られるわけですから、その保護者とも話し合いながら、どうしていったらいいのかという方向で、ちゃんと前向きの方向で検討してもらいたいと思います。
 今出てきた二〇〇五年の二月につくった都立学校における室内化学物質対策の手引き、これは改定する予定と聞いていますけれども、それこそ保護者や関係者を含めてきちんと意見を聞いて、改定をしていく部分はきちんと改定してもらいたいと思っています。
 そして最後ですけれども、スクールソーシャルワーカーのことについて質疑します。
 学校でのいじめの件数が、予算特別委員会に出してもらった資料によると、〇六年度が、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校全体で、六千七百八十四人となっています。
 いじめの定義が、この年度に定義し直していますね。ですから、当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているものになりました。それにしても、認知されているものだけでも六千七百八十四件です。
 不登校児童生徒はどうかというと、小中学校で確実に増加しています。中学校でとりわけ三・二四%の出現率です。七千四十九人にも上っています。同時に、児童虐待も、昨年上半期の十八歳未満で虐待されている子どもの人数が、二〇〇〇年に統計をとり始めてから最悪になった、こうなっています。これらの問題は、どの子にも学習する権利を保障する観点からいっても重大な問題といえます。
 この間、心理職でありますスクールカウンセラーの配置は一定進みました。同時に、いじめや不登校や児童虐待などに関しては、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーの役割が認識されてきています。
 都教委として、スクールソーシャルワーカーの活用について、どう認識して、どう評価していますか。

○岩佐指導部長 不登校、いじめ、暴力行為、虐待などの児童生徒の健全育成の問題の背景には、家庭環境が影響している場合もございまして、スクールカウンセラーを配置したり、これらの問題に対応するため、学校が関係機関とのネットワークを構築したりしながら、専門家の協力を得られる仕組みを整えているところでございます。
 都は、本年度のいじめ問題緊急対策事業を発展させまして、平成二十年度から独自に問題行動対策事業を実施する予定でございます。この事業は、児童生徒の健全育成を進めるために、学校が地域や関係機関とのネットワークを進めるとともに、スクールソーシャルワーカーと同様に、教育と福祉の両面に専門的な知識や技能を有する専門家の協力を得られる仕組みとなっております。

○大山委員 教育、それから福祉の専門家が必要だという認識だと思うのですけれども、スクールソーシャルワーカーの活動の特徴というのは、文科省の学校等における児童虐待防止に向けた取り組みについてという報告書の中にも、児童生徒の直接なかかわりを中心にするんだけれども、家庭訪問で、家族の支援だとか、学校と子ども、及び家族間の関係調整だとか、仲介機能を担った点なんだと。
 さらに、児童生徒の問題とかかわる児童相談所、家庭裁判所などの外部機関との連携活動を行うとともに、地域社会内に自助グループをつくったり、フリースペースをつくったり、社会資源をつくってきた、幅広い活動が展開されたんだということと、この活動は、問題解決に必要とされるあらゆる方法がとられるということに特徴があるというふうに書いているんですね。
 子どもをめぐって、かかわっているあらゆる関係を総合的に把握したり、コーディネートする。試行錯誤しながら発展していく。それには、専門的な知識や経験が必要なんだということなんですね。
 日本では、埼玉県の所沢市が一九八一年に初めてスクールソーシャルワーカーを配置して、埼玉県や神奈川県を中心にして、周辺のところに施策の影響を与えました。〇一年には香川県が、翌年には茨城県結城市に二名、それから千葉大附属小学校に配置しました。それから〇五年には大阪府が六人、〇六年には兵庫県、杉並区が導入したというように、役割が評価されて徐々に広がっています。
 文科省も来年度からスクールソーシャルワーカー活用事業を発足させるわけですけれども、東京都もスクールソーシャルワーカーの配置に踏み出すことが求められていますが、どうですか。

○岩佐指導部長 文部科学省は、平成二十年度調査研究委託事業といたしまして、全国で百四十一地域において、スクールソーシャルワーカー活用事業を行うこととしております。
 今後は、国の調査研究の動向、都独自の問題行動対策事業の成果などを踏まえまして、スクールソーシャルワーカーの配置及び活用について研究をしてまいります。

○大山委員 ぜひ積極的に研究して、検討していただきたいと思います。
 スクールソーシャルワーカーの募集をしていた兵庫県、ネットに兵庫県と新潟県で募集しますというのが載っていたんですね。兵庫県は県の単独事業でやっていたけれども、六カ所ある県の教育事務所に三カ所しか配置しなかったけれども、国がやるというので、ぜひ六カ所にということで、六カ所配置するというんですよ。
 それから新潟県も、臨床心理士が本庁に配属されていたけれども、もっと手厚くしたいと考えていたところだったので、文科省の事業は渡りに船だったと。専門的な知識を持った人が、第三者的に福祉や精神保健福祉など、システムづくりをしてほしいと意欲を示していました。
 両県とも社会福祉士だとか精神保健福祉士の資格を持った人が応募してきて、兵庫県は十三、四名が受験、それから新潟県はきょうから応募開始なんですけれども、一週間で二十人は問い合わせが来たということなんですね。働き方については、これほどの専門職が非常勤で低賃金というのは問題がある、ということは指摘しておきます。
 と同時に、東京都も事業を開始することを求めて、質問を終わります。

○伊藤(ま)委員 私の方から、都立学校におけるICT環境の整備についてお聞かせをいただきたいと思います。
 情報化とグローバル化社会にある我が国において、ICT環境の整備は大変重要であると思います。これは教育の分野でも例外ではないと思います。
 ことしの一月に東京都が出しました教育ビジョンの中間まとめにも、重点施策の二十一番目に項目を設けて、推進をしなければいけないということになっているわけでありますが、この中で、これまでコンピューターは、パソコン教室等に集中的に設置され、各教室においてさまざまな授業で活用することができないなどの課題があった、また、都立学校のICT化は全国的に見て非常におくれており、その整備が喫緊の課題となっているというふうになっております。
 私も調べてみましたけれども、平成十九年の三月現在、これは文部科学省の速報値をもとに、教育情報化推進協議会というところが作成をした表が手元にあるわけでありますが、ICT環境の整備状況ということであります。コンピューター一台当たりの児童生徒数は、東京は一台当たり九・一人ということで、四十七都道府県中四十五位、校内LANの整備率というところを見ますと、二八・三%で、これは最下位になっているわけでありますが、なぜこれだけおくれてしまったのか、その理由をお示しください。

○森口参事 都におきましては、他道府県に比べ学校数が多く、学校種別も多岐であるため、ICT活用に関する調査研究等を行うなど、都立学校に適した効果的なICT環境構築に向け、多方面からの検討を重ねることが必要でございました。
 平成十五年度から四校のIT推進校を指定し、教員や生徒がICTを積極的に教育活動に活用し、ICTを活用した授業改善や教材作成などの研究を行い、並行いたしまして、二十校のIT教育普及支援校を中心として研修等を行い、ICTを操作できる教員及びICTを活用した教科指導ができる教員の育成を図ってきたところでございます。
 このような取り組みを行い、都立学校にICT環境を整備する基礎づくりができたことなどから、今般、ICT計画授業を重要施策として位置づけ、早急に整備を図ることといたしました。

