委員長 | 東ひろたか君 |
副委員長 | 臼井 孝君 |
副委員長 | 大塚 隆朗君 |
理事 | 野上じゅん子君 |
理事 | 山口 文江君 |
理事 | 松原 忠義君 |
村上 英子君 | |
福士 敬子君 | |
山下 太郎君 | |
石川 芳昭君 | |
遠藤 衛君 | |
山本賢太郎君 | |
曽根はじめ君 | |
樺山たかし君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 横山 洋吉君 |
次長 | 鮎澤 光治君 | |
総務部長 | 比留間英人君 | |
学務部長 | 山際 成一君 | |
人事部長 | 臼井 勇君 | |
福利厚生部長 | 幡本 裕君 | |
指導部長 | 近藤 精一君 | |
生涯学習スポーツ部長 | 鈴木 雅久君 | |
参事 | 松田 芳和君 | |
都立学校改革推進担当部長 | 山川信一郎君 | |
参事 | 齊藤 一男君 | |
人事企画担当部長 | 井出 隆安君 | |
参事 | 沼沢 秀雄君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
報告事項
・平成十五年度東京都一般会計予算(教育庁所管分)の繰越しについて(説明、質疑)
・「東京都教育ビジョン」の策定について(説明)
請願陳情の審査
(1)一六第一〇号 教育基本法の「改悪」反対の意見書提出に関する請願
(2)一六第一一号 日の丸・君が代の押し付け反対に関する請願
(3)一六第一三号 杉並区に養護学校高等部新設に関する請願
(4)一六第二二号 都立図書館の充実に関する陳情
(5)一六第二七号 都立七生養護学校問題に関する陳情
(6)一六第二八号 「東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱」の年齢制限の引上げに関する陳情
○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
まず、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でございますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○東委員長 初めに、本委員会の担当書記に交代がございましたので、紹介いたします。
議事課の担当書記の竹野内晃君です。
議案調査課の担当書記の加藤祐一郎君です。
どうぞよろしくお願いいたします。
〔書記あいさつ〕
○東委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承をお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の報告事項の説明聴取、質疑及び請願陳情の審査を行います。
なお、報告事項のうち、平成十五年度東京都一般会計予算(教育庁所管分)の繰越しについては、本日、説明を聴取した後、質疑終了まで行い、東京都教育ビジョンの策定につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。ご了承をお願いいたします。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、教育長から紹介があります。
○横山教育長 先般の人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
参事で教育政策担当の松田芳和でございます。都立学校改革推進担当部長の山川信一郎でございます。人事企画担当部長の井出隆安でございます。参事で局務担当の沼沢秀雄でございます。当委員会との連絡をいたします総務課長の松山英幸でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○東委員長 紹介は終わりました。
○東委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
初めに、平成十五年度東京都一般会計予算(教育庁所管分)の繰越しについてを聴取いたします。
○比留間総務部長 平成十五年度予算の繰越しについてご説明申し上げます。
お手元の資料、平成十五年度繰越説明書をごらんいただきたいと思います。
一ページをお開き願います。事故繰越総括表でございます。
支出負担行為額は四億五千五百八十五万四千円でございます。このうち平成十六年度に繰り越しをいたしますのは、九千九百二十五万五千円でございます。
二ページをお開き願いたいと思います。説明欄に繰り越しの理由等を記載してございますが、平成十五年度都立科学技術高等学校の土壌処理及びグラウンド、外構整備におきまして、当初の予測を超える軟弱地盤と地中障害物が確認されたため、工事の調整に日時を要したことにより繰り越すものでございます。
以上で報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○東委員長 報告は終わりました。
ただいまの報告に対し質問等がありましたら、ご発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 特に発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○東委員長 次に、東京都教育ビジョンの策定についてを聴取いたします。
○松田参事 東京都教育ビジョンにつきまして、ご報告申し上げます。
お手元にございます東京都教育ビジョンの策定についてという表題の三枚の資料に基づきまして、説明をさせていただきます。
Ⅰの東京都教育ビジョンの策定に記載してございますとおり、東京都教育委員会は、二十一世紀の東京、ひいては日本の発展を担う人間の育成を目的といたしまして、先般、東京都教育ビジョンを策定し、都における今後の教育改革の方向を、中長期的な展望に立って明らかにしたところでございます。
検討の経過でございますが、昨年五月、関係各局による組織横断的な検討委員会を設置し、都民意識調査の結果や教育関係者、有識者のご意見などを参考にしながら検討を重ねまして、昨年十二月に中間まとめを取りまとめ、公表いたしました。その後、中間まとめを第一回都議会定例会に報告いたしますとともに、都民意見募集、教育モニターアンケートを実施し、また、改めて有識者のご意見を伺い、それらを参考にしながら最終の取りまとめを行ったところでございます。
次に、Ⅲの東京都教育ビジョンの概要でございますが、第1章、教育ビジョンとは、では、まず、教育ビジョンの性格、位置づけを示しております。教育ビジョンは、二十一世紀を担う子どもたちの育成という目標のもとに、目指す人間像、家庭、学校、地域、社会に期待される役割を明らかにした上で、子どもたちの教育をめぐる課題と東京都における今後の取り組みの方向を示すものでございます。
教育ビジョンの目指す基本的な人間像といたしましては、互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間、社会の一員として、社会に貢献しようとする人間、みずから学び考え行動する、個性と想像力豊かな人間を掲げております。
次に、家庭、学校、地域、社会に期待される役割を明記しております。例えば家庭は、子どもたちが基本的な生活習慣を身につけ、家族愛の中で心の居場所を見出す場であり、子どもたちの教育の原点であると同時に、最終責任者であるとの基本認識を明示しているところでございます。
二ページをお開きいただきたいと思います。また、家庭、学校、地域に加えまして、職業生活や社会貢献を通じて自己実現を図る場としての社会においては、企業が教育の担い手として、また支援者としての社会的責任を果たすことや、メディアにも、その影響力にふさわしい社会的責任の自覚を求めているところでございます。
次に、第2章、東京の教育が目指す十二の方向、では、乳幼児期から青年期まで、子どもの成長段階ごとに、現行の制度的な枠組みにとらわれることなく、中長期的な展望に立って課題解決のために必要な十二の取り組みの方向と、それに基づく三十三の提言を示しております。
1、乳幼児期の課題と取組の方向では、方向1で、家庭の役割を重視し、さまざまな立場から子育て、家庭教育を支援することとし、家庭、学校、地域、社会などが連携し家庭教育支援を充実し、親としての自覚、責任ある行動を促していくことや、学校教育での保育体験学習の必修化などを提言しております。
方向2では、職業人でもある親は職業生活と家庭生活の両立を図り、企業も従業員の教育活動を支援することを明記し、父親と母親がともに子どもにかかわり、親としての教育上の責任を果たしていくことや、企業が従業員の教育活動を支援すべきことなどを提言しております。
方向3では、小学校への円滑な移行を可能とする就学前教育を目指すこととし、幼稚園、保育所、小学校の三者が連携し、就学前から小学校への連続性を重視した教育の取り組みや、幼稚園、保育所において利用者のニーズに応じた柔軟な運営や適切な教育が行われるよう、国において現行制度のあり方を抜本的に見直すべきことなどを提言しております。
次に、2、学童期の課題と取組の方向では、まず、方向4といたしまして、生涯学習の基盤となる確かな学力を育成し、一人一人の個性、能力を伸ばすこととし、基礎、基本を確実に身につける教育、みずから学び、みずから考える力など、生きる力をはぐくむ教育の推進や、習熟度別少人数指導等の推進、人間関係の基礎となるコミュニケーション能力の育成などを提言しております。
方向5では、義務教育の現行の枠組みを長期的展望に立って見直すこととし、義務教育での進級、進学、卒業のあり方や小学校の就学年齢のあり方、小中一貫教育などについて今後の方向性を国において検討すべきことや、心身障害教育について、個に応じた指導を充実し、特別支援教育体制を構築することなどを提言しております。
方向6では、学校教育の担い手である教員の資質向上を図ることとし、大学での教員養成段階において実践的な指導力や社会性の一層の育成、また、現職教員の資質向上、とりわけ努力や成果を適切に給与に反映できる制度の構築、さらに、公立小中学校の教職員の任命権のあり方の検討などを提言しております。
引き続き、四ページをお開きいただきたいと思います。方向7では、学校と地域が連携して子どもの社会性をはぐくむ取り組みを進めることとし、学校と地域が連携し、子どもたちにさまざまな交流や体験活動の機会を継続的に提供することや、学校、地域のニーズとボランティアを希望する人材、団体等とをコーディネートする仕組みづくりなどを提言してございます。
次に、3、思春期の課題と取組の方向では、方向8で、子どもたちの規範意識や公共心を確かなものとしていくことを明記し、国際社会に生きる日本人としての自覚を促す教育、学校教育において長期の奉仕体験や勤労体験を義務づけることの検討、子どもが犯罪に巻き込まれないよう、警察と学校、地域が連携した取り組みなどを提言しております。
方向9では、系統的なキャリア教育で将来の目的意識や学ぶ意欲を育てることとし、学校における教育活動全体を視野に入れた勤労観、職業観を育成する取り組み、生産の場と学校が連携したものづくり教育の推進や、体験的なキャリア教育充実のための遊学制度の検討、学校と企業等が連携、協力して人材を育成する取り組み、障害のある生徒の自立に向けた関係機関との連携の強化などを提言しているところでございます。
方向10では、多様な選択を可能にする学校教育のあり方を目指すとして、みずからの興味、関心、適性等に基づく複線型の進路選択の制度や、やり直しのきく柔軟な制度の必要性、公立、私立が連携、協力しながら東京都の公教育の質を高めていくこと、大学入試を改善し、入学は比較的容易で卒業要件が厳しい大学へ転換していくことを提言しております。
次に、4、青年期の課題と取組の方向では、方向11で、若者の自立を促進し、多様な生き方を包容する社会を目指すといたしまして、健全な勤労観を育て、若者の勤労意欲を喚起する教育、職業訓練などの労働政策の充実、すぐれた技能や技術を今以上にたっとび、評価していくことなどを提言しております。
方向12では、若者の自立につながるよう高等教育機関のあり方を見直すとして、産業技術の高度化に対応した高等専門学校の充実の必要性、大学において、目的意識を明確化させるための入学資格要件の見直し、修業年限の多様化、進級、卒業の厳格化、人間形成に重点を置いた教養教育の徹底などを提言してございます。
最後に、第3章、教育ビジョンの実現に向けて、におきまして、都を挙げての組織横断的な取り組みを進め、また、国や区市町村との連携を図りながら、時間軸の視点を持って教育ビジョンの実現に取り組んでいくこととしております。
今後、都教育委員会は、関係各局と連携いたしまして、教育ビジョンの実現に向けた取り組みを進めてまいります。
以上で東京都教育ビジョンの報告を終わらせていただきます。
○東委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○曽根委員 三点ほど資料をお願いします。
まず、この教育ビジョンを策定する教育庁としての権限や、また、その内容についての法律や条例などの根拠となるものについて。いろいろにまたがるかと思いますが、それぞれ挙げていただいて、根拠の由来といいますか、そういうものの説明をしたものをいただきたい。
それから、二つ目に、教育庁やそれ以外の部局も含めて、各局での検討経過について、経過説明の資料をお願いします。
それから、三つ目に、教育関係団体や個人との、この教育ビジョン策定に当たっての懇談や意見聴取の場があったならば、その状況についてご説明をお願いします。
以上です。
○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 それでは、ただいま曽根委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出を願います。
○東委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
初めに、請願一六第一〇号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○松田参事 一六第一〇号、教育基本法の「改悪」反対の意見書提出に関する請願についてご説明申し上げます。
請願一六第一〇号は、八王子市、小池裕敏さんほかから提出されたものでございます。
請願の要旨は、東京都議会として、国に対し、教育基本法の改悪に反対する意見書を提出していただきたいというものでございます。
これに関します現在の状況でございますが、教育基本法制定から五十年以上が経過する中で、社会状況は大きく変化し、また、教育全般についてさまざまな課題が生じておる今日、教育の根本までさかのぼった改革が求められております。
このような認識のもと、文部科学大臣の諮問を受けた中央教育審議会は、平成十五年三月、新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について答申を行いました。
答申では、教育基本法にうたわれている個人の尊厳や人格の完成などの理念は普遍的なものとして今後も大切に維持しながら、今日的状況の中で極めて重要であるにもかかわらず現行法には明確に規定されていない、家庭の教育力の回復、学校、家庭、地域社会の連携、協力の推進、公共に主体的に参画する意識や態度の涵養、日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心の涵養などの理念や原則を新たに明記するべきであるとしております。
国においては、この答申を踏まえまして、全国各地で教育改革タウンミーティングを開催するなど、教育基本法改正に向けたさまざまな取り組みを進めているところでございます。
