文教委員会速記録第三号

平成十九年二月二十八日(水曜日)
第三委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長たぞえ民夫君
副委員長泉谷つよし君
副委員長鈴木 一光君
理事伊藤まさき君
理事服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
大松  成君
早坂 義弘君
坂本たけし君
初鹿 明博君
木内 良明君
古賀 俊昭君
中村 明彦君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長中村 正彦君
次長松田 二郎君
理事近藤 精一君
総務部長志賀 敏和君
学務部長山川信一郎君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長橋本 直紀君
指導部長岩佐 哲男君
生涯学習スポーツ部長三田村みどり君
学校経営指導・都立高校改革推進担当部長新井 清博君
人事企画担当部長直原  裕君
国体準備担当部長関口 修一君
参事石原 清志君
参事荒屋 文人君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第六十号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第六十三号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・第六十四号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第六十五号議案 東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 東京都立学校校外教育施設設置条例を廃止する条例
・第六十七号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例

○たぞえ委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十九年度予算につきましては予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十九年二月二十六日
東京都議会議長 川島 忠一
文教委員長 たぞえ民夫殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、二月二十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二日(金)午後五時

(別紙1)
文教委員会
第一号議案 平成十九年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 文教委員会所管分

(別紙2省略)

○たぞえ委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○たぞえ委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の平成十九年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分及び第六十号議案から第六十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る二月一日の当委員会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料の目次をお開き願います。
 ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十二件でございます。
 一ページをお開き願います。教員の都単独加配の状況でございます。
 僻地教育や児童自立支援施設内の教育等の充実のために、都単独で加配をしている区市町村立学校教員の人数について、校種別、項目別にお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。区市町村による非常勤講師の任用の状況でございます。
 非常勤講師を独自で任用している区市町村の数と、その任用者数についてお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。教員の休職者数でございます。
 当該年度に新たに休職となった教員数について、精神神経系疾患を理由とするものとそれ以外に分けて、校種別にお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。男女混合名簿の実施率の推移、平成十一年度以降でございます。
 都内公立学校における男女混合名簿の実施率について、調査を実施した年度の結果を校種別にお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。就学援助の認定基準及び援助費目でございます。
 生活保護世帯に準ずる準要保護者を認定するための基準と、その援助費目について、区市町村における状況についてお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。心身障害学級の設置状況の推移でございます。
 区市町村立小中学校における心身障害学級の設置状況の推移について、区市町村別、校種別にお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。都立盲・ろう・養護学校スクールバス予算でございます。
 盲・ろう・養護学校において運行しているスクールバスに係る予算額、コース数等についてお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。都道府県別中学校卒業者全日制高校・高専進学率でございます。
 中学校卒業者の全日制高校及び高等専門学校への進学率について、都道府県別にお示ししてございます。
 九ページをお開き願います。都立高校の授業料減免状況でございます。
 都立高校における事由別の授業料減免者の人数と免除率について、全日制、定時制の課程別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。都立高校の募集人数と応募者数、合格者数でございます。
 都立高校の入学選抜における募集人数と応募者数、合格者数について、全日制、定時制の課程別にお示ししてございます。
 一一ページをお開き願います。スポーツ関連予算でございます。
 都立体育施設の維持管理などのスポーツ関連予算について、予算費目ごとにお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。各都道府県の主な公立社会体育施設の設置状況でございます。
 各都道府県におけるテニスコート、野球場、水泳プールなどの公立社会体育施設の設置数とその人口比についてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○たぞえ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○古賀委員 昨日の最高裁判所の判決、国旗・国歌並びに学校教育についての判決がございました。これに関連して質問をいたします。
 平成十一年四月に、東京都日野市立の小学校、これは私の地元の南平小学校でありますけれども、この入学式で国歌のピアノ伴奏を拒否し、その後戒告処分を受けた音楽教員が、校長の職務命令は思想、良心の自由を侵害するもので憲法違反だとして、処分の取り消しを求めた最高裁判所の判決が昨日あったわけです。
 当然のことながら、教員側敗訴という至極至極当たり前の判決であります。この教員の主張は全く理解しがたいものでありまして、確かに思想、良心の自由は憲法で保障されていますけれども、この教員はれっきとした地方公務員であることを全く自覚していないといわざるを得ません。
 入学式や卒業式という人生の大切な節目となる儀式の場で、国歌斉唱の際にピアノ伴奏を行うことは重要な教員の職務行為であって、それを校長が音楽教諭に命じることは至極当然のことであります。この教員の上告は余りにも身勝手なものでありましたし、都民の理解は到底得られるものではありません。
 本判決について確認いたしますけれども、まず前提として、卒業式や入学式において国歌斉唱を行う際に、国歌君が代のピアノ伴奏をするという行為がどのように憲法判断されたのか、伺います。

○岩佐指導部長 判決によりますと、客観的に見て、入学式の国歌斉唱の際に国歌のピアノ伴奏をするという行為自体は、音楽専科の教諭等にとって通常想定され、期待されるものであるとしております。
 また、入学式等において、音楽専科の教諭によるピアノ伴奏で国歌斉唱を行うことは、学校教育法、学校教育法施行規則及び学習指導要領の規定の趣旨にかなうものであると判じております。

○古賀委員 昨年の九月に東京地裁で、難波孝一という裁判長ですが、都立学校の卒業式、入学式で教職員に国旗及び国歌の尊重を義務づけた東京都教育委員会の通達、またそれらに基づく職務命令というものは違憲と決めつけた非常識な判決がありましたけれども、今回の最高裁の判決について、今のご答弁、全くそのとおりだというふうに思います。
 入学式や卒業式においては国歌を斉唱するよう指導するという規定の趣旨がございますけれども、音楽の教員によってピアノ伴奏でこれを行うということであります。
 そのことを前提に確認いたしますけれども、その職務を命ずることについてどのような憲法判断が示されたのか、職務命令を校長が命じることについてどのような憲法判断が下されたのか、お答えください。

○岩佐指導部長 本件職務命令は、その目的及び内容において不合理であるということはできないとして、本件職務命令が上告人の思想及び良心の自由を侵すものとして、憲法十九条に反するとはいえないと判じております。

○古賀委員 国旗・国歌の問題を議論しているのは我が国だけなんですけれども、一部の反日勢力が、政治活動として、反国歌、反国旗のゆがんだ考え方というものを教育の場に持ち込んだことがそもそも問題ということであります。
 恐らくそうした勢力は、この最高裁の裁判官の中の一人がもっと検討すべきだという意見をつけ加えているわけでありますけれども、このことを鬼の首をとったかのように主張するというふうに思いますけれども、これはまさに私からいわせれば笑止千万であって、愚かな判断であります。
 いよいよやよい三月、この春の卒業式も明日から始まるわけです。東京都教育委員会は、この日本国の司法府を統括する最上位の裁判所で下された最高裁判決を受けとめ、毅然とした態度で学校教育の一層の正常化、適正化を図っていくことと思いますけれども、改めて教育委員会としての所見、決意というものを伺います。

○中村教育長 昨日、最高裁におきまして憲法判断が下されました。私ども、至極当然の判断だというふうに考えております。
 今後とも、学習指導要領や通達に基づきまして、卒業式、入学式等におきます国旗・国歌の指導が適正に行われますよう各学校を指導し、教育課程の適正化を図り、児童生徒に対しまして、国際社会に生きる日本人としての自覚や資質を育成してまいります。

○古賀委員 質問はいたしませんけれども、世界の国というのは、例外なく、国家を象徴する国旗と国歌というものを持っているわけです。それはその国の国民の気持ちをあらわすものでもある。ですから、これを学校教育において子どもたちに教えていくというのは、教育委員会が果たさなければならない当然の職務でありまして、それを実際に実行していく教職員において、かかる行為に及ぶ者がないように、教育委員会としてこれからも毅然とした対応をしてくださるように重ねてお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○伊藤委員 まず、学校の安全対策についてお伺いをしたいと思います。
 本年一月十八日に、文部科学省が学校の安全管理の取り組み状況に関する調査の結果を公表し、国、公立、私立の小学、中学、高等学校や幼稚園などにおける、平成十八年三月末時点での防犯に関する安全管理の状況が開示されました。
 私の質問は、今回は、余り間口が広くなってしまいますと論点がぼけますので、小学校に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 この調査によりますと、教職員の安全対応能力を向上させるために、教職員対象の防犯訓練等を実施した小学校が、東京都では九四・九%であるとされております。五・一%が実施をしていない、これ、高いのか低いのかといろんな議論があるとは思いますけれども、子どもの命を守るべき学校においては、本来全校で教職員対象の訓練を実施するべきであると考えますけれども、ご見解をお伺いします。

○岩佐指導部長 学校の安全管理のためには、すべての教職員が緊急時に適切に対応できるよう、役割分担等を明確にするとともに、実際に行動できるよう訓練しておくことが重要でございます。
 これまで、都教育委員会は、不審者侵入時の学校体制などを具体的に定めた危機管理マニュアルの作成に全教職員がかかわり、自己の役割を自覚するようにするなど、教職員の危機対応能力の向上を図ってまいりました。
 今後は、各学校の安全教育担当の教職員を対象とした防犯教室指導者講習会におきまして、危機管理マニュアルに基づいた防犯訓練の事例を示しまして、区市町村教育委員会と連携して、教員対象の訓練のさらなる充実に努めてまいりたいと思います。

○伊藤委員 この結果を見ますと、別項目では、子どもの安全対応能力を向上させるために、子ども対象の防犯訓練等を実施した小学校は九八・六%ということであります。小学校においては、防犯訓練により、教職員だけでなくて、子ども自身がみずからの身を守る力をつけることも重要であると思います。
 全校で子ども対象の訓練を実施するべきと思いますけれども、ご見解を伺います。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、すべての子どもたちが危機を回避する能力を身につけることができるように、セーフティー教室を実施するなど、学校安全に向けた指導の充実に取り組んでまいりました。
 今後とも、防犯教室指導者講習会の開催や防犯教育に関する指導資料集を配布することによりまして、効果的な指導の内容や方法等を示しまして、区市町村教育委員会と連携し、子ども対象の防犯訓練のさらなる充実に努めてまいりたいと思います。

○伊藤委員 これは質問はしませんけれども、例えば五〇ページには安全点検の実施状況という項目もございます。これは何かといいますと、学校の安全管理に関して、学校において取り組むべき事項について点検をしたかどうかということでありますけれども、東京都は九一・九%と、全国平均が九五・七%とすると、低いといわざるを得ないと思うので、ぜひとも全校実施に向けて、さらなる指導をしていただければというふうに思います。
 最後に、防犯訓練などの取り組みは年に数回しか行われないため、しばらくたつと、小学生は危機感も薄れてしまうのではないかと思います。小学校段階では、安全対応能力をはぐくむために、日常的に指導することも重要と考えますけれども、ご見解を伺います。

○岩佐指導部長 防犯訓練等で得た知識や行動の仕方などを子どもたちに定着させるためには、学級で行われる朝の会や帰りの会等を活用して、日常的な安全指導を行うことが重要でございます。
 今後、年間を通じて、意図的、計画的に安全指導が行われますように、区市町村教育委員会と連携して、子どもの安全対応能力の育成を図ってまいります。

