文教委員会速記録第二十四号

平成十六年十二月十日(金曜日)
第三委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長池田 梅夫君
副委員長村上 英子君
副委員長花輪ともふみ君
理事野上じゅん子君
理事山口 文江君
理事古賀 俊昭君
福士 敬子君
臼井  孝君
石川 芳昭君
遠藤  衛君
山本賢太郎君
小林 正則君
木村 陽治君

 欠席委員 一名

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長江連 成雄君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長山川信一郎君
参事松田 芳和君
参事伊藤 一博君
人事企画担当部長井出 隆安君
参事沼沢 秀雄君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
契約議案の調査
・第二百四十六号議案 都立青梅地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
・第二百四十七号議案 都立東久留米地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)増築及び改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百二十六号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十七号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・第二百二十八号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「東京都特別支援教育推進計画」の策定について
請願陳情の審査
(1)一六第四一号 城南地区に複数の障害種別が共存する特別支援学校設置に関する請願
(2)一六第四二号 江東ろう学校を障害者特別支援学校として存続することに関する請願
(3)一六第四三号 杉並の地に中高一貫型の中央ろう学校(仮称)を設置することに関する請願
(4)一六第四五号 障害児学校寄宿舎の統廃合反対に関する請願
(5)一六第七一号 都立大田ろう学校及び都立石神井ろう学校の専攻科の募集停止に関する請願
(6)一六第七九号 都立青鳥養護学校久我山分校の本校化に関する請願
(7)一六第七五号 都立青鳥養護学校寄宿舎閉校に関する陳情
(8)一六第七九号 南多摩学園養護学校(仮称)の配置案の見直しに関する陳情
(9)一六第八六号 土肥臨海学園及び聖山高原学園の廃止に反対し、充実・発展を求めることに関する陳情
(10)一六第八九号 都立ろう学校五校廃止計画(案)の見直しに関する陳情

○池田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 齊藤学校経営指導担当部長は本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○池田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑及び請願陳情の審査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件につきましては、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十六年十二月九日
東京都議会議長 内田  茂
文教委員長 池田 梅夫殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 契約議案
第二百四十六号議案 都立青梅地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
第二百四十七号議案 都立東久留米地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)増築及び改修工事請負契約
2 提出期限 平成十六年十二月十三日(月)

○池田委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百四十六号議案及び第二百四十七号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○木村委員 第二百四十六号議案及び第二百四十七号議案につきましては、契約案件ではございますけれども、かねてから都立高校の統廃合を前提にして高校の廃校の結果、こうした地区総合高校ができるわけであります。
 廃校にかかわっては、廃校される学校の存続を求める住民のさまざまな要望が結局反映されずに、こういう経過を経たわけであります。
 青梅地区総合学科高校については、大規模な改修等が当初は住民にも説明をされていたという経過があるにもかかわらず、この契約案のような形での簡易な改修ということになったわけでありまして、該当する地域の人々は極めて納得できない、このままでは納得できないということがあります。
 また、二百四十七号議案に関連して廃校になる都立農林高校については、東京都内における唯一の林業学科等があり、そうした専門性が生かされるという説明はありますけれども、従前の人々についてはぜひ残してもらいたい、非常に不十分だという声があり、契約案でありますけれども、これまでの経過から考えて同意することはできない、こういうことを申し上げておきます。

○福士委員 私も意見をちょっと述べさせていただきます。
 第二百四十六号、二百四十七号議案ともに契約案件ですけれども、都立高等学校については、統廃合のあり方とともに、学校ごとの差別化が行われていることに疑問があって反対をいたします。
 今や障害児生徒の教育も、一般の地域の学校で、一般の児童生徒とともに行われる方向で考えられている中で、高等学校が農業高校などという特色のある学校は別としても、チャレンジ校や総合学校などというように輪切りで考えることは問題であると思っております。
 以上のことから、この案件については反対をいたします。

○池田委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案は、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○池田委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百二十六号議案から第二百二十八号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○池田委員長 次に、報告事項に対する質疑及び請願陳情審査を行います。
 「東京都特別支援教育推進計画」の策定について並びに請願一六第四一号から第四三号まで、請願一六第四五号、請願一六第七一号、請願一六第七九号、陳情一六第七五号、陳情一六第七九号、陳情一六第八六号及び陳情一六第八九号を一括して議題といたします。
 報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る十一月二十六日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料(報告事項)の一ページをお開き願います。
 今回要求のございました資料は、校外教育施設の月別稼働率(平成十五年度)の一件でございます。
 上段の表1は、土肥臨海学園につきまして、月別に利用室数の実績と稼働率を、都立盲・ろう・養護学校とその他に分けてお示ししてございます。
 欄外の注の2にございますように、その他というのは、都立盲・ろう・養護学校以外の盲・ろう・養護学校及び心身障害者団体でございます。
 次に、下段の表2でございますけれども、同様に聖山高原学園の利用実績を一覧にしてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○池田委員長 説明は終わりました。
 次に、請願一六第四一号外九件について、理事者の説明を求めます。

○伊藤参事 一六第四一号、城南地区に複数の障害種別が共存する特別支援学校設置に関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、東京都立品川ろう学校保護者有志代表、桑原元子さん外六万五千六十七人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、特別支援学校の設置について、次のことを実現していただきたいとして、1、ろう児(聴覚障害児)のために、平成十八年度以降、分教室への入学を認め、ろう学校幼稚部、小学部、乳幼児相談などの低年齢層における通学負担を軽減することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、ろう学校の再編整備は、減少する児童生徒等に対応し、教育環境を確保するため、学校規模や学級規模の適正化を図ることを目的とするものでございます。
 再編整備計画の中では、品川、江東、杉並ろう学校の各校を閉校いたしますが、幼稚部及び小学部は、幼児児童の通学負担に配慮し、平成十八年度以降は、当分の間、大塚ろう学校の分教室として設置してまいります。
 また、分教室として設置している間は、平成十八年度以降も引き続き新入生の受け入れを行ってまいります。ただし、教育上の観点から、新入生が二年続けて三名に満たない状態が生じた場合には、翌年度以降の募集を停止することを予定してございます。
 分教室の統合後も、聴覚障害の子どもたちが専門的な教育を継続して受けられるよう、幼児児童を対象とし、例えば、近隣の養護学校の教室を利用した専門的な指導や、専門家の巡回による乳幼児教育相談の実施などについて今後検討してまいります。
 次に、請願趣旨の2、増大する養護学校入学希望者に対応するためにも、分教室廃止後、東京都南部地域に養護学校及びろう学校が共存し、地域周辺に居住する養護を必要とする成人障害者及び成人聴覚障害者との触れ合いの場としても活用できる、新しい障害者センター校の役割を持った学校を設置することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、十一月に発表した東京都特別支援教育推進計画において、都立盲・ろう・養護学校を地域における特別支援教育のセンター的役割を担うものとして位置づけてございます。
 このセンター的役割とは、学校教育活動を中心に、盲・ろう・養護学校はもとより、区市町村立小中学校やそこに通学している児童生徒への支援、早期からの乳幼児教育相談及び卒業後の就労等にかかわる相談や支援の機能などを行うことを予定しておりますが、成人障害者及び成人聴覚障害者との触れ合いの場についてまでは計画に含まれてございません。
 なお、新しい学校づくりにつきましては、国の法改正が必要でございます。
 次に、一六第四二号、江東ろう学校を障害者特別支援学校として存続することに関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、東京都立江東ろう学校保護者有志代表、佐藤美香さん外四万八千八十三人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、江東ろう学校について、平成十八年度以降も入学を認め、ろう学校の専門性を子どもたちの教育に生かせる学校として存続していただきたいでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、先ほどの請願一六第四一号の第一項と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に、一六第四三号、杉並の地に中高一貫型の中央ろう学校(仮称)を設置することに関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、東京都立杉並ろう学校保護者有志代表、阿部雅美さん外五万二千七百九十二人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、東京都特別支援教育推進計画の中に、杉並の地に乳幼児教育相談、幼稚部、小学部を併置した中高一貫型の中央ろう学校(仮称)を設置するようにしていただきたいでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、近年、ろう学校の生徒の進路希望が多様化しており、進学を希望する生徒が増加傾向にあるとともに、各種資格試験における欠格条項について見直しが行われ、各種資格取得の門戸が聴覚障害者にも開かれてまいりました。そのため、大学等への進学や各種資格取得に必要な学力やコミュニケーション能力を身につけることに重点を置いた教育に対する生徒や保護者のニーズが高まっており、その中で中高一貫型教育が求められてまいりました。
 そこで、東京都教育委員会では、平成十六年十一月に発表した東京都特別支援教育推進計画において、中学部、高等部六年間を見通した教育課程を編成し、大学進学等を目指す中高一貫型教育を行うろう学校として中央ろう学校(仮称)を設置することとしたところでございます。
 この中央ろう学校(仮称)では、幼稚部、小学部を分離することにより、従来のろう学校のように小学部からそのまま中学部へ進学するのではなく、他のろう学校の小学部の卒業生の中から、将来、大学等への進学を目指す子どもたちが、みずから選択した進路に進みやすい教育環境を提供するものでございます。
 中央ろう学校(仮称)は、杉並ろう学校の閉校後に、その跡地に新たに設置することとしてございますが、ろう学校の閉校後も杉並地区における幼児児童の通学負担に配慮し、平成十八年度以降、幼稚部、小学部は、当分の間、大塚ろう学校の杉並分教室として設置してまいります。
 分教室設置後は、先ほどの請願一六第四一号第一項と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に、一六第四五号、障害児学校寄宿舎の統廃合反対に関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、東京都寄宿舎連絡会世話人代表、市川光昭さん外四万二千二百四十七人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、都立障害児学校寄宿舎について次のことを実現していただきたいとして、1、統廃合を行わないことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、平成十六年十一月に東京都特別支援教育推進計画を発表し、その中の寄宿舎の適正な規模と配置において、現在十一舎の寄宿舎を五舎にすることを計画してございまして、第一次実施計画では、青鳥養護学校及び八王子養護学校の寄宿舎を再編整備の対象としてございます。
 これは、スクールバスの増車や盲・ろう・養護学校の整備に伴う通学区域の縮小、さらには公共交通機関の発達などにより、通学困難とされる児童生徒が減少し、年間利用率が三八・八%という状況にあること、また、今後も盲・ろう・養護学校の再編整備などにより、通学困難を理由とする寄宿舎への入舎が一層減少すると見込まれることなどから、寄宿舎の適正な規模と配置の見直しを図るものでございます。
 青鳥養護学校は、生徒数の増加に伴う教室不足が喫緊の課題となっているため、寄宿舎施設を普通教室や生活訓練施設など、教育環境改善のため有効活用してまいります。
 また、八王子養護学校の寄宿舎は、合築されている八王子盲学校の寄宿舎との組織統合を行うものでございまして、今後とも寄宿舎として活用してまいります。
 次に、請願趣旨の2、安心して寄宿舎生活を送れるように、寄宿舎指導員の増員と施設設備の改善をすることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、盲・ろう・養護学校の寄宿舎指導員の定数については、国の基準に基づき、寄宿舎の収容定員を基礎として必要数を配置しているものでございます。
 次に、一六第七一号、都立大田ろう学校及び都立石神井ろう学校の専攻科の募集停止に関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、東京都立大田ろう学校・石神井ろう学校保護者有志の会代表、金子奈保美さん外一万六千三百九十七人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、都において、都立大田ろう学校及び都立石神井ろう学校の専攻科については、少なくとも同校の普通科に在籍する生徒が自校専攻科に進学し卒業できるよう、性急な募集停止を行わないでいただきたいでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、平成十六年度のろう学校高等部専攻科設置校四校の合計生徒数は、一年生が二十八名、二年生が二十七名で、一学年当たり一校七名前後という状況でございまして、生徒の社会性をはぐくむための集団活動の活性化や、聴覚障害教育に関する専門性の維持向上を図ることが困難な状況が生じているところでございます。
 都教育委員会といたしましては、卒業後、社会の一員として自立できる社会性を身につけるなど、青年期の適切な集団における教育環境を確保する観点からも早急な対応が必要であると認識しているところでございまして、このため、平成十六年十一月に発表した東京都特別支援教育推進計画の第一次実施計画において、大田ろう学校、石神井ろう学校の専攻科は、平成十七年度以降の募集を停止することとしたところでございます。
 なお、これらの学校の高等部三年生の進路相談に当たっては、的確に対応するよう努めてまいります。
 次に、一六第七九号、都立青鳥養護学校久我山分校の本校化に関する請願について、ご説明申し上げます。
 本請願は、東京都立青鳥養護学校久我山分校PTA会長、大畑篤子さん外四千三百十七人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、東京都特別支援教育推進計画に、都立青鳥養護学校久我山分校の本校化を明示していただきたいでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都立青鳥養護学校久我山分校は、平成二年度に同校久我山分教室として発足し、平成四年度に同校分校として開設したものでございます。
 東京都教育委員会は、平成十六年十一月に東京都特別支援教育推進計画を発表したところでございまして、この第一次実施計画において、普通教室の確保の一環として、青鳥養護学校久我山分校を整備するとともに、本校化について、平成十七年度に検討委員会を設置し、今後の児童生徒数や国の法改正の動向などを考慮し、検討していくこととしているところでございます。
 次に、一六第七五号、都立青鳥養護学校寄宿舎閉舎に関する陳情について、ご説明申し上げます。
 本陳情は、東京都立青鳥養護学校PTA会長、日暮高久さん外四千六百二十九人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、都立青鳥養護学校寄宿舎閉舎案を撤回していただきたいでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、先ほどの請願一六第四五号と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に、一六第七九号、南多摩学園養護学校(仮称)の配置案の見直しに関する陳情について、ご説明申し上げます。
 本陳情は、(仮称)南多摩地区学園養護学校の配置案の見直しを求める会代表、増田友一さん外二百二十九人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、南多摩地区学園養護学校(仮称)設置計画は、場所を変更し、抜本的に見直していただきたいでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、平成十六年七月十四日に東京都特別支援教育推進計画概要案を発表いたしましたが、その計画案において、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部を、全都的な配置のバランスを考慮し、第一次配置計画において三校設置することとしているところでございます。そのうちの一校が南多摩地区学園養護学校(仮称)でございまして、東京都教育委員会は、この学校の設置場所について、高校の跡地等を活用して設置することとし、関係市と協議を行ってきたところでございます。
 この知的障害が軽い生徒を対象とした高等部は、知的障害養護学校高等部に入学する生徒の約六割が知的障害が軽い生徒でございますことから、生徒の障害に応じた職業的自立に向けた指導を行うとともに、知的障害養護学校の普通教室の確保を図ることを目的として設置するものでございます。
 なお、南多摩地区学園養護学校(仮称)の設置場所について、南大沢学園養護学校を活用することで関係市との協議が調ったため、本計画発表にあわせて公表したところでございます。
 次に、一六第八六号、土肥臨海学園及び聖山高原学園の廃止に反対し、充実・発展を求めることに関する陳情について、ご説明申し上げます。
 本陳情は、都立校外教育施設の存続を求める都立障害児学校保護者有志の会代表、三枝則子さん外五千六百四人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、土肥臨海学園及び聖山高原学園の二つの校外教育施設について次のことを実現していただきたいとして、1、廃止をやめることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、平成十六年十一月に東京都特別支援教育推進計画を発表し、この第一次実施計画において、土肥臨海学園と聖山高原学園の二カ所の校外教育施設を見直すこととしたところでございます。
 見直しの主な要因としては、児童生徒の障害の重度重複化や保護者の要望等に対応するために、移動教室の宿泊施設を両校外教育施設に限らず幅広く選択する学校がふえてきたことや、民間施設や他の公的施設が整備され、障害のある児童生徒の受け入れが進んだことにより、両校外教育施設の利用率が低下していることが挙げられてございます。これらを踏まえ、土肥臨海学園については平成十六年度末に、聖山高原学園については平成十八年度末に閉所することとしたところでございます。
 次に、陳情趣旨の2、都立盲・ろう・養護学校の子どもたちが使いやすいように施設の充実発展を図ることでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、移動教室における宿泊施設は、両校外教育施設に限らず、幅広く選択する学校がふえており、平成十五年度の実績で移動教室の宿泊先を見ると、民間施設や他の公的施設を利用する学校が多くなっているところでございます。
 今後は、児童生徒や保護者の多様なニーズに的確に対応するため、民間施設や他の公的施設に関する情報のデータベース作成や、医師、臨時介助員等の付き添い範囲の拡大を図り、宿泊行事の一層の充実を図ってまいります。
 次に、一六第八九号、都立ろう学校五校廃止計画(案)の見直しに関する陳情について、ご説明申し上げます。
 本陳情は、東京の聴覚障害教育を考える会代表、本多忠雅さん外一万五千八百七十八人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、次のことを実現していただきたいとして、1、都立ろう学校の幼稚部及び小学部の廃止計画を見直し、現在行っている乳幼児教育相談も含めて存続することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、先ほどの請願一六第四一号の第一項と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に、陳情趣旨の2、都立ろう学校の中学部の廃止については、少なくとも在籍生徒が自校中学部を卒業するまで存続することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、平成十六年度現在、再編整備対象の四校の中学部では、江東ろう学校のゼロ人を初め、ほかの三校合わせても四十二人でございまして、一校の一学年当たりの人数は平均約四人でございます。このため、教育環境を確保するため、早急な再編整備が必要となってございます。
 なお、中学部については、年齢的にも公共交通機関を使用した生徒自身の通学が可能でございまして、生徒の社会性をはぐくむための集団活動の活性化やコミュニケーション能力の育成のためにも、学級規模の確保が必要でございます。
 次に、陳情趣旨の3、高等部及び専攻科の削減計画を見直すことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、平成十六年度現在、ろう学校高等部本科の全学年の合計生徒数は、大田ろう学校が十名、石神井ろう学校が二十一名で、一学年平均約五人でございます。また、専攻科の全学年の合計生徒数は、大田ろう学校が十八名、石神井ろう学校が十三名で、一校一学年平均約八人という状況でございまして、生徒の社会性をはぐくむための集団活動の活性化や、聴覚障害教育に関する専門性の維持向上を図ることが困難な状況が生じているところでございます。このため、教育環境を確保する観点から、高等部及び専攻科の早期の再編整備が必要となっているところでございます。
 なお、今回計画されている石神井ろう学校と大田ろう学校の再編整備は、平成十一年度発表の東京都聴覚障害教育推進構想で既に述べられ、同時に、これらにかわる学校として中高一貫型ろう学校の設置も提案されており、早期の実現が待望されているところでございます。
 次に、陳情趣旨の4、大田ろう学校、石神井ろう学校の専攻科については、少なくとも同校高等部に在籍する生徒が自校専攻科に進学し卒業できるよう、性急な募集停止を行わないことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、先ほどの請願一六第七一号と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○池田委員長 説明は終わりました。
 先ほどの資料を含めまして、これより報告事項及び請願一六第四一号外九件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○臼井委員 自民党の臼井でございます。私は、東京都特別支援教育推進計画について質問をいたします。
 このたび東京都特別支援教育推進計画が策定され、発表されました。この計画は、十年間という長期的な視野を持ちながら、かつ、早急に取り組むべきものについて第一次実施計画としての性格を持つものであり、また、これまで対症療法的に対応してきた普通教室確保やスクールバスの通学負担軽減など、さまざまな課題を抜本的に解決するとともに、障害のある児童生徒の夢をはぐくみ、将来自立した生活や社会参加ができるような後期中等教育の充実を含む施策が総合的に盛り込まれているという、今までになかった画期的なものであります。
 これまでの心身障害教育から特別支援教育へ大きな転換期に今あるわけでございます。適時適切にこうした計画の策定をした都教育委員会の取り組みについて、ノーマライゼーション社会の構築に向かって高く評価したいと思います。
 今回、請願陳情として、ろう学校や寄宿舎の再編整備について一部の反対の声もありますけれども、それらについても都教育委員会においてはきめ細かに対応をしているとともに、財政難で厳しい折にもかかわらず、創意工夫により、単なる再編縮小に終わらずに、保護者の長年の願いであり、全国でも例を見ない、先ほどの陳情にもありますけれども、中高一貫型教育を行う中央ろう学校の設置、これらがありまして、さまざまな面で障害のある児童生徒の教育の充実を図っていることに関し、私が聞いている限り、保護者など関係者からも高く評価されております。
 国においても特別支援教育について検討が進められているところでありますが、今後、我が国における特別支援教育のモデルともなっていくと私は思います。
 そこでまず、計画の中でも新たなタイプの学校として示されている、知的障害が軽い生徒を対象にした養護学校高等部の設置について伺いたいと思います。
 まず、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部設置の都の基本的な考え方について伺います。

