文教委員会速記録第二十三号

平成十五年十二月十二日(金曜日)
第三委員会室
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長臼井  孝君
副委員長大塚 隆朗君
理事野上じゅん子君
理事山口 文江君
理事松原 忠義君
村上 英子君
福士 敬子君
山下 太郎君
石川 芳昭君
遠藤  衛君
山本賢太郎君
曽根はじめ君
樺山たかし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
大学管理本部本部長山口 一久君
管理部長飯塚 宏子君
参事大村 雅一君
参事宮下  茂君

本日の会議に付した事件
 大学管理本部関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百二十二号議案 東京都立大学条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・新大学の学部構成及び入試概要について
  ・東京都産業科学技術振興指針について

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名ですが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより大学管理本部関係に入ります。
 付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二百二十二号議案並びに報告事項、新大学の学部構成及び入試概要について、及び東京都産業科学技術振興指針についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○飯塚管理部長 済みません、お見苦しい姿で申しわけございません。
 去る十一月二十七日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明をさせていただきます。お手元の大学管理本部、文教委員会資料をごらんくださいませ。
 表紙の次の目次でございますが、ご要求のございました資料は、ごらんの三点でございます。
 一枚おめくりくださいませ。平成十六年度に開設を予定している法科大学院の一覧でございます。
 一ぺージ目には、都内に設置を予定している二十三の法科大学院につきまして、国立、公立、私立に分けまして、その所在地、入学定員、授業料を記載してございます。
 二ぺージから三ぺージにかけましては、都外に設置を予定している四十五の法科大学院について、同様に記載してございます。
 四ぺージをごらんくださいませ。去る十一月十四日に発表いたしました新大学の理事長予定者、高橋宏氏の経歴等を記載してございます。
 五ページをお開き願います。現在、文部科学省の各担当部門にさまざまな相談等をしているところでございます。その中で、当初計画しておりました内容に変更が生じてございますが、その内容と変更の理由を記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山本委員 実は、私のところにたくさんのファクスや手紙が届いております。各種の団体、教員などからなんですが、内容を見て共通しているところは、大学の自治、学問の自由を一方的に変革しようとする石原流の強権的手法と書かれているところであります。しかし、このいずれの文章も、真摯な論文であることは事実であります。
 ところで、ここでもう一度、大学改革の原点というものを、私どもは確認をしてみる必要があると思います。
 そもそも学問の自由とは何ぞや。学問の自由とは、学問的研究活動の自由を意味するものである。すなわち、研究者がどのような学問的見解を持とうと自由である。研究者はその学問の見解を表現すること、これまた自由である。そしてさらに、その学問的見解を教授すること、これも自由であるということであります。
 このことから、今日的には、学問の自由というのは、大学における研究及び教授が、公権力による干渉から自由でなければならないというふうに定説づけられていると思うのですが、その点いかがですか。

○宮下参事 多くの憲法の教科書に、ただいま先生がいわれたようなことが書かれていると承知してございます。

○山本委員 次に、時代の流れは、今は行政改革であります。国を挙げての構造改革であります。都政全般にわたり、組織のスリム化を初め、福祉政策の見直しなど、今や都政は聖域なき改革、見直しが行われております。その中で、都立大学とて例外ではありません。現在、少子化の影響による大学間の競争の激化、社会が求める人材の育成、科学技術を通じた社会への貢献など、大学が時代の要請にこたえるためには、従来のような象牙の塔にこもっていては対応することができません。そこで大学改革が必要になっているのだと私は思います。
 中には、東京都がなぜ大学を持っているのだと、大学の存在意義を問う人すら今は出てきております。一方、大学改革を、かつての公権力の干渉として有名な京大の滝川事件や、天皇機関説をとった美濃部学説と同一視して論じている人もおりますが、私はそんなことはないと思うのですが、いかがお考えですか。

○宮下参事 先生おっしゃいますように、時代の要請に応じまして、ただいま大学改革に取り組んでいるところでございまして、この大学改革というのは、学問の自由の保障の問題とは別次元かと考えております。
 改革後の新しい大学におきまして、憲法が規定する学問の自由が保障されることは当然のことであると考えております。

○山本委員 さて、大学における学問の自由と、なぜ大学の改革が必要かということが明確になったところで、議案及び報告事項について、それでは質問をさせていただきます。
 まず、新たに設置される法科大学院について質問をいたします。
 この間、この提出された議案、条例案を見ますと、授業料の規定の仕方が大変わかりにくいと思うのですが、そこをまず伺います。
 本則の年額が、ここにもよその公立大学の例がありますように、七十八万というのは公立大学の標準額と同額であります。しかし、附則で、平成十六年度に入学する学生の授業料は六十六万三千円となっていますね。なぜこのように規定したのですか。
 そして、平成十七年度から大学は法人化されるので、授業料は法人の規則で定められることになっているはずだが、そうすると、この条例の規定は、附則が一年だけ適用され、本則は適用されることがないということになるではありませんか。

○宮下参事 これまで、都立の大学の授業料につきましては、国立大学の授業料額を参考に定めてきたところでございまして、この考え方を踏襲いたしまして、法科大学院につきましても本則に国立大学の標準額を定めたところでございます。
 しかしながら、十六年度入学生の授業料につきましては、全国で六十六の法科大学院が一斉に開設され、各大学院間の競争が激化することが予想されますことから、優秀な学生を確保し、司法試験の合格者数をふやして実績を上げる必要がありますことから、法科大学院設置にかかるコストを極力圧縮いたしまして、六十六万三千円と設定したところでございます。
 ご指摘のとおり、平成十七年度に大学が法人化いたしまして、その後の授業料につきましては法人の規則で定めることになりますため、この条例は十六年度限り適用されるということになりますけれども、今申し上げました趣旨をご理解願いたいと存じます。

○山本委員 まあまあ、そういう考え方はまず理解できるんですが、では、条例では十六年度についてのみ適用され、そして十六年度入学生の授業料は附則を適用して六十六万三千円となるわけだが、それでは、本則に規定された七十八万という金額はどういう意味を持つの。

○宮下参事 新しい大学を法人化するに当たりましては、議会で、この法人の授業料の上限額を議決していただきまして、法人はその上限額の範囲内で授業料を定めることになります。
 今回、本則で定めます七十八万円を、法人化後の授業料の上限額としてご提案申し上げたいと考えているところでございます。

○山本委員 そうすると、上限額を七十八万円と考えているということなんだが、要するに、法人化された後は、六十六万三千円を直ちに見直すということなの。

○宮下参事 十六年度に入学いたします法科大学院の学生の最初の修了者は、平成十八年に司法試験を受験することになります。授業料につきましては、この司法試験の結果を踏まえまして、また他の大学院の状況等も勘案しながら、弾力的に見直してまいりたいと考えてございます。

○山本委員 この提出資料を見てもわかるように、全国で最も安い授業料の額となっておりますよね、六十六万三千円と。では、この金額の算出の根拠はどこにあるの。

○宮下参事 資料にございますとおり、他の大学は授業料が高くなってございます。他の大学がどのような積算をしたということは不明でございますけれども、授業料が高くなっております原因は、一つは小人数教育を行わなければならないための人件費のコスト増、二つ目は施設整備にかかるコスト増であると思われます。
 都立大学につきましては、法科大学院で行う授業は、できるだけ現在いる法学部教員の兼担で行うこととして、人件費にかかるコスト増を抑制するとともに、短期大学で使用しております晴海キャンパスの校舎を利用することによりまして、施設整備にかかるコストを抑えております。これによりまして、増加するコストを、実務科教員の人件費、それから校舎の維持管理経費のみといたしました。基本的には、これらのコスト増分のうち学生が負担すべき部分を現行の授業料に加算して算出したところでございます。

○山本委員 法科大学院の設置ということで軒並み、六十六校ですか、許可をされたようでありますが、これで国立大学の授業料に初めてコストという概念、考え方が導入されたと思うんですね。
 現在、国立大学の授業料は、全学部、大学院ともに一律であります。今回の法科大学院の授業料算定の考え方からすれば、例えば医学部などは法科大学院よりはるかにコストがかかるはずであり、こうしたコストがかかる学部等の授業料を見直していく契機になるんではないだろうかと思いますね。
 今後、大学は法人化していくわけなんですが、大学管理本部としては、授業料設定についてはどんな基本的な考えを持っておりますか。

○宮下参事 授業料につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国立大学の授業料を参考に設定してきたところでございます。
 大学が法人化した後におきましては、大学経営の観点から、まずはコストを極力圧縮する努力をした上で、原価計算により算出した額を基本に、学生が負担すべき経費の割合を勘案いたしまして、上限額の範囲内で設定していく必要があろうかと考えております。

○山本委員 来年ですけれども、法人化されたならば、経営ということも視点に入れて、不断の絶え間ない努力をして見直しをしていただきたい、こんなように思います。
 ところで、法科大学院の専任教員として予定されていた者が、突然、大学に退職願を出したために、法科大学院の入学試験を延期するというニュースが大々的に、この新聞なんかで報道されておりますね。これはもう大変なものですね。これはどういうことか、説明してください。

○宮下参事 十一月下旬に設置認可がおりた直後から、相次いで、病気などのために大学を退職したいという申し出が四人の教員から提出されました。いずれも、今年度末をもちまして退職いたしますが、法科大学院開設時にこれらの教員が担当する予定であった授業につきましては、新たな教員を手当てし、文部科学省に対して所定の手続をとらなければなりません。このため、募集手続や試験日程等を変更せざるを得なくなりました。一刻も早くこのことを受験生に周知するために、昨日プレス発表をいたしまして、同時にホームぺージにも掲載いたしたところでございます。早急に教員の補充を行いまして、予定どおり十六年四月の開設に向けて準備を進めていきたいと考えております。
 受験を予定していた学生の皆様には大変ご迷惑をおかけしたわけでございますが、これ以上の混乱を与えないように、今後、最善の努力をしてまいりたいと思います。

○山本委員 そうすると、大学院の認可のときには、法科大学院を設置申請するときには、当然、教員の名前を挙げて、その教員の就任承諾書というものが必要だと思うのですが、このやめられたという、名前は聞きませんが、四人の教員は就任承諾書を出したんですか。

○宮下参事 六月一日付で、担当教員全員から就任承諾書が提出されておりまして、これを添付いたしまして、六月二十七日に文部科学省に申請書を提出したところでございます。

○山本委員 そうすると、これはどうなんですかね。今回退職する教員四人は、法科大学院で教えることを約束していたわけなんでしょう。ところが、認可がおりた後で四人ともまとまって退職願を出してくるということはどうなんでしょうね。ここはちょっと私には理解できないんです。法科大学院の設置を妨害しているとしか、私には考えられないんです。このような社会常識のない教員に対して責任を追及する必要があると私は思うんですが、大学管理本部としてはどのように思うんですか。

○宮下参事 設置認可がおりましたこの時期に相次いで退職するということで、試験日の延期など、受験生に多大な影響を及ぼし、まことに残念でございます。大変申しわけなく、おわび申し上げる次第でございます。このような混乱を与えた退職願を出した教員には、もっと社会的な責任についての自覚を持っていただきたかったと思います。
 責任の追及ということでございますが、弁護士とも相談してみたいと思います。ただ、今は、平成十六年四月に予定どおり開設することを最優先の課題として全力で取り組んでまいりたい、このように考えております。

○山本委員 いや、そういうことというか、そういう深みのある対応というのは必要だと思いますよね。目先のことで--この四人のいわば敵前逃亡。認可されて、今、発足しようというときにやめていく。どんな理由か知りませんよ。内情はわかりません。しかし、いわば敵前逃亡していて、ある意味においては邪魔をし、ある意味においては、この大学院を志望しようとする人に対して多大な迷惑をかけたということ、これは事実であると思うんです。
 内情は知りませんよ。しかし、外から見れば、無責任きわまりない四人の教員だと、私どもには思えるんですね。(発言する者あり)だから、事情は知りません。事情は何だって、発足する、船が出ているのにブレーキかけるなんというのはどうでしょうかね。まあ、考え方はいろいろあっていいでしょう。
 ただ、こうした揺さぶりに対してうろたえてしまって、大学改革について安易な妥協なんかは絶対してはいけないと思うんですが、本部長の決意をお聞きします。

○山口大学管理本部長 先ほどお話ししましたように、今の事態、非常に残念な思いでございますけれども、十六年四月の法科大学院に向けて、まず最善の努力をすると同時に、我々、社会から要請のあります大学改革に対して一丸となって、大学とまた協力しながら、今までの志をやるために、十七年四月の開校に向けて最善の努力を果たしていくつもりでございます。

○山本委員 さて、これが新聞にまた、これも大きく、こんなに書いてある新聞ごらんになってるでしょう。
 先週、十二月の五日に、新都立大学の目玉学部について河合塾に理念を外注したというショッキングな報道がありましたね。ところが、知事の記者会見や、ほかの新聞とは違っているんですよ、書いていることが。違っているんです。皆さん確かめてください。この事実を明らかにするために、何点かについてお伺いいたします。
 まず記事の内容についてだが、都市教養学部の設計を河合塾に委託したという報道は事実かどうか。

○大村参事 都市教養など学際的な分野につきまして、他大学の先進事例調査や基礎資料の収集を委託することにいたしまして、十二月四日に契約を行ったのは事実でございます。
 ただし、本委員会で報告させていただきましたように、既に十一月十四日に平成十七年度の入試概要を発表しておりまして、記事の見出しのように、理念を外注、いわゆる丸投げしたという事実はございません。基本的な理念作成は、教学準備委員会で行っております。
 この件につきましては、取材陣によく説明したにもかかわらず、新聞記事の見出しが違っていたということで、この記事を掲載いたしました朝日新聞にも抗議した次第でございます。

○山本委員 まあ、抗議したから、済みませんといったかどうか、この新聞社はね。名前はいいませんが、A新聞社はいつもやる新聞社ですな。それにもかかわらず、夕刊のコラム「素粒子」というところにも書いてあるんです。さらに、見出しをそのまま、こんな大きく、一般の方、中村君という大学生に、大学の理念を塾に委託は、というようなことで、トップに書かせている。投書を掲載している。この新聞社は大体こういう体質を持っているんですかね。
 さて、理念の外注が事実でないということが明確になりました。そもそもなぜ外部委託が必要だったのか、そしていつ、これをだれが決めたのか、明らかにしてください。

○大村参事 現在、外部の専門家と都立の四大学の先生方とで、各学部のコースや何かの詳細設計を行っておりまして、この作業につきまして、順調に作業を進めているところでございます。
 しかし、都市教養につきましては、これまでにない新しいコンセプトに基づくものでございますとともに、学生に総合的かつ学際的な知識を身につけさせまして、広く社会で活躍できる人材を育成することを一つの目的としていることから、従来の学問の縦割りの発想では、その目的を達成できないということも事実でございます。
 そこで、教学準備委員会での検討内容を、学生や社会の視点に照らしまして、学際的な教育内容をより魅力的なものにつくり上げていくために、調査等の委託を行うことといたしまして、教学準備委員会座長などと相談の上、本部として決定いたしたところでございます。

○山本委員 民間の視点、今はアウトソーシングといいますか、いろんなことを国でもどこの機関でもやっております。視点を入れて、新大学をより魅力的な内容にしようとするその姿勢は理解できます。
 しかし、一方、河合塾と特命による契約を結んだというんですね。なぜ、受験産業といわれるものを委託先としたのですか。

○大村参事 今回の委託の特徴は、現在行われております教学準備委員会での検討に学生や社会の評価を入れることにございました。
 したがいまして、受託者の要件といたしまして、受験者層の幅広いニーズと、社会、すなわち産業界からのニーズなどを把握するとともに、双方の視点からの評価手法を擁していることが必要でございました。
 いろいろなシンクタンクなどを含めまして検討いたしました中で、河合塾につきましては、年間模試受験者三百三十万人を誇り、全国の大学の受験に関する膨大な情報を有しておるだけでなく、これまでに、経済産業省の、産業競争力向上の観点から見た大学活動評価手法の開発という調査におきまして、大学の教育、研究、社会貢献の各活動の評価手法を確立している、そういう意味では、要件を満たす唯一の機関であったというところでございます。

○山本委員 新聞報道では、人文・社会系の人たちは、新しい大学構想を真っ向から否定しているように見えます。その中で、今、河合塾からの調査結果を上げてくるわけでしょうけれども、反対している人たちがいる中で、この調査結果を生かすことができるんでしょうかね。どうですか。

○大村参事 現在、人文・社会系チームもいろいろ詳細設計の作業を進めていただいておりますけれども、率直にいいまして、この人文・社会系の作業ペースにつきましては、ほかのチームと比べて著しくおくれている状況にございます。
 原案が必ずしもそろわない中で、今後、座長あるいは専門委員の先生たちとご相談の上、河合塾に今回出した調査などと、適宜フィードバックしながら、原案を策定していくこともございます。人文・社会系チームから原案の提出があったとしても、委託の調査結果を踏まえた案と比較考量し、最終案を詰めてまいりたいというふうに考えてございます。

○山本委員 人文・社会系の先生方から出てきたものと比較考量して、客観的によさを合わせて、整合性をとっていくということであれば、私は大変結構だと思うんです。
 ただ、ここで、人文・社会系のチームの了解がまず得られていない。真っ向から反対しているわけですから、内容としてはすぐれているが、現在、在学している先生方のやる気を失わせる、失敗する、こんな懸念はないでしょうか。すばらしいプランを出してきたんだけれども、そういう反対している人たちがいる中で、一生懸命やろうとしている先生もいるわけで、やる気を失わせることがありはしないだろうか、その点ではどうですか。

