文教委員会速記録第十五号

平成十七年十月二十七日(木曜日)
第三委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長村松みえ子君
副委員長山田 忠昭君
副委員長馬場 裕子君
理事服部ゆくお君
理事野上ゆきえ君
理事野上 純子君
伊藤 ゆう君
坂本たけし君
上野 和彦君
泉谷つよし君
秋田 一郎君
木内 良明君
古賀 俊昭君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長山内 隆夫君
総務部長南雲 栄一君
広報広聴部長高西 新子君
都民生活部長和田 正幸君
消費生活部長岳野 尚代君
私学部長新行内孝男君
文化振興部長 山本 洋一君
参事三森 生野君
参事産形  稔君
参事萩原まき子君

本日の会議に付した事件
 生活文化局関係
事務事業について(質疑)

○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、今後の日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○南雲総務部長 去る九月十四日の当委員会において要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してあります平成十七年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、1、私立学校経常費補助の生徒一人当たりの単価及び全国順位の推移外五件の資料を記載しております。
 それでは、一ページをお開き願います。1、私立学校経常費補助の生徒一人当たりの単価及び全国順位の推移でございます。
 平成十二年度から十六年度までの過去五年間につきまして、表の左側に記載の学種ごとに、生徒一人当たりの補助単価及びその全国順位の推移について記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立学校の授業料及び初年度納付金の推移でございます。
 平成十二年度から十六年度までの過去五年間につきまして、表の左側に記載の学種ごとに、授業料の年額及び初年度納付金の推移をそれぞれ記載しております。
 三ページをお開き願います。3、東京都育英資金一般貸付の予算及び決算並びに規模の推移でございます。
 平成十二年度から十六年度までの過去五年間につきまして、(1)、予算額及び決算額の推移を、また(2)、貸付者数を、表の左側に記載の区分ごとにそれぞれ記載しております。
 四ページをお開き願います。4、私立高等学校学費減免実施状況でございます。
 平成十六年度におきまして家計状況の急変等の理由により授業料の減免等を行う制度を有している高等学校数及びその割合を掲げております。
 五ページをお開き願います。5、各都道府県の私立幼稚園依存率でございます。
 平成十七年五月一日現在の国公立を含む幼稚園の園児数全体に対する私立の園児数及びその割合を都道府県ごとに掲げてございます。
 続きまして、六ページをお開き願います。6、私立幼稚園における預かり保育の実施状況でございます。
 平成十七年六月一日現在、幼稚園の教育時間終了後も園児を幼稚園内で預かる、いわゆる預かり保育を実施している私立幼稚園数及びその割合を掲げております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○山田委員 私は、私学助成について何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
 私立学校というものは、国家百年の計は教育にありと考えました私たちの先達たちが、みずからの財産をなげうって校地あるいは校舎を調えて有為な人材の育成に取り組んだという奉仕の精神にその特色があります。その結果、歴史が示すように、日本の私学からは、数え上げれば切りがないほどの人材を送り出して、近代日本の国家の形成、今日に至る繁栄に大きく貢献をしてきたといっても過言ではないと思います。
 東京の私立学校についていえば、その建学が幕末にさかのぼることができるような学校、あるいは甲子園やインターハイ出場の常連校、また、今でこそ公立学校でも取り組みが行われているような中高一貫教育など、私学ならではの伝統や建学の精神に基づき、数多くの実践に取り組んできております。その結果は、もちろん各学校の努力によることも大きいわけでありますけれども、東京都が行ってきました私学助成も大きく寄与しているものと考えております。
 そこで、まず、東京都が私立学校に対して講じてきました助成策についてお尋ねをいたします。

○新行内私学部長 私立学校に対する助成策についてのお尋ねでございますが、都は、私立学校が公教育に果たしている役割の重要性を考慮いたしまして、さまざまな私学助成策を講じてまいりました。特に都の私学助成の基幹的補助でございます経常費補助は、私立学校の教育条件の維持向上、児童生徒の就学上の経済的負担の軽減、私立学校の経営の健全性を高めることを目的にいたしまして、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校に対する補助を実施しておるところでございます。
 この経常費補助につきましては、平成二年度から標準的運営費方式を採用いたしまして、小中高等学校につきましては平成二年度までに、幼稚園につきましては平成十四年度に、経常的経費の二分の一補助を達成し、私立学校の健全な発展等に大きく寄与してきたものと認識しております。
 そのほか、経常費補助以外にも、社会環境の変化に伴う新たなニーズに対応した個別の利子補助を実施しておるところでございます。

○山田委員 都が経常費補助を中心に、私学助成の充実に取り組んできたことがよくわかりました。
 経常費補助については、標準的運営費方式をとっているとのことでありますけれども、これについては、父母や学校関係者の中には、各学校における実際の支出額の二分の一を補助するものであるというぐあいに誤解をしている方もいるようでありますし、標準的運営費方式の考え方について、改めてご説明いただければと思います。

○新行内私学部長 標準的運営費方式についてのお尋ねでございますが、山田副委員長ただいまご指摘のとおり、経常費補助は、各私立学校で実際に運営に要しました経費の二分の一を補助すると、そういうものではございませんで、都内の公立学校経常費の決算値をもとに私立学校の標準的運営費を算出いたしまして、その二分の一を補助する、そういうものでございます。

○山田委員 ただいまのご答弁で、それぞれの学校の経営判断で支出されました実際の決算額の二分の一を補助するということではなくて、都内の公立学校経費の決算値をもとに私立学校の標準的運営費を算出し、その二分の一を補助するという、一つのスタンダードで客観的に把握した経費を補助の対象にする考え方であることは、ご説明でよくわかりました。
 少子化が今後とも進んでいく中で、私学が一定の教育水準を維持するためには、公立学校の教育費を基礎とする、ただいまご説明がありましたような標準的運営費方式を今後とも堅持していくべきと私は考えております。
 ところで、経常費補助については、十七年度、今年度の予算はどうなっているのか、ご説明いただきたいと思います。

○新行内私学部長 十七年度予算におきます経常費補助についてでございますが、都予算全体が一〇%に及ぶマイナスシーリングを受ける中にございまして、経常費補助は九年ぶりに対前年度比一・二%の増となり、額にして約十二億円の増、総額で約千三十一億円を確保したところでございます。

○山田委員 大変厳しい都財政の中にあって、私学振興を最重点課題としてとらえて、先ほどご説明ありましたように、経常費補助については九年ぶりの増の予算を確保されたということで、私ども自民党も努力をさせていただきましたけれども、当局の努力に対しても評価をいたしたいと思います。
 先ほどのご答弁で、経常費補助については幼稚園、小学校、中学校、高等学校に補助をされている。しかしながら、経常費補助の対象に専修学校あるいは各種学校は含まれてないわけでありますけれども、それはなぜ含まれてないのか、ご説明いただきたいと思います。

○新行内私学部長 専修学校、各種学校が経常費補助の対象となっていない理由についてのお尋ねでございますが、私立学校振興助成法では、経常費補助の対象を学校教育法第一条に定める学校に限定しまして、幼稚園、小学校、中学校、高等学校を対象としてございます。専修学校は、学校教育法第一条に定める学校ではないので、補助対象とはなっていない、こういうことでございます。
 また、専修学校の専門課程は、大学、短大と同じく、高等教育機関として位置づけられてございますので、国と都の役割分担に基づきまして、国の責任において補助制度を創設するよう要望しておるところでございます。
 しかしながら、専修学校のうち高等課程につきましては、高等学校と同様に後期中等教育を担っているということから、経常費補助類似のものとして、私立専修学校教育振興費補助というものを実施しております。

○山田委員 専門課程の運営費補助につきましては、都議会といたしましても意見書を出しております。国において取り組むべき課題であると私たちも考えておりますけれども、しかしながら、専修学校全体の教育条件の維持向上に向け、やはり東京都としても取り組む努力は必要であると考えます。
 現在、どのような助成策を行っているのか、ご説明いただきたいと思います。

○新行内私学部長 専修学校に関します補助の状況でございますが、平成十七年度予算では、専修学校の教育条件の充実を図るため、従来の二つの補助事業を統合いたしまして、私立専修学校教育設備等整備費補助として再構築を図りまして、一億円の増額を行ったところでございます。
 さらに、東京都育英資金につきましては、貸付単価のアップや規模増を行いましたし、また、専修学校に対する信頼性や社会的評価を高めるため行う第三者評価等促進事業への補助を実施しておるところでございます。

○山田委員 私が最初に質問をさせていただいた中の答弁の中に、東京都として経常費補助以外に、新たなニーズにこたえた個別の補助も実施しているというご答弁がございましたけれども、主なものとして何があるのか、お聞かせください。

○新行内私学部長 経常費以外の補助の主なものについてのお尋ねでございますが、保護者負担の軽減を目的といたしました私立高等学校等特別奨学金補助や私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助あるいは学校の防災機能の強化を目的といたしました私立学校安全対策促進事業費補助等を実施しております。
 そのほか、私学財団を通じまして、校舎の改築等のための低利の融資に対する利子補助等を行っておるところでございます。

○山田委員 それでは、今ご説明いただきました中の私立学校安全対策促進事業費補助の内容、そしてまた、その実績についてお伺いいたします。

○新行内私学部長 安全対策促進事業費補助についてのお尋ねでございますが、この事業は、私立学校における防災対策や防犯対策を促進し、生徒の学習環境の安全強化を図るためということで、平成十五年度から耐震補強工事に加えまして、防犯カメラやフェンス等の整備等に対して補助を行う事業でございます。
 十五年度は、延べ三百五十九校に約七億円の補助を行いました。
 また、平成十六年度におきましても、延べ三百十五校に対しまして前年度を上回る補助を行い、学校の安全対策への取り組みを充実させたところでございます。
 平成十七年度におきましても、耐震補強工事を対象に七億円の予算を確保しております。

○山田委員 経常費の確保だけでなく、児童生徒が安心して学べるよう、各学校が実施をいたします防犯対策あるいは震災対策にも支援をしているということでありまして、大変心強いと思っております。
 震災対策のかなめであります校舎の耐震化支援に、引き続き都としても取り組むべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○新行内私学部長 校舎の耐震化についてのお尋ねでございますが、平成十六年十二月現在の東京都の私立学校、小学校、中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校、すべて合算でございますけれども、耐震化率は六四・八%と、全国平均の五八・七%を上回っております。しかしながら、児童生徒の安全を図る観点から、各学校の要望も踏まえまして、耐震化率の向上に向けまして、今後とも適切に対処してまいりたいと思います。

○山田委員 私学の助成について、私、質問させていただきましたけれども、東京の私学が公教育に果たす役割は大変大きなものがあると考えております。このため、私学助成の充実を図り、私学振興を一層進めていくことは大変重要であると思っております。
 そこで、私学振興に対する局長の決意を改めてお伺いいたしたいと思います。

○山内生活文化局長 東京の私立学校は、多様化する都民の教育ニーズに対応しながら、公立学校と同様に、副委員長ご指摘のとおり、公教育における重要な役割を担っているというふうに考えております。
 このため東京都は、これまでも私学の実態に即した補助のあり方について見直しを行ってまいりまして、例えば、先ほどお話が出ましたが、私立幼稚園預かり保育推進補助や私立学校安全対策促進事業費補助といったものなど、新たな需要に対応できるように、振興策の構築に取り組んでまいりました。
 今後とも、都民要望を踏まえまして、私学の現状や社会経済状況の変化に対応した私学振興の推進に努めてまいります。

○山田委員 公教育の重要な担い手としての私立学校の振興のため、ぜひ私学助成の一層の充実にこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 また、ニート対応等、専修学校等の果たす役割は大きくなっていることもあると思いますし、学校に対する社会的信頼の一層の向上を目指して、専修学校あるいは各種学校への支援につきましても、引き続き取り組んでいただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○馬場委員 私は、文化振興施策について二点、それから、男女平等参画推進施策について、合計三点についてお伺いをいたします。
 まず、文化施策の方から質疑させていただきます。
 東京都ではさまざまな文化振興施策を展開していらっしゃいます。特に、私は青島知事のときにも何度か、各方面のそれぞれの方を集められての文化施策をお話しをする会というのも傍聴させていただいた、そんな経験もありますが、石原知事になられてからは、特に新進若手アーチストの支援等、力を入れていらっしゃいます。都庁舎の第一、第二庁舎を結ぶ回廊を利用した東京ワンダーウオールや遊休都有施設を活用した東京ワンダーサイトなど、ユニークな事業も展開し、東京から新しい芸術文化を発信するとともに、若いアーチストが世界に羽ばたこう、その応援をしている、支援をしている、そんな状況にあるというふうに思います。
 また、江戸東京博物館等を初め、現代美術館などの都立美術館、また東京文化会館などの文化施設においても、若手作家の登竜門となる展覧会の開催や、将来を期待される音楽家を発掘するコンクールなど、さまざまな事業が行われております。今、そういう意味では、都立文化施設は単なる都民への鑑賞機会の場の提供だけでなく、さまざまな都の文化施策を展開する基礎的な基盤づくり、そして発展をさせている状況にあるというふうに私は思っています。
 では、今後、この都立文化施設が、直営でなければ、国の指定管理者制度を導入しなければならなくなるわけですが、今の現状の中で、こうした指定管理者制度の導入等に関係して、何点か伺います。
 まず、確認の意味も含めて、これらの都立文化施設はいずれも大変大規模な施設でありますが、直営あるいは委託など、具体的にどのような形で、今、運営されているのでしょうか。