○伊藤委員 ぜひともお願いしたいと思います。
 ただ、今の安全対策というのは、どうしても単一の学校単位でやっておられると思います。今、ご案内のとおり学校選択制で、必ずしも自分の居住している学校に行かない小学生も一定数いるのだろうと思います。それも含めて自己責任で選んでいるといういい方もありますけれども、やはり通学区の自由化ということにも、新しい課題にも対応していただきたいというふうに思いますし、また例えば防犯カメラをつけるとか、補助金事業がいろいろあると思いますけれども、きちんと内部で努力をしている学校にインセンティブを与えるというやり方もあるのじゃないかと思いますので、ぜひとも大切な話だと思いますので、徹底方お願いしたいと思います。
 続きまして、地区で育成した教育管理職の地区内での活用についてお伺いをしたいと思います。
 大量退職時期を迎え、これまで小中学校の教育を支えてきたベテラン校長の多くが退職をするため、新たな担い手の育成が喫緊の課題となっていると思います。区市町村教育委員会は、学校の設置者として主体的に優秀な人材を掘り起こし、校長、副校長、主幹など、学校を支える大黒柱の育成に取り組む必要性が今後ますます必要になってくると思います。
 地区で育成した教育管理職候補者が昇任する際の異動については、各地域からいろんな意向があると思います。その意向を積極的に認めていただくべきであるというふうに思いますけれども、教育委員会としてのご見解をお伺いします。

○松田人事部長 教育管理職の昇任時の異動につきましては、幅広い多様な経験を積み、より広い視野を養うなど、人材育成の観点から他地区での配置を原則としておりますけれども、今年度の教育管理職異動方針において、地区の教育課題解決を図るなど必要がある場合には、区市町村教育委員会の意向を尊重して、自地区に配置することを認めることといたしました。
 さらに、平成十八年度からの教育管理職選考におきまして、学校長及び区市町村教育委員会が推薦した、経験豊富な主幹を対象とする新たな選考区分を導入いたしまして、その合格者については、原則として自地区で教育管理職に任用することといたしております。
 今後とも、人材育成や地区間のバランスの観点を踏まえるとともに、区市町村教育委員会の取り組みにも配慮して、適切な昇任時の配置に努めてまいります。

○伊藤委員 今年度からまた新たな教職員管理の選考をやっていただいているということですので、どういう結果だったかということもぜひとも検証していただきたいと思います。
 次に、区市町村のさまざまな教育課題を解決するために、地区内の教育管理職の異動、配置に対して、区市町村教育委員会の要望を踏まえた配置に努めるべきだというふうに思いますけれども、ご見解を伺いたいと思います。

○松田人事部長 各地区は、それぞれが地区の実情に応じた教育改革に取り組んでおります。その教育改革を支援する立場から、都教育委員会は、区市町村教育委員会の人事構想を可能な限り尊重するとともに、全都的な視野に立って、適材を適所に配置することを基本的な考え方としております。
 具体的には、区市町村教育委員会教育長からの直接ヒアリングあるいは地区訪問の実施等で、地区の要望を丁寧に聞き取りまして、区市町村教育委員会の人事構想を尊重した配置に努めております。
 今後とも、人材配置におきまして、区市町村教育委員会と連携を進め、協議を密にいたしまして、当該地区の教育課題解決に資するよう支援をしてまいります。

○伊藤委員 現行制度だといたし方がない部分もあるんですけれども、各地区の教育委員会からすると、自分たちのお金を使ってせっかく養成をした幹部職員が、どうしても異動の時期になってほかの地区に行ってしまうということもあるやに聞いておりますので、その点は、いろいろとご苦労があることだと思いますけれども、ぜひとも連携を強めて、各地区の教育が戦略的に進められるように、私は本来であるならば市区町村が責任を持ってやるべき課題であるというふうに思っておりますので、都教委としても、その点を踏まえて、さらなる努力をしていただければと思います。
 続きまして、平成十九年度から開始されます特別支援教育について、何点か質問をします。
 今回の学校教育法の一部改正によりまして、この四月から特別支援教育が始まります。都立の盲・ろう・養護学校は特別支援学校として、区市町村の小中学校に設置されております心身障害学級は特別支援学級に名称変更されます。今回もいろんな議案が出ておりますけれども、また、特別支援教育の対象には、特別支援学校や特別支援学級に在籍をする児童生徒だけではなくて、小中学校の通常学級に在籍をするLD、ADHDや高機能自閉症等の児童生徒や就学前の幼児、中等教育学校や高等学校の生徒も対象になるわけでありますが、平成十九年度に向けて、都立盲・ろう・養護学校への就学相談や入学相談が今行われておりますけれども、現段階において、就学予定者及び入学予定者の数は昨年度と比べてどのような状況になっておりますか、お伺いいたします。

○荒屋参事 平成十八年度当初、都立盲・ろう・養護学校に就学、入学した児童生徒は、二千二百四十二人でございます。平成十九年度当初の就学予定者及び入学予定者の数は、二月二十六日現在で二千五百五十六人であります。全体といたしまして、三百十四人増加しております。

○伊藤委員 昨年より三百十四名増加していると伺いましたけれども、そのふえている要因はどういうことが考えられますか。

○荒屋参事 都立盲・ろう・養護学校の児童生徒数がふえている要因につきましては、正確なところはわかりませんけれども、強いて挙げれば、第一に、障害のある乳幼児を持つ保護者が、医療機関や療育機関、教育相談センター、就学相談室などと相談するケースがふえまして、障害の状態に応じた適切な就学が進んできたこと、第二には、都立盲・ろう・養護学校における児童生徒一人一人の障害の状態に応じた指導の充実が図られていること、第三には、以上の二点の状況などにより、養護学校などの教育について保護者の理解が進んだことなどが挙げられると考えます。

○伊藤委員 新年度から、特別支援学校においては、従来から行われておる在籍児童生徒等の教育を行うほか、区市町村の小中学校等に在籍する障害のある児童生徒等の教育について、助言また援助をするということになるわけでありますが、十九年度からの特別支援教育の本格実施に向けまして、区市町村教育委員会や小中学校を支援していくために、どのような新たな取り組みが行われるのでしょうか。

○荒屋参事 都立盲・ろう・養護学校においては、従来から、地域の小中学校の特別支援教育に対する支援を行ってきたところでございます。
 昨年六月の学校教育法改正を踏まえまして、高い専門性を持つ盲・ろう・養護学校の教員が小中学校を訪問し、よりきめ細かい指導、相談ができるようにするなど、地域の特別支援教育のセンター的機能をより充実させるため、平成十九年度、知的障害養護学校の小中学部設置校の教員が計画的に区市町村及び地域の小中学校を訪問し、地域における特別支援教育を支援、推進していくことができるよう、教員の報酬及び旅費について措置したところでございます。

○伊藤委員 次に、都教委は、手元にありますけれども、平成十六年十一月に作成した東京都特別支援教育推進計画で副籍制度の導入を計画し、平成十六年度から三年間、副籍モデル事業を実施してこられました。
 平成十九年度からこの副籍事業は本格実施となるわけでありますが、副籍事業については、区市町村の教育委員会からいろんな意見が出ていると思います。私にもいろんな声が寄せられておりまして、学校の設備が果たして今のままで大丈夫なのか、例えばスロープの問題だとかそういった施設の問題等、やはり一番挙がっているのは人的な配置なのだろうと思います。
 本来やらなければいけない業務のほかに、この支援事業が入ってくるということで、結構不安の声があるというふうに聞いておりますけれども、都教委の取り組み状況はどうなっておりますでしょうか。

○荒屋参事 副籍事業につきましては、平成十六年度から八王子市、あきる野市、平成十七年度から新たに北区、調布市を加えまして、四区市を副籍モデル地域に指定し、保護者等への理解、啓発、都立盲・ろう・養護学校と小中学校との直接的、間接的な連携内容を検証してきたところでございます。
 本年一月には、区市教育委員会の担当者を対象に副籍制度の説明会を実施し、都立盲・ろう・養護学校の教員及び小中学校の教員を対象にしたモデル事業報告会を二月に区部で実施し、三月には多摩地域で開催する予定であります。
 今後、副籍の交流事例などを区市町村教育委員会及び公立学校等に示し、副籍事業が円滑に実施されるよう区市町村教育委員会を支援してまいります。

○伊藤委員 ぜひともスムーズに実施をされるように、引き続き支援をしていただきたいと思います。
 副籍事業は、特別支援学校の小中学部に在籍している児童生徒が、居住する地域の区市町村立の小中学校に副次的な籍を持って、交流を通じて地域とのつながりを図っていくというものでありますけれども、例えば現在の中野養護学校を例にとりますと、中野養護学校の児童生徒は居住する区の小中学校に副次的な席を持つことになるわけでありますけれども、具体的にはどこの区になるのでしょうか。

○荒屋参事 中野養護学校の通学区域は、中野区、新宿区、渋谷区の三区であることから、中野養護学校の児童生徒は、居住地である中野区、新宿区、渋谷区の小中学校に副次的な籍を持つことになります。

○伊藤委員 私は、先般行われました平成十七年度の各会計決算特別委員会におきまして、中野養護学校での教室不足の解消策として、中心区や未設置区にも養護学校を設置すべきと提案をいたしました。具体的な対応策としては、特に中心地域の区におきまして、区立の小中学校が統廃合などによりまして廃校となった場合に、都教委が学校ごと借りて、都立の養護学校の、分校という形態になるのでしょうか、そういった学校を設置するという内容の提案だったわけでありますが、こうした対応策が今の教室不足の解消策として最も現実的な方策の一つであるというふうに考えております。
 質問した際の答弁には、検討すると前向きなご答弁をたしかいただいておりましたけれども、その後の検討結果について、以下お聞きしたいと思います。
 まず、知的養護学校の未設置区はどこでしょうか。ちなみに鈴木一光副委員長とも同じですけれども、私の葛飾区には、知的障害の小学部、中学部の水元養護学校と知的障害高等部の単独校の葛飾養護学校、また盲、ろうと四つの学校があるわけでありますけれども、具体的にお示しください。

