文教委員会速記録第十号

平成十九年九月二十八日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長たぞえ民夫君
副委員長泉谷つよし君
副委員長鈴木 一光君
理事伊藤まさき君
理事服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
菅  東一君
大松  成君
早坂 義弘君
木内 良明君
古賀 俊昭君
初鹿 明博君
大山とも子君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長渡辺日佐夫君
次長三橋  昇君
総務部長高西 新子君
広報広聴部長和田 正幸君
都民生活部長小笠原広樹君
消費生活部長宮川 雄司君
私学部長小濱 哲二君
文化振興部長 杉谷 正則君
文化施設改革担当部長並木 一夫君
スポーツ振興部長細井  優君
参事萩原まき子君
参事平林 宣広君
参事池田 俊明君
参事高原 俊幸君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 生活文化スポーツ局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十三号議案 東京都江戸東京博物館外二施設の指定管理者の指定について
・第百八十四号議案 東京文化会館の指定管理者の指定について

○たぞえ委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、日程について申し上げます。
 九月二十七日の本会議におきまして本委員会に付託されました議員提出議案第二十号につきましては、先ほどの理事会におきまして、十月二日に趣旨説明及び質疑を行い、決定は十月三日に行う旨申し合わせをいたしました。ご了承願います。

○たぞえ委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書七件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○たぞえ委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の付託議案の審査を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十三号議案及び第百八十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○菅委員 それでは、幾つか質問をさせていただきます。
 本件、この二件の、江戸東京博物館及び東京文化会館、この都立文化施設につきましては、平成十八年度から指定管理者制度を導入して、十八年から二十年までの三年間は、東京都歴史文化財団を特命によって指定管理者に指定されたということであります。
 今回は、特命期間の終了後の平成二十一年から指定管理者を公募したということでありますが、今回の公募は、現在の指定管理者である東京都歴史文化財団が大変有利な出来レースではないか、真偽のほどはわかりませんけれども、そういうお話もちょっと聞いておりますので、幾つかお伺いをしたい、こういうふうに思います。
 まず、確認のためお尋ねをいたしますけれども、今回、この公募に応募した団体がどのくらいあったのか、まず確認をしておきたいと思います。

○並木文化施設改革担当部長 菅委員のご質問にお答えします。
 今回の公募でございますけれども、江戸東京博物館外二施設につきましては二団体、それから、東京文化会館の公募につきましては三団体から応募がございました。

○菅委員 一般的に指定管理者の公募では、どうしても価格競争ということが先行がちだ、こういうふうに聞きますけれども、文化施設に関していいますと、やっぱり質の高い展覧会あるいは公演など事業が提供できなければ、余り意味がないんだろうというふうに思います。安かろう悪かろうであったり、あるいはまた、無理に経費を削減して、指定期間途中で破綻してしまう、そんなことがあっては都の文化施策が停滞してしまう、こういうこともあろうかと思います。選定についてはこういう点を十分考慮して選んでいただいたのかどうか確認をしておきたいと思います。

○並木文化施設改革担当部長 選定に当たりまして配慮した点でございますけれども、事業の実施に当たりましては、効率性も重要でございますけれども、文化施設の基本的な機能でございます収蔵品の管理や専門的調査研究についての継続性、安定性の確保、また、ホール、舞台機構の安全性の確保など行いまして、質の高い展覧会や公演会など、事業を確実に実施する、そのためには一定の経費が必要でございます。したがいまして、今回の公募では、効率性と都立文化施設としての事業の質とのバランスを考慮して選定をいたしました。

○菅委員 ぜひそういう点は留意されてお願いをしたいというふうに思います。
 次に、東京都で指定管理者制度によって運営されている施設というのは、駐車場もありますし、あるいは公園、福祉施設、いろいろございます。指定管理者の選定については施設の特性に合わせて行うべきだ、これは当然の話だろうというふうに思います。
 今回、都は、文化施設の指定管理者の公募に当たりまして、文化施設の特性のどのような点に注目をされて、着目をされて業務基準の設定や審査を行ったのか、その点は審査にどういうふうに反映されたのか、お伺いをします。

