委員長 | たぞえ民夫君 |
副委員長 | 泉谷つよし君 |
副委員長 | 鈴木 一光君 |
理事 | 伊藤まさき君 |
理事 | 服部ゆくお君 |
理事 | 石川 芳昭君 |
大松 成君 | |
早坂 義弘君 | |
坂本たけし君 | |
初鹿 明博君 | |
木内 良明君 | |
古賀 俊昭君 | |
中村 明彦君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 渡辺日佐夫君 |
次長 | 荒川 満君 | |
総務部長 | 山本 洋一君 | |
広報広聴部長 | 高西 新子君 | |
都民生活部長 | 和田 正幸君 | |
消費生活部長 | 宮川 雄司君 | |
私学部長 | 新行内孝男君 | |
文化振興部長 | 杉谷 正則君 | |
参事 | 萩原まき子君 | |
参事 | 産形 稔君 | |
参事 | 角田由理子君 |
本日の会議に付した事件
生活文化局関係
事務事業について(質疑)
○たぞえ委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより生活文化局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○山本総務部長 去る十月十七日の当委員会におきまして要求のありました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布してあります平成十八年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、1、公衆浴場数の推移外九件の資料を記載しております。
それでは、一ページをお開き願います。1、公衆浴場数の推移でございます。
平成九年から十八年までの公衆浴場数の推移を区市町村ごとに記載しております。
二ページをお開き願います。2、創造活動支援事業の実績でございます。
東京芸術劇場で実施している創造活動支援事業について、平成十三年度から十七年度までの実績を記載しております。
三ページをお開き願います。3、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たりの単価及び全国順位の推移でございます。
私立学校経常費補助に係る生徒一人当たりの補助単価及びその全国順位について、平成十三年度から十七年度までの推移を学種ごとに記載しております。
四ページをお開き願います。私立学校の授業料及び初年度納付金の推移でございます。
私立学校の授業料の年額及び初年度納付金について、平成十三年度から十七年度までの推移を学種ごとに記載しております。
五ページをお開き願います。5、東京都育英資金一般貸付の予算及び決算並びに規模の推移でございます。
平成十三年度から十七年度までの五年間について、(1)に予算額及び決算額の、(2)に貸付者数の推移をそれぞれ記載しております。
六ページをお開き願います。6、私立高等学校学費減免実施状況の推移でございます。
家計状況が急変した場合などに授業料の減免を行っている私立高等学校の数及びその割合について、平成十三年度から十七年度までの推移を記載しております。
七ページをお開き願います。7、私立幼稚園における預かり保育の実施状況でございます。
平成十八年六月一日現在、幼稚園の教育時間終了後も引き続き園児を預かるなど、預かり保育を実施している私立幼稚園数及びその割合を掲げております。
八ページをお開き願います。8、私立幼稚園預かり保育に係る補助制度の内容でございます。
私立幼稚園が実施する預かり保育に係る補助制度の概要を記載しております。
九ページをお開き願います。9、私立学校における学級規模別学校数でございます。
表の左側に記載した学級規模の区分ごとに、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の数をそれぞれ掲げております。
一〇ページをお開き願います。10、私立高等学校中途退学者理由別内訳でございます。
平成十七年度の一年間に私立高等学校を中途退学した生徒数を、その理由別に記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○たぞえ委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
○坂本委員 私からは、認定こども園につきまして質問をいたします。
人の一生におきまして、幼児期は、心情、態度、基本的な生活習慣など、生涯にわたる人間形成の基礎が養われる極めて重要な時期であります。幼児は、生活や遊びなど具体的な体験を通じまして情緒的、知的発達や社会性を涵養し、人間といたしまして、社会の一員としての基礎を養ってまいります。そうしたことから、この時期における教育はとても重要でありまして、子どもの親はもとより、地域社会を含めた社会全体としての子どもの成長について、常に関心を払う必要があります。
東京都では、公私全体の幼稚園に通う幼児の九割以上、約十六万人が私立の幼稚園に通っております。幼稚園では、子どもたちの日々の生活の中で遊びを中心にさまざまな教育をしており、人間形成の基礎づくりを行っております。
ところで、核家族化の進行やパートタイム労働等就業形態の多様化などを背景に、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が本年の六月九日に可決されまして、私立幼稚園が保育と教育の機能をあわせ持つ認定こども園となることができるようになりました。これまで幼児教育の経験やノウハウを持つ私立幼稚園の教育が、多くの幼児に生かされるという点で期待できます。また、あわせて、認定こども園では子育て支援機能を必ず持つこととされ、保護者や地域の子育てをサポートすることとなっております。
そこで、認定こども園制度の意義をどのように考えているか、まず伺いたいと思います。
○新行内私学部長 認定こども園制度の意義についてのお尋ねでございます。
認定こども園の制度化によりまして、保育に欠ける子どもにも幼児教育の機会拡大が図られ、幼児教育に対する親の期待にこたえることができますとともに、幼稚園を活用した保育機会の増大によりまして、保育所待機児童の解消が期待されるところでございます。
また、保護者の就労の有無により就園先が区別されないことから、同じこども園におきまして一貫して教育と保育を提供することができることとなります。さらに、子育て家庭を支援するという点でも効果がある、このように考えておるところでございます。
○坂本委員 次代を担う子どもが、人間といたしまして心豊かにたくましく生きる力を身につけ、また、地域の子育て力が高まるよう各種の支援を行うことによりまして、子育てをする人が、子育てに喜びを実感できるような社会の形成に資するような制度をつくらなければなりません。
さて、認定こども園の認定基準につきましては、国が参考となる基準を示しまして、それに基づき都が条例で定めております。認定こども園を実効性のあるものとするためには、子どもの視点に立ちまして、子どもの最善の利益を第一に考えることが重要であり、認定基準につきましては、幼児教育は保育の質の確保を図るものでなければなりません。私立幼稚園では幼児教育の現場としてのノウハウを培ってまいりましたが、こうした現場の声を基準に生かすことが、認定こども園を有効にするものと考えます。
そこで、東京都では、認定こども園の基準作成に当たりまして、私立幼稚園の現場の声や保護者の意見を十分に聞く必要があると考えますが、どのように対応したのか伺います。また、認定こども園に移行を希望する私立幼稚園や保護者に対しましてどのように周知を図っていくのか、伺いたいと思います。
○新行内私学部長 私立幼稚園の連合組織でございます東京都私立幼稚園連合会の要請を受けまして、本年六月より、幼児教育の質を確保するための方策などにつきまして、六回にわたりその代表者との意見交換を行い、基準づくりの参考としておるところでございます。
また、七月には、私立幼稚園の設置者全体を対象とした説明会におきましても、こども園の概要について直接説明させていただきまして、ご意見をいただいているところでございます。さらに今後、今月中には、区市町村に対する説明会を二回、私立幼稚園連合会及び私立幼稚園PTA連合会への説明会をそれぞれ一回ずつ予定しておるところでございます。
なお、その際、幼稚園に対しましては、希望する園が認定こども園に円滑に移行できるよう、既存施設からの移行要件を明確かつわかりやすく説明を行いますとともに、アンケート調査を実施いたしまして、認定を受ける意向を適切に把握してまいります。また、区市町村や保護者の方に対しても、説明会やホームページ等を活用した広報などによりまして、多くの幼児が利用できますよう、制度の概要等を周知してまいりたいと思っておるところでございます。
○坂本委員 さて、国が示しました基準は全国一律でありまして、待機児童が多いことや、高額な地価によりまして施設拡大が困難であるなど、東京を初めといたしました大都市特有の課題を踏まえているものとはいえません。そこで、私は、都では、教育や保育の質を担保しつつ、大都市の実態に合った基準づくりが必要であると考えております。そこで、東京都の基準の考え方につきましてまず伺います。
まず、職員の資格についてでありますが、国の指針におきましては、幼稚園教員免許と保育士資格の併有が原則と、厳しい基準を設けておりますが、都はどうお考えでしょうか、伺います。
○新行内私学部長 認定基準に関してのお尋ねでございますが、現在、基準につきましては検討中でございまして、職員の資格につきましても、都内の私立幼稚園におきましては、既に約六割の教員が保育士資格を併有しておるところでございまして、今後とも教育及び保育の質を担保できるよう、基準を検討してまいりたいと思います。
○坂本委員 資格に関する認定基準は、資格要件だけにとらわれることなく、都の実情に応じて、かつ、それぞれの幼稚園で創意工夫が発揮できるようにすることが望まれます。教育や保育の質を守る観点から、併有を原則としつつ、資質の向上を図ることを前提にいたしまして、片方の資格免許でも対応可能とする等検討すべきであると考えます。
さらに、大都市の事情といたしましてもう一つ考慮すべきことは、施設設備のことであります。大都市におきましては、施設設備の拡張は大変困難を伴います。認定こども園は既存施設を活用して認定を受けられるようにすることが重要でありまして、施設活用が求められております。子どもの成長を考えますと、ゼロ、一歳児と二歳児、そして三歳児以上では、保育室に求められる機能は異なってまいります。また、調理室におきましては、幼稚園では不要でありますが、保育室では必要であります。それぞれの私立幼稚園が持っている現在の資産を有効に生かすことが認定こども園制度の趣旨でありまして、現在の教育や保育の基準を維持しつつも、既存幼稚園が認定こども園に移行しやすい基準となるよう配慮していただくように要望したいと思います。
さて、認定こども園によって、地域に多様な保育サービスや幼児教育の場が広がっていくことを考えますと、認定こども園における開所時間や日数については、一律に定めるのではなく、地域の実情に応じた、施設側が柔軟に対応できるようにしておくべきだと思います。保育所では開所日数は年三百日となっておりますが、幼稚園が認定こども園に移行するに当たりましては、必ずしも保育所と全く同一の運営内容とする必要はないと考えます。
そこで、認定こども園の開所時間及び開所日数について伺います。
国の指針に、保育時間は一日につき八時間を原則としてありますように、個々の保育時間の確保をすることは必要であると思いますが、開所時間や開所日数につきましては、それぞれの地域の実情を踏まえた、施設の創意工夫にゆだねるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺いたいと思います。
○新行内私学部長 開所時間等の管理運営に係る基準につきましても現在検討中でございまして、これまでも預かり保育によって一定の保育ニーズにこたえてまいりました私立幼稚園が、そのノウハウを生かしまして、地域の需要にこたえていく必要がございます。
教育、保育の質を堅持しつつ、大都市特性や保護者のニーズに適切に応じることのできますよう、基準を定めてまいります。
○坂本委員 認定こども園が役割を果たしまして利用者の信用を得るには、一定のサービス内容を保障することはもちろん必要ではありますが、既存制度の枠組みを超えた柔軟な制度である認定こども園が、義務や規制を強めることによりまして制度の趣旨を損なわれないよう、引き続き適切な配慮をお願いしたいと思います。
私は、認定こども園が土曜日に必ずしも開園しなければならないということはこだわらず、土曜日を子どもが親と密に触れ合う日、親子が接点を持てる日、すなわち家族が一緒に過ごす日としてはどうかと考えております。一方、幼稚園におきましては、土曜日を有効活用し、例えば園庭を地域に開放して、地域とのつながりを深める日とすることが望ましいと考えております。
認定こども園の大きな柱といたしまして、保育と教育をあわせ持つ機能のほかに、子育て支援機能を持たなければならないとされております。大都市東京の子育ての環境ですが、核家族化の進行や地域関係の希薄化などにより、家庭や地域の子育て力は年々低下し、子育てに不安や負担を感じる親が増加しております。子育てを取り巻く環境が変容する一方で、特に幼稚園や保育所に通っていない在宅の三歳未満の子どもの子育て支援につきまして、保護者が子育てを相談する場や、子どもとともに交流する場が不足している状況がございます。
