文教委員会速記録第十四号

平成十五年九月三十日(火曜日)
第三委員会室
午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長渡辺 康信君
副委員長服部ゆくお君
副委員長河西のぶみ君
理事執印真智子君
理事中嶋 義雄君
理事遠藤  衛君
福士 敬子君
野島 善司君
相川  博君
石川 芳昭君
小美濃安弘君
山本賢太郎君
曽根はじめ君
大西 英男君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
理事斎藤 尚也君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長臼井  勇君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長鈴木 雅久君
教育政策担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山川信一郎君
参事齊藤 一男君
参事井出 高安君
参事瀧川  清君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
  契約議案の調査
  ・第百九十四号議案 都立目黒地区中等教育学校(仮称)(十五)増築及び改修工事請負契約
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百八十一号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会報告について

○渡辺委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○渡辺委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件につきましては、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年九月二十六日
        東京都議会議長 内田  茂
文教委員長 渡辺 康信殿
  契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
  記
1 契約議案
第百九十四号議案 都立目黒地区中等教育学校(仮称)(十五)増築及び改修工事請負契約
2 提出期限 平成十五年十月一日(水)

○渡辺委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百九十四号議案を議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○曽根委員 契約議案の第百九十四号議案について、日本共産党としての意見を申し上げたいと思います。
 この議案は、都立大附属高校を単独改編で都立中等教育学校に移行させるための増築、改修を行うもので、私の記憶する限り、中高一貫校関連の議案として第一号になると思います。
 我が党は、中高一貫校全般について必ずしも反対するものではありません。それが例えば希望者の全員入学の取り組み、いわば十五の春を泣かせない対策の一環として全域的に取り組まれる場合や、遠隔地の高校に通えない条件などに対応した地域との連携の取り組みなどには、それ相応の意義があると考えます。
 しかし、都の計画してきた大部分の中高一貫校は、中学校部門に都立学校が参入することの地域への影響など、地元自治体との協議や調整より先に都の計画ありきのやり方で進められてきたこと、また位置づけも、世界のリーダーを養成するなどと、エリート教育の発想を最初から持ち込んでいるなど、公立学校として位置づけるには多くの問題があります。
 都立大学附属という点についても、都の都立高校の再編統廃合の一環で、都立大附属として果たしてきた役割や特徴について十分に総括されての改編とはいえないと考えます。
 以上の点から、本契約案件には反対をいたします。
 以上です。

○福士委員 私も、百九十四号議案については反対の立場で意見を述べさせていただきます。
 中高一貫校については、一貫してエリート教育ということを提案されております。公の学校が行うことについて疑問があり、今までも反対してまいりましたが、今回も反対をいたします。
 以上です。

○渡辺委員長 お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○渡辺委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百八十一号議案を議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○服部委員 都立高校改革推進計画の集大成となる新たな実施計画が昨年の十月に策定をされて、都立高校の改革は着実に推進をされていると私は考えています。中高一貫教育等も、これは地元でも大いに期待をしていますから、大いにまた推進をしていただきたいと思いますが、今春の高校入試における進学指導重点校とか、あるいはエンカレッジスクールの高い応募倍率、あるいは、平成十四年度の中途退学者は相当減っていますよね。そういうことで、改革計画の着実な推進に伴う成果といっていいと思います。このように、都立高校の改革に対しては都民からも一定の評価を得ている、そのように私は考えています。
 一方、学校の統廃合を伴うこの計画は、改革の対象校となった学校関係者にとっては厳しい計画でもある、これも事実だと思うんです。このことによって、自分が通った学校、あるいは校名がなくなってしまう。それは、母校に対する強い愛校心を持つ同窓会の関係者にとっては大変つらいことだと私は思います。
 今回、来年四月に新たに開校する学校の校名に関する条例が提案されています。新設校については、新しい学校の特色をあらわしたものということですけれども、一方、今後、これから統廃合される学校の校名について、私は何点か伺いたいと思います。それは、校名というのは、学校が長く培ってきた伝統、校風、あるいは無形の精神的なものを継続させていく上で少なくない意味を持っているからなんです。
 そこで、新たに設置される学校の校名については、一般的にどういった手順で決定されているのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 校名の選定に関しましては、教育委員会事務局で複数の校名の候補を選定いたしまして、その後、教育委員会に諮り、その複数の候補の中から最適と思われるものを選定していただくこととしております。
 なお、事務局で候補を選定する際には、事前に関連の学校長や地元区市町村の意見等を聴取しております。 
 教育委員会で校名が選定された後、通常は、学校が開校する年の前年度の第三回定例都議会における審議を得て、校名が最終的に決定されることとなります。

○服部委員 校名を選定する際に、東京都の教育委員会ではどういった考え方で選定を行っているのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 選定の考え方についてでございますが、統廃合対象校の校名によらずに、新しい学校にふさわしい、新しい校名をつけることを原則としております。

○服部委員 開校以来、大変長い歴史を持つ学校の伝統、あるいは校風の継承のために、校名というのは非常に重要だと私は思います。学校が新しくなるからといって、簡単に伝統ある校名を廃止してよいとは思えないと私は思いますが、どのように考えているのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 学校名の持つ重要性の意味などにつきましては、私どもも十分その重要性を認識しているところでありますが、ご案内のように、都立高校改革推進計画により新たに設置される高校は、複数の学校がそれぞれ対等な形で発展的に統合するのが通例でございます。特定の学校名のみを想定して校名を検討することが困難であることからも、これまでに設置された学校の校名につきましては、統廃合対象校の特定の学校の校名によらないことが望ましいという考えでまいっております。

○服部委員 校名の問題について、統廃合される学校の同窓会など、そういった関係者のさまざまな意見を私も聞いているんです。
 今、対等な合併というふうに申されましたけれども、通常は、A校とB校と統合してC校になっちゃうんですね、校名が。校名はもう全然新しいものになってしまう。これは、対等だからということなのか、あるいはまた、そのことによって、今まで歌い継がれてきた校歌も、あるいは校章、校旗、そういったものも全く新しいものにしてしまうわけですね。
 それで、高校でも今、半世紀以上の歴史のある学校もあるわけですけれども、そういった長い歴史も一緒になって、新しい校名になると、またゼロからのスタートになってしまう。五十周年をやった、あるいはこれから百周年をやろうといったときに、また十周年から始めなきゃいけないわけですよね。
 そこで、温故知新という言葉もありますけど、それぞれの学校の思いはもちろんあるにしても、やはり何らかの形で、新しい学校の名前に、統合対象校の校名とか、あるいはその一部を残したもの、これも、教育委員会に諮る際、選択肢の一つにぜひ加えていただきたいと思うのですが、学校関係者の意見を十分に聞きながら、何らかの形で校名を引き継ぐ努力はできないものでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 校名につきましては、先ほど申し上げましたように、教育委員会の審議を経て選定されるものですが、副委員長ご指摘のように、校名について教育委員会に諮る際に、統廃合対象校の校名が残ったものを候補名の一つとするなど、工夫をしていくことは可能であると考えております。
 なお、統廃合対象校の伝統や歴史等につきましては、関係校やその同窓会等の意向を踏まえまして、メモリアルルームや記念碑等の設置を検討するなどの工夫をしてきているところでございます。
 今後も、関連校の同窓会等との意見交換を十分に行うなど、関係者の理解を得る努力を行いながら、新しい学校づくりを進めてまいります。

○服部委員 ぜひ、そういう方向で検討していただきたいと思うんです。
 冒頭述べましたように、都立高校の改革については都民から一定の評価を得ていると思います。しかし、統廃合の対象となっている学校の関係者の間に、なおこうしたさまざまな複雑なこういった思いがあるということも、私は事実だと思うんですね。
 教育委員会の方は、こうした学校関係者が、卒業生ですね、かつて自分が通った学校が、かけがえのない学校の伝統、あるいは築き上げられた校風の継承を図りながら、このようなよい学校に生まれ変わったんだ、そう納得できるような学校づくりを進めていかなければならないと私は思います。
 都立高校改革はまだ緒についたばかりですけれども、統廃合の対象となった多くの学校関係者の思いにこたえるためにも、東京都教育委員会が、これからの都立高校の改革を着実に強力に推進していかれることを期待し、私の質問通告では二十分ということでございましたが、きょうは質問者も大変多いようでございますし、質問も簡潔にさせていただいて、十分で終了させていただきました。

○執印委員 それでは、今、校名の選定と決定について質疑がされましたので、この点について私もお聞きしたかったんですが、ここについては意見のみ述べさせていただきます。
 ここで審議をして、校名を決定するということで、今回出されてきたもの、反対をするものではないんですけれども、杉並総合高校というのが新たに出てきましたが、地元には杉並高校というのがあるそうで、非常にわかりにくい命名になっているのではないかというふうに思います。間違いが起きるのじゃないかなというふうにも思うわけですが、今後はそういった点に注意して選定をしていただくということ。
 それから、大江戸高校というのもございまして、悪くはないとは思うのですが、余り新しさも感じないものですから、こういう点についても今後ご検討いただけたらというふうに思います。
 これは校名の選定についてなんですが、次に、一点だけ、今も少し説明がございましたが、第一次、第二次と実施計画があって、新たな実施計画に入っているわけですけれども、この間、市民参加、私どもは生徒も含めてというふうにお願いしてきておりますけれども、保護者、それから同窓会などの学校関係者の意見をどのように取り入れてきたのか、この点を一点だけお尋ねいたします。

○山川都立高校改革推進担当部長 新しい学校づくりの経過につきましての市民参加のお尋ねでございますが、新しい学校づくりの基本的な考え方について検討いたします基本構想検討委員会や、さらに、この委員会報告に基づいて学校の教育課程等について検討を行う基本計画検討委員会に、学校長の推薦によります同窓会やPTA等の学校関係者や、地域、地元の関係者等に委員として参画していただくことによりまして、新しい学校づくりへの学校関係者の意見反映を図っているところでございます。

○執印委員 新たな実施計画の中では、市民参加が少しずつ進んでいるのかなというふうに思うわけですが、さまざまな議論が出てくる中でまとめていくには、教育委員会の力量が問われているというふうに私は思います。今後ともぜひ、話し合うことによって生まれるものを大事にしていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

○渡辺委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○渡辺委員長 次に、報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る九月十七日の事前説明におきましてご要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料(報告事項)の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回ご要求のございました資料は四件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都立盲・ろう・養護学校全校の児童生徒数の推移(過去十年間)でございます。障害種別ごとに学校名を表記し、平成五年度から平成十四年度までの児童生徒数の推移をお示ししてございます。
 二ページをごらんいただきたいと思います。2、都立養護学校の保有教室数の状況でございます。障害種別ごとに養護学校を分類いたしまして、それぞれの学校の保有普通教室数と、そのうち転用した教室数をお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。3、都立盲・ろう・養護学校校舎改修等に伴う教室数の推移(過去十年間)でございます。平成五年度から平成十四年度までに工事を実施した学校につきまして、普通教室、特別教室の工事前と工事後の数と、その増減をお示ししてございます。なお、理由欄には、改築、増築、新設の別を記載してございます。
 四ページをごらん願います。4、都立七生養護学校における調査の内容、方法及び根拠法令についてでございます。
 まず上段の表ですが、今回、七生養護学校について調査した内容を、教育内容、学級編制、服務に分けまして、それぞれについて具体的な調査内容、方法等を記載するとともに、調査を実施するに当たっての根拠法令をお示ししてございます。
 また、下段の表には、処分、研修命令を行ったことにつきましての根拠法令をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野島委員 何点かお伺いいたします。四十分程度というふうにいってありますので、なるべく早く終わりたいと思います。
 今回の報告で指摘された問題、課題は、一つは性に関する教育、それから学級編制の不適切さ、そして教職員の服務規律、こういう三点が指摘をされているわけであります。服務規律についてはいわずもがなのところがありますから、特にこれについては聞きませんが、厳正な服務ということが基本でございますので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 そこで、最初に性教育の関係についてお伺いいたします。
 私が申し上げるまでもなく、性に関する情報のはんらんというのはご案内のとおりでございまして、食糧事情もよくなって、かつてに比べれば子どもたちの性に対する関心の持ち始め方が早いといわれていますし、そういうことがある種、悪の道への誘惑にもつながっていると。援助交際とか、そういうこともいわれておりますし、さきの本会議では、中嶋議員の方から、いわゆる性感染症が、自分たちの体だけじゃなく、未来につながっていく子ども、子孫にも大きな影響を及ぼす、そのことを何とかしなきゃいけない、こういう視点からの質問もあったように記憶しておりまして、全く同感だと思います。
 そういう状況の中で、私は、教育においても、性の教育の必要性はあるというふうには理解をいたしております。ただ、そのやり方、これは実は大きな課題ではないかなと思うんですね。性に関する考えというのは、いろいろなものがあろうかと思いますけれども、そういう意味では、今回は大変大きな課題が私ども大人に対して提起された、こんなとらえ方をしております。
 第二回の定例会で、私どもの古賀議員でしたか、ちょっと名前は失念しておりますけれども、性交人形などを使った性教育の実態が示されたとき、知事も、あきれ果てた事態というような表現、あるいは混乱した教育とおっしゃいましたけれども、私も正直なところ、えっ、そこまでやるんですか、それが都民の理解が得られるんですか、教育として適切なんですか、こんな思いを強くいたしたところでございます。
 性に対する教育というのは、学校のみならず、これは家庭でも当然あるわけです。私も二人の子を持つ親ですけど、その困難さ、難しさというのは、私も正直なところあるんですよ。そこで、やはり公教育でやっていくことの必要性は、なおさら社会あるいは保護者にしっかりと理解されて、計画的、組織的に教えていくことが重要であろう、私はこんなふうに前提を置いております。
 実は、性に関する教育ということで、私の体験談というか経験談というか、私も小学校からずっと来ていますけど、性に関する学科というのは特になかったですよ。例えば理科、植物の世界で雄しべ、雌しべ、こういうことは学びました。それから、いろいろな遺伝子、遺伝をしていくよ、こういうこととかね。それは当然、その前提として雄しべ、雌しべがありますよというふうなことですし、それから体の構造というのも勉強しました。それから保健体育か何かで男女の性の差みたいな、そういうものも学びましたけれども、私が義務教育を終わりましてからもう三十七、八年たちますから、今の学校で行われている性教育というのがどんな形で、どんな目的を持ってやられているのか。それから、今回は七生養護の問題が顕在化しておりますけれども、普通の学校でどんなふうに行われているのか。それから、知的障害のあるお子さんが通っておられる養護学校ではどういうふうに行われているのか。目的と、普通の学校と知的障害のお子さんがお通いの場合のケースについて、概要をお示しいただきたいと思います。

○近藤指導部長 まず目的でございますが、学校教育における性教育は、人間尊重や男女平等等の精神に基づく豊かな人間関係を築き、家庭や社会にあって直面する性の諸問題に適切に対処することのできる資質や能力を培うことなどを目的として行うものでございます。
 次に、通常の学校でどのように行われているかということでございますが、小中高等学校における性教育は、学習指導要領に示されております理科や保健体育等の教科、また学級活動、総合的な学習の時間等のねらいや内容との関連を図りながら、全体計画や年間指導計画を作成し、児童生徒の発達段階に即して、組織的、計画的に行うものでございます。
 そして次に、知的障害のある子どもの養護学校ではどのように行われるかということでございますが、養護学校におきましても小中高等学校と同様に学習をするわけでございます。ただ、養護学校では、児童生徒の障害の状況が異なるため、一人一人の障害の程度や発達段階に即して作成されます個別指導計画とも連動させながら、組織的、計画的に行っていくことが必要でございます。

