文教委員会速記録第二十号

平成十六年十月二十六日(火曜日)
第三委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長池田 梅夫君
副委員長村上 英子君
副委員長花輪ともふみ君
理事野上じゅん子君
理事山口 文江君
理事古賀 俊昭君
福士 敬子君
臼井  孝君
石川 芳昭君
遠藤  衛君
山本賢太郎君
小林 正則君
比留間敏夫君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長江連 成雄君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長山川信一郎君
参事松田 芳和君
学校経営指導担当部長齊藤 一男君
参事伊藤 一博君
人事企画担当部長井出 隆安君
参事沼沢 秀雄君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
事務事業について(質疑)

○池田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○池田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る十月十四日の当委員会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
 ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十二件でございます。
 それでは、一ページをお開きいただきたいと思います。1、教育庁所管の廃止、終了及び見直し事業(過去四年間)でございます。
 平成十二年度から平成十五年度までの過去四年間において、廃止、終了、または見直しをいたしました事業について、年度別に事業名とその内容をお示ししてございます。
 二ページをお開きいただきたいと思います。2、平成十六年度において学級編制の弾力化を実施している道府県の状況でございます。
 このページから三ページにかけて見開きになってございますが、平成十六年度に四十人未満の少人数学級を実施している四十二の道府県の状況について、研究指定校での実施や一部の学年だけで実施している例なども含めてお示ししてございます。
 なお、この資料は、三ページの下段の注にありますように、文部科学省調査によるものでございます。
 四ページをお開きいただきたいと思います。3、都内公立小中学校において一学級四十人を超える学級数でございます。
 学級編制は四月一日の児童生徒数を基準として行っておりますが、その後、転入等により、児童生徒の在籍数が一学級四十人を超えた学級の数について、区市別、小学校及び中学校の学年別にお示ししてございます。
 なお、欄外の注にございますとおり、平成十六年五月一日現在の在籍人数には長期欠席者を含んでおります。
 五ページをごらんいただきたいと思います。4、東京都公立小・中学校児童生徒の就学援助受給者の推移でございます。
 就学援助は、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して区市町村が行う扶助制度でございまして、補助対象経費の二分の一を国が補助しております。
 なお、この表は、就学援助を受けている児童生徒数及び受給率を、要保護、準要保護の別に、平成十一年度から平成十五年度の五年間についてお示ししてございます。
 六ページをお開きいただきたいと思います。5、東京都公立学校施設の耐震診断及び改修状況でございます。
 (1)は、区市町村立の小学校、中学校及び養護学校の状況でございます。平成十六年四月一日現在の学校の全棟数、耐震診断実施率、耐震化率等を、小学校、中学校、養護学校に分けてお示ししてございます。
 (2)は、都立学校における状況について、学校数を単位として同様にお示ししてございます。
 七ページをごらん願います。6、都立盲・ろう・養護学校施設整備費の推移でございます。
 施設整備費の予算額、決算額を、平成六年度から平成十五年度までの十年間についてお示ししてございます。
 八ページをごらんいただきたいと思います。7、都立盲・ろう・養護学校の保有普通教室の状況(平成十六年度)でございます。
 平成十六年五月一日現在で、盲・ろう・肢体不自由、知的障害、病弱の障害種別ごとに、各学校の保有普通教室数とそのうち転用した教室数についてお示ししてございます。
 九ページをごらんいただきたいと思います。8、都立盲・ろう・養護学校スクールバスの平均運行時間及び最長乗車時間の推移でございます。
 (1)、平均運行時間(各コースの始発点から学校までの運行時間の平均)は、平成十一年度から十五年度までの過去五年間におけるスクールバスの平均運行時間を、盲学校、ろう学校、肢体不自由養護学校及び知的障害養護学校の区分ごとにお示ししてございます。
 (2)、最長乗車時間(各コースの始発点から学校までの最長乗車時間)は、同様に、最長乗車時間をお示ししたものでございます。
 一〇ページをお開き願います。9、都立高等学校授業料減免状況でございます。
 (1)の都立高等学校全日制・定時制別授業料減免状況(過去五年間)は、平成十一年度から平成十五年度までの過去五年間について、授業料免除及び授業料減額を受けた人数と全生徒数に対する割合を全日制、定時制の別にお示ししてございます。
 (2)の平成十五年度都立高等学校授業料減免状況は、(1)に記載いたしました平成十五年度の減免状況を、さらに普通高等学校、専門高等学校に分けてお示ししたものでございます。
 一一ページをごらん願います。10、教員の年代別退職者数(都内公立小・中・高等学校別、過去五年間)でございます。
 平成十一年度から平成十五年度までの過去五年間について、退職者数を四十歳未満、四十歳以上六十歳未満、定年の三区分に分け、小学校、中学校、高等学校別にお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。11、都内公立学校教員の定数と未充足状況でございます。
 平成十六年五月一日現在の教員の定数と退職等により未補充となっている教員数を未充足数といたしまして、学校種別ごとにお示ししてございます。
 一三ページをごらん願います。12、「東京スポーツ文化館」の利用実績(平成十六年四月~九月)でございます。
 (1)、宿泊施設では、平成十六年三月三十一日に開館いたしました区部ユース・プラザであります東京スポーツ文化館の宿泊施設の宿泊者数を、四月から九月までの月ごとにお示ししてございます。
 (2)、文化学習・スポーツ施設では、同館の文化学習・スポーツ施設の利用団体数と利用人数を同様に月別にお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○池田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○臼井委員 それでは、私は、先般行われました児童・生徒の学力向上を図るための調査について質問をさせていただきます。
 世界の先進国の中で、日本の子どもたちの社会道徳意識が低いといわれております。また、特に学力も低下傾向にあるといわれております。そこで、都教育委員会は、今年二月に都内の中学二年生を対象に、児童・生徒の学力向上を図るための調査を実施いたしました。この件については、我が党の遠藤議員が文教委員会で、中学校だけでなく小学校に対する学力調査も要請したところでありますが、来年一月に小学校五年生が実施することになっているわけでございます。
 国際化の進む社会でたくましく生きるためには、知徳体のバランスのとれた児童生徒を育成することが極めて重要と考えるのであります。とりわけ子どもたちの学力を高めることは、多くの都民の願いであります。この願いをかなえるためには、何よりも、子どもの学力の実態を的確に把握し、その結果を踏まえて、教師の授業の仕方を改善していく必要があります。
 そこで、東京都教育委員会が行っている学力調査についての質問をいたします。
 まず、今回実施いたしました児童・生徒の学力向上を図るための調査を実施するに当たり、教育委員会は、学力をどのようなものと考え、どのようにはかろうとしたのか、お伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 学力は、単なる知識の量のみではなく、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力を含めたものとしてとらえております。このような学力の定着状況を把握するため、国語、算数、数学、社会、理科、英語につきまして、関心・意欲・態度、思考・判断、技能・表現、知識・理解等の四つの観点から、児童生徒の学力の実態を把握しようとしたものでございます。
 また、あわせて学習に関する意識調査も実施いたしました。

○臼井委員 ところで、東京都教育委員会が、今回の調査では正解を求める正答の通過率を設定しないで、平均正答率で結果を公表したのでありますが、どのような意図があったのかを伺います。

○近藤指導部長 お話の通過率につきましては、推測や仮定により設定されるものでございますが、東京都教育委員会は、推測や仮定による数値基準は設けず、各問ごとに生徒の平均正答率を公表いたしました。このことは、推測による数値基準の弊害を避けるために行ったものでございまして、他県の学力調査でも、設定通過率ではなく、東京都と同様に平均正答率を用いているところは多くございます。
 なお、東京都教育委員会は、教科によって多少の違いはございますが、正答率が七割程度をおおむね満足できる状況として判断してございます。

○臼井委員 わかりました。
 この調査は、区市町村別に結果を公表しているわけであります。平成十四年十一月段階では、当時の担当者が公表しないと説明したという話も聞いております。都教育委員会が区市町村別に公表することを決定した理由は何だったのか、また、公表した結果、どのような反応があったかを伺います。

○近藤指導部長 東京都教育委員会は、東京都全体の学力水準の維持向上に努めるとともに、東京都における児童生徒の学力の実態を都民に説明する責任があることから、学力調査の結果を区市町村別に公表いたしました。
 区市町村別の学力調査結果の公表は初めてのことでございますので、都民やマスコミの方々からの反響は大きなものがございました。その反響の主なものは、東京都が都民の知る権利のために公開したことに大いに賛辞を送りたい、また、東京都の公表方針に大賛成です、どんどんやってくださいなどの声がありました。
 なお、お話の平成十四年十一月に当時の担当者が公表はしないと説明したという件につきましては、東京都教育委員会としての意思決定の前のことでございまして、慎重さを欠いたものと認識しており、組織的な対応に一層努めてまいりたいと思っております。

○臼井委員 なるほど、都民は学校情報を大変知りたいと考えているということがわかりました。
 東京都教育委員会は、区市町村別に調査結果を公表したけれども、聞くところによると、区市町村によっては学校別の調査結果まで公表したところもあるというふうに聞いております。そのようなことはあるのかどうか。もしあるのであれば、そこでは公表の後どのような反応が起こったのか、伺います。

○近藤指導部長 東京都が行いました学力調査の結果を学校別に公表した区市は、足立区と西東京市でございます。学校別に公表いたしました区市教育委員会からは、次のような報告を受けてございます。
 まず、校長先生、教頭先生の管理職の反応といたしましては、子どもたちの実態をしっかりとらえ、足元を見詰めて授業を改善しなければ、公立の学校とはいえ、生き残ることはできない。また、保護者からは、実態がはっきりしたことから、学校が動き出した、学校がどんな取り組みを進めていこうとしているのかがよくわかるようになった。さらに、地域の方々からは、学校の実態を明らかにすることから本当の教育が始まる、協力したいなどの声が当該の教育委員会に届いたとのことでございます。
 学校別に公表したことにつきましては、学校においては危機意識を持っているものの、保護者、地域の方々の多くは絶賛しているということでございます。

○臼井委員 中学校の学力調査問題の中に、正答が複数あるものがあって、答えるのに生徒が戸惑ったし、教師も上手に指導できなかったということも聞いています。東京都教育委員会が正答が複数ある問題を出題した意図はどこにあったのか。また、調査の趣旨や出題の意図は当然のことながら事前に各校長に徹底しておく必要があると考えるのでありますが、都教育委員会は各学校へどのように周知したのか、伺います。

○近藤指導部長 お話の、正答が複数ある出題方法は、国の学力調査でも同様に行われておりまして、国の調査結果と比較分析する上でも有効であることから、出題したものでございます。
 なお、調査の趣旨や出題の意図につきましては、区市町村教育委員会の実施担当者を対象に説明会を開催するなどいたしまして、各学校に対して十分周知徹底するよう説明をしたところでございます。
 また、その際、正答が複数ある問題については、学力調査の実施の手引に具体的に示しまして、各教室で担当教員から生徒に伝えるよう依頼したところでございます。しかしながら、ご指摘の点につきましては重く受けとめておりまして、今後説明会などを一層充実させまして、調査の趣旨や出題の意図等の徹底を図ってまいります。

○臼井委員 ただいまの答弁では、手引書を用意して十分に説明できるように準備をしたということであります。それにもかかわらず、区市町村の一部の学校現場においてはそごを来したということはまことに残念ですね。
 この調査の結果を教員の指導力の向上に生かすことは当然のことでありますが、一部には、調査の結果によっては校長や教員が責任を問われるのではないかという心配の声があったようであります。こういうことは本当に起こるということは問題がありますね。
 今日、学校現場は、校長の学校の経営権の拡大強化が進んでおります。校長の手腕の発揮が期待されているのでありまして、私は、校長を信頼し、支援することが大事だと思います。そして、教員が子どもたちにしっかり向き合い、子どもたちのために力を発揮することには、こうした不安や心配を与えてはいけない、不安を払拭してやることが大切であると考えますが、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 学力調査の目的は、児童生徒の学力の実態を明らかにすることによって、それぞれの教師が学力の実態に応じて授業の改善を図り、学力の向上を図ることにあります。したがって、まず実態を知ることが大切でありまして、その実態をもって責任を問うようなことは考えてございません。もし責任を問われることがあるとしたら、それは生徒の学力の実態を放置し、何の取り組みもしないことに対してであると考えております。

○臼井委員 調査の目的がよくわかりました。
 ところで、先ほど意識調査も実施したという答弁がありましたが、教科の学力と意識調査の間にどのような関連があったのか、このことについて伺いたいと思います。

○近藤指導部長 意識調査と学力調査の関連でございますが、授業が楽しいと感じている生徒や規則正しい生活をしている生徒、将来に夢や希望を持っている生徒は学力が高いという結果が出てございます。したがいまして、学力の向上を図るためには、教員の指導力の向上を図ることはもちろんでございますが、保護者との密接な連携を図ることの大切さも改めて実証することができました。
 今後とも学校や家庭との連携を一層深め、児童生徒の学力の向上に努めてまいります。

○臼井委員 今回は約七万人の生徒を対象に初めて実施した学力調査でありました。さまざまな成果があったと思うのでありますが、二十四人分の答案用紙を紛失し、再調査を行ったとも聞いております。来年一月には、小学校五年生も加えて、今度は十五万人、倍の子どもたちの調査が行われるわけであります。今回の学力調査を振り返って、次回の調査に生かせる教訓があれば、伺います。

○近藤指導部長 学力調査によって、児童生徒の学力の実態が明らかになり、区市町村教育委員会や各学校が児童生徒の学力向上に向けてさまざまな取り組みを今始めているところでございます。
 また、多くの学校が、児童生徒の学力の向上のためのプランづくりや、校内における研修の活性化などの取り組みを始めているところでございます。
 今後、都教育委員会は、こうした区市町村教育委員会や学校の取り組みに対しまして、今まで以上により具体的に支援を行っていくとともに、お話にございました答案の管理についても一層万全を期していきたいと思っております。

○臼井委員 調査後のフォローは極めて重要だと思います。学力調査結果の公表から四カ月たっております。調査結果に基づいて各中学校では授業改善の動きが始まっていることと思うのでありますが、こうした学校の取り組みを東京都教育委員会はどのように支援しているのか、伺います。

○近藤指導部長 各中学校では、学力向上を図るための調査の結果を真摯に受けとめまして、その結果を分析、考察して、各学校独自の授業改善推進プランを作成し、そのプランに基づいて取り組みを進めております。このような各学校の取り組みに対しまして、都教育委員会は、授業改善推進校の設置や特別訪問の実施、授業改善ハンドブックの作成、配布等を行いまして各学校の実践を支援しておりますが、今後とも区市町村教育委員会と十分に連携いたしまして、児童生徒の学力の向上に努めてまいります。

○臼井委員 都教育委員会の学力向上を図るための調査と、それに基づいた授業改善の取り組みの状況はわかりました。
 東京都教育委員会は、東京都全体の学力を維持向上させる責務があるのでございますから、今後とも、区市町村教育委員会や学校と一層緊密に連絡を図り、その趣旨の実現に向けて取り組んでいただきたい。
 長い間、学校は世間から閉ざされた存在であったように思います。家庭、地域、学校が協力できるように、地域に開かれた学校にディスクロージャーすることの大切さがわかったような気がいたします。そして、子どもたち一人一人の学力を向上させ、保護者や都民が安心して子どもたちを託することのできる学校にすることを期待し、質問を終わります。

○石川委員 去る七月十四日に、東京都特別支援教育推進計画概要案が発表されました。そして、十一月には推進計画が発表されようとしておりますので、きょうは、南多摩地区学園養護学校についてお伺いさせていただきます。
 初めに、我が党としては、この計画概要案が発表された後、都民や関係者、また保護者の方に対して、丁寧に説明し、意見を聞くよう要望してまいりました。まず、この間、都民、保護者に対してどのように説明をしてきたのか、実施状況や意見募集の結果について改めて伺います。

○伊藤参事 東京都特別支援教育推進計画概要案の発表後、説明会を区部と市部で三回実施し、約八百人の参加がございました。さらに、都教育委員会で依頼している教育モニターからも意見を募集し、八十七名のモニターの方に客観的な立場から貴重な意見をいただきました。意見募集は十月十五日で締め切りましたが、この間、約七百人から意見が寄せられました。今後、これらの意見も参考にしながら、十一月の発表に向けて計画を策定してまいります。

○石川委員 都教委としてはそれぞれご努力されていることは十分承知いたしておりますけれども、特に社会的に弱者といわれる立場の方々でございます。廃止や統廃合に伴うさまざまな環境の変化が出てくるわけですから、そうした方々へは本当にお一人お一人の立場になって今後も対応していただきたいことをまず要望しておきたいと思います。
 今回発表される特別支援教育推進計画は、社会のノーマライゼーションの進展を踏まえ、障害のある子どもたちが社会の中で必要な支援を受けながらも、しっかりと自立した生活を営んでいくため、職業教育を中心とした後期中等教育の充実を進めていく方向を目指したところに大きな特徴があります。
 中でも、計画概要案で、新たなタイプの学校の一つとして示された知的障害が軽い生徒を対象とした高等部設置校については、長年にわたって知的障害者の社会参加と自立を目指し、差別や偏見と闘いながらさまざまな取り組みを進めてきた保護者や障害者団体の方の切実な思いが具体的な形となって実を結んだものであり、生徒、保護者のみならず、さまざまな立場から注目が集まっています。
 そこで、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部を設置する学校について、その意義と役割について、まず確認の意味で伺います。

○伊藤参事 現在、都立青鳥養護学校と南大沢学園養護学校に職業学科が設置されておりますが、両校合わせて一学年三十二名の定員で、毎年三倍以上の応募がございまして、生徒や保護者のニーズに十分こたえられていないという状況がございます。
 また、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部設置校は、生徒一人一人の能力や適性に応じた職業教育を実施し、企業就労し、社会貢献ができる人材を育成するとともに、資格取得を目指した進学希望にこたえていく学校として設置をしていく必要がございます。
 さらに、知的障害養護学校は、中学校から進学してくる障害の軽い生徒が増加傾向にございまして、普通教室の確保が急務となってございます。
 今回発表された三校は、これら中学校から進学してくる障害の軽い生徒を中心に受け入れることで課題を解決する役割もあるわけでございます。

○石川委員 計画概要案では、杉並地区学園養護学校、西多摩地区学園養護学校、南多摩地区学園養護学校の三校を設置することが一次配置計画の中で発表されました。概要案発表時には、設置する具体的な高校跡地等の案については、一定期間の後、公表するとなっていました。これら三校の設置場所等について、概要案発表後の調整状況を伺います。

○伊藤参事 杉並地区学園養護学校と西多摩地区学園養護学校は、それぞれ杉並区、青梅市と調整が整い、都立永福高校跡地と青梅東高校跡地に設置することを九月一日に公表したところでございます。南多摩地区学園養護学校につきましては、現在、多摩市など関係市と調整中でございます。

○石川委員 南多摩地区学園養護学校については、ただいまご答弁がありましたように、いまだ調整中ということですが、計画概要案発表後既に三カ月が経過いたしておりまして、関係者は大変心配いたしております。この間の関係市との調整経過について伺います。

○伊藤参事 概要案発表に際しまして、多摩市長に概要案、特に知的障害が軽い生徒を対象とした高等部設置校について説明するとともに、七月二十二日と八月二十日に多摩市の関係部課長に対する説明や質疑の機会を持ち、計画の理解の促進に努めてまいりました。
 この間、八月六日付で、(仮称)南多摩地区学園養護学校の配置計画の見直しについての要望書が多摩市長及び多摩市教育長から都教育長あて提出され、八月三十一日にその要望書に対する都の考え方を多摩市長及び多摩市教育長に直接説明をいたしました。その際、市長から、設置場所について複数の案を提示するよう申し出があり、九月二十一日に、市長あて、南野高校跡地を使用する案と、八王子にございます都立南大沢学園養護学校を使用する二つの案を提示し、検討を依頼したところでございます。

○石川委員 南多摩地区学園養護学校に関連して、ただいま答弁のあった八月六日付で、多摩市の市長、教育長から横山教育長あてに提出された要望書の内容が公開され、それを見た障害者団体や保護者から、養護学校を迷惑施設視しており、障害者の基本的人権を冒涜するものであるとして、多摩市長、多摩市教育委員会及び多摩市議会に対して抗議するとともに、そのような反対に屈することなく、早期に設置することを求める声が我が党にも寄せられています。
 多摩市の要望書を私も見ましたが、養護学校が設置されると財政負担がふえるなど、養護学校を迷惑施設視するような表現があり、遺憾に思っています。都教育委員会としては、そのような動きを承知しているのでしょうか。また、多摩市が反対する理由がどこにあると考えているのか、伺います。

