文教委員会速記録第十五号

平成十九年十一月十三日(火曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長古館 和憲君
副委員長早坂 義弘君
副委員長門脇ふみよし君
理事吉原  修君
理事斉藤あつし君
理事石川 芳昭君
伊藤 ゆう君
松葉多美子君
中山 信行君
伊藤まさき君
鈴木 一光君
古賀 俊昭君
大山とも子君
服部ゆくお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長渡辺日佐夫君
次長三橋  昇君
総務部長高西 新子君
広報広聴部長和田 正幸君
都民生活部長小笠原広樹君
消費生活部長宮川 雄司君
私学部長小濱 哲二君
文化振興部長 杉谷 正則君
スポーツ振興部長細井  優君
参事萩原まき子君
参事平林 宣広君
参事桃原慎一郎君
参事池田 俊明君
参事高原 俊幸君

本日の会議に付した事件
 生活文化スポーツ局関係
事務事業について(質疑)

○古館委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の事務事業に対する質疑を行いたいと思います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から幹部職員の紹介がございます。

○渡辺生活文化スポーツ局長 十一月一日付の人事異動で当局の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介申し上げます。
 参事で文化施設改革担当の桃原慎一郎でございます。当委員会との連絡等に当たらせていただきます総務課長の武市玲子でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○古館委員長 それでは、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○高西総務部長 去る十月十八日の当委員会において要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております平成十九年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、1、公衆浴場数の推移外八件の資料を記載しております。
 それでは、一ページをお開き願います。1、公衆浴場数の推移でございます。
 平成十年から十九年までの公衆浴場数の推移を区市ごとに記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たりの単価及び全国順位の推移でございます。
 私立学校経常費補助に係る生徒一人当たりの補助単価及びその全国順位について、平成十四年度から十八年度までの推移を学種ごとに記載しております。
 三ページをお開き願います。3、私立学校の授業料及び初年度納付金の推移でございます。
 私立学校の授業料の年額及び初年度納付金について、平成十四年度から十八年度までの推移を学種ごとに記載しております。
 四ページをお開き願います。4、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成十四年度から十八年度までの五年間について、(1)に計画額及び実績額の、(2)に貸付人員数の推移をそれぞれ記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立幼稚園における預かり保育の実施状況でございます。
 平成十九年六月一日現在、幼稚園の教育時間終了後も引き続き園児を預かる預かり保育を実施している私立保育園数及びその割合を掲げております。
 六ページをお開き願います。6、私立学校における学級規模別学校数でございます。
 表の左側に記載した学級規模の区分ごとに、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の数をそれぞれ掲げております。
 七ページをお開き願います。7、私立高等学校中途退学者理由別内訳でございます。
 平成十八年度の一年間に私立高等学校を中途退学した生徒数を、その理由別に記載しております。
 八ページをお開き願います。8、都立体育施設の改修、改築、増築等の状況でございます。
 東京体育館など都立体育施設においてこれまでに実施いたしました大規模改修や改築等の状況を、それぞれ施設ごとに記載しております。
 九ページをお開き願います。9、スポーツ振興施策に係る予算の推移でございます。
 当局が所管するスポーツ振興施策に係る予算について、表の左側に記載の区分ごとに、平成十年度から十九年度までの推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○古館委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○早坂委員 スポーツ振興策についてお伺いをいたします。
 東京都が昨年十二月に発表した「十年後の東京」では、都政の多くの課題の中でスポーツ振興が施策展開の柱の一つに位置づけられ、スポーツを通じて次代を担う子どもたちに夢を与えるという明確な目標が掲げられました。二〇一六年のオリンピック開催都市の決定まで二年を切り、また、六年後に迫った東京国体に向け、選手強化が本格化するなど、東京都においてはスポーツ振興に対して歴史的な追い風が吹いていると考えます。
 本年四月にスポーツ事業が教育委員会から生活文化スポーツ局に移管され、スポーツ専管部署であるスポーツ振興部が設置されましたが、このねらいは何であるか伺います。

○細井スポーツ振興部長 スポーツ振興部の設置のねらいでございますけれども、オリンピックの招致や東京国体の開催など、都のスポーツを取り巻く環境の変化に対応した施策を適宜適切に推進するため、教育委員会から事務を移管し、生活文化局にスポーツ振興部を設置し、スポーツ振興の執行体制を一層強化充実したものでございます。

○早坂委員 速やかに事業の執行体制を整える必要があったことから、東京都においては現行法令の範囲内で事務の移管を行ったということであります。
 これを追認する形で、来年の四月、スポーツ事業を教育委員会ではなく、首長が担当することができる法律の改正が施行されることになりました。東京都が国を動かす形となりましたが、生活文化スポーツ局でスポーツ事業を実施することで施策の展開がどのように変わるのか、伺います。

○細井スポーツ振興部長 スポーツ振興の効果を幅広くとらえ、教育行政にとどまらず関係各局と都政の各施策について連携することによって、スポーツ振興をこれまで以上に充実し、生涯スポーツの振興や競技力の向上を目指すなど、総合的なスポーツ施策を積極的に推進してまいります。

○早坂委員 今回の事務移管を機に、教育委員会が平成十四年に策定した東京スポーツビジョンを改定し、新たなスポーツ振興戦略を策定するとのことでありますが、改定に至った背景と理由についてお伺いいたします。

○細井スポーツ振興部長 教育委員会が東京スポーツビジョンを策定してから五カ年が経過いたしました。この間、少子高齢化のさらなる進展や歯どめのかからない子どもの体力低下など、スポーツを取り巻く環境は大きく変化してまいりました。文部科学省は、これらに対応するため、平成十二年に策定しましたスポーツ振興基本計画を昨年九月に改定したところでございます。
 東京都におきましても、時代の変化に取り残されることなく、スポーツ振興の喫緊の課題に対応するとともに、オリンピック招致活動を契機として、スポーツムーブメントの創出を図り、「十年後の東京」に示された目標を実現するため、東京スポーツビジョンを改定し、新たなスポーツ振興戦略を策定することとしました。

○早坂委員 教育委員会は、東京スポーツビジョンに基づきスポーツ振興に取り組み、地域スポーツクラブの育成などの成果を上げてまいりました。
 生活文化スポーツ局では、時宜を逸することなく東京都が一丸となってスポーツ振興に取り組むため、新たな戦略を示すということであります。
 十月にはスポーツ振興審議会が立ち上げられ、「十年後の東京」を見据えたスポーツ振興策について意見が交わされたと伺っておりますが、今後の展開について伺います。

○細井スポーツ振興部長 第一回の審議会では、「十年後の東京」の実現に向けた八つの目標とスポーツ振興のかかわりを中心に議論が展開されました。
 今後は、審議会での検討を踏まえまして、都民のだれもがいつでもどこでも、年齢や目的に応じてスポーツに親しめる社会の実現を目指しまして、オリンピック招致都市にもふさわしい新たなスポーツ振興戦略を策定し、来年夏を目途に発表したいと考えております。

○早坂委員 だれもが分け隔てなくスポーツに親しめる社会、スポーツ都市東京の実現は我が党の悲願であり、そのためには、二〇一六年東京オリンピック招致は最高の起爆剤であります。
 スポーツ都市東京の実現に対する生活文化スポーツ局長の決意を伺います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 十年後の東京を見据え、都民のだれもが身近でスポーツに親しめる環境をつくるため、新たなスポーツ振興戦略を策定することといたしました。
 これを指針といたしまして、スポーツ実践層のすそ野を広げ、スポーツ・フォア・オールの発展につなげることによって、スポーツ都市東京の実現に尽力してまいります。

○伊藤(ま)委員 まず、ワンダーサイトについてお聞かせいただきたいと思います。
 ことしの予算特別委員会で東京ワンダーサイトの事業運営について、幾つか質問や提案をさせていただきました。その後、状況が改善されたかどうかについて確認をする観点から、再度質問したいと思います。
 私は、都がコンテンポラリーアートの受け皿を国に先駆けて実現をしたことは、高く、今でも評価をさせていただいております。問題意識を持っていたのは、運営のあり方についてであります。その一つは、平成十三年にワンダーサイトの本郷がオープンしてから、平成十七年に渋谷、次いで平成十八年に青山と急速に事業が拡大をしていった一方で、それを支える体制がついていけなかったのではないかということであります。特に若手芸術家の支援の入り口の機能を果たす本郷の事業が弱くなっているのではないかという懸念を持っておりました。
 そこで、まずお伺いをしますが、平成十九年度の上半期のワンダーサイト本郷の事業実績はどうなっておりますでしょうか。また、あわせて渋谷と青山の実績についてもお聞かせください。

○杉谷文化振興部長  十九年度上半期の実績でございますが、トーキョーワンダーサイト本郷の平成十九年度の九月末までの事業実績は、ワンダーウォールの入選者に対して作品発表の機会を提供する展覧会などを中心といたしまして、十一の事業を実施いたしました。観覧者数は七千百八十六人となっております。
 また、渋谷につきましては、ステップアップが期待されている若手アーチストをサポートする展覧会など五つの事業を実施いたしまして、観覧者数は七千七百七人となっております。
 また、青山につきましては、基本的には展示施設ではございませんが、レジデンスの滞在アーチストによるトークなど十三の事業を実施いたしまして、観覧者数は三百八十七人となっております。
 また、同時期における青山のアーチスト・イン・レジデンスへの芸術家の滞在者数は二十三人で、延べ利用回数は七百三十回、施設の理論上の最大利用回数でございます二千九百二十八回に対する利用率は、約二五%となっております。

○伊藤(ま)委員 たしか私が質問したときの本郷の実績が二千人程度でありましたから、三倍以上に本郷の方は観覧者数がふえているということもありますし、青山の方も、立ち上げの時期であったからだというふうには思いますけれども、一〇%の利用率が二五%にまで改善をされたと、はっきりと数字で出ているわけであります。
 これだけ事業が実施できたということは、館の人員、組織体制が改善されたということでしょうか。

○杉谷文化振興部長  現在の人員、組織体制でございますが、現在、館長のもとに都から部長級の副館長を派遣し、その下に管理課及び事業課を置きまして、さらに係を設置するなど、二課五係体制をとっておりまして、着実に事務事業を実施できる体制を整えてございます。

○伊藤(ま)委員 次に、業務の委託についてお伺いをしたいと思いますが、イベントの開催に当たっての委託業者の選定について、特定の業者に特命をするなど、契約方法に不透明さを指摘させていただきましたが、現在の契約手続はどのようになっているでしょうか。

○杉谷文化振興部長  契約手続でございますが、ワンダーサイトの所属いたします歴史文化財団の規定では、予定価格が三十万円以上の契約は競争見積もりで、また、百万円以上の契約は競争入札により業者を選定することが原則となっております。
 現在までのところ、予定価格が三十万円以上の契約はございませんが、今後、予定価格が三十万円以上の案件が出てきた場合には、規定の原則どおり、複数事業者が参加する競争見積もり、または競争入札の手法により、適切に事務処理を行ってまいります。

○伊藤(ま)委員 続いて、事務処理体制がこれまで充実をし、事業実施がより適切な形で実施をされるようになっていることは、よくわかりました。
 東京都写真美術館がすばらしい経営改善を実現できた要因の一つに、館の運営において外部の有識者の意見を取り入れたことがあったことは、予算特別委員会での私の質疑でも明らかになり、ワンダーサイトでもそうした取り組みを行うとの局長の答弁がございました。
 ワンダーサイトそのものの運営やレジデンス施設への滞在アーチストの選考に当たって、そうした取り組みは実現をしているのでしょうか。

○杉谷文化振興部長  ワンダーサイトの事業につきましては、外部の意見を反映するため、事業運営に係る基本的事項や重要な事項について審議し、助言いただく外部委員から構成された運営諮問委員会を設置し、現在までに二回のご議論をいただいております。
 また、レジデンス施設への滞在アーチストの選考におきましても、外部の有識者の声を運営に生かすため選考委員会を開催し、アーチストの選考基準などについてご意見をいただいております。
 また、ワンダーサイトの事業に参加するアーチストの募集につきましても、公募の方式を取り入れてございます。

○伊藤(ま)委員 運営諮問委員会の要綱だとか青山の選考委員会の要綱をいただいておりますけれども、非常に力のある方々にお引き受けをいただいて、しっかりと議論をしていただいているということでもありますし、また、事業の実績もかなり上がってきているということが明らかになりました。ぜひとも引き続き、文化施策の振興に向けて努力をしていただきたいと思います。
 続いて、先ほど質疑にもございましたけれども、スポーツ振興についてお伺いしたいと思います。
 私からは、ジュニアの競技力向上と学校との連携についてお伺いしたいと思います。
 国民体育大会やオリンピックで東京都の選手が活躍する姿は、都民に大きな夢と感動を与えるものであり、開催地域の発展、活性化に大きく貢献をするものであります。都では、昭和二十四年の第四回、昭和三十四年の第十四回に続き、実に五十四年ぶり、平成二十五年に東京国体が多摩で開催される予定になっております。また、東京国体開催三年後のオリンピック招致に向けて、本格的に招致活動を展開されているところでもございます。
 ところで、都内には国体や高校総体、甲子園等の全国大会で優秀な成績を上げている学校が数多く存在しております。私の地元の葛飾でもバレーだとか野球が非常に活発なんですけれども、非常に強い中学校や高校も、葛飾区内にもございます。中学や高等学校の運動部活動は、東京から巣立つジュニア選手を養成する重要な基盤であるといえると思います。スポーツ振興事業を教育庁が所管していたときは、公立学校と連携して一体的な取り組みができていたと思いますが、平成十九年度から生活文化スポーツ局に移管されたことを踏まえ、三点質問したいと思います。
 まず、役割分担についてお聞きしたいんですが、スポーツ振興行政において、現在の生活文化スポーツ局と教育庁との役割分担はどのようになっているんでしょうか。

○細井スポーツ振興部長 オリンピック招致に向けたスポーツ機運の醸成、東京国体に向けた競技力の向上、区市町村及びスポーツ関係団体との連携強化などスポーツ振興のための新たな課題に対応するため、本年四月、スポーツ振興事業を生活文化スポーツ局に移管したところでございます。
 公立学校における体育や運動部活動につきましては、学校教育の一環であるため、引き続き教育庁で所管しております。
 なお、私立学校につきましては、生活文化スポーツ局でこれまでも所管しておりまして、スポーツ振興策においても連携強化を図っているところでございます。

○伊藤(ま)委員 続いて、連携体制について伺いますが、生活文化スポーツ局がスポーツ振興行政の中心的役割を果たしていく趣旨は理解できましたが、学校体育や学校部活動との連携は重要でございます。東京国体やオリンピックで主力になるのは現在の小中学生や高校生であり、学校の果たす役割は非常に大きいと思います。学校はまさに東京のジュニア選手育成の重要な基盤であるといえますが、スポーツ振興部として、教育庁などとどのように連携を図っていくんでしょうか。

○池田参事 東京国体やオリンピックに向けまして、選手の強化、指導者育成、医科学サポート体制の整備などを総合的に推進することを目的として、本年七月に東京都競技力向上推進本部を設置したところでございます。
 将来有望なジュニア選手の育成強化も重要な課題でございまして、そのためには学校と連携した取り組みが不可欠でございます。そこで、本部におきましては、教育庁や区市町村教育委員会、私立中学高等学校協会に加え、小中高校の各体育連盟の代表にも参画をいただきまして、具体的方策を検討する体制をつくっております。