そこで、東京の私立幼稚園では、こうしたことを背景に、子育て支援のために多彩な活動を行っていると聞いておりますが、それはどういうものがあるのでしょうか。また、認定こども園となった場合に、それらをどのように生かしていくつもりか伺います。
○新行内私学部長 子育て支援についてのお尋ねでございます。
東京の私立幼稚園では、従来から、未就園児保育や園庭開放、子育て相談など、入園前の幼児がいる家庭の子育て支援を行ったり、地域の親子の交流の場を設けて地域貢献を行ったりと、約七割の幼稚園がこうした子育て支援の活動を行っているところでございます。
認定こども園の子育て支援機能は必須の機能でございまして、柱の一つとなっておりますことから、幼稚園での経験やノウハウを踏まえまして、認定こども園として子育て支援の一層の充実が図られるよう工夫してまいります。
○坂本委員 幼稚園の正規の教育活動に加えまして、これらの多彩な活動を通じて、幼稚園では、従来の幼稚園教育の枠組みだけでは対応し切れない子育て支援に広く対応しております。こうした成果をぜひ認定こども園には生かしていくべきだと考えております。
そこで、最後でありますけれども、地域に身近な存在であります私立幼稚園が認定こども園に円滑に移行できることが重要であります。設置促進に向けました決意を局長から伺って、質問を終わりたいと思います。
○渡辺生活文化局長 認定こども園が幼児教育機会の拡大や待機児童の解消につきまして期待されているということは、大いに周知のとおりのところでございます。幼稚園、保育所双方の特徴を生かしまして、児童の健全な成長、発達に役立つよう、また、保護者の多様なニーズにこたえること、そして子育て支援機能を担うような仕組みをつくるとともに、都民に身近な私立幼稚園が円滑に認定こども園に移行できるような、必要な支援を行ってまいりたいと存じます。
○伊藤委員 公益法人制度改革についてお伺いしたいと思います。
本年六月、公益法人制度改革三法が公布されたところでございます。公益法人とは、民法に基づき設立をされる財団法人、社団法人ですけれども、明治二十九年に民法が制定されたときに始まることから、百年ぶりの見直しといわれるような大きな改革が行われると聞いております。
これまでの社団法人、財団法人が、社会のさまざまな分野において、民間の立場から公益事業を展開し、一定の役割を果たしてきたことについては評価できると思います。しかし、民による非営利活動に対しましては、NPO法人、中間法人など、簡単に法人格が取れる仕組みも生まれてきている中で、この公益法人の制度では時代の変化に対応できなくなってきていること、また、一部の法人による不祥事や、補助金や天下りなど行政との癒着などの問題も指摘されているのも事実でございます。
私は、これからは、民間による非営利活動、その中核となる団体を社会に積極的に位置づけていく必要があると考えますし、今回の改革では、NPO法人や中間法人など、公益、共益にかかわるさまざまな人々に大変大きな影響を与えると思います。そこで、今回の公益法人制度改革に関しまして、何点か、以下質問したいと思います。
まず、平成二十年度中の施行を目途に公益法人制度の改革が進められているということでありますけれども、現行の都における公益法人の許可の仕組みはどのようになっているのか、あわせて、所管法人数はどのくらいか、その点を確認しておきたいと思います。
○和田都民生活部長 公益法人は、不特定多数の利益を目的に事業を行い、その利益を構成員に分配をしない法人でございまして、民法に基づき、主務官庁の許可を得て設立されるものでございます。
都におきましては、これまで、知事及び教育委員会が主務官庁として公益法人の許認可事務を行ってまいりました。設立許可につきましては、主務官庁の裁量によるところでございますが、都におきましては、東京都規則、それから設立許可審査基準等を策定いたしまして、これに基づき運用してきたところでございます。
また、東京都における所管法人数でございますけれども、本年四月一日現在、知事所管が五百六十八法人、教育委員会所管が二百九十八法人となってございます。
○伊藤委員 都内で大変多くの公益法人が活動していることはわかりました。
現行の公益法人制度では、知事、教育委員会に申請し、その許可を得ないと法人を設立できず、また、許可するかしないかにつきましても行政の裁量権が認められているということでございます。行政主導の仕組みで現状とのギャップが生じてきているのかなというふうに感じます。そこに大きな問題があると思います。
次に、今回の制度改革によりましてどのような変更が予定されているのか、お伺いいたします。
○和田都民生活部長 新たな公益法人制度におきましては、法人格の取得と公益性の判断が分離されるということが大きな特徴でございます。
まず法人格の取得でございますけれども、これは、公益性の有無にかかわらず、非営利であれば、一般社団法人、一般財団法人として、準則主義、いわゆる登記によりまして簡便に法人の設立が可能となります。
次に、公益性の判断でございますけれども、これにつきましては、一般社団法人、一般財団法人が申請をいたしますと、知事が委嘱しました民間有識者から成る合議制の機関、公益認定の委員会でございますけれども、その意見を聞いて公益性の認定を行うということといたしております。この認定を受けますと、公益社団法人、公益財団法人となり、税制上の適切な措置、いわゆる優遇措置がなされるわけでございます。
また、現行の公益法人につきましては、すべて、二十年度中に予定されているこの法の施行日から五年以内に新制度へ移行することとなっております。
○伊藤委員 ただいまのご答弁によりますと、新制度では、非営利活動を行う団体であれば、法人格そのものは登記だけで簡単に得られるということでございますので、民間団体は活動しやすくなるのかなというふうに思います。しかし、そこからさらに公益法人となるためには、都に申請をして公益性の認定を受けなければならない、ここが今回の改革の大きな変更点であると思いますが、この点については後ほど質問したいと思います。その前に、公益法人の情報公開についてお伺いします。
私は、現行の公益法人におきましても、また新制度の公益法人であっても、公的な存在であるといえると思います。税金の優遇措置も受けられるわけでありますから、どのような運営をされているのか、知りたい人はだれでも簡単に情報を得られるように、法人みずからの情報公開が大変重要であると思います。社会全体により当該法人の活動を監視することにより、自律機能の適切な発展を措置すべきと思います。
そこで、公益法人の情報公開が現行制度ではどうなっているのか、また、それが新制度になるとどのようになるかについてお伺いします。
○和田都民生活部長 情報公開についてでございますけれども、ご指摘のとおり、公益法人の情報公開は、民間の公益活動の健全な発展に不可欠なものと考えております。
現行制度におきましては、民法に基づき、財産目録及び社員名簿を事務所に備えることが義務づけられております。また、都としましては、国の通知--指導監督基準等でございますけれども--に基づきまして、法人に対して業務及び財務等の資料の備え置き及び閲覧、それからインターネットによる公開について指導してきたところでございます。現在、都所管法人のホームページの開設状況は、全法人の約六一%となってございます。
なお、新制度でございますけれども、新制度におきましては、法人による財産目録、定款、社員名簿等の備え置き及び閲覧が法により義務づけられております。
○伊藤委員 現行制度におきましても、多くの法人が自主的に情報公開を行っていて、都においても指導を行っているということであります。さらに新制度においては、きちんと法律の中に規定をされているということでございますので、引き続き適切な情報公開が行われるようにしていただきたいというふうに思います。
次に、先ほど触れました、公益認定を行う合議制機関の委員についてお伺いしたいと思います。
認定は都が直接やるわけではなく、民間人による合議制機関が審査をするということでございますが、そういう意味で、都に置かれる公益認定を行う合議制機関は、新制度がうまく機能していくためのかなめであると思います。しかし、先ほどの説明の中では、その委員を任命するのは都知事ということでございます。それで、委員が公益認定の判断を行うに当たって、本当に行政機関の介入を排除できるのか、そういう疑問が残るわけでありますけれども、この点はどうお考えでしょうか。
○和田都民生活部長 合議制の機関は、法に基づきます必置の附属機関でございまして、公益性を認定する場合、それから法人の監督、処分をする場合、そして行政不服審査の決定をする場合には諮問をし、その意見を聞かなければならないとされております。こうした合議制の機関の重要性にかんがみまして、公正中立、独立性、専門性を確保するために、公正な判断ができる法律、会計等の有識者という委員の資格要件、それから守秘義務、政治活動の制限といった服務規程、委員の独立職権行使、身分保障等の規定を条例で定めることとされておりまして、都といたしましては、これらの規定にのっとり、適正に合議制の機関を立ち上げる予定でございます。
○伊藤委員 公益認定を行うに当たって、民間の関与を導入したことは評価できると思います。また、制度としては、委員の独立性や中立性が規定されることはわかりました。しかし、たとえそのような規定が置かれたとしても、次第に形骸化して、都の意向に沿った決定がされるようにならないか、懸念があるわけであります。
ましてや、事務局は東京都が引き続き行うということでございますので、その点に私も今後とも注意深く注目してまいりたいと思いますし、さらに都においても、新制度を運用する段階では都民への情報公開を積極的に行うべきであると、意見として述べておきたいと思います。
次に、公益法人制度改革三法は、公布後二年六カ月以内の政令の定める日から施行ということでございます。時間があるように見えますけれども、現在都内で八百以上ある公益法人はすべて例外なく公益認定を受けて公益法人になるか、または一般社団法人、一般財団法人に移行するかを選択していかなければなりません。それぞれの公益法人がスムーズに移行するには、都として、公益法人制度改革についての情報提供や周知徹底を図っていく必要があると思いますが、この点はどうなっておりますか。
○和田都民生活部長 今回の制度改正は、いわば大改正でございまして、既存の公益法人にとりましては、五年以内に新制度へ移行しなければなりませんし、また、新法の新しい基準に合致させるための準備の時間も必要であるということを考えますと、改正内容の適切な情報提供は非常に重要なものであると考えております。
このため、今月下旬には所管法人向けに説明会を開催する予定でございますけれども、今後さらにパンフレットであるとかホームページによる周知、啓発、そして説明会の開催を行い、新制度への準備に遺漏が生じないよう努めていきたいと考えております。
○伊藤委員 今回の制度改革の概要はわかりました。
最初にも述べましたけれども、これからは行政が中心となって公益を担うのではなく、民間による非営利活動を積極的に位置づけて、活力ある社会を築いていく必要があります。この意味で今回の制度改革は大いに意義のあるものととらえておりますが、衆参両院の附帯決議にもありますように、公益認定を行う合議機関の運営に関して、その重要性から、中立性、独立性に配慮するとともに、専門的な知見に基づく判断を可能にするよう万全を期すようにということを求めておるわけであります。ぜひともこの法の趣旨に沿って、そこに立脚してこの改革を着実に進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大松委員 私の方からは、奨学金制度について質問をさせていただきます。
勉学意欲がありながら、経済的な理由で学校に行けない人たちに育英資金を貸し付けます奨学金制度は、近年ますますその必要性が高まっているところでございます。特に昨今の経済状況は、景気が回復軌道に乗りつつあるとはいえ、多くの庶民の皆様方にはそうした実感は薄いわけでございます。保護者の皆様方の経済環境の変化によって就学が困難になる子どもたちが今なお多いというのが実情でございます。
こうした中にありまして、東京都の奨学金、東京都育英資金事業は、平成十七年に国から高校生の奨学金事業が移管されましたのを契機に、実施主体が財団法人東京都私学財団に移されまして、サービスの拡充にも取り組みが進んでいるところでございます。
また、この間に、東京都は、平成十四年度に育英資金の貸付条件を、成績がいい人から学習意欲がある人に改めまして、成績要件が廃止されたわけでございます。こうした東京都の取り組みは、より多くの学生に奨学金を受ける機会を広げるものでございまして、私どもといたしましても高く評価をさせていただくものでございます。
その上で、まずお伺いさせていただきます。資料が出ておりますけれども、東京都が実施をしております東京都育英資金の利用者、利用実績の推移を学種別で教えていただきたいと思います。また、あわせて、奨学金を受けていない学生を含む全体の学生数の推移もお願いいたします。
○新行内私学部長 東京都育英資金の貸与実績の推移についてでございますが、本日の提出資料にもございますとおり、平成十五年度、十六年度、十七年度の各年度の貸与人員総数について申し上げますと、高校、高専では八百五十四人、八百九十人、千六百三十六人、専修学校高等課程では二十八人、三十八人、五十八人、専修学校専門課程では八百四十九人、九百八十五人、千九十九人へと増加しております。