○野島委員 ありがとうございました。今のお話で、いわば目的が話されたわけでございます。現状も今つぶさにお聞きいたしました。それぞれの発達段階に応じて、もちろんその辺は学習指導要領という大きな枠組みの中でやっていく必要がある、こういうことだろうと思うんですね。
 正直なところ、こういうふうな人形を使って性交の仕方を教えたり、あるいはそれぞれの名称を付した歌を歌わせて小さい子どもに教えたりする、そのことが、今いった人格の形成を目指す人間教育の一環、それで直ちにそういう具体的なものになるというのは、私はちょっと理解しかねているところなんですね。
 今、それぞれ個々の状況、発達段階に応じてという話がありました、知的障害の皆さんにも。実は私の友人に、そういう福祉の現場で働いている人がいるんです。これは別に公立学校とかそういうところじゃないんですよ、民間の福祉施設。非常に悩んでいるんですよ、どういうふうに教えていったらいいんだろうと。僕はその悩みを聞きまして、ああ、これは大きな課題なんだなと。それ以上の話は実はしませんでしたけど、そんなことを記憶に持っているんですね。
 私は、生きとし生けるものとして、性に対する興味がなきゃいけないし、関心を持たなきゃいけないし、欲望というのも当然あると。それをどう適切にコントロールしていくのか、そして次の世代を生んでいく、あるいは性の犯罪の起きないような社会をつくっていく、こういうことが必要だと思うんですね。その前段に向けての学校教育の中で、教科としてはないけれども、それがかかわるさまざまなジャンルで、学科という領域において適切な指導をしていこう、こういうことだと思うんです。
 今、理念はわかりました。その場合のフィルターというのか、それは、これを教えたい、あれを教えたいというのはあると思いますが、いろいろなフィルターがあって、そこを通して、なるほどこのことは教えていった方がいいというのが、私は結論としてあり得ると思う。その要件というのか、要素というのかな、そんなものはどういうふうにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

○近藤指導部長 東京都教育委員会では、児童生徒の健やかな成長を願いまして、学校における性教育が適切に行われるよう、三つの要件を示してございます。
 一つは、学校全体の指導計画に基づく組織的、計画的な指導であること、そして一つは、学習指導要領及び児童生徒の発達段階に即した指導であること、そして一つは、保護者との連携を図り、その理解を得られる指導であること、この三点を、適正な性教育の要件として学校等に指導しておるところでございます。

○野島委員 はい、わかりました。
 いわばそういうフィルターにかけながら、適切な指導が、とりわけ知的障害をお持ちの学校においては、それぞれ障害も大分違いますし、適切な教育があるだろうと思うんですね。それを、歌を一緒に歌ったり、あるいは人形を使ってまでのことというのは、私はあるべき事態ではないというふうに思っております。
 そこで、話は変わるんですが、実は今回の報告書を拝見しますと、調査対象は五十六校一分校だと。その中で本件にかかわる部分としては、性器つき人形を購入していた学校が十五校、性交を内容として示している絵本を購入していた学校が七校、こういうふうになっているわけです。顕在化したところで、そういう教育が七生で行われていたというふうな調査報告なんですが、人形を買うとか絵本を購入しているということは、これは恐らく使用を前提としなければ買わないと思うんですよ、どこでも、学校配当予算が少ない、教育委員会、もっと銭を出せとか、そういうところがあるわけですから。そういうところで、この備品を備えたということは、私にいわせれば、使用を前提として、という推測の方が正しいなと思っているんです。
 そこで、いろいろな教科において、例えば今、社会科というんですか、公民科というのか、ごめんなさいね、いろいろありますが、そういうのを、先生方が、よりよい教え方だとか、いろいろな現下の課題について子どもたちにどう教えるとか、研究会というのをやっていますよね、道徳についてどういうふうにやっていこうとか。そういうことで、性の教育に関する研究会というものが養護学校の中に、特に大きな課題だからというふうなことでちゃんと持っているのか、教育庁なり学校なりがね。その辺の実態というのはどうなんですか。

○近藤指導部長 現在、東京都の教育委員会が所管する研究会はございませんが、任意の研究団体等があることは承知してございます。

○野島委員 学校の先生が、自分の教える教科がよりよい教科として子どもたちに受け入れていただけるようにということで研究することは、私は大いに結構なことだろうと思っておるんです。その結構なことと、自分たちの思いを、あるいはその研究会で得たことを、先ほどの三つのフィルターを無視して、直ちに、自分たちこそ養護において現場の専門家であるというのは、社会的な評価というのをどう考えているんだということに、私は行き着くと思うんですよ。
 したがって、研究会は教育庁の中にはないけど、それぞれの先生方がやっていますということ、それは大いに結構だと思うんだけど、そのことと、結果として今回惹起された問題というのは、分けて考えるべきだろうというふうに思うんですね。
 そこで、次に、実は報告書の四ぺージの下の方に、(1)のオというところがあるんですが、この報告書によりますと、七生の場合は、校務分掌に位置づけられた性教育検討委員会というのがある、そこで全校的な取り組みをしてきた、こういうふうにあるわけですね。そういう意味では、校務分掌というのは最終的には校長先生がそれぞれ役割分担を定めるわけですから、そうしますと、組織としてはそこで機能していたわけですね、そういうことを研究してやっていきましょうということが。だけど、さっきの三つのフィルターに通して、しっかりと校長先生が指導力を発揮していけば、こういう教育はあるべきではないというふうな結論に至ったのではないかな、というふうな感じも私は持っているんです。
 実は、調査報告書には触れられていないんですけど、先ほど申し上げました十五校、七校はそれではどうだったのか。そこも校務分掌で持っていたのか。あるいは、それに従って教材は買ったけれどもやめたとか。校長先生の最終責任ですから、そこでやめさせた。まあ、そこは触れませんけれども、いずれにしても、この部分は組織としては位置づけちゃっていたわけですね。組織として位置づけるということと、だから、その組織の中で自分たちが何をやってもいいんですよということは別問題。であれば、ちゃんと校長先生が全体を見通しながら、学習指導要領、あるいは先ほど指導部長のお話のいろいろなフィルター、こういうものをしっかりと見届けながら指導していかなきゃいけないのでありますから、当然のことながら校長の責任というのは問われてくるだろう、こういうふうに私は一点、思っているんです。
 それから、江戸川、石神井、葛飾、ここでは教員や寄宿舎指導員が個人的に行っていた、こういうことでございます。先ほど、任意の機関があるというふうに伺いました。それはそれで、自分たちが恐らくそういうところで研究なされた部分もあるだろうし、そして子どもたちに教えた部分もあるだろう。みずからの発意でやった部分もあるかもしれない。しかしながら、これは全く個人的に行っていたということです。いろいろな目を通して、教育のあり方、教科の進め方というのはやられるべきでありまして、その部分だけでやっていたというのは、いわば組織人として、公教育に携わる公務員としては、いささか節度に欠けるといわざるを得ないだろうと思っております。
 いわば、前段の部分は組織としては形式上は整っていた、後段の部分は組織が機能しなかった、この二つの問題を私は提起をしたいと思うんです。
 では、それをなぜ校長先生が気づかなかったのか。気づいていたけれども、気づいていなかったのか。あるいは教育委員会も、当然のことながら各学校がどういう教育をなさっているのか、科目別に、はしの上げおろしまでじゃなくて、トータルとしてはつかんでいるというふうに思っておるんですが、こういう事態が生じてしまった。不適切な性教育が行われていた、こういうことに校長先生や教育委員会が気づかないで放置されていた、是正されなかった、このことの理由を聞かせていただきたいと思っています。

○近藤指導部長 まず、校長が気がつかなかった理由といたしましては、第一に、性教育の全体計画や年間指導計画等が整備されていなかったこと、第二は、校長が授業の実態を十分に把握していなかったこと、そして第三には、一部の教員が個人の考えで指導を行っていたことなどがございます。
 また、都教育委員会につきましては、教育課程の管理についての指導が十分でなかったこと、学校の性教育の具体的な取り組みについて、情報収集や指導を十分に行ってこなかったことなどがございまして、こうした事態を招いたことにつきまして、責任を重く受けとめているところでございます。
 今後は、都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会の報告書に示された改善策の実現に向けまして全力で取り組んでまいる予定でございます。

○野島委員 校長先生も全体像をとらえつつ運営しなきゃいけない。
 実はこういう話が、今もあるのかどうかわかりませんがね、私はこの教育というのか、科目の専門です、校長先生が授業を見にきたら私は授業をやりませんということを平気でいう教育公務員もいたんです、正直なところ。それでは、校長先生がどんなに把握しよう、どんなに指導しようとしても無理なわけですから、その辺はしっかりと校長先生が取り組まなければ。大変きつい作業だと思うんですが、そういうふうに思っています。
 ぜひ全面的に、校長先生が学校運営全体について、教育指導のあり方についても十分把握できるような--最近、学校長の権限をしっかりさせようということで、主幹制の導入もありました。それから予算配当もありました。あるいは、教育目標をしっかり立てる、あるいは地域に開かれた学校ということで評議員制をやりなさいよとか、こういういろいろな制度改革がされているわけですから、そういう部分を道具としてといいましょうか、適正な学校教育に向けて十分使えるように、ひとつ教育委員会もバックアップしてもらいたいと思うんです。
 それで、実は今、性教育の話になっていますけど、学校における教育活動というのは、何も性教育だけじゃないわけです。いろいろな科目があります。大体課題になるのはどこかというと、歴史だとか国旗・国歌だとか道徳、こういう課題ですよ。算数から数学、あるいは理科とかなんとかを教えるときに、教え方のうまい下手で生徒の到達度というのはあるけれども、算数の数式で見解なんか分かれるところはそんなにないんですね。これは日本だけじゃなくて、世界だって足し算は足し算で、日本の足し算の仕方と世界の足し算の仕方が違うということはない。いわばそういう部分の教育のあり方ですから、とりわけそういう部分についてはしっかりと、都民に納得できるような教育の進展のためにやっていただきたいというふうに思っております。
 それから、個人の考えでおやりになったというふうな話も、今お聞きいたしました。やはりその辺は、自分も公教育に携わる一人として、意見としてはいろいろあると思いますよ、こういう教育がいい、ああいう教育がいいと、性教育に関しても。しかし、そのことがスタンダードなものとして皆さんの理解を得られるのか。さっきいった三つの要件がありましたけれども、そういう視点をなくしたら、そんなものは何の意味もないわけですよ。だから、教員の皆さんもそういう視点を持ってもらわないと。
 私、よく今までも文教委員会でいったんだけれども、教育行政というのは、人、物、金を私たちの要求に応じてつけなさい、あとは私たちが現場で教育をしますから、とやかくいうのはやめてくださいと、何か一つでもいうと、政治の教育への介入だというふうなことをいわれますけど、そうじゃないんですよ。
 東京都にしてみれば、信託を受けた石原知事が、教育行政という、行政委員会ですけれども、そこを指揮監督するんでしょう。ですから、そういうシステムの中で先生がいて、個人的な思いはいろいろあると思いますよ。だけど、それを、フィルターも通さずに、さあ、これをやりましょうとかいうことで具体化してしまう。あるいは、校長先生が学校の経営者でありながら、そういうことも気づかずにいるということは、組織として機能してないわけです。さっき申し上げましたように、これからの教育について、いろいろな改革あるいはいろいろな運営のあり方について、さまざまな改善もなされているわけですから、ぜひそうしていただきたいというふうに思っております。
 そういうことで、今後、日常の教育活動そのものが適切に都民の信託にこたえられているかどうか、こんなことをしっかりと見届けていくために、教育委員会は、都立高校あるいは公立の小中学校、公立の場合にはそれぞれ市区町村の教育委員会もありますけれども、どういうふうに対処していくのか、こんなことを伺ってみたいと思います。

○近藤指導部長 各学校で適切な教育活動を行うためには、地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達段階や特性を十分に考慮して、校長の権限と責任のもとに教育課程を編成し、実施していくことが重要でございます。
 都教育委員会は、今回の問題を契機といたしまして、より適正な教育課程が編成されますよう、各学校や区市町村教育委員会等を支援してまいりたいと思っております。

○野島委員 この件はこれで最後にいたしますが、教育という仕事もそうですし、どんな仕事であれ、一つの理念があって、目的があって、例えば学校ではこういう方針を定める、そのためにこういうふうなことでやっていきたいという計画があるわけですね。で、計画がどう実施されたかということ、その効果がどうであったかということも検証しなきゃいけない。それで、正すべき点は正していくというのが、私は必要だと思うんです。
 ただ、教育のトータル的な効果というのは、一朝一夕には出ませんわな。その人が社会に出て、どういう社会的な貢献ができる、自己実現ができるというのは、なかなか先の話ですから、効果が出ませんけれども、そういうことを積み上げていくことが、私は、学校運営の中で教育をする側の責任だと思うんですよ。それで、パーフェクトな教育なんというのはある意味ではあり得ない。試行錯誤も繰り返していかなきゃいけない。そのときに一番必要なのは、それが社会や地域、あるいは保護者から見て受け入れられるのかどうか、ここに帰すると思うんです。
 そういう意味で、今後、東京都教育委員会が、さっきお話のありました適正な教育活動に向けて、都立学校あるいは区市町村教育委員会を指導されまして、週の指導計画、よく現場では週案、週案というような話をされていますけど、そういうものをちゃんと把握をして、今いったようなプロセス--あるいは校長先生がいて教頭先生がいて主幹さん、主任さんがいて一般の教員がいる。どんな仕事だって、報告があり、連絡があり、相談があるんですよね。そういうことで学校の運営というのをしていかないと、今回みたいな問題がまた惹起されはしまいかという危惧を持っておりますので、ぜひそういうふうなものを皆さんの前に明らかにしていく、そんなことをしていくべきだと思いますけれども、見解をお伺いいたします。

○近藤指導部長 性教育だけにとどまらず、学校におけるすべての教育活動は、年間指導計画や週ごとの指導計画などによりまして、組織的、計画的に行うことが大切でございます。
 現在、東京都教育委員会では、区市町村教育委員会及び都立学校長に対しまして、週ごとの指導計画の作成と提出の徹底を図りまして、授業の改善、充実に努めているところでございます。
 なお、この取り組みの状況につきましては、今年度末に調査を行いまして、実態把握に努め、それに基づいた指導の徹底を進めてまいりたいと考えております。

○野島委員 この部分はこれでやめます。
 次に、学級編制について足早に伺いたいと思います。
 二十校の学校が学級編制の不正があった、こういうことであります。そして結果的に多くの学級数を申請して、不正に教員の配当を受けていた。いわば組織体の運営にかかわる根本の問題だろうと理解をしています。
 それから、重度重複学級できめ細かい指導を受ける必要のあった生徒を動かしちゃって、適切な教育の機会を奪ったということは、これはその子どもたちが教育の機会に恵まれなかったと同時に、保護者の教育への信頼を裏切るものだろう、こんなふうに思っております。
 この重度重複学級というのはどういうものなのか、もう一度そんなところを伺いたいと思います。

○山際学務部長 重度重複学級につきましては、障害の程度が重度の児童生徒や、障害が重複する児童生徒に対しまして、障害の状態に応じたきめ細かい指導を行うために、一学級三人の少人数で編制をした学級でございます。また、普通学級とは別の教育課程を編成いたしまして、児童生徒の自立を目指し、障害に基づくさまざまな困難を主体的に改善、克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養うために、自立活動を主とした指導を行っているところでございます。

○野島委員 今回の報告では、重度重複学級に在籍するということであった子どもが普通学級に移されたというような状態ですよね。
 最近、重度重複の児童が大変多くなった、こんなふうに聞いているんですね。それで、障害の程度に応じて、こちらの学級でいい、やはり重重学級ですよと、こういうふうに割り振っていくといいましょうか、それぞれ在籍を決めていくというふうに思うんですが、それはどんな手続を経て決められていくのか、そんなところも伺っておきたいと思います。

○山際学務部長 重度重複の重度とは、児童生徒の障害の状況を、発展の側面、行動的側面、疾病的な側面から総合的にとらえた状態でございます。また、重複とは、法令に定める程度の障害を二つ以上あわせ有する状態でございます。
 重度重複学級の対象児童生徒の認定につきましては、事前相談を踏まえて、学校長から申請のあった児童生徒の障害や発達の状態等について、都教育委員会が、社会性の発達や、あるいは日常の基本的生活の自立の程度等を総合的に判断して認定をしているところでございます。

○野島委員 報告書によりますと、この七生においては、本来少人数で指導すべき重度重複障害学級の生徒を、恒常的に普通学級の生徒と一緒に指導していた、こういうふうに伺ってございます。
 実は、それぞれの障害を持つお子さんが、この小集団よりもうちょっと大きい集団で教育を受けた方が教育効果が上がるということもあり得るだろうし、逆のケースもあり得るだろうというふうに思うんですね。これは、さきの改善検討委員会のこれからの障害教育のあり方みたいなところでも話された、いわば特別支援教室みたいな部分でも議論になっていますけどね。
 そういうことを考えますと、すべてが常時、重度重複の学級で学ばなければいけないものではないとも考えるんです。例えば知的障害の養護においては、学校長から申請がありました、学校長さんはいろいろな事情を伺い、申請しますよね、そういう生徒はすべて重度重複障害学級に認定されていくのか。また、認定されなかったということは、普通学級でやりなさいよ、こういうことだと思うんですが、そういう中での対応というのはどうなされているのか、伺っておきたい。

