文教委員会速記録第十八号

平成十八年十二月十一日(月曜日)
第三委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長たぞえ民夫君
副委員長泉谷つよし君
副委員長鈴木 一光君
理事伊藤まさき君
理事服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
大松  成君
早坂 義弘君
坂本たけし君
初鹿 明博君
木内 良明君
古賀 俊昭君
中村 明彦君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長渡辺日佐夫君
次長荒川  満君
総務部長山本 洋一君
広報広聴部長高西 新子君
都民生活部長和田 正幸君
消費生活部長宮川 雄司君
私学部長新行内孝男君
文化振興部長 杉谷 正則君
参事萩原まき子君
参事産形  稔君
参事角田由理子君
教育庁教育長中村 正彦君
次長松田 二郎君
理事近藤 精一君
総務部長志賀 敏和君
学務部長山川信一郎君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長橋本 直紀君
指導部長岩佐 哲男君
生涯学習スポーツ部長三田村みどり君
学校経営指導・都立高校改革推進担当部長新井 清博君
人事企画担当部長直原  裕君
国体準備担当部長関口 修一君
参事石原 清志君
参事荒屋 文人君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 生活文化局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十五号議案 東京都消費生活条例の一部を改正する条例
・第二百十六号議案 東京都文化振興条例の一部を改正する条例
 連合審査会開会の申し入れについて
 教育庁関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十七号議案 東京都教育相談センター設置条例の一部を改正する条例
・第二百十八号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十九号議案 東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十一号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十二号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十三号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十四号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例

○たぞえ委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○たぞえ委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及び教育庁関係の付託議案の審査を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十五号議案及び第二百十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山本総務部長 去る十一月二十八日の当委員会において要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます平成十八年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、1、東京都消費生活条例施行規則(案)に規定する内容外二件の資料を記載しております。
 一ページをお開き願います。1、東京都消費生活条例施行規則(案)に規定する内容でございます。
 今回、消費生活条例において改正を予定している各項目について、同施行規則案で規定する内容を本ページから次の二ページにかけてそれぞれ示しております。
 三ページをお開き願います。2、東京都消費生活条例(案)第二十五条第一項第一号に規定する内容及び事例でございます。
 同条文案に規定する「消費者の意に反して」、「不適当な契約」並びに「判断力不足」がそれぞれ意味するところの内容及び想定される具体的な事例を掲げております。
 四ページをお開き願います。3、東京芸術文化評議会と東京都文化懇談会の比較でございます。
 本定例会で設置のご審議をお願いしております東京芸術文化評議会と東京都文化懇談会について、設置目的や根拠、構成などの区分ごとにそれぞれ比較をしたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求がありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○たぞえ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 七日の我が党代表質問で高島政調会長が申し上げたように、消費者被害の拡大を防止するための行政処分と罰則を盛り込んだ条例改正案が、全国の自治体に先駆けて提案されました。社会的に弱い立場にある方々を標的にして懐を肥やすような卑劣で悪質な事業者に対しては、厳正に対処していかなければなりません。今回の条例改正により、東京都は法的にはこれまで以上に強い権限を行使できるようになります。特定商取引法の規制のすき間をついた、巧妙な手口も封殺することが可能になります。ぜひともこの条例を有効に使い、悪質事業者を市場から排除し、消費者が安心して生活でき、また、事業者が活発に事業活動を展開できる社会の実現のために寄与していただきたいと思います。
 その意味では、改正条例が成立し、施行された後は、いよいよ東京都の実力が試されることになります。全国の自治体が注視し、多くの都民が期待をしています。
 そこでまず、現状についてお伺いをいたします。
 インターネットを利用したIP電話会社近未来通信が、一説では四百億円もの巨額の資金を集めて自転車操業を続けたあげく、突然会社を閉じて大きな騒ぎになっています。警視庁が詐欺事件ではないかと捜査に入っているようですが、新聞報道では、マルチ商法の疑いありとして、東京都でも既に指導に入っていたという記事もありました。そこで、どのような対応をしていたか、お伺いをいたします。

○宮川消費生活部長 近未来通信につきましては、消費者からの苦情、相談が夏ごろから急増したため、九月には本格調査を開始いたしました。その中で、まず国際プリペイドカード販売代理店契約につきましては、その取引形態が連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法であるのに、その重要事項の説明がなされていないなど、連鎖販売取引における禁止行為を規定する特定商取引法三十四条、三十七条に該当するおそれがあること、また、IP電話中継基地の契約書は、契約の解約に関し、消費者が不利になる条項を設けることを禁止する都の条例の二十五条、同規則八条に該当するおそれがあるため、その後、十月から十一月にかけまして役員をお呼びして、条例四十八条に基づく行政指導を行いました。その結果、十一月二十一日までに業務改善計画書を提出するとのお約束でしたけれども、十一月十七日以降、この役員とは連絡がとれなくなりました。大きな事件に発展する可能性も考えられたため、この間警視庁とも連絡をとり合いまして、都の調査により知り得た情報を速やかに提供しております。

○早坂委員 身近なところで最近対応した事例があれば、ご説明をお願いいたします。

○宮川消費生活部長 この十二月六日に、リフォーム業者一社、浄水器販売業者二社の悪質な訪問販売業者三社につきまして、特定商取引法七条に基づく指示処分及び条例四十八条に基づく勧告を行いました。
 事案をご紹介させていただきますと、浄水器の販売業者の二社のうちの一社は、水質検査をするふりをいたしまして、深夜にひとり暮らしの若者宅を訪問し、薬品を水道水にまぜて変色する様子を見せ、塩素が濃く体に悪いと虚偽の説明をいたしまして、一台約二十万円の浄水器を購入させておりました。この事業者に対する調査の過程では、なかなか姿を見せない事業者と接触を持つために、都合三日間職員が現場で張り込みを行いました。その結果、業務実態が明らかになり、証拠も押さえることができましたので、行政処分につながったものでございます。

○早坂委員 条例改正後は、改正された条例を最大限有効に活用し、これまで以上に積極的に取り組み、成果を上げていただきたいと思います。
 今後、事業者規制を強化していくに当たっての局長の決意を伺います。

○渡辺生活文化局長 悪質事業者に対する規制強化に向けた都の取り組みにつきましては、東京都消費生活対策審議会に諮問を行いました本年五月の段階から、他の自治体やマスコミなどからも高い関心が寄せられておりました。私どもは、大変重い責任と使命を感じつつ、今回都議会第四回定例会に条例改正をお願いしたところでございます。ただいまも早坂委員から高い評価、積極的な評価をいただきまして、心を強くしているところでございます。
 この条例改正を認めていただいた後には、条例と法律とを効果的に適用することはもとより、消費生活相談や取引指導の実施において工夫を凝らしまして、可能な限り多くの悪質事業者を市場から排除することをもって都民の期待にこたえていきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員 私は、東京都文化振興条例の一部を改正する条例についてお伺いをしたいと思います。
 最近の都の文化振興事業に関しましては、トーキョーワンダーサイト事業の運営体制について、都政の私物化との批判がなされております。有用な人物、人材を積極的に活用することは大変重要なことでありますけれども、多くの都民からも疑問視する声が寄せられているとも聞いております。こういった問題については、真摯に受けとめていかなくてはならないと思います。
 私も、この問題が明らかになりまして、すぐに調査を始めました。三カ所の現場にも足を運んでまいりましたし、また、いろいろな関係者からもお話を伺ってまいりました。一連の問題は、一言でいえばトップダウンの行き過ぎをストップできなかったことに問題があるのではないかというふうに思います。都政は、当然大統領制でありますから、直接選挙で選ばれた都知事の意向で政策を展開することに全く異論はないわけでありますけれども、知事の意向を酌んだ人物が現場で権限を持っているがゆえに、さまざまな問題が現場であったとしても、なかなかそれを的確に是正できなかったり、知事の意向に沿うようにと顔色をうかがう余り、行き過ぎてしまっていたように見受けられる部分が多々ございました。その意味で都政の私物化という批判がなされておりますけれども、私から見れば、石原流トップダウン都政のゆがみやひずみというものがここで表面化してきているのではないかというふうに思います。
 今、和歌山や福島、先般宮崎などでも知事が逮捕される事件が連続して起きております。知事は、一蓮托生になっちゃうのは非常に不本意だとマスコミのインタビューに答えておられますけれども、トップの行き過ぎを防げなかったこと、また、知事に対して物がなかなかいいづらいという点で、同じような構造的な問題を抱えているのだろうというふうに思います。
 しかしながら、これだけ多くの問題を抱えている文化振興施策でありますけれども、私は、施策の充実を図っていくということは大変重要だと思っています。東京の魅力向上、また東京の再生に取り組んでいく上で非常に重要だと思うんですね。政策形成や事業執行における適切な手続と、また透明性、公平性を確保して、しっかりやっていかなくてはならないと考えます。
 今回のこの条例改正案では、都は、文化振興施策を総合的かつ効果的に推進するため、知事の附属機関として、新たに東京芸術文化評議会を設置することを提案しております。東京の文化的魅力を高める文化プログラムを策定するためにも、この評議会の果たす役割は非常に大きいと考えます。評議会の運営に当たっては、さまざまな批判を受けないように適切な対応を求めて、四点質問をしたいと思います。
 まず、東京芸術文化評議会は、どのような機能を持ち、そして何を期待するのか、お伺いします。