○伊藤参事 知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部は、主に中学校の通常の学級や心身障害学級から進学してくる知的障害が軽い生徒を対象として、将来の職業的自立に向けた専門的な教育を行うことを目的としてございます。
 この高等部には、生徒全員の一般企業への就職を目指す職業学科と、資格取得などを目的として進学を目指す普通科を設置してまいります。

○臼井委員 ただいまお答えをいただいた、この高等部の職業学科では、企業就労一〇〇%を目指していくと聞いています。これらは大変すばらしいことだと思いますが、それを実現していくことは、現在の雇用情勢からも大変なことだと思います。この件については、我が党の代表質問に対し、教育長より答弁で、既に二校に設置されている職業学科の実績を生かし、新たな教育課程を開発、実践するとともに、インターンシップの活用、将来の職業的自立に向けた専門的な教育を行っていく、さらに、就労促進や職場定着を目的とした学校版ジョブコーチ制の導入を検討するなど、職業教育の充実と就労支援が一体となった施策を展開していく、このように答弁をいただいています。
 このように、職業教育の一層の充実はもちろんでありますが、就労に向けての支援も一体となって実施していくことが極めて必要だと思います。そこで、答弁の中にあったジョブ制度--興味のある言葉ですが、この学校版ジョブコーチ制度はどのようなものなのか、また、どのような効果が期待されるのか、お伺いいたします。

○伊藤参事 現在、国が十八歳以上の知的障害者等を対象に、障害者の雇用促進及び職業の安定を図ることを目的といたしまして実施しているジョブコーチは、職場適応援助者制度でございますが、十八歳未満である養護学校在学中の生徒は対象とされていないわけでございます。この国におけるジョブコーチ制度の実績と成果等を踏まえた学校版のジョブコーチ制度を導入することによりまして、生徒に対する職場内コミュニケーションや基本的生活習慣に関する指導、職場における理解啓発、家族の支援体制に関する助言等により、就労拡大や職場定着を図ることが可能と考えてございます。

○臼井委員 障害のある子どもたちにとってのさらなる就労拡大や職場定着を図ることが可能な制度なら、できるだけ早期にこの学校版ジョブコーチ制度を導入していただきたいと思います。今後の取り組みはどのようになっておられるか、お伺いいたします。

○伊藤参事 学校版ジョブコーチ制度の導入に向けまして、本年度より制度構築に向けた研究や関係機関との協議を開始するとともに、平成十七年度に進路指導担当教員の研修の充実を図るなど、平成十八年度の制度導入に向けて積極的に取り組んでまいります。

○臼井委員 制度化に取り組むということでありますが、就労拡大をするといっても、これもまた非常に厳しい現実がありますね。外国人等が単純労務等に入り込んできております。民間企業における障害者の法定雇用率は一・八%でありますが、実雇用率は一・四八%であります。法定雇用率が未達成である企業が半数以上あるということが現状です。今後、生徒の企業就労をさらに促進していくためにも、障害者雇用の実績のない企業、消極的な企業に対して、理解、啓発の取り組みもあわせて実施していく必要があると考えます。もちろん、これは都教育委員会だけではなく、産業労働局や福祉保健局といった関係局の協力が絶対必要だし、連携を必要とされると思います。
 そこで、教育委員会としては、企業への理解、啓発を含め、学校単独の努力だけに頼るのではなく、今後も学校と都教委とが一体となって就労支援の取り組みがされることが必要と考えますが、委員会の見解を伺います。

○伊藤参事 委員ご指摘のように、就労に向けて都教育委員会と学校の一体となった取り組みが重要でございます。このため、都教育委員会として本年度から経済団体等への雇用促進要請を行うとともに、平成十七年度以降シンポジウムを開催するなど、今後新たな職種、職域の拡大に向け、学校と連携して障害者雇用実績のない企業に対しても積極的な働きかけを行い、就労支援をしてまいります。

○臼井委員 ぜひしっかり頑張ってやっていただきたいと思います。
 次に、南多摩地区学園養護学校についてでございますが、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部は、第一次実施計画では三校設置するということで大きく踏み出したのでありますが、仮称永福学園養護学校、同じく仮称青梅東学園養護学校の二校とは異なりまして、仮称ではありますが、南多摩地区学園養護学校の計画化に当たっては、多摩市との調整に時間を要した経過があったことは伺っております。
 保護者を初め関係者が大変心配をしていたところでありましたが、地元関係市との調整などさまざまな困難に向かって、今回の南多摩地区学園養護学校の問題が解決し、計画されたことについて、学校関係者からの評価は高いと聞いています。努力の成果が本計画に設置場所を含め示されており、これまでのご苦労をねぎらいたいと思っています。
 そこで伺いますが、当初は南野高校跡地を活用する案もあったということですが、なぜ最終的に南大沢学園養護学校を活用し、仮称でありますが、南多摩地区学園養護学校を設置するということにしたのか、伺います。

○伊藤参事 仮称南多摩地区学園養護学校につきましては、当初、南野高校跡地を活用する案と、南大沢学園養護学校を活用する案の二つの案がございました。最終的に南大沢学園養護学校を活用することになった理由でございますが、南大沢学園養護学校には、現在職業学科が設置されておりまして、これまで培った知的障害が軽い生徒を対象とした職業教育の実績を仮称南多摩地区学園養護学校に生かすことができること、及び現在は肢体不自由単独校でございます多摩養護学校に知的障害教育部門を併置し、現在の学校施設を有効に活用して児童生徒を受け入れることで、過密状況にございます南大沢学園養護学校の普通教室不足対策という緊急性の高い課題に早期に対応することが可能であることからでございます。

○臼井委員 一方で、多摩養護学校については、現在の肢体不自由単独校から知・肢併置の養護学校としていくということですが、地域型の養護学校として、地域の中学校との連携や、地域と連携した職業教育、就労支援などを検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○伊藤参事 多摩養護学校の知的障害教育部門の高等部では、ご指摘のように、多摩市などの中学校と連携をいたしまして、心身障害学級等からの生徒を受け入れるとともに、多摩市の地域特性を考慮し、福祉系のコースを設けて、地域と連携した職業教育や就労支援を行うことなどが考えられます。
 今後、関係市の意見も聞きながら、地域との連携を一層図るよう積極的に検討してまいります。

○臼井委員 わかりました。
 南多摩地区学園養護学校の設置に当たっては紆余曲折があり、結果としていい選択だったと私は思います。今後、新しい学校づくりをしていくことになりますが、どのような仕組みで、どのような事項について検討を行っていくか、伺います。

○伊藤参事 仮称南多摩地区学園養護学校の設置につきましては、今後、学校関係者も含めた基本計画検討委員会を設置いたしまして、その中で学校像、育てたい生徒像、教育理念、職業教育の特色などについて具体的に検討してまいります。

○臼井委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、知的障害が軽い生徒を対象にした高等部の設置によりまして、将来の職業的自立の可能性がより高まるということはよくわかったのでありますが、同時に、既存の知的障害養護学校に通う、知的障害が中度、重度の生徒への教育と就労支援の充実について考えていただきたいと思うのであります。せめて福祉就労ができ、わずかであっても自分の力でお金を稼ぐことができる、人として働くことの喜びを享受できるようにしなければならないと思っているのであります。
 従来からの知的障害養護学校における職業教育の充実や就労支援についてはどのように充実していくのか、今後の取り組みについて見解をお伺いして、私の質問を終わります。

○伊藤参事 委員ご指摘のように、障害のある生徒の社会参加や自立に向けて、従来からある養護学校におきましても、職業教育や就労支援の充実は重要でございます。従来からある養護学校においては、これまでも自立に向けた教育を推進してまいりましたが、今後一層その充実を図るため、小学部から高等部までの十二年間の一貫性のある教育を行うための教育課程の研究開発を行うなど、教育環境の整備に努めてまいります。
 また、平成十七年度中に盲・ろう・養護学校の各校が作成する学齢期から社会参加期への円滑な移行を支援するための個別移行支援計画の活用などの就労支援も充実してまいります。

○石川委員 それでは、私からも特別支援教育推進計画に関連して四点について質問をいたします。
 まず、ただいまも質疑がありました南多摩地区学園養護学校(仮称)についてお伺いいたします。
 十月の事務事業質疑の際にもお話ししたように、南多摩地区学園養護学校(仮称)の早期実現を求める声が、さまざまな立場の方から我が党にも寄せられてきました。それは、南多摩地区学園養護学校(仮称)が、知的障害が軽い生徒の職業的自立を推進するという教育的意義や知的障害者養護学校の教室不足対策という役割をあわせ持つ学校であるからだと思います。
 今回、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部設置校である南多摩地区学園養護学校(仮称)が、南大沢学園養護学校を活用して設置されることが推進計画に位置づけられ、実現への一歩を踏み出したことは、知的障害の生徒さんや保護者の方々、また関係者の方々にとって大きな喜びであり、我が国の知的障害教育にとっても大きな前進であると評価します。
 しかし、今回の特別支援教育推進計画の推進の指針に、家庭や地域との連携を一層進め、開かれた学校づくりを進めることが挙げられていますが、第一次実施計画は、発表直前まで多摩市など関係市との調整もあって、保護者や学校近隣の住民の方がこの計画を知ったのは、計画発表の直前であったと聞いています。
 そこで、今回の計画発表に当たって、南大沢学園養護学校と多摩養護学校の保護者や近隣の住民にも、計画について丁寧に説明してきたのでしょうか。また、今後計画を推進するに当たっては、保護者等の声を積極的に聞きながら計画を進めるべきです。見解を伺います。

○伊藤参事 計画発表までの保護者等への都教育委員会からの説明についてでございますが、南大沢学園養護学校では、十一月十日にPTA役員、十一月二十四日に全校保護者を対象とした説明会を実施いたしました。また、多摩養護学校では、十一月十日にPTA役員、十一月二十九日に全校保護者を対象とした説明会を実施いたしました。また、それぞれの学校所在地の町会長へ計画の概要を説明し、理解をいただきました。
 今後も、学校の要請に応じて保護者への適時適切な情報の提供に努めるとともに、両校の将来像を具体的に検討する基本計画検討委員会に保護者の声を反映するなど、計画の推進に当たって保護者や地域の理解を得ながら進めてまいります。

○石川委員 今後は、新たに設置される知的障害が軽い生徒を対象とした高等部設置校三校それぞれが、都内全域から生徒を募集し、よい意味で切磋琢磨していってほしいと思いますが、永福学園養護学校と青梅東学園養護学校は閉校となる高校の跡地を使って開校するわけですから、受け入れ人数も心配がないと思います。
 しかし、南多摩地区学園養護学校(仮称)は、南多摩地域の知的障害が軽い生徒を中心に受け入れることで、町田養護学校や八王子養護学校、南大沢学園養護学校などの生徒を減らし、普通教室不足の解消をねらっているわけですから、施設の収容力が問われるところです。
 南多摩地区学園養護学校(仮称)は、既存の南大沢学園養護学校を活用するということですが、校舎の規模から見て生徒の受け入れは可能なのでしょうか。また、受け入れのためには必要な増築などをすべきと考えますが、所見を伺います。

○伊藤参事 現在の南大沢学園養護学校における知的障害が軽い生徒の受け入れに向けた施設の整備についてでございますが、平成十九年度までに普通教室確保のための緊急対策として既存の校舎を改修し、その後、職業教育のための施設や普通教室等の確保について計画的に増築等を行ってまいります。

○石川委員 平成二十二年度に南大沢学園養護学校が南多摩地区学園養護学校(仮称)として、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部だけの学校になるということで、小学部、中学部の児童生徒と南多摩地区学園養護学校(仮称)に進学しない高等部生徒は、多摩養護学校に設置される知的障害部門に通学することになります。南大沢学園養護学校の教育がいいということで選んで入学した児童生徒の皆さんもいるということを聞いています。
 多摩養護学校に移る子どもたちの保護者の方が心配されていることは、通学時間が長くなることや、南大沢学園養護学校で受けていた教育内容や先生との関係が、多摩養護学校に引き継がれるのかということです。見解を伺います。

○伊藤参事 今後、仮称南多摩地区学園養護学校の設置に向けまして基本計画検討委員会を設置し、知的障害教育部門が併置される多摩養護学校を含め、教育内容や指導の継続について具体的な課題を検討してまいります。また、通学負担が過重とならないよう、保護者の意図を十分にお聞きし、スクールバスの配車等にも工夫を凝らしてまいります。
 なお、教員の配置につきましても、指導の継続が図れるよう、新しい学校にふさわしい人材の配置に努めてまいります。

○石川委員 さらに、南大沢学園養護学校と多摩養護学校は、現在、知的障害の学校と肢体不自由の学校ということで、障害の種別も違い、それぞれ独自の教育を行っているわけですが、もともとの出発は多摩養護学校で、知的障害と肢体不自由の設置校であったということから、学校の歴史から見ても非常に密接な関係にあります。南多摩地区で同じ通学区域の子どもたちを受け入れていることから、今後は特別支援教育体制の下でエリアネットワークの中心として、ますます連携を深めていかなければなりません。
 円滑な移転を進めると同時に、今後も両校が密接な連携を図っていくことが重要であると考えますが、南大沢学園養護学校と多摩養護学校の今後の連携のあり方について所見を伺います。

○伊藤参事 両校の連携のあり方についてでございますが、南大沢学園養護学校と多摩養護学校では、既に二校の連絡会が組織されておりまして、移転に伴って予想される課題の検討や、今後の連携体制の構築に向けた検討が始められようとしているところでございます。
 都教育委員会といたしましても、両校が密接に連携して、教育内容を一層充実し、地域に対して特別支援教育のセンター的機能を発揮していくことができるよう連絡会に積極的に参加するとともに、学校の取り組みを支援してまいります。