○伊藤(ま)委員 今まで検討をしてきたということとあわせて、この表にも出ているのですけれども、国庫補助が少ないですね。都市部でやはり整備がおくれているということも、財政的な面も確かにあるのかなというふうに思いますが、この手の環境整備というものは、ICTというのは基本的なインフラなんで、一遍企画を決めたら、一挙にそのシステムを拡大していかなければ非常に使いづらいシステムになってしまいますので、早急に整備をしていただきたいと思います。
 続いて、じゃこのシステムを使って、どのようなことに使うのかということについて、二点お聞かせいただきたいと思います。
 まず、教育面ではどのような効果があると期待をしているのでしょうか、所見を伺います。

○岩佐指導部長 すべての教室におきまして、コンピューター教材を使った個別学習が可能になり、これまで以上に児童生徒の興味、関心や習熟度など、個に応じた学習指導を実現することができます。
 また、複雑な図形を動画や展開図などで示しまして、理解を容易にするなど、ICT環境を有効に活用することにより、児童生徒の学習意欲を高め、学力向上が期待できると考えております。

○伊藤(ま)委員 できたものを、システムだけではなくて、学習の内容についても充実をしていただきたいと思います。
 続いて、学校現場では膨大な事務的作業の効率化を求める声が強いわけでありますが、具体的な取り組みについてお伺いします。

○森口参事 教員に一人一台のコンピューター端末を配備し、ネットワーク化することによりまして、成績処理や出欠管理、指導計画など、生徒指導上の情報を初め、学校運営情報や経営上必要な情報を教職員間で共有し、迅速かつ効果的に活用することが可能となります。その結果、個々の教員の事務的作業が改善され、効率的な校務が期待できるものであると考えております。

○伊藤(ま)委員 大変予算的にも膨大なお金がかかるわけでありますので、費用対効果という側面から、都民の納得を十分に得られるように、しっかりと効果を上げていただきたいと思います。
 その一方で、コンピューターが苦手な教員や個人情報の質疑については先ほど伊藤ゆう議員の質疑の中にもあって、個人のUSBのメモリーを今後持ち込ませないようにするという答弁もありましたけれども、研修も必要だと思いますけれども、どのような研修を行うんでしょうか。

○岩佐指導部長 コンピューター操作を苦手とする教員に対しましては、平成二十年度から二年間で授業でコンピューターを活用できるよう研修を行ってまいります。
 個人情報の取り扱いに関しましては、管理職や主幹を対象にした情報セキュリティー研修会を実施するとともに、各学校ではチェックリストを活用した研修を実施してきたところでございます。
 今後はこれに加えまして、初任者研修や十年経験者研修においても研修を実施いたしまして、なお一層個人情報の取り扱いに関する教員の意識の高揚を図ってまいります。

○伊藤(ま)委員 ぜひともシステムの整備と同時に、教員の研修の充実にも励んでいただきたいと思います。
 続いて、理数教育についてお聞かせいただきたいと思います。
 経済協力開発機構が、昨年、世界の十五歳を対象に実施した国際学習到達度調査が行われたわけでありますが、その調査によりますと、日本が理数系の分野でトップレベルから転落をしたという内容でありました。それを受けて、文部科学省は、現在改訂作業を進めております次期学習指導要領について、理科と数学、算数の内容の一部を前倒しして、二〇〇九年度から実施する方針を固めたと先日発表いたしました。
 今年度末に改訂をされる新学習指導要領は、当初は小学校で一一年度、中学では一二年度、高校では一三年度から実施をされる予定でありましたけれども、早期実施を求める声を受けて、一部内容を〇九年度から前倒しをするという方針を打ち出していたわけであります。今回の調査で理数系の順位の落ち込みが顕著であったことから、急遽、理科と算数、数学の二分野から優先的に実施をすることにしたわけであります。国はこのように強化をしているわけであります。
 我が国は、いわずとももう皆さんもご案内のことだと思いますけれども、ものづくりで世界でも有数な経済力をつけてきたわけであります。そういった意味で、理数教育は今後ますます重要度を増してくると思いますけれども、以下、この理数教育をより強化するべきという観点から、四問お聞かせいただきたいと思います。
 まず、都教委として、理数教育の重要性についてどのように考えているのでしょうか、所見を伺います。

○岩佐指導部長 今回の学習指導要領の改訂におきましても、児童生徒に思考力、判断力、表現力等を育成することが重視されているところでございまして、筋道を立てて説明することや、仮説を立てて観察、実験を行い、その結果を評価してまとめ、表現するといった活動を行う理数教育の役割は大きいものと考えております。

○伊藤(ま)委員 論理的な思考力だとか判断力、表現力をつけるためには重要だというご答弁をいただきました。一言でいって、理数教育といっても、小学校、中学校でやるべきことと高校でやるべきことというのはおのずと違ってくるわけであります。特に小中学校では、理科や算数が嫌いになる生徒が多いと、学校の先生方からよく聞きます。
 私自身もその一人なんですけれども、一たん小学校、中学校の段階で苦手意識を持ってしまいますと、ますます理数離れが進んでしまうと思いますが、現在どのように対策をとっているのでしょうか。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、算数、数学の授業におきまして、児童生徒が学ぶ楽しさを実感し、確かな学力を身につけられるよう、興味、関心や習熟の程度に応じた少人数指導を推進してまいりました。また、平成十九年度から、理科室の整備や実験、観察の補助を行います理科支援員等配置事業を活用いたしまして、小学生が楽しく理科を学べるよう授業の充実を図っているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みをさらに進め、児童生徒が基礎的、基本的な学力を確実に身につけ、算数、数学や理科を一層好きになるよう、区市町村教育委員会と連携して、公立小中学校の授業改善に努めてまいります。

○伊藤(ま)委員 国でもさまざまなメニューを用意して支援をしているようでありますので、国や市区町村教育委員会とも十分に連携を図っていただいて、充実を図っていただきたいと思います。
 それでは、都立高校での取り組み状況というのはどういうふうになっているのでしょうか。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、生徒が数学や理科の授業に興味、関心を持ち、積極的に取り組めるようにするため、指導資料を作成いたしまして、全都立高校に配布するなど、授業改善を支援しているところでございます。
 また、国のスーパーサイエンスハイスクールとして研究指定を受けました四校の都立高校では、数学や理科の授業におきまして、大学や研究機関の専門家が先進的な研究を紹介する授業を実施するなど、科学技術に夢と希望を持つ創造豊かな人材の育成に努めているところでございます。

○伊藤(ま)委員 スーパーサイエンスハイスクールというものを四校、指定を国から受けてやっている。大学との連携だとか、また研究機関、民間企業との連携というものがうたわれているわけでありますが、大分高い評価を受けているようであります。
 ただ、この制度は、聞くところによりますと、五年間の指定のみということでありますので、仮に五年間たっていたとしても、東京都として、やはりさらにその学校の支援を続けていただきたいというふうに思います。
 世界じゅうの中学校、高校生を対象にした科学技術に関する国際コンテストである国際科学オリンピックというものが毎年開催をされております。これは数学、物理、化学、生物学、情報などの教科で行われているわけでありますが、しかし、これらの大会はかなりハイレベルで、ごく一部の生徒しか参加できない状態になっております。
 例えば今東京都は、東京オリンピックの招致、全庁挙げて招致運動をやっているわけでありますが、例えば東京都が独自に、東京都内だけで行う数学オリンピックなどを創設するなど、数学が好きな生徒のすそ野を広げたり、子どもたちを元気づける仕掛けも必要だと思いますけれども、ご所見を伺います。