これに対しまして、奨学金を受けていない人も含む都内の生徒数全体でございますが、これも同じく平成十五年度、十六年度、十七年度の各年度について見ますと、高等学校では約三十三万人、三十二万五千人、三十一万八千人へ、専修学校では約十九万五千人、十九万三千人、十八万七千人へと減少しております。
○大松委員 少子化の影響で学生の数は減る傾向にございます。また、その一方で、奨学金を受ける人はふえているわけでございます。これは国からの事業移管であったり、また資格要件の緩和による効果も含まれているわけでございますけれども、奨学金に対する需要は高いということは間違いないわけでございます。
こうした中で、例えば高校生などの場合は、大学生、短大生に比べましてまだまだ自分で経済的な自立をしていくということは難しいわけでございます。したがいまして、高校生の年代のお子様のいるご家庭では、経済環境が変化をすれば、それはそのまま子どもの教育費に対して大きな影響が及んでくるわけでございます。
私も住民の皆様方からさまざまな相談を受けるわけでございますけれども、その際に、高校育英資金をお勧めすることがよくございます。例えば、二人の高校生のお子様がいらっしゃいまして、中小のサービス業を細々と営んでおられるご家庭でございます。しかし、まちの環境が変わってお客様が急に減った、そして生活が苦しくなってきた、こういったご家庭がございます。あるいは、離婚をされた若いお母様は、高校生を含む、何と五人のお子様をパートで養っておられる。しかしながら、養育費が滞りがちで、家賃も払えなくなってまいりましたと、このようなご相談を受けたことがございます。
財産はなくても子どもには教育だけは受けさせてあげたい、こういうのが子どもの幸せを願う多くの親御さんの心情であると思います。それだけに、教育費が出せなくなったときのお父様、お母様のご心痛、ご心情というものは察して余りあるものでございます。こうした親の心にこたえるとともに、子どもに教育を受ける機会を広げていくという東京都の育英資金事業、大変人間的な、すばらしい事業、施策であるというふうに思うわけでございます。
そこで、お伺いいたします。現在、高校生、そして専修学校高等課程の生徒さんに対する東京都育英資金の貸付額は、国公立の場合で月額一万八千円、私立で三万円ということでございます。これまで着実に引き上げをしてきていただいているわけでございますけれども、学習内容は年々高度化し、また多様化もしておりまして、また大学、専門学校への進学を目指す生徒さんもふえておりまして、最低限の副教材も必要になってきているというふうに思います。また、他県に比べまして都内の物価は高いということもかんがみまして、この月額の貸付額をぜひ増額すべきであると考えますが、所見をお伺いいたします。
さらに、先ほど生活にお困りになったということでご紹介をさせていただいたご家庭の皆様でございますけれども、ぜひ奨学金を申請されてはどうですかと私もお話をさせていただきましたけれども、いずれの家庭も、東京都の育英資金のことを余りよくご存じでありませんでした。窓口がどこなのか、それさえもよくお知りではございませんでした。せっかく大変すばらしい制度でありますから、より広く知っていただけるような施策の展開をお願いいたしまして、所見をお伺いいたします。
○新行内私学部長 高等学校や専修学校の育英資金の貸付額につきましては、経済状況や国の奨学金の動向等を踏まえまして、最近におきましても、平成十二年度、十三年度、十七年度と逐次増額改定してきたところでございます。
私立学校への就学にかかわります援助につきましては、育英資金のほか、経常費補助、私立高等学校等特別奨学金補助、同じく私立高等学校等入学支度金貸付利子補給などにより、総合的かつ適切に対応してまいります。
また、ご指摘の育英資金の制度の周知についてでございますが、まず募集に関連しましては、東京都育英資金の実施団体でございます東京都私学財団におきまして、毎年春に学校の事務担当者を対象とした説明会を開催しますとともに、東京都のホームページや「広報東京都」を通じまして、広く都民、保護者の方々に対しまして募集案内を行っているところでございます。
また、募集の時期以外におきましても、年間を通しましてホームページでの制度紹介を行っておりますし、さらに東京都私立学校展などにおきまして、高校への進学を希望する方に対しまして東京都育英資金制度の案内を実施するなど、さまざまな機会をとらえましてPRを行っておりますが、こうした取り組みをさらに一層徹底しまして、より周知されるよう今後引き続き努力してまいりたいと思います。
○大松委員 次に、専門学校、専修学校の専門課程の育英資金についてお伺いいたします。
大学全入時代の到来が間近といわれる中にありまして、高校から専門学校への進学率は着実に上昇しております。東京都専修学校各種学校協会の資料、調査などによりますと、平成十七年度は専門学校への進学率は一九%に達しておりまして、学生の数は全国で約七十万人にも及ぶ、このようにいわれているわけでございます。
こうした中にありまして、東京都は専門学校のメッカともいわれまして、全国の学生数のおおむね四人に一人が都内の専門学校で学んでいるといわれているわけでございます。これはまさに都内の私立高校の生徒の数にも匹敵しようとしている、このような規模になっているわけでございます。
こうした専門学校の人気の背景には、最近の企業が、採用基準を、どこの学校を出たのかではなく、何を学び、何ができるのかと、このように変えてきておりまして、学生が希望の就職先をかち取るためには、大学や短大では習得できない技術や資格を得ることが必須条件になってきているということがございます。
現に就職率を見ましても、専門学校は、大学、短大等に比べて非常に高い、八〇%にも達している、このようにいわれているわけでございます。また、美容、理容、デザイン、服飾、音楽、IT、旅行系、演劇、映画など、専門学校には非常に多種多様な学科がございます。そして、こうした多様な分野から新しい成長産業が生まれてくるなど、日本の経済成長をリードする人材の輩出も期待されているところでございます。
さらに、先ほどの東京都の専門学校等の協会の調査などによりますと、平成十七年の都内の専門学校の入学者のうち、一〇・三%が大学や短大の卒業生であったと、このような調査もございます。さらに、そのうちの半数近くが、一たん就職をしてから専門学校に入学をしたと、これが半数近くでありまして、またさらに、フリーターを経験してから専門学校に入学をしたというのが七・六%でございまして、この二つを合わせますと、大学、短大を経て専門学校に入学をした半数以上は社会人入学であった、このような結果になるわけでございます。したがいまして、専門学校は、再チャレンジを目指す人たちの受け皿として大変期待され、既に機能もしているというふうにいえるわけでございます。
ところが、一方で、先ほどの同協会のアンケート調査がございまして、専門学校に入学するに当たっての心配事は何か、こういった問いかけに対しまして、その答えの第一番が、学費を負担に感じるで、五六・六%でございます。さらに、学業とアルバイトの両立がしにくい、これが五一%もあったわけでございます。
東京の産業を支えていく人材の輩出、また、再チャレンジを目指す人たちへの支援等、専門学校の重要性を考えて、この育英資金を私はさらに拡充するべきであると思うわけでございます。現在、国公立の場合、月額四万五千円、私立の場合が同じく五万三千円ということでございますけれども、ぜひ引き上げをするべきでございます。所見をお伺いいたします。
○新行内私学部長 これまでも、東京都育英資金の専修学校専門課程の貸付額は、国の同制度の単価改定の状況を踏まえまして、都の財政状況や貸付人員枠を考慮の上、改定を行ってきたところでございます。専修学校専門課程の貸付額につきましては、現在、国が来年度概算要求におきまして単価の増額を要求しているということも踏まえまして、適切に対応してまいります。
○大松委員 さて、専門学校は、大学、短大と同様に高等教育機関でございますけれども、国は、私立大学、短大等に経常的な経費に対する補助金を出しております一方で、私立の専門学校に対しての経常的経費については、補助金は出しておりません。一部、施設整備に対して補助をするということにとどまっております。
本会議で自民党の宮崎先生にも取り上げていただいておりますけれども、私どもといたしましても、専門学校への経常的経費に対する補助金を東京都として国に強く要請すべきであるとお訴えをさせていただくわけでございます。所見をお伺いいたします。
○新行内私学部長 専門学校への補助に関する国への要請についてでございますが、ご指摘のとおり、高等教育機関でございます専門学校へ、大学、短大と同様、運営に対する新たな補助制度を創設するよう、従来から年二回要望してまいりました。さきの第三回定例会で都議会からも意見書が出ておりますので、過日、文部科学省に要望に行ったところでございます。
今後とも機会をとらえまして、強く要請してまいります。
○大松委員 現在、専門学校は、いろんな雇用政策においても大変大きな役割を果たすことが期待されておりますので、よろしくお願い申し上げます。
また、雇用に関連いたしまして、産業労働局では中小企業振興センターやハローワークと連携をいたしまして、中小企業の人材の育成、技術の承継、若者の就業を進めていく人材育成ネットワーク、こういったものを構築しているというふうに伺っております。こうした産業労働の施策の中におきましても、専門学校が果たせる役割は大変大きいと思います。ぜひ生活文化局といたしましても産業労働局との連携を図っていただきまして、専門学校の持つ力をさらに引き出していただけるような取り組みをお願いするものでございます。
最後に、専修学校の耐震化の促進についてお伺いいたします。
首都直下型地震の切迫性が指摘をされておりまして、平成十八年には改正耐震改修促進法が施行されました。その中におきまして、学校は不特定利用の特定建築物に位置づけをされまして、耐震化が進められているところでございます。しかしながら、都の耐震化への補助制度でございますけれども、幼稚園、小学校、中学校、また高校が対象になっておりますけれども、専修学校につきましては、まだその対象にはなっていないところでございます。都内の専修学校は大変多くありまして、約十五万人以上の学生が学んでいるわけでございますが、その耐震化は七〇%ぐらいにとどまっている、このようにも伺っているところでございます。
この耐震化の問題、学校の種別は関係ございません。学ぶ生徒は皆平等でございます。ぜひ東京都として、専修学校に対する耐震化の補助金を構築していただきまして、計画的な耐震化を図っていくべきと考えます。
所見を伺いまして、質問を終わります。
○新行内私学部長 委員ご指摘のとおり、耐震化につきましては、学種を問わずに、児童生徒が安心して勉学に打ち込めるような学習環境を確保することは極めて重要な課題であると認識しておりまして、耐震改修促進法の改正趣旨を踏まえまして、国に対し、専修学校についても他の学種同様に国庫補助対象とするよう要望するなど、適切に対応したいと考えております。
○大山委員 まず、十月二十四日に、東京都男女平等参画審議会から、男女平等参画のための東京都行動計画の改定にあたっての基本的な考え方についての中間のまとめが出たわけですけれども、今後の予定として、十一月七日までにパブリックコメントを募集して、その後十一月に審議会の総会を開いて、十二月の総会で最終答申ということなんですけれども、記憶に新しいところでは、消対審の中間のまとめはこの文教委員会に報告されて、議会でも質疑ができました。男女平等参画審議会の中間のまとめというのは報告しないということなんでしょうか。
○産形参事 先月十月二十四日の第五回男女平等参画審議会の総会で中間のまとめを決定後、文教委員会の委員の皆様に情報提供を行っております。今後とも適切な情報提供に努めてまいります。
○大山委員 今、情報提供を行ったんだということなんですけれども、最終答申が出る前に、やはり議会というのは都民の代表なわけですから、議会の意見を出し合うということは重要なことだと思います。このことはきちんといっておきたいと思います。
報告はありませんでしたけれども、意見も述べ、幾つかただしておきたいと思います。
男女平等について、国際的には女子差別撤廃条約があって、政治的、経済的、社会的、文化的なあらゆる分野で性に基づく差別をしてはならないとしています。日本政府は、この条約の実施状況を審査する女性差別撤廃委員会から差別是正のおくれを指摘されています。改善勧告をされている事項は、議会や外交官、検察官などの公的分野に女性の参加が少ない、男女の賃金格差、パートや派遣労働に女性の比率が高く、賃金が低い、家庭生活と職業の両立が困難、夫婦の氏の選択や婚外子への相続差別などです。東京について検討する場合にも、この国際的な到達を踏まえることが重要だと考えています。
中間のまとめについて第一に指摘しなければならないことは、働く場における男女平等参画の促進に関してです。中間のまとめは、パートや派遣労働者など非正規の不安定雇用を改善する立場が弱いです。むしろ労働者の多様な働き方の選択肢として必要などといって、雇用の流動化を容認する方向であることです。多様な働き方を推進するための雇用環境整備と、現在のパート、派遣などの不安定な働き方を容認して、それを推進することを表題にするということは、男女平等を促進させるということにはほど遠いといわざるを得ません。