○大村参事 大学改革を進めるに当たりましては、まず現状を変えることが重要であるというふうに認識しております。大学という狭い社会の中で、現状維持をとうとぶ一部の先生方からの批判は覚悟しているところでございます。
 ただし、新たな人事給与制度などを導入する中で、真にやる気のある先生は報われるような仕組みづくりをしまして、そして先生たちのやる気を強く出していくというふうな形で、真にやる気のある先生には、やりがいのある大学にしていきたいというふうに考えてございます。

○山本委員 人それぞれ、おのれの今いる立場によって、いろんな考え方を持ち、いろいろな意見を発表したり、あるいは態度をとらざるを得ないときもありますが、やはり本当にまじめに生徒を教えてくれるような立派な先生たちは優遇してもらいたいし、ぜひそういう先生たちがたくさん都立大学に残っていただきたいと思うんです。
 確認のために最後に申し上げますが、今入手したこの仕様書がありますね。それを基礎資料として記載している一方で、文部科学省への設置認可申請様式に準拠した、というような記載がありますが、それでは、順番に書いてあるものですから、設計を民間に任せきりにしている、そういう誤解を招くんじゃないでしょうかね。どうですか。

○大村参事 これは委託仕様書の中のテクニカルな問題の部分でございまして、来年の四月末に文部科学省への本申請を控える段階で、合理的に検討を進めるための記載でございます。仕様書には毎週一回の報告義務を課していることからもわかるように、文部科学省への設置認可申請様式に基づいてキャッチボールをする中で作業を進める方が省力化できるかなと考えてございます。
 なお、私どもの文部科学省への設置申請につきましては、今回認可がおりました法科大学院を初め、今まで、短大の大学化あるいは博士課程の設置などいろいろなものを全部大学管理本部、あるいはその前身である各大学の事務局などでも行ってきたノウハウがございます。
 一部の私立大学などでは、設置申請の書類そのものを委託に出すところもございますけれども、私どもは、先生方の協力も得ながら自前でできるという部分でございまして、今回の委託内容につきましては、そのときの資料の一つの参考資料の部分で、そのまま一部、文科省に使うことができるようにするもので、あらかじめどの部分をというよりも、委託内容を幅広くとっておいて、何かあった場合にそれを活用できるように、こういう仕様書の一つのやり方という形でございます。

○山本委員 先ほどから聞いていて、河合塾に委託したということは、いろいろな基礎資料、例えばよその大学、早稲田大学はどう、上智大学はどうというような、よりいろいろな資料を集めるためにお願いしたのであって、それを受けて、大学管理本部はきちんとした資料づくりを新大学のためにやっていくということだろうと、私は理解をいたしました。
 そこで、十七年度の開学に向けて、しっかりその検討を進めていただきたいと私は思います。間もなく、大学が高校と同じように全入時代が来るという中で、社会や学生のニーズを意識したカリキュラムが編成されるのは、これから当然のことであると思うんです。それを反映するために外部委託を行ったとすれば、これは理解ができるわけであります。
 今回は、なぜか契約手続を行う前に情報が流出していたようでありますが、反対のための反対に絶対にくじけないように、大学管理本部が毅然とした態度で大学改革を推進していくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
 以上です。

○石川委員 私からも、都立大学法科大学院に関連して若干質問をさせていただきます。
 去る十二月七日に、新たに設立される都立法科大学院の説明会が行われたばかりというこの時期に、昨日、学生の募集の見直し、それから試験を延期するという大学管理本部のマスコミへの発表があったわけであります。
 今、山本委員からも概略お話がありましたけれども、受験生のために、もう少し事実関係をしっかりしておきたいという意味で質問をさせていただきます。
 まず、文部科学省に法科大学院の許可申請を出しましたのは、本年六月二十七日ということでありますが、認可されたのはいつになりますか。

○宮下参事 十一月十八日に認可の内示がございまして、十一月の二十七日に認可書の交付があったところでございます。

○石川委員 十一月十八日に認可の内示があったと。それでは、この四人から退職願が出されたということでありますが、最初の退職願が出たのはいつですか。

○宮下参事 十一月十九日に最初の退職願が出されたところでございます。

○石川委員 内示のあった翌日ですね。それでは、その後はいつ出されたんですか。

○宮下参事 二人目は、認可書が交付された十一月二十七日に出されました。十二月九日には二人から出されております。

○石川委員 十二月九日という日は、どういう日でしょうか。

○宮下参事 先に二人の退職願が出されておりましたので、十二月十日が文科省に対する補正の申請の締切日であったということもありまして、補正を行うため、先に退職願を出された二人の補充人事を教授会に諮った日でございます。

○石川委員 それでは、補正を行うために、二人の退職に伴う補充人事を教授会に諮ったと。そうすると、大学管理本部はいつの時点で、こうした事態が起きそうだということを知ったんでしょうか。また、それは大学管理の情報で知ったのか、あるいは文部科学省からのさまざまなあれがあって知ったのか、その辺についてちょっと事実関係を教えてください。

○宮下参事 四人の方からは、申請に当たりまして就任承諾書を出していただいておりましたので、よもや退職願が出るということは想定しておりませんでした。
 大学改革に関連いたしまして、十七年度四月に先立って十七年三月に退職するかもしれないというようなうわさがあったことは承知しておりますが、今年度をもって退職するというようなことは一切想定できなかったところでございます。
 その事実を知りましたのは、都立大学の法学部の法学部長である前田先生からの連絡等で知ったところでございます。

○石川委員 今ご答弁にありましたけれども、整理しますと、一人は内示のあった翌日に、一人は認可書が交付された日に、二人は補充人事を教授会に諮った日に、まるで、ねらいすましたように退職願を出しているということになります。
 管理本部に伺いますと、実は十二月の初めごろからこうしたうわさを耳にされ、また文部科学省の方からも、内定している先生がおやめになるようなうわさがあるけれども、おやめになった場合にはどんなふうに対応するのだというような話があって、管理本部に説明に来てほしいという事態もあったと仄聞しておりますけれども、その点いかがでしょうか。

○宮下参事 お二方について、最初、十一月の十九日に退職願が出されまして、次いで十一月二十七日に出されました。それが何らかの形で文科省の方に伝わりまして、私どもの方に事実関係を伺いたいということで、ご説明に伺ったところでございます。

○石川委員 今ご答弁ありましたように、法科大学院の専任教員になることを承諾していた方が、認可された途端にやめるといい出した。やめる理由につきましては、それぞれの先生方の内心ですから、とやかくいうことはありませんが、関係者、受験をする学生から見ると、都立大学法科大学院はどうなっているんだということになってくることは、これはもう仕方のない事実であります。
 しかも、昨日、募集の見直しと試験を延期するということになりますと、もともと法科大学院、先ほど授業料等の問題で、優秀な人材を集めたいというねらいがあって授業料も低めに抑えたんだと。一方でそういう措置をとりながら、今回新たに認可された法科大学院の入学試験が一応終わったところで、その後、都立法科大学院は試験をやらざるを得ないという事態になってしまったわけであります。その責任は大変重いものがあるといわざるを得ないと私は思います。
 今後、最善の努力をされて大学院の開校に向け、また、さまざまなことはありましたけれども、優秀な人材が集まるように最大限の努力をしていただきたいことを要望し、質問を終わります。

○曽根委員 それでは、まず、今も話題になりましたロースクール、法科大学院の開設を直前にしての、報道されている四人の先生の退職の問題について、今幾つか質問もありましたから、ダブりを省きまして、まず、こういう事態に至った最終的な責任というのはだれが負うべき問題だと考えていますか。

○宮下参事 まずは十六年四月、予定どおり開設に向けて努力をしていく責任が、私ども大学管理本部、それから都立大学にあろうかと思います。
 それから、このような影響を与えたわけですから、さまざまな理由はありましょうが、事前に就任承諾書を出しておきながら突然退職願を出されたという四人の先生方にもそれ相応の社会的な責任があろうか、このように考えております。

○曽根委員 先生方には退職の自由はあるんですか。新しい大学のカリキュラムに承認をしていたということが、ご本人の退職願を縛ることはできますか。

○宮下参事 四人のうち三人につきましては、体調不良等の理由で退職願を出されているところです。お一人につきましては、一身上の都合ということで退職願を出されているところであります。

○曽根委員 体調不良や一身上の都合ということですから、これはそういう形で出された以上は受けるしかない。その後の対策については、基本的には大学管理本部が、設置者、東京都ですから、埋め合わせを検討するしかないということですよね。
 そのことを踏まえて、私、お聞きしたいんですけれども、まず、この大学院の構想が固まったのは、六月一日に先生の配置が決まって、六月二十七日に申請したというふうにいわれました。私は、これが八月一日の新構想発表よりもかなり前であったことが、極めて重要な事実だと思うのです。
 やめた先生方が、もう既に十月ごろから、同僚の先生や、それから、そのほか大学の内部の方々に、自分は新大学が設立するときにはもうこの大学にはいないだろう、新大学にはついていかないということも、はっきり表明していた法学部の先生がいるということは、私も聞いておりました。
 したがって、八月一日以降、新構想が発表されて以来の知事または大学管理本部サイドからのやり方に対して厳しい批判の意見を持っていた。そして、それまで曲がりなりにも大綱に基づく大学づくりに協力してきた人たちの中でさえこういう動きが起きてきたという点では、新構想の発表以後の、中身ももちろんですが、管理本部のやり方が、こういう事態を招いた一番大きな事実上の責任があると思いますが、いかがですか。

○宮下参事 新しい大学に対する考え方はそれぞれあろうかと思いますが、法科大学院は十六年四月に開設する予定でありまして、その内容につきましては、何ら申請時と変わっているところではございません。
 したがいまして、職業人の常識といたしまして、就任承諾書を出して約束した限りは、少なくとも十六年度は法科大学院で教えるという責任があったのではないか、このように考えております。

○曽根委員 それではお聞きしますが、既にこの四人の方の中には、一年間は法科大学院で教鞭をとるけれども、その後は自分は新大学についていかないということは、一年しかいないということも明言されている方がいたと聞いていますが、そのことを知っていたかどうかということと、そうであるならば、もう一年たったら法科大学院の--特に今回、民法の関係が、三人の専任教員が必要なところ三人ともやめられてしまって、それでもう、これはだめになったわけですよね、一人でも残っていればまだしもですね。そういう事態になることが、開学して一年先には考えることができたはずなのに、そのことを心配した文科省の問い合わせに対して大丈夫だというふうに答えたと聞いていますが、いかがですか。

○宮下参事 そうした発言をされている先生がいたといううわさについては聞いております。
 しかしながら、本年度をもって退職するというようなことは聞いておりませんし、就任承諾書を出して手続が着々と進み、設置の認可がおりたこの時期に退職願を出されるということは全く想定しておりませんでした。

○曽根委員 四人の中には、七月までは少なくとも独立行政法人化していく都立大学の改革大綱路線に先頭を切って協力してきた先生がいたわけですね。お名前は申し上げませんが、昨年の都立大学の総長選挙では、現総長と、いわば候補者として争ったといいますか、選挙の立候補もされた方ですよ。当然、大学の中では、一方は批判的な立場だが、一方はまさに推進派と見られていた、自他ともに認める方ですよ。その方が、八月一日以降の事態に、そして特に十二月九日にやめられるときには、河合塾への委託発注問題で、私はもう絶望したというふうに同僚の方におっしゃっていると。
 私は、その方はよく存じ上げていまして、もう十年近く前になりますけれども、青島都政時代に、臨海開発懇談会の副座長ですか、責任者の一人として、いわば開発推進のために熱弁を振るった方ですよ。私は批判的な立場で、ほとんどの臨海懇、全部傍聴していましたから、彼が青島知事に臨海開発推進を決断させるためにいかに重要な役割を果たしたか、よくわかっています。
 しかもその後も、都の行政のさまざまな委員会、審議会に多数参加をして、まさにその後の都政を、私たちは野党ですから批判してきていますが、推進する立場に立ってきた方ですよ。石原知事になってからも、大学改革に文字どおり全身全霊を傾けて頑張ってきた方じゃないですか。
 その方が、八月一日からの事態に絶望したといってやめていく。これは一体何なのか。本当に石原知事やあなた方が進めている事態が、自分に協力してきた人たちまで全部見捨てていこうとしている。まさに墓穴を掘ったとしかいいようのない事態じゃないですか。
 私は、少なくともこうした方々がもうついていけないとまでいっている、その最後のとりでを壊したのは何かといえば、まさに大学らしい大学ではなくなる、もう大学とは呼べないものになっていくということなんですね、この方がおっしゃっているのは。もう大学という代物じゃないと、今つくられようとしているのは。この本質問題が、やはりこの問題に図らずも出てきた。
 知事は、記者会見のときに繰り返し、ついてきたくない人はもうやめていいんだ、やめて結構とはっきりおっしゃっているんですよ、公式の場で。それからすれば、やめるのは全く自由だし、そのことについてとやかくいうことはできないはずですが、いかがですか。

○宮下参事 先ほど来申し上げておりますが、いろいろな考え方は、それぞれあろうかと思います。しかしながら、就任承諾書を出して、来年度法科大学院で教えるという約束をして、その法科大学院そのものの中身が何ら変わっているわけではございません。そうした約束をしたのであれば、その約束をきちんと果たすというのが社会人として常識であろうと思います。
 そういう意味で、今回の事態はまことに残念に思っているところでございます。

○曽根委員 それならば、やめていく人に社会的な常識を求めるのであれば、八月一日に記者会見で知事が、やめたい人はやめていいと。つまり、承諾書をその時点ではもう出して、法科大学院に対してやることを承諾した後の問題ですよ、知事が、ついてきたくない人はいいんだと。この非常識な発言、しかしこれは知事の発言ですからね。あなた方がいっているよりもはるかに上位の方の発言として、やめたきゃやめろといったわけじゃないですか。もちろん退職の自由はあるわけですよ。しかし、それが道義上の責任問われるなんてね。道義上の責任問われるのは知事の方じゃないですか。やめたきゃやめていいっていって、全員やめたらどうなるんですか、大学は。
 この知事の発言についてはどう思うんですか。

○大村参事 今、委員の方がご引用された知事の発言は、八月一日に発表しまして、平成十七年四月からできる新しい大学についてのことでございまして、現在の都立大学が都立大学の法科大学院として設ける、十六年四月開校の大学院について述べたものではございません。

○曽根委員 もうごまかしは聞きたくないんですけど、じゃあ、法科大学院だけ先生として残って、都立の新しい大学はやめるということはできないわけですよ、これはセットですから。少なくとも一年間やったとしたって、その後はついていけなくなるわけでしょう、大学にいない以上は。そんなこと、はっきりしていることであって、専任の教員になれるのは、その大学の人でしょう。そのことを確認して、先に進みたいと思います。
 この大学が新構想に基づいてこのまま突き進んでいくということは、改めて原点に立ち戻って考えれば、独立行政法人法をことし決めたときに、わざわざ衆参両院で、これが大学の自治、学問の自由を侵してはならないということを重ねて決議された、このことを踏まえるならば、まさに実質的に、形は先ほどいったように大学の自由、学問の自由を守りますといったとしても、内実は壊されていくというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 その一つとして、この河合塾への発注の問題、私もちょっと聞いておきたいんです。
 これは本来ならば、現大学の先生方が新しい構想に協力してやっていくという形を本部は考えていたと思うんです。委託内容の仕様書をいただきましたが、これはカリキュラムそのものの課程をつくることまで全部含めて発注できるようになっているわけですよね。先ほどは、その中の全部を発注するとは限らないなんというお話でしたが、やろうと思えば、先生方の仕事を全部干して、カリキュラムを全部つくることを事実上委託することさえできるような中身になっていた。それが三千万円で発注された。この三千万円というのは、大学管理本部側から提示したようですけど、一体どういう根拠で計算したんですか。

○大村参事 本件の委託につきましては、都市教養関係の都市教養学部、人文・社会系各コースの教育課程の設計、都市教養学部全体の教育課程の設計、都市教養コースの教育課程設計、都市教養教育の教育内容の設計、エクステンションセンターの実施内容に関する調査委託など、かなり幅広い内容で委託をさせてございまして、私どもの見積もりでは、大部分を人工といいますか、人件費ということで見積もらせていただきました。
 契約の翌日から平成十六年三月三十一日という期間に、これだけ膨大な、ほかの大学の先進的な事例を各分野にわたって、また海外も含めた大学でございますけれども、そういうものにつきまして調べていただくというふうなこともございますので、それだけ必要というふうに見積もったものでございます。

○曽根委員 大半は人件費ということですが、私は、この問題については、十一月に発足をした都立大学の内外の方でつくっている都民の会という団体から、三千万円は、現大学のスタッフを中心に取り組めば、ほとんど外注の費用はかからないものであって、都民の税金のむだ遣いではないかという抗議の声明が出ていますが、全くそのとおりだと思います。
 私は、新大学、もちろん世界じゅうの大学を参考にするのも結構、国内のほかの大学を参考にするのも結構なんですが、少なくとも現都立大学のやってきたこと、成果を踏まえてどういうふうに組み立てていくのか。都市教養学部という、そういった学部の名前は決まっているけれども、中身は全くまだ見えないわけですから、それをつくっていくに当たっては、現大学の教員の協力を得られなければ、これはやはりできないと思うんですよ、実際に。
 現に、カリキュラムをつくるに当たっては、文科省への申請があるわけですから、今現場で教鞭をとっている先生方が、実際には、文科省の申請のために、そのカリキュラムの科目の申請の書類を書いているというふうに聞いているんですが、この河合塾に委託したものと、先生たちがやっている作業との関係は一体どういうことなんでしょうか。