○萩原参事 現在、江戸東京博物館など都立文化施設は、いずれも東京都の監理団体である財団法人東京都歴史文化財団に管理委託をしているところでございます。

○馬場委員 歴史文化財団が今、運営をしているということでしたが、いつからこれだけの大規模の施設を運営しているのでしょうか。

○萩原参事 歴史文化財団は、平成十三年度までは写真美術館、江戸東京博物館などを運営いたしておりましたが、平成十四年度に教育委員会から現代美術館、東京都美術館、東京文化会館及び東京芸術劇場の四つの施設につきまして生活文化局への移管を受け、歴史文化財団への管理委託を開始したものでございます。

○馬場委員 十四年度に教育委員会から四施設、移管を受けたということですが、教育委員会から生活文化局に文化施設の所管を移管したその理由、状況についてご説明ください。

○萩原参事 平成十三年度までは、都立文化施設を生活文化局と教育委員会の二つの部局で所管をいたしておりましたが、それまで以上に事業の効率化と都民サービスの向上を図るため、平成十二年に発表いたしました都庁改革アクションプランにおきまして、文化施設の管理運営の一元化を図ることとし、平成十四年度から生活文化局において一元的に所管することとなったものでございます。

○馬場委員 それでは、一元化をなさった後、わかりやすい例というんでしょうか、効果といったらいいでしょうか、例えば美術館の入館者数という形で、どのような変化というか、状況になっているのか、伺います。

○萩原参事 一元化した平成十四年度と昨年の平成十六年度を比較いたしますと、例えば写真美術館の年間入館者数は約三十六万人から約四十三万人へと一八%ふえております。
 また、現代美術館では、約二十七万人から約四十万人へと五〇%増加をいたしております。

○馬場委員 ありがとうございます。単に入館者数がふえればいいということではないんですが、一つの例として伺いました。このふえていることは、大変、都民の一人としてもうれしいことなんですが、歴史文化財団の館長初め多くの皆さんのご努力等があって事業展開が効果が上がっているというふうに受け取らせていただきました。
 それでは、この事業展開ということについてはどのような取り組みをしていらっしゃるのでしょうか。

○萩原参事 各館ではさまざまな事業を実施しておりますが、例えば写真美術館における写真の歴史を体系的にシリーズ化した展覧会の開催や、江戸東京博物館の企画が他の博物館等へも巡回するなど、館の個性を生かした質の高い企画展の開催に取り組んできたところでございます。
 また、お正月に臨時開館をいたしましたり、都立文化施設のほか、都内国公私立の美術館、博物館などでも利用できる共通入館券「ぐるっとパス」の発売など、お客様サービスの向上を図るとともに、事業執行体制の見直し等による、より一層効率的な事業運営にも取り組んできたところでございます。

○馬場委員 一元化の効果が出ている。それぞれの館も規模は大きいですが、それをさらにまとめて一元化をし、都民の皆さんのサービス向上に努めていらっしゃるということで、私も「ぐるっとパス」というんでしょうか、パンフレットをいただきました。実は、恥ずかしながら知らなかったんですが、こういう取り組みがあって、東京じゅうの四十六の美術館が提携をして、二千円で二カ月間使える、買ってから二カ月の間に全部行けば、二千円で全部の館が見られるという、そんなサービスも、これはやはり一元化の効果かなというふうに思っております。
 また、先ほども触れましたが、知事が力を入れている若手アーチストの発掘、また発表の機会の提供、そうしたこれからの人材の育成ということにも取り組んでいらっしゃるというふうに伺いましたが、この点について、具体的にどんなような事業に取り組んでいらっしゃいますか。

○萩原参事 若手アーチストの支援について幾つかご紹介させていただきますと、例えば写真美術館では、若手作家の展覧会を平成十四年度から毎年度開催しているのを初め、東京文化会館でも、若手音楽家を発掘する東京音楽コンクールを平成十五年度から実施いたしております。
 また、現代美術館におきましても、一元化の前から若い作家を発掘するとともに、現代美術の現在を紹介する展覧会を開催してまいりましたが、一元化後には、次代を担う新進美術家に作品発表の場を提供する東京ワンダーウオールとも連携を始めるなど、事業の充実により一層取り組んでいるところでございます。

○馬場委員 今まで東京の文化施策について、財団を中心に事業展開を図られているということを伺ってまいりました。
 ここで、大きく、実は転回がされるという状況があります。先般の当委員会でも指定管理者制度の導入ということで報告がありました。このことが、今、るるお話しをいただいた都のこれからの文化施策、特にこうした施設の管理運営、そして文化施策の振興ということにどういうふうに影響してくるのかということが、私はやはり心配でなりません。この指定管理者制度、国が法で決めたわけですから、先ほどのお話の平成十四年度に一元化をした都の施設が、四年半後になる平成十八年九月、来年の九月までに指定管理者制度に移行しなければなりません。
 この制度については、管理運営を民間でできるものは民間に、民間のノウハウ、民間へ広く門戸を開く、そんないろいろな意味を持っているということは存じ上げています。しかし、今、るるお話しをいただいた東京の文化施策にとりまして、民間事業者のノウハウや、また逆に都からの門戸を開く、こうしたことが一つ危惧をされることは、どうしても、民間ということではないんですが、効率的な施設運営、このことが大きく指定管理者制度導入には一つの大きな目的としてついている。この文化施設をこうした効率のみを優先して管理運営していいのだろうかという、そんな心配がどうしてもあります。この点について、お考えをお聞かせください。

○萩原参事 東京都では、時代の変化に応じて都の文化施策を見直し、再構築を図るために、本年二月に有識者から成る東京都の文化施策を語る会を設置し、現在ご議論をいただいているところでございます。
 今後、この語る会での議論も十分踏まえまして、文化施設の果たすべき役割を改めて明確にした上で制度導入を図り、より一層の都民サービスの向上や効率的な施設運営に努めていきたいと考えているところでございます。

○馬場委員 この導入に当たって、東京都の文化施策を語る会というところで今、検討されているということは伺っております。しかし、十八年には移行しなければならないということで、この導入については、それに向けて、どんな段取りでといったらいいんでしょうか、導入をしていく手順について、今現在の状況を伺います。

○萩原参事 文化施設では、先ほどもご紹介いたしましたような企画展その他の準備に時間を要するものが多く、最低でも二年程度は必要としております。これらの準備期間の確保と、新たに参入しようとする民間事業者との公平性を確保していくことが必要でございます。
 このため、平成十八年四月に指定管理者制度を導入いたしますが、平成十八年から二十年度までの三年間は、現行の管理受託者である東京都歴史文化財団を指定管理者として特命いたしまして、その後の平成二十一年度以降の指定管理者は、平成十八年度に公募を実施したいと考えております。
 歴史文化財団の特命に当たりましては、これまで以上に魅力的な館運営を実現するため、同財団からサービスの質の向上や効率的な施設運営に資する事業計画書の作成、提出を受け、外部委員も含めた審査委員会における厳正な審査を経て、本年第四回定例会に指定議決案を提出させていただきたいと考えているところでございます。

○馬場委員 都立の文化施設においては、平成十八年度から当面三年間という期間、現行の管理受託者である東京都歴史文化財団を特命とすることとして、第四回定例会に歴史文化財団を指定する議決案を提出するというふうに伺っております。
 今回のこの制度改正は、民間のノウハウの活用、そしてサービスの向上、効率的な施設運営の実現、こうした観点から、基本的には公募ということが原則でありますが、文化施設ということでありますので、その収蔵品の管理や高度な専門技術、専門性、そうしたものを確保するということ、また準備期間が長期にわたる、こうした理由で、一般のそのほかの公の施設とは異なる部分、特性を持っている。この特性を生かしていくということでは、先ほどの語る会でしょうか、ここできちんと検討されることを期待しておりますが、今の時点でこうした都立文化施設の管理運営については、やはり東京都歴史文化財団というところで一元的にやっていく、つまり一元化のメリットを生かして、これからもしばらくこの指定管理者制度を課題としてはおきながら、今現在では財団がこの受け皿となっていくということが必要であると私は思っています。
 次回、第四回定例会にはこのような特性を持つ文化施設に指定管理者制度を導入するということを踏まえながら、ぜひ指定議決案を提出していただく、こうしたことを要望して、文化振興施策についての質問は終わります。
 もう一点は、文化振興施策の中にあります国際交流事業についてお伺いいたします。
 事務事業の一六一ページですが、東京でも外国の方が居住するという数は年々ふえてきております。この事務事業では、東京の中で外国籍の方が三十五万というふうになっていますが、昨今の新聞では三十六万というふうな表現も見られます。私たちが知らないうちにこうした外国の方を排除している、気がつかないでしている、その結果として外国人の人権を侵害していないだろうか、こんな思いを私はずっと持ってきております。特に、だれでも命と安全、このことにかかわるさまざまな病院、それから、公共の施設等の利用等についても、このことが保障されているのだろうかという心配をしてまいりました。
 こうした外国の皆さんへの支援の施策として、東京では、仕事や研修、留学や結婚ということで、多く、先ほどもお話ししました三十五万、三十六万という外国の方が生活している、こうした東京で、だれでも安心・安全に暮らせる都市東京をつくっていく、そのためには、在住外国人の方に対するさまざまな情報提供や支援ということを行っていく必要があるというふうに思っています。
 まず、こうした観点から、初めに、外国人の方を支援し、地域社会での国際理解を進めるに当たって、当事者である外国の方や有識者など幅の広い意見を取り入れる仕組みが必要というふうに考えますが、都はこれまでどのような形で意見を取り入れてこられましたか。

○山本文化振興部長  東京都では、これまでも外国人都民会議や、平成十三年度には、専門家会議である東京都地域国際化推進検討委員会を設置することにより、外国人や有識者等の幅広い意見を取り入れて、在住外国人に対するさまざまな施策を推進してまいりました。
 具体的には、東京都地域国際化推進検討委員会から提言を受けまして、いざというときのためのサバイバルマニュアルや、外国人にもわかりやすいまちの表記に関するガイド、優良取り組み事例集などを作成いたしまして、区市町村や関係機関に配布してご活用いただいております。
 また、この七月には、昨年十月の新潟中越地震での教訓を踏まえまして、言葉の問題から災害時に弱者となりやすい外国人への効果的な情報提供のあり方について、東京都地域国際化推進検討委員会から答申をいただいたところでございます。

○馬場委員 外国の方で一番心配というのは、情報が伝わらないということ、これはどんな状況でも、今、災害のお話もありましたが、こうしたことがあります。母国語で報道する在住外国人向けのメディア等、そうしたところから辛うじて情報を得ているということを聞いています。日ごろからこうしたメディアと行政と、つまり、やっととれるそのメディアがきちんと正しい情報を伝えているかどうか、それから、必要な情報をそこで本当に得られているのかということを含めて、やはり行政としてはこうしたメディアとの連携が必要だというふうに考えます。
 都は、こうしたメディアとの連携についてどのように取り組んでいらっしゃいますか。

○山本文化振興部長  平成十七年二月の地域国際化推進検討委員会の中間答申でございます外国人への効果的な情報提供を受けまして、同年三月に、東京都在住外国人向けメディア連絡会を立ち上げました。中国語、ハングル、ポルトガル語、タガログ語等、十三言語に及ぶ三十五メディアが参加しておりまして、媒体は、新聞、雑誌、テレビ、メールマガジンなど多岐にわたっております。
 この連絡会を既に三回開催いたしまして、都からの情報提供を行うほか、災害時における外国人への情報提供などの連携協力について意見交換を行っているところでございます。

○馬場委員 メディア等の情報ということと、もう一つは、やはり住んでいる地域での問題というのがあると思います。地域での支援活動ということを考えますと、民間の団体のいろいろな支援活動や、また、それぞれ住んでいる地域での声というものが生かされないといけないというふうに思っています。こうした意味から、NGO、NPO等民間団体がそれぞれの地域で数多く活動していらっしゃるということは聞いていますが、こうした団体と都とがお互いの情報の共有化を図って、効果的に在住外国人の方への支援を行っていくということが、これからは必要なんではないかというふうに思います。このような民間の団体との連携は、それではどのように進んでいるでしょうか。

○山本文化振興部長  東京都は、NGOなどの民間団体とのパートナーシップの形成と協働を進めることを目的にいたしまして、平成十一年十月から国際交流・協力TOKYO連絡会を設置しており、現在、国際交流や協力、在住外国人への支援を行う十九の団体が参加しております。
 平成十六年度には、地域国際化推進検討委員会の答申を受けまして、情報伝達部会を新たに設置し、特に災害時に外国人に効果的に情報を提供するための仕組みづくりについて、現在検討中でございます。

○馬場委員 今、特に災害時というお話が出ました。新潟中越地震の折に報道された、そうしたことを見ましても、災害発生時に多くの問題が起こり、そのためには多くのボランティアの皆さんのご協力が必要だというふうなことが改めて今、出ているわけです。
 こうしたボランティアさんとの連携、特に被災した外国の方が日本人と同じように必要な情報を入手し、また支援を受けられる、そのためのボランティアの活用ということについて、大切だというふうに思いますが、この点についてどのような取り組みを行っていますか。

○山本文化振興部長  ご指摘のように、災害時に日本語がわからず、避難場所や避難生活に関する情報を的確に把握することが困難な外国人を支援するために、語学能力を活用して被災外国人を支援いたします東京都防災(語学)ボランティアの登録制度を平成八年度から実施しております。現在、六百四十六人が登録されまして、英語、中国語、ハングル等二十三の言語に対応しております。
 この防災(語学)ボランティアは、災害時には避難所や病院等で通訳や翻訳、外国人からのさまざまな問い合わせに対応していただくことになっております。

