文教委員会速記録第十一号

平成十八年九月二十九日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長村松みえ子君
副委員長山田 忠昭君
副委員長馬場 裕子君
理事野上ゆきえ君
理事服部ゆくお君
理事野上 純子君
伊藤 ゆう君
秋田 一郎君
上野 和彦君
泉谷つよし君
坂本たけし君
木内 良明君
古賀 俊昭君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長渡辺日佐夫君
次長荒川  満君
総務部長山本 洋一君
広報広聴部長高西 新子君
都民生活部長和田 正幸君
消費生活部長宮川 雄司君
私学部長新行内孝男君
文化振興部長 杉谷 正則君
参事萩原まき子君
参事産形  稔君
参事角田由理子君
教育庁教育長中村 正彦君
次長松田 二郎君
理事近藤 精一君
総務部長志賀 敏和君
学務部長山川信一郎君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長橋本 直紀君
指導部長岩佐 哲男君
生涯学習スポーツ部長三田村みどり君
学校経営指導・都立高校改革推進担当部長新井 清博君
人事企画担当部長直原  裕君
国体準備担当部長関口 修一君
参事石原 清志君
参事荒屋 文人君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 生活文化局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百五号議案 旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託について
報告事項(質疑)
・第十九次東京都消費生活対策審議会部会中間報告について
 教育庁関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十六号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「都立図書館改革の具体的方策」について

○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○村松委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及び教育庁関係の付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百五号議案を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○坂本委員 本年三月からIC旅券が導入されまして、その際、私はこの委員会におきまして質問させていただきました。制度改正がスムーズに行われますように要請したところでございますけれども、話によりますと、IC旅券導入以降は旅券の発行数が伸びておりまして、私は、景気回復に伴いまして都民が海外に出かけるチャンスが多いということも聞いております。旅券事務につきましては、今後ますます重要性を高めてくると考えております。
 そこで、今定例会におきましては、旅券の申請、交付にかかわる事務委託について付議されておりますけれども、これに関しまして何点か質問いたします。
 今回、旅券の申請と交付の事務を島しょ町村に委託するとのことでございますが、これまで島しょの住民への旅券給付はどのようにしていたのか、まずその点につきまして確認しておきます。

○和田都民生活部長 島しょ住民への旅券の発給でございますけれども、これまでは希望する島しょの町村に対しまして、年に一回ですけれども、私どもの旅券課の職員が出張いたしまして、申請の受け付けと交付をそれぞれ実施しております。
 それ以外の時期につきましては、島民の方々に都の旅券課窓口まで直接おいでいただき、申請につきましては代理申請も可能でございますけれども、申請、それから受け取りをしていただいているところでございます。

○坂本委員 旅券一つ申請するにしましても、島の皆さんが大変だということがわかりました。
 それでは、今回、事務を委託することによりまして、その状況はどのように変わるのか、また、申請から受け取りまでどのくらいの期間が必要か伺います。

○和田都民生活部長 島しょの住民の方々にとりましては、年間を通じて町村役場での旅券の申請、それから受け取りが可能となるということでございます。
 具体的な事務の流れでございますけれども、まず住民の方々は、役場の窓口で申請を行います。それを町村の職員が書類の不備がないか確認した上で、都に書類を郵送するということになります。都の方では、書類の審査並びに外務省との連絡などを行いまして旅券を作成いたします。その後、都の方から市町村役場の方へその作成した旅券を郵送し、ご本人に交付するということになってございます。
 次に、申請から交付までの日数でございますけれども、通常、新規に旅券を取得する場合の標準処理期間は、土日祝日を除きまして六日でございます。今回、事務委託の場合には、書類の郵送というものを伴いますので、この六日間にプラス郵送に要する期間をさらに加えた日数が必要となります。具体的には、今後町村の方と相談いたしまして日数を決めていきたいと考えております。

○坂本委員 今回の事務委託によりまして、住民にとりましては大変便利になるということでございます。しかし、その反面、町村役場におきましては新規の業務の負担が増加するだけでなく、今問題となっております旅券の不正取得や対応などの一定の専門知識の習得が必要になるということが問題になってくると思います。この点におきまして、町村側の受け入れ体制は十分かどうか伺います。

○和田都民生活部長 町村側の受け入れ体制の問題でございますけれども、今回、ご審議をいただいております規約の施行予定日は来年の四月でございますので、これに間に合うように町村と協議しながら準備を重ねていくことといたしております。
 今年度につきましては、事前準備の一環といたしまして、すべての町村に旅券課の職員が出向きまして、町村職員向けの研修を実施することといたしております。来年度以降も、毎年事務担当者向けの研修会を都庁の方で実施することを考えております。また、事務要領の提供であるとか、事務処理手順の工夫などを通しまして十分な業務支援を行い、委託の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。

○坂本委員 町村側の受け入れ体制につきましてはよくわかりまして、準備が進められているということでございます。
 ところで、町村側につきましては、こうした準備の問題だけでなく、郵送費や人件費といったような新たな費用負担が生じると思いますけれども、この点の手当てについてどうなっているか伺います。

○和田都民生活部長 費用負担の問題でございますけれども、町村に対しましては、町村側の事務処理に要する人件費、それから職員が都庁で研修を受ける際の出張旅費、旅券事務を行う上での必要な消耗品費、都への申請書類の郵送費、こういったものの経費を委託金として支払うことといたしております。

○坂本委員 これまでの説明から、今回の措置はあくまでも遠隔地であるという島しょ地域の特殊性を考慮したものとして理解をしております。しかし、住民の利便性という観点からいいますと、何も島しょ地域だけに限らず、他の市区町村におきましても検討していく必要があるかと私は思いますけれども、そこで市町村への事務委託につきましてはどのように考えているのか伺いたいと思います。

○和田都民生活部長 他の区市町村への事務委託でございますけれども、その他の区市町村に対しましても、これまで旅券事務の一部委託に関して説明会、勉強会などを開催し、情報提供を行ってきたところでございます。しかしながら、区市町村へ委託した場合には、住民は当該区市町村でのみ申請ができるということになりまして、実際には都内の場合には交通の便もいいわけですので、サラリーマンであるとか学生の方々などは、勤務先であるとか学校に近いところのパスポートセンターで申請されるというケースも多いということが考えられますので、区市町村への事務委託が必ずしも都にとって便利かどうかというのは難しい点もございます。
 また、郵送期間が必要となってまいりますので、交付までの日数もこれまでよりも逆に長くなってしまうという事態も生じることでございます。こういった問題もありますので、事務委託につきましては慎重な検討が必要かと考えております。
 いずれにいたしましても、区市町村側の方から事務委託の希望が出た場合に、個別に協議をしていきたいというふうに考えております。

○坂本委員 今回の措置は概要よくわかりましたし、適切であるというふうに感じております。
 最初にも述べましたように、多くの都民がますます海外に出て、国際交流とか国際親善も深まっていくことと思います。オリンピックもしかりでありますけれども、こうした都民の活躍を支援していくためにも、今後都民サービスを徹底いたしました旅券事務を推進していただくことを要請いたしまして、私の質問を終わります。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○村松委員長 次に、報告事項に対する質疑を行います。
 第十九次東京都消費生活対策審議会部会中間報告についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料についての理事者の説明を求めます。

○山本総務部長 去る九月十四日の当委員会におきまして要求のありました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます平成十八年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、1、事業者規制における東京都消費生活条例と特定商取引に関する法律の関係ほか一件の資料を記載しております。
 それでは一ページをお開き願います。1、事業者規制における東京都消費生活条例と特定商取引に関する法律の関係でございます。
 現行の事業者規制に当たりましては、特定商取引に関する法律に基づく処分及び東京都消費生活条例に基づく指導を行っております。
 この法律と条例の関係を示したのが(1)、適用対象取引(行為)の図でございます。一番外側の囲みが条例の適用範囲で、禁止行為を七つの類型に分けて規定し、すべての商取引を対象としております。
 このうち、内側の囲みで示すとおり、六種類の商取引を対象としているのが特定商取引法でございます。
 また、(2)、知事の権限では、それぞれにおいて禁止されている行為に対して、都知事の権限でどのような規制ができるかを記載しております。
 さらにこうした現行の事業者規制において、指導以上の措置ができない行為が網かけの部分でございまして、その具体的事例を、(3)、現行条例では対応できない事例で記載しております。
 二ページをお開き願います。2、第十九次東京都消費生活対策審議会部会中間報告に対する都民意見の概要でございます。
 当中間報告に対する都民意見の募集状況やいただいた主な意見について、本ページから次の三ページで記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○秋田委員 私からは、東京都消費生活対策審議会の部会中間報告に関連して、事業者規制の強化について何点か質問させていただきたいと思います。
 皆様よくご存じのとおり、テレビや新聞報道などで毎日のように悪質商法によるさまざまな事件、被害を目にします。例えば高齢者の健康上の不安あるいは孤独感につけ込んで勧誘して、高額な商品を売りつけるといった、本当により悪質な手口が最近の特徴であるように思います。
 今回、審議会の諮問事項を、消費者被害防止のための事業者規制のあり方としたのも、こうした状況を踏まえてのことと理解をしております。
 さきの一般質問におきまして、我が党の山田議員が速やかな条例改正の必要性について指摘したところでございますが、私も、本委員会におきまして事業者規制の強化を速やかに進めるべきだと考えて、その観点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、現在の取り組みについて伺いたいと思います。
 条例改正については、この後答申を受けてからの作業になっていくと思いますが、今、日々現実に起きている消費者被害の拡大防止は、まさに待ったなしだと思います。日々できることから積極的に取り組んで適切に対応すべきでございます。
 そこで現在、悪質事業者への規制について、どのように取り組んでいるのか、現在の取り組みについて伺います。

○宮川消費生活部長 悪質事業者に対します規制につきましては、私ども現行の法令や条例の許す範囲で、都民の利益のためにとり得る手法を積極的に研究いたしておりまして、実務に取り入れております。
 例えば、事業者が極めて悪質であるために、指導や勧告といいました通常の手続に従って業務改善を待っていたのでは消費者被害の拡大を防ぎ切れない、そういったケースがございますが、そういった場合には、特定商取引法を積極的に活用いたしまして、ことしの六月でございますが、全国の都道府県で初めて、非常に強引な勧誘を行っていた不当販売事業者に対しまして、即、業務停止命令を出すという対応に踏み切ったところでございます。
 また、社会的に大きな問題に発展する可能性の高い違反行為に着目いたしまして、緊急、集中的に調査を実施し、消費者に注意喚起する手法も取り入れているところでございます。具体的に申し上げますと、かつて二十年から三十年前でございますが、別荘地や山林を高値で買わされた、いわゆる原野商法の被害者でございます。現在、かなりお年を召した方々になっていらっしゃると思うんですが、今度はその最初の被害を回収できるような、そういった高値で売却できるといったような話を持ちかけまして、土地の測量、土地売却のための広告契約を行うなどした悪質事業者六者に対しまして、今月十三日に一括して指示・勧告を行い、強く社会に警鐘を鳴らしたところでございます。

○秋田委員 ただいまの答弁にもございました原野商法の二次被害でございますが、これは、東京都が全国で初めて特定な悪質商法について、同時期に集中的に行政処分などを行ったものであり、他の自治体ではなかなか処分が行われない中で、画期的なことだと思います。大変な評価をさせていただきたいと思っております。
 ところで、今回の処分を行うに当たり、警視庁からの併任職員と行政職員のチームによる立入調査が大きな威力を発揮したと聞いております。この立入調査について、東京都消費生活条例は、その第四十六条で、必要な限度において、職員が事業所などに立ち入って帳簿や書類などの調査を行い、資料の提出を求めることができると規定しています。立ち入った職員には、司法警察権のような強制できる権限はございませんから、立ち入り先の事業者の協力がなければ、調査といってもなかなかうまくはいかないのが現実でございます。
 手口が悪質な事業者になればなるほど抵抗は激しくなるのは当然予想されることでございます。例えば警視庁からの併任職員もいない、行政職員ばかりの調査チームで一体どのような成果が上がるのでしょうか。もちろん行政職員の皆様も大変頑張っていらっしゃることはわかっておりますが、行政職員だけの場合の効果を考えますと、これはなかなか疑問でございます。
 ここで、実際の立入調査の簡単なシミュレーションをしてみたいと思います。
 まず最初に、立ち入る予定の事務所に到着します。これから事務所の中に入るわけですが、簡単には入れてもらえません。なぜなら、先ほど申し上げたとおり、司法警察権のような強制権限がないからでございます。それでも何とか負けじと事務所の中に押し入ります。どうにか入って、今度は、証拠書類を見つけるために、机の引き出しやロッカーをあけてもらったりして、証拠を素早く見つけ出さなければなりません。事業者に協力してもらおうとする職員と、まあ当然だと思いますが、証拠を渡すまいとする悪質業者との駆け引き、攻防が始まるわけでございます。
 下手をすれば業務妨害だと反撃されるでしょうし、テレビのニュースなどでもよく目にしますが、悪質事業者というのは大体かなりのこわもてで、簡単に降参するような手合いではないというのは皆様よくご存じのことだと思いますが、いうのは簡単ですけれども、その場のやりとりは、我々の想像をはるかに超えた、緊張感の本当にある現場だということが、皆様方も想像がつくと思います。
 ですから、二年や三年の短期間で他の部署に異動してしまう行政職員だけで、このような立入調査を効果的に十分な成果を上げるということは、なかなか難しいということを皆様方もよくご理解いただけるのではないか、そんなふうに思います。他の自治体において現在もなかなか処分にまで踏み込めないのは、こうした事情があるからだと私は思っております。
 そこで、今回の部会中間報告を読みますと、その二三ページに「警視庁職員が事業者規制部門に配置されており、警察の犯罪捜査のノウハウを活かした処分等の実施に大きく貢献している。」、こうあります。やはり捜査の仕方を熟知し、難しい場面でも適切に対応できる能力のある、いわばプロの集団である警視庁と連携することは、私も極めて有効であると思います。
 そこで伺います。警察の捜査ノウハウは、実際どのように役立っているのでしょうか、説明を願います。

○宮川消費生活部長 ただいま秋田先生の方からシミュレーションもしていただいたところでございますけれども、実際、現場の立入調査というものが所期の成果を上げますには、まず事業者から不適正な取引行為の実態をいかにうまく聞き取るか、このことが欠かせないわけでございます。加えまして、その不適正な取引行為の裏づけとなる裏マニュアルといったような証拠の資料を速やかに発見することも不可欠となっております。
 さらに、悪質事業者や従業員の方々が乱暴な振る舞いをなさる場合もあるわけですけれども、冷静にこれに対処して上手に相手をいなすくらいのことも必要になってまいります。これらの点において豊富な経験を持ち、実績のある優秀な警察職員とともに行動することによりまして、行政職員もこれらのノウハウを効率よく、実践的に身につけることができます。事業者規制を行う上で、実際、大いに役立っておりまして、実績の上でも非常にそういった意味で伸びておりまして、平成十八年、きのうまでの実績で見ますと、既に八件処分を行っております。この数は昨年の十七年度の九件に迫るような、そんな状況になってございます。

○秋田委員 警視庁との連携は悪質事業者の規制を行っていく上で大変有効であるということが、今の部長の答弁からよくわかりました。引き続き積極的な連携に努めていただきたいと思います。
 ただ、その一方で、悪質な事業者というのは本当に一部でございまして、その多くは健全な事業者でございます。こうした際、この連携の強化が健全な事業者の活動をも萎縮させかねないというような不安と誤解を招かないよう、都民には十分な説明をお願いしたいと思います。
 いずれにしても、悪質事業者への規制強化を進めることは必要でございますが、このことが健全な事業者に影響することがあってはならないということで、今回の規制強化の方向と、健全な事業者の事業活動との関係はどうなっていくのか、念のために確認をさせていただきたいと思います。

○宮川消費生活部長 いわゆる一般に健全といわれております事業者、これは一般的な事業者であるわけでございますが、氏名や当然社名を名乗る。それから、商品の販売であるかサービスの提供であるか、その目的を明確に告げる。そして消費者の意向を確かめるといったようなことなどを、事業活動において当然のこととして行っていらっしゃるわけです。
 一方、悪質な事業者というのは、目的をあいまいにしたり、重要事項を告げなかったり、うそをいったり、そういった消費者の意向を無視して勧誘などを行って消費者に大きな被害を与えている、そういう事業者であるわけです。
 こうした悪質事業者に対します規制の強化というものは、市場の公正さを維持し、消費者が一層安心して事業者とのかかわりを持てるようになるということから、活発な経済活動にも資するものとなるため、一般の健全な事業者にとっても、むしろ有益なことではないかというふうに考えております。審議会におきましても、そのような認識で部会の中間報告をまとめていただいておるところでございます。