なお、中央教育審議会答申に示されました方向性や理念は、都教育委員会の教育目標や現在進めております教育改革の方向性、これまでの取り組みと軌を一にするものであると考えております。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○東委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○曽根委員 それでは、教育基本法の改悪反対ということで都議会に意見書提出を求める小池さんという方の請願について、これはぜひ採択をお願いしたいという立場から質問いたしますが、小池さんという方に連絡をとったところ、もう既に東京都の教育委員会の方にも請願を行っているようです。そういう意味で、この問題について深い関心と危惧を持って出されたものだと思います。
そこで、これに関連してお聞きしたいんですけれども、ここでいわれている昨年三月の中央教育審議会答申に示された法改正についての提案、その内容と、また、改正が必要だという理由はどういうものでしょうか。簡潔にお答え願います。
○松田参事 昨年の三月、中央教育審議会は、新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について、文部科学大臣に答申を行いました。教育基本法は、施行以来一度も改正されないまま半世紀余りが経過しておりまして、この間に、社会状況も、また教育をめぐる環境も大きく変化し、教育全般にさまざまな課題が生じてきております。
このため、同審議会の答申では、現行法にうたわれております個人の尊厳や人格の完成、平和的な国家及び社会の形成者などの理念は普遍的なものとして今後とも大切にしながら、今日的状況の中で極めて重要と考えられます家庭の教育力の回復、学校、家庭、地域社会の連携、協力の推進や、公共に主体的に参画する意識や態度の涵養、日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心の涵養などの理念や原則を新たに明記すべきであり、教育の根本にまでさかのぼって改革を進めるために、教育基本法の改正は欠くことのできない一歩であるとしております。
○曽根委員 そこで、横山教育長は、審議会委員としてこの審議会に参加をし、昨年の第二回定例会で、答申の方向が都の教育施策、教育改革と軌を一にしており、教育基本法改正を期待しているというふうに答弁されていますし、先ほどもその趣旨の説明がありました。中教審答申の提案する基本法改定の方向と軌を一にしているということは、つまり、東京の教育改革というのは、教育基本法をそのとおり尊重するというものではなく、もうそれを踏み越えているんだということを認めることになりますが、いかがでしょうか。
○横山教育長 実は教育基本法見直しの議論といいますのは、別に中教審に限らず、先に教育改革国民会議の中でも種々議論をされてまいりました。そうした中での意見というのは、主として、教育基本法を否定するものではなくて、教育基本法制定以降の、国際化であるとか、あるいは情報化の進展等の社会情勢の変化、それから、子どもたちをめぐります家庭、学校、地域、社会の教育力の低下、こうしたことを背景としまして、新たに盛り込むべき事項、あるいは明記すべき事項について、こういう観点から検討がなされてきたものと私は理解をいたしております。
都教育委員会としましても、教育にかかわる問題が待ったなしの、まさに喫緊の課題であることから、平成十三年一月に、ただいま申し上げた教育基本法をめぐる議論の動向などを踏まえながら、教育目標及び教育方針を改善しまして、教育の正常化に向け諸施策に取り組んでいるところでございます。
○曽根委員 今までのものは否定していない、それに加えるものなんだという議論だから、否定はしていないんだということですが、私が聞いているのは、教育基本法をそのまま尊重するというのではなくて、踏み越えていくんだということになるんじゃないかということなんですが、つまり、これまでの教育基本法の理念と、新しく加えられようとしている、先ほどご説明があった、家庭の教育力というのはともかくとしても、日本の伝統・文化の尊重や国を愛する心というものとが矛盾をするんだという意見も多くあるわけです。
したがって、それを現実に東京の教育改革の中に盛り込んでいるとすれば、それはやはり現行の教育基本法から踏み越えるということになりますが、そのこと自身を教育長は踏まえているということでよろしいんですね。
○横山教育長 教育基本法そのものはわずか十一条の法文でございまして、この十一条の教育基本法各条文の解釈というのはいろいろございまして、いろんな教育論議の中でもその条文の解釈の中で適用してきた、こういう事例が多いわけで、その辺の矛盾が非常に多く上がってきている。
例えば日本の伝統・文化の条項、これは条項がございませんが、そういった議論、あるいは国を愛する心、そういった面の醸成、これは基本的には、教育基本法の、それを踏まえた学習指導要領というものが現実の学校の現場での指導基準になっているわけで、ここには明記をされているわけです。しかも、その学習指導要領なるものは、これは判例でも法規性を有するという規定もされております。教育基本法を踏まえた学習指導要領に基づくものでございますから、決して教育基本法を超えているとか、超越しているとか--その精神の流れの中で都の教育施策が行われている、こういう理解でございます。
○曽根委員 その流れの中でやっているといいながら、それではなぜ、三年前に、東京都の教育目標と教育の基本方針の中からわざわざ、それまで明記されていた憲法と教育基本法の精神にのっとりという言葉を削除したんですか。
○横山教育長 都教委が東京の教育をどういう方向性で打ち出していくか、実施をしていくかという検討の中で、憲法あるいは教育基本法を踏まえてという文言そのものは、私ども教育行政を担う公務員ですから、当然の話であって、そういった教育目標という短い文章の中で都教委としての方向性を出す場合に、あえてそのまくら言葉をつける必要はないという判断から、非常にわかりやすい形で目標を設定した、こういうことでございます。
○曽根委員 今まであったものをあえて削除したわけですから、それなりのやっぱり意味があるというふうにいわざるを得ない。教育長が今踏まえているとおっしゃっても、その後の経過を見て、実際に進めている都の教育行政を見れば、教育方針の中に憲法や教育基本法を掲げていることと、今東京都の教育委員会がやっていることとが余りにかけ離れているから削除せざるを得ないという実態が私はやっぱりあると思うんです。反論があったらいってほしいんですよ。
それから、教育ビジョンはこの次議論しますけれども、教育ビジョンについても、これだけ長い文章を書きながら、私、ざっと読ませてもらいましたが、教育基本法また日本国憲法という言葉すら出てこないんです。中の条文も出てきません。全く出てこないんですよ、教育ビジョンの中に。これで踏まえているのは当然だから書かなかったんだということじゃ、ビジョンのこの中身からして済まない問題だと思います。
具体にちょっと聞きたいんですが、例えば、三年前に、東京都の教育目標の中に「わが国の歴史や文化を尊重し国際社会に生きる日本人の育成」というのを書き込みました。これは当然、昨年ですけれども、中教審答申の新たに教育基本法の改正で加えるべき方向ということと同一内容ですので、これは時間的にいえば先取りして、それまでの議論の中で、特に日本人の国を愛する心というか歴史や伝統・文化の尊重ということを入れたということで理解してよろしいですね。
○横山教育長 もう少し日本で行われている教育の法体系そのものの前提でご議論願いたいんですが、教育基本法を踏まえた学習指導要領が策定をされ、これは法規性を持つとされる。その学習指導要領に基づいて教科書が編綴され、検定制度がある。その検定された教科書の中から採択をしていく。こういう全体の教育の法体系がございますして、今委員がおっしゃった日本の伝統・文化の尊重、あるいは国を愛する心の涵養、醸成というのは、今申し上げた学習指導要領には従前から明記をされている事項でございます。あえて、教育基本法の議論をそのまま持ってきて、都の教育目標に明記をしたということではございません。
○曽根委員 一般論としては、日本を愛する心や、それから郷土や文化を愛する心を育てることは、教育目標として掲げるのは何の問題もないわけですよ。学習指導要領の中にだってそういう文言は恐らくあるでしょう、私、全部読んだわけじゃないけれども。しかし、あえて東京都の教育目標から片や日本国憲法と教育基本法という文言を外しておいて、同時にそのときに、今回中教審答申で教育基本法に加えるべきと出された伝統・文化や郷土、国を愛する日本人の育成ということをあえて入れたということに大きな意味があるというふうに考えざるを得ないわけです。
現実に、今回、職務命令を含む実施指針を出し、それに従わない教員の処分にまで教育庁は踏み切りましたが、これはまさしく、国旗・国歌として法制化された日の丸・君が代を、日本人のアイデンティティーというか、平たくいえば愛国心の象徴として学校の行事や授業で指導を徹底したいからというふうに素直に受けとめれば、そういうふうになりますよね。したがって、この教育目標に日本人、日本を愛する心の育成ということが書き込まれた以降の、特に今回の実施指針の実施ということを見れば、その結果はおのずと具体的な政策としてあらわれているというふうに考えるのは当然だと思うんですが、いかがですか。
○横山教育長 今回の卒業式あるいは入学式をめぐる国旗・国歌の問題というのは、国旗・国歌法が法として制定をされまして以降、やはり学校の現場で非常に混乱が起こっている。一方で、私どもが教育行政を担う者として踏まえなければならない学習指導要領には、国旗・国歌の問題についての扱いは明記をされている。ただ、詳細な扱いが明示されているわけではございません。あくまでも私どもは、教育課程の適正な実施、これを担保する責務を負っているわけで、あくまでも今回の国旗・国歌の問題といいますのは、適正な教育課程の実施、この一語に尽きるわけでございます。
○曽根委員 それは日本人の国を愛する心を育てる教育と無関係なんですか。無関係だとだれも考えられないじゃないですか。いかがですか。
○横山教育長 教育全体の中で国旗・国歌という問題をどういうふうに位置づけるかというのは、学習指導要領をお読みになっていただければおのずからわかるわけで、全く無関係とは申しておりません。今回の国旗・国歌の問題、いろいろマスコミ等でイデオロギー的な問題として取り上げられておりますが、私どもはあくまでも、学校教育の現場において教育課程を適正に実施する、こういうことでいろいろな対応措置をとったわけでございます。
○曽根委員 だれが考えても、これは日本を愛する心ということが教育目標に入り、そして、その後、いわばその最も大きな具体化としての今回の日の丸・君が代の扱い、国旗・国歌としての実施指針だというふうに受けとめざるを得ないと思うんです。
教育長はあくまで学習指導要領に基づくものというふうにいいますが、学習指導要領ではもちろん一般的な規定しかないわけで、それをここまで具体的にしたというのは、やはりこの間の教育方針があり、それから、昨年春の中教審答申があったからだと思います。
そういう点で、今都立の学校で起こっていること、つまり、全員日の丸に向かって座らされて、先生が君が代を起立、斉唱しなければもちろん処分ですが、生徒が起立、斉唱しなくてもやはり担任の先生が責任を問われて、私から見れば、見せしめの厳重注意を受ける。まさにこの息苦しいありさまは、私は、都教委が誇りある日本人の育成というのを学校の授業や行事で徹底指導させようとしている一つの大きな姿にほかならないと思います。
今、この理念が教育基本法改定で明文化されようとしているわけです。つまり、中教審の提案の方向で基本法が改定されれば、東京の学校で今起きていることが、今度は、法律に基づいて公然と日本じゅうの学校に広がることになる危険があります。知事も、これは教育連絡会でしょうか、五年後、十年後は、今首をすくめて眺めている全国の自治体が東京のまねをすることになるだろうとこの問題について発言をしているわけで、私がいっているよりも知事がいっている方が、はっきりこの方向が示されているんじゃないでしょうか。私は、東京の教育やこんなものを全国に広げるとすれば、東京の教育の歴史に重大な汚点、取り返しのつかない汚点をつくることになると思います。
教育基本法の改定案には、もちろんこの問題以外にも、例えば国が教育内容に具体的に介入できる振興計画の問題など、請願者がいっているように問題は山積していますけれども、日の丸・君が代の強制をめぐるこの間の都のやり方だけを見ても、提案されている基本法改定が何をもたらすかは明白であり、我が党は、多くの都民世論とともに、断じてこれは認められないという立場を申し上げておきます。
そして、請願の採択を主張いたしますが、もちろん、この問題では既に各会派、政党の政治的立場は決まっていると思います。しかし、この間の事態を踏まえて、私は、この問題については引き返す勇気が必要だ、やはり現実に東京の学校で起きている事態を見てほしい、これが学校の教育の姿であり、子どもたちが本当に安心して学べる学校の姿なのかということを見て、引き返す勇気を持っていただきたいということを心から訴えまして、質問を終わります。
○山口委員 私も意見を述べさせていただきたいと思います。
中央教育審議会において教育基本法の見直しが必要との姿勢が示され、国民には十分な認識がないまま、教育基本法の改正を目指した動きが進んでいるということを大変憂慮しています。何より教育とは、法律による規定は極力抑えるべき性質のものではないかと思います。
なぜ見直しが今日必要かといえば、能力主義と愛国主義を徹底させるために現行の教育基本法が障害になっているためといわざるを得ません。画一的な教育を悪平等とする能力主義は、教育を通じた極分化をさらに推進させることになります。家庭教育への権力の介入や人の心を愛国心で統制するということは、既に、指導要領の改訂による日の丸・君が代の義務化、国旗・国歌法の制定に及びました。国旗・国歌体制の中で教育現場で強制を図ろうとされ、批判的な教師は指導、処分で排除されるような、人間を大切にしない威圧的な構図が、子どもたちの真の愛国心につながる道理がありません。
教育現場の主体である子どもの最善の利益に立った権利の保障がうたわれることのない改正には反対する立場から、本請願の趣旨採択を望みます。
○福士委員 この請願に対しては、都議会として国に意見書を出してほしいということですので、行政への質問はいたしませんが、意見だけ申し述べておきます。
ちょっと話は異なりますけれども、五月の十二、十三日、衆議院の憲法調査会は憲法改定の中央公聴会を開きました。有識者の意見を聞いた中で、公述人たちは、改憲論のムード的な先走りなどを戒めたというふうに聞いております。とりあえず定足数に足りない中で開会されたような状況もあったようです。その中でもまた、森山元文部大臣は愛国心を前文にというふうに提起されて、公述人たちから苦言が相次いだというふうにこれもまた伺っておりますが、このように論理的発想がない中で、議員たちも実際の委員会に参加することすらしないというような、実際の関心もないのに改憲論を掲げている状態の中で、今この教育基本法を改憲論の先鞭的な形に使われては問題かなというふうに思います。
その意味で、反対の意見というものを出してほしいというこの請願に対して、私は趣旨採択をしたいというふうに思っております。
以上です。
○東委員長 ほかに発言ございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一六第一〇号は不採択と決定いたしました。
○東委員長 次に、請願一六第一一号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○近藤指導部長 一六第一一号、日の丸・君が代の押し付け反対に関する請願についてご説明を申し上げます。
本請願は、八王子市、小池裕敏さんほかから提出されたものでございます。
