文教委員会速記録第七号

平成十八年六月一日(木曜日)
第三委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長村松みえ子君
副委員長山田 忠昭君
副委員長馬場 裕子君
理事服部ゆくお君
理事野上ゆきえ君
理事野上 純子君
伊藤 ゆう君
坂本たけし君
上野 和彦君
泉谷つよし君
秋田 一郎君
木内 良明君
古賀 俊昭君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長山内 隆夫君
総務部長南雲 栄一君
広報広聴部長高西 新子君
都民生活部長和田 正幸君
消費生活部長岳野 尚代君
私学部長新行内孝男君
文化振興部長 山本 洋一君
文化施設改革担当部長杉谷 正則君
参事萩原まき子君
参事産形  稔君
教育庁教育長中村 正彦君
次長比留間英人君
理事近藤 精一君
総務部長志賀 敏和君
学務部長山川信一郎君
人事部長松田 芳和君
指導部長岩佐 哲男君
生涯学習スポーツ部長三田村みどり君
国体準備担当部長関口 修一君
参事直原  裕君
参事新井 清博君
参事荒屋 文人君
参事川澄 俊文君

本日の会議に付した事件
 陳情の取り下げについて
 生活文化局関係
報告事項(説明)
・東京都文化振興指針について
 教育庁関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・都立町田高等学校(H十八)改築及び改修工事請負契約
陳情の審査
(1)一八第二号 都立鷺宮高校定時制生徒募集停止延期と旧第三学区夜間定時制受入れ枠確保に関する陳情
(2)一八第一七号 都立南多摩地区学園養護学校(仮称)の設置計画に関する陳情

○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、先般の人事異動に伴い本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の松川美砂さんです。議案法制課の担当書記の寺崎友子さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○村松委員長 次に、陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一八第八号、次期教職員定数改善計画の実施と義務教育費国庫負担制度の堅持に関する陳情は、議長から取り下げを許可した旨通知がありましたので、ご了承願います。

○村松委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会におきまして申し合わせをいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び生活文化局関係の報告事項の聴取並びに教育庁関係の陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は、説明を聴取した後、資料要求を行うにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、生活文化局長から紹介があります。

○山内生活文化局長 四月一日付の人事異動で当局の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介申し上げます。
 文化施設改革担当部長の杉谷正則でございます。参事で都政情報担当の萩原まき子でございます。当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の桃原慎一郎でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○村松委員長 紹介は終わりました。

○村松委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○山本文化振興部長  それでは、このたび作成いたしました東京都文化振興指針につきましてご説明させていただきます。
 お手元に配布してございます東京都文化振興指針をごらんください。
 表紙をお開き願います。まず、本指針策定に当たっての知事のあいさつ文を掲載しております。
 その次のページは目次でございます。全体の構成は、Ⅰ、指針が目指すものから、Ⅵ、参考資料までの六つとなっております。
 Ⅰ、指針が目指すものから、Ⅳ、基本目標までは、参考資料としておつけした、二月発表の東京都文化振興指針(素案)と基本的に同じ内容でございます。Ⅴ、施策の中で、創造的な文化を生み出す都市・東京の実現を目指す三十の取り組みを掲げ、具体的な事業の例である個別の取り組みをお示ししたのが、素案と大きく異なる点でございます。
 Ⅰ、指針が目指すものから、Ⅳ、基本目標までは、基本的に素案と同様でございますので、恐縮ですが、ご説明は割愛させていただきます。
 それでは、二六ページをお開きください。三つの基本目標と、それを達成するための九つの施策と三十の取り組みを体系的にお示ししてございます。
 二八ページをお開きください。施策1は、新進・若手アーチストの支援でございます。これを推進するため、二九ページから三一ページに、アーチスト及びアート関係者の滞在・交流・制作拠点の整備、国際交流を通じたアーチストの発掘・育成・レベルアップなど、四つの取り組みを掲げてございます。
 三二ページをお開きください。施策2は、芸術文化の創造と発信でございます。これを推進するため、三三ページから三五ページに、アーチストに公共空間を開放、総合的な情報提供機能の充実など、五つの取り組みを掲げております。
 三六ページをお開きください。施策3は、芸術文化を支える人材の育成でございます。これを推進するため、三七ページに、芸術文化を支えるスタッフなどの人材育成など、二つの取り組みを掲げております。
 三八ページをお開きください。施策4は、子どもたちの豊かな感性の育成でございます。これを推進するため、三九ページに、子どもたちの感性を磨く参加・体験事業の実施など、二つの取り組みを掲げております。
 四〇ページをお開きください。施策5は、都民の文化活動の促進でございます。これを推進するため、四一ページに、文化芸術に触れる多様な機会や情報の提供、社会環境の変化に応じた事業実施手法等の見直しなど、三つの取り組みを掲げてございます。
 四二ページをお開きください。施策6は、文化の継承・発展でございます。これを推進するため、四三ページ及び四四ページに、伝統文化の継承、美術館、博物館における文化の継承など、三つの取り組みを掲げております。
 四五ページをごらんください。施策7は、観光・産業振興、まちづくりなどとの連携でございます。これを推進するため、四六ページから四八ページに、観光・産業振興との連携、オリンピック等のスポーツイベントとの連携など、三つの取り組みを掲げてございます。
 四九ページをごらんください。施策8は、都立文化施設の改革と魅力向上でございます。これを推進するため、五〇ページ及び五一ページに、時代に合った文化施設のミッションや評価手法の策定、文化施設のあり方や改修方法の検討など、四つの取り組みを掲げております。
 五二ページをお開きください。施策9は、文化振興推進体制の整備でございます。これを推進するため、五三ページ及び五四ページに、都と区市町村、民間などとの分担と連携、専門的立場から文化施策を推進する新たな仕組みづくりなど、四つの取り組みを掲げております。
 五五ページ以降は参考資料でございます。ご参照いただければと存じます。
 大変簡単ではございますが、以上をもちましてご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村松委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言をお願いします。

