委員長 | たぞえ民夫君 |
副委員長 | 泉谷つよし君 |
副委員長 | 鈴木 一光君 |
理事 | 伊藤まさき君 |
理事 | 服部ゆくお君 |
理事 | 石川 芳昭君 |
大松 成君 | |
早坂 義弘君 | |
坂本たけし君 | |
初鹿 明博君 | |
木内 良明君 | |
古賀 俊昭君 | |
中村 明彦君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 中村 正彦君 |
理事 | 近藤 精一君 | |
総務部長 | 志賀 敏和君 | |
学務部長 | 山川信一郎君 | |
人事部長 | 松田 芳和君 | |
福利厚生部長 | 橋本 直紀君 | |
指導部長 | 岩佐 哲男君 | |
生涯学習スポーツ部長 | 三田村みどり君 | |
学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 | 新井 清博君 | |
人事企画担当部長 | 直原 裕君 | |
国体準備担当部長 | 関口 修一君 | |
参事 | 石原 清志君 | |
参事 | 荒屋 文人君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
・東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例
・学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
・東京都立学校校外教育施設設置条例を廃止する条例
・東京都体育施設条例の一部を改正する条例
請願陳情の審査
(1)一八第一五九号 すべての子どもに豊かな高校教育を保障することに関する請願
(2)一八第一六四号 すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願
(3)一八第一一一号 都立図書館に関する陳情
(4)一八第一二一号 都民のための都立図書館に関する陳情
(5)一八第一一二号の一 認定こども園に関する陳情
(6)一八第一一五号 特別支援教育の更なる充実に関する陳情
(7)一八第一二〇号 栄養教諭の配置等の早期実現に関する陳情
○たぞえ委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○たぞえ委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
次に、理事者の欠席について申し上げます。
教育庁の松田次長は、公務出張のため、本日の委員会に出席できない旨申し出がありました。ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び請願陳情の審査を行います。
なお、提出予定案件につきましては、本日は、説明を聴取した後、資料要求を行うにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○中村教育長 平成十九年第一回都議会定例会に提案を予定しております議案の概要につきまして、ご説明申し上げます。
第一回都議会定例会に提案を予定し、ご審議いただきます教育庁関係の案件は、平成十九年度教育庁所管予算案一件、条例案八件の合わせて九件でございます。
初めに、平成十九年度教育庁所管予算案についてご説明申し上げます。
来年度から、これまで教育庁で所管しておりましたスポーツ振興に係る事業、東京国体の開催準備に係る事務が知事部局に移管される予定でございます。これに伴いまして、体育施設四施設の管理運営経費並びにスポーツ振興事業に係る経費が生活文化スポーツ局に、東京国体開催準備事業に係る経費は総務局に計上されております。これも含めまして、平成十九年度予算案についてご説明申し上げます。
都教育委員会では、時代の変化に主体的に対応し、日本の未来を担う人間を育成する教育がますます重要であるとの認識のもとに策定いたしました教育目標に基づきまして、子どもたちが知性、感性、道徳心や体力をはぐくみ、人間性豊かに成長することなどを目指しますとともに、昨年、大きな社会問題となったいじめ、子どもの生活習慣の乱れなど、さまざまな課題を解決すべく、教育改革に向けて具体的な施策を進めているところでございます。
このような観点から、平成十九年度におきましては、児童生徒の健全育成を初め、教員の資質能力の向上や学力向上などの教育内容に係る学校教育指導の充実、都立高校の改革、特別支援教育の推進などさまざまな事業に取り組みまして、都民の期待にこたえてまいりたいと考えております。
教育庁所管歳出予算額は七千九百三十九億七千八百万円で、前年度に比べまして百七十一億二千八百万円余、率にして二・二%の増となっております。
平成十九年度の東京都の予算は、新たな財政指針のもとに東京のさらなる向上を目指し、新たなステージにおいて力強い第一歩を踏み出す予算として編成されております。
教育委員会といたしましても、この考え方に基づきまして、事業の見直し等により可能な限り経費の節減に努める一方で、教育施策の充実を図り、教育改革を推進するため、教育庁の重要施策にかかわる事業を中心に、重点的な予算の確保に努めたところでございます。
なお、平成十九年度の東京都一般会計歳出予算に占める教育費の割合は、一二・〇%となっております。
また、教育庁所管歳入予算額は千五百三十二億一千二百万円余でございまして、前年度に比べ一億九千万円余、〇・一%の減でございます。
次に、歳出予算案のうち、主な事業についてご説明申し上げます。
第一に、児童生徒の健全育成の推進に関する事業でございます。
平成十九年度から都立学校で「奉仕」が必修化されることに伴いまして、これまでの奉仕体験活動やキャリア教育を都立高校生の社会参加と再定義いたしまして、こうした教育活動の成果を地域、社会に積極的に還元する取り組みへと展開してまいります。
また、子どもたちの望ましい生活習慣を確立するため、その重要な役割を担う家庭の教育力を学校や地域社会とが連携し支援するため、昨年十二月に設立されました子どもの生活習慣確立東京都協議会を中心といたしまして、来年度には食育をテーマに広報活動の展開や食育シンポジウムを開催するなど、学校、家庭、地域が連携した具体的な取り組みを通じ、子どもの生活習慣の確立を目指してまいります。
第二に、高等学校教育の振興に関する事業でございます。
平成十四年度に策定いたしました都立高校改革推進計画の新たな実施計画に基づきまして、来年度は新しいタイプの高校といたしまして、産業高校二校を含む八校を開校いたします。
また、産業界が求める技術者を安定的に輩出していくため、ものづくり教育を担う工業高校、高等専門学校を核といたしました複線的教育システムの構築を目指した関係局による検討会を設置いたします。
都立学校の環境改善では、すべての都立高校の普通教室に空調設備を設置いたしますとともに、地球環境負荷に配慮した取り組みといたしまして、太陽光発電設備等をモデル的に整備してまいります。
第三に、心身障害教育の振興に関する事業でございます。
平成十六年十一月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画における第一次実施計画に基づきまして、来年度には、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部として、永福学園養護学校を開校いたします。さらに、既存の知的障害養護学校も含め、生徒全員の企業就労を目指して、これまで行ってきました企業就労サポーター事業の拡大を図るなど、就労支援に積極的に取り組んでまいります。
第四に、学校教育指導の充実に関する事業でございます。
児童生徒の学力向上につきましては、問題解決能力等の育成を図るための調査に加えまして、来年度から小学四年生と中学一年生の抽出による基礎的、基本的な内容の定着を図るための調査を実施いたしまして、その結果を学力向上策の検討や授業改善に生かしてまいります。
また、教員の資質向上につきましては、東京教師道場の二期生を指名いたしまして、一期生と合わせて合計八百名の教員に対しまして、将来の学習指導のリーダーとなるための育成研修を実施してまいります。
第五に、生涯学習の振興に関する事業でございます。
都民一人一人が生涯を通じてみずから学び、社会参加ができる機会の充実を図ってまいります。このために、都立学校公開講座や都立学校施設の開放事業を引き続き実施してまいります。
以上、平成十九年度教育庁所管予算案における主な事業につきましてご説明申し上げました。都教育委員会といたしましては、これらの事業を着実に推進し、都民の教育への期待にこたえてまいる所存でございますので、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
次に、条例案八件の概要につきましてご説明申し上げます。
お手元の平成十九年第一回東京都議会定例会議案(条例)の目次をごらんいただきたいと思います。
一の東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例から、六の東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例までは、学校教育法の改正に伴いまして、盲・ろう・養護学校を特別支援学校とするとともに、平成十九年度の学校職員定数について定めるほか、平成十八年度末に閉校する都立学校十校を廃止するなどの規定整備を行うものでございます。
七の東京都立学校校外教育施設設置条例を廃止する条例は、聖山高原学園の閉所に伴いまして、条例を廃止するものでございます。
八の東京都体育施設条例の一部を改正する条例は、体育施設の知事部局への移管に伴いまして、規定を整備するものでございます。
以上が、平成十九年第一回都議会定例会に提案を予定しております教育庁関係の案件でございます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○志賀総務部長 教育庁関係の提出予定案件につきまして、お手元に配布してございます資料によりご説明申し上げます。
初めに、平成十九年度教育庁所管予算案についてご説明いたします。
お手元資料の平成十九年度教育庁所管予算説明書をごらん願います。
まず、一枚おめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと存じます。
教育庁所管予算につきまして、歳出予算は、教育委員会及び事務局の運営以下、十の項目に分けてお示しするとともに、組織改正に伴いまして、知事部局に移管されます事業及び債務負担行為のⅠをお示ししてございます。
それでは、二ページをお開き願います。教育庁所管予算の総括表でございますが、歳出予算及び歳入予算の総額及び増減率等につきましては、ただいま教育長からご説明申し上げましたので、次の三ページから、歳出予算につきまして主要な事業を中心にご説明させていただきます。
教育委員会及び事務局の運営に要する経費でございます。歳出計は、上から三行目になりますが、二百十三億五千三百万円でございます。
経費の内容につきましては、三ページから一一ページにかけて記載してございますが、教育委員会の運営費、総務部等の人件費、調査広報、行政訴訟、免許及び選考、学校保健給食に要する経費などでございます。
一二ページをお開き願います。小中学校の運営に要する経費でございます。
歳出計は、三行目になりますが、四千五百十三億八千二百万円でございます。また、下から二行目に、特定財源といたしまして、国庫支出金である義務教育教職員給与金など一千百十億五千八百万円余を見込んでございます。
一三ページをお開き願います。小学校の運営でございます。
概要欄に小学校の規模を掲げてございます。学校数は一千三百二十三校、児童数は五十五万七千三百六十人、教職員数につきましては、定数外職員を除きまして二万九千九百六十五人でございます。
経費の内容ですが、一四ページをごらんいただきたいと存じます。
概要欄2の事業費、(4)には、新しい学校づくり重点支援事業に要する経費を計上してございます。
一五ページをお開き願います。中学校の運営でございます。
概要欄に中学校の規模を掲げてございます。区市町村立中学校数は、本校、分校合わせまして六百三十七校で、うち一校は通信教育を併設してございます。生徒数は、本校、分校、通信教育を合わせまして二十二万一千六百二十九人でございます。
その下にお示ししてございます都立中高一貫教育校は四校で、生徒数は千三百六十人でございます。
中学校の教職員数は次の一六ページに記載してございますが、定数外職員を除きまして、区市町村立、都立を合わせまして一万四千九百三十人でございます。
経費の内容につきまして、一七ページから一九ページにかけて記載してございます。教員、事務職員等の人件費、都立中高一貫教育校の入学検査に要する経費などでございます。
二〇ページをお開き願います。高等学校の運営に要する経費でございます。歳出計は、上から三行目になりますが、一千三百五十億七千三百万円でございます。
学校数につきましては、概要欄をごらんいただきまして、全日制は百八十三校で、そのうち専攻科を併置している学校は一校ございます。定時制は九十四校、通信制は三校でございます。生徒定員は、全日制が十二万二千百二十五人で、そのうち専攻科生が八十人でございます。定時制は一万八千八百四十人、通信制が千九百七十人でございます。
また、教職員数は、次の二一ページをお開きください。定数外職員を除きまして、一万一千六百七十四人でございます。
経費の内容につきましては、二二ページをごらんいただきたいと存じます。
概要欄1の職員費には、新しいタイプの高等学校でございます橘高等学校外七校の開校、改編に伴う増員及び開設準備に伴う増員のための経費が含まれてございます。
二三ページをお開き願います。概要欄の(6)には、自律的な学校経営の確立を図るために、自律経営推進予算及び学校経営の重点支援に要する経費を計上してございます。
また、(8)には、ものづくり人材育成システムの整備に係る経費及び小中学校のものづくり教育のために必要な設備整備に要する経費を計上してございます。
二六ページをお開き願います。工業高等専門学校の運営に要する経費でございます。歳出計は、上から三行目になりますが、二十九億一千四百万円でございます。
学校数は、右の概要欄にありますとおり、工業高等専門学校、航空工業高等専門学校、産業技術高等専門学校の三校で、学生定員は合計で千九百四人、教職員数は、定数外職員を除きまして二百十一人でございます。
経費の内容ですが、このページから次の二七ページにかけて記載してございます。教員、事務職員等の人件費、入学検査に要する経費などを計上してございます。
二八ページをお開き願います。特別支援学校の運営に要する経費でございます。歳出計は、上から三行目になりますが、五百八十四億二千七百万円でございます。
概要欄の規模をごらんください。1の都立特別支援学校は、学校数が五十三校一分校、幼児、児童生徒数は八千八百八十二人でございます。内訳といたしまして、盲学校、ろう学校、二九ページには養護学校の規模をお示ししてございます。また、区立特別支援学校は、下段の表にございますとおり、学校数が五校、児童生徒数は二百四十九人でございます。
教職員数は、次の三〇ページをお開きください。定数外職員を除きまして、都立、区立合計で五千二百二十五人でございます。