○馬場委員 民間のボランティアの方、またグループは、それぞれ日常でも活動していますが、やはり災害のときにどうするかというのは大変大きな問題だというふうに思います。その中で、都は、今お話しいただいたように、この事業を始めてからもう十年近くたちますね。そして今、登録の方が六百四十六人、そして言語では二十三言語に及ぶという、そんな防災の語学ボランティア制度といったらいいんでしょうか、これが東京の中でできてきたということは大変力強いことだというふうに思います。このご努力は大変評価させていただきたいと思います。
 登録しただけでは、なかなか、すぐ皆さんにどうやっていただくか、また何をということがあるというふうに思います。こうしたボランティアの皆さんの能力や力を使っていただくための研修や訓練等について、今、どんなような取り組みを行っていますでしょうか。

○山本文化振興部長  東京都では、総合防災訓練の一環といたしまして、登録ボランティアの方々に対して、医療救護訓練や通信訓練を取り入れ、被災外国人への対応方法を学んでいただいておりますほか、英語、中国語、ハングル等七言語でQアンドAマニュアルを整備しております。
 また、災害時に実際に現地で活動した経験のある方を講師に招いてワークショップを行うなど、実践的な研修に取り組み、防災(語学)ボランティアの能力向上に取り組んでおるところでございます。
 今後とも引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

○馬場委員 いつ起きてもおかしくないといわれる東京の地震の状況なんですが、ありがたいことに、今まで実はこの制度、皆さんに登録をいただいて大きくなってきているんですが、一度もまだ皆さんに活躍--活躍がいいか悪いかわかりませんが、活動していただいたことがないという現状にあります。これだけ立派な制度ができたわけですから、もしかしたら昨年の中越地震等に派遣なさったのかな、どこかでもう活動をされた実績があるのかなとお尋ねしましたら、これは都民のための防災の施策の一環であるから、都外へは、つまり東京以外には派遣するというような制度にはなっていないということをお聞きしました。
 これは国の問題でもあるというふうに思いますが、いざというときに、せっかくのこれだけの都でつくっている制度が、都民だけのためで、災害地から支援要請がなければ出られないとか、いつか聞いたようなお話なんですが、そうしたことは大変もったいないというか、残念だなというふうに思います。東京がこれから先頭に立って、各地域と連携をしながら、こうしたボランティアの皆さんがいざというときに、多くの不安な、日本語がある意味不自由な皆さんに、きちんと安心と安全な生活を守るためにも、ぜひ東京が先頭に立って、各自治体との連携を含めて、これからこの制度がもっと有効に使っていただけるようにということを強く要望しております。
 また、都外ということだけでなく、この制度が、じゃ、都民のために本当に実際に使えるかどうかという、このことのためには、それぞれの地域でお住まいの外国の皆さんが地域でどういう状況にあるのかということを考えますと、やはり今回の地域国際化というこの事業の大きな名前も、私はとてもいいというふうに思っているんですが、地域国際化の中で、区市、つまり地元の地域の自治体がそのことを認識していただいて、そして都と密接な連携をし、こうした制度が有効に使われる、そして、多くの皆さんに安心していただける、そんな施策に発展をしていただけるように強く要望して、次の質問に移ります。
 最後に、男女平等推進施策について伺います。
 先般、男女議連で、埼玉でサミットが行われました。第六回地方自治体議員サミット、次世代育成支援と男女共同参画というような形で参加をさせていただきました。ここで、今回は、次世代育成ということを中心にお話がされたわけですが、この次世代育成支援についても、男女平等推進、このことがきちんと一方で行われなければ、この次世代育成ということもやはり施策が生きてこないというようなお話を聞いてまいりました。
 東京では、男女平等施策について、生活文化局さんが中心になって、各局と連携しながら推進していらっしゃると思います。次世代育成支援も、東京では福祉保健局さんが担当していらっしゃるわけですが、こうしたさまざまな東京の施策を策定するというときに、男女平等参画の視点が大事だというふうに思います。
 こうした男女平等を所管する生活文化局として、それぞれの施策についてどのように対応していらっしゃるのか、まず伺います。

○産形参事 各局における計画につきましては、東京都男女平等参画基本条例や男女平等参画のための東京都行動計画の考え方を踏まえて策定しております。したがいまして、それぞれの計画には男女平等参画の考えが反映されているものと考えております。
 また、各局の計画策定に当たりましては、必要に応じて協議調整を行っております。

○馬場委員 男女平等参画について、事業としていらっしゃるのが東京ウィメンズプラザですね。この東京ウィメンズプラザについては、平成十三年度に東京都女性財団の運営から都の直営ということで、もう五年目を迎えています。直営化する際には、事業については後退させませんということでお約束をいただいておりますが、その後どのようになっているのか、まず伺います。

○産形参事 東京ウィメンズプラザは、直営化後も普及啓発、相談業務など、これまで女性財団が実施してきた事業を基本的に継続するとともに、配偶者暴力に関しましても、配偶者暴力防止法施行後早期に配偶者暴力相談支援センターを立ち上げるなど、本庁部門と一体となり、事業の充実を図っております。
 具体的にウィメンズプラザの利用状況を女性財団が運営していた平成十二年度と直近の十六年度実績で比較いたしますと、総入館者数は約二十二万人から約二十九万人に、また、ホール、会議室等の施設の利用状況についても、利用率が六一%から六九%に増加しております。
 相談件数におきましては、約七千件から約一万六千件となるなど、増加している状況にございます。

○馬場委員 利用者がふえているということで、数の点では多くの皆さんに使っていただいているというのはありがたいことなんですが、一点、民間の活動助成、この事業もかねて財団の折から継続をして事業が行われております。その財団が行っていた折、平成十二年度の助成額--これはもっと前ですね、予算が六千万円ありました。それが、現在は十分の一にも満たない五百万円という予算規模になっております。これはどのような理由と思われますでしょうか。

○産形参事 馬場副委員長ご指摘のとおり、女性財団が東京ウィメンズプラザを運営していた一時期、六千万円の助成額のときもございました。しかし、財団運営終了時の平成十二年度の助成額が三千万円となっておりました。直営化後も、平成十五年度までの三年間は、同額の助成規模を継続してまいりました。しかしながら、応募が少ない状況や民間企業の助成事業もあることに加え、区市町村における男女平等参画施策の取り組みが充実されたことや、都の財政状況等も勘案して、現在の助成額となったものでございます。

○馬場委員 この民間活動助成というのが本当に男女平等施策が充実した結果少なくなっているということであれば喜ばしいのですが、やはり今まで女性財団の折にきめ細かく支援、指導していた、その施策が、直営の中で少し低下しているのではないのかなという危惧も、私の中では残っております。これからも、その意味では、民間の皆さんの男女平等施策に向けてのそうした活動の支援というのを引き続き、直営だからこそできるとおっしゃったそのことを、これからもぜひ実現していただきたい。
 その意味で、最後になりますが、国では基本法の見直しも、来年に向けて、今なされようとしています。そんな中で、男女平等の視点を今、大事なそれぞれの施策の中に反映をするというこの大事な視点、また、この施策の積極的な推進ということについては、特段の力を入れていただきたいという私の思いでございますが、こうした男女平等参画施策について局長のご決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

○山内生活文化局長 東京都はこれまで、全国に先駆けて男女平等参画基本条例を制定するとともに、行動計画を策定いたしまして、男女平等参画施策を推進しております。
 さらに、今年度中に配偶者暴力対策基本計画を策定することとしております。
 今後とも、関係各局、区市町村、それから都民、事業者等と連携協力しまして、男女平等参画社会の実現に向けて努力してまいりたいというふうに考えております。

○野上(純)委員 私の方からは、NPO法人と文化施策のヘブンアーチストについて、この二点について質疑をさせていただきます。
 近年、福祉や環境、教育や介護、まちづくりなど、実に幅広い分野でNPO法人、特定非営利活動法人など、民間非営利団体による社会貢献活動が盛んになってきております。このような団体の活動は、今まで培ってきた能力やみずからの経験を生かし、生きがいを持って取り組む人々によって支えられております。今まで必要下に迫られて設立することが多く、きめ細かいサービスの提供などを行っております。そうした点におきましては、行政にはない特性を持っております。今後ますます団塊の世代が大量退職をしていく中で、現役時代に培った豊かな経験を市民活動に生かしていくことなども考えられます。行政の施策としても、NPOの特性を生かすことによって、多様化する都民のニーズにより的確に対応することが可能になると思われ、今後、NPOと行政との協働がますます必要になってくるのではないでしょうか。
 そこで、平成十年に施行されたNPO法に基づき設立されたNPO法人は、平成十一年度以降さまざまな分野で多くの社会貢献活動を重ねていますが、都が認証したNPO法人について、まず何点か伺います。
 現在までの都によるNPO法人の認証数はどれくらいの数になっていますか。その状況をお伺いいたします。

○和田都民生活部長 これまでの東京都におけるNPO法人の認証数でございますけれども、平成十六年度末で四千百三十五法人となってございます。

○野上(純)委員 都のNPO法人の認証数は、平成十六年度末で四千件を超えているということですが、NPO法人であることを利用して、必ずしも公益、非営利とは認められない活動を行う団体もふえています。直接あるいは間接的にいろいろな情報が私どものところにも来ますし、詳しく調べてほしいとの声もあります。NPO法人の認証事務を行う上で、NPO法人に対する苦情などはあるのでしょうか。もしあるとすれば、どのような内容になっているのでしょうか。

○和田都民生活部長 NPO法人に対します市民からの苦情でございますけれども、平成十六年度中に私ども職員が電話であるとか来庁された方に対して直接応対した件数は、百六十八件ございます。
 その内容といたしましては、一つは、詐欺的な活動をしているとか、営利的な色彩が強いといったような、いわば役員やその法人自体がNPO法人としてふさわしくないという趣旨のものが約三割ほどございます。
 それから、契約上のトラブルなど法人の運営に関するものが約二割、認証法人の信頼性に関するものが、またこれも二割程度、その他、法人制度の仕組み等に関する一般的な苦情が約三割となってございます。

○野上(純)委員 そういうことで、例えば無料耐震診断という名目で、NPO法人であるということで、ノンプロフィットということで、利益を追求しないのだろうと信じて大きな被害に遭ったということも聞いております。
 また、例えば、これは新聞紙上にも出ておりましたけれども、路上生活者の支援をしていくということで、区から支払われている生活保護費を、横取りというのか、かすめ取るというのか、そういうようなことがあったとか、あるいは、どこの党とはいいませんけれども、非常に熱心にNPOのもとに隠れて党活動を行っているとか、選挙活動を行っているとか、そういったこともいろいろお聞きをしております。そのような都民からの苦情とか情報提供などをきっかけに、問題のあるNPO法人が明らかになる場合も考えられます。
 そこで、問題法人に対する行政としての指導は行われているんでしょうか、また、犯罪にかかわるようなおそれがある場合にはどのように対処しているんでしょうか、お伺いいたします。

○和田都民生活部長 今、先生のお話にございましたような問題法人の存在というのは、NPO法人全体の信頼を低下させるばかりではなく、市民生活にとっても悪影響を与えるおそれがあります。こうしたことから、都といたしましては、東京都独自のNPO法の運用方針を本年の三月に策定いたしまして、この五月から施行いたしております。
 この運用方針では、法人の運営の健全化を図るという観点から、その認証基準や監督基準を明確にし、かつ具体的にお示しをしたほか、法人情報の市民への積極的な公開等を盛り込んだところでございます。
 また、昨年度にはNPO法人に関する調査を行いまして、問題のある法人に対する情報収集をいたしてまいりました。
 今年度からは、新たにNPO法人の指導監督班を私どものセクションに設置いたしまして、現在、設立登記が未提出の法人であるとか所在不明の法人に対する追跡調査などを行っております。
 問題法人の実態把握やご指摘のような違法性の確認につきましては、さまざま困難が伴うものでございますけれども、今後、これまでの都の調査結果や都民からの通報内容などを分析いたしまして、いわゆる休眠法人の整理の促進や問題のある法人への指導監督を強化してまいりたいと考えております。

○野上(純)委員 東京都は、東京都におけるNPO法の運用方針というものを定めて、指導監督班も設置し、指導監督を強化していただけるということでございます。しかしながら、非常に雨後のタケノコのように短期間に多くのNPO法人が設立されたということも踏まえますと、生活文化局のこれからの役割というのが非常に大きいものではないかなというふうに思われます。本来、社会貢献活動を行うNPO法人の運営の適正化に向けて、引き続き的確な指導をお願いしたいと思います。
 一方で、NPOと行政との協働を推進していくことは、行政の効率化や体質改善にもつなげることもでき、重要な課題だと思います。そのためには、まず、職員の方がNPOについて理解をし、認識を深めていくことが重要であります。そのことについて、自分たちが取り組んでいる仕事の中で、何をどうしたらNPOとの協働が進められるのか、仕事のあり方から問い直していくことが必要であります。そうした観点から、幾つかお伺いいたします。
 都は、平成十三年に社会貢献活動団体との協働の推進指針を策定し、協働マニュアルの作成や都及び区市町村の職員を対象としたNPOとの協働に関する公開講座を実施してきております。生活文化局の事業概要を見ると、公開講座は平成十六年度に二回開催しているということですが、その開催実績や参加者の反応等の状況はどうなっていますか。

○和田都民生活部長 公開講座でございますけれども、平成十四年度から都や区市町村の職員を対象といたしまして、NPOとの協働の意識を高めることを目的に、年二回開催をしております。
 内容といたしましては、NPOとの協働に関する基礎的な講座と、協働における問題点等を分析する、より実践的な講座の二種類でございまして、毎回百五十名程度の職員が参加をしております。
 また、参加者の反応でございますけれども、公開講座のアンケートによりますと、指定管理者制度の導入などNPOを取り巻く環境変化への対応といったものを講義内容に盛り込んでほしいというご意見や、区市町村自身ではこのような講座の実施が難しいということから大変貴重な講座であるといった声も寄せられております。
 今後とも、こうした参加者の声を参考に講座内容の充実を図り、都内における協働事業の推進に努めてまいりたいと考えております。