○伊藤(ま)委員 連携体制はできているということはわかりましたが、今後、学校と連携しながらジュニアの競技力向上に具体的にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。

○池田参事 ジュニア選手の競技力向上に向けまして、東京都競技力向上推進本部では、学校の運動部活動を活性化するための取り組みなど、さまざまな施策を検討しております。
 今後、教育庁や私立学校などと連携しながら、東京に数多く存在するスポーツ強豪校の競技力をより一層向上するための支援や学校部活動に専門的な指導者を派遣する仕組みづくりなど、学校でのジュニア選手の育成強化を図るための施策を推進してまいります。

○伊藤(ま)委員 ジュニア選手の育成強化は、今後のスポーツ振興における重要な課題でございます。今、注目を浴びているゴルフとかフィギュアスケートや卓球、いずれも十代の選手が非常に活躍をしております。そのためには、公立、私立を問わずに都内の各学校と連携して、東京のジュニア選手の競技力が向上するような施策の展開に積極的に取り組んでいただきたいと思います。東京から巣立つアスリートが東京国体やオリンピックなどさまざまな大会や競技会で活躍できるよう、東京都競技力向上推進本部での今後の健闘に期待をいたしたいと思います。
 続いて、いわゆるNOVAの問題についてお聞きしたいと思います。
 既に、私は、第一回定例会の開催中のこの文教委員会において、この問題を取り上げさせていただきました。ちょうど二月に都とお国が合同で、語学教室最大手のNOVAに立入検査に入ったという新聞報道を見まして、受講されている多くの都民の方々の不安を少しでも軽減したいと考えまして質問をしましたが、その当時は、立入検査を通じて提供された大量の資料を分析中ということで、大変慎重な答弁でございましたが、何が問題なのかということと、ここに至るまで都はどのような対応をされてきたのかということと、報道されているようなNOVA側の主張は本当に正しいのかといったことなどについて、詳細なご説明をわかりやすくしていただきました。
 その結果、NOVA側がこの間、相当な無理をして急激に経営拡大を図ったツケが、まさに消費者である受講生に転嫁をされてきた事情がつまびらかにされたんだと思います。その後は、ご存じのとおり、四月にNOVAの清算方式は違法とする最高裁の判決が出ましたし、六月には経済産業省から処分が出る等、一時は経営改善に向けたNOVA側の取り組みが進むかに見えました。しかし、しばらくして経営陣の迷走が始まって、対応の稚拙さが世間に露呈してきますと、株価は一段と下がり、これはピーク時の十分の一以下に落ちてしまったようでありますけれども、各地で教室の閉鎖が続いて、さらに受講生離れに拍車がかかるという悪循環に陥っていきました。五千人近くいる社員や外国人講師への給料の支給も長期間滞るようになり、前払いした授業料の返還などを求める訴訟が各地で提起され、外国人講師の給料未払いや雇用確保が社会的問題にまで広がりを見せてくるころ、ついに社長不在の臨時取締役会において社長を解任して、会社更生法の適用を申請するに至り、大阪地裁から財産保全命令が出て、とうとう経営破綻をしてしまったわけであります。
 そこで、これから、三月の文教委員会における質疑以降の都や国の動きを中心に幾つか質問をして、この間の出来事を明らかにしていくとともに、この問題の今後の見通しや受講生に対する都の対応などについてもお聞きしたいと思います。
 まず、なぜ都は国と合同で行政処分などを行うことにしたのか、その経緯を説明していただきたいと思います。

○宮川消費生活部長 NOVAの受講生からの苦情相談が、都内の消費生活センターだけでなく、全国的にも多数寄せられている関係もございまして、本年二月十四日に国と合同で立入検査を行い、その際入手しました膨大な証拠書類等を入念に調査いたしました。
 都も国も、当該事業者が語学教室の最大手であり、都内だけでなく全国に教室を展開して、四十万人ともいわれる受講生を抱えている現状を重く受けとめまして、相互に連絡を取り合いながら慎重に事実関係の解明を進めてまいりました。
 その結果、問題の取引につきましては、特定商取引法と東京都消費生活条例に明らかに違反しておりまして、多くの受講生に多大な被害を与えている事実が明白になりましたので、六月の十三日に、国は法律に基づく処分を、都は条例に基づく勧告を同時に実施いたしました。

○伊藤(ま)委員 たしか大阪地裁から資産の管理保全命令が出て、その保全人であった弁護士の方が記者会見でおっしゃっていましたけれども、この問題は戦後最大の消費者被害をもたらしたというふうにもいわれております。これほどですから、その対応の難しさはよくわかります。都は国と十分連携して大変慎重に事に当たったということは、一定の評価をしたいと思います。
 それでは次に、都と国が行った処分と勧告の内容と、その考え方を説明していただきたいと思います。

○宮川消費生活部長 都も国も、当該事業者が、先ほど申し上げましたように多数の受講生を抱えております語学教室であるという点を重視いたしまして、その処置に当たりましては、不適正な取引を厳正に取り締まることに加えまして、現在の受講生を保護するという観点も不可欠と判断をいたしました。
 特に業務の停止を命ずる処分を実施するとなりますと、経営そのものに大きな影響が出ることから、処分権者の国は、処分によって被害の拡大を防止することと、企業の経営改善努力によって受講生を保護する道を残すこととが両立できるように、その対応については腐心をしたというふうに聞いております。
 具体的には、最長三年分の受講料を前払いさせているNOVA独自の仕組みが問題の元凶であることから、特定商取引法に基づく国の処分は、一年以上または七十時間を超える長期コースの新規契約につきまして六カ月間の業務停止命令を命ずるもので、既に契約をされている受講生には影響が及ばない内容となっております。
 一方、都は、条例に基づいて改善勧告を発することによりまして、条例の違反事項について、時期を定めて改善の報告を求め、予約が取れないなどの多くの苦情を解消するための方策が確実に実施されるよう、継続的に監視することといたしました。

○伊藤(ま)委員 まず受講生の保護ということを第一にしながら、どういう処分をするかということで国も苦心をした結果、問題の元凶である長期の前払い制度については、六カ月間の業務を停止するということであり、目くばせのきいた配慮のある処置だったというふうには思います。
 しかし一方で、二月に立入検査に入って六月に処分を出すというのは、四十万人という受講生を抱えている企業に対する処分としては、唐突という意見も一部にございますが、これについてはどういうふうに考えますでしょうか。

○宮川消費生活部長 国と連携をしまして慎重に事実解明を進めてまいりましたことは、先ほどご説明申し上げたとおりですけれども、この二月から六月に至りますまでの四カ月間という期間は、国や都がこれまで行いました処分事例の中でもかなり長い時間をかけた部類に入るものでございます。
 また、この四カ月の間には、冒頭で伊藤委員からもお話がございましたように、NOVAの清算方式を違法とする最高裁判決が四月に出まして、大きく報道されております。この関係で広く国民が問題の所在を知るところとなっているというふうに考えます。さらに、国や都は、この間幾度となく役員や従業員から事情を聴取したり、改善意見を求めたりしております。
 したがいまして、こうした機会を通じて、当該事業者は、国と都の考え方や対応についてある程度知るところとなって、仮に処分があったとしても、特段あわてることなく適切に対処できる準備期間は十分に与えられていたものと理解をいたしております。
 なお、処分と勧告を行うに当たりましては、行政手続法に従いまして弁明の機会を付与するなど、適正に手続を進めてまいりました。

○伊藤(ま)委員 この問題については、従前の対応以上に時間をかけて、そして入念に必要な手続を進めてきたということがわかりました。唐突ではないというふうに私も理解しますが、どちらかというと、私の思いとしては、もうちょっと早く処分を出した方がよかったのではないかなということであります。
 三月の私の質問に部長もお答えになっておりますが、平成十五年度に百七十件、十六年度には百六十五件、十七年には二百三十八件、このNOVAの問題について、実際、東京都に相談やら苦情が来ているわけであります。処分の権限は国にありますから、東京都がその時点でどういうところまでできたかということは、非常に判断が難しいところだと思いますけれども、もっと早い処分だったら、より被害が少なかったんじゃなかったのかなというふうには、私は個人的には思います。
 それでは次に、都が行った勧告に関連してお尋ねをしたいと思います。
 六月の勧告後、NOVAは改善に向けた取り組みを真摯に進めたのでしょうか。都は、その後のNOVAの対応についてどのように評価をしておりますか。

○宮川消費生活部長 六月十三日に勧告を行いましたが、同時に、事業者に業務改善の報告を求めております。同月二十六日になりまして、業務改善計画報告書が提出されております。しかしながら、肝心の予約が取れないという受講生の苦情に対する改善策や、中途解約者に対する清算方法に関する具体的な対応策が示されていないため、これらについて追加で報告をするように求めたところでございます。
 その後、八月に入りまして二回目の報告書が提出されましたが、予約の問題について講師の増員によって改善するとしただけで、中途解約者に対する清算方法に関する具体の提案は示されませんでした。
 その後も、不利な清算方法によって解約を余儀なくされている受講生に対して誠意ある対応をということで、私どもの方は再三にわたってNOVAに求めましたけれども、残念ながら最後まで明確な回答が得られませんでした。この間、都との折衝役に立ちました在京のNOVAの役員は、時間をかけて逐一社長に報告をし、詳細な指示を仰ぎつつ都との話し合いを進めてきておりまして、結果として、改善案を明確に示すということによってNOVAとしての信頼を回復する、そのために必要な時期を失してしまったような感がございます。

○伊藤(ま)委員 最近、報道を通じていろいろなことがわかってきておりますけれども、処分や勧告を受けた時点で誠実な対応を怠らなかったということであるならば、今回このように経営破綻ということにはならなかったのではないかなと私も感じます。
 そこでお伺いをしますが、経営が破綻した現在、勧告を行った都としては、今後の取り扱いを含め、どのように対応されるのでしょうか。

○宮川消費生活部長 報道にございますように、今後、NOVA本体が清算されるということになりますと、都が勧告を行った相手方が消滅してしまうということになりますので、それによりまして違反行為の改善を求める勧告の効力は失われてしまうことになります。
 今後は、営業の譲渡を受けた事業者やNOVAの旧受講生を受け入れた他の語学教室などにおきまして、法律や条例が遵守されるよう注視してまいります。

○伊藤(ま)委員 勧告を行った相手先はあくまでもNOVAということで、そこが消滅してしまえば、その勧告は効力を失うわけでありますから、引き継ぎの会社が今、いろいろとやっているわけでありますけれども、引き続き法律や条例が遵守されるように、細心の注意を払って見ていただきたいというふうに思います。
 しかし、事ここに至るとなれば、受講生が前払いしたお金は全く手元に戻らないことになるわけで、本当にお気の毒としかいいようがございません。聞くところによりますと、全体で四百億円にも上る被害が出るのではないかというふうにいわれておりますが、この間、少しでも多くの方々が何らかの形で救済をされているということがわかれば、少しは気持ちも救われるんですけれども、経営が破綻する前、いろいろと苦情相談を受けていたと思いますが、これまで都としてどのように対応されてきたのかということと、救済された受講生はいるんでしょうか。

○宮川消費生活部長 NOVAに関します苦情相談は、十八年度、十九年度と急増いたしまして、最近は、NOVA側の顧客の窓口との連絡も十分にとれない状況となっておりました。
 そのような中で、都では、区市町村で受け付けた苦情相談もまとめて引き受けまして、中途解約の返金交渉を統一的に進めてまいりました。また、弁護士会の中で弁護団結成の動きが出てまいりましたので、訴訟の希望者には、費用対効果の点で有利な集団訴訟を紹介いたしました。さらに、教室の統廃合により、受講を断念せざるを得なくなった受講生につきましては、少しでも有利な解決が図れるよう信販会社に強く働きかけまして、返済を軽減する措置を講じさせたりいたしました。
 なお、会社更生手続を進めている段階では、教室が閉鎖され、受講できないにもかかわらず信販会社からの引き落としが継続されないように、国に対して強く対策を働きかけまして、その結果、信販協会に対し、国が引き落としの停止を要請することになりました。そして、各信販会社が停止の措置を講ずることになったものでございます。
 正確な数字につきましては把握はしてございませんが、これらの都の取り組みによって少なからぬ受講生が救済を受けることができたというふうに考えております。

○伊藤(ま)委員 都の強い働きかけによって国が、異例の処置という新聞報道もございましたけれども、信販会社に対して引き落としをしないようにという要請もあり、実際それで救われた方もたくさんいらっしゃるというふうに思いますが、一言で救済といっても、なかなか簡単にはいかないでしょうが、さまざまな努力をなされてきたことに対しては、一定の評価をしたいと思います。
 きょうの新聞報道にもありましたけれども、国の給付金が約四千人の方が適用されないと。要は現金が、給付金が戻ってこないという方がまた四千人いるということもわかりました。いろいろな展開がこれからあると思いますので、どうぞ今後もこういった問題、消費者被害の問題が、仮に起きたとしても最小限度に抑えられるように努力をしていただきたいと思いますし、国の動きも最近非常に気になるニュースが出ていますが、国民生活センターの事業規模を縮小するのではないかという心配をされる報道も出ております。ますます都の役割が強くなってくるというふうに思いますけれども、今後も、こうした問題に対しては、都が国や区市町村を初め関係機関と協力して全力で立ち向かうことによって確かな解決を図り、都民の安全・安心な暮らしが実現されることを心から願って、私の質問を終わります。

○松葉委員 都は昨年、文化振興施策を総合的かつ効果的に推進するために、知事の附属機関として、新たに東京芸術文化評議会を設置されました。日本が世界に誇る著名な芸術家などの方々を招集し、今後の文化政策についてそれぞれの立場から自由に議論していただいていると聞いております。
 知事は、世界文化都市東京を実現するための文化戦略、芸術文化活動に対する支援のあり方、都立文化施設のあり方、また、平成二十年にIOCに提出するオリンピック文化プログラムについて、評議会に諮問されています。
 そこで、これまで平成十九年三月に第一回、八月に第二回の評議会が開催されましたが、評議会では、世界に向けた東京の文化発信のためどのような議論や提案がなされたのか、伺います。

○杉谷文化振興部長  評議会での議論や提案でございますけれども、東京芸術文化評議会では、東京が活力ある都市として持続的に発展するため、活発な意見交換が行われております。演劇、音楽、美術、伝統文化などの視点から、パリやロンドン、ベルリンなど世界の主要都市と競い合える国際的なプロジェクトの実施や、芸術文化を通じた子どもたちの育成について提案がなされましたほか、芸術文化活動に対する支援などに関する議論が行われております。
 諮問事項でございます世界文化都市東京を実現するための文化戦略につきましては、具体的に、国際的な舞台芸術フェスティバルや六本木地区を中心としましたアートイベント、大規模音楽フェスティバルといった国際的な文化プロジェクトの開催などのご提案がございました。