経費の内容ですが、三二ページをお開きください。概要欄(7)には、東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画の策定に要する経費、(8)には、特別支援教育を推進するため、養護学校がセンター的機能としての役割を果たすために必要な経費や、寄宿舎を活用した自立生活訓練に必要な経費等を計上してございます。
三五ページをお開き願います。教職員の福利厚生に要する経費でございます。
歳出予算額は、一行目にございますように二十億一千五百万円でございます。
経費の内容といたしましては、公立学校共済組合東京都負担金、次の三六ページにございます教職員住宅の建設及び管理運営に要する経費を計上してございます。
三七ページをお開き願います。退職手当及び年金に要する経費でございます。
歳出予算額は、一行目にありますように、八百六十九億五千百万円でございます。
三九ページをお開き願います。教育指導の充実に要する経費でございます。
歳出計は、三行目にございますように、四十一億六千万円でございます。
経費の内容でございますが、四〇ページをごらんいただきたいと存じます。
概要欄の2に、昨今のいじめ問題に緊急に対応するため、現行の相談体制をさらに拡充するために必要な経費を計上したところでございます。
四二ページをお開き願います。概要欄19の奉仕体験活動の推進は、十九年度から全都立高校で「奉仕」の科目が必修化されることに伴いまして、教員の研修等に要する経費を計上してございます。
四五ページをお開き願います。社会教育の振興に要する経費でございます。歳出計は、上から三行目にありますとおり、六十四億六千万円でございます。
経費の内容でございますが、四七ページをごらんいただきたいと存じます。概要欄1にお示ししてございます生涯学習審議会の運営のほか、四九ページの概要欄14の放課後子どもプラン、15の地域の力による青少年の育成に要する経費などを計上してございます。
五三ページをお開き願います。都立学校等施設整備に要する経費でございます。
歳出予算額は、一行目にございますように、二百五十二億四千三百万円でございます。
経費の内容につきましては、五四ページをごらんいただきたく存じます。
概要欄1には、新しいタイプの高等学校の建設等として、大田地区商業高等学校外一校の建設工事、葛飾総合高等学校外十校の改修に要する経費を計上してございます。
五五ページに参りまして、概要欄2には、特別支援学校の再編整備に伴う施設整備として、永福学園養護学校外七校の工事設計に要する経費を計上してございます。
その下の3には、知的障害養護学校の普通教室確保として、葛飾養護学校外六校の工事設計に要する経費を計上してございます。
五八ページをお開き願います。概要欄5には、都立学校の環境対策として、校庭の芝生化、太陽光発電設備の設置など、地球環境負荷低減を目的としたモデル事業に係る経費を計上してございます。また、その下、6は、都立高校全校の普通教室、食堂に空調機を設置するために必要な経費を計上してございます。
以上で、教育庁所管歳出予算に関する説明を終わらせていただきます。
次に、組織改正に伴いまして、平成十九年度から知事部局に移管を予定しております事業についてご説明申し上げます。
六二ページをお開き願います。こちらは、国民体育大会の開催準備に係る事務として、総務局へ移管が予定されているものでございます。
管理費及び国民体育大会推進費といたしまして、国民体育大会の開催準備に係る職員の人件費及び国民体育大会推進に要する経費、合計で一億七千二百万円余でございます。
次の六三ページから六六ページにかけましては、スポーツ振興事業に係る事務として、生活文化スポーツ局に移管が予定されているものを記載してございます。
内訳といたしまして、六三ページには、スポーツ振興事業に従事する職員の人件費といたしまして一億六千二百万円余、六四ページから、スポーツ振興費といたしまして、都民体育の振興、東京体育館外三所の管理運営及び東京国体や東京オリンピックに向けたスポーツの振興に要する経費として三十億四千九百万円余を計上いたしまして、合計で三十二億一千百万円余でございます。
次に、債務負担行為のⅠについてご説明申し上げます。
六八ページをお開き願います。都立学校校舎等新改築工事に係る債務負担行為でございます。
新しいタイプの高等学校の建設や都立学校校舎等の耐震補強につきましては、工期が複数年度にわたるため、概要欄3の全体計画にお示ししております計十一校に関し、平成二十年度から二十二年度までに支出を予定してございます経費について、債務負担行為を計上するものでございます。
六九ページに参りまして、教職員住宅賃貸借に係る債務負担行為につきましては、公立学校共済組合との教職員住宅譲渡契約締結に伴う譲渡代金の二十年間にわたる元利金支払いに係る債務負担行為を計上するものでございます。
次の七〇ページの教職員住宅改修工事でございますが、武蔵小金井住宅の改修に係る工期が二年度にわたるため、債務負担行為を計上するものでございます。
次の七一ページにつきましては、調理業務の安定的な運用や内容の充実を図るため、平成二十年度及び二十一年度に支出を予定しております経費について、債務負担行為を計上するものでございます。
七二ページから七三ページは、既にご議決をいただいております債務負担行為について、参考として記載しているものでございますので、説明は省略させていただきます。
以上で、平成十九年度教育庁所管予算案の説明を終わらせていただきます。
続きまして、お手元の資料、平成十九年第一回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案の説明をさせていただきます。
目次をお開き願います。今回提案を予定しております条例案は、八件でございます。
一ページをお開き願います。東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
現在、各区市が処理することとしている事務の範囲に東京教師道場の旅費の支給事務を加えるとともに、学校教育法の改正に伴い、養護学校を特別支援学校に改めるよう規定を整備するものでございます。
施行日は、平成十九年四月一日としております。
五ページをお開き願います。東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例でございます。
学校教育法の改正に伴い、盲・ろう・養護学校を特別支援学校に改めるよう規定を整備するものでございます。
施行日は、平成十九年四月一日としております。
七ページをお開き願います。学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例でございます。
平成十九年度における児童生徒数の増減、学校の新設、廃止等に伴い、学校種別ごとに学校職員の定数を改めるとともに、学校教育法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
施行日は、平成十九年四月一日としております。
九ページをお開き願います。都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例でございますが、学校教育法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
施行日は、平成十九年四月一日としております。
一一ページをお開き願います。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
都立高校改革推進計画及び東京都特別支援教育推進計画に基づき、都立学校十校を廃止するとともに、学校教育法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
施行日は、平成十九年四月一日としております。
二五ページをお開き願います。東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例でございます。
学校教育法の改正に伴う規定整備とともに、別科についての規定を削除するものでございます。
施行日は、平成十九年四月一日としております。
二七ページをお開き願います。東京都立学校校外教育施設設置条例を廃止する条例でございます。
現在、長野県にございます聖山高原学園について、利用率の低下及び施設の老朽化のため、平成十八年度末をもって閉所することに伴い、条例を廃止するものでございます。
施行日は、平成十九年四月一日としております。
二九ページをお開き願います。東京都体育施設条例の一部を改正する条例でございます。
平成十九年度から体育施設の所管が教育委員会から知事部局へと移管することに伴い、規定を整備するものでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○たぞえ委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○大山委員 十三あります。
一つ目は、教員の都単独加配の状況、これは項目別の人数でお願いします。
二つ目は、区市町村による非常勤講師の任用の状況、区市町村別でお願いします。
三番目は、教員の休職者数、これは校種別で、九九年から二〇〇六年度まで。
四番目は、男女混合名簿の実施率の推移、九九年度以降です。
五番目は、就学援助の基準と内容を区市町村別でお願いします。
六番目は、心身障害学級の配置状況と推移を、区市町村別で過去五年間で結構です。
七番目に、障害児学校のスクールバス運営費の推移、これは九九年度からです。
八番目、高校進学率の他県比較。計画進学率との比較でもお願いします。九九年度からです。
九番目、都立高校授業料の額、減免基準、奨学金制度、これは、金額や資格基準や支給額などの他県比較をお願いします。
十番目が、都立高校授業料減免者の理由内訳、これは九九年度からお願いします。
十一番目が、都立高校の募集人員と応募者数、合格者数について、一次から四次の募集それぞれについてお願いします。九九年度からです。
十二番目は、スポーツ関連予算の推移、九九年度から。
十三番目が、都内の公立施設、テニス、サッカー、野球、体育館、プールなどの人口当たりのコート数の他県比較をお願いします。
○たぞえ委員長 ただいま大山委員から資料要求がありましたが、これらを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出願います。
○たぞえ委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
請願一八第一五九号及び請願一八第一六四号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○山川学務部長 一八第一五九号、すべての子どもに豊かな高校教育を保障することに関する請願及び一八第一六四号、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願についてご説明申し上げます。
最初に、一八第一五九号、すべての子どもに豊かな高校教育を保障することに関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、三多摩高校問題連絡協議会代表、加藤淳子さん外二千五百人から提出されたものでございます。
請願の趣旨は、すべての子どもに豊かな高校教育を保障するために、次のことを実現していただきたいというものでございます。
まず、1、憲法、教育基本法及び児童の権利条約を学校や社会にしっかり生かす施策を進めるとともに、子どもたちの成長発達を妨げる過度に競争的な制度を是正することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、人権教育に関する研修事業や人権尊重教育推進校事業、人権教育プログラムの全教員への配布などを通して、日本国憲法、教育基本法、児童の権利に関する条約等の精神を踏まえた人権教育を推進しております。
また、都立高等学校等の入学者選抜制度につきましては、毎年度、公立中学校長会や都立高校長会の代表などを委員といたします入学者選抜検討委員会を設置し、生徒の個性や特性に応じた入学者選抜を実施するため、十分に検討を行い、必要な改善を図っているところでございます。
次に、2、希望する子ども全員が入学でき、どの高校においても行き届いた教育が保障されるよう、都立高校の統廃合を見直し、希望者が全員入学できるような計画を立てることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都内全日制高等学校の受け入れにつきましては、私学関係者とで構成する公私連絡協議会におきまして、都内公立中学校卒業者が一人でも多く高等学校に進学できますよう、前年度の公立中学校三年生全員を対象に行いました全日制志望調査の志望率を上回る率で受け入れを行うことで合意しており、それに基づき都立高等学校での募集人員を定めているところでございます。
次に、3、全日制三十人以下、定時制二十人の学級定員を即時実現することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律によりまして、公立高等学校の一学級の生徒数につきましては、定時制課程は昭和四十二年度から、全日制課程は平成五年度から四十人を標準としてございます。
東京都におきましては、定時制課程につきましては、昭和四十八年度から東京都単独で三十人学級にしておりますとともに、全日制課程の職業学科につきましては、平成十二年度から都立高校改革推進計画に基づきまして、ホームルーム定員の三十五人化を計画的に導入してきておりまして、全日制課程三十人以下、定時制課程二十人の学級定員とすることは現在のところ考えておりません。
次に、国連の児童の権利委員会の勧告にもあるように、働きながら学ぶ青年や定時制を希望する生徒のために、現在ある夜間定時制の統廃合は行わないことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、定時制課程におきましては、多様化する生徒、保護者のニーズにこたえ、全定併置校が抱える施設利用や指導時間の制約などの課題を解決し、定時制教育の条件改善を図る必要がございます。このため、都立高校改革推進計画に基づきまして、周辺の夜間定時制課程を統合しながら昼夜間定時制独立校を整備してきており、今後とも着実に計画を推進してまいります。
次に、5、子どもを苦しめている高校入試制度における推薦制度調査書の観点別学習状況の評価の点数化は全廃することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都立高等学校等では、平成十五年度入学者選抜から、観点別学習状況の評価を選考に当たっての資料の一つとして活用しております。今般、目標に準拠した評価については定着が図られてきており、平成十九年度入学者選抜から、推薦に基づく選抜においては、各高等学校の個性化や特色化の観点から、観点別学習状況の評価と評定のどちらか一つを高等学校等が選択し活用することとしております。
今後とも、観点別学習状況の評価の活用を継続してまいります。