○石川委員 ぜひ関係者、生徒、そして保護者の皆さんのご期待にこたえていただきたいと思います。
 次に、知的障害養護学校における教室不足の確保について伺います。
 知的障害養護学校においては、在籍者の増加傾向により普通教室が不足しており、その確保は極めて緊急性の高い課題であり、今回の計画の中でも最大の懸案事項の一つであると思います。
 第一次実施計画により、各学校内での増築等により確保される普通教室はどのくらいでしょうか。また、計画に示された学校はどのような考え方で選定しているのでしょうか、伺います。

○伊藤参事 第一次実施計画期間中に、各学校の増築等により確保される普通教室数は九十程度でございます。対象校は、児童生徒数の将来的な動向、転用及び間仕切り教室の状況、学校敷地における建ぺい率、容積率の状況など法的制約の状況、グラウンド確保など、学校運営上の観点から総合的に勘案いたしまして選定をいたしました。

○石川委員 この緊急性の高い課題に対しては、従来から早急な対応をしていくように強く要望をしていたところですけれども、今回の計画で普通教室確保として示されている整備スケジュールが最も早いものなのでしょうか。

○伊藤参事 各学校での普通教室を確保するためには増改修が必要でございまして、そのために必要な実施設計、工事等の期間が必要となりますが、委員ご指摘のように、普通教室確保策は緊急性の高い課題でございますので、可能な限り早期に普通教室を確保できるような整備スケジュールをお示ししたところでございます。

○石川委員 計画概要案では、平成二十七年度時点での必要教室数が四百七十教室程度ということでしたが、そのうち、知的障害養護学校における必要教室数は何教室でしょうか。
 また、各学校内の増築等により確保される普通教室が九十程度ということですが、これ以外でも、学校の増設により普通教室が確保されると思いますが、それも含め、第一次実施計画完成時に確保される普通教室は、知的障害養護学校全体の必要教室数のうち、どのくらいの割合を占めるのでしょうか。

○伊藤参事 計画完成の平成二十七年度時点での知的障害養護学校の必要な増加教室数は四百教室程度でございまして、知的障害養護学校の増設により確保される教室数も含めた第一次実施計画完成時に新たに確保される普通教室数は二百二十教室程度、全体の五五%程度となってございます。

○石川委員 普通教室の確保対策は、教育をしていく上で最低限の条件です。計画実施については早急な対応をお願いするとともに、児童生徒数の増減により、第一次実施計画の変更などを含め柔軟な対応をしていただき、計画の指針に示されている安心して学べる教育環境を整備していただきたいと思います。
 次に、寄宿舎の再編整備について伺います。
 計画では、寄宿舎の利用を適正化し、一部を普通教室に転用するなど、課題の解決に向けて寄宿舎の規模と配置の適正化を図っていくとして、平成二十七年度までに現在十一舎ある寄宿舎を五舎にしていくとしています。寄宿舎の適正な規模と配置が実施されることにより、従前は寄宿舎の設置校の児童生徒のみが入所できていたものから、今後は寄宿舎を設置していない学校の児童生徒であっても、入所基準に適合すれば、同一の障害種部門の寄宿舎へ入所できるようになりますが、その際、他校の寄宿舎への入所が円滑に進められるよう、第三回定例会で我が党が提案した転学する際の手続の迅速化について、推進計画の中に具体的に表現されたことは、教育の保障及び教育の機会均等の観点からも大いに評価できるものであります。
 しかし、島しょ地区の知的障害の児童生徒の受け入れが、青鳥養護学校から八王子盲学校と組織統合される八王子養護学校の寄宿舎になり、保護者からは羽田空港や竹芝桟橋から寄宿舎まで送迎の時間が長くなるという点も指摘する声もあります。
 第一次計画の中で、現在の八王子養護学校の寄宿舎を、知的障害がある児童生徒のための寄宿舎とした理由についてお尋ねいたします。

○伊藤参事 八王子養護学校につきましては、小学部から高等部まで設置されておりまして、寄宿舎での指導におきまして、異年齢集団の活動や、高等部卒業までの指導の一貫性が図りやすいこと、また、児童生徒が宿泊する部屋の広さなど施設面も比較検討いたしまして総合的に判断し、現在の八王子養護学校の寄宿舎を知的障害の児童生徒の寄宿舎として決定したところでございます。

○石川委員 今後、他の障害種別の寄宿舎の配置計画の検討が進められていくことになりますが、島しょ地区の肢体不自由の児童生徒の寄宿舎までの移動の負担など、障害者の特性に配慮して寄宿舎の配置計画を検討する必要があると思いますが、見解を伺います。

○伊藤参事 委員ご指摘のように、肢体不自由養護学校の児童生徒の障害の重度重複化の実態を踏まえまして、寄宿舎の配置場所について検討することが必要でございます。そのため、今後策定する寄宿舎の配置計画におきましては、障害の特性に十分配慮してまいります。

○石川委員 四点目に、石神井ろう学校専攻科の募集停止についてお伺いいたします。
 この点については、これまで当委員会で関係者の気持ち、要望等を十分酌んでほしいというお願いをしてまいりました。しかし、多くの人材を社会に輩出した大田ろう学校と石神井ろう学校が閉校され、関係する保護者の立場に立てば、痛みを伴う改革ということもできます。両校が閉校されるについては、平成十一年に発表された聴覚障害教育推進構想にも挙げられており、実施時期こそ明らかではないものの、関係者の間では承知されていたようでありますが、計画発表から数カ月という短さで募集停止を行うわけですから、石神井ろう学校七名、大田ろう学校二名の生徒さんに対する十分な対応がさらに求められると思います。
 第三回定例議会の文教委員会でも、この問題については関係者の声を聞く機会を設けて慎重に計画を進めていただきたいとお願いしてきたところですが、その後、生徒や保護者の心情をどのように考え、学校も含めてどのように保護者の理解を得る努力をしてきたのか、伺います。

○伊藤参事 都教育委員会といたしましても、自校の専攻科への進学を強く希望する生徒や保護者の気持ちは理解するところでございますが、生徒数が減少し、専攻科の二年間にわたる適切な教育環境を確保することが難しい状況にあっては、このことを教育的な課題としてとらえ、その解決を図る必要があると考えているところでございます。
 そのため、七月の特別支援教育推進計画概要案発表後、九月十七日と十月十三日に両校の保護者に対しまして計画の内容について説明をいたしました。学校においては、学校長を中心に、生徒や保護者と話し合う機会を持ちまして、大田ろう学校では、保護者や生徒と個別に話し合いを重ねる中で、進路の方向が決定したと聞いてございます。
 また、石神井ろう学校におきましても、七月十四日から十二月二日の間に保護者会を六回開き、推進計画や進路選択について説明し、理解が得られるよう努めてまいりました。

○石川委員 石神井ろう学校の七名の生徒の進路については、ろう学校専攻科以外の進路も含め、進路希望が多様であると聞いていますが、現在はどのような状況なのでしょうか。

○伊藤参事 石神井ろう学校では、七名の生徒の進路希望を尊重しながら、大学や専門学校、ろう学校専攻科等の見学を実施するなど進路の決定に向けた指導を行っておりまして、一部には、既に大学などの進路の方向が決定した生徒もいると学校から報告を受けているところでございます。
 なお、ろう学校専攻科への進学を希望する生徒につきましては、一月十二日から十四日の願書の提出に向けまして、個別に進路指導を続けているところでございます。

○石川委員 ろう学校専攻科は、職業教育をより専門的に深め、卒業後の職業自立に向けた教育を行うため、各学校がそれぞれ特色を持って教育を行っていると聞いています。石神井ろう学校の専攻科の募集が停止され、立川ろう学校、葛飾ろう学校専攻科に入学することになっても、石神井ろう学校で学んできた学習が同じように継続されるのでしょうか。受け入れに当たってどのような配慮をしていこうと考えているのか、伺います。

○伊藤参事 石神井ろう学校では、ろう学校専攻科への進学を希望している生徒に対しまして、進路選択のために立川ろう学校、葛飾ろう学校の学校見学を実施し、生徒に対して進路選択に必要な情報の収集、提供を行ってございます。
 都教育委員会といたしましても、生徒の受け入れに必要な条件整備等について検討しているところでございまして、立川ろう学校や葛飾ろう学校において生徒が希望する教育内容が継続できるよう、必要な支援を行ってまいります。

○石川委員 第一次配置計画では、分教室化や高等部単独校の閉校など、ろう学校が一番大きく変化していきます。今後も保護者の意向に耳を傾け、通学負担にも配慮するなど最大限の努力を払って、生徒や保護者の理解を図っていっていただきたいと思います。
 また、専攻科の募集停止に当たっては、受け入れ側である立川ろう学校、葛飾ろう学校の要望もよく聞いて、生徒たちにとって影響がないような形で将来に向けた改革を進めていただくよう要望し、私の質問を終わります。

○小林委員 それでは、私は陳情一六第八六号について質問させていただきます。
 この中身は、土肥臨海学園及び聖山高原学園の廃止についてでございますけれども、この両施設とも昭和四十年代にできた非常に伝統のある施設でありますけれども、かなり唐突に出たという感じがするわけです。
 まず最初に、教育委員会として、この両施設の今回の発表に至るまでどのように検討してきたのか、その経過について最初にお伺いをいたします。

○伊藤参事 検討の経過についてでございますが、これまでも利用促進の検討を進めまして、その都度、都教育委員会からも充実策を講じてまいりましたが、利用率が伸びなかった状況がございます。平成十五年十月に校外教育施設の今後のあり方につきまして検討するため、学校関係者を中心に構成する東京都立盲・ろう・養護学校校外教育施設のあり方検討委員会を設置いたしました。
 このあり方検討委員会は、平成十六年二月までの間に六回開催をいたしまして、校外教育施設に関連する課題の検討を進めてまいりました。なお、検討を進めるに当たりましては、都立盲・ろう・養護学校の児童生徒の教育環境の充実と、教育活動の機会の均等を念頭に、第一に、校外教育施設の利用と生活訓練等移動教室の実態、第二に、生活訓練等移動教育を行う場所や利用方法、第三に、都立校外教育施設についてという三つの視点から、保護者を含め幅広く関係者の意見を聞きながら検討を進めてまいりました。

○小林委員 今の説明ですと、平成十五年の十月に今後のあり方検討ということで検討委員会をつくって、平成十六年の二月、大体四カ月ですね、たった四カ月、この間六回やられているわけですから、かなり濃い審議をしてこられたんだろうと思いますけれども、それで今回の十六年に廃止ですから、何か結論を先に決めておいて、あとで一生懸命つじつまを合わせているように思えるんですけれども、そこで伺いますが、今申し上げたように、十六年度末をもって土肥の臨海学園を閉所するというのはちょっと性急な感じがするんですけれども、その辺の所見を伺います。

○伊藤参事 ただいまご説明をさせていただきました都立校外教育施設のあり方検討委員会の検討結果とは別に、当時の知事本部が平成十六年二月に公表いたしました平成十五年度の事務事業評価におきましても、廃止を含めた抜本的見直しと評価されたことから、早急に見直す必要があると判断をいたしまして、平成十六年度末に閉所するものでございます。

○小林委員 やっぱりかなり以前からその結論を導き出してやってきたということは、確かにこういう形に結果としてなったんだろうと思います。
 そこで、この校外教育施設のあり方検討委員会で検討してきたということですが、この六回の中で--四カ月で六回やっているわけですから、今までの審議会の中では非常に活発に、集中的にやったということがいえるかと思いますが、その議論の中身はどういうことが課題に挙げられたのでしょうか、お伺いします。

○伊藤参事 校外教育施設のあり方検討委員会におきましては、児童生徒が増加傾向にあるにもかかわらず、利用率、利用者数が低下していること、土肥臨海学園では十一月中旬から五月中旬、聖山高原学園では十二月と三月の利用が極めて少ないなど利用時期が限定されている反面、利用希望が集中し、利用時期の変更を余儀なくされている学校もあること、ろう学校を除き小学部の利用がほとんどないこと、また、児童生徒の障害の重度重複化に伴い、肢体不自由養護学校の利用がここ数年全くないことなど、限られた学校、学部の利用にとどまっていること、その他施設の老朽化、さまざまな利用促進策を講じてきたが利用率が上がらないことなどの課題が挙げられてまいりました。

○小林委員 今回の資料請求の中にも利用の実態が載っておりますし、私も事前にもらった検討委員会の資料等も見ておりますが、確かに利用者負担等々でいえば、相当公費負担が多い、あるいは利用者についても地域的に偏っていたり、あるいは盲・ろう・養以外のところで、夏なんかはほとんどそうですけれども、そういう実態は確かに見られるということは私も承知をしております。
 そこで、利用率について伺いますけれども、今後の動向というのも、十六年度中ですからそんな見直しはできないということになるかもしれませんが、聖山については十八年ですから、これからの利用率の動向というのは、要素としては非常に不確実なものですけれども、非常に動向は大きく左右するわけですね。
 そこで伺いますけれども、今回利用率が、この資料の中でもありますが、相当努力はしたけれども、なかなか増加傾向にならなかったということが載っております。この利用率の低下の背景とか原因についてどのように考えておられますか、分析をしておられるでしょうか。

○伊藤参事 校外教育施設の利用率低下の背景及び原因についてでございますが、児童生徒の障害の重度重複化や、保護者などの多様なニーズに対応するため、移動教室の宿泊施設を両校外施設に限らず幅広く選定する学校がふえてきたこと、民間施設や他の公的施設の整備や障害者への理解が進み、障害のある児童生徒にとっても利用しやすい施設が多くなってきたことなどが挙げられております。

○小林委員 今いわれたことは、私もそのとおりだと思います。どこでしたか、九州でハンセン病の患者の受け入れを拒否したことで、もうたしか旅館業を、閉鎖したとかいう話ですから、そういう意味では、全体的に障害者に対する差別意識というんですか、そういう受け入れみたいなところは、確かに非常に醸成されたというのはよくわかります。私もそれは確かにあるかというふうに思います。
 しかし、親と子どもがほかの人に気兼ねなく三泊から四泊利用ができ、非常に親密な関係がそこでできるという利点もある。一方で、この施設は無料なんですよね。ですから、これがもし民間になったときに、あるいはそれに類するようなものになったときに、そこら辺の親の負担の問題が--当然その子どもを持つ親というのは大体まだ所得は低い方が多いわけです。そこでお伺いしますけれども、仮に民間の施設を利用した場合、施設の使用料の分だけ、それが保護者の負担になるのかならないのか、これは何か受け入れたみたいな質問になりますけれども、どうでしょう。

○伊藤参事 土肥、聖山の校外教育施設とその他の公的施設や民間施設を使用した場合の経費の比較についてでございますけれども、主な経費は宿泊料と交通費でございます。土肥、聖山の校外教育施設は、委員ご指摘のとおり宿泊料は無料でございますが、交通費が高いため、比較的近い施設を利用、活用すれば、経費に大きな差がないと聞いております。
 なお、交通費や宿泊費、食費など、移動教室に要する児童生徒の共通的な経費は、保護者の収入等に応じまして就学奨励費を支給してございます。

○小林委員 これは余り質問すると受け入れたみたいになっちゃうんだけれども、ぜひ負担が少なく済むように、あるいはもしこのことが実施をされた場合、あとは知りませんよということじゃなくて、今、民間施設もかなり受け入れの方向、理解が深まったという、そういう全体の流れはあるけれども、じゃ、どこにそういうところがあるんだというようなことになると、なかなかないわけですから、これが廃止が見直され、存続するということを私は強く希望しますけれども、そういったこともあわせ持って情報として十分把握しておいていただければというふうに思います。
 そこで、この二つの施設、土肥については静岡県の伊豆にありますよね。ここはたしか直営でやっているんだと思いますけれども、聖山については、長野県の大岡村というところに委託をお願いしているということですから、東京都の都合で、四カ月で六回やってもう要りませんといったら、委託をして快くやってくださっているんだろうと思うけれども、もう十六年度からやりませんなんていったら、そこら辺の信頼関係みたいなことをちょっと心配するんです。お聞きしたら、大岡村の村会議員さんからも存続の要望が出されているというふうに聞いておりますけれども、地元にそういう信頼関係をこの間築いてきたわけですから、そこら辺の理解というのはどんなふうにされておられるのでしょうか。

○伊藤参事 静岡県伊豆市にございます土肥臨海学園につきましては、伊豆市長に説明をいたしまして理解を得てございます。
 また、長野県更級郡大岡村にございます聖山高原学園につきましては、大岡村村議会議員有志から存続要望がございましたが、平成十七年一月一日をもって合併する長野市の関係者及び大岡村村長に対しまして説明を行いまして、都の判断につきましては理解していただいているところでございます。
 なお、両施設の閉所に伴い具体的な要望があれば、可能なものについてはこたえていく考え方でございます。

