委員長 | 村松みえ子君 |
副委員長 | 山田 忠昭君 |
副委員長 | 馬場 裕子君 |
理事 | 服部ゆくお君 |
理事 | 野上ゆきえ君 |
理事 | 野上 純子君 |
伊藤 ゆう君 | |
坂本たけし君 | |
上野 和彦君 | |
泉谷つよし君 | |
秋田 一郎君 | |
木内 良明君 | |
古賀 俊昭君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 山内 隆夫君 |
総務部長 | 南雲 栄一君 | |
広報広聴部長 | 高西 新子君 | |
都民生活部長 | 和田 正幸君 | |
消費生活部長 | 岳野 尚代君 | |
私学部長 | 新行内孝男君 | |
文化振興部長 | 山本 洋一君 | |
参事 | 三森 生野君 | |
参事 | 産形 稔君 | |
参事 | 萩原まき子君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
生活文化局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十八号議案 東京ウィメンズプラザ条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「東京都文化振興指針(仮称)」[素案]について
○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
平成十八年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成十八年三月十六日
東京都議会議長 川島 忠一
文教委員長 村松みえ子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時
(別紙1)
文教委員会
第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中
歳出文教委員会所
債務負担行為管分
(別紙2省略)
○村松委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○村松委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の平成十八年度予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項の質疑を行います。
これより生活文化局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化局所管分及び第五十八号議案並びに報告事項、東京都文化振興指針(仮称)素案についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○南雲総務部長 去る二月十六日の当委員会において要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布してあります平成十八年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。
目次に記載のとおり、1、東京ウィメンズプラザの相談件数の推移並びに主な相談内容及び対応状況外十件の資料を記載しております。
それでは、一ページをお開き願います。1、東京ウィメンズプラザの相談件数の推移並びに主な相談内容及び対応状況でございます。
まず、(1)、相談件数の推移では、平成十二年度から十六年度までの過去五年間について、一般相談及び特別相談の区分ごとに、ウィメンズプラザに寄せられた相談件数を記載しております。また、(2)、主な相談内容と対応状況では、ウィメンズプラザに寄せられた相談に関する主な内容及び相談への対応事例を記載しております。
二ページをお開き願います。2、公衆浴場対策に係る予算及び決算の推移でございます。
表の左側に記載の区分ごとに、平成十四年度から十八年度までの予算額及び決算額を記載しております。
三ページをお開き願います。3、消費生活相談件数の推移及び特徴でございます。
平成十二年度から十六年度までの過去五年間につきまして、都の消費生活総合センター及び各区市町村に寄せられた相談件数の推移並びに前年度対比で顕著に増加した相談事項を、それぞれ記載しております。
四ページをお開き願います。4、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
表の左側に記載の施設別に、平成十四年から十七年までの各年四月一日時点における施設別職員数について、雇用形態別及び職種別に区分して記載しております。
五ページをお開きください。5、都立文化施設等に係る予算額の推移でございます。
表の左側に記載の施設別に、平成十四年度から十八年度までの予算額を記載しております。
続きまして、六ページをお開きください。6、都立文化施設の利用状況の推移でございます。
まず、(1)、博物館、美術館の年間入館者数では、平成十四年度から十七年度までの各年度における江戸東京博物館を初めとした博物館及び美術館における入館者数を、また、(2)、ホール、劇場の施設稼働率では、東京文化会館及び東京芸術劇場の大ホール等の稼働率について、それぞれ記載しております。
七ページをお開き願います。7、近隣県市における主要文化施設の運営方法でございます。
ご案内のとおり、平成十五年の地方自治法の改正により、地方自治体の公の施設は、遅くともことしの九月までに直営、または指定管理者制度のいずれかを選択して、当該公の施設を運営することとなります。ここでは、平成十八年四月一日時点における見込みとして、近隣県市の主な公の施設の運営方法について記載しております。
八ページをお開き願います。8、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
表の左側に記載の区分ごとに、平成十四年度から十八年度までの予算額及び決算額を、また、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業等を、それぞれ記載しております。
九ページをお開き願います。9、平成十六年度私立高等学校卒業者の進路状況でございます。
平成十六年度中に都内の私立高等学校を卒業した生徒の進路状況について、表に記載の大学、短期大学、専修学校等への進学、または就職などの進路区分ごとに、当該進路を選択した生徒数を記載しております。
一〇ページをお開き願います。10、私立学校の耐震化の状況でございます。
表の左側に記載の区分ごとに、平成十六年十二月一日現在の都内私立学校施設の耐震化率を記載しております。
一一ページをお開き願います。11、私立学校における学級規模別学校数でございます。
幼稚園から高等学校までの学種ごとに、表の左側に記載のとおり、都内の各私立学校における一学級当たりの生徒等人数の規模を五つの区分に整理の上、その区分に該当する学校数を記載しております。
以上、甚だ簡単でございますけれども、要求のありました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○村松委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○服部委員 私から、まず、文化振興施策について何点か質疑をさせていただきたいと思います。
ちょうど三年前の平成十五年に江戸開府四百年記念事業、これが都内各地域で盛大に繰り広げられたわけでございますが、この江戸開府四百年の幕あけということで、地域の歴史的資産、あるいは文化伝統を生かした事業とか東京の歴史、あるいは文化を通して東京の魅力を内外にアピールする絶好の機会でもあった、そのように私は思います。文化が持つ力というんでしょうか、そういったものを実感をして、今後ともますます期待をしたいと思っています。
東京都の文化施策を語る会の提言の初めに、こういったことが書かれていますね。衰退した都市の文化による再生が国全体の魅力や活性化につながる。グラスゴーとかバルセロナとかフランスのナントを初めとして、幾つもの都市が地域の文化化を推進することによって文化力を高めて、そして活性化に成功した、そう記されております。
そこで、今回の指針策定は、石原知事のもとで、初めて総合的に取りまとめられる文化政策の指針、いわば集大成となるものと考えますが、この点について伺います。
○山本文化振興部長 都は、石原知事就任後の平成十二年に「当面の東京都文化政策手法の転換と取組」を発表いたしましたが、以後、文化芸術振興基本法の制定、指定管理者制度の導入など、文化行政を取り巻く状況は著しく変化しております。
今回、策定いたします指針は、状況の変化を踏まえ、各分野のアーチストや有識者で構成する東京都の文化施策を語る会からの提言もいただき、その上で文化施策の意義や必要性、また、今後十年間程度の将来を見越しまして、都の文化施策の考え方や方向性を体系的に整理し、広く都民の意見を聞きながら策定するものでございまして、理事、ご指摘のとおりでございます。
○服部委員 初めて本格的につくるということですから、しっかりとした指針を策定して、これをもとに文化施策を一層推進をしていただきたい、そのように思います。
ところで、平成十八年度生活文化局予算の中で、重点事業として東京の魅力を発信する芸術文化創造基盤の整備、これが挙げられております。その中で、美術館、博物館における収蔵品の購入が盛り込まれています。
また、指針の素案では、重点的に取り組む施策として、東京の未来を担う新進・若手アーチストの支援や都立文化施設の魅力向上、また、人類の文化遺産である芸術作品や貴重な資料を収集、保存、活用して次の世代に継承していく、そのようにされております。
今回、都立文化施設における収蔵品の購入を七年ぶりに再開するということですけれども、十八年度の作品の購入予算、どの施設で幾ら計上しているのか、伺います。
○山本文化振興部長 平成十八年度予算案に計上いたしました作品等の収蔵品購入予算額は、現代美術館八千万円、写真美術館四千万円、江戸東京博物館が三千万円の、合計一億五千万円でございます。
○服部委員 私もこうした作品の購入というのは、非常に大切だと思います。今回の収蔵品購入の意義というんでしょうか、その点について伺います。
○山本文化振興部長 公立の美術館や博物館は、資料の収集、展示、調査研究、教育普及など、さまざまな役割を担っておりまして、収蔵品の購入は美術館や博物館などの公立の文化施設における基本的かつ重要な機能の一つでございます。
今回の収蔵品購入の再開を機に、人類の文化遺産である芸術作品や貴重な資料が散逸しないよう計画的かつ継続的に収集し、次世代に継承してまいりたいと考えております。
○服部委員 さまざまなこうした芸術作品の購入、これは「なんでも鑑定団」じゃないんですから、やっぱり芸術作品の購入は一つの哲学を持って推進していただいていいと私は思うんですね。
特に現代美術の作品というのは評価が定まっていない、この辺も多いと聞いておりますけれども、一方で、確かに都民の税金で収蔵品を購入するわけですから、購入に当たっては公平、公正な手続が求められておりますけれども、どのような手続をとられるのでしょうか。
○山本文化振興部長 複数の購入候補作品を選定いたしました上で、外部の有識者、専門家で構成する収蔵委員会に諮りまして、その意見も踏まえて購入作品を決定する予定でございます。
○服部委員 例えば、現代美術館では今回の予算でどのような作品を購入するのか、伺います。
○山本文化振興部長 現代美術館における作品収蔵に当たりましては、現代美術の流れに沿った体系的な収蔵に努めますとともに、アーチストの支援という視点から、新進・若手アーチストの作品も購入していくことを考えております。
○服部委員 ちょうど私のおります台東区では、二十五年前になりますか、昭和五十六年度から、芸大がありますから、東京芸術大学の優秀な卒業作品の制作者に区長賞を贈って、そして若手芸術家の育成を支援をしています。こうした受賞作品は、今、区役所の一階にアートギャラリーをつくって、そこに展示しておりますし、さらに台東区のバーチャル美術館というホームページ、これは今も見ることもできます。受賞者の今までの多くは芸術家として第一線で活躍しておりますし、これらの作品は現在、区の貴重な財産ともなっております。
収蔵品の購入は人類の文化遺産である芸術作品や貴重な資料の散逸を防ぐ、そういうことだけが目的ではないと思うんですね。評価の定まっていない、新進の若手アーチストの作品、こういったものを購入することで、彼らを支援をし育てていく、そういった点からも私は非常に大切なことだと思っています。
今回策定する指針の中でも、新進・若手アーチストの育成支援や、美術館、博物館における収蔵品の計画的な購入、これをきちんと位置づけるべきだと思います。
今後の文化施策の展開について、これは局長に所見を伺いたいと思います。
○山内生活文化局長 ただいま理事ご指摘のように、新進・若手アーチストの育成支援、それから収蔵品の計画的な購入といったものは、都の文化施策として非常に重要である、そういう意味で来年度の重点事業としても位置づけられたところでございます。
また、東京都の文化施策を語る会からも、そういった点について貴重な提言をいただいております。本年五月に策定する予定の文化振興指針の中でも、しっかりその点は位置づけていきたいというふうに考えております。
文化施策として、国際外交、あるいは都市経営などの視点から文化施策を見直す、また、中長期的な観点から文化を継承し、発展させる、そういう考え方も必要だというふうに考えております。
今後の文化政策の展開に当たっては、文化の意義、また必要性、そういったものをさまざまな視点から常に見直し、世界が文化的魅力を感じ、都民が文化的豊かさを誇ることができ、文化創造の基盤が充実した、素案にもありますけれども、創造的な文化を生み出す都市東京、そういったものの実現をぜひ目指していきたいというふうに考えております。
○服部委員 最後になりますけれども、今回の文化振興指針の素案では、歴史的な建造物の保存を含む歴史的景観の保存について、区市町村と十分に連携をしながら景観づくりを進める必要があるとしていますし、また、さらに江戸東京四百年の歴史を保存、活用して、新たな伝統となる現代の作品や文化も次の代に継承するとしています。いずれも重要なことだと私も思います。
しかし、この素案では触れられておりませんが、歴史的建造物の復元、あるいは再建ですね、こういったことについて、卑近なといいますか、私の地元といいますか、谷中の五重塔を例に、ちょっと時間をいただいて、述べさせていただきたいと思うんです。
谷中の五重塔は今から三百六十年前、正保元年に創建されたんですね。その後一度焼失をし、寛政三年、一七九一年ですけれども、近江の棟梁八田清兵衛によって再建された、そのようにいわれているんです。雄大典雅な塔といわれて、明治に入って、谷中五重塔をモデルにした幸田露伴の不朽の名作「五重塔」、これは多くの人に読み継がれ、語り継がれてきました。昭和三十二年七月、惜しくも炎上、焼失するまで百数十年の間、風雪に耐え、人々に愛され、親しまれてきた貴重な文化遺産でありました。来年ちょうど焼失して五十年の節目の年を迎えて、地域には再建しようという強い願いがあります。
その一つは、木の文化としてなんですね。それはケヤキの白木づくりで、木造建築の気品、あるいはぬくもり、あるいは宮大工の技術、あるいはそれを継承する、そういったことにあります。当時の谷中の五重塔の実測図は現在、都立中央図書館の特別文庫室に保管をされておりまして、今でも往時のままの復元が可能だといわれているんですね。
そして、もう一つは、この文語体で書かれた明治文学というんですか、難解で、今や古典の域に属しています。この五重塔の再建をきっかけとして、幸田露伴はもとよりのこと、森鴎外だとか、あるいは坪内逍遥、あるいは樋口一葉など、多くの名作を残した明治文学の復興を図ることも考えられると思います。
そして、谷中の五重塔を復元、再建することは、江戸東京の原風景を取り戻して、私たちの生きたあかしを歴史に刻むことであって、貴重な文化財と故郷を愛する心、それを次代に手渡すことだと思います。こうした地域で再建の機運が盛り上がって、あの五重塔がまさに平成ののっそり十兵衛の手によって、平成の五重塔としてよみがえることを私も念願をしています。
そこで、谷中の五重塔のような歴史的建造物の復元ですね、そういうことについても今回の文化行政の一環として私は位置づけるべきだと、そのように考えますが、局長の含蓄のある見解を伺います。
○山内生活文化局長 文化振興指針の素案におきましては、ご指摘のとおり、文化の継承、発展というものを、東京のアイデンティティー、そういうものを確立する、あるいは世界に向けて東京の固有の文化を発信していく、そういう形からきちっと素案の中には位置づけておるわけでございます。
また、東京に多数存在する、今、先生のお話があった歴史的建造物、あるいは街並みを区市町村と連携して適切に保存するとともに、多くの都民や東京を訪れる外国の方々にアピールしていくということは、東京の観光という観点からも非常に重要であると認識しております。
今お話しのあった谷中の五重塔の場合でございますが、これは今はもうない、焼けてしまったというものでございます。現存してはいないが、歴史的価値の非常に高い文化遺産ともいえるものだということでございまして、また、そのことについて地域の熱意でそれを復元していこうという運動がある、そういう意味では非常に大変意義のあるものだというふうに考えております。
こういった文化を継承していくということについて非常に意義があるわけでございますので、そういったことについて今度の五月に策定する文化振興指針にどういう形で盛り込めるか、検討してまいりたいというふうに考えております。
○服部委員 いい答弁なので、これで終わります。頑張ってください。
○伊藤委員 私からは、美術館の経営と公衆浴場対策についてお伺いをしたいと思いますが、冒頭に服部理事の方から、若手のアーチストの育成というお話がありましたので、ちょっと思い当たるところがあって、まず最初にその点について触れさせていただければと思います。
この間、トーキョーワンダーサイト、渋谷の方にお邪魔をさせていただいて、それこそ何作品か、ちょっと定かではありませんけれども、三十品とか四十品とか、恐らく出品されて展示されていたんじゃないかなと思います。事実、見てきて、本当に実感をしたのは、なかなか一般の美術館では見れないようなユニークな斬新なものがあったり、また、やっぱり買えるという、手が届くものとしての美術というのを私自身も初めて見たという感じがいたします。実は金額を聞いたら、三万円前後ぐらいが一番価格帯として多かったんでしょうか、そういう現代的なアートだったり、あるいは昔ながらの絵画だったりというものがありましたけれども、三万円ぐらいだったら自分で買えるかなと思いまして、これはどうなんですかといったら、ほとんどがもう完売になっていたという売れ行きのよさだったんで、こういう発表の場があるというのは本当にすばらしいことだなということを、この間実感をさせていただきました。この点は質問ではありませんので、最初に触れさせていただきたいと思います。