○大村参事 今回の委託につきましては、先ほど挙げた項目の調査、分析及び基礎資料の作成ということで、カリキュラムづくりそのもの全体を委託したものではございません。
 先生方に、今、実際に、文部科学省への申請に向けまして、具体的な授業科目をどうするか、そしてその科目は具体的にどういう内容の科目かというふうな、実際のカリキュラムのもとになる授業のピックアップなどもしていただいてございます。
 ただ、現在の先生方は学問縦割りの大学で育ってこられた方でございまして、従来の大学教育の中では、一つの学問をマスターするというふうなことが目的ということで、まず基礎を勉強し、最後にそれを応用して卒業していくという、基礎積み上げ型の縦割りのコースだった。
 それを今度新しい大学では、むしろ実社会に出たときに必要な複数の観点からいろいろ学べるという、学際的なコースにするというふうな部分で、先生方から出てきたいろいろなものにつきまして、逆に学際的な観点から足りない科目、あるいは授業のとり方も含めた、いわば味つけのような部分をどうやっていくかというふうな部分をいろいろ参考にするために、この調査委託を出すものでございます。

○曽根委員 実際には、基礎資料を河合塾に集めてもらったりして、それをもとにカリキュラムをつくると。しかし、私の知る限り、この二つの作業はつながっているというふうには聞いていませんよ。
 私、また八月一日みたいな事態がじきに起きるんだろうと思うんです。つまり、先生方には文科省あての書類を書かせておいて、いざとなれば、河合塾が事実上ほとんど全部つくったものがぽんと表に出てくる。こういうことを繰り返しているんじゃないですか、この間。はっきりいってそういうことが--もうだれも信用してませんからね。七月三十一日までさんざん協力して、先生がどの学科を担当するか、ほとんど決まっていたものを全部投げ捨てて、新学部になったんですからね。こんなことをやった以上は、もうだれも信用しませんよ。
 文科省は、このカリキュラムの申請について、大学管理本部がさんざん説明しているようなコース方式、必修や選択は置かないで、いわば学生が自由に選べるようにしたいという考え方については、それはいかぬと、必修科目はちゃんと持たせなさいというふうにいっているんじゃないですか。いかがでしょうか。

○大村参事 現在、文科省と事前伺いの手続を初め、徐々に詰め始めてございます。私どもの考え方についてはよく説明をし、その中で文部科学省の理解を得、また、文部科学省の制度、必要があれば制度改正のお願いもしながら、この新しい大学がうまくできるように進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 ちょっとこれは厳密に確認しておきたいんです。現時点では制度改正なんかされていないんですから、必修科目は各学科に置かなきゃならないということは間違いないですよね、文科省との関係では。いかがですか。

○大村参事 文部科学省とのやりとりで、具体的なそこの詰めまでいく段階ではございません。まだその前の段階でいろいろやっているところでございます。
 そういう意味では、これからいろいろなやりとりをする中でどうしていくかという部分はございますけれども、私どもとしては、いわゆる全員必ず受けなきゃいけないという必修という考え方の部分については、これはとらない。ただ、その科目科目で、あるいはそのコースや何かでとらなきゃいけない科目が出てくるのは確かでございます。例えば教員免許を取るにはこういった科目が要るとか、あるいは看護師さんの試験を受けるにはこういった授業を受けておかなきゃいけないとか、実習をしなきゃいけない、それをどういうふうに表現するかについては、また文科省と相談してまいりたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 文科省との間でもまだこれからでしょうが、文科省が求めている、今までの大学の形を余り壊し過ぎないでちゃんとやってくれということと、それから、現大学の教職員の協力がこのように得られない、不安が広がっている状態では新大学は難しいと、厳しい指摘がされているというふうに聞いていますが、そういう事態が、このカリキュラム一つ見ても起きていると思うんですね。
 こういうふうに新構想に基づいてどんどん進めば進むほど、実際に学問の自由とか大学の自治とか自主性とかいっても、中身は、管理本部が外枠もつくり、そしてカリキュラムも外注に出して受験産業につくらせ、先生たちには書類を書かせて文科省のオーケーは取るかもしれないが、実態としてあらわれたものは、また別のものが出てくるということだって起こりかねないわけですよ、今までの事態を見れば。
 これで一体どこに大学の自治があり、これから大学を構成する人たちの、実際に大学づくりに参加するという実態がどこにあるのかということと、それから、それぞれの先生たちが大事にしてきた学問の領域というのは一体どうなっていくのか。管理本部と河合塾などが中心になって、どんどん勝手に学科がつくられて、そこにはめ込めと、入りなさいといわれて、一体どこに自治と自律性が担保できるのか。私は率直にこれは疑問なんですが、管理本部長、こんなやり方でやっていて、大学の先生たちが、少なくとも憲法や教育基本法で定められている学問の自由や大学の自治というものが、何といいますか、実質、ほとんど守られる保障がないというふうに批判しているのは当然だと思いませんか。
 これは管理本部長、基本的な問題なので、ぜひ答えていただきたい。

○山口大学管理本部長 曽根委員の意見、毎回文教委員会でお伺いしていますが、文部科学省からも、新しい大学構想に対して不安の声というのは、私どもは聞いておりません。
 前回の文教委員会でお話ししましたように、我々は、都立大学だけではなくて、科学技術大学、保健科学大学、短大、四つの大学をまとめている大学管理本部でありまして、それぞれのご意見で、今、教学準備委員会を開きながらやっているところでございますから、反対なさっている方もいらっしゃることは当然ですけれども、賛成なさっている方も大多数おります。その中で大学改革をやっていこうとしているわけです。
 もう一つ、一番根幹的に違うのは、これは三年前から、実は大学改革というのはずっと進めております。その場合に、我々は平成十二年の九月に包括外部監査を受けておりまして、その包括外部監査の中では五点ばかり、特に一番大きいのは収支とか学生数、教員数。独立行政法人になるに当たりましては、そうした法人になっていくための経営の視点というものを多く求められております。当然のように、前回もお話がありましたように、二八%、私学ではもう定員割れを起こしている中で、この少子化をどう乗り切るかが大学間の競争になっております。
 したがって、そういう経営の視点を入れるためにどうしていくかということで、根本的なテーマをずっと抱えております。ただ、その裏側には、教員数とか学生数とかということがベースにありますから、当然、反対なさる方はいらっしゃいます。しかし、我々は、運営交付金という形になっていきますけれども、多くが税負担でやっていくことには変わりありませんので、できるだけそれを有効に活用するために大学改革をしておるわけでありまして、時の情勢の中で柔軟に変化をするような形で大学をやっていこうとしています。
 そういう面では、専門家の委員の皆さんの意見を聞きながらやっていくわけでして、大学管理本部だけがいかにも操作をしているようないい方をされると、非常に心が痛むわけでして、これからも多くの社会の方のご意見を聞きながら、いい大学にしてまいります。

○曽根委員 そういうふうに大見えを切っても、現実には、じゃあ受験生やそういう人たちが、そこを目指してまじめに勉強しようというふうになるかどうかということ、これが最後の審判ですよね。都民に選ばれなければ、改革というのは何にもならないわけです。
 この間、聞くところによると、新大学についての説明会があって、そこで受験指導の方々が集まったんだけれども、例えば未来塾という構想がありますよね、こういうことについて質問が出ても、それは教育庁でやっているので答えられないとかね。未来塾というのは教育庁の主管かもわからないけれども、都立の大学が協力してやらなきゃできないもので、都立の大学にそういうことも含めて聞くのは当然で、それを教育庁に聞いてくれという答えも、ひどいものだと思うんです。それから新しい大学の構想も、仮称だというのはどうしてなんだって聞かれると、いや、それは文科省からそういう指導をされてるからとか、まともな、ちゃんとした答えができていないというのを、出席した方から、私、ちょっとお聞きしたんです。
 本当に受験生にきちんと新しい大学を説明し、まじめに大学を受けてもらおうと思ったら、今ごろこんな議論している場合じゃないんですよ。学長予定者だってとっくに決まってなきゃおかしい。そうでしょう。だって、再来年の春には受けるんだから、今もう既に受験準備に入っているわけですよ、受ける高校生は。そういう段階に来ているにもかかわらず、こんな議論をしなきゃならない我々も、本当に情けないんですよ。
 それで、私は改めて、これからの大学、改革というのは当然必要ですが、何を残し、何を変えていくのかということを原点から、大学関係者はもちろんですが、都民の多くの方々の意見も聞いて、我々も意見をいっていきたいし、やっていくべきだと思います。
 例えば、今度の大学新構想で、私、大変気になっているのは、都市問題を大いにやっていこうというふうにいいながらも、これまで三十年以上の歴史を持っている都市研究所がどこにも書いてない。お聞きしたら、どうも消えてなくなるらしいと。三十年の歴史を持つ都市研究所を、我々にも何の説明もなく、新構想にはもう入っていない。一体この成果はどこにどう引き継がれていくのか、これはもう大変な疑問なんですよね。都市問題をやるというのだったら、都市研究所をもっと立派な研究所として拡充し、大学の中心に位置づけようとしたって、おかしくないくらいですよ。この都市研究所についてはどういうふうに位置づけようと考えていますか。

○大村参事 今回の新しい大学の使命につきましては、八月一日に発表させていただきました構想にございますように、大都市の大学としての使命ということで、大都市における人間社会の理想像の追求ということで、大学全体が大都市のいろいろな課題に果敢に挑戦し、それを分析し、解決をしていくための教育研究を進めていこうということで、都市研究所や何かで扱っている問題も含めまして、大学全体でこれからのさまざまな都市の問題に対応していくというふうに考えてございます。

○曽根委員 研究所そのものはどういうふうにするお考えなんですか。

○大村参事 大学の個々の組織や何かにつきましては、現在、検討中でございますけれども、大都市の問題につきましては、大学全体でこれをやっていくというふうなものでございます。
 そういう意味では、大学院で、各分野で、この大都市の問題に果敢にやっていくということでございますので、現在、都市研究所に所属している教員も含めまして、大学全体でいろいろな問題に当たっていくというふうに考えております。

○曽根委員 大学全体でやるというと、いかにも本格的にやるように聞こえますが、都市研究所というのは、大学院の中の都市科学研究科ですか、これを教えている七人の先生が中心スタッフになりながらも、現実に、今でも、都立大学内外の多くの都市問題を研究しているあらゆる分野の学者の人たちの協力を得て、テーマを定めて共同研究をやったり、通年研究というんですか、何年かかけての長期にわたる研究をやったりしているところで、今でも大学全体で支えていて、この研究所の所長は総長なんですよね。ですから、大学全体でつくっている研究所なんですよ。
 そういう意味では、全くこの形が、今までやってきた形がまずくて、大学全体でやるからこんな研究所はなくてもいいんだというふうになぜなるのか、私、不思議なんです。
 例えば、こういう研究所があるからこそ、ここにまた研究科の院生もいて、例えば、私、すごいすぐれた研究だと思ったのは、中林先生という、地震問題では権威ですよね。この方が、トルコとか、この間起きている台湾とかの地震との比較研究、地震の被害、人命救出、それから復興に至るまでずっと追っかけて、各国の防災問題での比較研究というのをやっている。これはもう何年もかかってやっているわけですよね。これはまさに東京に今必要な研究だと思いますよ。
 それからもっとソフトの面といいますか、例えば、都市に住む高齢者がいかに老後の余命が長いか、長生きできるかということと、そのお年寄りが抱えている、持っている社会的なネットワーク、そのお年寄りの周りにどういう人がどうかかわりを持っているかという地域のネットワークが、いかにそのお年寄り一人の寿命を支える力になっているかという極めて緻密な研究、これは院生の方も協力してやってるみたいですが、こういう研究、やはり宝の山だと思いますよ。
 それを、研究所そのものを大学全体で位置づけてちゃんと形にするのかなと思ったら、大学全体にばっと広げてやるからいいんだと。そんなふうにならないですよ。だって、いろいろな学部の違いがあるところが集まってくる場所があるからこそ、研究所があるからこそ、こういう研究ができているわけです、大学内外の協力だって。
 私は、こういうやり方を、やはりいいところはきちんと残していくことがどうしても必要だろうと。まともに研究所の人たちとも話し合ってないでしょう、大学管理本部。大学全体でやっていくから、あなた方もう結構ですというようなことをいって、納得できますか、これ。研究所との協議なんかはやっているんですか、この関係で。

○大村参事 今度の新大学では、大学全体が大都市の問題に対応していこうというふうな問題でございます。
 この大都市の問題というのは、複雑な環境の問題も、あるいは福祉の問題も含めまして、今までの学問縦割りではできなくなっている分野もございます。そういう意味では、これからは複眼的な、学際的な、こういったチーム構成が必要になってくる。新しい大学では、まさにそれをねらいとしているものでございまして、大学全体でそれに対応していこう、大学全体が大都市の、この東京という都市のシンクタンクとして役立たせていきたいというふうに考えております。
 したがいまして、ご懸念のようなことがなく、逆に、今都市研究所の主翼を担っていただいている都市科学研究科の先生たちも一緒になって、今、新大学の設計に入っていただいておりますので、そういうご懸念のないように、今までの都市研究所の研究成果をさらに発展させ、大学全体で、この東京に役立つ研究、そして複眼的な視点からさまざまな解決のできる研究をし、またさらに、さまざまな都市のいろいろな場で活躍できる人材を育てていきたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 大村さんの答弁て、私の話を聞かないで答弁を考えているんじゃないかと思うんだけど、私がいっているのは、研究所があるからこそ、縦割りで狭くなりがちな学問分野が結集できる場所があるといっているんですよ、ここに。
 だから、防災問題だって、人の生活の問題があり、まちの復興の問題、ハード、ソフト、全部ここで集まって一つの研究ができる。そのために研究所をつくっているんでしょう。理学系だけでやればいい研究は理学部でやればいいというふうになるわけですよ。だから、大学全体でやるということは、各学部に散らばって、縦割りに逆になりがちだからこそ、研究所をつくったんですよ。そんなことわからないんじゃ、もう話にならないんですけれども、私は、都市研究所のこの理念、もちろん七人のスタッフでいいとは思いませんよ、これはもっと広げて、本当に都市の問題を担う、首都東京が持っている大学というのだったらば、この研究所を拡充するということは必要だと思います。
 そして、このことは、やはり大学人の、今、都立大を構成している方々の意見を十分に聞けば、当然大事にしなきゃならないものっていうのは見えてくるわけで、そのことをやっていないところに、こういうボタンのかけ違いがあらゆる分野であるということを申し上げておきたいと思うんです。
 ボタンのかけ違いの最後に、一つ、前回の宿題がありますので、やっておかなきゃいけないんですが、大学院の問題なんですよ。もちろん学部の問題はあるんですけど、平成二十二年に現大学の学生はすべて学籍を失い、その段階でまだ籍が残っている学生は新大学に移行させるという方針が前回の委員会で報告されました。
 この二十二年という根拠は何かということと、それから、特に大学院の場合は、その時点で残っている、例えば博士課程の人が通常三年というふうにいわれますが、実際には九年間そこにいて研究を続けることがあるというのが、それよりも前の段階で、現大学の学生は二十二年には切っちゃうと。その問題について、あたかもこれは学業不振者であるかのような話が前回あったように思うのですが、大学院生の場合には、長く大学にいて研究、学問を続けるということは、学業不振どころか、一流の学者になっていく、研究者になっていくための通らなければならない大きなステップになるわけで、この点の認識は改めて聞いておきたい。二十二年の根拠とあわせてお聞きします。

○大村参事 まず、前回の文教委員会でご説明したときのものにつきましては、四年制の学部の方の長期在籍者を中心にお話し申し上げたので、学部の四年を超えて在籍する者については学業不振が多い、そういう意味で、その者たちには改めて早い段階から出られるようにいろいろな指導をしたいということでございまして、当然、学業不振では大学院にもともと入れるわけではございませんので、大学院の方については、またこれと事情が違うというのは十分認識してございます。
 なお、二十二年の根拠でございますけれども、これにつきましては、法人化をしたときの第一期の中期計画が六年間でございます。そういう意味で、六年間がいろいろな意味での一つのめどになるというふうなことで、この六年をとったものでございますし、また、教学面から、一応基準の学部四年とか、それから修士は二年、博士は三年という課程は決まっていますけれども、きちっと早めに社会に出すということからも、ダブったとしてもその六年をめどにやるのを一つの目標にするというふうなことで、この二十二年というものを設定したものでございます。

○曽根委員 大学院については、学業不振じゃないということは確認しておきますよ。
 それで、そういう学業不振ではなく、まさに学者として自立していくためのステップとして大学院に残り、留学もし、自分で一生懸命勉強する場としての大学を選んでいくというふうにして、最長九年、博士課程であればいられるという現在の制度から、二十二年でだれがどれだけひっかかってくるかというのは、現状で考えてみて--私、この間ちょっと申し上げましたが、最後の大学院入学生というのは、やはり平成十七年、新しい大学はもしかしたらスタートしているかもしれないけれども、現大学院の体制のもとでは、十七年入学生が最後になるというふうに考えれば、二十二年では六年になってしまいます。現在、六年を超えて大学院に在籍している方は、都立大ではどれくらいいるんですか。