○小林委員 最後にしますけれども、あくまでも受け入れたということではなくて、私は(「しようがない」と呼ぶ者あり)いやいや、しようがないじゃない。だから、廃止をして、あとは知りませんということじゃなくて、私の知り合いが結構聖山に行って、あそこの施設が本当に気兼ねなくて、親子あるいは先生との密接な関係をそこで維持できるというのを聞いていますし、非常にいいんだそうですね。ですから、十八年ですから、土肥についてはもう十六年ですけれども、存続を求めながらいうのも変ですけれども、なった場合、学校に対して、検討委員会の要望の中でも、医師の付き添い基準の緩和--学校長の許可がないとつけられないんだそうですけれども、同じように臨時の介助員とか看護師の引率、あるいはさっき質問しましたけれども、旅費の問題、実際そこまで行く往復の旅費ですね、こういったところが検討の中でも四項目出ておりますけれども、民間施設になるといろいろ周囲に気を使ったりしますから、あるいは逆に、大勢の集団あるいは社会の中に入っていくわけですから危険を伴いますから、そういう意味では介助員とか看護師、あるいは皆さんそれぞれ体調をいろいろ気を使いながら行かれる方が多いですから、医師の付き添いとか、こういったところはぜひ検討して、学校に対して支援をしていただければというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○伊藤参事 都教育委員会といたしましては、今後各学校が児童生徒及び保護者の多様なニーズに対応いたしまして、民間施設または他の公的施設を利用して、より安全で充実した移動教室等の宿泊を伴う行事が実施できるよう、宿泊施設の情報に関するデータベースの作成や、医師や臨時介助員等の付き添い範囲の拡大を図ることによりまして、学校を支援してまいります。

○小林委員 繰り返しになりますけれども、もともとこういう施設は、ただ経費がかかるからといって、教育ですから余り経済論理の中に投げ込むんじゃなくて、税金が無限に投入されるということはいけませんけれども、教育施設ですから、余り経済論だけで進めるのではなくて、もっと教育的な効果から考えて、私は存続を求めますけれども、最悪の場合は、今いったような要望のことをしっかりと学校の方へ支援をしていただくということを要望して、終わります。

○池田委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十七分休憩

   午後二時五十五分開議

○池田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○木村委員 私も東京都の特別支援教育推進計画についてお話を伺いたいと思います。
 そもそも論から教えていただきたいと思いますが、特別支援教育というのはそもそも何か、特別支援というのは何なのか、特別支援教育というのは何なのか、そこをまず教えていただきたい。

○伊藤参事 特別支援教育とは、障害のある児童生徒等の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ちまして、児童生徒等一人一人の教育ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導や必要な支援を行うものでございます。
 特に、現在小中学校において通常の学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒に対する指導及び支援が喫緊の課題となってございまして、特別支援教育においては、心身障害教育の対象となっている児童生徒に加えまして、これらの児童生徒に対しましても適切な指導及び必要な支援を行うものでございます。
 また、心身障害教育では、障害の種類または程度に応じて、固定的な特別な場において指導を行うことに主眼が置かれておりましたが、特別支援教育におきましては、児童生徒等一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導や必要な支援を行うことに主眼が置かれているわけでございます。

○木村委員 今のお話は、計画の冒頭の部分にいろいろ説明されているんですが、五ページには、今の言葉、こうなっています。「障害の種類や程度に応じ特別な場で指導を行う『特殊教育』から、LD、ADHD、高機能自閉症等を含め障害のある児童・生徒一人一人の教育ニーズに応じて適切な教育を行う『特別支援教育』への転換を図る」というふうになっています。ですから、特殊教育から特別支援教育へ転換するんだ、こういうことですね。転換するというのは一体どういう意味なんですか。前のものを否定して、こっちの方に行くんだという意味のように受け取れますけれども。

○伊藤参事 ただいまお答えをいたしましたとおり、特別支援教育につきましては、児童一人一人の教育ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するために適切な指導や必要な支援を行うものでございまして、そのようなきめ細かな指導を行う教育に転換をしていくというものでございます。

○木村委員 どうもやっぱり転換ということがよくわからないですね。そもそもこの第一章の見出しが、心身障害教育から特別支援教育へというふうになっていますね。心身障害教育から特別支援教育へ。そうすると、ここでいう心身障害教育というのは、恐らく都教委がこれまでやってきた盲・ろう・養護学校の、さっき触れたところでいえば特殊教育です--から特別支援教育へ。そうすると、これまでやっていた盲・ろう・養護学校における心身障害教育を、いわば否定してというか、乗り越えてというか、そういうことに表題のつけ方も中身の説明もなると思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○伊藤参事 委員お尋ねの件でございますが、従来の心身障害教育が果たしてきた役割や実績を否定するものではございません。むしろ、これを継承、発展させていこうという新しい取り組みをするわけでございます。

○木村委員 継承、発展という意味で転換だということですね。
 それじゃ、そういうふうに、やっぱり正確に記述すべきじゃないでしょうかね。障害の種類や程度に応じて特別な場で指導を行う特殊教育、いわば従来の心身障害教育と、一人一人の教育ニーズにこたえて適切な教育指導を行う特別支援教育、これをあたかも対立する概念であるかのように、これからこれへ転換するというふうに記述されています。そうじゃなくて、今までの教育そのものはそれとして、さらに発展させる、より充実し発展させる、それが特別支援教育だ、こういうことでよろしいんですね。

○伊藤参事 そのように理解してございます。

○木村委員 では、十一月二十六日に出されました中央教育審議会の中間答申によれば、特別支援教育とは、従来の障害児教育の対象となっている子どもに加えて、LDやADHD、高機能自閉症などの子どもを対象とするものというふうに書かれています。つまり、LDやADHDなどの軽度の発達障害の子どもを対象に加えるんですよね。だから、特別支援教育構想が始まっている。これまでのものを転換するということじゃないんですよね。そういう意味だというふうに思います。
 文部科学省の進めているこの特別支援教育構想の最大の問題点は、既存の人的、物的資源の配分についての見直しでこれに対応するということにしていることなんです。ご存じだと思います。つまり、従来規模の障害児教育の予算、人員のままで、これまでの数倍に当たる子どもたちを対象にする新たな特別支援教育を行うということに最大の問題があると私どもは考えています。
 これでは十分な教育ができないだろう、教育の質が大きく後退することになるんじゃないか、障害児教育に関係している方々は、みんなこのことを心配し、文部科学省のこの構想のまま推移すれば、障害児教育は危機に瀕するという声が上がっているということも事実であります。
 それで、この特別支援教育推進計画の六六ページには、都内公立小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒のうちで、四・四%の者が特別な教育的支援を必要としているということが明らかになったという東京都独自の調査が叙述されています。
 そうすると、さっきいったように継承、発展でもいいですが、新たにLDやADHDなど、特別の教育的な支援が必要な子どもたち、公立の小中学校にいる四・四%の子どもを対象に加えるということになりますと、今まで東京都がやってきた障害児教育の対象が現在何人で、さらにこの四・四%が加わることによって何人になるのか、その人数を教えていただきたい。

○伊藤参事 委員ご指摘の平成十五年七月から九月にかけて都教育委員会が実施した調査によりますと、都内公立小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒のうち、ご指摘のように四・四%がLD等の特別な教育的支援を必要とする児童生徒であることが明らかになりまして、その人数は--調査対象は全児童生徒を対象にしたわけでございまして、七十五万二千六十八人というのが全対象でございます。そのうちの四・四%、約三万三千人のLD等の対象児童がいるということでございます。

○木村委員 そうしますと、現在、盲・ろう・養護学校に在籍している子どもの数は、たしか六千人台だったというふうに、どこか計画にありましたよね。何人でしたか、数字が出ているところがありますね。

○伊藤参事 本編の七八ページをごらんいただきたいと思いますが、参考図表がお示ししてあるところがございます。その一番下段のところに、平成十六年度の在籍者数が記入してございますが、八千十一名でございます。

○木村委員 そうしますと、八千十一名の障害児教育の対象者が特別支援教育ということになって、四万人を超える対象者に広がっていくということになるわけですね。さっき説明がありましたけれども、一人一人の教育ニーズに応じた適切な教育を支援することが特別支援教育だということになるとすれば、これだけの対象がふえる。いわば一遍に三倍も四倍も対象にする子どもたちがふえる教育をやる。文部科学省がいっているように、既存の人員と予算の見直しによってこれに対応するということは私は不可能だというふうに思いますが、可能だと思われますか。

○伊藤参事 中教審の中間報告におきましては、特別支援教育に係る制度的な見直し等を進めるのに際しましては、義務教育費国庫負担制度の改革の動向等を踏まえつつ、教職員配置等の所要の条件整備についてもあわせて検討する必要があるとしてございます。
 ご指摘の点につきましては、法改正を含む国の動向を踏まえながら、区市町村と都が連携をいたしまして、今後、具体的に検討する必要があると考えてございます。

○木村委員 要するに、既存の人員や予算の範囲内でということでは不可能だ、それはもう所要の条件整備のためには法改正も含めてこれからやられるだろうという話ですが、私もそれはそのとおりだと思います。
 LD、ADHD、高機能自閉症は、軽度発達障害というふうにいわれていますけれども、子どもの状況は決して軽いものではないと思います。例えば、ADHDの子どもは脳の働きに障害があるために、注意を集中する力だとか、考えてから行動する力が弱いと指摘されていますが、授業中落ちつきがなかったり、周りからはとっぴと思われるような行動をとる場合がございます。そのために、友人関係が壊れて、子ども自身が人間不信に追い込まれるという場合もありますし、周囲の大人が障害を理解できなくて、なぜじっとしていられないんだと怒り続けて、ついしかってしまう。子どもの心を傷つけて、一層深刻な状況に陥っている場合も少なくはないわけです。親も、教員も、周囲からそのことを子育てや指導の仕方が悪いからだと責められて、また自信を失う。そういう意味では、関係する人たちの悩みというのも深刻だというふうに思うんですね。
 だから、子どもの教育というのは病気の処方せんとは違いますから、これこれの障害を持っているからこうすれば対応できる、こうすればいいというものでは済まないので、子どもは一人一人違うわけで、障害についての理解とともに、その子どもが背負っている悩みを受けとめて、丁寧にかかわっていく必要がある。だから、子どもの障害や状況を見て、丁寧に成長を支える支援の体制というのが特別支援、つまり、子どもに直接かかわる大人、子どもに直接かかわる教員の配置というものを、必要な人員をふやしてそういう体制をつくる。将来は法改正もあって、条件整備が行われるだろうというようなことをいっていましたが、目指すところはそういう体制をつくっていくということじゃないでしょうか。

○伊藤参事 先ほどもお答えをさせていただきましたけれども、法改正を含む国の動向を踏まえながら、区市町村と都が連携をいたしまして、今後、具体的に検討する必要がある事項と考えてございます。

○木村委員 国の動向を踏まえるのは結構ですが、国のいいなりにならないように、東京都としても独自にそういう立場に立つということを明確にしてもらいたいということなんです。
 例えば、東京都独自にそういう立場に立てとついいいたくなるのは、東京都が四十人学級にこだわって、全国ほとんどのところで三十人学級をやるというときになって、頑として四十人学級。今のまま四十人学級の体制を崩さないで、文科省の構想によれば、今学校にある特別学級をなくして、それで特別支援教室という、名前をどういうふうにつけるかわからないけれども、普通教室に入れるわけでしょう。そういう方向が取りざたされている。国の動向を踏まえてそういうことにします、特別学級をなくして普通教室に入れて特別に支援しますということになったら、四十人学級の体制を崩さないでそういうことになったら、どうなるんだということはありますよ。
 私は、やっぱりこういう流れを踏まえても、東京都は、今、全国がもう既に踏み出している三十人以下の学級というところに踏み出していくべきだというふうに思うんです。東京都独自の覚悟といいますか、体制と関連して、そういう点も考えられるんじゃないかということをあえてお尋ねしますけれども、いかがですか。

○山際学務部長 四十人学級につきましては、一昨日の代表質問でも質疑がございましたけれども、教育的な観点を含めて四十人学級が東京では望ましいというふうに考えているところでございます。
 ただいま特別支援教育の絡みで、東京独自のスタンスをというふうなお話がございましたが、今回、中教審でいろいろ特別支援教育のあり方について議論しているわけでございますが、その議論の発端の一つは、東京都が特別支援教育のあり方について、さらに具体的に、あるいは展開しやすいような方向で議論してほしい、さらに検討してほしい、そのような要望を出して、そういうことも一つとして現在国で検討している、そういうこともございます。
 東京都教育委員会につきましては、そうしたことで国に対してもさまざまな働きかけをしている、こういう現状がございます。

○木村委員 四十人学級について、一昨日の本会議での答弁のような立場をいつまでもやっぱりこだわっているということに、あの答弁の範囲ですべて三十人学級についての対応ができるというふうに考えたら、私は間違いだというふうに申し上げておきます。
 この支援計画の第四章には、特別支援教育についての小中学校への支援ということについて、副籍モデル事業の実施とか、特別支援教育コーディネーターの養成とか、盲・ろう・養護学校の地域におけるセンター的な機能の充実とか、いろいろ書かれています。こうした施策を進めていくためには、当然やはり必要な人員体制というものが求められるというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。

○伊藤参事 本計画書にも明記しているところではございますが、先ほどもお答えをしたとおり、法改正を含む国の動向を踏まえながら、区市町村と都が連携をいたしまして、今後具体的に検討する必要があると考えてございます。

○木村委員 いろんな聞き方をしても、東京都独自にそれにふさわしい人員体制などを拡充するという話は出てこないですよね。ただ、人をふやさないで、コーディネーターだとかセンター機能をやって巡回するんだとかいうことになると、今度は現にある盲・ろう・養護学校で直接子どもたちにかかわっている先生を引き抜いてそういう仕事をさせるということになるわけですから、これはやっぱり非常に重大なことだというふうに思うんですね。そういう意味で、文科省のやり方が従来の予算人員の範囲でやるという基本的な立場に立ちながら、障害児学級の廃止ということを目指しているということについて、非常に重大なことだというふうに私は受けとめております。
 そういう動きがずっと、今、東京都からもいろいろいっているから動きが始まっているんだという話がありましたけれども、実際の流れは、やっぱり障害児学級をなくして普通学級に入れていくということが、いわば特別支援教育構想の再編の一つの目玉になっていますよね。そのことについて、もしそういうことになったら大変だ、学級がなくなって普通の教室の方になったら、やっぱり担任の先生ということにはならなくなるわけですから、そういう点で非常に重大だということなので、国の動向を踏まえるといいますけれども、特別支援教室の設置のあり方について検討するというふうに書いてありますが、障害児学級の廃止、これには私どもは反対だということをこの際明確にしておきたいと思います。
 問題は、都の特別支援教育推進計画が、単に新たな支援教育の対象となるLDなどの軽度の発達障害の子どもたちへの支援策を、文部省路線等を踏襲してやろうということじゃない、都がこれまでやってきた心身障害教育に当然求められている拡充、盲・ろう・養護学校などについても従来の予算、人員の見直しで対応しようとしているということが、全体として都の心身障害教育に対するいわばスクラップ・アンド・ビルド、一種のリストラ計画になっているということだと思うんです。
 そこでお聞きしたいんですが、この四三ページには、都立盲・ろう・養護学校の在籍児童生徒の予測が、平成十六年八千十一人ですね、さっきいいました。二十七年には九千三人と一千人増、具体的には知的障害児が一千人ふえるというふうに書かれています。一般論としてお聞きしますけれども、一千人の生徒がふえると、学校は幾つ必要になるんでしょうか。

○伊藤参事 お尋ねの件でございますが、盲・ろう・養護学校一校当たりの児童生徒数につきましては、学校の設置学部、施設規模や通学区域の広さ等によって異なってございます。そのため、ご質問の一般論として何校程度になるかという点についてはお示しはできません。

○木村委員 知的障害の教育に携わっている現場の先生に聞きましたら、その地域と連携して本当にいい教育ということになると、余り障害児学校の大規模化というのはふさわしくない、百人とかそういうような規模の学校が理想として求められるという話を聞きました。
 それは一般論としてわざわざ聞いたのに、ああいう答えというのはまことにどうも不親切だなというふうに思うんですが、それでは、四四ページには将来の学校数の計画が載っています。平成十六年には五十五校一分校、平成十九年に五十三校一分校、第一次実施計画完成時には五十六校一分校というふうに表が載っていますが、そうすると、これは一校ふえるということになるんでしょうか。
 つまり、学校の数についてはこの計画ではほとんどふやさない、ふえないということになりますが、そういうことなんでしょうか。

○伊藤参事 お尋ねの本計画完成時の学校数についてでございますけれども、各障害種別の在籍者の増減に配慮いたしながら、都立盲・ろう・養護学校全体での適正な規模になるように考えまして、平成十六年度の現行規模程度としているものでございます。
 なお、ご指摘の点でございますが、知的障害教育部門の教室につきましても、児童生徒数の動向に応じまして、学校内における教室確保を踏まえながら、学校の増設等によりまして確保していくものでございます。
 また、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門の併置化等による学校規模への対応につきましても、適切に対応するような形で教育環境の維持向上ができるよう図っているところでございます。