美術館について質問をさせていただきたいと思うわけですけれども、今のお話にも関連をする、連動するんですけれども、先般、フランスのルーブル美術館で仕事をされている方にお話を伺ったら、おもしろいことをいわれていまして、日本の美術館と海外の、特にルーブル美術館とは大きな違いがあるんだということをいわれていました。もともとルーブル美術館の歴史からして、そもそもはフランスの王朝のいってみれば私財というんでしょうか、世界からコレクトしてきて、それを、自分たちの国家的な権威を見せていく施設ですから、そもそも日本の美術館とは成り立ちも違うわけですけれども、その歴史の過程の中でフランス革命があって、今まで王家のものだったものが市民の手に渡ってきた。ですから、当然これは役所のものでもなければ、王家のものでもなくて、我々市民のものなんだという意識が強くて、実はルーブル美術館というのがそもそもあるということがいわれている。
その歴史的な背景をもとにして、現状、ルーブルも世界展開を大変考えておられて、国内だけの展示にとどまらず、世界的に貢献できることは何があるだろうかということで、美術を通して、例えば日本や、あるいは先進国を中心に、子どもたちの育成であったりとか、あるいは子どもたちが参加して美術館を運営をするとか、そういうパブリックなあり方というものを模索をし、実践をされているということが大変興味深く、おもしろいなというふうに思いました。
私自身も中学生のときに、世田谷だったものですから、世田谷美術館に行きましたけれども、学校に連れていってもらって、そして美術館を見ても、何か自分たちの美術館だという意識も余りありませんでしたし、余り声を出しちゃいけない場所だというぐらいの認識でありましたので、そういう意味でいうと、美術館に対する考え方というのが随分違うのかなというふうに思いました。
そこで、今回、日本の美術館と、一つの例としてアメリカのニューヨークのメトロポリタン美術館と少し比較をしながら、具体的にどういうところがこれから改善の余地があるのか、あるいは目指すべきところなのかということを質疑させていただきたいというふうに思っています。
まず最初に、よくいわれていることですけれども、海外に比べて日本の美術館は寄附が少ない。もちろんお金を集めることがすべてじゃありませんけれども、私は今回、美術館を見ていて思ったのは、どうしても役所がやっているという意識が我々の側に非常に強いんじゃないか。ある人にいわれたのは、これから美術館もJリーグ化を目指していくべきじゃないでしょうか。地域に根差し、そして地域のスポンサーについてもらいながら、美術館の名前に企業の名前をつけるのはどうかと思いますから、やっぱりJリーグ的に地域の美術館なるものを目指したらどうかなというふうに思います。
一つは、やっぱりお金をちゃんと集めていくというのも、人を巻き込んでいく大事な作業でございますので、その点についてまず伺いたいというふうに思っています。将来は地域の人々がお金を出し、美術館に参画されるようになればよろしいかなというふうに思うんですけれども、アメリカでは美術館の運営費の多くが民間の寄附で賄われていると伺っていますが、日本とアメリカの美術館の収入に占める寄附の割合がどうなっているかということをまずはご答弁ください。
○萩原参事 美術館に対する寄附についてでございますが、アメリカでは文化団体などへの寄附に対して幅広い税制面での優遇がなされておりまして、個人や企業が美術館などに寄附することが一般的になっております。
一例として、メトロポリタン美術館を取り上げてみますと、一九九七年から一九九八年の収入のうち、ニューヨーク市の補助金が一五%、基金の利息収入が二〇%、入館料やショップなどの収入が二二%に対しまして、寄附金やメンバーシップ会費などの収入は四三%となっております。
一方、我が国においては税制面での優遇が極めて限られていることもあり、民間による美術館への支援は企業による展覧会等への共催や協賛という形が中心でございまして、寄附という形では余り行われておりません。
文化に対する考え方や寄附に対する税制、会計の仕組みなどが異なりますため、一概に比較することはできませんが、江戸東京博物館、写真美術館、現代美術館の三館の収入のうちを比べてみますと、委託料などの都からの収入が六八%、入館料やショップなどの収入が二九%、寄附金、協賛金や賛助会員などの収入は三%となっております。
なお、国立博物館で見てみますと、東京、京都、奈良の三館の収入のうち、運営費交付金などの国からの収入が七九%、入館料などの収入が二〇%、寄附金収入は一%でございます。
○伊藤委員 よくいわれていることなんですが、しかし、こうやって数字で見てみて、私もびっくりして、今ちょうどここにパネルがあると本当は説明しやすかったんですけれども、もう一度今のお話を整理すると、メトロポリタンの場合はニューヨーク市などが出しているお金が一五%、一方で、日本の国立博物館の場合は、国ないしは行政が出しているパーセンテージが七九%で、圧倒的に我が国の美術館、博物館というのは行政依存度が高い。一方で、寄附金がメトロポリタンの場合四三%、逆に日本の場合は一%とか三%、消費税の方が高いぐらいで、僕はこれを見て、いわゆるいわれていることというのが実数としてあらわれているんだなというふうに本当に思いました。
必ずしも今おっしゃられたように税制体系が一緒ではありませんし、優遇税制みたいなものがこの国ではまだまだこれからの議論になってくると思いますけれども、自治体では一%条例、自分たちの寄附したいところに寄附できるようなものもこれからやっていこうという機運が出てきているところなので、ぜひ今後こういうお金の問題、寄附をどれだけ受けられるか、そして周りの事業者に支えてもらえるかということを念頭に置いて、この美術館経営というものに取り組んでいただきたいなというふうに思っているんですけれども、そのときに最初からお金くださいといっても、なかなかくれるものでもありませんでしょうから、当然出してあげたいなと思うようなことを美術館がやられることがまず大事なんだろうというふうに思っています。
それで、東京都美術館のいろんな経営、美術館であったり、博物館であったりの子どもに対する触れ合いの企画というものをどんなことをやっているのか、いろいろ調べさせていただきました。本当にいろんなことを実は取り組みをされていて、僕の時代ともまた変わっているのかなというふうに感じたところです。子どもたちのギャラリークルーズなんて、これはおもしろいなと思いましたけれども、現代美術館をテーマにして、クイズで答えていきながら美術館の中を回っていくというような企画もされて、大変おもしろい試みだというふうに思います。
ですから、こういう試みを中心にいろんなことをされていると思いますが、改めて、地域の大人や子どもたちが博物館にコミットし、自分たちの美術館という意識を持ってもらうという仕掛けが必要なんですけれども、そうした取り組みの現状についてご答弁をいただければと思います。
○萩原参事 都立の美術館、博物館では、ただいま先生にギャラリークルーズをご紹介いただきましたが、学校向けに体験学習や教材の貸し出しなどを行いますスクールプログラムを初め、さまざまな子ども向けのプログラムを実施しております。
具体的には、江戸東京博物館では伝統工芸など江戸東京の文化を体験できるふれあい体験教室、江戸東京たてもの園では昔の暮らし体験や、放課後や休日に子どもたちが自由に参加し、活動の場をつくる武蔵野えどまる団、現代美術館ではアーチストが学校を訪問して、子どもたちと一緒に作品をつくるアーチストの一日学校訪問、写真美術館では写真の撮影や暗室を体験するワークショップなど、それぞれの施設の特徴を踏まえた多様な取り組みを行っているところでございます。
○伊藤委員 もう日本の中でもこういうことを始められたということですけれども、先ほど申し上げた海外の事例というのは進んでいるところもあると思いますので、今後はそうした海外の事例をどのように研究をされていくか、この点についてお答えください。
○萩原参事 都立文化施設では、学芸員を美術館の団体が実施している海外研修に派遣をしておりまして、平成十六年には学校向けやファミリー向けなど多彩な教育プログラムを実施しているイギリスの美術館について調査を行っております。
また、文献調査や関係者へのヒアリング等で海外の事例を把握し、事業の参考としているところでございます。
○伊藤委員 そういう意味では東京都の職員が東京都の予算として海外に行っているわけではないということなんですけれども、箱そのものにお金をかけることはもちろん大事ですけれども、しかし、それ以上に中身、ソフト、まして展示を何をするかとか、どういうイベントをするかとか、人が決めることでありますから、こういう人の育成というものをぜひ積極的に今後考えていただきたいというふうに思っています。
海外のそうした事例を参考に、今後より寄附など支えていただけるような仕組みづくりを考えていかなければならないと思いますけれども、都立美術館として今後の検討としてどのように取り組まれるのかをご答弁ください。
○萩原参事 先日、本委員会でご報告いたしました文化振興指針の素案におきましても、サッカーのサポーターや江戸時代の「旦那衆」のように、都民自身が文化を支えていくことを都民の新しい楽しみとして位置づけておりまして、都立文化施設が幅広い都民から支援していただくことが重要であると認識をいたしております。
都立の美術館、博物館においては、現在でも都民に支えていただく制度として、個人、法人の賛助会員制度を設け、参加を働きかけているところでございますが、指定管理者制度導入を契機といたしまして、寄附などの外部資金をさらに積極的に導入するとともに、自分たちの美術館として都民に親しまれるよう一層の魅力向上を図ってまいります。
なお、先ほど先生からもご指摘がありましたが、都はこれまでも文化団体などに対する寄附についての税制上の優遇措置の拡充等について、国に提案要求を行っており、今後とも国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
○伊藤委員 ぜひ強く働きかけていただいて、こういう税制面においての改正というのも求めていただければというふうに思っています。
今、「旦那衆」というお話がありましたけれども、「谷町」なんていうと、英語だと何と訳すのかわかりませんが、やっぱり文化として、決してお金を出すのが嫌いな国民じゃないと思いますので、ぜひぜひそういう枠組みをつくっていただければと思います。
次の質問に移らせていただきますが、公衆浴場についてでございます。
私は、区議会議員時代もこの点について質問したことがあるんですけれども、昔と今では大きく公衆浴場の役割も変わってきたし、そしてまた、そこに投入される公的資金のあり方というものも変わってきているんだろうというふうに思いますが、まず、その変化を一番わかりやすくとらえるために、都内の自家ぶろの保有率は昔と大きく変わってきているというふうに思うんですけれども、この推移についてご答弁いただけますか。
○岳野消費生活部長 今、先生からご質問がございました自家ぶろの保有率でございますが、総務省の住宅土地統計調査報告書というのがございまして、これで見ますと、都内の自家ぶろ保有率は、調査開始の昭和四十三年が四二・二%、その後十年ごとに、五十三年が六四・七%、六十三年には八三・一%、直近の平成十五年の調査では九六・〇%となっております。
○伊藤委員 自家ぶろの保有率、要するにほとんどの家が自家ぶろを持つようになったという推移になっているんですけれども、それにあわせて予算の推移を伺おうと思ったんですが、ちょうど要求資料の二ページに出ておりますので、これは最近のものですけれども、見ると、九億円ぐらいだった十四年度からして、十八年度は六億四千万円程度になってきていますよということですから、右肩下がりになっているんだというふうに思います。保有率が上がってきているわけですから、当然そういうことになるのかなというふうに思います。
昭和四十三年が公衆浴場のピークというふうに聞いておりますが、当時の公衆浴場対策事業の補助は国を含めてどのような考え方で、こうした補助、公的な資金を入れなければいけないんだというふうに考えていたのか、その点について解説してください。
○岳野消費生活部長 当時の推察とお考えということですが、公衆浴場対策事業の補助につきましては、物価統制令に基づきまして、公衆浴場の入浴料金の上限が定められていることがございます。
また、その当時、自家ぶろを保有していない家庭が、先ほどご答弁申し上げましたように、およそ六割ぐらいという状況の中で、地域の住民の日常生活における健康の維持と適正な公衆衛生水準を確保する必要がある、そのようなことから行われていたと、このように推察されます。
○伊藤委員 当時はおふろがないからあげましょうと。衛生面の観点もあるので、これを補助していきましょうということだったんだと思いますが、現在、自家ぶろ保有率が高くなってきているところにおいて、公衆浴場対策事業の補助の考え方というものも当時と全然変わってきているんだろうというふうに思いますから、この点についてお答えください。
○岳野消費生活部長 公衆浴場対策事業の補助につきましては、そもそも国の公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律というのがございまして、その六条に基づいて私どもはやっております。
また、平成十七年の東京都公衆浴場基本調査によりますと、依然として年間で都内で延べ四千二百六十万人もの公衆浴場利用者がございまして、また、自家ぶろがあっても高齢者やひとり暮らしの方たちは、なお依然として利用しているというふうな実態もございますので、都としては引き続き、公衆浴場対策事業への補助が必要であると、このように考えております。
○伊藤委員 ここからの質疑がしたくて、回りくどい質問をしていたんですけれども、例えば当時は半分ぐらいのおうちしかふろがないので、補助をしてあげなければいけない、だんだん九六%になってきましたから、四%ぐらいの人たちしかふろがない。ただ、一方で今お話しになられたように、おふろがあってもコミュニティの場として求められる方もいらっしゃるから、そこは補助をしていきましょうということですし、おふろの楽しみ方というのは、ちっちゃいおふろよりも大きいおふろの方がいいわけですから、当然だと思います。
ただ、だんだんこの十年でも随分違ってきているのかなと思うのは、かなり安くて千円ぐらいでサウナもついていてという、物価統制令に入っていないスパというんでしょうか、スポーツジムに併設していないものでも大分多くなってきたんだろうというふうに思います。私自身もよく使うんですけれども、そちらの方がタオルがあったり、サウナがあったり、ちょっと衛生面もよかったり、全部が全部とはいいませんが、概してそういうことがあるかなというふうに思っているのは、今の公衆浴場が不必要だという観点ではなくて、それはそれとしてこれからも利用される方が多いと思いますが、生き残りという意味でいうと、物価統制令もある中で金額を上げていくわけにもいかない。
一方で、その分だけ補助がついているということになっていると思いますけれども、今後、ただ、こういう民間のというか、物価統制令にかかわらないそういうスパがどんどんできていく中にあって、こういう公衆浴場の生き残り方というのは非常に難しくなっていくんだろうと思いますが、それでもなお必要性というもの--この公衆浴場がなければ、広く都民に提供できないサービスというものをどう考えていくかということになってくると思うんですけれども、こうした環境の中での生き残りを含めての将来ビジョンというものをどのようにお考えになられているか、お答えください。
○岳野消費生活部長 先生ご指摘のように外部環境がかなり変わっておりますが、その中でまだまだ公衆浴場は地域の核となる施設でございまして、また、スパ等に比べまして、手ごろな利用料金、大人四百円で利用できる温浴施設でございますので、これまでの公衆衛生水準の確保という観点に加えまして、地域における福祉健康の維持増進施設として位置づけまして、また、区市についてはそれぞれおふろの事情が違いますので、それぞれの区市と連携しながら、その活性化を図ってまいりたいと、このように思っております。
○伊藤委員 まさに福祉という観点、本当に大きいと思います。
これはちょうどいただいたんですけれども、「1010」で銭湯らしいんですが、組合の雑誌でございます。雑誌の紹介がしたかったわけじゃないんですが、中におもしろいですね、これ、「ある統計によれば」ということを書いてありますけれども、「日本の不慮の溺死および溺水は平成十二年度には五千九百七十八人でした。このうち浴槽内での溺水は三千四百二十九人、浴槽への転落による溺死および溺水を合計すると、入浴死は三千五百十八人にも達しています。このうち六十五歳以上の高齢者の占める割合は、入浴による死者の八三%を占めています。」ということですから、要するに入浴事故死の八割は六十五歳以上の高齢の方々で、とりわけ、このおふろの中で亡くなられてしまう方というのは決して少なくないという統計の調査だということでございます。
この中に銭湯が高齢者の入浴に適しているという理由はどのような点にあるでしょうかというと、ここに答えとして、「一番の理由は安全です。」ということが書いてあります。当然一人で自宅にいるよりも、周りに目があって、仮に倒れられても救急車を呼んでもらえるということでいうと、確かにそうだなと、それからコミュニティの場につながっていくということでいうと、健康増進もあるでしょうし、一方で、どちらかというとこれから福祉の観点というのは極めて大きなテーマになってくるなと思います。
私がよく行っている千円ぐらいのおふろ屋さんは、サウナで大変居心地はいいんですが、ビールも出てきますし、本当に健康にいいのかどうかわかりませんが、そういうところで高齢者にとって本当に使いやすいものになるかというと、その辺、我々のように若い世代、若いとは限られませんが、健康な世代の人たちを対象にしたスパなんかはこれからできるでしょうけれども、そういう意味では高齢者を対象にしたものというのが時代の変化とともにこれから求められていくんだろうというふうに思います。
ですから、今ご答弁にあったように、高齢者を視野に入れたものを考えていく、これは大事なことでございます。ただ、そういう視点で取り組みをし、建てかえをしようと思って今、補助金を出されているんだと思いますけれども、そういう意識を持っている銭湯さんと持っていないところといろいろ、その差がすごく激しいというふうに僕は思います。ですから、後継者の育成もその一つの視点ですけれども、将来を見通したこうした先進的な取り組みをされている、実はこの中にも紹介が多少ありますけれども、都として事例紹介などを、いい銭湯、あるいはこれからの時代にふさわしい銭湯の紹介をリードしていくべきだというふうに考えますが、この点についてどうでしょうか。
