文教委員会速記録第五号

平成十六年三月十七日(水曜日)
第三委員会室
午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長臼井  孝君
副委員長大塚 隆朗君
理事野上じゅん子君
理事山口 文江君
理事松原 忠義君
村上 英子君
福士 敬子君
山下 太郎君
石川 芳昭君
遠藤  衛君
山本賢太郎君
曽根はじめ君
樺山たかし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁本部長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
理事斎藤 尚也君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長臼井  勇君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長鈴木 雅久君
教育政策担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山川信一郎君
参事齊藤 一男君
参事井出 隆安君
参事瀧川  清君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十二号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 東京都立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例
・第七十九号議案 東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
・第八十号議案  東京都高尾自然科学博物館条例を廃止する条例
・第八十一号議案 東京都青年の家条例を廃止する条例
・第八十二号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「東京都教育ビジョン」中間まとめについて
・「東京都教育の日」の制定について
・東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告について
請願陳情の審査(質疑)
(1)一五第三九号 東京都高尾自然科学博物館の存続に関する請願
(2)一六第八号の一 都立スポーツ施設の使用料の値上げにつながる条例の改正反対等に関する請願
(3)一六第九号 東京辰巳国際水泳場での生涯水泳活動のため、利用料金の値上げ反対に関する請願
(4)一五第九八号 すべての子どもに豊かな学習と発達を保障することに関する陳情
(5)一六第五号 夜間中学校の教職員定数大幅削減の撤回に関する陳情
(6)一六第一一号 卒業式・入学式についての「通達」及び「実施指針」の再検討に関する陳情
(7)一六第一二号 東京都交響楽団員に対する二年有期の契約楽員制度導入の再検討に関する陳情

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名ですが、傍聴希望者が定員以上ございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東委員長 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の平成十六年度予算の調査、付託議案の審査、報告事項の質疑及び請願陳情の審査を行います。
 この際、予算の調査について申し上げます。
 平成十六年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十六年三月十六日
東京都議会議長 内田  茂
文教委員長 東ひろたか殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
  記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(月)午後五時

(別紙1)
文教委員会
第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 文教委員会所管分

(別紙2省略)

○東委員長 これより教育庁関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項の質疑及び請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分、第七十二号議案から第八十二号議案まで、報告事項、「東京都教育ビジョン」中間まとめについて、「東京都教育の日」の制定について、東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告について並びに請願一五第三九号、請願一六第八号の一、請願一六第九号、陳情一五第九八号、陳情一六第五号、陳情一六第一一号及び陳情一六第一二号を一括して議題といたします。
 予算、付託議案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る二月二十日の当委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料、この資料ですが、これの目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十五件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、石原都知事就任以降の教育改革の主な事項についてでございます。学校経営等に関する事項、人事に関する事項及び指導内容に関する事項に分類し、平成十一年度から十六年度までの六年間における教育改革について記載してございます。
 なお、十六年度の内容につきましては、現在計画をしている事項でございます。
 二ページをごらん願います。2、特別支援教育に関するモデル事業について、国と都の事業の比較でございます。国の委嘱事業と東京都のモデル事業について、事業の趣旨、対象地域、事業内容などをお示ししてございます。
 なお、東京都のモデル事業は、昨年十二月に発表いたしました東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告に基づき実施するものでございます。
 三ページをごらん願います。3、都立養護学校の普通教室の確保に関する要望とその対応でございます。学校からの要望に基づき、平成十五年度に向けて普通教室を確保するために改修等を実施した内容でございます。学校ごとに、確保要望普通教室数、改修した教室等の名称及び括弧内に確保した普通教室並びに所要経費についてお示ししてございます。
 四ページをごらんいただきたいと思います。都立盲・ろう・養護学校施設整備標準「考え方」についてでございます。盲・ろう・養護学校を新築及び改築する際の施設整備標準の「考え方」について掲載したものでございます。平成十一年度の改築に関する基本設計から、この「考え方」を踏まえて実施しております。
 また、具体例として、一般の教室と重度重複学級の教室について、教室規格等の普通教室設備標準の「考え方」をお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。5、都立盲・ろう・養護学校の保有普通教室数の状況でございます。平成十四年度及び平成十五年度の学校ごとの保有普通教室数と転用教室数、内数でございますが、これを記載してございます。
 なお、欄外の注2にございますように、転用教室数とは、管理諸室等を普通教室として使用している教室でございます。
 六ページをごらん願います。6、中学校夜間学級日本語学級の設置状況、生徒数、学級数、教職員の配置状況、今回の見直しの影響でございます。中学校夜間学級日本語学級を設置している五校につきまして、生徒数、学級数、教職員定数及び見直し後の定数をお示ししてございます。
 次に、同ページの7、小中学校の教員配当基準の見直しとその影響人数でございます。小学校及び中学校の別に、教員配当基準の見直し事項と、その影響による定数削減をお示ししてございます。
 なお、欄外の注にありますように、定数増減は予算積算時の推計値でございます。
 七ページをごらん願います。8、学校行事における国旗・国歌に関する文部科学省の指導内容と都の実施指針でございます。表の左側の欄に、文部科学省の指導内容として、学習指導要領及び文部科学省通知の内容を記載し、右側の欄に、都の実施指針として、平成十五年十月二十三日付の都教育委員会通達及び実施指針の内容をお示ししてございます。
 八ページをごらん願います。9、(財)東京都生涯学習文化財団に対する委託料(予算額と決算額)でございます。体育施設、青年の家などの管理運営を行っております東京都生涯学習文化財団に対する委託料を、平成十年度から十四年度までの五カ年間について、予算額と決算額をお示ししてございます。
 九ページをごらん願います。10、多摩地域の青年の家の利用者数でございます。五日市青年の家など多摩地域の六所の青年の家について、日帰り、宿泊の利用形態別に、平成十年度から十四年度までの過去五年間の利用人数をお示ししてございます。
 なお、表中の網かけの部分は、廃止により該当数字なしとなったものでございます。
 同ページの下の欄ですが、11、多摩地域ユース・プラザの利用者見込み数をお示ししてございます。日帰りは年間約七千人程度、宿泊は年間約二万四千八百人程度と利用数を見込んでおります。
 一〇ページをごらん願います。12、東京都体育施設条例で定める利用料金の上限額と実際に適用している料金でございます。
 (1)、専用利用につきましては、東京体育館など四施設について、今回ご提案しております条例改定額、現行条例額、実際に適用している料金をお示ししております。
 なお、条例に定める料額は、利用料金の上限額を定めるものでございますので、実際に適用している料金につきましては、最低額と最高額を記載いたしてございます。
 同様に、(2)には個人利用の場合について記載してございます。
 一一ページをごらんいただきたいと思います。13、東京都交響楽団の歩みでございます。昭和四十年二月の設立以降、公演など主な活動や理事長、音楽監督などについて、その歩みとしてお示ししてございます。
 一二ページをごらん願います。14、東京都交響楽団の改革についてでございます。昨年十一月に東京都交響楽団が策定いたしました経営改善策の三本の柱でございます、契約楽員制度の導入、経営の自立、都民に顔の見える交響楽団につきまして、改革案の具体的内容を記載してございます。
 一三ページをごらん願います。15、都内のオーケストラ比較でございます。NHK交響楽団など都内の七つの楽団につきまして、組織形態、楽団員の数、雇用形態、経営体制などをそれぞれ記載してございます。
 なお、一番下の欄には、都響の内容につきまして同様に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 次に、請願陳情について理事者の説明を求めます。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 一五第三九号、東京都高尾自然科学博物館の存続に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、東京都高尾自然科学博物館の存続によって高尾山を地球の遺産に考える会代表高橋英昭さんほかから提出されたものでございます。
 請願の要旨は、東京都高尾自然科学博物館を廃止せず、都の直営で存続していただきたいでございます。
 本請願につきましては、平成十五年十二月一日の文教委員会においてご審議いただきまして、保留となったものでございます。
 本請願についての現在の状況でございますが、東京都高尾自然科学博物館については、平成十二年十一月、行政評価制度の試行における評価結果報告書におきまして、高尾山の自然を背景に持つ地域性の強い小規模な博物館であり、都として今後も所有し続ける意義は薄く、廃止が適当であるという評価結果を受けたところであり、さらに同年十二月に出されました都庁改革アクションプランでは、あり方を抜本的に見直しますと示されたところでございます。
 これを受けまして都教育委員会といたしましては、博物館が所在する八王子市と、平成十三年十二月から高尾自然科学博物館のあり方についての協議会を設置し、これまで協議を進めてまいりました。平成十五年十月、八王子市と、博物館機能の継続を前提に、移管に関しての基本的な方向について確認をされ、平成十五年十二月には、博物館機能の継続を前提とした移管に係る詳細事項について合意に達したところでございます。
 このことにより、東京都高尾自然科学博物館は平成十五年度末をもって廃止することとし、平成十六年第一回都議会定例会に、東京都高尾自然科学博物館を廃止する条例を上程しているところでございます。
 次に、一六第八号の一、都立スポーツ施設の使用料の値上げにつながる条例の改正反対等に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、豊島区、新日本スポーツ連盟東京都連盟理事長伊賀野明さんほかから提出されたものでございます。
 請願の要旨は、都のスポーツを振興する方針において重要な次のことを実現していただきたいとするものでございます。
 第一に、都立スポーツ施設の利用料金を引き上げる条例改正は行わないでいただきたいというものでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都立体育施設では、平成十四年度から利用料金制を導入しており、東京都体育施設条例において、施設の利用料金の上限額を定めております。今回、この上限額につきまして、受益者負担の適正化を図り、住民負担の公平性を確保する観点から見直しを行いまして、今定例会に、東京都体育施設条例の一部を改正する条例を上程しているところでございます。
 第二に、平成十六年度から予定されている、都が各都立スポーツ施設に対して支出している委託料の削減等について、委託料を削減するのではなく、増額していただきたい。また、定額方式を導入せず、従来どおりの精算を行っていただきたいとのことでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、都教育委員会では、都からの委託料支出と組み合わせた利用料金制のもとで、都立体育施設の管理運営に必要な経費について予算措置をしているところでありますが、都財政の状況から、委託料の増額は困難でございます。
 また、これまで全額を精算してきました都の委託料については、平成十五年十一月に策定された第二次都庁改革アクションプランを踏まえ、管理受託者である財団法人東京都生涯学習文化財団の経営努力へのインセンティブを高めるため、平成十六年度から、人件費を除いて精算を行わない予定でございます。
 第三は、アマチュアスポーツ団体が競技会を開催するために使用する施設の使用料について、減免する制度を継続していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都教育委員会は、平成十六年度においても、東京都体育施設条例施行規則に基づき、都教育委員会が認めるアマチュアスポーツ団体が運動競技大会のために使用する場合には、利用料金の減額を行う委託契約を管理受託者と締結する予定でございます。
 第四は、都立スポーツ施設の指定管理者制度の導入に当たって、営利のためのスポーツ振興になることなく、各都立スポーツ施設の設置目的に合致できる指定管理者となるよう、慎重な対応を行っていただきたいとのことでございます。
 現在の状況でございますが、平成十五年六月の地方自治法の改正により、現在、管理を委託している施設につきましては、原則として、平成十八年度までに指定管理者制度を導入することになります。都立体育施設につきましても、都全体の方針を踏まえ、今後、必要な準備、検討を行ってまいります。
 次に、一六第九号、東京辰巳国際水泳場での生涯水泳活動のため、利用料金の値上げ反対に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、江東区、辰巳国際水泳場・生涯水泳をめざす会代表徳田正彦さんほかから提出されたものでございます。
 請願の要旨は、東京都体育施設条例の改正による東京辰巳国際水泳場の利用料金の大幅値上げをやめ、従来どおりの料金で利用できるようにしていただきたいというものでございます。
 本請願についての現在の状況でございますが、さきの請願一六第八号の一と同様でございますので、説明は省略させていただきます。

○山際学務部長 すべての子どもに豊かな学習と発達を保障することに関する陳情について、ご説明申し上げます。
 本陳情は、東京の心障学級・通級指導学級の教育条件を守り発展させ、LD等の学びの場を充実させる会代表大渕淑子さん外一万九千六百二十九人から提出されたものでございます。
 本陳情の趣旨は、都において次の三つのことを実現していただきたいと要望されているものでございます。
 一点目は、心身障害教育にかかわる法律の改正の際には、従来の都の心身障害学級の成果と役割を継承、発展できる制度となるよう、文部科学省に対して要望することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、東京都心身障害教育改善検討委員会最終報告では、小中学校における特別支援教育の推進に当たっては、心身障害学級における成果と役割を継承しつつ、地域の実情を踏まえた検討が必要であるとしているところでございます。このような検討委員会の検討状況や最終報告の考え方や内容につきましては、文部科学省にも伝えているところでございます。
 二点目は、心身障害教育にかかわる法律の改正の際には、児童生徒の学籍のあり方について慎重に検討するよう、文部科学省に対して要望することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、改善検討委員会の最終報告においては、国の調査研究協力者会議が昨年三月にまとめた「今後の特別支援教育の在り方について」の考え方も踏まえながら、ノーマライゼーションの理念に基づき、児童生徒が通常の学級に在籍しながら、特別支援教室において、必要な時間、専門的な指導を受けることを基本とするものとしているところでございます。
 三点目は、保護者、関係者の不安がいまだに残っている区市町村立小中学校における特別支援教育についての検討委員会を設置し、引き続き丁寧に審議することでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、区市町村立小中学校における今後の特別支援教育のあり方につきましては、改善検討委員会の最終報告において、その基本的方向が示されたところでございます。
 今後は、設置者である区市町村教育委員会において、国の法令改正等の動向を見きわめながら、地域の実情を踏まえたそれぞれの教育計画に基づき対応していくこととなります。
 都教育委員会といたしましては、報告の趣旨の実現に向け、区市町村教育委員会に対して支援と連携を進めてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○臼井人事部長 一六第五号、夜間中学校の教職員定数大幅削減の撤回に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、夜間中学校と教育を語る会代表初山光彦さん外一万一千百五人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、夜間中学校について次のことを実現していただきたいとするものでございます。
 まず一点目は、日本語学級教職員定数の削減を撤回することというものでございます。
 次に二点目は、日本語学級の条件改善のための施策を実施することというものでございます。
 一点目についての現在の状況でございますが、日本語学級の教員定数については、都の財政状況及び国の標準法の基準を勘案し、学校教職員定数全体の見直しを図る中で、現在配置している教員の一部を非常勤講師で対応することとし、配当基準を見直すものでございます。
 二点目についての現在の状況でございますが、都教育委員会としましては、中学校夜間学級に日本語学級を都単独で整備してきたほか、日本語テキストや教材、指導の手引などを作成するとともに、日本語指導等に関する研修を実施するなど、日本語教育を推進してきたところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○近藤指導部長 一六第一一号、卒業式・入学式についての「通達」及び「実施指針」の再検討に関する陳情についてご説明を申し上げます。
 本陳情は、卒業式・入学式の「通達・実施指針」の再検討を求める会代表丸浜江里子さん外五千六百八十六人から提出されたものでございます。
 本陳情の要旨でございますが、平成十五年十月二十三日付東京都教育委員会教育長横山洋吉名で出された「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」及び「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱に関する実施指針」を再検討していただきたいと要望されているものでございます。
 これに関する現在の状況でございますが、東京都教育委員会は、学校における入学式や卒業式などの実施態様が、学習指導要領に示された儀式的行事のあり方に照らしてさまざまな課題があることから、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づく都教育委員会の権限において、平成十五年十月二十三日付で、都立高等学校長、都立盲・ろう・養護学校長に通達を発したところでございます。
 したがいまして、今後とも、学習指導要領及び通達に基づき、入学式、卒業式等を適正に実施するよう、各学校を指導してまいります。
 以上でございます。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 最後に、一六第一二号、東京都交響楽団員に対する二年有期の契約楽員制度導入の再検討に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、日本音楽家ユニオン関東地方本部東京都交響楽団委員長松岡陽平さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、第二次都庁改革アクションプランに示された、財団法人東京都交響楽団への契約楽員制度の導入を再検討していただきたいということでございます。
 本陳情についての現在の状況でございますが、東京都交響楽団は、第一に、業績や能力の実証に基づかない現在の年齢給の改善、第二に、適切な業績評価制度の確立、第三に、芸術家にふさわしい勤務制度の確立、第四に、楽団の自立性の向上と弾力的な運営体制の確保、以上の四点の実現が必要であり、雇用制度のあり方を含めた見直しを行う必要がございました。
 これら四点を実現するため、都と協議いたしまして、東京都交響楽団において総合的に検討した結果、都民に顔の見える交響楽団として再構築を行うため、第一に契約楽員制度の導入、第二に経営の自立、第三に都民に顔の見える交響楽団という三つの柱を立て、改革を進めることといたしました。
 そのうち契約楽員制度につきましては、一、有期雇用制度と能力・業績評価の導入により優秀な楽員の確保を図り、より一層質の高い楽団を実現すること。二、一律的な勤務条件を廃止し、個々の楽員の演奏活動を尊重した勤務条件の実現を図ること。三、退職金制度の廃止により人件費支出の年度間の変動を抑えるなど、財政面での自律性の向上を図ることを目的とするものでございます。
 平成十五年十一月十八日に都響ユニオンに対しまして、一、終身雇用から期間の定めのある労働契約へ雇用形態の変更をすること、二、楽員の能力、業績、演奏技術等を適切に評価し、その結果を年俸に反映させる能力・業績評価制度を創設すること、三、楽員の能力、業績を適切に反映させる給与体系とするため、これまでの年齢給から年俸制度に移行することを内容として、平成十八年度までに全楽員を契約楽員化することを東京都交響楽団が提案をいたしました。
 現在、楽団事務局と都響ユニオンで労使交渉を行っているところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 先ほどの資料を含めまして、これより、予算、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 文教委員会というのは、ほかの委員会と違ってかなり傍聴の方も多いし、きょうも大変たくさん来ていますし、都民の方から直接いろいろな話を聞いたり何かする機会も多いなというふうにつくづく思っております。それだけ都民の方々から関心の強い問題が今どんどん出てきているというふうな形だと思います。私の方から二点、きょうは質問をさせていただきたいと思います。
 まず一点目ですけれども、都立体育施設の料金改定等についてです。
 これも、一・五倍という数字が先に出てきましたものですから、本当に利用者の方々にとっては大変心配の種だと思いますので、私の方から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、実際に適用している料金についてお尋ねいたしたいと思います。
 利用料金制は、施設の管理受託者が多様な料金設定を行うことにより、利用者サービスの向上や施設の利用促進を図るとともに、管理受託者の経営努力を促すことを目的とするものであります。体育施設で現在実際に適用している料金はどのように設定されているのか、まずお伺いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立体育施設で実際に適用いたします料金は、東京都体育施設条例に基づき、管理受託者である財団法人東京都生涯学習文化財団が都教育委員会の承認を得て定めております。
 現在、利用団体が貸し切りで使用いたします専用利用料金の場合、条例で定める入場料等を徴収しない場合とする場合の区分のほか、アマチュアスポーツに利用する場合とそれ以外で利用する場合、スタンドを使用する場合としない場合、入場料の金額による区分などを設けまして、それぞれの料金を設定しているところでございます。
 例えば東京体育館のメーンアリーナの一日貸し切りの料金でございますが、プロスポーツ大会等の利用で七千円を超える入場料を徴収する場合には、最も高額な料金区分が適用されまして、料金は約三百三十五万六千円となります。一方、アマチュアスポーツ団体がスタンドを使わずに利用する場合の料金は十万八千円でございます。
 また、児童生徒も利用することができるプールなどの個人利用施設の料金につきましては、一般料金のほかに、中学生以下を対象といたしました料金を設定しているところでございます。

○松原委員 都立会館の利用者というのは、利用目的も財政的な基盤もそれぞれ大変異なると思います。特にプロの場合もあるでしょうし、アマの場合もあるでしょうし、また、個人、団体もあるということでございますので、そのような形になろうかと思います。こうした状況を踏まえまして多様な料金設定を行うことで、利用料金制のメリットを最大限に発揮して、これからもぜひきめ細やかなサービスを提供してもらいたいというふうに思っております。
 次に、条例の改正内容について伺っていきますけれども、今回の条例で定める上限額について、東京都体育施設条例の一部を改正する条例が議案として提出されております。体育施設の利用料金の上限額について、都全体の方針に基づき、原則として原価までの改定を行い、現在の上限額の一・五倍までの改定を行うものとなっていますけれども、今回のこの上限額の改定の状況についてお伺いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 専用利用の対象とする施設は、研修室等も含めまして、四館の合計で三十七施設でございますが、今回料金改定を予定している施設は、そのうち十七施設で、そのうち現在の上限額の一・五倍となる改定を行う施設は五施設という状況でございます。
 また、個人利用の対象となる施設は、四館の合計で十四施設ございまして、今回、全施設について料金改定を予定しておりますが、そのうち十施設につきましては、現在の上限額の一・五倍の改定となります。
 なお、個人利用の場合の料金につきましては、過去において、原価計算の結果に基づく料金改定を実施しなかった経緯がございまして、今回、比較的高い改定率となっております。

○松原委員 ただいまの理事者の説明によれば、すべての施設が一・五倍になるわけではないということでございますけれども、この一・五倍の値上げが、利用者の理解が得られるのか、都教育委員会としてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 今回の条例改正は、施設の利用料金の上限額を改定するものでございまして、実際に適用する各施設の利用料金につきましては、条例の上限額が改正されました後、施設の管理受託者であります財団法人東京都生涯学習文化財団が、あらかじめ都教育委員会の承認を得て定めることとなります。実際に適用する料金につきましては、現在、管理受託者が検討を行っておりますが、都教育委員会としては、料金の承認に当たりまして、ご指摘の点についても十分考慮してまいります。

○松原委員 今の答弁ですと、都教育委員会としては、料金の承認に当たり、ご指摘、としておりますけれども、この料金の承認方針についてお尋ねしたいと思っております。
 実際に適用する料金を決定する場合は、都教育委員会の承認が必要であります。前回の平成十四年度の料金改定では、条例は改定率五〇%までの改定が行われましたけれども、実際に適用する料金は、改定率三〇%までを限度とし、また改定の時期についても、周知期間を設けて、条例の施行日の三カ月後である七月一日としておりました。
 都民のスポーツ活動の一層の振興を図っていくためには、前回同様の配慮が今回も必要であると思いますけれども、料金を承認する立場にある東京都教育委員会の見解をお伺いいたしたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会では、実際に適用する料金の承認に当たりまして、平成十四年度と同様、原価計算の結果だけではなく、これまでの料金設定や各施設の現状、周辺類似施設の状況などを勘案し、総合的に判断をしてまいります。
 また、利用者への周知につきましても、一定の期間を設けることが必要と考えております。

○松原委員 私のところにも、条例が上程されて承認されると、四月からすぐ上がってしまうんじゃないかという問い合わせの心配の電話をいただきました。そういうこともありますので、皆さん本当にそう思っていると思うんですね。ですから、前回と同様に、一定の期間を設けてぜひともやってほしい、こう思います。
 減額、免除制度の目的と対象者についてお伺いいたしたいと思います。
 料金には、減額あるいは免除をする制度がありますが、これが適用された場合、実際に利用者が負担する施設の料金はさらに低額なものとなると思います。減額、免除を実施している目的と、対象となる利用者についてお伺いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 施設利用料金の減額及び免除は、都教育委員会との契約に基づきまして、管理受託者が、東京都体育施設条例施行規則で定めた基準により実施しているものでございます。減額、免除は、都立体育施設の設置目的である、体育・スポーツ及びレクリエーションの普及、振興を図り、都民の心身の健全な発達に寄与することを目的に実施しており、都内の小中学校、高等学校等が運動競技等の学校活動に使用するときや、都教育委員会が認めるアマチュアスポーツ団体が運動競技大会のために使用するときなどについて、施設使用料金の一定割合の減額または免除を行っているものでございます。

○松原委員 そこで、今、減額と免除制度を聞いたわけですけれども、今後についてお尋ねしたいと思います。
 アマチュアスポーツ団体が使いやすい条件を整備していくことは、スポーツの振興を図る上で、都としての役割と考えております。アマチュアスポーツ団体とか小中学校、高校生、これは本当にそういうものだと思っていますが、来年度以降、この施設利用料金の減額、免除について、教育委員会の考え方をお尋ねします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会では、平成十六年度におきましても、都教育委員会が認めるアマチュアスポーツ団体が運動競技大会のために使用するときなどについて、引き続き料金の減額または免除を実施していきたいと考えております。