○木村委員 だって、一千人ふえるんですよ。要するに、いろいろ中のやりくりはするだろうけれども、五十五校一分校が五十六校一分校になるだけ、全体の今の規模は全く変わらないということなんですね。それで何で適切なのかというのはよくわかりませんが、前のページの表を見ますと、平成五年から見て今日まで全体の子どもが一千三百九十五人ふえています。知的障害の生徒さんは一千二百五十四人ふえています。五年から十六年まで十年間の間で、やっぱり一千人規模、一千二、三百人ふえる。じゃ、平成五年当時の学校の数と今日の数とはどういうふうに違っているんでしょうか。

○伊藤参事 平成五年度と十六年度の学校数に対しますご質問でございますが、平成五年度の学校数は二十七校二分校でございます。この中には併置校一校を含むわけでございます。平成十六年度の知的障害養護学校の学校数は三十校一分校、この中には併置校二校を含むわけでございます。

○木村委員 学校の数はそうやってふえているわけですね。それで、ふえて、その結果どうなったかが問題だと思うんです。ふえたけれども、六〇ページによりますと、教室不足ですよね。「知的障害養護学校における普通教室の確保は、早急な対応を必要とする極めて緊急性の高い課題です。」というふうに書かれています。つまり、学校は若干ふやしたんだけれども、それでも教室の確保は極めて緊急性の高い課題になっているということですね。
 現在、盲・ろう・養護学校の転用教室、ほかの部屋を転用している教室が何校で何室か、それから、普通教室をカーテンなんかで仕切って使っているのが何校で何室なのか、改めてその数を教えてください。

○伊藤参事 平成十六年度におきます都立盲・ろう・養護学校の管理諸室等を転用して確保してございます普通教室数は四十校一分校で二百八十一教室、また、カーテンなどで間仕切っております教室数は三十八校一分校で二百六十八教室でございまして、平成十六年度の都立盲・ろう・養護学校におきましては、このような対応で普通教室を確保しているところでございます。

○木村委員 二百八十一教室プラス二百六十八教室、つまり実質的に不足している教室の数は五百四十九。計画は、普通教室の確保ということで書かれておりますけれども、六一ページには年度別実施計画が書かれています。この学校の数を数えたんですが、十二しかありません。今、転用教室を余儀なくされているのが四十校、間仕切りをしているのが三十八校。それぞれダブっているでしょうけれども、四十か五十、全体で五十五校だから、ほとんどの学校が何らかの形で教室で苦労しているというふうにいっていいと思うんですが、実施計画は十二校です。あとの学校はどうなっちゃうんでしょうか。

○伊藤参事 お尋ねの対象校の十二校につきましては、児童生徒数の将来的な動向、転用及び間仕切り教室の状況、学校敷地における建ぺい率、容積率の状況などから、法的規制の状況、グラウンドの確保など、学校運営上の観点から総合的に勘案して選定したものでございます。
 お尋ねの関係につきましては、第一次実施期間中に各学校内の増改築等によりまして確保される普通教室数は、九十程度でございます。

○木村委員 だから、私が問題にしているのは、過去十年で児童生徒が一千二、三百ふえたよ、知的障害の子が一千三百人ぐらいふえたよ、これから十年、平成二十七年までにはやっぱり児童生徒が一千人ふえる見込みだよ、それも知的障害の子が一千人ふえる見込みだよということなんです。過去十年を見ると、新しい学校もつくりました、にもかかわらず教室がこれだけ不足していて、そして、これだけ不足していて緊急の課題ですとみずからいっておきながら、実際に教室で困っている学校のうちの三分の一か、その程度の九十教室ぐらいが差し当たりの計画ですよということが現時点の姿だと思うんですね。これは極めて深刻な話だと思うんですよ。これから十年の計画を立てる場合に、過去十年に起きたこと、十年間にやってきたこと、そのために起きていることについてどう解決して、そして、さらに今後の十年間を迎えるか、そのために必要な体制をどうつくるかということが問われているんだというふうに思うんです。
 四八ページには、結局今のままだと、今後また生徒がふえて、平成二十七年度の時点ではおおよそ四百七十教室程度が不足すると推測されるということまで書かれているんです。だから、こういう学校をつくりますというふうに書かれているんですよ。結局、心身障害児教育から特別支援教育に転換するんだ、一人一人の教育のニーズに合わせて継承、発展させるんだというふうにいっておきながら、今までの教育については結局教室不足も解消できないまま、さらに十年後もこれだけ不足すると見込まれますということになっているというのは、私は特別支援教育といいながら、文科省がいっているような従来の人員、予算の見直し等でやっていくんだという路線の範囲で考えているのと違いますかということを申し上げたいんですが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 先ほど来から学校数について一校ふえたとかいうふうな話をされておるわけでございますが、学校数でいいますと、第一次実施計画で明らかになっているところでいえば、青梅東、永福、大田、品川、江東と、第一次実施計画で五校を新たに設置する。先ほどの委員のお話からすれば五百人分収容ということになります。
 先ほどの石川委員の質問に対してご答弁申し上げたところでございますが、今後二十七年まで十年間に必要な知的障害養護学校の必要教室数は四百教室でございます。そうした五校の新設等、あるいは既設の教室、緊急対策の増築等によって、四百教室のうち二百二十教室程度、全体の五五%を今回の第一次計画で実施できる、それによって教室不足対策についてはかなりの数字を上げることができる、実現できる、このような計画になっているところでございます。

○木村委員 今いわれたことは四百七十不足の後に書かれていることですから、私も承知していっているんですが、問題はそこなんですよね。このままでは教室が不足する、学校をつくらなければならない。永福高校の跡地とか青梅東等々については新たな学校の多様化でつくられるタイプの学校ですが、その下に、恐らく教室不足を解消する、生徒増に対応するということで、さらに三つの学校の開校予定が書いてあります。大田地区養護学校平成十八年度、品川地区養護学校平成二十三年度、江東地区第二養護学校平成二十四年度。どこにできるか、大田ろう学校跡地、品川ろう学校跡地、江東ろう学校跡地です。
 結局、ろう学校ならろう学校を廃校して、その後を養護学校にする。きょう請願もかかっていますし、ろう学校を廃止しないでくれというのがあって、それはそれで非常に切実な問題だというふうに私は思います。問題は、こっちの学校を閉校して、早い話が、例えば大田のろう学校の子どもが葛飾、綾瀬のろう学校まで通う、そういうことはいかにも過酷な話ではないかということは、さんざん多分この委員会でもやったと思うんですけれども、そうやって結局はそこへ新たにつくる。スクラップ・アンド・ビルドと私がいったのは、そういうことをいっているんです。
 この特別支援教育計画というのは、今までの何倍もの子どもたちを新たな支援教育の対象に広げて、そして新たな方向に転換する、継承、発展するという計画だというふうな説明がありました。その新たな発展の中身は何かといえば、一人一人の子どもたちの教育ニーズに合わせた教育を実現するんだということでした。言葉はそれで非常に結構ですが、具体的な都が責任を負うべき盲・ろう・養護学校の抱えている問題、その学校の数、配置、教室不足等々についていえば、結局はスクラップ・アンド・ビルドの範囲内で行われている。それがこの教育の具体的な中身の大部分になっているということを私は指摘せざるを得ません。
 問題は、そうやってスクラップする、特別支援教育の名のもとに切り捨てるということが、学校の数だけじゃないんですよね。先ほどありましたように、土肥臨海学園や聖山、そういう校外施設、それから寄宿舎等が挙げられております。こっちの方は文字どおり、ろう学校は、子どもの数が減って少人数だと学校生活として非常に問題が生じるとかいう教育論的な粉飾が、私は粉飾だと思いますが、凝らされて説明がありますが、校外施設や寄宿舎の方は、ずばり利用率が悪い、効率が悪いということで廃止に至っているというふうになっていますね。だから、私は、これはスクラップ、リストラ以外の何物でもないというふうに思います。(「リストラというのは再構築だ」と呼ぶ者あり)リストラというか、日本語でいうと切り捨て、首切りの代名詞に使われているから、あえて使っています。
 それで問題は、校外施設についても、寄宿舎についても、廃止をするという根拠に、利用率が悪いとか効率が悪いとかというのが挙げられていますが、その数字の挙げ方、説明の仕方が、現場から見れば非常に一方的な、切り捨ての、廃止の結論先にありきということで使われているといわざるを得ないと思うんですね。
 例えば校外施設の場合は、きょう資料を出していただいて、何月に何%という数字が出ました。これがホテルならば、半分ぐらいしか利用しないとかとなれば、採算が合わないとかという話があると思うんです。しかし、聞いてみると、どちらの施設も一つの学校が利用する。二つの学校が一遍に来るというのは大変なので、一つの学校が利用しているときは、十のうち七つがふさがっていても、学校単位で使いますから、三つのところを使えば済む学校というのはないわけなんですよ。だから、十が十満杯の学校だけが使ってくれれば利用率は高くなるかもしれないけれども、実際は五割とか六割とか使えばそれで済む学校が使っているということになると、使っているんだったら、じゃ、違うところにしましょうとかいうことになって、結果としてはそれが利用率に換算される。
 現場としては、どこもかしこも満杯になるように、どの学校でもその人数に合わせて来てくださいというわけにはいかない。そういうことで、一つは、稼働率が思うように高い数字として出ないということがあるんだ。知的養護学校の中等部、高等部の利用が多いんですけれども、それが一たん使えば、一泊で帰ってくれればいいけれども、三泊四日とか、そういうことになりますから、これはそちらの都教委からいただいた資料ですが、やっぱり使っていない日というのはほとんどないんですよ。部屋の利用率は低いかもしれないけれども、大体ウイークデーはどこかの学校が使っているという格好になっています。だから、使っている日だけ見れば利用率はもっともっと高い数字が出ます。そういうふうに、効率というのは、教育の現場の立場から見直していくべきだったんじゃないでしょうか。
 寄宿舎についても、今のような障害が重度化する前の基準で職員定数が配置されているから、定員いっぱい受けるということは現場の実情としてはいかない。だから、校長先生とも話して利用を抑える場合もあるということがよくいわれます。一人一人の教育ニーズに合わせて特別支援をするというのであれば、やっぱりこういう現実に合わせてもっと充実していくというのが筋ではないでしょうか。いかがでしょう。

○伊藤参事 両校外教育施設の利用率の関係でございますけれども、依然として高いというご指摘ではございますが、都教育委員会は、利用促進策として、例えば校外教育施設の利用に限って校長が必要と認めれば医師の付き添いを認めたり、また、学務部からの別途旅費等の予算を措置してきたところでございますが、このような利用促進策にもかかわらず、十五年度に実施された移動教室のうち、両校外教育施設の利用率は全体の半数以下、四二・九%というような状況になってございます。利用希望の多い十月に限ってみても、両校外教育施設の利用率は全体の三割弱というような状況でございます。また、そもそも校外教育施設の利用が一定の期間に集中しますのは、当該校外教育施設にとって最も気候のいいとき、活動に適している時期でございまして、かつ学校の日程上も最も都合のよい時期に重なっているという状況があると考えます。
 現状といたしましては、希望時期が重なった場合、調整を行った上で別の時期に移動していただいておりますけれども、調整の結果、不本意な時期に宿泊行事を実施するよりも、希望の時期にさまざまな施設で宿泊行事を行う方が、むしろ教育上も望ましいと考えるわけでございます。

○木村委員 だから、廃止することはないじゃないかといいたいんですよね。要するに、現場は現場のそういう実情で、校外施設なんかはほとんど埋まっていますよ。ただ、施設全体が満杯になっているかどうかじゃないんですよね。これなどは、効率の名のもとに教育そのものを切り捨てる。
 今度、寄宿舎の場合は入舎基準を改正するというふうになっていますね。寄宿舎が持っている教育的な意味、これが関係者には随分強調されてきたわけですが、今度はそういう入舎基準を変えて、子どもを寄宿舎に預けるということによって生まれる子どもの自立した生活を支援するために、寄宿舎から通わせるというのは認めない。単純に通学困難な者だけにするという意味が書いてありますが、こうなると、効率というか、利用率が低いということを口実に重要な教育の内容が切り捨てられるということになって、それがしかも特別支援教育という名前でやられるというのは、本当に理解しがたいというふうに思うんです。
 それから、請願の中に、杉並の中高一貫型の中央ろう学校について、そこに引き続き幼稚部、小学部を併置してもらいたいという請願が出されています。私はこれは非常にもっともだというふうに思うんです。これは、切り捨てだけではなくて、重要なのは、その切り捨てと同時に、従来の心身障害教育の中に持ち込まれている、いわば新たな多様化といいますか、教育の複線化といいますか、ろう学校の中高一貫学校が杉並にできる、そのために幼小は別のところに行ってくださいということになってしまっているわけですね。
 中高一貫の学校をつくってくれというのも、そういう願いが関係する親御さんなんかにも強いということは私も十分承知をしておりますし、それにこたえる一環であるかもしれないけれども、同時に、こういう学校が生まれることによって新たな子どもたちに対する選別が強まり、そして、新たにその選別から漏れる、悩みを抱える子どもや親御さんも生まれるという両面があると思うんですね。今回のこの計画に盛られている知的養護の場合もそうですが、ろう学校の場合もそうです。そういう多様化路線が新たに特別支援教育の名前で持ち込まれました。
 私がいいたいのは、それは両方の面があるということなんです。普通高校のように多数の学校があって、多数の選択のコースが現実の社会の中にあるというならいいですが、ろう学校のように、中高一貫の杉並中央ろう学校に行かなければ、葛飾ろう学校へ行くか、立川ろう学校へ行くかしかない。それが、中高一貫であるために、小学校の六年生、早ければ小学校五年ぐらいでもう自分の進むべき道を決めざるを得ない。葛飾のろう学校へ行くのか、職業教育の方へ行くのか、それとも中高一貫の方へ行くのか、子どもに選べといったって、それは無理な話です。そういう影響というのは、普通の学校における中高一貫校がどこどこへできたというのとはわけが違う、非常に重たい影響を与えてしまうと私は思うんですね。
 これが今回の特別支援教育の名前で生まれる新しい路線ということになると、その負の影響に対する対応というのはどういうふうに考えているのか、そこを聞かせていただきたいと思います。

○伊藤参事 本計画の中で、ろう学校の再編に伴いまして中学部、高等部六年間を見通した教育課程を編成し、大学進学等を目指す中高一貫型教育を行うろう学校として、中央ろう学校(仮称)を設置することとしたわけでございます。幼稚部、小学部を分離することによりまして、従来のろう学校のように小学部からそのまま中学部へ進学するのではなく、他のろう学校の小学部の卒業生の中から、将来大学等への進学を目指す子どもたちが目的意識を持って、みずから選択した進路に進みやすい教育環境を提供する効果もあるわけでございます。
 また、この中央ろう学校(仮称)には、幼稚部、小学部との併設をすることは、施設規模やグラウンドの確保等、中学部、高等部の生徒にふさわしい教育環境を維持する上からも困難であるという点も判断したわけでございます。

○木村委員 進学を目指すろう学校というのは中高一貫でなければいけないのかどうかというのが一つの問題ですよね。さっきいいましたように、もしそこへ行くんだとしたら、小学校の段階でもうその進路を決めなければならない。そういう選択を子どもに迫るということになるわけですから、果たして進学というのは中高一貫だけなのかということはよくよく議論する問題だというふうに思うんです。
 問題はそれだけではなくて、今回は大田とか品川とかそういうところをやめて、学校の数を減らして、そして残った葛飾と立川は職業教育を重点というふうにするということは、中高一貫校をつくったことと、それから既存のろう学校の数を大きく減らしたということと、二つのことが相乗した形で教育的な影響が非常に鋭い形であらわれるのではないか。そういうことが本当に議論が尽くされて、関係者がみんな合意して、子どもたちのためにこれが一番いいということになって生まれたのかなということ、私はこれを読んで一番胸にきたのはそういうことなんです。
 確かに、教育の複線化、障害児教育の複線化、重点化して伸びる子はうんと伸びるように、いい教育をさせたい。それはみんなが思うことです。だから、否定はしません。根っから否定しませんけれども、しかし、こんな形で果たしていいのかなという思いがあるんです。結局は全体のスクラップ・アンド・ビルドの計画になっているじゃないか。しかも、スクラップされるところはけしからぬという声が起きるのは当然だから、我々も大いにそうだと思いますが、同時に、それだけではない、もっと複雑な問題を引きずり込みながらこういう計画が進んでいるということについて、どこまで当事者が、都教委が深い自覚的な立場をとっておられるのかということを聞きたかったわけなんです。
 そこで一つは、教育推進計画を見ますと、新たな事業に、教育課程の開発研究という事業が非常に多いということに気がつきます。知的障害が軽い生徒を対象とした高等部の職業教育の充実について職業教育の教育課程の開発研究、知的障害が軽い生徒を対象にした高等部での資格取得を目的とした進学への対応について普通科の教育課程の開発研究、知的障害養護学校における自閉症の児童生徒の教育課程の開発研究、ろう学校における中高一貫型教育の教育課程の開発研究、ろう学校分教室における幼稚部、小学部の教育課程の開発研究、病弱養護学校高等部普通科における教育課程の開発研究、これだけあります。教育課程の開発研究というのは、この計画のいわばリストラ以外はほとんどそういう事業が並んでいるというふうにいっていい。
 そこで伺いますが、教育課程について、その編成については法令上はどうなっているんでしょうか。