○大山委員 三点だけです。
 一つは、七〇年代以降の文化施策の変遷を、理念や考え方の主な特徴でわかるようにお願いします。
 二つ目は、文化予算と決算の十年間で、維持管理費や事業費だとか運営費だとか、内訳で比較できるようにお願いします。
 三つ目は、都道府県ごとの文化予算額と一般会計に占める割合、一人当たりの額の変化。これは五年間で結構です。
 以上です。

○村松委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 ただいま大山委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認めます。理事者におきましては、要求された委員と調整の上、提出をお願いいたします。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○村松委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○中村教育長 さきの人事異動で教育庁幹部に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 学務部長の山川信一郎でございます。指導部長の岩佐哲男でございます。生涯学習スポーツ部長の三田村みどりでございます。国体準備担当部長の関口修一でございます。参事で教育政策担当の直原裕でございます。参事で特別支援教育推進担当の荒屋文人でございます。当委員会との連絡をいたします総務課長の藤森教悦でございます。
 なお、本日、福利厚生部長の橋本直紀は所用のため欠席させていただいております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○村松委員長 紹介は終わりました。

○村松委員長 次に、第二回定例会に提出をされております案件につきまして、理事者の説明を求めます。

○中村教育長 平成十八年第二回都議会定例会に提案を予定しております案件につきまして、ご説明申し上げます。
 本定例会におきましてご審議いただきます教育庁関係の案件は、条例案二件、契約案一件でございます。
 条例案の一件目は、学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例、二件目は、東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 次に、契約案は、都立町田高等学校(H十八)改築及び改修工事請負契約でございます。
 以上が、平成十八年第二回都議会定例会に提案を予定しております教育庁関係の案件でございます。
 詳細につきましては総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○志賀総務部長 お手元の資料、平成十八年第二回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案の説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。今回提案を予定しております条例案は、二件でございます。
 一ページをお開き願います。学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 改正内容につきましては、三ページの新旧対照表をお開き願います。放射線業務従事手当につきまして、支給限度額を改めます。また、交替制勤務者等業務手当につきまして、準夜及び土日に勤務した場合の手当を廃止するとともに、支給限度額を改めるものでございます。
 施行日は、平成十八年十月一日としております。
 五ページをお開き願います。東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 改正内容につきましては、七ページをお開き願います。交替制勤務者等業務手当につきまして、準夜及び土日に勤務した場合の手当を廃止するとともに、支給限度額を改めるものでございます。
 施行日は、平成十八年十月一日としております。
 以上で条例案の説明を終わらせていただきます。
 次に、お手元の資料、平成十八年第二回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして、契約案の説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。今回提案を予定しております契約案は、都立町田高等学校(H十八)改築及び改修工事請負契約一件でございます。
 一ページをお開き願います。契約の方法は一般競争入札、契約金額は十三億三千八百七十五万円、契約の相手方は、東京都中央区八丁堀二丁目七番一号、東海・日新建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日から平成二十年三月九日まででございます。
 三ページをお開き願います。ページ下方の全体配置図をごらんください。本工事は、体育館棟などの耐震補強工事を行うとともに、防衛施設周辺の騒音対策として、防音サッシの取りつけ及び冷暖房装置の設置等の防音工事を行うものでございます。
 四ページから七ページにかけまして各階の平面図を、九ページに契約案の概要を、それぞれお示ししてございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言をお願いします。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○村松委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情一八第二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新井参事 一八第二号、都立鷺宮高校定時制生徒募集停止延期と旧第三学区夜間定時制受入れ枠確保に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、中野区、石井文紀さん外千六百人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、次のことを実現していただきたいといたしまして、1、平成十九年度中野地区チャレンジスクール、杉並地区昼夜間定時制高校の開校と同時期に募集停止が予定されている都立鷺宮高校定時制について、募集停止時期の延期を検討することでございます。
 これに関します現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、都立高校改革推進計画・新たな実施計画を平成十四年十月に策定したところでございます。その中で、定時制課程につきましては、多様化する生徒、保護者のニーズにこたえ、全定併置校が抱える施設利用や指導時間の制約などの課題を解決するため、周辺の夜間定時制課程を統合して、新たなタイプの昼夜間定時制高校等の整備拡充を図っていくこととしており、第一次、第二次実施計画とあわせまして、昼夜間定時制独立校を全都で十一校整備してまいります。都立鷺宮高校定時制課程につきましても、この全体計画の中で募集停止を行うものであります。
 続きまして、2、旧第三学区の夜間定時制高校の生徒募集については、受け入れ枠確保のため十分な対応措置を講じることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、定時制課程の受け入れ枠につきましては、新たに設置される昼夜間定時制高校におきまして、現在の夜間定時制課程に通う生徒数に対応した定員を確保することとしており、生徒の受け入れ態勢について配慮しているところであります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 本件につきまして発言をお願いいたします。

○大山委員 この鷺宮高校ですけれども、きょうの請願陳情も、鷺宮高校の定時制の統廃合の問題、それから、後で南大沢の障害児の養護学校の問題ですね。この統廃合と募集停止の問題が、この委員会、私、去年からですけれども、本当に請願陳情が出ないときはないといっていいぐらいだと思うんですね。どれほど矛盾が大きいのかということだというふうに思いますし、とりわけ障害児であり、夜間定時制高校の生徒という、より弱いところに痛みを集中させる今の都政のあらわれ、矛盾がここで出ているということだと思うんです。
 東京都は、教育行政として、本当だったら一番応援しなければならないところに押しつけている。だから、毎回出てくる請願陳情の皆さんの痛みに、子どもたちや保護者の痛みに都教委は寄り添うことがまず重要なんだということを、私、最初にいっておきたいと思っています。
 鷺宮の方に入りますけれども、働きながらはもちろんのこと、今まで不登校であった生徒も、それから年齢も関係なくて、勉強がおくれていた人も学べる学校として、最後のよりどころといってもいいような、学びたいという学習権を保障しているところが今の夜間の定時制高校なわけですね。だからこそ、東京都の定時制高校統廃合計画について、二〇〇四年一月、国連の子どもの権利委員会は、日本政府に対して、定時制高校が、特に学校から脱落--ドロップアウトというふうに書いてありますけれども、した子どもに対して柔軟な教育機会を提供しているにもかかわらず、東京都においてそれが閉校されようとしているというふうに勧告を出しています。さらに六月には、東京弁護士会が、東京都教育委員会に対して、定時制の統廃合が生徒の学習権を侵害するものであるというふうに意見書を出しました。
 都教委が進めている定時制の統廃合計画は、国際的にも、それから法曹界からも批判されているということなんですね。実際に国連や弁護士会が危惧していたことが起こっているということなんです。だから、この陳情のように、ちょっと待ってくださいということが毎回出されるということなんですね。
 何が起こっているかということですけれども、まずちょっと確認しておきたいんですけれども、二〇〇二年十月に新たな実施計画が出されるわけですけれども、その時点で定時制高校が百校あったわけですが、それを五十五校に減らしてしまう計画が出されたわけです。そこから募集停止が行われるわけですけれども、募集が行われた学校の数、二〇〇二年度、この計画が出された年度が何校で、二〇〇六年度、今年度は何校になったのかということをまず教えてください。