○松葉委員 今、ご答弁で大規模音楽フェスティバルという話がございましたけれども、公明党は、さきの第二回定例会におきまして、十月一日、都民の日は、世界的には国際音楽の日であるということを取り上げさせていただきました。
 この国際音楽の日は、一九七五年、当時のユネスコ傘下でございますが、国際音楽評議会の会長であり、二十世紀の最高峰のバイオリニストであるユーディー・メニューイン氏が、紛争の絶えない世界を憂いて提唱し、一九七七年に制定されたものであります。私もメニューイン氏にはお会いしたことがございますけれども、昼間まちを掃除する人々が夜には四重奏を演奏する、そんな社会が実現することを望んでいますとの心情を伺い、大変に感銘を受けました。
 ことしは、この国際音楽の日が制定されてちょうど三十年の節目に当たります。毎年、世界各国でこの国際音楽の日に、世界の人と音楽でつなぐ心の輪をモットーに、子どもからお年寄りまで、そして、プロとアマチュアの共同によるさまざまな音楽の特別イベントが開催されております。この子どもからお年寄りまで、プロとアマチュアの共同、大切な視点だと思っております。
 その趣旨から、この十月一日の都民の日においても、プロもアマチュアも公募で募り、東京国際フォーラムやビッグサイト、東京芸術劇場や東京文化会館、江戸東京博物館、ひいては都立公園などでの野外コンサートも含めて、国際音楽の日として世界の人々と音楽で心をつなぐ日としてはどうかと、そういう趣旨の提案を、第二回定例会におきましていたしました。石原知事からは、都民の日に国際音楽の日を重ねて催し物をやることは大変おもしろいという、そういう趣旨の答弁がありました。
 そこで、評議会から提案のあった大規模音楽フェスティバルを国際音楽の日に合わせて開催し、オリンピック招致も視野に入れて、世界に向けた文化的発信力を一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○杉谷文化振興部長  世界に向けた文化発信力を一層強化するために、世界の主要都市と競い合える芸術文化の創造、発信を行うことが重要なことと考えております。そのために、芸術文化評議会の提案を尊重いたしまして、国際的な文化プロジェクトの開催に向け、積極的に取り組んでまいります。
 委員ご指摘の大規模音楽フェスティバルにつきましても、その実現に向けて取り組むとともに、実施時期につきましても、ご提案の趣旨を踏まえ、検討してまいります。

○松葉委員 ぜひとも実現をしていただきたいと思います。
 ところで、東京の文化を世界に向けて発信するに当たっては、都立の文化施設は大変に重要と考えます。中でも音楽文化の発信拠点としては、東京芸術劇場と東京文化会館が挙げられます。今後、オリンピック招致も視野に入れてすぐれた文化事業を展開していくためには、施設のハード、ソフト両面でのますますの充実が求められていると認識しております。
 そこで、東京芸術劇場の大ホールは、オーケストラの演奏を中心としたコンサート専用ホールであり、また、大ホールには、世界最大級でルネサンス、バロック、モダンの三つの音色を奏でるパイプオルガンがあることが知られております。私もそのすばらしい音色を聞かせていただき、大変に感動いたしました。
 そこで、このホールの特性を生かし、東京芸術劇場がどのような取り組みを行っているのか、伺います。

○桃原参事 東京芸術劇場におきましては、これまでも劇場の主催によるクラシックコンサートのシリーズや、通勤帰りの時間に近隣の社会人が気軽に立ち寄れる芸劇ラッシュアワーコンサートの実施など、さまざまな活性化策を進めてまいりました。
 また、平成十八年度からは読売日本交響楽団との間で事業提携を行っておりますけれども、具体的には、両者の協力のもと、小中学生を対象としてオーケストラ公演を行う教育プログラムコンサートや、オペラの雰囲気を気軽に味わえるシアターオペラの企画、制作に取り組んでおります。
 パイプオルガンにつきましては、オーケストラのコンサートで利用されるほか、芸術劇場といたしましても、都民を初めとしてより多くの方々に広くオルガン音楽の鑑賞機会を提供するために、自主企画のオルガンコンサートを年に二回、ランチタイムコンサートを年に十回、それぞれ開催するなど、パイプオルガンを活用した事業を実施し、評価をいただいております。

○松葉委員 パイプオルガンにつきましては、三種類の機能を持つという複雑なその特性ゆえに、ふぐあいも多いと聞いております。貴重な都民の財産であり、きちんと活用することができるよう維持管理をするべきと考えますが、いかがでしょうか。

○桃原参事 芸術劇場のパイプオルガンにつきましては、劇場のオープンから十五年以上経過したことから、最近ではオルガンの音色を制御するための内部コンピューターの作動トラブルが生じているところでございます。このコンピューターのふぐあいにつきましては、放置した場合、演奏に大きな支障が生じるおそれがございます。今後、早期に改修に着手することとしております。
 また、今後予定してございます東京芸術劇場の大規模改修に合わせまして、オルガン全体のオーバーホールにつきましても実施を検討しているところでございます。

○松葉委員 今後、オリンピック招致に向けても、都立文化施設は芸術文化発信の拠点として重要な役割を担っていると思います。
 本日、質疑いたしました芸術劇場のオルガンは、世界的に見てもほかに例を見ない特色あるオルガンであり、その特性を発揮して積極的に活用することは望ましいと考えます。
 また、そのほかの都立文化施設を含めて、ハード、ソフト両面から都立文化施設の魅力をますます高めていくような取り組みを要望いたします。
 そして、ぜひとも、提案させていただきました国際音楽の日事業も含めて、東京の文化事業を都民のために充実させ、さらには総合化、体系化して世界に発信していくよう強く要望して、質問を終わります。

○大山委員 私からは物価対策について、それから私学、そしてスポーツ振興、この三つの課題で質疑したいと思います。
 まず、物価対策の問題ですけれども、ガソリンがあっという間に百五十円台の大台に上るというニュースが流れ、十一月からは、トイレットペーパーだとかパスタだとかカレールー、パンなど、家計を直撃するものが軒並み値上げと、さらにガス代、電気代などの公共料金の値上げ、低所得者も、それから子育て中の若い世帯も、それからワーキングプアも直撃されるわけです。
 灯油の値上げは、灯油のストーブを高齢者の方なんか結構使っているわけですけれども、その家庭は寒さがひときわ厳しいという状況になります。先日、多摩の地域に住んでいる知人が、引っ越した七、八年前はたしか五、六百円で買えていた灯油が、この間準備しようと思って買ったら千六百円したというんですね。
 原油高騰の原因、それから、この事態についてどのような認識を持っていらっしゃいますか。

○宮川消費生活部長 原油高騰の原因というふうにお尋ねだと思いますけれども、これは、既にご案内のように、アメリカの住宅ローン問題、いわゆるサブプライムローン問題をきっかけにいたしまして、行き場を失った投機筋のマネーが原油や穀物市場に集まり、国際的に相場が急騰しているということだというふうに認識をいたしております。
 現在の物価の状況についてのお尋ねということでよろしゅうございますでしょうか。

○大山委員 どのような認識を持っているか……。

○宮川消費生活部長 認識でございますか。原油の価格そのものにつきましては、石油小売価格で見ますと、これは財団法人の日本エネルギー経済研究所の調べになりますが、都内のレギュラーガソリンの十月店頭価格は、先ほどの先生のお話もございましたけれども、一リットル百四十八円でございまして、前月に比べて二円上昇しております。これは、前年同月、昨年の十月と比べますと四円の上昇というふうになっております。
 また、総務省統計局発表の東京都区部の十月の消費者物価指数は、速報値でございますが、総合指数で見ますと、前月比で〇・一%、前年同月比、昨年の十月と比べますと〇・一%と、わずかな上昇にとどまっております。
 現在、いろいろな生活必需品などの値上げも予定されているようでございますけれども、こういったものが都民の家計にどのように影響するか、今後、注意深く見守る必要があるというふうに考えております。

○大山委員 十月の指標ですから、そうなんでしょうけれども、十一月からの値上げがかなりあるということですね。見守るということなんですけれども、都民の生活を守る消費者行政を所管する局として、物価対策は欠かせないと思っているんですが、都民の暮らしを守る観点から、都の物価対策、これはどうなっていますか。

○宮川消費生活部長 東京都では、物価の異常な上昇や便乗値上げなどによりまして対策の必要を生じた場合には、都の消費生活条例に基づいて、商品を指定して特別調査を行い、監視を強化するとともに、不適正事業行為として認定した場合には是正勧告を行うほか、国に対しましても必要な対策を講じるべきことを要請することといたしております。過去には灯油、小麦粉、食パン、冷凍魚類、米などを指定いたしまして、対応をしてまいりました。
 また、生鮮食品や加工食品、日用雑貨品、石油製品など都民の生活に密着した四十五品目につきましては、現在も総務省統計局の小売物価統計調査報告に基づきまして、その価格動向を都民に情報提供しております。
 さらに、今回の原油価格でございますけれども、これに関しましても、関係局による連絡会議を通じまして、各種データや関係局の取り組みについて情報交換を継続的に行っているところでございます。

○大山委員 監視の強化や、それから国に対する要請、それから情報提供、これらももちろん重要なことではあるんですけれども、具体的な対策がやはり求められていると思います。しかも、さっきご答弁あったように、今回の原油高騰というのは、やはり米国の高利の住宅ローン問題がきっかけだと。で、行き場を失った投機の筋のお金が原油や穀物市場に集まって相場が急騰した、これが原因だといわれているわけですけれども、投機のお金が庶民の家計を直撃する、もうこれはひど過ぎると思うんですね。日本の自給率の低さも手伝っているわけです。
 二〇〇五年にも今回のような原油価格の高騰があって、我が党の吉田幹事長が代表質問で、都として原油高騰対策本部を設置し、便乗値上げの監視や価格安定対策に全力を尽くすべきと質問しまして、その質問に対して当時の生活文化局長さんは、今後とも原油価格の上昇による都民の消費生活への影響について注視していくと答弁をしていますが、これについてはどうなっていますか。

○宮川消費生活部長 東京都では、原油価格の変動に伴って、都民生活への影響に関する情報といいますか、こういったものを把握する、そのために関係各局による連携と協力の体制等を確立する目的で、平成十七年十一月に当局及び総務局、産業労働局など関係八局から成ります原油価格変動に伴う行政連絡会議を設置いたしました。
 また、この連絡会議のもとに、原油価格の変動に対しまして機動的に対応できるように幹事会を設けております。本年は二月と七月に開催をしておりますが、最近の原油価格の動向にかんがみまして、今月中にも幹事会を開催する方向で、既に準備を進めております。

○大山委員 今の動向の中で今月も幹事会を開くということですけれども、今回深刻なのは、これは東京新聞ですけれども、各種統計では、労働者の賃金は伸び悩んでおり、好調な企業収益が家計まで波及していない、十月の月例経済報告は個人消費の現状認識を十一カ月ぶりに下方修正、みずほ証券は民間企業の冬のボーナスを前年比マイナスと予想し、個人消費はこれまで以上に期待しにくいとしている、こういう記事があります。
 実際、例えば、これは国税局の調査ですけれども、税金に基づく額ですからかなり正確だと思いますが、民間平均給与の実態調査ですね。二〇〇〇年に比べて二〇〇五年は二十六万一千円の減額です。
 総務局が「都民の暮らしむき」というのを出していますけれども、これで見ると、一九九三年を一〇〇とすると二〇〇六年は八六・五ですね。だから、やはりさっきの東京新聞でいっているような給与の下がりというのは数字からも明らかだと。給料は下がっているのに原料コストの上昇につられて価格が上がるというわけですから、庶民の生活はダブルパンチだといわなければなりません。
 さらに、高齢者の年金は減るし医療費は上がる、生活保護費も高齢加算はもう既になくなっていて、ひとり親家庭の児童扶養手当の削減はするんだというわけですから、その上生活必需品が値上げになっては、本当にたまったものじゃないというのが都民の皆さんの状況だと。原油価格変動に伴う、先ほどおっしゃった行政連絡会を立ち上げて関係局で情報を共有する、これも重要です。それだけで都民のために対応しているとはいえないと思います。
 今このときに全庁的な対策本部を設置して、便乗値上げの監視だとか価格安定対策などに早急に取り組むべきだと思いますが、見解を伺います。

○宮川消費生活部長 先ほどもお答え申し上げましたように、現在、東京都区部の消費者物価指数、これを総合指標で見ますと、わずかながら上昇をしている状況にあります。
 いずれにしましても、今後の動向につきましては、原油価格変動に伴う行政連絡会議等を通じまして動向を見きわめ、状況を注視してまいりたいと考えております。

○大山委員 注視していくということですけれども、実際ダブルパンチに見舞われる都民の生活を支援することがやはり求められています。電気、都市ガス料金については、これから値上げが予定されているわけですけれども、公衆浴場の利用が比較的多いのが高齢者、それから、アパートなどに住んでいる人たちということですけれども、ますます厳しくなって、おふろも加減しなきゃいけないかなという状況になるわけですが、例えば高齢者の世帯だとか比較的収入の低い世帯などに、緊急に無料の公衆浴場利用券を配布するような考えはないでしょうか。

○宮川消費生活部長 現在も、東京都は広域的な立場から、各市におけます生活保護世帯に対して、家計費負担の軽減と入浴機会の拡大を図るために、年間一人当たり六十枚の入浴券を配布しております。ちなみに、平成十九年度の予算で見ますと、七千万円の金額を計上しております。
 また、多くの区市におきましても、住民に身近な基礎的自治体として地域の特性に応じたきめ細かな対策を講じておりまして、生活保護世帯に加え、高齢者世帯、障害者やひとり親世帯などに対して、一定の数の入浴券を配布しているところでございます。これも十九年度の予算で見ますと、総額で二十四億四千七百万円余り計上しております。
 今後とも、都は区市と緊密に連携しながら適切に対応してまいります。

○大山委員 必要だからこそ、こういう入浴券などが、区市でも実施しているということだと思うんですね。
 知事が、公約を撤回してしまって許されないわけですけれども、ことしの知事選では、知事も生活保護水準もしくはそれ以下の人たちへの減税を公約せざるを得ない、そういう事態になっているわけですね。ですから、東京都がやっている生活保護世帯に限っての入浴券ではなくて、ワーキングプアだとか、それから、比較的低い、低所得の方々への拡大が求められると思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
 燃料に石油製品を使っている事業者のことも心配なわけですね。特に利用者が年々減っていて、出していただいた資料でも箇所数自体がどんどん減っている公衆浴場、原油の価格高騰で経営の圧迫が懸念されます。公衆浴場利用者の増加を図る対策、これが必要だと思いますけれども、どうですか。

○宮川消費生活部長 公衆浴場の中でも主に重油を燃料として使用しているところでは、今回の原油価格の高騰が経営を圧迫しているとの懸念がございます。この点につきましては、公衆浴場業界におきましても十分に認識をされておりまして、現在、国際的な原油価格の動向に左右されにくい都市ガス等への使用燃料の転換につきまして、具体的な対策に向けて動き始めているところでございます。
 都といたしましても、比較的クリーンで環境にも優しく、価格が安定しているエネルギーへの転換を促進する必要があると考えておりまして、既に来年度の予算要求を行っているところでございます。
 なお、都はこれまで、公衆浴場の経営の安定化や利用者の増加を図るため、公衆浴場の施設設備の改善や利用促進のための広報等に係る各種補助施策を実施してきているところでございます。