○並木文化施設改革担当部長 文化施設の運営に関しましては、展覧会や公演といった事業、それから、それらを支えます調査研究、施設設備等の管理運営の技術、それらの質が重要でございます。
 今回の選定は、こうした事業運営に関する業務や人材の配置を重視しまして審査を行うなど、文化施設の特性を考慮して実施いたしました。この点につきましては、審査の配点にも反映させてございます。

○菅委員 そういうご答弁をいただいて、大変安心をいたしました。
 また、審査の結果、今、部長さんからご答弁ありましたけれども、実績のある東京都歴史文化財団を代表とするグループが指定管理者の候補者となっておりますけれども、財団グループの提案は特にどのような点が高く評価されたのか、その点についてもお尋ねしておきます。

○並木文化施設改革担当部長 今回、歴史文化財団グループは、提案の実現性を裏づける具体的な人材の確保、それから堅実な収支計画が提示された点が高く評価されました。
 また、特に、江戸東京博物館外二施設につきましては、展覧会や教育普及事業、それから資料の管理などにおきまして多彩で工夫された事業計画を提案するなど、企画力、運営力が充実していた、こういった点が高く評価されました。
 また、東京文化会館につきましては、公立ホールとしての使命を踏まえました施設の貸し出しの実施方針、それから、それらを支える専門スタッフの配置や教育プログラム、利用者の立場に立った貸し出しの仕組みなど具体的かつ堅実な計画、こういったものが示されたことにより、安定感のある運営が期待できる点が評価されております。

○菅委員 今、部長の答弁で、東京都歴史文化財団の提案が高く評価された、それによって選定されたということがよく理解できました。
 ところで、一般的には指定管理者、各二十三区でも随分指定管理者をやっているんですけれども、大体三年から五年、こういうスパンの方が多い、実態的にはそういう実態が多いんだろうというふうに思いますけれども、今回の公募では八年間、なぜこういう長いスパンを指定の期間としたのかということについてもお尋ねしておきます。

○並木文化施設改革担当部長 指定期間の八年でございますけれども、文化施設で行います展覧会や音楽公演などの事業につきましては、二年から三年の準備期間を要します。
 また、博物館や美術館の資料、それから作品といった収蔵品の管理につきましては、一貫性を持って継続的に行っていくことが重要でございます。
 さらに、すぐれた質の事業を実施するに当たりましては、関係ございます、関係者、関係施設、それから団体等のネットワーク、こういったものの蓄積も必要でございます。
 そこで、今回の公募では、文化施設のこれらの特性を踏まえまして、指定期間を八年間に設定したということでございます。

○菅委員 わかりました。施設の特性というものがその背景にあるということだろうというふうに思います。
 次に、指定管理者が施設の運営を行う、こういうふうにいわれているんですね。文化施設の活動の方向については設置者である東京都が決めていくものだろうと、こういうふうに思います。今後、都の文化施策を進めていく上で、都立文化施設はどのような役割を果たしていくべきと考えておられるか、ぜひ局長さんの見解をお聞きしておきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 世界の大都市は、それぞれの大都市を代表するような文化施設を持っております。例えば、もう皆様ご案内のとおり、ニューヨークにはメトロポリタン美術館、それからメトロポリタン歌劇場がございます。ロンドンには大英博物館がございますし、パリにはルーブル博物館にオペラ座があるというような具合でございます。
 これらの文化施設というのは、その都市、そして市民、それから、その国の文化の力と申しますか、文化の水準や創造、発信力というものを、これはソフトパワーの重要な一翼をなしているものだと思いますが、それを表象しているものだと思います。
 東京には、国立の博物館、美術館も幾つかございます。都立の文化施設は、今回、指定についてご審議いただいております江戸東京博物館がございますが、大都市東京ならではの非常に特徴ある博物館になっております。その江戸東京博物館は、東京、江戸の大都市としての歴史と文化を伝えるような施設でございまして、展示にも大変工夫をしておりまして、個々の文化財を一つ一つ展示するというのではなくて、生活の場面だとかまちの活動の場面と一体的に展示するということで、非常にわかりやすいというような評価も得ておりまして、年間二百万人の方が来場していただいているということであります。
 こうしたことから、日本人の近世の感性にも触れることができるということで、外国のお客様にも高い評価を得ておりますし、多くの方に満足をしていただいております。
 一方、東京文化会館でございますが、日本と世界の一流の音楽家あるいは芸術家の発表、公演の場所として、さらには、前川國男氏が設計した、非常にモダンな雰囲気があるけれども品格のある建物ということで、その優雅な雰囲気の中で、音楽なり、そういうような舞台を楽しむことができるということで高い評価を受けていると、私ども認識をしております。
 そのほかの文化施設についても、それぞれすぐれた特性を持っているものという具合に考えております。
 こういうように都立の文化施設は、これまでもさまざまな場面で東京の文化施策の中心を担ってきたという具合に認識をしておるところでございます。
 東京芸術文化評議会でいろいろなご提言をいただいておりますが、そのご提言を尊重しながら、今後とも都立の文化施設を東京の文化の力、ソフトパワーを担う重要な一翼として、さらに発展充実に努めていきたいという具合に考えております。

