文教委員会速記録第十八号

平成十七年十二月十二日(月曜日)
第三委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長村松みえ子君
副委員長山田 忠昭君
副委員長馬場 裕子君
理事服部ゆくお君
理事野上ゆきえ君
理事野上 純子君
伊藤 ゆう君
坂本たけし君
上野 和彦君
泉谷つよし君
秋田 一郎君
木内 良明君
古賀 俊昭君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長中村 正彦君
次長比留間英人君
理事近藤 精一君
総務部長志賀 敏和君
学務部長齊藤 一男君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長橋本 直紀君
指導部長井出 隆安君
生涯学習スポーツ部長山川信一郎君
参事三田村みどり君
参事新井 清博君
参事沼沢 秀雄君
参事伊藤 一博君
参事川澄 俊文君
国体準備・事業推進担当部長関口 修一君
参事直原  裕君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
契約議案の調査
・第二百三十二号議案 都立板橋地区単位制高等学校(仮称)(H十七)体育館改築及び校舎改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百九十七号議案 東京都学校経営支援センター設置条例
・第百九十八号議案 東京都教職員研修センター設置条例の一部を改正する条例
・第百九十九号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百号議案 東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百一号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二号議案 都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百三号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第二百四号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第二百五号議案 都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
・第二百六号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第二百七号議案 東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
・第二百八号議案 東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
・第二百四十二号議案 東京都立大島セミナーハウスの指定管理者の指定について
・第二百四十三号議案 東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
・第二百四十四号議案 東京体育館の指定管理者の指定について
・第二百四十五号議案 駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
・第二百四十六号議案 東京武道館の指定管理者の指定について
・第二百四十七号議案 東京辰巳国際水泳場の指定管理者の指定について

○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○村松委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査及び付託議案の審査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十七年十二月八日
東京都議会議長 川島 忠一
文教委員長 村松みえ子殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第二百三十二号議案 都立板橋地区単位制高等学校(仮称)(H十七)体育館改築及び校舎改修工事請負契約
2 提出期限 平成十七年十二月十二日(月)

○村松委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百三十二号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○大山委員 この議案は、志村高校と北野高校の統廃合を前提とするものであり、反対です。とりわけ志村高校は、地域住民の皆さん、それから卒業生、生徒などの存続させてほしいという要望も大きく、この間、五回、この都議会にも請願が出されました。また、廃止の要件となる五つの要件というのも全く当てはまらなくなっているということから考えても、この廃校を前提とする建設契約には反対です。

○村松委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○村松委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百九十七号議案から第二百八号議案まで及び第二百四十二号議案から第二百四十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る十一月二十八日の当委員会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
 今回要求のございました資料は、八件でございます。
 一ページをお開き願います。学校経営支援センターが行う都立学校への支援の定義とその法的根拠でございます。
 学校経営支援センターの都立学校に対する支援について定義するとともに、その法的根拠についてお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。これまで都立学校に対して行った支援例でございます。
 重点支援校の指定や三部合同訪問など、これまでに都教育委員会が都立学校に対して行った支援の例をお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。指導主事の指導助言と学校経営支援センターが行う教育活動の支援でございます。
 指導主事が行う指導助言と、学校経営支援センターが行う教育活動の支援との違いについてお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。学校経営支援センターの人員体制と経営支援チームの構成でございます。
 学校経営支援センターの組織及び人員体制と、所及び支所ごとに置かれる経営支援チームの構成についてお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。その他の教育機関の設置状況についてでございます。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三十条に基づくその他の教育機関について、政令指定都市のある道府県及び政令指定都市における設置状況をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。自律的な学校経営についての取り組みでございます。
 自律的な学校経営が行えるよう、校長の裁量権限を拡大するため、都教育委員会がこれまで取り組んできた人事考課制度の導入、主幹制度の導入及び教員の人事異動要綱の改正などの事項についてお示ししてございます。
 七ページをごらん願います。東京都体育施設指定管理者応募団体業種でございます。
 今回、東京体育館など三施設の指定管理者の公募に対し、応募した団体の業種等についてお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。東京都体育施設指定管理者候補者の全国参入状況でございます。
 本定例会にご提案させていただきました指定管理者候補者の全国の体育関連施設における指定管理者及びPFI事業者としての参入状況についてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○坂本委員 学校経営支援センターについて、ご質問いたします。
 都の教育委員会には、この七、八年の間につきまして急速に教育改革を進められまして、中高一貫校や総合学科高校など、新しいタイプの学校を順次設置しております。都立高校改革を着実に進めてこられました。
 こうしたハード面の整備に加えまして、学校経営の改善を図るために、人事考課制度や主幹制度を導入し、また、学校の透明性を高めるために学校運営連絡協議会を全校に設置するなど、ソフト面におきましてもさまざまな制度改革に取り組んでこられました。これらの改革によりまして、都立高校に対する都民の信頼は確実に高まりつつあります。
 しかしながら、個々の学校の実態を見ますと、生活指導に課題のある学校、中途退学や進路未決定者の多い学校、進学実績が伸び悩んでいる学校など、それぞれの学校につきまして、個別に課題があります。さらに、組織的な対応が十分にできていない学校もあります。
 こうした個々の学校の課題をきめ細かく把握し、一つ一つ対応していくためには、二百六十の都立学校を教育庁が一カ所で管轄するという現在の体制では限界があると考えられます。
 都の教育委員会におきましては、来年度から、都内六カ所におきまして学校経営支援センターを設置し、学校の身近な地域におきましてきめ細かい支援を行っていこうと計画しておりますが、これによりまして、学校経営の責任者であります校長がよりよいリーダーシップを発揮し、健全で適正な学校経営が行われるものと大いに期待しているところであります。
 そこで、伺いたいと思います。学校経営支援センターにつきましては、学校に対してどのような体制で支援をしていくのか、伺いたいと思います。

○沼沢参事 都教育委員会は、平成十八年度より、都内三つの地域におきまして、学校経営支援センターを所、支所合わせて六カ所設置し、それぞれが二つの経営支援チームを編成し、各チームが約二十二校ずつを担当し、きめ細かい学校訪問を通して、学校の実態に応じた総合的かつ機動的な支援体制を整備してまいります。

○坂本委員 一チームで二十二校を担当するとなりますと、一つ一つの学校の課題がよく見えてくると思いますが、具体的に学校に対してどのような支援を行いまして、個別の学校の課題解決を行っていくのか、伺いたいと思います。

○沼沢参事 学校経営支援センターでは、経営支援チームが月一回学校訪問を行いまして、各学校の実態を詳細に把握し、予算、施設、人事などの条件整備、学校経営や教育課程編成についての助言などを行いまして、学校長が策定した学校経営計画に基づいて教育活動や学校運営が行われ、各学校の課題解決が図れるように支援してまいります。

○坂本委員 校長がよりリーダーシップを発揮しまして学校経営を円滑に行うためには、学校経営支援センターによる学校への支援も大切でありますが、学校が組織として校長を支える体制を整備することも重要と考えますが、学校経営支援センターの設置により、この点についてはどのように改善されるのでしょうか、伺いたいと思います。

○沼沢参事 都教育委員会はこれまで、主幹制度や人事考課制度の導入、学校運営連絡協議会の設置、学校経営計画の導入など、校長の学校経営を支援するため、さまざまな制度的な基盤整備を行ってまいりました。
 学校の組織体制をより強化するため、学校経営支援センターでは、現在、学校事務室で行っている契約などの業務を集中することによりまして、学校事務室の業務を軽減する一方、企画調整、予算調整、広報活動など、校長の学校経営を支える経営面の機能を充実させてまいります。

○坂本委員 都の教育委員会がこれまで行ってきましたさまざまな改革が形骸化されることがないように、ぜひ校長の学校経営を支援するための学校経営支援センターを十分に機能させ、学校教育の質の向上を図ってもらいたいと考えております。
 そこで、最後に教育長に伺いたいと思います。学校経営支援センターの設置に向けた教育長の決意を伺いたいと思います。

○中村教育長 都教育委員会は、都立学校におきまして、校長がリーダーシップを発揮しまして自律的な学校経営を行っていけますよう、これまでも学校経営計画や自律経営推進予算を導入するなど、さまざまに取り組んでまいりました。より一層学校経営の自律性を高めるために、学校経営支援センターを設置いたしまして、機動的できめ細かい支援を行ってまいります。
 こうした体制のもとで、各学校が目指す学校像の具現化に向けまして、教職員、予算、施設、設備など、経営資源を有効に活用しまして、校長の学校経営計画に基づいた、より質の高い教育活動を展開できるよう、実効性のある支援を行ってまいります。
 学校経営支援センターによります新たな支援体制のもとで、今後とも学校教育の改善、充実のために全力で取り組んでまいります。

○馬場委員 まず、今回の指定管理者制度の導入について伺います。
 今回、条例が制定され、管理者が選定された後、議会の議決、正式には、文章的には、指定の議決というのをしなければならないという状況にあります。今回、都教委の出されている中で、公募をかけられました三件について例に挙げて、これから質疑をさせていただきたいというふうに思っています。
 議会がこの段階で指定の議決をするということが、どういうことなのかなと改めて実は考えていたんですが、選定委員会で選定が行われ、ここでいえば教育委員会がその選定を決めて、その決められたところが私たちに提示をされているわけです。
 この指定の議決ということで、具体的には、今、案である、選考されているところが決定をしていく。来年に向かって、今後協定を結び、準備をしていくということだというふうに思いますが、まず、議会として指定の議決をしなければならないということですので、私としては、納得のいく説明をいただきながら、私たちに与えられた初めての指定の議決というのをしていきたいというふうに思います。
 まず、この指定管理者について、総務局の行革推進室で出されている指針では、指定管理者の範囲について、一つの施設で同時に複数の者を指定できないということはきちんと書かれています。一つの施設で一管理者ということですが、その施設がグループを組んで、幾つかの施設が一カ所の指定管理者で受けるということはできるというふうに書いてありますが、今回、この指定管理者の中で、公募をかけられた三件、コンソーシアムというふうにいうんでしょうか、私、初めて伺ったんですが、日本語にいいかえれば、異業種の連合体というような意味というふうに伺いました。名前はグループというふうになっていますが、このコンソーシアムという形を組んでの今回の公募、また指定という状況ですので、このことを少しきょうは質疑をさせていただいて、この指定の議決というふうにしていきたいと思っています。
 東京都生涯学習文化財団は今まで独自で管理運営をなさってきたわけですが、今回、民間企業とコンソーシアムを組んで応募していらっしゃいました。まず、教育委員会はこのことについてどのように認識していらっしゃるのか、お尋ねいたします。

○山川生涯学習スポーツ部長 今回、財団法人東京都生涯学習文化財団がコンソーシアムを組んで応募したのは、スポーツを通じた社会貢献活動に熱心な民間企業や、スポーツ事業を展開している民間企業と、さらには、建物の維持管理業務を得意とする民間企業等と連合することによりまして、民間の持つ活力や得意分野を活用し、従来以上に円滑な施設運営や都民サービスの向上を図ろうとしたものであると私どもは見ております。

○馬場委員 従来以上に円滑な施設運営、そのためにはこうした複数の団体がコンソーシアムという形を組んで応募していらしたと。それでは、このコンソーシアムを組んだ団体の業種、またその役割分担というのはどんなふうになっているでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 東京体育館を例に挙げてご説明をさせていただきますが、財団法人東京都生涯学習文化財団では、グループの代表団体であるとともに、メーンアリーナの管理運営、さらにはスポーツ振興事業の企画立案、それからグループ内構成団体及び外部団体との調整を行う役割を担っております。
 次に、フィットネスクラブ経営を行っている株式会社ティップネスは、プールやトレーニングルームなどの個人利用業務を担当いたしまして、さらに、ビル管理等を行っております株式会社オーエンスは、施設の維持管理業務を担当することとされております。さらに、スポーツ事業等の開催を通じて社会貢献をしておりますサントリー株式会社は、東京体育館のメーンアリーナの有効活用を図るための大規模大会の企画、誘致を主に担うとされております。

○馬場委員 それぞれの団体が活躍できる形というふうにご答弁されたというふうに受けとめます。今までもそれぞれの団体がそれぞれやっていたわけですが、今回の指定管理者ということになって、さらに、今までやっていた組み合わせ、管理業務の部分も含めて、それぞれが対等な関係で、またさらに新しい、初めてのグループも入れて、これからコンソーシアムという形で運営をやっていくということですね。
 今回の応募に際して、例えば、先ほどの資料にもありましたが、一番規模の大きな東京体育館では、四団体によるコンソーシアムが組まれている。この東京体育館は年間百万人以上利用者があるといわれています。その運営をこうした四団体、基本的には四団体ですが、そこの連合体という形でこれから運営をしていく。今までの形と違う、対等な形での指定管理者というシステムですので、その団体間の連携というのはうまくいくのかどうかというのが私にとっては心配なんですが、その辺はどんなふうに考えていらっしゃるでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 先ほどもご説明申し上げましたように、提案されています事業計画によりますと、東京体育館では、財団グループがグループ内構成団体の調整を行う代表団体となっておりまして、財団がグループ運営のリーダーシップを発揮するとされております。
 また、審査時のプレゼンテーションの中では、グループ構成団体との事前の協議、調整を積み重ね、相互の信頼関係を醸成した上で応募した旨、説明を受けております。
 さらに、今後の管理運営に当たりましては、グループ内に運営協議会を設置いたしまして、運営管理の方策を検討していくなど、団体間の連携を図る仕組みをつくって施設運営を行うことを提案しておりまして、私どもといたしましては、一体的、継続的な利用サービスの向上が図られるものと認識をしております。

○馬場委員 四団体の構成ということで、具体的には、運営協議会の設置というのが今出てまいりました。この運営協議会というのは、こちらで決めることではなく、運営をしていく四団体の中で今後必要だというふうに思っていらっしゃるのではないかと思いますが、この運営協議会というのが実は非常に大切な役割をせざるを得ない。つまり、四団体がきちんと仕事をこなす、また責務を担うということから考えますと、この運営協議会の構成、権限、最終決定等、大変重要な状況であるというふうに私は思います。
 こうしたことについての今後のことということも後でまた述べさせていただきますが、まず、ここでは、その運営協議会というのが大切な役割であるけれども、ここが指定管理者として、私たちが最初にお話しした議決をする上でどういう形であるかもわからない、そういう状況にあるということで、この点が少し不信というか、危惧を持っているということでございます。
 それでは、指定管理者から利用者のサービスの向上について、最初の質問で、より一層のサービス向上という答弁がありました。このことについて、今回、応募に当たりどんな提案があったのか、お尋ねします。

○山川生涯学習スポーツ部長 各体育施設ごとにさまざまな提案がなされておりますが、主なものといたしましては、施設改修によりますスポーツ施設の充実を初め、開場時間の延長、休館日の短縮、新たな割引制度の導入など、利用者サービスの向上につながる提案が幾つかなされております。
 また、利用者サービス事業におきましても、スポーツ用品のレンタルや荷物保管用のロッカーの貸し出しなど、新たな提案がなされております。
 さらに、自主事業におきましても、新たにNPO法人等と協働した事業を企画するなど、利用層の拡大に取り組んだ提案もなされております。