○山際学務部長 学校長からの申請と、都教育委員会の決定の過程で、学校長から申請のあった児童生徒の中には、必ずしも重度重複学級に措置して、自立活動を主とした指導を行う必要がないと判断される場合もございまして、すべてが重度重複学級に認定されるものではございません。
 認定されなかった児童生徒のうち、例えば知的障害が重度でございましても、ダウン症の児童生徒のように、集団の中での指導により成長発達を目標として、普通教室で、障害の状態に応じたグループ編成や、あるいは指導内容、方法を工夫いたしまして、個別指導計画に基づく個々に応じた指導を行っているところでございます。

○野島委員 今伺いまして、そういうふうな形で対処し、なおかつ個に応じた指導もやっていく、こういうことだと思っています。
 今、全体像をお伺いしたんですが、その対象の児童が、どちらの学級がより教育効果が上がるかという判断、それから全体の人数を含めまして、学級編制の際に、当然のことながら校長先生からいろいろな具申というのか、こういう形でいきたいというようなことがあり、教育委員会もそれに対応しながら学級編制をやっていくというふうな事情については、概要わかりました。
 そこで、今回、発端となりました七生養護について、少し具体的にお聞かせいただきたいと思うんです。
 今年度の七生養護学校の学級減の状況、それから中等部、高等部の児童生徒数と学級の設置の状態、一学級平均の在籍者数、こんなところについて具体的なデータでお願いいたします。

○山際学務部長 本年度、七生養護学校におきましては、中学部で一学級、高等部で二学級を、校長の判断で決定学級から減じておるところでございますが、現状につきましては、中学部は生徒数二十三名で、普通学級が三学級に対しまして、重度重複障害学級は五学級ございます。普通学級の一学級平均の生徒数は三・三人、重度重複障害学級につきましては二・六人でございます。
 また、高等部につきましては生徒数七十人で、普通学級数八学級に対しまして、重度重複障害学級が七学級でございます。普通学級の一学級平均の生徒数は六・三人、重度重複障害学級は二・九人でございます。

○野島委員 実情はお伺いいたしました。
 私、実は、この課題というか問題が提起されたときに、逆かと思ったんです。普通学級ではとても難しいから、重度重複学級の方に生徒を移動させる、移動というか、学級がえをするよというふうなことかと思ったら、本来、重度重複学級で教育を受けるべき児童生徒を普通学級に持っていっちゃったんでしょう。そういう理解でいいんですよね。そうすると、やはり本来的には教育の形が整わない。じゃあ、なぜそういうふうな編制を不正にしなきゃいけなかったのか、こういうことになると思うんですね。
 新聞報道といっても、政党の機関紙もありますし、いろいろな一般の新聞もあります。これの中には、実は教員が極めて不足している、指導体制確保のために行ったのである、原因は、東京都教育委員会が実態に応じて重度重複障害を認定しなかったことにあるんだ、こういう主張もあるんですね。具体的に職員組合の試算でいけば、何百人とかの部分が足りないというふうなことがあったんですが、そういう実態があったのかどうか。
 もちろん私も、教育に関する人だとか物の絡みで、現場がこういう要求をしているから全部がクリアできますなんというのは、どんな世界でもないわけですから、一定の制約というのはあると思うんですね。そういう実態があったのかなかったのか、見解を伺いたいと思います。

○山際学務部長 都立知的障害養護学校中学部の一校当たりの重度重複障害学級設置率は、平均三四%でございます。これに対しまして、七生養護学校の場合、全八学級中五学級が重度重複学級となっておりまして、設置率は六三%でございます。また、普通学級を含めましても、一学級当たりの生徒数は、都平均では四・〇人に対しまして、七生の場合には二・九名でございます。
 同様に、高等部の一校当たりの重度重複障害学級設置率は平均二五%でございますが、七生養護学校の場合、全十五学級中七学級が重度重複障害学級でございまして、設置率は四七%でございます。
 これらのことから、七生養護学校は、他の知的障害養護学校に比較いたしまして、重度重複障害学級の設置率は極めて高いという状況でございます。

○野島委員 今、最後に設置率が極めて高いというお話でございました。そういう生徒が多いところは設置率が高くなっていくんですよということと、それでは、ほかの養護学校の場合はどうなんですか。私、そんなに発生率が違ってくるとは思わない。
 で、正直なところ、学校運営というのは、それぞれクラス編制だとか、いろいろな先生がいて、トータルとしてやっていく。そのときに、先生が何人要るんですかと、こういう大ざっぱなくくりをする場合と、この教科はこの先生方がと、いろいろなことがあると思うんです。で、実はこれ非常に悩んでいる。だからどうだということじゃないんですね。
 この議論というは、実は四十人学級、三十人学級と同じだと思うんです。四十人学級でなくて三十人学級にしろと。四十人学級制度だと、四十一人いれば、要するに二十対二十一にするわけですね。三十人学級制度にすると、三十一人いれば十六対十五にしなきゃいけない。で、教育効果がどうだとか、いろいろな議論がありますけれども、人数だけで教育効果ははかれないというふうに思うんです、集団としてどの程度の教育集団をつくっていくかという、その根本の議論もあるわけですから。
 今回、この課題を聞いていましても、実はその辺があるというふうに私は思うんです。ただ、申し上げましたように、評論家の方がいろいろいうのは、それはそれでいいと思うんです。社会の、あるいは教育のよりよい進展を目指して、教育委員会、横山教育長とんでもないという主張も、これは当然あるでしょうね。
 だけど、さっき申し上げました公教育という、教育予算も限られているわけであります。そういう中で、仮にその気持ちと一緒の、自分も考え方が同じだという校長先生がいて、あるいは先生方がいたとしても、その思いを、冒頭申し上げた組織のルールや、あるいは学級編制という制度論を逸脱してやっていいという結論にはならない。
 それから、人数が少ない、多いですけれども、与えられた学級編制だって、前年度の早い段階からやっていくんでしょう、いろいろ個別の事情を聞きながら。そういう中で議論をしてきて、これが必要だといったのに、ふたをあけてみたら実は違っていたというのは、公務員として公教育に携わる、あるいは公ということで都民の教育の負託にこたえていく学校の管理職としても、あるいは教員としても、極めて不適切だろうというふうに私は思っております。
 いろいろ大きな課題はあると思うんですが、今回指摘をした学校では既に改善が進められている、こんなふうに伺っていますが、どのような取り組みを実施していくのか、また教育委員会はどういうふうにそれらをバックアップしていくといいましょうか、連携しながら進めていくというふうにお考えなのか、お伺いしておきたいと思います。

○山際学務部長 ただいまのご質問でございますが、課題を指摘された学校におきましては、校長を中心にいたしまして、教職員に対する改善策の徹底、児童生徒や保護者に対する説明、決定学級ごとの教室の確保とその表示、登校下校時における決定学級での指導など、それぞれの学校の状況を踏まえながら、現在、実施をしているところでございます。
 都教育委員会といたしましても、各学校の創意工夫に基づき改善が円滑に進むよう、原則的には行っていない学年途中での児童生徒の学級の変更や、生徒の確保のための施設設備の改善など、各学校の要望に応じて柔軟に対応しているところでございます。
 今後、学級編制等の実態把握を的確に行うとともに、適切な指導助言を行うなど、校長が適正な学校運営をできるように支援をしてまいります。

○野島委員 最後にいたします。
 報告書にありますように、今回の調査の発端は、不適切な性教育の実態を議会で指摘されたことがそもそもの始まりだ、こういうふうに書いてあります。その中で学級編制や教職員の服務の問題も出てきた、こういうことでございます。で、この報告の調査期間は、平成十年から十五年度ですよというふうなことでいわれているわけであります。
 一方、報告書の二ぺージだと思いましたけれども、今まで決定学級にとらわれない集団指導を認めてきました、そのことが拡大解釈されていって、融通無碍というか、そんな形の運営がなされていたのかなと。それが五十年代半ばくらいからということですから、例えば自分の子どもがそういう学校に入ったとき、普通の学級なのか重度重複なのか、これは親御さんに当然伝えているという前提になっていると思うんです、でなければ、親御さんの信頼を得られないわけですから。そういうことも伝えずに学級数を勝手にやっていったり、そういうことになれば、これは教育というか、保護者に対する背信行為でもあると思うんですよね。
 この問題、大変残念なことだというふうに私も思っております。今回、この調査報告がなされましたけど、いろいろな課題もありまして、今までと違った形で東京都の教育委員会も取り組んでいくというふうに、学務部長さんもおっしゃっていただきました。
 で、前回も議論になりましたけれども、いわゆる特別支援教育というのかな、今までと違って、社会全体のノーマライゼーションの中で、障害を持った子も、当然、普通の生きとし生けるものとして、その中で、こういう支援のあり方、教育の仕方をしていこう。まあ、議論はいろいろありました。ただ、根本のところで、とんでもないという論調は、僕は正直なところ余り聞かなかった。具体的な進め方として、ウエートの置き方が、普通学級に持っていっちゃっていいのか、いや、特別支援教室のウエートが高いのか、そういう議論はありましたよ。ただ、基本のところは、私、そんなに否定的な見解をこの委員会で聞いたというふうに、記憶をいたしてないんです。
 そういういろいろな意味の流れも出てございます。こういう特別支援教育体制を構築するために、今後、盲・ろう・養護学校の教育環境の整備、教室が足りるとか足りないとかいろいろな事情もあるやに伺っております。そんなことについて今後どういうふうに取り組んでいくのか。
 今回の問題は、一つの学校の問題ではあると、性教育に関しても。あるいは、かなりの学校で学級編制の不適正があったということについても、私は、東京都教育委員会、東京都教育庁を初め学校現場総体の大きな課題としてとらえていかなければ、保護者を初めとした都民の信頼を得られないだろうというふうに思ってございます。
 最後に、私も恐らく文教委員会で質問に立つのは今回が最後になろうかと思いますので、ひとつ教育長のご決意のほどをお聞かせいただければと思います。

○横山教育長 都立盲・ろう・養護学校の教育環境の整備につきましては、東京都心身障害教育改善検討委員会におきましても大きな課題と受けとめまして、総合的に検討を進めております。
 都教育委員会としましても、本年十二月に予定されております改善検討委員会の最終報告を踏まえまして、民間の人材活用等も含め、障害の重度重複化、多様化に対応しました特別支援学級への転換など、新たな特別支援教育体制の創造を目指しまして、盲・ろう・養護学校の教育の充実を推進してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。
 時間の超過をおわびして、終わります。

○河西委員 では、質問させていただきます。
 今回の報告書について、大きくは、性教育についてと、学級編制と服務に関する報告書になっているわけですが、私は、主要に性教育についてお尋ねをしたいというふうに思っています。
 この報告書を拝見いたしましても、この間の議会でのやりとりを聞いておりましても、私、個人的には非常に寂しいといいますか、そういう印象を持っています。
 考えてみますと、特に性教育の中でも、障害者、障害児童生徒に対する教育の蓄積というのがまだまだ不十分であるというふうに私は思っていたんですね。片や性情報のはんらん、それからさまざまな性に関する諸問題が、時代の流れとともに、あるいは社会の変容とともに、多くの人に関心を抱かせて、何とかしなきゃいけないという風潮にあるということは十分知っていますし、逆に障害児教育については、この委員会でも十分な時間をかけて議論してきました心障教育のあり方についてということで、大きな心障教育の時代の流れの中で、新たな教育のあり方を模索しているというのが、東京都の心障教育の現状ではないかと思っています。
 そんな中で、今回の調査の方法、それから報告書の内容を見ましても、私はかなり、強権的なというと、ちょっと抽象的ないい方ですけれども、この問題を取り扱うに当たって、管理指導する側の立場に立つ調査であり、そして今後の対応策の提案だというふうに思っているんです。
 問題は、障害を持つ児童生徒の人間形成にとって、盲・ろう・養護学校での性教育のあり方をどうするか、そういう視点に立っていないのではないかという印象を非常に持っております。
 それで、この間、盲・ろう・養護学校において、答弁の中でこれまでも耳にしましたけど、行き過ぎた性教育という形でいわれて、具体的に使用教材の問題とか、学齢に合わない不適正な指導があった、こういういわれ方をするわけですけれども、私は、ちょっと見方を変えて、それがこの間ずっと続いてきたにもかかわらず、東京都教育委員会は実態を把握せず、ここに来て、議会の役割の一つでしょう、議会から指摘を受けて、調査をしたらこうだったと。
 考えてみますと、この間の都教委の障害児教育における性教育については、私は、それほどの問題を認識しないできていた。ところが、今回、かなりハードな処分を含めた対応をされたという、その事実に対して、全体の今の社会状況、あるいは人権をめぐる問題、人間の尊厳にかかわる教育の分野での問題、考えてみますと、かなりのバックラッシュじゃないかな、揺れ戻しが起こっているのかな、そんな気も一方ではしているところです。
 それで、この処分については、教育庁、それから学校の校長先生、教頭先生の処分があり、担当した教員の厳重注意ということで処分があり、教育委員会の中でも処分がある。大量の処分という形で問題の一定の解決を見ようということになっておりますが、それがどうだということは今回触れませんけれども、要は今後の盲・ろう・養護学校あるいは障害教育にとって性教育のあり方はどうあるべきかという、今後の問題に時間を費やして検討をしていくことがとても重要だというふうに思っています。
 それで、これは私の印象を含めた思いなんですけれども、今回の質問では、一つには、この報告書の中に、今後の改善に向けた対応について提起をされています。で、具体的な質問に入りますが、まず、都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会の報告書に明記されております適正な性教育の実施に向けた今後の対応、八項目が示されておりますけれども、この項目の進捗状況をまずお伺いしておきたいと思います。

○近藤指導部長 それでは、それぞれの項目についてお答えいたします。
 まず、七生養護学校の性教育の改善につきましては、九月末日までに性教育の年間指導計画等の抜本的な見直しを行いまして、新たな全体計画を作成し、適正な性教育の取り組みに着手したところでございます。
 次に、性教育の実施指針等につきましては、九月十七日に盲・ろう・養護学校等に通知をいたしまして、適正な性教育の推進に努めているところでございます。
 また、週ごとの指導計画の作成につきましては、九月一日に通知文「学校における教育課程の適正な管理について」を、各都立学校及び区市町村教育委員会に通知をしたところでございます。
 また、不適切な教材の廃棄につきましては、九月二十四日、通知文といたしまして、「提出された性教育に関する教材・教具の今後の取扱いについて」を、都立盲・ろう・養護学校に通知いたしまして、十月中に各学校において、不適切な教材等を適切に処理することとしております。
 なお、その他の事項につきましても、現在、対応を進めているところでございます。

○河西委員 引き続き、「障害のある児童・生徒の性教育に関する実施指針」これを出されて、盲・ろう・養護学校そして各区市町村教育委員会の方に通知をしたということですが、その内容等についてお知らせいただきたいと思います。

○近藤指導部長 実施指針は、障害のある児童生徒の適正な性教育を実施するために、東京都教育委員会教育長名の通達として作成して提示したものでございます。
 この実施指針におきましては、学習指導要領に基づき、児童生徒の障害の種類や程度、発達段階を踏まえた全体計画及び年間指導計画を作成するとともに、計画内容や週ごとの指導計画を確認し、授業観察による指導助言を行うことなどを示してございます。
 また、指導内容では、性教育で使用する用語について、児童生徒一人一人の障害の程度や発達段階を的確に把握した上で取り扱うことや、発達段階別のグループ指導や個別指導を取り入れることなどを示してございます。

○河西委員 私も、ちょっと資料も拝見させていただいているんですけれども、実施指針の中の指導の評価のところが最後にあるんです。これは後でまた触れますけれども、性教育の目的なり目標に合わせた評価ということよりも、何といいますか、非常に狭義の意味の評価を掲げているなという印象を持っています。またこれは後で触れたいというふうに思っています。
 それで、実施指針を九月の十七日に都立の盲・ろう・養護学校に通知をしたということなんですが、もう一つあります「性教育の手引」の改訂です。これについては、私も過去の委員会で、この手引の内容がとても重要だということでお話をさせていただいたんですけれども、この十六年度に予定している盲・ろう・養護学校用の「性教育の手引」の改訂の趣旨と基本的な考え方についてお知らせいただきたいと思います。

