文教委員会速記録第十一号

平成十七年九月二十九日(木曜日)
第三委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長村松みえ子君
副委員長山田 忠昭君
副委員長馬場 裕子君
理事服部ゆくお君
理事野上ゆきえ君
理事野上 純子君
伊藤 ゆう君
坂本たけし君
上野 和彦君
泉谷つよし君
秋田 一郎君
木内 良明君
古賀 俊昭君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長山内 隆夫君
総務部長南雲 栄一君
広報広聴部長高西 新子君
都民生活部長和田 正幸君
消費生活部長岳野 尚代君
私学部長新行内孝男君
文化振興部長 山本 洋一君
参事三森 生野君
参事産形  稔君
参事萩原まき子君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 生活文化局関係
報告事項(質疑)
・第十八次東京都消費生活対策審議会の答申について
・「東京都配偶者暴力対策基本計画」中間のまとめについて
・都立文化施設における指定管理者制度の導入について

○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○村松委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり生活文化局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 報告事項に対する質疑を行います。
 第十八次東京都消費生活対策審議会の答申について、東京都配偶者暴力対策基本計画中間のまとめについて、都立文化施設における指定管理者制度の導入についてを一括して議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○南雲総務部長 去る九月十四日の当委員会におきまして要求のありました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元に配布してあります、平成十七年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、1、都道府県における配偶者暴力防止法に基づく基本計画の策定状況外三件の資料を記載しております。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都道府県における配偶者暴力防止法に基づく基本計画の策定状況でございます。
 平成十六年のいわゆる配偶者暴力防止法の改正により各都道府県に策定が義務づけられた、配偶者暴力対策の施策体系を示す基本計画の策定状況を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都及び区市町村における消費者相談件数及び相談員数でございます。
 平成十六年度中に東京都消費生活総合センター及び各区市町村に寄せられた相談件数並びにその相談業務に従事する相談員数について、都及び区市町村に区分の上、それぞれ記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都立文化施設の利用状況でございます。
 まず、(1)、博物館、美術館年間入館者数では、江戸東京博物館を初めとした博物館及び美術館における平成十六年度の入館者数を、また、(2)、ホール、劇場の施設稼働率では、東京文化会館及び東京芸術劇場がそれぞれ保有するホールの平成十六年度中の稼働率について記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立文化施設の職種別職員数でございます。
 平成十七年四月一日現在における都立文化施設各館の職員数について、雇用形態別、職種別にそれぞれ区分の上、記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○山田委員 それでは、私は、第十八次東京都消費生活対策審議会答申について、質疑をさせていただきたいと思います。
 身に覚えのないインターネット上の有料料金を請求される架空請求や、リフォームしないと家が倒れると、ありもしない危険を強調し、不必要なリフォーム工事を行う悪質住宅リフォーム問題など、消費者トラブルが毎日のように新聞紙上に掲載されております。消費者を取り巻くトラブルは現在大きな社会問題となっており、消費生活行政の重要性は、ここ数年飛躍的に高まっているといっても過言ではないと思います。
 このような状況の中で、この七月に、第十八次東京都消費生活対策審議会の答申が出され、先般報告をいただいたわけでありますが、東京都が悪質事業者に対してこれまでどのように対策を講じてきたのか等について、今回の消費生活対策審議会の答申との関連も含めて、何点か質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、消費者被害の動向についてお尋ねをいたしたいと思います。私の周りでも悪質商法にひっかかりそうになった話を聞いたり、耳にしたりいたします。実感といたしまして、消費者トラブルがふえているという感触を私は得ております。また、聞いた話ではありますが、架空請求関係で、相手が指定した連絡先に電話したところ、恐喝まがいにおどかされて、そしてお金を振り込んでしまったという例も耳にしたことがございます。
 消費者トラブルは以前より多く、悪質化しているのではないかと考えられますけれども、まず、都内の消費生活センターに寄せられている相談状況はどうであるのか、相談件数や相談内容について、まずお尋ねをいたします。

○岳野消費生活部長 平成十六年度、昨年度の都内の全相談件数は約二十万件となっておりまして、このうち架空不当請求に関する相談が約十万件と、全相談件数の約半数を占めております。その内容は、インターネットや携帯電話によるアダルト系サイトや出会い系サイトに関する相談でございます。
 また、相談を年代別に見ますと、二十代、三十代の割合が多いものの、伸び率という観点から見ますと、未成年と高齢者の相談の増加が目立ちまして、特に七十歳以上の方の相談は対前年度五一・五%も増加しております。

○山田委員 ただいまのご説明では、インターネット関連の架空請求被害者は、未成年者や高齢者の被害がふえているということであります。このような消費者トラブルが増加している背景は何であるとお考えになっているんでしょうか。

○岳野消費生活部長 一つにはIT化の進展によりまして消費者の利便性は向上しましたが、反面、ワンクリック詐欺といわれるようなインターネット上の架空請求のように、新しいIT技術を悪用した消費者被害があらわれまして、IT化の普及拡大とともにこうした被害も急速にふえていったことが挙げられると思います。
 また、世の中の規制緩和の流れの中で、あらゆる事業者が市場に参入しやすくなりましたことや、高齢化の進展によりまして増加しましたひとり暮らしの高齢者や未成年など、社会的経験の不足した層をターゲットにしている事業者がふえていることなどが背景として推測できる、このように思います。

○山田委員 消費生活行政といえば、これまでは物価や食の安全性がクローズアップされてまいりましたけれども、現在はグローバル化やIT化の進展により社会経済状況が大幅に変化をして、行政としての間口も広くなる。すべき対策も多種多様になってきているように私は思われます。
 そこで、近年、社会的にも大きな問題となった架空請求問題や悪質リフォームに対しての東京都のこれまでの取り組みや、また成果はどうであったのか、お尋ねいたしたいと思いますが、まず架空請求問題についてお伺いをいたします。

○岳野消費生活部長 まず、副委員長がおっしゃられました架空請求についてでございますが、相談員を六名増員いたしまして、本年三月から専門の緊急対策班を設置したところでございます。
 また、本年八月末現在で、約九千五百件の相談を受けておりまして、それらの情報をもとに事業名公表を六十事業者、百四サイト行ったほか、百三十二件の銀行口座の凍結や、架空請求に利用された携帯電話四十台を携帯会社に対しまして利用停止を要請したところでございます。
 また、先月、八月には、夏休みに当たってのキャンペーンといたしまして、架空請求の被害が多いアダルト系サイトを閲覧する若者向けに、大手のプロバイダーのグラビアアイドルのページに、アニメーションを用いたバナー広告、小さなスペースのPRのところでございますけれども、そういうバナー広告を掲載し、普及啓発を行ってまいりました。

○山田委員 次に、同じく最近新聞紙上でもにぎわしておりますし、社会問題となっております訪問販売によります住宅リフォーム関連の相談については、どういう状況であるのか。そして、東京都はどのような対策をとってきたのか、あわせてお尋ねいたします。

○岳野消費生活部長 悪質リフォームでございますが、平成十六年度で千八百六十六件の相談が寄せられておりますが、六十歳以上の高齢者が約七割を占め、点検商法とか次々販売と呼ばれる販売手口によりまして、高額な契約を販売するケースがふえている傾向がございます。
 悪質住宅リフォームに対する東京都の取り組みといたしましては、日本建築家協会の一級建築士の協力を得まして、八都県市合同で特別相談を七月に二日間開催するなど、広域的な対策も講じてまいりました。
 また、高齢者を見守るケアマネジャーやホームヘルパーの方々に対しまして、被害の発見に役立つ最新の悪質商法の手口を教える、いわゆる出前講座を実施いたしまして、今年度、既に五十カ所で緊急に行って終了したところでございます。

○山田委員 今のご説明で、東京都が急増する消費者被害に対してスピード感を持って架空請求対策や悪質リフォーム対策を実施したことについては、よくわかりました。特に架空請求対策につきましては、我が党がこれを強く求めていたものでありまして、事業者名の公表はもちろんのこと、緊急対策班が全国に先んじて行った銀行口座の凍結やホームページの削除要請といった成果は、大いに評価をいたしたいと思います。
 しかしながら、私の地元におきましても、町中を歩いていますと、無料で試みをしてみませんかというような声をかけられて説明会の会場に行ったあげく、高い品物を買わされたとか、あるいは、当選したからプレゼントをとりに来てくれと電話があって喜んで行ってみると、そこに何人も社員がいて、それに囲まれて、そして契約する羽目になって帰ることになってしまった、そういう仕方なく契約をしてしまったという悪質商法の話も、いまだよく寄せられています。
 これらのキャッチセールスやアポイントメントセールスは昔ながらの商法で、東京都もこれまで対策をとっているとは思いますけれども、悪質業者は繰り返し行っているわけでありまして、このような昔ながらの悪質商法に対して東京都はどのような対策をとっているのか、お尋ねをいたします。

○岳野消費生活部長 東京都におきましては、消費生活条例や国の特定商取引法に基づきまして、副委員長ご指摘のような悪質事業者に対しまして、平成十六年度で百四十三件の指導と九件の処分を実施しております。とりわけ、副委員長がおっしゃいましたキャッチセールスについては指導十一件、アポイントメントセールスについては指導十三件、処分五件を行ったところでございます。
 また、昨年の十一月から特定商取引法が改正されまして、キャッチセールスなど、販売目的であることを隠して公衆の出入りしない個室等に誘い込んで勧誘することを禁止するなど、新たな規制が強化されたところでございます。
 今後とも、消費生活条例や、改正された特定商取引法を活用いたしまして、キャッチセールスやアポイントメントセールス等、昔ながらの悪質商法に対しましても厳正、迅速に対処していきたい、このように思っております。

○山田委員 ぜひ厳正に対処いただきたいと思います。
 しかしながら、このような多くの取り組みを行ってきていただいても、悪質商法被害者はなかなか減っていないのが現状ではないかと思います。悪質事業者は、行政が指導や事業者名を公表しても、会社名を変えたり、あるいは、再び同じ悪質商法を継続したり、また、新しいタイプの悪質商法を考え出したりしております。
 このような状況の中で消費者被害に的確に対応していくためには、今、答申いただきましたような第十八次東京都消費生活対策審議会のこのような答申でも述べられているように、従来の消費者行政では想定していない団体や個別企業などさまざまな団体に広く連携を働きかけることが、とりわけ必要であると考えます。
 つきましては、この答申におきまして、今述べました連携の視点を前提として、具体的にどのような提言がなされているのか、お伺いいたしたいと思います。

○岳野消費生活部長 今回出ました消費生活対策審議会の答申では、高齢者を悪質事業者から守るための介護事業者やホームヘルパー等に向けた消費者被害に対する情報提供や啓発、教員や生徒等に向けた情報通信業界の専門家を派遣してのネットトラブル防止策など消費者被害啓発講座の開催、不適正な事業者に対する規制・指導の強化といたしまして、公共広告機構と民間の自主規制機関と一体となりました市場監視の強化、大学と連携した学生参加による不当表示広告の収集・調査の実施などが提言されているところでございます。

○山田委員 ただいまご答弁されました中に介護事業者やホームヘルパー等に向けた情報提供や啓発がございましたが、高齢者を悪質業者から守るためには、さらに答申に提言されている介護事業者と消費者センターとの連携が重要でありまして、こうした動きに注目しているところでもございます。
 そこで、現在、この具体的な内容として、どのようなものを考えているのか、お伺いをいたします。

○岳野消費生活部長 副委員長が申されました、高齢者を悪質事業者から守るため、高齢者の身近にいるホームヘルパーやケアマネジャーが被害を早く発見し、消費生活センターに通報する仕組みが大変重要である、このように認識しております。そのため、東京都は、介護事業者等に講師を派遣しまして、最新の悪質商法の手口等を紹介する研修を集中的に実施してまいります。
 さらには、地元の区市町村の福祉部門と消費生活部門の連携を促して、介護事業者などが消費者被害を身近な消費生活センターに伝えられる仕組みづくり等を行うことなどを考えております。