○馬場委員 今回の指定管理者、民間のノウハウと知恵を公共施設にもということですから、そういう意味では、サービスの向上がされ、新たな展開をしていくということは、都民にとってもありがたいことだというふうに思いますが、民間業者が民間でなさっていることをそのまま持ち込むということではいかがなものかという部分も例えばあるのではないかというふうに思っています。
 今回のサービスの中で、お酒類とか、飲食的なものもどういうふうになるのか。それから、いろいろなフィットネスクラブからエステという趣味の世界まで、どの程度までこの体育館の中で可能なのか。可能というより、必要なのかということでしょうか。
 そういう点で、利用者のサービス事業とか自主事業というような新たな提案が公募の中でなされているというふうに思いますが、この点、指定管理者として何の制約もなく自由に事業ができるのか。それとも、きちんと制約の中でこの点の歯どめが考えられているのか。その点、いかがでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 ただいまご指摘ございました利用者サービス事業、自主事業に関してでございますが、利用者サービス事業とは、食堂、売店等を設置するなど、利用者に対するサービス向上を図り、施設の設置目的を効果的に達成することを目的とするものであります。
 また、自主事業は、生涯学習の振興を図るとともに、施設を有効活用するため、指定管理者が独自の創意工夫を生かして実施する事業でございまして、事業内容につきましては、公の施設であること、施設の設置目的に配慮すること、施設利用が少ない時期の実施や個人が利用できる日との調和を図ることなどが必要と考えております。
 これらの留意すべき事項につきましては、東京都体育施設指定管理者募集要項に規定をしておりまして、さらに、実施に当たりましては、東京都教育委員会の承認を得ることを必要としております。私どもといたしましては、適切な事業運営がなされるよう指導監督をしてまいりたいというふうに考えております。

○馬場委員 利用者サービス、都民へのサービスということが、利用者間でそごがないような、そんな都民の皆さんへのサービスということで、十分に公共施設という観点を忘れないで、ぜひ適切な事業運営がなされるよう指導していただきたいというふうに思います。
 このコンソーシアムという形がうまく機能するためには、各施設間の連携、特にサービスは人ですね。人員です。職員です。こうした観点から、先ほどもありました東京体育館では一番たくさんの人員を必要とすると思いますが、その体制はどういうふうに考えられているのでしょうか。また、その際の責任体制、四団体のコンソーシアムという形での責任体制はどうなっているのか、お伺いします。

○山川生涯学習スポーツ部長 東京体育館施設の募集要項で、人員の体制につきましては、常勤の職員にて館長を一名、運営及び維持管理業務の責任者を各一名以上、スポーツに関し専門的な知識と技術を有する者を一名以上配置することとしております。
 なお、今回提案されております人員体制につきましては、コンソーシアムを形成することによるお互いの強みを生かした事業管理、スポーツ振興、維持管理部門別の運営組織といたしまして、それぞれの責任体制を明確にしておりますが、一方、先ほどもご説明申し上げました、館長を初めコンソーシアムの構成団体の責任者によって構成されます最高意思決定機関としての運営協議会を設置するとともに、機能別に部会を配置するなど、責任体制の明確化が図られている提案内容となっております。

○馬場委員 今のサービス体制ですから、全員が常勤職員というわけにはいかないでしょうし、今のご答弁いただいた常勤の職員、基本的な責任を負う皆さん、ほかに非常勤、また、こうした体育館ですから、専任のインストラクター等を含めて、たくさんの皆さんが、サービスも含めて、それから、この四団体それぞれに募集をされ、そこで管理をするのか、このコンソーシアムというグループが全体でこの職員を雇用するのか、そうした点もいろいろあろうかと思います。今の時点で、まだ何も私どもに提示がありません。
 こうしたコンソーシアムという中での職員体制がどういうふうになるかということは、大変大きな問題だというふうに--雇用体制の問題ですので、この五年間という指定された期間の中でどういう職員体制をとっていくかということは、サービスにも直接結びつくというふうに私は思っております。こうした職員体制も含めて、今後十分検討され、また、今の状況ではこの四団体がきちんと職員の雇用体制をしていくということを約束していただくしかないのですが、この辺も含めて、ぜひ慎重なご検討をお願いいたします。
 また、今申し述べましたように、さまざまな方がこのグループにかかわってまいります。それぞれの四団体相互の連携ということも大切ですが、やはり最大の目標は、この体育館等を運営管理する、つまり、都民に対してサービスを提供する、そうしたことが求められています。この中で、今問題になっております個人情報について、情報管理、また個人情報の保護に対する取り組み、こうしたものも事前に十分に認識をしていただかないといけないというふうに思っていますが、この点はどうでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 東京都個人情報保護条例では、施設の管理運営におきまして、個人情報を取り扱うこととなる指定管理者は、東京都と同様に、個人情報の適正な管理のために必要な措置が求められておりまして、指定管理者の従業者の漏えい行為に対しては刑罰が科されることがあるとされております。
 募集要項におきましても、指定管理者は、個人情報の漏えい、滅失及び毀損防止、その他個人情報の適正管理を義務づけております。
 指定管理者の提案内容につきましては、個人情報の管理責任を重視した内容となっておりまして、教育委員会は、この提案内容が確実に実施されるよう、指定管理者に対し指導監督を行ってまいります。
 また、指定管理者と締結を予定しております協定におきましても、この内容を規定することで、指定管理者の適正管理を図ってまいると考えております。

○馬場委員 都体育館に通っていらっしゃる皆さんの個人情報、氏名、生年月日、住所、電話番号、また健康についてのさまざまな情報、既往症等がどうしても仕事の中で出てくる。そうしたことのきちんとした管理--その情報をお客様との関係でも守る、それから組織としてもきちんと守秘義務を守ってやっていくということが第一義的だというふうに思います。
 今、個人情報の例を出させていただきましたが、今までは、管理委託制度ということでは、そうした課題について、法的な効果というんでしょうか、法的効果というふうに書いてあるんですが、こうしたことは、都と利用者の間で、法的な問題は、責任の所在は都にあったと。これから、この改正法で指定管理者制度になっていくと、権限の委任ということで、こうした今まで都が負っていたものが、管理の代行ということで、指定管理者と利用者の間で発生をしてくる。
 こうした面で、施設を運営するに当たっては、指定管理者の責任ということもありますが、都が指定をするという位置づけからすると、まず、都と指定管理者との役割分担、責任の分担というのはどういうふうになるのか。今お話しした日常的なサービスのことは指定管理者ということになると思いますが、災害とか復旧工事、そうした管理にかかわる責任ということでは、都と指定管理者の責任分担はどんなふうになるのでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 東京都と指定管理者との責任分担についてでございますが、指定管理者につきましては、施設の運営業務、スポーツ振興事業、自主事業、施設の維持管理、施設の使用承認、料金の徴収業務、物品管理、現場での災害対応、指定管理者の責めに帰すべき事由による指定解除による損害、さらに、運営や日常修繕にかかわる管理瑕疵についての責任を負うこととしております。
 また、東京都は、利用料金制度に伴う利用料金額の承認、災害時における指示、災害復旧、施設等の改修、計画的修繕、設計や構造に関する管理瑕疵についての責任を負うこととしております。

○馬場委員 今、都と指定管理者との責任分担を伺いました。今回は、先ほどから質問させていただいておりますように、コンソーシアムという、連合体での指定管理者が請け負うわけですね。じゃあ、その連合体の中で、つまりグループの中での責任の分担の問題、また、例えばですが、グループ内で一社が大幅な赤字、または何らかの課題を抱えて倒産をするとか、指定管理者の一員として該当しなくなった場合、そういうことを想定していらっしゃるでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 指定管理者の選定基準の中に、安定的な経営基盤を有していることを挙げまして、指定期間中に倒産等の事態が起きないよう、まず、事前に公認会計士等の参画をいただきまして、選定委員会の中で経営内容について十分審査をしたところでございます。
 なお、東京体育館では、リスク回避や対応策の一つとして、保険への加入が提案されております。このことから、個別の事故等によって生ずるリスクについては対応が可能であるというふうに考えております。
 さらに、ただいまご指摘いただきました倒産等に至るケースへの対応を含めまして、指定管理者と締結する協定におきまして、グループ全体で責任を負う体制を盛り込んでいくことを検討しております。

○馬場委員 今まで幾つか聞かせていただきました、このコンソーシアムという形が、今までの管理委託制度の中で、一カ所が受けて、財団が受けて、下請にしていた。そうしたところが今回は同等の一団体としてチームを組んでの指定管理者として受けていくということ。それから、新しいグループが一緒になって、コンソーシアムという一つのグループをつくるということが、実は、私も今回の総務局の行革推進室が出された指針等も読ませていただきましたが、この中には、余りこうしたことを想定しての指針になっていないのではないかというふうに思わざるを得ないんですね。
 こうした団体で運営をしていくということであれば、運営協議会的なものがどんなに大切なのか、その責任の所在がどうなるのかということが一番大事なことではないかというふうに思うんですが、そこには余り触れられていません。今回のこの公募について教育委員会から出されている指定管理者募集要項の中に、連合体による応募というのが一カ所だけ出てきます。複数の団体が連合体を構成して応募する場合、代表団体を定めるものとする。つまり、代表団体があれば、連合体として認められる。この連合体がどういうものでなければならないというような規定は一切入っていない。
 つまり、そういうものを、私が今回問題だと思うのは、何も今まで実績もない、東京体育館でいえば四団体、ほかでいえば三団体、二団体というコンソーシアムを組んだグループ、そこが今回、議会に指定の議決というのを求められているわけです。私たちは、このグループをそのグループ名で認めていかなければ、次の協定の段階に入れない。つまり、どちらが先かというのが納得のいかない形で出ている。
 議会とすると、まず、こうしたコンソーシアムという形で大丈夫なのかどうか。それから、一つ一つの団体は確かにそれなりの団体かもしれませんが、それが集まって受けるときにどうなのかということの想定が十分されているのかどうか。そうした社会的にまだ認知をされていないグループに対しての指定管理者としての議決というようなことが今要求されているわけです。
 このことは、教育委員会が選定委員会をつくり、認めたということがある以上、認めざるを得ないというふうに思いますが、今後の運営については、そういう意味では、今幾つか指定させていただきました、このことを踏まえて、今後、協定というところできちんと細かく結んでいただいて、指定管理者として十分安心して施策を進めていただけるような、そんな状況を心から望んでおりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 あと一点、学校経営支援センターについて、一言、意見を申し上げさせていただきます。
 この経営支援センター、都立校二百六十校にわたる、大変大規模な形で今まで運営をされてきました。これが、これからはそれぞれのチームを組んできめ細かくというお言葉なんですが、このきめ細かいというのが、また一方では管理の強制、都教委がそのまま小さくなって、さらにきめ細かく強制をしてくるのではないか、そんな危惧の声が私のところにも来ております。
 一方で、事務室をこれからは機能的にし、IT化にして、経費の節減、それから機能的な、学校運営にとって大切な事務室にしていくということは了解いたしますが、学校経営ということについて、校長先生の支援ということだけ強く出されている。説明を私もいただきましたが、この文章の中にも、職員会議、つまり職員の皆さんにどういうふうに全体としてかかわっていただくのか。また、生徒という、つまり子どもたちのための学校であるのに、その子どもたち、生徒たちが学校でこの経営支援のもとでどういうふうに教育を受けるか。そのことについて、生徒という視点が一言も出てこないということは、もうこれは本当に学校の経営支援に特化されているものというふうに思わざるを得ません。
 この意味で、この学校支援ということが、本来の教育の支援、つまり、高等学校、教育庁が所管をしている、少なくとも学校の子どもたちの学校環境をきちんと守るという、その目的に合致するべく、これからの新しい体制をとっていただかなければならないということを強く要望して、意見として終わります。ありがとうございました。

○上野委員 私からは、指定管理者の指定について、何点かお伺いいたします。
 今回、指定管理者制度が導入されました。私は、大変期待しているところでございます。これまで管理委託を行っておりました外部団体が、今度は効果的、効率的な手法を持った民間と同じ土俵で競争する、このことについて、改革され、むだをなくしていくことになる、このように思っております。
 そこで、大事なことは指定管理者制度の導入の効果でございまして、一つは、東京都にとって、財政支出の削減がどれだけ図られていくのか。また、二つ目は、利用者にとってサービスの向上がどれだけ図れるのか。このことについて、特に今回、公募の対象となりました三つの体育施設についてお伺いしたいと思います。
 まず、東京体育館、東京武道館、東京辰巳国際水泳場の提出されております事業計画書では、初年度の収支計画、これがどうなっているのか。また、都からの委託料がありますけれども、これについても、平成十七年度の予算と比較して、経費削減の効果というのはいかほどあるのか。この点についてお伺いいたします。

○山川生涯学習スポーツ部長 収支計画と経費削減の効果についてお答えをいたします。
 まず、収支計画でございますが、東京体育館では、支出が十二億七千七百万、収入が九億七千九百万、したがいまして、都からの委託料が二億九千八百万円となっております。
 東京武道館の収支計画では、支出が四億四百万、収入が一億一千五百万、したがいまして、都からの委託料が二億八千九百万でございます。
 東京辰巳国際水泳場の収支計画につきましては、支出が六億二千八百万、収入が一億二千七百万、都からの委託料が五億百万円となっております。
 次に、平成十七年度予算額との比較でございますが、東京体育館では、都からの委託料は一億六千三百万円の減額、率にいたしまして三五・四%の削減になっております。
 東京武道館では、都からの委託料は四千百万の減額、率にいたしまして一二・四%の削減になっております。
 辰巳水泳場では、都からの委託料は九千三百万円の減額、率にいたしまして一五・七%の削減となっております。

○上野委員 今お話がありましたように、三館だけで約三億の削減効果が見込まれるということでございます。
 次に、利用者サービスの向上について。これにつきましては、先ほど馬場副委員長のところでご回答がございましたので、割愛させていただきます。
 次に、今回、指定管理者の候補を見ますと、東京辰巳国際水泳場だけが民間による運営がなされるようでございますけれども、この日本管財・コナミスポーツグループを選定した理由というのは何なのか。
 プレス発表資料を見てみますと、選定理由が書いてありますけれども、ちょっと具体性に欠けますので、事業計画書ではどのような提案がなされているのか、具体的な事例を挙げてご答弁いただきたいと思います。

○山川生涯学習スポーツ部長 日本管財・コナミスポーツグループにつきましては、提案内容を見ますと、利用者の拡大に向けまして、開場時間を夜一時間延長するほか、受付案内におきましては、障害者や外国人に配慮し、ユニバーサルサービスを提案しております。また、定期シャトルバスを一日十四本運行いたしまして、最寄りの駅との往復にとどまらず、都のPFI事業施設であります東京スポーツ文化会館や地域を巡回し、交通アクセスを改善するなど、質の高いサービス提供に努めた提案もあわせてしております。
 さらに、事業の提供におきましても、すべての事業の参加費を従前よりも低廉な価格に設定するとともに、心の東京革命の啓発支援活動として、東京キッズスイミングフェスティバルのほか、シンクロナイズドチャンピオンシップや、ニューウオータースポーツイベントなど、都民が感動を共有できる大型事業が提案されております。
 このように日本管財・コナミスポーツグループでは、より質の高いサービス提供に努めるとともに、積極的に将来の利用拡大につながる提案を行っている点が評価されたためでございます。

