委員長 | 池田 梅夫君 |
副委員長 | 村上 英子君 |
副委員長 | 花輪ともふみ君 |
理事 | 野上じゅん子君 |
理事 | 山口 文江君 |
理事 | 古賀 俊昭君 |
福士 敬子君 | |
臼井 孝君 | |
石川 芳昭君 | |
遠藤 衛君 | |
山本賢太郎君 | |
小林 正則君 | |
木村 陽治君 |
欠席委員 一名
出席説明員大学管理本部 | 本部長 | 村山 寛司君 |
管理部長 | 三橋 昇君 | |
参事 | 紺野 秀之君 | |
参事 | 大崎徳三郎君 | |
参事 | 宮下 茂君 | |
参事 | 宝月 大輔君 | |
生活文化局 | 局長 | 山内 隆夫君 |
総務部長 | 有留 武司君 | |
都民安全対策担当部長 | 脇 憲一君 | |
広報広聴部長 | 高西 新子君 | |
都民生活部長 | 高島 茂樹君 | |
消費生活部長 | 古川 芳久君 | |
私学部長 | 南雲 栄一君 | |
文化振興部長 | 山本 洋一君 | |
参事 | 三森 生野君 | |
参事 | 杉谷 正則君 | |
参事 | 江津 定年君 | |
参事 | 萩原まき子君 |
本日の会議に付した事件
生活文化局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百二十四号議案 東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十五号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
大学管理本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百二十九号議案 公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
・第二百三十号議案 公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
・第二百三十一号議案 東京都立大学条例等を廃止する条例
・第二百五十一号議案 公立大学法人首都大学東京定款について
・第二百五十二号議案 公立大学法人首都大学東京(仮称)に対する出資について
報告事項(質疑)
・首都大学東京新大学院について
請願陳情の審査
(1)一三第一四九号 都立大学における昼夜開講制度(A・B類制度)の存続に関する請願
(2)一四第一三号 東京都大学改革による都立短期大学廃止反対に関する陳情
(3)一六第四七号 新大学構想の撤回及び都立四大学の自主的・民主的改革に関する陳情
(4)一六第九一号 都立四大学を統合する法人の設立、新大学・大学院の設置に関する陳情
○池田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○池田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の付託議案の審査並びに大学管理本部関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情審査を行います。
これより生活文化局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。
○山内生活文化局長 十二月一日付の人事異動で当局の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介申し上げます。
参事で文化施設改革担当の萩原まき子でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○池田委員長 紹介は終わりました。
○池田委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第二百二十四号議案及び第二百二十五号議案を一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はありませんでした。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○村上委員 先般、我が党の野村議員が、代表質問において、都内の民間事業者に対する都の取り組みについて質問いたしましたが、今回、改めて民間事業者の個人情報保護についてお伺いをいたします。
来年の四月から個人情報保護法が施行となり、民間事業者は初めて個人情報保護についての法的義務を負うことになります。今回提案されている条例の改正案でも、民間部門に対する都の取り組みは重要なポイントとなっております。
都内には多数の事業者が集まり、個人情報の集積も他県に類を見ない規模に達しているものと思います。中小事業者が多いのも都の特色でありますが、取り扱う個人情報の量が五千人以下の小規模事業者については、法による個人情報保護の義務はないと聞いております。しかしながら、都民からすれば、個人情報を扱う以上、規模の大小にかかわりなく、きちんと適正に管理してほしいと望むのは当然のことであると思います。
条例改正案によれば、法の義務の適用を受けない小規模事業者についても、普及啓発などの支援を充実した上で、個人情報の不適正な取り扱いがあった場合には指導などを行っていくとしています。
そこで伺います。小規模事業者の指導を行うに当たり、都では、民間事業者団体などを訪問し、事業者の状況把握を行ったということですが、その現状はどのようなものだったのでしょうか。
○三森参事 都では、個人情報を取り扱うことの多い事業者が加盟しております事業者団体を約二十団体訪問し、個人情報保護の状況を把握してまいりました。その結果、都の事業者団体におきましても、個人情報保護の必要性につきましては十分に認識していることがうかがえました。
しかしながら、事業者団体によりますと、加盟しております多くの小規模事業者は、個人情報の管理体制や保管の方法、トラブル発生時におきます措置などに悩んでいるとのことでございます。このため、事業者団体におきましては、研修会の実施や機関紙、会員用ホームページによる周知に取り組むに際しまして、都に対してガイドラインの作成や研修講師の派遣等の支援を求める声が出ております。
○村上委員 来年の四月を目指して、各事業者とも、手探りながら社会の動きに乗りおくれないよう努力をしていることと思います。今回の条例改正でも、都は事業者の個人情報保護の普及啓発に努めるとなっておりますが、民間事業者が個人情報を保護し適切に取り扱うよう、具体的な方法としてどのようなことを考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
○三森参事 都では、これまでも民間事業者に個人情報保護の理念や仕組みなどの周知を図るために説明会を三回開催し、多くの事業者に参加いただきました。今後も継続して説明会を開催しますとともに、パンフレットを作成し、啓発活動を行ってまいります。
また、個人情報の望ましい管理方法や苦情への対応のあり方などを示した標準的な指針を策定し、広く周知を図りますとともに、事業者からの個別相談に応じるなど、きめ細かな対応を行ってまいります。
○村上委員 ぜひそのように普及啓発や指導に力を入れてもらい、民間事業者が個人情報を適正に管理、保護しながら事業活動ができるようにしていただきたいと思います。
多くの事業者が個人情報を保護している中でも、第三者に不適正に個人情報を提供している事業者が出た場合、この不適正な取り扱いに対し、都民はどこにどのように相談をしたり、あるいは苦情をいったりしたらよいのでしょうか。この点についてお伺いをいたします。
○三森参事 都は、個人情報の取り扱いに関する相談の総合窓口を広報広聴部に設置いたしますとともに、消費生活総合センター、都民の声課の相談窓口とも連携し、相談や苦情を受け付けてまいります。
寄せられた苦情につきましては、まず本人に対し個人情報保護についての説明や助言を行い、当事者間による自主的な解決を促すこととなります。さらに、当事者間での解決が困難な場合には、許認可などを通して日ごろから指導等を行っている部署と連携を図りながら、事業者団体あるいは事業者に対して再度解決に向けた努力を強く求めていくことになります。
○村上委員 ご説明のように、行政が間に入り、まずは自主的な解決を促すわけですけれども、それでもみずから是正を図らないような事業者、いわゆる悪質事業者が一番心配なわけです。都による苦情処理、あっせんでは、個人情報保護法を適用する事業者と都の条例を適用する事業者がありますが、それらは取り扱いや対応がどのように違うのか、お尋ねいたします。
○三森参事 五千一人以上の個人情報を取り扱う事業者の場合には、法を適用することとなります。また、五千人以下の事業者の場合は条例を適用することとなります。法または条例のどちらを適用する場合におきましても、都民から苦情等を受け、解決に向けたあっせんを行ったにもかかわらず、不適正な個人情報の取り扱いが改善されないときは、解決に向け、必要に応じて報告の聴取、助言、勧告を行いますが、法の適用を受ける事業者につきましては、さらに進んで是正を命令する場合があり、これに従わない場合には罰則が適用される場合もございます。
○村上委員 民間事業者における個人情報の取り扱いについてはこれからが始まりです。苦情が都に寄せられた場合には、それらをその場しのぎで終わらせないで、都民に情報として伝える、事業者に事例として伝えるなど、都民、事業者双方にフィードバックしていくことが必要であると考えます。都における個人情報保護は全国の注目を集め、お手本になるもので、ぜひしっかりやっていっていただきたいと思います。
また、今回、都自身の個人情報保護においても、公安委員会、警視総監が新たに条例の適用を受ける機関に加わり、これで都においてはすべての行政機関が個人情報保護の義務を負うようになり、大変結構なことであると思います。
最後に、官民を通じた都における個人情報保護の取り組みに対する局長の決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
○山内生活文化局長 近年は、IT化の進展に伴いまして、官民を問わず、コンピューターや通信によるネットワークなどを利用して大量の個人情報が利用される時代となっております。こうした状況は今後ますます拡大していくと予想されますが、個人情報は都民の生活に直結しているものがたくさんあります。一たん漏えいなどが起きて悪用されますと、個人の生活を脅かす危険や取り返しのつかない被害を及ぼすおそれがございます。
そのためにも、都としては、安全管理体制のさらなる徹底を図り、庁内で保有する個人情報の保護に厳正に取り組んでまいります。また、民間事業者に対しても、個人情報の取り扱いに万全を期すよう、十分に助言指導を行ってまいります。
○野上委員 同じく、東京都の個人情報保護に関する条例について質疑させていただきます。
自分の知らないところで自分に関する情報がひとり歩きをしてしまっていたり、あるいは、誤った情報が使われて自分の権利とか利益が侵されていくのではないかという、そういった心配の声が多々聞こえてきます。
これだけ急速にIT社会が進展するとは思ってもみなかったような現状があります。今まで田舎のおばあちゃんで、絶対にITに関係がなくて生涯が終わるだろうと思っていた祖母とかもしっかり使いこなしていて、びっくりするような現状があります。
今回は、個人情報保護条例について、都では平成三年に個人情報保護条例を制定し、以来、条例に従い適正に個人情報の管理を行ってきたと思いますけれども、近年、民間活力の導入の観点から、個人情報を取り扱う業務についても民間企業に委託するものが増大してきました。また、今後は公の施設の指定管理者制度も多く導入されていくはずです。民間の有している活力を活用するという観点からは大変によいことだと思いますけれども、今まで都が直接管理していた個人情報を民間事業者が取り扱うようになるという点では都民の不安もあると思います。
さまざまな事件もございましたけれども、そこで、都の業務の委託者や指定管理者が都民の個人情報を取り扱うに当たって、今回の条例改正ではどのように安全管理のための措置が確保されているのでしょうか。
○三森参事 民間委託に当たりまして、今回の条例改正におきましては、受託者及び指定管理者には、個人情報を適正に管理するための措置を講ずるよう義務づけることとしております。
○野上委員 今までも、個人情報を取り扱う業務を外部に委託するに当たっては個人情報の保護が図られていたと思うのですけれども、具体的にはどのような形で行っていたんでしょうか。
○三森参事 都は、これまでも、個人情報を取り扱う業務の委託契約に当たりましては、受託者に個人情報の保護措置を講ずるよう求めてまいりました。具体的には、委託契約書の中に、秘密を漏らしてはならないこと、取り扱う個人情報については複写、複製はしてはならないこと、委託契約に基づいて個人情報を取り扱う従業者に対しまして研修を行うことなど、個人情報の保護に関する規定を具体的に明記し、適正管理を図ってまいりました。
○野上委員 今回の条例改正では、受託業者や指定管理者は個人情報を適切に管理しなければならない義務を負うというふうに改められていますけれども、このように改めた理由は何でしょうか。
○三森参事 個人情報の適正な管理についてでございますが、現行条例は、受託者は必要な措置を講ずるよう努める旨、規定しております。平成三年の条例制定時に比べ、個人情報を取り扱う業務の民間委託が増加してきましたこと、また、IT化の進展により、情報が容易に持ち出され、漏えい事故につながりやすい状況もあるなど、受託者や指定管理者による適正管理の重要性が格段に高まってきております。
こうしたことから、個人情報の一層の適正管理を図るため、今回の条例改正では、受託者及び指定管理者に個人情報の保護に関し必要な措置を講ずることを義務づけることとしたものでございます。
○野上委員 今回の条例改正で、事務の受託者や指定管理者が都が負うと同様の適正管理義務を負うようになったということは、個人情報保護の点からはまことに望ましいことであります。都が委託する業務は取り扱う個人情報の量が大量であり、さらに、現在ではほとんどがパソコンやフロッピーなどの電子媒体で管理されていることから、見方によっては、大量の情報をいとも簡単に容易に外部に持ち出せる状況にあるのではないかと思います。
このような状況の中で、受託者や指定管理者の従業員などが、万が一仕事で扱っている個人情報を漏えいしたり、あるいは意図的に第三者に渡してしまった場合は、どのような処分というか、そういうことになるんでしょうか。
○三森参事 個人情報を第三者に渡してしまった場合などの対応についてでございますが、一つは、現行と同様、契約上の債務不履行による契約の解除、場合によっては損害賠償の請求などの措置をとることとなります。
二つ目は、今回の条例改正によりまして、受託者等の従事者が意図的に都が保有する個人情報を第三者に提供したような場合は、その従事者に対し、最高二年以下の懲役または百万円以下の罰金が科されることになります。このような罰則の適用を受けた場合には、従来に比べ、従事者を含め企業としての社会的信用の損失につながり、抑止効果がより高まることになると考えております。
○野上委員 業務の委託は、行政運営上も民間の活性化のためにも推進されるべきものだと思いますけれども、個人情報を扱う事務の外部への委託は、都民の大切な個人情報を一時的にせよ外部の者の目に触れさせることとなるので、委託に当たっては、個人情報の取り扱いに遺漏がないように細心の注意が必要です。
最後に、都民が安心できる個人情報保護制度実現に当たっての山内生活文化局長の決意を伺い、質問を終わります。
○山内生活文化局長 お話にありました都の業務は、民間や指定管理者などに運営を委託していることが最近多くなってきているわけでございます。今後も、業務の効率化などのために、個人情報の取り扱いを外部に委託するということは避けられないと思いますが、都としては、この条例改正を機会に、受託者には一層の適正管理を義務づけるとともに、受託者に対しまして、個人情報が適正に取り扱われているかどうか、点検、確認の指導を強化してまいります。
このような受託者と都の双方の取り組みによりまして、外部委託に当たっても都民が不安に思うことがないよう、個人情報の適正管理に万全を期してまいります。
○木村委員 一言だけお尋ねしたいと思います。
今度の条例改正の眼目の一つは、実施機関に新たに公安委員会、警視庁が加わるという点にあると思うんです。それは一歩前進であるということは確かだと思いますが、しかし、情報を公開する適用除外の範囲というものが、警察情報の場合は非常に問題があるというふうに思います。
もちろん、犯罪情報など、適用除外に当然なる個人情報については当然だと思いますが、しかし、警察の情報は、一般的な行政情報もあれば、住民に対するサービス的な情報ももちろんあるわけであります。したがって、できるだけ例外を減らしていくという立場に立って条例改正案の適用除外は考えていくべきだ、こう考えますが、どうでしょうか。
○三森参事 今回の条例改正案では、犯罪の予防、鎮圧または捜査、被疑者等の逮捕など公共の安全と秩序の維持に係る事務につきましては、本人収集の原則、収集できる情報の制限及び事務の届け出について適用除外となっております。これら例外的な取り扱いにつきましては、当該事務の目的を達成するために必要な範囲内にとどめたものでございます。
このほかの公安委員会、警視総監が取り扱う事務につきましては、都の行っている一般的な事務と同様に、個人情報保護条例の規定がすべて適用されることとなっております。
