委員長 | 村松みえ子君 |
副委員長 | 山田 忠昭君 |
副委員長 | 馬場 裕子君 |
理事 | 服部ゆくお君 |
理事 | 野上ゆきえ君 |
理事 | 野上 純子君 |
伊藤 ゆう君 | |
坂本たけし君 | |
上野 和彦君 | |
泉谷つよし君 | |
秋田 一郎君 | |
木内 良明君 | |
古賀 俊昭君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 中村 正彦君 |
次長 | 比留間英人君 | |
理事 | 近藤 精一君 | |
総務部長 | 志賀 敏和君 | |
学務部長 | 齊藤 一男君 | |
人事部長 | 松田 芳和君 | |
福利厚生部長 | 橋本 直紀君 | |
指導部長 | 井出 隆安君 | |
生涯学習スポーツ部長 | 山川信一郎君 | |
参事 | 三田村みどり君 | |
参事 | 新井 清博君 | |
参事 | 沼沢 秀雄君 | |
参事 | 伊藤 一博君 | |
参事 | 川澄 俊文君 | |
国体準備・事業推進担当部長 | 関口 修一君 | |
参事 | 直原 裕君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布しております。
資料について理事者の説明を求めます。
○志賀総務部長 去る九月十四日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の文教委員会資料(事務事業)の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十三件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。日本語学級の所在地、児童生徒数、教員数及び児童生徒の主な使用言語でございます。
このページから二ページにかけまして日本語学級の所在地、児童生徒数、教員数と児童生徒の主な使用言語の種類についてお示ししてございます。
三ページをごらん願います。平成十六年度区市町村別小・中学校等の学校栄養職員数でございます。
平成十六年度における栄養職員の人数を、区市町村別に、常勤、非常勤に分けてお示ししてございます。
四ページをお開き願います。都道府県の栄養教諭認定講習実施状況でございます。
全都道府県における平成十七年度の認定講習の受講者数や実施期間についてお示ししてございます。
五ページをごらん願います。区市町村立小中学校施設の耐震診断及び改修状況でございます。
小中学校施設における耐震診断の実施状況、耐震化の状況についてお示ししてございます。
六ページをお開き願います。教育庁所管の廃止、終了及び見直し事業でございます。
平成十二年度から平成十六年度までの過去五年間において、廃止、終了または見直しをいたしました事業について、年度別に事業名とその内容をお示ししてございます。
七ページをごらん願います。平成十七年度において学級編制の弾力化を実施している道府県の状況でございます。
このページから八ページにかけまして、平成十七年度における各道府県の学級編制の弾力化の状況について、研究指定校での実施や一部の学年だけで実施している例などを含めてお示ししてございます。
なお、この資料は、八ページ下段の注にございますように、文部科学省調査によるものでございます。
九ページをごらん願います。都内公立小中学校において一学級四十人を超える学級数でございます。
学級編制は四月一日の児童生徒数を基準として行っておりますが、その後転入等により児童生徒の在籍数が一学級四十人を超えた学級の数について、区市別並びに小学校、中学校の学年別にお示ししてございます。
なお、欄外の注にございますとおり、平成十七年五月一日現在の在籍人数には長期欠席者を含んでおります。
一〇ページをお開き願います。東京都公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移でございます。
就学援助は、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して区市町村が行う扶助制度でございまして、補助対象経費の二分の一を国が補助しております。
なお、表は、就学援助を受けた児童生徒数及び受給率を、要保護、準要保護の別に、平成十二年度から平成十六年度の五カ年についてお示ししてございます。
一一ページをごらん願います。都立盲・ろう・養護学校施設整備費の推移でございます。
施設整備費の予算額、決算額を平成七年度から平成十六年度までの十年間についてお示ししてございます。
なお、平成十七年度は予算額のみをお示ししてございます。
一二ページをお開き願います。平成十七年度都立盲・ろう・養護学校の保有普通教室の状況でございます。
平成十七年五月一日現在の各学校の保有普通教室数と、そのうち転用した教室数について、盲、ろう、肢体不自由、知的障害、病弱の障害種別ごとにお示ししてございます。
一三ページをごらん願います。都立盲・ろう・養護学校スクールバスの平均運行時間及び最長乗車時間の推移でございます。
(1)の平均運行時間は、平成十二年度から平成十六年度までの過去五年間におけるスクールバスの各コースの始発点から学校までの運行時間の平均を、盲、ろう、肢体不自由養護学校及び知的障害養護学校の区分ごとにお示ししてございます。
(2)の最長乗車時間は、同様に各コースの始発点から学校までの最長乗車時間をお示ししてございます。
一四ページをお開き願います。教員の年代別退職者数でございます。
平成十二年度から平成十六年度までの過去五年間について、退職者数を四十歳未満、四十歳以上六十歳未満、定年の三区分に分け、小、中、高別にお示ししてございます。
一五ページをごらん願います。東京スポーツ文化館の利用実績でございます。
(1)の宿泊施設では、平成十六年三月三十一日に開館いたしました区部ユース・プラザであります東京スポーツ文化館の宿泊施設の宿泊者数を、十六年度及び十七年度は四月から八月まで月ごとにそれぞれお示ししてございます。
(2)の文化学習・スポーツ施設では、同館の文化学習・スポーツ施設の利用団体数と利用人数を同様にお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○村松委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
発言をお願いします。
○服部委員 学級編制と教職員の定数にかかわる国の動向等について、何点か伺わせていただきます。
現在、国の中央教育審議会において、昨年からの三位一体の議論に端を発して、義務教育改革に関する審議が大詰めを迎えている、そういうことが新聞報道でございます。今月中にも審議会としての最終的な結論が出そうな状況となっております。この結論を踏まえて今後義務教育の国庫負担制度を含め、国の義務教育制度が最終的にどうなるのか、今のところははっきりと見えませんが、国が今後まとめる最終的な検討結果を踏まえ、東京都としても義務教育のあり方について、中長期的な視点で具体的に対応していく必要があると考えます。
さて、この義務教育改革の検討の一環として、文部科学省では、中央教育審議会の義務教育特別部会からの検討要請を受け、本年五月、教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議を設置して、今後の学級編制及び教職員配置について審議を重ね、去る十月の三日、最終報告として取りまとめたと聞いております。
そこでまず、この調査研究協力者会議の最終報告の概要について、どうなっているのか、お答えを願います。
○齊藤学務部長 ご指摘の教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議でございますけれども、本年の五月から審議を重ねておりまして、八月二十三日に今後の学級編制及び教職員配置についての中間報告がまとめられておりまして、その内容が中央教育審議会に報告された後、十月三日に最終報告が出されたところでございます。
この最終報告では、学校教育の充実を図る方策といたしまして、個に応じたきめ細かな指導の徹底が不可欠としました上で、そのための学校現場の判断が尊重される体制づくり、それと今日的な教育課題に対応する教職員定数の確保の必要性が述べられております。特に学級編制につきましては、現行制度を見直しまして、学級編制に関する学校や市町村教育委員会の権限と責任を強化する必要があるといたしております。さらにこの報告では、新たな教育課題に迅速かつ的確に対応するために、次期教職員定数改善計画の策定、実施が必要である旨を提言いたしております。
○服部委員 今の答弁でありましたけれども、東京都だけでなく、区市町村への影響を考えてみても、学級編制の制度の見直しと次期教職員定数の改善計画の策定、これに言及していることが今回の最終報告の注目すべきポイントであり、今後の大きな課題でもあると思います。このうち、学級編制の制度の見直しについて今後どうなるのか、お伺いいたします。
○齊藤学務部長 最終報告では、今後は学校現場の判断により地域や学校の実情に合わせた指導形態、指導方法、それから指導組織とする必要があるため、現行制度を見直しまして、学級編制に係る学校や市町村教育委員会の権限と責任を強化する必要がある。例えば、義務標準法による教職員の標準定数につきまして、これまでの都道府県ごとの算定から市町村ごとの算定に改めること。学校や市町村教育委員会の判断で学級編制が弾力的に実施できるようにするなど、現行の学級編制の仕組みを見直す必要があるとされております。さらに、これまで例外的な措置とされておりました、四十人を下回る学級編制が選択できる制度とする必要がある旨の記載もございます。
しかしながら、文部科学省では、今回の最終報告の提言内容につきまして、中央教育審議会の義務教育改革に関する審議も踏まえつつ、今後具体的な制度を検討していくとしておりまして、こうした最終報告の提言を踏まえ、どのような制度となるかについては現在のところ明らかでございません。都教育委員会といたしましては、今後も国の動向を注視してまいります。
○服部委員 今の答弁で、制度改正の内容は現在のところまだ明らかになっていないということでありましたけれども、さらに学級編制について伺いますけれども、しかし、区市町村に学級の編制権が移譲されれば、区市町村の判断で学級の規模等が決められることになるわけですね。こうした中、前からいろいろ議論がありますが、仮に三十人学級編制とした場合、これは一学年三十一人の場合には、当然ですが、十六人と十五人の二クラスに分かれてしまう、そういうことになってしまうわけですね。
共産党はよくスローガンで三十人学級、三十人学級といっていますけれども、このことについては、私も平成十五年の文教委員会の二月の委員会で三十人学級についての質疑をかなり時間をかけてさせていただきました。そしてまた、お隣の野上純子理事が、これはことしの予算の総括質疑でしたでしょうか、かなりの間をとって、しかも野上純子理事は現場で二十五年間でしたか、教職に立たれてずっと子どもの教育に携われておられた方が、その教育の現場を踏んだ意見としてまた質疑をされておりますし、きょう、後でまた質疑があるんでしょうかね。
私は、やはりこういった学級の数というものは、ただ単純に数で決められるものではないと思うんですね。このクラスの規模がどのぐらいだということは、やっぱりさまざまな要素も勘案しなきゃいけないことだと思いますし、また、まず考えるのは、教師とか親ということの前に、児童のためにどういう体制が一番望ましいのか、それが私は先だと思うんです。これからの将来を支えていく子どもにとって、どういう形が一番いいのか、そういうことを私は思うわけですが、こうしたことを考えたときに、児童生徒が切磋琢磨し、互いに人間性、あるいは社会性、これをはぐくむための生活集団としての規模としては、今いった十五人とか十六人では少な過ぎる、私はそう思います。
最終報告でもこの点は触れられておりまして、こうした十五人とか十六人の小規模な学級を避けて、一定以上の学級規模を確保するためには、学級規模に最低人数を設けるような仕組みを設ける、そういった必要もあるのではないか、そのように私は考えます。
都の教育委員会では、これまで学級編制については、学習集団と生活集団としての機能を区分して対応してまいりました。特に生活集団としての機能を考える場合には、学級には一定規模が必要と述べておられました。今後この最終報告の方向で制度化が図られれば、区市町村へ学級編制権が移譲されることが想定されます。都の教育委員会としては、この学級編制についてどう考えているのか、改めて伺います。
○齊藤学務部長 都教育委員会といたしましては、生活のよりどころといたしまして、児童生徒が集団生活の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむためには、学校には一定規模が必要であると考えております。一方、児童生徒の確かな学力を育成するためには、教科等の特性に応じました少人数による指導が有効であると考えておりまして、基礎学力の向上に配慮してきめ細かな指導を行っていくためには、少人数指導の充実に努める必要があると考えております。
なお、文部科学省は最終報告を受けまして、学級編制に関する都道府県及び区市町村の権限について検討すると聞いておりますけれども、さきにお答えしましたとおり、その具体的な内容につきましては、現在明らかでございません。
○服部委員 こうした社会性を養うためには、生活集団としての学級は一定規模が必要であって、その上で習熟度別に少人数指導を行うという今までの都教育委員会の判断は、私は適切だ、そのように考えております。今後どのような制度改正になるのかわかりませんが、そういった視点を重視した取り組みをしていただきたいと、これは要望をさせていただきます。
また、教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告の中で、策定、実施すべきとしている次期教職員定数改善計画、これはどのようなものか、人事部長ですか、お願いします。
○松田人事部長 文部科学省は、教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議の八月の中間報告を踏まえまして、次期教職員定数改善計画案として、第八次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画案を、平成十八年度、文部科学省の概算要求に盛り込んだところでございます。
この計画案は、児童生徒の生きる力をはぐくむために必要となる確かな学力を身につけるため、第七次教職員定数改善計画に引き続きまして、個に応じたきめ細かな指導を充実徹底するとともに、新たな教育課題に迅速かつ的確に対応することを目的に策定されると聞いてございます。
この計画案の中で少人数教育の推進、少人数指導や習熟度別指導の充実、小一問題、不登校への対応など、さまざまな項目が示されておりますけれども、文部科学省では今後その内容等につきまして財務当局と折衝を進め、計画案を固めるということでございまして、現時点におきましては、その詳細は明らかになってございません。都教育委員会といたしましては、今後ともその動向を注視してまいります。
○服部委員 教職員の定数改善計画を実効あるものにするためには、教師の資質、能力の向上、こういったものがやはり重要だと思います。このための施策を教育庁の方もずっと取り組んでおりますけれども、やはり教師みずからの自覚も一番大事なことだと思います。そのことによって、教師そのものが児童生徒からも、保護者からも、地域の方からも信頼をされ、あるいは尊敬される、そういった存在になっていくのではないかな、私はそう思うんですね。
実はせんだって、白鴎高校中高一貫校の開校式もございましたし、その前に入学式がございました。そのときに私は非常に感銘を受けたんですが、米長教育委員が開校式のときにこう発言をされたんですね。いろいろお話しの中で、皆さん、きょうは入学式ですけれども、まだ卒業式の話は早いけれども、卒業式のときにはみんなで一緒になってごく自然に、「仰げばとうとし我が師の恩」という、そういった歌を自然に歌えるような、そんな学校にしていこうね、たしかそんな発言をされたんだと思います。私は全くそのとおりだと思うんですね。
やはり教師というのは、尊敬し、あるいは信頼される立場にあるわけだし、また、そういうことを世間も認め合いながらこれからも取り組んでいかなければならない。ですから、こういった教職員の定数の問題とかいろいろ出てくるんだけれども、本質的にやはりその辺を基本として据えた上で定数をどうしていくんだとか、あるいは学校をどうしていくんだとかというような方向に進んでいかなければならないのではないかと私は思います。ちょっと今質問からずれましたけれども。
それで、少人数の指導について、国の概算要求中でもあって、次期教職員定数の改善計画として正式に認知されているものではないということでしたけれども、少人数教育の推進に関する項目があって、そこでは少人数指導の充実が掲げられています。少人数指導は、習熟の程度や個人差に応じてきめ細かな指導を行うことのできる、極めて有効な指導方法といえます。都教育委員会が指定した研究推進校の報告によりますと、一人一人にとってわかる授業が展開され、児童生徒が学習への理解を深めたり、意欲を高めたりすることができるようになった。あるいは、複数の教員の協働体制により相互に研修し合う機会がふえ、指導力を高めることができたなどの成果が報告されています。ここまで成果を上げている少人数指導については、これからもぜひ引き続き取り組んでいっていただきたい。これは要望をしておきます。
ところで、小一問題ですが、この調査研究協力者会議の最終報告の中に、小学校低学年においてしっかりと生活習慣や学習態度を身につけさせることがその後の学校生活に大きな影響を与えるということが指摘されており、このようないわゆる小一プロブレムなどの課題に焦点を絞った対応が必要であるとしています。小学校一年生の入学期は非常に大切であると考えますが、この時期にいわゆる小一問題などという状況が発生するのは、まさにゆゆしき問題である。
そこでお尋ねいたしますが、そもそも小一問題とはどういう状況をいうのか、また、いつごろから問題として顕在化してきたのか伺います。
○井出指導部長 お尋ねのいわゆる小一プロブレムにつきましては、小学校に入学したばかりの一年生が集団行動がとれない、あるいは授業中に座っていられない、話を聞かない、そういった状態が数カ月にわたって継続する状況を指しているというふうに理解をしております。
小学校に入学直後の一年生が、生活環境や学習環境の変化に戸惑いや多少の不適応状態を示すことはよく見受けられることでございますが、落ちつかない状態がいつまでたっても続き、授業が成り立たない、そういった事例が教育関係者の間で話題になり始めたのは平成十年ぐらいであったかと記憶をしております。
○服部委員 私は常々、教育というのはやはり学校だけではなくて、家庭教育、また地域と一体となってこそ初めて教育の成果が上がってくるんだと思いますけれども、地域や家庭の教育力というんですか、これが非常にというか、近年低下していることも否めない事実かな。そのような中で、この小一問題というのは本来学校の問題というより、幼児期の教育ですね。いわゆる家庭におけるしつけ、こういったことに問題があるのではないか、このようにも考えます。授業が成立しにくいという問題の解決には、基本的な生活習慣とか学習ルールや規範意識、そういった社会性をきちんと身につける手だてが必要だと私は思います。
これは例えば国の教育基本法等の中に、家族の概念というのがやはりないんですね。私は、これは非常に問題だと思うんです。やはり私たちは、まず夫婦や、親子や、あるいは兄弟やといった一つの家族のきずなの大切さ、そういったものを本当に今、例えば、これは学ぶものかどうかといいますか、学校の中でそういったことは余り教育の現場としては聞こえてこないんですね。やはり個人の尊重だとかそういったことが、非常に国の教育基本法はそうであるようにいわれるんですけれども、家族ということをもう少し私はこの際見直す必要があるというか、当然のことなんですけれども、家族のきずなの大切さということをさらにやっていかなければならないという気がいたします。
東京都が提唱している心の東京ルール、これも例えばあいさつをきちんとする。これは家族同士でもそうですよね。そしてまた、我慢をするとか、目上の人を敬うとか、そういったしつけを保護者が自信を持ってすることから始めなくては、やはり根本的な解決は難しいのではないか、私はそう考えます。
こうした社会性は、多様な個性との出会いや集団の中でこそ育つものであり、実態の見きわめなしに、一律に学級の人数を少なくすれば解決するという問題では私はない、そのように思います。ただ、現実に、その後の人間形成にも多大な影響を及ぼす義務教育の入り口段階でこうした問題が起こっているとするならば、やはり家庭教育の充実を待つというわけにもなかなかいきません。
そこで、国の第八次教職員定数改善計画は確定したものではありませんけれども、小一問題への対応については改善計画案の改善項目としても盛り込まれています。都教育委員会はこうした国の動向を踏まえ、小一問題に取り組む学校現場を積極的に支援していくために、今後人的措置を含めた対応を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○松田人事部長 小一問題への対応についてでございますけれども、特に入門期におけるさまざまな課題につきましては、まず教員同士が協働し、組織的に取り組むことが何よりも重要であると考えております。
先ほどもご答弁いたしましたけれども、第八次の教職員定数改善計画の内容についてはいまだ確定しておりませんで、文部科学省では今後内容等について財務当局と折衝を進めるということでございますけれども、こうした学校現場での取り組みをさらに支援していく上でも、委員ご指摘の点も十分踏まえまして、今後国の動向を注視しながら、人的措置も含め、その対応について検討をしてまいります。
○服部委員 これで最後にいたしますけれども、この義務教育のあり方を考えた場合に、一定規模の学級を維持しつつ、少人数指導を充実させて、個に応じた指導の充実を図ることは大変重要な問題であります。
小一プロブレムへの対応も含め、本日ご答弁いただいた点を十分に踏まえて、今後都教育委員会は各学校の実態に応じた柔軟な対応策を検討し、取り組んでいってほしい。そのことを要望いたしますし、また、ついこれは先週でしたか、読売新聞に「公立『小中一貫校』検討」などという大きな見出しで示されておりました。
私は、都の教育庁は、今まで都立高校改革から始まり、ある意味では大胆に、そしてまた都民の要望にこたえながら取り組んでいただいた、そのことは大変成果として評価をいたしますが、これからやはり何といっても小学校、中学校、公立の一番基本の義務教育ですね、こういったことも今後どうあるべきか。もちろん国の中教審では今いろいろと議論もされているようですが、これは国にということではなくて、まず東京都が一つの教育のあり方を示すことも、義務教育の今後のあり方、そういった東京発のメッセージを示すことも私は非常に重要なことだと思いますし、ぜひこれからも当委員会を中心に議論をさせていただきながら、まさにこのことも、東京から国を変えるという石原メッセージにもつながっていくわけですから、ぜひひとつこれからも大いにご研さん、また我々と一緒に取り組ませていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○伊藤委員 それでは、質疑させていただきたいと思います。答弁の方をよろしくお願い申し上げたいと思います。
きのうだったでしょうか、十二歳の少年がまた親を殴った疑いがあって、それが死に至ったのではないかというような暗いニュースがありました。ここのところ、こういう子の親殺し、あるいは親の子殺しというものが本当に多いものですから、少し耳がなれてしまっているような、そんなこともありますけれども、こうした問題を学校のせい、あるいは家庭のせい、社会のせいと、いろいろ議論がありますけれども、どこか一つのせいにするということ自体が一つ議論としては誤った方向に行きかねないのかなというふうに思います。
基本的には複合的な要素とやはり社会全体の風潮であり、荒廃というものがあるのかなというふうに思いますけれども、きょうはこの教育行政の事務事業の質疑でありますので、教育行政における、まずは状況を認識していくということがそれぞれの分野において必要なことかと思います。
今この教育行政において特に暗いニュースといえば、時々新聞で見ますけれども、教員がわいせつな行為をして逮捕される、あるいは懲戒処分を受けるというようなことをしばしば目にいたします。このわいせつ事件を東京都教育委員会のせいだけにすること自体は、またさっき申し上げたように誤った議論に行きかねないと思いますけれども、まず状況を認識し、把握をするということが極めて重要だという観点から、ご質問をさせていただきたいと思います。
まず、平成十六年、去年、あるいはおととしにおいて、どれぐらいの教員がこうしたわいせつ、セクハラによる懲戒処分を受けたのかということについてお伺いをいたしたいと思います。日常的には、これは新聞報道等で出るたびに単発的に、捕まった、あるいはこういう処分があったということを記事として読むわけですけれども、しかし、年間としてまとまった数という形では私は目にしたことがありませんので、まずもって全体像をつかむという意味で、私の質問に対してお答えいただければと思います。
○松田人事部長 平成十五年度二十二名、平成十六年度十七名でございます。
○伊藤委員 今お話をいただいたのは懲戒処分を受けた教員数、これは東京都の処分ということになるかと思います。
続いて、このわいせつ、セクハラによる懲戒処分の処分数というのを今お答えいただきましたけれども、わいせつ、セクハラの中でも子どもが被害者になった場合と、あるいは例えば電車の中で痴漢行為をした、あるいは職員室の中でセクハラ行為に及んだというものとで質的に異なるかというふうに思います。
続いて、平成十五年度、十六年度同様に、それぞれの内訳、児童生徒が被害者になった場合と、それ以外の方が被害者になった場合の内訳を答弁いただければと思います。
○松田人事部長 いわゆるわいせつ、セクハラによる処分の中で、児童生徒が被害者となったケースは、平成十五年度は二十件、平成十六年度は九件でございます。それ以外の者が被害者となったケースは、平成十五年度が二件、十六年度が八件でございます。
○伊藤委員 今ご報告をいただいたとおり、平成十五年においていえば、二十二件中二十件が子どもが被害に遭ったということになるかと思います。
続いて、処分を受けた者のうち、警察によって逮捕されたという事例はそれぞれ何件になりますでしょうか。
○松田人事部長 処分を受けた者のうち、警察によって逮捕された者は、平成十五年度八名、平成十六年度五名でございます。
○伊藤委員 その処分を受けた者は、平成十五年度であれば二十二名、平成十六年度であれば十七名ですけれども、そのうち、免職、すなわち解雇というんでしょうか、首になった方はそれぞれの年度で何名になるでしょうか。
