委員長 | 東ひろたか君 |
副委員長 | 臼井 孝君 |
副委員長 | 大塚 隆朗君 |
理事 | 野上じゅん子君 |
理事 | 山口 文江君 |
理事 | 松原 忠義君 |
村上 英子君 | |
福士 敬子君 | |
山下 太郎君 | |
石川 芳昭君 | |
遠藤 衛君 | |
山本賢太郎君 | |
曽根はじめ君 | |
樺山たかし君 |
欠席委員 なし
出席説明員大学管理本部 | 本部長 | 村山 寛司君 |
管理部長 | 三橋 昇君 | |
参事 | 紺野 秀之君 | |
参事 | 大崎徳三郎君 | |
参事 | 宮下 茂君 | |
参事 | 宝月 大輔君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
大学管理本部関係
報告事項(説明・質疑)
・首都大学東京の設置認可等について
○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名ですが、傍聴希望者が定員以上と予想されますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○東委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり意見書一件を追加提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○東委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部関係の報告事項の聴取を行います。
なお、本日は説明を聴取した後、質疑を終了するまで行いますので、ご了承を願います。
これより大学管理本部関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、大学管理本部長及び幹部職員に交代がありましたので、本部長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。
大学管理本部長に就任いたしました村山寛司さんをご紹介いたします。
○村山大学管理本部長 去る七月十六日付で大学管理本部長に就任いたしました村山寛司でございます。よろしくお願いいたします。
委員長を初め委員の皆様方のご指導を賜りまして、当本部が所管しております事務事業の適切かつ円滑な運営に努めまして、明年四月に迫っております新大学の開学に万全を期してまいる所存でございます。ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
続きまして、八月一日付で幹部職員に異動がございましたので、紹介をさせていただきます。
まず、参事で新大学設立準備担当の紺野秀之でございます。同じく参事で新大学設立準備担当の大崎徳三郎でございます。参事で産学公連携担当の宝月大輔でございます。それから当委員会との連絡に当たらせていただきます、参事で総務課長事務取扱の醍醐勇司でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕
○東委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。
○東委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○三橋管理部長 首都大学東京の設置認可及び東京都公立大学法人評価委員会の委員の選任につきまして、ご報告申し上げます。
お手元にお配りしてございます資料第1号をごらんいただきたいと存じます。
1にさきありますように、九月三十日付で、文部科学大臣から、平成十七年四月に開学予定の首都大学東京の設置につきまして認可を受けております。
今後のスケジュールにつきましては、2、今後の予定に記載してございます。今後とも、開学に向けまして精力的に準備を進めてまいります。
また、認可の際に付されました留意事項につきましては、二枚目に別紙としておつけしてございます。
次に、資料第2号をごらんいただきたいと存じます。
来年四月に東京都が設立を予定している公立大学法人に関しまして、さきの第二回定例会におきましてご議決いただいた東京都公立大学法人評価委員会条例に基づき設置しました東京都公立大学法人評価委員会の委員を選任をいたしてございます。
委員は、1に記載のとおりでございます。任期は、本年十月一日から二年ということでございます。
報告は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○東委員長 報告は終わりました。
ただいまの報告に対し、質問等がありましたら、発言を願います。
○臼井委員 それでは、大学管理本部に対しまして、質問をいたします。
九月三十日に首都大学東京が正式に設置認可されたという報告を受けました。新大学の検討を進めてこられた大学関係者、有識者の方々などのご努力、ご尽力には大いに敬意を表するものであります。
初めに、この委員会に関連して、念のため、幾つかお伺いしたいと思います。
まず、今回の認可に当たって幾つかの留意事項がついているのでありますが、これについてどう考えておられるか、また、これについてどう対応していくのか、伺います。
○紺野参事 認可の際に付される留意事項は、大学設置基準等の法令に適合しているが、大学の設置計画及びその実施に関してより一層の改善充実を図ることが望ましいとされた事項について、申請者に対し主体的な努力を求めるものでございます。したがって、留意事項は設置認可の条件となるものではなく、設置認可自体に影響はございません。
また、留意事項が付されることは特段珍しいことではございませんで、十六年度に開設した大学・学部等二百六十一校中百七十六校、割合にいたしまして六七%、三分の二が留意事項を付されております。
今回、首都大学東京に付された留意事項のうち、一番目の「統合の趣旨・目的等が活かされるよう」という点については、平成十七年度に統合新設を設置認可申請した大学、これは大阪府立大学並びに広島県立大学がございますが、両大学にも同様のものが付されております。
また、残りの四項目につきましては、首都大学東京ならではの新しい試みについてであり、これらの新たな試みが円滑かつ有効に機能するようにとの見地から、意見が付されたものと認識しております。
今後、留意事項も踏まえつつ、新大学の開学に向けて万全の準備を進めてまいります。
○臼井委員 ただいまのお話ですと、留意事項については認可の条件ではないということですね。それとか、ただいまのご発言では、こういう留意事項がつくことは特段珍しいことではないということもわかりました。
これらの留意点のほかに、その他の意見というものもあるやに聞いておりますが、文部科学省から伝えられておるその他の意見はどのようなものなのか、また、これについてどう考えているのか、お尋ねいたします。
○紺野参事 今お話しのございましたその他の意見とは、審議会の場でそのような意見があったことを伝達するというものでございます。これも特段珍しいものではなく、設置認可自体への影響はございません。
今回伝えられましたその他の意見は、具体的には、都市教養という新たな概念が幅広く理解されるよう努めること。二つ目に、教員の意欲、モラルの維持向上のための環境整備に努め、設置計画を円滑に履行する体制を確立維持すること。三つ目に、新大学の使命である大都市における人間社会の理想像の追求のために、学問分野の均衡のとれた教育研究体制の構築に努めることの三つでございまして、これらも、基本的には首都大学東京のさまざまな新しい取り組みが円滑に機能するようにとの見地からのものと受けとめてございます。
○臼井委員 ただいまのお答えをお聞きして、これらの留意事項等がつくことはとりたてて珍しいことではないということが確認されました。むしろ首都大学東京が積極的に新たな試みにチャレンジしようとしていることの反映であるともいえるのでございまして、この設置認可自体には特段の影響がないということでございますので、殊さら心配することのないことがわかりました。来年四月の開学に向け、遺漏なきよう、引き続き万全の準備を進めていただきたく、大学管理本部に改めてお願いいたします。
さて、今回の大学改革は、都立の四大学を統合し、全く新しい大学をつくるということが何よりも注目されているところでございますが、それに加えて、大学運営を都の直営から切り離して、都とは別組織である公立大学法人に行わせるということも重要な要素であると考えます。
そこで、伺いますが、法人化の趣旨、メリットは何なのか、また、法人は大学運営に関しどのような権能を持つことになるのか、お尋ねいたします。