○野上(純)委員 そのような公開講座により、職員の一般的な意識を高める啓発を行うことも重要ですが、実際にNPOとの協働を推進するためには、より実践的な取り組みが重要と思います。それについてはいかがでしょうか。

○和田都民生活部長 今の実践的なというお話でございますけれども、都といたしましては、今、お話のございました実践的な取り組みといたしまして、区市町村のNPOを担当する職員の連絡会議といったものを開催しております。
 この会議は、区市町村のNPO支援を担当する職員、それから区市町村にございますボランティアセンターの職員を対象にいたしまして、情報の共有化や課題への対応といったことを目的としまして、平成十一年度から年一回開催いたしております。毎年大体百名程度の職員の参加をいただいております。
 この会議におきましては、ほかの自治体におけるNPO支援の事例の報告であるとか、分科会に分かれまして、各区市町村における現状、それから今後の課題等についての話を行っております。
 行政とNPOとの協働の促進やNPO支援の環境整備といった面で役に立っているものと考えております。

○野上(純)委員 今のようなご説明で、都が協働の推進に努めていることはよくわかりましたが、その効果はあらわれているのでしょうか。また、協働の輪を広げていくために、都はNPOに対してどのような支援をしているのでしょうか。あわせて伺います。

○和田都民生活部長 NPOとの協働の推進の効果でございますけれども、都とNPOとの協働事業に関する調査によりますと、平成十二年度は百五件であったものが、その事業数が平成十六年度には百八十一件と、着実に増加をしてきております。
 例えば、具体的な事例といたしましては、河川の浄化であるとか商店街の活性化といったテーマ、それから、公共施設、美術館、博物館のガイドと、中身的にも多岐にわたっているという状況でございます。
 また、東京都の支援という意味でございますけれども、支援といたしましては、NPOの活動拠点となっております東京ボランティア・市民活動センターの運営費につきまして補助を行っております。そして、センターの方では、これに基づきましてNPOに関する情報提供、相談事業、人材育成事業などを行っているものでございます。

○野上(純)委員 今のお答えで、都もそれなりに努力していることはよくわかりましたけれども、最初に話したように、これから団塊の世代の方々の社会参加といった問題や、現在の大きな流れとして、官から民へという状況を踏まえると、これまでの行政の仕事を見直しつつ、都民の生活をより豊かなものにしていくために、健全な--ここを強調しておきます、健全なNPOの成長、そして、NPOとの有効な協働が必要であります。
 出されました東京都におけるNPO法の運用方針の中にもありましたけれども、このNPOが平成七年の一月十七日に起こった阪神・淡路大震災の復興支援に多くのボランティアや市民団体が活躍し、こうした活動を行う団体の法人格取得の必要性が強く求められたことが、このNPO法策定の出発点であったという、そういった初心を忘れることなく、さまざまな人々がさまざまなステージで、官と民もお互いに競い合いながら全体としての協働を果たしていく、そのことが二十一世紀のより成熟した社会の一つの姿ではないかと思います。そうした新たな時代のためにも、今後ともNPOに関する施策のますますの充実、努力を求めておきたいと思います。
 次に、ヘブンアーチストについて伺います。
 文化芸術の中心である東京においては、芸術家やアーチストを目指して大勢の若者が集まっていますけれども、なかなか発表の場が少ないことが悩みになっております。それで、ヘブンアーチスト事業については、平成十三年の第二回定例会で、我が党の石川議員が発言をいたしました。これは、中身的には、都営大江戸線ができて、都営地下鉄大江戸線の構内を活用して、音楽専門学校で学ぶ学生の協力のもと、そこでミュージカルとかレビューとかゴスペルコーラスとかジャズの演奏とかを行って非常に好評を博したと。世界各国をめぐってみますと、やはりパリとかニューヨーク、ロスとかサンフランシスコとか、いろいろな街角で多くの方たちが、アーチストというんですか、大道芸人というんですか、そういった方たちがいろいろと活躍をしております。それからまた、ちょっとした空間でミニコンサートを行っている姿もよく見ます。私も海外あちこち行った中で、こういう場が日本にももっとたくさんあるといいなというようなことをとても感じておりまして、そういうことからも、若いアーチストたちが貴重な自己表現のアピールの場として、このヘブンアーチスト事業をしていただきたいということで、石川議員が発言をいたしました。そして、それが契機となりまして、現在では上野公園を初めとするいろいろな場所で多くの都民や観光客がアーチストのパフォーマンスを楽しんでおります。
 私もそこの都民広場で公開審査が行われているのを拝見いたしました。事業が始まって四年目を迎え、ことしの応募状況や審査結果はどのようになっているんでしょうか。

○山本文化振興部長  審査をごらんいただきまして、どうもありがとうございます。
 本年九月五日から七日にかけて実施した審査では、前回の二百十七組を上回ります二百四十組の応募がございまして、多数のアーチストがライセンスの取得を目指して応募する状況が続いております。最終合格者数は、応募者数の約一割に当たります二十九組でございまして、これによって現在の登録数は二百六十七組になっております。
 審査に当たりましては、芸術性や娯楽性などから見て、東京の新しい文化史にふさわしいレベルを持つアーチストということで選定をさせていただいております。

○野上(純)委員 約一割の人しか受からないで、結構入試より難しい、非常にレベルの高いことだと思います。
 多くのアーチストがライセンスを得るためにチャレンジをしているとのことですが、厳しい審査を経て合格したヘブンアーチストのパフォーマンスを多くの都民が楽しんでいけるように、活動の場を広げることが重要であると考えますが、どのように取り組んでいるんでしょうか。

○山本文化振興部長  ヘブンアーチストの活動場所につきましては、事業を開始した平成十四年度では、都立施設二十カ所でございましたが、その後、区市や民間の協力を得まして拡大して、現在は五十九カ所となっております。指定に当たりましては、アーチストが多くの都民や観光客の前でパフォーマンスを披露することができて、投げ銭収入も得られるような集客力のある施設であること、また、交通の妨げにならない、観客の安全が確保されることなどを条件に選定してきております。
 今後とも、多くの都民や観光客がヘブンアーチストの演技に触れることができるよう活動場所の拡大に努めるとともに、区市町村主催のイベントへの紹介やヘブンアーチストを目にする機会が少ない島しょ地区への派遣などについても取り組んでまいります。

○野上(純)委員 私の知人が受けまして、見事に合格をして大変喜んでおりまして、東京都から認証バッグですか、何かそういうものをいただいて、すごい自慢で、見せていただきましたけれども、これをあけると、それに投げ銭とか入れていただくような仕組みにもなっているそうで、私なんか、はしに千円札とか挟んで上げたりすることもあるんですけど、それは冗談として、そういう一人一人の方がいろいろな自分の芸を磨いて、今後ともますます活躍をしていただければと思っております。
 この前、名古屋で愛・地球博というのが行われまして、私も最後の週ですか、駆け込みで行ってまいりました。その中で、東京都のヘブンアーチストじゃないんですけれども、いろいろなパフォーマンスをする、外国人の方も含めて、多くの方が大道芸を披露しておりました。ことし、東京都の方でもヘブンアーチストが愛・地球博に参加したと聞いておりますけれども、その状況や現地での反響はいかがでしたでしょうか。

○山本文化振興部長  東京都は、八月上旬の六日間、愛・地球博での東京都の日にヘブンアーチストを派遣いたしました。期間中は十五組のヘブンアーチストが、世界の人々が集い、交流する博覧会会場の日本広場で演技を披露いたしまして、炎天下にもかかわらず、約六万人もの方々にパフォーマンスをごらんいただいたところでございます。
 お客様からは、笑いがとまらなかった、人間の持つ表現力の魅力を感じたなど、高い評価をいただいたところでございます。

○野上(純)委員 愛・地球博においても大変好評だったとのことですが、ヘブンアーチストの活躍は、東京発の新しい文化として、東京の魅力の発信にもつながるものであります。今後ともこの事業の充実に努めていただくことを切に要望して、質問を終わります。

○村松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩を行います。
   午後二時二十三分休憩

   午後二時四十三分開議

○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○大山委員 私は、まず最初に私学助成などについて伺います。
 ここに東京都の私学行政という冊子をいただきましたけれども、この中にも、都内の私立学校に在籍する児童生徒数は六十八万九千八百一人で、高校生は五六%、幼稚園児は九一・一%が私立学校に通っている。この冊子の中でも、都の学校教育に果たす私立学校の役割の大きさを示しているというふうに書いてあるわけですけれども、東京の教育を語るときに私学抜きには語れないというのが今の状況だと思いますし、だれもが教育を受ける権利を保障される、そして安心して学ぶということ、それを保障する立場で質疑したいと思います。
 その面で、経済的な問題というのは非常に大きいと思っていますけれども、例えばきょういただいた資料2では、授業料及び初年度納付金の推移というのがありますけれども、高校で見ますと、十六年度、都立は十一万七千二百五十円ですけれども、私立学校はと見ますと、平均が八十三万七百二十九円ですね。授業料の平均は、高校の全日制で月額三万三千五百三十三円ということになっています。
 私、先日、私立の高校に伺ったんですけれども、校長先生だとか事務長さんだとかがお話ししていただいたんですが、生徒の家庭の状況についてどうですかと伺ったら、最近の経済状況の中で、自営業なんかの人たちでも事業がうまくいかないという家庭があったり、お父さんがリストラされてしまったりということで、生徒の生活というのは大変なんですということと、その学校では、生活保護世帯は九名、それから、非課税、均等割世帯が八十二人いるということなんですね。高校へは何とか親御さんたちも行かせたいし、生徒自身も行きたいということで高校に行くわけですが、そうはいっても所得が高いわけではなくて、何より学費を最優先をして、そのために生活自体は大変な家庭がふえているということをおっしゃっていました。
 私たちが伺った学校は、減免制度だとか奨学金、とにかく使えるものは全部使って、何とか学校を続けられるようにということで、生徒さんたちにも手続の仕方などを含めて指導しているというんですね。しかし、生活が成り立たなくなってしまって、授業料の未納者が多くなっているというんです。そうはいっても、この学校、十四年間、授業料は値上げしていないんですね。表面的には親御さんたちも経済的な理由で滞納というふうにはいわないんですけれども、実態は経済的な理由が非常に多いんだというふうに話してくれました。例えば都立と私立を受けて、都立落っこっちゃったらこの学校に来ますというふうにいっていた生徒が、都立落ちちゃったんだけれども、いざ手続という段階で、この学校でも今年度は八人、手続の段階まで来たんだけれども、やはり断念しますということで、あきらめざるを得なかった生徒も八人いたということなんです。
 東京の高校への進学率が九一%ということで、全国的に見ても低いわけですが、こういう経済的な問題も反映しているということをいわざるを得ないと思っています。学費の滞納者がふえているというのは、この学校だけではありません。全体的な傾向だというのは、私学の関係者はいっていることなんですね。
 二〇〇五年の高校生アンケートというアンケート調査が行われていまして、十五校で四千五百七十一人の私立高校生が回答しています。学校の学費についても聞いているんですけれども、非常に高いと思う、高いと思う、合わせて七割を超えていました。高校生ともなれば、親の経済状況に無関心ではいられないというのが実態だといえると思います。
 私立高校の父母負担軽減、この制度ですけれども、どんなものがあるのか、教えてください。

○新行内私学部長 私立高校の父母負担軽減の制度にどういうものがというお尋ねでございますけれども、都における私立高等学校の生徒保護者負担軽減施策といたしましては、まず、私立学校経常費補助をその基幹として位置づけまして、この中で、学校運営費を対象とした一般補助を行うとともに、学校法人が授業料減免制度を設けて減免した場合の特別補助を実施しているところでございます。
 その上で、この経常費補助を補完するものとして、一定の所得層の保護者を対象とする私立高等学校特別奨学金補助、定時制や交通遺児の授業料減免に対する補助など、また、貸付事業として東京都育英資金事業や入学支度金無利子貸付事業、こういったものをやっておるところでございます。
 都といたしましては、これらの総合的な展開によりまして、ニーズに即しました効果的な保護者負担の軽減が図られるよう努めているところでございます。

○大山委員 さまざまな助成制度だとか、それから貸し付けの制度だとかがあるんですということですけれども、本当にそれらをより充実させていかなきゃいけないときだというふうに思っているわけですね。例えば、事業が失敗しただとか何だとかいろいろありますけれども、先日も私のところに、もう意を決して離婚したんだけれども、出すというふうに約束していた養育費も入らなくなってしまった女性だったんですが、お子さんが高校生なんですね。自分はとにかく専業主婦だったものですから、一気に貧困になってしまうわけですね。しかし、いっとき生活保護を受ければ、仕事もして頑張って、とにかく授業料を払い続けたいんだということでいっているケースもありました。こういう方たちというのは、本当に、この方だけじゃないんですよね、残念ながら、養育費をきちんと払っているという人の方が少ないということも多いわけですね。
 生活保護というのが今、出ましたけれども、授業料補助単価というのは年間十六万四千円となっていますけれども、高校の授業料の平均年額は四十万二千三百九十九円ですから、約四割にしかならないわけですね。この金額、さっきの東京都の私学行政二〇〇五を見てみますと、平成十三年度から補助額が変わっていません。それ以前の資料がないものですから、いつごろからこの額なんでしょう。