○松田人事部長 免職となった者の数でございますが、平成十五年度は十九名、平成十六年度は十二名でございます。
○伊藤委員 数字的な質問はこれが最後ですけれども、免職以外の処分、すなわち首にならなかったという方は、懲戒処分を受けた者の中でそれぞれどういう処分を受けているのか、十五年度、十六年度、各年度ともにお答えください。
○松田人事部長 免職以外の処分内容でございますが、平成十五年度は停職が三名でございます。平成十六年度は停職が三名、減給一名、戒告一名でございます。
○伊藤委員 実はこの質疑をさせていただいたのは、この大小を、すなわち平成十五年度であれば二十二名の懲戒処分、平成十六年度は十七名ですけれども、それが多い少ないを議論するためにあえて質問したわけでは全くありません。六万人でしょうか、教職員の方がいらっしゃるという中において、二十二人というのが少ないのか多いのか、十七名が多いのか少ないのかは、それぞれ立場、あるいは考え方によって異なるかというふうに思います。しかし、実態把握を常日ごろからされていかれる--あるいは子どもを預けていらっしゃる親御さんにとっても、今どういう実態にあるのかということを、東京都教育委員会を通じて実態に即したものを常に把握できているということが、東京都教育委員会に対する信頼にもつながるのかなというふうに思います。
実はその体験的なお話を少しだけさせていただきますけれども、私は十三年ぐらい前まで中学校におりました。という意味では、比較的この部屋の中でも現実の中学校の現場というものを見てきたのかなというふうにも思います。
区立の中学校でありましたけれども、実はその中学校において一つの事件が起きました。これは冬休みにスキー教室があって、そのスキー教室のインストラクターという形で音楽の先生が指導に当たっていたわけでありますけれども、そしてその夜に一人の女の子が、ホテルに泊まっていたわけですけれども、そのホテルの教員の部屋に呼ばれたという事件がありました。その後に何が起きたかは、私もまだ当時中学生でありましたから、つぶさには存じ上げませんけれども、しかし、うわさにはなりました。被害に遭ったのではないかという話になりました。
そして、それがPTAの正式な機関にかかったかどうかはわかりませんが、主要な親御さんの耳に入り、児童にも入ってまいりましたけれども、結果どうなったかといえば、区の教育委員会に上がったかどうかも私は存じ上げませんし、東京都教育委員会に上がったかどうかもわかりません。わかりませんが、その教員がほかの学校に転校いたしました。そして、次の学校でも我々は少し関心を持っていましたので--我々というか、当時は親ですけれども、親が関心を持っていた。次の学校でも同じようなことが起きたというようなことを後ほど聞きました。
すなわち、これはどういうことなのかということであります。それは恐らく区の教育委員会に報告が上がらなかったのではないか。あるいは、東京都教育委員会にも上がらなかったのではないか。ある意味で野放しにされてしまったというものを私自身が体験として見てまいりました。そういう意味では、どこまで実態というものが現実的につかまえられるのかというのもこれからの課題なのかなというふうに思いますけれども、私自身のそうした体験を踏まえた上での今の質問をさせていただいたということだけ申し加えさせていただきたいと思います。
そして、今内訳を教えていただいた限りにおいていえば、平成十五年度、平成十六年度ともに、ほとんどの方々が免職、すなわち、もう学校の教育現場にはいられないということになっているわけでありまして、こうした毅然とした対応というのは本当に一罰百戒ということにつながるかと思いますので、今後ともこうした対応をもって、こうした行為に及ばない抑止力というものを発揮していただきたいというふうに思うわけでありますけれども、東京都教育委員会としては、免職にならなかった者に対し、すなわち停職あるいはそれ以外ですけれども、再発防止のため、どのような取り組みを行っているのか、お答えいただければと思います。
○松田人事部長 服務事故を起こした教員が二度と不祥事を起こさないように、私どもは服務事故再発防止研修を実施いたしまして、それを受講させております。その中で改めて教育公務員としての自覚や法令遵守の意識を浸透させております。なお、その際には監督者である校長にも同研修を受講させまして、指導監督の徹底を図っております。
○伊藤委員 ぜひそうした指導というものを今後とも続けていただきたいというふうに思うわけですけれども、この免職にならなかった者以外にも事前的な、予防的な研修等があるかというふうに思うんですけれども、教員のこうした事件、事故の防止に向けてどのような対応を全般として行っていらっしゃるか、お答えください。
○松田人事部長 都教育委員会は、教員の服務規律の確保に向けまして、服務通達による通知、事故防止のためのパンフレットの配布、校長研修や教員研修における事例研究等を通じまして、随時注意を喚起しております。また、教員にさらなる自覚を促しまして、服務事故の防止を徹底するために標準的な処分の量定を示すとともに、懲戒処分につきましては原則としてすべて全件公表いたしまして、特に懲戒免職となる事例につきましては、氏名、学校名を公表しております。また、処分発令後、直ちに公表資料を区市町村教育委員会及び都立学校長に送付をいたしまして、校長連絡会等において詳細に説明するなど、随時情報提供等を通じまして事故防止の徹底を図っているところでございます。
○伊藤委員 ありがとうございます。ぜひそうした取り組みを今後ますます強化していただきたい。特に懲戒処分者を公表するということは、こうした事故、事件の抑止力にもなろうかと思いますので、努めていただきたいというふうに思います。
あわせてお伺いしたいんですけれども、このところ、こういう事件、事故が多くなっているんじゃないかというようなご指摘を私も周辺の方からよくいただきます。これが何をもってふえたとか、あるいは減ったというのは非常に難しいわけでありますけれども、一つの参考としてお伺いをしたいのは、一番最初の質問との比較の中で、平成元年時の懲戒処分を受けた者というのは当時何名であったか、お答えをいただきたいと思います。
○松田人事部長 平成元年におきますわいせつ、セクハラによる処分件数でございますが、三名でございまして、うち免職二名という状況でございます。
○伊藤委員 平成元年というのは、すなわち十六年、十七年前になるのかというふうに思います。その当時は三名だったということで、これはいろんな原因が考えられるのかなと思います。当時は公表、あるいはこういう事件そのものが一般化していなかったので通報件数が少なかったとか、あるいはどこまでがセクハラで、どこまでがわいせつなのかということも、今の方がある意味では厳正だというふうに思いますので、当時そういう、いってみれば基準なりというものがなかったのかなというふうにも思いますけれども、しかし、事実として数字でいうならば、免職者が二名、全体の懲戒処分者が三名ということでありますので、去年、おととしと比較をしても、これは五倍、六倍に現在に至ってはなっているというのは事実だというふうに思います。
これも先ほど申し上げたように、東京都教育委員会に責任があるんだということを私は申し上げるつもりは全くありません。しかし、一方で再発防止策に取り組んでいただくのは東京都教育委員会であることはこれまた間違いありませんので、この東京都教育委員会として、わいせつ等の事故が増加していることについて、どのようにお受けとめになられているか、また、服務事故に対して毅然と今後とも対応していただきたいというふうに思いますけれども、決意を含めてご答弁いただければと思います。
○松田人事部長 お話しのように、近年教員によるわいせつ、セクハラなど悪質な服務事故が後を絶たない実態がございます。一部の者の行為とはいえ、教員全体に対する都民の信頼を損ねる結果になっていることはまことに遺憾に考えております。
都教育委員会といたしましては、教育公務員について、児童生徒の教育に直接携わることから、一般の公務員と比べまして高い倫理観が求められると考えております。そのため、服務事故を起こした教員については厳正に対処したところでございます。
今後とも、こうした考え方に立ちまして、服務規律の確保に向けて事故者に対し毅然たる姿勢で対応するよう、区市町村教育委員会及び校長に対する指導を一層徹底してまいりたいと考えております。
○伊藤委員 この件についてはこれで最後にしますが、わいせつ、セクハラの被害に遭った児童生徒というものが当然この事故の件数だけいるわけですけれども、こうした児童生徒においては、体のみならず大きな心の傷というものも負うかというふうに思います。この点の心のケアについてどのように取り組みをされているか、お願いいたします。
○井出指導部長 教員によるわいせつ行為やセクシュアルハラスメントの被害に遭った児童生徒に対して、学校では担任や養護教諭等がスクールカウンセラーや教育相談員等と連携を図りながら、当該児童生徒の心のケアを行ってございます。
しかし、学校だけで対応することが困難な事例や緊急性がある事例等につきましては、学校、あるいは家庭からの要請に基づきまして、東京都教育相談センターが専門職員、あるいはアドバイザリースタッフ等を派遣いたしまして、児童生徒に対してきめ細かく心のケアを行っているところでございます。
○伊藤委員 ありがとうございます。ぜひケアも充実をしていただきたいと思います。学校長にゆだねられている部分が大きいかと思いますけれども、学校長も一律の方ではありませんから、こういう心のケアの行き届く方とそうでない方といろいろいらっしゃると思いますので、その点、ぜひご留意をいただきながら対応いただければというふうに思います。
続いて、児童虐待防止に関する質問をさせていただきたいと思います。これも暗い話になりますけれども、児童虐待が大変増加をしている。これもある意味では、今まであったものが少し水面下から、その水面より上に上がってきたのかもしれませんけれども、しかし、いずれにしてもそういう虐待がふえてきているのは事実であるかと思います。
これも解決の道筋というものがいろいろあって、これ一つをやれば済むんだということはないと思いますけれども、一つは、今まさにこのタイミングでも、ひょっとすると家庭の中で暴力を振るわれている子どもがいるかもしれません。どれだけそうした子どもを救っていけるかということが、ある意味行政であり、あるいは地域住民の人たちの、いってみれば、ある種義務でもあるかというふうに思いますけれども、それを見つけてあげるということが極めて重要でございまして、暴力を振るっている親が自分で自己申告してくるわけはありませんから、周りの人たちが気づいてあげる。
そういう意味においていえば、私も学校の先生一人に全部の責任を負わせるつもりは全くありませんが、しかし、児童と日常的に触れ合う機会がある、あるいはあざを見つけたり、傷を見つけられるというのは、日常的に触れている教員というものの果たす役割は大きいのではないかと思っています。そういう意味では、地域のコミュニティがどんどん低下をしている、これは事実でありますから、そういう事実を前にしますと、学校の先生の果たしていただかなければいけない役割というのも増加をしているというふうに思います。
一方で、その取り組みとして、この人権教育プログラムという、東京都教育委員会がおつくりになられている、これはコピーですけれども、厚い冊子があります。読ませていただいたんですけれども、この中に、早期発見のためにということで、児童虐待の早期発見のために、児童生徒への理解を通してということで、どういうことを発見した場合は児童相談所、これはもちろん校長先生等を通じてですけれども、してくださいねということが書いてあるわけです。ですから、こういうものを活用してもらうということは非常に重要なことだろうと。いってみれば、学校の先生にとっても、どこまでを通報していいのかがやはりどうしてもわからないというのがあるかというふうに思います。
中には、必要以上に丁寧な言葉遣いやあいさつをした場合ということもあるんですが、これはある意味ではいいことなので、どっちなのかわからない。児童虐待があったからいい言葉遣いをしているのか、あるいは非常に行き届いた教育を受けているからなのかわかりません。いずれにしても、そういうあいまいな点というのがあろうかと思います。
大事なことは、本当に学校の先生たちがこういうものを通じて早期発見に取り組んでいただいているかどうかということ、実際に使われているかどうかということが極めて重要でありまして、そういう観点から質問させていただきたいと思いますが、この児童虐待について教育委員会は、学校から児童相談所への通告件数、一年間にどれぐらい学校を通じて児童相談所に児童虐待がありましたという通告があった、報告があったということを調査しているのかどうか、ご答弁ください。
○井出指導部長 学校から児童相談所への通告件数に関して調査をしているかというお尋ねでございますが、都教育委員会としては調査をしてございません。
○伊藤委員 非常に大事なことだと思うんです。すなわち、いい冊子をつくっていただいた。しかし、一方で児童相談所というのも当然東京都の組織でありますし、こういうものを使ったかどうかは別にして、通報がどれだけ学校から相談所に入ったかということを、本来であれば、私は調査をぜひしていただきたいというふうに思います。
事実、私が調べさせていただいた限りにおいていえば、平成十六年度ですけれども、経路別虐待相談件数というのがありまして、これを別の所管から出していただきました。全体件数が三千二十六件あって、近隣、知人というのが八百七十件余り、家族からが四百件余り、学校等、幼稚園を含むんですけれども、これが三番目で三百七十五件、その下がぐうんと離れて、警察等から百七十件、福祉事務所から百三十七件と、やっぱり学校の果たしている役割というのは大きいんじゃないかなと、この中からもわかります。
いってみれば、近隣、知人、家族というのは、近隣はまさに地域住民の方、家族ですけれども、それ以外の第三者、知人も第三者ですけれども、もう少し地域から離れた第三者という意味では学校が第三番目に来ているということですから、本当にこれは重要な問題だと思います。ぜひ今後は、同じ都庁の組織でありますから、こうした相談件数も把握をしていただいて、これもぜひぜひブラッシュアップを重ねていただきたいというふうに思うんです。
児童虐待について、福祉保健局の調査では今申し上げたとおりでありましたけれども、児童虐待の早期発見には学校の果たす役割が大きいというふうに思うんですけれども、教育委員会として今後の取り組みを教えていただければと思います。
○井出指導部長 都教育委員会では、東京都教育相談センターや区市町村教育委員会等から得られました事例等を踏まえて、児童虐待の早期発見のための学校が果たすべき役割などを掲載した人権教育プログラムを活用し、教員研修等において周知徹底を図っているところでございます。また、平成十六年六月には全公立学校に対して、都教育委員会が作成しましたチェックリストを配布し、学校が児童虐待を早期に発見できるよう指導、助言をしているところでございます。
○伊藤委員 ぜひ、せっかくいいものをつくっていただいているので、これが本当に使いやすいのかどうかも、現場の先生たち、校長先生たちの意見を踏まえて、いいものをさらにより充実していただければというふうに思います。本当に声を発せられない被害に遭っている子どもというのが今まさにいるんだという認識を持っていただいていると思いますが、ぜひ持っていただき、なお一層の取り組みをしていただければというふうに思います。
もう一つ大きな意味では、最後の質問になりますけれども、またこれも暗い話で申しわけないんですが、いじめの問題です。不登校といじめの問題を少しさせていただきたいと思います。大変恐縮ですけれども、もう少しおつき合いいただければと思います。
私も区議会におりまして、区議会の文教委員会にいさせていただいたときに、不登校の件数というのが区の教育委員会に上がってきて、それが文教委員会に報告がありました。大体その一年間に小中学校でどれぐらい不登校者数がいるかということが報告があるわけですけれども、その中でどういう原因で不登校になっているかという内訳がついてございました。その内訳を見ていきますと、いろいろあるんですね、病気等々とあるんですけれども、残念ながらその中にいじめや暴力という項目が、実ははっきりした形では書いてないということでございまして、文教委員会にいた当時、質疑をさせていただき、その席で議論になったのは、では、不登校者数の中でいじめや、あるいは暴力行為が原因となって今学校に来ていない児童というのがゼロなんですかというふうにいったら、数字上ゼロですという回答が返ってきました。それは実態と全くそぐわないのではないかなということを私は当時感じました。
そのお話をまずさせていただいた上で、公立小学校、中学校における不登校等の実態把握、不登校者数、児童生徒は何人いらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。
○井出指導部長 不登校児童生徒の数でございますが、平成十六年度の不登校児童生徒数は、小中学校合わせて八千六百九十六名でございます。
○伊藤委員 ありがとうございます。結構な人数だと思います。八千六百九十六名が学校に来ておらない。家庭の事情等、いろいろこれも複合的な要素があるんだと思いますけれども、しかし、これも多分、何年前にさかのぼることが比較としていいのかわかりませんが、とうの昔はここまで多くのお子さんたちが家から出てこないということはなかったのではないかなというふうに思うわけです。
しかし、その中でも、どうしても病気、あるいは精神的な病があって出てこられないという方は、これはまた別途その解決策を考えなければいけないんだろうというふうに思いますけれども、いじめや暴力行為が、校内におけるそうした問題が不登校の原因になっているんだとすれば、これは学校、もちろん地域、そしてPTAを含めた家族と取り組んで、全員でこれを解決していく道筋というものを模索していかなければいけない。明確な解決策はこれもなかなかないかもしれませんが、しかし、そのためにも実態把握が必要なのではないでしょうかという思いを持っています。
そういう意味では、いじめや暴力行為がきっかけとなった不登校の件数を正確に把握する必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○井出指導部長 都教育委員会では不登校に関する調査を実施してございますが、不登校となったきっかけは複合的なものが多うございまして、理由をいじめや暴力行為など一つに特定することは難しい事例が多くなっております。ご指摘のいじめや暴力行為がきっかけとなった不登校の件数につきましては、調査上、友人関係をめぐる問題という項目の中に含めて把握をしてございます。
○伊藤委員 もちろんよくわかります。何がいじめだ、どこまでがいじめだということもあると思います。しかし、例えば学校の中で、これは本当にあるんです。僕も実は、十三年前ですけれども、うちの中学校も本当に荒廃しまくっていましたから、事実、日常的にいじめの度を超えたいじめ、あるいは学校の先生に対するいじめは本当にありました。例えば週に一回は、どれぐらい荒廃していたかということの一つの事例になるかもしれませんが、窓ガラスが割れます。月に一回は警報ベルが鳴ります。そして、学校の先生が半年に一回ぐらい殴られて、血を流しながら廊下を歩いている、これは本当にあるんです。何も僕はストーリーをつくっているわけでも何でもなくて、私が見てきた、これが学校の現場の事実です。
この学校現場において、じゃ、それを東京都教育委員会や区の教育委員会が本当に把握していたんだろうかということは、私は正直いって疑問を感じています。これを把握することが解決策の第一歩だというふうに思います。この観点でいえば、確かにいじめということを友人関係の延長線上のトラブルなんだということでくくってしまうと、本当の意味で例えば子どもがどこかに呼び出されて殴られている、あるいは恐喝を受けてかつあげをされているという事実関係、あるいはその件数が見えてこないというふうに思います。
ですから、当然はっきりといい切れないものもあると思いますが、逆にいえば、はっきりいい切れるものも事実あると思います。そのはっきりといい切れるものが年間で何件あるかは、やってみなきゃわかりませんけれども、しかし、いい切れるものがある以上、そういう調査というのをちゃんとやって、東京都教育委員会として把握をして、把握をした上で議論をしていただき、どういう解決策があるんだろうかということ、それがスタートだと思いますので、こうした実態の把握の必要というものが私はあるというふうに思うんですけれども、東京都教育委員会として見解はいかがでしょうか。
○井出指導部長 児童の問題行動に関する調査はさまざまな方法で行っております。今後はより原因等が解明できるような形に加えまして、きめ細かな調査、そしてそれに伴う指導をしていきたいというふうに考えております。
○伊藤委員 これで最後ですけれども、まず第一段階は、今くどくどお話をさせていただきましたけれども、実態の把握ということが重要でして、ある校長先生からお話をいただいたんですけれども、さっきの学校の中における児童に対するわいせつ等、発覚を学校の中でした場合、学校長はどういう判断をするかという話を少し聞かせていただきました。そうすると、当然校長の立場としては区の教育委員会に上げなければいけないというふうに思うわけですけれども、しかし一方で、教職員、ほかの人の目からすると、あの校長は上の組織にこれを密告したの、チクったのというふうに思われてしまう。そのあつれきが実は両方にあって、本当に報告を十分にしやすい環境になっているかというと、なかなかそうなっていないんだということがありました。
ですから、特にこういう今お話をさせていただいて質問させていただいた問題というのは、なかなか表に、当然だれしもかかわった、あるいは関係にいる方々は出したがらないというふうに思いますけれども、しかし、それを出すことによって世の中がよくなるんだということがある場合、ぜひ東京都教育委員会としてもそうした報告のしやすい体制というものを整備していただき、そしてそれを公表していただくことで、これは当然被害者にも十分な注意を払っていただきながらですけれども、抑止力につなげ、そして実態を把握することで今後の解決策というものをぜひ模索していただきたいというお願いを申し上げて、質問を終了させていただきたいと思います。
○野上(純)委員 私も、何点かにわたって質問させていただきます。
まず最初に、食育についてです。
現在、子どもたちを取り巻く食環境の変化や食生活の乱れ、例えば偏った栄養摂取、朝食をとらない欠食、一人で食べる個食あるいは肥満や思春期やせ症といわれる過度の痩身の問題など、食に関する問題が顕在化しております。子どもの栄養改善だけでなく、家族形成や人間性の育成など、食を通じた子どもの健全育成、いわゆる食育の視点を踏まえた取り組みが大切であります。都議会の中で初めて食育という言葉を取り上げた関係もありまして、今回質問をさせていただきます。
この食育に関する国の取り組みとしては、平成十四年に農林水産省の食の安全国民会議を発足させて、食と農の再生プランというのを発表いたしました。そして、食育元年といわれる平成十六年一月に開かれた第一回ニッポン食育フェアに、これは小泉総理も出席されて、政府の食育に対する力強い取り組み姿勢を内外にアピールしたわけです。平成十六年五月には食品の安全基本法が成立し、翌月六月には経済財政諮問会議が発表した経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四の中に、食育を推進するため、関係行政機関が連携し、指導の充実、国民的な運動の展開に取り組むという方針が盛り込まれたわけです。こうした動きを受けて、第百五十九回の通常国会において、与党の公明党と自民党が共同して食育基本法を制定する準備を始めたわけでございます。
そして、今回私が特に質問したい部分なんですけれども、文部科学省は栄養教諭制度を創設し、平成十七年度から施行することになったという流れがございます。食に関する指導に関しましては、食に関する指導資料集を出していただいて、非常に現場から好評を博しております。とても使いやすい資料集だという声をよくお聞きいたします。
今、学校栄養職員を、学校栄養士というんですか、それぞれの学校に配置しておりますが、中には二校に一校、三校に一校という学校もあると思うんですけれども、学校栄養職員に対して都教育委員会がどのような支援策を行っているのかについてお伺いいたします。
○齊藤学務部長 都教育委員会といたしまして、本年二月に都立学校における健康づくり推進計画、これを策定いたしております。この中の重点項目に食に関する指導の推進を位置づけまして、食に関する先ほど出ました指導資料集でございますけれども、これを各公立学校に配布いたしまして、三月にこれに関する説明会を開催しております。八月には学校栄養職員を対象に年間指導計画に基づく食に関する指導法の研修を実施いたしております。今後、十一月には各公立学校の学校栄養職員、保健主任、それから養護教諭等を対象といたしまして、食に関する指導研修会を開催し、本年度実施した食生活実態調査の結果及び調査結果を活用しました食に関する指導の実践例を報告いたしまして、食に関する指導体制の一層の充実を図ってまいります。
○野上(純)委員 一度は継続審議になりましたけれども、やっと平成十七年の七月に食育基本法が施行されました。食育の重要性の認識が高まり、学校における食に関する指導の推進が求められています。そしてまた、この調査研究協力者会議の中にも食育の充実という項目がございまして、食に関する指導の重要性が指摘される中、平成十六年、学校教育法の改正により新たに栄養教諭制度が整備されたと。
また、平成十七年六月に食育基本法が制定され、食育の指導にふさわしい教職員の配置、教職員の意識啓発、その他食育に関する指導体制の整備が国及び地方公共団体の責任であることが明記された。このため、栄養教諭、学校栄養職員等の配置の充実を図り、食に関する指導などを通じて、食に関して児童生徒に対する、個に応じたきめ細かな指導が徹底される体制づくりを行う必要があるということが書いてあるんですけれども、栄養教諭職員については、先ほどもいいましたけれども、都道府県教育委員会の判断により配置をされることになっております。東京都における栄養教諭の役割が明確でないことなど、いろいろ課題があると思いますが、ぜひ東京都においても精力的に検討されることを要望いたします。
教諭とつくと、指導時間数が明確に決定されないとか、新たな教員配置による財源確保がなされないとか、さまざまな課題があることは重々承知をしておりますが、今後検討していかれることを望みます。
次に、学校医について質問いたします。
現在、学校医なんですけれども、児童生徒の不登校、自傷行為など、学校においては多くの問題が多様化しております。未成年の喫煙、飲酒の増加、薬物乱用の顕在化、性感染症の増加など、深刻な問題になっています。都の教育委員会は、このような児童生徒の危機的状況のもと、第二十五期東京都学校保健審議会答申を受けて、本年二月に都立学校における健康づくり推進計画を策定し、児童生徒の自己管理能力の育成や健康的な生活習慣の確立を理念として、さまざまな取り組みを展開しているところは評価できるところでございます。
