文教委員会速記録第十四号

平成十六年九月十六日(木曜日)
第三委員会室
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長臼井  孝君
副委員長大塚 隆朗君
理事野上じゅん子君
理事山口 文江君
理事松原 忠義君
村上 英子君
福士 敬子君
山下 太郎君
石川 芳昭君
遠藤  衛君
山本賢太郎君
曽根はじめ君
樺山たかし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長山内 隆夫君
総務部長有留 武司君
都民安全対策担当部長脇  憲一君
広報広聴部長高西 新子君
都民生活部長高島 茂樹君
消費生活部長古川 芳久君
私学部長南雲 栄一君
文化振興部長山本 洋一君
文化施設改革担当部長花田貢市郎君
参事三森 生野君
参事杉谷 正則君
参事江津 定年君

本日の会議に付した事件
生活文化局関係
報告事項(説明・質疑)
・東京都情報公開・個人情報保護審議会の答申について
・東京都男女平等参画審議会の報告について

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名ですが、傍聴希望者が定員以上ございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、説明を聴取した後、質疑終了まで行いますので、ご了承をお願いいたします。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い生活文化局長及び幹部職員に交代がありましたので、局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。
 生活文化局長に就任されました山内隆夫さんをご紹介いたします。

○山内生活文化局長 去る七月十六日付をもちまして生活文化局長を命ぜられた山内隆夫でございます。
 委員長を初め委員の皆様方のご指導をいただきまして、生活文化局の所管しております事務事業が適切かつ円滑に推進できますよう、誠心誠意努力してまいる所存でございます。どうぞよろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
 引き続きまして、八月一日付の人事異動によりまして交代のありました生活文化局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 まず、総務部長の有留武司でございます。広報広聴部長の高西新子でございます。消費生活部長の古川芳久でございます。私学部長の南雲栄一でございます。文化振興部長 の山本洋一でございます。参事で都政情報担当の三森生野でございます。参事で心の東京革命推進担当の杉谷正則でございます。参事で男女平等参画担当の江津定年でございます。最後に、当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の中山正雄でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○東委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○東委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、東京都情報公開・個人情報保護審議会の答申についてを聴取いたします。

○三森参事 お手元にお配りしてございます東京都情報公開・個人情報保護審議会答申につきまして、概要によりご説明申し上げます。
 1は、提言までの経緯でございます。
 本答申は、国におきまして個人情報保護関連五法が成立し、官民を通じた個人情報保護法制が整備されたことを受けまして、都においても、法との整合性を図りますとともに、新たな社会環境に合った、個人情報保護制度の構築が必要であるとして、昨年七月、知事より審議会に、都の個人情報保護制度の基本的なあり方と都条例において改正すべき事項について諮問を行い、途中、都民意見の募集などを経て、本年七月に答申されたものでございます。
 2は、審議会答申の主な内容についてでございます。
 黒丸の一つ目でございますが、東京都が保有する個人情報の保護についてでございます。主な点は四項目でございます。
 一つ目でございますが、実施機関に都公安委員会、警視庁を加える。ただし、必要に応じて一定の例外規定を設ける内容でございます。
 提言本文の五ページをお開き願いたいと存じます。
 実施機関の拡大としてございます。
 都公安委員会、警視庁を実施機関に加えるのは適当であるが、警察業務の特殊性や全国的斉一性にかんがみ、警察責務の遂行に支障が生じることがないよう、一定の例外規定を定める必要があるとしてございます。
 概要版にお戻りいただきたいと思いますが、二つ目でございます。従来の開示・訂正請求権に加え、利用停止請求権を設ける内容でございます。
 大変恐縮ですが、また提言本文の一六ページをお開き願いたいと存じます。
 個人情報の開示・訂正・利用停止でございます。
 現行条例では、開示請求権、訂正請求権はございますが、利用停止請求権については規定がございません。利用停止請求権は、個人情報の不適正な取り扱いに対して利用停止措置を請求できる権利でございますが、これを新たに設けることが適当であるとしております。
 再度、概要版にお戻りいただきまして、三つ目でございます。職員情報を開示請求権等の対象とする内容でございます。
 提言本文の一七ページをお開き願います。
 現行条例では、職員の人事管理情報は、開示・訂正請求の対象から除外されておりますが、これを改め、これらの情報についても、開示・訂正・利用停止請求の対象とすることが適当であるとしております。
 概要版の四つ目でございますが、職員及び受託事務従事者等に対する罰則を設ける内容でございます。
 提言本文の二八ページをお開き願いたいと存じます。
 職員・受託事務従事者等の個人情報漏えい等の行為に対し、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に準じた罰則を設けることが適当であるとしております。
 次に、概要版にお戻りいただきまして、二つ目の黒丸をごらんください。民間部門が保有する個人情報の保護についてでございます。主な点は三項目でございます。
 一つ目は、民間部門における個人情報保護のための支援策を講じる内容でございます。
 提言本文の二四ページをお開き願いたいと存じます。
 ここでは、事業者がみずから個人情報の保護に積極的に取り組むよう、都は事業者に対し指針を策定するほか、各種の啓発・広報活動などを通じて理解の促進を図っていくことが必要であるなどが提言されております。
 概要版にお戻りいただきまして、二つ目でございますが、民間部門の苦情処理・あっせんのための相談窓口を、都庁内に設ける内容でございます。
 続きまして、三つ目といたしまして、苦情処理の実効性を担保するため、法の規律の対象外である事業者に対しても、必要に応じて調査、助言、指導等を行えることとし、都民に情報提供などを行う仕組みを検討するという内容でございます。
 提言本文の二五ページをお開き願いたいと存じます。
 苦情の処理・あっせんでございます。
 ここには、ただいまの二項目と三項目の内容が記載されてございます。既存の相談窓口を活用するとともに、個人情報保護の総合窓口も整備し、都民にわかりやすい窓口とする必要がある。また、都庁内の関係部局が相互に連携を図りつつ対応することが必要であるとしております。
 また、二五ページ下から二六ページにかけまして、基本法、すなわち個人情報の保護に関する法律は、五千人を超える個人情報を取り扱う事業者に対してのみ、個人情報の取り扱いに関する義務を課しておりますが、五千人以下の個人情報を取り扱う事業者についても、都民から寄せられた苦情を処理するためには、都の具体的な権限として、必要に応じて調査、助言、指導等ができるとともに、さらなる被害を未然に防止するため、都民に対して的確に情報を提供することができる仕組みを検討する必要があるとしております。
 簡単ではございますが、以上で、東京都情報公開・個人情報保護審議会答申の説明を終わらせていただきます。
 都といたしましては、今後、この答申を十分生かしまして、個人情報保護条例の改正に向けて作業を進めてまいりたいと考えております。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○東委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し質問等がありましたら、ご発言を願います。

○松原委員 今、ご報告がありましたことについて、二、三点、ご質問をさせていただきたいと思います。
 まず、個人情報の保護審議会報告についてなんですけれども、個人情報の流出などが毎日のように新聞等で報道されております。自分の情報が知らない間に人から人へ渡るのは、都民にとってはまことに不安でありまして、また現に、架空請求などに悪用もされています。
 事実、私なんかも、全然知らないような団体から毎日たくさんの郵便物が寄せられますし、私の家内の方も、架空請求というんでしょうか、ここのところにきて二、三もらいまして、これは危ないからやめた方がいいよというような注意を与えているところなんですが、こういうふうな事例が枚挙にいとまがないという形になってきているのが昨今の状況だと思います。そんなような状況から、個人情報保護に対する都民の関心と期待は極めて大きいものと私は思っております。
 このような中、国は昨年やっと重い腰を上げて、初めて民間部門を対象としました個人情報保護のための法制度をつくって、来年四月施行を予定しています。都では、既にこの問題については、平成三年から個人情報保護条例を施行している実績がありますけれども、今回、都が条例改正に向けた諮問を審議会に行った理由というのはどういうものなのか、まずお伺いいたしたいと思います。