○山田委員 高齢者の悪質商法被害を防いでいくことは喫緊の課題でありますので、ぜひ具体的な施策を構築して、実のあるものとしてほしいと思います。
 東京都が、この答申をもとに、さまざまなチャンネルを活用いたしまして、各団体と連携を図りながら消費者被害に対応していく姿勢は、よく理解ができました。
 しかし、昨今の高齢者被害を見ますと、全財産を失った事例もありますし、その後の人生設計が変わってしまうほど深刻なケースも少なくありません。急増し、悪質化する一方の消費者被害に対する行政の対応は待ったなしの状況であると思います。
 そこで、最後に、こうした被害の拡大を防ぎ、未然の防止策を講じるための取り組みについて、生活文化局長の決意をお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

○山内生活文化局長 ただいま消費生活部長の方から申し上げましたけれども、これまで都としては、被害が急増した架空請求問題に対応するために、ことしの三月から六名で緊急対策班を設置いたしまして、全国に先駆けて対応したという状況がございます。
 また、社会問題化している悪質住宅リフォームでございますけれども、これにつきましても、近県の埼玉県、千葉県、神奈川県などと連携いたしまして、特別相談窓口を開設いたしました。悪質な訪問販売リフォーム業者を行政処分するなど、積極的な取り組みを今まで行ってきております。
 今後も、第十八次東京都消費生活対策審議会の答申が出たわけでございますが、この答申を具体化するとともに、先ほどお話がありました昔ながらの悪徳商法を行う事業者も、まだまだ後から後から出てまいります。それからまた、新しい業者として、IT技術を駆使した、非常にまた次々新しい手法で高齢者あるいは若者をだまして不当な利益を稼ぐといった業者が出てまいります。そういう人たちについての監視をきちっと行い、また、迅速に指導、処分を行っていく。
 さらに、消費者に対する普及啓発も十分に行いまして、消費者の被害を未然に防止するといった体制を確立したい。そのことによって、消費者被害拡大防止に全力で取り組む。こういう取り組みについては決して手を緩めないで、これからも取り組みたいというふうに思っております。

○山田委員 ぜひ、局長の発言のとおり、悪質業者が二度と立ち上がれないように徹底的に処分をしていただき、都民が安心して暮らせる社会を実現させていただきたいと思います。
 以上申し上げて、私の質問を終わります。

○馬場委員 それでは、報告事項(2)の配偶者暴力対策基本計画の中間のまとめについて、質問と、何点か要望をさせていただきたいと存じます。
 女性に対する暴力につきましては、昭和六十年の国連婦人の十年、ナイロビ世界会議で取り上げられ、平成十二年にニューヨークで行われた国連特別総会女性二〇〇〇年会議では、女性に対する暴力問題がそれまで以上に大きくクローズアップされました。
 国においては、平成十二年の男女共同参画社会基本法に基づく男女共同参画基本計画の十一の重点目標の一つとして、女性に対するあらゆる暴力の根絶を掲げ、その中で、夫、パートナーからの暴力への対策の推進を取り上げております。
 また、都においても、男女平等参画基本条例で、配偶者暴力の禁止の条項を設けるとともに、男女平等参画行動計画においても、家庭内等における暴力対策を重点課題の一つとしています。配偶者暴力は、配偶者という親密な関係と家庭という人目に触れない場所で起こることから、長年被害者の救済を困難にしてきた実態がありました。今でもあります。また、暴力が子どもに及んでいる事例も多いと聞いております。
 このように、配偶者暴力は重大な人権問題であるとともに、男女が個人として尊重され、また、対等な立場で社会活動に参画し、責任を分かち合う男女平等参画社会、この実現をも阻害するものであり、あってはならないものと考えます。
 こうした状況を受けて、超党派の女性国会議員を中心に全国の関係者と、議員立法という形でこのDV法は成立したわけですが、国の財政支援が大変乏しいということを聞いております。そんな中、東京都は、財政状況が厳しい中で、いち早くこの問題に関する本格的な調査、相談、一時保護体制の整備などに取り組んでこられました。
 そこで、まず、今回のこの基本計画中間のまとめは、これまでの取り組みを踏まえ、どのような点に留意して作成なさったのか、お伺いをいたします。

○産形参事 都は、平成九年度に、全国に先駆けまして女性への暴力に関する調査を実施し、その被害状況が深刻であることを明らかにいたしました。
 また、平成十三年の配偶者暴力防止法制定後は、法施行と同時に速やかに配偶者暴力相談支援センターを設置するなど、相談と保護体制を整備してまいりました。
 さらに、平成十五年度には、配偶者暴力の被害の実態調査を行うとともに、第二期の男女平等参画審議会に、配偶者暴力に関する被害実態の把握、分析及び対策について調査、審議をお願いし、平成十六年度に数々の施策提言をいただいております。
 今回の中間のまとめの作成に当たりましては、これまでの都の取り組みや審議会での施策提言等を踏まえまして、かつ、法改正の諸事項に的確に対応し、配偶者暴力の未然防止から早期発見、相談体制、自立支援、人材育成、関係機関の連携など配偶者暴力の総合的な施策の体系化を図るものとして取りまとめたものでございます。

○馬場委員 この中間のまとめの基本理念(1)に、「被害者の安全を確保し、本人の意思を尊重した継続的な支援を行う」ということが掲げられております。
 まず、配偶者暴力の問題への対応として第一に重要なことは、この被害者支援、被害者の初期対応から自立支援までの取り組みと考えます。昨年度で相談件数が約一万件、一時保護が約六百件あったということですが、今回の計画の中では、被害者支援はどのように位置づけられていますでしょうか。

○産形参事 中間のまとめにおきましては、五十五の具体的な施策のうち、多様な相談体制の整備では八つ、安全な保護のための体制の整備では四つ、自立生活再建のための総合的な支援体制の整備では二十一の具体的施策を示すなど、被害者支援は最も力を入れていくべき分野と位置づけております。
 支援に当たっては、本人の状況や意思を尊重しながら、相談から自立に至る各段階に応じた継続的な支援を行うことが重要であり、きめ細かな対応を図るため、被害者支援基本プログラムを作成し、各機関が有機的に連携を行っていくこととしております。

○馬場委員 それでは、先ほど申し上げましたように、男女平等参画社会を実現する上で、配偶者暴力はあってはならないものなんですが、相談件数が年々増加している状況にあって、しかし、表にあらわれている数字というのは、実は配偶者暴力のほんの一握りではないかと思われます。これまでに行われた調査などから見て、男女別で被害者はどのぐらいいると想定なさっていますか。

○産形参事 馬場副委員長ご指摘のとおり、配偶者暴力は家庭内の密室で行われることが多く、その実態を正確に把握することは困難でございます。約三千名を対象にいたしました平成十四年の内閣府の調査によりますと、これまでに殴る、けるなどの暴力によって命の危険を感じたことのある女性が四・四%、男性は〇・七%となっております。
 平成十二年の国勢調査によりますと、都内の有配偶者数は男女とも約二百八十万人というふうになっておりますので、これをもとに推計いたしますと、都内においては女性は約十二万人、男性は約二万人が、それぞれ暴力にさらされていることになります。

○馬場委員 今、約十二万人、四・四%という数字でございましたが、これはまだ少ないのではないのかな、そんな心配があります。命の危険を感じるというまでには至らなくても、暴力を振るわれているという女性はもっと多いのではないかと懸念されています。昨年の法改正により対象となった精神的暴力などを含むと、さらに数はふえるのではないでしょうか。このうち配偶者暴力相談支援センターに相談している方は、約一万件にすぎません。
 こうしてみると、多くの女性が、だれにも相談せず、一人で悩み、救済されない状況にあると思われます。こうした女性に対して、基本計画においてはどのような取り組みを考えていらっしゃいますか。

○産形参事 今回の中間のまとめでは、基本目標の一つに、暴力の未然防止と早期発見の推進を上げております。民生・児童委員への研修の実施や医療機関における適切な対応などにより早期発見に努め、速やかに相談や保護につなげるための体制づくりを進めていきたいと考えております。

○馬場委員 ここに七月二十二日の沖縄の記事があるんですけれども、やはり同じように、被害者の七割、DV相談をせずという数字が、ここにも大きなタイトルで出ているわけです。各地でこういう状況があるのではないかというふうに思われます。
 今、女性ということでお尋ねしましたけれども、男性の被害者も、先ほどの数字では二万人ほどいるのではないかという答弁がありました。これも放置できる問題ではありません。男性被害者への対策については、どのように都ではなさっていますか。

○産形参事 配偶者暴力防止法では、被害者を女性に限定するものではありませんが、女性の被害者が大多数であることから、女性被害者に比べて男性被害者への支援が未整備であることも事実でございます。男性被害者の相談につきましては、東京ウィメンズプラザの男性の悩み相談の中で対応し、必要な情報提供を行っております。
 さらに、支援を充実するため、実施方法や実施体制等を含め検討していきたいと考えております。男性被害者の一時保護につきましては、現在の女性の専用の施設では対応ができないことから、既存施設の活用などを検討していくこととしております。
 いずれにしても、男性、女性を問わず、支援が必要な被害者に対しては、適切に対応してまいります。

○馬場委員 必要な情報提供とか一時保護、こうした男性にとっても大切な施策ということで、この辺の検討はぜひしていっていただきたいというふうに思っています。
 実際に被害に遭われて相談をされる方、一時保護等される方という被害者、それから、今隠れている、相談をされないけれども、家庭の中でDVが行われて被害者であろうと想定される方もいらっしゃる、そういう状況にありますが、こうした状況を根本的に直していくには、未然防止というふうなこと、配偶者暴力を根絶をするというか、こういうことが起こらない、ひどく広がらないというためには、未然防止ということが最終的には必要だというふうに思っています。
 通常の暴力はもちろん、弱い者に対して行われる配偶者暴力はあってはならないことです。家庭という密室で行われる配偶者暴力は発見が困難であり、発見されても、加害者のもとを逃れ自立に至るまでには、幾多のハードルを越えなければなりません。このDV防止法は正式名を配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律というふうになっています。被害者が保護されるということに重きを置かれているわけですが、この被害者の安全を確保し、保護を行い、自立支援を行うという被害者の救済策を充実していくということが、まず基本的には重要であり、このことを進めていただかなければなりませんが、しかし、同時に、配偶者暴力の未然防止に向けた取り組み、これも今後さらに積極的に進めていく必要があるというふうに考えております。
 都においては、配偶者暴力の未然防止について、それではどのように取り組んでいらっしゃいますか。

○産形参事 配偶者暴力のない社会を実現することが必要であり、そのためには未然防止が重要であると考えております。これまでも、啓発用パンフレットなどの作成、配布を初め各種講座や研修の実施等により、配偶者暴力の未然防止に努めてまいりました。今後とも、都はもちろん、区市町村、事業者団体等と連携して普及啓発を行うとともに、学校教育の中で男女平等教育や人権教育を推進するなど、配偶者暴力を許さない社会づくりを推進していくこととしております。

○馬場委員 今、啓発用パンフレットなどの作成、配布、また、各種講座、研修の実施、普及啓発、男女平等教育や人権教育の推進というふうにお答えいただきました。このことはもちろんなんですが、この中身が、内容が問題だというふうに私は考えています。
 以前、都でつくってくださったパンフレット等についても、表現の仕方、いろいろな方が読むわけですから、今後のこうしたパンフレットやさまざまな普及啓発、人権教育等の内容についても、実のあるものになるように、ぜひご検討ください。
 この暴力の早期発見と未然防止のためには、身近な地域である区市町村の役割が大変重要であると思います。これまでも身近な地域ということで、まず区市町村の福祉課等へ相談に行く、女性センター等へ相談に行くということも、たくさん事例としてあったというふうに聞いています。
 昨年の法律改正では、この区市町村の役割についても新たな規定が設けられて、区市町村でも配偶者暴力相談支援センターの機能を整備できることになりました。計画の中で都は、支援センター機能を区市町村が整備するに当たって技術的支援を行うこととしていますが、具体的にはどのような支援を行っていくのか、伺います。

○産形参事 都においては、身近な地域での対応能力を高めるため、区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の整備を支援していくこととしております。そのため、都みずからが蓄積した配偶者暴力相談支援センター整備のノウハウを提供してまいります。
 また、職務関係者研修の充実や区市町村の相談員を都の配偶者暴力相談支援センターで受け入れて実地の研修を行うなど、区市町村が配偶者暴力相談支援センター機能を整備するに当たって重要な相談員のレベルアップを図るための支援を行っていきたいと考えております。