次に、7、障害児学級、学校、寄宿舎を廃止、統合するのではなく、教職員をふやし、学級、学校を増設して、障害を持つすべての子どもの発達を保障するよう教育条件を改善することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、平成十六年十一月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画に基づきまして施策を推進し、心身障害教育に関する教育条件の改善を図ってまいります。
次に、8、義務教育費国庫負担制度を堅持するよう国に働きかけることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、国の責任において義務教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに、その充実を図るべきであると国に対して提案要求しているところでございます。
次に、一八第一六四号、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会代表、丸木政臣さん外九十九万五千九百五十人から提出されたものでございます。
本請願の趣旨は、次のことを実現していただきたいというもので、教育委員会の所管は、1の(5)、(6)、(8)及び2以下の内容でございます。
まず、1、経済的な格差により子どもたちの進路選択が狭められることのないように学費負担軽減をすることとして、1の(5)、義務教育段階での教育に係る経費は完全無償化することでございます。
これに関する現在の状況でございますが、義務教育にかかわる費用のうち、公費で負担すべきものについては既に無償化されているところでございます。
なお、修学旅行費、学用品費などは保護者の負担になっているところでございますが、こうした費用につきましても、経済的理由により負担が困難な児童生徒の保護者に対しまして、区市町村教育委員会は必要な援助を行っているところでございます。
次に、(6)、授業料免除制度を拡充することでございます。
都立高等学校の授業料、入学料の納付が困難な生徒の就学を援助するため、生活保護受給世帯及び同程度の世帯については全額免除、生活保護受給世帯に準ずる世帯については二分の一に減額する制度を導入しており、今後も制度の周知を図ってまいります。
次に、(8)、都立高校の授業料を値上げしないことでございます。
都立高等学校の授業料の改定は、受益者負担の適正化を図るため、地方交付税算定基準及び他の道府県の動向、または公私格差の是正を考慮の上行うこととしており、平成十九年度入学生についての改定は行いません。
次に、2、行き届いた教育が保障され基礎的な学力が身につくようにすることとして、2の(1)、公立の小学校、中学校、高校の三十人学級、ただし高校専門学科は二十五人、定時制は二十人を早期に実現すること及び2の(2)、教職員をふやすことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定規模が必要であると考えておりまして、学級編制基準は、国の標準である四十人としているところでございます。
一方、学校教育における基礎、基本の定着は、重大な課題でございます。このため、都教育委員会は、国の教職員定数改善計画を踏まえ、きめ細かい指導を行うために、教科等の特性に応じて、習熟度別学習集団など、学級とは異なる多様な学習集団が編成できるよう、少人数指導の充実に努め、教育の向上を図っているところでございます。
したがいまして、都教育委員会といたしましては、三十人を学級編制の基準とする考えはございません。
また、高等学校につきましては、さきの請願一八第一五九号でご説明したことと同様でございますので、説明は省略させていただきます。
次に、2の(3)、学習指導要領の押しつけをやめて、各学校で創意工夫が生かされるようにするなど早期に見直しを行うことでございます。
学習指導要領は、学校教育法に定める教育課程の基準として文部科学大臣が定めたものであり、各学校においては、学習指導要領に基づき教育課程を編成するものとされております。
現行の学習指導要領は、学校週五日制のもと、各学校がゆとりの中で創意工夫を生かした特色ある教育、特色ある学校づくりを展開し、児童生徒に学習指導要領の示す基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせることはもとより、みずからも課題を見つけ、みずから考え、主体的に判断し、問題を解決する力を身につけるなどの生きる力を育てることを基本的なねらいとしております。
次に、2の(4)、老朽校舎の改築、冷暖房設備の設置など学校の施設設備を改善することでございます。
区市町村立学校の施設整備につきましては、設置者である区市町村が国の補助制度を活用して行っているところでございます。また、都立学校の施設設備の整備につきましては、普通教室等の冷房化に向けた取り組みや耐震対策など学習環境を確保するとともに、都財政の状況を踏まえて計画的に進めているところでございます。
次に、3、障害児学級、学校、寄宿舎を廃止、統廃合するのではなく、教育諸条件を改善することとして、3の(1)、教室不足や長時間通学を解消するよう、障害児学校建設や学級増設を行うことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、平成十六年十一月に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画に基づきまして施策を推進し、心身障害教育に関する教育諸条件の改善を図ってまいります。
第一次実施計画に基づきまして、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校を三校設置するとともに、従来からある通学区域を有する知的障害養護学校を三校設置してまいります。また、既存の知的障害養護学校につきましても普通教室を確保するため、十二校におきまして増改修工事を実施してまいります。
一方、肢体不自由養護学校におきましても、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部に肢体不自由教育部門を併置する形で二校設置するよう計画したところでございます。
東京都教育委員会といたしましては、これらの計画の着実な実施により、教室不足の解消と通学時間の短縮に努めてまいります。
なお、今後策定する第二次実施計画以降におきましても、普通教室の確保等につきまして検討してまいります。
また、区市町村立学校における心身障害学級の設置運営は、設置者である区市町村の教育委員会において行っているところでございます。
次に、3の(2)、障害の重度重複化に即して学級数及び教職員数をふやすことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、重度重複学級の編制につきましては、児童生徒の障害の状態等が多様化していることを踏まえ、児童生徒数の推移等を勘案しながら適切に対応してまいります。
また、教職員定数につきましては、国の基準を踏まえ、学級数に応じて必要な定数を措置しているところでございます。
次に、3の(3)、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする子どもたちのために、通級指導学級の増設と教職員を配置することでございます。
区市町村立学校における通級指導学級の設置運営につきましては、設置者である区市町村の教育委員会において行っているところでございます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いします。
○たぞえ委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○大山委員 質問します。
この二つの請願は、両方ともすべての子どもに豊かな教育を、そして行き届いた教育をということで、多岐にわたる請願項目があります。これらの請願項目の一つ一つが、すべての子どもたちに豊かで行き届いた教育を保障するために必要なことだと支持できます。とりわけ、署名の数を本当に重く受けとめることが必要だと思っています。最初の請願でも二千五百人の皆さん、そして二番目のところでは九十九万五千九百五十人、この数よりも、もっともっと広がっているんだということも私も聞いています。ですから、多くの都民の皆さんの願いがこの請願に込められているということを、教育庁はきちんと受けとめるべきだということをまず申し上げたいと思っています。
幾つかの項目を中心に質疑をしたいと思います。
今、格差の拡大ということが大きな問題になっているわけですけれども、子どもたちの学校生活にも容赦なく影が落ちるわけです。経済的な面でいえば、東京の公立小中学校の児童生徒の生活保護と就学援助の受給者は、全生徒児童の四分の一弱、二〇〇五年度で二四・四%ですから、四、五人に一人は生活保護もしくは就学援助を受けているということです。
文科省が、先日、給食費の未納問題で調査をしましたけれども、その中で、未納が生じる主な原因についての学校としての認識を聞いた設問に対して、保護者の経済的な問題が原因であるとの回答が三三%を占めている。その文科省の報告書では、地方公共団体は、就学援助事業の充実に努めることが求められる、このように書いているわけです。
払えるのに払っていないというようなキャンペーンがされていますけれども、例えば、学校事務の方が未納の方のところに家庭訪問をしたのですけれども、そのお話なども聞いてみますと、やはり家庭訪問することで初めて家庭の状況だとか、子どもたちが置かれている状況がわかるというんです。感覚的には、お金があっても払わない、それからお金がないから払えないというのは半々なのだけれども、非常に複雑だというんです。例えば、訪問すると、常に子どもしかいなかったり、それから、家庭が壊れていたりというような家族の状況、子どもたちの置かれている状況が見えてくるんだというふうにいっています。
すべての子どもたちに行き届いた教育を進めるために、経済的な格差によって子どもたちの進路選択が狭められることがないようにしていくということは、今、本当にこういうことが大きな課題になっているからこそ、ますます重要な要素になっていると思いますけれども、どうですか。
○山川学務部長 義務教育の公立小中学校につきましては、公費負担すべきものについては既に無償化されております。また、経済的な理由によりまして、学用品費、修学旅行費などの負担が困難な児童生徒の保護者に対しまして、区市町村教育委員会が必要な援助を行っているところでございます。
都立高校段階では、育英資金や授業料の減免制度などによりまして、学ぶ意欲がありながら経済的な理由により就学が困難な生徒に対する支援を行っているところでございます。
今後も、こうした施策を推進することによりまして、保護者の経済的な負担の軽減を図ってまいります。
○大山委員 保護者の経済的な負担の軽減、必要だからこそ実施しているということですね。しかし、子どもたちやその家族の状況から見れば、不十分なんだということです。
都立高校のことですけれども、授業料減免を見ますと、全日制ですと、授業料の減額と免除を合わせて一二%程度が減免を受けています。納入率は、十七年度は九九・七五%となっていますので、比較的収納されているんですけれども、都立高校といっても授業料だけではないというのが大きいわけです。実は、私費負担が非常に負担が大きいということなんです。
都立高校の事務職の職員の方に聞いてみましたけれども、入学するとき、まず制服が三万ぐらいするんだと。体育着だとか上履きで、男子は武道のも要るんでしょうね、二万三千三百五十円、女子は一万九千九百五十円。修学旅行の積立金と教材費で、一年生は毎月八千五百円、それにPTA会費や生徒会費などを合わせれば、毎月一万円近い負担があるんだということなんです。
こういう状況の中で、子どもたちはどうなっているかといいますと、修学旅行に行けない生徒が、その学校では、一学年百六十人中二十人近いんだということなんです。家庭の状況、経済状況を知っているから、自分でも行かないよという生徒もいるし、払えないから行けませんという親もいるんです。修学旅行という、みんなで行くということでは非常に重要なことですけれども、行けないということ自体、本当につらいことだと思っています。
そればかりじゃなくて、部活をやれば、ユニホームだとかスパイクだとか、練習試合に行けば、交通費もここでもかかるわけですね。顧問が合宿に行こうと計画するんですけれども、参加者が、行けない、行けない、お金を払えないということで、結局参加費が出せずにどんどん参加者が減ってしまうんだと。結局、毎年合宿ができていないんですということだとかがあるわけです。
小中学校では、さっき申し上げましたように、二四%程度が就学援助を受けていたわけです。つまり、授業料減免の所得制限内の生徒が、小学校、中学校のときには給食費や教材費は補助されていたわけです。その生徒が高校に来たら、授業料は減額がありますけれども、教材費や修学旅行などには援助がないわけです。私費負担のことを考慮すれば、高校生活を送るためには、授業料減免があればそれだけでいいというものではないと思いますけれども、どうでしょうか。
○山川学務部長 修学旅行費などの学校教育活動を行う上で必要な諸経費につきましては、学校の実態に応じまして、学校ごとに徴収金額、方法等を定めており、例えば徴収方法を月々の積立金方式にするなど、負担の平準化を図っているところでございます。
なお、教育委員会では、修学旅行費と卒業アルバム費については、上限額を定めることにより保護者の負担軽減を図っているところでございます。
○大山委員 毎月積立金の方式にするから負担軽減なんだとか、上限額を定めているから負担軽減なんだというふうにおっしゃっていますけれども、私が今ずっと申し上げたのは、積立金で月々一万円近くになっているというこの実態なんですね。それを指摘しているわけです。修学旅行費は、上限額を定めているとおっしゃいましたけれども、税込みで七万九千八百円ですね。それでも、その学校では二十人近い生徒がみんなと一緒に修学旅行に行けない、参加できないというのが現実なんですよ。学校によって、それこそかなり差があるようですけれども、高校生についても、小中学生の就学援助のような制度が必要だと思いますけれども、どうですか。
○山川学務部長 都教育委員会では、授業料等の納入の困難な生徒の就学を援助するため、授業料等の免除及び減額制度を導入しております。また、修学旅行費等の保護者から徴収する経費につきましては、学校徴収金事務取扱規定等を定めまして、その負担の軽減に努めているところでございます。
今後も、引き続きこうした施策を実施することによりまして、保護者負担の軽減及び適正化を図ってまいります。
○大山委員 授業料の減免だけでは、修学旅行だとか教材費は減免できないです。今、ご答弁された事務取扱規定の中身をいただきましたけれども、いかにも軽減しているんだというように聞こえますけれども、結局、さっきいったように、修学旅行費などの上限額を定めているだけですよね。定時制高校については、有職者にはわずかな補助はありますけれども、結局これで負担軽減に努めているということにはならないわけですね。ですから、生徒の現実をきちんと直視して、ぜひ検討してもらいたいと思います。
