委員長 | 池田 梅夫君 |
副委員長 | 村上 英子君 |
副委員長 | 花輪ともふみ君 |
理事 | 野上じゅん子君 |
理事 | 山口 文江君 |
理事 | 古賀 俊昭君 |
福士 敬子君 | |
臼井 孝君 | |
石川 芳昭君 | |
遠藤 衛君 | |
山本賢太郎君 | |
比留間敏夫君 | |
木村 陽治君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 山内 隆夫君 |
総務部長 | 有留 武司君 | |
都民安全対策担当部長 | 脇 憲一君 | |
広報広聴部長 | 高西 新子君 | |
都民生活部長 | 高島 茂樹君 | |
消費生活部長 | 古川 芳久君 | |
私学部長 | 南雲 栄一君 | |
文化振興部長 | 山本 洋一君 | |
参事 | 三森 生野君 | |
参事 | 杉谷 正則君 | |
参事 | 江津 定年君 | |
参事 | 萩原まき子君 |
本日の会議に付した事件
生活文化局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十二号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 東京都江戸東京博物館条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都写真美術館条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都現代美術館条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 東京都美術館条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 東京都育英資金条例
○池田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○池田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の平成十七年度予算の調査並びに付託議案の審査を行います。
これより生活文化局関係に入ります。
予算の調査並びに付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化局所管分並びに第五十二号議案から第五十八号議案までを一括して議題といたします。
予算及び付託議案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○有留総務部長 去る二月十七日の当委員会において要求のありました資料について、ご説明申し上げます。
お手元に配布してあります平成十七年文教委員会要求資料、生活文化局の表紙をおめくり願います。
目次に記載のとおり、1の私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たりの単価及び全国順位の推移、外三件の資料を記載しております。
一ページをお開きください。私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たりの単価及び全国順位の推移でございます。
平成十一年度から平成十五年度までの過去五年間について、表の左側に記載の区分、高中小学校及び幼稚園の各区分ごとに、生徒一人当たりの単価及びその全国順位の推移について、記載しております。
二ページをお開き願います。私立学校の授業料及び初年度納付金の推移でございます。
平成十一年度から平成十五年度までの過去五年間について、表の左側の区分に従いまして、授業料年額及び初年度納付金の推移を、それぞれ記載しております。
三ページをお開き願います。東京都育英資金一般貸付の予算及び決算並びに規模の推移でございます。
平成十一年度から平成十五年度までの過去五年間にわたる予算額及び決算額を(1)の上段の表に、また、貸付者数を(2)の下段の表に、表の左側に記載の区分ごとに、それぞれ記載しております。
四ページをお開き願います。消費生活相談件数の推移及び特徴でございます。
平成十一年度から平成十五年度までの過去五年間につきまして、都及び区市町村分の消費生活相談件数の推移並びに前年度対比で顕著に増加した相談事項を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○池田委員長 説明は終わりました。
先ほどの資料を含めまして、これより、予算並びに付託議案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○村上委員 私の方からは、まず最初に、個人情報の保護条例についての質問をさせていただきます。
個人情報保護法及び先般改正した個人情報保護条例の施行が四月に迫っています。大きな事業者の間では、四月の法施行に向けて社員教育や管理体制の整備などの準備が急ピッチで進んでいると聞いております。
個人情報保護法は、小規模事業者には適用がないとなっておりますけれども、個人情報は規模の大小にかかわらず、すべての事業者においてきちんと保護されなければならないものであります。しかし、小規模事業者では、個人情報保護のために何をどうしたらよいのか実際よくわからないという声をよく耳にいたします。
そこで、お伺いをいたします。
都の条例では、事業者は規模の大小にかかわらず、個人情報の保護に努めることとなっておりますけれども、都として、小規模事業者がよりどころにできる指針などをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○三森参事 村上副委員長のご質問にお答え申し上げます。
個人情報の保護は、事業者の大小を問わず重要でありますことから、個人情報保護法が適用される事業者に準じた内容で、小規模事業者を対象といたしました指針を、現在策定中でございます。
○村上委員 その指針は、個人情報を保護するため、これだけは守ってほしいというような事項をわかりやすく具体的に示す必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○三森参事 ご指摘のように、指針では、小規模事業者でも従うことが望ましい個人情報の取り扱いの基本事項や管理方法、苦情処理の手順などを、わかりやすく具体的に示していくこととしております。
策定します指針は、事業者団体を通じて配布いたしますと同時に、都のホームぺージに記載しまして、事業者が手に入れやすいように工夫してまいります。
○村上委員 四月以降、都は、都民が事業者の個人情報の取り扱いに不満があるときなど相談を受けていくわけですけれども、窓口や体制の整備はどのように進んでいるのか、教えてください。
○三森参事 都民相談の体制整備についてでございますが、個人情報保護に関する総合窓口を生活文化局広報広聴部に設けますとともに、各局にも相談窓口を設け、相談や苦情を受け付けてまいります。
現在、相談窓口を紹介しましたパンフレットを作成し、都民に配布しておりますとともに、「広報東京都」や都のホームぺージなどを用いて周知を図っております。
また、庁内で統一的な対応ができますよう、苦情処理マニュアルを作成し、各局に配布する予定でございます。
○村上委員 今のお話の中で、相談や苦情などを受けるということで、それぞれのパンフレットやマニュアルの作成ということのご答弁がありましたけれども、それを受けて、実際に事業者にはどのような形で指示を行っていくのか、お答えいただきたいと思います。
○三森参事 都民から相談を受けました場合、まずは本人に個人情報保護についての説明や助言を行いまして、当事者間による自主的な解決を促します。当事者間での解決が困難な場合は、許認可などを通じて日ごろから指導等を行っております部署と連携を図りながら、事業者に対し解決に向けた努力を促します。
このような指導にもかかわらず改善が見られない場合には、事業者に対し、法または条例の規定により報告の聴取、助言、勧告等を必要に応じ行うこととなります。
○村上委員 今回の改正条例では、個人情報を漏らした職員には罰則が科せられることとなります。
都は都民の個人情報、それも民間事業者とは比較にならないほどの多種多様な個人情報を大量に扱うわけです。民間事業者以上の厳しさが求められるのは当然のことであります。
生活文化局は個人情報保護条例の所管局として、庁内の個人情報保護の状況把握や指導を行っていく必要があると考えます。中でも、特に個人情報を本来の目的を超えて利用・提供する場合には極めて慎重な取り扱いが求められますが、今後どのような形で対処をしていくのか、その点についてお答えください。
○三森参事 個人情報を本来の目的を超えて利用したり提供したりする目的外利用・提供は、個人情報の例外的取り扱いでありますため、従来から慎重な取り扱いを行ってまいりました。
今回、条例改正を機に、個人情報の取り扱いについての要項を新たに作成いたしまして、その中で、目的外提供を求める側が提出します文書の書式を定めますとともに、目的外利用・提供を行った場合は、所管局は生活文化局へ報告を行うことを定めました。
○村上委員 東京都における個人情報の取り扱いをより適正に行うために、個人情報保護条例などの関連法規の職員への周知徹底を図ることなど、庁内の管理体制を今まで以上にしっかりとすべきと考えますが、最後に局長のご見解をお伺いいたします。
○山内生活文化局長 行政は住民の生活に深くかかわる個人情報を大量に取り扱うことから、公務員には厳しい個人情報保護義務が求められております。
今回の改正条例では、個人情報の漏えいなどを行った職員などに対する罰則を設け、個人情報保護に対する都の厳格な姿勢を示しております。
職員には、研修などを通じて個人情報保護の重要性を周知徹底していくことはもとより、各課ごとに個人情報管理責任者を設けまして、常に点検を行うこととするなど、組織的な安全管理体制を構築いたします。
特に、最近は振り込め詐欺また架空請求など、個人情報が犯罪に結びつくというケースが目立っております。このようなことから、今後も電子情報のセキュリティーを管理しております総務局など関係部局とも連携を図りまして、個人情報保護に厳正に取り組んでまいります。
また、民間事業者に対しても、個人情報の取り扱いに万全を期すよう、適切な助言、指導を行ってまいります。
○村上委員 局長のご答弁を聞いて、少しは安心をしたのですが、これからも庁内の管理体制をしっかりと確立していただくように、重ねてお願いを申し上げます。
次に、文化施設における指定管理者制度の導入について、ご質問をさせていただきます。
今定例会において、公の施設に指定管理者制度を導入するために、三十三の条例改正案が提案されております。
江戸東京博物館や東京文化会館など、生活文化局所管の文化施設にもこの制度が導入されることとなりました。今まで地方公共団体の出資法人などに限定されていた公の施設の管理運営を、NPOや株式会社などの民間事業者にも広く門戸を開くもので、民間でできるものは民間にゆだねるという、まさに時流に即した制度改革といえると思います。
そこで、まず、文化施設に指定管理者制度を導入することとした背景と、そして、その目的をお伺いいたします。
○萩原参事 地方自治法の改正によりまして、公の施設に指定管理者制度が導入され、文化施設についても、平成十八年四月までに直営か指定管理者制度かのいずれかを選択することとなりました。
文化施設につきましては、既に東京都歴史文化財団への管理委託への実績があること、民間の美術館や音楽ホールが数多く設置され、すぐれた運営を行っているところもあることなどから、都においても指定管理者制度を導入し、民間のノウハウを積極的に活用して、より一層のサービス向上と効率的な運営を図ることとしたものでございます。
○村上委員 文化施設の場合は、単なる施設の管理運営だけではなく、江戸東京博物館や写真美術館など、それぞれの施設の特性を生かして話題性のある展覧会の開催や、子どもたちを対象とした芸術文化の普及啓発事業など、いわばソフト面の充実が非常に大切であると考えます。
文化施設への制度導入に当たっては、こうした観点に十分配慮することが必要だと考えますが、どのような導入方法を考えているのか、お伺いをいたします。
○萩原参事 文化施設への制度導入に当たっては、良質な企画展の開催準備には通常二年程度かかるという文化施設の特性を踏まえまして、指定管理者制度を導入する必要がございます。
このため、平成十八年から二十年度の三カ年については、現在、六つの文化施設の管理受託を行っております、東京都歴史文化財団を特命で指定管理者としたいと考えております。
二十一年度以降につきましては、本年二月に設置いたしました東京都の文化施策を語る会の議論、提言も踏まえて、平成十八年度に指定管理者の公募を実施したいと考えております。
○村上委員 今のお答えを聞いてますと、応募しようとする事業者に十分な準備期間を与えるため、平成十八年度から二十一年度までの三年間は歴史文化財団を特命とするとのことでございましたが、指定管理者は広く民間から事業者を公募し、競争させることが原則のはずだと思います。
そもそも特命で指定管理者を指定することはできるのか、歴史文化財団をなぜ特命とするのか、その理由をお伺いします。
○萩原参事 ただいまご指摘のとおり、指定管理者の募集は公募が原則でございます。
しかし、一方、都では公の施設の設置目的や特性を十分踏まえ、最も適切な形で制度を導入することとしており、特命理由が明確かつ合理的であれば、特命により指定することも可能とされております。
文化施設への指定管理者制度の導入に当たりましては、企画展等の提案内容が選定の際の非常に重要なポイントとなります。新たな参入事業者にも十分な準備期間を与えて公平に競わせる必要がございますため、平成十八年から二十年までの三年間は、現在の管理受託者としての実績を有する歴史文化財団を、暫定的に指定管理者として特命するものでございます。
○村上委員 公平に競わせるために準備期間が必要だということについては、わかりました。
しかし、三年間の特命とすると、その間、財団の経営改革意欲も薄れてしまうのではないか、こんなような懸念が生じてまいります。この点についてはいかがでしょうか。
○萩原参事 十八年度の歴史文化財団への特命に当たりましても、歴史文化財団に、サービス向上やより効率的な運営等を盛り込んだ三カ年の事業計画書を提出させることとしております。
そして、選定委員会における審査を得た上で候補者として選定し、議会の指定議決をいただく予定でございます。歴史文化財団には、事業計画書に基づき、特命期間中もさまざまな経営改革の取り組みを求めてまいります。
○村上委員 平成十八年度に二十一年度以降の指定管理者を広く公募するということですけれども、その際には、当然、歴史文化財団とともに民間事業者も応募してくるものと思います。
選定に当たっては、都民や応募事業者から批判を招かないよう、いかに透明性や公平性を確保していくかが重要と考えます。
公募に当たっても、選定委員会における適切な選定が必要と考えますが、この辺についてはいかがでしょうか。
○萩原参事 指定管理者の選定に当たっては、ご指摘のように、公平で適切な選定が実施されなければならないと考えております。
そのため、外部の有識者も参加する選定委員会を設置し、公募要項などに基づいて提出される事業計画書などにつきまして、厳正な審査を実施してまいります。
○村上委員 今回の制度改正は、それぞれの設置条例に基づき、管理受託者と定められていた歴史文化財団が、初めて民間との競争関係に立たされることになるわけです。
十八年度の公募というと一年後でございますが、もし歴史文化財団が民間との競争に負け指定管理者となれなかった場合、財団にはどのような影響を与えるのか、伺います。
○萩原参事 現在、歴史文化財団は江戸東京博物館や東京文化会館など、生活文化局が所管しております六施設を管理受託しております。
仮に指定管理者となれなかった場合には、財団そのもののあり方に重大な影響を与えることもあると、認識しております。
○村上委員 このような厳しい状況に置かれているということを、財団自身はしっかりと自覚をしていらっしゃるのかどうかということと、指定管理者制度の導入に向けた財団の取り組み状況については、今現在どういう形になっているのか、教えてください。
○萩原参事 歴史文化財団では理事長や館長に民間経営者を迎え、民間の経営感覚を生かした事業展開を図っております。
その結果、平成十五年度には過去最大の入館者数を記録するとともに、企画展やレストランなどから得られる事業収入が、財団決算の約三割を占めるに至っております。また、委託料などの都からの支出も、平成十七年度予算では、平成十四年度に比べ三割減となるなど着実に経営改革を進め、実績を上げております。
現在、財団では強い危機意識を持って、企画力の強化や都民サービスの向上、より一層の経営改革などに努めており、民間との競争の中でも指定管理者となれるよう、職員一丸となった取り組みを進めていると聞いております。
○村上委員 指定管理者制度の導入は、都立の文化施設にとって、とっても大きな転換期になる制度改革であると考えます。
公正公平な競争を行い、指定管理者がだれになろうとも効率的な施設運営を図り、何よりも都民サービスを一層向上させるよう取り組んでいただきたいと考えます。
最後に、制度導入に当たっては今後の文化施設がどうあるべきか、きちんとした議論を踏まえて指定管理者を指定し、都民の期待にこたえていくことが非常に重要だと考えますが、局長のご所見をお伺いいたします。
○山内生活文化局長 公の施設に対して、現行は管理委託制度ということで運営をやっておるわけでございますけれども、指定管理者制度が導入されまして、今以上の都民サービスの向上、効率、効果的な運営と経営が求められるわけでございます。
そのため、それぞれの文化施設が都の文化施策の中に明確に位置づけられる、そして指定管理者が果たすべき役割が明らかにされているということが重要だというふうに考えております。
そのために、先ほど参事の方から答弁いたしましたけれども、本年二月に設置した東京都の文化施策を語る会におきまして専門家により徹底的に議論していただきまして、その提言を踏まえて、今後の都の文化施策のあり方を取りまとめて指定管理者の選定、施設の管理運営にも反映させていきたいというふうに考えております。
指定管理者制度の導入は、これまでの文化施設の管理運営に大きな変革を迫るものでございます。これは先ほど副委員長ご指摘のとおりでございますが、これを契機にといいますか、これを好機にいたしまして、各施設がより一層都民の期待にこたえられるよう、全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
○村上委員 公正公平というのが一番大切なことだろうと思いますけれども、やはり何よりも都民サービスの向上がおろそかになってしまってはいけない、このように考えておりますので、そういった意味を踏まえて、きちっとした対応で取り組んでいただきたいということをお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
○野上委員 青少年の健全育成条例の改正について、質疑をさせていただきます。
青少年健全育成条例の改正は、インターネットを初め、青少年の性のあり方や児童の養育など、重要な社会問題に対応するものです。
その中で、インターネットは情報を効率的に入手する上で非常に便利な手段です。しかし、我が党の代表質問でも、また予算特別委員会でも申し上げましたように、有害情報があふれているなど、青少年の育成にとっては危険な面もございます。今回の改正は、インターネットの利用の状況を踏まえた適切な対応だと感じております。