各学校では、これまで児童生徒の健康診断、保健指導や健康相談等を担う学校医が学校保健法に基づいて任用されております。児童生徒の健康づくりを担う人材の有効活用が大変重要となっております。
そこで、学校医の活用について伺います。現在各学校に学校医が配置されておりますけれども、年間勤務の実態、相談の状況や報酬はどうなっているのかをお伺いいたします。
○齊藤学務部長 都立学校における学校医の勤務状況でございますけれども、平成十六年度の年間平均勤務日数でございますが、来校、電話相談を含めまして、内科医、これが十一・三回、眼科医五回、耳鼻咽喉科医四・七回でございます。学校医の主な勤務内容でございますけれども、学校保健委員会への参加、児童生徒の健康診断の実施、疾病の予防措置及び保健指導、健康相談等でございます。報酬は月額四万一千百円となってございます。
○野上(純)委員 年間に十一回から四、五回来て、月額四万一千円、年間で大体五十万弱の報酬をいただいているという学校勤務医でございますけれども、現在、内科、耳鼻科、眼科領域の学校医が配置されております。歯科とかもありますが、本当に必要な学校医というのが今、例えば精神科医であったり、妊娠やエイズの問題、性の問題を含めて産婦人科医などの専門医の相談も必要としている学校もあります。教育委員会の考えをお聞かせいただければと思います。
○齊藤学務部長 都教育委員会では、児童生徒の心の健康問題の増加に対応するため、学級担任、それから養護教諭等の相談対応能力の向上のために、平成十五年度からモデル地区におきまして都立高校に精神科医を派遣しております。今後、派遣地区を拡大いたしまして、相談活動を充実させてまいります。
それから、性感染症の増加を初め産婦人科領域の相談にも教員が適切に対応できますよう、東京都医師会の協力のもと、モデル高校に産婦人科医を派遣いたしまして、学校相談活動のあり方を今後検討してまいります。
○野上(純)委員 こうした都教育委員会が児童生徒のさまざまな健康課題に適切に対応できるよう、都立学校における健康づくり推進計画の重点プランに専門医の学校相談活動を位置づけて拡充されていこうとしていることは大変意義があることと思います。今後とも、各学校が設置運営する学校保健委員会へ学校医の積極的な参加を推進するとともに、学校医が児童生徒の健康相談に積極的にかかわるよう、都教育委員会として東京都医師会などに強く要請していただきたいと思います。
次に、主幹制度について伺います。
主幹の配置ですけれども、都教育委員会が平成十五年度から計画的に主幹を配置し、完成時には小学校には二人、中学校に三人、全日制高等学校に六人の主幹を配置することとしております。制度発足以来三年がたちます。平成十七年度の配置状況は、小学校においては配置計画の五六%にとどまっていると聞いております。一方、受験状況を見ると、平成十六年度、平成十七年度選考の受験者も横ばい状況であると聞いており、この主幹配置が当初計画どおり達成されるか、危惧をしている者の一人でございます。
そこで質問ですけれども、主幹選考に応募する人が減少しているということをよく聞いているんですが、その原因について都教育委員会はどのように認識をしているのか、伺います。
○松田人事部長 主幹の受験者数の減少の理由についてでございますが、主幹の職務の多忙さ、あるいは他校への異動に対する不安感、処遇面で必ずしも十分でないなど、さまざまな意見があることは承知をいたしております。しかしながら、私ども都教育委員会といたしましては、学校において校長がリーダーシップを発揮し、計画的に主幹の育成を図っていくような組織的な取り組みがいまだ定着していないことによることが大きいものと考えてございます。
○野上(純)委員 中間管理職的な要素があり、上から下からといろいろな圧力があって、大変な職務だとは思うんですけれども、魅力のある対策として給与上の処遇はどういうふうになっているんでしょうか。
○松田人事部長 給与上の処遇につきましては、一般教員と比較いたしまして、高校の主幹では五十歳代で試算をいたしますと、給料月額で一万五千六百円、年収ベースでは約二十五万円高いものとなってございます。
○野上(純)委員 二十五万円という金額が、主幹をやっていく上ですごく価値のあるものかどうか、そこら辺は個人によっていろいろとらえ方が違うと思うんですけれども、給与面もそうですが、主幹のメリットをもっと明確に出して、希望者が増加するような対策をとることが必要ではないかなと思っているんですが、都教育委員会の見解はどうでしょうか。
○松田人事部長 都教育委員会におきましては、教員の給与制度検討委員会が八月に職責、能力、業績をより反映した給与処遇の必要性があると報告をしたところでございます。また、十月十四日の人事委員会勧告におきましても、教員給与について職責、能力、業績重視の観点から見直すことが必要であると報告されております。勧告された給料表によりますと、一般教員と主幹、教育管理職の給与上の処遇の格差は、若干ではございますが、拡大をしております。主幹のみならず、教育管理職を含めた職責、能力などを重視した給与制度が重要でございまして、今後とも人事委員会など関係機関に働きかけ、職責などをより反映した給与制度の構築に向けて取り組んでまいります。
○野上(純)委員 校長先生も積極的に主幹受験をするように働きかけ、また女性がなかなか受験する割合が少ないということをお聞きしておりますので、女性もそういった人材として掘り起こしていただいて、働きかけていただいて、主幹応募がふえてくるようにしっかりと支えていっていただければと思います。
次に、指導力不足教員についてお伺いいたします。
これは質問をしようと思った本当の理由というのは、精神疾患の方がだんだんふえているので、それを何とかしてもらえないかという要望がちょっと多いので質問したわけですが、特に今回は指導力不足教員だけに限って質問させていただきます。
都立学校の教員にも教科指導や生徒指導の指導力が不足している教員が多くおり、これらの教員に対して指導力不足等教員として認定していると聞いておりますが、この際、相当に厳格な事務手続を求めております。それはなぜでしょうか。
○松田人事部長 指導力不足教員につきましては、長期にわたり学校を離れまして、最終的には教員の身分にかかわることもございますことから、厳格な事務手続をとっております。
○野上(純)委員 指導力不足教員で、教育センターの中で研修をし、一年か二年たって分限処分で、ほかの職場に行かされるか、あるいは自分みずから退職するかというような形になってくると思うんですが、身分を失うということで最終的には裁判とかになって、そのときに証拠としてこれだけの指導記録がありますよというようなものが必要なんだと思うんですが、この指導力不足教員を起こすときにも非常に煩雑な事務手続が要るということで、申請しようと思うんだけれども、これだけの量の書類を書かなくちゃいけないということになると、やはりためらってしまって、申請するのをやっぱりやめようというようなことになってしまうわけなんですね。そういう意味で、校長、あるいは副校長の事務負担を軽減するような改善はできないんでしょうか。
○松田人事部長 校長の事務負担の軽減についてのご質問でございますが、私ども都教育委員会は、平成十六年の九月から個々の教員の能力、適性等に応じて、より的確な指導育成が行われるよう、職務実績記録の整備や指導育成策を導入しております。指導力に問題がある教員につきまして、よりきめ細かな指導を行うよう徹底したところでございます。こういった制度の導入を踏まえまして、今後指導力不足等教員の事務手続につきまして、校長の負担の軽減を図ることができるような方策について検討してまいりたいと考えております。
○野上(純)委員 指導力不足教員については、学校現場から外して研修を受けさせるにしても、また退職させるにしても、相当に難しいことは理解できます。しかしながら、教員の指導力不足による影響を受けるのは児童生徒であります。このためにも、指導力不足教員への対応を検討することが必要であると考えます。その意味からも、今国の中教審で協議されている教員免許状の更新制度が論議されております。私も都議会議員になって最初の一般質問で教員免許の更新を提案したことを覚えておりますけれども、こうした免許状の更新制度を早期に導入することを強く求めておきます。
次に、校長の業績評定について質問いたします。
都立学校長の業績評定は本庁で実施しているとのことですけれども、これはどのように行っているのか、お伺いいたします。
○松田人事部長 都立学校長の業績評価は、自己申告書におきまして、年度当初に設定した職務目標等について、年一回実施している学校訪問及び年二回の校長からのヒアリング等を通じまして、その成果や達成度を確認し、評価をしているところでございます。
○野上(純)委員 校長の業績評定は、目標の達成度を中心として評価しているということなんですが、さまざまな課題が山積する学校現場で目に見える成果を上げることは大変難しいことと思います。例えば不登校の子が三十人いたのが二十人になったとか、中途退学者が百人だったのが八十人になったとか、やはりどちらにしてもそれはマイナス評定になってしまいます。結果も大事ですけれども、目標を達成するプロセスをきめ細かに把握し、評価することが大切であると思います。
しかし、現在のように本庁で評価するとなると、全部で学校が二百何十校かありますよね。管理スパンが広過ぎて、校長の学校経営を十分に把握するには無理があるんじゃないかと思います。来年度、都教委は経営支援センターを設置するとしておりますけれども、校長の業績評定を支援センターで実施するのはいかがでしょうか。
○松田人事部長 学校経営支援センターは、学校の身近な存在といたしましてきめ細かな学校訪問を行い、学校経営や教育活動の状況をより詳細に把握することとしております。校長の業績評定につきましても、第一次評定については学校経営支援センターで実施する方向で検討してまいります。
○野上(純)委員 ぜひそういうふうにきめ細かな単位で行うことによって、年一回の学校訪問ではなく、例えば月一回のペースで学校の訪問をしたり、あるいは校長先生の人間的な側面とか、評定になじまないような温かい部分も浮かび上がってくるのではないかと思いますので、ぜひ学校経営支援センターをうまく活用して、学校長の業績評価をしていただければと思います。
最後に、国の中央教育審議会の審議について大きく報道がされておりますけれども、義務教育をめぐるさまざまな課題について、今大きな見直しの方向に来ております。国の義務教育改革の大きな流れについては私は支持するものでありますが、今回の義務教育国庫負担制度をめぐる論議についても、義務教育自体をどのような方向に持っていくかをきちんと見据えながら結論を導いてほしいと考えております。
そのような思いを込めながらきょうは、義務教育改革の一環として、十月三日に取りまとめられた教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告において打ち出された内容について、改めてお伺いいたします。
先ほど服部理事さんからもありましたけれども、今回の最終報告では、学校や市町村教育委員会の権限と責任を強化する学級編制制度の見直しと、教育現場における新たな課題に対応するための次期教職員定数改善計画の策定が提言されております。特に学級編制の制度的見直しについては、これは極めて影響が大きい課題でございます。最終報告を受けた今後の学級編制に関する制度改正については、次期通常国会に法案が提案され、具体的な施行は平成十九年度からになるという話も聞いておりますが、これからどのようなスケジュールで進められていくのでしょうか。
○齊藤学務部長 制度改正が今後どのような日程で行われるのか、また、いつから施行されるかにつきましては、文部科学省の方から正式には伺っておりません。ただ、九月に行われました文部科学省初等中等教育局の概算要求説明会がございましたけれども、そこにおきまして次期定数改善に係る法律改正、これにつきましては、次期通常国会で行う。ただ、新たな制度を平成十八年度から実施することは難しいとの見方が示されてございます。
○野上(純)委員 現在、制度改正の検討が進められているが、その内容を平成十八年度すぐに施行することは難しいという文部科学省の説明もあったとのことであります。ここで改めて、現在の制度的な仕組みについて、確認のために押さえておきます。現在の区市町村立小中学校の学級編制の仕組みはどのようになっているのか、その制度的な背景も含めて説明を願います。
○齊藤学務部長 現在の制度でございますけれども、区市町村立小中学校の学級編制につきましては、現在国が定めます標準に基づきまして都教育委員会が学級編制に係る基準を設定いたしまして、区市町村教育委員会が都教育委員会の同意を得て学級編制を行うことになっております。これは区市町村立小中学校の教職員の人事、それから給与負担につきまして、その円滑な実施を期して都道府県は行うこととなっておりますことから、教職員の定数管理、これと深く関係する学級編制について都道府県に権限を与え、責任を重くしているものでございます。
○野上(純)委員 この学級編制に関しましては、詳しく書いてありますけれども、例えば三十人学級編制の実現についても書いてあります。仮に全国一律に三十人学級編制を実現する場合には、増加教員定数が約十一万人で、国、地方を通じた給与所要額が年間約八千億円、教室の増加に要する経費等を含めると莫大な財政負担を伴うことになる。現時点では、実現可能性が極めて低いものと思われる。
もう一つ、三十人学級編制とした場合、一学年三十一人の場合は、先ほどもありましたけれども、十六人と十五人の二クラスに分かれる。児童生徒が切磋琢磨し、互いに人間性、社会性をはぐくむための生活集団の規模としては小さ過ぎるのではないか。さらに、地域、学校、学年ごとに抱える課題や状況もそれぞれ異なっていることなどから、学級編制の標準を全国一律に引き下げるという画一的な取り組みではなく、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取り組みを可能としつつ、これまで進めてきた少人数教育を一層充実させることが効果的であるということが書いてあるんです。したがって、次期教職員定数改善計画の策定に当たっては、国がナショナルスタンダードを確立し、地方がその上にローカルオプティマムを実現することを基本としているということが盛り込まれております。
今回の最終報告において、四十人の学級編制の標準を全国一律に引き下げることはせずに、学級編制に係る学校や市町村、教育委員会の権限と責任を強化する必要があるということが特にこの中でも強調されております。
そこで、学級編制等の制度改正の内容は、具体的に、都道府県と区市町村の関係についてですけれども、どのようなものか伺います。
○齊藤学務部長 今回の最終報告では、具体的な方策といたしまして、義務標準法による教職員定数につきましては、現行の都道府県ごとから市町村ごとの算定に改めること、学校や設置者である市町村教育委員会の判断で学級編制を弾力的に実施するようにするなど、仕組みを見直す必要があるというふうにいたしております。
しかしながら、文部科学省では、今回の最終報告を受けまして、学級編制に関する都道府県と区市町村の関係を今後どのようにするかについて検討するとのことでございますので、現在のところ、明らかになってございません。私どもとしては、今後の文部科学省における具体的な検討経緯を十分注視してまいります。
○野上(純)委員 先ほどと同じように、やはり具体的にどうなるのか、はっきりしていないということですけれども、いずれにしても区市町村教育委員会や学校現場の混乱を招かないように十分配慮していただきたいと思います。また、学級の考え方については、これまでの審議においても申し上げてきたところですけれども、少子化、核家族化が進む中で、子どもたちが豊かな人間関係を結び合える場として学校に対する期待は大変大きく、基本的な生活習慣や社会性を身につけていくためには、私はやはりある程度の学級規模は必要であると考えております。
先日もご相談がありました。男の子は十二人で多いんだけれども、女の子が五人しかいないと。全部で十七人のクラスで、六年間この同じ人間関係の中で過ごしていくわけですけれども、うまくいけば、仲よくいけば兄弟のようになって、とてもいい六年間が過ごせるだろうけれども、ちょっと人間関係がいびつになってきたときに、たった五人の女の子--女の子というのは結構人間関係が難しいんですよ。そういう意味で、うまくいくかどうか、とても心配をしているというお母さんからのお話を聞きました。もう少しやはりある程度の学級規模が必要ではないかと私は思っております。この点について、都教育委員会の考え方を改めて確認しておきます。
○齊藤学務部長 都教育委員会といたしましては、児童生徒が集団生活の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむためには、学級には一定規模が必要であると考える。その一方で、児童生徒の確かな学力を育成するためには、習熟の程度等に応じました少人数による指導が有効であると考えております。基礎学力の向上に配慮いたしましてきめ細かな指導を行っていくため、少人数指導の充実に努める必要があると考えております。
○野上(純)委員 まだ国の制度改正の内容は明らかになっていませんが、都教育委員会としても、こうした考え方は引き続き基礎に置いて取り組みを進めていただきたいと思います。
こうした大きな制度が変わろうとしている中で、今、学校教育に対する都民の最大の関心事は学力問題であります。次代を担うすべての子どもたちが確かな学力を身につけ、自立した大人へと成長することは私たちの願いでもあり、責務でもあります。学力向上には、日々の学習指導の充実が何よりも大切であります。この最終報告でも詳しく書いてございますが、ちょっと時間の関係でもう飛ばしますけれども、学習指導の充実をして、少人数指導の拡充に触れ、より多くの教科において少人数指導が可能となるようにすべきであると述べられております。
私もかねてから申し述べてきたように、複数の教員が協力をして指導する体制を組み、組織的に取り組む少人数指導は、単に人数が少ない少人数学級よりも、児童生徒の学習指導に大きな効果があると考えております。
そこで改めて伺いますが、小人数指導の効果について、どのように考えていますでしょうか。
○井出指導部長 少人数指導の効果についてでございますが、習熟の程度や興味、関心の違いなど、個人差に応じた学習集団を編成して指導できることから、一人一人の児童生徒にとってわかる授業を展開することができ、学力向上が図れること。それから、より多くの教員や友達とかかわることができ、児童生徒に向上心や協調性など、社会生活に必要な資質や能力が身につくこと。また、複数の教員が協力して指導計画の立案、教材作成などを行うことから、教員としての指導力を高めることができること。さらに、学習のおくれがちな児童生徒への指導や不登校などの問題を担任が一人で抱え込まず、組織的に対応できることなどが挙げられます。
このように少人数指導の効果は明らかであり、今後とも引き続きこの充実を図ってまいりたいと考えております。
○野上(純)委員 これまで多くの学校で実績を積んできた少人数指導をより一層充実し、東京の子どもたちの学力を向上させていただけますように要望しておきます。
ところで、この教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告は、同じく学習指導の充実の項で、いわゆる小一プロブレムへの焦点を絞った対応の必要性に触れております。小学校低学年の場合、学級とは別に学習集団をつくるよりも、基本的な生活習慣や学習態度の育成のために生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが効果的と考える。このため、例えば三十五人学級などの少人数学級編制や副担任など、教員の複数配置による指導などが可能となる教職員配置とすべきであるというようなことも少し書いてございます。私も、小学校一年生での学習のつまずきは、後の学習に大きく影響するものと思います。
東京都は、いわゆる小一プロブレムへの対応として、平成十六年四月に策定された東京都教育ビジョンの中で、幼稚園、保育所と小学校の三者がそれぞれの指導や保育の内容を正しく理解し合い、連携を強化する中で、就学前から小学校への連続性を重視した教育を工夫し、実施していかなければならないと、教育内容にかかわった提言をしております。東京都教育ビジョンがいうように、いわゆる小一プロブレムへの効果的な対応は、単に児童の人数を減らすといった対症療法ではなく、教育内容の連続性を重視した教育の工夫が重要と考えますが、都教育委員会は現在どのような対応をしているのでしょうか。
○井出指導部長 お話しのように、いわゆる小一プロブレムに代表される入学時の不適応状態の改善には、幼稚園、保育所と小学校の三者が幼児期の教育、小学校の教育との内容を正しく理解し、相互の関連や系統性を明らかにして滑らかな接続を図ることも効果があると考えております。
このため、都教育委員会は、平成十七年度から小学校への円滑な接続を図る就学前教育の推進事業を新たに実施いたしまして、幼稚園、保育所と小学校との接続期のカリキュラムを構築するための研究を進めているところでございます。
○野上(純)委員 就学前の教育と小学校教育では、学習内容にも大きな差があります。また、幼児期の過ごし方も、幼稚園や保育所によってさまざまです。小一プロブレムは、さまざまな原因が絡んで起こっているものであり、家庭のしつけはもちろん、こうした学習環境の変化にも左右されるもので、学級の人数に原因があるという短絡的な問題でないことは明白です。小一プロブレム等の解決には、複数の教員が協力して指導する体制をとり、学校が組織的に取り組む少人数指導は、担任が一人で問題を抱え込まないことから効果的であると考えられております。また、教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告で、学習指導の充実の項には、小一プロブレムの対応として教員の加配についても触れられております。
そこで、都教育委員会は、国の動向を踏まえ、小一プロブレム対応として今後人的支援についてどのように取り組んでいくのでしょうか。
○松田人事部長 小一問題への対応についてでございますが、特に入門期におけるさまざまな課題につきましては、まず教員同士が協働し、組織的に取り組むことが何よりも重要であると考えております。先ほどもご答弁させていただきましたけれども、第八次教職員定数改善計画の内容につきましては、いまだ確定したものではなく、今後とも国の動向を注視していく必要があると考えておりますけれども、こうした学校現場での取り組みをさらに支援していく上でも、委員お話しの点も踏まえまして、今後人的措置を含め、その対応について検討してまいりたいと考えております。
○野上(純)委員 私は、学校の実態に応じた柔軟な人的支援は、児童の学力向上の面からも意義あることと考えます。今後は、都教育委員会の研究やモデル事業の成果が公立、私立、幼稚園、保育所等の別なく、東京都全体で東京都すべての就学前児童に還元されるよう努めるとともに、国の動向を踏まえ、人的な措置についても柔軟に検討いただきたいことを要望して、質問を終わります。
○村松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩をいたします。
午後二時五十三分休憩
午後三時十四分開議
○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いいたします。
○大山委員 私は最初に、少人数学級について質疑いたします。
先日、日本教育新聞を読んでいましたら、中村正彦教育長のインタビューが載っていました。そのインタビューの最後に教育長は、子どもが生き生きと暮らせるような学校にしていきたい、そのために今考えられる最善の教育を子どもに与えられるようにすることが、教育長に与えられた大きな使命だと感じていると語っています。
教育長のこの発言は、私もそのとおりだと思います。東京の子どもたちが生き生きと学校で学んで成長していく上で、都の教育行政にとって重要な条件整備の一つに少人数学級の問題があると思います。国でもこの問題について、この間、教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議で調査検討が行われてきました。先ほどからお話がございますように、十月三日に今後の学級編制及び教職員配置についての最終報告が出ました。この会議というのは、中央教育審議会義務教育特別部会から今後の教職員配置について、文部科学省において具体的、専門的に検討されたいとの要請を受けて設置されたものです。重要な最終報告ですから、報告の中身にも立ち入って質疑していきたいと思います。
ちょっとつけ加えておきますけれども、この協力者会議には前教育長、現副知事の横山洋吉氏もメンバーとして入っているという会議ですね。
その最終報告の中で、平成十三年度から学級編制の弾力化が始まって、都道府県が児童生徒や地域、学校の実態を考慮して、特に必要があると認める場合には、四十人を下回る学級編制基準の設定が可能となったわけですけれども、その後、平成十六年度から義務教育国庫負担制度において総額裁量制が新たに導入された結果、全国の自治体ではどうなったと報告しているでしょうか。
○齊藤学務部長 今度の最終報告では、平成十六年度から義務教育費国庫負担制度におきまして総額裁量制が新たに導入され、各都道府県ごとの標準定数と各都道府県ごとの平均給与単価により算定される国庫負担金の範囲内で都道府県が柔軟に教職員給与や教職員定数を決め、地域や学校の実情に合わせた活用ができるようになった。その結果、上記学級編制の弾力化と相まって全国的に四十人を下回る学級編制が進み、平成十七年度には四十五道府県において全学年、または一部の学年で少人数学級が実施されているといたしております。
○大山委員 学級編制の弾力化と総額裁量制によって少人数学級に踏み出した自治体は四十七都道府県中四十五の道府県に広がったということですね。残されたのは東京都と香川県の二県だけということになっています。最終報告でも紹介されていますけれども、少人数教育の効果について文部科学省が十七年四月に調査していますけれども、少人数指導と少人数学級それぞれを実施した学校に、そのどちらの方が効果があると思うかという質問をしています。その結果はどうなっていますか。
○井出指導部長 文部科学省が平成十七年四月に実施した調査によりますと、少人数指導を実施している学校で学級編制人数を引き下げた方が効果的であるという項目に、とてもそう思う、そう思うと答えたのは、小学校では八一・八%、中学校で八六・八%でございます。また、少人数学級を実施している学校で、少人数指導、チームティーチングの方が効果的であるという項目に、とてもそう思う、そう思うと答えた者は小学校で三〇・六%、中学校で四二・二%という報告になっております。