○伊藤参事 都教育委員会にも障害者団体やPTA連合会などから要望が寄せられており、早期設置を強く望む声があることは承知してございます。
 多摩市から出された要望書は、一点目は、多摩ニュータウンにおける施設の配置バランスを欠く点、二点目は、卒業生の行き場として福祉的就労が考えられ、多摩市への新たな財政負担となることが予想されること、三点目は、多摩市の人口減の予想から、必要度のより高い地域に設置する必要があると考えること、四点目は、学校の目的ともいえる就労のための具体的な方策や支援、また教育内容等が明確に示されていないことの四点を挙げて、南多摩地区学園養護学校の設置計画の見直し、再考を要望してございます。

○石川委員 計画を推進していく上で多摩市が懸念している点について確認しておきたいと思います。
 南多摩地区学園養護学校は、知的障害のある多くの生徒やその保護者から開校が待ち望まれている学校ですから、卒業した生徒の職業自立や就労に向けた具体的な教育内容や支援策について、学校のPRの意味からも、ぜひ広く都民及び関係市に示していくべきではないかと考えます。現時点で明らかにできる具体的な計画があれば、伺います。

○伊藤参事 南多摩地区学園養護学校の基本的なコンセプトは、学校卒業後、企業就労し、自立した生活を営み、社会に貢献できる生徒を育成していこうというものでございます。新たな職業学科の指導内容や資格取得のための進学を目指す普通科の教育課程について開発研究していくことを計画してございます。また、民間企業や団体等と連携し、職業教育をより一層充実するとともに、既に知的障害者等の雇用促進及び職業安定を目的として実施されているジョブコーチ制度の実績と成果を踏まえた学校版ジョブコーチ制度の導入などについて検討してまいります。
 なお、多摩市に対しては、以上の点を説明した上で、検討をお願いしているところでございます。

○石川委員 九月二十一日に多摩市長に提示して検討を依頼してあるという二つの計画案について、南野高校、南大沢学園養護学校、多摩養護学校の活用の方法について、もう少し具体的に内容を教えていただきたいと思います。

○伊藤参事 一つの案は、杉並地区学園養護学校や西多摩地区学園養護学校と同様に、都立高校跡地を活用する案でございまして、多摩市の都立南野高校跡地を活用することを想定してございます。もう一つの案は、八王子市に設置されている都立南大沢学園養護学校を増改築して、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部単独の学校として使用する案でございます。
 南大沢学園養護学校を使用する場合は、現校舎の増改築だけでは、南多摩地区学園養護学校で想定している生徒数を受け入れられないため、現在は肢体不自由だけの養護学校であります多摩養護学校に知的障害部門を併置し、南大沢学園養護学校の学区域を引き継いで、地域の中重度の児童生徒を受け入れる必要がございます。
 都教育委員会といたしまして、多摩市の状況等も勘案しながら、南多摩地区の教室確保を早期に実現することを優先に考え、南大沢学園養護学校を活用する方法を基本に調整を進めているところでございます。

○石川委員 現在、二つの案を示して多摩市に検討をお願いしていることはわかりました。
 教室を確保し、教育環境を整えていくことは行政としての責任であり、都独自の判断で増改築計画を進めていくことが必要な場合もあると思いますが、南大沢学園養護学校を知的障害が軽い生徒を対象とした学校として、多摩養護学校を知的障害部門併置の学校とする案について、多摩市の理解は得られたのでしょうか。

○伊藤参事 多摩市とは協議を続けているところでございますが、いまだ十分な理解を得られていない状況でございます。

○石川委員 多摩市からいまだ理解が得られないということですが、もし南多摩地区学園養護学校が早期に開校できない場合に、どのような影響が予想されますか。

○伊藤参事 南多摩地区学園養護学校などの設置は、知的障害養護学校の教室不足対策や知的障害が軽い生徒の社会的自立を目指すものでございまして、これらの対応に影響を及ぼすものと考えられることから、多摩市の理解を得るべく、今後とも精力的に調整を行ってまいります。

○石川委員 南多摩地区学園養護学校の早期実現を求める声が、さまざまな立場やさまざまな角度から、我が党にも寄せられています。それは、南多摩地区学園養護学校が、知的障害が軽い生徒の職業的自立を推進するという教育的意義や、知的障害養護学校の教育環境の確保という役割を持つ学校であり、概要案で発表された新しいタイプの学校の中でも、特に生徒、保護者及び関係団体から大きな期待が寄せられていることのあらわれだと認識しています。
 障害のある児童生徒の能力を最大限に伸長するため、多様な教育を展開し、障害のある人もない人もともに生きるノーマライゼーションの社会の実現に寄与しようということが本計画の原点にあり、その象徴ともいえるのが今回の学校であります。都教育委員会としても、設置に当たって、関係市から課題と受けとめられている点については今後とも意を尽くして説明し、南多摩地区学園養護学校の設置に向けて努力していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○花輪委員 私の方からは、特別支援教育の推進計画、特にきょうはろう学校の再編整備についてお伺いしたいと思います。
 その計画の中では、三つのろう学校を閉校して、当面の間分教室というものを設置する、大塚の方に行けないような子どもは分教室で勉強してくださいというような計画と聞いています。この間、この委員会でも随分と積極的に議論をされてきたというふうにも聞いておりますが、私もきょう初めてなもので、重複するところはお許しいただければというふうに思います。
 希望する子どもたちがいる限りは、ある一定の数がある限りは、分教室はなくならないよということを聞いております。その部分は一定評価できるんですが、ただ、募集に応募する子どもの数が一定のレベルを下がったらば、この分教室もなくしてしまうよというようなお話と伺いました。それですと、いろいろと心配する方がいらっしゃると思うのですが、再確認の意味で、閉校となる学校の分教室が募集停止となった後、どうなっていくのか、そのあたりを教えていただければと思います。

○伊藤参事 品川、江東、杉並のろう学校が閉校となった後、幼稚部、小学部については、当面の間、大塚ろう学校の分教室として設置いたします。分教室が設置されている間は、引き続き新入生の受け入れを行ってまいります。ただし、分教室への新入生が二年続けて三名に満たない状態が生じた場合には、翌年度以降の募集を停止することも含めて検討してまいります。
 また、分教室の募集が停止となっても、聴覚障害の子どもたちが専門的な教育を継続して受けられるよう、幼児児童を対象とし、例えば、スクールバス等によるろう学校への通学支援や近隣の養護学校の施設を使用したサテライト教室による指導の実施、また、乳幼児を対象とした専門家の巡回による教育相談の実施などについて検討してまいります。

○花輪委員 要は、三つの学校が閉校になって大塚に統合されますよ、大塚に行けない子は、閉校になるところに分教室をつくりますから分教室に行ってください、ただ、二年続けて募集の人が三名いなかったらば、次から募集しなくなってしまいます。その後どうするのかなと思うと、バスで通学してもらったり、あとはサテライト教室をつくる。では、サテライト教室というのは一体何なんでしょう。今までも、サテライト教室、サテライト教室といろいろといわれてくるんですが、どうもお母さんたち、保護者の方からいわせると、サテライト教室というのは見えてこない、巡回というけれども、巡回というのは一体週に何回ぐらい来てくれるんだろうか、どういう人が来てくれるんだろうか、そのあたりがどうも見えてこないんだというような、そんな不安の声も聞きました。このあたりはいかがなんでしょうか。

○伊藤参事 幼児児童を対象として、近隣の養護学校等に専門的な指導が受けられる教室を確保し、聴覚障害の子どもたちが専門的な指導を継続して受けられるようにしていくものでございます。また、特に、聴覚障害教育は乳幼児期の早期相談、早期指導が重要なため、この専門的な指導を受けられる教室において、耳鼻科の医師、言語聴覚士、臨床心理士などの専門家の定期的な巡回による乳幼児教育相談の実施なども想定してございます。具体的には、今後検討してまいります。

○花輪委員 やっぱりいろいろとおっしゃっていますが、最後には具体的には今後検討していくというので、余り具体化していないということが相変わらずよくわかるわけですが、そこが恐らく一番の不安の材料だと思うんですね。保護者の方からは、とりあえず今通っている自分の子たちは多分大丈夫であろう、分教室には最低限ずっと通い続けるだろう、ただ、これからの、将来の子どもたちのことを考えると、自分たちの子どもよりも次の時代の子どもたちのことを考えると、本当にろうの子どもたちの教育というのが保障されていくのか、それが恐らく不安だし、心配だと思っていらっしゃるんだと思います。
 今のままでいくと、例えば十八年から二年続けて三名を切った場合には、平成二十年には募集停止の可能性が出てくるわけです。そこに向けて、そんなに遠い話じゃないわけですから、ある意味、ちゃんと議論をしておいていただきたいな、そんなふうに思うわけです。
 二年続けて、十八年、十九年と、二人ずつしか応募がなかった。その子たちまでは入れたけど、二十年からの子どもたちは二人入りたいという子がいても、分教室は募集停止して入れないんだよという子が出てくるとすると、それは困ったことだなと思うわけですね。その子たちがどういう教育が保障されるのか、そのあたりも非常に不安になってくるんだと思うんです。ですから、都教委としても、最後までしっかりと教育を責任を持ってやっていく、そのような姿勢をぜひ示すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○伊藤参事 分教室において新入生が三名以上続く場合は、翌年度もその分教室の募集を継続していくことを検討してございます。また、募集停止を行った後も、在校生がいる間は分教室での指導を継続していくよう検討してまいりますが、ろう学校の閉校後は養護学校の生徒数の増加に対応するための対策としての活用を予定しており、生徒数の動向やその整備計画とも連動しながら検討を進めてまいります。

○花輪委員 今、平成二十年にはその可能性があるんだよということをお話ししました。確かに集団で子どもたちの教育を進めていくというその重要性も、私は理解できないでもありません。それも大事なことなんでしょう。だけど、それを追い求めるがばかりに、その仕組みの外に外れてしまう、その子どもたちを見捨てるということは、私は絶対あってはならないと思うんですね。特に集団教育も重要ですけど、ろうの子どもたちの教育は、なるべく子どものうちに、小さいうちに口話とか手話をしっかりと集中的に学ばせる、そのことも重要だ、そんなふうにも聞いておりますし、私もそういうふうに理解しております。その部分をちゃんと担保してあげるために、サテライト教室だけで本当に大丈夫なんだろうか。巡回指導を、だれがどのくらい来てくれるのか、毎日毎日、口話の勉強、手話の勉強をそこでやってもらえるのか、そこは本当に不安なことだと思うんです。
 ですから、私は、教育委員会としては、集団教育というものを目指すがばかりに、そこに当てはまらなかった子どもたちを見捨てるようなことがなく、責任を持ってすべての子どもたちが今回のいわゆる改革再編整備によってしっかりとしたプラスの影響が出てくるんだと、マイナスの影響が出ることなく、すべての子どもたちにプラスの影響が出てくるんだと、そのあたりのご決意というか、もくろみというか、そのあたりをしっかりとお答えいただきたいんですが。

○伊藤参事 聴覚障害のある幼児、児童にとって、将来の自立に向けた社会性の涵養やコミュニケーション能力の育成が極めて重要であると考えているところでございます。
 今回のろう学校の配置計画案では、児童生徒数の減少に対応し、学校規模や学級規模の適正化を図り、教育環境を確保するものでございます。分教室の募集停止後のろう教育の支援策については、例えば通学負担の軽減策として、スクールバスによる通学支援の検討やサテライト教室による指導など、保護者のニーズや地域の実情、幼児、児童数の動向等を踏まえて、今後検討してまいります。

○花輪委員 全く答弁が前に進まないわけですね。
 教育長、今回の改革で、要は、再編整備の計画の中で、だれかを切り捨てるんじゃなくて、すべての子どもたちにとってプラスになる、そんな再編整備にするんだという、そのご決意をお聞かせいただければと思います。

○横山教育長 私どもが行っています教育というのは、抱擁する教育でございまして、切り捨てる教育は一切行っておりません。これからも多くの方々の意見を取り入れながら、現実にどういう状況になるかまだわからないわけですね、その時々の状況に対応しながら、今申し上げたような方向で教育は行ってまいります。

○花輪委員 教育長答弁もいただきました。ぜひその方針で頑張っていただければというふうにお願いします。
 次に、ろう学校のことについてお尋ねしたいと思います。
 ろう学校の教員数について、何人いらっしゃるか、お答えください。

○江連人事部長 平成十五年五月一日現在の都立ろう学校における教員数は、三百三十一名でございます。

○花輪委員 その中で、ろう教育の専門の免許を持っていらっしゃる、そういう方というのは何人ぐらいいらっしゃるんですか。

○江連人事部長 免許状を保有しております教員数は百三十六名、保有率は四一・一%でございます。

○花輪委員 今のお話を聞きますと、免状を持っている方が半分以下ということなんですが、私なんかが思うのは、ろう学校の先生というのはきっと専門家集団の集まりだろうというふうに思っていたんですが、これはどういうような理由なんでしょうか。

○江連人事部長 教員の免許法におきましては、ろう学校における教育を行うための免許といたしまして、当分の間の措置ではございますが、小学校、中学校、高等学校あるいは幼稚園の免許状を有するだけでよいとされております。また、ろう学校免許状を取得できる大学が東京都内には一校だけしかなく、さらに、ろう学校免許状を取得するためには、先ほど申し上げました小中高等学校または幼稚園の免許状を有した上に、ろう教育に関する科目を修得する必要がございます。こういったことから、東京都を含め、全国的にもろう学校の免許状保有率が低くなっているところでございます。
 東京都教育委員会といたしましては、ろう教育に意欲と情熱を持つ教員を確保していくのが大変大切であるというふうに考えております。ろう免許状を有しないろう学校の教員に対しまして、今後とも認定講習会を開催するなどして、免許状の取得を促進してまいります。

○花輪委員 何かお伺いしますと、免状を持って入ってきた方は口話とか手話の技術をある一定水準以上に持っていらっしゃって、学校で国語を教えるときも、算数のときも、体育のときも、手話、口話、それぞれ使いながら授業ができるということです。ただ、免状を持っていない方がそれなりにいるわけですが、最初に入ってきたときには、なかなかその辺のスキルが身についていないわけです。先生方は一生懸命努力をされて、自分たちで自主的に講習会に行ったり、また、講習を受けたり、また、校長先生の会なんかでも、そういう講習の機会を一生懸命つくって、ろうの教育に関しては素人の先生を何とか育成して、子どもたちに手話とか口話で授業ができるようになる。
 ただ、残念ながら、手話とか、口話、特に手話なんかは、専門の方に聞きますと、一人前になるには五年ぐらいかかるという話なんですね。そこまで、授業をするときに、通訳になるほどの技術は要らないのかもしれないんですが、聞いてみると、先生はどのくらいいるんですか、異動の年限はどのくらいかというと、平均で五年から六年というわけです。やっと苦労して、努力して先生方が身につけた手話、上手になったころには異動してしまうという話なんですね。それだと、非常に非合理的だな、努力がなかなか報われていないんじゃないか。また、子どもたちにとってみても、せっかくそこまで身についた先生がまた新しくかわってしまう。それでは、なかなかよい教育はできないのではないか、そんなふうに思うのですが、どのような人事を考えて、今、人事配置というか、やっていらっしゃるのか、そのあたりを教えていただければと思います。

○江連人事部長 教員の異動に関するご質問でございますが、教員の異動に関しましては、昨年、異動要綱を改正し、学校の経営計画を踏まえた校長の人事構想に基づきまして異動を行うことといたしたところでございます。
 改正しました異動要綱では、勤務年数六年で異動することになりますけれども、一律に異動させるのではなくて、校長が学校経営上、引き続き勤務させることが必要であるというふうに具申し、東京都教育委員会が判断したものにつきましては、勤務年数六年以降も在職可能としております。
 今後とも、柔軟な人事異動を行うことによりまして、校長の学校経営を支援してまいります。

○花輪委員 私が何でこんな質問をするかといいますと、この前、ろうの学校でボランティアをしている学生さんたちが私たちの民主党のところに来ました。そのときに、彼女たちがボランティアをしていた中での感想として、先生の手話の技術によって、子どもたちの集中力が全然違うんだというお話だったんですね。また、口話の技術によって、子どもたちの学ぶ意欲みたいなのが全然違うんだと。余りできない先生だと、子どもたちの理解が薄くなってくると、隣同士で手話でおしゃべりを始めてしまうとか、また、口話でしゃべってしまうということもあるようなんですね。だから、教育現場を見てきた学生さんたちからいわせれば、何で、せっかく手話を学んだそういう先生方を異動させてしまうのか、定年になっていなくなったから、足らない部分を補充する、その新しい先生を育てていこうというならばわかるんですが、機械的にそういうような形で異動させてしまうというのは、本当に子どもたちにとってよいことではないんじゃないかというようなことを私のところにいってきてくれたわけです。
 そんなことで、きょうは質問をさせていただきました。これからいろいろと学校を校長先生がリーダーシップをとってやっていくということなんでしょうが、都教委としても、子どもたちには、できるだけ手話の技術を身につけた、口話の技術を身につけた、そういう先生たちが授業に当たれるという、そういうような工夫を積極的にしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 現在、各ろう学校においては、校内での手話研修が活発に行われるようになっておりまして、初任者や他校種から転任してきた教員でも、授業中、必要に応じまして手話を使用することが可能となっております。
 また、教職員研修センターにおきましては、ろう学校に勤務する教員に対しまして、初任者研修や十年次経験者研修などにおいて、手話も含めまして、多様なコミュニケーション手段の活用に関する研修を行っているところでございます。
 東京都教育委員会は、今後とも、ろう学校におきまして、教員が幼児、児童生徒一人一人の障害に応じて、多様なコミュニケーション手段を活用した指導を行っていけるよう、研修を一層充実させてまいります。

○花輪委員 今、部長からご答弁がありました。いろいろな研修をやっている、これからも研修を充実させていくという、そんなご答弁だったと思います。研修を一生懸命やっていただくのは結構です。研修して、せっかくスキルがついた人を、スキルがついたころにどこかに異動させてしまうという非合理な人の配置、人事運営、そういうことがないように、ぜひ--学校経営の視点も大事でしょう。だけれども、子どもの視点に立ってぜひこれからも運営していっていただきたい。そんなことをお願いして、私の質問を終わります。

○木村委員 私は、まず、出していただいた資料の一〇ページ、都立高等学校授業料減免状況についてから伺います。
 つくっていただきましたこの資料を見ますと、都立高等学校全日制、定時制の授業料減免状況、過去五年間の推移がありますが、全日制でいうと、授業料免除の人が平成十一年度は生徒数の三・九%であったものが、平成十五年度には九・三二%というふうにふえております。二分の一減額される生徒についても、平成十一年度は〇・六五%であったのが、平成十五年度には一・一一%というふうになっています。
 これは全日制の全体の話ですが、普通高校と専門高等学校、職業高校と分けてみますと、職業高校の方は、授業料免除の割合は全生徒数の一七・四一%というふうになっています。
 改めてこれを見て驚くといいますか、免除というのは、生活保護世帯あるいは生活保護世帯に準ずるといいますか、そういうおうちだというふうに伺っていますが、五年間で三%台から九%台、減額も二倍になる。これは、長引く不況の中で、都民の生活がいかに厳しい状況に置かれているかということを端的に物語るものだと思いますが、まずその点のご認識はいかがでしょうか。

○山際学務部長 現状の認識ということだと思いますけれども、こうした減免制度の利用者が多くなっているということについては、経済的に困窮している家庭がふえている、こういうことだろうというふうに思います。

○木村委員 それにしても、全額免除というのは、生活保護世帯と、それから生活保護世帯と同一の収入、所得の人が全額免除だと。二分の一の授業料の減額に当たる人は、生活保護世帯の一・二倍以下であれば減額に該当するというふうに、いただいた授業料減免事務の手引という本を読むと書いてあるんですが、生活保護世帯が一遍に二倍にも三倍にもなったというわけじゃないでしょう。一体それはどういうことなのかというのが一つです。厳しい。そうすると、生活保護を受けていないけれども、生活保護と同じ、あるいはそれ以下になっている人が、都立高校の父母の間でともかく五年間に二倍以上、三倍近くになっているんだということだと思いますね。
 それに比べると、生活保護基準の一・二倍までの人というのが、全額免除が九・三二%なのに、減額の人が全生徒の一・一一%というのは、比較すると非常に少ないというふうに思うんですね。これはなぜでしょうか。