最初に、条例改正により、青少年の健全な育成の観点からインターネットにどのように対応しようとするのか、そのねらいを伺いたいと思います。
○高島都民生活部長 青少年は、インターネットや性の問題が生み出す危機に直面いたしております。
改正条例につきましては、青少年がこの危機を乗り越える力を身につけることができるように、私どもの大人社会が、青少年に向き合うための基本的な考え方を定めたものでございます。
インターネットにつきましては、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある情報へのアクセスを防ぐ、いわゆるフィルタリングの利用の拡大を図るとともに、保護者に対する啓発などによりまして、家庭での取り組みも促しながら、青少年がインターネットを適正に利用できるよう、環境の整備を行ってまいりたいと考えております。
○野上委員 多分平成十四年度だったと思うのですけれども、第三回定例会の一般質問で情報教育について、その危険性、そしてその対応の仕方について質問をいたしました。
教育庁マターになるのですけれども、学校における情報教育に関してはフィルタリングをかけるということで、ほぼ一〇〇%近いフィルタリングを学校の方でかけている。かけてないところはどうしているのかというと、教師そのものがフィルタリングであるというようなご答弁がございましたけれども、今では小学校のときから、学校だけでなく家庭でも、多分どの家庭にも一台ぐらいはパソコンがある時代ではないでしょうかね。
すると、子どもたちは、学校においてはフィルタリングがかかっているので、そういった有害情報を入手しようと思っても入手できないような仕組みになっていますけれども、家庭においては自由にインターネットに接続できるわけですね。
そうなってくると、結構いろいろな問題もあるかと思うのですけれども、このフィルタリングソフトの普及の状況はどうなっているのでしょうか。
○高島都民生活部長 フィルタリングソフトの普及の状況についての調査を、二つご紹介したいと思います。
一つ目は、日本PTA協議会が平成十五年に実施いたしました調査によりますと、回答していただいた小中学生の保護者のうち、有害サイトへのアクセスを防ぐフィルタリングソフトを知っている方は、約三割にとどまっております。
二つ目の調査結果としまして、これは平成十六年にインターネット事業者が調査されたものでございますが、小中学生の保護者のうち、フィルタリングを導入している家庭は約一割程度となっております。
このような調査結果からわかります、家庭におけるフィルタリングにつきましての認知度が低いという現状がございます。
○野上委員 それでは、たとえ一割ぐらいの家庭がフィルタリングを導入しているとして、このフィルタリングソフトは青少年の健全な育成を阻害する情報を完全に取り除くことができるのか、また、フィルタリングはどのような機能を果たしているのか、伺いたいと思います。
例えば我が家のテレビは、ビデオ、映画などが自由に見られるようになっているのですけれども、十八禁とか二十禁の場合は暗証番号を入れなければ、それが映らないような仕組みになっているのですね。
だから、子どもが例えばそういうビデオを見ようと思ったら、その暗証番号を知らなければ絶対映らないので、そこでストップできるような仕組みになっているのですけれども、こういうフィルタリングの機能はどういうふうになっているのでしょうか。
○高島都民生活部長 フィルタリングの機能につきましてでございますけれども、フィルタリングの方法につきましては幾つかございまして、幾つかご紹介しますが、一つは、いわゆるブラックリスト方式といいますが、青少年の健全な育成を阻害するホームぺージのリストをつくりまして、そのリストのぺージは閲覧できないようにする方式がございます。
それからもう一つキーワード方式。キーワードなどを決めておきまして、これは例えば「わいせつ」ですとか「裸」とか、そういうキーワードでございますが、これらを含む内容のぺージを閲覧できないようにする方式など、幾つかの方式がございます。
それから、フィルタリングの機能の限界といいますか、についてのお尋ねでございますが、新しく生まれるサイトをすべてリストアップすることは難しゅうございます。また、キーワードを検索する方法につきましても、青少年の健全な育成を阻害するおそれのない情報も排除する場合もあるなど、一定の限界があるところでございます。
しかしながら、フィルタリングにつきましては、膨大な数のホームぺージの中で健全な成長を阻害するおそれがある情報を効率的に排除する機能を果たす、効果的な手段であると認識いたしております。
○野上委員 今ご答弁がありましたが、フィルタリングソフトは、一部限界があるとしても効果は高いと。この普及を拡大するためには、これを提供するインターネット接続事業者が条例に沿って取り組みを行うことが必要と思われますけれども、事業者との協力をどのように確保していくのでしょうか。
○高島都民生活部長 フィルタリングの利用の拡大を行うために、条例では、インターネットの接続事業者が利用者にフィルタリングの利用を勧めることを求めております。これまで携帯電話会社や主な接続事業者、インターネットプロバイダーでございますが、と意見交換を行ってきたところでございます。
今後、この条例の施行に当たりましては、事業者団体の協力を得ながら、全事業者に対し、自主的な取り組みを促す働きかけを行っていきたいと考えております。
○野上委員 じゃ、ぜひ自主的な取り組みを促していただきたいと思っております。
昨年の長崎、佐世保市の小学校六年生の女の子の同級生の殺人事件がございましたけれども、その動機になったものが、インターネット上での書き込みだとされておりますけれども、インターネットの利用のルールやマナーの啓発も重要であると思いますが、この点につきましては、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
○高島都民生活部長 青少年がインターネットを適正に利用するためには、インターネットの危険性を理解するだけでなく、インターネット利用のルールとマナー、今ご指摘がございましたが、こういう情報モラルを身につけることが極めて重要であろう、こういうふうに思っております。
このため、学校のみならず、家庭におきましても保護者がインターネット利用のルールやマナーを指導していただくことが必要であろうと考えております。
来年度におきましては、一つは、保護者向けの啓発ガイドブックを作成する予定でございますが、この中でルールとマナーについての情報を記載する予定でおります。
また、二つ目としまして、小学生の保護者、教員、生徒を対象といたしまして、インターネットに関する啓発セミナーを予定しておりますが、NPOや事業者の皆さんの協力を得ながら、ルールとマナーにつきまして、情報をわかりやすく伝えてまいりたいと考えております。
○野上委員 保護者向けの啓発ガイドブックというのは、どの程度の家庭に配布されるのですかね。
○高島都民生活部長 小学生向けのガイドブックというふうに考えておりまして、約十万部ほどのガイドブックを作成しまして、小学生の保護者の皆様方にこのガイドブックを見ていただけるよう、やってまいりたいと考えております。
○野上委員 最後なんですけれども、中にはいろいろな考え方を持った方がいらっしゃって、そんなに配慮しなくても、純粋培養な子どもを育てるよりも、いろいろな情報があふれる中で育ててもいいんじゃないかと、清濁あわせのむような教育方針を持っていらっしゃる方も、中にはおります。
けれども、私が思うに、ある程度きちっとした判断力がつくまでは、余りにも有害な情報、影響を受けやすい、悪い情報は与えるのを避けた方がいいのではないかというふうに思っております。
年端もいかないような子がネットにアクセスをして、大きく人生を曲げてしまったりするようなことも多いので、そこら辺はしっかりと、保護者向けの啓発ガイドブックなどを通して、各家庭にそういったルールとマナーについて情報を発信していただきたく、そのことをお願いをして、質疑を終わります。
○花輪委員 指定管理者のことを聞くつもりはなかったのですが、今、村上副委員長の質疑の中で、何か特命発注で最初の二年か三年をやるということをお伺いして、ちょっとびっくりしております。
指定管理者制度、この法律ができたのは何年前でしたか。
○山本文化振興部長 地方自治法の一部を改正する法律、平成十五年法律第八十一号が、平成十五年六月に成立しております。
○花輪委員 その間、十八年九月に向けて多くの方々が努力をされて、準備をされてきたんだと思います。この三年間の準備期間があったにもかかわらず、あと三年というのはなぜですか。
○山本文化振興部長 一部新設の施設につきましては、十八年四月以前に指定管理制度を導入したところもございますけれども、東京都は結構施設が多くございますものですから、既に管理委託を行っている公の施設につきましては、総務局の方で全都的にスケジュールを管理いたしまして、十八年四月に指定管理者制度を導入する方向で準備を進めてきたものでございます。
○花輪委員 全然わからないんだけど、要は、ここに指定管理者制度に関する東京都指針その2と、十七年二月に出たものがございます。
その中の一〇ぺージで、特命による選定という項目があります。ですから、特命はできないことではないと思うのです。さっき参事もおっしゃっていました、明確で合理的な理由があれば可能だというお話をしていましたが、その中で、施設の状況に応じて競い合いなどによる効果が十分発揮されないと考えられる場合には、当該施設について公募によらず特命により管理者を指定することも可能である、そういうふうに書いてあるのですね。
だから、競い合いの効果が十分発揮されないのかなという疑問と、あと、特命の事例ということで、わざわざ四つ挙げてあるのですね。
山間、島しょなどに設置され、地理的に事業者の参入機会が限定される施設。また民間移譲などが確実に決まっており、民間移譲までの間、適切なサービス提供を行う必要がある施設。三、住民の利用に供しているが、むしろ行政目的に重きがあり、その事業主体が管理運営を行うことが合理的である施設。四、公募を行っても応募する事業者がなかった施設。
こういう四つの特例の事例というのがわざわざ挙げてあるのですね。ですから、このあたり、四つの中でどれに当たるとお考えですか。
○山本文化振興部長 実は私、現代美術館の副館長を四年間やっておりまして、現場を知っておりますので、その例を申し上げながらご説明申し上げたいと思います。
通常、企画展の準備は最短で二年、長いものですと五年ぐらいかけて準備をしてまいります。そういう形で実際、事業は動いておりますし、例えばオーケストラも相当スケジュールが込んでおりますので、もう二年先はほぼ埋まっているという状態で、三年先のオーケストラの押さえをするという形になっております。
そういうことを考えますと、今出して、じゃあすぐ企画を出せといわれた場合に、民間業者もすぐには出せないという、そういう状況がございますので、間をそういう形で置くということが合理性があるというふうに、我々は考えているところでございます。
○花輪委員 今の四つの事情には多分当てはまらないのだとは思うんですけれども、確かに二年や三年準備期間が必要だということは、大変よくわかります。
でも、三年間の、逆に準備期間があったわけですよね。ですから、今決まっている企画をそのままどこか民間の、次に取った方に、指定管理者になった方にやっていただくことだって、私は可能だと思うんですよ。
ですから、何であえてここで、せっかくこの指定管理者を導入するに当たってというときに、三年間ちょっとこれを先送りするよみたいな話というのは、私的にいうと、あれっという、残念だなという気で、今非常に頭の中では大きなはてなマークが、これでいいんだろうかという、そんな気でおります。
きょうは私、二十分という時間を決めてやらせていただくので、これにつぎ込んでいると質問ができないから、このくらいにさせていただきたいと思いますが、ぜひそのあたり、もうちょっと明確な理由をちゃんとつくって、つくってというと変だけれども、そんな気がいたします。とりあえず、この件はこれで終わらせたいと思います。
次、青少年健全育成条例について伺いたいと思います。
本当にインターネットなんか見ていますと、性情報にしても、また有害情報といわれるのですが、そういうものがはんらんをしていることには私自身も、私なんかが見てもおっとびっくりみたいなのがいっぱいありますので、危惧はしておりますが、子どもというか、十八歳未満の子たちというのが、どうなんでしょう、そういう性情報というものに、やはり触れない方がいいんでしょうかね。いかがでしょう。
○高島都民生活部長 なかなか難しいご質問をいただいたわけでございますけれども、これは絶対触れないようにするというのは、無理だと思います。また、子どもというのは、見せるなといえば必ずそういう見せないものを見たがるところがございます。
ただ問題は、そういう性情報について、自分が見て当然それが処理できるのだと思えてしまうのか、それとも、それについて、こういうものはまだ自分たちの世代としては見てはいけないと思いながら見るのか、その辺の違いがやはり大きいのだろうと思うのです。
性情報自身がどの程度非行を生むか、また青少年の人格形成をゆがめるか、これはいろいろ議論のあるところでございますが、やはり青少年の健全な判断能力を育成するためには、大人社会としては有害な情報、不健全な情報について一定の制約を設けながら、青少年に提供できる形をとっていくのが望ましいのだろうと思っております。
いずれにしましても、この問題は大事な問題でございますので、今回の条例改正で性の問題、それからインターネットの問題、私どもとしては真っ正面から取り組みまして、行政としてできる範囲の措置をとってまいりたい、かように考えております。
○花輪委員 今、部長がおっしゃったこと、本当にそうだなというふうに思います。
私たちも子どものころ、例えばスポーツ新聞に何かエッチな情報が載っているぞとか、友達同士で情報を共有化し合ったり、あそこの本屋さんであれば、おやじがいるときには売ってくれないけれども、おばさんのときには売ってくれるんだぞとか、そういう情報だったりとか、どこに隠せば親に見つからないとか、そういうような中で、少しずつ少しずつ知識を得ながら、大人になっていったのじゃないかと思うわけです。
それを突然、十八のときにそんな情報がどっとやってきたらば逆に混乱をしてしまう、少しずつ少しずつそういうものを求めていく、また知恵を使いながら成長をしていくんではないかなというふうに思います。とはいいましても、確かに今の状況というのは何かしらの、ある意味フィルタリングなり、そういうものが必要だなということは、私も認識をしているところでございます。
先ほど、野上さんからもございましたフィルタリングのこと、繰り返しになりますので聞きません。私たちもこのフィルタリング--子どもの方がやはり情報としてはたくさん知っていたり、技術もあったりします。ですから、そういうことを、親がしっかりまず認識するということですね。子どもよりも自分たちの方が知識がないんだということを認識をしていただいて、そして、何か規制をかけるよりも、本当に情報とのつき合い方、ルール、マナー、そういうものをしっかりと親が認識をする、そのために、ぜひ皆さんにもご努力をいただきたいというふうに思います。
続きまして、みだらな行為の方にいきたいと思います。淫行条例の方ですね。
これも、うちの代表質問でもさせていただきましたけれども、交際相手の年齢とか期間、また本当の恋愛かどうか、そういうものが本当に判断が難しい、そういう問題ではないかな、そんなふうに思います。
十八歳の大学生と十七歳の女子高生、高校のときの後輩、そういう方々の恋愛関係もあるかもしれませんし、恋愛でないそういう関係もあるかもしれません。また、例えばこれがもし、行政が何か恣意的にだれかを抹殺しよう、排除しようという--今の時代は平和な時代だからいいですが、もしそういう時代になったときに、こういう条例を使って、例えば学生で、学生運動をしているような若い男の子、または女の子が、もっと自分よりも年下の高校生なんかとつき合っていることを持ち上げて、例えば逮捕してしまう、そういう運動家を抹殺してしまう、そういう時代も、もしかしたらこれから来るかもしれないわけです。
そういうことに対して、やはり僕らはいつも不安というか、そういう緊張感を持っていなければいけないというふうに思います。
ですから、この運用に当たっては、みだらな行為というその対象、そういうものがあいまいなままではいけないと思いますが、皆さんとしてはどのようにお考えでしょうか。
○高島都民生活部長 このみだらな性交等の禁止規定でございますけれども、青少年が健全に成長する環境づくりのために、大人の反倫理的な性交に対する責任をとり、大人の姿勢をただすことをねらいとしているものでございます。
今ご指摘ございました規制の範囲の問題につきましては、既にこれは各県では条例化されまして、その具体的な事件の判例がかなり積み重なっております。それから最高裁判例におきましても、真摯な交際関係の青少年との間の性行為は含まれないなどとする、明確な解釈も示されております。
また、具体の各それぞれの司法現場、判決におきましては、この概念の適用に当たりましては、交際経過に照らし、青少年を誘惑し、困惑させるなど、青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段を講じたかどうかなど、個々の事情を踏まえ、客観的に判断されているものと理解いたしております。
○花輪委員 私は、東京都が何年か前につくった買春条例というのですか、これは非常にすぐれた条例だなというふうに思っておりました。そういう意味でいうと、本当にちゃんと規定を定めて、お金を出したり、物でつるようなことをしたらばつかまえるよと、そういう条例で、あ、よくこの買春条例というものを考え出したなと、当時は、本当に東京都はすごいなと思ったものです。
結局、この買春条例では成果が出なかったということなんですかね。
○高島都民生活部長 ただいまご指摘ございました、従前の児童買春に関する条例でございますが、これにつきましては、国の方で平成十一年に児童買春法という形で法律ができまして、こちらの方に吸収されております。
この児童買春法など、既存の法律で実は対応できない場合がございまして、具体的には優越的な立場、例えば学校の先生と生徒の関係、こういう優越的な立場を利用したものであるとか、それから家出少女を自宅に誘うなど心身の未成熟に乗じた誘惑、それから便宜を図るなど経済的に該当しない利益を与える場合、こういう現行の法制度では対応できない事例がございます。
東京都にはこういう淫行禁止規定条例がないため、今申し上げたような事例は摘発できておりません。同様の規定を持つ他の道府県では、ここ三年間の検挙件数が毎年平均年千七百件となっている実情がございます。
○花輪委員 今、他の道府県では千七百件の検挙件数があるというお話しでした。
この条例をつくる目的というのは、検挙することが決して目的ではなくして、やはり例えば性犯罪に巻き込まれる、そういうようなリスクを取り除こうとか、または子どもたちが中絶をしたり、性感染症にかかったり、そういうふうにならないようにしましょうよというためにつくる条例だと思いますが、それでよろしいですか。
