委員長 | 村松みえ子君 |
副委員長 | 山田 忠昭君 |
副委員長 | 馬場 裕子君 |
理事 | 服部ゆくお君 |
理事 | 野上ゆきえ君 |
理事 | 野上 純子君 |
伊藤 ゆう君 | |
坂本たけし君 | |
上野 和彦君 | |
泉谷つよし君 | |
秋田 一郎君 | |
木内 良明君 | |
古賀 俊昭君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 中村 正彦君 |
次長 | 比留間英人君 | |
理事 | 近藤 精一君 | |
総務部長 | 志賀 敏和君 | |
学務部長 | 齊藤 一男君 | |
人事部長 | 松田 芳和君 | |
福利厚生部長 | 橋本 直紀君 | |
指導部長 | 井出 隆安君 | |
生涯学習スポーツ部長 | 山川信一郎君 | |
参事 | 三田村みどり君 | |
参事 | 新井 清博君 | |
参事 | 沼沢 秀雄君 | |
参事 | 伊藤 一博君 | |
参事 | 川澄 俊文君 | |
国体準備・事業推進担当部長 | 関口 修一君 | |
参事 | 直原 裕君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十九号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第六十三号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第六十四号議案 東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
・第六十五号議案 東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上ございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○村松委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の平成十八年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより教育庁関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分及び第五十九号議案から第六十五号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○志賀総務部長 去る二月二十一日の当委員会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は七件でございます。
一ページをお開き願います。教員の都単独加配の状況、項目別人数でございます。
僻地教育や児童自立支援施設内の教育等の充実のために、都単独で加配をしている区市町村立学校教員の人数について、校種別、項目別にお示ししてございます。
二ページをお開き願います。区市町村による非常勤講師の任用の状況でございます。
非常勤講師を独自で任用している区市町村の数とその任用数についてお示ししてございます。
三ページをごらん願います。教員の休職者数、校種別、平成十三年度から平成十六年度でございます。
当該年度に新たに休職になった教職員数について、精神神経系疾患を理由とするものとそれ以外に分けて、校種別に、平成十三年度から平成十六年度までの四年間にわたりお示ししてございます。
四ページをお開き願います。東京都子ども読書活動推進計画の進捗状況でございます。
平成十五年三月に策定いたしましたこの計画の平成十七年度までの進捗状況につきましてお示ししてございます。
五ページをごらん願います。都内公立小中学校における消費者教育実施状況、実施例でございます。
(1)は学校における消費者教育の実施状況及び区市町村教育委員会の研修等の実施状況について、(2)は学校における実施例について、それぞれお示ししてございます。
六ページをお開き願います。人権教育推進のための調査研究事業でございます。
平成十七年度に国分寺市がモデル事業を辞退した経緯と、モデル事業を実施した他の区市の状況についてお示ししてございます。
七ページをごらん願います。男女混合名簿の実施率の推移、平成十二年度以降でございます。
都内公立学校における男女混合名簿の実施率について、調査結果を校種別にお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○村松委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
発言をお願いします。
○服部委員 今回付託されました学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例等の改正についてお伺いをさせていただきます。
学力向上策と土曜日の補習に対応する教員の勤務については、昨年ですが、平成十七年の予算特別委員会で伺いました。学力向上策としては、学力調査の実施、それに基づく授業改善推進プランなど、着実に実施をされております。
さて、平成十四年度から学校五日制が完全実施をされたわけです。ちょうどこれも一昨年になりますか、十二月に、OECDとIEAの二つの国際機関が相次いで調査結果を発表いたしまして、ここにありますように、読解力ですとか数学の応用力、こういったものが軒並み低下をしてしまったということで、各新聞でも、日本の学力の低下、そういったものが指摘されております。
昭和四十三年当時、さかのぼりますけれども、授業時間数、この辺が、小学校に入学してから中学校を卒業するまでの九年間、これで実に八百七十四時間、授業時間が減少している、こういった実態にあります。ゆとり教育といわれていますけれども、これでは保護者の間に不安があることは事実だと思います。
台東区の教育委員会は、昨年ですけれども、区の教育目標あるいは教育指針から、ゆとりある教育活動、こういう表現を削除することを決定いたしております。多くの保護者は、基礎的な学力の定着、学力の向上を願っております。
このため、学力向上を目的として、土曜日に授業を実施する都立高校とか、補習を実施する小中学校は増加しております。土曜日に行われる授業、補習は半日程度で実施されるものが多いわけですけれども、現在は、教員には、一日単位の週休日の変更しかできないので、半日単位での勤務を振りかえる制度がありません。このため、昨年の予算特別委員会の質疑をさせていただきましたけれども、当時の横山教育長から、土曜日における教員の半日単位の勤務を試行する、そういった答弁がありました。
実際、平成十七年度における半日単位勤務の試行、これはどのように行われているのか、まずお伺いをいたします。
○松田人事部長 週休日である土曜日にあらかじめ四時間の勤務時間を割り振りまして、平日に半日休ませるという勤務時間の割り振りの特例の設定についてでございますけれども、平成十七年度におきまして、区全体の施策として補習を実施する計画を有しており、試行の実施を希望いたします中央区、台東区、墨田区、江戸川区の四区において試行をしているところでございます。
具体的には、四区の小学校の五六%に当たる七十六校、中学校の六七%に当たる三十八校におきまして実施をしておりまして、実施する学校においては、特例設定を活用いたしまして、校長が年間の計画を立て、補習を担当する教員の勤務時間を、年間を通じて週四十時間となるよう割り振りまして、土曜日に勤務を命ずるという試行を行っております。
○服部委員 ただいま台東区のことを申し上げましたけれども、台東区は、基礎的あるいは基本的内容の確実な定着を図るとともに、児童生徒の興味あるいは関心に応じた発展的な学習を支援するため、教員と大学生などの指導協力者が連携をとり、すべての小学校、中学校において既に土曜スクールが開校されて、そして、個々の児童生徒にきめ細かな指導ができたなど、学力向上に着実な効果を上げており、保護者からも高い評価を得ている、そのように聞いております。
教員の勤務の面から見て、勤務時間の特例設定、この試行をどのように評価しているのか、この点についてもお伺いいたします。
○松田人事部長 試行しております四区に対しましてアンケート調査を実施した結果、土曜補習を勤務とみなし、確実に振りかえを行うことによりまして従事する教員の負担軽減が図られ、また、勤務とみなすことによりまして、特定の教員だけではなくて学校全体で取り組む体制ができたなど、校長の評価も高く、学校運営上の改善が図られたと考えております。
一方、特例設定はあくまでも特例的なものでございますので、事前に計画を整え、都と協議しなければならないなど、事務手続上の煩雑さもあるという声もございます。
○服部委員 学校週五日制への対応は区市町村によりさまざまですけれども、現在、土曜補習を実施しているのは、四区に限らず、二十九の区市町村に上ると聞いております。また、今後も土曜補習を実施する学校はますますふえる、そのように考えられます。
今年度実施しているのは都教委と個別に協議を要する特例設定であって、それもまた、実施する地区や学校を限定する試行でもあります。土曜補習などへの対応は、区市町村が主体的に対応すべきであり、教員の勤務の割り振りも含め、その体制についても、服務監督権者であります区市町村教育委員会が自主的に判断すべきものであると考えます。土曜日に半日の補習を実施し、教員に従事させることは、区市町村や校長が主体的に実施できるよう東京都全体の制度として考えるべきだと思います。
今回の条例改正はそのような趣旨を踏まえたものであると思いますけれども、いかがでしょうか。
○松田人事部長 今回の条例改正は、現在四区で行っております勤務時間割り振りの特例設定の試行におきまして、成果が上がっておりまして、特段の支障も生じていないということから、先生ご指摘のとおり、区市町村や校長が主体的に勤務時間の半日単位での割り振りをみずからの権限で行い、土曜補習などの特色ある教育活動を進めることができるよう、都として条件整備を進めるものでございます。
○服部委員 区市町村ごとに状況というのは異なっておりますし、また、学校によっても特色化を図る必要があると思います。校長の経営方針のもと、土曜日の教育活動により教員を参加させやすくなった、そのように思います。公務や出張として明確に位置づけることによって、教員も安心して勤務ができるということになります。都教委はこのような教育条件の整備をこれからもぜひ進めていただきたい、そのように要望しておきます。
ところで、先ほども答弁にありましたけれども、試行を行っている学校においては、学校の体制も改善され、校長の評判も高い、このように聞いております。しかしながら、現在、週休日の変更は前後二月の期間内に行うことになっており、小学校は学級担任制であり、中学校は部活動などがありますから、授業があって学校に児童生徒がいる平日にはなかなか振りかえの休みがとれないという声も聞きます。
そこで、前後二月を延ばして夏休みなど長期休業期間にかかるようにしてはどうか、このように考えますが、いかがでしょうか。
○松田人事部長 ご指摘のような前後二月では変更が難しいという現状については私ども認識してございまして、また実際、実施前よりも実施後に振りかえた方が精神的に楽だという声もございまして、今回の条例改正に合わせて条例の施行規則を改正いたしまして、週休日の変更及び半日勤務時間の割り振り変更の期間を前二月、後ろ四月といたしまして、後ろを二月延長する予定でございます。
このことによりまして、四月に週休日勤務を命ずる場合でも夏季休業期間への変更が可能となりまして、計画的な週休日の振りかえを確実に行うことができると考えております。
また、半日勤務二回で一日の週休日として休むことができるなど、柔軟な対応が可能となると考えております。
○服部委員 現在、長期休業期間にも会議や部活動があり、日数の制限はあるでしょうが、少なくとも学期中に比べれば休みもとりやすい、ぜひそのような柔軟な対応をお願いしたい、そのように思います。
ところで、土曜日に行われる学校の教育活動は、補習だけでなく、授業参観あるいは学校公開、部活動など、これまでもさまざまな活動が行われてきております。また、週休日にはさまざまな地域活動も行われており、学校の参加も盛んに行われております。また、土曜日、日曜日には学校の行事に地域の方々あるいは保護者が参加しやすいといわれています。今後ますます土曜日に教育活動を行う機会はふえてくるのではないでしょうか。
今回の改正により可能となる半日勤務時間の割り振り変更の対象業務は、補習だけでなく、これまでも学校で行われている部活動など、さまざまな業種が対象となると考えますが、いかがでしょうか。
○松田人事部長 ご指摘のとおり、これまでも、学校の計画に基づき行われ、児童生徒が参加する授業参観、あるいは学校公開などの学校行事や部活動の公式戦などは、週休日の変更の対象としておりまして、これからはこれらの業務についても、半日単位で実施した場合には勤務時間を割り振ることが可能となります。また、半日程度で行われる地域行事等への学校としての参加もふえることが考えられまして、開かれた学校づくりにも寄与できると考えております。
なお、週休日に行われる部活動の取り扱いにつきましては、部活動基本問題検討委員会の報告も踏まえまして、勤務として扱うよう検討を進めているところでございます。
また、平成十九年度より都立高校で必修となります奉仕体験活動につきましても、半日勤務時間の割り振り変更の制度を活用することができると考えております。
○服部委員 今まで松田人事部長の答弁をお伺いしてまいりましたが、今回の週休日に勤務した教員の処遇の改善、これは評価いたします。今後、補習や奉仕体験活動など、学校に求められるものも時代とともに変化し、ますます多様化することが考えられます。教員の勤務形態は一般の公務員と異なり制約がありますが、教員がさまざまな形態の教育活動に柔軟に対応できるような制度も必要だと思います。
今後とも、都教委が区市町村教育委員会や学校現場の取り組みを支援できるように要望して、終わります。
○伊藤委員 それでは、大きく五点に分けて質疑を順次させていただきたいというふうに思います。
まず、一点目ですけれども、都立高校の国際交流についてお伺いをしたいというふうに思っています。
最近は、総合学習の時間ができたりと、これまで以上に国際交流に、あるいは他国の社会情勢などを学ぶ機会というものがふえてきたというふうに思います。これは高校のみならず小中学校でも同様ですけれども、きょうは、とりわけ高校について質疑をさせていただければというふうに思っております。
これまで国際交流というと、イメージ的にも、例えば交換留学生のような形で、アメリカなどが主に、アメリカ人のお子さんがこっちに来て、こっちのお子さんがアメリカに行ってというようなことで、語学などを中心とした教育というのが盛んに行われていたと思いますけれども、今後は、日本を取り巻く環境、特にアジアの中の日本、そうした立場というのも非常に大きくなってきていて、周辺国のことを学びましょう、そういう環境も最近は広がってきていると思います。
そういう意味でいうと、これまでとはまた違った国際交流のあり方が求められているというふうに思いますけれども、現状の都立高校の国際交流について、まずはお伺いいたします。
○井出指導部長 国際交流活動を通し、都立高校生は、外国の文化や生活等について学び、自己表現力やコミュニケーション能力など、国際社会に生きる資質能力を伸長させてきております。
平成十七年度には、姉妹校交流を実施している都立高校は九校、また、外国からの短期留学生の受け入れを十六校、海外語学研修を十四校、海外修学旅行を三校が行うなど、学校の実態に応じて国際交流を進めてございます。
また、さまざまな国際交流に関する団体と連携しながら、延べ数で二十五校の都立高校が外国の生徒や教育関係者等の学校訪問を受け入れております。それぞれの学校においては、外国の生徒が授業や部活動に参加したり、交流会でお互いの高校生活や文化を紹介し合ったりするなどの交流活動を行っております。
○伊藤委員 今ご報告をいただいたとおり、特に語学研修というのが多いのかなというふうに思います。また、外国からの短期留学生の受け入れ。大体お話を伺うと、英語圏の方々が多いようなんですけれども、先ほど申し上げたような環境、日本の置かれている現状の中で、国際交流の進め方について、今後はどのような国際交流のあり方を求めていかれるのか、その点についてお答えください。
○井出指導部長 東京は、日本と諸外国の文化が解け合い、だれもが多様な文化や芸術に接することのできる世界にもたぐいまれな国際都市でございます。国際交流を進める上では大変有利であるというふうに考えます。
今後とも、このような東京の利点を各学校が生かし、在外公館や関係機関と連携するなど、学校の特色に応じて、英語圏ばかりでなく、さまざまな国々と多様な国際交流を進めていけるよう、国際理解教育推進という観点からも各学校を支援してまいります。
○伊藤委員 ぜひお願いします。
これまでは、特に戦後、アメリカと友好関係を築く中で経済発展してきたということがあると思いますけれども、二十一世紀はまさにアジアの世紀と呼ばれて、ベトナムの労働力が日本にかなり入ってきていたり、あるいは中国に工場が出てきたり、インドなども今後は人口面で恐らく世界一になるだろうというようなこともいわれています。そのときに、アジアに嫌われる日本になってしまってはいけないんだろう。むしろ、高校生、若い時代からお互いにそういう人的交流がなされるということが非常に大事だというふうに思います。
ところが、どうしても語学の問題があって、これまでは英語中心にやってまいりましたから、アジアの中では特に英語を使われている国というのはそんなに多くありません。人口でいえば、多分最も少ない方に入ってくるんだろうと思います。ですから、必ずしも語学だけの習得のための国際交流ではなくて、できるだけ若いうちからアジアの人たちと触れ合う機会、特に、まだ日本というのは、経済的にもアジアを見渡せば本当に先進をしている、あこがれられている国であるというふうに思います。
私、余談ですけれども、去年カンボジアに行ってまいりまして、本当に貧しい国というのを見てきました。ただ、カンボジアは大変貧しいんですけれども、日本に対しては非常に友好的な国でございまして、何が一番友好的かといいますと、あそこにはアンコールワットがあって、最大の観光ビジネスになっていますけれども、実はあの修復をしているのは日本なんです。日本とドイツが一番お金を出して修復作業をされている。ですから、そういうことをよく彼らも知っていて、観光ビジネスの立国ですから、そういう意味では日本に対しては非常にいい思いを持っています。
ただ、残念ながら、じゃ、どれほどの子どもたちがカンボジアの現状を知っているかというと、それはまた全然違う。お金だけは出ているけれども、人的交流が少ないのかなと思います。
そこで、日本財団という多分日本でも一番大きな財団だと思いますけれども、そこの外郭財団としてAEFA、アジア教育友好協会というのがございます。
私も最近、実はこの活動内容を知ったんですけれども、大変おもしろいなと思ったのは、ベトナムやタイなどに学校を建設する支援をされています。今まででいえば、経済援助みたいな形で、ODAのような形で、お金だけ出しているという形で日本は応援をされてきたかもしれませんが、ここはそうではなくて、小学校をつくるときに、二、三百万円、財団が最初はお金を出しますよと。ただ、その後もずっとお金を出し続けるというのではなしに、その地域の人たちが今後学校を運営できるようなお手伝いをする。しかも、日本からそれが今どういう状況になっているのかをウオッチできるように、日本の中学校や高校に、その新しくつくった学校と連携をしてフレンドシップの学校になってもらって、そして、定期的に、建設された学校がどういうふうに運営されているのかということを、子どもたちが連絡をとり合うことで把握をしていく。そして、例えば運営費用が、どうしてもお金が足りないんだといったときには、日本の子どもたちが、これはたしか横浜の高校の事例だったと思いますけれども、バザーを行って、高校で売ったもの、バザーで利益を出したものをフレンドシップになっているタイやベトナムの学校に送ってあげるというような交流活動をしています。
大変おもしろいなと思ったのは、そうすることで、まさに今、これから発展をしていくアジアの現状というのもわかりますし、日本がある意味ではどれだけ恵まれているかということも、逆にいえば実感できるのかなということを感心して見させていただいたというところでございます。
そこで、こうしたNPO団体などと連携をして、今後、都立工業高校あるいは商業高校などでつくったものを外国の小中学校などに送る交流活動というものがこれからあってもいいのではないかなというふうに思いますけれども、教育委員会のご所見をお伺いします。
○井出指導部長 お話しの高校の交流活動でございますが、既に都立多摩工業高校におきましては、学校で学んだ技術や技能を生かしまして、廃品同様の車いすを無償で修理して、東南アジア諸国に送るといった交流を進めているところでございます。