○上野委員 ここで私は、民間が指定管理者となった場合に心配な点がございます。と申しますのは、現在、財団法人の東京都生涯学習文化財団がすべての体育施設を管理しておりますけれども、財団では、優先受付制度や減免制度というのがございます。公の施設としての公共性や公益性というのが担保されているわけでございますけれども、これが今回、民間の指定管理となった場合に、公共性や公益性というものをどのようにして担保するつもりなのか、この点についてお伺いいたします。

○山川生涯学習スポーツ部長 公の施設につきましては、住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するため設置されているものでございまして、指定管理者制度が導入されても、その性質が変わるものではないと認識をしております。
 指定管理者は、体育施設の運用に当たりまして、募集要項に記載すると同時に、都と指定管理者で締結されます協定に盛り込む都の管理運営の基本方針等を守り、業務を行わなければならないため、民間の指定管理者であっても、公の施設としての公共性、公益性は保障されるものであると考えております。

○上野委員 確認の意味も含めましてお尋ねいたしますけれども、冒頭に述べました指定管理者の候補者選定を通じまして、民間の力も活用しつつ、経費の削減と都民サービスの向上を実現する、こういう制度の趣旨が、導入段階ではございますけれども、今回、達成されているのか。また、結果をどのように評価されているのか。この点についてお伺いいたします。

○山川生涯学習スポーツ部長 事業者からの提案を外部委員を含む選定委員会において審査した結果、先ほど申し上げましたシャトルバスの運行などや新しい割引制度の導入などのサービスの向上、利用人員増を提案した事業者が選定されるとともに、公募した施設の平均で、管理経費が約二割削減されるなど、指定管理者制度の導入の目的でもありましたサービスの向上と効率的な施設運営において、具体的な成果が得られたと考えております。
 また、競争によりまして、財団法人東京都生涯学習文化財団は、危機意識を強め、民間事業者とコンソーシアムを組むなどにより、より質の高い提案が示されるなど、総体として都民サービスの向上が図られており、制度導入段階の目的はおおむね達成できたものと評価をしております。

○上野委員 ありがとうございます。最後になりますけれども、今まで質疑をいたしましてご答弁をいただいた趣旨につきましては、今後、議会の議決を経て締結されます協定にその内容が具体化される、このように思います。
 指定管理者制度というのは地方自治体の裁量が大きいわけでございますので、都としても、説明責任とか透明性の確保の点からも、協定内容につきましてはぜひとも都議会や都民に広く周知されるべきだと考えますが、そのご答弁を求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○山川生涯学習スポーツ部長 ただいまご指摘ございましたように、体育施設は公の施設であり、都民の利用も多いことから、協定書の内容につきましては、都議会を初め都民に対し周知されることが重要だというふうに考えています。したがって、協定書は都議会を初め都民に対しても開示をしてまいりたいというふうに考えております。
 さらに、利用方法等の都民に必要な情報につきましては、利用案内やホームページなど、さまざまな媒体を活用し、積極的に周知を図ってまいります。

○大山委員 私はまず最初に、学校経営支援センター条例について質疑をします。
 この学校経営支援センター条例、条例自体は全体で六条という短いもので、これだけでは、読んだ限りでは、目的が何なのか、どのような権限を持つのか、具体的に何をやるのか、それから支援とは何ができて、何ができないのか、その支援の対象は何なのか、全くわからない条例です。
 それは、私だけがわからないといっているのではなくて、この条例が提出された東京都教育委員会の議事録を見てみましたけれども、その中でも、各委員が、支援センターの位置というかポジションがよくわからないとか、学校訪問という言葉が入っていましたが、それはひっかかるんですとか、校長方も立場が弱い、なぜかというと、みずからの業績評価をされて、しかも人事異動、あるいは人事権を握られてしまっているということで、どうしても校長の立場が弱いなどなど、いろいろ疑問や心配が委員の中から出されていました。
 東京都教育委員会自体から出ていることなのですから、まして都民には明らかにされていません。全く新しい条例をつくり、新たに機関をつくる。それも全国に例のない行政機関をつくるものです。都民の前にも明らかにして、慎重に、そして徹底した審議が求められること、この立場で質問をします。
 まず明らかにしたいのは、学校経営支援センターというのはどういうものなのかということです。校長連絡会の資料がありますが、これによりますと、先ほども出ましたが、学校経営支援センターは都内に三カ所のセンターと三カ所の支所を置く。つまり、全都に六カ所の学校経営支援センター及びその支所ができるということですね。
 業務は、経営支援ラインと業務支援ラインがあって、教育の中身にかかわる支援というのは、経営支援チームが担当することになっています。
 まず伺いますけれども、この経営支援チームは、六カ所にそれぞれ二チームずつ置かれるようになるようですけれども、各チームの職員の職種と人数はどうなるのか。また、経営支援センターができることによって、本庁の指導主事と事務職の人数はどうなるでしょうか。

○沼沢参事 各学校経営支援センターの経営支援ラインには、支援チームを二チーム設置する予定でございます。各支援チームは、教員系職員四名と行政系職員三名で構成する予定でございます。
 本庁の事務局定数につきましては、二十名程度の減の方向で現在調整中でございます。
 なお、本庁の指導主事につきましては、平成十七年四月現在で七十六名でありまして、学校経営支援センター設置後の人数につきましては、現状維持の方向で調整中でございます。

○大山委員 教員系の職員が四人と、それから行政系の職員三人、この七人で一チームということですね。この一チームが平均して二十二校を担当するということです。
 経営支援チームは、学校経営支援、教育活動支援、そして人事管理支援というのが支援内容ということになっていますけれども、そのうちの教育活動支援と人事管理支援の内容を具体的に示してください。

○沼沢参事 学校経営支援センターの行う教育活動支援とは、主に教育課程の管理、教育課程編成実施、授業の改善、生活指導、教育課題への対応等でございます。また、人事管理支援とは、主に教職員の人材情報の収集、教職員の人事異動、人事考課の実施、管理職候補者の発掘、育成、教員の資質向上等でございます。

○大山委員 つまり、教育活動支援で、年間指導計画や週案だとか、授業の内容、生活指導まで口を出すということ。それから、どの学校にどんな人がいるのか、だれがどういうことをしているのか、どんな人間なのかということを含めて、頻繁に学校訪問して、一人一人がどんな考えを持っているかまで把握しよう、二十二校ぐらいだったらきめ細かくできるんだということなんですね。
 授業改善といえば、さっきご答弁した授業改善というのがありましたけれども、まさに授業内容のことですね。そういう授業内容の支援ということ、これは普通は指導主事がするわけですけれども、この授業改善については、指導主事が行うということなんでしょうか、チームの中で。

○沼沢参事 学校経営支援センターにおきましては、学校経営、教育活動及び人事管理など、学校教育全般についての支援を行います。このため、学校経営や教育活動の経験を有し、専門的な助言ができる教員系の職員を配置していく予定でございます。なお、職名等につきましては現在調整中でございます。

○大山委員 普通、教育内容といえば、指導助言ということで指導主事なわけですけれども、授業改善支援も指導主事ではないわけですね。本来、教育内容などの指導助言は指導主事が行うことですけれども、なぜなのかといったら、地教行法第十九条には、第四項で、指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない、こういうふうに地教行法に明記されているわけです。つまり、法で限定しています。それは、だれでもかれでも授業内容に介入されるということを防ぐということが必要だからにほかなりません。
 今回の学校経営支援センターは、授業の支援といっても、職の明確な位置づけも条例上全くないわけで、教員系と事務系と一緒にチームになって学校を担当するのですから、指導主事でもない者が、行政職も含めて、法で定められている指導主事の仕事にまで介入することになる。これは重大なことだといわざるを得ません。
 もう一つの業務支援ラインは、主に学校事務室業務の集約事務を行うというふうになっていて、管理係、経理係、施設係があって、IT化、アウトソーシングによる効率化がねらいだということですね。
 学校支援センターにはセンター長がいますけれども、学校支援センター長というのは人事考課ではどのような役割を果たしますか。

○沼沢参事 現在、教育の業績評価につきましては、副校長が一次評価を、校長が二次評価を行い、本庁の人事部長が調整した後に、教育長が相対評価を実施しております。
 学校経営支援センター設置後は、本庁の人事部長の調整権限を学校経営支援センターの所長に委譲する予定でございます。これによりまして、きめ細かな人事情報に基づく調整が可能となりまして、評価の客観性がより確保できるものでございます。

○大山委員 今、人事考課について、教員の部分しか答えてくれていませんでしたけれども、学校経営支援センターの所長は、この校長連絡会の資料によりますと、人事考課では、校長の一次評価、それから副校長と事務職員の二次評価者となるわけですね。先ほどご答弁した人事部長の調整権限をセンター長に移管するわけですから、人事管理関係の広範な権限がセンター長に委任されることになって、その責任者である長の権限は絶大となるわけです。
 さっきの教育委員会の委員の人の心配、これはこういうこともいっているわけですよね。校長方の立場も悪い、人事権を握られてしまっているということで行政評価をされてというようなことは、本当に心配はそのとおりだと思っています。
 経営支援は、経営支援チームによる月一回のきめ細かい学校訪問で、訪問の種類が、学校経営訪問、それから人事関係訪問、授業研究訪問、校内研修訪問、教育課程訪問、学校行事訪問、さまざまな訪問が用意されているわけですけれども、学校経営支援チームのこの学校訪問というのは、具体的に何を行うのかということなんです。入学式や周年行事、卒業式等への列席は書いてありますけれども、職員会議などにも参加するんでしょうか。

○沼沢参事 都教育委員会は、これまでも、学校からの要請に基づきまして、職員会議等で情報提供を行ったり、校内研修会に参加し、必要な助言を行ったりしてきたものでございます。
 学校経営支援チームの学校訪問につきましては、学校の実態を踏まえ、校長と連携を密にしながら、必要に応じて職員会議等にも出席していく予定でございます。

○大山委員 職員会議などにも出席できる。何でも出席できるということなんですね。月一回の学校訪問というわけですけれども、学校は、自立的--都教委がいっている、自分で律するんじゃなくて、みずからの力で物事をやることができますから、訪問は要りません、訪問は必要ないですというふうに学校がいった場合、それは訪問はしないということでいいんでしょうか。

○沼沢参事 学校訪問につきましては、学校経営支援センター設置後は、これまで以上に学校の状況をきめ細かく把握し、学校とともに課題解決に当たるために、月一回程度の学校訪問を行っていく予定でございます。
 なお、実施時期や内容につきましては、各校長と相談をしながら進めてまいる予定でございます。

○大山委員 必要性を感じていない学校にまで業務として月一回訪問をする。指導助言は法できちんと位置づいているけれども、支援という言葉は使われていないわけですね、法律では。その支援という概念も統一されていない、あいまいな言葉を使ってやろうとしていることは、授業も見る、職員会議にも出席する、週案まで点検して、教職員が一人一人どんな人なのかを把握するということを業務として行う、これは重大なことです。
 今回の条例の審議では、支援ということがどういうこと、この内容を明らかにすることが非常に重要になっています。
 聞きますけれども、支援の内容、これはどういうのかということなんですけれども、学校経営支援センター構想の発端となったことは何ですか。

○沼沢参事 都教育委員会は、平成十年度以降、人事考課制度の導入、学校運営連絡協議会の設置、主幹制度の導入、学校経営計画の策定、自律経営推進予算の導入等、学校経営の改善の取り組みを進めてまいりました。こうした取り組みをさらに進め、校長がリーダーシップを発揮し、より自律的な学校経営を行うことを支援するために、学校の身近な地域で、学校の実態に応じた機動的できめ細かい支援をする学校経営支援センターを設置することとしたものでございます。

○大山委員 平成十年から着々と準備を進めてきたというわけですよね。しかし、この着々と準備を進めてきたことについても、人事考課制度の導入だとか、主幹制度の導入だとか、連絡協議会の設置だとか、自律的経営推進予算の導入だとか、これみんな管理をするための、たがをはめていくことばかりじゃないですか。
 しかも、この間、支援というものはどういうことなのかということを私、何回も聞きました。やりとりをしました。何回聞いてもはっきりしないんですよね。そのうち、何を持ってきてくれたかというと、これを持ってきてくれたんですね。(資料を示す)平成十五年八月、都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会報告書、これを持ってきたとき何とおっしゃったかといったら、これが支援という言葉の一番最初に出てきたものなんですと、私にくれたわけですよ。
 だから、今聞いたこと、それからいっていることが全くはっきりしなかったり、支援というのが、この条例の根幹にかかわることであるにもかかわらず、条例にもきちんとはっきり書かれていない、その概念もはっきりしない。条例自体のていをなさない。私はそれぐらいに思っています。
 しかし、支援が、これが発端になったんですよというのは、私だけに説明したんじゃないんですね。七生のことが発端だったというのは、十月二十七日に東京都教育委員会が開かれています。さっきも紹介しました。この教育委員会で、学校経営支援センターの議題があったんですね。条例として提案したいということで、教育委員会での議論がありました。その議事録は私もここに持っています。
 その中に、一人の委員さんの質問に答えて、学校経営支援センター開設担当参事は何といったか。支援ということの意味ということでございますが、なぜ学校経営支援センターというものを考え出してきたのかということですが、さかのぼりますと、平成十五年八月に都立盲・ろう・養護学校の経営調査委員会報告書というものが出されておりまして、七生養護学校の件に端を発して、校長や副校長が非常に少ない管理職の中で学校経営をやらざるを得ない状況がありまして、その中で校長が一人で悩むということではなくて、何らかの相談しやすい体制をつくろうということが、この経営支援センターの発端になっております、そういうふうに答弁しているじゃありませんか。
 これですよ。これが発端なんです。十五年八月に出された都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会報告書、このことですね。この報告書には、教育委員会の対応についてという項目に、学校改革を支援し、これを実現する責務は重大である、学校に対する支援体制を強化、というふうに書いてあります。具体的に七生養護学校で、この支援として行ったことは何だったんですか。

○新井参事 七生養護学校でございますが、学習指導要領や生徒の発達段階を踏まえない不適正な性教育が行われたことに端を発しまして、さまざまな問題が明らかになっております。年間指導計画が適正に作成されておらず、また、学級編制基準に基づかずに決定学級を減らすなど、校長の適正なリーダーシップがほとんど機能していない状態にあったということでございます。
 このため都教育委員会は、校長のリーダーシップのもと組織的な教育活動が行われるように、学校経営全般にわたる改善を図ることといたしました。
 具体的な支援の内容でございますが、まず、指導面では、実効性のある年間指導計画及び個別指導計画の作成を義務づけるなど、計画的な指導を行う体制を整備いたしました。また、職員会議のあり方を含め、学校経営全般に課題があったことによりまして、学級編制の不適正などの問題が生じていたことから、企画調整会議、職員会議の運営が適正に行われるように指導を行いました。さらに、校長の学校経営計画に基づいた校内の体制を整備するため、校長の人事構想に基づく人事異動を行ったところでございます。