○菅委員 局長さんの答弁で、文化施設について、いわば所管の役割というものを十分にしっかりと果たしていただきたい、こういうふうに思います。
 今までお話を伺ってまいりました都立文化施設につきましては、東京都歴史文化財団グループが八年間、指定管理者として長期的展望に立って安定的に運営するということになろうかと思いますし、また、今後には、オリンピック招致運動の盛り上げ、あるいはまた観光、産業、まちづくり、そういった点からも、文化施設を活用して積極的に東京の文化の発信を行っていただきたいと心からお願いとご要望を申し上げて、質問を終わります。

○石川委員 それでは、私からも幾つか、確認の意味を含めまして質問をいたします。
 都立文化施設は、都民の貴重な財産であるとともに、東京都の文化行政、文化施策の基盤となるものであります。そのため、適切な指定管理者を選定できなければ、東京都の文化行政、文化施策に支障が出るものと考えています。
 そこで、都立文化施設に指定管理者制度が導入された二年前の本委員会におきまして、私は文化施設が他の公の施設とは異なる特性を幾つか指摘をし、対応を求めました。その一つが、文化施設の高い専門性をどのように確保していくのかという点であります。
 そこで、専門性を確保するために、公募においてどのような手だてを講じたのか、明らかにしてください。

○並木文化施設改革担当部長 石川理事のご質問にお答えします。
 理事ご指摘のとおり、美術館、博物館等の資料収集、保管、それから展覧会の企画などに当たりましては、高い専門性が必要でございます。その専門性を確保するために、例えば江戸東京博物館の学芸部門では、江戸東京の歴史と文化に関する豊かな知識と、博物館機能と運営に関する高い専門性、こういったものを有する人材を求めるなど、専門的人材の確保につきましては、公募要項上基準を明記いたしました。そして、選定に当たりましても審査対象としてございます。

○石川委員 専門性を高めるための仕組みはわかりました。しかし、専門性を審査するには、それがわかる専門家でなくてはできないのではないでしょうか。審査はどのようなメンバーで行ったのか、明らかにしてください。

○並木文化施設改革担当部長 審査委員会のメンバーに対するご質問でございますが、今回の公募は、博物館、それから美術館のグループでございます江戸東京博物館外二施設と、舞台芸術の場でございます文化会館と分けて行いました。
 審査委員会につきましても、両者で専門性が異なりますので、それぞれ審査委員会を設置いたしました。
 江戸東京博物館外二施設では、博物館、美術館及び文化事業に関する学識経験者、また、東京文化会館では、ホールの運営管理、それから音楽教育、文化事業に関する学識経験者をそれぞれ含んだ委員を選任いたしました。

○石川委員 都の文化施設は規模も大きいわけでありますし、また知名度も全国的に高いことから、今回の指定管理者の公募は、日本全国から注目されていると考えました。都は選定の透明性をどのように確保したのか、改めて確認いたします。

○並木文化施設改革担当部長 今回の選定に当たります透明性の確保でございますけれども、今回の指定管理者の公募に当たりまして、選定結果の妥当性、それを担保するためにも透明性を確保することが非常に重要であると認識してございます。この観点に立ちまして、公募要項では、審査の方法、それから選定スケジュールに加えまして、審査員の名前、評定項目、配点なども公開いたしております。
 また、応募状況や審査委員会の開催など途中の経過につきましても公表いたしまして、選定後には速やかに、選定結果とあわせて応募団体ごとの得点の状況も発表させていただきました。