○新井参事 定時制課程の募集を行った学校の数でございますが、平成十四年度、二〇〇二年度の入学選抜におきましては九十二校、平成十八年度、二〇〇六年度の入学選抜では六十七校となっております。

○大山委員 九十二校から六十七校ですから、この四年間で、わずか四年間で二十五校も減ってしまっているわけです。減った結果が生徒に何をもたらすのかということですが、陳情にもあるように、二〇〇四年度には、旧六学区、墨田・江東・江戸川地域ですね、その学校で、周辺の定時制高校が募集停止になったために、十校の定時制高校の二次募集に応募者が殺到、二次募集での不合格者が大量に生まれたということです。
 私も改めて数を見てびっくりしたんですけれども、応募倍率が一倍を超した学校のうち、不合格者がいた学校数と不合格者の人数をもらいました。つまり、定員がいっぱいですから、二次募集で応募しても不合格になっちゃったという受検生の数ですね、全都で、二〇〇四年度、十三校で九十五人もの人が、二次募集で定員がいっぱいだからということで不合格になりました。
 どうして定時制の二次募集が重要かというと、この二次募集というのは三月二十八日前後ですから、ここを逃すともう入学式には間に合わないということなんですね。いろいろ困難を抱えていても、勉強しよう、勉強したい、そういう心の変化をきちんと救う、とらえる、それこそ東京都としての重要な役割だというふうに思います。しかし、今やっていることは、それを断ち切ることなんだといわざるを得ません。
 この表で見ますと、確かに二〇〇三年以前も、応募定員を超えた受検者のために、不合格者は出ています。しかし、二〇〇四年度からは様相が違うんです。旧六学区は、二〇〇三年以前は七年間さかのぼれるというのでさかのぼってもらいましたら、二〇〇二年度に江戸川高校一校です。八人です。ですから、七年間さかのぼっても、二〇〇三年度以前は一校で八人、不合格者が出ています。しかし、二〇〇四年度は本当に急激にふえて、その年だけで六校、六十四人に激増しているんです。〇五年も二校、〇六年も三校です、旧六学区だけで。
 ですから、学校数もふえていますし、不合格になる人、定員がふえちゃったから不合格になる人もふえちゃったんですね。これは明らかに周辺の定時制高校の募集停止とかかわりがあるというふうに思いますけれども、どう認識していますか。

○新井参事 夜間定時制課程の募集停止に当たりましては、現在の在籍人員を確保することを前提にいたしまして昼夜間定時制高校の設置などを行っておりまして、定時制を希望する生徒の受け入れ体制は確保してございます。
 夜間定時制の二次募集における不合格者の増減についてでございますが、年度により変動が大きく、旧六学区の不合格者につきましても、平成十六年度入学選抜では六十四人でございましたが、平成十七年度では八名、平成十八年度では十七名と鎮静化してきており、二次募集不合格者の増加と夜間定時制課程の統合との関係は必ずしも明確ではないというふうに考えております。

○大山委員 確保しているといっても、その年度で九十五人もの人たちが、二次募集で定員いっぱいですよということで断られているんですよね。全都で見れば総数は足りるんだというふうにいうのかもしれませんけれども、さまざまな問題がある中で通学を保障するということは、通いやすいということは、非常に大きな重要な要素なんですね。
 旧六学区が鎮静化しているといっても、二〇〇三年度までは、七年さかのぼっても、さっきいったように一校八人だけです。二次募集不合格者の増加と夜間定時制課程の統合との関係は必ずしも明確ではないというふうにいいますけれども、結局、関係はないというふうにはいえないわけですよね。しかも、変動が大きくといったって、これを見てもらえばわかりますけれども、確実に二〇〇四年度以降は、ほかの年度から--それまでは一けたですよ。二校だとか九校だとか五校だとか、八校、七校、四校、三校ですよね。二〇〇四年度以降は、十三校、十一校、十一校ですよ。ですから、関係ない、これから見たって関係ないというのは、そちらも断言できないということなんですね。
 聞きますけれども、二〇〇四年度に募集停止した学校、旧六学区とその周辺区で何校でしょうか。自治体名と学校数をお願いします。

○新井参事 旧六学区で平成十六年度に募集停止した夜間定時制課程でございますが、江東区で三校、周辺でございますが、千代田区が一校、合計二区四校となってございます。

○大山委員 その年、二〇〇四年度に募集停止した学校というのは、全都で四区七校ですね。そのうち、江東区と周辺区といって今おっしゃった千代田区一校ですから、七校のうち四校が旧六学区とその周辺だということなんですね。もう同じ轍を踏まないでくれというのは、そのとおりだと思います。今答弁していただいたように、旧六学区を直撃していたわけですね。
 今度はそれを旧三学区で行うということです。旧三学区の十校ある夜間定時制のうち、八校が募集停止の対象になっている。とんでもないですよね。鷺宮高校を見ても、〇四年、〇五年、〇六年の入試状況を見ても、ほとんど定員いっぱいです。その年度、〇四年は、あきが六人、〇五年度も六人、ことしは、あきは一人だけです。ですから、三十人ぎりぎりの学級で授業をしているわけですね。
 ちょっと聞きますけれども、陳情にあるように、当該高校の関係者だとか関係中学校の関係者、それから地域の意見などを聞くというのは最低限必要なんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。

