文教委員会速記録第五号

平成十七年三月十八日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十二名
委員長池田 梅夫君
副委員長村上 英子君
副委員長花輪ともふみ君
理事野上じゅん子君
理事山口 文江君
理事古賀 俊昭君
福士 敬子君
臼井  孝君
石川 芳昭君
遠藤  衛君
比留間敏夫君
木村 陽治君

 欠席委員 一名

 出席説明員
大学管理本部本部長村山 寛司君
管理部長三橋  昇君
参事紺野 秀之君
参事宮下  茂君
参事宝月 大輔君

本日の会議に付した事件
大学管理本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 大学管理本部所管分
報告事項(質疑)
・公立大学法人首都大学東京の中期目標について
・公立大学法人首都大学東京における料金の上限について
・産業技術大学院について

○池田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○池田委員長 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 大学管理本部の大崎新大学設立準備担当参事は公務出張のため本日の委員会に出席できない旨申し出がありました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部関係の平成十七年度予算の調査及び報告事項の質疑を行います。
 これより大学管理本部関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、大学管理本部所管分並びに公立大学法人首都大学東京の中期目標について、公立大学法人首都大学東京における料金の上限について及び産業技術大学院についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三橋管理部長 二月十七日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 都立大学と国立大学の授業料の推移でございます。都立大学と国立大学それぞれの授業料につきまして、昭和四十五年度からの推移をお示ししてございます。
 なお、平成十七年度の首都大学東京の授業料につきましては、今年度と同額とする方針でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○池田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○古賀委員 東京都立大学は、昭和二十四年に設立されました東京で唯一の公立総合大学です。その大学条例によりますと、東京における学術研究の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学術を研究し、あわせて都民の生活及び文化の向上発展に寄与すると設置目的が高らかにうたわれております。まさに首都東京の学問、文化の中心であるということで、今日まで五十六年間けみしてきたわけですけれども、やはり時代の趨勢、さまざまな変化の中で改革が迫られ、今回の首都大学東京への流れへとつながっているわけです。
 私は、きょう何点かに絞って質問いたしますけれども、もう着々と準備は進んでおりまして、先日、首都大学東京のシンボルマークが決定したということで、今風の非常に落ちついた色調のシンボルマークが決まったということで、これも一つの改革のあかしかなというふうに思います。
 学生証のデザインも決まったようであります。できれば生年月日とか有効期限は年号、元号で書いて出されればいいのかなという気もいたしますけれども、都庁にはクリスチャンの方が多いのか、それとも年号、元号というのは、いわゆる皇室に、一世一代の根拠を置くもので、これを打倒しろという政党もあるわけですから、元号は使いたくないという人たちもいる。そういう文化というものをどう見るかという一つのあらわれでもあるわけで、大体革新系の人というのは絶対元号を使わない。必ず、議案にはちゃんと平成十七年と書いてあるのに、わざわざ議案名称まで変えて討論する人たちがいる。そういう基礎的な背景があるわけで、私は、都立大学の学生証はそこまで何か魂胆があってやっておられるのじゃないと思いますけれども、だったらアラブの暦もあるし、今、イラクのいろいろ声明が出るのは全部アラブの暦で書いてありますよね。キリスト教と戦っているわけです、あの人たちは。だから、仏教暦もあるし、それからユダヤ暦もある。なぜ、このヤソ教暦を使うのか。私はそういう点、ちょっといろいろ感じるところがあります。
 自国の文化、自国の年数というものを何によってはかるかというのは、文化をどう見るかということなんですよ。だから、併記するなり一考していただければ私はありがたいというふうに思います。
 余りやっていると時間を終えてしまいますので、質問に入りたいと思います。
 私は、中期目標、それから準備運営費交付金、授業料についてやりとりをしたいというふうに思いますけれども、まず、本題に入る前に、入試状況がどうなのかということを、当局の考え方を聞いておきたいというふうに思います。
 国公立大学の確定志願倍率が全国平均で過去最低の五・〇倍となっております。そういった中、首都大学東京は七・八倍であります。これは、首都大学東京に対する都民、国民の大きな期待のあらわれでありまして、これまでこういう改革についていけない人たちはさまざまな批判を行ってきておりました。教員などもその例ですし、そういう会派もあったわけでありますけれども、これは困惑を隠し切れないのではないかと思うんですね、この倍率を見て。この結果を大学管理本部としてはどのように受けとめているのか、いかがでしょうか。

○紺野参事 これまで大学改革を進める過程ではさまざまなことがあったわけですが、今回の入試の結果を見まして、私どもとしては、改めて大学改革が広く社会から評価され、新大学の理念が広く受験生に受け入れられるとともに、首都大学東京に対して大きな期待が寄せられたものであると受けとめているところでございます。

○古賀委員 常識的に考えて、この数字はそういえると思いますし、そのことをまさに端的に物語っているというふうに思います。
 これまで開学準備を進めている中で、木村さん、この間、文教委員会でもさんざん根掘り葉掘りやっておられましたけれども、そういった政党、それから職員組合等の団体から、首都大学東京について口をきわめて批判的な意見が出されていました。
 具体的に聞いていますと、本当かなと思うような、大学の自治がなくなるとか、早晩行き詰まってしまうとか、都民の納得が得られるものでは到底ないというような声も聞いていましたけれども、大学全入時代がこれからやってまいります。平成十九年、そういった時代が迫っているわけです。
 大学間の競争が激しくなろうとしているこの時期に、全国的には出願者数がどんどん減ってきているということに対して、首都大学東京は前年度よりも出願者数がふえている。そして、全国平均を上回って志願倍率も数字が出ています。これは、繰り返し行われてきた首都大学東京に対する批判が完全な的外れであったということの証左であろうというふうに思います。こうした大きな期待を受けている大学が、いよいよ指呼の間に開学が迫っているわけでありまして、これまでの大学改革の理念というものに連ねて、都民、それから国民、社会から期待される大学として発展していかなければならないということだと思います。
 これから、本題に入ってまいりますけれども、地方独立行政法人法では、法人の設立をしている団体である東京都が法人首都大学東京に対して六年間の中期目標を策定し、示すということになっています。中期目標というのは、今後の大学のあり方を示す設計図なんですね。
 今回、先般の二月十七日のこの文教委員会に中期目標の素案が示されました。中期目標というのは、今後どのように決定をされるのか、そして、これには我々議会はいかなる形で関与することになるのか、この点ご説明を願います。

○宮下参事 中期目標は、設立団体が法人などの意見を聴取した上で議会の議決を経て法人に示すものでございます。運営費交付金の予算審議との関係もありますことから、今回、中期目標(素案)をお示ししたところですけれども、四月に法人が設立した後、法人の意見を聞きまして、六月に開会予定の第二回都議会定例会において中期目標をご審議していただきたいと考えているところでございます。

○古賀委員 この設計図に当たる中期目標というのは、第二回定例都議会で審議をして、それで議決をするということです。予算審議との関連もあるので、今回は素案を示したというご説明でした。
 今回示された素案は、今まで述べられてきているわけですけれども、もう一度、そもそもどのような基本的な考え方に基づいてこの素案というものは決められたのか、策定して議会に示されたのか、説明してください。