○馬場委員 今回は、中間のまとめということで出されました。この中間のまとめに対して都民意見の募集を行っていくとのことですが、さらに都民意見を参考に、質の高い施策を盛り込んでいただくようお願いをします。
 また、加えて、私からも三点の要望をさせていただきたいと存じます。
 まず一点は、今後の課題ということですが、一時保護の後の問題ですね。一時保護した後の検討課題が、この中間のまとめでも多く挙げられておりました。住まいの問題、生活再建の問題、このところについては対応が大変とは思いますが、このことがやはり担保されなければ自立ということにつながらないということで、一時保護施設退所後、また、DV被害後の自立支援について、対応をぜひしていただきたいということが一つ目です。
 二つ目は、ストーカー法の適用ということでございます。加害の拡大を防止。先ほどもお話ししたように、加害が拡大をしていかないということが、このDVの問題にとって大変大切だというふうに思っています。加害者の特性というのが、被害者の脱出を裏切り行為と感じ、見捨てられたということに大きな怒りを抱き、あたかも自分が被害者であるかのように思い込む例が多い。だから、DVの加害者は、被害者が離れないようにする、離れようとすることを許さない、こんな状況が見られるというふうにいわれています。
 この中間のまとめ、二六ページ、「安全の確保」というところに、ストーカー法の適用の検討ということがありますが、このストーカー法の適用につきましては、平成十六年一月に、警察庁の生活安全局から警視庁あてに、DVにおけるストーカー規制法の活用についての通達が出されております。その内容は、加害者が被害者及びその親族、支援者等を脅迫し、あるいは復縁等を求めてつきまといや連続電話を繰り返すなどの行為が見られる場合にストーカー規制法の適用が可能であるが、まだ広く一般に周知されていないので活用に努められたいというものです。
 このストーカー法の適用対象は、配偶者、それから、保護命令を受けた対象者、交際相手、親族、さらに支援者、こうした方もその対象になっております。被害者のみでなく、親族、支援者等も巻き込んでのDVの問題、暴力の問題は、このストーカー法の適用というのも積極的に都としても警視庁に申し入れていただきたいというふうに思っております。
 三つ目は、加害者更生プログラムでございます。最後に触れられておりますが、加害者更生プログラムは司法制度が異なるという内閣府の見解で、法改正が必要だから今後の検討課題ということであると伺っております。
 DVは犯罪ですというのが最初の基本的な認識ですが、犯罪であっても、なぜ加害者は逮捕されないのでしょうかというのが被害者の声です。犯罪行為というものにはいろいろあって、例えば、たたけば暴行罪、けがをさせれば傷害罪、物を傷つければ器物破損罪、おどせば脅迫罪、押しつければ強要罪、かぎ等で閉じ込めれば逮捕監禁罪、強制わいせつ罪、強姦罪、名誉毀損罪、信書開披罪、まだまだ挙げたら切りがないんですが、職場に押しかけて業務妨害罪等、それぞれいろいろな、最終的には殺人罪まであるわけですが、また、子どもへの加害ということで児童虐待もあります。こうした加害を刑事告訴したときに、その罪で保護命令違反をしたとき等、初めて犯罪となる。
 こうした状況の中で、なぜ被害者が逃げなければならないのかということが強くいわれています。加害者が犯罪を犯しながら、なぜ逮捕されないのか。これは残念ながら、財産権、社会的地位の高い男性が重視をされる。いってみれば、まだ女性に完全な人権が認められていない、こんな状況だといわざるを得ません。
 暴力という手段を使って女性や子どもを支配するということ、これが犯罪行為であるという自覚がないことが被害を大きくし、深くしているというふうに思います。ということであれば、加害者のカウンセリングを初め、加害者の更生プログラムというところが今後大変重要になってくるというふうに考えております。
 この意味では、中間のまとめですが、最終報告には積極的にこうしたことも取り入れて、この基本法がきちんとできますよう要望をさせていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。

○野上(純)委員 最初に、第十八次東京都消費生活対策審議会答申について質疑をいたします。私からは、特に若者に焦点を当てた悪質商法対策について質問させていただきます。
 平成十六年度の都内の消費生活センターに寄せられた相談のうち、若者、二十九歳以下の相談が三割以上を占めており、年々件数の増加が顕著である。そのうち二十歳未満の相談割合の上昇が著しく、若者の相談件数の約二割を占めているという文章が一三ページに載っておりますけれども、十代と二十代で約三割、三十代も加えると約五割を超える状態ということです。中でも架空不当請求による相談が約六割と、大半だということです。
 私のところにも、いろいろな消費者被害に遭ったという方からの相談が来ております。エステとか、かつらのこととか、いろいろありますけれども、特にその中で、例えば、よく新聞広告、雑誌広告などで、千円のお試し美顔エステとかありますね。申込書に記入して提出をすると、化粧品の購入契約書になっていた。解約を申し出ると業者は、これは店舗に出向いて購入したんだからクーリングオフできないと開き直る悪質な手口もあったようです。
 また、販売組織に入り、多額の商品を購入させられるマルチ商法も依然多いと聞いております。例えば、最初に無料の本が送られてきます。その次に、講演会の開催が来ます。開催するので、無料ですので来てくださいと。その講演場所も、京王プラザとか住友三角ビルとかいい場所を使ってそういう講演会を行います。
 そして、そこで、必ずビジネスチャンスにつながるからということで、販売ルートを拡大をするというマインドコントロールで、自分には最大のチャンスが訪れた、起業家になれると信じ込んで、会社をやめて、何百万円もの借金を抱え込むという人もおります。
 また、これは消費者行政とはちょっと違うかもしれませんけれども、子どもの携帯電話にチェーンメールが出回っています。昔、私たちの小さいころは、不幸の手紙というのがあって、一週間以内に何人かに出さないと、あなたが不幸になりますよというのがありましたけれども、それと同じような形で、一週間以内に十人にメールをしないと身に危険が及ぶという内容だったり、また、そのチェーンメールの中をどんどんクリックしていくと、架空請求も多いといわれている出会い系サイトにつながるものもあるということです。
 先ほどの山田副委員長の質疑の中にもありましたが、高齢者の悪質商法による被害も確かに悲惨ではありますけれども、若者の悪質商法被害も、十分な対策をしていかなければならないと思っております。
 そこで、このたび、第十八回東京都消費生活対策審議会において出された答申の中で、消費者への教育、啓発や情報提供を中心に、幾つか質問をさせていただきます。
 普及啓発や事業者指導は今後もしっかりやっていただきたいと思いますけれども、十代前半の若いころから、悪質事業者にひっかからないための能力を身につけさせることが重要だと感じております。学校において消費者教育を充実していただきたいと思いますが、現在、どのような取り組みを行っているのか、伺います。

○岳野消費生活部長 野上理事が申されましたように、自立した消費者を育成するためには、学校教育における消費者教育が大変重要である、このように考えております。東京都におきましては、夏休みの期間を活用した教員向け消費者教育の実施や、教員の皆様に対して消費者教育実践例などを紹介した情報誌、「わたしは消費者」を発行しているところでございます。
 また、学校教育の中で活用できる教材として消費者教育読本を小学生向け、中学生向け、高校生向けにそれぞれ作成して、消費者教育に努めております。

○野上(純)委員 私も長年教育現場に携わってきた経験でよくわかるんですけれども、いろいろなパンフレットとか、子どもたちに授業に使えるようなものを送ってきてくださるんですけれども、なかなかそれを実際に教育現場の中で時間をこじ開けて、子どもたちに教育をするという機会を設けること自体が非常に困難で、この一三ページにも書いてございますけれども、「環境教育と比べても、消費者教育の時間が十分に確保できているとは言えない現状にある。」と。
 多分この分析もそうだと思うんですけれども、本当に努力をしていただいているんですけれども、実際に学校のカリキュラムの中に十分取り入れていただくような方策、そのためには、小中学校であれば区市の教育委員会、都立高校であれば同じく文教委員会の中の教育庁と連携をしていくことが大変大事になってくると思います。
 きょうは生活文化局なので、教育庁ではありませんのでまた違うんですけれども、特に私立学校のカリキュラムの中に十分取り入れていただくことが重要だと考えます。特に、生活文化局が私立学校を所管しているという関係もありますので、ぜひ進めていっていただきたいと思っております。
 今回の第十八次消費生活対策審議会の答申は、連携による新たな消費者施策のあり方に関しての答申とのことですが、若者の消費者被害防止のため、学校との連携についてどのような提言がなされておりますでしょうか。

○岳野消費生活部長 これまでも東京都は、公立学校につきましては、私ども消費者行政部門と教育委員会との間で消費者教育連絡会議というものを設置いたしまして、都立学校の教員向け研修カリキュラムの中に消費生活や消費者被害の講座をふやすなど、消費者教育の充実に向けた取り組みを行ってきたところでございます。
 野上理事が申されましたように、答申の中では、これまで抜けておりました私立学校との連携につきまして、教員、生徒等に向けた携帯トラブル防止策など、消費者被害防止の啓発講座の推進や消費者教育を支援いたしますホームページによる情報提供の強化などが提言されているところでございます。

○野上(純)委員 私学関係は生活文化局の所管でありますから、ぜひ積極的に連携関係を築いていっていただきたいと要望いたします。
 話は変わりますけれども、最近は小学校でも週三時間、総合的な学習の時間という授業があるんですけれども、その中でパソコンを使っての学習、あるいは情報教育などが行われております。中学生や高校生でも、何か調べ物をする際、昔であれば図書館に行って本を探して調べ学習のような形でやってきたものが、最近ではインターネットの検索であっという間にいろいろなことを調べることが可能となっております。
 都の消費生活関係のホームページでも悪質被害防止啓発などの情報提供を行っておりますけれども、若者が気軽にホームページを訪れて、悪質商法について学べるようにできれば、普及啓発もより効果的にできるものとなっていくと思いますが、インターネットを使ってより効果的な普及啓発をするべきと思いますが、いかがでしょうか。

○岳野消費生活部長 現在、消費生活関係のホームページといたしましては、「東京の消費生活」という名前でページを開設いたしまして、消費者被害の緊急情報や消費生活関連の情報を広く掲載しているところでございます。また、先生がおっしゃいました、若者向けに動くアニメーションを使った架空請求のキャンペーンページなどによる啓発も行ってまいりました。
 これからは、多くの若者がインターネットや携帯電話を利用して情報収集をしているというのは、野上理事おっしゃるとおりでございます。それゆえ、例えば、大学や専修学校のホームページに、バナーと申しまして、小さなPRのスペースでございますが、これをつくりまして、そこをクリックすると、「東京都の消費生活」のホームページに誘導できるようなことも検討してまいりたいと思っております。
 今後とも、私どもの消費生活のホームページが、できるだけ多くの方々に活用していただけるよう工夫してまいります。

○野上(純)委員 ぜひ多くの都民の方々に見ていただけるホームページになるように、期待をしております。
 さて、初めに申しましたマルチ商法の被害のように、周りから見ればそんなうまい話はないということで普通はひっかからないような話にも乗ってしまう。十代前半の若いころから自立した賢い消費者の能力を身につけさせれば、三十代、四十代、さらに高齢者になってもこういった悪質商法には被害に遭いにくくなっていくと思っております。若いころから消費者教育をぜひしっかりと定着をして、悪質商法にひっかかりにくい賢い消費者をぜひ育成していっていただきたいと思っております。
 次に、DVに関する配偶者暴力対策基本計画の中間まとめに関して質問いたします。
 配偶者暴力の問題については、私はこれまで数回にわたり質問をさせていただき、さまざまな施策提言や要望を行ってまいりました。ただ単にDVかというのじゃなくて、今でも全国では三日に一人の割、それ以上の割で殺人事件が起きているということが大きいのかなと思います。今回の計画は、暴力の早期発見や相談、一時保護、自立支援、子どものケア、加害者対策など、さまざまな施策が示されていますが、こうした計画を確実に実行していくためには、具体的な取り組みにつなげていく必要があります。具体的には、パブリックコメント、DV被害者の生の声を取り入れながら、今後最終的な計画策定に向けて、ぜひ前向きに検討を進めていただきたいと思っております。
 加害者から逃れた被害者にとっては、自立への道は非常に厳しいものがあります。昨年の法改正で、自立支援が都道府県の責務として明記されました。私も被害者の生活再建に向けた自立支援を行政が行うことが非常に重要と思っております。とりわけ自立支援に当たっては、生活の基盤となる住宅の確保、就労や職業訓練に関する支援を関係機関が連携して進めていく必要があります。
 特に、被害者の方の声の中には、都営住宅にすぐ入居できるシステムが欲しい、あるいは、自分たち被害に遭っている者たちが一緒になって自由に仲間に会え、つながりが持てるような場所が欲しいとか、暴力を受けたら近所にすぐ逃げられるような態勢をつくってほしいとかという住宅関係の問題も出ておりますし、また、経済的自立支援でいえば、就労に関して強力にサポートしてほしい、いろいろな勉強をする学校を紹介してもらったり、入学を優先にしていただければというような声も聞いております。
 きょうは、そこで、自立支援について何点か伺いたいと思っております。
 一時保護所などを退所した後、自立に向けた一歩を踏み出す上で、生活の基本である住まいの確保は極めて重要です。都営住宅を活用して支援をしていく必要があると思っております。これは予算特別委員会の質疑でも提案をいたしましたが、この課題については都市整備局の役割が大きいと思いますが、計画を所管する生活文化局として、被害者の住宅確保について具体的にお伺いいたします。