○近藤指導部長 平成十六年度に作成いたします「性教育の手引」は、学習指導要領の改訂の趣旨やねらいを踏まえまして、性情報への対処や、新たな性に対する問題などにも対応するため、特に指導事例を多く取り入れまして、学校が使いやすいように改善、工夫してまいります。
 また、手引の改訂に当たりましては、学識経験者等を加えまして、校長、教頭、教諭、養護教諭及び医師等による委員会を設置いたしまして、多様な意見を幅広く取り入れながら作業を進める予定でございます。

○河西委員 この手引に関して一つ申し上げなきゃいけないのは、学習指導要領にのっとって全体計画を立て、年間の指導計画を立て、そして特に障害者については、障害児童生徒については、個別の計画と連動させてということでございますけれども、今回、手引の改訂をするに当たって、特に指導事例を多く入れて、学校が使いやすいように工夫、改善していく、今、こういうご答弁がございました。
 ここが一つポイントになるのかなと思いますが、ただ、指導事例はなるべくたくさん挙げた方がいいと思うんです。それでも、障害を持っている児童生徒の指導に当たってはそれだけでは不十分だと。本当に個々それぞれの障害種別もありますし、障害の程度もありますし、あるいは家庭の環境との関係もあるでしょうし、寄宿舎に入っているか、通学しているかでも違いましょうし、私は、ここのところが非常にポイントだというふうに思っているんですね。
 それで、学習指導要領は、盲・ろう・養護学校用の指導要領というのはないわけでして、準ずるということになっています。ですから、指導要領にのっとった指導計画を立て、といっても、本当に障害者、障害児童生徒一人一人に合った手引でなければ、使いやすい手引ではないし、教育効果の図れる手引にもならないというふうに思うんですね。
 それで、そういうことを申し上げ、この改訂作業に当たるのは、学識経験者に加えて、校長、教頭、教諭、養護教諭、医師等とございますけれども、私は、直接メンバーに入れるかどうかは別にしまして、保護者等の家庭における障害児の実態とそれに対する対応ということで、保護者の意見の反映というのをぜひ考えていただきたいというふうに思っています。できましたら、メンバーに入れてもいいのかなというふうにも思っています。ぜひ、これはご検討いただきたいというふうに思っています。
 それで、ちょっと基本的なところに立ち返ってお伺いしたいんですけれども、障害のある児童生徒の性教育の目的は何か。一般的な性教育の目的というのはあるんですけれども、障害のある児童生徒の性教育の目的は何かということを、改めてここでお伺いしておきたいと思います。

○近藤指導部長 障害のある児童生徒に対する性教育は、人権尊重や男女平等の精神に基づく豊かな人間関係を築き、家庭や社会にあって直面する性の諸問題に適切に対処することができる資質や能力を培うことなどを目的として行われるものでございます。

○河西委員 今のご答弁は、障害のあるなしにかかわらず、性教育の目標、目的というのは何かというご答弁だったのではないかと思います。
 そこで私は、児童生徒の、例えば性的虐待等の被害、性被害、これがどういう状況にあるかということで、今回の質問に当たりましても、被害実態あるいは性行動に対する数字を求めたんですけれども、東京都として持っている数字というのは非常に部分的なんですね。
 それで、今、実態の把握がどのような認識のもとにあるのかということをお尋ねしたいんですけれども、養護学校あるいは養護施設での教師や職員による、あるいは児童生徒同士の性的いたずら、性的虐待など、こういう被害も考えられるんですけれども、現時点でどのような実態把握をしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 正確な実態把握はしてございませんが、児童相談所の統計によりますと、児童生徒の性的虐待等の相談件数につきましては、若干増加傾向にございます。
 また、養護学校あるいは養護施設等での教員や教職員による性的虐待の相談件数は、東京都教育相談センターに本年度から設置いたしました相談窓口への相談状況によりますと、これは一件もございません。
 なお、他の校種における性的被害の相談件数は、十五年度十六件となってございます。

○河西委員 今お話しになりました東京都の児童相談センター、この数字、それから警視庁が把握しています犯罪等における未成年の、特に性的な犯罪についての数字とか、あるいは厚労省が全国的にまとめている各都道府県別の年代別の数字ですとか、そういうものを私も入手しておりますけれども、今ご答弁にあった児童相談センターの統計とか、東京都教育相談センター、これは東京都が責任を持って公表できる数字ですが、ここに出てくる数字というのは実態のほんの一部で、まさに氷山の一角ではないか。これは私だけじゃなくて、多くの方が認識をしているところじゃないかというふうに思っています。
 それで、これまで、それぞれの学校から都の教育委員会に上がってきているさまざまな具体的な事件といいますか、事犯というのがあると思うんですね。これがきちんとした事務報告で提出を義務づけられていたり、それによる統計、集計がないという中で、カウントをされてなかったということもあると思うんですが、ただ、対応をどうしたらいいかなということでご相談が学校から指導部の方にあったとか、そういう事例は結構あるのじゃないかと推測しているんです。ただ、統計的にないもんですから、どういう実態なのかを、きちんとこういう公の場でお聞きできないのは非常に残念なんですけれども、学校や施設での教師や職員による性的ないたずらとか、あるいは強姦も含めて、そういう事犯は皆無ではありませんし、それから児童生徒間の性的な接触ですとか、嫌がらせ、いたずら、そういうものも多数あるのではないかというふうに思っています。
 こういう実態をやはりきちんと把握をするということから、どういう指導が必要なのかということが出てくるというのはごく当たり前のことでして、そういう現場認識あるいは実態把握のない中で、学習指導要領に、盲・ろう・養護については準ずるということですが、そういうあいまいな中で、現場でどういう教育が行われていて、それが適正なのか不適正なのか判明がつかない、あいまいな物差しで評価をする、あるいは処分に至る対応をするというのは、ちょっと乱暴だなという印象を持っています。
 まず、私は、関係機関等と連携して、きちんと実態の把握に努めるということを、今後の方向性として打ち出していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 今後とも関係機関と十分に連携を図りながら、適正な性教育の実施に向けて努力してまいりたいと考えております。

○河西委員 ちょっと具体的な話になりますけれども、そもそも七生の養護学校で、非常に熱心な、そちらからいえば行き過ぎた性教育ということになるんでしょうけれども、性教育の取り組みが始められたのはどういう理由なのか。どのようにご認識してますでしょうか。

○近藤指導部長 七生養護学校では、過去に、在席する児童生徒の性に関する事故が起こり、そのことが学校全体で性教育に取り組むきっかけになったと伺っております。

○河西委員 私も今回、この報告書が発表されてから、直接、七生養護学校の保護者、あるいは七生ではないんですけれども、性教育に関心を持っている他校の教師たちからも、意見表明といいますか、ご要望といいますか、感想といいますか、お寄せいただいているんですが、七生養護学校では平成九年にこの事故が起こりということなんですけれども、まあ、生徒同士の性的な接触等が非常に広がって、これではいけないということで具体的な指導に努力をされてきたというふうに聞いています。
 そういう事件、事故をきっかけに、現場の教師たちが、何とか子どもを守るために、あるいは正しい性認識、自己認識をさせるために教育に一生懸命取り組む、こういうことはいいことではないか、そう思うんですけれども、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 七生養護学校でこの性教育に取り組むことになったきっかけは、切実なものがあったことと認識しております。
 しかし、その後、五年間にわたってさまざまな実践を進める中で、指導内容や方法、また教材、教具をエスカレートさせ、学習指導要領や発達段階に沿わない指導内容、教材、教具の使用が行われるようになったものと考えております。
 また、このことは、七生養護学校で性教育を始める段階で、七生養護学校と東京都教育委員会が連携して性教育を推進していれば、このような大きな問題に発展せず、また、子どもたちにも適切な性教育を受けさせることができたことを思うと、まことに残念であり、東京都教育委員会としても責任を重く感じているところでございます。
 今後とも、七生養護学校を初めすべての学校で適正な性教育が行われるよう、全力を挙げて指導助言に努めてまいりたいと考えております。

○河西委員 現場というのは、平成九年から、特に十年から、一生懸命性教育の指導に工夫を凝らし努力をしてきたというふうに聞いております。それから数年たっているわけですね。その当時、都教委としては具体的な指導ができなかったということなんですけれども、それはサボっていてできなかったというよりも、障害のある児童生徒に対する性教育ということの具体的な中身の蓄積が、東京だけではなくて、やっぱり薄いと思うんですよね。で、現場に任せておけばいいということで今日に至ったんだろうと思うんですが、そういう経緯あるいは現状を考えますと、現場での個々の事例に当たって、その子にどういう影響を与えるのか、どういう教育的な効果があるのか、それを、子どもを見ながら接している現場の教師の努力というのは、行き過ぎたかどうかというのは別にしても、評価をする。東京都の教育委員会が放置をしていたというのは語弊がありますけれども、初期から指導に当たれなかったということもあわせて考えますと、評価をすべきだろうというふうに思うんです。
 それにあわせて、それじゃ本来の性教育、どういうあり方がいいのかということを、私は、対立的な構造じゃなくて、現場の教師の蓄積されたノウハウと、そして指導監督に当たる側とが一緒になって、知恵を出し合ってつくり上げていくものだというふうに思っています。そういう観点からいいますと、今回の報告書の内容、それからその報告結果に基づく処分というのは、少し寂しいというか、寒い感じがしているところです。
 それで、ちょっとその教育の効果とか成果のお話は後に回しますけれども、そうはいいましても、東京都が望んでいるのは、学校長のもとに年間指導計画を立て、全体計画のもとに指導計画を立てていく、その計画を全教職員が共通理解をしていく、それから保護者の理解、協力が必要なんだと、さっきの質疑の中で明らかにされました。
 こういう物差しで見ていくということには異論はないのですけれども、具体的な中身については、今主要にかかわっています養護教諭あるいは担任等、保健体育の先生等だけではなくて、もっともっと全教員が、障害のある、ハンディを持っている生徒たちが自分の意思にかかわらず性的被害を受けないために、また逆に性的加害者にならないために、指導の推進に向けて、指導者への研修というのは絶えず欠かすことのできない重要なものだというふうに思っています。
 それについてのご見解、それから対応策についてお聞きかせいただきたいと思っています。

○近藤指導部長 教員が、障害のある児童生徒にみずから危険を回避できる能力を身につけさせたり、自己をコントロールできたりすることなど、性的被害や性的加害者にならないための指導を計画的に行うことは、極めて重要なことでございます。こうした教育を充実させるために、新規採用養護教諭研修、健康教育研修、学校保健研修など、教員研修の充実を図ってまいります。

○河西委員 盲・ろう・養護学校における性教育に関する研究発表あるいは研修などが特に東京都教育委員会でやられていないというお話がありました。
 今お話のあった新規採用養護教諭の研修ですとか、健康教育研修ですとか、学校保健研修ですとか、こういった教員研修というのは、特に盲・ろう・養護学校、障害を持っている児童生徒に対する性教育の研修ということでは、どのぐらいのウエートを占めるのかなということについて、まだ明らかにされていないと思うんですね。
 そこら辺もあわせて、本当に障害児教育の、私は戦後だと思いますが、大きな変遷の中で、国も東京都も新しい心障教育のあり方を模索しよう、こういう時期に無関係ではないというふうに思いますので、そういう関連の中で、ぜひこの教員の研修についても、具体的に効果の出る研修を現場と相談して編み出していっていただきたいなというふうに思っています。
 それと、終わりになりますけれども、保護者との連携の重要性ということなんですが、これについては特に必要だろうというふうに私は思っています。今度の実施指針なり、手引の改定でもそうなんでしょうけれども、保護者に対する計画の説明とか、理解を得るとかいう表現になっていますけれども、私は、学校にいる間と同じぐらい家庭にいる、あるいは地域にいるという現状を考えますと、障害のある児童生徒に対しては、保護者と一緒になって計画を立てるぐらいの参加をぜひお願いをしたい。そうでないと、学校で教えている教育の成果、効果も十分に発揮できないだろうというふうに私は思うんです。この保護者との連携、特に必要だと思いますけれども、ご見解を伺います。

○近藤指導部長 障害のある児童生徒の性教育に関する実施指針において、事前に指導のねらい、内容、方法を保護者等に説明することや、授業公開などを通して保護者の意見を聞くことを示しておりまして、保護者の十分な理解と協力を得てともに連携することは大切であると考えております。
 今後とも、校長の適切な指導のもと、個別指導計画と連動させながら、保護者との連携を図った指導を行うことができるよう、各学校を指導助言してまいりたいと考えております。

○河西委員 最後に、教育長のご見解を聞きたいと思うのですが、今いろいろ質疑をやってまいりました。障害を持つ児童生徒の教育環境の整備、あるいは一人一人の子どもの障害種別や障害程度に合わせてきちんと教育の効果をはかる、そういう評価の問題もあわせて、私は、今回の調査及びその報告の発表というのは、一つのきっかけにはなっているというふうに思うんです。
 ただ、一方的な今回の処分にまで至る調査結果の受けとめ方、それに対する対応は、やっぱり管理する側の、何かあったら責任をどうとるかという、そちら側に立った対応じゃなかったかなという印象を私はまだぬぐえないんですけれども、今までのやりとりをお聞きになっていて、今回の調査委員会の報告について、障害のある児童生徒の性教育について、改めて教育長の基本的なご認識を伺いたいと思います。

○横山教育長 先ほど来議論がありましたように、学校におけます性教育は、人格の完成を目指した人間教育の一環として行われるものでございます。特に障害のある児童生徒に対しましては、一人一人の障害の種類や程度、発達段階を十分に踏まえて、学習のねらいである、あるいは指導内容、使用教材などを慎重に検討しまして、適切な指導計画のもとに実施することが重要であると考えております。
 今回、調査で明らかになりました養護学校における不適切な性教育につきましては、学校全体として組織的に指導が行われていなかったことや、校長による教育課程の管理が十分でなかったことが要因となっております。
 都教育委員会としましても、今後とも各学校の教育課程の適正化を図りまして、性教育の改善充実に努めまして、障害のある児童生徒に生きる力をはぐくみ、一人一人の能力や可能性を最大限に伸ばして、社会的な自立や社会参加を実現させるよう全力を挙げて取り組んでまいります。

○河西委員 最後に、質問ではありませんけれども、教育の問題では、その指導の評価がポイントになるというふうに思います。先ほどの質問者の中にもありましたが、学校における指導の効果あるいは教育の成果というのは、在学中に結論が出るわけではありませんで、この性教育の目的にありますように、学校における性教育というのは人格の完成を目指す人間教育の一環である、こういう表現や、あるいは自己の性の自認ですね、みずから自己認識するということですね。そして人間尊重、男女平等の精神に基づくタフな人間関係を築いていく。あるいは、家庭や社会の一員として、直面する性の諸問題を適切に判断し対処する、その資質や能力を培う、これを基本的な目標に設定しているわけです。
 といいますのは、その教育の効果、成果がはかれるのは、卒業後の社会に出てどういう生き方をするのか、どういう環境の中でどう自己実現をしていくのかということで初めてはかれるわけですから、今度の実施指針にあります指導の評価は、性教育の授業の終了後は指導内容、方法等を評価させ報告を受けることとか、性教育の授業公開などを通して保護者や地域の人々の意見を聞くというようなとらまえ方ではなくて、本当にその子の基本的人権を尊重して、その子の人間形成に今何が必要なのか。やっぱり性衝動あるいは性に対するさまざまな目覚め、それから性行動というのは個々ばらばらだと思いますので、今回の心障教育のあり方で、その見直しの根底でうたっています、一人一人の障害に合った教育環境の整備、指導の充実ということを踏まえた上で、今後の盲・ろう・養護学校における性教育の充実に努めていただきたいということを申し上げます。
 また機会があれば、その後の経過を追わしていただいて、ご質問、ご提案させていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○渡辺委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
午後二時四十六分休憩