○新井参事 都立高校改革推進計画の策定に当たりましては、地域住民、それから学校関係者のご意見を十分に聞いた上で計画を策定させていただいております。

○大山委員 策定した段階で聞いたというふうにおっしゃいますけれども、今実際に実施してみてこんな矛盾が起きているわけですよ。学習権さえ保障しないという状況が起きているわけですから、せめてちょっと待って、きちんと見直す、意見も聞くということが本当に求められているし、やってもらわなきゃいけないと思っています。
 定時制高校のいいところというのは、さまざまな事情や経歴を持っている生徒が通ってきているわけですから、より少人数で丁寧にできる。ところが、さっきいったように、定時制高校も一クラス三十人ぎりぎりのクラスが多くなっているわけですね。定時制高校のホームページ、幾つかのぞいてみましたけれども、いろんな生徒がいますとか、伸び伸びと学んでいますとか、ゆっくり学んでいますとか、一人一人を大切にしていますとか、人間関係が温かいとか、人間関係に悩んでいた生徒もここで学べるんですよとか、何より、個々の生徒の個性や主体性とか、とことん面倒を見る指導体制というようなことがほとんどのところで書かれているわけですね。そういうところが多いわけです。それを実現できる条件にすることが、やはり東京都としての教育行政としての役割だと思うんですね。数が足りているんだからといって、通学の条件とかも全く考慮しないで、どこかに入ればいいだろうという話じゃないし、詰め込めばいいんだという話でもないわけですね。
 二〇〇四年度以降、三年間で二百四十七人もの希望者を、二次募集で定員がなくて不合格にしている、この事実をきちんと直視して募集停止の再検討をすること、それから、二次募集で定員いっぱいのために不合格者が出ないように十分対応することを要望して、陳情は採択するべきだと主張して、終わります。

○村松委員長 ほかに。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○村松委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第二号は不採択と決定いたしました。

○村松委員長 次に、陳情一八第一七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○荒屋参事 一八第一七号、都立南多摩地区学園養護学校(仮称)の設置計画に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、都立南大沢学園養護学校特別支援教育推進計画対策委員会委員平川博之さん外百六十五名から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、南大沢学園養護学校の多摩養護学校への移転計画を見直すことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画の第一次実施計画におきまして、南多摩地区学園養護学校(仮称)を設置することといたしました。計画発表後、都教育委員会は、平成十七年九月まで五回にわたり、全校保護者を対象といたしまして、質疑を含め説明を行ってきたところでございます。その上で、平成十九年度の多摩養護学校への移転学部を中学部から小学部に変更すること、平成二十二年度高等部二、三年生は南大沢学園養護学校で卒業できるようにするなど、保護者との話し合いを通しまして、移転方法につきましての見直しも行ってきたところでございます。
 移転の対象となる小学部の保護者につきましては、九月以降、個別に、移転に当たっての要望の聞き取りや計画策定の経緯の説明を継続的に行うとともに、平成十八年四月には、小学部保護者対象の説明会を行ったところでございます。
 一方、平成十七年十一月からは、PTAの代表も委員とする基本計画検討委員会を立ち上げ、学校の設置や教育内容などについて検討を行い、平成十八年三月二十三日には、基本計画検討委員会報告書を教育委員会に報告し、内容を公表するとともに、四月十七日には、全校の保護者を対象に報告書の内容の説明を、質疑をも含め行ったところでございます。
 今後とも、保護者に対して適時適切な情報を提供し、保護者の意見を伺いながら、基本計画検討委員会の報告書に基づき、多摩養護学校への移転計画を進めてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 本件につきまして発言を願います。

○野上(純)委員 陳情一八第一七号について質疑をいたします。
 この陳情は、過去二回も出されて、さんざん質疑をした内容でございますが、何でこんなにまた出されるのかというところで、南大沢学園養護学校の児童生徒が多摩養護学校に移転をするということで、保護者の皆様からは、それを取り下げていただきたいというような陳情の趣旨でございますけれども、保護者の方々の十分な理解を得ながら進めるべきだということでずっと主張をしてまいりました。先ほど説明がありましたように、これまで保護者の方から要望されたことに対して、移転案の見直しをするということで、かなり内容も変わってきたという経過がございます。
 多摩養護学校の知的障害教育部門の設置を検討する基本計画検討委員会に保護者の方も代表として入っていただき、三月二十三日にはこの報告書も出されたということで、かなり丁寧な対応をされてきたのではないかとも思うところでございますけれども、改めて、移転対象となる小学部の保護者の方々の理解を得るためには、よりきめ細やかな、丁寧な対応を行う必要があると考えておりますけれども、ここはどのように対応されてきたんでしょうか。

○荒屋参事 小学部の保護者の理解を十分に得るためには、保護者に対しまして丁寧な対応をしていくことが大事であると認識しております。このため、昨年九月以降、移転対象となる小学部の保護者に対しまして、移転に当たって不安に思っていることや、移転の際に要望したいことなどの聞き取りを個別に行うとともに、基本計画検討委員会の委員となっている保護者代表を通じまして保護者の意見を集約しております。
 このような取り組みを通じまして理解を得るよう努めてきたところでございますが、今後も、保護者の要望をお聞きしながら、多摩養護学校への移転計画を進めてまいります。

○野上(純)委員 先日五月二十九日にも、都教育庁では、南大沢学園養護学校で保護者説明会をしたということをお聞きしております。この内容なんですけれども、時間とか、双方向の話し合いができたのかどうかとか、どのような様子だったんでしょうか。