○秋田委員 今回の中間報告の方向性はよくわかりました。この方向で、悪質事業者の規制強化を積極的に進めていただきたいと思います。
 そこで、最後になりますが、規制強化を進めていくに当たっての局長の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○渡辺生活文化局長 悪質事業者による消費者被害の拡大を防止するため、これまでも可能な限り迅速に行政指導を行うとともに、警視庁の協力を得て特別機動調査班を設置し、全国の自治体に先駆けて行政処分の実績を上げるなど、積極的な対策を展開してまいりました。先ほど消費生活部長からご答弁申し上げましたように、布団商法や第二次原野商法に対する行政処分などは、その一例でございます。
 今後もこうした取り組みを積み重ねていくことに加え、現在まとめに入っております東京都消費生活対策審議会の議論と答申の趣旨を踏まえまして、悪質な事業者の規制に関する条例の整備と不適正取引防止対策の充実強化に取り組んでまいります。

○伊藤委員 それでは、私の方から引き続き悪質事業者についての質疑をさせていただきたいと思います。
 私の事務所にも、全く同じ方なんですけれども、事務所のそばに住んでいらっしゃる方で、一カ月に一回ぐらい、高額な布団を買ってしまったということでご相談にいらっしゃり、大体の場合がローンを組まされているというケースが多いものですから、そのたびごとにクーリングオフの手続についてのアドバイスをさせていただいています。
 ですから、その瞬間、一週間だか二週間たっていなければ、そうした手続がとれるわけですから、実被害は、現状その方にとっては出ていないようですけれども、どういうわけか同じお宅に入れかわり立ちかわり、違うメーカーなり業者が訪問販売に訪れてくる。もう完全に目をつけられてしまっているというようなことであるようで、どうも業界の方に聞くと、セールスマンにとっても、実際にローンが成立をするかどうか以上に、実際にサインをさせるだけで十分に売り上げ成績として計上できるという会社も多いようで、そのような形でそういうところに始終セールスマンが来るということになるようでございます。
 どうしても家に引き続きずっといる方にとっては、こうした訪れてくる人に対して、もう一切来ないでほしいということを何かしら打ち出して、寄りつかないようにしたというような声もあって、例えば最近、ポスティングなんかもマンションによっては一切入れないでくださいというような張り出しなどもあって、その有効性については昨今裁判などもありましたけれども、いずれにせよ、こういうしつこい訪問販売とか一切の営業に対して、もう来ないでほしいんだというような意思表示としての予防的措置というのは何かとれないものかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○宮川消費生活部長 しつこい訪問販売といいますか、いろいろそういう電話をかけてきたりとか、そういったことをどうするかということでございますけれども、ちょっと一般的なところでお話し申し上げますと、訪問販売とか電話などを通じて事業者が不意打ち的に消費者と接触を開始して、一方的に勧誘を行うという、そういう場合には確かに消費者の被害が最も起こりやすくなっていく、こういう状況がございます。
 こうした被害を防止するために、東京都消費生活条例や特定商取引法では、訪問販売においては販売目的を隠して勧誘を開始することの禁止を定めております。また電話勧誘販売などに関しましては、断った者への再勧誘の禁止というものも定めておりまして、これらの禁止行為に違反した場合には、事業者に対し指導や処分を行っている、こういう状況でございます。
 このように、条例や法の規定は消費者の意思を尊重しない勧誘行為等を規制する趣旨でございまして、先生のお話のような予防的な措置という点でございますが、中には悪質訪問販売お断りというようなステッカーやシールを張っているというようなところ、先ほどのお話にもございますが、そういうようなこともあろうかと思うんですが、予防的措置ということになりますと、訪問販売や電話勧誘販売そのものを禁止するというような、そういったわけにもいかない、一つの経済活動としても成り立っているわけでございますので、そういった営業の自由との関係からも、なかなか難しい点もあるのかと。
 ただ、いずれにしても、そういうしつこい訪問販売であるとか、電話かけとか、そういったことについては、できる限りそういう状況、いわゆる消費者が拒絶している場合については、きちっとそれに対処するというふうなことが必要であろうというふうに考えております。

○伊藤委員 営業権の権利もあるかと思うんですけれども、うちの家なんかはそういう電話はないですけど、本当にこういう家なんか一週間に一回以上ひっきりなしに電話かかってくると。電話をかえるか、引っ越すかしなければいけないなんていうこともあるんで、いろんな違う業者が来ることに対しては規制しにくいということでしたけれども、今お話にあったように、同じ業者が断っても来る場合というのがあるというふうに思うんですけれども、その場合の、今、罰則などがあるということでしたけれども、具体的にはどのような策になるのか。そしてまた、被害を受けている方はどういうふうにそういうことを訴えればいいのかということについてご答弁いただきます。

○宮川消費生活部長 断っても再訪してくる訪問販売員に対してどんな有効な対応策があるかというようなお尋ねだと思いますけれども、基本的には消費者が、やはり断固断っていただくのが一番であるわけでございますが、高齢者などにおいては、繰り返される勧誘を断り切れない、それで契約を締結してしまう、そういうような場合もあるわけでございます。
 このことから、今回の審議会の部会中間報告の中では、東京都消費生活条例に勧誘を拒絶する意思表示をした消費者に対して勧誘を禁止する旨の規定を置くべきであると、こういった報告をいただいているところでございます。こうした規定が置かれれば、明確に拒絶の意思を表示した消費者に対し、再度の勧誘を行った場合は、不適正な取引行為として指導及び勧告の対象となるということになると思います。

○伊藤委員 それから、寝たきりのところにも、やはりこうした訪問販売等があって、そこに例えば親族などがいれば、そういう形で今被害に遭っているということが把握できることもあると思いますけれども、あるいはまた、そういうところにケアマネジャーのような方、介護事業者の方々も当然出入りをしていて、そうしたところからいろいろな被害の実態というのも今後把握しやすくなってくるんだろうと思いますけれども、そうしたケアマネジャーなどの介護事業者に対するこういう問題に対する対策講座みたいなものをどのように今展開をしているのか、ご答弁ください。

○宮川消費生活部長 高齢者の方々に対する、いわゆる消費者トラブルといいますものは、高齢者はなかなかだまされたことに気づきにくいとか、なかなか周りに相談相手がいないというような中で、被害に遭ったと気づいてもだれにも相談しない、そういうような特徴がございますので、高齢者の周りの方々の見守りが重要であるというふうに考えております。
 そこで、ケアマネジャー、ホームヘルパー、民生委員などを対象に、年間二百回の予定で、ことし六月から出前講座を開始いたしております。ここでは、第一線での経験のある消費生活相談員が講師となりまして、悪質商法の手口、被害発見のポイント、被害発見時の対応等を中心に、実践的なテキストを用いて実施をしておりまして、九月二十八日、昨日現在で九十四件、参加人数で約六千人の申し込みをいただいておるところでございます。

○伊藤委員 出前講座に関しては、希望する事業者から出前講座をやってもらいたいんだという、そういう申し出を受けてやられているということですけれども、かなり今、こういうケアマネジャーを派遣するような介護事業者の数もふえてきて、その介護事業者の中にも良質なところとそうでないところといろいろあるようですけれども、特に良質でないところに関していえば、余りこういうことに関心も持っていないというようなところもあるかというふうに思うんですけれども、出前講座を依頼してこないような事業所のもとで働くケアマネジャーに対するこうした対策講座のアプローチというのは、何かお考えでしょうか。

○宮川消費生活部長 実は、今回の部会の中間報告にも、介護事業者などとの連携した見守りのネットワークの重要性については指摘がございまして、その意味からも、今申し上げました出前講座というものは、こういったネットワークの形成にとって大変有効であるというふうに考えております。
 このため、少しでも多くの介護事業者が出前講座を受講できるよう、これまでもチラシを配布したり、都内介護事業者を対象といたします福祉保健局の情報誌に講座案内を掲載するなど、積極的に周知活動を行ってまいりました。
 今後ともより多くの介護事業者が出前講座に参加するよう、さまざまな機会を通じまして区市町村とも連携しながら、幅広く関係者に働きかけを行うとともに、高齢者の消費者被害に関する情報を介護事業者に対しまして積極的に提供していくなど、いろいろとそういう関心を呼びまして、そういう雰囲気をつくって、少しでも多くの事業者がこういった出前講座を受講してくださるような、そういった環境を整えていきたいと考えております。

○上野委員 私からは、東京都消費生活対策審議会部会の中間報告に関連いたしまして、現行の条例と法律の関係などを中心に何点か質問させていただきます。
 先ほど東京都消費生活条例と特定商取引法の関係につきましては、総務部長の方から資料の説明がございましたけれども、もう少し詳しいところをお聞かせ願いたいということで、まず、特定商取引法の適用範囲と東京都消費生活条例の適用範囲のそれぞれの対象はどのように違いがあるのかというところについてお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 特定商取引法は、先ほどの資料にもございますが、訪問販売、電話勧誘販売等、いわゆる不意打ち性が高いとか、フェース・ツー・フェースでない非対面取引である匿名性が強いといったような、そういう取引の持つ特徴から、消費者トラブルを起こしやすい六種類の取引類型につきまして、これに該当するものを対象に事業者の規制を行っております。
 これに対しまして、東京都の消費生活条例は、消費者保護の観点から、消費者被害の未然防止、拡大防止を目的といたしまして、取引の形態ではなく、事業者の行為に着目をしております。具体的には、消費者に誤信を招く情報を提供したり、言葉や動作によって消費者を不安な状態に陥らせるといった不適正な勧誘行為、あるいは契約の申し込みをさせる行為など七つの類型を定めまして、消費者と事業者間のすべての商取引を対象として規制等を行っているわけでございます。
 このように、条例と法律とでは、事業者の悪質行為をとらえる切り口、適用範囲というものを異にしているわけでございます。

○上野委員 ご答弁にありましたように、条例は消費者と事業者間のすべての商取引を対象としているということでございますけれども、そうであるならば、条例と特定商取引法の両方が適用される取引もあるかと思います。そのような取引については、実際、条例と法律をどのように活用し、そして悪質事業者に対処しているのか、その点についてお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 特定商取引法の対象となる取引で、知事に権限が付与されている取引につきましては、法律を優先して適用いたしております。なぜかと申し上げますと、いわゆる手口の悪質性、あるいは被害の大きさ、またはその被害の拡大の防止のための緊急の必要に適切に対応するためには、指示、業務停止命令といった処分等を厳正に行うことができなくてはなりません。そういった理由で法律を優先して適用しているわけでございます。
 なお、事業者の自主的な改善が見込まれる行為等につきましては、条例を適用いたしまして指導や勧告等を行っているということでございます。

○上野委員 次に、特定商取引法の知事の権限についてお伺いいたします。
 中間報告の一二ページを読みますと、特定商取引法の権限が都知事に付与されていない通信販売と電話勧誘販売については、特定商取引法に基づく情報提供義務違反の規制ができないとあります。この知事に権限が付与されていない理由は何なのかというと、通信販売と電話勧誘販売というのは、地域を超えて広範囲に被害が発生する、このようにいわれているわけでございますけれども、実際、現に東京で起こっている深刻な被害には、やはり東京都で対応できるようにすべきだと思います。都は、このことについて国に対して知事への権限の移譲を求めるべきであると思いますけれども、その点について所見を伺います。

○宮川消費生活部長 都知事に権限が移譲されていない通信販売と電話勧誘販売につきましては、毎年度実施いたしております国の施策及び予算に対する提案要求、そういった機会をとらえまして、国に対し権限の移譲を求めてきております。
 確かに国の方は地域を超えて広範囲に被害を発生するというようなこと、これは国の領分であるというような考え方で、知事に権限を付与するということについては少しちゅうちょしている部分もあるわけですけれども、実際のところ、地域を超えた広範囲の被害というのも現実に起きているわけでございまして、それに対応するために、東京都は平成十六年三月に、四都県の悪質事業者対策会議というものを設置いたしまして、神奈川、千葉、埼玉とともに実際に合同で行政指導を行ったり、行政処分を実施したり、そういうような実績も重ねております。
 こうした中で、都からの提案要求を受けまして、国におきましても権限移譲に向けた具体的な動きを始めているというふうに聞いております。現在、その動向に注目し、所管の経済産業省消費経済部と頻繁に連絡をとり合っているという状況でございます。

○上野委員 次に、業務停止命令の対象となる悪質行為についてお伺いいたします。
 中間報告の一九ページを読みますと、「原野商法の被害者に対し、転売するために必要だと偽って広告の契約をさせる事例など、悪質な行為が多発している。このような悪質な行為に対応するため、条例に業務停止命令を設ける必要がある。」、こう記されておりますけれども、仮に条例改正をする場合、命令の対象となる悪質行為にはどのようなものが該当することになるのか、特定商取引法との違いがわかるようなご説明をお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 条例を改正いたしまして業務停止命令を設ける場合には、特定商取引法が対象としていない領域におきまして生じております悪質な行為を対象とするというのが一つの考え方であろうかと思います。
 特定商取引法では、消費者の方から事業者に連絡をとって自宅に事業者を呼んだり、あるいは消費者がみずから事務所に出向くといったようなケースというのは、特定商取引法自体が突然の訪問のために不意打ち性の高い取引から消費者を保護する、そういう目的で規定されておりますので、当然、訪問販売には該当しないというようなことになりますので、対象外というふうなことになります。
 具体的に申し上げますと、先ほどの資料のところ、図示されているところもございますが、その下の方にもいろいろと事例を挙げてございますけれども、給排水設備等の修理を消費者の方から連絡をして頼んだところ、勝手に設備を交換されて高額の料金を請求されたような場合、あるいは入学してレッスンを受けないとタレントになれないといわれまして、高額の入学金を払ったけれども、事前に説明を受けたレッスン内容ではなく、やめたいといったら入学金も返金されない、こういったような場合などが該当するというふうに考えられます。

○上野委員 次に、中間報告の二〇ページを読みますと、「行政処分や罰則を導入するにあたっては、対象となる行為・取引形態の明確化や、特定商取引法等他の法律との関係の整理等についても検討が必要である。」とありますけれども、具体的にはどういうことなのかお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 行政処分や罰則は公権力の行使ということになりますので、都民の権利義務あるいは法律上の地位というものに直接具体的な影響を及ぼすものでありますので、導入する際には、対象となります行為の種類、性質、限度等を具体的かつ明確に定めることが必要となります。また、悪質事業者の規制という点では、既に特定商取引法等におきまして業務停止命令等の規定が設けられておりますので、法律による規制の目的、内容、対象とする範囲等に照らしまして、法の定めのない部分について、これを明らかにして、条例で規制を行う必要があるということでございます。

○上野委員 もっとわかりやすくいうと、いわゆる悪質事業者というのが法律の規制をうまくかわしたところで善良な都民をだます、そこの部分について条例の規制をかぶせることによって、悪質事業者に対する抑制効果を強めていきますよ、そのための規制導入の検討が必要だ、こういうふうにとらえてもよろしいんでしょうか。

○宮川消費生活部長 ただいま先生のお話のとおりでございまして、そういったところをきちっと規制をかけまして、全体として都民が安心して消費生活を行えるようにしていくというような考え方でございます。

○上野委員 これまでの答弁を聞きまして、法律と条例の関係については大体理解できたわけでございますけれども、その仕組みというのはなかなか複雑でございます。条例改正の効果をより高めていくためには、その内容を都民に十分理解しやすい、こういう説明の仕方をしていかないと、先ほどのいろいろな説明がありましたけれども、わかりやすく、本当に都民の方が理解できるような、そういった周知の仕方というのは非常に大事だと思っております。
 その点に関しまして、現時点で何か具体的な周知の仕方についてお考えがあれば、お伺いいたしたいと思います。