○石川委員 先ほど菅委員からも指摘がありましたけれども、今回の指定期間は平成二十一年度から二十八年度までの八年間となっています。これは今ご説明にありましたように、長期的な事業展開が可能になるというメリットがある反面、その立場に安住して利用者サービスの向上がおろそかになるのではないかという懸念も生じるのではないかと思われます。
 都は、設置者としてどのように利用者サービスの向上を確保していくのか、教えてください。

○並木文化施設改革担当部長 利用者サービスの向上の確保でございますが、指定管理者による利用者サービスの実施状況につきましては、指定管理者から定期的に報告書を求めるとともに、指定管理者に対するヒアリングの実施や利用者のアンケート、それから指定管理者による自己評価、こういったものにより、その履行状況を多面的に確認いたします。
 あわせまして、利用者サービスを含めた業務の評価を毎年行いまして、必要な指導を行ってまいりたいと思います。

○石川委員 指定管理者制度は、民間のノウハウを活用し、サービスの質の向上と効率的な管理運営を図ろうとする制度であります。その反面、設置者である自治体がしっかりとした仕組みを整えなければ、指定管理者が営利優先の運営に走り、利用者不在の施設運営がなされるおそれもあると伺います。
 そこで、前回も指摘しましたが、平成二十一年度以降の利用料金の設定はどのようになるのか、現在の利用料金よりも高くなることはないのか、あわせて伺います。

○並木文化施設改革担当部長 利用料金についてのお尋ねでございますけれども、利用料金につきましては、それぞれの条例において上限額が定められておりまして、上限額を引き上げる場合には議会でご審議をいただくこととなっております。
 また、実際の利用料金額は、指定管理者が利用料金の上限の範囲のうちで決定することとなっておりますが、その際、あらかじめ知事の承認を得ることが必要とされております。
 承認に当たりまして、利用料金の値上げの必要性、それから合理性、他の類似施設の状況などを総合的に判断して、安易な料金の値上げにつながらないよう適切に対処してまいります。

○石川委員 あわせて、東京都江戸東京博物館などの施設には、現在、小学生、中学生あるいは障害者の皆さんなどは無料や割引で入館できますが、こうした利用料金の減額や免除の制度についてはどうなっているのでしょうか。

○並木文化施設改革担当部長 利用料金の減額、減免、これにつきましては、条例や規則の規定に基づきまして行っております。平成二十一年度以降も、東京都が政策的に必要と認める利用料金の減額、減免につきましては、条例や規則に基づきまして行ってまいります。

○石川委員 今回の公募では、透明性の高い手続を踏んで、文化施設の専門性にも配慮した選定がなされたということについては、理解をいたしました。
 都立文化施設は都民の大切な財産でありますから、新しい指定管理者のもとで、今後とも利用者の立場に立った運営がなされるよう要望して、質問を終わります。

○大山委員 私からも質問いたします。
 この間、文化施設の運営に指定管理者制度を導入することについては、私たちは問題点を指摘してきました。少なくとも非営利で都の監理団体である歴史文化財団の特命でということでは容認をしてきたわけですけれども、今回、東京文化会館を初め江戸東京博物館、現代美術館、写真美術館など文化施設の指定管理者を公募で決めたということについての承認です。幾つか質疑していきたいと思っています。
 指定管理者の審査委員会の審査報告というのが七月に出ているわけですけれども、これは東京文化会館のものです。この中に審査委員会の報告があって、最後に総評という欄があります。その中に、東京文化会館の中には何て書いてあるかというと、指定管理者の選定は価格(指定管理料)の競争だという思い込みがあるようだが、施設運営や事業の公共性を担保するためには、設置者からの拠出(指定管理料)は必要である、危険につながる舞台技術スタッフの削減はあってはならないのはもちろんのこと、人材の十分な担保やすぐれた事業を提示し、指定管理料を求める提案があってもよいと思われたと、こうあります。私もそのとおりだと思うわけですけれども、どのようにこの講評について受けとめていますか。