○木村委員 公安委員会、警視庁の施行時期は、公布の日から一年四カ月以内というふうに議案ではなっていますね。何でそんなに長い期間がかかるのか。何か警視庁、公安委員会に遠慮しているんじゃないかというふうに思いますけれども、この点はどうですか。
○三森参事 今回、公安委員会、警視総監が個人情報保護条例の実施機関となることに伴いまして、個人情報取扱事務の届け出、公表のための準備作業、開示請求に応じるための受付窓口等体制の整備、また職員に対する研修など、多くの作業が必要となります。これらの準備を都民の安全・安心を確保するという警察責務の遂行に支障を生じさせずに行うためには、この期間は必要な準備期間と考えております。
○山口委員 個人情報保護条例の改正ですが、国において、昨年五月、個人情報の保護に関する法律など個人情報保護関連の五法が成立したということで、これも来年の四月から全面施行されることに伴い、法律との整合性を確保するとともに、施行以来十三年を経た東京都個人情報保護条例を、新たな社会環境に合ったものとするため改正を行うということです。
都が保有する個人情報について、従来の情報の開示、それから訂正に加えて、利用停止請求権を加えることや、実施機関に東京都公安委員会、それから警視総監を加えることは大きな前進ととらえることができます。
ただし、先ほどの木村委員にもありました警察業務については、「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他の公共の安全と秩序の維持に係る事務については、適用しない。」というかなり広範な例外を認めています。治安や犯罪予防の安全・安心対策、それから、警察と学校の相互連絡制度や万引きの通報など青少年健全総合対策など、一般行政と警察の情報交換も大変多くなっている現状では、せめてどのような個人情報を取り扱っているかを届け出する個人情報取扱事務届け出制度には届け出をするべきと考えますが、いかがでしょうか。
○三森参事 警察業務につきましても、その取り扱う個人情報について、その存在を広く都民に知らせる必要があることは他の事務と変わりはございません。具体的には、家出人の捜査、迷子や泥酔者の保護、遺失物の取り扱い、人身事故等の救助、安全相談、震災時の人命救助、その他の多くの事務について届け出、公表の対象となるものと考えております。
しかしながら、犯罪の予防、捜査等、公共の安全と秩序の維持に係る事務につきましては、その事務の特殊性から秘匿性が強く要求されるものでありますので、届け出、公表の対象外としたものでございます。
○山口委員 個人情報の保護ということは、プライバシーとか人権を守るというところで、せめて利用停止請求権まで加えた、いわゆる情報コントロール権がこれですべて東京都の保護条例にも加わったということであれば、どういう情報を集めているのか集めていないのか、そのところがわからないのでは、せっかくのこの新たな停止請求権とかいう、そういった情報コントロール権が本当に守られるのかということに危惧を覚えております。
次に、現行条例の、事務執行上必要かつ適切と認められ、必要な保護措置が講じられている場合を除き、オンライン結合による外部提供をしてはならないとありますが、必要かつ適切と判断するのは行政の裁量で行われるということなのでしょうか。また、情報の本人外収集、目的外利用についても同様ということなのか、伺います。
○三森参事 現行条例は、オンライン結合による実施機関以外のものへの提供を制限し、事務の執行上必要かつ適切で、相手方に必要な保護措置が講じられている場合にのみオンラインによる個人情報のやりとりを認めております。
現在、具体的には、外務省と結んでおります一般旅券発給システム、東京都住宅供給公社と結んでおります都営住宅管理総合システムなど、限られたものとなっております。
また、個人情報の本人外収集や目的外利用についても基本的に制限しております。ただし、本人の同意があるときや法令に定めがあるときなど、条例が例外事項として規定する場合にのみ行うことができることとしております。
このような制限を設けておりますことから、審議会報告におきましても現行規定を維持すべきとされ、今回の改正におきましては変更はしておりません。
○山口委員 行政判断で行われる例外規定を実施する場合には、多くの自治体では、審議会などの第三者機関の意見を聞くことで第三者のチェックを受けることにしていると聞いておりますが、都の見解を伺います。
○三森参事 ご指摘のオンライン結合、本人外収集、目的外利用といった例外的取り扱いにつきましては、条例はこれを制限し、特定の規定に該当する場合にのみ行うことができることとしております。現在、これらの例外的取り扱いの有無は、個人情報取扱事務の届け出に記載し、閲覧に供しておりまして、都民が内容を確認できるようになっております。
第三者機関としての審議会は、現在は制度のあり方について審議する機関とされておりますが、条例改正によりまして、制度運営についても意見を述べることができるよう、その機能を拡充することとしております。個人情報を取り扱う事務を新たに開始する場合には、例外的取り扱いにつきましても意見を聞くことができるものとしております。
○山口委員 今後はぜひもう少し、東京都の条例が比較的甘いといわれているところが--今の警察の届け出の制度ですとか、それから、今の第三者チェックなどのところがやはり他の自治体に比べて甘いといわれているところではないかと思いますので、今回はここまでということなのだと思いますが、今後はまたぜひ何かの機会には検討していただきたいと思います。
○福士委員 今までのご質問である程度わかった部分もございますけれども、この条例の読み方について主に絞って質問をさせていただきます。
まず一番最初に、民間部門における個人情報について、わざわざ東京都条例の対象とする理由及び必要性について伺います。
さきの本会議でもご質問が出ておりまして、ご答弁としては、国が五千人以上--五千一人以上ですか、それ以下のものも対象とした方がいいであろうということと、中小企業に対しては指針をつくるというようなお話がございました。しかしながら、五千人以下というのが、SOHOなんか考えると一人の個人の業者でも含まれるわけで、どの程度まで考えていらっしゃるのかも含めてお答えをいただければと思います。
○三森参事 個人情報保護法が適用されますのは、今委員おっしゃいましたように、取り扱う個人情報の量が五千一人以上の事業者でございます。しかし、個人情報の重要性は五千人以下の小規模事業者におきましても変わりはないことから、本条例案につきましては、五千人以下の個人情報を取り扱う事業者につきまして、条例による指導等を行うことができることとしております。
○福士委員 一人でも。
○三森参事 保有している個人情報が五千人以下ということでございます。
○福士委員 そうです。だから、事業者が一人でも二人でも、そういうことですよね。
○三森参事 そうですね。
○福士委員 それでは、二条四項の「公文書」についてですが、情報公開条例に照らしても、都の「機関」が「機関等」になるなど、除外規定が強くなって公文書の定義が狭くなったような気がします。そういうふうに読めるんですけれども、現行条例の定義との違いというのはどのようなものでしょうか。
○三森参事 公文書は、情報公開条例との整合性を図り、定義規定の整理を行ったものでございまして、歴史的、文化的資料を除外しておりますが、公文書の範囲は基本的には変わっておりません。
○福士委員 ちょっと戻って恐れ入りますけれども、三項の「公文書に記録されているもの」というのはどの程度のものをいうのか、これもお示しいただきたいと思います。
○三森参事 個人的メモを除く決定原議、会議資料、写真、フィルム、電磁的記録などの公文書に記録された個人情報のことでございます。
○福士委員 情報公開の関連でいえば、最近も、開示請求されたもので非開示にされていたものが、後日、メモ的ではあったけれども公文書扱いになったというものもありますので、開示の方でいえば、本当に個人のもの以外は除外しないように求めておきます。
次に、これは確認なんですが、第三条第三項において「知事その他の執行機関」という言葉が出てきます。その説明がございませんが、執行機関というのは具体的に何を指すのか、第二条で定義されている実施機関との違いはどのようなものか、伺います。
○三森参事 執行機関とは、地方自治法で定めております地方公共団体の長、行政委員会などの機関を指しております。実施機関は、本条例の適用を受ける個々の機関という意味で、執行機関より広くとらえてございます。
○福士委員 それで結構だと思いますけれども。
それでは、次に行きますが、十六条の二号から七号の非開示情報については、かなり細かく規定されていて、かつ広範過ぎるように見えます。これは個人の自己情報コントロール権を不当に制約することにはならないのか。最初の目的が、個人の情報についての自己情報コントロール権を目的にしてつくられたものですから、それの制約になってしまうのでは逆効果になるかなという気がしますので、この辺のところも確認をさせていただきます。
○三森参事 第十六条は、非開示情報が記録されているときを除いて個人情報を開示する義務があることを定めたものでございまして、非開示となる情報をできる限り特定し、どのような情報が非開示となるのか、また非開示の理由は何かを開示請求者が理解しやすいよう、詳細、具体的に規定いたしました。
この規定は、情報公開条例、個人情報保護法との整合性を図っておりまして、現行条例に比べて非開示の範囲は変わらないものでございます。
○福士委員 「権利利益を害するおそれがあるもの」とか、何とかのおそれがあるものとかというのがたくさん出てきますが、今までとも変わらないというふうに今お返事がありましたので、そういうふうに認識をさせていただきます。
次に、二十九条の二ですが、事業者の個人情報取り扱いについての苦情があったときについてお伺いをいたします。
民間事業者に介入する以上、その苦情に相当の理由がなければならないというふうに思っておりますけれども、その判断はどういうような形で行われるのか。それから、先ほど来出ておりましたけれども、それを審議する機関というのは、条例にも私はこういう場合きちんと書くべきだというふうに思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○三森参事 事業者の個人情報の取り扱いの苦情を受けた場合、都民からその内容を聞き、それを事業者に伝えまして、まずは当事者間における自主的な解決を促すことになります。事業者に改善が見られないときは、条例や法に基づき勧告または命令を行うこととなります。この場合は、今回の条例改正で、情報公開・個人情報保護審議会の機能を制度運営について意見を述べることができるよう拡充することとしておりまして、この審議会で意見を聞くことができることになります。
○福士委員 ちょっと確認しますけれども、そうしますと、なぜ審議会というのをきちんとここに明記されなかったんでしょうか。
○三森参事 今回の条例改正におきまして、審議会につきましては、制度運営について意見を述べることができるという条項に改めておりますので、そういう中で、今回のこのような状況につきましても、例えば重大な勧告ですとか命令については、審議会の意見を聞いてそういうことができるという規定に改めてございます。
○福士委員 何か表に見えにくいので、できればそういうこともはっきりうたっている方が安心できるかなという気はしますけれども。
では、二十九条のケースですが、そうすると、執行機関そのものが審議会に聞くというのも何か変な感じがするんですが、そういう場合は、要するに執行機関が知事にお願いをして知事から諮問をする、そういう形というふうに考えていいんでしょうか。それから、そういう諮問というのはどうなるのか、ちょっとその辺も確認しておきます。
○三森参事 今申し上げました続きですけれども、事業者に改善が見られないような場合で、条例に基づき勧告をするとき、あるいは法に基づき勧告または命令を行うときは、ただいまのご答弁で触れさせていただきましたように、あらかじめ情報公開・個人情報保護審議会の意見を聞くことができるものとしておりまして、諮問というよりも、意見を聞いて改善及び勧告等を行っていくということになっております。
○福士委員 できるものというふうになっているんですよね。しなければならないじゃないですよね。それでちょっとひっかかるんですけれども。なるべくそういうときは審議会の意見を聞いていただきたいというふうに私は思いますので、独断でやらないように--悪質性があるわけですから、そこの見定めも結構グレーゾーンになるのかなという気がしますので、そこはなるべく諮問機関、第三者機関を通じていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
それで、同じ二十九条の四なんですが、「事業者が行う個人情報の取扱いが不適正であると認めるとき」とありますけれども、その判断を知事その他執行機関というふうにされていますね。知事その他執行機関が独自に判断することになるんですか、こういう場合は。判断手段をお伺いいたします。
○三森参事 実際に事業者の指導を行いますのは、許認可などを通じて日ごろからその事業者を担当し、事業の内容に精通している所管課が行うことになります。個人情報の取り扱いが不適正かどうかの判断につきましても、情報公開課と連携をとりつつ、当該所管課が行うことになることとなります。
○福士委員 実施機関じゃないので、執行機関ですから、それでいいのかなというふうには思いますけれども。
そうしますと、二十九条の五の適用除外について、具体的な判断というのはどなたが行われるのか、それも確認しておきます。
○三森参事 適用除外に該当するか否かの判断は、まず事業者自身が行うこととなります。苦情処理により行政に持ち込まれました場合は、知事その他の執行機関が判断するものと考えております。
○福士委員 この適用除外ですけれども、放送機関、新聞社など報道機関、それから報道をなりわいとしている個人もそうですし、著述業の方、それから大学とか宗教団体、政治団体、そういうものが入っているわけですが、執行機関の判断で不適当とされた場合は、例えば報道機関などの取り扱う個人情報であっても、執行機関は資料の提出などを求めることになるということになるんでしょうね。どうでしょう。
○三森参事 報道機関が個人情報を報道の用に供する目的で使用する場合は、苦情処理のための報告の聴取、助言及び勧告できる旨の規定は適用除外となりますため、資料の提出を求めることはできないものと考えております。この場合、苦情があった旨を報道機関に伝えることはできると考えております。
○福士委員 簡単なときはそうなんでしょうというふうに私も思いますけれども、さらに、どういう目的で個人情報を取り扱っていたかの挙証責任というんですか、そういうものが報道機関に転嫁されるということは、では、ないというふうに考えてよろしいでしょうか。
○三森参事 利用目的に争いがある場合は、報道の用に供する目的であることの説明を報道機関から聞く場合もあると考えております。
○福士委員 そうしますと、個人情報収集の目的のほか、だれにどうしたかとか、どういうふうな使い方をするかとか、細かいところまで執行機関がかかわって判断するということになると考えていいんでしょうか。一度これを確認させていただきます。
○三森参事 第二十九条の五におきます適用除外につきましては、先ほどもちょっとご答弁させていただきましたように、苦情処理のための報告聴取、助言及び勧告できる旨の規定は適用除外ということになっておりますので、資料の提出を求めることはできないものと考えております。
○福士委員 このところ、執行機関がおやりになるしても、実施機関と何かあうんの呼吸みたいな行動をされる例もないとはいえないわけで、この条例そのものは、本来、個人情報保護条例ということは、第一条の目的の最初に書かれているように、高度情報通信社会にあって個人の自己情報コントロール権がどれだけ守れるかという、そういうもののためにできたものというふうに考えます。そこのところは履き違えないようにしていただきたいということをぜひお願いして、質問を終わります。
○池田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
○池田委員長 これより大学管理本部関係に入ります。
付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
第二百二十九号議案から第二百三十一号議案まで、第二百五十一号議案及び第二百五十二号議案並びに報告事項、首都大学東京新大学院について、請願一三第一四九号、陳情一四第一三号、陳情一六第四七号及び陳情一六第九一号を一括して議題といたします。
付託議案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はありませんでした。
請願陳情について理事者の説明を求めます。
○三橋管理部長 本日ご審査いただきます請願一件、陳情三件につきまして、お手元の資料、請願陳情審査説明表に基づきましてご説明申し上げます。
表紙を含めまして二枚おめくりいただきたいと存じます。
初めに、一三第一四九号、都立大学における昼夜開講制度(A・B類制度)の存続に関する請願でございます。
この請願は、東京都立大学A類学生自治会代表、丹直友さんほかから提出されたものでございます。
要旨は、都立大学における昼夜開講制度に基づく学部教育を維持発展させていただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、都立大学の昼夜開講は、夜間において勤労学生に教育の機会を提供することなどを目的として実施してまいりました。しかしながら、就労形態の多様化など社会経済状況等の変化に伴いまして、夜間でないと学べないという学生は減少してきております。こうした状況を踏まえまして、B類につきましては、平成十五年度入学生を最後に募集を停止したところでございます。