○産形参事 現在、子どものいる被害者は母子世帯として扱いまして、倍率の優遇や特別割り当てなどの優先入居を行っております。しかし、現行の制度では、五十歳未満の単身の被害者は対象外であり、申し込み資格もないというのが現状であります。
 このような状況から、国土交通省において、五十歳未満の単身の被害者についても公営住宅に正式入居できるよう、見直しを行う予定と聞いております。今後とも都市整備局と連携し、配偶者暴力被害者が都営住宅に円滑に入居できる仕組みづくりに努めてまいります。

○野上(純)委員 配偶者暴力被害者の都営住宅への優先入居を、ぜひ早急に検討していただきますよう、よろしくお願いいたします。
 一時保護所には原則二週間までが滞在期間となっていますが、その間に安定した住宅を確保し仕事を見つけることは、非常に困難です。一つには、DV被害者の方が、たび重なる暴力や、一時的であっても暴力に対し精神的にうつ状態が引き起こって、なかなか行動を開始できない、外に積極的に飛び出していけない状況が続く場合が多々あります。ですから、元気な状態では積極的に住宅を見つけるために動き出せるわけですが、なかなか現実の問題としては見つけることができない。また、保証人や生活費がない場合には生活保護に頼るしかありません。大変です。
 住宅が見つかるまでの当面の住まいを確保し、就労に向けた支援を行う必要があると思いますが、都としてどのような方策を考えていらっしゃるのでしょうか。

○産形参事 原則二週間とされております一時保護施設の入所期間については、利用者の状況に応じて柔軟に対応しておりますが、自立が困難な被害者などは短期間で住まいと就職先を確保することが難しい状況にあります。このため、一時保護所を退所した後、すぐには自立が困難な被害者に対し、当面の住まいの確保策として都営住宅等の提供や利用方法などについても検討するとともに、区市町村、民間団体等との連携により、職業訓練、就職活動を支援することなど、自立に向けた多様な支援を行うための仕組みづくりを検討していくこととしております。

○野上(純)委員 被害者が自立するに当たって、もう一つ大きな課題があります。それは、資料にありますけれども、被害者の八割以上、八三%の方に子どもがいます。子どもに対する支援も自立支援策にとって極めて重要な課題であると思います。この中間のまとめでは、子どもの対策についてどのように整理しているのか、伺います。

○産形参事 配偶者暴力は、被害者だけでなくその子どもに与える影響も極めて大きいことから、配偶者暴力にさらされた子どもに接する各機関が共通の認識を持って対応できるよう、子どものケアに関する体系的なプログラムの作成を検討いたします。
 また、配偶者暴力相談支援センターにおいて、子どもを対象に、子どもの心の傷の回復を支援するための講座を開催することとしております。
 さらに、児童福祉部門や区市町村と一層の連携を図りながら、孤立しがちな配偶者暴力被害者の子どもへのサポートに積極的に取り組んでいけるよう、子ども家庭支援センター事業を充実するとともに、未設置の区市町村を支援していくこととしております。

○野上(純)委員 ちょっとつけ加えますと、私がいろいろ相談を受けた中に、うまく加害者に対して逃げるわけです。多摩の方から葛飾の方まで逃げてくるわけです。普通は、なかなか加害者が被害者の住んでいる場所を見つけるというのは、すごく困難、難しいことが多いんですけれども、加害者が見つけてくるのが、ほとんどが学校の学習指導要録送付先で、その転校先の学校が判明するということがわかるわけです。それも、物すごく上手に学校に、学校は絶対住所を出しちゃいけない、だれにも教えないようにということで赤いマークを張っているんですけれども、うまく、本当に同情を買うように、おばあちゃんになったり、第三者を使ったりして子どもの転校先を聞き出して、そこから今住んでいる住居を割り出すということがすごく多かったんですね。そういう意味では、子どもを連れてDV被害者が逃げているようなときに、情報をきちっと守っていく、そういった配慮も必要じゃないかなというふうに思います。
 それから、もう一つ、被害者対策が重要であることはいうまでもありませんけれども、暴力の原因となっている加害者対策も重要な課題だと思っております。加害者を何とかしなければ、被害者も減りません。その意味でも、加害者対策は重要な課題です。
 昨年度、都は、内閣府の委嘱事業として、加害者更生プログラムを試行したと聞いておりますけれども、実施結果について伺います。

○産形参事 昨年度、内閣府の委嘱事業として、加害者みずからの暴力の責任を認識させ、暴力の再発防止を図ることを目的に、加害者更生プログラムを実施いたしました。実施状況は、平成十六年九月から平成十七年一月まで、六名の参加者に対し、週一回、合計十八回のグループ形式の教育講座を開催いたしました。
 プログラムの内容は、暴力についての理解、配偶者間の対等な人間関係についての理解、暴力を肯定する価値観や信念の変容などであり、昨年三月に実施結果を内閣府に報告いたしました。今年度、内閣府において、加害者更生プログラムの効果等を含め、実施結果の検証を行っているところでございます。

○野上(純)委員 今回の中間まとめでは、加害者対策のあり方について検討するとなっておりますが、都としても、せっかく昨年度試行したのですから、その実績を踏まえ、さらに検討する必要があると考えますが、見解を伺います。

○産形参事 加害者対策は、被害者の安全確保とさらなる暴力被害の防止など、被害者支援の観点から重要でございます。昨年度、内閣府の委嘱事業として実施した試行結果や、現在内閣府で行われている検討結果を踏まえ、今後の都における加害者対策について、具体的に検討していきたいと考えております。
 また、加害者の更生を司法制度の中に位置づけるなど、必要な法制度を整えるよう国に要望してまいります。

○野上(純)委員 ぜひ有効性のある加害者対策について、具体的な検討をお願いしたいと思います。
 けさの新聞にも大きく報じられておりましたけれども、北九州の連続監禁殺人事件、この背景には激しい虐待があった。これは夫婦関係というよりも内縁の夫婦関係だと思うんですけれども、激しい虐待があった。家族がどんな精神状態にあり、なぜここまで加害者に支配されたのか、それを弁護側が鑑定しておりまして、虐待被害を受けた女性の典型として、長期の虐待は判断力の著しい制限や、虐待者への強度の心理的服従関係を生じさせたということが指摘されております。
 ですから、このように自分で逃げ出してくる女性は、ある程度まだ救えるなあと思うんですけれども、本当に逃げ出せないでずっと服従関係で苦しんでいる、女性だけでなく男性もいると思うんですけれども、そういう方も多分随分いらっしゃると思います。
 これまで申し上げてきた配偶者暴力対策は、都だけでできるものではありません。関係機関や民間団体がさまざまな局面で密接に連携し、ネットワークを組みながら、それぞれが持てる機能を発揮していくことが重要です。そのためにも、基本計画の策定を通して、この問題の解決に向けて関係機関や団体の連携が一層推進されるよう頑張っていただきたいと思いますが、最後に、実効性のある計画づくりに向けた決意を伺います。

○山内生活文化局長 今回の基本計画の中間のまとめでございますが、ここにも示されておりますように、配偶者暴力というものは個人の尊厳を侵害するものだというふうに認識しております。そういうことから、被害者の支援、それから配偶者暴力の防止といったものには社会全体で取り組む必要があるだろう、そういう課題であろうと考えております。関係各局、区市町村、それから民間団体などと密接な連携のもとに実効性のある施策展開を図れるよう、最終的な基本計画のまとめをしていきたいというふうに考えております。

○村松委員長 この際、議事の都合により、暫時、十五分休憩いたします。
   午後二時十一分休憩

   午後二時二十六分開議

○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大山委員 私は、東京都配偶者暴力対策基本計画中間のまとめについて、まず最初に質疑します。
 配偶者の暴力について、私のところにも時々相談が来るわけですけれども、本当にどうしてこんなに我慢しなきゃいけないんだろうというような、おびえているような状態で来る人もいるわけです。中間のまとめを見てみますと、資料の四〇ページでは、結婚前から、それから結婚後一年未満からというように非常に早い時期からの暴力もあるし、それから、子どもに対する暴力も五割、それから、子どもの前での暴力というのも四割ということで、配偶者に暴力を受ける人も、それから、子どもも含めて、体も心も本当に傷ついている、傷が深いというのが実態だというふうに発表しています。もちろん、あらゆる暴力をなくさなくちゃいけないということは大前提です。
 私、地元が新宿ですけれども、東京都の女性相談センター、それから、その一時保護所、そしてキリスト教矯風会の出産前後の婦人保護施設であります慈愛寮、それから、外国人の一時保護もする、いわゆるシェルターというHELP、それから、少し長期に滞在して自立支援をするステップハウスなどもあるわけです。
 時々訪問しますし、いろいろお話を聞いてくるわけですけれども、これは慈愛寮の便りというものですが、その中でも、おびえや挫折感、自責の念にかられながら、不安のただ中で慈愛寮にたどり着く、その夜から発熱し、入院になることもあるとか、あと、既婚の十七歳、夫から殴られたり、包丁を投げつけられたり、その痛みを感じないようになれる努力をしてきた。入所後数日は、とび職の夫が外窓から侵入してくるのではとおびえていた。
 この人は、その後、三回も四回も、戻ったり来たり、戻ったり来たりということを繰り返したわけですけれども、そんな本当にひどい状況であると同時に、例えば、夫の暴力から逃れるために慈愛寮に来たとき、私はまさに五里霧中でしたが、今では心新たに一歩を踏み出せそうです、それは、それまでの異常な生活から離れ、なおかつ衣食住を心配せずに心を落ち着けた状態の中で今後のことを考えられたからです、DVに対する保護命令の申し立て、決定、離婚調停申し立て、弁護士扶助申請、受理までが約一カ月で行えたのも、両女性相談センター、区役所の方々の助けがあったからですというふうに、この方は本当にしっかりした方だったので、一カ月という異例のスピードだったんですけれども、こういうDVの実態のひどさと同時に、一時保護だとか相談だとか、それから支援ということが、非常に重要な役割を果たしているということは、もう明確だと思っています。
 この中間のまとめの後に、来年一月にはまとめを出して、その後、基本計画をつくるということですけれども、生活文化局がやはりこのリーダーとなって、各局にわたる、それから民間にもわたるということですから、本当に各局だとか民間の団体ときちんと連携をとって、計画を実のある施策にしていけるかどうかというのが、今非常に問われていることだというふうに思っています。ですから、積極的に進めていく立場で質疑をいたします。
 DV対策を初めとして女性福祉の分野というのは、歴史的にも非常に民間団体が果たしてきた役割というのは大きいわけですね。先ほど申し上げました慈愛寮などは、百十九年、百二十年近い歴史を持って、女性を保護してきました。外国人保護を先進的に行ってきたHELP、それから、国や地方自治体がやる前からそれにかかわって実践をして、積み重ねてきたわけですから、それはもう大きな財産ですし、さらに今後も処遇も含めてさらに充実発展していくということなんですが、だからこそ、東京都も民間団体もお互いに尊重し合って、学び合って、協力し合うことが不可欠だというふうに思っています。
 被害者支援において、民間団体、先ほども申し上げました相談、一時保護、自立支援に至る幅広い活動を行って、重要な役割を担っているわけですけれども、中間のまとめの基本理念の中で、都と区市町村等関係機関、民間団体が相互の連携のもとに、それぞれの役割を果たしている。民間団体との連携について、どのように考えているのかを教えてください。