今後とも、こうした都立高校における国際交流を積極的に進めていくために、各学校の実態に応じて、ご紹介のようなNPOなどの支援団体との連携を推進していくよう指導してまいります。
○伊藤委員 ぜひ、さまざまな事例というものを情報収集していただいて、また新しい、こういう展開の国際交流をやっていただければというふうに思います。
次に、東京都交響楽団についてお伺いをいたしたいと思います。
これは生活文化局の方に移管をされていくということですけれども、現状所管であります東京都教育庁の方にお伺いをしてまいりたいというふうに思います。
東京都交響楽団については、私自身も、パンフレットを見させていただいたり、どんな活動をしているかということを見させていただきました。また、議場でも大変すばらしい演奏を開会日に当たっては聞かせていただいております。
ただ、我々にとってはそういう意味では大変親しみやすいというか、議場で聞く機会がありますからいいんですけれども、しかし今後、都響のあり方として、大変裕福な方々のオーケストラというだけではなくて、公共的な活動、パブリックな活動というのもぜひ積極的に進めていただければなというふうに思っております。
音楽はとりわけ人の心をいやしていきますし、心が荒廃しているのは、どちらかというと、お金を持っていて時間があってという方よりも子どもたちの方だったり、あるいは、行き場を失っていて、渋谷や新宿で今たむろってしまっているような子どもたちにこそこういうものを聞かせて、心のまさにゆとりというものを与えてあげてほしいなというふうに思うんですけれども、まず、今行われている青少年に対する活動についてお伺いしたいと思います。
○山川生涯学習スポーツ部長 都響では、小中学生を対象にいたしました音楽鑑賞教室、家族で楽しめるファミリーコンサート、楽員が小中高校生に演奏を指導し、合同演奏を行います都響とティーンズのためのジョイントコンサート、地元であります台東区内の小学校との音楽アーチスト交流教室など、青少年に対するさまざまな活動を行っているところでございます。
この中でも、マエストロ・ビジットは、ジェイムズ・デプリースト氏が常任指揮者に就任して開始した事業でございまして、小中学校を直接訪問して子どもたちとの対話を行う特別授業でございまして、単にクラシックに対する興味や関心を呼び起こすだけでなく、デプリースト氏の生き方からも何かを学ぶという意味で多くの人の賛同を得ておりまして、毎回新聞でも取り上げられるなど、注目を集めている事業でございます。
また、リハーサルの公開や東京文化会館で行うティータイムコンサートなど、都民の方々の身近で行う小規模演奏会なども実施し、毎回満員で好評を博していると聞いております。
○伊藤委員 私、実はそれを伺うまで知らなくて、不勉強だったなというふうに思ったんですけれども、大変、そういうことでいうと、最近なのかもしれませんけれども、こういうことが積極的に行われるようになってきたのかなというふうに思います。
実は、このきっかけになったのが「ベルリン・フィルと子どもたち」、これは映画にもなったりいたしましたけれども、ベルリンフィルの一つの試みなんですけれども、ご存じのとおり名門のベルリンフィル管弦楽団が、その監督兼首席指揮者に就任したサイモン・ラトル氏によって大プロジェクトを始められた。
その大プロジェクトは何かというと、オーケストラが演奏するストラビンスキーのバレエ曲「春の祭典」に合わせて、それまでダンス経験のない二百五十人の子どもたちが踊るという教育プログラムを行いました。すなわち、東西のドイツの合併によって貧しい子どもたちが特にドイツにはかなり多く発生をしていて、それが今、職にもつけずという環境にあってすさんでいた。その子どもたちを一手に集めて、ダンスの経験がないにもかかわらず、オーケストラとダンスのいわばコラボレーションというものをやってみようということでおやりになられた例でございます。
特にこの映画は、映画として撮ったのではなくて、ドキュメントとしてその当時のものを映像として、これはもう今DVDになって借りることもできますので、ぜひ見ていただければと思いますが、私も見させていただきました。
もちろん、振りつけ師のロイストンさんというのが特別なマンパワーを持っておりまして、不良少年たちを集めてきて、振りつけを教えるといって、それでオーケストラとコラボレーションするといっても、なかなかそれは簡単にできることじゃないと思いますけれども、しかし、事実としておやりになられているところがあって、たしか一カ月ぐらいだったですか、徹底的な短期特訓を行って見事オーケストラとの演奏というものをされるという映像なんですが、終わった後の子どもたちが本当に生き生きしていまして、自信がついたということをいわれていました。
ですから、東京都交響楽団も、ぜひ、そういうあり方というものを一つの参考にしていただけたらなというふうに思ったんですけれども、こうしたベルリンフィルの取り組みについてどういうふうにお考えになられるか、お答えいただけますか。
○山川生涯学習スポーツ部長 ただいま委員の方からお話がございましたベルリンフィルの教育プログラムにつきましては、大変残念ながら、現在私は承知しておりません。今後、そのDVDをぜひ見てみたいというふうに考えております。
ただ、今委員のお話を伺いまして、音楽やダンスを通し子どもたちが成長したという点で、音楽が子どもたちの心に及ぼす影響ははかり知れないものがあるというふうに考えております。
○伊藤委員 四千円ぐらいで売っていますから。貸し出しも多分新宿のツタヤでできると思いますので、ぜひごらんください。
そこで、DVの被害に遭った児童生徒の心のケアとか、あるいは、これはベルリンフィルじゃなかったかもしれませんが、私がどこかで聞いたのは、やっぱりこういう楽団が少年院やあるいは刑務所に行って、特にそこで希望を見失っている子どもたちに演奏を聞かせてあげて、一つの夢を与えてあげるということもやっているところがあるそうですけれども、こういう活動というものを今後ぜひ展開していただければというふうに思うんですけれども、この点についてはどうでしょうか。
○山川生涯学習スポーツ部長 先ほどもお話し申し上げましたように、都響では青少年の情操教育に役立つ取り組みを積極的に行い、クラシック音楽やオーケストラへの理解と関心を高めているところでございます。
今後、子どもたちが音楽を通して健全に育つための取り組みを拡充することや、都響が行っている青少年を対象とした活動の充実や、子どもたちの心のケアを念頭に置いたコンサートの企画などを行うよう、都響に働きかけてまいります。
○伊藤委員 ぜひ、都民にとっての、あるいは国民にとっての都響であるというふうに思いますので、大いに公共的な活動に従事していただけるようにお願いを申し上げたいと思います。
次に、全然話題は変わるんですけれども、学校の教職員の方々の文書管理、電子情報管理についてお伺いをしていきたいなというふうに思っています。
つい最近も、パソコンを自宅に持ち帰って、そのままパソコンごとなくしてしまった。そのパソコンに入っている情報ごと、情報漏えいというんでしょうか、してしまったというのが何かの新聞に出ていたと思います。それも私、びっくりしたんですけれども、余りそういう方は多くないとは思いますけれども、しかし、学校現場の現状といえば、職員室だけでは仕事が終わらないというのも実態なのかなというふうに思います。
そこで、まず第一点目に伺いたいんですけれども、学校の教職員が自宅に業務を持ち帰って勤務を行うために公文書などを紛失するなどしてしまっていると思いますが、教員が問題作成や採点などの成績処理業務を行うことについて禁止している具体的な規定というのはどこかにあるんでしょうか。
○齊藤学務部長 平成十七年四月一日より東京都個人情報の保護に関する条例が一部改正されまして、罰則規定が設けられるなど、個人情報に係る公文書等の管理につきましては、従来にも増して適切な対応が求められております。
この条例に照らして、教員が生徒の成績に関する情報などの個人情報を自宅に持ち帰ることは、一般的に妥当でないというふうに考えております。
○伊藤委員 一般的に妥当でないということですけれども、具体的に、理念的なことよりも、これは持って帰っていいけれども、これは持って帰っちゃだめだよというような通知というものがあってしかるべきなんだろうと思いますけれども、電子情報化された個人情報を教職員の自宅など学校外に持ち出さないための通達というものを東京都教育委員会として出されているのか、お伺いします。
○齊藤学務部長 平成十七年九月に東京都教育委員会個人情報事務取扱要綱を策定いたしまして、固有個人情報の機器や媒体の外部持ち出しがないよう個人情報を適正に管理することといたしまして、電子情報の外部持ち出しを禁じております。
また、教職員の服務の厳正についての服務通達におきまして、USBフラッシュメモリーを具体的に取り上げまして、電子情報化された個人情報も厳正な管理を行い、学校から持ち出さないようにする必要があるといたしまして、電子情報化された個人情報を学校外に持ち出さないように定めてございます。
○伊藤委員 実は、この質疑をさせていただくのに当たって、私は、全部持ち出すなということを申し上げるつもりは全くありませんで、事実、今の学校現場で、全部職員室の中で業務が終了するほど、それぞれの先生の抱えている仕事は小さくないというふうに思います。ですから、家でやりたいと思われている方もいらっしゃる。
当然、ここには、今答弁にあったように、基本的には持ち出しちゃだめなんですよ、個人情報というのは、ほぼ、これでいうところのフラッシュメモリーを初めすべてにひっかかるんですよというような形で、これはいいけれども、これはだめだよというような規定は特になされていないというふうに伺っています。
ですから、逆にいうと、ある種、東京都教育委員会としても、持ち帰っているだろうなと思いながらも、それを是認はできないという環境になっていて、学校の先生の側も、ある程度暗黙の了解で認めてもらっているんだろうなと思う中で、だからこそ、具体的な規定がないというふうになってしまっているというふうに思います。
ごみの仕分けでも、当然仕分けてくださいねといっていても、どういうふうに仕分けていいかわからない。具体的に、これはここですよ、これはこっちですよというふうにやってあげないと混乱があるんだろうというふうに思います。
ですから、個人情報にひっかからない範囲のことというのは、家でやれることも私はあると思います。生活にかかわったり成績にかかわるものは、これは当然そういう形でできないというふうに思いますけれども、例えば、それこそ学校の授業で使う資料づくりなどは、自宅でもコンピューター片手にできるんだろうというふうに思いますから、どこまでが大丈夫で、どこから先はだめなのかという一つの具体的な指針をつくってあげないと、お互いなし崩し的になってしまっているんじゃないかなという懸念を持っておりますので、学校現場の実態に即して個人情報の保護に配慮するべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○齊藤学務部長 東京都教育委員会では、東京都個人情報の保護に関する条例を遵守いたしまして、職員に対する個人情報の収集、管理及び利用、提供に関する制限などの意識啓発を図るとともに、事務処理上の改善を進めているところでございまして、現在、各部、課ごとに、職場の実態に応じた個人情報安全管理基準を定める作業を進めてございます。
各都立学校に対しましては、新たに定める個人情報安全管理基準を踏まえまして、学校現場の教員の勤務実態に配慮しつつ、持ち出し禁止の文書を明確にするなど、具体的に必要な指導を行ってまいります。
○伊藤委員 ぜひ、具体的な指導というものをすることによって、皆さん安心して、自宅で仕事をすることはお勧めできませんけれども、できるようにしていただければなというふうに思います。
次に、図書の購入費についてお伺いをしていきたいと思います。
国の調査でも東京都の調査でも、読書率、子どもの読書というものがダイレクトに学力にはね返ってきているというのはもう証明済みだというふうに思いますので、その点については割愛いたしますけれども、まずお伺いしたいのは、東京都立高校の図書購入費用の変遷について、平成十二年と平成十六年度分でお答えいただけますか。
○齊藤学務部長 平成十六年度でございますけれども、二百一校で総額二億二千九百八十八万五千円、一校当たりに直しますと百十四万三千円。平成十二年度は、二百十四校で総額三億四千二百八十万四千円、一校当たり百六十万一千円となってございます。
○伊藤委員 都立高校ではどのような方法によって学校図書館の購入図書が選定されているのか、お伺いします。
○井出指導部長 都立高校では、生徒や教員の希望も踏まえ、司書教諭や学校図書館担当者などで構成する図書選定委員会等において作成した資料をもとに、校長が購入図書を決定しております。
○伊藤委員 都立高校の学校図書館がさらに有効に活用されるように、東京都教育委員会として、今、どういう図書を買っていて、あるいは、どの程度図書館というものが積極的に活用してもらっているのかということを把握されたらどうかなというふうに思いますけれども、見解はいかがでしょうか。
○井出指導部長 都教育委員会では、毎年度、学校における読書活動等に関する調査を全都立高校を対象に実施し、学校図書館の活用状況や読書活動の実態について把握をしているところでございます。
今後とも、調査結果をもとに、すぐれた実践事例を紹介するなどして、学校図書館の有効活用を図ってまいります。
○伊藤委員 次に、高校の図書館のデータベース化についてお伺いしたいというふうに思います。
本はいっぱいあるけれども検索機能がないと、どうしてもすぐにぱっと出てこないというふうに思いますから、この点のデータベース化率について教えてください。
○齊藤学務部長 都立高校二百三校のうち、平成十七年五月現在、図書館蔵書のデータベース化が一〇〇%終了している学校は二十七校、五〇%超の蔵書のデータベース化を進めている学校が二十二校、五〇%未満が三十七校となっておりまして、都立高校全体で四二%、八十六校でデータベース化を行ってございます。
○伊藤委員 つまり、一〇〇%データベース化が終わった学校というのはまだ二十七校しかないわけでして、二百三校全体でありますから、大体一割ぐらいということになるんでしょうか。全くやっていない学校というのもあるということです。
今、大体、本屋さんに行っても、何か探したい本があると、聞くよりも検索をかけて探しちゃった方が意外と早かったりしますので、多分、これからの子どもたちというのは、むしろそちらの方になれていたりするんだろうというふうに思います。昔ながらのカードで探すのは、僕もやったことがありますけれども、なかなか難儀でして、その本にたどり着かなかったり、キーワードでなかなか出せないですから難しいのかなと思うんですけれども、こうした電算化、データベース化を進めるための施策を今後実施するべきではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○齊藤学務部長 都立高校図書館では、先ほど申し上げましたように、四二%の学校で図書館のデータベース化に着手しておりまして、都教育委員会としても、こうしたデータベース化が図書館の有効利用に資するものであるというふうに考えてございます。
都立学校では、平成十五年度より、画一的な予算制度が見直されまして、柔軟な対応を可能とする自律経営推進予算の制度が導入されてございます。学校長の裁量によりまして学校の実態に応じた予算執行が可能となり、図書館の電算化につきましても、校長の経営方針に即して主体的に取り組むことができるようになってございます。
都教育委員会としては、こうした取り組みを通じて学校図書館のデータベース化への支援を行ってまいります。
○伊藤委員 先般伺ったときの記憶が間違っていなければ、各高校とも大体二万冊ぐらい蔵書があるというふうにいわれていたかなというふうに思います。
この間、ある学校の調査票というのがあって、たしか一年間で百万円ぐらい使って買う。こんなに厚いんですけれども、これだけの量になるわけです。これだけ買うというのはすごいなと思って、もうちょっと使っておけばよかったと思いましたけれども、いずれにせよ相当な財産になっていると思うんですけれども、これは当然、各校それぞれで、そのときに応じた必要な本を買われている。ですから、商業高校、私、見ましたけれども、やっぱり少し専門的なものが多かったり、一般の高校よりもちょっとまた違うものを買っているな、おもしろいなと思ったんです。
何がいいたかったかというと、最近、例えば目黒区の公立の図書館なんかも、一つの図書館で全部の本をそろえるのではなくて、それぞれの図書館の強さ、弱さがあって、それがネットワークで結ばれていて、例えば、この図書館になくても隣の図書館に行くとありますよと教えてくれたりいたします。本当に大変便利でございまして、現状はデータベース化もされていない学校があるということで、全部がネットワークされていないと思いますけれども、特に調べ学習のときなんていうのは、必ずしもその瞬間に手元になくても、隣の高校に行けばあるよというのがわかれば、大変有効的に本というものが活用できるんじゃないかなというふうに思うわけです。
ですから、お金をかけてネットワークを全部整備する必要は全くないと思いますけれども、それぞれの学校で、少なくとも、どの本があるのかないのかがすぐわかるようになっていれば、それが蓄積をされていれば、この本がどこかにないかなと探したときに、何々高校に行くとあるよという情報さえ出てくれば、そこにお願いをして例えば送ってもらうとか、あるいは自分で借りに行くとか、つまり、都立高校同士のネットワーク化というのは非常に私は有効に機能すると思うんですけれども、そういう観点から、学校間のネットワークを活用するべきだと思いますけれども、また図書館の電算化を進めるべきだと思いますけれども、いかがですか。
○齊藤学務部長 都立高校図書館のネットワーク化でございますけれども、生徒の図書利用を促進し、図書館図書の有効活用を図る上で効果が上がるというふうに考えております。
他県の公立学校図書館のネットワークの状況、それから、公立図書館との連携の取り組み等についても参考にしながら、各学校のデータベース化の進捗状況に合わせて、学校間ネットワークについても今後検討してまいります。
○伊藤委員 ぜひ、ネットワーク化を今後検討していただいて、逆にいうと、むだに重複して買わなくて済むようになるかもしれませんから、お願いをできればなというふうに思います。
続いて、学校の耐震化についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
もういうまでもありませんが、九五年の阪神・淡路大震災以来、耐震化という問題が大変な関心になっていて、かつ、先般の姉歯物件といわれる建物についての、日本の建物に対する不信感というものが、都民のみならず国民にも広がっているというふうに思います。耐震化という言葉自体、私も最近まで余り意識をしたことがありませんでしたけれども、しかし、とりわけて防災の拠点になる場所での耐震というのは、当然多くの方々の関心事だというふうにも思っております。
まず最初にお伺いをしたいんですけれども、都立学校及び区立小中学校施設は災害時にどんな役割を発揮するべきだというふうに思っていらっしゃるか、東京都教育委員会の考えをお聞かせください。
○齊藤学務部長 各区市町村ではそれぞれの地域防災計画がございますけれども、これにおきまして、その設置する小中学校の多くを避難所として位置づけてございます。
一方、都立高校につきましても、約七割の高校が区市町村からの要請に基づきまして、当該区市町村の地域防災計画におきまして避難所の指定を受けてございます。
○伊藤委員 今お話にあったとおり、ほとんどの学校が避難所として位置づけをされているということですから、震災における小中学校の役割の大きさというものがあろうかというふうに思いますが、まず、その点を踏まえた上で都立高校の耐震化率についてお伺いをいたします。
○齊藤学務部長 都立高校の耐震化率でございますけれども、平成十七年四月一日現在で七八・五%となってございます。
○伊藤委員 都立高校が七八・五%であることはわかりました。
続いて、区立小中学校の耐震化率並びに全国の耐震化率の平均、そして、東京都の四十七都道府県の中での順位について教えてください。
○齊藤学務部長 区立の小中学校の耐震化率でございますけれども、平成十七年四月一日現在、小中学校ともに六九・二%となってございます。また、同じく平成十七年四月一日現在で、全国の小中学校の耐震化率五一・八%であるのに対しまして、東京都の公立小中学校全体の耐震化率は六四%でございまして、全国七位となってございます。