○岳野消費生活部長 先生ご指摘いただきましたように、例えば区内なり市では介護認定施設となったり、デイサービス、ミニデイサービスを行ったりするようなおふろがふえております。
東京都といたしましては、区市や浴場経営者との連携を図りながら、こうした公衆浴場の活性化に努めますとともに、公衆浴場を利用しました健康づくりを行っている、今申し上げたような先進的な事例を「1010」、銭湯とかけておるんですけれども、そういう情報誌などを活用しながら、積極的に広報してまいりたいと思っております。
○伊藤委員 最後に申し上げたいと思いますけれども、何より一番恐らく高齢者で、特に周りの目が必要で、もうちょっというと、正直もう歩けなくなってしまっている、自宅で要介護認定を受けておふろに入れてもらっている。ただ、やっぱり歩けなくなったからといって、狭いおふろがよくなったというわけじゃないでしょうから、それでもなお広いおふろに入りたいという人は幾らでもいらっしゃるというふうに私は思います。
そういう意味でいうと、そういう人たちが本当に足をまさに伸ばして入れるようなおふろの確保というのは、ある程度大きなところじゃないと、こうやって入れてあげたりできませんから、そういう高齢者の人たちと一番接しられている方というのは当然介護されている方であり、一方で、民間の今、在宅介護の業者さんたちというのは、そういう実態というものをよくご存じなんだというふうに思います。例えば、これから新しく銭湯を建てかえますといったときに、そういう業者さんたちからいろんな知恵をいただいて、どういうふうにするとそういう高齢者の方々が非常に入りやすくて、あるいは周りも介護しやすい施設になるのかということをグランドデザインして、そういう銭湯がふえてくると、昔とはニーズが変わったけれども、やっぱりそういう銭湯に税金が投入される意味が、なるほどなと皆さんに思っていただけるというふうに思います。
民間の介護サービスをされているような業者さんたちからもいろんな意見が出てくると思いますから、ぜひこういう意見を聞いていただいて、そしてこういう事例紹介をしていただいて、積極的にそういう銭湯づくりに取り組んでいただければということを申し上げて、私からの質問にさせていただきます。
○上野委員 私からは、都民の大事な生命、健康、これを守るという観点から、商品などの安全対策について質問したいと思います。
先週、三月七日の新聞各紙、読売新聞から毎日新聞、東京新聞、これ一面に、安価な金属製アクセサリーに有害な鉛が含まれていたという大変にショッキングな記事が掲載されておりました。皆様も記憶に新しいことと思いますけれども、毎日新聞は一面トップに出しまして、「子供向け外国製アクセサリー 高濃度の鉛含有 米基準の五十六倍溶出も」、また、読売では「子供向け金属アクセサリー 六割以上に高濃度鉛」、東京新聞もそうでございますけれども、大きな見出しで掲載されておりました。
改めて記事の中身を簡単にご紹介いたしますと、スーパーや百円ショップで販売されている子ども向けの指輪やネックレスなどの外国製の金属アクセサリーに、これは調査した品目の六割が高濃度の鉛を含んでいたということであります。新聞によりますと、鉛は脳や神経を侵す毒性がある。特に乳幼児が飲むと、大人に比べて鉛を吸収しやすいということから、深刻な影響を受けるおそれがあると、このように書いてありました。
こうした記事は、生活文化局の消費生活部が行いました金属製アクセサリー類などに含有する重金属類の安全性に関する調査に基づいたものと聞いております。乳幼児が摂取すると大変危険だといわれているこの鉛につきまして、都民に注意喚起を促すということでは大変重要な調査結果だと思います。
まず、その内容について具体的にどういうものだったのか、お伺いいたします。
○岳野消費生活部長 今の記事の内容でございますが、平成十七年二月に米国の消費者製品安全委員会、これは連邦政府の附属機関でございますが、そこで報告がございました。子どもの金属性アレルギーの一部に高濃度の鉛が含有されていることが判明した。事業者に自主回収させるとともに、同種の製品についての鉛規制を行ったというものでございました。
国内では、これらの製品についての鉛の規制がございませんので、私どもで価格が百円から千円程度のアクセサリーやネックレス、ブレスレット等につきまして、鉛の含有量及び溶出量の分析を行いました。調査品の七十六品目のうち、米国の先ほどの安全委員会の定める基準でございます〇・〇六%を超えたものが四十六品目ございまして、また、このうちの三十二品目につきましては、五〇%以上の鉛を含有しておりました。また、溶出検査をした結果、溶出量で最大で米国の安全委員会の基準値である一七五マイクログラムの五十六倍の数値のものもありました。
○上野委員 ここで大変重要なことは、昨年二月にアメリカで自主回収させたほどのそういった危険な製品が、我が国で販売されていたという事実でありまして、このことは大変に言語道断でございます。特に今ご答弁があったように、アクセサリーに含まれる鉛、この含有量と溶出量から見ますと、このような製品を乳幼児が口に入れたり、場合によっては飲み込んだりします。そうすると、脳や神経を侵して言語発達障害を起こす、こういった可能性があるという非常に危険なものであると、このようにいわれております。
そこで、この調査結果に基づいて都が行った対応とその後の措置状況についてお伺いいたします。
○岳野消費生活部長 先生ご指摘のとおり、鉛は大変毒性の強いものでございます。このため、私ども都としましては、三月六日付で厚生労働省と経済産業省に対しまして、金属アクセサリー類に含有する鉛を規制することや警告表示を行うことを緊急提案いたしました。
その結果、厚生労働省は三月八日付で、社団法人日本玩具協会を初めとする関係の十五団体に対しまして、鉛の含有状況の把握や取り扱い時の注意表示を行うことについて通知を出したと、このように聞いております。
また、経済産業省も三月六日付で、東京都装身具工業協同組合など関係六団体に対しまして、安全性確保の観点から、適切な対応を行うよう要望を行ったというふうに伺っております。
さらに、いわゆる百円ショップ、百貨店などにおきましても、金属アクセサリー類について撤去するなどの対応をとる動きが出ているというふうに聞いております。
○上野委員 この間、国は一体何をやっていたのかなと、このように思いますけれども、その間、東京都生活文化局消費生活部は、二月のアメリカの自主回収、そういった情報を受けて直ちに調査を開始した。そして、国に先駆けて問題点を発見し、その実務の対応は私は本当に拍手を送りたいほど大変評価するものでございます。知事もいっておりますように、東京から日本を変えるんだと、この言葉を結果をもって示したものだということで、私は大変に喜んでいる次第でございますけれども、そういった姿勢というものをぜひともこれからも堅持してもらいたい、このように思います。
こうした国に先駆けての発表に至るまでには、恐らくさまざまな困難があったものと察します。そこで、これまでどのような調査を行い、どのように対応してきたのか、できれば差し支えない程度にそのあたりの苦労話も含めてお話ししていただければなと、このように思います。
○岳野消費生活部長 今回の鉛の調査につきましては、厚生労働省などでは情報もつかんでおったようでございますけれども、調査も同時に行ったようなことも聞いておりますけれども、東京都の調査の方がスピードが速くて、明らかになるのが判明したのが時期として早うございましたので、私どもの方から緊急に提案をしたということでございます。
それから、これまでにも私ども消費生活センターの相談事例とか諸外国の文献、規制動向などを参考にして、いろいろな安全調査を行っております。ここでいろいろな芽を見つけることが一番重要というふうに考えております。
これまでの代表的なものといたしましては、平成十三年度に行いましたパラジクロロベンゼン及びオルトジクロロベンゼンを含む商品の調査を、ちょっと舌をかみますが、平成十六年にはまたジクロルボスを含有する殺虫剤の調査を行いまして、これらにつきましても国に対する緊急提案や製造事業者に対する要望を行ったところでございます。
また、今年度はこの金属アクセサリー類の調査に加えまして、高齢者の危害危険に関する分析調査も今、まとめているところでございます。
今後ともさまざまな調査を通じまして、安全性に問題があると認められた場合は、事業者等への改善要望や消費者への情報提供を行うとともに、必要な場合は国にも緊急提案を行ってまいりたいと思っております。
○上野委員 安全対策への力強いご答弁を聞いて大変にうれしく思います。
私もさまざまな商品を日常的に使っておりますけれども、正直、安全性に不安を感じることもあります。最近ではナショナル石油暖房機の事故、皆さんの記憶に新しいと思いますが、あのような事例は氷山の一角で、日常生活で使用する商品の事故などは、実は少なくないのじゃないか、このように思っております。
都内の消費生活センターでも、商品事故などの相談を受けつけているようでございますけれども、相談件数はどの程度あるでしょうか、お伺いいたします。
○岳野消費生活部長 都内の消費生活センターに寄せられた相談の中で商品やサービスの危害危険に関するものは、平成十六年度七百九十一件でございました。
○上野委員 きょういただいた都内の消費生活相談件数、これに寄せられた相談、十六年度で二十万件を突破しておりますけれども、それに比べますと、危害危険に関する相談が昨年一年間で七百九十一件、現実の苦情や被害の件数とかけ離れているように思います。
商品やサービスの不満、あるいは被害に遭った人の大部分は消費生活センターではなくて、直接販売店やメーカーなどに苦情を持ち込むという、こういったことを聞いております。そういった意味でわからなくはないんでありますが、都民の安全を守るためには消費生活センターからの相談情報では限界があると思います。
都は、もっと多くの危害危険に関する情報を収集すべきだ、このように思いますが、見解を伺います。
○岳野消費生活部長 委員ご指摘のとおり、市場に流通する商品やサービスの量は大変多うございまして、これと比較しますと、私どもの危害危険に関する情報収集体制は必ずしも十分でないと考えております。そのため、昨年から情報収集のための新たなルートを開拓したところでございます。
一つには、都立病院等との連携を進めまして、昨年の八月から病院のリスクマネジメント推進会議に私どもも出席いたしまして、病院からの事故情報の収集を積極的に行っております。
また、昨年の七月からは、東京消防庁主催の子どもの事故防止対策検討会に委員を派遣しまして、情報の共有化を図ってまいりました。さらに、来月からは東京消防庁と連携いたしまして、事故情報の相互提供の場として、商品等事故情報連絡会を設置することといたしました。
今後ともさまざまな角度からの危害危険情報を収集してまいりまして、商品、サービスの安全対策に努めていきたいと思っております。
○上野委員 ぜひとも十八年度におきましても、都民の生命、健康を守るために情報収集に努めていただきたいと思います。
私たちの身の回りには、商品、サービスの便利さや機能に関する情報があふれております。また、ユニバーサルデザインのように安全性、使いやすさを売り物にした商品も販売されるようになりました。その一方で、鉛を含んだ外国製アクセサリーのように、思わぬ危険を含んだ商品も流通しております。現在、日本においては自動車以外リコール制度はありません。商品などの危険性の情報はメーカーが自主的に社告という形で新聞に載せているだけであります。ぜひ行政が商品の事故情報を積極的に収集、分析し、より安全なものへの製品改善や、危険な商品を市場から排除するために、商品、サービス等の安全対策を構築するようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○大山委員 私は、まず、東京都文化振興指針について質疑します。
二〇〇一年に成立した文化芸術振興基本法では、文化芸術活動を行う者の自主性の尊重や地位の向上、国民だれしもがひとしく文化芸術を鑑賞し、これに参加し、またはこれを創造することができるような環境の整備、地域の人々により主体的に文化芸術活動が行われるための配慮などが、文化振興の基本理念として挙げられています。振興に当たっては、国とともに地方自治体の責務が強調されています。
まず、指定管理者関連になるんですけれども、東京都では石原都政になって以降、効率性だとか採算性を重視した行政評価制度によって、文化にかかわる事業が市街地再開発事業だとか不動産相談事業などと同じ基準で評価されて、生活文化局や教育庁でよい成績をつけたものでも、知事サイドによる二次評価ですべて見直しだとか、抜本的見直しだとか、廃止と悪い成績がつけられました。そうやって近代文学博物館だとか高尾自然博物館などの施設や事業が廃止されて、他の施設も収益を上げることが強調されて、運営委託費が削られ、今では十四年度に比べ三分の二程度になっています。
私たちは、文化の持つ独自性、それから多様性が軽視されているのではないか、もっと質の面を評価するべきではないかということを主張してまいりました。
指定管理者制度の導入に当たっては、いろいろな場面で多くの文化芸術の専門家や関係者から、制度の導入により文化施設の管理や運営が経済性や効率性のみで判断され、文化芸術の観点がなおざりにされるのではないかとの懸念が示されています。このことは、さきに行っていた文化施策を語る会でも、同様の議論があったところです。
今回の文化振興指針の素案では、数年程度の成果や採算だけでは判断が困難な側面もあるとか、文化の継承、発展には息の長い取り組みや時の積み重ねなどの継続性が求められ、定性的及び長期的な評価が重要などの文化の評価の視点に関する記述や、文化施設は効率性やサービス向上のみを追求することは適切ではないとの記述がされています。
これは、これまでの効率性や採算性を重視した行政評価の手法と異なる基準で文化施策に取り組むということを示しているんだということの理解でいいんでしょうか。
○山本文化振興部長 素案では、東京都の文化施策を語る会の提案を受けまして、今後の文化政策を推進する視点を改めて述べたものでございまして、目標を設定し、成果を分析した上で、総合評価を行うという行政評価制度の考え方と異なるものではございません。
○大山委員 異なるものではないということだと、本当に心配になるわけですよね。さっき述べましたけれども、生活文化局だとか教育庁が、これはいい施設なんですといっていたにもかかわらず、近代文学博物館なんかは本当に都民の皆さん、残してくれ、ここにしかないんだということで要望していたにもかかわらず、結局、行政評価で廃止されてしまったということですよね。それで同じだといったら、これは大問題だと思っています。だからこそ、やはり語る会では、そうじゃないんだよということがいわれていたわけですから、その点をきちんと重視して、それこそ行政評価だけではない、行政評価とは違った、効率性や採算性を重視した行政評価の手法じゃなくて、きちんと文化の基準を設けていかなければいけないということを述べておかなければいけないと思います。
その一方で、現在、指定を受ける側の歴史文化財団では、都からの運営費が激減しているとか、民間との競争ということで、職員の数を減らしたりということでは、資料も出してもらいました、四ページですね。職員も減っています。それから賃金もカットされています。さらに、〇九年度以降に指定管理者に指定されるかわからないということで、今から財団の契約職員、非常勤職員は〇八年度末で雇いどめにするという提案が、財団から働いている人たち、組合に提案されているということなんですね。
継続性と長期的視点が大切とか、芸術文化を支える人材の育成が大切だというふうにいっているわけですね。そういいながらも美術館や博物館を支えている学芸員の身分が保障されず、先も見えないというようでは、幾ら熱意があってもいい仕事はできません。
収蔵品の収集、管理、展示をとっても、質の高いものは短期間ではできないですね。企画展も何年も前から準備して初めて開くことができる。いろいろいっても、財団は都の監理団体です。結局は、都の意向が反映する第一番になるわけですから、都が都立文化施設を大切にしていくというきちんと立場に立って、財団や財団職員のノウハウと蓄積を重視すべきだと私は思いますし、リストラだとか賃下げはやめさせるように求めておきます。
次に、都民だれもが自由に文化を創造し、享受できるようにするための振興策について伺います。
三月十五日付の朝日新聞に非常に興味深い記事が載っていました。これですけれども、最近、自治体の美術館や博物館で入館料を無料にするところがふえている、そういう記事なんですね。無料にしたところは、より、来館者が大変ふえているという記事でした。そもそも博物館法では、入館料は無料と決まっているそうです。
音楽関係でいえば、去年は東京でも「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」というんですか、去年はベートーベンがテーマだったようですけれども、知り合いの家族も三歳のお子さんを連れていったら、本当に楽しめた、家族ともども楽しめたということなんですね。その要因の一つに、やはり入場料が千五百円、これは安かったということも挙げられています。ことしはモーツアルトが特集だそうですけれども、ほとんど売り切れているようですね。
ですから、都民だれもが自由に文化を創造し、享受できるようにする一つの方策として、文化施設の入場料を無料、または安く設定することは効果的だと思いますけれども、どうですか。
○山本文化振興部長 美術館や博物館など都立文化施設の常設展等の観覧料は、利用料金制度をとっておりまして、条例に定める上限額の範囲内で、あらかじめ知事の承認を経た上で、指定管理者が定めることとなっております。
また、必要に応じてきめ細かい減額免除の規定を設けてございます。一律に無料、または現在より安くすることは考えておりません。
○大山委員 各地域でも、各自治体でもいろんな取り組みが検討されたり、それから東京でもやっているわけですから、ぜひ前向きに検討していってもらいたいと思います。
ヨーロッパだってルーブルだとか大英博物館だとか、無料だとかという話になるわけですから、やはり積極的に検討していただきたいと思います。
素案では、「従来の芸術文化分野を網羅した鑑賞型中心の事業などは、実施手法等の検討を行い、より効果的で効率的な事業への再構築を図ります。」とあります。よいものをもっと気軽に鑑賞したい、楽しみたいというのは都民の大きな要望です。