○大山委員 つまり最終報告では、少人数指導、習熟度別を実施している学校は、クラスの人数を少なくした方が、つまり少人数学級の方が効果的だというふうにいっているわけです。少人数学級を実施している学校では、やはり少人数学級がよいといっているわけですね。全国の実践している学校でこういう調査結果が出ているということは、非常に注目に値することだというふうに思います。
最終報告で、諸課題への対応という項で学習指導の充実というのがありますけれども、とりわけ小学校低学年での少人数教育についてどう報告していますか。
○井出指導部長 最終報告によりますと、生活環境や学習環境が著しく変化する小学校低学年において、しっかりと生活習慣や学習態度を身につけさせることが、その後の学校生活に大きな影響を与えるということが指摘されており、このようないわゆる小一プロブレムなどの課題に焦点を絞った対応が必要であると述べられております。実際、小学校低学年の場合、学級とは別に学習集団をつくるよりも、基本的な生活習慣や学習態度の育成のために生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが効果的と考えられるとも述べられております。このため、例えば三十五人学級などの少人数学級編制や副担任などの教員の複数配置による指導などが可能となる教職員配置とすべきであると報告をされております。
○大山委員 全国の実践を踏まえて、とりわけ小学校低学年では生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが効果的であるというふうに結論をしている、これは非常に重要なことだと思っています。
先ほど来、習熟度別のお話がありましたけれども、私たちは習熟度別の教育を全面否定しているわけではありません。先生たちが必死になってその条件の中で取り組んで、よい実践報告がされているのも知っています。東京都は、こうやって習熟度別の実践はしていますから、その評価は先ほど来できているわけです。しかし、東京都自身は少人数学級を実践していませんから、習熟度別と少人数学級を比較検討することはできないわけですね。そんな中で全国で実践しているところの調査も踏まえ、比較検討して、とりわけ小学校低学年では生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが、子どもたちのことを考えたら効果的だという結論を導き出したわけですから、これは重要なことだと思います。
十五人、十六人で云々という話がありますけれども、これは別に強調されているわけではなくて、例えば本文を読みますと、仮に三十人学級編制とした場合、一学年三十一人の場合には十六人と十五人の二クラスに分かれることとなるが、児童生徒が切磋琢磨し、互いに人間性、社会性をはぐくむための生活集団の規模としては小さ過ぎるのではないかという意見もあるという書き方ですから、決して別に強調されているわけではないというふうにいえます。本文は、結果は、全国の調査、そして実践している少人数学級と習熟度別のを比較した調査も踏まえて、とりわけ小学校低学年では生活集団と学習集団が一致することが重要なんだという結論を導き出したわけですね。
先ほど来、小一プロブレムの件でも発言がありましたけれども、これは大分前から問題になっていることですね。いろんな原因があるわけですけれども、例えば子どもの体について長年研究されている日体大の教授をされていた正木健雄さんは、本来だったら乳幼児期につけておく力、大体小学校に入学するまでにはついていた興奮と抑制、これをコントロールする力がついていない子どもが多くなっているという研究なんかも出ていますけれども、何よりも子どもの発達段階に応じた力をつける、これが不可欠なんだということだと思うんですよ。じゃれつき遊びなんかはいいんだとかというふうにいわれているわけですけれども、どういうふうに子どもにかかわるのかということを、やはり乳幼児期の子育てへの支援、これはますます求められていることだというふうに思いますし、ただしかればいいというものではないということもいい添えておきます。
最終報告の具体的方策として、制度の改善について検討が行われて、学級編制の仕組みの改善についても提言されています。その内容について紹介してください。
○齊藤学務部長 学級編制についてでございますけれども、最終報告では、学級編制の制度につきまして、例えば義務標準法による教職員の標準定数の算定、それから学校や市町村教育委員会の判断による学級編制の弾力的な実施などの学級編制の仕組みの見直しとともに、現在四十五道府県で少人数授業が実施されていることや、学校現場での判断で少人数学級編制を可能とすることが求められていることなどから、これまで例外的な措置とされてきました四十人を下回る学級編制が自由に選択できる制度とする必要があるとされております。
○大山委員 この最終報告の中にもありますけれども、そうやって編制ができるようにするということに方向はなっているわけですけれども、国がその財源を理由に少人数学級の全国的実施を見送ったというのは、これは遺憾なことだと思っています。しかし、四十人を下回る学級編制を、先ほどご答弁されたように独自に選択できる方向に踏み出すことは当然です。現在でも加配教員を活用すれば、少人数学級に踏み出すことは可能です。
こういうもとで都内の区市町村の願いはどうなのかというところなんですけれども、例えば十八年度の市長会の予算要望では、学級編制についてどう要望が出されていますか。
○齊藤学務部長 東京都市長会の平成十八年度東京都予算編成に対する予算要望でございますけれども、国の学級編制の弾力化を踏まえ、少人数の学級編制が可能となるよう、一学級四十人という東京都の学級編制基準の見直しを図られたい、また、そのための財政負担の拡大を国に対して働きかけられたいとの内容となってございます。
○大山委員 市長会の要望も、この少人数の学級編制が可能となるようにということで求めているわけですね。先日お母さんたちにお話を聞いたんですけれども、小学校一年生、入学しているとき、いわゆる小一プロブレムということにもなるんでしょうけれども、入学式で校長先生の話が長かったんですね。そうしたら、さっさとしろよと、クレヨンしんちゃん状態だったとか、小学校一年生に入学した子が、たくさん勉強したからもう勉強は嫌だ、こういう子がいたとか、大変な状態だったということなども話していましたし、小学校六年生のこのお姉ちゃんのクラスは、一年生のときから二十五人から二十六人の前後のクラスだったんですね。クラスの友達と仲がよくて、五、六年生になっても放課後学校で一緒に遊んでいるというんですね。やはり生活集団と学習集団の一致ということの大切さではないかと思っています。信頼関係がある集団で子どもの力は十分に引き出されるということなんですね。
最近の都政新報で紹介されている話なんですけれども、川崎市の小学校の例です。この小学校の一年生は二十五、二十六人ずつのクラスに分けられています。全員授業に集中していると記事に書いてあるわけですね。同校の渡部和美校長は、先生の目が届くから気が散らないのね、それに二十五人だから元気がないなんて思わないでしょう、とても活発なのよとほほ笑んでいたというふうに紹介されています。こうやって現場でも、そういうわけですね。
都内の区市町村議会ではどうかということなんですけれども、第三回定例会、それから決算の委員会がみんな各区市町村議会で行われているわけですが、それぞれで取り上げられているんですね。各自治体の答弁の特徴というのは、やりたいけれども、東京都が同意してくれないというものが多いというのが、議事録を見て、話を聞いての印象なんです。例えば文京区、足立区などの区議会では、国や都の動向を見守るというふうに答弁していますね。東大和の市議会では、国と都に強く要望。それから、都教委に申請しても、今のところ同意されることはない、こういうふうに答えています。
清瀬の市議会でも、学校では校長が学級の状況に応じて少人数指導や少人数学級を弾力的に行っていけるようにすることが必要だというふうに考えておりますと、きちんと考えを述べているんですね。今後も教育長会で要望していきたいというふうに思いますというふうに答弁をしているんです。お母さんたちも、子どもも、自治体も、それから議会も少人数学級を求めているということなんですね。
東京都は、この願いを正面から素直に受けとめて最終報告で打ち出された方向をきちんと踏まえ、区市町村の判断で加配教員などを活用して少人数学級に踏み出すことを希望したら、これを尊重して実現できるようにすることが求められているわけですけれども、どうでしょうか。
○齊藤学務部長 区市町村の判断による加配教員を活用する少人数学級についてでございますけれども、限られた教職員定数の活用につきましては、教育効果という観点から、都教育委員会が主体的に判断すべきものと考えております。少人数教育につきましては、学級に一定規模が必要である一方、基礎学力の向上に配慮してきめ細かな指導を行っていくためには、少人数指導の充実に努める必要があるものと考えております。
なお、先ほども申し上げましたけれども、文部科学省は最終報告を受けた学級編制に関する都道府県及び区市町村の権限につきましては、今後検討するということでございますけれども、その具体的な内容については、現在のところ、全く明らかになってございません。
○大山委員 全く明らかになっていないから、東京都はどうするということなんですか。
○齊藤学務部長 今後、文部科学省の動向を含めて、国の動向を注視してまいります。
○大山委員 きちんと本当は実施するというのが当然だと思いますけれども、この最終報告と同時に第八次の義務教育諸学校教職員定数改善計画の案ですけれども、学力向上支援の改善事項で小一問題、不登校への対応というのがありますけれども、内容としては、小学校一年生の問題や不登校への対応のため、副担任の配置や三十五人程度の少人数学級編制が可能となっています。まさに最終報告の線だと思うんですけれども、これにどう対応するんでしょう。
○松田人事部長 第八次の教職員定数改善計画案で示されました小一問題、不登校対応という項目につきましては、これはあくまで小一問題に限定した対応といたしまして、学力向上支援の項目の中で児童生徒支援策として例示されたものでございます。先ほどもご答弁いたしましたけれども、都教育委員会といたしましては、小一問題への対応は、まず教員同士が協働し、組織的に取り組むことが何よりも重要でございまして、さらにこうした取り組みを支援していくため、今後、人的支援を含めた対応について検討していく必要があると考えております。
なお、平成十八年度概算要求に盛り込まれました第八次定数改善計画につきましては、文部科学省が現在その内容について財務当局と折衝を進めているということでございまして、今後その動向を注視してまいりたいと考えております。
○大山委員 人的支援を含めた対応について検討していくということですけれども、そのようにしてほしいと思いますし、この最終報告で示されている全国で実施しているところの少人数学級、そして習熟度別のを比較した調査の検討の結果を踏まえての最終報告、子どもたちも、先生も、お母さんたちも、議会も、それから自治体も少人数学級を望んでいる。まさに東京だけが少人数学級に踏み出さない理由というのはないわけですね。全国や国の流れもはっきりしています。今考えられる最善の教育を子どもに与えられるようにすること、教育長がおっしゃっていましたけれども、その大きな使命を果たすためにも、東京でも少人数学級に踏み出していくことを強く要望しておきます。
次ですけれども、児童養護施設と学校の連携について質問します。
東京都の児童養護施設というのは都内に四十六カ所あります。児童虐待の件数が非常に多くなってきているというのは、児童虐待の相談件数の増加で明らかになっています。二〇〇〇年度は全都で千九百四十件だったんですけれども、昨年度、〇四年度は三千十九件です。
どうして教育庁の事務事業概要質疑で被虐待児の話をするかといいますと、子どもたちにとって学校との関係、これは切っても切り離せないものだからです。とりわけ児童養護施設に入所してくる児童生徒に被虐待児が多くなっています。虐待を受けることによって心の傷は非常に深くなっています。ですから、児童養護施設には心理職員の配置もされています。
虐待を受けた子どもは、虐待の種類、暴力だとか、それからネグレクトだとか、性的虐待、言葉での虐待、そういう虐待の種類を問わずに、不安やおびえ、うつ状態などの情緒的、心理的問題を示すことが多いことは、福祉局が出した児童虐待白書にも書かれています。平成十六年二月の調査では、児童養護施設に入所している児童生徒の五六%が被虐待児です。先日お話を伺った児童養護施設では、例えば里親に行った先で虐待を受けて児童養護施設へ戻ってきたケース。この子は不登校になってしまって、乱暴な行動をとってしまうというようなこと。
さらに、三人兄弟で真ん中の子が虐待によって死亡してしまう。兄弟にとってはどんなにつらいことなのか、その心の傷というのは本当に想像するだけでもつらくなってしまうようなことですけれども、そんな体験を中学生の上の子とそれから小学生の下の子が体験しているんですね。下の子は小学校四年生ですけれども、ほかの子や先生に攻撃的になってしまう、その心の傷がさまざまな形であらわれているわけです。学校でも、心の傷が深いゆえにさまざまな問題を起こしてしまいがちです。
大学の研究室の調査ですけれども、他の児童生徒に対する攻撃的な言動があるとか、教員に対する攻撃的な言動、それから教室から抜け出して校内を歩き回るとか、授業中落ちついて着席できなかったり、奇声だとか反抗、それから授業の妨害、パニックを起こしたり、学業不振になってしまう。これらがいろいろとあるということが研究の報告でされています。
小中学校の先生たちは本当に大変ですし、何よりもそういう心の傷を負って子どもが情緒的、心理的に不安定な状況になってしまう、そういう子ども本人自身、これが本当に子どもたち本来の姿になれるように何とかしてあげなければならないというふうに実感しているわけです。
児童養護施設が学区域内にある学校、これは被虐待児が集中するわけですから、これは大変なことだと思うんですけれども、どう認識していますか。
○井出指導部長 学区域の児童養護施設の有無にかかわらず、指導上課題のある児童生徒に対しては、学校が関係機関等と緊密な連絡を図りながら、連携を図りながら、一人一人の児童生徒に応じたきめ細かい学習指導や生活指導を行うことが大切であるというふうに考えております。
○大山委員 虐待がある、なしにかかわらずというふうに一般的に答弁されたわけですけれども、虐待を受けた子が多くて、情緒的、心理的問題を起こすことが多い。つまり、指導上課題がある児童生徒がより多く学校に通学する、その学校に行くというわけですから、よりきめ細かい対応が必要だというふうにいえるわけですね。児童養護施設は、地域や学校との関係を重視していますから、よい関係をつくろうということで努力してきたわけですね。子どもたちのことでも、多くの児童養護施設と学校は連絡を密にしてきています。ところが、虐待を受けて入所してくる児童生徒が、さっきいったみたいに、児童養護施設では五六%にもなってしまっているということでは、学校自体も大変になってきているんですね。
先日伺った児童養護施設では、学校からつい先日も、一学年一クラスずつの学校ですから、今度入所してくる子が同じ学年なんですね。同じ学年にもう一人いるんですけれども、だから、何とか違う学校に行ってもらえないだろうかというふうに相談が来たというんですよ。ですから、その養護施設と学校と話し合って、何とかその子は学区域内の小学校で受け入れてもらうことになったんですけれども、そこの養護施設では、学区域の違う小学校や中学校へ何人か通っています。
それは、一概に学校が悪いということではないんです。丁寧に見てあげたくても、受け入れ体制がないということなんですね。さらに、虐待によって学業がおくれてしまうということはしばしばあることで、児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律が施行されて、それには、国及び地方公共団体は、虐待を受けたために学校での学業がおくれてしまった児童についても、その年齢及び能力に応じ、十分な教育が受けられるようにするため、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等、必要な施策を講じなければならないとなっていて、周知徹底を図るために教育委員会にも文部科学省から通知が来ていますね。講じなければならない、ねばならないという義務になっている法律です。都教委としてどうしようとしていますか。
○井出指導部長 児童虐待の防止等に関する法律第十三条の二第二項は、各地方公共団体が従前からの取り組みを検証し、新たな施策が必要かどうか判断するという趣旨の規定であると受けとめております。今後とも都教育委員会は、法改正の趣旨を踏まえ、児童生徒が充実した学校生活を送ることができるよう支援してまいります。
○大山委員 法改正の趣旨を踏まえて、児童生徒が充実した学校生活を送れるように支援するのはもちろんなんですけれども、従前から取り組んでいる現状を検証しというふうにおっしゃっていましたが、法が改正されてから検証はされたんでしょうか。
○井出指導部長 具体的に通知等を発して検証等はしておりませんが、こういったことにつきましては、児童相談所、あるいは学校、あるいは区市教育委員会等から情報が寄せられることがございますので、ただいまはそういったものをとらえて判断をしているところでございます。
○大山委員 検証しているわけではないけれどというご答弁ですが、改正法の趣旨を踏まえというふうにおっしゃるんだったら、やはりきちんと検証するべきだと思うんですよ。子どもたちがどうなっているのか、それから受け入れている学校がどうなっているのかということをきちんと検証して、何が必要なのかということを区市町村だとか、児童養護施設だとか、当該の学校などとも一緒に考えていくということが必要だというふうに思いますし、ぜひそうしてほしいと思っているんです。
この法律が改正された後に、例えば都外にある東京都の児童養護施設、そしてその児童養護施設の学区の小学校なんですけれども、やはり一学年に一クラスしかない学校なんですね。虐待を受けた児童が二年生に去年三人いたんです。落ちつきがなかったり、友達に手を出してしまったり、教室を出ていってしまったりという実態がありました。学業もおくれてしまっています。学習も教室では成り立たないということもあったというんですね。どうしたらいいのかということを何度も何度も施設と学校と話し合いを持って、三人いるから情緒障害児の学級ができるということで、県にも持ち上げてそれが許可されて、今年度から情緒障害児の学級をつくったというんですね。
その学校の校長先生に私はお話を伺いました。校長先生は、子どもたちの実態があるなら、それを改善するために力を出さないといけない。ことし三年生になってしまいましたが、もっと早く対応してあげればよかったと、とっても控え目におっしゃっていたんです。こうやって子どもの実態があるから、やはりどういうふうに具体的な手だてをとろうか、それがやはり本来の教育の姿ではないかというふうに思うんです。それが求められていると思いますけれども、どうですか。
○齊藤学務部長 情緒障害学級を含めまして、心身障害学級の設置につきましては、都教育委員会は区市町村教育委員会からの協議に基づきまして同意を行う立場にあります。第一義的には、その必要性も含めまして区市町村教育委員会が判断すべきものであるというふうに考えております。
なお、あくまで情緒障害学級につきましては、制度上、情緒障害が認められる児童生徒に対象が限られておりまして、児童虐待を受けたことのみを理由としてその対象とすることはできないものというふうに考えております。
○大山委員 区市町村の教育委員会から申し出があれば、東京都はそれを尊重するんだということですけれども、もちろんこの学校も、虐待を受けているだけで情緒障害児学級に行きなさいというわけじゃなくて、虐待を受けたために心の傷によって情緒障害があるんだから、何とか手だてをとろうということで、この学校は情緒障害児学級をつくったわけですよね。
ですから、実態を見て、きちんと検証するなら検証して、何が必要なのかというのをきちんと現場で話し合えるように、東京都教育委員会にも文部科学省から通知が来て、徹底してくださいよというふうにいわれているわけですから、やはり情緒障害児学級であるかもしれないし、TTを利用するのかもしれないし、補助的な教員をつけるかもしれないしということを、あらゆることを一緒に考えればいいことなんだというふうに思うんです。児童養護施設は東京都が子どもを措置しているわけですから、都としても積極的に対応してもらいたいと思っています。
ところで、東京都社会福祉協議会の児童養護施設の部会の皆さんと懇談を行ったと聞いていますけれども、やはりこれは重要なことで、共通認識を持っていくというのは重要だと思うんです。引き続き懇談を重ねることが必要だと思いますけれども、どうですか。
○井出指導部長 必要に応じて参加することもあるというふうに考えております。
○大山委員 やはり児童養護施設と学校と教育委員会と共通の認識を持つというのは重要なことですから、ぜひ積極的に意見交換をして、実態も把握して、共通認識も深めてもらいたいと要望しておきます。
児童養護施設と学校との関係で東京都社会福祉協議会は調査を行ったわけですけれども、その都社協が東京都に求めているのは、一つは児童養護施設で生活をする児童虐待を受けた児童等の教育権の保障について、区市町村の教育委員会へ必要な対策を講じられるように早急に通知を出すこと。二つ目が、児童福祉施設を校区内に有することから、児童虐待を受けた児童等が集中する学校の教育条件を充実させること。それから三つ目が、情緒障害児学級などの増設ということで、三つを求めているんですけれども、それはもう聞いていると思いますが、どう考えていますか。
○井出指導部長 都教育委員会では、虐待の有無にかかわらず、これまで区市町村教育委員会と連携し、一人一人の児童生徒に応じてきめ細かい学習指導や生活指導の充実に努めてきておりまして、改めて通知を出す考えはございません。また、学区域に児童養護施設を有する学校の教育条件の充実や情緒障害児学級の増設などについては、学校の設置者である区市町村が適切に判断すべきものであるというふうに考えております。
○大山委員 きょうはこのぐらいにしておきますけれども、児童虐待が増加して、新しい問題としてあらわれてきていることなんですね。同時に、今後ますますふえていくことが予想されることです。今回私が取り上げたのは、児童養護施設のある学区域の学校との関係ですけれども、問題が集中しているところで経験をつくっていく。これによって、その経験を全体に広げていくことができるわけですから、ぜひ前向きに取り組んでいってほしいと思います。
次に、外国人の日本語教育について質問をします。
外国人の日本語教育ですけれども、日本人も親御さんの転勤で外国に行って生活をしている児童生徒も多いわけですけれども、日本に来ている外国人の子どもたちも多いですね。私、地元の新宿ですけれども、商売だとか勤務で外国人が多くいます。それだけに子どもたちが、どこの国にいても教育を受ける権利を保障することが求められています。国際人権規約では、初等教育は義務的なものとしてすべての者に対して無償とするなどと定められて、日本も七九年に批准しています。日本語がわからないで日本に来た子どもたちが、日本での学校教育をわかる授業にするためにも、日本語教育は欠かすことができないわけです。子どもの人権にかかわる問題として責任を持つ必要があるという問題です。
そこで、資料要求として日本語学級の設置の資料を出してもらいました。その一ページと二ページを見ますと、全都で日本語学級に通っている児童生徒は足しますと六百十一人になります。「東京都の国際理解教育」というパンフレットをいただいたんですけれども、この後ろのページに東京都公立学校における外国人児童生徒の状況という資料がついています。これを見ますと、日本語指導が必要な外国人児童生徒数は、小中学校を合わせますと、昨年度で千四百十二人です。この六百十一人というのはことしの数字ですけれども、ほぼ横ばいだということで、引き算しますと約七百五十人は日本語学級には行けていないということなんですね。わからない授業を受けざるを得ないということですから、これは本人にとっては大変苦痛であるということと同時に、教育を受ける権利を侵していることになりかねない状況です。
外国人であろうと、日本人であろうと、どの子にも確かな学力をつけることは東京都の責任だと思いますが、どうですか。
○井出指導部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携しながら、国籍等の区別なく、すべての児童生徒が確かな学力を身につけることができるよう、各学校を指導してまいります。
○大山委員 どの子にも、国籍に関係なく、きちんと確かな学力をつけることができるようにということですが、日本語学級のほかにも各区市町村で日本語の教育が必要な児童生徒には特別な手だてをとっているところが多いわけです。例えば新宿だったら、小学生は五十時間、中学生は六十時間の日本語適応指導として、まずは全く日本語がわからない子どもに対してマン・ツー・マンで母国語がわかるバイリンガルの人を派遣して、さらに必要に応じて二十時間プラスするというような制度があるわけですが、各区市町村で日本語指導が必要な外国人の児童生徒の指導についてさまざまな取り組みがあると思いますけれども、どんなことを行っていますか。
○井出指導部長 区市町村教育委員会は、それぞれの判断に基づき日本語学級を設置するとともに、地域の実情に応じまして、日本語指導加配教諭の活用、語学指導員の配置、通訳補助員の派遣、日本語適応教室の設置など、日本語指導が必要な外国人児童生徒への指導を行ってございます。
○大山委員 それぞれの自治体でも努力をしているわけですね。例えば新宿の場合だったら、適応指導が終わったら、日本語学級があるところは日本語学級に通うし、日本語指導教員の加配がいるところでは、その学校の中で授業を受けながら日本語教育を受けるわけですね。ほかの学校では、通常学級にいる子にTTで指導などということもあるわけですけれども、新宿で日本語学級を設置している小学校というのは大久保小学校というのがあるわけですけれども、どちらかの親が外国人、両親とも外国人という子どもを含めると、六割方が外国系の児童生徒ということなんですね。現在十二カ国の子どもたちが在籍していて、資料にもありますけれども、タイ語や韓国・朝鮮語、中国語、フィリピノ・タガログ語、英語、スペイン語、もっとあるわけですね。現在は四十人が学校内の通級学級に来ているんです。二クラス分で教員は三人。日本語学級は週に五、六時間、つまり一日に一時間は日本語学級に来ることができます。
私も授業参観したんですけれども、ちょうど二年生の男の子が四人で机を向かい合わせにして、先生も一緒に座って教科書を読んでいたんですね。手紙が来るのを待っているガマ君が「本当」という言葉を発するんですが、その文脈からガマ君はどういういい方をするのかというふうに先生が聞くんですね。その四人の中でも、この子はわかっていそうだなという子と、ちょっとわかっていないかもしれないというような反応の子がいるわけです。