○新行内私学部長 私立高等学校特別奨学金補助の生活保護世帯の補助単価につきましては、平成八年度から十六万四千円でございます。

○大山委員 生保もそうですけれども、それ以外のところも、平成八年から十年近く増額はないということなんですね。一方、学費はどうかというと、年間の総額でいいますと、平成八年度に年間七十六万八千三百七十六円だったものが、今年度は八十三万七千六百六十九円ですから、平均でも六万九千円の値上げになっています。その一方で、補助の方はもう十年間増額なしということなんですね。
 他県の授業料の減額の制度、どうなっているのかなということで、見てみました。そうしましたら、生活保護世帯と住民税非課税世帯は授業料全額補助という県が--宮城県、千葉県、長野県、新潟県、福井県、石川県、愛知県、鳥取県、佐賀県が生活保護世帯と住民税非課税世帯、全額補助ということなんですね。あと、生活保護世帯には全額補助というところは、秋田県、大阪府、島根県、広島県、熊本県など、多くの県で行っているわけです。
 東京の近所で見てみますと、千葉県はどうかというと、生活保護と市町村民税非課税の世帯には授業料全額ということですが、平均すると二十五万四千五百四十九円になっているわけですね。大きな県だとどうかなと思って大阪府を見てみますと、生活保護世帯には平均三十五万円補助しているということなんですね。ですから、私学でも安心して高校には通えるようになっているということなんです。
 東京都は、他県から比べても見劣りがするわけですけれども、ましてや先ほど述べましたように生徒の状況、家庭の経済状況を考えたら、せめて低所得者への補助は増額することが求められていると思いますが、どうですか。

○新行内私学部長 補助単価の設定につきましては、経済社会状況の変化に応じて適切に対応していきたいと、このように思っております。

○大山委員 社会経済状況の様子だということだったらば、さっきから私、具体的な例も挙げて述べたように、社会経済状況の厳しさというのは本当に今なんですよね。だからこそ、私はこの問題を取り上げているわけです。
 例えば私立高校に入学して、あらゆる制度を活用する、例えば生活保護世帯だったら、補助が三年間で幾らになって、奨学金だとか入学支度金などの貸し付けがありますけれども、それらはどれぐらいになるか、ちょっと教えてください。

○新行内私学部長 あらゆる制度を活用してどれくらいの助成になるか、こういうご質問でございますけれども、私立学校に対して、全日制に通っている、そういう前提という形でざっと計算する、そういう例でお答えさせていただきますと、まず、授業料軽減補助が年間十六万四千円、したがいまして、三年間で四十九万二千円。それから入学支度金貸付制度ということで、入学時に二十万円貸し付ける、こういう制度がございます。さらに育英資金をもらう、こういう形でございますと、東京都の育英資金が年額三十六万円、したがいまして、三年間で百八万円。このほかに、冒頭お答えしました経常費補助の特別補助としての授業料減免制度で、通学する私立高等学校で授業料を全額減免した、それを平均という形で仮に計算しますと、年間四十万二千三百九十九円、したがって、三年間で百二十万七千百九十七円、こういうことになりまして、これら、今いいましたものを足し合わせますと、補助金の合計としては四十九万二千円、それから貸付金の合計が百二十八万円、その他百二十万七千百九十七円という形で、総額になりますと、二百九十七万九千百九十七円、こういうような計算が一応はできます。

○大山委員 基本的な、学校でのいろいろやっているところ、やってないところ、ありますから、やってるところはもう十分に使えばいいんですけれども、それを抜かすと、補助額というのは三年間で四十九万二千円ですね。育英資金などを借りると、その三年間で百八十万円、それから、入学時には支度金で二十万円ということで、やはり基本が低所得者の世帯なんですね。その段階で、入学支度金も返さなきゃいけないわけですし、三年間、卒業する時点で百万を超える借金を背負うということになってしまうわけですね。ですから、やはりこれは貧困の再生産になりかねないという事態ですから、きちんと社会経済状態で適切に判断するんだということだったら、今こそ、例えば入学金を補助金にするとかのことも含めて、授業料軽減補助を増額する、それを検討するときだということを再度要望しておきたいと思います。
 次なんですけれども、私立学校経常費補助、それから高校の標準教職員数の算出方法の変更について、ちょっと質疑したいと思います。
 私学助成について、さっきから経常費補助の話もありますけれども、法改正によってその算出の根拠になる教職員定数の算出方法が変わったということですけれども、この私学助成について、簡潔に変更した点を教えてください。

○新行内私学部長 公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律、いわゆる改正標準法についてのお尋ねでございますが、この法改正の趣旨は、高等学校における教育活動の相当部分が学級を離れて行われていることを踏まえまして、その教職員定数算定の基礎を、これまでの学級数から生徒の定員に改めるものでございます。
 具体的に申しますと、高校では、学級をベースにした教育活動が中心となる小中学校と異なりまして、選択科目や習熟度別授業など、生徒のニーズに対応するための教職員の配置が行われておりまして、そうした実態に近づけるため、学級数で教職員数を算定するのではなくて、生徒の定員をもとに算定する、こういうことでございます。
 これは、各私立高校におきまして、多様な選択科目あるいは多様な授業形態の展開などが行える、そういった教育条件の向上に寄与するものと考えておるところでございます。
 なお、この改正につきましては、関係団体もこの改正を歓迎している、すなわち私立高校の教育環境がよくなる仕組みだろうということで歓迎している、このように聞いてございます。
 なお、この法律は既に平成十三年四月に改正されておりまして、四年間の経過措置を終了してことしの四月に本則化した、こういうものでございます。

○大山委員 いろいろと答弁していただいたわけですけれども、今までの学級の数を基本にして算出する職員の人数から、学則定員で教職員の数を算出するということに変更しました、教育条件の改善に寄与するんだというふうに答えていらっしゃるわけですけれども、実際に各学校でどのような影響が出るのか、試算をしたり調査をしたりしたんでしょうか。

○新行内私学部長 実際に試算、調査したかというご質問でございますけれども、この検討に当たりましては、平成十六年度の基礎数値を使って、すなわち生徒定員だとか各学校の教職員数、十六年度の数字を使いまして事務的に内部では試算してございます。

○大山委員 試算したというんですから認識しているとは思うんですけれども、実際、教職員の数を算出する方法が変わるために、今までの額よりも減額される学校、それから増額になる学校もあるということですね。大幅に減額になる学校というのもあるわけですね。
 私も話を聞きに行ったんですけれども、学則定員が八百十人で生徒の在籍数が千人で、現在は一学級の生徒数を三十五人にして、二十九学級にしているというんですね。ですから、現在の専任職員数は六十四人です。ことしからの学則定員で算出すると、標準教職員数が五十五人というふうに減ってしまう学校なんですね。ですから、五千万もの減額になってしまう。これは大変なことですね、運営にとっては。
 この学校は、一学級三十五人にしているというんですね。どうして一学級の人数を少なくしているかというと、やはり一人一人がわかる授業をしたいんだと、中学生のときにはわからなかった子たちも結構来ている学校だから、やはりどの子にもわかる授業にしたいんだということで、一クラスの人数を減らして、より教育条件をよくしてやってきたんだということなんですね。
 従来のやり方ですと、クラス数で職員数を出していたから、教育条件をよくしようと思って一クラス当たりの人数を減らすことができていたんです。しかし、クラス数ではなくて定員で算出しますと、その基準というのが一クラス四十人の計算になってしまうんですね。ですから、より教育条件をよくしようとして努力をして、一クラス当たりの生徒数を減らしてクラス数をふやしている、その学校が減額されちゃう。これはさっきおっしゃっていた教育条件の改善どころか、本来だったら教育条件をよくしなきゃいけないのに、それが反映できない。本来だったら、きちんと教育条件をよくするために努力しているところには、それなりに反映できるように補助するというのが当然だと思うんですけど、どうですか。

○新行内私学部長 先ほど、私どもは、こういった従来の計算方法と比較して新たな計算をするということで、内部でそういった試算をする、そういうことはやっておりますというふうにお答えしているわけでございますが、そういった中で、一つの傾向として、これはあくまでも傾向でございますが、わかったことは、それが大山先生がいっている学校の事例に該当するかどうかは別といたしまして、大体、おおむね減額となる学校は、定員超過によることが主な原因でございます。そういうことがありますので、私どもは、そういった今回の改正は、定員超過の是正にも効果があり、したがって教育条件もよくなる制度だというふうにも考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、経常費補助は公立学校経常費の決算をもとに私立学校の標準的運営費を算出し、その二分の一を補助する、そういう標準的運営費方式を採用しておるわけでございまして、この制度は、いわゆる公私格差の是正の効果が大きいこと、あるいはまた、生徒急減期にあっても教育条件の向上、学校運営の安定化に寄与する、こういうふうに考えておるところでございます。
 そして、先ほどから申し上げてございますように、今回の法改正によりまして、学校の教育環境は全体として向上していく、このように考えておるところでございます。

○大山委員 四十人ぎりぎりの学級、それから、四十人以上のところもありますよ。それはクラス数で計算したら--この学校だって、四十人ぎりぎりのクラスだったら一学年は六クラスで済むんです。でも三十五人にするから七クラスになるわけですね。そうやって、やはりきちんと一人一人を見よう、それから、この学校は一クラス三十五人だけれども、もっと丁寧にやりたい、それから、一人一人がきちんとわかるようにやりたいから、さらに半分に学級を分けて学習するときもあるんだというんですよね。やはりそういう努力にきちんと報いることが重要だというふうに思いますし、一クラスの人数を減らす方が教育的効果が高いというのは、文科省の協力者会議の最終答申でも出されているわけですから、先日の文教委員会でも話題になりましたけれども、やはりきちんと力をつけたい、そういうところに、クラスを分けて努力をしている、教員を多くして努力しているという学校--総体としては多くなったかもしれませんけれども、そういう努力をしている学校をきちんと直視しなきゃいけないと思いますし、急減期には対応できる--もちろん急減期に対応することも重要ですよ。定員に満たないところは補助金が多くなりますからね。だから、やはりきちんと配慮しているところ、すべての生徒がわかるということを徹底している、だからこそ、本当だったらというか、今度の計算でいったら教員数は五十五人になっちゃうんだけれども、今は六十四人いるんですよ。そういった努力にこたえるべきだと思いますけれども、どうですか。

○新行内私学部長 それぞれの学校におきまして教育条件の向上に努力されている、これは公教育の一翼を担う学校として当然でございますし、また、我々はそういった努力を支援する、こういうことでございます。
 ただ、繰り返しにはなってしまいますけれども、それは今回の改正によりまして、従来の計算と比べれば、ふえるところもある、あるいは減るところもある、いろいろでございますけれども、先ほどから繰り返しておりますように、今回の改正そのものは、高等学校において、先ほど委員指摘のそういった授業展開ができるように、あるいは、さまざまな選択科目が設置できるようにという形で、高等学校は小学校、中学校と違って、学級活動とは別なさまざまな教育展開がなされている、そういった実態に近づける、そういう意味で教員数を適正にカウントしていこう、こういうものでございますので、教育条件の向上に総体として資するものである、このように考えております。

○大山委員 総体としてといったって、今、私が述べている学校では、教育条件が悪くなっちゃうでしょうという、そういう事実なんですよ。それは認めないんですか。

○新行内私学部長 確かに、委員ご指摘の、そういった事例でその局面だけ見れば、先生の数が従来の六十何人から五十何人に減る、そういう意味では、教育条件が悪くなるんじゃないんですかと、そういう点については、それは従来の方式からすればカウントが減る、それは補助金が減ると、こういうことでございます。
 ただ、問題は、先ほど試算した結果の一つの傾向として申し上げましたように、そういった現に減るというのは、どちらかといえば従来から過剰に超過して生徒が学校に入っている、そういったところが今回の結果減っていますよと、こういうことでございますので、そういった定員超過の改善、そういったものもあわせまして、全体として私立学校の教育条件の向上をよくしていきたいと、このように思っております。

○大山委員 もういいですけれども、一つ一つの学校が充実して、それで初めて総体として上がったというふうにいえるんじゃないですか。一人一人の子どもたちが充実しないで、どうして総体が上がったなんていえるのかというふうに思いますし、さまざまな授業展開ができるように、今回改善したんだといいますけれども、さまざまな授業展開ができなくなっているという事実をやはりきちんと直視してもらいたいというふうに思います。
 今、問題にしていたのは、クラス数を多くしている、一クラスの人数を減らしているところの問題をいっているんです。もう一つは、今おっしゃっていた超過しているところの話ですね。定員を超過しているところの話です。
 今、学則定員を超えて生徒が入学しているということは、もちろん、定員以上の生徒が多くなるというのは、施設の面からしてもやはり望ましいことではありませんけれども、それが揺れがあるというか、定員ぴったりにいけるのかどうかというのは、やはり今の状況は結構大変なんですよね。私立の学校に聞きましたけれども、やっぱり都立の入試の仕方が、学区制がなくなっちゃったとか、それからさまざまな新しいタイプの高校ができたとか、中学の先生でさえも、この子はここだというふうにわからなくなってきている。そういう状況の中で、やはり定員以上に在籍するという子どもたちを切ってしまうということになるんですね、今の考え方としては。特に、都立に落ちたら私立に行きますというような私学だと、予測することは本当に難しいというんですね。私が話を聞いたところの学校では、入学者の数、三〇%から四八%の変動があるというんですね。だから、その学校でいうと、一年間で七、八十人の揺れがあるというんですよ。ですから、やはりこのように、とりわけ都立落ちたらこっちに来るよというような学校は、特に予測しにくいと思うんですけれども、それはどういう認識ですか。予測しにくいですよねという話ですけれども。