○宮下参事 中期目標(素案)の策定に当たりましては、首都大学東京を運営していく上で、これまでの大学改革の経緯、それから考え方を踏まえることが重要であると、このように考えております。大学における教育改革を行い、既存の教育制度や教育体系を変えていくこと、それから東京都が設立する大学にふさわしい教育研究を行うこと、さらに、法人化により経営の視点を取り入れて経営感覚を発揮して大学運営をしていくこと、この三点を基本的な考え方としてございます。

○古賀委員 既存の教育制度や教育体系をこれから、守るものももちろんありますけれども、変えなければいけないものは打破する、そして新しいものを創造していくという基本的考え方、今述べられたこと、私もそのとおりだというふうに思うんですけれども、大事なのは中身ということになるわけです。その中身について、東京都は首都大学東京、いわゆる法人に基本的に何を求めているのか、この点ご説明願います。

○宮下参事 基本的な考え方を踏まえまして、東京には教育、文化、産業などさまざまなものが集積しているわけでございますので、その分野の人的、文化的、経済的資源を活用いたしまして、現場に立脚した教育研究の成果を上げ、東京が抱える課題の解決に貢献する大学をつくっていくことを求めていきたいと考えております。
 あわせて、運営面におきましては、法人が中長期的な視点に立ちまして、自律的に自己改革を進めながら、戦略的に新たな課題に挑戦していくよう求めてまいりたいと考えています。

○古賀委員 そういうものを東京都はその法人に求めているということで、我々がかねがねこの委員会とかさまざまな議会でのやりとりの中で主張してきたこととほぼ一致をいたします。ですから、もう後戻りしてはいけないわけです。今後、今おっしゃったことをきちんと貫いていってほしいというふうに思います。
 それでは、先ほど申し上げました標準運営費交付金について具体的なことを伺ってまいります。
 この標準運営費交付金は、毎年二・五%の効率化係数が設定されています。これは法人にこれまで欠けていた経営感覚を取り入れて、都民の負託にこたえた大学運営の実現を求めるものと私どもは認識しています。
 国立大学法人と比べますと、国立大学法人の場合は、標準運営費交付金の効率化係数が一・〇%のところ、東京都は二・五%であり、一見しますと結構差があるなということになるんですけれども、それぞれ仕組みが違っていると思うんですね、それをわかりやすく説明してください。

○宮下参事 おっしゃいますように、国と都では名称は同じ標準運営費交付金でございますけれども、仕組みが相当異なってございます。
 都におきます標準運営費交付金は、法人の一般財源として措置するもので、使途は特定してございません。法人が人件費や運営経費の節減を図り、みずから経営努力を行えば財源が確保でき、これにより新たな事業展開が可能となる仕組みでございます。
 一方、国の標準運営費交付金は、定数分の教員人件費や教育研究費など限定した項目を対象といたしまして、それ以外の経費は毎年度予算要求することとされてございます。また、国の標準運営費交付金は、授業料と連動しておりまして、文部科学大臣が定めます授業料標準額どおりに授業料を徴収することが前提となって算出されることになっております。したがいまして、標準額が引き上げられた場合、法人の判断で授業料を標準額より安く据え置きますと、その分が減収になってしまう、こういう仕組みになってございます。
 これと比べますと、都の制度は法人が中長期的な視点に立って自主的、自律的な運営を図ることができる仕組みとなってございます。
 したがいまして、効率化係数は数字だけを比較いたしますと国の一%に対して都は二・五%と大きいわけでございますが、仕組みも含めて比較いたしますれば、法人の経営努力が報われて、より自律的、弾力的な運営が図れる制度となっている、このように考えてございます。

○古賀委員 私はわかりますけれども、一般都民の方は一度聞いてはなかなか理解できないと思うのですけれども、都の方がだれがどう見てもすぐれているなという気はいたします。だから、法人の立場から見ますと、毎年二・五%ずつ削減されるんですけれども、六年間一定額の標準運営費交付金が確実に交付され、そして都の仕組みの場合には、法人が自主的、それから自律的な運営を行えるということであります。ぜひ、こうした枠組みの中で法人は一層経営努力を行いながら、計画的な、戦略的といいかえてもいいと思いますけれども、大学運営を実現してもらいたいというふうに思います。
 それから、授業料の件について伺います。
 今回、中期目標と同様に授業料等の料金の上限についての考え方が示されました。先ほどのご説明にもありましたけれども、授業料の上限額については専決を行うということになるわけです。法人が四月一日に設立されますから、直ちに授業料を納付してもらう必要がありますので、専決はやむを得ないですね。ですから、実質的な授業料についての議論をここで多少やりとりをしておきたいと思います。
 法人にとって授業料等の料金というのは、運営費交付金に次いで主要な財源ということになるわけです。先ほど、国立大学法人では、標準運営費交付金が授業料と連動するということが説明されました。東京都では、標準運営費交付金と授業料は連動しないというふうに私は理解しておりますけれども、これでいいでしょうか。

○宮下参事 都の場合、標準運営費交付金は効率化係数という一定の決まりに基づいて交付されます。一方、授業料につきましては、その上限額を法人が都に申請いたしまして、都議会の議決を経て都が認可するものでございまして、その上限額の範囲内で法人が料額を自由に設定することとなっております。したがいまして、授業料の増減で標準運営費交付金が変わるということはございません。

○古賀委員 そのとおりですね。それを敷衍していえば、国立大学法人の授業料標準額は文部大臣、今は文部科学大臣ですけれども、この大臣が定めるものでありまして、国会が関与することは必要ないわけです。しかし、都では議会の関与が必要であるということになります。
 また、国の方は授業料の標準額が引き上げられた場合、授業料を値上げしないと、今度は法人の収入が減ってしまう仕組みになっている反面、都の場合は、今答弁でご説明あったように、法人が上限額の範囲内で授業料を自主的な判断に基づいて決めることができる。法人の自主的な、あるいは自律的な運営が国立大学法人よりもより可能になるということです。ということで、先ほど申し上げましたように、国よりもすぐれた制度であるということは断言して間違いないというふうに思います。
 四月から国立大学法人は授業料を値上げするというようなことが巷間いわれておりますけれども、どのくらいの大学がどの程度値上げをしようとしているのか、その情報を教えてください。

○宮下参事 国立大学の授業料の標準額は五十二万八百円から五十三万五千八百円と一万五千円引き上げられたところでございます。国立大学法人は八十九ございますが、このうち八十一校がこの標準額に全面改定。それから五校が大学院など一部の授業料を据え置きして、あと残り学部等は改定。それから、二校につきましては段階的に引き上げる。全面据え置きを決めている大学は一校のみという状況でございます。

○古賀委員 ここは予算の調査も含めてやっているわけですので、これはいわずもがなのことなんですけれども、平成十七年度は首都大学東京の授業料はどうするんですか。重ねてお聞きします。

○宮下参事 平成十七年度につきましては、授業料、入学考査料、入学料につきまして、社会情勢などを踏まえまして、これまでの都立の大学と同額に据え置くことを、法人の準備組織であります経営準備室運営会議で決定したところでございます。

○古賀委員 今、答弁でも明らかになりましたように、平成十七年度は据え置きということです。じゃ、十八年度以降はどうなるかということになるわけですけれども、法人は今後、上限の範囲内で自主的に授業料を決定することができるようになるわけです。安易な値上げというのはだれしも当然批判いたしますけれども、そこで、今から早いかもわかりませんけれども、平成十八年度以降の授業料の設定はどう考えているのか、この点いかがでしょうか。