○大村参事 現在の都立大学、まあ、ほかの大学の大学院では六年超過者はいないわけなんでございますけれども、都立大学での六年超過者の院生数は二十九名でございます。(「何をやっているんだ」と呼ぶ者あり)なお、七年以上は十名というふうなことでございますけれども、六年以上は二十九名ということでございます。
 そういう中で、確かに十七年度には新しい大学で現在の研究科構成ということで進みますけれども、なるべくこの人数が少なくなるように、あらかじめいろいろな形で指導していきたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 前回の委員会で十名という話があったんだけれども、実際には、現在の大学院の構成で入る最後の大学院生、これが博士課程に入った場合、九年間いたいと思っても、現大学が六年で終わってしまう。そうすると、大学院も当然改組されるということで、今でいえば二十九人くらい残る可能性があるわけですよね。これは全体の大学院生が六百人くらいですか、に比べると、やはり相当な割合になるわけですよ。
 さっきも、何をやっているんだとおっしゃったけれども、学業不振者ではなく、研究者を目指すからこそ長く大学院にとどまって、先生の教えを請いながら、着々と自分の学問の道を進んでいる方々ですよ。大学では一番大事にしなければならない、将来、間違いなく大学か研究所の先生になっていこうとしている、まあ先生方にとっては後継ぎですよね。そういう方々が……(「そうとも限らないだろう」と呼ぶ者あり)いや、もちろん民間の企業に行って、民間の研究所で活躍している方もたくさんいますよ。そういう人たちが二十九人も残ってしまうとすれば、そして、それが新大学にいやでも応でも移行しなきゃならない、これはやはり重大な問題だと思うんですよね。現大学の体制で入っているわけですから、当然、その大学の学問の道、学科、専攻、これを選んできたということから、その卒業を保障するというのは、最小限のいわば義務として、現大学に課せられていると思うんです。
 そういう意味では、例えば、これはおかしいということで訴訟になれば、私、はっきりいって大学管理本部が負けるというくらいの重大な問題だと思うんですよ。その大学に入ったのに卒業ができないということになればね。しかも、今の規則ではそこで長く学問研究をやれるのにやれないということは、これはやはり約束違反になると思うんですが、この点はどういうふうにされるつもりですか。

○大村参事 十七年度に大学院に入る学生につきましては、新大学の学生になりますので、新大学としてはずっとあるわけでございます。新大学の大学院の学生の募集はこれからでございますので、これについて、今の形になるのは二十二年までですよというアナウンスはあらかじめして、それを目標にして受験をしていただくということになります。
 また、入ったときに、基本はやはり修士の場合は二年、博士の場合は三年でまず行っていただくというのがベースでございます。ただ、それでも、ダブっても六年まで行けるというふうなことでございます。そしてさらに、同じ大学が続いているわけでございますから、新しい構成の大学院の中に編入するとか、個別の道をその前に探りながら、遺漏のないようにしていきたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 これは非常にひどい話で、今までは九年いられるんだけれども、今と同じ大学院の構成だが、新大学に入ったことになるので、大学院にいられる期間は六年になる、そういう規則をつくるんでしょうけれどもね、新大学で。
 そうすると、翌年から、十八年度から新しい構成の大学院に入った人たちもまた博士課程でいうと六年くらいにするおつもりなんですか。

○大村参事 あくまでも基本は、博士課程であれば三年でございまして、例えば休学というのは、とることが許可されれば一年ごとの更新が許されるということで、別に権利ではございません。文科省や何かも、なるべくこの基準の中で卒業させるようにとか、そういう部分も含めて指導は受けているところでございますので、基本的にはまず三年で卒業できるカリキュラム編成や教育体制をきちっとした上で、個々の学生の状況なんかに応じて対応していくものでございまして、あくまでも六年とか九年を保障するとか、そういうふうなベースの話にはならないものでございます。

○曽根委員 ということは、またまた重大な問題なんですけど、新しい大学では大学院の、今、都立大学でやっているような方式、つまり基本はもちろん博士でいえば三年なんですが、休学または留学を含めれば九年間は学籍が置ける、そういう勉学の条件を保障しているわけですが、そういう規則は持たないという方針なんですか。

○大村参事 学則でさまざまな規定をこれから整備していかなければいけませんけれども、現在の都立の大学の間でも、このいろいろな基準はばらばらでございます。
 そういう意味では、いろいろな大学のケースを参考にしながら、これからどういう規定を設けていくかということでございまして、現在の都立大学の規定と全く同じにするというふうなこととは必ずしも限らないものでございます。中身については、これから詰めていくものでございます。

○曽根委員 私は、学部の学生の場合、これは基本的に四年で卒業するのが本分だと思いますよ。しかし、大学院というのは、学部を超えて研究、勉学を続けるために残って、場合によっては留学もしながらグレードアップしていく世界ですから、一人一人を大事にするというのは、大学の非常に重要な部分だと思います。その規定を設けるのは当然だと思います。
 その中で、現都立大学で、博士課程でいえば九年在籍できるというふうにしている。その後、新大学はどうなるかはこれから検討する。しかし、そのはざまにある十七年度入学の大学院生に限ってはもう六年で切られる、これだけははっきりしている。その後はまた九年に戻るかもしれないですね、場合によっては。十七年度大学院入学の人たちだけが期限を切られている。その根拠は何かと聞いたら、中期計画だと。
 はっきりいって、制度に人間をともかく押し込めようと。そのために、大切な研究者の卵になる人たちを、無理やりでもほかの大学に行くか、何とかしてくださいというのは、あんまりひどいじゃないか。一体大学というのは何をするところなんだ。制度をつくるだけならだれでもできるんだ。そこでまともに頑張ろうとしている研究者を、そういうひどいやり方はないじゃないですか。
 中期計画にこだわらなければ、現大学で規定をそのまま延長すれば、いずれは卒業して巣立っていくわけでしょう、ちょっと三年くらい延長すれば。これは新大学が発足して、の仮定だから、余り私はいいたくないけど、新大学がどうなろうと、少なくとも今研究に携わって、大学院を目指している人たちについて、それを最大限保障しますよという、前総長も学生に約束した、この約束の理念を守ってもらいたいんですよ。何で中期計画にこだわって二十二年で線を引くんですか。大した予算のかかることじゃありませんよ、もう人数は限られているんだから。何とかなると思いますが、いかがですか。

○大村参事 全く逆でございまして、私どもは、新たな制度として単位バンクという考え方を入れようとしております。これにつきましては、修業年限について、むしろ制限を取っ払っちゃおうというふうな考え方でございます。そういう意味で、先生のおっしゃる九年だとか六年だとかいう、逆に制限について、なるべく柔軟にできるようにしたいということで、大学院の学生につきましても、一たん中断してまた入ってくるとか、そういうのも含めまして、かなり柔軟にしたいというふうに考えてございます。
 ただ、十七年に設置されます大学院の研究科の構成については二十二年度までですということでございまして、十七年に入った学生さんが必要があれば十八年以降、別の構成にはなりますけれども、新大学の大学院の中で勉強を続けることは可能でございますので、そこについては誤解のないようにお願いできればと。
 むしろ、規定でいろいろ縛るよりも、この単位バンクを使って柔軟に研究を続けていただいて、一たん中断したり、あるいはまた戻ってきたり、再開したりというふうな、かなり柔軟な運用ができればというふうに考えてございます。

○曽根委員 全然私の質問の真意を理解してくれないんですけど、私は、新大学の中身のことをいっているんじゃないんですよ。大学院まで行けば、その人の研究する世界というのは極めてはっきりしている世界で、それが新大学のどこにあるかという保障は今何もないわけでしょう、全く構成が変わるんだから。だから、今の研究を続けて卒業するという、そのことを前提に考えれば、今の研究体制、今の大学院体制を保障する。しかも、何百人もいる大学院の中で残っているのがそういう限られた、それでも二十九人、三十人近くいても限られた部分なんだから、その手当てはできるじゃないかといっているわけで、こんなことくらいやれないようで、何が大学だといいたいわけですよ。そのことはいっておきますよ。
 それで、私、最後に申し上げたいのは、八月一日発表の構想をつくった張本人、という言葉は余りよくないでしょうけれども、五月以来検討してきた新しい検討会を立ち上げる中心の西澤先生。西澤さんが会長をやっている公立大学協会が、十月二日に、公立大学法人化に関する協会の見解というのを西澤会長名で出しているんですよ。
 この中には繰り返し、大学法人は原則として学長を兼務する理事長、これは都立大学の場合違いますけど、を中心として、自主的、自律的に運営されなきゃならないと。それから、教育研究についての中期目標を定めるに際しても、設立団体の長、つまり知事ですね、あらかじめ当該公立大学法人の意見を聞き、当該意見に配慮しなければならない。それから、設置者である地方公共団体が法人化を選ぶ場合には、大学における教育研究の特性に常に配慮しなければならないという、これは法文にあるわけですけれども、こういうことをきちんと踏まえてやらなければならないということを繰り返し強調しているわけです。で、大学の担うべき高度な教育研究の確実な実施に対する責任を負っていることが、この法制度の基本的な前提である。だから、設置自治体が法人化を選択する場合には、公立大学と十分な協議を行い、新たな協力関係を築いていくことを要請します。教育研究の特性及び、この特性の最も重要な要素である自主性に常に配慮し、大学側と十分に協議しながら、双方の協働作業として進めていくという姿勢が何よりも必要だと、ここまで西澤名で出ているんですよ。
 新大学構想、中身はこの西澤先生が中心になってつくられた。しかし実施しているのは、大学本部がやっている。この西澤さん会長名で公立大学協会が出している見解からいっても、事態は全く逆の方向に進んでいる。都立大学の多くの先生がもうやめるという事態にまでなっている。もう既に、法学部のほかにも、やめるということを表明している方がぞろぞろ出ていますよ。こんなことで、大学の協力が得られたといえる実態にないことは明らかだ。
 四大学のうち一つだけだというかもしれないけど、一番大きな大学で、しかもキャンパスの中心を担う大学ですよ。これが公立大学協会の西澤さんの名前で出ているということは、一体どういうことになるわけ。この大学に、西澤さんが学長の予定者なんかになったら大変なことになりますよ、自分のいっていることと違う大学に来ることになるから。
 この公立大学協会の見解についての評価をお聞きしたい。

○大村参事 各地方公共団体が設置している大学につきましての団体としての公立大学協会があるわけでございますけれども、そこでの各大学がそのままの姿で独立行政法人化したときに、それまでの形とどう変わってくるかというふうなところについていろいろ危惧があって、そういうふうなご要望になったと思っております。
 私どもの今やっている作業につきましては、そのままの形で法人化するということではなくて、まず新しい大学をつくるというところで進めておりまして、これにつきましては、教学面について、現在、かなり多くの、ほとんどの先生たちの協力を得て、カリキュラムづくりに参加を、設計しているところでございまして、これに基づいてできた大学につきましては、当然のことながら、学問の自由とか大学の自治がある新しい大学として発足するものでございますので、ご要望はご要望としてありますけれども、ちょっと違う部分もある、私どもの作業の内容に対して、ダイレクトにそれが当てはまる部分ではない部分もあるということで、ご理解いただければと思います。

○曽根委員 当てはまらないところもあるが、要望、ご意見はご意見としてというふうな話もありました。
 公立大学協会、七十六大学の学長で構成しているもので、私は、こういう公立大学の共通の問題だからこそ、協会がわざわざこのように--法律ができたときに、衆参両院で、大学の自治や学問の自由を守ることとあわせて、法律にもわざわざ書き込んだ、大学の勉学、研究の自主性を担保するためにも、設置者、自治体は公立大学とちゃんと協力関係を新たに結びなさいということを、わざわざ強調しているんだと思うんです。
 その根本にあるのは、大学というのは自治体の長が勝手にいじり回してはならない、やはり協力し、お互いの納得の中で、新しい大学をつくるならばやっていかなきゃならないんだと、だれもがわかる当たり前の原則をやはりいっているわけです。その根本には大学の自治があり、大学の学問の自由があるわけです。
 私は、今の管理本部の作業を続けていくならば、必ずこれは早晩破綻すると。大体、マスコミを含めて、都民の納得なんか得られませんよ、この状態では。学長だって、私、だれになるか知らないけれども、こんな状態でだれが学長になったって、来たくないですよね、大体こんな大学じゃ。
 そういう点でも、総長さんが十月にたしか声明を出しましたが、やはりきちんとした、対等、平等の立場でのフリーな議論も必要でしょうし、またそこに都民の声も反映させるためのさまざまな手だても必要でしょうし、突き進むばかりではなく、立ちどまって、改めて大学の関係者との協力関係を結び直す努力を当局が行うことを求めて、質問を終わります。

○山口委員 私の方から、前回の事務事業質疑のときにもされた内容なんですが、確認の意味で、一点、二点、伺わせていただきます。
 大学の設置の件なんですが、廃止して新たな大学を新設するものなのか、現在ある大学を新大学に移行するものなのか、再度ご説明をお願いいたします。
 それから、もし廃止するというのであれば、現行の大学内の廃止手続を踏む必要があるのかないのかを含めて伺います。

○大村参事 今回の大学につきましては、現在ある大学を廃止して新しい大学を新設するというものでございまして、平成十七年四月に設立するということで文部科学省に設置の手続をする、そういう意味では新設の手続をするというものでございます。
 なお、大学の設置、廃止などに関係する用語として、移行というものはございませんで、この移行という言葉は、独立行政法人化をするときに、移行するという、移行型というものがございます。
 この移行型というのは、それまでに地方公共団体が同じ事業をやっていれば、それは移行型の独立行政法人になるという意味で、大学の形態が変わったとしても、同じ大学という事業をやっていれば移行型独立行政法人といいますので、これについては別の概念というふうに考えてございます。
 それから、実際の設置の手続は、十七年四月に向けまして、十六年の四月から文部科学省に正式な申請をしていくわけでございますけれども、廃止につきましては、都立の現在ある四大学・短大につきまして、平成二十二年までの中期計画の間設置し、その後、公立大学法人のもとでは廃止していくということなので、そのときに廃止の手続が必要になるというふうに考えてございます。
 なお、後段の廃止の手続について大学の同意が要るのかどうかというご質問については、法的な権限、解釈をいろいろ弁護士さんに聞きますと、これについては設置者の権限であるというふうに回答が出てございます。

○山口委員 廃止の場合については設置者の権限で、教授会であるとか評議会などの承認は必要ないということなんですよね。そう了承してよろしいわけですね。
 それから次に、博士、いわゆる大学院のことについて、教育環境が保障されるかどうかにつきましては、今さんざんやりとりがされたかと思いますので、私の方から質問は、もう答弁もほぼ出ていて、同じだと思いますので省きますけれども、意見としまして、私も、要するに最低限、現在都立大学に入学されている学生さんたちは--そのよしあしは私はわかりません、九年間という期間がいいのか悪いのかね。でも、少なくとも自分の学問を研究なり修得していくために、一定程度、留学なども十分やりながら博士課程をとりたいと思われて修学される方、最終十七年度の院生に関しては、そういったもとで入学されているわけですから、その辺についてはやはり十分な考慮をしていただきたいし、当然残られる院生の数はごくわずかなわけですから、大学側の責任であるというだけではなくて、大学管理本部としても、きちんとその方たちの声を反映させた対応をしていただきたいと思います。
 今回の新大学構想、私が聞いたところは、今、大学院生が九百人と聞きましたが、先ほど六百人といわれたので、その数のところはちょっとわかりません、私は最終的には九百人とお聞きしたんですけれども、その辺では、相当数の大学院生を抱えている大学であるにもかかわらず、この新大学構想に関して、大学院のことはいまだに検討されているということで了承してよろしいんでしょうか。

○大村参事 新大学の大学院の構成という意味であるとしますと、十七年四月に入学する新大学の大学院の構成は、現在ある都立の三大学の大学院と同じ構成にする。十八年度以降入学生の大学院の構成について今検討しているというものでございます。

○山口委員 その辺についても、実際に大学の構想と大学院の構想の時期がずれているということについては、一般的には非常に納得しにくいということだけは、私は指摘させていただきたいと思います。
 それから、今回の新しい学部の中の都市教養コースでしたでしょうか、ありますが、その都市教養というのはどのような学習を行う内容なのか、伺います。

○大村参事 現在、四大学の先生方に、授業の科目や何かにつきましていろいろ検討していただいて、授業科目が次々出てきているところでございます。
 そういう意味では、具体的な検討を現在行っているところでございますけれども、都市の文化、経済、技術など、大都市東京が抱える問題について学びまして、大都市で活躍する人材に必要な幅広い知識や、実社会に対する理解を深めさせる授業を考えてございます。いわゆる古典的な教養というよりも、これからの現代都市の中で生きていくために必要な教養というふうに考えてございます。

○山口委員 非常に大きな理念というか、あれで、具体的なことはまだこれからということなんでしょうけど、非常にわかりにくいなという実感があります。
 それから次に、私も、先ほど出ました河合塾への委託のことにつきましてお伺いいたしたいと思いましたが、同じ質問になりますので、割愛はいたしますが、一つだけ確認をさせていただきたいと思います。
 それは、今回のことは、河合塾への委託を決めたのは、教学準備委員会の座長とも相談をしてというような答弁があったかと思いますが、この教学準備委員会での合意は得られたのかどうか、確認させていただけますか。