○大山委員 公衆浴場対策、さまざまな施策が必要なわけですけれども、都市ガスへの転換というのもいいわけですが、ガスも今度上がるわけですよね。お客さんが少なくなっている状況のもとで、設備投資は本当に大変な負担になります。入浴券を出すというさっきの提案は、お客さんにとってもいいことだし、それから浴場にとっても有効なわけですから、一石二鳥になるわけです。ですから、ぜひ検討してほしいと思います。
 消費者行政、この数年間、消費者被害対策などにウエートがかかっているわけです。もちろんこれも重要ですから、やらなければならないことですが、同時に、消費者行政を所管する生活文化スポーツ局は、消費者を守る視点で、生活の基本となる物価対策を再びきちんと位置づける必要があると思います。物価の安定に積極的に役割を果たすとともに、福祉保健局など庁内の各局とも連携をとりながら、都民の生活を支援していくことができるように積極的に努力していただきたいという要望を申し述べて、物価の関係はおしまいです。
 私学ですけれども、幼稚園の保護者負担軽減についてです。
 物価の高騰、今、質疑しましたけれども、幼稚園に子どもを行かせている若い保護者の教育費の負担というのは大変なわけですね。昨年の東京都福祉保健局の基礎調査を見ますと、生計中心者の年間収入、三十歳未満で見ますと、五百万円未満が八四・四%です。ですから、圧倒的、ほとんどは五百万円未満の収入だということですね。三十代でも三七・六%です。一カ月の育児にかかった費用、三歳から六歳未満の子どもを持つ家庭は、三万円から六万円未満の費用がかかったという家庭が約四割あります。
 幼稚園の保護者負担軽減に関しては、財政再建推進プランで所得制限の強化がされ、また、所得区分は生活保護と非課税の区分、それ以上の所得という二つだけの区分だったものが、非課税ではない、それ以上の所得のところで、課税世帯の収入によって三つの階層に分けてしまったわけですね。それによって所得が少し高いところには補助額を削減したわけです。所得額を細分化するというのは、所得制限ラインぎりぎりのところの人たち、ことしは補助が受けられたけど、次の年はちょっと収入が多くなっちゃったから、ほとんど同じ収入だけど受けられない、こういう矛盾をよりふやすことになるわけですから、こういうわずかな差の中で所得制限を区分するというのは、矛盾をよりふやすことになると思っています。
 区分1の生活保護世帯、それから区市町村民税所得割非課税世帯の補助額が七万四千四百円ですけれども、いつからその額で、その額にした理由というのは何でしょうか。

○小濱私学部長 園児保護者負担軽減事業の生活保護世帯と区市町村民税所得割非課税世帯に対する補助額につきましては、平成八年度から現在の単価になっております。単価につきましては、当時の保育料の公私格差を、国の制度である就園奨励費と都の園児保護者負担軽減事業で解消できるよう設定いたしました。

○大山委員 公立幼稚園に行っている子どもも私立幼稚園に行っている子どもも、保育料負担は同じになるようにということですよね。これは、発想自体は非常に重要だと思いますし、この格差がなくなるというのは重要な根拠だと思っています。
 しかし、平成八年度からですから、十一年間も同じ補助単価ということなんですね。その間、私立幼稚園の保育料の平均は、出していただいた資料の3で見ても、保育料だけでも--保育料だけじゃないんですよね、入園料だとか何かいろいろあるんですけれども、保育料、授業料だけでも、四年間で一万千五百七十三円も上がっています。八年から実施ということは、検討したのは平成七年ですね。そのときの保育料は幾らだったかというと、平均二十五万百八十九円です。今年度は平均すると三十万六十五円ですから、保育料だけでも約五万円もふえているということです。
 先ほど、公私の格差を解消するための補助ということですけれども、平成七年度のこの計算をしたときは、生保世帯と非課税世帯は、保育料での格差は、公私の格差はゼロだったということですね。
 現在の公私の格差はどのくらいになりますか。

○小濱私学部長 平成十八年度におきましては、年額で約八千四百円の開きとなってございます。

○大山委員 年額八千四百円の開きなんだということですね。せっかく公私の格差をゼロにしよう、こういう基本的な考え方を持っているわけですから、きちんと、十一年間も上げずにいるんじゃなくて、その都度、公私格差をゼロにする、その基本の考え方に立って見直すことが必要だと思っています。ですからこの際、基本額の増額と、それに伴ってそれぞれの単価を上げる必要があると思いますけれども、どうですか。

○小濱私学部長 国の就園奨励費や区市町村の補助などの施策とあわせまして、都では幼稚園に対する経常費補助や、今申し上げました園児保護者負担軽減補助を行ってまいりました。こうした補助制度によりまして総合的に保護者負担の軽減が図られてきているというふうに考えておりまして、現時点では単価を見直すことは考えておりません。

○大山委員 総合的にといいますけれども、もちろん経常費用補助も重要です。しかし、保育料は実際に上がってきているわけですよね。実際に保育料だけで済むわけではないわけですし、先ほど物価対策の話をしましたけれども、若い保護者も、お給料は上がらないのに、生活必需品の物価が上がるわけですね。物価対策での間接的な支援にもなるわけです。
 もう一つ、都の園児保護者負担軽減事業では、幼稚園に二人以上同時在園する場合に限って第二子以降の単価が割り増しになるわけですけれども、三年間で同時在園というのはなかなか少ないケースなんですね。ですから、同時在園に限らず、第一子が小学生である場合も対象にするなど、実際の第二子以降の子どもたちすべてに、第二子以降の単価の割り増しをきちんと拡大するべきだと思いますが、どうですか。

○小濱私学部長 都の園児保護者負担軽減事業では、幼稚園などに二人以上同時在園する場合の第二子以降の園児に対しまして単価の割り増しを行いまして、保護者の負担軽減を図っております。
 一方、国の就園奨励費は、同時在園の要件を幼稚園に限らず小学三年生まで拡大することを目標といたしまして、平成十八年度に小学一年生、十九年度に二年生、二十年度要求においては小学三年生と、順次、範囲を拡大してきております。
 都といたしましては、国の制度の動向も踏まえ、保護者負担の軽減について、今後とも適切に対処してまいります。

○大山委員 国は順次拡大をしているんだということですけれども、本当に三つ違ったら、もう同時在園ではなくなっちゃうわけですから、ぜひその拡大をしていただきたいと思っています。幼稚園の保育料補助というのは区市町村で上乗せをしています。それは必要だからやっているんですね。しかし、区市町村によって補助額は大きく異なります。ですから、広域自治体である東京都が底上げをする必要性があるわけです。
 授業料でもう一つ、高校生のことなんですけれども、ことし、私、二月二日の文教委員会で高校生の授業料補助の問題を取り上げて、公私の授業料の差額の補助というけれども、どれぐらいまでを目指しているのかという質問をしましたら、担当部長さんが、公私格差の三分の二を目指して、生活保護世帯については補助をすると答弁されています。
 この三分の二を目指すということからいいますと、本年度で計算しても十九万何がしかの額が必要なんですね。ですから、もう少し足りない。今年度でも足りないわけです。
 私たちは、もちろん幼稚園の授業料補助と同じように公私の格差はなくすべきだと考えているし、他県の状況から見ても東京の補助額は低いわけですから、上げなきゃいけないわけです。せめて東京都の考え方である公私の格差の三分の二まで引き上げるべきだと思いますけれども、どうですか。

○小濱私学部長 私立高等学校に対する特別奨学金事業についてでございますけれども、この事業につきましては、平成十九年度に補助単価を十六万四千円から十八万円に増額したところでございます。
 今後とも、各方面、関係団体等の要望も踏まえまして適切に対処してまいります。

○大山委員 今年度引き上げたけれども、まだ三分の二までは行ってないということなんですね。ですから、引き続き、ぜひよろしくお願いいたします。
 命にかかわる耐震化についてなんですけれども、私立学校の耐震化率、どうなっているでしょうか。幼稚園、それから小学校、中学校、高校別にお願いします。

○小濱私学部長 平成十九年四月一日現在の都内私立学校の耐震化率でございますけれども、幼稚園全体で五九・二%、うち学校法人立の幼稚園が六七・八%、個人立等の幼稚園が四八・七%となっております。
 また、小学校は七六・八%、中学校は八二・三%、高等学校七〇・六%で、全体では六六・五%となっております。

○大山委員 全体では六六・五%ですね。都立高校は九割方耐震化されていて、公立小中学校の都内平均が七二・四%ですから、これより低くなっているわけですね。とりわけ小さな子どもがいる幼稚園、それも個人立の幼稚園だと四八・七%でしかないということですけれども、これは国の補助がないということも、原因があるわけですね。
 そしてもう一つ、耐震化が進まない原因の一つとされているのが、耐震化が必要な建物というのは、同時に老朽化による改築をしたいと学校は考えるわけですけれども、しかし、それには補助が出ないということがあります。
 「十年後の東京」では、小中学校は一〇〇%耐震化を目標としていますけれども、先ほどの耐震化率を聞く限り、まだ道半ばという感じですね。私学に通う児童生徒も同じ東京の子どもたちですから、このような状況の中、二十年度予算要求について補助率三分の二に引き上げるとともに、耐震改修が必要な校舎の改築経費の一部を新たに補助することとしたというのは、耐震化を促進する上で評価できるものです。一刻も早く私立学校の耐震化を促進して一〇〇%の目標を達成していただきたいと思いますけれども、どういう考えか、所見を伺います。

○小濱私学部長 私立学校の耐震化は児童生徒の生命にかかわる重要なことでございます。したがいまして、積極的に取り組むべき喫緊の課題であると考えております。このため都は、都独自の補助として、平成十九年度に個人立等の幼稚園も補助対象に加えるなど、補助制度の充実に努めてきたところでございます。
 今後とも、私立学校に対しましては補助制度の積極的活用を働きかけますとともに、耐震化に係る情報提供や建築相談をあわせて実施するなど、私立学校への支援に努めてまいります。

○大山委員 積極的に進めるという立場なんだということと同時に、どうそれぞれの学校で達成していくのかということを、それぞれの学校、幼稚園と相談をして計画的に実施できるように、ぜひ進めていっていただきたいという意見を述べておきます。
 最後に、スポーツ振興ですけれども、生活文化スポーツ局となってスポーツの分野が所管となったわけです。スポーツをしたいという都民のだれもがスポーツできるような環境を保障することが、生活文化スポーツ局の仕事になったということですね。
 ここのところ、オリンピックだとか国体だとか、大マラソン祭りだ等、スポーツイベントがにぎやかになってきているんですけれども、スポーツしたい都民がだれでもスポーツすることができる環境をつくってきたのかということが問われるわけです。先ほどご答弁の中で、だれもがいつでもどこでもスポーツに親しめる都市をつくると、こうご答弁されていましたけれども、これは二〇〇二年の七月に出したスポーツビジョンにある基本理念ですね。それを実現するために都がどう実践してきたのかということが問われると思っています。
 十九期のスポーツ振興審議会が出した建議で、「いきいき・はつらつ・スポーツ都市東京を目指して」と、こういうことをもとにして、東京都は、今申し上げました二〇〇二年七月に、東京スポーツビジョンを作成したわけですね。その中にビジョンの役割と期間というのがあって、ビジョンの計画期間は二〇〇二年度から二〇一三年度であること、それから、この基本計画に基づいて、都はスポーツ振興の具体的な計画をつくりますと、こう書いてあります。この具体的な計画というのは何を指すんでしょう。つくったんでしょうか。

○細井スポーツ振興部長 具体的な計画とは、事業を実施するに当たり必要に応じて作成する個々の事業計画などであります。各年度の予算も具体的な計画の一つであるというふうに考えております。

○大山委員 具体的な計画は特につくってない、予算でやるんだということなんですけれども、基本計画に東京都は具体的な計画をつくりますと明記していながら、計画もつくらなかったということは、非常に無責任だといわざるを得ません。
 さらに、この十九期の次の審議会、二十期では、東京都スポーツビジョンの実現に向けた今後の取り組みについて、これも提言を出しています。
 スポーツ振興に関して、この間どうだったのかということなんですが、スポーツビジョンでは、地域スポーツクラブの育成、これを強調しています。ことし一月十五日に、東京都スポーツ振興審議会が開かれて、その議事録を見せてもらったんですけれども、委員が、地域スポーツクラブをつくるにも、施設がないためにクラブをつくれない、こういう苦しい発言もありました。
 障害者スポーツの振興と書いてありますけれども、東京都には障害者が安心してスポーツするところ、障害者スポーツセンターが全都に一カ所あるのみだと、だれもが気軽にスポーツできる環境を積極的に進めてきたかというのはいいがたいといわざるを得ません。
 スポーツビジョンに基づく実施計画もつくらずに来たわけですけれども、先月の十月三十日に二十二期の東京都スポーツ振興審議会の第一回の会議が開かれて、新たなスポーツ振興基本計画を策定するためということで開かれたわけですけれども、現在のスポーツビジョンの計画期間は二〇〇二年度から二〇一三年度ですから、ちょうど中間の地点なんですね。普通、行政計画だったら中間でのローリングをするということになるんでしょうけれども、計画期間中で、その計画ではない新たなスポーツ振興基本計画をつくるということですから、よほどの必然性がなければならないと思うんですけれども、どのような必然性があったんでしょうか。

○細井スポーツ振興部長 国のスポーツ振興基本計画が昨年九月に改定されたことを受けまして、スポーツ振興の喫緊の課題に対応するとともに、オリンピック招致活動を契機としてスポーツムーブメントの創出を図り、「十年後の東京」に示された目標を実現するため東京スポーツビジョンを改定しまして、新たなスポーツ振興基本計画を策定することにしたところでございます。

○大山委員 「十年後の東京」の計画というのは、二〇一六年のオリンピック招致に照準を合わせて、オリンピックのための計画ですよね。結局、オリンピックがあるからスポーツビジョンまでオリンピックに合わせようとしたことではないでしょうか。
 これは十月三十日の第一回審議会に出された資料ですけれども、新たなスポーツ振興基本計画(仮称)というものです。まさにこれ、真ん中にあるのは「十年後の東京」の実現に向けてということですけれども、この「十年後の東京」の八本の柱がそのまま柱になっているわけです。
 例えば、三環状道路をつくるとどうしてスポーツ振興なのかということですよね。都市の魅力や産業力で東京のプレゼンスを確立する、これがどうしてスポーツ振興になるのかと思うんですけれども、この審議会の資料の一番最後に、教育庁が行いました十九年一月、都民の体力及び地域でのスポーツ活動に関する意識調査のこの数字があります。都民のスポーツ要求がこの意識調査でよくあらわれているんですね。
 公共スポーツ施設に望むこと、この断然のトップは施設数の増加、これが四四・七%です。運動不足の感じ方、大いに感じるが二八・二%、ある程度感じるが四八・二%ですから、合わせて七六・四%の人が運動不足を感じているということなんですね。スポーツクラブ、同好会への加入のための条件を聞いた質問がありますけれども、時間的余裕があれば、これが四八%です。これは働き方を変えていくというのも重要ですけれども。会費が安くなれば、これ、二七・二%です。近くにスポーツクラブがあれば、二三%です。運動、スポーツを行った場所は、こういう質問に、道路や遊歩道、これが四五%なんですね。
 このアンケートの分析はまだこれからということなんですけれども、審議会に出されたものだけを見ても、運動不足は自覚しているけれども、時間がないしお金もかかる、だから、運動している人も道路や遊歩道で、結局ウオーキングかランニングをしているということなんですね。ウオーキング、ランニングは気軽にできるということで、もちろんすぐれていますし、健康にもいいです。それにしても、時間的な余裕があって、会費が安くて、近くにあればスポーツクラブや同好会に入りたいと、こう考えているわけですね。だから、公共施設数の増加ということになるわけです。つまり、身近なところにお金がかからずスポーツできるところが欲しいということではないんでしょうか。どうですか。

○細井スポーツ振興部長 先般の十月三十日の審議会で出された資料につきましては、本年一月に教育庁が行いました三千人に対するアンケートの結果でございまして、今回の審議会では、そのアンケートの結果も尊重しながら検討を進めていくということでございます。