○杉谷文化振興部長  東京芸術文化評議会には、文化振興のための施策について、知事の諮問に応じて意見を述べていただくほか、必要に応じて自発的に提言をしていただきます。評議員は、芸術文化の第一人者で構成することを予定しておりまして、専門家の立場から東京の文化的魅力の向上につながる大胆かつ斬新な意見や提言を出していただくことを期待しております。
 なお、この評議会は、知事が臨時に設置する懇談会であった東京都文化懇談会とは異なり、その答申、提言は着実に施策に反映してまいります。また、評議会の大局的な議論を掘り下げ、より深い検討ができるよう、評議会に特定の事項を調査、審議する部会または専門委員を設ける予定でございます。

○伊藤委員 次に、評議会の検討対象範囲についてお伺いをしたいと思います。
 一言で文化といいましても、例えば日本文化とか、下町文化、食文化、ひいてはオタク文化というような言葉もあります。いろんな側面があると思いますし、芸術といっても、絵画や音楽、文芸、さまざまなジャンルがあります。知事の発言を伺っておりますと、現代アートの若手芸術家の支援ばかりがクローズアップされているように聞こえますけれども、世界でも有数の大都市である我が東京の文化施策のあり方を議論する場として、幅広い、そしてバランスのとれた議論が期待されると思いますけれども、ご所見を伺います。

○杉谷文化振興部長  東京芸術文化評議会には、音楽、美術、舞台芸術、伝統文化、景観など、東京における芸術文化全般にわたり自由闊達なご議論をいただこうと考えております。

○伊藤委員 次に、人選についてお伺いをしたいと思います。
 条例案には、「文化振興に関し識見を有する者のうちから、知事が任命する評議員十五人以内をもつて組織する。」というふうにあります。先ほどの答弁にも、各界の第一人者を集めるということでありますけれども、例えばスポーツ界で見ますと、一流の選手が必ずしも監督として一流とは限らないわけであります。評議会がその期待される機能を十分に発揮できるか、人選というのはその大きなかぎになると思います。
 そこで、人選に当たっての考え方を、なるべく具体的にお示しください。

○杉谷文化振興部長  東京芸術文化評議会は、知事が所信表明で述べたとおり、東京の文化的魅力を一層高めていくための芸術文化振興の頭脳部と位置づけております。したがって、評議会の人選に当たりましては、美術、音楽、建築、伝統文化など各界の第一人者であること、幅広い議論がなされるよう特定の分野に偏らない構成にすること、具体策の提案をいただける方などを基準といたしまして、芸術文化振興の頭脳部にふさわしい組織づくりを早急に進めてまいります。

○伊藤委員 次に、評議会の審議過程の透明化についてお伺いしたいと思います。
 政策形成過程において透明性の確保が重要であることは、他の行政分野同様、当然のことであります。そこで、評議会の審議過程の透明性確保についてどのように考えているのか、お伺いします。

○杉谷文化振興部長  東京芸術文化評議会の議論は、結論だけでなく審議過程も重要でありまして、原則として公開で行います。ただし、個人のプライバシーにかかわる場合などにつきましては、評議会の決定により非公開とすることもございます。また、評議会の議事録につきましても公開といたします。ただし、東京都情報公開条例第七条に規定いたします、該当する情報が記録されている場合には、この限りではございません。

○石川委員 私からは、東京都消費生活条例の改正について質問させていただきます。
 悪質巧妙な手口による消費者被害の深刻化に対応するため、行政指導の対象を拡大し、条例では全国初となる禁止命令や罰則規定を導入するという今回の条例改正について、我が党は高く評価をいたします。今後は、この条例をいかに使って、前に述べた消費者被害の減少あるいは全廃を目指していくかが重要になります。
 そこで、条例改正の実効性という観点から、何点か伺います。
 今回の条例改正で行政処分と罰則が導入されますが、このことによって、これまでと比べ、どこがどのように大きく変わるのか、まず初めに伺います。

○宮川消費生活部長 条例におきます悪質事業者への規制は、事業者の改善努力により期待をいたしまして、条例には法律のような行政処分や罰則規定を定めていないために、これまで法的拘束力を有しない指導、勧告という行政指導にとどまっておりました。今回の改正によりまして、特定商取引法の対象となっていない取引、すなわち法規制の網の目をくぐり抜ける巧妙な手口による不適正な取引行為につきまして、条例に基づき禁止命令を出すことができるようになります。
 このことをちょっと具体例で申し上げますと、一般に、チラシなどを見まして消費者がみずから事業者を呼ぶ場合は、訪問販売に当たらないで、法規制の対象の外に置かれております。しかし、今回の条例改正により、例えばトイレなどの水回りの修理を依頼したものの、水漏れという切迫した状況の中で、説明もなく勝手に便器を交換するといったような不要な工事を行いまして、高額な支払いを請求するといった悪質な事業者に対し、一年以内の取引行為を禁ずる禁止命令を出すことが可能になります。

○石川委員 条例改正後は、さらに効果的に行政処分を行うことにより、悪質事業者に厳正に対処してほしいと思いますが、その際には、迅速な処分の発動ということが重要であると考えます。今回の条例改正の中で、迅速性という観点からどのような対応が可能になるのか、伺います。

○宮川消費生活部長 今回の条例改正では、緊急性の高い事案につきまして、指導、勧告を経ずに直接禁止命令を出すことができる規定となっております。例えば、インターネットを利用して実体のないモデルの養成講座の申し込みをあおるなど、その手軽さから若者の間で被害が急激に拡大するおそれのある事案に対しまして、迅速に禁止命令を発動いたし、事業者の不適正取引行為をとめることにより、被害の拡大防止、未然防止が可能となります。

○石川委員 行政処分を迅速に発動するための規定は整っているとの答弁ですが、迅速な対応を行うためには、現場の体制が機動力を発揮できるものでなければならないと考えます。次々とあらわれる悪質事業者に対応するため、これからどのような工夫を行っていく考えか、伺います。

○宮川消費生活部長 複数の案件に同時かつ機動的に対応できるよう、班編成をとって現在も取引指導に当たっております。今回の条例改正で行政処分と罰則を導入したことにより、今後はさらに迅速かつ的確な現場対応が求められることになります。
 そこで、立入調査を円滑に実施し、証拠となる資料を的確に捕捉するため、例えば、現場での張り込みや資料運搬等に用いる車両を調達するなど、機動力を発揮し、規制の実効を上げるための工夫を行ってまいります。

○石川委員 条例改正の実効性を上げていくためには、今ご答弁がありました機動性を高めるなどの執行体制の充実に加え、改正の内容そのものや最新の被害情報などをしっかりと消費者に知らせ、十分に理解してもらうことが必要であると考えています。私の地元の練馬区では、警察からの防犯メールが有効に機能していますが、こうした新しい方法の活用も含めどのような方法を考えているのか、伺います。

○宮川消費生活部長 ご指摘のとおり、この条例改正の内容や最新の被害情報などを消費者によく理解していただくことが大変重要であると認識しております。このため、改正内容等をわかりやすく説明しましたリーフレットの配布、交通機関へのポスター掲出、「広報東京都」や消費生活総合情報誌であります「東京くらしねっと」などでの解説記事の掲載などを通じまして、広く周知を図ってまいります。
 また、シンポジウム形式などにより、多くの都民が参加できる教育講座や、消費者団体等の自主的な学習会の場などを活用いたしました啓発活動も行ってまいります。さらに、ホームページにつきましても、来年一月に「東京くらしWEB」として全面的にリニューアルをし、条例改正の特集ページや、約四百件の最新相談事例とそのアドバイスを検索できるコーナーを設けるほか、都が行政処分をしました事業者の一覧を掲載するなどによりまして、情報提供の強化を図ってまいります。
 ただいま石川理事のお話によりますと、練馬区では、警察からの防犯メールが有効に機能しているとのことでございますが、私どもの方の消費生活関係におきましても、ホームページのリニューアルにあわせまして、来年一月からメールマガジンを新たに配信してまいります。
 今後もこうした方法の効果的な活用を通じまして、最新の消費者被害情報等を都民に周知してまいります。