○三森参事 国におきましては、我が国におけるIT社会の急速な進展、また、国際的には、経済協力開発機構、いわゆるOECDでございますが、この加盟国の大多数が、既に民間部門を対象といたしました法制を整備しているなどの事情を背景にいたしまして、個人情報の保護と利用の調和を図るため、昨年五月、個人情報保護関連五法が成立いたしました。
 これらの法律の規定の中には、地方公共団体に新たな責務を課すものもございます。東京都におきましては、法律と条例の整合性を確保すること、また、条例制定当時に比べ社会のIT化の進展が目覚ましく、新たな社会環境に合った個人情報保護制度の構築が求められるようになっておりますことから、条例改正を念頭に置きまして、審議会に諮問を行ったものでございます。

○松原委員 今お話がありましたとおり、情報化社会になればなるほど、こういった問題というのは出てくると私は思いますし、そのためにやっぱり慎重にしなければいけないと思います。特に東京都とかは、そういう公共部門においてはかなりいろいろな方々の個人情報を持っていますので、十分に気をつけていってほしいというふうに思います。
 審議会の答申では、都が保有する個人情報の保護と民間部門が保有する個人情報の保護の二つに分かれておりますけれども、まず、都が保有する個人情報保護についてお伺いいたしたいと思います。
 都には都民の膨大な個人情報が保有されておりまして、今までも個人情報保護条例により適正な管理が行われてきたと思いますけれども、時には置き忘れられた事故というのも新聞に何回か出ております。こういう意味で、個人情報の流出は決してあってはならないことだというふうに思います。
 今回の審議会答申では、流出・漏えい防止の点では、どのような方策が提言されているのか、お伺いいたしたいと思います。

○三森参事 漏えい防止のための方策といたしましては、三点ほどございまして、一点目は、情報の適正管理の観点から、技術的、組織的なセキュリティーの確保が必要であり、さらに、職員一人一人の情報倫理の確立が必要であること。二点目は、都から個人情報を取り扱う事務を受託する事業者については、現行条例の個人情報の保護に努める努力規定から、都の機関と同様の安全確保の義務を負います旨の規定に強化することが適当であること。三点目といたしましては、都民の信頼確保の観点から、職員及び受託事務従事者等が正当な理由なく第三者に個人情報を提供した場合など、一定の違法性の高い行為に対しまして、法に準じた罰則を条例にも設けることが適当であるとされております。

○松原委員 そういう意味で、いろんな形の中で、職員の倫理の確立とか、受託者の責務を努力から義務に変えていくとか、職員の方の罰則を導入する、こういうことで少し強めながらやるということは、私も本当に大事だなというふうに思っています。
 次に、民間部門について伺いますけれども、個人情報保護法の定めるところでは、民間事業者が適切に個人情報を取り扱うよう自治体は支援を行うことになっています。事業者が実際に個人情報保護の義務を負うのは来年四月以降でありますけれども、それまでには、各事業者は準備を整えなければならなくなります。
 そこで、来年四月からの個人情報保護に遺漏がないよう、事業者団体などを通じて調整を図っていくべきと考えますけれども、この辺はどういうふうに考えているのかということでお尋ねしたいと思います。

○三森参事 都では、民間事業者に個人情報保護の理念や仕組みなどの周知を図るために、本年七月及び八月に、個人情報保護法の所管省庁でございます内閣府と共催で、民間事業者を対象とした説明会を三回開催いたしました。当日は、情報通信業、金融保険業、製造業など、多くの業種の方々からご参加をいただいております。
 また、現在は、個人情報を取り扱うことの多い事業者が加盟しております団体であります、例えば社団法人東京都貸金業協会ですとか、財団法人東京都私学財団など、幾つかの財団を訪問しておりまして、法の趣旨、適用に関する説明、また、保有している個人情報保護の状況把握、都に対する要望などを伺っているところでございます。
 ただいま委員さんより、事業団体との調整も図るべきというような貴重なご提案もいただきました。個人情報保護の意識を高めてまいりますためには、事業者団体と協調してまいりますことは非常に大切なことだと考えております。
 今後も、医療・福祉関係、通信・訪問販売などの団体を訪問いたしますとともに、説明会の開催、パンフレット等による啓発活動、相談への対応などを行い、事業者の支援に努めていく考えでございます。

○松原委員 これからもぜひ普及啓発に努めていってほしいと思います。
 私、冒頭に話しましたように、自分の個人情報が知らない間に流出したり、やりとりされているのを喜ぶ人は、だれもいないというふうに思います。そういう意味で、個人情報は守られて当然、個人情報保護のルールは守って当然のものであると思います。都民の関心が高い分野であることは、さきにも述べたとおりでありますが、都民のこういう期待を反映した条例案を次回の定例会にはぜひ提案していただいて、来年四月からの実施にぜひとも万全を期してほしいというふうに強く思います。
 また、法律では、個人の情報の取り扱いが五千人ということで今もいわれておりますけれども、いわゆる五千人以下であります小規模事業者については義務の対象外となっています。小規模事業者でも、一たん流出事故などが起これば、損害賠償を請求される可能性が十分あるわけですから、大規模事業者と変わりがないと思います。
 そこで、小規模事業者が人材や資力に余裕がないために個人情報のルールに乗りおくれ、社会的批判の対象となることがないよう、守るべきルールの周知など、きめ細かい支援を期待するところであります。この辺のところは特に期待しておきたいと思います。
 以上、私の意見を表明して、質問を終わりたいと思います。