恐れ入りますが、一枚おめくりいただきたいと存じます。次に、一四第一三号、東京都大学改革による都立短期大学廃止反対に関する陳情でございます。
この陳情は、東京公務公共一般労働組合大学非常勤講師分会代表、志田昇さんほかから提出されたものでございます。
陳情の要旨は、都立短期大学につきまして次のことを実現していただきたいというものでございます。1、廃止を取りやめ、存続・充実を図ること、2、改革によって、各大学に勤務する非常勤講師の勤務条件の改悪や雇用の機会が失われることのないようにすること、3、改革は、各大学に学び、また働く関係者及び都民の総意に基づくものとなるように引き続き検討することでございます。
現在の状況でございますが、項目1につきましては、都立短期大学の夜間課程につきましては平成十五年度、昼間課程につきましては十六年度入学生を最後に学生の募集を停止したところでございます。
項目の2につきましては、大学の非常勤講師は一年以内の単位で委嘱をしているものでございます。非常勤講師の勤務条件などの制度設計につきましては、現在検討を進めているところでございます。
項目の3につきましては、現在、首都大学東京の開学に向けまして、教学準備会議及び経営準備室運営会議におきまして、教員参加のもとで準備を進めているところでございます。
一枚おめくりいただきたいと存じます。次に、一六第四七号、新大学構想の撤回及び都立四大学の自主的・民主的改革に関する陳情でございます。
この陳情は、東京地区大学教職員組合協議会議長、鈴木亨さんほかから提出されたものでございます。
陳情の要旨は、次のことを実現していただきたいというものでございます。1、都立四大学の教育研究の継承を確認し、強権的廃止を撤回すること、2、都立四大学の教職員を排除した、東京都大学管理本部による一方的な新大学設置を中止すること、3、都立四大学の意思を尊重し、大学改革を自主的、民主的に進めることでございます。
現在の状況でございますが、項目1につきましては、平成十三年十一月の東京都大学改革大綱の策定及び平成十五年九月の新大学設立本部の設置に当たりまして、四大学廃止、一大学設置という考え方を示したところでございます。本年四月に首都大学東京の設置を文部科学大臣に申請いたしまして、九月三十日に大学設置認可を得ているところでございます。
また一枚おめくりいただきたいと存じます。項目の2及び3でございますけれども、首都大学東京の準備作業に当たりましては、教学準備会議等におきまして、新大学への参加を予定しております都立の四大学の教員全員が主体的に参加する形態で検討を進めており、現在、新大学設置後の体制に近い形態で検討、準備を進めているところでございます。
また、現大学教員の意見を反映するため、これらの会議には都立大学総長を初めとする現都立四大学の総長、学長が出席いたしております。
最後に、一六第九一号、都立四大学を統合する法人の設立、新大学・大学院の設置に関する陳情でございます。
本陳情は、開かれた大学改革を求める会代表、西川直子さんから提出されたものでございます。
要旨は、都立四大学を統合する法人の設立及び新大学、新大学院の設置に当たって、都は、学生、大学院生が安心して学習研究に取り組み、大学人が安定した教育研究を継続することを保障する定款、学則その他の諸規程を作成していただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、定款、学則等につきましては、教学準備会議、経営準備室運営会議で検討しているところでございますけれども、その検討過程におきまして、現大学からも意見をお聞きした上で反映をいたしております。
なお、定款につきましては、議会の議決をいただくべく、今定例会に議案を提出いたしているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○池田委員長 説明は終わりました。
これより付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○村上委員 首都大学東京の開学まであと三カ月半余りとなりました。今回の第四回都議会定例会には、公立大学法人首都大学東京の憲法ともいうべき定款案など、法人設立に関する五件の条例案、議案が上程されました。約四年にわたる都立の大学改革、我が党の山本先生、遠藤先生がずっとかかわってまいりました。いよいよ最終段階に達し、その成果が花開こうとしているのを感じます。いまだに批判を繰り返す人々もいるようですが、ここまでつくり上げてきた土台に立って、ぜひとも実りある大学改革をなし遂げていただきますよう、この場をかりて強くお願い申し上げます。
この定款案は、公立大学法人首都大学東京の組織運営に関する根本的な規約であります。法人運営はこれに基づいて行われるものであり、極めて重要なものと考えます。今回は、この定款案について、確認も含め質問させていただきます。
まず、法人、大学の所在地について伺います。
定款では、公立大学法人首都大学東京の所在地が新宿区となっておりますが、それはなぜでしょうか。また、大学の所在地は八王子になっております。キャンパスは日野、荒川などにもあるはずですが、なぜそのようになっているのか、お伺いをいたします。
○宮下参事 首都大学東京は、都から独立した公立大学法人として設立することになりますけれども、その運営の主たる財源が都から交付される運営費交付金等であること、それから、都が定める中期目標を踏まえまして法人が中期計画を策定し大学を運営していくことなど、都と調整していく必要がある事項も多いわけでございます。また、八王子、日野、荒川など離れた場所にキャンパスがございますため、大学の運営を円滑に行うためにも、当分の間、法人本部は新宿の都庁内とした方がよいと判断したものでございます。
それから、大学の所在地についてでございますが、大学の所在地は各キャンパスすべてを記載する必要はない、代表するキャンパスの所在地を記載すれば足りるという文部科学省の見解に従いまして、二つの学部を抱える八王子市南大沢としたものでございます。
○村上委員 確かに、全く異なる文化の中で発展してきた四つの大学が、一つの法人、一つの大学になるのは大変なことであり、一朝一夕にはいかないと思います。経営、教学の両面から法人運営を適切に行い、法人の一体感を早期に目指していってもらいたいと考えます。
次に、法人運営の仕組みについてお伺いいたします。
定款では学長と理事長とを別に任命するとなっておりますが、それはなぜでしょうか。国立大学法人では学長が理事長の機能を兼務いたします。首都大学東京の場合、学長と理事長を分離したのは、経営の視点に欠けていたこれまでの都立の大学運営の反省を踏まえると適切なことと思います。
次に、定款には、経営に関する重要事項を審議する経営審議会と、教育研究に関する重要事項を審議する教育研究審議会が置かれることとなっておりますが、これについてお伺いいたします。
まず、経営審議会についてですが、学外委員三名を置くこととしておりますが、その理由はなぜでしょうか。また、既に予定者が公表されておりますが、人選はどのような基準で行ったのか、お伺いいたします。
○宮下参事 二点ご質問があったかと存じます。
まず、学長を理事長と別に任命することとした理由ということでございますが、委員、質問の中でおっしゃいましたように、少子化を背景に、今後ますます大学間の競争が激化してまいるわけでございまして、大学は今後経営の視点を持って運営していく必要がある、そういう観点から、学長とは別に理事長を任命し、経営感覚を持って大学を運営していく体制をとったということでございます。
二つ目のご質問ですが、経営審議会に学外委員三名を置く、その理由ということでございますが、これも同じく、経験豊富な学外委員から経営に関してさまざまな意見を聞きまして、それらを法人の経営に生かそうという趣旨でございます。
それから、人選はどのような基準で行ったかということでございますが、三名につきましては、大学経営、企業経営、それから産学公連携の各分野から実績のある方々を選任したところでございます。
○村上委員 組織を運営するに当たっては、内部だけではなく、外部の目でしっかりと運営状況を見てもらうことが大切なことだと思います。外部の視点が入ることにより組織は活性化します。せっかくの外部人材なのですから、大いに活躍してもらいたいと考えます。
次に、法人運営に関しては理事長が最終的な決定権を持っているということですが、重要事項については経営審議会や教育研究審議会に諮ることとなっております。双方にかかわる事項については両方の審議会で審議を行うこととなると思いますが、両審議会の意見が異なった場合にはどうするのか、お伺いをいたします。
○宮下参事 両審議会の意見が異なった場合というお尋ねでございますけれども、経営審議会の構成員でございます事務局長を教育研究審議会の構成員とし、また、教育研究審議会の構成員である学長、副学長を経営審議会の構成員とするなど、両審議会の間の意思疎通を円滑にする配慮を行ってございます。したがいまして、両審議会の意見が決定的に異なってしまうというような場合は想定してございません。
しかしながら、万が一異なったという事態が生じた場合には、両審議会の意見を十分しんしゃくしつつ、最終的には理事長が決定することになる、そのようになってございます。
○村上委員 経営と教学は立場が異なるのですから、意見が異なることもあると思います。しかし、そうした異なった視点の両面からじっくり審議することにより、実りある審議が成立するものだと考えます。
次に、人事についてお伺いをいたします。
定款を見ますと、第十九条に経営審議会の審議事項が列挙されております。その第一項第四号には「人事の方針に関する事項のうち、法人の経営に関する事項」とあり、また第二項には、そのうち「教員の人事の方針に関する事項(人員、人件費及び給与制度の方針に関する事項を除く。)について審議するときは、あらかじめ教育研究審議会の意見を聴くものとする。」と記載されております。
一方、第二十三条には教育研究審議会の審議事項が列挙されております。その第一項第三号には「人事の方針に関する事項のうち、教育研究に関する事項」とあり、その第二項には、経営審議会の審議する人事の方針のうち「教員の人事の方針に関する事項(人員、人件費及び給与制度の方針に関する事項を除く。)について、経営審議会に意見を申し述べることができる。」と記載されております。
なぜこのように規定をしたのか、人事に関する審議会のかかわり方についてわかりやすく説明していただきたいと思います。
また、定款には記載されておりませんが、人事委員会を設置すると聞いております。経営審議会、教育研究審議会の、対審議会との関係はどうなるのでしょうか、お伺いいたします。
○宮下参事 人事に関する両審議会の審議事項についてのお尋ねでございますけれども、教員の人事に関する審議事項といいますのは多岐にわたりまして、経営と教育研究の両分野にまたがる部分がございます。そのため、その点は経営側と教学側が十分に意見を取り交わす必要がございまして、教育研究審議会が申し述べた意見をあらかじめ聞き、経営審議会で審議することとしてございます。
なお、人員、人件費及び給与制度は予算に密接な関係を持ちますので、予算を審議する経営審議会で審議することとしたものでございます。
それから、人事委員会についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたとおり、人事に関する事項は、任用・給与制度、定数管理、人件費管理、勤務時間制度、採用、昇給、昇任、処分等々多岐にわたります。しかもそれらが相互に関連いたしまして、経営、教学双方にまたがる審議事項が多いわけでございまして、そこで、両審議会を補佐し調整する機関として人事委員会を設けることとしたものでございます。したがいまして、この人事委員会の権限は両審議会からの委任を受けるものでございまして、メンバーも経営と教学双方から構成することとしてございます。
○村上委員 教員の人事については、大学の自治との関連で配慮が必要と考えますが、どのような運用をしていくのか、お伺いをいたします。
○宮下参事 地方独立行政法人法第七十三条では、理事長と学長を別に任命する大学における教員の人事は、学長の申し出に基づき理事長が任命するという規定になってございます。その規定を受けまして、教員の具体的な人選に当たりましては、人事委員会で検討し、両審議会の審議を経て決定した教員の人事方針に沿いまして、専門分野の教員で構成する教員選考委員会で候補者を選任、そして学長の申し出に基づきまして理事長が任命することとしてございます。
○村上委員 経営の視点を導入することは大事ですけれども、事務局が余り前面に出るのは好ましくないと思います。大学の主役はあくまでも学生と教員です。新しい舞台で主役が生き生きと役割を演じられるような大学、都民から見て、すばらしい舞台である、そういうふうにいわれるような大学がよいと思います。ぜひそのような運営を心がけていってほしいと思います。
最後に本部長に伺います。
今回、定款案が議決され、国の認可を受ければ、いよいよ首都東京の公立大学法人がスタートすることになります。本部長としてどのような公立大学法人にしていきたいか、抱負をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
○村山大学管理本部長 今、副委員長からいろいろご指摘をいただきました。今度できる首都大学東京というのは、総合大学としては全国のトップを切って公立大学法人というふうになるわけでございまして、いろいろご指摘いただきましたように課題もございます。
今四つある大学でございますので、それをどうやって一体感を早く醸成していくのかという問題、あるいは、統合と法人化を一緒にやるということでございますから、そういう中での経営の視点あるいは外からの視点、都民の視点をどういうふうに経営、運営の中に入れていくのかというふうなことがございます。
いずれにいたしましても、今ご指摘いただいた点を踏まえまして、経営と教学が適切な役割分担を行いながら、本大学が目指すべき教育研究をどういうふうに実現していくのかという点に結実するような形で、これからそれぞれが役割を果たし、協力しながら頑張っていきたい、それを支えるべく、経営サイドの方も努力していきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
○花輪委員 私の方からは、まず学則のことについて少しお尋ねさせていただきたいと思います。
この大学は、首都大学東京という新しい大学と、いわゆる都立大学そのものは二〇一〇年までは一緒に並立してあるというようにお伺いしておりますが、今いる学生さんの教育上の問題とか、難しい言葉でいえば学生さんたちの身分保障みたいなものを含めて、学則というのが大きな役割を持ってくるのかと思いますが、新しい学則というのはもうできていらっしゃるんですか。
○紺野参事 来年四月の法人の設立に伴いまして、新大学首都大学東京とともに、現在の都立の四大学もあわせて法人化されることになります。このため、新大学及び現大学の学則を含めた現在の大学のさまざまな規程につきましては、すべて法人の規程として新たに整備する必要がございます。
現在、都立四大学の法人化後の学則につきましては検討中でございまして、現大学の意見も聞きながら内容を整理していきまして、法人設立とともに法人が学則を含めた諸規程を定めること、こういうことになるものと考えております。
○花輪委員 今、まだ決まっていらっしゃらないというようなことでした。
今回、今ある都立大学を廃止する条例も出ているわけですね。今都立大学に学んでいらっしゃる方、本当に大丈夫なのかなとやっぱり心配されていると思うんですよ。自分たちが今学んでいることがそのまま引き続き学べるんだろうか、自分たちの立場は本当に変わらずにいられるんだろうか、学則がどんな学則になるか心配だと思うんですね。
今決まっている段階でいいんですが、例えば履修方法とかカリキュラムとか、さまざまな、学生さんの身分保障を含めて、今ある東京都立大学の学則と、新しく法人化された後の、これも東京都立大学の学則というのかな、それと何がどう変わってくるのか、どういう視点で変わってくるのか、そのあたりをご説明いただけますか。
○紺野参事 法人化によりまして、地方独立行政法人法に基づいて新たに教育研究審議会が設けられるなど、大学運営の組織や進め方が今までと異なったものになってまいります。したがいまして、新しい学則ではそうした部分を反映させていく必要がございますので、組織運営の部分を中心に学則の内容を変更するということになろうかと考えております。
なお、学生さん方の教育内容を規定している部分や、先生お話しの学生の身分保障に関する内容を規定している部分については、いわゆる教育保障の観点から、基本的には現在の学則の内容を引き継ぐものになると考えておるところでございます。
○花輪委員 例えば院で学んでいる方々なんかは、研究そのものとか研究されている先生、そういう方について学びたいからこの大学に来た、この院で学んでいるという方が多いと思うんですが、そういう方々に対して、二〇一〇年まで心配しないで学べるんだよといい切って大丈夫なんですか。
○紺野参事 現在の都立の大学あるいは大学院で勉強されている学生さん方に対しては、教育保障の見地から、安心して勉強を進めていただけるように引き続き環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○花輪委員 ぜひそのあたりしっかりと心配ないように、説明することも説明をして、実際にもそういう仕組みでつくっていっていただければというふうに思います。