○宮下参事 まず、法人化の趣旨、メリットでございますが、大学運営におきます経営の視点の導入、自律的、弾力的な運営、それによります効果的、効率的なサービスの提供等が挙げられます。例えば、法人化いたしますと、官庁会計ではなくなるわけでありまして、これまで以上に予算執行の弾力化、効率化が可能となります。年度途中で生じました喫緊の課題に対しても対応できますし、事前の想定を上回って節約したり、あるいは予定していない自己収入を獲得したような場合に、その利益を原資といたしまして新たな学生サービスを提供するなど、そうしたことが弾力的にできるようになるわけでございます。
さらに、目標評価制度による適切な事後評価と、それに基づく事業の見直し、財務諸表の開示などを初めとした業務運営の透明性の向上などが挙げられるところでございます。
次に、法人の権能でございますが、地方独立行政法人法に定めます一定の事項につきましては、知事の認可や議会の議決など設立団体の関与が定められるわけでございますが、その関与のもとで、法人は人事、財務、組織など大学運営全般にわたりまして、みずからの責任で決定する権能を持つことになります。
○臼井委員 ただいまのお話のように、経営の視点の導入や自律的、弾力的な運営によるサービスの向上などは、今後の大学運営において大いに期待すべきところであると考えています。しかし、法人化すると経営の自律性が高まることにより、例えば授業料の水準も、議会の関与はあるものの、法人が独自に定めることになります。学生や受験生の中には、法人化を契機に授業料が大幅に値上げになるのではないかと不安に思っている方々もいるのではないかと思います。
先ほどの答弁にもあったように、法人化の趣旨は、法人が創意工夫を凝らして効率的、効果的なサービスの提供や、目標評価制度などによる透明性の高い大学運営にあるのであって、法人化したことによって、これを機に授業料の値上げをすることは都民の誤解を招きかねず、できるだけそういうことは避けるべきものと考えます。
そこで、今年度法人化した国立大学では、初年度の授業料についてどのような取り扱いをしたか、伺います。
○宮下参事 国立大学におきましても、文部科学省令が定める上限額の範囲内で、法人がみずからの判断により授業料額を定めることができるようになっているわけでございますけれども、法人化初年度の今年度におきましては、すべての国立大学法人におきまして、授業料は法人化前と同額に設定しているところでございます。
○臼井委員 ただいまの答弁によれば、国立大学における授業料の決定は、法人化の趣旨を踏まえた妥当な取り扱いだと私は思います。
それでは、首都大学東京の場合、来年度の授業料についてどのような取り扱いをする方針なのか、現段階での考えを伺いたいと思います。
○宮下参事 公立大学法人の授業料につきましても、法律上、法人が成立してから法人がその上限額について知事に申請を行いまして、知事は議会の議決を得た上でその認可を行い、その認可を踏まえて法人はその上限額の範囲内で授業料を設定するということになっているわけでございます。
しかしながら、首都大学東京の受験生、授業料が幾らになるのかというのに重大な関心を持っておられるわけで、この受験生に対する周知のために、今後、配布する募集要項の中で授業料に関しても記載を行っていく必要があろうかと考えております。
そこで、法人の準備組織であります経営準備室におきまして検討した結果、来年度の授業料は現行の水準のままとし、都議会に報告した上で、募集要項に予定額として現行の授業料を記載するという方針を決定したところでございます。
なお、正式の授業料額につきましては、今後、上限額につきまして議会のご審議をいただいた上で、来年度、法人が決定していくことになります。
○臼井委員 遺漏なきよう周知してください。
授業料については、減免措置もございます。特に現大学の学生で授業料減免を受けている学生にとっては、法人化により減免制度が大幅に変更になることはないかどうか、非常に不安なところがあると思うので、伺います。
○宮下参事 来年度の減免につきましても、経営準備室におきまして、基本的に現行制度を維持していくという方針を確認しているところでございます。
○臼井委員 授業料や減免制度は、少なくとも来年度は大きな変更は行わない方針だということで、これは適切な判断だと考えますので、よく確認をしておきたいと思います。
しかし、大学全入時代が、文部科学省の推計によると、三年後の二〇〇七年度に到来するといわれておりまして、今後、大学間競争がますます激化することは必至の状況でございます。こうした状況に対応して、首都大学東京に優秀な学生を集めるためにはどうしたらいいか。単に現行制度を維持するのではなく、新たな制度を導入していくことも重要だと思います。
私立大学では、成績優秀者に対する授業料の減免措置を導入するところがふえていると聞いております。都立大学でも、ことしから法科大学院で成績優秀者に対する減免制度を導入することとしたわけでありますが、これは首都大学東京の学部生や他の大学院生にも適用していくことも検討すべきと考えるのでありますが、いかがでしょうか。
○宮下参事 成績優秀者に対します減免は、優秀な学生を確保するとともに、入学後の学習意欲を高めるためにも有効な方策であろうと考えているところでございます。今後、法科大学院のみならず、学部生に対する適用も検討してまいりたいと考えております。
○臼井委員 ただいま授業料について伺いましたが、法人化に伴いまして、授業料以外でも法人の判断でさまざまな工夫ができるようになるわけであります。こうした場合には、法人化の趣旨という原点に立ち返って、学生や社会のニーズに対応した質の高い教育の実施など効率的、効果的な都民サービス、先ほどいわれたような都民サービスの提供という観点に立って今後も対応していただくことを切にお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○野上委員 二十一世紀に入ってから、大学教育には多くの厳しい意識改革が求められております。具体的には、二〇〇二年に、二十一世紀COEプログラムにより大学の研究面での格付がなされてきたこと、もう一つの側面として、文部科学省は、特色ある大学教育支援プログラムにより、教育面での大学評価を始めたことであります。すなわち、現在の大学は、研究面及び教育面、その両面で真価が問われ始めております。
現在、かつての国立大学においては、強い大学が弱い大学を吸収し始めています。ここで強いとか弱いとか語弊があるかと思いますが、あえてそう表現させてもらいました。
私立の四年制大学の約四〇%は定員割れを起こしています。かつては安泰といわれていた病院も銀行も大学も、厳しい競争原理にさらされているわけであります。大学もまさに戦国時代を迎えております。中には受験のための宿泊費を出すところ、あるいは入学金をゼロにしている大学もございます。学生にとってみれば、先ほどもお話がありましたが、全入時代を迎え、特に選ばなければどこかの大学に必ず入れる、そういった時代がやってまいります。
私は、これらのことから、東京都の大学が新大学として生まれ変わり、生き残りをかけて必死で改革に取り組もうとしていることに関しては大変評価をしております。ただ、改革であるがゆえに情報が少なく、先が見えないことに対して、間違った情報が流れたり、あるいは憶測で物をいったりすることがないように、我が党を初めとして都議会においてさまざまな角度から議論をしてきたところであります。
先ほど報告があったように、首都大学東京の設置については文部科学大臣から認可を受けたところであり、平成十七年四月の開学に向けて、首都大学東京を本当に大都市東京にふさわしい大学、また都民から愛され必要とされる大学としてつくり上げていかなければなりません。
ところで、近年、都民の生涯学習に対するニーズであるとか、社会人のリカレント教育やキャリアアップ教育に対するニーズは非常に高まってきております。首都大学東京が真に都民から必要とされる大学になるためには、こうした都民や都で働く社会人のニーズにこたえ、多くの方々がさまざまな知識を得ることができる場と機会を提供していくべきと考えます。見解をお伺いいたします。
○大崎参事 東京都の設置する大学といたしまして、都民や都内で働く社会人のニーズにこたえ、首都大学東京の有する知的財産を還元していくことは、社会的な要請であり、首都大の使命であると認識しているところでございます。
そのため、首都大学東京ではオープンユニバーシティーを開設し、都民等の生涯学習ニーズやリカレント教育、キャリアアップ教育へのニーズにこたえてまいりたいと存じます。
○野上委員 都民や都で働く社会人のこうしたニーズにこたえていくためには、大都市東京だからこそ提供できるといった内容面の充実と、都民が利用しやすい環境の整備が非常に重要であります。
オープンユニバーシティーでは、これらの点についてどのような配慮をしていくつもりでしょうか、見解をお伺いいたします。