○近藤指導部長 教育課程の編成につきましては、学習指導要領等に基づきまして校長の権限と責任において編成するものでございます。

○木村委員 学習指導要領といいますか、さまざまな、学校教育法も含めてそういう法的根拠があって、その法律に基づいて必要な教育委員会の規則が定められていて、東京都立学校の管理運営に関する規則というのがありますよね。その管理運営規則の第十三条、教育課程の編成、「学校は、法にかかげる教育目標を達成するために、適正な教育課程を編成するものとする。」、これが教育課程編成の法的な根拠だ。つまり、校長といいましたけれども、それぞれの学校が教育課程を編成するということは、法制上も権限を持っている、そういうことで間違いないですか。

○近藤指導部長 同じく管理運営規則の中には、校長の権限といたしまして教育課程の管理ということが示されているわけでございまして、当然これは学校が編成するものでございますが、最終的には校長の権限と責任において行われることと理解しております。

○木村委員 校長、校長と強調するのが最近の話ですね。最近は特にそういうことが強調されますが、校長に協力して--校長だけが頭の中でつくられるわけはないですから、学校全体の教育実践の中でさまざまな実験を行い、そして教育課程というのはつくり上げられていくというものだと思うんですね。
 かつて、これは大分古い資料をいただいたものですからあれなんですが、昭和五十七年に東京都教育委員会教育課程実験校ということで、東京都立北養護学校が指定されて、児童生徒の重度重複に応じた望ましい教育課程の編成と実施についてというのがあります。ここでずっとこの北養護学校の実践を通じて教育課程をつくり上げる実験が行われたわけです。そのときに、教育庁の指導部長がそういうものを発表するに当たってのあいさつを載せておりますが、昭和五十四年から三年間、各学部の教育課程の編成要領に当たってきた、その教育課程編成要領は、教育を行うための組織体の学校が法に掲げる教育目標を達成するために、学校が編成する教育課程並びに指導計画を作成する上のよりどころとなる基本的な考え方や方法について示した、それを今回は北養護学校と小岩養護学校に委嘱して進めましたということで、都内の盲・ろう・養護学校に当たっては、さきに示された東京都公立盲・ろう・養護学校教育課程編成要領の小学部、中学部、高等部の各編の趣旨や基本的な考え方についての理解を深めるとともに、この研究報告書を活用されて望ましい教育課程の編成と実施を目指して努力されることを期待いたしますというのが指導部長のあいさつです。
 つまり、三年間かけて実験校でつくってもらって、こういうものができました、この研究書を活用して望ましい教育課程の編成と実施を目指して努力してください、これが当時の教育庁の指導部長のごあいさつですよね。
 ところが、近年は、ここに教育課程モデル案という平成十二年二月のがありますけれども、これを見ますと、もう非常に細かく出ていて、各学校で検討するという余地がほとんどないぐらい細かいものがモデルとして出ています。このモデルをもとに都教委が葛飾ろう学校--これは足立ろうと綾瀬ろうが合併してできたわけですね。そういう東京都立東部地区ろう学校(仮称)、これは葛飾ろう学校のことです、教育課程例というのが平成十三年十月に指導部の心身障害教育指導課によってつくられています。これも非常に細かいというか、具体的ですね。例とは書いてありますけれども、こうやりなさいという非常に細かい内容になっています。
 普通は、私が伺ったのは、新しい学校ができたら、これまでの学校の実践を研究して、そして、これまでの学校の教育課程を踏まえて新しい学校の開設準備室が検討してつくるものだというふうに伺っていますけれども、これは指導課がずばっと例として出して、非常に具体的になっています。かつて北養護学校で述べていた指導部のごあいさつと今はかなり違うというふうに私は感じます。上でつくって、さっき確認しましたけれども、教育課程は学校がつくる。校長が最終的に責任を負うけれども学校がつくる、法的にはそうなっているけれども、都教委ががっとモデルといってつくって、時間割から何から全部書いてある。それでおろす、こうなっているんじゃないですかね。
 私は、そういう意味で、今度の特別支援教育推進計画は、全部、教育課程の開発研究がずらっと並んでおる。ずらっと並んでおって、全部教育課程の例はこうですというので上からおろすというふうになったら、これは特別支援教育推進ではなくて、教育に対する特別教育支配ということになるのと違いますか。いかがでしょうか。

○近藤指導部長 先ほど来、特別支援教育につきましてはいろいろと論議がされているわけでございますが、これまでのいわゆるスペシャルといわれた教育からサポートへ入っていくということでございまして、より期待も大きいものがございまして、そのためには何といっても学校の教育の中心であります授業をどうやっていくかということが大事な課題になってくるわけでございますので、そのためには当然教育課程の開発ということは重要な仕事だと思っております。そうしたことで教育課程の開発についてはまず何よりも、箱はつくっても中身をつくらなければしようがありませんので、そうした意味でこの教育課程については大きく力を入れているところでございます。

○木村委員 これは見解が恐らく分かれるでしょうし、今後を見なければいけない。特別支援教育推進計画には、もちろん長年にわたる関係者の努力、親御さんの切なる願い、そういうものが反映し、今までよりも前進している。そして、要望が受け入れられる、あるいは検討される。久我山分校の本校化についても、本校化を検討するということが書き込まれましたし、そういう意味で、よりよい教育を目指していくということが具体的に盛り込まれている面もあります。これを否定するつもりはさらさらありません。
 しかし、同時に、私が申し上げたのは、これが国の文科省の特殊学級廃止、そしてLDなどの発達障害を持った子を普通教室に返していくという流れを受けてのもので、そういう政治的な大枠がかけられている。そういう中で、従来の予算と人員の体制の中で何倍もの広い子どもたちの教育ということになれば、必然的にリストラ、スクラップ・アンド・ビルドをやらざるを得ないし、それだけではなくて、ハードでそういうふうにしただけではなくて、ここに書かれている教育課程の開発研究という事業が、一昔前から比べればずっと権限が上に吸い上げられて、上からマニュアル的に下へおろされるという傾向が強まっているということを見ますと、今後の計画の行われ方については厳しく見ていく必要がある、そのことを私は申し上げて、私の質問を終わります。

○山口委員 私の方も、東京都の特別支援教育推進計画について何点か質問いたします。
 この計画の基本的な考え方に示されているように、障害の有無にかかわらず、だれもが相互に人格と個性を尊重し合う共生社会、ノーマライゼーション社会の実現に向けて、学校教育の果たす役割は多大なものがある。その意味で、東京都における特別支援教育は、障害の有無にかかわらず、すべての子どもたちが豊かに暮らすことのできる社会の実現を目指すものであることを共通理解するとともに、単に心身障害教育の関係者のみならず、学校教育に携わるすべての者や保護者、都民がみずからの意識を改革する必要のある新たな教育制度への転換であることを認識する必要があると記されています。
 すべての子どもがともに学び、ともに育つ地域社会を実現していくことが、ノーマライゼーション社会の基本だと考えております。東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告の中の提言にサラマンカ宣言の一文も盛り込まれ、副籍制度、それからエリアネットワークや特別支援プロジェクトについて言及していることに、幾ばくかの期待をするものです。
 そこで初めに、副籍制度について伺います。
 現在、八王子市、あきる野市において副籍モデル事業が実施されていますが、ここで改めまして副籍制度の意義について伺います。

○伊藤参事 副籍制度の意義についてでございますが、盲・ろう・養護学校に在籍する児童生徒は、教育活動や子ども同士の触れ合いの場が主に在籍校に限定されるため、居住する地域とのつながりが希薄化してしまう傾向がございます。こうした課題に対応するため、都立盲・ろう・養護学校に在籍する、原則として希望する児童生徒全員が、居住地域の小中学校を地域指定校として副次的な籍を持つ副籍制度を導入していくことによりまして、学齢期においても地域との関係を継続し、卒業後、居住地での支援を受けられるようにするなど、地域とのつながりを確保できるようにするという意義がございます。

○山口委員 実際に行われている副籍モデル事業について、前回の定例都議会文教委員会において進捗状況を質問しましたら、実際の交流については二学期以降始めていくという答弁でした。現在の進捗状況と今後の対応について伺います。

○伊藤参事 副籍モデル事業につきましては、現在、八王子市、あきる野市の教育委員会に対しまして事業概要等を説明するとともに、市教育委員会が中心となって副籍の対象となる都立盲・ろう・養護学校の児童生徒の保護者に対して説明を行うなど、理解啓発に努めてまいりました。
 現在は、副籍の対象とする児童生徒及び地域指定校の決定も行われまして、児童生徒の障害の程度や状況に応じ、学校だよりの送付や行事等への参加など積極的な取り組みが行われているところでございます。
 今後につきましては、実施に当たって生じました課題を整理いたしまして、一層充実したモデル事業を実施していけるよう努めてまいります。

○山口委員 モデル事業の実施から得た課題を整理し、改善を講じていくことが必要だと思いますが、現段階ではどのような課題が挙げられているのでしょうか、伺います。

○伊藤参事 現段階で挙げられております課題といたしましては、副籍の対象となる保護者だけでなく、地域指定校の保護者に対する理解、啓発、地域指定校における交流時の受け入れ体制の整備についての検討などがございます。今後とも、モデル事業における課題を検証いたしまして制度を構築してまいります。

○山口委員 お互いの違いを認め合うには、一緒に学ぶことだけではなく、遊びなど、ともに行動することが大切なのではないでしょうか。そのことは、障害を持つ児童生徒だけではなく、すべての子どもがより豊かに育つために非常に大切なことだと思います。その意味で、交流教育における教育上の効果は大きいと思います。
 モデル事業の実施期間は三カ年を予定していると聞いていますので、今後さまざまな観点から研究、検証を行うことが必要だと思います。これまでも交流教育に積極的に取り組み、成果を上げている実態も踏まえ、来年度はモデル事業の実施区市を広げてより多様な事例を検証するなど、本格実施に向けて取り組んでいかれることを要望しておきます。
 次に、特別支援プロジェクトについて伺います。
 地域において、障害のある児童生徒やその保護者が、乳幼児期から学校卒業後まで、教育、保健・医療、福祉、労働等の機関と連携して一貫した支援体制を整備していくことが必要です。
 そこで、今回の計画の中に示されている特別支援プロジェクトの意義について改めて伺います。

○伊藤参事 特別支援プロジェクトは、各区市町村を基礎的な単位として、教育、保健・医療、福祉、労働等の連携によりまして適時適切な情報提供や支援を行うことのできる相談支援体制を整備いたしまして、LD等を含め障害のある児童生徒等の乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援をしていこうというものでございます。

○山口委員 今後、各区市町村においてその教育、保健・医療、福祉、労働等との連携に基づく相談支援体制を整備していく上で、都の教育委員会はどのような取り組みをしていくのか、伺います。

○伊藤参事 都教育委員会といたしましては、平成十七年度及び十八年度にモデル事業を実施いたしまして、その成果をもとにガイドラインを作成し各区市町村に配布するなど、各区市町村における特別支援プロジェクトの推進を支援してまいります。

○山口委員 質の高い専門家はもとより、地域のつながりが大切なので、NPOなどとの連携により人的な配置も十分に講じて、できるだけ地域で学ぶ機会を保障していただきたいと思います。
 東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告のはじめにの部分に記載されているように、一九九四年に発表されましたサラマンカ宣言では、障害のある子どもを含むすべての子どもが教育を受ける権利を有しており、その一人一人の独自の性格や関心、能力及び教育ニーズを考慮して教育システムがつくられ、教育プログラムが実施されるべきであるとされています。さらに、特別な教育ニーズを有する人々は、そのニーズに見合った教育を行えるような子ども中心の普通学校にアクセスしなければならない。インクルーシブな方向性を持つ普通学校こそが、差別的な態度と闘い、喜んで受け入れられる地域をつくり、インクルーシブな社会を建設し、万人のための教育を達成するための最も効果的な手段である。さらにこうした学校は大多数の子どもたちに対して効果的な教育を提供し、効率性を上げて、結局のところ教育システム全体の経費節約をもたらすものであると記載されております。
 今回の計画の基本理念としても、ノーマライゼーション社会の実現としていますけれども、実際には具体的にどのように実現していくのかが大変見えにくくなっていますが、その点についての見解を伺います。

○伊藤参事 東京都特別支援教育推進計画におきましては、障害のある児童生徒等の乳幼児期から学校卒業後までのライフステージに応じた適切な支援をしていくことができるように、都及び区市町村、関係機関、団体、保護者等が密接な連携を図りまして、一人一人の能力を最大限に伸長し、社会的自立を図ることができる力や地域の一員として生きていける力を培うことによりまして、ノーマライゼーション社会の実現に寄与してまいります。

○山口委員 今回の計画では、盲・ろう・養護学校の再編整備が中心となっています。現実の問題として、指摘されているように、通学負担の問題や児童生徒の在籍数の偏りなど、喫緊に解決しなければならない問題だとは思いますが、やはり大きな理念に基づいた具体的な方向性が見えないのが残念です。
 LD、ADHD、高機能自閉症など新たな障害として対応していく、また、知的障害も重度とか軽度に分けて教育するなど、より子どもを細分化していくことになり、理念とはかけ離れたものになるのではないかと危惧をしています。インクルージョン教育については賛否もあることはわかりますが、真のノーマライゼーション社会の実現には、違いを個性として認め合うことが大切であり、そのために、ともに学び、ともに育つ環境の整備が地域の中で必要なのだということを申し上げておきます。
 最後に、請願の一六第四二号、請願の一六第四三号について少し意見を述べさせていただきます。
 特別支援教育が、今話しましたように方向性がはっきりした中で、盲・ろう・養護学校の再編整備が具体的に示されて、盲・ろう学校が減らされていくことへの保護者の不安が上がっています。今までのように障害種別の分離教育が主流というのであれば、今回、盲・ろう学校の児童生徒は通学により不利益が生じてしまいます。巡回指導を取り入れていくということですけれども、サテライト方式など身近なところで学習できる環境整備を整えていくことも並行して検討していただきたいと思います。
 また、分教室というのが、現在の学習環境などとどう違っていくのか、今のままなのかもはっきりしていないということですが、当事者の人たちへの説明責任を教育庁は果たしていただきたいと思います。
 杉並の分教室は、大塚ろう学校の分教室ではなく、中央ろう学校の分教室にできないものか、盲学校の専攻科についても、現在の学生が卒業する数年間だけ残すことはできないかなど、もう少し丁寧な協議が必要ではないかという立場から、継続審議を求めさせていただきます。以上で終わります。

○福士委員 私は、質問は土肥臨海学園だけに絞りますが、ちょっと寄宿舎の活用についても意見だけ申し上げておきたいと思います。
 一昨日、昨日の本会議でも、災害時における障害者の避難場所についての質問が出ておりました。体育館では大変だという趣旨だったと思いますが、答弁として、福祉施設を最大限活用する--最大限とおっしゃらなかったですか、というものだったと思いますけれども、この陳情にある寄宿舎は教育施設ですから、その視野の中に入っていないと思うんですね。八月もどういう使い方をなさるのか、今後の問題はありますけれども、状況によってはこういう施設も使用可能なのではないかというふうに思いますので、そういうことも含めて考えていただければ、もっと活用の仕方というのは出てくるんじゃないかと思います。
 同時に、この宿舎で子どもたちが日常的に生活を送るということは、障害児たちの自立にとっても重要ですし、災害という状況の変化とか、大人になってからの自立、あるいはグループホーム等で暮らす前の訓練として、前にもちょっと申し上げましたけれども、ぜひ福祉保健局との連携も考えて、公共の施設を、廃止一辺倒でなく有効活用する方向も模索していただきたいというふうに思います。
 同じような趣旨で、土肥の臨海学園についてもちょっと質問させていただきます。
 土肥の臨海学園の月別稼働率ですけれども、拝見しますと、六月の六三・四%、十一月の四三・四%を除くと、三〇%台の月が五カ月、ゼロ%の月が五カ月と、かなり問題はあると私も思います。十二月から四月までほとんど使われていない間も、通常の開園状態のままなのかどうか、ちょっと確認をさせていただきます。

○伊藤参事 校外教育施設の土肥臨海学園についてでございますが、利用開始に備えまして必要な施設設備等の管理を行うため、最小限の職員体制で開園している状況でございます。

○福士委員 開園日数が全然変わっていないですから、そういうことなんでしょうね。でも、五カ月間不使用状況というのは通常的にわかっていると思うんですよね。その間は閉鎖することで運営費の軽減というのは図ることはできないんですか。そういう工夫というのは可能なのかどうか、ちょっと伺います。

○伊藤参事 委員ご指摘のとおり、五カ月間も利用がないという状態は必ずしも効率的とはいえないわけでございますが、盲・ろう・養護学校の児童生徒が利用する施設でございまして、施設設備等の安全や衛生面等を考慮いたしますと、利用開始に備えて最小限の職員配置は必要でございまして、完全に閉鎖するのは難しいと認識してございます。