○高島都民生活部長 淫行禁止条例のねらいでございますけれども、今、副委員長の方からお話ございましたように、刑罰を科すこと自体が目的でなく、やはり刑罰があることによって事前の抑止効果といいますか、こういうことにより、青少年に対して、青少年の福祉を阻害する大人側からの行為を排除していく、そういうことをねらいにしているものでございます。
そういうことを通じまして、青少年の健全な育成の環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○花輪委員 長野県では、この条例はないというふうに聞いておりますが、ない長野県では、やはり性感染症の発生率とか、または子どもたちの中絶の発生率、または性犯罪の発生率、こういうものは著しく多かったりするのですかね。いかがでしょうか。
○高島都民生活部長 ただいま資料を持ち合わせておりません。長野県の具体的な件数につきましては、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思いますが、ただ、東京といいますか、全国的な統計も含めまして統計書類を見ていますと、ここ十年くらい、青少年の性に対するかかわり方については、やはり大きな変化があるのだろうと思っております。
今ご指摘ございました青少年の性の初交年齢の低年齢化は、一つの調査によりますと、中学生で一割、高校生になりますと五割という形で、ここ十年ぐらいで大きくこの初交年齢が下がってきております。
それに伴う弊害が幾つか出ておりまして、一つは十代の人工妊娠中絶の増加、それから性病罹患の増加、それから十代の青少年、特に女性でございますけれども、そういう性犯罪に巻き込まれる被害者の増加、こういうことで大きな問題になっております。
そういう意味では、今回のこの淫行禁止によりまして、そういうさまざまな弊害に対する現在の大人側からの青少年の福祉を阻害する行為、そういうものを抑制して、青少年の健全な育成の環境の一助にできるのじゃなかろうかというふうに思っております。
○花輪委員 恐らく長野県の方では、ほかの都道府県に比べてそんなに著しく多いとか、そういうことはないんではないかというふうに、私は想像をさせていただきます。
だから、この条例がある、ないでそういう病気がふえるとかふえないとかいうことではなくて、やはりある意味運動論的に、こういうものをつくることで東京都としての強い姿勢を示して、青少年を性犯罪から、または感染症から、そういうことから守っていくのだという、そういう姿勢をアピールするという意味もあるんだというような思いで、この条例をとらえたいというふうに思いますので、ぜひ運用に当たっては、みだらな行為の対象範囲があいまいで、本来、法の対象にならないようなところにまでこれが適用されることのないように注意を払っていただきたい、また私たちもいきたいというふうに考えております。
次に、親が子どもと性に関して対話を深めていくことを、これは条例が求めておりますが、私は残念ながら子どもがおりませんので、子どもを持つ親の気持ちはなかなかわからないわけですが、ただ、自分が子どものころを考えてみますと、親と性についてまじめに話し合ったことがあるかなあと思いますと、残念ながらないですし、私自身も、そういう話を親がすれば避けたかもしれません。親の方も、何となく恥ずかしくてできなかったのかもしれません。
そういうように、家庭の中でそういう会話をするというのは、なかなかこれは大変なことではないかと思います。今回、条例でそこまで踏み込んで、ある意味、家庭の中にまで踏み込んで努力義務を課すということですが、皆さんの方では具体的に親と子ども、どのような対話を望まれているのか、想定をされているのか、ご答弁をいただきたいと思います。
○高島都民生活部長 青少年の性に対するかかわり方につきましては、先ほど申しました客観的情勢からしまして、大変憂慮すべき事態、現在重要な問題となっていると認識いたしております。
保護者の方には、この問題に真っ正面から立ち向かっていただきたいと考えております。保護者の方には、具体的に、安易な性行動によりまして青少年が自己及び他人の尊厳を傷つけ、心身の健康を損ね、人間形成が阻害されないように慎重な行動をとるように教育していただくなど、条例の趣旨を青少年に伝えていただきまして、青少年との対話を深めていただきたいと考えております。
このため、家庭における教育の参考となるように、条例の趣旨を伝えました啓発用のパンフレットを作成いたしまして、お配りしたいと考えております。
また、条例にあるメッセージを保護者の方に真剣に受けとめていただきまして、青少年が性の情報に惑わされず、健全な判断能力が身につく環境をつくってまいりたい、かように考えております。
○木村委員 まず、東京都育英資金条例について、一言お尋ねをします。
これは国の高校奨学金の事業が地方移管されるということを契機に、東京都も、東京都の育英資金貸付事業を東京都から公益法人に移すということで条例提案がされているわけです。私学財団が予定されているというふうに伺っております。
基本的には、こういうふうに何でもかんでもスリム化の方向で、公が直接やっていたさまざまな事業を移管していくということについては、私たちは強い危惧を持ち、反対をしているわけですが、特にこの育英資金については、一つは、これまでのそういう財団などに移管すれば、育英資金はその財団が自分で資金を調達して、行政とのかかわりは利子補給というような範囲にとどめていく、それがスリム化のいわば基本的なねらいだということになっているわけですよね。そういう流れがあるのです。
今回は原資供給といいますか、今までどおり東京都のお金で育英資金事業が行われるということが確保されたようですけれども、将来、一体どうなるのかという心配があります。だんだんやはり、それは財団がやるのだから、そちらでちゃんと金を調達しなさい、行政の方は若干の補助をしましょうというふうになりはしないかという心配が一つあります。
もう一つは、これから私学財団が育英資金事業をやるのですから、借りる人は学校を卒業するまでは返さなくていいと、就職してから返すというのですから、いわば取り立てといいますか、これは何年か先の話になると思うのですけれども、今度は、育英資金を借りた人と財団との関係は民民の関係になるわけですね。なかなか厳しい、シビアな取り立てになりはしないかということは、当然心配になります。
将来、そういう二つのことが、このことを契機にして心配されますけれども、そういうことはないというのであれば、きちっとこの場でご説明いただきたいと思います。
○南雲私学部長 木村委員のご質問にお答え申し上げます。
今回の移管に当たりましては、これまで都が行ってまいりました事業の公益性を継承しながら、都の責任において指定団体の事業実施に必要な支援を行うため、現行の東京都育英資金貸付条例を廃止せずに、指定団体に対する補助条件を規定した条例に全面改正を行うことにしたものでございます。
実施主体が変更いたしましても、所要の財源につきましては引き続き都が確保していくことにしておりまして、今後とも都民サービスの水準は継続して維持できると考えております。
○木村委員 回収方法についていってください。一番心配ですから。
○南雲私学部長 将来的に取り立てが厳しくなるんじゃないかというご心配ですけれども、まず、奨学金制度を存続させてまいりますためには、貸し付けから返還まで円滑に循環していくことが不可欠でございまして、そのため、現行制度においても返還が滞れば速やかに督促を行うなど、適切な債権回収に努めているところでございます。
なお、もともと経済的に困窮している世帯を対象としている本事業の特性を踏まえまして、返還金の減免や猶予に関する規定は、条例にそのまま残しております。借り受け者の個々の事情に応じて債権回収を行うことについては、変更はございません。したがって、ご懸念のようなご心配はございません。
○木村委員 まあ、将来の話ですから、そうはいってもですね。現に例えば再開発事業で、小松川の例ですけれども、床を東京都の資金を借りて買った人が、東京都に借金を返しているわけですね。ところが、サービサー法が成立して、民間が代行できるというようになって、そして東京都はそういう債権回収業者を入札で集めて、一番安く請け負った業者に債権回収を任せているわけです。現にそういう事例があるのですね。
そうすると、民間ですから、いざとなればなかなかシビアですよ。返せないなら自己破産したらどうですかとかね、そういうふうになってくるのです。だから、世の中の流れはそういうふうな方向に行っていますので、よもや育英資金がそういう道に踏み込まないように、強く要求をし、指摘をしておきたいというふうに思います。
さて、それで次の問題に行きます。
お話がありましたが、指定管理者制度導入について、幾つか生活文化局所管の文化施設についての条例改正案が提出されています。
この点についても、先ほどいいましたように、我が党は官から民へというかけ声で官製市場を民間開放する、公的責任を放棄して、何でもかんでも営利、利潤追求の場にしていくということについては、根本的に反対です。
特に、私は、今回のこの委員会に出ている案件が文化芸術施設である、これが果たして指定管理者制度になじむのかどうなのかという問題です。
これは、こういう指定管理者制度が成立した後、財団、NPOなどいろいろな団体が予想されますけれども、民間企業は、経済が回復基調にあるとはいえ厳しい経済環境の中で、この制度を新たなビジネスチャンスが到来したということで、例えば三菱総研がパブリックビジネス研究会を立ち上げた。これは二〇〇四年四月のことだそうですが、企画発表会を開いて、一社一口五十万円の研究参加費を負担させて、こういう研究会を立ち上げた。参加企業数は八十七社に及んだ。
その業種内訳は、ビルメンテナンス二十社、建設、ゼネコンが十七社、エネルギー、機械設備関係の企業が十二社、その他、展示、施設運営関係の企業が八社だったそうです。
こういう企業が指定管理者に応募する可能性もあるわけですね。文化芸術施設の指定管理者に、こういった企業も参入する形で行政の代行を請け負うということもあり得るということについて、どのようにお考えでしょうかね。
○山本文化振興部長 文化施設各館の施設運営方針につきましては、これまでも文化ビジョンなどにおいて明らかにしておりましたけれども、その後の状況が変化しておりますことから、先ほど局長からも申し上げたように、東京都の文化施策を語る会を設置いたしまして、改めて文化施設のあり方なども含め議論をしていただくことにしております。
こうした議論や提言も踏まえまして、文化施設各館の施設運営方針を明らかにいたしまして、それを公募要項に盛り込み、申請事業者から提出される事業計画書の審査等を通じて、実際の選定に反映させてまいります。その後の指定管理者による施設の管理運営の指導監督に反映させることなどを通じまして、きっちりした指導を行っていきたいというふうに考えております。
したがいまして、おっしゃるような事業者が管理代行いたしましたとしても、各文化施設は都の施設運営方針に基づき運営されるものとなると考えております。
○木村委員 随分楽観的な話だなと、聞いていて思いました。それは時間がたってみないと、どちらが本当の話なのかわかりません。
ただ、例えば国に国立博物館あり、国立近代美術館あり、アメリカに行けばスミソニアン博物館あり、ロシアに行けばエルミタージュがありというように、東京都には都美術館があり、あるいは東京都文化会館があり、あるいは何々がありと、これはその国、あるいはその自治体にとってのアイデンティティーといいますか、これを発信する、そういう場だ、そういう位置づけがあると思うのですよね。
まだ、幾つかの施設はできてそんなに歴史がたってないから、あれが東京都のアイデンティティーのシンボルだというほど成熟している文化施設でないのもありますけれども、やはりそれは時間をかけて、時代でもって、都民が一緒になって、いや、東京にはこれがあるのだという、そういうものにつくり上げていくというのがやはり仕事だと思うのですよ。
そういうものを、営利企業も含めた団体に管理を代行させるということについては、非常に釈然としないといいますか、そういうものを、指定管理者制度ができたからといって一律に制度適用をして、こういう団体が非常にまじめそうだからやらせますというようなことで、果たして東京都としてのプライドといいますか、文化行政のプライドといいますか、そういうものは傷つけられるという思いはいたしませんかね。
○山本文化振興部長 例えば私が承知します現代美術館の例で申しますと、過去は平日、常設展しか開いていない冬の時期は、一日お客様が五、六十人という、そういう状況でございました。
それが、民間の経営者の方が館長になられて、いろいろな工夫をしたおかげで、企画展に来られた方が、その後、常設展に回っていただくということで、年間の数も五万人、六万人から十数万人にふえてきているということがございまして、おっしゃる意味はよくわかるのですが、新聞の学芸欄で褒められちゃいますと--なかなかお客さんが来ないという状況がございまして、そこ辺のバランスをとりながら今運営をしているということでございますので、やはり民間の発想というのも大事かなと、改めて今思っているところでございます。
○木村委員 いや、民間のノウハウを取り入れるというのは別に否定する必要はないわけで、いろいろな知恵をかりてやっていけばいいんで、一日に五十人しか来なかったんなら、それは大いに反省しなきゃいかぬですよ、幾ら何でもね。
だけど、それと指定管理者制度というのは、もう質が違うでしょう。管理の代行でしょう。行政そのものの許認可の権限を相手に与えてお任せするという話だから、それは住民の便宜のためにいろいろな貸し館の施設や何かあるかもしれない、そういうのは指定管理制度でやればうまくいくこともあるかもしれないけれども、東京都としての文化的なアイデンティティーを発信するというようなものを、全部出たからというので、今回はずっと並べられちゃったけれども、そういうことでいいのかな。さっきの答弁では、私は、全く納得するような感じになりません。
最初は、個別法を有しているものは、個別法は一般法に優先するということで、必ずしも指定管理者制度を適用されないという話があったですね。美術館なんかは、博物館法、個別法に適用されていると思うのですけれども、これはやはり指定管理者制度を無理やり適用しなくても済むというようなことはないのですか、どうでしょう。
○山本文化振興部長 全国の話でございますけれども、平成十二年四月現在のデータでございますけれども、全国の美術館を見ますと、合計約三百八十施設がございます。このうち約六七%が直営で、三一%が委託によって運営されているということでございます。
今回、私どもの美術館、博物館につきましては、この委託という分野に入りますので、指定管理者制度を導入するかどうかという検討をした結果、そういった導入を図るということになったものでございます。
○木村委員 美術館なんかも個別法、博物館法に適用されているのだから、今までは委託だったでしょうから、直営にするか指定管理者になるか、そういう選択だと思いますけれども、やはり私は直営に戻すべきだというふうに思います。
それから、あとちょっと条例の方に入りますけれども、指定管理者の選定基準、これはみんな共通していますけれども、きのうも教育庁の関係で指定管理者制度の条例についてお尋ねしたのですけれども、今度も例えば文化会館と芸術劇場の条例の第十四条、指定管理者の指定、どういう指定管理者になっているか。三年間は特命随契でもってやるという話はありましたから、この三年間の話じゃないですけれども、将来の話も含めて、条件に一、二、三、四、五、六とあって、例えば「会館等の効用を最大限に発揮するとともに、効率的な管理運営ができること。」というのが、一つの管理者の指定の条件ですね。
施設の効用の最大限化と効率的な運営、そうすると、最大限化という一つの目標が、条例上決められています。何を指して効用の最大限化というかというのは、評価が問題だと思うのですね。こうやれば最大限化だと。東京文化会館あるいは芸術劇場を例にして、こんなであれば最大限といえるというのを、ちょっとわかりやすくいってくれませんか。
○萩原参事 館の効用を最大限に発揮するという場合の、最大限に館の効用を発揮するということの意味でございますけれども、それぞれの文化施設は、設置目的を踏まえた上で、あるいは例えば展示機能ですとか調査研究機能ですとか、いろいろな機能や能力というものを、設置目的の中でも明確に掲げております。
それら潜在的なものを含めまして、各館が持っております機能を最大限に発揮させることを、ここでは館の効用を最大限に発揮するというふうにいっております。
○木村委員 どうもそれだけじゃ、余り具体的によくわからないという点があるのですね。
これからいろいろな指定管理者になりたいという団体がさまざまな計画を持ってきて、それで選定委員会が選定する、この人の計画が最大限だという判定を、選定する側はするわけですね。
その場合、今お答えがありましたような、目的を踏まえていろいろな機能がある、展示機能とかそういう機能が目いっぱい使われていると、それは一つはわかります。しかし、中身の問題もありますよね。埋まっていればいいというものじゃないわけです。
最大限というと、そういう数で示せるものと、ほかに質で考えなければならないものが当然あると思いますが、そういう基準と評価する手法というものが僕は必要だと、そういうものがなければ判断できないはずだ、というふうに思うんです。
そうすると、東京都はそういうものを判定する基準と手法--私が聞きたいのは、基準というのは文化行政に対する自治体としてのポリシーみたいなものですね、そういうものを持っているかどうかということなんです。どうでしょう。
○山本文化振興部長 先ほど申し上げまして繰り返しになりますけれども、東京都の文化施策を語る会を設置いたしまして、ご議論をいただいているところでございます。
そうした議論を受けまして、現代の変化に対応したような、おっしゃるような基準も含めて、検討していきたいというふうに考えております。
○木村委員 そうすると、この語る会というのが非常にこれから重大な話になってくるわけですね。今のところ、なるべく何でも語る会のご提言を受けてということになる。
すると、条例を審査しているときは、その語る会というのは、まだ我々は知らない、どんな提言が出てくるかもわからないという中で、ともかく最大限に効用が発揮されるものにやらせます、こういうことですから、まことにもって不安があります。本当に大丈夫かねと、こんな文化施設をね。
実は、東京都は既に評価制度、行政評価制度というのは、もうやってますね。しかも文化会館など、今日この条例の対象になっている文化施設を、そっくり個別に評価を行っているのです。
改めて読んでみますと、まことにどうも、何といいますか、厳しい評価です。平成十二年十一月、行政評価制度の試行における評価結果の報告書というのがありまして、例えば文化会館については総合評価D、A、B、C、D、EのうちのDですよ。それから効率というのは、ランクで最低の1ということなんですね。
だから、今の都政というか、今の行政側の評価、今ある文化施設に対する評価だと非常に低い評価で、抜本的に見直しなさいというふうにいわれている。この評価がこれから選定していく上でのベースになるということにならざるを得ないというふうに思いますけれども、そうでしょうか。
○萩原参事 ただいま先生がおっしゃいました監理団体の評価が、文化会館がDであるということと、実際に応募の審査を選定委員会で実施いたしますときの、それぞれの事業計画を評価するときの基準が異なるものと考えております。
○木村委員 それは異なるでしょうけれども、行政の腹のうちはやはり自分たちがやった行政評価がベースになって、これがどういうふうに変わるかということの出発点になるのじゃないですかと聞いたのですよね。