○大崎参事 内容面につきましては、首都大学東京の講師陣が日ごろの教育研究成果をわかりやすく解説するとともに、都の芸術文化施設や研究機関等との連携による系統的かつ多様な講座の提供に努めてまいります。
また、都民が参加しやすいよう、環境の整備につきましては、首都大学東京の各キャンパスや都の関連施設等も活用しつつ、受講生の利便性確保に十分配慮してまいります。
○野上委員 首都大学東京にはさまざまな分野で活躍している教授等がおります。そういった人たちの教育研究成果をわかりやすく都民に伝え還元していくことは、都民生活を豊かにする上でも非常に重要であり、ぜひ積極的に取り組んでもらいたいものです。
次に、首都大学東京の学生支援についてお尋ねいたします。
大学教授が自分の研究には熱心だけれども、授業には熱意がなかったり、創意工夫がないということは最悪な状況です。十年一日同じ講義をしているなどはもってのほかだと思います。教員は学生のために存在するわけですから、教授法を工夫したり、授業をできるだけわかりやすく興味深いものにし、自分の教授がどれだけ学生に身についているのか、確認する義務があります。
また、オフィスアワーの充実、つまり教員が学生の個人的な相談や質問、指導に当たる時間の確保、あるいはシラバスの完成度なども求められていると思います。シラバスなどは都立高校などにも取り入れられているようですけれども、年間学習計画の手助けとなり、より充実させることが大事だと感じております。
学生が大学における学生生活を豊かなものとしていくためには、教育面での充実のほかに、学生時代でなければ経験することのできないさまざまな活動がいかに充実して送れるかにかかっているといっても過言ではありません。特にサークル活動は学生の課外活動における最も重要なものの一つであり、サークル活動を通して得るさまざまな経験や友人は、学生がその後社会で生きていく上での貴重な財産であるといえます。私自身、大学ではワンダーフォーゲル部に入って、山登りをするために、日常生活では毎日きついトレーニングをしておりました。同じ部活で一緒に苦労も喜びもともに経験して、同じかまの飯を食うという言葉がありますが、友情や信頼などをはぐくんでいき、学業とは違った角度で社会に出たときの人間味を増す部分だと感じております。
首都大学東京は、現在の都立の大学としばらくの間、同一のキャンパス内で併存することになりますけれども、その際のサークル活動はどのようになるのでしょうか。例えば、府大戦などへの参加に関してはどのようになるのでしょうか。
○紺野参事 現在、学内で行われているサークル等の活動が、学習活動と並んで学生の人生にとってかけがえのない貴重なものであることは、委員ご指摘のとおりでございます。これまでの長い伝統に支えられた現大学生のそうした活動は、法人化後も継承されてしかるべきものと考えております。私どもといたしましても、サークル等の活動が今後も継続発展することを願っており、支援を続けていく考えでございます。
ちなみに、十七年度の新入生については、現在のサークル等に入ることも、また、施設の面など一定の物理的な制約はありますが、新たなサークル等をつくり登録することも可能とする方針でございます。
なお、お話のありました府大戦、大阪府大との定期戦につきましては、十七年度もこれまでと変わらず開催されることとなっており、法人としても従前と同様の取り組みを行っていく予定でございます。
○野上委員 府大戦については、十七年度もこれまでと変わらず開催するということで、法人としても従前と同様の取り組みを行っていくという確認がございました。
今、サークル活動という一例を挙げてお尋ねしたところではありますけれども、学生が日々のキャンパスライフを円滑に送るためには、大学側として学生支援の充実が不可欠であります。特に首都大学東京と現在の都立の大学はしばらくの間併存するわけであり、現大学の学生と新大学の学生に対し適切に学生支援を行っていかなければならないと思います。
そこで、お伺いいたしますけれども、平成十七年四月以降、首都大学東京ではどのような形で学生支援を展開していくのでしょうか。
○紺野参事 学生支援には、大きく分けて学生生活にかかわる部分と学習に密着した部分とがございます。現在の都立大学を例にとりますと、これらに対する支援を学生部、教養部各学部事務室等で担っておりますが、案件によって学生が訪ねる建物や部署が異なるなど、必ずしも学生にとって効率的とはいえない状況にございます。
そこで、新大学がスタートする十七年度からは、これらの支援を可能な限り一カ所で迅速に行えるよう、南大沢キャンパスに学生サポートセンターを開設いたします。学生サポートセンターでは、履修相談を初め課外活動、就職支援などからさまざまな証明書発行などまで、学生が充実したキャンパスライフを送るためのサービスを、いわゆるワンストップサービスとして提供することといたしております。
さらに、学生からの要望や提言を受け入れ、その機能を向上させていく仕組みについても検討しているところでございます。
○野上委員 すべての相談をワンストップで行っていくというお話がございました。
勉強熱心な学生さんからは要望がございまして、図書館を日曜日にも開館してほしいという意見が寄せられております。国立大学でも約半数以上開館しているという実態があります。利用者との兼ね合いもあるので、ある程度の期間を実験的に試行してみてはどうでしょうか。これは提案です。
余りにも利用者が少ないようであれば、この人件費とか光熱費も余分にかかりますので、開館するということは難しい面もあると思いますが、かなりな人数の人たちが利用する、利用状況が大変よければ開館するということに踏み切ってはどうでしょうか。日曜日も勉強したいという勉強熱心な学生さんもたくさんいらっしゃると思いますので、ニーズの高さによって開館を検討する、そういった観点からぜひ図書館を日曜日にも開館をするということを検討してみていただけないでしょうか。
○紺野参事 図書館の日曜開館についてのお尋ねですが、首都大学東京の図書館のあり方については、現在さまざまな側面から検討を進めておるところでございます。
今の日曜開館の件につきましても、今後、学生からの要望等も十分分析しながら、今後の課題の一つとして、あわせて検討してまいります。
○野上委員 首都大学東京は日曜日も図書館が開いているよ、大変勉強熱心な学生たちがあふれている、これも魅力のある大学の一つの効果になりますので、ぜひしっかりと検討していっていただければと思います。
卒業生が、卒業して数年経たときに、この大学を卒業して本当によかったと思えるような大学になるかどうか、勝負の分かれ目が今だと思っております。新大学並びに現大学の学生に対する学生サービスのさらなる充実など、学生支援に積極的に取り組んでいってもらいたいと思います。
首都大学東京の開学まで残り半年です。設置認可がおりた今日、首都大学東京の魅力を広くアピールし、これから大学を目指す多くのお子さんやその保護者の皆さんに知っていただくことが非常に重要でございます。現在は情報が少ないという声が多く聞こえてきておりますが、魅力ある大学であるということを積極的にアピールしてほしいと思います。
そこで、お伺いいたしますが、都は、首都大学東京の具体的な内容についてどのように周知を図っていくのでしょうか。
○紺野参事 委員ご指摘のとおり、受験生やその父母の皆さんに対する周知、PRは非常に重要であると認識しております。都としても、大学説明会の開催や受験雑誌への広報掲載を初め、受験生向けの進学ガイダンスへの積極的参加、首都大学東京のホームページの立ち上げなどにより、首都大学東京の持つさまざまな魅力のさらなる周知、アピールに努めてまいります。
○野上委員 多くの学生さんたちは、特にホームページをごらんになっていろいろ検討することが多いので、ぜひ魅力あるホームページ、ユニバーサルデザインに基づいたようなホームページとかを立ち上げていただければと思います。
先ほどもいいましたけれども、国立大学が独立行政法人化し、大学の新設、または既設大学の学部及び学科増設、または組織再編成には規制緩和がなされてきております。競争力のない大学は自然淘汰されて、どんどんつぶれていく時代になってまいりました。大学関係者の方々も、大学の生き残りに対する危機意識を持っていなければ勤務できない時代になってまいりました。
最後にお伺いいたします。大学教授の採用、昇任、配置など教員人事を今までは教授会が行ってきた経緯がありますが、教員選考委員会、人事委員会にこれをすべて任せるようになるのでしょうか。また、教員選考委員会には外部委員の参画を図りながら、公平公正に決定されるようにすべきでありますが、その点はそうなっているのでしょうか。