せめてもの改善策として、授業料減免の改善についてです。まず、授業料減免の収入の範囲なんですけれども、授業料の減免について、収入については世帯全員の収入ということで、高校生でも、お兄さん、お姉さんが働いていれば、その兄、姉の収入も、それから祖父母が一緒に住んでいれば、その祖父母の年金も収入に入るということですね。国民年金なんかで本当に暮らしていけないような年金、それから、少しでもといって、お兄さんやお姉さんが働いていれば、それさえも収入に合算してしまうということなんですけれども、せめて保護者の収入で見るべきではないのでしょうか。
○山川学務部長 授業料の減免対象者の世帯収入の認定につきましては、生活保護世帯に準じた考え方により行っておりまして、同じ住居で生活していれば、兄弟の収入でも世帯の収入に算入をしているところでございます。一般的には、授業料の減免基準の方が、生活保護基準より緩やかな基準になっております。
○大山委員 生活保護基準よりも緩やかでなかったら、これは大変なことになってしまいますよ。
例えば埼玉県なんですけれども、埼玉県は、来年度から減免対象者の収入を保護者のみにしたんです。ことしまでは、東京都と同じように同居の世帯全員で、祖父母や兄、姉の収入も合算していました。どうして変えたかというふうに意図を聞きましたら、手続が煩雑で、申請する人に根掘り葉掘り聞かなきゃいけないんだというわけですよ。同居がだれで、おばあちゃんの年金はどうで、それでお兄さんは働いているのか働いていないのか、収入は幾らなのか、それを証明できるのは何なのかと。しかも、祖父母の年金が授業料には反映しないでしょう、充てることもないでしょうから、保護者の収入だけにしたんです、だから、提出する書類も最小限で済むということなんです。なるべく簡潔に申請できるようにしようということで変えたということなんですね。やはり、これは重要なことだと思うんです。
ここに授業料減免取扱要領というのをもらいましたけれども、この中に、本当にたくさんの書類、住民票記載事項証明書だとか、世帯状況届だとか、それから給与証明書、これは源泉徴収票があればいいんだとかというのもありますけれども、それにおじいちゃん、おばあちゃんがいれば年金のだとか、お兄さんのもつけるとか、本当に多くのものをそろえなければならないわけですね。
都立高校のところで、外国人のお母さんも多くなっていて、日本語が読めなかったりして、お父さんは構わないで、結局申請し損なったり、親御さん自体が教育を受けていなかったことによって、申請の書類をそろえることさえ困難な家庭もあるんだという実態も報告されています。
例えばひとり親家庭なんかは児童扶養手当を受けていますね。受けていればそれを提出すればいいというように、なるべくそのケースによって簡素に手続ができるようなことを考えることが必要だと思いますけれども、どうですか。
○山川学務部長 都教育委員会では、減免制度の周知を図り、手続が円滑に行えるように、都立高等学校授業料の納入についてのパンフレットを入学手続時に保護者の方々に配布しております。各学校でも、減免申請に必要な書類等を詳細に示した文書を配布するなどして、減免制度の保護者への周知を図り、事務手続が円滑に行えるように努めております。
なお、授業料の減免の審査に当たりましては、公平公正な手続を経て行う必要がありますが、手続の簡素化等につきましては、他の自治体の事例等も参考にしながら、減免制度の趣旨がより的確に実現できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○大山委員 もちろん、周知するということは必要です。しかし、それで書類が減るわけではないですから、今、他県の状況にもというふうにご答弁されたように、ぜひ、なるべく簡潔にできるようにしてもらいたいと、検討していただくことを要望しておきます。
例えば、事業をやっていて不渡りを出されちゃったとか、サラ金などへの返済が大変なんだとか、事業で借金返済しなきゃいけないとか、収入は一定あるんだけれども、使えるお金は少ない、これは所得制限からは外れてしまうんですね。こういった場合の減免対象を拡大できるような検討ということも必要ではないでしょうか。
○山川学務部長 減免の申請は、必要な書類がそろっていれば随時受け付けておりまして、減免の審査も、申請を受理した後十日以内に行っております。
なお、審査は、生活保護基準に準じた考え方により行っておりまして、保護者の経営していた会社が倒産した場合に、債務の返済分を収入から差し引いて収入の認定額にするなど、特別な事情がある場合には一定の配慮を行っているところでございます。
○大山委員 一定の配慮というのは重要ですし、引き続き充実してほしいということを要望しておきます。
都立高校の授業料を値上げしないことという項目がありますけれども、今述べたように、私費負担もかなり大きい。そして、経済的な困難も広がっているという中で、やはり値上げどころか値下げこそ必要だということを述べておきます。
少人数学級ですけれども、公立小中学校、そして高校、三十人学級を早期にということですけれども、これについては、小中学校については東京以外の道府県は少人数学級をもう実施しているわけですね。そればかりではなくて、導入して以降、毎年実施の学年などを拡大しているわけです。例えば、福島県は〇二年度に導入して、それ以降、二度拡大して、小中学校すべて三十三人以下の学級になっています。小一と小二は、三十人以下の学級になりました。ほかの自治体も毎年拡大する自治体数がふえているんです。それはなぜかといえば、何よりも少人数学級が子どもたちにとって有効であるからにほかならないわけです。東京都だけが四十人学級に固執しているわけです。
都内では少人数学級を実践していないのですから、少人数学級とその習熟度だとか、四十人と比べてどうかというのは、比較のしようがないわけですね。ですから、他県がこうやって拡大している、その実践に謙虚に学ぶことが求められているのではないでしょうか。
○山川学務部長 限られた教員定数の活用につきましては、教育効果という観点から都が主体的に判断すべきものというふうに考えております。
都教育委員会といたしましては、これまでの少人数指導の実施校における取り組みや、国立教育政策研究所の調査などを踏まえまして、基礎学力の向上に配慮してきめ細かな指導を行っていくためには、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考えており、その充実に努めているところでございます。
一方、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団生活の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定の規模が必要であるというふうに考えます。
○大山委員 本当に十年一日のごとくというのはこのことではないかと。大体、また国立教育政策研究所の調査、この議論はもう二〇〇五年の第一回定例会で解明済みですよ。つまり、この国の調査は、小学校の四年生、六年生の算数の二けたの割り算とか分数の割り算、こういう部分的な単元についてのみの調査ですね。中学校二年生の数学と英語も、それぞれやはり一部の単元だけを短期間調査して、いろんなタイプの学級別のいわば調査をしたわけです。こういう短期間の調査ですから、習熟度別の指導方法で、例えば、よくいわれている学力格差がグループ間で開いてしまうだとか、子どもの間に差別感だとか無力感が生まれてしまうというようなことは、この調査はあらわれにくい調査になっているわけですね。
しかも、少人数学級が一番効果があるというふうにいわれている小学校低学年を、わざわざ調査対象から外しているんです。小学校の一、二年生ですね。つまり、調査の前提自体が、習熟度別の弊害が出ないように設定されているということ、それから、少人数学級は優位性が出ないように設定されているということです。
ところが、この限られた部分調査の中でも、判定の学力テストの平均点を比べれば、四十人学級よりも、ほとんどの場合、少人数学級が平均点が高かったということです。つまり、少人数の学習という効果は、この調査でもあらわれたということなんですね。このような調査にしがみつくのはもうやめてもらいたい。他県の実践に学ぶべきだと思います。実際、他県がやっているんですから。
私たちは、改めて他の道府県の全県調査をしました。学習面でも、生活面でも、両方ともどの自治体も評価が高いわけです。例えば、総合的な評価という点では、生活集団と学習集団を同一にして、幼稚園、保育所から小学校へのスムーズな移行がより図られたということを初めとして、学習面でも、総じて児童の学力が定着したとか、授業につまずく児童が減ったとか、学習面での評価もたくさん書いてあります。それから、生活面ではどうかといえば、不登校やいじめが少なくなったとか、互いに認め合ったり、注意し合ったりできるようになったとか、生活面での落ちつきなど、そういうことがたくさん書かれているわけですね。本当に深まっているんです。拡大する、普及するところから深めるところに来ているんだというふうに他県ではいわれているわけですね。
保護者も肯定的で、学校に行くのが楽しそう、これは何よりのことですね。担任の先生ときめ細かに連絡がとれるなど、さらなる拡充を求めています。評価していない県はありません。他県は、こうやって効果があらわれているからこそ、財政的には厳しいんだと書いてあるところは結構あるんですがそういいながらも拡充させているわけです。これらにこそ学ぶべきです。
ところで、都教委のさっきのご説明の中に、高校の定時制は三十人学級、職業学科は三十五人学級にしているということですけれども、その理由は何ですか。
○山川学務部長 全日制課程の職業学科につきましては、実習時の安全性の確保や実験、実習を効果的に実施するために、ホームルーム定員を三十五人としているものでございます。また、定時制課程につきましては、中途退学者が多く、また、生活条件や学習条件が多様な生徒を受け入れていることなどから、生活指導等の充実を図るため、三十人の学級編制としているものでございます。
○大山委員 実習時の安全性の確保や、実験や実習を効果的に実施するために、基礎集団を三十五人にしているんだと。それから、生活指導等の充実を図るために三十人のクラスにしているんだと。結局、少人数学級がきめ細かな指導や学習にも有効であって、生活面の指導の充実にも効果的であるということを認めているということではないのでしょうか。小中学校、高校での少人数学級、三十人学級を拒否する理由はないと思います。ですから、東京都でも早急に少人数学級へ踏み出すべきだということを述べておきます。
障害児学校のことです。
まず、請願にもありますように、教室の不足です。この教室の不足は、何度もこの委員会でも話題になりました。例えば養護学校ですけれども、養護学校は本当に限界だといわれているんですが、四つあったプレールームのうちの二つが教室になって、もう一つは半分に仕切って、半分を教室にしているんだと。それでも足りなくて、音楽室、視聴覚室、生活訓練室がすべて教室になっています。残ったもう一つのプレールームを音楽室として使っていますけれども、防音施設、設備等は当然不十分です。また、元視聴覚室と音楽室は床がじゅうたんなので、給食の食べ残しなどがあるとなかなかきれいにできません。それでも足りずに、普通教室を半分に仕切って、半分を教材室にしているクラスもあります。倉庫のような狭いところに押し込まれて生活をしている生徒たちが、本当にかわいそうなんだと。座位保持トイレを置くスペースが足りなくて、授業や給食を食べるのと同じ教室内にトイレを置かざるを得ないクラスが幾つもあります。普通校では考えられない環境だと思いますというふうに教員の方はいっています。
都教委の資料をもとにして、東京都の障害児学校の教職員組合が教室不足の調査を行いました。障害児学校の総計で、二〇〇五年度は何と六百二教室も足りないという調査になっているんです。これは、学級数、それから保有教室数、転用教室数、そして不足数というのを、都教委の資料をもとにして割り出したものです。これが総計で六百二教室です。肢体不自由と知的障害だけでどうかというと、二〇〇二年が四百七十二が不足、〇三年は四百七十七教室不足、二〇〇四年は五百二十七教室不足、二〇〇五年は五百六十教室不足ですから、もう年々教室不足がふえているということなんです。
例えば、六百教室足りないということはどういうことか。小中高三学部で四十学級としても、十五校の新設が直ちに必要なんだ、そういう数ですよ。そういうところまで教室不足が深刻になっているということなんです。ですから、教室不足です。
そしてもう一つは、障害児学校の児童生徒の重度重複化が進んでいるということ、これも、東京都の調査でも明らかになっているわけですね。同時に、重度重複学級が実態に合って措置されていないということもずっと問題になっていたことです。都教委がやった調査で、肢体不自由学校と知的障害養護学校それぞれの、重度の児童生徒が何人いて、実際に重度重複学級に在籍している児童生徒は何人になっていますか。
○荒屋参事 都教育委員会は、児童生徒の障害の状況を、発達の側面、行動的側面、疾病的側面から総合的にとらえた状態を軽度、中度、重度に区分しまして実態調査を行っているところでございます。
平成十八年度の実態調査では、重度の児童生徒が肢体不自由養護学校では千百十五人、知的障害養護学校では千七百四十四人でございます。一方、重度重複学級措置対象となるのは、障害の状況、程度、発達の状態などについて総合的に判断した上で、重度重複学級の教育課程を適用して教育を行うことが適切な児童生徒でございます。平成十八年度は、肢体不自由養護学校では五百七十二人、二百五学級、知的障害養護学校では九百十人、三百十八学級の児童生徒を重度重複学級に措置しております。
○大山委員 重度の障害の状況というのは、発達の側面、行動的な側面や疾病的な側面、つまり複数のものを総合的に判断すると重度なんだという子どもたちが、肢体不自由養護学校で千百十五人、そして、その肢体不自由養護学校の重度重複学級は、在籍している子どもは五百七十二人ですね。つまり、この差の五百四十三人は、重度でありながら重度重複学級には在籍していないということなんです。つまり、重度という認定というか障害の状況が重なっている重度ですから、重度重複学級と重複するわけですが、重度であっても半分ぐらいしか重度重複学級には在籍できていないということなんですね。
同じように、知的障害の養護学校では、千七百四十四人の重度の児童生徒のうち九百十人ですから、八百三十四人は重度でありながら重度重複学級には在籍できていないということなんですね。つまり、重度重複学級をつくっているというのは、小さな基本の生活集団が必要だから重度重複学級を認定しているわけですから、その生活集団を小さくすることが必要だという子どもたちにとって、半分ぐらいの子どもたちは、必要でありながら重度重複学級には在籍できていないということですから、余りにも大きな乖離があるといわざるを得ません。
教室も不足、教員も不足、そして重度重複学級も必要な分を実態に合わせてつくることができない。つまり、学校を新設することが解決の道だということですね。ですから、この二つの請願については採択を求めて、質問を終わります。
○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
初めに、請願一八第一五九号をお諮りいたします。