○伊藤委員 全国七位ということですから、都道府県の中でも上の方にランキングをされていることがわかるんですけれども、それはしかし、あくまで一〇〇%になっているわけじゃありませんし、今答弁のとおり、区立の小中学校に関していえば六九・二%、東京都、市町村全部入れても六四%ですから、まだあと三〇%弱のところが耐震化されていない。
一方で、これは政府の中央防災会議ですけれども、二〇〇五年の三月にまとめた地震防災戦略の中では、全国の耐震化率を現在の約七五%から今後九〇%まで高めるんだという方針を打ち出した。これは、小中学校のみならず、ほかの建物に関しても当てはめていっていることでありますけれども、ですから、当然、今後大きなテーマになってくるのはその財源の問題、果たしてだれがどういう形でお金を出していくのかということになると思いますが、都立高校の場合は非常にわかりやすくて、東京都が出していますよということだと思いますが、区立の小中学校の場合、基本的には所管というのが区の所管になるわけですが、しかし、耐震診断の経費についてはだれが負担をしているのか教えてください。
○齊藤学務部長 区市町村立学校の耐震診断に要する経費でございますが、設置者である区市町村が負担するものでございます。
なお、国におきましては、地震補強等の工事を行う際の耐震診断経費につきまして、一定の条件に合致する場合には国の助成制度の対象としてございます。
具体的には、本年度までの現行制度の中でございますけれども、地震防災対策特別措置法による地震防災緊急事業五カ年計画、これに計上されました補強工事に係る耐震診断につきましては、計画期間内に実施した診断の経費の二分の一を、その他の国庫補助事業の補強工事等に係る耐震診断につきましては、工事を行う年度の前々年度以降に行った診断の経費の三分の一を国が補助する仕組みとなってございます。
○伊藤委員 後で今のご報告を踏まえた上での提案なりはさせていただきますが、まず先にお伺いしたいのは、耐震診断、耐震化されたといわれる学校ですけれども、こうした診断そのものは、どのような機関がどのような診断基準で行っているんでしょうか。
○齊藤学務部長 耐震診断は、一般的には、設計事務所が算定したものを公的機関が評定する流れで行ってございます。
耐震診断の基準としては、平成七年に制定されました建築物の耐震改修の促進に関する法律、これに基づく指針によりまして、構造耐震指標であるIs値と保有水平耐力に係る指標でございますq値により判定することといたしてございます。この指針におきまして、Is値の目標値は〇・六以上、q値は一・〇以上と規定されてございます。
○伊藤委員 すなわち、建築物の耐震改修の促進に関する法律、その指針に基づいて、Is値が〇・六以上であれば耐震化されているというふうにみなされているということだというふうに思います。
そこで、先ほどの議論に少し戻って、高校の場合はもう既に七八・五%の耐震化がされています。一方で、小中学校は先ほど申し上げたようにまだ六〇%台です。ただ、最初の質問のときにお伺いしたように、どちらも災害時における避難所としての役割が期待されているにもかかわらず、平均値自体が大きく違ってきてしまっているということについて、東京都教育委員会はどのようにお考えになっているか、お答えください。
○齊藤学務部長 学校施設の整備につきましては、避難所としての役割以上に、児童生徒の教育環境、それから安全という観点から設置者の重要な責務であるというふうに考えております。
都立高校につきましては、耐震診断調査の結果、補強が必要な学校につきましては、平成十五年度に耐震補強計画を策定いたしまして、改築や大規模改修とあわせて実施する学校を除きまして、平成十八年度までに完了するよう着実に実施してございます。
一方、区市町村立小中学校の耐震補強や老朽校舎の改築等につきましては、設置者である区市町村において、国の助成制度も活用しつつ対応すべきものというふうに考えてございます。
○伊藤委員 つまり、今の答弁にもあったとおり、都立高校については責任を持って平成十八年までに完了をさせます、これはわかりやすくて安心できる答弁なんですけれども、一方で、区市町村立小中学校については、設置者である区市町村で対応されるべきだというお話を今されました。
当然、これは三税の問題も出てまいりますから、ひとしく市町村と区の問題とをごっちゃにして議論はできないと思いますけれども、特に私、今回、区の件について調べさせていただいているのは、これは算定基準の中に、都区財調の中でどれだけ改修費用に充てるべきかという議論があって、その基準に基づいてそれぞれの区に対して財政調整で交付されているお金があるんだろうと思います。
しかし、一方で、都区財政調整の今の検討の中でも出てきていますけれども、当然、改修をするためにはお金が必要で、区の側の試算では、これは一千百二十五億円ぐらい年間で見てもらわないと、東京都から算定をしてもらわないと、区だけの財源ではできませんよということをいわれている一方で、現状、都区財調の中で、その算定の金額として単年度は二百八十億円しかされていないということで、大きく八百億円ぐらいの開きがあって、この開きによって、それぞれの区も、これはなかなか改築できないじゃないかと。
また、耐震化率だけの問題をこれまで議論してまいりましたけれども、耐震化率というのはあくまで耐震補強をしたというだけであって、戦後に建てられた校舎はもう五十年ぐらいたつわけですから、これはどう考えても、建物として、ただはりを入れれば済むという問題ではないわけですから、長期的に財政というものについても、東京都としてやっぱりここは一定の責任を持っていく立場にあるというふうに私は思っていますけれども、このような学校施設の改築経費に関する都区財調の現状について、東京都教育委員会はどのようにお考えになられているのか、お伺いします。
○齊藤学務部長 都区財調につきましては総務局が担当しているものでございますけれども、都教育委員会といたしましては、さきの都区協議の結果、平成十八年度から改築経費の算定を充実することで合意が図られたというふうに聞いてございます。
都区財調の小中学校改築経費につきましては、今後とも、区との協議により適切な算定が行われていくものと認識してございます。
○伊藤委員 改築経費の算定を充実することで合意は得られたというふうに私も伺っていますけれども、その金額については全く合意に至っていないというのが現状だというふうに思います。
これは大変複雑な話になっていて、都区間の問題は、今現状、財務局を中心として検討が進められている、交渉が進められているというふうに思っておりますけれども、しかし、耐震化率の問題は、これは財務局の所管ではなくてやっぱり東京都教育委員会の所管であって、東京都教育委員会側から、これを進めてもらうためにはお金をつけなきゃいけないんだという方針をしっかり庁内で財務局に伝えていただかない限り、この問題というのは進まないというふうに思います。財務局の立場は、当然、今のパーセンテージ比率を守っていこうという立場でありますから、そこは東京都庁として東京都教育委員会から財務局にそういう要望をしっかりやっていただいて、その上での都区交渉というものをしていただきたいというふうに思っています。
そこで、まず、現状、各区によって耐震化率というものがどれぐらい違うのか。今のお話ですと、基本的には区の方に耐震はお任せをするんだ、国の補助をもらいながら進めてもらうようにいっているんだというお話でしたけれども、平均としては先ほどご答弁いただきましたが、それぞれによってこれだけ違うということをまず解説を申し上げたいと思います。
(パネルを示す)ここにパネルを用意させていただきましたけれども、この縦の棒グラフはパーセントをあらわしております。一番下がゼロ%、そして一番上が一〇〇%になっています。これが各区の耐震化率の現状でございます。中には二〇%程度のところもあれば、大田区は、九五年の震災を受けて、この十年間で、三〇%から一〇〇%に予算を徹底的に最優先して対応してきたというのが実績としてあらわれています。
この調査自体は、こういう調査票ですべての区に問い合わせをいたしまして、担当者から集計を得てつくらせていただいた表でございます。この調査票自体は国が行っている調査と全く同じものでございますので、その同じ欄と同じ質問項目をつくらせていただきました。
その結果として出てきたのが、おっしゃられた耐震化率の平均に関しては同じような数字でありましたけれども、恐らくこうした各区の耐震化率というのを出されたことは今までないというふうに思いますけれども、このような耐震化率を、改めてお伺いしますが、東京都として、それぞれの区、こういう現状なんだということをこれまで把握してきたのかどうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
○齊藤学務部長 文部科学省が毎年、四月一日現在で公立小中学校の耐震改修状況に関する全国調査を実施しておりまして、都教育委員会では、文部科学省からの依頼に基づきましてこの調査を実施し、集計する過程におきまして、各区市町村ごとの学校施設の耐震化に関するデータは把握してございます。
○伊藤委員 耐震化データは把握をされている。ですから、今みたいな表というものを東京都教育委員会として持っているということでよろしいですか。もう一回確認で。
○齊藤学務部長 先ほど申し上げましたように、調査を実施する過程におきましてデータは把握してございます。
○伊藤委員 ある新聞記事ですけれども、紹介させていただきたいと思います。
七万人以上の死者が出た昨年十月のパキスタンの北部地震、特に衝撃だったのは、一カ所で数百人も犠牲になった小中学校の校舎が崩壊する現場だったというふうに書いてあります。
そこで、日本建築防災協会の岡田恒男理事長は、子どもたちが日中の大半を過ごす学校の耐震診断や、あるいは耐震改修は一刻も早く進めなければならないと専門家の立場から警告をされている。この次が大変大事なんですが、不安をあおるとして学校の耐震性を公表していない自治体が多いが、おくれている施設の名前が公表されれば、対策を早くという声が上がり、地域の耐震化促進の援軍になるはずだ。ですから、公表することこそが何よりも耐震化を進める最大のポイントなんだということがここで書いてあります。
それに基づいて、例えば静岡県ではこの公表に踏み切りまして、各市町村別の耐震化率というものを昨年の二月に公表するというふうに計画を出しました。
ですから、私も今回あえてこの数字をそれぞれ出させていただきましたけれども、当然ショッキングな部分もあると思います。ですが、こういうものを出していただいて、今後、積極的にそれぞれの市町村に耐震化を促していくというのは、当然これは東京都としての責務だというふうに思いますけれども、この点について教育長の見解をお伺いします。
○中村教育長 今ご指摘のように、今までは国も東京都も区市町村別は公表していなかったという状況にございます。文部科学省は、これから実施いたします平成十八年四月一日現在、間もなくでございますけれども、これの公立小中学校施設の耐震改修状況に関する全国調査、これは毎年やっているものでございますけれども、この調査におきましては、区市町村別に結果を公表するというふうに聞いております。
したがいまして、東京都といたしましても、文部科学省の依頼に基づく調査に当たっては、区市町村別に公表するということを前提に、区市町村の理解と協力を得ながら本調査を実施してまいります。
○伊藤委員 これまではデータを把握していたけども公表をしていなかった。しかし、きょうの朝刊にも載っていますが、たまたまきょうになりましたけれども、市町村別に公表するんだということを国が定めた。それに基づいて、東京都としてもこれからは積極的に公表をされるということですけれども、教育長に改めてお伺いしますが、国がこれからそういう調査結果をさらに公表するということで通達を出すと思いますが、それがいつになるかはまだはっきりしていないんだと思います。具体的にいつ公表するか。ただ、東京都としてはもう既にデータがあるわけですから、東京都教育委員会としてこれを先駆けて公表する、そういうお考えはないか、お伺いします。
○中村教育長 昨年まで、平成十七年四月一日現在が一番新しい、直近のものでございますけれども、これは、区市町村には公表するということを前提に私ども集計しておりませんので、平成十八年四月一日現在の調査結果から公表したい、こういうふうに考えております。
○伊藤委員 (パネルを示す)先ほどもごらんをいただきましたけれども、改めて、ちょっとしつこいようですが出させていただくと、特に防災の拠点としてその効力が発揮をされるのは、逆にいえば、防災に弱い地域とされているところにおいては、特に学校の校庭、体育館というのがそのときの一番の皆さんにとっての逃げ場所になるんだろうと思います。
とりわけて、東京都あるいは国の調査でわかっていますけれども、例えば墨田区ですとか、あるいは、ここで書いてあるところでいうと、板橋区などにおいても余り高い数字にはなっていない。この地域においては木造住宅密集地になっていたりということはもうご存じのとおりだと思います。
こういう防災として弱い地域でありながら、こうして耐震化率が低いという現状について、東京都教育委員会はどういうふうにお考えになるか、お伺いします。
○齊藤学務部長 区市町村におきましては、それぞれの地域の事情、いろいろ施策もございますし、それらを踏まえつつ、小中学校の耐震補強や老朽校舎等の改築等につきまして、計画的に進めていっていただきたいというふうに考えております。
○伊藤委員 ぜひ、もちろん計画的に進んでいくとは思いますけれども、地域の特性を念頭に置いた上で、積極的に耐震化を促していただきたいというふうに思っているところでございます。
また、今見ていただいたように、最も低いところだと二十数%というところになっているんですけれども、東京都教育委員会として、こうした数字に対してはどのようにお考えになっていますでしょうか。
○齊藤学務部長 先ほどの答弁と重複になるかもしれませんけれども、区市町村におきまして、それぞれ小中学校の耐震補強、それから老朽校舎等の改築等を早急に進めていっていただきたいというふうに考えてございます。
○伊藤委員 よく東京都が一体性都市事務ということをいわれるわけですけれども、基本的には、当然、各市町村でそれぞれの自治として行っていただく、これは基本的な立場だと思います。私もそのように理解をしていますけれども、しかし、さっきの三税の問題、それからもう一つあるのは、仕事をしている場所と住んでいる場所がそれぞれ一緒という方は、都民としてはかなり少ない、限られているんだと思います。ですから、仕事をしているのは新宿だけれども、家は例えば私の目黒にあるというところもあると思います。
そういう場合においていえば、それぞれの市町村がそれぞれの地域の人たちだけの防災ではなくて、当然、目黒に住んでいる人も新宿でお世話になることもあれば、違う地域でお世話になることもあると思います。ですからこそ、そうした区域をまたいでの防災対策というものを考えていかなければいけないというふうに私は思いますので、そこは、それぞれの市で完結をすればいいということではなくて、東京都の果たす役割は極めて大きいというふうに思っておりますので、ぜひ積極的に低いところに関しては働きかけをしていただきたい、改めて申し上げたいと思います。
そして、教育長に改めてお伺いをいたしたいと思いますが、これだけ区立小中学校ごとの、区ごとの耐震化率にばらつきがある、こうした現状について教育長のお考えというものを最後にお聞かせください。
○中村教育長 私、教育長になる前、たまたま危機管理監を二年間やっておりまして、それぞれの区市町村によって非常にばらつきがあるというのは実感しておりまして、しかも、ご指摘のように、それぞれの学校の主として体育館が避難場所に指定されているという現状を踏まえまして、一教育長としてというよりも、東京都としてぜひともその整備に努めていただきたい。特に学校は子どもを預かっておりますし、あるいは避難民の方々がいるということで、その生命、身体を守るということが、これはもう学校の設置者であるそれぞれの首長さんの最大の責務であるというふうに考えております。
それなりにお金もかかることではありますし、あるいは、地域の実情に応じて優先順位等もあるだろうというふうに思いますけれども、私ども、区市町村に対しては、耐震化に当たっての技術指導だとか助言等申し上げて、その早急な整備に努めていただきたい。引き続き、立場を超えて訴えていきたいというふうに考えております。
○伊藤委員 元危機管理監からの力強い答弁にやや安心をしましたけれども、しかし、きょう、あしたで耐震化というのはできるものではありませんから、長期何年計画といわずに、できるだけ早く耐震化がされなければ、自分の家が壊れて、逃げ場を求めて小学校に行ってみたら、小学校も壊れていたというのではしゃれにもなりませんから、ぜひ、速やかな耐震化というものが行われるように、東京都として今後も積極的に推進をしていただきたいということをお願い申し上げて、質疑を終わります。
○服部委員 ちょっと議事進行についてよろしいですか。
○村松委員長 はい、どうぞ。
○服部委員 ただいまの発言についてちょっと確認したいことがございますので、一たんここで休憩していただけますでしょうか、委員会を。それで、理事会を招集していただきたいと思います。
○村松委員長 今の伊藤委員の発言に対して(「議事進行は動議だから諮らなきゃだめだよ」と呼ぶ者あり)動議という形で。
ただいまの動議につきまして、休憩をし、理事会に一任させていただいてよろしいですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 それでは、議事の都合によりまして暫時休憩いたします。
午後二時二十一分休憩
午後三時五十一分開議
○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
理事会で先ほどの服部理事の動議について協議した結果、伊藤委員に発言を求めることで協議が調いました。ご了承願います。
○伊藤委員 先ほどの私の質疑に対しまして理事会でご協議をいただき、私の方から、改めてこの点についてのご報告をさせていただきたいというふうに思います。
まず、一点目でありますけれども、私が先ほどお示しをさせていただきました資料についてでございますが、来年以降、東京都が国から委託を受けて行っている調査結果が発表されるというふうに思いますが、今回、平成十七年四月一日現在のものとして、私、伊藤ゆうが議会局を通じて調査をさせていただいたその数字と、そして、来年以降出てまいります数字に誤差が生じるこの点について、誤解のないようにご報告を申し上げたいというふうに思います。
この点についてですけれども、私の方から先ほどもお示しをさせていただきました調査票を、各二十三区の担当者にお願いをいたしまして、記入をいただきました。この担当者においては、東京都が行っている当時の担当者と、区によっては違う担当者が記入をしている可能性があります。
また、担当者によってなぜ誤差が生まれるかということでありますけれども、この調査においては、それぞれの区の所有する小中学校の全棟数についてまず分母をとっております。この棟数においては、体育館と例えば校舎が渡り廊下でつながっている場合、これを一つとみなすのか、二つとみなすのかは担当者によって違う場合がございますので、記入の分母がこれによって、担当者の見方によって変わってくる可能性があるという意味で、若干になると思いますけれども、耐震化率が変わってくるということでございますので、私の調査結果では、総数として区内は六八%の耐震化率ということになっておりますが、先ほど答弁にあったとおり、東京都教育庁の把握をしている耐震化率は六九・二%だったということで、この一・二%の誤差が生まれたということをまずご報告させていただきたいというふうに思います。
また、この調査と同時に、今申し上げた部分は東京都と国の行っている調査と全く同じものでございますけれども、あわせて独自に今回調査をさせていただきましたのは、そのうち、つまり、耐震化がまだ十分にされていない学校のうちで、今後耐震補強を行う予定がある学校数、これもあわせて調査をさせていただき、その定義は、今後五年間、すなわち平成二十二年度末までに補強工事、改築などにより耐震化の計画がある学校をいうと定めた注意書きを付して調査をさせていただきました。
その結果、現状、極めて耐震化率が低い学校においても、それぞれ五年以内に計画がされている学校が多いことも、先ほどの質疑では申し上げませんでしたので、あわせてご報告を申し上げ、現状、先ほどの質疑において不安を持たれた地域の方々がいらっしゃるとすれば、この数字もあわせてご報告をさせていただくことで、不安をあおることを目的にした質疑でないことを申し上げたいというふうに思います。
また、今回の質疑に当たりましては、先ほど私の方からご紹介をさせていただきました日本建築防災協会の岡田理事長の言葉のとおりでございまして、何よりも、この公表が地域の耐震化の促進の援軍になるという思いを持ってさせていただいた質疑でございまして、いたずらに不安をあおるものではないことをあわせて申し上げたいと思います。