そして、都民が都に期待するのは、内容が足を運んでみたいと思うものであるということは当然ですけれども、やはり安い料金で質の高いものが鑑賞できるということなんですね。さっきの「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」でも、家族三人で行けば一万五千円は下らないわけですよね。それをやはり安い値段で見られるから気軽に行ける、子どもにも本当の音楽を聞かせられるということで、非常に重要だと思っています。
同時に、例えば都民芸術フェスティバル、そうした面で大変人気があります。都民芸術フェスティバルは継続、拡大した方がいいと思いますけれども、どうですか。
○山本文化振興部長 都民芸術フェスティバルは、昭和四十三年度に事業開始いたしまして、一定の役割を果たしてまいりました。この間、企業メセナやNPOによる活動が活発に展開されるなど、芸術文化団体に対する支援体制が充実してきているとともに、鑑賞機会の提供については、区市町村や民間による自主的な活動が活発となっております。
こうした社会状況の変化や競い合いの導入やコンセプトの明確化など、包括外部監査の指摘、意見も踏まえまして、舞台芸術施策全体の見直しの中で再構築をしてまいります。
○大山委員 競い合いの中でなるかといったら、本当に疑問ですよ。同時に、都民が文化に対するリテラシーを高めていく、それから子どもたちが文化の担い手として成長していく。それは、まずはよいものをたくさん鑑賞する。子どもの感性を育てるといったって、よいものをたくさん鑑賞させるというのが本当に重要なわけですし、見る目も養われるためには、たくさん経験するということが重要なものですし、それが力になって、糧となって、よいものを生み出すという力になるわけですよね。たくさん見るためにも、手ごろな料金設定というのは重要なわけですね。内容や宣伝方法などの工夫というのは、いろいろ考えることはあると思いますけれども、今後も鑑賞型の事業についてぜひ重視していただきたいと思います。
都の事業としては廃止された音楽鑑賞教室ですけれども、多くの区市で継続して行われてはいます。しかし、都が半額補助をやめたことによってできなくなってしまった自治体、それから回数を減らさざるを得なかった自治体も幾つかあります。民間オーケストラの方からは、区市から都の補助がなくなったので安い料金でやってほしいといわれて、本当にやってやりたいんだけれども、やれないという、本当に苦しかったというお話も聞いています。
すべての子どもたちに音楽鑑賞の機会を提供する、音楽鑑賞教室への補助、これは各区市町村、財政力のあるなしにかかわらず、やはりできるようにするためには東京都の本当に土台が必要なわけですよね。だからこそ復活を求めますけれども、いかがですか。
○山本文化振興部長 音楽鑑賞教室につきましては、小学校や中学校の授業の一環として多くの区市町村が主体的に取り組んでおります。都といたしましては、単に鑑賞するだけではなく、みずから参加、体験することで、より一層子どもたちが芸術文化に親しむことができるよう、平成十六年度から音楽鑑賞教室を子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムに再構築したところでございます。
○大山委員 再構築して、本当にすべてに今までやっていたことも継続して、さらに広くできるというんならいいですよ、でもそうじゃないわけですよね。だからこそすべての子どもたちが本当のフルオーケストラに触れることのできる機会ですので、ぜひ復活させていただきたいと思います。
また、鑑賞にとどまらない都民の文化活動への参加を促進して、保障していくことも行政の大切な役割です。都民の創作活動などへの支援は区市町村の役割としていますけれども、都内全域から集まってきたり、それから活動の成果を発表し合えるような場も活動の励みになり、目標にもなるわけですね。都として、そうした場を設けることも考えてはどうでしょうかということなんですね。そのための都立施設の確保だとか、使用料の減免なども行ったらどうかと思いますけれども、どうですか。
○山本文化振興部長 地域に根差した伝統文化、民俗芸能や生涯学習、サークル活動としての文化活動など住民に身近な活動は、主に区市町村がさまざまな支援を行っております。
一方、都におきましても、既に東京都美術館における美術団体への発表の場の提供を初め、都立文化施設において施設の貸し出しなどを行っているところでございます。
また、必要に応じてきめ細かい減額、免除の規定を設けております。
○大山委員 きめ細かいといっていますけれども、例えば民間団体が実施して全都的な事業で基準に合うものは東京都後援とかということもあるわけですけれども、後援といっても文化施設の場合は施設の使用料などの減免はないんですよね。同じ都立施設でも体育施設の場合は、全都規模のアマチュア団体の大会などに対しても減額があるのです。文化施設においても、場所の提供や使用料の減免など、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
次に、表現の自由と自主性の尊重について伺いたいんですけれども、文化振興に当たってはお金は出すけれども、口は出さない、これをどうやって担保していくのかということが重要で、各国でさまざまな工夫がされています。
文化芸術振興基本法成立のときの審議でも、このことが議論になり、附帯決議もつきました。例えば、行政評価で、都民の支持が高いのに、有無をいわさず廃止縮小された事業が、さっきもいいましたけれども、あるわけですね。その一方で、この間新しい文化振興事業については、文化懇談会も廃止されて、都民的な議論もないもとで、知事の目玉施策のような形で、いわばトップダウン的に開始されたために、都民からは釈然としない思いがあるという声も聞いています。
もちろん若者への支援とか育成というのは本当に重要なわけですけれども、都が支援や助成を行う場合、行政による介入や差別につながらない仕組みが必要だと思いますけれども、どうですか。
○山本文化振興部長 文化振興指針の素案でも述べておりますとおり、文化の担い手は住民であり、行政の役割は文化活動を支援し、文化が育まれる基礎条件を整備することでございます。
また、昭和五十八年に制定いたしました東京都文化振興条例第二条にも、「都は、この条例の運用に当たっては、文化の内容に介入し、又は干渉することのないよう十分留意しなければならない。」と定めておりまして、こうした観点で支援や助成を行っているところでございます。
○大山委員 ぜひそういう立場でやっていってもらいたいと思います。
東京の文化は、やはり都民がつくるという立場で、歴史や文化も尊重して行っていってもらいたいと思います。
文化や芸術団体、それから都民が、都の文化政策の審議に参加できる体制、これも求められていると思いますけれども、どうでしょうか。
○山本文化振興部長 文化芸術団体との意見交換等の場といたしまして、芸術文化団体活動推進協議会を設置しておるところでございます。
また、文化振興指針の策定に当たりまして、文化芸術団体、都民等にお知らせをいたしまして、意見を求めているところでございます。
○大山委員 ぜひ意見を反映した指針をつくっていってもらいたいと思っています。
さらに、肝心なお金を出すという点ですけれども、資料の八ページにも出してもらいました、表をつくってもらいましたけれども、この四、五年だけ見ても、文化振興にかかわる予算というのは随分減っているんですね。特に写真美術館だとか江戸東京博物館、現代美術館という収蔵品を持つ施設では、財政削減のあおりで、何と収蔵予算ゼロの期間が長く続いたために、これまで年代を追って系統的に収集していた作品が買えなくて、その期間だけ空白になってしまったというんですね。来年度から収蔵予算を計上するということになりましたけれども、じゃ、これから抜けていた、欠けていた期間、このものを購入できるかというと、もう既にほかの方が買ってしまったり、それから手離す人があったとしても、値段が非常に高くなってしまうということで、そう簡単にはいかないということなんですね。
収蔵予算は毎年、長期的視野を持って確保して、きちんと充実していくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
○山本文化振興部長 来年度から作品と収蔵品の購入を再開することといたしまして、十八年度予算に購入経費を計上しているところでございます。
今後の作品等の購入にかかわる予算は、各年度必要な経費を予算案に計上いたしまして、議会のご審議をいただくこととしております。
○大山委員 自治体の予算ですから、毎年議決していくというのはもちろん必要なことですよね。しかし、芸術作品や資料を次代につなげていく、そのためにも必要な予算はきちんと確保していくことを求めておきます。
都響ですけれども、十四億円から九億円に減額されて、身分を不安定にする契約楽員制度が導入されました。世界の名だたるオーケストラを見れば、国や自治体がきちんと責任を持っているわけですね。これは、いい音楽をつくるためには不可欠なことです。ですから、東京を魅力ある都市にするというんだったら、こういうところにきちんと予算を配分する必要があるというふうに申し上げておきます。
都民が気軽に文化に親しめるようにするためにも、文化活動に参加し創造する環境を整備するためにも、芸術家や専門家の地位向上のためにも、都の文化振興予算は増額、拡充させることこそ必要です。それを求めまして、この分野の質問は終わります。
次は消費生活センター関連ですけれども、さっきもお話しありましたように、今回、米国のCPSCから情報を得て、廉価のアクセサリー中の鉛の含有量を測定して、注意喚起を行うことができたというのは、都の消費者行政の面目躍如だというふうに思っています。消費者行政としてさまざまな情報を得るためにアンテナを張って、その情報を得たときに機敏に行動できたこと、それから技術支援課があって専門の技術職がいるから、予備試験ができたことなど、非常に重要だったと思っています。
ところが、せっかくこんないいことをやっているのに、来年度予算案では商品テストを行う機器も充実している浜松町の技術支援課を廃止して、消費生活センターの技術部門の職員が削減ということになっているわけですね。
積極的な調査をする上でも、消費者センター機能の柱の一つであるテスト機能ですけれども、これはどうなってしまうんでしょうか。
○岳野消費生活部長 東京都の消費生活総合センターの商品テスト部門は、技術支援課と申しますけれども、これは現在、浜松町の産業貿易会館で独立して業務を行っております。これを来年度からは飯田橋の消費生活総合センター本体と本庁の消費生活部に技術部隊を分けて業務を行うものでございまして、機能としては変わりないと、このように思っております。
具体的には、センターの相談課においては、都民からの相談に伴うテストや技術的な助言等の業務を担当いたしまして、本庁消費生活部においては鋭意、技術部隊が機動的な事故原因調査、それからこれに伴う事業者指導を行うということでございます。
○大山委員 機能は後退しないんだという話ですけれども、今、技術支援課にはかなり機器も充実しているわけですよね。飯田橋に持っていくとおっしゃるわけですけれども、規模などからいっても、浜松町のそろっている機器はすべて持っていけるわけではないということですね。蛍光エックス線分析装置だとか電子顕微鏡だとか、旋盤だとか、いろいろ大きな機器、これを破棄すると聞いていますけれども、例えば今回の鉛の調査のきっかけになった予備試験を行った機械、これは飯田橋に移設できるんでしょうか。
○岳野消費生活部長 今回の鉛の調査で使いました鉛の溶出量の定量分析、これは原子吸光光度法というのでやっておりますけれども、それと鉛等の重金属の含有の定性定量分析、これは蛍光エックス線分析法というのでやっております。これらにつきましての調査を行っております前者の原子吸光光度計及び蛍光エックス線分析装置につきましては、それぞれ理由がございまして、飯田橋の方には持っていかない予定になっております。
○大山委員 機能は同じなんだといっても、結局、せっかく機敏な行動ができた、そのうちの一つの技術支援課にちゃんと商品テストが行える、予備調査ができるから、どこに発注したらいいのかというのがちゃんと判断できる、それが持っていけないというわけですから、非常に機能が縮小ということになるんじゃないかというのは、だれが見てもそうだということをいわざるを得ません。
先ほどの前の方の答弁の中で、相談だとか、それから情報を集めて、その芽を見つけること、それから対応できるようにしたんだということがありましたけれども、まさに熟練した方、技術職、それから機械があって、それで成り立つものだというふうに思います。
消費生活センターというのは、やはり強力な試験体制を持って商品テストにより、消費者の立場から問題点を明らかにして、情報提供して、問題点を広くアピールする役割、これは重要だと思うんですね。大分前は消費生活センターが結果を発表すると、国民生活センターと並んでマスコミにも取り上げられてきました。これは本来のあり方だと思うんですね。
なぜそうでなければならないかといえば、今の資本主義社会では企業がいかにコストを安くするかとか、もうけを上げるかということが第一にならざるを得ないわけですね。社会構造として粗悪な商品が生まれてくるわけです。企業は自分のデメリットになる試験はやらないし、一人の消費者が企業に持ち込んでも、その人に謝罪して終わりになってしまいます。消費者行政はさまざまな消費者相談から問題を拾い上げて、試験で確認して、個別の事件を普遍化していく役割を果たすことが本来の役割ではないでしょうか。
日本は外国に比べても高齢者と子どもの事故が多いということですし、病院だとか消防庁だとか、搬送したり受け入れたりするわけですね。それからメーカーの広域通報などもあるわけですから、それらを受けて分析して、現在は自動車だけがリコールの制度があるわけですけれども、自動車以外でもメーカーにリコールを通告して回収できるシステムをつくることが、消費者団体からも求められているわけです。
法律はもちろん国がやることですけれども、都からも国に要望してもらいたいということを要望すると同時に、都でもできることを考えればいいわけです。例えば、食品の分野だったら、食品安全委員会があるわけですけれども、製品についても同じような安全のための委員会などをつくることなどを含めて検討することを要望しておきます。
次に、多摩の消費生活センターのことですけれども、相談機能が廃止されて、機能が縮小されてきています。消費者行政はまさに消費者団体の主体的な活動、これが欠かすことができないわけですね。そのためには、活動の拠点として、また、そこに行けば情報なども得ることができる、その活動の相談などもできるような広い多摩地域の消費者行政の中核となるよう機能を充実させてほしいというのが、消費者団体からもこの間ずっと要望されているわけです。
また、各市の消費者センターは、多摩の都の消費者センターを頼りにしていたのに、機能が果たせなくなって、中途半端な状態で置かれているところもあるということなんですね。多摩消費生活センターを多摩地域の消費者行政の中核となるように、機能を充実させるべきだと考えますけれども、どうでしょう。
○岳野消費生活部長 多摩消費生活センターにつきましては、飯田橋の消費生活総合センター本体のブランチとして多摩地域の連絡調整や市町村の補完機能になっておりまして、市町村との共催講座や消費者団体の自主活動の支援などを現在行っております。
今後とも消費生活総合センター本所と一体となりまして、引き続きその機能を果たしていきたいと思っております。
○大山委員 そのようにいっているわけですけれども、利用している団体はどう思っているかといったら、今の多摩の消費生活センターは、残念ながら部屋を借りるぐらいしかないんだということをいっているわけですね。例えば、資料がそろっていて、こういうことを調べたいんだけども、なかなか資料がなかったり、不十分だったり、それから、こういうことをやって調べたいんだけどもと相談したいと思っても、なかなか相談できない。
それから企画のこともおっしゃっていましたけれども、消費者講座なども飯田橋で企画したものを多摩地域も同じにやるということですね。やはり多摩のセンターとして、多摩の地域での消費者問題も独自な企画も必要なんだということなんですよね。ですから、やはり消費者の運動、それから活動を保障する、もっと強力にバックアップできるように、情報の提供だとか相談機能だとかをもっと充実させていかなければいけないと思っています。
同時に、消費者相談が多摩ではなくなってしまったんですよね。それで、本当に電話がかかりにくいというのをいろんな方に聞くわけですね。この商品、変だけどと思って、思い切って相談の電話をかけても、つながらないというんですよね。ですから、やはり電話がつながらないということは避けなければいけないわけですし、それから多摩の地域だと、各区市町村で消費者相談をやっているんですけれども、例えば月水金しかやっていないとか、そういうところも結構あるわけですね。
同時に、多摩の消費者センターがあるわけですから、高齢者なんかは架空請求というか、こういうのが来ちゃったんですと物を持って相談に行きたいという人もいっぱいいるわけですよね。ですから、本当にこの相談機能の充実、これは多摩の消費生活センターでも、電話だからどこでもいいやというんじゃなくて、来所相談も含めて復活できるように充実させてもらいたいという要望をして、これは終わります。
最後ですけれども、専修学校というか専門学校について質疑をします。
都内の専修学校、約四百五十ですか、在学する学生数というのは十九万人を超えているんだというふうにいわれているわけですけれども、全国的に見ても、東京都における専修学校の集中の度合いは極めて高くなっています。
その中で学校の、例えば千代田学園の問題、大きな問題になりましたけれども、学校の基本財産を理事長の独断で売却してしまって、学校自体が消滅してしまったというところがあったり、誇大広告で学生の募集をして、入学生から訴訟沙汰になっても全く改善しようとしない専門学校がある。そんな問題のある専門学校もあることが事実なんですね。しかし、今、専修学校に対する社会的なニーズは非常に高くて強いわけですね。だからこそ、よりよい教育条件で学べるような対策が必要だと思っています。
専修学校に対する行政の指導権限というのは弱くて、国により設置基準が定められて、都道府県が認可することになっていますけれども、それ以外には余り指導はないわけですね。
学費についても、昨年、私どものところにも音楽関係の専門学校が募集要項に記載されていた二年時の学費金額から、それ以上に値上げしようとしたということもありました。説明会も不十分だったり、値上げする根拠も明らかにされないということで、大きな問題になったんですけれども、ここに限らずに、悪質なところでは一年時の学費しか書かないというところもあるわけです。ですから、安心して学べる学校にするためにも、東京都の指導監督が求められるところなんですね。