○宮川消費生活部長 確かに私ども専門的な立場でも、なかなかこの条例あるいは法律との関係とか、難しいところもございます。したがいまして、条例の趣旨、内容等が都民に十分に理解されて、当然活用されて初めて、これから進めていく条例改正の意味があるわけでございますので、その点で、都民への周知というのは大変重要になってくるというふうに考えております。
 具体的には、今回の条例改正の目的や適用範囲のほか、どのような行為が条例違反に該当するかなどにつきまして、わかりやすい例を用いて簡潔に説明したパンフレットあるいは解説冊子などを作成し、配布したり、新聞やテレビ、ITを活用して情報を提供するほか、改正条例の施行までの間に、事業者や都民向けに、可能な限りきめ細かく説明会を実施する、こういったことを通じまして、都民への周知を図っていきたいと考えております。

○上野委員 ぜひとも悪質事業者への規制強化を進めていっていただきたい、このように要望いたしまして、最後に今後の参考としてお伺いいたします。
 今般、消費者契約法の改正に伴いまして、悪徳商法と戦う切り札ということで、来年六月から消費者団体訴訟制度というのが施行される予定でございますが、既に導入済みのヨーロッパでは、こういったトラブル防止に効果がある、このように私も聞き及んでおります。
 そこで、この制度に基づく適格消費者団体との連携についてですけれども、今後どのようなお考えがあるのかお伺いしまして、質問を終わらせていただきます。

○宮川消費生活部長 改正されました消費者契約法の第四十条では、地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、適格消費者団体に対し、消費生活相談に関する情報を提供することができると規定されております。
 適格消費者団体と申しますのは、法に基づいて事業者の不当な行為に対し差しとめ請求権を認められた団体であるわけでございます。申請によりまして、内閣総理大臣によって認定をされます。この適格消費者団体に対し提供いたします消費生活相談に関する情報につきましては、今後改正されます内閣府令の内容等を踏まえ、その範囲や適用方法等を定めていきたい、このように考えております。

○大山委員 私も中間の報告について質疑をします。
 消費者の被害は、今発言された皆さんもそのようですけれども、中間報告にもあるように、高齢者などに本当に親切に話し相手になったりしながら次々に高額のものを買わせることを初めとして、いろんなところで、身近なところで起きていますから、何とかしなければならないということはそのとおりですし、事業者名を公表するということは、未然防止ということからも必要だと考えています。
 この中間報告の大きな特徴というのは、指導中心から処分重視ということがいわれていることだと思っています。今回の中間報告は、出していただいた資料にもありますように、犯罪にならないものを条例で網かけるということですから、いってみればすごい権限を持つということにもなるわけですね。
 幅広く網を打つことになりますと、悪質な業者だけでなくて、善意の商売にも影響が出る。商売自体が萎縮してしまうということにならないように、この点だけはきちんとそうならないように指摘しておきます。
 この答申の内容を受けて条例をつくるということですけれども、答申内容を実行できるような体制を確保するというのは非常に重要だと思っています。消費者保護というのは重要ですし、事業者に対する規制も必要です。本来はというか、同時に消費者自体に力をつけていくということ、これは求められることです。
 今回は、緊急であることだとか事業者規制に限ったことの答申でありますから、消費者行政全体ではありませんけれども、例えば多摩の消費生活センターに伺いましたけれども、本当に愕然としました。管理職がいない事業所になっていて、試験ができる機具はあるけれども、試験ができる職員がいない。消費者行政だとか、消費者の相談だとか、学習などにもっと力を入れるべきだと思っています。
 提出してもらった資料では、都民意見の概要というのがありますけれども、出されている全体の傾向というところのイに、「消費者行政の予算及び人員の拡充を望む意見などがみられた。」というふうに、抜いてありますけれども、全体の傾向として書かれているというぐらいですから、多くのところから意見が出されたんじゃないかと考えます。
 実際に、消費者行政に関連する二〇〇二年度と二〇〇四年度の決算はどうなっているのかということと、消費者行政にかかわる消費生活部と消費生活センターの人員はどのようになっているか、答えてください。

○宮川消費生活部長 まず、決算額ということでのお尋ねでございますけれども、平成十四年度は十三億六千八百万円でございます。平成十六年度は十億七千百万円でございます。この差は約三億円ございますけれども、これは生協への運転資金の貸し付け、いわゆるそういった利子補助であるとか、あるいは設備資金等の利子補助といった、実際に実績に応じてお支払いをするというような費用が、この三億円のうちの半分、約一億六千万円ございます。
 また、そのほか例えば米穀の流通適正化のための事業であるとか、そういった時代の流れの中で必要のないといいますか、あるいは移管をするというような事業、こういったものに伴って実績として落ちていく部分に対応したものなどがかなりございます。
 一方、先ほどもお話し申し上げましたように、高齢者の消費者被害防止のための出前講座を実施するとか、あるいは高齢者相談一一〇番を設置するとかといった重要な事業には予算を重点的に配分している、こんなような状況でございます。
 それから、定数につきましては、十八年度の当初定数も決まっておりますので、平成十四年度と平成十八年度の年度当初の定数でお話し申し上げます。
 消費生活部につきましては、平成十四年度は六十一人、それに対しまして平成十八年度は四十九人でございます。それから、センターの方は、平成十四年度は六十一人、平成十八年度は四十四人となってございますが、そのほか一番重要な相談機能の部分で、非常勤の相談員につきましては、この間二十四名から三十四名にと十名増員している、こういうような状況もございます。
 さらに、指導業務につきましても、警視庁の職員の応援を得まして、いわゆる指導体制を増強してございまして、実質的に五班から六班体制に執行体制の強化を図っているような状況がございます。
 このように、その時々に必要な行政需要、行政課題に的確に対応するため、予算を効率的に配分し、また人員については適切に配置しているというものでございます。

○大山委員 適切に配置しているんだということだとか、時代の流れで必要ないものは削ってきたんだとかいうことをおっしゃったわけですけれども、この二年間の予算だけでも三億円減っているんですよね。
 私、本当は石原知事になる前の年とことしを比べてもらいたかったんですけれども、それは組織で全部あっちへ行ったりこっちへ行ったりしてわからないということでしたから、この二年間での比較しかできなかったわけですけれども、十四年と十六年を比べても三億円の減ですよね。減額になっているのはもう明確なわけですし、必要ないものは削ったんだというけれども、本当に充実するんだったら、必要のあるものにもっとその分をきちんと確保して拡充するべきだと思っています。
 一一〇番だとか、重要なものには予算配分をしているというけれども、きちんと配分しているんだったら、消費者団体の皆さんからこんなにも拡充してくれ、予算も確保してくれ、人員も確保してくれという要望は出ないはずだと思います。
 人自体を見ても、職員が消費生活部は十四年度には六十一人だったけれども、本年度は四十九人と十二人も減っているんですよ。消費生活センター、これはもう消費者行政の最先端で一番都民と接するところですし、相談も一番入ってくるから、情報も入ってくるし、対応もできるというところですよね。そこが何と六十一人から四十四人に十七人も減っている。この現状を見れば、やはり消費者団体の皆さん、消費者関係の皆さんは、本当に危機的な、東京の消費者行政どうなっちゃうんだということで、本当に心配になるということだと思うんですね。
 財政とやはり人員で支えられているわけですから、きちんと充実させていくこと、それから、この答申、全体的には支持されているんだというふうにパブリックコメントの中にもありましたけれども、それが絵にかいたもちにならないためにも、やはり予算と人員をきちんと確保する。高齢者を初め、本当に切実な増員、それから増額が求められているわけですけれども、この答申を実現させるという立場でも必要なんじゃないんでしょうか、増員と増額が。

○宮川消費生活部長 実際、先生の方で三億円も減ってというようなお話もございましたし、人員もこれだけ減っているじゃないかというようなことでいろいろご指摘もありますけれども、実際に悪質事業者に対する処分実績、先ほどもお話し申し上げましたが、もうこの十八年度で見ますと、九月時点で十七年度の九件に近い八件をこなしているわけでございます。
 それから、東京都のセンターで受け付けた相談件数も、平成十四年度は三万五百五十八件ありましたが、平成十七年度、昨年度で実績を見ますと、四万九百八十三件、一万件以上の増加に対応しているわけでございます。
 私どもの方は、当然、今ご指摘のようなこういった中間報告にあるもの、具体的にこれが実現をしていくということの中で、もちろん必要なところには人員や予算をきちっと配置あるいはつけていく、これは当然のことながら必要だろうと思っていますし、不要になった部分、業務が少なくなった部分、この辺についてはいろいろ体制を見直す、こういったことが必要だろうというふうに思います。

○大山委員 必要な部分につけるというんだったら、きちんと確保してもらいたいと思います。
 実際、相談の受付件数が一万件もふえたといいますけれども、実際、ふえているんですよね。それから、私たちのところにも、消費者センターに電話したけれども、本当につながらないんだということが、一度や二度いわれるわけじゃないんですよね。だから、台数をふやせば、それから相談員をふやせば、それだけ相談もふえるということですから、それをふやさないで上限を定めてしまうのではなくて、さっきおっしゃっていたみたいに必要なところにきちんと確保してもらいたいと思っています。
 中間報告の中に、警視庁との連携というふうにいっていますけれども、本体の消費者行政の職員を増員して、消費者行政の担当の職員が仕事に通じていく、それが必要だと思っています。パブリックコメントでもそのような意見が多かったんじゃないんですか。

○宮川消費生活部長 悪質事業者というのがなかなか大変なところがございまして、実際にそこで具体的に立ち入りをしたり、あるいは証拠物件を挙げるというようなことについては、当然、相手方のいろいろな行動を規制するわけにいかない。その中でいかにうまくやっていくかという中で、警視庁の職員の方々に応援をいただいて、そのノウハウをまたいろいろ教えていただく。そういう中で、実際にそこで働く行政職員もそのノウハウを身につけて、できるだけ効率よく効果的に仕事を進めていこうと、こういうことでございますので、今回の中間報告にございます警視庁との連携によって仕事を進めていくということについては、我々の方は大変重要な視点であるというふうに考えております。

○大山委員 パブリックコメントでの意見もそうだったんじゃないんですか。

○宮川消費生活部長 資料の方にございますけれども、資料の方の三ページの第2章、事業者規制強化に関する新たな取り組みということで、「警視庁との連携強化として増員を提案しているが、警視庁との業務の連携と都職員の増員についても合わせて考える必要がある。」、このところでございますね。まさにそのおりでございまして、その都の職員の増員についてというのは、いわゆる全体を増員しろということではないわけでございまして、とにかく体制の中で、必要なところを、増員するところは増員するというふうに、私たちはその必要性についてのご意見であろうというふうに受けとめます。

○大山委員 やはりきちんと、その本体の消費生活部の職員、消費者センターの職員がしっかりと働けるような体制にしておく。それから、必要なところには重点的に配置するんだというけれども、今の消費者センターの状況から見ても、これだけ減らしているわけですから、やりくりでできるような人員ではないと思っていますので、きちんと増員を視野に入れて対応してもらいたいと思っています。要望しておきます。
 もう一つ、未然防止や被害の拡大を防止するには、消費者団体などとの連携というのは欠かすことができないと思っています。消費者契約法の改正で総理大臣の認定を受けた適格消費者団体は、勧誘や契約に対して差しとめ請求ができるようになりますよね。そのためには、情報提供というのは欠かすことができません。
 この情報提供、それから連携ということに関して、今回の十九次の前の十八次の消対審の答申では、不適正な事業者に対する監視や規制・指導を強化する取り組みの中に、団体訴権適格消費者団体等との連携による消費者被害の防止ということで、消費生活総合センターが保有する相談情報を積極的に提供するなど、相互連携による市場監視体制の強化を図るため、より一層の情報共有化を推進していくというのがありましたね。
 適格消費者団体へ消費生活総合センターが保有する相談情報を積極的に提供するということについての検討状況、どうなっているのかということが聞きたいということと、条例を改正することを含めて、この答申が実現できるように積極的に取り組むことが求められていると思いますけれども、どうですか。

○宮川消費生活部長 十八次の消対審答申におきましては、ただいま先生からお話ございましたとおりでございまして、そうした適格消費者団体との連携あるいは情報の提供、そういったものも含めて十分に検討するようにというようなことであろうかと思います。この点につきましては、いずれにしましても国の方の内閣府令の内容等を踏まえまして、提供する情報の範囲や提供方法等を定めていきたい、このように考えております。

○大山委員 消費者行政だからこそ、行政と消費者団体との連携というのは重要ですし、今回の事業者規制と十八次の消費者団体との連携、これは両輪でいくというのが消費者行政としてのよりよい姿だと思いますので、ぜひ積極的にこの情報提供の部分についても取り組んでもらいたいということを述べて、終わります。

○野上(純)委員 私も中間報告について質疑をさせていただきます。
 特に、高齢者の消費者被害対策について何点か質問をさせていただきます。
 昨年もこのことについて申し述べたのですけれども、また、それから私の事務所にも被害を受けたということが報告がございました。それは、床下の土台が腐っていて、このままだと家が傾いてしまうということで、次から次へと同じような業者がやってきては、屋根を直せとか、柱を直せとかというふうに違った場所に入り込んできて、多額なお金を要求してきたという、この一一ページにも書いてありますけれども、要するにいわゆる消費者の名簿、カモリストが事業者間でやりとりされ、一人の消費者に対して複数の事業者が次々と契約を結ばせた実態という、まさにこれに相当する事件だと思っております。
 昨年、高齢者の悪質住宅リフォームの被害が大きな社会問題となりましたが、ことしになってからも、高齢者の被害の報道が依然として続いております。
 今回の消費生活対策審議会部会中間報告にも、高齢者の生活基盤を根底から危うくする事件が多発しているとの記述もございます。こうした中で、消費生活総合センターに、ことしの四月から、高齢者本人と家族向けに高齢者被害一一〇番、また介護事業者や民生委員、高齢者の身近にいる人向けに、高齢消費者見守りホットラインという相談電話が開設されておりますけれども、この開設後の相談件数や、その内容がどのようなものがあったのか、どのような効果があったのかについてお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 平成十八年の四月に始まったわけでございますけれども、四月から八月までの五カ月間の高齢者相談の件数、全体で見ますと二千五百八十五件でございまして、前年の同時期に比べて約二五%、件数にして五百九件増加しております。中でも八十歳代の高齢者のトラブルに関する相談がふえております。
 このうち、高齢者被害一一〇番、それから高齢消費者見守りホットライン、これの本年四月の開設以降八月までの相談件数は四百八十二件となっております。この五カ月間の相談全体に占める割合が約一九%ということでございまして、こうした件数の増加、全体で二五%伸びる中で、この高齢者一一〇番などのいわゆる専門の電話で受け付けた件数が約一九%というようなことでございますから、専用の相談電話の開設がこれまで潜在化しておりました高齢者の被害を掘り起こす上で相当な効果があったと考えております。
 ついでといっては何でございますけれども、この九月は高齢者被害の防止キャンペーン月間でございまして、その効果が、一日から二十日までの二十日間で、専用電話で受け付けました相談件数は二百三件ございました。これまでの実績の月平均九十六件を既に大きく上回っているという状況でございます。

○野上(純)委員 今、具体的な数字を挙げて教えていただきましたけれども、高齢者の被害に関する相談が増加している。一方で、ふえてきた中で潜在化している被害の掘り起こしも進んでいる。そういうこともあって、この件数が増加しているという点では、大変心強く思っております。
 高齢者の相談の特徴として、催眠商法とかいろいろなものがありますけれども、具体的にどのようなものがあるのか、ちょっとお知らせください。

○宮川消費生活部長 まず、相談内容について見てまいりますと、電話勧誘販売や訪問販売によります被害が多くなっております。ひとりで自宅におられることの多い、または相談する方が周りにいない高齢者がターゲットになっていると考えられます。中でも電話勧誘販売による未公開株の取引や先物取引などによりまして、高齢者の財産がねらわれるというケースが最近ふえております。
 未公開株の取引による被害で一例を挙げますと、二千万円を超える高額な被害も発生しております。また、無料の商品を配って閉め切った会場に誘い込みまして、先ほど先生のお話もございましたけれども、いわゆる催眠商法、とにかく雰囲気を盛り上げて高額な布団や健康食品なんかを売りつけるような、そういった雰囲気の中でなかなか勧誘を拒否できない高齢者の心理を巧みについた、つけ込んだ被害も目立っております。
 また、相談者の面から見ますと、高齢者本人からだけでなくて、家族やケアマネジャーなど、高齢者の身近にいる方々からの相談も増加しているということが特徴となっております。