○岩佐指導部長 生徒の数学に対する興味、関心や意欲を高め、数学が好きな生徒のすそ野を広げるためには、学ぶ楽しさやわかった喜びを実感させる等、日々の授業を充実させることが重要であると考えております。
 そのため、各学校におきまして、少人数指導を初め、さまざまな指導方法の工夫を行いまして、授業改善を進めてまいる所存でございます。

○伊藤(ま)委員 日々の授業を底上げするということは大切だと思うのですが、手元に文部科学省の基盤政策課というところがまとめた表があるのですが、これは十七年度ですね、国際科学技術コンテストに参加--国内大会がその国際大会の前年度に開催をされるそうでありますが、平成十七年度で数学オリンピックに第一次試験に参加をした生徒数は九百九十八人、化学で千百九十三人。
 これは数字だけ見ると多いのかなという気もするんですけれども、平成十七年度の高等学校の、これは全日制だけでありますが、生徒数は、日本全国で約三百五十万人も生徒がいるわけであります。本当にごく一部しかこのコンテストには参加をすることができませんし、現に日本代表としてコンテストに参加をしているのは、超有名な私立の進学校の出身者ばかりであります。
 ぜひとも、そこのハイレベルのところには行かないけれども、新銀行東京ではありませんけれども、ミドルの層、このすそ野を上げていくことが、私は都立高校としては非常に重要なんだというふうに思いますので、日々の授業の充実ということもあわせて、子どもたちが数学好きになれるような何かインセンティブのようなものをしっかりと取り組んでいただきたいということだけ要望して、質問を終わりたいと思います。

○古館委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時十一分休憩

   午後五時二十二分開議

○古館委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○中山委員 質問させていただきます。
 質疑に先立ちまして、先ほど私の受けとめたところでは、冷房につきまして当たり前であるとか、あるいは奨学金貸与について余り効果がないようなお話があったような気がするのですけれども、こういった制度は、私どもの先輩方が苦労してつくり上げた制度でありますし、納税者が一生懸命働いてくださったその税金で実現している制度でございます。何に一番税金を使っていくべきかということは、最終的には選挙の結果で決まるものだと思いますし、それを反映するために、議会の多数決があるんだと思います。
 今の時点では、都教委は適切に執行してくれているというふうに思います。また、その苦労を今後とも応援してまいりたいと思います。また、その納税者の方々が一生懸命税金を納めていただけるように、日本の、東京の経済成長全体を、しっかり推進していきながら、教育にかける予算もふやしていきたいというふうに決意しておるところでございます。
 初めに、学力の向上についてお伺いさせていただきます。
 学力の向上につきましては、少子化の時代という中にあって、中国の例を見てもわかるとおり、少子化の波は、やがてエリート教育の過熱化へとつながっていくというふうに思っております。
 自由主義経済が発達した今日の日本におきましては、エリートを国家的に輩出した明治時期とは異なり、家庭の経済力の差異がそのまま教育力に直結しかねない時代に突入しているというふうに私は考えております。
 その意味で、公立学校のこれからの役割は、さまざまな分野の先端を切り開く、国民の期待を一身に担い立つような人材に育つ可能性を有する児童生徒さんたちについて、公平にチャンスを提供していくことと、あわせて、すべての児童生徒を、勤勉で能力の高い労働力に育てるという点にあると思います。
 まさしくかつての日本の驚異的な経済発展の要因は、普通の国民が極めて勤勉で能力の高い労働者であったという点にありました。しかしながら、さまざまな原因から、家庭の教育力の低下が指摘される今日にあって、学力上のつまずきが原因となって自信や意欲を失い、早い段階から社会参加をあきらめたり、非行などの問題行動に追いやられたりする例が少なくありません。
 また、授業についていけない児童生徒の増加は、教員が授業の組み立てを行う際に、生徒児童の理解想定を低く設定せざるを得ない結果を導き、理解力のある子どもにとっては、学校の授業をつまらないものにしているような気もいたします。
 都教委は、これまでに実施してきた独自の学力調査に加えて、先ごろ新たに基礎的、基本的な事項に関する調査を実施したとお聞きしております。この調査結果は、東京の子どもたちの学力向上に具体的に結びつけていくべきであります。調査実施の背景と教育課程への反映や取り組みについて所見をお伺いいたします。

○岩佐指導部長 これまで都が独自に実施してまいりました児童生徒の学力向上を図るための調査の結果によりますと、児童生徒の学力については、全体的に見ると、おおむね良好ととらえておりますが、基礎的な漢字の読み書きや計算ができない児童生徒もいることから、その実態をより具体的に把握するために、基礎的、基本的な事項に関する調査を実施いたしました。
 今後これらの調査結果をもとに、学習のつまずきの傾向や原因を分析いたしまして、東京都の児童生徒が学習指導要領の内容を身につけるために必要な最低限の知識技能や考え方等、その指導方法を示しました東京ミニマムを年内に作成する予定でございます。

○中山委員 東京ミニマムを年内に作成とのことでございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 具体的につまずく学習のポイントというものを特定して、それをどのようにしたら防げるのかということでの指導の内容も示すということでございまして、全国で初の試みだと思っております。
 しかしながら、東京ミニマムをつくりましても、教員がそれを実際に活用して授業改善に生かすことができなければ、児童生徒の学力の向上は現実のものとはなりません。
 そこで、都教委は、東京ミニマムの趣旨や内容を学校へ周知徹底するとともに、実際の授業内容への取り込みの促進につきまして、積極的な取り組みを展開するべきと考えます。所見をお伺いいたします。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会指導主事を対象といたしました協議会を開催し、東京ミニマムの趣旨と内容を周知するとともに、各学校で効果的な取り組みについて研究、協議を進めてまいります。
 また、公立小中学校を対象に説明会を開催し、各校が取り組む授業改善推進プランに東京ミニマムを位置づけ、学習効果を高めるよう指導してまいります。
 さらに、都民に公表いたしまして、学校の取り組みへの理解や家庭学習の習慣化など、協力を呼びかけてまいります。

○中山委員 東京ミニマムの実践に際しましては、東京ミニマムを活用した教育実践の報告会など、あくまで教員の自発的な取り組みを尊重していただきたいと要望いたします。その上で、わかりやすい授業を目指す工夫や改良を何ら試みることもなく、東京ミニマムの存在を意図的に軽視するなどとして、児童生徒の理解力の低下を放置するようなケースに対しましては、都教委は確固たる姿勢で臨むべきであると申し上げておきます。
 私が知る教員で、一たん教員以外の職についていらっしゃいましたが、教職への夢を捨てがたく、苦学を重ねて教員になられた方がいらっしゃいます。その人は生徒に対する愛情や指導意欲には全く問題なかったのですが、若い時代にいわゆる権力行政に従事していたためか、何となくボディーランゲージとしてあらわれる部分が高圧的で、授業や指導内容云々以前の問題として、子どもたちから敬遠されてしまっていった状態になりました。しかし、あるときに、みずからの子どもたちへの接し方に問題があると自覚されて、高額な自費を投じて民間の接遇研修を受講し、その後は生徒たちと良好な信頼関係を築けるようになって、教育成果の向上にも結びつけていらっしゃいます。
 東京ミニマムの策定による学力向上の効果は大いに期待するものでありますが、その一方で、学力向上を左右する基礎学習の習得には、多かれ少なかれ基礎知識の暗記や理解できるまでの反復的な取り組みが欠かせないものだと思います。こうした基礎的学習において、子どもたちの意欲や興味をかき立て、楽しく学ばせていくのも、教師としての技術ですし、教師の魅力であると考えます。
 近年、教育の先進国として注目を集めるフィンランドでは、大学院レベルの学習課程の習得が教員の必須要件とされるほど、教員の社会的待遇が高いといわれております。先日、そのフィンランドで教師を目指す大学院生が、ベテラン教員の監督のもと、小学校の低学年の授業を受け持ち、種々雑多な子どもたちからのさまざまな質問や要求に的確に対応する実践訓練に挑み、ベテラン教員から厳しく指摘を受け、鍛え上げられている模様がテレビで放映されていました。
 これから教壇に立つ若手教員の多くは一人っ子世代です。その点では東京ミニマムの周知徹底を図ることはもちろんのこと、複数の子どもたちを同時に教え導く上での教員として必要な指導技術の体得や、児童生徒との間のよりよい人間関係を構築する力を高めることも、学力の向上を左右する欠かすことのできない大事な視点であります。
 そこで、東京ミニマム構想の発表を前に、古くて新しい課題である教員の資質向上についても、都教委はさらに取り組みを進めるべきと考えます。所見をお伺いいたします。