請願の趣旨は、日の丸・君が代の押しつけ反対に関して、次のことを実現していただきたいということでございます。
まず、子どもや教職員に対して、いかなる日の丸・君が代の強制も行わないことについてでございます。
学校教育における国旗及び国歌に関する指導は、学習指導要領に基づき、児童生徒に国旗及び国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てていくため、社会科や音楽、特別活動などで行われております。こうした観点から、学習指導要領に定められた教育内容は、強制するとかしないとかといった性質のものではなく、あくまでも、学校における教育指導上の課題として指導を進めているものでございます。
次に、日の丸・君が代とその押しつけに賛成することを、子どもや教職員の入学、卒業、採用、昇進その他、待遇の条件としないことについてでございます。
初めに、子どもに関してでございますが、学校における国旗掲揚及び国歌斉唱は、将来、児童生徒が国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくために、学習指導要領に基づき行われる指導でございます。したがいまして、国旗掲揚及び国歌斉唱について、子どもの入学、卒業の条件とはしておりません。
続いて、教職員に関してでございますが、国旗掲揚及び国歌斉唱は、教育指導上の内容であり、また、教職員の採用や昇任、その他の待遇は、教職員個々の資質、能力等によって行われるものであり、直接かかわるものではございません。
次に、東京都議会において、日の丸・君が代押しつけに反対する意見書を提出することについてでございます。
東京都教育委員会といたしましては、今後も、学習指導要領に基づいて国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう指導してまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○東委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○村上委員 入学式で新入生を迎えて、間もなく二カ月がたとうとしております。入学式は子どもたちにとって、入学した喜びと、そして、期待に胸を膨らませて受ける初めての学校授業であり、そしてまた卒業式は、自分の成長の成果をかみしめる最後の授業ともいうことができます。したがって、入学式や卒業式は学校行事の中でも最も重要な儀式的行事でございます。
しかしながら、これまで都立学校における卒業式や入学式の適正実施の状況は、小中学校に比べて大変悲惨なものでございました。そこで、昨年十月、都教委は、入学式や卒業式などが学習指導要領に基づき適正に実施されるよう通達を出し、実施指針を示し、各学校を指導してきたと伺っております。さきの教育委員会においてその実施状況を報告されたようですので、このことについてお伺いをいたします。
まず初めに、この春に行われた都立学校の卒業式、入学式の実施状況についてお伺いをしたいと思います。
○近藤指導部長 この春行われました卒業式や入学式では、学習指導要領や通達に基づきまして、すべての都立高等学校及び盲・ろう・養護学校で、舞台壇上正面の国旗掲揚、舞台壇上での卒業証書の授与、式場にピアノがない学校を除いて、すべての学校でピアノ伴奏による国歌斉唱を実施いたしました。
しかし、ごく一部ではありましたが、国歌斉唱時に起立しない教員などがいたことは深刻に受けとめているところでございます。今後とも改善に努めてまいります。
○村上委員 今指導部長のお話にもありましたように、たとえ一部の教員であったとしても、絶対に許してはならないことだろうと思います。子どもは、どこの学校に行っても、どの先生に受け持たれても、適正な教育を受ける権利を持っているのです。たった一人の教員であったとしても、許すことはできません。そういった教員に対して厳正に対処していただきたいと考えます。
いずれにいたしましても、すべての都立高等学校と盲・ろう・養護学校において、学習指導要領に基づいた卒業式や入学式が実施できたということでございますね。私もかなり改善されたと受けとめております。具体的には、都民の方や保護者からどのような評価あるいはご意見があったんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○近藤指導部長 この春行われました卒業式終了後、多くの方々から声が学校や都教育委員会の方に寄せられているところでございます。
一部ご紹介をさせていただきますと、ある高校の同窓生でございますが、このような厳粛ですばらしい卒業式は、同窓会にかかわって二十年になるが、初めて体験することができた。また、教職員がきちんとした服装だったことが印象的だったなどの好意的な意見が寄せられております。また、ある養護学校の保護者からでございますが、壇上で校長先生から卒業証書を受け取る我が子の晴れがましい姿を見てうれしかったという声などもありました。
今後とも、都民に信頼される学校づくりに一層邁進してまいりたいと考えております。
○村上委員 今指導部長のお話の中で、厳粛で清新な雰囲気の中で卒業式や入学式が実施できたことを保護者や地域の方々も認めているということがよくわかりました。これからの社会を担う子どもたちが国際社会において尊重され、信頼される日本人として成長していくために、学校教育において、国旗及び国歌に対する正しい認識を持たせ、それを尊重する態度を養うことを初めとして、国を愛する心を育成することが極めて重要であると考えています。
そこで、最後に、教育長にお考えを伺います。
○横山教育長 これは総務庁が実施している調査でございますが、高校生を対象に実施している世界青年意識調査というのがございます。この中で、日本人であることに誇りを持っている、こういう答えをした者が、他国に比べまして日本では低い結果になっております。こうした調査結果を見るにつけまして、児童生徒に日本の伝統・文化を尊重する心や生まれ育った郷土や国を愛する心情を育てるとともに、国際社会に生きる日本人としての意識を高めることが大切であると痛感をいたしております。
都教育委員会としましては、今後とも、学校教育におきまして、日本人としての自覚や我が国の国土、歴史、文化や伝統に対する愛着や誇りを育て、国際社会から信頼される日本人の育成を目指してまいります。
○村上委員 教育長の力強い感動に私も賛同いたします。今後も、日本人としての誇りと責任を持つという意味からも、また、国を愛する心を育成することが大切だという立場に立って、積極的に取り組んでいっていただきたいとお願いしたいと思います。
以上です。
○曽根委員 最初に、今のお話、無関係じゃないどころじゃないじゃないですか、今の村上さんの質問。私の質問に何でちゃんと素直に--無関係じゃないどころじゃないじゃないですか、今の話は。まさに日本人の心を育てるために、最も大事な儀式で日の丸・君が代を国旗・国歌としてちゃんとやれということでしょう。そのとおりだと答えているわけじゃないですか。まあいいですよ、本音はちゃんとわかったから。
先ほどもちょっと、ある意味ではこの問題にも触れたわけですけれども、改めて、今回、同じ方なんですけれども、請願が出ている。それで、私、いろんな問題がこの問題には含まれているので、少しこの請願者の趣旨に沿ってただしてみたいんですけれども、まず、卒業式や入学式というのは、都の教育委員会も繰り返し、子どものため、子どもにとって晴れの舞台、最も重要な儀式、儀式的行事というようなことで、子どものためということをいいながらも、実際は都教委が指示したとおりの形式を押しつける。その中心は日の丸・君が代の扱いになっているわけで、これが実態として卒業式や入学式をどういうものにしているのかということがまず第一の問題だと思います。
そこで、私、ある集まりで都立高校の先生が話していたのを聞いたので、その例をちょっと紹介しますが、これは都立の高校の先生で、今までは基本的に日の丸・君が代は国旗・国歌として認めていいんじゃないかと思って、自分は立って歌ってきた。しかし、今回、指針でこれは職務命令として強制されるということになった。そういう考え方は私は従えないので、今回立つのをやめた。立つのをやめただけで、黙って座っていたわけですけれども、式のときにはそこに副校長が来て、何々先生、立ちなさいと大声で恫喝をした。周りを見ると、周りはみんな下を向いていたということで、私、本当にこれ、式の雰囲気はまさにぶち壊しになるなと思います。なぜ恫喝しなければならないのか。
それから、これは朝日新聞の読者の声欄に載っていたんですが、これは中学校の先生ですから恐らく東京都と同じような指針を出した市町村の先生だと思いますけれども、中学校の先生で、三月の卒業式では会場の体育館の舞台正面に昨年まで飾った大きな卒業制作の絵が、今回は両わきの壁に追いやられた。正面には日の丸と市の旗を張るようにと通達が出ていたからです。卒業生は残念がりました。卒業制作を担当した私に、どうして正面に張ってくれないのか、校長先生にいってとすがりましたが、私は何もしてあげることはできませんでした。こういう声があるわけです。
私、こういうふうに子どもを中心に、そして、子供を本当に門出を祝う、もしくは入学を祝うということであるならば、こういう形式になぜこだわらなきゃならないのかということが第一に問題だと思うし、式の雰囲気は子ども中心になっていないというふうにいわざるを得ないと思うんです。
さらなる疑問は、生徒が自主的に立たなかったり、教員が憲法上の権利として良心の自由があることを説明するなどが学校教育の一環として行われていて、これまでは都の教育委員会も禁止などはしていなかったのに、今回の指針が出てからは、これを認めないということで担任など教員を調査し、または注意処分にするということです。
なぜ日の丸・君が代に限って、生徒のしたことが理由のいかんを問わず教員の責任になるのか。また、そのことを、教員を呼び出して、七生養護学校でもありましたけれども、尋問をしたり厳重注意を行う権限が都教委には本当にあるのか、この点についてただしたいと思います。
○近藤指導部長 教員は、職務として、学習指導要領に基づき、国旗・国歌について適正に指導する責務がございます。国歌斉唱時に多くの生徒が起立しないということは、学習指導要領に基づいた国旗・国歌についての指導が適切に行われていなかったといわざるを得ません。したがいまして、入学式、卒業式で多くの生徒が起立しなかった学校においては、当日までの国旗・国歌の指導の状況などを調査項目といたしまして、都教育委員会が、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などに基づきまして事実確認等を行ったところでございます。
また、生徒の不起立等にかかわる教員につきましては、学習指導要領に基づいて国旗・国歌の指導を適切に行うよう、注意、指導を行うものでございます。
○曽根委員 近藤指導部長は、先ほども、この問題については、強制するとかしないとかではなく、学習指導要領に基づく教育上の課題の問題なんだというふうに説明をされましたし、今の答弁もその趣旨に沿ったものだと思います。
しかし、実態は、一連のやり方は明らかに強制なんです。なぜかといえば、この国旗・国歌に対する問題というのは、これを法制化するときの国会質疑でも明らかなように、国民一人一人の思想信条の自由にかかわる問題だからです。これは教育上の課題としてのみ扱われることはできない、それが済まされない問題だということなんです。
例えば、仮にある生徒が、小中学校までは余り意識せず素直に歌ってきたけれども、国旗・国歌法のいきさつや憲法上の権利の問題であることを自覚して、改めてみずから起立、斉唱を拒否した場合、これは、前の委員会の際に、その生徒に対してそれ以上起立を求めることはできないことは確認いたしました。しかし、この生徒が自覚して起立、斉唱を拒否した場合、都教委によれば、学習指導要領に基づく教育課題の指導のおくれということになる。そうすると、教育者の側は何らかの責任が問われるということになるわけで、今の扱いはまさに、憲法上の権利を生徒が行使したことに対して、教育者の側に指導上のおくれという責任を負わせるということになりますよね。つまりは、憲法の権利の行使をそういう意味で制限することになりはしませんか。
○近藤指導部長 先ほども申し上げましたように、教員は教育公務員としての身分を有してございまして、教員は、法令や学習指導要領に基づきまして教育指導を行う責務があるものでございます。
○曽根委員 それでは、その教育指導を行う責務がある教員が、生徒が憲法上の権利を行使する--例えば板橋高校ではこういうことがあったんです。
生徒が最初立たなかった。国歌斉唱という名乗りが上がったときに、生徒たちは着席をした、ほとんどが。それで、そのときに校長か教頭が立ちなさいというふうにいったら--これは来賓の都議会議員の人が立てというふうにいったら、思想信条の自由があるだろうという声が生徒の席から出た。そこで、教頭先生は、信念を持って座っている者以外は立ちなさいといったんです。これは事実ですから間違いないと思うんです。そうしたら、ほとんどの生徒は立たなかったんです。つまり、信念の表明になったわけですよ、その瞬間に。そのことについて、生徒が信念の表明として、これは教頭先生もいったわけですから、その場で確認をされたわけですよ。その行為が今担任の先生の責任として問われて、指導処分なんかが出ているわけですね。
そうすると、生徒自身は憲法上の行為をみずから実行すると、先生を傷つけることになる、職務上。こういう矛盾は必ず起きるわけですよね。どちらが重要な権利なんですか。
○近藤指導部長 この春行われました卒業式等については、ほとんどの学校で生徒が起立をいたしました。しかし、残念なことでありますが、一部の学校では、ほとんどの生徒が立たなかったという事実があるわけでございます。これは、教育の機会均等、子どもが学習指導要領に基づいた適正な教育を受ける権利そのものを私は奪うものではないかと考えております。したがいまして、ほとんどの生徒が立たなかったということは、やはり教員がそこにおいて学習指導要領に基づいた適切な指導を行わなかったといわざるを得ないと考えております。
○曽根委員 教育の一つの課題としてしかとらえないから、そういう機械的な、教育の機会均等だなんて全くちぐはぐな答弁が出るのであって、国旗・国歌に対する生徒の態度というものは、例えば科学の法則や数学の定理に対する生徒の態度とは違うんです、明らかに。科学の法則や数学の定理に対しては、正しいもの、正しくないものというのは明確なんです、学問上も。それで教育上も明確です。しかし、国旗・国歌に対する態度というのは、これは国民の権利にかかわるもので、たとえ未成年の子どもたちであっても、これは権利として認められるというのは当然のものです。
したがって、これについては、そこまで強制できない以上は、教育上の義務を先生に課すことは、事実上、これは生徒の心を縛ることになる。そこを多くの方々が--しかも、国旗・国歌を掲揚し斉唱することを否定しない、それを認めるという人たちさえも批判しているのはそこなんですよ。
生徒に強制はできないはずだということを例えば朝日の二十六日の記事でもいっていますし、きょうの朝日の社説でも、学校で何より大切なのは、子どもたちがみずから学び、みずから考える力をつけることじゃないか、生徒の自主性や個性を認めないやり方は好ましくないと私たちは考える、先生への処分を振りかざして生徒に何かを強制することがこの東京都の教育目標にかなっているとは思えないと、全く真っ当な意見を、朝日はこれで七回目ぐらいの社説になるかと思いますが、この問題を出しているわけです。
さらに、これは三月の末ですけれども、TBSの「報道特集」でも、国旗・国歌法の制定当時の野中官房長官が、内心の自由を侵してはならない、教育への押しつけはしないという国会答弁をしている場面を映し出して、内心の自由を侵す都の教育委員会のやり方のひどさを述べる先生方のインタビューを放映しています。NHKも含めて、テレビの放送局でも非常にこの問題は批判的に報道されているわけです。