○新行内私学部長 予測しにくい、それについてはどうかというお尋ねでございますが、私どもの方としてはその辺については何ともいえないところでございますが、いずれにいたしましても、各学校におきましては、入学者数について過去の実績から合格者を決め、各学校において定員に近づける努力をしていると、このように聞いております。そうした努力にもかかわらず、その結果として定員を超過してしまった学校、そういった学校に対しましては、生徒の教育環境を維持するために定員超過を解消するよう、私どもとしては指導しておりますし、また、経常費補助においても減額調整という形でやっております。

○大山委員 さっきいったように、予測しにくい、しかし、過ぎちゃった分、例えば都立に落ちて、もう定員がありませんから、あなたはだめですよというふうに、じゃ、その学校ははねればいいのかという話ですよね。そういうことじゃないというふうに思うんです。
 ですから、今の東京都の制度自体が、都立高校の入試自体がそういう不安定さを生み出しているという点では、一定割合は算出に入れるとかということをやはりきちんと認めていかなきゃいけないというふうに思っています。もちろん、定数を超えなければいい、なるべくだったら定数内にした方がいいですよ。しかし、定数を一人でも過ぎたら、あなたはだめですよと、入願、入試で行っているのに、そうやってはねられるのかという問題ですよ。やはりそうやってきちんと弾力的に運用していくことが必要だというふうに思っています。
 ところで、今回の変更ですけれども、法律の改正が十三年で、経過期間を設けて今年度から実施なんだということなんですけれども、学校にはいつ、どのように伝えたんですか。

○新行内私学部長 本件の学校への通知というお尋ねでございますが、平成十三年の法改正の時点で、東京私立中学高等学校協会を通じまして各学校に周知しておるところでございます。
 また、今年度、本則化の後でございます、本年六月二十三日、協会の理事会で説明したほか、私学部からも七月八日に各学校に周知しておるところでございます。

○大山委員 四年前に中高協会に知らせたんだということですけれども、さっき具体例を挙げたように、学校への影響というのは非常に大きいわけですよね。教育条件の根本にかかわる問題なわけですから、やはりきちんと経過期間なり、どうするのかということを含めて--ことしになって、もうことしから本則実施なんだという段になって、各学校にこれだ、これだというふうに通知をする、そういうこと自体、やはり学校の教育条件について配慮が足らなさ過ぎるというふうに思っています。非常に乱暴だと思います。きちんと事前に、四年前に試算をして、教育条件を切り下げることがないのかどうかということを含めて調査をして、各学校にも相談をしておけば、まだ最小限に抑えることだってできたというふうに思っています。だから、これからでも遅くないわけですから、その大きな影響を受ける学校については、状況をよく把握して、要綱の改善も含めて影響を最小限に抑える努力をするべきだということを重ねて要望しておきます。
 次は、幼稚園への補助の問題です。幼稚園ですけれども、子育ての情報はかなりあふれているわけですけれども、本当に必要な情報というと、やはり判断するのは非常に難しいわけですね。例えば子ども家庭支援センターがありますけれども、幼稚園にも保育園にも行っていないお母さんたちの子育ての不安が多く寄せられるわけです。ですから、幼稚園というのは、やはりお母さんにとっても、子育てするのに欠かすことができない子育ての仲間と、それから専門家がいるところとして非常に頼りになる、よりどころでもあるというふうにいえると思います。
 この幼稚園については、東京では九一・一%が私立幼稚園ですから、ほとんど私立の幼稚園に通っているということになるわけですね。ですから、私立幼稚園への補助、それから父母への補助というのは欠かすことができません。
 ところが、ここまで私立に依存しているにもかかわらず、きょうもらった資料では、幼稚園への児童一人当たりの経常費補助単価、これは何と全国で四十五番目という状況になってしまいました。経常費の補助というのは保育料に反映することは明確ですから、平均保育料を見ましたら、保育料と入園料と施設費など毎年上がっているんですね。初年度納付金だけで見ましても、二〇〇〇年度の平均は四十万六千九百五十五円でした。本年度は四十二万八千九百四十七円です。五年間で二万円以上上がっています。
 平成八年に幼稚園の保護者負担軽減補助に所得制限が導入されましたけれども、軽減補助の対象者の推移を教えてほしいのですが、所得制限が導入される前の七年度と八年度、それから中間の十三年度と今年度、受給者数、どうなっていますか。

○新行内私学部長 私立幼稚園保護者負担軽減の受給者の推移ということでございますが、平成七年に十四万八千八百二十四人でございました。そして、平成八年は、十万九千八百四十一人でございます。さらに平成十三年度は、九万四千七百六十七人ということでございます。今年度はまだ集計中でございますので、確定してございません。

○大山委員 今年度、調べましたら、十万百五十八人という数字があるんですけれども、違うんですか。

○新行内私学部長 今、委員ご指摘の十万何がしという数字は、平成十六年の数字でございまして、十七年度はまだ確定しておりません。

○大山委員 じゃ、十六年が十万百五十八人です。所得制限を導入する前は約十五万人受けていたものですけれども、所得制限導入でいっときは九万四千人台になって、昨年度は約十万人というふうにふえていますね。受給者がふえるということと同時に、東京都の私学行政というさっきの冊子で見ましたら、十七年度の納付金額の平均というのは四十二万八千何がしですね。三年保育だと、合わせて三年間で百六万円以上なんです。これは本当に深刻だと思うんですね。幼稚園ですから共働きではないんです。ですから、若い夫婦が初年度四十二万円、その後は平均で年間約三十三万円。都民の暮らし向き調査を見てみましたら、三十歳代前半、つまり大体幼稚園に預けているだろうという年代の勤労世帯の実収入というのは、この三年間に、月額です、十万円も減少しています。所得制限を導入して対象者を狭めましたけれども、いっとき減った対象者が再びふえるというのは、やはり実収入がまさに減っているということを反映しているんじゃないかというふうにいわざるを得ないわけですね。若い子育て世帯がやはり経済的にはいかに大変なのかということだと思うんです。
 子育て支援のためには、保護者負担軽減補助の増額と所得制限の撤廃は待ったなしの課題だというふうに思いますが、どうですか。

○新行内私学部長 私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の増額あるいは所得制限の緩和ということでございますが、この園児保護者負担軽減事業費補助は、所得に応じまして負担軽減の適正化を図りながら施策の展開に努めてきた、こういう経緯がございます。
 今後とも、社会経済状況の変化に対応しながら適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

○大山委員 さっきから、高校のときも、社会経済状況の変化だというふうにおっしゃいましたけれども、やはり今いったみたいに、月額、全体的に十万円も実収入が減っちゃった。若い世代で十万円といったら、本当にこれ、大きいですよね。ですから、やはり社会経済状況の変化だ、それに応じてやるんだといったら、今じゃないですか。だから、今、やりますとはいえないでしょうから、例えば幼稚園に預けている父母の実態はどうなっているのか、そのぐらい調査をしていくというぐらい、どうですか、調査ぐらい。

○新行内私学部長 大山委員、調査ぐらいということでございますけれども、私の方といたしましては、これに関しましては、今後とも社会経済状況の変化に対応しながら適切に対応してまいりたい、このようにお答えさせていただきます。

○大山委員 今、社会経済状態のところで適切に対応しないで、いつするのか、もっとこれ以上悪くならないとできないのかということなんです。ですから、きちんとやってもらいたいと思います。
 そんな中で、類似幼稚園について質問したいんですけれども、経常費補助も類似幼稚園には出ていないんですね。どうして経常費補助も出てないんですか。

○新行内私学部長 幼稚園類似の幼児施設にどうして経常費補助を出していないのかというご質問でございますけれども、先ほど山田副委員長のご質問に、専修学校、各種学校ということで何で補助金が出てないというのでお答えしたと同じようなお答えでございますけれども、私学振興助成法では、経常費補助の対象を学校教育法第一条に定める学校に限定しておりまして、お尋ねの幼稚園類似の幼児施設は、学校教育法に基づき認可された施設ではございませんので、経常費補助の対象とはなっておりません。

○大山委員 法律に基づくと出せないんですよということなんですけれども、私、先日、類似幼稚園であります一つのところに伺いました。ここは本当に静かな住宅街の中に五十年の歴史を持つ園なんですね。木造二階建ての園舎があって、園庭もあります。朝の時間に伺ったものですから、子どもたちが三々五々登園してくるわけですね。お支度をしてから園舎じゅうを使って子どもたちが遊んでいるわけなんです。こっちでおままごとしている子がいると思うと、こっちでブロックしている子がいたり、それから、外で遊んでいるお子さんたちがいたり、私たちが園長先生と話しているものですから、ブロックできたとか、こうやって本当に人なつこく寄ってきたり、とても表情がいいというのが非常に印象的でした。
 豊かな感性を育てて考える力を育てる、何より遊びの中で力を獲得していくんだということを目標にしているというんですね。絵を見せてもらったんですけれども、本当に自信に満ちた子どもたちの力強い線なんですよ。正直いって感動しました。
 現在、百十四人もの子どもたちがここには通ってきています。少子化の中でこれだけの子どもたちが通っているというのは、やはり地域の中で信頼を得ているからだと思いますよ。
 そこで伺いたいんですけれども、幼稚園と類似幼稚園、何が同じで何が違うのか、類似幼稚園はだれが認定しているのか、教えてください。

○新行内私学部長 幼稚園と幼稚園類似の幼児施設についてのお尋ねでございますが、両者の具体的な違いにつきましては、施設に関する基準というのが一番具体的かと思います。幼稚園設置基準では、学級数に応じまして園舎や運動場の面積を定めまして、また、施設面で職員室、保育室、遊戯室、便所等を備えると、こういうことについて規定しておりますが、類似施設の認定基準の方では、保育室、便所等を備えることについて定めているのみで、運動場の設置や園舎面積については規定してございません。
 また、だれが認定したかということでございますが、幼稚園類似の幼児施設は、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助金交付要綱別表の基準に従いまして、事業の対象として知事が認定しておるところでございます。

○大山委員 知事が認定した施設だということですね。幼稚園と幼稚園類似園というのは、今、説明ありましたけれども、一学級の児童、幼児数、これは三十五人以下ということで、同じですね。それから、学級の編制も、学年の初めの日の前日で同じ年齢でその学年にします、これも幼稚園も類似幼稚園も同じです。それから、教職員の数、これも園長のほか、各学級ごとに少なくとも専任の教諭一人を置かなければならない、これも幼稚園も類似幼稚園も同じです。
 先ほど紹介した園も、教諭の人数も一クラス当たりの子どもたちの人数も認可園と同じですから、一人当たりの庭の広さと部屋の広さが少し足りないので認可されないんですね。認可園にはならないんですね。類似幼稚園というのは、現在二十四カ所ありますけれども、ほとんどの園が四十年以上の歴史を持っていて、例えばモンテソーリ教育を行っている園だとか、教会が運営しているところだとか、町会が運営しているところもあるんですね、町内会。それから、あと大学に併設しているところとかというところで、本当にどこでも地域で信頼されているわけなんです。
 さっきも答弁がありましたけれども、知事が認定しているからこそ保護者補助を、幼稚園に通っている保護者同様に出しているわけですね。ですから、きちんと認定していることに対応して、やはり経常費補助も幼稚園同様に補助することが求められていると思いますが、どうですか。

○新行内私学部長 幼稚園類似施設に経常費の補助をということでございますけれども、先ほどからお答えしてございますように、幼稚園類似の幼児施設というものは、昭和四十八年当時、認可幼稚園の数が不足していたため入園できずに、無認可の施設に入らざるを得なかった幼児につきまして、その保護者に対する緊急避難的措置として認定して補助の対象としている、こういうことでございまして、あくまでも学校としての幼稚園の補助というものは、学校教育法に基づく設置基準を満たした認可幼稚園、そういったものに対して補助するとともに、宗教法人あるいは個人立の幼稚園、いわゆる百二条園と申しますが、そういったところにつきましても、私立幼稚園教育振興事業費補助を実施しております。

○大山委員 憲法と教育基本法には、すべての国民は教育上差別されない、地方自治法第二百三十二条の二では、通常公共団体はその公益上必要がある場合においては、寄附または補助することができるということで、類似幼稚園を選択した保護者にも、保護者負担軽減事業補助を行ってきたわけですよね。だから、やはりきちんと、憲法と教育基本法に保障された権利を保障するという立場に立ってもらいたいというふうに思います。
 実際、例えば、いろいろなところで補助を出していますよ。東京都だったら、認証保育所。例えば二〇〇二年の二月十八日の文教委員会で、当時の高橋生活文化局長は、類似園というのはどちらかというと認証保育所みたいなものだと私は思いますというふうに答弁しているんですね。東京都は認証保育所に対して運営費補助を出していますよ。それから、駅前型には施設改修費まで出していますよ。同時に、認証保育所は企業にも経営できます。しかし、類似園は、企業では経営できませんね。したがって、幼児教育以外、つまり企業の利益を生むために税金が使われる、そういうこともないわけですから、一層都民の支持は得やすいというふうに思います。実際、荒川区では、類似園にも補助を出しています。
 もう一つ、これは補助だとかではなくて、類似園、経常費の補助だけではなくて、固定資産税の減免も対象になっていません。二十四カ園のうち、少なくとも九カ園は固定資産税に苦しんでいるんですね。多いところで年間二百万円なんですって。それで、十月十九日の決算特別委員会で我が会派の松村委員の質問に、主税局は、所管局の判断を差しおいて私どもがそれぞれの実態をつかむわけにはなかなかいかないんですと、したがいまして、まずは所管局のそういった認可の有無というのが私どもの判断の大きな基準になるんだというふうに答弁しているんです。つまり、所管局が申請してもらわなかったら判断はできないんです、裏返していえば、所管局が申請をしてもらえば判断をしますよという答弁なんですね。
 固定資産税の減免対象は、一覧表がありますけれども、町会事務所、遊び場、幼稚園、認証保育所、公益のために直接占用する固定資産という条項で十六も減免対象資産になっているんですね。せめてこの固定資産の減免の対象にするように、主税局に申し入れるべきじゃないんでしょうか。