○大山委員 ここにあらわれただけでも、都民の皆さんの意識は、身近なところにお金がかからずスポーツできるところが欲しいというのが都民の意識なんじゃないんでしょうかという質問なんですけれども、どうですか。

○細井スポーツ振興部長 スポーツにつきましては、例えばウオーキングやジョギングなど、道路や歩道や公園で行うスポーツもございます。それから、広場や公園でできるスポーツもございまして、それから、屋内でやるスポーツもございまして、スポーツを行う場所はさまざまでありますので、都民のニーズとか施設の需要、それから既存施設のさらなる有効利用なども含めて、総合的に検討していきたいと思っております。必ずしも現状が不足しているということではなくて、都内のスポーツ施設というのは、全国的にも既にトップレベルの数にはあるわけでございます。

○大山委員 きちんと、せっかく調査したわけですから、やはり素直に数字は見るべきだと思いますよ。そして、東京都の立場というのは、さっきいったとおり、いつでもどこでも、だから、都民のニーズに合わせて、スポーツしたい--ウオーキングしたい人もいるし、ランニングしたい人もいますよ。テニスしたい人もいるし、バスケットをやりたい人だっているわけですよね。ですから、そういう要求にきちんとこたえる、だから、公共施設に望むこと、それは施設数の増加なんですよね。で、お金は安くということなんですよ。そこには自治体の役割が大きいわけです。さっき足りているというようなことをいいましたけれども、後で聞きますけれども、公共施設をつくってほしいという要求が大きいわけですね。施設の問題というのは東京都みずからがつくることと区市町村が整備するものを支援すること、これは両面あります。
 東京のスポーツ施設の整備率は全国的に見ても多いんだと、こうおっしゃいましたけれども、数字は正直です。東京のスポーツ施設の整備率は全国的に最低水準です。人口百万人当たりの体育館数、十五・五施設で四十七位。四十七都道府県しかありませんから、最下位です。多目的運動広場、これは八・五施設で四十七位。水泳プール、これは十六・二施設で四十六位、一位上げました。
 東京のスポーツ施設整備率は全国的に見ても最低水準であるということは、客観的に明らかだと。この状況、どう認識しているんでしょうね。

○細井スポーツ振興部長 施設の整備率というのは単に人口当たりの施設数で評価するものではないと考えております。スポーツ施設は施設の規模、交通の利便性、人口や区域の面積など、さまざまな要素を総合的に勘案して評価するものと考えております。
 さらに、平成十七年度の文部科学省の調査報告書によりますと、都内の社会体育施設数は二千九十一カ所、民間体育施設数は八百五十、このほかにも国の施設がございます。いずれも全国のトップクラスの数になっておりまして、決して最低水準にあるとは、現状では認識しておりません。

○大山委員 平均ぐらいのレベルでそういうんだったらいいですよ。四十六位、四十七位ですからね。人口当たりで割り返すというのは客観的な数字になるわけですね。
 例えば近県、交通の利便性とかとおっしゃいますから、近県は割と利便性が高いわけですが、近県で見ても、体育館、百万人当たり、東京、十五・五カ所ですけれども、埼玉は二十三・六カ所、千葉県は二十一・二カ所、神奈川県は二十五・六カ所です。全国平均が五十・二カ所ですから、近県でも成績悪いんですけれども、東京よりはあるわけですね。
 「十年後の東京」では、東京のこれまでの歩みと到達点で、東京にはスポーツ施設の集積があり--今、ご答弁したとおりのことを書いてありますよ、各種スポーツ施設が高度に集積し、施設面で恵まれた環境にあるという認識です。
 この認識は改めるべきだと思いますけれども、どうですか。

○細井スポーツ振興部長 今、答弁しましたとおり、東京には都立スポーツ施設を初めとした国立、公立のスポーツ施設、また民間の施設も多数設置されております。決して少ない数だとは思っておりません。

○大山委員 さっき答弁されたように、民間のフィットネスクラブなどのことを入れているわけですよ。それだけで恵まれているというのは、余りにも一面的な話なんです。都民がそれを使ってスポーツしているというんだったらいいですよ。民間のスポーツジムなどが幾らあっても、さっきの教育庁の調査からもわかるように、会費が安くなればスポーツクラブに入会できるという人は二七・二%、約三割いるんです。だから、道路や遊歩道などになるわけですね。スポーツ関係団体からは、場所が取れない、それから、費用が高い、こういう声がたくさん寄せられています。
 久しぶりに私、BumBに行ってみました。日曜日だったせいだと思いますけれども、利用者が多くて、体育館も弓道場もサブアリーナもフットサルもいっぱいでした。
 例えばフットサルは一時間で、土日祝日は一万二千六百円です。一時間あれば、二十分ハーフですか、だから一ゲームはできるわけですよ。一ゲームというのか、できるわけですね。一ゲームするために、十人で割ったとしても千円以上かかるということなんですね。利用料が高いというのは深刻なんです。
 例えば高校生たちがスケートボードしたい、でも、やるところがなくて、いろいろ探したんですけれども、やっとうちの区の体育館のローラースケート場を、小さい子がいないときはやっていいよ、こういうことになったんですけれども、だから、自分たちでこうやって斜面もつくって、板買ってつくったんですけれども、一回三百円が必要なんです。だから、自分たちのお小遣いではとても、一回三百円出して何回も行けないわけですよね。だから、結局使えなかったんです。お金がかからない、軽費でできる、これはだれもが気軽にスポーツができる重要な条件の一つなんです。都の施設での利用料の軽減に努力することを要望しておきます。だからこそ、施設面で恵まれたなどという認識は改めなければならないことだということを強く指摘しておきます。
 ですから、人口当たりの整備目標を持って施設整備計画をつくることが必要だと思いますけれども、どうでしょうか。

○細井スポーツ振興部長 スポーツ施設は施設規模、交通の利便性、人口や区域の面積などのさまざまな要素を総合的に勘案して評価するものと考えておりまして、施設整備に際しましては、そのさまざまな要素を総合的に判断して行う、このように考えているところでございます。

○大山委員 今、いろいろと数字まで挙げてお示しして質疑しているわけですから、ちょっと検討するぐらいのことはしてもらいたいと思うわけですよ。
 もう一つ、全体の計画というのは、やっぱり東京都の計画を自分で立てるものと同時に、区市町村が促進できるような財政的な支援も必要ですけれども、これについてはどうですか。

○細井スポーツ振興部長 都は区市町村を超える全都的、広域的なスポーツ大会や交流の場としての機能を重視し、体育施設を設置すべきものであり、区市町村は地域のスポーツ活動の実践の場としての機能を持つスポーツ施設を設置すべきと考えております。このような役割分担を踏まえれば、区市町村が独自の判断と責任で施設を整備すべきでございまして、都としては、区市町村の施設整備への個別の支援は考えておりません。

○大山委員 本当にスポーツ振興、いつでもどこでもだれでも、要求を満たす、権利としてのスポーツを保障する立場に立つのか、立っているのかということを疑わざるを得ませんけれども、例えば武蔵野の森スポーツ公園、これは今、味の素スタジアムのあるところですね。この計画というのは、スタジアムとメーンアリーナ、それからサブアリーナ、プール、アイスアリーナ、武道館、こういう五館をつくる構想でしたね。しかし、財政健全化計画の中で凍結されています。多摩の地域には、都立の体育館もプールも武道館もありません。
 先ほどご答弁したように、東京都の役割というのはスポーツ大会などができるところを整備する、それが役割なんだと自覚されているわけですね。スポーツ団体の人たちは、全都的な大会をやるとき、会場を確保するのに苦労しています。大会をもっと大きく実施しよう、こういう話になるけれども、結局、人数がふえると会場がないから、規模は今までどおりになってしまう、こういうわけですね。
 五館構想、この凍結は解除して、地元自治体と話し合いを始めるときじゃないんでしょうか。

○細井スポーツ振興部長 武蔵野の森総合スポーツ施設基本計画につきましては、都財政の状況が極めて厳しい中で、平成九年に計画自体が凍結されております。

○大山委員 凍結されていますというと、本当に冷たいことをいっているわけですけれども、厳しい財政状況の中で凍結が決まって、今どうかといったら、税収は順調に--順調にというか、非常に大きく伸びているわけですよね。だから、やはり凍結は解除して、地元の自治体と、どうしましょうか、こういうテーブルに着く、それが重要だと思っているんですよね。
 というのも、地元の各市の議会というのは、五館構想の特別委員会を皆、設置しています。現在、三市は、副知事、都の四者協をつくっていると聞いていますけれども、五館構想の西側都有地については、三市の合意のもとに四者協でやってもらわないとというふうになっているということなんですね。スポーツに力を入れるというんだったら、凍結解除して地元の自治体と協議するぐらいはやってしかるべきじゃないんでしょうか。多くの局が関係しているというんだったら、スポーツを所管している、都民のスポーツ要求をかなえる責任がある生活文化スポーツ局が中心になって動かしていく、これが求められているんじゃないんでしょうか。
 もう一つ、駒沢オリンピック公園にある体育施設ですけれども、資料で出していただいたように、例えば屋内球技場、昭和三十九年十月につくって改修改築はなしと、軟式野球場も水泳場も、それから弓道場もテニスコートも、特に改修も改築も増築もしていません。
 それで、この駒沢オリンピック公園にある体育施設というのは、数少ない都立の体育施設であります。ようやく野球場と、雨が降るとすぐに水たまりができちゃって、次の日はもう使えない、それから、観覧席も大変な、取れちゃったり何かしていたところは直す、改修を始めている、それから、陸上競技場も改修をしているわけですけれども、ほかのところもきちんとメンテナンスを行って、気持ちよく使える施設を維持することが重要だと思います。
 改修だとか改築などを計画的に行うことが求められていますけれども、どうですか。

○細井スポーツ振興部長 駒沢オリンピック公園総合運動場では、平成十八年度から陸上競技場の大規模改修及び硬式野球場の管理棟の改築工事を実施しております。
 今後も、利用者がさらに安全かつ快適に利用できる施設とするため、その整備に努めてまいります。

○大山委員 ぜひ整備に努めてください。
 例えばテニスコートなども、ずっと改修していないものですから、雨が降ると次の日使えないとか、球が伸びると後ろに下がり切れないでフェンスにぶつかっちゃうとか、そういうことは前からいわれていることですね。利用者の皆さんの意見だとか要望を聞いて、安全で快適に利用できるように、ぜひとも進めていってほしいという要望を述べて、終わりにします。

○古館委員長 この際、議事の都合によりまして、おおむね十分間休憩したいと思います。
   午後二時五十分休憩

   午後三時一分再開

○古館委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言を願います。

○吉原委員 それでは、さきの都議会第三回定例会におきまして、割賦販売法の改正に関する意見書を取りまとめて国へ提出をいたしました。
 私たちがそこで問題とした個品割賦購入あっせんは、手持ちの現金がなくても高額な商品の購入も可能になるという、本来ならだれもが安心して利用できる便利な取引手段のはずでありました。しかしながら、この仕組みを悪用して高齢者の老後の資金まで根こそぎ吸い上げてしまうような悪質事業者が後を絶たないために、まじめな事業者の営業活動までも国民の信頼を得られなくなるおそれが出てきています。これはゆゆしき問題でありまして、もはや見逃すことができない事態でありますから、都議会の意見書の内容を十分踏まえた中で、国は早急に法改正をされるよう強く望むものであります。
 さて、福田総理大臣は、十月一日に行った所信表明演説の中で、悪徳商法の根絶に向けた制度の整備など消費者保護のための行政機能の強化に取り組む、こういう発言をされました。国はここに来てようやく消費者の視点に立った発想に転換して、特定商取引法や割賦販売法などの法改正に向けた具体的な中身の検討に入っているとお聞きしているところであります。
 東京都としても、我が党が申し上げてまいりました、現実に起きている消費者被害の拡大防止は待ったなしであるから条例改正を急ぐべきだと主張してまいりました。そうした主張に対して全面的に東京都も受け入れていただき、法の網をすり抜けるような悪質事業者に対する規制強化を盛り込んだ条例改正を既に昨年の末に行ったわけであります。
 都道府県レベルの消費生活条例に全国で初めて禁止命令、そして罰則を設けるなど、高齢者などの消費者被害の拡大防止と予防に積極的に取り組んできた姿勢は、高く評価されているとお聞きしているわけであります。
 そこで、まず伺いますけれども、昨年末の条例改正からもう既に一年近くになろうとしている今であります。改正の効果があらわれてきているのではないかと思われますけれども、所見を伺いたいと思います。

○宮川消費生活部長 悪質事業者を取り締まる根拠法であります特定商取引法は、突然の訪問のような不意打ち性の高い取引によるトラブルから消費者を守ることを目的としているために、消費者側から依頼をしたり消費者みずからが出向いた場合には、たとえ事業者が悪質でありましても、この法律では規制が厳しくなります。
 この東京都の改正条例の重要な柱の一つでございますけれども、このような法律の抜け穴を悪用して消費者に大きな被害を与えている、トイレや洗面所など衛生設備機器の修繕、これは水漏れというような緊急事態を逆手に取って、高額な、しかも無用な工事をしてしまうというような業者がおります。それから、不用品などの回収、これは回収車に積み込んだ後で、法外な値段で料金を請求する、こういうような事業者がおります。それから、タレント、モデルを養成する講座の提供、オーディションに誘いまして、簡単に合格させて、その後に非常に高額な養成講座というものを用意して押しつける、こういうような三種類の取引と、それから、法律が初めから規制の対象から外しております取引がございまして、原野商法二次被害のような深刻な問題が起きております訪問販売や電話勧誘販売による土地の広告、そして、高齢者に被害が急増しております、みそなどの調味料の訪問販売、この二種類の取引と合わせました五種類の取引に対しまして、都が独自に禁止命令を出すことができるようにしたことでございますが、ただ、条例の施行が本年の七月ということもございまして、この改正条例に基づいて禁止命令を発したという事例は、まだございません。
 しかしながら、法律の規制対象にならないことを盾に、都の相談員からの問い合わせにも、改正前には全く無視をしていたのが、改正後は事業者の方から話し合いに応じるようになったり、問題のある販売方針をみずから見直したりする事業者がふえております。
 また、悪質事業者の中には、事務所の閉鎖を行うようなものも出てきておりまして、悪質商法に対する抑止効果が確実にあらわれているというふうに見ております。

○吉原委員 今、ご答弁いただきましたけれども、改正されました条例によって、悪質な商法に対して実際に大きな効果が発揮されている、そういうことでありますから、都民にとりましても安心度というのがさらに向上したように思うわけでありまして、大変よかったなというふうに思います。
 そうした中にあって、国は、東京都のこの条例改正を実際どんなふうに受けとめられて、また評価をされているのか、お伺いをいたします。

○宮川消費生活部長 法のすき間をかいくぐる悪質事業者を排除する都の消費生活条例については、国も高く評価をしております。
 例えば、昨年末の条例改正に当たりましては、事務方によるまだ作業段階から、国は非常に高い関心を示しまして、担当者が都庁舎に足を運び、積極的に情報交換や勉強を行っております。また、国の要請を受けまして、条例改正後の本年二月から、特定商取引法の改正について検討、審議をいたします国の産業構造審議会や消費経済審議会の部会審議に都も参画をいたしまして、意見を述べ、提案を行っているところでございます。さらに、国は、これまで大臣にしか認めていなかった電話勧誘販売と通信販売に関する処分権限につきまして、知事への移譲を求める都の提案要求に応じて、本年七月の都条例の改正施行に合わせて政令改正を行っております。
 こうした国の対応は、都条例を高く評価していることのあらわれと受けとめております。