○並木文化施設改革担当部長 大山委員のご質問にお答えします。
 今回の指定管理者の公募に当たりましては、東京都は、先ほどもご答弁させていただきましたけれども、効率性だけではなく、都立文化施設としての事業の質についても十分配慮いたしまして選定を行いました。指定管理者候補者の今回の提案は、他の応募者に比べまして、東京都のこうした意図をより反映しているものと考えてございます。

○大山委員 価格競争ではなくて、指定管理者の要素として価格はそれほど重視していないんだという答弁だったと思うんですけれども、そうはおっしゃいますけれども、今まで東京都は何をやってきたのかということなんですね。
 これは財団法人東京都歴史文化財団が平成十八年二月十五日付で出した平成十八年度財団固有職員の給料、手当、報酬等の見直しについてという文書です。この前文に何て書いてあるかというと、民間とサービス、事業内容、価格等の競争の中で獲得していかなければなりませんと書いてあるんですね。つまり、指定管理者の選考に打ち勝つために、固有職員の給料や手当を下げます、そういう文書です。
 さらに、この中の文章には、十八年度に特命となっても厳しいんですと書いてあるんですね。教育庁から四館が移管された平成十四年度と比較すると、約二十四億四千五百万円、率にして三二・六%の削減となっています。つまり、どういうことかというと、東京都が予算を削減してきたから、民間と競争しなければならない、だから給与の削減をするんですということなんですね。
 さらに、文化施設では、非常に重要な役割を果たすのが学芸員さんたち、専門職の方ですけれども、その学芸の職員の人数はどうなっているかということですが、以前いただいた委員会の資料で、例えば江戸東京博物館、平成十四年と十五年は三十五人、学芸員がいました。今年度は何人になっているでしょう。固有の職員と常勤の契約職員、分けてお願いします。

○並木文化施設改革担当部長 江戸東京博物館の学芸員の人数でございますけれども、研究員を含めまして固有職員が十九人、それから、常勤契約職員が七人となっております。

○大山委員 三十五人いた学芸員が、今は十九人、一年契約の学芸員が七人ということですね。ホームページに江戸博の一年契約の学芸員を二人、専門調査員を三人募集しているのが載っていました。芸術文化の分野では、その大きな役割を果たす専門職を三十五人から、常勤は十九人、そして短期で七人ということで圧倒的に減らして、さらに長期的な展望を持てない一年契約の学芸員で補充する。さらに職員の給与も減らす。結局、指定管理者制度だから民間と競争しなければならない、だから、東京都が補助金を減らしたわけですね。東京都が率先して価格競争だということをあおってきたということなんじゃないんでしょうか。反省をするべきです。
 次ですけれども、江戸博、写美、それから現美、審査報告、やはり江戸東京博物館外二施設ということで、この中の総評がありますけれども、東京都に対して、審査結果を生かすために事業の再構築や必要な人材の確保など、各館の実施体制を整えることも留意されたいとなっています。つまり、東京都に対して要望しているんですね。都の支援が必要だということ、必要な人材は確保できるようにしてくださいよというふうに、審査委員会の総評で東京都に対して要望しているわけですけれども、これについてはどう受けとめていますか。

○並木文化施設改革担当部長 江戸東京博物館外二施設の審査報告書の講評にございます都への要望でございますけれども、東京都への要望につきましては、審査報告書の公表の際に、都としての対応を明らかにしてございます。
 具体的には、優秀提案者の選定に付された審査委員会の意見を尊重いたしまして、各館の独自性や自主性を尊重し、潜在能力を十分に発揮させる環境づくり、それから、館長のすぐれたリーダーシップに培われた運営体制や習慣を承継して、指定管理者の選定に当たってそういったものを求めてまいる、相手側に求めていくと、こういうものでございます。
 それから、さらに、公募要項でお示ししました各館の使命でございますけれども、指定管理者が適切に果たしていくように、一定期間の業務の履行状況や目標の達成状況、こういったものを毎年度評価をいたしまして、また確認し、必要な場合には、指定管理期間中に応募時の事業計画、それから協定締結に際して採用されました提案内容等の見直し、こういったものを行い、さらに、評価結果といったものを公表していきたい、このように考えてございます。