○新行内私学部長 類似幼稚園、幼稚園類似の幼児施設というものは、先ほどからご答弁してございますように、昭和四十八年当時、認可幼稚園の数が不足していたため入園できず、無認可の施設に入らざるを得なかった、そういう背景がございまして、補助対象として認定していこう、こういうことでございます。しかしながら、今現在、受け入れ幼稚園が不足しているという状況はございませんので、新たにそういった幼稚園類似の幼児施設についての援助、そういうものは考えてございません。
 加えて、今、先生ご指摘のそういった減免の対象としての主税局への申し入れということでございますけれども、幼稚園施設基準に達していない、認可を受けていない幼稚園類似の施設でございますので、認可を受けていないものを減免するという、そういったことは、既に認可を受けて設置基準を満たして経営していらっしゃる幼稚園との不均衡というものも生じるかと思いますので、減免の対象とするような働きかけは考えておりません。

○大山委員 本当に冷たいですよ。うなずいていらっしゃいますけれども、父母が選んでいるわけですよね。だから、やはり子どもたちの教育を受ける権利、それから、父母がやはりそこに行きたいんだと、地域に信頼があるからこそやっぱり選んでるんですよね。だから、父母への子育て支援としても検討してもらいたいということを再度要望しておきます。
 あとちょっとだけ、広報の点字版について伺わせてください。
 都民に対する広報というのは大変重要なことだと思いますけれども、私たちは、文字による情報を受けることができますけれども、視力障害者というのはそうはいかないわけですね。生活文化局というのは、さまざま広報物、それから世論調査なんかも出していますけれども、今、点字版でつくっているのは「広報東京都」だけですね。「広報東京都」というのはこれですね。(実物を示す)これの点字版をつくっているだけです。こちらは普通の墨字のものですけれども、私たちは、これは新聞みたいに折り畳んだりして、電車の中でも気軽に読めるわけです。かばんに入れることも簡単なんですね。しかし、これが発行されている「広報東京都」の点字版なんです。(実物を示す)これは固形点字というふうなものを使っているわけですけれども、これだと持ち運ぶのにも大変なんですよね。かばんに入れようと思っても、こういうふうに折っちゃったりすると、結構、点字がわからなくなっちゃうような折り目がついちゃったりして、非常に読みにくいというんですね。ひざの上に乗っけて読むのも大変だし、それから、何か紙の質によるのかもしれないんですけど、読むのにも指が滑らかに滑っていかないんですって。これが「広報東京都」なんですね。
 その一方で、エンボス版というのがこれです。(実物を示す)学校なんかでも使っているのがこっちの版なんですけれども、これはもちろんかばんの中にもすっと入りますし、結構、ひざの上でこんなになって読んでいるのも便利なんですね。ですから、このエンボス版、これは新宿からもらってきたんですけれども、墨字版はこっちのものですけれども、これが墨字版、これがエンボス版ということです。
 「広報東京都」の点字版はこういう固形点字式印刷ですね。他県の広報紙というのはどうなっていますか。

○高西広報広聴部長 「広報東京都」の点字版についてでございますが、「広報東京都」の点字版は、障害者の方と健常者の情報格差が生じないように、活字版と同日に発行することとしております。このため、昭和四十三年度の発行開始以来、短期間に大量の印刷を行うことができる固形点字式印刷を採用してきたところでございます。
 この固形点字式といいますのは、用紙に樹脂インクを張りつけるものでございまして、高速輪転機による印刷が可能であり、用紙に型押しをするエンボス式に比べ、印刷スピードが速いという利点がございます。
 他県の点字版につきましては、発行部数が少ない、あるいは活字版と同日に発行していない等によりまして、エンボス式で印刷していると聞いております。

○大山委員 速く印刷ができるから同日発行する、これは重要だと思うんですね。同日発行するというのはもちろん重要だと思いますけれども、やはり視力障害者が読みやすいということを第一に考えなきゃいけないというふうに思うんです。ですから、視力障害者の団体からも、このエンボス版、小型の版にしてほしいという要望が出ているというふうに聞いているんですけれども、どうですか。

○高西広報広聴部長 視覚障害者の団体や「広報東京都」の点字版の読者から、点字版の大きさを変形のA3判、今の大きさですが、それからB5判に変更してほしいという要望はいただいてはおります。この用紙の大きさは印刷方式とリンクしておりまして、現行の変形A3判は、固形点字式により高速輪転機で印刷するためのものでございまして、B5判の大きさにするには、印刷方式をエンボス式に変更するという問題点がございます。

○大山委員 やはり視力障害者の要望もあるわけですし、それから、読みやすいということを第一に考えたら、高速でやる、同日に発行しなきゃいけないという場合だったら、例えば何カ所かに印刷をお願いするとかということも考えながら、やはりエンボス式に変えていく、小型の判に変えていくということをしなきゃいけないんだと思うんですけれども、どうですか。

○高西広報広聴部長 「広報東京都」につきましては、点字版のほかに、テープ版も作成しておりますし、また、公式ホームページに音声読み上げソフトに対応したウェブ版を掲載するなど、視覚障害者へのサービスの向上を図ってきております。
 点字版につきましては、現行の固形点字式印刷によるものは、印刷が速いというメリットもあり、また長年親しまれてきた経緯もございます。しかし、高速輪転機による印刷に対応できるところが大変限られておりまして、今後、安定した点字版の発行等に課題を持っております。
 一方、エンボス式は、先ほどから申し上げておりますが、製作日数がかかるという問題がありますから、引き続き検討してまいりたいと考えております。

○大山委員 親しまれているのはこっちなんですよ。エンボス版なんですよね。小学校のときからこれに親しんでいるわけですから、親しんでいるのはエンボス版なんです、視覚障害者の方たち。だから、やはり当事者の皆さんの要望を尊重する立場で、今、検討していらっしゃるというふうにご答弁されましたけれども、ぜひとも尊重する立場で検討してほしいというふうに思っています。
 さっきの印刷所をふやすということなども含めて、ぜひとも早急に検討して、改善していってほしいということを要望して、終わります。

○坂本委員 私からは、近年特に社会問題化しております消費者被害の実態と、これに対する東京都の対応、とりわけ悪質業者に対する指導や、また処分の徹底という観点から、幾つか質問したいと思います。
 最近、私の周辺とかいろいろなところから消費者被害に対するさまざまな相談を受けるようになってまいりました。都内の相談件数につきましても増加の傾向にありまして、被害の実態も年々高額化して、深刻化しているというふうに聞いております。特に高齢者の消費者被害につきましては、ひとり暮らしの認知症やお年寄りをターゲットにするなど、非常に問題でございます。高齢者を食い物にします悪質業者は、本当に許しがたいと思っております。
 そういう中で、今月の六日と七日、八つの都県市合同で、高齢者の一一〇番という特別相談を実施したと聞いておりますが、その結果につきまして概略をお答え願いたいと思います。

○岳野消費生活部長 坂本委員がおっしゃいました高齢者一一〇番でございますが、今月の六日と七日に実施いたしまして、近隣の三県と四政令市と東京都で合同で、昨年からやっております。二日間で合計二百十四件の相談がございました。
 このうち東京都の受け付け分八十七件について見てみますと、性別では女性からの相談が六割、年代別では六十歳代、七十歳代の方が全体の九割近くを占めておりました。
 販売形態では、消費者の家に出向いてまいります、いわゆる訪問販売が全体の四割を占めておりまして、契約金額は五百万以上の相談が八件、このうち六件は一千万円以上のもでございました。
 また、相談内容につきましては、未公開株など投資絡みの相談や、住宅リフォームに関する相談が目立っていたところでございます。

○坂本委員 今、ご答弁にありました住宅リフォームの件ですが、けさの新聞に訪問販売でリフォーム工事を契約させていたというサムニングループの親会社の元役員の逮捕が報道されておりました。また、四月には、詐欺容疑で逮捕されましたサムニングループの幹部につきましては、今月の十四日に東京地方裁判所の判決におきまして、その行為が極めて狡猾で悪質であるとしまして、執行猶予なしの懲役二年の実刑判決となったのは衝撃的でございました。これまで大がかりなものは例外としましても、悪質な事業者はさまざまな手口や手法を使いまして、消費者に言葉巧みに迫ってまいります。
 そこで、消費生活総合センターに寄せられております相談や情報の中で、最近の巧妙化しております悪質商法の実態はどのようなものがありますか、具体的な例を伺いたいと思います。

○岳野消費生活部長 悪質商法の具体的な例でございますけれども、例えば、屋根や床下を無料で点検しますというような話を持ちかけまして、見た後、このままにしておくと地震が来たら必ず家が傾くというような不安をあおりまして、住宅のリフォーム工事を行うように迫る、いわゆる点検商法や、一度契約した消費者に同じ事業者や、またその契約した消費者の情報などを入手しました他の事業者が次々といろいろな商品やサービスを契約させる次々販売などの手口がございます。これらの手口は、特に判断力の不足した高齢者などをターゲットにしている例が多いと思われます。
 巧妙さという点でございますけれども、みずからは販売行為を行わずに、分社化しました子会社に悪質な販売を行わせるようなケースや、指導や処分をされたらすぐに名前を変えて、また別会社として再び悪質な販売を行うようなケースが見受けられております。

○坂本委員 悪質業者が会社ぐるみとか組織ぐるみで詐欺まがいの商品やサービスの売り込み等を行いまして、そのやり方もどんどんエスカレートしているわけでございますが、そういう実態、よくわかりました。
 先ほど、認知症の高齢者の方の話をしましたけれども、それ以外にも障害者とか、また経済的な基盤を持たない未成年層につきましても、同じようなねらい撃ちがあるような、そういった悪質商法が後を絶たないような状況となっておるわけでございます。しかしながら、東京都におきましては、こうした悪質商法に手をこまねいていたわけではないと私は思いますけれども、これまでにもどのような取り組みをされておりましたか、お尋ねいたします。

○岳野消費生活部長 東京都といたしましては、平成十三年度に悪質事業者の取り締まり強化のため、現職の警察官を含む特別機動調査班を設置いたしまして、その後、組織の充実強化を図りまして、現在十二名五班体制で事業者の指導に当たっております。
 この機動調査班でございますけれども、平成十六年度は百四十三件の指導と九件の事業者名の公表等を伴います処分を行ったところでございます。
 また、十七年、ことしの二月には、不要なテレビアンテナを格安で撤去しますという口実で消費者に近づきまして、必要でない住宅リフォーム工事を契約させる同一の業者に対しまして、四つの都県で初めて同時に行政処分を行うなど、広域的な連携による消費者被害の拡大防止も図ってまいりました。
 今年度もこれまでに指導七十一件、処分二件を行うとともに、東京都による調査を拒否した事業者に対しまして、全国で初めて事業者名等を含む公表を二件実施したところでございます。

○坂本委員 東京都では四年前から特別機動調査班というものを設置しまして、平成十六年度では百件を超す指導と、全国で最も多い九件という行政処分を行っているということを聞いております。この先進的な取り組みは評価できると思います。
 ただ、今の答弁の中では、今年度、全国で初めて、調査を拒否した事業者名が二件公表されたという話がございました。これはどういうものか、もう少し具体的な詳細を説明願いたいと思います。

○岳野消費生活部長 今、申し上げました調査を拒否したことに対する事業者名の公表でございますけれども、これは東京都消費生活条例第五十条に基づきまして都民への情報提供を行ったものでございまして、あわせて「東京都公報」に掲載いたしました。
 具体的には、結婚相手紹介サービス業を営む事業者などにつきまして、事業者指導の前提となります調査そのものを拒否したので、その事業者名を公表したということでございます。
 事業者の処分や指導を行うためには、証拠となる情報の収集等に時間がかかりまして、指導や処分を行うまでの間にさらに多くの消費者被害が発生する可能性も否定できません。このたびの公表は、こうした状況を勘案いたしまして、調査を拒否した事業者名等を速やかに都民の方々に情報提供いたしまして、被害のさらなる拡大防止に努めたところでございます。

○坂本委員 今までの説明の中で、調査拒否による公表も含め、条例等を最大限活用しまして、都が消費者被害の防止に積極的な取り組みを行っているということがわかりました。しかしながら、悪質な事業者につきましては、詐欺まがいの社員教育を徹底しましたり、あるいは事業者名の公表にしましても、簡単に社名を変更して、同種の商法を行って繰り返しているわけでございます。これでは被害がなかなか減らないのも、残念ながら現実で実態であると思います。こうした、いわば犯罪と同様に悪質商法に対抗するためには、やはり行政の職員ではなく、特別機動調査班に現に在職しておりますという警察官の存在は大変大きいものであると思います。そこで、現職の警察官の持つ専門的なノウハウ、積極的にそういったものを取り入れるべきでありますし、そもそも警察官といいますと、そういった警察官の方をもっともっとふやして体制を強化しながら、徹底した事業者の指導または処分の展開をすべきであると私は考えたいと思います。
 そこで、警視庁との連携につきまして、さらに強化をするという展開につきまして伺いたいと思います。

○岳野消費生活部長 坂本委員ご指摘のとおり、悪質事業者がより先鋭化、巧妙化している現状でございまして、東京都が行う事情聴取や立入調査に際しまして、警察官の持つ犯罪捜査のノウハウなどを活用していくことは非常に重要だというふうに思っております。そのため、行政職員に対し、犯罪捜査のノウハウ等につきましても研修の機会を充実させるなど、警視庁とのさらなる連携強化について前向きに、積極的に検討してまいりたいと思っております。