○大山委員 支援という言葉のもとに、結局、年間指導計画をつくりかえ、企画調整会議や職員会議の持ち方、内容、そして人事異動までやらせる。まさに学校への介入ではありませんか。
 しかも、支援として行ったことは、それだけではありません。この都立盲・ろう・養護学校の経営調査委員会報告書ですけれども、改善の具体的方策というところがあって、その第一に、教育内容に関することと書かれています。それはどういうことか。かいつまんでいいますけれども、一番、七生養護学校では性教育の年間指導計画の抜本的な見直し、人形、絵本などの廃棄。二番、盲・ろう・養護学校の校長会は、都教委と協力して、性教育の実施指針等の作成。三番、都教委は性教育の年間指導計画の作成を管理運営規則に規定。四番、各学校において性教育の指導が校長、教頭、主幹を通じて行われるよう、都教委は週ごとの指導計画の作成を通知する。五番、各学校は性教育の年間計画を作成し、都教育委員会へ提出するとともに、保護者へ説明を行う。六、都教育委員会は、適正な性教育の実施に向けて、盲・ろう・養護学校全校の指導訪問を実施する。七、各学校は人形、絵本等の不適切な教材を廃棄する。八番、都教育委員会は盲・ろう・養護学校用の「性教育の手引」を改訂する。
 支援という言葉で、まさに教育内容への介入ではありませんか。管理職も含めた教職員と保護者、七生福祉園と一緒に子どもたちの困難と向き合って積み重ねてきた教育内容に、いかにすさまじい行政の不当な介入、支配であったのかということですよ。改めて実感されています。支援という名のもと、授業内容、使用教材、進度、個別指導が必要な児童生徒への指導方法まで、教育内容のすべてに教育委員会の介入が行われた。つまり、学校経営支援センターが行う支援ということは、教育への介入であり、支配であるということです。今回の条例は、七生養護学校でやったことを全都の都立学校に制度として広げていくということにほかなりません。
 私は、もう一つ、八日の本会議での日の丸・君が代の一般質問を聞いていて、学校経営支援センターの支援ということが学校現場に介入することだということがよくわかりました。答弁の中に校長支援という言葉がたくさん出てきました。日の丸・君が代に関して、実施指針、通達の趣旨をさらに周知徹底するために個別的職務命令を出したことは、校長にとって大きな支援となったとか、今後は職務命令として必要な要件を参考として通知するとともに、校長連絡会等において周知を図るなどして、卒業式、入学式等の適正な実施に向け校長を支援していく、という答弁です。
 これらの答弁の後に、対象校が二百五十校を超えることから、年間の訪問回数は限られ、残念ながら、日々の学校運営の状態を具体的に把握して対応するまでには至っていない。そこで、平成十八年四月から学校経営支援センターを設置し、随時学校訪問を行い、校長と密に情報交換を行いながら、学校の課題解決を図ることができる体制を整えることにより校長を支援していく、と答弁しています。
 学校経営支援センターでは、入学式や卒業式は必ず行くということになっていますけれども、それはつまり、都教委がいう、適正な実施がされているかを経営支援チームが点検するということですね。どうですか。

○沼沢参事 都立学校経営支援センターは、都立学校において校長がリーダーシップを発揮し、より自律的な学校経営を行っていけるよう、学校の身近な地域で、学校の実態に応じた、機動的できめ細かい支援を行っていくために設置するものであります。あくまでも学校の自律的な学校経営を支援するために行うものでございます。

○大山委員 いろいろいうけれども、このパワーポイントの校長連絡会の資料の中に、卒業式、入学式の適正実施、ちゃんと書いてあるじゃないですか。
 八日の本会議で、教育長は、卒業式等において、学級の生徒の多くが起立しないという事態が起こった場合には、その後、他の学校の卒業式等において同様の事態が発生するのを防止するため、生徒を適正に指導する旨の通達を速やかに発出する、このように答弁しましたが、これは大変なことです。通達ということは、都教委の職務命令に当たりますから、従わない場合は懲戒処分の対象になる可能性があるということです。今までは通知だったので、厳重注意などであったわけですけれども、それでも、先生が処分されてはということで、内心には反して起立する生徒もいました。しかし、それが懲戒処分の対象となったら、ますます生徒の内心の自由を踏みにじるということは明らかです。そんなところまで踏み込んだということなんです。生徒の内心の自由を踏みにじることは、明らかに憲法違反であり、こんなことは許されません。
 七生養護学校と日の丸・君が代の問題で、支援ということを明らかにしました。例えば、卒業式、入学式の君が代斉唱のときに、どの先生が立ったか、立たないかをきめ細かく点検して、人材情報を収集する。そして、指導主事でもない人が授業に立ち会うことができ、授業の中身にまで口を出せる。同時に、この人たちが人事考課や人事異動の権限を握っている。この七生と日の丸・君が代、この二つを見ても、学校経営支援センターが行おうとしている支援は、教育基本法第十条が禁じている不当な支配に当たる疑いが極めて強い、重大な問題です。まさに学校経営支援センターの支援は、教育基本法十条を逸脱しているんじゃないんですか。

○沼沢参事 学校教育にかかわる教育委員会の職務権限につきましては、いわゆる地教行法第二十三条に、学校の設置、財産管理、職員の人事、組織編制、教育課程、学習指導、教材の取り扱い、施設整備などの管理執行を行うことが示されておりまして、教育内容も含めたこれらの教育条件を整備することが教育委員会の責務となっております。
 学校経営支援センターは、こうした教育委員会の職務の権限に基づいて学校を支援するものでありまして、教育基本法の趣旨に基づいて行われるものでございます。

○大山委員 教育基本法第十条ですよ。その一項には、教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである、そういうふうに書いてありますよね。教育基本法十条、これの成立過程ではいろいろな議論がありました。すべてはいいませんけれども、この成立過程で、教育への介入の問題が国会で幾度となく議論されています。
 例えば、一九四五年十月十五日の新教育方針中央講習会で、前田文部大臣は、その訓辞の中で、従来の弊害であった極度の画一主義の打破であります。人を一様の型にはめる極度の画一主義は往々にして人の思考力、推理力を奪い、その結果軍国主義発生の温床となりやすいものであります。そのように訓辞をいっています。
 一九四六年九月二十日の第三回会議では、田中耕太郎文部大臣が何といったか。文部省にしろ、あるいは地方の行政官庁にしろ、教育界に対して外部から加えられるべき障壁を排除するという点に意味があるのでございます。教育の指針をかれこれと指導するべきではない。ただ教育理念に関します限りは、民主主義的な教育を実現し、徹底させていくという大きなことは大いに促進しなければならないでしょうが、その方針はやはり民主主義の方法でなければならない。官僚的な弊害に陥ってはならぬことは当然であります。要するに、学校行政はどういうふうにやっていかなければならないものであるのかということ、あるいは学問の自由、教育の自主性を強調しなければならないということ、こういうことが、教育基本法十条、これを議論する過程で議論されているわけですよ。文部大臣などの口からですよ。
 まさにこれは何かといったら、戦前の管理統制の教育が軍国主義発生の温床となったという痛苦の反省から教育基本法十条がつくられた。それはもう明白です。
 しかも、教育基本法の第十条二項は、教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行わなければならない、そのようにいっています。この教育基本法十条を読めば、教育委員会の職務の中心が教育諸条件の整備であることは明らかではないんでしょうか。どうでしょうか。

○沼沢参事 先ほども答弁申し上げましたけれども、学校教育にかかわる教育委員会の職務権限につきましては、地教行法二十三条に、学校の設置、財産管理、職員の人事、組織編制、教育課程等々の管理執行を行うことが示されておりまして、教育内容も含めたこれらの教育条件を整備することが教育委員会の責務となっております。
 学校経営支援センターは、こうした教育委員会の職務の権限に基づいて支援するものでありまして、教育基本法の趣旨に基づいて行われるものでございます。

○大山委員 教育内容にまでとおっしゃいましたけれども、教育内容に踏み込みなさいなんていうのは一言も書いてありませんよ。そうじゃないんですか。

○沼沢参事 判例によりますと、教育に対する行政権力の介入は、許容される目的が必要かつ合理的であれば、たとえ教育の内容、方法であっても禁止されないという最高裁の大法廷の判決がございます。

○大山委員 積み重ねてきた教育内容に乱暴に押し込んで、そして教育の人事まで、それから教材を捨てさせる。どうしてそれが合理的な理由があるというのか。それから、日の丸・君が代の強制。憲法違反で、どうしてこれが合理的な理由があるというんでしょうか。ないです。
 学習指導要領にしても、学習指導要領については、既に最高裁判所の判例で、もう明確になっていることです。一九七六年の五月二十一日の最高裁大法廷での判例には、学習指導要領は全国的な大綱的基準としての性格を持つものと認められるというふうになっているんですね。
 ですから、学習指導要領が大綱的基準であって、教育基本法十条が不当な支配を禁じているんですから、七生養護学校などで行われた教育内容への介入、日の丸・君が代を強制するための介入などは許されるものではありません。それをきっかけにすべての学校に介入できるような仕組みをつくること、とんでもありません。
 やらなければならないことは、教育基本法十条を見ても、養護学校の教室不足の解消など、本来やらなければならない教育条件の整備はやらないで、教育内容への介入という、本来決してやってはならないことを学校経営支援センターをつくってシステム化しようということだといわざるを得ません。
 もう一つ、学校経営支援センターは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地教行法に照らしても疑問がある。これは、法曹界、法律家の皆さんからも重大な指摘がされています。学校経営支援センターは、地教行法第三十条が根拠で、その他の教育機関、これで設置するということです。ですから、教育機関というのは何なのかというのが問題になります。
 全国で、地教行法第三十条のその他の教育機関で設置されている教育施設はどういうものがあるんでしょう。また、学校経営支援センターのようなものが全国にはあるんでしょうか。

○沼沢参事 全国で、その他の教育機関として設置している教育施設は、青年の家、少年自然の家などの社会教育施設、体育館、プール、運動場などの社会体育施設、文化会館、民俗資料館などの文化施設、教育相談センター、共同調理場などがございますが、学校経営支援センターのようなものは設置されておりません。

○大山委員 学校経営支援センターというようなものがないのは当たり前だといえますね。文部省の見解、これはもうはっきりしています。教育機関とは、教育、学術及び文化に関する事業、または教育に関する専門的、技術的事項の研究、もしくは教育関連職員の研修、保健、福利、厚生等の教育と密接な関連のある事業を行うことを主目的とし、専属の物的管理施設及び人的施設を備え、かつ、管理者の管理のもとにみずからの意思を持って継続的に事業の運営を行う機関であるというふうに、もうはっきりしているんですね。
 ですから、その他の教育機関として、これに基づいて東京都教育委員会が設置してきたのも、社会教育施設、社会体育施設、文化施設、教育相談センター。委員会の要求資料の5にもありますけれども、政令市とその政令市のある県に何があるのかというのをつくってもらいましたが、やはり社会教育施設だとか社会体育施設などで、学校経営支援センターはいかにも異質なんです。
 同時に、地教行法は、教育委員会と教育機関、これを明確に区別しています。つまり、学校経営支援センターは、教育委員会の権限を委譲されるものでありますから、教育委員会と同じ権限を学校経営支援センターの名で行使するということですね。法的には、法の趣旨に照らして、逸脱する可能性は大きいといわざるを得ません。
 権限委譲についてですけれども、校長連絡会の資料では、本庁の権限を可能な限りゆだねる、このようになっています。本庁の権限を可能な限りにゆだねる、その教育委員会から学校経営支援センターにゆだねる支援の法的根拠は何ですか。

○沼沢参事 地教行法第二十三条による教育委員会の職務権限につきましては、同法第二十六条の第二項によりまして、教育長が教育委員会の委任を受けて、学校その他の教育機関の職員に委任することができるとなっております。この規定に基づきまして、予算の配付、施設整備、人事管理、教育課程の管理等の教育長の権限の一部を学校経営支援センターに委譲し、学校経営支援センターが学校に対して必要な支援を行っていくものでございます。

○大山委員 今答弁されたように、教育委員会の権限を学校経営支援センターに委譲する法的根拠が、地教行法二十六条が根拠だというわけですね。しかし、二十六条、これは第一項も二項も、何と書いてあるかというと、権限に属する事務の一部というふうに規定しています。実際に何をやっているかといったら、職員の休憩時間及び休息時間だとか、宿日直勤務だとか、職員の休日だとか、年次休暇だとか、そういうことなんですね。ごく限られた事務的なことなんですよ。
 都教委は、本庁の権限を可能な限りゆだねるということですから、教育委員会は基本方針を決定するのみであって、それ以外の権限を支援センターにほとんど丸投げ状態。第二十六条はこのような全面的な権限委譲を想定しているわけではありません。なぜなら、法は、権限の委譲の根拠を、教育委員会内部の規則や訓令に基づくということを要求しているにすぎないからなんです。
 しかも、委譲する中身、これは委員会資料の1に出してもらいましたけれども、今ご答弁ありました、地教行法二十三条の三、五、七ですね。三は、教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること、それから五は、学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること、七は、校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。この委譲する中身というのは、教育委員会の中の非常に重要な権限であって、これらは教育委員会がみずから行使する権限でありまして、教育庁や教育機関に権限委譲し得る性質のものではありません。
 地教行法は、教育委員会は、議会の承認を得て知事が任命するものとして、会議の招集手続や議決案件について、法で定めています。教育委員会が、その権限の重要部分について、教育庁、さらには教育機関に委譲できるとすれば、これら地教行法の規定は意味を失うことになります。本来の教育委員会の権限を持っているけれども、議会の同意も全く得ずに六カ所の経営支援センターをつくる。法の規定を大きく踏み破るもので、重大です。
 教育委員会本体にかかわること、教育基本法第十条の教育への不当な支配を禁止することを実現させるために、地教行法では、その十八条で、教育委員会の事務を処理するための事務局を置くことを定めて、その十九条では、指導主事その他の職員の役割と位置づけを明確にして、二十三条で教育委員会の職務権限を定めています。いずれも、教育への不当な支配を許さないためにあるわけです。それを逸脱してしまうということを法曹界から厳しく指摘されているわけです。慎重に検討するべきです。
 業務支援ラインの問題では、学校の教育活動にとっては重要な存在である事務室も欠かせません。今回、事務の集約化といいますけれども、学校現場の事務職員は、物品や教材の準備から、授業料や減免に関すること、それから障害児学校だったら就学奨励費や給食費のこと、ガラスが割れれば発注したりと、細かな学校の環境整備など、やることはたくさんあるわけです。
 現在の学校現場にいる事務職員は何人で、学校経営支援センターができたとすると、学校現場は事務職員は何人になってしまうんでしょう。

○沼沢参事 学校経営支援センターの設置に伴い、学校事務室の体制につきましては、学校経営支援センターに集約化される事務量に見合う定数の見直しを行う予定でございます。現行事務定数六名の標準的な高等学校におきましては、二名分の事務量の減が見込まれますので、事務室の人員は四名程度の体制を想定しております。

○大山委員 現在、通常六人の事務職員がいるので、二人は減るということですね。就学奨励費などはとても細かいですし、一人一人の児童生徒の状況を把握しないとできないわけですね。現在は、これに大体一人とられてしまうという状況です。授業料の徴収も、家庭の状況を把握して、経済的な理由でやめるなどということがないように、事務の方は、昼間はつかまらない保護者を夜中につかまえて相談するとか、きめ細かく対応しています。
 教材などの注文が、現在はどうなっていて、センターになるとどうなるんでしょうか。

○沼沢参事 現在、授業等で使用する教材など物品の購入注文につきましては、各学校において、年間授業計画に基づきまして、計画的に契約を行っている現状でございます。
 学校経営支援センターの開設後は、各学校が計画的に物品購入請求を行い、学校経営支援センターでこれを集約して、契約を行っていく予定でございます。