○宮下参事 公立大学法人になりますと、地方独立行政法人法の適用を受けることになるわけでございますが、この法律では、経営に関する重要事項につきましては経営審議会、それから教育研究に関する重要事項につきましては教育研究審議機関で審議する、こういうことになってございます。
教員人事につきましては、経営と教育研究にまたがる事項でございます。例えば、何人教員を採用するかというようなことは、人件費がどのくらいかかるかというようなことにも関連しますので、経営の重要事項というふうに考えられますし、個別のどういう人を採用するかということにつきましては、その人がどんな専門知識を持っているかという審査をするというようなこともありますので、教育研究に関する事項というふうにもいえるわけでありまして、したがいまして、教員人事は経営と教育研究にまたがる事項ということで、両審議機関のもとに経営と教学双方を構成員といたします人事委員会を置くこととしてございます。
人事委員会で法人全体の人事方針、計画を策定いたしまして、その人事方針、計画に沿いまして、教員で構成される教員選考委員会におきまして具体的な採用、選考を実施していく予定でございます。教員選考委員会の構成員といたしましては、首都大学東京のそれぞれの分野の先生にもちろん参加していただくわけですが、外部の教員も加えて人事の公平性、公正性を確保していきたい、このように考えているところでございます。
○野上委員 教授と学生が麗しい師弟関係の中で学問に磨きがかけられ、学生同士は切磋琢磨し深め合っていける、ゆったりとした時間の流れの中で思索のときを奏でていける、思索し、積み重ねた研究成果を都民に還元できる、そんな大学であってほしいと望んでおります。
開学まで残された期間はわずかでありますけれども、首都大学東京は都民の血税を使ってつくられた都民のための大学であることを常に念頭に置き、教育内容のさらなる充実など、開学に向けた準備に万全を期すことを要望して、この質問を終わります。
以上でございます。
○曽根委員 何点かこれまでの質問者とダブった点がありますので、そこは割愛しながら、必要最小限の質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、先ほどの五つの留意事項の質問がありまして、その受けとめについては答弁がありました。同時に、非公開、非公表というんですか、他の意見が三つあったと報道されています。その内容について答弁を聞くと、必ずしも批判的でないような表現がされておりましたが、これについては既に新聞報道があって、第一には、教養という普遍的性格を持つ言葉に、都市という限定的な語を冠することに違和感を覚える場合もあると指摘した上で、開学に先立ち学部・学科の名称を再検討することを妨げるものではないという、ちょっと複雑ないい回しですが、都市教養学部という学部名については、開学に先立って再検討することも考えたらどうだいというようなニュアンスかなと思うんですが、そういう意見があった。
また、教育研究の質を担保するには、教員の意欲、モラルの維持向上を図ることが必要として、都側に教職員が一致協力して開学準備に当たる機運の醸成に努めるよう求めた。これは、当然ながら今までの大学教職員の方々と管理本部とのさまざまな形でのこの間のやりとりや、そこに生まれた不信感、そういったものを踏まえて、これを解決する努力は大学管理本部側に求められていると思うんですね。
さらに三点目として、大都市における人間社会の理想像の追求という首都大学東京の大学の理念についても、さまざまな学問的アプローチが必要だというような認識が示されたというふうに報道されています。均衡のとれた教育研究体制の構築を進めるべきだという意見のようです。
これらについては、非公表ということだそうですが、報道されている今、私が読み上げたようなことは事実なのかどうか。そして、事実だとするならば、これはかなり管理本部が進めてきた首都大学東京の基本的な構想、根幹にかかわる批判的な意見が含まれているというふうに見ざるを得ないと思うんですが、事実かどうかと、意見についての受けとめをお聞きしたいと思います。
○紺野参事 その他の意見ということに関するご質問かと思いますが、これについては、先ほどもお答えいたしましたが、大学設置審議会の場でそのような意見があったことを伝達するという性格のものでございまして、認可の条件等ではございません。
その上で、今回伝えられたその他の意見は、都市教養という新たな概念が幅広く理解されるよう努めること。教員の意欲、モラルの維持向上のための環境整備に努め、設置計画を円滑に履行する体制を確立維持すること。新大学の使命である大都市における人間社会の理想像の追求のために、学問分野の均衡のとれた教育研究体制の構築に努めること、この三つでございまして、これらはいずれも首都大学東京がさまざまな新しい取り組みをしようとしていることに対して、それが円滑に機能するようにとの見地からのものと私どもは受けとめております。
○曽根委員 それでは、新聞報道でかなり詳しく、かぎ括弧までつけてその意見についての文言を引用しているんですが、例えば開学に先立って学部・学科の名称を再検討することもあるじゃないかというような趣旨のことがいわれたというんですが、これは事実と違うんですか。
○紺野参事 私どもに伝えられているその他の意見の中には、そういった表現もございます。
○曽根委員 時間のあれがありますので、最初からそういう表現があったということを認識しておられるなら、先ほど私がわざわざ報道記事を読み上げたわけですから、そういう意見があったとその場で答えていただきたいんです。これからそのようにお願いします。
こうした批判的な意見もあったということを踏まえて、しかし、開学には何の支障もないということで済まされるんでしょうか。都市教養というあいまいな名前をつけたことが、今後の首都大学のあり方そのものについて、やっぱり社会的評価を下げるんじゃないかという懸念があるからこそ、設置審議会はこういう意見を付したんだと思うんですね。このことをちゃんと踏まえないと、スタート後にも大きな批判または混乱を招くことになりかねないということを申し上げておきたいと思うんです。
具体的に今起きている事態について質問していきたいと思うんです。
この認可がおりる前後、既に受験生は来年の大学を決めるということと受験の準備に入っているわけで、それに当たって当然参考にされる各受験産業の難易度ランキングや偏差値、こういうものを見ると、私たち、別にこの偏差値が絶対的なものとはもちろん考えておりませんが、それにしても、今まで都立大の、例えば人文学部が偏差値六九とされていたものが、首都大学東京の都市教養学部は偏差値六〇と。九ランク落ちますと、本当に大学のトップクラスから真ん中ぐらいまですとんと落ちてしまうわけですね。これはベネッセの難易度ランキングですけれども、これが社会的評価として一つ出ているわけです。したがって、もちろん風評というようなこともあるでしょう。中身はまだこれからなんですから、首都大学は。しかし、こういった問題を克服して、やはり全国から優秀な学生が受験してくるというふうにすることは、都立大の今までの実績から見ても相当頑張らなければならないということだと思うんですよ。
そのために何が必要かという点で、もちろん都立大学の今まで積み上げてきたものをきちんと継承すべきだということは、私たちさんざんいってきましたので、これはぜひお願いしたいんですけれども、同時に、優秀な受験生が首都大学を新しく受験するとすれば、やっぱり都立大学から生まれ変わった大学としても選んでくれるようにするための努力が必要だろうと思うんです。
先ほど授業料の話が出ました。昨年、法科大学院を新たに設置する際に、法科大学院の授業料を国の方の法科大学院よりも若干下げて学生を募集したわけです。したがって、先ほどの話では、恐らく今も国立と同じですから、現行維持とすれば、国の方の独法化された国立大学と授業料を同じに設定するということが今相談されているようですが、私は、思い切って法科大学院をつくったときと同じように少し下げてでも、やはりそういう面からも多くの受験生が受験しやすくする。高額所得の子弟でなければ私学などはなかなか受けられないという中にあって、公立大学のよさと魅力という点では、やはり授業料が、だれもが入りやすいという点では、下げることがあってしかるべきだと思いますが、そうしたことは今後の検討の中に全くもうあり得ないのか、それとも何らかの検討の余地があるのか、いかがでしょうか。
○宮下参事 授業料につきましては、先ほどご答弁申し上げたとおり、来年度につきましては、現行と同じ水準ということに経営準備室調整会議で方針を確認しているところでございます。
もっと下げたらどうかというお話ですが、昨年の法科大学院につきましては、ほかの大学院が五十二万八百円と学部と同じという中で、法科大学院については、コストもかかるということでそれより高い水準なんですが、それは、ほかの国立大学より上げ方が少なかったということで相対的に低くなったわけですが、現行の水準を下げたわけではございません。少なくとも来年度の授業料については現行水準ということでご理解をいただきたいと思います。