○山際学務部長 減額制度は申告主義に基づいておりまして、極めて厳格な分析を行っているものではございませんが、平成十五年度の授業料減免者の決算数字によりますと、資料にもございますが、免除者が一万四千百八人、減額者は千五百二十人というふうなことの数字でございます。
 その大きな原因といたしまして、近年の傾向といたしまして、減免を受ける世帯数が増大しておりまして、その多くが免除対象者になっていることが、免除者に比較しまして減額該当者が少ない最大の理由ではないかというふうに受けとめております。
 なお、東京都の年間収入別の世帯数で見ますと、全額免除対象者となる年収の世帯数と二分の一減額対象となる世帯数との比率は、おおむね四対一でございます。

○木村委員 生活保護世帯以下の人と一・二倍までの人の割合は四対一だという話ですが、三割ぐらいはうなずけますけれども、それにしても、九%対一%ですから、減額の対象になる人が申告しにくいといいますか、余りしていない、割合からいえばそういうことがいえると思いますね。つまり、今の授業料減免制度については、まだまだ改善する余地があるんじゃないかということを私はいいたいんですね。
 つくっていただいた資料で、五ページに、東京都公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移というのがあって、これも受給率はずっとふえているわけですが、平成十一年度が一八%で、平成十五年度が二四%ですから、かなりふえています。小中学校の就学援助の受給率が二四%に比べると、都立高校の授業料減免の受給者というのは、工業高校など専門高等学校で一七%、全日制で免除、減額、合わせても一〇%ですから、まだまだ該当しているけれども、受けていないという人がいるというふうにいっていいんじゃないか。
 ちなみに、私の区では、就学援助は生活保護基準の一・一倍までなんですね。それで、就学援助の受給率は三〇%です。貧乏を自慢するわけじゃないですけれども、非常に厳しいですね。ですから、まだまだこの受給率は、もっと改善すれば、本当に受けられる人が残っているのではないか。
 聞いてみますと、やはり手続が煩雑だと。書類を何種類も何種類も出さなきゃいけないという。就学援助の方は、教育委員会が同じ役所の税務資料からびっと引くから、実に簡単なんですけれども、減免の方は、減免申請書、世帯状況届、住民票記載事項証明書、源泉徴収票、年金改定書などなど、そろえなきゃならない。もうちょっと簡単にといいますか、簡潔にやれないものかという声が父母の間からあるんですよ。それが一つ。
 それから、免除は、生活保護世帯と同じかそれ以下ということで、収入の捕捉をするわけなんですけれども、親の収入だけじゃなくて、年金改定通知書を出さなきゃならない。つまり、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいれば、年金改定書を出す。
 僕は驚いたんですけど、兄弟の、例えば高校生がいて、お兄ちゃんがアルバイトをやっているという場合のアルバイトの収入まで申告しなきゃならないんですね。アルバイト先の源泉徴収票がここに載っていますけれども、こういうのを出しなさい。早い話が、高校生ぐらいになると、お兄さん、お姉さんがアルバイトをやっているとか、そういうことは間々ありますけれども、それが、じゃ、弟たちの学資を助けるというふうに、世帯が一緒になるかというと、家庭によってはさまざまだと思うんですね。しかし、こういう収入の捕捉の仕方が、おじいちゃんの年金が改定されたら改定届を出しなさい、アルバイトをやっているんならアルバイトの証明書も出しなさいというふうになると、非常に苦しいけれども、そこまでやるんならというふうになっちゃう。などなど、まだまだこの制度はもっと実情に即したような改善の余地があるんじゃないかというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。

○山際学務部長 減免制度につきましては、保護者等への周知を繰り返しを行っているところでございまして、手続が煩雑であるというふうなご指摘、あるいは期間が短いというような、そういうようなことはない、こういうように受けとめているところでございます。

○木村委員 何という冷たい返事かね。
 私は、具体的にいろいろなことを実例を挙げていっている。なぜこのことをいうかというと、実際には、高校を卒業するときに授業料を滞納するうちが生まれて、そして、生徒も苦しんでいるけれども、学校も苦しんでいるんですね。授業料を滞納していれば、卒業式は出ちゃいかぬということになっているんでしょう。子どもには何の罪もないわけですよ。ちゃんと学校に出席して、単位もとってやっていても、たまたま授業料が払い切れないということがあって、学校によっては、三月三十一日までに払いますという一札を親からもらって、念書をもらって卒業式に出席を認めるとか、その念書が間に合わなければ、後日校長室で別の卒業式をやるとか、聞いた話ですけれども、そういうこともせつなくてできないから、校長先生が立てかえて払って、後からもらいに行って、もらい損なったとか--子どもにとっても、学校にとっても、もちろん授業料を払いたくても払えないといううちも苦しいでしょうけれども、そういうことが毎年卒業期には都立高校ではいろいろ起こっているんですね。
 私が伺った学校では、それが一人や二人じゃないんだといって、校長先生がこんな書類の束を見せてくれたことがありましたけど、この子たちをどうするかというような苦しみですよ。
 ですから、今いったような答弁で、十分やっていますというようなことじゃなくて、本当にもう一度実情をつかんで、改善できるものは改善するという立場に立つのは当然だと私は思うんですよ。もう一回答弁してください。

○山際学務部長 減免制度については、お話のように、経済的に困窮している生徒の就学を援助するということで、就学機会の確保という意味では極めて重要である、このように考えております。
 ただし、この制度に対しては、さまざまな機会を通じて、その内容等について周知徹底に努めておるわけでございまして、そういう点では、先ほどお話があった手続が煩雑であるというような点について、私ども、そうならないように万全を尽くして対応しているところでございます。

○木村委員 万全を尽くしてやっているんじゃなくて、これからもやってもらいたいということだけ要望しておきましょう。
 次の問題に入ります。
 今の都立学校授業料減免状況の資料の次のページにございますが、教員の年代別退職者数という、これも過去五年でいただきました。この資料を見て、改めて私も驚いたんですが、定年退職者というのは、当然、定年ですから退職、当たり前ですが、定年以前に退職される教員がふえている。四十歳以上から六十歳未満までの教員、いわば先生としてベテラン、脂が乗り切っている、それぞれの学校でリーダー格に当然なるというような年配の先生方。平成十一年、十二年は、十一年が三百七十四で、十二年が三百六十四だから若干減っていますけれども、十三年、十四年、十五年というふうに見ますと、平成十二年度に四十歳以上から六十歳未満までの退職者が小学校で三百六十四だったのが、十三年度四百三十四、十四年度五百五十六、十五年度六百十七というふうに一路ふえるという傾向にあります。これは一体なぜでしょうか。

○江連人事部長 教員の定年前に退職する人が増加しているということでございますが、定年前の退職につきましては勧奨退職と普通退職に分類できるわけでございます。定年前の退職者の内訳でございますが、平成十一年から平成十五年までの表がございますが、最近五年間で勧奨退職者の割合が約六〇%を占めてございまして、増加の傾向にございます。平成十五年度では約六三%に達しております。平成十四年度までの定年前退職者の増加は勧奨退職の増分によるものというふうに考えております。

○木村委員 勧奨退職というのは、やめてちょうだいという意味ですね。おやめになったら、退職金を少しふやしますよと。これは政策的に進めているというように聞いたんですけどね。
 「東京都の教育」、この間いただいたんですが、教職員のところで、採用候補者選考実施状況というのがありますね。小学校、一般の場合ですが、応募者が三千四百三十七、受験者が二千八百三、合格者が六百六十四、採用者が千二百十三という数字が出ています。僕は、合格者六百六十四というのが、いわば退職を穴埋めして、これだけ必要だなという数に見合うのかなと思うんですよ。これは平成十五年度ですから、十五年度だと、定年前の四十歳以上六十歳未満が六百十七ですよ。定年前にやめちゃっている人の数だけで合格者はなくなっちゃう。定年でやめた五百七十二、小学校、これもそっくり、あと採用者が千二百となっていますから、合格者以外、補欠ということで、予備で名前を登録してもらっている人から採っているんでしょうけれども。
 平成十五年でいうと、小学校、四十歳未満の人が百五十三、四十歳以上六十歳未満が六百十七、定年でやめた人が五百七十二、合計千三百四十二名ですが、採用は一般の場合千二百十三。そのほか二十四名ありますけれども。大体この数だって採用者が足りなくなっているでしょう。しかも、合格者以外の採用者の方が数が多い。五割以上になっている。
 勧奨退職がふえたから、こういうふうに四十歳以上六十歳未満の人の退職がふえているんだというふうにおっしゃいますけれども、この採用試験一つとっても、都教委の考えている人事政策の想定している枠よりもはるかに上回っているということじゃないですか。どうでしょう。

○江連人事部長 退職者の推定につきましては非常に難しゅうございまして、平成十五年度につきましても、途中で特に新規採用職員等が、いわゆる職場に定着率が少ないというふうな特別な理由もございまして、退職者の数というのは非常に難しゅうございますけれども、教員の確保に当たって、それを含めまして、教育に支障がないように、非常勤職員等を充ててしているところでございます。

○木村委員 答弁にも何もなってないですよ。就職したけど定着できなかったというのは、四十歳未満でやめてしまった人の話でしょう。その人たちもふえていますけれども、四十歳以上から六十歳未満の人でやめる人が年々ふえている。三百、四百、五百、六百というふうに年々--ふえたり減ったりならまだわかるけれども、ずっとふえているというのは何なんだ。そうしたら、勧奨退職だ、やめてくださいといっているんだと。やめてくださいといっている割には、採用の数は全然それに見合わないじゃないか、ちぐはぐじゃないですか、そういうことを聞いているわけなんです。こういうことになるのは何が原因なんですか。

○江連人事部長 先生ご質問の退職者と採用者との乖離といいますか、その点のご質問だと思うんですが、退職者につきましては、先ほど申し上げましたように、定年退職者、それから、勧奨退職者、それとともに、四十歳以下の途中での退職者の数が、微増ですけれども、ふえているというふうな状況がございまして、それらを含めまして、十六年、十七年度につきましては万全を尽くしてまいりました。十七年度についてもそれらを含んで採用選考を行ったところでございます。

○木村委員 この話はこのぐらいだけど、要するに、人事政策というか、採用計画一つとってみても、私は、現実に合っていないということは明確に申し上げておきたいと思います。
 私、文教委員に今度させられたというか、なったというか、そのために、学校の先生にもお会いしてお話を聞いたり、いろいろしてきました。どうしてなんだと、こういうことも含めて、聞いてきました。
 こういう人が、ほぼ共通した感想だったんですけれども、忙しいと。学校五日制が導入されてから、勤務時間が一時間延びた。学校から帰るのが、今、六時、七時は当たり前だ。八時、九時といったって例外ではない。研究指定校になるとさらに追われて、フリータイムというのがなくて、みんな疲れ果てている。それも子どものために忙しくなったわけじゃないから、なお一層つらい、疲れる。自己申告だとか、週案をつくれだとか、文書ばかりつくらされて、前にはなかった管理業務の仕事が毎日結局二時間ぐらいある。だから、そういう点で疲れるということですよ。だから、四十歳を過ぎて、定年間近になって、もうもたないという先生がふえるんだということなんですよ。
 つまり、さっきからのものだと、そういう問題意識というのはほとんど感じられないですね。こういう点について、つまり、定年前の退職者が毎年ふえていくということについて、この視点からの認識というのはありますか、どうですか、お尋ねします。

○江連人事部長 先生のご質問は、非常に学校が忙しいから退職者がふえているかという、そういうご質問でしょうか。疲れ果てたという……。
 その件につきましては、個々の退職者は、本人からの書面による辞職の意思表示があった場合は、特に支障がない限り、これを承認するものというふうにしておりますので、どういう理由でやめたかというのは、先生個人のプライバシーもございますので、それは詳細に把握することは困難でございます。一般論としては、家事、介護の家庭の都合とか、あるいは転職、あるいは健康上の理由などの事例が多いというふうに聞いております。こうした状況から、お話のような忙しいというふうなことを理由とする退職がふえているというふうには判断しておりません。

○木村委員 何か全然違う国の人と話しているような感じがしてきたな。問題意識が全然かみ合わないんだけど……。
 文部科学省の国立教育政策研究所が中心になった、平成十三年度、二〇〇一年三月に行った調査というのがあるんですね。その調査によれば、教員は、平日、平均十一時間働いているという調査になっています。これは平成十三年九月に速報版というのが出たんだそうですが、学校で仕事をしている時間が平均で九時間四十二分、自宅に戻ってからも、採点とか授業準備で一時間十七分、勤務時間は合計十一時間というふうに報じられました。教師をやめたくなるほど忙しいと感じたことがあるという教員の割合は六一%というふうに、この調査では回答が出されています。トイレに行く時間もなくて、学校で初めて入るのが午後五時過ぎになるということさえあった、こういうことなんですね。
 これですと、平日で十一時間働くということになると、月六十時間ぐらい超過勤務というふうになりますね。これはどういうことかというと、労働基準法で超過勤務のことがいろいろ決められていますね。超勤を命ずるときは--教員の場合じゃないですよ。一般の社会の話ですが、三六協定というのを結ぶ。三六協定を結んだときに、その三六協定に必ずうたい込まれる文句があって、超勤の協定を結ぶけれども、超過勤務が月四十五時間過ぎる場合は、さらに減らしていくという努力が事業者側に求められるという、いわゆる三六協定の限度基準というふうにいわれているのが、一月四十五時間の超過勤務です。
 文科省のこの調査だと、うちへ持ち帰って仕事をするのを一時間以上とっていますが、一月六十時間というふうになりますと、労働基準法で求められている超勤の三六協定の限度基準を超えるというぐらいになりますけれども、そういうことについてはご承知でしょうか。

○江連人事部長 先生がおっしゃいました調査等については承知しております。

○木村委員 承知していればどうだということなんですよ。つまり、文部科学省の研究所が出している調査でも、これだけのことがありますと。そして、忙しくてやめたいと思う人が六割を超えていますという調査がありました。しかも、それは労働基準法に基づく三六協定の限度基準をそれだけで超えるものだということについての、都教委としての認識ということを聞いたわけなんです。
 これは、足立区の教員組合が、昨年、ある中学校、十九人の教員が回答したんですが、勤務時間の実態調査をやりました。去年の二月下旬から三月上旬にかけて一月やったそうです。十九人の先生方の回答を調べてみますと、一月で平均一週間九百九十四分、一人当たり超過勤務ということになった。約一千分ですね。時間に直すと十六時間ですか。一日当たり百九十九分。刻んだ話ですが、二百分ですね。ですから、三時間ということになります。これはそのほかに持ち帰りを計算すると、自分の家に持ち帰ってからは、一人平均四十七分というふうになったという話なんです。これは足立区のある中学校の勤務時間の実態調査を自分たちでやった結果です。
 足立区の組合だけじゃなくて、全教、全日本教職員組合が全体的に、これはおととしの調査ですが、土日の出勤、部活のために出てくるというのも勤務だということで、時間を全部含めてやって、全教の調査は、月平均一人八十時間十分というふうに出ました。
 さっきの文科省の研究所の調査は月六十時間というふうに出ましたが、全教がやったら八十時間、部活の活動も入れたというふうになっています。足立の場合は中学校ですが、月六十四時間というふうに平均で出ました。だから、六十時間から八十時間というふうになるわけです。
 月八十時間超過勤務というのは、厚生労働省が通達している、働き過ぎで過労死にならないように、過重労働による健康障害防止の総合対策という通知を出していますが、正式にいうと、過重労働による健康障害防止のための総合施策という通知が厚生省からおととし、二〇〇二年四月に出ているんですが、そこでうたわれている時間に、月八十時間を超える超勤だと、その疲労が業務上の過労死の原因としてつながっていく、そういう期間だ。したがって、事業者は、健康管理のために、産業医、自分のところの医療機関にきちっと対応させるように、診断も受けるようにという指導をすべきだというのが、厚生労働省の一昨年の総合通知の中身なんですね。
 だから、文科省の通知も、足立区の中学校の調査も、全教の調査も、そういう水準になって行われているということがはっきりしているわけです。
 ですから、定年前にやめる人がどんどんふえていくということとこういうことの因果関係があるんじゃないか。そういう問題意識をお持ちか。そして、こういう事態を改善しなきゃいけない、是正しなきゃいけないんじゃないかという問題意識をお持ちか、そのことを聞いているんです。

○江連人事部長 先ほど申し上げましたように、定年前で退職する教員がふえているということについては、いわゆる働き過ぎとか、そういうことではないというふうに思っております。
 それから、先ほど先生ご指摘の通達の件ですが、私の方としても、この通達につきましては承知しておりますし、この通達そのものは、事業主に対して、時間外労働の削減の対策として、労働基準法第三十六条によるいわゆる三六協定の限度基準等に適合したものとする、あるいは労働時間を適正に把握すること、あるいは年次有給休暇の取得を促進するということを求めているものでございます。
 教員の場合は三六協定の締結の余地はございませんけれども、都立学校の事務職員等に関しましては、時間外労働等の限度に関する改正の趣旨を踏まえまして、所要の措置を講ずるよう指導しているところでございます。
 また、教職員の超過勤務の縮減、あるいは教員の勤務時間等につきましては、服務監督権者であります学校長が取り組むべき課題であるというふうに考えておりますし、東京都教育委員会としてもその指導に努めているところでございます。

○木村委員 教員は三六協定は結べないんですね。それは私も知っています。だから、調整額が四%出ているでしょう。この四%の調整額が法令で決められたときに、当時、国会で、政府は、四%という数字は週平均一時間四十八分の超過勤務の実態に見合ったものだという説明をしています。一時間四十八分ですよ。週十五時間、十六時間、月に六十時間から八十時間。全然実態に合ってないわけですね。しかし、法的には三六協定を結ぶわけにもいかない。校長が超勤をさせるのは四つに限定されていて、限定四項目。緊急を要する職員会議とか、宿泊を伴う学校行事とか、災害時における出動とか、実習等における緊急の場合とかいうことが、校長が超勤を命ずることができる項目として限定されている。
 しかし、実態はどうか。実態は、仕事せざるを得ない。しかも、年々ますます忙しくなってきている。建前として決められている公的な仕組みや認められている調整額などという実質的な裏づけと現実とは全く乖離しているというのが実態ですね。これは本当に今、是正すべき重要な課題じゃないんでしょうか。端的に伺います。

○江連人事部長 教職調整額のご質問でございますが、教職調整額は、教育職員の超過勤務の実態を踏まえまして、昭和四十六年の人事院の意見を受けまして、義務教育諸学校の教育職員に対し、教育職員の給与特別措置法、いわゆる給特法が制定、適用されているというところにその経緯がございます。
 また、国立大学の法人化に関しまして、関係法律の施行等に合わせまして、文部科学省の通知もございますが、引き続き給料月額の百分の四に相当する額を基準として支給することが必要であるというふうにされているところでございます。

○木村委員 月八十時間を超える実際の長時間労働というのは過労死につながるということで、国も通達を出さざるを得ないという実態ですね。現に、それではどうかというと、最近でも足立区で三十一歳の若い先生が勤務中に倒れて、亡くなりました。これは過労死ではないかということで、足立区議会でも問題にされている。八王子でも労災認定を受けた人がたしか一人いましたね。ことしの一月ですが、小学校の先生の過労死認定を、一審では過労死ではないとなっていたのを、遺族が頑張って、高裁で判断が逆転しまして、過労死だというふうに認められたケースがあります。これも三十代の学校の先生ですね。脳梗塞になったんです。
 この判決が注目されたのは、この先生が、親から虐待されたり、いじめを受けたりした子どもの多い五年生のクラスの担任で、倒れる前の一週間、体育祭、運動会の準備や社会見学などが重なったということもあって、執務時間内に校務が終わらなかったという状態を認めて、一審では労働時間に算入されていなかった持ち帰り時間を労働時間と認定した。給食の時間、授業の休み時間も、教育の現場に照らして、労働時間と認めるという判断を下した。そのために高裁で過労死を認定するという裁判があったんですね。
 私は、人ごとじゃないというふうに感じる先生方というのはやっぱり多いと思うんです。だから、聞いているんです。こういうのを緊急に是正していくという立場に都教委は立つべきだ。一番先に引用した、私がお話を先生に聞いたら、退職する人もいるけれども、それよりも病気になる人の方がもっと数が多いですよ、病気休職の人も結構多いんですよというふうにつけ加えていました。
 なぜそうなるのか。つまり、先生の過重労働というのは、時間が長いだけじゃないんですね。長い時間の労働の実態、中身ですね、これがまた、そういっちゃ何だけど、いろいろな仕事がたくさんあって、つらい仕事もたくさんあるけれども、働いている者にとってみれば、非常に過酷な、ストレスのたまる、そういう労働時間なんですね。
 今、病気休職している人の中で、精神疾患で休職しているという人はどのぐらいの割合になっていますでしょうか。