午後二時五十九分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○曽根委員 私からも、都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会の報告について、出されている問題ほぼ全般にわたって質問したいと思います。
 最初に、性教育の問題について。
 私は、この問題、つまり学校現場での教育、とりわけ授業の内容そのものにかかわる問題が議会で批判され、それを受けて、教育庁の調査、そして処分という、七月二日以来の一連の経過を通じまして、議会での教育論議のあり方、また教育行政のあり方を改めて厳しく問い直さざるを得ませんでした。
 学校教育の中心的な中身、すなわち授業をつかさどるのは一人一人の教師であります。しかもそれは、わざわざ法律の中で、不当な支配に服することなく、直接国民に対して責任を持つこととされており、教育行政は教育諸条件の整備を任務とすることがわざわざ明記されております。したがって、私は、この委員会で、教育庁がこの原則に従って今回の問題に対処したのか、そして事実は正確に確認されているのか、これらの点を中心にただしておきたいと思います。
 最初にお聞きしますが、七月二日に教育長は、七生の性教育が不適切と答弁いたしました。いつそれを判断したのか、理由と根拠は何かを教えてください。

○近藤指導部長 都立七生養護学校で行われておりました「からだうた」の内容につきましては、都議会議員より指摘を受け、校長からの報告により、六月二十三日に、学習指導要領や障害の程度、発達段階の配慮を欠いて使用されている教材であると判断をいたしました。
 また、都立七生養護学校における性教育につきましては、校長の報告から、学習指導要領や児童生徒の発達段階を踏まえない性教育の実態が明らかになったため、性教育の指導計画の作成状況等を把握するとともに、七月九日には、全教員を対象として、性教育の実施状況についての聞き取りを実施いたしました。
 その後、七生養護学校の性教育で使用されていた教材、教具等を調査し、学習指導要領や障害の程度、発達段階を踏まえない教材、教具等を経営調査委員会に報告をし、そこに示したわけでございます。

○曽根委員 六月中の段階で、七生の性教育が不適切であるという判断が出ていたのであれば、七月九日以降、七生に三十人以上の指導主事を派遣して個別の聞き取りまで行った、その目的は何ですか。

○近藤指導部長 六月の段階では、「からだうた」の教材のみについて判断をしたわけでございます。その後、校長からの報告等によりまして、七生養護学校の性教育については、さまざまほかにも課題があるということで調査をしたわけでございます。

○曽根委員 この個別の聞き取りというのが、およそ指導主事にふさわしくないやり方がとられたということを、私たちも七月中に七生の先生方のところを訪ねて、幾つかの証言をいただきました。
 指導主事二人が質問と記録を分担し、教員一人一人を呼び出して、記録はもちろん、反論も質問も一切禁止をし、また質問の仕方についても、調査用紙には、不適切な性教育をしましたかという趣旨の質問項目が書いてあって、しかし読み上げるときは、性教育をしましたかと質問する。本人が回答の後で調査用紙に確認の印を押させられたときに初めて、質問の頭に不適切なという文字がついていたことに気がついて、そこを消させたという話も教員の方からありました。
 このようなやり方を通じて、聞き取りの中では、大多数の教員の方が、決して不適切な授業内容ではないということを主張したというふうに聞いていますが、これを聞いて、教育委員会の評価は変わったんでしょうか。

○近藤指導部長 聞き取りにおきましては、大勢の教員が、七生養護学校でやっている性教育については自信を持ってやっていると答えてございました。
 しかしながら、私どもが先ほど申し上げました三つの要件等から照らし合わせましたとき、不適切な教材等も多くあったと考えております。

○曽根委員 最初から評価は不適切と決まっていて、終始一貫変わっておりません。そしてそのまま結局は九月に、授業した教員は厳重注意というふうになりました。本人が納得しないまま厳重注意ということにして、教材も取り上げ、授業をやめさせるというのは、これが果たして指導主事のやることなのか、都の教育委員会のやるべき態度なのかということを、私本当に心から疑問に思います。
 それで、そこまで厳しい対応をする上で、どこまで事実を押さえていたのかをお聞きします。
 「からだうた」については、例えば子どもに歌わせたとか、低学年まで一律に使っていたことが問題とされていますが、実際は、教員が授業の最初に、心と体の教育内容に入るということを、気持ちの上で子どもたちに、何といいますか、気持ちを切りかえさせるために一緒に歌って聞かせていたということや、一律の授業ではなく、低学年の授業は年に二回しかないそうですけれども、性器の名称は年齢を考慮して別の名前を使っていたなどの証言を、七月に伺ったときに先生たちから聞きました。指導部は、どのようにこの授業の内容についての事実を確認したんでしょうか。

○近藤指導部長 授業等の確認でございますが、平成十一年度から十五年度まで、性教育の授業を記録したビデオ百二十三本を視聴いたしまして、そこから判断したものでございます。
 また、この「からだうた」につきましては、ペニス、ワギナといった歌詞が使われているわけでございますが、これは小学校四年生の段階で使用する用語でございます。

○曽根委員 この「からだうた」についても、それを使っている授業のビデオ、すべて見たんですか。

○近藤指導部長 百二十三本、担当の者はすべてを見ましたが、私が見ましたのは、「からだうた」を歌って指導しているビデオ一本でございます。

○曽根委員 実際に授業を行った先生方は、子どもたちの発達段階や、また年齢に応じて、歌の文句についてもいろいろ工夫をしたりして使っているというふうに証言しています。
 指導部長はビデオを全部見たわけじゃないようですけれども、特に、低年齢の子どもまで一律に使っているというふうに決めつけて、これに対して、さっきいったように事実上評価も変えず、厳重注意という処分を行う、これは、私は、都の教育委員会の姿勢として極めて不当だと思います。
 私は、だれがその授業を適切かどうかという問題は後でいいますけれども、問題は、やっぱり教育庁の指導部が、間接的な校長からの報告やまたビデオなど、実際の授業を直接見るのではない判断の仕方をした、ここに大きな問題があると思います。
 授業を行った教員は、例えば人形の問題もありましたが、人形については名前をつけ、人格があるかのように丁寧に扱い、一部マスコミ報道のように、下半身だけ下着をずり下げて寝かせるような展示は絶対にしないということや、男性性器の模型は、障害児が初めての精通が大きなショックとなることから、そういう体験から、それが大人への一歩なんだということを、知的発達に応じてわかりやすく理解させるために限定して使っていたこと、また性器のついた下着は、男子トイレで立って小用ができるようにするための訓練であり、それぞれそういう正当な目的を持っているのであって、そのために工夫を重ねてつくってきたものだ。だからこそ、それを使った授業を見ないで不適切と決めつけるのはひどいと話していました。
 私は、もう少し客観的に見て、専門家の立場から意見を聞きたいと思い、ことし、校長の研修会でも講演されました学芸大学の加瀬進先生に会ってお話を聞きました。彼は、障害児の性教育を基礎づけたといわれる大井先生という方の後継ぎとして京都から来られたそうですが、そのとき、最初に七生養護学校を訪ねて、自分の教え子の学生たちを連れていったそうですが、授業や教材も見せてもらったが、自分はもちろん、そういう教材を見るのが初めての学芸大の学生たちも、決して報道されているようなアダルトショップなどという印象は持たなかったと語っていました。
 また、生物や人体の模型というのは、一般には異様な形に見えても、ある限定した教育のために必要な目的でつくられた教材であり、例えば、助産師の教育のためにつくられた、胎児の月齢ごとのリアルな人形など、具体例を挙げていただきました。
 そして何よりも、知的発達が体の発達に追いつかず、施設の中や家族との間で性のトラブルを起こしやすい障害児にとって、性教育を発達に応じ理解できる方法を工夫する必要があること、文字や絵画ではわかりにくいが、本物の人体を使うわけにはいかない中で、人形や具体的な形の教材が必要になる。そして具体的な授業について、自分もすべて個々の実践と意見が同じわけではないが、もし意見の違いや批判があれば、こうした授業の交流を通じて助言や指導を行うべきであり、いささかでも権力的に抑えつけるようなことがあってはならない問題だとも語っておられました。
 私も、性教育に限らず、教員にとってまさに教育活動の最高の場である授業の中身については、たとえ都教委として不適切だと判断しても、教員の実践を尊重する立場から、授業の内容に即して、相手に納得されるような指導助言をすべきだと考えます。それが、授業さえ見もせず、教員の主張にも全く耳をかさない姿勢では、およそ話にならないではありませんか。指導部としてそれが当然のやり方だと考えているんでしょうか。

○近藤指導部長 今回、指導等いたしましたのは、学習指導要領や発達段階を明らかに踏まえていないという視点のみについて指導したわけでございます。
 先ほど申し上げました「からだうた」を小学部の下学年で一律に歌わせることの問題点、さらには出産シーン等を直接ビデオで見せる問題点、さらには、校長の了承を得ることなく、学校の実践例を一般紙に掲載したこと、以上でございます。

○曽根委員 それでは、都教委にそういういい分があれば、授業を見ないで個別に取り締まるみたいなことをして、教材を取り上げ、一方的に厳重注意という乱暴なやり方でも、指導として許されているんでしょうか。とんでもないことです。
 私は、現在理事を務めておられます斎藤さんが執筆者、監修者ですか、執筆に加わっております、三年前出たようですけれども、「新しい指導主事の職務」という本を読ませていただきました。ここには、指導主事というのはどういう仕事をするのかがかなり詳しく書かれており、いわば指導主事の方の手引だと思います。
 そこには、指導主事の役割は、自分自身の経験と多くの学校の授業参観で得た授業の望ましいあり方に基づいて、教師の授業でのつまずきを発見し、よかったことは褒め、マイナス面をきちんと指摘し、どこをどう改めると子どもたちの理解が深まるかを具体的に指導し、このことを通して教師を励まし意欲を喚起することであろうとしまして、そのためには次の心構えが必要だということで、事前に学習指導案を入手し、計画段階での授業吟味を行い、授業参観での観点を絞り、指導助言すべき内容の要点を絞る。また、よい授業に対する多様な考え方があることも身につけておく。そして、指導主事自身の価値観を押しつけてはならないことなどが書かれており、最後に、一人一人の教師を励まし、意欲的にさせるためには、やはり人間性のにじみ出た指導助言のあり方が重要であるとしています。
 この当然のことが、この間の七生の性教育に対する調査や、それから最終的に、教員のいい分、主張を何ら考慮することなく厳重注意ということが行われたことは、まさにこの指導主事の職務の書かれている原則から逸脱している以外の何物でもないと思います。
 しかも、都教委の報告書は、教育内容の事実を把握していないだけでなく、七生でなぜ性教育の全校的取り組みが始まり、どのように発展させてきたかを、全くこの報告書では無視していることも問題だと思います。
 先ほどもご質問がありましたから省略しますが、七生では、既に何年も前に施設の中で、ある知的障害の女の子が、相手がそのときだけ優しくしてくれるからという理由で、意味もわからず性交渉を繰り返していたことが発見されたのをきっかけに、障害児だからこそ性問題の被害者、加害者にならないために、どうしても発達に応じた性教育が必要だという痛切な反省に立って、学校ぐるみの模索が始まったと聞いています。
 以来、長い積み上げの中で、教員が学校全体で相談して取り組んでいること、父母に対して、授業の数日前には授業の目的や方法を知らせ、要望意見を集め、父母から、我が子はまだ早いなどの要望が出れば、尊重して別メニューにする、事後にも子どもの変化や気づいたことを連絡し合うなど、実にきめ細かいカリキュラムが確立してきており、父母はもちろんですが、これまで多くの見学者からも高い評価を得ているものであります。
 この専門家からも評価されるような七生の性教育、私、率直にいいまして、全国津々浦々探しても、障害児教育の、性教育の方法の点でも、教員のひとりよがりや行き過ぎの起こりにくい、最もすぐれた方法ではないか。七生以上にすぐれた性教育の実践データは一体あるのかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 七生養護学校が性教育を取り組むことになったきっかけについては、切実なものがあるということについては、私どもも認識をしているわけでございます。しかしながら、そうした切実な思いの中から性教育が始まったとしても、やはり学習指導要領や発達段階を踏まえた指導を行うということが学校教育の常であると考えております。

○曽根委員 そこまで専門家のようなことをおっしゃいますが、障害児の性教育というのはまだ全く模索の段階だと思うんです。だからこそ、すぐれた実践から学ぶことが大切ではないでしょうか。内容も方法も父母や専門家から高く評価されている七生の授業、性教育の授業を、都教委だけがなぜそのように批判できるのか、私は不思議です。
 最近、私たちの会派のところに、七生の父母の保護者の方から実名でお手紙をいただきました。ここには、教員の人たちだけではなく保護者の意見にも、都の教育委員会は耳をかしていないということが切々と語られています。これまでに三回、全校保護者会が開かれましたが、十分に当事者の意見や思いを聞いていただいたとはとても思えません。語られた多くの保護者の意見は、文科省への報告にも、また報告書にも反映されていないと訴えています。
 この方は、かなり前から七生の性教育、子どもさんを通じて体験をしているようですけれども、それが始まるまでは、悩みを抱えた親たちが仲間で語り合い、自分たちでお金を出し合って勉強会を開いてきた。しかし、母親たちの努力には限界があった。学校できちんと授業の中で取り組まれることになったときは、本当によかったと思った。他校の保護者からもうらやましがられることもあり、誇りに思っていたと書いています。授業の事前事後の連絡、先生たちとの密接な連携、その中で、例えば、心が傷つけられた子どもから、僕はどうして生まれてきてしまったのかという話があったときに、それじゃ、その子の命が生まれる体験をさせてやろうということで、大きな袋をつくって生まれる体験をさせてあげたと。この袋に、都の教育委員会は、膣つき子宮内体験袋という悪意ある仰々しい名前をつけたのはどうしてなのか理解に苦しむというようなことも書いてあります。そして最後に、今回のような一方的なやり方には何らの客観性も感じられず、多くの保護者が疑問を感じている。一日でも早く、今までのような子どもたち中心の学校に戻してくださるようお願いいたしますと結ばれています。
 私は、こうした保護者の方々の声こそ、無視したり握りつぶすことなく、きちんと指導の中に反映させるべきだと思います。
 今まで、つい最近まで、都の教育委員会は何一つ七生の実践にクレームをつけてきませんでした。授業も見ず、しゃくし定規な解釈で不適切と判定するようなそういうやり方で、これから具体的な指導書などをつくることは、私は、本当に実態に合わないものになる危険性が極めて高いといわざるを得ないと思います。性教育を後退させるような指導や手引をつくることはあってはならないということを厳しく申し上げておきたいと思います。
 さて、今回、具体的教育内容が初めて本格的な調査と処分の対象となりました。報告書、その後の九月十一日に出された処分についての私たちへの通知には、処分事由の中に、教育内容についてとあり、校長が学校教育の管理を適切に行っていなかったため、学習指導要領等を踏まえない性教育が実施される事態を招いたと。これは処分事由に入っています。
 実際に、厳重注意というのは公式な処分じゃないそうですが、七生の前校長の処分理由に、この性教育の中身についての処分事由は入っているんでしょうか。

○臼井人事部長 処分の公表につきましては、懲戒免職の場合のみ、氏名、学校名を公表しておりまして、懲戒免職以外の個人を特定して処分の内容等をお話しすることはできません。

○曽根委員 これは非常に重大な問題です。なぜなら、教育の中心的な中身である授業の内容について、もし処分の対象になるとすれば、これはまさに基本法でも厳重に指摘をされている、教育内容に対する教育行政からの介入になるからなんです。したがって、この問題は重大なので、本当に七生の前校長に対する処分の中に、理由として性教育の監督ができなかった校長の--我々にはちゃんと、七生の前校長しか対象者がいないにもかかわらず、ちゃんと文書で報告いただいているんで、それが入っている、これは事実のとおりなんですが、入っていなかったとすれば、これ自体が我々に対する錯誤ということになりますが、いかがですか。

○臼井人事部長 先ほど申し上げたとおり、懲戒免職処分以外は、氏名、学校等を公表しておりません。ただ、一般論を申し上げますと、学習指導要領を踏まえない教育が実施されていたと仮定した場合、その具体的行為が地方公務員法二十九条の懲戒事由に該当する場合には、法的に処分することも可能であると考えております。

○曽根委員 私は率直にいって、この問題についてはお聞きしましたが、聞いたところ、処分理由に入っていないというふうに聞いています。それは、個人にかかわることはそちらからいえないそうですけれども、私たちの報告書には、処分事由の第一に教育内容について掲げ、しかも対象者は七生の前校長しかいない。明らかにこれは前校長としての職務、学習指導要領等を踏まえない性教育が実施される事態を招いたという、このことについて処分をしましたという報告であるにもかかわらず、本人に対する処分事由の説明にはなぜこれが入らないんですか。