○曽根委員 私からも、この個人情報保護審議会の今回の提言については、これから具体的な条例案として四定に出されてくるので、それに向けて、きょうは、私どもの会派からの意見、要望、そして、これに関連する東京都の行政の進め方についての要望も含めて申し上げておきたいと思うんです。
 まず、今回の大きな改正点として、東京都の保有する個人情報の保護の対象として、都の公安委員会、警視庁の持っている情報を加えたということは、かねてから私ども強く求めてきたものであり、当然のことながら、大きな前進だと思います。警察が持っている個人情報というのは、犯罪歴を初めとして非常にプライバシーにかかわる重大なものがたくさん含まれております。その中で何を保護し、何を公開としてよいかなどは、極めて慎重な人権の立場からの検討も必要だと思います。
 同時に、これは個人情報とは限りませんが、この間、北海道警察を初めとして警察機構内部での裏金づくりなど、警察内部の不祥事も大変大きな社会問題になっています。こうしたことを防ぐためにも、警察内部の情報の必要な公開、これを進めていく中で個人情報をどう扱うか、ここのところを、大変複雑で難しい問題がありますが、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから、今回、利用停止請求権というのが設けられました。これは、聞くところによれば、かつて、防衛庁がつかんだ入隊志願者その他の個人の情報が防衛庁内部で出回っていたということをきっかけとして、個人が自分の情報を公的な機関の内部といえども勝手に回してほしくないという利用停止請求権を設けたのは、規定がなかった点に比べれば、大変前進だと思います。
 私は、これに関連して、きょうお配りいただいた概要の中にはちょっと入っていないんですけれども、先日生活文化局からいただいた概要の説明書きには、〔4〕の罰則規定を設けたという下に、〔5〕として、個人情報保護制度の運用について審議会は一定の関与を行うということが、今回の改正の特徴点として書かれていました。今回、そこだけ抜けているのがちょっと気になるんですけれども、まあスペースの関係かもしれませんが。
 つまり、個人情報保護制度の運用の中で、個人の情報の、とりわけ目的外使用を行う、いわば例外的な運用を行う場合には個人情報保護審議会が関与すべきだということは、これは神奈川県を初めとしてほかの県では実施されていることでもあり、ぜひ東京都も今回の条例改正に入れてもらいたいというふうに私は思うんです。
 というのは、最近、次々と起こっているんですが、学校と警察署の子どもに関する情報の連絡協定がつくられて、これは東京都の個人情報保護審議会にかからないので、もうさっさとつくっちゃったんですけれども、それをひな型として、既に都内の四十の自治体で、東京都にならって連絡協定がつくられているようです。その中には、目的外使用をする場合には、区市町村の個人情報保護審議会にかけなければならないというふうになっている自治体は、そこの審議会にかかって、その連絡協定が初めて公に出てきた。
 私は杉並の例をちょっと詳しくお聞きしたんですが、学校が握っている、これまた子どものプライバシーにかかわる数多くの情報のほとんどすべてが、必要に応じては警察に提供できるという可能性があるんですね。そこには知能指数だとか家族の構成、非行歴、学校がつかんでいるその子に関する人権にかかわる情報も含まれているわけなんです。それが校長先生と警察署の方の生活、育成課ですか、担当者の職員の判断だけで、相互に連絡し合えるということで、これは本当に個人情報が表に出ない形でこうやってやりとりされているということを知った場合には、多くの方がこの利用停止請求権を発動するということがあり得ると思うんですね。大量に出てくるということになりかねないわけで、それはこういう問題が起きる前に、やはり審議会で、こういう目的外使用が是か非かということは議論してしかるべきで、東京都の場合も、ちょっと後戻りになりますが、私は、審議会で改めて議論していただきたいんですね。また、私たちも、必要な場面でまた物をいっていきたいと思いますが、こういうこともありますので、ぜひこの点については条例化を進めていただきたいと思います。
 それから、民間部門が保有する個人情報の保護の問題と法的な情報との関係の問題なんですが、実は私も、先ほどの委員の方の話もありましたが、私の長女の実名を名乗るおれおれ詐欺の電話が自宅にかかってきました。長女の実名を知っていたんです。これはとり方によっては、非合法な方法をとらなくてもできるかもしれませんが。私、直接受けちゃったんですけど、相手の話を聞くと、どうも娘に関するもっとかなり細かい情報を持っていた節があるんですね。結果としては、途中で気がついたものですから、相手も私が気がついたことに気がついたらしくて、振り込みの口座番号などはいわなかったんですが、その手前まで行きました。
 したがって、民間の個人情報が、だれが、どの程度握って、どう回っているのかというのは、これは本当に大変な問題だと思います。しかし、少なくともいえることは、この間、NTTやヤフーBBとかジャパネットなど、個人情報が大量に漏れたというのは、どれもかなり大手の企業なんですね、社会的に大きな影響を与えているのは。そういうところについては、私は社会的責任として、個人情報を守るという点では、やはり厳しい罰則も含めて考える必要がある。
 先ほど松原委員もおっしゃったように、五千件以下、つまり中小企業の個人情報については、これは単なる取り締まりや規制だけではいかないので、やっぱり指導、育成という問題も含めてきちんと手当てをしていただきたいと思います。
 それから、最後に申し上げたいのは、民間の事業者の個人情報の漏えい問題というのは、やっぱり公的な情報に比べればなかなか規制がかけにくいという、これはどうしても根本的問題が残ります。したがって、民間事業者に、今、公共が握っている情報がこれ以上安易に流れ出すような、率直にいえば、民間委託などで税情報が流れているとか、それはセキュリティーがかかっているとはいうものの、民間が都が持っていた情報を既に握り始めている。福祉に関しても、あらゆる分野で進んでいる。これは極力、できる限り公共が握って、なるべく民間の事業者、営利企業などには流れない方策を考える。どうしても委託などが必要な分野はたくさんありますから、そういう場合にも、それが制限できるような方法を考える。これは条例化の問題とは別に施策の進め方の基本姿勢として、生文局だけじゃありませんが、ぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げて、意見表明とします。
 以上です。

○山口委員 情報処理技術や通信技術の発展によって情報の大量自動処理や多面的な利用が可能になり、公的機関だけではなく民間機関においても個人情報が大量に収集され、データベース化された上で利用されており、仕事の効率を高めるとか生活の利便を増すのに大きく役に立っている部分はあります。しかし、その反面、情報の漏えい事件など、個人情報の取り扱いによっては個人のプライバシーが侵害される可能性も広がり、不安の声も大きくなっています。
 今回、都の個人情報保護制度の基本的なあり方と、東京都個人情報の保護に関する条例において改正すべき事項については、四月二十七日から一カ月間、中間報告に対してパブリックコメントが実施されまして、百四十六件の意見が寄せられたことも、そうした都民の関心の高さだと思います。
 そこで、その都民のパブリックコメントの中で、今回、最終報告に反映されていないと思われる部分について、何点か伺いたいと思います。ちょっと重なるところもあるかと思いますが。
 今回、目的にあります自己情報コントロール権を拡充するものとして、新たに利用停止請求権を求めることとありますが、基本的人権を尊重するためには、自己情報コントロール権を保障するものと明確に規定するべきではないかという意見もあったかと思いますが、この点についてはどのように受けとめられているのか、伺います。

○三森参事 ご質問の自己情報コントロール権につきましては、その意味について学説上一致を見ていないということもありまして、法律におきましても、自己情報コントロール権という言葉は条文上明記されておりません。しかしながら、現行条例におきましては、自己の個人情報の開示及び訂正を請求する権利を保障することによりまして概念や範囲を明確にして、自己の個人情報に対するコントロールの仕組みを導入しております。
 今回の答申の中におきましても、今まで具体化してきましたいわゆる自己情報コントロール権を拡充するものといたしまして、新たに利用停止請求権を設けることとされております。

○山口委員 従来の情報開示、それから訂正請求権と、今回新たに加わった利用停止請求権。情報コントロール権という言葉がふさわしくない、まだそこまで出せないというのであれば、せめてこの三つのことは条例の中で保障するということはぜひ明記していただきたいということを要望させていただきます。
 次に、オンライン結合について、実施機関として問題が生じたとわかった場合には切断するための規定を設けることに関して要望が出ていますが、この点についてはどのように考えられたのか、伺います。

○三森参事 現行条例におきましては、個人情報の外部提供の制限としまして、事務の執行上必要かつ適正と認められ、個人情報について必要な保護措置が講じられている場合を除き、通信回線による電子計算組織の結合、いわゆるオンライン結合でございますが、これによる実施機関以外のものへの提供をしてはならない旨を定めております。答申におきましては、この考え方を維持することとしております。
 個人情報の漏えいなど、個人の権利、利益の侵害が生ずる恐れがあると認められる場合におきましては、現在におきましても、システムを即刻停止し、問題の解決に努めるなどの保護措置を迅速に行うこととしております。

○山口委員 こういった不安が生じた場合などにも、調査とか検査ができるような仕組みもぜひ考えていただきたいと思います。
 それから、実施機関の本人への情報の収集目的の明示の義務を定めるべきではないかということについてはどのように考えられたのか、伺います。

