文教委員会速記録第二十六号

平成十六年十二月十四日(火曜日)
第三委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長池田 梅夫君
副委員長村上 英子君
副委員長花輪ともふみ君
理事野上じゅん子君
理事山口 文江君
理事古賀 俊昭君
福士 敬子君
臼井  孝君
石川 芳昭君
遠藤  衛君
山本賢太郎君
小林 正則君
木村 陽治君

 欠席委員 一名

 出席説明員
大学管理本部本部長村山 寛司君
管理部長三橋  昇君
生活文化局局長山内 隆夫君
総務部長有留 武司君
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
総務部長比留間英人君

本日の会議に付した事件
付託議案の審査(決定)
・第二百二十四号議案 東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十五号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
・第二百二十六号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十七号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十八号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十九号議案 公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
・第二百三十号議案 公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
・第二百三十一号議案 東京都立大学条例等を廃止する条例
・第二百五十一号議案 公立大学法人首都大学東京定款について
・第二百五十二号議案 公立大学法人首都大学東京(仮称)に対する出資について
請願陳情の審査
1 一三第一四九号 都立大学における昼夜開講制度(A・B類制度)の存続に関する請願
2 一四第一三号 東京都大学改革による都立短期大学廃止反対に関する陳情
3 一六第四七号 新大学構想の撤回及び都立四大学の自主的・民主的改革に関する陳情
4 一六第九一号 都立四大学を統合する法人の設立、新大学・大学院の設置に関する陳情
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続審査について

○池田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案及び請願陳情の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百二十四号議案から第二百三十一号議案まで、第二百五十一号議案及び第二百五十二号議案を一括して議題といたします。
 本案についてはいずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対して発言の申し出がありますので、これを許します。

○木村委員 まず、教育庁関係の第二百二十六号議案及び第二百二十八号議案について、日本共産党の意見を述べます。
 この二つの議案は、都立の四大学が廃止されるので、二百二十六号、二百二十八号両条例の中の「(都立大学及び都立短期大学を除く。)」、「(大学を除く。以下同じ。)」というただし書きはもはや必要ないということで削除するものであります。
 しかし、都立の四大学を廃止して新しい大学を設置する新大学構想は、昨年の八月一日以降、都立四大学の教職員、学生、都民の意見を無視して、現大学とまともな協議も行わないまま計画が進められ、今定例会に、新大学を設置する公立大学法人首都大学東京の定款及び関連する条例等と、都立四大学の廃止条例が提案されているものです。
 しかも、公立大学法人首都大学東京の定款案は、法人の行う業務の範囲の定め、理事長の決定方法などを見ても、とても憲法が保障する学問の自由や大学の自治を守れるとはいえないことが、昨日の委員会の質疑でも明らかになったと思います。
 したがって、現状では都立大学等の廃止に賛成することは到底できません。したがいまして、都立四大学の廃止を前提とする両議案に反対するものであります。
 次に、大学管理本部の案件について意見を述べます。
 第二百二十九号議案から二百三十一号議案まで、及び二百五十一号議案並びに二百五十二号議案について、日本共産党の意見を述べます。
 二百五十一号議案、公立大学法人首都大学東京定款は、現在の都立大学、都立短期大学、科学技術大学、保健科学大学を廃止して、来年の四月に開校するとしている首都大学東京を設置する公立大学法人の目的や機構、業務の範囲などを定めるものでありますが、この定款が、憲法に保障された学問の自由や大学の自治を保障するものになっているかどうかが、今回の重要なポイントでした。
 その観点から見ますと、この定款は、法人の業務の範囲として、第二十四条二号から五号に、「学生に対して、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うこと。」、「教育研究の成果を普及し、及びその活用を促進すること。」など、本来、大学法人ではなく大学が行うべき業務を定め、法人が大学の自治に対する不当な介入を行う仕組みとなっています。しかもこれは、法人の業務の範囲を、大学の設置及び管理とこれに付随する業務に限っている地方独立行政法人法にも違反しております。
 さらに、法人の理事長は知事が任命することになっており、行政に対する大学の自律性も失われております。
 機構についても、理事長、副理事長や理事を置くことにはなっていますが、理事会は存在しないこと、首都大学東京の最初の学長について、大学の意向を尊重し既存四大学の学長、総長の中から選任することも可能なのに、理事長が任命することになっているなど、知事、理事長のトップダウンでことが進められるようになっており、重大な問題があるといわざるを得ません。
 こうした内容は、学長が理事長を兼任し、法人の行政に対する独立性が配慮された国立大学法人法、学則、学部設置、学部運営その他大学運営に関する事項を学内の評議会に委ねている都立大学条例、また私立学校法に基づく私立大学の場合と比べても、大学の自主性、自律性という面から大きく後退しており、学問の自由、大学の自治を保障する上で大変大きな疑義が存在するものです。
 よって、この定款案は抜本的修正、見直しが必要であり、日本共産党は反対するものであります。
 第二百二十九号から第二百三十一号議案と第二百五十二号議案も、現在の都立四大学を廃止、公立大学法人首都大学東京を設立し、来年四月から首都大学東京を開校するために必要な条例などを定めるものであって、日本共産党は反対であります。