○野上(純)委員 被害の当事者ではない家族など第三者からの相談が増加しているということなんですけれども、こうした第三者からの情報提供は、高齢者の場合、特に重要であると思います。認知症などで自分の意見がいえない、ひとりで暮らしている人たちが、介護事業者などがその家庭に入って知り得た情報、第三者からの情報提供その効果をさらに広く広げて、高齢者の被害の発生を未然に防止し、被害の拡大を防ぐために、これからどのような具体的な取り組みを行っていくのでしょうか。

○宮川消費生活部長 高齢者の消費者被害防止のためには、ご指摘のとおり、高齢者本人からの相談への対応に加えまして、地域において高齢者を支えていただいている方々からの相談や通報をもとに、表面に出にくい高齢者被害の掘り起こしを進めて、迅速な解決につなげていく必要があると考えております。
 このため、地域からの相談、通報のあり方や、高齢者を見守る方々のネットワーク、消費生活行政と高齢者福祉行政との連携強化のあり方などにつきまして具体的に定めるガイドラインを策定し、都全域にわたる被害防止のためのセーフティネットの構築に向けて取り組む必要があると考えております。
 この九月に介護事業者や民生委員、町会などの方々や高齢者の消費者被害を専門とする学識経験者、都や区市町村の高齢福祉部門や消費生活部門の幹部職員などから構成されます高齢者の消費者被害防止対策検討委員会を設置いたしまして、来年二月を目途にガイドラインを策定するための検討を開始したところでございます。

○野上(純)委員 最後ですけれども、必要な情報が必要なところに届いていないとか、被害に遭っているらしいという高齢者が周囲にいても、どう対応したらいいかわからないというような声が上がっております。特に民生委員の方や地域の人、介護事業者からもそういった声が上がっております。
 今回、ガイドラインを策定することにより、そうした問題が解消され、高齢者被害の防止につながることを期待しています。ぜひよいものをつくってほしいと思いますので、最後に局長の決意をお伺いいたします。

○渡辺生活文化局長 先ほど消費生活部長からお答えいたしました高齢者の消費者被害防止対策検討委員会でございますけれども、これは私が委員長になっておりまして、第一回の検討委員会に出席いたしました。
 その委員会におきましても、先生の方からご指摘ございました、高齢者の方で判断力が低下し、気力が落ちている方にきちんと情報を提供していく必要がある。また、周辺の人々による見守りの重要性などについて、委員の皆様から大変貴重なご意見をいただきました。その中には、ただ、現在地域によっては人と人とのつながりが薄れていて、なかなかそういう形で支えていくのも難しいというような、大変厳しい実情についてのお話もございました。
 いずれにいたしましても、私どもガイドラインの策定に当たりましては、このような高齢者福祉の第一線で活動されている方々からのご提言を踏まえるとともに、区市町村における先進的な消費者被害防止対策も参考としながら、実効性ある被害防止のためのガイドラインを策定できるよう、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で、生活文化局関係を終わります。
 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十一分休憩

   午後二時四十一分開議

○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十六号議案と議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○坂本委員 永福学園養護学校についてお伺いします。
 都内には、知的障害養護学校で高等部を設置している養護学校は二十四校ありますけれども、そのうち職業学校を設置しているのは青鳥養護学校と南大沢学園養護学校の二校であります。来年四月に開校します永福学園養護学校と青鳥養護学校及び南大沢養護学校二校の職業学科の違いについてはどういう点でしょうか。

○荒屋参事 大きな違いとしては、二点ございます。
 一点目といたしましては、職業学科の内容でございます。永福学園養護学校は、就業技術科の設置を予定しており、青鳥養護学校は都市園芸科を、南大沢学園養護学校は産業技術科を設置しており、それぞれ異なった職業学科を設置しております。
 二点目といたしましては、募集人員でございます。永福学園養護学校の募集人員は、一学年当たり百名でございますが、青鳥養護学校及び南大沢学園養護学校の職業学科の募集人員は十六名でございます。

○坂本委員 永福学園養護学校と青鳥養護学校及び南大沢学園養護学校の二校の違いにつきましては、生徒の受け入れ人数の違いと職業学科の内容の違いということでございますけれども、青鳥養護学校及び南大沢学園養護学校の二校の職業学科では、どのような職業教育を行っているのか伺います。

○荒屋参事 青鳥養護学校は、都市園芸科を設置し、世田谷区等々力の農場で野菜の露地栽培や水耕栽培、菊や草花の栽培などを中心に農業実習を行っております。また、南大沢学園養護学校は、産業技術科を設置いたしまして、布製のバッグなどの製作を行うファッションデザインコースと、紙すきや紙を加工し製品化などを行うペーパークラフトコースの二つのコースを設置しております。そのほか、両校とも事務作業やパソコンを活用いたしました情報処理などの職業教育も実施しております。

○坂本委員 就労実績につきましてはいかがでしょうか。

○荒屋参事 平成十七年度卒業生は、青鳥養護学校及び南大沢学園養護学校とも生徒全員が企業就労しております。

○坂本委員 生徒さん全員が就労しているということでございますが、どのような業務に携わっているか、お願いします。

○荒屋参事 パソコン入力や伝票処理などの事務補助、配送、倉庫内作業などの物流事務、コーヒーショップやファミリーレストランでの接客業務や厨房での調理業務などに携わっております。

○坂本委員 コーヒーショップやファミリーレストランに就労しているということでございますが、そうなりますと、先ほどの職業学科で身につけました技術といいますか、例えば青鳥養護学校では都市園芸科を設置しておりますけれども、農業実習などをしているという説明でございましたけれども、職業学校で実施しております職業教育と、実際に就労する企業先の業務内容とが必ずしも一致していないように思います。
 来年開校します永福学園養護学校におきましては、職業学校の就業技術科を設置するということでございますけれども、就業に向けましての取り組みはどういうふうになるのか、なるべく一致するとかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○荒屋参事 職業教育と就労先の業務内容についてでございますが、新しくできます永福学園養護学校の就業技術科の設置に際しましては、生徒の企業就労の一層の促進に向けまして、現状や課題を把握するための企業等アンケート調査を実施いたしまして、十分企業ニーズを把握したところでございます。その上で、永福学園養護学校の職業教育の内容を、流通サービス系列にはビルクリーニングコース、配達倉庫内作業などの物流事務であるロジスティックコース、家政系列には食品コース、福祉コースなどを設置することといたしました。
 具体的には、企業の雇用ニーズに合わせたビル清掃、配送、倉庫内作業などを行う物流事務、コーヒー販売、接客活動、高齢者介護補助などの職業教育を実践するものでございます。
 例えば、コーヒー販売を例にとりますと、有名コーヒー店のブレンドやエスプレッソなどを抽出するマシーンを導入するなどいたしまして、町中にあるコーヒー店と同じ状況を教室に設定いたしまして、その中で生徒たちに実際にコーヒーの入れ方から、代金の支払いやお釣りの計算、あいさつなど、就労してすぐに企業の戦力になるような実習内容を取り入れていくものでございます。

○坂本委員 現実的な対応で、三年間の教育活動がそのまま就労に生かされそうで、大変高く評価いたします。
 また、永福学園養護学校におきましては、各学年で百人の生徒を受け入れ、かつ全員企業就労を目指す学校ということでありますけれども、そのために就労サポーターと呼ばれます専門家を導入いたしまして、企業の開拓を行っているというふうに聞いておりますが、具体的にはどのような活動か、お伺いいたします。

○荒屋参事 養護学校等就労サポーターは、本年度新たに導入しました事業で、企業で障害者雇用を直接に経験された方など五名を選任し、委嘱しているところでございます。現在、各企業を訪問し、来年度開校する永福学園養護学校生徒の実習先確保や職場開拓などを行っております。
 さらに、本年七月十三日に国立オリンピック記念青少年総合センターで、百二十社を対象に養護学校生徒の就労促進のための企業向けセミナーを開催いたしましたが、養護学校等就労サポーターが、プレゼンテーションのコーディネーターを行うなど、養護学校生徒の企業就労促進と就労拡大に向けた取り組みを行っているところでございます。

○坂本委員 企業就労に照準を合わせまして、職業教育の内容を工夫し、また就労先につきましても、外部の人材を活用しながら就労サポーター制度を導入し、企業開拓を行い、生徒の全員企業就労を目指すということでありますけれども、このような永福学園養護学校につきましては、都内初めての学校で入学希望者も大変多くなるというふうに聞いておりますが、そのあたりはいかがでしょうか。

○荒屋参事 これまで、保護者、生徒や学校関係者を対象にいたしまして、永福学園養護学校の説明会を延べ十三回開催いたしまして、約千五百人の参加があったところでございます。新しいタイプの養護学校の設置に非常に高い関心をいただいているというふうに思います。また、現在、入学に関する事前相談の実施件数は二百五十件を超えているところでございます。

○坂本委員 保護者の永福学園養護学校への関心は非常に高いという説明がございました。現在、社会のノーマライゼーションの進展に伴いまして、障害のある人たちの就労環境も変化してきております。今後、永福学園養護学校のような就労を目指す養護学校高等部は、ますます入学希望者がふえるのではないかと思います。永福学園養護学校の募集は全都でなっておりますけれども、やはりそうはいいましても、入学を希望する生徒が、通学時間が一時間程度、その時間帯におさまるような地域に学校があるのが望ましいと考えております。
 今後、永福学園養護学校と同じようなタイプの学校が二校設置されるというふうに伺っておりますけれども、それ以降の増設につきましても、地域のバランス配分を考えまして、ぜひ検討をしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○大山委員 私も、百七十六号議案の質疑をしたいと思います。
 これは設置条例ですけれども、都立学校の統廃合を前提にしたものですね。今回の統廃合でどうなるかということですけれども、全日制が五校、定時制高校は中野地区、つまり稔ヶ丘高校は昼夜間定時制ですけれども、その関連で五校の定時制が募集停止になります。それから、八王子昼夜間定時制高校の拓真高校関連で四校の定時制が廃校です。名前が同じだからということで、今回の条例には出てきませんけれども、杉並地区昼夜間定時制高校を設置するために六校の定時制高校が廃校になります。あわせて、夜間定時制高校は十五校が廃校になるということなんですね。昼夜間定時制高校が三校できますから、差し引いて十二カ所分の学校、定時制高校がなくなるということなんです。
 この間も都立高校の統廃合に関しては、統廃合しないでほしいという趣旨の多くの請願や陳情が都議会にも提出されています。十四年度から数えてみましたら、都立高校関連だけでも二十四もの請願陳情が出されています。その二十四のうち、ほとんどが今回の募集停止、統廃合の対象校なんですね。
 まず一つ目ですけれども、通学時間、そして学習権を保障するという観点です。中央線の沿線の高校はどうなるかということなんですけれども、現在は新宿高校、杉並高校、荻窪高校、三鷹高校、武蔵高校、北多摩高校、立川高校というふうに、新宿-立川間で普通科だけでも七校あります。それが来年度から募集停止が始まって、平成二十三年度には中央線沿線の新宿-立川間には荻窪高校と立川高校の二校しか残りません。荻窪駅から立川駅までは、快速の乗車時間だけでも二十四分です。立川から先はどうかというと、五日市高校、それから福生高校。立川から五日市高校、武蔵五日市まで行くとしたら、かれこれ一時間はかかります。荻窪から上り方向はどうかというと、新宿、一番事業所などが多いところですけれども、ここの新宿駅周辺には一つもなくなってしまう。それから、その先の総武線はどうかといったら、浅草橋駅に近い一橋高校、それから水道橋駅前の工芸高校、これだけです。
 八王子、これが大変です。現在、八王子市内には南多摩高校、富士森高校、八王子工業、第二商業高校、普通科二高と工業と商業が一校ずつ、夜間の定時制があります。第二商業高校があるところに、八王子拓真高校という昼夜間定時制高校をつくるということになっていますから、つまり、八王子市には定時制高校は一校しか夜間定時制も含めてないということになってしまいます。
 今までもこの委員会の中でもそうですけれども、夜間定時制だからこそ通学時間を少しでも短くすることが求められてきた。これは再三いわれてきていて、この委員会でも何度も取り上げられてきました。結局この設置条例、そのまま出すというのは、都民や保護者や生徒の意見はどうでも、請願陳情が幾ら出ようと、着実に統廃合計画を実施するだけ、そういうことなんでしょうか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 昼夜間定時制高校でございますけれども、多様化する生徒の保護者ニーズ、全日制課程が併置されている夜間定時制高校が抱えるさまざまな課題に対応して定時制教育の教育条件を改善するために設置するものでございまして、計画策定の段階からさまざまな形で都民の意見を参考にしてきているところでございます。
 その配置に当たりましては、地域バランス等に配慮いたしまして、できる限り交通の利便性の高い学校を選びまして、全都に十一校を設置しているところでございまして、計画どおりに従いまして着実に実施してまいります。

○大山委員 七校ある中央線沿線が、荻窪と立川だけになっちゃうんですよね。これだけ長時間、仕事をして学校に行くということですから、本当に配慮しなきゃいけないのに、全く着実に進めるだけというのは許されない態度だと思いますけれども、問題は、それに伴って統廃合や募集停止によって、実際に入学したくてもできなくなってしまう生徒が出てくる可能性があるということなんですね。この間の統廃合でも、その影響というのは確実に出ています。旧学区ごとに二次募集でどれぐらいの不合格者が出たのかというのを出してもらいました。
 例えば、二次募集で不合格というのは、一次募集で埋まらない分を二次募集するわけですけれども、その二次募集で定員よりも多く応募があるから、不合格者が出るわけですね。二次募集が終わっちゃうと、三次募集はもう四月なんです。ですから卒業式までにも、それから三月中にも進路が決まらないということなんですね。
 例えば旧六学区、これは墨田、江東、江戸川、葛飾ですけれども、平成十六年には今まで六学区ではほとんど二次募集で不合格者はなかったんですけれども、十六年には六十四人もの生徒が二次募集で不合格になっています。この十六年というのは、大江戸高校が開校して、それに伴って深川商業、深川高校、東高校の定時制が募集停止された年なんです。その年は都内全体では七校募集停止しましたから、合計百人もの生徒が二次募集で不合格になっています。
 その次の年、二〇〇五年は旧八学区の二校が募集停止されて、旧八学区は三十七人不合格、つまり、募集停止と二次募集での不合格、三月中に進路が決まることができない、はみ出ちゃったという子が連動しているということはもう明らかなんですね。
 八王子ではどうか。第二商業、南多摩、富士森、それから八王子工業とも、十六、十七、十八年度、ほぼもう定員いっぱいです。南多摩は百二十人、富士森は六十人が二次募集で、もう二次募集の段階でいっぱいいっぱいになりました。
 満員ですから、人気の学校なんですね。八王子でも、こういう状況を見れば、二次募集で不合格者が出るという二の舞になるのではないですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 昼夜間定時制の独立校を開校するに際しましては、統合する対象校の生徒数に対応する定員を確保するという計画になってございまして、八王子地区においても必要な募集定員は確保してございます。

○大山委員 拓真高校に昼夜間含めて十クラスつくるという計画になっているようですけれども、拓真高校に統廃合する高校には、夜間だけで十クラス現在あるんですね。そこがほぼいっぱいなんです。昼夜間定時制だと、夜間だけの子じゃなくて、ほかの昼間行っていた子も来るから、いつも昼夜間の高校にすると定員は大体一次募集で埋まっちゃうというところが、この間の経験ですよね。夜間はしかも二クラスしかないわけです。二次で不合格になって、四月になっても進路が決まらない、本当にこれ、生徒たち、十五の春は泣かさないというのがありましたけれども、閉塞感でいっぱいですよね。
 拓真高校で不合格になったら、八王子の生徒はどこに行けばいいんですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 先ほどもお話しいたしましたが、統合対象校の生徒数に対応した募集定員を確保してございます。また、新たに昼夜間定時制高校を設置する場合には、設置の趣旨を受検生、中学校等に周知徹底するための広報活動を行いまして、受検者側が適切な学校選択ができるように努めているところでございます。
 地域全体といたしましては必要な募集定員を確保しておりまして、高校進学を希望する生徒が通学可能な範囲の学校に入学できないということはないというふうに考えております。