しかし、四人ですからどういうことを質問しているのかとかということを何度かかみ砕いて教員は話しかけていますから、四人は楽しそうだし、いろいろ考えているというような様子がわかるわけですね。しかし、これぐらいかみ砕いて一人一人に確認しながらやって初めて、その四人はわかっているというか、わかったなという状況なんですね。
もう一つの教室では一年生の二人がそれぞれ一対一で算数と国語をやっていたんですが、その子にわかるようにやりますから、わかったということでとてもうれしそうにしているわけですね。日本語学級に通級しているときはそうやってわかる授業が受けられるわけですけれども、日本語学級以外の教科は、算数だとか社会だとか理科だとか、本当に理解して授業を受けているかといったら、そうじゃないんだというんですね。理解できない授業を受けているということは、本人は本当に大変です。日本語学級があるところはそうやってできるんですね。加配教員があるところも取り出しで授業をやっています。
しかし、全く加配教員も日本語学級もないところはますます大変で、加配教員がいる学校にことし転校してきた子がいるんですけれども、四年生にいたときは加配教員も学級もないところだったんですね。みんなと一緒に遊んでいるし、授業中も静かだし、だから、問題ないと思っていたんですって。だから、何も対応されなかったんですね。五年生になって日本語指導の加配教員がいるところに転校してきたら、実は平仮名も読めないし、書けないというのがわかったんです。
つまり、日常語は早く覚える。子どもたちですから早く覚えますけれども、学習言語の習得というのはかなり時間がかかるというんですね。例えば数学の公式だとか定理だとか、それだけでもわからなくなってしまいますし、文化が違うとよくわからないというのもあるわけです。どの子にもきちんと日本語能力がつくように、日本語の授業についていけるように日本語の能力をつけることが本当に大事なんだなというのを実感しました。同時に、それは日本語学級だけではとてもできないことだということもわかりました。日本語学級には、すべての子どもたちが通っているわけではありませんし、それぞれの自治体で学級以外にも取り組んでいますけれども、しかし、日本語指導を受けられていない児童生徒もいること、これも確かなんです。
まずは現状を把握することが必要だと考えますけれども、どうでしょうか。
○井出指導部長 東京都教育委員会では、毎年文部科学省が実施する、日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れ状況等に関する調査を通じまして、児童生徒数を把握するとともに、区市町村教育委員会から取り組み状況の聞き取りを行って状況を把握しております。
○大山委員 今答弁していただいたのは、さっきいったパンフレットの中で日本語教育の指導が必要な外国人の児童生徒、それから日本語学級のことは出ていますけれども、日本語指導が必要な外国人の児童生徒で、日本語学級に通っていない子どもがどうなっているのか。さっき計算したら、これだけでも七百五十人は日本語学級には通っていないということがわかるわけですが、そういう子どもの実態というのはわからないわけですね。どうなっているのかというのはわからないわけです。調査をきちんとしてもらいたいというのが一つです。
それと同時に、実態を把握したら対策を立てることですけれども、日本語学級に通えない子どもたちが通っている子どもたちよりも多いわけですから、まずは日本語学級に通えていない児童生徒が日本語学級に通えるように、さらに学級をふやすことが求められていますが、どうですか。
○齊藤学務部長 日本語学級の設置につきましては、都教育委員会は区市町村教育委員会からの協議に基づきまして同意を行う立場でございます。第一義的には、区市町村教育委員会が、対象となる児童生徒の動向、それから施設設備などの地域や学校の実情を踏まえた上で判断すべきものであるというふうに考えております。
○大山委員 同意を求めたら尊重してもらいたいわけですけれども、この問題というのはそれほどメジャーな問題じゃないんですね。さっきも申し上げたように、日本語学級も、それから加配教員もいないところでは、結構見過ごされたりしているケースというのは多いんですよね。ですから、やはり研修なども含めて、学級が必要だ、それから日本語の支援が必要だということを、そういう認識を区市町村、それから学校などにも広げていく努力というのも必要だというふうに思いますので、要望しておきます。
もう一つというか、日本語学級というのは十人以上が認可の基準になっているようですけれども、年度によって変動があるわけですね。単年度で判断するのではなくて、柔軟に対応することが求められているわけです。実際、この資料で出していただいた中でも、七人とかという学級がありますから、多分柔軟には対応していると思うんですけれども、どうですか。
○齊藤学務部長 日本語学級設置要綱によれば、学級設置後、十名を下回った場合であっても、区市町村教育委員会が前年度に引き続き設置しようとする日本語学級につきまして、学級編制基準日現在、新たに設置された日から三年を経過していない場合に都教育委員会は同意を行うほか、区市町村教育委員会が特に必要とする場合に、都教育委員会は、児童生徒の状況、その他の事情を考慮して同意することができる旨が定めてあります。都教育委員会は、これらの規定に従いまして適切に対応してまいります。
○大山委員 さっき申し上げましたように、言葉というのは、生活するための言葉というのは子どもは比較的早く覚えるんですけれども、学習するための言葉というのは結構難しいというのはさっきも申し上げましたが、どれぐらい日本語の能力がついたのかというのを、言葉を使って何をすることができるのかというのを測定する、子どもの能動的な日本語力を測定するというのを、大久保小学校では早稲田大学の大学院の協力を得て行っているんですね。
日本語の授業を日本人の子どもと同様に受けられるような日本語能力というのは、その評価でいくとレベル七ぐらいだというふうにいわれているんです。この日本語学級の設置要綱によりますと二年通級するというふうになっているんですが、二年ぐらいだと、今までの状況から見ると、そのレベル五ぐらいまで到達するかしないかという状況だというんですね。
もちろんまだまだ授業が全部わかる、理解できるということにはならないわけですから、それ以降の日本語指導がなければ、不十分なまま投げ出されるという事態になってしまいます。ですから、せめてその評価でいうレベル七ぐらいまで到達するには五年間ぐらい必要だというふうに大久保小学校の校長先生なんかはいっているわけなんですね。
日本語学級の設置要綱には、特別の事情がある場合を除き、小中学校とも通級を開始した日から二年間を限度とするというふうになっています。この二年間という期間の根拠は何なのかということと、特別な事情というのはどういう事情で、区市町村教育委員会が申請すれば認めるということでいいのかどうかということです。
○齊藤学務部長 日本語学級設置要綱は平成元年に制定されておりますけれども、日本語学級の設置そのものは昭和四十六年からでございます。それまで在籍した児童生徒の状況、それから要綱制定の時点で在学する児童生徒の状況も踏まえまして、二年間という期間で一般的には日常会話ができるようになると考えられ、一定程度の学習理解、それから生活習慣を習得するための原則的な期間として適切であると当時判断されたものと承知しております。
また、特別な事情がある場合といたしましては、児童生徒の個々の状況から、通常の教科についての学習理解、それから生活習慣を習得する上でいまだ日本語能力が著しく不十分な場合などが考えられまして、その特別の事情があるか否かにつきましては、第一義的には区市町村教育委員会において適切に判断すべきものでありまして、都教育委員会といたしましては、その適切な判断を尊重してまいりたいというふうに考えております。
○大山委員 二年間に設定したというのは、今答弁あったように、特に調査をしたということだとか統計的に出したということではなくて、日常会話ができる程度だと。また、さっきからいっているように、日常会話と学習の言語というのは違うんだということもわかってきているわけですから、やはり要綱を見直すことも含めて検討してもらいたいと思います。と同時に、普通学級の学校の授業を普通に理解できるということを前提にして、区市町村委員会の判断を尊重することは重要だというふうに思っています。
大きな問題として、さっきは今在学している子どもたちの調査のことをいいましたけれども、外国人は就学義務がないので、未就学の子もいる可能性が高いというふうにいわれているんですね。実際、大久保小学校の校長先生なんかも、明らかに学齢期であろう子どもが、学校に行っていないと思われる子どもたちが見受けられるということも心配されているわけですね。ですから、その学習する権利を保障するということは、その子の権利の保障であると同時に、社会にとっても不可欠なことですから、東京で就学している外国人の子どもたちがどういう状況になっているのか、就学との関係で把握する必要があると思いますけれども、どうですか。
○齊藤学務部長 ご指摘の就学していない日本語教育が必要な学齢期の子どもにつきましては、基本的には日本国籍を有しない子どもしか考えにくいところでございますけれども、都教育委員会がさまざまな状況にある日本国籍を有しない方々についての状況を把握することはそもそも非常に困難でありまして、ご指摘のような把握を実際に行うことは非常に難しいというふうに考えております。
○大山委員 非常に難しいというのはわかるんですけれども、問題提起として、学齢期の子どもたちの状況を把握してほしいということは、ちょっと検討していただきたいと思います。
外国人の子どもたちの教育については、まだまださまざまな問題があるわけですね。例えば高校の進学についても、一般外国人の受け入れ校というのは、都立では国際高校があるわけですけれども、近県の公立高校の受け入れ枠を見ますと、埼玉県は定員五十名で二十人の受験です。神奈川県は受験倍率は一・一〇です。東京都は三・五倍ということで、倍率は非常に高くて、狭き門になっています。この高校の問題も含めて、このほかにもいっぱいあるわけですけれども、きょうは、この日本語教育についてはこの程度にしておきます。
最後に、久留米養護学校の高等部のことで一言要望を述べておきます。
病弱養護学校の高等部の設置というのは本当にもう長年の要望で、父母と関係者の念願だったわけで、待ちに待った開校ということが来年の四月になったわけですね。ホームページを見ますと、十八年度の高等部入学案内ももう掲載されていました。
学校要覧を見ますと、この五年間の在籍の児童生徒数の変化が載っていて、平成十二年当時、三月でも、一番子どもが多くなる月でも三十一人でしたが、ことしの九月は五十一人ですね。二十人も増加しています。徐々にではありますが、着実に増加しているというふうにいえると思います。
さらに、その病弱養護学校は、ぜんそくだとか肥満だとか心疾患だとかアトピーなどが比較的多いですけれども、そのほかにも、頸部リンパ管腫術後とか、ADHDだとか、さまざまな病気を持っている子どもたちが入学してくるわけですが、静かに生活しなければならない子だとかもいるし、心の面で配慮が必要な子もいるし、対人関係のつくり方が苦手な子もいるし、身体的には多動な子もいるし、知的な障害がある子もいるし、車いすの子もいたりして、多様ですね。ですから複雑で、なおかつ綿密な対応が必要だということです。
ぜんそくの子も多いわけですが、今度、高校生が入学してくるということで、高校生というのは、ちょうど大人と子どもとのはざまで、ぜんそくなどの発作がひどくなる子もいるということもいわれているわけです。ですから、そんな中で指導員の体制、それから看護師の体制がきちんと整っているということが重要なわけですが、看護師は一昨年までは六人体制でやってきたわけですが、本年度四人になってしまったために、どうしても子どもの状態が不安定になりやすい月曜日は二人の夜勤体制でやっていますが、ほかの日は夜勤は一人で、遅番として夜の九時まで勤務する看護師が一名と。工夫はしていますけれども、夜九時以降は朝まで一人なわけですね。先日も寝ていて上向きで戻しちゃっている子がいたりして、緊急の場合というのは、一人だと、応急手当てをしていて宿直の指導員に連絡することも非常に困難なんだという実態もあります。
そんな中で、保護者や関係者が心配してぜひにと要望しているのは、指導員の確保と、看護師は夜勤二人体制にしてほしいということですね。ぜひ父母や学校関係者の意見をよく聞いて、より充実する方向で進めていただきたいという要望を述べて、質問は終わりにします。
○坂本委員 東京都の教育委員会は、来年四月から新たに三校の中高一貫校を建てさせ、公立の中高一貫校が本格的に始動されるわけでございます。ことし開校されました白鴎高校の附属中学校を含めた四校で、四月以降にこれまで一万五千人の保護者や受検を希望される子どもたちが学校説明会に参加されたと聞いております。また、その白鴎高校附属中学校の応募倍率につきましても十四倍となっております。保護者の期待も非常に高いということがうかがえるわけでございます。
今後、都立の中高一貫校につきましては全部で十校できる計画になっておりますが、都立の中高一貫校が目指す教育の方向性が保護者や受検する子どもたちにきちんと伝わっているのか。または高校受検がない六年間の一貫教育程度のとらまえ方がされていて、実際にはいま一つ理解されていない面があるのではないかというような、少し心配もしているわけでございます。
私は、保護者や受検する子どもたちが、この都立の新しい中高一貫校がどのような学校なのか、事前にしっかりと情報をキャッチしながら受検をし、充実した学校生活を送ってほしいと願っております。このような観点から、幾つか質問をしたいと思います。
そもそも都教育委員会は、この時期になぜ中高一貫校を設置することにしたんでしょうか、まず伺います。
○新井参事 中高一貫教育校の設置理由でございますけれども、平成十三年に実施いたしました都立高校に関します都民意識調査におきまして、都全体で少なくとも十校程度、中高一貫教育校が必要であるとの回答が半数以上ございまして、都といたしましても、公立の中高一貫教育を受けたいという生徒や保護者の希望が可能となるように条件整備を行うことが必要であるというふうに判断したものでございます。小学校卒業段階で継続教育の意欲を持つ子どもに対して、中高一貫の教養教育を実施いたしまして、人材の育成を図ることが重要と考えているところでございます。
○坂本委員 都の中高一貫校では教養教育を実施しまして人材の育成を図るとのことでございますけれども、教養教育とはどのような内容なのか、具体的にお答えください。
○新井参事 教養教育でございますけれども、生徒に今後の進むべき目標を考えさせ、目標実現のために主体的に行動する力を身につけさせることを目標としてございます。具体的には、六年間の一貫教育によりまして、主体的に学ぶ態度や意欲をはぐくみ、体系的な知識の獲得によりまして総合的な学力を培うとともに、将来の進路の実現に向けた夢と高い志を育成して、同時に得意分野の伸長を図るなど、自立に向けた教育を行うということでございます。
○坂本委員 よくわかりました。
では、来年四月に開校します両国、小石川、そして桜修館の各中高一貫校におきましては、実際の教育現場におきましては、この教養教育がどのような形でもって教育課程に反映されてくるのでしょうか。
○新井参事 まず、両国高校の附属中学校でございますけれども、志学という総合的な学習の時間を設定いたしまして、職場体験であるとか、社会の最前線で活躍する人々による体験講義などを通じまして、我が国及び世界に貢献する志、これを養っていくということでございます。
次に、小石川中等教育学校でございますが、理科好き、数学好きを育てる自然科学教育、これに力を入れてございまして、日本学術会議の応援を受けて講演会や研究室訪問を行いまして、自己の興味や関心のありようについて考える機会を設けてございます。
三つ目の桜修館中等教育学校でございますが、研究論文の作成だとか英語によりますプレゼンテーション、これを行いまして、論理的な思考力を育てるということとともに、大学の体験授業や研究室訪問など大学との連携を図ってまいります。
○坂本委員 外部の応援を受けながら、教養教育をそれぞれの学校で、その学校のコンセプトに合った内容を実施されるということでございますが、大いに期待したいと思っております。
この都立の中高一貫校は教養教育を実施するということで、いわゆる受験教育を行わないというふうに聞いておりますが、しかし一方では、中高一貫校に入学を希望されている保護者並びにご本人にとりましては、やはり進路は気になることかと思います。
そこでお伺いしますけれども、生徒の進路はどのように保障されていこうと考えているんでしょうか。
○新井参事 中高一貫教育校では、生徒に今後の進むべき目標を考えさせ、主体的に行動する力を身につけさせるために、さまざまな体験活動や多様な選択科目を設定いたしまして、個々の生徒が将来の進路を適切に選択できるように、きめ細かく支援をするとともに、目標が実現できる大学等へ確実に入学できるよう、十分な学力を身につけさせていきます。個々の生徒の資質を必ずしも考慮せずに、難関大学合格のみを最優先させるような画一的な受験教育は行わないということでございます。
○坂本委員 個々の生徒の進路をきめ細かく支援していくということで、入学を希望されている保護者の皆さんも多分安心されると思います。
しかし、このように教養教育を行いまして、また進路指導を保障するとなりますと、教員の質がやはり気になってまいります。このような指導ができる教員は確保できているんでしょうか。また、今後どのようにそのような教員を育成していくのでしょうか、伺います。
○新井参事 生徒の進路指導をきめ細かく行い、なおかつ十分な学力を身につけさせ、高い志を育成していくためには、豊かな人間性や高度な専門性、確かな指導力など、高い資質、能力を有する教員の確保は極めて重要であると考えております。このため、平成十六年度から、公立中学校及び都立高校の教員を対象といたしまして、公募制度により広く人材を募るとともに、東京都の目指す中高一貫教育の趣旨や六年間を見通した教育課程の編成について理解をさせ、教科指導の実践力を身につけさせることをねらいといたしました中高一貫教育教員養成研修を実施しているところでございます。
○坂本委員 次に、少し目を将来に向けまして、中高一貫校で六年間一貫した教養教育を通して、どのような人材を育成し、社会に送り出そうとしているのか伺いたいと思います。
○新井参事 中高一貫教育校では、教養教育を継続的に行いまして、使命感、倫理観、社会貢献の心であるとか、日本人としてのアイデンティティーを身につけ、さまざまな場面、分野でリーダーとしての信頼を得られる人材の育成をねらいとしてございます。
○坂本委員 将来、社会で信頼を得られるリーダーを育成していくということで、教育方針といいますか、教育目標が明確で、都民にもわかりやすくていいのではないかと私は思います。こうした人材を育成するためにも六年間の一貫教育を行っていくわけでございますが、社会で信頼を得られるリーダーを育成するためには、入学してくる生徒についても一定の資質が求められると思います。
中高一貫校につきましては、入学者の決定にありまして学力検査を行わずに適性検査を実施するわけでありますが、都の教育委員会ではどのような生徒を受け入れたいと考えておりますか、伺います。
○新井参事 中高一貫教育校で学ぼうとする子どもたちに期待する資質、適性についてでございますが、自分で問題を発見し、筋道を立てて考えようとする態度、能力、これを有していることが重要でございます。各校で実施する適性検査におきましては、このような観点から、課題発見・解決能力を第一の判定基準といたしまして、同時に各校が期待する生徒像を踏まえて適性を把握するとともに、創造力、協調性についても見ていくということにしております。
なお、学校によりましては、一定の分野で卓越した能力を持つ子どもを受け入れまして、その可能性を一層輝かせるということを目的といたしまして、特別枠による選考、検査、これも実施してございます。
○坂本委員 初めにも触れましたが、都立の中高一貫校に対する都民の期待は非常に大きいものがあります。これまでの担当参事の答弁から、都立の新しい中高一貫校の学校像が少し明確になってまいりました。教養教育が単なる全人教育を目指すものでなく、将来の社会を担っていく人材を育成していこうという都の教育委員会の心意気に大いに共鳴するものでございます。
今後は、現在行っております学校説明会を初め、あらゆる機会を通じまして、中高一貫校が目指す学校像や受け入れたい生徒像などを都民にしっかりと説明し、広く保護者や受検を希望される子どもたちに周知していただき、そのことを要望し、私の質問を終わらせていただきます。
○野上(ゆ)委員 私からは、大きく二つ質問させていただきます。
まずは都立図書館の除籍本の活用について伺いたいと思います。
現在、区市町村立図書館においては、除籍本を廃棄する前に住民などに提供するなどリサイクルの活用を工夫していますが、都立図書館ではどのように活用しているのか、現状をお聞かせください。
○直原参事 都立図書館における除籍本の活用についてでございますが、除籍本のうち、なくなったり、あるいは破損したりしたもの以外につきましては、区市町村立図書館や公立学校などの公共機関で再活用を図ることを原則としております。しかしながら、区市町村立図書館の収蔵容量の問題もあって、再活用に至らない除籍本が多く残っていることもまた事実でございます。
○野上(ゆ)委員 除籍本のすべてを再活用することは、やはり区市町村の現状から見てもなかなか難しいと思います。しかしながら、現在保管している除籍本はどのくらいあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○直原参事 平成十三年度の第一次都立図書館あり方検討委員会の報告を受けまして、都立図書館においては、収集、保存の方針を一タイトル一冊といたしました。これによりまして、平成十三年度末から平成十四年度にかけて、約二十三万冊の重複図書を除籍しております。都立図書館では除籍本の再活用を各方面に働きかけまして、関係機関の協力も得て、そのうち約十二万冊の再活用を図った経緯がございます。その後の整理分も含めまして、現時点で保管している除籍本は約十四万冊となっております。
○野上(ゆ)委員 平成十三年度の第一次都立図書館のあり方検討委員会の報告とおっしゃっておりますが、現在四年たっても再活用がなかなか進んでいない状況であります。例えば除籍本を保管するためにも、都民の皆さんの税金がそこに投入されているわけです。現存する十四万冊を今後どのように処理していくのか、お聞かせ願いたいです。
○直原参事 現在は、三宅村の復興支援のために、村が希望する図書の選定などを進めているところでございます。年内には三宅村に届けることができる見込みでございます。
また、教育庁では、今回の第二次都立図書館あり方検討委員会報告に基づきまして、今年度内に都立図書館の改革を着実に進めていくための行政計画を策定する予定でございます。除籍本の扱いにつきましても、その中で収蔵対策の一環として取り上げていきたいというふうに考えております。
○野上(ゆ)委員 行政計画の課題として取り上げることはもちろん結構なことなんですが、活用先を公共機関に限定すると、やはり今ある除籍本については処理に時間がかかり過ぎるのではないかと思います。
そこで例えば、関税や送料、あるいは経費等の問題はあるものの、東京都と姉妹都市になっている海外の日本人学校や、あるいは日本の研究機関、NPOなどの公共性の高い利用が期待できる団体でぜひとも図書を欲しいという団体、そういったところに再活用先の対象を広げる考えはないのか、お聞かせいただきたいです。
○直原参事 三宅村復興支援関係の再活用の後、公立図書館、東京都関係機関及び公立学校での再活用の可能性を再度確認いたしますが、あわせまして、公益性の高い団体での再活用についても検討してまいりたいと考えております。
○野上(ゆ)委員 三宅村復興支援のために希望する図書の選定を行っていることは、処理時間に問題があるにせよ、一定の評価はできると思っています。しかしながら、例えば湾岸戦争、イラク地震の際には、地域復興の一つとして、また文化事業の一つとして、各国の都市より、図書館の復興、あるいは図書の寄贈が行われたと聞いております。東京都も、大学図書館とか、あるいは市区町村図書館との連携を強化し、これからは世界の中の首都東京としての視点からも、部局を超えて、国際交流の一環として、また学術交流の一環として、図書館ないし除籍本の事業を展開していただけるよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
続きましては、教員採用候補者選考についての質問をさせていただきます。
現在、高齢者がふえ、人口が減る時代に入りました。東京都も、教育を通じて一人一人が能力を発揮できる、また人の価値を高めていく、そういった教育のあり方が必要になってくるかと思います。現在の国際社会では、みずから判断し、そしてみずからリスクをとらなければいけません。教員もまた、これからは十分な知識を持って、現実をよく見た上で考えて行動できる人材、ともに学び、そしてともに考え、ともに行う、そういった三つのバランスを備えている人材が強く求められています。未来を担う児童生徒に対する学校教育の充実のためには、学校教育の直接の担い手である教員の質、あるいは指導力の向上が不可欠です。
いわゆる団塊の世代の大量退職というのが、平成二十年度、ピークに達します。それに伴って、新規採用教員の募集に当たっては、一層の教育改革が叫ばれている中で、教員は高い資質、能力を有していることが求められています。
そこで、現在の東京都における教員採用候補選考の年齢制限はどうなっているか、お聞かせください。
○松田人事部長 教員採用候補者の年齢制限についてでございますが、新規学卒者を中心といたします一般選考の対象者は三十五歳未満でございます。それから、社会人特別選考対象者や現職の公立学校の教員など一定の要件に該当する者は、その経験を加味いたしまして四十歳未満としております。
○野上(ゆ)委員 平成十八年度教員採用試験受験の年齢制限調査によりますと、例えば宮城県仙台市、山形県、富山県、静岡県は年齢制限を撤廃しています。あるいは技術、工業、看護学校教員については全国的に、四十五歳、あるいは五十歳と、年齢制限を緩和している傾向にあります。
特に長野県では、公立学校、小中学校、高等学校、特殊教育諸学校の教員採用は、教員免許状を持っている者の中から幅広い人材、そして教員を採用するため、平成十三年度における教員採用選考から、一般選考に加え、社会人特別選考を実施しております。十四年度には養護教員にも適用を拡大しています。そしてさらには、豊かな社会経験を有する多様な人材を確保するよう、十五年度において実施する教員採用選考から受験資格の年齢制限を緩和し、現在では年齢制限六十歳となっています。これにより多くの社会人経験者の受験の機会が確保されています。そして社会人特別選考という枠は徐々に廃止していく状況にあります。