○大山委員 計画的にというのは否定しませんけれども、例えば、障害児学校などの場合、同じ新一年生でも、一人一人の発達のぐあいだとか状況の違いが通常の学校よりも大きいわけですね。ですから、十人いれば十人の教材の違いがあったり、担任の先生と子どもの関係でも、これをやろうとかという必要なものも違うわけですね。それを、子どもも把握しないうちから教材を発注することというのは、非常に困難なわけです。粘土一つとっても、小麦粉粘土がいいのかとか、油粘土がいいのかとか、さまざまなんですね。こういったきめ細かな対応というのが今までどおりできるということでいいんでしょうか。

○沼沢参事 緊急に必要なものが生じた場合、前渡金、これは現金によって機動的に購入ができるものですが、前渡金を活用するなど、各学校において適切に対応してまいりたいと考えております。

○大山委員 前渡金で対応できるんだということなんですけれども、それをやるにも、やはりきちんと事務職員が必要なわけですね。
 営繕だとか教材、物品の一括購入がされるということになりますと、児童生徒への影響もありますけれども、地域の業者への影響もあります。学校での営繕関係は、センターができるとどう変わりますか。

○沼沢参事 現在、個々の都立学校で行っている施設の修繕業務につきましては、学校経営支援センターの設置に伴い、学校支援センターで集約し処理することになりまして、このうち小規模なものにつきましては外部委託を予定しているところでございます。

○大山委員 小規模修繕は外部委託の予定ということなんですけれども、今までどおり、地元の工務店だとかに頼めるということでいいんですか。

○沼沢参事 実際に工事を行う業者につきましては、ある程度契約をまとめるということと若干問題を生ずることでございますが、地元の中小業者の育成、これは都政として大きな課題でございますので、適切に対応してまいりたいと考えております。

○大山委員 きちんと中小業者の育成ということも含めてやってもらいたいと思いますけれども、集約して全都的にやるということになると、どうしても大きな企業じゃなきゃ全都的な支店なんかもありませんから、それはきちんとやってもらいたいと思います。
 それで、同じように事務を集約化というかセンター化したような状況が、郵政公社民営化の足元で、これはことしの夏の新聞ですけれども、「街の文具業者大打撃」というのがあるんですね。今まで、特定郵便局も含めて、取引の大半は郵便局など官公庁の受注だった文房具屋さん、長年続いていた地元の郵便局との取引が減ってしまう。結局、倒産したり店を閉めたりせざるを得ないというような、値下げも、郵政公社向けのカタログというのが、非常に安い、余りにも安い値段で、結局、地元の文房具屋さんが店を閉めざるを得ない状況に全国的になっているんだという話も出ているわけですね。
 子どもたちにも、また地元の中小業者への影響も危惧されるわけです。さっきご答弁した地元の中小業者をきちんと配慮するということをきっちりと守ってもらいたいということを確認しておきます。
 さらに、今、学校の安全ということが重視されているわけですけれども、そんなときに、学校経営支援センター設置のために、事務職員が二人減るわけですね。この間、学校の用務員さんたちは、退職不補充、学校現場からやはり一校二人ずつ減っています。学校に教員以外の職員が本当に少なくなってしまっていて、本当にいいのかということがいわれているわけです。効率だけを追求して、子どもたちの安全は二の次でいいのかという心配もされています。ですから、学校経営支援センターは、業務支援ラインへの疑問の声が出ているんです。
 学校経営支援センターは、全国でも初めての条例です。支援の名のもとに、教育基本法第十条が禁じている教育への不当な支配であることは明確であり、今までも行われてきた管理統制、行政の教育への介入をより全面的に行うために制度化するために条例をつくるものです。痛苦の反省をもとにつくった、戦後日本の原点である憲法、教育基本法を踏みにじることになり、断じて許すわけにはいきません。
 だからこそ慎重に進める必要があり、このことを知った法曹界からも意見書が直ちに出され、教育関係団体や女性団体などからも要請が来ています。しかも、都教委内部でも、教育委員会の会議の中で、お役所の文書は皆、支援に関すること、何とかに関することばかりで、具体的にその中身がわからない。ルールをだれが見てもわかるような、結果的にルールにのっとってやられたかどうかということがわかるようにしていただきたいなど、条例を出すというときの議論でさえも、疑問がたくさん出ていたことから見ても、拙速に決めてはいけないことなんです。
 今やるべきことは、自由闊達であるべき教育活動を枠にはめてしまうことではありません。一人一人を大切にして、子どもたちみんなでともに考え、学び、成長していく、人間らしさあふれる教育を実現していくことです。そして、今求められているのは、教職員や保護者、地域住民、生徒が平等の立場で知恵と愛情を出し合って、学校をよくしていく、地域に根差した学校づくりこそ求められていることであるということを述べて、この質問を終わります。
 次は、指定管理者について、質問します。
 この指定管理者についてなんですけれども、都立体育施設についてのこの議決の案件ですけれども、まず、手続上の問題について質疑します。
 指定管理者の選定についてなんですけれども、都民の大切な公の施設の扱いについてのことであります。当然、計画の最初の段階から住民参加が保障されるべきだと思うんですけれども、指定管理者の選定委員会に住民代表を参加させる必要があると考えますけれども、どうですか。

○山川生涯学習スポーツ部長 指定管理者の選定に当たりましては、経営、財務、会計、スポーツ全般、スポーツ振興、利用者団体などの分野の外部委員を含めた指定管理者選定委員会を設置いたしまして、書類審査、プレゼンテーション審査などを行い、選定候補者を決定したものでございます。
 なお、指定管理者制度の導入に当たりまして、各体育施設で開催されております利用者懇談会で、この制度の導入について説明するとともに、意見を伺ったところでございます。

○大山委員 選定委員の名簿というのはホームページで公開されていますけれども、公認会計士だとか、スポーツ評論家だとか、教授だとか、それから体育協会の副会長さんだとか、都市緑化技術研究所の所長さんだとか、いるわけですけれども、やはり都民が利用する施設ということですし、それから、公の施設なんですから、それだけではやはり不十分です。ですから、きちんと利用者の代表、住民参加でやってもらいたいと、意見を述べておきます。
 事業計画書なんですけれども、さっきも事業計画書の話が出ましたが、今回、教育庁からは事前に事業計画書は提供されなかったわけですね。議会の議決を得るわけですし、私たちはきちんと責任を持って、大丈夫ですとか、賛成できますとか、反対ですとかというふうに判断しなければいけないわけですから、事業計画書をきちんと事前に提供してもらって、それは落選したところも選ばれなかったところも含めて、きちんと内容を検討できる場を設けるというのは、当然過ぎるほど当然だと思っています。事業計画書がない状況の中で、本当に目隠しされて調べたり質疑をするようなものだと思っています。
 指定管理者に応募した事業者の事業計画書、議決の前に十分な時間的余裕も持って都議会に提供されることが不可欠だったと考えますけれども、どうでしょうか。都民に対しても事前に公開して、判断材料を提供する必要があったんじゃないかと考えるんですけれども、どうですか。

○山川生涯学習スポーツ部長 議会におきましてご審議いただく上では、事業者が提案する事業計画の内容に基づきご判断をいただくことが重要であると認識をしております。しかし、事業者が提出いたしました事業計画書には、事業者固有のノウハウ等の経営上の重要事項や、事業者とは直接関係のない他の事業者名などが掲載されていることなどから、公表することになじまない事項も含まれておりまして、事業計画書そのものの公表は控えたいというふうに考える一方、こうした公表になじまない事項を除き、事業者の事業提案を可能な限り的確かつわかりやすくまとめ、説明することとしたものでございます。
 なお、募集要項では、応募書類の著作権は申請団体に属することを規定するとともに、選定された申請団体の応募書類につきましては、教育委員会が指定管理者制度の導入による施設の管理の内容の公表及びその他必要と認める場合には、その一部または全部を無償で使用できるものとされております。この規定にも見られますように、事業者の事業計画の内容については、当初より公開するという考えでいるところでございます。
 以上のような考え方から、今後も、事業計画書そのものの公表は差し控えたいと考えております。

○大山委員 事業計画の内容に基づき判断をいただくことが重要だというふうにおっしゃっているわけですから、その材料をちゃんと提供してもらわなかったら困るわけですよ。企業のノウハウだとかが経営上重要事項だから、都民にも知らされない、議員にも示されない。それで判断してくださいといって、どうして判断できるんですか。そんなことをいうんだったら、もう指定管理者じゃなくて、きちんと直営にしてでもいいから、どういう意見が出るのか、そうやって議論するのが当然だと思います。
 しかも、募集要項ではというふうにおっしゃいましたけれども、募集要項は、だれがつくるものでもない、東京都がつくるわけですから、その募集要項の中に、全部公開しますよ、きちんと都民の意見も得ますよ、議会でも見て判断してもらいますよということをきちんと書けばいいわけですから、今度必ず、次回の指定管理者の募集もほかのものでもあるでしょうから、それを生かしてもらいたいと思っています。
 その次ですけれども、協定についてです。この後、参加料などの詳細も決めていくために、指定管理者との間で結ぶとされている基本協定と年度協定についても、当然、これは議会に提供されるし、都民に対しても公開されるべきものだと思いますけれども、どうですか。

○山川生涯学習スポーツ部長 先ほどもご答弁申し上げましたように、協定書につきましては、都議会はもちろんのこと、都民に対しても開示をしていく予定でございます。さらに、協定内容のうち、利用方法等、都民に必要な情報につきましては、利用案内やホームページ等、さまざまな媒体を活用して周知を図ってまいります。

○大山委員 きちんと公開して意見も受けるということ、しっかりやっていただきたいと思います。
 利用者懇談会についてなんですけれども、まず、利用者懇談会の開催についてなんですが、現在は、重立った利用団体に対して招待状を送って、来たいところはどこでも参加してくださいというやり方で開催されているわけですね。こうした開催方法を踏襲するというふうに理解していいのかということが一つと、これは、どの指定管理者が受けたところでも同じやり方だという理解でいいんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 応募事業者の提案によりますと、いずれの事業者も、利用者懇談会は、その開催方法も含めて、引き続き開催することになっております。さらに、顧客満足調査や専用の受付デスクの設置など、利用者の声を把握する新たな提案がなされているなど、利用者の声がより反映されるものになっております。

○大山委員 現在のやり方を踏襲するということで、きちんと確認していってもらいたいと思います。
 加えて、利用団体からは、利用者懇談会で、自分たちの意見、存在は軽く扱われている気がするという声が上がっています。これは対応を改善することが必要です。利用団体から要望があるように、運営協議会への利用者、団体の参加を仕組みとして位置づける。これは、利用団体が、ただ苦情をその館が受けるというんじゃなくて、相互通行できちんと協議しながら、よりよい運営にしていくことも含めて、協議できるような仕組みをきちんとつくって位置づけるべきだということを指摘しておきます。
 次に、利用料金の減免についてなんですけれども、指定管理者への移行で、東京都体育施設条例施行規則第六条に定められている利用料金の減免規定はどうなりますか。

○山川生涯学習スポーツ部長 現行の減免制度につきましては、変更はございません。

○大山委員 減免制度は引き続くということと、これに加えて、今は仕組みがない、高齢者の利用料減免だとか、個人利用の利用料減免の仕組みを検討するべきだと思うんですが、どうですか。

○山川生涯学習スポーツ部長 ご指摘の減免につきましては、体育施設条例に定める利用料金にかかわることであるとともに、全都的な施設にもかかわることでありますので、他の関係局や団体等の動向を見きわめてまいりたいというふうに考えております。

○大山委員 高齢者の健康づくりだとか生きがいづくりの必要性、それから寝たきりをつくらない、健康寿命を延ばそうということもいわれて久しいわけです。東京都もスポーツビジョンで認めているところですから、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 スポーツ振興事業についてなんですけれども、事業計画書でどうなっているかということなんですが、現在既に行われているものも含めて、さまざまな事業が計画、立案されているんじゃないかと思うんですが、NPOや大学などとの連携は大いに結構だと思っています。
 しかし、問題は、事業を進めるに十分な体制が管理者側に保障されているのかどうかということなんですね。社会教育主事の皆さんのお話も伺ったわけですけれども、東京体育館は現在三人で、事業や講習会のコーディネートから、苦情処理、小規模の営繕の事務まで、専門職なのに、社会教育主事、体育主事の専門的な仕事に専念できなくて、事実上何でもやっているという状況なんです。それは、今、三人だということがあるわけですね。
 生涯学習財団への都の派遣職員、社会教育主事と事務職について、平成十一年に現在の財団となってから、それぞれ十一年は何人で、現在は何人になっていますか。

○山川生涯学習スポーツ部長 平成十七年度の体育施設四館の都の派遣職員につきまして、平成十一年度と比較をいたしますと、社会教育主事で八人、事務職で二十人の減になっております。

○大山委員 今、社会教育主事で八人、そして事務職で二十人も十一年から比べて減っているわけですね。さっき述べた、社会教育主事が本来の業務に専念できないで、何でもやらざるを得ない、そういう状況に陥っているというのは、人員体制の削減の結果だということを直視する必要があるわけです。そこを修正することなくして事業の成功は保証されません。
 加えて伺いたいんですけれども、今回、都から派遣された社会教育主事を置く予定がない施設というのはあるんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 冒頭に申しましたように、体育施設四館のうち、民間の事業者がとりました辰巳国際水泳場におきましては、派遣の予定を考えておりません。

○大山委員 辰巳の水泳場には東京都からの社会教育主事の派遣はないということですけれども、社会教育施設、社会体育施設なんだという位置づけで館をリードできるというのはやはり社会教育主事、体育主事ですから、きちんと置く必要があるわけですね。ぜひ、辰巳の水泳場にも、社会教育主事という職があるわけですから、その専門職をきちんと置いてもらいたいと思うんですが、どうでしょう。

○山川生涯学習スポーツ部長 体育施設指定管理者募集要項では、指定管理者に対し、スポーツに関し専門的な知識と技術を有する者の配置を一名以上と義務づけておりまして、その配置数につきましては、各指定管理者の判断によるものと考えております。
 なお、事業計画書を見ますと、東京辰巳国際水泳場の指定管理者候補者につきましては、社会教育主事の資格を持った職員を配置する提案がなされております。

○大山委員 東京都の大きな計画と、それから自分の館、それから六つの館のそれぞれの教育主事との交流なども含めて、東京都の体育施設という位置づけを実現していくためには、社会教育主事同士の交流も含めてできるような、辰巳も含めてできるような仕組みをつくっていくことが、より全体的なレベルを引き上げることになるというふうに思います。
 具体的に、社会教育主事が辰巳にも配属されるということですけれども、例えば、少ない--今でも辰巳には一人しか専門職の規定はないというわけですね。それで、今、東京都の体育館でも、三人でも、いろんな仕事をやらざるを得ないというような状況です。ですから、指定管理者に求める人員体制、これは都から派遣する社会教育主事の最低でも現在の配置数を上回る人数、これをきちんと配置するように要望する必要があるんじゃないでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 先ほどもご答弁申し上げましたように、募集要項によりまして、スポーツに関し専門的な知識と技術を有する者の配置を一名以上というふうに義務づけておりまして、その配置数につきましては、各指定管理者の判断によるものと考えております。
 ただ、冒頭に申し上げましたように、それぞれコンソーシアム、あるいはグループを組みまして、東京体育館ではフィットネスクラブやプールやトレーニングなどの経営を行っている株式会社ティプネス、辰巳におきましてはコナミの専門のそういう資格、あるいは技術を持った人がたくさん入ってかかわってくるということで、それとの関連で、専門的な能力がどのくらいあるかということを全体として考えるべきだというふうに私どもは思っております。