○福士委員 それはわかるんですよね。窓も密閉したままでは建物も傷みますし、窓をあけたりとか、そういうことは必要だと思いますし、温泉がある以上は温泉の管理というのも必要ですから、そうすると、窓をあける人というのは、そういう温泉の管理をしている方でも可能なのかなというふうに私は思ったわけです。
 それが不可能であるならば、一般生徒の部活などとか、何らかの方法によって利用拡大を図るということは考えられなかったんでしょうか。

○伊藤参事 校外教育施設は、都立盲・ろう・養護学校の生活訓練のために設置された施設でございまして、都立盲・ろう・養護学校の利用がない夏季休業中などの期間につきましては、目的外利用として都心の心身障害者団体等に対しても施設を開放し、活用できるようにしてまいりました。このように心身障害者の利用を優先しながらその他の者への利用促進を図ることは、現実的にかなり困難であると考えてございます。

○福士委員 条例でそういうふうに目的が書かれていれば、それをどこにでもということはできないのはわかっていますけれども、それならその考え方の方を変えるということは不可能なんですかね。社会の変化に伴って利用率がだんだん落ちてきた。でも、使ってください、使ってくださいといっただけで、先ほど検討会を四カ月の間に六回もやったという話がありますけれども、それで利用率が上がるというふうには私は思いません。
 そうなりますと、条例改正して、目的外というのをどれだけ柔軟にすることができるか、だれにでもという開放ができるかどうかも含めて考えることはできないものでしょうかね。利用基本は盲・ろう・養護学校用としても、これはバリアフリー化されている施設ですから、高齢者に開放するとか、それ以外のだれでもいいわけですけれども、施設の拡大というんですか、枠の拡大を図って最大限活用する方が、私は公の施設としては、利用低下のまま手をこまねいて廃止に至るよりはよほどいいんじゃないかと思うんですけれども、そういうことはいかがお考えでしょうか、ちょっとだけお願いいたします。

○伊藤参事 ただいまも述べましたようなさまざまな要素を踏まえまして、そもそも一般利用の拡大を図ることにつきましては、都立盲・ろう・養護学校の生活訓練の実施の場であります校外教育施設の設置目的が不明確になると認識してございまして、そのような方策はとってこなかったところでございます。

○福士委員 だから、私が今いったように、利用の基本的な考え方は盲・ろう・養護学校ですというふうに掲げればいいと思うんですよ。その枠外で、今でも社会団体なんかの利用は認めているわけですから、そこの幅をもう少しどうにかならなかったか。そうしない限り、目的を掲げた施設はどんどん利用が減っていくという可能性がありますので、こうやって手をこまねいていて、お金も、ざくっとの話を伺っただけですので、これは正確な数字ではないんですが、聖山の方で六千万円ぐらい、こちらで二千万円ぐらい運営費がかかる。この二千万円の中には人件費が入っていないわけですから、それを入れると両方の施設で約一億ぐらいのお金がかかるわけです。そうすると、お金をかけていながら、その施設を持っている間にどれだけ幅広くやわらかい頭で考えていけるかということも検討しない限りは、私は何でもかんでも閉鎖するという方向に行ってしまうのではないかというふうに思います。
 この施設がなくなった場合については、宿泊行事の方策については、先ほど小林委員の方での質問と絡めて、もっと枠の拡大を図るというようなご答弁もありましたし、質問の中にも出ておりましたから、それは結構ですけれども、ただ使ってくださいというだけじゃない、違った工夫をこれから求めていく。そのために何でもかんでも条例改正でいけるかどうかというのは、私もちょっとつまびらかではありませんけれども、もっと考え方の方向性を変えるというんですか、がらっと変えるんじゃなくて結構ですけれども、どうやって利用率を考えていくかということも含めて、ぜひそれは検討していただきたいと、これは要望をして、私の質問を終わります。

○村上委員 東京都特別支援教育推進計画の全体像について幾つか質問をいたします。
 東京都特別支援教育推進計画は、七月に概要案を発表してから、都民からのパブリックコメントや学校関係者の意見や議会の議論も踏まえて作成されたということですが、東京都における特別支援教育推進のために総合的な計画として、また、障害のある子どもたちの自立や社会参加への施策の充実を初め、知的障害、養護学校の普通教室不足対策や肢体不自由養護学校の通学負担の軽減など、都立盲・ろう・養護学校のさまざまな課題を抜本的に解決するための総合的な改革計画として、全国に先駆けて策定した東京都教育委員会の姿勢と改革の基本的な理念は高く評価されるものだと思います。
 七月の概要案発表後、事業の見直し部分について関係者の厳しい声も聞きましたけれども、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部単独の養護学校の設置など、後期中等教育の充実に期待する声や、エリアネットワーク構想など区市町村の特別支援教育の推進に対する支援の新たな仕組みづくりを歓迎する声など、総体的に見れば肯定的な評価が私たちの耳にも届いてまいります。一方、都民の客観的な視点から見た評価など第三者の立場から見た評価にも目を向ける必要がありますが、なかなか把握が難しいと思います。
 そのような中で、東京都教育委員会が一般の都民の方に委嘱している教育モニター制度を活用して、推進計画のアンケート調査を実施したとお伺いいたしました。全員で百名ということだそうですから、それをもって都民の総意というふうに解釈するわけにはいかないと思いますが、確認の意味で伺います。教育庁がインターネットでも公表したという教育モニターのアンケート評価では、廃止を伴う事業の見直しに対してどのような意見が寄せられたのか、お伺いいたします。

○伊藤参事 教育モニターアンケート調査では、例えば概要案に対する意見募集で意見が多かった寄宿舎の適正規模と配置に関しましては、肯定できるが約三八%、おおむね肯定できるが約三二%となってございまして、およそ七割のモニターが今回の寄宿舎の適正な規模と配置に関する案に肯定的でございました。
 主な意見といたしましては、全体として再編整備は理にかなっている、稼働率が低いものを有効活用することは必要、民間であれば当たり前の適正な活用方法だと思うなどが挙げられておりました。
 また、校外教育施設の廃止につきましても、肯定できるが約四四%、おおむね肯定できるが約三三%となってございまして、およそ八割のモニターが校外教育施設の見直しに関する案に肯定的でございました。
 主な意見といたしましては、維持費や施設管理のことを考えれば当然見直すべき、専用施設はできるだけ効率的に運用すべき、閉所により節約される経費を教室確保などに充ててほしいなどが挙げられてございました。

○村上委員 意見募集で、廃止を伴う事業の見直しに関係者などの多くの意見が出されたことについては、心情的によく理解ができます。しかし、施設利用率の低下の状況を踏まえれば、この財政的に厳しい状況の中で事業の見直しを行うことは当然仕方がないことだろうというふうに感じます。また、知恵と工夫を出し合って課題解決に向けた新たな事業を創出し、障害のある子どもたちやその保護者にとってより大きな効果を生み出すことが最も重要な視点になると考えます。
 また、この計画は、社会のノーマライゼーションの進展やこれまでの都における心身障害教育の成果、東京都特別支援教育改善検討委員会の最終報告や国の動向などを踏まえ、LDなどを含め特別な教育的支援が必要な児童生徒の教育や支援のあり方など、東京都の特別支援教育の展望を明らかにしていくものです。東京都のこのような特別支援教育への取り組みの動向は、国の中央教育審議会の検討状況を勘案しながらも、全国的に注目されているのではないかと思います。
 そこで伺いますが、他府県の特別支援教育推進計画に対する取り組み状況はどのようになっているのでしょうか、お伺いをいたします。

○伊藤参事 他府県の取り組み状況でございますが、平成十六年十一月現在で、四十七都道府県のうち、検討委員会等を設置し、LD等を含めた障害のある児童生徒のための特別支援教育に関する推進計画等を策定しておりますのは、東京都を除いて三つの県であると把握してございます。しかし、今回発表いたしました東京都特別支援教育推進計画のように、特別支援教育への転換に当たり、盲・ろう・養護学校の課題の解決や小中学校における特別支援教育への支援など、今後の特別支援教育の推進に向けた展望を明らかにするような総合的な行政計画として示しているところは、東京都が初めてでございます。

○村上委員 全国に先駆けて総合的な行政計画として作成されたこの計画が、公助から自助への転換を図った新たな後期中等教育の充実策など、計画に盛り込まれた内容が、今後の我が国の特別支援教育推進に当たって先駆的役割を果たし、特別支援教育のあり方に関して問題提起をしながら全国に広げていくものとすれば、高く評価したいと思います。
 さらに、本計画の評価すべき点の一つに、都立盲・ろう・養護学校の課題の解決があります。先日、十一月十二日に文教委員会の自民党の先生方と地元の三宅先生のご案内で青鳥養護学校及び久我山分校の視察をしてまいりました。久我山分校の本校化につきましては、先ほど、平成十七年度に検討委員会を設置し検討していくこととのご説明がありました。同時に、普通教室の確保策の一環として久我山分校を整備する趣旨の説明をいただきました。現在、久我山分校には普通教室が不足しているなどの課題がありますが、どのような施設整備を行っていくのか、お伺いをいたします。

○伊藤参事 青鳥養護学校久我山分校の施設の現状といたしまして、普通教室数の不足、バリアフリーの確保等の課題がございますことから、都教育委員会といたしましては、久我山分校本校化の検討状況を踏まえまして、青鳥養護学校久我山分校の教育環境の改善について検討いたしまして、平成十八年度には、普通教室の確保策の一環といたしまして、増改修等を行うための基本設計に着手したいと考えてございます。

○村上委員 知的障害養護学校の普通教室の確保と並んで、今回の計画の取り組みの一つに、肢体不自由養護学校におけるスクールバスの通学負担軽減が挙げられております。これまで最長百五分、平均で七十分かかっているものを、第一次実施計画において最長九十分以上の路線を解消するとともに、平成二十七年度には平均乗車時間も六十分としていくことが目標として示されております。東京の交通事情を考えると、これだけの時間を短縮していくことについて具体的な数値目標を挙げていることは大変な勇気と計画性が必要ですし、実現できれば、保護者や学校関係者からも大きな評価をいただけるものだと思っております。
 この画期的ともいえる目標を実現するため、具体的にはどのような手法で実現していくのでしょうか、お考えをお伺いします。

○伊藤参事 スクールバスの乗車時間の縮減についての具体策でございますが、今後、バス等の運行方法や乗車基準等の見直し及び増車の検討を行う等によりまして、平成十九年度には、現在乗車時間が九十分以上を要しておりますバス路線を解消していく予定でございます。
 さらに、新たに設置する知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部の設置に際しまして、永福学園養護学校(仮称)及び青梅東学園養護学校(仮称)を肢体不自由教育部門との併置校としていくなど、現在の肢体不自由養護学校の通学区域の縮小を図ることによりまして、平成二十七年度には平均乗車時間六十分を実現してまいります。

○村上委員 二十七年ということですけれども、ぜひ実現に向けて頑張って取り組んでいっていただきたいと思います。
 また、計画の実現には意図的な仕組みづくりが必要です。事業の実効性という観点から本計画を見ていきますと、新たなシステムの構築が随所に見られます。例えば、関係機関の連携による実効性の担保という点について申しますと、これまで子どもたちに障害が発見され、保護者が行政に支援をお願いする必要が生じたとき、当事者みずからが各関係機関に個別に働きかけなければ、なかなか必要な支援を得ることができないという声をたくさん聞きます。行政では、障害者施策を担う教育、保健・医療、福祉、労働などの分野において、都も区市町村もそれぞれの独自の施策を工夫して行っているわけですが、それが縦割り的に行われていた傾向があったことがわかります。
 このようなことが声となって聞こえてきていると思いますが、今回の都議会代表質問において我が党の野村議員が質問いたしましたけれども、特別支援教育への転換に当たり、LD、ADHD、高機能自閉症などを含む障害にも適切に対応した教育の充実を図っていくためには、これまで培ってきた盲・ろう・養護学校の専門性をさらに生かした支援システムの構築とあわせて、教育と労働や福祉などの関係機関との連携を図ることが、この計画の実現性を左右する上で大きな役割を担っているといっても過言ではないと思います。
 そこで、東京都教育委員会は、労働や福祉などの関係機関と具体的にどのように連携していこうと考えていらっしゃるのか、お考えをお伺いいたします。

○伊藤参事 LD等を含む障害のある児童生徒等に対するライフステージに応じた適時適切な支援の充実を図るため、各区市町村を基礎的な単位といたしまして、教育、保健・医療、福祉、労働等の関係機関や専門家から成る特別支援プロジェクトと呼ぶネットワークを平成十九年度に構築することを目途に、平成十七年度、十八年度にモデル事業を実施することを計画してございます。
 また、各区市町村における特別支援プロジェクトの推進、充実を支援するため、全都的な視点に立った教育庁、福祉保健局、産業労働局、国の労働関係機関及び関係団体等で構成する広域特別支援連携協議会、仮称でございますが、このネットワークを構築いたしまして、計画の実効性を高めてまいります。

○村上委員 ただいま伺ったような連携体制を形式だけの会議で終わらせてしまってはならないと思います。連携体制一つをとっても、これを真に実現していくことは大変なことだと思います。そして、これまで障害のある子どもたちや学校関係者、保護者が待ち望んでいた歴史的な改革の実現の可能性が、全国に先駆けた総合的な計画によって見えてきたという点です。この計画の一つ一つの施策を着実に実現し、そして都民が期待している成果を上げることができるかどうか、まさに行政としての責任が問われております。
 そして、先ほどのお話にありましたように、バスの乗車時間、これは二十七年度に向けてというお話でしたが、この点につきましてもできるだけ早く実行に移すようにお願い申し上げたいと思います。
 この計画の副題には、一人一人が輝く特別支援教育の創造をめざしてとあります。真に障害のある子どもたちの一人一人が輝ける施策を展開するため、最後に、この東京都特別支援教育推進計画の推進に対する教育長の力強い決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

○横山教育長 これまでるる話がありましたように、社会のノーマライゼーションの進展の中で、障害のある児童生徒等の将来の夢をはぐくみまして社会的に自立できるようにすることは、極めて重要なことだと認識しております。今回の東京都特別支援教育推進計画は、心身障害教育から、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握しまして、適切な教育的支援を行う特別支援教育への転換という時代の要請にこたえまして、全国に先駆けて策定したものでございます。
 今後、この計画の実施に当たりましては、特別支援教育のねらいでございます障害のある児童生徒等の自立や社会参加へ向けた主体的な取り組みを支援する、そういう視点に立ちまして、その目的実現に向け全力を尽くしていく所存でございます。
 また、ただいまありましたバスの時間につきましても、最大限努力をしてまいります。

○野上委員 私も、東京都特別支援教育推進計画についてお伺いいたします。
 まず最初に、ろう学校の再編整備計画についてお伺いいたします。
 前回、第三回定例会での論議を踏まえて、分教室化される品川ろう学校、杉並ろう学校及び江東ろう学校の幼稚部、小学部が十八年度に募集停止というような短絡的な対応ではなく、分教室として設置している間は幼児、児童の受け入れを継続していくというような計画とした点については、大変高く評価できます。しかし、一部保護者の方々からの不安の声も聞かれております。幾つか確認させていただきたいと思います。
 先日もいろいろなろう学校の保護者の方がお見えになりました。多くの要望を受けてまいりました。その中の何点かについて質問いたします。
 大塚ろう学校の分教室として設置される品川分教室、杉並分教室、江東分教室について、保護者の方々から閉室までの一時的な施設として施設整備も充実したものを用意されないのではないかという不安の声を伺っております。例えば、杉並分教室については平成二十一年度に近隣の永福学園養護学校(仮称)に移転するということですけれども、その際は新たに分教室を整備していくということになるかと思います。今まで聴覚レベルを測定するための防音の部屋とか、さまざまな聴覚に対する器具などがあったそうなんですけれども、今までの学習環境のレベルを低下させないような施設設備をきちっと整備していけるのかどうか、他の分教室についてもあわせて見解をお伺いいたします。

○伊藤参事 大塚ろう学校の分教室を設置される品川分教室、杉並分教室、江東分教室についてでございますが、今までと同様な教育環境を確保するという観点から、さらには閉室後も地域の早期教育相談の拠点としていくということから、ろう教育に必要な施設設備を整備してまいります。