次に、定款についてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、今、村上さんの方からもいろいろとお話がありました。この図で見ますと、経営審議会、経営に関する事項を経営審議会がやる、教育研究審議会、教育研究に関する重要事項を審議する、この二つがあるんですね。要は、大学というのは、今まで教授会というのがある意味、学校の運営その他もろもろに関して大きな意味では判断をして議論をしてきたと思うんですが、その教授会が線では全然つながってない、何かこの辺にぽんと置かれているんですね。点々で囲まれて、何だか非常に、どこに教授会が位置するのかなというのはこの図から見ると非常にわからないわけですが、今回この定款に載ってくるこのあたりの教育研究審議会とか経営審議会、そういうのと教授会というのはどういう関係になってくるんでしょうか。
○宮下参事 教育研究審議会は全学的な教育研究に関する重要事項を審議するということで、教授会におきましては、部局ごとの教育研究に関します重要事項を審議するというふうにご理解いただければと思います。
○花輪委員 いまひとつご説明が、私が頭が悪いのか、理解できないというか、見えてこないのですが、要は、教育、例えば教員の人事とか、さまざまなことを今まで教授会が大体審議して決めてきたわけですよ。そういう意味でいうと、これからは、一体教授会は、逆にいえば、どういう責任を教学上の観点とか教員人事の部分で果たしていくんですかね。もう教授会というのは、そういう意味でいうと何の責任もない、また、ある意味そういう権限もないようなところに置かれてしまうんでしょうか。
○宮下参事 教員の人事の話がございまして、それは今まで教授会あるいは評議会等で審議してきたというのは事実でございます。それは、教育公務員特例法という法律がございまして、それに基づいて教授会等で人事について審議して決定するということでございましたが、今度法人化いたしますと、その教育公務員特例法が適用されなくなります。それにかわって地方独立行政法人法で、経営審議会あるいは教育研究審議会で重要事項を審議して、最終的には、人事に関しましては、教員については学長の申し出に基づいて理事長が任命する、こういう形になります。
したがいまして、人事に関してはそういう形になりまして、それを除く審議事項については、教授会はこれまでと同様というふうにご理解いただきたいと思います。
○花輪委員 若干不安なのは、先ほど大学の自治はどう担保されるのかというようなこともありました、その大学の自治とか学問の自由とか、そういうのが本当に担保されるのかなというのが非常に不安なんですね。
なぜかというと、確かに東京都が税金を投入してつくっている大学です。経営者のトップは理事長さん、理事長さんは知事が任命するということになっています。ただ、学問というのは、時の権力から好まれない学問をするときもあるわけですよね。戦前なんかは、恐らく時の権力から好まれない学問はさせないようにさせないようにと、あの手この手を使って大学の自治を、学問の自由を抑え込んでいったという歴史があります。今はこれだけ平和な時代です。そういう暴走するような権力も急には来ないだろう、そういう安心があるのかもしれません。ただ、我々がいつも考えなきゃいけないのは、もしそういう非常に乱暴な権力者があらわれてしまったときにも、しっかりと学問の自由とか大学の自治というものが守られるようなことが担保されなきゃいけないな、私はいつもそういう不安に、こう考えています。
今回、特に都立大の場合は、若干そういう部分が大丈夫かなというふうに不安に思っているんですが、そのあたりはちゃんと担保されるんでしょうか。
〔「三、四十年前の全共闘の議論みたいだな」と呼ぶ者あり〕
○宮下参事 教授会の人事権等につきましては先ほどご答弁したとおりでございますけれども、特にご心配の学問等の自由の関係で、教員の人事、どういう方式でということでございますが、人事につきましては、いろいろな事項が多岐にわたりますので、先ほど申し上げましたとおり、人事委員会、それから教員選考委員会等を設けて対応しようと考えております。
その教員選考委員会で具体的な教員の選考を行いまして、学長の申し出により理事長が任命するということになるわけでございますが、教員はその人事委員会あるいは教員選考委員会の構成員となりますので、学生教育あるいはカリキュラム編成を考慮した教員の選考を行い得る仕組みとなります。
○花輪委員 三十年前ぐらいに全共闘が議論したという話を今お伺いしたんですが、私はまだ子どものころだったかというふうに思いますが、逆に、平和ぼけをしないで、そのあたりの緊張感はいつも持っていることが私は大事だというふうに考えております。
あと、ここからはちょっと意見とさせてもらいますが、さっき、これから全入時代に入っていく、そういう中で、ほかの大学との競争、そういうものに勝ち抜くためには経営の観点が必要だというようなお話がありました。
私は、公の大学とは一体何をするべきなのかなといつも思うんですね。ほかの大学と競争していくのが公の大学の役割だろうか。いや、私は、そうじゃなくて、逆にいえば、普通の大学がしないような、いわゆるお金にならないとか、そういうような意味の、というような学問をしっかりと地道に研究していくのも公の大学のする役割なのかなというふうに考えています。ですから、公の大学がビジネススクールをしたり、またその他、法科大学院なんかもするのは、本当はそれで正しいんだろうか、いいんだろうか、官と民の役割分担でいえば、もしかして民業圧迫になるんじゃないか、そのようにも危惧を覚えたりいたします。
ですから、ぜひ公の大学の役割とは何かということを皆さんにもいつも考えていただいて、民間と、私学と競争するのが公の大学の役割ではない、そのあたりもぜひご理解をいただければ、そんなふうに考えております。
あともう一つ、請願でA類、B類のことが出ておりました。私は実は東京都立大学のB類の卒業生でございます。当時はまだ八雲に大学があった時代です。今からちょうど二十年近く前になりますが、都立大学が南大沢に移転するというときに、私たちは大反対運動をしました。駅前で署名したり、いろいろなところに行って署名活動をしておりました。なぜかというと、都立大学が南大沢に行ってしまえば、間違いなく都心で働く者は南大沢まで通えるわけがないわけですね。ですから、B類はそのものの意味がなくなるのではないか、そういう思いも込めまして反対運動をしました。
当時は、区役所に勤めている方、外務省に勤めている方、また税務大学校なんかに行っているやつもいましたし、普通の民間企業に行っているやつもいました。私も、ちょうど父が病に伏せって仕事をしていなかったもので、都立大学に行かせていただいて、朝七時半から四時ぐらいまで働いた後に学校に、六時十五分からの授業に参加させていただきました。
特にこのA類、B類というのは、入るときにはA類、B類で差がありますが、入ってしまえば、あとはほとんど、カリキュラムにも全く差がない、また卒業した後も、だれがB類卒業か、だれがA類卒業かというのは今わからないというんですね。卒業名簿にも載っておりません。
この前、B類の学生が僕のところにやってきて、人づてに花輪さんがB類だと聞いて来たといっています。B類の方々がどのように学んでいたかということを聞こうと思って、B類の学生を探そうと思ったけれども、探す資料がなかったというぐらい、A類とB類は、差別なく、区別なく実は学ばせていただきました。
就職活動のときも、中には、大手企業なんかは、二部学生は最初から入り口でノーという会社が多かったんですが、当時も都立大学は、A類、B類、これは隔てなかったわけですから、そういう普通は二部を入れない会社も要はB類はオーケーで、最初からいわゆる就職活動に入らせてもらえたわけです。
こういう非常に意味のある私は大学だったのかな、そして、A類、B類というのがある一定役割を果たしていたのかな。逆にいえば、南大沢に行ったときに、ある意味私たちは勝ち負けでいうと負けてしまったのかなという気もするんですが、ただ、今回、このA類、B類の話というのは、ことしの入学、既に実際問題、募集停止がなされております。今回は断腸の思いでこの請願に対しては不採択の意見表明をしなければいけませんが、ぜひ、このA類、B類、大きな役割を東京都立大学として果たしてきた、そして優秀な人材も輩出してきたということをここで表明させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○石川委員 私からも、議案であります首都大学東京の定款案について、ただいま質問もありましたが、確認の意味も含めまして、若干質問をさせていただきます。
定款案に関しましては、批判的な意見も多々ある現在の状況であります。その背景には、多くは法人化の趣旨が理解されていないことによるものと思われるものもございます。そこで、この質疑でそうしたことが払拭できればと思いながら質問をさせていただきます。
まず、公立大学は、自治体の直営とするか法人化とするかは設立団体の判断に任されていると聞いています。そこで、首都大学東京はなぜ法人化することとしたのか、改めて伺います。
○宮下参事 大学間競争がますます激しくなっていくという中で、大学運営においても、効率的な運営体制のもとで質の高い学生サービスの提供を行っていくことが求められているところでございます。
先ほど、何も私立大学と競争する必要はないというお話がございましたが、状況から申しますと、私立大学との競争に限らず、国公立の大学の数が減っているわけではございません。一方で子どもの数はどんどん減っているというような状況にございますので、公立大学といたしましても、都民の税金を使って運営していく大学として、意義ある大学としての運営をますますしていかなければいけないという状況にございます。
そうした視点から、もっと大学運営に経営の視点を導入いたしまして、効率的、効果的な運営を行う仕組みを整備するとともに、それを通じて都民の期待にこたえる大学としていくために法人化を図るものでございます。
○石川委員 大学間の競争が激化する、したがって、大学運営における経営の視点の重要性はますます高まってきていることは事実だろうと思いますし、また、今お話ありましたように、毎年約百三十億円以上の多額の税金が投入されている都立の大学にありましては、より都民の期待にこたえなければならないという状況下であると思っております。したがって、みずからが改革に挑戦をしていくのは当然の私は時代の趨勢だと思います。
そこで、次に伺いますが、法人化をしますと、大学運営における意思決定の仕組みはどのようになるんでしょうか。
○宮下参事 まず、法人の理事長及び監事の任命につきましては、設立団体の長でございます都知事が行います。また、学長の任命につきましては、学長選考会議の選考に基づきまして理事長が行います。その他の重要事項につきましては、経営審議会や教育研究審議会の審議を踏まえまして、最終的には理事長が決定することとなってございます。
○石川委員 これまでの大学運営に関することは、今、るる質問等もありましたが、いわゆる教授会や評議会の合議制のもとで決められてまいりました。しかし、法人化後は、最終的には、ただいま答弁ありましたように、法人を代表する理事長の責任と判断でさまざまな事項を決めていくということになります。
ということで、理事長の権限が強過ぎるのではないか、場合によっては理事長独裁になってしまうのではないかと心配する声がありますが、その点どうでしょうか。
○宮下参事 理事長が最終決定すると申しましても、重要事項は経営審議会や教育研究審議会の審議を経ることになってございます。また、その他の事項につきましても、権限の源泉は理事長にあるといたしましても、組織体として活動していくためには、理事長以下の職層に権限の配分をしていく必要がございます。これは今後法人の規程で整備していく予定でございます。
さらに申し上げれば、法律上の仕組みといたしまして、運営費交付金や授業料の上限額などにつきましては都議会の議決が必要となってございます。それから、中期目標、中期計画の達成状況、実施状況につきましても、知事の附属機関でございます評価委員会が評価を行うこととなってございます。ほかにも、知事が任命する監事や会計監査人による監査、教育研究に関しましては認証評価機関の評価など、さまざまな仕組みが用意されてございまして、お話のようなご心配には及ばないと考えてございます。
○石川委員 すべてをトップ、理事長だけが決定していくというのではなく、関係者が役割分担しながら組織運営を行っていくというのはどんな組織でも同じであり、公立大学法人としても変わりはないだろうと思います。また、重要な事項は、理事長だけで決めるのではなく、関係者の議論を踏まえ判断していくという仕組みも整備されているようであります。外部からの評価、関与の仕組みもあるとのことです。
そういうことではありますが、それでもなお、理事会を設置して合議制による意思決定をすべきとの意見がありますが、いかがでしょうか。
○宮下参事 決定権限は理事長にあるわけでございますが、重要事項は経営審議会及び教育研究審議会で審議するということになってございまして、実質的には合議により意思決定していくことになります。仮に理事会を設置するとした場合には、法定の両審議会とその理事会との間の関係というものが整理できません。
また、経営審議会には学長が教学の立場から、教育研究審議会には事務局長が経営の立場から参加いたしまして、それぞれの審議の中で意見が調整されていくよう工夫してまいります。
それから、意見の調整が最後までつかないようなことは想定しておりませんが、仮にそうした事態が生じた場合には、法人を代表する理事長がみずからの責任と判断で決定するということでございまして、あくまでも、両審議会の審議を経て、実質的には合議で意思決定していくということでございますので、ご安心いただきたいと存じます。
○石川委員 経営審議会、教育研究審議会のほかに理事会を設けても、法人の意思決定の仕組みが複雑になるだけで、有効に機能するとは限らない、逆に迅速な意思決定ができなくなるおそれがあるとの答弁であります。
しかし、これまで何十年にもわたって続けられてきた教授会、評議会による意思決定の仕組みが、法人化に伴い、経営審議会、教育研究審議会での審議を踏まえ理事長が決定するという仕組みに変わる、大学運営の仕組みが大きく変わるのだから、いわゆる大学の自治が侵されると心配する声が出るのも、私は無理からぬことだと思います。だからこそ、私としては、公立大学法人首都大学東京はこれから実績を示して、それほど心配することはなかった、むしろ法人化としてよかったといえるような運営をしてもらいたいことを強く願うものであります。
ところで、そうした中、現大学の学生からも、法人の設立に伴い、学習教育環境や教育の権利が本当に保障されるのだろうか、新大学優先で十分な対応がなされないのではないかという疑問や不安の声が私のところにも寄せられています。新大学の設立は重要なことではありますが、だからといって、引き続き在学する現大学の学生に対し、情報提供がおろそかになり、不安を与えるような事態はできるだけ避けなければなりません。
そこで、今、現学生、院生の最大の心配事は学則であります。学則は、学生の身分や教育内容など、学生生活の基本事項を定めるものでありますが、都立大学など現大学の学則は、法人化に伴いどうなるのでしょうか。
○紺野参事 来年四月の法人設立によりまして、新大学とともに、現在の都立の四大学も法人化されることになります。そのため、現大学の学則につきましても、法人の規程として改めて定める必要がございます。法人化によりまして新たに教育研究審議会が設けられるなど、大学の組織運営体制は現在と異なるものとなってまいります。また、授業料や入学料なども、東京都の規程により定められていたものが、法人の規程により定められるものとなります。新たに学則を定めるに際しましては、このような変更点を反映させた内容のものとして整備していく必要がございます。
なお、委員ご指摘の、学生の教育内容にかかわる部分あるいは懲戒など学生の身分保障に関する内容を規定している部分につきましては、教育保障の観点から、現大学の学則を引き継ぐものとなるよう十分配慮してまいります。
○石川委員 法人化に伴い、大学の運営、また組織が変わるから、その部分は変えなきゃならないということですね。
そこで、ちょっと具体的にお伺いしたいんですが、例えば、現在、都立大学には学生部という部がございますけれども、これは今後どういうふうに変わっていくんでしょうか。
○宮下参事 新しい大学、公立大学法人首都大学東京におきましては、学生サポートセンターというものを設置いたしまして学生の支援に当たるつもりでございます。この学生サポートセンターにつきましては、新しい首都大学東京のみならず、現在の四つの大学の在学生に対しても、新しい大学の学生と同様の学生支援を行う予定でございます。
○石川委員 もう一つ、法人化により新たに教育研究審議会が設けられる、こうありますけれども、これは新大学、それから現四大学にも設置されるんですか。
○宮下参事 公立大学法人首都大学東京におきましては、経営審議会は一つだけ設置するつもりでございますが、教育研究審議会につきましては、新しい首都大学東京及び現在の都立の四つの大学の教育研究審議会、合わせて五つの教育研究審議会を設置する予定でございます。
○石川委員 法人化に伴い、大学運営の仕組みが変わるので、学則の内容に変更があるのは仕方のない当然のことだと思いますが、現在の学生の学習教育環境が守られるよう、最大限配慮をお願いしたいと思います。
また、学生においては、奨学金や寮に関しても、新大学優先で、現大学の学生にしわ寄せが来るのではないかという不安の声が寄せられておりますけれども、この点についてはどうなりますでしょうか。