○岩佐指導部長 東京ミニマムの趣旨を生かした授業改善を進めるためにも、教員の資質向上は重要でございます。都教育委員会は、教員の資質能力を高めるため、これまでも児童生徒理解や指導技術に関しまして、研修の実施や指導資料の作成、配布などを行ってまいりました。
 今後は、東京教師道場の修了者や教職大学院修了者が中心となりまして、学校における授業研究等を充実させることなど、教員の指導力の一層の向上を図る取り組みを行ってまいります。

○中山委員 東京教師道場の修了者はことし四月から、そして教職大学院の修了者は来年四月から、教育現場でその成果を発揮していくということになると思います。これらの人々が、東京ミニマムを基本とした学力のつまずきを防ぐ学習指導を、効果的な指導技術とあわせて展開していくことを期待しております。
 その意味で、東京ミニマムが公表される本年こそは、都教委が学力の向上に向けて本格的な取り組みを具体的に開始していく年になるのではと思います。そこで、東京ミニマムを通じての児童生徒の学力向上につきまして、教育長の決意をお伺いいたします。

○中村教育長 都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携いたしまして、都内すべての公立小中学校で、授業改善推進プランによります学力向上の取り組みを進めてまいりました。
 しかしながら、都が実施してきました児童生徒の学力向上を図るための調査の結果によりますと、学習につまずいている児童生徒もおりまして、東京ミニマムの活用によって、こうした子どもたちも力をつけていかなければならないというふうに考えております。
 つまずいたまんま中学校を卒業するということは、その子どもの将来にとっても、我が国の将来にとっても大変不幸なことでございます。すべての児童生徒が義務教育終了時点で身につけておくべき最低限の学力を確実に習得できますよう、引き続き私ども学力向上に努めてまいります。

○中山委員 力強いご答弁、大変ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、外国人への日本語教育について質問をさせていただきます。
 都議会公明党は、昨年十月十二日、都内に住む外国人の児童生徒への教育支援を行っているNGO、NPO、学校関係者でつくる外国人の子どもの教育条件の改善に関する請願を生かす会--以下、生かす会と略させていただきますが--の皆様と懇談をさせていただきました。
 同会は、昨年六月の第二回定例会で、我が会派の議員も紹介議員となりました、外国人の子どもの教育条件の改善に関する請願が全会一致で可決されたことをきっかけに結成されたものでございます。
 私もその際、文教委員の皆さんとともに出席をさせていただきましたが、日本語教育の現状に関するさまざまな課題や、あるべき姿との間の乖離を埋めるために、多くの心ある人々が、長年にわたって自発的なご努力を注いでくださっていることなどについて、大いに知見をいたしたものでございます。
 その内容を踏まえて、何点かお伺いいたします。
 まず外国籍など、日本語指導の必要な児童生徒への指導につきまして、日本語学級に対する取り組みなどが、区市によって状況がさまざまに異なるように聞いておりますが、日本語学級などの仕組みはどのようになっているのか、お伺いいたします。

○新井学務部長 都教育委員会では、日本語能力が不十分な児童生徒に対しまして、東京都独自の日本語学級の仕組みを設けておりまして、その設置につきましては、小中学校の設置者である区市町村教育委員会の判断に基づいて、都教育委員会が同意を行うこととしてございます。
 また、日本語学級とは別に、日本語指導を必要としている児童生徒の在籍状況に応じまして、区市町村教育委員会からの申請により、日本語指導を担当する加配教員を配置する仕組みも設けているところでございます。
 都教育委員会では、これらの仕組みを用いまして、区市町村教育委員会の日本語指導を支援しているところでございます。

○中山委員 今ご答弁がございましたように、都は、国に頼らず、都独自で日本語学級を設置したり、加配教員の制度によって対応しているとのことでございます。
 そもそも学習指導要領上、外国人等への日本語教育は、教科が、国語における児童生徒の理解力の個別性への配慮という域を脱しないものではないかというふうに思います。明確な概念が整備されておりません。
 国内の日本語教育機関は、学校教育法上の各種学校にすら位置づけられていないという状況でございます。したがって、日本語教育の推進に必要な日本語学級の設置や加配教員の申請自体も、いわゆるできる規定であり、区市の方針によって、その取り組みは現状まちまちということになっております。
 しかも、仮に日本語学級が設置されていても、二年間という期限では、成果が不足しがちなこと、日本語教育が単独で行われるため、日本語が上達するまでの期間の教科理解という点で、大きくおくれをとりがちなことなどが問題点となっております。私がお話を承った生かす会の皆様も、その点を今後の課題として指摘されていらっしゃいました。
 そうした課題を現状補完してくださっているのが、先ほど申し上げました心あるボランティアグループの方々でございますが、ボランティアである以上、その活動範囲にも限界があり、その活躍を得るために必要な最低限の環境の整備という点でも、区市の援助状況が異なっているのが現状でございます。
 そこで、区市町村では、ボランティアを活用した指導員や通訳など、日本語指導の充実のため、さまざまな工夫をしておりますが、都教育委員会として、改めて実態を把握する必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。

○新井学務部長 市町村におきましては、日本語学級や日本語指導のための加配教員の活用以外に、地域や学校の実情に応じ、教員以外の日本語教育の専門的知識のあるものを日本語指導員として配置したり、授業に母語と日本語の通訳を行う者を配置するなど、さまざまな対応をしているものと考えております。
 日本語学級や日本語指導を必要とする児童生徒に対する区市町村の取り組みを把握するよう努めてまいります。