○荒屋参事 新宿区、台東区、豊島区外七区ありまして、二十三区中十区でございます。

○伊藤委員 二十三区中十区にないということは、ちょっと問題じゃないかというふうに思うんです。先ほどの中野養護学校に在籍している児童生徒の副次的な籍は、中野区、新宿区、渋谷区になるというご答弁でございました。この三区のうち、中野区は当然中野養護学校の地元区ですけれども、新宿だとか渋谷区は、中野養護学校に通ってくる児童生徒は、地元に養護学校が未設置であるため、わざわざ中野区に通ってこなければならないわけであります。
 知的障害の児童生徒がふえているという状況の中で、特に知的障害養護学校の教室不足を考えますと、単なる過密解消という視点だけでなく、副籍事業が目指す地域との連携という面からも、すべての区に、本来であるならば、知的障害の養護学校が、形態は分校のような形であっても、設置されるべきだというふうに私は考えます。これが、特別支援教育の理念に沿った取り組みだというふうに思うんです。
 平成十六年に出されましたこの推進計画では、知的障害養護学校の在籍者数は、平成二十四年度をピークとして減少傾向にあるわけであります。平成二十四年度までの緊急対策の一環として、例えば先ほども申し上げましたけれども、区から小中学校の施設を一定期間借り上げるという方法があるというふうに思います。また、知的障害養護学校で使用する場合、小中学校の施設改修なども最小限でできるのではないかと思います。
 副籍事業の地域交流の面からも、また教室不足の緊急対策としても、中心区における小中学校の廃校を当分の間借り上げ、児童生徒の良好な教育環境を確保するべきと思います。
 中心区における小中学校の統廃合の状況を見ますと、過去五年間のデータを出していただきましたが、幾つかの区で統廃合が行われております。過去五年間で八十七校の小学校、中学校が廃校となっているということでもあります。統廃合の結果、廃校になった学校の中で、区から借り上げ可能な小中学校はないのでしょうか。

○荒屋参事 東京都教育委員会は、現在、第二次実施計画を策定中でございます。新たな知的障害養護学校の設置につきましては、児童生徒の障害の程度及び居住地域、通学手段等を勘案するとともに、土地活用につきましては、まず都教委が所管する教育財産、次に都が所有する未利用地の活用、さらに区市及び民間の未利用地を検討していくこととなります。
 委員ご指摘の件につきましては、こうした考え方に基づき、今後対応してまいりたいと思います。

○伊藤委員 統廃合は今後ますます進んでいくわけでありますから、ぜひとも前向きな答弁をしていただきたいと思います。
 通学時間の短縮ということも当然この計画の中に挙げられているわけでありますし、本当にまず子どもたちのことを第一に考えて、前向きなご検討を強く要望いたしまして、質問を終わります。

○石川委員 私は、放課後子どもプランについて数点伺います。
 このプランは、平成十九年度、今年度から設置される放課後子ども教室と現行の学童クラブとが、同一小学校区において一体的あるいは連携した総合的な放課後対策であります。学童クラブは、就労支援としての長年の歴史があり、また保護者負担があることなど、放課後子ども教室とは明らかな違いがあり、実施主体である各区市町村では、連携を図る場合でも課題が多いと思います。
 しかし、子どもの目線で考えた場合、放課後子ども教室という新たな学びの場、体験の場、交流の場がふえたということになります。行政の縦割り、歴史の違い、制度の違いを乗り越えるためには、子どもの目線で行政、地域、学校がプランの実現に向けて取り組むことが大事であります。
 そこで、今後、この二つの事業で連携が図られているといえる事例を区市町村に示していく必要があると考えます。見解を伺います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 平成十九年度に創設される放課後子どもプランは、放課後子ども教室と学童クラブとを一体的あるいは連携して実施する、子どもの安全・安心な居場所づくりのための放課後対策事業でございます。
 二つの事業は、お話のとおり、成立の背景や制度的な違いはあるものの、放課後という同じ時間帯で実施されることから、今後、より広がりのある総合的な放課後対策への展開が期待できるもので、そのためにも実効性のある連携を図ることが必要でございます。
 実施主体となる区市町村では、それぞれの地域の実情を踏まえた連携の工夫など、準備を進めていると聞いております。今後、両事業の特色を生かして、連携により成果を上げている事例などについて、区市町村を対象にした説明会や都のホームページを活用して、積極的に情報提供してまいります。

○石川委員 平成十六年度から十八年度までの三カ年事業として実施してきました地域子ども教室推進事業の対象は小中学生となっており、中学生にも開放しています。中学生の健全な成長のためには部活動が大事であることを、我が党はこれまでも数回議会で取り上げ、今東京都として部活動に力を入れていることは評価しています。
 ところが、部活動に参加しない生徒も現実にいる中で、中学生の居場所づくりは重要な課題と考えています。中学生も地域の人々と交流することは大事であり、また中学生自身が小学生の面倒を見ることもいい教育になります。
 放課後子ども教室は、小学生だけではなく中学生も受け入れるべきであると考えますが、どうでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 放課後において、中学生が部活動だけでなく地域や学校等でさまざまな体験や活動をする機会があることは、健全な成長を図る上で大切なことでございます。放課後子ども教室は、小学校などを活用して、主として小学生を対象とした居場所をつくる事業であり、中学生の受け入れについては、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて判断すべきことと考えております。
 平成十八年度まで実施してまいりました地域子ども教室推進事業におきましても、地域の中学生が遊びのリーダーや体験教室の指導者として教室運営に参画した事例も多数報告されておりまして、中学生が地域の人々とともに放課後子ども教室の運営にかかわることも有意義な体験の一つになると考えております。

○石川委員 この放課後子どもプランの成功のポイントは、ただ一つ、コーディネーターにかかっております。コーディネーターの資質向上のための効果的な研修を実施するとともに、ガイドブックの作成などを通して支援していくべきと考えますが、いかがですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 放課後子ども教室のコーディネーターは、学校や学童クラブ等との連絡調整、ボランティア等の地域の協力者の確保、活動プログラムの企画等、放課後子ども教室の総合的な調整役として、極めて重要な役割を担っております。
 このため、円滑な教室運営に必要な知識、技術の習得などを目指した効果的な研修を都教委においても実施することといたします。また、町会、NPOなど地域の人材の活用例やスポーツ活動や文化活動などの特色ある活動事例を資料として提供することなどを通じて、コーディネーターの資質向上を図ってまいります。

○石川委員 都が設置する放課後子ども教室推進委員会について、学校、地域など現場の声が届けられる委員を確保すべきであります。また、地域住民の協力、安全対策、学童クラブとの連携などを具体的に検討して、しっかり道筋を示すことが大事であると考えますが、見解を伺います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 放課後子ども教室推進委員会は、東京都における放課後対策の総合的なあり方や協力体制の構築、安全管理対策等を検討し、放課後子どもプランの推進を図ることを目的に設置するものでございます。
 本委員会につきましては、区市町村の現状や課題を的確に把握する必要があるため、地域の現場からの意見を反映できる委員として、地域活動で実績のあるコーディネーターやPTA、福祉関係者などを委嘱する予定でございます。
 この委員会での検討を踏まえ、実施主体である区市町村の円滑な取り組みが進められるよう支援してまいります。

○大山委員 まず、高校の問題について質疑をします。
 先週の金曜日に、都立高校の一次、そして分割前期の試験が行われたわけですけれども、この間、都教委は、都立高校の統廃合を進めて、全日制それから定時制とも統廃合をしたり、それからさまざまな対応ということで、いろんな種類の学校をつくってきたわけですね。
 第一次統廃合計画が始まる前の平成九年度には二百校あったものが、今回の試験で生徒募集をした学校は、区部と多摩合わせて百六十七校になってしまいました。区部では百三十校あったのが百四校、多摩地域では七十校あったのが六十三校です。これは全日制ですね。
 定時制は、九十八校あったのが、ことし募集したのは五十校に半減です。とりわけ多摩の地域は、面積でいえば区部の二倍近くある広いところですけれども、多摩地域はことし十二校しか募集しなかったということですね。それは、ことし一気に十八校も募集停止をしてしまったからです。
 都立高校の一般募集は、一次試験と分割前期、先ほどいいましたけれども、金曜日に行われました。受検状況を見ますと、約一万一千人は不合格者が出ると思われるのですけれども、分割後期と、ほとんど二次募集、ないと思いますけれども、募集人員は何人ぐらいになると見込まれていますか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 現在、分割前期の入学選抜が終わったばかりの状況でございまして、分割後期の募集人員は確定していない状況でございますが、現在のところ、全日制課程で七百五十人以上、定時制課程で七百人以上の募集を予定しているところでございます。

○大山委員 単純に足し算しても、千四百六十四人ですか、これは定時制も全日制も合わせてですね。先ほど申し上げましたように、不合格者は一次で一万一千人は出るだろうと思われるわけです。定時制も全日制も合わせても、一割分程度しか入試枠がないということなんですね。幾ら私学へ行く生徒がいるからといっても、九割が私学に行くということは考えにくいわけですね。
 とりわけことし深刻になっているのが、八王子市内の定時制高校が極端に減っているという問題です。今まで、夜間定時制高校は八王子市内に四校ありました。十学級ありました。ですから、三百人の枠があったわけです。しかし、ことしは八王子拓真だけですね。夜間の定時制の部分は二学級で六十人です。ですから、夜の部分は二百四十人分も一気に減ってしまったわけです。
 八王子市内の全日制高校の一次募集で八百二十六人不合格者が出る予測--私、一生懸命数えたんですよ。全日制高校の一次の募集人員と受検人数を足して、大体不合格者の予測が出ますから、それが全日制高校の八王子市内の不合格者の予測ですね。それが八百二十六人です。
 しかし、多摩地域の十二の定時制高校、これは八王子だけじゃなくて、立川だとか府中、調布、東久留米まで足を伸ばしても、十二校です。そこの定時制に、分割後期の募集と合わせても五百二十四人です。これでは、さっきいった八王子の市内の全日制高校の一次募集の不合格者が八百二十六人ですから、八王子の生徒だけでもはみ出してしまうということなんですね。
 受検の受け入れ枠をこうやって少なくしてしまったということで、重大なのは、今の中学三年生、どうなっているかということなんです。先生だとか生徒だとか、それから保護者の話も聞きました。本当に大変な事態になっているというのが実感です。
 今までだったら、全日制の一次に落ちれば、大体定時制を受けることになっていたのですが、その定時制がいっぱいですから、三年生にしてみれば、後がないんですね。経済的に私学に行ける子は、早々にもう私学に決めているというわけですよ。ですから、経済的には都立にしか行けないという生徒たちがまさに今追い詰められているという状況です。
 例えば国立高校、自校作成の問題なので難しいらしいのですけれども、生徒会長をやっていた、本当にしっかりしている生徒なんですね。しかし、後半になりましたから、プリントをやっておいてねということで、授業をやっていて、それほど騒がしくなかったというんですよ。しかし、その生徒会長をやっていた女の子は、突然、こんなうるさいところで私はもうできません、私には時間がないんです。保健室に行かせてくださいと、泣き出してしまったというんですね。本当にパニクってしまっている状況なんです。
 三十七人のクラスで、十三人が家庭で勉強して休んでしまっていたり、その一方で、クラス全体が落ちつかなくて、ふわふわしている。異様にはしゃいでしまっているとかいう状況もあります。
 この学校だけなのかなと思って、ほかの学校の先生たちにも聞いてみたというわけですよ。そうしたら、立川だとか昭島だとかの中学の先生も同じような状況なんだというふうにいっていたというんですね。
 去年は、例えば受検が終わった子がこれからの子に教えたり、それから試験問題をやってみたらというふうにしてあげたりしている関係があったらしいんですよね。しかし、ことしは違います。後がないということで、追い詰められているというんですね。
 中学の先生は、入試は一つの山場ですというんです。ですから、試験を乗り越えて子どもたちは成長するのだけれども、余りにも過酷といわざるを得ないというふうに語っていました。私も、子どもたちの状況を聞けば、そのとおりだと思います。余りにも過酷だと思わないですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 分割後期の関係ですが、受検人員と募集人員の差が即不合格者となるわけではないわけで、現時点で分割前期、一次の不合格者数を推計することは困難であります。ただ、過去の例でも毎年一万人前後で推移しておりまして、本年度について特に大きな状況の変化はないというふうに認識しております。
 なお、定時制につきましては、昼夜間定時制高校が三校新設されることから、これらの学校での合格者数は上積みされる可能性があるというふうに考えております。