また、以降におきましては、こうした質疑において、この点について最大限の配慮をもって質疑に当たらせていただきたいということを申し上げて、私からのご報告にさせていただきたいと思います。
○村松委員長 質疑を続行いたします。
発言を願います。
○野上(純)委員 私は、七点にわたって質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初は、夜間中学日本語学級についてお伺いいたします。
夜間中学日本語学級については、我が党の石井幹事長が代表質問に取り上げたりして、現場の声を聞いて日本語学級を守り抜いてきたという経緯がございます。夜間中学への期待の声と要望については、今日に至るまで多くの方々からはがきをいただいているところでございます。きょういらしている方も随分いただいているのではないかと思います。
日本語学級の教員定数についてですけれども、平成十六年の東京都公立中学校教職員定数配当一般方針において、国の標準法の基準を勘案して学校教職員定数全体の見通しを図る中で、教員の一部を非常勤講師で対応することとして配当基準を見直したと聞いております。十六年第三回定例会の本委員会においても、十六年度の夜間日本語学級の教員配置の状況についてお尋ねしたところ、激変緩和の措置をとる一方で、異動候補者が過員強化などの理由により他校へ異動できなかった、そういう理由もあって、実際に教員が減った学校は二校二名であり、夜間日本語学級五校で総数二十四名の教員が配置されているとお聞きしております。
そこで、平成十七年度の夜間中学における日本語学級の教員配置がどうだったのか、お伺いしたいと思います。
○松田人事部長 中学校夜間学級におきます日本語学級への教員の配置は、平成十七年度につきましては、六名配置の学校が二校、五名配置の学校が一校、三名配置の学校が二校でございまして、合計で二十三名でございます。
平成十六年度と比較して一名減でございますけれども、これは、二学級から一学級に学級減が生じた学校があったことによるものでございます。
○野上(純)委員 ほぼ平成十六年度と同じ体制が平成十七年度についても維持されたと理解してよろしいのではないかと思います。
また、日本語学級定数見直しの一つの理由に非常勤講師の活用があり、夜間中学の日本語学級における非常勤講師の配置については、多様な言語を話し、日本語の能力に差異のある生徒に対してきめ細かな指導を行っていく上で非常に効果があるものと考えております。
そこで、夜間日本語学級に配置されている非常勤講師の人数と配置の効果についてお伺いします。
○松田人事部長 夜間日本語学級における非常勤講師の配置につきましては、例えば複数の非常勤講師を配置することによりまして、お話しのように、多様な言語を話し、日本語の習熟の程度に差異がある生徒にきめ細かな指導を行う上で効果があると考えておりまして、学校の実態に応じて、区教育委員会の申請に基づき措置をしております。
平成十七年度の非常勤講師の活用状況ですけれども、外国語ができる講師や日本語教育に熱意のある講師を二十三人、週当たり約九十八時間を配当しております。このことによりまして日本語の習熟の程度に応じたグループ編成が可能となり、例えば国語の短歌の創作とか漢字の書き取りなどの多様な選択授業の設定等によりまして、教育課程の一層の弾力化を図ることができるとともに、専任教員と非常勤講師の連携協力によりまして、指導体制の充実が期待できるものと考えております。
○野上(純)委員 大変熱心ないい非常勤講師を配置していただいたりしておりますけれども、やはり勤務時間に限りがあることから難しい問題もあるという話も聞いております。
特に、夜間日本語学級の先生方は生活指導面で大変だということで、ボランティアで中国の方の世話をしている私の友人なんかがいますが、病院に連れていったり、自分の症状をいうときに、日本語もわからないので通訳をつけてやっているということで、非常に大変だということがいわれております。そうした中で、夜間日本語学級に期待する多くの方々からいただいたはがきの中で、来年度の教員が削減されることを心配される声が上がっております。
今後とも、外国籍の生徒に対して日本の文化や生活に適応するための親身な指導が重要であり、夜間日本語学級における教育の低下を招いてはならないと考えております。東京都教育委員会としても、来年度の教員の配置について特段のご配慮をいただきたいと思います。
年度末に当たって、平成十八年度の夜間日本語学級の体制について、都教育委員会として、現在検討されていることと思いますが、どのように対応していくのか、お伺いいたします。
○松田人事部長 平成十八年度におきましても、専任の教員と非常勤講師が連携協力して生徒への生活指導に取り組むとともに、日本語の習熟の程度に応じた学習グループの編成を行うなど、校内体制の工夫によりまして、きめ細かな指導を展開できる体制づくりが必要であると考えております。
お話しの平成十八年度の夜間日本語学級の教員体制につきましては、都教育委員会といたしましても、学校の実情をよく把握するとともに、設置者である区と連携協力しながら適切に対応してまいります。
○野上(純)委員 来年度の体制についても、特段のご配慮を重ねてお願いいたしたいと思います。
初めに述べましたが、夜間中学の日本語教育は、前進することがあっても後退することがあってはいけないと思います。日本語教育の充実の観点から、今後とも都教育委員会の支援を強く要望し、この質問を終わります。
次に、都立産業技術高等専門学校についてお伺いいたします。
これからの日本の動向について考えると、やはりものづくりが大事です。平成十六年度の我が国の貿易収支は十一兆円の黒字。輸入品目を見ると、石油などの鉱物性燃料が十一兆円、鋼鉄などの原材料が五兆円、食糧が五兆円。一方、輸出は、電気製品と自動車の十四兆円を筆頭に、ほとんどが工業製品です。
現在、我が国の産業で国際競争力を持っているのは工業です。そして、数年後を見渡しても、工業にかわり得る産業はなかなか見当たりません。我が国の繁栄を持続するためには工業技術の高度化を図ることが重要と考えております。そのためには工業の視野を広げることが不可欠です。
景気も回復し、やっと右肩上がりといわれておりますが、それをなかなか実感できないのが現実であります。私の地元の葛飾の企業の皆様のお話を伺っても、まだまだ厳しい状況があります。景気が回復すると真っ先に恩恵をこうむるのが大企業であり、逆に、景気が悪くなると真っ先に影響を受けるのが中小零細企業です。
特に、これから熟練技術者の大量退職を迎える二〇〇七年問題を克服していかなければなりません。この人々の多くは工業高校を卒業し、学校で学んだ技術、技能を企業活動の中で磨きをかけた人々です。我が国の繁栄を築いてこられたのは工業高校の卒業生といえるのではないでしょうか。こうした大量退職の時代ですので、企業は何とか優秀な技術者の確保、育成に力を入れていかなければなりません。
こうした中にあって、都立産業技術高専を開校し、高専の五年間、そしてその上の専攻科の二年間、七年間の一貫教育を行っていける道筋をつくったこと、この七年間は高校の三年と大学の四年と同じ年月なんです。平成十八年四月に公立大学法人首都大学東京が設置予定の産業技術大学院大学への進学を視野に入れることができたということは、これは画期的なことではないでしょうか。高専、専攻科、そして産業技術大学院の二年間を加えて、合計九年間の一貫の技術者教育により実践的な技術者を育成することはすばらしいことだと思います。私も多くの企業の皆さんから、この一貫教育に期待しているといった声を聞いております。
まず、質問いたしますが、新高専に対する期待というか、新高専に対する企業の声を、聞いている範囲で結構ですので、ご紹介ください。
○齊藤学務部長 新たに設置いたします専攻科では、インターンシップを必修科目といたしまして、インターンシップによって、学生がみずからの研究課題を発掘いたしまして、解決策を生み出していくことといたしております。
インターンシップの受け入れ企業にお願いをした折に、企業の方からは、ものづくりの原点は人材育成にある、地元の企業として産業技術高等専門学校に期待している。企業として、ものづくり人材育成上、協力できることはしていきたい。あるいは、産業技術高等専門学校が首都大学東京との連携による一体的なものづくり教育を目指すことに大きな関心があるなどと、九年一貫のものづくり教育体系、教育内容への期待など、さまざまなお話を伺っております。
企業からの産業技術高等専門学校に対する期待は大きく、ぜひ企業の期待にこたえられる高専としていきたいというふうに思っております。
○野上(純)委員 今ご紹介していただいたように、高専への期待は本当に大きいものがあります。
これまでも地元の企業と連携を図っているとは思いますが、これからは、技術者を確保することが難しくなっていく中で、生き残りをかけた地元中小企業との連携が重要だと思います。ぜひ、共同研究や受託研究などの企業との連携を促進していっていただきたいことを要望しておきます。
高専といえばロボコン、高専とロボットは切り離せなくなってきておりますが、高専では、夏休みに地元の区と協力してロボット教室を開催するなど、小中学生にロボットづくりを通じてものづくりの楽しさを教えるなど、地道な努力をされているとお聞きしております。ロボット教室に参加し、ものづくりの楽しさを学んだ子が高専に入学してくるといったこともあると聞いており、ものづくりの人材の育成に地道な努力をされております。
また、工業のものづくりについて、都立本所工業高校の全日制閉課程式典で、小林さんでしたか、校長先生が述べていらした言葉が強く印象に残りました。それは、工業のものづくりには二つの知識を統合することが必要であるというんです。一つは形式知、もう一つは暗黙知。形式知というのは、文字や数式あるいは図面で得られる知識。これは、技術と呼ばれて、年齢を重ねても理解することが可能ですし、書籍からでも学習することができる。したがって、他の企業や海外に容易に移転することができる。
もう一方、暗黙知というのは、道具や機械を使って部品を組み立て、製品とする体験を通して一人一人に蓄積され、言葉ではいいあらわせない知識だと。習得するには、手のやわらかなうちに人から人へ伝えてもらうしか方法がありません。これは年齢が進んでからの習得は極めて困難だというんですね。また、技術移転は人の派遣を伴いますので、容易に進みませんし、進めないのが企業戦略となるというのです。
この形式知と暗黙知は相互に関係し、新たな科学的知識に基づいた製品をつくるためには、科学的知識を理解した上で、より高度な技術が発見できる知的高度技術者が必要となるわけです。
そうした意味からも、手のやわらかなうちから技術経験を積んだ工業高校の生徒たちが、より高い技術を身につけ、日本の工業の先駆けとなっていく人材となるためにも、高専に初めから入学する生徒、学生だけでなく、高校、特に工業高校を卒業した生徒を編入させることも検討する必要があると思います。高校から高専への編入学の現状はどうなっているんでしょうか。また、編入学の枠を拡大すべきと思いますが、見通しを伺います。
○齊藤学務部長 高校からの編入学の状況でございますけれども、直近の三年間を見ますと、科学技術高校などの工業高校から毎年三名が編入してございます。
これまでの編入学は、高専の学生が進路変更等によって欠員が生じた場合に募集してまいりましたけれども、高校から高専への編入、専攻科、大学院への進学という道を複線的に用意することも考える必要がございますので、高校からの編入学の拡大につきまして今後検討してまいります。
○野上(純)委員 ぜひ前向きなご検討をお願いしておきます。
ものづくりを通して勤労観や職業観を育成している現状はすばらしいものがあります。職業を教えないのは教育ではない、これはワシントンの言葉ですが、改めてかみしめたい言葉です。工業が我が国の繁栄に貢献していること、また工業教育が人づくりに貢献していることを考えると、この高専には本当に期待が持てます。
また、これまでも教育長や学務部長が高専の法人化について答弁されておりますが、公立大学法人首都大学東京との連携も深め、より効果的な実践的技術者教育を進めるためにも、早期の法人化を目指していただきたいことを強く要望します。
次に、総合学科高校についてお聞きいたします。
時間を取り戻すために早口でしゃべっています。済みません。
総合学科高校というのができたときに、工業系と商業系と二つのコースを用意し、さらに普通科というか、自分で単位を取って大学にも進学できるというような、自分で選択ができるすばらしい総合学科高校ということでスタートいたしました。
ところが、科目によっては、一つの科目に集中するというのですか、工業系の多くの機械を入れているにもかかわらず、それを選択する子どもが非常に少なくて、使われないままに何年もたってしまっているという実態があるということも聞いております。子どもが自由に選択をするわけですから、そうなってくるのもいたし方ないことなのかなとも思いますけれども、生徒の希望任せでそういった履修をすると、偏ってしまうというのかしら、いつまでたっても高いお金を出して購入した機械が使われないままになってしまうということが問題ではないかなというふうに思います。
一方には、自分で自由に選択科目を選択でき、自分の道を選べるというよさもあるし、逆に、私たちの立場からすると、いろんな機械とかを使ってもらいたい、幅広くいろんな子どもたちに使ってもらいたいという希望もあるんですが、そのあたりのバランスをとるためにどのような工夫をしていらっしゃるんでしょうか。
○新井参事 総合学科高校では、生徒の興味、関心、進路希望に応じた科目選択を可能とするために、普通科目、専門科目及び特色ある科目を系列の形で設定しております。
各学校におきまして、生徒の選択希望と進路等に応じたバランスのとれた科目選択ができるようにするために、一年次において総合学科共通の「産業社会と人間」という設定科目を置きまして、みずからの将来をさまざまな観点から考えさせ、設定されている系列科目の理解を深めさせております。
さらに、定期的、継続的にカリキュラムガイダンス、これを行うと同時に、進路希望に沿った履修選択ができるようにするために、個別のキャリアカウンセリングも随時行っているところでございます。
○野上(純)委員 例えば女の子が多い総合学科高校では、どうしても油にまみれてという作業が嫌な子もいますので、そういうとき、例えばきれいな彫金アクセサリーのコーナーをつくるとか、何とかいろんな工夫でものづくりに興味を持たせるような仕組みも考えていっていただければと思っております。
次に、通信制高校について質問いたします。
平成十七年度に開校いたしました通信制高校、砂川高校ですか、このいろいろな実態を調べてみますと、最終的には、通信制高校というのがセーフティーネットとしての役割を持っていると思うんです。ひきこもってしまって、家からも一歩も出られないようになってしまった。最終的に、では、通信制で、家でインターネットで勉強しようか、最後はそこら辺に落ち着くと思うんですけれども、スクーリングは週一回土曜日、四十五分授業で七時間、インターネットを使った学習もできますということなんですが、スクーリングを行っている生徒は多いんですが、最終的に、インターネットを使った学習をできる生徒というのが大変少ないということもお聞きしておりますので、今後、砂川高校という通信制に対して、広く保護者や中学校に対して広報活動を行っていかなければいけないと思うんですが、そのための施策はどんなことを考えていらっしゃるんでしょうか。
○新井参事 平成十七年度の生徒募集時におきまして、砂川高校の通信制教育やトライネットスクールにつきましては、学校案内、入学案内、ホームページ等で説明するとともに、学校説明会や中学校等の訪問を通じまして、生徒、保護者、中学校に説明してきたところでございます。
都教育委員会といたしましては、今後とも、学校案内やホームページ等の内容を生徒などにわかりやすく工夫した広報活動を行うように、学校を指導していく所存でございます。
また、区市町村教育委員会や中学校の進路担当者を対象といたしました説明会などの機会を通じまして、通信制教育やトライネットスクールでの学習内容について、その趣旨を周知してまいります。
○野上(純)委員 せっかく入学を希望したのに、パソコンを使えなかったとか、あるいは自宅にパソコンのない生徒がいたということもありますので、今までずっとひきこもってしまって、自宅にこもりきりの生徒にとっては、ちょっと一歩外に出る大変大切な高校であると思います。今後ともしっかり応援をしていきたいと思いますので、広く広報を徹底していただければと思っております。
次に、禁煙についてお伺いします。
たばこの害は、一本のたばこで寿命が十四分三十秒縮むといわれております。だから、一日二十本吸う人が二十年間吸い続けるとどうなるか。現在四十歳の人が一日二十本のたばこを吸うと、あとの余命は二十八・七歳です。たばこを吸わない人の余命は三十五歳あるわけです。かなり開きがあるわけです。これだけの差があり、喫煙者の命を短くする。たばこは緩慢な自殺であるといわれております。たばこを吸っている人、済みません。
自分が吸っているのはともかく、今問題になっているのは副流煙です。こちらの方が問題になっております。主流煙はフィルターがついていますのでかなり違うんですが、副流煙の方は五倍から六倍毒性が高いといわれております。アンモニアなどは四十六・五倍の濃度がある。
厚生労働省が「健康日本21」を策定して、二〇一〇年までに未成年者の喫煙をゼロにするという目標を掲げております。七五三という言葉がいわれて、高校生の七割、中学生の五割、小学生の三割が喫煙の経験者であるということで、十四歳以下で喫煙を始めた人は、吸わない人に比べて三・八倍も早死にをするということですね。
それから、もう一つは学力低下ということで、血液の赤血球に含まれるヘモグロビンが一酸化炭素と速やかに結合して酸素を追い出してしまうので、重要な臓器に、酸素を待っているのに届くのは一酸化炭素ということで、体の運動能力や記憶力、暗算能力など知的能力が落ちてしまい、いわば喫煙者は慢性的な一酸化炭素中毒者となります。
今回、学校の敷地内禁煙を進めていただいて、本当にPTAや保護者、関係者の方々から大変感謝されております。しかし、現実には、学校の先生方の中には、どうしてもたばこを吸うことを我慢することができないで、学校の更衣室などで吸っているということをお聞きしております。
敷地内禁煙ですので、本当は更衣室でも吸ってはいけないんですが、門の外で吸っている場合、休憩時間と休息時間がありまして、休息時間は給料が出ている時間なので、これはエスケープになるわけです。休憩時間は給与に入っていないので、外に出て吸ってもいいのかなと思うんですけれども。また、隠れて更衣室などで吸っている実態があって、洋服ににおいがついたり、もくもくと煙が出て火事と間違えられたりとか、そういったこともございます。
ぜひ、学校において受動喫煙の防止や喫煙防止教育の一層の推進を図っていただきたいと思うんですが、どうしてもやめられない教職員への禁煙の支援はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
○橋本福利厚生部長 学校における禁煙は、受動喫煙の防止や喫煙防止教育の一層の推進を図るために大変重要なことと考えております。
教職員の禁煙につきましては、各学校で実施する安全衛生委員会等を通した啓発、あるいは、十五年から実施しておりますが、共済組合の禁煙相談の充実、これらを図るほか、この四月一日から健康保険による禁煙治療が可能になることになりました。これらの周知に努めまして、やめたいと思っている教職員に対して支援をしてまいりたいと存じております。
○野上(純)委員 これは画期的なことだと思います。やめたいと思ってどうしてもやめられない人はぜひ禁煙治療に通っていただいて、ニコチンパッドとかいろいろありますので、また保険がきくということで、これはぜひ周知徹底を図っていただければと思います。
次に、冷房化についてですが、さきの第一回定例会の代表質問において、我が党の石井幹事長から都立高校普通教室の冷房化について質疑があったところでございます。
都立高校の冷房化実現に関しては、予算が伴うこと、あるいは、温暖化やヒートアイランドにより悪い影響があるのではないかという多くの課題があることもよくわかりますが、今では省エネ等の技術も進歩して、環境負荷の低い空調設備もあります。また、例えば、温泉の熱によって半導体を回してエネルギーを生み出して冷房化をしていくとか、地中熱とか、いろいろなエネルギーを使った方法も生み出されております。
例えば経費面で、ランニングコストがかかるということでしたら、保護者やPTAの方々が費用を負担してもいいという声も上がっております。新たに十八年度に検討委員会を設置して、総合的に調査検討していくという答弁を伺っておりますが、ぜひ前向きな方向で進めていってくださるよう、これは、質問はしないでくださいということなので、要望しておきます。