この中間のまとめの中で、現状・課題の中の認識としては、中間のまとめでも、働きに見合った適正な処遇が十分に整っているとはいえない、それから、正規としての雇用機会が減少した影響を特に女性が受けている、このように述べているんです。パートタイム労働者の職務内容、働き方が、正社員と同じ仕事内容や専門的業務や管理的業務、労働時間も同じなどのパートタイム労働者が五割を超えるなど、パートではなく、正社員として雇用しなくてはならない状況で働いている現状も、中間のまとめの中では把握されているんです。さらに、正社員の長時間過密労働の実態も指摘しています。つまり、中間のまとめでは、男女とも正社員の長時間過密労働があって、多くの不安定な雇用のパート、派遣、契約社員は、正社員と同様に働かされているという実態が明らかになったということなんですね。
ワークライフバランスというのが今回はキーワードのようですけれども、若い子育て世帯でも夫も妻も仕事で疲れ切っていて、とりわけ男性が深夜まで働かされて、女性に仕事も育児ものしかかってきているケースが多いわけです。子どもを育てることは本来楽しいことですし、親も成長することです。男性も女性も、仕事と育児、両方とも余裕を持ってかかわれることを望んでいます。だからこそ、流動的な不安定な短時間労働ではなく、正規雇用での、社会保障も給与も保障された短時間労働を求めています。これらを実現するには、男女とも基本の労働時間を短縮することです。育児期間は、男女とも残業しなくて済むようなことも必要です。
正社員と同様な責任や時間などの働き方をさせられているパート、派遣、契約社員などの労働条件や社会保障を拡充するためには、正社員の雇用を拡大させることです。労働者を使い捨てるような雇用形態が多くなってしまった日本でそれを改善するには、一つの企業だけが独自に行っても、その企業が立ち行かなくなるだけです。だからこそ東京都が率先して、大企業も多い東京で企業の社会的責任を果たしてもらうということからも、正社員での雇用を拡大すること、パートなどの不安定雇用の労働者も正社員と同一労働、同一賃金であり、社会保障も企業にきちんと同一にすることを求めていくことが必要だと考えています。
知事への答申であるだけに、東京都自身の姿勢を問うことも重要です。官から民への路線の中で、とりわけ福祉、医療関係の公務員を減らして、民間への業務委託、指定管理者制度、民営化などで非常勤、パート、契約社員など不安定雇用労働者をふやしているのは東京都自身だからなんですね。
二番目には、子育てに対する支援です。現状・課題のところに、認証保育所の数がふえたことをもって、東京のニーズに対応していますというふうにあります。これは実態を反映したことにはなりません。東京都自身の調査でも、認証保育所利用者の六三%が認可保育所に入りたいと回答し、七六%が保育料の値下げを求め、五三%が園庭がないことに不安を持っているのです。従事者アンケートでは、子どもに対する職員の数をふやしてほしい、建物、設備などの基準をもっと上げるべきと、保育内容の充実を求める声がたくさん寄せられています。
このような東京都自身の調査は、審議会に資料として提出していないんでしょうか。もし提出していないというのだったら、その理由も教えてください。
○産形参事 今回の審議会は、男女平等参画のための東京都行動計画の改定に当たっての基本的考え方についてを諮問したものでございます。
審議会における議論に当たっては、基礎的な資料として、東京の男女平等参画の現状や、現在の行動計画であるチャンス&サポート東京プラン二〇〇二計画事業の実績など、東京の男女平等参画の現状を示す関連データや現行動計画の取り組み実績を計画の体系別に整理した資料などを提供しております。
なお、審議会で求められた資料につきましては、その都度提供しております。
○大山委員 基本的な考え方を諮問したというふうにご答弁されましたけれども、基本的な考え方だからこそやはり重要で、都に求める取り組みの方向ということで東京都に求めているわけですね。ですから、そのときに客観的に評価しなければ道を誤ることだというふうにいわざるを得ません。
現状を公平に把握するのだったらば、都に求める取り組みの方向で認証保育所の設置促進を掲げるのが誤りであるということは明白だと思います。子どもの豊かな育ちを保障する立場なら、児童福祉法を率直に守る立場での取り組みの方向となるわけです。保育に欠ける子を区市町村が入所させなければならない認可保育所を増設することこそ都に求められることです。
子育て支援にとって、育児休業や育児時間の取得は、保育所の整備充実とともに重要なことです。しかし、中間のまとめでは、育児休業を取得しやすい職場環境づくりとある程度で、具体的には示されていません。国との関係でも、休業中の所得保障や代替制度だとか現職復帰の保障など、制度自体の充実も不可欠です。また、中小業者の従業員の育児休業取得を促進するために、中小業者への支援など、東京都ができることもたくさんあります。また、男性が取得したくてもできない状況を改善することも重要です。
第三番目には、教育の問題です。行き過ぎたジェンダーフリーなどという言葉を使って、男女平等を進めるのではなくて、差別を助長させるような動きがあります。この影響を受けて、象徴的な出来事として、現在のチャンス&サポートで進め、向上してきた男女混合名簿の実施率が、昨年度初めて下がりました。ジェンダー、つまり社会的性差を押しつけないようにすることは、教育の場面で重要です。女性差別撤廃条約は、教育の分野で、女子に対して男子と平等の権利を確保すること、男女平等を基礎にして女子に対する差別を撤廃するためにあらゆる努力をすることを求めています。必要なことは、憲法と教育基本法の立場にしっかり立つことです。そして、教習が崩れてきている家庭科についても、教習を改めて強調し、目標を持って進めていくことが必要だと考えます。
今大きな社会問題となっている高等学校の必履修科目の履修漏れについてですけれども、この必履修漏れというのは、受験体制の問題などあるわけですけれども、都内で男子校で家庭科を履修していなかった高校が複数あるわけですね。報道もされています。これは男女平等参画の観点からいっても逆行だと思わざるを得ませんけれども、どうですか。
○新行内私学部長 家庭科の履修漏れにつきましては、三校から報告がございまして、その詳細な事実関係につきましては、現在調査中でございます。その結果を踏まえまして、学習指導要領に適合するよう指導してまいります。
○大山委員 私、伺いましたのは、もちろん学習指導要領に基づいて適切にということなんですけれども、男女平等参画という観点からいったら、やはり男子校で家庭科の位置づけを低めているというか、男女とも充実した人間として生きていくために、家庭科の位置づけは大きいわけですね。しかし、過度な競争教育、それから受験体制のもとで、家庭科教習がないがしろにされてきているのではないかということなんです。
中間のまとめの二五ページには、産業労働局が調査した男性の育児休業取得の希望というのが載っています。取得したいと思う回答が、二十代では六〇・四%に上っています。四十代では五二・九%、三十代では五五・二%です。このように男性も積極的に育児にかかわりたいと考えるようになった背景には、家庭科が教習になってカリキュラムに位置づけたことが大きいというふうにいわれているわけです。また、性教育ということでは、発達段階に応じた性教育、他人の命も自分の命も大切にするということをしっかりと身につけるということが重要です。
四番目ですけれども、中間のまとめには書き込まれていない幾つかのことですけれども、国際的には重視されている性と生殖に関する自己決定権について、中間のまとめでは一言も言及されていませんけれども、現在の東京でも、児童虐待、ドメスチックバイオレンスだとか性暴力、それから買春、ポルノグラフィー、援助交際、セクシュアルハラスメント等々、人間の、特に女性や子どもの体や心が侵害され、搾取される状況は解消されていないだけに、権利としてしっかり位置づけることが重要だと考えます。さらに、税制や社会保障に関して、夫婦別姓など民法の改定などは、東京都の枠の中ではできないことですから、国に対して要望することが必要です。
最後に、施策の実効性を高めるための方策です。国も、男女共同参画基本計画では数値目標を持っています。例えば、これは国の数値目標ですけれども、社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも三〇%になるように期待する。東京都における管理職の女性比、十七年度どうかといったら、理事はゼロ%、参事は五・七%、副参事は一三・九%という到達点ですね。例えば長時間、時間外労働を行っている者を平成二十一年度までに一割以上減少させる、これは国の目標です。所定外労働時間、これは都内事業所八百八十一カ所ですけれども、二十時間を超えている残業、所定外労働をやっている人は、男性は三五・六%、女性は一四・一%という状況です。
例えば、このように国でさえも数値目標を持っているわけです。施策の実効性を高めるために、幾つかの基本的な数値目標を計画年度の最終までに到達する姿として掲げるというのは、計画をつくった場合の、進めるための有効な方法だと思いますけれども、どうですか。
○産形参事 男女平等参画のための東京都行動計画では、目指すべき目標を設定し、計画期間の中で取り組んでいくこととしております。男女平等参画の促進は、社会経済の状況や人々の意識など、さまざまな要因に影響を受けるものであるため、一律に到達目標としての数値目標を設定することは困難であり、関係局と調整しながら個々に判断してまいります。
○渡辺生活文化局長 先ほど、育児に大変関心を持つ男性がふえたということでご指摘ございまして、二十代、三十代、四十代ということでございました。高校における家庭科の必修は平成十年からでございますので、八年前ということでございます。そういたしますと、三十代、四十代は、高等学校の家庭科の必修というよりは、社会の中での大きな流れで、子育てに関心を持とうということで出たのかなと考えております。
また、国の例を挙げていただきましたけれども、私ども、必要なときには国を参考にし、また指針といたしますが、自分たちで考える自治ということを大事にして目標を設定したいと考えております。
○大山委員 今、局長さんが、三十代、四十代は社会的な状況の中でと、本当にそのとおりだと思うんですね。ですから、二十代の若者が六〇%を超える、教習をした時代の子どもたちは、六〇%を超える人たちが育児休業を自分もとりたいんだといっているわけですから、やはり家庭科を教習するというのは、人間として非常に重要なことだと思います。
と同時に、国の例は、もちろんいいところはまねして、悪いところはまねしちゃいけないわけですけれども、例えば、何でもかんでも数値目標をつくればいいというわけじゃないんですね。ですから、本当に重要な、要所要所といいますか、そこでつくればいいわけです。
例えば長野県なんかは、五年後の姿ということで、小中高等学校における女性校長、教頭の割合を全国十位以上にしましょうとか、ポジティブアクションに取り組む企業の割合を三五%までにしましょうとか、男性の育児休業取得率を五%以上にしましょうとか、九つの数値目標を長野県の場合は挙げているわけですね。他県では、やはり自分の県で考えて、ここはきちんと押さえておこうということで数値目標も含めて検討をしているわけですね。ぜひ行動計画をつくるときには、数値目標についても検討してもらいたいと思います。
今せっかく長野県が出たのですけれども、第三者機関を設置して、客観的に評価しながら推進していこうというふうにしています。このように、やはり推進体制をつくるというのは検討する必要があると思いますけれども、どうですか。
○産形参事 庁内の推進体制として、東京都男女平等参画推進会議を設置し、また、都民、事業者と都が連携協力して取り組む場として東京都男女平等参画を進める会を設置し、推進を図っております。
○大山委員 確かに年次報告も出しているわけですね。これは男女平等参画のための東京都行動計画の事業の実績ということで、各局と男女平等参画を進める会で、到達点というか、事業の実績を載せてある一覧表ですね。この事業の中で、例えば十七年度で事業終了とか、十五年度で事業終了などということも含めて事実を書いているわけですね。事実を把握するということは基本ですけれども、やはりきちんとこの事実をどう評価してどう分析して、それでさらに進めるためにはどうすればいいのかということですから、事実をきちんと把握することと同時に、評価と分析というのが必要だというふうに思います。今後、最終答申、行動計画の策定ということになるわけですけれども、議会にきちんと報告をして意見が反映できるように要望しておきます。
次ですけれども、私学助成について伺います。
東京の高校生ですけれども、五六・二%が私立高校に通っているわけです。私立高校生の置かれている状況というのは、今までも大変な状況だったわけですけれども、格差社会を反映して本当に大変になっているというのが最近の状況なんですね。
ある私立高校の先生に聞きましたら、昼食抜きをほかの友達に悟られないように昼休みは図書室で本を読んで過ごす生徒がいるとか、職員室への質問時間に当てる生徒だとか、夏休みに部活があるんですけれども、定期券が切れてしまったので、夏休みの部活に八キロを歩いて通う生徒がいた、電気もとめられて一週間ほとんど食べていなかったという生活保護の生徒もいたんだと、こういうわけですね。例を挙げれば切りがないというふうにこの高校の校長先生は語っていました。