○松原委員 本当に東京都のこの施設の利用者総数というのは相当な数になると思うんですね。そういった意味で、きょう私が質問したことは、かなり注目して皆さん方がお聞きになっているのではないかというふうに思います。
 都民が利用する施設については、料金だけではなくて、施設の運営全般にわたって、利用者の側に立った検討を行って改善を図っていくことが重要であると思います。地方自治法の改正を踏まえた指定管理者制度への対応については、今後とも検討を行っていくということでございますが、ぜひとも利用者の目線からの取り組みを今後ともお願いしたい、こう思います。
 それでは、次に、特別支援教育問題についてお尋ねをいたします。
 この問題についても、父母の方ともお会いしましたし、また、当委員会でも議論があったところでございます。それで、私なりに質問をしてまいりたいというふうに思います。
 サラマンカ宣言やWHOの国際障害分類の見直しなど、ノーマライゼーションの流れは世界の潮流となっております。そういう意味で、東京都が心身障害教育から特別支援教育へ移行することはやむを得ないだろうということでありますけれども、心身障害教育のあり方が変わるならば、ゆっくりといろいろなケースを検証して、子どもたちにとって環境の激変を招くことがないように、十分に教育的な配慮をしながら円滑に進めることが保護者の願いだというふうに私は考えております。
 昨年十一月の文教委員会で、我が党の遠藤委員が、保護者の不安を払拭するためには、特別支援教室の具体的なあり方を示すことが有効であるとして、モデル事業について質問しましたが、その後のこのモデル事業計画の進捗状況についてお尋ねをいたします。

○山際学務部長 特別支援教育の推進に向けたモデル事業につきましては、お話のように、保護者の不安を解消し、都民の理解を得ながら円滑な移行を図るために、特別支援教室の設置形態や指導方法等の課題について実践的な検証を行うものでございます。
 実施に当たりましては、各自治体の主体的な取り組みと独自の計画を生かすため、各自治体からの提案を受けて委託先を選定することといたしております。
 現在は、既に自治体から提案のあった事業計画をもとに、地域的なバランスや対象となる自治体の児童生徒数や学校の規模などを総合的に勘案しつつ、選定を進めているところでございます。

○松原委員 教育委員会としても、説明会等を何回となく精力的に今日まで実施してきていると思います。最終報告に対する保護者の理解は、そういった意味で進んできたというふうには思いますけれども、固定学級の保護者の不安がすべて解消されたとはいえない、こう私は思います。
 そこで、保護者が感じている不安の具体的な内容について、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 現在、固定の心身障害学級に通っている子どもも含めまして、すべての児童生徒が通常の学級に籍を置くことになるわけですけれども、担任の先生が障害を理解しているのか、指導できるのかと、多くの保護者が通常の学級での指導に大変不安を感じていると思います。障害のある子どもたちに対して、通常の学級でどのような指導が行われるのか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 保護者からは、通常の学級での学習についていけるのかとか、いじめが起きないだろうかなどの不安が寄せられております。このような不安を解消するため、特別支援教育への移行に当たっては、特別支援教育コーディネーターを中心とした全教職員の支援体制を確立しまして、通常の学級における個別の教育ニーズに応じた指導を行ってまいります。
 また、平成十六年度からは、教職員研修センターにおけます心身障害教育の研修体系を改善しまして、心身障害教育学級担任に加えまして、通常の学級担任も研修に参加できるよう、特別支援教育に向けた研修の充実を図っているところでございます。

○松原委員 また、すべての児童生徒が通常の学級に籍を置いたとしましても、子どもたちは一人一人課題が違うと思います。現在、固定学級に在籍する子どもたちを見ても、通常の学級に在籍した経験を持つ子、持たない子、あるいは通常の学級に適応できていた子、できなかった子など、さまざまあります。例えば、通常の学級でのさまざまな経験や障害の特性や状況などの理由から通常の学級で適応が難しい子どもは、指導時数や学習の内容について配慮されるべきであると考えますけれども、この点いかがでしょう。

○近藤指導部長 通常の学級で適応できない児童生徒につきましては、一人一人の教育ニーズに基づきまして、ほとんどの時間、特別支援教室での指導を受けられるような配慮が必要でございます。

○松原委員 心身障害学級の教育の成果は特別支援教室に継承されるということでありますけれども、この時点でも、まだ配置される先生の数や専門性の確保など未知数の部分が多くて、そのことが保護者の方々の不安の一因になっていると思います。
 今後の国の動向にも注目する必要がありますけれども、特別支援教室で学ぶことは、現在の指導に比べ低下するようなことはないんだろうかと思いますけれども、この辺についてお尋ねいたしたいと思います。

○近藤指導部長 現在行っております心身障害学級の指導の成果を継承いたしまして、専門性の高い教員による指導を行うということは、児童生徒とともに保護者が一番願っていることであると考えております。
 現在、国の動向がまだ未確定な部分もございますが、東京都教育委員会は、特別支援教育推進体制モデル事業におきまして、その手順の検証を行い、現在、心身障害教育での指導体制から特別支援教育体制への緩やかな転換の中で、各学校での指導がさらに質的に充実発展するよう努めてまいります。

○松原委員 私は、何事もそうですけれども、新しいことを進めていくという場合には、前例がありませんから、父母の方が、今回も大変不安を抱くのはよくわかります。しかし、心配ばかりしていても前には進んでいきませんで、そういった意味では、このたび、東京都の方がモデルケースをつくって試行していくことにしたということは、私は評価したいというふうに思います。そこのモデル校で実際に行えば、課題がいろいろよくわかるというふうに思います。そうして、その問題点を検討しながら、特別支援教育が充実していくように、私は期待をしているところでございます。
 それから、私は都響について最後に一言いわせていただきたいと思うんですが、この問題については、予算の総括で、私どもの樺山政調会長がお話をきちっと、十分に時間をとってさせていただく予定でございますので、私の方は意見だけいわせていただきたいというふうに思います。
 まず、この間も予算委員会で話がありましたけれども、今回の都響の問題について、私は三つほど問題点があるのかなというふうに思っています。
 一点目は、手続と進め方が拙速だったのではないかということです。この問題が出たのが、答弁ですと、たしか去年の十一月だったというふうに思います。大変大きな改革でございますから、お勤めになっていた都響の方々は大変大きなショックを受けたと私は思います。それからわずか半年もしないうちの問題で、一応終身雇用が建前で入ってきていますから、それぞれみんなが生活を持っていますから、そういった意味で、私は、その方々がこの辺の東京都の流れを理解するのにはかなりな時間がかかる、このように思っております。この辺のことを十分に吟味していただきたいなというふうに思います。
 二点目は、経営団体と楽団員とは違うものだということだと思うんですね。特に楽団員の方々というのは、基本的にいえば、本当に四十年間という、東京都の文化行政の最大限の中で、大事に大事に育てた事業だと思うんですね。これからもやっていきたいということだと思うんですが、楽団員の皆さんというのは、いっちゃ失礼かもしれませんが、芸術家の方というのは、えてして、お金もかかりますし、お金の計算主義でいくという人生の生き方はしていないんだと思うんですよ。それで、むしろ終身雇用制で働けていて、職の安定があって初めて精神的に安定していい演奏活動ができる、こういうふうな形のものがあるのではないかというふうに私は思います。
 そういった意味で、卑近な例をとれば、例えば野球で、野球の選手が営業のことだけ考えてやっているのか。あるいは、大相撲の相撲取りが営業だけのことを考えてやっているのか。あるいは映画俳優が営業のことだけ考えてやっているのか。私は、やっぱり野球の選手は野球で頑張ることだと思うし、相撲の場合は優勝していくことですよ。勝つことですよ。経営のことじゃないですよ。俳優もそうだと思うんです。
 だから、そういった意味では、ちょっとなじまないのではないかと。むしろ、例えば東京都交響楽団に、経営がこういう状況にあるんだから、こういうことをしていけという経営努力を徹底的に財団に対してやっていくならいいけれども、個々の楽団員の方々にこういうのをいきなり持ってくるというのは、ちょっといかがなものかなというふうに私は思います。
 それから三番目は、契約主義ということですが、これは変な話なんですけれども、我々も選挙で四年に一回、洗礼を受けるわけです。すると、最終の一年というのは、皆さんもそうですけど、選挙運動でおちおち何をやっても手につかないんですよ。実質三年ですよ、都議会議員でも。二年になった場合、毎年なんですよ、これ。仕事にならないですよ。
 それで、オーケストラというのは、変な話ですけど、例えばピアノとかオルガンとか--オルガンはあれですけど、ピアノとかバイオリンとか、すごく花形になるところはいいですよね。でも、全体のチームワークですから、余り目立たないことで演奏活動するのはいっぱいいるわけですよね。そういう人たちが一つに心が合わなければ、演奏活動はなかなかできない。そのためには相当時間がかかるというのに、それはね、二年ぐらい--例えば、アルバイトやっている人が九〇%もいるっていいますよ。でも、これはやらせればやらせるほど、逆にいえば差が出ちゃいますよ。すごくいいピアニストはどんどんいけるかもしれない。バイオリンもそうかもしれない。でも、全然売れない人は全く生活の不安になる。そういうおそれが大変あるというふうに私は思います。
 そういった意味で、この二年という問題が果たしていいのかどうか。ただ、楽団員の方々に、やっぱり今の置かれている状況とか、こういうふうな形ですよということは今後ともいっていって、理解はしていってもらうことは大事だというふうに思います。しかし、いきなりこういうふうな形が出てきたというのは、やはり十分話し合っていくべきではないかなという意見をつけて、私の質問を終わります。

○大塚委員 平成十六年度の教育庁関係予算の中で、引き続き基本的な学力の向上といたしまして、少人数指導の実施のために、小学校の教員を二百三十九名、中学校の教員百四十五名の増員をすることが十六年度の予算で計上されております。そんな中で、きょうは、私の方からはチームティーチング、いわゆるTTという制度についての問題点や今後についてお尋ねをしたいと思います。
 平成九年に、都立高校の新宿高校におきまして、習熟度別授業を実施する目的で教員二名の増員を受けながら、全く実施していないという事実が明らかになったわけでございます。その上、平成四年度から一切、習熟度別の授業が、教員の持ち時数軽減のために行われておりませんでした。また、計画どおりに実施しているという虚偽の報告までもがなされていたわけでございます。
 さらに、ほかの高校でも非常勤講師の水増しがなされておりました。この問題に関しましては、住民監査請求が提出されるとともに、平成十年の第一回東京都議会の定例会でも激しい議論が交わされ、東京都の教育長が処分されるという異例な事件があったわけでございます。
 当時、多くのマスコミで取り上げられ、これを契機に東京都の教育委員会は、都立高校のあり方検討委員会を設置いたしまして、職員会議の位置づけの明確化、あしき慣例の廃止など、都立高校の閉鎖的な体質改善に向けて取り組みをされました。
 一方、区市町村におきましては、都立高校の不正ということで、教育委員会が本腰を入れて学校に指導を行わなかったのではないかということです。このため、小中学校では、加配目的を逸脱した不正なことが行われているという実態も聞いておるわけでございまして、現に昨年、都内の公立中学校におきまして、練馬区、八王子市でチームティーチングに関する不正事実が発覚しているわけでございます。
 そこで、まず最初にお伺いいたしますが、東京都の教育委員会はその際どのような対応をとったのか、お尋ねをいたします。

○臼井人事部長 都教育委員会としましては、十四年度に練馬区の中学校における不正が発覚したのを受けまして、加配教員の適正使用につきまして、十五年二月に区市町村に対しまして通知するとともに、加配措置対象の全校の実施状況の調査を依頼しました。
 また、六月には、調査結果の中で実施率が極めて低い三区二市の小学校二校、中学校三校の実地調査を都教育委員会として実施いたしました。

○大塚委員 今ご答弁のような取り組みにもかかわらず、昨年十二月、板橋区立の板橋第五中学校におきまして、いわゆるTTに関する不正な取り扱いに関しての新聞報道がなされました。平成十五年度チームティーチングの加配を受けていたにもかかわらず、チームティーチングによります授業計画の三分の一しか実施されておらず、さらに平成七年度からもほとんど実施していなかったということでございます。なぜこうしたことが何度も発生するのか、お尋ねをいたします。

○臼井人事部長 主な理由でございますが、過去の例では、教員がチームティーチングの趣旨を理解していなかったことや、授業を教員だけに任せっきりで、管理職が必要な指導、点検をしていなかったことなどが挙げられます。

○大塚委員 この件に関しましては、保護者の方から区や都に告発文が送られ、そのことがきっかけとして発覚したわけでございます。時間割も保護者向けと学校用の二種類を作成するなど、長年にわたって意図的に不正が行われ、事実を隠ぺいした可能性が高いといわれております。そしてまた、ほかの中学校におきましても疑義が生じるような実態があると仄聞しております。
 この板橋第五中学校に対し、都や区はどのような対応を行ったのか。そしてまた、実態調査をしていると思いますけれども、その結果はいつごろまでに明らかになるのか、お尋ねいたします。

○臼井人事部長 板橋区教育委員会は、十五年十二月から十六年一月までに加配対象の全小中学校を調査し、三月には、チームティーチングや少人数指導実施に関する調査委員会を庁内に設置しました。
 東京都教育委員会は、一月に板橋区教育委員会から報告を受けましたが、再調査を依頼し、さらに三月には、詳細な再々調査を依頼いたしました。また、疑事のございました中学校及びその近隣中学校九校を、都教育委員会として直接実地調査いたしました。
 板橋区教育委員会は、都教育委員会の調査結果も受けまして、三月中にはその結果をまとめる予定と伺っております。

○大塚委員 今お話しの調査、板橋区教育委員会が設置者として責任を持って実施するのが当然だと思いますけれども、東京都教育委員会としても、再々調査の指示と直接調査ということをしたわけですが、これは異例なことだというふうに思うわけでございます。
 今回の件は、区の教育委員会が学校に対する指導を徹底していないため、校長は、必ずしも不正な取り扱いをしてきたという認識はないのではないでしょうか。このような不正事実があることを知っていたが、区の教育委員会は見て見ぬふりをしていたのではないかと疑わざるを得ません。校長や教員だけに責任を押しつけることは決してあってはならないことでございますけれども、むしろ区の教育委員会の問題意識や責任の所在など、体質そのものに問題があると考えます。
 東京都の教育委員会は、区の教育委員会に対して厳しく指導をするべきであると考えますが、東京都の教育委員会の対応についてお伺いいたします。

○臼井人事部長 都教育委員会としましては、調査の結果を分析した上で、再発防止のための方策等につきまして、板橋区教育委員会を強く指導してまいります。

○大塚委員 いうまでもなく、教職員の給与は東京都が負担をしております。大切な都民の税金を使って実施しているTTですが、適正に運用されていないということは、都の限られた予算のむだ遣いでしかないということになります。
 都の教育委員会は、板橋区に限らず、チームティーチングなどを実施しているすべての学校を対象として、抜き打ち調査などを実施するということで、徹底的に調査をするべきだと考えますが、お伺いいたします。

○臼井人事部長 実地調査につきましては、これまでも行ってきたところでございますが、区市町村教育委員会の調査に同行するだけではなく、東京都教育委員会として、疑事のある学校には直接調査に入るなど、チームティーチングの実施状況を的確に把握してまいります。

○大塚委員 チームティーチングを適正かつ効果的に実施するには、何といっても指導の中心となる主担任者の選び方が重要であるわけでございます。主担任者が指導力不足であったり、ほかの教員とバランスよく連携、協力ができなければ、とても効果的な指導を望むことはできません。また、責任感に欠けるようなことがあれば、不正行為に結びつくこともあるわけでございますし、先ほどの不正の実態からもわかるように、現実にこうした状況があるというふうにも聞いているわけでございます。
 そこで、チームティーチングの担当者はどのように選定されるべきか、見解をお伺いいたします。

○近藤指導部長 チームティーチングを適正かつ効果的に実施していくためには、校長が教員の責任感、リーダーシップ、指導力等を十分に考慮して担当者を決めていくことが大切でございます。
 東京都教育委員会では、先ほど人事部長が答弁いたしました実地調査や、また指導訪問等の場を活用いたしまして、担当者の指導力などに関する状況を把握いたしまして、担当者が適切に選定されるよう、指導助言をしてまいります。

○大塚委員 チームティーチングは、教師が協力して授業を行うことで、子どもたちが確実に学力を身につけ、一人一人のよい面や可能性を伸ばすことができるものでございます。しかし、行き当たりばったりの指導では、その理念を実現することは不可能であります。子どもの教育のために、教員一人一千万円といわれる人件費をかけても、全くむだになってしまうわけでございます。
 既に我が党の土屋議員が、学校における適正な教育課程の実施には週ごとの指導計画が必要であることを提案しております。全都の学校で作成されるようになりましたが、チームティーチングの実施に当たりましても、綿密な授業計画や指導者同士の事前の打ち合わせが必要であることはいうまでもありません。
 こうしたことから、チームティーチングを適正かつ効果的に実施するには、授業計画の作成とそのチェックが必要であると考えます。授業計画は、若手の教員であっても、教育実習等を通じて作成の仕方を学んできておるわけでございまして、単元ごとの授業計画を作成することで、主担任者でありますT1とサブ的な担当者でありますT2との役割分担や連携方法、使用する教材等についても明確になります。週ごとの指導計画と関連させてチェックする体制を校内でつくることで、指導内容も質的に高まるとともに、不正に対する抑制効果も発揮すると考えます。
 チームティーチングの実施に当たりまして、授業計画の作成とチェック体制を整えることが不可欠と考えますが、お考えはいかがでしょうか。

○近藤指導部長 チームティーチングを効果的に実施するためには、学習指導の展開とともに、主担当でありますT1と協力して指導に当たるT2の役割分担や、使用する教材などを含めた授業計画、すなわち単元の指導計画が必要でございます。
 都教育委員会は、この単元の指導計画を週ごとの指導計画と照らし合わせて、管理職が点検したり、授業を観察したりする体制を整えるよう、指導を徹底してまいります。

○大塚委員 チームティーチングは、ただ漫然と教室内に二人の教師がいるだけでは、全く効果を発揮するものではございません。それ以上に、指導に対するいいかげんさが蔓延し、不正行為を誘発するような状況も生み出していくわけでございます。今回の不正を振り返りましても、やはりチームティーチングを適正に、かつ効果的に進めていくには、何よりも教員の意識を高めていくことが重要であると考えます。
 そこで、チームティーチングを適正かつ効果的に進めるために、どのように教員の意識を高めていくべきであるか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 教員のチームティーチングに関する意識を高めていくためには、その理念や学校としての取り組み方法を明確にいたしまして、全教員で共通理解をするとともに、保護者へも積極的に説明していくことが大切でございます。また、校内組織を活用いたしまして、学校全体でチームティーチングを推進する体制を整えることも有効でございます。
 都教育委員会では、来年度から、各学校で作成いたします授業改善推進プランの中にチームティーチングの指導体制や指導方法の工夫を明記させ、適正かつ効果的な指導が進められるよう、教員の意識の高揚を図ってまいります。

○大塚委員 きょう、いろんな質問をさせていただきましたが、さまざまな課題はあるわけでございまして、今回提案しました授業計画の作成とチェック体制が確立されていけば、チームティーチングは大変効果を発揮していき、子どもたちのためになると考えます。
 そこで、最後にお伺いいたしますが、チームティーチングなどの適正な実施に向け、今後、東京都はどのように取り組んでいかれるのかを最後にお聞かせいただき、私の質問を終わらせていただきます。

○臼井人事部長 都教育委員会としましては、人事関係資料に基づきまして、チームティーチングの実施時数の整合性などをチェックしまして、疑事が生じた場合は、都として直接調査するとともに、区市町村教育委員会に対しまして、適正な実施のため、改めて次のような指導を徹底してまいります。
 まず、区市町村教育委員会に対しましては、学期ごとの実施状況の報告を求め、随時、授業の実地調査を行うとともに、学校に対する適切な指導助言を行うこと。
 次に、学校に対しましては、校内組織を活用し、学校全体として効果的なチームティーチングに取り組むこと。月ごとや学期ごとだけではなく、週や単元ごとの指導計画に基づきまして、日常的に管理職が授業の観察や指導を行い、実施状況をチェックすることなどでございます。

○野上委員 私は、きょうは夜間中学校、ろう学校の教育、都立体育館の施設利用料金改定、そして都響、この四項目にわたって質問させていただきます。
 最初に、夜間中学校における日本語教育についてお伺いいたします。
 一年前になりますでしょうか、葛飾区の夜間中学校を視察いたしました。小学校で不登校になり、中学校を一日も出席できなかった子が、十六歳になり、勉強したいと目覚めるわけです。勉強できるところがあるかどうか探したところ、夜間中学というのがあると。いきなり高校入試も難しいから、一から勉強をし直すということで、夜間中学の門をたたいたのです。ところが、夜間中学には入れない。なぜか。それは、中学校の卒業証書をいただいてしまったからなんです。一日も中学校に通っていないのに卒業証書をもらってしまったがゆえに、門が閉じてしまっている。私は、このときに大変な憤りを覚えたことを記憶しております。
 また、もう一つ、いじめで悩んでいる子が、昼間の学校に通えない、だから夜間中学にかわりたいといっても、これがまた現実に厳しいということもお聞きしております。中学校一、二年生は移れないが、最後の三年生ぐらいだと移れるかもしれないということをお聞きしております。
 そこで、初めて夜間中学を視察させていただきまして、私は、高校生ぐらいの子が多いのかなと思っていたわけですけれども、ほとんどが高齢者の方でした。一生懸命勉強しておられました。その方たちからお聞きして、一番の楽しみは給食とクラブ活動だといわれていたのが、とても印象に残っております。それから、外国の方々が日本語の勉強をしておられました。ちょっと語学学校のような感じを受けたのを記憶しております。
 きょうは、夜間中学の中の特に日本語学級に限定して質問をいたします。
 さきの都議会の代表質問で、公明党の石井幹事長が質問に立ちました。代表質問、予算委員会を通して夜間中学校の問題を取り上げたのは、公明党の石井幹事長だけだと思います。この質問を作成する過程で、私は、石井幹事長とともに墨田区立の文花中学校を訪問させていただきました。そして、先生方や生徒の皆さんの意見を十分にお伺いいたしました。この日本語学級の先生方の今日までのご苦労に報いるためにも絶対に教諭を削減してはならないと、鋭く石井幹事長がこの前の代表質問で迫ったことは、皆様のご記憶にもあるかと思います。
 日本語学級の人事発表が先日ありましたが、その内容についてお伺いいたします。平成十六年度における教員の定数はどうなっているのでしょうか。

○臼井人事部長 平成十六年度の中学校夜間学級における日本語学級の教員定数は、三学級設置校は四名、二学級設置校は三名であり、五校合計で十八名となっております。

○野上委員 実際の教員の配置はどのようになるのでしょうか。

○臼井人事部長 中学校夜間学級におきます日本語学級への教員の配置は、平成十六年度については、六名配置する学校が二校、五名配置する学校が一校、三名配置する学校が二校であり、合計で二十三名でございます。

○野上委員 この差が五名になっていますけれども、その差があるとすれば、その原因は何でしょうか。

○臼井人事部長 配当基準による定数と実際の配置の差についてでございますが、大きく二つの理由がございます。一点目は、三学級設置校につきましては、激変緩和措置として、二名減のところを原則一名減としました。また、二点目に、異動候補者が、過員教科や妊娠などの理由によりまして他校へ異動できなかった、そうした理由によるものでございます。

○野上委員 昨年の暮れですか、いきなりの定数の見直しということが浮上したんですけれども、この定数の見直しの理由は、何によってでしょうか。

○臼井人事部長 見直しの理由でございますが、日本語学級の教員定数につきましては、都の財政状況及び国の標準法の基準を勘案しまして、学校教職員定数全体の見直しを図る中で、現在配置しております教員の一部を非常勤講師で対応することとしまして、配当基準を見直したものでございます。

○野上委員 そのことを、どのように周知徹底を図ったのでしょうか。

○臼井人事部長 定数配当基準の見直しにつきましては、人事異動等の影響を考慮しまして、予算原案発表前でございます一月上旬に、各区市町村教育委員会人事担当者に対して情報提供を行いました。また、一月下旬に、平成十六年度定数等に関する説明会を開催し、周知徹底を図ったところでございます。

○野上委員 この夜間中学校における教員の勤務時間及び授業の実施時間はどのようになっているのでしょうか。また、授業開始前はどこにいて、どのような職務を行っているのでしょうか。

○臼井人事部長 中学校夜間学級におけます教員の勤務時間につきましては、学校によって若干始業時間は異なりますが、おおむね午後一時から午後九時四十五分までとなっております。いずれの学校におきましても、生徒の登校及び学級活動が午後五時ごろ、一校時目の開始が午後五時三十分ごろ、給食を挟みまして午後九時ごろに四校時目が終了し、下校となっております。
 また、勤務開始から授業開始までの教員の勤務につきましては、おおむね教材研究、校内研修、各種会議や打ち合わせ等に当てられておりまして、個別指導などの補習を行っている場合もございます。

○野上委員 この日本語学級の先生方は、本当に勤務時間を割いてでも、日本語学級の生徒のために、住む部屋を探したり、あるいは就職の世話をしたり、困らないように、ありとあらゆる日常のお世話をしているという実態もお聞きしております。勤務時間も、あってないように忙しいということも聞いております
 あと、この日本語学級に入る資格や基準はあるのでしょうか。