また、昨年度、文教委員会で、陳情一六第二八号関連質問に対して当時の臼井人事部長は、年齢制限のあり方について、職員の年齢構成、あるいは採用予定数、今後の公務員制度改革などの動向を見据えつつ、今後の検討課題とさせていただきたいと思っていますというふうな答弁をされています。しかしながら、いまだ一般選考の三十五歳未満と特例選考など一定の要件に該当する場合の四十歳未満という年齢制限を有している理由は何か、お聞かせください。
○松田人事部長 年齢制限を行っている理由についてでございますが、教員は常に高い専門性と資質が求められております。採用後におきましても、各種の研修並びに教育現場での日々の実践的な経験を積み重ねることが重要でございまして、そのためには一定の期間が必要と考えております。
また、年齢構成のバランスに配慮するためには計画的な任用が必要でございまして、仮に年齢制限を撤廃いたしますと、五十歳代をピークとした年齢構成のひずみを一層拡大させる要因にもなりかねないと考えております。
○野上(ゆ)委員 教員免許を持っていて、豊かな社会経験を積んだ優秀な人材、例えば民間企業に勤める方であるとか、子育てを経験した方であるとか、あるいはこの委員会に今出席されている、教育行政に取り組んできた本当にプロフェッショナルな職員の方など、意欲を持って学校現場で働きたい、そういった人たちが、三十五歳、または四十歳という年齢制限により教員としての活躍の場を得ることができないのは、やはり大きな損失であると考えます。
また、年齢制限があったとしても、開かれた学校運営や組織の活性化を図る観点から、社会経験を重視する必要があるのではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
○松田人事部長 ご指摘のとおり、豊かな社会経験を踏まえた優秀な人材は、社会との交流がとかく少なくなりがちな教育の現場におきまして大いに有益なものと考えてございます。そのため、平成十二年度から社会人特別選考を実施いたしまして、平成十六年度には採用数をふやすなど、充実を図ったところでございます。
また、一般選考におきましても、筆記試験の後に、人物評価を重視いたしました第二次選考として実施している面接試験の中で、職業経験を初めといたしまして、文化、スポーツ活動やボランティア奉仕活動なども含めた社会経験についても確認をし、評価の対象としております。今後ともこういった観点を重視して、優秀な人材を幅広く採用していきたいと考えております。
○野上(ゆ)委員 最後になりましたが、教員の職務というのは、やはり児童生徒の人格形成に大きく影響を与えるものです。例えば大学を卒業してすぐに学校の教員となる人たちばかりではありません。時代が大きく変化している今のその時代の中で、今までのモデルやルールが通用しなくなった今、教員みずから新しいことに挑戦し続ける生き方、あるいは姿勢、あるいは豊かな人生経験を生徒に示すことが、今本当に必要になっていると思います。教員免許を持つ人々に対して東京都が広く門戸を広げ、そして魅力ある、また優秀な人材を確保していただけるよう、そして教員採用候補者選考年齢制限撤廃も含めて強く要望し、質問を終わらせていただきます。
○上野委員 私からは、学校経営支援センターについてお伺いいたします。
教育庁では、平成十七年度の重点事業といたしまして、学校経営支援センターの設置による都立学校の改革を進めていらっしゃるところでございますけれども、この取り組みというのは我が国でも先駆的な取り組みということで、私も高く評価しているところでございます。それだけ期待も大きいものがございます。ぜひとも成功していただきたい、このように思うわけでございますが、何と申しましても、これまでにない機能を持つ新たな組織をつくり出していく、こういうことですから、それなりの大きな効果というものを生み出さなければならない、このように思うわけでございます。
そこで、どんな効果が期待されていくのか。また、こうした新しい仕組みを導入すると、必ずさまざまな課題というものが伴うものでございます。このあたりも含めまして、幾つかお伺いしたいと思います。
まず、改めて基本的な質問でございますが、学校経営支援センターは何のために設置するのか、整備の目的についてお伺いいたします。
○沼沢参事 学校経営支援センターは、都立学校において、校長がリーダーシップを発揮し、より自律的な学校経営を行っていけるよう、これまで本庁で行っていました業務の一部を移行し、学校の身近な地域で、学校の実態に応じた機動的できめ細かい支援を行っていくことを目的として整備するものでございます。あわせて、これまで学校で行っていた契約や施設整備などの事務をセンターで集中することによりまして学校の事務量を軽減し、事務室の経営面での機能強化を図ってまいるものでございます。
○上野委員 これまで本庁で行っていた人事や教育課程の管理などこういった業務、また、これまで二百六十校の都立学校で行っておりました契約や施設管理などの業務、こういったものを学校経営支援センターに移していく。こういうことになりますと、かなり大がかりな権限の移譲というものが伴うことになるわけでございますが、私は、大事なことは、これらを円滑に移行させて、そしてまた開設と同時にスムーズに業務が実行されること、これが大命題であると、このように思っております。当然そのために今大変な準備をされていると察します。
そこで、平成十八年度に開設するということでございますが、これまでの準備状況についてお伺いいたします。
○沼沢参事 学校経営支援センターの検討に当たりましては、平成十五年の十一月に、教育庁次長を委員長とする検討委員会を設置いたしまして、学校経営支援センターにおける学校支援のあり方、運営組織、業務内容等について検討を進めてまいりました。現在、学校経営支援センターが本庁から移譲される業務や学校事務室から集約する業務につきまして整理をし、具体的なマニュアルを作成するなど、平成十八年四月の開設に向けて準備を進めているところでございます。
○上野委員 学校経営支援センターというのが学校の身近な地域で支援するということでございますけれども、これまでは学区という考え方がございました。しかし、学区制度も廃止になりましたので、学校経営支援センターの設置に伴いまして、新しい地区の考え方というのを取り入れていかなければならない、このように思うわけでございます。
そこで、学校経営支援センターがどういう地域に何カ所配置され、また一カ所当たり何校所管するのか、さらには設置場所は既に決まっているのか、お伺いいたします。
○沼沢参事 都内の東部、中部、西部の三つの地域にそれぞれ二カ所ずつ、合計六カ所に学校経営支援センターを配置し、それぞれが都立学校約四十五校ずつを所管する予定でございます。設置場所につきましては、東部は水道橋と深川、中部は新宿と池袋、西部は立川と小平にそれぞれ設置する予定でございます。
○上野委員 都内六カ所に設置し、身近なところできめ細かい支援を行うということでございますけれども、その場合、学校側といたしましては、せっかく改革を行ったのに、仮に本庁と学校経営支援センターの両方から指示が来るようなことがあれば、何のための改革かということになりかねません。そうならないようにするためには、本庁と、そして学校経営支援センター、この役割分担というものを明確にする必要があると思います。
そこで、学校経営支援センターは、都立学校に対して具体的にどのような支援を行おうとしているのか。また、本庁との関係はどうなるのか、それをお伺いいたします。
○沼沢参事 学校経営支援センターでは、第一に学校経営の相談、予算配付などの学校経営支援、第二に教育課程の相談、授業改善のための支援などの教育活動支援、第三に教職員の人事異動や人材育成などの人事管理支援、第四に学校の庶務、経理、施設等の事務を集中処理する業務支援を主に行っていく予定でございます。そのための権限を本庁から移譲し、本庁は基本方針の策定、執行管理、調整等を主に行い、学校経営支援センターでは本庁の方針に基づいた具体的な事業を実施していく予定でございます。
○上野委員 これまで本庁が一括して行っていた方法、こういったものに比べまして、学校経営支援センターが設置されることによって、当然、学校にとってのメリットとか、より高い教育的効果が発生しなければならないと、このように思うわけでございます。
そこで、学校経営支援センターが設置されることにより、これまでと何がどのように変わるのか、また教育の質の面でどのような効果が期待できるのか、お伺いいたします。
○沼沢参事 学校経営支援センターは、学校の身近なところで学校訪問をきめ細かく行い、学校の実情に応じて予算、人事などの支援を行ってまいります。これによって、例えば進学率の増加、中途退学者の減少、部活動の加入者の増加などの学校経営上の諸課題の解決が図られ、教育活動の一層の充実に資することができると考えてございます。
○上野委員 ぜひとも高い教育的効果が図れるように期待するものでございます。
次に、学校における業務や組織がどのように影響を受けていくのか、このことについて質問したいと思います。学校経営支援センターでは学校の事務室の業務を集約するということでございますが、学校の事務室の機能はどのように変わっていくのか、お伺いします。
○沼沢参事 これまで学校事務室で行ってまいりました契約、施設整備などの業務を学校経営支援センターで集中処理することによりまして、学校事務室における業務を縮減する一方で、企画調整、予算調整、広報活動、渉外など校長の学校経営を支える機能を一層充実させ、学校事務室を経営企画型事務室として位置づけてまいります。
○上野委員 学校の事務室の機能や体制が変わっていく、いわゆる業務を縮減するということでございますけれども、これは事務の効率化という視点では大変喜ばしいことではございますが、一方でこのことが、学校の大切な協力者でありますPTA関係者の方々から、実は不安の声も上がっているところでございます。
これまで学校の事務室はPTAともかかわり、そして保護者にとってはさまざまな学校からの協力というものをいただいている、こういうお互いに協力し合う仲でもあったわけです。幾つかあるわけですけれども、例えば一例を挙げますと、入学、そのときに新たなPTA会員、この方の同意書をとらなきゃいけない。そのときに、入学手続書類の中にその同意書を同封して、そして回収してもらう、こういったこともやっていただく。こうしたことが、事務室の業務の縮減に伴って、PTA活動への学校からの協力に影響が出るのではないかと、こういった声があるわけでございます。
そこで、この点について、これまでと同様な協力関係というのが保たれるかどうか、お伺いいたします。
○沼沢参事 PTAへの対応など保護者の方と直接かかわる業務につきましては、学校経営支援センター設置後も、これまでと同様に学校で行うことになります。
なお、PTA業務につきましては、保護者と学校とがどのような協力関係を築いていくかについて十分協議し、進めていくことが大切であると考えております。
○上野委員 これまで同様に学校で行うというお言葉、皆さんも非常に安心されると思います。
学校経営支援センターの設置という新しい仕組みを導入するわけでございますが、学校経営支援センターの持つ機能を有効に活用するよう学校に十分に周知し、啓発する必要があると思います。
そこで、最後に質問になりますけれども、教育庁における学校経営支援センターの開設に向けた今後の進め方について伺いまして、私の質問を終わります。
○沼沢参事 今後、学校への説明会や教職員に対する研修等を実施しまして、新しい学校支援の仕組みについて十分に理解を深めていき、学校経営支援センターが学校経営の改善や教育の質的向上を図る機能を十分に果たすよう、教育庁が一丸となって開設に向けた準備を進めてまいります。
○村松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時五十三分休憩
午後五時十一分開議
○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○秋田委員 ここ最近のニュースで一番取り上げられているのは、何といっても楽天によるTBSの筆頭株主になったという話がここ最近の話題になっておりますし、またその前は、ホリエモンといわれる堀江さん率いるライブドアさんが随分と世間をにぎわして、IT企業というのは本当に最近伸びているんだなというような、そんな環境の中、国の方でも、私ども自民党の中で情報化教育促進議員連盟というのが立ち上がっておりまして、森山眞弓会長を筆頭に小泉総理総裁も参加して、情報教育の充実に向けて国レベルではさまざまな取り組みがなされております。
実際、平成十三年に策定されたe-Japan重点計画では、コンピューターの整備を現行の平成十六年三月当時八・八人に一台だったものを平成十七年度には五・四人に一台、また校内ネットワーク化が三七・二%だったものを十七年度には一〇〇%に、さらに高速インターネット接続に関しましては七一・六%だったものを一〇〇%に、また教員のIT指導力の向上については六〇・三%だったものを、これもまた約一〇〇%にしていこうというe-Japan重点計画というものが発表されております。
そうした中、東京都においても、学校の情報化については、ITを活用した教育の充実や情報インフラの整備など、さまざまな視点から取り組みがなされていることと思っております。しかしながら、残念ながら他県と比較をしますと、ちょっと基盤整備の面などではおくれているんじゃないのかなというような部分が散見されております。例えば都立高校においては普通教室のLANの整備率は平成十七年三月現在四・五%。四・五%というのは全国で最下位。一方、山形県や栃木県など十四府県では、普通教室のLANの整備率は一〇〇%となっておりまして、全国平均でも七一・五%といった数字になっておりまして、他のデータについても他県と比べれば、ちょっと大丈夫なのかなという部分があるようでございます。
情報化の一層の進展に対応した情報教育の充実が必要な現在、東京都が他県に比べて教育分野でのIT環境の整備がひときわおくれているということには、私はいささか不安を感じずにはいられないといった思いが大変ございます。
そこで、学校教育の情報化に関して何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず、平成十五年度から実施されている高等学校学習指導要領に新設された教科「情報」について伺いたいと思います。
私のころはこんな「情報」という教科はなかったですし、多くの委員の皆様方も、「情報」なんていう教科があるのかと驚きを持っていらっしゃる方も多いんじゃないかと思うんですが、東京都教育委員会では、この教科「情報」が新設されたことに伴い、平成十二年度から十四年度までの三年計画で、現職教員を対象に教育免許状を付与する新教科「情報」現職教員等講習会を実施したと聞いています。
そこで、まずお尋ねしますが、この講習等で教科「情報」の免許を取得した人数及び都立高校全日制課程における教科「情報」担当教員の配置状況について伺います。
○松田人事部長 平成十六年度末におきます教科「情報」の免許保有者は三百六十名でございます。
都立高校全日制課程におきます教科「情報」担当教員の配置についてでございますけれども、常勤教員で対応している学校が百九十四校、非常勤講師で対応している学校が九校でございます。
なお、非常勤講師で対応している学校は、校長が学校経営上の理由から非常勤講師の対応を強く要望したものでございます。
○秋田委員 平成十五年度に新設された教科「情報」は、新設されてからことしで三年目ということになりますが、ところで、先ほどの講習会などで免許を取得した教員は、三年間は教科「情報」担当教員として勤務することになると、そう聞いておりますが、三年が経過した後は、引き続き教科「情報」の担当教員を続けるのか、またはもとの担当していた教科教員、数学でも生物でも体育でも何でもいいんですが、そういったもとの教科の教員に復帰するのか、両方の選択肢があり得るんだと思いますが、実際にどのように現場では取り扱うことになっているのか、確認の意味を込めて質問します。
○松田人事部長 委員お話しのとおり、都教育委員会の養成研修によりまして教科「情報」の免許を取得した教員は、一定数の免許保有者を確保する関係上、原則として三年間、教科「情報」を担当することといたしております。三年経過後の取り扱いについてでございますが、一定数の免許保有者が確保できたと考えておりますので、今後は本人から意向を聞きまして、校長がその教員の担当教科を決定することとしております。
○秋田委員 ここに教科「情報」の一連の資料がずうっとあるんですが、その中で、平成十四年四月、こう書いてあるんですね。なお、もとの担当教科教員に復帰することを選択した者が再び「情報」担当教員となることは認めない予定である。こういった運営方針を示したために、一部学校現場ではかなりの混乱を来したと聞いております。
もう一度確認しますが、今人事部長から答弁いただいた取り扱いでよろしいんでしょうか。
○松田人事部長 ただいま委員からご指摘をいただきましたような経緯はございましたけれども、平成十四年度の異動説明会等から、三年経過後は本人の意向を聞いて校長が担当教科を決定する旨の運営方針を説明してきてございます。私どもといたしましては、現在、特に問題なく運営されているものと認識をしております。
○秋田委員 今は問題なく運営されているのかもしれませんが、当時はやはり混乱があったということは恐らく認めざるを得ないんだろうと思います。都教委の情報が正確に伝わっていれば、そういった現場での混乱、あるいは最終的には生徒さんの中での混乱というものは恐らくなかったであろうことですから、これからはしっかりとそういった情報伝達をしていただきたいなと思っております。
さて次に、IT環境の整備についてであります。
先ほども申し上げましたとおり、国のe-Japan重点計画では、平成十七年度中に普通教室などでもインターネットに接続できる校内LANの整備率を一〇〇%にするといった目標を掲げておりますが、重ねて申し上げますが、都立高校における整備率はわずか四・五%と全国最低でございます。都教委としてこの状況をどのように考えているのか、伺いたいと思います。
○齊藤学務部長 都立高校の普通教室等における校内LAN整備率が低いことは、委員ご指摘のように事実でございます。しかし、コンピューター教室の整備、それからインターネットへの接続率、ともに一〇〇%でございまして、さらに高速インターネット接続率、これも平成十七年三月現在でございますけれども、九三%と高率となってございます。
また、平成十五年度からは、ITを活用した教育推進校の指定も行いまして、都立高校におけるIT教育の推進にも努めているところでございまして、こうした学校では校内LANの整備も行ってございます。
○秋田委員 IT化というのはLANという指標だけではかれるものではございませんし、今のお話を聞きますと、都教委も一定の努力をされているということはそれなりに理解をするんですが、しかし、他県では多くの自治体が、例えば教育センター経由でインターネットを学校に接続していると。一方、都立高校は民間のプロバイダーと直接接続をしているといったような好対照のあり方でいるというのが現状でございます。
どちらがいい悪いというのは、私はしっかりと比較することが重要だと思うんですが、特にセキュリティーと経費の面で、他県のように教育センター経由で学校に接続する場合と、都立高校のように民間のプロバイダーと直接接続する場合と、どのような違いがあるのか教えてください。
○齊藤学務部長 現在、都立学校は、コンピューター教室からインターネットへ接続するために、各学校ごとのプロバイダー契約をしております。そのためセキュリティーは、契約しているプロバイダーが提供するウイルスチェック機能と、コンテンツフィルタリング機能を利用してございます。都教育委員会がネットワークを一括管理できる体制をとった場合、セキュリティーの面ではすべての都立高校に同一のセキュリティー対策を施すことができるため、現在よりも不安は少なくなるというふうに考えております。
さらに、経費の面につきましては、試算によれば、いずれの方式も私どもとしては余り変わらないものというふうに認識しております。
都教育委員会といたしましては、全都立学校が都教育委員会設置のネットワークセンターを経由してインターネットに接続でき、セキュリティーの確保など一元管理できる体制についての検討も現在進めているところでございます。
○秋田委員 経費の問題もさることながら、セキュリティーの部分は今後はかなり重要になってくると思いますので、しっかりと今後も注視して、問題がないように頑張っていただきたいなと思っております。
いずれにせよ、IT、インフォメーションテクノロジーの世界というのは、もう本当に日々というよりも秒ごとに日々--秒ごとに日々といったら変ですね、とにかく常に革新、前進しておる世界ですから、行政がすぐにそれに対応するというのは、技術的にも、あるいは経費、時間的にも、なかなか難しい部分は恐らく大いにあるんだろうとは思いますけれども、高度情報化社会になっている今日でございますから、しっかりと対応していただきたいと思っております。
しかし、先ほどの教科「情報」も含めて、都教委としては一定の努力はしているということは十分承知しておりますので、先ほどの情報の乱れなどがあったようなことが二度とないように、都民の皆様方に積極的にPRをしていくような姿勢をとっていただきたいな、そんなふうに思っております。
さて、繰り返し話題にしている校内LANの整備率の問題も含めて、今後の一層のIT技術の進化を見据えて、都立学校における情報教育の充実、あるいは情報インフラの整備に向けた取り組みを一層充実させる必要が何よりもあるんだと思います。都教委としての基本的な取り組み姿勢について伺って、私の質問を終わります。
○齊藤学務部長 都教育委員会では、都立学校において情報化に関する取り組みを充実させるために、庁内に都立学校情報化検討委員会を現在設置しておりまして、総合的な検討を開始しております。普通教室におけるコンピューターの整備等のITに関する具体的な教育条件整備についても、この検討会において検討を行っております。
ご指摘の他の自治体に比べて整備のおくれております校内LAN整備の重要性も私どもは十分認識しておりまして、こうした検討会における議論を重ねるとともに、関連部署との調整を行いながら、整備率の向上に努めてまいります。今後も、情報教育の充実、IT環境の整備に向けて積極的に取り組んでまいります。
○馬場委員 私からは、大きく四点についてお伺いをいたします。
まず一点目は、特別支援教育推進計画、寄宿舎の再編整備関係についてお伺いをいたします。
この一定等で、民主の初鹿議員、そして請願等を受けての質疑があったときに伺っております。その後、選挙、改選があり、請願も継続になったということで、改めてまたこの新しい事務事業の中で、その後の経過も含めて確認をさせていただきたいと存じます。
特別支援教育推進計画の中で寄宿舎の再編整備が計画されていますが、盲・ろう・養護学校の寄宿舎を再編整備し、現在の十一舎から五舎にしていくというものです。第一次実施計画では、青鳥養護学校の寄宿舎と八王子養護学校の寄宿舎が再編の対象として挙げられております。同時に入舎基準の規則改正もしていくことになっております。
そこで、お伺いをいたします。入舎基準を見直しし、原則として本来の目的である通学困難を理由とする入舎に限定していくということですが、この通学困難の児童生徒とは、島しょ地区の児童生徒、常に九十分以上の通学時間を要する場合、通学における安全性を確保する場合などとその目的がされておりますが、この寄宿舎の再編が進められた場合でも、こうした通学困難の児童生徒の受け入れについては規模的に大丈夫なのでしょうか。
○伊藤参事 養護学校の増設などによりまして、通学が困難と認められる児童生徒が一層減少すると見込まれることなどから、今後、長期的に五舎に再編した際におきましても、通学困難を理由とする児童生徒の入舎は十分に可能でございます。
○馬場委員 養護学校が増設され、通学の時間が短くなるので、逆に入舎を必要とする生徒が減っていくのではないかということも含めて、寄宿舎本来の役割である通学困難な方の入舎ということについては確保されるというご答弁でありました。
しかし、この寄宿舎の利用というのは、今まで、この十一舎について、目的外使用といっていいでしょうか、生徒の基本的生活習慣や自立心を育成するという教育上の理由でも入舎を認めてきたという状況にあるというふうに思います。また、寄宿舎がない学校においては、生活訓練室などを活用しながら、社会参加、自立に向けた基本的生活習慣の指導や宿泊行事を実施していると伺っております。
今まで寄宿舎があって、そこをこうした基本的な生活習慣等の場所として利用していたわけですが、では今後、寄宿舎が閉所していく青鳥養護等について、この学校内に生活訓練室等の未整備の状況があると思いますが、この辺をどういうふうに今後なさっていくのでしょうか。
○伊藤参事 生活訓練室の未整備の学校につきましては、生活訓練室を設置したり、今後も設置を維持していく寄宿舎の長期休業中における施設利用などを行いまして、生活指導や宿泊行事等の充実を図ってまいります。
○馬場委員 寄宿舎は設置しなければならないという法があって、それに基づいてつくってきたというふうに伺っております。しかし、今ご答弁いただいたような状況の中で、目的利用という方が減ってくる。そうした中で、さらに生活習慣等の場所として利用をしてきた。そしてそのことは、実は今後とも自立支援に向けて大切な問題であるということが確認されているというふうに思います。
もう一方で、この寄宿舎は、こうした自立支援のほかにも、家庭の事情による入舎というのも認めてきた経過があると思います。この家庭の事情として挙げられている具体的な理由の多くは、保護者が病気、またはともに働いていることにより、送迎や日常生活の世話ができないといったものである。これらは本来は区市町村や福祉及び医療各機関からの支援、ここの問題かと思いますが、それらの支援が整備されていないということ、この補完として今まで使われてきた。そしてこれからもそういう意味では必要なのではないかというふうに考えますが、この点についてご見解を伺います。
○伊藤参事 家庭の事情による入舎につきましては、福祉的なサービスが地域によりまして状況が異なりますことから、副委員長ご指摘のように、児童生徒の就学を保障していく観点から、配慮が必要な場合もあると考えてございます。そのため、家族に複数の障害者がいたり、保護者が長期の病気や家族の介護等の理由によりまして通学の付き添いが継続的に困難な場合などにつきましては、個々の事情をよく把握した上で、入舎を認めていく必要があると考えてございます。