私学に通わせる家庭はお金に余裕があるというのは事実ではないというふうに本当に切実に語っていました。せめて高校だけはという思いで入学させている家庭が、このお話を伺った高校の場合は約半数ほどを占めているというんですね。家庭の収入だけでは学費を到底カバーできなくて、おじいちゃんだとか親戚に頼っている場合もあるということなんです。
この学校では、都と学園の授業料減免制度、保護者団体の奨学金、公的な奨学金などについて紹介をして活用を呼びかけています。生活保護世帯の場合は、東京都の授業料軽減制度とこの学園独自の減免制度を利用すれば授業料の全額が免除されることになって、本人のアルバイトか、一つ奨学金を受ければ学校生活が可能になるというふうにいっていました。
資料6で出してもらいましたけれども、この学校のように、学校独自で減免を実施している高校は年々ふえてきています。しかし、現在のところ五四・二%ですから、半分ちょっとというところなんですね。
東京都の減額制度も、他県に比べて決して高いわけではありません。これは他県の授業料の補助制度の一覧ですけれども、例えばお隣の埼玉県は、生活保護世帯と住民税非課税世帯には三十四万円の授業料補助なんです。東京都は、生活保護世帯は十六万四千円ですね。千葉県では、生保世帯と住民税非課税世帯は授業料全額補助ですということなんですね。
実際の納付金と比較するとどうでしょう。資料4で出してもらいましたけれども、十七年度の授業料年額は高校で四十万二千三百九十九円です。初年度納付金は八十三万七千六百六十九円です。十六万四千円ではとても足りないということなんですね。ですから、夜、居酒屋でアルバイトをしたりという高校生も多くあるわけですね。せめて他県並みに増額していくということが必要だと思います。
例えば、今年度、幼稚園の保護者負担軽減は、第二子以降は補助単価が増額されました。昨年は少子化対策との説明だったわけですけれども、少子化対策だったら、幼稚園だけでは不十分です。私立高校に行っている子どもが二人いたらもう大変な負担で、高校生の授業料軽減についても幼稚園と同じように第二子以降の補助単価増額を考えると、少子化対策ということでは、お父さんお母さんたち、保護者の皆さんが元気になると思うんですけれども、どうですか。
○新行内私学部長 ご指摘のとおり、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助につきましては、少子化対策の一環として、同時在園の第二子以降の補助単価を増額しまして、若親世帯への経済的負担の軽減を図ったところでございます。
ご指摘の私立高等学校等授業料軽減助成事業の同時在学の場合の補助単価につきましては、少子化対策の観点から増額するということは現時点では考えておりません。
○大山委員 現時点ではということですけれども、ぜひ少子化対策の一つとしても、それから単価増額ということでは、本当に格差が広がっている中で、ぜひ検討も視野に入れてもらいたいと思っています。
それで伺いたいんですけれども、高校の進学率について公私協議会で計画進学率を決めて公私の受け入れ計画を取り決めているわけですけれども、残念ながら毎年、大体この間は九六%ですけれども、十七年度が九一・二%、十六年度九一・〇%ということで達成できていないんですね。私学の分野で達成できていないわけですけれども、どうして達成できないかということについてどのように分析しているんでしょうか。
○新行内私学部長 公私協で取り決められました計画進学率についてのお尋ねでございます。
平成十八年度におきます都内私立高校の公立中学校三年生の受け入れ実績は、公私連絡協議会の受け入れ計画数に対し八七・四%となっております。
計画未達成の理由は、受験生それぞれの事情がありまして、全体として統一的な把握ということは難しいところでございます。ただ、私学といたしましては、この受け入れ計画数を達成させるために、東京私立中学高等学校協会の中に就学促進特別対策委員会などを設けまして、受け入れ分担数の収容に最大限の努力を払っておるところでございます。
また、平成十八年度の入試におきましても、募集人員四万三千人を超えて八万一千人の合格者を出すなど、受け入れ分担数を収容するよう努力してきたところでございます。
○大山委員 もちろん、私立の高校が努力しているということはわかるわけです。ところが、やはり都立と私立を受けて、学費のことなんか考えると都立ということが、そういうケースというのは身近でもあるわけですよね。経済的な問題というのは考えざるを得ないのではないでしょうか。
先ほどの校長先生も、もっと授業料軽減制度を改善すれば、学費問題で入り口で立ちどまっていた希望者を動かす力になると思う、そうすると高校進学率を押し上げ、本校など--この先生の学校などは、学園の減免制度の対象も次の生徒に回すことができるんですというふうにおっしゃっているんですね。ですから、やはり学費の問題、父母負担軽減の問題というのは、選択をしていくというか、行きたい学校に行けるということを経済的な分野で阻害しないというところでは非常に重要だと思っています。
授業料補助というのは、東京都の場合、幼稚園と高校しかないんですけれども、小中学生でも最近は父母のリストラとかを初めとして家計の急変というのはあるわけですね。経済的な困難もあるわけです。実際に他県では高校生だけでなくて、小中学生への授業料補助も行っているところもあります。埼玉県では小中学生の家計急変の場合、それから神奈川県は小中、それから中等学校にも適用しています。新潟県も中学生に補助しています。兵庫県と広島県は、小中の軽減を臨時に行っていて、山口県でも家計急変の小中学生に出しているわけですね。他県のような、このような先進の自治体に学んで、小学校、中学校についても、公教育なわけですから、授業料軽減を検討する必要があるのではないでしょうか。
私の知り合いでも、中学でお父さんがリストラを受けちゃって本当に大変で結局かわらざるを得なかったという中学生もいましたけれども、とりわけ家計急変からでもスタートすることが求められていると思いますが、どうでしょう。
○新行内私学部長 私立学校におきましては、基幹的な補助でございます私立学校経常費補助によりまして児童生徒の就学上の経済的負担の軽減を図りますとともに、この経常費補助を補完するものとして私立高等学校等授業料軽減助成事業などを実施しておりまして、こうしたさまざまな施策が一体となりまして、総合的に保護者負担の軽減を図られるよう努力しておるところでございます。
小中学校におきましても経常費補助は行っておるわけでございますが、その中で授業料減免制度を持っている学校に対しましては特別補助を行うなど、総合的に保護者の授業料負担の軽減を図っているところでございます。
○大山委員 もちろん経常費補助をするということも、授業料が上がらない大きな力になるわけですね。実際、特別補助で授業料軽減をしている小中学校にはその分を補助しているというのも認識しています。
実際、十七年度で、家計の状況で六十九校、それから家計急変重なりということですけれども七十八校を中学校では実施して、小学校でも十六校と二十校で実施しているわけですね。ということは、学校の現場では、家計の状況だとか家計の急変による授業料補助が必要だという認識だというふうにいえるわけですね。ですから、小中学校も努力しているわけですから、ぜひこれもきちんと検討してもらいたいと思います。
次に移りますけれども、小学校だとか中学校で発達障害の児童生徒も入学してくるケースが多くなっているということがいわれています。健康調査票で振り落としてはいけないというふうに都教委に指導されていますし、それから、短時間の面接ではわからないですね。コミュニケーションをとることが苦手なお子さんだとか、配慮が必要なお子さんだとか、そういうお子さんたちが、手がかかるし、もちろん手をかけなければならないという状況なわけですね。私学の小学校の皆さんと懇談したときも、そういうお子さんたちが多くなってきているということをおっしゃっていました。
まずは、これはなかなか大変なことですから、聞き取りでしかできないとは思いますけれども、現状を把握することが必要だと思いますが、どうでしょうか。
○新行内私学部長 私立学校におきましては、建学の精神に基づきましてそれぞれの教育方針に沿って教育を行っておるところでございまして、発達障害児につきましても積極的に受け入れている方針の学校もございます。発達障害児への対応につきましては、学校ごとに異なっておりますので、現状把握につきましては、その必要性も含め、関係団体とも協議しながら慎重に対応してまいります。
○大山委員 もちろん現状把握は慎重に対応してもらいたいと思うわけですけれども、積極的に受け入れていらっしゃる学校もありますけれども、初めてだとかというケースも結構あるわけですね。そういった場合に、各区市などでは幼稚園や保育園や小学校の教職員向けに研修などを行っているわけです。私立小学校も受けられるようにしてほしいし、連携もとりたいというふうに要望があるわけですね。自分の学校だけで抱え込むのじゃなくて、地域の学校や公立の学校や私立の学校と一緒に連携をしていくということは重要なことだと思います。
各自治体では、障害児や発達に関する専門の施設もあるわけですし、専門家もいるし、東京都でもあるわけですよね。私立の小学校、中学校などへの情報提供や研修会への参加を初め、地元の区市と連携がとれるようにコーディネートする、これは東京都の役割としては重要だと思いますけれども、どうですか。
○新行内私学部長 学校教育における障害児への対応に関する私立学校の教職員の研修につきましては、これらの障害児に適切に対応するために必要でございまして、各学校におきまして適切に実施されることが望ましいと考えております。
私ども私学部といたしましても、国等が実施する研修のうち、私立学校の教職員が参加できる研修につきましては、各学校に情報提供しているところでございます。地元区市との連携につきましても、その事例を紹介するなど、必要に応じまして、関係団体と協議しながら対応してまいります。
○大山委員 ぜひ情報提供して、研修なども受けられる、連携もとれるような状況にしていってもらいたいと思っています。
実際に発達障害の児童を担当した先生が、自費で自分の時間を使って夜学に通ってカウンセラーの修士の資格を取ったという先生もいます。このような専門職が学校にいるということは非常に助かるんですね。公的に保障することが求められていると思いますが、どうですか。
○新行内私学部長 教職員の資質の向上につきましては大変重要な課題であると認識しておりまして、都が行っています経常費の補助の中には教職員への研修経費も含まれまして、適切な研修の実施に寄与していると考えております。
お話の件も含めまして、私立学校におきまして、教職員の資質向上に関しては、教職員及び設置者の責任においてなされるべきものと考えております。
○大山委員 もちろん、教職員と設置者の責任で行われるんですけれども、それがより充実できるように、ぜひ東京都としても支援してもらいたいと思います。と同時に、相談したいというときに、やはりスクールカウンセラーの配置なども要望をしておきます。
障害を持つ児童生徒についてですけれども、歩けない障害を持つ生徒が私立の中学校に受験をことし希望したそうです。その中学校も、何とか受け入れられないかというふうに検討したんですけれども、その生徒に二人は付き添わなければ学校生活が送れないというので、結局、入学させられなかったというんですね。学校だけでは財政的にもできない、それから、障害を持っていることを理由に希望する学校に入学できないということがないようにするには、条件を整えればいいわけですね。
学校が人的な配置、それからバリアフリー化など、必要なことができるように、都としても支援することが求められていると思いますけれども、どうですか。
○新行内私学部長 先ほども述べたところでございますが、私立学校におきましては、それぞれの教育方針に沿いまして教育を行っておりまして、障害児についても、積極的に受け入れる方針の学校もございます。
障害児への対応につきましては、各学校において適切に対応することではございますけれども、施設のバリアフリー化などの施設整備が必要な場合には、国の補助事業が活用できるということになってございます。
○大山委員 受けたいけれども受けられない現実があるんだ、人的な配置の面でも、それから施設設備の面でもということですから、施設設備の面で国の制度があるんだったら、さらに東京都としても充実させるようなことも含めて、ぜひ検討してほしいと思います。
防災防犯などのことなんですけれども、私立学校で耐震補強が必要であるにもかかわらず、実施できていない学校というのは、今どれぐらい残っていますか。
○新行内私学部長 私立学校の耐震化率についてのお尋ねでございますが、平成十八年四月一日現在の文部科学省の調査によりますと、都内の小学校では七八・二%、中学校は七六・三%、高等学校は六六・三%、幼稚園は六三・三%になっておりまして、全体では六六・四%でございます。
○大山委員 日々子どもたちが生活する場所で、非常に時間が長い場所ですから、一刻も早く実施したいということも学校でもあるわけですけれども、やはり耐震補強工事を行おうとすると億の単位のお金がかかってしまう。学校の負担が大変で、捻出できないんだという学校も少なからずあるわけですね。命にかかわることだけに急がなければならないわけですが、どのように対応しようとしているんでしょうか。