○石川委員 さまざまな方法で都民への情報提供を行っていくということでありますが、例えば、認知症の高齢者など、行政側が発信する情報を受け取ることが難しい方々もいらっしゃいます。先日の我が党の代表質問に対し、こうした人々を悪質事業者から守るため、高齢者の被害防止のためのガイドラインを策定するとの答弁がありましたが、現在の検討状況を伺って、質問を終わります。

○宮川消費生活部長 高齢者被害の防止のためには、家族や介護事業者など、高齢者の身近にいる方々と連携した見守りが重要でありますので、本年九月に高齢者の消費者被害防止対策検討委員会を設置いたしました。東京都町会連合会、東京都民生児童委員連合会、東京都社会福祉協議会を初め、関係者のご参加をいただきまして、区市町村及び都の関係部署の職員も加わり、地域の現状を踏まえた被害防止のためのガイドラインづくりに向け取り組んでおります。
 このガイドラインには、被害を発見した際の相談や通報の方法、高齢福祉部門と消費生活部門との連携の方法、高齢者を見守る方々への情報提供のあり方などを盛り込む考えです。現在、既に検討部会を三回開催しておりまして、活発な意見交換を行っております。その中で、例えば高齢者を見守る方々に、消費者被害の存在に気づくための知識、こういったものがあれば通報へのハードルが低くなるのではないかとか、あるいは消費生活センターの相談員にも、認知症というものがどういうものか、この辺を理解してもらう必要があるのではないか、そのためには認知症サポーター講座を受講させることが必要だというような貴重なご意見、ご提案をいただいております。
 今後、これらの点を踏まえまして、来年二月末を目途にガイドラインを作成してまいります。

○大山委員 まず、消費生活条例の一部を改正する条例から質疑します。
 消費者の被害については、悪質な事業者がかなりふえてきている、被害もかなり大きくなっているということでは、悪質な事業者が活動できないようにすることは重要ですし、否定するものではありません。答申のときも幾つか質疑をしたわけですけれども、条例ができた今の段階で、条文も、「又は」とか「若しくは」とかがたくさんあるものですから、きちんとこの場で条例、それから規則双方について把握しておきたいですし、ただしておきたいと思っています。
 まず最初なんですけれども、条例改定案の第二十五条の一項一号、この条文の中に「又は」というのが三カ所、それから「若しくは」というのが二カ所出てくるんですね。この三行の条文、これは何をどのように読むのか、わかりやすく説明してください。

○宮川消費生活部長 この条例の第二十五条の第一項一号に書いてあることについて、どのように読むのか解説をというようなお話だと思いますが、お手元の議案の五ページをお開きいただきたいと思います。これは、「又は」「若しくは」と、確かに今先生お話しのように、非常に複雑に入り組んでおります。これは、ご案内のように条文の書き方として一定のルールがございまして、それに従って記載をさせていただいておりますので、これをどう読むか、私の方で説明させていただきます。
 この第二十五条の第一項の一号、「消費者を訪問し」から、最後は六行目のところでございますけれども、「契約を締結させること。」、このようになっておりますけれども、まず、ここには実は五つの行為について規定がされてございまして、消費者を訪問し、その後に「又は」が来ますので、二行飛びまして、消費者の意に反してにかかります。消費者を訪問し、消費者の意に反して契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること、これが一つでございます。
 次に、電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器で、ちょっと飛びまして、を利用して広告宣伝等を行うことにより、消費者の意に反して契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること。
 三つ目が、二行目のところの「若しくは」の下にあります、情報処理の用に供する機器を利用して広告宣伝等を行うことにより、消費者の意に反して契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること。
 四つ目が、三行目の下の方にあります「又は」の下から始まりますが、消費者にとって不適当な契約と認められるにもかかわらず、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること。
 最後の五番目でございますが、五行目の方の上からになりますけれども、消費者の判断力不足に乗じることにより、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること、と、なかなか読んでいくのも大変なんですけれども、私どもの方も、この辺につきましては、条文上はやむを得ないものでございますので、逐条解説等のところでわかりやすくご説明するようにしたいというふうに考えております。

○大山委員 条文だと三行なんですけれども、それが今のように五種類の不適正行為が書かれているということなんですね。資料2で出していただきましたけれども、二十五条一項一号について、「消費者の意に反して」、それから「不適当な契約」、「判断力不足」、それぞれの事例についても書いていただきました。
 その中で、「消費者の意に反して」ということなんですけれども、訪問する場合なんかも考えますと、多くの場合は、消費者は、勧誘される側は一人というケースが多いと思うんですね。消費者がこれを拒絶しているにもかかわらずということを判断すること、これは正当な商行為と不適正なものであるとの判別というのは難しいと思うんですけれども、その辺はどのように判断するんですか。

○宮川消費生活部長 これは、具体的に申し上げますと、被害を訴える消費者の証言に基づいて、実際には供述書を作成していただいています。同様の被害に遭った複数の方々から同様な証言がとれますれば、事業者が消費者の意に反した勧誘等を行っていたと強く推定されるわけです。また、必要に応じて立入調査を行いまして、悪質事業者から裏業務マニュアルなるものなどを証拠として押さえることにより、消費者の証言は確実なものになり、消費者の意に反することが証明されることになります。

○大山委員 消費者の証言をきちんと、いろんなケースを把握するんですということですね。その契約の締結を勧誘し、もしくは契約を締結するというふうにありますけれども、契約を締結しなくても、勧誘する、その段階で不適正な取引行為となることが考えられるケースというのは、どういうことを想定しているんでしょう。

○宮川消費生活部長 契約でございますので、消費者の意思というものも非常に重要になります。消費者が、勧誘の段階でもう嫌だ、もう帰ってほしいというような拒絶の意思表示をすれば、それ以降の勧誘行為は不適正な取引行為になるというものでございます。

○大山委員 意思表示をすれば、その後は締結しなくても、もう不適正なものなんですということなんですね。そうやって訪問だとか電話だとかというと、やりとりがあって、嫌ですとか、もう帰ってくださいとかというふうにいえるんですけれども、例えばパソコンだとかファクスなんかの場合だと一方通行だったりするわけですが、その場合に、消費者の意に反してということがどこで明確になるのかということを確認したいんですが。

○宮川消費生活部長 確かに双方が顔を合わせることのない、パソコンやファクスなどによる勧誘の場合には、消費者が拒絶の意思表示を示すことがなかなか困難であります。そのため、消費者がその勧誘を受け入れるか拒否するか、どちらかの意思表示をする機会を事業者は明示的に与える必要があると考えます。例えて申し上げますと、携帯電話やパソコンへのメールなどから、アダルトサイトや出会い系サイトに誘い込みまして、クリックしているうちに突然登録申し込み完了というような画面があらわれて、これをもとに契約の成立を主張して執拗に高額料金を請求する、いわゆる架空不当請求が後を絶ちません。こうした場合に対応するため、条例の施行規則において、消費者が意思表示できる機会を事業者が明示的に与えていないことを消費者の自主性を害する不当勧誘行為として規定し、規制するというものでございます。
 これは、お手元の委員会資料の一ページをごらんいただきたいんですが、ここの一番上のところに、消費者の自主性を害する不当勧誘行為というのがございまして、その内容の説明の上から四つ目のところでございますが、〔4〕とございます。この「又は」以下、その意思表示の機会を明示的に与えることなくというこの部分でございます。そのような行為については、当然不適正な取引行為になるということでございます。

○大山委員 明示的に与えることなくというのは、きちんと自分が申し込む意思を持ってやる場所が明確になるということでいいわけですね。
 それで、規則の中、それは今の〔4〕ということですけれども、この条例も、規則で定めることが結構あるわけですね。それで、現在の条例の規則を見てみましたら、例えば、不適正な取引行為ということに関しても、条例の分と規則の分と、同義反復というか、そういう部分が結構見受けられるんですが、今回改定された条例に対応する規則は、もう条例でいい切れなかった分だとか、具体的なことをきちんとわかるように書き込まなきゃいけないとは思うんですけれども、どうですか。

○宮川消費生活部長 誤解を招いたり、適用というものを誤らないためにも、正確な法文となるように、条例、規則の条文は、法文記載のルールに従いまして詳細かつ厳格に記載をしております。この辺は非常に制約があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、逐条解説その他説明のところでは、非常にわかりやすく説明できるように工夫をしていきたい、このように考えております。