○野上委員 早期教育の教育相談の拠点としていくことから、ろう教育に必要な施設設備を整備していくという力強い答弁をお聞きいたしました。分教室における教育環境の確保についてはよくわかりましたけれども、その分、教室も新入生が二年続けて三名に満たない場合については、それ以降は募集停止を行うとされております。これについては、聴覚に障害のある児童生徒にとってコミュニケーション能力の育成ということが重要であり、そのために一定規模の人数を確保することも教育環境として必要であるということは大変よく理解できるのですけれども、保護者の方の中には、二、三人は適切な人数で、集団教育で社会性を身につけるのは中学、高校からでいいのではないかという方もいらっしゃいます。
 現に、あるろう学校で、中学校一年生のお子さんでしたけれども、クラスでたった一名、自分のお子さんと先生とマン・ツー・マンで授業をしているという現状があるんです。その保護者の方にお聞きしてみました。本当にクラスでたった一人でいいんですかと。そうしたら、そのお母さんがおっしゃるには、いじめに遭ったりしてゆがんだ人格になるよりは、自分を確立した後に社会に飛び出していった方が子どもも傷つかないし、社会性は後からでも身につくので、今の教育体制で十分満足しているというお話を聞いたんです。多分この方の場合は担任の先生が非常にすばらしい方で、教育としての充足度が高いんだろうなというふうに感じました。
 私個人の考えでは、社会性というのは幼児期から友達とかかわって、けんかをしながら、仲直りしながら、だんだんと人間関係の機微のようなものを自然と遊びや集団生活の中から学び取っていくものだと思っているのですけれども、このように、いじめに遭ったり人間不信が続くよりは、ある程度自我が確立されてから社会に飛び出すというような考え方をしていらっしゃる方もいるんだなというふうに思ったわけです。
 今、ちょっとしたことで自殺とかリストカットとか、いろいろな社会現象もありますので、とても保護者の方の気持ちもよくわかるのですけれども、教育庁としては社会性の育成の必要性とその時期についてはどのように認識を持っていらっしゃるのかについてお聞きしたいと思います。

○伊藤参事 学校教育におきまして、さまざまな教育活動を通しまして、一人一人の幼児、児童生徒の発達段階に応じて社会性の育成を図っていくことは、重要な教育目標の一つでございます。ろう学校においては、特に一人一人の幼児、児童生徒の障害の状態やコミュニケーション能力等に応じて、早期から集団活動を通して計画的に社会性の育成を図る指導を工夫していくことが重要であると考えているところでございます。

○野上委員 私は、多くの保護者の方にも申し上げたんですけれども、ぜひ幼児教育のときから人間関係を豊かにして、一緒に同じろう学校に行こうねという、そういう仲のよい集団づくりをしていただいて、二名以下にならないような形でやっていただければいいのではないかということを提案させていただいております。例えば、なくなった場合、品川ろう学校、杉並ろう学校及び江東ろう学校が閉校になってしまうと、今までこれらの学校において実施されていた乳幼児教育相談がなくなってしまいます。今後、各地域における乳幼児教育が後退するのではないかという心配の声もあります。
 乳幼児期の教育は、ろう教育においてはとても大事な観点なんですね。それについてはどのように手配をしていただけるのでしょうか。

○伊藤参事 現在は、幼稚部を設置するろう学校におきまして乳幼児教育相談を実施してございますが、今後は、大塚ろう学校、立川ろう学校、葛飾ろう学校において乳幼児教育相談を実施するほか、大塚ろう学校に配置した早期教育を担当する相談員及び医師、臨床心理士、言語聴覚士等の専門家を分教室等に派遣して巡回相談を行うなど、施策の一層の充実を図ってまいります。

○野上委員 現在行われている相談活動に比べて、よりよい充実を図っていただきたいということを切に要望いたします。
 その次に、特別支援教育体制モデル事業についてお伺いいたします。
 東京都が特別支援教育を推進する上で、まず盲・ろう・養護学校の教育内容の充実、教育環境を確保していくということは重要ですけれども、同時に、現在小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒のうち、四・四%、三万三千人という数字が出ておりましたが、学習障害、注意欠陥多動性障害、LDとかADHDとかいわれておりますけれども、特別な教育的支援を必要としていることが明らかになっており、小中学校における特別支援教育の推進も忘れてはいけない課題であります。
 小中学校における特別支援教育の推進は、区市町村教育委員会が推進していくべきものではありますけれども、都としても区市町村教育委員会の取り組みを支援していく必要があるということで、我が党がモデル事業の実施について提案をいたしました。今回の計画の中にも位置づけられています。
 そこでお伺いいたしますけれども、特別支援教育推進体制モデル事業は、今年度から北区、八王子市、調布市、あきる野市の一区三市で実施されておりますけれども、現在までの進捗状況についてお伺いしたいと思います。

○伊藤参事 特別支援教育体制モデル事業は、現在、四区市において校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名などの校内体制の整備、巡回指導、巡回相談等の試行、特別支援教育に関する保護者等への理解啓発などを実施してございます。
 現在までの進捗状況といたしましては、校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名などの校内体制の整備につきましては、四区市のほぼすべての学校で完了してございます。
 また、巡回指導、巡回相談等の試行、特別支援教育に関する保護者等への理解、啓発につきましては、モデル地域の各区市の実情に応じまして独自の工夫をしながら実施しているところでございます。

○野上委員 人をふやすわけではなくこういった事業をやっていくわけですから、コーディネーターになった方の教育研修体制とか、そういったものも大変だと思うのですけれども、モデル事業の中で成功していければ、必ずそれがうまく広がっていくと思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。
 心身障害教育から特別支援教育への移行に当たっては、固定学級がなくなることを不安視する多くの保護者がいます。一方では、早くLD児等の子どもたちへの対応をしてほしいという声もあります。それらの声に耳を傾け、都教育委員会としても特別支援教育のあり方についてモデル事業を行い、不安の払拭をしていくべきであると考え、このモデル事業の実施について提案をしたところですけれども、モデル事業は今年度実施しているといっても二学期からということで、まだ始まったばかりで、モデル事業は三年間、四区市のみで実施していくこととされています。しかし、今後、特別支援教育を推進していかなければならないのは、この四区市だけではありません。
 我が党は、代表質問で、教育長より、今後、各区市町村にモデル事業の成果や課題についても広く情報提供することにより、モデル地域以外の区市町村においても、特別支援教育体制への移行に向けた準備が行えるよう支援していくという答弁もいただいておりますが、都教育委員会として、今後、区市町村における特別支援教育体制の構築に向けどのように取り組んでいくのか、もう少し具体的な説明をお願いいたします。

○伊藤参事 特別支援教育体制モデル事業につきましては、保護者代表も含めた特別支援教育体制・副籍モデル事業評価委員会を設置しておりまして、その委員会においてモデル事業実施による成果と課題等について検証、評価することになってございます。その結果を来年度以降のモデル事業に反映させていくことによりまして、四区市においてより充実した内容でのモデル事業実施ができるようにしていくとともに、モデル地域以外の区市町村に対しましても、その内容についての情報提供をしていくことによりまして、今後、各区市町村教育委員会が地域の実情に応じて適切に特別支援教育体制の整備を進めていくことができるよう支援してまいります。

○野上委員 区市町村によって今までの取り組みがかなり違ってきているので、一斉に特別支援教育体制が始まったときに各区市町村でかなりの差が見られると思いますので、ぜひモデル地域以外の区市町村についても準備を始めていかれると、運営の方からもスムーズにいくのではないかと思っております。
 モデル事業も始まったばかりであり、試行錯誤の段階であると思いますけれども、現在、国においても特別支援教室についての検討が進められており、今後、法改正も予想される中、このモデル事業において特別支援教育を推進していくに当たっての課題の整理、検証をしっかりと行っていきながら本格実施に向けての準備を行うとともに、その情報はきちんと公開し、保護者の期待にこたえられる制度の構築をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

○花輪委員 まずは、南多摩学園養護学校(仮称)の配置案の見直しに関する陳情のことで幾つかお尋ねをしたいと思います。
 先ほど来議論が出ていましたけれども、今、養護学校の教室が足らない、そこを何とかしなきゃいけないということで皆さん本当にご苦労いただいて、この養護学校ができるようになってきた。その内容に関する陳情かなと思って中を読んでみましたら、どうも余りつくってほしくないというような、そんな陳情なんですね。幾つか事実関係のことを教えていただければと思うんですが、「何も知らないまま、既定事実の積み上げを行ってきた。都のこのような地元住民無視の推進計画は、断じて容認することはできない」というふうに書いてありますが、このあたりの事実関係はいかがなんでしょうか。

○伊藤参事 七月十四日に公表いたしました東京都特別支援教育推進計画概要案におきまして、具体的な高校跡地等の案につきましては、一定期間の後、公表するといたしておりまして、南多摩地区学園養護学校(仮称)の設置場所につきましては、地元関係市との間で南野高校跡地を活用する案と、南大沢学園養護学校を活用する案の二つの案について説明をいたしまして、協議をしてきた経過がございます。
 最終的に南大沢学園養護学校を活用することで関係市との協議が調ったため、本計画発表にあわせて公表したところでございまして、それまで設置場所につきまして都教育委員会として一方的に公表し周知をした事実はございません。

○花輪委員 そのほかにも何か、多摩市に二つあるとバランスを欠いて不合理だみたいなことも書いてあるんですが、これについてどう思われますか。

○伊藤参事 都の考え方といたしましては、養護学校につきましては、各市に配置するという考えではなく、都の施策として全都的な視点によりまして配置するものでございます。今回、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校についても、全都的なバランスを考慮し、第一次実施計画におきまして杉並地区、西多摩地区、そして南多摩地区に配置する案を示したものでございます。

○花輪委員 ここには、授産施設など過重な負担が予想されるとか、地元住民にとって生活にも大きく影響するというふうに書いてあるんですよ。先ほど来いろんな質問の中に出てきていました新しい学校というのは、そういう意味でいうと、養護学校を出た子どもたちがただ単に授産施設に行くんじゃなくて、社会参加をする、社会で自分たちのやりがいとか生きがいということを実現していく。それと同時に、そこでともに働く者たちが自分たちも育っていくという、そういう意味合いのためにインターンシップをやるとか、ジョブコーチ、そういうことをやっていくというふうな大きな大きな目的があるわけですよね。それを何か相変わらず、養護学校を出た子はどこかの授産施設で働くんだ、それが社会的には自分たちの地域の負担になるんだみたいな、そういうことをいう陳情を出してきた人、この増田さんを知りませんけれども、非常に寂しくなるような思いがします。
 ですから、あえて発言させてもらうんですけれども、そういうノーマライゼーションに向けた啓発もまだまだ必要なんだなということを本当に感じました。そういうことからも、このような陳情にははっきりきっぱりと不採択という主張をとりあえずしておきたいというふうに思います。
 続きまして、ろう学校のことについてお尋ねいたします。
 もう本当に聞くことがなくなっちゃったんですが、少し飛ばさせていただきまして、中高一貫のろう学校をつくるということですが、改めてお伺いいたします。この中高一貫型のろう学校には、分教室を、いわゆる幼稚部、小学部を設置しないということですが、その理由についてお答えください。

○伊藤参事 本計画の中で、ろう学校の再編に伴いまして、中学部、高等部六年間を見通した教育課程を編成いたしまして、大学進学等を目指す中高一貫型教育を行うろう学校として、中央ろう学校(仮称)を設置することといたしたものでございます。
 幼稚部、小学部を分離することによりまして、従来のろう学校のように小学部からそのまま中学部へ進学するのではなく、他のろう学校の小学校の卒業生の中から将来大学等への進学を目指す子どもたちが、目的意識を持って、みずから選択した進路に進みやすい教育環境を提供する効果もございます。
 また、この中央ろう学校(仮称)に幼稚部、小学部との併設をすることは、施設規模やグラウンド等の確保等、中学部、高等部の生徒にふさわしい教育環境を維持する上からも困難であると判断をいたしました。

○花輪委員 要は、保護者の方々の願いである、大学進学を目指したい子たちがちゃんとした教育環境でその夢を果たせるような学校をつくる、そのためには、逆にいうと、幼稚部、小学部があって、みんなが杉並に来たからそのまま上がっていけるという学校だと、なかなか学習環境が維持できないという、恐らくそういうことで小学部、幼稚部というのをつくらないのだろうというふうに、今の答弁を聞いても私は思うんですが、確かにその部分はよく理解もできると思いますし、私はそれに対して反対するつもりはないんです。
 ただ、そういう中で切り捨てられがちな、そういうふうに思われがちなことがどうしても起きていくわけですよ。分教室になって、そこの場所じゃない、違う永福の方で分教室が開かれていく。じゃ、その分教室には、先ほど来いろんな質問がありましたけれども、どういう機能があるんだろうかとか、また、そこでの学習環境、大塚の分教室になればどんな学習環境になるのか。今までは手話が中心だった、または手話、口話が中心だ、指文字もある、そういう中でもどういう教育になるのか、それも不安だし、または、二年、応募が三人以下だった場合にはなくなってしまって、今度はサテライト教室になる。そのサテライト教室も、先ほど来いろいろ聞いていらっしゃいましたけれども、なかなか具体的に見えてこないわけですよ。
 おととい、請願をされているお母さんなんかと話をしたときに、二歳になるぐらいで初めて聞こえが悪いということに気づかれた、そのときに本当に精神的にもどん底に落ちるような思いをした、ただ、その後、杉並のいわゆる地域、近所にあるろう学校に行くことによって、そこで同じ悩みを持つ保護者の方々と知り合えたことによって救われたような気持ちがしたといわれていました。まさにそのとおりだと思うんです。
 今回のこの再編整備によって、地域にあるそういう学校がなくなるということは、そこでのお母さん、お父さんたち、保護者の皆様のコミュニティもなくなるということなんですよね。ただ単に学習環境というよりは、その子どもたちを支える保護者の気持ちというものもしっかりとすくい上げていかなきゃいけないのかな、耳をちゃんと傾けていかなければいけないのかな、そんなふうに私は思っています。
 きょう、いろいろと出ていますので、一つ一つ細かいことはもう聞きません。だから、そのあたりのお父さん、お母さんの悩み、保護者の悩みをちゃんとすくい上げるようなことをぜひ改めて要望をしておきたいと思います。
 次に、寄宿舎についてももう要望にとどめておきたいと思います。
 この寄宿舎も、確かにもともと予定をしていた使い方じゃない、使われ方じゃないところで使われてしまっている。通学困難な子たちのためにある寄宿舎が、今は家庭の事情だ何だということで使われてしまう。そういうことをもともとの決まりどおりに直していきましょうという、その決まりどおり直すのも確かに必要なんでしょう。だけれども、逆にいえば、そこでショートステイのように使っていらっしゃる方々も実際今までいて、それで助かっている方もたくさんいると思うんですよね。
 私は、障害がある子どもを持ったこともないですし、そういう兄弟も、また近い身内にも余りいないです。だから、わからないんですけれども、そういう障害を持った子どもを抱える保護者の方々の心の本当のひだの部分にあるようなところ、そういうところの気持ちというのをもうちょっとしっかりとすくい上げていくような、それで理解を求めていくような、そういうことをぜひ私は今回の寄宿舎についてもお願いをしたい。
 今回の計画の中にも、市区町村や地域とか、医療、また福祉とか働く者、そういう方々との連携の必要性もうたっています。ですから、そういうところとしっかりと連携を試みて、福祉的な要素--これは教育なんだから福祉的な要素のショートステイはもう要らないんだというんじゃなくて、そこで教育なんだから福祉的は要らないというのであれば、ちゃんと福祉の方で面倒が見られるような、そういう連携、協力というものをしっかりとやっていっていただきたいというふうに私は思います。
 きょう一日、一時過ぎから伊藤参事が何十回となく答弁に立たれました。きょうは本当にひとり舞台だったと思います。この計画をつくるのも、本当に多くの皆さんのご苦労があったと思います。そういう中で、さっきの青鳥養護の久我山分校も、建物が新しくなるとか、私たちも去年、一年ぐらい前に小林さんなんかと見に行きました。何で今でもこんな学校でいっぱいいっぱいでやっているのかと、私たちも本当に東京都というのは冷たいなと思いました。
 でも、それを直してくれるという方向で今回のこの計画が出たのであれば、もうここまで来たらば、あとは大きな耳を持ってもらって、聞く耳を持ってもらって、改革の中ではじき出されそうな方々--改革には痛みが伴うんだといいますけれども、その痛みが、例えば規制緩和なんかでじゃぶじゃぶもうかっているようなところが痛むんだったらいいんですけれども、そうじゃないわけですよ。この改革の中で痛みを伴う方がいるのであれば、その方々をいかにサポートするか、フォローするか、そしてまた説明をして理解を求めていくか、そういうところをこれから実行していく段階ではやっていただきたいな、そんなふうに思います。
 以上、要望でとどめたいと思います。終わります。

○池田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 これより請願陳情に対する採決を行います。
 初めに、請願一六第四一号をお諮りいたします。
 本件中、第一項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一六第四一号中、第一項は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、請願一六第四二号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一六第四二号は、本日のところは継続審査といたします。
 次に、請願一六第四三号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一六第四三号は、本日のところは継続審査といたします。
 次に、請願一六第四五号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一六第四五号は、本日のところは継続審査といたします。
 次に、請願一六第七一号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一六第七一号は、本日のところは継続審査といたします。
 次に、請願一六第七九号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一六第七九号は、本日のところは継続審査といたします。
 次に、陳情一六第七五号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一六第七五号は、本日のところは継続審査といたします。
 次に、陳情一六第七九号をお諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一六第七九号は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情一六第八六号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一六第八六号は、本日のところは継続審査といたします。
 次に、陳情一六第八九号をお諮りいたします。
 本件は、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一六第八九号は、本日のところは継続審査といたします。
 以上で請願陳情審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十一分散会

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