○大山委員 どうして今までの経験を生かそうとしないんですか。大江戸高校ができて、六十四人もの生徒が二次募集不合格になる。その次の年は九十人もの生徒が不合格になる。そして昨年も六十六人もの子どもたちが二次募集で不合格になっているんですよ。
 募集定員は確保していますといったって、全都の規模でいっているんじゃないんですか。例えば、八王子の子が水道橋の方まで通えますか。そんなことできませんよ。しかも、近辺はどうか、探してみましょうよ。そしたら、例えば立川高校があります。比較的近辺だというふうにいえると思いますけれども、立川高校の定時制はもう〇四年から一次募集で定員は超過です。〇五年、〇六年も二次は定員を超過して不合格者を出しています。立川高校の定時制には入る余地ないんです。
 その先は福生高校がありますけれども、〇五年、〇六年、やはりこの福生高校も二次募集で不合格者を出しています。武蔵五日市、ここまで通えというわけですか。反対方向に行くと荻窪高校。荻窪高校も昼夜間定時制になるわけですね。しかも、この荻窪高校、昼夜間定時制をつくるために、新宿高校、武蔵高校、三鷹高校、それから富士高校、それから杉並高校の定時制、五校分をなくすわけです。砂川高校、八王子でモノレールができたから、ここも行きやすいんだというけれども、結局砂川高校だって一次募集でもう毎年定員いっぱいですよ。どこに行けというんですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 先ほどもお話しいたしましたが、八王子地区において必要な募集定員を確保しておりますが、八王子地区以外におきましても、周辺地区で昨年度三次募集を実施した定時制高校が相当数ございます。行き先がなくなるということはないというふうに考えております。

○大山委員 三次募集はさっきいったように四月ですよ。しかも八王子周辺で三次募集した学校、ではいってくださいよ。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 昨年度、多摩地区におけます三次募集の学校でございますが、普通科でございますと、農業高校並びに神代高校がございます。商業科で第五商業、工業科で小金井工業、併合科でございますが五日市高校等がございます。

○大山委員 第五商業は国立ですよね。それから農業高校は府中です。神代高校は調布です。働きながら夜学校へ行くのに、通勤通学時間、そんなにかけられるような状況じゃないわけですよ。本当に無責任だというふうにいわざるを得ないわけですけれども、きちんとこの間のことを総括して、反省して、生徒を行く場所がないというようなことがないようにきちんとやはり手を打つべきだと思います。
 きちんと入る場所は確保するんだといったって、ないんだというのがもう明確ですし、例えば今まで八王子の駅に近いのは南多摩高校ですけれども、駅から近いというのは夜間定時制高校には重要な要素です。拓真高校は西八王子ですから、物理的にも地理的にもバランスはいいわけですよね。
 例えば、一気に四つの学校を募集停止するんじゃなくて、当面地理的バランスだとか駅からの近さなんかを考慮して、一校ぐらいは募集停止を延期しようとか、そういう措置はとれないんですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 昼夜間定時制高校では、定時制教育の教育条件を改善するために設置してきたものでございまして、また必要な募集定員も確保しているということでございます。新たに開校します昼夜間定時制高校には夜間部も設置しておりまして、夜間定時制課程の募集停止を延期する考えはございません。

○大山委員 じゃ、来年度の入試のときに、どこも行く場所がないという子どもたち、二次募集でも不合格者を出さないということを約束できるわけですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 地域全体といたしまして必要な募集定員を確保しておりまして、高校進学を希望する生徒が通学可能な範囲の学校に入学できないということはないというふうに考えております。

○大山委員 今のやりとり、本当にちゃんと聞いてくださいよ。例えば去年の三次募集、さっきいった農業高校は九人ですよ、三次募集。それから調布高校は七人です。例えば、大江戸高校で設置して二次募集に受からなかった子は六十四人です。そのときよりも廃校する数が多いわけでしょう。行き場のない子どもたちをつくらないというんだったら、統廃合と募集停止、先にありきというような今みたいな姿勢はきちんと改めてくださいよ。学校へ行きたいという生徒の学習権を守る、そういう立場で今までの経験をきちんと見て、それで最大限の努力、対応をしてもらいたいと思いますけれども、どうですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 現在、都立高校改革推進計画を推進してございます。昼夜間高校、定時制高校につきましては、その配置に当たりまして地域のバランス等に配慮し、できる限り交通利便性の高い学校を選んで全都に十一校を設置するところでございまして、計画に従い着実に実施してまいります。

○大山委員 ちょっとかみ合った答弁をしてもらえますか。いかに不足しているかということをいっているわけですよ。子どもたちの学習権が守れないということをいっているわけでしょう。きちんと最大限の努力、子どもたちが行き場がなくなるようなことのないように、きちんと対応してもらう。対応するということはもう当然だということをいっておきます。
 もう一つの問題は、統廃合によって在校生がほかの学校に移転させられるということです。この委員会でも何度も議論しましたけれども、両国高校定時制は浅草高校に、それから小石川高校の定時制は一橋高校に移転させられました。移転させるときに、決して生徒には迷惑はかけない、一人も取りこぼさない、これが最低限の約束だということでやりました。しかし、私も心配ですからいろいろ聞いていますよ。通学時間が長くなったり、自転車で通っていた生徒も電車を使わざるを得なくなったり、アルバイトも変えざるを得なくなったり、遅刻しないようにこうやって生徒自身がいろいろと努力をして、遅刻があるけれども、最小限にしているというような状況です。
 しかし、体育施設だとかLL教室など急な対応ができない。本当に不便をかけないとか迷惑かけないとかいったって、急な対応ができない。不便をかけているんですよ。交通費がなかったところも出てきたりということで、経済的にも精神的にも、物理的にも生徒に大きな負担をかけている、これはもう間違いないことなんです。この二つの学校で、それぞれ一人ずつ転校せざるを得なくなった生徒が出ていると聞いていますけれども、結局通い切れずに転校せざるを得なかったということじゃないんですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 在学中に学習場所の移転が生じる場合には、入学生の募集発表以降、生徒の保護者に対してさまざまな機会で説明を行い、理解を得た上で入学をしていただいております。しかし、学習場所が移転する際に、生徒の個別の状況変化等にも配慮いたしまして、通学が困難となった場合などには、円滑に転学できるように柔軟に対応しているところでございます。
 ご指摘の二校の関連でございますが、本人の事情により転学が必要になったということでございまして、本人の希望する夜間定時制高校に円満に転学をしてございます。

○大山委員 転学する場合に、本人の希望どおりにするというのは当然ですよ。しかも、承知の上での入学だからって、本当に冷たい答弁だといわざるを得ません。しかも、生徒の気持ちをおもんぱかるというか、そういうことがあるんだろかと私はもう疑問に思いますよ。一人は四年生になるときに転校、もう一人は三年生になるときに転校ですよ。一年生、二年生、三年生とクラスをつくってきて、ようやく卒業の年になって友だちとも別れて転校する、その気持ちをきちんと思っているのか、そう思います。
 そして、定時制高校の教員をしていた方にもお話しを伺いました。働きながら学ぶということについては、やはり夜間定時制がいいというんです。全日制の高校は、アルバイトはしてはいけないというのが一般的ですから、実態はやっている子が結構いますよね。しかし教師はフォローできません。夜間定時制は公式に働くことを指導できます。教師は職安にも行くし、企業にも行けるし、それから労働条件などもあるし、そこから連携して生徒に対応、企業とも連携して対応できるんです。しかも、仕事と学校を両立させるには、昼間じゅう仕事をした方が健全な仕事になるというんですね、夜仕事をする場所よりも。それはそうですね。生徒を丁寧に見る、それからきめ細かく対応できる夜間定時制のよさを壊すのではなくて、充実することこそ求められているときだと思っています。
 そのために、さっきから着実に推進するんだとかといっていますけれども、最初に統廃合ありき、夜間定時制廃止ありきではなくて、きちんと立ちどまって生徒の状況を謙虚に見て、それから今までの状況をちゃんと把握して対応することが、方向だってとまって変えてみたりということも含めて必要だというふうに思います。
 それから、両国高校、同居するという話ですけれども、両国高校と小石川高校は一時的に同居するという話ですよね。募集停止しちゃっていますから、卒業生が卒業しちゃったら、そのままおしまいになるわけですけれども、今回の設置条例が出ている葛飾総合高校と本所工業高校の定時制、これは同じ敷地でこの二つの高校が同居するというふうに聞いているんですが、これはどういうことなんでしょうか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 東京都教育委員会では、都立高校改革推進計画第二次計画におきまして、水元高校と本所工業高校の全日制課程を発展的に統合いたしまして、総合学科高校として本議会で設置を提案しております葛飾総合高校を平成十九年度に設置することとしてございます。
 本所工業高校の定時制課程につきましては、現状の学年制、総合技術科のままで同じ敷地内に併置をいたします。

○大山委員 つまり、本所工業高校の敷地に葛飾総合高校という高校と本所工業高校の定時制という二つの学校が同居するということですね。今まで、たしか統廃合を進めてきたときに、全定併置校を解消するのに、多様化する生徒・保護者のニーズにこたえ、全定併置校が抱える施設利用や指導時間の制約などの課題があるから、全定併置校じゃなくするんだと、こういって進めてきたわけですよね。今までの全定併置校というのは、同じ学校の全日制と定時制が一緒にいるわけですから、別に不自然じゃないわけですけれども、同じ学校の敷地に違う学校の学科も違うのを同居させる、どうしてこんなことになってしまったんですか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 本所工業高校の定時制課程につきましては、この地域において専門教育の受け皿となる新たな定時制高校の設置予定がないことから、その教育内容を継承いたしまして存続させることとしたものでございます。

○大山委員 今の本所工業高校の定時制を存続させるというのはいいですよ。しかし、何か非常に不自然だというのが率直な感想だし、そんなことをするんだったら、一昨年の文教委員会の議論の中でも、水元高校と本所工業を一緒にして葛飾総合ですよね、水元高校をわざわざ廃校にする理屈というのは全くないと私は思っています。水元高校、一昨年の文教委員会の議論でも受検倍率も高くなって、都立高校の平均より高くなっている状況で、当初対象とした時期の理由等は全く当てはまらないということも、一昨年の段階で明らかになっているわけですよね。
 ですから、その水元高校を廃校にする必然性も全くないわけですよね。水元高校は普通科、本所工業は全定併置の工業高校ということで、そのまま存続させれば全くの矛盾はないということなんですよね。結局、その先から着実に進めますという統廃合計画を着実に進めるために無理に無理を重ねる。それから、水元高校を存続させてほしいという請願だけでも、五回ですか、この委員会にもかかりました。最近のものは十七年九月ですから、募集停止が始まってからでもまだ再開してくれという請願が出るほどなんですね。それほど地元の人たちに支持されている学校なわけですよ。大規模なマンションが計画されているから、ますます必要になるんですよという請願でした。
 こうやって無理なことを強引にしようとするから、矛盾はどんどん拡大するし、都民の要求から出発した計画ではないから、さらに矛盾が拡大するということなんですよね。だから、生徒のことを一番に考えて進めるのがやはり教育行政ですから、きちんと着実に進めるということは、ひたすら進めるんだ、何も聞かないんだという姿勢じゃなくて、きちんと都民の声や住民の声や、それから生徒や保護者の声や先生たちの声をきちんと聞いて、立ちどまって再検討をする、これを求めておしまいにします。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○村松委員長 次に、報告事項に対する質疑を行います。
 「都立図書館改革の具体的方策」についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料はお手元に配付しております。
 資料についての理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る九月十四日の当委員会におきましてご要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
 ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は二件でございます。
 一ページをお開き願います。都立図書館の機能・役割の変遷でございます。
 昭和六十二年度からの都立図書館に関する主な事項と、機能・役割の変遷についてお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。都立図書館司書の年齢別構成でございます。
 平成十八年八月一日現在で都立図書館三館に勤務する司書職員の平成十八年度末時点での年齢別構成についてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○村松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 私は、都立図書館改革の具体的方策の報告書につきまして、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 この報告書は、平成十七年八月に取りまとめられました都立図書館改革の基本的方向、報告書にあります図書館改革の内容を具体化し、その実現を図っていくため、東京都教育委員会が本年八月二十四日に策定されたものであります。
 この報告書が発表されましたときに、多くの市民がこの都立図書館サービスの新たな展開として打ち出されました東京マガジンバンクの創設について取り上げておりました。公立図書館としては全国初の取り組みということで、都立図書館の特色という点から、大いに私は期待いたしたいところでありますけれども、改めて今なぜ雑誌図書館であるのか、創設の目的をまず伺いたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 雑誌は速報性にすぐれているばかりでなく、その時々の社会状況を先鋭的にとらえるなど、図書とはまた違った有用性を持つ重要な情報媒体であると考えております。現在、中央図書館では約一万二千種類、多摩図書館では約八千種類の雑誌を閉架書庫に所蔵しておりまして、合計で年間約三十万冊の閲覧請求実績がございまして、都民の調査研究に活用されております。
 中央図書館と多摩図書館との機能分担の推進、多摩図書館の特色化とともに、都立図書館が所蔵する膨大な雑誌資料のさらなる有効活用を図るという観点から検討を進めた結果、従来から多数のバックナンバーとともに、創刊号コレクションというユニークなコレクションを所蔵し、雑誌に関して集中的にサービス展開する条件が整っています多摩図書館に、マガジンバンクを創設しようとしたものでございます。

○山田委員 多摩図書館にマガジンバンクを創設するということでございますけれども、東京には既に大宅壮一文庫、何か雑草文庫というようなことをいわれていることもありますけれども、知る人ぞ知る民間の雑誌図書館が存在していると聞いております。競合することも懸念されるわけでありますけれども、東京マガジンバンクは、今申し上げました大宅壮一文庫とどのように差別化を図っていくのでしょうか、その点についてお尋ねします。

○三田村生涯学習スポーツ部長 大宅壮一文庫は、明治時代から現在まで約一万種類、六十六万冊の雑誌を所蔵しており、そのうち現在刊行されている雑誌では、週刊誌、女性誌、総合月刊誌を中心に約一千種類を収集していると聞いております。利用形態は閉架式で、申し込み手続を経て閲覧するシステムであり、入館料は五百円、日曜、祝日は休館と聞いております。
 一方、多摩図書館に創設いたします東京マガジンバンクは、現在継続刊行されている一般紙から専門誌、学術雑誌まで約六千種類を収集いたしまして、一万種類の終刊、廃刊となったバックナンバーと合わせて約一万六千種類、百万冊を超えるより幅広いジャンルの雑誌の提供を目指しております。また、入館は無料、日曜、祝日も原則開館するほか、利用頻度の高い雑誌を開架コーナーに配置し、自由に手にとって閲覧できる環境を整備するとともに、雑誌記事検索の整備などを行い、都民の調査研究への支援を充実させてまいります。

○山田委員 ただいまご説明いただきましたけれども、都立図書館が膨大な雑誌のバックナンバーや貴重な創刊号コレクションを所蔵されていた。しかしながら、今まで都民に十分これが認知されずに活用されてこなかったということについては、大変残念だったと思いますけれども、このことは都立図書館側にも努力が足りなかったのではないかと私は思っております。
 しかし、今年夏の都庁で行われました東京オリンピックの資料展では、展示されております昭和三十九年当時の雑誌のグラビアの数々の中に、当時の日本の状況、社会状況があらわれておりまして、大変興味深く感じたものでもございます。東京マガジンバンクの創設は、平成二十一年度を目指すとのことでございますけれども、今からでもできることは少なくないと思いますので、ぜひ都民ニーズ、都民の期待する一般の図書とは違う雑誌の持つ魅力を最大限に引き出していただき、魅力ある図書館づくりを進めてほしいと要望いたしたいと思います。
 次に、区市町村立図書館との連携協力についてお尋ねいたしたいと思います。
 区市町村立図書館との連携強化に関して、幾つか見直しを検討しているようであります。その点について質問いたしますけれども、まずは都立図書館と区市町村立図書館とはどのような役割分担にあるのか、基本的なところを伺いたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 都教育委員会では、昨年八月に公表した第二次都立図書館あり方検討委員会報告の中で、平成十三年の文部科学省告示、公立図書館の設置及び運営の望ましい基準を踏まえ、役割分担について整備しております。
 都立図書館の主な役割は、高度専門的なレファレンス等、広域的、総合的な住民ニーズにこたえる図書館サービスと、図書館の図書館として市町村立図書館に対して行う協力支援などを行うことでございます。
 一方、区市町村立図書館の役割は、地域の情報拠点として住民のために資料や情報を提供するなど、地域の実情に即したきめ細かなサービスを行うことと考えております。