○大山委員 では、ぜひそのようにしてください。
 二十五条の一の四ですけれども、また条文で申しわけないんですが、一つの文章に今度は「又は」が二つ、それから「若しくは」が二つ出てくるんですが、これをもう一回、わかりやすく説明してください。

○宮川消費生活部長 それでは、議案の六ページをごらんいただきたいと思います。議案の六ページは、二十五条の第一項の第四号、これをどのように読むかというようなご質問だと思うんですが、これは四つの規制される行為が規定されておりまして、まず一つは、消費者を威迫して困惑させ、最後のところの、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること、二つ目が、迷惑を覚えさせるような方法で契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること、三つ目が、二行目の「若しくは」の下にございます、消費者を心理的に不安定な状態に陥らせ、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること、四つ目が、消費者を正常な判断ができない状態に陥らせ、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること、このように読むことになります。

○大山委員 ということで、その読み方はわかりました。
 それで、五十一条に移りたいんですけれども、五十一条の二項、禁止命令のところです。この五十一条のそこの部分は禁止命令ですから、非常に重い、過料もつくところですが、「2 知事は、第二十五条の二第一号の重要な事項として規則で定めるもののうち規則で定めるものにつき不実のことを告げる行為」というふうに続いていますけれども、この最初の「規則で定めるもののうち」が何なのかということと、後半の「規則で定めるものにつき」という規則が何なのか、つまり、これは何を指しているのかということを明確にしてもらいたいんです。

○宮川消費生活部長 議案の一〇ページの第五十一条の第二項のところの記載についての説明ということでございますけれども、特にその中での規則についての意味合いでございますが、これは、お手元の委員会資料の二ページをお開きいただきたいんですが、ここに重大不適正取引行為というのが書いてございます。ただいま先生がお読みいただきましたように、五十一条第二項のところは「知事は、第二十五条の二第一号の重要な事項として」、このように記載してございます。これについて規則でどういう中身かというのが、ここにあります〔1〕から〔7〕まで記載してございます内容が、最初のところの「規則で定めるもの」ということでございます。
 後半の方の「うち規則で定めるもの」というのが、実はこの〔1〕から〔7〕のうちの〔1〕の商品の種類、性能、効能等に関する事項、これを示すものでございます。

○大山委員 これから規則に定めるものなんだということで、それはつまり〔1〕の商品の種類、性能、効能等に関する事項なのだということなんですね。これは、事業者が自分で証明しなければならないという部分ですから、非常に重大な部分なんですね。
 同時に、同じ条文の中で「期間を定めて」というふうに書いてありますけれども、この期間は何を基準にするんでしょう。

○宮川消費生活部長 この期間につきましては、実はこういった中身に類似するものといたしまして特定商取引法というものがございますが、これの第六条の二等の運用指針というものが国の方から出されておりまして、ここでは十五日間というふうに規定がなされております。私どもの方のこの条例につきましても、この法と同趣旨の内容を定めることになってございますので、この十五日間というものを準用いたしまして規定するという考えでございます。

○大山委員 準用して十五日間だということですね。
 それで、重大不適正取引行為について、五十一条の二項で、当該事業者が資料を提出して、不実ではないということを証明しなければならないことになっていますね。説明書や効能について消費者に対して事業者が当然それは持っているものだから、一番手っ取り早いといえば手っ取り早いんですけれども、法の原則からすると、法は行政に向かなければならないというのがあるわけですね。刑事事件だったら、検察が証明しなければならないことですね。疑われた者が証明するものというのはないわけですね。だからこそ、営業活動という面で見たら、野方図にこの条項が適用されたら大変なことになってしまうということですが、適正に運用するための縛り、これはどこの文章にあるんでしょう。

○宮川消費生活部長 ちょっと事例でご説明させていただきますと、例えば、健康食品であるとか、あるいはエステティックサービスなどにつきましては、その効能、効果を示す情報が、顧客を誘因する意味で大変重要な要素であるわけです。当然、客となる者はこれを信用してといいますか、契約を結ぼうということになると思うんですけれども、この点に関しては、やはり事業者には、消費者に誤認を生じさせないように、正確かつわかりやすく根拠の裏づけを示すことが当然必要とされます。このことは、特定商取引法や景品表示法では、既に事業者側で立証すべきものとされております。
 なお、この規定は、行政による迅速かつ適正な対応が必要な場合に限って認められるものでありますので、都におきましても、改正条例第五十一条第二項の本文の中で「前項の規定の適用について」と規定をいたしまして、禁止命令を発しようとする場合に限定をしております。あくまでも禁止命令を発するときにということで限定をしております。
 この辺は、委員会資料の方の二ページの一番最後に禁止命令(条例第五十一条)の説明がございますが、合理的根拠の提出について、対象事項を規定するというふうに書いてございますように、きちんと内容が規定されますので、先生のお話のような適用がきちんとなされないといいますか、やっぱり我々の方としてもきちんと厳格にできるものとなっておりますので、その辺についてはご安心いただきたいと思います。

○大山委員 ぜひ厳格な運用をということでお願いしたいと思っています。
 高齢者のひとり暮らしが他県に比べても東京は多いですし、消費者を悪質な事業者から守るということは非常に重要なことです。その一方、この条例改定は過料を導入する条例ですから慎重にやらなければならないし、今答弁されたように厳格に、くれぐれも乱用しないようにということで要望しておきたいと思います。
 また、事業者への処分と同時に、消費者に力をつけるということも再三いわれているとおり重要なことです。その点からいっても、人的配置、十四年度には六十一人だった消費生活部が今年度が四十九人、消費生活センターが六十一人から四十四人と、人数だけ見ても縮小され続けている。消費者行政の拡充というのは、条例改定と同時に本腰を入れていかなければならないことだと思っています。適格消費者団体への情報提供と訴訟支援について、国の方の内閣府令の内容等を踏まえまして、提供する情報の範囲や提供方法等を定めていきたいと、前のときの委員会ではご答弁されています。事業者側と消費者団体との連携が両輪で行くというのが消費者行政として重要だと思っています。
 適格消費者団体への情報提供と訴訟支援についても積極的に検討してもらいたいということを再度求めて、これについては終わりにします。
 次は、文化振興条例です。私たちは、文化や芸術に関しては多様な価値観があるし、同時に、都民のだれもが権利として芸術に親しむ、楽しむことができるようにということで、この間も東京都の文化施策や文化行政については、広く東京の芸術文化団体の方々とか関係者の方々と東京都が有機的なネットワークをつくって推進していくことが大事だというふうに主張してきました。ですから、東京都文化懇談会が石原都政になった九九年に休止されて、〇一年には廃止になったわけですけれども、そういう場の必要性を主張してきました。ですから、一般論でいえば、評議会の設置というのは歓迎すべきことです。
 しかし、東京都の文化行政をめぐっては、東京都の文化施設が独立採算を強化されて軒並み予算削減される中で、トーキョーワンダーサイトだけがその予算を八倍にもする、それから、知人である今村参与夫妻がワンダーサイトの館長、副館長に採用され、そのもとで知事の四男が設立から深くかかわり、公費で海外出張を行っていたことなども問題になっているときだけに、知事が設置する芸術文化評議会についてもどのようなものにしているのかということの解明なしには、私たちは判断できないと思っています。
 まず伺いたいんですけれども、資料の3で出していただきましたが、東京都文化懇談会という、文化施策について知事から諮問を受けて答申する要綱設置のものがありました。八次まで懇談会が設置され、提言を出したり、それに基づいた施策の具体化が行われてきました。
 九九年三月で八次の懇談会が終わって、その後設置されなかったんですけれども、それはなぜなんでしょう。

○杉谷文化振興部長  東京都文化懇談会からは、昭和五十六年以降、その時代にふさわしいご提言をいただいておりまして、設置目的は十分に果たしてまいりました。変化の激しい時代状況に対応し、文化行政をより効率的、効果的に進めることに資する助言機関として、そのあり方を検討し直すために廃止したものでございます。

○大山委員 そのあり方を検討し直すため廃止したということですけれども、なぜあり方の検討が必要なのかとか、どういう検討をするのかとか、全く明らかにされないまま廃止されたというのが実態です。
 その後、二〇〇〇年の十二月に「当面の東京都文化政策手法の転換と取組」が出されていますね。その策定のねらいには、広範な文化政策論議の端緒となるものとして、文化を取り巻く社会環境の変化や都の行財政の現状を踏まえ、当面の文化政策手法の転換の方法と具体的取り組みの例を示すもの、今後、芸術文化活動にかかわる団体や専門家、国や区市町村、企業等と議論を深めというふうに書いて、この一八ページには、持続的な意見交換を積み上げる場の設立を進めるというふうになっているわけです。
 ここで、十二年に出された場というのはどうなったのかということと、設置しなかったのだったら、理由も含めてお願いします。