○紺野参事 委員お話しの、まず奨学金でございますが、奨学金につきましては、独立行政法人日本学生支援機構が学生数などをもとに大学ごとに設定した枠の中で、経済状況や成績状況など、学生支援機構が定めた基準に従って大学が推薦するものでございます。したがいまして、新大学と現大学の学生間で不平等な取り扱いが生じることはございません。
また、寄宿舎、いわゆる寮でございますが、現在、本年度中に寄宿舎で共同で利用する洗濯機、乾燥機、給湯器等を新しいものと入れかえるなど、入居者の生活環境の維持向上に努めていくところでございます。今後、一年生が二年生になり、二年生が三年生になりということで学年進行が進みますと、現大学学生の入居者は年々減少していくことにはなりますが、現に入居している現大学の学生は、引き続き現行と同様の条件のもとで入居が継続できるようにしてまいります。したがいまして、現大学の学生が不利益をこうむるといったようなことはないというふうにお考えいただければと思います。
○石川委員 現大学の学生の権利をきちんと保障していくという方針はよくわかりましたが、新法人設立まで、あと三カ月半ばほどしかありません。具体的に情報提供をしていかないと、当事者には不安が募っていくばかりであります。新大学の設立時にも大変だとは思いますが、現大学の学生、院生に対するきめ細かな情報提供をぜひともお願いいたしておきます。
また、法人設立後もできるだけ良識ある先生方や学生の意見を組み入れるなどして、学生や教職員が安心して勉学や研究に励めるような大学運営を行ってほしいと思います。
最後に、本部長にお伺いいたしますが、今回の定款案で公立大学法人首都大学東京として新しい大学運営の形を示したとは思いますが、さらに続けて、今後の実際の業務運営においても、これから法人化を検討している公立大学の模範となるような運営が行われるようにしてほしいと願うものですが、本部長の決意を伺い、質問を終わります。
○村山大学管理本部長 今、委員から、ご心配も含めていろいろご指摘いただきました。今回の公立大学法人化というのが、そもそも今日の社会の中で、どうすればよりよい教育研究を、環境づくりあるいは実績づくりをしていけるのかということの中での一つの仕組みの選択でございまして、ご指摘いただきましたように、そういう目的が果たせるようにこれから頑張っていきたいというふうに思っております。
もちろん、これから三カ月半頑張るわけでございますけれども、来年四月に新法人の仕組みができ上がっても、まだそれはその仕組みの段階でございまして、道半ばということでございまして、それをどうやって適切に、あるいは有効に活用して、ご指摘いただいたような都民の期待にこたえられる実際の運営を行っていくのか、確かな実績を残していくのかということが、これからの私どもに課せられた使命であるというふうに思います。
それは、新しい首都大学東京に入ってこられる方についてももちろんですし、現在の大学も法人の中のそれぞれの大学になるわけでございますので、それらに学ぶ学生諸君の教育水準の確保ももとよりでございます。
来年四月には、首都大学東京のほかにも、横浜市大とか大阪府立大学といったような公立大学法人が設立されるような状況もございます。さらに、その後の法人化に向けて準備をしているところも公立大学の中にも多いというふうに聞いております。
私どもといたしましても、そういう中のトップを走るべく、教員と事務職員が一致団結して他の公立大学法人のモデルとなるべく、ご指摘いただきましたように、法人化してよかったというふうに都民、国民、学生、教員諸君から、皆さんからいわれるような、そういう大学運営ができるように頑張っていきたい。ご支援のほどよろしくお願いいたします。
○池田委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十七分休憩
午後三時三分開議
○池田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○木村委員 私も、公立大学法人首都大学東京定款についてお尋ねをいたします。
まず、そもそも論からですけれども、本定款は、地方独立行政法人法によって都立大学が首都大学法人立大学になる、そのための定款ですね。
○宮下参事 そのとおりでございます。
○木村委員 もう一つ確認ですが、大学法人と大学そのものとは別個の組織であるということ、法人が大学組織そのものを包摂するものではない、法人は大学の設置主体である、設置者にすぎないということ、この点のご確認を。
○宮下参事 大学を設置するのは公立大学法人でございますが、設置した後の組織というのは、大学も含めて法人の組織になるわけでございまして、法人と大学が別々の独立した存在であるということではございません。
○木村委員 ちょっとややこしい話になりますけれども、設置した後も法人が設置者ですね。主体ですね。大学の組織とは、法人立の大学ですから関係あるといえば関係ある、一体といえば一体ですが、組織そのものは、大学そのものと大学法人組織そのものとは別個の組織ではないですか。
○宮下参事 組織に限らず、教職員についても、それから大学の資産についても、法人のものとなる。法律に、教職員については、今、公務員なわけですが、特段の辞令が発せられない限り、その法人の職員となるというふうに規定されています。
それから、大学の財産につきましても、東京都が法人に出資することによって、キャンパスも大学の建物も法人の所有という形になります。
そして、組織につきましても、教学関係の組織とか、あるいは事務関係の組織という分け方はできると思いますが、これは法人の中の組織というふうに位置づけられる、このように考えております。
○木村委員 もうそこから学問の自由を保障するための大学の自律性、自主性を確保するという点で重大な問題が始まっているわけですね。
しかし、大学の自律性、自主性という観点からまず問題にしなければならないのは、首都大学法人の業務運営の範囲なんですね。大学の何から何まで全部法人のものだと、今、組織の話がありましたけれども、法人と大学自体が行う業務との分配、これがどうなのかという問題だと思うんですね。
地方独立行政法人法は、公立大学法人の業務の範囲を、大学の設置及び管理、二十一条二号ですね、それから、これに附帯する業務に限っています。七十条です。
この規定を受けて定款には第二十四条が定められていると思いますが、業務の範囲、第二十四条、「法人は、次に掲げる業務を行う。」ということで、「一 首都大学東京を設置し、これを運営すること。二 学生に対して、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うこと。三 法人以外の者からの委託を受け、又はこれと共同して行う研究の実施その他の法人以外の者との連携による教育研究活動を行うこと。四 公開講座の開設その他の学生以外の者に対する学習の機会を提供すること。五 教育研究の成果を普及し、及びその活用を促進すること。六 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。」こういうふうになっています。
これを読みますと、地方独立行政法人法第二十一条二号に対応する規定が定款二十四条の一号、法第七十条に相当する規定が定款二十四条の六号ということになりますね、今、読んだのは。
そこでまず、定款二十四条一号には「首都大学を設置し、これを運営すること。」というふうにしていますけれども、地方独立行政法人法によりますと、二十一条二号は「大学の設置及び管理を行う」というふうになっていますね。運営と管理というのは明らかに違いますね。大学を管理するのは法人であっても、大学を運営するというのは大学自身ということになるんじゃないですか。運営と管理というのは意味するものが違うと思いますけれども、どうでしょうか。
○宮下参事 今お話しになりました地方独立行政法人法第二十一条の第二号には、業務の範囲として「大学の設置及び管理を行うこと。」と規定されておりまして、おっしゃるとおりでございます。
一方、同じく地方独立行政法人法第三条には、「(業務の公共性、透明性及び自主性)」という条文がございまして、その中に、第三条の一項では「適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならない。」、二項では「その組織及び運営の状況を住民に明らかにするよう努めなければならない。」、第三項では「地方独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。」と規定しているところでございます。
そこの「業務」というものをまた改めて二十一条に定めているところでございますが、この二十一条及び三条をあわせて読めば、要するに、大学の設置及び管理運営をすることというふうに解されるところでありまして、定款で、管理を行うことというふうに定めずに、運営を行うと定めましたけれども、それは、そのようなことでご理解をいただきたいと思います。
なお、他の公立大学法人が、これから首都大学東京と同様に設立予定でございますが、予定している定款では、横浜市立大学の場合、法人設立目的の規定では設置、管理、法人業務範囲の規定では設置及び経営とする予定だと聞いております。それから、大阪府立大学それから国際教養大学の例でございますが、国際教養大学はもう既に設立されておりますが、法人の設置目的の規定では設置、管理、それから法人業務範囲の規定では設置、運営としているところでございます。
○木村委員 明らかに二十一条では設置、管理というふうに、明確に「業務の範囲」という項目を立てた条項ですね、これには「大学の設置及び管理を行うこと。」というふうになっています。第三条の業務運営というのは、法人の業務の運営といいますか、学校の、そもそもの大学の教育の内容、教育の実際の大学の学問に直接かかわることではなくて、法人の業務ということになっているんじゃないですか。
そういう意味で、非常にこの辺はまぎらわしいと思いますけれども、それだったら、何も定款の二十四条に、法人の業務の中に、このように設置し運営することというふうにするというのは、非常にまぎらわしいんじゃないでしょうか。
○宮下参事 地方独立行政法人法は、大学のみを法人化するという趣旨でつくられた法律ではございませんで、公営企業等も法人化するということで規定しているわけですが、国立大学の場合ですと、国立大学法人法というのは、大学を法人化するためだけの法律ですから、ここでは運営という形で規定されているところですが、地方独法の場合は、今申しましたように、大学以外のものも含めて包括的に規定するということがありまして、一たん三条で「業務を運営」という用語を用いておりますが、それを受けた二十一条で業務の範囲を定める際に、運営の運営ということだと言葉が重なってしまうというような立法技術上の問題もあったのかと思いますが、「大学の設置及び管理」という規定の仕方になったものだろうと推測しております。
○木村委員 それはかなり苦しい話だというふうに思うんです。国立大学法人法には運営という言葉がたしか書いてありますよね。今いわれたように、国立大学法人法というのは、大学を専門に扱う法律としてつくられ、地方独立行政法人法というのは、今いわれたように、公営企業も含めて地方独立法人一般を扱うという形になっているからなんですね。
だからこそ、大学については厳密に、事、大学の問題についていえば厳密に「設置及び管理」というふうに、この条項で厳密にしたんじゃないですか。
そうでないと、第七十条には「公立大学法人は、第二十一条第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務以外の業務を行ってはならない。」、わざわざここでもう一度、第二十一条二号に掲げるということをいって、それに附帯する業務以外はやっちゃいけないよというふうに法的に念押しをしているわけですよ。
それを、三条を引っ張ってきて、業務運営にかかわることだから、何でも運営できる、大学もそうなんだということになったら、これは、第七十条でわざわざまたこういって、そのほかのことをやっちゃならないよといってきた意味が通らなくなりますね。どうでしょうか。
○宮下参事 ご指摘の第七十条の規定は、例えば企業が行うような営利的な活動を行ってはならないという趣旨でありまして、委員がいわれるように、大学と法人とは独立した別の存在であって、法人が大学の運営をしてはならないというような趣旨ではございません。そもそも公立大学法人首都大学東京、これとは別に各大学が独立して存在しているという前提に立ってのご議論だと思いますが、そのようなことはないというふうに考えております。
○木村委員 これに附帯する業務以外の業務を行ってはならないというのは、企業が営利を追求するような、そういうものをやってはならないという意味ですよというようなことはどこにも書いてないんです。それは、どこでどういう解釈がオーソライズされたのかというのはよくわかりません。
やはりこういう問題をあいまいにして放置しておくと、次々と重大な事態を引き起こすことになるのは、今、私が読みました定款の中にも既にあらわれているんですが、例えば、二十四条の法人の業務の分担一から六までのうち、例えば二は「学生に対して、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うこと。」、五は「教育研究の成果を普及し、及びその活用を促進すること。」というふうになっていますね。
これは、大学が学生らに対して行う教育研究活動そのものですよね。大学組織が行っているんですよ。法人が行うもの、法人組織が行うものじゃないですね。法人が決して口を出してはいけないということではないですか。これがもう既に大学の自治への介入であるというふうに私は考えますが、どうでしょうか。
○宮下参事 先ほど来申し上げているとおり、大学の教職員も法人の職員として法人から給料等を払うわけでして、資産も法人の所有になるわけでして、法人と大学が全く独立した別の存在であって、その大学に対して法人が口を出したりするのは学問の自由の侵害だとかそういうご議論でございますが、私どもはそのようなとらえ方をしておりません。
それから、定款に掲げてあります業務でございますが、大学の管理運営に関する事項を改めて二項以降に規定してございますが、この趣旨は、今後、力を入れるべき学生サポートセンターであるとか、産学公連携センターであるとか、オープンユニバーシティーといったものを、特にそのうちから外に出して規定したものでございまして、地方独立行政法人法に定める業務の範囲外のものを規定したという趣旨ではございません。
○木村委員 サポートセンターをつくるとかなんとかというのは、恐らく「附帯する業務」の範囲だと僕は思うんですよ。「教育研究の成果を普及し、その活用を促進する」ということも含めて、あなたがいっているように、教員はみんな法人から給料をもらうんだから、だから、大学のやることはみんな、それは法人組織の業務の中に入りますよということになったら、大学自体の自治、学問の自由というものは全くそこからなくなっていく、重大な介入になるというふうに思うんですね。
私はやはり、こういう二十四条の二号とか五号とかいうのは、その一号のところに「運営すること」というふうにあるから、つまり大学でやることはみんな法人のものなんだということで、法人の業務なんだ、大学の学問そのものは法人の業務なんだ、端的にいえばそういうことになりますね。
そういうふうになるから出てきたのであって、法の二十一条二号のように、設置、管理するということになれば、こういう文句は入ってこないというふうに思うんですけれども。だから、運営することを法人の業務にしたということは、大学の自治の保障という点で非常に深い介入になっているんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
○宮下参事 学問の自由を保障するということは大変重要なことだと思いますが、それと、大学それから法人が別個独立の存在であるということとは別問題だと思います。大学も含めた組織を法人の中に包摂する中で、いかに学問の自由が保障されるように運営していくかということであればご議論になりますが、全く別の独立した存在であるから、そこに法人が介入するとか介入しないとかいうご議論は、大学も含めて、大学の教職員も含めて法人に属するわけですから、やはり存在が別ということではなくて、その一つの法人の運営の中でいかに学問の自由を保障していくかということが肝要かと思います。
○木村委員 法人が大学の組織を全部包摂するという立場で答弁されていますけれども、こうなると、大学独自の自治というのはなくなるということになると私は思います。極めて重大な話だと思うんです。
確かに、こういうような定款がこういうふうに盛り込まれたというのは、国立大学法人法にそういう規定があるからだと思うんですね。さっき、企業がやるようなもうけ仕事をやっちゃいけないというような意味だという、そういうような解釈が飛び出しましたけれども、国立大学法人法には、全く提案されている定款と同じような規定があるんです。ですから、ひょっとして定款というのは、地方独立行政法人法じゃなくて、国立大学法人法を読んでつくったんじゃないかというふうに思えるぐらい、全く同じ中身になっています。
例えば、ちょっと紹介してみましょうか。国立大学法人法の業務の範囲です。「国立大学法人は、次の業務を行う。一 国立大学を設置し、これを運営すること。」、全く同じですよね。「二 学生に対し、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行う」、全く一字一句違わない。「五 当該国立大学における研究の成果を普及し、及びその活用を促進すること。」、これも全く同じですよね。そしてその次に、「各号の業務に附帯する業務を行うこと。」。定款の二十四条を見ますと、地方独立行政法人法ではなくて、国立大学法人法の規定をそのまま援用している。