○江連人事部長 最近、三年間の病気の休職者数は約三百人弱で推移しております。そのうち、精神疾患の数でございますが、平成十二年度が百七十八人、平成十三年度が百六十三人、平成十四年度百七十一人でございます。

○木村委員 病気休職の半分以上、六割ぐらいは精神疾患ですね。私は、「先生が壊れていく」という、三楽病院の精神神経科部長の中島先生という人が書いた本を読みました。自分の病院の精神神経科の外来を受診する教師は、平成十年、一九九八年ごろから急増するようになった。黒磯の中学校で男の子が先生を刺した事件があった年ですね。受診した教師の数の推移を見ると、昭和五十年代後半、特に五十八年に年間百人から百五十人に増加した。平成に入ってからも微増して、平成九年ごろまでは年間百七十人から二百人程度だったけれども、平成十年になると二百五十人を超え、その後もふえ続け、平成十三年から三百人をはるかに超えた。十五年余りで倍増した。それは反応性うつ病といいますか、精神医学用語でいうと、適応障害というふうに呼ぶべきなんだけど、この割合は一般の勤労者に比べて明らかに大きくて、教師の仕事の関連ストレスのレベルの高さをあらわすというふうにいっています。
 要するに、この先生のいうには、燃え尽き症候群というのが非常に多い、三十代から四十代のベテラン教師によく見られて、性格的にはまじめで責任感があって、さまざまな問題を一人で囲い込みやすいタイプの教師ほどそういう症候群に陥ると。それはなぜかというと、一つは、人間を相手にした専門的な仕事についている。人間を相手にするということは、物やパソコンに向かう仕事とは違って、業務の目標が数字であらわしにくくて、ここまでやればこれでいいということがない仕事。もう一つは、精力的に取り組んだにもかかわらず、期待したほどの成果が上がらなかった場合の挫折体験というのがそういう場合は非常に大きいということで、そういうふうなことになるんだという説明が三楽病院の先生の説明でした。
 私、非常に深刻だなと思うんですが、定年退職前に退職するという人が一貫してふえているということの原因を都教委はそれなりによくつかんで、退職するときに一身上の都合と書いてあるから、理由はわからないなんていっているのじゃなくて、やっぱりしっかり学校の先生の身になって考えていくということが必要じゃないかと思うんです。
 こういう超過勤務の実態を把握して、そして、超過勤務の軽減、解消を図るためにあらゆる措置をとる。教育委員会への提出書類を必要最小限のものに精選する。学校においても、不要不急の書類の作成など整理合理化するということが大事ですね。何よりもやはり教員の配置、一時間の授業に一時間の準備ができるだけの教員の配置を実現するということが大事だというふうに思います。そのことは、先ほど来からの議論で、聞かないで、強く要求しておくことにします。
 最後に、都立学校経営支援センターについて伺います。
 都立学校評価システム確立検討委員会報告というのをいただきまして、読ませてもらいました。その中に、都立学校経営支援センターをつくるというふうに書いてあります。まず、都立学校経営支援センターというのはそもそも何か、ご説明願いたいと思います。

○齊藤学校経営指導担当部長 都立学校経営支援センターでございますけれども、都立学校に対する多様な教育ニーズ、それから環境の変化に柔軟に対応いたしまして、自律的な学校経営とより質の高い教育サービスを提供することを目的として考えたものでございます。
 これまで都教委が直接約二百七十校の都立学校を所管するのに比べまして、学校の身近な場所できめ細かな支援を行うことを目指しております。

○木村委員 この報告には平成十八年度開始を目指して検討が行われているというふうにありますけれども、現在、どのようにその検討が進んでいるのか、お尋ねします。

○齊藤学校経営指導担当部長 現在の検討状況でございますけれども、本庁、それから学校の業務フロー、これは仕事の流れでございますけれども、これを作成いたしまして、本庁と支援センター、それから支援センターと学校との役割分担について検討しているところでございます。

○木村委員 この報告書の第二次報告の一六ページに書いてある参考資料というのを見まして、都立学校経営支援センター(仮称)-基本構想イメージ(都立学校経営支援センター(仮称)検討委員会より)というのがございます。そこにいろいろ説明が書いてあるんですが、整備の方針として、柔軟で機動的、専門的な支援機能を備え、都立学校の経営パートナーとしての一元的、総合的な支援体制というふうに書かれています。
 都立学校の経営の一元的、総合的パートナーというふうに、学校と経営支援センターの関係が説明されています。太い矢印があって、両方にそういうふうに向かうというふうに書かれていますが、一元的パートナーとは一体どういうことでしょう。

○齊藤学校経営指導担当部長 先ほど申し上げましたように、東京都教育委員会は、都立学校二百七十校を所管しておりまして、指導部、人事部等々、それぞれの所管ごとに縦割りで学校に当たっておりますけれども、この経営支援センターに権限--どのくらいか今検討中でございますけれども、権限を委譲いたしまして、さまざまな学校の抱える問題に対しまして、センターが一元的に対応して学校経営を支援していく、そういう意味でございます。

○木村委員 今のは、都教委とセンターとの関係でしょう。そうじゃなくて、学校とセンターの関係が一元的なパートナーだというのはどういう意味だと、こういうことです。

○齊藤学校経営指導担当部長 学校が、さまざまな課題が発生しましたときに、従来ですと、同じ課題に対しまして、人的部門については人事部、教育課程に関する問題については指導部等々、関係部署がいろいろございましたけれども、センターの機能の中に実質的な実行権限を取り込みますことで、そこの場所で学校長のいろいろな課題の相談機能について全部対応できる、そういう機能を持たせるということでございます。

○木村委員 だから、それは都教委と学校の関係でしょう。都教委と学校で、都教委が分かれて、都教委イコールセンターで、それと学校の関係でしょうけれども、経営のパートナーだというから、聞いているんですよ。パートナーというのは対等でしょう。センターと学校が何で共同の経営者というか、共同のパートナーなのかということを聞いているんです。わかりますか。都教委と学校の関係というのは今までの役所の関係ですね。パートナーじゃないでしょう。縦割りで何でもやっていたというふうにいったから、上下の関係ですね。これがセンターになったら、共同のパートナーというのはどういうことだと、こういうことです。

○齊藤学校経営指導担当部長 今までは、どちらかといいますと、学校と東京都教育委員会、非常に距離が遠い部分もございましたけれども、都内に複数つくることで、学校との距離を、身近な場所で学校の相談に応じることができると同時に、先ほど申し上げましたように、あらゆる部署にいろいろな課題について相談するのでなく、そこで学校の抱える課題を身近に受けとめながら、具体的な対応をここで可能にするという意味で、一元的パートナーということでございます。

○木村委員 パートナーというのはあくまで対等なんですね。辞書を引いてもいいけれども。だけど、都教委と学校の校長先生と対等じゃないでしょう。経営は共同で、パートナーでやるんだということになると、幾ら校長と都教委、あるいはセンターとが対等のパートナーだといったって、校長は、都教委の計画と評価に基づいて評価を受けて、校長は評価される側ですね。対等でも何でもないじゃないですか。その都教委が対等ですよ、パートナーですよといって、各学校へぐっと身近なところに行く、こういう意味合いなんですか。

○齊藤学校経営指導担当部長 今、都立学校につきましては、校長先生に対する権限委譲が大分進んでおります。これは、背景といたしまして、さまざまな都民の需要がございまして、その需要にこたえるために特色ある学校づくり等々進めておりますけれども、その特色づくりを進めるために、各校長先生が学校経営計画を作成いたしまして学校経営を推進しておりますけれども、これらについてもセンターが直接相談に応じながら、いろいろな課題について支援していこう、そういう身近な関係として考えております。

○木村委員 じゃ、このパンフレットに即してもうちょっと具体的に聞きます。センターがあって、学校がある。お互い一元的なパートナーであると。やることは経営支援機能、各種業務支援機能、教育活動支援機能というのが仕事の中身として説明されています。ここでいうセンターと学校の校長先生とが共同でやる経営支援とは、一体どんなことを中身として検討しているんでしょうか。

○齊藤学校経営指導担当部長 あくまでも学校経営の方針につきましては、先ほど申し上げましたように、校長先生が作成いたします学校経営計画を尊重した形でいくわけでございますけれども、これらの学校経営計画をつくる際にも、さまざまな課題等の相談についてセンターが応じながら、よりよい学校経営計画を作成し、それに基づくよりよい学校経営をしていく。ですから、センターの方から一面的な指示をするという、そういうふうな機能を想定しているわけではございません。

○木村委員 今検討している最中でしょうけれども、どういうことを検討しているかという、ここに書かれている参考資料を具体的に説明した文書を私はいただきました。そこに書かれている支援センターの業務のイメージ、経営支援ですね、センターと校長が対等だというんですが、センターが何をやるか。総合的学校経営相談、企画調整会議、職員会議への参加、人事、予算、カリキュラム、施設等、学校経営資源の総合調整、課題校に対する改善計画、進行管理、学校情報集約、学校評価、学校運営協議会運営支援、地域学校間連携サポートなどなど。センターが、学校の企画調整会議、校長先生、教頭先生とでやる会議に参加するんです。職員会議にも出てくるんです。そして、人事、予算、カリキュラムなど総合調整をやる。教育委員会が乗り込んでいって、校長さん、教頭さんと一緒に調整会議を開いて、そういうことを決めていく。これが経営支援。
 しかし、それは幾ら対等だといっても、校長さん、教頭さんは都教委から評価を受ける立場よ。ここらは対等じゃないですね。都教委による学校経営支配ですよ。
 それでは、教育活動支援というのを伺います。ここに一元的パートナーとして矢印があって、教育活動を支援する機能を教育センターは持つといっていますが、教育活動の支援は、具体的にどんなことがイメージされていますか。

○齊藤学校経営指導担当部長 具体的な中身につきましては、現在検討中でございますけれども、先ほどの資料の中に支援という言葉がございますように、いろいろな課題に対して、学校長の要請に基づいて支援を行うというのが基本でございますので、センターの方から乗り込んでいってというような言葉がございましたけれども、当然、ふだんから意思疎通を図るために学校訪問いたしますけれども、あくまでもそういう形の中身でございまして、具体的にはこれから詰めていきたいというふうに思っております。

○木村委員 それはあくまで支援だと言葉ではいうけれども、一方ではパートナーと書いてあるんです。対等ですよ。だから、あなたと一緒にやるのよということですね。支援でいくんなら、サポーターといってくださいよ。パートナーといったんじゃ--もともと対等の力関係にあるものじゃないのに、あなたのパートナーです、私のいうことを聞きなさい、支援ですといわれれば、従わざるを得ないでしょう。しかも、職員会議まで出てくるんですよ。予算の配分まで調整するんですよ。教育活動の支援というのは、具体的にさっきおっしゃらなかったけど、何をやるんでしょうか。

○齊藤学校経営指導担当部長 教育活動の支援の中身でございますけれども、具体的には、ただいままだ検討中のところもございまして申し上げることはできませんけれども、ただ、仮に現時点で申し上げれば、いろいろな特色ある学校づくりをしている最中でございまして、各学校がいろいろなカリキュラムの工夫をしている最中でございます。学校の方でいろいろな情報等が不足しているところがございますれば、それについて、センターが支援なり、サポートしていく、そういう意味でございます。

○木村委員 私がいただいた資料にはこういう例示があります。教育活動支援、教育課程編成、校内研修企画支援、授業観察、生徒指導、事故発生時対応支援、教育活動に対する状況把握調査、学校開放、公開講座などなど。授業も見るんですよ。授業も見て、支援するんですよ。そして、状況を把握するんですね。
 じゃ、もう一つあるんですね。各種業務支援機能というのがあるんですよ。これは具体的にどんなことが想定されていますか。

○齊藤学校経営指導担当部長 業務支援と申しますのは、従来、予算、施設管理等々、学校の事務室がそれぞれ分かれて行っておりました仕事について、ある程度集約できるものは集約して、なるべく効率的な仕事のやり方ができないか、そういう観点から検討しているものでございます。

○木村委員 いただいた資料によりますと、各種業務支援というのは、人事業務、一般教職員の異動案、業績評価、特別昇給等の資料作成、服務管理、授業料の督促代行などというものがみんな入っていますね。これを一元的パートナーだということで、センターが、つまり、企画調整会議にも参加する、職員会議にも参加する、場合によっては授業も観察する、そして、さまざまな人事業務、異動案もつくる、あるいは業績評価、特別昇給の基準などもパートナーとして物をいうということなんですね。
 この報告書のところには、それをどういうふうにやるかというと、センターは部長級が責任者で、その下に課長があって、課長の下に業務支援ラインがあって、経理、人事、施設、その他。もう一つの課長のラインでは経営・教育支援チームというのがあって、チーム編成は、教員系校長級、教員系教頭級、行政系係長級、一チーム二十校程度担当というチームをつくるわけですね。校長系、教頭系、係長系の人が一つのチームをつくって、そのチームは大体二十校ずつ学校を受け持っていくということなんです。
 こうやって学校を巡回し、そして、業務支援、教育支援と称してやる。これはまさに行政による学校支配、そして、行政による教育支配ということになる。教育基本法第十条による、教育が不当な支配を受けてはならないというあの有名な条文は、戦前、政府、行政が学校を支配して、一律に学校の内容について決めていったということから、やがて戦前の軍国主義、ファシズムの時代を切り開いていく上での教育の果たした役割、そういうことの痛苦の反省から教育基本法というのは生まれたんですが、今やろうとしている、行政による一元的パートナーと称して、職員会議にも行く、授業も監視するというようなものをセンターとしてつくったら、また再び、戦前の痛苦の教訓を繰り返すことになるんじゃないか。
 こういう計画があると話したら、教員をやっていた古い人が、戦前の視学官制度の復活ですねというふうにずばりいいましたよ。私もそのとおりだというふうに思います。(「時間が来ているんだからそろそろまとめてくださいよ。ルールは守らなきゃだめだよ」と呼ぶ者あり)今大事なところですよ。
 そして、もしこういうことがこのまま東京都の教育行政として進んでいけばどうなるか。これはもう評価を下す側と対等に何でも決めていく。対等にというか、一緒になって決めていくということになるから、それはもう、子どもたちに目が向くんじゃなくて、上ばかり見る、そういう学校が生まれるし、先生方が生まれてしまうということになるんじゃないでしょうか。
 そういうことは絶対にあってはならないというふうに思いますが、実は、こういうセンター構想がこういう形で今検討されているということですが、ぜひ内容はオープンにして、全都民的な論議の中で事を進めていくべきだというふうに思いますが、最後にその点を伺います。

○齊藤学校経営指導担当部長 先ほどの関係ですけれども、あくまでこの支援策は、校長さんの作成する学校経営計画が前提でございますので、その観点からも自主的、自律的な教育活動を侵すものではないというふうに考えております。
 ただ、この検討状況につきましては、まだまだ事務的に詰めている最中でございますので、先ほどの支援チームを含めまして、これからどの部分が可能かということを詰めていく最中でございます。ある程度明らかになりましたら、教育委員会報告を含めて、時期が来ましたら、そういう場でオープンにしていくことになるのではないだろうか、そういうふうに思っています。

○池田委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十分休憩

   午後三時三十六分開議

○池田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山口委員 昨年から実施されています学校経営計画について何点か伺います。
 校長が策定して、校長の責任においてマネジメントサイクルの計画、実施、評価、改善を行うことになっています。そのためには、人事や予算面の裁量拡大が必要となり、権限と責任が校長一人に集中するということが今行われていると思います。報告書にも、校長の責任の度合いが従来にも増して増大するので、都教委の相談機能強化など、支援と指導が必要とされていると書かれておりますが、どのような支援、指導が行われたのか、あるいは行われようとしているのか、伺います。

○齊藤学校経営指導担当部長 校長の学校経営を支援するため、従来、本庁各部が個別に行っていた学校訪問がございましたけれども、これを平成十四年度から都立学校経営支援委員会といたしまして、人事部、指導部、学務部、直接学校を管理する部でございますけれども、この三部合同で学校訪問を実施いたしまして、学校が抱える諸課題につきまして総合的に把握するとともに、校長に対しまして、支援、指導を適切に行うよう努めております。

○山口委員 校長に権限と責任が大分ふえたということで、校長をトップとした縦系列の経営や運営が、ともすると、教職員への見えないあつれきといいますか、になりまして、自由に物がいえないような学校になりかねないのではないかということを危惧しております。
 とかく目的を持ち、目標を持ち、それをきちんと達成しようとすればするほど、下に対して、それなりの強制がかかっていくということを私は危惧しているんですけれども、学校というのは、今回の事業概要にもありましたけれども、子どもたち一人一人の思考力、判断力、表現力などを育成する目的があるわけですね。その学校現場にとって、こういった物が自由にいえないという空気はあってはならないことだと思いますが、今後、影響が懸念されますが、どのような見解をお持ちでしょうか。

○齊藤学校経営指導担当部長 都教育委員会は、予算面、人事面での校長の権限強化を図るとともに、校長を中心に学校がみずからの長所、可能性を発見いたしまして、学校にまずきっかけを与えるものとして、学校経営計画、それから学校経営報告による自己評価を平成十五年度から都立学校で実施しております。
 学校経営計画の目標設定に当たりましては、組織的な取り組みとして、学校の生徒や保護者のニーズなど実態把握に努めるとともに、学校の目標、それから課題を教職員の共通理解として定着させることで、さまざまな課題の組織的対応力を高めまして、児童生徒により質の高い教育の提供を可能とするものでございます。

○山口委員 私も、学校経営計画というのは公表されているということで、日比谷高校と西高校の進学重点校といわれるところの学校経営計画の評価を拝見させていただきました。進学重点校ということで、非常に具体的な数値目標が掲げられています。設定した数値目標を達成するための方法というのは、特に進学者何%以上というような場合には、進学者をふやして分子を大きくすることは大変難しいということで、もう一つの方法としては、割合を高めるために、分母を小さくするという方法があると思います。
 現実に、これはある高校に通っておられた保護者の方に聞いた話なんですけれども、その学校では、進学見込みの薄い生徒に対して働きかけて、自主的に退学するように持っていったという話なんですね。こんなばかなような話が現実に今都立高校で行われているんですよということで、私に話をしてくださいました。
 こんなことはとんでもない話であって、もちろん教育庁がそのことをよしとするわけがないとは思いますが、このように、子どもたちも入学する際にはそれなりに意識を持って入学したとしても、その学校の目標なり、目的なりになかなか適応できない生徒が排除されるということはあってはならないし、また、やり直しができるような対応が学校自身にも求められると思いますが、いかがでしょうか。

○齊藤学校経営指導担当部長 先ほど申し上げました学校経営計画を明らかにすることによりまして、その学校を志望する生徒さんが目標を持ってその学校に入ってくることによりまして、生徒さんの希望と学校での指導のミスマッチが避けられるものというふうに考えております。しかしながら、ミスマッチを起こす生徒さんもございますので、学習指導、生活指導面において、学校に適応できない生徒さんに対しましてはきめ細かい対応が必要であるというふうに考えております。
 そのため、生徒の学力の実態を把握いたしまして、習熟度別授業、少人数授業等を取り入れました授業展開を行うとともに、生徒に対するキャリア教育の実施、教育相談体制の強化、校内での生徒理解にかかわる校内研修体制の構築など、それぞれの学校の特色に合った取り組みを実施してまいります。