○杉谷文化振興部長  文化活動にかかわりますさまざまな主体すべてが一堂に会する場を設けるのは現実的にはなかなか難しいものがございまして、そのために、文化行政を具体的に進めるに当たっては、実際に芸術文化活動にかかわっている団体、個人、あるいはそれを支えている企業、専門家、鑑賞家の方々のご意見を伺いながら事業を実施しております。

○大山委員 要するに設置しなかったわけですよね。それぞれのところでは意見を聞いていたということですけれども、石原都政のもとで九九年に文化懇談会が廃止されて以来、専門家などによる検討の場が廃止されたことへの反省と総括がまず必要だということを指摘しておきたいと思います。
 それでは、今回の条例について具体的に聞いていきます。
 議案の説明のときにいただいた資料なんですけれども、この資料を見ると、事務局について、文化振興部が括弧の中に入っていて、実質的な運営は外部の専門委員というふうになっています。外部専門家である外部専門委員が実質的に事務局を運営するということは、条例のどこに規定されているんでしょう。

○杉谷文化振興部長  条例案の第十七条第七項におきまして、評議会は、特定の事項を調査審議するため必要があると認めるときは専門委員を置くことができる旨、規定してございます。

○大山委員 この条例の十七条七項で規定している「専門委員又は部会を置く」というところですね。評議会が専門委員を選任するということですけれども、それにしても、外部の専門委員が実質的に事務局を運営するというのはどういうことなのか、具体的にちょっと説明してください。

○杉谷文化振興部長  まず、評議会の事務局は生活文化局文化振興部に置きます。事務局には、評議会が議論を進めるに当たりまして必要な専門的なデータや資料を作成したり、評議会の議論を踏まえ、具体的な提言案などを作成することが求められますが、このためには、専門的な知識、経験、人脈などが必要でございます。都職員のみでそれを担うのは困難なことから、専門家を委員として経常的に活用してまいります。具体的には大学教員や研究者などを想定しております。

○大山委員 知識や経験や人脈が必要なんだということですけれども、評議員とこの外部専門委員はどういう関係になるのかということと、今、大学教員や研究者等とおっしゃいましたけれども、どういう基準でどういう人を何人選定するのかということや、任期や身分や報酬をどうするのか、また、どういう権限を持つのか、それから、評議員と同じ人が重複して選任されることがあるのかということを、それぞれ伺います。

○杉谷文化振興部長  専門委員は知事が任命することになりますが、具体的な人選は評議員の意見に基づき任命いたします。人数でございますけれども、必要に応じて任命いたします。また、専門委員は非常勤でございまして、任期は評議員と同じ二年、報酬は東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例に基づいて支出いたします。したがって、専門委員と評議員とが重複して選任されることはございません。

○大山委員 そういうことですね。例えば、ワンダーサイトの関係者が事務局として実質的に運営を担うというようなことはないんでしょうか。

○杉谷文化振興部長  事務局とワンダーサイトとは直接の関係はございません。

○大山委員 直接の関係はないんだというわけですね。この運営に関してなんですけれども、運営に関し必要な事項は知事が決めるというふうになっていますが、運営に関する規則や要綱はどんなことを想定しているんでしょう。

○杉谷文化振興部長  要綱につきましては現在策定中でございますけれども、一般的な附属機関の要綱と同様に、会長に関すること、定足数及び表決数に関すること、専門委員や部会に関すること、会議の公開に関することなどを規定する予定でございます。

○大山委員 評議員なんですけれども、評議員の人選というのはやはり重要なところだと思うんですね。公平、公正に選ぶということが何よりも重要だと思いますけれども、どういう基準で、どういう人を選ぶ予定なのかということと、公平性、公正性はどのように保障するんでしょうか。

○杉谷文化振興部長  東京芸術文化評議会の評議員でございますけれども、先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、東京の文化的魅力を一層高めていくための芸術文化振興の頭脳部と位置づけておりまして、基準といたしましては、もう一回繰り返しになりますけれども、美術、音楽、建築、伝統文化など各界の第一人者であること、幅広い議論がなされるよう特定の分野に偏らない構成にすること、具体策の提案をいただける方などを基準といたしまして、芸術文化振興の頭脳部にふさわしい組織づくりを早急に進めてまいります。

○大山委員 第一人者といってもいろいろですけれども、余人をもってかえがたいとかという人もいるわけですけれども、ワンダーサイトの関係者が今度は評議員として入るということはないんですか。

○杉谷文化振興部長  評議員の人選、運営は、ワンダーサイトとは直接の関係はございません。

○大山委員 直接の関係はないということですけれども、さっきも運営のところでも、直接の関係はないというふうにおっしゃっていましたが、わざわざ直接の関係はといわれると、じゃ、間接的にはあるのかなどということにもなるわけですけれども、運営、人選ともワンダーサイトと都の関係者ではないということを断言できるわけですね。

○杉谷文化振興部長  これにつきましては、現在まだ決まっておりませんけれども、さっきも申し上げたとおり、直接の関係はございません。

○大山委員 直接の関係はないんだということですね。知事が九月十五日の記者会見で、アートカウンシルのような芸術の振興に関してのヘッドクオーター(本部)のようなものを、私は東京でもうつくりつつありますというふうに発言しています。知事がいっているこのことは、今回の評議会または外部専門委員に当たるということなんでしょうか。

○杉谷文化振興部長  知事のおっしゃっているアートカウンシルというのは、今回提案してございます東京芸術文化評議会と同じでございます。例えば、第二定例会の代表質問におきまして、知事は、文化振興指針に関する答弁の中で、東京芸術文化評議会のことをいわばアートカウンシルと発言してございまして、そのことからも明らかなように同じものを指しております。

○大山委員 生活文化局が提案しているものと知事がいっているアートカウンシルというのは同じものなんだ、だから、評議会なんだというふうにおっしゃるわけですけれども、ことしの五月に出した東京都文化振興指針には「国内外の事例を参考にしながら、外部の専門家などからなる評議組織の設置について検討します。」というふうになっていて、その下のコラムのところに、黄色いところにイギリスのアーツ・カウンシル(芸術評議会)というふうに書かれているわけですね。これは参考ですよということで載せたんだと思うんですけれども、これによると、評議会は統治機関であり、行政から独立した第三者・専門家機関であり、予算も握って芸術団体やプロジェクトに対し予算配分を行うというふうになっているんですね。予算まで握るということになっているんだと書いてあるわけですけれども、知事がアートカウンシルだ、アートカウンシルだといっているのが、今回の芸術評議会と一緒なんだということになると、知事が考えているというのは、外部の専門家と評議会で予算の配分まで口を出すことになるという心配はないんですか。

○杉谷文化振興部長  委員ご指摘の指針に関する記述につきましては、あくまで外国の例示、イギリスにおける例示といたしまして、イギリスではそういったことをやっているということを掲げたものでございまして、今回提案してございます東京芸術文化評議会は、先ほど申し述べましたような性質のものでございます。

○大山委員 今提案したのがそうなんだということなんですけれども、知事は記者会見でまだしゃべっているんですね。先ほどと同じ九月十五日ですけれども、鳥海氏などの経済人の名前も挙げて、そういう人たちもメンバーにしてアートカウンシルのようなものをつくらなくちゃだめだというふうに発言しているんです。民間の経済人が、評議会だとか、または外部の専門家に入るということになるんでしょうか。

○杉谷文化振興部長  各分野の芸術家の方そのもののみならず、第一線で芸術文化にかかわっている方は視野に入れて選びたいと考えております。

○大山委員 視野に入れて、専門家だけじゃないんですということですけれども、さっきからイギリスのを例にして、それから、知事は多分イギリスのが頭に入っているんだと思うんですけれども、芸術評議会が今条例で提案しているものなんだよということは、知事がいろんな場で発言しているわけですから、やはりきちんとただして、知事をただしておかなきゃいけないことだというふうに指摘しておきます。
 知事はまだいっているんですね。十二月一日、記者会見で、今度だってアートカウンシルというのをつくりましてね、まさに参与の役割をコミットしてもらうわけでねと発言していますけれども、今村参与はどのようにかかわるのかということなんです。コミットって何かなと辞書を引いてみましたら、関係すること、参加すること、かかわり合うこととなっていますが、今村参与はどのようにかかわるのか、お願いします。