実は、例えば最初の行政評価でD評価になった、効率性は最低だという評価を受けたという文化会館は、この行政評価が行われる直前に五十四億円の予算をかけて大改修して、舞台機構の高度化、楽屋のレイアウトの更新、保育スペース、楽屋カフェ、ミュージアムショップの新設等々を行って、ハード面は一新したわけですね。
同時に、文化会館は、そのハード面を一新したことを契機に、ソフト面も抜本的な見直しを行った。館長が作曲家の三善晃さんで、それまでの貸し館主体の運営から意欲的な事業展開をやろうというふうに切りかえていって、舞台芸術創造フェスティバルというのをやって、オペラとか演劇とか舞踏とかコンサートとか、分化している舞台芸術の様式を見直して、総合的に既成のジャンルの垣根を取り払った舞台芸術をつくろうというのでやったりして、合唱と舞踏のコラボレーション、おれも見てないからわからないけれども、音楽、木、林、森というようなのをやって、非常に高い評価を受けている。
そういう積極的な事業展開をやっていっているさなかの行政評価なんですよ、ちょうど。時代的にいうと。しかし、評価は非常に低かったということがあったわけですね。
ですから、結局、行政による一般的な事業評価というのは、芸術の評価あるいは新たな文化をつくっていく、そういう試み、独創的な文化をつくっていく、そういうような事業については、適正な評価が及ばなかった一例じゃないかというふうに思うのです。
これは行政評価を見てもそうですし、さっきのご答弁でも、いろいろな機能が目いっぱい使われているかどうかみたいなニュアンスで最大限の説明がありましたけれども、定量的な評価は、確かに入場者がどのくらいあったとか、企画展が何回あったとかいうことで、少ないより多い方がいいという評価があると思うのですけれども、要は定性的な評価というのですか、中身、質の問題、これをやはり評価しないと、何が最大限かというのは定まらないはずなんですね。
そのためには、何でも語る会のご提言を受けてという話になりますけれども、やはり選定委員会にはきちっとした専門家を委嘱して慎重にやるということも含めて、評価の手法を確立することが必要だというふうに思うのですけれども、その点の問題意識はいかがでしょうか。
○萩原参事 文化事業につきましては、確かに定量的な問題だけではなく、文化事業の例えば企画展の内容を、二つの事業者から提案がございましたときにどういうふうに評価するかということで、当然、選定の基準というものを条例で定めておりますが、それを規則でより詳細とし、そしてさらにそれを詳細とした基準を公募要項等でしっかりお示しをいたしてまいります。
そして、それに応じた形で事業者から応募をいただきますが、専門的な見地からしっかりそれを評価できる有識者を選定委員にお入りいただきまして、それぞれの提案の質を含めて、しっかりとした厳正な審査ができるように対処してまいりたいと思っております。
○木村委員 どこでもそういう文化施設を抱えているところは、これからどうしていくかというのは、問題にぶつかっているというふうに思うのですね。
自治体の公の施設としての文化施設を、ヨーロッパと日本と比べてみれば、ヨーロッパなんかは、いわばその市の、その舞台等を持っている文化ホールは、そこを拠点にする創造集団がその町にあって、あるいはオペラならオペラがその町にあって、そして活動している。それがまた、その市の文化的な水準やアイデンティティーとして発信される。
日本の場合は、まだ箱をともかくつくった、しかしこれが東京の舞台、これが東京の芸術運動というものが、それに付随して育てられていない。また育ててもいないんだよね、東京都の文化行政というのは。いっちゃ悪いけれども、東京地域劇団演劇祭なんというのは芸術劇場を貸してもらえなくなっちゃったしね、幾ら要求したって冷たい返事ばかりしているけれども、つまりやはり住民参加型の創造集団をどうつくっていくのか、アマチュアやプロも含めてやっていく。
日本でも、水戸芸術館とかあるいは静岡舞台芸術劇場とか、意欲的に、その施設に附属する創造集団から、そこでつくられる舞台というものを追求していますよね。そういう試みが全国にあるのですよ。そういうことを目指していくという東京都の文化施策の方向と、指定管理者制度をかみ合わせるというのは、これは大変な話だと思いますけれども、やはりそのくらいの意欲を持っていかなければいけないのじゃないかと思います。
世田谷区にパブリックシアターがあって、ここの評価手法は、世田谷区なりに非常に苦労してつくって、さっきいったように定量的評価だけじゃなくて、定性的評価も入れていこうということで、パブリックシアター施設を使ったいろいろな行事、主催事業に対する区民のアンケートとか関係者へのインタビューとか、そういうものを意識的に取り入れて、そして評価手法を確立しようというふうにしている。都内でも、やはりそういう先駆的な試みが行われているということになります。
ですから、そういう先駆的な経験も取り入れつつ、東京都としての独自の手法を確立しながら、指定管理者制度になったから効率よく施設が回転するようになりましたと、民間の手法は大したものですというような評価で終わらないようにしてもらいたいと思いますけれども、どうですか。
○山本文化振興部長 おっしゃるように、ヨーロッパの地方都市でもそういった形の文化の振興が行われていることは聞いております。
ただし、東京みたいに非常に大きな都会になりますと、世界で一番コンサートが開かれているのは東京だというふうな話も聞きますけれども、とにかくすばらしい水準の演奏が、至るところで毎日開かれているということになりますから、なかなか目立たないということはあろうかと思います。ただ、文化的な水準は、そういう意味では高いのだろうというふうに、一つ思います。
その上で、今おっしゃったような話でございますけれども、十二年度に、「当面の東京都文化政策手法の転換と取組」にも掲げてございますけれども、文化に対しては多様な主体がございます。区市町村もあればNPOもあれば、あるいはプロの団体もあるということで、東京都の役割は一体何なのかと考えますと、そういったいろいろな主体と連携をどうつくるか、あるいは仕組みづくりをどうするかということが大きな課題だというふうに、こちらでも書いてございますので、多分、語る会の中でもそういった方向で、もう少し具体的な方向が出てくると思いますので、ぜひそれについてはご期待いただいてというふうに思っております。
○木村委員 まあ、えらい自信たっぷりですが、それなら、東京が世界のプロのコンサートなども多いということは、それは誇るべきことかもしれないけれども、同時に、やはりアマチュアのいろいろな創造活動、それの東京全体の連携を東京都が支援し、支えていくというようなことは非常に手薄ですよ。
ですから、そういうことも含めて、私は東京都がまずきちっとした文化政策の方向を明らかにして、そのことをみんなで議論をした上でどういう制度を変えていくか、活用していくかということを議論するのが筋だということで、将来の問題ですから、きょうはこの辺くらいにしておきます。
それでは、青少年健全育成条例についても、私からもお尋ねをいたします。
東京都は、今までいわゆる淫行処罰規定は必要ない、むしろそれは青少年の性的自己決定能力を阻害するものだということにしてきたわけですね。それがここへ来て導入すべきというふうに変わった。変わった以上、その必要性について説得的に説明がなければいけないというふうに思うのです。
この条例のもとになったのは、第二十六期青少年問題協議会の緊急答申だと思うのですけれども、この二十六期青少協が、それまでの都政の到達点を覆す結論を出すに当たって、後ろに書いてありますが、わずか三カ月間の審議期間、見ますと、現地調査もないし、青年からの意見聴取もない、これはなぜですか。
○高島都民生活部長 第二十六期東京都青少年問題協議会の運営についてのお尋ねでございますが、諮問いたしましたのは昨年の十一月でございまして、今回の緊急答申をいただきましたのが一月でございます。都合三カ月でございますが、ただご理解いただきたいのは、その中におきまして、一週間置きに総会、専門部会、起草委員会などを繰り返すなど、かなり濃密な形で審議を進めてきております。総会が二回、専門部会が六回、起草委員会が四回、それから現地視察も実は一回ございます。そういう形で延べ二十時間以上、熱心に青少協のご専門の民間委員の方も含めてご議論いただいたところでございます。
特に、例えば十二月十七日だったと思うのですけれども、この日は夕方六時半から審議を始めたわけでございますけれども、夜中の十一時まで審議を進めるなど、普通の審議会では考えられないような、かなり長時間、一回ごとに議論を進めていただいたという経緯がございます。
それから、関係者からの意見聴取などにつきましても、いわゆる今回インターネット規制がございましたので、インターネットのプロバイダー、携帯などの事業者からも意見聴取しておりますし、それから青少年からの意見聴取ということではないのですが、青少年の意識調査ということで、これは青少年対策推進本部と連携いたしまして、昨年の十一月でございますけれども、青少年向けの意識調査なども行いまして、その結果につきましては青少年問題協議会でご報告いたしまして、審議のご参考にしていただきました。
そういう意味では、今回この二十六期青少年問題協議会からご答申いただいた内容は、現在の社会経済情勢を踏まえた最適の答申をいただいたのではなかろうかというふうに理解いたしております。
○木村委員 東京の条例に淫行処罰規定を盛り込むかどうかというのは、二十年来の歴史があります。最初に青少協に諮問されたのは、第十七期青少協です。この青少協は、結論を出すまでに二年かけています。一九八六年から一九八八年、そして八八年の三月に淫行処罰規定を設けることは不適切だという結論に到達して、性的自己決定能力の育成こそが青少年と性の問題の解決の道筋だという答申を出したわけです。
それからまた、何回も何回もいろいろな形でありましたけれども、最近では、第二十二期青少協の審議が、やはり淫行処罰規定導入の可否の諮問を受けています。これも、一九九六年の五月から翌年の三月まで、九カ月間かけて、計二十二回の委員会が開かれて、青年からの意見聴取なども行って、いろいろ中間答申に到達するということになっている。
このときは、淫行処罰規定はやはり青少年の性的自己決定能力をはぐくむ機会を失わせる危険があるということと、援助交際など売買春等は対価を伴う性交等で、買春処罰規定という条例提案をやれば、これは客観的に対価を伴うので処罰することができる、そういう提案をしました。
これは、さっきお話がありましたように、後に法律になった。そして、性的自己決定能力の育成については、処罰規定を廃止できる社会づくりを目指そうじゃないかと提唱していますね。これが第二十二期青少年問題協議会の到達でした。
今回、それを、熱心にやられたのだと思いますけれどもわずか三カ月で、今まで何回もやってきた先人の努力が出してきた結論、足跡と理念、これをまさに否定するという形の結論になったわけです。これはやはり、これまでの到達、理念をないがしろにしているというふうに、私は思います。これは質問じゃありません。私はそういうふうに思います。
そこで、この緊急答申ですけれども、これはそういう結論を出すために、青少年の性行動に対する現状についていろいろ述べています。読んで思いますのは、特に女子の初交経験累積率というのが問題にされていて、平成五年から平成八年にかけて急増している。この間に援助交際あるいは児童買春等が問題になり、というふうに書かれているわけですね。
だからこそ、その翌年、平成九年、第二十二期青少協は、淫行処罰規定は導入すべきじゃないという結論とともに、買春処罰規定を条例化すべきだという提案をしたのですね。
だから、買春処罰規定を提案した青少協の結論の直前のところまで、平成五年から八年まで、この間いろいろ問題があったというふうにいっているわけで、五年から八年にかけての急増傾向が、平成九年以降からどう変化したのかということは書かれていないのですよ、この緊急答申にはね。本当は、今やるとしたら、平成九年以降の都の施策の検証ということがまず先決的に求められる、というふうに思うのです。
もしその後、増加の傾向が緩やかになったというのであれば、青少協の努力の結果として、買春規定の、後に法律になったものの実効性がそこに示されたということになるし、もしその後も増加傾向が続いているというのだったら、一体原因は何だろうという、行政として究明をするということが必要になるし、いずれにしても、平成九年以後のそういう傾向をまず解明することが求められるにもかかわらず、そのことが書いてないんですよ。
二十二期の青少協が淫行処罰の必要性を否定した以上、その後の行政の一貫性という観点からいっても、それ以降の立法するに至った事実の調査がなければならないと思いますけれども、それはいかがでしょうか。
○高島都民生活部長 条例の提案に至りました背景なり立法事実でございますけれども、今ご例示ございました初交の年齢の問題でございますけれども、これは平成五年から八年は先ほど申しました平成九年の改正の前提としまして、当時の社会経済情勢、いわゆる風俗関係でツーショットダイヤルですとか、ダイヤルQ2ですとか、そういうものを背景として、急激に増加しております。
実は、その後も統計的には増加しておりまして、ちょっとご紹介いたしますと、高三の女子が、昔からいいますと平成二年のときが初交の経験累積率が一七・一%でございますけれども、これが平成八年は三四%になっておりますが、平成十四年にかけまして、さらにこれが四五・六%ということになっております。
また、中学校三年の女子生徒で見てみましても、平成二年が三・四%でございますけれども、平成八年が七・二%となっておりまして、さらに平成十四年には九・一%と、増加傾向にございます。
これはどういう背景に基づいてこういうふうになっているかという分析でございますけれども、平成九年の改正のときには、先ほど申しました援助交際のはしりとなる風俗産業の拡張といいますか、ダイヤルQ2ですとかツーショットダイヤル、そういうものが性の問題に対する一つの大きな誘惑要因になったわけでございますけれども、その後はご案内のとおり、インターネットが爆発的に普及いたしまして、特に子どもさん方がそれぞれ自宅でパソコン一台持ってインターネットに接続できるという環境があります。
また特に、インターネットのサイトが膨大に膨れ上がりまして、いわゆる出会い系サイトですとか、そういう大人との出会いが可能となる機会が得られるようなインターネット上のサービスができてしまったということ。
それからもう一つ、やはりここ十年で大きく変わりましたのは、携帯電話の急増だと思います。自宅のパソコンですと、親御さんの目がございますので、そういうところに接続するにはおのずから制約がございますので、節度といいますか一つの制約があるのですが、携帯電話ですと外で、親御さんの見てないところでそういうサイトに接続できる。また、友達同士で学校でお互い携帯電話を見せ合いながら、友達同士で情報交換をして、そういう出会い系サイトなどのアドレスをお互いに教え合うとか、そういう状況が生まれてきたわけでございます。
そういう意味では、先ほどから木村委員からるる、過去の十七期、二十二期の答申がございますけれども、やはり十年たちまして社会経済情勢が大きく変化した、特に情報技術が大きく進展して、青少年がそういう危機に直面するといいますか、そういう危険にアクセスする機会がふえてしまったということが、やはり今回の条例改正の大きな背景となっているのだろうというふうに私ども考えておりますし、また、そういうことに対する問題意識として、今回、さまざまな規定を改正案としてご提出いたしているところでございます。
○木村委員 この緊急答申で、その立法事実に対する現状認識は、まさに今答弁があったようなことは一切省かれて書かれているというのが、一つは非常に奇異な話ですね。これが一つです。
それから、十代の人工妊娠中絶数が十二年前の一・四倍になったということも書いてあるのです。そういういろいろな例があるのですけれども、東京都と長野以外は既に淫行処罰規定が導入されているもとで、全国で一・四倍になった。全国比較数字ですから、淫行処罰規定を導入するという理由には、これはならないと思うのですね。今、淫行処罰規定を入れるということのための、立法事実の説明ですからね、答申も含めて。
ここでも、だから、平成九年以後の東京の数字が、妊娠の理由はさておいて、示されるべきものだというふうに思うのです。
それから、その次に東京都の十九歳以下の性感染症患者報告数というのは、ここ五年の東京都における数字に間違いはないのですけれども、これが威圧というよりは威迫といいますか、それから対価を求めるものでもない、大人と未成年者との性交によって増加したという説明は、やはりないのですよね。だから、未成年者同士でも恋愛して、それが主な原因で性感染症患者が増加しているということもあるわけですから。
それから、性交の経験の低年齢化ということがいわれました。憂うべき事態だと思いますけれども、それにしても性交の低年齢化と性感染症がふえるということとは、これは教育の問題であって、刑罰法規の対象の問題というふうにはならないのじゃないかというふうに思うのだけれども、それはいかがですか。
○高島都民生活部長 先ほど、立法事実の背景となります社会経済情勢の変化についてはお話ししたとおりでございますが、そのことに対して、どう対応していくかということでございますけれども、これは私どもも、何も淫行禁止規定だけで現状に対応できるとは思っておりません。
したがいまして、今回の条例におきましても、親なり教育関係者の方から子どもに対して適切な指導をしていただけるような、大人社会としての、この問題に対して真っ正面から向かっていく基本的方向を条例で示したいということで、今、ご審議いただいております。
具体的には、先ほどもお答えしましたように、いわゆるこの性という問題の重要性にかんがみ、相手とのお互いの尊重ですとか、人格形成ですとか、健康に留意して、性行動等については慎重に対応してほしいというメッセージを、大人社会から子どもさんの方に発してほしいということを、今回の条例で設けさせていただいております。また、そういうことを具体化できるように、啓発普及を行いまして、大人社会が子どもに対してこの問題に積極的に働きかけていくことが、一つ、必要だろうと思うのです。
ただ、それとあわせまして、子どもがそういう性行動に走っている一つの大きな背景といたしまして、やはり大人社会が、先ほどいいましたようにインターネットですとか携帯電話という新しい現代的な情報技術を使って、出会い系サイトですとか、そういう子どもと接触できる機会ができましたので、これは多少ふらちな大人になりますが、そういう大人が子どもに対して暗に性交を働きかけるという事例も、各県で見受けられるところでございます。
既に先ほどご答弁しましたように、各県では、毎年、今、児童買春以外に千七百件ほど淫行禁止条例で実績を上げているところでございます。
そういう意味では、その背景となります犯罪抑止効果も、それ以上にはなるだろうというふうに推察いたします。そういう意味では、東京都におきましても、大人社会がこの問題についてきちんと子どもに指導する以上、大人社会の方も、やはりきちんと襟を正す必要があるだろうということで、今回、淫行禁止という形で、従前の児童買春法等では処罰対象にならないような問題事例につきまして処罰対象にし、大人側の行為についての抑制を求めるものでございます。