○山田委員 これまでも、都立図書館から区市町村立図書館に対して区市町村立図書館にない資料を貸し出す、いわゆる協力貸し出しが行われ、多くの実績を上げてきたということは聞いております。具体的な方策では、これまで区市町村立図書館を通じて、都民に貸し出されていた協力貸し出し資料を、今後は区市町村立図書館での閲覧にとどめるという見直しを図るとされております。
 このことは、一方では都民サービスを低下させるのではないかということも危惧するものでございますけれども、こうした見直しをしようという背景にはどのようなことがあるのか、お伺いいたします。

○三田村生涯学習スポーツ部長 都立図書館では、専門書等を中心に、広範かつ豊富な資料を収集しており、個人貸し出しを行わず、館内閲覧により利用者の調査研究を支援しております。一方、協力貸し出し制度を利用しますと、都立図書館の資料につきましても、区市町村立図書館を通じて館外貸し出しを受けられ、資料提供方法に矛盾も生じております。この点については、平成十六年度の行政監査においても、見直しを検討するよう意見要望事項として取り上げられております。
 また、協力貸し出しされている間、当該資料が都立図書館で長期間不在となるため、来館者が閲覧できない、あるいはレファレンスで資料に基づいた回答ができないなど、都民の調査研究の支援という目的に支障を来す場合もあるといった問題も存在いたします。さらに一資料一点収集保存の原則の中で、都民の貴重な資料を良好な状態で長期保存するという観点からの検討も必要となっております。こうした点が見直しの背景となっております。

○山田委員 都民の調査研究を支援する都立図書館としての見直しの必要性があることにつきましては、ただいまのご答弁、ご説明で一定の理解はできるわけでありますが、年間約十二万冊の資料が、区市町村立図書館を通じて都民に貸し出されているという現状を考えてみますと、ただいまの変更といいますか、内容を変えるということで、実施するに当たっては、条件整備をしなければいけない課題がいろいろあるかと思います。
 したがいまして、こうした見直しをいつから、またどのように実施するのか、この点についてお考えをお尋ねいたしたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 この協力貸し出しの見直しを実施していくに当たりましては、閲覧席が十分設置されていない図書館ではどうするのか、あるいは図書館に出向くことが困難な都民の方などにどう対応するのかなど、幾つかの検討課題があることは承知しております。各区市町村の協力貸し出しについてのより詳細な利用状況なども把握し、都立図書館の資料提供のあり方についても理解を得ることに努めながら、東京都公立図書館長連絡会などを通じて意見交換を行い、三年間の取り組み期間の中で検討していきたいと考えております。

○山田委員 今後とも、区市町村立図書館との意見交換などを通じて、都立図書館改革の意義に理解を得るように、十分に努力をしていただきたいと思います。
 一方、区市町村立図書館への支援や連携協力は、これだけではないはずでありますし、今後の連携協力をどのように進めていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 区市町村立図書館に対する支援や連携協力は、都立図書館の重要な役割であるというふうに認識しております。従来から協力貸し出しのほかにも、都内の公立図書館の蔵書が検索できる横断検索システムを構築し、区市町村立図書館間の相互貸借促進を進めてまいりました。
 また、区市町村立図書館で解決できない相談に回答する協力レファレンス、区市町村立図書館職員を対象にした研修を実施するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。今後は、こうした事業を一層充実させてまいりますけれども、例えば研修につきましては、法律情報など新しいサービスに関するテーマ別研修の実施や、各種研修テキストの作成と配布など、区市町村立図書館の人材育成へのさらなる支援を図ってまいります。
 また、東京に関する情報センターとして、各区市町村立図書館所蔵の地域資料の総合データベースの作成と、協力レファレンスサービスの実施など、地域資料に関する連携の構築に取り組んでまいります。

○山田委員 ぜひ今回の報告書に示してあります改革の実現、具体化については、都立図書館として都民にとってより魅力のある都立図書館となるよう、今後一層努力されるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○伊藤委員 都立図書館改革の具体的方策について、中身に触れて質疑させていただきたいと思います。
 この中に、政策立案支援サービスの充実というのが入っていて、都立図書館は平成十三年から政策立案支援サービスを開始して、都庁の各局が求める資料や情報を提供してきたということでありまして、都庁職員にとっても、この都立図書館のいわゆるレファレンス機能というのは大いに役に立っているところだろうというふうに思います。
 この中で、サービスをより体系的に、また蓄積をさらに充実させていって、認知度を各局に対しても高めることが必要だということで、課題が触れられているわけでありまして、お話を伺っていくと、これは必ずしも都庁の職員の方だけが利用できるレファレンスサービスではなくて、広く一般都民の方々もこうした都立図書館のレファレンス機能を使用することができるということでありますが、そうすると、当然私ども都議会議員あるいは区市町村議会議員のそれぞれの皆さんも、こうした支援を受けることが可能なんだろうというふうに思いますけれども、その点についてまずご所見を伺いたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 幾つかの手法によって可能でございます。
 まず、都立図書館は、都庁各局の施策の立案を側面から支えるため、政策立案支援サービスを行っておりますが、東京都議会図書館や都議会事務局を通じて依頼があった場合にも、他局からの依頼と同様にレファレンスや資料提供を行うなど、調査研究に必要な支援を行っております。
 また、区市町村立図書館を通じて依頼があった際にも、従前から協力レファレンスサービスを行っておりまして、依頼された内容の調査を行い、区市町村立図書館を通じて回答しております。また都立図書館では、これまでも、豊富な蔵書を活用して、都民からの直接の問い合わせに対しても数多くのレファレンスサービスを行ってきておりまして、この場合も、依頼された内容の調査を行い回答しております。
 さらに、今後は、東京都議会図書館や首都大学東京図書情報センターなど、東京都が設置する図書館等の横断検索システムの構築を予定しておりまして、各機関の所蔵資料調査が簡便になりますので、こうしたものもご利用いただくことによって、さらに利便性の高い活用をしていただけるものと考えております。

○伊藤委員 私も、この都議会に来てから、都議会図書館を何度か活用させていただいて、大変豊富な資料の提供をいただきまして、質疑にも反映させていただいたという経緯があったんですけれども、区議会にいた当時は、区議会図書館なるものもありませんでしたし、区役所の中に図書館機能があって、そこを利用させてもらったことがありましたけれども、なかなかこれだけ東京都のような大きな機能というもの、あるいは人材というものがそろっていませんでしたので、区議会事務局にもそうした資料提供を求めても、現状の人材だけでは十分に対応し切れないというのが、各市町村の、特にさらに小さな町村議会では起こり得ることだというふうに思っておりまして、各地方の議会にとっても、こうした都立図書館のレファレンスサービスは大変ありがたいものだろうというふうに思っております。
 そういう観点からいたしましても、都立図書館は区市町村の関係者に対して、こうしたサービスの内容について周知を図っていくべきではないかというふうに思います。実は私自身は、区議会にいたのはたったの二年間でしたけれども、その間にこうしたサービスがあることを一回も説明を受けたこともありませんでしたので、もし知っていればなという思いもありますので、ぜひそうした周知を図っていただけたらと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 都立図書館の機能やサービスの内容につきまして、東京都あるいは都議会の議員の方々、あるいは各区市町村の議員や職員の方々にも幅広く周知されるように、今後積極的に働きかけていく必要があると思います。特に区市町村につきましては、東京都の公立図書館長連絡会なども通じて積極的に働きかけていきたいと考えております。

○伊藤委員 ぜひ今のご答弁のとおりに、それぞれの議会の区市町村議員のところに、こういう利用の仕方があるのだということが具体的に伝わるような方策をとっていただければというふうに思います。
 あわせて、議員だけではなくて、広く都民の方々にも、大学の研究であり、また、それぞれの方々の活動研究の中で利用されるように、こうしたレファレンス機能のPRというものを積極的に行われるべきと思いますけれども、ご所見を伺いたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 都立図書館の蔵書やサービス内容が広く都民に周知されているといえないことは、大きな課題であるというふうに考えております。今回の都立図書館改革の具体的方策の基本的な考えの中で、待ちの姿勢から積極的な情報発信へと取り組む方向を明らかにいたしました。
 今後は、タイムリーな企画展の実施や、メールを活用した情報発信を行うなど、より多くの都民の方に、都立図書館の豊富な所蔵資料と、課題解決のための専門的なレファレンスサービスの内容について、積極的かつ効果的にアピールしていきたいと考えております。

○野上(純)委員 私からも、都立図書館改革の具体的方策について質問いたします。
 第二次都立図書館あり方検討委員会報告の際には、パブリックコメントを実施したと聞いております。今回の報告に関しては行っていないんでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 都立図書館改革の具体的方策は、第二次都立図書館あり方検討委員会報告で示した基本的な考え方に基づいて、改革への具体的な取り組みをまとめたものでございまして、基本的な考え方が変わったものではないことから、再度パブリックコメントは行わない予定でございます。

○野上(純)委員 八月に出されたこのあり方検討委員会と今回の報告の中には、記載されていない部分がありまして、例えば協力貸し出しの見直しなどは、この第二次あり方報告の方には記載されておりません。パブリックコメントは必要としないまでも、このことによって影響が大きい区市町村の意見は聞くべきではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 区市町村に対しましては、九月八日に開催されました都内の公立図書館の連絡調整の場である東京都公立図書館長連絡会におきまして、この都立図書館改革の具体的方策の概要を説明するとともに、意見交換を行ったところでございます。今後も、区市町村の教育長会などにおきましてもご説明をし、意見を伺ってまいります。

○野上(純)委員 協力貸し出しの見直しについてですけれども、貸し出し資料の館内閲覧と搬送車の費用負担の問題が記載されております。館内閲覧については先ほど山田副委員長から質疑がありましたので省略させていただいて、あと搬送車の費用負担について質問いたします。
 現在、都が負担している搬送車の費用は年間幾らぐらいかかるのか、そしてこの費用負担を求める理由は何かということ、この二点についてよろしくお願いします。

○三田村生涯学習スポーツ部長 協力貸し出しのための搬送車に係る平成十八年度予算額は、約一千万円でございます。現在、都の搬送車では、都立図書館から区市町村立図書館への協力貸し出し資料だけでなく、区市町村立図書館同士のいわゆる相互貸借資料もあわせて搬送しております。
 今後も相互貸借はさらに増加する見込みであることなどから、都の搬送車の費用負担のあり方について検討するとともに、区市町村に対しても、今後の相互貸借資料の運搬方法について検討していただくことを働きかけていきたいと考えたものでございます。

○野上(純)委員 東京都から区市町村だけでなく、それ以上に区市町村同士の相互貸借の運搬の数がふえているということなんですけれども、相互貸借が増加しているということはよくわかりましたけれども、区市町村にこの費用負担を求めることについては、区市町村の理解を得ることが必要ではないかと思います。これは慎重に進めるべきと思います。
 この問題に関しては、この前、教育長会、あるいは東京都公立図書館長連絡会でもいろいろと討議されたことと思いますけれども、この費用の面も含めて、早急に意見を出してやめるというのではなく、十分意見交換を行った上で結論を出すことを求めておきます。
 次に、子どもの読書活動の推進について伺います。
 我が党は、特に子ども読書推進については非常に熱心に今までやってまいりまして、子どもが小さいころから読書の習慣を身につけることによって、他者を思いやるとか考える力を育てる、あるいは非行防止の観点からも非常に有効なことであると考えて、朝読の推進などをやってまいりました。この子どもの読書活動の推進は、都立図書館の重要な役割の一つであると思いますけれども、区市町村立図書館に対して、都の図書館としてどのような支援策を考えているのでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 これまでも、都立図書館では、乳幼児や小学生など、対象別に子ども読書活動推進資料を作成、配布するなど、区市町村における家庭での読み聞かせの普及や地域での読書活動推進への支援を行ってまいりました。今後は、さらに中学生や高校生に対象範囲を広げるなどの拡充を図ってまいります。
 また、昨年度から始まりました文字・活字文化の日関連行事、文字・活字文化フォーラム、今年度は十月二十八日に開催されますが、このフォーラムにおきましても、子ども読書活動に関する講演をいただいたり、各区市町村立図書館や子ども読書活動団体の活動事例の紹介などを行っておりますが、今後はさらに規模を拡大した子ども読書活動報告会を実施し、実践的事例を幅広く取り上げて、各区市町村での新たなサービスへの取り組みにつながるよう支援していきたいと考えております。
 さらに、区市町村立図書館職員を対象とした児童青少年サービスに関する研修につきましても、講義だけでなく、読み聞かせなどの実践的要素を取り入れるなど、一層充実を図ってまいります。

○野上(純)委員 乳幼児や小学生だけでなく、あるいは中学生、高校生に対象範囲を広げたり、特に読み聞かせなど実践的な要素を取り入れるということで、非常に期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、都立図書館を支える人材育成に関して質問をいたします。
 先ほど資料を提供していただきましたが、資料によりますと、都立図書館の司書の年齢構成は、百三十六人中五十代の方が九十七名で、これが大体七〇%ということで、今後十年の間、団塊の世代の大量退職ということで、たくさんの退職者が出てまいります。この後の補充についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
 例えば、この前私も代表質問の方で書かせていただいたんですけれども、教育管理職も同じようなことがいえまして、大量退職だからといって大量に新採用教員を採用すると、また大きな山になってしまう。それで優秀な校長のフルタイムの再任用制度をぜひ導入するということで、局の方もそういった意見をいってくださったんですけれども、ベテランの司書の方が大量退職をするので、その数を全部補充するということもいろいろな面で厳しいものがあるのかと思っております。
 ベテランの司書の方が、今まで培ってきたノウハウを有している優秀な方がどっと失われることになっていくと、能力の継承ですか、これをしっかりと後輩に図っていくことが大事ではないかと思いますが、この点についてもいかがでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 お話しのとおり、図書館を支える人材の確保は今後の大きな課題であるというふうに認識しております。書庫にある資料の出し入れや簡易な資料整理など、定型的な業務につきましては今後も委託化を推進いたしますけれども、レファレンスや資料選定など高度の専門性による司書が担うべき業務に関しましては、必要な人材を確保するよう努め、専門性やノウハウの継承につきましては、現行の再任用制度などを活用するとともに、従来の研修体系を体系的に見直すなど、有効な対策を検討しているところでございます。

○野上(純)委員 もう一つ書いてありましたけれども、ワンストップサービスに関して質問いたします。
 中央図書館のレファレンスサービスのワンストップ化については、一階に司書が集中して配置されて、二階以上には司書がいなくなるために、利用者にとってかえって不便になるのではないかという意見もございます。このような意見に対してどのように考えているのか、司書の配置なども含めてご説明いただければと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 中央図書館では、開館当時から各階を人文科学、社会科学など特定分野ごとの主題室とし、図書、レファレンスカウンター、書庫を各階に配置してまいりました。このサービス体制では、フロアの異なる複数の分野にわたって調査したり、あるいはどの分野にも分類しにくい新たなテーマについて調査する利用者にとって、必ずしも便利とはいえなくなってきております。総合レファレンスカウンターを一階フロアに設置し、複数の職員を配置することにより、複数の階でレファレンスサービスの申し込みをすることなく、一カ所あるいは一回の手続で、どのような主題に関するレファレンスにも、質の高いサービスを迅速に受けられるようにすることが今回のねらいでございます。
 また、カウンターの混雑時などには、一階に集中化した事務室にいる司書が応援することも可能になるとともに、二階以上の各フロアには相談ブースを設置して、必要に応じて司書が出向いてレファレンスサービスを行っていきたいというふうに考えております。