○曽根委員 私は、あくまでこれは相対的な問題として申し上げているんです。確かに、法科大学院をつくるときには、大学院は学部の授業料よりも全体的に上げたわけです、国の方も。しかし、東京は上げ幅を下げて、相対的には低くしたわけです。それはやはりそのときの事情があったわけですね、繰り返しませんけれども。大変混乱した事態があった。そういう中で、受験も出おくれたわけですけれども、高い倍率になりましたね、結局。やはり私、授業料を下げたということが、効果なしとしないと思うんです。
少なくとも優秀な学生を集めるためにできることは何でもしようと思えば、せっかく独法化したということのメリットを生かすのであれば、自分で決められるんですから、授業料を思い切って下げて募集するというぐらいの思い切った手を打たないと、全国と競争し合うというのか、伍して受験を成功させるということは難しいんじゃないかと率直に申し上げたいと思うんです。
それから、あわせて、大学院の授業料といいますか学費についても、私は検討していいんじゃないかと思うんです。というのは、文化系の学科などでは、今でも公立よりも私立が安い場合があるわけです。今度は、法人化された場合、そういう意味では文化系の学科の大学院などについては調整できるわけですので、私学などとの均衡なども考えて、公立のよさということで思い切って考えていいんじゃないかということを申し上げておきます。
先ほど、学生のサークル、そのほかの活動やスポーツなどでの府大戦の位置づけなどについては質問がありましたので繰り返しませんが、私、大変残念なのは、この夏に出された管理本部のパンフレットには、学生のそうした活動については一切載っていなかったということなんです。これは別に載せてもいいんじゃないかなと思うんですが、あれだけ立派なオールカラーのパンフレットをつくりながら、学生のサークル活動は何一つ載っていない。その前の年までを見ると、ちゃんと都立大などの受験生向けのパンフレットには載っているんですね、サークル活動が。こういうところは直ちに是正していただきたいということを申し上げたいと思います。
次に、大学院についてですが、来年度の大学院は、現在の形のままで新大学の大学院となるということが既に決まっていますが、その翌年度、平成十八年度の大学院の新たな構成が今検討されて、中間まとめの段階まで来ているというふうに聞いています。
率直にお聞きしたいんですけれども、新しい大学で、先ほどもいいました都市教養学部というような、私は学問的に極めてあいまいな概念だと思いますが、それに対応するような研究課程を、例えば都市教養研究科というようなものを新大学の大学院として設けるつもりがあるのか。もし違うとすれば、どういう研究科を新大学の四年制を卒業した後の都市教養学部に対応する研究科として設置しようと考えているのか、その点についてお聞きします。
○紺野参事 大学院のあり方につきましては、この間、教学準備会議のもとに、原島文雄東京都専門委員を座長とした大学院検討部会を設置し、現大学教員もワーキンググループに多数参加して新大学院等の構成の検討を進め、過日、大学院構成や特色等を中間のまとめとして取りまとめたところでございます。
この新しい大学院構成は、大都市における理想像の追求を実現し、時代の要請に応じた魅力的な教育研究を推進するとともに、学部との接続性や機動的、弾力的な運営の実現にも配慮したものでございます。
現在考えております研究科は六つございまして、人文科学研究科、社会科学研究科、理工学研究科、都市環境科学研究科、システムデザイン研究科、人間健康科学研究科の六研究科でございます。都市教養研究科というものはつくる予定はございません。
○曽根委員 現大学の先生たちも入っていろいろ検討した結果、やはり都市教養研究科というものはつくるという結論にならなかったということは、いろんな事態がありながらも賢明な一つの判断が出たんだと思うんです。そのかわり、今度の首都大学ではつぶされてしまう人文科学とか社会科学など、都市教養の中に編入されてしまうものですが、それぞれは独立して三つの研究科にするということらしいので、私はここにも、いろいろ議論を重ねていけば、都市教養学部というものが、首都大学の四年制の間だけといっても、一たんそういう形でくくってやりながら、大学院といういよいよ学問のそれぞれの専門に行くという段階になれば、それは成り立たないということがはっきりしてきていると思うんですね。
そういう点からも、先ほど設置審の指摘もあったように、都市教養学部なるものの名称や構成については根本から考え直すべきだということを、この点からも申し上げておきたいと思うんです。
そこに進んでいく大学院生の人たちにとって今一番心配なのが、自分を現に大学院で指導している、もしくは、四年生ぐらいになると指導教官がいるわけですね、その方がどういうポストに置かれるのかということによって、自分がちゃんと指導を受けて大学院を無事卒業し、マスターやドクターになれるのかどうかということだと思うんです。
何しろ、今度、教員の人たちは、今都立大学の学部としてのポストがあり、同時に大学院としての先生のポストがあり、二またをかけているわけです。中心は大学院の方だというふうに聞いていますけれども。そしてさらに、新大学がスタートすると、そこに移る先生については、新大学の大学のポストがあり、新大学の大学院のポストも再来年からまたできてくる。四つのポストが一人の先生によってかけ持ちになるわけです。
そして、それぞれのポストについて、もしその先生が何年か後に他の大学に転出したり退官した場合には、四つのポストのどれに後がまを据えるのかということが私は問題になってくると思うんです。どこを中心に考えていくのか。新しい大学のポストを中心に考えるとすれば、旧都立大学の学生に指導してきたその先生の専門分野はどう生かされるのかということが問題になる。何しろ学部の構成が全く新大学は違いますから、そういう意味で非常に難しい話になってくると思うんです。そこが最大の学生、院生の不安なんですね。
そこで、一点だけお聞きしますけれども、既に設置審議会で新しい大学の学則というものも承認されたようなのでお聞きしたいんですが、大学院生について、今指導教官がいて、その方が他の大学に移った場合、今の制度でも、何でも他の大学に移った先生であっても指導教官としての実質的な指導が続けられるように、副次的なポストを与えて、現都立大学の方に戻ってきて指導を続けることができるような制度があるそうなんですね。こういう制度はせめて維持しないと、本当に後がまを据えられない、つまり、研究指導の担当がいなくなってしまうという学生、院生がぞろぞろ出てきてしまう危険があるんですが、こういう制度は少なくとも維持すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○紺野参事 例えば、お話しの指導教授が転出した場合の学位論文の審査等の問題があろうかと思いますが、学位規則、これは旧文部省の政令でございますが、第五条では「学位の授与に係る学位論文の審査に当たっては、他の大学院又は研究所等の教員等の協力を得ることができる。」と規定されておりまして、こういったことも活用しながら、現大学が存続する間、教育保障の一環として論文審査等が行われるよう努めてまいります。
○曽根委員 今のお答えは、これまで都立大の中で行われていた学位論文審査における他大学転出後の先生の役割というのも今の制度で維持できる見通しがあるということでよろしいんですね。改めて。
○紺野参事 そのように努めてまいります。
○曽根委員 それはぜひお願いしたいと思うんです。これでもって、先生がやめるたびに、その先生と一緒に優秀な研究生、ドクターコースの人たちがぞろぞろとその先生について大学を去っていくというような事態、本人にとっても極めて不幸な事態になりますし、都立大学から首都大学に移ったために、優秀な先生ももちろんだけれども、院生もいなくなっちゃったというようなことがないようにやっていただきたいと思うんです。
それから、入試準備を含めてこれから膨大な実務があり、しかもおくれているわけですね。ほかの大学では大体夏休みぐらいに試験問題はできているというふうに聞いていますので、大体二カ月おくれぐらいと見ていいんじゃないでしょうか。これから急ピッチで準備を進めることになると思いますが、しかも、新大学設立に伴う研究室の移動や事務の新しいやり方になるわけで、膨大な煩雑な実務が伴ってきます。