○大山委員 私は今、生徒の状況をお話ししたわけですよ。それでどう思うのかということを聞いたわけですね。ですから、さっき私が不合格者の見込み、一万一千人ぐらいですというふうにいったのは、それほど当たらない数じゃないわけでしょう。毎年一万人ぐらい出ているわけですから、それは当然出るわけですよ。
 しかも、八王子市内に、八王子拓真というのは、単位制のものとチャレンジの学校がありますね。それで、今回どうだったかといったら、例えば単位制の八王子拓真、九十六人の募集に三百八十二人受検しているんですよ。チャレンジの部分は六十人に百五十一人受検しているんですよ。
 こういう状況で、定時制だといって、ふやしたのだといったって、そこに昼間の受検する子たちも含めて集中してくるわけですから、それは夜の部分を二百四十人も減らしたという事実には変わりないわけですよね。子どもたちにとってこういう状況はどうなんだ、そして、追い詰められている状況を聞いて、何とも思わないのですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 八王子拓真でございますけれども、分割前期の選抜が終了した段階でございまして、正確な分析ができる状態ではないわけですけれども、従来この地域にはなかった新しいタイプの学校ということでありまして、昨年まで八王子地区の夜間定時制課程を志望したような生徒以外からも応募があった可能性はあるというふうに思っております。
 生徒が正確な知識に基づいて的確な学校選択ができるように、引き続き中学校に対しても、改革校等についての情報提供を行うなど、進路指導の徹底をお願いしているところでございます。

○大山委員 正確な情報といったって、学校の数が少なくなって、受け入れ人数が少なくなったというのは、正確な情報なんですよ。子どもたちはみんなそれを知っているんです。だから、後がないというふうに追い詰められているわけですよ。
 挑戦する意欲さえなえてしまうのだというんですね。一次で何点とれるのかということですよ。一倍未満の倍率の学校がどれぐらいあったと思うのですか。例えば一・四倍だったら、必ず落ちる子がいるということなんですよね。だから、今までは後があったんです。後があったんだから、それはそれほどの恐ろしさではなかったんですよ。今は後がないんです。だから、怖い、そういう状況になるわけですよ。
 例えば府中東高校に去年三回落ちた子がいます。推薦で落ち、一次で落ち、二次で落ち、仲のいい友達が推薦で受かったわけですよ。それほど成績に差はないわけですね。十五の春を泣かせないというふうに、東京都は以前高校増設を進めてきたわけですけれども、今度は、統廃合をして十五の春を泣かせているのじゃないかということをいわざるを得ませんよ。
 都教委は、統廃合を進めるだけではなくて、きちんと中学生がどういう状況になっているのかということを把握する義務があると思います。把握していないから、全体で足りているんだとかということがいえるわけですね。経済的な格差が大きくなっているときだけに、都立高校の役割、それから学びたい生徒に学ぶ権利を保障する、それは都教委の大きな役割だと思いますけれども、その責任を果たすということについてはどうですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 都立学校でございますけれども、私立学校とともに、後期中等教育を希望する都民に対して質の高い教育を提供することを重要な役割としております。特に都立高校におきましては、多様化する生徒の実態であるとか社会の状況の変化に対応した多様な進路希望に対応することができるさまざまなタイプの学校を設置するなど、都民の期待にこたえる都立高校改革を進めているところでございます。
 学校の設置に当たりましては、例えば昼夜間定時制高校において、統合する夜間定時制課程の在籍人数を確保した学校規模とするなど、都立高校への入学を希望する生徒に配慮しているところでございます。

○大山委員 三百人から六十人に減らしておいて、どうして確保するなんということがいえるのかと私はいいたいですね。せめて今の状況を把握するのだったら、八王子市内の四校を一遍に募集停止するような乱暴なことはしないで、一次試験で全体状況が把握できるわけですよね。今把握できるわけですから、二次募集以降にでも募集するということも含めて検討するべきだということを強く求めておきます。
 例えば定時制高校、夜間定時制に行くということになりますと、中学では不登校だったというような子どもを初めとして、困難を抱えているケースも結構多いわけですね。不登校だった生徒が高校に行くというときには、やはり遠いと通えないわけですね。不登校だった生徒、例えば南大沢の地域の中学校で、南多摩だったら去年の試験で行けるのだけれども、富士森だったら、それは通学するときに電車で何回も乗りかえなきゃならないのですから、やっぱり自分は南多摩がせいぜいだというわけですね。
 そういった場合に、これだけ学校を減らしておいて、募集停止をしておいて、今いったようなケースの子ども、生徒が、ことしはもう行き先さえないという状況になっちゃうのじゃないんですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 八王子拓真高校の前期分割募集で入学が決定しなかった場合でも、分割後期で百四十四人の募集をするほか、福生高校、農業高校、小金井工業高校など近隣定時制課程において相当数の二次募集が見込まれるなど、受け入れ体制は準備されておりまして、進学先がないという状況ではございません。
 ちなみに南大沢地区でございますが、南多摩高校と同程度の時間で通学できる夜間定時制のある学校といたしまして、町田高校、神代高校などがございます。

○大山委員 遠くには行けない、それから、自分で思い切って行くというときに、今同じぐらいの距離の、時間のところがあるんだというわけですけれども、生活圏だとかも含めて、やはり子どもたちというのは微妙なことがあるわけですよね。ですから、乱暴な、ことし十何校減らしちゃったわけですね。十八校も募集停止するというような乱暴なことをしてはいけないと思っています。
 例えば、募集停止がどういう状況になっちゃうのかということなんですね。昨年、卒業式の時点で、ある中学校で三人行き先が決まっていなかったんです。一人は通信制の高校に入学しました。二人が南多摩高校に行きました。
 そのうち一人は、一年生のときの、ですから、今年度の欠時数が多くて進級できないということになったんですね。しかし、今年度は募集停止なので、留年もできないわけですね。その子は、南多摩だったら通えるからといって受けた、通い始めた子どもです。結局退学することになったわけですけれども、募集停止をしなければ、きちんと、留年してでも心機一転、学校を続けることができた可能性は大きいわけですよね。そうは思いませんか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 募集停止校に対しましては、生徒の進級等について配慮するよう関係部署から校長連絡会等で伝えるなど、都教育委員会と学校が連携して対応しているところでございます。
 募集停止校の最終学年に在籍する生徒は、原学年の留置ができないことから、状況を把握して適切に指導に努める必要がありまして、原学年留置になる可能性がある生徒に対しては、年度当初から継続的に指導を行い、可能な限り進級が可能となるように配慮しているところでございます。
 また、このような配慮にもかかわらず進級できなくなった場合ですが、修学意欲があり、転学を希望する者に対しましては、できるだけ本人の希望が生かせるよう、原則として筆記による考査は免除するなど、特別な配慮を行っているところでございます。

○大山委員 転学しようにも、四つの高校をなくしちゃったわけですよね、八王子市内では。どうしてそれで転学できるわけですか。進級しよう、それから、もちろん進級するのが一番ですけれども、いろんな理由で進級できないことというのはあるわけですよね。それが、今は一年生が留置というか留年する。それから二年生、三年生になっても、最終学年というのは、そういう留年できない、それから転学もできないというケースが出てくるということなんですね。(「転学できる」と呼ぶ者あり)転学できるといったって、そこしか行けないといって、行った学校ですよ。(「通信制に行けばいい」と呼び、その他発言する者あり)そんなのをどうして通信制に行けばいいなんて勝手に決められるのですか。
 だから、それは、募集停止する、閉校するということの子どもたちに与える深刻な影響だということをきちんと自覚してほしいと思います。それは今回が初めてのことではないんですよ。今までずっと、最終学年どうするんだ、それで退学せざるを得なかった子どもたちというのはいるわけですね。
 これまでもこの文教委員会で、定時制高校の統廃合をしないでほしいということが、本当に何回も何回もいろんな学校で出てきたというのは皆さんもご承知のとおりです。両国高校のときなどは、中高一貫校を設置するから、定時制高校の在校生をほかの学校に移転までさせる。私は本当に許せませんよ。本当に理不尽なことを行ったわけですよ。(発言する者あり)
 本年度で一区切りといいますけれども、本当にこれでよかったのかどうか、子どもたちにとってどうなっているのかということを、都教委はまずは把握するべきです。そして、学習したい、それから高校へ行きたいという意欲がある生徒がきちんと高校へ行けるように、都としてきちんと整備することを強く求めておきます。

○たぞえ委員長 委員に申し上げます。大山委員の発言中でありますので、質疑に影響のあるような発言は極力控えてください。

○大山委員 次の質問に移ります。障害児学校のことです。
 まず、重度重複学級です。
 障害児学校の重度重複学級の設置については、前回の文教委員会でも請願陳情の審査がありました。
 また、さきの一般質問では、我が党の委員が、重度重複学級の設置が実態とかけ離れていることが大きな問題だということで、障害の程度が重度の児童生徒は、肢体不自由と知的養護学校合わせて二千八百五十九人いますけれども、職員配置が厚い重度重複学級に在籍できているのは千四百八十二人、約半分の子どもたちしか重度重複学級には在籍できていない。重度重複学級は実態との乖離を直視して、教室不足の改善とともに、当面は教員の配置を先行させることを求めました。
 教育長は、その質問に対して、重度の障害がありましても、普通学級での方が教育効果が上がると考えられる場合は、普通学級に在籍させておりますと答弁しています。
 しかし、実際に普通学級の方が教育効果が上がるという児童生徒は、肢体不自由学校五百四十三人、知的障害の養護学校八百三十四人のうち、何人いるのですか。それはどのように判断されるんですか。

○荒屋参事 重度の障害があっても、基本的に普通学級において教育効果が上がると考えられる児童生徒は、普通学級に在籍しております。例えば肢体不自由養護学校の重度重複の児童生徒であっても、コミュニケーション能力がある場合、他の障害の状態が重度重複の程度であっても、普通学級で能力に応じた指導を受けることになります。
 また、ダウン症の児童生徒で知的障害が重度であっても、普通学級の集団の中でより一層の成長と発達を期待できる場合、普通学級で能力に応じた指導を受けることとなります。
 また、判断についてでございますが、事前相談を踏まえまして、児童生徒の障害の状況、程度、発達の状態等につきまして、都教育委員会が社会性の発達や日常の基本的生活の自立の程度を総合的に見て、判断しております。