○臼井人事部長 教育内容についてのお尋ねでございますけれども、教育内容についての処分事由でございますが、今回の処分につきましては、校長が学校教育の管理を適切に行っていなかったため、結果として学習指導要領等を踏まえない性教育が実施される事態を招いたことである、このように私どもは認識しております。

○曽根委員 これは、不当な処分ということで法的に争いになれば、大きな教育行政上の問題になります。法的に争った場合に負ける可能性が強いので、入れなかったんじゃないんですか。

○臼井人事部長 再度ご答弁申し上げますけれども、今回の処分は、校長が学校教育の管理を適切に行っていなかったため、結果として学習指導要領等を踏まえない性教育が実施される事態を招いた、このように認識しております。

○曽根委員 我々議会や、それから世間に対しては、いかにも教育内容で厳しい処分を行ったような文書を発表しておいて、法的争いは巧妙に避けようとする、これこそ本当にこそくな態度だと思います。
 我が党は、教育行政に携わる教育委員会や議会は、あくまで学校を初め教育現場の諸条件を充実させることに全力を尽くすのが使命であり、教育の実践に対して、抑えつけたり、あれこれ文句をいうのは厳に戒めなければならないことだと考えております。この原則を事実上投げ捨てるような教育庁の姿勢は、父母、教育関係者の厳しい批判は免れないということを指摘しておきます。
 次に、学級編制の不適正が指摘され、また処分が行われた問題で質問します。
 報告書の六ページには、一般論としてですが、学級の三つの必要条件を指導してきたとあります。つまり、学級を定め、担任を定め、そして教室を定めることです。これは、普通学級にしろ、重度重複学級にしろ、必ず決められた担任が決まった学級と教室で一日じゅう指導すべきということですか。

○山際学務部長 学級において一日じゅうというようなお尋ねでございますが、一日じゅうというふうなことではございません。必要に応じて、学習上の指導について別の方法でやることもこれは可能である、このように考えております。

○曽根委員 これはほかの方からも質問があって、つまり、学級としての指導は一日じゅうやらなければならないというものではなく、その障害児の発達や個別の課題に応じて、さまざまな学習グループや指導課題を持った別の編成での授業や指導はあり得るということですよね。
 私は、名前の挙がった学校について個別に調べてみました。久我山盲学校では、この春、小学部で重度重複が六名だったところに、一人重度重複児が入学をしてきた。六名では二クラスですが、三クラスを申請したが認められず、かといって小学校一年の子どもを普通学級には入れないので、かわりに小学校六年の女の子が普通学級に入るという形で届け出が出されました。その際、学務部は、日常の指導は重度重複で行ってよいというふうにいったと聞いています。その子は、中学で重度重複学級に戻れるから、あと一年だけだということで、実際の指導は重度のクラスで一緒に指導していた。これが突然不適正とされ、校長が処分されました。決定学級として最低限の形が必要だと指導されて、今その子は、朝と帰りの会だけ普通学級に行かせています。本人は全盲で知的障害が重く、教室の移動も大変だし、普通学級の会では、先生の話も理解できず、指導上何の意味もない時間になっているというふうにお聞きしました。
 七生養護学校は、中学と高等部の重度重複学級の子どもが、先ほどもちょっと話がありましたが、重い情緒障害のために、同じクラスでは子ども同士が反発し合って指導が困難なため、それぞれ中学部と高等部の普通学級に一人ずつ先生がついて、加わって日常の指導を受けていたことが、決定学級でクラス数が少ないと指摘されました。ここでも、子どもの状態と指導の仕方はもともと報告していたにもかかわらず、学務部は今になって、学級での指導をやっているはずだと思っていたと説明したそうです。今は、やっぱり朝と帰りだけ、とにかくけんかしないように、短時間、学級会をやっているそうですが、教室もまたそのために急遽小さい教室をカーテンで仕切って使っているそうです。
 父母からは、どうしてわざわざ短時間だけそんなことをするのかといわれていると聞きました。
 先ほど、七生については、重度重複の発生率はほかと変わらないんじゃないかというお話がありましたが、七生養護学校は、七生福祉園という障害児の施設が近接しており、ここからの子どもたちが多いために、一般の知的養護学校よりも重度重複が高いというのは、そのことも理由があると思います。
 それから、江東養護学校、高等部の改修がようやく実現したところですが、小学部が入学児がどんどんふえて、ついに大き目の教室を三つとか四つに分割しなければならなくなり、カーテンで仕切ったものの、とても授業にならないため、実際は一緒のグループとして指導していました。今回指摘されて、二学期からとりあえず、真ん中に両側から机で押さえるベニヤ板を立てています。こういう状態です。(写真を示す)教室の真ん中にベニヤを立てて、応急的に二つに分けて使っているんです。しかし、机と本箱で挟んでいるだけですから大変危険だし、また、カーテンには子どもたちが絡みついたりして、いたずらして危ないので、急遽このベニヤのつい立ては壁にすることにしたそうです。しかし、それでも、二つに割った部屋をさらにまた、それぞれカーテンで二つに分割して四クラスにするわけですが、うち二クラスは出入り口がなくなるということでした。
 板橋養護学校は、高等部のみの学校ですが、一年で重度重複を認められた三学級を二学級で、二年では二学級を一学級で指導していました。これは、生徒の状態から見れば、重度重複を少人数で三クラスや二クラスにするよりも、一つのグループにして、二クラス分の教員で指導した方が効果的であること、また、重度と認定されていないが普通学級での指導が困難な生徒を重度のクラスで一緒に指導したこと、さらには、決定学級分の教室が足りずカーテンで仕切ることになるが、高等部ではとても無理があることなどからそうしていたそうです。これも指導を受けて、父母会で校長先生が説明しましたが、父母からは、学年途中のクラスがえは不安だという声が相次いだそうです。校長も、年度途中のクラス編制がえは影響が大きいことを重く受けとめているが、決まりどおり指導を求められているのでやむを得ないという話をしたそうです。
 肢体不自由校の村山養護では、決定学級どおりの朝の会をやるためには二重三重に難しさがあって、いまだに実施できていません。それは、村山養護が、医療ケアを必要なほどの重度の子どもが五十八人中二十九人いるそうですが、学務から認められた重度重複学級はこうした実態と別に決まっているために、医療ケアを要するのに普通学級に入れざるを得ない子どもが八人もいて、実際は発達に応じて学習グループを組んで日常指導してきたんですが、これを決定学級どおりにするとなれば、ある医療ケアを要する子どもを指導できる--医療ケアができる教員というのは決まっていますので、その組み合わせがあって、短時間の朝の会というのも、今までの決定学級では不可能だということになり、決定学級の学級編制をかえることになったそうです。
 さらに、この肢体不自由の子どもたちは、スクールバスで一時間以上もかかって来れば、状態を落ち着かせるために一定の時間がかかります。しかも、スクールバスには耐えられない重度の子は保護者が車で連れてくるわけですが、到着時間に幅があるため、一斉にそろって朝の会を行おうとすれば大変な時間がかかる。そこで、今考えているのは、スクールバスが到着した時点で朝の会を行って、その後に到着する子どもは、会が終わっているので、直接学習グループに入ってもらうのが現実的ではないかということ。しかし、それでは学級としてまとめる意味がないじゃないかという声は当然あります。
 私、一つ一つの学校を調べてみて、どの学校の話を聞いても、決定された学級でたとえ短時間でも朝と帰りに集めて会を行うこと、これが都教委の指導ですが、それ自体大変な手間と負担を子どもと教員にかけた上、教室もカーテンで仕切るだけ、向こうの学級の声が聞こえてしまい非常にやりにくい。これまでより指導上の効果があるとは到底思えないわけなんですが、これで本当に是正されたといえるんでしょうか。

○山際学務部長 先ほどもお答えいたしましたが、学級は学校の教育活動の基礎的な集団でございまして、その指導は、一日の一定時間は必要なものでございます。そういう中で、指導の場面においては、グループ活動など、児童生徒の障害の状態に応じた指導を行うことは必要なことと考えているところでございます。
 現在、各学校において適正化について進めているところでございまして、重度重複学級設置の意義をその中で実現しつつある、このように認識しております。

○曽根委員 そういう答弁で、指導すればできるなどという甘い状態でないということは、今、例えば村山養護学校のようなケースなど、これは本当に大変なことになります。
 で、都教委の立場というのは、大半の時間は障害児の実情に合わせて指導をしていい、しかし、朝と帰りだけは学級制度に障害児を合わさせろということですか。

○山際学務部長 私どもといたしまして、繰り返しになりますが、学級は学校の教育活動の基礎的な集団でございまして、そこでの指導は、一日の一定時間必要なものであるというふうにお答え申し上げました。この一定時間については、相当程度の時間過ごすということもありますし、また、お話しのように、朝の時間あるいは帰りの時間、あるいは給食の時間ともに過ごす、そういう形態もあり得ると思います。

○曽根委員 先ほど具体例をいって、もうおわかりのとおりだと思いますが、それが指導上、障害児にとって何の効果も上がらないどころか、むしろ弊害になるということがあったとしても、それをやらなきゃならないんですか。

○山際学務部長 学級の意義につきましては、学校の教育活動が継続的、日常的に行われる、学級は基礎的な単位集団でございまして、毎日の学習の、あるいは生活のよりどころでございまして、毎日一定時間は学級として活動あるいは指導が必要である、このように考えております。
 なおかつ、学級については、教育課程の編成など学校運営の基礎で、さらには教職員配置あるいは校内予算配付の基礎でございます。そういう点から、教育的意義あるいは学校経営上からいっても学級は非常に意義のあるもの、このように考えております。

○曽根委員 そこまでおっしゃるとすれば、今、養護学校、とりわけ知的養護などで、重度重複の障害児の実態にふさわしい学級の数と担任の教員を配置しなければ、また教室を整備しなければならないはずだと私は思います。
 我が党は、昨年の第四回定例会でも質問しましたけれども、この間十年間で、先ほどの資料で見ても、七百人ぐらいの養護学校の児童生徒がふえているにもかかわらず、学校はほとんどふえていない。知的養護学校だけでも四年間で四百人以上ふえているんですが、一学級もふやしていません。
 現実は、学級の数をふやせないので、多くの学校で、重度重複児が普通学級に所属した編制にならざるを得ないわけであります。私が聞いた学校では、もし重度重複が実態どおり認められて、学級と担任が配置されれば、その学級を単位にした指導を子どもたちに理解させながら行うことは可能になるだろうということを話しておられました。
 来年以降、すべての重度重複児にふさわしい学級と教員が配置できるよう全力を尽くすべきだと思います。また、必要な教室の整備と養護学校の増設を急ぐことが、本来のこの問題の解決の道ではないかと思いますが、いかがですか。

○山際学務部長 今後の重度重複学級の増設に関してでございますけれども、私ども、今後の重度重複学級の編制につきましては、児童生徒数の推移及び障害の状態等を十分に把握して、適切に対応してまいります。

○曽根委員 本来の解決の手だて、つまり教育条件の整備が、実際上は、この間いろいろあっても進んでこなかった事態の中で、一方的に現場の先生方のやり方が違反だということで、そこにしわ寄せをするということは、私、許されないと思います。
 服務問題についてお聞きします。
 服務問題では、不適正とされた中心は、調整休のとり方の問題でした。この問題でも名前の挙がった七生、江東、村山、城南、それぞれの学校の実情を調べてみました。その結果、最大の問題は、どの養護学校でも行われており、在学児童生徒にとって学校生活で最も楽しい時間である宿泊学習、この宿泊学習で勤務した教員の時間外勤務時間を調整するための休暇が、この報告書でも四項目の中に認められているにもかかわらず、実際にはほとんどとれないという実態にあることがわかってきました。
 つまり、修学旅行の超過勤務時間の調整は、四週間かけて休暇をとれるので、どうにか調整はつくとしても、宿泊学習の場合、修学旅行と同じく小学部では一泊、中学では二泊、高等部では三泊四日もあるにもかかわらず、その宿泊の日を含めた二週間以内に調整休を消化することになっているそうです。すると、例えば、高等部、三泊四日の泊まり学習であれば、二週間で十日の勤務時間のうち、泊まり学習に使った四日を除き、わずか残り六日間の間に約二十時間以上、つまり三日分の休みをとらなければ消化できません。宿泊学習に行った学年の先生が、その後の六日間で三日分ずつ休んだら、養護学校は維持できません。結局、二週間以上かけて、さまざまな理由で休みを認めている実態があるということでした。それでも実際は、とれるはずの三日分や、中学なら二日分の半分かそれ以下しか休みはとれないということをお聞きしました。
 養護学校の子どもの実態や教員のぎりぎりの体制では、実際には二週間ではとても休みをとり切れないと思いますが、本来、どう調整すべきと考えますか。

○臼井人事部長 宿泊を伴う学校行事の取り扱いでございますが、昭和四十七年三月に現行条例を制定した際に、同年二月に職員団体と、この調整措置について協議をしましたけれども、調整措置は可能な限り早く実施すべきであるという合意をしたことを踏まえまして、行事を実施した週のうちか、遅くとも翌週には調整することとし、修学旅行については、実施した週を含めて四週のうちに調整することとしたものでございます。

○曽根委員 教員の組合からは、毎年、調整休がとれないという実態は、訴えがあるというふうに聞いています。これを放置しておいて、かつて昭和四十七年ですか、制度をつくったときに教員組合の主張があったからということで、その後三十年ぐらいにわたってこのままにしてきた。すると、給与特別措置法で辛うじて認められ、ほかの分野もいっぱい残業はあるけれども、実際には四%の調整給に入れられるということで認められていない。わずかに認められたこの宿泊学習行事の調整休もとり切れず、週四十時間を超えて超過勤務させられている実態があっても、これはしようがないということですか。

○臼井人事部長 教員の勤務には、自主的、自発的取り組みが求められる面があり、超過勤務手当制度になじまないために、教員の勤務を包括的に評価し、給料の四%を教職調整額として支給しているところでございます。

○曽根委員 そんなことわかっていますよ。そういう制度があるにもかかわらず、しかしなおかつ修学旅行や宿泊学習は余りにも超過時間が長い。もう完全に拘束されますから、だからこの四項目に認められているわけですよね。これ、わずか四項目しかないんですよ、教員に認められているというのは。しかも、一般の学校では修学旅行よりも長い宿泊学習なんてないんですよ。養護学校に特有の行事なんです。高等部で三泊四日ですよ。ですから、私は、こういう問題を、実態を放置して、しかし決まりだからということで教員の側を処分するというやり方が非常に問題があると思います。
 村山養護では、宿泊をしなかった教員に勤務時間の調整をしたというふうに報告されていますが、私の調査では、やはり校内の宿泊学習のときに、重度重複の子どもたちの夕食と朝食を、一人一人に合わせてすりつぶしたり細加工するために、通常の給食時間並みに人手が必要なため、夜間や早朝の一定の時間だけ応援に勤務に入った教員の勤務時間を調整したというものです。学校行事に関する業務四項目の一つに当たらないのか。当たらないのであれば、むしろ都が実態を認めて調整休の対象に加えるべきではありませんか。

○臼井人事部長 東京都教育委員会は、調整措置につきましては、拘束時間に勤務の割り振りによる調整の余地のない修学旅行など宿泊を伴う行事等、極めて限定的に認めておるところでございます。
 今ご案内の校内宿泊行事についてどうかということでございますけれども、超過勤務につきましては、修学旅行など、今申し上げた宿泊を伴う行事等、極めて限定的に命じられるものでございまして、こうした場合のみ調整措置を認めているものでございます。したがいまして、校内宿泊等で宿泊を行っていない教員には超過勤務を命ずる余地はなく、調整措置の対象とならないと考えております。

○曽根委員 それでは、この教員は必要だということで宿泊すれば、調整休の対象になるわけですよね。しかし、考えてみれば、教員の手が必要な時間というのは限定されているわけで、それ以外の時間、もちろんいた方がいいに決まっているけれども、しかし、ぎりぎりの人数でやらなきゃならないということから、泊まりはしていないわけですよね、夜間だけ行って。そういう、いわば能率的、効率的な働き方をしているから、逆にいうと認められないというのは、私はちょっと理不尽だと思う。これは実態をきちんと把握して、都が認めれば--場合によっては独自に手当てをしなきゃならないことかもしれませんが、私は認めるべきだと思います。
 城南養護は、やはり泊まりの学習に参加した看護師の勤務時間を調整したら、違反とされたものです。実際は、この方の勤務の状況をお聞きしましたが、三日間泊まりの学習があって、何人もの重度の子の、たんの吸引や体温測定、投薬、看護と、記録を見ますと、三日間で、三十分ほどの睡眠を断続的に数回とれただけです。しかし規定では宿直扱いで、夜間の勤務は認められていません。私は、これは、勤務実態があるのに勤務時間と認めていないケースであって、実態と乖離していると思います。これは勤務と認める方策はないんでしょうか。