いずれにしても、通常以外の人と予算が必要だと思うんです。今でも教員、職員、ぎりぎりの現状ですから、このままの体制でこの作業に突っ込めば、過労死も出かねない事態だと思います。これは冗談抜きで本当に大変なことになります。したがって、来年度に向けての関連予算の増額を前倒しで確保しなければならないと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○宮下参事 新大学の開学に向けた経費につきましては、平成十六年度の当初予算において措置しているところでございます。
○曽根委員 私も当初予算を見たんですけれども、大したことはないわけですよ。これは、既に七月に設置審が行われて、その時点で認可がおりるだろう、つまり、通常の入試準備でいけるだろうというふうに見通した段階での予算なんですね。しかし、実際には二カ月おくれの認可となって、入試の準備はこれからですし、しかも、入試問題の作成に当たるべき現都立大学などの先生の中に非協力の方もいるわけです。これは現実問題としてあるわけです。だから、入試問題をつくる先生も限られてしまうということになるわけですね。
ですから、そういう意味では臨時のスタッフや予算も必要だと思うので、私は補正予算を組んでもいいぐらいだと思っているんですよ。少なくとも来年度予算で新大学発足に当たっての十分な予算を確保するということが必要ですが、いかがでしょうか。
○宮下参事 当初予算で開学に向けて準備をする努力をしていく所存でございます。
○曽根委員 何だか判じ物みたいな答弁で、もうこれ以上やりませんけれども、本当に過労死などが出ないようにちゃんとやっていただきたいということを強く申し上げておきます。
こういう中にあって、いよいよ新しい大学改革を、本当に都民の納得できる、また学生、院生や先生たちが合意できる内容で進めていくということのために、やはり協力し合う体制をつくっていかなければなりません。したがって、今後新たに、例えば先生たちのまだ合意されていない任期制の導入とかを何が何でも開学に間に合わせるとか、こういうことを持ち込めばまたまた混乱を深めることになりかねませんから、私は、例えば労使間での合意に至っていない問題、また、大学の先生たちと管理本部の側でまだ積み残されている問題については、現状で新たな条件の変更その他を持ち込まないでやっていただきたいということを申し上げたいんです。
特に三年任期の任期制の導入については、これはほかの大学の先生たちにとっても非常に重要な問題で、いってみれば、優秀な先生がそれによって集まるのならまだしも、ほかのどの公立大学を見てもとっていない制度なわけですから、都立大だけ首都大学になるときにそういう制度を導入すると、本当に敬遠されてしまうということになりかねません。
この間、法科大学院で欠員が出て、憲法の先生を募集したようですけれども、去年、システムデザイン学部ですか、そのときと同じように、普通ならば、公立大学で有名大学ですから三けたの倍率があるのが当然のところを、極めて低い倍率しか出なかったという点では、もう既に多くの全国の教員から敬遠されつつあります。そういう点では、間違っても任期制の導入などは、開学に何としても間に合わせるというふうなやり方はとらない、やはり話し合いで解決していくという姿勢で臨んでいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○宮下参事 二〇〇七年に大学全入ということになりまして、これからますます大学間競争が激化していくわけでございまして、そうした状況を見据えますと、任期制、年俸制の導入は、長期的視点に立っても不可欠ではなかろうかと考えているところでございます。
既に来年四月から採用予定の教員もいるわけでございますが、この方々は任期制、年俸制を前提に応募していただいた方々でありまして、優秀な方々に応募していただいたと考えております。そうしたことから考えますと、任期制、年俸制を導入すると優秀な教員が集まらないということもなかろうかというふうに考えているところでございます。
○曽根委員 新しい方が優秀かどうか、私わからないので、何ともいいようがありませんけれども、これはあくまで、今教鞭をとっておられる先生方と管理本部側でまだまとまっていないのは事実ですし、新しい方はともかくとしても、新大学に移られる先生方の条件としては、これを無理押しすればまた新たな混乱になる、もう入試どころじゃなくなってしまうということにもなりますので、あくまで協議で解決というふうにしていただきたいと思います。
最後に、これだけはどうしても私はお願いしたいんですけれども、昨年来いい続けているんですけれども、院生、学生の人たち、または教員もそうでしょうけれども、大学管理本部に要望を出そうと思うと、いや、それはできないんだ、大学にいってくれということで、全部窓口は大学ということになっていました。さっきワンストップ相談というような話もありましたが、大学でいいですから、大学に管理本部の出先を置いて、ちゃんと細かいことも含めて、大学の先生が全部答えられるはずないんですから、ちゃんと学生の問い合わせや相談にこたえられる体制をとってほしいんです。
例えば、この間私の方に相談があったんですけれども、ごくごく簡単な、単純な問題、例えば学生に学位を与えるのはだれなのか。それは教授会なわけですけれども、教授会が新しい大学にちゃんと組織として残るかどうかさえわからない、だから、学位がだれからもらえるのかわからないという質問を出したっきり、これは本部にも行っていると思うんですが、一カ月も返事が来ない。こんなこと、私が聞けばすぐ答えが来るわけです。
こういう単純な問題も含めて、もっと複雑な問題がいろいろあるでしょうから、これは先生だけで対応できないのははっきりしているので、大学に出先を置くのが、院生、学生やその関係者にとって一番便利だと思いますから、そういうところに、相談なり、これからいろいろやっていく上での必要な、場合によっては交渉もあるでしょうし、そういう窓口を置いて責任ある人を配置していただく。これぐらいは、これから開学に向けて一生懸命やっていこうというのであれば、大学関係者の協力を取りつけるためには必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。
○紺野参事 学生への説明は、学生の教育に直接責任を負っている、また学生の事情を熟知している大学が行うこととしております。今後とも、大学管理本部と各大学が密に情報交換を行いながら、大学を窓口とし学生への対応に当たってまいります。
○曽根委員 もう何もいうことはないという感じの発言。こんなもので本当に大学改革を語る資格があるのかなと思うような答弁でしたが、そんなことでは、せっかくまじめに新大学にもついていってやろうと思っている先生たちや優秀な学生さんや院生なんかは本当に失望しますよ。そんな門戸を閉ざしたような態度でいつまでもやっていたら。
最後に、村山新本部長に、余り細かいことを聞いても何なんですが、一昨年ですか、国会で独立行政法人法が成立する際に、衆議院でも参議院でも、大学の自治、そして学問の自由については尊重するということが附帯決議で、これは全会一致で決議されました。これはもうごく基本的なことなんですが、改めて、新大学をつくるに当たって、この衆参の国会決議を尊重して運営していくということを本部長としてお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○村山大学管理本部長 いずれにいたしましても、九月三十日付で設置認可がおりるという事態でございます。これまでさまざまな形で新大学の設置についてご議論があった。いろんな立場の方が大学にもいらっしゃって、学内にもいらっしゃって、いろんな議論があって、それはそれとして貴重なことでございました。それを踏まえて九月三十日に認可がおりた。
これからあと半年、実際には、来年四月に開学をしても、それから後が大学改革のいわば本番ということになるわけでございまして、そういう意味で、先ほど来先生方からご議論があるように、本当にこれからの時代を生き抜いていって、国民、都民のためになる大学にしていくというのは大変なこれからの課題だというふうに思っております。そういう意味で、衆知を結集して私どもも頑張っていきますし、大学の教員の方々の意見にもよく耳を傾けて頑張っていきたいと思っております。
そういう意味で、これまでいろいろあったかとは思うんですけれども、ぜひとも、新大学をいい大学にするという観点で、建設的なご議論を引き続きよろしくお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○山口委員 私の方からもダブっているものは少し割愛させていただきますけれども、留意事項の1に「統合の趣旨・目的等」と表現されているように、今回は四つの大学が土台となってつくられる新大学として、設立準備の進め方について言及したものだと思います。いまだに開かれた協議が不十分だという声が聞こえてきていますけれども、これから開学までどのように進めていくつもりなのか、伺います。