いずれにしましても、この性の問題につきましては、何か一つの手段で解決できるという問題ではなかろうと思います。大変難しい問題だろうと思います。そういう意味では、家庭、地域、行政関係者が一体となって、それぞれの立場において啓発であるとか規制であるとか、さまざまな手段を講じながら総合的に解決し、青少年の健全育成に向けた環境をつくっていく必要があるだろうというふうに考えております。
○木村委員 大人社会からの発信というのが刑罰ということなのか。私はもっと違う、今までの青少協の努力で教育的な発信というものを強めていく、そして子どもたちの性的自己決定能力を高めていくということが必要だというのがこれまでの立場だったと思います。
それで、問題は、条例に返りますけれども、さっきもちょっとありましたけれども「みだらな」というのがありますね。第十八条の六、「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない。」というのが刑罰の対象になるわけですが、この中身ですね。何が、どうすればみだらということなのかという説明というのがなかなか難しいだろう、答弁する人にかわっていうと。犯罪としての構成要件の明確性というのが欠けているんじゃないか。これははっきりしなければ、処罰する側の裁量でみだらだという、みだらかまじめかというのは無定限に拡大していくというおそれがありますね。けしからぬ大人もいるんでしょうけれども、まじめな意味で、まだ未成年の人と恋愛関係になったとか、そういう場合だってあると思うんですけれども、人を罰するのであれば、だれにとっても自分の行為が処罰の対象になるというふうに認識し得るような客観的な基準といいますか、そういうものがないと、危なくてしようがない。性行為一般をみだらというふうにいえない以上、みだらとは何か、みだらとはどうかというのは、あとは本当に処罰する側の主観の問題になってくるということになるわけですね。
そこで、全国で千七百件も検挙実績があるというようなお話がさっきから出ていますけれども、福岡県青少年保護育成条例違反被告事件というのがあって、昭和六十年十月二十三日の最高裁の判決が出ています。そのあれですが、もし淫行が広く青少年に対する性行為一般を指すとすれば、婚約中だったり真摯な交際をしている青少年との性行為なども社会通念上およそ処罰する対象として考えがたいものを含むことになっちまって、その解釈は広きに失することは明らかだと。なっちまってなんて、そんな砕けた表現じゃありませんけれども。要するに、いろんなものが取り込まれちゃうということで、その解釈の広さに失することは明らかだという判決が出ています。
淫行を目して単に反倫理的な、あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判は免れないというのが判決の中にありますね。みだらというのは、結局、最高裁のこの判決と同じ立場でしょうか。
○高島都民生活部長 ただいま最高裁判決、ご紹介ありましたが、委員が引用されたのは恐らく少数意見の部分ではなかろうかと思います。多数意見をご紹介しておきますと、結論的にいいますと、多数意見の方は、淫行につきまして、みだらな行為につきましては、構成要件の明確性という観点につきましては、これは明確である、憲法三十一条に規定する罪刑法定主義に抵触しないということで、その構成要件は適法なものであるということで、最高裁は認知しております。
具体的に判示しております内容をちょっとご紹介いたしますと、淫行につきましては、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう。」というふうに判示されております。
それから、ご懸念の、「婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等を含む解釈は広きに失する。」--含まれないということもはっきり判示しております。
それから、こういう考え方に沿いまして具体の地裁、高裁レベルでかなりの判例の積み重ねがございまして、そういう意味では、この概念自体は非常に明確になっているというように理解しております。
また、個々の判決におきましても、これも先ほどご答弁申し上げましたが、交際経過に照らしまして、このような個々の事情を客観的に判断し、判示されているというふうに理解いたしております。
○木村委員 いや、失礼しました。少数意見がついたということですか。
そういう心配がある、最高裁も、ということをいっているので、今いわれたような判決の説明を見ても、結局しかし、それは処罰するときについては、処罰する側の主観というのが入らざるを得ない。犯罪の構成要件としてはそういう危険性が及ぶというふうにいわざるを得ないと思うんです。
私は、淫行処罰規定というものを二十年にわたって東京都が導入しないできた、繰り返し繰り返し諮問を受けても、これはやはり弊害があるという立場を堅持してきたというのは、これは大人への、つまりこういう場合の処罰を受ける人が非常に犯罪の構成要件が不明確であって、いざ大きなそういう問題になれば、しかしなかなか反論というか反抗というか、しにくいという中で冤罪的な立場に追い込まれるという意味では非常に危険なものがある、大人にとって。
しかし、私はもう一つ、子どもにとってどうなのかということなんですよ、子どもというか未成年者にとって。私はこっちの方が深刻だと思うんです。いろんな判例が積み重ねられているということになりますと、いろんな裁判が行われているんでしょう。どんな裁判が行われているのか。みだらという要件を立証するために、性交に至る経過を聞かれると思うんです。根掘り葉掘り聞かれる。それを調べざるを得ない。そのこと自身は、どういういきさつがあってそういうことが起きたかということはあるにしても、つまり心身の未成熟に乗じた悪い大人が犯罪を仕掛けたということがあっても、その仕掛けられた方は、それで調べられて心に深い傷を負う。それが、その子どもの、未成年の性的な自立性を阻害するというだけじゃなくて、今例えば高校生だったとしたら、警察、学校相互連絡制度というのがあって、直ちに警察から学校へ連絡があったりするわけですね。その段階でもうその未成年の人のプライバシーは侵害されるという仕組みに今東京はなっています。
ですから、淫行処罰規定というのは、子どもを保護するもの、処罰対象は大人に限るというふうに説明はされていますけれども、構成要件は「何人も、」というふうに書かれていますね。ですから、未成年者は免責されているだけなんですね。大人と子どもの一つのみだらな性交ということについては、大人のみを処罰して子どもを免責にする。しかし子どもの行った性行為も違法に変わりはない、ただ免責するというものだと私は思うんです。子どもの行為は、だから、処罰ではないけれども違法性があって、それは結局非行だ、裁判になればやっぱりプライバシーは侵害される。子どもたちを被害者として見るという立場は徹底されていないのが、私はこの条例案だというふうに思うんです。子どもの性をめぐる環境を整備するという点でも、淫行処罰規定は私は弊害の方が大きいというふうに思います。この点はいかがでしょうか。
○高島都民生活部長 被害に遭いました青少年に対する配慮についてのお尋ねでございます。
まず一点、法制的な問題としまして、実はこれはもう現行条例にビルトインされております。実は、平成九年の改正当時も同じようなご懸念、ご指摘がございまして、それを受けまして、青少年健全育成条例の第三条の二に「青少年の人権等への配慮」という規定が盛り込まれました。それは、この条例の適用に当たりましては、「青少年の人権を尊重するとともに、青少年の身体的又は精神的な特性に配慮しなければならない。」ということが規定されております。この規定に基づきまして関係機関がそれぞれ適切に対応しているところでございます。
そういう意味では、平成九年からほぼ十年経過いたしておりますけれども、条例上の違反事案がかなりございますが、その事案、事案で、今ご指摘、ご懸念されたような、被害に遭われた青少年に対しての何か二次的なまた加害といいますか、そういうことが問題になったようなケースは、私ども聞いておりません。
また、具体的実務サイドのお話を申し上げておきますと、捜査機関としましては警視庁でございますけれども、警視庁ではご案内のとおり最近女性警察官を大量に増員いたしております。そういう意味では、現場の所轄では、こういう女性の、大人も含めてですが、性犯罪被害者に対しましては、専門の女性警察官が当たることになっております。また、その方々は、研修などを受けられて、非常にカウンセリングといいますか、そういう観点からの事情聴取などをなさっているというふうに聞いております。
また、警視庁の方におきましては、被害少年に対する継続的な支援ということで、事後的なフォローなども行っておりますし、また、少年センター、少年相談室が警視庁の方で都内何カ所かに設けられておりますが、ここにおいても、そういう被害者の方の心のケアということにも十分留意しております。
いずれにしましても、木村委員ご指摘の、捜査等に当たって被害者側の青少年にダメージを与えないような配慮、これは本当に最善の努力をしていくべきものであろうというふうに思っておりますので、この青少年健全育成条例第三条の二の趣旨を踏まえまして、今後とも関係機関と連携しながら適切に対応してまいりたい、かように考えております。
○木村委員 私は、そういう配慮は最大限に、しかも厳重にやられるということは当然のことだと思います。思いますけれども、さっきちょっといいましたけれども、学校、警察連絡制度などというものがその後新しく生まれて、そういった情報が--仮にこの条例上でいえば非行に当たるというふうになれば連絡が行くというようなことが、その後の新しい制度上として生まれているわけですから、そういう意味で、本当にこの条例が発動されて、福岡県では年間二百件というような数字がこの答申に出ていますけれども、全国で千七百、もしその例でやれば東京の場合は恐らく数はもっと多くなると思いますけれども、非常に慎重に人権を配慮する、それで条例が運用されなければならないというふうに思いますが、私は、そういう意味で、今回、淫行処罰規定を無理やり三カ月でここに盛り込んで、東京都が青少年行政の方針を転換するというのは認めがたい。性的な自己決定能力を高めていく、みずから高めていくというのは憲法で定められた子どもたちの人権でもあるんだし、そういう立場でやっていくべきだということを申し上げて、私の質問は終わります。
○池田委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後三時九分休憩
午後三時二十五分開議
○池田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山口委員 では、条例改正が続きましたので、ちょっと気分を変えまして、先に私はドメスチックバイオレンスの施策について少しお聞きをしたいと思います。
東京都では、DV防止法に基づいて配偶者暴力相談支援センターや警視庁総合相談センター、警察で被害相談を受け、女性相談センターや民間シェルターなどで一時保護を行っています。
相談件数は、配偶者暴力相談支援センターが二〇〇二年度で七千三百件、二〇〇三年度で九千二百件の相談を受けたと聞いています。一時保護の件数が、二〇〇二年度に女性相談センターがかかわった利用者数だけで五百件近いということです。
また、警視庁が二〇〇二年度では九百四件の相談を受けています。全国的にも、昨年一年間に警察が受理した相談件数は一万四千件に上り、二〇〇一年のDV法施行後最も多かったと報道されています。DV防止法が施行されたことで、今まで閉ざされていた暴力の状況を顕在化させ、社会的な認識が高まり、DVは家庭の問題ではなく、人権を侵害する犯罪であることが社会的に認知されてきたということでもあるかと思います。
しかし、昨今、DV防止法の改正が行われましたが、加害者に対する罰則を規定するまでに至らず、被害者は多大な被害を受けながらもみずから避難し、保護を受け、厳しい自立の道を模索しなければならないという、いまだに理不尽な状況にあります。
相談やシェルターでの保護、被害者の付き添いから住宅や仕事探しまでの自立支援を、NPOや民間支援団体が、厳しい財政状況の中で被害者を励まし、自立へのサポートを行っているのが実態です。
そこで、改正DV法の施行によって、相談や一時保護から自立までの一貫した被害者支援の実効ある取り組みと支援体制が都に求められますが、具体的にどのように進めていくのか、初めにお伺いします。
○江津参事 被害者の支援には、相談から自立支援までさまざまな関係機関による総合的な取り組みが必要と考えております。
今回の配偶者暴力防止法の改正により、都道府県においては、配偶者暴力に関する施策を総合的に推進するための基本計画の策定が義務づけられたところでございます。
今後、都が策定する基本計画において、被害者支援に関する施策の体系化と関係機関の役割の明確化を図り、関係局や区市町村などと連携のもとに取り組みを進めてまいります。
○山口委員 今、基本計画の策定が義務づけられたということですけれども、では、その基本計画策定の意義と策定までのスケジュールについて伺います。
○江津参事 今回の法改正により都道府県が策定することとなった基本計画は、配偶者暴力に関する広範多岐にわたる施策を体系化し、関係機関相互の連携により被害者支援を総合的に推進していくことを目的とするものである、こう認識をしております。
基本計画は、昨年十二月に国が示した基本方針に即して策定することとされており、都としては、平成十七年度内の策定に向け、現在その準備を進めているところでございます。
○山口委員 DV防止及び保護に関する基本計画策定に当たっては、ニーズに当たった実効性の高い計画づくりが求められます。シェルターやステップハウスの運営などの被害者自立支援を行う団体や、サバイバー、被害当事者だった人たちが、自立までのニーズにきめ細かく対応し、実際に被害者をサポートしている実情からも、計画策定に参画してもらうことが極めて有効と思われますが、お考えを伺います。
○江津参事 基本計画の策定に当たりましては、庁内関係局や区市町村はもとより、今お話がございましたさまざまな立場で被害者支援にかかわる民間団体の協力が必要不可欠であると考えております。
このため、基本計画のための関係機関による協議の場に民間団体の参加を求めるなど、広く連携と協力の確保に努めてまいります。
○山口委員 ぜひ当事者参加ということは実現していただきたいと思います。
次に、昨年十二月に内閣府、公安委員会、法務省、厚労省が示した配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針では、「被害者の保護に関する事項」の中で、相談などの際に、被害者の態度をいさめるような物いいや、加害者を擁護するような発言等でさらに被害者がダメージをこうむるいわゆる二次的被害への留意が述べられています。
二次的被害については、被害当事者からの訴えも極めて多いことが栃木県の調査でも明らかになっています。二次的被害への認識や今後の取り組みについて伺います。
○江津参事 被害者は、配偶者からの暴力によって心身ともに傷ついた状況にあり、相談機関や関係機関の職員の不適切な対応によってさらなる被害、いわゆる二次的被害が生ずることのないように十分配慮することが必要であると考えております。
このため、都はこれまでも、区市町村も含めた相談員や職務関係者への研修を実施し、被害者の置かれた立場を十分に理解した上で適切な対応が行われるように努めてまいりました。
今後さらに、区市町村や関係機関とも連携を図り、研修等の内容や実施方法を工夫し、広く支援にかかわる職員の資質向上と人材の育成に取り組んでまいります。
○山口委員 まず相談者の質を高めるということで、研修などの中でも十分に取り組んでいただきたいと思います。
次に、単身被害者の住宅確保として、公営住宅入居策や就労支援などに見る各局の連携が計画策定、推進においては重要だと思います。あらゆる部署で実効ある検討や取り組みが行われることが期待されますが、全庁的な推進体制についてのお考えを伺います。
○江津参事 配偶者暴力の被害者の支援に当たっては、警視庁や福祉保健局を初め、都市整備局や産業労働局など関係各局との連携が重要でございます。
このため、これまでも関係局、機関等で構成する家庭等における暴力問題対策連絡会議の開催等により、相互に情報の共有化を図り、ネットワークづくりに努めてきたところでございます。
今後さらに、基本計画の策定等を通じて庁内各局との一層の連携を図り、被害者支援に係る施策の効果的な推進に取り組んでまいります。
○山口委員 東京都における庁内体制の徹底はもちろん、区市町村業務における改正DV法の内容の徹底が図られる必要があると思います。区市町村で被害者が円滑に支援を受けられるような機能アップや広域連携を含め東京都が支援を行う必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○江津参事 今回の配偶者暴力防止法の改正により、区市町村においても配偶者暴力相談支援センターの業務の実施が可能となったほか、福祉事務所による自立支援の規定が設けられるなど、身近な地域における被害者支援の重要性が改めて位置づけられ、区市町村の役割が明確にされたところでございます。
東京都においては、これまでも区市町村の課長会や担当職員の連絡会等において、配偶者暴力防止法の改正等に関する研修会を開催するなど、情報の提供に努めてまいりました。
今後も、さまざまな機会をとらえ、研修や情報提供を行い、区市町村への支援に努めるとともに、被害者支援のための基本プログラムの策定等により、区市町村と連携した支援体制の整備に取り組んでまいります。
○山口委員 DV防止については被害者の保護が緊急の課題ではありますが、その後の自立した生活を送れるまでの一貫したサポートが重要であることはいうまでもありません。サポートについては、活動が信頼されている民間団体とともに進めることが有効ですが、民間団体等への財政的支援が余りにも少なく、苦しいやりくりの中で被害者へのサポートが行われており、活動の継続に危惧が抱かれるような状況です。
このような団体の貢献なくして被害者への支援はていをなさないのが実情ではないでしょうか。基本づくりでは、民間団体、そして各局、都区の連携について丁寧な検討が行われるプロセスを大事にしていただきたいと思います。
そして、DV防止については、デートDVに関する教育を含め、被害の連鎖を断つため、若い人たちへの啓発が重要です。また、加害者への更生プログラムを、国は東京都と千葉県をモデルに模索したと聞きますが、今後は加害者への対策も大きな課題であることはいうまでもありません。東京都の基本計画づくりには多くの期待が寄せられ、注目を集めています。民間団体や当事者などの参画により、実効性の高い、意義の深まる策定を望んでおきたいと思います。
では次に、先ほどから出ております青少年健全育成条例の一部改正について、少しダブるところもあるかと思いますので、割愛しながら質問をさせていただきます。
今回の条例改正事項では、インターネットや携帯電話から流れる有害情報への対応と、青少年の性に関する問題への対応、さらに青少年に対する保護者の養育のあり方についてまで及んでいます。青少年を取り巻く環境の悪化を、ともすると子ども自身が非常に悪くなったとか、とんでもない子どもがふえたなどという声が聞こえることもあります。
そこで、初めに確認をさせていただきますが、本条例においてこれらの問題はあくまで大人の責任問題として考えられているものと受けとめていいのでしょうか。