○大山委員 社会教育主事は、今、募集要項で、スポーツに関し専門的な知識と技術を有する者というふうに募集しているんだ、それで配置できるんだというふうにおっしゃるんですけれども、スポーツに関しては専門的な知識を持っていても、社会教育、社会体育という点で、やはりきちんと位置づけなければいけないということをいっているわけです。
 ですから、一名以上ではなくて、レベルを上げるという意味でも、きちんと定数以上、東京都から派遣している常勤配置を含めて、人数を多くしていく必要があると、要望しておきます。
 指定管理者の五年間の指定期間なんですけれども、これは、事業の定着を図ったり成果を出すというのは非常に難しい期間かなと思うんですね。例えば、東京体育館で、かつて女性水泳教室という十年以上のスパンで続いた教室があったと聞いています。全くの初心者がこの教室で育って、やがて指導者になり、その人たちが今の東京都水泳協会をつくって、都の事業だった指導者養成の資格認定を独自に担うまでに成長したんですね。まさに東京都のスポーツビジョンのスポーツを支える環境の整備の先取りをしたような、都のスポーツ行政の成果だといえると思うんです。
 やはりこういった活気をなすような成果を出すには、一定の粘り強さが必要だと思います。指定管理者制度は、こういう面からもなじまないといわざるを得ません。
 以上のことからわかるのは、スポーツ振興にとっては、指定管理者の導入が焦点なのではなくて、都が体制を保障して、事業が成功するように粘り強く応援することが必要だということは明らかです。
 次に、専用使用の優先受付についてなんです。施設の専用使用、つまり大会などの開催の優先受付について質問します。専用使用の優先受付の基準は何でしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 都立体育施設につきましては、施設の特性を生かすとともに、効果的なスポーツ振興を図るため、都教育委員会が主催する事業、官公署などが主催する公益性の高い事業、教育委員会が認めるアマチュアスポーツ団体が行う世界大会、全国大会等の競技会、世界的全国レベルのスポーツ団体が主催する国際親善等に寄与すると認められる大会などを対象に、一般的な利用申し込みに先立ち、優先的な申し込みを行っているところでございます。

○大山委員 その優先受付の基準というのは、今現在のと同じということでいいんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 現在と変わりません。

○大山委員 現在と変わらない。同時に伺いたいのは、東京体育館の事業計画書で、優先受付についての考え方、何か述べていますか。

○山川生涯学習スポーツ部長 提案されました事業計画書によりますと、使用の承認に当たっては、本施設の果たすべき役割を踏まえ、公共性に配慮した調整を行うことはもとより、本施設の魅力を引き出せるエンターテインメント的なスポーツ大会を誘致するなど、収益性の拡大にも積極的に取り組みます。収益性を高めつつ公共性を担保することは、東京体育館の指定管理者としての大変重要な使命であると認識しております、と記載されております。

○大山委員 今ご答弁あったように、本施設の魅力を引き出せるエンターテインメント的なスポーツ大会を誘致するなど収益性の拡大にも積極的に取り組みます、というふうにあるわけですね。応募者みずからがそういうふうに述べているわけですけれども、端的に伺いますが、都教委として、指定管理者に事業を移行すると、自主事業であれ、スポーツ振興事業であれ、収益を上げるための事業はふえるという認識なんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 ご提案の事業計画書によりますと、スポーツ振興事業、自主事業におきましては、これまでも参加料を徴収してきておりますが、それを踏まえて、指定管理者の提案も同様の考え方に立ったものになっております。
 なお、提案の内容を把握いたしますと、事業数は従来よりも多く提案されておりますので、参加料収入も多くなると思われます。

○大山委員 要するに、ふえるということなんですね。そのしわ寄せが料金や利用制限の形で現在の利用者に押しつけられるのでは、本末転倒なわけですから、さらに伺いますけれども、今基準としていわれた優先受付の対象の六番目に該当する使用が無制限にふえるおそれというのはないんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 募集要項で規定をいたします優先受付の基準によりますと、ご指摘の〔6〕で、指定管理者みずから行うスポーツ振興事業及び自主事業に使用するも優先受付の対象となっております。
 しかし、その事業の優先につきましては、先ほど申し上げました、教育委員会等が主催する事業や官公署等が主催する公益性の高い事業、教育委員会が認めるアマチュアスポーツ団体が行う競技会、世界的全国的レベルのスポーツ団体等が行う国際親善等に寄与すると認められる競技会等の調整、決定が終了した後に、さらに教育委員会に協議の上決定をすることとしております。
 したがいまして、教育委員会としては、優先受付の趣旨を踏まえながら、協議を行ってまいりたいというふうに考えております。

○大山委員 都教委の姿勢が非常に重要になってくるというところだと思っています。既に提案されている自主事業について、今述べてきたような状況なわけですけれども、東京体育館で、現在、収入が高い分野というのはどこになりますか。

○山川生涯学習スポーツ部長 提案された事業計画によりますと、最も収入の高い施設は東京体育館で、プールやトレーニングルームといった個人の利用施設でございます。

○大山委員 結論からいうと、今回の指定管理者の導入で、一番収益が上がるところを民間企業のもうけ口として明け渡すことになるんじゃないかということなんですね。
 問題だと思われるところを具体的に聞いていきます。まず、プールの個人使用の料金設定についてなんですけれども、東京体育館について、プールを利用した自主事業の提案というのはどういうものがありますか。

○山川生涯学習スポーツ部長 継続的な水泳能力の向上を図る水泳指導教室や、月額固定利用料金とセットになったプールプログラムなど、新たな提案がなされております。プールプログラムの内容につきましては、インストラクターが一緒に水に入りまして、コミュニケーションをとりながら楽しく運動できるウオーキングパートナーや、正しい姿勢のための骨格配置に必要な筋力の強化などを行う姿勢調整などを提案しておりまして、時間は十五分から四十五分の利用内容となっております。

○大山委員 それぞれの参加料と規模はどれぐらいですか。

○山川生涯学習スポーツ部長 月額固定利用料金は月額七千八百円で、今ご説明いたしましたプールプログラムはこの料金に含まれております。もう一つの水泳指導教室でございますが、この月額固定利用料金七千八百円の購入者が参加できまして、規模は一時間千円、週一回と提案されております。

○大山委員 つまり、その七千八百円の月額固定利用料金が、事実上、民間のフィットネスクラブでいうと入会料の役割を果たしているわけですね。これを払わないと、無料のプログラムを除いて教室に参加できない仕組みになっているわけです。このせいで、東京体育館で現在行われている同種の教室に比べて料金が圧倒的に高くなっています。
 現在、東京体育館で行われている、比較の対象になり得る同種のプログラムと比べてみますと、アクアエクササイズレッスンというプログラムがあります。今いわれたプールプログラムと同じく、水中ウオーキングや姿勢矯正といった内容です。インストラクターも、FNCパーソナルトレーナーという、民間のフィットネスクラブはもちろん、プロスポーツ選手のトレーニング指導から病院や介護施設の現場まで、幅広く活躍している資格者の一人です。時間も、一回一時間半。今度のプールプログラムより断然長いわけですね。さっきは十五分から四十五分ですからね。これの参加料が、一回、プール一般使用料六百円以外に百円、計七百円で参加できるわけですから、差は歴然としています。
 もう一つ例をいいますと、同じく現在東京体育館で行われている東京体育館スイミング教室というのがあります。一回一時間半で、全十回。これをちょうど一カ月で行う料金は一万円です。これは一般使用料の六百円もかかりません。一万円のみ。今度の一月十三日から始まるのは、中級バタフライコースというのが始まるということなんですね。
 仮に、さっき答弁された継続的な水泳能力の向上を図るという水泳教室に、今行われている東京体育館スイミング教室と同程度に通おうとすると、今度の指定管理者のは週一回のプログラムですから、十回通うには二カ月半、三カ月かかるわけですね。月額固定料金が七千八百円ですから、月額ですから、三カ月分、三回分ですね。プラス一回の教室参加料千円掛ける十回、合計しますと三万三千四百円になるわけです。事実確認として、これで間違いないのか、計算の仕方が間違いないのかというのを一つ聞きたいのと、それから、事業計画書では、自主事業における公共性の担保についてどのように提案されているのかというのを聞きたいんです。

○山川生涯学習スポーツ部長 事業計画書で提案されておりますプールプログラムの内容と、現在東京体育館で実施されております水泳教室が同程度であるかどうかについては把握をしておりません。したがいまして、それについては、今の段階でお答えを差し控えさせていただきます。
 ただ、月額利用料金制度につきましては、プールやトレーニングルームを月内であれば何回も利用できまして、さらに、プールやスタジオを活用する、こうしたプログラム事業に無料で参加できる内容になっておりまして、こうしたことから、指定管理者は、都民のニーズに基づき、利用者の適正な負担などを考慮して参加料等を提案してきているというふうに考えております。
 なお、公共性の担保につきましては、事業計画書では、低廉な参加料で都民のだれもが気楽に参加できる価格設定を心がけると記載されております。(大山委員「値段は。計算は。七千八百掛ける三、足す……」と呼ぶ)
 七千八百円掛ける三、掛ける十回というのは、計算上はそのとおりでございますが、そうした内容になっているかどうかについての把握はできておりません。

○大山委員 今、そうしたことになっているかわからないといいましたけれども、内容としては似通っているんですよね。プールの指導者も含めて養成するわけですから、それを、七千八百円掛ける三カ月プラス千円掛ける十回、三万三千四百円。トレーニングルームだとかスタジオだとか、無料のところは何度でも使っていいんですよといったって、みんな働いていたりするわけですから、朝から晩まで毎日行ってるわけにはいかないんですよ。それを計算上でいけば三万三千四百円、今だったら一カ月で十回で一万円だけで行けるということなんですね。
 さっきいった公共性の担保、低廉な値段でということでは、そういうふうにいってますけれども、明らかにみずから述べている公共性の担保と矛盾するんじゃないでしょうか。料金設定の再考を求める必要があると思うんですが、どうですか。

○山川生涯学習スポーツ部長 この事業は、事業計画提案のさまざまな事業提案の一事業でございまして、それ以外にも、例えば、現在東京体育館で実施しております多様な事業もあわせて提案をされております。先ほど申し述べましたように、指定管理者は都民の多様なスポーツニーズに基づきまして、こうしたニーズにこたえるために、こうした事業を提案しているというふうに考えております。

○大山委員 少なくとも、今のやりとりの中で、今までだったら一万円でできた内容が、ほぼ同じ内容であろうものが三万三千四百円かかるんだということが明らかになっちゃったわけですから、それはそれできちんと確認をして、適正な負担とは私はとてもいえないと思うんです。都民の多様なニーズといったって、一人の人が水泳だけやりたいという人も多様なニーズなんですよ。一人の人がすべてのことをやりたいかといったら、そうじゃないんですよね。ですから、やはりこれはサービス面でも後退するというふうに、今の状況だったら後退するとしかいえませんから、きちんと確認をして、そして協定書をつくるんでしょうから、その段階で、事業計画書にあるわけでしょう、低廉な、だれもが利用できる、それを実現できるような料金設定に検討するようにきちんというべきだということを述べておきます。
 もう一つ、指定管理者の象徴的な事例について質問したいと思います。
 今回、東京体育館には、エアロビクスなどを行うためのスタジオを新設するというふうに聞いています。もう既に改修が始まっているようなんですけれども、このスタジオ新設の工事費はどこから支出されているんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 委託料算出の中の支出に含まれております。

○大山委員 委託料の中ですね。スタジオをつくるわけですね。その自主事業が使用する割合というのはどれぐらいでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 新たに設置されるスタジオでは、さまざまなプログラムで、約半分の時間が自主事業として展開される提案になっております。

○大山委員 その中には有料プログラムというのもあると聞いているんですけれども、有料もあるし、無料もあるということなんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 このプログラムは五十一の事業から成り立っておりまして、うち四十四事業が無料で、先ほど申し上げました月額固定利用料金七千八百円の購入者が参加できるものでございます。

○大山委員 五十一のうち四十四ですから、七は有料で、四十四は七千八百円を一カ月払えば使えますということなんですね。半分は自主事業、いわゆるフィットネスの事業としてスタジオが使われるということなんですね。半分か、と思ったんですけれども、今回、事業を受ける予定の業者の店舗に直接電話して聞いてみました。プログラムとプログラムの間の時間というのは、そのプログラムの参加者が準備運動で使用したり、または残って練習したり、さらに、掃除が入っていたり、スタジオが長い時間あいていることはほとんどないというのが実態なんだそうです。結局、このスタジオは、実態としては、プログラム参加者のみ、すなわち自主事業への参加者のみが使用できるものとなってしまうという懸念がぬぐい切れません。
 募集要項では、委託料は管理運営及びスポーツ振興事業に係る支出からそれぞれに係る収入等を差し引いた額とするとして、自主事業にかかわるものには公金支出しないという仕組みに一応なっていますけれども、スタジオ新設は明らかに自主事業のためのものであり、この工事費は、管理運営及びスポーツ振興事業に係る支出に該当しないんではないかと思うんですが、どうでしょう。

○山川生涯学習スポーツ部長 先ほど申し上げましたように、五十一の事業のうち四十四事業は無料で、月額固定利用料金七千八百円の購入者が参加できるということで、この月額固定利用料金というのは、個人利用料金を基本にいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、プール、トレーニングジムなどが自由に使えるほか、その付加価値として、今のようなスタジオにも使えるというものでございまして、基本はあくまでも月額固定利用料金、個人利用料金で成り立っております。
 そういう意味で、スタジオ設置等の施設の改修につきましては、都民の多様なスポーツニーズにこたえ、さらに施設の有効利用を図ることにより、東京体育館の機能を一層充実するものであり、結果、委託料の削減にもつながる提案でもございますので、私どもといたしましては、管理運営及びスポーツ振興事業に係る支出であると考えております。

○大山委員 だから、わざわざ、ないスタジオを新たに新設して、その中でやるのは、今いろんなところにありますよ、スポーツのフィットネスだとかなんとかありますけれども、それのプログラムとほとんど変わらないことを、東京都が施設をつくってあげて、その中でやるわけなんですよね。
 さっき、収益が上がっているというのはプールとトレーニングルームという答弁がありました。だから、結局、プールとトレーニングルームとこの新設のスタジオで指定管理者が収益を上げる仕組みになっているということなんじゃないんでしょうか。
 募集要項、一一ページからの都と指定管理者の責任分担表、これがわかりやすいんですけれども、施設の使用の承認、利用料徴収、これを指定管理者が握って、しかも、施設の改修、修繕は都の責任でやる。結局、修繕の保証つきの公の施設で民間企業がお店を開くということなんじゃないんでしょうか。こんなにいい話はないわけで、結果として公益性、公共性へのしわ寄せが来るわけです。軒先貸して母屋をとられるという言葉がありますけれども、これが指定管理者の今のやりとりの中で明らかになった本質なんじゃないかと思っています。
 以上、手続的にも、スポーツ振興の面からも、そして都民サービスの面からしても、問題があるといわざるを得ません。これでは賛成できませんので、抜本的な見直しを求めて、これに関しての質疑は終わります。
 最後ですけれども、百九十八号議案に、教職員研修センター設置条例の一部を改正する条例と、それに伴って二百三号、二百四号がありますけれども、これの生徒実習のことについて、幾つか質疑しておきたいと思います。
 職員研修所の生徒実習というのが何なのかと思って、ホームページで見てみましたら、現在、今年度、生徒の実習が六千七百五十九人利用するということになっているんですね。約七千人の生徒が利用しているわけです。十四年度から、各年度の利用者数というのはどれぐらいになっているでしょう。