○坂本委員 ただいまの警視庁との連携強化につきましては、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 それでも、悪質な事業者はなかなか減らない、さらに巧妙な手口ややり口の商法を思いついたり、都が指導した直後はおとなしくなっても、また新たなお客さんを開拓していくような、そういったことをやっていくと思います。行政と悪質業者の関係につきましては、イタチごっこみたいなところがあると思います。やはり消費者被害の拡大防止につきましては、都民に対しても一刻も早く悪質な業者名を公表するような行政処分が最も有効で効果があると私は思います。
 事業者の指導や処分の迅速化のためにも、今後、都としてどういうような取り組みを行おうとしているのか、最後に、局長に決意のほどを伺いたいと思います。

○山内生活文化局長 委員ご指摘のとおり、消費者被害の拡大防止のためには、都民に対してなるべく早い段階で事業者名を含む情報を提供していくことが非常に有効でありますし、重要でございます。このためには、事業者処分のきっかけとなる悪質事業者の情報をより多く迅速に収集していくことが重要でございます。
 そのため、消費者相談を行う民間団体からの情報収集を行うとともに、区市町村や国、近隣県からの情報をスピーディーに収集いたしまして、行政処分までの時間の短縮化を図っていきたいと考えております。
 さらに、極めて悪質な事業者に対しましては、事業者指導を経ないで、事業者名等を都民に対しまして積極的に公表してまいります。
 今後とも、自立した消費者の育成に努めるとともに、考えられるあらゆる方策を講じまして、悪質業者に対しまして厳しく対応してまいりたいと考えております。

○坂本委員 よく考えてみますと、昔から押し売りというのがありますけれども、安物を高い値段で無理やり買わせていた時代がございました。しかしながら、今、当時のことを思い出しますと、少しうさん臭いかな、でも、まあいいかなというような感じがあったと思うんですけれども、そういうのどかな感じがあったような気がいたします。
 一方では、最近の悪質商法につきましては、事業者の側がもっと組織的で巧妙で、かつ効率的なものになってまいりまして、自分だけはひっかからないと思っているような人でも契約されたり、気がつくと全財産をなくしてしまう、奪われてしまうというようなこともよくあるかと思います。
 しかも、被害者の数につきましては、増加の傾向であります。被害拡大のスピードにつきましては、大変速いものと聞いております。悪質事業者につきましては、手をかえ品をかえ消費者をねらってくるのでありまして、こうしたいわば詐欺まがいでだましのプロの事業者につきましては、行政が毅然とした姿勢で立ち向かわなければならないと私は思います。
 こういう意味で、今後とも、都といたしましても、悪質事業者を一掃するぐらいの気持ち、気構えを持ちまして、その対策を積極的に進めていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○上野委員 最後の質問ということで、私の方から芸術文化の振興について何点かお伺いしたいと思います。
 東京都は、我が党の強い主張によりまして、昭和五十八年に制定されました東京都文化振興条例に基づきまして、さまざまな芸術文化振興策を講じておられるところでございますけれども、都が実施している芸術文化振興策の中に、都民が毎年楽しみにしている都民芸術フェスティバル、こういう事業がございます。
 まず初めに、改めてこの事業の目的についてお伺いいたします。

○山本文化振興部長  都民芸術フェスティバルは、舞台芸術の振興を図るとともに、低廉な料金で質の高い舞台芸術を都民に提供することを目的といたしまして、昭和四十三年度から開始し、毎年一月から三月にかけて開催しております。

○上野委員 質の高い舞台芸術を提供するということでございますが、舞台芸術にはいろいろな種類がございます。都はどのようなジャンルを提供されているのか、平成十六年度の実施内容と十七年度の予定についてお伺いします。

○山本文化振興部長  平成十六年度の都民芸術フェスティバルの実施内容でございますが、音楽、舞踊、演劇、伝統芸能の四ジャンルで七十三公演実施いたしまして、入場者数は述べ六万四千四十四人でございました。
 平成十七年度についても、ほぼ同規模の内容を予定しております。

○上野委員 わかりました。この都民芸術フェスティバルにつきましては、実は平成十六年度の包括外部監査におきまして幾つか意見や指摘を受けているということでございますが、意見としては、例えば補助事業の硬直化を防ぎ、補助金等交付団体の固定化を避けるため、公演内容の公募等による分野別の競い合いを導入すること、あるいは事業のPRが限定的で余り効果がなく、都民への周知が不十分であるため、より積極的なPR活動の実施、こういった内容でございますし、また、指摘といたしましては、事業の評価手法の確実性を高めるため、客観的な事後評価を行う体制の構築といったことなどがあるようでございます。
 そこで、こうした意見や指摘に対してどのように対応されるということでございましょうか、お伺いいたします。

○山本文化振興部長  まず、分野別の競い合いを導入することについてでございますが、今年度から、現代演劇の分野におきまして公募制を試行的に導入いたしました。
 また、積極的なPRの実施につきましては、平成十六年度から新たにヤフーのホームページにバナーによる広告を実施し、PRの強化に努めているところでございます。
 さらに、事後評価を行う体制を構築することという指摘につきましては、職員によります現地調査や会場でのアンケートのほか、平成十六年度から新たに外部の専門家による評価を導入しまして、客観的な事後評価に努めております。
 東京都は、今後とも、この監査結果を踏まえまして、都民芸術フェスティバルの質的な向上を図り、ほかの事業も含めて舞台芸術施策全般の見直しに取り組んでいるところでございます。

○上野委員 今のご答弁では、都民芸術フェスティバルも含めて、舞台芸術施策全般の見直しに取り組んでいくということでございますが、当然、よりよくするために、見直すべきところは見直す、これは結構でございます。ただ、芸術文化というものは、教育と同様、費用がかかるから削るといったような金銭的な価値観だけで判断できるものではないと私は考えております。ぜひともこの見直しが事業の縮小につながらないようにお願いしたい、このように要望いたします。
 また、見直しに当たりましては、各芸術文化団体に対して十分な説明をしながら進めていくことが必要であると思いますが、どのように進めようとされているのか、お伺いいたします。

○山本文化振興部長  都民芸術フェスティバルの見直しに当たりましては、委員ご指摘のとおり、芸術文化団体の協力が不可欠でございまして、各芸術文化団体の意見も聞きながら、見直しを進めているところでございます。
 今後とも、各芸術文化団体へは十分な説明を行い、理解を得ながら適切に対応してまいりたいと存じます。

○上野委員 ぜひとも今後そのように進めていただくようお願いいたします。
 続きまして、子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業についてお聞きしたいと思います。
 まず、平成十六年度からの新規事業ということですが、その内容はどういうものか、お伺いいたします。

○山本文化振興部長  子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業は、子どもたちが単に鑑賞するだけではなくて、体験を通じて芸術文化に親しんでいただくことを目的といたしまして、平成十六年度に従来の鑑賞教室事業を再構築したものでございます。学校や児童館など子どもたちの身近な施設に芸術家が出向きまして、子どもたちとの共演、体験、創作型のワークショップ、吹奏楽などの実技指導などのアウトリーチプログラムを実施いたしまして、その成果を発表会で披露しております。

○上野委員 子どもたちが直接芸術家と触れ合うことができるということですけれども、大変すばらしい内容だと思っております。
 実際に十六年度の実施状況及び十七年度の実施予定はどのようになっているか、お伺いいたします。

○山本文化振興部長  平成十六年度は、東京芸術劇場でのクラシックを中心といたしました成果発表等が二千三百二十人、発表会の準備でございますアウトリーチが二千二百七人、次に、江戸東京博物館での児童演劇中心の成果発表等が二千二百三十三人、事前準備のアウトリーチが八百十九人、東京芸術劇場での能楽の成果発表は六百五十六人、事前準備のアウトリーチが六百六十人となってございます。
 平成十七年度は、十二月に江戸東京博物館で児童演劇、三月に東京芸術劇場でクラシックと能楽、それぞれの成果発表会を行うとともに、その二、三カ月前から事前準備のアウトリーチを行う予定でございます。

○上野委員 この事業につきましては、都が実施していく上で都立文化施設を使っていらっしゃる。当然のことだと思いますけれども、アウトリーチも都立の文化施設、その周辺が多く使われている。ただ、せめてアウトリーチだけでも、都内全域で、そういった都立の文化施設だけじゃなくて、それは偏ってしまいますので、都内全体で皆さんがそういった形で触れ合うことができるような、そういった形でぜひとも進めていただきたいと思います。
 実は、国におきましては、このような事業へのさまざまな助成制度があります。例えば、子どもたちがすぐれた舞台芸術を鑑賞したり、芸術文化団体などによる実技指導やワークショップを内容とする本物の舞台芸術体験事業、また、すぐれた活動を行っている芸術家や伝統芸能を保持されている方々を出身地域の学校に派遣して、講話や実技披露などを行う学校への芸術家等派遣事業、こういったことを実施しているようでございますが、このような助成制度を活用して、多くの地域でこうした事業を行われるよう、区市町村に働きかけていく必要があると思いますが、これらについてのご見解をお伺いいたします。

○山本文化振興部長  子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業について、平成十六年度は、事業開始初年度でもございましたために、多くの地域での実施ができなかったという経過がございます。今後は、各区市町村とも連携をしながら、できるだけ多くの子どもたちが芸術家と触れ合う機会を持てるよう努めてまいります。
 また、ご指摘の本物の舞台芸術体験事業など、国の助成制度の活用につきましては、今後さらに区市町村に活用を働きかけるなど、身近な自治体が芸術鑑賞等の機会を提供する仕組みを支援してまいります。

○上野委員 ぜひともお願いしたいと思います。
 文化とは英語でカルチャー、その意味に耕すとありますけれども、心を豊かに耕していく、思いやりの心を育てる、文化にはそうした力があると思います。青少年健全育成が叫ばれております。幼児虐待や凶悪殺人事件など殺伐とした事件が多い中で、芸術文化が子どもの教育に果たす役割は大変重要であると私は思っております。幼児期や青少年期にさまざまな文化に触れ、感動を得ることは、創造力の育成や人格形成に不可欠であると思います。都としてこの事業を充実させていくとともに、今、答弁されたように、国の助成制度の活用についても、区市町村に働きかけるなど、今後も着実に事業を実施されますようご要望いたします。
 次に、島しょ芸術文化振興事業につきましてお伺いいたします。
 平成十七年度の事業概要を見ますと、この事業の目的は、舞台芸術に親しむ機会の少ない島しょ地区の住民に舞台芸術の鑑賞機会を提供することにより、芸術文化の振興を図ることとなっております。この二月から、噴火により約四年半も全島避難で離れておりました三宅島の住民の方々が帰島いたしました。今まさに復興に向けて頑張っておられます。帰島して間もない時期ですけれども、三宅島の皆様に舞台芸術の鑑賞機会を提供することによりまして、島民に新たな希望を与え、復興を後押しすることができるのではないかと考えます。
 そこで、平成十七年度の実施予定はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○山本文化振興部長  島しょ芸術文化振興事業の平成十七年度の予定でございますが、三宅島につきましては、ことし二月の帰島を受け、明日、十月二十八日に三宅小学校で児童演劇を実施する予定でございます。
 平成十七年度には、三宅島のほかにも七島で、児童演劇、寄席を実施し、そのうち一島にはヘブンアーチストを派遣する予定でございます。
 今お話のございました三宅島につきましては、夏に帰島が完了したこともあり、三宅島の復興に少しでもお力添えができますよう、今後、三宅村と調整いたしまして、再度、芸術家等の派遣を検討してまいります。

○上野委員 三宅島でも実施の予定がある、再度また実施をこれからも検討するという新たな答弁をいただきました。その前向きな、積極的なそういった取り組みを私は高く評価したいと思います。
 私も大島に三年ほど赴任したことがありました。三宅島に限らず島しょ地区の方々は、舞台芸術に親しむ、そういった機会が少ないわけでございます。舞台芸術に直接触れたいとの思いは本当に強いものがございます。今後とも島しょの芸術文化の振興にも努めていただくようご要望いたします。
 最後になりますが、芸術文化というのは、人々に感動、生きる喜びを与え、心を豊かにするものでございます。人間が人間らしく生きていく上で欠かせないものでもあります。そうした文化の交流をしていく、多様な文化の存在を知ることで、お互いに尊敬し合う心をはぐくんでいく、そうした文化の交流こそが平和の社会を構築していく基礎となるものであると私は思っております。
 そこで、都は芸術文化の振興に一層努めていくべきと考えますが、最後に局長のご決意を伺いまして、質問を終わらせていただきます。

○山内生活文化局長 芸術文化の振興についてでございますが、委員ご指摘のとおり、文化は人々に感動を与え、心を豊かにするものでございます。
 東京都は、これまでも都立文化施設の整備や都民芸術フェスティバルの開催をするなど、さまざまな施策を展開してまいりました。
 また、ただいま部長の方から答弁いたしましたように、単に鑑賞するだけではなく、子どもたちが芸術家と直接触れ合うことによりまして、文化を生み出す心をはぐくむ子ども向け舞台芸術参加体験プログラム事業を新たに実施するなど、その内容についても適切に見直しをしてまいりました。
 さらには、お茶の水、渋谷に、これは知事も常々いっておることでございますが、東京ワンダーサイトを開設いたしまして、若手芸術家を支援する施策にも取り組んでおります。
 今後とも、心豊かな、質の高い生活を求める都民の期待に的確にこたえますよう、都民、芸術文化団体、区市町村などと連携をしながら、芸術文化の振興に一層努めてまいります。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十六分散会

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