しかし、地方独立行政法人法がなぜ、運営するということじゃなくて、管理するということにしたのか、そして、それを受けて七十条でなぜ、それ以外のものはやってはいけないよというふうにしたのか。そこのところを、先ほどから、いや、大学のみんなは法人のもので、法人から給料をもらっているんだから、大学がやることはみんな法人がやることなんだ、それは大学の自治を侵すことでも何でもないよというような乱暴な解釈でやったら、まさに大学の自治も学問の自由も形なしだというふうにいっていいんじゃないでしょうか。
国立大学法人法の条文が全くそっくり、この首都大学東京の定款に移しかえられている、一字一句違わないという点についてはどういうふうに思いますか。
○宮下参事 国立大学法人は国立大学法人法に基づいて定款を定めている。それから、私どもの公立大学法人は地方独立行政法人法に基づいて定款を定める。その法律の決め方が、一方は大学のみ、地方独立行政法人法はほかの公営企業等も含めた形で規定を定めているという、そこら辺の立法技術の問題であろうかと思います。
趣旨としては、国立大学も公立大学も税金を主たる財源として運営していくというところで共通しておりまして、一方は国税、一方は地方税という違いはあるにしろ、税金を主な財源として運営していくということからすれば、趣旨は同じで、大学の法人の業務の範囲というのは、それが国立と公立で相当違うということはないので、似たものになるのは当然のことであろうと思います。
○木村委員 なぜ、同じ大学のことを扱っている法律で、国立大学法人法は、大学を設置し運営することとなっていて、地方独立行政法人法によれば、大学を設置し管理するというふうになっているのか。管理するということだけじゃなくて、七十条で、それ以外のことをやっちゃいけないよというだめ押しの条文規定をやっているのかということなんですよ。
今の話、全然わからない。確かに宮下さんいわれるように、国立大学法人法というのは大学のみに関する法律で、大学の特性に配慮した法律です。地方独立行政法人法は、そうじゃなくて、公営企業型独立法人など地方独立法人一般を扱う法律。大学を専門的に扱う法律を参照すれば、恐らく間違いあるまい、同じ大学だからという価値判断があってのことかもしれませんけれども、国立大学法人法と地方独立行政法人法とは違う法律で、法律の構造も違うんです。
だから、国立大学法人法のその部分だけ引っ張ってきて、この定款の中にそっくりそのまま入れるというのは、同じ人間だけど血液型が違う、その血液型の違う人の血液を輸血するようなものだ。事は大学の自治、学問の自由のあり方の問題に関連してですけれども、違う法律で、構造も違う、決められ方も違う、しかし、利用できる都合のいいところだけ引っ張ってきて定款に入れるというのは、本当に血液型の違う人の血を輸血するようなものになるんじゃないかということですね。
というのは、国立大学法人法を見ますと、確かに、大学法人が行う業務の範囲を法律上非常に幅広く認めているんですね。例えば学則。国立大学法人法では、学則を国立大学法人の組織である経営協議会と教育研究評議会が定めることになっている。そこでの学則というのは、法律に書いてありますが、「「学則」とは、国立大学法人の規則のうち、修業年限、教育課程、教育研究組織その他の学生の修学上必要な事項を定めたもの」ということですね。ですから、これは本来大学組織が、学則ですから決めるべきことで、それが法的に、国立大学法人法では大学法人の業務として位置づけられている。
今回提案されている、国立大学法人法の部分を地方独立法人である大学に急遽入れるということによって、どうなるか。確かに今回は、定款には学則は触れられていません。先ほどからいろいろな心配の質問がありました。今回この定款が採択されると、法人業務の大学の、本来は管理でなきゃいけないのが、運営を規定されていますから、この定款が成立してしまえば、国立大学法人法と同じ構造で首都大学東京法人の業務の範囲に学則が入ってくるということになって、定款の変更をやれば学則も入ってきちゃうということになるわけですね。
つまり、そういうふうに地方独立行政法人法でやっちゃいけませんよということを、国立大学法人法を利用して、同じ大学だからいいじゃないかというので入れちゃうと、際限なく大学の自治に対する介入ができる、そういう仕組みになるんじゃないでしょうか。どうでしょう。
○宮下参事 学則についてのお尋ねですけれども、国立大学法人法の場合は、特に法人に本来ない学則を定める権限を法律に規定しているというようなご議論のように聞きましたが、私どもはそのように理解しているわけではございませんで、学則も法人が定めるのですが、その際に、教育研究に関する重要事項として、教育研究審議会での議論を経て法人の規程として定めるべきものである、そのように理解しております。
○木村委員 何か全然答弁になっていないですよ。地方独立行政法人法を守らないで、なぜ国立大学法人法の都合のいいところだけとるのかということを聞いているんですが、私は、少なくとも地方独立行政法人法が決めている範囲で、定款二十四条の一号の「運営」は「管理」に改める。第二号と第五号、学校自体、大学自体がやるものは、法人の業務からは除くべきというふうに思います。
問題は、国立大学法人法がなぜ法人が行う業務の範囲を本来学校が行う業務まで法律上広げたのかということなんですね。それに対して、地方独立行政法人法はなぜ法人の行う業務を限定しているのかということなんです。
その一つの根拠は、やはり理事長、学長の選び方、その権限、そこに大きな違いがあるということだと思うんです。理事長と学長の選任手続及びその権限がどうなっているのか。大学の自律性、自主性の確保の観点から、これは重要な問題なんです。
いうまでもないですけれども、学校法人と大学自体は、私は、別の組織、学校法人の代表者が理事長、大学の代表者が学長ですよね、大学組織の。理事長と学長を同一人物にする制度を理事長・学長一体型、別にする場合を理事長・学長分離型というふうにいうとして、一体型でも、理事長が学長を兼任するのか、学長が理事長を兼任するのか、これは大きな違いがあります。
それはさておいて、国立大学法人法は一体型ですよね。しかも、学長が理事長を兼任するんです。法律には、そもそも理事長という言葉、文言も存在していません、読みますと。理事という言葉、文言はありますけれども、理事長はないんです。学長が理事長なんです。地方独立行政法人法は、一体型でもよし、分離型を選択するのもよしというふうになっていて、提案されているのは分離型ですよね。
国立大学法人法による学長に関する規定というのは、読みますと、おおむねこうなっていますよ。「各国立大学法人に、役員として、その長である学長及び監事二人を置く。」、「学長は、学校教育法第五十八条第三項に規定する職務を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する。」、「学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う。」、国立大学法人の申し出は、学長選考会議に基づいて行う--法的に決められています。学長選考会議は、法人の組織である経営協議会と教育研究評議会のメンバーそれぞれ同数で構成される。文部科学大臣が行う学長の解任は、当該国立大学法人の学長選考会議の申し出によって行う。つまり、国立大学では学長が理事長なんです。その学長は、法人外組織であるかもしれないけれども、経営と教学それぞれから出ている委員によって選ばれて決まるということなんです。
これに対して地方独立行政法人法はどうか。地方独立法人法でも、原則としては理事長・学長の一体型をとっている場合もあるし、定款で分離型も認めるというわけですけれども、一体型をとる場合の理事長の選任は、国立大学法人法の場合と同じく、選考機関による選考に基づいて設立団体が行うというふうになっていますけれども、分離型でやる場合は、選考機関の選考を必要としない。設立団体の長が任命できるということになっているんじゃないですか。これはどうでしょう。
○宮下参事 理事長の任命につきましては、地方独立行政法人法第七十一条に特例の定めがございます。学長と理事長が同じの場合、一体型と申されましたが、その場合は、第二項におきまして、「大学の学長となる公立大学法人の理事長の任命は、第十四条第一項の規定にかかわらず、当該公立大学法人の申出に基づいて、設立団体の長が行う。」、第三項におきまして、「前項の申出は、学長となる理事長が学長となる大学に係る選考機関の選考に基づき行う。」となってございます。
○木村委員 だから、提案されている分離型というのは、選考機関の選考を必要としないんですよね。なぜ分離型にしたんですか。
○宮下参事 大学の運営により経営的な視点を導入するために、理事長と学長を別に任命するという形にしたところでございます。
○木村委員 経営のために、選考機関の選考が必要ない分離型を選んだんですよ、こういう意味なんですね。
定款では、学長とは違う理事長が法人業務を総理するというふうになっています。その理事長は何の選考手続もなくて知事によって任命されるということなんですよ。それはなぜか。経営のためですと。大学の自治も何もないんですよ、これでは。すなわち、理事長の任命については知事のトップダウンで行われる道を選んだと。
この時点で公立大学法人の行政に対する自律性が失われている。この点が国立大学法人の場合と大きく違うんです。国立大学法人では、学長が国立大学法人を総理する権限を持つ。学長の選任については、法人内の選考会議による選考という限界はあるけれども、選考会議が学内の学長選挙の結果を尊重するんです。
だから、選考会議が学内の学長選挙の結果を尊重するというような自治規範といいますか、学内でそういう学内自治の規則をつくれば、大学内での選挙で選ばれた学長が、大学の業務だけでなくて法人の業務も総理して、大学の自治が保障されるという、そういう仕組みがそこからは生まれてくるわけなんですよね。
そこに、国立大学法人法と地方独立行政法人法との大学について扱いの違いが生まれてくるわけなんで、ですから、国立大学法人法では、本来大学組織が行う業務も法律上法人業務として法的に許されるということがあり得て、法人は大学を運営するというふうになっても、結果としては大学の自治が保障されるという仕組みが、学長イコール理事長の選任の過程でつくられていくという、そういう仕組みの法律になっている。
これと地方独立行政法人法と、構造が全く違うんです。こういう仕組みはないんですよ、地方独立行政法人法には。
ですから、さっきいいましたように、国立大学法人法を使っても、大学だからいいじゃないか、向こうは大学の専門的な法律だというような答弁がありましたけれども、この違いを無視して、都合のいいところを定款の中に入れて、法人がみんな運営するということになるから大学の自治が侵されると違いますか。
○宮下参事 国立大学と地方公立大学法人とでは、理事長、学長を別に選任できるかどうかという点は異なりますけれども、その違いが業務の範囲というところにあらわれてくるというふうには理解してございません。
ちなみに、この定款につきましては、業務の範囲につきましても、文部科学省と既に事前相談済みでございまして、文部科学省もこの定款を認めているところでございます。
○木村委員 お墨つきがありますよというふうにいったって、我々の前には何の資料もないわけですよ。やっと今そういうふうにいいましたけれども、国立大学法人法と地方独立行政法人法とは全く違うんですよ、学長、理事長の選び方の仕組みが。ですから、同じ大学の法律だからといって、「管理」を「運営」というふうにあえて法律をぼかして定款をつくるということにならないと思います。
国立大学法人法は、さっきいいましたように、大学の自治を保障する仕組みを担保する、学長が理事長になる。向こうの法律には理事長という言葉もない。そういう思想は、国立大学法人法の附則二条にもよくあらわれています。すなわち、ここでは、法人に移行する大学の学長を既存の大学の学長とするというふうにしているんですね。新しく大学になるところの学長は、今までの学長を学長とする。もし既存の大学の学長の任期が法人化の前の日に終了するというようなことになったときは、その大学の選考会議で選考した者を法人成立の日に学長として任命するというふうにしているんです。
こういう仕組みが保障されているからこそ、国立大学法人法--我が党は国立大学の法人化に反対ですけれども、善意に解釈すれば、法人と大学の業務の効率化を図るために、法人の業務として、本来大学の業務とすべき事項を取り込んでいるというふうにいえる。大事なことは、国立大学法人法には、学校法人の行政に対する独立性に対する配慮がある。学校法人が行政に対しても独立性を持つ、そういう必要があるという配慮があるということなんですよ。
じゃ地独法はどうか。地方独立行政法人法は大学独自の法律じゃない、理事長選考型になっているというお話がありました。しかし、他方では、各地方公共団体の独自性を尊重して分離型も認める。で、分離型になっていますね。学長の権限と業務を法人の任務から独立させて、大学の自律性を確保するという観点から、公立大学法人の業務の範囲を、設立、管理及びそれに附帯する業務というふうに限定したんですよ。だから、地方独立行政法人法には、わざわざ業務の範囲を、設立、管理、それに附帯する業務というふうにしたのは、大学の自律性を確保する観点から、公立学校法人の業務をそうしたんです。
地独法による一体型の選出の方が、少なくとも選考機関の選考に基づくからいいかというと、私は必ずしもそうは思わないんです。なぜかといえば、地独法による一体型の選出は、理事長が学長を兼ねるわけですよね。国立大学のように学長が理事長じゃないんですね。理事長が学長を兼ねる。
じゃ、理事長を全学の選挙でやれるかというと、学長選挙というのはあっても、理事長選挙というのは現実にはなかなかなじまない。その上、最初の理事長は法律的には知事が任命するというふうに固められちゃっているということですから、地独法による理事長・学長一体型というのも必ずしも私もよくないと思います。
じゃ、分離型ならどうか。こちらは理事長の選任は知事の任命ということになっています。これは法的にがちっとなっています。しかし、学長の選任の方はどうなのか。必ずしもそうではないんじゃないかというふうに思うんですね。
地方独立行政法人法の第七十二条二項、学長を別に任命する大学の学長の当該学長を別に任命する大学の設置後最初の任命については、当該学長を別に任命する大学に係る選考機関の選考に基づくことを要しないものとし、定款で定めるところにより、理事長が任命するというふうになっていますね。この「定款で定めるところにより」という部分についてどう考えるかが問題だと私は思うんです、学長については。
この点について、公立大学協会が、昨年ですか、発表した公立大学法人化に関する公立大学協会見解というのがありますけれども、ここに、地方独立行政法人法第七十二条二項の規定についてこう述べています。「これは大学側の意向を斟酌せず、一方的な人事が許されるという趣旨ではありません。既存の大学が法人に移行する場合には、その大学と理事者側が充分に議論して定款を決めることになります。換言すれば「大学の特性」への配慮規程を前提にして定款を作成し、最初の学長の任命に際しても、大学の意向が尊重されなければなりません。」というふうに、公立大学協会見解は、地方独立行政法人法第七十二条二項の規定について述べています。これは非常に大事なことだと思うんですが、これはどう思いますか。
○宮下参事 最初の学長の選任についてでございますけれども、首都大学東京は、現大学とは異なる新たな理念に基づきまして開設しますところから、新大学の理念実現に向け、ふさわしい人材を学長に選ぶべきでございまして、定款では、最初の学長は知事の指名により理事長が任命することとしたものでございます。
○木村委員 だから、可能性を聞いたんですが。こうしましたというんじゃなくて。この定款の中に、さきに引いた国立大学法人法附則第二条のような定めを加えて、首都大学東京の学長を既存の四つの大学の学長、総長の中から選任するということは可能なんじゃないですか。どうですか。「定款の定めるところにより」と書いてありますから。
○宮下参事 首都大学東京は、現行の四つの都立の大学を廃止いたしまして新たに首都大学東京を設置するものでございます。国立大学のように現行の大学を単に法人化するというものではございません。
そうしたことから、新しい大学の学長には、先ほども申しましたように、新大学の理念実現に向け、ふさわしい人材を学長に選ぶという観点から、知事の指名により理事長が任命することとしたものでございます。
○木村委員 これまでのいろいろな経過の中で、本当にいろいろな人が心配し、そして、その進め方の問題についても、いろいろな立場からの心配、懸念、反対、いろいろありました。今答弁がありましたように、提案されている定款の中でも、そうやって民主的に国立大学法人法が追求したような学長の決め方、理事長の決め方を、まあ分離型を選んでいますから、理事長は法的にも知事が任命するということになるんだけれども、学長についていえば、それぞれ今までの大学の学内から選考されて選ばれて初代の学長になるということもあり得るはずなんだけれども、はなからそういうことは認めない、理念が違う、一方的に理事長、学長が決まったかのような話ばかり。既成事実を積み上げて、そして四つの大学をつぶす、一緒にする。全く非建設的で乱暴なやり方だといわざるを得ない。
これまで国立大学法人法との比較で定款を論じてきましたけれども、私立学校法との関係でこの定款がどんなものかを若干見てみたいと思います。