○井出指導部長 総合技術教育センターの生徒実習を利用した生徒数につきましては、平成十四年度は一万五千二百四十六人、平成十五年度は一万三千四百八十四人、平成十六年度は一万一千五百九十八人となっております。なお、平成十七年度は六千七百人ほどの利用を見込んでおります。

○大山委員 十四年度が一万五千、十五年度一万三千、一万一千と。もうなくなるから申し込みを控えてくれというようなことがいわれていたというようなことも聞いていますので、今年度は約七千人ということなんでしょうけれども、現在、この実習というのはどんな実習を行っているんでしょうか。

○井出指導部長 現在、総合技術教育センターの実習設備を利用しまして、工業高校の生徒は、電子工作や電力技術、レーザー加工、電気自動車、食品分析、食品加工などの実習を行っております。農業高校の生徒につきましては、食品分析、食品加工、バイオ基礎技術、アルコール蒸留分析などの実習を行っております。また、チャレンジスクールの生徒は、機械系、電気系、化学・バイオ系などの実習を行っております。

○大山委員 いろんな機械があって、そして、工業高校だけじゃなくて、農業高校も、それから養護学校の生徒も使っているわけですね。これらの実習所をやめちゃうということなんですけれども、これだけの生徒さんたちが年間使っているところであるわけですから、機械が古くなったからというわけじゃないと思うんですね。
 この廃止する理由と、それから、これらの実習をこれから各学校で実習することができる保障があるのか。そして、この古くない機械を今後どうしてしまうのかということを示してください。

○井出指導部長 まず、実習生徒数が減少していることにつきましては、総合技術教育センターにおける生徒実習、これが生徒のニーズの多様化に伴う各学校からの要望に対応し切れなくなってきているという現状がございます。これまでセンターでなければできなかった先端的な学習、実習が、技術革新と実習機器の小型軽量化、あるいは低価格化によりまして、学校で容易に実施できるようになったということがございます。
 平成十七年度につきましては、設備拠点実習校を試行的に行っているために、設備拠点校を利用している工業高校の生徒が総合技術教育センターの生徒実習を利用しなくなったために減ってきております。
 さらに、今後どのようにするかということでございますが、総合技術教育センターで実施してきた生徒実習は、都内六カ所の工業高校を設備拠点校に指定して実習を行うこととしております。このことによりまして、実習に関する生徒の多様なニーズにこたえるとともに、地域企業と工業高校との連携を通して、今後期待される人材育成を推進することができる利点がございます。
 また、センターを利用してきた工業高校以外の生徒の実習につきましては、今後、それぞれの学校の希望や実施計画を調整しまして、設備拠点校での実習の機会を提供してまいります。
 さらに、センターで使っている実習装置等の今後の使用等の予定でございますが、主要な実習装置につきましては、今年度中に六カ所の設備拠点校の実習内容に応じて移設をしまして、設備拠点実習校で使用する予定でございます。それ以外の実習装置につきましては、設備拠点校以外の工業高校等に移設をしてまいりたいと考えております。なお、耐用年数を超えて使用していたものにつきましては、廃棄を予定しているところでございます。

○大山委員 今使っているものをそれぞれの学校に運ぶわけですから、使えないわけでもない。そして、そこもあるし、それからそれぞれの学校でもできれば一番いいわけですね。
 工業高校なんですけれども、工業高校での設備の更新がなかなか難しいということがいわれているわけですけれども、例えば、工業高校の産業教育振興費、この予算が十年前と今年度どうなっているでしょう。

○齊藤学務部長 高等学校産業教育施設整備に係ります予算でございますけれども、平成八年度、三十四億九千四百二十一万一千円でございましたけれども、その後、国の産業教育振興費の減少に伴いまして、平成十七年度は八億六千百五十五万六千円となってございます。

○大山委員 十年前に比べて、約三十五億から約九億ですから、四分の一近くまで減ってしまっているということなんですね。これはやはり、本当に生徒さんたちが心置きなく実習できる、それから最新のものでできるということからしても、工業高校はそれぞれでできればいいですし、それから、工業高校以外のもので機械を使うものも含めて、センターだって近い学校というのはいっぱいあるわけですよね。ですから、このセンターを、古い機械でもないのに閉めるんじゃなくて、継続するということと同時に、工業高校の十年間で四分の一近くになってしまった産業振興費をきちんと増額するよう国に対しても要望するとともに、都独自でも増額することが必要なんじゃないんでしょうか。

○齊藤学務部長 国に対しましては、産業教育施設整備費、これに関する必要な予算を措置しますよう、これまでも毎年要望してきたところでございます。今後も引き続き国に対して同様な要望を行い、拠点校などにおける実習を充実させるための予算確保には努めてまいります。

○大山委員 ぜひ都独自でもきちんと、国に要望することはもちろんですけれども、充実して、拠点校だけというのではなくて、きちんと自分のところの学校で実習もできるようにということで整備してもらいたいということと同時に、この研修センターが実習のところはきちんと継続するということを求めて、質問を終わります。

○村松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十三分休憩

   午後三時五十八分開議

○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言をお願いします。

○伊藤委員 それでは、私の方から、学校経営支援センターについて、特に果たすべき役割についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
 先般、決算委員会でもパソコンリースの契約問題について触れされていただきましたし、また、第四回定例会の代表質問でも、我が会派の相川博議員から、この点についての質疑を知事に向けてさせていただいたところでございます。
 あまりくどくど、先般の決算委員会の質疑の内容をここでもう一度蒸し返すようなことはしたくないと思っておりますけれども、一応、どんな内容であったかということだけかいつまんで説明させていただければ、パソコンを各都立高校が、これまでは各高校の契約担当者が、百九十二校が監査で指摘されたんですけれども、担当者百九十二人がそれぞれ入札を行って、各学校が六年に一度リース契約を結んでいたということで、その中には、買い取っちゃった方が本当はよかったんじゃないかというような机とかいすがありましたよね、という監査指摘がありまして、この点について決算委員会で質疑をさせていただいたわけでございます。
 もう一点は、この入札において、入札経過調書等を調べたところ、落札率が極めて高かったということで、先日は新聞記事にもなりましたけれども、決算委員会の質疑、その結果として、事実上、落札率が平均、平成十六年度分は九七%だった。九七%はやっぱり高いわけでございまして、この落札率の問題と、それから全く別の学校、かつ、契約したのも別の会社が、百円の単位まで同じ金額で契約をしていたということもあって、これは談合の疑いがあるのではないかというようなことを質疑させていただいたわけでございます。
 その答弁の中で、中村教育長から、平成十七年度に開校する学校経営支援センターで契約を今後行うなど、契約方法の必要な改善を行ってまいりますという答弁をちょうだいいたしました。その学校経営支援センターが今度のこの議題にかかっているわけでございます。
 そこで、まずお伺いをしたいと思いますけれども、今度は各学校ではなくてこの支援センターに契約を集約して、この支援センター、三つセンターがあって、さらにその三つの中に支所があるわけですけれども、ここで集約をして、パソコン教室のパソコン契約などを集約されるわけですけれども、パソコン教室のこうした整備などIT関係契約において、これまで高かった落札率がどのような形で改善されることになるのか、お考えをお聞かせください。

○沼沢参事 学校経営支援センターに契約事務を集約することによって、学校経営支援センターの契約事務担当者が都立学校のIT関係契約に精通することになり、契約事務担当者の専門性の向上等を通じまして、契約事務の一層の公正性や透明性の確保、経済性の向上につながるものと考えております。

○伊藤委員 ですから、百九十二校それぞれで行っていた入札、あるいは契約事務を三所で行うということになるんだというふうに思うんですけれども、もちろん、そこに情報が集まってくる。今までは百九十二通りだったものが何通りかに集約されてくるわけですから、ほかの学校でどんな入札が行われてきたか、今までわからなかったところが、一カ所にまとまって効率化が図られるということなんですけれども、実は一番大事なことは、例えば高い落札率がその後も続いていたとか、あるいは入札経過調書を見る限りにおいて、ひょっとしたらこれは談合かもしれないと思うものがあって、それがこうして集約をされることになるのかもしれませんけれども、しかし、そこで具体的な改善が図られなければ、集約はされたけれども改善はされないということになってしまうので、この改善がこれからの大きなポイントになるのだというふうに思っています。
 とりわけ、決算委員会でも少し触れさせていただきましたけれども、IT関係はどうしても門外漢といいましょうか、専門性のある方々にとってはわかるものでも、私自身もふだん普通に使っているパソコン以外のことはよくわかりませんから、契約の内容とか、あるいはいわゆるスペックといいますけれども、入れているソフトの内容とかが、本当にこれが適切なのかどうなのか、今までの建築とか土木の工事以上にこうした入札というのはわかりにくくなっているんだろうというふうに思うんですけれども、大事なことは、これまで学校に入っていたパソコン類というのは、基本的に、各学校から要望が上がってきて、そして、じゃあそれを買いましょうということで、大体共通のスペックを、見通しを立てて、これを各学校に入札をかけさせていたというふうになっているんですけれども、果たして、その学校から上がってきていたソフトの一覧というものが、本当にこれが一番教育にとっても効果的で、かつ、コストパフォーマンスのいいものなのかどうなのかという検証が実は十分にされてきたのかどうか、私は疑問があります。
 ここに参考までに、(資料を示す)インストール済みソフト一覧ということで、こういうソフトを基本的に入れてますと、ずらっと書いてありますけれども、見ても、はっきりいって私もよくわかりません。アカデミックライセンスとか、聞いたことのないパソコンのソフト、多分これは教育用に入れられているんだと思いますけれども、私は、目黒の区議会時代にも質疑させていただいたときに、こういうパソコンのソフトが一本百七十万とか、百八十万するようなソフトというのがあって、多分この中にもそういう極めて金額の高いものがあるんだろうというふうに思います。
 我々が一般的に使っているものは数万円で買えるものですけれども、教育用のパソコンのソフトというのはかなり高額なものがあるんだというふうに思うんですけれども、この買い方の問題というのがあって、これまでは、今申し上げとおり、各学校から上がってきた、そうした一覧表をもとに買ってきたということでありますけれども、こうしたソフトの専門性のさらなる向上のためにも、今後はIT関係の専門家から最新情報を仕入れていくというようなことも重要ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。

○沼沢参事 IT技術の進歩は日進月歩でありまして、専門家から最新情報を聞く機会を持つことは重要と考えております。このため、契約事務担当者を対象としまして、IT関係の専門家を講師とする研修を行い、契約事務担当者のITの知識を高めて、より適切な対応を図ってまいります。

○伊藤委員 この学校経営支援センターには、学校のこれまでの従事者、関係者、あるいは本庁の従事者の方は当然ここにお勤めになられることになるんだと思いますけれども、必ずしもそれがITの専門家であるというわけではありませんので、今答弁にあったとおり、専門家を講師として招いていただいて、そして、これまでは百九十二校ありましたから、それぞれがばらばらに研修会を開くのも大変でしたけれども、こういうところで研修を行っていただいて、今何が一番最新のスペックなのかということもぜひ把握をしていっていただきたいというふうに思っています。
 ちょっと乱暴な例えになるかもしれませんけれども、最近、パソコンを買おうというときに、何かこれを買うんだと決めて買い物に行く方というのは割合少ないんじゃないかな。どちらかというと、お店に行って、こんなことに使いたいんだけれども、こういう使い方をするにはどういうパソコンが一番いいのか、あるいはソフトは私にとってはどれが一番最適なのかということを相談されてパソコンを買われる方が多いんじゃないかなというふうに思うんですけれども、現状は、どちらかというと、子どもと大人という例え方をしてしまっていいかどうかわかりませんが、子どもから、つまり学校から、こういうものを買ってきてくださいといわれて、一覧表のメモを手渡されたお父さん、お母さんがパソコン屋さんに行って、これをくださいといって買っている。そういう買い方をすると、その子どもがよっぽどの知識を持っていれば別ですけれども、なかなかそこの知識が追いついているとは限りませんから、むしろ一番その時代に合って、かつ、学校にとってもむだのない買い物をされるためには、そういうITの専門家からぜひお話を聞いていただくということが重要なのではないかなというふうに私は思っています。
 続いて、支援センターの設置によって、各学校のIT関係情報などを的確に把握できるようにするべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○沼沢参事 学校経営支援センターでは、各都立学校の契約事務を集約し、集中的に処理することから、契約事務を通じて、各都立学校に関するよりきめ細かい情報の集約、収集が可能となります。例えば、各学校で整備するパソコンのスペック情報なども的確に把握することが容易となるものでございます。
 なお、学校経営支援センターで把握した情報につきましては、本庁の関係部署に提供していくことを考えてございます。

○伊藤委員 ありがとうございます。ぜひそのように把握に努めていただきたいというふうに思うんですけれども、もう一点は、パソコンのスペック内容ですね。今お見せした、こういう一覧表を適宜見直しを行っていって、コストパフォーマンスのいいものにしていくべきだというふうに考えるんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○沼沢参事 IT関連の技術の進歩は日進月歩で目覚ましいものがございますので、パソコンのスペック内容につきましては、学校現場の指導実態に即した見直しを毎年行っていきたいと考えております。

○伊藤委員 全くそうしていただきたいんですけれども、一例だけお話しさせていただきますと、私も子どもたちがパソコン教室でパソコンを使っている瞬間というのはそう見るものではありませんから、本当にどういうソフトが果たして必要なのかということで、わからない点も多いんですけれども、特に高校生になるとかなり専門的なものも、学校によっても、商業高校、工業高校で違うかもしれませんが、普通校にとっても専門性の高いものが必要になってくるのかなと思うんですけれども、ずらっと十個ぐらい、生徒用のパソコンソフトというのがこの中にも入っていて、我々が使っているのは、一つか二つぐらいしか大体インストールしないものですから、随分多いなというのがちよっとした実感です。
 目黒の区議会に私、いたときにやっぱりこういう質疑があって、区立の小中学校でも基本的に同じような内容で入れているんですけれども、中には百八十万もするパソコンソフトは何に使っているんですかという話をしたら、パソコン教室にはパソコンが四十台置いてあって、子どもたちが四十人一斉にパソコンの授業を始めるわけですから、先生用のパソコンのモニター画面というのはまた別にあって、このモニター画面が、四十人の子どもたちのパソコン画面に何が映っているかをモニターできるんですということをいわれていました。もう一点は、その百八十万もするパソコンのソフトがあると、一発で三十台とか四十台のパソコンの電源が入ったり消えたりできるそうなんですね。
 そう聞いて、なるほどそういうメリットがある、高いだけのことはあるなと思ってはみたものの、しかし、三十台、四十台のパソコンを一台のパソコンで本当にモニターできるのかな。むしろ歩いて回って、見て回った方がはるかに速いし、逆にいうと、四十台のパソコンの画面を四十回ターンしていろんなものを見ていたら、目が回ってしまって、だれのモニター画面なのかもわからないし、もうちょっといえば、電源を消したりつけたり、今どきの小学生でも、パソコンの電源を入れられない子がいるのかな。もし入れられないのであれば、こんなに複雑なパソコンソフトというのは活用されるべきものでもないなというふうに思いまして、そういうところ、あるにこしたことはないと思いますけれども、必要最低限というのは何なのかとか、あるいは潤沢にお金があり余っているところならまだしも、ある程度、そこは本当に必要性とそうでない部分というのをよく見きわめていかないと、高過ぎるソフトというものの購入につながってしまいかねないんじゃないかなというふうに私は思っていますので、この点もぜひ留意していただきたいなというふうに思います。
 そして、見直しに当たっては、特に外部の専門家を入れて、ぜひ意見の聴取をしていただきたいというふうに思っているんですけれども、特に教育用ソフトに専門的な知識を持つような方々に意見を聞くということについてのご見解を伺いたいと思います。