○荒屋参事 保護者説明会の状況でございますが、多摩養護学校の知的教育部門の増築に伴います施設設備の配置計画案の大枠を二十分程度説明いたしますとともに、保護者からの工事期間、設備等に関する質問や要望を一時間程度お聞きいたしました。
 今後は、説明会終了後に気づいた点などにつきましても、学校を通じてお聞かせいただき、設計等に反映してまいります。

○野上(純)委員 実際に説明会で保護者の方と意見交換を約一時間にわたって行ったということで、それでもまだ意見がある方は再度学校を通していろんな意見を聞かせていただきたいということをいったということですよね。保護者へ十分配慮をしながら計画を進めていっているんだなというようなことだと思います。
 先日、私は、上野議員と一緒に、この多摩養護学校と南大沢学園養護学校、両方を視察してまいりました。
 まず、南大沢学園養護学校では、かなり過密な状況で、一つの教室をパーティションあるいはカーテンで二つに仕切って使用していたり、また特別教室、そこに複数の普通教室を設置したりして、普通教室を確保するために相当努力しているということを実際に見てまいりました。
 この南大沢学園養護学校の過密な状況を早期に解消するためにも、多摩養護学校への移転を進める必要があるのかなということを感じた次第です。これ以上児童数がふえると、どうやって授業を進めるスペースを確保していくのかということで、大変心配になってまいりました。
 児童生徒が今度は移転していく多摩養護学校に知的障害教育部門を設置するということなんですが、児童生徒が学ぶ教室を十分に確保しなければいけません。教育環境を整備することが必要だと思っております。
 さらに、今までずっと勉強している肢体不自由教育部門と、さらにこれからふえてくる知的障害教育部門の方と、両方一緒に今度は勉強していくようになるわけですから、共用の施設、例えば体育館が果たして十分に使えるのかとか、プールとか、食堂とか、両部門の教育環境の充実、改善につながるように整備をしていくことが大事ではないかというふうに思っておりますが、見解をお伺いいたします。

○荒屋参事 多摩養護学校への移転に当たりましては、これまで以上の教育環境を整備していくことが必要であると認識しております。
 多摩養護学校におきましては、校内の西側の敷地に校舎の増築を行うことによりまして、知的障害教育部門の普通教室や特別教室を確保し、教育環境の整備をいたします。先生のご指摘を踏まえまして、肢体不自由教育部門と知的障害教育部門が併置する学校として、教育環境の改善充実に十分配慮してまいります。

○野上(純)委員 多摩養護学校が知的障害教育部門と肢体不自由教育部門と併置校になるということで、教育環境の改善充実に配慮していただけるということで、ぜひお願いしたいと思います。
 また、視察のときに、多摩養護学校が近隣の小中学校と交流をしているという話もお聞きいたしました。知肢併置校となっても、近隣の学校等と交流を図るとともに、地域社会と連携して、地域に信頼される学校にしていただきたいと思っております。
 ところで、多摩養護学校が知肢併置校となった際には、肢体不自由教育と知的障害教育の両部門を持つことのメリットを十分に生かした教育をしていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○荒屋参事 多摩養護学校におきましては、肢体不自由教育と知的障害教育のそれぞれの専門性を持つ教員が連携協力し、小学部から高等部まで一貫した指導の充実に努めてまいります。
 また、肢体不自由教育部門の自立活動の専門性のある教員や外部専門家などの活用を図り、重複障害のある児童生徒の自立活動の充実を図ってまいります。
 さらに、肢体と知的の両教育部門の児童生徒の相互理解を深めるための交流に努めますとともに、小学部のクラブ活動、中学部、高等部の生徒会活動などを通して、児童生徒の主体的な活動の充実を図るなど、知肢併置校のメリットを生かしてまいります。

○野上(純)委員 両教育部門の併置のメリットを最大限に生かして、新しい多摩養護学校の教育を充実していただきたいと思っております。
 もう一つ、多摩養護学校の視察を終えた後、今度は南大沢学園養護学校へ車で移動したんですが、二十五分ぐらいかかったんですね。多摩養護学校へ移転するに当たって、現在南大沢学園養護学校に在籍する児童とか生徒がスクールバスに乗って通っているわけですが、今度は南大沢から多摩に移ったときに、スクールバスの乗車時間についても配慮しなくちゃいけないのかなというふうに思っておりますが、そこら辺はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○荒屋参事 多摩養護学校に移転することで、居住場所によりましては、通学時間が短くなる場合と長くなる場合が考えられますが、今後、スクールバスコースを見直すなどいたしまして、乗車時間の増加を最小限にすることを検討してまいります。
 また、通学区域につきましては、南大沢学園養護学校から多摩養護学校に移る児童生徒に対しましては、柔軟に対応してまいります。

○野上(純)委員 住んでいる場所によっては、今の南大沢学園に行くよりも、多摩養護に行く方が近くなる児童生徒の方もいらっしゃると思います。逆に、南大沢までよりもはるかに遠くなる方もいらっしゃると思うんですが、居住場所によってはまた違う養護学校にも行けるというふうに、柔軟に対応していただければと思います。
 南大沢学園養護学校では、高等部の産業技術科の生徒全員が企業就労を目指し、職業教育に熱心に取り組んでおりました。就職率が一〇〇%ということで、これはすばらしい成果ではないかと思っております。近年、社会のノーマライゼーションの進展により、障害のある人たちの社会参加の機会がふえてきております。今後設置が予定されている南多摩地区学園養護学校では、知的障害が軽い生徒に対して、将来の企業就労による社会参加、自立に向け、職業自立のための就労支援の充実を図る教育環境を整備していくことが重要だと考えます。いかがでしょうか。

○荒屋参事 就労支援の充実を図る教育環境を整備することによりまして、将来の職業的自立を目指した教育を推進し、知的障害のある生徒の自己実現と社会参加、自立を促進いたしまして、社会に貢献できる人間を育てていくことは極めて重要であると思います。
 このため、平成二十二年度に、南大沢学園養護学校の敷地に、知的障害が軽い生徒を対象といたしまして、将来の職業的自立に向けた専門的な教育を行うことを目的といたしました南多摩地区学園養護学校(仮称)を開校いたします。
 南多摩地区学園養護学校におきましては、南大沢学園養護学校産業技術科の実績を受け継ぎまして、専門的な職業教育を実施する就業技術科、仮称でございますが、を設置いたしまして、生徒全員の企業就労に向けた教育を実施してまいります。