これらの声について、私、今回処分がまた強行されましたけれども、都の教育委員会は厳しくこの問題を受けとめて、反省すべきだと思いますが、いかがですか。
○近藤指導部長 何度も繰り返し申し上げますが、学校の教員は、学習指導要領等に基づきまして教育活動を適正に実施するのが役目でございます。先ほど学習指導要領という話がございましたけれども、学習指導要領は、そこに示されている内容は必ず子どもたちに指導しなければいけない内容でございます。この学習指導要領の中には、もちろん国旗・国歌の内容も入っておりますし、掛け算九九の問題もありますし、歴史の問題も入ってくるわけでございます。そうしたことを学習指導要領に基づいて指導することが教員の責務なんです。
以上でございます。
○曽根委員 私はさっきから、指導の結果として、生徒が信念を持って立たなかった場合を聞いているんですが、それには一切お答えできない、答えられないということがわかりました。
ほかの掛け算九九と同じにしてしまう近藤指導部長のその答弁、私、教育内容を指導するという、非常に教育行政の中でも学校の教育内容にかかわって、いわば上からの押しつけや何かではなくて、指導助言という形で、現場で頑張っている先生方を励まし、そしてアドバイスするという立場からの仕事が求められている部長として、こんな機械的なやり方で、しかも、最終的には事実上の処分ですよ、指導、厳重注意といったって。傷が残るわけですよね。こういうやり方を断じて認めるわけにはいかないし、この方向が進んでいけば、教育基本法の改正というのはまさにこれを全国に広げることだということを改めてもう一度申し上げたいと思います。
終わります。
○山口委員 初めに、ちょっと基本的なことから伺いますが、都の教育委員会が教職員に対して行う懲戒処分の目的と種類について伺います。
○臼井人事部長 懲戒処分についてのお尋ねでございます。
懲戒処分につきましては、職員の服務義務違反に対しまして、公務員の規律や秩序を維持するため、任命権者でございます東京都教育委員会が行う制裁でございます。その種類は、地方公務員法第二十九条により、戒告、減給、停職、免職の四つが定められております。
○山口委員 では、今回の卒業式や入学式において、君が代斉唱時に起立しなかったとして懲戒処分を行った東京都公立学校の教職員の処分者数と処分内容、また、同様に、不起立だったことを理由に再雇用の採用を取り消された教職員の人数について伺います。
○臼井人事部長 今回の処分は、卒業式及び入学式におきまして、国歌斉唱時には国旗に向かって起立し斉唱することを校長から職務命令として命じられていたにもかかわらず、起立しないなど、地方公務員法第三十二条の法令及び上司の職務上の命令に従う義務に違反したため、懲戒処分を行ったものでございます。
卒業式におきます処分者は百九十八名で、処分の内訳は、一名が減給処分で、百九十二名が戒告処分であります。また、五名の再雇用の継続申請者についても、再雇用選考後に同様の職務命令違反を行ったので、東京都公立学校再雇用職員設置要綱に基づきまして合格を取り消しました。
また、入学式での処分者は四十名で、処分の内訳は、三名が減給処分で、三十七名が戒告処分でございます。
○山口委員 今回、戒告と減給といった処分を行っていますが、どのような基準で処分内容を決定したのか、伺います。
○臼井人事部長 懲戒処分のうち、いずれの処分を選択すべきかは、最高裁の判例によりますと、懲戒事由に該当する行為の原因、動機、態様のほか、当該教職員の前後の態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の教職員及び社会に与える影響など、諸般の事情を考慮し、任命権者の裁量で行うものとされております。
本件の場合も、このような考え方に基づきまして、任命権者であります東京都教育委員会において決定したものでございます。
○山口委員 先ほど来出ています、生徒のほとんどが君が代斉唱時に不起立であった学校があるわけですけれども、このような場合に教員の指導が不足しているとして処分した事例があるのか、伺います。
○近藤指導部長 ご指摘のような理由のみで懲戒処分に至った事例はございません。しかし、ほとんどの生徒が不起立という状況が今後繰り返されることがないよう、今回、注意、指導を行ったということでございます。
○山口委員 注意及び指導されたということですけれども、この場合、事実関係をどのように把握したのか。生徒からも事情聴取などが行われたのか、伺います。
○近藤指導部長 国歌斉唱時に多くの生徒が起立しないということは、学習指導要領に基づいた国旗・国歌についての指導が適切に行われることが行われていなかったと考えざるを得ないわけでございます。したがいまして、このような学校においては、式が実施された後、校長が必要に応じまして生徒からも事情を聞き、式に至るまでの状況について把握に努めているところでございます。
なお、都教育委員会が直接生徒から話を聞くというようなことはやっておりません。
○山口委員 入学式で君が代斉唱時に教職員が起立しなかった都立学校が二十九校と新聞報道では書かれておりました。卒業時に比べると約三分の一と激減していますが、このことについて都教委は、通達に基づく指導が行き渡ったとしていますが、私としては、懲戒処分がただ響いただけの結果ではないかと思っています。生徒の不起立の責任を教員に負わせることは、生徒にも起立を強いることにつながるのではないでしょうか。学校において児童生徒が、思想、良心の自由というものは、基本的人権を享受することにつながるわけです。都教委の指導によって学校の主体者である児童生徒への内心の自由を拘束することは、当然あり得ないはずであります。
しかしながら、職務命令違反あるいは指導不足として、指導の名のもとに現場の教師が、弾圧という言葉を使ったら行き過ぎかもしれませんが、そういった対象とされることにより、間接的とはいえ、子どもたちへの圧力がかかることは明白であり、限りない押しつけが行われていることは大変憂慮すべき事態だとして、先ほど大変今回の卒業式を評価した声も上がったとおっしゃいましたけれども、こういった子どもたちへの押しつけがさらに進んでいくといって憂慮している声も多いということは、都教委としても事実としておつかみになっているはずだと思います。
大変残念なことなんですが、私も、ぜひ今回はこの請願に対しましては趣旨採択の立場から質問をさせていただきました。
終わります。
○福士委員 日の丸・君が代に関しては、今までも質問をしてまいりましたし、こちらの請願者の方は都議会においてということですので、これについても私は行政側に質問することはいたしませんが、意見だけ申し述べます。
前に、三月十七日の委員会で、臼井委員が諸外国の国歌の歌詞を紹介されて、国旗・国歌はその国の歴史と無縁ではないが、国旗・国歌が戦争を行ったわけではないというふうなことをおっしゃいました。私もそうだと思います。そこが問題なのではなくて、今議論の中で問題なのは、外国と日本の教育の大きな違いとして挙げられるのは、戦争の歴史をどこまで正しく伝えていることか、それすら日本では否定的にとらえられていることが大きいところも、かなり大きな問題としてかかわってくるんじゃないかというふうに考えております。現に都では、授業で侵略戦争を教えた先生を授業から外されたり、そのことによってまたPTAや市民の方たちが復帰の要請行動を行ったり、あるいは裁判が行われたりという、こういう例が起こっております。
外国を考えてみますと、外国の中では、戦争の記事、あるいは歴史を調べて自分の意見を述べる、そういうカリキュラムがたくさん入っております。そのカリキュラムでの発言や意思表示の自由は、どっちの側に立つにせよ、認められています。
この請願に対して、先ほどご説明の中で、学習指導要領に定められた教育内容は、強制するとかしないとかいった性質のものではなくて、あくまでも、学校における教育指導上の課題として指導を進めるんだというようなご説明がありましたけれども、先ほど来皆さんから出ていますように、五月二十六日の新聞報道にも出ておりました。都は、生徒も含めて、気持ちの上で上意下達に従わせようとするところがあるように見受けられますし、そこがすごく問題なところだというふうに私は思います。国でさえ、国旗・国歌ということは定めました。しかし、現実には処分まで強制しているわけではないんですよね。
その意味では、この請願に対しては、私は趣旨採択をしたいというふうに思っております。
○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一六第一一号は不採択と決定いたしました。
○東委員長 次に、請願一六第一三号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○山川都立学校改革推進担当部長 一六第一三号、杉並区に養護学校高等部新設に関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、杉並地区に養護学校高等部をつくる会代表、堀向玲子さん外一万八百十三人から提出されたものでございます。
本請願の趣旨は、都において杉並区に養護学校高等部単独校を新設していただきたいと要望されているものでございます。
これに関する現在の状況でございますが、現在、杉並区の知的障害養護学校高等部の通学区域は、都立中野養護学校一校でございます。近年、知的障害養護学校に通う児童生徒数の増加に伴いまして、都立中野養護学校におきましても教室が不足している状況であり、教室の間仕切りや管理諸室などの転用などにより対応している状況でございます。
このことにつきましては、この秋に策定する都立盲・ろう・養護学校の再編整備を含む行政計画において対応策を示してまいりたいというふうに考えております。
説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○東委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○大塚委員 私から請願一六第一三号について幾つか質問していきたいと思います。
ご承知のとおり、近年、少子化で児童生徒数は大変減少の傾向にあるわけでございます。また逆に、養護学校の生徒数は増加をしておりまして、したがいまして、養護学校の教室不足が深刻でありまして、都内の各養護学校関係者から多くの要望が出ておるわけでございます。
今ご説明がありましたとおり、中野養護学校につきましても、プレハブ校舎や特別教室の転用や、カーテンなどで間仕切りをして一つの教室を二つのクラスで使用しているなど、限られた資源を工夫して使ってきたと聞いております。それをよしとするわけではございませんが、今後も養護学校の生徒数が増加すれば、こうした工夫をしても対応は困難になると思います。
そこで、生徒数の動向についてどのように認識しているのかということと、また、現状についてどのように考えているのか、まずお伺いをいたします。
○山川都立学校改革推進担当部長 現在、知的障害養護学校におきましては、ご指摘のような児童生徒の増加に伴う普通教室の確保が大きな課題になっておりまして、このため、総合的な対応策の検討が必要であると考えております。
○大塚委員 高等部の今後の生徒数の増加、今お話がありましたとおり、中野の現状があるわけでございますが、そのお隣の、今回の請願の趣旨であります杉並区には都立の養護学校がないことを考え合わせてみますと、請願の中でありますように、新しい高等部を設置する必要性は客観的に見て十分にあるのではないかと考えます。そういった意味で、単刀直入に、その辺の見解はいかがでございましょうか。
○山川都立学校改革推進担当部長 杉並区に新たな高等部を設置ということでございますが、東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告でも、現有教育財産を有効活用した高等部の単独校の設置について提言されているところでありますが、都教育委員会といたしましても、今後、盲・ろう・養護学校全体の再編整備の中で、ご提案の趣旨も含め検討してまいりたいというふうに考えております。
○大塚委員 この秋まで再編整備計画をまとめていくという今のお話でありました。再編といいますと、今までの中で組みかえるという心配もあるわけですが、必要に応じてぜひ新設をしていただきたいと思うわけでございます。
また、カーテン教室、先ほどのお話などの問題もあわせて解消できるようなものにもしていただきたいと思いますが、今回の再編整備計画を策定するに当たって、これらの点についてどのようなお考えをお持ちであるか、お伺いをいたします。
○山川都立学校改革推進担当部長 東京都教育委員会といたしましても、知的障害養護学校の教室の確保につきましては、現在設置しております学校の中での組みかえで十分とは考えておりません。今後、盲・ろう・養護学校全体の再編整備計画策定の中で、お話しの諸課題についても対応できるよう検討してまいりたいと考えております。
○大塚委員 普通学校の生徒の減少と、養護学校、特に知的障害者の生徒増、また障害の重度重複化などから、都立高校全体を見渡しての再編計画をまとめる必要があることは、心身障害教育改善検討委員会に係る議論でも明らかであります。また、中野養護学校の現状の改善の必要を認めるとともに、杉並での高等部の必要性も今回のやりとりで明らかになりました。この秋の全体計画に反映すべき事項の一つであるという認識を新たにしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○野上委員 同じく請願一六第一三号について質問いたします。
先日、NHKでしたか、首都圏ネットワークで、都内の養護学校の教室不足の実態についてやっておりましたが、この中にもごらんになられた方も多くいらっしゃるのではないかと思います。また、世田谷区の青鳥養護の久我山分校にも視察に行きました。教室不足の実態も伺っております。ここもパーティションのかわりにカーテンで区切ったりして、工夫して授業を行っておりました。今回、杉並地区に高等部をという都民の切なる願いが出されております。厳しい財政状況にありますけれども、教室不足の解消には最大限努力をしていただきたいと思っております。
杉並区には、都立永福高校と都立桜水商業高校が統合し、この四月から新たに杉並総合高校が誕生いたしました。このことによって都立高校として活用しない永福高校は、駅からも近く、教育環境にも恵まれていることから、こうした都立高校を活用して、請願にもあります高等部を設置できないのでしょうか。実現に向けて検討していただきたいと思いますけれども、所見をお伺いいたします。
○山川都立学校改革推進担当部長 児童生徒の増加に伴います教育環境の確保につきましては、都立高校改革で閉校となりました都立高校を有効活用していくことが不可欠であるというふうに考えております。そのため、行政計画の策定に当たりましては、ご提案の趣旨を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
○野上委員 行政計画の策定に当たっては、提案の趣旨を踏まえて検討していくということだったわけですが、この杉並地域だけではなく、教室不足の解消や、今後さらに増加する児童生徒の学びの場を確保する上からも、都立高校改革により活用計画のない都立高校を積極的に活用することが重要になってくると思います。この点につきまして所見を伺いたいと思います。
○山川都立学校改革推進担当部長 これまでも申し上げておりますように、知的障害養護学校におきましては、今後とも児童生徒の増加が予想されておりまして、児童生徒の学びの場を確保することが大きな課題の一つであるというふうに私どもも認識しております。都教育委員会といたしましては、その解決に最大限の努力をしていきたい。そのために、ご提案のような都立高校改革で閉校となる都立高校の活用など、創意工夫をしながら、児童生徒のための教育環境の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