最後は、学校職員の特殊勤務手当についてです。
人事委員会の承認を得て教育長が定める対外運動競技に児童生徒を引率して行う指導業務の日額の手当は幾らでしょうか。
○松田人事部長 教員が週休日に四時間以上の部活動指導を行いますと日額千二百円、また、公式戦への引率を行いますと日額千七百円の特殊勤務手当が支給されます。
なお、その場合、交通費は支給されません。
○野上(純)委員 これから交通費について聞こうと思ったんです。
これには実は交通費が含まれていないということで、別にも支給されないということなんです。行政職員のように、超過勤務手当や休日勤務手当などもつかないということなんです。
また、引率の場合、今、体育協会の方とか地域のボランティアの方が、剣道とか卓球とか柔道とかテニスとか、いろいろなクラブ活動の顧問になってくださっていて、引率をして対外試合に行くときがあるんですが、そういうときに地域の人々が生徒を引率して行けるんでしょうか。
○松田人事部長 地域の方々に引率をお願いすることはございますが、その方々に対しての特段の手当等はございません。
○野上(純)委員 私が調べたところでは、引率するときに、教師がだれかついていないとだめだというのをちょっとお聞きしたんですが、地域の人々だけが子どもたちを引率して対外試合に行ったりするのは厳しいということなんですよね。もちろん手当も出ないんですが、そうなってくると、どうしても教師がクラブの顧問を務めて、子どもたちを引率してどこかに連れていかなくちゃいけないということなんです。
そうなってくると、遠征等で生徒を連れて試合に行って、半日なり一日、指導業務に携わっても千二百円、あるいは対外試合の場合は千七百円ということで余りにも少ない。しかも交通費も自分持ちということで、距離によっては千円ちょっとかかるところもあるわけです。
そういうことがありますので、今、特殊勤務手当について都民の目線で厳しく見直すということが当然ではないかと思います。その一方で、額の水準について、適正なものもあるし、見直しをしていくことが必要なものもあると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○松田人事部長 特殊勤務手当に対しての都民の目線がますます厳しくなっている、そういうこととか、社会情勢の変化等もございまして、それらを踏まえまして、手当に関しまして継続的に検証していくことが必要であると認識しております。
今後とも、都民の目線に立って、理解が得られるように見直しを図ってまいります。
○野上(純)委員 本当にその手当が適正なものかどうかをしっかりと検証して、最後にいわれました、都民の目線に立って理解が得られるように、ぜひ見直しを図っていっていただければと思います。
○大山委員 主に四つのテーマで質疑をいたします。
まず最初は、教職員の、教員の長時間過密労働の解消の問題です。これについては、我が党は先日の代表質問でも取り上げまして、それを踏まえて質疑をしたいと思います。
私は、子どもたちだれもが全面的に成長できるように、最大限の能力を引き出せるような学校にしていくことが求められていると思います。そのためには、差別、選別の教育ではなくて、三十人学級を初めとした少人数学級の実現なども重要です。同時に、教員の長時間過密の実態を改善することも本当に急がれていると思います。
私たちは、調べてみて本当に改めてびっくりしたんですけれども、まちのスクールコーディネーターになった方が学校に行って、こりゃ大変だよ、あの先生たちは、何とかしてあげなきゃというのを、本当に実感として思っています。
例えば、どういう状況になっているかというと、その一端ですけれども、小学校の先生は、休み時間は宿題忘れの児童を見ていたりして職員室におりられないので、水筒持参で教室で子どもを見ているんです。昼休みも同様なので、お茶を飲めるのは放課後だけれども、そのときも打ち合わせ、採点などで休憩がとれない、こういう状況なんですね。
そのほかの小学校の先生は、研究奨励校発表に向けて、指導案、授業の準備、掲示物の作成等忙しい毎日だった。持ち帰りの仕事があると、家事を済ませてからの作業になるので、深夜一時、二時になる。翌朝五時半起きの出勤で寝不足の毎日で、休日はまとめて睡眠をとる、その繰り返しの一カ月だったというふうに語っています。
本当に子どもたちの豊かな育ちを保障する先生たちが、こんな疲れ果てていていいのか、それでも先生たちは必死で子どもたちの教育のために取り組んでいるわけですね。
過密であるということと同時に、長時間なんですね。足立区の教職員の組合が行った勤務実態調査では、小中学校の教職員五人に一人以上が、月八十五時間を超える超過勤務をしている実態が明らかになりました。
中学校だけで見たら、一九%ですから約二割ですね、その教員が百時間を超える超過勤務をしていたんですね。過労死の危険ラインというのが月八十時間というふうにいわれていますから、まさにこれはもう異常な事態、大変な事態、数字ですね。
この状況ですから、例えば学級担任の仕事のほか、校務分掌、行事、父母との対応など仕事量が多くて、やってもやっても仕事が終わらない、こういうふうにいっているわけですね。研修に行けばレポートを書く、それから会議も多くて、学年ごとにあったり、行事ごとにあったり、教科ごとにあったりということで、一週間のうちで会議がないのは一日ぐらいしかないんですという状況なんですね。
また、教育改革というふうに都教委も進めていますけれども、そのために絶対評価だとか観点別評価のための資料を作成したり、入試の制度も毎年のように変わったりして、進路指導の複雑化による事務量の急激な増加など、本当に事務量が膨大にふえているといわれています。
教員がよい授業をしたい、子どもたちを引きつける授業をしたいというふうに考えているわけですね。子どもたちに行き届いた教育を進めるために、十分な授業準備、それから評価のまとめの時間、教材研究の時間の保障など、教育に専念できるように労働条件を改善することが必要だと思いますけれども、どうでしょう。
○松田人事部長 教員の勤務時間につきましては、学校の実態を踏まえて、学校長が管理することとなっております。
都教育委員会といたしましては、総勤務時間の縮減は課題であると認識しておりまして、これまでも区市町村教育委員会に対しまして、文書で通知するなど、その趣旨の徹底に努めてきております。
校務能力の向上のためには、学校全体での組織的な取り組みや創意工夫による校務分掌等の事務の効率化を推進していくことなどが重要であると考えておりまして、今後とも区市町村教育委員会と連携して、適切な勤務時間の管理に取り組んでまいります。
○大山委員 いろいろご答弁されましたけれども、その都教委として、総勤務時間の縮減が課題であるという認識をされているというのは非常に重要ですし、ぜひともこの認識に基づいて対策を立ててもらいたいと思っています。
昭和三十三年、標準法を制定したわけですけれども、そのとき教職員定数を算定するに当たって、一時間の授業に一時間程度は準備が必要ではないかと考えていた。その考え方については、少なくとも教職員定数を積算する場合には、現在においてもこれぐらいの時間が必要ではないかと考えていますというのが、二〇〇二年五月二十三日の参議院の文教科学委員会で、矢野初等中等局長が答えています。
都教委は、この答弁についてはどう考えているんですか。
○松田人事部長 文部科学省は、今お話がございましたような答弁の考えに基づいて、公立小中学校の教職員の定数について算定しているものと認識をしております。
都教育委員会は、これまで義務標準法に基づきまして、学級数に応じて教員を配置するとともに、国の教職員定数改善計画を踏まえまして、少人数指導の充実等に向けて、必要な定数措置を講じてまいりました。
○大山委員 必要な定数措置を講じてきたということなんですけれども、定数改善がされても、それ以上に子どもに直接かかわらない事務なども膨大になっているということなんですね。ですから、総労働時間の縮減は課題だというふうに認識をしていらっしゃるわけですから、その実態もきちんと調査して、どのように解決していくのかをきちんと分析して、早急に対策を立てることが求められています。
精神疾患で休職する教員が全国を上回る休職率なんだというのが、新聞などでも大きく取り上げられていて、本当に問題になっているわけですけれども、まずは実態を把握するところから始まると思っています。
本会議の答弁で、教員の勤務実態調査については、国の動向を注視しながら対応してまいりますと答弁しているわけですから、実態を調査して、一時間の授業に一時間の授業準備と、評価のまとめなどができるように、本当に標準法を制定したときのねらいがきちんと実現できるように、教員の持ち時数を抜本的に見直すことが求められています。
すべての子どもたちの力を引き出すために、よい授業をするために、教員の現在の長時間過密の実態を何とかしなければならないというふうにいっているのは、何も私たちだけではありません。
これは、公立中学校ですね、これ、中学校の校長会の十八年度の要望書です。
この中に、重点要望事項の第一番に、教員の持ち時数の持ち時間上限を都立高校と同じ十八時間にすることというふうに、ちゃんと要望されているんですね。その理由は、教育内容を充実させ、基礎基本の学力と豊かな心をすべての生徒に獲得させるためにというふうに述べています。
校長先生だけじゃありません。小学校の校長会も、最重点要望事項で、教員の配置増を求めています。前向きに検討することを求めて、これは終了します。
次ですけれども、先ほども質疑ありましたけれども、私からも夜間中学について、あと日本語学級について、質疑をします。
夜間中学の教職員の配置なんですけれども、夜間中学は都内に八校ありますね。その夜間中学に在籍している生徒数ですけれども、学級別と母語別と、入学理由別、それぞれどういう状況になっているか、まずお願いします。
○齊藤学務部長 中学校夜間学級は、現在八校に設置されておりまして、うち五校に日本語学級を設置してございます。
平成十七年五月一日現在の各人数でございますけれども、学級別は、通常の夜間学級は八校合わせて百八十人、日本語学級は五校合わせて百六十六人となってございます。
母語別でございますけれども、中国語百九十六人、日本語学級ですけれども五十五人、フィリピーノ・タガログ語二十五人、ベトナム語二十四人、韓国語、朝鮮語十九人、タイ語八人、スペイン語三人、その他十六人でございます。
なお、入学理由でございますけれども、一番多いものは日本語の習得でございまして、次いで高等学校入学のため、学力知識の習得、中学校卒業資格の取得などとなってございます。
○大山委員 夜間中学に通っていらっしゃる方というのは、本当に理由もさまざまだし、経過もさまざまだし、それから母語も一つの中学校で四、五カ国語というのは普通の状態ですね。そして、義務教育も受けられなかったという生徒さんが通ってきているわけですけれども、具体的にどういう状況になっているかというと、例えば七十三歳の女性は、いわゆる十二歳のときに両親ともども中国へ行って、その場でお母さんたちも亡くなってしまって残留孤児になって、その中国にずっといるわけですけれども、一九九四年に帰ってきて、日本語の読み書きもできなかったんですね。
でも、この学校に入って本当によかったと。来たときは郵便物が届いても意味がわからなかったというんですね。今は漢字が読めないけれども、意味は少しわかるようになりましたというふうに、本当に日常生活も含めて改善できていると。
あと、二十歳代の女性ですけれども、いわゆる登校拒否で小学校六年生の二学期からずっと学校に行かなくて、ひきこもりになっちゃったんだけれども、自分を否定して自殺をしようとまで思ったけれども、死ぬ前にもう一度だけ勉強がしたいということで、夜間中学を探し当てて通ってきたんですね。今、私は初めて生きていてよかったと感じずにはいられませんでした、それで先生方や生徒の皆さんとのさまざまな出会いから多くのことを学んでいくことができましたと。
それからあと、ずっと子どものときから十六歳まで家族のために働いていて結局学校に行けなかったという六十八歳の女性の方も通ってきて、今では、入学して四年間で字も少しずつ読めるようになって、一人で電車に乗って、それまでは一人で電車に乗ることもできなかったんですね、やっと一人で電車に乗ってどこでも行けるようになったと、本当に喜んでいるわけです。
重度の障害者の方も、入学を猶予されていたんだけれども、ここの中学に入って、本当に自分の求めていた学校だったということで、本当にいろいろな、さまざまな状況の方が通ってきているわけですね。
本当に生きる権利を保障して、より人間らしく豊かな生活、生きるためには不可欠な夜間中学だということなんですね。
この夜間中学と、あと国連が二〇〇三年から十年間は、国連識字の十年というふうに決めました。国連識字の十年のオープニングの式典で、アナン国連事務総長は、世界の成人の二〇%がその権利を奪われているという事実は、私たち一人一人が心から恥ずべきことですというふうに演説しているんですね。
国際行動計画というのを国連でつくったわけですけれども、その中を見ますと、「優先されるグループ」というのがあります。そこに何と書いてあるかというと、「個人としての発達や、生活の質的向上のために識字を使う適切な能力を得ることができなかった非識字青年と成人、特に女性。学校に来ていない子どもたち、若者、特に少女、思春期の少女や若い女性。」というのが挙げられているんです。まさにこの優先されるグループが、夜間中学に通ってきている生徒さんと非常に重なるわけですね。
ですから、都として、この国連識字の十年、これを受けてきちんと取り組んでいかなきゃいけない。とりわけ夜間中学校を中心に据えるというのは重要なことだと思っているんですが、どのような取り組みをしているのかということ、それからまた今後の計画はあるのかということを教えてください。
○井出指導部長 都教育委員会といたしましては、国連識字の十年に関する取り組みは行ってきておりません。
また、今後も取り組む計画はございません。
○大山委員 やはり識字というと、もう日本には関係ないわというふうに思いがちなんですけれども、実態としては、この夜間中学校が本当に行動計画にもぴったりなわけですね。
政府自身が、外国への貢献だとかと、そんなことばっかりいっていますから、そこもただしていかなきゃいけないんですけれども、日本の国内のことをきちんと顧みる、そしてこの首都東京がどうなのかということを顧みるのが、やはり自治体としての役割だと思うんです。
これは私だけがいっているんじゃなくて、例えば竜谷大学の上杉孝實教授は、国連識字十年を考える学習会という中で、日本で欠かせないことの一つは夜間中学の問題だというふうに述べて、その必要性と位置づけを強調しているんです。
国が取り組まないからといって東京都も位置づけないというんじゃなくて、国にも要望するし、東京都としてきちんと取り組むことが求められていると思います。国連識字の十年という観点からも、義務教育である夜間中学をきちんと位置づけて充実していくことこそ、求められることなんです。
そういう世界の大きな流れがある中で、夜間中学の教職員定数、一昨年に削減されましたけれども、先ほど二十四人から二十三人になって、実質的な一人の減はクラスの数が減ったからなんだという答弁がありました。
しかし、定数を減らしてしまったというのは事実なんですね。その定数をどうしてしまったのかということと、来年度の教員配置はどうなっているのかということを教えてください。
○松田人事部長 平成十六年度の日本語学級の教員定数につきまして、国の標準法の基準を勘案して、学校教職員定数全体の見直しを図る中で、学級数の二倍の数の教員配置であったものを、学級数に一を加えた教員数といたしまして、教員の一部を非常勤講師で対応することとして配当基準を見直しました。
来年度の教員体制につきましては、私ども都教育委員会としても現在検討しているところでございまして、設置者である区と連携協力しながら適切に対応してまいります。
○大山委員 適切に対応というのは、本当に適切に対応してもらわなければ困るんですけれども、学級数掛ける二だったものを、学級数プラス一にしちゃったということですよね。具体的には、三クラスだったら、それまでは六人の先生が定数としていたのに、今度は四人しか定数としていなくなっちゃった。
しかし、定数は都教委では減らしておきながら、やはり今までどおりの人員をつけている、教員を配置しているというのは、やはり必要性を認めているからなんだというふうに思うんですけれども、どうですか。
○松田人事部長 平成十六年度及び平成十七年度の日本語学級の教員の配置につきましては、激変緩和の措置を行う一方で、異動候補者が担当する教科そのものが過員となっているなどの人事管理上の理由によりまして、他校へ異動できなかったという理由でございます。
○大山委員 異動できなかったというようないい方をしましたけれども、やはり必要があるから異動できない、させないわけですよね。
夜間中学、それから日本語学級ということでは、本当に生活丸ごと先生たちが、日本語学級の先生も、それからクラスの担任の先生たちも一緒になって対応しているわけですから、やはり本当に一人一人きめ細かく対応しようと思えば、それだけのきちんと正規の教員が必要だというのは、もうこれは当然のことだと思っています。
国連識字の十年、東京都として実践していくというつもりはないんだというふうに冷たくいいましたけれども、きょう提起しましたけれども、ぜひ、関係ないんだというふうにいわないで、世界の大きな流れとも呼応しながら、夜間中学のこの位置づけもきちんとする、それから一人一人の人間として豊かに生きられるようにするということでも、東京都として国連識字の十年、夜間中学をどういうふうに位置づけるのか、そしてどういうふうに対応するのか、そういうふうに考えれば、教員を減らすなんていうことにはならないわけですから、ちゃんと位置づけてもらいたいと思っています。
と同時に、全体の東京都の施策としても、どうしていくのかということを、教育庁から関係局にも働きかけていってもらいたいということを要望して、これはおしまいにします。
食育と栄養教諭のことについてなんですけれども、子どもたちの食をめぐっては、本当にいろんな大きな課題があるということなんですね。食べることに意欲がない子だったり、それから家庭での個食、それから朝食抜きで学校に来る子ども、アレルギーに悩む子、挙げたらきりがないといわれています。
ある市の学校給食会の会長さんは、私もこれはああそうなのかと思ったんですが、食育とは新しい言葉ではなくて、明治時代から、教育の基本は知育、徳育、体育、食育とされ、中でも食育がすべての基本であると考えられていたというふうに話していました。食べることというのは、本当に大切にしたいと思います。
保育園なんかでも、年長組になるとニンジンをみんなでつくって、それをみんなでカレーライスにしようなんていうと、おうちでお母さんがつくっているところをよく見てきてねというと、ジャガイモをむいていた子が、包丁の角を使ってへっこんでいるところの皮をむくとか、本当によく見ているわけですね。それが、やはりそういうことを通じて食べることが大好きだったり、それから興味がある、それから健全な食習慣を身につけることにもつながっていくと思っています。
ホームページなんかを見ましても、幾つかの小学校などでの取り組みも見られるわけですけれども、食育ということについて、都教委はどのように位置づけて、どんな取り組みをしているのでしょうか。
○齊藤学務部長 児童生徒が望ましい食習慣を身につける上で、食に関する指導は大変重要であるというふうに考えております。
そのため、都教育委員会では、平成十七年一月に、食に関する指導資料集を作成いたしまして、全公立学校に配布し指導の充実を図ってきたところでございます。
また、平成十七年十一月には、学校栄養職員、保健主任、養護教諭等を対象に、食に関する指導研修会を開催したところでございます。
○大山委員 食に関する指導は重要だということで取り組んできたということですけれども、二〇〇四年一月に、食に関する指導体制の整備について、中央教育審議会の答申が出されて、近年、子どもの食を取り巻く環境の変化は、これまでにないほど急速かつ厳しいものである、子どもが望ましい食習慣と自己管理能力を身につけ、この変化に十分に対応してみずからの健康を保持増進していける能力を培っていくためには、より効果的な食に関する指導体制の整備が急務である、そのためにも学校における食に関する専門家である学校栄養職員の専門性を確実に指導面でも活用していけるような制度的担保が必要であると、こういう答申が出ているわけですけれども、これを受けて二〇〇四年五月に、栄養教諭制度の創設が全会一致で可決されたわけですね。
栄養職員が栄養教諭になるということは、さっきの答申にもあったように、食に関する専門家である栄養職員が、指導面でも専門家としての教諭になるということ、位置づけとしては、よりしっかりするということですね。指導する専門家を養成することが重要だと、国も栄養教諭の認定講習の予算をつけています。