○野上(純)委員 生徒全員の企業就労を目指すということは、本当に大変なご苦労があることだと思います。知的障害者の法定雇用率とかはありますが、まだまだ就職先を確保していくということも大変なことだと思っております。
 知的障害者の雇用に関する企業等のニーズを踏まえた職業教育、また、今後雇用が見込まれる福祉施設の介護とかの就労に対応した職業教育を実施することが重要であると考えます。
 また、就労先を安定的に確保していくためにも、それぞれの関係機関、学校あるいは企業が連携して、企業就労を促進する方策を協議していくことも必要であると思いますが、いかがでしょうか。

○荒屋参事 近年の産業構造の変化や知的障害養護学校卒業生の企業就労先の動向を踏まえまして職業教育を実施していくことは、重要なことでございます。南多摩地区学園養護学校の就業技術科には、ご指摘いただきました福祉分野を初めとして、ビルクリーニング、物流事務、食品などのさまざまな職業分野に対応したコースを設置いたしまして、企業などのニーズを踏まえました職業教育を実施してまいります。
 また、特別支援教育推進計画に基づきまして、南多摩地区学園養護学校を含め、知的障害が軽い生徒を対象にした養護学校高等部を今後順次開設していく予定でございまして、生徒の就労を確保するため、教育庁、他の関係部局、東京労働局、学校関係者、企業などにより構成される協議会を設置いたしまして、雇用や企業実習先の拡大のための方策などの協議を行ってまいります。

○野上(純)委員 最後に。こういう知的障害の軽い生徒の企業就労を促進し、社会参加、自立を実現するためには、南多摩地区学園養護学校の教育環境の整備を進めていくことはぜひ必要であると思います。
 一方、南多摩地域の知的障害養護学校の過密状況は一刻の猶予もならない状況にあります。これを改善するためにも、多摩養護学校に知的障害教育部門を設置し、知肢併置校としての特色を生かし、教育を充実していくことは必要だと思います。
 今後も、教育内容の継続性、教育環境の整備、職業教育の充実など、保護者の意見や要望を受けとめながら、多摩養護学校の知的障害教育部門の設置、南多摩地区学園養護学校の開設を推進していただきたいと要望して、終わります。

○大山委員 私からも、質問を含めて、意見を述べたいと思っています。
 南大沢学園養護学校の多摩養護学校への移転計画を見直していただきたいという陳情、これは先ほども出ましたけれども、これで三回目の陳情だということですね。たび重ねての陳情というのは、やはりいかに切実であるのかということのあらわれだと思っています。
 前回の陳情は、昨年十一月のこのメンバーでの文教委員会での審議でした。そのとき明らかになったのは、当初、南野高校跡地に開設する案だったけれども、当該の多摩市への事前の説明が概要案発表のわずか二日前の十六年七月十二日であったこと、しかも多摩市議会の議事録では、教育部長が都教委の説明は不十分だったということも明らかになりました。市とは、その後複数案の提示を求められて、南大沢案も示して、四カ月にわたって調整が行われたこと、この間、保護者や議会には情報は一切報告されないで、十一月二十四日に保護者に説明して、翌日決定。これは説明ではなく、押しつけだと。
 しかも、教室不足の早期解消が大きなねらいであるにもかかわらず、多摩養護に移転しても、百五十名程度規模といっていますけれども、南多摩地域の児童生徒はふえており、その上、周辺の町田や八王子養護学校も既に転用教室や教室をパーティションで仕切っての急場しのぎをしている状況で、百五十名程度の規模でおさまる根拠はないということも明らかになったわけですね。
 先ほど説明された現在の状況の中には、今後とも云々かんぬんということで、多摩養護学校への移転計画を進めていくというふうに説明されましたが、まさにこの姿勢が、保護者の意見も聞かずに、子どもたちの状況も考えず、結果だけを押しつけるということじゃないでしょうか。保護者は、この都教委のやり方に全く納得できていないということなんです。
 これは保護者の皆さんの意見ですね。陳情者の皆さんにいただいたものですけれども、この中にもいろいろ書いてありますよ。決定事項を突きつけたとか、話し合い、意見をいえる場をふやしてほしいとか、十一月二十四日に説明して、二十五日に決定、本当に腹が立つとか、きちんと回答もなくなどなど、教育の現場に一番なじまない非民主的そして押しつけ、非教育的なやり方、本当に怒りを覚えているというのが保護者の皆さんの声で伝わってきます。
 先ほど保護者に丁寧な対応をしていくという旨の答弁があったわけですけれども、保護者や学校の意見を聞くのは基本ですね。しかし、今やっていることは、進めていくための説明というか説得でしかないと思っているんです、この状況を見ると。ですから、保護者の皆さんはそれ以前の問題が納得できないんだということですから、その辺の意見をきちんと聞くことが重要だと思いますけれども、どうですか。

○荒屋参事 保護者説明会では、南大沢学園養護学校の過密解消のために、多摩養護学校への移転が必要であること、教室環境等が整備された多摩養護学校へ移転しても、南大沢学園養護学校の教育内容を継承することなどを説明し、私どもといたしましては、保護者の理解が得られるよう努めてまいりました。
 今後とも、南大沢学園養護学校の保護者には、適宜説明会を開催するなどして、移転計画につきまして保護者の理解が得られるよう努力してまいります。