○大村参事 十月二十三日の教学準備委員会で、外部の力もかりてというふうなことでのお話をしてございまして、その後、どこにそういうふうなことで頼むかということにつきましては、私どもでいろいろなシンクタンクや何かを探したりする中で、最終的に河合塾に決めたというものでございますので、河合塾という具体的な名前は教学準備委員会にはかけてございませんけれども、外部の力というふうなものにつきましてはお話ししてございます。

○山口委員 それから、今回のロースクールの出願と試験が延期になったということも、再三細かい質問がされておりますので、私もこれに関しては意見だけを述べさせていただきたいと思います。
 担任教授の辞退によってこういう事態が起こったわけですけれども、こういった異例の事態を引き起こさざるを得なかった最大の原因というのは、先ほども出ておりましたけど、八月以降の新大学構想における大学管理本部の進め方にあると考えざるを得ないんですね。現場の学生や教職員に結果のみを公表し、そのプロセスを明らかにしないという、政策決定過程が不透明なことがやっぱり一番大きな要因だと思います。
 新大学構想の設置認可に向けた、十二月四日に契約されたと聞く河合塾への多額な経費をかけての調査等の委託についても、本当に十分な議論の中から得られた結果なのかも疑問であり、このような事態は、在学生や受験生への影響を考えると、一層の混乱を予測されます。
 私の方にも昨晩、ファクスが届きまして、退職された先生も、この間、今までの--就任承諾書を書いたのは六月であり、今回の大変大きな構想の変換があったのが八月ということで、前提となる根本状況がすっかり変質してしまった。でも、その中でも何とか頑張っていこうという中で、かれこれ四カ月になりますかね。その間のことでも、本当に精神的にも肉体的にも疲れ果ててしまって、今年度の授業の責任を果たすのが精いっぱいで、とても体力的に責任が持てないので、いたし方なく退職せざるを得なかったという、退職に関するこういう意見を述べられたという報告を私もいただいております。
 ですから、当然、法律の専門家の方々ですから、今まで皆さんがおっしゃっていたように、十分ご自身の責任というものもお考えだったでしょうし、そのことによって自分がどういうような立場にされるかということもわかりつつも、こうせざるを得なかった事態を引き起こしたということの責任は、やはり知事であり、大学管理本部としては大変追及されるべき事態だと思うんですね。
 最後になんですが、文教委員会の終了後も、相変わらず学生さんや、本当に多方面の方から、こうしたやり方に関して抗議が私のところに届いています。前回の委員会では、所属の大学で対応するものというお答えだったんですけれども、大学側だけにその責任を押しつけるのではなくて、ぜひ大学管理本部としてきちんとした対応をするべきだと思うんですが、こういった大変大きな混乱を招いているのを、今後どのように収拾して、そして学生たちの不安をおさめようとしているのか、私はぜひ大学管理本部長の答弁をお聞きしたいと思います。

○山口大学管理本部長 先ほどもお話ししましたように、まず、大学を取り巻く環境というものをぜひご議論いただきたいと思います。それは、先ほどいいました平成十二年に外部監査の包括監査を受けて、学生数あるいは先生の数、あるいは授業料などの指摘をされております。そのことが、実はここの中に大きな違いが出ているということをご承知願いたいと思います。
 それから、平成十二年からご議論をいただいて、まず三年間、大学改革でやっておりますけれども、大学側からは、この点に関しての回答はないです。ですから、ここのところ、先ほどいいましたように、独立行政法人になっていくに当たって、経営という観点はどういう観点かというのを我々は大切にしなきゃなりませんので、これをご理解いただくところに、いってみれば価値観を共有することになるわけでして、ここになかなか、学問という分野と経営という概念が、なかなか整合性がならないというふうに思っています。
 いずれにしましても、教学準備委員会の中では、都立大学の各学部長さんも、新しい大学の構想には積極的に参加をして検討するという承諾書も、私どもいただいています。ですから、それを大学の中でどういうようないい方をしているかわかりませんが、我々も、その中で、お約束はお約束としてきちんとやっていくつもりでありますし、その教学準備委員会で決まったことに対しましては、大学のホームページにも載せて、さまざまな形で都民にも広くご了解をいただいていきたいと思っております。
 いずれにしましても、平成十七年四月の開学に向けて着実に進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○山口委員 私は、この間の八月からのプロセスがやっぱり非常に不透明だったということは否めないと思うんですね。今、さまざまな中間のまとめなどが出たときには、必ず都民にパブリックコメントというものを求めて--確かに、全く何も求めていないホームページなどで意見が寄せられたりしている、それから、説明もしているなどというようなことも聞きますが、本当にもっと開かれた改革というあり方を追求していただきたいということを要望しまして、質問を終わらせていただきます。

○東委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十九分休憩

午後三時十三分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○福士委員 それでは、私の方から、もう何回もやっておりますし、淡々と伺わせていただきます。
 新しい大学の説明会の発表が、十一月十四日付でホームページに出ておりましたけれども、そのわずか三日後の十一月十七日に多摩社会教育会館で行われたようですが、この期間設定はどういうふうにお考えになっているのか。また、参加人数や質疑など、そのときの状況を教えていただきたいというふうに思います。
 また、その後の日にちの設定が、十一月二十三、四というふうになっておりましたけれども、同様に状況をご説明いただきたいと思います。

○大村参事 新大学の入試の概要につきまして、十一月十四日付で発表させていただきまして、あわせまして、その後の説明会についての日程も発表させていただいたところでございます。
 十一月十七日を初めといたしまして、二十三日に二回、二十四日に一回開かせていただいてございます。
 この新大学の入試の内容につきましては、受験生の準備を考えますと、できるだけ早く、一日も早く概要を公表し、それを周知したいということで、こういう設定をさせていただいてございます。
 概要を単に公表するだけでなく、実際に説明会を開催することで、受験生の皆さんに具体的な内容を説明することができますし、またご質問にも丁寧に対応できるというふうに考えてございます。
 そういう意味では、第一回目の日程は切迫はしておりますけれども、四十二人の方にご参加いただいて、説明をすることができました。
 また、その後三回の状況でございますけれども、十一月二十三日の第二回というのは午前中でございますが、これについては六十六人、十一月二十三日の午後の第三回目につきましては六十六人、十一月二十四日につきましては二十八人ということで、合計二百二名の方に来ていただきました。
 私も立ち会っていましたけれども、実際の高校生の皆さん、その保護者の皆さん、また高校で具体的な進路指導をしている先生方にも参加していただいたところでございます。
 質問内容についてでございますけれども、その前に、本部の方からは、新大学の内容につきましてかなり具体的に説明をしまして、その後、質疑事項ということでは、単位バンクとか、都市教養教育の内容はどんなものかとか、具体的なカリキュラムの詳細な中身、あるいはご自分の興味のある分野はどんな感じになっているんだろうというふうな中身、あるいは教育庁の東京未来塾の受け入れと教育の内容、また十八年度の新教育課程と入試科目の変更の予定などについてのご質問がございました。
 なお、この十一月中につきましては、縦割りで大変申しわけないんですが、東京都の教育庁の方では、未来塾の具体的な中身がまだ発表されておりませんでしたもので、一部のお問い合わせについては、教育庁の発表を待ってくださいという形でのご紹介を申し上げたところでございますので、これについては、そういった形になったことを大変申しわけなく思ってございます。

○福士委員 なるべく早くに説明会を開くということは、それは結構なことだと思いますが、最初については、それでも三日後の設定というのは、悪くとれば、参加者が来ても来なくても、やりましたよ、一回分ふえましたよ、そういうふうないいわけに使われるようにも見えますので、もっと考えてやっていただけたらなというふうには思います。
 ただ、そうはいっても、説明する中身も定まらないままでは困るわけですけれども、これだけの大仕事で、泥縄でやるということにまず問題があるんじゃないかなと思いますので、きちんと問い合わせに対してもお答えができるような形、それから、先ほどの未来塾についてもご説明いただきましたけれども、縦割りであってもなくても、当然そういうことの質問というのは、予測も含めてできたのではないかと思いますので、ある程度把握した上で、きちんと説明会は開いていただきたいなというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 前の文教委員会では、都立大は、学生に対して大学改革について十分説明をしていないというご答弁がありましたけれども、私の聞くところでは、十月十五日に都立大全体として学生に対する説明会を開き、また十月十四日には人文学部としての説明会がされているようですけれども、なぜ前のようなご答弁になったのか、ちょっとお伺いをしておきます。

○大村参事 十月十五日に、都立大総長さんが主催しました大学の説明会が行われたことにつきましては承知しております。しかしながら、新大学の構想とか、あるいは都立四大学の在学生への対応につきまして、学生の皆さんに十分に説明をして不安を取り除くという内容が十分あったかというふうな部分と、それからまた都立大学総長声明「新大学設立準備体制の速やかな再構築を求める」に沿った説明会であったというふうに聞いております。そういうふうなことから、前回の文教委員会では、大学改革について十分説明していないということでご答弁させていただきました。
 また、十月末の掲示につきましても、都立大学では、大学管理本部からの通知を伝聞という形で掲示をしたというふうなことでございます。このことから、そういうふうな形で十分な対応をしていないというふうに答弁させていただきました。
 この後、また十二月に入って、総長先生の方でもいろいろ説明会を開いたと聞いております。また、私ども大学管理本部としても、インターネットのホームページに、新大学のこと、また在学生の皆さんへの対応などにつきましても出していくということで、大学も、私どもも含めて、在学生の皆さんに、いろいろ不安を取り除くための説明に努力をし始めているところでございます。

○福士委員 総長声明に沿った説明会であると聞いているというお返事ですが、そちらも聞いているだけのようですし、私の方でも、現状報告については、都の説明どおりに行いましたというふうに聞いているということです。私も現場に出たわけではありませんので、何ともいえませんけれども、ご答弁というのは、やはり淡々と事実に基づいていただきたいし、説明のできないことを大学側は勝手にいうわけにはいかないというふうに思いますのでね。
 今は、ホームページも含めて、説明が十分に行き渡るようにやり始めたという今のご答弁でございますけれども、都としても今まで、学生から問い合わせがあっても、それは大学に聞いてくださいみたいな形でご答弁もありましたよね。そういうことではやはり問題があるんじゃないのかなと思いますし、そういう点こそ柔軟な対応をされてしかるべきではないかというふうに私は思うんですね。
 いかにも大学側の説明に問題があるようなご答弁をされるのはいかがかと思いますよ。私どももわかりませんから、ああ、そうなのかなというふうに思ってしまいますので、やはり事実は事実として、私どもも誤解をしないように、わかりやすく正確に説明をしていただきたいと思います。
 それだけは申し上げておきたいんですが、もう一つ、前回の中でも単位バンクのことが出ておりましたが、年限もこま枠も規定がないようなご説明でした。で、単位バンクというのは、私が勝手に思い込みがありまして、規定がなくても、どうせある程度枠というのは出てくるのかななんていうふうに勝手に思い込んでおりましたが、つらつら考えてみたら、前のご説明どおりでありましたら、単位をすべて学外で取ることが可能になるのかなと。授業料さえ払えば、都立大へ行かなくても卒業できるということなのかなというふうに思いまして、非常に不思議に思いましたので、そういうことが可能なのかどうか、もう一度お答えいただきたいと思います。

○大村参事 単位バンクにつきましては、自分の大学の授業科目にかかわらず、また限らず、ほかの大学でも取得した科目、あるいは有用な経験も単位として認定して、学生一人一人に応じた弾力的なカリキュラムの履修を可能とする制度でございます。また、修学年数についても柔軟にしたいというものでございます。したがって、各学生がみずからデザインするものでございまして、形態は学生ごとに千差万別になるというふうに考えてございます。
 すべてが学外での履修というケースは極端なケースでございますし、現在は、検討中ではございますけれども、大学は大学なりのアイデンティティーというものを持たなきゃいけない部分もございますので、一定の要件といいますか、制限については、これから検討するものでございますけれども、それは必要ではないかというふうに考えてございます。

○福士委員 そうですよね。自由というのは、私、否定もしませんし、私は余りきりきりと枠がはまるというのは好きではありませんので、いいんですけれども、都立大の実体はなくても都立大卒といわれることに、大学管理本部の自負はないのかなと思って、ちょっと心配いたしました。
 ある程度、都立大なり何なりの理念というのも含めて、きちんと考えられていかなければ、大学の存在価値というものが根底から揺らぐのではないのかなというところもありますので、単位バンクそのものは、私も結構なことだとは思いますけれども、そこのところは踏み外さないようにという部分は残るのかなというふうに思います。
 そうしますと、次に、新大学及び大学院における学位の名称はどうなるのかなというのも、これもちょっと想像がつきかねるところがあるんですね。例えば、教養学部の社会コースを卒業する場合は社会学士となるのか、あるいは都市教養学士となるのかなとか、もし都市教養学士となる場合は、それは一般社会ではどういうふうに受けとめられるのかなというふうに想像しているんですが、その辺はいかがなものでしょうか。

○大村参事 学位につけます名称、実際には、現在は何とか学士といわずに、学士(何とか)というふうな形で、その後ろに名称がつく形になってございますけれども、この名称につきましては、現在、教学準備委員会において検討しているところでございます。
 新しい大学では、これまでの学問割りのものではなくて、それを超える観点から、コース制などさまざまな教育設計を行ってございまして、授与する学位につきましても、いろいろ検討しまして、自信を持って出していきたいというふうに考えてございます。
 なお、例えば国際基督教大学では、学科にとらわれず、学士(教養)というふうなところを出している例もございますし、いろいろなケースをこれから調べまして、文部科学省ともいろいろ相談していきたい、こういうふうに考えてございます。

○福士委員 今、そういうことを調べている段階ですかね。
 平成十六年度までに入学した学生が、平成二十二年度までに卒業できない場合は、新しい大学や大学院に編入できるというふうに、これもまたご説明がありました。その場合は、履修内容はどういう形で保障されるんでしょうか。
 また、最終的に新大学で学位を取った場合、その学位名は従来のものと同様になるのかどうか。それとも、新しい大学や大学院での学部名とか研究科名なりに従うことになって、従来とは大分違う学位名になるのかということも含めて、今検討ということなんでしょうかね。そういうことがまたあり得るのかどうか、その辺のところももうちょっと突っ込んでご説明をいただきたいと思います。

○大村参事 まず、平成十六年度までに入学した学生さんでございますけれども、これにつきましては、平成二十二年度まで現在の大学が存在するということで、ここの間で卒業していただくのを最大の目標としておりますけれども、いろいろな事情によってそれを経過してしまった場合、新しい大学あるいは大学院に編入できる可能性も含めて、個々の対応をしていくというふうなものでございます。
 実際には、この七年を超す部分につきましては、学部で三十六名、大学院で十名ということで、比率にしますと、学部では〇・七%、大学院で〇・六%と極めてわずかで、個別の把握ができる人数でございますので、きめ細かくそこの部分については対応していきたいと考えてございます。
 やむを得ず超えてしまう場合には、新大学への編入などで個別に対応していくわけでございますけれども、卒業に満たない単位不足などについては、新大学に入った場合は、新大学の学生になりますから、ここで残りを履修し、卒業ということになろうかと思っております。
 したがいまして、その場合の学位に付与する名前につきましては、個別事情になりまして、一概には答えることができませんけれども、新大学に編入した場合は、新大学で入った学部、学科、コースなりのところでの学位という形になろうかと思います。

○福士委員 新大学の大学院は、平成十七年度は現状の三大学と同じ研究科構成でスタートして、翌年度から再構成するという形になるわけですね。そうしますと、平成十七年度の入学者は、入学した研究科の内容の勉強を続けられて、またその研究科目での学位を取れるという形になるんですかね。

○大村参事 十七年度につきましては新大学の大学院でございますけれども、先生おっしゃったとおり、現在の三大学と同じ研究科構成でスタートしまして、そのまま二年生、また博士であれば三年生というふうに進んでまいります。したがいまして、その時点での学位につきましては、現在と同じような名称の学位になるというふうに想定されますけれども、これは、文科省の方に十七年度の大学院も含めて設置の申請をいたしておりますので、これからでございます。
 なお、この部分につきましては、平成二十二年度に経過期間が終了しまして、この構成の研究科としてはそこで終了という形になるものでございます。

○福士委員 学位の名称というのは、単なる名称じゃなくて、それが体をあらわしているわけですし、一般の人々でも、どのような学問をしてきたかというのがわかるという意味で、新しい制度ができて、新しい学部ができてというのは、それはそれで結構ですけれども、それなりの意味が、外の人というか、一般の人々がどういうふうに受け取るかということもありますので、そういうのも含めて考えていただきたいなというふうには思っております。
 もう一つ、河合塾のことは、お伺いしようと思いましたが、先ほど来、いろいろな方々がいろいろな立場でのご質問がありましたので、私の方からは質問をいたしませんが、一つ、新聞報道では、学部の理念について大学の先生にもお願いしたけれども、旧来の「タコツボ」的な発想しか出てこなかったというふうに書かれていまして、いつ、どういう形で大学の先生に依頼をされて、「タコツボ」的な答えというのはどういうことだったのかなというふうに思いますので、その辺のところをちょっとご説明いただきたいと思います。