私立学校法の規定では、その多くを寄附行為に委ねています。例えば役員については、第三十五条で「学校法人には、役員として、理事五人以上及び監事二人以上を置かなければならない。理事のうち一人は、寄附行為の定めるところにより、理事長となる。」と定めて、理事長の選任を寄付行為に全部委ねていますね、私立学校法は。業務の範囲についても、第三十六条で「学校法人の業務は、寄附行為に別段の定がないときは、理事の過半数をもって決する。」というふうになっています。
この規定を受けて、例えば早稲田大学の寄附行為では、第七条「この法人に、総長一人を置く。」、第八条「総長は、この法人の理事長とし、かつ、この法人の設置する大学の学長とする。」、第九条「総長は、別に定める総長選挙規則に従い、これを選挙する。」というふうに、総長、学長、理事長の選ばれ方が寄付行為に書かれています。
そして、早稲田大学の総長選挙の規則というのはどうなっているか、調べてみました。第三条に「総長の選挙は、総長候補者推薦委員会による総長候補者の推薦、学生による信認投票および決定選挙人による決定選挙の三段階に編成して実施する。」というふうに早稲田大学ではなっています。まさに私立学校法というのは謙抑性で、寄附行為に多くの裁量を与えて、早稲田大学の寄附行為は、民主的に選任される総長主導の法人運営を定めていますよね。私立大学というのは、大体この流れですよ。これこそがまさに大学の自治じゃないですか。
じゃ、今の都立大学はどうですか、現行の都立大学。これは、総長の選び方に関して条例で決められていますよね。おわかりでしょうか。--じゃ、いいです。
今の都立大学条例は、学長に関して、第六条に、都立大学に総長、教授、助教授、助手、事務局長、事務職員を置くと定めて、第八条に評議会について定めて、総長が招集し、その議長となると定めているだけで、学則、学部設置、学部運営その他大学運営に関する事項を評議会に委ねているという形をとっています。
そういう中で、都立大学でもそういう条例のもとでの総長選挙をやるんですね。選挙で選ばれているんでしょう、都立大学は。どうでしょう。
○宮下参事 現在の都立大学の総長は、東京都立大学総長予定者選考規程に基づき、予定者を選考した後、選挙で選ばれているものと承知しております。
○木村委員 以上述べてきたように、今回の定款というのは、国立大学法人法、私立学校法、それから東京都の都立大学条例、いずれから見ても、どれを比較しても、大学の自律性、自主性という面からいえば、大きく後退をした、そういうものとして提案されている。
しかも、よって立つ根拠法である地方独立行政法人法の条文を無視して、無理やり無視して、法違反じゃないというお墨つきをもらっていますとさっきいいましたけれども、明確に法の条文には設置し管理するというのが業務の範囲だと書いてあるのに、運営するということにしてつくり上げたものだ。私は、もう一回撤回して、関係者と民主的に協議を尽くしてつくり直す必要があるというふうに思います。少なくとも、定款二十四条の一号、「運営」というものを削除して「管理」に改めるということは最低必要なことだということを強く要求して、私の質問といたします。
○山口委員 大分重複している部分がありますので、そこの部分は割愛して質問したいと思います。
最初に、今までの各委員からも出ました、二〇一〇年度までの廃学の期間がある現行の都立大の大学生に関しては、やはり入学時に約束されていた条件により学習、研究上の諸権利をきちんと生徒として保障されていくものであると私も考えております。
その根拠として、制度としてその権利を保障する現在の学則の維持が大変重要だということで、これについては、組織運営上変更を余儀なくされる部分もあるけれども、教育保障の観点から、履修方法など教育内容を規定している部分や懲戒など学生の身分保障に関する内容はきちんと配慮をしていくということなので、このことは私も切に要望して、この質問はちょっと省かせていただきます。
次に、これは今現在の都立大学のみに規定されている民主的なものだと思っているんですけれども、都立大学総長予定者選考規程によって、学生が適任とは認めない総長を除斥する権利が規定されていますが、今後もその趣旨が継続されるのかどうか、伺いたいと思います。
○宮下参事 現行の都立大の規程には、学生を総長の選考にかかわらしめるような規定がございますけれども、こうした規定は、他の科学技術大学、保健科学大学、都立短期大学にはございません。また、調べた限りでは、他の公立大学にもそのような規定はございません。
公立大学法人では、初代を除き、学長は学長選考会議の選考に基づき理事長が任命するということが地方独立行政法人法に明定されているところでございます。
具体的な学長選考の方法等につきましては、学長選考会議において決定することになるわけでございますが、学生に除斥の権限を与えるような、学長選考会議にあらかじめ制限を設けるような規定を設けることは全く考えてございません。
○山口委員 今おっしゃったように、確かに今現在、日本の大学ではどこにもこういったあれがないということなんですけれども、それだからこそ、唯一都立大にあって、非常に民主的な制度として、日本から消えてしまうのだなということで、私は大変残念に思うのですが……。
次に、四大学にそれぞれ設置が想定されています教育研究審議会の構成メンバーについてですが、それぞれが独立したメンバー構成なのか、兼務ということはないのか、そこの点について伺いたいと思います。
○宮下参事 現行の四つの大学及び新しい首都大学東京それぞれに教育研究審議会を設けることとしておりますが、新しい大学と現行の大学のポストをそれぞれ兼務する。これは、それぞれポストを設けて、違う人を管理職につけますと、それだけで相当な管理職数がふえてしまうということがございますので、兼務するという方針でおりますので、その結果として、五つの教育研究審議会で、新しい大学と古い大学の管理職ポストを兼ねていれば、結果として複数の教育研究審議会のメンバーになるということはあり得るというふうに考えております。
○山口委員 学長もですが、新大学の学長が四大学の学長を兼務するということになると思うんですけれども、事実上機能を十分果たすことは困難なのではないかと思われますが、新大学との実質共存の形態がとられる中で生じ得る不利益をこうむるのは、やはり現大学の四つの大学の学生ではないかというふうに危惧されます。
教育研究審議会をそれぞれの大学に設置する上では、学長を補佐する役割として、副学長を置くことが必要ではないか、また、学長の代理はだれが何の権限で行うのかということについて見解を伺います。
○宮下参事 現行四つの大学と新しい大学の学長についてでございますが、お話にありましたとおり、兼務するという予定でございます。それで大丈夫かという話でございますが、兼務しても、適切に部局長に権限を配分することにより、機能は十分に果たすことは可能であろうというふうに考えております。
それから、現行の大学に副学長を置いて学長を補佐する体制ということでございますが、副学長というのは、法律上、理事になるというような形になりますので、そうすると役員ポストがふえるということで、これは、学生がそんなにふえるわけではないのに、何で役員ポストがふえるんだ、こういう都民からの批判を浴びると思いますので、そこら辺は考えてございません。
○山口委員 次、学生部のことは先ほど既に出ておりますので省いて、あと、学生への寄宿舎のことも先ほど出ておりましたので、授業料の減免のことですが、従来の基準による減免措置が保障されるのか、規模の維持はどれくらいかということだけ確認させてください。
○紺野参事 授業料の減免の件でございますが、経済的に困っている学生、いわゆる経済困窮者への減免など、四つの現大学で行っている減免措置については、来年四月以降も継続していく方針でございます。
なお、減免の規模の点でございますが、現在、来年度の運営費交付金の額がまだ決まっていない状況、これは年明けの議会でご審議いただくことになろうかと思いますが、そういう状況でございますので、減免の規模につきましては、現時点で確定的なことは申し上げられませんが、現行と同等の水準が確保できるよう努力してまいりたい、かように考えております。
○山口委員 それはぜひ、努力をするだけではなくて、維持をしていただきたいと思います。
それから、新大学のあり方について少し伺いますが、新大学認可の際の文部科学省の設置答申には、留意事項が五項目、及びその他意見も付されましたが、改善はどのようになされたのか。
それから、単位バンクシステムや学位設計委員会等の新しい試みに対する現実的な見通しがどうなっているのか、伺います。
○紺野参事 本年九月三十日の首都大学東京の設置認可の際、お話のありましたとおり、設置者と既設大学との連携を図り、開学に向けた準備を円滑に進めることなどの留意事項が付されております。
これらは、単位バンクシステムなど、首都大学東京の新しい試みが円滑かつ有効に機能するようにとの観点から付されたものと認識しております。
現在、留意事項の趣旨も踏まえまして、西澤学長予定者を中心に、教学準備会議や、そのもとに置かれた各部会、ワーキンググループ等において、新大学に就任する教員全員が参加する形で、開学に向けた準備を進めているところでございます。
ちなみに、留意事項の一つに、十八年度開設の新たな大学院構想を示すことということもありましたが、この十八年開設の新たな大学院構想につきましては、先日のこの委員会でご報告をさせていただいたところでございます。
また、単位バンクシステムにつきましては、この新しいシステムが円滑かつ有効に機能するよう、教学準備会議のもとに設置しました単位バンク推進部会において、人文系から理工系まで幅広い分野の教員が参加する中で、具体的な運用の検討準備を現在精力的に進めているところでございます。
○山口委員 今の単位バンク制ですが、初年度からの導入はできるということでよろしいんですか。困難ではないのですね。
○紺野参事 単位バンクにつきましては、初年度、来年四月から導入するということで準備を進めてまいります。
○山口委員 大学ではなくて、地方独立行政法人が人事委員会を設置して教員人事を行うことは、学校教育法上問題があるのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○宮下参事 学校教育法第五十九条で、大学における重要な事項を審議する機関として教授会を規定しているところでございます。これを受け、例えば、現行の都立大学条例の教授会規定では、第九条で、一、教育公務員特例法の規定により、その権限に属すること、二、学科、専攻、学科目、講座及び授業科目の種類及び編成に関すること、三、学生の入学、退学、休学その他の身分に関する重要なこと、四、学位の授与に関すること、五、前各号のほか、当該学部の教育研究及び運営に関する重要なことを審議すると定めているところでございます。
このうち、一号に定める教育公務員特例法の規定によりというのは、これは教員の人事についてということでございますが、これは、法人化により教育公務員特例法が適用されなくなりますので、教授会の審議事項ではなくなります。法人化後は、これを経営審議会、それから教育研究審議会が審議することとなります。
この両審議会を補佐する機関として人事委員会を設置するものでございまして、したがいまして、学校教育法にも地方独立行政法人法にも何ら抵触するものではございません。
○山口委員 それから、事務局長と二名の副学長、学生サポートセンター長については、予定されていることは先ほど既に出ていると思いますので、それがまだ余りはっきりしていないというんですが、あと三カ月半ということで、まさかこれが議会を避けて終了後に発表されるということはないのでしょうか、確認をさせてください。
○宮下参事 事務局長、それから副学長、学生サポートセンター長については、現在鋭意、予定者候補をどうするかということを検討中でございまして、今後決定していく予定でございますが、相手方の事情もこれありということもありますし、副学長等については、学長がどのような意向があるのかということもございまして、特に議会の日程をにらみながらいろいろやっているということではございませんが、四月の開学に合わせて、四月一日には選定されているように準備を進めてまいりたい、このように考えております。
○山口委員 先ほど続けて伺えばよかったんですけれども、人事委員会に副理事長である学長が加わっておりません。もう一名の副理事長である事務局長が主宰する仕組みととれますけれども、あらゆる面で実質的権限が事務局長に集中する危惧がありますが、都庁側からの人を配置するなど、地方独立行政法人としての自律性が損なわれるような人選となるようなことはないのか、確認をさせていただきます。
○宮下参事 先ほども申しましたが、人事委員会は、経営審議会、それから教育研究審議会を補佐する機関として設置する予定でございます。したがいまして、構成員としては、経営審議会を主宰する理事長、それから教育研究審議会を主宰する学長は加わっておりません、補佐機関でございますので。ただし、人事委員会には、経営と教学双方が構成員となりまして、教学側からは副学長、学部長等が加わる予定でございます。
それから、事務局長も法人の職員でございますから、たとえ都から行くとしても、これは、役員は地方公務員と兼ねることができないという規定がありますので、仮に行くとしても、一回やめた上で行きます。ですから、事務局長も法人の職員でございますから、事務局長が人事委員会を主宰するということで、法人の自律性が損なわれるということはないものと考えております。
○山口委員 中期目標及び中期計画の策定についての考え方について一点伺わせていただきます。
○宮下参事 中期目標には、これまでの大学改革の経緯、考え方を中期目標の策定の基本的考え方として明示いたしまして、それを踏まえまして目標を定める予定でございます。その目標を受けまして、法人が計画を策定することとなります。
○山口委員 定款についての二問は既に答弁を得ていますので、省かせていただきます。
最後に、公立大学法人への財産の出資について三点ほど伺います。
法人に対する財産の扱いには、出資のほかに無償譲与と無償貸付の二通りがありますが、どのような内容なのか、伺います。
○宮下参事 無償譲渡は、東京都が公立大学法人に無償で譲り渡すものでございまして、所有権も法人に移転します。一方、無償貸付は、東京都が公立大学法人に無償で貸し付けるものでございまして、所有権は都に帰属したままということになります。
○山口委員 法人に対して無償貸付は、問題がないといえるのでしょうか。
○宮下参事 財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例というのがございまして、国または地方公共団体その他公共団体において、公用または公共用に供するときは、当該団体に無償譲渡及び無償貸付ができると規定されているところでございます。
今回の無償譲渡及び無償貸付はこの規定にのっとり行うものでございます。
○山口委員 最後に、都立大学及び保健科学大学の土地建物は出資されるといいますが、科学技術大学及び都立短期大学の土地建物についてはどのように扱われるのか伺って、私の質問を終わります。
○宮下参事 現在の科学技術大学のキャンパスにつきましては、今後、校舎の改築等を予定していることから、改築終了までの間は、東京都が法人に対して土地及び建物の無償貸付を行うことといたしまして、改築後に改めて追加出資を行う予定でございます。
都立短期大学のキャンパスにつきましては、同大学が廃止された後は東京都に返還する予定であるため、同大学が存続する間、東京都が無償貸付を行うこととしてございます。
○福士委員 私は、ダブったところは差し控えながら質問させていただきます。
先ほど来、地方独立行政法人法の第七十一条に基づけば、法人の長には学長が就任するというのが原則であるにもかかわらず、あえて理事長と学長を分離した理由については、木村委員の質問で延々平行線をたどっているかなという感じがいたしましたが、村上副委員長の質問のときに、経営感覚を持って大学を運営していく体制をとったのだというようなご答弁があったと思いますが、それでよろしいんでしょうか。間違っていたら後で訂正してください。
経営感覚は否定しませんけれども、利潤だけ追いかけて、金銭的利益は表立って見えないけれども、社会的あるいは教育的利益の大きいものから目をそらしているように思えて、心配があります。経営感覚と同時に、都立大の人文のように、社会的に意義の高い研究授業も大切だと思いますが、そこはどうなるのかという視点で質問をさせていただきたいと思います。
質問に入る前に、これもダブっておりますので、一言だけ申し上げておきたいと思いますけれども、総長予定者選考規程で、今の都立大では正規の学部生あるいは院生の総長予定者除斥の権限があるというのは、いえば学生が教育を受ける権利の延長としてあるのかなというふうに私も考えておりましたので、それを生かし切れないということはちょっと残念かなというふうに私も考えました。それで、一言そのことだけはつけ加えておきたい思います。
質問に入りますが、二十条第二項ですが、教育研究審議会では、学長の指名する教育研究組織の長以外、経営審議会メンバーで構成されるように読めますけれども、教育研究審議会及び経営審議会は、どのような人数でどのような構成になるのか、明らかにされたいと思います。また、定款で人数も含めて内容が明らかになっていない理由については、どのようなお考えだったのか、それについても伺います。
○宮下参事 幾つかまとめて質問されましたので、順を追ってご答弁させていただきたいと思いますが、まず、理事長と学長を分けて任命することとした理由ということでございますが、これは、前にもご答弁申し上げたとおり、経営感覚を持って大学を運営していく体制をとったということでございます。