○山際学務部長 夜間の日本語学級につきましては、中学校夜間学級に入学する生徒のうち、日本語教育を行う必要がある生徒を対象とするものでございまして、学籍を夜間学級の通常の学級にするか、あるいは日本語学級にするかにつきましては、個々の生徒の日本語能力に応じて学校長が判断をしているものでございます。
 なお、中学校夜間学級の入学条件につきましては、学齢を超過していること、義務教育未修了であること、都内に在住または在勤していることでございまして、外国人につきましては、在留資格のある方で、母国において義務教育の未修了者が対象となるものでございます。

○野上委員 きょうの新聞にも日本語学校のことが出ておりました。不法就労のために、不良外国人というんですかね、約八千人の中国人をあっせんした日本語学校の記事が載っておりましたけれども、あくまでも夜間中学の日本語学級におきましては、在留資格者で母国の義務教育が未修了の者が対象となっているという確認をとっておきたいと思います。
 今後の対応はどうなっているんでしょうか。

○臼井人事部長 今後の対応でございますけれども、日本語指導に関しまして専門性を有します、力ある優秀な人材を非常勤講師として活用を図るなど、生徒の実態に応じ学校が創意工夫できるよう、設置者であります区市とも協力し、指導体制の充実に努めてまいります。

○野上委員 ここのところはちょっと難しいところなんですけれども、日本語を教えるということは、相手の言語がある程度わかることが必須条件になってくると思うんです。ちょっと私も、ロシアの人に日本語を教えていた時期があるんですけれども、ロシア語は私できないので、英語で話をしながら日本語を教えていく。身ぶり手ぶりでは、ある程度の限界があるわけです。
 この日本語学級の場合、年によって、母国の言語が変わってくると思うんですね。韓国語の先生が大変必要になる場合もあるし、あるいは生徒に中国人が多い場合は、中国語ができる先生が欲しかったり、あるいはポルトガル語だったりスペイン語だったりとか、年によってちょっとニーズが変わる場合があると思うんですね。講師を固定するよりは、必要とされる言語を扱える非常に優秀な講師の先生を補充して学習に取り込むということを都教育委員会は考えているということで確認してよろしいでしょうか。そして、その非常勤講師の活用の方法はどのようなものなのでしょうか。

○臼井人事部長 非常勤講師の活用方法についてのお尋ねでございますが、まず、常勤の教員では担当できない授業時数につきましては非常勤講師で対応するものでありまして、日本語の習熟の程度に応じたグループ編成が、こうしたことにより同様に可能であると考えております。
 また、非常勤講師を活用することによりまして、先生も今ご指摘のように、学習到達度に応じた授業展開や多様な授業選択の設定など、日本語学級における教育課程の一層の弾力化を図ることができると考えております。
 また、日本語指導に関しましても、専門性を有する非常勤講師と専任の教員との連携、協力を図ることによりまして、これまで取り組んできました日本語指導に関する教科指導や生活指導においても、さらなる工夫、改善が期待できると考えております。
 こうしたことから、非常勤講師の活用は、日本語能力が十分でないさまざまな生徒に対しまして、きめ細かな指導を行う上で効果的であると考えております。

○野上委員 私たち公明党は、夜間中学校の問題解決のために、文部科学省まで出向きました。文部科学省の金森大臣官房審議官にも面談をいたしまして、国の法整備を強く求めてまいりました。石井幹事長の質問に対し横山教育長も、国に整備を要求していくという力強い回答がございましたが、改めてお伺いします。
 できれば、十七年度の国への概算要求で、夜間中学校の日本語学級、日本語教育の法整備を盛り込むべきと思いますが、人事部長にお伺いいたします。

○臼井人事部長 日本語学級の法的位置づけや特別な人的加配につきましては、本年夏に行います文教予算に関する国への提案要求の中で要望してまいります。

○野上委員 最後に、横山教育長にお伺いいたします。
 夜間中学の日本語教育は、国の日本語教育が十分になされていない中で、都の教育委員会がバックアップして今日まで築き上げてきたすぐれた教育システムだと思います。多くの夜間中学校の関係者の皆さんが、心配して、本日も傍聴に見えておられます。前進することがあっても、後退と受け取られることがあってはならないと思います。
 きょう来てくださった皆様に、教育長として、全力を挙げて夜間中学の日本語教育を支援していく決意を表明していただきたいと思っております。

○横山教育長 東京都教育委員会といたしましても、日本語能力が不十分な中国残留邦人等に対しまして学習の場を提供しますことは、義務教育を保障し、日本社会への定着と自立を促進する視点からも必要であると考えておりますので、今後とも、多様な人材を活用するなど、学校が創意工夫できるよう、設置者でございます区市とも協力をしまして、指導体制の支援に努めてまいります。

○野上委員 ありがとうございます。心強い、力強い後押しを受けまして、次は、ろう教育について質問させていただきます。
 今、ろう教育では、どのようなコミュニケーション手段を使っているのでしょうか。

○近藤指導部長 ろう学校での指導につきましては、学習指導要領に、補聴器等の利用により児童生徒の保有する聴覚を最大限活用すること、そして、日本語による意思の相互伝達を充実することと示されております。
 現在、ろう学校では、聴覚口話法を中心とした指導が行われておりますが、児童生徒の障害の状態や発達段階を考慮いたしまして、手話や指文字などのコミュニケーション手段の選択や活用も適切に行うこととしております。

○野上委員 この聴覚口話法というのは、口の形を見て、何をいっているかを読み取る作業なんですね。「ま」とか「わ」とか「は」とか、口の形だけで言語を読み取るというのはかなり高度なテクニックが要りまして、特に小さい子どもたちは、この聴覚口話法を覚えることが大変苦痛に思っているということもよくお聞きするんですが、現在この口話が中心となっている歴史的な経緯というのをお聞きしたいと思います。

○近藤指導部長 日本では、明治十一年に聴覚障害教育が開始されまして、手話を中心とした指導を行ってきたわけでございますが、その後、補聴器の進歩や医療技術の進展によりまして、徐々に残された聴力を活用する指導に変わりまして、現在は聴覚口話法を中心とした指導が行われているという経緯でございます。

○野上委員 手話を中心とした教育が昔は行われていたけれども、その後、補聴器が進歩したから聴覚口話法に変わってきたということが今いわれました。しかし、現実に三歳、二歳ぐらいの子どもたちは、補聴器をつけてもなかなか音声が聞き取れない。子どもたちが口話法だけで初めの言語を取得することは非常に難しいと思われるわけです。今、学校においてなかなか手話教育が行われていないという現状もあるようなんですが、今現在、手話にはどのような種類があるんでしょうか。

○近藤指導部長 平成五年に出されております文部省の聴覚障害児のコミュニケーション手段に関する調査研究協力者会議の報告では、手話には、日本語の文法とは異なる独自の文法を持つ日本手話、日本語の話し言葉に対応して使用される日本語対応手話、そして、両者の中間に位置する中間手話があると定義されております。

○野上委員 ちょっと手話関係者の方にお聞きすると、言語と同じで、その地方独特の手話があるそうなんですね。方言と同じような形で、北海道には北海道の手話、沖縄には沖縄の手話というように独特の手話があって、それがなかなか共通するものではないと。ただ、今NHKのテレビで行われている、丸くなって人の手話が出るのは、これは日本語対応手話といって、割と共通語のような形で行われているそうなんですが、ろう学校の教師が手話を学習する、そういう仕組み、システムはどのようになっているんでしょうか。

○近藤指導部長 現在、各ろう学校におきましては、校内での手話研修が活発に行われておりまして、初任者や、また他校種から転任してきた教員でも、授業中に必要に応じて手話を使用することが可能となっております。
 また、教職員研修センターにおきましては、ろう学校に勤務する教員の初任者研修や十年経験者研修におきまして、障害の実態に応じた多様なコミュニケーション手段の活用に関した研修を行っているところでございます。

○野上委員 私は、一人一人のニーズに応じた教育を推進していくことが大事ではないかと思っております。補聴器をつけてある程度音が聞こえる子には聴覚口話もいいと思いますし、あるいは指文字でわかる子はそれでもいいし、また、手話が一番コミュニケーションの円滑な方法であれば、手話でもいいと。そういうふうに、ニーズに応じた教育を推進していかれればいいかなと思っております。
 私が視察させていただいた葛飾ろう学校では、こういった多様なコミュニケーションを教師が行っておりました。指文字もやっておりましたし、手話も行っておりましたし、聴覚口話も行っておりました。しかし、ほかのろう学校の中では、これだけ充実した教育が行われているかということは、まだ甚だ疑問なんです。
 いずれにしても、口話だけでは授業できない子どもたちに対しては、幅広い教育を進めていっていただければというふうに思っておりますが、この点につきましてはどうでしょうか。

○近藤指導部長 都教育委員会では、平成十二年三月にコミュニケーション指導等の研究委員会報告を示しまして、そこでは、幼児、児童生徒一人一人の障害の状態に応じた多様なコミュニケーション手段の活用の必要性について提言をいたしました。この提言に基づきまして、現在、一人一人の障害の状態に応じまして、手話、指文字などのコミュニケーション手段を用いた指導を進めているところでございます。
 今後、東京都教育委員会は、先ほどお話のありました、ITを活用した教育推進校であります都立葛飾ろう学校における研究成果なども十分に生かしまして、多様なコミュニケーション方法の開発と工夫に努めるなどいたしまして、個に応じた指導を一層推進してまいります。

○野上委員 どうもありがとうございました。
 続きまして、都立体育施設の料金改定等について質問させていただきます。
 この料金の算定方法なんですけれども、先ほど松原理事からも質問がございました。各施設ごとの人件費、光熱費、水道代、清掃の維持管理費あるいは建物及び設備の減価償却費を加味しながら体育施設の利用料金の上限額について決めてきているということが、先ほど質疑されておりましたので、これは飛ばします。
 でも、今回、料金改定ということで、最高では一・五倍ということが出ておりますが、内部努力はどの程度なさったんでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立体育施設では、光熱水費の節約や清掃業務の効率化などに努めております。東京体育館など四館の平成十六年度の管理運営経費につきましては、人件費を除いて約二十億一千万円と見込んでおりまして、平成十一年度の実績と比較いたしまして約二三%の減となっております。
 また、施設の管理運営業務に携わる常勤の職員数でございますが、平成十一年度は六十九名でありましたが、平成十六年度は五十名とする予定でございます。

○野上委員 これまで、都の委託料については精算を実施してきましたが、先ほどの説明にありましたが、平成十六年度からは精算を行わないということで、料金の値上げに結びつくのではないかと危惧されております。この点について、都の教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 今回の委託料の全額精算の見直しは、利用料金制の本来の目的の一つである、管理受託者の経営努力を促すために実施するものでございます。このことによりまして、管理受託者は一層のコスト削減を図るとともに、利用者の増加に向けてサービスの向上に努めることが必要となってまいります。
 都教育委員会では、人件費を除いた委託料の精算を行わないことが、利用者の著しい減少を招くような安易な料金改定に結びつくものではないと考えておりますが、実際に適用する料金の承認に当たりましては、料金改定の理由や改定の内容、改定の時期などを十分に検討いたしまして、その適否を判断してまいります。

○野上委員 料金について、たとえ十円上がっても大変高く感じる場合もありますので、減額、免除制度についても、最初に利用者に負担を求めるのではなく、まず徹底した内部努力を行って、そして、それ以上限界であると思ったときに、また料金値上げということを考えていただければと思っております。
 多くの方々からお手紙をいただきまして、生涯水泳をめざす会とか辰巳国際水泳場・生涯水泳をめざす会ですか、これ、別ですね、いただきまして、自分たちが健康でいられること、健康維持のために、こういった料金を値上げしないでもらいたいというような陳情も来ておりますので、ぜひ考慮していただければと思います。
 最後に、東京都交響楽団について意見だけいいます。
 東京都交響楽団について。東京で芸術が活発になることは、都民に心の安らぎ、あすへの活力をもたらすことはもとより、芸術への支出、投資を通じて、ひいては東京の経済の再生をもたらします。すばらしい芸術にはだれもが感銘を受けるものであり、芸術のレベルは、芸術家や芸術団体のレベルに負うところが大きいのは論をまたないところであります。都響は、我が国を代表する在京八楽団、NHK、読響、都響、日フィル、新日フィル、東京シティ、東京交響、東フィルの中でもレベルが高いという評価は周知のとおりであります。
 したがって、今回の雇用関係を百八十度転換する有期契約楽員制度の導入を急ぐことは、都響の音楽の質を落とし、ひいては首都東京の文化にとって大きなマイナスになります。過激な改革ではなく、着実に実行できる改革を進めるべきであり、拙速な対応は避けるべきであると意見を申し上げ、私の質問を終わります。
 以上です。

○東委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十二分休憩

午後二時五十四分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○曽根委員 きょうは、予算と障害児学級の報告、請願陳情をあわせて審議ということで、私の持っている時間を使うのは、この一回限りというのが基本になります、請願だけだったら、それごとにやるんですけれども。したがって、予算と請願陳情全部合わせて一定の時間の間に質疑をしなければならないので、全部意を尽くすことはできないかもしれませんが、極力一つ一つの大事な課題について誠意のある答弁を求めて、質問をしていきたいと思います。
 最初に、東京都交響楽団の有期雇用制度の導入について。
 これは、既に何人かの方が意見を表明されました。基本的に、今までの意見表明に私も共感をしております。
 先日、予算特別委員会の代表質問で、我が党の吉田幹事長の方からも質問を行いまして、その際、教育長は、東京都交響楽団が東京の文化振興に果たしてきた役割は非常に大きいということを答弁されました。今回、一層その技術を高めるということで有期雇用制度というものの導入を図るということに、理由はなっているんですが、これはもう私がいうまでもなく、団員自身の方々からも、音楽の専門家からも共通して、安定雇用こそ高い演奏技術の最大の保証ではないかという声が出ていると思います。
 こういう声が非常に多く、音楽のことをわかっている方ほどこういう声を上げているということについて、都はどういうふうに受けとめておられますか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 東京都交響楽団が、安定した収入によりレベルの高い楽団として成長したという意見があることは承知しております。しかし、その一方で、ぬるま湯体質という批判もあり、より質の高い楽団の向上を図るためには、楽員が切磋琢磨する環境づくりが必要であると考えております。
 このため、東京都交響楽団では、現在の年齢給から、能力、業績が反映される給与へ移行するとともに、三つの職階を設定し、職階に対応した年俸体系に移行することとしております。このような取り組みを通じまして、個々の楽員の能力アップとオーケストラとしての質の向上を図り、演奏水準の向上を図るものと理解しております。

○曽根委員 今、ぬるま湯体質という声があるというのは、恐らく楽団や東京都外からの一部の声だと思いますが、私は、オーケストラの方々の気持ちからいうと、非常に心外な話だと思うんです。三月九日付の朝日新聞に、音楽家のユニオンの運営委員の一人であります三原さんという方が記事を寄せていまして、その中で、大体どの楽団でも、入団するためには、募集一人に七十人から八十人が受験することもざらで、それでも決まらずに再試験が繰り返されると。音大新卒者のうちオーケストラに入団できるのは例年五%ほどで、なかんずく東京都交響楽団のようなハイレベルの楽団に進める者は一%未満であると。
 したがって、都響は、先ほどもお話のあったように、いわゆる御三家とまでいわれる国際的にも名前の通った楽団ですから、いってみれば、その集団というのは非常な超専門家集団というべきものだと思います。
 私は、そういう方々の処遇について、先ほども、ほかの委員からお話のあったように、その高い技術で既に入ってきている方々のレベルにふさわしい処遇がきちんと保障されなければならないと。その中でさらに競争させて、お互いを、何といいますか、切磋琢磨といえば聞こえがいいが、団の中でいわば競わせるというようなことはオーケストラにはふさわしくないということは、改めて私からも申し上げておきたいと思うんです。
 それで、既に、今お話のあったように労使交渉に入っているわけですが、これは、東京の文化を代表する楽団をどうするかという問題と同時に、あくまで労使交渉という面もあります。そういう点ではルールがありますので、法律上、労働組合に認められた権利も含めて、ルールにのっとって交渉を行い、間違っても見切り発車とか、ましてや楽団の今後に大きな支障を来すような強硬手段は絶対にとるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 契約楽員制度は、現在の楽員が一たん退職した上で、新たに契約楽員として有期雇用契約を締結しようとするものでございます。この制度の円滑な導入には、楽員の理解と協力が必要でございます。
 このため、都教育委員会といたしましては、制度の円滑な導入に当たり、その趣旨が楽員に十分理解されるよう、誠意を持って協議を進めることを東京都交響楽団に対して指導してまいります。

○曽根委員 誠意を持って交渉するよう指導するということなので、そのようにお願いします。
 ただ、今の話は有期雇用制度の導入を前提としておりますが、労使交渉というのは最初から結論が出ての交渉ではありませんので、もちろん労使間では、いわば一からの交渉ということになるのは当然だと思います。
 最後に申し上げますが、楽団の団員の気持ちになって考えると、自分の身分がこれからどうなるのか定まらないまま演奏活動を続けるのは、演奏に集中できるのかなというのが心配です。これは何であれ、芸術活動は特にメンタルな面が非常に大きいと思うんです。
 ちょっと分野は違いますけど、プロ野球の選手の話がさっき出ましたけれども、プロ野球の選手も、できればキャンプに入る前に契約更改を済ませておく。そうしないと、けがのもとにもなるとまでいわれているように、その年度の自分の身分や生活がどうなるのかということをきちんと安定させた上で、思い切ってプレーに集中できるというもので、これは芸術活動にも共通した面があると思います。
 そういう点で、間違っても、団員の方々が納得できないまま、そういう身分に置かれて演奏活動を続けざるを得ないというような事態に追い込まないようにしていただきたい。
 それから、長い目で見ますと、これは超専門家集団であり、高いレベルの方々ですから、国際的に見ても、そういう方々は極めて少ないわけです。したがって、本当に優秀なレベルの音楽家を東京都交響楽団にこれからも確保していこうと思ったら、国際的な比較で、例えばヨーロッパなどを中心にほとんどの楽団が安定雇用であり、終身雇用をとっているときに、東京都交響楽団だけが不安定であって、中で競争があるということでは、恐らく選択されなくなってしまうだろうということもあります。そういう意味でも、演奏レベルを一人一人の団員において高めていくためには、私は、安定雇用こそ国際的な潮流でもあり、東京都交響楽団に必要だと思います。
 次に、高尾の自然科学博物館について。
 これは、もう何年も前に、私も質問に取り上げたことがあります。現地へ行きましたら、本当に規模が小さいのは事実ですよ、東京都が先ほど説明されたように。だから、東京で恐らくあそこ一カ所だと思いますが、せっかくナウマン象の骨があるのに、引き出しの中に入っているんですよね。私たちが行って、あっ、議員が来たね、というのであけてくれたんだと思うんですけど、後で聞きますけど、たくさんの参観者がいるのに、そういう方々は見る機会がないわけですよね。
 それから、もっと貴重だなと思ったのは、膨大な高尾山を初めとする植物の標本があるんですね。これも、都内であそこ一カ所だと思います。そういう点では、私は、規模が小さいのならば、東京都にふさわしく規模を大きくして--利用者そのものは全都から来ている。東京じゅうから来ているんですね。そういう方々の利用できる施設にしていくべきだろうというふうに思うんですが、その前提となる高尾自然科学博物館の利用者は、この数年、どういう推移をしているでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 過去数年間の利用者の推移でございますが、平成十年度が八万四千二百七十一人、平成十一年度、九万一千六百五十五人、平成十二年度、十万三千四百三十一人、平成十三年度、十一万七千八百八十七人、平成十四年度が十二万二千二百十二人の利用者でございます。

○曽根委員 この自然科学博物館は、前から危ないといううわさがあってはいるんですけれども、にもかかわらず、この五年間で八万四千人台から十二万二千人台へと、約一・五倍の利用者にふえているわけです。何でかなと思って、先日伺ったときに副館長さんにお聞きしたら、京王電鉄など地元の企業などで、高尾山の登山と博物館の見学も含めた散策というふうな一つのコースを、車内のつり広告などで出していて、結構キャンペーンをやっているそうなんですよね。
 そういう意味でも、東京都として、せっかくある都の財産で、今やたった一つ残った博物館法に基づく唯一の博物館、これを活用すべきじゃないかというふうに私は思います。
 条例案については、だから私は、東京都で残して、貴重な財産として生かすべきだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、同じく社会教育で重要な役割を果たしてきた、最後の青年の家であります府中青年の家の廃止条例が出されています。これは、詳しくは繰り返しませんが、代替施設として、この三月で最後の卒業生が巣立っていきます八王子高陵高校の跡地を使って、新しく多摩ユース・プラザを建設するということで、基本的には、ここが青年の家の機能を代替するというふうに説明されました。
 そこでお聞きしたいんですけれども、府中青年の家の宿泊利用者、日帰りの利用者の方で、地元の府中市の方はそれぞれどれぐらいの割合でおられるのかをお聞きします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十四年度の利用団体の内訳でございますが、これは統計上、利用団体の代表者の居住地で押さえてございますので、その区分をさせていただきますが、宿泊利用団体では、三・八%が府中市内の団体というふうに考えられると思います。また、日帰り利用団体では、五八・七%が府中市内の団体でございました。

○曽根委員 この種の施設に特徴的だと思いますが、日帰り利用は半分以上が市内の方ということですよね。そして、宿泊はもう東京じゅうから。この春から水元が廃止されてしまいますので、もうここしか青年の家はありませんから、そういう意味でも、東京、特に多摩を中心に、非常に安く気軽に利用できる青少年施設として利用されていると思います。それを、八王子の、私もこの間行きましたが、駅からバスでちょっと行かなきゃならない、高陵高校の跡地のユース・プラザで代替できるのかどうかということなんです。
 例えば、府中の町から八王子の多摩のユース・プラザに行こうと思ったら、片道どれぐらいの時間がかかるんでしょうか。

○瀧川参事 府中から高尾駅まで京王線を利用し、高尾駅からバスの利用になります。これに要する時間は、鉄道とバスを合わせて約四十分になります。

○曽根委員 それで、府中よりも、多摩の全体から見て便利な場所に移るんならいいんだけれども、とにかく八王子の、そのまたちょっと奥なんですよね、この高陵高校のあったところは。そういう意味では、日帰りの利用は、府中の方はもう大体行かないだろうなというふうに思われます。
 宿泊利用の方なんですけれども、ユース・プラザの共通の問題として、昨年も、その前の区部ユース・プラザ、間もなくオープンします江東区夢の島体育館を合わせたBumBですね、ここでも指摘しましたが、現在の利用料の大体八倍から十倍ぐらい、数百円の金額だったのが二千円から三千円になるわけですね、宿泊料は。そういう料金の問題、もちろんあります。
 その上で、私は、宿泊の受け入れの規模がどうなのかと思って資料をお願いして、きょう、資料の九ページに載っているんですけれども、多摩ユース・プラザの利用者見込み数の宿泊は、年間二万四千八百人程度となっています。それに対して、現在の府中の利用者が二万五千百四十二人ですか、宿泊が。だから、今、府中青年の家に年間泊まっている宿泊客と見れば、そう大きな違いはないんですが、もともと多摩の青年の家は六カ所あったわけですよね。六カ所あった当時は、年間で六万五千人以上の宿泊があったわけで、これがずっと府中に集約されてしまって、最後になくなって、多摩ユース・プラザということを考えれば、約三分の一程度に宿泊の受け入れ規模が縮小されてしまうというのは、この資料からも明らかです。そういう意味では、規模の上でも、料金の上でも、代替になるのかなということに大きな疑問を感じています。
 さらに、府中青年の家との絡みでいいますと、ユース・プラザは今度PFI方式で運営されるわけですね。つまり民間施設なんです。したがって、社会教育事業はもちろんやりますけれども、民間施設としての問題点を持っていると思うんです。
 特に、前回のときも指摘しましたが、PFI方式で十年間、固定的に運営費を東京都から支払うわけですね。これが年間四億円ぐらい支払います。多摩ユース・プラザの宿泊利用は、業者の方でどれぐらいというふうに設定されているでしょうか。

○瀧川参事 多摩ユースの宿泊利用率は約四割と考えております。

○曽根委員 私、四割というのは、相当厳しく事業者は予測していると思うんです。ところが、その四割で、年間二万四千八百人程度が泊まるだろうという予測がそのとおりになったとしても、年間四億円払う運営費の二万四千八百分の一ということになると、宿泊者一人当たり一万五千円ぐらいの東京都からのお金がついているということになるんですね。そうすると、ちょっとしたビジネスホテルの宿泊料よりも大きい額の都のお金が、この施設には毎年払われる。十年間、固定して払われるわけです。
 問題は、事業者も四割と厳しく見ていますが、これが予想よりもさらに下回った場合、宿泊のベッド数の三割しか泊まらない、もしくは二割しか泊まらないというふうになった場合、それはやっぱり事業者に問題があるじゃないか、もっと宣伝するなり何なり頑張らなきゃいけないじゃないかというふうな--東京都の側から払う運営費について、インセンティブの逆で、何というんですか、ペナルティーをかけられるような方法はあるんでしょうか。