○吉原委員 国の方もしっかりと、東京都が条例改正したことを理解いただいて、また、そのことによって国民生活が向上するような形をとってきていただいた、このことは大変すばらしいわけでありますし、まして東京都としても、全国で初めてこういう形でつくってきたわけでありますから、その効果たるものは、東京都民にとっても大変すばらしいことであろうなというふうな思いをしているところでもございます。
 そこで、もう少しお伺いをしたいわけでありますけれども、今、お話もございましたが、条例が法のすき間を埋めることの意味や価値について、具体的な説明があれば、もう少し細かなことを教えていただければありがたいと思います。そのことが都民にとっても、また一層実感できるものであるんだろうなというふうに思うわけであります。
 例えば、国の消費者生活に何か直接の影響を与えたことがあったとか、あるいは変化があったというようなことでもあればお伺いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○宮川消費生活部長 先ほどもご答弁申し上げました、都が条例改正によって独自に禁止命令を出すことができるようにいたしました五種類の取引のうち、高齢者をねらった被害が急増している、みそなどの調味料の訪問販売につきましては、国はこの七月に、急ぎ特定商取引法の規制対象に加えるための政令改正を行っております。
 また、現在、訪問販売などの特定の販売方法について、扱う商品とサービスを限定して規制をしている現在の法の仕組みを抜本的に見直す方向で法改正の検討が進められておりまして、これは、要は原則としてそういった規制をしないというような方向になるわけでございますが、このことも都の条例改正が国の消費者政策に少なからず影響を与えたものというふうに自負をしております。

○吉原委員 そこで、条例をせっかく改正して規制を強化しても、その執行がしっかりと担保されなければならないわけでありまして、そういうふうにならないためにも、人数も当然のことながら限度があるわけでございますから、有効に活用していかなければならないというふうに思います。悪質業者を効果的に取り締まることが、そのためにも当然のことながら必要だと思うわけであります。
 そこで伺いますけれども、取り締まりの体制をいかに整備して、現場における迅速かつ的確な対応を確保するためにどのような取り組みを行っているのか、そしてまた、ちょっと重なる部分もあるかもしれませんけれども、広域的な連携をどのように進めてきているのか、そして、これから進めていくのか、そして最後に、実際の取り締まりの実績が上がっているのかどうなのか、その三点についてお尋ねをいたします。

○宮川消費生活部長 まず、取り締まりの体制についてでございますが、現職の警察官であります警視庁の併任職員一名のほかに、本年四月から、経験豊かな警視庁警察官OB三名を非常勤職員として配置したところでございます。
 また、立入調査を円滑に実施し、証拠資料等を的確に捕捉できるよう、今年度は現場の張り込みや資料運搬等に用いる車両を調達する経費を予算措置し、有効に活用をいたしております。
 次に、広域連携についてでございますが、埼玉、千葉、神奈川に静岡を加えた一都四県で体制を確立して、既に実績を上げております。昨年の十一月でございますが、広範囲におとり広告を使って高額なミシンの購入を契約させる悪質な販売事業者に対し、五都県同時に行政処分を実施いたしております。今年度も、広域的に悪質行為を行う事業者に対しまして、都の保有するノウハウを他県の職員とも共有しながら、共同して調査を進めております。
 なお、取り締まりの実績についてでございますが、これを処分等で見てみますと、平成十七年度が十一件、平成十八年度が二十一件、平成十九年度、今年度は、この十月末現在で既に二十七件となっておりまして、国の実施した今年度の実績十九件を大きく上回っている状況でございます。

○吉原委員 今のお話の中では、いろいろ努力をされてきたんだろうなというふうに思いますし、評価をしているところでもございます。しかしながら、今後も市場の公正さというものをしっかりと維持していかなければなりませんので、悪質事業者の取り締まりをこれからもやっていただきたいというふうに思います。
 何といっても私たちのこの東京にとっては、大変多くの皆さんが生活をしておりますし、そういったすき間というものをそれぞれの皆さんの中では、悪質業者から見たときには、仕事をしやすい環境というのも東京にはあるわけでございまして、その辺のところも考慮をいただきながら、これからもご努力をいただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、私から、都内に住みます外国人に対する相談についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
 二十一世紀に入ってますますグローバル化が進む中で、都内に住む外国人の方々の数も増加の一途をたどっているように思います。総数でも、都内では三十七万人の外国人の登録者数が既に報告をされておりますし、区部でも外国人人口比率が三・六%、また、多いところでは、港区や新宿区では十人に一人が外国人であるという統計もあります。
 外国人の定住化が進む中で、法律関係や各種手続などの手助けが必要な在住外国人が多いと聞いております。在住外国人のこうした問題については、東京都における地域の国際化を推進する役割を担っている東京都国際交流委員会がかかわる民間団体が相談事業を行っていると聞いておりますけれども、専門家による相談事業の実施状況について、まずお伺いしたいと思います。

○小笠原都民生活部長 在住外国人に対します専門的な相談事業につきましては、お話しの東京都国際交流委員会の協力のもと、区市の国際交流協会や民間の外国人支援団体が連携いたしまして多言語による専門家相談会を実施しており、平成十八年度は十区七市におきまして十七回開催されたと聞いております。

○伊藤(ゆ)委員 都内各地で在住外国人に対する専門家の相談会が開催されているということは、困っている外国人にとっては大変心強いものだというふうに思います。しかし、今後は、さらに手続の煩雑化など相談内容も多様になってくるというふうに想像できます。
 そこで、専門家相談会では、行政手続に明るい行政書士が専門家として入っているのか、また、入っているのであれば、今後さらなる活動の機会拡充についてどのように考えているか、お伺いしたいと思います。

○小笠原都民生活部長 専門家相談会におきましては、弁護士、行政書士、社会保険労務士などさまざまな専門家が加わりまして、在住外国人に関する相談に対応しております。
 今後も、在住外国人に対して各国際交流団体等が行う相談事業につきまして、専門家の協力を得ながら実施されることが必要と考えてございます。

○伊藤(ゆ)委員 外国人の人口が増加をする中で、その相談内容、あるいは困っていることというのも本当に多種多様になってきているというふうに思います。昔は、国内における在留資格をどうやって取っていくかとか、あるいは離婚、結婚ということの手続などについてもご相談があったようですけれども、今ではさらにいろいろな相談がふえてきていて、例えば国内における教育をどうやって受けていくかとか、就労あるいは労働環境の相談ということも現実に出てきているようであります。
 私が聞いた話では、ある区のある学校では外国人のお子さんが非常に多くなってきていて、クラスの三分の一ぐらいが外国人のお子さんであるというクラスも中にはあるというふうに伺っていますので、恐らく学校現場における言葉の不自由さゆえのご苦労や、あるいは教育にかかわる費用の捻出など、それぞれに抱えられているテーマと問題というのも多種多様になってきているというふうに思います。
 そこで、行政書士というのは、平成元年以降、外国人が在留資格の変更や、あるいは在留期間の更新などの各種申請を行うときの申請取り次ぎを代行として行ってきておりまして、こうした外国人に対する見識というのも深く持っている、知識もあるというふうに思います。
 こうした知識や、あるいはそういう方々とのパイプや関係を持っている専門家の方々の活用を、ぜひ今後ともご検討いただくことをお願い申し上げまして、私からの質疑にさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

○中山委員 私からは消費行政と私学振興について質問をさせていただきます。
 初めに、消費行政について質問させていただきます。
 都では現在、先進的環境都市を実現するため、全庁横断的な戦略組織として環境都市づくり戦略合同会議を設置しております。そこでは、副知事をトップに関係局が一体となって、二酸化炭素の削減を目指すカーボンマイナス都市づくりや、東京の緑を再生し、安らぎと潤いのある都市を目指す緑の都市づくりなどに取り組んでいます。
 都は既にディーゼル車規制などですばらしい成果を上げ、なおかつ今後は緑化の推進などで環境先進都市の模範の姿を示そうとしております。
 現時点で世界でも有数の環境先進都市である東京が、それでもなお相当の本腰を入れて取り組んでいかなければならない課題が、二〇二五年までに二〇〇〇年比で二五%のCO2削減という大目標であります。バイオエネルギーなどの活用もその一つの手段でありますが、穀類の高騰を呼ぶなどの課題も多く、グリーン電力の導入も大事な課題なんですけれども、短期間に大きな決め手となるような成長を遂げるには、まだ目安が立っていないという現状だと思います。
 そこで、私は、改めて見直すべきは都民一人一人、そして各家庭で取り組むことのできる省エネ活動の徹底した推進ではないかと思います。ある試算では、都内の全家庭に白熱球が一個ずつあると仮定しての話ですが、それを省エネ型の蛍光灯などに取りかえるだけで年間二十万トン、〇・三%のCO2の削減が実現できるといわれております。〇・三%といいますけれども、こうした取り組みが仮に十種類あるとしたら、それだけで三%が削減できるということになります。
 こうした取り組みを着実に推進するためには、都民一人一人が身近なところから環境への負荷を低減するための行動を起こしていく必要があります。そのため重要なのが消費生活にまつわる都民的なムーブメントという視点であります。このような観点から、二、三お尋ねしたいと思います。
 消費生活部では平成十七年度まで、環境に配慮した消費生活の普及推進という事業に取り組んでいたと聞いておりますが、この事業の内容について、まず、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 お尋ねの環境に配慮した消費生活の普及推進事業でございますが、これは、消費者や事業者などと連携をいたしまして、環境に配慮した消費生活の普及によって消費者のライフスタイルの転換を図り、環境負荷を軽減させることを目指して、これまで実施をしてまいりました。
 具体的には、環境に優しい買い物キャンペーンを展開いたしまして、自治体や商店街、市民グループなどの参加を得て、環境に配慮した商品等の積極的な選択やマイバッグの持参を都民に呼びかけてきております。
 また、NPO法人と共催して環境に配慮した商品、サービスの普及に関する各種提案や先駆的、模範的な取り組みに対しまして、東京都グリーンコンシューマー奨励賞を贈呈するなどの事業を行ってきております。

○中山委員 マイバッグの持参を都民に呼びかけレジ袋の削減を目指すなど、環境への負荷の少ないライフスタイルの転換を進め、消費者の視点から環境問題に取り組んできたことは、大変意義のあるものであったと思います。
 しかし、このような事業が十七年度に終了してしまったということでございますけれども、現状は一体どうなっているのか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 東京都がこれまで区市町村や商店街、NPO法人などさまざまな団体と共同して行ってきましたこうした先駆的な取り組みは、現在、それぞれの団体に引き継がれまして、さらに大きな運動として広がってきております。
 例えば東京から始まりました環境に優しい買い物キャンペーンは、国を動かし、すべての都道府県の共同キャンペーンとして実施されるまでに成長しております。
 また、地球環境のためによい商品やそれを取り扱う販売店などを意識的に選ぶ、いわゆるグリーンコンシューマーの取り組みも、NPO法人などを中心に多彩な活動が行われております。

○中山委員 ただいま答弁ございましたように、東京から始まった運動が今や全国的な規模の運動にまで成長しているというお話ですが、これはこれとして大変喜ばしいことであると評価いたします。
 このように区市町村や商店街などの地域に根差した取り組みや、NPO法人などさまざまな団体が創意工夫を凝らして運動するということは、たとえ地道な取り組みであっても、一人一人の消費者の力が大きな力となって、深刻化する環境問題の改善につながっていくことになると思います。そこで、都としても、消費者がみずから環境問題に取り組む機運をさらに盛り上げていくために、環境に配慮した消費生活の普及事業は十七年度で終了しましたけれども、今後は改めてこうした活動を積極的に支援していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 当初、行政が牽引してきた取り組みも、今やさまざまな団体によって広がりのある活動となって展開されているわけですが、これからは、こうした機運をさらに盛り上げる方向で、ただいまのご指摘のように行政も協力していくことが重要と考えております。
 そこで、都は現在、都内の消費者団体と共同して実施しております消費者月間事業を中心に、環境問題に取り組む機運の醸成に努めております。今年度は、再生するのリサイクル、再使用するのリユース、減らすのリデュース、この言葉の頭文字を取りまして、いわゆる3Rやレジ袋の削減など、環境に配慮した生活提案に取り組む消費者団体や事業者の活動を取り上げたところでございます。
 今後も、消費者がみずから環境問題に取り組む機運をより一層高めるために、さらなる工夫に努めていく考えでございます。

○中山委員 知事は、第一回の環境都市づくり戦略合同会議の席上、緑の都市づくりも地球温暖化対策も、広く民間企業や都民、NPOなどの力を集めて進めることが必要であると発言されています。ただいまの私の質問に対するご答弁からは、生活文化スポーツ局としても環境問題に取り組む都民やさまざまな団体の活動に対して、今後も積極的にかかわっていくという姿勢を強く感じることができました。
 今後は、こうした姿勢を堅持しつつ、これは要望になりますが、例えば毎年の消費生活月間などにおいて、環境負荷を軽減する消費生活運動の取り組みの成果を、二〇二五年までの間、共通のテーマに掲げて月間として取り組むなど、より積極的に事業を展開することが重要ではないでしょうか。
 生活文化スポーツ局がことし三月に公表した環境に対する世論調査の結果でも、例えばレジ袋の利用頻度の調査を見ますと、意識の低さは多摩地域よりも区部、女性よりも男性、主婦よりも勤労者、老年者よりも若年者が低いという状況になっております。地球環境問題に関する意識の厚薄がそのまま、レジ袋をどの程度使わないようにしていくかという行動につきましても結びついていることが、はっきりと読み取れます。その面でも、消費者の意識の高揚や方向づけに大きな役割を果たす生活文化スポーツ局の役割は重要であります。
 しかし、心配なのは、先ほどの環境に対する世論調査の結果の一〇二ページにも明らかですけれども、環境対策全般について、今後都に力を入れていただきたいと都民が望む選択肢の中で、都民、団体などの連携、協働、活動支援を選択した人の率が、複数選択であるであるにもかかわらず二・八%と低いという現状にあります。まだまだ都民全体が、都民一人一人の小さな環境貢献の積み重ねがどれほど大きな効果をもたらすものかということについて十分に認識できていないという現状があるかと思います。
 この点に関する生活文化スポーツ局の大いなる力を発揮していただいて、環境問題につきましても流れを大きく変えていただくことを期待して、この項に関する質問を終わります。
 続きまして、私学振興について質問させていただきます。
 経済協力開発機構がことしの九月に、加盟各国の教育への取り組みを二〇〇四年現在で調査した結果を公表しましたが、国内総生産、GDP比で見た場合、数値が比較できる二十六カ国中、日本の公的支出は三・五%で、下から二番目ということでありました。各国の教育費は一九九五年からの十年間で平均四二%ふえているのに対し、日本は一一%程度の伸びで、数年後には最下位になってしまうという見方もあります。
 他国が金額的に見ても教育に力を入れる傾向が高まる中、日本の教育費の伸びは心もとないものに映ります。このままでは日本の教育は世界におくれをとってしまう、日本でも教育に関する公費負担をもっと充実させる必要があると考えております。
 東京都の状況を見ると、高校で約五割、中学でも約二割が私立学校であります。東京の教育を考える際には、公立学校の充実もさることながら、私立学校の充実も不可欠であります。
 慶應義塾大学経済学部教授の文献によりますと、教育先進国といわれているオランダでは、ほとんどの私立学校に公立学校同様の補助金を支出しており、補助を受けた学校は、学費の払えない生徒の入学を拒否することはできないこととなっております。
 スウェーデンでは、公立学校の八五%以上の補助金を私立学校へ支払うこととなっており、一九九七年以降は、私立も学費は無料となっております。もっとも、この公立と私立の費用の差を公的補助金でなくすということにつきましては、私立側からとってみると、生徒選択の自由が奪われるとか、あるいは学費の使途の制限が加わるとか、ある面で自由を奪われるという代償も伴うものでございますけれども、大事な課題の一つではないかと思います。
 東京都におきましても、現在、私立学校に対する公費負担として経常費補助を実施し、私立学校の教育環境の整備に努めているようでありますが、これらの国の制度と比較しますと、まだまだ改善の余地があるのではないかという気がいたします。特に、親の経済状況により受けられる教育の幅が狭められることがないように、私立学校に対する公費負担について、さらなる検討が求められると考えております。こうした前提に立って、具体的に質問させていただきます。
 先日、私立中学校に子を通わす保護者の集まりで、保護者の倒産やリストラなどの家計急変などの場合、学費の負担が非常に重く、私立学校をやめざるを得ないと、窮状を訴えられました。このような私立中学生に対する対策はどうなっているのか、お伺いいたします。