○大山委員 この間の委員会でも、重度の認定というのは、総合的に重度ですということを認定するんですという答弁がありました。ですから、それは総合的に重度なのだという子どもたちの人数だということで間違いないですねということは確認しました。それにもかかわらず、結局、今答弁したのは、本会議での答弁を繰り返したといいますか、同じことを答弁したわけですね。
 それについて、一体だれが判断するんですか。

○荒屋参事 先ほども述べましたが、事前相談を踏まえまして、児童生徒の障害の状況、程度、発達の状態等について、都教育委員会が、社会性の発達や日常の基本的生活の自立の程度を総合的に見て判断しております。

○大山委員 都教委が判断をするんだということですね。肢体不自由、知的合わせて半数の子どもたちが重度でありながら、重度重複ではない普通学級に在籍しているわけですね。今説明があったのは、結局、今約半数の肢体不自由の五百四十三人、知的障害の八百三十四人は、みんな、重度重複学級よりも生活集団も大きいし、教員の配置も少ない普通学級の方が教育効果が上がる子どもたちなんだという答弁なわけですね。
 ちょっと考えたって、総合的に重度ですというふうに判断している重度の子が、より人手、教員の人数も少ない普通学級の方がいいんです、重度だというふうにいわれている半分の子どもたちが、そういう重度重複学級ではない方がいいんだ、これはちょっと考えられないというか、とんでもないことだと思っています。
 しかも、重度の児童生徒は、十一年度と比べて、肢体不自由学校でもふえて、それから知的養護学校では一・二倍になっているんですね。それであるにもかかわらず、重度重複学級は、肢体不自由学校では十一年度も二百五学級、知的養護ではわずか一学級ふえただけですね。
 例えば、百歩譲って、障害の状況、程度、発達の状況等について総合的に判断しというふうにおっしゃるんだったら、毎年重度重複学級に在籍する子どもたちの数が変化しても当然じゃないかというふうに考えられるわけですね。十二年度から十七年度の重度重複学級は変化があるんですか。

○荒屋参事 知的障害養護学校につきましては、平成十二年度は三百十六学級であり、十三年度から十七年度は三百十八学級でございます。肢体不自由児養護学校につきましては、十二年度から十七年度については二百五学級でございます。

○大山委員 結局、十二年度で一学級は減ったけれども、あとは現在の学級数と同じ、変わらないというわけですよね。結局、障害の状況、程度、発達の状況等について総合的に判断しというのは、重度重複の学級数に子どもたちを合わせているということではないですか。
 実態を把握している東京都心身障害教育学校PTA連合会重点要望に、実態に即した重度重複学級の認定と教員定数の見直し、これが重点要望として毎年のように載っています。そのほかにも、各学校からの、例えば八王子東養護学校は、重度重複児童生徒の教育に欠かせない十分な専門性、人員、重度重複学級を実態に即して増設し、教員を増員してくださいというのが一番目ですよ。武蔵台養護学校のPTAだって、スクールバスの次のところに、児童生徒の実態に合わせて重度重複学級の認定、増設ですよ。矢口養護だって一番の要望です。港養護もそうです。あきる野養護もそうです。重度重複学級の実態に即した設置、要望数だけでもこんなにあるわけですね。
 ですから、学級の数に児童生徒を合わせるのではなくて、子どもたちの実態に学級の設置と教員の配置を合わせるようにしてほしいということを強く求めておきます。
 教室不足についてですけれども、障害児学校の教室不足も深刻なわけですね。一般質問の答弁では、今年度は学校の改修工事等を行い、必要な教室数を確保しております、今後も教室を確保するための環境整備に努めてまいりますという積極的な答弁があったわけですけれども、肢体不自由学校は十一年度も十四校です。十九年度も十四校です。学校はふえていません。知的養護学校は、二十九校二分校から三十三校一分校にふえました。しかし、児童生徒数は一・四倍以上になっています。
 教室不足の数を確認しておきたいんですけれども、十八年度は、知的養護、肢体不自由合わせて五百八十一教室、十四年度は四百七十三教室、これでいいですか。

○荒屋参事 ご指摘の数は、普通教室への転用教室数、教室等の間仕切りにより普通教室として利用している数を合わせた数でございます。
 なお、各年度、年度当初までに必要な改修工事等を行い、必要な普通教室については確保しております。

○大山委員 いかにも普通教室を確保しているようないい方ですけれども、ごまかさないでくださいというのが率直なところですよ。私だって、何校かの養護学校に行きました。行っていますよ。そして話も聞きました。さっきの答弁の転用教室といえば、特別教室を、図書室を変えちゃった学校もあるし、美術室とか家庭科室とかを変えたところもあるし、準備室まで転用しなかったら、教室が足りなくて、結局窓が、こんな小さな窓しかないというところまでもありますよ。間仕切りといえば聞こえがいいですけど、結局カーテンで仕切ったり、板で仮設の壁をつくったり、一つの教室を二つに分けたり、三つに分けたりして使っているわけですよ。カーテンで仕切った、とにかく隣の声だって筒抜けなわけですね。教育の場としての最低限の条件整備さえも怠っているということじゃないでしょうか。
 それらをきちんと普通の教室で確保しようと思えば、また特別教室もきちんと使えるようにするには、十四年度は四百七十三教室が必要だったわけですね。しかし、十八年度は五百八十一教室必要だということです。教室不足も年々ふえています。五百八十一教室というこの数は、小中高、島部合わせて、一つの学校が四十人学級としても、単純に計算しても、十四校から十五校必要な教室不足だということなんですよ。
 養護学校の教室不足について、本会議の答弁で、この十年、知的障害養護学校に入学する児童生徒が急激に増加する中、これに対応して必要な教育環境の整備を図ることは極めて重要だというふうに認めた上で、都教育委員会では、東京都特別支援教育推進計画に基づいて、今年度、田園調布養護学校を新設、葛飾養護学校外九校で校舎増設、改修の工事に着手した。今後さらに、青梅東学園養護学校、仮称でございますが、外四校を新設する予定であることを答弁しています。
 田園調布養護学校は、大田ろう学校を廃校にして設置するわけですね。品川地区養護学校、江東地区養護学校は--南多摩地区学園養護学校は、知肢併置校から分離した南大沢養護学校の中度、重度の児童生徒を多摩養護に異動させて、再び知肢併置校にするというもので、これも矛盾が大きいことは今までの委員会でも指摘してきたことです。青梅東学園養護学校は、青梅東高校の廃校を待っての設置です。皆、統廃合と抱き合わせの新設です。さっき、高校の統廃合のことをいいましたけれども、高校生もそうやって追い詰められる。そして、ここは廃校を待って新設をするということなんですね。
 ろう学校の一年生が遠い道のりを通うというのも大きな問題になりました。都立学校に行きたい生徒から学習する権利を奪う。それにしても、何年度に何校が開校できて、教室不足はどれくらい解消するのかというのを確認しておきたいんです。

○荒屋参事 東京都特別支援教育推進計画に基づき設計が終了している学校の増設教室数は、新設校で、平成十八年度開校の田園調布養護学校が二十二教室、平成十九年度開校予定の永福学園養護学校の知的障害教育部門が三十教室、普通教室確保対策で平成十八、十九、二十年度供用開始の予定の学校で七十七教室、合計百二十九教室でございます。
 そのほかの学校につきましては、今後教室数等も含めて設計を行っていくところでございます。

○大山委員 五百八十一教室の不足のうち、百二十九教室しか二十年度までの計画でも増設できないわけですね。しかも、十六年度に出された特別支援教育推進計画では、養護学校在籍者数の推計が載っています。十八年度は知的養護で推計人数は五千四百二十一人ですけれども、実際は五千五百十九人で、百人近く多い人数が知的養護学校に通っているわけです。
 まだまだ教室不足は解消しないわけです。重度重複学級を実態に合わせて設置するためにも、教室をふやす必要があります。ですから、さらに教室が必要になるということですけれども、どうですか。

○荒屋参事 東京都教育委員会では、この十年の養護学校の入学児童生徒の急激な増加という状況も十分に踏まえまして、既に平成十六年から二十五年の十年間を計画期間とする東京都特別支援教育推進計画を策定し、これに沿って養護学校六校の新設のほか、増築、改修工事を着実に準備、実施しているところであり、今後とも養護学校の環境改善を図ってまいります。

○大山委員 私も、さっきからこの十六年度に出された特別支援教育推進計画をもとに話しいるわけですよ。現状の教室不足に対して、計画では間に合わないですねというふうにいっているわけです。だって、五百八十一教室不足しているのに、二十年度までにはその不足教室の約二割程度しか増設、それから新設できないということですよね。しかも、重度の児童生徒のうち、重度重複学級に在籍できている子どもは約半数です。ですから、実態に合わせて、重度重複学級だって、設置するためにはさらに教室も必要だということですね。
 この特別支援教育推進計画は、十九年度までの実施計画というか、数が載っているのは十九年度までですね。現状に沿って次の数の計画をつくると思うのですけれども、学校の新設計画を抜本的にふやすことが求められていると思いますが、どうですか。

○荒屋参事 東京都特別支援教育推進計画の基本的な考え方として、知的障害養護学校における児童生徒の増加への対応は重要な課題としており、今後の実施計画におきましても、この考え方に基づき策定することとしております。

○大山委員 児童生徒の増加への対応が重要だということだったら、やはり抜本的に学校を増設することなんですよ。そうしなければ解決しないということは明らかですし、現在の学校に増築だとかで無理やりやろうとすれば、校庭をさらに狭くせざるを得ない、教育環境を悪くすることにもなるわけです。
 さらに、学校を増設することによって、学校を小さくすることができますから、余りにも長時間のスクールバスの乗車時間も短縮することができるわけです。ですから、抜本的に次の計画には増設、新設、学校自体をふやすということをきちんと位置づけてやっていただきたいと要望しておきます。
 学力テストの問題です。
 一斉学力テストの実施と公表について、都教委は、児童生徒の学力の実態を明らかすることによって、それぞれの教師が授業を改善し、生徒の学力の向上を図ることにあるというふうにいっています。
 東京都全体の学力水準の維持向上を図るために、区市町村の調査結果を公表しているというわけですね。今後も児童生徒の学力の実態を明らかにして、区市町村や学校の取り組みへの具体的な支援を行うために学力調査を実施して、その結果を公表することで、学力のより一層の向上を図ってまいりますというふうに答弁しています。
 しかし、こうやって都教委が、全都一斉学力テストの実施、そして公表することによって、子どもたちがどうなっているのかということを直視することが重要だと思っています。
 ある区の教育委員会が発行している教職員用の研究資料に、学力向上を実現するためにということで、ある中学校の取り組みを紹介しています。目標はその区の平均を上回る。取り組みは類似問題を作成し、授業で実施。昨年の問題に取り組む。冬休み明けテスト。これをお手本として取り上げると書かれています。これでは本当の学力向上ではなくて、テスト対策としか思えないんですけれども、都教委はどう考えますか。