○野上委員 最後に、総合的に対応策を考えて、ぜひ中野養護学校に高等部を残したまま、杉並区に新たな高等部単独校を設置するなど検討していただきたいということをお願いいたしまして、終わります。以上です。
○曽根委員 私からも、中野養護の父母の方から出されています、杉並に養護学校高等部をという請願について、何点かただしたいと思うんですが、既に何人かの方がお聞きになっているので、ダブりは避けますけれども、知的障害の養護学校については、確かに請願を出された堀向さんが訪ねてこられて、お話を聞きますと、杉並と中野、それから新宿と渋谷の一部ですか、四区をエリアとする知的養護学校で、高等部はその四区をエリアとしているということで、本当に人口密集地域であるこの四つの区にわたっているということがいかに大変なことかなということは重々わかりました。
ただ、先日のNHKの放送は、私、たまたま昨日、中野養護に実際見ておこうと思って行ったときに、校長先生がわざわざビデオをとってあったのを見せてくれたんですが、あそこでは--やっぱり全国的にも知的養護学校がこの間、五年間ぐらいですか、二三%も子どもの数がふえている、都内はもっとすごくて三二%もふえているんだということなので、これは杉並区だけの問題ではないなというふうにも思うわけです。ただ、その中でも杉並が大変なんだということはいえるんじゃないかと思うんですね。
そこで、都内全体の知的障害養護学校の生徒数の増加に対応する学校の現状について、その中で杉並地区についての状況はどうなのかという点についての都の教育委員会の認識をお聞きしておきたいと思います。
○山川都立学校改革推進担当部長 委員ご指摘のように、現在、都内の知的障害養護学校におきましては、児童生徒が大幅に増加しておりまして、普通教室の確保が大きな課題となっております。これに対して、先ほど申し上げましたように、総合的な対応の検討が必要であるというふうに考えております。
また、杉並区の知的養護学校高等部の通学区域は都立中野養護学校一校となっておりまして、都立中野養護学校につきましても、近年、現在、ご指摘のように、生徒数の増加によりまして教室数が不足しておりまして、私どもも大きな課題であるというふうに認識しております。
○曽根委員 課題としての認識があるということですので、ぜひ一日も早く、この高等部設置を実現していただきたい。
先日、堀向さんもおっしゃっていましたが、自分の子どもがもう間もなく卒業してしまうということから、これは自分の子どもの問題じゃなくて、次の後輩たちの問題になるんだと。しかし、今いる子どもたちが苦しんでいる。とにかく知的障害の子どもたちというのは、環境が悪く、とにかく狭いというだけでストレスがたまってしまう。これはテレビ放送を見させていただいて、私もよくわかったんですが、何しろ一つの教室を二つに分割して、しかも分割といってもカーテンで仕切っているだけなので、隣の教室から子どもが飛び出してくる、もしくは声が丸聞こえになってしまうという中で、こっちの教室で今までおとなしく授業を受けていた子どもたちが、そわそわそわそわし始めて、しまいに動き出してしまうということが、これは普通の小中学校でも起きることですが、より以上に深刻な実態になっているということがいわれましたし、実際に見てまいりました。この点では、本当に一日も早くという保護者の方々の思いと一万を超える署名が、そういうことからも出されているのではないかと思います。この点を強く求めておきたいと思うんです。
中野養護学校について、私、深刻なのは、やっぱり教室の分割が非常に多いということ。また、相談室など大変重要な役割を持っている部屋が物置と兼用で、相談の机といすがある横には物ががあっと積まれて、コンクリートのむき出しの部屋の中で、これはとても相談という雰囲気じゃないなと。何か夜逃げの相談みたいな感じの部屋で、本当にそういうすさまじい雰囲気の相談室なんですね。この現状は何とかならないか。それは学校をつくるのも大事なんだけれども、この現状の改善も何とかならないかと思うんですが、教室の現在の数字的な現状について教えてください。
○山川都立学校改革推進担当部長 平成十六年度現在でございますが、都立中野養護学校における普通教室数は三十九教室でございます。そのうち転用教室が七教室、カーテンなどで間仕切っている普通教室は九教室でございます。
○曽根委員 結局、半分ぐらいは転用もしくは分割なんですよね。この現状を何とか、これはすぐにできることもあると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
それから、保護者の方の切なる要望として幾つか聞いておりますので、この際、ちょっと要望をいっておきますが、新しい学校をつくってほしいんだけれども、青鳥養護のように分校、分室にだけはしないでほしい。青鳥養護も、あそこは分校ですか、プレハブで分校をつくって、何年かたてば本校になるからといって、もう十四年、もう十五年ですか、というふうになってしまっている。
それから、高等部なんでスクールバスがないわけですけれども、障害の程度によってはスクールバスか、もしくはそれにかわる手だてをとってほしいということ。それから、学校をつくる際に、親も計画づくりに参加させてほしいということを強く求められておりましたので、この際申し上げておきたいと思います。
最後に、杉並地区における高等部設置の可能性についてお聞きします。
○山川都立学校改革推進担当部長 杉並区における養護学校高等部についてでございますが、先ほどから申し上げていますように、今後策定する都立盲・ろう・養護学校全体の再編整備の中で、ご提案の趣旨を含め、検討してまいります。
○福士委員 私も、中野養護学校を拝見してまいりました。プレハブの校舎は、もう今や仮の校舎じゃなくて第二校舎になっているようで、もうそれも十六年たっているというお話でございましたけれども、状況については、行政の方も現状をきちんと把握されているようですので、ちょっと確認の意味で、先ほどのご説明の中のことについてお伺いします。
説明では、この秋に策定する都立盲・ろう・養護学校の再編成を含む行政計画において対応策を示すということですけれども、支援教育に向けてということなんでしょうかね。現在、どの程度のことまで考えられているのか、確認をいたします。
○山川都立学校改革推進担当部長 都立盲・ろう・養護学校再編整備を含む行政計画につきましては、国の特別支援教育の動向や東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告を踏まえまして、現在、策定を進めている最中でございます。
○福士委員 もう一点。国の支援教育の動向といっても、どこまでお金がつくのかとか細かいこともあると思いますので、もうちょっと後にならないと本当のところはわからないのかなと思いますので、もう一点だけ、行政計画を策定する場合に、行政側の一方的な計画とならないように、保護者の意見を組み入れる対策が必要だと思うんですね。検討委員会や協議会というのか、形式はどうでもいいんですけれども、保護者の参画の場をつくるべきだというふうに思うんですが、その辺のところはどうお考えでしょうか。
○山川都立学校改革推進担当部長 都立高校改革と同様に、計画の策定に当たりましては、今後、学校関係者や広く都民の意見を聞きながら計画を作成することは重要であるというふうに認識しております。
○福士委員 今、私は、保護者の参画をというふうに申し上げました。単に都民の意見を聞きおくだけでなくて、当事者として、当事者というのは学校教職員の方も入っていらっしゃるわけですが、そういう学校教職員の方たちだけじゃなくて、保護者もともに議論の場にかかわりながら、子どもたちに沿った教育の場をつくり上げられるように、これは私の方から要望しておきます。
先ほど来、国の動向を踏まえた策定というご説明でしたけれども、常々知事も、国は現場を知らないというようにおっしゃっています。実態を無視した形で、お題目だけの教育にならないように、そして、子どもたちに急激な変化を与えて問題噴出とならないような学校新設ということを求めておきたいというふうに思います。行政側も、今までのお話ではよくおわかりになっていると思いますけれども、重ねて申し上げて、この件については趣旨採択としたいというふうに思います。
○東委員長 ほかに発言ありませんか。--それでは、発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、本日のところは保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一六第一三号は、本日のところは保留と決定いたしました。
この際、議事の都合によりまして、おおむね十分間、休憩をとります。
午後二時三十八分休憩
午後二時五十一分開議
○東委員長 それでは、休憩前に引き続き、委員会を開きます。
陳情一六第二二号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 一六第二二号、都立図書館の充実に関する陳情についてご説明申し上げます。
陳情一六第二二号は、東京の図書館をもっとよくする会代表、佐々木順二さんから提出されたものでございます。
陳情の要旨は、一、先進諸国の首都の図書館に匹敵する、日本の首都にふさわしい図書館をつくるため、区市町村立図書館を含めた図書館振興施策を策定すること。その策定に当たっては、区市町村立図書館の代表及び都民の代表を加えて検討を行うこと。
二、都立中央図書館の資料収集率を出版資料の六割程度に引き上げるため、資料購入予算を措置すること。
三、協力貸し出しの要望の多い資料は、複部資料を購入、保存、提供すること。複本の除籍を停止すること。
四、都立日比谷図書館は、ビジネス情報、行政情報、先端情報を提供する図書館として、資料とIT(情報技術)を活用したサービス機能とを充実すること。また、老朽化が進む日比谷図書館にかわる新日比谷図書館の建設計画を示すことでございます。
陳情についての現在の状況でございますが、一につきましては、平成十四年一月に東京都教育委員会は「今後の都立図書館のあり方~社会経済の変化に対応した新たな都民サービスの向上を目指して~」を発表し、これに基づき都立図書館は、都民サービスの向上と運営の効率化を図ってきたところでございます。今後ともこの都立図書館のあり方報告書に基づきまして、都立図書館の役割を踏まえ、良質な図書館サービスの提供に努めてまいります。
次に、二についてでございますが、都立図書館は、区市町村立図書館では収集することが困難な専門書等を幅広く収集しているところでございます。
なお、資料費の増額は、今日の厳しい都財政の状況の中では困難な状況にございます。
続いて、三についてでございますが、限られた予算の中では、同じ資料を複数購入するよりも、原則、一タイトル一冊購入とし、幅広く多様な資料を購入した方が利用者の要望にこたえられるものと考えております。
なお、除籍した複本につきましては、区市町村立図書館等に提供するなど、有効活用を図っているところでございます。
最後に、四についてでございますが、厳しい都財政の状況下で、限られた予算を有効活用し、都立図書館三館が一体となってさまざまなサービスの充実に努めているところでございます。
また、日比谷図書館につきましては、平成十三年度に耐震補強工事を行ったところでございます。
説明は以上ございます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○東委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○曽根委員 この東京の図書館をもっとよくする会は、たしか二年前に今の説明にあったあり方検討会の答申が出されて、都立図書館の大幅な除籍が行われた際にも、たしか請願を寄せていたのではないかと思いますが、ここでいわれているように、その後も図書館の根本問題としての書籍の購入料が減額が続いていることが、もろもろの問題を引き起こす最大の根源だと思います。
最初にちょっとお聞きしておきたいんですけれども、ここでは出版資料の六割程度に収集率を引き上げてほしいということがいわれています。現状ではどうなっているのか。資料収集率が、この間どの程度まで、どの程度から落ちてきているのか。その点を、ちょっと数字を教えていただきたいと思います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 手元の資料では平成十一年度から十五年度までの数値を出してございますので、この数字でご説明をさせていただきます。平成十一年度では、収集率が四二・三%、現在、平成十五年度の決算数字では二八・三%ということになっております。
なお、出版点数でございますが、平成十一年には六万二千六百二十一冊、それに対して平成十五年では七万五千五百三十冊ということで、出版点数自体が二割を超える伸びを示しているのが実態でございます。
○曽根委員 そうすると、収集率は出版点数の伸びを計算しても三割を切っていて、恐らく二年前に行った、複数点数を買わない、一タイトル一冊という方針を出して、それだけ収集率を上げようという手だてをとったにもかかわらず、やっぱり下がり続けているという状況だと思うんです。
私は、収集率を上げるために購入点数を一タイトル一冊というふうにしてしまったことが、一方でまた大きな弊害を起こし、そのことについては後でお聞きしますけれども、同時にやっぱりそれでも収集率は下がってしまう。根本的には予算を引き上げる努力をやらなきゃならないということを、まず最初に申し上げておきたいと思います。
そこで、二年前の措置で一冊しか本が買えないという方針にして、図書館の利用者、また協力貸し出しをしている市町村などの図書館の関係者から、意見、要望が来ていると思うんですね。そのことについて、どういった意見が来ているのか、それから、どういう問題が起きているのか、このことについてお聞きしておきたいと思います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立図書館は、調査研究を目的とした図書館であり、個人への貸し付けは行っておりませんが、区市町村立図書館への支援の一つとして、協力貸し出しを行っているところでございます。そのため、都立図書館の蔵書は、利用者が都立図書館に来館する前に、都立図書館のホームページ上で、当日の館内閲覧の可否について確認をすることができるようになっております。また、都立図書館来館者が閲覧を希望する本が区市町村立図書館に協力貸し出し中のために館内にないという場合には、返却後、優先的に閲覧ができるよう、予約の受け付けを行っております。
なお、来館者が館内で閲覧ができないことへのご意見としては、都立図書館は資料の貸し出しをしない図書館であるから、自分は来館したのに館内に資料がないというのはおかしい、こういった趣旨のものが年に数件程度あると聞いております。
○曽根委員 やっぱり二年前の措置が、結局、協力貸し出しに出たものについては、来館して閲覧に来た方に提供できないという問題を引き起こしますし、また、一冊しかないということから、昨年の秋から、これは昨年も質疑で取り上げましたが、古いものは一冊しかないということから協力貸し出しの対象から外すという措置が出てきていると思うんです。
一連のやり方については、都立図書館の特徴的なサービスとして、一つは、できるだけ多くの本を収集して都民に提供できる機能、もう一つは、国会図書館のように閲覧しか認めないというのではなくて、貸し出しも市町村図書館を通じて行っているという二つの大きな特徴のサービスを、どちらもやはり後退させてしまっているという結果だと思うんです。