本件は、生活文化局所管分がありますので、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 異議なしと認めます。よって、請願一八第一五九号は、本日のところは継続審査といたします。
次に、請願一八第一六四号をお諮りいたします。
本件は、生活文化局所管分がありますので、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 異議なしと認めます。よって、請願一八第一六四号は、本日のところは継続審査といたします。
○たぞえ委員長 次に、陳情一八第一一一号及び陳情一八第一二一号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○三田村生涯学習スポーツ部長 一八第一一一号、都立図書館に関する陳情並びに一八第一二一号、都民のための都立図書館に関する陳情についてご説明申し上げます。
第一一一号は、千代田区の図書館問題研究会東京支部委員長、小池信彦さんから提出されたものでございます。
本陳情の趣旨は、東京都教育委員会が公表した都立図書館改革の具体的方策の実施に当たり、図書館サービスを充実するため、次の事項を実現していただきたいというものでございます。
まず、1の、都立図書館資料を区市町村立図書館から都民に貸し出す協力貸し出しは従来どおりとし、資料の運搬費用を区市町村から徴収しないことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、従来から中央図書館及び多摩図書館では、個人貸し出しを行わず、館内閲覧としておりますが、協力貸し出しによって区市町村立図書館へ貸し出された都立図書館の資料は、貸し出し先図書館から利用者に個人貸し出しされており、協力貸し出しの期間中は都立図書館利用者に資料を提供できない状況が生じております。今後は、貸し出し資料の閲覧方法や貸し出し期間、貸し出し対象の範囲など、現在の協力貸し出し制度を見直してまいります。
また、協力貸し出しに係る搬送車の費用につきましては、現在、都が全額負担しておりますが、この搬送車は区市町村立図書館間の相互貸借資料の搬送にも利用されており、搬送車の費用負担のあり方について検討していく必要があると考えております。
次に、2の、ワンストップサービスはレファレンスサービスの後退になるので再検討することでございます。
中央図書館におきましては、利用者に図書館の専門的なサービスをより効率的に提供できる利便性の高い仕組みとして、一階に総合レファレンスカウンターの設置を目指しているところでございます。これにより、複数の主題にかかわるレファレンス及び閉架書庫内の資料の出納や複写申込手続についても、一カ所一回の手続で対応できるワンストップサービスを実現してまいります。
次に、3の、日比谷図書館は都立図書館として存続させ、充実を図ることでございます。
これに関する現在の状況でございますが、日比谷図書館は、図書の個人貸し出しサービスを中心に業務運営を行っており、都と区市町村との役割分担の観点から、都が運営を継続する必要性は薄いと考えられます。しかし、日比谷図書館は年間で六十万人を超える都民が利用しており、現行のサービスを継続するためには地元区に移管することが適切であるとの判断から、平成十七年十月に都教育委員会において千代田区への移管方針を決定したところでございます。
次に、4の、マガジンバンクのあり方を再検討し、雑誌に関するサービスの充実を図ることでございます。
マガジンバンクにつきましては、雑誌に関するサービスの充実を目指して構想したもので、平成二十一年度設置に向けて、現在、都立図書館において具体的内容を検討しているところでございます。
続いて、陳情第一二一号は、杉並区の都立図書館を考える会代表、朝倉雅彦さん外二千二百一人から提出されたものでございます。
本陳情の趣旨は、都において、都立図書館を都民のための図書館とするため、次の事項を実現していただきたいというものでございます。
なお、本陳情のうち、1の、区市町村立図書館が、都立図書館から借り受けた図書の個人貸し出し禁止や搬送車の費用負担をしないで済むよう、現状どおりの協力貸し出しサービスを継続すること、2の、都立中央図書館のレファレンスサービスを一カ所に限定するワンストップサービスは、利用者に不便であることから、これまでどおり専門主題ごとに行うこと、5の、東京マガジンバンク設置に伴い、都立中央図書館の雑誌を都立多摩図書館に移管しないこと、及び8の、日比谷図書館の千代田区移管を中止することの四件につきましては、先ほどの第一一一号と重複しますので、説明を省略させていただきます。
それでは、3の、団塊世代の大量退職に備え、早急に司書の新規採用を復活することでございます。
都立図書館におきましては、簡易で定型的な非基幹的業務の委託化を今後も推進していくとともに、司書が担うべき業務につきましては、必要な人材を確保するため、総合的に対策を検討してまいります。
次に、4の、公立図書館の無料原則を守り、図書資料として必要なデータベースは無料で公開することでございます。
図書館におきまして、インターネットやオンラインデータベースなどの外部の情報源へアクセスしてその情報を提供することは、図書館法第十七条の図書館資料の利用には当たらないため、一部の高度、高品質な商用オンラインデータベースの導入に当たっては、受益者負担の観点から利用者に適正な負担を求めてまいります。
次に、6の、都民の求めに応じられるよう、蔵書充実のための資料費を増額することでございます。
都立図書館では、これまでも幅広い専門的資料の収集により蔵書の充実に努めてまいりましたが、今後も、重点的情報サービスの各分野に関する資料及び東京マガジンバンク創設に係る雑誌の収集など、さらに蔵書の充実を図ってまいります。
次に、7の、都立図書館の資料収集規模に見合う書庫スペースを確保することでございます。
都立図書館では、これまでも、一資料一点収集保存など、収蔵の効率化に努めてまいりました。今後も、現有書庫の一層の効率的活用、利用を図るとともに、中長期的観点から、媒体変換や書庫の新設についても検討してまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○たぞえ委員長 説明は終わりました。
本件について発言願います。
○大松委員 今回の陳情審査に当たりまして、我が党の議員が、豊島区にお住まいの方からファクスをちょうだいいたしました。地域の学校や児童館で読み聞かせ運動のボランティアをしていらっしゃる方でございます。また、ご自身も大変読書を愛しておられる女性の方でございまして、良書は子どもの発育には欠かせない心の栄養分でございまして、こうした読み聞かせ運動をしていらっしゃいます皆様方に対しまして心より敬意を申し上げるものでございます。
そして、このファクスの内容でございますけれども、ボランティア活動をされていらっしゃいまして、その立場から、昨年八月に公表されました都立図書館改革の具体的方策につきまして、協力貸し出しを初め、今後見直しがどのように進んでいくんだろうかと、こうした不安が述べられているものでございます。私どもは、図書館改革の具体的方策を通しまして都立の図書館がさらに改革を進めまして、都民に役立つ図書館としてその存在意義を発揮していくことには賛同しているものでございます。
しかし、都民の皆様の中には、この状況が見えにくいということから不安を感じていらっしゃる方もいるということを、このファクスを読ませていただきまして感じたところでございます。
昨年九月の文教委員会でも、こうした観点から我が党の野上議員が質問したところでございますが、その重複を避けまして、私からも何点かお伺いしたいと思います。
まず、協力貸し出しについてでございますけれども、改革の具体的方策によりますと、貸し出し期間中、資料、図書が都立図書館での館内閲覧やレファレンスに利用できないということ、また、一資料一点収集保存の原則の中で、資料をどう長期保存していくのか、こうした必要があるということ、また、都民の調査研究を支援する都立図書館としての見直しの必要性もあるということが、この見直しの背景にはあるということであります。また、搬送の費用負担の問題につきましては、区市町村立図書館の相互貸借の増加等も踏まえた問題提起であるというふうに先ほどもご説明がございました。
いずれの問題につきましても、昨年九月の文教委員会で各区市町村立図書館の協力貸し出し資料の利用状況などをより詳細に把握するなど、平成十九年度から三年間の取り組み期間の中で検討していくと答弁をされておりますけれども、この考え方に変更はないのか、改めて都の方針をお伺いいたします。
また、特に子どもの読書運動を推進する資料につきまして、その検討状況を伺います。
○三田村生涯学習スポーツ部長 お話のとおり、協力貸し出しの具体的な見直し内容や費用負担の問題につきましては、今後三年間の取り組み期間の中で検討していくという考えに変わりはございません。
また、子どもの読書活動にかかわる資料につきましても、同様に、地域の特性に応じた利用状況等を十分に把握し、今後の課題として検討してまいります。
○大松委員 また、この豊島区にお住まいの方からいただきましたファクスの中では、都立図書館の本の収集に関する不安も述べておられました。蔵書は図書館機能そのものでございますけれども、これまで資料費が低迷して、蔵書の充実がなかなか実現できなかったわけでございますけれども、このたびの具体的方策の中では明言をされております。このことにつきましては評価をするものでございます。
業務の効率化、必要な見直しは図りつつも、その一方で蔵書の充実は、この図書館改革においてぜひ必要であると考えるわけでございます。この点につきまして、都の所見を伺います。
○三田村生涯学習スポーツ部長 都立図書館改革の具体的方策では、今後、重点的情報サービスなどを中心として蔵書の充実を図ることとしております。蔵書の充実は、高度なレファレンスサービスの充実やオンラインデータベースの導入などとともに、都立図書館が都民の課題解決に役立つ図書館であるために不可欠な要素と考えております。平成十九年度予算案では、平成十八年度予算に対して約二一%増となる資料購入費が計上されているところでございまして、具体的方策の趣旨に沿って一層の充実に努めてまいります。
○大松委員 蔵書とともに、図書館サービスを充実させる上において欠かせないのが図書司書でございます。膨大な図書、資料の中から、住民ニーズに応じて的確な図書を紹介できるこの司書の専門性をどう継承していくのか、また人材をどう確保していくのかが重要でございます。従来の方針どおり積極的に取り組んでいただきたい、これをまず要望をさせていただくものでございます。
ところで、その具体的方策の中で、子どもの読書運動の充実についても取り組んでいくということが盛り込まれております。今回ファクスをいただいた皆様方のように、地域で読み聞かせなどに携わっていらっしゃるボランティアの皆様方は、子どもの読書運動を支える重要な人材でございます。こうした皆様方が伸び伸びと活動していただけるように取り組みを求めるものでございます。所見を伺います。
○三田村生涯学習スポーツ部長 現在、公立図書館や学校だけでなく、多くの場面で読み聞かせなどのボランティア活動が行われている区市町村が大変増加しております。ともすれば家庭の教育力の低下が懸念される中で、子どもたちが幼いころから本に親しむ習慣を身につける機会を提供するこうしたボランティアの方々の活動は、地域で子どもたちの教育を支援するということで、子どもたちの教育を支援する重要な人材と考えております。このため、ご指摘の趣旨を踏まえ、子どもの読書活動の推進のための環境づくりに努めてまいります。
○大山委員 都立図書館の改革の具体的方策をめぐっては、今もお話がありましたけれども、九月の委員会でも質疑をし、そして十一月には陳情の審査があって、今回は二つの陳情が出されているわけです。また、東京都公立図書館長会の皆さんも、それから区市町村からも、それから利用者団体の皆さんからも、多くの批判だとか意見が出されているわけです。その批判的な意見の内容というのは、今回の陳情の内容と共通しています。多くの都民や関係者が危惧していることの問題意識は一致しているということですね。都立図書館を充実させ発展させたい、都民のための図書館としたいという多くの方々の願いなんだ、この二つの陳情を含めて願いなんだということです。
まず、都立図書館のあり方の問題なんですけれども、東京が高齢社会なんだということですけれども、生涯教育という観点からも、図書館というのは、学んだり、それから居場所としても非常に重要です。また、今後、団塊の世代の方たちの大量退職などを迎えるわけですから、ますます生涯にわたっての学習できる場所の確保が求められるわけです。さらに、格差社会といわれていて、安倍首相は再チャレンジなどといっていますけれども、本当の意味で、いつでもだれでも学べるところが必要です。学校でいろんな事情で学べなかった人、それから学校は中退してしまった人、それから退職した人、いろんな方がいつでもだれでも学べる、学び直すことができる仕組みが必要だと考えています。
生涯教育ということだと、フィンランドだとかスウェーデンが非常に充実しているということは有名ですね。例えばフィンランドだと、地域の図書館も、児童生徒のフロアだとか、シニアのフロアというふうに分かれていて、リラックスできる場所なんですね。貸し出しの図書数が何と日本の五倍、生涯を通じて学ぶということで、人口五百二十万人のうち百万人以上の成人が学習サークルなどに登録しています。それらに図書館が大きな役割を果たしているんですね。
ヘルシンキ市というところは、人口五十六万人ですけれども、公立図書館が三十八カ所あるということなんです。東京でも生涯教育を考えたとき、公立図書館というのは大変重要な拠点となるわけです。行政として、都立図書館の位置づけをどう考えていますか。
○三田村生涯学習スポーツ部長 今お話にございましたように、高齢社会とか、あるいは再チャレンジを求める人がふえてきている社会とか、いろんなとらえ方はできるとは思いますけれども、都立図書館は、東京という都市を情報面から支えまして、さまざまな都民や都政の抱える多様な課題解決のために効率的な情報サービスを提供していく役割を担う必要があると考えております。これまでと同様、引き続き都民の調査研究、そういうものに資する図書館として機能していくべきと考えております。
○大山委員 必要なんだということですけれども、生涯教育ということを考えても、今回の改革の方向というのは、充実するどころか、マイナス思考としかいえないわけですね。だからこそ、陳情の内容にもなるわけです。区市町村の図書館をより生き生きとさせるためにも、都立図書館の役割は重要なわけです。
公立図書館の任務と目標ということで、解説、これは改訂版ですけれども、どうなっているかというと、都道府県立図書館は、市町村立図書館と同様に住民に直接サービスするとともに、市町村立図書館の求めに応じてそのサービスを支援する。県立図書館は、市町村立図書館への援助を第一義的な機能と受けとめるべきである。市町村立図書館を利用するか、直接に県立図書館を利用するかは、住民各自がそのときの事情に応じて選択することであって、住民がいずれの方法をとった場合にも、図書館は十全に対応すべきである。都立図書館はということですね。つまり、市町村図書館への支援が第一義的な機能。直接来館する人も、区市町村立図書館を通じて利用する人にも十全に対応するべきだということが、県立図書館の任務であり、目標なんだということなんです。