栄養教諭になるための認定講習が始まったわけですけれども、東京の小中学校の栄養職員総数、つまり栄養教諭としての可能性がある人数というのは、千三十七名ですけれども、実際、今年度の認定講習を受けた方は何人いらっしゃいますか。
○松田人事部長 今年度の受講者は九十一名でございます。
○大山委員 千人ちょっとの栄養職員のうち九十一人ですから、約九%程度の受講者だということですね。
他県の状況を見てみますと、受講者が二けたという自治体というのは少数派なんですね。愛知県や岡山県、福岡県、広島県は、東京よりも栄養職員は少ないでしょうに、東京の二倍以上、埼玉が百九十九人、千葉県が百九十六人、神奈川県も百人等、首都圏を見ても東京よりも多いわけですね。
栄養職員の方の話を伺いますと、学校現場で、子どもたちのさまざまな食に関する問題に直面しているというふうにいいます。野菜を受け付けない子がいたり、果物を喜ばない子がいたり、特定の食品しか食べない子がいたり、初めてのものにおじけづく子がいるというように、食を通した心身の育成の必要性を、栄養職員の方々は本当に痛感しているというふうにいっています。
同時に、家庭や学校において、子どもを取り巻く大人の人たちが、必ずしも食に対して正しい知識だとか行動を身につけているとはいえない状況があります。そんな中で、栄養職員は総合的な学習の時間や評価、学級指導、給食時間等に食の大切さをアピールして、個別に相談に乗ったり、一人一人の子どもを大切にした対応を目指しているというふうにいっています。
栄養職員は、現在は、大切さは実感していても、なかなか指導のための時間だとか機会だとかが保障されないというのが悩みなんですね。学校生活の中で、食に関する指導の実践の必要性を強く感じてきているわけです。
栄養教諭は、食に関する専門的な教員として、例えば食に関する指導に関する全体的な計画の策定では、中心的な役割を果たすなど、連携調整のかなめとして、食に関する教育のコーディネーターとして役割を果たすことが期待されると思うんですけれども、どうでしょう。
○齊藤学務部長 栄養教諭につきましては、学校給食の管理と個別的な相談指導、教科特別活動における指導、食に関する指導の連絡調整などの食に関する指導を一体的に担うもの、こういうふうに国においては位置づけられているというふうに認識してございます。
○大山委員 国においては位置づけられているということなんですけれども、東京都としてどうするのかということが、今求められているわけですね。
先ほど、東京の栄養職員は約千人だというふうにいいましたけれども、今後の栄養教諭の認定講習の計画はどうなっているんでしょう。
○松田人事部長 平成十八年度につきましても、今年度と同様に栄養職員の資質向上を図ることを目的といたしまして、文部科学省によります育成講習事業を活用して、教員免許状を有する栄養職員を対象とした認定講習を実施していく予定でございます。
○大山委員 教員免許状を持っている人を優先してということなんですけれども、千人のうち教員免許状を持っている方というのは何人なんですか。
○松田人事部長 教員免許の所有は、栄養職員の採用の条件となっていないことなどから、正確なデータは把握しておりませんけれども、昨年七月に認定講習にかかわるアンケート調査を実施いたしましたところ、約百九十名が教員免許を所有していると回答をいたしております。
○大山委員 食育が重要だというふうにいいながら、教員免許を持っている人は百九十人、実際栄養教諭は千人ということですから、本当にこの都内で、小中学校約二千校のうち百九十人では、いかにも少ないわけですね。ここでも、すべての子どもたちに食育を保障するということにはならない。
さっきご答弁では、教員免許状を持っている人なんだといいましたけれども、国だって、その教員免許を持っている人、持っていないにかかわらず、二単位の講習なのか八単位の講習なのかというのを、ちゃんと用意しているわけですよね。
他県だってきちんと、教員免許を持っていない栄養職員を、国の予算を使いながら認定講習をしています。今後、希望する栄養職員に認定講習を受けられるようにすることが求められていますけれども、どうですか。
○松田人事部長 食育を推進していくためには、栄養職員の資質向上を図ることが重要であると考えておりまして、そうした観点から、今後、栄養職員に対する研修や認定講習のあり方について検討してまいります。
○大山委員 ぜひ、きちんと現場の意見も含めて議論をして、検討をして、東京都としての、東京の子どもたちに食育をどうするのかということをきちんと出していって、位置づけていってもらいたいと思っています。
すべての子どもたちに、知育、徳育、体育の基礎になる食育を保障する立場に立って、そのかなめとなる職員をきちんと位置づけることが重要ですから、希望するすべての栄養職員に対して、栄養教諭認定講習が受講できるように計画的に進めるということと、あと、東京都がきちんと栄養教諭を位置づけて任用するということを求めておきます。
最後ですけれども、日の丸・君が代について、質疑をします。
卒業式というのは、子どもたちがそれぞれの教育課程を修了して進学したり、社会に巣立っていく、そのことを心から祝福する場所です。また、入学式というのは、これから新しい学校生活を迎える子どもたちを祝福して、有意義な学校生活をスタートさせてもらうという、とても大切な場です。ですから、その両方とも、入学式も卒業式も生徒が主人公であり、生徒にとって本当に充実した心温まる感動できる式をみんなでつくっていくことが、本来のあり方です。
だからこそ各学校では、これらの入学式や卒業式は、子どもたちの出発、それから巣立ちにふさわしいものとなるように、生徒や教職員や保護者の方々が力を合わせて、創意と工夫を重ねることで、生徒を主役にした入学式、そして卒業式が営まれてきたんです。
ところが、二〇〇三年十月二十三日以降、卒業式や入学式の様相が一変してしまいました。この一〇・二三通達、教員が起立や斉唱を義務づけられ、不起立などで職務命令違反として約三百名の教職員が処分を受けています。翌二〇〇四年の三月十六日の予算特別委員会で、横山前教育長は、クラスの大半が起立しない、これは国旗・国歌の指導が適切に行われていないというふうに述べて、不適切であれば教員に対して是正するよう指導することになる、というふうに答弁したんです。結局、生徒の不起立をもって教職員の責任を問うということを表明して、生徒の内心の自由まで踏みにじるという圧力をかけました。
その後、生徒の不起立を理由に、約八十名の教職員、管理職が、厳重注意だとか、注意とか、指導の処分を受けました。多くの生徒も心を痛めて、昨年の戸山高校では、卒業生が、都教委の皆さんもうこれ以上先生たちをいじめないでくださいと、心からの訴えをしました。
国旗・国歌法の制定の趣旨からいっても、敬礼や斉唱を強制するというのは誤りです。学習指導要領にありますから、起立して歌うということは教えても、一人一人の個人の生徒や教員に、敬礼や斉唱を強制するものではありません。憲法で保障された内心の自由、歌わない自由もあります。
実際、都立高校の卒業生は、私は君が代の歌詞が自分の考えと違ったから座ったんです、ほかの人たちも自分の意思で座ったといっていました、私たちくらいの年になれば自分の考えがあって当然です、だれかにいわれたから座ったようにいうのは失礼ですと語っていました。
多くの保護者や生徒、都民、識者やマスコミなどから、処分までして強制するのは行き過ぎだという批判が集中しています。しかし都教委は、ことし三月十一日の定時制高校の卒業式で、卒業生の大半が君が代斉唱のときに立たなかったということを受けて、三月十三日に新たな通達を出しました。ここにもありますけれども、その内容というのは、二〇〇三年の一〇・二三通達と、生徒に不適切な指導をするなという内容の二〇〇四年三月十一日の通知をさらに徹底するように通達を出したものですというふうに、通達には書いてあります。
三月十五日付の朝日新聞は、社説で、生徒を一人残らず国旗に向かって立たせ国歌を斉唱させる、かみ砕いていえばそうだろうというふうに書きました。私もそのとおりだと思います。これは見逃すわけにはいかない重大なことです。
まず伺いますけれども、この通達を出した、この間の三月十三日の新たな通達ですね、ということは、結局一人残らず歌わせなさいということではないんですか。
○井出指導部長 これまで都教育委員会は、卒業式、入学式等の適正な実施について、各学校を指導してきたところでございます。しかしながら、この春の卒業式におきまして、一校の定時制課程におきまして、国歌斉唱時に大半の生徒が不起立であったという事態が起こりました。
このことを受けまして、全都立高等学校長にあてまして、学習指導要領に基づき適正に生徒を指導することを教職員に徹底するよう通達を発したものでございます。
○大山委員 大半の生徒は不起立だったから、その通達を出したということですね。そういうふうにいいますけれども、先日の予算特別委員会の中で、中村教育長は、詳細は現在調査中というふうに答えています。
なぜ生徒が立たなかったのかわからないわけですね。生徒一人一人、それぞれに考えがあってのことかもしれません。なのに、教育長は教員の指導力不足か、学習指導要領に違反する恣意的行動があったと決めつけて、調査もしていないのに、そして調査の結論も出ていないのに、直ちに通達を出して、その上、都立の高等学校長全員を集めて徹底をさせる、そこまでやるねらい、意図というのは、何なんですか。
○井出指導部長 あくまで卒業式等学習指導要領にのっとって計画し、実行することが求められているわけであります。
ですから、その学習指導要領に基づいて指導が適正に行われたか、これについては、生徒について指導を徹底するよう校長に通知をしたものでございまして、それ以外のものではございません。
○大山委員 結局、学習指導要領に基づいていれば、学級の大半の生徒が起立しないというのは到底考えられない、そういうふうに教育長も答弁しましたけれども、まさに、どうして立たなかったのかということもわからない、どういう経過なのかというのもわからない、どちらが恣意的かといったら、教育長の方がずっと恣意的ですよ。
私は、調査をすること自体が子どもたちに圧力をかけ、心を傷つけ、内心の自由を踏みにじるものだと思っています。高校生ともなれば、一人一人が自分の考えや判断を持っていて当然です。まして定時制高校ですから、年齢も高い人もいるし、働いている人もいます。しかも十四人ですから、自分の考えで立ちたくないという生徒が、その中にたまたまたくさんいても不思議ではないことです。結局、教員の指導という名をかりて、生徒みんなに立たせたいということじゃないんでしょうか。調査の結果も出ていないのに、全く恣意的であり、予断を持った判断だといわざるを得ません。
そこで聞きますけれども、通知と通達の違いは何ですか。
○井出指導部長 総務局発行の東京都分掌事務の手引によれば、通知とは、ある一定の事実、意思などを特定の相手に知らせることである、通達は、上級行政機関がその機関の所掌事務について所管の諸機関並びに職員に対して発する一種の命令であるとされております。
○大山委員 つまり、通知はただの知らせ、通知より通達の方がより拘束力を持つし、命令だということなんですね。
これは、その通達、持ってきましたけれども、東京都教育長が、都立学校の校長先生にあてて出しているんですね。結局、都立学校の校長先生は、教育長から、校長はみずからの権限と責任において国旗の掲揚及び国歌斉唱を児童生徒に指導することを教職員に徹底することを通達で命令されたということなんです。
ということは、徹底できなかったら、校長先生が処分の対象になるということなんでしょうか。
○井出指導部長 通達に基づいて校長が教職員を適切に指導していれば、処分の対象になることはございません。
○大山委員 適切に対応していれば処分の対象にはならないけれども、いなければ処分の対象になるということですよね。この処分の対象になるというのは、すごいストレスですよ。
その上、四月からは学校経営支援センターができて、きめ細かく支援され、チェックされるわけですね。それで校長先生の教育長からの命令を実行しようという思いは、ますます大きくならざるを得ないわけです。教員に出されている職務命令も、より拘束力を増すといわなければなりません。
結局、校長先生は、立たない生徒がいたら、なぜ立たないのかとか、指導はどうだったのかと、こう厳しく追及されて責任を問われていくわけですね、教育長から。結果として、何回も何回も立つまで練習するとか、立たない生徒は個別に問い詰めるとかということになりかねないんじゃないでしょうか。
○井出指導部長 なぜ立たなかったか、なぜ歌わなかったかということを生徒に問い詰めるのではなくて、あくまで指導上の問題として必要に応じて生徒から事情を聴取し、その後の指導に役立てていくということでございます。
○大山委員 今いったのは、教育長から校長先生に対して、命令として指導を徹底しなさいといわれるわけですよ。ですから、校長先生としたら、教育長から、あんたの学校はこのぐらい立たなかったけれどもどうして立たなかったんだ、どうしてですかと聞くわけですよね。そうすれば、結局のところ子どもたちに圧力がかかるじゃないかということなんですね。
国旗・国歌法の審議のときの答弁で、長時間にわたって指導を繰り返すなど、児童生徒に精神的な苦痛を伴うような指導を行うということは許されない、こういうふうに当時の有馬文部大臣はいっています。ということは、こんなことはしないんだという約束はできるわけですね。
○井出指導部長 長時間にわたって児童を拘束して指導するということは、あり得ないと承知しております。
○大山委員 あり得ないということですね。すべての生徒に歌わせるということでなければ、指導力不足か恣意的指導ということになるわけですよ、この通達ではね。校長も処分されかねない。結局、一人残らず歌わせたいということになるわけですね。
これは、今、長時間にわたって指導を繰り返す、そんなことはないんだというふうにいうわけですけれども、そういうのだったら、きちんと指導は、そんなことじゃないんだということなんですけれども、この子どもたちに、生徒に対して、先生が処分されるなら、もう高校生だったらよく知っているわけですよ。今までの状況も知っているし、憲法だって知っているし、それから、どんなことが今東京都で起こっているのかということも知っているわけですね。ですから、生徒が、自分が立たなかったら先生が今度はもっと厳しく処分されちゃうかもしれないというふうに思う生徒というのはいるわけですよね。
そういう生徒、それは憲法で保障された内心の自由、これを保障できる、憲法が保障する内心の自由を、自分は立ちたくないけど先生が処分されちゃうから立とうということだと、それは内心の自由は保障されていないということになるわけですから、これについてはどうですか。
○井出指導部長 学校における国旗・国歌に関する指導は、生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする、そういった趣旨のものではございません。あくまで教育指導上の課題として進めているものでございます。
立つ、立たないの判断は、生徒個人の内心にかかわることであると承知しております。
○大山委員 では、内心の自由は認めるんだということですよね。
内心は、どういうことであらわれるかといったら、行動であらわれるわけですね。ですから、内心の自由は認めるということは、その内心が行動としてあらわれるということも認めるということで、いいわけですね。
○井出指導部長 起立をしなかった、あるいは歌わなかったといった生徒がいた場合、これはまさに教育指導上の課題として、今後丁寧に指導していくと、学校現場に任された重大な使命であるというふうに考えております。
○大山委員 内心の自由は認めるけれども、その立たなかった生徒に対しては、とにかく指導をするわけでしょう、今の答弁はね。どんどん指導して、結局押しつけるわけですよ。そういうことでしょう。
内心の自由は認めるということは、憲法で認められた内心の自由をきちんと教えること、これを保障しなきゃいけないわけですけれども、それも認めるわけですよね。
○井出指導部長 児童生徒に我が国の国歌と国旗の意義を理解させ、それを尊重する態度を育てるということでございます。
○大山委員 私が今聞いたのは、憲法で定められた内心の自由、それはきちんと憲法を教える、それから内心の自由があるんだということも教える、それを保障することも認めるんですよねということです。
○井出指導部長 学校教育におけるさまざまな場面におきまして、憲法に認められている権限について児童生徒に教えていくことは、何ら間違ったことではない、求められることであるというふうに考えております。
○大山委員 憲法はきちんと教えるんだということですね。
生徒が、例えば、やはり悩むわけで、揺れるわけですよね。卒業式を前にして生徒に聞かれた場合、立つ自由もあるんだし、立たない自由もあるんだということを知らせることは必要だと思いますけれども、どうですか。
○井出指導部長 教員は法令や学習指導要領に基づいて、児童生徒に国旗・国歌に関する指導を行う義務がございます。直前に、殊さら歌わない自由を強調することは、決して適切であるとは考えておりません。
○大山委員 殊さら歌わない自由を強調するということをいったんじゃありません、私は。きちんと内心の自由があるんだから、保障されているんだから、歌わない自由もあるし歌う自由もあるんです、そういうふうに教えるのは全く当然のことですよね、ということです。
○井出指導部長 学校における教育活動は、学習指導要領に基づいて教育課程を編成し、それに従いまして二年間の指導要領計画を作成し、意図的、計画的に指導していくものでございますから、この内心の自由にかかわる指導につきましても、あるとき思いついて指導するというものではなくて、計画的に指導していくものであろうというふうに考えております。
○大山委員 今すごくはぐらかすような、ずらすような答弁なんですけれども、そうしたら聞きますけれども、国旗・国歌制定法のときには、児童生徒に対する指導についても議論されています。
政府は、起立する自由もあれば起立しない自由もあろうと思うし、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もあろうかと思う、法制化はそれを画一的にしようというわけではないというふうに、当時の野中広務内閣官房長官は国会でこのことをきちんと答弁をして、確認されています。このことについては、どう考えていますか。
○井出指導部長 承知しております。
○大山委員 承知しているかどうかを聞いたんじゃなくて、どう考えていますかということを聞いたんです。
○井出指導部長 児童生徒の内心の自由と、それからその児童生徒を指導する教職員の義務とはまた別のものでございまして、教職員は学習指導要領に基づいて適切に指導することが義務づけられております。
○大山委員 ということは、この国会での答弁を否定するということですか。
○井出指導部長 法制化に当たり、国旗の掲揚等に関して義務づけを行うことは考えていないという政府答弁についてのお尋ねでございますが、国民生活一般については何ら義務づけを行わないというものであるにもかかわらず、学校教育にもそのまま適用されると誤解されているというふうに考えております。
○大山委員 ちょっと、その辺はっきりさせておかなきゃいけないのは、今私は一般論をいったんじゃないんですよ。児童生徒に対する指導について議論をされていますといって、政府は起立する自由もあれば、しない自由もある、そして斉唱する自由もあるが斉唱しない自由もあろう、それを画一的にしようというわけではありません、それについてどうとらえているのか、そのとおりだというふうにとらえているのかどうかということを聞いているんですよ。
○井出指導部長 児童生徒に対する指導につきましては、そのとおりでございます。
○大山委員 そのとおりですよね。そうなんですよ。だから、きちんとしなくちゃいけないんです。なぜこんなことが大問題になるのかといえば、重要なのは、日の丸・君が代については、国論を二分するような状況になっているということなんです。だから強制してはいけないということなんです。
歴史を学んだり、親や祖父母の話を聞いたりすることもありますよ。日本人だけではない生徒もいます。どうしても立てない、歌えないという人はいるんです。それを、まずきちんと認識する必要があります。
さらに、政府は、児童や生徒の内心に立ち入って強制するものではないと繰り返しています。起立しない子どもがいたらどう考えるのかというふうに問われて、当時の有馬国務大臣は、その人の良心の自由で、ほかの人に迷惑をかけない格好で、自分の気持ちで歌わないということはあり得ると思います。それは別に良心の自由でございますので、そのことが最終的な評価につながるとは私は考えておりませんというふうに答弁しているんです。