○大村参事 新聞報道では、「タコツボ」的というのは多分書かれていなかったのではないかと思いますけれども、縦割りというふうなことでのものは書いてあったと思います。
 現在、教学準備委員会で検討を進める中で、コースコンセプトやカリキュラム編成を作業チームに依頼してございます。今、四つの大学・短大の先生方が一生懸命作業をしているところでございますけれども、人文・社会系のチームだけが、ルールがなかなか守れなかったり、期限が守れなかったり、おくれぎみの部分がございます。また、学際的なコース設計を求めているにもかかわらず、先生方の中には、学問縦割り的な発想から抜け切れないところがございまして、作業スケジュールがおくれているという部分がございますので、このような内容の取材に対しては、そういう形でお答えさせていただいております。
 なお、先ほどので一点、ちょっと訂正させていただきますと、平成二十二年以降、新大学に編入されたケースの場合、完全な転入でなくて、新大学の方で旧課程を修了するケースもございます。つまり、二十三年以降、旧課程の科目は、大学院としては、十七年度に設置した大学院としては存在しなくて、十八年度設置の研究科の方に入っていくわけですけれども、そこの授業の旧課程を受けて、旧課程で修了というふうな形になるものがございます。--「タコツボ」と書いてありました。

○福士委員 あるでしょう。
 この発言ですけど、これは知事発言ですかね、都がって書いてあるけれども。どっちかわかりませんが、知事もよくいろんなことをおっしゃいますので、知事にもきちんと説明をしておいていただかなければいけないことは多々あるんじゃないのかなというふうに思いますね。
 このことは、いったかいわないかが問題じゃないんですね。お願いしても発想がなかったから、河合塾に頼んだというようなことは、まあ、あるのかなというふうに思ったので、そういう経緯を知りたかったわけです。
 基本的にルールが守られていないので、というようなお話もございましたけれども、どういうふうに守られていないのか、委員会にもそういうご説明をいただかない限り、都立大ばっかり悪いような感じになりますが、先ほど来、いろいろなことで、約束を守らないのはけしからぬじゃないかというようなご発言もありました。ごめんなさい。いい方が悪いです。先生たちが、承諾書を出しながら約束を守らないのはけしからぬではないかというお話がございましたけれども、だとしたら、東京都も、八月一日以前のところからがらっと変わるというのは、約束を守っていないわけですから、どっちが悪いとか悪くないとかという話を抜きにして、淡々と事実は事実として、いろんなことのご説明はきちんとご答弁いただきたいなというふうに申し上げておきます。
 もう一つ、河合塾の三千万の件も、先ほど曽根委員からもご質問がございましたので、私からはあえて申し上げませんが、契約にしては結構大きいですよね、人件費にしてもね。かなり大きな契約になっていると思います。で、三月末ということですから、三月いっぱいになるのか、あるいはもっと早くやってくれという意味で少し膨らんでいるのか、その辺のところはわかりませんが、金額はどういう配分になっているのかというところは、もうちょっとご説明いただきたいんですね。

○大村参事 金額の多寡について、高過ぎるかどうかというのは、ちょっと私どもで判断する部分ではないかもしれませんが、私が昔、シンクタンクに東京都から派遣されたケースでいえば、三千万円というのは決して高過ぎる金額ではない、この内容から見て、決してべらぼうに高いというふうなことではないというふうには考えてございます。
 なお、本件は財務局契約でございまして、現在まだ契約の書類が返ってきていない部分もございます。で、実際にどういう中身の積算で契約したかについては、財務局と相手方の河合塾さんの方でやりとりをして決めているものでございますので、申しわけございませんが、今手元にはございません。
 そういうことで、委託成果としては、海外も含めた大学調査とか、あるいは企業ヒアリングを初めとして膨大かつ入念ないろいろな資料を求めておりますので、それに相応する契約金額になっているかなという部分がございます。
 また、三月末までの委託ということでございますけれども、それぞれのものに応じまして、もっと早く出していただくもの、また三月末までにいただくものといういろいろなレベルがございますので、そういう意味では、四月の文部科学省への設置に向けての基礎資料として必要なものは早く出してもらいますし、また、エクステンションセンターを初めとして、来年度設計するために必要な基礎的な部分については三月末までとか、そんな内容をいろいろ盛り込んでいるところでございます。

○福士委員 それでは、法科大学院についてちょっとだけ伺っておきますけれども、法科大学院を設置する大学の中で、ここだけが法学部というものがないわけですけど、そういう法学部のない大学とか、法学部をなくす計画のあるような大学というのはあるんでしょうか。

○宮下参事 法学部を持たない大学で法科大学院を設置しようとしている大学といたしましては、横浜国立大学、大宮法科大学院大学がございます。その他はすべて法学部がございまして、この法学部をなくすという計画は、調べた限りではございません。ただし、法学部の定員を減らすという計画がある大学があると聞いております。

○福士委員 いろいろなこま数をとる中で法科大学院に行くことは可能ということも、今までたびたびご返事をいただいておりますから、これで、だめね、という話ではないんですけど、ただ、十七年にスタートする予定である東京都の新しい大学では法学部をつくらない。で、学生募集において、法学部もない大学の法科大学院に優秀な生徒が集まるのかなというふうに心配をするわけですが、いかがなものでしょうか。

○宮下参事 新しい大学におきましては、都市教養学部の法学系におきまして、法律学と政治学の教育を行うということにしておりますので、ご指摘のようなご心配はご無用かと存じます。

○福士委員 今申し上げましたように、法科大学院の設置については否定はいたしませんけれども、この際、十二月十二日付の新聞報道で、先ほど来質問がたくさん出ておりますが、専任教員予定者の辞任もあって、大学院の設置に支障が出るのではないかというふうな心配もある。ここまでこじれていることは、私はすごく問題だと思うんですね。単に教員の補充で済む話なのかなというふうに心配をいたします。
 大学を取り巻く環境を変えたいというのは、そのこと自体は私もいいかなと思うんですよね。今までの大学がそのまま存続することだけがよくて、経営的な問題というのは一切考えないというのは、いいというふうには思いません。しかし、経営だけを考えられても、これはまた困った話ではあります。
 で、受験生の進路決定にも影響を与えるわけですし、大学を取り巻く環境も含めて、理解を得られる努力と、それから、期間的なものも含めてきちんと考えていかなければいけないのではないのかなというふうには申し上げておきたいと思います。
 承諾書は、先ほど来申し上げましたように、六月の時点でいただいたものです。大学改革の方向性がひっくり返ったのは八月一日なわけですから、その後、先生たちは悩まれて決断されるということもあろうかと思いますし、責任は教員だけの問題でもないというふうに思います。都側にも、教員が最後まで授業に意欲を持てない状況をつくったということでは、責任はあるかなというふうに思うんですね。
 そこのところは、先ほど責任の問題もおっしゃっていましたけれども、一番困るのは受験をしようと思っている子どもたちではないかと思いますので、そっちをきちんと考えながら、こういう事業は進めていかれるべきではなかったかなというふうには思います。それだけは申し上げたいと思います。
 それで私の質問は終わります。

○宮下参事 今回の事態で受験生に多大な迷惑がかかったということは事実でございまして、これ以上の混乱を来さないように、今後、私どもといたしましても最善の努力をしてまいりたいと思います。
 それから、退職された先生方につきましては、法学部の教員ということで、法律を教える立場にあったということですから、就任承諾書を出したという意味合いは十分に理解できているはずでございます。いろいろ大学改革についてご意見はあろうかと思いますけれども、法律を教えている人間として、その点の自覚は持っていただきたかったと存じます。
 今後補充する先生につきましては、そのような社会的責任というものを自覚していただけるような先生を補充して、受験生の方に迷惑をかけないように十全の努力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

○福士委員 そういうご答弁をいただくんでしたら、私も一言申し上げておきますけど、六月の時点と状況が変わったのと、それから、法学部の先生であるということは確かです。就任承諾書をお出しになった、その意味合いも大きいと私も思いますよ、確かに。だとしたら、都として、八月一日に全部ひっくり返したという、その責任も重いのではないかというふうに私は思いますので、そのことだけは申し上げておきます。
 だから、どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、本来、子どもをほったらかしにして、自分たちの都合であれこれあれこれやっていることの方が問題じゃないのということを私は申し上げたいわけです。
 子どもたちに影響があるということは、おわかりになっているわけですから、受験のときにぴりぴりしている子どもたちに与える影響、これは一過性のものといえば一過性のものではありますが、しかしながら、その子どもたちの人生にとって大きな転換期にもなるわけですから、やはりそこを大事に考えていただいて、どれだけ一般社会に理解できる大学の改革ができるかということも、教育現場ですから、やはりそれは理解をして、考えていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○東委員長 福士委員に聞きますが、答弁を求めますか。

○福士委員 手を挙げていらっしゃるから、答弁してください。

○大村参事 新大学の構想につきましては、確かに八月一日に発表させていただきましたけれども、これにつきましては、平成十二年に外部監査の指摘を受けまして、東京都として平成十三年に大学改革の基本方針を定め、また十三年十一月には大学改革大綱を定めたものでございます。そういった方針に基づいて着々と進める中でのやり方の違いというのは、確かに七月以降出てきておりますけれども、基本のベースは、もう平成十三年に決まっているベースを八月一日のも踏襲してございますので、まるっきりひっくり返したというふうなことではございません。
 そういう意味では、それまでの検討内容の一部については大きく変わっている部分はございますけれども、具体的な先生方の検討している内容の中で、例えばカリキュラムの問題、入試の問題などについては、かなり現在の検討の中で生かされているところがございます。
 そういう中で、そうはいっても、平成十七年四月設立の新大学にはどうもという先生がいらっしゃるかどうかについては、また別にしても、今ある大学を突然おやめになるということについては、ちょっといろいろな問題があるのではないかというふうに私どもも思っております。新大学の問題と、今回急に十六年三月でおやめになるという問題については、やはり違う問題ではないかというふうに考えてございます。
〔遠藤委員「委員長、議事進行」と呼ぶ〕

○東委員長 今、発言中。

○福士委員 ちょっと待って。私が先、順序からいったら。
 今まで何年もかけて大学大綱が出て、そして、私たちもいろいろな資料をいただきました。これについて、中身のところは、どこまで私たちがわかっていたかということは何ともいい切れない問題がありますけれども、それなりに検討していらしたわけじゃないですか。その積み上げの上に--理解されない部分というのは、いつでも、どんな議論でもあると思うんですよ。で、理解されない部分があったとしても、ある程度の理解ができていれば、これほど大問題にならなくて済んだわけですし、そこの理解をするというのが議論の場であり、検討の場であるというふうに私は思いますのでね、八月一日からひっくり返っているのではないよというふうにおっしゃいましたけれども、一部変わった程度でこんな大問題になるとは、私はちょっと考えられませんね。今までの積み上げの中でも、決していいものだけではないということがあったにしても、だったら、そこのところはどういう問題があるのかということをきちんと掘り下げられて、大方の方々が納得できる方向性で進めていくことがふさわしいというふうに私は申し上げたいと思います。
 ご答弁、もう要りません。

○遠藤委員 議事進行。
 これからの議事の進行について一言申し上げたいと思います。
 福士委員は質問を終わると宣言しております。それに対する答弁がありました。それに対して、福士委員の挙手を委員長が指名して、また発言させるということは、運営上、非常にまずい、あってはならないことだと思います。今後、こういうことが絶対ないように、委員長のご指導をお願いします。
 以上。
〔「そんなことないよ」「委員長、それはちょっと問題」と呼び、その他発言する者あり〕

○東委員長 議事運営についての発言があったということは、聞いておきます。

○臼井委員 けさ、都議会に参りますと、多くの会派の仲間から、新聞に出ていたね、ひどいもんだね、という話が随分交わされたわけでございます。これで大丈夫なのかねと、都議会自民党の中にもさまざまな意見が大学経営についてはありまして、大変大きなお金をかけて、都民のお金をかけて、師弟の教育をしているのでありますが、他にも立派な大学は東京にいっぱいあるぞ、かわりばえしない大学だったら、もうこの際要らないんじゃないかというような発言をする向きもあるわけなんですね。
 今、それだけお金も窮迫しています。東京都の中においては、財政再建、これから三年間、三千五百億もお金が足らないというような財政状況にあるわけであります。そういう中で、今度、都立の大学を統合して、新しい大学として運営していこうというわけでありますから、これは大変な、思い切った施策だと思うんですね。
 したがって、私は、都民に支持されなければならないと思うんですね。しかし、これで大丈夫なのか、不安があります。そして、大変なダメージを負ったことも事実ですね。都立大学、これは都民の財産ですよ。都民の財産にダメージが出た。
 これはどうもおかしいなと思わざるを得ないんですね。時期を、先ほどからの議論の中で照らし合わせてみると、大変不可解な、摩訶不思議な状況が浮かび出てきている。私は、都立大学の学生からいろいろな手紙ももらうし、文書も論文もいただいておりますが、その中では、どうも説明や手続が十分でないというようなこともいわれておりますが、私は、このことはもう終わったことだと。私たち都議会においては、都立大学改革はもうスケジュールにのっているわけだし、きちんとその手続はとられているのが行政のあり方です。したがって、大学当局と管理当局がしっかりと信頼し合い、事業の執行に当たっていかなきゃならない。それが学生の幸せに結びつくわけでありますから。しかし、それができていないということ、そのことを、都では当然、改革を今行わないと将来とも大変だ、都民に申しわけない、そのように思わなければならないと思うんですね。
 今、大学管理本部も本当に努力して、一生懸命この改革に取り組んでおります。一つお聞きしますが、今回受けたダメージ、都民への不安、どのように申し開きをするか。これから受験しようとする人たちも見守っていますね。これからどのように情報を都民に伝えていくのか、いい方法があったら教えていただきたい。

○宮下参事 今回のことは突然のことでございましたけれども、受験生に与える影響を考えまして、プレス発表もきのう、それからホームページへの掲載もきのうしたところでございます。今後の経過について、できるだけ速やかに、そのときどきの状況についてお知らせしていきたい、このように考えております。
 文部科学省の手続がございますので、その節目節目に必要な情報を与えて、できるだけ受験生に周知を図っていきたい、このように思っております。

○臼井委員 大丈夫なのかといわれるのは、教員がいないということになれば、まずこれは成り立たないわけですからね。受験生が、よし、やはり都立大学へ行って学ぼうというようなことになるように、その辺のしっかりした取り組みをお願いしたいと思います。
 先ほど議論も出ておりますけれども、この都立大学改革はだれのためにやるのか、そういうことを考えざるを得ないんですね。確かに、すばらしい業績もある。大学の果たしてきた社会的役割もある。しかし、今回の改革には、それを生かしつつ、新趣向で、新しい時代の要請に基づいた人材育成に取り組むということで、私はミスマッチは起こらないはずだというように思っていたわけですが、新趣向と古典的な学究的な考え方とどうも一致していない。そこに今回の不幸が出てきてしまっているのかな。しかし、災いを福と転じて、ぜひいい大学に脱皮してもらうようにお願いをしたいと思うのであります。
 今回、三大学はみんな、大学改革に取り組んでくださっているわけですね。都立大学だけがこれに非協力的、一部抵抗勢力があるということは、これはやっぱり、東京都が設置している大学としてはゆゆしき問題だといわざるを得ないですね。三大学がやっているのに、なぜ都立大学だけが協力していかないのか。
 そのことを私は思うときに、これからぜひしっかりと都民に向かって、この改革の理念を掲げて、今の少子高齢化、国際化の社会の中で、今までの大学は大きな業績を残したとしても、これから新たに新しい時代に対応する人材育成をしなければならないという東京都の経営者、設置者の責務がある、そのことに気がついてほしいということを、若い人にも向かっていってもらいたいですね。
 今、大人が責任を放棄しているとかいわれる問題が、青少年問題の各般で行われていますが、学生というのはまだ社会経験が薄いわけですから、その中で、自分が進む方向は、先人の指導によって、教育によって行われていくわけです。その面では、ぜひ学生の皆さんに、これからの日本のために、国際社会のために、そして大都市東京のために皆さんが必要だ、そのためにこういうことを学んでほしい、そういうことを声を大にして心から訴えていく、そういう作業も必要だと思います。
 今回、それができなかったのが東京都立大学、他の三大学はそれができたんだろうと私は思う。教育というのは、教育者の熱意と情熱がなければ、子どもたちを変えることはできない、大人に成長させることはできない、新しい時代の人材にすることはできないだろう、そのように考えております。
 都立大学の役割をしっかりやっていくという決意を、ぜひ本部長からいただきたい。