○産形参事 民間団体は、被害者支援にとって重要な役割を担っていると認識しております。連絡会議の開催等による情報提供や意見交換、さらに被害者の支援に必要な人材育成のための研修などを行い、今後も密接な連携に努めていきたいと考えております。

○大山委員 重要であるという認識はとても重要ですし、密接な連携に努めるということはぜひやっていただきたいと思っています。
 同時に、何といっても民間団体で、ないものはお金ということなんですけれども、例えば外国人の女性も含めて保護しているHELP、十部屋あるんですけれども、多いときには子どもも含めて二十人以上が保護されているんですね。そこの総会の資料で見ますと、正規職員が六人、非常勤一人、パートのワーカーさんが七人、そのほか非常に多くのボランティアで成り立っているということなんです。そこに東京都の補助というのは、わずか年間七百二十万円なんですね。職員一人分そこそこということなんです。
 一時保護体制にしても、二六ページでは、民間委託に努めるというふうになっていますけれども、まさに今の状況は法人の善意と使命感に頼っているというのが東京都だといわざるを得ない状況です。民間に頼る、それから民間と一緒にやるということだったら、運営費に見合った補助に拡充するというのは当然のことですし、福祉保健局が所管なんだというふうにおっしゃると思うんですけれども、DV対策を充実させるためには、やはりこの計画を中心になってやっている生活文化局が、きちんと福祉保健局にも充実できるように、運営費の充実も含めて要請することが求められていると思いますが、どうですか。

○産形参事 今お話しのHELPの事業でございますが、東京都来日外国人女性緊急保護事業として行っている事業でございまして、事業の趣旨、状況等から適切な事業運営を行っていると聞いております。

○大山委員 適切な事業運営はしているんですけれども、例えば正規の職員だけでも六人、もちろん二十四時間の施設ですから、そうですよ。それで非常勤もいるわけですし、七百二十万というのは本当に運営費の中ではごく一部なんですね。ですから、必死になっていつもみんな募金を集めていますよ。バブルがはじけて以降、募金が集まらないんですとかいうこともいいながらも、必死になって募金を集めているんです。と同時に、こうやって民間団体の人たちというのは、やはり社会が必要とする仕事というのは社会が負担すべきだというふうにいつもいっておられるんですが、私もそのとおりだと思うんですね。実践する、それから行政が責任を持つ、その行政の責任を持つという部分は、やはりきちんと運営ができるように支援をするということは非常に大きなものだと思います。
 一時保護の絶対数の不足というのも深刻です。この中間のまとめの四ページ、一時保護件数というのは十三年度と比べて二倍だというふうに書いてあります。一時保護所というのは、もちろんDVだけではなくて、居場所がなくなってしまったり、そのままにしておくとホームレスになってしまうというような、DVだけではないわけですけれども、女性相談センターの一時保護所に行きますと、普通の居室だけではなくて相談室も幾つかベッドが置かれていたり、畳が置かれていたりということで、もう絶対数が足りないということは明らかなんですね。
 先ほどの話にもありましたけれども、幾ら一時保護だといっても、心身ともに深く傷ついている女性であり、子どもたちなわけですね。安らげるところ、これがまず第一だと思うんですけれども、どうでしょうか。

○産形参事 配偶者から逃れた被害者につきましては、心のケアが非常に重要でございまして、安らぎの場を提供することは大切なことであると考えております。

○大山委員 大切だという認識があるのだったら、やはりきちんとその場所をふやしていくということにも努力してもらいたいと思うんです。ですから、女性相談センターでの一時保護の増設、それから一時保護できるところをふやしていく、民間も含めてふやしていくということが求められていますが、それについてはどうですか。

○産形参事 配偶者暴力センターにおきましては、必要に応じて民間委託を行うなど被害者の一時保護に努めてまいりました。今後も基本計画の中間のまとめにございますように、被害者の状況やニーズに合った一時保護が行えるよう民間委託の拡充に努めていくこととしております。

○大山委員 今、私が述べたのは、絶対数が足りないというのはもう明らかですよということを述べたわけですね。ですから、きちんと東京都としても一時保護、例えば女性相談センター、併設されている一時保護所、その上には婦人警官の寮なんかもあるわけですけれども、そういうところと相談するとかを含めて、きちんと受け皿をふやすということに取り組んでいってもらいたいと思っています。民間委託を進めるということを強調されるんだったら、先ほども申し上げましたように、やはりきちんと運営費を保障するということは大前提だというふうに思います。
 自立支援なんですけれども、自立していくには住まいと人の支えというのが不可欠だということなんですね。中間のまとめでも二八ページで、「住宅の確保は最も重要な要素である。」というふうになっています。この中では都営住宅の活用が書かれているわけですけれども、都営住宅の優先入居、それから五十歳未満の単身の被害者の入居、これも必要なことだと思いますので、それはきちんと進めていってもらいたいと思うんです。
 しかし、この間、六年間、都営住宅新規建設ゼロということが続いている中で、空き家募集を見てみますと、三十四倍から三十五倍なんですね。幾ら優先入居枠にしたりしても、当選しても今、普通ですと、一年も待たなかったら入れないのですね。ですから、そういう状況を見たら、なかなか生易しいものではないというふうに思うんです。ですから都営住宅の活用はそれはそれで進めていってもらうと同時に、適切な民間住宅の借り上げなども含めて実施することが求められていると思いますが、どうですか。

○産形参事 被害者が自立する上で住居の確保は重要な課題でございます。一時保護施設を退所した後、すぐには自立が困難な被害者に対し、中間のまとめでは、当面の住まいの確保策として都営住宅等の提供や利用方法などについても、関係局と連携しながら検討していくこととしております。

○大山委員 「等の」というところを強調されましたけれども、「等の」というところで民間住宅の借り上げなども含めて検討するということが含まれているというふうにとらえていいんですか。

○産形参事 中間のまとめでは、当面の住まいの確保策として都営住宅等の提供や利用方法などについても、関係局と連携しながら検討していくこととしております。

○大山委員 今、同じ答えをしたんですよね。ですから、じゃ、「等の」ということには都営住宅だけではなくて、ほかの住宅も入っているんだというご答弁だというふうに思います。
 住まいともう一つ重要な支えというのは、DVを受けてきた女性、男性もいるわけですけれども、子どもも、それからトラウマが激しいわけですね。一時保護所を出てから自殺してしまったというケースなどもあるというんですね。HELPだとか慈愛寮は、出てからも二年間はいつでも訪ねてきていいですよというふうにいっているんですけれども、余りにケースが多いので対応し切れないわけですね。原則的には婦人相談員がアフターケアもすることになるわけですけれども、同時に被害者支援というのは長い期間が必要なんですね。
 例えば、死ぬほどの怖い体験や目撃をしたために、強い恐怖心や無力感に襲われ、この出来事を反復的に夢見たり、頭痛や過呼吸などの症状に苦しめられる。それがPTSDだということ。特に複雑PTSDは、長い期間にわたって暴力的支配下に置かれたために、自分の感情や感覚を殺さなければ生きていけなくなり、自分を愛せない自己否定、他人を信用できない等、いやしがたい心の傷を残すということです。これらの症状は長い期間をかけた治療によって少しずつ回復するというふうにいわれているわけですけれども、これは専門性と長い時間が必要だということなんですね。ですから、具体的にどのような方策を考えているんでしょうか。

○産形参事 被害者が自立していく中でも、心のサポートが重要であると考えております。配偶者暴力相談支援センターでは、このような問題に適切に対応できるよう自立支援講座の中で、心のサポートや生活上の不安を取り除くための情報提供を行うとともに、自助グループへの参加支援を行っております。今後も被害者に対する継続的な心のケアに努めてまいります。

○大山委員 もちろん自立支援講座だとか自助グループも、これは非常に重要なものだと思います。同時に、被害者の支援、配偶者暴力に識見のある専門性の高い人材が必要なわけですね。専門性の高い職員を育成するべきだと思いますけれども、その育成についてはどうですか。

○産形参事 高度で専門的な対応が必要な被害者の方には、弁護士、医師、心理職員等による専門相談を実施しております。配偶者暴力相談支援センターの相談員に対しましては、専門家による指導助言、いわゆるスーパーバイズ等の研修を行っております。今後とも相談員に対する研修をさらに充実し、相談員の資質の向上を図っていくとともに、区市町村の相談員についても研修の充実に努めていきたいと考えております。

○大山委員 ぜひ研修に努めていっていただきたいと思っています。
 同時に、婦人相談員の人数も決して足りているわけではないわけですね。都と区市町村の婦人相談員を合わせても、一人の婦人相談員に、東京都の人口で割りますと、十三万一千人いるわけです。四十七都道府県中、十七番目ですね。しかも、DV対策だけというわけではないですから、増員を不可欠だということではぜひとも福祉保健局とも相談してほしいと思っています。
 このキリスト教矯風会の人がよくいうんですけれども、やはり一番大切なのが愛なんだということなんですね。ですから、やはりきちんと行政としても本当にきめ細かく愛を持ってやっていただきたいというふうに要望して、次の質問に移ります。
 十八次東京都消費生活対策審議会の答申なんですけれども、先ほどから随分具体的なケースも含めて出ているわけですが、生活文化局がこの間「高齢者の消費生活トラブルに関する調査結果」というのを出されたわけですけれども、この中でもケアマネジャーさんが担当している高齢者で悪徳商法の被害に遭った人がいるというふうに、半数の人たちが答えているわけですね。私の知り合いでも高齢者のひとり暮らしで、電話がかかってくるんですよね。何回かかかってきて、結局訪問して、羽毛布団だとか、浄水器だとか、一枚だけじゃなくて、二枚も三枚も契約しちゃうんですよね。周りの人が気づいて、クーリングオフの範囲で返品できたものもかなりあったのでよかったわけですけれども、言葉巧みに、その人、貯金通帳まで見せちゃったというんですよね。この人から幾らぐらいまで引き出せるというのまでわかっちゃうじゃないかというふうなことなんですけれども、高齢者も、それから若者も、この対策というのは非常に重要だというふうに思っています。
 ですから、東京都はその答申を生かして早急に、かつ積極的に施策の展開をすることが求められていると思います。その観点で質疑をします。
 まず最初なんですけれども、消費者基本法に対する認識、消費者行政に当たる基本的態度のことなんです。答申の中でも、法律の主要な改正点を踏まえるとされていますけれども、消費者基本法に対する認識なんです。また、消費者行政に当たる基本的態度なんですけれども、我が党は消費者基本法に賛成はしましたけれども、法の制定時に一部改正大綱を出して、法の持つ弱点を指摘しています。
 それはどういうことかというと、第一には、消費者の自立支援と引きかえに、消費者にみずからの利益を守る責任を押しつけて、行政や事業者の責任をあいまいにしている。その一番の特徴が、消費者に対して情報収集や合理的行動に努めなければならないという責務を押しつけていることだ。これでは消費者被害をこうむった場合に、消費者の努力不足ということにされかねません。
 第二には、消費者政策への消費者の意見の反映についても、新たに透明性の確保を加えただけで、具体的な意見反映の仕組みがありません。消費者保護会議の名前を変えただけで、消費者基本計画を立案する消費者政策会議から消費者代表を排除してしまったということなんですね。とりわけ消費者の自立の名のもとに、都が果たすべきさまざまな責任を軽んずるようなことがあってはならないと思っています。
 東京都の法に対する認識、それから消費者行政に当たる基本的態度について簡潔にお聞かせください。

○岳野消費生活部長 消費者基本法は、昨年の六月、世界経済状況の変化に対応して三十六年ぶりに改正されました。この改正によりまして、消費者政策の軸足を消費者の保護から自立の支援に移しましたが、それだけではなく、事業者の責務等の拡充や消費者教育の充実等もうたっております。
 東京都といたしましては、こうした消費者基本法の理念を踏まえ、消費生活行政を展開していきたいと思っております。