○三森参事 現行条例におきましては、個人情報を収集するときは、事務の目的を明確にし、本人から収集しなければならないとしております。また、個人情報の取り扱いの透明性を確保するため、個人情報取り扱い事務の届けによりまして、取り扱い事務の目的を明らかにし、これを閲覧に供しておりますことから、都民は収集目的の確認を行うことができることとなっております。したがいまして、収集の際には、その目的は都民に対して明確になっているところでございます。
 答申におきましては、これらの現行の規定は維持すべきものとされております。

○山口委員 次に、実施機関に都の公安委員会が加えられたということですけれども、犯罪の予防、捜査等、公共の安全と秩序の維持に係る事務については例外規定を設ける必要があるとされています。犯罪の予防が含まれるということで、一括して対象外とされたとも受けとめられるのですが、条例の適用を全面的に受ける警視庁の事務にはどのようなものがあるのか、伺います。

○三森参事 答申では、都公安委員会、警視庁が実施機関となる場合でも、都の行う一般的な事務と同様に扱われることが適当であるとされる事務といたしまして、家出人に関する事務、遺失物に関する事務、運転免許証の発給に関する事務、道路使用許可申請に関する事務などがあるとしております。

○山口委員 先ほどほかの委員の方からも出ました、五月から実施されています都立高校の警察と学校の相互連絡制度に係る協定が、この条例でどのように扱われているのかということもとても危惧しておりますし、それから、今、万引き防止協議会の新たな取り組みですとか、青少年健全育成条例などからまた出てくる情報や、それから、今、地域では自警団などからもどのような情報が警察に流れるのか、いろんなことを考えると、警察に情報がとても集中するのではないかということで大変危惧をしているところです。警察官による情報漏えいの事件も少なくない中で、対象外はできるだけ都民にも明確にしていただきたいと思います。
 次に、適正管理についてですが、職員の教育訓練を充実強化するとありますが、情報の漏えいとして危惧されるのが、例えば、ノートパソコンやフロッピーの持ち出し、これは職場と家庭を行き来したりするというようなこともありますし、何かで途中でどこかに立ち寄って紛失するというような例もあるかと思います。それから、個人用のパソコンをまたそういった形で使用するケースもあるかと思います。職場のパソコンから自宅のパソコンに情報を転送して、自宅で仕事を続けるとか、今はパソコンの情報が携帯の電話にもつなぐことができるなど、本当にさまざまなケースが想定されます。こうした事態に対する管理はどのように徹底されるのか、伺います。

○三森参事 IT化の進展によりまして、パソコンが非常に普及しております。個人情報の処理もパソコンで行われることが多くなるに伴いまして、不注意により個人情報が流出する危険が増大しております。
 こうした漏えい事故等を防止するため、答申では、技術面のセキュリティー確保のみならず、管理組織や管理規程の整備などの組織面のセキュリティーを確立することが必要であること、また、職員の教育訓練を充実し、個人情報に対する情報倫理の確立を図っていくことも必要であるとされております。
 現在におきましても、IT推進室を中心に電子情報のセキュリティー確保に向けての研修などを行っているところでございますが、この答申をもとに、担当部署と連絡を図り、今後とも個人情報保護に遺漏がないよう体制整備を図ってまいります。

○山口委員 今、答弁にありました情報倫理の確立については、個人情報を取り扱う事務に従事する職員はもとより、全庁的に取り組む必要があるかと思います。先だって、子どもに関する事件の取材ですね、今、マスコミも、子どもの事件というのは非常に話題性があるということで、いろいろなところの取材が頻繁に行われていると思いますけれども、その取材対応する現場の職員が、やりとりの中で、その犯罪を犯してしまった子どもの家庭環境や生育歴のようなことを暗に話していたというようなことを、私も仄聞しています。基本的人権に基づくプライバシーの保護について徹底する必要があり、そのための研修を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○三森参事 個人情報の適正な管理のために、現行条例におきましても、職員は職務上知り得た個人情報をみだりに他人に知らせ、または不当な目的に使用してはならないと、厳に戒められております。実際に個人情報を取り扱う事務に従事する職員が、本条例の趣旨及び個人情報保護の仕組みを理解した上で職務を行うよう、職員の個人情報保護に対する認識を高めていくことが必要でございます。
 答申におきましても、職員に対する説明会や研修等の教育訓練を行い、情報倫理を確立していくことは重要であるとされております。
 今後も、この答申を踏まえ、職員の教育訓練の充実強化により、個人情報の保護を図ってまいりたいと考えております。

○山口委員 以上です。

○東委員長 ほかに発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○東委員長 次に、東京都男女平等参画審議会の報告についてを聴取いたします。

○江津参事 それでは、お手元にお配りしております東京都男女平等参画審議会報告につきまして、ご説明申し上げます。
 本報告は、男女平等参画社会の実現を阻害し、深刻な社会問題である配偶者間の暴力に関する諸課題を解決するために、昨年三月十一日から、男女平等参画審議会において、配偶者暴力に関する被害実態の把握、分析及び対策について調査、審議が重ねられ、去る七月二十七日に報告されたものでございます。
 報告書の一ページをお開き願います。このページから三ページにかけましての第1章、最終報告にあたってでは、中間報告の概要と関係法の改正等の動きを記載しております。
 中間報告の概要として、都が実施した配偶者暴力被害の実態や関係機関の支援の現状に関する調査結果等を分析し、現状、課題について整理した上で、対策の方向性を記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。第2章でございますが、第2章では、中間報告に示されました配偶者暴力対策の五つの方向性に沿って、取り組みの方向性と具体的な施策のあり方について述べております。
 方向性1は、被害者の安全と安心を確保し、生活を再建するための継続した支援を行うことといたしまして、被害者は身体的にも精神的にも大きな被害を受けており、相談から自立に至るまで多様な関係機関による切れ目のない総合的な取り組みが必要であるという現状を指摘し、五ページの具体的施策のあり方では、被害者の段階に応じた総合的、体系的な支援のための基本プログラムを作成するとしております。
 また、六ページでございますが、身近な相談窓口の充実と、専門性が高い支援、広域的な支援の充実などについて述べております。
 次に、八ページをお開き願います。方向性の2は、配偶者暴力のある家庭等の子どもへの支援を行うでございます。
 配偶者暴力のある家庭に子どもがいる場合、その五割で子どもにも暴力が及んでいることなどを踏まえ、九ページの具体的な施策のあり方では、子どものケアに関するプログラムの作成などが提言されております。
 一〇ページをお開き願います。方向性の3、被害者の安全確保、被害の防止など被害者支援の視点からの加害者対応について検討を進めるとし、今後の加害者更生のあり方の検討が必要としております。
 次に、一二ページをお開きください。方向性の4、早期発見・未然防止のために社会全体で取組むでございます。
 地域の中で、暴力は犯罪となる行為であることへの理解を深めるため、啓発の充実などが提言されております。
 一四ページをお開きください。方向性の5、支援関係機関のネットワークを構築し、連携を進めるでございます。
 被害者や子どもへの支援には、多くの機関がそれぞれの場面に応じて適切に対応する必要があり、また被害者の支援を迅速、円滑に進めるためには、都と区市町村の役割を明確にした施策の推進が必要であるとしております。
 一五ページでは、これらを実現するために広域連携ネットワーク及びそれぞれの地域における連携ネットワークの構築、区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の整備、それから一六ページになりますけれども、都の配偶者暴力相談支援センターにおける専門的・広域的機能の充実などが提言されております。
 最後に一七ページでございます。第3章、施策を効果的に実現するためにでございます。
 本報告の実現に当たって、緊急に取り組むべき施策について早急に実施をするよう努めること、都、区市町村、民間団体を含めた推進体制を整備し、専門性の高い人材を育成するとともに、新たな課題についても柔軟に対応することなどが要望されております。
 簡単ではございますが、以上で、東京都男女平等参画審議会報告の説明を終わらせていただきます。
 都といたしましては、この報告を十分に生かし、被害者や子どもへの総合的な支援の仕組みづくりなど、配偶者暴力対策を着実に進めてまいる所存でございます。よろしくご審議をお願いいたします。