○山口大学管理本部長 副委員長からご意見をいただきまして、先ほど来ありましたように、三大学、科学技術大学を含めまして、学長以下、学生に説明しているというふうに聞いています。
 先ほどお話ししましたように、都立大学の中では、先ほどいった十二年の包括外部監査のときに、いわゆる学生数、先生の数、それから授業料、そういうことを監査の指摘を受けていますから、それに対して大学がまずこたえなければいけないというのが私の正直な実感です。
 なぜかといいますと、先ほど来いいますように、独立行政法人に行くわけですから、ある面では、大学管理本部という都立の大学ではなくなるわけですね。独立行政法人立の大学になっていきますから、我々はただ、そこに運営交付金ということで、都民の税金で一定のことをやるわけですから、今までと全くシステムが違ってきます。ですから、どこの大学でも、経営という観点を持たない限り生き残っていくことができないわけですが、そこでは、都立大学の学生の方もお考えと思いますけれども、先生を減らすのかふやすのか、あるいは学生をふやすのか減らすのか、授業料は同じでいいのか、あるいは外部資金をどう獲得していくのか、実はそういうところの議論が欲しいわけです。それがあって初めて価値観が共有できるわけでして、そこがないで、どこの学部がいい、どこがいけない、八月一日にひっくり返した、そこばかり議論するんじゃなくて、この少子化の中で、二八%が定員割れしている大学の状況になっているわけですから、生涯教育も含めて、どうやって社会貢献していくのかというご議論が必要なわけです。
 そういう面では、今まで検討した中身も、ほぼ同じものもありますし、そうでないのもあります。それから、工業等制限法が廃止になったりして、相当な規制緩和になっていますから、学生数をふやすことも大学に任されるようになりました。したがって、千五百という数を千七百にふやしていこうという形で我々は打っております。教員数にしても、前回の文教委員会でもお話ししたように、これはまたさまざまな違った考え方もあるかもしれませんけれども、もう少し教員の一人当たりの学生数を--私学は一人当たり三十五人と指摘をされていますが、今、十・九というのが外部監査のときの数字です。それをせめて十五人。私学は三十五人ですけれども、一人当たり十五人というところで経営をしてくださいというお願いをしています。
 そのためには、先生が減るんです。その減ることに対してどう思っているかというのが、実は裏側には必ずありまして、我々も都民から責任があって、大学を独立行政法人に移管していくわけですけれども、そのときの経営者に今のまま渡すわけにはいかないわけです。経営の視点を持った形で、理事長になる方たちに渡していく責務があります。それが今度、議会では、中期目標あるいは定款のときにご議論いただくわけですから、今までどおりでいいんだったら、今までどおりということになりますけれども、私たちは決してそう思っていません。必ず新しい大学は競争になっていくわけですので、競争のできる体力をつけて新しい大学をつくっていく覚悟でおりますので、どうぞご理解いただきたいと思います。

○野上委員 それでは、同じ質問は割愛し、質疑をさせていただきます。
 この大学改革そのものに反対をされている方々、また、大学は変わらなければならないと、都立大学を真摯に変革したいと考えていらっしゃる都立大学の先生方も多くいらっしゃいます。そういった方々のご意見、そして院生や学生さんから、すべてにわたっていろいろ情報を仕入れてまいりましたけれども、学生さんや院生さんからは、情報が少ないということで不満があったり、あるいは不安を感じていたり、そしてそのことで不信を抱いていたりすることがございます。アカウンタビリティーを果たしていかなければいけないんじゃないかなということで、具体的な質疑に入らせていただきます。
 今回、経営的な視点を取り入れるということなんでしょうけれども、新大学の教員の人事制度には、任期制、年俸制を導入するということを伺っておりますけれども、この新しい人事制度は、これまでの公務員制度における人事制度と比べて、どのような点に違いがあるのか。任期制や年俸制の導入によって、教員に対してどんな利点やインセンティブが考えられるのでしょうか、お伺いいたします。

○宮下参事 新大学では、教員の選考や審査に外部の視点を導入することによりまして、順送り人事を排除いたしまして、若手教員でありましても、実力に応じた登用を行うなど、能力、業績主義に応じた公正な人事を実施していきたいと考えております。
 また、年功序列の給与体系から、職務内容や業績に応じた給与体系へ移行いたしまして、年齢やコスト管理にとらわれず、教育研究の実績や、大学、社会への貢献に応じた処遇を行うなど、教育研究の質的向上に対するインセンティブを高めてまいりたいと思います。
 さらに、今現在の教授、助教授、講師、助手といった主従関係を生み出す土壌となっております講座制を廃止いたしまして、教授、准教授を中心とする簡素な教員組織といたしまして、教員一人一人が独立した研究者と位置づけてまいりたいというふうに考えております。
 こうした講座制の廃止によりまして、先ほど来、学問の自由というお話がございましたけれども、今、日本の大学で一番問題になっているのが、学問の自由といいながら、こういった主従関係があって、真に自由な風土じゃないということで、優秀な教員であればあるほど外国に流れていって戻ってこないというような実態があるといわれております。そうした風土といいますものを、この任期制、年俸制等の人事制度の改正によりまして変えまして、ある意味では、真の意味での学問の自由を保障してまいりたい、このように考えております。

○野上委員 今までの、助手から講師になり、講師から助教授になり、そして教授になるというシステムから脱却をして、今度、新しい制度では、最初に研究員、この研究員の任期が三年で、二年延長可能で、また採用されれば、今度は准教授という立場になると。そして、その准教授の任期が五年で、これは一回のみ再任が可能である。そこでまた公募、審査で挙げられれば、次は教授という形になる。その次が主任教授という、そういう新制度になるということをお聞きしております。
 これは多分、能力業績主義に基づいて行っていくと思うんですけれども、この具体的な仕組みはどのようになっていくのでしょうか。

○宮下参事 具体的な詳細の設計につきましては、現在、検討中でございますけれども、教員の再任や昇任につきましては、業績評価の結果なども勘案いたしまして、学長が人事案を作成し、その案に基づきまして、理事長が再任、昇任を決定するという仕組みでやっていくことになろうかと思います。

○野上委員 今までの公務員ですと、絶対に首になることはないと。よっぽど不祥事を起こさない限り首になることはないという制度でございましたけれども、ここで、例えば再任とか昇任が認められないと、これは退職するということになるんでしょうか。

○宮下参事 必ずしも、特筆すべきような顕著な実績を上げていないと再任、昇任が認められないということではございません。通常の教員としての能力を有して、意欲を持って取り組んでいる方については、再任、昇任が認められるという制度にしていきたいと思っておりますけれども、例えば、数年にわたって何も業績を上げていないとか、あるいは何か問題を起こしたとか、そういう教員については厳しい制度になろうかというふうに考えております。

○野上委員 普通に一生懸命頑張って業績を上げていれば、首になることはまずないというとらえ方でよろしいですね。
 この制度の方向性ということで、三つ書いてありまして、例えば教員の活性化を促進する、あるいは優秀な教員を確保する、適切な人件費比率という三つの方向性が書いてあるんですね。で、この任期制、年俸制を導入することによって、三番目に書いてあります人件費比率の抑制は多分達成できると思います。だけれども、二番目に書いてある優秀な教員が本当に確保できるんだろうか。その優秀な先生が、どこか別の大学とか、抜けていってしまうことにはならないか。これは大変危惧をしておりますけど、ここら辺はどうなんでしょうか。

○宮下参事 今、大学は厳しい競争の世界に入っていくということでございまして、優秀であればあるほど、いろんな大学から引き抜かれるという状況が出てこようかと思います。したがいまして、現状の制度のままでは、優秀な教員はどんどん去っていってしまうというおそれもあります。
 ですからこそ、今回、任期制、年俸制を導入するわけですけれども、この制度は、優秀な業績を上げている教員には、やればやるだけ処遇が上がるという仕組みにしたいと考えております。また、学外活動というのも、社会貢献の一環としてこれから求められてくるわけですけれども、そういう優秀な教員というのは、いろいろな企業であるとか、いろいろなところから活躍するのを求められておりまして、こうした教員につきましては、勤務時間を柔軟に管理するなど、自由な教育研究環境を確保したいと思っておりまして、優秀な教員には働きやすい環境になるのではないか、このように考えております。

○野上委員 都立大学から優秀な教員が外に出ていってしまわないようにする仕組みも大事なんですけれども、新しい大学の設立に当たっては、外から評判のよい教員ですか、評価の高い教育者ですか、そういった方を逆に引っ張ってくる、そういったことも新しい大学の評価に直結する重要な要素であると思っております。
 有名教授を確保するには、公募制ですか、公募を行っていくということもここに書いてありますけれども、公募による採用だけでは多分ちょっと無理じゃないかなと思うんですけれども、ここら辺はいかがでしょうか。

○宮下参事 公募による採用というのは、公平性というものが担保できると思うんですが、ご指摘のように、それだけで評判の高い教員を採用することができるかというと、難しい側面もあろうかと思います。したがいまして、法人化後は、特定の教育分野にこの先生は欠かせないというようなことがあれば、評価の高い先生を獲得するために、スカウトも公募制と組み合わせて実施してまいりたい、このように考えております。

○野上委員 野球の世界でもそうなんですけれども、年俸の高いところにすぐれた選手は行ってしまいますよね。それと同じで、よい教師を獲得しようとすれば、ある程度年俸を保障していかなければいけないと思うんですね。その年俸についてはどういう構成を考えているのか、お聞きしたいと思います。

○宮下参事 年俸につきましては、まず生計費的な位置づけの基本給、それから、授業こま数であるとか就職支援業務、入試業務、役職など職務実績に応じて支給される職務給、それから各分野の業績評価に基づきまして支給される業績給によって構成していきたい、このように考えております。

○野上委員 基本的に、生きていくための生計費というのは皆さん共通に払われる。そして、自分の仕事の量によって職務給、そしてそれ以上に評価される業績給というのがありますけれども、これ、この人はよく頑張っているとかというのはなかなか……。その前の職務給だと、何こま授業を持ったというように客観的な評価ができると思うんですね。何人の学生を教えていて、授業のこまを何こま持っていて、就職支援はこんなことをやっているという、だれが見ても評価できるものは大丈夫なんですけど、この業績給というのを客観的に評価していく仕組みというのは本当に担保されるのだろうかということが心配なんですけど、ここら辺はいかがなんでしょうか。

○宮下参事 新大学の教員の業績評価につきましては、教育、研究、社会貢献、学内管理の各分野につきまして評価基準を作成いたしまして、その基準に基づきまして、部局長など上司に当たる教員が客観的に評価を行えるような仕組みを検討しているところでございます。

○野上委員 私、都立大学の先生にいろいろお会いしまして、その中には、日本で三人ぐらいの優秀な先生たちもいるというんですね。そういう人たちを果たしてきちっと評価できるのかなと。だれがきちっと評価できるのか、すごく不思議なんですね。日本で三人の優秀な先生という、その三人のうち一人を都立大学の中で評価できるのかなという不思議な面があるんです。そこら辺はきっと担保できるようにしていかれるんだと思うんですけれども、また、研究というのはなかなか短期間で成果は出せないんじゃないですか。さっき曽根さんがおっしゃっていましたけど、何年も何年もかかって研究を積み重ねていってやっと出せるというような、優秀な研究であればあるほど何年もかかるような気がするんですけれども、こういった単年度の評価では、研究成果を適正に評価するにはどういう手法をとるんでしょうか。

○宮下参事 先ほども申し上げましたけれども、評価の対象は研究だけではございません、研究ももちろん評価の対象になってございますけれども。研究の内容、水準につきましては、おっしゃられるように、ある一定の期間を見ないと評価できないという側面があろうかと思いますので、それにつきましては、三年から五年程度の中期的期間において評価する仕組みも検討しております。中期的評価の結果は、原則として任期の再任や昇任に際して反映させていきたい。ただし、途中で、例えばノーベル賞を獲得したとか、そういうような顕著な成果が得られた場合につきましては、これは業績給にも反映させていきたいというふうに考えております。

○野上委員 ぜひ都立大学からノーベル賞をとってくださるような研究ができるといいと思います。
 教員一人一人の方が、自由な研究環境のもとで研究や教育に取り組み、適正な評価を受けて、新しい大学の教育研究活動がより活性化できるような仕組みを整えていただきたいと思います。人事制度の設計に当たっては、引き続きその点に留意して検討を進めていただきたいと思います。
 次に、新大学には、各学部のほかに、エクステンションセンターあるいは基礎教育センターを設置し、そこに教員を配置するとお伺いしておりますけれども、このエクステンションセンターあるいは基礎教育センターはどんな機能を持っているのかについて、お伺いしたいと思います。

○大村参事 まず、エクステンションセンターでございますけれども、これは、学内だけではなくて学外に教育研究面で打って出られるような機能を持たせようというセンターでございます。具体的には、大都市に生活いたします都民、職業人の生涯教育、リフレッシュ教育、こういったものを支援する。また、新大学や東京都の施策に必要な分野の研究を行いまして、それを新大学の教育とか、都政や都民あるいは大都市のいろいろな問題に還元していくという研究分野でも打って出る。具体的には、例えば東京都の職員研修所や他大学のエクステンションセンター、あるいは東京都の博物館、美術館、試験研究機関との連携によりまして、東京における知のネットワーク化を図っていきたいというふうに考えております。
 運営に当たりましては、都民教育や何かに基づく講習料や、あるいは提案公募型の研究費、共同研究費など、外部資金を積極的に取ってまいりまして、自立的な運営を目指したいというふうに考えてございます。
 次に、基礎教育センターでございますけれども、これは新大学の各学部に共通して提供するような基礎的な教育部分について担うということでございまして、創造力と幅広い視野を養う人間教育を目指す都市教養プログラムを初めといたします、新大学の基礎教養教育の全学的な企画調整を行っていきたいというものでございます。実践力を重視する語学教育と情報リテラシー教育、また共通基礎教養教育としての体育実技などの企画、運営、実施などを担っていくという機能を持たせたいと思っております。

○野上委員 今の説明ですと、エクステンションセンターは自立的な運営を目指すということなんですけれども、新大学が設立された当初から運営交付金に頼らない、そういう運営を行うということなんでしょうか。

○大村参事 エクステンションセンターにつきましては、設立当初から自己収入だけで運営していくということは、これは極めて困難なところが十分あります。運営が安定するまでは、当面、運営交付金も財源としていくことになろうというふうに考えてございます。
 ただ、エクステンションセンターも含めまして、新大学では、経営努力によりまして自己収入比率を高めていく必要がある。特にこのエクステンションセンターでは、対外的な分野でさまざまな資金をどんどん積極的に獲得していくことによりまして、自己収入比率を高めていこうというふうに考えてございます。

○野上委員 ということは、今までの都民カレッジのような形で、先生方もいろいろと営業努力をして経営していくという形になるわけですね。
 エクステンションセンターに配属される先生方は、学生や、特に院生を教育することはできるんでしょうか。

○大村参事 対外的には、先ほどご説明したとおりでございます。一方、対内的、新大学の中の学生に向けてでございますけれども、学部の学生に対しましては、授業科目の提供ということで、実際の授業を教えていく。また、大学院生に対しましては、大学院と兼担ということによりまして、大学院の教育指導を行うことは可能にしたいというふうに思っております。
 なお、今のは新大学でのものでございますけれども、平成二十二年まで、現在ある都立の三大学、短大もあわせまして存在するわけでございますけれども、そこに属しておられる学生さんや院生さんに対します教育につきましては、教員の新大学での配属場所にかかわらず、例えばエクステンションセンター配属であったとしましても、現大学の学部、大学院の立場で教育を引き続き行っていくというものでございます。先生がエクステンションセンターに配属されたとなりましても、一方で、現大学の学生さんに対しては、現大学の学部、大学院の立場での授業を引き続き担当していただくということでございますので、ご心配はないということでございます。

○野上委員 最後なんですけれども、今の説明を聞いて、少し安心をいたしました。
 といいますのは、大学院の修了者または博士課程の単位をとった人が研究職につく場合、推薦してくださる教官の存在とか、あるいは学位論文を提出して審査をしてくれる教官がいないということで、大変な不利益をこうむるのではないかということを心配していたわけです。このエクステンションセンターに配属されている、例えば教官の方が、きちっと大学院生を指導してくださるということを確認しておけば、かなり安心なのではないかというふうに思っております。
 これからは、都立大学改革にいたしましても、確かに山口本部長のおっしゃるように、経営的な視点をきちっとしないと、都民には納得してもらえないのかなという点もあります。けれども、今の大学院生や先生方にも、ある程度の、しっかりと共感していけるような形での改革を進めていかなければ、それもまた都民の信頼をかち得ないのではないかというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。

○松原委員 私の方は最後の質問になると思いますが、大学の方ではないんですけれども、きょうずっと一時から聞いておりまして、まさに時代の大きな変革というものをひしひしと感じている一人です。
 今、一番の国内の問題は、少子化の問題だと思うんですね。少子化は、年金、福祉の問題もそうですが、あわせて学校の運営というものが直面してきています。東京都においても、都立高校、私立高校も含めてですが、少子化がこのまま続いていった場合に、今、山口本部長の方から話がありましたけど、今でさえ二八%ですか、定員割れがあるということですから、よっぽど私立も公立も特徴のある大学経営をしていかなければ取り残されますよね。
 それで、荒っぽい議論をすれば、それは義務教育じゃないわけですから、東京都が税金を使って都立大学をやることがどうかという是非論まで極端にいえば行ってしまう。私はそう思うんですね。
 そういうときに、いろいろありますよね。私はきょうの新聞も見ました。大変なことだというふうに思っていますが、しかし、日本国じゅうの大学を見ていて、これまでこういうふうなマスコミ報道がされていない。逆にいえば、東京都の都立大学の改革の仕方を見ているんじゃないかな、そういう感じが私はしてならないんですね、聞いていて。
 私の親友で中国人が一人います。この方は、ある有名な私立大学の大学院の先生をやっています。この先生が、大学の先生になってもう十年ぐらいたちますが--今いっているのは本当に端的な例なんですよ。よく外国人もいっています。日本の大学生というのは、高校までは暗記力で、そこそこいい。しかし、大学へ入ると、四年間休暇しているみたいだというんですよ、外国人が。それで、私の、その中国の人ですけれども、大学院の先生が、日本の大学生はとにかく勉強しないと。
 私は、中国人と一緒に何年も暮らしたことがありますが、ある一人は、大学に行きながら、四年間で二百万ためましたよ、新聞配達しながら。それで学問も立派に修めました。今、中国で大社長としてやっています。そういうガッツというんですか、日本人が持ってきていた今までのものというのが、物すごく失われているんじゃないか。それで、私は、小中高、大学を含めて、今までの教育をやっていたら、国際化にもとても太刀打ちできないと思うんです。知事の言葉だったか何かわかりませんが、東大が八十番目ぐらいというんでしょう、国際順位が。それで、東京大学を出た方が二五%就職できないというんでしょう、ことしも。少子化が進んでいったらどうなるんですか。
 私は、そういった意味で、四大学を統合してやるというのは、今、腹を据えてやっていかないと大変なことになると思いますよ。今までみたいにのんべんだらりんとやっていたら、大学そのものがなくなっちゃいますよ。だから、これは大学の先生にしても、生徒さんにしても、経営者にしても、我々議会にしても、やっぱり真剣に考えていくべきだ。それにはやはり情報交換というのは絶対必要だと思いますよ。やっぱり真摯に、日本の今の流れの中で大学教育というものを考えていってほしいなというふうに思います。
 私はきょうはそっちの方じゃなくて、東京都における産業科学振興ということで、これも大学とは違うんですが、大学の方との産学共同でございます。
 日本の経済は、長期的な低迷から脱却することがいまだにできないわけですが、経済のグローバル化と国際的な大競争時代の中で、産業競争力の低下や技術開発力の低下が物すごく著しいわけでございます。私の大田区においても、今、そういう部分がごろごろと日夜起こっております。一日に一つ、中小企業がつぶれておりますから。
 首都東京における社会経済環境を見ても、製造業を中心とする産業の空洞化や雇用情勢の悪化など、厳しい状況が続いております。このような状況の中で、国は、国際競争力の向上と社会の持続的発展の実現に向けて、科学技術創造立国を目指し、科学技術振興政策を積極的に推進しています。
 東京都の場合、大学や各種試験研究機関を有しておりますけれども、そのような研究機関における科学技術振興の取り組みがどのように実施されて、研究成果が活用されているのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