○野上(純)委員 ちょうど昨年の九月三十日にこの場で質疑をしましたけれども、都立図書館の司書の専門性を高く評価しているものの一人です。今回の総合レファレンスカウンターの設置及び事務室の集中化が、中央図書館における司書の削減につながるのではないかと危惧しております。この点に関して所見を伺います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 中央図書館における総合レファレンスカウンターの設置などワンストップサービスの実施は、司書による高度専門的なレファレンスサービスを充実し、利用者サービスの向上を図る観点から検討を進めたものでございます。中央図書館では、あわせて同じ一階に都民ニーズの高い分野に関する重点的情報サービスのコーナーを設けるとともに、利用者みずから活用できるオンラインデータベースの利用環境を整備してまいりますので、これらとあわせて利用者が効率的な調査研究を図ることも期待できると考えておりまして、こうした取り組みに必要な人材については、今後も育成確保に努めてまいります。

○野上(純)委員 最後に、改革ということで、効率的な運営も確かに大事なことなんですけれとも、利用者の利便性がどのように図られるかということが、これからの都立図書館の運営に当たって最も優先されなければいけないものだと考えております。そのためには、図書館を支える人材の育成確保が欠かせないものではないかと考えます。特に五五ページ、五六ページに書いてございますが、この点にも十分留意して改革を進めるように要望して、私の質問を終わります。

○大山委員 私も、都立図書館改革の具体的方策の報告について質疑をします。
 都立図書館改革の具体的方策について質疑するに当たって、全国の都道府県立図書館の状況も調べ、それから、実際に全国の図書館行政をリードしているといわれている岡山県と滋賀県にも調査に行ってきました。実感したことは、県立図書館と市町村立図書館が一緒になって県内の図書館行政を担っているということなんですね。貸し出しということを非常に大切にしていて、そこが一番県民の要求が何なのかというのをつかめるんだと、岡山でも滋賀県でもおっしゃっていました。図書館の根幹の仕事なんですということで、非常に重視していらっしゃいました。
 これは、滋賀県の県立図書館のパンフレットなんですけれども、これを開いたところに、ここですけれども、何て書いてあるかというと、県立図書館は県内に暮らすすべての人のものです。遠くの人も近くの人も、大人にも子どもにもすべての人にサービスをするために、町の図書館と手をつなぎ合っています。本を通じて人と、人を通じて本と出会う図書館は、そんな豊かな空間でありたい、そう願っています。そういうふうに、本当に県立図書館としての役割を、しっかりと広域行政なんだということを位置づけたパンフレット、これがみんなにも配られているわけです。
 もちろん、都立図書館といえば、歴史も長いですから、蔵書だとか種類などでは、全国的にも今のところは一位、それから職員数も専任の司書の人数も今は一位です。しかし、これは規模が大きいから当然といえるわけです。しかし、今回この具体的方策をこのまま実施していったら、東京の図書館というのはどうなってしまうんだろうかという不安や、図書館を利用する都民にとって、本当にサービスの向上になるんだろうか、そういう疑問を持たざるを得ないといわなければなりません。
 ということで、順次疑問に思っていることを質疑していきたいと思います。
 第一には、都立図書館の本や資料を、どこに住んでいる都民も活用してもらうためには欠かすことができない協力貸し出しについてです。
 まず、東京都市町村立図書館長協議会を初め、多くの団体が心配しているのは、現在は都立図書館の図書を市町村立図書館を通じて借りれば、市町村立図書館の本と同じように家に持って帰って、読んだり調べたりできるわけです。しかし、具体的方策では、家に持って帰ってはいけないということと、今は三十五日間の貸し出し期間ですが、これをも見直すということですね。
 先ほどから質疑の中で出ていますけれども、答弁の中でも閲覧できるような場所が十分とはいえないというような答弁もありましたけれども、実際区市町村の図書館というのは、どれぐらい本をじっくり読めるとか、資料を調べることができる、いわゆる閲覧室みたいなのはどれくらい環境が整っているんですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 区市町村立図書館の閲覧席の数は、中心館の場合は、例えば区部で平均百八十三席程度、市部では平均八十三席程度でございます。地域館につきましては、区市町村立図書館が貸し出しサービスを中心としていることなどから、必ずしも閲覧席が十分に設置されているとはいえないことは承知しております。

○大山委員 そういうことなんですよね。中央館、中心館といわれているところも、区部でも平均でも百八十三ですか、市部では平均八十三席しかないということで、大方の地域の図書館は地域センターについていたり、社会教育会館についていたりということで、貸し出しが専門であるようなところが結構あるんだということですから、図書館で時間をとってちゃんと本を読んだり、調べ物をしたりという場所自体がないということなんですよね。
 それを東京都自身、都教委自身承知していながら、家へ持って帰ってはいけないとか、そんなことは、せっかく都民が必要として、ようやく時間をかけて手に入れたのに、結局使えないということではないでしょうか。従来どおり都立図書館の図書も、家に持って帰って見られるようにするべきだと思いますけれども、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 都立図書館資料の協力貸し出しは、今後とも都立図書館の区市町村立図書館への支援事業として継続してまいります。ただし、現在は、都立図書館が館外貸し出しを行っていないにもかかわらず、区市町村立図書館を通じて館外貸し出しを受けられるという点で、資料提供方法に矛盾も生じている面もございます。
 今回の見直しに当たりましては、区市町村立図書館での協力貸し出し資料の利用状況などを把握した上で、都立図書館の資料提供のあり方についても理解を得ることに努めながら、検討を進めていきたいと考えております。

○大山委員 検討を進めるということですけれども、都立図書館が館外貸し出しをしていないから、区市町村の窓口を通じて貸し出したものも、家に持って帰ってはいけないというのは、さっきからのやり取りでも明らかなように、区市町村立の図書館には、都立図書館みたいに調べ物をしたりできる閲覧室も不十分だし、ないところもあるということですから、当然条件が違うわけですよね。だから、都立で貸さないのだから、区市町村立を窓口にしたところも貸さないのではなくて、本来だったらみんな貸し出して、本ってやはり家に持って帰って読んだりということが普通なわけですから、それはきちんと協議しなきゃいけないというふうに思っています。
 東京都市町村立図書館長協議会の具体的方策に係る要望というのが出されていますけれども、一番の要望はやはり図書館の貸し出しをきちんとやって、持って帰れるようにしてほしいというものなんですね。ですから、市町村立図書館長協議会だとか利用者の団体ときちんと協議するべきだと思いますけれども、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、今回の見直しに当たりましては、区市町村立図書館での協力貸し出し資料の利用状況なども把握した上で、都立図書館の資料提供のあり方についても理解を得ながら、公立図書館館長会などとも意見交換を重ねて検討を進めてまいりたいと思います。

○大山委員 理解を得ながら検討を進めていきたい、協議したいということなんですよね。だから、しっかりとちゃんとやってもらいたいというふうに思っています。
 これは町田市役所の公式のホームページですけれども、都立図書館の協力貸し出しの見直しによって非常に不便になっているんですということが、公式のホームページに出ているんですね。と同時に、その中で「都立図書館のあり方に対しては、多摩地域の公立図書館の館長で組織する東京都市町村立図書館長協議会が再考を促す要望書をその都度提出してきましたが、いずれも要望に沿えないとの口頭による回答に終始しています。」と。公式の市役所のホームページで、こういう東京都に対する、聞く耳持たないというような批判がされているわけですから、こんなことがないように、区市町村立の図書館の関係者、それから協議会、利用者の団体、きちんと協議をしてもらいたいと思っています。
 貸し出しについて、こういう家に持って帰っちゃいけないというような非現実的なことをいうよりも、協力貸し出しはさらに充実させることが求められています。
 先ほどから配本のための巡回の車のことも話題になっていましたけれども、その費用負担のことですよね。都立図書館の本も区市町村立図書館の本も、すべての都民が利用できるように図書館をめぐる車が毎日都内を走っていて、都立図書館の本も、区市町村立図書館の本も、ほかの区市町村の住民が利用できるということですから、本当に広域自治体ならではの重要な仕事だと思います。とてもいい制度ですし、他県でもなくてはならない重要な仕事だと位置づけています。
 具体的方策は、費用負担、運搬方法の検討が挙げられていますけれども、文科省の公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準には、都道府県立図書館は資料の搬送の確保にも努めると書いてあるわけですね。ですから、協力貸し出しの配本車の費用負担をこれまでどおり東京都が行うべきだと思いますが、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 現在、都の搬送車では、都立図書館から区市町村立図書館への協力貸し出し資料だけでなく、お話のとおり区市町村立図書館同士の相互貸借資料も搬送しております。今後も相互貸借資料は増加する見込みでございますので、搬送車の費用負担のあり方について検討するとともに、区市町村に対して相互貸借資料運搬方法について検討することを働きかけていきたいというふうに考えております。

○大山委員 区市町村間の相互貸借資料の件数がふえたから、区市町村にも費用負担をしてもらおうということですよね、今のいい方ですと。それはおかしいと思うんですね。区市町村同士、それから滋賀でも岡山でもそうなように、やはり東京都全体で区市町村の図書館が一線図書館、二線図書館だ、図書館の図書館だといって都立図書館は頑張ってきたわけです。それで、都立図書館と区市町村立図書館と、すべての都民に提供できるように、やはりこれは広域行政だからこそできる仕事だということなんですよね。
 都立図書館になかったから、区市町村同士で貸し合おう、借り合おうということですから、それは都立図書館のないところを補っているわけですし、お互いで相互貸借しているわけですから、区市町村間の相互貸借資料がふえたというのは、これは都立図書館の資料が減ったというのもあるんでしょうけれども、すばらしいことですよね、都内でいろいろなところで協力し合っているわけですから。
 それはそれできちんと大事にしながら、東京都としての広域自治体としての本務をきちんとやらなければいけないと思っているんですね。さらに東京都としての都立図書館は、直接の貸し出しを行っていないわけですから、やはり区市町村立図書館が都立図書館への窓口となっていることを考えれば、費用負担を求めるということなどは、やはりみずからの役割を放棄することになってしまうと考えます。
 ところで、都立図書館の本を区市町村へ協力貸し出しする場合のルール、何回か変えたと思いますけれども、九九年度以降の変化を示してください。

○三田村生涯学習スポーツ部長 協力貸し出しの近年のルールの変化でございますけれども、平成十二年にインターネットによる区市町村立図書館からの申し込みを開始いたしました。また平成十四年度には、都内の公立図書館の横断検索システムを稼働させるとともに、都立中央図書館と多摩図書館との間の協力車を週二便から四便に増便いたしました。
 平成十五年度には貸し出し対象資料の範囲を変更しております。具体的には配架の日から三十日以内の新着図書、一冊十万円以上の図書、昭和二十五年以前に発行された図書、山本有三文庫の図書、こうしたものは貸し出しの対象外にしております。また平成十六年度には、貸し出し期間を四十五日から三十五日に短縮しております。

○大山委員 インターネットで申し込みを開始したり、協力車を週二回から四回に増便したりというのは、非常に積極的ないい面ですけれども、問題なのは、協力貸し出しの範囲を狭めたのが二〇〇三年ですね。それから期間を短くしてしまったのが二〇〇四年ですね。この影響というのは、協力貸し出しの実績に率直に反映していると思うんですけれども、二〇〇〇年からの協力貸し出しの冊数の推移、都立図書館からの分だけでいいですからお願いします。

○三田村生涯学習スポーツ部長 協力貸し出し冊数の推移でございますけれども、平成十一年、一九九九年は十一万八千九百六十九冊、平成十七年、二〇〇五年につきましては十二万二千二百二十五冊でございます。

○大山委員 二〇〇〇年が十五万一千二百六冊、二〇〇五年が十二万二千二百二十五冊ということですけれども、ずっと各年度をいってもらいたかったのですが、いいです。二〇〇〇年が十五万一千二百六冊、二〇〇一年は十五万八千百三冊でふえています。二〇〇二年でやはり十五万台ですね、十五万四千九百四十八冊、そして、この貸し出し対象資料の範囲を狭めた二〇〇三年はどうなったかというと、十五万百四十冊に減っているんですね。二〇〇四年は貸し出し期間を短縮しました。そうしましたら十三万六千六百七十四冊に減っているんです。そして二〇〇五年も十二万ということで、都立図書館からの貸し出しというのは、やはり貸し出し対象資料の範囲を狭くしたり、貸し出し期間を減らしたといことが、貸し出し冊数を減らしているということだといわざるを得ないですね。
 さっき区市町村間の相互貸借がふえたといっていますけれども、都立のはそうやって範囲を狭めたり、期間を短くしたりして貸し出し数を減らしておいて、区市町村は、二〇〇一年には、全部の集計ではないということですけれども、九万三千九百二十冊が、二〇〇五年には十八万九千百八十七冊にふえるわけですね。ですから、都立図書館の範囲を狭めて減らしたのに伴って、区市町村間はふえているということなんです。どうしてこんな貸し出しの制限を強化するんですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 平成十五年度に行いました変更でございますけれども、平成十四年一月の第一次都立図書館あり方検討委員会報告を受けまして、都立図書館の資料は一点収集保存することといたしました。このため、都立図書館内での閲覧や保存を確保するために、ルールの変更を行ったものでございます。
 また、多摩図書館の山本有三文庫につきましては、コレクションとして大変貴重な資料であり、汚破損や亡失を防止するためでございます。
 また、平成十六年度の変更につきましては、平成十五年度と同様に、都立図書館内での閲覧を確保するため、期間の短縮をいたしました。

○大山委員 第一次のあり方検討会で、今までは複数の収集だったけれども、一点収集になって、結局そうすることによって貸し出しさえも制限せざるを得なくなったということですよね。図書購入費との関係というのはやはり見ざるを得ないと思うのですけれども、三館の合計でいいですから、九九年度と二〇〇六年度の図書購入費を教えてください。

○三田村生涯学習スポーツ部長 都立図書館の図書購入費でございますけれども、一九九九年度は三館合計で約四億九百八十二万円でございます。また、二〇〇六年度は約一億九千七百九十八万円でございます。いずれも当該年度の予算額でございます。

○大山委員 石原都政になって以降、七年間で都立図書館の図書購入費というのは二分の一以下になってしまったということなんですね。この二分の一以下になってしまった図書購入費、これはどういう金額なのかということなんですね。具体的方策の中で、都立図書館の収集方針、選定基準に合致する資料三万六千冊のうち、約六割の二万一千冊しか購入できていませんというふうにしていますけれども、年間の総発行図書というのは何冊ですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 平成十七年度の場合、年間新刊和書の新刊点数は七万八千三百四点でございます。

○大山委員 選定基準に合致する資料の中でも六割しか買えないというふうに嘆いているわけですけれども、新刊和書が、今おっしゃったように、年間、十七年度でいえば七万八千三百四点です。二万一千冊しか購入できない予算なんですね。つまり、新刊和書のうち約二六・八%しか買えていないんです。三割も買えていないということなんですね。岡山県も滋賀県も、たびたび出して申しわけありませんが、新刊書の七割は購入したいという意欲を持っています。どうして七割なんですかと両方の県の図書館の方に聞きました。
 年間の図書購入費は、東京は一億九千七百万ですけれども、岡山県は二億三千万円、東京より多いんですね。県立図書館が七割くらい買えば、市町村で買えるのは二、三割の予算しかないから、大体それで網羅できるんですということなんです。
 滋賀県の副館長さんは、収蔵の方針は、収蔵の本の幅を広げることなんだというわけです。新刊書の七割だと。例えばといっておっしゃったんですけれども、言語の関係の図書を選ぶとすると、五割しか予算がないと、買えない言語の分野が出てくるというんですね。しかし、ほぼこれぐらいそろえておけばまあ順当だろうというのは、七割だったら買えるんだということなんです。
 東京の、すべての新刊書に占める二六・八%しか買えていないという状況ですと、二〇〇〇年以降の都立図書館の図書、本当に幅の狭い蔵書しかないということになってしまうんじゃないでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 ただいま申し上げました新刊和書の新刊点数、七万八千三百四点は、文庫や新書などすべてを含んだ総出版件数でございます。このうち都立図書館の収集方針や選定基準に合致する資料は、三万六千冊でございます。