○大山委員 移転を前提にしている説得が納得できないということなんですから、いかに行けばどうですとかといっても、先ほども前回の十一月の復習をしましたけれども、その一番のねらいである百五十名程度規模だったら、間もなくパンクしちゃうというのも目に見えているんだということも保護者の皆さんだってわかるわけですよね。だからこそ納得いかないし、手続的にも納得いかないということですから、きちんと保護者の意見をまずは聞くということを再度要望しておきます。
 私も南大沢学園養護学校と多摩養護学校、行ってきました。南大沢学園養護学校に最初に行って、多摩養護に行ったんですけれども、さっきもありましたけれども、野上さんはタクシーで二十五分かかったと。ちょうどバスが来ましたので、バスで南大沢まで行って、そこから電車に乗って永山まで行って、それからまたタクシーで行くわけですね。だから、地域も全く違うわけですよ。
 この保護者の皆さんの意見の中でも、だからこそ小学生をどうして動かすのかということも出るわけですし、南大沢養護学校は地域住民の方々といろいろな交流をし、大きく理解を深めてきました。今までの苦労は並大抵のものではありません。そうやって積み重ねてきたわけですよね。学校が地域の中でともに育つといった本当にいい実践、積み重ねも問答無用に切り捨てるというものだと。
 一度知的養護と肢体不自由養護学校を分けたのに、今なぜ一緒にするのか、どうしてなのかという疑問というのは、この保護者の中の意見にも多いわけですね。知的養護と肢体不自由養護学校併置校だった南大沢学園養護学校を単独校にした理由は何で、今回どうして再び併置校にするのか、それぞれの理由を述べてください。

○荒屋参事 まず、知肢併置校から単独校になった理由でございますが、当時の多摩ニュータウン内の養護学校設置計画といたしましては、知的障害養護学校及び肢体不自由養護学校を各一校設置することとなっておりまして、そのうちの肢体不自由養護学校が多摩養護学校でございました。
 しかし、多摩ニュータウンの開発状況などによりまして、当面の策といたしまして、多摩養護学校が知肢併置校として開校したところでございます。
 その後、多摩ニュータウンの開発の進展などによりまして、南大沢学園養護学校が設置されたため、知的障害教育部門が移転いたしまして、当初の計画のとおり、多摩養護学校が肢体不自由単独の養護学校になった次第でございます。
 次に、今回再び併置校になる理由でございますが、南大沢学園養護学校の児童生徒数の増加によりまして、普通教室不足の解消という緊急性の高い課題に対応していく必要がございます。
 また、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部単独の養護学校である南多摩地区学園養護学校を、現在職業科が設置されています南大沢学園養護学校に設置しまして、これまで培った実績を生かして職業教育を充実していくと同時に、南多摩地区の高等部生徒の増加に対応していく必要がございます。
 以上の点を踏まえまして、教育環境の改善充実に十分配慮できる多摩養護学校における知的障害教育部門の設置を計画したものでございます。

○大山委員 つまり知的養護学校と肢体不自由養護学校をそれぞれ一校ずつつくるというのが基本の計画、当初の計画だったということですよね。多摩ニュータウンの開発の進みぐあいで、一校つくっておいて、開発が進んだから、当初の計画どおり一校ずつにしたんだと。これは発展的な展開だし、基本の展開だということなんですね。
 それをまた併置校にするという理由は、教室不足の解消、それから職業学科の拡充ということを今ご答弁されたと思うんですけれども、教室不足というのは、私も本当に行ってみて、直ちに何とかしなきゃいけない、これはますますそう思います。教室は半分に仕切るわ、カーテンのところもあるし、特別教室、会議室、それから準備室、教材室、使えるところはすべて使っているという状況です。
 ところで、南大沢養護学校、開設時の児童生徒数及び学級数などの計画の規模というのはどれぐらいだったんでしょう。

○荒屋参事 南大沢学園養護学校の検討当時における計画上の児童生徒数等の想定規模は現在承知しておりませんが、開校初年度の平成八年五月一日時点の規模といたしましては、小学部の児童数は二十七人、学級数は八学級、中学部の生徒数は二十一人、学級数は六学級、高等部普通科の生徒数は五十五人、学級数は十二学級、高等部産業技術科の生徒数は二十人、学級数二学級でございます。

○大山委員 計画の規模がわからないというのは私もよくわからないんですけれども、開設当時は二十八学級ですね。これは学校からもらった資料ですけれども、開設時の平成八年、このときにはきちんと特別教室もあったし、会議室もあったし、図書室--図書コーナーですけれども、図書コーナーもあったと。普通教室があって、特別教室があって、図書室もちゃんとあってというのが、やっぱり普通、学校という教育条件だと思うんですよね。だから、二十八学級、これが当初の状況ですから、普通の学校の状況と。
 これが現在は、二十八学級の二倍の五十六学級です。ですから、パーティションで区切ったりして、ハーフサイズが二十五教室、普通のサイズが二十八教室、それからすべての特別教室も使い切っているという状況なんですね。
 南大沢の小学部、中学部が多摩養護学校に移転する予定となっている平成二十二年度以降の児童生徒数の推移というのはどうなるんですか。

○荒屋参事 個別の学校ごとに今後の児童生徒数の推計値を算出することは困難でございますが、平成二十二年度に南大沢学園養護学校が多摩養護学校へ移転した際、普通教室の不足が生じないよう、多摩養護学校の知的障害教育部門におきましては、必要な普通教室を確保するよう計画しております。

○大山委員 その普通教室の確保というのは、今の段階だと何教室になっているんですか。

○荒屋参事 基本計画検討委員会の報告におきましては、普通教室を四十一教室確保する計画としております。

○大山委員 個別には厳密な数は出てこないというか、入学する生徒児童の数は出てこない、それもまた無責任な話だと思うんですけれども、それにしても、現在の南大沢養護学校の小学校、中学校、高校、これが多摩養護に移るわけですね、将来、都教委の予定ですと。高校の普通科、小中合わせると、小学部が二十、中学部が十一、高等部普通科が十九学級ですから、今でも五十クラスあるんですよ。さっき、普通教室は四十一学級だということですから、どうも数が合わない。この時点でも、もう既に不足しているんじゃないかと。
 移転する一番のねらいというのは、とにかく早く教室不足を解消したいというのが一番のねらいなのに、既に移転する時点から、想定しているクラスの普通学級の数と現在の学級の数が、九も不足しているということですから、一番のねらいも初めから破綻だと。このことだけでも、やはり計画は撤回して、本当に深刻な教室不足ですから、早急に対応するには、どこかとやりくりするとかという話じゃないんですよね。町田養護だって、八王子養護だって、教室不足で四苦八苦しているわけですから、きちんと増設を一刻も早く考えなきゃいけないし、実現しなきゃいけないというふうに思います。ですから、ぜひ要望しておきます。
 併置校ですけれども、メリットとデメリットをどのように考えていますか。