同時に、学費が高いということは、多くの専門学校生がいっています。東京都専修学校各種学校協会というのがあって、そのホームページに学生の納付金の調査結果が載っているわけですけれども、ほとんど年間百万円を超えています。いろんな種類の専修学校があるわけですけれども、概して高い。大体百万円を超えるということなんですけれども、この専門学校の余りにも高い学費、これはどのように考えているでしょうか。
○新行内私学部長 専修学校専門課程の学費につきましては、ただいま大山委員ご提示のとおり、私ども東京都私学部の資料ではありませんが、社団法人東京都専修学校各種学校協会の平成十七年度学生納付金調査によりますと、最高は二百六十万円、最低は三十万円であり、平均では約百二十万円となってございます。
高い学費についてどう考えるかというお尋ねでございますが、専修学校専門課程の学費につきましては、専門的な分野の教育内容に応じまして、それぞれの学校が設定しているものと考えております。
○大山委員 そんな冷たいことをいうわけですけれども、専門学校生は自分で学費を稼ぎながら通っていたり、ためてから入学しようと思っている人も結構いるんですよね。
何人かの専門学校生にも聞いてみました。一人の男性は介護関係の専門学校ですけれども、専門学校の授業料は四年制大学より高いんですよといって、友達の中では弟を四年制大学に行かせなくちゃというんで、自分の進路を変えたんだという人もいるんだというんですね。
ちょうど彼らの年代の親というのは、リストラだとか早期退職だとか不安な人が多いんです。私もと、その彼も就職活動で低い給料で親を支えられるか不安ですと、こういっているわけですね。年齢的には高校一年生の男の子なんですけれども、美容師の専門学校に行くために自分で学費を稼いでいる。二つのバイトをかけ持ちで一日十五時間働いているんですよというわけですよ。食費を削ったら結構お金がたまるんですよねと、明るい顔で彼氏はいうんですよ。しかし、一カ月で五キロやせました、こういうわけですよ。
本当に若い、十代の後半、体をつくっていかなきゃいけないときに、一カ月で五キロもやせるほど食事を削らざるを得ないということでは、健康面からいったって見過ごすわけにはいかないというふうに思うわけです。
ところで、東京都は高等課程には経常費補助を出していますが、専門課程には出していませんが、その理由はどうしてですか。
○新行内私学部長 専修学校専門課程に対して経常費補助を実施していないと、その理由についてのお尋ねでございますが、私立学校振興助成法は経常費補助の対象を学校教育法第一条に定める学校に限定していまして、幼稚園、小学校、中学校、高等学校を対象としております。専修学校は、学校教育法第一条に定める学校ではございませんので、補助対象としてはございません。
また、専修学校の専門課程は、大学、短大と同じく高等教育機関として位置づけられておりますので、国と都の役割分担に基づいて、国の責任において補助制度を創設すべきものと考えてございます。
なお、大山委員ご指摘の専修学校のうち、高等課程の補助につきましては高等学校と同様に後期中等教育を担っている、こういうことから私立専修学校教育振興費補助を実施している、こういう状況でございます。
○大山委員 そんなことをいっていますけれども、専修学校の専門課程、そこに運営費補助、運営費助成を出しているところは、四十七都道府県中、三十二道府県ですよ。ですから、出している方が多いんです。出していない東京都の方が少数派なんですね。
専門学校の経常費補助を出している県に、首都圏がいいだろうと思って、ちょっと聞いてみました。そうしたら、埼玉県は国庫補助がないので埼玉県で出している。職業教育は重要なので、県の予算で出している。千葉県は、生徒の専門的な技能の習得に役立つとして助成している。神奈川県は、小、中、高、養と同様に教育条件の維持向上、生徒の経済的負担の軽減など、私学振興法の趣旨にのっとって昔から補助していると。大都市として大阪府、聞いてみましたよ。そうしたら、国との役割は半々にあるだろうということで、府として補助しているということなんですね。
ですから、国がやることなんだから東京都は知りませんというようなところじゃないわけですよね。職業教育も重要だし、経済的な負担も軽減してあげたいしということで出しているわけですよ。
同時に、専門学校に対して経常費補助をしているところは、県の検査もしています。専修学校に対する行政の指導権限の弱いところ、これを補うことができるわけですね。埼玉県も三年に一度、それから千葉県も五年に一回訪問しているし、それから神奈川県も少なくとも三年に一回は実施しているし、大阪府も五年に一回は訪問している。すべての県は毎年書類は出してもらうということですから、さっき冒頭に述べましたような問題のある専門学校、本当に生徒が一生懸命学びたいと思っても、それがそがれてしまうようなところをきちんと検査したり監査するためにも、その経常費補助をするというのは非常に重要だというふうに思っています。
専門学校の教育条件の整備、これも重要なわけですね。例えば、音楽の専門学校、学費は上げるんだけれども、消耗品はほとんど変わっていないとか、それからドラムが、買うといってもずっと古いのしかないとか、いろいろ教育条件の整備というのは不十分なところが多いわけですね。
と同時に、高い学費を抑えるためにも、都として他県にも学び、それから東京の子どもたちの専門教育、職業教育をきちんと充実するという立場で、都として支援の充実が必要だと思いますけれども、どうですか。
○新行内私学部長 重ねてのご答弁になりますが、専修学校専門課程に対する経常費補助につきましては、大学、短大と同じく高等教育機関として位置づけられておりますことから、都と国の役割分担に基づいて国の責任において補助制度を創設すべきものと考えております。
なお、先ほどご指摘の他の府県の状況ということでございますけれども、他の府県ではそれぞれの観点から、その地域の実情に応じて補助がされていると、こういう事情については私どもも認識しておりますし、また指導強化の観点からもというご指摘ございましたけれども、私どもにおきましても専修高等専門課程に対する補助金執行の適正化の観点から、これは当然検査はしておるということでございます。
それぞれの県においても、同様な観点から、すなわち補助金適正化の観点からの検査がされていると、このように認識しております。
○大山委員 高等課程の検査のことをいっていらっしゃるわけですよね。今は、専門課程のことをいっているわけです。
それで、それぞれの県の事情でしょうというけれども、結局東京都は国基準しかやりませんということにほかならないわけですよね。それぞれの県はどうしてやっているかといったら、子どもたちのこと、それから将来のことを考えてやっているわけですから、国基準だけじゃなくて、それぞれの道府県の考えに基づいて国以上のものをきちんとやっているわけですから、東京都の姿勢というのは、そういう他県に比べたって国基準しかやらないという、本当に自治体の役割を何だと思っているんだということだと思っています。
ですから、この専修学校についても、専門課程についても、教育の充実、それから経済的な負担の軽減なども含めて、それからきちんとした検査なども含めて要望しておきます。
それで、この間、アスベストの話で類似幼稚園、先日は突然だったんですけれども、何かその後検討されたことというのはあるんでしょうか。
○新行内私学部長 委員のご質問は、前回、アスベスト関係の補正予算のご審議の際に、類似施設についても補助対象にならないかと、こういった話だったかと思いますが、前回三月三日の委員会におきましてもご説明しましたとおり、私どもが十八年度の予算において補助の対象としておりますのは、高等学校、中学校、小学校、盲・ろう・養護学校、すなわち学校教育法に定められている学校でございますので、その点ご理解を願いたいと思います。
○大山委員 それしかやらないということではなくて、とにかく類似園のアスベストの状況がどうなっているのかということから調査を始めて、十八年度だけで考えるんじゃなくて、きちんとどうするのかということをぜひ検討してもらいたいということを要望して終わります。
○秋田委員 私からは、悪質事業者対策について、これまでの成果と今後の取り組みについて伺いたいと思います。
まさにこの数年といいますか、ここ最近は消費者の安心・安全がとても脅かされていると思います。架空請求被害、悪質住宅リフォーム、アスベスト、一番最近の話ですと耐震強度偽装。悪質事業者というのは、本当に私たちのすぐそばまで身近にまで忍び寄ってきているということがよくわかると思います。
きょう提出されました要求資料の三ページにも、消費生活相談件数の推移というのがございますが、この中の十四年度から十六年度あたりは本当に激増しているわけでございます。
その原因となっているのが架空請求の相談でございます。ちょうど昨年の第一回定例会の代表質問において、私ども都議会自民党が架空請求対策を強く要望したのを受けて、早速、昨年三月から架空請求緊急対策班を発足させて、専用電話相談や架空請求メールの通報制度を開始しました。
その後、違法サイトの公表や請求に利用された口座の凍結などを行って成果が上がったと聞いておりますが、まず架空請求対策の現状、今どうなっているかについてお聞かせください。
○岳野消費生活部長 昨年の三月より、委員がおっしゃられました架空請求緊急対策を実施いたしまして、開設当時三月は千八百九十一件あった架空請求相談が、この一月には千二百七十六件と七割程度まで減少いたしました。
しかしながら、悪質なサイト名や事業者名の公表件数や請求に利用された口座の凍結数は依然として高い水準にございます。また、これまでは一回クリックすると架空請求されるような手口でございましたけれども、最近は十八歳未満ですか以上ですかと、そういうところをぽっとクリックすると、それで請求されるような不十分な画面表示で巧妙に消費者を惑わすような不当な請求を行う手口がふえております。
このため、引き続き架空請求の対策を着実に実施していきたいと思っております。
○秋田委員 架空請求については、引き続き取り締まりをしっかりと継続、強化していただきたいと思います。
しかしながら、都民の財産をねらうのは必ずしも架空請求だけではございません。特に何といっても一番問題なのは、ある意味弱者といえる高齢者をねらった悪質商法だと思います。社会問題になった悪質リフォーム事件では、ひとり暮らしや認知症など、多くのお年寄りが被害に遭いました。実際、平成十六年度の東京都内の六十歳以上の高齢者の相談件数は約三万二千件と、この四年間で二倍以上に増加しているということでございます。
悪質商法による高齢者被害の特徴について伺います。
○岳野消費生活部長 高齢者被害の特徴でございますが、まず一つには、ひとり暮らしや認知症等で判断能力が不十分になった高齢者をターゲットにしているということが挙げられると思います。中には、だまされたことに気づかないようなケースもありまして、また被害に遭ったことを自覚していても、恥ずかしく思って家族等に迷惑をかけたくないと、だれにも相談せずに被害救済がおくれることもございます。
また、二つ目には、昼間家にいることが多い高齢者をねらった点検商法とか次々販売といった訪問販売によるものが多いことが特徴として挙げられます。また、最近は、上場すれば必ず値上がりするという電話勧誘を行う未公開株など金融に関する相談が劇的にふえております。
三つ目には、高齢者の被害金額が大変高額であるということでございます。高齢者全体の平均被害契約金額は、今年度の上半期で二百二十万円でございまして、これはほかの世代の百万円に比べて圧倒的に高くなっております。
○秋田委員 今のお話を聞きましても、老後を安心してゆったりと過ごしたいといった高齢者の資金を根こそぎ奪おうかのような手口で、本当に悪質商法は日々ひどくなっているということがよくわかりました。
先日の予算特別委員会で、我が都議会自民党は高齢者対策の必要性を指摘して、高齢者被害専用相談電話を設置するとの予定といったご答弁をいただきました。高齢者からの相談を専門にしっかりと受けとめようとしている都の取り組みは評価させていただきたいと思うんですが、この高齢者被害専用相談電話というのは具体的にどのようなものなのでしょう。
○岳野消費生活部長 これまでも東京都といたしましては、毎年十月に二日間、特別相談として高齢者一一〇番というのを実施しておりました。近年高齢者からの相談が大変増加しておりまして、内容も複雑化しております。また、高齢者からの相談に対しては、高齢者特有の被害についての専門知識も必要でございますし、丁寧な聞き取りをしなくてはなりません。
このため、来月から消費生活総合センターに相談員四名を増員いたしまして、高齢者自身やその親族、家族の方からの相談を受け付ける専用の回線を引きまして相談電話を開設して高齢者被害の解決を図っていく予定でございます。
○秋田委員 専用相談電話をしっかりとやっていただきたいと思うんですが、一方で先ほどのご答弁にあったとおり、高齢者の被害の特徴として、加齢とともに判断能力が鈍って悪質商法、悪徳商法と気づかないケースや、気づいてもちょっと恥ずかしがって相談しないといったケースも多いということでございます。
高齢者本人に注意を促すだけではもはや被害を防止できないんじゃないかと、そう思いますので、来年度から東京都では高齢者の身近にいるホームヘルパーの方から通報を受ける介護事業者ホットラインも新設すると聞いております。高齢者の身近にいる介護事業者や地元の民生委員などの協力により、被害情報を迅速に提供してもらい、被害の救済に結びつけることは確かに重要だと思います。
しかしながら、例えば真っ当な住宅リフォーム会社と悪質な住宅リフォーム会社を見きわめるというのは、我々健常者でも、若い人間でも、なかなか実際のところは難しいんだと思います。高齢者の身近にいる方たちが、まず高齢者被害の状況について周知する必要が、まずは肝心なのかと思いますけれども、見解を伺います。
○岳野消費生活部長 秋田委員ご指摘のとおり、高齢者の身近にいるホームヘルパーや民生委員の方、地元の方たちが被害に対し適切に対応できるようにするためには研修が必要だと思います。高齢者に対する悪質商法の手口や被害発見のポイント、相談の方法などについて研修を行っていきたいと思っております。
このため、介護事業者の方たちを対象にしたテキストを作成いたしまして、出張による研修講座を来年度は二百回程度実施していきたいと思っております。また、ヘルパーの方が主役となって悪質住宅リフォームトラブルを解決していくような啓発ビデオや、高齢者向けの被害防止のリーフレットを積極的に活用いたしまして、広く都民の方に高齢者被害や悪質商法についての普及啓発を行っていきたいと思っております。
○秋田委員 さまざまな組織や団体が一致結束して被害を防ぐように頑張っていただきたいと思うんですが、高齢者の家族構成、健康状態など、さまざまなことを一番よく知っているのはだれかといいますれば、隣近所の身近にいる地元の区市町村や、あるいは介護事業者などだと思います。都の消費生活部門だけではなく、区市町村の高齢福祉部門と消費生活部門とが密接な連携のもと悪質事業者対策を行わなくては、なかなか効果的ではないのかな。
例えば、手前みそになりますが、私ども新宿区におきましては、区の高齢福祉部門及び民間の介護事業者、そして消費生活センターの三者が積極的に連携しております。具体的には、高齢者本人の了解をとった上で、ヘルパーさんに商品名や被害に遭ったいきさつ等を通報シートというものに記入してもらって、これを利用して区の消費生活センターに通報してもらうという、なかなかすぐれた仕組みを構築しております。
都は、新宿区のこのような取り組みを参考にしながら、他の区市町村へも三者間の連携を働きかけていくべきだと思いますが、今後の取り組みについて伺います。
○岳野消費生活部長 秋田委員ご指摘のとおり、高齢者被害の防止のためには、まず介護事業者などと区市町村の高齢部門、それから私ども消費生活部門が連携して被害の救済を図っていく仕組みを構築することが大切だと思っております。
お話があった新宿区の試みにつきましては、都が働きかけて実現したモデル事業でございますけれども、大変熱心に取り組んでいただきまして、今後新宿区など先進的な区の仕組みについて、その効果と課題を分析いたしまして一般的なガイドラインを策定し、これを参考に都内全域の区市町村においても連携の仕組みがつくられるよう支援してまいりたいと思っております。
さらに来年度には、都及び区市町村における消費生活部門と高齢福祉部門、介護事業者、民生委員、町内会の代表の方々を構成員とした連絡会議を設置しまして、高齢者を悪質な商法から守るようなネットワークを構築していく予定でございます。
○秋田委員 六十歳以上を今お年寄りといっていいのかどうか、ちょっとわかりませんが、六十歳以上の五人に一人は何らかの消費者相談や被害にかかわっており、また被害額も都内の高齢者全体で五百億円にも上るという試算結果もあります。
市場には、日々新しい多様な商品やサービスが流通していく一方、本当に多くの商品が日々流通しております。高齢者がこうした商品の知識や、あるいは情報についていくことはすごく困難だと思います。実際若い世代であっても、例えばどんな携帯電話がはやっているという情報一つでも、なかなか追いついていけない。新しい携帯電話を使いこなせる人だって、実際なかなかいないというのが現実でございます。
高齢者であれば、まさになおさらだと思いますし、また判断能力も年をとればとるほど落ちてまいりますので、高齢者を行政や介護事業者など地域ぐるみで見守っていくことが何よりも必要だと思います。都は、全力で高齢者を悪質商法の被害から守っていただくことを要望して質問を終わります。
○村松委員長 この際、議事の都合により十五分間休憩いたします。
午後三時五分休憩
午後三時二十四分開議
○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いいたします。
○馬場委員 都立文化施設における指定管理者制度の導入に関連して何点かお尋ねいたします。
今回、東京都の文化施策を語る会の提言を踏まえて、この東京都文化振興指針の素案が出されました。
この語る会の役割の一つに、指定管理者制度の導入についての検討というのもあったというふうに思います。都立文化施設について、今回、当面三年間は現在の管理受託者である財団法人東京都歴史文化財団を特命とするということとし、昨年第四回定例会において指定決議を行いました。
都立文化施設は、いずれも大変大きな規模の施設が多い、また都民の貴重な財産でもある。このような状況の中で指定管理者制度の導入方法をどうするかということについては、文化施設の持つ特性を十分踏まえて考えなければならない。こうしたことから、この語る会での検討をまつというような意味もあり、またこの語る会の本来の意味で提言も踏まえて、これからの東京の文化施策を考えていこうという、今そんな状況だというふうに思います。