○大山委員 総出版数の二六・八%というのは、これは数字ですから変えられないわけです。総出版数ではなくて都立図書館の収蔵方針のうちの六割なんだということですけれども、結局図書購入費が激減していますから、焦点を絞るしかないということなんですね。しかし、その絞り方、これも疑問です。私がわからないのは、具体的方策の中に、(1)、都民ニーズの高い分野に重点を置いた情報サービスの提供のところなんです。
 二ページ、図1というのがありますけれども、この図1は何が書いてあるかというと、都立図書館が重視すべきテーマというのを、十七年度第二回東京都教育モニターアンケートよりということで引用しているんですけれども、教育が六十一、環境が四十二、それからその他が四十五ということで、教育が断然トップ、その他が四十五ですから二番目になっているんですけれども、この図1をもって、都市をめぐる今日的なテーマが多くなっていますというふうに書いてあるんですね。この図で一番多いのは、さっきいったみたいに教育、その次はその他なんですね。どうしてこういう結論が導き出せるんだろうと思うんですけれども、どうしてですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 このグラフで上位に上げられている教育、環境、防災、医療、衛生等につきましては、いずれも東京都が重点的に取り組むべき課題としているものでございます。都立図書館に重視してほしいと考えるテーマが、これら都市行政の課題と重なっており、その意味で都市をめぐる今日的なテーマが多いとしたものでございます。

○大山委員 非常にご都合主義というか、教育は教育で、環境は環境なんですね。その他というのは、それこそすべてのいろいろなことが入っているわけです。
 都民が望んでいるのは、こういう東京都の都合に合わせた重点主義ではなくて、三ページは何が書いてあるかというと、図2、これは何かというと、中央図書館利用者が今後期待するサービスです。これは断然トップが蔵書の充実ですね。しかし、この蔵書の充実というのが断然トップで五二・四%もあるにもかかわらず、この具体的方策、この図から導き出しているのは、オンラインデータベースや検索サイトなどのサービスが都立図書館で進んでいないということ。蔵書の充実というのが一番トップであるにもかかわらず、そういう分析なんですね。
 抜本的に図書購入費を増額することが求められていると思いますが、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 今回の具体的方策の中では、都民や企業の課題解決を支援するための重点的情報サービスの各分野に関する資料や、東京マガジンバンク創設に必要な雑誌の収集などを含めて、蔵書の充実を図っていることをお示ししております。

○大山委員 蔵書を充実するためにも、お金がなきゃ買えないわけですから、抜本的に図書購入費を増額するというのはもう当然だといわなきゃいけません。
 保存についても、東京都は第一次あり検の後に、都立図書館の本を区市町村に出しちゃうようなことをやっていますけれども、他県は反対です。市町村立図書館の古くなったものを、県が一冊は保存しましょうということで書庫もきちんと確保しているんです。東京都も書庫をきちんと確保することこそ求められていると思います。
 もう一つ、図書館のあり方にかかわるのが、商用データベースの提供を有料にするということですね。有料にすることによって、情報を得られない都民が出てくる可能性があります。公立図書館でデータベース提供を無償で積極的に進めることは、世界共通する流れになっています。情報格差をつくらないためにも、無料で提供するというのが基本になっています。
 例えば都内の図書館でも、朝日新聞の記事のデータベース、聞蔵というのは、区市町村立の、区内の図書館では十五自治体で置いてあります。読売新聞の同じようなヨミダス文書館というのは六つの区市で置いています。それから日経テレコン21という図書館のデータベースですけれども、これは十六の自治体で置いてありますし、官報の情報検索は八カ所の区市の図書館で置いてあるわけです。国立国会図書館は、医療のデータベースだとか官報、科学技術の雑誌の抄録のデータベースなどが置いてあるわけです。
 検索機能があったり--重たいわけですよね、医療の何とかとか、法律情報の本だとかというのは重たいわけですけれども、それをきちんと重たくなくても検索もできるということで、便利なわけですね。しかも、自分で買おうとすると、例えば科学技術雑誌抄録データベースは百九十万円もします。それから聞蔵、朝日新聞の記事データベースは二十五万円もするんですね。ですから、これはやはり本にもなっているけれども、データベースがあるわけですから、今やデータベース、これは図書資料というふうにいえると思うんですね。ですから、有料化するということは誤りだと思いますが、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 現在導入を検討しております多くのデータベースは、新聞記事、雑誌記事などの基礎的なデータベースでございまして、図書やCD-ROMなどの図書館資料が媒体変化したものともいえます。また、料金設定も定額制となっておりまして、こうした基礎的な、基本的なデータベースについては費用負担を求める予定はございません。
 その一方で、今回費用負担を求めることを検討しておりますのは、マーケティングや財務関係など専門的な内容で、基礎的データベースや図書、CD-ROMなどの図書館資料では入手できない情報であったり、それらと比較して極めて情報量の多い高度、高品質なオンラインデータベースが一部ございます。こういったデータベースは、都立図書館の収集方針や選定基準に照らした図書館資料ではないと考えておりまして、また、料金体系も使った情報の量、質に応じて料金が非常に大きく異なるタイプの資料でございます。このため、受益者負担の観点から、原則として利用者に適正な負担を求めていきたいというふうに考えております。

○大山委員 やはり経済的な問題で情報に格差をもたらすというのは、図書館法からいったってやってはいけないことだと思うんですね。だから、高度、高品質の情報だって有料にするというのはよくないと思います。そして、情報格差を持ち込まない、そして無料の原則という図書館のあり方を継続させることこそ必要だと思っています。
 都立図書館の重要な仕事としているレファレンス体制の縮小の問題ですけれども、これも都民サービスの後退につながる重大な問題だといわざるを得ません。この具体的な方策の書き方ですと、ワンストップサービスというように、いかにも簡単にサービスが向上するかのようないい回しですけれども、実際どうかということなんです。
 中央図書館は、現在一階から四階まで分野ごとになっていますけれども、それぞれのフロアに司書は何人ずつ配置されているんでしょうか。窓口だけじゃなくて、フロアに何人配置されているんですかということで、それぞれのフロアでお願いします。
 また、ワンストップ体制といった場合に、各フロアに司書は何人配置する予定になっているんでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 現在、一階から四階までの各フロアのレファレンス窓口には、常時一名ずつの司書を配置しております。ワンストップサービス体制では、総合レファレンスカウンターを一階フロアに設置いたしまして、複数の職員を配置する予定でございます。このことによりまして、複数のフロアでレファレンスサービスの申し込みをすることなく、一カ所、あるいは一回の手続で、どの主題に関する高度なレファレンスにも迅速にこたえられるようにいたします。二階以上の各フロアでは非常駐の相談ブースを設け、必要に応じてレファレンスサービスを行ってまいります。

○大山委員 質問にちゃんと答えてください。私は、窓口だけじゃなくて、各フロアに配置されている現在の司書は何人ですかと聞いたんです。

○三田村生涯学習スポーツ部長 一階から五階までの各主題室ごとに、約七名から十名の司書が配置されております。

○大山委員 各フロアに七名から十名の司書が配置されているということですよね。現在、一階は参考室ということで司書は十人ですよね。二階は社会科学室ということで司書は九人、三階は人文科学室で司書は十人、四階は自然科学室で司書は七人です。現在は、だから、各フロアに十人の司書、九人の司書、十人の司書、七人の司書というふうに、本のそばにきちんといるわけですよね。
 ワンストップ体制になったらどうなるかといったら、一階の総合レファレンスカウンターに複数の司書を配置する、何人かわからないということなんでしょうけれども、先ほど答えていた各階には非常駐の相談ブースを設けるというふうにおっしゃっていましたけれども、結局各フロアには、今、事務室に司書が七人や十人や九人や十人いるわけですけれども、その各フロアの事務室もなくしてしまうという予定なんですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 現在の二階にあります社会科学室、三階の人文科学室、四階の自然科学室及び資料相談係の事務室を一階に集中することを考えております。

○大山委員 結局、本のそばには司書はいなくなるということなんですよね。非常駐のブースということは、その都度必要があれば上がっていくということなんですけれども、現在は各フロアに専門の司書がいて、そのフロアの司書については深く把握しているんです。しかし、ワンストップサービスになれば各フロアは司書は配置しない、総合レファレンスカウンターに交代で勤務するといっても、各フロアの本のそばには司書がいないということなんですね。
 現在、分野ごとのレファレンスで、各階ごとに専門の部屋があるということで、不便であるとか、困るだとかという苦情があるんでしょうか。各フロアのレファレンスじゃなくて、一カ所にまとめてほしいという要望などがあるんでしょうか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 例えば、実際に二階の主題室でレファレンスを受けた利用者が、再度四階の主題室でレファレンスを受けなければならないという事例は発生しております。

○大山委員 そうじゃなくて、聞いたのは、不便だから、今のやり方じゃなくて一カ所にまとめてほしいとか、こういう不便があるんだから困るんですという要望や苦情はあるんですかということなんです。

○三田村生涯学習スポーツ部長 ただいま申し上げました事例などを通じて、一カ所での手続ができれば便利であるというようなご意見も承る機会もございます。

○大山委員 苦しいいいわけですけれども、都民の要求があるわけじゃないということですよね。私も司書の方にも話を聞きました。各主題室の司書というのは、例えば社会科学室だったら、政治や経済や民族などの分類を分担担当して、新しく収集した資料だとか、新聞・雑誌の内容を把握して蓄積した資料の利用方法を更新しているというんですね。ですから、そのフロアの資料にそのフロアの司書というのは熟達しているわけです。ですから、複数、七人だとか十人いるわけですから、いろいろな難しいレファレンスの対応にも複数で相談することもできるわけです。
 例えば、どういう具体的な事例があるのかということで、例えばチフス予防のためのDDTを人体にいつごろから散布しているのかがわかる資料が欲しいといわれた場合に、私たちなんか全然わからないわけですけれども、例えば自然科学室の工業総記だとか、衛生学だとか、人文科学室の現代史だとか、雑誌記事検索とかいろいろな分野に当たって、それできちんとレファレンスしているわけですよね。しかし、ワンストップだったら、このうち一つか二つ案内する程度しかできなくなるんじゃないかとか、非常に専門的に、それから蓄積したものをきちんと対応するということが今はできているわけですね。ワンストップサービスというのは、結局レファレンスサービスの水準低下を起こすということは明確だと。分野ごとのレファレンス体制の維持をすべきだと思いますが、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 総合レファレンスカウンターを一階フロアに設置することによりまして、これまでも申し上げましたように、複数の階でレファレンスの申し込みをすることなく、一カ所で迅速かつ質の高い情報サービスを受けられるようにすることが、今回のねらいでございます。今お示しいただきました事例に対しても、総合レファレンスカウンターで機動的に対応できるものと考えております。

○大山委員 よくいってくれますと思いますけれども、例えば複雑な統計資料の使い方を案内するというのは、やはりきちんと使い方も含めて、厚いですからね、自分で引き出して、どこを見て、どこを計算してというのは難しいわけですよ、素人には。だからレファレンスサービスできちんと、ここでこういうふうに書いてあるから、ここを足せばいいですよとかということを含めて、今はできるわけですね。しかし、ワンストップサービスだったら、例えばあれは三階の何番の本箱を見てくださいと、その程度しかいえなくなっちゃうんではないかという可能性が大きいわけですね。
 ですから、きちんとサービス低下を起こすようなことはないという状況にしなきゃいけないわけですから、これについても、利用者だとか図書館の関係者だとか、きちんと意見を聞く。それから、意見を聞いても全然かみ合わないんじゃだめなんですよ、きちんと協議をすることが必要だし、サービス低下しないような現在のレファレンスサービス体制を維持するべきだと思っています。
 資料でもらいましたけれども、さっきも団塊の世代の退職ということが出ていましたが、これで見ますと、五十五歳以上の方が六十八人ですか、五、六年のうちに定年を迎えるわけでして、計画的に採用しなければ司書という専門職の育成もできないというふうに思いますが、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 団塊世代の大量退職に向けて、図書館を支える専門職員の育成が必要と考えております。司書の基幹的業務を精査し、非基幹的業務の業務委託を推進するとともに、必要な専門職員を確保してまいります。また、役割や担当に応じた能力開発計画を策定し、専門知識の継承を図ってまいります。

○大山委員 必要な専門職員を確保するだとか、司書の業務を精査するとかということをいっていますけれども、結局ワンストップサービスにするにしても、今は各フロアにいる七人なり、十人なり、九人なりの司書をなくしちゃうわけですから、この五年間のうちに、現在百三十六人の司書のうち六十八人が、約半数が退職するということを見て、結局採用を極力抑えるために、明らかにサービス低下につながるワンストップサービスなどを考え出しているということじゃないんでしょうか。
 日比谷図書館については、さきに行われた第二次あり方検討会の報告のときに質疑はしましたけれども、改めていっておきます。日比谷図書館は、歴史の中でも、それから現在でも都民に親しまれて、年間入館者数は六十九万人、多摩図書館は八万人ですけれども、その九倍ですね。中央図書館も三十一万人で、中央図書館の二倍にもなっています。しかも、日比谷図書館の入館者のうち、千代田区民は一・七%、千代田に在勤在学者、これでも三〇%ですから、区民の図書館というよりは、広く都民の図書館ということなんですね。
 しかも、千代田区は、移管されても指定管理者にするということを明らかにしているんですから、採算性がない図書館を市場に渡す、これは、予算を削減するとしたら、人件費になるということは明確なんです。本がそろっていることと、それを生かせるのは人です。そして専門性を持った職員です。都立図書館として維持するべきです。書庫もこれで少しは確保できるということなんですね。
 多摩図書館については、文学の専門ということですけれども、文学に関して調べるときも、文学だけあればいいというものじゃないと。都立図書館だからと思って来館した人も、資料がないからというので帰ってしまったりするわけですよ。ごく狭くするのではなくて、蔵書の幅を広げてほしいということ、普通の図書館を求めているわけです。多摩図書館については次回の機会に回します。
 東京の図書館行政を考えるときに、都立図書館だからということでひとり勝手にやるということにはならない、これはるる述べてきたとおりです。都立図書館と区市町村立図書館が一緒に連携して、初めて都立図書館の資料や図書も生きるし、すべての都民を対象にできるということからも、区市町村立図書館や関係団体、利用者との公開の十分な協議が必要であることは論をまちません。
 しかし、どうでしょうかということなんです。第二次あり方検討会報告が昨年出されたわけですけれども、このホームページでパブリックコメントとそれに対応する東京都の意見というのがありますけれども、それで何がいいたいかというわけですけれども、パブリックコメントへの都の考え方というところで、結局区市町村立図書館を通じた都民へのサービスを後退させるのは矛盾があるというふうにいったり、協力貸し出し制限とも受け取れる専門書という表現は、支援及び連携協力の観点からして疑問であるというような意見が出ているわけですけれども、その都の考え方といったら、専門書等を中心に行っていく考えであるとか、例えば有料化ですね、利用者による費用負担についても、利用者負担により情報格差、また図書館から遠方の年金生活者にとっては情報過疎が懸念されるというような意見に対しても、適切な料額を設定するというように、まさにせっかく意見を出しているのに、対等な立場で話し合うという状況じゃないんですよね。都立図書館は広域行政の役割として、区市町村立図書館への支援を行ってきたということを考えるときに、区市町村との関係、話し合いは欠かすことができないわけです。
 具体的方策は八月二十四日に出ていますけれども、区市町村への説明、協議、これがどうなっているかということなんですね。区市町村への説明だとか協議というのはどうなっていますか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 九月八日に東京都公立図書館長連絡会を開催し、具体的方策について説明を行い、区市町村立図書館長からご意見を伺いました。
 また、今後は、特別区教育長会、東京都市教育長会、町村教育長会において説明を行う予定でございます。

○大山委員 区市町村立図書館長会でお話をしたということですけれども、そのときに意見を出してもらう時間があったのかということと、どんな意見が出されたのでしょう。

○三田村生涯学習スポーツ部長 図書館長連絡会では、協力貸し出しの見直しについては、区市町村の状況を踏まえ協議しながら進めてほしいなどの意見が出されております。

○大山委員 区市町村立図書館の館長の皆さん、それから利用者の皆さん、関係者の皆さんと、ぜひ公開された十分な協議を行うよう求めますけれども、どうですか。

○三田村生涯学習スポーツ部長 今回の見直しに当たっては、区市町村立図書館への協力支援を引き続き行うとともに、都立図書館の調査研究機能を十分に確保しようということで見直しを検討しているところでございます。区市町村立図書館との意見交換なども重ねて、実施のあり方等について検討を進めてまいります。

○大山委員 ぜひ、聞くだけではなくて、協議をする場をきちんと設けてもらう、それからどんどんやるということで、利用者、団体も含めて十分な協議を行うように求めて、終わります。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十一分散会

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