○新行内私学部長 学校校舎の耐震化の促進についてのお尋ねでございますけれども、まず私どもが現在やってございます私立学校安全対策促進事業費補助は、当初、私立学校の防災及び防災上の安全管理対策を早期かつ集中的に実施するために、平成十五年、十六年度の二年間の時限事業として実施して、さらに、耐震補強工事に限りまして一年延長して実施してきたところでございます。
しかしながら、都内私立学校の耐震化率は全国平均よりは上回っているものの六割強であること、あるいは耐震化促進法が改正され、国の目標とする耐震化率九〇%にはまだ及ばない現状にあること、そういったことを考えまして、生徒の安全第一を考慮して、十八年度におきましても耐震補強工事の事業を継続実施するということにいたしました。
なお、平成十九年度におきましても、私立学校の耐震改修を促進する観点から継続実施したいと考えておるところでございます。
○大山委員 ぜひ、安全第一ということですので、十九年度も補助を継続するということは非常に重要なことだと思っています。と同時に、やはり額が大きいだけに、本当にこの一年一年、次は大丈夫か、次は大丈夫かということでは、やはり計画というものもあるわけですから、ちょっと見通しが持てるぐらいのことも含めて、使いやすい工夫も含めて、ぜひ検討していただきたいということを要望しておきます。
最後に、認定こども園についてですけれども、先ほども質問がありましたが、認定こども園の法律が施行されて、東京都が条例をつくるということになっているわけですが、生活文化局は私立幼稚園を所管しているということで、福祉保健局、教育庁とともに条例制定のためのプロジェクトチームの一員だということですね。
全く新しい制度をつくることになるわけですし、衆議院、参議院で法律は成立したものの、審議すればするほど矛盾が出てきて、最初に審議した衆議院では五つの附帯決議がついたわけですね。参議院では、さらに審議をしたら矛盾がたくさん出てきて、十二もの附帯決議がついたわけです。附帯決議というのは、本法の施行に当たっては次の事項について特段の配慮をするべきであるということですから、本当に心配なんですよということなんですね。
それは、認定こども園における教育、保育の質の確保向上のための措置を講ずることだとか、保育料の負担の軽減だとか、それから保育に欠ける子どもの認定こども園への入園については公平公正でなくちゃいけませんよとか、教職員の配置基準の改善充実だとか、この法案に賛成した議員も本当に心配せざるを得なかった、そういう法律なんだということなんですね。
まず聞いておきたいんですけれども、都として認定こども園を制度化するメリットというのは何だと考えているんでしょう。
○新行内私学部長 認定こども園を制度化するメリットにつきましては、認定こども園の制度化にあり、保育に欠ける子どもにも幼児教育の機会拡大が図られまして、幼児教育に対する親の期待にこたえることができるようになるとともに、幼稚園を活用した保育機会の増大による保育所待機児童の解消が期待されること、また、保護者の就労の有無により就園先が区別されないことから、同じこども園におきまして一貫して教育と保育を提供することができること、さらに、子育て家庭を支援するという点でも効果があると、このように考えてございます。
○大山委員 幼児教育ということをどういうふうに概念としてとらえているのかというのは、ここで議論しているとかなり長時間になってしまうと思いますので、それはやめますけれども、待機児解消だということと、同じ幼児教育なんだから同じ場所で一体としてできるんだということですね。
それで、今おっしゃったようなことは、中央教育審議会幼児教育部会と社会保障審議会児童部会の合同の検討会議が、十六年の十二月二十四日付で就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設についてということで審議のまとめを出していますけれども、その中に、総合施設という新たな選択肢が生まれることで、幼児教育の機会の拡大や地域の子育て家庭に対する支援の充実が図られるとともに、幼稚園と保育所をめぐる諸課題や待機児童の解消等につながることが期待される--これの内容と同じだということですね。
これは全国レベルの審議のまとめでありまして、東京において幼児教育の機会の拡大ということだけをとりたてていわなければならないほど幼稚園が不足していたり、幼稚園に行きたいけど行けない幼児がいるといったら、いないわけですね。しかも、待機児の解消というんだったら、幼稚園に保育所機能という認可外の機能をつけて、保育条件を余りにも低い国の基準よりもさらに悪くするということではなくて、待機児の解消だというんだったら、認可保育園を常設すればいいわけですから、非常に明快なわけですね。
今申し上げた審議のまとめの中に、意義と理念というのが書いてあります。何が書いてあるかというと、子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益を第一に考えというふうに書いてあります。まさに子どもの最善の利益を保障する、これは重要なことですけれども、ちょっと聞いておきたいんですけれども、条例をつくる基本的な立場は、子どもの最善の利益を第一に考えるということでいいわけですね。
○新行内私学部長 認定こども園の基準を定める条例についてのお尋ねでございますけれども、そういった点も含めまして、ただいま全体として条例は検討中でございますので、ご了解願います。
○大山委員 子どもの最善の利益を第一に考えるということでいいわけですよね。そういうことでいいですよね。(新行内私学部長「検討中でございます」と呼ぶ)検討中。条例は今検討中なんだということですけれども、ごめんなさい、条例をつくる立場、どこを立脚点にするかといったら、もちろん、これは審議のまとめですから、この方向でやってくださいよというふうに出ているわけですが、子どもの最善の利益を第一に考えて条例をつくりますよということでいいわけですよね。
○新行内私学部長 条例はただいま検討中でございますので、明快に、こうだああだというふうに答えられなくて恐縮でございますが、そういった点も含めましてただいま検討中ということでご了解願いたいと思います。
○大山委員 ちょっと、非常に心配になっちゃうんですけれども、子どもの最善の利益を第一に考えるという立場に立たないとまずいわけですよね。だから、今、条例の内容を聞いているんじゃなくて、つくる、あと、検討しているときに、最善の利益を第一に考えるという立場に立っているんですねという確認なんですけれども、何かそれも含めてというようなことをいわれてしまうと、最善の利益を考えていないのかしらと思うんですが、どうですか。
○新行内私学部長 条例の内容とつくるスタンスと、それを委員の方は分けてということでございますが、私どもの方は、そういった前提、考えを持って条例を検討しているというふうに考えておりますので、先ほどから条例の内容ではないとは申しましても、なかなか明快に答えられるところではございませんが、再三のご質問なので、あえて申し上げれば、立場としてはそういう立場で私どもは臨んでおると、こういうことでございます。
○大山委員 この条例をつくる、作成している立場は、子どもの最善の利益を第一に考えるんだということを確認したいと思います。
もう一つ聞いておきたいのは、認定こども園では、認可の幼稚園と認可の保育園が一緒になる幼保連携型だけが両方とも認可を持っているだけですね。幼稚園型も保育園型も、単に保育所機能、それから幼稚園機能など、認可に至っていない機能を持っているにすぎないわけです。
地方裁量型に至っては、両方とも認可を受けていない。しかし、法律で法内施設だということになっちゃうわけですね。生活文化局では、今まで子どもたちの幼児教育の充実に努めてきたはずですけれども、地方裁量型などについて、単に、機能しか持っていないにもかかわらず、法律で規定される認定こども園にするというのは、これまでの姿勢と相入れないものだというふうに思うんですけれども、どうですか。
○新行内私学部長 認定こども園制度は、保育に欠けない子どもも欠ける子どもも受け入れまして、教育、保育を一体的に提供する機能等を持つ施設を認定することができる仕組みを設けるものでございまして、認定こども園を構成する幼稚園において行われる幼児教育につきましては従来どおりであります。
また、認定こども園を構成する保育所、認可外保育施設で行われる幼児教育につきましては、国の制度に基づきまして、学校教育法に掲げる幼稚園の目標が達成されるよう保育を行うことになってございます。
このように、幼児教育機能を有する認定こども園を認定することは、幼児教育の充実に努めてまいりました従来の姿勢と相入れないものとは考えておりません。
○大山委員 それで幼児教育の充実なんだというけれども、法外施設をつくって法内施設だというふうにしてしまうような状況でどうして充実だといえるんだろうかと、私は非常に疑問です。
具体的に聞きますけれども、幼稚園の一学級当たりの人数は、基準でいうと三歳から五歳児は三十五人以下となっていますね。例えば保育園は、三歳児が二十対一、四、五歳児は三十対一が現在の基準となっています。東京都としてどのような基準にしようとしているんですか。
○新行内私学部長 冒頭の坂本委員のご質問の中でも、基準については検討中でございますというふうにお答えしたところでございますが、同様に、やはりただいまご質問の基準についても検討中でございます。
国の幼稚園設置基準におきまして、幼稚園の一学級当たりの幼児数は三十五人以下を原則とされていることを踏まえまして、国が定めた認定こども園の設置及び運営に関する基準を参酌しつつ、都の基準を定めていく考えでございます。
○大山委員 いえないということですけれども、さっき資料9で出してもらった私立学校における学級規模別学校数というので私もびっくりしたんですけれども、幼稚園の三十人以下が六百七十八園ありますけれども、三十一人以上三十五人未満が百三十五、一クラス三十六人から四十人が二十三、四十一人から五十人、五十一人から六十人、こういう学級規模のところがあるということ自体、私は本当にびっくりするわけですけれども、検討中だということですが、どうしてこんなことを聞くのかというと、保育条件が保育の質に与える影響が大きいからです。
欧米に比べるとどうかというと、例えばイギリスは、三歳から五歳児は子ども八人に対して一人の保育者です。アメリカは、三歳児は五対一、四歳児も五歳児も七対一です。欧米基準から見たら、ちょっと日本は比較にならないほどなわけですけれども、保育の人的条件と保育の質の関連を明らかにした調査というのでよく引用されるのが、アメリカの全国規模での調査結果ですけれども、子どもに対する保育者の配置人数の調査結果があるわけですけれども、それは子どもに対する保育者の配置人数ということと同時に、欧米とは一けたと二けたの違いですから、これは比べようがないんですけれども、一クラスの子どもの人数の調査結果というのは参考になるんですね。
これはどういうことになっているかというと、よい条件という一クラスの子どもの人数が十二人前後のクラス、悪い条件として二十四人程度のクラス、この二つのグループの集合をつくるわけですね。結論的には、クラス規模が小さければ小さいほど、考えたり工夫する行動と協力する行動がふえて、課題的活動ヘの不参加や目当てのない行動が減ってきます。子ども同士のいい争いやけんかも、クラス人数が少ないほど減っています。つまり、クラスの人数が多くなると、クラスに落ちつきがなくなり、子どもの集中度が低下し、子どもの自発的な工夫や協力も減少する傾向があらわれているということなんですね。つまり、子どもが集中して活動に取り組める落ちついたクラスと、子どもと言葉で豊かにやりとりしている保育者が、知的な面での成長発達も促すという調査結果になっているということなんです。
クラス規模が大きいのは大きな妨害要因になってしまうわけですね。ですから、これらのことも参考にして基準をつくる、条例をつくる作業をしてもらいたいと要望しておきます。
園庭についてですけれども、幼稚園の関係者は、園庭は必要だというふうに必置を望んでいる声が多いわけですけれども、どういう基準にしようとしているのかというのも、これも検討中でいえませんということですね。
例えば、さっきも福祉保健局が行った認証保育所の調査をいいましたけれども、利用者の五三%が園庭がないことに不満を持っているんですね。それから、食事の面ですけれども、食事というのはやはり乳幼児の豊かな成長にとって非常に重要だし、最近特に食育というのが強調されていますから、重要なんですね。離乳食なんかは一人一人の進みぐあいや体調によっても配慮が必要ですから重要ですし、幼児も含めて、食物アレルギーの子どもたちへの除去食だとか代替食だとかはきめ細かな調理が必要なわけですから、自分の園で給食をつくるというのは、最低条件だと要望しておきます。
余りにも低い、国基準よりもさらに低くなっている認証保育所の基準に合わせてハードルを低くするようなことがあっては、先ほど確認しましたけれども、子どもの最善の利益を第一に考えているとはいえないということははっきりしていると思います。
各幼稚園に意向調査は行ったのかということと、来年度希望を出してくる幼稚園は幾つぐらいあるのかということをお聞きしておきます。
○新行内私学部長 昨年六月に、文部科学省からの依頼によりまして、就学前の教育と保育を一体としてとらえました一貫した総合施設の実施希望について調査したところでございます。