○東委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し質問等がありましたら、ご発言を願います。

○野上委員 国におきましては、配偶者暴力防止法の一部改正が、本年十二月二日から施行されます。時を得て、東京都男女平等参画審議会から、今回、配偶者暴力に関する被害実態の把握・分析及び対策について、報告がなされました。
 配偶者暴力は、相談件数も年々ふえてきておりまして、深刻な社会問題となっております。三日に一人、殺人事件が起こっております。ほとんどの女性が夫によって殺されているという、こういう深刻な実態があることを認識しながら、質疑をしていきたいと思います。
 今回の審議会報告で、配偶者暴力についての実態の把握と分析を行った結果が載っておりますけれども、被害の実態や、関係機関の支援の状況について、どのような課題が浮かび上がったのでしょうか。

○江津参事 今回の審議会報告では、配偶者暴力対策における課題として、被害の早期発見から自立に至るまでの継続した支援が不十分であること、配偶者暴力のある家庭の子どもへの被害の広がりと深刻な影響があるにもかかわらず、子どもに対する専門的支援が不十分であること、支援関係機関の間の連携が十分でないことなどが挙げられております。

○野上委員 私のところにも、実際に被害を受けた方々から、本当に多くの相談が寄せられております。
 例えば、シェルターなどに逃げ込む場合、準備期間をある程度経てそういったシェルターに行かれる方は、ある程度身の回りのものを用意して出かけるんですけれども、命からがら、着のみ着のままの状態で逃げていった方というのは、何も持ってきていないんですね。お財布を握り締めているぐらいで、持ち出せないような状況になっております。
 やはり被害者支援ということでは、被害者の心のケア、あるいは子どもさんがいる場合は子どもの支援、それから自立に向けた支援、どっちにしても生活がなかなかできませんので、生活保護を受けながら、あとをきちっと終了できるように、最終的には終了できるところまでの、そういった自立に向けた支援が重要だと思っております。
 そのためには、さまざまな機関が連携して対応していくことが必要ですけれども、このことに関しましてはどのような施策を考えているんでしょうか。

○江津参事 ご指摘のとおり、被害者の支援に当たっては、被害の早期発見から被害者や子どもの心のケアなどを含め、被害者の状況に応じ、自立に向けた総合的かつ継続的な支援を行うことが必要でございます。
 このため、被害者の状況に応じた支援施策を体系化し、各支援機関の機能と役割を明確にしたネットワークのあり方を具体的に示す、被害者支援のための基本プログラムの作成が提言されております。
 都といたしましても、相談から自立に至る多様な関係機関による切れ目のない総合的な取り組みを推進するため、関係局や区市町村を初めとする関係機関の協力のもとに、この基本プログラムの作成に早急に着手をしていきたいと考えております。

○野上委員 被害者に対する相談や支援の過程で、支援機関に逃げ込んだ方からもいろいろ相談を受けるのですけれども、支援機関の職員の不適切な対応によって、より一層心を傷つけられるということがあり、いわゆる二次被害というんですか、そういったものが多く発生している状況があると聞いております。
 その人たちにとってみれば、そこしかもう行くところはない、逃げたくてももうそこしか行くところがない、追い詰められていると、あんたが悪いんだというような感じで責め立てられて、どんどんうつ状態になっていってしまうというようなことがあります。この二次被害を防止するためのやはり対策が必要と考えられるんですけれども、どんなことを考えていらっしゃるんでしょうか。

○江津参事 被害者は、長期間に及ぶ暴力により、精神的にも被害をこうむっている場合が多く、二次被害の防止は重要な課題であるというふうに認識をしております。
 これまでも、都は、二次被害防止のために、相談窓口や職務関係者を対象としたマニュアル等を作成するとともに、研修を実施するなど、被害者への適切な支援が行われるよう努めてまいりました。
 今後、被害者と接触する機関の職員を対象とした研修を充実するなど、関係機関において適切な対応が行われるよう努めてまいります。

○野上委員 配偶者暴力の根本的な解決のためには、加害者対策の充実が必要と考えられます。
 DVに関しましては、女性から男性に対する暴力も中にはあるんですけれども、ほとんどが男性から女性に対する暴力なんですね。ですから、都では、平成十三年度から男性相談を、男性の電話相談とかも開始していらっしゃいます。加害者対策に取り組んでいくとともに、今度、内閣府の方で、国の加害者更生に関する調査研究の一環として、都が加害者向けプログラムを試行的に実施するということをお聞きしておりますけれども、その内容はどのようなものなんでしょうか。

○江津参事 被害者の安全確保とさらなる被害の防止など、被害者支援の視点から加害者対策は重要であると認識をしております。
 今年度都が実施している加害者向けプログラムは、内閣府の委嘱を受けて、内閣府が作成した基準とマニュアルに沿って試行的に実施しているものでございます。本年七月から事業に着手し、九月末から一月末までの連続十八回の予定で、加害者を対象にしたグループ形式での教育講座を実施し、その結果を検証するものでございます。

○野上委員 今回の加害者向けプログラムが成功いたしますと、かなり大きな影響を与えると思うので、これはぜひ実施して、結果の検証もしっかり行っていただきたいと思っております。
 男性相談の電話をかけた方からもちょっとお話を聞きましたけれども、大変丁寧に対応していただいて、話をしている中で、だんだん自分が加害者であったということを自覚するようなことがあるということも聞いておりますので、ぜひこの加害者向けプログラムを大成功に終えたいというふうに思っております。
 DV法の改正で、各都道府県は、配偶者暴力の防止と、被害者保護のための基本計画の策定が義務づけられております。配偶者暴力対策を着実に推進していく上で重要と考えますけれども、これから都はどのように対応していくのでしょうか。

○江津参事 配偶者暴力防止法の改正により、都道府県が新たに策定することとなった基本計画は、主務大臣が定める基本方針に即して策定されることとされております。
 改正法の施行後に発表される基本方針を受け、基本計画の策定に早期に着手する予定でございます。

○野上委員 最後に、この配偶者暴力というのは人権問題の最たるものだと思っております。今後も、この被害の実態や被害者支援の現状の状況を十分に踏まえて、配偶者暴力対策の総合的な取り組みを展開していく必要があると考えますが、ここで、最後に局長の決意を聞いて終わりにいたします。

○山内生活文化局長 配偶者暴力は、今回の男女平等参画審議会の報告で改めてその被害実態が明らかにされましたように、深刻な社会問題となっております。
 このような配偶者暴力は、個人の尊厳を侵害するものでありまして、理事ご指摘のように重大な人権問題と認識しております。今後も、男女平等参画施策の重要課題として、今回の審議会報告を踏まえまして、総合的な被害者支援が適切に行われるよう、関係機関と連携を図りながら、積極的に取り組んでまいります。