○中山委員 ぜひ取り組みの実態につきまして、日本語教育を必要とする外国人児童生徒の地域別の多い少ないの状況と、それに応じて、施策展開が比較均衡、どのようになっているのかというような点、効果と課題などを含めて、調査のほどよろしくお願いいたします。
 日本語は、我が国の伝統、文化、芸術の根幹をなすものであり、世界に誇る美しい言語であると思っております。それを後世に正しく伝えることは、現代日本人の使命でもあります。同時に、日本語という一つの言語で情報伝達し合える国民風土という特性は、グローバリゼーションが飛躍的に進行していく今後の日本社会にあっても、日本のすぐれた経済政策上、安全保障上の優位性の土台をなすものとして放棄するべきではないと考えております。
 そこで、都は国への法制度改正の要請、各種学校への位置づけや、学生の在留資格における就学、留学部の一本化、学習奨励費の拡充など、今後さまざま要望をしていくべきと思いますが、国の動きにかかわらず、都独自の対策の強化も進めていくべきであります。
 まずは具体的に都内における日本語教育環境の質の向上を図るべきであります。生かす会の皆様からも、二年間では足りないとか、教材が不足しているなどの課題が指摘されました。私は、学力向上に関する先ほどの東京ミニマムのような日本語教育の質的、技術的スタンダードを打ち出していくべきと考えます。
 外国人児童生徒に効果的な日本語指導をするために使用する教材や教員の研修につきまして、都教委の現在の対応状況や今後の対応について、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 都教育委員会では、日本語指導が必要な外国人児童生徒用のテキストを十六の言語別に作成いたしまして、区市教育委員会に提供してまいりました。本年度から都教育委員会のホームページに掲載を始めまして、現在六言語を掲載したところでございますが、今後、順次掲載をして、学校の教員はもちろん、日本語指導にかかわる方々が活用できるようにしてまいります。
 日本語指導に関する教員の研修につきましては、都教職員研修センターにおいて、日本語学級等の教員を対象に、夏季休業中に集中して実施しております。その中で、文部科学省が開発しましたJSLカリキュラムという日本語を習得させるためのカリキュラムに関する研修を充実いたしまして、日本語指導力の向上を図ってまいります。

○中山委員 積極的な都教委のご答弁に感謝を表します。
 JSLにつきましては、単に日本語を習得するというだけではなくて、教科指導もあわせて行うという点で実践的なものであり、ぜひその活用に期待をいたしております。
 私はさきの平成二十年第一回定例会における一般質問で、外国人都民や外国人旅行者からの意見、要望を的確に都の施策展開に反映させていってこそ、国際都市東京の評価が高まり、オリンピック招致にもつながると質問させていただきました。
 この質問に対し、都側の答弁としては、今後、生活文化スポーツ局が所管する地域国際化推進検討委員会などを活用して、外国人の抱える課題を把握した上で、知事本局が所轄し、庁内の横断的な会議であります国際政策推進会議に提案して、関係各局と連携を図りながら、課題解決に向けた取り組みを進めていくと答弁がありました。
 首都東京におきましては、日本語教育の進展は、国が悠長に構えるほど喫緊、緊急性の低い課題ではありません。外国人都民等の意見、要望にも的確にこたえる、国際都市東京の新しい対応体制の中で、日本語教育の進展が模範の迅速な対応事例として国内外から高く評価されるよう、今後も期待申し上げております。
 続きまして、ものづくり教育の推進についてお伺いをさせていただきます。
 今日、ものづくり企業では、団塊の世代が平成十九年以降、順次退職していく、いわゆる二〇〇七年問題への対応を迫られております。日本が国際競争力で優位に立つためには、科学技術をベースとするものづくり人材の育成が喫緊の国家的課題であり、今そのための学校教育のあり方が改めて問われております。
 ものづくり人材の育成は、現在作成されている新たな東京都教育ビジョンの重点施策にも位置づけられているところであります。私は毎年の東京ビッグサイトで行われる産業交流展を楽しみにしております。この交流展は、中小企業の産業見本市として国内最大級の規模であり、七百を超える企業や団体が技術や製品を展示しており、日本の中小企業の技術力や熟練技能者の優秀さを改めて実感させるものであります。
 工業高校の生徒がこのような産業交流展を見学して先端的な技術に触れたり、ものづくり企業のすぐれた熟練技能者から直接技能などを学んだりすることは大切であると考えます。
 都立工業高校において、生徒がものづくり企業の先端的な技術や製品に触れることが重要であると考えますが、所見をお伺いいたします。

○岩佐指導部長 工業高校では、これまでも生徒がモーターショーや国際ロボット展、福祉機器展などを見学し、ものづくり企業の先端的な技術や製品に触れる機会を設けてきてまいりました。
 また、工業高校の中には、地域の産業フェアなどに作品を出展している学校もあり、お話の産業交流展においても、ものづくり企業でインターンシップを行った生徒が、その企業の出展ブースで、担当者と一緒に実演や製造過程の説明を行っております。
 これらの取り組みを通しまして、工業高校の生徒がものづくり企業の先端的な技術や熟練技能者のわざのすばらしさに触れることは、ものづくりへの興味、関心を一層高めていく上で極めて重要であると考えております。

○中山委員 我が党が昨年の第四回定例会の代表質問におきまして、産業交流展を使っての中小企業支援について、いろいろ提案をさせていただきました。その中で、今後は海外の企業を招聘するとか、あるいは大企業を招いて具体的に商談をその場で行うとか、そういうようなことも、今後、産業労働局は取り組んでいくということでございます。
 ものづくりの楽しさと、そしてそれが大きなビジネスチャンスにつながるということを、都立工業高校生に目の前で体験してもらうことは大変重要だと思いますので、この都立高校生が一緒になって取り組んでいるという実例をぜひ進めていただきたいと思います。
 ただいま都立工業高校の生徒が産業交流展を見学するだけではなく、インターンシップを受け入れた企業の担当者と一緒に参加していたとのお話がございました。
 今後、工業高校の生徒が、このようなものづくり企業から技術や技能を学ぶインターンシップを実施していく機会を広く、そしてふやしていくべきと考えますが、取り組みについてお伺いいたします。

○岩佐指導部長 これまで都立工業高校では、三日間程度のインターンシップを実施いたしまして、生徒の望ましい勤労観や職業観の育成を図ってまいりました。今後、都教育委員会では、こうした取り組みに加え、専門的な技術や技能の習得を目的といたしまして、十日間程度のものづくり企業でのインターンシップを新たに実施してまいります。

○中山委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 ところで、工業高校を初め専門高校では、インターンシップ以外にもさまざまな学習活動を行い、成果を上げているとお伺いしております。その中で、生徒のすぐれた取り組みを、他の生徒や中学生に広げていくべきだと私は訴えてまいりました。
 都教委は、その要請にこたえ、過日、専門高校等の学習成果発表会を行うことを聞いておりますが、どのような内容であったかお伺いいたします。

○岩佐指導部長 お尋ねの発表会では、工業高校を初め専門高校等の生徒が、日ごろの学習成果を発表するとともに、技能五輪国際大会で金メダルを受賞した都立工業高校卒業生の講演等を行いまして、高校生を初め、中学生やその保護者など二百五十名を超える参加者がありました。
 発表会終了後のアンケートでは、参加者から、生徒の取り組みを高く評価する感想が多く寄せられており、参加した生徒たちは、学ぶことへの意欲を高め、今後の学習への動機づけになったことと考えております。

○中山委員 中学生の参加があったことは大変すばらしいことであります。
 ものづくり人材の育成には、早い段階、小中学校の段階から、ものづくりの楽しさや満足感を体験させることが重要であります。私の地元にある足立工業高校では、昨年の夏休みに小中学生が参加するものづくり教室を行ったと聞いております。
 小中学生対象のものづくり教室の内容と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○岩佐指導部長 小中学生を対象としたものづくり教室では、都立工業高校の専門的な教職員が指導者となりまして、工業高校六校を会場として実施をいたしました。参加した小中学生はじっくりと時間をかけまして、自分でデザインした時計やリモコンロボットなどの製作など、ものづくりに取り組みまして、完成した作品を喜んで持ち帰っていきました。
 都教育委員会は、今後ともものづくり教室の充実を図りまして、小中学生がものづくりにおもしろさや達成感が得られるように努めてまいりたいと思っております。