○杉谷文化振興部長  今村参与からは、知事の文化担当参与として、文化政策全般にわたり助言をいただいております。評議会につきましても、そのような立場から助言をいただくことになると思います。

○大山委員 一般論なんだというか、全体的なものなんだということですけれども、本当に今の時期、都民も注目していることですし、本当に公平、公正なことが、それから、都民にわかる、だれもが納得できるようなものをつくっていくということがますます求められているというふうに思うんですが、委員の選出を初め、運営なども含めて、本当に公平、公正な東京芸術文化評議会にさせるということをきちんと約束できるんですよねということを、局長さんに最後に伺っておきたいと思います。

○渡辺生活文化局長 評議会につきましては、去る十二月七日の代表質問におきまして、知事及び私からご答弁申し上げているところでありまして、また、本日の委員会でも杉谷文化振興部長 からご答弁申し上げております。
 評議会につきましては、東京の文化的魅力を高めていくための芸術文化振興の頭脳部として設置するものでございます。評議員は各分野の第一人者で構成することを予定しており、自由に議論していただき、大胆かつ斬新なアイデアを出していただくことを期待しているものでございます。その評議員の選出や評議会の運営につきましては、条例等に従い、適正に行うことは当然のことであると考えております。

○大山委員 ぜひ、都民のだれが見てもというところでお願いします。芸術文化という価値観が本当に多様であるものだけに、都民に何をやっているのか公開されるし、都民や関係者が意見を出せるような仕組みも求められています。これから要綱だとかをつくることになるんだと思うんですけれども、専門家だけではなくて、都民やアマチュアや関係者も含めた意見が反映できるようなものにしてほしいという意見を述べておきます。
 また、あくまでも公平、公正ということが都民に明確にわかるような人選、運営を求めて、質問を終わります。

○初鹿委員 私は、東京都消費生活条例に関して質問をさせていただきます。先ほどから各会派が質問をされてきましたので、なるべく重複をしないように、違った観点で幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 ご承知のとおり、昭和五十年に制定されてから三十年以上にわたって、都民の、消費者の権利を確立して、消費生活の安定と向上に大変貢献してきたすばらしい条例であると評価をしております。また、今回、五回目の改正になるわけですが、全国で初めて禁止命令と罰則規定を導入するというように、常に全国の自治体をリードしてきている。東京都は大消費地を抱えているわけで、そういう意味で本当に熱心に消費者問題について取り組んできているということを評価させていただきます。
 そこで、条例を改正して、全国に先立って新たな取り組みをするわけですから、この取り組みが実効性の上がるものにしていきたいと思っておりますので、そういった観点で何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、この条例の適用の範囲についてです。ちょうど一年ちょっと前ですけれども、私のところに実際に相談があった例なんですが、教会の牧師さんから相談がありまして、ファクスと電話機のリース契約を結んでしまった、しかし、どう考えても買った方が安くて、ちょっと契約状況がおかしいんじゃないかと思って、クーリングオフをしようと思ったら、個人の名前じゃなくて教会の名前で契約をしていたわけですね。そうなると、事業者ということで、個人の消費者ということにはならないということで、大変困っておられました。
 調べてみると、同じようなケースが非常に多かったんですね。お寺だとか、また個人の商店、例えばたばこ屋さんや八百屋さん、そういったところが、実際には個人で使って、個人もお店も共通のものを使っているんだけれども、個人で契約すればいいものを、あちらの業者の口車に乗せられてといういい方が多分適切なんだと思いますが、事業者として契約をしてしまっている。こういう場合、事業者だからこれはクーリングオフの対象にならなくて、個人の名前だったら消費者になるのにということでいいのかなと、そのときは非常に疑問に思ったんです。
 そこでお伺いするんですが、実際は個人で使っているにもかかわらず、契約上事業者という形になってしまっているような場合、この条例は適用されるのかどうか、ご説明をお願いいたします。

○宮川消費生活部長 この点につきましては、昨年の十二月に経済産業省の方から、これは法律の方の関係でございますけれども、特定商取引法の解釈、運用について改正通達が出されております。これによりますと、例えば一見、事業者名で契約を行っていても、購入商品や役務が、事業というよりも主として個人用に使用するためのものであった場合は、原則として特定商取引法が適用される、このようになっております。
 我が方の消費生活条例におきましても、国の通達で示された基準も参考にしつつ、これまでもそのように対応してきておるんですが、各個別の案件を丁寧に調査いたしまして、消費者を保護する見地から適切に条例を適用していく考えでございます。

○初鹿委員 ぜひ個別にきっちりと見ていただいて、適切な条例の適用をしていただきたいと思います。
 次に、先ほどもどなたか委員の方からもお話がありましたが、消費者被害に遭ってしまうという方は、やはり認知症の高齢者の方や障害者の方が非常に多いというようにいろいろなところから聞いております。例えば有用な被害情報を発信したとしても、そういう方のところにその情報が届くということが少ないし、また、その情報というものの活用がなかなかされない。先ほど具体的な例として、水漏れがあって業者を呼んだら、便器までかえられちゃったみたいなお話がありましたが、中には、ちょっと水漏れで呼んだら、トイレまで新しくしてもらって、大変親切な方だったというように、だまされたとか、被害を受けたとかという認識が全くないという方も多いんだと思うんですね。そういう方はやはり被害に遭ったという認識がないわけで、なかなかその情報というのが、我々また行政の側に届いていかないんだと思います。そのことを考えると、例えば認知症の方が一人被害に遭ったという情報が入ったときには、恐らく同じような被害に遭っている方がその何倍も何十人も、もう既に存在をしているんだと思うんですね。
 そこで提案をさせていただきたいんですが、一人でもそういう情報が入ったら、その情報を直ちに関連する区市町村、また、その近隣に提供して、直ちに警戒体制に入って、同じような事例がないのかということを積極的に情報も収集するような努力ということが必要なんだと思うんですが、いかがでしょうか。

○宮川消費生活部長 現在、都の消費生活総合センターでは、区部と多摩地域におきまして、毎月、情報連絡会というものを開催しまして、最新の被害手口や相談傾向等に関する情報の共有化を行っております。これに加えまして、都や区市町村の相談員が都の全域または近隣地域に周知すべき相談案件情報をリアルタイムで共有できるよう、入手した情報を直接相談職員専用のホームページに入力できる仕組みを構築するため、来年度に向け準備を進めております。この仕組みの完成によりまして、お話のような迅速な対応が可能となる、このように考えております。

○初鹿委員 これはでき上がると非常にすばらしい取り組みだと思いますね。相談した内容が、ほかの相談員の方がすぐ見られるということになれば、同じような事案があった場合には、これはかなり広範囲にやっている事件じゃないのかなということに気づくんだと思います。また、実際に行政が指導や立入検査に入る場合に、一件や二件ではなかなか入れなくて、大体通報や相談が十件ぐらい集まってからということになっているようなんですが、確かに事業者側にもいい分があったり、消費者側にも誤解とか思い込みみたいなのがあったりして、それが本当に実際に悪質な業者なのかということは、事実関係をしっかり把握して証拠を押さえることが必要なんだと思います。
 しかし、一件でも相当悪質だというものがあったときに、そのままにしていると、やはり被害がどんどん拡大してしまうというおそれがあると思うんです。そこで、一件でもそういう情報が入ったときに、できるだけ早く事業者に接触するということが必要なんだと思います。例えば、電話一本、事業者にかけて、これこれこういう電話が入ったんだけれども、具体的にどうなんですかというようなことを事業者側に接触を持ってみるだけで、相当事業者側も警戒をして、抑止効果が期待できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○宮川消費生活部長 確かに電話一本かけるだけでも、事業者に対する抑止力といいますか、抑止効果が少なからず期待できるだろうというふうに思います。早い段階での事業者との接触は重要であると私どもも考えております。実は現在も通報や相談からもたらされる情報の内容から、担当職員がその経験に基づきまして、早期の接触の必要性を判断した場合には、事業者に電話をかけるなどアクションを起こしております。今後とも積極的に早い段階での事業者との接触に心がけてまいります。