○宮下参事 十八年度以降につきましては、法人の経営判断により授業料を決定していく、こういうことになりますが、一般論として申し上げれば、大学間競争が激化していく状況でもありまして、安易な値上げというものは学生離れを招く要因にもなりかねないというふうに考えております。
 法人を取り巻く社会経済状況、大学の戦略的な運営、国など他大学の状況などを総合的に勘案いたしまして、上限額の範囲内で授業料を決定していくことになる、このように考えております。

○古賀委員 私も今の段階ではそのように当然おっしゃるだろうというふうに思っております。
 授業料をどうするかということは、経営判断の問題であると同時に、教育費を公で、つまり税金でどれだけ負担をするのか、それから授業料として私的に負担をどの程度求めるのかという観点から議論しなければいけないというふうに考えます。
 昔は、国全体が貧しい時代には、国公立の大学というのは、国家有為の人材を育成するという視点から授業料というのは低く抑えられて、公的な税金の投入の割合が高かったわけです。その後、今日のように経済が着実に進展をして、いわゆる私的な負担の割合を求めても、ある程度の高さまではこれにこたえられるようになって、同時に大学の進学率も高まってきた。そこで負担のあり方がいろいろ検討されて、また私立大学と国公立大学の格差も是正しなければいけないというようなことがあって、今の形に大体落ち着いてきているのではないかというふうに思うわけです。
 今後とも、税金、公的な負担をどこまで求めるのか、負担を行うのかという観点から、それから私的負担をどの程度求めていくのか、その辺のバランスを、やはりきちんと均衡をとっていくということを考えていかなければならないというふうに思います。これだけの負担を授業料としたのであるから、それに伴って当然それにふさわしい大学運営の中で満足が得られるような授業が受けられる。年間五十数万円の負担をするわけですから、そういう教育というものがちゃんと担保されなければいけない。また、都はここで我々都民の税金をかなりの額、この大学に投入していくわけでありますので、都税の投入に値する、時代に適合した人材育成するための大学としていく、人材育成を行っていくという視点が必要になってくるわけです。
 具体的に私がお聞きしたいということは大体今の点で終わりにいたしますけれども、都立大学は今までいろいろ成果もたくさん上げてきたと思うんです。しかし、負の歴史もあるんですよ。
 昭和四十四年には、これはやはり触れておかなければいけない大事な問題ですね、自衛官の受験を拒否したんですよね。昭和四十四年、三名の現職自衛官が都立大学に入学したいということで出願をしたんですけれども、当時は共産党の美濃部知事、本会議や予算特別委員会でのやりとり、会議録を私見ましたけれども、憲法を守るとか法のもとの平等ということをふだんは人一倍主張する政党やそういう知事が、憲法何条でしたか、十四条かな、法の下の平等がうたわれていますよね、社会的地位によって何人も差別は受けない、教育の機会均等--それを、自衛官を受けさせないと決めたんですよ、都立大学は。
 当時の会議録を読みますと、自民党の議員は結構いろいろ、おかしいんじゃないかというようなことで議論をやっておりますけれども、共産党の新宿区選出の茶山さんという都議会議員が昔おられたようですけれども、憲法違反だから受験させないといって、軍隊だとかいろんなことをいって、法の下の平等、憲法を踏みにじる発言、しかも、大学のこういった措置に追従する議会での発言を共産党の都議会議員はいっています。
 受験拒否の決議を自治会が臨時大会を開いてやったら、それに大学も並び、東京都当局も知事が共産党だから、その設置者として当然責任があるんですけれども、それを支持して改善対策は講じなかった。人権とか平等とか人一倍叫んでいる人がこういうことを都立大学でやったし、都議会でもそのようなやりとりがあったということは、歴史がここで閉じるわけですから、きちんと我々は、都立大学にはそういう忌まわしい憲法じゅうりんの出来事があったということを忘れてはいけないというふうに思うんです。
 都立大学は、理論上は平成二十二年度まで残るんですけれども、実際はもうことしの四月から新たな歩みを始めるわけであります。
 そのほか、私が、平成十一年だったと思うんですけれども、やはり委員会で取り上げて何度かやりとりもしましたけれども、都立大学というのは東京都によって設置、運営されている大学ですから、財源は都民の納入する貴重な税金で負担されているわけです。当然、公平で民主的といいますか、一方に何かくみしたような大学の運営をやっちゃいけないわけですけれども、つまり不偏不党ということですよ。すべての人たちに対して公平でなければならないということが、必ずしもつい最近まで全うされていたとはいえない状況がありました。
 これは、私どもが視察をして指摘して改善されたんですけれども、学生会館、学生ホールと都立大学はいっていますけれども、民主青年同盟の部室があったんですよね。私、写真を撮って議会でやりましたけれども、日本共産党の全国青年組織であるということは皆さんご存じのとおりで、共産党の路線を学んで、その導きを受けるということが主な活動であるということを公言しているわけです。その大学の民青同盟も、日本共産党はよき相談相手であるとか、日本共産党の路線である科学的社会主義を学ぶことが活動であるということを公言している。こういう特定政党の下部組織が部屋を持っていたんですよ、大学の中に看板を掲げて。(「昔からあったよ」と呼ぶ者あり)昔からあった。やっと指摘をして改善されました。つまり、教授会も、それから大学自治会も職員組合も一体となって、完全に大学を私物化していたわけです。
 たくさんの成果もありましたけれども、こういうことが過去にあったということも忘れてはならないということを申し上げておきたいというふうに思います。これから装いも新たにして出発するわけですから、あえて触れておきました。
 ですから、最後に、ここで誕生する首都大学東京というものが、どのような大学での教育を行って、どういった人材の育成を目指すのか、大学管理本部長の心境を伺って質問を終わります。

○村山大学管理本部長 るるご指摘をいただきましてありがとうございます。
 大学の改革というのは、やっぱりどういう教育研究を実現するのかということと、それを支えるためにはどういう運営を行っていくのかという二つの面が統合的に実行されなければならないというふうに考えております。
 首都大学東京が置かれている東京というのは、非常に矛盾が先鋭的に出るところでございまして、逆にまたさまざまないろいろなエネルギーといいましょうか、知恵といいましょうか、そういうものも蓄積をしているという両面がございまして、そういう非常にゆがみ、ひずみを問題として抱えながら、それをそこにあるエネルギーで解決をしていくという、このことが首都大学にとっては教育研究の大きな眼目になろうかというふうに思っております。それによって、それにふさわしい研究の成果もありますし、人材の育成をしていくということで、先ほどご指摘いただきました、都民の税金を投入して運営する大学にふさわしい成果というものを都民、国民に還元していきたいというふうに考えております。また、授業料を払っていただいている学生諸君にとって学びがいのある大学にしていくということだというふうに考えております。
 それを実現していくためには、運営面におきましても、まず、教育研究を担う意欲、能力ある教員の努力がちゃんと報われるような大学にしていかなければならないし、そういうことを実現していくためには、経営的にも効率化すべきは効率化し、そして、単に単年度的なことではなくて、中長期を見定めながら自主的な運営をしていくということで、今後、皆様のご理解、ご支援を得ながら大学改革をちゃんと進めてまいりたいと、かように考えております。