○瀧川参事 利用率が予想より下がった場合というお話だと思います。利用者数の増減等の需要のリスクは、PFIでございますので、契約上、事業者が負うことになってございます。都がサービス購入料を追加負担することはございません。
 また、事業者である京王電鉄グループは、企業グループとして、ネットワークを生かして、グループ全体で総力を挙げて多摩地域ユース・プラザを支えていくことを表明しております。安定した利用率確保への積極的な取り組みが期待できると考えております。

○曽根委員 もちろん追加の支払いなんかはあってはならないことですし、これは契約上も明確です。それに、事業者に対しては、東京都から絶えず、利用が悪い場合には、どんどん頑張るようにいわなきゃならないと思うんです。ただ、お金の上できちんとペナルティーをかけて、利用客の拡大促進を図るようなことはできるかというと、それはできないわけですね、十年間固定だから。
 事業者の側にしてみると、本音をいえば、利用客が払う宿泊料金は大体一泊二千円程度なんです。かかるコストはどれだけかというと、私、ちょっとビジネスホテルなんかに聞いてみたんですが、どんなに低く見ても四千円ぐらいかかるんですよ、ビジネスホテルで。そうすると、利用客が減ると、その分、それに合わせてフレキシブルに、例えばベッドシーツがえだとかクリーニングだとかの職員、従業員を減らすということをうまくやれば、利用客が少ない方が--毎年、四億円の固定費は入ってくるわけですよ。そういう計算になっちゃうんですよ。だから、東京都が追加支払いをするどころじゃなくて、利用客が少ない方が事業者にお金が残ってしまうということがあり得るわけなんですね。もちろん、これはあってはならないですよ。私、PFIがなかなか全国に広がらないのはここじゃないかなと、本音でいうと、思っているんですけどね。
 そういう点では、PFI方式はもうスタートしているわけですが、始まってしまった制度でありますけれども、私たち、これは反対してきましたが、やっぱりこれは東京都の税金を毎年数億円も投入しているわけで、やっぱりこれはまずいということであれば、それについての必要な改善をする、ペナルティーをかけるべきはかけられるような制度に改善することは必要だということを申し上げておきたいと思います。
 そして、府中青年の家の廃止は、まだ利用者が日常的に利用しているわけですし、これからまだしばらくは、予約がありますから、来年度中は利用できるわけなので、再検討する余地がある、条例の廃止ではなくて、ぜひ今後も何とか維持、存続していく道を考えていただきたいということを申し上げて、次に行きます。
 次に、スポーツ施設、東京都の体育施設のことについてお聞きしておきたいんです。
 これも前に質問がありましたので、幾つか省略はいたしますが、これは、利用料金制度がたしか三年前ぐらいに導入された際に、私たちも意見をいいましたが、先ほど説明もあったように、最初は、利用料金で施設が賄えない場合、赤字補てんがされていたわけですよね。しかし、今後はしないわけですから、それを取り戻そうと思ったら、利用料金の引き上げを行わないと、毎年、経営している、ここでいえば生涯学習文化財団ですか、ここに赤字が出ると、翌年の料金に即はね返ってしまうという、利用者にとっても今後影響の大きい制度だということを申し上げました。
 現に、前回、この利用料金制度が導入されて、一・五倍に天井が上がったというときに、即利用料金、実際の料金も、天井が上がったために値上げが実施されると。ただ、周知期間を置いたので、三カ月ぐらい後になりましたが、そういうことが行われました。
 今回も、利用限度額を引き上げるわけなんですけれども、あたかももう自動的に、それに伴って実際の料金まで上がってしまうかのようなニュアンスにちょっと聞こえたんですが、その点をきちんとお答えいただきたい。もうこの三月で議決されて、限度額が上がったら、天井が上がったら、実際の料金もすっと上がってしまうのかどうか。もちろん周知期間はあるでしょうけれども、来年度内に上げていこうと考えているかどうか、この点をお聞きします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 実際の利用料金の値上げについてのお尋ねでございますが、現在、条例が審議中でございます。都議会の議決を踏まえまして、条例改正の経緯、さらに、東京都教育委員会では、料金の承認に当たりましては、原価計算の結果やこれまでの料金設定あるいは各施設の現状、周辺類似施設の状況などを勘案いたしまして、総合的に判断をするものと考えております。

○曽根委員 総合的に判断するのは財団の方だよと。それで、都に申請が上がってきて、それを認めるかどうかだということだと思いますが、実際には、財団の方は既に、来年度中に上げれば収入が変わってくる、ふえるわけですから、そういう計算をしているんじゃないかと思うんですが、財団の方の来年度の利用料金の増収計画について、それが出ているのかどうかについてお伺いします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十六年度予算における管理受託者の体育施設利用料収入につきましては、料金の改定を行うとともに、サービスの向上や営業活動の強化などによる利用者増を見込んでおります。そういうことで、平成十五年度予算に対しましては約四千七百万円、六・六%の増収見込みということが予算上の内容でございます。
 なお、現在、管理受託者は、条例改正後に実際に適用する料金について検討をしております。あわせて、料金を改定した場合の財団としての増収見込みについては、別途、検討を行っているところでございます。

○曽根委員 鈴木部長の答弁の中で、はっきりと、管理受託者による、料金の改定を行い、サービスの向上や営業活動の強化などにより利用者の増を図ることを計画しているというお話がありましたので、中身はまだ公表されていませんが、私は、十六年度中、恐らく四月当初に決定をして、三カ月程度の周知期間を置いて、七月実施というあたり、前回と同じようなやり方で料金改定が行われると受けとめざるを得ないと思うんです。
 で、前回三〇%程度、今回も同じぐらいだと思うんです。既に団体の方では、これは年間計画があり、しかも、団体は決して収入を持っている団体ではなくて、アマチュアスポーツ団体が多いですから、そういうところは、皆さんの家計とか、やりくりでやっているわけですよね。そういう意味では、三割もぱっと上げられると大変なことになるわけで、団体の方々の不安はやっぱり非常に強いと思うんですね。
 で、値上げは、限度額を上げることにも私たちは非常に批判しますが、限度額を上げたからと自動的に上がるものじゃないので、やっぱり利用者のこともよく考えて、値上げを踏みとどまるように管理受託者に対して指導すべきだというふうに述べておきます。
 それから、団体に対してはどのような説明を行うんでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 体育施設四館の利用者懇談会の場等を通じまして、今回上程しております条例案の内容につきましては、説明を既にしてございます。
 また、実際に適用する料金の改定に当たりましては、先ほどからお話のございますように、一定の周知期間を設けて、各利用団体に対する通知や、冊子あるいはインターネット等による広報、各体育施設での新料金の掲示など、広く都民にお知らせするよう、管理受託者に対して指導してまいります。

○曽根委員 それぞれ活動の団体は年間計画を持ってやっているので、年度の途中の値上げというのは非常に響くわけです。そういう点でも、やらないのが一番なんですが、事前にどういう計画なのかを、少なくとも年間通じて日常的に利用している団体に対しては、誠実にちゃんと示すというぐらいのことはまずやっていただきたいんです。
 それから、先ほど、半額減額制度だとか登録団体などの利用形態については変更を考えていないということで答弁がありましたので、これは省略します。
 次に、特別支援教育について何点かお聞きしておきたいと思うんです。
 これは、団体の方がこの間来られて、三回目の陳情だと。一回目が、たしか二十万近い署名が集まったんですよね。二回目も、たしか二万を超える署名があった。今回も二万近い署名。本当に粘り強く、よく頑張るなと、私も率直に感心をしているんですが、逆にいうと、それだけ特別支援教育、なかんずく東京の小中学校の心障学級はどうなるのかと、我が子はどうなるのかという心配だと思います。我が子だけじゃなくて、その後に入ってくる子どもたちの主に問題でしょう、これはね。しかし、自分の子どもが心障学級で、通常学級で不登校になってしまった者が立ち直ったり、見違えるように毎日喜んで学校に行くという姿を見ていると、こういう学級をなくしてどうするんだという思いが強いと思います。そういう声にこたえた形も部分的にはあって、特別支援教室の中にも固定的なタイプをつくるというお話もありました。
 今回の陳情の中心点は、法律がこれから改正されるわけですから、ぜひその法律の中に学級制度を、特別支援学級という言葉も検討会の中で出たわけですから、そういう学級制度を導入できるように国に働きかけてほしいというようなことなどが大きな点だと思います。
 それで、これからモデル実施が始まるわけですが、モデル実施の中身について、先ほどちょっと質問もありましたが、国にこうした制度のいろんな働きかけを、これから東京都もしていくと思います。東京都で行うモデル事業の結果を見て、もしやっぱり必要だったら、小中学校でやっている今の学級方式が必要だということを、国に対してもいうべきだし、モデル事業の中でもしやるのであれば、そういうこともいろいろ試してみる必要があると思うんですね。そういうふうな中身を含めたモデル事業の考え方についてお聞きします。

○山際学務部長 モデル事業につきましては、保護者の方々の不安をなくし、円滑に移行するために実施をするものでございます。
 実施計画の内容についてでございますが、モデル事業につきましては、小中学校における特別支援教育の推進に関するものと、都立盲・ろう・養護学校に在籍する児童生徒が居住地の地域指定校の小中学校に副次的に籍を置く副籍に関する二つのものを予定しているところでございます。
 前者につきましては、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など、学校全体による特別支援教育体制の推進、特別支援教室での教育的ニーズに応じた設置形態や指導方法などについて検証することを内容とするものでございます。
 また、後者につきましては、対象児童生徒が地域指定校に副籍を置きまして、児童生徒と指定校との相互理解を深めながら、行事交流等の交流教育を促進することなどについて検証することを内容とするものでございます。
 モデル事業の実施に当たりましては、地域特性あるいは設置者としての主体的な役割に配慮する必要があることから、委託先の自治体の独自性を十分尊重してまいります。

○曽根委員 やはり今の心障学級の設置者は区市町村なので、モデル実施をもしやるのであれば、例えば区市町村が学級方式に非常に近いものを考えたいということであれば、それを尊重すべきだと思います。そして東京で、国のもあるようですが、東京都のを何カ所かやるでしょうから、比較検討してやってみたらいいと思うんですよ。そうすると、やっぱり学級方式がいいということが客観的にいえるのであれば、やっぱり当然国に要望として出すべきで、法改正はこれからなんですから、そのことを強く要望しておきたいと思うんです。
 それから、保護者の方から、説明会が相当回数行われてはいますけれども、毎回毎回、なかなか疑問が吹っ切れないままに終わってしまうと。中には五十問ぐらいの質問を用意していた方がいて、これは一人でもやり切れないのは確かかもしれませんが、手を挙げても全く指してももらえなかったというお話もあって、たくさんの疑問が私たちにも寄せられているわけです。
 その中で、共通して非常に強い問題として、一つは、東京都として、結局は、特別支援教室になって、固定的なものはできるでしょうけれども、今の心障学級を最終的にはなくしてしまって、基本的に通常学級にみんなとにかくいるんだよと、そこから教室に必要な時間だけ行く、これが基本になってしまうんじゃないか、結局、学級というのは実態としてなくなっていくんじゃないか、こういう心配です。
 それから、現在ある心障学級は、まだ法律改正の前なんですから、増設が必要なところがたくさんあるので、これは増設してもらいたいということなんですね。
 もう一つは、すべての学校にもし特別支援教室をつくるんなら、膨大な数の先生が必要になる。その先生を、今の学級からはがして持っていくというようなことだとか、養護学校からはがして持っていくというようなことになると、結局は、固定的な教室といっても、先生が足りないとか、養護学校で先生が足りないという事態が起きかねないので、そういうことはしないでほしい、あくまで純増でやってほしいという、大体その三つが、非常に強い疑問というか要望として出ているわけです。この三つについてお答えいただきたい。

○山際学務部長 特別支援教育への移行に伴う今後の心身障害学級の取り扱いや特別支援教室の設置につきましては、法改正を含む国の制度改正を踏まえながら、設置者である区市町村が、地域の実情に応じて今後検討していくことになるものでございます。
 お尋ねの特別支援教室の数につきましては、障害のある児童生徒の教育ニーズにこたえるために、原則として各学校に特別支援教室を設置することが望ましいというふうに考えております。
 その際、教員配置の基本につきましては、国の定数標準法によるところでございまして、都としては、十分な体制が確保できるよう、国に対して要望しているところでございます。
 なお、心身障害学級の増設につきましては、設置者でございます区市町村が判断するものでございまして、平成十六年度におきましては、小学校で六十六学級、中学校で二十九学級、増設される予定でございます。

○曽根委員 十六年度、私が予想したよりもはるかに多い学級数が増設されるということで、教員配置は都の方でやらなきゃならない問題ですから、ぜひ責任持ってやっていただきたいと思う。
 今、全体としては心障学級の必要数がふえていて、もう中野でも、前にもいいましたが、一つの学校で通常の学級に匹敵するぐらいの数の心障学級に、近くなっているという場合も出てきているわけですから、設置校もふやしていくことが必要だということをいっておきたいと思うんです。
 最後は、やっぱり国の定数標準法がかぎになります。ここで、結局は全体の定数はふやさない、養護学校、心障学級、通級学級、心身障害児教育にかかわる先生の数をふやさないということになってしまえば、はがしが行われるわけです。したがって、やはりこれは、必要な教育、対象の数が現在の一万数千人から約六万人に、四・五倍ぐらいにふえるということになりますので、それにふさわしい教員配置を思い切ってやらざるを得ないというふうに国が決断するようですね。都の方からもしっかり、十分な体制の確保というお答えがありましたので、働きかけていただきたいと思います。
 それでは、次に行きます。
 夜間中学の日本語学級の先生の問題で、もう何人かの方が意見を述べたり質問もありました。私も、基本的に今までのお話があったとおりです。そのお答えの中で、ちょっと一部朗報かなと思ったんですが、定数は二十六名から十八名に下げるけれども、現在の教員の配置を、来年度は二十三名ですか、にするというふうなお話がありました。これは初耳なので、そうすると、二十六名から二十三名ですから、三名は異動などで減るところが出るということになりますが、それは学校数でいうと三つなのか二つなのか、その辺についてはいかがでしょうか。

○臼井人事部長 学校数につきましては三校でございます。

○曽根委員 そうすると、五つの学校にしか日本語学級がないわけで、そのうち二校は、教員配置は今のままになるけれども、三校が一名ずつ減るということになるわけですよね。五つしかないわけですよね。で、一人減ったって大問題になっているわけで、私、何とかなるんじゃないかなと思うんですね。それは、いろいろな配慮をしなきゃならない問題はあると思いますよ。定数自体動かしちゃうということも含めて、私は変更してもらいたいんだけれども。それにしても、今の先生が残れて教鞭をとれる、あと一年間。これはこれで非常に大事な問題なので、残り三校、何らかの手だてをとって公平にやってもらいたいなということを最初にお願いしておきたいと思います。
 私たちも、ほかの会派の皆さんと同様に、まずは現場を見なければならないということで、足立の四中に伺いました。校長先生も本当に夜間中学と日本語学級を生きがいに感じているようで、そこにいた年配の先生と一緒に、とにかくおれが定年になるまでは君らを動かさないから、一緒に最後までやろうや、というようなことをいってましたよ。本当にそこから、今の異動要綱でいうと、二年か三年でもう動かなきゃならないという原則になるんですけど、そういう状況じゃないなと思うんですよね。本当にそこに生きがいを持って、しかも、中国とか韓国、朝鮮の方が多いですから、中国語を一生懸命勉強したり、韓国語、ハングル語を一生懸命勉強して、それで生徒に対応してやってきたと。テキストも自分たちで全部つくってやってきたというお話も聞いて、やっぱり簡単に異動して、ぐるぐる回るような教員の配置ではいけないなということが率直な感想でした。
 生徒さんたちも、やっぱり帰国された方が多くて、中国語がつい出るんですね、日常会話の中に。それを一生懸命日本語に直しながら授業をやっているんですが、ちょうど翌日行われるスピーチの発表会の練習ということで、自分の家族の話をしたり、自分の中国のふるさとの話をしたり、ところどころ日本語としてはおかしいなと思うようなところもありながらも、一生懸命暗記してしゃべっていました。そういう姿を見て、やっぱりこの学級の存在意義、もちろん小さい学級ですけれども、その人にとっては人生の中で初めて本格的に学ぶというか、場を与えられたんだなということを本当に痛感いたしました。
 それで、東京都の独自制度だそうで、夜間学級というのはほかにもあるけれども、日本語学級というのを置いているのは東京都だけだというふうにお聞きしました。その点、当然ながら、東京都は独自の意義を認めて日本語学級を置いているんだと思いますが、その意義についてはどう認識されているでしょうか。

○山際学務部長 都教育委員会は、中国帰国者などのうち年齢超過で義務教育の未修了者に対しまして、学習の場を提供することによりまして義務教育を保障すること、また、日本人社会への定着と自立を促進することが必要であると認識をいたしております。
 このため、義務教育を行うために日本語指導が必要な生徒に対しまして、都は独自に、日本語教育を行う特別な学級として、日本語学級の制度を整備しているところでございます。

○曽根委員 そして、足立四中もそうだったんですが、昼間の中学校と同じ教室を使っていたのでは、やっぱり思うような授業ができないということで、最近、少子化の傾向もあったということもあるんでしょうけれども、専用の教室になっていて、しかも、普通の教室を半分に区切って小さい教室をつくって、今は一学級に二人の担任がいるわけですが、それぞれが事実上小さい学級を持って、三学級といわれている学校ですが、実は六学級でそれぞれ担任がいるという形で実際には授業がやられていました。
 したがって、これはやっぱり少人数の学習が、いろんな言語の方が来ているということからも不可欠だと思いますが、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 中学校夜間学級の日本語学級の教室では、生徒の母国語や日本語の能力が異なること、そして、生徒が多様な文化を背景としていることなどから、その実態や学習の特性を踏まえまして、少人数グループを編成するなどして指導を行い、成果を上げてきているところでございます。
 都教育委員会では、日本語学級の指導者に対しまして、テキストや教材、指導資料などを提供いたしまして、引き続き日本語指導の充実を支援してまいります。

○曽根委員 都としては少人数のグループということになるんでしょうが、事実上の学級なんですね。一年間は少なくともその学級でずっと何人かで授業を受けるわけです。そういう形で効果を上げているというふうにお認めになっているわけですから、私は、この学級、実際上は一人一人が担任になっている、それを崩すことはできないだろうなというふうに実感いたしました。
 もう一つ、今回、非常勤対応という話があったので、先生方にお聞きして、また、生徒さんたちにも、卒業生の方にもお聞きすると、非常勤の方は授業を担当するだろうけれども、夜間中学の特に日本語学級の先生は、生活上困ったことなどの相談相手になったり、お医者さんや住宅や福祉の制度や、そういうものの相談相手、場合によっては一緒に行ってもらうということも含めて、本当にお世話になっていると。やっぱり日本に来て苦労している方が多いですから、心を開いて相談できる相手は本当に限られているんですね。
 そういう意味で、非常勤ではやっぱりできないんじゃないかなというふうに私は思うんですよ。だから、教員の生活指導ということになると思うんですが、こういう仕事というのは、確かに普通の中学校よりも多いと思いますが、普通の中学校だって、不登校になった子のところには家庭訪問にも行かなきゃならないし、それも先生の仕事のうちだと思うんです。学校生活に関連したそういった生活の指導、これはやっぱり教員の仕事として欠かすことのできないものだと思うんですが、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 学校におけます生活指導は、生徒の人格のよりよい発達を目指し、自己実現を図っていけるようにするものでございまして、夜間学級におきましても、教員の重要な職務の一つであると考えております。
 現在、夜間学級においては、生徒の実態に基づきまして、生活指導にかかわる相談や支援に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、都教育委員会は、夜間学級におけます生活指導を一層充実させるため、各区市教育委員会が関係機関との連携を深めたり、当該中学校に配置しておりますスクールカウンセラーの活用などを図るよう、指導助言をしてまいりたいと考えております。

○曽根委員 スクールカウンセラーの役割もありますでしょうし、各福祉その他の医療機関などとの連携というのも必要だと思います。しかし、何といっても、今、直接毎日接している担任の先生、そういう先生がその中心にいなければ、なかなかこれは、本当に日本に来て苦労している、信頼できる人が少ない中での貴重な先生の役割というのが果たせないと思うんです。
 そういう点で、最後にお聞きしたいのは非常勤の問題です。
 私は、先ほど話がちょっとあったように、現行の先生方の人数がちゃんと確保された上で、例えば母国語の指導にたけた、その言葉が話せる方が非常勤で手伝いに来たり、それは非常にありがたいことだと思いますよ。しかし、今の担任をなくして、かわりに非常勤だというんだったら、これは本当に大事な仕事ができなくなってしまうということなので、これでは現場は対応し切れないというふうにいっているわけですが、この点について、置きかえるような非常勤の配置の仕方をしないでいただきたいんですが、いかがでしょうか。

○臼井人事部長 今回の定数の見直しにより、常勤の教員で担当できない授業時数につきましては非常勤講師で対応するものでございまして、日本語の習熟の程度に応じたグループ編成は、現行と同様に可能であると考えております。
 また、非常勤講師を活用することによりまして、学習到達度に応じた授業展開や多様な選択授業の設定など、日本語学級における教育課程の一層の弾力化を図ることができると考えております。
 さらに、日本語指導に関して専門性を有する非常勤講師と専任の教員との連携、協力を図ることによりまして、これまで取り組んできました日本語指導に関する教科指導や生活指導において、さらなる工夫、改善が期待できると考えております。
 こうした点から、非常勤講師の活用は、日本語能力が十分でないさまざまな生徒に対しまして、きめ細かな指導を行う上で効果的であると考えております。

○曽根委員 今の臼井さんの話の大部分は、私もいいと思うんです。問題は、私が問うたのは、置きかえないでほしいということなんです。そのことについては直接お答えがなかったので、答えたくないのかなと。だったら、このままにしておこうかという気もしますが、とりあえず来年度、二十三名はそのまま。しかし、三名が問題になっているわけですね。それは、定数を切られちゃったらまずいですよ、将来、定数の根っこがなくなるわけですから。しかし、今やっている先生を、あと三名も含めて何とか残してもらいたいんですよ。その後でいろいろ相談すればいいじゃないですか。これはもうお金の問題じゃないですよ。これは三名分の人件費の問題じゃないですよ。やっぱり東京都の教育姿勢の問題だと思うんですね。
 ですから、いろいろ東京都も事情があるでしょうが、それも現場の先生方や、本当に生徒さんたちの気持ちも大事にしてあげていただきたい。ここまで事態は来ていますので、ぜひその点の改善を求めておきたいと思います。
 基本的には、私たちは、日本語学級の先生は今でも足りないと思うんですよ。日本語学級自体も足りないと思います。五つじゃとてもカバーできませんよ。ほかの県はほとんどないわけですから、ほかの県から二時間もかかって通っている方もいるんですってね。
 ですから、私は、本当に東京都内にもっともっとたくさんの夜間中学と日本語学級が必要だと。このことを基本に考えれば、何名削減なんていう問題じゃないんだということを改めて強調しておきたいと思います。
 最後に、日の丸・君が代の扱いを国旗・国歌として指針で定めた、この間の教育委員会の実施の状況と、それから、きのうでしたっけ、民主党の議員の方が予特でも取り上げて、私にいわせると本当にびっくりするような踏み込んだ答弁もありましたので、幾つか最小限の問題についてお聞きしておきたいと思うんです。
 最初に、昨年の十一月に私、事務事業質疑でこの問題は、既に基本的な点は質問をいたしました。そのときの近藤指導部長を初めとする答弁を踏まえて、新たに何点かお聞きしていきたいと思うんです。
 この間の質疑を振り返って、私、最後までやっぱりどうしても納得できないというか、わからないのは、実施指針の中で、学習指導要領には簡潔にしか書いてない国旗・国歌の指導内容について非常に事細かに定めている、この法的な根拠は何だろうかと。強制力も持っているわけですから、私は、相当な根拠がないと、こういうことは決められないと思うんです。また、学校に対して実施を要求できないと思うんです。その根拠と、都教委がそれを実施する権限についてお聞きしておきたいと思います。

○近藤指導部長 学校教育におけます国旗掲揚及び国歌斉唱は、学習指導要領に基づきまして、児童生徒に国旗及び国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てるために行われる指導でございます。
 都教育委員会では、学校におけます入学式や卒業式などの実施態様が、学習指導要領に示された儀式的行事のあり方から照らして、さまざまな課題がある。そこで、それらの課題を解決するため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づく東京都教育委員会の権限により、実施指針を含む通達を発したところでございます。

○曽根委員 その地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法というんですか、この間お聞きしたら、これの二十三条が根拠だというふうにお話があったんですが、それで間違いないんでしょうか。