○沼沢参事 スペック内容の見直しに当たりましては、教育用ソフトに精通した専門家の意見等も広く聞くなどして、学校の指導実態に即し、経済性にも配慮したソフトの選定を行ってまいります。

○伊藤委員 ぜひ今ご答弁にあったような配慮を含めて、見直しをしていただきたいなと思います。
 もう一点、契約についてですけれども、パソコンの内容ももちろん日進月歩なんですが、パソコンの契約の仕方、結び方というのも、これもどうもいろんな方にお話を聞いているとかなり変化をしているということでして、公共事業でいえば、最近、PFIとか、PPPとか、いろんな方法論も出てきているようです。これまでの公共事業、建築、土木などであれば、こういうものをつくってくださいということで投げて、それが入札にかかって、建築される、建設されるということでしたけれども、今までパソコン類、すなわちIT類は、先ほどお見せしたような一覧表を出して、これに合うスペックだと幾らでしょうかというような形で入札をしてきた一辺倒だったように思うんですが、最近は新しい契約方法で、横文字になりますけれども、SLA契約方式というような契約方法が出てきています。
 これは、サービス・レベル・アグリーメントというそうなんですけれども、どういう契約方法かといえば、例えば、我が校ではこういう教育をやりたい、ついてはどういうソフト、あるいはハードのパソコン類が必要かということを各業者さんにコンペをして提案をしてきてもらう。もっというならば、今、保守点検というのも、六年間の分を大体積算して、保守点検料を含めた入札がかかっているわけですけれども、こういう点も、例えば、うちの製品でいえば、大体年にこれぐらいしか壊れないと思いますから、この程度の保守点検料をまず見積もりとして入れておきます、ただし、それ以上にしょっちゅう壊れるようであれば、それに関しては別途お金をいただきますというような契約の方法。
 また、先ほどいったように、秋葉原の例ではありませんけれども、店員さんにその契約内容を聞くように、同様にして、こういう必要性がある、こういうものとして使いたいんだということのみを先にお話をし、その内容をつくってきてもらう。その上で、どれが最終的に本当に教育にとって必要かどうかというものをコンペとして、あるいは入札として--これは完全にその金額だけではかれるものではないかもしれませんけれども、はかっていくということが、新しい契約方法として今、出てきています。民間では最近取り入れられているわけですけれども、このSLA、サービス・レベル・アグリーメントという契約方式の導入、恐らくまだ本庁の皆様にとっては目新しいものだというふうに思いますから、研究が必要なんだと思いますけれども、こうした新しい契約方式についての必要性というものをどのように認識されているか、お伺いしたいと思います。

○沼沢参事 ITに限らず、契約におきましては、経済性の確保、質の向上を目指した契約方式を追求していくこと、これは重要なことであると考えております。今お話しいただきましたSLAなど新しい契約方式につきましても、今後の研究課題としてまいりたいと考えております。

○伊藤委員 私もざっと、さっき概算で計算してみたんですけれども、パソコンというのは、昔、そんなに大きな金額が契約で動くものだというふうに、少なくとも私自身は思ってなかったわけですけれども、考えてみれば、百九十二校で、大体六年間で契約していけば、一校当たり三千万円ぐらい、ハードとソフト両面合わせてかかってくるわけですから、これが二百校近くあるということでいえば、養護学校も含めてもうちょっとあるんだと思いますけれども、六十億円ぐらい、全部一気に買い取りで取りかえるとなれば、それぐらいのお金が動くんでないかなというふうに思います。もし間違っていたら申しわけありませんが。
 そういう六十億円なる総額に対して、恐らくソフトの金額というのは半分ぐらいにはなるんだろうと思うわけですから、相当な金額に既になっているんだなと思います。まして、これはずっと続いていく話ですから、その金額が大きいわけですけれども、そうすると、今市販されている、例えば、特打ちというんですかね、打って、うまく打ててれば点数が出てくるとか、あるいは一太郎とか、ホームページビルダーというのはホームページをつくるためのソフトだと思いますけれども、これは全部生徒用として入っているんですが、これらは多分一般の人たちが、つまり、教育用として別に使うわけではなくて、普通に使うために売られているものとして、ただ、それを将来的に使われる生徒さんもいるでしょうから、それを使ってくださいという形で、パッケージにして十本ぐらい入れているわけですけれども、多分、中には、教育用としては特に必要ないんだけれども、例えば一つのソフトの中のある一部分が必要だから、このパッケージに入ってますというものも結構あると思うんですね。
 私自身、一つのソフトを全部使い切るというのは相当難しい作業だというふうに思っていまして、そういう意味でいうと、今後は、これだけ金額も大きくなっているので、教育用のソフトというものを、何も市販されているものをかき集めてきて十本パッケージにするよりも、各学校に共通するようなソフトというものをある意味開発されて、あるいはまたそれ自体をどこかのソフト会社に委託をされて、一つ、効率的なソフトみたいなものをつくれないものかなというふうに思うんですけれども、こういう予算執行というのは可能ではないでしょうか。

○沼沢参事 費用対効果や指導上の観点を考慮しつつ、学校に配備するソフトにつきましては、共通ソフトの開発も含めて検討を行い、毎年、必要な見直しを行ってまいります。

○伊藤委員 簡単なことではないと思いますが、金額も金額ですので、そうした開発をしていただいて、いいものができたら、できるかどうかわかりませんが、ほかの自治体にでも売っていただいて、ぜひ収入にもしていただけたらありがたいなと思うんですけれども、いずれにせよ、こうした三学校経営支援センターができることによって、契約の適正化が担保されることが望ましいというふうに思うわけですけれども、今後、今回私の方から指摘をさせていただいたような入札の管理体制というものについてどのように構築をされていこうとお考えになられているか、改めてお伺いしたいと思います。

○沼沢参事 契約事務の適正化に努めることは、都政に対する都民の負託にこたえていく上で極めて重要であると考えております。このため、本庁及び各学校経営支援センター間の定例連絡会等を開催し、契約情報等について情報交換を行い、適正化に向けたチェック機能を強化してまいります。

○伊藤委員 ぜひお願いをしたいと思います。これまでは各学校でやっていた、しかも落札率に関しては本庁が把握していなかったということが、この間、決算委員会でもわかったわけですけれども、今度は、こういうセンターができるわけですから、そこで連絡会議を開いていただいて、集約をしていただきたいと思います。
 もう一点だけ、最後に申し述べさせていただけば、これは文教委員会のみで解決する話ではありませんけれども、予定価格の事後公表を行っていないということ。それによって、結局、今後も、経営支援センターができても、この経営支援センターが行う入札の結果、結果的に落札率が今までよりも高くなったのか低くなったのか、あるいは変わらないのかということが、予定価格の事後公表を行わないということは、結局わからないんですね。
 ですから、この支援センターができることによって、発注の金額というのは当然大きくなりますから、その金額が大きい分だけに、各業界団体がひょっとしたら談合してということもあり得るわけですし、また、逆にいえば、今るる答弁いただいたような改善がなされて、そして一気に落札率が下がったり、あるいは談合とは思えない適正な契約事務というものが遂行されるとなるのかもしれませんが、いずれにしても、予定価格の事後公表がないということによって、それを検証するツールを我々議員は持たないということでございますので、私は、この点については、これからの大きな検討課題と思って、とりわけ局をまたがる議論のできる委員会においては、また改めてこの点について触れさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、今ご答弁をいただいたような改善努力をぜひ行っていただきますことを要望申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

○野上(純)委員 私の方からは、百九十八号議案の東京都教職員研修センター設置条例の一部を改正する条例に関連して質問いたします。
 教職員研修センターは、昭和十四年に発足した、当時の東京市教育局教育研究所がその前身と聞いております。昭和四十一年には、現在の目黒の地に都立教育研究所として新しい施設が竣工し、その建物をそのまま平成十三年四月に現在の東京都教職員研修センターとして活用してきたという経緯がございます。
 最近、塾の講師による児童の殺人事件という凶悪な事件もございました。いうまでもなく、児童生徒にとって学校が楽しい場所であるかどうかは、教員の資質、能力に負うところが極めて大きいといえると思います。ですから、幾ら学級規模の定数を削減したとしても、毎年学級崩壊をさせてしまう先生は、繰り返し、またことしも学級崩壊かというようなことがあるわけで、小学校の担任のように、日々の大半の授業を一人の教師に任せるような仕組みの場合には、よい意味でも悪い意味でも、その教師一人の、人格も含めて、教育技術も含めて、大きな影響があると思っております。
 教員には、日々の教育実践の場や日常生活において、みずからの資質向上に努めることは当然のことだと思います。任免権者である教育委員会は、教員の経験や専門分野などに応じた研修を組織的、計画的に実施、運営する必要があります。
 今回、目黒区から文京区の分館への移転統合を予定している教職員研修センターは、教育研究所の時代から、多くの都立、公立学校の教員が研修や研究のために通い、その資質向上を図ってきた場所です。まさに東京都の教育推進の一翼を担う重要な施設であったと思います。
 私自身、教員だったときに、一年間、教育研究生の試験を受けて、運よく合格させていただいて、給料をいただきながら、学校を離れ、一年間、自分の深めたい研究を決め、研究に取り組んだことがございます。この経験は、わずか一年間ではありましたけれども、自分自身の力量を高める上で貴重な経験でありました。そうした意味で、現在本館がある目黒区の教職員研修センターにはさまざまな思いがあります。
 そこで、質問いたしますが、今回文京区の分館に移転統合することになった経緯について、まず伺います。

○井出指導部長 今回の移転統合は、教職員研修センターの分館であります総合技術教育センターに対する行政評価の結果を受けまして、教職員研修センターのあり方を見直したことによるものでございます。
 総合技術教育センターは、生徒実習や教員対象の産業教育研修等を行う施設でございますが、平成十四年度に実施された行政評価では、実習設備面では専門高校よりも必ずしもすぐれているとはいえなくなったこと、生徒実習の時期が集中してしまい、施設設備が年間を通じて有効に活用されていないことなどが指摘されまして、事業のあり方や施設設備の活用など、抜本的見直しを行うことという評価結果が出されました。
 一方、目黒区にあります教職員研修センターは、竣工以来約四十年が経過しまして、老朽化が著しくなっているところでございます。これらのことから、総合技術教育センターにおける生徒実習の見直しや施設の有効活用について検討し、平成十八年度から、目黒区にある教職員研修センターを総合技術教育センターのある文京区に移転し、分館と統合することとしたものでございます。

○野上(純)委員 今まで教職員研修センターでは、教職員のライフステージに応じて多様な研修を実施し、教職員の資質向上を図ってきたという経緯がございます。特に、服務とか、大変徹底して行われたと思います。移転統合後も、これまでの実績を踏まえた研修を実施し、魅力あふれた優秀な教職員を育成していただきたいと思います。
 移転統合後の研修はどのように行われるのでしょうか。

○井出指導部長 移転に伴い、教職員研修センターでは、これまでの研修に加えまして、都の重要課題である児童生徒の学力向上を図るために、東京教師道場を新たに開設するなど、教員の授業力向上に向けた研修をさらに充実してまいります。
 なお、授業改善や教材等に関する教員からの質問や相談に対しましては、これまでどおり、迅速かつ的確な情報提供を行い、教員の自主的な研修を支援してまいります。

○野上(純)委員 もう一つですけれども、教職員の研修だけでなく、教科研究や、特にいじめの相談室も含め、不登校、いじめなどの教育課題研究などの教育研究がかなり大きな成果を上げてきたと伺っております。今までの教職員研修センターの研究機能は、移転後も継続されるのでしょうか。

○井出指導部長 教職員研修センターでは、都の教育に関する諸課題の解決を目的としました研究や調査、資料収集を行うとともに、研究の成果を教職員研修に生かしてきたところでございます。移転後も、教育課題等を踏まえた研究の充実に努めてまいります。

○野上(純)委員 現在の教職員研修センターには、退職した校長先生たちが教授という名前で配置されております。管理職候補者研修や、もう一つは、指導力不足教員に対する指導を担当して、効果を上げていると聞いております。この教授の役割というんですか、移転後のセンターにも教授は配置されるのでしょうか。

○井出指導部長 現在、教職員研修センターでは、退職校長等が教授として配置され、管理職研修の講師や指導力不足等教員の指導に当たっているところでございます。
 研修センターの教授は、学校経営にかかわる豊かな経験や教員の能力開発、人材育成に携わってきた経験を生かして、実践的な指導により、教員の資質向上に成果を上げており、移転統合後も引き続き配置する予定でございます。

○野上(純)委員 教員の資質向上を図るための研修や研究が重要であることに加えて、子どもたちと適切な関係を築けないなど、指導が適切にできない、いわゆる指導力不足教員について、子どもへの影響も極めて大きく、継続的な指導と研修が重要であると思います。
 現在、研修センターで実施している指導力不足教員等に対する指導力ステップアップ研修は、移転後はどのような体制で行われるんでしょうか。

○井出指導部長 指導力不足等教員を対象としました指導力ステップアップ研修につきましては、移転後もこれまでと同様の体制で実施をし、教育公務員としての自覚を高め、教員としての基礎的な資質能力の向上を図ってまいります。

○野上(純)委員 いろいろな教授とかも活用しながら研修を図っていくということで、確認されました。文京区にある教職員研修センター分館への移転統合によって、現在の教職員研修センターの果たしている機能が維持強化され、教職員の研修や教育に関する専門的な調査研究体制がより一層充実していくだろうということが想像されます。
 最後に、今後、教職員研修センターの活用をどう図っていくのかということで、耐震の問題など取りざたされておりますけれども、四十年たっているということで、先日の七月の大きな地震がございましたけれども、そのときに窓ガラスが割れたということも聞き及んでおりますが、そういった耐震の問題もありますけれども、教育目的の有効活用も含めて、ぜひ教育庁の方で検討をしていただければと思っております。
 もう一つ、今、教育現場で大変な悲鳴が上がっているということをちょっと聞いております。現在、現場の指導主事が若過ぎて、現場の校長、副校長の指導がなかなかできない。それはそうだと思います。たかが一年や二年、長くて三年の指導主事経験では、現場の対応は大変厳しいのではないか。また、区でしっかり育てても、すぐに異動になってしまい、人材が不足をしているというような声も聞かれております。ぜひ今回こうした新しいところで、今回の移転統合をチャンスととらえて、都内公立学校の教職員の研修研究センター機能を十分に発揮して、教職員の資質向上を図り、都の教育改革を推進していただくことを要望して、質問を終わります。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十六分散会

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