○野上委員 私の方からも首都大学について、短い時間ですが質疑させていただきます。
 最近、世の中の進歩が非常に早く感じるきょうこのごろなんです。例えばパソコンとか携帯電話、それからデジカメ一つとってみても、ちょっとそこにあるヨドバシカメラをのぞいてみても、すぐ新機種が出てきて、今まで自分が持っていたのがいかに画素数とかも古くなって、安くなって、本当にちょっと足を伸ばさなかっただけで時代がどんどん変わっているなということを感じるきょうこのごろなんですけれども、そういった情報技術革命とか、それから今、地球環境そのものについても非常に大きく取りざたされておりますけれども、もう地球そのものの規模でいろいろなことを考えていかなければ人類の生存はあり得ないような、そういう時代に入ってきているのではないかなと思います。ましてや日本は少子高齢化で、これからの時代は本当に若い人たちをどう育てていくのかということが喫緊の課題だと思っております。
 これまでいろいろな大学のあり方が問われてきましたけれども、今まであった都立大学のよさ、それから今度新しくできます首都大学のよさ、その双方を生かしながら大学改革を進めていかなくちゃいけないという視点でずっと論議をしてまいりました。私たちの党といたしましても、この大学改革に関しましては強い関心を持ち、都議会あるいは文教委員会の場を通してさまざまな観点から議論し、提言も行ってきたところでございます。
 そしてまた、この大学改革を進めるに当たっては、大学の教授の方とか助教授の方、あと大学生、それから院生などからもいろいろなご意見を伺ってまいりました。今回の東京都の大学改革を進めるに際しては、新大学の開設、それから現大学に在籍する学生や院生への配慮が非常に重要な視点であるということで、現大学の学生、院生に対する学習環境の保障や充実したキャンパスライフが送れるような環境の整備についても議論をさせていただきました。
 今回、私自身もいろいろな人の声を聞いて心配をしていたんですけれども、入試倍率も七・八倍ということで高く、それから、各新聞にちょうど合格発表の写真が載ってありましたけれども、首都大学東京の第一期生として入ってこられる方たちのコメントの中にも、旧四大学のよいところを残しながら、首都大としての新しい学風をつくっていきたいというようなことも書いてありました。平成十七年度以降しばらくの間は、現都立の四大学と首都大学東京が併存していくことになりますけれども、先ほどもいいましたけれども、都立四大学のよいところと首都大学が目指す理想の実現に向けて、新たな首都大学東京としての学風をつくっていくことが重要だと思っております。
 そこで、この首都大学東京の開学に向けた決意について、改めて本部長から確認の意味も込めて伺いたいと思っております。

○村山大学管理本部長 今回の首都大学東京の開学というのは、入ってきて学ぶ学生たちが、やはりここで学んでよかったというふうに思って卒業して、そして世の中に出ていって社会に貢献するような人材として巣立っていくということが基本だというふうに考えておりまして、そういう意味では、そういうような大学になるために教育研究、それを支える運営というそれぞれの面でしっかりやっていきたいというふうに思っておりますし、その際には、四つの大学をいわば新しく生まれ変わらせるわけでございますので、よいところはしっかりと受け継いでいくことはもとよりだというふうに考えております。
 また、お話のございました現大学に在籍している学生、院生につきましては、しっかり教育の保障については万全を期したいと、かように思っております。

○野上委員 最後に。今、現学生、院生に対しても万全を期してまいりたいという本部長のお言葉がございましたけれども、ぜひとも現大学、新大学の違いにとらわれないで、学生さんたちが今いる大学に対して愛着を持ち、この大学に入って学生生活を送ることができて本当によかったなと思えるように今後とも努力をしていただきたいということを申し添えて、私の質問を終わります。

○花輪委員 一言、意見を申し上げます。
 いよいよ十七年度から首都大学東京が発足することとなりました。大学管理本部を初め関係者の皆様のご労苦を率直にねぎらいたいと思います。大変ご苦労さまでした。
 新しい大学は、これから社会のニーズ、参加してくる新しい学生たちのニーズにしっかりとこたえることのできる大学になってほしいと願っています。そのためにも、これまでの学問的な蓄積を生かしつつ、社会からの要請に的確にこたえていくことが肝要だと思います。これからいろいろ試行錯誤もあるでしょうが、改革後も不断の見直しを行い、都民に成果を還元できる大学にしていただきたいと思います。
 また、残る四大学については、現行の教育研究水準を維持されることを望みます。
 さらに、都立大学を初めとした四大学の民主的で自由な学風と、大学の自治や学問の自由が新大学においてもしっかりと守られ、そして新しい学風ができるよう願っています。
 最後になりますが、都立大学を初めとした四大学で学び、研究された成果が東京都の発展に大きく寄与したことをたたえ、卒業生はもとより、四大学に関係された多くの皆様に心より敬意と感謝を申し上げ、私の意見とさせていただきます。

○木村委員 私も、きょうは、首都大学東京中期目標の素案というものについて、読ませていただいた私なりの感想と意見を交えてお尋ねをしたいというふうに思います。
 まず最初に、公立大学法人首都大学東京の基本的な目標ということで、基本理念が一番先に書いてありますね。首都大学東京は、「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命としている、課題としているという書き出しになっていまして、最初から「人間社会の理想像の追求」の前に、「大都市における」というふうに書かれています。これは、大学の理念としてはあらかじめ大都市におけるというふうに枠をはめてかかるのかな。大学の理念というと、人間社会の理想像の追求という普遍的な学問の目的などを掲げるというものならわかるんだけれども、その前に大都市におけるというふうに限定をするということは、最高の学問の府としては、最初から狭い--特色あるといえば特色あるんでしょうけれども、目的、理念そのものが非常に狭いところに限るんですよということを最初からいっているような気がするんですが、それはいかがでしょうか。

○宮下参事 先ほどもご答弁いたしましたが、首都大学東京は東京都が設立団体ということで、都の税金を活用して運営していく大学であるということがございます。
 それから、もう一つは大都市、とりわけ東京は教育、文化、産業、さまざまな分野の人的、文化的、経済的資源があるわけでございまして、そうしたものを活用して、都が設立する大学として現場に立脚した教育研究を行うということは、それを深めていくことが普遍性をも持つであろうというふうに考えております。
 したがいまして、大都市における理想像の追求という形に使命をさせていただいたところでありまして、それが普遍性を持たないということにはならないと、そのように理解しております。