○山口委員 これは昔からもあったんですけれども、例えばスポーツの盛んな学校などで、いわゆるスポーツ推薦を受けて入学したものの、けがなどによってどうしても運動を続けられなくて、そうしたら、本当にその学校にとてもいられなくなってやめてしまったという話も、自分の子どもが野球をしていたときに聞かされたことがあります。そういった何らかの形で学校になじめなかったとしても、もし本人がその場での学習を望むのであれば、その子の学習権というものはきちんと保障されるべきものだと思いますので、どうぞそういった意味で子どもたちへの学習権というものをきちんと保障する対応をしていただきたいと思います。
 それから、学校運営連絡協議会による評価が外部評価という形でなされておりますけれども、これが教員なども入っているということで、その学校の連絡協議会が本当に外部評価となり得るのかということは、私も疑問に感じております。これからはきちんとした第三者による学校の評価というものが必要ではないかと思いますが、その点について考えを聞いて、質問を終わります。

○齊藤学校経営指導担当部長 学校運営連絡協議会が行う学校評価でございますけれども、保護者、地域社会や関係諸機関の方など、学校外の評価員が中心になって行われます。純然たる外部評価とはいえないかもしれませんけれども、相当程度外部評価の要素を持っているものと私どもとしては考えております。

○福士委員 私は、まずジェンダーフリーについて伺います。
 ことし八月、ジェンダーフリーにかかわる配慮事項についての通知が出されました。ジェンダーフリーについては、女らしさ、男らしさ--男らしさが先に来るんですね。男らしさ、女らしさを否定するような考えがあり--ついうっかり、女らしさを先にいおうと思ったんですけど、それに基づいた男女混合名簿の作成をすることがあってはならないというふうな通知でしたけど、男らしさとはどういうことなのか、また、女らしさとは何を指すのか、教えていただきたいと思います。

○近藤指導部長 男らしさや女らしさは、個人や時代、あるいは構成する社会状況によって異なるものでございまして、一概に規定することはできませんが、男らしさ、女らしさとは、人々が社会生活を営む上で、自然に培ってきた男性や女性に対する敬愛の情によって表出したものであるととらえております。

○福士委員 そうなんですよ。今、ご答弁いただいたように、規定できるものじゃないですね。
 例えば、背の高さとか体格なんかも、今、後ろから見ていると、二人歩いていて、どちらが男性か女性かわからないというカップルはたくさんいらっしゃいます。
 それから、男女の仕事に差もだんだん--大きな企業の場合は別ですけれども、なくなってきていて、私なんかが考えていて、昔、これは男の仕事ねなんて、思わず私の中でも思っていたようなダンプカーの運転手さんに、女性の方がこのごろ見えるようになりました。
 それから、女性が外で働いて、男性が主夫をしていらっしゃる方も私は知っています。その例は、女性の方が再婚でいらして、赤ちゃんを抱えていらしたので、僕の方が子育て上手なんだよといいながら子どもを育てていらして、フリーランスの仕事をしていらっしゃる男性がありました。
 そのように、これは女、これは男という区別がなくなっている中で、今のお答え、すごく正しいと思うんですね。ですから、そういう意味でいえば、混合名簿は、社会状況の中で刻一刻と変わってきている中で、ジェンダーフリーについて、女らしさとか男らしさとか、それを肯定するとか否定するとか、そういう中での混合名簿は好ましいとか好ましくないとか、そういうたぐいのものではないような気がするんですけどね。
 今回の通知が出されまして、あと、混合名簿がつくられたときに、ジェンダーフリーの特別な考え方に基づいた男女混合名簿かどうかというのは、いつ、だれが、どのように判断なさるんでしょうか。

○近藤指導部長 学校におきます男女混合名簿は、法や条例の精神に基づいて導入されたかどうかの見きわめは困難でございます。また、区市町村の教育委員会で判断して導入したのもあれば、また、学校によっては学年や学級担任の判断で導入している場合もあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、男女混合名簿を導入した後の教育活動が、本来、男女の違いに配慮して行わなければいけない健康診断や運動会の組体操などの教育活動まで男女混合で行っているような場合には、誤った考えに基づく男女混合名簿が作成されたのではないかと推測されます。

○福士委員 そうなんですよ。だから、指導部長名で通知を出された以上は、判断もそうなんですけど、指導部長が判断なさるのか、あるいは最終的には教育長とか知事の判断ということになるんじゃないのかなというふうに私は思ったんですが、今お答えがあったように、この混合名簿は正しくて、こちらは間違っていますよというように、名簿で見分けられないものですね。ですから、むしろ健康診断などを男女一緒にさせていたら、混合名簿であるかないかとは関係なしに、これは人権問題としてきちんと個別に指導する必要があるんじゃないかと思いますけれども、その辺はどうですか。

○近藤指導部長 健康診断を男女混合でやっている、そうした場合については、当然、私ども指導するわけでございますが、往々にいたしまして、私どもが調べてきた結果、男女混合名簿をまずする、その後、さまざまな教育活動についても男女混合に行っていくという、そうした方針が出されている組合等もあるわけでございますので、そうしたことを予防的な意味からも抑えるために今回の通知を出したわけでございます。

○福士委員 それは名簿と違うと思うんですね。そういう実態が本当にあるんですか。通知によって--それより、むしろ、男女混合名簿というのはそういう形で出されてはいないですね。ジェンダーフリーと一切関係なく、二〇〇一年七月に東京都の男女平等参画審議会の答申が出された後、混合名簿をという話ですから、そういうこととは別個につくられてきたというふうに私は理解していたんですけどね。
 この通知によって、校長もひるんだりなんかはなさらないとは思いますけれども、男女混合名簿の採用について、能書きじゃなくて、現実問題として、学校長の裁量権というのは確保されていますでしょうか。

○近藤指導部長 学校教育法施行規則に基づきまして、学校における出席簿等の名簿の作成については、校長の権限と責任において行われるものでございます。

○福士委員 結構です。それを忘れないでいただきたいと思います。
 この通知に対して学校長などから質問はなかったんでしょうか。もしあった場合は、その内容はどのようなものだったか、例を挙げていただきたいと思います。

○近藤指導部長 都立高等学校の校長先生からは、見解の中で示されている男らしさ、女らしさとはどういうことなのか、また、誤解や混乱を生じているとあるが、具体的にはどのようなことが生じているのかなどについての質問がございました。これらの質問につきましては、具体的な事例を示しまして、説明を行い、教職員にも十分に理解を図られるよう適切に対応したところでございます。

○福士委員 具体的な事例とはどんなことか、もしよろしければ教えてください。

○近藤指導部長 男らしさ、女らしさにつきましては、男らしさや女らしさとは、社会的、文化的に形成された性差やそれに伴う人々の意識であると考えているが、このような概念は、個人や時代、あるいは構成する社会状況によっても異なるものであるということ。そして、誤解や混乱につきましては、先ほどからもお話し申し上げておりますが、一部の小学校においては、身体計測や内科検診を男女混合名簿に基づいて男女混合でやったり、高学年の運動会の組体操を男女混合で行ったりする指導があり、これらの指導は、体に変化の生じている時期の児童に対して配慮に欠けたものであるというようなことについて指導しているわけでございます。

○福士委員 本当に組体操やなんか、そういうのを一緒にやっていらっしゃるところがあるんですか。

○近藤指導部長 ただいま時期的に運動会が終わったところでございますが、この間、現実に都民の声を通しまして、保護者等から、うちの子どもが非常に恥ずかしがっているというような声は実際に入ってきてございます。そうした入ってきたところにつきましては、学校名などをおっしゃってくださらないものですから、実際には、せめて区市町村を聞けば、その区市町村の教育委員会に対してこういう声があるということを具体的に指導しているところでございます。

○福士委員 すごいアバウトな話で本当かなという気がしないでもないですけどね。
 二〇〇一年十二月に、先ほどもちょっと申し上げましたけど、都の教育委員会として男女平等教育推進のためにという、そういうものを発行して、男女混合名簿を推進してきたはずですね。既に男女混合名簿を使用する学校は多く、私が知っている限り、全日制で八三・九%、定時制九五・八%というふうに聞いておりますけれども、間違っていたら、後で訂正してください。名簿作成によって何か問題があったというふうには考えられないですね。
 私が聞いている範囲では、今まで男女別の名簿を使っていたときは、最初に頭に男の子の何とか君、女の子の何とかさん、そういうふうにあったんですけど、もう混合名簿になっているので、固有名詞でその子を考える。だから、あんまり男とか女とか考えなくなって、個人の個性を見るようになったという話を伺っておりまして、これはそういう意味では、私はいい結果かなというふうに考えていたんですが……。
 ジェンダーフリーについて、わざわざ一般的な現実からかなり飛躍した考え方を全面的に出して、名簿作成をあたかも否定するような通知をわざわざお出しになった理由というのは何だったんでしょうか。

○近藤指導部長 都教育委員会は、これまで学校における出席簿等の名簿につきまして、望ましい男女共同参画社会の実現に向けた取り組みの一環として推進してきたわけでございます。しかし、近年、男らしさ、女らしさをすべて否定するようなジェンダーフリーの考えに基づいて男女混合名簿を導入しようという主張も見られ、学校において、先ほど申し上げたような混乱を招いているような状況がございます。
 そこで、都教育委員会は、このような状況を改善し、適正な男女平等教育を推進するため、今回の見解及び通知を示したものでございます。
 なお、先ほど数値がございましたが、高校全日制は八三・九%、高校定時制、通信制につきましては九五・八%でございます。

○福士委員 大半の学校がやっていて、あと中学あたりは低いようですけどね。その学校の中で混乱、混乱と割としょっちゅうおっしゃるんですけど、どのくらいあるのかなというのが、先ほどのご答弁でも余りはっきりつかんでいらっしゃらないような状況の中で、混乱だけが大きく取り上げられるというのはいかがなものかというふうに思います。
 今までもたびたびいろいろな質問が出て、いろいろなご答弁がありましたが、その中でしょっちゅう出ているご答弁の中でただ一つだけ取り上げるのは特別だという意味じゃなくて、目についたので申し上げるのは、十五年の予算特別委員会においても、教育長は、ジェンダーフリーの言葉について、現在、男女の区別を一切否定するような極端な意味で使われている場合もありますのでといい切っていらっしゃるんですけれども、その辺の根拠は何なのか、それもお伺いします。

○近藤指導部長 平成十二年二月に文部科学省の委嘱で作成された子育て支援パンフレットというのがございますが、そこでは、ジェンダーフリーの視点で子育てを推進し、我が国の伝統的な文化であるひな祭りやこいのぼりなども否定的にとらえるなど、男女のらしさに縛られた子育てを批判する内容が掲載されて、配布されているわけでございます。
 また、ジェンダーフリーの考えに基づく教育を推進する一部の教諭の中には、本来、男女別に実施されている教育活動である健康診断や運動会の騎馬戦、組体操などまでも男女混合で行い、男女の区別を否定する考えを主張しているわけでございます。
 このような考えや実態を踏まえまして、ジェンダーフリーという言葉を男女の区別を一切否定するような極端な意味で使われる場合があると答弁したものでございます。

○福士委員 先ほどのひな祭りとかというのは、男女共同参画学習課の方でお出しになっていらっしゃる中に、確かに出産祝いは、女の子にはピンク色の産着とか、男の子だったら水色の産着とか、その中で節句祝いでこいのぼりと武者人形を送るとかという話が中に入っていますけど、だからだめという感じなのかなという、これはちょっとよくわからないですね。
 その下に、ちょっとぐらいだから暴れても、男の子だから乱暴でも仕方がないよというような、それと結びつけて書かれているような気がするんですね。女の子については、育てやすいはずなのにということと結びつけて書かれているようで、ひな祭りがいいかどうかはわからないということは、男女共同参画社会基本法づくりに携わった東大教授の大沢真理先生も、端午の節句やひな祭りは否定すべきものとは思わないというふうにおっしゃっているので--このパンフが決していいものだとは私も思いません。多分問題があると思います。だけど、そういうことも含めていえば、そのことだけが問題というふうに取り上げるほどのことではないのじゃないかと思うんですね。
 その割には、八〇%、九〇%を超える混合名簿の作成で、男女の差別ではなく、区別を否定する学校がどの程度あるのか、数字も出てこないし、どこの学校がやっているかもわからないまま、一部のところがもしあったとしても、その学校へ注意すれば済むんじゃないかというふうに私は思うんですね。その指導というのが教育庁の指導部のお役目というか、役割じゃないかというふうに思うんですが、全体的に今のところジェンダーフリーの言葉を使うなとか、あるいは混合名簿作成を押しとどめるような通知を出すことなのかなというのは、私、すごく疑問に思います。
 このところジェンダーフリーについてはいいかげんな話が横行しておりまして、沼津とか山形でも、宿泊研修や校外キャンプで男女一緒だったという話が二〇〇三年のときにいわれておりましたけれども、これもジェンダーフリーとは関係のない話で、日本のおおらかな慣習の中で、子どもだからまあいいだろうというような形の中で男女の区別を考えなかった、そういう例としてこれはあるんですね。私、教育委員会に確認いたしました。昔からの慣習で長いことやっていたので、これが特におかしいとかというふうに気がつかないでやっていて、いわれて気がついたので、今やめていますというような、山形も沼津市の教育委員会も、どちらもそういうお話でした。
 それから、鹿児島県の方でジェンダーフリー教育反対の陳情があったり、議会の質問の中でもいろいろ使われている、先ほどほかの委員からも男女同室でというお話がありましたけれども、高校生で男女同室でというのは週刊新潮の話だと思うんですけれども、それは学校にちゃんと確認していないんですね。
 もう一つ、質問なんかでお使いになった中川八洋筑波大教授の著書からおとりになった例ですが、これも実際に学校の中で、出典に当たらないで、小学生に赤いランドセルは要りませんよみたいな話が載っていて、それも教授はみずから出典を確かめたわけではない、現実にそんなことはあってないというようなことがきちんと書かれておりまして、南日本新聞ではそれを明らかにしております。
 このように、今までいわれてきた男女同室だとか、そういう話というのは、きちんと確認されていない話がずっと横行していて、こういう事実無根の話でも、六月八日の本会議で、知事答弁までお使いになっているんですね。いわゆるジェンダーフリーと称している怪しげな性教育の教育の中で、例えば思春期、中学生、高校生という育ち盛りの子どもたちのスポーツのための更衣室を一緒にする、あと云々と続くんですが、あたかもそんな事実があるかのような発言を知事までされている。
 こういうことは、私、やっぱりすごく問題だと思うんですよ。本当のところをきちんと確認しない話を使うというのは、やっぱりよくないなというふうに思いますし、それを教育長がおっしゃったのか、あるいは知事にどなたがおっしゃったのか存じませんけれども、そういう意味でいえば、こういう答弁も含めて、混合名簿を考え直す必要があるとかないとかという、こういう答弁は、もう一度、逆にいうと、考え直していただきたいというふうに思います。
 このような混乱は、逆に教育庁内で持ち越さないでいただきたいというふうに思うんですね。教育長自身も、同じ六月八日の答弁で、お話の男女の違いを一切否定するようなジェンダーフリーの考え方など、外部からの圧力によって学校における名簿の作成が影響されることなく、校長が自主的に判断できるように支援してまいります、こういうふうにお答えになっておりますが、現実には、一方的なジェンダーフリーの考え方を、嫌らしい考え方の方の圧力によってというふうに多分とらえていらっしゃるんだと思うんですけど、男女の違いを一切否定するという、現実にはほとんど考えられないような話を大きく取り上げて、教育庁指導部という内部からの圧力によって名簿の作成が影響されたら、これはこれで逆に問題だろうというふうに思います。
 こういう通知を出されるときには、ぜひ心していただきたいというふうに、これは申し上げておきます。答弁は結構です。もしおっしゃりたかったら……。答弁したいですか。じゃ、お願いします。

○近藤指導部長 ジェンダーフリーにつきましては、さまざまな考えがあるわけでございます。法や条例に基づいて、まさしく法や条例の精神のもとでそれをジェンダーフリーと称している方もおります。しかし、先ほど私が申し上げましたような、極めて偏狭な考え方でもって、それをジェンダーフリーといっている場合もあるわけです。したがいまして、そうしたジェンダーフリーという言葉の概念規定は極めて不明確であるから、まず一つは、ジェンダーフリーという言葉を使わないということを申し上げたわけでございます。
 同時に、一方、先生、一部であるというお話がございますけれども、一部であっても、そういう考えに基づいて男女混合名簿を作成するようなことがあってはいけない。それは都教委としても困りますし、まじめに男女平等教育を推進している方々にとりましても、これは非常に迷惑な話でございまして、小さなうちに、今から予防も含めまして、今回の通知を出したということでございます。

○福士委員 いいんですよ。間違った考えが大きく広がっていったら困りますよ。それから、今申し上げたみたいに、いいかげんな話が全国飛び回って、ジェンダーフリーは男女の更衣室が一緒だなんていう話が、あたかも本当のように流されるのはすごく困ります。
 ですけれども、それとこれとは別というか、ジェンダーフリーの正しい考え方--多分、今回の中でジェンダーフリーを使うとか使わないとかという話もそうなんですが、ジェンダーフリーという言葉の解釈、確かにこれが正しいですというものがあっておやりになったわけではない。内閣府も、だから、ジェンダーフリーを地方自治体で使うのは好ましくないみたいないい方をしていらっしゃいますね。
 だから、使うか使わないかというのは、でも、こっちが判断する話であって、言葉が一つ一つ新しく出てくるたびに、通知を出して、これを使ってはいけないとか、そういうふうにやっていたら、新しい言葉なんて、いっぱい間違って使われているのはあるじゃないですか。それから、古い言葉で、今全然間違って考えられている昔の言葉はいっぱいありますよ。
 そうやって言葉というのは動いていくものだから、それよりも何よりも、現実に男女を区別しないで、先ほどお話があったように、組体操の男の子と女の子と一緒というのは、女の子はつらいものがあるだろうと思いますよ。だから、そういうのはやめさせるように指導していただきたいわけです。
 それと、混合名簿の話とは別な話に、そこはすっきり分けるということをやらないと、何でもかんでも、あれはやっちゃいけません、これはやっちゃいけません。先ほど学校長が--指導に入るようなセンターができるみたいですけれども、どういうことになるのかわかりませんけど、自分たちで考えて、それで正しいとか正しくないとか、判断することをどんどんなくしていくような形は、やっぱり私は問題じゃないかなと思うし、もし組体操まで一緒にやるのがジェンダーフリーだというふうなことをおっしゃる、そういう組合なのか何なのかわかりませんが、あれば、私もそれは反対していきたいというふうに思っておりますよ。
 ですけれども、教育庁としておやりになるべきこと、それからそうではないこと、命令してはいけないことというのがあるんじゃないかと思いますし、命令したために、萎縮して、せっかくいい話の混合名簿が後退しないように、これはぜひお願いしておきたいと思います。
 次に、国旗・国歌について質問をいたします。
 国旗・国歌なんですけど、たくさん今までもやってきていますので、長いことはいたしません。政府答弁でも、思想信条の自由ということはいっているわけですけど、国の考えを超えて強制できるのかなというのが、私はすごく不思議なんですが、その辺の理由はいかがなんでしょうか。

○近藤指導部長 学校における国旗・国歌の指導は、学習指導要領に基づき、児童生徒に国旗や国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てるために行っているものでございます。
 また、都教育委員会が行った通達等につきましては、学習指導要領に基づく国旗・国歌の指導の適正化を図るため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づいて行っているところでございます。

○福士委員 それはいいんですよ。ですけど、指導要領というのは、例えば日の丸が国旗になりましたよ、どんな形で、白い地に丸い形をしていますとか、君が代が国歌で、こういう歌ですとか、そういうことはちゃんと教えなければいけないでしょう。そこに対して、政府答弁で、答弁であるにしろ、思想信条の自由というのがうたわれているにもかかわらず、起立強制までその中に含まれるんですか。

○近藤指導部長 学習指導要領には、我が国の国旗や国歌の意義を理解し、それを尊重する態度を育てるとなってきているわけでございます。この尊重ということを考えたときに、これは当然、私は起立して、国歌斉唱すべきだと考えております。私自身、いろいろな国のことも調べてみましたけれども、自国の国歌を歌うときに座ったままであるという国についてはいまだ存じ上げないところでございます。
 いずれにいたしましても、世界の人々が、ごく一般的で自然なことを、今、日本の学校で、東京の学校で教えようとしているところでございます。