○近藤指導部長 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条には、教育委員会の管理、また執行ということが示されているわけでございますが、それに基づいて行ったものでございます。

○曽根委員 私も二十三条を読んでみたんですが、どこを読んでも、卒業式、入学式などで日の丸・君が代を国旗・国歌としてこういうふうに指導しなさいということの根拠は書いていないと思うんですよ。例えば、わからないんですけれども、卒業式の卒業証書をもらうには壇上に上がらなきゃならない。壇上に上がることが、この地教行法のどういう内容を根拠に、壇上に上がることが国旗・国歌の指導にふさわしい行為であるというふうになるのか。
 それから、この規定の中には、国旗が正面の左ですか、都旗が右、ここまで規定しているわけですけれども、この右左というのが一体どういうふうに、この法律だけから根拠づけられるのか。左右じゃなぜだめなのかも含めてわからないんですよ。一体その是非。これはだって一個一個が規定ですから、法律的根拠もしくは都の条例的根拠がなければ、強制力を持っているわけですから、これは、逆にいえば、できないと思うんです。私、特に壇上に上げさせる、何が何でも上げさせるというのは、根拠は余りないと思うんですよね、子どもたちにとって。いかがでしょうか。

○近藤指導部長 一つは、卒業式、入学式等は儀式的行事であるということから、その儀式的行事のねらいを定めるために、そうした具体的な方法を示したわけでございます。と同時に、一般に卒業式、入学式等も含めた教育課程を編成する場合におきましては、教育委員会は、教育課程を編成し、基準を設定し、一般的な指示を与え、指導助言を行うとされております。しかし、特に必要な場合は具体的な命令を発するなどの機能を果たすべきものであるという、当時の文部省の初等中等局長の回答もあるわけでございます。それに基づいて通達を含めた指導を行っているわけでございます。

○曽根委員 そういう文部省の通達があったんですね。それは私も初耳なんですが、そうすると、特に必要がある場合になるわけですね。特に必要のある場合で、国旗が左、都旗が右、これは何で必要なのか。それから、壇上に上がって証書を受け取ることがどうして特に必要になるのか、式のあり方との関係でいってください。

○近藤指導部長 まず、国旗が左、都旗が右ということでございますが、これにつきましては、通例、プロトコールといいまして、慣例、国際慣例の中で、左に上位概念といいましょうか、大きなものを置く、右にその下に置くもの、そういうふうに規定されております。それに基づいて行っているわけございます。これは儀式的行事の慣例として、国際慣例として行われているものでございます。それに基づいてやっているわけでございます。
 それから、壇上で卒業証書を授与するということについては、卒業式は、子どもたちの希望に満ちた姿や立派に成長した姿を式に参列したすべての出席者とともに喜び合い、たたえ合う場であると考えております。したがいまして、障害のある児童生徒も障害のない児童生徒も、舞台壇上で晴れがましい姿を多くの人に見てもらい、祝福をしてもらうことが、本来、児童生徒や保護者、教職員、そして都民の共通の願いであると考えております。このような考えに立ちまして、盲・ろう・養護学校の卒業式におきましても舞台壇上で卒業証書を授与することにしたものでございます。

○曽根委員 私、都旗と国旗のあり方についての話は知りませんでしたが、それにしても、必要性を論じた話じゃなくて、もしかけるんだったらそういう国際的な慣例がありますよという程度のものだと思うんです。最初から旗を正面にかけるという規定がなければ、こんなのは意味ないわけ、右左なんていうのは。そうですよね。
 ですから、国旗や都旗について何も尊重しなくていいというふうに私思いませんよ。かけるんだったら、それなりの方法はあると思います。しかし、卒業式、入学式に正面にかけなきゃならない、かつ国際的な慣例を必ず守って右左を決めなきゃならないということまで--目安じゃないんですからね、これは。規定で、もうそれをやれということなんですから、やる必要性がどこにあるのかというと、私、はっきりいって近藤さんの答えの中にないと思うんです。
 ましてや壇上に上がるなんというのは、慣習上やっているからということだけであって、晴れの舞台という、その晴れの舞台が地面より上でなければならないという、社会通念で何かあるかもしれませんが、子どもたちの状態や、学校のいわば当事者たちの話し合いで、そういう晴れの舞台のつくり方は決めていいことじゃないか。壇上に上がらせなきゃならないということをなぜ決めなきゃならぬのか、その必要性ですよ。その点について、特に、具体的にいえば養護学校ですよ。養護学校でどうしても上げなきゃならないというのが、子どもたちが晴れの舞台だというんだったら、子どもたちの晴れの姿にとって壇上に上げなきゃならないということの必要性をいってくださいよ。納得できませんよ。
〔発言する者あり〕

○近藤指導部長 今……
〔傍聴席にて発言する者あり〕
〔「だれだよ、今の」と呼び、その他発言する者あり〕

○東委員長 今、発言中ですから……
〔「発言中だからって、委員長」「傍聴人に注意してくださいよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○東委員長 傍聴人の方に申し上げます。ご静粛にお願いいたします。
〔傍聴席にて発言する者あり〕
〔「傍聴人は発言できないんだよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○東委員長 もう一度申し上げます。
 傍聴人の方はこの委員会室で発言はできないという規定になっておりますので、ご静粛にお願いいたします。
 それでは続けてください。

○近藤指導部長 先ほどもお答えいたしましたように……(発言する者あり)
 先ほど申し上げましたけれども、卒業式は、立派に成長した姿を、式に参列したすべての出席者とともに喜び合い、たたえ合う場であると考えております。したがいまして、多くの人に祝福してもらうことが本来の姿であると考えているわけでございます。
 また、先ほどお話がございましたけれども、私どもの方にもさまざまな声をいただいているわけでございますが、ある養護学校の校長先生のお話を伺いましたところ、今回通達がございまして、それに基づいて舞台壇上で卒業式を行おうといたしましたら、その中に人工呼吸器つきのストレッチャーに乗っている重度の肢体不自由の子どもがいたわけでございますが、その保護者の方に校長先生が、さすがに無理だから、下で、フロアでお渡ししましょうかといったら、その保護者は、フロアでなく、ぜひ壇上で我が子の晴れがましい姿を見たいと懇願されたと。それが普通の姿ではないかと私は考えておりまして、今回の通達に基づいて今後の卒業式については実施してまいりたいと考えております。

○曽根委員 今、個別の話が出たので、逆に私も、それでは--そういう場合もなかったとはいいませんよ、あったかもしれない。しかし、養護学校で、今まではほとんどの学校はフロアでやってきたようですけれども、今回、壇上に全部上げるということで話が進んでいる、もうすぐ、これから本格的に卒業式をやられるようですけれども。
 それで、そのために個別対応でどういうことがやられたのか。私が昨年の秋に質問したときには、例えば起立することができない子は、場合によっては寝たままの状態で君が代斉唱に対応してもいいとか、壇上に上がれない場合もあるだろうとか、個別対応があるというようなお話でした。
 しかし、実際に、今話のある中で、壇上に上がらないで卒業式をやるという養護学校があるんですか。そして、個別対応というのは一体どれぐらいの学校でどれぐらいの感じでやられているんですか。

○近藤指導部長 まず、現在私どもへ報告いただいているものにつきましては、フロアで行うという報告は入っておりません。
 また、今、校長先生方につきましてはそれぞれ個別の対応をしているところでございまして、どうしても無理であるということであれば、先ほど私が申し上げました、なぜ舞台壇上でやるかということを説明しても、どうしてもご理解いただけない場合は、校長先生の責任のもとにご判断くださいということを伝えているところでございます。

○曽根委員 今までフロアでやってきたことを壇上にするという指針が出た、そのために、今度は、壇上に上がる子とフロアで受け取る子と違いが出るということだって考えられる、今のお話のように実際に実施されればですよ。そういう個別対応も、またこれはこれで大きな問題を残すと思うんですよ、上がる子もいれば上がらない子もいると。今までやってきたので何が支障があって、わざわざ、上がれる子は上がりなさい、上がれない、どうしてもだめなら仕方がない、こういうふうに子どもを分けなきゃならないのか。
 しかも、今の話でいうと、何が何でも上げさせるという話になっているわけですよ、どこでも。結局、床でやるところはないわけですよね。
 これは、肢体不自由校で重度の肢体不自由の子どもがたくさんいる学校なんですけれども、スロープがつくられた。スロープをつくったところは、新たにつくったところは六校あるそうですけど、百万以上のお金がかかったようです。恐らくスロープをつくる以上は規定がありますよね、バリアフリーの。だから長いものになるんですね。恐らく二十メートルぐらいになるんじゃないですか、規定を守ろうと思ったら、角度が決まっていますから。その長い長いスロープを、子どもは自力で歩ける子は歩かせるというんですよ、壇上まで。自力で車いすを押せる子は押して上がりなさい、待っていますよ、証書をとりに来るまでと。何をやらすの。僕は拷問じゃないかと思うんだ。今までだったら床ですっと行けたものが、わざわざ長いスロープをつくって、一メートル何がしの壇上に上がるまでみんな待っているわけですよ。何のためにそんなことをやる必要があるのか。それが子どもの晴れの姿なのか。
 さっきいった、近藤さんがいったようなものが、例外がないとはいいませんよ、それはいろんな人がいるから。しかし、多くの父母は、子どもにそんなことさせたくない、去年までので何で悪いんだといっているんですよ。それで、必要性が何であるのかといえば、私は、子どもの立場からいえば必要性は何もないと思いますよ。そのために、この地教行法二十三条には何も書いていないし、しかも、旗の右左だとかも含めて、いわば本当に実体的な根拠を持たない、必要性も持たない規定のために子どもを振り回すというのが、入学式、卒業式のあり方じゃ絶対あり得ないと思うんだ。そのことを厳しくいっておきたいですよ。
 それで、本当に要望があれば、父母や本人からの要望があれば、本当に床で受け取るようにしてくださいよ。それで、父母会なり何なりまとまっての要望があるんだったら、全体の式をフロアでやらせてくださいよ。それが個別対応なんだ、本当の。そういうふうにしていただくことを強く求めておきます。実態はどうだったかについて、後で改めて聞かせてもらいます。
 それから、もう一つの問題がある。それは、昨日、土屋議員からも質問があった件です。
 つまり、これは主に都立高校ですけれども、生徒が立たなかった。立たなかったことは指導力の不足になるということで、例えばクラス単位で立たなかった場合には、クラス担任の責任が問われるという話がありました。私、これは重大な問題だと思うんですが、生徒に対して国旗・国歌の指導というのが行われるということは、行われるべきだということは指導要領に確かに書いてあります。私、疑問がありますけれども、書いてあります、確かに。しかし、同時に指導要領は、国の法律、特に根本的な法律である教育基本法や憲法の規定についても当然教えるわけです。特に今、憲法の思想信条の自由で生徒に最初に問われるのは、この国旗・国歌の斉唱なり掲揚になったときにどういう態度をとるかというのが、国民として最初に厳しく問われる生徒自身の問題なんですよ、これは。そういう問題のときに、先生が、憲法では内心の自由が認められているんだということを生徒たちに教えるとします。その結果、生徒たちは自分で判断して立たなかったとします。そうすると、この担任の先生というのは、内心の自由があるということを教えたために、指導力不足で、場合によっては処分ということもあるんでしょうか。
〔発言する者あり〕

○東委員長 わかりませんか、今の質問は。

○横山教育長 各都立高校が大半がそういう状況なら別ですよ。仮に、今おっしゃった事例が起こったとすれば、これは調べなきゃわかりませんが、当該教員が、特定の主義主張に基づいて、みずからの主義主張を通すために子どもたちに具体的に行動を起こさせた、こう考えざるを得ないんじゃないでしょうか。

○曽根委員 今の教育長の話はちょっと解せないんですよね。つまり、都立高校でほとんどの学校で生徒が立たなかった時期がありますよ。そういう時期ならば、内心の自由があるとか、国旗・国歌についてどの先生も教えていたんだろうから仕方がない。しかし、今はそういう数が減っている。例えば板橋高校の話が出ましたよ。板橋高校とか、ほんのわずかな学校でのみ生徒が立たなかった学校が出た。そうすると、そういう学校の先生というのは特殊な先生だ、自分たちの主張を頑迷に固持している先生だから、そういう先生は問題なんだということになるんですか。そうすると、少数派というのは存在しちゃいけないんですか。
〔発言する者あり〕

○横山教育長 教師は、特別教育活動等におきまして、卒業式のあり方について国旗・国歌も含め教える責務があるわけですね。教える責務があるわけです。その教えた結果として、子どもたちが何ら従わない、その効果がないとすれば、指導力に問題があるといわざるを得ないんじゃないでしょうか。

○曽根委員 教育長の話とは思えないんですよ。
 つまり、生徒は高校生ですよ、私がいっているのは。そして、板橋高校は私知らないけれども、幾つかの学校の生徒会は既に、日の丸・君が代について、これはどういう問題なんだろうかということを論議した内容のニュースだとかも、生徒会自身が出しているんですよ、一生懸命自分たちで勉強して。では、これは指導要領に違反しているのか。とんでもありません。指導要領には、みずから学び、みずから考える、そういう力を育成すると書いてあるじゃないですか。そういう子どもたちが、自分たちで考えてクラス単位で行動したときに、ではそれが教員の責任になるというふうになると、そうすると、子どもたちの、自分たちの成長や学びという問題は全部教師の責任にされるんですか。どうなんですか。

○横山教育長 そういう子どもたちの行動がイコール何の調査もなく教師の責任だといっているわけじゃないですよ。したがって、通常の学校で行われていないことが特定のクラスで起こったとすれば、それがどういう理由かというのは調べるのが当然じゃないですか。その結果、教師がある意味では扇動してそういう事態が起こったとすれば、何らかの措置をとるのは当然じゃないでしょうか。

○曽根委員 今、教育長は扇動という言葉をおっしゃいましたけれども、何が扇動か、何があおりなのか、何が教育なのかって、そんな区別できるんですか、教育長は。

○近藤指導部長 ただいま生徒会のお話がございましたけれども、この生徒会を含めました特別活動というのは、生徒の自主的、実践的な態度を育成し、人間として、あり方、生きかたについて自覚を深め、自己を生かすことを目的としているわけでございます。生徒による自主的、実践的な活動は、学校の実態や生徒の発達の段階に応じて行われるわけでございますが、あくまでも教師の適切な指導のもとに行われるということが前提でございます。

○曽根委員 私は、生徒の活動が教員の指導のもとに行われるべきである、当然だと思います。同時に、生徒自身が、高校生の生活を通して、もう社会に出ていく人がたくさんいるわけですから、高校を卒業すれば、社会人として行動できる力を身につけようということで自分たちで学んでいく、これもまた当然だと思います。それをまた支援するようにすることが高校の先生の役割だと思うんです。そういう点で、高校生の自主的な生徒会の活動などを先生が援助するのは当然です。
 もちろん、自分の主義主張があったとしても、それを一方的に子どもたちに押しつけて、日の丸・君が代に賛成だろうが反対だろうが、押しつけて、子どもたちを何が何でもそっちへ持っていこうとするのは、やり方として適切じゃないのは当然です。しかし、多くの場合、内心の自由があるかどうかということを自分たちで考えなさいというふうにいっているわけですよね。その結果、今までは多くの生徒が立たなかったわけですよ。
 立つようになってきたのは、都の教育委員会のこの間三回にわたる指針が出て、いろいろな方針が出て、だんだん、だんだん立たざるを得なくなってきた。しまいには、今度は、生徒が立たないと先生が処分される。僕らは先生を、教員を処分されたくないために心ならずも立たなきゃならないということでしょう、結局、生徒は。自分たちは疑問があるけれども、担任の先生が処分されるんだったら立たないですよ、それは。そこまで子どもの心を縛っていいのかという問題なんだ。(傍聴席にて発言する者あり)
 学習指導要領には、私たちは賛成できないところもありますよ。しかし……(「委員長、傍聴人をちゃんと注意してくださいよ、傍聴人を」と呼ぶ者あり)ちょっと静かに聞いてくださいよ。学習指導要領には私たちが賛成できないところがたくさんありますよ。しかし、その学習指導要領の中でさえ、子どもたちが自分たちで学び、考えるようにしていくのが教育だということが書いてあるんだよ、ちゃんと。それを指導するのが先生だから、先生は、では自分の考えを全く押し隠して、私はロボットですみたいな顔をして教育ができるか。それはできませんよ。生徒から聞かれますからね。先生はどういう考えなんですかと聞かれますよ。それは自分の考えを正直にいわざるを得ません、教育というのは人間対人間なんですから。したがって、自分の考えだって表明するときはありますよ。しかし、それを押しつけるのはよくないというのはわかります。
 問題は、最終的には生徒自身が自分たちで考えるようにした、その結果、生徒が立たないことだって大いにあり得るわけですよ。その結果を全部教員に、場合によっては処分まで含めて押しつけるというのは、本当に教育の自殺行為ですよ、これは。こんなことが行われるんだったら、都立高校に本当にやらせたくないというふうに思ってしまうと思う。私は、せっかくつくってきた東京の教育が台なしになると思いますよ。
 こういう指針も含めて、本当に本格的に見直さなければならないということを改めて申し上げて、この問題については--請願者の方々、私もちょっといろいろお話を聞いたら、最初は六校ぐらいの父母の方から始まったんです。で、今、八十何校かに広がっています。もちろん、PTAとかそういう方もいるでしょうし、そうでない方もいるけれども、多くの心ある都民が今、各都立高校、養護学校で悩んでいるんですよ。この悩みにこたえられない教育委員会じゃ、教育委員会の役割を果たせないということを心から訴えて、質問を終わります。
〔傍聴席にて拍手する者あり〕
〔「拍手はしない」と呼び、その他発言する者あり〕

○東委員長 傍聴人に改めて申し上げます。
 ご静粛にお願いいたします。

○山口委員 私は、初めに、特別支援教育の最終答申について幾つか質問をさせていただきます。
 昨年の十二月二十五日、東京都心身障害教育改善検討委員会が出した最終答申は、「これからの東京都の特別支援教育の在り方」という新たな名称として出されました。「はじめに」のところで、サラマンカ宣言に示された、すべての子どもの教育の権利、そしてまた、世界保健機関の障害者施策への影響などにも言及されています。特別支援教室も、三つのタイプを設け柔軟性を持たせるなど、保護者からの要望も反映されていますが、いまだに不安の声が私などにも届けられています。
 そこで、何点か伺いますが、最終答申を受けて、いよいよ行政計画作成の段階に入っていると聞いていますが、進捗状況について伺います。

○山際学務部長 昨年十二月末の東京都心身障害教育改善検討委員会の答申を受けまして、現在、最終報告で示されました特別支援学校及びエリアネットワークのあり方や民間活力の導入のあり方、あるいは専門性の向上に向けた研修体系のあり方などの主な課題ごとに検討委員会を設置いたしまして、行政計画策定に向けた検討を進めているところでございます。今後、これらの検討結果を踏まえながら、本年秋を目途に行政計画を策定していく予定でございます。

○山口委員 この各委員会の中でも、当然、PTAの代表あるいは養護学校あるいは普通学校の校長なども入っているということを聞いておりますが、ぜひ、要望などにも上がっています現場の声を、きちんと意見を反映させていただきたいと思います。
 それから、国の動向なんですが、その後どのようになっているのか、伺います。

○山際学務部長 文部科学省におきましては、特別支援教育への転換に向けまして、盲・ろう・養護学校制度の見直しなどの制度的な整備について検討を行うために、本年二月に中央教育審議会初等中等教育分科会におきまして特別委員会を設置し、年内には答申をする予定というふうなことを聞いております。
 また、本年一月末には、小中学校におけるLD等の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドラインとしまして、特別支援教育コーディネーターの役割などの試案が示されたところでございます。

○山口委員 次に、来年度実施されますモデル事業につきましては、私も二点ほど質問したかったのですが、先ほど既に答弁が出ておりますので、それについて一言意見だけいわせていただきます。
 今回の最終答申が出た後も、五十カ所ですか、かなりの回数、説明会がなされたと聞いているんですが、このモデル地区も今月には決まって、一応来年度から実施ということなんですが、そのモデル事業の実施される自治体、特に通常の学級の児童生徒あるいは保護者とかに対してもきちんとした説明をしていかないと理解が得られないのではないかと思いますので、ちょっとこのことだけは押さえさせていただきたいと思います。
 今、国の方も、特別支援教育コーディネーターの役割などの試案が出されたということですけれども、東京都も、今回の教育の見直しの中で、エリアネットワークという大きな構想を出しております。このエリアネットワークにおけるコーディネーターの役割というのは、個別支援計画などの関係においても大変重要になると思います。コーディネーター研修も全国的に実施されていると聞いていますが、東京都の現状について伺います。

○近藤指導部長 都教育委員会は、平成十五、十六年度の二カ年にわたりまして、国の特別支援教育推進体制モデル事業を、二つの地域を指定し、その中で特別支援教育コーディネーターの養成研修を行っております。
 また、今年度から、教職員研修センターにおきまして、特別支援教育コーディネーター養成に関する二日間の研修を実施し、小中高等学校から三百三十一名の教員の参加がございました。

○山口委員 ぜひこういったコーディネーターの研修も、フォローアップも含め充実させていただきたいと思います。
 今回、個別支援計画、そしてまた、さらに学校などでも個別指導計画が実施されていくわけですけれども、これらにつきまして、私たち生活者ネットワークはいつも、子どもの意見表明ということをいっております。それが子どもたちの当然の権利であるということでは、たとえ知的障害とかいろいろな状況にあっても、ぜひ、子どもたちが直接その場に居合わせて、自分の教育計画というか、生活全般にわたるサポートがどういうふうに決められていくのか、子どもたちにもきちんと意見をいえる場を確保していただきたいと思います。
 この間、知的障害者育成会の第五十二回全国大会で本人大会決議というのがありまして、その中で、本人大会決議の中なんですが、本人の希望を聞いてほしい、私たちも話し合いの輪の中で意見を述べさせてくださいとありました。なかなか難しい現状があるのは私も重々承知していますが、いつもこのことは提案していきたいと思っています。
 次に、東京都の交響楽団の有期雇用についてなんですが、今回ユニオンの方から出されている陳情について二点ほど質問いたします。
 どこの国においても、市場原理が成り立たない文化事業への援助というのは、公的役割として行政や企業が担っています。東京都には設立以来四十年を迎える東京都の交響楽団があり、これを守り育てることについて、都民の理解は十分に得られるものと私は思っています。
 今、都響に導入されようとしています契約楽員制度について、全楽員を原則二年の有期雇用制にする、また業績評価制度を新たに導入するということなんですが、この業績評価制度の導入の必要性について伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 楽員の給与が年齢によって一律に決定され、能力や業績が反映されていない現在の給与システムは、プロの演奏家の給与制度としてふさわしくないと考えております。楽員の能力と業績評価を適切に評価し、それを給与等処遇面に反映させることがより一層の向上につながり、ひいては楽団の演奏水準の向上に結びつくと考えております。

○山口委員 楽員の評価をどのように行うか、また、適切、公正に評価ができるのかどうか、伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 評価につきましては、指揮者やコンサートマスターの意見を参考にしまして、日常の演奏活動を通じ、楽員の能力、業績、態度を判断するものと、外部の専門家を加えて行うオーディション形式の実技審査の二つを考えております。また、評価が的確にできるように、複数の外部委員を含めました業績評価委員会を設置いたしまして、評価の妥当性や公平性の検証を行うとの説明を楽団から受けております。

○山口委員 実際には大変難しいことだとは思うんですけれども、確かに、終身雇用でだれもが条件が同じというような内容は見直すべき点もあるかと思います。しかし、先ほど来出ておりますが、安定した生活やゆとりのある生活の中でこそ、豊かな人間性を身につけて技術に磨きをかけることができる、そして、そのことがまたいい演奏家の育成につながるという意見もあります。二年ごとの契約更新が切磋琢磨の要因になり得ないのではないかと思います。
 都響における今回の雇用制度の変更は、楽員にとって極めて大きな変更になります。現在、楽団とユニオンの間で労使交渉中とのことですが、十分に議論をされて、慎重に進めていただきたいと思います。
 それから、同じく請願の一六第八号の一と九号に関しまして、東京都体育施設条例の一部改正なんですが、これにつきましても既に質疑がされておりますので、私の方からは意見だけをいわせていただきたいと思います。
 それぞれの施設は、大会等のほかに、障害者水泳教室や市民団体活動などに活用されています。スポーツを通して体力づくりを進めるとともに、コミュニティづくりなどにも貢献して、社会的な役割は大変大きいと思います。今後も、営利企業ではできない都民の活動の支援策の一つとして取り組んでいただきたいことと、利用料金改正に当たっては、利用者や利用団体に対して丁寧に進めていただきたいと思います。
 それから、最後ですが、卒業式・入学式についての「通達」及び「実施指針」の再検討に関する陳情について意見を述べさせていただきたいと思います。
 今回、保護者の方たちが立ち上がられまして、集まりました陳情署名も、約五千七百人の署名が集まり、そしてまた、それ以後も、この陳情を出された後も集まって、今七千近くになっているということも聞いています。
 学校の主人公である生徒みずからが実行委員会を立ち上げ、最後の行事として手づくりの卒業式を実施することは、学校生活の締めくくりとして最もふさわしいものだと思っています。しかし、今回の通達により、こうした卒業式が都立高校から姿を消し、画一的な卒業式になったことを大変残念に思っています。
 また、養護学校においては、一生の中の数少ない晴れの舞台なのだから壇上に上がってという考え方は、個々によって受けとめ方が違うはずだと私は思います。児童生徒や保護者の意思を表明して、尊重できるような配慮を望んでいきたいと思っています。
 さらに、教職員への職務命令として、起立して日の丸に向かい、君が代斉唱を強いるということは、やはり行き過ぎた行為ではないかと思っています。権力による押しつけに意に反して従う教師の姿が、教育によい効果を生むとは到底思えません。一部の高校で生徒が起立しなかったことも、子ども自身の選択かもしれませんし、自分自身が考えた結果だ、自分の考えをあらわしたということかもしれない、そう思います。教師の指導不足にすりかえて処分するなどということは、労使交渉のこともあるわけですから、十分に話し合うべきだと思います。
 この問題については、教職員、そしてまた児童生徒も含めて、保護者などと丁寧に話し合う中で考えていかなければ問題だということを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。