○高島都民生活部長 青少年健全育成条例は、すべての大人の責任において、青少年の環境の整備を助長し、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、もって青少年の健全な育成を図ることを目的といたしております。
今回の条例改正におきましても、青少年がインターネットや性の問題が生み出す危機に直面している中で、青少年がこの危機を乗り越える力を身につけることができるように、大人社会が青少年に向き合うための基本的な考え方を示すものでございます。
○山口委員 確認なんですが、第十八条の五、「情報の提供を行うことを業とする者」とは具体的にどのようなものを指すのか、伺います。
○高島都民生活部長 十八条の五についてのお尋ねでございます。広く青少年向けに情報提供している事業者でございまして、具体的には、出版、放送などのメディアを指しております。
○山口委員 では、同じ条文にあります「青少年の性に関する健全な成長を阻害するおそれがある情報」とはどのような情報を指すのか、これも具体的にお聞かせください。
○高島都民生活部長 「青少年の性に関する健全な成長を阻害するおそれがある情報」といいますのは、例えば大人向け雑誌と同様の写真もしくは性に関する体験記などなど、青少年の安易な性行動を助長するおそれがある情報を指しております。
○山口委員 インターネットの有害情報への対応として、フィルタリングソフト使用について、業者はサービス内容を知らせ、利用を勧めること、保護者にも利用することやインターネットを適正利用させることなどが努力義務として盛り込まれています。
しかし、保護者の約七〇%がこのフィルタリングソフトは知らないという状況が今回の問題協議会でも示されていますし、家庭では、パソコンが子どもにほとんど丸投げされているのが実情です。インターネットに精通している子どもがこうしたソフトを解除することも不可能ではないはずです。条例でどこまで守れるのか、私は大変疑問に思っています。
このフィルタリングソフトについて、当然、保護者への啓発やセミナーなどが必要ですし、次年度の重点事業にもなっている新規事業のインターネット利用環境の整備について、これは先ほどお答えが既に出ておりますが、もう一回確認の意味で、この整備について具体的にどのように取り組まれるのか、それからまた青少年へのメディアリテラシーについてもこの事業の中で進められていくものだと思いますけれども、それもどのように進めるのか、あわせて伺います。
○高島都民生活部長 インターネットの利用環境の整備につきまして、来年度におきましては、青少年のインターネットの適正な利用の仕方を示した保護者向け啓発用ガイドブックを作成いたしまして、家庭における取り組みを促したいと思っております。
それからさらに、NPO、事業者等の協力を得ながら、学校とも連携し、小学生の保護者、教員、児童に対し啓発セミナーを実施する予定でございます。
このような取り組みによりまして、早い時期からインターネットの適正な利用ができる環境をつくってまいりたいと考えております。
○山口委員 有害情報というのは非常に啓発なんかの中ではターゲットになっているかと思うんですけれども、ルールとかマナーの中に、タレントの写真をパソコンの中から入手して、昔、私たちの世代でいうとブロマイドなんといって買ったものなんですけれども、そういった形で取り込んでみたり、それから新しい音楽なんかもCDなんかを買わずにパソコンの中から入手する方法が今はあるということで、そのことを子どもたちも、それからともすると大人も、大した罪の意識もなくやりますけれども、例えば肖像権であるとか著作権であるとか、そういった侵害で万が一訴えられ、これに当然抵触するということで罰せられるとなれば多額な金額が伴うので、ぜひこういったことも含めて進めていただきたいと思いますが、その辺の見解については、まだそこまで話が進んでいないのでしょうか。
○高島都民生活部長 ただいまお話がございました著作権の問題等々につきましては、先ほども申しました啓発用ガイドブックそれからセミナーにおきまして、マナー、ルール、こういうものを徹底する中で、今ご指摘の点も含めて幅広くインターネットの適正な利用の使い方について啓発、普及していきたい、かように考えております。
○山口委員 ただ、根本的な解決は、どのような情報に接しても惑わされることのない判断力を持つことが一番重要なのではないかと思っています。条例第十八条の四にある、青少年の性に関する判断能力の育成を図るための施策推進こそが、私は東京都の役割ではないかと思っています。
次に、青少年の性に対するかかわり方に関してですけれども、これまでも、先ほど来ありました一九八八年、一九九七年の問題協議会で議論を深め、淫行処罰は否定的な態度をとってこられました。今回の協議会の緊急提言の中にも、青少年の自由な意思決定の尊重、それから既に児童福祉法、児童買春法などで十分な法規制がされていて、必然性、合理性が認められない、これらの法と二重の規制となって罰則に差が出てバランスを欠くのではないかということで条例に定めるべきではないという意見や、もう少し今後も継続して協議した上で結論を出すべきだというような慎重論も報告されています。
淫行処罰に当たらないとする恋愛関係については、大変あいまいであり、犯罪の成否は個人の主観的要素に依存する度合いが強く、恣意的な判断がなされることも懸念されます。
私も、ここで、この児童福祉法や児童買春法で罰することのできない淫行とは具体的にどのような行為を想定しているのかということをお伺いしますが、これは既にもうご答弁がありましたので、省かせていただきます。
判例も示されましたけれども、考え方によれば、現行の法律でかなり網をかけられる部分があるのではないかと思うんですね。例えば、タレントにするとかモデルにするからということを条件にということも、それも一つの対価とまではいかないかもしれないけれども、やはり何かしらのことを条件づけてそういった性交渉に及んだということでは、法律というのは私は専門家ではないのでわかりませんけれども、それはある意味の規定、今の法律で何とかなるのではないかなというふうな気もしています。
そもそものきっかけとなる青少年の性感染症や妊娠中絶に対して、今回の条例改正で効果を上げるとは考えにくいものがあります。また、大人を処罰する規定とはいえ、かかわってしまった子どもが偏見を持たれやすいことや、事情聴取などの場で心に傷を負うことなども考慮しなければなりません。青少年の性の乱れを正すことと罰則規定を設けることが直結するとはとても考えにくいものがあります。子どもへのアフターケアについては、当然十分な対応が求められます。
さらに、今回、ネグレクトを含む虐待問題や非行問題への対応として、保護者の養育のあり方にまで及んでいますが、保護者に責務と自覚を促しただけでこういった問題が解決につながるとは到底思えません。
子育てについては、孤立した子育てを回避するための周産期から、助産師さんや保健師さんなど子育てをフォローする仕組みを整備するべきと考えます。家庭教育などについて法律により公的な権力が介入することは極力避けるべきではないかというふうに考えております。
では次に、指定管理者制度導入に向けましての条例の一部改正について何点か伺います。
今回の法の改正で、公の施設に指定管理者制度が導入されます。公共の施設の管理運営が民間企業のみではなくNPOもできるようになるということで、市民事業の新たなチャンスとしてとらえることもでき、反対をするものではありません。
しかし、文化施設は公共性が高く、採算ベースには乗りにくい施設で、指定管理者は、コストの削減効果だけではなく、文化芸術活動のリーダーとしての役割を担い、市民の財産のよりよい管理者としての事業者を選ぶ必要があります。民間が参入することで質の高い文化事業が行われる施設として都民に評価を得られるように制度を運用しなければならないと思います。
そうした点から幾つか伺いますが、文化施設の指定管理者の選定に当たっては条例に基準が示されていますが、業者の選定に当たっては、詳細な選定基準が策定されることになると思います。選定の透明性を確保するために、こういった選定基準を都民にとっても公開するべきと考えますが、いかがでしょうか。
○萩原参事 選定基準についてでございますが、改正条例案や規則で規定をいたしておりますけれども、お話がございましたとおり、さらに具体的な選定基準につきましては、公募要項に定めることにより、広くこれを公表してまいります。
○山口委員 指定管理者による管理運営について、管理状況を定期的にチェックし、評価できるようなシステムが求められると思います。事業報告や都の指導監督はどのようになっているのか、伺います。
○萩原参事 指定管理者には定期的に事業報告書を提出させることとしております。また、日常的に業務や経理の状況について報告を求め、必要があれば実地に調査をし、適切な指示を行うなど、指定管理者への指導監督を適切に行ってまいります。
○山口委員 利用団体にとっても、また鑑賞する側にとっても、利用しやすく、存在意義のある施設に変えられる契機となってほしいと思っています。
ところで、東京都美術館については、老朽化が激しく、来年度、改修調査費用が予算計上されています。近い将来、大規模改修が必要と聞いていますけれども、このような大規模改修は指定管理者制度が導入されたとしても都の役割と考えますが、見解を伺います。
○萩原参事 東京都美術館は、ただいまお話しのとおり、建築後三十年近くが経過し、設備等が非常に老朽化しており、大規模改修には多額の経費がかかることが想定されております。このため、大規模改修を指定管理者の業務の範囲に含めることは難しいものと考えております。
○山口委員 ぜひ、その点は、都の責任でしっかりやっていただきたいと思います。
最後になります。東京都美術館は多くの公募団体が利用し、大規模な公募展が開催できる特徴を持つ美術館です。改修が予定され、かつ指定管理者制度の導入が重なることで公募展の開催に影響が出ることはないかなど、危惧する声が公募団体から上がっていますが、サービスの低下を引き起こすことがあってはならないと思います。
ところで、改修に当たって、公募団体への適切な情報提供やニーズのくみ上げなど、丁寧な対応が求められると思いますが、その点についてもお伺いいたします。
○萩原参事 大規模改修の具体的な内容や時期は未定でございますが、実施の際には、東京都美術館の指定管理者とも十分に連携し、公募団体のニーズを把握するとともに、適宜、情報提供を行うなど、適切に対応してまいります。
○山口委員 何年も前から準備の必要な大型企画や新進芸術家の登竜門ともなるような公募企画は、ぜひ次の指定管理者にも引き継いでいただきたいと思います。
それから、先ほど木村委員の方からも大分、東京都の文化行政のポリシーはというようなご意見も出ておりましたけれども、それぞれの施設の設置目的は条例にしっかり盛り込まれていますけれども、東京都の文化行政に対するビジョンというものを、この際、示すことを要望して、私の質問を終わります。
○福士委員 それでは私も、大分ダブりましたので、ざっと落としつつ、そしてまた事務的に伺ってまいります。
まず、指定管理者の制度の導入についてですが、選定過程の透明性についてはたくさんご質問がありましたのでこれも落とします。
それから、指定管理者制度は請負契約に当たりませんので、地方自治法上の兼業禁止規定も適用されません。しかし、昨日、各局でそれぞれおやりになるということだったものですから、伺いましたところ、兼業禁止に準じた取り扱いを決めるということでしたので、生活文化局さんの方がもっと本質的にいえばそういうことにはきちんとおやりになるかなと思いますので、それはちょっと確認だけさせていただいて、次の質問に移ります。
この指定管理者における競争原理ですけども、どう働くのかなというふうなのが心配なんですね。期間中のサービスの質の維持向上というんですか、そういうことについてもどういうふうにチェックされていくのか、その辺はいかがでしょうか。
○萩原参事 利用者サービスの向上については、改正条例で指定管理者の選定基準や管理の基準として定めております。また、指定管理者に定期的に事業報告を提出させるとともに、日常的な連絡調整を頻繁に行い、指導監督を的確に行うことを通じて適切なサービスの提供を確保してまいります。
それからまた、先生からお尋ねのございました兼業禁止規定の問題でございますが、これにつきましては、自治法の兼業禁止規定に準じた取り扱いを生活文化局でも行ってまいります。
具体的には、公募要項の応募資格に明記し、適正に審査をしてまいります。
○福士委員 続いて、指定期間ですが、五年間を原則というふうにおっしゃってはいますが、今後どのようになっていくんでしょうか。
○萩原参事 指定期間でございますが、原則は五年ということでございますが、施設の目的及び性格を勘案し、都民サービスの安定及び向上が図られるとともに、経費の削減効果が最も見込まれる期間を設定するということとしております。
さきにご答弁申し上げましたとおり、東京都の文化施策を語る会において文化施策のあり方についてもご論議をいただきますので、それを踏まえて適切な期間を検討してまいりたいと考えております。
○福士委員 その場合、例えば美術と音楽とかというふうに違ったりするんですか。それとも、生活文化局で扱うものについては大体このくらいねというふうに期間として考えてよろしいんですか。
○萩原参事 ただいまお尋ねのございました美術館、博物館、音楽ホール、それぞれを同じ期間とするのか、それとも別々の期間とするのかということを含めまして、東京都の文化施策を語る会においてご論議をいただきますので、それを踏まえて適切な期間を検討してまいりたいと考えております。
○福士委員 先ほど来、語る会というのが出てきていますが、語る会はどういう形になるのかというのがまず引っかかるんですね。それからあと、選定委員会もそうなんですけれども、どれだけ公正なメンバーが選ばれるのかというのももう一つ問題としてありますね。今、多分お答えいただけませんよね。ちょっと確認します。
○萩原参事 選定委員会の構成についてでございますが、文化行政の量だけではない、質を選定でき、かつ適格な、ふさわしい事業者を評価できる、そういう有識者の構成を含めまして、今後、真剣に検討してまいります。
○福士委員 まあ、そういうことだろうとは思うんですけれども、例えば東京都が鳴り物入りで開催した東京のオペラの森なんですけれども、私の友達が十六日に行って、三分の二が空席だったといっていました。三分の二が入っているんじゃないんですよ、三分の二が空席だと。私の友人はオペラが好きなので割としょっちゅう行っているんです。小澤征爾を呼べばいいよねというような安易な考え方でこれをおやりになったんじゃないかなという気がしないでもないですし、それから、これが始まるときには、今までの企画をキャンセルさせて突然知事名で動き出したというふうに私は聞いたような気がします。そのために三善館長もおやめになったはずですね、新聞報道によればですが。
こういうような企画が都民のサービスにつながるというふうなお考えにはなるべくなってほしくないなというふうに思うんですね。小澤征爾は聞きたいですねというのは、私でさえも時間があれば行ったかもしれないというのはあるんですが、文化に権力がくみするようなことのないように、これはぜひぜひお願いしておきたいなというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○山本文化振興部長 きのうの入場者数についてはちょっと私も存じ上げませんけれども、ある話によると九割方入っていたという話もありますので、後で確認をいたします。
それで、オペラの森につきましては、東京から文化を発信するということで、東京でつくったオペラをヨーロッパも巡回させよう、そういう発想がございまして、東京都の財政負担は基本的にはなしにそういったものをやっていくということで始めたものでございます。
私、初日、お手伝いで現場へ行きましたけれども、拍手が十分以上続いて非常に盛り上がったなというふうな感じを持っておりました。ぜひ今後ともご支援をよろしくお願い申し上げます。
○福士委員 私は、多分珍しければ行きたいですが、しかしお金も高いですね。Sが三万六千円でしたね。それで、私の友達はC席で行ったというのですが、それでも二万三千円ですから、ちょっとだれでも行けるというような感じじゃないと思うんですね。文化というのは幾らならいいよという値段はないですが、きのうも出ていましたけれども、イギリスだったら博物館はただみたいなのがあったりとか、国でお金を出したり行政側がお金をきちんと出すことによって市民の人たちがきちんとそういう文化的なものに触れられる、本物に触れられるというのはすごく重要なことだと思いますし、大事なことですが、ちょっと無理して--いつでも気楽に行けるのは行けるのでうれしいですが、そうじゃなくても小澤征爾さんぐらいになるとちょっと無理するのはしようがないかなと私も思います。しかし、ちょっと無理ぐらいじゃない金額かなという気もしないでもありませんので、金額も含めて、ぜひその辺のところは考えていただきたいと思います。
それから、今回の東京都の交響楽団なんかも雇用の形式の改定が提起されたときには、知事周辺の民間の方から、東京にはオーケストラが多過ぎるという話が発端だったというような、これはうわさかもしれませんが、そういうようなことも聞こえてまいりました。こういう恣意的な形でサービスをチェックされると、いいものもマイナス点につけることも可能ですね、幾らだったら何点だということはいえないわけですから。そして、あるいは逆に減点されるか、あるいはプラス点をつけるか。
こういう文化的なものに関するサービスというのは、人の入りだけでも多分チェックできないと思うんですよ。人は入らなかったけれども中身はすごくよかったというものもあるはずですから、そういうたぐいのものこそ行政が今までだったらちゃんと補助金を出すなりなんなりするということで、みんなに地味な、けれども心に触れるようなものをつくっていく。でも、それらは余りPRで書き立てないので広がっていかないということはあったかなという気がします。
逆にいうと、英国博展のときなんかは、新聞がどんどんどんどん書いたために、私行ったときなんか見たくたって見れないぐらいでした。何時間も並んで待って、それでもまだ見れなくて、私なんか母と行ったものだから、あ、おばあちゃんいるからかわいそうねなんという感じで前に母を出してくださる方がいて、一緒にくっついていってやっと小さいものでしたから見られたというものもありますし。あれだけ人が入ったから、だからよかったのかなと思うと、私、英国博の本物も見ましたけれども、いまいちかなという感じもありました。いいものもあるし悪いものもあるし、どうしてもばらつきが出てくるわけですし、それから好きとか嫌いとかというものはありますから、人が入ればいいというふうには私も思いませんので。
とりあえず、でも、ヨーロッパなんか見ていますと、幼稚園か小学校一年生ぐらいの子がちゃんと本物の美術館に行って、先生が十人ぐらい連れてきて見せて回ったりとかというのもやっていますし、そういう教育も含めて、文化をきちんと、生でさわれるというか出会えるということが多分文化を高めていくことになるんだろうと思いますので、サービスのチェックについてもそういうことも含めながら、大きく大きくとらえながら、ぜひやっていただきたいというふうに思います。
次に移ります。
過去の青少年問題協議会については、今までも、先ほど木村委員の方からもちょっと出ていましたけれども、青少年問題協議会で、今回の青少年健全育成条例で改正するみだらな性交等の規制については否定的な意見が多かったというお話でした。それで導入は見送られてきたわけですが、先ほど来、性的自己決定能力を否定するようなことになるので処罰すること自体が問題であるという話もありましたけれども、それ以外にもどのような意見があったのか、もう一度確認の意味も含めて伺っておきます。