この指定管理者制度を導入というときに、すべての文化施設の劣化度、現在の状況がどうなっているかということですね、劣化度調査というのを進めて、それも検討の対象にし、これからの方法を考えていこうということだったというふうに思っておりますが、この劣化度調査の結果、何か問題となっている施設はあるのでしょうか。また、その施設は建設からどの程度の期間が経過している状況か、まずお伺いいたします。
○萩原参事 昨年度から今年度にかけまして、江戸東京博物館などすべての大規模都立文化施設の設備等について劣化度調査を実施してまいりました。
その結果、現時点では指定管理者制度が導入される施設のうち、東京都美術館と東京芸術劇場の二施設について、できるだけ早期に大規模な改修工事を行うことが必要となっております。また、公の施設ではないため、指定管理者制度の対象外ではございますが、庭園美術館につきましても、特に新館の設備等が著しく老朽化いたしております。
建物の建築後の経過期間についてでございますが、東京都美術館は約三十年、庭園美術館は本館が約七十二年、新館が約四十二年、東京芸術劇場は約十五年、それぞれ経過いたしております。
○馬場委員 全体の調査を進めた結果、個別に今三つの会館等が指摘されました。東京都美術館、東京芸術劇場、そして指定管理者制度の対象外だけれども、庭園美術館、ここの三館が問題というより改修が必要というふうに思われているということですが、この中で、まず東京芸術劇場、今のそれぞれの年数ですね。東京都美術館、庭園美術館はこれは歴史的な建造物ということですので、年数は置いておいて、一番新しい芸術劇場が十五年。この十五年経過している芸術劇場で大規模な改修が必要というふうにご判断なさった、その理由はどうなんでしょうか。
○萩原参事 東京芸術劇場の劣化度調査では、いわゆる舞台周り、具体的にはせりと呼ばれております部分の舞台機構を初め、照明設備、音響設備が老朽化いたしております。これらの設備は、通常でも耐用年数が十五年から二十年程度であるために、特に制御系機器の修繕に必要な主要電子部品が製造中止となって調達が困難になりつつあるなどの事情から、舞台設備を中心に大規模な改修が必要となっております。
○馬場委員 以前の文教委員会の審議の中でも、当面三年間、財団を特命とし、今後その施設の劣化度調査の結果を踏まえて、改めて施設ごとに公募の適否を判断していきたいというご答弁がありました。
今後の公募のあり方については、その指定管理者に応募する側から見れば、その改修工事に伴う、休館しなければならない状況になるわけですから、いつ改修工事を行うのか。また、経費の見積もりやどんな事業計画のもとに行われるのか。そのためには、どういう計画をつくって指定管理者に応募すればいいかというふうなこと、こうした財政的にも計画期間も大変というふうに思いますが、こうした状況の中で、今ご答弁あった施設について、それでは公募ということについては、今後どのように考えていらっしゃるのか伺います。
○萩原参事 東京都美術館と東京芸術劇場につきましては、ただいまご答弁いたしましたように、近い将来、大規模改修が必要となっているという事情がございますので、来年度は二十一年度以降の指定管理者の公募は行わないことを考えております。
○馬場委員 例えば東京都美術館は、今回の要求資料の中にもありましたが、年間三百万人に上る観覧者が訪れる。ほかの文化施設や近隣の大学、地元などと連携することによって、新たな事業展開も期待できるなど、東京都美術館、芸術劇場は、東京の文化施策の一翼を担う拠点として、その役割を果たしてきています。
そこで、今回大規模な改修が必要であり、それに相当する改修経費というものがそれに伴って必要になるわけですが、こうしたこともそれぞれの館の特色で、今ご答弁いただきましたように、年数は違いますが、それぞれ必要になってくる。それぞれの施設が今後はそれぞれの都民の財産としての運営の仕方、それからあり方というのを考えていかなければならない状態だというふうに思います。
今回も出されました、この東京都の文化施策を語る会では、いわゆる総論という、東京の大きく全体の文化ということで語られているというふうに思います。今回のこの提言もさらにですが、それを踏まえた上で、今後は東京が持つ各施設のそれぞれの役割、将来の姿というものを考えていかなければならない。つまり、総論から文化の担い手である各館の各論に入っていかなければならないんだというふうに思います。
そういう意味では、この改修する仕方、つまり改修後にどういうふうに使ったらいいのか、都民からどういう要望があるのか、どんなふうに今後ここを拠点として使っていくのかということが、やはり改修の工事にも大きく影響してきます。そういう意味では、将来、この三施設についてどのように検討し、改修工事等を対象に、文化の拠点としての館を考えていくのか。そのことを改修工事も含めての今後の施策について局長のご見解を伺いたいと思います。
○山内生活文化局長 今のあり方の問題でございますが、あり方の問題と改修計画、確かにおっしゃるとおり密接に関係しております。そういったことから、来年度早い時期に外部の有識者や専門家などから構成される検討委員会を設置いたしまして、これから策定する東京都文化振興指針を踏まえて、東京都美術館、芸術劇場、庭園美術館の三施設の文化施設の今後のあり方、そのあり方を考える中での改修の計画、スケジュール、そういったものについて多角的に検討していただこう、その中の検討していただいた結果をまって、都としての整理をしていきたいというふうに考えております。
○馬場委員 局長にご答弁いただきました。芸術劇場等、稼働率が上がっている状況の中で、そういう意味では皆さんに認知されてきているところで改修工事に入らなければならないという状況なのかなと、改めて施設運営というのは大変なものだなというふうに思ったんですが、それぞれが、都民の皆さんからしても、また指定管理者、公募を受けるにしても、どう管理していくかという視点からこのことを考えるということも大切なんですが、都民が使う立場からしても、やはり何に、私がどう使いたいかということを考えたときにも、いつ改修工事があって、どういうふうにその改修後なっていくかということは都民にとっても、そこを利用する者にとっても大変大きな影響があるし、関心のあることだというふうに思います。
そういう意味では、さらにこの語る会、それから今回の指針が五月には出る予定というふうに伺っておりますが、さらに進んで、こうした都の大規模な施設がほかの民間に与える影響も大変大きいというふうに思います。こうしたところをできるだけオープンにしながら改修工事を進め、都民のための施設としてさらに充実をされることを要望して質問を終わります。ありがとうございました。
○野上(純)委員 私の方からは、同じく東京都の文化振興指針素案について質疑をしたいと思います。
今回の報告された文化振興指針の素案では、今後の施策の方向性として、施策九まで九点が示されておりますが、このうち私は第一の新進・若手アーチストの支援と施策三の芸術文化を支える人材の育成について、何点か質問したいと思います。
本定例会の施政方針の中、あるいは代表質問の中にも、この新進・若手アーチスト支援の新たな取り組みとして、国連大学の旧高等研究所をアートヴィレッジIN東京として整備することが明らかにされております。十八年度予算案の中にも所要経費が盛り込まれております。また、これをこういうふうに活用するということに関しては、東京都の文化施策を語る会の中にも、国連大学の空き施設を有効活用するべきではないかという意見もあって、こういった意見が反映されてここに決まったのではないかと思っております。
先日、私も青山のアートヴィレッジの予定施設を視察いたしました。ちょうどまだ改修工事中でしたので、ヘルメットをかぶりながら、この部屋がどうなるとかいうのをずっと見せていただいたんですけれども、まさに非常に立地条件がよいところにございます。おしゃれな街、表参道の駅からも近いですし、東京ウィメンズプラザが隣にありまして、まさに都心のど真ん中。
また、周りには大学や劇場、ギャラリーなどがありまして、文化芸術に本当にふさわしい恵まれた環境の中にあるなということを見させていただきました。
ここを国内外のアーチストの滞在、交流の拠点として整備するということなんですが、この施設を具体的にどのような施設や機能を持った内容とするのかについてお伺いいたします。
○山本文化振興部長 青山のアートヴィレッジは、地上五階建ての旧国連大学高等研究所のうち、研究員の宿泊施設として利用されておりました三階から五階までを活用して整備するものでございます。
三階にはアトリエや談話室などを、四、五階には二十名程度が宿泊可能な部屋を設置いたしまして、国内外の新進・若手アーチストやアート関係者が滞在し、交流や作品制作などを行うことができる施設とする予定でございます。
○野上(純)委員 外国からの若手アーチストが滞在し、それも無料で宿泊できるという形にして、そこに日本のアーチストが参加して一緒に作品を制作したりする、いわゆるアーチストインレジデンスという事業だそうなんですが、これは京都や青森などでも実施されていると聞いておりますが、青山のアートヴィレッジの特色といいますか、ほかの地域で実施されていないような、首都東京ならではの事業展開が求められなければいけないんじゃないかと思うんですが、これはどのような事業を行うんでしょうか。
○山本文化振興部長 アートヴィレッジIN東京におきましては、芸術文化にかかわる人材が多数出席いたします東京の特徴を最大限に生かした事業展開を行っていく予定でございます。美術や音楽といったジャンルを超え、またアーチストだけではなく、美術館関係者や舞台制作者など、さまざまなアート関係者が集まり刺激し合う出会いと交流の場とする予定でございます。
具体的には、国内外の新進アーチストやアート関係者が滞在し、交流するほか、トーキョーワンダーサイトとも連携し、作品の展示やセミナーなどを行っていく予定でございます。
○野上(純)委員 夢のある話で、この施設の中に才能あふれるアーチストが集って、お互いに刺激し合う中から、よりすぐれた芸術が生まれて、またさらに日本から世界に発信していくことを期待したいと思っております。
それから、もう一点の芸術文化を支える人材育成の意義について質問いたします。
文化を創造し、継承していくためには、すぐれたアーチストを育成することはもちろんのことですが、このアーチストをサポートして都民との橋渡しをする人材など、多様な人材が必要です。
このような文化芸術を支える人材の育成について、都としてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
○山本文化振興部長 文化芸術を支える人材といたしましては、アーチストや芸術文化団体などにとどまらず、それらを支える美術館、博物館の学芸員、劇場、ホールの舞台スタッフ、文化活動の企画や広報に携わるアートマネジャーなどの役割が重要でございます。
そのような人材を広く育成するため、文化振興の拠点である都立文化施設においても人材育成の取り組みが必要であるというふうに認識しております。
○野上(純)委員 大学との連携についてなんですけれども、東京には美術や音楽、映像など、さまざまな分野の芸術系大学や専門学校が設置されて、多くの学生がアーチストや文化芸術関係の進路を目指して学んでおります。都立文化施設がこれらの教育機関と連携して人材を育成することが大切なのではないでしょうか。
そこで、現在都立文化施設で行っている大学などへの支援策についてお伺いいたします。
○山本文化振興部長 都立文化施設では、江戸東京博物館、写真美術館、現代美術館、庭園美術館の四館で学芸員資格の取得を目指す実習生の受け入れを実施しておりまして、学芸員や司書の資格を持った職員が専門的な助言を行っております。
また、専門書を多数保有いたします図書資料室等を設置いたしまして、多くの学生や研究者にご利用いただいているところでございます。
○野上(純)委員 大学と都立文化施設との連携であれば、やはり私たち首都大学東京ということが一番頭に浮かぶんですけれども、この首都大学東京との連携が求められると思うんですね。
指針の素案の中にも、都立文化施設を活用するとともに、首都大学東京等と連携することにより、芸術文化を支える人材を育成すると施策の中に書いてありますけれども、具体的な連携策について伺います。
○山本文化振興部長 首都大学東京は、豊かな人間性と創造性を備えた人材を育成するため、国際文化コースなどを設置しております。さらに、本年四月、芸術と技術の能力をあわせ持ち、文化的な創造活動をプロデュースしていく人材の育成を目指しまして、インダストリアルアートコースを設置する予定でございます。
都立文化施設と首都大学東京との連携策といたしましては、学芸員資格取得のための実習生の受け入れに加えまして、インターンシップの受け入れ、来館者ニーズ把握の調査や分析など、さまざまな事業が考えられますので、双方のメリットを生かした連携のあり方について検討しているところでございます。
○野上(純)委員 ぜひ、これは積極的に連携を進めていただきたいと思います。
ところで、文化芸術を支える人材の育成を担うのは、大学などの高等教育機関だけではなく、さきの第四回定例会において我が党の松葉議員が、平成二十二年度に開校を予定している都立総合芸術高校、これは仮称でございますが、その芸術高校の中に舞踊科あるいは舞台芸術科を設置することを提案しております。教育長としましては、設置を前提に検討しているそうです。
高等学校において、音楽や演劇などの専門教育を受けることは、深い知識や技術を身につけ、創造力や芸術的感性を育成するもので、意義があることです。また、アーチストを目指すのか、文化芸術を支えるスタッフとして力量を身につけるのか、将来の職業の進路を考える機会ともなります。
都立文化施設では、開校を予定している都立総合芸術高校など高校生も対象にした取り組みを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○山本文化振興部長 都立文化施設には、図書室などの施設設備だけではなく、学芸員や運営スタッフなど多様な人材を備えております。このため都立文化施設は、芸術分野を学ぶ生徒や指導する先生たちにとって心強い存在となっております。
都立総合芸術高校の開校に当たりましては、美術館、博物館、ホールでの実習や都立文化施設の人材を活用した事業など、多様な取り組みが考えられます。都教育庁とも連携いたしまして、総合芸術高校を初めとする高等学校への支援策についても検討してまいります。
○野上(純)委員 子どもたちが幼児期や青少年期にさまざまな文化に触れ合って、他者と共感したり、心や美しいものに感動できる感性をはぐくむことがとても大事だと思っております。
よく、芸術は魂を揺さぶり、文化は心を潤すという言葉がいわれておりますけれども、現在、例えばニートやフリーターなどの問題とか、青少年が将来の目標を見出しにくい状況の中で、具体的な職業、将来の職業としてアーチストを目指したり、またアーチストじゃなくても、そのスタッフとして文化芸術を支えようと希望する学生や子どもたちのために、都の文化施設や都立文化施設の果たす役割は大変重要だと思います。子どもたちが夢をかなえることができるよう、今後ともさらに事業を充実していくことを強く要望いたします。
続きまして、配偶者暴力対策基本計画についてお伺いいたします。
先週警察庁からDVについて発表がございました。それによると、全国の警察が相談や被害者を受け入れるなどして認知したDVは、昨年一年間で一万六千八百八十八件です。前年に比べて一七・二%増加しております。殺人や殺人未遂は一六%増の八十七件という報告がなされております。
また、資料にもございますが、DVは増加の一途をたどっているということで、一昨年のDV法の改正により、都道府県にもDVの防止と被害者の保護のための計画策定が義務づけられ、東京都も今週十四日に基本計画を発表したところでございます。
そこで、配偶者暴力対策基本計画についてお伺いいたします。
昨年九月に配偶者暴力対策基本計画の中間まとめが発表されて、この文教委員会の中でも質疑がなされ、私も幾つか質問させていただきました。
まず、昨年の中間まとめと今回の最終的な基本計画では、どのような点が変わったのでしょうか。
○産形参事 まず、第一点目といたしましては、配偶者暴力をめぐる現状につきまして、中間のまとめでは配偶者暴力相談支援センターの状況のみを記載しておりましたが、今回警視庁、区市町村における相談などの実績を含めて記述し、都全体の現状を明らかにいたしました。
次に、七つの基本目標のそれぞれに現状認識及び課題等を記述し、施策の方向性を明確にしたこと。また、二次被害の防止については施策の一つに位置づけておりましたが、施策目標として新たに項目を起こしたこと。さらに、基本計画を着実に推進するため、計画の推進体制を明記したこと、これらが主な変更点でございます。
そのほか、専門的な用語に注釈をつけるなど、わかりやすく見やすいものにするための工夫も行っております。
○野上(純)委員 二色刷りで大変わかりやすく、注もついているので、言葉についての定義もなされているということで、いいのではないかと思います。
この三七ページの中に、中間のまとめの中では人材の育成という施策目標の中にあった二次被害の防止が、施策目標としていわば格上げされた形で載っております。この辺の事情について詳しくお聞かせください。
○産形参事 配偶者からの暴力により心身ともに傷ついた状況にある被害者が、関係機関等の職員の不適切な対応や言動によって、さらに傷つけられる二次被害、これを防止することは重要なことでございます。
二次被害の防止は、職務関係者等に対し、配偶者暴力に関する正しい理解を促す研修が中心となることから、中間のまとめでは人材の育成の中の施策の一つとしておりました。しかし、策定協議会における検討や民間団体などのご意見を踏まえ、また二次被害の深刻な状況にかんがみ、新たに施策目標として掲げ、その重要性を示したものでございます。
○野上(純)委員 相談に来られる方の中からも、やはり二次被害の話をよく聞きます。配偶者の暴力によって、体も心も傷ついてぼろぼろになって、やっと安心できる施設にたどりついたと。ところが、よく配偶者暴力についてわかっていない職務関係者というんですか、職員にいろいろといわれ、うつ状態になってしまったとか、配偶者暴力について、あなたが悪いのよとか、そうでなくとも自分を責めて生きてきた人たちが、さらに傷口に塩をすり込まれるようなことをいわれると。そういうことはあってはいけないんじゃないかなと思います。ぜひ研修の充実を進めていっていただきたいと思います。
昨年九月に基本計画の中間のまとめの報告の質疑のときにも申し上げましたが、被害者の声を生かすことが何よりも大切だと思っております。計画策定に当たっては、被害者の声をどのように反映させたのか、また被害者の声をこれからの施策推進にどのように生かすつもりなのかについてお伺いいたします。