○中山委員 ものづくり教育への関心を小中学生レベルに広めていくことは、都教委も既に方針を発表されているとおり、より優秀な生徒がものづくりに興味、関心を抱くことを導き、技術立国日本の将来を開くものであると考えます。ものづくり教育の充実に向けて、さらなるめり張りのある取り組みを期待申し上げております。
 最後に、特別支援教育についてお尋ねさせていただきます。
 発達障害の生徒は、知的障害を伴えば、多くの場合、特別支援学校の高等部に進学しております。しかし、知的障害を伴わない場合は、高校やフリースクールなどに進学したり、就職したりしております。中には進学も就職もせずに、自宅で引きこもっている生徒もいらっしゃるかもしれません。
 そこで、まず、知的障害特別支援学校の中等部や通常の中学校の特別支援学級、及び通級指導学級に通っている生徒数についてお尋ねします。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 知的障害のある中学生の数でございますが、平成十九年五月一日現在、都立知的障害特別支援学校の中学部には千百七十三人、中学校の知的障害学級には二千二百六十四人の生徒が在籍しております。
 また、中学校の情緒障害学級には五十四人の生徒が在籍し、情緒障害等通級指導学級には七百六十一人の生徒が通っております。

○中山委員 今ご答弁でありました数字は、一年生から三年生までの合計の数であります。このうち知的障害特別支援学校の高等部の対象とならない情緒障害学級等に通う生徒さんは八百人程度おり、これを一学年あたりで見ますと、毎年二百人から三百人程度いらっしゃることになります。
 このことから、都立高校にも発達障害の生徒さんがかなり入学していらっしゃるということが考えられます。そのため、都立高校においては、まず校内で発達障害等により支援を必要としている生徒の実態を的確に把握していくことが重要と考えます。今後の方針をお伺いいたします。

○岩佐指導部長 高等学校段階におきましても、発達障害による学習面や生活面のさまざまな困難さがあることから、生徒一人一人の実態をきめ細かに把握していく必要がございます。
 現在、都立高校六校におきまして、発達障害のある生徒の実態の把握の仕方や支援のあり方の研究を行ってきております。また、今年度初めて都立高校の教員を対象とした研究協議会を実施いたしまして、発達障害への理解を深めたところでございます。
 平成二十年度からは、すべての都立高校において、校内に特別支援教育にかかわる委員会を設置いたしまして、特別支援教育コーディネーターが中心となって、臨床発達心理士などの心理の専門家や専門機関等と連携しながら、多面的な実態の把握に努めてまいります。

○中山委員 平成二十年度からすべての都立高校に配置される特別支援教育コーディネーターの活動によって、初めて都立高校における発達障害等の生徒さんの実態が把握されていくということでございます。どのような支援が必要となっていくのか、その実態把握をもとに、さらなる綿密な施策展開をお願い申し上げたいと思います。
 都立高校に特別支援教育にかかわる委員会を設置し、特別支援教育コーディネーターを指名するということでございますが、既に設置が行われている、指名が行われている区市町村の小中学校におきましては、まだそのコーディネーターの役割や、また委員会の運営方法の認識が不十分で、機能が発揮されていない学校もあると聞いております。都立高校におきましても、今後、同様のことが懸念されております。
 先日の予算特別委員会における我が党の代表質問に対し、中村教育長から、本年四月に東京都特別支援教育推進室--仮称でございますが--を設置し、人材バンク的機能を持たせ、区市町村や学校を支援していくとの答弁をいただきました。
 この人材バンク的機能を活用し、区市町村や各学校の特別支援教育推進のための応援体制を具体的に整えていくことが重要と考えます。所見をお伺いいたします。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進室(仮称)の人材バンク的機能といたしまして、区市町村教育委員会や学校が実施する研修の講師となる大学等の専門家の紹介、区市町村や学校の特別支援教育体制整備について、助言、援助する指導主事や相談員の派遣、高校への心理の専門家の派遣などを考えております。
 こうした取り組みによって、区市町村や学校に対する支援体制を整えてまいります。

○中山委員 特別支援コーディネーターに指名された後、いろんなことを要求されて困ってしまうのではと危惧している人も、中にはいらっしゃるようでした。こういう形で、心理の専門家など派遣していただいて、一緒に問題解決に向けて協力体制を整えていくということでございますので、ぜひ期待申し上げたいと思います。
 就学前期間の支援情報を小学校につなげるのが就学支援シートでございまして、その作成、活用が進んでおります。小学校の通常の学級でも、個別の教育支援計画が策定されるようになっております。この個別の教育支援計画に記載されている支援情報を、小学校から中学校へ、中学校から高校へとつなげていく連携システムの構築が、発達障害のお子さんたち等に対して、またあるいはさまざまな障害のお子さんたちに対して必要と考えます。所見をお伺いいたします。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 個別の教育支援計画は、長期的な視点で、学齢期を通じて、一貫して的確な支援を行うことを目的に策定するものでございます。現在、小学校と中学校の連携につきましては、区市町村教育委員会の努力もあり、個別の教育支援計画に基づく支援の引き継ぎが進んでおります。今後、都としてもすぐれた事例等を紹介し、区市町村を支援してまいります。
 中学校と高校の連携につきましては、今後、東京都特別支援教育推進室(仮称)が中心となって、この個別の教育支援計画を円滑に引き継ぐあり方を検討してまいります。こうした区市町村と都との連携によりまして、乳幼児期から高校卒業までの一貫した支援システムを構築してまいります。

○中山委員 障害のあるお子さんに対するケアの体制といたしましては、就学前、保育園等におきましては、保健所とか保健センターとかが対応していく。そしてまた、小中学校におきましては、区市の教育委員会の巡回指導で対応している。そして今度、いよいよ特別支援教育推進室が設置されることによりまして、小中高まで含めたケアの応援体制が整うということでございます。
 障害を持っていらっしゃるお子さんに対する対応としては、早い段階からの対応が可能であれば、その成果は大きくなってまいりますし、発達障害のお子さんにつきましても、予算特別委員会で、代表質問で藤井議員が申し上げましたけれども、トム・クルーズの話もそうでございますし、可能な対応がいろいろ開けてくるということでございます。
 特別支援教育の推進におきましては、都教育委員会のリーダーシップと支援の継続がかぎとなると考えます。今後、東京都特別支援教育推進室が全都の特別支援教育の推進において、重要な役割を担って機能していってほしいと願っております。
 最後に、特別支援教育推進室の設置を一つの機会として、さらなる東京都の特別支援教育の体制の充実に向けて、教育長の所見をお伺いいたします。

○中村教育長 特別支援教育は、発達障害を含む障害のある幼児、児童生徒の一人一人の能力を伸ばしまして、社会的自立ができる力や地域の一員として生きていける力を培う教育の場でありまして、その推進は極めて重要であるというふうに考えております。
 お話の、この四月に開設いたします推進室は、今の段階から非常に評判が高うございまして、区市町村教育委員会や各学校からも大いに期待されているところでございます。
 今後、その期待にこたえるべく、推進室の役割や機能を十分に発揮いたしまして、東京都における特別支援教育推進の中心的な役割を果たしていきたいというふうに思っております。