○曽根委員 私からも、配偶者暴力に関する被害実態の把握・分析及び対策について、今回、男女平等参画審議会の報告について、これは、既にこの間何度か、特に最近では昨年七月とことし六月、二回にわたって我が党の河野議員がまとまったDV対策の文書質問を提出しておりますし、都も一定の改善の回答をいただいておりまして、この中にも盛り込まれたものが幾つかあります。そういう点を踏まえて、これからさらに前進させてほしい点、多岐にわたりますので、きょうは意見を述べ、要望をするということにとどめたいと思います。
 DV防止法の実施以降、DV被害の発生という点でも、また潜在的なものが掘り起こされてきたという点でも、東京は最大のそういう件数が多いという点でも、最大の対策が必要だと思いますし、同時に、地方から加害者の追跡を逃れて、見つかりにくい東京に来て、相談や保護を求めるケースも大変多いと聞いております。それだけに、全国に先駆けての努力が必要なことは当然です。
 実際、東京では、かなり以前から、例えばウィメンズプラザを拠点としての女性財団の活動があり、相談や調査研究、被害者の保護の受け入れなどのNPOなどの自主的な活動に精力的に取り組まれてきたこと、また、あわせて女性センターやプラザの職員が大変な激務の中で奮闘していることに、この機会に心から敬意を表したいと思います。
 これらすべての成果を生かして、多分、今年度中に出されると思いますが、国の基本指針を受けての都の基本計画策定を進めていただきたい。
 具体的なケアの体制をつくる基本プログラムですか、この計画づくりも含めた、くれぐれも計画づくりの最初から、都民運動の方々はもちろん、広く都民の参加で行うように求めておきたいと思います。
 それでは、具体の課題について、幾つか要望を申し上げます。
 最初に、被害者の支援という点ですが、昨年は被害の実態把握が、東京都の機関の把握分しか押さえていないじゃないかということで指摘をさせていただきましたが、今回の報告では、区市町村の調査や取り組みも反映されました。法整備などを機に、被害が次々と掘り起こされ、相談が急増していることなどを踏まえまして、調査と実態把握は常に行っていく、つまり恒常化していく体制が必要だと思います。
 それから、相談体制の強化のために、都の担当職員の増員はもちろんですが、民間団体との連携を強めること、それから、これから本格的に進めていくと思うんですが、相談者が来る可能性は、女性のDV対策の窓口に限らず、例えば都民相談や児童相談所、区市町村の女性施策窓口や福祉事務所など多様に考えられます。そこへ相談に来たときに、その職員がこの問題についての理解がないために冷たい対応になってしまって、心理的にますます追い詰められるというようなことがあってはならないわけで、こうした大変な被害者の思いにこたえる最初の対応が適切に行えるような研修、指導を徹底していただきたいということも申し上げておきたいと思います。
 それから、DV法で必要性がさらに急増しております一次保護のシェルターをさらに確保すること、民間のシェルターへの支援について、これらについては、残念ながら基準が狭かったり、都は国の補助減額についてはそのままにしているなど、必ずしも熱心とはいえません。可能な手だてを尽くしていただきたいと思います。この一時保護のシェルターの需要は大変ふえております。ぜひお願いしたいと思います。
 一時保護施設での被害者の扱いについても、この間、例えば売春防止法などほかの問題で入っている方と、部屋は別にしても扱いが一緒くたになってしまったりというような問題が当事者から寄せられておりまして、これはDV被害者と他の問題での入所者とは、処遇や接し方をきちんと区別するなど、今回は書き込まれました。このことは大変重要だと思います。今後も原則としていただきたいと思います。
 それから、法の整備によって、都営住宅の活用が、こうした被害者の住まいの確保という点で活用できるようになりました。大変大きな前進です。できるだけ希望の地域での生活が可能になるように、特に区部での都営住宅のこの問題での活用に、一定数を確保していただきたい。仕事やその後の生活を考えると、多摩の奥の方にしかないということでは、非常に制限が出てしまうと思います。
 次に、子どもに対する支援の問題です。先ほども話がありましたように、被害者の半分以上に子どもさんがいて、子どもの目の前で配偶者暴力が繰り返されると。これは大変悲惨な実態があるわけですね。この問題では、目の前で暴力を見てしまうという子どもの問題も、児童虐待の一つとして今回位置づけられたわけで、そういう意味では、児童虐待としての位置づけと対策が重要になっていると思います。
 この児童虐待問題を担っている児童相談所、また子どもの入所する児童養護施設、これは率直にいって満杯状態で、これまでの児童虐待の急増にも必ずしもこたえ切れていない状況です。これは、生活文化局の仕事を超えた問題ですけれども、早急に、このDV問題に伴う子どもの対策の受け入れ体制を強化していただきたいと思います。
 それから、DV被害者や児童虐待の子どもの場合、そのほかの子どもに比べて、圧倒的に肉体的、精神的に疾病状態の場合が多いわけです。病弱児のケアの体制が、残念ながらこの間、成東の児童保健院の廃止、母子保健院の廃止などで次々と後退しています。私は、率直に見直しを求めていきたいと思います。
 母子で避難した場合の住宅の提供などは、これは子どもさんを抱えての世代で、直ちに生活を確立しなきゃならない、子どもさんの学校の問題、幼稚園の問題などありますので、ぜひこれは優先的に行っていただきたいと思います。
 最後に、加害者対策について。この加害を防止するための必要な対策というのは、今回新たに項目が設けられたことは大変重要なことです。既存の法律の活用も含めて、被害者の人権、そして生命を守るという立場から、急いで整備していただきたいと思います。加害男性に対しては、圧倒的に男性が加害者なんですけれど、再発防止とケアの両面から適切な対処ができるように、この分野では専門家も非常に少ないわけですが、専門家の協力や判断も仰ぐこと、ノウハウの蓄積、専門家の育成に力を注ぐべきだと思います。
 最後ですが、配偶者暴力の問題が、潜在的なものも含めて激増し、圧倒的に男性がこの加害者であるということの背景には、個々の家庭内の事情を超えた大きな問題があると思います。それは、男性自身が仕事や生活のストレスなどを抱えたり、追い詰められている傾向があるとともに、もう一つは、女性が、この間、社会的な自立や社会参加が急速に進み、女性の自立意識や自己確立の意識が非常に高くなっているにもかかわらず、男性全般にこれに対する無理解や男尊女卑の意識が根強く、女性との間にさまざまなギャップが生まれているということがあることは、間違いないと思うんです。
 この問題の解決が急がれているわけですが、ところが、この間、東京都の石原知事を先頭に、女性蔑視発言や、また女性財団の廃止、さらには最近のジェンダーフリーに対する非難、ジェンダーフリーの本来の目的が、性の違いに対する社会的な差別はもちろん、社会的な因習などからの個人の解放を目指すというものであるにもかかわらず、男らしさ、女らしさをすべて否定しているかのような、ねじ曲げた解釈に基づくこの用語の禁止、男女混合名簿の制限など、これは重大です。私は、こうした知事のやり方、また教育長、都の教育委員会の先日の決定など、改めて根本的に見直す必要があるということは、申し上げなければなりません。
 以上です。

○山口委員 二〇〇三年度配偶者暴力相談支援センターに寄せられた配偶者暴力に関する相談は、前年度より二五%増の九千百二十七件、一時保護所の利用者は百件以上増の六百十四件と、DV法の施行により、社会的認識も高まり、暴力の状況が顕在化したとはいえ、年々ふえ続けています。DVは、男女平等参画社会の実現を阻害する要因であり、解決すべき社会的問題として調査検討が行われ、対策が報告されたものと認識しています。
 基本計画の策定については先ほど答弁がありましたので、次の質問に移りますが、今回の審議会の報告では、昨年三月から検討されたものと聞いておりますが、五つの方向性も示されています。当然、基本計画には反映されていると思いますが、確認のつもりで伺います。

○江津参事 基本計画は、国の基本方針を受けて策定することとしております。今後示される基本計画の内容を踏まえまして、今回、男女平等参画審議会報告で示された取り組みの方向と具体的施策のあり方を、基本計画の策定に生かしてまいります。