○大山委員 消費者の権利を確保するため事業者に責任を果たさせる、その責任を国や自治体がきちんと負うということを基本にしなければいけないと考えています。
 次なんですけれども、消費者団体訴訟制度について幾つか質問します。
 審議会の委員でもあります東京消費者団体連絡センターの方にもお話を伺ったんですけれども、答申の方向性については基本的に歓迎されていました。同時に、幾つかの問題点も指摘されていました。
 まず、消費者団体訴訟制度についてなんですが、今、国で検討されている最中ですけれども、消費者の立場から懸念される点もあります。
 まず、情報提供についてなんですけれども、情報格差--情報提供について、消費者団体の方も、これまでは消費者の権利をいうなら責任をといった議論が多かったけれども、消費者契約法の中に情報格差という文言が入って以後、それがずっと使われている。自立した消費者であるためにも、事業者との間での情報格差を埋める必要があるというふうに指摘されているんですね。また、問題のある事業所の事業所名の公表についても、その必要性を指摘されています。
 答申の中では、「団体訴権適格消費者団体等との連携による消費者被害の防止」の部分で、「これまで、消費生活総合センターは、相談者や事業者の情報などについて、慎重な取扱いに努めてきたが、今後、消費者団体訴訟を担う適格消費者団体に対しては、個人情報保護の遵守等の取決めを適正に整備した上で、事業者情報やメコニス(東京都消費生活相談情報オンラインシステム)情報も含め、消費生活総合センターの相談情報を積極的に提供していくことを検討する必要がある。」というふうに書かれています。
 この検討というのが始まっているんでしょうか。この事業者情報には当然問題のある事業所の名前を初めとして、訴訟を円滑に進めるために必要な情報が含まれるというふうに考えますが、どうでしょうか。

○岳野消費生活部長 ご指摘の消費者団体訴訟制度でございますが、この関連法案を平成十八年の通常国会に提出するべく、現在、国で検討されていると聞いております。
 東京都におきましても、国での検討状況を踏まえ、その詳細の内容を勘案しながら、実際の制度が始まるまでに結論を出すようにしていきたいと思っております。

○大山委員 国で検討しているというのは事実ですし、それから消費者団体の皆さんが心配されているというのもあるわけですね、今の段階で。ですから、国がつくるということは、そうなんですけれども、都民の立場に立って、やはり都として意見を出すというのは当然やるべきことですし、しなければいけないということだと思います。
 同時に、事業者名がオープンにならないと、未然に差しとめることも、それから警告などもできないわけですから、これは事業所、事業者の公表というのはなくてはならないことだと思いますので、ぜひとも東京都としても要望してほしいと思っています。
 次に、訴訟費用なんですけれども、消費者個人はもちろんですが、適格団体として想定される消費者団体も決して財政的には余裕があるわけではありません。消費者団体の人も訴訟費用について、都がどれだけ支援するのかということに注目しているというんですね。答申には、具体的にこの点についての言及はありませんが、東京都はどのように考えているのかということなんです。
 ここで私が懸念するのは、現在、開かれている国の消費者団体訴訟制度検討委員会での議論の行方なんです。昨年十二月に検討委員会が発表した「消費者団体制度の骨格について」というものでは、五番目として、「制度の実効性を高めるための方策」というのがあり、その(2)で「環境整備の方向性」というのがあって、その中では「行政においては、消費者団体訴訟制度の導入を視野に入れて活動している団体の状況も踏まえつつ」、情報、人材、資金等の面で「どのような方策を講ずることが可能であり適切であるかについて検討する必要がある。」というふうになっていたんですね。
 ところが、現在、その骨格を土台にして練られていると思われるわけですが、「消費者団体訴訟制度の在り方」について、案ということになっていますが、同じ部分を見てみますと、「行政としては、情報面、人材面の支援を行うとともに、制度に関する積極的な広報・啓発等を行い、制度の意義や適格消費者団体の活動への理解が国民の間に広く進むよう努めていく必要がある。」というふうになっていて、資金面での行政の役割についてはすっぽり抜け落ちてしまっています。専ら消費者団体に財政確立の努力を促す記述のみということになっています。
 明らかに行政の責任や役割についての後退が見られるわけですけれども、こういう点について都として警鐘を鳴らす必要があるというふうに思いますが、どうですか。

○岳野消費生活部長 本年六月に出されました国の最終報告でございます「消費者団体訴訟制度の在り方」についてを見る限りでは、適格消費者団体自身による事業収入や寄附金収入の確保などによりまして、国は、適格消費者団体の財政基盤の安定が確保されると想定しているように考えられます。
 東京都としても、このような国の考え方を踏まえつつ、今後の具体的な実施状況を見守ってまいりたいと思います。

○大山委員 国はそうやって後退させちゃったわけですけれども、国がいっている事業収入や寄附収入だといっても、大体想定しているのが、弁護士だとか、司法書士だとか、相談員による事業なんですよね。結局、そういう人たちというのは自分の仕事は持っているわけですから、事業収入といったってなかなか厳しい。だからこそ寄附の受け皿まで提起しているということだと思うんですね。ですから、国はそこまで後退しちゃっていますが、やはり東京都の消費者行政としては、この訴訟制度について東京の訴訟適格団体の実態を今後きちんと把握をしてやっていってほしいと思いますし、国に対しても、物をいうべきだと思います。
 そういう訴訟制度など新しい制度ができるということと同時に、消費者団体の方からは、行政の担当者に今、専門家が少なくなってしまっているというか、その部署で、その人に聞けば何でもわかるという人が本当にいなくなっちゃって、二、三年で人事異動でかわっちゃうので本当に困るんですというような話だとか、庁内の連携、生活文化局が教育庁だとか福祉保健局だとかと一緒になって、生活文化局できちんとリードしてもらいたいという要望だとか、それからヘルパーへの情報提供などうまくいくのかとか、それから学校教育への展開をきちんとできているのかということも含めて心配しているわけですね。ですから、そういう要望だとか意見だとか、消費者団体とか都民の皆さんの意見をきちんと聞いて反映させることが求められていると思いますけれども、どうですか。

○岳野消費生活部長 このたび出されました十八次の消費生活対策審議会の答申でも、関係機関との連携というのが一つのテーマになっておりますが、先生がご指摘のような各局との連携につきましては、これまでも東京都としてやっておりまして、今後もこうした連携を密にしまして、よりよい消費生活行政の展開に邁進してまいりたいと、このように思っております。

○大山委員 連携と同時に、消費者団体だとか都民の意見をきちんと反映させるということについてはどうですか。

○岳野消費生活部長 このたびの消費生活対策審議会におきましても、消費者団体の方のご意見も入れました答申を入れておりますし、さまざまな段階で消費者の参加を試みておると思っております。ご指摘のようなことにつきましても、十分踏まえながら今後、消費生活行政を行っていきたいと思っております。

○大山委員 一度聞いたからいいというんじゃなくて、一方通行じゃなくて、皆さんの意見を反映してこうなりましたとか、自分はこう考えていますとかということを双方通行でぜひ議論していっていただきたいという要望を述べて、次の文化施設における指定管理者制度の導入についてに移ります。
 都立文化施設への指定管理者制度の導入について、ことしの第一回定例会では、指定管理者に館の管理運営に関する業務を行わせることができるという、できる規定の条例で改定したわけですね。これに基づいて出てきた方針が、十八年度から三年間は東京都がこれらの文化施設の管理運営のためにつくった歴史文化財団に特命をして、二十一年度以降の指定管理者を十八年度、つまり来年度公募して選定するということですね。
 まず最初に申し上げたいのは、文化政策の練り上げが必要じゃないかということなんです。ことし三月の第一回定例会の文教委員会で、我が党の木村委員が、当時、委員だったわけですけれども、その質疑に対して、山本文化振興部長 は、都立文化施設への指定管理者制度を導入する前提として、「先ほど局長からも申し上げたように、東京都の文化施策を語る会を設置いたしまして、改めて文化施設のあり方なども含め議論をしていただく」、その議論や提言を踏まえまして、文化施設各館の運営方針を明らかにいたしますというふうに述べているんですね。
 ですから、ここで紹介されていた東京都の文化施策を語る会、これは議事録が公開されていますので、読ませてもらいました。参加された専門家の委員の方から、私は本当に随分率直な意見が出て、本当に多岐にわたって出されていて、おもしろかったといういい方は変ですけれども、楽しく読ませていただきました。
 特に、次のような指摘が複数の委員から出されていることに正直驚いたんですけれども、例えば、これは第二回の議事録なんですけれども、今村委員、東京都の参与でトーキョーワンダーサイトの館長さんは、「指定管理者の問題は、単なる法改正対応でとらえるのではなく、公共が文化施設を抱えていることの意味を考える機会ではないか。施設を全部民間に渡せばいいということではないと思う。」と述べているんですね。
 それから太下さんとおっしゃるんですかね、株式会社UFJ総合研究所の芸術文化政策センター長さんですが、「指定管理者の問題も、単純に公設民営型、民間の事業者を入れればいいという問題ではなく、逆に現状に課題があるならば、その課題を解決しないと、誰がやっても結果は一緒になる。そういう意味で、現状は何が問題なのか、公共文化施設のミッションとは何かを考える時期に来ている。」というふうに発言され、平田オリザ、劇作家で、演出家で、桜美林大学の教授は、座長のいうように、公共部門が文化を担うことの「理念とか哲学をどこで話すのか。このまま指定管理者制度を続けていったらそこは空洞化してしまい、ただのコスト競争になってしまうのでないか。」というふうに、おのおの述べているわけですね。
 三月の第一回定例会の木村委員の質疑では、文化行政に対する自治体としてのポリシーみたいなものですね、そういうものを東京都が持っているかどうかということ、東京都がまずきちっとした文化政策の方向を明らかにして、そのことをみんなで議論した上でどういう制度を変えていくか、活用していくかということを議論するのが筋だというふうに指摘しましたけれども、まさに同じことが専門家の皆さんの中からも出てきている、いわれているということなんです。
 文化施策を語る会の議論の中でも、海外、特にアジアとの交流だとか、子どもや学生の教育との連携、若手育成、社会的弱者の社会復帰に文化の力をなどなど、文化行政に対する自治体としてのポリシーを練り上げるに当たって、示唆に富んだ指摘が本当に多数あると思います。全国的にも世界的にも注目すべき例がたくさんあるようです。
 こういうことを大いに学んで、みんなで議論をして、都の文化政策を練り上げる、これがまず必要なんではないかと思うんです。まだまだ議論が不十分だと私は思っていますけれども、この点についてどうですか。

○山本文化振興部長  東京都の文化施策を語る会では、東京都の文化施策の推進につきまして自由な意見交換やご議論をいただける場所でございます。したがって、いろんな意見が出ることは当然でございます。これらの議論を踏まえまして、今後の文化施策のあり方、あるいは指定管理者制度の具体的な適用の中身についてまとめていくこととしております。

○大山委員 本当にこの議事録を読ませていただいても、それから今のご答弁を聞いても、まだまだこれからというところだと思うんですね。
 それから、さらにそうした政策の練り上げということに当たって、どうしても都民の利用者、都民の声を聞いて反映させる必要があるわけです。制度的な保障を初めとして、都民の利用者や都民の声を聞いて反映させるということについて考えていることがあれば、お聞かせください。

○山本文化振興部長  先ほど申しました文化施策を語る会の中での議論がまだ続いておりますので、そうした議論も踏まえながら具体的な話は検討していきたいというふうに考えております。

○大山委員 都民の意見や利用者の意見を反映させるということについてなんですけれども。

○山本文化振興部長  先ほど申しましたように、文化施策を語る会が今、議論中でございますので、先生方のご意見も踏まえながら、そのやり方については検討してまいりたいというふうに思います。