特に、昨年秋から、古いものについて貸し出しをしないということについては、利用者からも恐らく声が届いていると思うんですが、市町村などの図書館の関係者、また利用者からの声は出ていないでしょうか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十五年九月一日から実施いたしました協力貸し出しの範囲の変更につきましては、第一に、高価な資料、第二に、昭和二十五年以前に刊行された資料、第三に、山本有三文庫資料、この三点を協力貸し出しの対象外としたものでございます。これは、資料の紛失や損傷があった場合に、その資料の再入手や修復が非常に困難であり、今後も貴重な資料を長きにわたり、より多くの都民に活用していただくために講じた措置でございます。
また、従来は都立図書館で購入した新刊の図書が、都立図書館の閲覧室の書架に並ぶことなく区市町村立図書館に協力貸し出しされているという状況がございまして、都立図書館の直接来館者に対して館内での閲覧期間を確保する必要があることから、閲覧室の書架に並んでから三十日間は協力貸し出しの対象外とすることにしたものでございます。これらの変更によりまして、都立図書館総体としてのサービスが後退したとは考えておりません。
なお、この変更に対しましては、昨年度、市町村立図書館長協議会の方から、都民サービスの低下が懸念される、また、区市町村との協議が不十分であるという意見が実施前に出されましたが、私どもとしては、変更の理由を改めて明確に説明をし、さらに、実施日を一カ月おくらせることで、十分な協議期間と都民への周知期間を確保したことで、基本的には理解をいただいたものと認識をしております。
また、先ほど失礼をいたしました。収集率を申し上げましたが、その際に、年度で申し上げましたが、これは統計上の問題で、暦年でございます。訂正をさせていただきます。
○曽根委員 私は、この陳情者の第三項目にあるように、協力貸し出しという特徴的な都立図書館ならではのサービスを改めて拡充していくためには、利用が多い資料については複数点数を購入する。しゃくし定規にしないで、実態に合わせたそういう予算の使い方をするということも、ぜひ実施してもらいたいということを強く要望しておきたいと思うんです。
それから、これからの振興計画について、この中で要望が出ているわけですが、私も都立図書館を今後どうしていくのか、日比谷図書館はどうなるのかということも含めて、都民としては、三館体制をより充実させる方向での利用者の声がやっぱりあると思うんですね。そのためには、まず第一には、図書館運営協議会という法で定められた協議会がありますので、この中で一つは検討する場面があってもいいだろう。さらに、ここで要望が出ているように、都民の代表を加えた、さらに広い検討組織をつくるということも、大いに考えていくべきだろうというふうに思いますが、図書館運営協議会については、今どういうふうな運営になっているのか、現状どうなっているのかを教えてください。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 図書館協議会は、図書館法の第十四条において、館長の諮問に応じ、また、図書館方針について意見を述べる機関として位置づけられており、都立図書館では、東京都立図書館条例に基づき設置しているものでございます。直近の第二十一期東京都立図書館協議会は、委員の任期を平成十四年の四月一日から平成十六年の三月三十一日までの二年間といたしまして、第一に、子どもの読書活動推進を図るために都立図書館は何をなすべきか、第二に、都内公共図書館の発展のための連携協力について、この二つの提言をいただいております。
なお、次期の図書館協議会の協議内容及び委員については、現在検討中でございます。
○曽根委員 これから第二十二期になるんですか、図書館協議会を組織されるということですので、その協議内容の中に、都立図書館の今後の基本方向について、都民も参加できる形での検討といいますか、そういうものを具体化できるような方向をぜひ盛り込んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
最後に、日比谷図書館ですが、これについては要望しておきますけれども、企業向けの図書館という構想が出たり、いろいろ話はあったけれども、現在、耐震補強しただけの状態で、資料の点数も、かつての三割以下ですか、ここに要望にも出されているような状態で、私もその後何度か行きましたが、本当に、都心に、あれだけのいい場所にありながら、もったいないなあというのが率直な実感です。ですから、この陳情者が出しているように、本格的に建てかえて、いい図書館にというのは、当然の要望だと思います。
質問しても、耐震補強したばかりですから、そういう答えは出てこないと思いますので、改めて日比谷図書館もきちんと位置づけ、三館体制による充実を強く求めて、質問を終わります。
○山口委員 二〇〇一年に検討された今後の都立図書館のあり方報告に基づく再編計画は、財政事情によるビジョンなき都立図書館行政の後退だったといわざるを得ない点が多々見受けられます。
以前、除籍資料の再活用を質問させていただきました。昨年十一月時点での再活用の決まらない資料約三万三千冊が保管されているということを確認しました。その後、重複本、重複雑誌の活用及び除籍の状況についてはどのようになっているのか、伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 重複本の除籍につきましては、平成十五年十一月の文教委員会事務事業質疑以降でございますが、約七千冊を実施いたしました。また、これまでに除籍した重複本は、今後も再活用を図るため、都立図書館で保管しているところでございます。
一方、重複雑誌の除籍につきましては、平成十五年十一月から平成十六年一月までの間に、約八百七十タイトルの雑誌を実施し、それ以降は今日まで行っておりません。なお、除籍雑誌も、現在、都立図書館で保管しております。
○山口委員 転出先のない除籍資料が既に四万冊となり、再活用が進まない状況と考えます。活用先のない除籍資料をさらにふやし、死蔵させるべきではなく、今後、除籍の方針を再検討する必要があるかと思われます。
再編計画により多摩図書館へ十六万冊の児童書を移管した後の日比谷図書館には、約四十万冊の書庫スペースがあると聞きます。資料の保存に悩んでいる区市町村との共同保存書庫、デポジット・ライブラリーの構想などを提案した経過もありますが、新たな書庫の建設や設置が現段階で困難であれば、経過的に日比谷図書館のスペースを資料を生かした形で有効活用を図るべきではないかと思いますが、考えを伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立日比谷図書館は、開架十九万冊、閉架書庫二十四万冊で、合計四十三万冊の収蔵能力を持っております。閉架書庫につきましては、現在、再活用先の未定の除籍資料の一時保管場所として利用している実態にございます。
○山口委員 都立図書館事業概要によれば、都立図書館から区市町村立図書館への協力貸し出し実績は、平成七年の九万九千件から平成十四年には十五万五千件へと、年々増加しています。しかし、都立図書館の資料費は、平成七年以降、大幅な削減の一途をたどり、再編計画実施前の平成十三年の二億六千万円から今年度予算は一億七千万円へと、厳しい削減が続いています。
さらに、昨年九月には、区市町村図書館へのバックアップサービスの低下というべき協力貸し出し範囲の変更が、協議の余地なく実施されました。区市町村からの苦情や意見についての対応はどのように行われたのか、伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十五年九月一日から実施いたしました協力貸し出しの範囲の変更に対する市町村立図書館長からの意見といたしましては、当初、都民サービスの低下が懸念される、区市町村との協議が不十分であるというような意見が出された経緯がございます。
変更の理由を改めて明確に説明をし、実施日を一カ月おくらせ、十分な協議時間と都民への周知期間を確保したことで、その後、基本的には理解を得られたものと認識をしております。
なお、私どもといたしましては、本年一月に開催されました東京都市教育長会におきましても、この内容について十分な説明をしております。
○山口委員 あり方検討会報告には、市町村の児童図書支援、学校図書館支援がうたわれています。また、子どもの読書活動推進法の制定により、都教育委員会は、昨年三月に、子どもの読書活動推進計画を策定しました。現在、区市町村でも計画づくりが進んでいますが、都立図書館の役割として、区市町村への新たなバックアップが求められているわけです。多摩図書館に移管された児童書十六万冊の活用及びどのような児童・青少年サービスを行っていくのか、伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立多摩図書館では、都立図書館のあり方報告書に基づきまして、これまで日比谷図書館で所蔵しておりました児童・青少年資料、約十六万冊を受け入れまして、児童・青少年資料などに特化いたしましたサービスを行っております。児童の利用者は、日比谷図書館でサービスを行っていたときと比較すると増加傾向にございます。具体的なサービスといたしましては、区市町村立図書館を対象に、子どもの読書活動に携わる職員の新任研修や中級研修なども実施しております。
また、区市町村立図書館で回答が困難な子どもの本のレファレンスに関する調査協力や、区市町村立図書館が行う小学校支援プログラムに対する助言や講演会の講師等を受けております。
さらに、今後は、求めに応じまして、各区市町村の子ども読書活動に関する事業につきまして助言を行っていく考えでございます。
一方、東京都教育委員会におきましては、子どもの読書活動の重要性について広く理解を求めるため、平成十六年三月に、子ども読書活動推進資料を作成、発行いたしまして、区市町村立図書館全館と、都内国公私立小学校一年生の保護者全員に配布いたしました。
○山口委員 今後、図書館では、紙媒体の資料とデジタル化、データ化資料の併用などが展望されますが、都立図書館の将来像をどう描かれるのか、伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 情報通信技術の進展に伴いまして、都立図書館におきましても、紙媒体の資料の提供にとどまらず、デジタル化した資料やインターネット上の情報など電子媒体の提供も行う混合型のサービスが期待されております。都立図書館では、中央図書館特別文庫室で所蔵いたします浮世絵や江戸城造営関係など貴重な資料をデジタル化いたしまして、平成十六年三月から都立図書館ホームページ上で画像データベースの公開を開始しております。今後も、厳しい都財政の状況の中ではございますが、所蔵資料のデジタル化やインターネットを利用した情報発信など、さまざまなサービスに取り組んでまいります。
○山口委員 最後に、横断検索以外にも、IT活用によるデータベース共有の充実や、日比谷図書館では立地環境のニーズといえるビジネス支援体制が求められていますが、考えを伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立図書館は、広域的、総合的情報拠点として、都立図書館ホームページ上での蔵書検索やレファレンス情報の提供、都立施設として初めての無線によるインターネット接続サービスの実施、都内公立図書館横断検索システムの構築と拡大など、さまざまなITを活用したサービスの拡充を図ってきております。
次に、ビジネス支援体制についてでございますが、都立図書館では、平成十五年六月、館内のビジネス関連資料を集中的に配置いたしまして、利用者がビジネスに関する調査研究を迅速に行えるよう、ビジネス支援コーナーを設置いたしました。
○山口委員 生涯学習時代と称される昨今、利用実績を見るまでもなく、図書館のニーズは高まっています。都立図書館の役割である市町村図書館のバックアップがさらに求められているにもかかわらず、理念より先に財政事情を優先させたことからも、もろもろのサービス低下があらわれています。知的インフラの整備の重要性は、短絡的な経済効率では語れません。デジタル化による新たな情報提供の拠点のあり方を含め、区市町村図書館や市民との協議で、都立図書館ビジョンをつくり出す方向を検討すべきであるということを要望して、今回の陳情に対しましては趣旨採択を望んでいきたいと思っております。ありがとうございました。
○東委員長 ほかにありませんか。--それでは、ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○東委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一六第二二号は不採択と決定いたしました。
○東委員長 次に、陳情一六第二七号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○近藤指導部長 一六第二七号、都立七生養護学校問題に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陳情は、日野市、都立七生養護学校の教育を支援する日野市民の会代表、小林和さんほかから提出されたものでございます。
陳情の趣旨は、都立七生養護学校問題に関して次のことを実現していただきたいということでございます。
まず、今回の都立七生養護学校を初めとする各養護学校の教育内容に対する都教育委員会の行った措置は、十分な調査を行わず、一方的な決めつけによるものであり、適正さを欠くものであったことを明らかにすることでございます。
七生養護学校等における性教育の実施状況については、校長からの報告、教員からの指導内容や使用教材についての聞き取り、授業記録などにより把握しておりまして、その結果を踏まえて、性教育が適正に行われるよう指導したところでございます。
次に、都教育委員会が持ち去った教材、授業記録などをすべて返却し、七生養護学校における「こころとからだの学習」が続けられるよう、都教育委員会に働きかけることについてでございます。
七生養護学習の教材や授業記録などについては、児童生徒の障害の程度や発達段階、学習指導要領に基づき都教育委員会が指導し、返却しております。
なお、不適切、不必要な教材については、校長の要請に基づきまして所属がえを行い、都教育委員会で保管しております。
また、七生養護学校の性教育については、昨年度より、校長の指導のもと、年間指導計画等の見直しを行い、適正に実施しているところでございます。
次に、今回の一部都議会議員による視察や、都教育委員会による一方的な調査、一部マスコミによる、まるでアダルトショップなどという事実を歪曲した報道は、七生養護学校を混乱させ、関係者の名誉を著しく傷つけるものであり、報道の是正を含め、関係者の名誉を回復するための措置を講ずるよう関係機関に働きかけることでございます。
議員の視察につきましては、議員の調査活動によるものであり、また、都教育委員会の調査につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、都教育委員会の職務権限により、適正な性教育の実施のために行ったものでございます。
また、一部マスコミの報道については、報道機関がその責任において行ったものと考えております。
次に、都立学校等への都議会、都教育委員会の関与は、教育基本法第十条に基づき、学校の自主性、創造性を支援し、育てる立場から、教育諸条件の整備、拡充の努力を基本とすべきであることを確認することでございます。
都教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、学校の組織編成、教育課程、教材の取り扱い等に関することについて、指導、助言する立場にございます。今後とも、都民の信託にこたえ得る都立学校としていくため、児童生徒の障害の程度や発達段階、学習指導要領等に基づき、適正な性教育の実施に向けて指導、助言してまいります。