○岩佐指導部長 今ご指摘いただきました情報だけでは、その学校の学力向上への取り組みの全体像が見えないので、コメントすることは困難なんですが、現在、今ご指摘の区も含めまして、各学校におきましては、調査結果に基づいた授業改善推進プランを作成いたしまして、指導の目標を設定し、授業改善に取り組み、学習の成果の確認のためのテストを行うなど、学力向上の取り組みに努めているところでございます。

○大山委員 全体像が見えないというふうにおっしゃるわけですけれども、区教委が率先して類似問題、昨年の問題に取り組む、その目標が自分の区の平均点を上回る。ですから、テスト対策としか考えられないのじゃないんでしょうか。
 例えば、前回三十何位だった学校が今回一位になったところがありますけれども、その学校では一カ月前から予想問題のプリントを何度もやらせた。これでは、平均点は上がっても、理解が深まるわけでもなく、本当の学力がついたということはいいがたいのではないかと思うんですが、どうですか。

○岩佐指導部長 ただいまのお話につきましても、学校の学力向上の取り組みの全体像が見えないので、具体的なコメントはできませんけれども、各学校は、調査結果に基づきまして、学習指導上の課題を明らかにいたしまして、その改善策を授業改善推進プランに明示し、継続的に学力向上に取り組んでおります。
 こうした計画的な取り組みによりまして、単なる知識の量だけではなく、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力までも含めた確かな学力が身についてまいります。

○大山委員 ちゃんと事実を把握しなきゃいけないと思うんですよね。この学校では、学力テストが終わった途端に、プリント演習はなくなり、宿題もなくなったというんですね。テストの点数は確かに上がるんでしょうけれども、本当の学力がついたとはいいがたいのではないかといわざるを得ません。
 さらに、子どもたちの関係です。クラスメートに、おまえがいると学力テストの成績が下がる、当日は学校を休めといわれたというふうに教員に訴えてきた児童がいます。一斉学力テストの実施と公表が子どもたちの関係をゆがめているあらわれだと思わないでしょうか。

○岩佐指導部長 学力向上を図るための調査は、児童生徒の生きる力の知的側面である確かな学力を図るために調査しているものでございまして、すべての学校において授業改善推進プランを作成し、授業改善の取り組みが進んでいるなどの成果を上げております。
 結果の公表につきましては、児童生徒一人一人の学力の実態を明らかにしまして、都教育委員会が区市町村や学校の取り組みへの具体的な支援を行うものであり、今後も公表を継続してまいります。
 都の教育委員会におきましては、知的側面だけではなく、思いやりや規範意識等の育成も大事な課題と考えておりまして、道徳教育あるいは特別活動等の教育を通しまして、思いやりや規範意識を持った子どもの育成に、あわせて努めているところでございます。

○大山委員 どうして子どもたちの姿を率直に直視しようとしないんですか。今まで例示したことは、実際に小学校や中学校で起きていることなんですよ。一つの学校だけで起きている特殊なことではないんです。知的側面だけではなく、思いやりや規範意識を持った子どもの育成に合わせて努力しているといいますけれども、学力テストの実施と公表で子どもたち同士が傷つけ合ったり、友達と分断しているのは都教委なんですよ。子どもに問題があるのじゃなくて、都教委のやり方に問題があるんです。
 学力テストの成績で、実は学校運営費にまで差をつけようとした区まで出てきました。来年度の予算案で、従来は学級数などを基礎に配分してきた教材費などの学校運営費を厳しく精査して、圧縮して、特色ある学校づくり予算の増額分に振り分けること。その金額というのは、東京都とその区が実施している学力テストの結果に基づいて、学校をAからDの四段階のランクづけで決定されるというものでした。
 しかし、この案が明らかになりますと、多くの学校とか区民から抗議の声が上がって、全国紙でも報道されて、抗議が殺到したわけです。批判が集中しました。区民の願いは非常に健全だと私は思います。どの子にも、どこにいても同じ教育を受けられること、学力テストで学校の予算に差を持ち込むこと、子どもたちに格差をつけられることを区民が許さなかったということなんですね。
 都教委がやってきたことが、ここまで教育行政をゆがめてしまったといえるのじゃないんですか。

○岩佐指導部長 お話の区の件につきましては、背景等詳しく存じ上げておりませんので、コメントできませんが、先ほど申し上げましたように、都教育委員会におきましては、授業改善推進プランをもとにした児童生徒の学力向上を図るために調査を実施し、結果を公表していきたいと考えております。

○大山委員 都教委が、こうやって一斉学力テストを実施して公表してランクをつけてやっていく方針、選別する方針が、区教委まで影響しているということなんですよ。背景は知りませんがといいますが、きちんとどうなったのかということも含めて、みずからを反省する意味でもきちんと調べてもらいたいと思います。
 しかも、ことしの五年生と中学二年生は、全都一斉学力テストで、今までの学力テストに加えて、ことしは問題解決能力を図るテスト、一遍に二つ実施されましたね。さらに、その子たち、今度六年生と中学三年生になって、四月に早速国の全国一斉学力テストを受けるということになるわけですね。まさに、テストづけ。
 しかも、国の一斉学力テストというのは、四月二十四日に小学六年生と中学三年生を対象に行われるわけですけれども、委託先のベネッセコーポレーションとNTTデータが採点、集計を行い、こうした企業に個人情報が流れる危険性が二月二十一日の衆議院の文部科学委員会で明らかになりました。学力テストには、国語と算数、数学の学力調査のほかに、児童生徒質問というのがあって、一週間に何日学習塾に通っていますかとか、学習塾でどのような内容の勉強をしていますかなどを、学校名、個人名を明記して答えさせます。ベネッセは、進研ゼミを授業の一つにした受験産業、NTTデータは、旺文社と一緒になってテスト開発を行っている企業と連携しています。これらの情報は受験産業が欲しくてたまらない情報です。
 また、昨年実施した予備調査では、学校への質問肢もありました。不登校、生活保護世帯の児童の割合、校長の裁量経費があるかなど、学力テストとは関係のないことまで聞いています。このことは、個人情報を受験産業と国が握るということになって、重大な問題だと考えますが、どう考えていますか。

○岩佐指導部長 国は、今回の調査におきまして、委託先との契約書において、機密保持や個人情報の取り扱いについて、遵守事項を明示するなど、個人情報の保護の観点からも十分検討し、実施すると聞いております。

○大山委員 受験産業にとっては、本当にのどから手が出るほど欲しい情報ですよね。大問題だと思っています。
 今のような問題があるわけです。一斉学力テストは国に中止を要求することが必要です。どうですか。

○岩佐指導部長 国の調査は、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力、学習状況を把握、分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ることを目的として行うものでございます。
 東京都の各学校がこの調査を実施することによりまして、みずからの学校の教育の成果と課題を把握し、その改善を図ることができると考え、調査の実施、活用に向けて準備をしているところでございます。

○大山委員 学習水準の維持向上や学習状況の把握、それから課題を把握するということだったら、一斉に全員にやる必要はないというのは検証済みのことです。既に問題が明らかになっているにもかかわらず実施するというのは問題だと指摘せざるを得ません。せめて、学力テストへの参加不参加は、児童生徒、学校の判断に任せることや、たとえ参加するにしても、個人名を書かせないことを認めるべきです。
 また、公表によって教育がゆがめられていることを直視するなら、全国一斉学力テスト、都教委がやっていることもそうですけれども、公表するべきではないということを要望しておきます。
 三十人学級、少人数学級についてです。
 この間、都立高校の統廃合の問題、それから障害児学校の教育条件の整備の問題、それから今の学力テストの問題を述べてきましたけれども、子どもたちの教育条件を整えることが東京都、都教委の役割です。一人一人の子どもたちに行き届いた教育を求める国民の世論に押されて、少人数学級が全国の自治体に広がり、実施していないのは十八年度からは東京都だけという状況になりました。
 早く導入した県は六年が経過しました。多くの県が、年々対象学年など実施規模を拡大しています。私たちは、二〇〇五年度に全国の道府県の実施状況の調査を行いましたけれども、全国的には少人数学級が定着しつつある現在、この時点に立って全国の道府県の実施状況や効果について改めて調査を行いました。
 調査の結果で特徴的なことは、実施した効果として、一人一人の活動の場が増し、お互いのよさを認め合い、自信をつけてきた生徒がふえた、これは青森ですね。学級が落ちついており、子どもがいろいろな活動に集中して取り組んでいる、これは山梨ですが、安定した人間関係の中で、生き生きと学校生活を送っている様子が挙げられていることです。欠席日数や不登校の減少、トラブルとか問題行動の減少も多くの県で挙げています。
 学習面でも、児童生徒の学習意欲が高まり学力向上につながったという愛媛県、広島県は、授業でつまずく児童が減ったというふうに、よい効果が生まれています。
 そして、多くの県がその効果を認めて、事情が許せば三年生以上にも導入したいというのが新潟。それから、三十五人学級編制による成果により、三十人学級編制への拡大を望む声があるという沖縄。このように、少人数学級の継続はもちろん、拡大を検討しているということも全国の大きな特徴です。
 今回の調査を踏まえて、一般質問で、都でも直ちに少人数学級に踏み出すこと、それから、少なくとも全国の実践例を研究し、検討することを求めました。しかし、本会議の答弁は、切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級規模には一定規模が必要だと、四十人学級に固執する従来の答弁を繰り返しましたが、今回の全国の調査、いかに都教委のこの考え方が古い、進歩のないものかということがますます明らかになりました。
 今回の調査結果をもとに質問をします。今回の調査も四十六道府県すべてが回答してくれました。少人数学級の実施時期は、二〇〇三年度までに二十六県、五五%が実施しています。二〇〇四年度には文科省が少人数授業のための加配教員の少人数学級へ振りかえを認めたこともあって、さらに流れが加速して、四十県、八六%になりました。そして、二〇〇六年度からは東京を除く四十六県ということですね。
 少人数学級を実施した効果について、総合的な効果はどうですかということと、学習面、生活面、それぞれで効果を聞きました。総合的な効果として、例えば四十人学級編制に比べ、きめ細かな指導が可能になったため、学習習慣、生活習慣の定着が早まった。学習面及び生活面でつまずいている児童への対応が早急に行える。児童一人一人の活躍の場が増し、互いのよさを認め合い、自信をつけてきた児童がふえた。指導及び教師にさまざまな面でゆとりができ、基本的生活習慣及び学習習慣の確立に効果があらわれている。これらは重要な効果だと思うのですけれども、どうですか。

○岩佐指導部長 今のお話の内容は、学校の教育活動の効果に関する断片的な情報かと思いますが、都の教育委員会では、これまで少人数指導の充実を図ることによりまして、一人一人にきめ細かな指導を行うことができ、多くの児童生徒が意欲的に学習に取り組むことができるなどの成果を上げてきたところでございます。
 また、複数の教員が協力して、学習集団の編成や指導計画の立案、教材の作成等を行うことから、相互に研修し合う機会がふえ、指導力を高めることができるとか、あるいは学級や学年の枠を超えた指導体制を整えられることから、学習のおくれがちな児童生徒への指導や不登校などの問題を担任が一人で抱え込まず、組織的に対応できるなどの成果を上げてまいりました。
 今後とも少人数指導の充実に努めてまいります。