○大村参事 東京都におきます科学技術振興についてでございますけれども、東京都の場合、これまで都立の大学や都立の試験研究機関におきましては、個別の産学公連携を通じまして、共同研究の実施により、研究、技術開発を推進してきてはいるものの、多くは、それぞれの研究機関で独自に科学技術に関する取り組みをしてきたところでございます。
 したがいまして、全体として企業ニーズの反映とか、あるいは技術移転などの対応が必ずしも十分でなかったところがございます。

○松原委員 確かに、今までばらばらにやってきたという感じが否めません。
 ところで、科学技術基本法によりますと、地方自治体においても、地域特性を生かした科学技術振興の実施を求めていますけれども、今後、東京都として科学技術振興に関しどのように対処していくのか、お伺いいたしたいと思います。

○大村参事 現在、東京都におきましては、地域経済の活性化が重要な喫緊の課題となっておりまして、特に産業の活力の向上に資します科学技術の振興が強く求められているところでございます。
 このため、都としましては、産業科学技術振興の施策を全庁的な視点で推進するために、東京都産業科学技術振興指針を策定して、組織横断的な取り組みを強化していくとともに、産業科学技術振興施策を積極的に展開していくということにしたいと考えてございます。

○松原委員 今の答弁ですと、東京都の産業科学技術振興指針を策定して、それに基づいて施策を積極的に展開していきたい、こういうことですけれども、今回策定しようとしております東京都産業科学技術振興指針というのはどういうものなのか、お伺いいたしたいと思います。

○大村参事 今回の振興指針につきましては、東京の産業の活性化に向けまして、科学技術の振興を基軸といたしまして、新産業の創出や新技術の開発などを推進するために、東京都の産業振興、教育研究、技術開発関連の行政分野が一体となりまして、国などの施策と連携しながら、東京の産業特性を生かした産業科学技術振興施策に取り組むという方向性を示したものでございます。

○松原委員 東京都として産業科学技術振興指針を作成しますね。そして、国と連動した取り組みを行うとしますと、メリットとしてはどういうふうな形があるのか、教えていただきたいと思います。

○宮下参事 国では、地方自治体におきます科学技術の振興施策の推進のため、地域結集型共同研究事業や都市エリア産学官連携促進事業などを補助金対象事業としておりますけれども、この振興指針の策定によりまして、それらの補助金対象事業の申請が可能となります。

○松原委員 ちょっと内容を聞きたいんですけれども、それでは、具体的にどのような事業がどの程度の補助金が獲得できるのか、お尋ねしたいと思います。

○宮下参事 まず、科学技術振興機構による地域結集型共同研究事業といたしまして、ナノテクノロジーセンターの設置が採択されますと、五年間で十二億五千万円。それから、文部科学省によります都市エリア産学官連携促進事業といたしまして、老化バイオマーカーによる健康監視技術の開発が採択されますと、三年間で約三億円の補助金が見込まれるところでございます。

○松原委員 ナノテクノロジー、ちょっと私どもの年配ではなかなかなじみがないんですが、とにかく、これが工業の先端で切っていくと、すごいことになるんですね。余り詳しくはわからないんですが、ナノテクを使って十億分の一のナノメートルをやっていくと、いろんなことができるということで、いろんな企業がいろんなことをやっているようです。軽くて丈夫な自動車向け材料、がんやエイズの治療薬への利用、低温でも安定駆動する燃料電池、皮膚の老化の原因とされる活性酸素を消す化粧品などというように、女性が大変喜ぶようなこととか、いろいろあるんですね。これは物すごい技術だなと思います。こういうものに採択されると十二億五千万。
 二〇一〇年までに十兆円になるというんですね。十二月一日からの地上波デジタル、あれなんかもナノテクを使っているんでしょう。あれでいろいろ経済波及効果というのが、三年間で二百兆といっていましたね、この間テレビで。そういう分野になるんですけど、国としては当然、産業構造を変えていこうということで、大きな補助金を出すということなんです。
 ここでちょっとわからないんですが、老化バイオマーカーによる健康監視技術の開発ということで答弁いただいて、三億円出るというんですけど、ちょっと聞きたいんですが、老化バイオマーカーによる健康監視技術、これはどういう内容だかわかりますか。

○宮下参事 詳しくは承知しておりませんが、老人研で申請するということで、私どもが科学技術振興指針を全庁的に取りまとめまして策定しているんですけれども、私どもの局じゃなくて、健康局の方の所管で、これまで補助金が獲得できていなかったものが初めて、これによりまして、申請すると補助金が獲得できるということで、申しわけございませんが、この内訳については詳しいことを申し上げることができませんけれども、よろしくお願いします。

○大村参事 指針を取りまとめるのは私の方の作業でありましたもので、その中で得た知識の中では、大した知識ではございませんけれども、人間の血清のサンプルをとりまして、それを何か健康モニタリングのチップという形に産業界でしまして、それで老化の度合いをチェックしていくというふうなシステムだそうでございまして、これはいわゆる生化学分野と企業と研究所、それから大学、これらが一体となってやっていかないと、なかなか開発できないというものでございまして、これらにつきまして共同で進めていくというものだそうでございます。

○松原委員 若返りのやつだと思うんですね。バイオなんかを使ってね。本当バイオというのは、これどういうふうになるのかなと。いろいろな規制もあるんでしょうけど、これもすごい楽しみのやつなんですよね。だから、こういう科学的に最先端のものを企業として--これはやっぱり、今、日本が世界でもトップの分野を走っていますね。これをいろいろな形で応用していくと、本当に医療には物すごい画期的なことになって、ある学者にいわせると、あと五十年たつと、平均年齢九十一になるというんですね。今世紀終わりには百一歳になるというんですよ。私、そういう本を読みました。でも、もっとうまく生きると、百二十歳まで生きるというんですよね。でも、ちょっとわかりませんけれども、すごい応用のものがいっぱいあるようです。髪の毛も生えてくる。
 ところで、今回公表した東京都産業科学技術振興・基本指針とはどのような目的で公表したものなのか、そして振興指針の策定はいつごろになるのか、お伺いいたしたいと思います。

○大村参事 今回発表いたしましたのは、東京都産業科学技術振興の基本指針でございまして、これは、最終バージョンの振興指針の策定に向けまして、その基本的方向性を示したものでございまして、これから都民の皆さん、有識者の皆さんなどからご意見をいただいて、その指針の最終バージョンに向けていろいろ詰めていきたいということで、公表したものでございます。
 なお、振興指針につきましては、今回発表させていただきました基本指針への都民の皆さんなどからの意見を参考にいたしまして、来年二月には最終バージョンとして策定していきたいというふうに考えてございます。

○松原委員 そこで、今後、東京都として、産業科学技術振興を目指した取り組みを具体的にはどのように行っていきたいのか、お聞きしたいと思います。

○宮下参事 都が有します大学や試験研究機関の研究、技術シーズを企業のニーズに的確にマッチングさせまして、技術移転により産業技術の強化と事業化の促進を図りまして、産業の活性化を推進してまいります。
 具体的な施策といたしましては、都の重点事業でもあります、ものづくり産業支援拠点の整備として、城南地域にナノテクノロジーセンターを設置いたします。このナノテクノロジーセンターでは、都立の大学、産業技術研究所、それから企業等が実際に一緒になって研究をいたしまして、その成果を中小企業等へ技術移転等をいたしまして、製品化に結びつけていくという事業でございます。
 それから、高度なものづくり、専門技術者の育成をするために、産業技術大学院を設置する予定でございまして、こうした取り組みによりまして、産業科学技術の振興に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

○松原委員 城南地域ということで、私ども大変に着目をさせていただいているんですが、大田区なんかもナノテクをやっているところが結構ありまして、それも大きいところじゃなくて、小っちゃな企業が全く負けないようにということで。ご承知のとおり、中国は今、世界の工場といわれて、量産のものはほとんど持っていかれているのね、中国に。だけど、その社長の技術とノウハウで、ナノテクでよみがえって、今まで何千坪も必要だったところを、本当に事務所がわりのところで今はすべてできるというんですね。すごい技術のもとにやっています。
 そういう集積地帯なものですから、城南地区、品川と大田を指すと思うんですが、そういうところに持ってきてくれるので、私としては今後のあれを楽しみにさせていただいております。
 そこで、今説明のあったものづくりの基盤は、人づくりであるといっても過言ではないと思います。これまで日本の製造業を支えてきたのは、ものづくりのノウハウと、それを支える人の育成でありました。企業が本当に欲しい人材は、実践的な技術者であります。そこで、ものづくりの専門技術者を育成する産業技術大学院の基本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。

○宮下参事 これまでは、企業内で人材を育成するという機能が、企業も余裕もあって、あったと思いますけれども、今日のように競争が激化している中で、企業も社内教育だけで人材を育成するというのが困難になってきております。ものづくり現場における企業の課題解決を目指した実用レベルの技術研究と、産業界が求める高度専門職業人を育成するための大学院の設置に向けまして、現在、企業ニーズというものがどこら辺にあるのかということを把握するために、企業訪問をいたしまして、ご意見を聞いております。
 それから、大学院の基本的な考え方について、これらを踏まえて検討しているところでございます。
 ちなみに、城南地域の製造業を対象に行いましたアンケート調査によりますと、技術力の向上、新製品開発のための課題として、人材の養成、確保がぜひとも必要だという答えが一番多かったところでございます。また、それと関連するんですが、技術者の確保というのが非常に大変になってきているというお答えも多かったところでございます。
 産業界が求めます実践的な技術者は、特に入社後五、六年の社会人を実践的な技術者として育てたいというニーズが強いと思いますし、この実践的な技術者を育成している都立の高専との連携ということも、これも大事な課題として検討していくことになろうかと思っております。

○松原委員 本当に今までの学問というのは、どちらかというと企業と余り結びついていないんですよね。日本の学問というのは、そういうところが実践学ではなかったんです、特に大学というのは。
 そんなもので、ちょっとここにおもしろいのが書いてあるんですよ。三井物産がことしの三月、ブラジルで、サトウキビを原料に自動車燃料用アルコールの生産を始めたそうなんですね、サトウキビで。生産効率を高めているのが、ナノレベルの微細な穴を持つ多孔質材料の膜だそうです。水分を通さず、アルコールだけを通す膜を使うと、高純度のアルコールができる。生産に必要なエネルギーを七割近く減らせ、コストも安価となる。ガソリンなど化学燃料のかわりに、サトウキビなどバイオマス(生物資源)をエネルギー源に使えば、温暖化ガスの減少につながる。環境問題への関心の高まりを受け、三井物産はナノ多孔質膜を秘密兵器と位置づけて普及に力を注ぐ。
 問題はここなんです。三井物産は二〇〇三年五月、ことしの五月、商社としては異例の研究所を茨城県のつくば市に開設した。公的研究機関や筑波大学、早稲田大学などと共同で運営する、つくばナノテクパークは、化学やバイオテクノロジー、エレクトロニクスなど分野を超えた研究者同士の交流を促し、事業化の核となる技術をいち早く開発、特許の販売など知的財産権ビジネスも展開しようとしているということで、ここで私がいいたいのは、筑波大学や早稲田大学、こういうのも絡んで、こういうことをやり出してきているということなんです。
 私は、東京都も、そういう産業技術大学院をつくったり、また今いわれた、実際に現場で動いていらっしゃる都立の高専。都立の高専というのも、大変優秀だというふうに私は聞いています。工業高専、航空高専も大学と同様にものづくり人材を育成していますけれども、企業からは、高専の卒業生は機械をすぐに操作できるなど実践的であり、また試作品の開発に適応できる基礎的技術力があるなど、高い評価を得ていると聞いています。しかし、高専卒業生の学位は準学士であって、学士の学位を取るためには、大学に編入するか、改めて大学に入らなければならないというのが現行制度です。また、大学院に進学するためにも、高専に専攻科を設置するという要望があるようですが、専攻科の設置について、東京都としてはどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。

○宮下参事 現在、国立高専五十五校のうち、四十四校に専攻科が設置されているところでございます。また、公立高専五校のうち、三高専で専攻科の設置が計画されているところでございます。文部科学省も、高専に専攻科を設置することが望ましいという意見を出しております。しかしながら、都立の高専ではまだ専攻科を設置していないわけでございます。これは、高専が教育委員会の所管である、それから、専攻科の設置は文科省への届け出事項であることなど、専攻科の設置について整理すべき課題が多くあります。
 したがいまして、ものづくり人材の育成を図るため、大学管理本部、教育庁を中心とした検討PTを立ち上げて、検討を始めることとしております。

○松原委員 これは大変大事なことだと思うんですよ。ぜひ縦割りじゃなくて、大学管理本部と教育庁とが連携をとりながら、時代の要望にこたえていってほしいなというふうに思います。
 最近、全国の高専では、専攻科を設置して、日本技術者教育認定機構、いわゆるJABEEの教育プログラムの認定を受ける動きがあるようですが、これはどのようなメリットがあるのか、お尋ねいたしたいと思います。

○宮下参事 JABEEが認定の対象といたします技術者教育といいますのは、高等教育の学士レベルに対応する技術者養成のための基礎教育でございます。高専がこの認定を受けるためには、専攻科を設置いたしまして、学位授与機構から学士の学位を受ける必要がございます。
 この技術者教育プログラムの認定を受けますと、世界水準の教育プログラムとして質的な保証がされることになります。例えば、米国のプロフェッショナルエンジニア、ヨーロッパで通用いたします技術者資格など、国際同等性が確保され、国際的に活躍する技術者が育成されることとなります。
 それから、学生にとりましては、技術士の一次試験が免除されるというメリットもございます。

○松原委員 世界でGDPが多いのは、アメリカが一番多いわけですが、その次が日本。景気が悪いといいながら、日本。日本人もばかじゃありませんから、最近は、産業構造の中で、いろいろな最先端の中で立ち直りを見せてきていますよね。ことしも法人税二税、東京都税で上がっていますよね。それはやっぱり、そういうふうなものが整理されてきたというふうに思います。そのためには、企業が人員整理したり、中の内部改革が物すごいですよね。そういうものの中で本当に歯を食いしばりもしてやってきたと私は思うんです。
 アメリカの経済というのは金融ですけど、日本の経済というのは、今、中国が物をつくっている市場になっていますが、やはりGDPの中で百二十何億ぐらいがものづくりの製造業でもっているんですよ。だから、日本というのはやっぱり製造が中心で、ましてこういう技術、すばらしい技術がいっぱいあるんですよ。だから、自信を取り戻してやっていくということが大事だというふうに思います。
 昔は、大企業があって、大企業が自分の人材育成も含めてやって、熟練工なんかをつくってきて、その熟練工になった人が中小企業に、自分がこれはできるぞという形で独立していく。だから、独立した中小企業の人も、大きい会社を見ていますから、人事管理から何から自然にみんな、徒弟制度じゃありませんけど、学んでいくというメリットがあったんですが、残念ながら、今はそういうことを教えてくれる場所ってなくなっちゃったんですね。だから、これはやっぱり公の機関かなというふうに私は思っているんですが、そういった意味で、ものづくり人材の育成というのは、高等教育機関である大学院、大学、高専が担っていかなければならないと思います。東京のものづくりの発展のためにも、一層人材の育成に力を入れていただきたいと思います。
 さて、我が国全体において産業活動が低迷している状況の中で、新たな産業や新たな雇用の創出など社会経済の発展には、科学技術振興への期待が大変大きいものがあります。あらゆる点で日本経済の中心となっている東京都においては、産業の集積や研究機関の集積を活用し、産業への波及が大きい科学技術の振興に向けた積極的な取り組みが不可欠であると思います。
 東京における産業の活性化こそが、ひいては日本経済の再生への方途であることから、国に劣らず、東京都における産業技術振興の一層の推進を期待して、私の質問を終わらせていただきます。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十三分散会

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