○山口委員 この基本計画の策定に当たって大変重要なのは、やはり被害当事者や支援団体等の参画が不可欠だと考えます。見解を伺います。

○江津参事 基本計画の策定には、区市町村を初めとする関係機関はもとより、さまざまな立場で被害者支援にかかわる民間団体の協力が必要であると考えております。
 計画の策定に当たっては、関係機関や民間団体の意見を踏まえ、適切に対応してまいります。

○山口委員 できれば参画をしたという形をとっていただきたいと思いますが、関係機関などともぜひ連携して、実効性のある基本計画にしていただきたいと思います。
 次に、相談員のスキルアップのための研修などは実施されていると思いますが、先ほどもありました相談員が二次加害者になってしまうということと、もう一点、相談員が二次受傷、つまり、相談員が被害者と同じようなトラウマを抱えてしまうというようなことも聞いております。これは、やはりこういったことの防止をも含めて相談員の育成の充実が求められますが、いかがでしょうか。

○江津参事 東京ウィメンズプラザでは、被害者への適切な支援が行われるよう、区市町村の相談員や職務関係者に対する研修等を実施し、相談員自身が二次受傷や二次加害の当事者となることがないよう、その防止に取り組んでおります。
 また、相談員に対して専門的な助言や指導を行うスーパーバイズを定期的に実施し、その資質の向上にも努めておるところでございます。今後、さらに研修等の内容や実施方法を工夫し、相談員の資質向上と相談事業のレベルアップに努めてまいります。

○山口委員 ぜひ、スーパーバイザーの養成なども企画をしていただきたいと思います。
 報告にあるように、区市町村が民間支援機関との連携により、身近な相談体制、支援体制の充実を図り、被害者の生活体験のための支援が必要ですが、被害者が、それぞれの窓口に何度も同じことを繰り返し申し立てなくても、適切な支援が受けられるように、被害者支援の核になる人材が必要かと思いますが、見解を伺います。

○江津参事 被害者支援にはさまざまな機関が関与することから、関係機関相互の連絡調整が円滑に行われ、被害者に関する情報の共有化が適切に行われることが、被害者の負担軽減の点からも必要でございます。そのために、関係機関の日常的な協力関係が確保され、連携のためのネットワークが整備されていることが重要でございます。
 このため、東京ウィメンズプラザでは、DV被害者支援関係機関連絡会を設置、運営し、関係機関の連携協力の促進に努めてまいりました。今後とも、区市町村においても、地域の機関や関係者が連携して被害者の支援に適切に当たれるよう、地域のネットワークづくりを支援してまいります。

○山口委員 行く行くは、ジェンダーフリーという言葉はお嫌いなようなんですが、ジェンダーの視点を持って、それから被害者の権利擁護に立ちながら、総合的支援の核となるアドボケーターの養成なども、ぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、被害者の相談から自立に至る総合的、体系的な支援のための基本プログラムの作成にも、被害体験者や支援団体の参画が必要と考えますが、見解を伺います。

○江津参事 被害者支援のための基本プログラムにつきましては、関係局や区市町村を初めとする関係機関の協力のもとに作成に当たる予定でございます。
 策定に当たっては、被害体験者や支援団体の意見を求め、効果的なプログラムづくりに取り組んでまいります。

○山口委員 これも、意見を求めるだけではなくて、ぜひ一緒につくっていただきたいと思います。
 それから、配偶者暴力のある家庭では、子どもにまで暴力が及んでいるケースが五〇%を超えるといわれている中で、子どもへのケアの支援についても言及しています。いまだに専門家がいないということで、大変厳しい状況ですが、子どもといえば、法的には十八歳までの青少年も含まれますが、幅広い年齢の子どもへの支援について、どのように取り組まれるのか伺います。

○江津参事 男女平等参画審議会報告では、配偶者暴力のある家庭での子どもへの被害実態と深刻な影響を踏まえ、子どもへの支援の重要性が指摘されております。
 今後、関係局と連携し、専門家の意見も踏まえ、子どもの発達段階に応じたケアに関する体系的なプログラムの作成に取り組んでまいります。

○山口委員 虐待を受けた子どもは、継続的な支援が必要で、その傷をいやせないままに大人になった子どもが、今度は加害者になる例も少なくないと聞いています。子ども虐待防止ネットワークとの協働体制や、子どものケアに関するプログラムの作成が考えられます。その構築とともに、今後は、未然防止の観点からも、若者のデートDVについても検討を要望しておきたいと思います。
 最後に、国の委嘱事業である加害者向けプログラムについて、プログラム作成には、被害体験者や支援団体の参画でこれも進めることが必要だと思いますが、作成方法や進捗状況については先ほどお聞きしておりますので、その辺のところお答えを、重なる部分があるかと思いますが、いただきたいと思います。

○江津参事 加害者向けプログラムは、内閣府の委嘱事業であり、内閣府が専門家や被害体験者、支援団体の意見を聞いて作成した基準とマニュアルに沿って実施をしております。現在、参加希望者の面接等を実施し、参加者の選考を行っている段階でございます。
 なお、このプログラムの実施に当たりましては、学識経験者や関係機関職員だけでなく、被害体験者や支援団体の代表も含む企画運営委員会や連絡協議会を設置し、円滑かつ適切な事業実施に努めているところでございます。

○山口委員 このプログラムでは、どのような人がファシリテーターになるかということも重要なんですが、加害者に対しては、暴力は犯罪であるという姿勢で対峙し、加害者が、自分は犯罪者であることを自覚することが重要であると聞いています。加害者に対して決して同情を示してはいけないとまでいわれています。先駆的に取り組んでいるNPOのプログラムなども、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 外国では、刑事司法制度とリンクさせて、加害者を強制的に加害者更生プログラムを受講させる制度が確立しています。今後は、加害者更生プログラムを司法制度の中に位置づけていくことも重要です。今回の内閣府の委嘱事業でも、一度でよい結果が出るというものではないと思います。重要な柱として、東京都としても、国における取り組みを促すよう要望しておきたいと思います。
 それから、あと二点、ちょっと要望なんですが、やはりこのNPOが大変今先駆的に取り組んでおります。財政的には大変厳しい中ですが、こうしたNPOへの運営への支援をぜひお願いしたい。
 それからもう一点、これは所管が違うということで、ちょっと今回質問ができなかったんですが、先ほど曽根委員の方から出ました。国の方も、住まいということは、今回のこの報告にもありますが、やはり何とか確保しなければならないということで、いわゆる公営住宅などへの目的外使用ということで、特別に配慮が進められるようになりました。
 東京都の方でも、そのことを私どもちょっとヒアリングしましたら、目的外使用ということで、利用はできます、ただし十二カ月、つまり一年分の家賃を前払いしていただくと、目的外使用ということで。とても私ども、そのヒアリングをした人は、もう目が点になってしまって、唖然として言葉が出ない。本当に先ほどもあった、お財布一つ持つぐらいで命からがら逃げ出してきた人に、一年分の家賃を要求して、それが可能ならばお入りくださいというのでは、余りにも恥ずかしいというか、何といっていいかわからないような状況。生活文化局としては、これだけの実態調査をして現実を十分把握している局が、ぜひ関係局に働きかけて、こうした施策も進めていただきたいということを強く要望して、質問を終わらせていただきます。