説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
○東委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○村上委員 陳情一六第二七号について質問をさせていただきます。
昨年、都立七生養護学校で、学習指導要領や発達段階を踏まえない性教育が行われているとの指摘がありました。その後の調査で、内容や表現が不適切な教材、教具を使用した指導の実態があることが明らかになり、多くの都民が驚かされました。これまで七生養護学校については、新聞などでさまざまな報道があったり、議論が交わされたりしてきましたが、私も都民の一人として、また、子を持つ母親の立場から、当事者である都立七生養護学校の性教育がどのように改善され、障害のある子どもたちの日常の教育活動がどのように行われるようになっているのか、心配しております。先週の金曜日には、私も都立七生養護学校を訪問させていただき、校長先生から直接、今年度の学校経営方針を伺い、また、その機会に、子どもたちの様子も見せていただきました。
そこで、お尋ねをいたします。都教委は、七生養護学校の性教育を改善するために、どのような支援を行ってきたのでしょうか、お尋ねいたします。
○近藤指導部長 都教育委員会は、七生養護学校における適切な教育課程が実施されるよう、庁内に七生養護学校経営支援委員会を設置いたしまして、教育庁挙げて校長の支援体制を確立いたしました。具体的には、指導主事の訪問指導や学校経営アドバイザーの配置、性教育の年間指導計画の見直しや、週ごとの指導計画の提出などによりまして、学習指導要領や児童生徒の障害の程度や発達段階に基づく適正な性教育が行われよう、校長への支援を行ってきました。
○村上委員 都教育委員会の支援を受けて、現在、七生養護学校では性教育がどのように改善されたのか、お答えください。
○近藤指導部長 現在、七生養護学校では、校長先生の適切な指導のもとに、児童生徒一人一人の障害の程度や発達段階を踏まえた教育課程を編成いたしまして、学習指導要領に基づく適正な性教育が組織的、計画的に行われております。都教育委員会は、今後とも、七生養護学校における教育が、一人一人の能力や特性等を最大限に伸ばし、都民に信頼されるものになるよう、今後とも支援してまいります。
○村上委員 都立七生養護学校の教育が校長を中心として着実に改善されていることがわかり、大変安心をいたしました。都教育委員会には、今後も七生養護学校の子どもたちが、明るく、楽しく学習できる学校となるよう、なお一層の支援をお願いいたします。
また、七生養護学校においては、校長先生を中心に都職員が一丸となって、一人一人の子どもたちを大切にした教育を展開し、地域や都民に信頼される学校となるよう、心から期待しております。
また、最後に、先日、「性教育の手引」小学校編と中学校編が改定、刊行されました。今後配布される予定でございますけれども、高校編、そして盲・ろう・養護学校編が二〇〇五年三月に予定されるとされております。十分内容を吟味した上で、早い時期に刊行されるよう最大限の努力をお願いして、質問を終わらせていただきます。
○野上委員 では、同じく都立七生養護学校の問題に関する陳情について、意見だけ述べさせていただきます。
性教育の性という字は、立心偏に生きると書きます。これは、どう生きるかという心の問題だと感じております。過去に障害教育に力を入れてきていた同僚の先生が、思春期に入った高等部の生徒に、どう性の問題を正しい知識を教えたらいいか、社会の中に受け入れてもらえるような生き方をさせることができないかということで、真剣に悩んでおりました。障害を持って生きる子どもたちに性教育における正しい知識を身につけさせるのは、本当に大変なことだと思っております。
「七生養護の教育を壊さないで」という本を読ませていただきました。親御さんにも納得のいくような形で、障害を持った児童生徒に対する必要な性教育を行ってきたのではないかということを、この本を読んで感じました。ただ、新聞報道されていることと、この本に書かれていること、また、都議会での発言内容とかが余りにもギャップが大きくて、これはもう少し慎重に審議をしていかなくてはいけないのではないかなということも感じたことも事実です。
それから、一言ちょっといわせていただきたかったのは、三のところの、今回の一部都議会議員による視察や都教育委員会による一方的な調査、一部マスコミによる、まるでアダルトショップなどという事実を歪曲した報道は、七生養護学校を混乱させ、関係者の名誉を著しく傷つけるものであり、報道の是非を含め、関係者の名誉を回復するための措置を講ずるよう関係機関に働きかけることとありました。この中で、特に私たち議員のことについて、ちょっといわせていただきます。
私たち議員は、現場の有権者の方々の声を行政に届けるために選ばれてきております。それこそ毎日血へどを吐くような思いで戦って、選挙で当選させていただいて、やっとこの議場に来て発言をさせていただいております。ですから、そういった意味で、視察して現場の意見を聞くのは、当然の議員活動だと思っております。視察を権力の介入というのではなく、視察は、あくまでも真実の声を、現場の声を聞いて、よりよい政策をつくり上げるための議員の調査活動の一つととらえております。
信頼される都立学校にしていくためにも、都民の方々が納得できる性教育の実施を望みます。
意見を終わりたいと思います。以上です。
○曽根委員 今、前の委員の方から非常に重要な問題提起があって、私も今紹介された本を読ませていただいて、率直にいって、その本に書かれている、今まで行われてきた七生の性教育と、議場で発言された議員の性教育についての批判の内容とが、余りにかけ離れている。どちらが一体本当なのかというふうに、全く客観的に見た都民の方からは、非常に不可解に見えるものだろうというふうに思います。だからこそ、これは本当に慎重にしなければならないし、事実は何なのかということを議論すべきだし、検討すべきだという今のお話は、もっともだと思います。
私たち議員が視察するときも、文字どおり現場の声を聞きに行くわけで、私もきのう中野養護に伺いましたが、本当に校長先生、障害児教育の大変さを一時間にわたって話すわけですよ。こっちはもう語ることもなく、ずっといろいろ聞いていました。本当に現場の苦労している方の話を聞かなければならないなと思います。
私、ある議員の、七生養護を視察したときのことが批判されているのは、そういうことをしなかったからだと思うんですね。本来の議員のあり方、視察のあり方とは全く違うことをしたということがあったからだというふうに思います。議員というのは、有権者から選ばれていると同時に、それだけに責任を持って、本当に真実を見きわめるような、また、見られるような視察や調査のやり方をしなければならないし、現場を台なしにしたり、それから、名誉を傷つけるようなことは断じてあってはならないということを私も感じておりますので、この際申し上げておきたいと思います。(「当然じゃないか。議論する前のことだよ」と呼ぶ者あり)当然のことなんですよ。
それで、改めて、この問題は私も何度か質疑をしておりますので、それを踏まえてということになりますけれども、やはり私が見る限り、この七生の性教育は、本でも紹介されているように、まず保護者との関係でも非常に円滑に行われていたということ。また、学習指導要領の内容を踏まえていないという批判もありましたが、私は、十分に学習指導要領に定められた範囲の中で、しかも、今の学習指導要領が持っている障害児教育における、全く何といいますか、中身がまだ十分に確定していない不十分さをはるかに補って先進的な取り組みが行われていたということなど、やはりこの陳情者が出されている内容は、非常に正当なものだというふうに考えております。
そこで、お聞きしますけれども、七生養護学校で、今どのような性教育が行われているのか。先ほどの委員の方も、気になったということで学校を訪ねたといっていました。私は、責任を持って都教委が、今までの性教育が不適切だった、それで、それを改善したというからには、その改善した内容や今後の方向について、当然ながら保護者や教員、関係者にきちんと説明をしなければならない義務があるだろうと思います。
その点で、昨年、性教育の内容を大きく切りかえた、その時点で、都の教育委員会は保護者を初めとして関係者にどのような説明を行い、ちゃんと理解を得ることができたのかどうかをお聞きします。
○近藤指導部長 都教育委員会では、平成十五年九月四日の全校保護者会におきまして、都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会報告に基づきまして、七生養護学校の性教育の改善に向けての基本的な考え方を説明させていただきました。また、七生養護学校における性教育の全体計画などの改善につきましては、校長先生から保護者に説明をしていただいているところでございます。
○曽根委員 そこのところをもう少しお聞きしておきたいんですけれども、九月四日に担当課長が教育庁から出向いて、そして校長先生とともに、性教育をこういう方向で変えていきますよということを説明されたというふうにお聞きしました。当然ながらそのとき保護者の方々から、今までの性教育のことについての意見があったと思うんです。私が聞く限りは、圧倒的に今までの性教育をそのまま実施してほしいんだという声があったというふうに聞いています。その声を聞いて、十一月ですか、新しい性教育の課程をつくったとすれば、ちゃんと保護者の期待にこたえるものになったはずですが、残念ながらそうなっていない。保護者の声は完全に無視された形になっているんじゃないでしょうか。いかがですか。
○近藤指導部長 学校におきます性教育は、学習指導要領や、発達段階、また障害の程度等を考えまして進めていくものでございます。したがいまして、さまざまなご意見があることはもちろん承知してございますが、私どもは、今いったような趣旨から、この七生養護学校における性教育の改善を指導してきたわけでございます。
○曽根委員 それでは、その障害児の一番身近にいる保護者、そして学校の先生たちがこぞって、今まで頑張ってきたんだし、非常によかったんだといっていることは、都教委の、要するに学習指導要領に基づく教育改善の方向からいうと、もう無視していいということですね。
○近藤指導部長 先ほどから申し上げておりますが、学校における性教育は学習指導要領等に基づいて行うものでございまして、あくまでも学校教育というのは、繰り返しお話をしておりますが、学習指導要領を基本として、それに基づいて指導する責務があるわけです。それが公教育の果たすべき役割だと私は考えております。
また、保護者の方からは、もちろん反対のご意見等も私どもたくさん伺っております。もちろん私どもに対して、こういうふうに七生の教育を変えていただきたいという声もたくさんいただいているということにつきまして、まずご報告させていただきます。
○曽根委員 保護者や先生方が変えてほしくないという声については、あくまで学習指導要領を盾に、それを拒否して都教委の考え方でやる。そのあなた方がいっている学習指導要領というのが本当に踏まえた改善になっているのかということについて、実は私、都立養護学校教員という方から、匿名で手紙をいただいたんですよ。この方は、最後に紹介しますが、どうしても名前は出せないということで、名前を伏して私の事務所に手紙をよこしたわけですが、書かれていることは非常に的確なんです。なぜ匿名にしたかは、最後にご本人が書いていますので、後で紹介しますけれども。
ここで学習指導要領について、特に「からだのうた」の中で、小学校四年の教科書に出てくるペニスやワギナという名称を一年生で教えたことが学習指導要領に反しているというふうにされていることを聞いたと。しかし、知的障害養護学校の学習指導要領は、学年別には示されずに段階別に示されていて、子どもの実態に応じて教員が指導内容を選ぶことになっているはずです。つまり、普通の小学校のように、一年生で教える内容、四年生で教える内容と決められてはいないのです。このことは大学生のときに講義で受けましたし、都の指導主事がはっきりそういっているのも聞きました。また、都立のほとんどの養護学校では、小学部低学年から調理をやっています。調理は家庭科の内容です。家庭科は知的障害養護学校の小学部の教科にはないはずですし、普通の小学校でも五年生からです。調理はよくて性教育はだめというやり方、さらには、生活単元学習では、日常生活に必要な内容であれば、普通の小学校の上の学年で学習する内容でも授業する場合もある、これも都の指導主事が話していたのも聞いたことがあります。今回の都教委の学習指導要領を踏まえていないという主張は、一部政治家の圧力により、都教委がみずから学習指導要領をないがしろにしたとしかいいようがありません。こういうふうにいっています。
私、それで、学習指導要領というのがどうなのかということで調べてみたら、確かに障害児教育の学習指導要領の内容というのは、ある意味じゃ極めて緩やかなものになっているということを、改めて勉強しました。
それから、学習指導要領の権限については、これはちょっと古くなりますが、昭和三十三年に文部省が出しているもので、こういうふうに書いてあるんですね。学校の毎日の教育を隅から隅まで縛るというようなことは不可能であり、かつ望ましいことではありませんから、改訂学習指導要領では、義務教育として最低必要と思われる内容や、すべての学校で指導すべき標準的な内容、あるいは、努力すべき方向などを示しているのですということで、要するに、隅から隅まで教育内容を縛るものではないという点を、文部省自身が指導しているという文書を資料で得ました。
この先生は、ここから私、非常に深刻だと思うのは、本当は私自身で校長や都教委に聞きたいのですが、日の丸・君が代問題のように、物を申せばいつ処分をされるかわかりません。この手紙も名前を書きたいのですが、本当に申しわけありませんが、匿名にさせていただきます。今後の障害のある子どもたちの幸せのために、ぜひとも都教委の姿勢をただしていただけるよう何とぞお願いいたします。こうなっています。
私、こういう養護学校の先生たちの苦しい思い、私にさえ名前を書けないという、何といいますか、本当に深刻な実態がここから浮かび上がってくると思います。
それから、いろいろ資料もつけて手紙をいただいたわけですけれども、率直にいって、性教育の中身、とりわけ障害児学校における教育の中身については、やはり子どもの実態に即してどうするのかということが、教育者としては最も切実な問題として問われることだと思います。その点で、今回の都教委のやり方、議論や検討が不足しているという先ほどの指摘もそのとおりだし、かつ、改善された内容についても、本格的にはこれからまた議論する場があると思いますが、やはり父母や教員の声を無視してつくられたというふうにいわざるを得ないと思うんです。
特に深刻なのは、私、性教育の教材の問題だと思うんです。この教材については、その後の扱いについて、非常に複雑な経過をたどっているようなんですね。それで、ちょっとお聞きしておきたいんですが、七生養護の性教育教材については、不適切ではないとしたものについては学校へ戻った。しかし、不適切とされたものについては都教委が保管している。それでは、七生以外の養護学校、九つぐらいたしかあったと思いますが、そこの教材については、どういう扱いになっているんですか。
○近藤指導部長 提出いただきました教材につきましては、都教育委員会が教材、教具の適、不適を調査した上で、各学校に返却をしたところでございます。七生養護学校に返却をいたしました教材のうち、校長先生が不適切、不必要と判断したものにつきましては、校長先生の要請に基づきまして、都教育委員会に所属がえを行っているところでございます。
また、その他の九校の学校のうち三校の性器つき人形等は、これも校長先生の判断によりまして、東京都教育委員会へ所属がえを行って保管しているところでございます。残りの九校は、校長先生が廃棄をしたと聞いております。