○大山委員 複数の人が担任するというのは、これは重要なことですよ。しかし、その生活集団自体、学習集団自体を一緒に小さくした方が、こういうより効果が上がっているんですということが全国の調査で明らかになっているわけですね。
 例えば、学習面での効果はどうですかと聞きました。一人一人への指導の時間を確保することができ、児童の学習意欲が高まった。授業中児童の発言や活動の機会が多くとれることも学習意欲につながっている。つまずく児童や配慮が必要な児童に対応する時間がとれるようになったという回答に象徴されるのですけれども、多くの県が、一人一人の児童生徒を把握し、きめ細かい指導を行うことが可能になったこと。発言や活動の機会がふえたこと。これらにより学習意欲の向上につながっていること。つまずいている児童生徒への対応を通して学力の底上げが図られている。これを多くの県が挙げています。
 競争や選別ではなくて、一人一人に力をつけることができるということが重要だと思いますけれども、どうですか。

○岩佐指導部長 東京都教育委員会におきましては、学力向上を図る調査等を踏まえまして、また少人数指導の充実を図ることによりまして、一人一人の児童生徒の学力向上を図ることに努めているところでございます。

○大山委員 他県が実際に少人数学級をもう実施しているわけですよ。そこで、こういう効果がありましたよということが報告されているわけですよね。東京都は少人数学級はやっていないわけですよね。ですから、わからないわけですよ。
 じゃ、いつも都教委がいっている生活集団は四十人がいいんだということについてはどうなんでしょうかということですが、生活面での効果、これも聞きました。どういうふうに答えているかというと、明るく伸び伸びした様子で生活している。学級が落ちついており、子どもがいろいろな活動に集中して取り組んでいる。友達を思いやり、みんなで協力している。生徒に精神的なゆとりが生まれ、落ちついた生活態度が見られるようになった。自己をアピールする場がふえたことで、周囲から認められ、頼られることを実感でき、自己を大切にする態度の育成に効果が大きいなど自己肯定感が増して、安定した人間関係の中で生き生きと活動している。こういう状況が多くの県から報告されています。
 十の県が、不登校の減少、それから子ども同士のトラブル、問題行動の減少などの数値的な効果も挙げてくれました。生活集団は、四十人学級が都教委はいいというふうにいっているわけですけれども、生活集団を小さくすることが子どもたちにとってとてもよい効果があることを実践から学ぶべきだと思いますが、どうですか。

○岩佐指導部長 子どもたちに社会性をはぐくむためには、学級には一定の規模が必要でございまして、四十人学級の中でその社会性をはぐくむことが大切でございます。
 その中で、自己肯定感等を子どもに得させるような教育活動というものは、特別活動であるとか学級経営であるとか、さまざまな場面で、それぞれの学校において取り組んでいるところでございます。

○大山委員 どうしてそこまで四十人学級に固執するのかというのがわからないわけですね。例えば、保護者、生徒の意見はどうですかと聞いてみました。九割以上の保護者、生徒が成果を感じ歓迎している。七〇%を超える保護者が三十五人以下学級の編制及び本事業の継続を希望している。保護者は歓迎しており、本県ではすべての学年で学級編制の弾力化を実施してほしいという要望が多い。児童生徒は少人数学級を喜んでいるなど、少人数学級を歓迎して、継続、拡大が要望されている、これが挙げられています。
 実施した効果としても、保護者も子ども一人一人をよく見てもらえるとか、生活ノートを丁寧に見てもらえる。テストなどがすぐ返ってきて、間違いなどもすぐ確認できる。一人一人の子どもに手がかけられていると感ずる。こういうふうに一人一人の子どもに手をかけてもらっていると感じている、こういう回答が多いわけですね。
 その結果、担任への信頼、学校評価の高まり、そして保護者の学校に対する協力体制の高まりも見られたり、担任と保護者のコミュニケーションの機会がふえて、関係が円滑になったなど学校への信頼が増し、協力を得やすくなっている様子が挙げられているわけです。これは、信頼を得る大きな条件整備の一つだということがいえるわけです。
 問題点や課題、それへの対応というのもちゃんと聞きました。どういうことが問題になったといっているといえば、定数事情が許せば三年生以上にも導入したいのだけれども、無理だ、それが悩みなんだ、課題なんだといっているわけですよね。そのほかにも実施を拡大したいけれども、財政的に厳しいことが多くの県から挙げられているわけですよ。
 財政がほかの県は厳しいけれども、やはりきちんと少人数学級をやっている、そしてやっていたらもっと拡大したいというのが各県の状況なんだということなんですね。それで、友達関係が固定化したり、多人数学級に適用できるのかということが心配だけれども、同学年や二学年の学級と姉妹学級などの場を通じて交流を深めることで解消するなど工夫している。そういう対応をしているんですということなんですね。
 一クラスの人数についてですけれども、もちろん学級規模の基準が低くなれば、人数の少ない学級がふえます。これは当然の話ですね。小学校全学年で実施している五県の一クラスの学級規模の分布のピークは、三十八人学級の千葉を除いて、二十六人から三十五人に集中しています。中学でもそうです。
 しかし、東京都は、四十一人以上の学級は二十七学級なんですね。教育条件の格差というのは歴然としているわけです。都教委も、四十人がいいのだといっているのに、四十一人以上の学級が多県に比べても多いわけですよね。これは学校の数が多いからだというふうにいうかもしれませんけれども、その子どもたちは教育条件の格差は歴然としているといえるんじゃないでしょうか。

○山川学務部長 教育委員会におきましては、区市町村教育委員会からの協議に基づき、四十人を上限とする学級編制基準に従いまして、適切に学級編制の同意を行っているところでございます。
 なお、学級編制基準日以降、児童生徒の転出入により学級の在籍児童生徒数に変動が生じることは、全国共通の課題でございます。
 格差は歴然としているとのことでございますが、他の府県と比較いたしまして、小中学校の数も格段に多い東京の事情を踏まえれば、ご指摘のような学級数が他県よりも多くなることは当然と考えております。

○大山委員 四十人にしているから四十一人以上の学級がふえちゃうわけですね。その一クラスの人数を減らせば小さくなるわけですから、きちんと人数を減らしていくことが、大多数のクラスを少なくしていく道につながるわけですね。
 本当に部分的にしか紹介できませんでしたけれども、きちんとまとまったら全県の調査をお渡ししますので、ぜひ参考にしてもらいたいと思いますが、どうですか。

○山川学務部長 拝見をさせていただきます。

○大山委員 東京都だけがとにかく四十人学級に固執しているわけですから、少人数学級を実施している実践の成果、それから経験をきちんと学んでいただきたいと思います。ぜひごらんください。
 最後にスポーツですけれども、スポーツ振興課を今度生活文化局に移管するということなんですね。このきっかけとその理由は何ですか。

○石原参事 昨年八月、東京都が二〇一六年オリンピックの国内立候補都市に決定いたしまして、全庁挙げて招致活動に取り組むこととなりました。
 東京オリンピック招致を見据え、スポーツ振興のための執行体制をより一層強化するため、教育庁のスポーツ事業を生活文化局へ移管することとされたものでございます。

○大山委員 オリンピック招致を見据え、全庁挙げて招致活動に取り組むのだから、そういう体制をつくるんだということですけれども、都のスポーツ振興の大きな役割というのは、スポーツをしたいという、都民だれもが、障害者もそうですし、高齢者もそうだし、子どもも大人もスポーツを楽しむ権利、スポーツをする権利をだれにも保障すること、それが東京都としてのスポーツ振興の大きな役割だということは変わりがないと思うんですね。
 そのスポーツ振興が、オリンピック招致を錦の御旗にして、すべての都民にスポーツを保障することから、勝てる選手養成に力点を移すような流れをつくるということがあってはならないと思うんです。もちろん、競技力を向上させるということは必要なことです。ですから、すべての人たち、都民にきちんと権利としてのスポーツを保障することをおろそかにしてはならないということはきちんと押さえておかなきゃいけないことだと思うんですね。
 スポーツ振興が知事部局に移管されますと、社会教育としてのスポーツというのはどうなるんですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 社会教育法では、社会教育を、主として青少年及び成人に対して行われる体育及びレクリエーション活動を含む組織的な教育活動と定義し、必要な環境を醸成するよう、国及び地方公共団体の任務を定めております。
 都教育委員会では、これまで、社会教育法の趣旨等も踏まえて、都民体育大会を初め各種大会の開催、地域スポーツクラブ設立支援など各種事業の実施、都立体育施設の設置運営などを行ってまいりましたが、生活文化スポーツ局移管後も、引き続き幅広い都民を対象としてスポーツの振興に努めてまいります。

○大山委員 社会教育というのが教育庁にある大きな柱なわけですよね。その社会教育の中のスポーツなわけですけれども、社会教育分野での担う人材としては、社会教育主事がいるわけですね。社会教育主事が、その専門性を生かして、スポーツ、レクリエーションを含めて都民との関係、他区市町村との関係などを調整したり、企画したりしてきたわけですけれども、この社会教育分野での社会教育主事の役割としての区市町村教育委員会との連携や調整、これについては重要だと思うのですけれども、どうなるんでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 ただいまもご答弁いたしましたとおり、移管後も、これまで都教育委員会が実施してまいりました幅広い都民を対象としたスポーツ振興をさらに発展、充実させていくわけですけれども、社会教育主事が培ってまいりましたノウハウや経験、また区市町村教育委員会や関係団体との連携関係等は、今後も引き続き重要であると考えております。

○大山委員 社会教育法で社会教育主事を置くということになっているわけですから、知事部局に行ったら置くことはできないわけですね。それで併任だということになるのでしょうけれども、知事部局にこの社会教育の分野を無理やり移管するということになってしまうわけです。社会教育としてのスポーツ振興は充実させていかなきゃいけない分野ですから、教育庁としても、併任だというのだったら、生活文化局と一緒に、社会教育の分野でも責任を今後もきちんと果たせるように努力をしていっていただきたいという要望を述べて、おしまいにします。

○初鹿委員 私からは、来年度、平成十九年度からすべての都立高等学校で必修となります教科「奉仕」について、何点か質問させていただきます。
 奉仕--奉仕活動、またボランティアでしょうか、そういうものを学校教育の中で取り入れた方がいいという話が出てきたのが、大体森総理のころだったと思います。森総理の私的諮問機関の教育改革国民会議の中で義務化というのが検討されたようですけれども、その際には、義務というような強制ではどうなのかとか、自発的でないと意味がないなどいろんな議論があって、その中では取り入れられなかったということを記憶しております。
 最近になりまして、また、安倍総理が自分の著書の「美しい国」ですか、その中で、最初は強制でも、若者に機会を与えることには意味があるというように書いてありましたし、また最近の教育再生会議の中でも、この必修化が明記されるような動きになっているということが今の国の状況だと思います。
 そういう状況の中で、都は先駆けて「奉仕」という教科を必修化するということです。奉仕という言葉が、ボランティアではないから奉仕ということになったのでしょうが、多少やはり違和感を私は感じるんですよね。辞書を引きますと、国家、社会、目上の者などに利害を考えずに尽くすこと、これは三省堂の大辞林なんですが、そういうふうになっていて、若干違和感を感じます。しかし、こういう社会貢献的なことを学校の中で取り入れていくということは、子どもたちの発達とかそういうことを考えたときには必要なのだろうとは思うんですね。
 そういうことを考えますと、今回この必修化をすることによって、どういう結果、どういう効果があるのかというのは非常に興味深く思っているんですが、最初にまずお伺いさせていただくのは、来年度から都立の高等学校で全校でこの教科「奉仕」を必修するわけですが、どのようなことをねらいとして実施するのかを確認させていただきます。