○産形参事 本計画の策定に当たりましては、被害体験者であり、現在は民間団体において被害者支援を行っている方にも、策定協議会の委員として議論に参加いただいております。また、昨年九月に公表した中間のまとめに対しても、被害者の方々から貴重なご意見が寄せられております。これらのご意見を踏まえ、計画を策定したものでございます。
先ほど答弁させていただきましたが、二次被害の防止につきましても重要であるとのご意見があり、計画に反映したものでございます。
次に、被害者の声を生かした施策の推進についてでございますが、計画では職務関係者研修等の中で被害体験者の声を生かすなどとしており、今後とも被害体験者を初め、民間の支援者団体などと連携し、配偶者暴力対策に取り組んでまいります。
○野上(純)委員 それから、もう一つ、子どものことについて伺います。
配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談の状況から見ると、被害者の八三・九%、約八割の人に子どもがいて、その半数以上の子どもにも暴力が振るわれているということが載っております。直接の暴力がなくても、母親が暴力を振るわれているのを見たり、悲鳴を聞くなどによる子どもの影響も大きなものがあるのではないかと思います。
母親の保護、ケアはもちろん真っ先にしなくちゃいけない大事なことですけれども、このような子どものケアが非常に大切だと思います。この点についてはどのように考えているでしょうか。
○産形参事 配偶者暴力は、被害者だけでなく、その子どもに及ぼす影響も極めて大きいことから、配偶者暴力にさらされた子どもへの支援が重要であると認識しております。計画においては、被害者とその子どもに接する関係機関が共通の認識を持って対応するために、新たに子どものケアに関する体系的なプログラムを作成することとしております。
また、配偶者暴力相談支援センターである東京ウィメンズプラザにおいて、十八年度から子どもを対象に心の傷の回復を支援するための講座を実施することとしております。
今後とも、児童相談所や子ども家庭支援センターと連携協力して積極的に対応していきたいと、このように思っております。
○野上(純)委員 最近寄せられた相談の中に、恋人などの若い男女間の間で暴力が多く発生していると。私のところにも相談が寄せられて、早速いろいろ手はずをとったんですけれども、相手が婚姻関係がないということで、なかなか支援の中には入らなくて、結局はホテルで一泊して難を逃れたということがございました。
この配偶者暴力防止法では、被害者が配偶者等に限定されております。このような恋人間の暴力は、支援の対象となっていません。また、基本計画を見ますと、最初の暴力は結婚前、結婚後一年未満の早い時期から始まったとする人は六割を占めているということで、結構結婚する前からそういった暴力を振るう傾向というのが見受けられているということなんですが、この種の暴力について、計画ではどのように対応しようとしているんでしょうか。
○産形参事 配偶者暴力防止法に基づく一次保護及び保護命令の制度は、対象が配偶者と限定されており、婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合や離婚後も引き続き暴力を受ける場合は含みますが、恋人間は対象とはされておりません。
しかし、配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談などから見ても、最初の暴力の時期が結婚前とする被害者が多くなっております。そのため、計画では、恋人など親密な関係にあるパートナーからの暴力に関する相談を受けるほか、若年者向けの暴力防止に関する講座を開催するなど、法律の根拠を有しないものにつきましては、恋人間の暴力も含めて対応していくこととしております。
○野上(純)委員 ぜひとも法の規定以外にある苦しんでいる人たちに対しても、今後とも積極的な対応をお願いしたいと思います。
最後に、公益法人制度改革について何点か質問いたします。
ここ数年来、公益法人制度を抜本的に改革するということで、国において制度改革の検討が進められてきております。公益法人制度改革の内容については、昨年十二月二十六日に新しい制度の概要が取りまとめられてホームページ上に掲載されるとともに、パブリックコメントも実施されております。
政府は十八年の通常国会に法案を提出するとしておりますが、この三月十日、法案が国会に上程されました。この法案の内容については、今後国会において十分に審議されることと思いますが、財団法人、社団法人などの公益法人の中には、都民との関係の深いものや、あるいは都や区市町村の外郭団体に近いものとして行政サービスの一翼を担っている法人も多く見られます。
また、公益法人は、社会福祉法人や学校法人あるいはNPO法人等と同様、民間非営利部門として公益的な財、サービスの提供の役割を担っており、これからの我が国社会において従来以上に役割が増していくことが期待されております。
そこで、今回どのように制度改革が行われるのか。そして、これから公益法人はどうなるのかを中心に幾つか質問したいと思います。
まず、基本的なことからなんですが、現行の公益法人制度における国と地方の役割分担と事務の内容についてお伺いいたします。
○和田都民生活部長 国と地方の役割分担でございますけれども、公益法人は民法三十四条に根拠を有するもので、平成十一年の地方分権一括法の以前には機関委任事務でございましたが、それ以後、現在は自治事務となってございます。公益法人のうち、二つ以上の都道府県で事業活動を行うものは国の各省大臣が、また一つの都道府県内で活動するものは都道府県の知事あるいは教育委員会が設立を許可しております。
また、事務の内容といたしましては、設立許可のほか、解散や残余財産処分の許可、そして定款や寄附行為の変更の認可、立入検査、指導監督などでございます。
○野上(純)委員 今回国は抜本的な制度改革を行うということなんですが、これに至った背景、またこれまでの制度の問題点についてお伺いいたします。
○和田都民生活部長 制度改革の背景でございます。
今お話のございました抜本的な公益法人制度改革は、国の行政改革の一環として平成十四年三月に打ち出されたものでございます。官民の役割分担、規制緩和といった考え方のもとで、民間の非営利部門を社会経済システムの中に積極的に位置づけ、その活動の健全な発展を促進しようとするものでございます。
次に、問題点といたしましては、各省大臣等の許可主義のもとで裁量の幅が広く、このため法人の設立要件に違いがあり、簡便でないこと。公益性の判断基準が不明確であること。事業分野に応じて各省大臣等の指導監督を受けるため煩雑であることなどが挙げられております。
また、時代の変化等によりまして、既に公益性を失った法人が存続し続けているといった問題もございます。
○野上(純)委員 民間非営利部門の活動の推進がこれからの社会にとって重要なことは明らかなことです。また、現行制度においては、各省大臣が許可権や指導監督権を持つということで、官僚の天下りの温床になっていたり、関係する公益法人に対して事業の委託や補助が安易に行われる傾向があることは私も承知しております。
新しい公益法人制度は、基本的にこれまでの制度とどこが違うのでしょうか。
○和田都民生活部長 まず、法人格の取得が簡便にできる一般社団法人、一般財団法人といった制度を創設いたしまして、その上で公益を目的とする事業を行う法人に対しては、新たに民間の有識者から成る委員会を設置し、その意見に基づき公益性を認定するという仕組みをつくることといたしております。そして、この公益性の認定を受けた法人につきましては、その活動を促進させるため、税制上の優遇措置が講ぜられるというふうになってございます。
○野上(純)委員 新しい公益法人制度でも簡単に法人格が取得できる仕組みができるということと、また新たに公益性を判断する委員会が設置されるということで、それらが今回の改革のポイントともいえるかと思いますが、公益性の判断はどのような基準、仕組みで行うことになるんでしょうか。
○和田都民生活部長 公益性の認定に関してでございますけれども、二つ以上の都道府県にまたがって活動する法人に対しては内閣総理大臣が、一つの都道府県の中で活動する法人に対しましては知事が、それぞれ設置いたします民間の有識者から成る委員会の意見に基づきまして公益性認定の判断を行うこととしております。
また、公益性認定の判断要件でございますけれども、これは法令や法律や政令等において明確に定めることとしておりまして、公益性があると認定される事業を、例えば学術、科学技術の振興であるとか、障害者、生活困窮者等の支援など具体的に明示するほか、公益事業に係る経費の割合は事業費全体の百分の五十以上とするなどの要件が法案では規定されております。
○野上(純)委員 公益性の認定制度が創設されるわけですけれども、既存の公益法人は今後どうなるのかということと、そのままで公益性が認定され、新たな制度下での公益法人になれるのか、それとも新たな公益性の認定を受けなければならなくなるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
○和田都民生活部長 今お話のございました既存の公益法人でございますけれども、これにつきましても改めて公益性の認定を受ける必要がございます。法案によれば、平成二十年度中に施行することとしておりまして、その後五年間を移行期間といたしまして、既存の法人につきましては、その期間内に公益性の要件を備え、個々に公益性の認定を受ける手続を踏むということになります。
そして、その公益性の認定が受けられなかった法人は、最終的には税制上の優遇措置のない一般社団法人または一般財団法人に移行するということになります。
○野上(純)委員 東京都においても、新しい制度に対応した公益性の認定事務を行うことになります。その準備やスケジュール管理が重要だと思います。今後、都は、この準備にどのように取り組んでいくのか、伺います。
○和田都民生活部長 今国会で法案が可決されますと、都における公益性認定事務のための条例案を来年、平成十九年の早い時期にご提案させていただきたいというふうに考えております。また、十九年の秋ごろには、都における公益性認定の委員会を立ち上げ、二十年度中とされております法施行を迎えたいというふうに考えております。
それから、都が所管いたします法人は、教育庁の所管分も含めますと現在約八百八十法人ございますけれども、これらの既存の公益法人につきまして、改めて公益性認定の事務を行うほか、また新しい制度のもとでの法人となる一般社団法人、財団法人の中からも公益性認定の申請が出てくるものと思われますことから、両者をあわせますと新たに相当の事務が生じるものと思われます。
○野上(純)委員 公益法人制度が新しい法律のもとに抜本的に改革され、公益性の判断も行政庁ではなく民間有識者で構成する委員会で行われることになります。ただ、この民間の有識者と呼ばれる人たちがどのようなメンバーで構成されるかによって、公正性や客観性が著しく損なわれる可能性もあるのではないか。そのことが一つの懸念の材料となりますが、いずれにしましても、都の対応は国の動向に沿って動いていることになるわけでありますが、特に現在の法人に対しては五年間の経過期間があるとはいえ、新しい制度への移行にはそれなりの準備が必要だと思います。事務的にも大変なことだと思います。
そこで、最後に今回の公益法人制度改革の意義と都としての取り組みの姿勢について、局長のお考えをお伺いして質問を終わります。
○山内生活文化局長 このたびの公益法人改革は、民法施行以来百十年間にわたって続いてきた制度を抜本的に改めるものでございます。そういう意味では、民法三十四条で設立された財団法人、社団法人のいろいろ今まで問題が指摘された分も含めて、根本的に見直そうという中からできた法案でございますので、これの我が国の社会に与える影響は相当大きいものではないかなというふうに考えております。
また、その一方で、これと別に、NPO法人についてはまた別の扱いということになっておりますので、そのNPO法人と今回の改正の中身を見ますと、かなりダブる部分がありまして、公益の認定を受けられないということになりますと、基本的にはNPO法人とほとんど同じ、しかも、それは登記でも済むという、今度は一般財団法人、一般社団法人という仕組みもあります。ついこの間、法律改正になったばかりの中間法人というのも、この公益法人の中に取り込まれるという、そういう構図になっておりますので、これはかなり大きな改革だと思っております。
また一方で、私どもでいろいろいつも議論になるわけですけれども、外郭団体の中にも社団法人、財団法人というものがあるわけでございます。そういったものを含めて、既存の公益法人も含めて、改めて公益性の認定を受けなければならないということでございますので、その影響は本当に大きなものと思われます。
そういう意味では、まず一つは混乱が生じないように、また的確な情報提供、あるいは個々の法人の実態に応じた適切な相談指導等に努めて、都としても十分に準備した上できちっと対応していきたいというふうに思っています。
○山田委員 それでは、私は私立学校の耐震化についてお伺いいたします。
平成十六年十月に新潟県中部地震が発生いたしまして、十万人を超える方々が避難生活を余儀なくされたことについては、いまだ記憶に新しいところであると思います。さらに昨年七月には、都内で十三年ぶりに震度五強を観測いたしました千葉県北西部地震の際には、一部の鉄道で七時間も不通になる事態が発生いたしました。このように大規模な地震はいつ発生してもおかしくないという状況であると思います。そうした中、東京の私立学校につきましても耐震化を早急に進めていく必要があるのではないかと思います。こうした観点から、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、都内私立学校の耐震化の状況はどうなっているのか、学校の種類別にお聞かせいただきたいと思います。
○新行内私学部長 都内私立学校の耐震化の状況につきましては、平成十六年十二月一日現在の文部科学省調査によりますと、都内の小学校は七六・一%、中学校は七三・三%、高等学校は六二・〇%、盲・ろう・養護学校は三〇%ちょうど、幼稚園は五六・一%、全体では六〇・八%となっております。
○山田委員 私立学校の校舎等の耐震化につきましては、東京都といたしましても、これまで取り組み、支援がなされてきたと思っておりますけれども、改めてこれまでの取り組みの状況についてお伺いいたします。
○新行内私学部長 都立学校耐震化の都のこれまでの支援についてというお尋ねでございますが、都は平成十五年度から十七年まで私立学校安全対策促進事業費補助を実施いたしまして、十五年度は二十三校、十六年度は五十三校の耐震補強工事について補助を行いまして、私立学校の耐震化を促進してまいりました。
なお、平成十七年度におきましては二十校程度を予定しておるところでございます。
○山田委員 ただいま答弁いただきました私立学校安全対策促進事業費補助についてでございますけれども、耐震補強工事の補助対象となる学校の種類でございますが、何と何が含まれているのか、その点についてお聞かせください。
○新行内私学部長 ただいまの耐震補強工事の対象学種というご質問でございますが、その前に先ほどの私の答弁冒頭で都立というように答えたという失言がございましたので、私ども東京都は、平成十五年度から十七年度まで私立学校安全対策促進事業を実施し、十五年度は二十三校、十六年度は五十三校の耐震補強工事について補助を行いまして、私立学校の耐震化を促進してまいりました。なお、平成十七年度におきましては二十校程度を予定していると、申しわけございません、答弁を訂正させていただきました。
そして、ただいまのご質問の耐震補強工事の補助対象となる学種というご質問でございますが、耐震補強工事の対象となるのは、小学校、中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校及び学校法人立の幼稚園でございます。
○山田委員 それでは、若干角度を変えてご質問いたしますけれども、補助対象となるのは耐震補強工事だけなのかどうか、その点についてどうでしょうか、お聞かせください。
○新行内私学部長 補助対象についてのご質問でございますが、耐震補強工事を行う場合、耐震診断の経費も含めまして補助対象とさせていただいております。
○山田委員 今ご答弁いただきましたので、改めて確認しておきたいと思いますけれども、耐震診断を受けて、その結果として補強工事が必要ないという場合もあると思います。そういう場合、耐震工事をしなくても耐震診断をしたということでの補助対象になるかならないか。そういう場合もあるかと思いますけれども、その場合、耐震診断の費用を補助してもらえるかどうか、その点についてお聞かせください。
○新行内私学部長 耐震診断費用の補助についての重ねてのお尋ねでございますが、耐震診断は校舎等の耐震補強の必要性を客観的に示すものでございまして、各学校における耐震化計画策定の前提となるものでございます。したがいまして、耐震診断を積極的に実施していただくために、副委員長ご指摘のように、診断の結果、耐震補強工事の必要がなかった場合でも、耐震診断につきましては平成十五年度に補助制度を始めました当初から補助しておるところでございます。
○山田委員 冒頭、都内の私立学校全体の学種の耐震化率をご説明いただきましたけれども、六〇・八%という答弁をいただきました。そうしますと、全体で約四割近くが耐震性が確保できていないということになるわけでありまして、これでは児童生徒及びその保護者のいざというときの不安は解消できないと思います。
学校設置の耐震化は、まず学校の設置者が取り組むべき課題であると考えておりますけれども、東京都としまして耐震化率の目標をどこに置いているのか、支援していくのか、お尋ねいたしたいと思います。
○新行内私学部長 山田副委員長ご指摘のとおり、都内私立学校の耐震化率は六割強でございますことから、耐震改修促進法が改正され、国の耐震化率の目標が九〇%となったことなどを考慮いたしまして、私立学校につきましても九〇%以上の耐震化率を目標に計画的に対応していくようにしたいと思います。
○山田委員 先ほど耐震補強工事の補助対象となる学種についてお尋ねいたしまして、ご答弁といたしますと、耐震補強工事の補助の対象となる学種について、小学校、中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校及び学校法人立の幼稚園であるというご答弁をいただきましたけれども、それでは個人立の幼稚園については補助対象になるのかならないのか、この点についてどう考えているのか、お尋ねいたします。
○新行内私学部長 個人立等の幼稚園につきましては、今後耐震化の状況を調査した上で適切に対応していきたいと考えております。