○小濱私学部長 東京都は、私立学校がその学校に通う生徒の家計の状況もしくは家計状況の急変、所得が大幅に減少した場合ですが、こうした理由によりまして生徒の授業料を減免した場合に、減免額の三分の二を学校に対して補助する授業料減免制度を設けまして、保護者の経済的負担の軽減を図っているところでございます。

○中山委員 それでは、都内の私立中学校では、何校が授業料減免制度を持っているのか、お伺いいたします。

○小濱私学部長 この補助制度は、私立学校における前年度の減免実績に対しまして補助するものでございますので、直近の実績は平成十七年度の実績となります。都内私立中学校百七十八校のうち八十九校が制度を有しております。

○中山委員 都内の私立中学校に通っている生徒は何名で、そのうち何名が授業料減免を受けているのか、お伺いいたします。

○小濱私学部長 平成十七年度に都内の私立中学校に通っている生徒は七万五千九百三十四人でございます。そのうち百八十人が授業料減免を受けております。

○中山委員 それでは、授業料の減免額の総額はどのくらいなのか、一人当たりの平均額はどのくらいなのか、お伺いいたします。

○小濱私学部長 都内私立中学校における平成十七年度の授業料減免額の総額は、約四千五百万円となっております。また、生徒一人当たりの平均減免額は約二十五万円となっております。

○中山委員 今、ご答弁いただきましたように、制度を導入している私立中学校は約五割にとどまっております。今後はより多くの中学校がこの制度を活用していくことが望ましいと考えておりますけれども、いかがでございましょうか。

○小濱私学部長 先生おっしゃるように、この制度を導入してくれる学校がふえることが非常に好ましいと考えております。なお、そのために、毎年度開催しております経常費補助説明会などで、この制度についての周知を図ってきたところでございますけれども、今後とも、各学校においてこの補助制度が積極的に活用されるよう、都としてもさらに強く働きかけてまいります。

○中山委員 私立中学校に入学後、親の経済的な事情で地元の公立中学校に転入していくということは、そのお子さん自身にとっては大変な苦痛となります。授業料減免もその有力な手段の一つでございますが、私立学校側が自分の学校としても三分の一の負担を負うことを覚悟して実施する必要がありまして、学校経営側の判断として実施できないと結論されてしまいますと、それは強制の手段はありません。その場合、かわいそうなのは、やはりそのお子さんたちであり、子どもに罪のない、親の都合で子どもに学校をあきらめさせなければならない親の心情かと思います。
 したがって、今後も授業料減免の制度の私立中学校への普及、理解の促進を進めていただくことは大変重要なことでございますが、さらなる負担軽減の策が私立中学校に対しても必要だと私は考えます。
 そこで、一つ参考にしたいのが、私立高校生に対する奨学金の制度であります。この制度には、経済的理由により就学困難な生徒に対して、給付制度として特別奨学金事業があり、また、無利子の貸付制度として育英資金事業がございます。その実績はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○小濱私学部長 平成十八年度の都内の私立高校生の数は約十七万五千人となっております。このうち平成十八年度の特別奨学金の利用者数は、都外にある高校に通う生徒も合わせて、二万六千五十三人でございます。また、育英資金の貸付人員総数は千五百二人となっております。

○中山委員 今、ご答弁ありましたように、特別奨学金に比較して育英資金の利用者数が大幅に少ないように思いますが、その理由はどのように認識されていらっしゃるか、お伺いいたします。

○小濱私学部長 特別奨学金は返還不要の現金給付でございますので、支給要件に該当する生徒にとっては、比較的抵抗なく申請が可能でございます。これに対しまして、育英資金は返還義務を伴うため、利用に慎重になることが考えられます。

○中山委員 それでは、特別奨学金は年度途中の家計急変にも対応できるのか、お伺いいたします。

○小濱私学部長 特別奨学金は、先ほど申し上げましたように現金給付事業でございますので、支給要件に該当するかを慎重に審査しております。前年の所得の証明を求めたりしております。そのため、当該年度途中の家計急変の場合については、即時に対応することは困難でございます。

○中山委員 無利子貸与の制度は将来的に返還を要する制度であり、高校進学後も貸与を受け続けるなど、貸与年数がかさむことを考えますと、将来の返還負担が重くなるというデメリットがございます。
 また、給付制度については、今、ご答弁がありましたように、前年収入に基づく生活保護と同程度との認定が必要でありまして、家計急変には即応できないデメリットがあります。
 どちらにしても何らかのデメリットを伴う制度ではありますけれども、先ほどの授業料の減免が学校側の実施決断に左右される制度であることを考え合わせますと、この奨学金制度を何らかの形で、家計が急変して私立学校への通学が困難になった場合に適用できるようにするべきと考えます。可能であれば、私立高校同様に全面的に私立中学校にも適用していただきたいところではありますが、いろいろ難しい面があるのであれば、家計急変による中途適用に限ってもよいのではないかと思います。
 具体的には、急変に対応するため、取り急ぎは無利子貸与で対応する、この場合は保証人が必要なんですよね。この保証人につきましても、できれば学校側に代替してもらうような形がとれないのかどうか、そういったことも含めた、就学困難な家計状況の継続のぐあいを見て、無利子貸与制度から給付制度に切りかえる措置でよいのではないかと思います。
 こうしたことの検討を強く要望させていただきまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 それでは、最後でございます。事業概要から五事業に関して順番に質問したいと思います。
 こちらの事業概要の五二ページにあります個人情報保護制度について、まず伺います。
 個人情報の保護法が施行されて、大変耳なれた名前になってから久しいわけですけれども、こちらの生活文化スポーツ局の方では、東京都の保有する個人情報の管理をするとともに、一般からの個人情報保護に関する相談事業も行っております。
 そこで伺いますが、個人情報保護に係る相談事業について、現状どのような相談が傾向として多いのでしょうか、教えてください。

○萩原参事 個人情報保護にかかわる相談の傾向でございますが、平成十八年度の相談件数は千五百十二件となっており、都民等からの相談の傾向は、対象事業分野別に見ますと、不動産業分野、情報通信分野、金融信用分野が上位となっております。
 相談内容につきましては、最も多かったのが個人情報の漏えい、紛失に関するもの、次いで個人情報の同意のない第三者提供に関するもの、個人情報の不適正な取得に関するものとなっております。
 具体的に不動産業分野の相談内容を一つご紹介申し上げますと、不動産販売業者から勧誘電話が頻繁にかかってくるが、自分の個人情報が不正に取得されているのではないかというような内容のものでございます。

○斉藤委員 個人情報を使われたというようなことで、被害的な意味でご相談が多いということですね。
 そして、その一方で、先日、たまたま新聞を見ていましたら、個人情報保護法のために、子どもの同級生の家に電話もかけられない、学校付き合いも疎遠になっているような気がするというような、一般的に個人情報の保護をどういうふうに管理をしていくかという、当事者的な角度からの記事が載っておりました。
 私の方も、個人的な話でありますが、たまたま子どもがちょうどことし小学校へ入って、たまたま下の子も幼稚園へ入って、見ていると、学校や幼稚園それぞれで、個人情報をどう扱っていくか、保護者の同意をどういうふうにスムーズに得ていくかというところでは、随分やり方もさまざまですし、悩んでいるような雰囲気がいたします。
 実際に、こういった新聞記事に載るような個人情報保護のために必要な情報がないというようなことに関してどのような相談回答を行っているのか、伺います。

○萩原参事 個人情報保護法は連絡網や名簿の作成を禁止するものではございませんが、法律の全面施行から二年半が経過し、当初の混乱は解消したものの、いまだ一部には、法の誤解に起因して名簿等の作成が中止されるなど、いわゆる過剰反応という問題が生じております。
 このような相談に当たりましては、個人情報保護法は保護と利用のバランスを図るものであるという法の趣旨について説明を行った上で、本人からの同意の取得方法、利用目的の限定など、名簿作成のポイントを具体的に回答しているところでございます。例えば学校の連絡網につきましては、入学式等で連絡網の必要性や取り扱い方法を十分にご説明し、事前に保護者から同意を得るようにアドバイスをいたしております。

○斉藤委員 ありがとうございます。なかなか名簿の必要性みたいなものの説明が、昔は少し神経質になっていて、余りなされなかったような印象を受けます。逆に、今、バランスとして、名簿があったらあったでこういうふうに必要なんだよと、リスクとしてはこういうふうな場合があるけれども、対処するセーフティーネットとしてこういうふうなことを考えているんだよということが、両方がバランスよく提示されるということが、以前と少し違うところなのかなと思います。
 このような誤解は、確かに法律の施行のところからいわれておりますが、そしてまた、そういったものがある程度浸透してしまったような感じも受けます。このような課題に対して、国は現在どのような見解を示しているのか、また、東京都はどのような取り組みをしているのか、伺います。

○萩原参事 個人情報保護法を所管する内閣府におきましても、都と同様に、いわゆる過剰反応により名簿等の作成ができない事態が生じているという認識であり、これを解消するために、個人情報保護法の正しい理解を得るための普及啓発活動を行っているところでございます。
 都においては、個人情報保護と地域社会に焦点を当てたパンフレットを作成、配布いたしましたほか、内閣府と共同いたしまして、名簿作成に関心が高い町会、PTA等を対象とした説明会を開催したところでございます。
 今後とも、個人情報保護についての普及啓発を適切に実施いたしてまいります。

○斉藤委員 個人情報保護についてはわかりました。
 それでは、続きまして、同じく概要の六三ページにあります公益法人の関係について伺います。
 平成二十年の十二月に、公益法人制度改革による新制度が施行されます。新たな公益法人制度では、法人格の取得と公益性の判断が分離されまして、非営利活動を行う団体は一般社団法人、そして一般財団法人として、登記により簡便に法人を設立することができます。
 しかしながら、公益法人となるためには、さらに公益認定というものを申請しなくてはなりません。これまで法人格を持たずに活動してきた団体が公益法人を希望する場合に、こういった申請の準備を進めなければなりませんが、大変、内容的にも、今まで余り経験がないところから見れば、複雑な事務という印象を受けます。人口規模が大きい東京都でありますから、公益認定を申請する団体もその分多いと考えますが、どのような団体からの申請を現在想定しているんでしょうか、伺います。

○小笠原都民生活部長 現行制度におきまして都が所管しております公益法人の数、すなわち社団法人、財団法人の数は八百四十五ございまして、これらの法人は、法施行後の五年間の移行期間内に公益社団・財団法人または一般社団・財団法人のいずれかへの移行手続を行うことになりますが、本年十月のアンケート調査によりますと、約八割の法人が公益社団・財団法人への移行を考えているとの結果でございました。
 このほかに、新規に法人格を取得して公益認定を申請する団体や、既に中間法人やNPO法人として活動している団体の中で公益活動を拡充する計画を持っているものからの申請が想定されるところでございます。

○斉藤委員 伺えば、十一月上旬の方で、東京都の方も、今現在、国の方で制度そのものの細かい部分を検討している最中でありますが、早い段階で予定されるような法人に対して説明をしようということで、パンフレットもある程度わかっている範囲でつくって、説明会を開いたというふうに聞いております。まだ本当に、これからもう少し詳しくなると、もうちょっと問い合わせそのものも多種多様な細かいものになってくると思うんですが、新制度での公益法人を目指して検討を行っている団体が私の周辺にもあるんですけれども、やはりそういった団体から話を伺うと、公益性の認定を受けるためには結構煩雑な手続、事務作業が多いというような感じを受けていて、なかなか法人申請には緊張を伴うというふうな印象を受けました。
 このように申請に向けて検討に入っている団体は、まだいずれにせよ顕在化していないと思いますが、都内に相当数あると思います。どのようにして、この相当数、かなりの数の団体に対して、この制度や、そしてまた煩雑な事務手続を広報していって、移行に関しての知識、認識を浸透させようと考えているのか、伺います。

○小笠原都民生活部長 今回の制度改革はこれまでの制度を抜本的に見直すものでございまして、公益認定を目指す場合、各団体は法律の公益認定の要件に適合させるための準備が必要となります。
 現在、国の委員会におきまして具体的な公益認定の指針について検討中でございますが、都においても、国の検討状況を参考にしながら、今後、運用指針をまとめる予定でございます。
 したがいまして、新たな公益法人制度についての時期をとらえた情報提供が非常に重要であると考えておりまして、都は本年十月三日、都所管の社団法人、財団法人を対象に、制度改革の最新の情報について説明会を開催したところでございます。今後さらに、ホームページ、パンフレットなどによる周知や説明会、相談会の開催など情報提供に努めまして、各団体が新制度への準備を円滑に行えますよう、平成二十年十二月の法施行に向けまして、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

○斉藤委員 ありがとうございます。国もまだ全部詰め切れてないということで、過去いろいろ、国の制度の中では、直前まで国で審議をしていて、結果的に広報する暇がなかったような制度も多々ございます。そういう点では、間に入った東京都の広報も大変かと思いますけれども、ぜひ、NPO法人の制度設立のときよりも余り知られてないような感じがしますので、ぜひとも広報活動に頑張っていただきたいというふうに思います。
 それでは、三つ目に移ります。
 概要の一八七ページにあります財団法人東京都交響楽団の助成に関して伺います。
 財団法人東京都交響楽団では、運営資金の確保や収益事業の拡大など経営改善に取り組んでいると伺っております。都からの楽団への補助金額は、昨年度と比較して四億円程度削減されているということですが、公共のオーケストラに対しての助成額はどの程度が適当なのかというのは、大変判断が難しいかと思います。
 こちらの運営に関しては、都議会議員も含めた評議員十七名が評議に参加をしておりますが、そうはいってもなかなか、ベースとなる金額の設定というのはわかりづらいですし、また、難しいと思います。
 そこで、お金をかければうまくなる、評価が上がるというものではありませんから、意見さまざまあると思いますけれども、実際に助成額の算定について、根拠というものはどういうふうになっているのか、伺いたいと思います。