ということは、協力貸し出しの充実こそ求められているということです。ですから、改革の具体的方策にあるような、運搬費用の区市町村からの徴収だとか、区市町村のほとんどの図書館には閲覧場所もほとんどないというような状況の中で、家に持って帰っちゃいけませんなんていうことは、まさにサービス低下だし、充実どころか後退だといわざるを得ません。
レファレンスについても、さっきも司書の専門性がありましたけれども、フィンランドの科学アカデミーの外国会員、早稲田大学の名誉教授で、中嶋博氏がいますけれども、その方は、フィンランドの地域の図書館がすごい、その司書がまたすごい、みんな博士号を持っていると。つまり、どういうことかというと、司書の高い専門性がより充実した図書館にしているということなんですね。
司書の採用のことですけれども、専門性を熟練していくという上でも、図書館司書の採用は計画的に進めなければならないんですけれども、どう考えていますか。
○三田村生涯学習スポーツ部長 これまでもご答弁申し上げてきましたとおり、都立図書館における司書の高い専門性というのはきちっと継承すべきというふうに考えております。
前回の答弁でも申し上げましたけれども、そうした中で、司書でなくても担うことのできる非基幹的業務を積極的に業務委託して、そうした高い専門性を継承して人材の確保を図っていくというふうに考えております。
○大山委員 確実に司書が大量退職するということがもうわかっているわけですから、専門性を確保するという面からも、きちんと司書の採用は計画的にしてもらいたいと思います。
司書と関連して、中央図書館のワンストップサービスということですけれども、これをワンストップサービスではなくて、各フロアでやるべきだということは、前回も発言しましたけれども、このワンストップサービスのために工事が必要だと聞いていますけれども、どのような計画なんでしょうか。そして、来年度の予定と予算などもお願いします。
○三田村生涯学習スポーツ部長 中央図書館におけるワンストップサービスの導入や、利用しやすい蔵書配置の整備などに要する改修工事を現在予定しておりまして、総額で約二億八千万円程度を見込んでおります。このうち、平成十九年度予算案では、実施設計分の約一千百五十万円が計上されているところでございます。
○大山委員 二億八千万円もかけてわざわざサービスを低下させることはないわけですよ。ですから、きちんと話を、いろんな陳情だとか、請願だとか、それから館長会の話というのは、既定路線として東京都教育庁がやるのじゃなくて、先にワンストップサービスのための工事をしちゃうなんていうのはとんでもないことですね。まだ話し合いが途中なんだといっているわけでしょう。にもかかわらず、先に工事をしちゃう。しかも、予算を計上しちゃう。これはとんでもないことだと思っています。
ところで、公立図書館長会とは話し合っていくということですけれども、その後、話し合ったのでしょうか。
それから、都民の皆さんとか団体との話し合いはどうするつもりなのか、求められればするのかということでいいんでしょうか。
○三田村生涯学習スポーツ部長 東京都公立図書館長連絡会の予定でございますけれども、平成十九年度予算の確定後、平成十九年度の事業説明を兼ねて実施する予定でございます。
それから、これまでもご答弁してまいりましたけれども、区市町村の教育長会や東京都公立図書館長連絡会などを通じて意見交換を行ってまいります。改めて個別に団体などとの話し合いを設ける考えは、現在はございません。
○大山委員 その話し合いをするんだ、それから三年間で話し合いをするんだといっているけれども、結局、既成事実を積み上げていっちゃうということで、このいわゆる改革の方向を進めていってしまうということじゃないですか。少なくとも話し合い、館長会でさえも大きな批判的な意見を出しているわけですから、その話し合いがきちんとついてから、工事するなら工事する、しないならしないということをしなかったらまずいというふうに思います。
そして、一方通行ではなくて、きちんと都民の意見を聞くべきことを聞いて、一方通行ではない話し合いをするべきだということを述べて、終わります。
○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
初めに、陳情一八第一一一号を起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○たぞえ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第一一一号は不採択と決定いたしました。
次に、陳情一八第一二一号を起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○たぞえ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第一二一号は不採択と決定いたしました。
○たぞえ委員長 次に、陳情一八第一一二号の一を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○山川学務部長 一八第一一二号の一、認定こども園に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陳情は、千代田区、東京都教職員組合執行委員長、中山伸さん外一名から提出されたものでございます。
教育委員会の所管は、1の(1)の内容で、本陳情の趣旨は、認定こども園制度の実施に当たり、保育の公的責任を後退させることなく、既存の公立幼稚園をなくさないでいただきたいというものでございます。
これに関する現在の状況でございますが、公立幼稚園の設置、廃止につきましては、設置者である区市町村が、域内の幼児教育のニーズなど、地域の実情を的確に把握をして判断するものと考えております。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いします。
○たぞえ委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○たぞえ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第一一二号の一は不採択と決定いたしました。
この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十分休憩
午後三時四分開議
○たぞえ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
初めに、陳情一八第一一五号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○荒屋参事 一八第一一五号、特別支援教育の更なる充実に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陳情は、狛江市の、東京の心障学級・通級指導学級の制度を守り発展させ、LD等の学びの場を充実させる会代表、加藤勇一さん外一万四千四十三人から提出されたものです。
本陳情の趣旨は、次のことを実現していただきたいというものでございます。
まず、1の、小中学校に、教員定数とは別枠で特別支援教育コーディネーターを配置するなど、特別支援教育のための人員配置をすることです。
これに関する現在の状況でありますが、小中学校において特別支援教育を適切に推進していくためには、すべての教員が軽度の発達障害を理解し、協力してその指導や支援に当たることが重要であります。
このため、都教育委員会は、平成十六年度から区市町村教育委員会と連携して、各学校に具体的支援内容を検討する校内委員会を設置し、その中心的役割を担う特別支援教育コーディネーターを所属教員から指名するように努めてきたところであります。
国におきましても、特別支援教育コーディネーターを専任として配置する考えはとられておらず、新たな定数措置を行うことは困難であります。
次に、2の、養護学校高等部や都立高校等で軽度発達障害の生徒が安心して教育が受けられるよう、後期中等教育保障のために適切な支援を行うことです。
都教育委員会では、チャレンジスクールなどさまざまな新しいタイプの高校を設置して、軽度の発達障害を含めた多様な生徒を受け入れるとともに、スクールカウンセラーの配置や精神科医による学校保健活動支援事業などによる、軽度の発達障害のある生徒に対する支援も行っております。
また、都立養護学校における自閉症等の発達障害のある児童生徒に対する指導上の実績などを生かしつつ、都立養護学校から教員や発達障害に関する専門家などが高等学校に対して支援を行う仕組みについても、今後検討してまいります。
一方、都教育委員会では、盲・ろう・養護学校対象の児童生徒については、高等部への希望者全員の入学を実施しているところであります。今後、東京都特別支援教育推進計画に基づき、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校の整備を進めていく予定であり、本年四月には、その最初の学校として永福学園養護学校が開校いたします。この学校においても、軽度発達障害のある生徒のうち、知的障害養護学校での教育が適切であると判断される者について受け入れを進めていく予定であります。
今後とも、発達障害のある児童生徒の多様な教育的ニーズに対して、多様な方策により支援していくことができるよう体制を整備してまいります。
次に、3の、心身障害学級(固定学級、通級指導学級)の制度を維持し、さらに充実することでございます。
これに関する現在の状況ですが、平成十八年六月の学校教育法等の一部改正においては、心身障害学級に関する制度改正は行われておりません。
なお、平成十七年十二月の中央教育審議会答申では、LD等を含め、障害がある児童生徒が通常の学級に在籍した上で、一人一人の障害に応じた特別な指導を必要な時間のみ特別な場で行う形態である特別支援教室(仮称)の構想につきましては、心身障害学級が有する機能の維持、教職員配置との関連や教員の専門性に留意しつつ、その法令上の位置づけの明確化などについて今後検討することが必要であるとされております。
今後、国の動向を注視してまいります。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○たぞえ委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○初鹿委員 特別支援教育の充実に関しましては、昨年の代表質問の中でも我が党は取り上げさせていただいておりますし、また、議会としても意見書を国に対して提出しているところでありますので、主題ということについては、議会としては当然のことだとは思っております。そういうことも踏まえて、幾つか確認のために質問させていただきます。
まず、1の、特別支援教育コーディネーターに関してですが、やはり特別支援教育を充実させていこうとしたときに、コーディネーターの役割というのは非常に重要なんだというふうに思っております。先ほども説明の中でありましたけれども、すべての教員が軽度の発達障害を理解していくということがまずは一番求められることなのでしょうが、なかなかすぐにそこまでいかないわけですから、ある程度専門性を持った方がコーディネーターとなって、そのほかの教員と連携をしながら特別支援教育というものを充実させていくということが、これから求められていくことになるのだと思います。
そこで、恐らくこの陳情を出されている方々の懸念するところというのは、コーディネーターに指名された方が過度に業務がふえて、負担が多くなってしまうのではないかということではないかと思うんですね。何から何まですべてコーディネーターの方がやらなければならないということになってしまうと、恐らく今でも大変なところがさらに大変になってしまうだろうと。また、校外のいろいろな機関との調整などもするようになるわけですから、校外の活動にとられて、実際の指導、通常の学習指導に影響を及ぼすのではないか、恐らくそういう心配を持ってこういう陳情を出されているのだと思います。
そこで、お伺いいたしますが、この特別支援教育コーディネーターに過度に負担が集中したり、また、通常の学習に影響が生じないような体制をしっかりと組んでいくべきだと思いますが、その点について確認をいたします。
○荒屋参事 小中学校において特別支援教育を推進していく上で、特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対する個々の学級担任の取り組みを学校全体として支援し、学校全体として特別支援教育に取り組んでいくためにも、特別支援教育コーディネーターの役割は大変重要であります。ご指摘のように、特別支援教育コーディネーターに指名された教員のみが過度に負担となることのないよう、各学校において、例えば特別支援教育コーディネーターを複数指名したり、校内委員会を効果的に活用したり、コーディネーターとその他の教職員の役割や校務分掌を工夫していくことなどが重要であると考えております。
都教育委員会としても、これまでのモデル事業の成果などを踏まえ、学校での先進的な事例などの紹介をしてまいります。
○初鹿委員 ぜひ特別支援教育コーディネーター中心に、よりよい特別支援教育ができるように取り組んでいただきたいと思います。
続いて、2については、昨年十二月の議会の中でも似たような陳情が出ておりましたので、そちらの方でかなり質問させていただきましたので、きょうは割愛させていただきまして、3に移らせていただきます。
心身障害学級、特に固定学級の制度を維持し、さらに充実をするということですが、この固定学級について確認をさせていただきたいんですが、去年の六月に学校教育法が変わりまして、特別支援教育が位置づけられて、盲・ろう・養護学校というのが特別支援学校に変わるということで、今議会でも条例案の改正が出されております。それと同時に、心身障害学級についても、法律上の名前が特殊学級から特別支援学級に変わるということですが、何となく名前が変わってしまうと、実体も変わってしまうのではないかという印象を多くの方が持たれているのかというふうに思っております。
先ほどの説明の中でまたありましたけれども、特別支援教室というものについて、障害のある児童生徒が通常の学級に在籍した上で、一人一人の障害に応じた特別な指導を、必要な時間のみ特別な場で行うということを聞くと、いきなり固定学級というものがなくなってしまって、通常学級にみんなが入っていくような印象を持っている方も多いのかと思うんですね。実際はそんなことは全くないということなのでしょうけれども、恐らくそういう誤解もあって、こういう陳情などが出てくる背景になっているのではないかと思います。
そこで、確認をさせていただきますが、名前が特別支援学級に変わるわけですが、内容的には変更がないということでよろしいんですね。
○荒屋参事 ご指摘のように、平成十八年六月の学校教育法等の改正において、法律上の特殊学級の名称が特別支援学級に改正されたところでございますが、あくまでも名称変更でございまして、制度的な変更ではございません。