○初鹿委員 本当に電話一本でも事業者側にとってみればかなりの牽制効果があると思いますので、消費者被害の拡大を防止するという観点からもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、先ほどもこの件についてはお話がありましたが、消費者被害の防止を行うためには、やはりこの処分を行ったという事業者の情報を浸透させていくということが重要なんだと思います。先ほども述べましたが、実際に被害に遭ってしまいそうな方にはなかなかその情報が届きにくいということがあるんだと思います。二月の末までにガイドラインを作成する等のお話も先ほどありましたが、その具体的な方法についてお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 ただいまのお話にもありましたように、消費者被害の防止のためには、処分などを行った事業者の情報を消費者に伝えていくということが重要と考えております。処分情報を都のホームページに掲載するなど、広く周知を図っているところでございます。とはいいましても、被害を受けやすい高齢者、あるいは障害のある方々には、なかなかこうした情報が伝わりにくいという面も現実にございます。高齢者、障害者につきましては、家族や民生委員、介護事業者など、身近にいる人々に有用な情報を適時伝えることにより、地域の見守りの中で支えていくことが必要であると考えます。
 現在も高齢者の消費生活トラブルの早期発見のために、介護事業者などへの出前講座を実施しておりますけれども、今後は例えば講座の内容をわかりやすく解説したパンフレットなども作成いたしまして、関係者に配布して、高齢者等の被害の拡大防止に積極的に役立てていきたい、かように考えております。

○初鹿委員 障害を持っている方や高齢者の方は、ホームページや紙の媒体を幾ら配っても、なかなかそこに接触する機会が少ないと思いますので、その周りで見守っている方に対してぜひこういう情報をしっかりと出していただくようにしていただきたいと思います。
 次に、話は相談体制についてに移らせていただきますが、都の消費生活総合センターの相談の受け付けの時間は、一般相談、高齢者相談は平日の午前九時から午後四時までで、架空請求専用相談は平日の午前九時から午後五時まで、電話や来所による消費生活相談を受け付けているということですね。どうも時間帯がお役所的だと思うんですよ。午後四時まで、午後五時までということですから、一般の人は大体仕事をしていて、会社からこういう被害に遭っちゃったという電話はなかなかかけづらいですよね。また、ご家族の、例えば自分のうちの親など、認知症の親などがそういう被害に遭ったとか、自分の子どもが被害に遭ったとか、そういうことが帰宅をしてわかったときに、本来だったらその場で直ちに相談の電話をかけたいところなんでしょうけれども、そのときにはやっていない。また、実際に自分がかけるときでも、平日はなかなか電話ができないので、外でかけるよりか自宅でゆっくりと時間をとってかけたいとなると、土曜日や日曜日に受け付けをやっていただけると非常にありがたいと思うんですね。
 そういうことを考えますと、この時間帯というのを、受け付け時間を延長するとか、土日も開いてみるとか、必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○宮川消費生活部長 公的サービスといいますか、これを向上させるためには、一般的に受け付け時間を延長したり、土日も窓口を開くという方向にあるということは、そういった意味では私どもも問題意識を持っております。ただ、一方、受け付け時間の延長や土日の受け付けということになりますと、相談処理にとって重要なあっせん、確認は、事業者の方と即日連絡をとってやるというのが今までの消費生活総合センターでの相談の処理の基本でございますので、こういったところがなかなか難しくなるという問題がございます。
 現在、受け付け時間外の電話での問い合わせに対しましては、架空請求等のパターンごとの対策を案内いたします総合案内ガイダンスにより対応をいたしております。また、最近の相談の傾向を踏まえましたネット版の相談コーナーを新設する予定でもございます。
 今回の条例改正を機に、こうした代替手法の効果を見きわめつつ、相談処理に係る問題解決の可能性も含めまして研究課題としていきたい、このように考えます。

○初鹿委員 消費者の立場に立って、利用しやすい、活用しやすい体制というものをぜひつくっていただきたいと思います。すぐに時間を延長しろとか、土日、今すぐやれといってもなかなか難しいことは私も理解をしておりますが、例えば十月は消費者月間ですね。二日間、新宿の西口の広場でキャンペーンみたいなことをやっているわけですから、その機会をとらえて、一週間だけとか、消費者月間の一カ月だけとか、曜日を決めて延長したり、土日をあけてみたりという方法も考えられると思うのですけれども、ご検討いただきたいんですが、いかがですか。

○宮川消費生活部長 ただいまご提案いただきました方策も含めまして、研究課題としていきたいと考えます。

○初鹿委員 ぜひお願いしたいと思います。
 次に、消費者団体訴訟制度についてお伺いいたします。
 先ほどもお話にありましたけれども、来年の六月から改正消費者契約法が施行されて、その中に消費者団体訴訟制度の創設が盛り込まれております。残念ながら、今回の条例改正案にはこの制度について触れられておりませんけれども、消費者が事業者の不当な行為の差しとめを請求できる適格消費者団体を積極的に支援をするということが、先ほどの委員のお話でも、また代表質問の中でも触れられておりました。都としてはどのようにして情報提供していくのか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 消費者団体訴訟制度につきましては、都といたしましても、この制度が有効に機能するよう、適格消費者団体への情報提供を積極的に行っていきたいと考えております。情報提供の具体的な仕組みにつきましては、今後制定されます内閣府令の内容等を踏まえまして、その提供の範囲や方法等について適切に定めてまいります。

○初鹿委員 毎年毎年、多くの消費者被害が発生しておりますので、これをすべて行政だけで対応するというのは不可能なわけですから、そういう意味でも、団体訴訟制度というものはしっかりと機能することが必要でありますし、その制度の根幹を担う適格消費者団体が大きく育っていくことが重要だと思います。
 また、この適格消費者団体の認定要件の一つになっております、差しとめ請求関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有するということが要件になっておりますが、訴訟費用の支弁が団体にとっても大変大きな課題になっているんだと思います。また、個人で訴訟する場合にも、その費用というのは大変負担が大きいんだと思うんですね。幾ら被害に遭った事業者を罰則をもって罰したとしても、消費者としては、やはり被害に遭ってしまったものを取り戻したいという気持ちが一番なんだと思います。そういうことを考えると、訴訟の支援というのは非常に重要で、その裏づけとなる訴訟費用について何らかの支援というのが、やはり消費者は最も望むところだと思います。
 そういう意味で、訴訟費用について都として何ができるのか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 二点についてのご質問だと思いますけれども、一つは、適格消費者団体への訴訟費用の援助についてということだと思いますが、これにつきましては、国の動向や制度発足後の団体の財政状況等を見きわめることが必要であると私どもは考えております。
 それから、個人に対します訴訟費用の援助でございますが、これは東京都消費者被害救済委員会に付託されました案件に係る訴訟費用に対しまして、現在無利子で訴訟資金の貸し付けを行っております。

○初鹿委員 そういう貸付制度があるということをもっと周知するようにしていただきたいと思います。
 最後に、消費者教育についてお伺いさせていただきますが、現行条例にも、消費者の権利の一つとして、消費者教育を受ける権利というものが規定されておりまして、都としてもこれまで消費者教育に積極的に取り組んできていると思います。訴訟によって問題が解決するということも必要なんでしょうが、やはりそもそも被害に遭わないということが大切で、子どものころからしっかりと教育を受けていることが必要なのではないかというふうに思います。
 最近のいろいろな消費者被害の悪質な事件を見ていますと、知識不足というのが被害に遭ってしまう原因になっているんだろうと思いますので、そういう意味で、幼いころから、また学生のころから、この消費者教育というものをしっかりと行っていくということがこれからは必要になると思いますが、都として今後消費者教育をどのように充実させていくのかお伺いいたしまして、質問を終わりにさせていただきます。

○宮川消費生活部長 ただいまのお話のように、若い段階からの消費者教育というものは大変重要であると考えております。現在も消費者教育の充実のために、学生向けのビデオや読本を作成したり、教員を対象とした講座等を実施しております。また、消費生活相談員等が講師となりまして、実際のトラブル事例を交えて実践的に教える出前講座を、より多くの高校に実施していただけるように、公立校だけでなく、私立校にも関係団体を通じまして積極的に働きかけております。実際にこの出前講座を受けた高校では、ためになった、もっと気をつけようじゃないかと、生徒の間で関心が高まったと聞いております。今後とも実用的で魅力のある出前講座の実施に努めてまいります。
 なお、内閣府におきましても、現在、消費者教育の推進について検討を進めておりまして、私どももその動向を注視してまいる考えでございます。

○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○たぞえ委員長 先ほど、前回報告事項として説明を聴取した東京都認定こども園の認定基準に関する条例についての審査について、厚生委員会委員長よりお手元配布の連合審査会開会申入書のとおり申し入れがありました。
 朗読は省略いたします。

平成十八年十二月十一日
厚生委員長 長橋 桂一
文教委員長 たぞえ 民夫殿
   連合審査会開会申入書
 本委員会において、審査中の左記事件については、貴委員会の所管事務と関連があるので、会議規則第六十二条の規定により左記のとおり連合審査会を開会したいので申し入れます。
     記
1 日時 十二月十二日(火)午後一時
2 場所 第十五委員会室
3 事件 厚生委員会付託 第二百三十四号議案
東京都認定こども園の認定基準に関する条例