○高島都民生活部長 過去の青少年問題協議会の答申につきましては、一つ目は、一点、ご指摘ございましたように、性的行為がどういうものであるかを理解した上での行為に対し刑罰を与えることは青少年の性的自己決定能力を否定することになるから、処罰すること自体が問題であることという点が指摘されています。そのほかに、二つ目として、淫行処罰規定を適用する際に、被害者である青少年に心理面で悪影響が懸念されること、それから三つ目としまして、淫行の概念は犯罪の構成要件として不明確であることなどなどの意見が出され、導入が見送られた経緯がございます。
○福士委員 今お話がありましたし、それから先ほど来委員の方からもさまざまなご意見が出ている中で、やはりみだらな性交等の規制範囲というのはどこまでやったらやれるのかというのがよくわからない部分もありますので、やっぱりこういうものは慎重に考えていくべきだというふうに思うんですね。
もう一ついえば、今回は保護者への努力義務というのが課されているわけですけれども、青少年の性に関して、昨日、教育の中でも申し上げたんですけれども、子どもに慎重な行動を促すという努力を求めたとしても、保護者の方では人生経験も家庭環境も一人一人違うわけですし、考え方も違うわけですね。条例ができたから、はい、そうですかというものではないというふうに思うんです。この条例ができて、もしかしていいことあるかなということで考えましたら、各局に協力は求めやすくなるかなということはあるかとは想定いたしますけれども、それは行政の中の話であって、保護者に努力義務を促すために、じゃ、どうするのといったときに、先ほど来、普及用のパンフレットの作成というのがありましたけれども、それはこういうことに関心のない親は多分読まないと思いますね。保護者がそれでうまく教育できるようになるかなというのがとても疑問なんですが、保護者の努力義務を促すために、東京都としてはこのパンフ以外にどのような対応を行われるのか、伺います。
○高島都民生活部長 子どもの育成におきましては、家庭が最も重要な役割を果たしていると思います。今ご指摘ございました条例の実効性、これを上げるために幾つか取り組みをしなければいけないと思っています。一つ目は、既にご指摘いただきました普及啓発用パンフレットを作成しまして、これを幅広く配布したいと思っています。
そのほか、さまざまな広報媒体を持っておりますので、これを通じまして保護者に対し、今回の条例の趣旨を伝えていきたいと思っております。
それから、これは青少年問題協議会の答申内容にもございますが、その内容を踏まえまして、心の東京革命事業である子育て講座で、保護者に対し発達段階に応じた子どもに対する指導のあり方について取り上げ、啓発に努めてまいりたいというふうに考えております。
○福士委員 それだけで、集まる保護者の数のことを考えたら、東京の大きな、大人の中で何人がそれに対応できるんでしょうかね。どのくらい想定していらっしゃいますか。
○高島都民生活部長 現時点におきまして、この広報計画はまだ検討中でございますので、具体的な訴求対象人数等は確定いたしておりませんが、できるだけ機会を得まして、条例ができて一度だけということでなく、何度も繰り返し、またいろいろな場面が、行政と保護者のかかわりがございますので、さまざまな場面を通じてこの条例の内容についてお伝えし、理解を得られるよう努めてまいりたい、かように考えております。
○福士委員 多分、やってもそういうところに来る大人の方というのは、ある程度関心があるか、少なくとも引っかかることのできる大人で、現実に教育をしなければいけない、一番必要な保護者が来てくださるかなというのがちょっと心配なんですけれども。
それよりも何よりも、性に関しては、先ほど来も申し上げましたように条例で縛って何とかなるというようなたぐいのものでもないと、私も思いますし、それから、性的自己決定能力の育成とか性感染症など、社会的な実態の認識も含めた教育こそが重要なんじゃないかなと思うんですよ。
教育庁にも申し上げましたけれども、性に関する児童生徒への教育というのが、きちんとやっていけば、それこそ子どもたち全体が大人になるまでにずっとずっとやられるわけですから、今すぐには確かに間に合いませんけれども、その子たちが大人になるころにはきちんとした社会に--まあどこまで、きちんとしたといういい方がいいのかどうかわかりませんが、ある程度の理解ある、それから自己決定権とか自己愛、自分の体をきちんと愛するということも含めた大人に育っていくのかなと思いますので、そっちの方が重要な気がするんですが、性に関する児童生徒への教育については、教育庁と、だから連携して取り組んでいただきたいと思うし、それからその方が処罰よりはるかに重要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○高島都民生活部長 青少年の性に対するかかわり方につきましては、今申し上げました家庭も大事でございますけれども、学校において生徒に対し啓発教育を行うことも重要なことであろうと認識しております。
教育庁においても、現在、今回の改正条例の趣旨を踏まえた学校現場での教育、こういうことについて具体的なご検討を進めていただいております。
今後とも、教育庁と連携を図りながら条例の実効性を確保してまいりたい、かように考えております。
○福士委員 ぜひそこをしっかりやっていただきたいんですね。今回の条例は、教育を充実させる以前に処罰先行という感じがするんですけれども、きのうもちょっと申し上げたので、厚生省のアンケートについて詳しくは申し上げませんけれども、三月八日の報道に出ておりましたけれども、セックスについての知識は十五歳までに教えるべきだというふうに多くの方が考えているようです。エイズの対策については七二%弱の方が十五歳までにというふうに答えているような、もう社会実態があるわけですね。
しかし、教育庁で新たに出された「性教育の手引」、最近出されたものですが、それを拝見しますと、高校生期にやっとさまざまなリスクを背負わせないような予防的な教育を行う必要があるというふうに書かれていて、それ以前に性教育をすることについては、不適切な指導の実例としてさまざまなことが挙げられています。
確かに、問題のある部分もあるのかなという気がしないでもない部分もありますけれども、不適切な事例は、それについて行き過ぎなのか、あるいはどういうふうにしたらいいんだというようなことが余り議論されていないみたいなんですね。
まず指導要領に沿っていないことが優先課題になっていて、小中学生への教育に対しての感情的否定観みたいなのが先行しているように思えます。教育庁と連携をとりながらというふうにおっしゃったその部分ですけれども、そういうお答えをいただいても、あと、教育庁の部分に関しては教育庁にお任せねということになりますと、今までと余り変わらないようなことになるんじゃないのかなというふうに心配するんですよ。
厚生省のアンケートにあるような現実的な実態も踏まえて、医療機関との連携もとりながら、むしろ性の自己決定権や自尊感情を育てることを優先にした教育というものに向けていただくようにぜひぜひ生活文化局の方からも教育庁にお願いをしていただきたいというふうに思いますし、子どもの人生に役立つ方向でぜひ考えていただきたいと思いますが、その辺だけお考えを伺って、終わりにいたします。
○高島都民生活部長 性の問題につきましては、これは避けて通れない問題、大事な問題でございますし、子どもが単に性ということのみならず、子どもの人格形成を図っていく中でまことに大きな位置を占めると思います。そういう観点からも、先ほど申しましたけれども、学校のみならず地域、家庭、学校、それぞれの場面においてそれぞれの関係者が適切にそれぞれ子どもに対して大人社会として働きかけていただいて、子どもに対する性の判断能力の育成、モラルの向上等々をやっていく必要があるだろうと思います。
そういう意味では、都の組織といたしましても、私ども生文局も含めてでございますけれども、教育庁、福祉保健局、関係各局と連携をとりながら、また今後、区市町村との連携もございますが、そういう関係行政機関の連携を図りながら施策の総合的展開に努め、先ほど申しました性の低年齢化に伴うさまざまな諸問題、そういうことが少しでも改善できるように努力を傾注してまいりたい、かように考えております。
○山本委員 先ほどからいろいろ伺って何が何だかわからなくなってきましたので、少しお伺いをいたします。
先日いろいろテレビや新聞なんかで、ついこの間もそうでありますが、子どもが、小さい子どもが母親によって、あるいは母親と同居している男に虐待されてついには死に至らしめるという、こんな痛ましい事件が何度か起きております。本当に私たちはやりきれないというような思いをいたしますね。何かのさがといっては変ですが、大変身の詰まるような思いをいたします。
そうすると、事件が起こってから、やれ児童相談所のやり方が悪かったとかどうだとかこうだとか、あるいはまた近所の人たちがもうちょっと注意してあげればよかったとかというような、いろんな反省の弁がそのたびごとに行われておりますね。
それで、私は思うんですが、皆さんもそうでありますが、子どもはやっぱり世の中の宝物である、天からの授かり物である、こう思うんですが、世の中には、子どもは親の従属物のような考えを持っているんじゃないかなと思えるような人たちがいるんじゃないか、とんでもない間違いの考えを持っている人がいるんじゃないかと思える節がありますね。子どもというのは、皆さんもそうでありますが、私は、やはり天からの授かり物であって、今いる親は、自分を通じてこの世に生をうけ、無限なる才能を持った子どもを十分育て上げて未来社会へつなげる、親というのは責務がある、このように思うんですが、今の親の中には立派な方もおりますが、一部の方には、親の責任とか親の意識のない方がいるんではないかと思います。
このことは、昨年の暮れ、議会での皆さんのおかげで、私どもはアメリカへ視察に行ってまいりました。そこの児童虐待の相談所を視察いたしまして感じたんですが、この親の無責任さは洋の東西を問わずやはりどこにもある。たくさんの子どもさんたちが虐待されている。そうすると、これにやはりアメリカの当局者は大変頭を悩ませて、どうすればいいかというようなことをやっておりましたのを目の当たりにしてまいりました。
そこで、今度の児童虐待についての改正で、第四条の二において、関係行政機関から、児童の虐待等青少年の健全な育成が著しく阻害されている状況について、助言または指導を受けた場合、保護者にこれを尊重し適切に対応することを求める、こういう規定がございますね。
そうすると、児童虐待の現状を含めて、なぜこの規定を今新たに入れる必要があったか、その背景についてどうぞひとつお願いいたします。
○高島都民生活部長 今、山本委員の方から、アメリカの例のご指摘がございましたけれども、児童虐待に絡みましてふと思い出しましたのは、昔、日本人の方が子どもさんを連れられてアメリカに赴任されたときに、たまたま子どもを裸にしていたら近所の方が急に警察に電話されて、警察官がこの親御さんは問題だということで警察に留置されたということが出ていました。なぜ留置するかといいますと、子どもを裸にしたときに、いわゆる東洋人特有の蒙古斑という青あざがおしりにあったということで、そのことで近所の方がすぐ警察に通報したということで、そのとき思いましたのは、アメリカという国は子どもに対して近所の方がそういう形ですぐ通報する、逆にいえば通報しなくちゃいけないような児童虐待が結構日常茶飯に行われているんだなということで、当時日本にはそういう児童虐待なんという問題は余りございませんでしたので、大変アメリカという国の不可思議さというものを認識した記憶がございます。
ただ、今ご指摘ございましたように、日本でも実はこの問題、大変憂慮すべき時代になっております。今回、この条例に児童虐待に関する規定を設けた背景でございますけれども、福祉保健局の調査によりますと、平成十五年度に児童虐待に関する児童相談所の相談件数、これが二千四百八十一件となりまして、十年前と比較いたしますと約十三倍と増加するなど、大変憂慮すべき状態にございます。
福祉保健局がまた平成十三年に取りまとめた調査によりますと、児童虐待の通報があったときに虐待そのものを認めない保護者などが約三九%いる。要するに虐待を認めない、そういう親が三九%いるという結果が出ております。
また、もう一歩進みまして、虐待相談を受け、家庭に対していろいろ児童相談所の方で指導を行ったとしても、今度は応じない保護者、これがまた一八%いるというような現状がございます。
そういう現況にかんがみまして、今ご指摘ございました改正条例第四条の二で、保護者の責務について新たな規定を設けることといたしたところでございます。
○山本委員 そういうことですよね。皆さんも我々も経験がありますが、子どもを育てるということの中で、子どものしつけ、厳しくしつけることと、そうじゃなくしていじめである、せっかんするということ、このことは非常に似ているようでなかなか判別しにくいというようなところがありますね。難しいところはそこなんですね。
それと、今の親たちは、大変残念ながら子どもを養育する力が低下しているといわれている。それで児童虐待の現状を考えると、行政機関の助言や指導が果たす役割は今は非常に重要になっていると私は思います。
児童虐待については、日本の国においてもちゃんと児童福祉法があります。さらに、児童虐待防止法なんというのもちゃんとあります。そして、そういう法によって対応されているんですよ。にもかかわらず、今度はこの規定を設けたという、そのゆえんは何ですか。
○高島都民生活部長 児童虐待などが増加しているという、青少年の健全育成が阻害されている状況では、やはり行政が保護者の養育にかかわっていく必要があるというふうに認識いたしております。
児童虐待防止法等で行政機関が指導等の対応ができるというふうにされておりますけれども、保護者の親権に対する意識が強く、保護者の同意がないとなかなか迅速な対応ができないという実態が多々ございます。
例えば、虐待の通報後、家庭訪問や周辺の調査を行っても児童の安否が確認できず、三カ月経過した後、立入調査を行った際に健康を害する児童を保護することができたというような事例もお聞きしております。
条例改正につきましては、保護者の親権と各家庭の養育の考え方を尊重しつつ、保護者に対し行政機関が助言、指導に努め、早い段階から虐待の防止を図ることができるようになるという形で、今回の条例改正を実効性のあるものにしていきたいと考えております。
○山本委員 今後、行政機関の間で、福祉保健局と生文局あるいは教育庁との連絡、連携を図って、それと同時に、さっきいいましたように近所の人の力、底力、地域力といいますか、それらをかりながら、親に対する啓発、助言を--先ほど何か広報が大した力がないだろう、じゃなかったかな、というようなお話もあったように思いましたけれども、ぜひそういうこともどんどんして広めて、ぜひひとつ親に対する支援を強化してもらいたいということをまずお願いしておきます。
次に、青少年問題協議会とか--これは通告していないので答えにくかったら答えなくてもいいんだけれども、でも、答えてもらいたいかな。青少年問題について、今青少年がいる環境が非常に悪化しているという、それで青少年が事件に巻き込まれている、それで児童買春や援助交際など、以前には考えられないような事件が起きている。そこで、都内の有識者と評される方たちが皆さんとともにいろいろな意見の交換があったと思うんですね。大変六本木の先生は厳しいご意見を出して、条例化すべきであるというようなこともいった、いや、いわないとか、それは新聞にありましたね。
その辺のことから見ると、私にいわせれば、今度の条例は随分ちんまりとした、静まったように、いわば沈殿した条文のようにといっちゃいけませんかな、そんな感じも起きないでもないんですが、今回、この条例に青少年にみだらな性交を禁止する規定を幾つか設ける、そういうことでありますから聞きますが、今度の改正条例の十八条の六には、大人の青少年に対するみだらな性交等を禁止する規定がありますね。
では、先ほどちょっとどなたからかあったかもしれませんが、みだらな性交等とは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律というのがちゃんとできています。ここに、いわゆる児童買春法の第二条第二項にある、それと同意義なのか、それとも違いますか。
○高島都民生活部長 中学生の性行為禁止問題についてのまずお尋ねでございますけれども、これにつきましては、実は今回の青少年問題協議会での最大の論点でございました。青少年問題協議会が始まる前に、竹花副知事の私的諮問機関といいますか私的懇談会で、青少年の性行動について考える委員会というのがございまして、この中で、現場の産婦人科の先生、それから現場の学校の先生がお集まりになられて、かなり性の問題について集中的にご議論されました。その中の一つの考え方として、中学生の性行為を禁止したらどうかというお話がございました。
これは、背景としましては、日本の強姦罪は十三歳未満を処罰いたしておりますが、諸外国の例ですと、これが割と十六歳というところに多いということで、このすき間を埋めるべきじゃないかというご意見、それからやはり中学生ぐらいまでは、十六歳から結婚が認められますので、そういう意味では法制上も十六歳以上の女子の方がそういう性行為をされることは想定しているわけですが、結婚も認められていないような中学生については性行為を禁止するという形で対応するのがいいんじゃないか、特にそれを条例という形で規範化して都民に対して提示するのが適当じゃないかというようなご意見があったわけでございます。
青少協の方では、これはもう大変議論になりまして、青少年健全育成条例の中に盛り込むべきだというご意見の方もいらっしゃいましたが、大勢はやはり条例としてまずなじむのかという法制的な議論、それから実際上の運用として、中学生まではだめということは高校生になったらいいのかということ、それから中学生にだめという以上、条例上規範化する以上、それを実効性のあるものにしなければいけませんが、これが親とか学校現場で実際そういうような指導が可能になるのか。それから、根本的問題としては、性という問題については、これは知事も申し上げておりましたけれども、極めて個人的なプライバシーにかかわる問題ですので、こういう問題について、する、しないという点まで行政の方がかかわるべきかどうかという点で多々疑問点が出されまして、最終的には、今、条例案としてお示しさせていただいている内容に落ちついたところでございます。
基本的には、だれしもが性の低年齢化に伴う弊害の発生、これについて看過することはできないということでは認識が一致しております。問題はそれをどう解決するかという手段でございますけれども、条例で一律禁止するということは、実効性もなく、また条例のあり方からいって問題があろう。むしろ、今回お出ししている内容、親なり教育関係者が積極的に子どもに性の問題について働きかけて、子どもと対話していく、その中を通じて性行動を含めた行動についての慎重さを求めていく、そういう啓発の措置、それから今お話がございました淫行禁止という形で大人側が自己抑制するといいますか、大人側の権利を制約することによって、子どもたち、青少年の福祉を阻害するという行為から守っていく、そういう二点で今回条例改正をお願いしたところでございます。