○臼井人事部長 都立学校の看護師でございますが、これはほかの行政系の看護師と同じ取り扱いですけれども、正規の勤務時間は通常の教員と異なりまして、通常の教員は一週間で四十時間というふうになっていますけれども、看護師は、四週間を超えない期間について一週間当たり四十時間となるように割り振ることとされております。宿泊を伴う学校行事における勤務時間の割り振りは、宿泊日については十二時間の正規の勤務時間を割り振りまして、同一の四週間の割り振り期間内に、宿泊日と同じ日数分だけ正規の勤務時間を四時間とすることによって調整をするというふうになっております。この措置は正規の勤務時間の割り振りであることから、教員に認められている、いわゆる調整措置とは異なるものでございます。二日間以上十二時間の正規の勤務時間を割り振られた日が生ずる場合、一日勤務しない日を設けるといった扱いは認められておりません。

○曽根委員 看護師さんなしには泊まり学習はできないものであって、教員と同じか、もしくはそれ以上にどうしても不可欠の存在です。同じ仕事をしていながら、教員は認められるが、どうして看護師さんは、丸一日泊まり込みで仕事をしても四時間しか認められないのか。私は、本当に実態を反映していない制度だと思います。
 私は、おととしになると思いますが、府中病院でお医者さんが三十二時間連続勤務を実際上やっているという問題で、立川の労基署から厳しい是正勧告の指摘を受けたということを質問で取り上げました。この看護師さんの例もまさにそれに当たると思います。こういう点で一定の改善がされた例もあるわけです。その後、府中病院については改善されましたので、こうした例も参考にして、ぜひこの問題の制度の改善を取り組んでいただきたいことを申し上げておきます。
 いずれも、今の制度が、養護学校の実態、特に障害児にとっては学校生活で最も楽しい時間である宿泊学習の勤務実態に合っていないこと、これと直接に結びついた問題が大半です。処分だけ押しつけて、学校現場の矛盾はほうり出したままの姿勢こそ、私は根本的に正すべきだと思います。
 以上、三つの柱に沿って質問してまいりましたが、今回の都教委の盲・ろう・養護学校経営調査委員会の報告を通じて、私は率直に感じるのは、やっぱり障害児の今の教育、学校の実態、大変な状況に置かれていると。これは前々から私たち指摘してきましたが、都教委は、その矛盾を解決していこうという姿勢ではなく、むしろ現場にさらに高圧的、権力的なやり方で指導、管理を押しつけるという形で切り抜けようとしている。その姿が本当に見え透いていると思います。こういうやり方で障害児教育が前進するとは絶対に思えません。現場で頑張っている先生や、また期待を寄せている父母、子どもたちの成長を考えて、少しはまともな教育行政としての姿勢に立ち返ることを強く求めて、質問を終わります。

○執印委員 それでは、私からも質問させていただきます。
 七生養護学校は、ご存知のように、日野市の中にありまして、私も日野市から選出をされておりますので、今回のことは、先ほど河西理事からは、寒い対応とか寂しいという言葉がありましたけれども、私も同じように感じるのとともに、東京都の今回の対応に対しては、なぜこのような表面的な対応しかできなかったんだろうかということと同時に、地域の中の保護者の方の悲鳴が聞こえるような気持ちがしますのと、それから、地域の人々の怒りとか不信というものが、この間非常に見えてきたというような思いを持っております。
 日野には、この七生養護学校に隣接した七生福祉園がありますし、そのほかにも東京都の福祉の施設、多摩更生園、今ちょっと名前変わったでしょうか、確認をしておりませんが、それから日野療護園、こういう障害者の方が暮らしている施設がたくさんあるわけなんです。その中で、市民としては、車いすで町を歩いている方をほかの市の方よりはよく見かける、そういう地域ではないかなというふうに思っております。
 それで、今回、心身障害教育の中間まとめも出されまして、この件については、担当者の方も要請に応じて地域にどんどん出ていかれて、東京都の教育委員会も開かれた姿勢、そこを少しずつ示してきたのではないかなというふうに思って見てまいりました中で、この中間まとめ、これから最終答申が出されるわけですけれども、この中では障害児の就労まで視野に入れた取り組みをしていくという中で、性の問題というのは切っても切り離せないということになってくると思います。ですから、これからいろいろ伺っていきますが、ぜひこの間の動きにこだわらずに、直すものは直すという姿勢で、私の質問を受けていただきたいというふうに思っております。
 今までの質疑の中で重なる部分は省いていこうというふうに私も思っておりますが、先ほど、そもそもなぜこの七生養護学校でこういった性教育が始まったかという質問がございましたが、まず、その七生養護学校ですね。七生福祉園に隣接しているわけですけれども、どれぐらいの割合の子どもたちが七生福祉園から通っているのか、近隣の子どもたちとの割合というものを教えていただきたいと思います。

○山際学務部長 本年五月一日現在での都立七生養護学校の在籍者の内訳につきましては、七生福祉園からの通学生が七十一名で、地域からの通学生は八十三名でございます。七生福祉園からの通学生の割合は四六%となっております。

○執印委員 先ほど、そもそもなぜ七生養護学校でこういう取り組みが始まったかというところで、児童生徒の中に被害が広がっていたという話がありましたけれども、私もいろいろ聞きまして、この福祉園を抱えているということが、きっかけとして非常に大きかったというふうに伺っているところです。
 それで、アメリカの調査で、障害児の性被害が、いわゆる普通児の四倍から七倍の被害があるというような調査があるというふうに聞いていますが、東京都の教育委員会は、こういった数字というのは把握していらっしゃるでしょうか。

○近藤指導部長 広島女子大学社会福祉コース「障害者と性」研究調査班の研究論文の中に、アメリカの調査では四から七倍と報告されているとの引用があることは承知してございます。

○執印委員 それについて、東京都の教育委員会で、こういった広島女子大学で出されているものをどの程度研究されているというか、突っ込んだ調査をされているんでしょうか。

○近藤指導部長 このアメリカで行っている調査につきましては、私どもで今研究はしておりません。

○執印委員 先ほども指摘がありましたように、表に出てくる数字というのは非常に少なくて、こういった部分の調査や研究がおくれているということは確かなことだと思うのですが、教育委員会としてもう少し実態を積極的に知る必要があったのではないかというふうに感じております。
 今、私と一緒に活動している者が、自分の知り合いの中で、少し障害があるお子さんがいなくなる、夜帰ってこない、帰ってこないで、朝待っていると、必ず病院に連れて行く、そういう性被害に遭っている、そういうふうに胸を痛めているということなんですよね。ですから、私は、この性教育というものが、すべては必要から始まったんだというふうに思っているんです。
 先ほどもほかの方が一部読み上げられましたが、私のところにもファクスをいただきましたし、教育長のところにも届いているようですけれども、養護学校の前から車で連れ去られた女の子の話、ケーキ一つで優しいおじさんについていってしまう女の子の話、痴漢に間違われ、家族とともに暮らすことのできなくなってしまった男の子の話、人前でしてはいけないことの判断がうまくできず、作業所や職場を首になってしまった人の話。そういう、自分の周りで、障害児の親の方というのは、すごいネットワークを持っているんだなというふうに、中間まとめのいろいろな活動の中でも改めて感じているんですけれども、そういう中で、本当にこの性教育に願いをかけて、思いをかけて、保護者の方はいらっしゃったんだと思います。
 そういうものについて、先ほどのやりとりの中で、適切、不適切の判断、それから、実際の授業は見てないというふうにおっしゃっていましたね。ビデオを見て、全部見た気持ちになるというのが現代の教育委員会の姿かなというふうに、私、思いますけれども、実際にその子どもの目の輝きとか息遣いとか、そういうものを、なぜ実際の授業に出かけてごらんにならなかったんでしょうか。

○近藤指導部長 繰り返し申し上げておりますが、七生養護学校において不適正な性教育が行われていたと知ったのは、「からだうた」を初めとして、六月からでございます。先ほど、ビデオを百二十三本見て判断したというのは、過去の部分でございます。そういうことで、授業は見ることができなかったということでございます。

○執印委員 見ることができなかったのではなくて、実際にやってみることも、教育委員会がやめさせたということだと思うので、見ることができなかったというのは、ちょっと変な感じだと、私、思います。この適切、不適切の判断ですね、実際に授業を見てみなかったというのは、もう本当に見る気がなかったというふうにしか私には思えないわけなんですけど、そういったことについて、外部の意見というのはどのように聞かれたんでしょうか。また、適切、不適切というのは、ビデオをごらんになったんでしょうし、それから、教材を一つ一つごらんになったんでしょうし、説明も聞かれたんでしょうから、その中で行われてきたんだと思うんですけれども、なぜ東京都の教育委員会だけで判断されたのか、外部の意見はどのように聞かれたのか、伺います。

○近藤指導部長 まず、この判断でございますが、学習指導要領と発達段階を踏まえまして、指導部の関係各課で検討し、判断をしたところでございます。
 なお、学習指導要領の指導内容及び取り扱いについては、文部科学省にも確認をしておるところでございます。

○執印委員 私は、文部科学省は国の機関ですけど、外部の意見というふうにはいわないんじゃないかと思っているんですね。性教育をいろいろな立場から検討されている方とか、それから、先ほどもちょっと出ました広島女子大学の方とか、いろいろな方から意見を聞く。そして、授業をやめさせてしまうのではなくて、実際にその授業の中で、専門家の方にも見ていただいて判断をしていく必要があったというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○近藤指導部長 私ども、性教育が適正であるか不適正であるか等につきましては、何度も繰り返し申し上げていますように、発達段階及び学習指導要領を踏まえているかどうかということで判断をさせていただいているわけでございます。国に確認をとりましたのは、国が学習指導要領をつくっているところであるから確認をとらせていただいたということでございます。

○執印委員 子どもは学習指導要領に沿って生きているわけじゃないんですよ。ましてや、いろいろな、さまざまな障害があるわけですから、それに沿ったやり方が今、求められているんだと思うんですよ。だから、学習指導要領をそのまま踏まえていけばいいということじゃなくて、東京都は、心身障害教育の中間まとめも出している中で、東京都独自のものをつくり出していくということだって必要だったわけですから、そういうことをいっていくのが東京都の役割でもあるというふうに私は思います。
 それで、この後の質問のために今後のことを伺っておきますが、教材は今後どのように扱われるんですか。

○近藤指導部長 今後、教材をどのように扱うかということでございますが、各学校から引き上げました性教育にかかわる教材、教具につきましては、都教育委員会が教材、教具の適不適を調査した上で、各学校に返却する予定でございます。

○執印委員 済みません。適正、不適正というのはもう出されているんですよね。今、出した上でというふうにおっしゃいましたけど、それはもう終わっているんではないんですか。これからやる部分もあるんでしょうか。

○近藤指導部長 今、調査等と申し上げたつもりでございましたが、大変失礼いたしました。調査及び、これから返却するに当たりまして、その教材がそれぞれどの学年で使うのがふさわしいのか、また、これは廃棄した方がふさわしいのか、そうしたことを、今、検討しておりまして、そうしたことを各学校に伝えながら返却をする予定でございます。

○執印委員 各学校に返った後に廃棄されるものもあるんですかね。そういう見解だと思いますが、一番最後に、あわせての質問のために、今のことはお聞きしておきます。
 次に、私、一番最初に、地域の人々の怒りと不信というふうにお話をさせていただきましたけれども、七生養護学校にも学校運営連絡協議会というのがございましたが、この学校運営連絡協議会がこの性教育をどのように見ていたか、そのことについては把握をされているでしょうか。

○近藤指導部長 学校運営連絡協議会の意見については、私どもは把握してございません。

○執印委員 把握をしなかった理由というのは、どういうものでしょうか。

○近藤指導部長 学校運営連絡協議会は、校長が招集し、そして意見を聞いたりする場でございます。したがいまして、私どもが学校運営連絡協議会の様子を、これがどうであるかということではなくて、校長から性教育等の実態について伺ったということでございます。

○執印委員 校長が意見を聞く場というふうにお考えだということだと思うんですけれども、学校運営連絡協議会ですね、私も今まで、校長がつくった学校経営計画書を校長が選んだメンバーがチェックする、評価するのは無理があるんじゃないかということをいってきましたけれども、何人かの方にお会いしまして、そこは随分私の認識が違っていたのかなというふうに思っているところも実はあったわけなんです。
 今まで東京都の教育委員会の皆さんが学校運営連絡協議会の役割についてお話しされた部分を、私も全部引き出してみたんですけれども、ことしの十五年予算委員会では、横山教育長が「学校運営連絡協議会の外部委員に、学校経営計画及び予算、決算を報告、説明しまして、評価を求めていくことになります。」ということで、これは自律経営計画に関してお話をされている部分です。
 それから、平成十四年の二月の文教委員会、これは斎藤指導部長が答えられていますけれども、「教員の意識改革」から始まっている文章ですが、「開かれた学校につきましては、学校の教育活動を積極的に外部に公開するとともに、学校運営連絡協議会における地域の方々の評価を学校教育の改善に生かすなど、一層推進していく必要があろうかと思っております。」と答えていらっしゃいます。
 それから、これは、最初のこの制度が導入されたときのやりとりで、一九九九年だったと思います。そのときには、「学校運営連絡協議会は、保護者や地域住民等の意向を把握するとともに、校長の適切な学校運営の助言、支援機関として、都教育委員会が定めた制度でございます。外部の委員につきましては、校長の推薦を受け、都教育委員会が委嘱するところでございます。校長は、学校運営連絡協議会における保護者や地域住民等の意見や助言を踏まえ、学校運営や教育活動の改善に反映するよう努めることになってございます」。これも斎藤指導部長が答えられています。
 こういう組織としてつくられてきたものですから、学校の教育内容の改善というふうにも答弁されていますので、私はやはり早急に学校運営連絡協議会の意見を聞くということを学校がなさるように働きかけをする必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 七生養護学校におきましては、二学期に開催されます学校運営連絡協議会において、校長が、七生養護学校で行われた性教育や今後の取り組み等について説明をし、協議委員等から意見を聞く予定であると伺っておるところでございます。

○執印委員 確かに七生養護学校の学校運営連絡協議会の要綱には、六月と十一月と三月に開くというふうに書かれておりますし、六月にも、この問題が始まりかけたころであろうと思われますが、このことには一切触れずに学校運営連絡協議会が開かれているようですが、先ほど、東京都の教育委員会が気づかないうちに、七生養護学校の性教育がエスカレートしてしまったというような、ご答弁の中にありましたけれども、私も学校運営連絡協議会のメンバーの方に聞きましたらば、皆さん、いわゆる地の方ですから、七生福祉園の園生の方たちが、昔はリヤカーを引いて豚のえさを集めて--教育活動をしていたんですかね。そのころから、自分の子どものころから知っているというような方も入っていらっしゃいまして、実態がわかっている。そのほかにも、性教育の授業も見たことがある。大変すばらしい授業で、これが、今はこういうことになっているけれども、何年かたったら、性教育のモデルとして称賛に値するようなものだというふうに考えてきたということもおっしゃっているんですね。ですから、私は、十一月といわずに早急に開いて、説明と意見を求めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 今、どういう状況になっているか、わかりますか。学校運営連絡協議会があるのに、新聞ではさまざま報道され、東京都も、プレス発表というんですか、されるけれども、何の報告も相談もないということなんですよ。私は十一月まで待つ必要はないと思うんです、あと一カ月以上もあるんですから。それは学校の説明責任だし、教育委員会の説明責任だと思いますけど、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 学校運営連絡協議会を開催するかしないかは、これは校長さんの判断によるものでございます。校長先生がもし必要であるということであれば、開いていただいて結構ではないかと思っております。