○たぞえ委員長 この申し入れについて同意したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 また、会期中の日程のうち、十二日分につきましては、お手元配布のとおり変更させていただきますので、ご了承願います。

○たぞえ委員長 これより教育庁関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十七号議案から第二百二十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る十一月二十八日の当委員会におきましてご要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は三件でございます。
 一ページをお開き願います。東京都教育相談センターの事業概要と実績でございます。
 東京都教育相談センターの行う相談事業、要請訪問、アドバイザリースタッフ派遣などの事業の概要とその実績についてお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。移転後の施設等についてでございます。
 東京都教育相談センターの現施設と移転後の新施設との比較についてお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。子ども家庭総合センター(仮称)基本構想についてでございます。
 福祉保健局、教育庁、警視庁がそれぞれ所管する相談機関を集約化し、平成二十一年度に開設予定の子ども家庭総合センター(仮称)について、その概要をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○たぞえ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大山委員 まず、教育相談センターの移転について伺います。
 老朽化というふうにおっしゃるんですけれども、私わからないのは、資料の3で今ご説明がありましたように、子ども家庭総合センター(仮称)基本構想があって、今回移転しようという教育相談センターと、福祉保健局の児童相談センター、それから警視庁の新宿少年センター、これを子ども家庭総合センターとして、平成二十一年度には、合同庁舎として新宿区北新宿の新宿看護学校跡地に移転建設するという方向で進めているわけですね。私自身は、この子ども家庭総合センターの構想については、意見はあります。しかし、きょうはそれはおいておいて、局自身が自分たちで進めている方針で、今年度予算では基本設計の予算が計上されていましたよ。来年移転して、また二、三年後には再び移転せざるを得ない。どうしてわざわざ--普通に考えれば、二、三年ぐらいはというふうに思うと思うんですけれども、なぜこんなに今急いで移転しなければならないのでしょう。

○岩佐指導部長 現在の都教育相談センターの建物は昭和四十一年二月に竣工したものでございまして、著しく老朽化が進むとともに、耐震上の課題も指摘されております。特に設備機器は建設当時に設置されたものが多く、故障箇所の部品が製造中止となっております。このため、設備機器の修理に際しましては、類似の部品を加工して使用している状況でございます。また、エレベーターは、現在設置している三台のうち一台はふぐあいのため使用を中止しているところでございます。都教育委員会といたしましては、悩みを抱え、教育相談に訪れる多くの都民の方々に対して良好な環境の整備に努めることが必要であると考えております。

○大山委員 もちろん教育相談に訪れるお子さんだとか親御さんに、よりよい環境をというのは、それはもう当然のことだと思います。しかし、耐震上の課題とおっしゃいますけれども、資料をいただいたら、耐震性能が疑わしいというレベルですね。さらに現在、一階のフロアしか使っていないということですから、エレベーターは余り日常的には使わない。地下に倉庫があるから、そこには使うんですということですけれども、三台のうち二台は動いているわけですね。こういうことを老朽化なんだということの理由にするんだったら、むしろ指摘しなければならないのは、昭和四十一年竣工で、四十年たっているわけですけれども、その間、やはり丁寧に長もちさせようということだったら、きちんと適切な時期に大規模改修を行ってこなかった、それこそ問題にするべきだ、しなきゃならないと思っています。
 実際、教育相談センターが果たしている役割、そして実績ですけれども、どのように認識していますか。

○岩佐指導部長 都教育相談センターは、学校教育や家庭教育の充実、振興を図るため、都民からのさまざまな教育相談に応じるとともに、各学校や区市町村の関係機関と連携し、それらを支援する広域的な教育相談機関としての役割を果たしております。具体的には、幼児期から思春期の子どもを対象にいたしまして、しつけや育て方、いじめや体罰、不登校等の問題、高校の進路、進学、中途退学者への支援など、教育に関するさまざまな内容に関して、心理職、教職経験者、指導主事が年間二万件を超える電話や面接による相談に応じております。このほか、いじめや不登校等の問題解決のために、学校や家庭、区市町村の教育相談機関等を訪問し、相談に応ずるアドバイザリースタッフ派遣事業、教員等が行う教育相談等に関しまして指導助言するため、心理職や指導主事を派遣する要請訪問等の事業を行っております。

○大山委員 相談も始めて、要請なども含めて、本当に重要な役割を果たしているものだと私も思いますよ。重要な役割を果たしているからこそ、やはり目黒の地で四十年、そして、今の目黒のところで定着しているわけですね。そこに行けば相談に乗ってくれるという安心感というのが非常に重要だと思いますし、1の資料で出していただきましたけれども、来所相談について、いじめ、体罰等は十三年度に比べても三倍以上にふえて、高校進級、進路、入学は倍ほどになっているわけですね。あそこに行けばいいんだよということは非常に重要だと思うんです。にもかかわらず、来年度は目黒から水道橋に、それから、さらに二、三年たったら北新宿にということで、転々とするわけですよね。それ自体、悩みを抱え、教育相談に訪れる多くの都民の方々、それから相談中の子どもたちにとっても不安定になってしまうことも心配されます。都民にとっても不誠実だし、周知ということから見ても不合理だと思っています。
 学校職員の給与に関する条例です。今回の給与改定に関しては、重大な改悪が含まれています。一つは、公民較差の比較方法について、比較対象企業を百人以上から五十人以上に変えてしまったことです。人事院の勧告では、例月給についてはほぼ均衡しているとして据え置きになっているのに、都では大幅なマイナスになりました。その具体的な根拠も示されていません。
 もう一つは、本俸の給与水準の引き下げです。国との制度的な均衡を図るとして、段階的に本俸水準を引き下げて、地域手当の支給割合を引き上げるとしていることは、給与水準の引き下げという重大な問題です。また、超過勤務の縮減についても、依然として長時間にわたる超過勤務が行われている職場が見受けられるというふうに認めておきながら、その解決については、人的配置を含めた職場体制の改善ではなくて、管理職の意識啓発等にとどめる、具体策に欠けたものだといわざるを得ません。教員の長時間多忙化が大問題になって、子どもたちに向き合う時間、それから、授業準備などの保障には、やはり人員増とふさわしい給与は重要なことだと思います。そうではありますけれども、労使合意を尊重する立場に立ちたいと思います。
 給与改定の条例と同時に、盲・ろう・養護学校の名称を特別支援学校と改めることが提案されています。このことについてちょっと確認しておきたいことがあるんですけれども、一つ目は、今回の条例改定は、条文の中にある盲・ろう・養護学校の名称を特別支援学校に改めるという事務的な条例の文の整理ですけれども、具体的に個別の学校の名称は何々盲学校とか、何々ろう学校とか、何々養護学校ということになっていますけれども、個別の学校の名前についてはどう考えているんでしょうか。

○荒屋参事 平成十八年六月に学校教育法等の一部を改正する法律が成立し、平成十九年四月から施行されます。これによりまして、現在ある盲・ろう・養護学校は、制度上障害種別を超えた特別支援学校に一本化されるため、法改正施行前に、盲・ろう・養護学校という語を使用している関係条例について特別支援学校に変える改正が必要となり、平成十九年第一回都議会定例会におきまして、都立学校設置条例等を改正する準備を進めているところでございます。
 このように、平成十九年四月以降、制度といたしましては特別支援学校に変わるものの、盲学校、ろう学校、養護学校の名称を用いることも可能との文部科学省の通知も出されておりまして、現在のところ、盲学校、ろう学校、養護学校の個々の名称につきましては、平成十九年四月に変えることは考えておりません。
 なお、個々の学校名称につきましては、関係者の間でもさまざまな考えがあることから、今後慎重に検討してまいります。

○大山委員 本当に関係者の意見をきちんと聞きながら、慎重にしていってもらいたいと思っています。
 それから、もう一つ確認しておきたいのは、盲・ろう・養護学校が特別支援学校と名前が変わっても、今後もそれぞれの障害種別の学級認定だとか、人員配置の基準などの変化はないということでいいんでしょうか。

○松田人事部長 都教育委員会は、盲・ろう・養護学校の学級編制、教職員定数につきましては、いわゆる標準法に基づきまして、都の学級編制基準、定数配当基準を定めて、学級数等に応じて教員数を算定しております。平成十九年度から特別支援学校として名称変更することに伴って、国の基準が変わるということはないというふうに聞いております。都教育委員会といたしましても、名称変更することに伴って、これまでの学級編制基準、定数配当基準を変更することは考えておりません。

○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十八分散会

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