○石川委員 本日の委員会の最後の質問者になりましたので、これまでの質疑の重複を避けながら、何点かお伺いをしたいと思います。
 初めに、教育庁の組織改正について、仄聞するところによりますと、平成二十年四月に、学務部と生涯学習部を対象に、本庁の組織改正を予定している。なぜこの時期に組織改正を行うのか、明らかにしてください。

○石原参事 平成十八年十二月に教育基本法の改正がございました。この中では、第十条において家庭教育、第十一条において幼児期の教育、第十三条において学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力が、それぞれ新たに規定されております。
 都教育委員会といたしましては、これらの事項が今後取り組むべき方向として極めて重要であると考えておりまして、これらの課題に適切に対応するため、学務部の義務教育部門と生涯学習部とを統合して、新たに地域教育支援部を設置するとともに、学務部の業務のうち、都立学校に関する業務に特化して、都立学校教育部を新たに設置するという組織改正を平成二十年四月に予定しております。

○石川委員 答弁にもありましたとおり、教育基本法では重要な規定が幾つか新設されました。昭和二十二年に教育基本法が制定されてから約六十年、教育を取り巻く環境は大きく変わりました。社会の核家族化や少子高齢化が進展する中、家庭や地域の教育力の低下が指摘され、子どもには基本的生活習慣の乱れや、学ぶ意欲、学力の低下傾向が見られます。
 いうまでもなく、教育は学校だけで行われるものではありません。家庭はすべての教育の出発点であり、地域社会の果たす役割も重要です。学校、家庭、地域の三者がそれぞれの役割と責任を自覚し、お互いに協力していくことが求められています。
 そこで伺いますが、この組織改正はどのようなメリットがあるのでしょうか。

○石原参事 学校でよりよい教育を展開していくためには、地域の多様な人材がさまざまな形で学校を支援する仕組みを整えていくことが重要であります。また、生涯学習施策につきましては、生涯にわたり、あらゆる機会に、あらゆる場所で学習でき、その成果を適切に生かすという従来の生涯学習の視点に加え、教育行政の中核である学校教育を補完、支援していくという視点も重要でございます。
 今回の組織改正によりまして、これらの実現に向けての取り組みが進むと考えております。

○石川委員 教育基本法で新設された項目のうち、特に私は、就学前の家庭教育が重要であると思っています。家庭での教育は、自制心や自立心、豊かな情操、基本的な倫理観などの基礎を子どもたちにはぐくむものです。教育基本法でも、父母その他の保護者は、この教育についての第一義的責任を有すると規定されています。家庭教育は都民の関心も高く、注目をされているところです。
 そこで、この組織改正は、都民から見てどのように受けとめられると考えていますか。

○石原参事 教育基本法で新たに規定された家庭教育への支援につきましては、都教育委員会といたしましても取り組むべき重要課題の一つであると考えております。
 今回の組織改正により、家庭教育支援につきましては、地域教育支援部において、新たに分掌する義務教育とも関連づけ、さらに施策を推進していくことが可能となります。したがいまして、都民からごらんになれば、都教育委員会は、今後、家庭の教育力の向上に向けて、家庭教育支援をさらに重視していくものと受けとめていただけるのではないかと考えております。

○石川委員 そこで、家庭教育支援について何点か伺います。
 都教育委員会は新教育ビジョンの中間のまとめでも、家庭の教育力の向上を主要な柱として取り上げています。家庭教育への支援はまさに喫緊の課題であり、時宜を得たものであります。
 これまで都教育委員会は、家庭教育支援の柱として、平成十八年度に、子どもの生活習慣確立プロジェクトを開始し、全国に先駆けて施策を展開してきました。この事業では、子どもの基本的な生活習慣の確立に取り組み、一定の効果を得たと聞いておりますが、評価された点はどのようなことでしょうか。

○皆川生涯学習部長 子どもの生活習慣確立プロジェクトで評価された点でございますが、科学的知見に基づき作成した、子どもの生活習慣確立のためのテキストやDVDが、だれにでもわかりやすく、小学校の入学説明会などで活用され、保護者や保健師などに幅広く好評を得たこと、また、教育分野だけでなく、福祉分野や医療分野などと局横断的な取り組みによりまして、啓発活動に広がりができたことなどが挙げられます。

○石川委員 小学校就学前の子どもを持つ親を対象とした啓発などで評価を受けたことはわかりました。
 さて、近年の医学や脳科学の研究によれば、子どもの心と体の健全な発達のためには、乳幼児期からの教育が重要であるといわれています。特に人格形成の基礎が培われる零歳から三歳までの時期が大切で、そのときに家庭で親が教育を怠ると、思春期になって問題が出てくることも指摘されています。
 今後は、この時期にあわせた取り組みも重要であると考えますが、どのような取り組みを行うつもりですか。

○皆川生涯学習部長 お話のとおり、乳幼児期の教育は、人格形成の基礎を培う重要なものであると考えております。
 今後は、生活習慣確立プロジェクトでの成果を生かしつつ、対象を拡大いたしまして、乳幼児期からの一貫した教育支援の取り組みを行う乳幼児期からの子どもの教育支援プロジェクトを進めてまいります。

○石川委員 現代は核家族化やきょうだいの数の減少などにより、子育ての知識や経験が不足している親がふえており、子育てに関心の薄い親もおります。こうした親にこそ子どもの教育に対する義務と責任を明確に自覚する必要があります。
 一方、子どもたちの過ごし方を見ると、保育園で過ごす子、幼稚園で過ごす子、自宅で親と過ごす子の三つのタイプがあるといわれております。四歳から六歳の子どもたちだけでは、実に九割以上の子どもたちが、日中、幼稚園や保育園などで過ごしています。まずは、こうした家庭がこうした身近なところと連携することがとても大切であります。
 親が変われば、教師も変わり、学校も変わる。育児という字は、親自身が育つという意味において、みずから育てると書く「育自」でもあります。子育てに関心の薄い保護者も含め、すべての親に対して、乳幼児期からの子どもの発達の重要性を伝えることが重要であると考えますが、具体的な取り組みについて伺います。

○皆川生涯学習部長 子育てに関心の薄い保護者への啓発は大きな課題でございます。都としては、まず子育てに関心の薄い保護者を初め、すべての保護者が乳幼児期からの子どもの発達の重要性について学ぶためのテキストを作成し、幼稚園、保育園、保健所等、親と直接に接する機関と連携して、保護者会や説明会などを活用して普及啓発に努めてまいります。
 さらに、指導の役割を担う幼稚園教諭、保育士、保健師等の専門職員に向けても研修テキストを作成し、家庭教育支援の取り組みをさらに進めてまいります。

○石川委員 また、子育て中の親の状況についてですが、東京では、六歳未満の子どものいる家庭の九割以上が核家族であり、そうした家庭の母親のうち四割以上が、子どもとの接し方に自信がないと答えています。また、親類や近所づき合いが乏しいことを問題として挙げる割合も増加し、いわば子育て中の親自身が社会から孤立化した状況であるといえます。
 乳幼児期からの子どもの教育支援を考える上で、保育士、幼稚園の教諭を初め、信頼できる存在が身近にいることや、同じような世代の仲間を持つなど、親自身が社会的なつながりをつくり、そうした地域の人々と連携をとりながら育てることが大事でありますが、その具体策についてもお伺いいたします。