○東委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記を再開してください。
 それでは、続いてご発言を願います。

○福士委員 それでは、私は淡々とさせていただきます。
 まず、教育ビジョンについてお伺いいたします。
 まだ途中なんで、どういうことかよくわかりませんので、本当にわからないところを質問という形です。
 都教委は今年度、東京都教育ビジョンを策定することにされて、中間まとめを公表されたので、私どもの当委員会にも報告されましたけれども、そもそも教育ビジョンというのはどういう性格のものなのか、拝見してもなかなかわかりにくいので、そこのところを教えていただきたいと思います。

○石川教育政策担当部長 教育ビジョンの性格は何かというお尋ねでございますけれども、東京都教育ビジョンは、二十一世紀の東京、ひいては日本の創造的発展を担う人間の育成をねらいといたしまして、これからの教育の目指すべき人間像、そして、家庭、学校、地域社会に期待される役割を明らかにした上で、子どもの教育をめぐる課題と今後の取り組みの方向を、現行制度の枠組みにとらわれることなく、中長期的展望に立って示すものでございます。

○福士委員 この教育ビジョンの中で、「取組の方向2」といたしまして、職業人でもある親は、職業生活と家庭生活の両立を図り、企業も従業員の教育活動を支援するというふうに書かれております。例えば、現行の育児休業期間を延長することや、従業員が親として地域や学校の教育活動に参加する際の教育休暇を制度化するなど、こういう社会全体で何かいろんなことをやっていかなきゃいけないというときには、当然、企業の方にも協力をしていただくことが必要だというふうには思いますけれども、この職業生活と家庭生活の両立を図る取り組みを進めていくことが望まれるということによって、具体的に行政として何ができるのかなというふうに私は疑問に思ったんですね。特に、企業に対してどんなことを行おうとされているのか。
 これはまだ中間の段階ですので、実施計画でも何でもありませんけれども、こういうことが話し合われること自体も含めて、どういう方向を示そうとしているのか、教えていただきたい。

○石川教育政策担当部長 東京都教育ビジョン中間のまとめにおきましては、企業が、これからの教育の担い手として、また、ほかの教育の担い手に対する支援者として、社会的責任を果たすことがこれまで以上に期待される、こういう基本的認識を示しているところでございます。
 職業人でもあります親が、職業生活と家庭生活の両立を図り、親としての教育上の責任を果たしていくためには、従業員の教育活動に対する企業の理解や支援が必要でございます。教育ビジョンの中で示します、企業に求められる役割や取り組みの提言につきましては、今後、経済団体等を通じて広く企業に対しましても普及啓発を図るほか、学校と企業が連携した取り組みなどを、これまでにも増して進めていく所存でございます。

○福士委員 この教育ビジョンの中で、すごくいろんなことが書かれているので、ばらけ過ぎているような気がしないでもないんですけれども、ただ、その中でちょっと気になるところもありまして、九ページの「取組の方向5」の中で、戦後の教育は競争的環境の排除傾向が強かったというふうに書かれているんですね。私なんか見ておりますと、一時期は受験戦争というのがありまして、私の子どもたちの時代もちょうどそういうところに突入するところで、ひのえうまの年に生まれたお子さんは少ないけれども、その翌年にうちの子どもなんかも生まれたために、すごく大変、大変、大変というふうなこともいわれて、それで、そのころがちょうどいい大学、いい就職というのを目指した時期だったりもしたんですよね。で、学校でも、授業についていけない子は、そういう形の中で、落ちこぼしという言葉が出るほど、競争教育というものがあったような気もするんですね。そのために、公立学校をあきらめた家庭は塾に走ったりとか、差別教育を生んできたような気もするんですけれども、こういう取り組みの中の一つの方向性というものの、戦後の教育に対して、競争的環境の排除なんというような、こういういい方でさらっといってしまっていいのかなというふうに疑問に思うんですね。これはどういう意味なのか、ちょっと確認させていただきたいと思います。

○石川教育政策担当部長 戦後の学校教育におきましては、画一的な教育が行われる中で、結果の平等を重視する余り、子どもたちの個性でありますとか能力を十分に伸ばし切れなかった面がある、こういうことなどについて述べたものでございます。

○福士委員 今いろいろなところで、画一的教育だったというような話が出てくるみたいなんですよね。だけれども、画一的教育というのは、本来、例えば一年生なら一年生、二年生なら二年生、同じレベルの教育をして、そして理解させるという意味だったはずなんですよね、公教育というのは。
 それでも、そうやって同じに教えても、国語はすごくできる子がいたり、音楽に秀でた子がいたり、理科が好きだったというような子がいたりというふうに、子どもの方は絶対に画一的には育たないわけで、そういう中で公教育が担ってきたのは、割と一般的なレベルの能力を上げる。日本の中で文字が読めない子というのはいないわけですから、大人もいないわけですから、そういう能力を持った一般人を育てるという土台づくりの役割は果たしてきたんじゃないのかなというふうに私は思うんですね。きちんと行われていればの話ですよ、それは。
 それが、いつもカリキュラムについていじり回したり、そのカリキュラムが変わるたびに右往左往した、そういう結果の問題点というのは確かにあらわれたかなというふうには思うんですが、教育者も含めて、画一的な教育はいけないんだよという、そういう単純な話でやっちゃっていいのかなと。そういうふうな現状及び歴史的な経過を見誤り、分析を間違えてしまうと、結論や方向性も異なってくると思うんですけれども、教育ビジョンの作成に当たってはどうなんでしょうね。

○石川教育政策担当部長 子どもや教育をめぐる現状及びその背景などにつきましては、教育ビジョンの検討に先立って実施いたしました、子ども、保護者、都民、企業へのアンケート調査の結果や、あるいは教育関係者、各界有識者からのご意見を参考にしながら、また各種の調査報告などももとに分析、検討を行ってまいりました。
 教育ビジョン策定に当たりましては、教育をめぐる現状を的確にとらえた上で、これからの東京の教育のあるべき方向を、あるいは東京の教育のあるべき道筋を明らかにしていきたいと考えているところでございます。

○福士委員 このアンケートは単なるデータなんですよね。その中で、数字的には、そうだねという感じの数字が出てきているんですが、だから原因はどうだというのは、このアンケートで必ずしもわかるとは思えないんですね。読み取れない部分が多いですね。
 そういう中で私が心配するのは、一方的な思い込みで、画一教育はだめですよというようないい方をしちゃっていいのかなと。今までを否定すれば新しいという、それだけで新しがっているような薄っぺらな発想で子どもの教育をいじり回すのではなくて、ぜひ本気で、新しいかどうかということではなくて、よかったことはよかったこと、悪かったことは悪かったこと、きちんと解析していただいて、いい教育の方を向いていただくようなビジョンを出していただくようにお願いをしておきます。
 これはまだ中途なので、本当のもの、本当というか、正式なものが出たときに、またそれはそれで質問はさせていただきます。
 次に、教育の日についてお伺いいたします。
 このたび東京都教育委員会は、十一月の第一土曜日を東京都教育の日として制定されましたが、この制定のねらいは何なのか、お伺いいたします。

○石川教育政策担当部長 東京都教育の日は、都民の教育への関心を高め、次代を担う子どもたちの教育に関する取り組みを都民全体で推進することによりまして、東京都における教育の充実と発展を図ることをねらいとして制定したものであります。
 今後、東京都教育の日を中心にいたしまして、例えば授業公開でありますとか地域でのボランティア活動など、家庭、学校、地域が連携した、子どもたちの教育にかかわる取り組みが一層推進されるものと考えております。

○福士委員 この教育の日が制定されるに至るには、二〇〇二年の九月、校長OBの方々から請願が出されて、私はそのとき、まだ文教委員じゃなかったものですから、傍聴させていただきました。その中で、地域、家庭の教育力が低下しているといういい方とともに、学校の教育力も低下したので、だから教育の日をつくることが必要だというような請願だったというふうに記憶しております。
 これは何か、校長OBの方が出されていいのかなと思いながら、私伺っていたんですけれども、ご自身の教育機関の中で教育力が低下するのをそのままずっと見過ごしてこられたのかな、だからそれで、教育の日を制定すれば教育が上がるというふうに思われるのかなと思って、私、そんなものではないんじゃないかというふうに思うんですよね。むしろ、ご自分たちがそれぞれの機関の中で仕事をやりながら、教育の回復力を目指して、そして、教育の日を制定するようなことではなくて、むしろ日常的に、各学校がどうやったら教育力が回復できるか、そして、自由に地域や家庭と連携した取り組みができるような環境づくりはできるか、そういうことをする方が先ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○石川教育政策担当部長 現在、各学校では、委員ご指摘のとおり、年間を通じまして、さまざまな教育活動の中で、日常的に、家庭でありますとか地域と連携しながら取り組みを進めているところであります。
 東京都教育の日が制定されたことによりまして、現在各学校で行っております家庭や地域と連携したこうした取り組み、これに対する都民の理解が一層深まり、今まで以上に学校教育への都民の参加が図られるものと期待しておるところでございます。

○福士委員 今お話があったみたいに、今でも学校と各家庭や地域というのは結構それなりに連携した何か活動というのはしていらっしゃるんですよね。逆に、PTAの方たちは忙しくてしようがない。大変、大変、だからPTAもやれないよというぐらいですが、でも、運動会とか入学式、卒業式なんかも、昔は母親だけだったんですが、今は父親も母親も、どうかするとおじいちゃま、おばあちゃままで一緒にみたいな形で、結構皆さん入り込んで、いろんなことをやっていらっしゃるわけですよ。ただ、それがそのイベントだけに終わらないように、何かを考えていくということが大事なことじゃないかと私は思うんですね。
 都民の理解は一層深まるかどうか。教育の日を制定したからということじゃなくて--私、本会議でも申しましたけれども、そういう短絡的な発想で教育が何とかなるというふうには思えないんですね。ラッピングだけ華やかにしても、中身が空っぽだったら何にもならないわけで、むしろ、中身が見えなくなった分だけ余計難しくなってくるという問題は出るのかなというふうに思います。
 これからは、本当に中身がどれだけきちんとしていくか。多分、教育委員会の方たちも、何とかやらなきゃいけない、それで、それが見えるような形にしなきゃいけない、だから、成果が上がったとか上がらないとかということをどうしても追いかけたくなるために、何とかの日というふうにつけたくなるような気がして、それは逆に、中をちゃんとすることを見せなくなるんじゃないのかなと思って気になっております。中身を充実することを考えていただくように、これはお願いをいたしまして、入学式、卒業式の質問に入らせていただきます。
 三月九日に市民の方たちが記者会見をされて、その会見資料として、教育庁指導企画課と書かれた校長あての事務連絡の資料を出しておられたみたいです。これ、正確なものなのかどうかわかりませんが、ともかくそういうふうについておりましたので、こういういい方をさせていただきます。
 その中で、実施要綱を都教委に送ってくださいとか、実施要綱に変更があったら送ってくださいとか、これは要旨の抜粋ですので、正式に送られた文章とは違っているとは思うんですけれども、それでも、番号が記されている座席一覧表をくださいとか、それから、場内、場外にいる教員の一覧表をとか、かなり細かいいい方で、事務連絡と称する締めつけが入っている。課題のある教職員については教員分析をお願いするとか、そういうことまでやっていいのかなというようなことが書かれております。
 そして、先ほど来お話の中でもいろいろ出ておりますけれども、不起立教員については情報提供をくださいと。そういうのを調べるのは当たり前の話だというようなお話もございましたけれども、そういう教員が出たら必ず一報してくださいとか、そういうことを一々一々指示することが本当にいいんでしょうかね、と思うんですが、これは何を目的としたものか、そして、この事務連絡で何をしようとされているのか、そこをお伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 学習指導要領や通達に基づきまして卒業式が適正に実施されるよう、各学校の取り組み状況を把握するとともに、実施上の課題の解決に向け、校長先生を支援するために行ったものでございます。

○福士委員 校長先生の支援というからには、校長先生もいろいろご苦労していらっしゃるのかなと思います。それはもちろん、広島で校長先生が自殺なさったりなんかして、それ以来いろいろ締めつけが厳しくなって、余計に校長先生は大変になられたんじゃないのかなというふうに思うんですが、ただ、気になりますのは、一々そういう報告をしろと。報告をしろといういい方は、単なる報告というふうにしか見えませんが、こういうのを下世話にいうと、子どもたちの中ではこういうのはチクリというんじゃないですかね。
 一般的に、校長にここまでさせていいんですかね、というのが私は最大の疑問なんですね。かつてナチ政権ではゲシュタポが密告というのをやりました。でも、日本は平和な国です。一々一々人が何やった、かにやった、細かいことまで一々、そういうのを報告といっていいのかどうか。チクるとの違いは何なのかというのが私見えないですよ。こういうことを教育の中でやらせるような教育というのは、まともな教育ができるのかなというふうに心配をいたします。
 お答えをいただいていいかどうか、お答えになるのかどうかもわかりませんから、私が心配していますということですので、そういうふうに思っている者もいるというふうに聞いていただきたい。
 その上で、次ですが、ここまで押しつける異常なやり方ということで、教育長は、学校や学校長の自主努力ということをよくおっしゃいますよね、自主努力を促しているにもかかわらず。そしてもう一つ、学校長の裁量権というのがあるはずなんですが、その学校長の裁量権というのはどのように考えておられるのか、これもお伺いしておきたいと思います。
 先ほども出ましたけれども、今までいろんな学校では、自分たちの学校でどれだけ子どもが気持ちよく受け入れられるか、それから気持ちいい卒業式ができるか、門出を喜び勇んで卒業していけるかということを一生懸命考えて、フロア形式。これも、フロア形式もマンネリになってしまったら、そういうのは新しいとはいえなくなるんだろうと思いますが、そういう形の中で工夫をして、私も毎年小学校へ行っていると、同じフロア形式でも、後ろにいろんな子どもたちの絵やら何かが張ってあったり、作品が張ってあったりして、ことしの子どもってこうなのねと。あるいは俳句が張ってある年があったりしまして、子どもの状況がすごくわかるような卒業式だとか入学式があったりするんですが、そういうフロア形式などの工夫も逆に否定する、儀式張ったために否定することになるんじゃないかと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

○近藤指導部長 日常の教育活動におきます学校の自主性、創意工夫は極めて大切なことであると考えております。しかし、卒業式、入学式などの実施状況におきましては、さまざまな課題があったため、都教育委員会として校長に対して指導助言しているということでございます。

○福士委員 それだけ。--ごめんなさいね。失礼しました。
 まあいいですよ。さっきからさんざんお答えされているので、お疲れだろうと思います。
 それでは、都立校への一律の通達によって、先ほどもありましたけど、障害者も壇上に上げなくてはならなくなりました。そのためにスロープづくりに百万円近くかかるという話も先ほど出ておりましたけれども、養護学校なんかの場合は、教室が足りないとか、あるいはプレハブで困っていますとか、空調機器がなくて、障害のある子というのは暑さに耐えられなかったり、いろんな問題が出てきます。そういうものが不足して、毎年毎年ご要望があるんですね、予算要望のたびに。でも、財政難の中で、なかなかそういうものをぱっと一斉につけるという形にはなっておりませんね。今、財政難の中で、百万円近く出さなきゃいけない学校は、その分があったらとっくにクーラーが買えているはずだと思うんですが、なぜこのような出費をしてまで壇上に上げることを強制しなきゃいけないのか、もう一度伺っておきます。

○近藤指導部長 卒業式や入学式の実施に当たりましては、学習指導要領に基づき、児童生徒に国旗・国歌に対する一層正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てるために、都教育委員会は学校と協議しまして、安全に壇上へ移動が可能となるよう施設設備の改修等を行い、舞台壇上で卒業証書を授与するとしたわけでございます。
 なお、経費については、当該校の校長が適正な教育課程の実施のために必要であると判断いたしまして、自律経営推進予算で支出したものでございます。

○福士委員 自律経営推進予算というのは、学校の運営費の中で出すということですか。その自律経営推進予算というのも含めて教えてください。

○齊藤参事 自律経営推進予算は、学校経営計画、これは学校長がつくるものでございますけれども、これを予算面で支えまして、校長の学校経営に関する機能を充実するとともに、学校独自の特色ある教育活動及び教育の質的向上に資することができる仕組みとして導入したものでございます。
 具体的には、従前、配付された予算の使い道が拘束性の強いものでございましたけれども、この予算の導入によりまして、校長が、一定の予算の範囲内で、予算執行計画の策定から執行まで主体的に行える制度でございます。

○福士委員 この三月に来て、年度末で予算執行百万も出すといったら、結構きつい話じゃないですかね。
 では、スロープを設置した学校は何校なのか、また総額で、総額でいいですよ、幾らぐらい出費したのか、ちょっと伺います。

○齊藤参事 平成十五年度中にスロープを新たに設置した学校数は六校と報告を受けております。
 また、スロープの設置に伴う必要経費でございますけれども、学校によってスロープの形状、それから規模が異なるものがございますけれども、合計で百七十一万円と聞いております。

○福士委員 このスロープなんですけど、私どもの方で見た限りでは、一台八十万円弱というのがあるんですね。それから、施設の形によっていろいろあるみたいですが、そのままずっと使えるというものと、借りて使ったスロープというのもあるみたいでして、借りたのはまた返しちゃうわけですから、そのたびそのたびに出ていくわけですよね。学校によっては、スロープをつけるようなスペースがあるところと、それがあるがために邪魔になるところとあると思うんですが、こういう臨時に無意味な出費を強いるほど壇上に上がることがいいのかなあというふうに、私も先ほど来聞いていて思いましたよ。
 むしろ、そういうことのために無理無理予算を執行させて、そういうことを強いるという考え方自体にやはり問題があるんじゃないかと私は思うんですけれどもね。今だって、予算を削れ削れと各校にいっているわけでしょう。こんなばかげた出費がなければ、空調なんかとっくに入れられるというような学校もあったと思いますので、予算執行についても本当にちゃんと考えていただきたいというふうに思います。
 そのことを申し上げておいて、東京都の交響楽団の方に質問を移ります。
 この東京都交響楽団の存在意義についてまず伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都が、文化行政の立場から、都民の情操を高める方策の一つとして、都民にとって親しみの持てる一流のオーケストラを運営することは大きな意義を持つものといえると思います。
 東京都交響楽団は、第一に、日本の音楽文化を首都東京から世界に向けて発信する、第二に、広く都民に親しまれるオーケストラ活動を推進することにより音楽文化の普及を図る、第三に、次代を担う青少年に一流の音楽を提供することにより、音楽面からの心の教育を推進するという役割を果たしております。

○福士委員 それほどの楽団の意義を置いておいて、今回の提案については、知事の私的諮問機関である都政を考える懇談会で、東京にオーケストラが九つもあるのは多過ぎるよ、だから三つで十分であるといわれて提案が出たというふうに聞いたりはしているんです。まさかそれだけじゃないと思いますけれども、教育庁としてはそれについてどうお考えになっているのか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都政を考える懇談会の監理団体部会において、監理団体の一つとして話題になったと聞いておりますが、議事録が公開されていないため、詳細については承知しておりません。
 東京都交響楽団設立の趣旨に基づき、都が、文化行政の立場から、都民の情操を高める方策の一つとして、都民にとって親しみの持てる一流のオーケストラを運営することは意義があると考えております。

○福士委員 そうだと思うんですよね。オケが幾つあったらいいとか、そういう話じゃないと思うんですよね。東京都の交響楽団がどうなのかということを大事に考えるかどうかが必要なことで、よその楽団がつぶれてもいいという話じゃないんですけど、それなりのオーケストラが東京都というこれだけ大きな都市に九つあったから、それはけしからぬという話にはならないとは思うんですが、まあいいです、それは正式な話じゃないみたいですので。
 でも、そういうふうにはぜひ考えないでいただきたいというふうに思いますので、そこだけは申し上げておきたいと思います。
 今ご説明がありましたように、都響には、ほかのオーケストラと異なる設立趣旨があるわけですよね。青少年にいい音楽を提供して、心の教育というのがどういうものかわかりませんが、音楽面から推進するとか、確かに私なんかも、子どもとの--私のいる杉並にも、オーケストラを持っている学校があります。それから玉川学園なんかもオーケストラを持っていて、都響のオーケストラと子どもたちが一緒にオーケストラをやったりするとき、拝見したことがありますが、やはり伸び方がすごいなという感じはあるんですよね。そういうようなことというのは、普通のところじゃお金がかかってなかなかできないでしょう。だからこそ東京都に意義があるというふうに思いますが、この設立趣旨を生かすことをどういうふうに考えているのか、お伺いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 東京都交響楽団は、都民に親しまれること、青少年の情操教育に役立たせること、芸術性の高いものとするなどを設立の趣旨とし、都が設立したオーケストラでございます。都の監理団体であり、現在の大変厳しい状況を踏まえながら、鋭敏な経営感覚を持って改革を進め、一層都民に愛される交響楽団の実現を目指すよう指導してまいります。

○福士委員 経営感覚というのは、それはオーケストラが考えることかというような質問が先ほど来出ていたようですが、社会的にも高い認知があって、そして、いただいた委員会資料を拝見いたしましても、都内のオーケストラはすべて終身雇用制度になっていますよね。
 契約楽員制度をなぜ今やらなければいけないのか。ほかのオーケストラが終身雇用制度をとっているのは、その中できちんと落ちついてハーモニーをつくり出していくような体制をつくりたいとか、それなりの理由があるからこそ終身雇用制度をとってきたんだというふうに思いますけれども、契約楽員制度の必要性はどういうところにあるのか、もう一度お伺いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 契約楽員制度の必要性についてでございますが、第一に、より一層質の高い楽団の実現でございます。終身雇用制度の廃止と能力・業績評価制度の導入により、楽員一人一人のモラールアップを図るとともに、優秀な楽員の確保を図るものでございます。第二には、楽団の自立性の向上でございます。退職金制度の廃止により人件費支出の年度間の変動を抑えるなど、楽団の自立性の向上を図るものでございます。第三に、楽員にふさわしい勤務条件の実現でございます。一律的な勤務条件を廃止し、個々の楽員の演奏活動を尊重した勤務条件を設定するものでございます。

○福士委員 能力・業績評価というふうにおっしゃいましたけど、ここに、都響に入るときだってすごく大変な倍率でお入りになったんだろうと思いますし、先ほど一人一人のモラールアップとおっしゃいましたけど、音楽家の方たちが、自分の音楽がだめでも平気でいるよというような人が本当にいるのかなと。確かに、音楽家の方たちで、いろいろなことがあって病気になられたりなんかしてだめになるということはあるんだろうというふうには思いますから、いつでも同じような状況でいい音楽ができるとは、それはオーケストラの方じゃなくてもありますよね。でも、そういう意味でいうと、モラールアップがないというふうに最初から決めつけるのもどうかなという気がしないでもないんですね。優秀な楽員の方であればあるほど、同じレベルの中でも、ハーモニーを崩さないようにしながらも自分のレベルアップは図られるでしょうし、優秀でずば抜けていたら、これはオーケストラとして成り立たないというふうに思うんですね。そういう方たちだけが、おれがおれがというのがいたらオーケストラにはならないわけです、ハモらないわけですから。
 そういう形の中で組合の方たちとも、私もお話を伺いましたけれども、今までも、都響の方々もそれなりの工夫、提案があったというふうに聞いております。それはそっちからいえば違うよという話になるのかどうかわかりませんが、退職金の引当制度やその他も考えておられたようですけれども、都響の退職金引当制度を導入しなかったというのは何だったんですかね。今までもそれができていれば、今回のような話にもならなかったかもしれないというふうに思うものですから、伺っておきます。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 財団法人東京都交響楽団は、企業会計方式の会計処理を行ってございますが、東京都が出捐して設立された団体でございまして、退職金については補助金に含んで措置をしてございます。