○大山委員 今、私が伺ったのは、東京都に対して審査会が、事業の再構築や必要な人材の確保など各館の実施体制を整えることにも留意されたい、それを東京都に要望しているわけですね。今、答えていただいたのは、どちらかというと、東京都が各館に対して、指定管理者に対して、公表してほしいとか、それから、きちんと適切に果たしていっているのかということをチェックしますよということなんですけど、東京都はこの講評をどう受けとめているのかということを、もう一回お願いします。

○並木文化施設改革担当部長 今回の審査会で、東京都に対するいろいろ要望が出てございますけれども、それぞれの施設のミッションに合った必要な人材、財政、こういったものは当然確保していく、こういった基本的な考え方は従前と同じでございます。

○大山委員 実際、さっきも申し上げましたように、十四年、十五年と比べると、江戸東京博物館などの学芸員ががっくり減っちゃっているわけですよね。ですから、しっかりと、質を低下させないために、東京都が支援することを改めて求めておきます。
 具体的に幾つか確認しておきたいんですけれども、今までは特命で歴史文化財団が運営してきたわけですけれども、今回は、例えば文化会館だったら歴史文化財団とエヌ・エイチ・ケイ・アートとサントリーパブリシティ、そして江戸博、写美、現美だったら財団と鹿島建物総合管理とアサヒビールですけれども、各企業と財団の関係、それから役割分担というのはどうなっていますか。

○並木文化施設改革担当部長 今回の公募に当たりまして、企業と財団の関係と役割でございますけれども、今回、東京都歴史文化財団は、みずからを代表として、民間事業者を構成団体として共同事業体を結成して応募してまいりました。
 事業計画書によりますと、江戸東京博物館外二施設では、東京都歴史文化財団が展覧会の企画、実施など館の事業に関する機能を担いまして、構成団体でございます鹿島建物総合管理は、江戸東京博物館の建物の管理、それからアサヒビールは江戸東京博物館の飲食店の運営を行う、こういうことになってございます。
 それから、東京文化会館につきましては、歴史文化財団は館の事業部門、それから管理部門を主に担うこととなり、構成団体でございますエヌ・エイチ・ケイ・アートは舞台機構、照明、音響、こういったものを担当いたします。さらに、サントリーパブリシティサービスは会場案内、売店の運営、こういったものを行うこととなっております。

○大山委員 それぞれ役割を分担しているんですということなんですけれども、現在は歴史文化財団が事業を、部分的に仕事を企業に委託しているわけですけれども、この委託している関係、状況と、それから企業がグループの一員として指定管理者になるということの違いというのはどうなっているんですか。

○並木文化施設改革担当部長 大山委員ご指摘のとおり、現在も歴史文化財団は、清掃、警備、それから受付などの業務につきまして、民間企業に事業を委託してございます。
 指定管理者が業務の一部を委託する場合は、指定管理者である東京都歴史文化財団が東京都に対して責任を負うこととなります。
 今回の共同事業体の場合でございますけれども、役割及び責任の分担はグループ内の協定書で定めることとなっておりますが、構成員であります事業者の指定管理者の一員として、東京都に対して直接責任を負うこと、こういうふうになります。

○大山委員 共同事業体だからそれぞれが対等で、それぞれが東京都に責任を負うんだということですけれども、芸術文化分野で、もうけとは縁のないところで、利潤を上げることが仕事である企業が対等な立場で指定管理者となるということは、どこかでもうけが優先になるのではないかという心配があります。
 次の確認したいことなんですけれども、東京都文化会館の指定管理者審査委員会の報告書を見ますと、財団法人歴史文化財団グループから、貸し館の優先枠の設定の提案があったことがわかるんですが、現在もこの優先枠というのがあると認識していますが、新たな優先枠がどういうものなのか、それから、現在とはどう違うのか、今までの優先枠というのはどうなるのか、それぞれお願いします。