○福士委員 国旗を上げるときに、座っていなさいなんてわざわざいう国はないと思いますよ。スポーツなんかのときは、大体普通の人は立ちます。立って敬意を表します。それはそれぞれのご自由というか、そういうことだと思います。そこでもし座っていたから、おまえはけしからぬよという話も、また逆にいうと、ないんじゃないのかなというふうに思うんですよ。全員が立っているかどうかだって、あの大きなスタジアムの中でわからないですよ。
 そういう意味で、そこまで強制するというのは何なんだろうかなというふうに思うんですね。しかも、処罰まである起立強制というんですか、それはどういう関係になるんでしょうか。

○近藤指導部長 教員は、教育公務員としての身分を有しているわけでございまして、法令や学習指導要領等に基づきまして、子どもを正しく指導することが責務であります。したがいまして、子どもが、例えば掛け算九九でも嫌がる子がいたとしても、それがなぜ大切なのかということを繰り返し繰り返し指導していくということが教師の務めであると私は考えております。

○福士委員 それは、中身については私は繰り返し指導すべきだと思いますよ。そのついでにいえば、日本で日の丸の旗を振りながら兵隊を送り出したことも含めて、事実も含めて、私はちゃんとやっていただきたいと思いますね。片一方のそっちの方の話はなるべくないがしろにして、侵略戦争のことを教えると、けしからぬといわれたりする教師もいたりするような状況の中で、起立を強制させられるというのは、私は問題じゃないかと思います。
 今回、ちょっと耳にした話で、学校行事に、保護者の状況まで報告を出させているものがあるようですけれども、それは何なんでしょうか。それは義務ですか。

○近藤指導部長 卒業式や入学式など、各学校の教育課程の実施状況を把握することは、都教育委員会として当然のことでありますが、必要なことでございます。ただし、保護者の状況については報告は義務づけてはおりません。

○福士委員 ぜひそこのところは徹底していただきたいと思います。
 確認したところ、大体の学校が保護者の状況まで報告しているわけではないようですし、これ以上強制しないようにしていただくようにお願いして、次の質問に移ります。
 次、学校の室内化学物質対策についてお伺いいたします。これは簡単に伺いますので。
 この夏の都立学校で、室内化学物質対策月間で行われた定期測定の結果によりますと、都立学校二百五十九校中四十三校で基準値を超えているということがあったようですが、生徒や教職員などへの健康対策は行われているのかどうか、お伺いいたします。

○山際学務部長 都立学校におきましては、室内化学物質対策の一環といたしまして、各校に配置いたしました室内簡易測定器を活用いたしまして、全校を対象にしました夏季の定期測定を本年初めて実施したところでございます。
 測定の結果、基準を超過した四十三校につきましては、児童生徒に対しまして、健康に関する聞き取り調査などを実施しております。また、この結果を踏まえまして、昨年十二月に策定いたしました室内化学物質対策の手引きに、室内化学物質の基準超過、あるいは症状があらわれた場合の健康管理について明記するなど、現在、事後対策を的確に行うための改定を進めているところでございます。

○福士委員 夏の間は、それでも窓をあけたりなんかするからいいかなと思うんですけど、冬場は窓を閉め切ることも多いですし、換気が不足しがちになりますので、そこの方がむしろ問題だと思うんですね。健康対策というのは継続しておやりになるんでしょうか。

○山際学務部長 室内化学物質対策では、冬季を含め、教室の換気が極めて重要でございます。このため、夏季の定期測定の結果を踏まえ、各学校に対して改めて換気の励行について周知徹底を図ったところでございます。
 今後とも、日常の健康観察、健康相談や、必要に応じて健康アンケートを実施するなど、健康管理に万全を期してまいります。

○福士委員 それを受けて、実際に換気やなんかを実行するのは人間ですから、担当者がかわったりしても徹底されるように、それはぜひお願いしておきたいと思います。お知らせしたからもう大丈夫よねというふうにあんまり思われないで、時々チェックも入れていただきたいというふうに思います。
 私の住む杉並では杉並病というのがありまして、今でもまだ問題が出ているというふうにいわれているんですけれども、化学物質過敏症というのは、一つが原因で急激な形で出てくるものではないですね。そのために、発病するのも、すぐかどうかもわからないというような状況なので、今までの蓄積に対して化学物質がオーバーフローする形で化学物質過敏症というような形であらわれていくので、健康管理についても、ぜひ今後ともきちんとやっていただくことをお願いしておきたいと思います。
 私は、四十三校、ホルムアルデヒドやなんか、基準値より高いというのがあったのを聞いたとき、まだそんな状況なのかと思ってちょっとびっくりいたしましたけれども、今後の建築についてはどう考えられておりますでしょうか。

○山際学務部長 都立学校の改修工事等における室内化学物質対策につきましては、平成十六年度から環境対応型の建築資材の採用、常時換気扇設備の設置、並びに適切な乾燥期間や工事完了後の室内濃度測定での必要な工期の確保などを設計に取り入れているところでございます。
 また、工事完了後の引き渡しに当たりましては、化学物質の測定等を専門的に行う第三者機関による測定の結果、トルエンなど五物質について基準値を上回った場合には、基準値以下になるよう工事請負業者の責任で改善させることを契約書に明記しております。

○福士委員 第三者の専門業者というのが民間機関のようですので、きちんとした民間業者を使っているかどうかということにも心を配っていただいて、ぜひ今後とも頑張っていい学校というんですか、そういうものをつくっていただくようにお願いして、質問を終わります。

○古賀委員 福士委員からジェンダーフリーの議論がありまして、本当は私もいろいろいいたいことがあるんですけど、今行き過ぎた例を知りたいというような、そういうお考えのようですので、相模原市にソレイユ相模という施設がありますけれども、そこは、普通トイレ、便所は、表示する場合、男は黒か青、女性は赤、ピンクとか、そういう色で表示していますけど、これがだめだということで、男性、女性、それぞれのトイレは緑一色に統一したんです。ところが、あわてて入る人がいるものですから、男性が女性の方に入る、女性が男性の方に入るので、これはまずいというので、今は、男性用、女性用と、あえてまた文字で書いて張りつけてあります。
 こういう愚かしいことを、ジェンダーフリー論者はまじめにやっているわけですね。もっとほかにも例はありますけれども、別の機会に。もし時間があれば、一度見てきてください。
 それから、女性の図案は、スカートが広がっているのも余りよくないという指摘があって、男性と、ちょっと見た目にはわからないくらいの表示の絵柄なんですね。そういうジェンダーフリーの現実の姿が身近にもありますので、参考までに申し上げておきます。
 これはまた別の機会に、私の方のいいたいことはありますので、議論したいと思います。
 都教委の行政事務のうち、今、焦点となっております幾つかの事案についてこれから質疑をいたします。
 去る九月二十九日、都議会第三回定例会の一般質問におきまして、伊沢けい子議員は、極めて意図的に適正な議会と議員の活動及び行政事務をおとしめる発言を行いました。伊沢都議は、足立十六中人権侵害事件と過激な性教育に関する質問の中で、「本などで個人情報を公開することによる三都議が行った人権侵害です。」あるいは「これは、情報を公開された七生養護学校の当事者への明らかな人権侵害です。」と、特定の議員、それから職員を名指しで、あたかも人権侵害があったかのごとく表現をいたしました。
 この伊沢質問につきましては、後日--きょうは議運委員長の比留間先生、お見えでございますけれども、十月六日に開かれた議会運営委員会理事会でも取り上げられまして、自民党、民主党から、当該表現の取り消しを求める旨の発言がありました。議長に取り扱いが一任されました。
 議長は、今回の発言は遺憾であるので、伊沢議員ご自身により発言の訂正の手続をとっていただきたいと訂正を求めたことを、まずこの場で明らかにしておきたいと思います。
 この件に関しまして確認していきたいと思います。
 東京都議会議員は、議会に地方自治法第百条による調査権などが認められていることから、当然、条例制定などを行うわけでありますので、東京都の公立学校に関する情報の提供を求めることができるというふうに私は考えますけれども、都教委の見解はいかがですか。

○江連人事部長 地方自治法第百条は、普通地方公共団体の議決機関であります議会に対して、その職責の遂行を十全ならしめるために、普通地方公共団体の事務に関する調査権等の権能を認めているところでございます。
 議会がその権限を有効に行使するためには、その構成員である議員が、その議員活動として、各種調査や資料収集の行為を行うことが不可欠であり、議会固有の権限に基づき、議員は、そのような権限を背景とした調査活動を行うことができるものとされております。

○古賀委員 我々にはそういう活動をする権能と義務が課せられているわけでありまして、それを担保するために、地方自治法では調査権などを我々議会に与えているわけです。実際は議会は議員によって構成されておりますから、私たちがそれを行使していくということになる。これは確認させていただきましたけれども、そのとおりだというふうに思うわけです。
 そこで、平成十一年当時、足立区立中学校社会科の教員の処分等に関します情報が東京都教育委員会から東京都議会議員に提供されています。当時、都議がこの教員の処分等に関して情報提供を議会等の活動の一環として求めること、これに対して都教委が情報を提供したことは当然認められるものであったと私は考えておりますが、いかがでしょうか。

○江連人事部長 本件情報の提供は個人情報でありますことから、東京都個人情報の保護に関する条例第十条第二項第六号によりまして、情報をチェックする立場にある都議会議員に、行政機関がみずからの裁量により、個人情報の目的外提供として東京都教育委員会が行ったものでございます。
 本件情報の提供は、提供当時、本件教員の処分に関しまして実名で新聞報道がなされ、都議会のみならず、区議会、国会でも取り上げられていた状況を踏まえまして、提供することが相当であると判断したものでございます。

○古賀委員 この当該教員は、平成十一年当時、処分を受けました。懲戒処分。研修命令も受けています。これはいかなる理由によって行われた処分であり、また、研修命令であったのか、簡潔で結構ですから、説明してください。

○江連人事部長 お話の教員についての処分は二回行っております。平成九年七月の社会科の授業におきまして、保護者を誹謗した内容を記載したプリントを生徒に配布し、さらに、校長の職務命令に従わなかったということによりまして減給一カ月といたしました。
 二回目は、平成十一年三月、教員という立場を利用しまして、保護者全員に対して、元保護者との係争中の事件に関しまして、自己の一方的な主張を記載した文書を郵送したことによりまして、減給一カ月といたしました。
 次に、研修命令を受けた理由でございますが、当該教諭が所属しておりました区教育委員会から、教員としての資質向上及び生徒、保護者等の信頼を得られる学習指導の改善を図るために、職場外研修の機会を付与するように依頼がございまして、東京都教育委員会で検討しました結果、相当であると判断いたしまして、研修命令を発令いたしました。平成十一年九月から平成十四年三月三十一日まで研修を実施いたしました。

○古賀委員 概略はそういうことなんですけれども、文教委員会では、かつてこの議論を行っておりますので、ご記憶の方があるかもわかりませんけれども、ちょっと敷衍してお話しいたしますと、平成九年当時、足立十六中で--学校名をいっておきますけれども、日本とアメリカの両国籍を持った生徒がいたわけです。当該教諭は、反米教育の、いろいろ基地の問題を取り上げて授業を行う。共産党の「赤旗」にも寄稿したり、非常に熱心に沖縄の米軍基地の存在を批判する極めて偏った内容の教育を行った。そこで、アメリカと日本の国籍を持つ生徒がいたわけですので、その両親が、反米教育の異常さに心を痛めて、その生徒の母親が学校長に相談した。区教委にも質問を行った。
 そのことから、今度は、当該教諭は、逆恨みにもなると思いますけれども、学校の授業で、何とこの母親を中傷する印刷物を配るわけです。この母親が教育委員会に密告した、チクった。教師がチクりというような言葉も使うわけですね。それから、浅はかな思い上がりというふうに、教師の教育内容に介入しようとしたことを浅はかな思い上がりと、こういう内容の、もっとたくさんあるんですけれども、そういう誹謗中傷するビラを授業で配布した。
 その生徒は二年生だったんですけれども、非常に心を痛めて、不登校になってしまいました。そこからこの家庭の苦悩が始まったわけですけれども、最終的には、結局、転校したわけです。
 こういう人権侵害事件があり、本人の反省もない。しかも、当時裁判も行われていましたけれども、授業中に自分は裁判をやっているというような自己宣伝をやったり、そういったことから処分が行われ、そして、長期の研修が命じられたということです。
 当該教諭は、裁判が非常に好きなんです。処分案件、それから研修命令の取り消しを求めて裁判を起こしております。もちろん、いずれもひとりよがりの主張をぶつけるわけでありますので、全部敗れているわけですけれども、こういった裁判に訴えているケースがほかにもありまして、都議も今その対象となっているわけです。
 以前にも、ある都議が、この教員に裁判で訴えられました。これは街頭演説をやったわけです。この問題を地元で訴えるために街頭演説を行いました。これは、当然、心を痛めた支援者や生徒の学校への復帰を願って協力する人たちでやったわけでありますけれども、その中に自分を誹謗したと。平成十二年七月ですけれども、北千住駅前において街頭活動を行ったことをとらえて、損害賠償請求を起こしました。
 この裁判の結果は、一部この教員の主張も取り入れられたんですけれども、ほとんどの部分ではやはり負けているわけです。本人は勝った、勝ったといっていますけれども、控訴したんですね。勝ったといいながら控訴するというのは大変おかしな話で、裁判所が認めた街頭演説におけるさまざまな主張について、裁判所はそれは名誉棄損に当たりませんよとして挙げているのは、生徒たちが思想統一されるような授業をやっているということはそのとおりだと。学習指導要領の枠の中で授業をやっていない、これもそうだと。教科書を使っていない、これもそうだと。教育は偏向教育であると同時に、教師による親、子どもへの人権侵害事件だといったことも、裁判所は名誉棄損とは認めていません。教師として完全に失格した人格だという主張についても、東京地方裁判所は名誉棄損は成立しないということで、つまり、肝心なところはすべて、この教師は人権侵害を子どもに対して、親に対しても行った、教師としても失格、学習指導要領を守っていない、思想統一するような授業を行っているということは、そのまま裁判所は認めたわけです。そして、本人は勝ったといって、満足しているといっていましたけれども、高裁へこの裁判は移って、高裁でもほとんど地裁の判断を尊重した判決が出て、これで確定したわけです。
 ということで、今回、一般質問の中でこの問題が取り上げられて、聞いておられた方はどういうことが実際にあったのかということがよくおわかりにならなかったというふうに思いましたので、その流れを一応皆さんにお話しさせていただきました。
 それから、この教師は今も裁判をまだ続けているのがありまして、結局、東京地裁でも東京高裁でもみずからが自慢げに行った授業が否定的に評価されて、肝心なところでは一切認められなかったということが我慢ならないんでしょうね。ですから、結果は、勝った、満足していると判決を評価しながらも、おさまらない。八つ当たりしたいという心情があるのでしょう。引き続きまた裁判を繰り返しています。
 このように、普通であれば、これだけのことが--教育委員会からの処分もある、議会でも指摘がある、そして裁判でも同様のことが認定されるということになれば、普通はばつが悪くて、人は恥じ入るはずですけれども、この人はそうじゃない。今でも教壇を去るどころか、退散すべき教壇にいまだに立ち続けているわけです。
 こういったことがあって、我々は議会でこの教員に関する資料等の要求を行って、その子どもの人権の回復あるいは学校の正常化に取り組んだということでありますので、引き続き、都教委も十分な、この教員に対する関心というものは持ち続けてもらいたいというふうに思います。
 その次に、もう一つ取り上げられました七生養護学校の処分の件でありますけれども、去る十月二十三日、先週の土曜日、「七生養護の教育を壊さないで」おかしいぞ東京都教育委員会が新宿で開かれております。ここには、昨年、都立七生養護学校で子どもたちに取り組まれてきた性教育が、過激な性教育と攻撃され、石原都知事も一方的に非難する発言をしました、東京都教育委員会は、実際の授業を一度も見ることなく百十六名の教職員などを処分しました、これに対し云々ということで、七生養護で行われたさまざまな法に抵触する教育上の問題点は、本人たちは改悛、反省するどころか、いまだにこれだけの集会をやったり、処分を受けた先生も多分参加したんじゃないかと思いますけれども、反省は見られないという実態があります。
 この七生養護学校の教員が処分されたということでありますけれども、一体どのような理由で処分が行われたのか。これも本会議の質疑をお聞きになった方はよくおわかりにならない方もいらっしゃったんじゃないかと思いますので、もう一度改めて、この処分の内容をご説明ください。

○江連人事部長 平成十五年九月十一日付で七生養護学校における教職員に対して行いました懲戒処分の内容でございますが、一つとして、平成十一年、十三年、十四年度における虚偽の学級編制の報告及び平成十年度から十四年度におきます不正な調整休や平成十四年度における不正な研修の承認等によりまして、停職一カ月及び降任とした者が一名でございます。
 二つ目として、平成十三年、平成十四年度における勤務時間内の校内飲食及び平成十四年度におきます職場離脱により、戒告とした者が一名でございます。
 三つ目として、平成十三年、十四年度におきます勤務時間内の校内飲食により、文書訓告とした者が二名でございます。
 また、平成十年度から十四年度における不適正な調整休の取得や、平成十三年、十四年度におきます学習指導要領等を踏まえない不適切な性教育により厳重注意とした者が三十七名でございます。

○古賀委員 今ちょっと言葉がはっきり聞き取れなかったんですけど、校内飲食と聞こえたんですけど、もう一度正確にご答弁ください。

○江連人事部長 失礼いたしました。三番目のところ、平成十三年、十四年度における勤務時間内の校内飲酒でございます。飲酒、酒の方でございます。二番目のところも平成十三年度、十四年度における勤務時間内の校内飲酒でございます。失礼いたしました。