○福士委員 最後、ちょっと申し上げておきたいのは、経済的に低迷しているときですから、今、文化を育てはぐくむというのは、企業の方もすごく大変だし、いろいろお金は出したくないというような時期なので大変だろうと思います。だからこそ公的支援というのも、その必要性というのがある時期かなというふうに私なんか思うんですけど、有期雇用制度まで押しつけてハーモニーが保たれるのかな、それがだめになったときはどうするのかなという心配が私はまた残るんですよね。
 今、労使交渉中というか、協議の途中だそうですから、こうせい、ああせいと私がいうつもりはないんですけれども、しっかり本当に何が大事なのか、そして、どこはどういうふうに切れるけれども、どこは残さなきゃいけないねというところは話し合われて、協議をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○東委員長 それでは、この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時七分休憩

午後五時二十八分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○臼井委員 それでは、国旗・国歌に関する陳情についての質疑を行います。
 三月一日より都立高校の卒業式が始まりました。今回は、都教育委員会が新たな通達を発したことによりまして、国旗・国歌が適切に実施されまして、都民の期待する都立高校の姿が名実ともに出現することが期待されております。加えて、小中学校の卒業式も、都教育委員会の毅然とした姿勢の影響もありまして、各教育委員会が適正化に向けて独自に通達などを出して、大きく前進しようとしていることは評価できるものでございます。私もこれまで数校の卒業式に出席させていただきましたが、どの高等学校も厳粛で感動的な卒業式でございました。
 しかし、まだ、今回の陳情のような国旗・国歌の実施に反対する動きがあることは極めて遺憾であります。(傍聴席にて発言する者あり)何なんだろうね、といいたいところであります。国家と民族を象徴する国旗・国歌に敬意を持って接することの大切さを身につけるよう教育されなければならないのは当然でありまして、これから国際社会で活躍する日本人として、若者においては、我が国の国旗・国歌を尊重するということは、日本人としての自覚と誇りを植えつけることでありまして、よい資質が養われなければならない、こういうことからしても、真に外国の人とつき合い、外国の歴史や文化を尊重する態度は、こういうことによって生まれるはずであります。国旗掲揚、国歌斉唱の適正化は重要な課題だといわなければなりません。
 ところで、陳情でございますが、その理由の中で、日の丸・君が代は、アジア各国を侵略するシンボルであったと述べております。また、このことと同じ見解から、君が代が戦争につながるという声もあります。
 そこで伺いたいのですが、法律で定められた君が代の歌詞はどのように解釈されているのか、お聞きしたいと思います。

○近藤指導部長 平成十一年六月二十九日、衆議院本会議におきまして、日本国憲法下においては、国歌君が代の「君」は、日本国及び日本国民の統合の象徴であり、その地位が主権の存する日本国民総意に基づく天皇のことを指しており、また、君が代とは、日本国民総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の長い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると政府は述べております。都教育委員会もこの見解と同様でございます。

○臼井委員 私も、君が代の歌詞は、我が国の長い繁栄と平和を祈念したものと理解をしております。戦争の歌でありはしないと思うのでございます。
 そこで、私は、諸外国における国歌の歌詞を調べてみました。ちなみに、常任理事国についての歌詞を皆様方にご紹介申し上げます。
 フランス国歌。メロディーはつけませんが、行け、祖国の国民、時こそ至り、正義の我らに旗は翻る、聞かずや、野に山に敵の叫ぶを、悪魔のごとく敵は血に飢えたり、立て、国民、いざ矛をとれ、進め進め、あだなす敵を葬らん。これがフランス国歌。
 アメリカの合衆国の国歌。見よや、朝の薄明かりに、たそがれいく御空に浮かぶ我らが星条旗を、弾降る戦の庭に頭上高く翻る堂々たる星条旗よ、おお、我らが旗あるところ、自由と勇気ともにあり。こんなふうに歌われている。
 中華人民共和国も紹介しましょうか。立て、奴隷となることを望まぬ人々よ、我らが血肉で築こう、新たな長城を、中華民族に最大の危機迫る、一人一人が最後の雄たけびを上げるときだ、立て立て立て、敵の砲火をついて進め進め進めなんですね。
 戦いの情景を思い起こす言葉とも解釈できるのですが、決して、国歌は、その国々が戦争を望んでいるのではないということを明確にしているわけであります。また、紹介した国々の歌と比べると、我が国の君が代の歌詞は何と穏やかで平和的でありましょうか。メロディーもそのとおりですね。
 国旗や国歌はその国の歴史と無縁ではないわけでございますが、国旗・国歌が戦争を行ったのではないのであります。大切なことは--その時々のことを考えてください。その時々の国際情勢と国家間の利害の衝突により戦争は起こっております。国家は国民によって運営されているのです。国民が戦争を行わずに平和を願うことであるならば、戦争と国旗・国歌とは全く別の問題と考えるべきであります。
 そもそも国旗・国歌に敬意を払うのは世界の常識であります。世界の国々はそれぞれ国旗を並べて国家の存在を主張していますね。国歌斉唱や吹奏により国民意識を高めるのではありませんか。オリンピックで自国の国旗が上がり、国歌が吹奏される光景を何と見ますか。世界のどこに、自国の国旗や国歌を否定しようとする国民があるでしょうか。
 ところで、陳情は、入学式、卒業式で一律に国歌斉唱などを促すことは、参加者の思想信条、信教の自由を侵すといっているけれども、個人の思想信条ということで、逆にとれば、個人の自由で公教育が行われることは許されるのでしょうか。そんなはずはないと思うんですよね。学校で行う卒業式などで国歌を斉唱し国旗を掲揚することは何に基づいているのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 学習指導要領の一領域であります特別活動におきまして、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると示されておりまして、このことに基づいて行っているものでございます。

○臼井委員 そうなんですが、陳情は「法律でもない『学習指導要領』」と述べていますね。学習指導要領は法的な性格はないのでしょうか。学習指導要領に基づいて学校教育は実施されなければならないと私たちは解釈しているのですが、どうなんでしょう。

○近藤指導部長 最高裁の判決におきましても、学習指導要領は法的拘束性があると判断されております。また、学校教育法施行規則に、各学校の教育課程は学習指導要領によるものとすると示されておりまして、このことにより、学校は学習指導要領に基づいて教育を行う責務を負うものであると考えております。

○臼井委員 法的に拘束力のある学習指導要領に従って、子どもたちに国旗・国歌を指導し、それを尊重する態度を養うことは、教育公務員の責務であることは明らかですね。
 しかし、その教員の一部が、いわゆる内心の自由を持ち出して国旗・国歌の実施に反対を唱えている。教育公務員としての教員の職務と個人の内心の自由とはどのような関係にあるのかを明確にしてください。そして、この問題に決着をつけるべきであると私は考えております。どうお考えでしょうか。

○近藤指導部長 教員は、教育公務員として、法令や学習指導要領に基づき児童生徒の教育を行う責務があり、国旗・国歌の指導においても同様でございます。したがって、教員が国旗・国歌の指導においてその職責を果たすように命じることは、教員の思想、良心の自由を侵すことにはならないと考えております。このことを、都教育委員会は一貫して各学校に指導してきたところでございます。

○臼井委員 明確に答えていただきましてありがとうございます。
 国旗・国歌の実施に反対する教員が、生徒に国歌を歌わせないような働きかけ、それから、みずから起立しないなどの態度を示した場合、この違法な行為を見逃すようなことになれば、教育行政の責任が問われますね。なあなあで過ごすことは許されません。法律はそう要求しているんです。ということは、これは、法律は都民との約束なんです。
 そこで、けさの新聞を見ると、都の今後の取り組みが都民に公表されました。この文教委員会の席でも表明していただきたい。都教委はこのような職員に対しどのように対処するのか、予算委員会のところで明らかにされたことを、もう一度文教委員会で表明していただきたい。

○臼井人事部長 教員が校長の職務命令に従わないことや、また、教員がみずからの主義主張を生徒を使って具現化するようなことがあったとするならば、教師にあるまじき行為であると考えております。
 都教委としては、事実関係を調査しまして、法令等に照らして違法であれば処分の対象となると考えております。

○臼井委員 そうすると、この新聞に出ておりますように、通達を正しく実行させるために対策本部の継続を決定、生徒に学習指導要領を逸脱した内容を教える教師に対しては、校長が適切な指導ができるようにサポートの窓口を設置したこと、そして、違法行為の教員に対しては内部に調査委員会を設置するというくだりがあるんですが、そのことについてお答え願いたい。

○臼井人事部長 先生ご指摘の調査委員会の設置、それから相談窓口等については、本日付で設置をいたします。

○臼井委員 都の教育委員会が発した通達は、卒業式の形式や会場設営にまで触れております。行政の介入であるとの指摘がなされていますが、都はなぜ、国旗・国歌の取り扱いの詳細や教員の服装にまで言及したのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 入学式、卒業式などの実施に際しまして、国旗が参列者から見えない位置に示されたり、児童生徒に範を示して指導すべき教師がTシャツで式典に参加したりするなど、実施対応にさまざまな課題がありました。こうしたことは社会常識から考えても受け入れられないことでありまして、このような不適切な状態を一刻も早く解決し、都民に信頼される学校をつくる必要があったため、通達を出したものでございます。

○臼井委員 公教育を行っている学校の場において、恣意的に妨害をしたり、反対の意思表示をしたりすることが許されるはずがないのであります。にもかかわらず、式典での伴奏が嫌で、君が代がない世界に行きたいといっている音楽教師がいるということが、この新聞の記事に載っているんですね。これは調査しますかね。全くとんでもない教師がいるのだということで、私は驚愕しています。どこへ行ったらいいんですか、こういう教師は。嫌ならば、もうやめるしか方法がない、私はそういうふうに思っております。
 都の教育委員会がこうした通達を発することが違法行為であるかのようにいう者がいるけれども、法的根拠はあるのですか。しっかり答えていただきたいと思います。

○近藤指導部長 今回の通達は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条等に基づきまして、教育委員会の権限において行ったものでございます。

○臼井委員 この職務権限に基づいてしっかり指導を行うことが正常化に極めて大切であります。厳正な対処を期待いたします。
 ところで、三月十三日の東京新聞ですが、驚くべき見出しが載っておりますね。これはご存じですかね。「卒業式で光る監視の目 処分に震える先生たち」。この小見出しもすごいですよ。卒業式にひっかけてこういう新聞が出る。生徒の心に空虚さが広がるという記事もこの中にありますよ。あたかも、都立高校で行われている卒業式が恐怖の中で行われ、生徒の感動がないかのような様子を伝える記事であり、私は、怒りとともに、この新聞の裏に作為を感じるものであります。
 さきにも述べたように、私はこれまで数校の卒業式に列席いたしました。厳粛な雰囲気の中で、生徒は頼もしく、かつ笑顔で、喜びに満ち、中には感動の涙をしている生徒も見られたんです。先生方も生徒に負けず立派な態度で、私は胸が熱くなりました。本当にすばらしい卒業式に出会えてよかった、こういうことであります。しかるに、こうしたマスコミの偏った報道がなされているのは極めて遺憾であり、残念でなりません。
 そこで伺いたい。
 これまで実施された卒業式は、この新聞が指摘した記事のごとく、生徒は心をうつろにして、教員は処分に震えていたのか、そうした実態が多かったのか、どのようにとらえていますか。

○近藤指導部長 教員に不起立が出たり、生徒が着席したままであったという実態は一部には確かに見られました。しかし、それはごく一部でございまして、ほとんどの学校では、生徒はもちろん、教師も国歌を斉唱し、厳かで清新な雰囲気の中で卒業式が行われております。
 また、私どもの方にも届いていることでございますが、参列した方々の中からは、ある学校の同窓会長からは、私は二十年間この学校で卒業式を見てきたが、ことしはこれまでと全く違ってすばらしい卒業式であった、また地域の方からは、去年までは国旗がどこにあるのかわからなかったが、ことしは正面に堂々と張ってあったなどの声が多く寄せられております。

○臼井委員 本当によかったですね。今年度、都立高校は大きくそのように変化をいたしました。良識ある、良識ある都民はこの変化を心から喜んでいると私は確信しています。
 今、規制緩和と地方分権により、学校の特色化が進められております。しかし、どのような特色ある活動をしようとも、公教育は法に従って営まれなければならないのであります。公教育の根幹は法である。国旗・国歌はもとより、学習指導要領、教育公務員の職務、教育委員会の職務、これらすべては法に基づいています。法を無視することは民主主義を否定することであり、社会は成り立たない。
 未来の日本を託す子どもたちには、日本国の象徴である国旗・国歌を尊重する態度を身につけさせること、祖国を、また同胞を敬愛する心を育てることが一番大事です。そういうことによって自国の歴史や文化を学び、とうとび、日本人としての自覚と誇りをしっかり身につけさせていく、広い世界で活躍できるようにしていくことが都民の共通した願いであり、私たち大人の責任であります。今後とも教育委員会が毅然とした姿勢を貫かれることを心から期待して、この項を終わります。
 次は、ちょうど一年前の平成十五年三月二十日、文科省の諮問機関である中央教育審議会は教育基本法の改正を答申いたしました。
 昭和二十二年三月、アメリカ軍の占領下でつくられた教育基本法は、その後五十年間、手つかずの状態で今日まで参りました。敗戦国の日本は、日本のバックボーンである、長い歴史の中で形成されてきた伝統や精神を占領軍から否定され、勝者の側、すなわちGHQの論理で、また干渉で教育基本法が制定されたという歴史がありますね。
 しかし、今日の社会の混沌を考え、閉塞状況にある日本を思うとき、日本人が伝統と文化に活路を見出そうと考え始めているのであります。特に教育改革がその俎上に上ってきました。未来の日本人のあり方、人間像を描こうとしているわけであります。東京都の教育ビジョンも、その脈絡の中に位置するものと私は思っています。
 日本人は、今、世界の中では、経済に成功をおさめた優秀な民族としての評価があると思います。よい資質の日本人、それは、先祖から受け継いだ教育の成果だと私は思います。それが今日大変な停滞を来しているのであります。教育関係者、皆さんも、何とかして改革を進めて再生させなくてはならないと考えておられます。日本の未来が安心できるように考えていかなければなりません。
 ところで、今の子どもたちの様子を見ていると、生活の乱れや礼節を欠いた身勝手な行動が目立っております。都教委は現在、教育ビジョンの策定に向けた検討を行っているわけでありますが、この子どもたちをめぐる現状をどのようにとらえているか、お聞かせください。

○石川教育政策担当部長 各種の統計調査の結果を見てみますと、今日の子どもたちは、規範意識、公共心あるいは学ぶ意欲の低下や忍耐力の不足などが指摘されております。また、将来への夢や希望を描けない子どもが増加し、社会への参画意識も希薄になり、社会人として自立できない若者が多くなっております。一方、教育の担い手であります家庭、学校、地域も教育力が低下し、その役割や責任を十分果たしているとはいいがたい現状にあると認識しております。
 このため、子どもをめぐるこうした憂慮すべき現状を打開し、次代の東京の発展を担う人材を育成することを目的といたしまして、家庭、学校、地域社会全体を視野に入れるとともに、子どもの発達段階をトータルにとらえた東京都教育ビジョンを策定し、都における今後の教育改革の道筋を明らかにしていくべく、現在鋭意検討を行っているところであります。

○臼井委員 ご指摘のあったように、憂慮すべき現状を招くことになった背景を考えてみますと、どうも公よりも個人の権利に重きを置いてきた、戦後の教育や戦後社会の風潮にも問題があったのではないかと考えています。
 日本人には伝統的な人づくりの教えがありました。人に迷惑をかけてはいけないと親からいわれたことを思い出します。また、近所のおじさんからは、悪いことをするなよ、神様が見ているぞ、うそつきは泥棒の始まりだなど、大人や親から教えられ、子どもたちははぐくまれてきたのであります。これは社会で生きていくための心得なのでございます。それには親子の強いきずながありました。こういう美風がどうも後退してしまっているように思えてなりません。個人の尊重、個人主義が、自分さえよければいいというふうにとらえられている悪い傾向があるように思います。
 東京都教育委員会はどのような見解をお持ちでしょうか。

○石川教育政策担当部長 戦後の我が国の姿を見てみますと、新しい教育制度のもとで国民の教育水準を向上させ、これを原動力にして飛躍的な経済の発展を遂げてきたわけでございます。しかしながら、そうした中で、ともすると親や大人自身が物質的な価値を優先しがちで、子どもたちに対して、正義感でありますとか倫理観、思いやりの心など、精神的な価値を十分に伝えてこなかったのではないか。また、自由や権利を重視する余り、責任や義務を軽視する傾向が見られたのではないか。こうした反省すべき点があったと認識しております。

○臼井委員 次代の東京、ひいては日本の発展を担う人間として、この教育ビジョンではどのような人間を育成しようとしていくのか、その目指している人間像をお示し願いたいと思います。

○石川教育政策担当部長 教育ビジョン中間のまとめにおきましては、目指す人間像として三点掲げております。互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間、社会の一員として、社会に貢献しようとする人間、みずから学び考え行動する、個性と創造力豊かな人間、これら三つの人間像を掲げさせていただいているところでありますが、これらの人間像をいいかえるならば、自分たちの夢あるいは目標の実現を目指して努力する人間、世界の中の日本人として誇りと自覚を持っている人間、社会の一員としての責任を果たしていこうとする人間である、こういうふうにもいえるかと思います。
 中間のまとめに対する教育モニターアンケートの結果におきましても、教育ビジョンに示した三つの人間像につきましては高い支持を得たところでございまして、広く都民の期待する人間像と一致するものと考えております。

○臼井委員 ただいま説明のあったような、次代を担う背骨のしっかりした日本人を育成していくためには、学校教育の中で特に、倫理観を持ち、道徳性を身につける道徳教育をしっかり行うことが重要であります。
 平成十年、文部科学省の調査によると、年間三十五時間とされている道徳の時間が、東京都において二十時間台となっております。その後改善されたと聞くのでありますが、どうも学校行事などに割り当てられて、十分消化されていないといわれております。これは教師に問題があるのかなと思ったりしておりますが、道徳教育の現状についてどうなのか、お知らせください。

○近藤指導部長 現在、心の東京革命の一環といたしまして、すべての小中学校におきまして道徳授業地区公開講座を実施し、家庭や地域の人々とともに、心豊かな児童生徒の育成に努めております。
 また、お話の学校における道徳の時間の平均実施時数でございますが、平成十年度は、小学校が三十二・二時間、中学校が二十六・七時間でありましたが、平成十四年度には、小学校が三十四・九時間、中学校が三十一・八時間となり、道徳の授業時数が着実に増加しております。
 しかし、残念ではありますが、規範意識やマナーの欠如など、依然として児童生徒にはさまざまな課題があります。今後とも、児童生徒の健全な育成を目指しまして、区市町村教育委員会と連携、協力いたしまして、道徳教育の指導者を養成する研修などを一層充実させまして、教員の指導力の向上を図ってまいりたいと思います。

○臼井委員 話をしているように、理念も非常に大切なものでありますが、現場で身につく、いわば郷土に根差した郷土教育というような教育が重要だと考えます。
 昔、各藩には郷士教育というのがあって、それぞれ藩の期待する人間をつくった。それは地域の特性の中でつくられていった。こういう事例があるわけであります。道徳教育の中で、郷土の身近な偉人、あるいは赤ひげ先生のように郷土に尽くした先達が身近におります。そういう生きた教材を手本として子どもたちに教えていくことは極めて効果的なのでございます。そういうことについて見解を伺いたいと思います。

○近藤指導部長 児童生徒が、郷土の発展に尽くした先人の努力に支えられて生きていることを自覚し、尊敬と感謝の念を深め、みずからも郷土の一員として郷土の発展のために努力しようとする態度を育てることは極めて重要なことでございます。
 現在、各学校では、道徳の時間や総合的な学習の時間などで、地域の素材を生かした郷土資料を用いたり、郷土に尽くした先達の業績などを学んだりして、郷土を愛する心を育てております。
 今後とも、都教育委員会は、地域の博物館や郷土資料館などの効果的な活用を促したり、指導資料の工夫、充実を進めたりするなど、先人を敬い、郷土を愛する心や国を愛する心を醸成する道徳教育を一層推進してまいります。

○臼井委員 わかりました。
 次にですが、子どもの健全育成の観点から、現在の学校教育で懸念されることがあります。
 男女平等をうたうことはよいのですけれども、それは人格としての平等であり、男と女は肉体的機能や心の持ち方も生まれながらにして違うのであります。性別は……(「心の持ち方は違わないよ」と呼ぶ者あり)女は違うでしょう。性別は歴然としているのであります。男みたいな女は困ります。男は女ではないということです。女は男ではないのであります。
 私たちの敬愛する祖先たちは、男は男、女は女の特性と個性をより高めようと努力をされてきたのであります。男らしさと女らしさを育ててきたのが私たちの先祖であります。そして、それぞれの役割を持って、調和のとれたすばらしい家庭や安定した社会をつくり上げてきたのだと思います。
 ところが、おかしな風潮が出てきているのであります。男らしさ、女らしさを否定し、美しい日本の習俗である桃の節句やショウブの節句までも行うことができないような極端なジェンダーフリー教育というのがあります。これはあってはならないと考えるのでありますが、都の教育委員会の見解を伺います。

○近藤指導部長 男女平等参画社会は、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮することができる社会であり、男らしさや女らしさを決して否定するものではありません。
 都教育委員会は、東京都男女平等参画基本条例に基づき、性別にかかわりなく、個人として尊重される男女の本質的平等理念を児童生徒に理解させ、具体的に実現することを目指して、男女平等教育を推進してまいりました。
 今後とも、我が国がこれまで培ってきた伝統文化や風土を大切にするとともに、男女が互いの違いを認めつつ、尊重し合い、自己実現を図ることができるよう、男女平等教育の推進に努めてまいります。

○臼井委員 これまで答弁されたような教育を学校教育の中で確実に行っていくためには、真の教育者を必要としております。教師としての高い志と実践力にすぐれた教員を養成、確保していくことが今日極めて重要になってまいりました。
 ついては、来月、東京教師養成塾が開校されると聞いておりますが、塾生は何校ぐらいの大学から何名ぐらい選考されたのか、お聞かせください。で、塾ではどのような教師を育てようとしているのか、伺いたいと思います。

○近藤指導部長 我が国の歴史や文化を尊重し、国際社会に生きる日本人としての自覚を持つ人間を育成するためには、何といっても教師自身が高い志を持って子どもの指導に当たることが大切であります。
 そこで、東京教師養成塾では、小学校教諭一種免許状が取得できる都内の十四大学に在学する四年生で、東京都の公立小学校の教員を強く希望する学生を対象にいたしまして、一年間を通した特別教育実習や学校教育の課題を題材にした講義、学習指導計画の作成や教材研究等を行うゼミナール、そして、奉仕活動等の体験活動を通しまして、教育に対する熱意と使命感、社会性の涵養、そして、確かな学力や豊かな心を育てる実践的な指導力と柔軟な対応力を兼ね備えた教師の育成を図ってまいります。
 なお、平成十六年度、東京教師養成塾の入塾者は、都内十四大学のうち十一大学より選抜いたしました九十六名でございます。