○木村委員 大都市の問題を追求していくということが普遍性を持たないなんて、私は何もいっていない。そういうものも一つの分野として学問の追求の仕方として当然大事なことであるけれども、それに限ると最初から宣言していいのということを聞いたんですよ。だから、私の聞いたことを何かちょっとひねって逆な意味に答弁するというのは、やっぱり答弁の仕方としてはちょっとフェアじゃないですねという感じですが、それにしてもこの素案の前半の部分は、理念、教育の目標、研究の目標、社会的役割というふうに続いていますね。そういういわば非常に理念的な目標の説明の部分が、ともかくやたらに、大都市のというまくら言葉があるんですね、ほんの三ページかそこらの間に。数えてみたら十三回出てくるんです、大都市の、大都市における、大都市の特色を生かした。東京の話でしょう、要するに大都市といったって、東京のという。
 それで、今答弁がありましたけれども、これは東京都が設立して、東京都の税金を使っている大学なんだからというのが最初の答弁の説明にありましたけれども、要するに、金を出しているんだというこのスポンサーの本音がむき出し、要するに、おれの役に立てよと、東京都の役に立つシンクタンクになれよという話として中期目標の理念が強調され過ぎているんじゃないかというふうに思うんです。
 現に社会的役割--今いった最後のところ、教育の目標、研究の目標、社会貢献に対する目標のところには、都政との連携に関する目標として非常に明確にいっていますよね。東京都の各局と連携し、都政が抱えるさまざまな課題において、都政のシンクタンクとしての役割を積極的に果たす。また、東京都を初め、国、区市町村の審議会への参加を通じ都政及び社会に貢献する、これが中期目標の首都大学東京の目標ですよ。社会的な役割です。
 ここまで書かれちゃって、ここまで読んで、なるほど、最初から、大都市の課題とか、大都市における人間社会とか、大都市に着目した研究とか、大都市の特色を生かした教育を実践するとか、大都市に立脚した教育研究の成果を上げるというふうに、その前のところにずっと書かれていますが、要するに、スポンサーである東京都のシンクタンクとして役に立つ研究や教育をやりなさいよ、それが首都大学東京の中期目標ですよというふうに私は読めたんです。果たしてそういうことでいいのかなと。
 例えば基本理念のところの、「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命として、大都市に共通する次の三つを重点課題として取り組む。一、都市環境の向上、二、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築、三、活力ある長寿社会の実現というふうになっていますけれども、この一、二、三を見ると、東京都の長期計画の一般的な重点課題というふうなのと一体、どこが変わるんだという感じがするんですね。
 私は、新しい大学をスタートさせる上での最初の理念をうたいあげるとしたら、東京都の行政分掌みたいなことじゃなくて、もっと本当に学問の普遍的な理念、そして理想を掲げていくということが大事なんじゃないかなというふうに思いましたが、もう一度答弁願います。

○宮下参事 これから少子社会を迎えて大学間の競争が激しくなるわけですが、そのときに、いろいろな大学がございますが、それぞれの大学が特徴を持って教育研究をしていかないと生き残れないという時代に入ってきていると思います。そういう中で、こうした目標を明確にして、それに沿った形で大学を運営していくということは、受験生にとっても受け入れられるものと、その結果が先日の受験倍率が平均よりも上回って七・八倍という結果につながったのではないかと、このように考えております。

○木村委員 私のいっていることがわかって話しているのかどうかまことに疑わしいような答弁ですが、これからは本当に大学がいっぱいあるから、特色や特徴を出さないと生き残っていけないというのは、設置者としてわかりますよ、そういう危機意識みたいなのは。どういう特色を出すかというのは、それはそれでそういう目標があるでしょう、中期的にも長期的にも戦略があるでしょう。ただ、最初から、理念から大都市の、と限って、東京都の長期計画に書かれるような行政課題を並べるというので、本当の大学かいなと、私はそういう感想を持ったんです。そういうことがちょっとかみ合って答弁がなかったので、あえていっておきます。
 それで、もう一つ読んで思ったんですが、そういう取り組みを通して、「現代都市における新たな教養教育を創成し、都市教養という概念が広く社会に認知されるように努める。」というくだりがあるんですよ。まだ広く認知されていないということをここではいっているわけなんですが、確かにそうだと思うんです。
 ざっくばらんに聞きますが、都市教養というのはどういう概念でしょうか。

○紺野参事 都市教養についてのお尋ねですが、先ほど宮下参事からも答弁がありましたが、首都大学東京は都民の税金を投入する大学、都民のための大学として、「大都市における人間社会の理想像の追求」ということを基本的な使命として開学する大学でございます。したがいまして、そこで育てる人材も、都市問題の解決に貢献できる人材、そういったものを育てていきたいというふうに考えているわけです。
 この都市問題の解決に貢献するためには、当然、都市問題に対する知見、あるいはその解決するためのさまざまな技法も含めた知識が求められるわけであります。
 私どもがここで都市教養と申し上げているのは、こうした都市の問題に科学的に正確にアプローチできる、解決に向かって取り組むことができるための、いわば基本的、基盤的な素養、あるいは知識、そういったものが当然に必要であろうということを考えて都市教養という言葉を使っているところでございます。

○木村委員 概念というのは、やっぱり事物の本質をとらえる思考の形式と説明されていました、広辞苑には。都市問題に取り組むために必要な教養と、ざっくばらんにいえばそういうようなお話でしたけれども、事物の本質をとらえる--つまり教養にもいろいろあって、都市問題固有の教養というものがあるという話なのかどうなのか。普通は新しい学部ができますと、例えば都市教養学部というのができますよね。そうすると、まず新入生に都市教養概論というのが講座として開かれるんじゃないかと思うんです。つまり、そういうような、経済学部に入れば経済原論から始まるとかいうのがありますね。そういう都市教養原論とか都市教養概論とかいうような、実態的にそういうような著作とか学問といいますか、学者が大体そういうことを専門的に研究し、物事の本質をとらえる思考の形式を確立しているというようなことがあればイメージしやすいんですけれども、そういうものを紹介していただけますか。

○紺野参事 ただいま委員の方から都市教養概論といったようなものが例えばないのかというようなお話がございましたが、首都大学東京では、都市にまつわる幅広い学問領域の基礎的な素養を体系的に学習させるために、都市教養プログラムというものをカリキュラムの中に位置づけてございます。これは、都市についてさまざまな側面から、その都市問題あるいは都市の歴史、都市の課題、そういったことについて基礎的な知識、素養を与えるために、特定の学部の学生だけが学ぶということではなくて、首都大学東京に入学した学生がすべて、いわば基本的な素養として身につけるべく都市教養プログラムというものを教育課程の中に組み込んでいるところでございます。

○木村委員 要するに、本はないんだ。そういうふうに既に体系立ったものはなくて、これからプログラムを組むという話なんですよね。
 私はやっぱり教養というこの非常に一般的な概念と、都市問題という都市計画とか都市政策とかありますね、そういうものを一つにくっつけて学部という概念というのは、まじめに考えればかなり難しい話で、どういうことになるのかというのは、私もなかなか想像がつかないといいますか、試行錯誤が多分続くんでしょうけれども、そう思います。
 きょうは中期目標の書かれ方が、大都市の、あるいは東京のということが非常にたくさん出ていて、大学、学問の府としては、特色あるといえば言葉はいいけれども、非常に枠が狭くて、スポンサーのいうことをよく聞くという意味合いばかりがうかがわれるような目標になっているということと、しかも、やろうとしていることは、都市教養という、何とかわかるかわからないか、そこはよくわからないというものが中身になっているということで、やっぱり中期目標は法的に責任を持つ文章ですし、大学側にとっては一つの強制力を持つ重要な基本文書ですよね。
 伺いましたところ、大学の教員には、十一月二十五日にこの素案が配られて、二十九日までに意見があったら出せというふうにいわれたけれども、本当に議論したり何かする暇なんか全然ないよ、そういうことでいいのかという話が聞こえてくるんです。正式には二定にかかるということですから、時間があるように見えますけれども、私は大学を支える、このスポンサーとしての立場だけじゃなくて、大学の教職員あるいはさまざまな関係者、広く都民との議論を保障して、本当にいい大学ができるんだなというものとしてやっぱり時間をかけてつくっていく必要があるんじゃないかなということだけ申し上げて、きょうは終わります。