先日の通達を出すきっかけにした定時制高校の卒業生が、ほかの人に迷惑をかけるような格好でもしていたんでしょうか。他人の、ほかの生徒に起立を妨げたとでもいうんでしょうか。
○井出指導部長 詳細は、正式な報告をまちませんとわかりませんが、聞き及んだ限りにおきましては、起立をしなかったということでございます。
○大山委員 他人に迷惑をかけるような格好もしていないし、それからほかの生徒の起立を妨げていたわけでもない、結局、生徒の内心の自由なんていうのは全く考えていないということじゃないんですか。
さっきから学習指導要領、学習指導要領というのが出てきますけれども、その学習指導要領にはどう書いてあるのかということなんですね。学習指導要領というのは、その中で、卒業式や入学式というのは、第四章特別活動の学校行事の一つですね。特別活動の第一番目には、その項目の中の目標というのが書いてあります。
目標というのが何と書いてあるかというと、「望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団や社会の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。」というふうに書いてあるんです。
特別活動には、ホームルーム活動、生徒会活動、学校行事があって、指導計画の作成と内容の取り扱いというのがありますけれども、学校の創意工夫を生かす、学校の実態や生徒の発達段階及び特性等を考慮し、生徒による自主的、実践的な活動が助長されるように、人間としてのあり方、生き方の指導がホームルーム活動を中心にして特別活動全体を通じて行われるようにすること、その際、他の教科、特に公民科との関連を図ること、個々の生徒についての理解を深め、信頼関係を基礎に指導を行うとともに、生徒の自主的、自治的な活動が助長されるようにすることというふうに書いてあるんです。
これを読めば、自主的な態度、活動が重視され、人間として間違っていることは間違いだと、きちんと自分の考えがいえたり、行動にできたり、それを養うことが特別活動ではないんでしょうか。三年間を通じて、そのように特別活動で養ってきたことを、卒業式では覆してしまう。学習指導要領といいながら、一番大事なことを踏みにじっているんじゃないんですか。
○井出指導部長 入学式や卒業式は、学校生活に有意義な変化や折り目をつけるものであり、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、新しい生活の展開への動機づけを行い、学校、社会、国家など集団への所属感を深める上で、よい機会になるというふうに考えております。
○大山委員 それは、その学習指導要領の解説の中で書いてあることですね。
あれこれいっても、結局学習指導要領の特別活動、この中に卒業式というのも書いてありますよ、入学式、卒業式などにおいてはその意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとする、これ一行入っていますよ。
しかし、それは、この特別活動という学習指導要領のねらいとしたところは、あれこれいっても、きちんと自主的な--間違ったことは間違っているとか口に出して、行動に出せる、そして自分の意見を持って発言できる力を養うというのが特別活動ではないんでしょうかね。ですから、学習指導要領を率直に読めば、そのように書いてあります。
ところが、都教委は国歌に対して、自主性どころか入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱に関する実施指針、こういうのまで出して、自主的どころか、会場の設営についてとか、国旗の掲揚は舞台の壇上正面に掲揚するとか、国旗とともに都旗を合わせて、その向かって左に国旗で、右側に都旗、こういう、そんなところまで事細かく決めているわけですよ。
それで日の丸の揚げ方から何から何までがんじがらめにして、生徒に考えることさえやめさせているわけですね。決まっているとおりに従え、それで学習指導要領に基づいて築いてきたものを、最後の卒業式で崩しているというふうにいわざるを得ません。
二〇〇三年十月、一〇・二三のこの通知以降の通知だとか通達、すべて撤回をするように求めて質問を終わります。
○秋田委員 全国各地で桜が咲き始めて、東京もこれから桜が満開の季節になってまいります。お花見に興じる方もいらっしゃると思いますが、私は花粉症なものですから、大変つらい季節でございます。
入試の方も、ほぼ、大体終わってまいりまして、桜が咲いて喜んだお子さんもいれば、桜が散って悲しみに暮れた生徒さんもいらっしゃると思いますが、ことしの都立高校の、都立学校の入試の実績は、進学指導重点校を初めエンカレッジスクールなど、都立高校も高い入試倍率となっており、マスコミの注目も集めております。
また、入学辞退者も大分低下をしているようでございまして、平成六年度の入試以降、手続辞退率が最も低くなったといった結果も出ているとおり、都立高校の人気は、明らかにかつてに比べ上昇しているのかなと思っております。都立高校改革による一定の成果が出始めたことに、都民の注目は集まり、一定の支持が定着し始めているのかな、そんなふうに思います。
そこで質問なんですが、進学指導重点校を初め都立高校全体への人気が高まり、一部のマスコミでは、都立回帰とまで報道されています。都教委として、こうした状況をどのように認識しているのでしょうか。
○新井参事 東京都教育委員会では、都立高校改革を通じて、普通科の高等学校の個性化、特色化を図るとともに、新しいタイプの高校を設置するなど、生徒の多様な学習希望にこたえる学校づくりを行ってまいりました。
その結果、進学指導重点校だけではなく、生徒の多様な進路希望に対応できる特色ある高校に対しても都民の関心が高まり、全体として都立高校への期待が高まってきているというふうに考えております。
○秋田委員 知事の方から、さきの施政方針表明の中で、ことしの日比谷高校は過去最高の倍率を記録したと、こういうようなお話がございましたが、都教委では、日比谷高校を含め伝統ある進学校の中から、進学指導重点校を指定しておりますが、日比谷に限らずそれらの学校はみな高倍率を記録したと聞いております。
このような進学指導重点校の応募倍率が高まった原因はどこにあると考えているでしょうか。
○新井参事 都教育委員会は、大学進学に対する生徒、保護者の期待にこたえるため、平成十三年九月から、日比谷高校など七校を順次、進学指導重点校に指定をいたしました。
指定を受けたことによりまして、進学指導の実績向上を目指して、教職員が一丸となりまして組織的な取り組みを行った結果、成績の底上げが図られ、学力上位層が伸びたことで、難関国公立大学及び難関私立大学等の現役合格実績が着実に増加したというふうに考えております。
このように、進学指導重点校の各校が着実な取り組みを行い、進学実績を向上させたことが都民に評価され、進学指導重点校の応募倍率が高まったものと考えております。
○秋田委員 今のお話でございますと、難関の大学への進学実績という、わかりやすい結果が出て、その結果、応募倍率も高まってきたというのは、大変喜ばしい限りなんですが、その一方で、さきの予算特別委員会の中で、知事は、都立高校をひそかに視察した際、先生は無気力、都立の中流というか、オンレベルの学校の事実を目の当たりにして愕然としたと、こういったご指摘がございました。
入学時に都立高校人気が出ても、都立高校全体の教育活動の活性が図られ、その結果としての出口である進路実績が出ないことには、都民全体の共感も期待も得られないのかなと思っております。
先日、十七日の産経新聞でも、進学指導重点校のことしの実績について、威信回復に手ごたえと報道されておりましたが、都立高校全体で見ると、まだまだこれからだと思います。進学重点校以外の都立高校でも、授業規律の確保と生徒の基礎学力の定着が図られ、骨太の人材を育成していかなければ、真の都立高校の復権とはならないのかなと思います。
そこで、実績の出てきた進学指導重点校の取り組み成果と課題を明らかにして、他の都立学校の進路指導にも波及させていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○新井参事 進学指導重点校を指定するねらいでございますけれども、指定された学校の進学実績を向上させるだけではなくて、指定校がさまざまな課題を克服して進学実績を向上させてきた取り組み、これを他の都立学校と共有いたしまして、都立学校全体で生徒の進路を充実させていくということにあるというふうに考えております。
進学指導重点校七校が行っている学習指導、進路指導、生活指導等の組織的な取り組みを、取組状況報告としてとりまとめをいたしますとともに、進学指導研究協議会等の研修に反映させまして、都立学校全体の進路指導のレベルアップを図ってまいります。
○秋田委員 昭和四十年代に学校群制度が導入されて以来、都立高校はずっと凋落傾向にあって、私学の優位が続いてまいりました。ことしの入試で、大分、都立高校人気が復活したとはいえ、依然として私立、私学が優位といった状況には変わりがないと思います。
しかし、都立高校がいろいろな意味で、都立高校改革の成果として人気も、そして実力も備わりつつあることは間違いないと思います。都立高校が活性化して、私学と、ある意味、いい意味での競争をしていくことが、東京都内にある学校全体の底上げにもつながるものだと信じておりますので、その点を強く要望して私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○馬場委員 私は、先ほど野上理事さんからもありました都立高校の普通教室への冷房化促進について、ご答弁をいただけないということですので、私の方からも要望を一言させていただきたいと存じます。
昨年、ちょうど三月二日の第一回定例会の一般質問で、このことを取り上げました。このときに、普通教室が全体の二百三校の都立高校のうち五十七校、二五%という数字を申し上げました。夏場の利用も含めて促進をお願いしたい、このご答弁の中に、緑化壁面と、また窓に緑をはわせて何とか様子を見ましょうということで、昨年実施をしていただいたわけですが、少し聞き合わせをすると、どうも一階までしか伸びなかったとか、四階建てなのに、三階までしか、そもそも伸びるような設備がされていなかったとかというようなことを聞いております。三月に質問をして、その春から取り上げてくださったわけですから、その手をつけた、もう植えたときが遅かったということも十分わかりますが、であれば、ことしはどうするのかということがやはり大きくあると思います。
どうぞ、この緑化ということをどうしても必要であれば、やはりことしは早急にこのことを手がけていただいて、その必要なところまで伸びるように要望をさせていただくと同時に、先ほどもありました検討会を設置するというご答弁をうれしく私も拝見しました。大変急がれています。PTAの方からは、私もPTAの負担ででもというような、もうそんな思い詰めたようなご要望もいただいております。どういう形で冷房化すればいいのかということを含めて、早急に対応していただきたい。
また、去年もご答弁ありましたように、耐震化の問題が、もう来年、十八年度で一〇〇%、都立校は先ほどのご答弁で終了するというふうに伺ったような気がするんですが、ということであれば、次の大きな問題は、この普通教室の冷房化だというふうに考えております。ぜひ学習環境、ついているところだけでない、ついてない生徒さんがきちんと勉強が集中できるその体制をとるというのは、都教委としての義務であると私は強く思っておりますので、ぜひこの点、ことしこそご検討いただけますよう強く要望させていただいて、質問に移ります。
これも先ほど、お二方からありました中学校の夜間学級について、私ももう一度、確認も含めて質問させていただきます。
先ほども職員配置、それから学校の状況等、質疑がありました。そもそもこの中学校の夜間学級というのが、どういう形で今まで来たのかというところへ、ちょっと戻って考えないといけないのかなというふうに思っております。そういう意味で、この夜間中学というふうにいわれていますが、中学校の夜間学級について、どのような法的な位置づけにあるのか、まずここからお伺いいたします。
○齊藤学務部長 学校教育法施行令第二十五条では、市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する小学校または中学校におきまして、次に掲げる事由があるときは、その旨を都道府県の教育委員会に届け出なければならないとされておりまして、その事由として、第五号に、二部授業を行おうとするときとしてございます。
中学校夜間学級は、この二部授業の規定に基づきまして、区市町村の任意の判断で設置されるものでございます。
○馬場委員 今ご答弁いただきましたように、中学校夜間学級は、法令上には二部授業という位置づけがされています。ちなみに一部というのは、昼間の学校ということなんですね。
東京都は、昭和二十六年に最初の夜間学級を設置されて以来、多くの方々を受け入れてこられました。改めて、どのような経緯でこの設置がされて、どのような方々を受け入れてきたのか、お伺いいたします。
○齊藤学務部長 中学校夜間学級は、戦後の混乱期における家庭的、経済的理由による中学校の長期欠席者の就学対策として、昭和二十六年、足立区立第四中学校に設置されたものが最初でございます。
その後、経済及び社会情勢が安定化するにつれまして、経済的な理由等による長期欠席生徒は減少し、夜間学級の対象者も、やむを得ない事情により義務教育未終了のまま学齢を超過した者に比重が移っております。
昭和四十年代からは、中国帰国生徒等が増加してきたため、昭和四十六年に日本語学級が設置されております。現在は、都内八校に夜間学級が設置され、そのうち五校に日本語学級が設置されているところでございます。
○馬場委員 戦後の義務教育をきちんと受けられなかった方にというような状況から、随分、五十数年たって今の状況は変わってきていると。しかし、国はまだその位置づけは相変わらず、そしてその中で東京都としては、夜間学級設置八校のうち五校に日本語学級を設置されているという、そういう状況だと思います。
この中学校夜間学級ですよね、戦後のそういう状況、その後の中国帰国者、そして最近は不登校のお子さんのための、つまり義務教育を終了できないお子さんのための受け皿になっている。この不登校のお子さんの卒業というのは、どんな状況なのかなというふうにちょっとお聞きしましたところ、校長先生の判断によって不登校のお子さんであっても卒業とみなしている場合、それから卒業と認定できない場合というふうに、校長先生の判断で行われるというふうにお聞きしました。
義務教育というのが、この卒業というのが大変難しい問題だというふうに思いますが、義務教育の終了を学齢、つまり年齢が来たからそれで卒業したということにしてあげた方がいい、また卒業したことにしましょうと、またいろんな状況の中で、家庭で学習をして、それだけの卒業を認定できる学力がありますよ、いろんな状況があるというふうに思いますが、やはり義務教育というのは、資格、学力だけでなく、学習環境を守る、その子にやはり保障するということだというふうに思います。
今回、質問を考える中で、中学の卒業認定試験というのもあるというのもお聞きしました。東京でも昨年は八名でしょうか、その認定試験を受けられる、でもこれは卒業の資格があるというだけで、この試験に受かっても卒業という状況ではないわけですね、難しいいい方なんですが。
こうした夜間学級での教育のあり方として、都教委がどんなふうに評価をしているのか、伺います。
○齊藤学務部長 中学校夜間学級につきましては、学齢を超過した義務教育未終了者に対しまして、義務教育を受ける機会を確保する重要な教育の場であるというふうに考えてございます。
○馬場委員 不登校のお子さんの話をしましたら、日本語学級には義務教育を終了していない外国の方が、先ほどの答弁の中にもありました、多数いらっしゃいます。日本の文化、習慣、日本語そのものを早く学ばなければならない、それで学齢、義務教育を終了していないということで、この日本語学級にいらっしゃるわけですが、この夜間中学の日本語学級の設置の目的とその法的な位置づけを、もう一度改めて伺います。
○齊藤学務部長 東京都におきましては、夜間日本語学級は、学級に在籍する生徒に対しまして、日本語の習得を目的として授業を行い、通常の教科についての学習理解及び生活習慣の習得を容易にし、教育効果の向上を図るために設置されております。
なお、夜間日本語学級は、東京都独自の仕組みでございまして、国の制度上の位置づけはございません。
○馬場委員 夜間日本語学級は、国で制度上の位置づけがないというご答弁がありました。国際都市東京として、全国に先駆けて東京だけこの制度をつくっているわけですが、やはり全国的な問題だということもありますし、東京が独自にしている制度ということは、財政的な負担も都が負っているということでございます。
その意味では、国にこの制度化をずっと働きかけ続けていらっしゃるというふうに思いますが、そこのところの状況はどうなんでしょうか。
○齊藤学務部長 夜間日本語学級につきましては、法令等の規定がなく学級と認められていないため、義務標準法におきまして人的措置がなされていない一方、夜間学級についても、昼間の学級と合算した学級のみで教職員定数が算定されるなど、制度的に未整備な状況がございます。
このため、日本語教育の一層の充実等を図るため、国に対して義務標準法など関係法令の整備を提案、要求しているところでございます。
○馬場委員 今ご答弁ありましたように、夜間学級は設置者が区市であり、運営費は地方交付税で見られているという部分がありますが、日本語学級は都独自でやっている。ということは、先ほどのお話があった教員の配置等についても、大変都としても苦慮しているという状況にあります。
その義務教育完全保障ということを、やはりきちんと国として認識していただくためには、国へ要望するということもしっかり続けていただきたいというふうに思います。
この中学校の夜間学級についてなんですが、せっかく都で受け皿として、この都独自の夜間学級をつくっていただいている、先ほどの質問にも、探し当ててきたというようなお話がありました。せっかく受け皿でつくっているのであれば、その日本語学級が活用されなければならないというふうに思っています。
どんなふうな広報をしていらっしゃいますかということで、このチラシをいただきました。夜間学級で学びませんか、公立中学、あなたもという、こういうチラシなんですが、このチラシを見ていただくとわかるように、平仮名で振り仮名が振ってあります。読みやすくなっているということなんですが、先ほどお話しした、最近、外国籍の方、義務教育を終了していない日本語のわからない方がふえているという状況の中で、平仮名で書いて振り仮名を振っても、やはりわかりにくいのではないかなというふうに私は思いました。
また、この一番下にはホームページもきちんと書かれているわけですので、このホームページの中で、それぞれ必要な外国語、できるだけ翻訳をして、このホームページでどういう学校がどこにあって、どうすればここに入れるのかということがもっとわかりやすくなれば、多くの皆さんに利用していただけるのではないかというふうに考えました。この点についていかがでしょうか。
○齊藤学務部長 ご指摘のように、英語など外国語に翻訳することによりまして、広報の効果がさらに上がることも期待できるため、チラシに示しているような内容を翻訳いたしまして、さらにホームページに掲載することについて、前向きに考えていきたいというふうに考えております。
○馬場委員 ありがとうございます。ぜひ、できるだけそうした利便性を図っていただきたいというふうにお願いをいたします。
外国の方の子どもの二七%が未就学の状況ではないかという数字をお聞きしました。できるだけ、この日本でともに暮らすそうした子どもたちが不自由のないようなこの義務教育、日本で暮らす上での最低のことは、やはり住み合う都民として、きちんとこのお子さんたちに保障をするということが必要だというふうに私も思っています。
ただ、やはりこの学校に入るには住民登録等必要であるとか、いろいろあるんですが、こうしたことも日本でともに住むということの中で理解をし、お互いに社会をつくる住民として、生活環境を守る、保障するという観点からも、ぜひ一緒に努めていただきたいということをお願いして、質疑を終わります。
○上野委員 私からは、学校全体の教育力向上の観点から、主幹制度について質問いたします。
三月、都の高校、中学の卒業式に出席してまいりましたけれども、直接、校長、副校長と話ができるいい機会でございましたので、学校の教育環境の実情とか、あるいは要望について、現場の大切な声をいろいろと聞いてまいりました。