○臼井委員 これは松下村塾や松下政経塾に次ぐような、大きな社会に貢献する塾になるんじゃないかなと思って期待をしております。
 最後に申し上げます。
 この教育ビジョンを今後具体化する中で生かしてもらいたいと思うんですが、今、児童虐待が問題になっております。そこで、子を持つ親の教育が必要になったと思います。学校教育とともに、家庭教育の大切さは常に指摘されてきたところであります。この家庭教育についてでありますが、子よりも、子どもの親である保護者教育の方が重要なのであります。それも、系統的かつ継続的に教育がなされるべきだといわれているのであります。
 家庭生活が今や完全なまでに電化されております。親であっても包丁で皮をむくことができない、この未熟な生活技術、あるいは、礼儀作法も人とのかかわり方なども身についていない、こういう親が多くなっております。従来ならば日常生活で自然に習得できたのでありますが、今や大家族ではなくなっておりますから、親から子へ自然に伝わったことが、今の核家族ではかなわぬものになっているのであります。
 昨今、親自身が子どもと同じように夜型の生活をしたり、朝食抜き、テレビゲーム、ファストフードなど、全く子どもと同じような生活になっていて、こういう面からも親になり切っていない親がいるのであります。これでは、子育てや子どもの教育をしろといったってできやしません。
 そこで、親である保護者教育について申し上げたいのであります。提案をするわけでありますが、各局にまたがるので、今後十分検討をしていただきたいということでございます。
 すべての保護者が、最寄りの学校あるいは保育園、幼稚園等を利用して、仮称でありますが、家庭教育学級なるものを設置されたところに通い、親としての勉強を続ける、そういう義務を課することであります。親は保護者でありますから、子どもを教育し保護する義務があるわけですから、強制的にでもこの家庭教育学級に入り、子育てのプログラムをきちっとつくっていかなければならないはずであります。それは、子どもの発達段階に応じて、それこそ系統的、継続的に指導を受けるように、そういう仕組みをぜひつくっていただきたい。
 そういうところに大方の人たちは通ってくれると思います、つくれば。しかし、悪いのはここに通ってこない親であります。そういうところの子どもに限って、いじめに遭うとか虐待に遭うとか犯罪を犯すとか、そういうことになりがちであります。
 そこで、各学校に児童委員を一人置く。そして、この親としての義務をなかなか果たさない、それをフォローする。そして育成プログラムをつくり、不参加の親に対して、しっかりした子育て、教育、この勉強をさせる。これは、教育というのは強制的にしなければできやしないんですから、そういうことを考えて……(「親は働かなきゃいけない」と呼ぶ者あり)今もう本当にこの日本が子どもたちのところで病んでいるわけでありますから、真の教育改革はここから始まるような気がしてならないのであります。
 そこで、親は働かなきゃならぬなんていっていますが、毎日親が通えといっているわけじゃありません。そういうことをぜひ教育委員会として各局にも、福祉局ですか、健康局ですか、働きかけて、そういう対応を図っていただきたい。心から東京都教育委員会のご努力を期待申し上げて、私のこの項での質問を終わります。
 あともう一つだけ、時間がなくなってきて申しわけありませんが、これは三宅村の帰島に備えての対応でありますけれども、簡単に申し上げます。
 三宅の避難生活も、もう既に四年目に入りました。島の高校で学んでいない三宅高校の生徒が、この三月に、既に廃校となっている全寮制秋川高校の校舎で卒業式を迎えました。ここで三年間生活をし、学習をしたんですね。
 最近、帰島の話がかなり新聞にも報道され、先日の村長、村議会の選挙でも、帰島の実現方法などが争点となっておりました。きょうの新聞を見ても、村長さんが帰島宣言を出して、公約に掲げた年内の一斉帰島を目指し、島民の自宅補修などの帰島準備に半年程度かけた後、帰島宣言で帰島時期を示す意向を明らかにしたということになっております。
 東京都は、内閣府、三宅村との三者で、三宅村の本格帰島に向けて帰島プログラム準備検討会を設置して、三月には報告書が出るといわれております。報告が出れば、帰島に向けての支援策や課題も整理されてくると思います。三宅村の村民への支援策について、さまざまな角度から検討されると思いますが、中でも学校の再開は重要であります。学校の整備がおくれることにより帰島できないことがあってはならないと思いますので、学校の施設整備についてどのように考えておられるか、お聞きいたします。

○山際学務部長 三宅島住民の帰島準備に当たりまして、学校施設の整備を適切に行い、児童生徒が安心して学ぶことのできる教育環境を確保することは極めて重要であるというふうに認識しております。
 このため、都教育委員会といたしまして、小中学校の整備が帰島の時期におくれることのないよう、設置者である三宅村と十分協議し、適切な対応に努めてまいります。
 また、高等学校につきましても、設置者といたしまして、安全かつ速やかに再開できるよう、必要な整備を行ってまいります。

○臼井委員 次に、この帰島の動きを踏まえた被災者の負担軽減のための措置について伺います。
 都教委はこれまで、三宅島被災者への支援といたしまして、秋川校舎への児童生徒の受け入れや、これに伴うアドバイザリースタッフの派遣、スクールバスの運行、賄いの実施など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。しかし、長引く避難生活で、島民の方の心情は大変なものがあると思います。経済的な面で大変なご苦労があるわけであります。
 こうした中で、被災者の経済的負担の軽減を図るため、三宅村は、帰島を前にしたこの時期に、国に対して、国公私立大学における授業料の減免措置について要請を行っていると聞いております。
 そこで伺いますが、三宅村から都に対しても、帰島を控えた被災者の負担軽減のために、都立高校の授業料等について何か要望などの働きかけがあったのでしょうか。
 今後、被災者には一層の心理的、経済的負担の増大が予想されますし、帰島準備が具体化していけば、さらに島民の負担は大きくなっていくと思われます。そこで、都教委としては、被災者の負担軽減について、現行の措置にとどまらず、より一層積極的な取り組みをすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 帰島に向けた準備が現在進められている中で、お話のように、今後、被災者の方々の負担の増加が見込まれることにつきましては、私どもも十分認識をしているところでございます。
 また、三宅村からの働きかけといたしまして、三宅村長から私どもの教育長あてに、二月十九日付で、三宅村に籍を有する都立学校生徒の授業料等の減免について要望書が出されております。
 都教育委員会といたしまして、こうした状況を十分に踏まえ、本年四月一日以降、三宅島災害の被災者で都立学校に在籍する生徒については、授業料等の免除を含み、現行の措置を拡充してまいります。

○臼井委員 次に、この帰島に向けての動きに関連して、高校改革推進計画との関係について伺います。
 体育・福祉高校の計画は、平成十年に基本計画ができ、第二次実施計画で秋川高校跡地に十八年度開校の計画になっています。その後、この秋川高校の跡地が三宅高校の避難先として利用されているわけでありまして、こうした状況の中で、体育・福祉高校の今後のあり方についての検討状況はどのようになっているのか、伺います。

○山川都立高校改革推進担当部長 体育・福祉高校につきましては、都立高校改革推進計画の第二次実施計画で秋川高校跡地に設置する計画でありましたが、十二年九月に全島民避難の指示が出て以来、同敷地は三宅高校など三宅島の関係者が利用しておりまして、十四年十月に策定いたしました新たな実施計画では、体育・福祉高校の今後のあり方については改めて検討することとしたところでございます。
 この間の三宅島住民の帰島をめぐるさまざまな状況の推移を踏まえまして、現在、庁内に検討委員会を設置し、体育・福祉高校の今後のあり方について検討を開始したところでございます。

○臼井委員 三宅村の島民の帰島は火山ガスの状況がポイントになっております。年内全員帰島といっても、専門家から安全という判断が下されなければならないわけであります。感受性の強い人や援護を要する人もいるので、帰りたくても帰れない人も出てくると思います。また、高校生や中学生の中には、進路などの関係から、すぐに帰島できない生徒もいると思います。こうした生徒への配慮、対応も今後課題となると思います。
 そこで、これに関連する体育・福祉高校のこの場所での十八年度開校の計画は日程上困難な状況になっていると思うのであります。計画の見直し、これについて検討が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 副委員長ご指摘のとおり、火山ガスの動向がポイントになるというふうに思われますが、去る二月三日の第六回三宅島火山活動検討委員会報告によれば、火山ガスの排出量は、発災当時に比較するとかなり低減しているが、最近ではほぼ横ばい傾向で、今後も現在と同程度のガスの放出が続くと考えられるとされております。
 こうした状況も踏まえ、三月末には、お話のございました三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告がまとめられ、必要とされる安全対策や生活支援などの方向、内容、課題が示されることとなっております。
 都教育委員会といたしましては、その最終報告を待って、帰島に向けて必要なさまざまな対応のケースを想定しながら、ご指摘の見直しを含め、体育・福祉高校の今後のあり方についてまとめてまいります。

○臼井委員 三宅島民の帰島の実現は島民の願いであります。一日も早い島の復旧と島民の支援をお願いしたいと思っております。そのための帰島に向けてのプログラム準備検討会のご活躍をお願いしたいと思います。
 そして、現在、三宅島民が秋川高校を利用している中でありますので、関連する体育・福祉高校についてもあわせて十分な検討をされることをお願いして、この件につきましての質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○山下委員 私からは、小さいながらも多くの方々が訪れ、また多くの方々が注目をしている高尾自然科学博物館について、確認の意味を込めまして何点か伺っていこうと思います。
 ご承知のとおり、もう、きょうも長くなっております。短く、要点をついた質問だけにさせていただこうと思っております。
 まず初めに、高尾自然科学博物館の八王子市への移管問題については、昨年十二月十五日に協議が調ったと伺っておりますが、どのような中身で協議が調ったのかを伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 東京都高尾自然科学博物館の八王子市への移管についての合意内容は、第一に、博物館機能は八王子市で継続する、第二に、土地及び博物館資料については、平成十七年四月一日に八王子市へ無償譲渡する、第三に、建物については、老朽化が著しいため、移管前に解体、整地し、八王子市は移管後五年以内に現敷地内に新施設を開設する、第四に、博物館資料については、建物解体前に八王子市が用意する保管庫に移動するというものでございます。

○山下委員 お話の中身はわかりました。
 しかし、都による存続を願っている方々は、八王子市に移管されると、これまで高尾自然科学博物館が担ってきた機能が大きく後退してしまうのではないかと心配をしています。移管された後も、八王子市は、展示機能のみならず、学校支援事業や公開講座などについても継承していく考えなのかも伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 博物館事業の移管につきましては、博物館機能の継承を基本的な条件としており、常設展示等の展示機能については、八王子市が新たに建設する施設で機能継続することとしております。
 また、公開講座等の普及啓発事業及び学校支援事業につきましては、新施設と八王子市内の施設で連携し、機能継続することとしております。

○山下委員 博物館機能の継承というのは基本的な条件であって、また、普及啓発事業、学校支援事業についても機能継続をしていくということでございます。そうであるとすれば、心配している都民、市民にきちんとした説明をすべきだと考えますが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 高尾自然科学博物館の廃止についての条例につきましては、現在、第一回定例会に上程してございますが、都民への周知につきましては、平成十六年一月八日、東京都高尾自然科学博物館長名によりまして、お知らせを博物館の正面入り口に掲示するとともに、高尾自然科学博物館のホームページに掲出いたしまして、都民への周知を図っているところでございます。今後とも広く都民にお知らせしてまいります。

○山下委員 いつも、この質問に限ったことではないんですが、きちんと市民に説明をすべきだという質問をいうと、大体のお答えがホームページに載っていると。今回の場合も、正面玄関に掲示されているということで、似たようなお答えが返ってくることが多いんですけれども、その二点だけではなくて、ぜひ、本当の意味で広く都民に周知されるように努力していただきますよう強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。

○石川委員 それでは私からは、初めに、資料でもお願いしました石原都知事就任以降の教育改革に関連して何点か伺いたいと思います。
 これまで、私自身、都立高校、都立の学校との交流というのは比較的浅いものでありました。しかし、地域の方々から、生涯スポーツの場として都立高校を開放してもらいたい、こんなご要望をいただいて数校にお願いをし、快く開放していただいて、交流が深まりました。
 また、十三年度には学校運営連絡協議会の設置によりまして、今年度は、練馬区を初め近隣の全日制、定時制の学校からすべて卒業式のご案内もいただくようになりまして、これまた本音で話ができる環境もつくっていただきました。
 また、多くの人脈を通しまして学校関係者と交流を深める機会が多くなりまして、保護者の皆さん、また学校関係者も、以前の都立学校と比較すると格段よくなってきておりますねという、本当にうれしい声をいただいております。
 一方、ご案内のとおり、五年間、そして十六年度にやろうとしている改革の項目がこれだけあるわけでありますから、交流が深まる中で、管理職の皆さん、また教員、職員の皆さんから、本当に学校現場は大変なんですよ、こういう声も率直に伺っております。
 一つ一つの改革に真正面から取り組んで、そしてまたよりよい学校づくりを目指す学校関係者、そして保護者の皆さんのご努力を思うときに、都教委としてお伺いすれば、それぞれ支援策について構築をしておりますけれども、なお一層血の通った、ツーウエーのいわゆる支援が大事ではなかろうか、こんな思いで数点質問させていただきたいと思います。
 ところで、平成十四年度に教育管理職における希望降任制度がスタートいたしましたけれども、この結果につきまして、そしてまた、その結果の理由についてお示しいただきたいと思います。

○臼井人事部長 都立学校におきまして、本人希望により降任した教育管理職は、十四年度には五名、十五年度にも五名でございました。
 その主な降任の理由でございますけれども、健康上の理由、それから家庭の事情、気力、意欲の減退などでございまして、また、幾つかの要因が複合しているケースが多いと考えております。

○石川委員 十六年度もやはり何名かのこうした方がいらっしゃるというふうに仄聞もいたしております。
 それでは、この本人希望による降任が制度化されない以前はどのような状況、また対応をされておったんでしょうか。

○臼井人事部長 本人希望による降任が制度化される以前につきましては、本人が、健康上の理由等で管理職を続けられず、退職を申し出るケースがほとんどでございました。まれに教諭を続けたいという希望があった場合については、個別の事情を勘案して教諭への降任を認めた事例もございます。

○石川委員 お伺いしますと、制度ができる前には退職を余儀なくされた、しかし、制度ができましてからは、ほとんどの方が教諭として頑張っておられるということでございます。
 これは、数が多いか少ないかは議論の分かれるところであろうかと思いますが、しかし、一般行政職では考えられない事態だと私は思います。こうした事態に追い込まれざるを得ないその背景についてどのように分析されておりますか、お聞かせいただきたいと思います。

○臼井人事部長 先ほど主な理由として挙げました健康上の理由、家庭の事情、それから気力、意欲の減退など、複合的な要因が多いと申し上げましたが、教育改革がどんどん進んでいる中で管理職の役割もますます増大してきている、そういう中で、こういった理由もあって管理職をおりたいという希望をされている部分もあろうか、そのように考えております。

○石川委員 そうした厳しい状況、これは現場に行けば行くほど切実なさまざまな声を私も伺ってまいりました。
 そこで、そうした改革の流れに対して支援をしていこうということで、東京都は平成十四年度に都立学校経営支援委員会を設置したと聞いておりますけれども、具体的にどのような内容でどのような支援を行っているのか、教えてくさだい。

○齊藤参事 ただいまの都立学校経営支援委員会でございますけれども、従来、どちらかというと縦割りで仕事をしてまいりましたけれども、これは、教育庁内の各組織を横断的に組織いたしまして、総合的に都立学校を支援するために設置した組織でございます。学務部、人事部、指導部の管理職を中心といたしまして合同チームを編成いたしております。
 平成十四年度には、これらの支援チームを活用いたしまして、全都立高校長のヒアリングを実施いたしましたほか、十五年度には全都立学校を直接訪問いたしまして、校長、教頭、事務長に加えまして、これまで直接話をする機会の少なかった主幹、それから主任からも直接ヒアリングを行いまして、各学校の課題等の把握に努めております。
 このようにして得られました情報に基づきまして、経営支援委員会におきまして、重点支援校の指定、あるいは課題校、いろいろな課題を持っている学校もございますけれども、これらの課題校への個別支援などを行っておりまして、個々の都立学校の課題等に応じた柔軟な組織的な支援を行っているところでございます。

○石川委員 都教委としては支援の形ができているだろうと思っていらっしゃるんでしょうけれども、今もお話がありましたように、学校現場は、学務、人事、指導部と矢継ぎ早に来るわけですよ。今、多くの皆さんから聞きますと、都教委のいわゆる体制をきちっとしてほしいと。以前のように三部体制で矢継ぎ早に来られたのでは、管理職も大変だし、また、受ける先生方も大変だというのが今の実態だろうと思います。
 それに対して、十五年度から主幹制度を導入して、いわゆるトップマネジメントの体制を整える。しかし、これとて、全校に配置が終わるのは平成二十二年度ですから、なお六年かかるわけです。また、さきの一般質問で、学校経営支援センターについては十八年度に設置する、こういうスケジュールが発表されました。しかし、現場は本当にここ一、二年なんですよ、大変なのは。
 したがって、私は最後に教育長に所信をお伺いしたいんですが、本当に都教委そのものの学校に対する支援体制というもの、三部がそれぞれ学校に支援するのではなくて、一つの中心となる組織をつくり上げて、そこを通して学校を支援するという、いわゆる都教委の意識改革が今最も必要だと私は考えておりますけれども、教育長、いかがでしょうか。

○横山教育長 さきの一般質問でもございましたけれども、確かに、教育改革をやっている中で、教育庁、教育委員会事務局の組織そのものが変わってないんですね、現実に。ある意味では、学校サイドから見れば縦割りの弊害が非常に出ているのかもわかりません。その辺は、都立高校というのは都内全域にありますから、距離的にも遠いし、そういった弊害を解消する策として学校支援センターを立ち上げてまいりたい。その学校支援センターの中身をいかに充実させていくかというのは、これからの課題であろうと思います。
 もう一方、学校側も、私自身の経験からしましても、まだまだ組織的な対応能力が非常に劣っていると思っています。そういった意味では、学校側も組織として機能するような意識改革といいますか、その辺が両々相まって学校運営そのものの正常化に向かっていくんだ、こう考えております。

○石川委員 では、二つ目に、東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告に関連してお伺いいたします。
 中間のまとめが出ました昨年の夏以降、我が党は、この問題の重要性にかんがみまして、それぞれ本会議でも質疑をしてまいりました。昨年の第四回定例会では、さらなる充実を求めるために、国の中央教育審議会でもこの特別支援教育に関する検討を行うように、都に対しまして、国へ要望するように質問を行ったところでございますけれども、その後の都の対応について伺います。

○山際学務部長 お尋ねの国への要望につきましては、昨年十二月二十四日に教育長名で、文部科学省初等中等教育局長あてに、特別支援教育への移行が円滑に進められるよう、条件整備や移行のあり方などについて、中央教育審議会での審議も含め、さらに十分な検討を行うよう、公文書により提出をしたところでございます。

○石川委員 それでは、国としては、都教委の公文書を受けて、その後どのように動き始めたのか、教えてください。

○山際学務部長 文部科学省におきましては、東京都の要望などを受けとめまして、本年二月に中央教育審議会初等中等教育分科会に特別委員会を設置することとし、特別支援教育への転換を図るための制度的な整備について検討を行うというふうにしております。この特別委員会につきましては、本年三月から審議を開始して、年内には答申をする予定というふうに聞いております。

○石川委員 それでは、中央教育審議会の特別委員会での主な検討課題、事項は何でしょうか。

○山際学務部長 この中央教育審議会の特別委員会での主な検討事項といたしましては、盲・ろう・養護学校の制度の見直し、小中学校における特別支援教育の推進体制の整備、特別支援教育を担当する教員の免許の仕組みなどが示されているところでございます。

○石川委員 東京都の最終のまとめをこれから進めていく上で、国の動向がかなり関連してくるということなものですから、お伺いいたしました。
 それでは、最終報告で、今後、保護者の不安の解消を図り、特別支援教育への円滑な移行を進めるためにモデル事業の実施が有効である、こう指摘されております。そこで、特別支援教育体制モデル事業の対象地区の選定経過についてお伺いします。

○山際学務部長 都教育委員会では、特別支援教育体制モデル事業につきまして、昨年十二月初旬に各自治体に説明をし、希望を募ったところでございます。その後、一月中旬までに各自治体から提出のあった事業計画の内容等につきまして、教育庁内に設置した、関係課長や区市町村教育委員会指導所管課長で構成する検討委員会におきまして、現在慎重に検討を進めてきているところでございまして、年度内には委託地区を決定し、公表していきたいと考えております。

○石川委員 モデル事業の対象はどのような児童生徒を考えているのか、また、事業対象となる学校の保護者に対してはどのように対応されていきますか。

○山際学務部長 モデル事業の対象につきましては、指定地区の小中学校の通常の学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒及び心身障害学級の児童生徒並びに指定地区の小中学校の学区域内に居住する盲・ろう・養護学校在学児童生徒でございます。
 授業の円滑な実施を図る上でも、対象の区市町村教育委員会及び小中学校や盲・ろう・養護学校が、関係する保護者の方々に対して十分に周知、説明を図り、理解を得ながら進めていく必要がございまして、都教育委員会といたしましても、委託先の自治体に対し、その旨の徹底を図ってまいります。

○石川委員 さらに、区市町村が支援教室を整備するに当たっては、十分な財源措置をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 特別支援教室の整備につきましては、法改正を含む国の制度改正を踏まえながら、小中学校の設置者でございます区市町村が地域の実情に応じて対応していくことになるわけでございます。
 都教育委員会といたしましても、特別支援教育への転換に当たって、区市町村が国の施設整備関係の各種補助制度を十分に活用し整備を進めることができるよう、国の所管課の意見照会に対しまして、施設整備や教員配置に関する意見を提出したところでございます。
 今後とも、必要に応じて区市町村とも連携をしながら、国に対して補助制度の整備について要望してまいります。

○石川委員 さらに、地域の指定校に副籍を置くということについては、具体的な内容が明らかにされていません。
 そこで、何を期待しているのか明らかにしていただきたいし、また、実施に当たっては、関係者の理解を得ながら着実に施行していくべきと考えますが、所見を伺って、質問を終わります。

○山際学務部長 盲・ろう・養護学校に就学した児童生徒は、家庭と学校が離れているために、地域との関係が希薄になりがちであるというような指摘もございます。そのため、居住する地域の小中学校を地域指定校といたしまして副籍を置くことで、学歴においても地域の教育的支援を受けられるようになることが期待されているところでございます。
 その際、児童生徒の障害の状態や教育ニーズ等を考慮するとともに、保護者の希望も聞きながら、交流する内容や時間等を個別指導計画に位置づけて進めることも重要であると考えております。
 また、モデル事業の実施に当たりましては、交流の内容や方法について十分に検討し、成果の確認や課題の検証をしながら進めていく所存でございます。

○村上委員 長時間にわたりまして皆様お疲れの中、そして、傍聴人の皆様が家路につかれた寂しい中、質問者は私が最後でございますので、元気よく質問をしていきたいと思います。
 今回、夜間中学校の教職員定数大幅削減の撤回に関する陳情が提出されております。この陳情の中で、夜間中学校の生徒は日本語会話能力などがそれぞれ違っていて、日本語会話能力によりクラスを編成しているとあります。
 そこで質問いたします。
 夜間中学校の設置の趣旨はどういうものだったのでしょうか、また、日本語学級が置かれるようになったのはどのような経緯によるものだったのでしょうか、お尋ねいたします。

○山際学務部長 中学校夜間学級は、戦後の混乱期に義務教育を受けることができなかった方など、さまざまな事情により義務教育が未修了のまま学齢を超過した方に対する教育の場として、都内に八校、現在設置をしているところでございます。
 また、夜間の日本語学級につきましては、昭和四十年代の中ごろから、韓国及び中国からの帰国者が増加したことに伴いまして、義務教育を受ける上で必要となる日本語教育を行うために、昭和四十六年に足立区立第四中学校など三校に設置をしたものでございます。
 現在は、中国などからの帰国者、外国人等、義務教育を受ける上で日本語教育が必要な方を対象にいたしまして、都内五校に夜間の日本語学級が設置されております。

○村上委員 設置の趣旨や経緯はよくわかりました。
 それでは、夜間学級及び日本語学級に対する教員の配置、これはどのようになっているんでしょうか。また、教員一人当たりが担当する生徒の数はどの程度のものなんでしょうか。具体的にお答えください。

○臼井人事部長 現在、日本語学級設置校は都内に五校ありまして、中学校夜間学級の通常学級には一校当たり七名、さらに、日本語学級には学級数の二倍の数の教員を配置しております。具体的に申し上げますと、平成十五年五月一日現在、教員一人当たりの生徒数は、日本語学級は約七・二名でありまして、通常学級も含めた夜間学級全体では四・二名となっております。

○村上委員 今の答弁を伺いますと、昼間の小中学校に比べますとかなり手厚い教員配置になっていて、これならきめ細かな指導ができるのではないかと思いますが、実際に夜間学級では、日本語能力などが異なる生徒に対し、どのような授業を行っているんでしょうか。

○臼井人事部長 中学校夜間学級の日本語学級におきましては、生徒によって日本語の能力がかなり異なるため、学級数の二倍程度のグループに分けまして、習熟の程度に応じた指導を行っております。

○村上委員 陳情書によりますと、教職員定数大幅削減となっていますが、削減の内容と規模について改めてお尋ねいたします。

○臼井人事部長 日本語学級には現在、学級数の二倍の数の教員を配置しているものを、平成十六年度におきましては、学級数プラス一名の配置に見直すものでございます。例えば二学級の場合、教員配置が四名から三名となり、日本語学級全体では八名の定数減となります。これに伴います必要となる時数は非常勤講師で対応していくこととなります。

○村上委員 削減後は、代替措置として非常勤講師を配置するということですが、生徒への教育内容に低下が生じるということはないのでしょうか。

○臼井人事部長 日本語学級の担当教員が通常学級の担当教員とより一層綿密な連携を図るとともに、さらに非常勤講師を活用することによりまして、日本語の習熟の程度に応じたグループ編成も現行と同様に可能であると考えております。また、そういうことによりまして、日本語学級の教育水準は維持できるものと考えております。

○村上委員 先ほど教育長の答弁の中にもありましたけれども、区市町村並びに関係局との連携を図り、今後、教育内容の充実及び支援に努めることをお願いして、質問を終わらせていただきます。

○東委員長 ほかに発言はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 それでは、ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、予算、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 本日はこれをもちまして閉会といたします。
   午後六時五十七分散会

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