○大山委員 文化って、私も余り造詣が深い方じゃありませんけれども、やはり舞台にしても音楽にしても美術にしても、鑑賞する人、それから受け手と双方に、お互いに連携するというか、響き合うというか、つながっていくということが非常に重要だと思うんですね。ですから、そういう文化政策を、東京の文化政策をどうするのかということを練り上げるときには、やはり都民、利用者、なくして練り上げるというのは、これは押しつけになりかねませんから、きちんと都民の声、利用者の声を反映できるような仕組みを、練り上げる段階でぜひ持っていただきたいというふうに思います。
 今のご答弁にもまだまだこれからなんだということが醸し出されていたわけですけれども、公募が来年というふうに提案されているわけなんですね。この議論が今まだ本当にとば口というか、そういう段階で、練り上げた文化政策の中身だとか各施設の運営方針いかんでは、指定管理者を導入するのか、それから指定管理者をどういうふうにするのか、全部とまではいえないまでも各施設ごとに検討するという結論も、このケースはどうするとかということも含めていろいろなことが考えられると思うんです。
 第五回の議論では、東京大学の小林真理氏が、「実は、そもそも指定管理者を導入するのがいいのかどうかという問題があるわけです。」「例えばこの地域では非常に芸術文化を大事にするため行政がバックアップして積極的に振興していきたいというのであれば、それは別に直営でも構わないわけです」からというふうな意見も出ているわけですね。
 ですから、まだまだ来年の十八年度が公募というのを、これを本当に固定せずに、非常に拙速にしないで、誤解を恐れずにいえば、今村委員のいう単なる法改正対応にならないように、きちんと議論をして、公募の時期もずらすぐらいのことを、私は勇気を持ってやるべきだというふうに思っています。
 公募の時期をきちんと切らないでというか、十八年度というのを固定しないで、まず十分な議論をして、文化政策、それから各施設の都としての方針、それをきちんと練り上げていく、それが求められている。公募の時期も、確定というか、固定しないでというか、十八年度ぎりぎりというのをもっとルーズに考えてもいいんじゃないかと思うんですが、どうですか。

○山本文化振興部長  指定管理者制度につきましては、資料第6号でお示し申し上げましたように、文化施設のサービスの質の向上とコスト削減を図ることを期待して導入いたすものでございまして、東京都といたしましては、平成十八年四月に指定管理者制度を導入することといたしまして、既に本年第一回都議会定例会において条例改正を行ったところでございます。都としては、東京都の文化施策を語る会での議論も踏まえた上で、平成十八年四月に円滑に指定管理者制度に移行できるよう万全を尽くしてまいりたいと考えております。

○大山委員 十八年の四月には特命で歴史文化財団がやるということは決まっているわけですから、それはそれで円滑にいくわけですよね。同時に、その次の二十一年からの公募をするのに、十八年度に公募をするんだということが決まっているわけですが、それぞれの館のあり方だとかコンセプトだとかを決めるための政策の練り上げがまだ本当に緒についたばかりだと、私はこの議論を読ませてもらっても、そう思うんですね。と同時に、都民からの意見というのも、それこそきちんと聞かなければいけないというふうに思いますので、まず、二十一年度の公募は十八年度にやるんだという、これを固定したものではなくて、議論を急ぐのではなくて、丁寧にこの機会にきちんと東京都の文化施策、それからそれぞれの館の事業の都としての位置づけをきちんと議論するべきだというふうに思います。
 さらに、現場の人たちは非常に意気軒高だと思っています。歴史文化財団の関係者によりますと、東京文化会館は指定管理者をねらうところからも人気が高いんだそうで、それはこれまでの努力の裏返しでもあるというふうに思っています。
 例えば、東京文化会館の自主事業や振興事業ですが、若手育成のためのコンクール入賞者のコンサートだとか、それからダンスとのコラボレーションだとか、レクチャーコンサートだとか、舞台芸術フェスティバルだとか、夏休み子どもの音楽会とか、幅広い努力をされてきたというのが非常に支持をされていることなんだと思っているんですね。ほかの施設にしても、その関係者は、個々の職員は本当に熱意を持ってやっているというふうにいっています。
 そこにはもちろん専門的な蓄積も生まれるわけですよね。こういう貴重な財産や、具体的にはそこで頑張っている貴重な人材、これは指定管理者制度の導入でどうなるのかということなんですね。これは、もちろん雇用の問題としても大変重要な大問題ですし、これまで培ってきたものも踏まえて、それをさらに都として育成拡充するという姿勢がなければいけないというふうに思うんですね。もちろん、これも文化政策や個々の施設に対する方針があってこそできることだと思うんです。
 東京文化会館音楽監督の大友直人氏は、文化施策を語る会で、「民間との競争に入った時代に、東京文化会館がリーダーシップをとることを考えなければいけないとつくづく思っております。そのためには、もう少し強力な音楽スタッフを擁していただけたらという思いもないことはないのです」というふうに第三回の議論では述べています。ですから、非常に意欲的であり、むしろスタッフの充実を要望しているわけですね。
 私たちが聞いた関係者では、不規則勤務が多くて、一人抜けたらもうあっぷあっぷだと厳しい職場の実態も語っています。ですから、こんな中で指定管理者をきっかけに改革を進める財団はふえるわけですが、培ってきた人材の流出も起こるのではないかという非常に心配する声もあるわけですね。ですから、やはり東京の施設をどうするのかということを練り上げると同時に、流出しない、そしてさらに培えるような条件をきちんと整えてもらいたいというふうに思っています。
 もう一つ、私が指摘したいのは、制度を導入するにしても、いろいろ気になることがあるわけですね。先ほどの都民の声をきちんと反映させなければいけないというのが一つです。そして、もう一つは料金の問題なんですね。文化施策を語る会でも多くの委員から、演劇でさえ六千円とか八千円ですから、夫婦二人で行ったら一万二千円から一万五千円、これは子どもがいる夫婦が普通に毎月行ける値段ではないんですね。オペラはもっとひどい。芸術文化に気軽に楽しめる、親しめる適正価格は二千円程度ではないかと平田オリザ委員はいっておりまして、学生には今以上に安くする必要があると太下義之専門委員もいっています。そして、例えばホームレスの方などが、文化的な体験を通して社会にもう一度参加していく力を得る機会として、できるだけ入場料価格はカジュアルにできればいいなと思いますと柏木博委員もいっているんです。
 このような発言にもありますように、一般的にも家族でみんなで見にいこうというときも、それから学生だとか、失業しちゃったという方も含めて、社会復帰などといった角度から、低料金で文化に触れられることの重要さを指摘しているわけですね。
 仮に指定管理者制度のもとで、あるものに指定されたとして、各種の料金の設定、これは利用料金制だということになっていますし、今もそうですから、そういうふうにいうんでしょうけれども、やはり今多くの委員から出されているのは、カジュアルな価格であり、それからいろんなところに配慮した価格というのが出ているわけですから、利益のことを使命にしているものでは、低料金の保障は欠いてしまうのではないかという心配がありますが、どうですか。

○萩原参事 利用料金は条例で上限額が定められておりまして、利用者からいただく実際の料金額はあらかじめ知事の承認を得て、指定管理者が上限額の範囲内で決定することとなっております。
 指定管理者から料金値上げの申し出がございましたときの承認に当たっては、値上げの必要性や合理性、他の類似施設の状況など総合的に勘案し、安易な料金の値上げにつながらないよう適切に対処してまいります。
 また、料金の減額等については、都内在住の小中学生や高齢者、障害者などについて条例や規則で規定されており、指定管理者はこれらの規定に基づいて、これまでどおり減額、免除を行うこととなります。

○大山委員 全体的な値段自体が高いということも含めて、委員の人たちからは指摘が出ているわけです。ですから、やはり価格の面というのも東京都の施設にとっては非常に大きな課題だと思います。
 ほかにもいろいろ問題点が各方面から指摘されているわけですけれども、今、本当にさわりぐらいしかできませんでしたけれども、差し当たって、やはり今、指定管理者制度の十八年度に公募ということも、延期することも含めて、都民の声を踏まえて、東京都の文化政策及び各施設についての方針をきちんと練り上げるべきときだということを述べて、質問を終わります。

○古賀委員 私は、東京都配偶者暴力対策基本計画中間のまとめについて質疑を行います。意見も若干つけ加えたいと思います。
 今回、九月十一日に行われました総選挙において、自民党は二百九十六議席を獲得し、比例東京選挙区では名簿登載者が一名足りずに、社民党に一議席献上するという、そういった事態も起きました。自公連立政権で衆議院では三分の二以上の議席が与えられた、国民が与えたということであります。
 その中で、今回は政権公約、あるいはマニフェストということで、国民との約束事がいろいろ取りざたをされました。大勝した自民党、それから大敗をした民主党のマニフェストにおいても、共通することが一つあります。それは、国家の再生とか、あるいは家庭の再生という視点が全くなかったという点では、両者共通をしておりました。さらに、他の革新政党、あるいは余命幾ばくもない政党については、推して知るべしであります。
 私は、このことは、離婚をして独身である小泉首相の一つの何か価値観が反映しているのかなという気もいたしますけれども、改革の本丸というのは、私自身、国家の土台であります、あるいは消費者対策にも関連をしてくる家庭の再建、あるいは家庭力の回復といいますか、そういった視点を持ってやはり国政選挙を見るべきであろうというふうに思っております。
 今回の配偶者暴力の件に関しましても、今の質疑の中でも、男性社会に対する一つの問題点、いろいろ挙げられているという気もしましたけれども、今の日本の社会はそれほど女性にとって不利な社会かなという気は、私、正直いって、申し上げておきたいというふうに思うわけです。
 仮に今の社会が女性に不利で、男性に有利な男性社会ということであれば、一つは平均寿命なんかを見てみますと、そのことを私は感ずるわけです。敬老の日が国民の祝日と決まったのは昭和四十一年、三十九年前のことでありますけれども、その当時の日本人の平均寿命、男性は六十八歳、女性は七十三歳、それから現在まで延びてくるわけでありますね。男性は七十八歳、女性は現在八十五歳、十歳以上延びたわけです。男性社会がもし存在するとすれば、この長寿、女性にこれだけの寿命を与えたということは、男性社会があるとすれば、その恩恵であったということもいえるわけで、命は大切なものです。その命が久しく健康で長く保たれるということは、あらゆる生活の基本をなすものでありますから、あながち今の社会を何か一方的に男性優位社会と規定するのはいかがなものかなという気が私はいたします。
 この配偶者暴力の件に関しては、世の中には男性でも女性でも、どうしようもないのが確かにいるわけです。しかし、婚姻という形態を見てみますと、憲法二十四条で、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」云々となっていまして、男女が出会って、ある時期は、出発点ですね、とにかく相思相愛であったということは間違いない。そこで、どういう経緯をたどって、今、社会問題となっている配偶者暴力、法律までつくって対応しなければならなくなったのか、これはやはりもう少し根源にさかのぼって考えてみる必要があるというふうに思うわけです。補助金を出せとか、施設をたくさんつくれという対症療法も、もちろん行政に求められますけれども、もっと根源的な視点をもって考えることが必要であろうというふうに思います。
 子どもの学力低下とよくいわれますけれども、この配偶者暴力のことを考えますと、大人の判断力の低下もかなり度しがたいものがあるというふうにいわなくてはならないと思うんです。別に暴力的に連れていかれて一緒になったわけじゃない。北朝鮮のようなやり方を国内でやっているわけじゃないわけです。お互い、やめておけよといっても、いや、あの人と一緒にならなければ死んじゃうわなんといって一緒になった後、この問題が現在、法律をもって対応しようとしてもなかなか困難な状況が今、惹起しているということを、我々はもう一度しっかり踏まえてこの議論をしていく必要があるというふうに思います。
 夫婦間、配偶者間の暴力だけじゃなくて、九月二十三日の新聞を見ておりましたら、小学生の校内暴力も最悪、一八%ふえて千八百九十件、対教師に対するものが三二%ふえたということで、公立学校の小学生の校内暴力もこれだけ問題になっています。
 大人の判断力は低下をする。この人と一緒に生涯ともにしようという判断がどこかで狂ってくるわけですから、やっぱり反省を本人たちもしなければいけない。しかし、こういった傾向は大人だけではなくて、小学生の中でも今、暴力のこれだけの問題が全国版の一部新聞の一面トップを飾る事実があるわけですから、暴力の問題はもっと深いところにあるのではないかということ。
 私が最初に申し上げましたように、やはり社会や国家の基盤となっている、土台となっている家庭というものの価値や、あるいは力というものを見直していく以外に、この解決の方法はないのではないかという気がするわけです。国家というのは領土や、あるいは主権や国民によって形成されていますけれども、その国民の資質をいかにこれから回復し、保っていくかということは非常に重要なことであります。
 少子化も問題になっておりますけれども、やはり結婚したくないとか、結婚しても子どもが欲しくないという数字が著しく現在ふえていますね。しかも、人口も減ってきている。今年の一月から六月までの数値が発表されましたけれども、生まれた人は五十四万人、亡くなった人が五十七万人で、早くも人口三万人減少ということです。つまり、少子化には全く歯どめがかかっていない。共同体としての家族、そして、そこで生活が行われている家庭という場の価値について、我々はもう一度考えてみる必要があるという視点で質問といいますか、簡単なことをお聞きいたします。
 この配偶者暴力防止法、ご存じのように平成十三年に制定、施行されておりますけれども、この法律の効果というものも検証してみる必要があるわけです。これを制定する前と現在では相談の状況、つまり配偶者暴力相談の状況はどう変化をしてきているのか、いかがでしょうか。