○古賀委員 「赤旗」でもこの集会の記事は大きく報道されていました。今までもいろいろな集会が、日野市でも行われましたし、取り組みが続いているようですけれども、そこに書かれている記事の内容とか主張というのは、このチラシで、先ほど読みましたように、この処分は過激な性教育を攻撃する一環として行われたんだ、性教育をやったことに対して処分があったというふうに、全部、記事もこういうチラシもなっているんです。
 ところが、今の処分理由をお聞きしますと、虚偽の学級編制が行われていた。つまり、親に説明している学級と実際に授業をやっている学級が違っている。今はもう改善されましたけれども、処分を受けて降格になった前の校長がやっていたわけです。これは性教育と何の関係もない。学級編制のごまかし。
 それから、不正な調整休、つまり、勤務した後の休みのとり方ですね。これも本来決められている休みのとり方、調整休をとらないで行っている。
 それから、不正な研修の承認。認められないものを、校長がいいやということで不正研修を認めていたわけです。ぐるだったわけです。
 それから、今私が言葉の確認をいたしましたけれども、勤務時間内の学校内での飲酒、酒を飲んでいた。
 それから、職場離脱、つまり、勤務時間中に職場を離れ、職場放棄を行ったということで、処分が行われ、懲戒処分が下ったということであります。
 これは百十六という数字を、どのチラシを見ても、必ずテレビ局なんかも、日本テレビなんかもそそっかしいものですから、これを盛んに流していました。この処分の中には教育長が入っているんです。たしかそうです。監督不行き届きで、教育委員会の幹部も入って、そこにいらっしゃる方、何人か処分、つまり、幹部も内部処分として、校長、教頭、教員の指導が十分できなかったということで、身内である学校の職員だけの処分じゃなくて、監督責任もみずから問わなければならないということで処分が行われているわけです。
 これは具体的に申し上げますと、降格処分になった、つまり、校長もぐるだったわけですので、一般教員に降格して、停職一カ月になりました。そういった教員や都教委幹部を合わせて百十六人ということで、そのうち七生養護学校の処分は、教頭も管理責任があるということで、戒告、教員も四十六人が厳重注意ということになって、確かにほかの学校でも処分があったわけです。その合計が百十六人ということでありますので、この数字を必ず強調して、集会をやっている人は、こういう表記がされておりますけれども、それは実態とかなり乖離しているということをいっておかなければなりません。
 それから、七生養護学校の性教育に関して、つまり、学習指導要領を逸脱した性教育、それから不適切な教材を使った性教育を行っていたということで処分が行われましたけれども、これは懲戒処分じゃないんですね。すべて厳重注意という、履歴書には載らないし、記録にも全くとどめられない、これからそういうことをやっちゃいかぬよという程度の、懲戒処分ではない--校長とは別ですよ。校長とは別に考えなきゃいけませんけれども、実際にこの学習指導要領を逸脱し、なおかつ、私たちも現場でそういう教材を見ましたけれども、そういう教材を使った不適切な性教育を行ったということで、一般の教員、処分を受けたのは三十七名。これは全部懲戒処分じゃないんです。
 それを、チラシやビラ等を見ますと、すべて自分たちがやった性教育というものが処分の対象になった、それだけだということのような宣伝を巧みに行っているわけです。実際は、全く真実は違うということを皆さんに申し上げておかなければなりません。
 何度も確認しますけど、学級編制をごまかすとか、そういうことを校長はやっちゃいけないですね。それから、規定外の研修を認めたり、そのほか調整休の問題とか、勤務時間中に旅行に出かけたり、これが全部処分の対象になったということですので、繰り返して恐縮ですけれども、処分の中身というものをよく皆さんにはご理解いただいておく必要があるというふうに思います。
 それで、性教育のことは、これもジェンダーフリーといろいろ相通ずるものがあるので、やると長くなりますので、簡単に触れておきたいというふうに思うんですけれども、日本の性教育というのは、ロシア革命の後、始まったんですね。これはロシア革命に触発されて、男と女というのは役割が分かれている。私有財産というものをなくさなければ、社会主義革命、共産主義社会に移行しませんから。私有財産を守っているのは男であり、それを支えているのが女性だ、そう書いてありますね、エンゲルスの本を読むと。これを何とか壊さなければ革命は達成できないという一つの考え方があるわけで、これにしびれて、ついて今まで来て、その流れを守っている人たちがいる。これが性教協と呼ばれるグループの人たちです。
 最初は山本宣治、有名な人ですね。この人が始め、性道徳を破壊することによって社会秩序の混乱を招く、そして、支配層が治めている社会を揺さぶるという、そういう考え方なんです。ですから、性道徳とか、今の民法によって秩序が守られていますけれども、そういう秩序をいかに破壊していくかということが一つの運動としてあるわけです。その中にジェンダーフリーも性教育も位置づけられているということを踏まえておかないと、一緒に仲よくやるのはいいじゃないかとか、男としてではなく、女としてではなく、個として、人間として、性別にとらわれることなくと、これにみんなころりとやられてしまうわけで……。
 やっぱり新選組っていいなと大河ドラマを見て思う人は、やはり男らしいからあれだけドラマにもなるわけで、男らしい男は、女性にドメスチックバイオレンスといわれているような暴力を振るったりしません。男らしくない男がふえたので、ああいう事件が--幾ら運動をやって、法律をつくって、予算をつけてもふえるんですよ。私は、基本的にはそういう考え方を持っています。
 それが、安田徳太郎とか、これも有名ですね、それから山本直英、村瀬幸浩、こういう流れで、今の性教協というものが運動を続けてきている。その源流というものを踏まえておかないと、性教育の議論のときも--確かに性教育は必要ですし、やらなきゃいけない。やっていいんです。やるべきです。しかし、それがわいせつ教育になったり、例えば、村瀬幸浩、この人は性教協の代表幹事で、東京都にも乗り込んできて教育委員会と談判しようということで、去年も来ていますね。
 この村瀬幸浩さんが書いた「性教育が深まる本」というのがありますね。かなりいろいろなものを発表していますけれども、この人の言葉で、一つ私は大事だと思うのは、知っておいてむだにならないと思うのは、母体にとって異物としての胎児といっています。つまり、胎児というのは、母体にとって異物だ。何か刺さったとげとか、石ころみたいに表現しています。つまり、母親と子どもの情愛に基づく結びつきとか、愛情に基づく親子の関係とかは、異物との間に生まれるわけがないわけです。こういう発想や考え方のもとに今性教育を進めようという運動が性教協を中心に蔓延していて、それに感化され、そして、洗脳されたといっていいかもわかりません。現場の教師たちの中にも、この七生養護学校、まさにそうだったんですけれども、その講師を、性教協の有名な人を次々呼んできて(「珍説を吐かれていますね」と呼ぶ者あり)いや、本当のことだよ。そういう講演をやらせる。そこでまた勢力がふえていく。それに校長も絡んでいたということが、この事件の背景にあるということ。
 もっといろいろ申し上げてもいいんですけれども、時間が余りないので、これは終わりにしておきます。
 七生養護学校の処分が行われたという背景を皆さんにわかっておいてもらわなきゃいけないので--「赤旗」だけ読んでいると、さっぱりわからないわけですよ。だから、一応委員長にも聞いていただきたいと思って、お話ししました。
 これは、本会議での質問で、いろいろ私どもにいわれなき中傷がありましたので、その背景と、今日までどういうことが行われてきて、この事件が今尾を引いているのかということを皆さんにも知っていただきたいと思って触れたわけです。
 次に、主任手当の拠出の実態についてお聞きいたします。
 私のところにはいろいろなチラシが時々送られてきまして、主任手当に関するものも幾つかあるわけですが、一つずつは読みませんけれども、例えば、「銃口」という三浦綾子原作の小学館から出ている、これを見ようということのチラシですけれども、連絡先は南多摩教育会館になっていまして、多摩市教育委員会もそそっかしいというか、後援しているんですね。この上映に際しては主任手当拠出金による補助が行われますと堂々と書いてあります。都教組では、一九八〇年--都教組の人たちは元号は使いませんから、キリスト教暦で必ず書くわけですね。一九八〇年に導入された主任制度に伴う手当を主任になられた方々の同意を得て拠出してきました。その拠出金で東京総合教育センターをつくった。教育相談活動をやっている。映画、ビデオの制作をやっている。貸し出しも行っている。都教組南多摩支部、これは日野、多摩、稲城ですけれども、そこで今度映画をやるので、千円を補助するから、皆さん見ましょうというチラシです。
 私は、平成十年にも文教委員会で、税金から支払われる主任手当というものが、拠出という形で組合の活動費に化けてしまっている、そういう実態をただしました。これは、チラシにもありますように、労働組合は、主任手当を拠出させて、手当を形骸化させようということはずっと最初からやってきたわけです。この悪が根絶できないまま、今日まで続いているんですね。ですから、ことしもこういうチラシが送られてきて、堂々と、悪いことをやっていますということを胸を張って主張しているわけです。
 一時、議会でやると、こういうのが載らなくなるんですね。ほとぼりが冷めるとまたぞろ出てくる。今回もこういうものが出てきておりますので、主任手当について形骸化させる拠出の実態については、教育委員会はどう考えていますか。

○江連人事部長 いわゆる主任手当の平成十五年度の支給総額でございますが、一万六千二百八十七名の支給対象者に対しまして、六億二千五百二十三万円余りでございます。東京都教育委員会は、主任手当の拠出は主任制度の形骸化を図るものでありまして、到底容認することはできないというふうに判断しております。
 主任手当の拠出状況につきましては、東京都教育委員会として実態を確認する手段はございませんが、これまで職員団体への加入率などをもとにいたしまして、主任手当総額の三分の一程度、二億一千万円程度というふうに推定してきたところでございます。しかし、主任の任命方法の改善や、平成十五年度には主幹制度を導入したことによりまして、現在の拠出状況はかなり改善されているものというふうに考えております。

○古賀委員 本来、拠出などということはあってはいけないわけで、ほかのチラシを見ましても、主任手当のことというのが書いてありまして、今年度の主任の方、これは平成十六年度ですけれども、主任に支給されている主任手当を拠出し、今年度内に何かに使いたいと考えます、何かよいアイデアがありますかなんて、のんきなことを書いていますね。
 もう一つの別のチラシには、主任手当の拠出について、手当の拠出運動を進めます、七月の各部会後、話し合いを行います、主任手当該当の方には個別的にもご協力をお願いします、今年度の拠出は二〇〇四年四月分より徴収します、堂々とこういうものを書いているわけです。
 本来、拠出すること自体違法なわけですけれども、今は、最後にお話があったように、主幹制度というものを東京都はここで導入したということで、主任というのは--これから逐次配置されていきます主幹がふえていくわけです。これは試験を受けて主幹になりますので、この主幹が大体兼務しておりますので、組合に顔色をうかがって主任手当を拠出して、組合活動費を税金から横流ししようなんていうのが主幹になるわけが本来ないと思いますので、改善される方向は、私は間違いないだろうというふうに思うわけです。
 しかし、今日まで、これは東京都教育委員会だけの責任ということはいえないと思います。文部行政をつかさどっている文部省、それから、与党も当然責任があるでしょう。そういうさまざまな複合的なものが背景にあったと思いますけれども、今日まで主任手当というものが正常化されないまま今日に至っている、拠出額が一年間に少なくとも二億円以上、二億一千万円と推定する、これは内輪に見積もっているというふうにいわれているんですね。主任手当から、我々の税金から組合活動費に二億円ですよ、主任手当だけで。拠出という形で流れているわけです。こういうビラをつくっているわけです。これは主幹がこれから配置されるということでありますので、その流れを、きちんと正常化に向けて、本物にしていってもらいたいというふうに私は思います。
 主幹についてちょっと触れておきたいと思います。
 主幹制度は、今申し上げましたように、全国に先駆けて、平成十五年度から東京都がまず始めたわけです。学校改革に重要な役割を担う職、都内の公立小中高等学校及び盲・ろう・養護学校に主幹を配置しています。最初に、主幹制度導入の目的、主幹が果たすべき学校経営上の役割というものは何なのか、簡単で結構です、ご説明ください。

○齊藤学校経営指導担当部長 都教育委員会は、学校が抱える課題に対応するために、校長のリーダーシップ、それから教職員個々の能力に期待するだけではなくて、学校を組織として機能させ、学校全体の教育力を高めることを目的に主幹制度を導入いたしました。主幹は、教務や生活指導などを担当する校務について副校長などを補佐するとともに、教諭等を指導監督する職として学校経営上位置づけられております。

○古賀委員 それでは、この主幹というのは、主任と比べてどう違うのか、学校経営にどのように貢献しているのか、もう少しわかりやすくお願いいたします。

○齊藤学校経営指導担当部長 主幹でございますけれども、主任と異なりまして、指導監督権限を持ちまして、教員に対して職務命令を発することが可能な職として位置づけられております。主幹は、管理職と教員とのパイプ役になりまして働くことで、校長の学校経営計画がこれまで以上に校内の各分掌に周知徹底されるとともに、新しい課題が発生した際にも、主幹が中心となって連絡処理に当たるなど組織的対応ができるようになり、学校経営に大きく貢献していると、多くの校長から聞いております。

○古賀委員 東京都が全国に先駆けて主幹制度というものを導入し、一定の権限も与えられて、学校の運営等に加わることによって学校の正常化もこれから図られるということで、他の自治体、県でも東京都の知恵に習おうという動きもあるそうで、見習った他県がよかったといわれるような成功例にしなきゃいけないというふうに思うわけです。
 まだ完全に主幹というのは全校に配置されていないわけでありますけれども、現在の主幹級の職員はどのように配置されているのか、今後、完全に配置が終わるのはいつごろになるのか、その計画を示してください。

○江連人事部長 平成十六年度に学校に配置されております主幹級職員の人数は三千百二十五名でございます。
 これらの職員の配置先でございますが、小学校につきましては千三百四十二校中千三十二校に配置されておりまして、学校数に占める割合は約七七%でございます。中学校につきましては六百五十一校中五百七十九校に配置されておりまして、学校数に占める割合は八九%でございます。高等学校につきましては、全日制、定時制合わせて二百八十七課程中二百十六課程に配置されておりまして、学校数に占める割合は約七五%。盲・ろう・養護学校につきましては六十一校中五十三校に配置されておりまして、学校数に占める割合は約八七%となっております。
 次に、今後の配置計画でございますが、平成十九年度を目途に、小学校各二名、中学校各三名、平成二十一年度を目途に、高等学校の全日制課程各六名、定時制課程各一名、盲・ろう・養護学校各五名を配置する計画でございます。

○古賀委員 主幹級の職員の配置は平成二十一年度に完了するということでありますので、現状、ご説明を聞きますと、着実な配置というものが有効だというふうに私どもも思いますので、計画の着実な実行をお願いいたします。
 次に、国旗・国歌のことをお尋ねしますが、これも長くなるので、内心の自由ということがよくいわれるので、そのことだけ見解をきょうは求めておきたいというふうに思います。それと、二問程度で終わりにしたいと思います。
 国旗については、先ほど侵略戦争に使われたとか、兵士を送り出したとか、昔からそういうことをまだいっている人がいるんですけれども、世界の国旗の歴史というものを私は謙虚に学んでもらいたいと思うんですね。日本の国旗は、ご存じのように、朝日が昇る様子を、太陽をあらわしているというふうに思うんですね。
 これは、地球を回って見ていきますと、例えば暑い国では、太陽というのはぎらぎら照るわけですから、ちょっと勘弁してもらいたいという気持ちもあるんですね。トルコなんかに行きますと、月と星ですね。インドも、太陽が強く照りつけるので、大法輪は真ん中にありますけれども、非常に小さく、真っ赤じゃない。それから、ヨーロッパに行きますと、大地をあらわしているところや月や星というのが意外と多くて、太陽ももちろんありますけど、アメリカなんかは星ということで、ぐるっと回りますと、気候とか風土というものが国旗にはあらわれているような気がします。
 そういった意味からすれば、日本の国旗というもの、今までいろいろ議論が尽くされてきていますので、嫌いな人はどうしようもないので、私はいいと思うんですけれども、侵略戦争云々というのは、私は全く当たらないと思います。じゃ、日本は一体どこを、いつ侵略したのかという、どこを、いつ、どの国を侵略したかということを具体的に一度聞いてみたいというふうに思います。
 これからもちゃんと日本の国旗のすばらしさ、それから、国際的な儀礼の場で、間違いなく国際人として恥ずかしくないような対応ができるような最低の儀礼は、学校で身につけさせるというのは当たり前ですね、義務教育の場で。オリンピックの表彰式、サッカーなどもそうですけれども、外国の選手たちはきちんと国歌斉唱や国旗掲揚のときには威儀を正しています。戦後教育の影響で、日本の選手はちょっといろいろ、どうかなと思う場面もあるわけで、これからも地道な国旗・国歌の教育というものが進められていけば、そういった面の心配もこれから薄れていくのではないかというふうに思うんです。
 教員の職務命令がございますね。職務命令で、学校の教師に対して校長が国歌斉唱時には起立をするようにという校長の考え方を示し、なおかつ協力してくれない人には、情けない話ですけれども、職務命令を出す。そのときにそれが生徒の内心を侵しているというのが、よくいろいろ書かれるわけですよ。先生が処分されるとかわいそうだから、嫌だけど立つなんて、よく新聞に書いてあります。委員長の党派の新聞。
 私は、内心の自由というのは、その人の心の中まで考え方を変えろとか、それを捨てろとかいうことは、確かに内心の自由の問題は出てくると思いますけれども、国際的な儀礼、あるいはまた国歌に対する正しい知識というものをきちんと身につけさせるというのは、教育の責任だというふうに思いますし、そういうご答弁がさっきからありますので、生徒の内心の自由とそれから教員の職務命令というのは、同次元で論じるのは間違いだというふうに思うんです。どうでしょうか。都教委の考え方をはっきり示しておいてください。

○近藤指導部長 この春行われました都立学校の卒業式、入学式においては、昨年十月の通達に基づいて適正に実施されまして、大幅な改善が図られたところでございます。しかしながら、一部の教員が生徒に不起立を促す発言をするなど、不適切な指導を行った学校があったことから、校長連絡会等におきまして、新たに学習指導要領に基づき、適正に児童生徒を指導することを盛り込んだ個別的職務命令を発するよう指導したところでございます。このことは、児童生徒に対して国旗・国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てるために行っているものでございまして、児童生徒の内心の自由を侵すものではないと考えております。

○古賀委員 都教委として、児童生徒の内心の自由を侵すものではないという答弁がありましたので、敷衍していろいろな意見を述べたいと思いますけど、きょうはこれで終わりにしておきます。納得のできる答弁でした。
 それから、養護学校の卒業式のことを確認しておきたいと思います。
 ことしの養護学校の卒業式において、壇上での卒業証書の授与というものが実施されました。非常に立派な式だったというふうに私も思いました。昨年度の卒業式、今年度の入学式があったわけですけれども、今年度は、来年三月になれば卒業式が行われるわけで、同じようにきちんと壇上での卒業証書の授与というものを実施してもらいたいというふうに思っております。いろいろな横やりがまた入るのかもわかりませんけれども、都教委の方針を確認しておきたいと思います。

○近藤指導部長 卒業式は、子どもたちの希望に満ちた姿や立派に成長した姿を、式に参列した出席者のすべてが卒業生とともに喜び合う場でございます。したがいまして、障害のある児童生徒も、障害のない児童生徒同様に、希望と自信に満ちあふれた晴れがましい姿を多くの人に見てもらうためにも、卒業証書を舞台壇上で授与することが大切であると考えております。今後とも、盲・ろう・養護学校の卒業式におきまして、学習指導要領や通達に基づいて卒業証書の授与が適切に行われるよう指導してまいります。

○古賀委員 私は、七生養護学校と八王子東養護学校の卒業式に出ました。この文教委員会でも、会議録を見ていましたら、障害を持つ子どもたちを壇上に上げるのは、共産党の都議の人ですけれども、拷問だという言葉が目に入ってきて、びっくりしたんですね。
 この壇上での卒業証書の授与を実施するという方針が示されてから、国旗・国歌の実施に反対する勢力から、なぜ障害を持っている子どもたちを無理やり壇上に上げるんだとか、いろいろ理由を挙げて、子どもを盾にして、新たな試み、また、卒業式、入学式を正常化しようという試みに対する妨害があったわけですので、大変関心を持って、私は卒業式に行ってまいりました。しかし、それは完全に私の杞憂に終わったんですね。非常に立派な卒業式でした。校長を初め教職員、それから保護者、地域の皆さんも一体となって、立派な卒業式ができたというふうに、堂々と皆さんにそういう卒業式だったということをご報告できます。
 卒業の日を迎えた児童生徒に、どのような形でお祝いの気持ちを我々は伝えたらいいかということなんですよ。大事なものは目に見えないという言葉があるんですね。見ることができない。そういう我々のお祝いの気持ちを、また、教職員の皆さんや父兄も含めてどう伝えるかという、それは非常に難しいことなんです。しかし、今回、初めての試みでありましたけれども、教職員が協力してスロープをつくって、それを使って壇上に上がっていく。その光景は非常に印象に残りました。学び、自分が育った養護学校、母校ですね、そして学園を巣立っていく姿に大変感動いたしましたし、これはよかったというふうに思います。
 ですから、反対する人はいろいろなことをいうんですよ。口が達者ですから、実施する皆さんも、校長たちも大変だと思いますけれども、私は、二つの養護学校の卒業式を見て、自信を持ってこれは成功したというふうに思っておりますので、ことしもぜひ校長をちゃんと指導して、都教委の通知がそのまま今年度も生かされるように、努力をお願いしておきます。
 長くなります。恐縮です。
 次に、教研集会のことを聞いておきます。
 これは本会議でも私、指摘をしたんですが、都教組や東京教組などが、相変わらず平日の昼間に教研集会を行っているんですね。先生は忙しくて、過労死するほど大変だ、こんなにつらい仕事はないと先ほど力説しておられるご質問がありましたけれども、こういう労働組合の運動を勤務時間中に相変わらずまだやっているんですね。
 前は、ながら条例のころは、ちゃんと届け出をして職免をもらっていましたから、何があるかよくわかったんですけれども、ながら条例を改正して、職場の秩序は正常化されつつありますけれども、文教委員会で教育問題をやるとなると、動員がかかったなんていって、年休をとってよく来る人がいるんですけど、平日も年休をとってくるわけです。
 こういう年休をとって参加しているということそれ自体は法的には問えないというふうに思いますけれども、組合活動である会合が平日の昼間に設定されているということは問題です。
 具体的にお話ししておいた方がいいと思いますので……。三鷹も、先般、イラクの自衛隊派兵ビラの折り込みのときにも問題になりました。「みたか」という機関紙、都教組北多摩東支部三鷹地区協議会、ことしの九月二十一日、第八号。十月二十日水曜日午後四時から秋の教研の取り組みについて会議をやるということを、堂々とこういう文書をつくって出しています。
 それから、三鷹地区協で、同じく十月五日火曜日、支部委員会を支部会館で行う。都人事委員会勧告要請書、人事異動、全教職員署名を持ってきなさいという会合が午後四時半から設定されています。
 まだあるんですね。都教組八王子支部、秋の教研集会十月二十日水曜日午後三時から。八王子教組も負けていませんね。旧社会党系。さっきのは共産党です。これは、教育基本法改悪が目指すもの、戦争か平和か、差別か平等か。十月二十日。十月二十日は集中して先生が学校からいなくなっていると思います。午後二時四十五分から。東浅川保健福祉センターでやる。教研集会にすべての職場から参加しよう、こう見出しが出ています。
 これは、幾ら年休をとるにしても、許されないことだというふうに思うんですね。教育委員会はこういう実態をどう把握して、今後改善しようとしているのか、しっかりとした方針を示しておいてもらいたいんです。いかがですか。