そういう意味では、現時点において都民の目線に立った最大公約数のご意見で集約し、ご提言いただき、私どももそれを踏まえて条例提案させていただいたという意味で、今回、この内容でありますならば恐らく都民の皆さん方に、幅広く啓発普及していけばご理解いただけますし、逆に理解していただけない内容を無理やり押しつけても実効性は上がりませんので、理解していただける内容をできるだけきめ細かくお話ししまして、先ほど申し上げましたいろんな問題について一歩でも改善できるように努力してまいりたいと考えております。
これが、中学生の性行為禁止をめぐる経緯でございます。
それから、淫行禁止についてのお尋ね、児童買春法の二条二項との関係でございますが、児童買春法の二条二項にございます、対償を供与し、またはその供与の約束をして、児童に対し性交等をする規定、これは従前の都の買春処罰規定とほぼ同じ内容でございますけれども、今回の淫行禁止はこれでは対応できないような、もう少し幅広い、反倫理的な性交等を指すものでございます。
○山本委員 よくわかりました。(「わからないね」と呼ぶ者あり)そのとおりだと思うんですね。わからない人はちょっとわからないね、きっと(笑声)わからないようにしているんだから。
ここで、わかることをいいましょう。それは、処罰の対象は子どもじゃなくて、有象無象の大人を処罰するということですね。これははっきりわかることでありますね。
そこで、改正条例でみだらな性交とはどんな行為をいうかと先ほどどなたか質問されてあったので、師弟関係で有利な立場にあるのが手なずけるとか、子どもがちょっと幼稚なのをうまく、要するにナンパするというか仕掛けるとか、そういう甘い甘言で子どもを誘惑する、あるいは地位を与えようとして引っ張ってきたとか、そんなことだということがわかってきたんですが、これまで東京都が、青少年問題協議会の意見がたしかありまして、青少年の判断能力を尊重するというようなことで、これは大義名分であって、東京都と長野県だけが、よその県では淫行処罰条例の規定に触れて処罰されるのに、東京へ来れば処罰されない。いわば、何といいますかエアポケット、処罰のエアポケット、それが東京だった、近隣の県から見れば。というような状態にあったと私は思います。
今回の条例改正でその考え方を変えて、今度は二年以下の懲役、百万円以下の罰金という、この規定を設けた、その背景やねらいは何なんでしょう。
○高島都民生活部長 淫行禁止規定のねらいでございますが、その前に、今まで抽象的にお話ししていたものですから、なかなか何をターゲットにして、対象範囲として禁止をしたいのかということについて、ちょっとここで簡単に例を出させていただいてご理解いただきたいと思うんですけれども。
これは、警視庁の方に、今までいろいろ非行事案等々で捜査に当たって、東京都だけ淫行条例がないことによって非常に問題になった事案はないかということでお聞きしたところ、幾つか出ておりまして、幾つかご紹介いたしますが、平成十年ですが、暴力団の組員が女子の青少年に対して、女暴走族の後ろ盾になるという見返りにその暴走族児童とわいせつな行為をしたというような事例がございました。それから、平成十五年ですが、これも同じく暴力団員でございますけれども、暴力団員が家出中の十五歳の女子中学生を誘惑して、自室に連れ込みわいせつな行為をしたというような事例もございます。それから平成十六年でございますけれども、スカウトマンがタレントにしてやるということの見返りで十四歳の女子中学生とわいせつな行為をした例がございます。それから、同年でございますけれども、プロダクション関係者を装った男が、就職をあっせんすると偽り、児童とわいせつな行為をした例がございます。
これは何とかにしてやるという類型でございます。先ほど別の委員の方から、いわゆる児童買春の対償の供与で読めるんじゃないかというお話がございましたけれども、実はこの児童買春の対償の供与というのは非常に厳格に解釈されておりまして、明確な経済的利益が性行為の反射的な給付としてなされるということを要件としておりますので、現在の実務上の解釈としましては、こういうものは児童買春法の適用対象にならないということで、今申し上げたような例が、やはりどなたがお聞きになられてもちょっとまゆをひそめるような例だと思います。そういう意味では、こういう例をお話し申し上げれば、今回の淫行禁止の規定について、これは設けるのは当然であるというご理解もいただけるんじゃなかろうかなというふうに思っております。
それから、ご質問のありましたみだらな性交の新設のねらいでございますけれども、今までの青少協の考え方を、今回、二十六期の青少協は変えたというわけではないと思うんですが、社会経済情勢の変化に合わせて、今の経済情勢の変化を踏まえた新しい考え方をご提示いただいたと思っておりますので、何か不連続であるとか矛盾しているとか、そんな認識は持っておりませんが、現在の情勢、これが例えばメディアから性に関する情報が非常に流されております。子ども向けのティーン雑誌でも大人向けのアダルト誌と同じような性情報が流されてございます。それから、これも先ほどお話ししました、携帯電話が発達いたしまして、要するに大人の目が届かないところで子どもが大人と接触する機会を得られる、そういう機会が増加している、こういう青少年の性を取り巻く環境が大きく変化しているということが今回のこの禁止規定の大きな背景にございます。
みだらな性交等の禁止規定は、こういう問題を踏まえまして、青少年が健全に成長する環境づくりのために、大人の反倫理的な性交等に対する責任を問い、大人の姿勢を正すことをねらいとしているものでございます。
○山本委員 大体私も二十分になったようでありますから、最後の質問をいたします。
今後、改正条例を施行するに当たり、青少年行政の推進に向けて局長の決意を改めてお伺いをして、私の質問を終わります。
○山内生活文化局長 青少年をめぐる環境の悪化は極めて深刻で、憂うべき状態となっております。これについては、先ほどからいろいろと議論されているとおりでございまして、非常に厳しい状況であるというふうに私たちは認識しております。
次代を担う青少年を健全に育成する環境をつくることは大人の責任であり、都民一人一人の自覚が求められている。しかも、健全に育成する環境をつくるということは、一朝一夕に簡単にできるものではございません。地道な努力の積み重ねがあってこそ、一歩一歩その健全な育成環境ができるというふうに考えております。
今回の条例改正においては、青少年の育成に重要な役割を担っている保護者の取り組みを求めているものでございます。もとよりこの保護者の取り組みを促し、家庭での養育力といいますか育児力といいますか、そういったものを高めるためにも、行政として助言、情報提供等の支援を行う必要があるというふうに考えています。
今後、条例の施行に当たっては、関係局との連携を図り、地域、民間団体等の協力も得ながら、青少年が健全に成長する環境づくりに、着実に一歩一歩その実現に努めてまいりたいというふうに考えております。
○石川委員 それでは、私の方からも、文化施設における指定管理者制度の導入について若干質問をさせていただきます。
もう一度、都民の立場から整理しますと、今、東京には、生文が所管している文化施設として、庭園美術館を含めて七館あります。今その運営は、直接東京都がやらずして、いわゆる監理団体であります財団法人東京都歴史文化財団に一括でお願いをしています。この管理の仕組みが、いわゆる指定管理者による管理代行、簡単にいえば民間参入を認めます、東京都もその導入を図りますという決断をされたわけですね。この今委託されている歴史文化財団も、実は指定管理者の管理代行になれるんですね、なれるんです。そうすると、都民から見ますと、今までの財団に対する一括、いわゆる管理運営が、税の使い方にして効率的な仕組みであったのかどうかということが私は問われてくるんだろうと思うんですね、都にとっては。また、都民にとって、利用者にとっては、今度新たな管理者になることによってサービスは向上するんだろうかということが望まれるだろうと思うんですね。
実は、文化施設というのは、独立採算制で本当に成り立つのかという一面があるわけですね。東京都も、それぞれの施設の自主運営だけでは大変だということで、今、財団に対して五十一億余円の助成を出して、その内訳を見ますと、今回六施設を変更しますよということで、その予算額を合計すると四十五億余円が助成として六施設に十七年度予算は計上されているわけですね。
そうすると、今後、この指定管理者制度を変更することによって都の予算はどういうふうに変化していくのか、変わっていくのか、この辺はどう見ていけばいいんですか。
○山本文化振興部長 管理運営方式を指定管理者制度に変更することによりまして、お客様サービスの向上とあわせて施設の効率的運営ができるものというふうに考えております。
しかしながら、予算につきましては、単年度予算でございまして、今後の予算額がどうなるかについてお答えすることは残念ながら困難でございます。
○石川委員 お答えが困難だということになりますと、都民側から見ますと、何ゆえをもってこの管理者制度の変更をやらなくちゃいけないんだということに私はなりかねないと思うんですよ。本来であれば、変更することによっていわゆる都の助成額も徐々に減ってくる、こういう効果がなければ、変更する理由というのは私はないんだと思います。特に、やっぱり文化施設ですから。
ですから、いわゆる自治法が改正になってこうした仕組みが導入されますよという、あれはなりましたけれども、導入するかしないかということはそれぞれの施設、事業によって私は違うんだろうと思います。先ほど来の議論を聞いておりますと、事業の継続性があるから、条例を制定しましても文化施設については十八年度からの公募を考えていますよ、こういうご返事がありましたけれども、二年後に何が何でも公募制にしなければならないという理由は、今申し上げましたように導入することによって都の財政支援が減額されますということがまず見えなければならない、私はこういうふうに思います。
では一方、都民サービスはどういうふうになっていくのかということで、若干危惧する点について何点かお伺いしたいと思います。
指定管理者制度では、これまでの管理受託者が行えなかった使用許可などの行政処分も行えると聞いております。民間事業者の裁量の範囲が広がることによって、都民の平等利用が確保できるのか、恣意的な運営が行われる心配はないのか、その点、まず伺います。
○萩原参事 都民の平等利用につきましては、改正条例案にも規定を設けておりますが、指定管理者が正当な理由なく施設の利用を拒んだり、不当な差別的取り扱いをすることのないよう、今後、指定管理者との間で締結する協定にも必要な事項を盛り込んでまいりたいと考えております。
また、指定いたしました後も、必要な調査を行い、不適切な取り扱いには指導を徹底し、平等な利用が実現されるよう万全を期してまいります。
○石川委員 文化施設では、他の公の施設とは異なる特性を有しています。例えば美術館には、貴重な絵画などが収蔵、展示されていますし、高価な美術品を保存し、展示するには高度な専門性が求められます。民間事業者が指定管理者になった場合にも高度な専門性が求められると思いますが、専門性はどのように確保されていくんでしょうか。
○萩原参事 専門性の確保は極めて重要でございまして、改正条例案では選定基準に相当の知識及び経験を有する者を従事させることができることと定めております。
指定管理者の選定に当たっては、選定委員会において、専門性を持った人材の配置計画や、従事者の資格の有無、専門分野、経験年数などについて応募事業者から提出させる事業計画書を厳正に審査してまいります。
○石川委員 美術館や博物館などといった文化施設は、入館料収入だけでは賄えず、委託料など、先ほど申し上げました都の財政支援がなければ運営できない施設であります。
民間事業者から入館料などを値上げしたいという申し出があることも考えられますが、現在の利用料金よりも高くなってしまうおそれはないのですか。
○萩原参事 利用料金は条例で上限額が定められており、利用者からいただく実際の料金額については、あらかじめ知事の承認を得て指定管理者が上限額の範囲内で決定することとなっております。料金値上げの申し出の承認に当たりましては、値上げの必要性や合理性、他の類似施設の状況などを総合的に勘案し、安易な料金の値上げにつながらないよう適切に対処してまいります。
○石川委員 料金の値上げは安易にしない、こういうご答弁ですが、それじゃ、減額や免除についてはどうなるのでしょうか。例えば現在、都内在住の小中学生やお年寄りの方、障害者の方は都立の美術館や博物館には無料や割引で入館できます。民間による管理運営がなされた場合、こうした無料や割引の制度はどのようになりますか、伺います。
○萩原参事 都内在住の小中学生や高齢者、障害者などの減額、免除につきましては、条例や規則で規定されておりますので、指定管理者もこれらの規定に基づきましてこれまでどおり減額、免除を行うこととなります。
○石川委員 一方で、利用者に対するサービスの面はどうでしょうか。指定管理者制度を導入したことによって、例えば今までより利用者案内サービスがよくなったと利用者から喜ばれるようにしなければなりません。コストが削減されたとしても、利用者へのサービスが低下するようなことがあってはならないと考えますが、見解を伺います。
○萩原参事 コスト優先で文化施設の利用者サービスが低下することのないよう、制度を運用していくことが重要であると考えております。
そのため、応募事業者から利用者サービスの向上について具体的に提案させまして、選定委員会で十分な審査を行ってまいります。
また、指定後に締結する協定におきましても、その内容を規定し、利用者への適切なサービスを確保してまいります。
○石川委員 実際の管理運営がきちっと行われることは、これはもちろん当然のことであります。また、一たび指定管理者を指定すると、一定期間、施設の管理運営を指定管理者に任せることとなります。指定管理者に対する指導監督はどのようになりますか。
○萩原参事 指定管理者制度の運用のポイントは、いかに適切に指導監督を行うかにございます。このため、定期的に事業報告書を提出させるとともに、日常的に業務や経理の状況について報告を求め、必要があれば実地に調査し、適切な指示を行ってまいります。
なお、指導を繰り返しても指定管理者が知事の指示に従わない場合には、業務の停止や指定の取り消しを行うなど、指導監督に万全を期してまいります。
○石川委員 いずれにいたしましても、都立の文化施設は都民共有の大切な財産であります。したがって、冒頭申し上げましたような視点で、仮に指定管理者制度を導入したとしても、適切な運営がなされるよう万全を期してもらいたいと思っております。
それでは次に、話題を変えまして、都は交通渋滞解消のための違法駐車対策、スムーズ東京21を、平成十三年度から十五年度の三カ年で靖国通りや明治通りなどの幹線道路及び繁華街地域で実施してまいりました。その結果、靖国通りでは、通過に要する時間が約三割短縮するなど顕著な交通円滑化効果が見られたところであります。このような事業は、限られた地域で、三カ年の取り組みで終わらせるのではなく、全都的に実施してこそ大きな効果を生むと考えて、私は平成十四年の第一回定例会において、他地域に拡大して取り組むべきであると指摘したところであります。
これを受けて都が平成十五年度から五年間の予定で対策箇所を百交差点に拡大するとともに、右左折レーンやバスベイの設置、駐車場の活用策も含めた新たな対策内容を加えて、スムーズ東京21拡大作戦に取り組んでいることは、大変高く評価しているところであります。
そこでまず、対策箇所として百交差点選定の考え方と、本事業の進め方について伺います。
○脇都民安全対策担当部長 都道百交差点については、警視庁交通管制データや国土交通省の第三次渋滞対策プログラムに基づきまして、渋滞の激しい交差点を中心に選定いたしました。
また、本事業の進め方でございますが、道路施設の改善などの交差点対策は、基本的には、まず先行して行ったスムーズ東京21の対策箇所に近接し、早期に効果を見込める交差点から取り組み、次に環状方向、そして放射方向の道路に順次拡大しています。
あわせて、駐車場案内の拡充や普及啓発なども行い、都の関係局、警視庁、東京国道事務所が連携してハード、ソフトの両面から集中的に渋滞対策を実施しております。
○石川委員 それでは、これまで二年間の取り組み実績と、来年度に実施予定の内容について伺います。
○脇都民安全対策担当部長 これまで二年間で三十五カ所の交差点において、停車帯の確保、右左折レーンの設置など道路施設の改善や、駐車抑止テレビシステムの整備など違法駐車対策を実施してまいりました。
さらに、カーナビによる駐車場の空き情報の提供など、駐車場等の有効活用、コインパーキングを活用した荷さばきスペースの確保、広報キャンペーンなどを実施してまいりました。
平成十七年度においても、新たに二十九交差点で道路施設の改善及び違法駐車対策を行うとともに、駐車場の有効利用、普及啓発の充実に取り組んでまいります。
○石川委員 私の地元、練馬区でも、おかげさまで六カ所選んでいただきました。その実施予定箇所とその取り組み状況について明らかにしてください。
○脇都民安全対策担当部長 練馬区内では、谷原、豊玉陸橋、北町一丁目、関町交番前、北園、北裏の六交差点での対策を予定しております。
このうち目白通りと笹目通りが交差する谷原交差点は、左折レーン等の設置に向けて今年度、一部用地を買収したところであり、平成十七年度も、引き続き地元関係者との調整を行い、用地買収を行っていきます。
このほか十七年度は、豊玉陸橋交差点及び北園交差点で、有効な対策について関係機関、地元と協議を進め、実施する予定でございます。
その他の箇所につきましても、関係機関と連携し、早期の実施に向け努めてまいります。
○石川委員 大変努力していただいておりますことに感謝を申し上げますが、実は今、谷原に次いで大変なのが北園交差点なんです。いわゆる放七が突き当たりまして旧道しかありません。一方、西東京の方は新しく道路ができているものですから、建設局で放七の整備の事業化に向けて今努力をしていただいておりますけれども、事業化にはなお時間がかかりますし、当然完成までにはそれ以上の時間がかかりますので、なかなか、事前にご相談しましたら難しいんですよというご回答をいただいておりますけれども、ぜひ北園交差点につきましては、計画年度内に改善ができますように特段のお願いを申し上げたいと思っております。
また、この都内の渋滞解消に向けまして、交差点の特性、渋滞の原因に応じてさまざまな対策を組み合わせて実施していることは大変実は重要であります。一方の三環状線の整備も大事ですけれども、こうした積み重ねが渋滞解消に私は大きく寄与してくるものと思います。
したがって、この拡大大作戦は、既存の道路などのさらなる有効利用を通じて渋滞解消効果を早期に発揮するという大事な事業であります。このため、事業実施には困難を伴う場合もあると予想されますが、事業開始後三年目に当たる平成十七年度事業の実施に当たっては、東京都関係局、警視庁、東京国道事務所との連携をさらに充実し、渋滞解消の事業目標を達成することを強く望んで、質問を終わります。
○池田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 異議なしと認め、予算並びに付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時散会
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