○荒屋参事 肢体不自由と知的障害の併置校とすることによる効果といたしましては、肢体不自由教育と知的障害教育のそれぞれの専門性を持つ教員の連携協力による指導の充実、自立活動の専門性のある教員や外部専門家等の活用による重複障害のある児童生徒の自立活動の充実、両教育部門の児童生徒の相互理解を深める交流の実施などがあると考えております。
 デメリットに関しましては、併置校にすること自体にデメリットがあるとは考えておりません。

○大山委員 今メリットだというふうにおっしゃった、例えば専門性を持つ教員の連携、これだって別に児童生徒の交流だって、併置校でなければできないということはないわけですよ。
 重複障害のある児童生徒への自立活動の充実とおっしゃっていますけれども、今まさに多摩養護の学校ではこの充実を実践させているわけですね。深めているわけですよ。どうしてそれが、単独校でしっかり、多摩養護学校でやっているのに、併置校にしなきゃいけないの、それのメリットになるのかというのは理解に苦しむわけですし、どうして併置校にするメリットだといえるのかというのは、いえないと思っています。
 強いていえば外部専門家、OT、PTなどの専門家の活用だというふうにいうんでしょうけれども、知的養護にも配置してくれるんでしょうかね。配置するんだったら、これはメリットといえばメリットだと。しかし、併置校ならではのメリット、これだというのがどうも出てこないと思わざるを得ない。
 さっきデメリットはないんだというふうに答弁されましたけれども、いろんなことを行うときに、デメリットがないというか、いろんな課題をきちんと想定して、それをどういうふうに解決していくのか。だから、課題を解決していかなかったら、成長も発達もないわけですから、本当にこのデメリットはないという見方というのは、きちんとした学校を充実させていく気があるのかというふうにいわざるを得ないですし、メリットも検討する、デメリットも検討する、それでどういう条件整備をするのか、じゃ、どういうふうに考え直すのかということをやはり検討するのが当然だというふうに思います。
 例えば中央教育審議会の初等中等教育分科会特別支援教育特別委員会第六回、これは平成十六年五月三十一日ですけれども、その資料に、併置校について課題と思われる点、それから今後検討すべき課題というのが幾つか挙げられているわけですね。それについて、何か検討されたんでしょうか。

○荒屋参事 ご指摘の資料につきましては、国として、盲学校、ろう学校、養護学校の制度的な統合を検討するに当たりまして、併置校についての全国の実績を示しつつ、都道府県教育委員会から出されました意見を、評価し得る点、課題と思われる点、今後検討すべき課題にまとめたものと承知しております。
 都教育委員会といたしましては、本資料に即して検討を進めたものではございませんが、多摩養護学校の知的障害教育部門の設置に当たりましては、現在ある都立養護学校の知肢併置校での実績に基づき、適切に対応してまいります。

○大山委員 一つの指標としては、これは課題、つまりデメリットになり得る可能性があるというか、課題なんだよというのを、例えば何を示しているかというと、中教審では、課題と思われる点、教育課程の管理、単一の肢体不自由児が在籍していると複雑な教育課程となり、教科対応の必要性といった人的配置の面も課題が生じるとか、人的配置、知肢併置校としてのメリットを生かすための予算や教員配当だとか、それから施設面だとか、多様な進路のことだとか、結構幾つか挙げているわけですよね。学校運営では、小中高の知と肢ですから、六学部であるがゆえの学校運営に複雑困難さを抱えているんだというようなことだとか、いろいろ出ているわけですよね。
 これに沿っては検討していないんだというわけですけれども、町田養護学校やあきる野だとかの実践に学ぶんだということなんでしょうけれども、町田養護学校やあきる野養護学校での実績に基づきというふうにさっきおっしゃいましたけれども、それらの学校で実践してきて、総括して、知肢併置校としての総括だとか検討は、じゃ、東京としては、東京にある学校ですから、きちんと行った上で、多摩養護学校への南大沢からの移転、併置移行ということを決めたんでしょうね。

○荒屋参事 両校とも知肢併置校といたしまして長年適切な学校運営が行われており、特に知肢併置校としての評価は行っていませんが、両校の実績は多摩養護学校においても十分参考にできるものと考え、特別支援教育推進計画を策定したところでございます。

○大山委員 実践しているところのいろんな現状を出し合ったり、どう改善していくのかというのは、新しい学校をつくる上ではやはり重要なことだと思うんですね。
 知肢併置校にしなさいよ、移転しなさいよと私はいっているわけじゃないですよ。例えば教研集会、二〇〇六年一月に開かれたところでは、知肢併置校の現状が報告されて、いろんな課題があるんですということで出されて、それで、検討も討論も行われているわけですよ。教育者としては本当にこういうことこそ重要だし、当然だと思っています。多様な児童生徒の安全管理の困難だとか、知肢、それからさっき中教審でも出ていたような小中高の六学部という多さの困難さだとか、さまざま課題が教研集会でも出されています。現場の先生たちは何とか改善しようと頑張っているわけですね、充実しようということで。
 保護者の合意も得られない、手続的にも押しつけのやり方、それから小学生まで移転させるという大きな負担、しかも、移転しても教室不足は解決しないという現実、併置校となるメリットもほとんど見当たらない、課題も検討していない等々、どの角度からいっても、計画は撤回して移転計画は見直す、これが今求められていると思いますし、陳情はきちんと採択をしてもらいたいと思います。

○村松委員長 ほかに発言はありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○村松委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一八第一七号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十二分散会

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