○福士委員 それでは、今回の報告が配偶者暴力に関する被害実態の把握・分析とそれに対する対応ということですので、この中に書かれたことで、ちょっとこれはどうなんだろうかというような疑問について、淡々と事務的にお伺いいたしてまいります。
 今回、住民基本台帳の閲覧関連についてですけれども、被害者の申し出によって、加害者とされている者からの被害にかかわる住民基本台帳の閲覧、写しの交付などの請求を拒むことができる、そういうふうになりました。そのこと自体は一歩前進なんですが、加害者名だけではなくて、親戚その他の名前で交付請求があった場合はどうなるのか、それから被害者への認識など何らかの手だてを講じるのかどうか、その辺のところをちょっとお伺いします。

○江津参事 今回の省令改正により、区市町村において、配偶者暴力の被害者の申し出により、加害者本人からの住民基本台帳の閲覧について拒否できることになりました。
 また、総務省からの通知によれば、加害者が第三者に成り済ましたり、加害者の依頼を受けた第三者からの閲覧請求を防止するために、身分証明書や請求理由についての関係書類の提示を求めるなど、区市町村長が厳格な審査を行うことになっております。

○福士委員 にせの審査に対しては結構歯どめみたいなものがあるようですし、自己情報コントロール権、先ほども出ておりましたけれども、利用停止請求権など、こういうことを利用することもできるのかなとは思うんですけれども、いろんなやり方で今までも情報をとろうとしている例を私も知っておりますので、そういう場合、被害者の情報が加害者に流れないように、やはり加害者の確認のような手だてがあればいいかなというふうに思ったのですね。
 それで、この加害者に流れる例が、今後もそうですけれども、これは区市町村の固有の事務になりますので、東京都がどういう関与ができるのかわかりませんけれども、情報だけは、収集をぜひ都としても、各市町村からも、今後どんな例があったのかみたいなことはやはりやっていただきながら、なるべく被害者の情報が加害者に届かないような、そういう手だてをお願いしたいと思います。
 続きまして、先ほども出ました公営住宅への優先入居の判断基準についてなんですが、これは、例えば被害者が逃げ出して、一時、親の家があったのでそこに入居した、そういう場合、住宅困窮でなくなるという理由で切られている場合が今までもあるんですけれども、その辺のところはどういうふうにとらえていらっしゃるのか、お伺いしておきます。

○江津参事 都営住宅の入居につきましては、一時的に親等の家に入居していたとしても、そのことのみをもって非該当になることはないと、所管局の方から聞いております。

○福士委員 その例のときも、そのことが一つの原因じゃなくて、もっともろもろ、ほかの原因もあったんだろうというふうには思いますので、それだけというふうに被害者の方が思い込んでしまったこともあるかもしれませんが、なるべくそういうことのないように、ぜひぜひ、先ほどもありましたように、都市整備局の方にもきちんと情報が行くように、それからこちらの方も、生文としても情報が局として収集できるようにお願いしておきたいと思います。
 次に、二次被害防止のための研修を必要とする幅広い職員ということが書かれていますが、幅広い職員とはどの程度のことを想定していらっしゃるのか。
 また、人材育成には、どんな内容のスーパーバイズや研修を考えていらっしゃるのか、それをお伺いしておきます。

○江津参事 被害者に接触する可能性のある職員に対しては、二次被害防止のためにも、配偶者暴力に関する正しい認識と理解を促すことが重要でございます。
 このため、行政や医療、警察、学校などの職員を対象に幅広く研修を行うことが必要であると考えております。
 また、直接、被害者支援に携わる相談支援機関の職員の人材育成については、被害者支援に必要な情報と技術を提供するスーパーバイズや専門研修等を実施していく必要がございます。
 今後、さらに区市町村とも連携を図り、研修等の内容や実施方法を工夫し、支援にかかわる職員の資質向上と人材育成に取り組んでまいります。

○福士委員 直接、被害者にかかわっている職場という、ご自分がそういう意識を持っていらっしゃるところの職員の方々は、大なり小なり、ある程度の認識をされると思うんですよね。それでも、相談窓口でも、あそこの窓口は悪いよみたいな、ばらつきがあって、私の方にも聞こえてくることが時々あります。
 この中で、先ほど二次被害に対しては、警察も含めて研修を行うということがお話にありましたけれども、警察は、特に認識のずれがある例を聞くんですね。ぜひ職場の雰囲気も、生文局として意識をして対応していただきたいというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。
 次に、警察との連携ですけれども、この報告の中では、主に加害者への働きかけの連携で考えられているんですよね。しかし、むしろ被害者との接触、例えば、暴行を受けて交番に駆け込んだ場合、それから近隣から一一〇番通報されて対応する場合、この間は、DVではありませんが、暴力を受けて駆け込んだ方がほったらかしになって、というような話もございましたけれども、こういうDVに関しては、特に二次被害を起こす可能性も現場では低くないというふうに思われますが、その対策が見えてこないので、どういうふうに考えていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしておきます。

○江津参事 警視庁におきましては、これまでも被害者の相談や支援にかかわる警察職員に対する各種研修を初め、巡回指導など多岐にわたる研修等を実施していると聞いております。
 また、全職員を対象に、職場内において配偶者暴力防止法の改正内容の周知徹底を図る予定というふうにも聞いております。
 東京ウィメンズプラザにおきましても、警察官に対する職務関係者研修を実施してまいります。今後とも、研修等を充実し、二次被害を起こすことがないように、その防止に取り組んでいきます。

○福士委員 ぜひぜひ、お願いしたいんです。
 DV関連ではございませんけれども、ちょっと私の知っている例でいうと、高校生がつきまといを受けて、たまたま学校からお友だちと帰るときに、そのつきまとっている方が遠くから見ていたんで、友だちに話をしたらしいんです。私の友人の息子さんなんですが、その子、しっかりしているもんですから、警察にいった方がいいよといって、交番に駆け込んだらしいんですね。そうしたら、その交番のお巡りさんが、そのお嬢さんに、短いスカートをはいているからだよと。多分、親切の意味も含めて、何げなくおっしゃったんだと思うんですよ。
 でも、ジーパンをはいていても、つきまといはあるわけですし、今、結構肩や何か露出したお洋服を着ていらっしゃる方もいますが、そういう方が全員つきまとわれるわけでもありませんし、そういういい方が二次被害を与えているという、多分意識なくおっしゃっているんだと思うんですよ、そういうのは。だからDVのときなんかは、もっともっと深刻な場合が多いわけで、うかつな物のいい方をしてはいけないという、そういう教育も含めて、きちんとしていただきたいというふうに思うんです。
 何があっても、被害を受けている方に、おまえが悪いということを決していってはいけない、その場では。少なくとももっと後になって、何か穏やかな状況になってから何かいろいろ話をすることはあるかもしれませんが、その程度のことは、やっぱりどなたも認識はしてほしいというふうに思います。そういうことも含めて、ぜひぜひこれからやっていただきたいんです。
 今一番問題になっているのは、支援関係機関の連携がうまくいっていないこと、それから一貫した支援体制と、被害者が就労できるようになるまでの技術支援ということは、ここまでうたわれていますけれども、精神的自立に対する見守りと支援が必要だと思います。
 今回の報告では、まあまあかなり書いていらっしゃるなと、書いていらっしゃるというより、かなり考えて報告されているなというふうには思いますが、後は現実に、これは各局にまたがる話が出てくるわけで、しかも細部にまたがる問題が出てきたときに、どうさばいていくかということが大事な問題点になってくるかと思うんですね。
 都庁内の局間の連携と情報収集をぜひ生活文化局でもきちんとされて、ばらつきがないようにということはなかなか難しい話だとは思いますけれども、きちんと一人一人が、少なくとも意識の中で二次被害を起こさないという、そういう情報を伝えていただきたいし、きちんと連携し、教育をされるように要望して、おしまいにいたします。

○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十六分散会

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