○福士委員 私の方も、二百二十四号、及び二百二十九号から二百五十二号全般について意見を申し述べます。
 個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例については賛成でありますが、一言申し述べておきたいと思います。
 今回の条例改正については、国の個人情報保護法の施行と並行して、五千人以下の小規模事業者に対する啓蒙の意味をも持った条例であると思います。相談業務も行うこの条例によって、個人情報の取り扱いについて社会全体が理解を深めることは重要であることから、是とするものです。
 しかし、まだ都の指針が示されていないこともあって、実施機関の個人情報の収集の制限に関する適用除外や、知事及び執行機関の苦情処理の取り扱いについては、グレーゾーンが残ります。このところ、執行機関及び実施機関が必要以上に強権的な行動をする例もあり、除外規定などの場合は、その趣旨の本質を外さず、しっかり踏まえていただきたいと思います。
 そのためにも、民間事業者への介入に関しては、審議機関を条例上も明記するなど、民主的運用が明らかになる方策をとるべきであり、要望しておきます。
 本来、個人情報保護は、自己のコントロール権を確立することにあり、民間への行政の介入のあり方には十分心していただきたいことをつけ加え、意見といたします。
 続きまして、二百二十九号から二百五十二号について意見を申し述べます。
 私は、大学が地方独立行政法人化することについては、明らかな反対の意見を持っているものではありません。しかし、今回の新大学設立に関する定款を見ても、拙速の余り一貫性が見られません。
 まず、本来であれば学長が理事長となるべきところを、あえて理事長と学長を分離しています。ならば、分離形式のプラス面である経営面と大学の自治の面をそれぞれ自立させつつ、有効に連携を図るべきであると思います。しかるに、さまざまな点から見ても、経営的視点が上位にあります。公開講座及び外部への学習は法人の業務とされ、大学側における研究審議会の入る余地は非常に低いものとなっています。単に各学部の申し入れができるだけであり、その判断すべてが法人の経営的判断に任されることになります。
 私は、大学といえども経営感覚は否定するものではないと思っております。しかし、利潤のみ追いかけるものでもないと考えます。金銭的利益は表立って見えなくとも、社会的、教育的利潤の大きいものに目をそらさず、旧都立大の人文学部のように、社会的認知の高い事業を大切に考えるべきと思います。そして、そのことにこそ公的支援の意義があると思います。
 昨年の八月一日以降、新大学設立に向けた準備会議の突然の転換で、拙速な対応に追われ、心機一転となるどころか、文部科学省の認可もおくれにおくれ、異常なまでの内容に関する留意事項及び意見がつきました。
 来年度入試の大学院の入学志願者数が明らかな研究科においては、前年の約半数程度しかなく、新大学への不安が社会的にも明らかになっています。このような大学へ都民の税金を投入する不安も含め、大学というものの概念から再考いただきたいと思い、都立大の廃止及び首都大学東京の設立に関する条例については反対をいたします。

○池田委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第二百二十六号議案、第二百二十八号議案から第二百三十一号議案まで、第二百五十一号議案及び第二百五十二号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○池田委員長 起立多数と認めます。よって、第二百二十六号議案、第二百二十八号議案から第二百三十一号議案まで、第二百五十一号議案及び第二百五十二号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第二百二十四号議案、第二百二十五号議案及び第二百二十七号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、第二百二十四号議案、第二百二十五号議案及び第二百二十七号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○池田委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願一三第一四九号を議題といたします。
 本件については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○池田委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第一四九号は不採択と決定いたしました。

○池田委員長 次に、陳情一四第一三号を議題といたします。
 本件については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○池田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一四第一三号は不採択と決定いたしました。

○池田委員長 次に、陳情一六第四七号を議題といたします。
 本件については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○池田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一六第四七号は不採択と決定いたしました。

○池田委員長 次に、陳情一六第九一号を議題といたします。
 本件については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○池田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一六第九一号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○池田委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○池田委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、横山教育長から発言を求められておりますので、これを許します。

○横山教育長 所管三局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 本定例会にご提案申し上げておりました議案等につきましてご審議、ご決定をいただきまして、まことにありがとうございます。ご審議の過程でいただきました貴重なご意見、ご要望を踏まえまして、これからの事業執行に万全を期してまいりたいと存じます。
 今後とも引き続きましてご指導、ご鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、お礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

○池田委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十九分散会

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