○福士委員 それでは、私も簡単に伺います。
 ものづくり工学科というネーミングで高専からずっと入っていく一体化した大学院ということで、これはマイスター制度のようなものを最初にイメージしてしまいましたので、よく理解できないところがいっぱいありまして、都立高専専攻科の卒業資格もどうなっているのか、それから産業大学院への一体化体制はどうなんだろうか、そういうのがよくわからなかったんですが、一応せんだっての教育庁所管の日に伺って、何となくそういうことかというのはわかりました。
 準学士の後は独立行政法人大学評価学位授与機構で認定される学士授与があって大学院となるというふうに、そこまでは理解したんですが、念のために産業技術大学院の入学資格はどんなふうになるのか、お伺いをしておきます。

○紺野参事 学校教育法及び学校教育法施行規則によりまして、大学院の入学資格としては、大学を卒業した者、学士の学位を持っている者、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者が対象となります。

○福士委員 普通の大学院のていをなしているというふうに理解をしていいんだろうかなというふうには思いました。
 先日の委員会で特区申請が認められなかったこともわかりましたけれども、このままでは高専専攻科は教育庁所管で運営して、大学院のみ首都大学東京運営ということになりますよね。そういうことでいいんですよね。そこだけ確認します。

○紺野参事 高専の所管については、現在の法制度のもとでは委員ご指摘のとおり教育庁の所管ということになります。ただ、この高専の所管について、東京都といたしましては、現行制度について、とりあえず特区申請という形でそれを公立大学法人の方に一括化できないかということで試みたわけですが、その試みが必ずしもうまくいかないということもありますが、いずれにしても引き続き公立大学法人の方で高専も所管するという形にできるように国に働きかけていくというふうに教育庁からは聞いております。

○福士委員 それがうまくいけば一体化というのが本当に一体化になるんでしょうが、そうじゃなかったら、今の形でやるしかないねということですが、こちらの大学院の方は首都大学東京で運営していくことになるんでしょうから、教員が任期制、年俸制で次々変わっていくスタイルになるわけですよね。その場合、継続的な授業、研究というのはどういうふうに確保されるのか、お伺いをします。

○紺野参事 産業技術大学院では、いわば企業の現場、産業の現場で実際に役に立つ知識や技術を身につけてもらうということを主眼に置いておりますので、常に変化する技術動向や産業界のニーズを反映した教育を行っていく必要がございます。そのため、固定的といいますか、十年一日といいますと言葉がちょっと適当かどうかあれですが、そういったいつも変わらないカリキュラムというよりも、むしろ最新の技術に裏づけられた、身につけた新しい教員、あるいは新しいカリキュラムが必要になってくるものと考えております。
 このため、任期制のいわばメリットを生かしまして、第一線で活躍する実務家を企業からいわばローテーションといいますか、三年なら三年間だけ例えば来てもらって、また三年たったら企業の現場に戻っていただくといったようなことも含めまして、最新の技術情報を反映したカリキュラムを編成してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○福士委員 人は次々変わった方がいいねと、しかし、全体としての方針目的はそれはそれであるんでしょうから、継続的な教育はできるよねというふうにお考えだということで理解していいのかしら。
 実務的なことに関しては、私は今おっしゃったように、産業界からの人を入れなくても、本来は大学院の教員であっても、この産業技術大学院の名前からしても、社会と乖離したまま、ただ研究だけしていればいいよねというふうには理解していなかったものですから、当然それは普通の教員であっても社会との関係をつくりながら、それに向かって新しい研究に次々手を染めていき、そしてまた学術的にも考えていくのかなというふうに思っていたのですけれども。
 今のご説明だと、産業界からとりあえず大学院の教員として受け入れる、あるいは大学院の教員として受け入れた方がまた産業界に戻ったりする、そういう形の中で人事交流というんですか、そういう形をつくりながら教員確保はしていくというふうに考えていいということですか。

○紺野参事 教員につきましては、産業界との人事交流ということで、委員ご指摘のような教員も当然必要かと思います。ただ、全部が全部そういう教員だけなのかといいますと、必ずしもそうではなくて、いわゆる例えば企業からの教員といいましても、開発現場にいた人と、企業の例えば中央研究所というようなところで基礎的な研究に取り組んできた方といろいろございますので、やはり企業の開発現場にいらした方だけでなく、そういう基礎研究等をやってきた方も含めて産業技術大学院の教員には含まれてくるのかというふうに考えています。
 ただ、ここで今私、基礎研究という言葉を使いましたが、それも本当の意味での基礎的な研究というよりも、やはり製品開発であるとか、そういったものにつながるような意味での研究分野を持ってこられた方、そういうものが対象になろうかというふうに考えております。

○福士委員 私、時間もありませんし、余りたくさん質問するつもりはなかったものですから、ちょっとだけお願いをしておきたいと思いますが、人事交流はどういう形であるにしろやってもいいし、産業界との連携というのは、当然これはそこを目指してつくる大学院ですから、あるだろうというふうに思います。しかしながら、それでいい教員が入ってくるのかなとちょっと心配していたものですから、このことはお伺いをしたわけですが、産業界の特定の産業と余りにも結びつきが強くなって御用学校みたいにならないように、それだけぜひお願いをしておきたいと思います。
 産業界への利用ステップとして間に合わせの教員が来て、またそれが産業界に行ってみたいなことになるのも困りますし、そこはシビアに考えて、大学院の設置目的というものもしっかり踏まえて、公的なものであるということをちゃんと考えながらやっていっていただきたいということだけ申し述べておきます。

○臼井委員 それでは、新大学の学生支援策についてということで質問をいたします。
 首都大学東京の開学までいよいよ二週間となったわけであります。関係者の皆さんは今日まで大変な努力をしてきたので、ほっとしておられるのかなと思うし、私は、皆さんのご苦労を多とするものであります。
 また、四月からは新大学での学生生活に思いをはせて、また期待に胸を膨らませて学生が入ってまいります。学生諸君に、私は大きな期待をしているというメッセージを送りたいと考えているわけであります。
 さて、入学してくる新入生の期待にこたえるために、大学は、学業面は当然でありますが、学生支援の面にも十分に力を注いでほしいと考えております。魅力的な大学とするために、私は、学生支援が最も整っている大学、これは首都大学東京である。首都大学東京の特徴の一つとして、ぜひ位置づけることをお願いしたいと考えております。
 首都大学東京に通う学生が安心して生活をし、集中して勉強ができる環境を整えることがまず大切だと考えています。
 そこで最初に、首都大学東京での学生支援に対する基本的な考え方をお伺いいたします。

○紺野参事 首都大学東京では、学生がみずから考え、課題を発見し、解決できる能力の育成を目指しているところでございます。そうした学生を育てていくためにも、学生に対しては学業や勉学に集中できる環境を整える、これが学生支援の基本的考え方でございます。そのためには、学生のニーズをきめ細かくつかみ、その一つ一つに可能な限りこたえていくことが重要であると考えております。首都大学東京では、こうした学生に対する支援を重要な基本的なサービスと位置づけるとともに、学生サポートセンターを設置してサービス提供を一元的、効率的に行うこととしているところでございます。