○山田委員 適切に対応していかれるということでありますけれども、都内の幼稚園、これは平成十七年の「東京都の私学行政」、この資料の中を見ますと八百七十八園。学校法人の幼稚園は四百三十二園。その他は、今お話があった個人立の幼稚園が二百七十三園あるいは宗教法人立が百九十六園、その他七園ということでありまして、学校法人以外の幼稚園、類似幼稚園というんでしょうか--に対しても補助対象として扱っていただけるようにぜひお願いいたしたいと思います。
また同じように、専修学校、各種学校は補助対象としていないようでありますけれども、今後どうしていくのか、どうしていこうと考えているのか、お伺いいたします。
○新行内私学部長 専修学校、各種学校についてのお尋ねでございますが、個人立等の幼稚園と同じく、専修学校、各種学校についても耐震化状況を調査した上で適切に対応していきたいと考えております。
なお、ご理解いただきたいのは、先ほど先生、東京の私学、ごらんになってお話いただきました幼稚園につきましては、あくまでもそれは設置者の種別をあらわしている。すなわち、学校法人立あるいは個人立とか宗教法人立ということでございまして、それはあくまでも学校教育法第一条に定める幼稚園でございまして、先ほど別の委員の方からお話がありました類似園、幼稚園類似施設というものとは違いますので、よろしくご理解願いたいと思います。
○山田委員 では、その点については私、理解不足で大変恐縮でございました。では、訂正いたしたいと思います。
今のお話のように、専修学校、各種学校の補助対象ということについては、適切に対応していきたいということでございますので、その点についてもよろしくお願いいたしたいと思います。
そして、平成十八年度予算を見ますと、ただいま質問いたしておりますけれども、耐震化に対する私立学校への補助の継続につきましては、当初、十五、十六年という時限的処置として実施してきたのが、耐震補強工事及び附帯工事については十七年に限って延長し、実施するということになりました。それと同時に、本年十八年度についても引き続き実施するということになっておりますし、またアスベスト対策につきましても、これまでの貸付方式から補助へと大きく前進した予算を提案しております。その努力に対しては高く評価いたしたいと思いますけれども、私立学校、公立学校を問わず、やはり学びやで毎日勉学にいそしむ児童生徒の命には、何ら軽いとか重いという差はないと思います。
私立学校における地震などの安全対策に取り組むに当たっての局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○山内生活文化局長 私立学校の安全対策につきましては、学校教育法の第一条に定める学校とそうでない学校、あるいは今お話がありました法人立、個人立を問わず、児童生徒が安心して勉学に打ち込めるような学習環境を確保することは極めて重要な課題であると認識しております。
先ほど部長の方からも答弁ありましたけれども、耐震化については、国は今後十年以内に建築物の耐震化率を九〇%以上とするとして、先ごろ耐震改修促進法を改正しまして、学校を不特定多数が利用する特定建築物として明記したところでございます。
東京都ではこれを受けまして、つい昨日の予算特別委員会でも都市整備局の方から答弁があったと思うんですが、平成十八年度に耐震改修促進計画、これは耐震改修促進法に基づくものでございますが、耐震改修促進計画を策定するということになっておりますので、これに基づきまして私立学校の早期耐震化にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○野上(ゆ)委員 文化施設の活用について伺わせていただきます。
ちょうど五年前でしょうか、フォーリン・ポリシー誌に掲載された論文の中で、アメリカのダグラス・マッグレイ氏が、一九八〇年代に経済大国であった日本は、九〇年代に入って文化面で新たなスーパーパワーになったと本当に称賛しています。彼は、日本の文化的パワーを国内総生産、GDPに倣ってグロス・ナショナル・クール、GNC、これはグロス・ナチュラル・カルチャーとももしかしたらいえるかもしれませんが、GNCと呼んでいます。
皆さんがご存じのように、このCというのは日本はとても格好いい、あるいはクール、いかすとかいう、そういった意味で使われたことは、これが掲載されたときに本当に大きく報道によって取り上げられた説でございます。これを考えますと、これからは単に伝統や文化だけではなくて、現代の日本の文化あるいは東京の文化をより積極的に海外にPRすることによって、東京の国際的なイメージやあるいはブランド力を総合的に向上させることができるのではないかと感じています。
そのような中で、都立の美術館、博物館は東京の文化的魅力を国内外にアピールする大きな役割を果たしていると思います。ニューヨークやパリあるいはロンドンにおいても、美術館などの文化施設は重要な観光資源であり、例えば館内には教育を目的としたカタログを含めた書籍や映画の制作販売、作品の複製やミュージアムグッズの制作販売、アーチストに対する制作委託はもちろん、レストランや駐車場の経営にまで細心の注意を払って集客を図るべく努力しています。その収益を建設費や展覧会費に充てたりしています。
今外国の事例を取り上げましたが、都立の美術館と比較して、これをすべて当てはめようというのではなくて、こういった美術館にもこれからは文化力向上のために、経営という観点からもいろいろ改善しなくてはいけないところが多くあるという観点から申し上げました。
これからは、観光客の方も美術作品に触れたいという入場者だけではなくて、中には観光ガイドに載るほどのカフェやレストランが外国にはたくさんあります。そういった方も含めて美術館や博物館に来ていただいて、東京の文化をより知っていただく機会を提供することが、私はこれからは重要だと思っています。
さて、観光振興のためにも、都立の美術館、博物館の果たす役割というものが本当に大きいと思いますが、この点について伺わせてください。
○萩原参事 都立の美術館、博物館は、ただいま先生もご指摘になられましたように、東京の文化や魅力を国内外に発信する重要な役割を担っております。現在都が広域的な観光まちづくりを支援しております浅草・両国地区にある江戸東京博物館では、旅行会社を通じた観光客の誘致を行っておりますとともに、日本語のほか七カ国語で資料や模型の展示ガイドを行うなど、東京の歴史と文化を幅広く解説、紹介しているところでございます。
また、観光案内窓口を設置いたしまして、地域の案内や観光資料の配布を行っております。
さらに、文化施設が集積した上野地区にある東京都美術館と東京文化会館では、他の文化施設とともに地域の観光まちづくりを推進する会議やICタグを利用した観光案内の実証実験に参加するなど、地元と連携して東京の観光振興に努めております。
○野上(ゆ)委員 地元の方と連携して美術館、博物館を運営していくということで、都民の方にも参加していただきながら芸術あるいは文化の広がりを見せていくというのは、非常に期待が持てるところだと思います。
しかしながら、文化施設の魅力の向上のためには、やはり行政側、官だけが頑張るのではなくて、都民の力をもっともっとかりる必要があると考えます。都立文化施設では、ボランティアをどのように活用しているのか伺わせてください。
○萩原参事 都立文化施設のうち、江戸東京博物館、江戸東京たてもの園、写真美術館、現代美術館の四館でボランティアが活動いたしております。国内外からの来館者が多い江戸東京博物館では二百五十名を超えるボランティアが登録し、日本語のほか七カ国語で常設展示のガイドを行っているところでございます。
また、江戸東京たてもの園では三百名を超えるボランティアが登録していただいておりまして、カヤぶき民家のいろりで火をたいたり、展示建物の案内、解説を行うなど、積極的な活動が行われております。
このほか、現代美術館や写真美術館においても、ワークショップやスクールプログラムへの協力など、それぞれの文化施設の特性に応じた活動が多様に展開されております。
○野上(ゆ)委員 その美術館、博物館の特性に応じてボランティアを募集していることが非常によくわかりました。
例えばアメリカのスミソニアン協会の博物館や美術館では、本当に多くのボランティアの方々の力をかりて運営がなされています。それに加えて、例えばボランティアを組織するスタッフであるとか環境、そういったプログラムが設置されているとのことです。すべてのボランティアは、ボランティアとインターン局によって登録され、この登録によってすべてのボランティアに保険がかけられ、そしてまた、セキュリティーのためのバッジとともにスタッフの一員としての誇りと、あるいは責任を持たせるような、そんな運営の仕方をしているそうです。美術館運営は、やはり職員に対して圧倒的にボランティアの大きな数によって支えられています。
都立文化施設においても、まずは学生のボランティアなどがもっと参加できるようにすべきではないかと考えますが、この点ではいかがでしょうか。
○萩原参事 学生を初めとする若い世代が文化を鑑賞し、楽しむだけではなく、ボランティアとして文化施設の活動に積極的に参加していくことは、文化活動を促進する観点からも意義があるものと考えております。今後とも若い世代のボランティアを積極的に活用し、その活動の場を広げてまいります。
また、都立文化施設は将来の芸術文化を担う人材を育成する面からも、果たす役割は大きなものがございます。首都大学東京を初め、芸術系の大学や専門学校などの教育機関と連携し、インターンシップの受け入れなど、施設を活用した学生の教育などに取り組んでまいりたいと考えております。
○野上(ゆ)委員 今までのボランティアの募集のやり方に加えて、首都大学東京などと連携したインターンシップの受け入れは非常に期待が持てるものであると思います。今後もボランティアの方がより積極的に都の文化施策にかかわれるような取り組みに私も期待したいと思っております。
○坂本委員 私からは、都政の広報と個人情報保護について質問いたします。
まず、予算説明書の八ページに記載されております都政広報についてお聞きします。
東京都では、「広報東京都」を毎月発行し、各局でパンフレットを制作したりと、さまざまな広報を行っていることは承知しておりますが、まず確認の意味でお聞きいたします。生活文化局予算といたしまして約二十三億八千万円計上されている、この都政広報では、具体的にどのような内容を広報で行っているんでしょうか、伺います。
○高西広報広聴部長 都政広報についてでございますが、各局はそれぞれその所管する事業に関して、主としてパンフレットやポスター等による広報を行い、生活文化局ではテレビ、ラジオなどのマスメディアや広報紙を使い、都政全般にわたって広報活動を行っております。
テレビ、ラジオにつきましては、都政についてわかりやすく解説する番組や都の催し物をお知らせする番組など、テレビで六番組、ラジオで三番組を提供しております。また、広報紙は、タブロイド版の「広報東京都」を毎月一回、四百五十五万部発行し、新聞折り込みにより各戸配布をしております。さらに、インターネットを活用した広報として、都庁総合ホームページを運用しており、トップページのアクセス件数は今年度約八百万件に上る見込みでございます。そのほか、新聞、雑誌広告を随時行うなど、積極的な広報を展開しております。
○坂本委員 テレビ、ラジオや広報紙、ホームページなど、さまざまな方法で幅広く都政広報を展開していることがよくわかりました。
ただ、都民の方々から見ますと、区市町村の行っている施策はより身近に感じますが、これに比べますと、都が行っている施策は少し距離感があって、何をやっているかわからない、そういった感じがいたします。そういう理由からも、都政を円滑に推進していくためには、都民の方々の理解と協力を得ることが不可欠でありまして、そのため広報が果たす役割は大変大きなものがあると考えます。
しかしながら、都の広報は一千万人を超します都民を対象としておりまして、またライフスタイルや意識なども実に多様な人々がおりますので、伝えたいことを確実に伝えることはなかなか難しい面があろうかと思います。
そこで大事なことは、いかにしてより効率的な、または効果的な広報を行っていくかということだと思いますが、こういった観点からいたしますと、各局と生活文化局との連携も重要であると考えますが、どのような取り組みを行っているか伺います。
○高西広報広聴部長 近年都民の価値観やライフスタイルは多様化、個別化してきております。また、若い世代を中心に社会への無関心層が広がってきているといわれております。
こうした状況を踏まえますと、ご指摘のとおり、より効果的、効率的な広報が重要であり、その一つの方策として、平成十七年度から各局との連携を強化する取り組みとしてテーマ広報というものを始めております。このテーマ広報といいますのは、都政のさまざまな施策の中で各局が共通して取り組んでいる重要かつ喫緊の課題をテーマとして選定し、広報するものでございまして、今年度は次代を担う人材育成と地球温暖化対策の二つをテーマとして取り上げております。
実施に当たりましては、各局の事業と連動した広報計画に基づきましてテレビのシリーズ番組を制作したり、ホームページのテーマ専用ページを設けたり、あるいは「広報東京都」で特集記事を組むなど、各局と密接に連携した重層的で多様な広報を展開しているところでございます。
○坂本委員 各局と連携した効果的な広報を生活文化局さんが中心となりまして、ぜひ今後も進めてほしいと思います。どうしても行政の施策自体が難しいとか、その伝え方も専門用語が多くてわかりにくいとか、何かと情報量が多くて探したい情報が探しにくいなどと感じている都民が多いかと思います。
そこで、都民の方々に情報をわかりやすく伝えていく工夫も必要であると考えます。この点、どのように取り組んでいるか伺いたいと思います。
○高西広報広聴部長 都民の方々にわかりやすく伝えていくためには、まずわかりやすく親しみやすい表現であること、また、主に伝えたい対象の方が好んで接触する広報媒体を選ぶことなどが重要でございます。
そこで、読者の中心が高齢者層であります「広報東京都」につきましては、昨年七月号から記事欄の文字サイズを拡大いたしました。また、写真やグラフを活用して、読みやすい、わかりやすい紙面づくりに努めております。
一方、若者は活字よりもビジュアルでございまして、テレビも深夜に見る傾向があります。このため、脱法ドラッグ対策あるいはフリーターのための相談機関などの情報が若者に直接届くよう、フリーペーパーへの広告掲載や深夜のテレビ番組へのCM提供などを行っております。
○坂本委員 近年デジタルテレビ放送の開始等、新たな媒体が急速に進展しつつあります。効果的な広報を行うためには、こうした動向を踏まえつつ、新しい媒体の活用についても検討しながら今後の広報を積極的に展開する必要があるかと考えますが、見解を伺います。
○高西広報広聴部長 近年インターネットの登場、パソコンや携帯電話の普及により、情報伝達の方法は急速に変化しております。都においては、こうした変化に対応して、平成十年に都庁総合ホームページを、十五年には携帯サイト向けの東京都庁公式モバイルを開設しております。
今先生お話しのとおり、最近地上デジタル放送が始まりましたが、地上デジタル放送は映像とは別に文字データを見ることや視聴者も番組へ参加することが可能になり、さらに本年四月からは外出時にも携帯電話でテレビが視聴できるようになるなど、今までにない特徴を持っております。
今後もこうしたメディアの動向に合わせ、新たな媒体の特性を生かした効果的な広報を展開してまいります。
○坂本委員 広報をめぐる新たな状況を踏まえつつ、今後も臨機応変に、より効果的な広報を積極的に展開していただきたいと思います。
次に、個人情報の保護に関して質問いたします。
昨年四月に個人情報保護法が全面施行されまして、間もなく一年が経過いたします。個人情報保護に関する都民の意識が高まるとともに、事業者における個人情報保護対策など、一定の取り組みも進んできたと思われます。
しかしながら、我が党の第四回定例会代表質問にも述べたとおり、個人情報の流出事故が依然発生しており、また事故に遭った方の安否情報が家族に知らされなかったり、学校でクラスの緊急連絡網の作成が中止されるなど、必要な個人情報までが提供されない、いわゆる過剰反応も見受けられます。
流出事故への早急な対応をとることは当然ながら、このような過剰反応が地域社会に与える影響も見過ごせません。例えば、子どもの安全を守るために作成されております緊急連絡網がなくなってしまうことにより、事故があったことを速やかに連絡できない、不審者情報を共有できないなどの問題も生じております。
個人情報保護法の本来の目的は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することにあります。しかし、現状を見ますと、この趣旨が十分に伝わっていないのではないかと思わざるを得ません。
そこで、最近ようやく国はこの過剰反応問題に対応すべく動き出したと聞いておりますが、どのような内容か伺いたいと思います。
○三森参事 国におきましては、二月初めに文部科学省が、先生、今ご指摘がございましたような学校の緊急連絡網などは適切に同意を得る手続をとることにより、従来どおり作成できることを通知しました。また、経済産業省は製品のふぐあいで購入者に緊急に連絡をとる必要のある場合など、必ずしも本人の同意を得る必要がない場合の具体例を示しました。さらに、二月末日には内閣府、総務省及び関係省庁の十五省庁で構成する連絡会議を開催し、法の運用基準の明確化や分野ごとのガイドラインの見直しなど、個人情報の円滑な推進について統一的な対応を申し合わせました。
○坂本委員 東京都におきましても、法や条例の趣旨を徹底しまして、都民や事業者に対しまして個人情報の適切な取り扱いに向けて周知していくべきと思いますが、いかがでしょうか。最後に見解を伺いまして、質問を終わります。
○三森参事 都はこれまで、生活文化局に総合相談窓口を設置し、都民、事業者からの相談、苦情に対応してまいりました。また、説明会や講演会を今年度十八回開催しましたほか、リーフレットやテレビ番組、インターネットを活用し、法、条例の趣旨の周知に努めてまいりました。
その中では、本人の同意を得なくても個人情報を利用、提供できる場合といたしまして、刑事訴訟法や弁護士法に基づく照会への回答や事故や災害時における負傷者情報の家族への提供などを具体的に説明してまいりました。また、学校や自治会で名簿を作成する場合の手続や留意事項につきましても説明を重ねてきたところでございます。
今後とも引き続き、個人情報の適正な取り扱いについて広く都民、事業者の間に共通認識が得られるよう、より一層周知してまいります。
○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案並びに報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十七分散会
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