○馬場委員 この寄宿舎のあり方検討委員会でも、本来の目的の生徒さんについては、特に土曜、日曜、また長期休暇中等、毎週末の帰省、家庭に帰っての生活、このことを推奨すべきというふうなことが述べられています。ということは、今までも含めて、土曜、日曜、また長期休暇中の利用ということについては十分ではなかったのかなということが考えられますが、今後こうした寄宿舎がきちんと整備をされていく中で、学校関係や家族の方からも多く要望がありますが、この寄宿舎について多面的な有効利用、ここを利用したさまざまな、自立、そして今までどおりの家庭の事情等の状況の中で、ここへ入舎できる期間も必要に応じてとれるというふうな柔軟なこれからの寄宿舎の運営が必要だというふうに考えます。
特に今までは、今行っている学校でそこに寄宿舎がない場合、寄宿舎に入りたいためには学校を転校しなければならなかった。そんな手続が必要だったということも聞いています。これからはこうした寄宿舎が減っていくということの中でも、転校手続をしないで済むというようなことも検討されていると伺っておりますので、この辺はぜひ早期にこうした手続について配慮をいただきたい。
そしてさらに、この家庭の事情等の状況は、ある意味で福祉的な問題であるというふうにいわれました。先般の私どもの初鹿議員の質問でも、この福祉的な問題は、予算特別委員会の中で福祉保健局が答弁するというふうな状況でございました。今後、この寄宿舎の利用について、本来はこうした区市、地域での連携というのが必要だというふうに思いますが、ここがまだまだ充実しない間は、今までのあらゆる意味でこの寄宿舎を必要とするお子さん、また家族の方に利用されるよう今後とも十分検討されることを要望して、一点目の質問を終わります。
次に、学校健康手帳について伺います。
私も第一回の定例会で、食育の重要性に伴い、栄養教諭制度の充実が必要だというような質問をさせていただきました。また、先ほどは学校医の活用ということも野上理事さんからありました。
今、社会環境の変化に伴い、学校の現場においては、児童生徒の心の問題、性の問題を初め多くの重要な問題が提起されております。児童生徒の健康づくりについては、これまで以上に学校、家庭、地域が連携協力してこれらの諸課題に対応していくことが必要だというふうに私も考えております。
現在、乳幼児健診、学校健診、事業所健診などが地域や事業所において個別に実施されております。これらの健診結果により一次、二次予防が行われるということで、都民の生涯における健康保持の礎となることが期待できます。そのためには学校においても、学校の健診が毎年毎年行われているというふうに思います。こうした各種の健診データが一元的に管理をされて、生涯にわたる健康情報として効率的に活用されるということが今後は重要だというふうに考えております。
また、今までも学校において各種データが一元化され管理されているんですが、これは学校側からの視点、学校の管理責任者としての視点でデータが保存されていたのではないかというふうに思われます。生活が多様化の現在では、生涯を通じた健康づくりという観点から、まず自分の健康は自分で守っていく自己管理能力というのが重要視されてきています。みずからの健診結果を知り、自分で記録できるような学校健康手帳の導入が必要と考えております。
今回この質問をするに当たりお尋ねしたところ、都教委では、都立の学校として、児童生徒健康診断の結果を、この健康ノートということでつくっていますということで見せていただきました。中高一貫校と、それから大塚ろう学校の小中学部ということで、ここに三ついただいております。(実物を示す)重なっていたら見えませんね。三つあるんですが、今後、都立高校においてもぜひ広げていただきたいということもありますが、このノートは、やはり小学校の入学健診の最初のところからきちんと自分で管理をするということを考えますと、今後、一般の小中学校にも導入すべきというふうに考えます。この点、どんな取り組みが行われているでしょうか。
○齊藤学務部長 健康ノートにつきましては、もう既に一部の教育委員会におきましては、名称は学校健康手帳というふうに聞いておりますけれども、一部導入しているというふうに私どもは聞いております。今後、都立学校における健康ノートの活用方法、今二校でやっておりますけれども、これの効果等につきましても検証の上、区市町村教育委員会に情報提供いたしまして、導入についても働きかけていきたいというふうに思っております。
○馬場委員 ことしの二月に策定された都立学校における健康づくり推進計画では、この健康ノートの活用が重点プランということで位置づけられています。再度申し上げますが、全都立学校に早期に導入すべきであるということ、それからまた、こうした取り組みを小中高と一貫して使えるように、ぜひご尽力をいただきたい。なぜならば、小学校の健診のデータは、そのまま中学校に行けばそのお子さんと一緒に中学校に送られ、そしてその中学校でのデータを一緒にして、今度は高校に行った場合にはそのデータが高校にまで行く。そしてその高校で卒業後五年間保存されますが、その後はもう廃棄をされてしまう。つまり、自分のデータ、せっかくお金をかけて健康管理で集めたそのデータが、卒業後五年たって何もなくなってしまう、自分のところに戻ってこないというようなことは大変むだであり、もったいないことだというふうに思っています。
こうした状況でできたデータを生徒に戻す。そしてまたそのデータも、毎年自分がきちんと自分の健康を把握するため、自分の健康状態を認識して、そして生活と健康との関係ということもきちんと把握し習得をすることによって、自分の成長もあわせて知り、健康づくりの基礎になるというふうに思っております。このノートの最初のページには、そのことが子ども、生徒に大変わかりやすく書かれています。これからは、このことも含めてぜひこのデータを有効利用していただいて、生徒さんが健康で、生涯自分の責任、自己管理をきちんとできるような、そんな教育体制にしていただきたいということを要望して、次に移ります。
三つ目です。これもことしの一定で質問をいたしました。ことしも心配したように、五月から大変暑い夏でした。つい最近まで暑い日が続きました。随分長い間、私たちも冷房にお世話になったわけですが、普通教室にぜひこの冷房を導入してほしい。つまり、子どもたちの学習環境を守りたいというのがこのときの質問の中心でした。
結果的に、広くいえば温暖化対策。何も冷房だけでなくていいのではないかというのが都教委の方のお答えだったわけですが、このときにも普通教室の環境改善策ということでお尋ねしましたが、ことし十七年度に、ヒートアイランド対策の一環として、校庭等の芝生化や壁面緑化をモデル的に実施して、教室内の室温に対する体感温度の緩和など、教育環境の改善効果等について検証を行っていくとの回答をいただいております。その後の状況について、三点伺わせていただきます。
まず、この夏の教室内の温度の緩和策として、壁面緑化モデル事業というのをなさったと伺っています。緑のカーテンにより教室内の温度上昇を抑制する、温室効果ガスの発生抑制という目的でこの緑化が試験的にモデルケースで行われています。この温度上昇抑制の点ということでは、実施の時期が夏の暑いときでなければ正確な検証はできないということなんですが、その取り組み状況についてまず伺います。
○齊藤学務部長 壁面緑化のモデル事業につきましては、ことしの六月初旬から、ヒートアイランド対策の重点地区になっております二十三区内の都立高校六校におきまして壁面緑化をモデル的に実施しておりまして、教室内の温熱環境の改善効果等について検証を行っているところでございます。その中で、緑化した部分と緑化していない部分、それぞれの教室内の温度測定を現在引き続き行っているところでございます。
○馬場委員 その壁面緑化した学校の一校を、私の母校なんですが、見せていただきました。そしてほかの学校にも電話等でお尋ねをしました。見せていただいたんですが、いろいろなつる性植物等がネットに分けて何種類かはわせてありました。具体的にはこうしたいろいろなものを植えての取り組みだったというふうに思いますが、それでは具体的にどのような検証を行っていらっしゃるのでしょうか。
○齊藤学務部長 壁面緑化に使用できる植物の種類にも、つる等植物、樹木類がありまして、それぞれ特徴が異なります。今回の検証では、これらの種類の違いにより、成長の度合い、それから効果がどのように異なるかについても並行して検証してございます。
また、温度の状況につきましては、実施した各モデル校の各階ごとに、外気温、植栽部と外壁面の中間部の温度、それから外壁面の温度、内壁面の温度、室内温度について、それぞれ二十四時間の測定をいたしております。
○馬場委員 この室内温度について測定をしていらっしゃるということなんですが、検証の結果というのはいつごろ、どのように出るのでしょうか。一日も早い結果をいただいて、一日も早い対策をしたいという思いがどうしても募るんですが、その結果、また検証の結果と、それからどのような状況というふうに予測されていますでしょうか。
○齊藤学務部長 壁面緑化の部分につきましてはまだ二十四時間の温度測定値を計測中でございまして、また植物の種類の違いによりまして成長の度合いも異なることから、測定結果がまとまるにはもう少し時間がかかるため、現段階で効果をはっきり申し上げることはちょっと難しい状況にございます。
ただし、あえて八月までの状況から推測いたしますと、緑化された教室と緑化していない教室では、若干の改善効果が得られているとの感触を持っております。さらに測定を継続した後、測定結果を分析いたしまして、その植える緑化のつる等の種類も含めて、今年度いっぱいかけて効果の把握と検証を行ってまいります。
○馬場委員 若干の改善効果というご答弁だったんですが、学校の方でもそんな印象のようでございます。学校では生徒にアンケートをとったというようなことも伺いました。どんなですかと。緑があって、景観というか雰囲気としてはいいんだけれども、教室がどちらかというと暗くなる。それから、花が咲くのでしょうか、虫が寄ってくるというような、そんなアンケートの結果が出たようです。
暑さについては、やはりまだ若干ですねという、特段涼しくなるという状況ではないということ。それから先ほどの種類で、一階までしか伸びていないもの、それから四階ぐらいまで伸びているものというふうにいろいろあるわけですが、これらヒートアイランド対策、環境負荷の少ないということについては大きな意味があるわけですが、即効果というわけにはいかない。こうした状況の中で、やはり学校の現場では、冷房を入れてほしいという声が一段と大きくなって……(「NHKのテレビだと七度下がるといっていましたよ」と呼ぶ者あり)いや、そうでもないようです。全部できないといけないわけで、これから四階まで伸びるまでどういうふうにすればいいか、その一階までしか伸びないものを何年かかけて伸ばしていくのか、それから毎年その対策をとるのかとか、いろいろあるというふうに思いますが、できるだけこの状況を早く改善をしてほしい。
また一方では、入学の条件に--またこれから入学の季節になりますが、冷房がない--つまり今小学校、中学校で入っているところが多くなりました。こうした中で、家庭、そしてそれまでの十五歳まで冷房の中である意味勉強している。それから特に高校でも受験の三年生になったときに、大変勉強についてつらい夏の期間、これをやはり何とかしてほしいというのが学校関係者の多くの意見だというふうに思います。また、夜間の定時制等も強いご希望があります。ぜひこの辺もこれからの一日も早い対策を要望して、この件は終わります。
最後の質問ですが、先ほども少し出ましたが、私からも、服務事故再発防止研修ということで伺わせていただきます。
平成十五年十月二十三日付通達というものが出ました。卒業式、入学式において国旗・国歌、国旗の掲揚、そして国歌斉唱、このときに起立をしなかったということで教職員を処分なさいました。この処分の理由及びこの処分者数はどういう数であるのか、まずお伺いをいたします。
○松田人事部長 卒業式及び入学式におきまして、国歌斉唱時に国旗に向かって起立することを校長から職務命令として命じられていたにもかかわらず起立しないなど、地方公務員法第三十二条の法令及び上司の職務上の命令に従う義務に違反したため、懲戒処分を行いました。
処分者数でございますが、小中学校及び都立学校の教職員の合計で申し上げますと、平成十五年度卒業式百九十三名、平成十六年度入学式四十名、平成十六年度卒業式五十三名、平成十七年度入学式十名、合計二百九十六名でございます。
○馬場委員 この処分、二百九十六名でしょうか、三百名余りになります。この教職員が処分並びに再発防止研修を今受けているという、私はあえて異常事態というふうに申し上げさせていただきたいと思います。
卒業式、私も伺わせていただきましたが、全都立校に少なくとも三名ほどの、三名以上でしょうか、職員の皆さんが出席をし、入学式にもそこそこの方が、担当の方も含めてですが、いらっしゃっているというふうに思います。都の学校関係で事務職員さんが八百名、教職員一万八千名ということですね。学校は三百校あるでしょうか、ほとんどの皆さんがそれぞれの学校に出向かれたという状況にあるというふうに思います。
こうした職務命令違反ということでこの三百名が今それぞれ処分という状況にあるわけですが、やはり私の目から見ると、学校の現場でこうしたことが起きるということは、先ほどさまざまな再発防止研修のお話がありましたが、この通達が出たことにより、その職員の職務命令違反ということを理由に、こういう処分が出た。このことは、つまり平成十五年の十月二十三日に各校長に、職務命令を出すべきだという、出してくださいというんでしょうか、通達が出て、つまり卒業式、入学式をきちんとというか、式典と位置づけて強制をしていくという都の方針というふうに思いますが、それではこの通達はいつまでその効力を持つのでしょうか。
○井出指導部長 平成十五年十月二十三日付の通達はいつまで効力を持つかというお尋ねでございますが、本通達は、新たな通達が発出されるまで有効でございます。
○馬場委員 この通達が出るということ、出されたということ、このことはさまざまな状況の中で行われたことですが、これはやはり思想、良心の自由ということに踏み込んでいないかということで、今裁判、それから人事委員会等への審理がされているというふうに伺っています。この職務命令違反という研修が懲罰研修になっていないかということ。
それから、基本的に教員の研修は、自主的、自発的な権利で教育公務員特例法が適用されるというふうに私は伺っています。こうした中で、この処分、そして再発防止研修ということが繰り返されるということは、やはり学校現場での生徒にとっても、信頼できる先生と生徒の関係を壊していくものだというふうに私は考えています。
ここにあります教育委員会の教育目標を読ませていただいても、その教育目標及び基本方針、このことでもきちんと述べられています。教育委員会として、この教育現場でのこうした処分については、今後十分な思慮のもと行われるよう、今後の通達の変更を心から望んで、質問を終わります。
○古賀委員 私は、都内の公立中学校での社会科教員の不適切な学習指導について、簡単にお聞きをいたします。
千代田区立九段中学校の教壇に立っております社会科教員、増田都子教員という人であります。この教員は、前の文教委員会でも私お話をしましたけれども、平成九年、もう今から八年前になりますけれども、既に同様の事故を起こして処分等を受けているわけであります。
概略そのことについてまず触れておきますけれども、東京都足立区立第十六中学校で社会科を担当しておりました当該教員によって、紙上討論なる授業が行われました。これはマスコミにも取り上げられて、時代の寵児のような扱いをされておりましたけれども、この紙上討論というのは、憲法、それから戦争責任、それから今お話のあったような国旗・国歌、それから従軍慰安婦、南京大虐殺などをテーマにして生徒に意見を書かせるという授業であります。
問題となりましたのは、平成九年、NHKのつくったテレビ番組「沖縄の米軍基地 普天間第二小の場合」というビデオに対する生徒たちの感想文をプリントにして配布をした。この授業を受けた学校に、たまたま日米両国籍を持つ生徒、お父さんがアメリカの方で、お母さんが日本の方ということで、授業内容が余りにも一方的だと。例えば、沖縄の人たちは抵抗できる限り抵抗したけれども、米軍が暴力、銃剣とブルドーザーで無理やり土地を取り上げて基地をつくった云々、こういうことを授業で取り上げて生徒たちに教えたということで、米軍は一方的な悪とみなす授業について、その保護者、この場合は母親から、教育委員会等に対して是正を求める行動が行われた。
これに対して、教育者であればそれなりの対応の仕方がいろいろ考えられたと思うんですけれども、常軌を逸するといいますか、想像を絶する対応が行われまして、この母親を批判する文書を教室でまた授業中に配った。教育委員会に密告、若者のスラングでいうチクり、電話や密告ファクスを送るという暗い情熱やエネルギーには敬意を覚えますがと、こう皮肉たっぷりにいって、親の要望には沿うわけにはいきません云々、それから自分の偏狭な、これはまた若者スラングでいうせこい、思想は絶対正しい、自分こそ絶対中立だと思い込むのは自由であっても、余りにも非常識な教育内容への介入は許しませんと。
ちょっとお聞きになっている方は前後がわからないかもわかりませんけれども、教師が普通使う言葉ではないような、そのほかにも、この抗議に対して浅はかな思い上がりとか、それからびびるとか、こういう言葉を頻繁に使って、この母親を攻撃するプリントを配っています。
生徒からもいろいろ授業についての意見を求めて、紙上討論ということで意見を書かせて発表させるんですけれども、やはり生徒の中にもしっかりした子がいまして、先生はしつこい、何で米軍にこだわるのかと書いた生徒に対しては、その子どもに対して、浅はかに満足して生活しているという態度を選ぶのは君の問題であって、先生の関知するところではありませんと、こういうコメントを書いて突き放す。
それからある生徒は、先生の言葉遣いが気になります。ど厚かましい、恥知らずとかの言葉は、もっとほかの言葉は使えないのですかという生徒の指摘に対しては、私は、いつでも馬は馬といい、シカはシカといい、馬をシカというのにはばかということをためらったことのない人間です。恥知らずであるという事実を、それを知らない人に教えてあげるのが先生の仕事だと思っています。こういう回答を出すというようなことで大変問題になって、以後、裁判も起きているわけですけれども、自己を正当化する文書を全保護者に学校の印刷機を使って配布をしたりして、結局、減給処分十分の一、一カ月というのを二度受けているわけです。
そのほかにも研修も受けておりますけれども、現在はこの足立十六中から九段中学に移っています。今度はこの九段中学で研修を受け、処分を受けたんですけれども、人間の性格や思い込みというのはなかなか改まらないもので、同じようなことをまた繰り返しているわけです。
これはことしに入ってからの話でありますけれども、韓国の盧武鉉大統領の演説、それから原爆、戦争責任などを取り上げて、戦争についての非常に日本人に罪悪感を植えつけるような教育を行ってきたということがいろいろ資料等から読み取れます。
それから、この教員はビデオなどの資料も授業でたくさん使っていまして、自分でつくった資料を駆使して、紙上討論という形式の授業を引き続き行っている。その資料及び教材について、やはり非常な問題があるということです。
それから、私が文教委員会で発言したことについて、私の実名を挙げて授業で、大変光栄なことなんですけれども、誹謗する内容の授業が実施されて、さらには扶桑社の歴史教科書について、これを授業で批判をする。公立学校の社会科の授業でこういうことが子どもに対して行われているというのは、異常であると同時に、大変怒りを感じます。
この紙上討論というのは、授業の形態としてはあっていいというふうに私はもちろん思いますけれども、個人の思い込みが非常に強いわけです。しかも偏った、自分で満足はしているんでしょうけれども、資料を配布して、生徒が何か意見を述べると、それに畳みかけるように攻撃、批判を加えるというような内容の授業が今でも行われている。これは歴史認識についても明らかに間違っているという記述が私はあるというふうに感じます。
それから、ビデオについても先ほど申しましたけれども、これは「語られなかった戦争『侵略』Part1」というやつですけれども、これを見せているわけです。内容には非常に問題があります。
こういった行為は、授業のやり方とすれば、手段として私はいいと思いますけれども、その内容が大変問題がある。学習指導要領等に照らしても大問題、不適切だというふうに考えるわけです。これはいろいろ教育委員会も知るところとなって、新聞でも報道されましたけれども、処分が八月三十日付で行われたということです。
過去にも足立十六中で事件、事故があって、しかも、そのことに対する反省や、その対象となった子どもに対する謝罪もない。その足立十六中では、子どもは登校拒否になって、精神科にも通って、その学校でいたたまれなくなって、そして最後は転校しているわけです。こういったことがあれば、当然普通であれば、その担当教員はみずからを省みて多少の反省めいたことを述べるのが真っ当な人だというふうに思いますけれども、この教員はそのようなことは片りんすら見せないということであります。
そういったことを今でもインターネット等で公開したり、それから記者会見も時々都庁で開いて、また授業では私の名前も出したりですね。これは個人的な、私は何か自分が取り上げられたからいっているわけではなくて、出版社名、教科書名を具体的に挙げてこれを批判するとかということは、あってはならないことだというふうに私は信じます。
そのような事実、私が今申し上げたようなこと、実際に九段中学校においてあったのかどうか、まずそのことを答えてください。
○松田人事部長 委員ご指摘のとおり、都教育委員会は、当該教員が特定の議員や出版社名を挙げて誹謗する内容の資料を授業で使用したことは極めて不適切であり、教育公務員の信用失墜行為に当たるということで、過去の処分内容等を踏まえまして、厳正に処分を行ったところでございます。
○古賀委員 具体的な内容は私はまだ申し上げなかったんですけれども、ある程度父兄からの指摘等もあって処分が行われたということで、対応には問題はそれほどないというふうに思いますけれども、内容をいろいろ、紙上討論、生徒たちに感想を書かせているものがあるんですけれども、かなり効果が上がっているというふうにいわざるを得ないわけですね。
この授業を受けた子どもの感想は、例えば幾つかご紹介しますけれども、ゆとり教育というのを政府が始めたのは、日本に都合の悪い歴史の事実を教えたくないからだ。増田先生の授業で昔日本がアジアでしたことをビデオで見て、最初は、気持ちが悪い、何でこんなの見なくちゃいけないのと思っていたけれども、ゆとり教育が一つの陰謀だというふうに印象を持ったという感想を書いているんですね。
それから、これは全部読んだら大変な時間がかかるんですが、日本は過去、アジアで悪いことをしてきたのに、その事実を国民、子どもに教えていないということはとても恥ずかしいことだと思います。国のために死ぬのは右翼の人だけでいいと思うとかですね。こういう印象を持つというんだから、かなり増田教員、それなりの信念を持ってやっているということがわかるわけです。
それから、拉致問題にも触れているというふうに想像できます。日本が朝鮮の人たちにした拉致などに比べれば、少数の日本人を拉致され、大きな問題として受けとめるのも大切だけれども云々と。つまり、日韓の併合の歴史、合邦の歴史というのは、これは学問的にも当時の世界情勢を見ながら検証しなくては一概に即断することはできないわけでありますけれども、それと今日のテロ国家北朝鮮の拉致問題を対比させて、その犯罪性を薄めようという内容の授業が行われているということが想像できるわけです。これは私の想像です。
それから、これもよくいわれるんですけれども、ドイツは、よくドイツを見習えということで取り上げられる。これは生徒の感想ですよ。ドイツを見習って日本も昔のアジア侵略の事実を重く受けとめ、真実を公表してきちんと謝罪すべきだと。これもよくドイツのワイツゼッカーの演説なんかを引用して使われる言葉で、多分授業が行われたんでしょう。
ドイツと日本は戦後処理は全く違ったのであって、これを一概に比較をするというのはかなり無理がある作業です。ドイツは国家としては一切責任を認めていません。ナチスという一政治団体、政党がやったことに関しては賠償を行う、ドイツ民族に関しては一切その非難を受けないというのがドイツの一貫した主張です。ですから、戦後賠償も行い、サンフランシスコ講和条約、またその前後に各国との二国間の賠償等を含めて日本は膨大な賠償金も払ってきた、国家賠償を行ってきた。そういうことをきちんと教えていないと思うんですね。ドイツは国家賠償は一円も払っていません。
このような印象を子どもが持つというのは、日本というのは謝罪もしない、また政府は戦争についての反省もないということをかなり印象強く受けとめるような授業が行われたんだろうということがわかります。
それから、韓国国民の抑えた怒りを無視しているような感じの日本が恥ずかしく思えてきました--これはまだたくさんあるんですけれども、一応読み上げようかと思うところを黄色で引いてきたんですが……。
それから、盧武鉉大統領の演説に対する感想も書かせていると先ほど申し上げましたけれども、盧武鉉大統領へこの増田教員も手紙を書いているんですね。それも載っています。ここで紹介するのは時間の関係でやめますけれども、かなり偏向している内容だというふうに思います。
生徒がいろいろ批判めいたことを書くと、先ほど申しましたように畳みかけて、これでもか、これでもかとそれに対して反撃を加えるんですね。ある生徒が、先生は左翼の考え方のみを私たちに教えているように感じられるのですがといいましたら、それから延々とこれに対して批判が加えられる。
それから、読んでもいいんですけれども……。それから当然、靖国神社のことも出てくるわけですよ。靖国神社の参拝の件についても、総理大臣の靖国参拝について、これを批判する外国の報道機関のニュースなどを大量に載せて授業をしているということであります。
それから、先ほど申しましたけれども、ほかにも自分でいろんな教材というものを配っている。朝日新聞の社説であるとか、それから岩波のブックレット、これはさっき日の丸・君が代反対の質問がありましたけれども、都教委は生徒の不起立等に対しても教員の指導責任を追及し始め、注意や指導等の処分をしていますという都教委を批判する資料を配布しています。それから指紋押捺制度についての裁判の記録とか、いろいろ多岐にわたっているわけです。
恐らくこれは校長等は関知していなかったというふうに思うんですね。もしこういう教材を配るとなれば、恐らく校長がそれは認めなかっただろうというふうに思います。こういったことが今まで行われてきたということです。
戦後、いろんな間違った歴史の解釈がまかり通って、今日もそういうのがかなりしょうけつを極めているわけです。例えばビデオ、私はまだしっかり全部検証するつもりでは見ていませんけれども、この教材として使われた子どもたちが見たビデオの中にも、盧溝橋事件等が取り上げられているわけです。盧溝橋事件については、中国共産党軍が、劉少奇という人が、自分がやったということを、最初に発砲したということをはっきりいって自慢をしているわけですね。だから、このビデオで教えられている子どもたちは、何か日本がやったみたいな印象を持ってしまう。