○杉谷文化振興部長  東京都交響楽団は、東京オリンピックの記念事業として、首都の文化行政の立場から、都民の情操を豊かにし、音楽芸術の普及向上を目的としまして、東京都が昭和四十年に設立した楽団でございます。
 都民の期待にこたえる交響楽団として、低料金で良質な音楽を提供している定期演奏会などのほか、都内の小中学校を対象とした年六十回を超える音楽鑑賞教室、福祉施設や病院などへのデリバリー形式の演奏会、小中高生への演奏指導と共演の場所をつくり上げていくティーンズのためのジョイントコンサートなどの多種多彩な活動を行っております。また、若手の指揮者やソリストも積極的に起用しております。
 このような東京都交響楽団ならではの活動は、都における音楽芸術の振興や普及、青少年に対する音楽芸術への理解に大きく寄与しておりまして、都は、人件費及び管理費など基幹的経費の一定額に対しまして、楽団運営に必要な最低限の補助金を支出しております。
 なお、東京都交響楽団では、自立した楽団運営を実現するために、平成十七年三月に中期ビジョンを策定し、契約楽員制度の導入や民間理事長の招聘など、経営改善にも積極的に取り組んでいるところでございます。

○斉藤委員 以前、ほかの民間の楽団の方から、東京都の方は税金がかなり出ていていいなというお話を伺ったことがあります。もちろん成り立ちが東京都の方で始めたということでありますから、その辺の肩入れの仕方というのは差があっても仕方ないところかなと思いますが、一方で、こういった中期ビジョンを策定して自助努力というものを行って、バランスよく、税金との、いわゆる助成との兼ね合いというものを持ちながら、対外的にも説明のできる状態を保っていただきたいというふうに思います。
 さて、こういった助成を行っても、交響楽の世界において、国際的な交流が一般的でありますから、やはり日本の中で比較をするんではなくて、世界レベルとの比較というふうなことになります。特に欧州の音楽文化に対して、日本古来の音楽文化ではありませんから、やはりトップレベルを目指すといっても、なかなか環境という点で日本は及ばないところがあると思います。また一方で、音楽家の方から、現状に満足するような状態ではありませんよ、日本の交響楽、まだまだですよというような厳しい意見も聞いたことがございます。
 こういった中で、国際的な比較ということに関して、東京都の交響楽団はどのレベルにあって、また、どのようなレベルを今後目指していくというふうになっているんでしょうか、そこの考えをお聞かせください。

○杉谷文化振興部長  交響楽団の演奏能力の国際的な比較というのは非常に難しいことでございます。東京都交響楽団を含めまして、交響楽団というものはおのおの個性を持ち、独自で多彩な演奏活動を行っております。
 東京都交響楽団は、これまで約四十年間にわたりまして、さまざまな演奏活動に取り組んできておりまして、海外の音楽祭から招待を受けて公演を実施した実績もございます。また、世界的に著名な指揮者の方が指揮する演奏会も数多くございまして、演奏家や指揮者の方などから、日本のトップレベルの演奏能力を有する交響楽団との高い評価を受けております。
 今後とも、都民の誇りとなるよう、東京都交響楽団の演奏が日本の音楽文化の代表として評価されることを期待しているところでございます。

○斉藤委員 では、交響楽団の方の質問はそのぐらいにして、四点目として、概要の六八ページにあります東京ウィメンズプラザについて伺いたいと思います。
 男女平等参画施策の拠点として、渋谷区の神宮前五丁目のコスモス青山の中に、東京ウィメンズプラザがあります。地下一階地上二階の三フロアで、年中無休、三つの会議室と視聴覚室、そして保育室のほか、二百四十六席、五百五十三平米のホールがあります。このホールは、九時から十二時間、丸一日借りても十四万六千二百円という、東京メトロ表参道駅から徒歩七分という立地にありながら、大変低額で借りることができる施設であります。
 しかしながら、この施設の貸し出しについては、男女平等社会の実現のための活動の場として提供するという基本原則があります。実際、この施設全体では、カウンセリングを柱とした配偶者暴力相談支援センター事業など、大変具体的で、きちんとした相談人材を採用して行っている相談業務など、その場所があり、男女平等参画事業として有効な活動をしているということは、私も評価しております。
 ただ、残念ながら、このような大変大きな原則があるために、貸し施設事業としては、会議室などは平均利用率は七割程度でとどまっておりますね。特にその中で、ホールは低い数字でここ何年か推移しているというふうに聞いております。
 一方、その原則ゆえに使い勝手に支障が出ることは、東京都のウィメンズプラザだけじゃなくて、以前、私が立川市にある女性センターと称する同様の施設に、これは市の方がかかわっている施設でありましたが、何年か前に伺ったときに、やはり名称とか趣旨に縛られて、貸し施設として最初から、男性が役員をやっているような団体の場合、ちょっと二の足を踏んで、すぐにここを借りようという話に、なかなか最初ならないと。その結果、こういった何部屋も会議室があったにしても、むだなく上手に一〇〇%を目指して効率よく使っていただくという上手な運営ができないという悩みを訴えておりました。
 基本的に、原理原則にこだわらず貸し出しをすれば、もっと多くの団体が、安い、こういったウィメンズプラザや女性センターといったところを借りに来るということは、想像に難しくありません。
 その一方、余り自由に貸すことができるとなると、じゃ、なぜわざわざこのような拠点施設を維持するということになるのか、その意味があるのかということになってしまいます。大変その両方のバランスが難しいですし、本来ならば、ウィメンズプラザ本来の男女平等参画という基本姿勢を守ったままやらなきゃいけないというところですが、ハードルを低くせざるを得ないという現状があります。
 実際に、このウィメンズプラザについても、昨今のホールの予定表を見ますと、直接、そういった趣旨がわかるようなタイトルのものではない貸し方もしております。一概にこれが悪いということではなくて、少ししようがない事情なのかなというふうに思いますが、当局としては、ウィメンズプラザの本来の目的とホールの利用率の向上というバランスをどうとっていくべきと考えているのか、伺います。

○平林参事 東京ウィメンズプラザには、ホール、会議室などの施設があり、男女平等の推進に関する講演などを実施する場合に使用を承認することとしております。
 都はこれまでも、利用率向上のために男女平等のための活動を目的とする団体を優先した上で、空きがある場合には、利用対象を営利を目的としないものにも拡大したり、利用日直前まで利用促進を図るなどの工夫を行ってまいりました。その結果、最も利用率の低いホールが、平成十三年度の三二%から、五年後の十八年度には四八%に増加し、施設全体の利用率も向上しております。
 今後とも、施設本来の使用目的を十分尊重しながら、利用率の向上に努めてまいります。

○斉藤委員 そのバランスが非常に難しいという中で、新たな工夫を重ねているというような印象を受けました。ある程度の原則緩和についてはやむを得ないと考えているというふうに解釈いたします。
 では、ちょっと伺うんですけれども、男女平等参画については、私個人としては、必ずしもハードウエアがなくては進まないというようなものではないと考えております。例えば先ほどの相談事業のように、ソフト面、相談業務の人材がしっかりしていれば、どこに拠点を置いても、相談室を置いても、電話相談が中心でありますから、仮に電話相談を中心と考えれば、場所を、渋谷区ではなくて、それこそ葛飾区や杉並区に置いても活動は十分できると思います。この施設がなくてはならないということがあるのか、伺います。
 また、現在の賃料について、幾らになっているか、確認をしたいと思います。

○平林参事 東京ウィメンズプラザは、かつて飯田橋庁舎にありました東京都女性情報センターを発展させて、現在の場所に新設したもので、男女平等参画を推進する活動の拠点として重要な機能を果たしていると認識しております。
 建物につきましては、平成元年度の土地信託契約に基づき、当初から現在の利用を想定して設計され、平成七年度から二十年間を信託期間として建設されたものであります。
 都は、現在の建物所有者である信託銀行に対しまして、建物賃借料及び共益費として年間約六億八千万円を支払っておりますが、土地信託の仕組みでは、毎年度の施設利用の便益に加えて、最終的に建物と信託配当が東京都のものとなると理解しております。

○斉藤委員 六億八千万円ということで、もちろん信託の仕組みからして、家賃として払うけれども、最終的には東京都の方にお金が入ってくるということなので、そのままそれが消えてしまっているというわけではないというふうなことでした。ただ、全体の方の財政的な規模というのは大変大きな施設であるということであります。そしてさらに、八年後には、投資信託の終了という形で、運営的な節目を迎えるということも現在の状況かというふうに理解をしております。
 大変気になるところでありますが、私も、この始まった平成七年のときに、ちょうど地元の市議会の方に当選しまして、やはりそのころ、各市の方で、こういった男女共同参画とか平等参画とか、女性センターというものについて、御旗を揚げてやっていこうという動きがございました。ただ、そういったタイトルを掲げても、実際に何をやっていくのかという点が、非常に各市、事務方は悩んでいたというふうに記憶をしております。
 そういった中で、何をしていいかわからない、どこから手をつけていいかわからないという中で、逆に、まずそういった場をつくっていこうということで、当時の施策が動いていたという印象を受けます。先ほど話に出た立川市の施設も、そういった背景があったようです。
 ただ、そういった根拠で、恐らくウィメンズプラザも一つのシンボルとして、その事業のシンボルとしてつくられた部分も大きいかと思うんですが、一方で、昨今の東京都の事業を幅広く見ていきますと、例えば、児童相談所の方でそういった、男女平等参画そのものではなくても、女性の支援、そして子育ての支援という中で、虐待をしてしまう、もしくは虐待の被害に遭ってしまう、そういった子どもたちや家族の保護とか、さらには、産業労働局では、育児休暇取得促進の企業への支援、次世代育成企業支援という事業ですが、これなども行っております。平成十九年度で、次世代育成企業支援というのは六千四百九十二万円程度の予算になっているようですが、二十年度の予算要望を見ますとかなり多くなって、三億七千八百七十六万円程度、要望を出しています。
 この次世代育成企業支援などを見ますと、私ども男性の側から見れば、私の妻が看護師をやっていたんですけれども、どこの企業でもやっぱりこういうことがあって、育児休暇を取りやすくなったらいいなと、まさに男女平等参画としてのメリット、そしてまた理想というものを体現できる、そしてまた、社会の新しい常識というものをつくっていく、大変いい挑戦を促す事業だなというふうに感じております。
 このように、以前は少し、何をしていいかわからないなというようなところがあった男女平等参画ですが、今、少しずつですが確実に、こういうことをやったらいいんじゃないかというソフト面の充実が出てきております。先ほどの児童相談所についても、児童虐待、子育てのノイローゼなど、そういった問題がふえている中で、残念ながらまだ広範囲に一カ所の児童相談所しかないという状態がありますから、例えば私のいます小平市など、九つの市の所管をする児童相談所がたった一カ所でございますので、そういったところの職員の不足などを心配していますから、そういったところにお金をかけていくこと自体は、ある意味、女性の保護とか、いわゆるDVの問題に対しという点ではいいのかなというふうに思っています。
 そういったことを考えてみると、昔は何をしていいかわからないから、まず拠点をというような感じはあったんですが、だんだん少しそういった役目が変わってきているんじゃないか。正直いって、以前、女性のさまざまな課題に関して取り組む場が、その当時はシンボルとして必要だったけど、今度はもっと別の問題が、シンボルとして必要なものも、今の時代、あるんじゃないか。そういった場合に、投資信託の終了という節目を迎えるときに、じゃ、男女平等参画の建物というものがどういうふうな気概でそこに拠点を置いていくのかというのは、以前と同じというわけにはいかないんではないかなということを大変気にしております。そのときにはそれなりの、大変立地のいい場所に建っているメリットというものはこういうことだ、しかもそれは、ほかの事業よりもこういう意味でここにある必要があるんだというものをかなり明確に出さなくては、なかなかその後の存続という点では、課題が残ってしまうのではないかと思っております。
 そういう意味で、今回、今後の活動の展開というものについてどのように考えているか、伺いたいと思います。

○平林参事 今後の東京ウィメンズプラザの事業についてでありますが、東京都配偶者暴力対策基本計画などに基づき、配偶者暴力を初め、家族や職場に関するさまざまな相談事業を着実に実施するほか、区市町村の職員向けの研修や事業に対する支援を行ってまいります。
 また、男女平等参画のための東京都行動計画に基づきまして、ワークライフバランスや女性の再チャレンジ支援に関する講座などを引き続き実施してまいります。

○斉藤委員 まだ投資信託の終了という節目までは少し時間があります。そのときに、やはりそのあり方について、以前と、これがまさに建てられたときと違った、時代の流れを感じさせながらも、なおかつやっぱりそこにあるという意義そのものがだれにでもわかるような形で、きちんとそのあり方を提示できるようにする準備がそろそろ必要になるのではないかと思いますので、そこをぜひともご検討いただきたいと思います。
 それでは最後に、簡単に一点伺います。
 概要の一六五ページにございます花火大会の助成に関してです。
 この事業そのものは、隅田川の花火大会を中心とした助成の制度でございます。伝統という点では特筆すべき花火大会でありますし、東京都が年間三千五百二十万円の補助を出している事業であります。その部分では、伝統という点で理解ができるものですけれども、残念ながら、私がおります多摩地域からですと、わざわざ足を運んで見るというような機会がなくて、ちょっとそういう意味では残念であります。
 ですから、それ以外の花火大会の補助も、この制度の中で若干行っているというのは、大変バランスとしていいのではないかなというふうに思いますけれども、現在、補助を出している各団体には、どの程度の金額が補助されているのか、そこを確認したいと思います。

○杉谷文化振興部長  東京都は、文化としての花火を振興し、都民のふるさと意識の高揚を図るため、区市町村が関与する地区花火大会の経費の一部を補助しております。
 この地区花火大会事業の補助金は、花火の打ち上げ数に応じて交付しておりまして、平成十九年度には、一団体当たり三十万円から六十五万円を交付いたしました。

○斉藤委員 それでは、最近の補助団体の増減数、もしくは増減額、こういったものについてはいかがでしょうか。

○杉谷文化振興部長  最近の地区花火大会事業の補助団体、金額の増減でございますが、平成十八年度は二十五団体に計一千百四十五万円を交付しておりまして、これは前年度に比べて二団体、額にして六十万円の増加でございます。
 また、平成十九年度は二十六団体に計一千二百五万円を交付しておりまして、前年度に比べまして一団体、額にして六十万円の増加でございます。

○斉藤委員 それでは、補助対象になる団体というのは、何か規定があって、それで補助を決定しているのか、その規定の内容についても伺います。

○杉谷文化振興部長  地区花火大会事業の補助金の対象でございますけれども、花火大会を区市町村が主催している場合には、その主催している区市町村が対象となります。
 また、地元住民及び関係団体の代表者が主体となって組織した実行委員会などが区市町村の補助を受けて花火大会を主催している場合には、当該の実行委員会などが補助対象者となっております。
 また、補助の対象となる経費は、花火購入経費、花火の打ち上げ経費でございます。

○斉藤委員 花火大会、幾ら補助しなければいけないとか、無理にやらないといけないとかいうものではないので、大変その辺の補助のあり方というのは難しいと思います。
 ただ、こういった隅田川の花火大会のように大きなものが一個あると、なかなかほかのところにまで十分お金が回らないということは、事情としてあると思いますが、どうしても地域的な格差が大きくなってしまう助成制度というのは、非常にバランスが難しいですが、それでもやはり全体の方の、少しでも、ちょっと離れた地域の希望というものも聞いてあげるようにしながら予算を捻出していただくようお願いいたします。その辺の苦労については、バランスをとって頑張っていただければと思います。
 最後は要望として、質問を終わります。

○古館委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古館委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後四時十八分散会

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