○並木文化施設改革担当部長 東京文化会館の公募に対する新たな優先枠の提案でございますけれども、事業計画書によりますと、一定の優良公演を戦略的に誘致するための新たな優先枠を設け、一定の基準を定め、一般受け付けに先駆けてホールの利用が可能になるよう配慮していくとございます。
 具体的な内容につきましては、今後、東京都と財団グループが協議して決定していくこととなります。
 次に、現在の制度でございますけれども、設置条例及び規則に基づきまして、現在は会員制度を有し、定期的に公演を行う団体のうち知事が特に認める団体、それと、東京都が音楽の普及を図ることを目的として設置した団体のうち知事が特に指定した団体、これにつきまして、使用申請の受け付けを他の団体に優先して行う、これが現行の制度でございます。したがいまして、今回の新たな提案によって現行の制度、現行の団体の優先受け付けが変わることはないと認識してございます。

○大山委員 戦略的なということなんですね。今までの優先枠の部分については、条例と規則で定期使用団体である演奏団体だとか公演団体、それから東京都交響楽団については、今までの優先枠はそのままなんだという答弁ですけれども、東京文化会館、稼働率が非常に高い館ですね。ですから、戦略的な優先枠ということでは、関係者を含めた話し合いなども必要になると思うんですが、どうですか。

○並木文化施設改革担当部長 おかげさまで東京文化会館、非常に高い稼働率を確保してございます。現在も公平性や公益性に配慮しつつ、利用者間のスケジュールを調整してございます。利用者の懇談会、そういったものにおきまして利用者の意見を聞く、今後も利用者のご要望を伺いながら調整が行われるものと認識してございます。

○大山委員 そうしてください。
 最後に、私、指摘しなければならないことは、指定管理者の審査会自身が指定管理者制度への疑問を呈しているということなんですね。さっきも出しましたけれども、東京文化会館の審査報告書です。この総評の中に何が書いてあるかというと、文化事業は、効果があらわれるまで長時間かかるものであるが、どの提案にも長い目で育てていく企画が見られなかった、このことから数年おきに管理運営者が選定される指定管理者制度への懸念を感じたというふうに、審査会が指定管理者制度への懸念を感じた、こう総評で述べているんですけれども、このことを都はどう受けとめていますか。

○並木文化施設改革担当部長 ご指摘の総評部分でございますけれども、この記載につきましては、指定管理者制度への意見として受けとめております。
 今回の指定管理者公募は、八年間の指定期間を有効に活用いたしまして、東京音楽コンクールなど若手の育成、それから支援事業や新たな作品の創出など、創造・発信事業を段階的に発展充実していく、こういった提案をしてございます。制度の枠組みの中で工夫した提案を行ってきたと認識してございます。

○大山委員 指定期間を八年にしたんだということですけれども、指定期間を八年に設定している審査で審査委員会が懸念を表明しているというのは、これは重く受けとめなきゃいけないと思います。
 審査会だけじゃないんです。これは企業メセナですね。企業メセナが、日本の芸術文化振興について十の提言というのをことしの六月に出していました。その中でも、コスト削減、効率重視のシステムが芸術文化に単純に応用されることで、芸術文化基盤の整備を阻害し、質の低下や人材の損失を招いている例が急増しています、こう指摘しています。芸術文化振興機関は、それぞれが持っている多様な資源やソフトを相互に補完し合うことが必要で、互いに連携、協働する必要があるというふうにいって、そして、指定管理者制度で見られる、地域の貴重な芸術文化振興機関同士が敵対し合う関係は、芸術文化振興に何らよい影響はありません、つまり、芸術文化は敵対関係ではなくて、より豊かにしていくために議論したり協働したりすることこそ求められていると、企業メセナもいっているわけですね。
 指定管理者制度で自分たちが提案する--審査を終わってからは公表しますけれども、提案する内容を隠して隠してつくることがいかに芸術文化にとってマイナスなのかということではないんでしょうか。
 指定管理者制度のもとでは、秘密にして、関係者やさまざまな団体や都民も含めて議論することはできないわけですよね、事業計画をつくる段階で。官から民への流れの中で導入された指定管理者制度ですけれども、少なくとも芸術文化の分野では、効率を重視して競争により短期間で管理者を変えていくやり方がなじまないということは、企業メセナという、企業という民から見てもそのとおりなんだということですし、実際に審査を行った審査会が、ふさわしい文化施設のあり方と指定管理者制度の間に矛盾を感じて根本的な問題提起をしたということですから、しっかりと受けとめて、都としても検討することを改めて求めて、質問を終わります。

○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十分散会

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