それによりますと、当時、私立幼稚園二十六園が平成十九年度に総合施設の実施を希望しておりました。なお、法律成立後、現時点で認定こども園の認定申請を希望する園の数は不明でございますが、今後、意向調査を実施してまいりたいと思います。
○大山委員 今後、意向調査をするんだということですね。中身によっても変わってくるとは思いますけれども、もう一つ、条例化の手続についてなんです。
他県では、審議会などを設置したり、検討会を設置したり、それからその中にもちろん関係者も入りますけれども、委員を公募したり、現場の保育士も含めて選任して検討してきた自治体もあります。ざっとインターネットで探しただけでも、例えば宮城県は、県の認定基準に関するものということで、これを公開しながら進めているんですね。それから、奈良県では、認定こども園審議会委員を募集しますということで、こんなに大きく出ていますね。ほかの県でもやっています。
やはり、今の段階でも中身を公表できない、都民に示すことができない、これは本当にまずいことだと思うわけですよね。多くの関係者が心配していることですし、全く新しい制度をつくるわけですから、検討の経過も公表して、きちんと関係者や都民の声を反映することが必要だと思いますけれども、どうですか。
○新行内私学部長 私立幼稚園の意見の反映ということについてのお尋ねでございますが、先ほども坂本委員のご質問で答えたところでございますけれども、私立幼稚園の連合組織である東京都私立幼稚園連合会の要請を受けまして、本年六月から幼稚園教育の質の確保、幼児教育の質を確保するための方策などについて、六回にわたりましてその代表者と意見交換を行いまして、基準づくりの参考としたところでございます。
また、七月には幼稚園の設置者全体を対象とした説明会におきましてこども園の概要について直接説明し、意見をいただいたところでございます。
○大山委員 説明会を開いて意見は聞いたんだというふうにおっしゃるわけですけれども、本当に全く新しい、それから、幼稚園の文化と保育園の文化は、新宿で連携している公立の園があるわけですけれども、同じ子ども、乳児、幼児ですけれども、やはり文化が違うんですよね。学校はどうか、養成する学校は保育士も幼稚園教諭も大体両方一緒に取れるような学校施行が多いわけですけれども、それでもやっぱり、歩んでくる道が違うと、文化が違うというのが本当に合っているいい方なのかなと思うわけですね。
そういう場合に、本当に現場の意見だとか、上から説明して終わり、それから一方通行で終わりというんじゃなくて、やはり、何がどういうふうにしているのか、これはじゃあどうなるのか、これはどうなるのか、ああなったらどうなるのかということを、何回も何回も議論しながらつくっていかなければならないことだと思うわけですね。
今からでも遅くないわけですから、関係者の意見、それから都民の意見を含めた、検討会も含めて開くべきだと思いますし、それから、パブリックコメントなんというのは最低限やらなければならないことだと思っています。
先ほど確認したように、子どもの最善の利益を第一にというふうに考えて、そういう立場にきちんと立つのだったらば、一方通行の説明会ではなくて、本当にやりとりをしながらつくり上げていくということを求めて、終わります。
○たぞえ委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分休憩いたします。
午後三時三分休憩
午後三時二十三分開議
○たぞえ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○早坂委員 高等学校における必修科目の未履修問題についてお伺いいたします。
文部科学省の発表によると、全国で五百四十校、八万三千人を超える生徒が何らかの履修漏れがある状況だといわれています。まず、東京都内の私立学校についての状況をお伺いいたします。
○新行内私学部長 東京の私立高等学校におきまして、教育課程に不適切な事例が見られたものは、全日制、定時制合わせた二百三十六校中十一校、生徒数で五万八千五百六人中千八百六十二人でございます。
○早坂委員 各種報道によると、履修漏れがあった十一校のうち、事前に生活文化局に届け出た学則自体に間違いがあったところがあるということですが、この事実関係についてお伺いいたします。
○新行内私学部長 私立学校の教育課程につきましては、学習指導要領に基づき各学校の学則で定めることとなります。これを変更する場合は、学則を所轄庁である生活文化局に届け出ることになっております。生活文化局では、届け出があった学校につきまして、学習指導要領に適合しているかを確認しております。
今回不適切だった十一校のうち十校については、学則に定めたとおりの教育が行われず履修漏れが生じたものでございまして、他の一校につきましては、学習指導要領に適合しない学則の届け出があり、それを私ども私学部での確認の際にミスがあったものでございます。大変申しわけありませんでした。
○早坂委員 教育課程の変更の届け出に対して、東京都はその内容確認に手抜かりがあったということだと思います。今回の事態を受け、生活文化局としては、今後、学則の確認をどうするのかお伺いいたします。
また、履修漏れのあった十一校に対してどのように対応するのか、あわせて伺います。
○新行内私学部長 まず、学則が学習指導要領に適合しているかどうかの確認についての対応でございますが、今後、学校が教育課程を変更する際に、必ず事前に相談することとし、詳細につきましては確認しながら変更の届け出を実施することといたします。
また、不適切な事象があった十一校に対してでございますが、今回の問題についての国からの対応策を踏まえまして、都の方針といたしましては、一つ、生徒、保護者等に不安や混乱を生じさせないため、適切な説明等を行うよう、各私立高等学校に対して指導を行っていく。二つ目、履修不足等の問題については、学習指導要領に基づいた履修を確保するため適切な対応をとるよう指導を行っていく。三つ目として、各私立学校が学習指導要領に基づき適切な教育課程を実施するよう指導を徹底する。こうしたことをする予定でございます。
○早坂委員 この履修漏れ問題は、生徒にルールを守ることを教えるべき学校自体がルールを犯したという側面、それを東京都が見逃したという側面、今ごろから補習を受けさせられると受験勉強の時間がなくなってしまうという側面、この三つの側面のほかに、生徒の側からは、本来受けられるはずの教育内容を受けることができなかったという権利侵害の主張も私は成り立つんだろうというふうに思います。
文部科学省の定めた学習指導要領に対して、実際には裁量権がないので、私学に対しても公立学校に対しても、自治体ができることは、学習指導要領に従うようにと指導することだけだと思います。したがって、この問題を受けて履修にかえてのレポート提出といったような救済策は国が決めることであって、自治体にその権限はありません。
私立学校はこれまで、それぞれの建学精神に基づき、生徒一人一人を尊重し、すばらしい人間教育を行ってきました。履修漏れがあった各学校がその内容を是正するのは当然のことですが、行政としてもそのような私立学校のよさを生かし、今後トラブルが起きないように、しっかりとその指導、つまり応援をしていただくようお願いいたします。
この問題全般について局長のご見解を伺います。
○渡辺生活文化局長 大変恐縮でございますが、早坂委員のご質問に答弁する前に、先ほどの大山委員のご質問に関連いたしまして、家庭科の高校での必修の開始の年次でございますが、平成十年と私発言をいたしましたが、確認したところ平成六年で、四年ほど前、平成六年に必修になっておりました。おわびして訂正を申し上げます。
次に早坂委員のご質問にご答弁申し上げます。
今回の件でございますが、学習指導要領に適合しない学則の届け出について生活文化局において確認のミスがございました。大変申しわけなく思っております。おわびを申し上げます。
一方、私立学校におきましては、委員ご指摘のとおり、それぞれの学校の自主性に基づき非常にすぐれた教育あるいは特色のある教育を多数行っております。それらを生かすためにも、今後このようなことがないようにしっかりと対応してまいります。
○早坂委員 次に、防災(語学)ボランティア制度について伺います。
平成十六年十月に起きた新潟県中越地震では、外国人が言葉の壁により避難場所がわからないなど、一時的な情報不足によって混乱孤立し、トラブルとなるケースがありました。東京都は、阪神・淡路大震災を契機として、平成八年に防災(語学)ボランティア制度を創設し、災害時に外国人を支援する仕組みづくりを行ったところでありますが、制度開始から十年が経過し、都内における外国人登録者の数も十年前の約二十五万人から約三十五万人と十万人も増加するなど、防災(語学)ボランティアの役割はますます重要なものになっています。
まず、この防災(語学)ボランティア制度の概要についてお伺いいたします。
○和田都民生活部長 東京都の防災(語学)ボランティア制度は、都内に大規模な災害が起こった際に、被災地の避難所や病院などさまざまな相談窓口において被災外国人等を支援するため、事前に一定以上の語学力を有する都民や外国人の方にボランティアとして登録をしていただく仕組みでございます。
○早坂委員 それでは、これまでの防災(語学)ボランティアの活動状況や現行の制度の課題などについてお伺いいたします。
○和田都民生活部長 幸いなことに、これまで東京におきましては災害時の出動は行われておりませんが、平常時から防災の意識や知識を持っていただくための訓練や研修等に参加をいただいております。しかしながら、委員のお話にもございましたように、制度開始から既に十年が経過をいたしまして、在住外国人の方も、数も増加いたしましたし、また、使用されている言語も多様化してきておりますことから、現行の制度を一部見直す必要性が生じてまいりました。
そこで今回、研修制度や電子メール等による機動的な連絡体制など、制度の仕組みを一層実践的に見直すこととし、本年度から新たにボランティアの募集を行っているところでございます。
今回の新たな募集における登録言語数は、英語、中国語、韓国・朝鮮語など、現段階では十五言語でございますが、今後そのほかの少数言語につきましても、登録数を一層ふやすように努めていきたいと考えております。
○早坂委員 防災(語学)ボランティアが実際に活動する場合には、現在は、名前と対応言語、顔写真が入った登録証を首からぶら下げることになっています。
今後は、外国人から見て一目で防災(語学)ボランティアであると認識できるような、例えば専用のジャンパーや腕章の配布がより有効だと思います。ご見解を伺います。
○和田都民生活部長 ご指摘のように、現在の防災(語学)ボランティアは、名前と、対応する言語、そして顔写真が入った首かけ式の登録証を携行することになっております。
しかしながら、今ご提案にございますように、災害時の混乱の中でも外国人に対して一層わかりやすい形で活動するということは大変重要なことでございますので、ご指摘のありましたジャンパーや腕章の作成も含め、今後検討してまいりたいと考えております。
○早坂委員 最近では区市などの地域の外国語ボランティア制度も充実してきており、地域においてさまざまな活動を行っております。
そこで、東京都の防災(語学)ボランティアも、地域の外国語ボランティアとの連携を進めていくべきだと考えます。ご見解を伺います。
○和田都民生活部長 現在、私どもの防災(語学)ボランティアの平常時の活動は、災害を想定した訓練や研修等が中心でございまして、一方、地域の外国語ボランティアは、区市等の外国人相談や国際交流のイベントなどの通訳、翻訳が中心となっております。
これまでも、私どもといたしましては、都と区市町村の国際交流推進会議等を通じまして相互の情報交換を行ってまいりましたが、今後はさらに災害時を想定した訓練や研修等を通じまして、都の防災(語学)ボランティアと地域の外国語ボランティアとの連携を一層強化してまいりたいと考えております。
○早坂委員 災害時のボランティア活動も重要ですが、これとあわせて、災害が起きていない常日ごろから外国人に対して防災知識の普及や情報提供などを行っていくことも重要であります。ご見解を伺います。
○和田都民生活部長 本年度の重点事業でございます外国人に対する防災情報提供対策の強化の一環といたしまして、インターネットによる防災情報の多言語化や外国人旅行者向けリーフレットの作成、そして外国人向けの防災DVDの作成などを行い、情報提供の強化を図っているところでございます。
○早坂委員 切迫する首都直下地震など、都内で大規模な災害が発生した場合、多くの外国人が混乱に陥る状況が予想されます。これに備えるため、外国人を初めとする災害時要援護者への情報提供について、今後一層施策の充実を図っていただくようお願いいたします。
次に、公衆浴場対策についてお伺いいたします。
都民の健康志向の高まりや折からの温浴ブームなどから、都内の各地にスーパー銭湯が数多く開業し、手軽なレジャー施設として多くの家族客の利用でにぎわっています。一方、都民の日常生活に欠くことのできない施設として安価な料金で利用でき、地域住民の身近な温浴施設としての公衆浴場も頑張って営業を続けています。
都内の公衆浴場は、浴場利用者の減少や施設の老朽化などにより、最盛期の昭和四十三年には二千六百八十七軒もあったのが、現在では千軒を割り九百七十九軒にまで減少しています。