委員、経営というと、要するにもうけることばかりというようなご指摘がありましたが、私どもの考えているのは、もちろん利潤を上げるというような意味での経営ということを考えているのではなくて、主たる財源を東京都から運営費交付金として交付していただいて、それを有効に活用して、なおかつ社会的な使命にもこたえつつ、学生のニーズというのにもこたえていくということが経営だと思っておりますので、その点はご理解いただきたいと思います。
それから、教育研究審議会のメンバーの話だと思いますが、教育研究審議会は、学長、副学長二人、事務局長、各学部長四人、各センター長五人の十三人というところを、今のところ想定してございます。
また、経営審議会は、理事長、学長、事務局長、副学長二名、学生サポートセンター長、それから学外委員三名の九名で構成する予定でございます。
具体的に定款にはその人数とかポストの名前を書いてございませんが、これは、組織構成、それからポスト名の変更に左右されないような記述をしたということでご理解いただきたいと思います。
○福士委員 ポスト名の変更に左右されないということでしたが、これはちょこちょこ変更するという意味じゃないですよね。
○宮下参事 頻繁にポスト名を変えるというようなことは想定してございません。しかしながら、教育研究審議会につきましては、学部長という形になるんですけれども、十七年度は教員は学部所属という形が、十八年度からは大学院所属というような形で変わっていくというようなこともありまして、そういうことにも対応できるような規定の仕方というふうにご理解いただきたいと思います。
○福士委員 余りころころ変わらないようにしていただきたいですが、それでも、今のご説明を伺っても、かなり経営審議会の力が大きいような気はしないでもないですね。教育研究審議会の方は、学部の方から四人出ていらっしゃるしということはありますが、そしてまた、教育研究審議会といえども、経営の面を一切抜きにしてということはないというふうに思いますけれども、何かこれを見ていると、やはり力、経営審議会の方が勝っているのかなという気がしますので、教育研究に関しては、やはり自立性というのは、先ほど来も出ておりますけれども、保てるような努力だけはしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
その意味でいえば、二十三条の第二項で、人事方針の中で人員などを除外されていますね。教育研究の中では、カリキュラム決定に伴う人事とか研究費配分、あるいは科目登録委員会とか学位設計委員会など大学の自治としての教育研究に伴う方針決定については、人員などの提案も必要になってくるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺はどういうふうになるんでしょうか。
○宮下参事 人員、人件費及び給与制度等につきましては、予算に密接な関係を持ちますので、予算を審議する経営審議会で審議することとしたものでございます。人員増などを伴う教育研究の方針等につきましては、各部局の要請を受けまして経営審議会で審議することになります。
○福士委員 それでは、二十四条で、法人業務として研究や公開講座が挙げられておりました。先ほどもちょっと出ておりましたけれども、法人業務でいいのかなと。その部分もあるというふうには思いますけれども、大学における教育研究の自立性というのはどういうふうになるんでしょうか。
○宮下参事 先ほどもご議論がありましたが、法人と大学を別個独立の存在として見ているわけではございませんで、大学の業務を含めまして法人の業務ということで考えてございます。
そのうち二項以下につきましては、学生支援、産学公連携、生涯教育など、法人として今後積極的に取り組む業務を明示したものでございます。
○福士委員 独立とまでは私も思っていなかったんですよ。先ほど来、木村委員の方では独立という言葉が出ていましたけれども、自立というのはあるんじゃないんですかね。自立して自分たちで研究や公開講座を開こうとしたときにはどうなるのかなと思ったんですが、それはどうなるんですか。
○宮下参事 法人として、公立大学法人首都大学東京として公開講座等を開こうとする場合、当然、予算措置をどうするのかとか、人の手当てはどうするのかとか、広報をどうするのかとか、いろいろそういうことに絡んでまいりますので、個人の自由な研究会を個人的に設置するというのとは違いまして、やはり法人としてやる場合には、当然、経営審議会等の審議を経た上でやるということになろうかと思います。
○福士委員 ごめんなさい。私、いい方が悪かったかもしれません。言葉をはしょっちゃいましたけれども、例えば、この二十四条の感じでいくと、産学連携的な公開講座みたいなのが優先されるかなという気がしたんですよ。研究会的な公開講座とか、その他の研究ですね、そういうものに対してはどの程度の配慮がされているのかなと。お金を握っているのは経営審議会の方なので、教育研究審議会の方で--先ほど、学部からの要請があればということがありましたので、そっちの方で要請があれば、自由に公開講座も組めるし研究会も開けるとかという形になっていれば安心なんですが、教育研究審議会の方には余りそういうことが出てきませんので、本当だったら両立てで書かれていてもいいのかなというふうに思ったものですから、それで確認をさせていただきたいわけです。
○宮下参事 やはり法人として何かをやる場合、予算等が伴いますので、限られた財源の中で何を優先的にやっていくかというのは、やはりいろいろ審議した上で決めていくべき事項かなというふうに考えております。
○福士委員 順位はあるかもしれませんけれども、経営審議会という方でお金をしっかり握っていれば、業務の範囲というのもそっちの方が強くなるかなと、そういう心配をしたわけです。
延々いっていても同じだと思いますので、二十五条に出てくる業務方法書というのはどういうものか、ちょっと確認をいたします。
○宮下参事 業務方法書は、業務運営の基本方針、業務の委託、契約の方法など、法人の業務方法の指針を記したものでございます。
○福士委員 単純な事務的なものと考えてよろしいですか。--じゃ、それはそれで結構です。
学則についてなんですが、都立大学の学則は法人化になっても引き継ぐというようなお話が先ほどありました。特に今都立大などに通っている学生に対する教育権利等の権利保障などはどうなるのかなということを、これは確認の意味で質問させていただきます。先ほど石川委員は、こういう権利保障みたいなものがきちんと守られるようにお願いするという、そういうことでしたので、ちゃんとしっかり守りますよというお答えがいただければいいなと思います。
○紺野参事 先ほど来お答えしておりますが、学生の教育内容を規定している部分や学生の身分保障に関する内容を規定している部分については、学則を新たに定める際にも、学生の教育保障の観点から、現在の学則の内容を引き継ぐものとなるように十分配慮してまいります。
○福士委員 全部守りますとかいう話じゃないんですね。配慮をする……。
次に、定款から外れまして、大学運営についてちょっとお伺いします。
単位バンク制についてお伺いします。現在の都立大における単位互換制度の場合は、大学間のレベルというのがある程度わかっていて、そして一定の評価のもとに制度化されているので、評価認定にも一定の簡素化、あるいは妥当性というんですか、そういうものが確保されていたと思うんですね。
今度の新しい新規の単位バンク制は、学校間のレベルも不明ですし、またボランティアといってもピンからキリまであります。そういう中で、さまざまなレベルが考える中で、非常に複雑な判定作業を行うことが考えられると思うんですが、効率も悪くなりますし、不明朗な部分も出るんじゃないかという心配があります。
単位互換制度を拡充するにとどめるだけではなくて、新たに単位バンク制をつくるメリットというのはどこにあるのでしょうか。
○紺野参事 首都大学東京が新たに導入しようとしております単位バンク制度は、例えば、他大学の授業科目であっても一定の評価を経て登録されたものであれば、その単位を首都大学東京の単位として認定することによりまして、学生がみずからのキャリア形成に合わせて学内外の幅広い教育資源を活用することが可能となるシステムでございます。
これは、いわば、今までの大学が、ともすると、学科によって、例えば決まったカリキュラム、固定的なカリキュラムを一方的に提供する、いわば定食メニューのような形で提供してきたということに対して、個々の、一人一人の学生が自分の将来のキャリアプラン、自分はこういう仕事につきたい、そのためにはこういう勉強もしたい、あそこの大学にはすばらしい講義をする先生がいる、その先生の講義も聞きたいといったような、個々の学生のニーズに合わせて、いわば教える側の都合で大学をつくるのではなくて、学ぶ側、学生側の都合に合わせて大学の授業をつくっていこう、こういう考え方に立って導入しようとしているシステムでございます。
単位バンク制度のメリットとしては、単位互換制度と比較した際、大学間のレベルにとらわれずに、単位互換制度の場合はどうしてもいわゆる同じレベルの大学同士で結ぶというのが実態でございますが、そうしたレベルにとらわれず、個々の授業科目のレベルに応じて単位認定の妥当性を判定するということから、従来に比べまして、個々の学生のニーズに即した他大学の授業科目等がとりやすい仕組みであることが挙げられます。
これまでの大学にはない初めての試みでありますので、一定の基準を設けた上で、学内の教員による他大学科目等の認定作業が必要になるといったようなことは確かにございますが、学生に対して、これまで以上に多様で魅力的な学習機会を与えることが可能となることから、開学に向けて精力的に制度設計を行っているところでございます。
○福士委員 そうすると、一定の評価を経たものはとりあえず登録はされている。その授業のこま数は、こまによっては、登録はされているものから選ぶという形になるわけですか。
○紺野参事 委員おっしゃるとおり、単位バンクに登録されている科目から選ぶということでございます。現在、学内の科目について、まず学内の教員が提供する科目のいわゆる科目プロフィール、どういう授業内容で、この授業を受けるとどういう能力が身につくかといった科目プロフィール、それから教員のプロフィール、こういったものを現在整理しているところでございます。整理でき次第公開していく。当然インターネットなどでも公開して、学生を含め、いつでも見られるような状態にしていくといったような準備を進めておるところでございます。
○福士委員 学内の方はいつでもできるでしょうけれども、よその学校とのレベルの違うところはすごく大変なんじゃないのかというふうに思いますが、単位バンク推進部会でそれをおやりになるんですよね。
いろいろ検討されたと思いますけれども、心配していますのは、一番最初、私が質問したとき、私は、六十単位という枠がそもそも単位互換制度のようなものにはあって、でも、こちらの文章を読んでいるとそうは思えなくて、全部、よその学校ですべてとれるように読めたので、私が勘違いしているのかもしれないけれどもといって、全体よそでとれるように読めるけれども、それでいいんですかというふうに質問したときも、特殊な場合は全部学外で単位をとるということも不可能ではないようないい方をされていたので……。それがつい最近になって、六十単位という枠があることに気がつかれたようで、私ちょっとびっくりしたんですよね。
学生のメリットが本当にいい形で出てくれば、それはそれで否定はするわけではないですけれども、今までの検討の中で、こちらが質問しても、余りきちんとチェックをされていなかったんじゃないのかという心配が一つあるのと、内部での検討はどうなっていたのかなという、それからもう一ついえば、文部省でもチェックなどは当然入っていたというふうに思うんですね。その辺のところのやりとりというのはどうだったのかというのを、念のためにお聞かせいただきたいと思います。
精力的に制度設計を行っていきますというようなご答弁でございましたけれども、個人個人まるで異なるものを制度化できるのかなという心配がありますのでね。それと、物すごく効率が悪いんじゃないかと思います。そこのところは、今の効率一辺倒の考え方は私も好きではありませんが、これだけ大学を法人化して効率化しようとしている中で、こんな効率悪いことが本当にやれるのかなという心配もありますので、その辺も含めてお答えいただけたらと思います。
○紺野参事 まず初めに、委員ご指摘のありました六十単位という点で、わかっていなかったんじゃないか、全部できるような話をかつてしていたんではないかというようなお話がございましたが、この六十単位の制限があるというのは、当然、私ども重々最初から承知しておりまして、むしろ単位バンクシステムの理念としては、そういった六十単位以上は他の大学の単位をとっちゃいけないんだというような制約は、理念としては望ましくないということはかつて申し上げたことがあるかもしれません。
ただ、これは以前もお答えしたことがあるかもしれませんが、現実問題として、じゃ全部の単位を他大学の単位でとるということで本当にいいのかと。委員からご指摘いただいたこともあろうかと思いますが、それにつきましては、確かに首都大学東京という大学のアイデンティティーの問題もありますので、六十単位という国の制約の問題とは別に、何でも全部、外の大学の単位をとればいいということではなかろう、今は六十単位の制約が現実問題としてはありますということでございます。
それから、文部科学省との関係でございますが、これは、首都大学東京の設置認可申請の際に、当然、単位バンクシステムを導入しますということで、その制度についても説明して、その上で、わかったということで認可をいただいておりますので、文部科学省との関係で特に問題があるとか、そういうことはございません。
それから、効率が悪いのではないかというお話でございますが、効率というのをどういうふうに考えるかということもあるかもしれませんが、私どもは、首都大学東京に入ってくる学生が、自分の将来設計、自分はこういうことを勉強したい、こういうことで卒業してから仕事をしたいといったものに対しては、いわばマスプロ教育的に、用意されているコースはこれとこれとこれだから、あなたはここへ行きなさいというような形でやることは、先ほどもちょっと申し上げましたが、これからの大学教育としては望ましくないというふうに考えております。
したがいまして、個々の学生が望む自分の将来設計に応じて、きめ細かなアドバイスを提供していく、これが私どもの務めだというふうに考えておりまして、そのアドバイスを提供するためのスタッフであります学習カウンセラーにつきましても、現在既に公募を始めているところでございます。
もちろん、現実問題として、一学年千五百人の学生が一人一人みんな別々ばらばらの形の履修をするかといいますと、必ずしもそういうことはないというふうに考えておりまして、多くの学生はある程度最大公約数的な履修をするということもあろうかと思いますが、いずれにしても、自分はこういう勉強をしたいという希望を持った学生に対しては、その希望が実現できるようにサポートしていきたい、そういう制度をつくってまいりたいというふうに考えております。
○福士委員 学生の自立が損なわれないようになるということは否定する話ではありませんので、ぜひその自由は認めていただきたいと思いますが、今までの縛りのかかった話と、そこだけぴょんと自由があり過ぎて、びっくりいたします。なので、ぜひぜひそれは大事にしていただければいいかと思います。
次に、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、学生サポートセンターですけれども、学生たちの生活全般に対する相談窓口になるという説明が今までにもございましたし、今まで四大学でそれぞれ行われてきたことを統一すれば効率的ということになるのかどうかということもありますので、どのような組織体制で、どういう業務範囲になるのか、もう一度確認させていただいて、もう一つは、新大学在籍の学生と現大学在籍の学生とで対応に違いがないのかどうか、そこだけ確認させていただいて、質問を終わります。
○紺野参事 学生サポートセンターを開設いたしますのは、どういうふうに授業をとっていったらいいだろうかというような履修相談、それから就職相談、あるいは日常的にいろいろ必要になります証明書といった書類の発行サービス、こういった学生に対するさまざまな支援といいますか援助をサービスというふうに位置づけた上で、これらのサービスを学生が一カ所で、いわゆるワンストップで受けられるようにするためでございます。
このサービスの提供に関しまして、新大学あるいは現大学の学生を差別的に扱うということは全くございません。同等のサービスが受けられるというものでございます。
また、南大沢以外のキャンパスでは、キャンパスの規模や学生数の関係から、現在でも事実上ワンストップ化は実現されております。法人化後も基本的に現行と変わらない体制でサービスを提供いたしますので、現大学の学生に対するサービスが低下するということはございません。
今後、キャンパス間の連携を図ってサービスの質を一層向上させていきたいというふうに考えております。
○池田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 異議なしと認め、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
以上で大学管理本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十三分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.