○産形参事 配偶者暴力防止法は平成十三年四月に制定され、平成十四年四月から全面施行となっております。
 現在、都の配偶者暴力相談支援センター機能を担っております東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターにおける配偶者暴力に関する相談件数では、法施行前の平成十三年度は三千三百三十四件、昨年、平成十六年度は九千五百十一件と三倍近くまで増加しております。

○古賀委員 その数字は、この中間のまとめにも資料として出ているわけですけれども、平成十三年度から平成十六年度までの間、効果あらしめようと思ってつくった法律によって、効果が数字の上にあらわれているということであれば別ですけれども、逆に三倍ふえている。これはなぜかというと、必ず、きょうの議論でも、それから役所の側も、今まで潜在化していたんだ、それが表に出てきただけだというふうに大体おっしゃるんですよね。しかし、果たしてそうなのかということは、先ほど私が申し上げましたようなことも踏まえて、背景を探ることが必要だというふうに思います。
 これは、児童虐待防止法についても同様のことがいえるんですね。今、母性愛とか父性愛というものは、男らしさ、女らしさはだめだということで、そういった価値観を否定することによって、例えばまさか自分が腹を痛めた子どもを殺すことはないだろうと普通は思うわけでありますけれども、実際は家庭内殺人、親殺し、子殺しが行われておるわけです。板橋区でも両親を殺した高校一年生ですか、いましたね。こういうことを考えますと、法律や条例で予算をつけろといって、何かやったから効果があらわれるということではないということだろうと私は判断します。
 児童虐待防止法が施行される前と、そして施行後、逆に相談件数というのは、これも三倍にふえているんですよね。じゃ、こういう法律や条例がなければどうだったかということも考えてみる必要もある。いろいろな世界的な潮流もありますけれども、何か制度をつくって事足れり、これはそういう性格の問題ではないということを踏まえてもらいたいというふうに思うわけです。
 具体的には今、東京ウィメンズプラザにおいて配偶者暴力に関する相談を行っているわけでありますけれども、私も関心があっていろんなお話を聞きますし、情報も入ってまいりますけれども、そのことは後で申し上げたいと思いますが、今、ウィメンズプラザにおいてどのような種類の相談をいかなる体制で行っているのか。どんどんふえてくるわけですからね、制度をつくって予算をつけても。この体制、それからどんな種類の相談事業をやっているか、簡単で結構ですから、教えてください。

○産形参事 東京ウィメンズプラザでは、一般相談と特別相談を実施しております。一般相談は、年末年始を除く毎日午前九時から午後九時まで、電話と面接により相談を行っており、相談員は男女平等参画や配偶者暴力等に関する知識を有する非常勤職員十二名が、三交代のローテーションを組み対応しております。
 特別相談としては、被害者のための法律相談と精神科医師による面接相談を実施しております。法律相談は、毎週一回、配偶者暴力被害者の法的な問題に関して弁護士が面接を行っており、五名の弁護士が一名ずつ交代で対応しております。精神科医師による面接相談では、被害者の心理面の健康回復を目的に毎週一回行っております。
 また、男性に対しましては、電話による男性のための悩み相談を実施しており、相談時間は毎週月曜日と水曜日の週二回、午後五時から午後八時までとなっております。

○古賀委員 その実態については、体制、それから相談の種類、わかりました。
 相談に来ますと、専門家と呼ばれる人から、一時保護とか、場合によってはもう離婚した方がいいよというような、そういうアドバイス、指導もあるというふうに聞いてますけれども、今回、法改正によって精神的な虐待ということも含まれたわけです。
 昔から夫婦げんかは犬も食わないといわれたんですけれども、まあ、一時的に感情的な対立があって、あんたが悪い、いや、おれは悪くない式のやりとりは、通常は犬も食わないというのはだれも相手にしないほど大したことじゃないという意味で、そういわれているわけですけれども、深刻なものは別でありますけれども、一時的にここの相談に行きますと、実際のことというのは、お互い二人同士で起きている問題というのは、なかなか第三者が事の真相や背景まで含めて判断できるものではないと思うんですけれども。普通は時間の経過の中で、昔、隣の大家さんが間に入って、なべかま投げ合っても、もとのさやに納まるということもあったわけですけれども、この相談に行きますと、時間が経過すれば大体もとのさやに納まって、お互い忘れてしまうようなこともあるんじゃないかというふうに思うわけですよね。そういう場合に、離婚が唯一の解決方法でないということはだれしもわかるわけですけれども、今回いろいろ相談業務に当たっている人のいろんなお話や、うわさも含めて聞きますと、安易に離婚を勧めているとは思いませんけれども、そういう話も聞かないわけじゃない。
 私、このウィメンズプラザの中で相談事業はどういう基本的な姿勢で対応しているのか、その点、相談の哲学みたいなことが何かあれば、ちょっと聞かせてください。

○産形参事 被害者の対応に当たりましては、被害者本人の意思を尊重することが重要でございます。被害者が迷い、心が揺れている場合でも、支援者が決めてしまうのではなく、被害者の意思を尊重し、被害者の心情に配慮して対応しております。支援の最終目的は、被害者が自分の問題を解決できるような行動を自分自身で決定できるようにしていくことであるというふうに認識しております。
 ただし、被害者に対する危険が急迫していると認められるときには、警察への通報、一時保護を受けることを奨励するなどの対応も必要であると考えております。
 なお、中間のまとめにおいても、三つの基本理念の第一番目に、「被害者の安全を確保し、本人の意思を尊重した継続的な支援を行う」ことを挙げ、被害者本人の意思に基づいた支援の仕組みづくりを目指しております。

○古賀委員 本人の意思の尊重というのは、これは基本的に正しいというふうに私も思います。ただ、最近よくいわれている自己決定ということは、ちょっとまた違うというふうに思うわけです。家庭でも、それから地域社会の中での活動、我々も含めて、やっぱり他との関係によって自己というのは存在するわけで、あらゆることを自分で決めて、それが絶対だという判断というのは、時間の経過の中で反省を迫られることもあるわけですよ。自己決定で、本人の意思で結婚し、今度はどうにもならなくなって相談に来ているわけですね。ですから、あるときには本人の意思が、たとえもう二度と顔も見たくないということがあっても、状況によってはやはり時間をかけ、一時保護所に入るなり、それだけの手間暇かかることでありますけれども、その時間的経過の中でまたよりが戻るということもあるわけですので、そういったことをひとつ念頭に置いて相談に当たってもらいたいというふうに思うわけです。
 それから、私、きょう、資料をちょっと忘れてきたんですけれども、アメリカのたしか夫婦間暴力、夫婦間虐待の資料を見ていましたら、男性、女性の被害はほぼ五分五分という数字もありました。先ほどちょっと男性の被害について話が、若干やりとりがあったと思いますけれども、もう一度ちょっと確認の意味で、東京都の場合には、よく新聞には男性でご主人が奥さんに殺されている報道もありますので、被害者数とか、あるいは相談件数というのはどうなっているのか、ちょっとお答えください。

○産形参事 男性の被害者数と相談件数でございますけれども、先ほど馬場副委員長にもご答弁申し上げましたが、平成十四年の内閣府の実施した調査によりますと、これまでに命の危険を感じたことがあるとする男性は〇・七%になっておりまして、平成十二年の国勢調査では、都内の男性の有配偶者数は女性と同じように約二百八十万でございますから、これをもとに推計しますと、男性被害者数は約二万人と推計されます。
 また、平成十六年度の相談の状況では、都の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた配偶者暴力に関する相談九千五百十一件のうち、男性被害者本人からの相談件数は二十一件になります。
 ちなみに、全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談の状況では、男性被害者本人からの相談は二百二十二件となっております。

○古賀委員 実態はわかりました。女性、男性双方に深刻なそういう状態が発生をしているということだと思いますので、数の上では女性の被害が圧倒的に多いということになると思いますけれども、少数者を守らなければいけませんから、対等な一つの対応というものを、まとめるに当たっては行うべきであるというふうに考えます。
 それから指摘をしておきたいことがございます。それは、これから中間のまとめから基本計画を、法律が都道府県はつくらなければいけないということに決まりましたので、まとめが行われるわけでありますけれども、考慮していただきたいことを、まず、申し上げておきたいというふうに思います。
 一つは、相談の一つの哲学というものを、先ほど申し上げましたように、本人の意思の尊重は、それは前提としてもちろんありますけれども、安易に何か離婚を勧めるというふうなことは、基本的に私は十分考慮すべきだというふうに思います。今、一日八百件以上の割合で離婚が行われているわけです、我が国では。驚くべき数字が毎年示されているわけでありますけれども、こういった現状を踏まえて、一つの相談の哲学というものをきちんと持ってもらいたいというふうに思います。
 それから相談員のことに関しまして、私が今触れましたように、一つの哲学をお持ちになるのは結構なんですけれども、最近はいろいろフェミニズム運動にかなり心酔した人たちが入ってきているわけです。現に学校では、男女共同参画基本法を踏まえて、男女共修となった家庭科の教科書の中には、伝統的家族形態への疑問を示して、離婚の勧めとも思えるような記述がたくさんあります。
 それから、これはマルクス主義の一つの考え方ですけれども、家庭は男性が女性を支配する場所であるという--私有財産制を守るために家庭というものを設けて、そこで男性が女性を使って私有財産を守っている、そういう思想が現にあるわけです。前の委員会でも私はそれを具体的に挙げましたけれども、そういった価値観を持つ人が専門家と称してこの相談員の中に入るということは、問題が多いというふうに思います。健全な家庭観とか価値観を持った人を人選すべきでありまして、その点十分に配慮していくことを求めておきます。
 それから、今、私、この質問をするに当たって、急遽いろいろ数字を知りたいと思ってお願いしたんですけれども、よく調べればあるのかもわかりませんが、配偶者暴力相談センターに相談をしたことをきっかけにして、公設、民間の一時保護所に入った被害者の数とか、それから、その被害者に学校に行っている子どもたちが何人いるのかとか、そういうことはよくまだわからないようなんですね。それもちょっと私、局としてはつかんでもらいたいというふうに思います。
 それから、先ほど補助金七百二十万円というお話もありましたけれども、この施設は外国人の不法滞在者を通報しないというふうに公言しているんですよね。不法滞在自体は犯罪なんですよ。確かに国の例外を認める通達もありますけれども、不法滞在を通報しないということを公に発言をしている、宣言をしているといいますか、そういう施設については、やはり補助金の交付に当たっては十分注意を要するというふうに思います。
 私の質問は以上で終わりますけれども、最初の私が申し上げたこと、つまり家庭の力を強化していく、それから家庭を再生させるという視点を持って対応しなければ、こういった問題というのは、少子化の問題も含めて、なかなか解決は難しいのではないかというふうに思います。
 どうにもならない悪は男にも女にもいるわけですよ。それは当然、行政が最低対応すべきことはきちんと決まってくるわけでありますけれども、やはり家庭というものの力というものをもう少し介入する施策ということにも、行政はかかわるのであれば、視点を持つべきだというふうに思います。
 家庭というのは場所を示しているんですね、庭。マンションやアパートには庭はありませんけれども、家庭といいますね。庭というのは学ぶ場所という意味があるんですよ。家族が暮らしているその場所、家庭というのは--論語にも庭訓という言葉があるんですね、庭の教え、つまり庭というのは教えの場である、これは論語にも出てきますよ。ですから、家庭というものについて我々が教育の場である。そこで学べば、子どもたちの小学校の暴力も最悪なんていうことはなくなってくるでありましょうし、夫婦げんかを行政に持ち込むということもなくなってくるでしょう。そういった視点をひとつ持ってもらいたい。家庭という家族が共同体として生活する場所、ここは教育の場であるという意味合いを、ひとつ行政もきちんと踏まえて、今後のこの法律に基づく基本計画のまとめに当たってもらいたいと思います。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十八分散会

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