私の地元、杉並区でも現在四十一軒、年々減少していますが、公衆浴場を高齢者の交流の場として開放したり、健康体操の講座を開いたりして地域の皆さんに大変喜ばれています。公衆浴場が地域コミュニティの核として果たすべき役割は大きいと思います。
公衆浴場に対する行政施策は、例えば我が杉並区では、風呂っと杉並とか、まちの湯健康事業というような施策を通じて支援しているように、基本的には基礎的自治体である区市において実施されています。一方、東京都においては、広域的な立場で公衆浴場の施設を確保するという観点から、施設整備に係る各種補助施策を用意しています。
さきの委員会でお配りいただいた平成十八年版の生活文化局事業概要を見ると、その中に公衆浴場対策についての記載があります。その中に、健康増進型公衆浴場改築支援事業とあり、区市と連携しつつ、地域貢献度が高い浴場として施設更新する浴場に対し改築及び改修費を補助するという説明がついています。その括弧書きの中に、十七年度から事業を再構築したとありますが、この再構築の経緯と考え方について伺います。
○宮川消費生活部長 ただいまの早坂委員のお話にもございましたように、私どもも、地域の身近な温浴施設である公衆浴場にはまだまだ都民に喜ばれ役立つ施設となる十分な可能性があるものと認識をしております。
これまでも魅力のある快適な温浴サービスの提供施設として多くの都民に利用されるよう施策を講じてまいりました。平成十六年度までは多機能型公衆浴場改築支援事業を実施いたしまして、公衆浴場にもジェットバスや露天風呂といった多機能の入浴設備を備えて、利用者が高い料金を払わなくても快適な気分を味わえるよう、主として設備面の充実に向けて支援をしてまいりました。
しかしながら、一般にスーパー銭湯のような大きな経営資源を持たない公衆浴場の経営努力にも限界がございますので、関係者とさらなる検討を深めまして、公衆浴場が地域の核となり、地域の人々に一層支えられる施設となるように、支援メニューを見直すことといたしました。
その結果、区市との連携を図りつつ、ミニデイサービスや健康増進事業、例えば健康チェックであるとか健康体操等、こういったものができるような施設として高齢社会への対応を図るほか、クリーンエネルギーへの転換も進めるなど、地域貢献度の高い施設として整備できるように、平成十七年度に健康増進型公衆浴場改築支援事業として再構築し、補助額も増額をして現在に至っているところでございます。
○早坂委員 公衆浴場を、単に入浴する人にとって快適な場とするだけでなく、地域の人々に期待され、地域によって積極的に支えられる施設にしていくという視点は大変重要であります。
これまでの公衆浴場を、公衆衛生の確保という観点から大きく進んで、ミニデイサービスや健康増進事業が実施できる場としての活用を図るなど、住民の健康増進や介護予防という福祉の観点から、地域貢献度の高い浴場として再生しようというものであり、適切な事業転換であると考えます。
また、これまで使用されてきたまきや重油などの化石燃料からガスや電気などクリーンエネルギーへの使用燃料の転換についても補助メニューに入っています。環境に配慮していくことは重要なことであると考えます。
しかし、この事業概要の中にある平成十七年度の事業実績は、すべてゼロになっています。これはどういうことなのかということについてお伺いいたします。
○宮川消費生活部長 施設の改築に踏み切るということは、多くの公衆浴場の経営者にとりまして一生に一度の大事業でございます。そのような関係もございまして、平成十七年度の事業の再構築に当たります際にも、業界や関係区市に対しまして事前に周知に務めたところでございます。
しかしながら、多額の設備投資のための資金調達や後継者の確保、またしっかりとした経営計画づくりという点では、事業が初年度ということもございまして、参考となるような事例もない中で、経営者の方々も慎重になりまして、改築に着手するというまでには至らなかったというところでございます。
○早坂委員 せっかくよい制度をつくっても、利用実績がないというのでは意味がありません。引き続き業界や区市とも十分連携をとって、適切な事業執行を図るべきだと考えます。
今年度の見通しについて伺います。
○宮川消費生活部長 今年度は、公衆浴場経営者や関係区市との連絡調整に早くから取り組みまして、七月には区市の担当者との意見交換会を開くなどいたしまして、業界側の方に芽生え始めましたこの事業に対します関心の目を、関係区と連携して大きく育てる努力を続けてまいりました。その結果、杉並区と品川区におきまして、それぞれ一軒ずつ、合計二軒の公衆浴場において改築が進んできておりまして、来年三月には竣工できる見通しとなっております。
また、改築には至らないまでも、大規模改修工事で対応したいという業者も一軒手を挙げてございまして、関係区との間で現在調整を進めているところでございます。
○早坂委員 先日の新聞報道では、夕方になると皇居の外周などをジョギングする会社員やOLが、着がえや入浴で立ち寄って浴場がごった返しており、経営者も、いっときは廃業を考えたが、今では洗い場の拡張を検討しているというような内容の記事がありました。
また、足立区では、五人以上のスポーツ団体が一人百円引きの割引料金で入浴できる制度を始めました。都民の健康志向が公衆浴場の新たな利用客をふやすことにつながっています。
私自身も、二人の子どもを連れ、月に何度か銭湯に通っていますが、いつも子どもは大喜びで、また連れていってとせがまれます。このように、地域生活や家庭対話に欠かせない都内の公衆浴場が、今後とも安定した経営のもとで都民に貢献できるよう、東京都としても引き続き努力することをお願いいたします。
○石川委員 私からは、都内で芸術活動に取り組んでいる若手芸術家や団体などへの支援策について若干質問させていただきます。
公明党の推進で文化芸術振興基本法が平成十三年に成立をいたしました。これを受けまして、都議会公明党としては、代表質問あるいは一般質問、また委員会等で、都の文化芸術振興施策を進展させるために、さまざまな提言も行ってきたところであります。
こうした中、東京都が本年五月に策定した東京都文化振興指針には、九つの大きな施策の一つとして、芸術文化の創造と発信が取り上げられています。そこには、東京が世界的な文化の創造と発信の拠点となるよう、創造の芽をはぐくみ、多彩な文化を東京から世界に向けて発信する環境を整備するとあります。
都は、この指針を踏まえて、新たな創造を目指す芸術家や団体への支援についてどのような取り組みを行っているんでしょうか、改めてお伺いいたします。
○杉谷文化振興部長 都はこれまでも、新進・若手アーチストの発掘と世界へのステップアップを支援するトーキョーワンダーウオール事業や、舞台芸術のすぐれた公演に助成する都民芸術フェスティバルの開催、芸術文化を世界に発信する創造活動を支援する芸術文化発信事業助成、芸術文化に関する総合的な情報サイトであるトーキョー・アート・ナビゲーション、仮称でございますけれども、これの構築など各種の取り組みを行ってまいりました。
また、財団法人東京都歴史文化財団でも、これからの芸術文化を担う若手芸術家の活動を支援し、育成を図ることを目的として、さまざまな自主事業を実施しております。
具体的には、東京文化会館では新進の音楽家の育成を図る東京音楽コンクール、現代美術館では、さまざまな視点から若手の美術家を紹介する展覧会でありますMOTアニュアルなどを開催してございます。
○石川委員 さまざまな事業を展開していただいておりますのも、やはり基本法の制定が大きな力になっているのかと、私たちも自負をしているところでございます。
ところで、歴史文化財団でもさまざまな若手芸術家の活動を支援する事業を実施しているとのことでありますが、具体的にお伺いいたします。
東京芸術劇場が実施している創造活動支援事業について、事業実施の目的は何なのか、また助成金額は幾らなのか、明らかにしてください。
○杉谷文化振興部長 東京芸術劇場で実施しております創造活動支援事業は、芸術文化の新たな創造を目指す芸術文化団体を支援し、東京における文化創造環境の充実を図ることを目的とした事業でございます。演劇及び舞踊団体に助成金を支給しております。
演劇や舞踊の分野では、直営の劇場を持ち、観客の大量動員が可能でビジネスとして成り立っている団体も一部にはございますが、ほとんどの団体が人件費、会場費、舞台をつくる費用などの支出に対しまして、収入の方は限られた座席数によるチケット収入しか見込めないという、構造的に採算性を確保できない状況にあるため、そうした団体への支援を行っているところでございます。
また、助成金額でございますが、一件当たりの助成金額は助成対象経費総額の二分の一以内で、百万円を上限としてございます。
○石川委員 資料要求もしましたけれども、最近の申し込み状況などの実績について、どうなっておりましょうか。
○杉谷文化振興部長 事業開始以降、申し込み件数はほぼ毎年増加しております。
平成十七年度実績では百二十八件の応募がございまして、そのうち十四件に対して総額一千百四十万円の助成を行っております。また今年度は、演劇、舞踊を合わせて百三十二件の応募があり、そのうち十二件に対して助成する予定でございます。
○石川委員 この質問をするきっかけになりましたのは、幾つかの団体から、こうした事業に採択されますと次のステップへ大きな力になるんです、したがって、何とか多くの団体にこうした事業の助成が受けられるようにしてくださいと、実はこんな問題提起がありました。
そこで、助成団体を決定する基準や選考方法はどうなっているんでしょうか。
○杉谷文化振興部長 まず助成の対象となる団体としての基準でございますが、都内で継続的に活動している団体で、かつ、過去に三回以上の公演実績がある団体でございます。
次に、助成の対象となる事業の基準でございますが、今年度につきましては、平成十八年七月一日から平成十九年三月三十一日までに開催された事業で芸術文化の創造に資する事業ということになっております。
選考方法につきましては、東京芸術劇場が定める創造活動支援事業認定委員会設置要綱に従いまして、演劇や舞踊の専門家を中心とする五名の委員で構成した委員会で決定してございます。
○石川委員 今ご説明がありましたように、助成団体を決定する基準や選考方法につきましては、委員会等で公平に選考されているものと私も思います。
聞くところによりますと、申し込み団体の基準として、昨年までは団体設立後十五年以内のものを対象としていたようですが、その基準を今年度から外したということであれば、なおさら今後申し込み団体がふえていくのではないかと推測するところです。
この創造活動支援事業は、資料要求で、二ページ目をちょっと見ていただきたいと思うんですが、平成十三年度から十五年度までは実は東京都の補助事業として実施されて、約一千五百万を超える予算がついておりましたけれども、平成十六年度からは実質的に財団の自主財源という形で運用され、約三百万弱の予算が削られております。しかも、十八年度からは財団は指定管理者になったわけでありますから、なかなか都の意向というものも反映しにくくなってきたんだろうと私は思います。
そこで、この創造活動事業費が、今申し上げましたように自主事業、予算を増額するということはなかなか難しいとは思いますが、例えば一団体当たりの助成金額を下げるなど、採用件数をふやすなどの工夫はできないものでしょうか。
○杉谷文化振興部長 演劇や舞踊などの芸術団体への公演の助成につきましては、できるだけ多くの団体に助成をすべきだというご意見、それから、逆に対象を厳選いたしまして、創造性や発信性の高いものを対象とすべきだというご意見など、さまざまな意見がございます。
この創造活動支援事業は、先生ご指摘のとおり、東京都歴史文化財団が自主財源を充てて創意工夫し実施している事業でございまして、先生さっきおっしゃっていただきましたけれども、助成を受けた団体のステータスになっているということもございまして、できるだけ多くの団体にご応募はいただけるように、本年度から団体設立後十五年以内という制限を撤廃したというふうに聞いております。
都といたしましても、先生ご指摘の趣旨を踏まえまして、今後とも若手芸術家や団体などの活動を支援し、事業が充実できますよう、有識者などの意見を聞きながら、東京都歴史文化財団と協議してまいります。
○石川委員 ぜひとも芸術活動に取り組んでいる若手芸術家や団体への支援というものを拡充してもらいたいと願うわけであります。
先ほどもご答弁の中に、東京都が直接、芸術文化発信事業助成という事業を展開しておりますけれども、実はこの予算も、十七年度は二千九百万、ところが十八年度は二千万と、やっぱり減額になっておるんですね。東京芸術劇場、財団がいわゆる指定管理者になったということは、東京都がこうした事業に対してどう予算組みをするかということがこれから大きく影響してくるんだろうと私は思います。
したがって、生活文化局が独自にやっている助成事業が今後さらに拡大されるように最後に要望いたしまして、質問を終わります。
○たぞえ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たぞえ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で、生活文化局関係を終わります。
これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
午後三時五十五分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.