○皆川生涯学習部長 子どもたちの健やかな成長を支えるためには、親、家庭だけでなく、ご指摘の保育園や幼稚園を初め、児童館、公民館、子育てグループ、地域のNPOなど、さまざまな地域の人々が協同して、主体的に子育てを支援することが大切であると考えます。
 都としては、まず乳幼児期の子どもとその親の社会的つながりを促すモデル事業を行いまして、地域における家庭教育支援の取り組みを進めてまいります。

○石川委員 そうした取り組みを展開する際には、やはり地域における活動の核となる担い手を育成することがキーポイントであります。こうした担い手によって生み出された地域のつながりは、子どもと親たちに安心感や充実感を与えるとともに、そこに参加するすべての人の生活を豊かにするだけではなく、地域全体の教育力を豊かにすることにもつながります。
 今後、都として、こうした人材の育成にも取り組んでいただくよう要望しておきます。
 次に、請願二〇第三号に関連して伺います。
 今の教育を語る上で、教員の多忙化、子どもと向き合う時間の確保が大きな問題としてクローズアップされています。都教育委員会では、平成二十年度から、小学校の専科担当教員の配置数を一部見直す計画であり、教員の多忙化への対策や子どもと向き合う時間の確保のための取り組みについて伺います。
 学校現場からは、教員は忙しい、副校長はもっと忙しいという声を聞きます。こうした声が出る背景には、保護者の意識や児童生徒の変化、それに伴う課題など、さまざまな要因がありますが、時代とともに、既存の学校運営組織が十分機能しなくなってきたこともその一因であります。
 そのため、都教育委員会では、平成十五年度から国に先駆けて主幹を導入し、配置の拡大を図ってきたところでありますが、国においても、学校教育法を改正し、平成二十年度から新たに主幹教諭の職を設置するとともに、主幹教諭の授業持ち時間を軽減するために、教職員定数の改善を行うと聞いています。
 国の定数改善の内容及び考え方について伺います。

○松田人事部長 国では、主幹教諭が設置される学校におきまして、主幹教諭の授業持ち時数を軽減し、その機能を発揮するための教員加配を平成二十年度予算に盛り込んでおります。この加配定数の積算についてでございますが、主幹教諭が小学校の二十一学級以上校、中学校では十八学級以上校の二分の一に配置されることを想定いたしまして、さらにその二分の一に対して教員を加配するということで、国全体で千人の定数改善となるというものでございます。
 なお、非常勤講師によって、授業持ち時数の軽減を行った場合におきましても、義務教育費国庫負担金の対象に含めていくというふうにされております。

○石川委員 主幹教諭あるいは主要な業務を担う主任が、その職務を適切に遂行し、校長、副校長の学校運営を補佐するためには、実際には物理的な時間の確保が必要になります。国の定数改善の動向も踏まえ、都教育委員会では、平成二十年度から小学校についても主要な主任、主幹教諭の授業時数の軽減を行うとのことでありますが、具体的な軽減措置の内容について伺います。

○松田人事部長 都教育委員会では、平成二十年度から十二学級規模以上の小学校につきまして、非常勤講師を活用した授業持ち時数の軽減措置を導入することといたしました。具体的には教務主任及び生活指導主任または教務及び生活指導を担当する主幹教諭につきまして、それぞれ週二時間の授業持ち時数の軽減を行う予定でございます。

○石川委員 軽減措置の対象となる学校は十二学級以上とのことでありますが、小学校全体のうち何校程度が軽減措置の対象となりますか。

○松田人事部長 現時点での推計でございますけれども、平成二十年度の小学校数、千三百十六校に対しまして、九百六十六校が軽減措置の対象となると見込んでおります。

○石川委員 我が党が代表質問で述べましたように、都として、国の補助金を積極的に活用しつつ、退職するベテラン教員を活用すること、また、指導経験の豊富な非常勤講師等の人材の活用を図ることで、教員の負担を軽減し、教育課題の解決に役立てていくことは重要であります。
 一方で、教員の負担を軽減するためには、例えば統計調査等の合理化、スリム化など、総合的な取り組みが必要であります。児童生徒指導の充実を図るため、教員の負担軽減については引き続き取り組んでいただくことを要望いたします。
 最後に、都立高等学校の授業料額の改定についてお伺いをいたします。
 一つ確認ですが、これは平成二十年度に入学する新一年生から対象になります、したがって、在校する新二年生、三年生は冷房費の負担がないと。これはいわゆる授業料にこの冷房費を取り入れたことによって、そうした措置になるということでよろしいのかどうか、ちょっとお願いします。

○新井学務部長 従来からの授業料の負担につきましては、新たに入る生徒から徴収しておりまして、在校生については従来からも、要するに改定額については適用しておりません。

○石川委員 ですから、確認ですが、要するに、授業料に冷房を含めたために、在校二年生、三年生については負担を求めないということの解釈でよろしいんですか。

○新井学務部長 結果的にそういうことになろうかと思います。

○石川委員 今回の改定については、今日の経済状況、また東京での生活ということを考えると、負担する家庭にとっては、やはり大変厳しいものがあるというふうには私どもも思っております。しかし、受益者負担という必要な改定でもあるということは理解をしながらも、先ほど来、減免減額制度がある、こういうことで対応してまいりたい、こういう答弁がありました。
 実は私も減免、減額につきまして、現在、生活保護費一・二倍で運用しているということも承知しております。しかも、生活保護が基準になっていますから、保護者の所得じゃなくて、生徒が同居する家族全員の所得で計算をされるということで、あるご家庭から、実は姉が就職をしたために生活保護基準から超えてしまいました、しかし、実態は、子どもに家庭にお金を入れてください、こういっても、なかなか理解が得られない等々、東京のさまざまな生活の実態があるわけであります。
 いただいた資料の九ページを見ますと、実は平成十三年度までは、「〔5〕その他教育長が特に必要と認める者」のいわゆる対象者が大変多かったんですけれども、平成十四年度から、四けたが三けたに実は減少をするということが、これでも明らかになっております。
 そこで、二つお願いがありますが、一つは、学費未納の初期の段階で、そうした生徒また保護者に対して、きめ細かな相談体制、あるいは実情の調査というものをしていただいて対応していただきたい。後々学費がたまって、授業料がたまって退学に追い込まれるという事態は、やはり極力、運用で避けていただきたいなと思います。
 それからもう一点は、先ほども述べましたように、家庭にはそれぞれの状況がございます。したがいまして、それぞれの状況をつぶさに調査をしていただいて、子ども、生徒が、学業が、高校に通うことができるような減免減額制度というものを運用していただきたいと思いますが、ご決意を聞かせていただいて質問を終わります。

○新井学務部長 まず、授業料の関係の未納、滞納の初期の段階のというお話でございますけれども、すべての受検生に配布します募集案内とか、入学手続時に配布します授業料の納付についてのお知らせ、これにおきまして、保護者への減免制度の周知等も図っております。また、個別に教員が、生徒の未納状況をきめ細かく把握していくという形での対応をしているところでございます。
 それから、家庭の状況等でございますけれども、授業料の減免の認定に当たりましては、国が定める生活保護基準をもとに、世帯の標準的な支出と実際の収入を比較して、なおかつ、物価や世帯構成、かかった医療費等も勘案して判定しているところでございます。ほとんどの県においても同様に、世帯収入により判定しているということでございます。
 なお、経済的に苦しい生徒に対しましては、私学財団を通しての奨学金の活用も可能でありまして、都教育委員会といたしましては制度の周知徹底を今後も図ってまいります。

○古館委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古館委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項並びに請願に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後六時二十四分散会

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