○紺野参事 今お話のございました留意事項の1でございますが、これは首都大学東京に限って留意事項が付されたというものではございませんで、大阪府立大学、広島県立大学にも全く同じ文言の留意事項が付されております。
都立の大学における統合の趣旨、目的とは、大都市における人間社会の理想像を追求し、東京都が設置する大学としての特色を明確にすることと認識しております。この趣旨が実現されますように、既に西澤学長予定者を中心に、教学準備会議やそのもとに置かれた各部会、ワーキンググループ、準備組織において、新大学に就任する教員全員が参加する形で開学に向けた準備を進めております。また、教学準備会議においては、現大学の総長、学長も出席することで現大学の意見も反映するとともに、会議での配布資料を助手を含めた全学の教員に周知するなど、情報の公開に努めております。
今後とも、来年四月の開学に向け、引き続き教職員一体となって万全の準備を進めてまいります。
○山口委員 今後は具体的な事項について進めていくということなので、幾つか伺いたいと思いますけれども、何点か既に出ているところは省きますので、最初に定款等についてですが、案が出されていると聞いておりますが、それについてさまざまな要望が出ているとも聞いております。どのような内容か伺います。
○宮下参事 定款につきましては、まだ案の段階まで行っておりませんで、たたき台という形で七月の経営準備室運営会議において出させていただいたところです。そのたたき台のもとにいろんなご意見をちょうだいした上で最終的に案を固めていこう、こういう趣旨で出したものでございまして、各大学からは種々意見が出されているところでございます。主な意見は、法人の目的、役員会の有無について、副理事長について、学長選考会議の選考方法についてなどでございます。
今後、この定款につきましては、法人設立認可の際に総務省、文科省に提出する必要がございますので、総務省、文部科学省に事前協議をいたしまして、そこでの指摘も踏まえて定款案を作成いたしまして、第四回定例都議会に付議する予定でございます。
○山口委員 今回、独立行政法人になるというところで、理事長と学長に権限が集中して、トップの独断で物事が決定されていくようなことになるのではないかとの声もありますが、いかがでしょうか。
○宮下参事 地方独立行政法人法に規定がございまして、経営の重要事項については、経営審議会の審議を経て理事長が決定する、それから、教育研究の重要事項については、教育研究審議機関の審議を経て学長が決定する、こういう仕組みになってございます。
○山口委員 最後に二点伺いますが、現大学の学習環境なんですけれども、これまで大学管理本部は現大学生の学習環境は保障すると説明されてきましたけれども、来年度以降、都立大の昼夜間開講制や少人数教育を初め、現大学の学生が入学時に約束されていた学習環境は本当に保障されるのか、伺いたいと思います。
○紺野参事 現大学の学生さんたちの学習環境は保障してまいります。
○山口委員 また、学生が教員に質問をしたい場合などに研究室などを訪れることもあると思うんですけれども、こういった研究室はこれまでどおり維持されるのでしょうか。
○紺野参事 研究室については、今後の学部の円滑な運営や教員数の変化などを十分考慮しながら、適切に対応してまいります。
○山口委員 留意事項ですとかその他意見が付されたということは特段珍しいことではないし、またこれが、開学に向けて何の支障も起きないということですけれども、再三いっているように、開かれた協議が不十分だとか、新大学への新しいシステムの導入などについては批判の声もかなりある中で、やはりもう少し真摯に受けとめていただきたいと思います。
それから、学生さん、院生の人たちが大学管理本部に質問文を提出しても、今までもずっとそれが戻ってこないということで、個々人の大学生に管理本部が一つずつ答えていっているというのであれば、こうしたある程度まとまった学生が質問として出していることに関しては、忙しいとはいえ、どれだけの時間がとられるのかと思いますので、ぜひそういったことにもきちんと対応していただきたいということを要望しておきます。
終わります。
○福士委員 私も最後の方ですので、大分質問もダブってまいりますのでそれは落としますが、先ほど前の委員の方の質問に対して、今年度の開校二百六十一校の六七%に留意事項があったというお話でございましたけれども、この二百六十一校というのは、法科大学院も含めての数字なのか、あるいは大学だけの数字なのか、ちょっと教えてください。
○紺野参事 法科大学院も含まれた数字でございます。
○福士委員 そうなりますと、留意事項は特段珍しいものではないというようなお話でございました。確かに留意事項はいっぱいついています、みんな。
二〇〇四年度開校予定大学の留意事項について私もネットで見ました。法科大学院の方なんですけれども、これは大学設置・学校法人審議会のデータですが、六十六校中十校は「特になし」です。残りの五十六校のうち三十九校が、都立大も含めてですが、採用予定の派遣教員を計画どおりに採用すること。中身と全然関係なくて、ちゃんと計画どおり職員は採用しなさい、約束したものは守りなさいということがほとんど主です。残りのものに関しても、中身についていっているのはほとんどなくて、年齢構成に隔たりがあるとか、教職員の人数の中の半分ぐらいが六十五歳以上だからとか、あるいは七十歳ぐらいに偏っているからみたいな、そういうことが多くて、都立大のものだけが「法律実務基礎科目の充実をはじめ、理論と実務との架橋により留意した教育課程編成にさらに努めること。」と中身に触れられていますね。
大学院は大体そんな感じですので、多くのところはほとんど事務的なことだと考えていいんだというふうに私は理解をいたしました。
それから、学校の方ですが、これは数字的にいうとかなり数が少ないので、全部じゃないと思うんですけれども、大方の傾向はわかると思います。
ここに、これは河合塾のものなので、十六校中、私立が十三校入っているんですけれども、半分の八校はやはり「特になし」です。その中で留意事項がすごく多いものについては薬科大があって、五項目ぐらいあるんですけれども、その五項目のうち、「「統合医療」の概念の明確化に努める」というのと、「自己点検・評価等について、さらなる実施体制の整備と確実な実施」をということのほかはやはり、実務実習の施設の問題とか教員の負担軽減のための適切な配置、あるいは学生の納付金についての額の抑制とか、事務的な問題が三つぐらいついているだけなんですね。
これは全国の学校ですから、私もよくわからない私立の学校にも確かに留意事項がついていまして、そこに大学の理念、設置の趣旨を明確にと書いてあるのは二校程度しかないんです。
これがすべてとは思いませんが、首都大についているような留意事項が、こんなに内容についてたくさん入っているところは、私、ほかはないんじゃないかなというふうに思ったんですが、いかがお考えでしょうか。
○紺野参事 留意事項の数が多く、また内容にわたっているというお話かと思いますが、首都大学東京は、他の大学が試みたことのない新たな試みを、さまざまなものを予定しております。単位バンクシステムでありますとか、都市教養学部あるいは都市政策コース、都市教養プログラム等々、非常に新たな、他大学でまだ行われていないものを試みようという、非常にある意味でチャレンジングな申請内容としております。
したがいまして、こういった新しい試みについて、他の大学でまだやったことがないという意味で未経験のものでございますから、当然、それが円滑にいくようにということから留意事項がいわば内容にわたってついたものと。私どもは、そういう意味では、新しい試みにチャレンジする一つの、言葉は適切かどうかわかりませんが、むしろ励みとして受けとめていきたいというふうに考えております。
○福士委員 大変結構なご答弁をいただきました。
私も新しい試みというのはすばらしいことだと思いますよ。だけれども、新しいから拙速であっていいというふうには思わないので、心配をしているわけです。新しければ新しいほど、人にきちんと伝えられる中身がなくちゃいけないんじゃないのかというふうに思います。
先ほど来、十七年度に統合、新設を設置認可した大阪府立大と広島県立大のお話が出ておりましたけれども、首都大の方は「関係組織間の適切な連携」なんというのが第三項目でも出ていますし、ほかの大学でももっといろいろな内容的な問題をいわれているのか、あるいは何項目ぐらい留意点があるのか。ざっとの内容もわかったら、それも含めてお答えいただけるとうれしいんですけれども、これはいかがですか。
○紺野参事 私ども、他大学の認可等に対して付された留意事項について、逐一、この大学はこういう留意事項がついたというようなことは調べてございませんので、基本的に目についたところはもちろん了解しておりますが、全貌といいますか、全体的なものを必ずしもつかんでいるものではございません。