その中でいわれていたことが、主幹の評価が非常に高いということでございます。例えば、管理職と教諭のよきパイプ役となっておりますよとか、あるいは指導に行き詰まって非常に困っていた教員の方をいち早く発見してすぐ立ち直せることができた、あるいは新しい課題への取り組みとか、さまざまな行事がある際にも、主幹の方が中心となっていろいろな連絡調整を図って、そして組織的な対応ができるようになったということで、校長さん、非常に感謝しておりまして、何とかバックアップしてもらいたいというお声を聞いてまいりました。
そういった主幹の働きによって、学校全体としての教育力がアップされているということは間違いない事実でございまして、東京都が全国に先駆けて設置したこの主幹制度というのは非常にいいと、他の自治体も注目しているところでございます。
そこで、その主幹が配置計画に基づきまして、平成十五年度からずっと計画的に配置されておりますけれども、既に三年がたちました。主幹の必要数と現在の充足状況はどうなっているのか、また当初計画どおりこの主幹の全校配置、これはもう達成するべきだ、このように思いますので、その点についてお伺いいたします。
○川澄参事 主幹は、学校種別ごとに定めた配置基準に基づいて配置をしておりまして、平成十七年度の学校数に照らし合わせますと、全体で六千百四十八人が必要となります。
現在の主幹の配置数ですが、小学校が千四百九十七人で計画数の五六%、中学校が千百八十八人で計画数の六一%、全日制高等学校が五百十七人で計画数の四五%、盲・ろう・養護学校は百五十三人で計画数の六〇%となっております。
配置計画では、小学校、中学校では平成十九年度、高等学校、盲・ろう・養護学校では平成二十一年度の達成予定となっており、当初計画どおりの全校配置の達成に努めてまいります。
○上野委員 ぜひ達成してもらいたいと思います。
主幹は、ご存じのとおり教務主任を兼務したり、取りまとめたり、あるいは他の教員に指導助言を行ったりとか、管理職と教員の調整役として機能するなど、本当に日々困難な職務に立ち向かい、努力されている。それに対して、校長の評価も先ほど述べたように非常に高いわけですから、日々の頑張り、高い評価に対して、その処遇の上で報いていくべきであると、このように思っております。
昨年十月の委員会においても、我が党の野上理事からも、その点については、給与の処遇など主幹のメリットをもっと明確に出して、主幹希望者が増加する対策が必要であると、このように質問いたしまして、人事部長側も人事委員会など関係機関に働きかけ、職責などをより反映した給与制度の構築に向けて取り組んでまいりますと、このように答弁されました。
そこで、これの答弁に対しての十八年度の処遇の改善というのは、どのようにされているか、それをちょっと教えてもらいたい。よろしくお願いします。
○川澄参事 職責、能力、業績を反映させる給与上の処遇としまして、現在給料表に主幹の職に対応する特二級を設定しているところであります。
また、平成十八年度からは、期末勤勉手当の職務段階別加算において、一般教諭との格差を設けるところとしたところでございます。
さらに、職責等に応じた、めり張りある処遇へと見直しを進めていく必要があると認識をしておりまして、今後とも関係機関に働きかけるなど改善に努めてまいります。
○上野委員 学校現場で大いに活躍し、校長の評価も高い主幹でありますけれども、その苦労の割にメリットが少ないという状況が今あると思います。
あるいは、指導監督層を避けるという最近の傾向もあるためでしょうか、主幹選考を受験する教諭が減少している、このように聞いております。
加えまして、現状の教員の年齢構成は五十代が多くて、三十代以前が少ないというこのアンバランスな構成、そういったことで、今後三十代後半の受験対象者数の減少が予測されていると伺っております。そのような状況の中で、優秀な主幹を確保して学校経営を安定させるためには、より多くの教諭が主幹選考を受けられるよう制度の見直しが必要である。これはもう皆さんもよく認識されているところでございますけれども、そこで主幹選考の受験資格の拡大や区市町村との連携、これは非常に大事で、きめ細かい人材の発掘、確保にぜひとも取り組んでいかなければならないと思います。
また、この主幹の意欲を喚起するということは大事でございまして、そのためにぜひ実現していただきたいことがあります。管理職選考の見直しでございます。現在、AとB制度でありますけれども、行政職では、ベテランの課長補佐級を対象にしたC制度というのがあります。
日々多忙なため、そういった勉強というのはなかなかできないものですから、この筆記試験に対しては非常に負担を軽減した選考をしておりますけれども、非常に課長補佐級の優秀な即戦力という方が課長になって、非常に管理職としてもすばらしい成果を出している。こういった状況の中で、教育委員会も、ぜひともベテランの主幹を対象にしたC制度の管理職選考をぜひ実現させて、意欲のある主幹の人材確保に取り組むべきと考えますけれども、あわせてお伺いいたします。
○川澄参事 主幹級職選考の受験者は、小学校、中学校、高校、盲・ろう・養護学校と、すべての校種で減少傾向が続いております。主幹配置計画の達成には、選考方法や区市町村教育委員会との連携のあり方など、制度面も含めた見直しが必要であるというふうに認識しております。
主幹級選考の受験資格の拡大、校長、区市町村教育委員会との密接な連携による指名推選制度の導入あるいは計画的な人材育成、さらにお話のベテラン主幹を対象とした管理職選考の新設による主幹職への意欲喚起など、制度の見直しに向け、今後早急に具体化を図ってまいります。
○坂本委員 急速に進む少子化や核家族化は、本来家庭ではぐくまれてきました人と人とのつながりを大切にする心を希薄にし、さらにインターネットに代表されるようなネット社会の広がりは、実体験から学ぶ経験を希薄にしております。
また、豊かに発達した経済社会は、子どもたちの価値観をさえ変え、努力や苦労をしながら働くことや、社会に貢献し、人から感謝されることの大切さを軽んじるのではないかと思うこともあります。現在の子どもたちには、精神的、社会的自立がおくれ、人間関係を築くことができなかったり、進路を選ぼうとしなかったりする、こういう指摘もございます。
そのため、今学校教育には、社会に出て体験をしながら学ぶことや社会に貢献する体験を通じて、生徒が自分の人生についてよく考え、社会の中でどう生きていくべきかを考えさせる教育が求められていると考えます。
そのため、都立高校ではキャリア教育を取り入れ、一人一人の生徒に職業観や勤労観をはぐくむ教育を推進していると聞いております。私の地元、板橋区におきましても、キャリア教育の一環といたしまして、都立高校生が幼稚園や保育園、地元の企業でインターンシップと呼ばれる就業体験を始めております。
そこで、都立高校のインターンシップについての現状を伺います。
○井出指導部長 平成十七年度には百二十五校の都立高校がインターンシップを実施しております。インターンシップ先としましては、保育園、幼稚園、地元商店街、地元老人ホーム、さまざまな企業等、多岐にわたっております。
インターンシップを積極的に実施している学校からは、生徒がみずからのあり方、生き方を考察するよい機会となり、その後、みずからの進路に対して真剣に考えるようになったなど、生徒の変容が見られるとの報告がございました。
また、受け入れ先の企業からは、高校生がまじめに仕事に取り組む姿勢に、学校におけるキャリア教育の必要性が理解できたなど、高い評価を受けているところでございます。
○坂本委員 私もインターンシップを体験した高校生が、働くことの大切さを感じた、あるいは自分の将来に夢が広がったなどの感想を話したと聞いております。インターンシップによって、高校生が実社会における実際的な知識や技術を身につけるとともに、コミュニケーション能力を向上させることが期待できると考えております。
また、実際に働くという体験を通して、企業観、勤労観の育成を図ることができ、いわゆるキャリア教育の推進が図れると考えております。
そこで、今後の都立高校におけるキャリア教育の推進について所見を伺います。
○井出指導部長 生徒に、職業に関する知識や技能を身につけさせるとともに、自己の個性や適性を理解し、主体的に進路を選択する能力、態度を育てるキャリア教育を推進していくことは、極めて重要であると考えております。
平成十八年度には、東京都キャリア教育推進検討委員会を設置し、これまでの各学校の取り組みの検証を行うとともに、小中高で一貫したキャリア教育の推進を図るなど、主体的に進路を選択する能力、態度を育てる教育を一層支援してまいります。
○坂本委員 我が国の将来を担う高校生には、社会人としての必要な基礎学力を身につけさせるとともに、キャリア教育によって職業観、勤労観をはぐくむ必要があると考えます。ついては、各都立高校におきまして、このキャリア教育の中で大きな役割を占めるインターンシップが積極的に導入されることを、都教育委員会に支援をしていただきたいと思います。
高校生がキャリア教育を通じて、望ましい職業観、勤労観を身につけることは大変重要であると考えますが、それに加えて、高校生段階から、積極的に社会に出て社会に貢献する精神をはぐくむことは重要と考えております。
ところで、先日、私の地元の都立高校の卒業式に参列いたしました。大変荘厳な雰囲気で、感動的な式であることを感じて評価しております。卒業式で来られたときに、東京都の教育委員会のあいさつの中で、都立高校生の、みずから小学校の集団下校に加わり、小学校の子ども教室など出かけたりしまして、子どもたちの安全を守るための活動に積極的にかかわったという都立高校生の社会貢献活動が紹介されております。
昨年は、広島県や栃木県におきまして、小学校一年生が下校時に殺害されるという大変痛ましい事件が起きました。小学校の子どもを持つ親としましては、毎日不安に駆られております。卒業式の都教育委員会のあいさつにありました都立高校生の活動はどのようなものでありましたか、具体的に伺いたいと思います。
○井出指導部長 本年一月二十九日に、都立羽村高等学校の生徒約四十名が、羽村市立松林小学校のセーフティー教室に参加をいたしまして、その後で小学生の集団下校に同行し、児童の安全を守る活動を行いました。
また、三月十一日には、都立杉並工業高等学校の生徒約五十名が、日ごろから交流を深めておりました杉並区立山谷小学校の地域学校行事に児童とともに参加するなど、都立高校では、小学生とさまざまな交流活動を行っているところでございます。
こうした活動が、高校生と小学生との人間関係を深め、ひいては児童の安全と安心して生活できるまちづくりを進めることにつながると考えております。
○坂本委員 今の答弁にありますように、この活動は、まさしく安心・安全なまちづくりにつながる活動であると考えております。こうした活動につきまして、高校生の力を活用することは大変意義があると私は思います。
こうしたことを踏まえまして、平成十九年度からすべての都立高校で実施されます教科・科目「奉仕」についてお尋ねいたします。
平成十七年度の重点事業の中で、奉仕体験活動の必修化があります。福祉施設での介護または地域での清掃活動を通じまして、社会の一員としての自覚を身につけさせるための教育を一層推進するため、平成十九年度から全都立高校におきまして、こうした体験活動を必修科目とすると位置づけるとしております。今年度はどのような取り組みをしたか、伺いたいと思います。
○井出指導部長 今年度は、教科・科目「奉仕」に関するカリキュラムを開発する委員会を設置いたしまして、この科目に関する具体的な学習内容や、教育課程上の位置づけなどについて検討するとともに、実践研究校二十一校を指定いたしまして、各学校の活動が円滑に行われるよう連絡協議会を開くなどして、支援を行ってまいりました。
また、本年二月には、学校、家庭、地域の連携を強化し、生徒の体験活動の受け入れ先を広く確保するために、都立高校生自身が運営するフォーラムを開催したところでございます。
○坂本委員 十九年度に向けまして、さまざまな準備を進めていることがよくわかりました。
では、奉仕の授業が必修化される前年に当たる十八年度は、どのような取り組みをされるでしょうか、伺います。
○井出指導部長 平成十八年度には、都教育委員会、企業、経済団体、NPO団体などの関係者が、子どもたちの教育を支援するために設置した地域教育推進ネットワーク東京都協議会委員の協力を得まして、全国に先駆けて、生徒が使用するテキストを作成いたします。
また、校内における教科・科目「奉仕」の推進者を養成するための研修を実施しまして、平成十九年度必修化に向けて、すべての学校が円滑に奉仕体験活動を推進できるよう支援をしてまいります。
○坂本委員 ところで、すべての都立高校で実施するとなりますと、約十四万人の高校生が活動することになると想定されます。これだけの高校生が活動するとなりますと、活動の内容によっては、受け入れ先の確保が課題になると思われます。奉仕体験活動を円滑にするために、どのような受け入れ先を考えているのか伺いたいと思います。
○井出指導部長 現在、各自治体にあるボランティアセンターや、先ほど申しました地域教育推進ネットワーク東京都協議会と連携いたしまして、受け入れ先の確保や活動への支援に向けた働きかけをしているところでございます。
また、啓発のためのリーフレットを作成して、都内の公共施設や一般企業等に配布し、受け入れ先の依頼をしているところでございます。
○坂本委員 一般に奉仕といいますと、どうしても福祉施設での介助とか、あと地域の清掃など環境美化の方に行くことが多いというふうに考えられますけれども、先ほどの高校生のように、小学校の集団下校の手伝いとか、あとは安全なまちづくりのための地域パトロールとか、さらに災害時の救援活動、そういったものを必修化されること、そういった意味の奉仕活動を、ぜひとも授業の中に入れていただきたいというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。
○井出指導部長 奉仕体験活動を通して、社会の一員であることを実感しながら、社会に役立つ喜びや勤労の大切さなどを理解させることは、極めて重要なことであります。
お話の小学生の集団下校の手助けや、安全なまちづくりのための地域パトロール、そして災害時などの救援活動は、都立高校生が社会の一員であるとともに、社会に貢献していることを実感することができる極めて大切な活動であると考えております。
都教育委員会は、十九年度から実施する奉仕体験活動にそれらの活動を加え、必修化する教科・科目「奉仕」の内容を一層充実したものにしてまいります。
○坂本委員 今の若者は、規範意識が欠如しているとか、公共心または自己肯定観が不足しているとの指摘がありますけれども、私もボーイスカウトの隊長なんかやってきましたけれども、そういった活動をしますと、やはり今の若者を、まんざらでないというふうにも感じております。
東京という地域柄、そういった経験を積む機会がないんではないかと私は思うわけでありますが、地域の大人が率先いたしまして、子どもたちを巻き込むようなことが重要であると考えます。
また、都立高校におきましても、そういった場を多く提供することで、都立高校生が大きく変わっていくものと私は確信しております。ぜひ今後の都立高校の奉仕体験活動に注目するとともに、全面的に支援していきたいと思います。教育庁には、ぜひ頑張って奉仕を推進していただきたいと思っております。
次に、都立北園高校の卒業式に行った際ですけれども、昭和二十年代でございますが、戦後間もなく、この高校につきましては、生徒が受けたい授業とか教師を選択できるとかいう、そういった選択の取り組みがあったと聞いておりまして、いわゆる生徒と教師の一体感を持って授業が行われたというふうに聞いております。同窓会の方々から、そういった聞くチャンスがございました。
また、都立高校の高島高校でありましたけれども、生徒、保護者、また教員等から、学校のさまざまな取り組みに、詳細なアンケートを使いまして、その結果を分析しながら、学校経営計画に取り組んでいるということで、非常に細かい目標に向けて取り組んだ結果、四年制大学の進学実績も大変上がっているというふうに聞いております。
このようなことから、私は、生徒と保護者等からの意見を吸い上げながら、意見とか提言を学校運営に生かすことによって、学校と生徒、保護者、地域社会等が一体感を持った学校経営が実現するというふうに考えております。
そこで、学校が保護者や地域住民と意見交換する場といたしましても、平成十三年度からの都立学校全校に設置されております学校運営連絡協議会が重要な役割を果たしていると考えますが、その内容について伺いたいと思います。
○新井参事 学校運営連絡協議会でございますけれども、保護者や地域住民、有識者、地域の学校関係者などから成る協議委員の方々から、学校運営であるとか教育活動に対して客観的な提言や助言をいただきまして、学校運営の改善に結びつける役割を果たしております。
活動内容といたしましては、年三回程度、校長を初めとする教職員と協議委員が意見交換を行うとともに、協議委員から成る評価委員会がアンケート項目を検討いたしまして、保護者、生徒、地域社会と幅広い方面から募ったアンケート結果を分析して、学校運営連絡協議会としての改善意見を付した評価報告書にまとめまして、校長に提出しております。
○坂本委員 生徒や保護者から意見を吸い上げて、意見、提言を学校運営に生かすという仕組みというのは、学校運営連絡協議会の都立学校に設置されている活動ということについては、よくわかりました。
学校と生徒、保護者、地域社会等が一体感を持って学校経営を実現していくためには、まず、学校とこれらの関係者が学校の課題について共通の認識を持ち、または地域の課題等も共通認識を持ちながら、ともに課題解決に向けて協力することは、体制を組んだ上で必要になってくると思います。
その前提といたしまして、学校は外部の意見をしっかりと受けとめるとともに、外部に対しましての必要な情報を適時適切に提供していく必要があると考えます。学校運営連絡協議会は、設置後五年間経過していると聞いておりますが、学校運営連絡協議会がこのような機能を十分に果たしているかどうか、都教委の方の見解を伺いたいと思います。
○新井参事 現在、多くの都立学校では、校長が学校運営連絡協議会から提出された評価報告書に基づいて検討を行いまして、早急に改善すべき事項につきましては、企画調整会議や職員会議などで教職員に明示いたしまして、次年度の学校経営計画に反映させるなど、学校運営連絡協議会の意見を学校経営に反映させる仕組みが定着してきております。
ただ、個々の学校の状況を見ていきますと、学習指導や進路指導等の取り組みについて、教職員が考えるほど生徒、保護者が満足していないなど、校内の教職員によって行われる内部の評価と、生徒や保護者、地域住民等の外部の評価の間で評価差が大きい学校があるとか、また学校の管理運営や教育活動について改善すべき課題等があっても、十分に現状を伝えていない学校等があることも事実でございます。
○坂本委員 教職員の評価と、生徒、保護者の評価は差が生じることは通常よくあると思います。そういった差が多過ぎたり、改善すべき学校運営上の課題が議論されなかったりすることは適切でないと考えます。
また、生徒、保護者のニーズを実現する取り組みを拒むような学校の経営上の課題がある場合には、校長が現状と課題を積極的に学校運営連絡協議会に提示しながら議論を深め、学校運営連絡協議会の協議委員と学校が課題解決に向けて、一体となりまして取り組んでいく必要があるかと考えます。
都教委といたしまして、各学校の学校運営連絡協議会をさらに活性化して、その機能が十分に果たされるためには、今後どのような取り組みが必要か、行っていくのか、伺いたいと思います。
○新井参事 平成十八年四月に設置されます東京都学校経営支援センターの支援チームが、学校運営連絡協議会の運営についても、校長にきめ細かいアドバイスをすることによりまして、同協議会の活性化をさらに進めてまいります。
今後、都教育委員会といたしましても、内部評価と外部評価との乖離があるような場合には、その状況を放置せずに具体的に改善に結びつけていくとともに、学校経営支援センター等から指摘された課題については、同協議会の協議委員に報告するように文書等で徹底を図ってまいります。
○坂本委員 最後ですけれども、高校に限らず学校は、やはり卒業した後の方がますます母校に対する思いが熱くなるというふうにOB会の話を聞いて、思ったわけでございます。
新設校もできまして、学校の再編が今こうやって行われるわけでございますけれども、ぜひ生徒自身とか教師の方々が、一人一人が自分の学校をつくるという思いができますようなそういう希望を持った学校づくり、または地域と連携をしながら、地域と保護者、またOB、そういった方たちと連携しながら、ぜひいい学校づくりをするための協議会づくりを頑張ってつくってほしいと思います。
○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時二十三分散会
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