じゃ、なぜ日本軍がいたかというと、これは合法的にいたわけで、今アメリカ軍が日本にいるのも、気に食わないけれども、しかし、侵略しているとはいえない。戦争の結果、安保条約に基づいて今日本にいるわけで、だから、当時も日本軍が大陸にいたというのはまさにそういうことであって、そこで起きたこの盧溝橋事件、劉少奇のことについての知識も果たして持っているのかどうかということはわからない。
それから南京事件についても、有名なつくり話をやった旧日本軍人という人がいるんですけれども、これはやってもいない殺人を行ったと、上官を、何かに書いて公表して、裁判をやって負けているんですね。こういう一方的な政治宣伝が組み込まれたものが授業に使われている。
それから、よく戦争中の日本軍の残虐行為として使われる写真があるんですけれども、大体ほとんどイカサマ写真が多いんですが、そういう写真がやはりこのビデオの中には登場する。爆撃の後、子どもが、赤ん坊が地べたに座って泣いているという写真、あれはもう完全にやらせ写真というのははっきりしているわけですよ。こういうものが使われている。こういう授業が果たして行われていいのかどうかということを、しっかりとらえてもらいたいというふうに思うわけです。
東京裁判によって日本は侵略戦争をしたように思い込んでいる人が多くて、小泉さんも靖国神社をおととい参拝はしましたけれども、よくわかっていないんじゃないかと思うんですね。やはり何か中国や韓国に手玉にとられて、小粒だなという感じが私、いたしました。
東京裁判でまず裁かれた最初は満州事変なんですよ。満州事変が発端、それから支那事変まで来るんですけれども、もともと満州国をつくったときには、溥儀という皇帝がいますね。溥儀は辛亥革命によって紫禁城を追われて日本公使館に逃げ込む。何としても満州族の独立国家をつくりたかった。満州族の溥儀を、その国をつくるために日本は手伝ったわけですよ。だから、東京裁判で満州事変も罪ということに日本はなったんですけれども、これは満州皇帝であった溥儀がソ連にとらわれて命の危険を感じて、東京裁判で偽証したわけです。本人は最後に、亡くなる前に、自分は東京裁判で偽証したということをはっきりいっています。
この満州国ができるときのいきさつというのは、「ラストエンペラー」をごらんになった方はよくおわかりだと思うんですけれども、「ラストエンペラー」は「紫禁城の黄昏」というのが原本であって、これは溥儀の家庭教師をやっていたイギリスのレジナルド・ジョンストンという人が昭和九年に書くんですね。その中にこの満州国ができるまでのいきさつが詳しく書いてあって、東京裁判でこれを資料として日本側は出すんですけれども、これは却下されるんです。正しいことが書いてあったから却下されたんです。これがもし証拠採用されていれば、満州国の建国というのは全く問題がなかったということがわかるわけです。
こういう一連の行われている授業を検証するに当たっては、ぜひ教育委員会の方も勉強してもらって、この「紫禁城の黄昏」という本は翻訳本も出ていますので、ぜひ読んでもらいたいというふうに思います。これは裁判で却下されたのはインチキ本だから却下されたんじゃなくて、本当のことが書いてあるからあの裁判では却下されたということです。
だから、いろんな資料を猟渉しながら、多面的に歴史を教えていく、そして子どもたちに考えさせるということであればわかりますけれども、内容が余りにもひどい。
私、今回の処分については、これはこれで一つの区切りだというふうに思いますけれども、過去二回処分を受けていて、今回また処分の対象となって、戒告処分を受けたということです。さらに長期研修も受けているわけです。しかし改善はされていない。改善されることなく、こういう授業を今でも繰り返している。私はこの人について、教員として重大な欠損があるというふうに思うんですけれども、都教委は今この教員に対してどう対応していますか。
○井出指導部長 ご指摘の教員についてでございますが、当該教員は、服務監督権者であります区教育委員会から指導方法等の改善のため研修を命じられましたが、十分な成果を上げることができませんでした。このため区教育委員会は、都教育委員会に対し、当該教員の研修の実施について協力を依頼してまいりました。都教育委員会は、この依頼を受けまして、現在、都教職員研修センターにおいて、指導方法等の改善に向けた研修を実施しているところでございます。
○古賀委員 今指導研修中だということで、その効果があらわれることを期待したいというふうに思います。
私、歴史のことについて、大東亜戦争が侵略戦争だったという主張をするのは自由ですけれども、私が都議会で発言したことをとらえて、この増田教員は私の名前を挙げて、こんなとんでもない都議会議員がいるということで授業でやっているわけですけれども、果たして、じゃ、私だけがいっているのかということで、私がいうとそういうふうに批判されてもかなわないので、ほかの人がどういっているかということをちょっと挙げてみたいと思うんです。
まずその前に、戦後六十年たって、終戦から六十年が経過する中で、もう一度、簡単なことですから基本的に考えてみなきゃいけないのは、日露戦争から始まって大東亜戦争まで、有色人種の独立国家というのは、アジアでは日本とシャム、タイしかなかったし、アフリカではリベリアとエチオピアなんですよね。しかし、それも列強に脅かされて、真っ当な独立国の形を保っていたのは日本だけなんですよ。その日露戦争から始まって大東亜戦争までの過程の中で、今までの欧米中心の白人の有色人種支配の秩序というものが打破されて、アジア、アフリカ、そして有色人種の独立国家が誕生して、そういう時代が訪れたという基本認識をひとつまず持っておくことが非常に大事だというふうに思います。
それから、我々はポツダム宣言を受諾して東京裁判に入っていくわけですけれども、国際法に違反したのは、人道に反する原爆を落としたアメリカなんですよね。罪もない人を二十数万人殺りくをした。東京大空襲も含まれる。
それからまた国際法に違反したのは、日ソ中立条約を一方的に破棄して、満州、樺太、千島を侵略して、日本人を、ソ満国境の一般民間人まで殺りくを加え、そして六十万人の将兵を捕虜に--捕虜でもないですね、戦争はもう終わっているんだから--抑留した。
それから、法律のないところに犯罪は存在しないし、刑罰はないんですけれども、マッカーサーは東京裁判を条例で設置をして、平和に対する罪とか人道に対する罪という国際法には全く存在しない罪状で日本人を裁いた。戦争指導者を裁いた。
こういったことは、一つ一つ考えてみると、国際法に違反したのは日本じゃなくてアメリカやロシア、そういう国々だという認識を、簡単なことだから、しっかり持っておくことが私はまず必要だというふうに思います。
その前段で、申し上げましたけれども、紹介をしておきますけれども、毛沢東という中国の指導者がいます。天安門広場の前にでかい肖像画がかかっていますけれども、この人は日本軍に感謝しているんですね。昭和三十九年の七月に、当時まだ存在していた日本社会党の佐々木更三委員長、ずうずう弁で有名だったですけれども、この人が訪中して毛沢東と会談をし、そこで、日本軍国主義が中国を侵略して多大な損害をもたらし、申しわけないということをいったわけです。それに対して毛沢東は、申しわけなく思う必要は全くないと。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらし、中国人民に権力を奪取させてくれた。皆さんの皇軍なしには我々が権力を奪取することは不可能だったのです。二万五千の軍隊は八年戦って百二十万の軍隊となったと。これは「毛沢東思想万歳」という東京大学近代中国史研究会が訳した三一書房から出ている本にちゃんと書いてあるんです。
それから同じように、昭和三十年に訪中した日中友好元軍人の会代表の遠藤三郎という、これは中将ですけれども、この人も毛沢東に会って同じような話をして、やりとりをしています。これも記録に残っている。
また、鄧小平も同じことをいっているんですね。
それからマッカーサーも同様の、前の委員会でいったかもわかりませんけれども、昭和二十六年に朝鮮戦争で罷免されるんですね。五月にアメリカの上院の軍事外交合同委員会で証言に立って、日本が戦争をしたのは安全保障のためだということをはっきり証言しています。アメリカは失敗したと。最大のアメリカの政治的な過ちは、共産主義者を中国において強大にさせたことだと私は考えるというふうにマッカーサーはいっています。
だから、私だけがこの侵略云々ということをいっているわけじゃない。向こうの戦争指導者、連合軍の最高司令官がそのようにいっているということも重要な情報です。東京裁判についても同様のいろいろな批判がありますし、裁判長も主席検事も東京裁判は間違っていたといっているわけですから。
それから、タイの首相のプラモードという人は、日本のおかげでアジア諸国はすべて独立した。今日、東南アジア諸国民が英米と対等に話ができるのは一体だれのおかげであるのか。それは身を殺して仁をなした日本というお母さんがあったためですというふうにタイの元首相はいっています。外国の指導者もこういっているわけです。そのほかこういう証言はいっぱいあるんです。
ですから、子どもたちにはさまざまな情報に接させるということは必要ですけれども、一方的に極端に偏った授業というのは百害あって一利なしであります。私は、こういう教育の正常化をいいながら、なかなかまだ実が上がっていない面もあるということでありますので、これからも都教委のしかるべききちんとした指導方針を持ってこういった問題教員に当たってもらうことを願って、質問を終わります。
○山田委員 それでは私は、きょう最後の質問者ということになると思います。お疲れでございましょうけれども、よろしくおつき合いいただければと思います。
私は、都立高校改革について何点かお尋ねをいたしたいと思います。
この改革の柱となっております都立高校改革推進計画は平成九年に示され、第一次実施計画、第二次実施計画が策定され、その後、新たな教育環境の変化などの状況を踏まえ、平成十四年に新たな実施計画として策定をされ、これは平成十五年から十八年までの期間の実施計画でありますけれども、取り組まれてきたわけであります。
この計画を見ますと、一つには日本の未来を担う人間を育成する教育の推進、二つ目に生徒の多様な希望にこたえる学校づくり、三つ目に都民に信頼される学校経営の確立、四つ目に地域とのパートナーシップを築く学校づくり、そして五つ目に少子化時代の質の高い教育の場の確保というハード、ソフトの両面における五本の柱でこの都立高校改革推進計画がスタートしたわけでありまして、ことしでこの計画も四年目に入っております。
これまでの成果といたしましては、新しいタイプの学校を初め、学力向上の多様な施策や、あるいは校長先生のリーダーシップの発揮のための権限拡大等、都立高校の改革は多岐にわたる分野において粛々と進められております。その成果については、生徒、保護者を初め多くの都民が評価しているところでありまして、今後ともこの計画の着実な進捗を図っていただきたいと願う次第であります。
こうした一連の都立高校改革の取り組みに関して、私自身、評価をさせていただいております点として二つの点を挙げさせていただきたいと思いますが、先ほど馬場副委員長さんからお話がありました入学式、卒業式での国旗・国歌の扱いにつきましても、これは教育委員会、都教委の指導に基づく--これは学習指導要領に基づく教育課程を適正に実施するためということでございますけれども、この卒業式、入学式の実施に対しての国旗・国歌の扱いは適正に全校で実施されるようになった。私は大変大きな成果だと思っております。
また、私も平成十三年から都議会議員をさせていただきましたけれども、地元の都立高校から入学式、卒業式にご案内をいただきまして、参加させていただいております。当初の卒業式や入学式と今、格段に内容が変わってきましたし、厳粛な式典という、そんな感じになっておりますし、また学校の生徒も、当初は茶髪とか、あるいは服装の乱れがありましたけれども、今はそういう姿もなくなってきているという実感をいたしておりまして、まさにこれは都立高校改革が少しずつ実を結んでいる、私はそのように思っております。これも校長のリーダーシップのもとに安定した学校経営が行われるようになったことだと思いまして、私は高く評価をいたしているところでございます。
二点目に、都教育委員会によります校長の権限の強化が図られているということであります。都教育委員会は、平成十五年度から、全都立高校、盲・ろう・養護学校に学校経営計画を導入して、校長が目指す学校を明らかにしているところであります。
学校経営計画の中では、目指す学校に向けた具体的な方策と数値目標を明らかにするなど、目指すべき学校像を明確に示す仕組みをつくってきておりまして、学校長のリーダーシップを発揮できるように予算面で支えるという自律経営推進予算の導入とか、人事考課制度やあるいは主幹制度などを初め、校長の人事構想に基づく教員の定期異動の実現などの制度的な枠組みの整備を進めてきております。このことは、都教育委員会が都立学校の教育活動を支え、学校の組織的な教育を引き出して、学校の個性化、特色化を一層図っていく仕組みとして評価できるものであります。
さて、先ほど申し上げましたように、平成九年に都立高校改革に着手され、この都立高校改革推進計画に基づいてさまざまな計画が進められておりますけれども、その学校の施設整備の問題についてでございますけれども、この学校施設整備につきましても都立高校改革推進計画に示されておりまして、この改築の問題等についても触れられております。
都の財政状況も厳しい中、都立高等学校の施設整備については現在着実に進められてきたと思っておりますけれども、しかしながら、地震などの天災が起こりますと保護者や生徒の関心も高くなってくるのでありまして、昨今の地震--昨日も地震がありましたけれども、特に昨年の十月二十三日には新潟の小千谷市で震度六強を観測するなど、中越地方を中心とした新潟県の中越地震が発生をして、大きな被害がありました。
また直近では、十月の八日ですか、パキスタンでマグニチュード七・八という大地震がありまして、倒壊したマンションや、あるいは学校の下敷きになって多くの人命が奪われたという大変痛ましい災害が起こっております。
また、関東地方におきましても、ことしの七月の二十三日に、マグニチュード六・〇、千葉県北西部地震が発生をいたしまして、東京都の足立区でも震度五強、大田区や江戸川区でも震度五弱という地震が発生いたしました。
この千葉県北西部地震では、幸い土曜日だったということもございまして、人的な、物的な被害が少なかったというわけでありますけれども、しかし、それでも交通機関の麻痺、あるいはエレベーターに閉じ込められるなどのそういう問題、課題も浮き彫りになったということは皆さんもご記憶に新しいところだと思います。
このように今地震が頻発をしているということの中で、都民は地震に対する取り組みはどうなっているのかということに大変大きな関心を持っているところでありまして、特に学校数の多い都立高校の施設におきます震災対策についても心配をいたしているところであります。
そこで、お尋ねいたしますけれども、先ほど申しましたように、足立区で震度五強を観測いたしました七月二十三日の千葉県北西部地震では、都立高校におきましての被害、あるいは影響があったかどうか。あったとしましたらどのようなことがあったのかを、まずお尋ねいたします。
○齊藤学務部長 千葉県北西部の地震発生、これが土曜日、休日であったこともございまして、特段の大きな被害はございませんでした。ただし、各校の被害状況について調査した結果でございますけれども、一部の学校で窓ガラスの破損、それからエキスパンション接合部、これは天井部分でございますけれども、この取りつけてあります金物等の落下、それから防火扉が数校で作動するなどの報告がございましたけれども、生徒への直接の被害、それから教育活動に対する影響はございませんでした。
○山田委員 都では早くから震災対策を重要な課題の一つとしてとらえて、その対策に取り組んできたと思います。都立学校におきましても、耐震補強工事ですね、学校施設の耐震性強化への取り組みを進めておりますけれども、学校数の多い都立高校ではすべての学校に対策を立てるには時間もかかると思います。
学校の耐震性強化を図るための具体的な実施計画と現在までの進捗状況はどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○齊藤学務部長 都立学校の耐震補強計画につきましては、平成七年一月の阪神・淡路大震災を受けまして、平成八年度から計画的に実施してまいりました。さらに、平成十四年度に行いました耐震診断調査の結果、補強が必要な学校につきまして第二次耐震補強計画を策定いたしました。この計画に基づきまして、直近の時期に大規模改修工事、それから改築を予定している学校を除きまして、高校につきましては平成十八年度までに終了するよう、年次計画に沿って着実に事業を実施しているところでございます。
なお、盲・ろう・養護学校につきましては、既に平成十六年度で耐震補強事業を終了しているところでございます。
○山田委員 今のご答弁でわかりましたけれども、都立高校では、今第二次耐震補強計画に沿って、平成十八年度、来年度、耐震補強が完了するよう計画どおり事業が進められているということについてはわかりました。しかし、あと一年ということでありましても、ぜひ油断することなく、最後まできちんと事業を実施いたしまして、計画どおり学校の安全性が確保できるよう、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
先ほども申し上げましたように、パキスタンで地震が起きて、学校が崩壊して、多数の生徒が亡くなったという例もございました。コンクリート製の建物であっても、劣化した状態のまま放置してはいけないということも我々に教えているんだと思いますし、耐震補強が終わったからといって、それでいいというわけではないと思います。適正な維持管理が行われることによって安全性が保たれるということを、今回のパキスタンの地震によって私たちは理解をしたところでもございます。
そこで、建物の老朽化対策についてお尋ねいたしたいと思いますが、こちらの平成十七年度事務事業大要にも載っておりますけれども、平成十七年度の改築校として、高等学校では石神井高校、あるいは盲・ろう・養護学校では大塚ろう学校、葛飾のろう学校等が記載されております。都立学校の中では、高校はかつて生徒の急増期に大量に建築された建物が多いわけでありますけれども、都立高校の改築及び改修はどのような考え方で進められているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○齊藤学務部長 改築の対象建物でございますけれども、例えば耐震診断の結果、Is値、これは既存建物耐震性能指標のことでございますけれども、これが極端に低く補強が不可能な建物、または補強を行いますと各種の法規制に抵触してしまう場合、あるいはコンクリート強度測定の結果、所定の強度が保てない場合、この場合に改築の対象としてございます。
また、大規模改修工事につきましては、老朽の度合い、それから経過年数など各施設の実情を総合的に判断いたしまして、建物の延命化にも配慮しながら、整備を進めているところでございます。今後とも建物の老朽化対策につきましては、児童生徒の安全を守るために着実に進めてまいります。
○山田委員 昨今の環境問題や廃棄物問題などから、建物の延命化も大事なことだと思いますけれども、延命化を図るためには、先ほど申し上げましたように、適切な維持管理が行われるように、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
特に大規模改修や改築には多大な費用を要します。景気は回復の兆しを見せているといいましても、現在の財政状況は大変厳しいものがございますし、学校数の多い都立高校を計画的に整備していくことはなかなか大変なことだと思います。ぜひ将来を担う子どもたちの安全を守るためにも、先ほどご答弁いただきましたけれども、大規模改修と改築を計画的に、かつ着実に実行していくことを改めてお願い申し上げたいと思います。
次に、これも都立高校改革等の関連した問題であると私は思っておるんですけれども、学校と地域との関係でございます。
都立高校改革推進計画の新たな実施計画を先ほどお示ししてもらいましたが、この新たな実施計画では地域とのパートナーシップが大変大事だということで、新たな一章を設けて記載されております。第四章、地域とのパートナーシップを築く学校づくり。
この都立高校改革を真に実のあるものとして結実していくためにも、長く地域に親しまれ、愛される学校づくりが必要であると考えます。その中でも学校施設の開放の推進というのは、都民の学習、あるいは文化活動や地域のスポーツの振興に役立つばかりでなく、あるいは地域のコミュニケーションづくりにもプラスになると思います。
そこで、何点かお尋ねいたしますけれども、都立高校の施設開放の現状、そして実績についてはどうなっているんでしょうか、お尋ねいたします。
○山川生涯学習スポーツ部長 都立学校の施設開放の現状、実績についてでございますが、施設開放は、体育施設と学習・文化施設の二種類を開放してございます。
まず体育施設についてでございますが、都立盲・ろう・養護学校を含めた都立学校全体といたしまして、平成十年度から全校で開放しております。平成十六年度は、改修工事等で開放できない学校を除き、都立高校等で百九十二校、盲・ろう・養護学校で四十九校、計二百四十一校で実施をしているところでございます。
まず体育施設を内容別にいいますと、グラウンドが百五十三校、テニスコートが百三十九校、体育館が九十校、格技棟が二十七校となっております。主な利用種目でございますが、グラウンドでは少年野球や少年サッカー、成人男子による野球など、体育館ではバレー、バスケットが主な種目でございます。
次に、学習・文化施設についてでございますが、会議室、音楽室が主な開放施設でございます。学校数は平成十六年度で二十八校でございます。
なお、利用実績の傾向についてでございますが、スポーツ施設、学習・文化施設、ともにここ数年の一校当たりの平均利用回数で見ますと、十四年度六十・一回、十五年度七十三・七回、十六年度七十六・九回であるように利用増の傾向にございます。
○山田委員 それでは、この施設開放は具体的にどのようにして決まるのか、また開放日の管理体制、あるいは安全対策はどのようになっているのか、お聞かせください。
○山川生涯学習スポーツ部長 施設開放の手続等についてでございますが、各学校では、学校長を委員長といたしまして、教職員や地域利用団体等で構成いたします開放事業運営委員会を設置しまして、この委員会で、学校の行事やクラブ活動での利用など学校の年間利用計画を踏まえ、学校教育に支障のない範囲におきまして開放日を決めております。その際には、地域や利用団体の要望を聞いて調整をしているところでございます。
次に、利用時の管理体制でございますが、原則として使用団体として登録した団体から管理指導員を選出していただきます。その指導員を開放時に配置をいたしまして、かぎの管理や使用上の管理、さらには安全の確保を図っているところでございます。
また、利用者にはスポーツ安全保険等の団体保険に加入していただいているところでございます。
○山田委員 学校教育に支障のない範囲で開放しているということはわかりました。しかし、学校も毎日使用しているわけではありません。体育施設では体育館が、あるいはまた学習・文化施設については体育施設と比較すると開放日が少ないようでありますけれども、何か制約となる理由があるのかどうか、お聞かせください。
○山川生涯学習スポーツ部長 施設開放につきましては、学校教育に支障のない土曜日、日曜日、もしくは夜間の実施が中心になっておりますが、土曜日、日曜日や夜間につきましては機械警備により学校施設を管理していることから、その間は学校は無人状態になっております。したがいまして、構造上校舎とつながっている体育館の場合や会議室など校舎内にある学習・文化施設につきましては、使用する施設のみを部分的に開放することが困難な状況にございます。したがいまして、体育館など屋内施設につきましては、学校教育で使用していない時間帯でも施設管理上開放できないという実情にあり、これが開放が進まない主な理由の一つとなっております。
○山田委員 今、機械警備ということでの制約があるというご説明でありましたけれども、これは技術的な工夫をすれば解決できるのではないかというぐあいに私は感じます。その他開放が進まない理由があると思いますが、施設の有効利用の観点から開放を進めていくことができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山川生涯学習スポーツ部長 東京都教育委員会は、施設の有効活用を図るために、これまでも施設の改修時などに開放に適した設計にするなど、施設開放を促進する取り組みを進めてきているところでございます。ご指摘の機械警備などの技術面での制約につきましてはさまざまな課題がありますが、今後さらに施設の安全、防犯対策の視点も考慮しながら、開放できる施設をふやしていくよう努力してまいりたいと考えております。
また、学校に対しても、施設を開放することが開かれた学校づくりの実現に貢献するものであることを理解していただき、教育目標を達成していくために策定する学校の経営計画にも反映できるよう働きかけていくことで、施設開放を促進してまいりたいというふうに考えております。
○山田委員 都立高校改革の観点から、学校開放事業について質問させていただきました。学校開放につきましては、地域における学習、文化、スポーツ活動のための施設として地域の要望は大変強いものがございます。特に学校体育施設などは、国内のスポーツ施設全体の六割を占めるとも聞いております。地域要望、あるいは財産の有効活用の点からも、積極的に地域に開放すべきと考えております。
学校施設が学校教育活動に使用されることはいうまでもありませんけれども、施設管理、安全管理を十分に図った上で施設の開放を進めていけば、地域と学校の信頼関係がより一層深まっていくに違いございません。そのためにも、先ほどの部長の答弁にありましたように、施設などが開放しやすいように仕組みを変えていくという、学校経営計画に反映させていくように、学校側の積極的な姿勢を期待するものであります。
学校の施設開放事業につきましては、私は将来的には、単に施設を開放するという考えからより発展をさせて、これからは学校と地域が一緒になって使っていく、共同利用するという考え方を持つべきではないかと考えております。そしてそのことが都民の共通の財産であります施設を有効に活用していくということであると思いますし、そうなるべきだと思っております。
今後の課題といたしまして、学校も含めた教育庁全体で、ぜひこの点について考えていただきたいと思います。都立学校が地域に愛され、そして地域に支えられて発展していくためにもこのことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時五十九分散会
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