○福士委員 よそばかり見ることはないですから、しっかりこっちがしていればいいかなというところではあります。
次に移りますが、今回、首都大の方では、新たな試みとして、東京都大学管理本部として単位バンクシステムというのを提案されました。この単位バンクシステムですけれども、以前の私の質問でも明らかになりましたように、都が考える単位バンクは、場合によっては、これは特殊なときだと思いますけれども、全単位を他校や他機関で取っても卒業できることになるわけですね。
留意事項では、単位バンクシステムや学位設計委員会等が円滑かつ有効に機能するよう努めることとありますけれども、具体的に、卒業認定について学位設計委員会や教授会などにおいてどのような問題が懸念されて、それが顕在化しないようにどういうような対応をとっていかれるのか、お伺いをいたします。
○紺野参事 卒業認定は学生教育に責任を持つ教授会が行いますが、特段懸念される問題は特にございません。が、学生の適切な履修の確保という意味から、キャリアカウンセラーの設置や個々の教員のオフィスアワーの設定など、学生の目的意識に沿った履修指導を行うとともに、科目登録委員会において客観的な評価基準を設定することを通じて適切な履修の確保に努めてまいりたいと考えております。
なお、お話のございましたすべて学外での履修というのは極端なケースでございまして、大学としてのアイデンティティーも必要ですので、一定の制限は必要かと考えております。
○福士委員 学外で全部単位を取ってしまったら、お金も倍というか、もっとかかるかもしれませんし、そんなことは現実にはないだろうとは思いますが、余り制限を緩やかにすることをうたい文句にしていると、それも可能といえば可能なわけで、ちょっと心配をしたわけです。
客観的な評価基準を設定ということですから、それはぜひやっていただかないと、個々の履修計画をつくるときにもそれぞればらばらな形で出てくるんだろうと思いますけれども、基本がなくて、AはこうでBはこうでなんてやっていると大変なことになると思いますので、評価基準はなるべく、余りばらつきのないように、かといって余り締めつけのないように、難しいところだとは思いますが、しっかり考えていただきたいと思います。
これからはちょっと確認だけさせていただきます。先ほどもいわれていましたけれども、普通なら学位の種類は、入るコースとか学科とか系とか学部で決まると思うわけですが、新大学ではコース等と学位の関係はどうなるのか、正式にお答えをいただきたいと思います。
○紺野参事 学校教育法第六十八条の二によれば、学位は大学を卒業した者に与えられることになっております。すなわち、一定の教育課程、単位取得を終了した者に学位が与えられることになります。
新大学の首都大学東京のコース制、単位バンク制においても、あらかじめ定めたコースの一定の教育課程を修了することで学位を与えるものでございます。
○福士委員 関連して確認いたしますけれども、都立大が存続する平成二十二年まで学部や大学院在籍者の身分は保障されている中で、博士課程の在籍者は当然のこととして、卒業者など学籍がない者でも、博士学位論文を出せば都立大としての学位は取れるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○紺野参事 都立大学等の現大学が存続する間、教育保障の一環として博士学位論文の審査を行うことになると考えております。
○福士委員 その程度の答えだったら、先ほども出ていましたけれども、学生の方から問い合わせがあったら、さっさとお答えを差し上げてほしいというふうに思います。
もう一つ確認、確認ばかりで済みませんが、平成二十二年まで都立大の学部、学科に対する研究費などの予算措置なんですけれども、新大学とは別に、学習保障権の観点からも当然されるべきだというふうに思ってはおりますけれども、その辺のところはどうなるんでしょうか。
○宮下参事 これまで各大学の予算というのは、東京都の予算として都議会の議決もいただきまして決めていたわけですが、来年度から法人化されます。法人化されますと、法人が獲得する財源の中で予算を組む。その財源の主たるものは、東京都からの運営費交付金それから授業料などでございますが、その限られた財源をどう配分していくかというのが法人の予算のポイントとなるわけでありまして、それにつきましては、正式に運営費交付金が幾らか決まった段階で、法人の準備組織であります経営準備室でその方針について検討を行うことになると思います。研究費もそうした観点に立ちまして、なおかつ、今年度、研究費配分をいたしましたが、その結果も検証した上で予算額を法人が決めていくということになろうかと思います。
なお、研究費につきましては、各教員の申請に基づき配分するということになりますので、新大学の研究費が幾らかとか、あるいは現都立大学の研究費、現科学技術大学の研究費が幾らかというような大学別の予算措置をする必要はなかろうというふうに考えております。
○福士委員 そういうことになるんでしょうね。ただ、学習権の保障あるいは研究の保障、そういうことから考えたら、都立大も並行して存続していくわけですし、今までも保障しますというふうにいってきたわけですので、ぜひ、新首都大優遇とならないように、平等な感覚で運営を望みたいというふうに思います。
最後になりますけれども、先ほども質問が出ていましたが、都市教養学部の名称とか教育理念の明確性に疑念を持たれているということがございました。今後、名称の変更などはなさらないというようなお話でございますけれども、理解されるだけの土台づくりはされたんでしょうか。その辺のところはいかがでしょうか。
○紺野参事 新大学の学部構成やその名称は、新大学の使命である大都市における人間社会の理想像の追求を実現し、東京都が設置する大学としての特色を明確に示すものとして、外部有識者等の意見を踏まえ決定したものでございます。
今後は、首都大学東京として特色を持った教育研究を推進するとともに、社会にもその成果を還元していくことで、都市教養学部という名称等が幅広く定着、周知されるよう努めてまいります。
○福士委員 能書きだけではなく実体として見せていくということは、私は大事なことだと思いますから、それはそれだけ努力をしていただきたいと思いますけれども、現時点で文科省に違和感が残るということでこの留意事項がついているわけですから、いかに新概念といえども、他者を納得させるだけの都側の認識がきちんとできていることが私は必要だと思うんです。奇をてらうばかりでなく、自己認識がきちんと整理されていれば、もう少し理解度は強かったんじゃないのかなと思いますし、これから、文科省だけじゃなくて、一般の人々あるいは学生たちに対してもそれを認識させていかなければいけないわけですから、きちんとした土台の構想は持っていっていただかないと困るかなというふうに思います。
それだけお願いをして、質問を終わります。
○石川委員 るる質問がございましたので、私からは二点について意見、要望を述べさせていただきたいと思います。
さきの第三回定例会、知事の所信の中で、知事は、首都大学東京が設置、認可される運びとなりました、独自の工夫を取り入れた新しい大学をつくり上げ、東京のシンクタンクとして機能させていくという表明がなされました。認可を受けまして管理本部も今後の予定を発表されまして、十月十六日に大学説明会を開催するといたしております。八月の説明会のときには、設置も認可されていませんでしたし、説明の中身また項目も非常に大ざっぱな説明であったと伺っております。
この知事の表明に即した大学、この大学がどんな大学なのか、この説明会できちっと説明がなされますように、そして、受験をする人々が感じておられる具体的な項目についてしっかりとした説明を行っていただいて、一人でも優秀な受験生といいますか、新しい大学を希望する受験生がふえるように努力をしていただきたいと思っております。
それから、二点目には、先ほどもちょっとありましたが、これから公立大学法人の設立に係る定款、条例、それから新大学の設置に係る学則及び大学院の設置に係る学則、これらが成案となるということでありますけれども、ぜひ、関係者の意見も十分聞き入れながら、よりよい成案が得られますように努力していただきたいことを申し添えて、終わります。
○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で大学管理本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時四十四分散会
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