○臼井委員 基本的な考え方はわかりました。ぜひ、その精神で取り組んでほしいものであります。
 どのような時代、どのような社会においても、人材こそが社会を支えていく最も重要な資源であります。意欲を持って学んでいこうとする学生に対して、可能な限りの支援をすることが大学に求められているというふうに私は考えております。
 一般に欧米社会では、大学生を一人前の大人とみなして、学生自身の責任において物事を判断し、行動することを求めています。したがって、学生は学費や生活費など自分で働いて得て学生生活を送るのが普通だということを聞いております。ところが、日本ではまだ学生は半人前だと、親の庇護のもとに手厚い保護を受けているというのが一般的な現状ではないでしょうか。日本のこのような現状についてどのように認識しておられるか、伺いたいと思います。

○紺野参事 日本における大学生に対する考え方は、ただいま委員がご指摘されたとおりの面があることは否定できないというふうに私どもも考えております。
 最近の学生は、かつてに比べ、いわゆる人間としての成熟度が低くなっている、いわばなかなか大人になっていない、なり切れないといったようなことがしばしばいわれるところですが、こうしたことが、いわば昨今の大学生が引き起こすさまざまな不祥事であるとか事件等にも結びついているということもあろうかというふうに考えているところでございます。
 首都大学東京では、みずから考え、課題を発見し解決するという力を育てることを教育の大きな柱の一つに据えているところでございます。大学生として、みずからの行動に自覚と責任を持つことができるよう教育していくことが重要なことであると考えております。

○臼井委員 ところで、昨今の厳しい経済状況の中で、子どもを大学に通わせる保護者の方々のご苦労は並々ならぬものがあると思うのであります。親からの十分な援助を受けることが難しい学生も少なくないと思うのです。親に頼らず、自立して独力で学業に励みたいと考えている立派な志の学生もいるでありましょう。学生が安心して学業に集中できるようにするためには、やはり経済的な支援も不可欠であると思うのであります。ある程度自分の力で学費や生活費を確保していかなくてはならない学生にとっては、とりわけ重要になってまいります。
 そこで伺うのですが、首都大学東京では、こうした学生に対してどのような支援を用意しているのか、伺いたいと思います。

○紺野参事 委員ご指摘のとおり、学生にはさまざまな事情を抱えている学生がおりまして、経済的に厳しい状況の中で大学で勉強していこうというふうに頑張っている学生もたくさんいるわけでございます。そこで、経済的な面からの学生に対する支援としては、授業料の減免、あるいは奨学金などを用意しているところでございます。

○臼井委員 ただいまの授業料の減免というのはどのような仕組みになっておるのか、その考え方をお聞かせください。

○紺野参事 授業料の減免につきましては、現在の都立の大学で行っております経済的な困窮度に基づくもの、これは要するに収入であるとかそういったことから経済的な困窮度合いの高い学生に対して授業料を減免するというものでございます。あるいは、これは留学生に対するものですが、出身母国ですね、母国との経済格差などによりまして、一般的に生活が非常に苦しい留学生に対するものとが現在ではございます。
 首都大学東京では、これらのものに加えまして、入学後の学生成績に基づく成績優秀者減免制度を取り入れる予定でございます。これは、成績が優秀な学生に対しては授業料を減免しようというものでございます。ぜひ、意欲ある学生には一生懸命勉強してもらって、この成績優秀者減免を受けられるように頑張ってもらいたいというふうに考えているところでございます。

○臼井委員 ぜひ優秀な学生が集まってほしいと思っております。しかし、そういう方は少数でしょうね、きっと。
 一般の学生の奨学金制度はどのようになっておるか、お聞かせください。

○紺野参事 奨学金についてですが、現在、代表的な奨学金として、これはかつての日本育英会でございますが、日本学生支援機構の奨学金がございます。そのほか、自治体あるいは各種の民間の団体の奨学金がございます。
 日本学生支援機構の奨学金の場合、支援機構から各大学に示される枠に従って学内で対象学生の選考を行いまして、支援機構に推薦しているところでございます。
 一方、近年の厳しい経済状況によりまして、民間団体の奨学金は減少傾向にございます。大学としては、現大学だけでなく、新たに首都大学東京に対する奨学金の割り当て枠の設定などについて各団体に働きかけてきたところでございます。開学後も引き続きこうした働きかけを継続するとともに、学生への情報提供、こういう奨学金があるよというような情報提供を積極的に行ってまいります。

○臼井委員 かつて日本は苦学する学生が一つの学生像であったような気がするんです。日本人は勤勉な民族として諸外国から大変評価されてきました。それが最近おかしくなってきております。なぜでしょうね。
 厚生省の試算によると、ニートと呼ばれる若者が全国に今五十二万人いると。大変な五十二万人ですよ。ここまで落ちてくると、今後はしっかりと大学生を教育して、この大学生にこれからの日本を期待するしかないなというふうに私は感じております。
 昔の親は、働くことのとうとさを子どもにしっかりと教えてきたし、家族を養うために必死で働く姿を子どもたちは見てきました。教育をつけるためには、大変な苦労をしていたことも子どもたちは知っていました。それだけに、みずからも働き、勉強もしたのであります。そこから日本人のガンバリズムが生まれて、勤勉であることを身につけたのであります。その上で大学生は、社会のリーダーとしての使命感を自覚するのであります。
 ところで、首都大学では、社会に役立つ実学の府として、現場体験型のインターンシップを科目に取り入れるなど、現場主義を重視していくということでありますが、これは社会に求められる人材の育成という視点から正しい方向であると考えております。
 現場体験を重視するという考え方に立っていえば、今日の社会では、実はアルバイトというものもあります。若いうちに社会をかいま見る大きな機会ということもできるんではないかと思うんです。
 アルバイトは、単に収入を得る以外に実社会における貴重な体験をするという側面も有しておりますし、現場体験重視の大学の考え方ともマッチするものであろうと思います。大学には、家庭教師を初めとしてさまざまなアルバイト募集情報が集まってくると思います。そうした情報を学生に積極的に周知し、収入と体験の場の確保の手助けを行うべきだと思います。
 相手方の交渉とか、あるいは手続なども一つの大切な経験となるのであります。何から何まで支援する必要はないのですが、情報提供にはぜひ遺漏のないようにしっかりやって、こういうことについても手助けをしてやってほしい。また、トラブルも当然発生すると思うんです。危険もつきまとう、そういうことへの対応にも大学が心配りをしてほしい、こんなふうに思いますが、アルバイトに対してどのように取り組む考えを持っておられるか、伺います。

○紺野参事 委員ご指摘のとおり、学生がアルバイトから得られるものは、単に収入、現金ということだけではなくて、貴重な社会体験、社会の仕組みを学ぶ、そういった面もあろうかと考えております。その意味で、学生にとっては、もちろんアルバイトばかりやって勉強しないというのは論外でございますが、アルバイトというものが非常に重要な意義を持っているという面があろうかと思います。
 実際には、大部分の学生は、みずからアルバイトを探しているというのが現在の状況ではございますが、大学にも企業から、実はこういうアルバイト学生を探しているんだといったような情報でありますとか依頼が入ってくることも当然ございます。そうしたアルバイトの募集情報等については、掲示等によりまして直ちに広く学生に周知してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○臼井委員 学生課等においては、ぜひしっかりした組織をつくって、学生を支えてほしいと思います。
 自立する学生生活というのは、よき友を得られるであろうし、人生を語り、社会に出るためのトレーニングとしても極めて有効であると思います。そんな面で、自立するためのアルバイトというのも一つの側面かなと思っているわけであります。
 次に、学生支援のもう一つの大きな柱として、個々の学生に対する進路支援も非常に重要であります。首都大学東京で有為な人材として育成された学生が、その適正な能力に応じて最適の進路を選択することができるようにするために、どのような仕組みを考えているか、お尋ねいたします。