○岩佐指導部長 現在の高校生は、思いやりの心や規範意識を身につける機会が十分でなく、社会と積極的にかかわり、人間関係を構築しようとする意欲、態度が十分育成されていないという指摘がございます。
 このため、生徒に思いやりの心や社会の一員としての自覚を身につけさせることなどをねらいといたしまして、平成十九年度から教科「奉仕」を必修化いたしました。
 今後、教科「奉仕」を通しまして、生徒が奉仕の理念や意義を学び、実体験を通して成就感や達成感を味わい、生涯にわたって社会に貢献することができる資質を高めてまいります。

○初鹿委員 若干、今の子どもたちが本当にそうなのかというのが十分に検証されているかどうか疑問に思うところもあるんですが、一般的な印象として、今の子どもたちは規範意識が欠けているように感じていたり、思いやりがなくなっているように感じているということが、皆さんが普通に感じていることなのだろうと思いますが、実際のところどうなんでしょうか。私は必ずしもそうではないんじゃないかなと思うんです。
 しかし、こういう活動をすることによって、公共心が芽生えていったり、また自分のこれからの進路について考えることになったりするという面では、うまくこの教科を利用して活用していくことは必要なんだと思います。
 その上で、改めて聞かせていただきますけれども、あえて学習指導要領を超えて、「奉仕」という教科をつくったわけですよね。そういうことでしたら、学習指導要領の課程とは別に、学校設定の教科・科目として「奉仕」という科目をつくるべきだと思うんですね。ところが、ことしの一月の十一日に公表されました平成十九年度都立高等学校における教科「奉仕」の授業計画についてを見ますと、学校設定教科・科目で実施する学校は百四十四校の五一%で、学習指導要領の中に位置づけられている総合的な学習の時間で代替をする学校が百二十八校で四五・四%と、半々なわけですよ。
 やはり本来学習指導要領とは別に必修でやるということで決めたわけですから、学習指導要領で決まっていることはきちんとそれはそれでやるべきだし、皆さん方東京都の教育委員会として新たにこれを必修にしたということですから、それはそれで別にやるべきだと思うんですね。
 これを代替をするというのは余り適切ではないのじゃないかと思うんですが、この件についてはいかがでしょうか。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、教科「奉仕」につきまして、今年度学校設定教科・科目として位置づけるよう基準を各学校に示したところでございます。しかしながら、高等学校学習指導要領で、総合的な学習の時間の学習活動に自然体験やボランティア活動、就業体験などの社会体験を積極的に取り入れるよう配慮事項が示されております。
 こうしたことから、既に総合的な学習の時間でボランティア活動を実施している学校も多く、これらの実践を生かした教育課程が編成できるようにするため、総合的な学習の時間で教科「奉仕」のねらいが達成できる内容を扱う場合につきましては、その代替を認めているところでございます。

○初鹿委員 今のお話を聞くと、それだったら全部総合的な学習の時間で対応できるのじゃないかとも思うんですが、あえてこうやって必修化ということで、総合的な学習の時間とは別にやれるような仕組みをつくったんですから、それはそのような形ですべての学校が取り組むべきだと私は思います。
 その上で質問させていただきますが、この「奉仕」という教科はもともとなかったわけですから、これをどういう授業をするかというのは非常に重要なんだと思います。となると、教える教員の資質というか力量というものが非常に試されるのではないかと思います。大体、高校生ぐらいになると、みんな自我が出てくるので、特に進学校なんかに行きますと、私も都立高校の出身ですが、つまらない授業、受験に関係のない授業だと、授業を聞かないで、自分のやりたい内職をしたりするのが大体の学校で行われていると思うんですね。そういうことにならないように、生徒がやはりこの「奉仕」という教科に関心を持って積極的に取り組めるようにして、まさに奉仕といいながらも、自発的にこの教科に進んで取り組めるような中身にしていくことがやはり必要なんだと思います。
 その点では、先ほどもいいましたが、担当教員の力量というのは非常に重要だと思います。先生の力によって教育効果も大きく変わるでしょうし、「奉仕」という科目が成功するかどうかも変わってくると思います。
 そこで伺いますが、平成十九年度の「奉仕」必修化に向け、これまで、教員の教科「奉仕」の指導力を高めるためにどのような研修を行ってきたのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、今年度、「奉仕」の目標、内容についての理解を深め、実践事例等について学ぶとともに、校内における授業実践の中心となる教員を養成するために、各課程一名、合計三百名を対象に、三日間の「奉仕」推進者養成研修を実施いたしました。また各学校の「奉仕」推進者が授業で使用するテキストを活用した指導方法を学ぶため、「奉仕」テキスト活用説明会を四回実施いたしました。
 このような取り組みを通しまして、教科「奉仕」に関する教員の指導力を高めるよう施策を講じてきたところでございます。

○初鹿委員 三日間の研修ということですが、それはそれで私はやはりしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、授業の個々の中身となりますと、これだけでは十分に対応できないと思うんですね。それぞれの先生方が自分で勉強していくということも必要になってくるんだと思います。例えば、ボランティア活動として福祉のそういう施設に行こうという計画を立てたときに、そういう社会福祉についての勉強というのは自分で独自にやらなければならないと思いますし、またリサイクルなんということをやろうとしている学校もあるようですけれども、そしたら、そういう勉強は勉強でやはりやらなければいけないと思いますので、そういうことをしっかりとできるような教員をぜひ育成をしていただきたいと思います。
 その上で、さらに高校生になりますと、物がわかっている年齢ですから、幾ら話を聞いても、じゃ、先生は実際にやったことがあるんですかということに多分なっていくんだと思いますね。教員が一回も自分で体験をしたことがないことを、これは必要なんだ、みんなやりましょうねといっても、高校生ぐらいになると、じゃ、先生はどうなのということで、なかなか納得しないものだと思うんですよ。
 ですから、教員もできるだけ実際に奉仕活動とかボランティア活動とかを、一定期間使って研修として行うことができるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○岩佐指導部長 教員がみずから奉仕活動やボランティア活動を行い、奉仕に関する識見を高めることは、教科「奉仕」を指導する上で有効であると考えられます。
 これまで、初任者研修におきまして、教員は、社会教育及びボランティア活動への参加に継続的に取り組んでまいりました。平成十五年度からはボランティア活動が必修となりまして、すべての初任者教員が三日程度のボランティア活動を経験しているところでございます。また、平成十四年度より、教員が長期休業日中に地域等においてボランティア活動を行う申請書を提出し、承認された場合、六日以内の範囲で職務専念義務が免除され、活動することができるようになっております。

○初鹿委員 担当する教員は自分で実践をするように、都教委としてもぜひ勧めていただきたいと思います。
 やはり先生だけの力だと十分ではないのかなという気もするんですね。いろいろ勉強しても、やはり自分でそれに専門的に取り組んでいないわけですから、外部の専門家を活用していくということが、この教科がうまくいくかどうかの分かれ目になるのじゃないかと思うんです。何の活動をするか、それぞれの学校で違うと思いますが、それぞれの活動を実際にやっている、例えばNPOの方とか専門的な知識を持っている方とかを教員として教壇に立ってもらうということが、この教科を成功させる上で非常に重要なんだと思うんですね。
 それで、こういう外部の人材を活用することに対して、東京都としての取り組みをお伺いいたします。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、平成十九年度からの教科「奉仕」の実施に当たりまして、都の重点事業として、奉仕の体験先の開拓や授業のプログラムづくりなどを支援いたします教育支援コーディネーター派遣事業を実施することとしております。
 これによりまして、より専門的な知識や技能を持つ外部の人材を活用することが可能になりまして、教科奉仕の内容を充実することができると考えております。

○初鹿委員 学校の中での授業はそれで何となくよくなっていくのかなという気はするんですが、実際に現場に出て体験をするということがここでは重要になると思うんです。その現場に出たときに、この計画を見ていると、例えば河川の清掃とか、小学校や中学校に出て子どもたちに何か指導したり、また幼稚園での指導をしたりとか、あと高齢者施設にボランティアで行くとか、そういうことが書かれているんですけれども、なれない生徒たちですから、例えば自分が事故に遭ってしまうこともあるかもしれないし、人とかかわるようなことをする場合に、相手に対して何かけがをさせてしまったり、トラブルが起こるケースというのは考えておかなければならないと思うんですね。
 こういうときに備えて保険に加入するなり、対策をとるべきだと思いますが、いかがでしょう。

○岩佐指導部長 各学校における奉仕体験活動の実施に当たりましては、事前に安全等に配慮した実施計画を作成し、生徒がトラブルや事故に巻き込まれないよう十分指導することが重要でございます。
 生徒自身の負傷等につきましては、教育活動でございますので、独立行政法人日本スポーツ振興センターの保険が適用になります。また第三者に対する損害賠償責任に対応する必要もあることから、奉仕体験活動の内容に応じ、各学校が本人負担で適切な保険に加入するよう指導しているところでございます。

○初鹿委員 トラブルがないことが一番なんですが、トラブルがあったときのこともしっかりと考えて取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、この「奉仕」という授業を受けて、その結果、自分も自分がかかわった活動をボランティアでやっていきたいと思う生徒が出てくるのじゃないかと思うんですね。またそういうことを皆さん方も期待されて、こういう教科をつくったのじゃないかと思うんです。そのときに、みずからボランティアでやりたいと思った生徒たちが、その取り組みを自主的に行えるように学校として支援をしていく必要があると思いますが、支援策についてどのように考えているか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 教科「奉仕」では、生徒が将来社会に貢献できる資質を育成することを目標の一つにしております。したがいまして、生徒が教科「奉仕」を学習し、さらに自主的なボランティア活動に参加しようとする意欲を持つことは大変評価できることでございます。
 平成十九年度は「奉仕」導入初年度であることから、本事業の定着を図りました上で、自主的なボランティア活動を行う生徒に対しましても、適切に対処してまいりたいと思います。

○初鹿委員 ぜひそういう意欲を持ってみずから活動に進みたいという生徒を応援していただきたいと思います。恐らく、授業でやったことをその後も継続的にかかわって、それが将来自分の職業選択の一つのきっかけになるような教科になるということが、皆さんも理想としたいのだと思いますので、そうなるように取り組んでいただきますようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十九分散会

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