都教育委員会といたしましても、今回の改正にあわせまして、従来の心身障害学級について特別支援学級に名称を改める予定でございますが、これまでの心身障害学級からの制度的な変更はございません。
○初鹿委員 ぜひ今後も必要な指導を、それぞれの障害の状態に合わせてしっかりと取り組んでいただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。
○石川委員 私からも何点か質問させていただきます。
これまでの心身障害教育から特別支援教育への移行は、我が党はさまざまな段階で、移行に伴うさまざまな課題、また関係者の不安等々につきまして、議会で、また国への要望等々を行いながら、いよいよ平成十八年六月の学校教育法の改正によりまして、小中学校における特別支援教育がようやく法律上位置づけられました。本年四月、この改正が施行され、本格的に特別支援教育を実施していくに当たって、小中学校における特別支援教育体制づくりは早急に進めなければならないと考えております。
そこで、小中学校において特別支援教育を推進するに当たって、特別支援教育コーディネーターの役割は特に重要であります。都教委では、これまで特別支援教育体制推進モデル事業等を実施しつつ、各区市町村における特別支援教育の取り組みを促してきたと伺っておりますが、平成十八年度現在、小中学校における特別支援教育コーディネーターの指名状況や校内委員会の設置状況はどのようになっているのか、また、特別支援教育コーディネーターにはどのような教員が指名されているのか、お伺いいたします。
○岩佐指導部長 平成十八年十月に行いました都の調査では、公立小中学校のうち九三%の学校で特別支援教育コーディネーターが指名され、九四%の学校で校内委員会が設置されております。平成十九年度からはいずれも一〇〇%になるよう、現在、区市町村教育委員会を通じまして指導助言をしているところでございます。
また、特別支援教育コーディネーターに指名された教員の内訳でございますが、主幹が一一%、教諭が六八%、養護教諭が二一%でございます。
○石川委員 ただいま答弁にありましたように、特別支援教育コーディネーターの指名状況や校内委員会の設置状況から見ますと、形としては、特別支援教育の体制が整ってきたようであります。私の練馬区も、教育委員会に確認しましたところ、ほぼすべての学校で委員会が設置され、コーディネーターの指名も終わりました、また、その間、区単費で介助員等の配置も行い、また、三つの学校でモデル事業の展開をしながら取り組んでまいりましたと、こうした状況であります。
そこで、例えば、特別支援教育コーディネーターに指名された教諭についても、必ずしも特別支援教育や障害児に専門的な知識や経験を有する教諭ばかりとは限らないのは、一方で事実であります。都教育委員会では、特別支援教育コーディネーター研修を実施していると伺っておりますが、今後とも、指名されました特別支援教育コーディネーターの専門性を高めていくべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
○岩佐指導部長 小中学校における特別支援教育を推進していくためには、特別支援教育コーディネーターの役割は重要でございまして、特別支援教育に関する高い専門性が求められているところでございます。
都教育委員会は、平成十七年度から、区市教育委員会より推薦されました教員を対象に、特別支援教育コーディネーター養成研修を開始しているところでございます。今後とも、特別支援教育コーディネーターの養成研修を継続して実施してまいります。
また、特別支援学校の専門性の高い教員が、地域の小中学校へ特別支援教育に関する情報提供を行うなどいたしまして、特別支援教育コーディネーターが専門的な知識や技能を習得できるよう努めてまいります。
○石川委員 さらに、特別支援教育の実施に際しましては、学校の体制と同様に、一般の児童生徒への理解も重要であります。この点については、都教委としてはどのように取り組んでいかれますか。
○岩佐指導部長 特別支援教育を進めていくためには、通常の学級の児童生徒が特別な支援を必要とする児童生徒を正しく理解し、ともに助け合い、支え合っていくことができるようにすることが大切でございます。都教育委員会は、平成十一年度より、児童生徒が学習障害等の理解を深めるための指導内容や方法を示したリーフレットを全教員に配布いたしまして、活用を図ってまいりました。
今後は、特別支援学校の児童生徒が小中学校にも副次的な籍を持つことのできる制度の平成十九年度からの実施に向けまして、小中学校の児童生徒が障害のある児童生徒を正しく理解し、ともに活動するための指導事例集を作成いたしまして、特別支援教育の理解に努めてまいります。
○石川委員 そうした中、国におきまして、平成十九年度より、小中学校においてさまざまな障害を持つ児童生徒に対する学校生活上の介助や学習活動の支援などを行う特別支援教育支援員の計画的な配置が可能となるよう、約二百五十億円、二万一千人相当分の費用について地方財政措置がなされることになりました。地方交付税上の措置であるので、各市町村ごとに判断の上、予算措置がなされるわけでありますが、既に独自に介助員等を配置している区市町村もあります。この支援員の配置は、特別支援教育を推進していく上で教職員の大きな助けになり、また、特別支援教育コーディネーターの仕事もやりやすくなると考えるため、ぜひとも今回の地方財政措置を踏まえ、従来の配慮に加えての配置を私は望みたいと思います。
都教委として、こうした支援員の配置について区市町村にどのように働きかけていくか、お考えをお聞かせください。
○荒屋参事 ご指摘のように、国において、平成十九年度より、小中学校においてさまざまな障害を持つ児童生徒に対する学校生活上の介助や学習活動の支援などを行う特別支援教育支援員について地方財政措置がなされ、平成十九年度については約二百五十億円の措置がなされる予定である旨、連絡のあったところでございます。
この支援員については、各区市町村の判断により措置されるものではありますが、都教育委員会としましても、各区市町村において、この措置を十分活用されつつ、特別支援教育の推進体制を整備されるよう、国からのより詳細な情報も得ながら、区市町村に対して働きかけてまいります。
○石川委員 通達を見ますと、これは二十年度も約三万人分の予算をつけるという通達になっておりまして、まさに保護者にとりましても、また教員にとりましても大変な助けになる措置でありますので、十分これが生かされますように、都教委としてよろしくお願い申し上げたいと思います。
ところで、今後、各区市町村がこの支援員をふやしていこうとしましても、地域によっては、特別支援教育や障害児に理解のある人材も限られておりまして、支援員となる人材の確保が難しい場面も予想されます。都教育委員会として、各区市町村が行う支援員の確保を支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○荒屋参事 特別支援教育支援員につきましては、各区市町村がその人材を確保するものではありますが、都教育委員会としましても、区市町村の人材募集情報を大学やボランティア団体に提供したり、盲・ろう・養護学校が実施するボランティア養成講座において同様の情報を提供するなどの支援をしてまいります。
○石川委員 障害のある児童生徒を抱えている保護者の皆さんにとりましては、ようやく特別支援教育が実現したと感慨を持っておられる方も多いと思います。この四月からの特別支援教育の実施に当たりましては、こうした保護者の思いを十分に受けとめ、区市町村と連携しながら特別支援教育の体制をさらに充実していくよう、改めて要望しておきます。
○大山委員 特別支援教育の更なる充実に関する陳情ということですけれども、特別支援教育が四月から始まるということで、気になる子どもたちだとか、軽度な発達障害の子どもたちについても支援の対象とすることが位置づけられ、そして、1にあるように、小中学校に特別支援教育コーディネーターが配置されるということですね。しかし、小中学校への配置といっても、今ずっとお話がありましたように、校務分掌での指名ということだけですね。
まず確認しておきたいんですけれども、小中学校の特別支援教育コーディネーターという役割は、具体的にはどのような仕事を行うのでしょうか。
○岩佐指導部長 小中学校の特別支援教育コーディネーターは、それぞれの学校で特別な支援が必要な児童生徒や保護者への具体的な支援を検討するために、校内委員会を企画運営したり、関係諸機関との連絡調整を行ったりする仕事を担当いたします。
○大山委員 特別な支援が必要な児童生徒や保護者への具体的な支援を検討するために、校内委員会の企画運営と関係機関との連絡調整だということなんですけれども、文科省のガイドラインを見ますと、校内における役割として、校内委員会のための情報の収集準備、担任への支援、校内研修の企画運営、外部の関係機関との連絡調整などの役割として関係機関の情報収集や整理、専門機関等への相談をする際の情報収集と連絡調整、専門家チーム、巡回相談員との連携、それから保護者に対する相談窓口というように、かなり充実した仕事内容が書かれているわけです。
さらに、これからの東京都の特別支援教育のあり方についての最終報告の中には、特別支援教育コーディネーターの配置とその役割というのがあって、その中に、小中学校の特別支援教育コーディネーターには、特別支援教育における指導の専門性と、組織としての内外の連絡調整を行う能力が求められる。
前者は、児童生徒の実態把握、それから個別指導計画の作成、実施、評価、通常の学級の担任や保護者への具体的な支援などということが挙げられています。個別の支援計画に基づく適切な教育的対応と実施する能力が求められているというわけですね。
後者は、外部との関係ですけれども、外部の関係機関、エリアネットワークを結ぶ特別支援学校等の関係諸機関との連携、調整、校内委員会の運営や研修計画の作成等の校内支援体制の充実などを推進する能力なんだと、このように最終報告には書いてあって、さらにスクールカウンセラーとの連携にも配慮する必要があるというふうになっているんです。
この最終答申の中にある役割というのを見ますと、特別支援教育コーディネーターの仕事はとても重要ですし、高い専門性が求められると考えますけれども、どうですか。
○岩佐指導部長 小中学校における特別支援教育を推進していくためには、特別支援教育コーディネーターの役割は重要であり、特別支援教育に関する高い専門性が求められております。都教育委員会は、今後とも、特別支援教育コーディネーターの養成研修を継続的に実施していくとともに、特別支援学校の専門性の高い教員が地域の小中学校へ特別支援教育に関する情報提供を行うなどいたしまして、特別支援教育コーディネーターが専門的な知識や技能を習得できるようにしてまいります。
○大山委員 非常に重要だし、高い専門性が求められる。そして、常に向上していくということが求められているということですね。東京都の調査でも、軽度発達障害の子どもたちは四・四%いるということになっていますね。これが四十人学級だったら、一クラスに一人から二人、一学年三クラスで、例えば一学年百人の学校だったら、小学校だったら六百人ですね。六百人とすると、大体二十六人程度の確率で配慮を必要とする子どもたちがいるということなんです。
今、学校の現場では、教員の長時間過密労働の常態化ということで、先生が走っているとか、子どもたちに待ってねといわざるを得ないとか、子どもたちと一緒にいたいのだけれどもその時間がないとかということで、教員は苦しんでいる実態が大きな問題になっているわけです。そんな中で、専任の教員を配置するのではなくて、教員が今までどおりの仕事をしながら、その上、先ほどのような高い専門性が求められる仕事をする。例えば、六百人規模の学校だったら、二十六人ぐらいの子どもたちの実態の把握をしたり、それから個別指導計画の作成をしたり、担任や保護者への支援をしたり、外部機関との連携などなど、コーディネーターの任務を遂行するというのは大変なことだということです。
実際、九割以上の小中学校で配置されているというか指名されているというふうに聞いていますけれども、通常学級の先生が研修を受けて、さっき答弁されたようにコーディネーターになるケースもあるし、例えば専科の先生の力量があってコーディネーターに指名されているというようなケースもあると聞いているんです。特別支援教育コーディネーターに本当に教育長が最終報告で出されている役割を担ってもらい、そして実践してもらおうということだったら、校務分掌で指名しただけでできるような仕事だとは到底考えられないわけですね。
本当に最終答申の内容を実現する気があるのでしょうかというのをちょっと聞いておきたいんです。
○荒屋参事 小中学校において、個々の学級担任の取り組みを支援し、学校全体として特別支援教育に取り組んでいくためにも、特別支援教育コーディネーターの役割は大変重要であり、各学校において特別支援教育コーディネーターやその他の教職員の役割や校務分掌を工夫しつつ指名していただきたいと考えております。
都教育委員会といたしましても、学校での先進的な事例などの紹介をしてまいります。
○大山委員 校務分掌を工夫してできるような仕事ではない、本当にやろうと思ったら、そんな仕事内容じゃないというふうに思うわけです。実際にそのコーディネーターと指名されている障害児学級の担任をやっている方の話も聞きましたけれども、気になる子がいる担任からの相談を受けるだけでも、最低でも三、四十分はかかるというんですね。だから、その方は毎晩十時ごろの帰宅だというんですね。ちゃんとやろうと思えば、相談に乗って、どうしたらいいかという、それだけでも三、四十分かかったり、十時ごろまで毎日かかっちゃったりするわけです。
最終報告でいわれているような仕事を実現しようと思えば、とても校務分掌でできるような問題ではないと思いますし、ちゃんとやろうとすればするほど仕事はふえていくんだというのが、この種の仕事です。本気で特別支援教育を行おうというのだったら、別枠での人員配置というのは、基本的な、当然のことだと思います。
国が、特別支援教育の推進のための教員配置として三百十一人の教員配置を予定しているようですけれども、これは東京都にも配分されると思いますが、何人ぐらいの配置になって、都教委としてはどう活用しようとしているのでしょう。
○松田人事部長 国は、今日的な教育課題として特に緊急性の高い特別支援教育に対応するために、文部科学省の平成十九年度予算案に、小中学校におけるLD、ADHDの児童生徒に対する指導の充実及び特別支援学校におけるセンター的機能充実のために、三百十一人の教員配置を盛り込んだと聞いてございます。
都教育委員会は、特別支援教育の充実を図るために、既に平成十八年度から、LD等の発達障害を持つ児童生徒を対象に含めた上で、通級指導学級に対する定数措置をしております。また、平成十九年度予算案におきましては、特別支援学校におけるセンター的機能充実に関する講師時数の増を盛り込んでございます。
今回予定されている国の措置が正式に決定された場合には、都教育委員会として独自に措置した定数等を国庫負担の対象とするよう求めてまいります。
○大山委員 独自に必要だからといって東京都が独自に配置していたものを、国のお金が来るからといって、結局のみ込んじゃうということですね。現状と変わらないということですね。国でさえも必要だということを認めているわけです。それをのみ込んでしまうというのは、今の特別支援教育を本当に進めていく気があるのかということを問わざるを得ません。