○紺野参事 首都大学東京では、学生が自分自身で自分の進路を考え、決定していくことができますように、入学したときから進路の問題、就職に関するガイダンスなどを積極的に行いまして、学生のいわゆるキャリア形成意識の醸成に取り組んでまいります。また、就職担当部門に新たに就職課という課組織を設置いたしまして、インターンシップ先や就職先企業の開拓を行うスタッフのほか、学生一人一人の相談にきめ細かくこたえる就職カウンセラーを配置するなどして組織の充実を図ってまいります。
 こうした体制を軸に、教職員が一体となりまして、学生の進路指導あるいは就職というものを支援してまいりたいと考えております。

○臼井委員 わかりました。各大学で行われている就職支援というのは、ともすれば一流企業に何人入れたか、就職率はどの程度であったかという数字合わせに陥る傾向があります。この結果、就職後、短期間で離職してしまってフリーターになったりする卒業生が少なくないと聞いております。公共職業安定所やしごとセンターにも多くの若者が訪れており、能力、適性等就職先のミスマッチの問題が深刻化しているようであります。首都大学東京では、最終的には学生本人が主体的に進路決定できるよう啓発するとともに、側面からはきめの細かい支援を行ってほしいと要望します。
 これまで大学として望ましい支援のあり方について質問をしてまいりました。教育と学生支援とは充実した学生生活を実現するための両輪であります。社会に出れば、みずから考え、決定し、行動する、このことが求められているのであります。
 なぜ、大学教育があるのかということを考えてみれば、常に世の中は真のエリートを必要としているからであります。知性と品性と勇気、この人生の三要素、これを備えた真のエリートをつくり出してほしいと私は心から願っています。
 したがって、首都大学東京は、あすの東京を担う人材をつくるために建学されたのであります。どんな困難な場面に遭遇したときでもへこたれないように、みずから活路を切り開くことのできる人間づくりに取り組んでほしい。すなわち、みずから生き抜く力を持った頼もしい人材を輩出する大学として、教育、学生支援両面でのたゆまぬ努力を続けることをぜひ心がけてほしいと思うのであります。
 何から何まですべて面倒を見ろというのではありません。むしろさまざまな支援策を用意しながら学生自身の成長を温かく見守ることが、五年、十年の歳月を経る中で、学生にとって本当によかったと実感できることにつながるのではないかと思っています。そうした中で本当の意味での母校愛が生まれ、首都大学東京に親しみや誇りを感じられるようになっていくのだと思います。伝統とはこうしてつくられていくのだと私は思っています。
 学生が母校を愛し、誇りに感ずることと同時に、多くの若者が首都大学で学びたいと思うようなすばらしい大学となるように祈念をして、私の質問とさせていただきます。

○石川委員 新しい大学、首都大学東京の開学まであと二週間と間近に迫ってまいりました。既に入学試験も無事終わり、週明けには後期受験の合格発表が控えております。首都大学東京に合格された学生は、四月からの新大学での学生生活に思いをはせ、期待に胸を膨らませていることと思います。
 そこで、確認の意味を含めて数点お伺いいたします。
 まず、首都大学東京への志願者数は、昨年の都立の三大学の状況と比べてどうであったのか、教えてください。

○紺野参事 首都大学東京への志願者数は、昨年度の都立大学、科学技術大学、保健科学大学の三大学の志願者数を合わせた数に比べ千人を超える大幅な増加となっております。

○石川委員 昨年度に比べまして千人を超える受験生が首都大学東京に志願してきたとのことであり、これは大変すばらしい数字であると思います。
 ところで、首都大学東京の認可が当初よりもずれ込みまして、九月になりました。もちろん、学生募集は認可になってから初めて行われるわけですから、当時は時間がないんではないかとかいろいろ危惧する点も指摘されました。これだけ多くの受験生が首都大学東京を受験したわけでありますから、都としては首都大学東京についてどのような方法を展開してきたのか、お示ししていただきたいと思います。

○紺野参事 大学における主役はもちろん学生でございます。そういう意味で、PRの対象として、受験生やその保護者の方を念頭に置きまして、首都大学東京の魅力を伝えるべく広報を展開してきたところでございます。
 例えば、受験生の目に最もよくとまるもの、受験生が最もよく読むものは、いわゆる受験広報誌でございまして、このような媒体を活用していくこととともに、首都大学東京のホームページにさまざまな情報を掲示すること、あるいは大学説明会を行っていくこと、さらには、高校の進路指導の先生にも十分ご理解をいただく必要がございますので、高校を訪問して進路指導の先生にご説明をすることなどといった取り組みを精力的に展開してきたところでございます。

○石川委員 今答弁がありましたように、受験生やその保護者の方、また関係者を中心に、首都大学東京の魅力を積極的に広報してきた結果、出願者の都道府県別の資料をいただきますと、何と四十七都道府県すべての地域から出願者が出た。これも本当に短期間に周知を図られた管理本部の、また大学関係者のご努力を私は評価したいと思います。
 そこで、これだけ多くの受験生が首都大学東京を受験したことについて、大学管理本部はどのような所感、分析をしておりますでしょうか。

○紺野参事 みずからが課題を発見し解決していけるような人材を育成していきたいという首都大学東京における人材育成の考え方や、あるいは個々の学生のニーズにきめ細かく対応していこうという首都大学東京における学生支援の考え方、こういったものが多くの受験生に伝わり、理解されたものと、その結果として多くの受験生が首都大学東京を目指してくれたことにつながったと、このように理解しております。

○石川委員 多くの受験生が首都大学東京を希望し、受験してくれたことからも明らかなように、これまで我が会派が一貫して推進してきた方向性は正しかったことの左証であると思っております。これまで欠点をあげつらい、都民や在学生、受験生に不安を与えてきたグループなどもありましたが、受験生は大学改革というものを冷静に見詰め、そして首都大学東京を適切に評価した結果であるといえるのではないでしょうか。
 ここに、前期合格発表の風景を取材した三月八日付の新聞がありますが、合格者の言葉が出ております。社会で即戦力として役立てるような使える知識を身につけたいというものでありますし、これは、首都大学東京が社会から求められる人材の育成を行おうとしていることを十分に理解した上でのコメントだと私は思っております。また、別の合格者は、入りたかった大学、楽しく過ごせそうと語っており、石原知事が常々おもしろい大学にすると発信してきたことと相重なってまいります。
 先ほどの答えにもありましたとおり、首都大学東京の魅力が学生さんたちに十分に伝わったことは明らかであります。このように、合格者や都民の期待は非常に高い。南大沢に初めて千五百人を超える新入学生を迎えるなど不安要素がないわけではありません。また、多くの新しい試みを行う以上、周到な準備ときめ細かなフォロー体制の整備が必要であります。
 今回の結果は、都民の大きな期待のあらわれであり、そのことを肝に銘じ、入学生や都民が本当にすばらしい大学であると思えるように、残り少ない期間ではありますが、しっかりと準備するとともに、今後とも不断の見直しに努めてもらいたいということ、あわせて旧大学の学生、院生に対する対応に万全を期することを申し添えて、私の質問を終わります。

○池田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、予算及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十五分散会

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