○曽根委員 不適切という都の教育委員会からのレッテルが張られたわけですから、学校に戻れば校長は廃棄せざるを得ない、処分せざるを得ないということで、六校は処分された。ところが、都の教育委員会が預かったものは、そのまま保管されている。そうすると、学校に戻したものは処分させているわけですから、この教育委員会のものも、都の教育委員会みずからが処分する、そういうことになるんですか。
○近藤指導部長 今後、都教育委員会に所属がえを行った教材につきましては、責任を持って管理する予定でございます。
なお、先ほど、私、残りの九校というお話がありましたが、残りの六校でございますので、訂正させていただきます。
○曽根委員 学校に戻ったものは処分させておいて、都の手元に持っているものは処分できないというのが、私、率直にいうと、都の教育委員会の現状だと思うんです。なぜできないかというのは、当然だと思います。それは、七生の教育についても、先ほどいいましたように、父母や関係者から圧倒的な支持があるだけじゃなくて、問題は、教材の問題ではないということです。つまり、これは指導部自身の幹部の方の発言でも私も何度も聞きましたが、教材の問題というのは、その使われ方にあるのであって、教材自身の問題ではないというふうに、指導部の幹部自身もいろんな場で発言をしていました。私はそのとおりだと思います。どんな教材でも、使われ方によっては、それは問題があることもあるだろうし、それはないとはいえませんからね。しかし、教材自身を不適切な使われ方をしたということで処分するというのは、これは教育上の問題からいったって、極めて重大な問題だと思うんです。だから、私、これは処分できないと思うんです。すべきでもないし。
性教育が、以前のように、やっぱり子どもたちのことを本当にまじめに考えて工夫してきた、その実践の上で、教材も含めてきちんと使われる。これまでの七生などの実践を生かしたものに改められるということが、今こそ必要だと思います。そして、今、都が管理している、保管している教材が、またきちんと活用されるということを強く要望しておきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○山口委員 今、子どもたちの性被害が増加傾向にあると聞いていますけれども、障害のある児童生徒の性被害状況について伺います。
○近藤指導部長 正確な実態把握はしてございませんが、児童相談所の平成十四年度までの統計によりますと、児童生徒の性的虐待等の相談件数は、若干増加傾向でございます。
また、平成十五年度におきます東京都教育相談センターへの性的虐待や性的被害に関する相談は、全部で二十八件ございましたが、養護学校にかかわる相談は一件もございませんでした。
○山口委員 相談があった件数として表面にあらわれてはいないようですけれども、子どもを取り巻く現状からは、深刻な状況が私たちのところにも聞こえてきています。都教委としても、そのあたりは認識されていると思います。障害がある子どもたちの理解力や発達段階に合わせた、情報提供だけでは補えない実践的な性教育が求められていることは明らかです。性被害の対象になりやすい障害のある児童生徒への性教育の今後の進め方はどのようにされていくのか、伺います。
○近藤指導部長 障害のある児童生徒に対します性教育でございますが、学習指導要領や、児童生徒一人一人の障害の種類や程度、発達段階を踏まえまして実施していくことが重要でございます。各学校においては、校長先生の適切なリーダーシップのもとに、性教育の全体計画や年間指導計画等を作成しまして、組織的、計画的に指導を行い、障害のある児童生徒の適正な性教育の実施に努めていくことが大切だと考えております。
○山口委員 今回出されました手引書の土台になっているかと思います、二〇〇二年の三月に出ておりました新たなる性教育のプログラムの開発において、初めにの中でも、現在及び将来において直面する性に関するさまざまな課題に対してみずからの意思で主体的に自己決定し、行動選択のできる資質や能力を育てることを性教育と定義をしておられると思います。
子どもを取り巻く性に関する課題や環境を的確にとらえ、子どもたちの発達の現状に合った指摘もされて、評価するものですけれども、そこで、若い世代を中心に、クラミジア感染症などの性感染症が増加するとともに、エイズ患者も増加傾向にあります。学校における性感染症の指導、すなわち性教育はどのように行っていくのか、伺います。
○近藤指導部長 学習指導要領におきましては、性感染症の予防について、疾病概念、感染経路、予防方法等の内容を取り扱ってございます。この性感染症予防の指導に当たりましては、これらについての正しい知識や能力を身につけさせますとともに、男女相互の望ましい人間関係のあり方などと関連づけて取り扱うことが大切であると考えております。
○山口委員 性行動開始が低年齢化して、何も知らず、無防備なままの性交で妊娠や性感染症へと進んでいく若者もふえています。道徳とモラルに頼る教育から、自己肯定観を養い、セーフセックスなど、具体的な性教育に取り組む体制や時間の確保が必要であり、必要な性教育をタブー視し、不適切と決めつけ、子どもたちから遠ざけることが、何より問題だと思います。
次に、最後ですが、性の商品化、また性情報のはんらんする社会状況の中で、不用意に子どもが接するメディアからの誤った情報に適切に対処でき、自己決定の力を身につけるメディアリテラシーをどのように養っていくのか、伺います。
○近藤指導部長 はんらんいたします性情報への対処のためには、学校教育において性に関する適切な態度を身につけ、行動の選択ができるよう指導することが重要でございます。昨年度作成いたしました性教育に関する指導資料では、性情報への対処について、この全体指導計画でも示してございますが、各学校は、この資料に基づきまして、組織的、計画的に性情報の対処について指導の充実を図っているところでございます。
しかしながら、いずれにいたしましても、このはんらんする性情報に対しましては、学校教育はもちろんでございますけれども、社会全体で対処していくものとも考えているわけでございます。
○山口委員 学校での性教育の重要性が増すとともに、今後は、地域での福祉・医療機関との連携や、NPO、NGOの力をかりた相談体制として、立ち寄りやすいユースクリニックなどの取り組みが必要であり、実質的な局間連携の充実を強く求めて、質問を終わります。
○福士委員 私は、今までもこれ、何回も質問させていただいておりますし、三月の一定の一般質問でも申し上げましたので、意見だけ申し述べます。
ご説明の最後の部分ですけれども、これ、本当はどうなんでしょうかね。児童生徒の障害や発達の段階に関係なく、学習指導要領のみに基づき、不適正な性教育の実施に向けて指導、助言していらっしゃるんじゃないかなと、私はそういうふうに感じますね。
子どもの人生に大きな影響がある性の問題です。知事も、性教育に関してどうかという質問には、ついにお答えにならず、人形がグロテスクだというようなご答弁だけいただきましたけれども、あの人形はグロテスクかどうかというような問題ではなくて、きれの手縫いの人形ですし、そんなにグロテスクな感覚を持つこと自体がおかしいんじゃないかと思うんですよね。
性教育に関していえば、人形を使おうが、絵を見せようが、要するに、子どもがどれだけ理解できるかということが、私は重要なんだと思うんですね。そういう教育が優先されて当然だというふうに思いますので、そういう意味では今回の陳情は、全部採択して当然のことだというふうに思います。問題点をすりかえないで、本当に私たちは子どもの人生にとってどうなのかということをきちんと議論すべきだと思いますし、行政の方にも、そこのところに立って考えていただきたいということを含めて、申し上げておきたいと思います。
以上です。
○東委員長 ほかにございませんか。--ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○東委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一六第二七号は不採択と決定いたしました。
○東委員長 次に、陳情一六第二八号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○臼井人事部長 一六第二八号、「東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱」の年齢引き上げに関する陳情についてご説明申し上げます。
陳情一六第二八号は、森口恭子さんから提出されたものでございます。
陳情の要旨は、東京都公立学校教員採用候補者選考に係る東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱において、受験資格を三十五歳未満とする年齢制限を引き上げるか、撤廃していただきたいというものでございます。
本陳情についての現在の状況でございますが、教員は、児童生徒の教育をつかさどるとされており、その職務にふさわしい資質や適性が求められております。さらに、教員としての高い専門性を身につけていくためには、採用されてからの各種の研修並びに教育現場での日々の実践的経験を積み重ねる一定の期間が必要でございます。このため、教員採用候補者選考の受験年齢に制限を設けることには合理性があると考えております。
また、教員の年齢構成のバランスや、今後の勤続年数、職務の効率的な運営などの面からも、東京都の教員採用候補者選考におきます受験年齢の制限は適切であると考えております。
このような理由から、東京都の教員採用候補者選考は受験年齢を三十五歳未満としているものでございまして、年齢制限の引き上げや撤廃は予定してございません。
なお、民間企業や学校におきまして一定の勤務経験を有する者などに対しましては、特例として受験年齢を四十歳未満としまして、その多様な経験を学級経営や教科指導に生かし、学校教育の活性化がなされるよう図っているところでございます。
説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○東委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○野上委員 では、陳情一六第二八号についてお伺いいたします。
東京都の公立学校教員採用候補者実施要綱の年齢制限についてですが、東京都は、特例として受験年齢を四十歳未満としておりますが、原則三十五歳未満とする理由は何でしょうか。
○臼井人事部長 教員としての指導力の向上につきましては、採用後の各種の研修並びに教育現場での実践的な経験によるところが大きく、このための期間が必要でございまして、このため、採用に当たりましては、一定の年齢制限が必要と考えております。都におきましては、採用後の教員の勤続年数や年齢構成のバランスなども踏まえまして、受験年齢を原則として三十五歳としているところでございます。
○野上委員 今よく取りざたされております年金の加入期間にも関係することだと思いますが、それは個人の生き方によると思うので、この年齢制限を引き上げるか、あるいは撤廃すると、困ることは何でしょうか。
○臼井人事部長 年齢制限の引き上げあるいは撤廃は、現在の五十歳代をピークといたします教員の年齢構成のひずみをさらに一層拡大させまして、大量退職、大量採用という事態を招くこととなりまして、計画的な任用管理が困難になる、このような課題がございます。
○野上委員 確かにこれからは若い三十代の校長あるいは副校長、教頭も出てくる時代になると思います。そのときに、五十歳の新人の教員となると、三十歳の校長、教頭が指導しにくい面も考えられるのではないかなというふうに思います。また、専門性を身につけるためには、採用されてから、いろいろな研修がございます。それから、教育現場の中で、授業の中で成功したり失敗したりしながら、いろいろな試行錯誤を繰り返しながら、教育技術を徐々に高めていく期間というのも必要ではないかと思っております。そういった教育技術をしっかりと身につけて、立派な先生になっていただきたいと思います。
全く別な職業から転職した場合には、さまざまな危惧を持たれるのはよくわかるんですけれども、教師だけで生きてきた、狭いとかというのはちょっと失礼かもしれないんですけれども、狭い人生観よりも、多種多様な職業の経験、豊かな資質の高い人を採用することにより、校長を助け、学校全体が活性化することもできるのではないかと思うのですが。
○臼井人事部長 委員ご指摘のとおり、多様な経験を持ちます者を採用しまして学校教育の活性化を図ることは、大変有意義なことだと考えております。このため、都教育委員会は、平成十二年度から、受験年齢を四十歳未満とした社会人特別選考を実施しておりまして、今年度からは採用見込み数を三十名から百名にふやしております。
また、国公立学校に勤めています正規任用教員や東京都公立学校におきます非常勤講師の経験者などに対しましても、一定の条件のもとに年齢制限を四十歳未満に緩和しまして、人材の確保に努めているところでございます。
○野上委員 確かに校長に関しても、全く教員経験のない民間人の校長を採用して、うまくいっているところもあれば、悲しいことなんですが、例えば自殺された民間人校長もある。成功するか失敗するか、いろいろあると思うんですけれども、そういう民間企業の経験を有する人たちを対象としている社会人特別選考枠というのは、大変いいことではないかなというふうに思っております。ほかの県や政令市で、年齢制限を撤廃している動きもあるのですが、今後の東京都の対応はどうなんでしょうか。
○臼井人事部長 文部科学省の平成十五年度教員採用選考につきましての調査によりますと、都道府県及び政令指定都市五十九団体のうち、五十四団体が一定の年齢制限を行っております。東京都におきましては、現在の三十五歳未満が適当であると考えていますが、年齢制限のあり方等につきましては、職員の年齢構成、採用予定数、今後の公務員制度改革などの動向を見据えつつ、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
○野上委員 最後に。現在は教員も、ひしめく五十歳代ということで、年齢構成が非常にいびつになっておりますが、これがあと十年から十五年ぐらいたってきますと、採用が少なかったころの年齢層がいよいよ五十歳代になってくるわけですね。そうなってくると、また年齢制限を撤廃することも考えられるのではないかというふうに考えております。あくまでも長いスパンで考えて、年齢が平準化になるように、常に現場が活性化できるように選考実施を考えていただくように希望し、終わります。
○福士委員 私も、これは意見だけにさせていただきます。
今、地域サポーターなどが要求されているというのは、教育をつかさどるのにふさわしい資質や適性、教員としての高い専門性も含めて、他の企業などで身についている方もいらっしゃるんじゃないかなと、私は思うんですね。その意味で、年齢にかかわりなく個人の才能を生かすことがあってもいいのではないかなというふうに思いました。
年齢構成については、今お話ありましたように、バランス構成に問題が出る時期もあるだろうと思いますし、そんなことはないよという保証はないわけですが、今まで気を配っていても、やはり年齢構成にはばらつきというのは出ているわけで、もうそろそろ制限という考え方を見直すときじゃないかなというふうに思います。その意味で、これについては趣旨採択をしたいと思います。
以上です。
○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○東委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一六第二八号は不採択と決定いたしました。
請願陳情の審査を終わります。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.