東京都で出していた予算が、ほんの少しかもしれませんけれども少なくなるわけですから、先ほどから、重要な仕事だし、それから高度で専門的な仕事なんだという認識なのですから、国の人員配置に加えて専任配置とする方向こそ、教育に責任を持つ行政としての姿勢ではないかということを述べておきます。改めて専任配置を求めます。
2の、後期中等教育の教育保障のための適切な支援についてですけれども、十一月二十八日の委員会でも、軽度発達障害の子どもたちの高等学校への進学問題が審議されて、そのとき、さまざまなタイプの高校の設置だとかが述べられ、さっきも教育委員会の見解の中でも述べられていたわけですけれども、そんな中で、実際にはチャレンジスクールの応募倍率が高くて、入学したくても入れないとか、就学相談にチャレンジスクールに行ったけれども、入れてあげたいのはやまやまだけれども、教員の手が回らないというような実態があるんだということも明らかになったわけです。
聞いておきたいんですけれども、盲・ろう・養護学校は、ことし四月、特別支援学校になって、センター機能として地域の軽度発達障害児の児童生徒の支援も行うということになるわけですね。ということは、盲・ろう・養護学校には軽度発達障害についての専門性があるということですね。
○岩佐指導部長 盲・ろう・養護学校におきましては、在籍する児童生徒全員に対して個別の教育支援計画を作成し、指導を行っているところでございます。また、障害のある児童生徒の指導における教材教具の工夫や指導上の配慮など、軽度の発達障害のある児童生徒への指導に生かすことができる知識や経験を積んでいるところでございます。
今後とも、このような盲・ろう・養護学校の専門性を、特別支援教育コーディネーターが中心となりまして、地域の小中学校や高校等に提供してまいります。
○大山委員 つまり、専門性があるということなんですね。ですから、知的障害児の養護学校だからといって、その知的障害がないとだめなんだということではなくて、専門性があるというのだったら、その高等部で軽度発達障害の生徒を受け入れるということは順当なことだということですね。チャレンジスクールなどへの教員の増配置だとか、十一月の委員会で答弁された、チャレンジスクールと都立養護学校が連携して、養護学校の教員を講師として研修を実施する校内研修を充実させていく、そのことによって教員の特別支援に対する理解を深めていくということも、引き続き充実することを求めておきます。
3の、心身障害学級の制度の維持拡充についてですけれども、心身障害学級、そして情緒障害の通級学級とも、二〇〇一年から比べると、本当に大勢の子どもたちが学級に通っているということですね。知的障害学級の子どもたちを見ると、小学校では、二〇〇一年には二千六百三人だったのが、二〇〇六年には三千六百四十二人になっていて、情緒障害教育の通級学級は二〇〇一年には八百四十四人だったのが二千百十五人ということで、本当に多くの子どもたちが学級に通っているわけです。そのために、三十人を超える子どもたちが在籍している知的障害学級もあるということですし、通級指導学級も、希望しても、いっぱいだからといって待機せざるを得ないという実態もあります。
本当に、心身障害学級の増設を含めて心身障害学級の制度を維持して、さらに充実することこそ、今求められていることだということを述べて、質問を終わります。
○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一八第一一五号は継続審査といたします。
○たぞえ委員長 次に、陳情一八第一二〇号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○松田人事部長 一八第一二〇号、栄養教諭の配置等の早期実現に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陳情は、町田市、社団法人全国学校栄養士協議会東京都支部支部長、菅規子さん外七百六十五人から提出されたものでございます。
本陳情の要旨は、都において次のことを実現していただきたいとするものでございます。
1、学校栄養職員全員を対象として、栄養教諭になるために必要なすべての単位の認定講習を行うことでございます。
これに関する現在の状況でございますが、栄養教諭の認定講習は、平成十七年度から、文部科学省の栄養教諭育成講習事業を活用いたしまして、栄養教諭の資質向上を図る目的で、食に関する指導の方法など、栄養に係る教育に関する内容について実施しているところでございます。
これまで、平成十七年度に九十名、平成十八年度に百七十五名の栄養職員が受講しており、平成十九年度におきましては、平成十八年度と同規模の講習の実施を予定しているところでございます。
次に、2、栄養教諭の認定講習終了後は、選考等を経て、栄養教諭として採用、配置するということでございます。
これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会では、昨年十月、庁内に食育指導体制における栄養教諭の検討プロジェクトチームを発足させ、栄養教諭制度のあり方、役割、配置基準、給与負担などのさまざまな課題を整理し、検討しているところでございます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○たぞえ委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○早坂委員 まず、学校給食について伺います。
そもそも学校では必ず給食を実施しなければならないのか、お伺いいたします。
○山川学務部長 学校給食法第四条におきまして、義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならないとなっておりまして、学校給食の実施は設置者の努力規定になっております。
○早坂委員 設置者の努力義務ということは、給食を実施するかどうかは、公立小中学校でいえば区市町村ごとの判断だということであります。では、現在の都内での学校給食の実施率とその実施形態について伺います。
○山川学務部長 学校給食の実施状況でございますが、公立学校におきましては、小学校はほぼ一〇〇%の学校で、中学校は約九割で実施されております。
実施形態につきましては、区部ではほとんどが自校調理方式を、多摩地域では共同調理場方式が多くなっております。
○早坂委員 現在、給食は一食どのくらいの予算でつくられているのか、伺います。
○山川学務部長 平成十八年度の平均の学校給食費は、小学校低学年で二百二十三円、中学年で二百三十六円、高学年で二百五十円、中学校で二百九十八円となっております。
○早坂委員 最近は、朝食抜きの子どもや、一方で肥満の子どもがふえているなど、食生活の乱れが指摘されています。栄養バランスに十分配慮された学校給食の果たす役割は、お子さんの一日当たりの栄養摂取においてますます重要になってきていると思います。また、夫婦共働き世帯への子育て支援の意味もあります。
そこで、学校栄養職員はどのような職務をしているのか、伺います。
○山川学務部長 献立作成などの栄養管理や、給食時間に食に関する専門性を生かした給食指導などを行っております。また、担任教諭とのチームティーチングなどによりまして、児童生徒に対し食に関する指導を実施したり、給食だよりの発行による保護者への働きかけ、あるいは地域の生産者と連携いたしまして農産物などの生産体験など、学校や地域の実情に応じて食育に取り組んでいるところでございます。
○早坂委員 私が毎日給食を食べていた二十五年ほど前には、学校栄養職員は給食室に閉じこもり、給食づくりの指揮監督に専念したという印象があります。しかし、現在は、子どものいる教室へ出向き、食に関するさまざまな指導を行っていると聞きました。
このような指導が実施されるようになったのはいつごろからでしょうか。
○山川学務部長 学校栄養職員の職務は、当初は栄養管理が中心とされておりましたが、昭和六十一年に、学校栄養職員の職務についての国からの通知によりまして、望ましい食生活に関し、専門的立場から担任教諭等を補佐して、児童生徒に対する指導や学校給食を通じて家庭及び地域との連携を推進することが明確になりました。さらに、平成十年には、食に関する指導の充実についての国からの通知があり、学級活動などにおいてチームティーチングで食に関する指導が実施されております。
○早坂委員 今後、都内の公立小中学校においてどのような食育推進への取り組みをしていくのか、伺います。
○山川学務部長 昨年七月にまとめました公立学校における食育に関する検討委員会報告書におきまして、食育推進のための校内体制として、給食主任などの教諭や家庭科教諭、養護教諭、学校栄養職員から成る食育推進チームを編成し、その中から食育リーダーを選任し、食に関する指導の全体計画作成のための調整や、家庭、地域との連携におけるコーディネーターとなり推進していくことが示されたところでございます。
今後、こうした考え方に基づいて、学校における食育を推進してまいります。
○早坂委員 次に、全国の栄養教諭の配置状況についてお伺いいたします。
○山川学務部長 平成十九年一月十六日現在、文部科学省の調査によりますと、二十五道府県におきまして三百五十八名が学校に配置されております。
○早坂委員 栄養職員を対象にした認定講習はどのような科目を開設しているのか、また、栄養職員が栄養教諭免許状を取得するにはどれだけの単位が必要なのか、お伺いいたします。
○松田人事部長 栄養職員を対象とした認定講習は、平成十七年度から、栄養教諭の資質向上を図る目的で、国の栄養教諭育成講習事業を活用いたしまして、栄養に係る教育に関する科目の二単位について実施をしております。教員免許状を持っている栄養職員は、この二単位をもって栄養教諭免許状の申請が可能となります。また、教員免許状を有していない栄養職員につきましては、この二単位のほかに、さらに教職に関する科目八単位を修得する必要がございます。
○早坂委員 東京都は今後の栄養教諭の配置についてどのように考えているのか、伺います。
○山川学務部長 都としての栄養教諭制度につきましては、先ほど申し上げました学校における食育推進の中心的な役割が期待される食育リーダーの役割を踏まえた栄養教諭の職務配置等についてどうあるべきかを検討するため、庁内に食育指導体制における栄養教諭の検討プロジェクトチームを設置し、現在検討を進めているところでございます。年度末をめどに、方向性についてまとめてまいりたいと考えております。
○早坂委員 栄養職員を対象にした認定講習については、平成十九年度も栄養に係る教育に関する科目を実施する予定と伺っています。栄養職員の資質向上は、今後の食育指導体制の中で重要な視点であると考えます。国の栄養教諭育成講習事業は平成十九年度までと聞いていますが、平成二十年度以降も栄養教諭の資質向上を目的とした認定講習を引き続き実施し、東京都としても栄養教諭の配置に積極的に取り組むようお願いいたします。
○石川委員 今、早坂委員からるるお話がありました。ほぼ出尽くしたと思います。実は、十一月も委員会でこの陳情を扱ったんですけれども、ご案内のとおり、認定講習、あるいは自費で講習を受けて栄養教諭を取られている方々が現にいらっしゃるという事実、その皆さんが、栄養職員といういわゆる身分で、また、その給与表で働いているという現実、これは何とか一日も早く解消してあげなければ、しかも、今、学校現場では、食に対してさまざまなやらなければならないことがたくさんあるわけであります。
お話を伺いますと、先ほどもありましたが、これまでの栄養職員の東京都内の配置の歴史もあって、なかなか検討する課題が多くて進まないのですと、こういう説明でありましたけれども、現に、十八年度現在では二十一道府県で導入をされ、陳情者によりますと、十九年度中には東京都を除くすべての道府県で導入されるという状況なわけでありますから、これは、免許を取得したという人の、いいかえれば人権にもつながってくる問題でありまして、早期に東京都としても栄養教諭の任用を行えるように最大の努力をしていただきたいということが一点。
それから、認定講習が十九年度で実は終わります。さらに、希望する方が出てくる場合が予測されますので、十九年度以降、希望される方が出てきた場合に、この認定講習を継続していただきたいということを要望して、質問を終わります。
○大山委員 栄養教諭の配置等の早期実現に関する陳情ということですけれども、今るるお話がございましたけれども、十七年度、十八年度で二百六十五名が認定講習を受け、十九年度は十七年度と同規模の認定講習ということですけれども、陳情の一番上は、栄養職員全員を対象に、栄養教諭になるために必要なすべての単位の認定講習を行うことです。
東京都の認定講習は、先ほどご答弁がありましたように二単位ですから、この講習を受けても、教員免許がなければ、栄養教諭としての免許は受け取れないわけです。つまり、教員免許を持っていない職員向けに、免許が取れる八単位の講習も都が実施することを求めているわけです。
文科省のホームページの資料がちょっと古かったんですけれども、東京都のように二単位と、それから教職の分の八単位ですけれども、二単位だけしかやっていないところというのは、この文科省の資料では東京都だけなんです。これはまだ空欄がたくさんありますので、その後どうかというのはよくわかりませんけれども、少なくともほとんどの県は、教員免許を持っていない人対象の講習を開催しているということなんです。
実際、現在、教員免許を持っていない方は、自分で大学などで聴講などして単位を取得して、栄養教諭の免許を一月現在で二百三十一人が取得したということですけれども、二百三十一人のうち百十一人は独自に単位を取得して栄養教諭の免許を取得したことになるわけです。栄養職員は、食育の推進と、教諭として他の教員と対等に子どもたちに教えることができるということが、より食育を進める上でも重要だと認識しているから、こうやって自分で単位も取得して栄養教諭の免許を取るわけですけれども、やはり東京都としても他県と同じようにきちんと保障するべきだ、実施をするべきだと思います。
同時に、任用問題ですけれども、先ほどお話がありましたように、庁内に設置した検討委員会が今年度中にはまとめる予定だということですけれども、これは任用を前提にして検討しているのでしょうか。
○山川学務部長 東京都の実情に見合った栄養教諭のあり方について、現在検討しております。
○大山委員 実情に見合ったといっても、栄養職員の専門性、それから必要性、食育を進める上でも必要だということがあるわけですから、きちんと任用するというのは当然ですし、先ほどもありましたけれども、二十五県、三百五十八人が既に他県では任用されているということですから、きちんと東京都としても任用を進めていくことを求めて、終わります。
○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一八第一二〇号は継続審査といたします。
以上で請願陳情の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時散会
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