○江連人事部長 教研集会につきましては、研修による参加の取り扱いを認めないこととしておりまして、仮に勤務時間中に参加するとなれば、年次休暇を取得して参加することになります。しかし、申すまでもなく、学校は児童生徒の教育を行う場であり、教員が職場を離れることは必要最小限でなければならないというふうに考えております。ご指摘のように、教研集会は職員団体活動であり、これが勤務時間中に設定されることによりまして、授業や児童生徒の指導に影響が及ぶことがあってはならないというふうに考えております。
 東京都教育委員会としましては、これまでも教研集会の開催状況などについて情報収集に努めておりまして、こうした事例が判明する都度、当該教育委員会を通じて注意を喚起したところでございますが、今後も引き続きお話のような事態を避けるよう指導に努めてまいります。

○古賀委員 指導に努めるのは皆さんのお仕事ですから、しっかりその職務をやってもらいたいというふうに思います。
 こういう脱法的な行為を見逃すというのが、いろいろなことを広げていくんですね、傷口を。休む間もなく大変だと、肉体的に、クモ膜下で倒れるほど。組合活動もこうやって昼間から勤務時間中にやらなきゃいけない。それは先生も大変ですよ。動員されたら行かなきゃ何かいわれるんじゃないかということもあると思いますので、そういう勤務実態を正常化することが教師のむだな負担を省くことにもなるわけですので、しっかり改善に努めてもらいたいというふうに思います。
 最後で、時間を守りますので。
 教育基本法の改正のビラがまた折り込まれようとしているんです。これは私、議会で前にやりましたけれども、自衛隊のイラク派兵、私たちは反対ですという、武蔵野市、三鷹市公立小中学校教職員有志ということで、実名を入れてチラシが配られて、これは好ましくないということで、都教委は通知まで出しました。我々も都教委に改善を求めて、厳正な対応を行いなさいということで、申し入れも行っているところです。
 つまり、一般の地方公務員--政治活動はもちろん認められていますよ。しかし、公務員だという立場で政治的中立性を強く求められている人たちが、名前を出してチラシを折り込む。これは「赤旗」に折り込まれたんですけど、一般紙にもですね、好ましくないということで、都教委はそれなりの対応はしました。
 ところが、同じようなことをまた今度は教育基本法でやろうとしているわけです。これは、先ほど申しましたように、都教組も東京教組も、どのビラ、チラシを見ても、教育基本法、必死なんですね。改悪を阻止しようということで、しゃかりきになっています。
 教育基本法というのは、皆さんもよくご存じのことなんですけれども、大東亜戦争が終わって、昭和二十一年三月にアメリカの教育使節団が来て、一カ月ぐらい日本の教育制度を視察したんですね。教育の専門家だったんですけれども、日本の歴史とか、日本の伝統的な教育、つまり、藩の学校とか、寺子屋の制度がどうなっていたかとか、明治維新後、日本は義務教育制をしいて、小学校をつくって、教育に相努めた。そういう教育の歴史や知識が全くない連中が一カ月ぐらい日本に滞在して、教育基本法のもとをつくって、それが今の教育基本法に実際なっているわけですよ。
 だから、日本という国のことを共同体として理解し、それを受けとめて、また、世界の中の日本の一つの国を構成する国民としてどういう使命を自分は果たしていくかという、自分の国、祖国との距離とか、それから、どのような人間を目指していけばいいのかとか、そういう国の歴史や文化に根差した人物をつくっていこうという教育のしんになる部分が全く欠落しているわけです。だから、ここで今改正論議がこれだけ行われるようになって、先般の都議会でもそういう意見書が上げられたわけです。
 ところが、これがまた、時代についていけない人たちが相変わらずいるわけです。これも都教組の南多摩支部日野地区協議会「日野地区ニュース」には、十月中旬に教育基本法の改悪ノーのチラシを三大新聞に折り込む、賛同者は氏名を早目に支部地区協に連絡してくださいと呼びかけています。
 まだ入っていないようなんです。十月中旬と書いてあるので、私は、新聞の広告は全部丹念にここのところずっと見ているんですけれども、まだ入れていないようですね。
 日本でこういう憲法、教育基本法の改悪ノーというアピールチラシ案ということで、私たちは、日野、多摩、稲城の市民、教職員です、名前をずらっとここに入れるということで、イラク・ビラと同じようなものを今つくろうというたくらみが進行しております。その呼びかけ人を見ますと、共産党の日野市議会議員とか、毎度おなじみの人たちが、私が名前のわかる人たちも大分並んでいるんです。これは、先ほど申しましたように、教員が政治的中立性を疑われるような行為を行うというのは、イラクの自衛隊派兵反対ビラと同じように問題があるというふうに思いますし、現に賛同者を募っているわけですね。
 しかも、これを、学校と教育委員会とを結ぶ公文書を運ぶシステムがありますね、交換便。交換便を使って、どうもやっているような様子がうかがえるんです。これは公文書をやりとりするものですから、組合文書を運ぶために交換便があるのではない。各学校に配布するのも交換便が使われている疑いがある。組合活動への税金投入、便宜供与になってしまうわけですから、こういうことも含めて、今行われようとしているビラの件、教育基本法改正反対ビラ、都教委としても毅然とした姿勢を示すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 本年四月に、教職員団体の呼びかけで、実名を付して自衛隊のイラク派遣に反対するチラシを、新聞折り込みといたしまして一部地域の家庭に配布したことがありましたため、都教育委員会は、学校における教育活動が、児童生徒の保護者等との信頼関係に基づき、適正に行われるよう通知をいたしました。しかしながら、その後も実名を付して憲法、教育基本法改正に反対するチラシを配布する動きが見られましたことから、十月六日の区市町村教育委員会指導室課長会や十月十二日の校長連絡会において、再度、通知の趣旨を徹底するよう指導したところでございます。
 今後とも同様の事例が繰り返されることがないよう、通知の趣旨が教職員にどのように周知されているかを把握するなど、学校や区市町村教育委員会に対しまして一層の指導徹底を図ってまいります。

○古賀委員 最後、締めますので。
 前回のイラク・ビラのときに、確かに通知は出してもらったんですけれども、三鷹の方の地区でないところは、受け取っても、教育委員会がそれをとめてしまって、各学校の校長へ渡っていないという指摘もあるんですね。しかも、校長どまりのところもある。各教員にその趣旨が徹底していないということもありまして、今回の憲法、教育基本法云々の反対ビラについては、教育委員会の通知文というものがちゃんと各学校の教師にまで徹底されるようにお願いいたします。
 中には、いろいろ組合と摩擦を起こしたくないという腰の引けている校長もいるわけですよ。自分のところでポケットにしまい込んでいる校長もいるらしいんです。ですから、ちゃんと各学校に通知が徹底するようにお願いいたします。
 つまり、学校はこういう政治闘争の場じゃないということをひとつ前提に、都教委はしっかり取り組んでもらいたい。
 以上です。

○野上委員 時間も終了時刻に押してまいりましたので、簡潔に行いたいと思います。
 最初に、三十人学級の問題について質問いたします。
 今回、教育庁より、平成十六年度において学級編制の弾力化を実施している道府県の状況という資料が出されました。この二ページ、三ページでございます。この資料では、四十二道府県で、いわゆる少人数学級を導入しているとされております。よく見ると、少人数学級を限られた研究指定校でのみ行っている県も五県ほどあります。今のところ、少人数学級への対応は、導入したといわれる道府県の中でもかなり濃淡があるのではないかと思われます。
 この三十人学級の問題は、さきの第三回定例議会の中でも、石原知事が、他の道府県がやっているから東京都もと、付和雷同的に考える必要はないと答弁されたのは、皆様の記憶に新しいかと思っております。子どもたちにとって本当によい方法は何なのかをじっくりと考えて、この問題について取り組んでいただきたいと思っております。
 そこで、まず、東京都の学級規模について、現在、一学級当たりの平均の児童生徒数は何人なのでしょうか。また、三十人以下の学級、あるいは三十五人以下の学級はそれぞれどれぐらいあるのでしょうか。最初にお尋ねいたします。

○山際学務部長 一学級当たりの児童生徒数につきましては、小学校では三十・八人、中学校では三十三・六人でございます。
 また、三十人以下の学級につきましては、小学校で七千七百八十一学級あり、全学級数の四四・五%でございます。中学校では千百六十学級あり、全学級数の一八・一%でございます。
 三十五人以下の学級につきましては、小学校で一万三千九百四十学級ございまして、全学級数の七九・七%、中学校は四千二十三学級あり、全学級数の六二・七%でございます。

○野上委員 今答弁がありましたように、既に半数近くの学級が三十人以下という、そういった実態があります。こうした学級の実態にかかわらず、さらに現在の四十人学級制度を改めて三十人学級制度を導入するという考え方の方も多くいらっしゃいますけれども、例えば三十一人の学級になりますと、三十人学級を導入すると、三十一人が二つに分かれて十五人と十六人に分かれてくるわけですね。一つのクラスが十五人、あるいは十六人だとすると、男女同数だったとしても、それぞれ男の子七、八人、女の子七、八人ずつしかいないということになります。サッカーの試合もできないような現状になるわけです。日々の学校教育の活動を行っていく上で、生活集団の規模としてはいかがなものなんだろうかと。
 確かに教師にとってみれば、採点にしても、四十人採点するのと十五人採点するのでは、三分の一ぐらいの労力になるので、楽は楽なんですけれども、子どもにとってみて、そういう小規模の集団というのはどうなんだろうかと、ちょっと心配する面もあります。
 例えば、七人から八人しかいない女の子の集団の中で、いじめとか起きたときに、人間関係が固定しているので、出口がなくなってしまう。最終的には転校するしかないようなことも起きてしまうのではないか。いろいろな生活集団としての学級のあり方と教育効果との関係について、都の教育委員会はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○山際学務部長 都教育委員会といたしましては、生活集団としての学級には、児童生徒が、集団生活の中で、お互いの切磋琢磨や多様な人間関係を通じて社会性を養うという観点から、一定規模が必要であるというふうに考えております。
 一方、児童生徒の確かな学力を育成することも重要でございますが、これには教科等の特性に応じた少人数指導やチームティーチングが有効であると考えておりまして、これまで着実にその充実を図ってきたところでございます。

○野上委員 今の答弁にありましたように、生活集団として一定の規模を持つ学級の中で児童生徒が基本的な生活習慣を身につけることが大切だと私も思っております。しかし、今よくいわれている小一プロブレムという問題があります。幼稚園、あるいは保育園でそれぞれの教育環境の中で育った子どもたちが入学してくると、幼稚園の指導方針、保育園の育児方針とか、いろいろ違っておりますので、小学校低学年における授業が成立しがたい状況が指摘されております。
 こうした生活指導の面に関して、少人数学級が有効だとする考え方もありますけれども、都教委が推進している少人数指導は、生活指導に関してどのようなメリットがあるんでしょうか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 小学校の入門期や低学年において、集団生活になじめず、授業が始まっても遊んでいたり、歩き回ったりする児童がおり、授業がなかなか成立しないという状況が見られることがございます。こうした授業が成立しがたい状況を改善するには、何よりも担任が一人で問題を抱え込まず、組織として対応することが有効でございます。したがいまして、学級や学年の枠を超えて、教員同士が共同体制を組み、組織的に対応する指導体制のある少人数指導が、学習指導だけではなく、生活指導面においても効果が期待できるものと考えております。

○野上委員 小学校一年に入ったときに、最初は落ちつきがなくても、集団活動の中で一カ月もすると、大体落ちついてきます。自閉症とか、あるいはLD、ADHDなど、さまざまな障害を持っているお子さんや多様なお子さんがいて、ベテランの先生もなかなかうまくいかない状況も生まれてきておりますが、そうしたときに担任一人が悩んでいるのではなくて、組織として対応するということで、少人数指導が効果があるということだと思っております。
 今、学校教育に寄せられている大きな期待は、児童生徒一人一人に確かな学力を育ててほしいということです。これまでも少人数指導が学習指導に効果的であることはうかがっておりますけれども、学力向上という観点で、少人数指導がすぐれているという調査結果はあるんでしょうか。

○近藤指導部長 都教育委員会が平成十四年十月に研究推進校の児童生徒を対象にした調査によりますと、少人数指導を通して勉強がよくわかるようになったと答えた児童生徒の割合は、小学校の国語や算数では約八〇%、中学校の国語、数学及び英語では約七〇%から七五%という結果でございました。また、都教育委員会が指定いたしました少人数学習集団による指導法の研究推進校からの報告によりますと、児童生徒が学習への理解を深めたり、意欲を高めたりすることができること、複数の教員が協力して学習集団の編制や指導計画の立案、教材の作成等を行うことから、相互に研修し合う機会がふえ、指導力を高めることができたなどが挙げられております。
 さらに、平成十六年六月に発表されました国立教育政策研究所の指導方法の工夫、改善による教育効果に関する比較調査の研究では、小学校四年の算数、六年の算数、中学校の二年の数学及び英語において、学級規模や少人数指導等の比較調査研究を行ったところ、学力の形成については、すべての学年、教科において、少人数指導が最も有効であるとの結果が出ております。

○野上委員 今の指導部長のお答えで、少人数指導がかなり教育的な効果があるということが調査の結果でもわかったということを伝えていただきました。
 今、小学校、中学校の学級規模も随分小さくなって、高齢の方なんか、六十人学級とか経験された方もいらっしゃるかもしれないんですけど、私たちのころ、四十五人学級とかありましたけれども、昔は六十人学級とかでしたね。それでも、先生方も一生懸命やっていたということだと思います。
 ある程度の一定規模が集団としても必要であると。最後は、教育をよくするのも、悪くするのも、それは教師にかかっていると思っております。教育への期待と責任、すべて教師に負わせるというのは酷なことかもしれませんけれども、現に人の師として子どもたちの前に立っている以上、社会から期待や願望を受けて立つのが教師としての責務だと思っております。そういった意味で、一人一人の教師の資質向上、そのことがとても大事だと思っております。
 その次に、指導力不足教員についてお聞きいたします。
 都教委は、指導力不足教員に対し、東京都教職員研修センターにおいて、三年前から指導力ステップアップ研修を実施しているということなんですが、こうした研修を受講した後、都教育委員会はどのように対応することとしているのでしょうか。

○江連人事部長 お話のように、東京都教育委員会では、児童生徒を適切に指導できない教員につきまして、平成十三年度から、東京都教職員研修センターにおいて指導力ステップアップ研修を実施し、指導力の向上等を図っているところでございます。こうした研修の結果等に基づきまして、教育庁内に設置いたしました審査委員会におきまして、指導力不足等教員としての決定を解除する者、引き続き研修が必要な者、教育公務員としての適格性に欠ける者を判別した上で、教育公務員としての適格性に欠ける者については、教員を免職し、事務職員等に採用することを可能とする規定を設け、対応しているところでございます。

○野上委員 平成十五年度において、指導力ステップアップ研修を受講し、現場復帰を認めた者、あるいはまた事務職員として転職した教員は、それぞれどのような状況になっているんでしょうか。

○江連人事部長 平成十五年度におきます指導力ステップアップ研修を受講した者は十八名でございます。そのうち、指導力不足等教員としての決定を解除し、現場に復帰した教員は三人でございます。事務職員に転職した者はいませんでした。

○野上委員 途中退職も含めて、九名の先生方が自主退職したということだと思います。指導力不足教員として申請される先生方の中には、校長とうまくいかないという理由で、安易に申請されるといったケースも聞いておりますけれども、都教育委員会はどのように対応しているんでしょうか。

○江連人事部長 指導力不足教員につきましては、校長及び区市町村教育委員会が適切な指導計画のもとに必要な指導を行っても、なお、指導力等の改善が図れない場合におきましては、区市町村教育委員会が東京都教育委員会に申請する仕組みとなっております。申請に当たっては、まず、校長と区市町村教育委員会とが連携し、当該教員の能力、適性等の課題を的確に把握するとともに、本人に指導力等に課題があることの自覚を促した上で、研修等を受講させていることとしております。
 こうした手続を行うことによりまして、個々の教員の課題に応じたきめ細かな対応が可能となりまして、一層の研修の成果が期待できるとともに、お話のような安易な申請によるトラブルが防げるものと考えておりますし、また、そのように努めてまいります。

○野上委員 こうした制度を適正に運用することは必要だと思います。そのために申請がおくれて、児童生徒が犠牲になっては何もならないと思います。
 今、精神疾患の先生方も百七十一人ということで、先生が壊れていっている。壊れていっているけれども、自分も自覚がなく、教壇に立っているという方も多分いらっしゃるんだと思います。そのためには、日ごろから教員の能力等を的確に把握し、適切に指導していくことが必要であると考えますが、今後、都教委はどのように対応していくのでしょうか。

○江連人事部長 東京都教育委員会は、教員の職務実績及び指導の結果等をより的確に把握することによりまして、個々の教員の能力、適性等に応じたきめ細かな指導、育成が行われるよう、職務実績記録の整備を各学校に通知し、その徹底を図ったところでございます。さらに、来年度からは、人事考課制度による業績評価の結果を踏まえ、校長が指導、育成を強化する必要を認めた教員につきましては、育成シートを作成し、個々の教員の課題に応じて計画的に指導を行い、その指導計画を記録させ、必要に応じて報告を求める制度を導入することとしております。
 こうした制度の確実な推進によりまして、個々の教員の人材育成を図るとともに、今後とも指導力不足等教員につきましては厳正に対応するよう、区市町村教育委員会に対して指導を徹底してまいります。

○野上委員 個々の先生の持っている能力を引き出しながら、そして先生方の人材育成を図るということで大事な制度だと思っておりますので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
 最後に、職場における禁煙対策のためのガイドラインについて質問いたします。
 平成十五年五月に健康増進法が施行されました。受動喫煙防止対策として、分煙の考え方が厳しくなったと聞いておりますが、現在の分煙の基準はどうなっているのでしょうか。

○山際学務部長 平成十五年五月、厚生労働省で出されました職場における喫煙対策のためのガイドラインにおける分煙の考え方は、第一に、独立した喫煙室を設置すること、第二に、喫煙室には独立した空調設備と屋外への排気装置を設けること、以上、二点が主な考え方でございます。

○野上委員 都立学校において現在建物内禁煙とされ、また、平成十七年四月からは、敷地内全面禁煙が実施されると聞いておりますが、喫煙している教職員に対してはどのような対策を講じているのでしょうか。

○山際学務部長 都立学校における敷地内全面禁煙を円滑に推進するためには、教職員の理解が不可欠でございます。このため、教職員に対して、児童生徒の受動喫煙防止及び喫煙防止教育のより一層の推進という趣旨の周知徹底を図るとともに、喫煙する教職員に対しましては、禁煙指導を実施している医療機関や三楽病院の禁煙相談事業などについて情報提供しているところでございます。

○野上委員 今は建物内禁煙だけなので、今、たばこを吸いたい人はベランダあるいは屋上でたばこを吸えるわけです。ところが、来年四月からはそれもままならないということになります。私は、すばらしいことを実施されて、大賛成なんですけれども、私も小学校のころ、職員室に行くと、たばこの煙がもうもうとしておりまして、大好きな先生方がたばこをおいしそうに吸っているのを見て、子ども心に、自分も大人になったら吸いたいなという気持ちもわいてきました。それも当然だと思うんですけれども、ただ、たばこを吸うと歯が黒くなるというので吸いませんでしたけれども……。都立学校における禁煙対策を先駆的にとられたことは本当に意義が大きいし、このことが必ずや区市町村立学校にも影響が大きいと思います。
 葛飾区などは、今年度から敷地内あるいは建物内、すべて禁煙ということで実施しております。先生方も、ちょっと苦しい面もあるかもしれないんですけれども、残された期間の間に禁煙を進めて、体にもいいことですので、ぜひ禁煙の実施を強力に進めていただきたいことを要望して、終わります。
 以上でございます。

○池田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○池田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十分散会

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