○執印委員 私は、こういう状況の中で、教育委員会には教育委員会の責任があると思うからいっているんです。
 じゃ、もう一つ伺いますけれども、この学校運営連絡協議会というのは、先ほど私が読み上げさせていただきましたような立場で、東京都教育委員会は制度としてつくってこられていますよね。この七生養護学校の運営連絡協議会の設置要綱を見ると、フレンドリー会議という名前にしているようですけれども、校長が開くということになっていますから、しかも六月、十一月、三月に開くというふうになっていますから、これは、必要があるときに学校運営連絡協議会から開催を求めるということができないものになっているんですよね。それは、双方向でこれから学校のことを議論していこう、開かれた学校にしていこうというときに、余りにも、仕組みとしては、双方向の仕組みが足りな過ぎるというふうに思うんです。私は、要綱を改正して、きちんと、学校運営連絡協議会のメンバーからも開催を求めるような形にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 学校運営連絡協議会は、年三回程度開催することができるということになってございます。したがいまして、校長先生が必要と考えるならば、三回にこだわらず、臨時の学校運営連絡協議会を開催することができるものと考えております。

○執印委員 どのお答えを聞いても、今、決まっているからこれしかできない、そういうお答えだと思うんですけれども、おかしいものがあったら変えればいいと私は思っているんですよね。(発言する者多し)

○渡辺委員長 ちょっと静かにしてください。

○執印委員 教育長が、こういう形で制度としてつくっているものですと答えているわけですから、問題があったら制度はつくり直せばいいと私は思っているんですけれども、これ以上やりとりをしても--強制的に開かせることは、私はしてはいけないともちろん思いますけれども……(「それこそ権力の介入じゃないか」と呼び、その他発言する者あり)議会の情報を伝えて--何のためにこの質問をしているかというと、今、地域が不信感に満ち始めているから、そういうことでいいんですかということで聞いているわけですよ。そうならないように、開かれた学校を標榜するのであれば、ちゃんとした対応が必要だというふうに私は思っているんですよ。双方向からの開催というものを、きちんと東京都としても見ていかなければならないというふうに私は思っております。
 それでは、次に、教材の管理について伺いますが、七生養護学校の教材は、七月の十一日に東京都の教育委員会に運ばれて、そこで適正か不適正かの判断が進められてきたというふうに伺っておりますけれども、この教材が、ある市議会で使用されていたということをご存じでしょうか。

○近藤指導部長 承知してございます。

○執印委員 どのようなルートで、その使用を東京都の教育委員会は把握されたんでしょうか。

○近藤指導部長 東京都教育委員会は、適正な性教育が行われるよう、区市町村教育委員会及び各学校を指導しているところでございまして、都議会議員が適正な性教育の普及啓発のために市議会議員に貸し出したとしても、そこに問題が生じるとは考えておりません。

○執印委員 私が質問いたしましたのは、市議会議員が使ったということをどのようなルートで把握したんですかというふうに伺っているんです。今のお答えは、先回りして答えていただいたわけですけれども、私の質問にまず答えてください。

○近藤指導部長 市の教育委員会からの報告を受けて知ることになりました。

○執印委員 ということは、東京都の教育委員会としては、その時点まで、こういう形で教材が使われるということをご存じなかったと、そういうことでよろしいんですね。

○近藤指導部長 私どもが都議会議員に、この人形等の教材を貸しましたのは、適正な性教育を普及啓発させるためにお貸ししたものでございますので、そのような観点から使われていたと判断をしているところでございます。したがいまして、そのような形、貸すかどうかについては、私どもは把握はしておりませんでした。

○執印委員 東京都の教育委員会は、市議には直接貸してないということですね、把握されてないということは。
 それで、ご存じのように、私たちも、それが一体どういうものなのか、借りて見せていただきましたけれども、貸出状況というのはどのようになっているんでしょうか。

○近藤指導部長 ただいまの貸出状況というのは、都議会議員にということで受けとめてお答えさせていただきますが、都議会議員の方からは三回の貸出要請がございました。
 一回目は、七月二十三日に、性器のついた人形、注射器がついた射精キット、男性器がついたもも引き、男性器の模型、性交の描写のある絵本を貸し出し、当日返却されました。
 二回目は、七月二十八日に同様のものを貸し出しまして、当日返却されました。
 そして三回目は、八月二十九日に同様のものを十五日間貸し出しまして、九月十二日に返却されております。
 以上でございます。

○執印委員 私たちもお借りしまして、全員で見てみて、何の問題もないと。それから、被害防止のビデオも大変問題になっていたようでしたけれども、問題もないということでは全員一致しているんですけれども、今のお話ですと、十五日間貸し出されていたわけですよね。その間どこにあったのかとか、使用方法というのはどのように把握されていたんでしょうか。

○近藤指導部長 都議会議員に貸したものでございまして、それがどこにあったか等については、今、具体的には把握してございません。

○執印委員 教材の所有権と管理者というのは、どなたなんでしょうか。

○近藤指導部長 教材の所有者と管理責任者でございますが、公費で購入した教材の所有権は、学校の設置者であります東京都でございますが、管理責任者は校長でございます。

○執印委員 東京都が所有しているということは、東京都がお金を出しているということは、税金ですからね。十五日間貸し出しして、全くその所在も確認していないというような管理の状況でよろしいんでしょうか。

○近藤指導部長 先ほどもお話しいたしましたように、私どもが都議会議員に貸しましたのは、適正な性教育について普及啓発を図ってもらえるものとして貸し出したものでございます。

○執印委員 今のご回答ですと、七月の十一日に引き上げてから、九月末ぐらいにお返しになるんだと思うんですけど、八十日間ですよね。そのうちの五分の一弱が一人の都議会議員のところにあったことになりますよね。もちろん都議会議員の活動を私自身否定するものではありませんけれども、全くどこにあるかもわからない、市議会議員が使用したときに、把握をしていなくて、地元の教育委員会から連絡を受けて初めて知るというようなことで、本当に東京都としては--この教材は、子どもたちが性教育を受けるために使っていた大事なものなんですよ。それがどんなふうに使われているかわからない、どんないい方をされているかわからない、その中で、何もわかりません、それで本当にいいんですか。どこにあったかもわかりません、どんな保管のされ方がされていたかもわかりません、何に使われていたかもわかりません、本当にそんなことでいいんですか。

○近藤指導部長 都議会議員に貸し出しましたのは、適正な性教育を広めていただけるということを前提にしてお貸ししているところでございます。したがいまして、その都議会議員の方がどのような形で使ったのか、これは、当然のことながら、適正な性教育を普及啓発するために使ったものと私どもは認識しております。

○執印委員 そうすると、これから先、どんなことがあっても、東京都の教育委員会は、これと同じような形で教材を、受け付ける、貸していく、そういう判断だということでよろしいんでしょうか。

○近藤指導部長 適正な性教育の普及啓発など、公教育の充実を図るという目的があるのであれば、都議会議員や市議会議員の要請に応じて貸し出すことになると考えております。貸し出します。

○執印委員 どこにあっても、東京都の教育委員会としては関知しないということだと思いますが、それでは、この借りた議員が市議会の中でどういうことだったかということを私の方からお話ししておきたいというふうに思います。
 性教育の一般質問のために、この教材を、都議を通してまた借りしたんだろうとは思いますけれども、その中で、議場にこの性教育の人形を持ち込もうとしたんですけれども、議会としては、それは相ならぬということで、写真によって議場で質問したということです。
 それからもう一つ、市議会の委員会の中で、市議会の委員会室を借りて展示をしようということで申し出があったそうですけれども、それも議会全体としては取り扱わないと。議会全体で開催しているように見えると困るという理由でしょうけれども、自室で展示をしたいならしなさいということで、そういう対応だったようです。
 それが何を意味しているかということがよくおわかりにならないんだと思いますけれども、一番最初にお話ししましたように、日野は七生養護学校がある地元なんですよね。それで、本当にこういった性教育が問題であって、町の中にいる子どもたちが、例えば「からだうた」に出ている歌を歌ってとても困っているとか、そういうことがあれば、当然、市議会だって取り上げたというふうに思いますけれども、非常にそこは冷やかな対応をしているということです。
 今、お話ししましたように、学校運営連絡協議会の中でも、東京都の対応に対して非常に怒っている。東京都は、それは学校長が開催するものだから、学校長が開けば開くでしょうというふうにいっているわけですけれども、そういう問題じゃないんですよ、地域の中では、みんなで暮らしていくわけですから。そういうことがわかっていらっしゃらないんだと思うんです。
 それで、私が、何日どこにあっても、東京都の教育委員会としては関知しないんですかというふうに聞いたのは--再三再四同じお答えで、要するに適正な教育をするために都議が使ったのだから、市議に貸したのだからいいということですけれども、既にご存じのように、七生養護学校で不適切な性教育が行われていたということだけが一方的に新聞等でも報道されまして、保護者の方からいただいたものにも書いてありましたけど、三回の保護者会で報道の訂正を求めたけれども、全くそれも聞いてもらえない。そういう中で、七生養護学校でやってきた成果もきちんと評価されない。私は、問題点があるなら、学年に合わない使い方をしているところがあるなら、変えればいいと思いますけれども、そういうこともきちんと判断できない、その一方的な指摘の中で、子どもたちが地域の中で困るということになるからですよ。学校そのものの評価というものがその中でつくられていくということがあるから、こういう質問をしているんです。その点いかがですか。私、風評被害というものが既に出始めていると思うんですけれども、その点に関してはいかがですか。

○近藤指導部長 この七生養護学校で過去五年間以上にわたる性教育が行われてきたわけでございますが、東京都教育委員会といたしまして、七生養護学校で行われていた性教育すべてを否定するつもりはございません。したがいまして、学習指導要領や発達段階を踏まえない性教育の部分について課題であるということで、今まで指導等をさせていただいてきたわけでございます。今後も、そうした形で七生の性教育が適切に行われていくことを期待して、指導していきたいと思っております。

○執印委員 実際、余りご存じないんだと思うんですけど、ですからこそ、ちゃんと教材の管理はして、きちっとそれが--今の東京都の、今、部長さんからご説明いただいたことは、例えば議場でそれだけ取り上げる、自分の机の上に展示して、説明もせずに使うということによっては、私はそれはちゃんと伝わらないと思っているんですよ。自由な活動を阻害するものではありませんけれども、それぞれの方の考え方を否定するものではありませんけれども、そういう責任があるんじゃないですかということを申し上げているんですけど、そこはいかがですか。

○近藤指導部長 その展示の方法について、どのような意図でもって行われたかについては知るところではございませんが、先ほど申し上げましたように、私どもが都議会議員に貸しましたのは、適正な性教育を普及啓発していただけるということでお貸しさせていただいたということでございます。

○執印委員 正確な議事録ではないので、ここで、ご本人が本会議場でお話しされたことは、いうのはやめておきますけれども、風評被害を広げるような、そういうような対応は、東京都としてはやってはいけないことだというふうに思いますし、要するに何でもありになっているということだと思いますし、チェックをされた、都議会議員の要請であれば、何日でもそのまま、どうなっているんですかということも聞きもしないという、そういう状況になっているんだというふうに私は理解をしております。
 次に、学校経営アドバイザーというものが今回できたそうですが、どのような制度で、いつつくられて、いつから配属されているのか、どの学校にいるのか、お尋ねいたします。

○臼井人事部長 学校経営アドバイザーは何かというお尋ねですけれども、学校経営アドバイザーは、学校経営全般に関して喫緊の課題が生じた場合、校長に対して専門的かつ具体的な支援を行うことにより、迅速に学校経営の改善を図ることを目的として設置する特別職の非常勤職員でございます。
 なお、児童生徒の教育に直接携わるものではございません。
 現在、七生養護学校に一名派遣しております。

○執印委員 いろいろ問題があった学校が幾つかあったようですけれども、これはなぜ七生だけに配属されたんでしょうか。

○臼井人事部長 先ほど目的で申し上げましたとおり、学校経営全般に関して七生養護学校については喫緊の課題が生じた、それを具体的に支援をする必要があるというふうに都教委として判断したものでございます。

○執印委員 この方は、鷲野さんという方で間違いないんでしょうか。

○臼井人事部長 特定の名前については差し控えさせていただきます。

○執印委員 何でそんなことがいえないんでしょうか。必要があって、都民の税金を使って配置するんだと思うんですけれども、別に調べればすぐわかることだし、ここでいっていただいても問題ないと思うんですけど、いかがでしょうか。

○臼井人事部長 今申し上げましたとおり、非常勤職員ということで、特定の名前は控えさせていただきます。

○執印委員 今まで、この委員会で名前が出るということは幾らだってあったと思うんですよ。これから必要があって私は聞いているんですけど、それでは、この方の政治的中立性というのは、どのようにしなければならない方なんでしょうか。

○臼井人事部長 政治的中立性というお話でございますけれども、学校経営アドバイザーは、校長の推薦に基づきまして、本人の熱意を確認した上で任用したものでございます。任用に当たっては、個人の思想信条を問うものではないと考えております。
 なお、学校経営アドバイザーは、特別職の非常勤職員であるため、地方公務員法の適用はなく、一般公務員に課されております政治的行為の制限がございません。しかし、学校経営アドバイザー設置要綱におきまして、職務上の義務違反及び非行に関する免職などの規定を設けており、学校の秩序維持は可能であると考えております。

○執印委員 そういう政治的な中立性が保たれなければならないと法には規定はされてないんだと思うんですけれども、この方は、名前もおっしゃらないわけだから、何か理由があるのかどうかわかりませんけれども、いろいろなものに、本を書かれていますけど、それを知った上で配置されているんですよね。もうちょっと具体的にいいましょうか。「正論」というものに何か書かれている方だと思うんですけれども、そういう方でよろしいんですよね。そういうものを出しているということを承知の上で、この方を選任されたんですよね。

○臼井人事部長 学校経営アドバイザーの方についてですけれども、個人の雑誌等への意見表明は、法令等で制限されるものではございません。学校経営アドバイザーは、個人としてどのような意見を持っていたとしても、職務上は、校長に対して適切に、専門的かつ具体的な支援を行うものと、このように考えております。

○執印委員 お名前をおっしゃらないので、あれですけど、それはすぐまたわかることですから、私の意見だけ申し上げておきます。
 要するに、表現の自由もあるし、何を書いてもいいし、どこに投稿してもいいと思うんですけれども、私は、東京都の教育委員会が、先生等に対して適正に活動をしなさいというのであれば、公平さや公正さが伝わる人物を配属するべきではなかったかなということを考えているということをお伝えしておきたいと思います。
 こういうことについても、何で、まあ、名前をおっしゃらないから、私もこれ以上いいようがないですけど、こういうことも含めて、地域が、何といったらいいんでしょうね、東京都の教育委員会の視点がどこにあるのかということが見えなくなっているということなんですよ。私はそこを問題にしているんです。学校運営連絡協議会も、校長が開くべきものだからといって開かない。経営アドバイザーは配置をする。その中で、地域の不信感がこれ以上募るようなことがあってはいけないというふうに私は思っておりますし、東京都の教育委員会の対応によって、風評被害は既に起きているというふうに私は思っているんです。
 それで、私はやはり、これから教材が学校に戻っていくんだと思うんですけれども、校長先生が判断される前に、きちっと学校運営連絡協議会の意見を聞き、保護者の意見を聞き、その評価をきちんと地域でもして、その中で、やはりこの性教育の問題を考えていくべきだと思っているんです。本当にこのままにしたら、これまでせっかく積み上げてきたものがどうなってしまうんだろうというのと、さまざまなずれの中でこのことが行われてきているので、七生養護学校という、さまざまな積み上げをしてきた都立の学校の評価そのものが変わっていってしまうんじゃないかということを心配しているんです。ぜひ学運協の意見、それは先生が勝手に開くものだから知らないということじゃなくて、地域の意見を聞かなきゃいけないということを、東京都の教育委員会から、意見として学校にいっていく必要があると思うんですよ、保護者の意見も。この点に関してはどうですか。
 私の質問の意図がわかりにくいのかどうかわかりませんけれども、都議が調査に入る、一方的に不適正と決める、そして教材の管理については、何日手元になくても知ったこっちゃないというと、ちょっといい過ぎですかね、まあ、そういうふうに私には見えるわけですけど、そういうことじゃなくて、ちゃんと地域がこれからどうなっていくかという視点で、東京都の教育委員会としても動いてほしいんですよ。そのことを私、申し上げているんですけど、その点に関してはいかがですか。

○近藤指導部長 東京都教育委員会、東京都全体といたしましても、開かれた学校を目指しているわけでございまして、そうした都民に開かれた学校づくりということを大前提に考えて、これからも、学校運営連絡協議会も、また保護者会、また地域の方々にも、そうした教育活動を展開していただきたいと考えているところでございます。

○執印委員 私も最後に教育長にお尋ねしたいんです。
 今、いろいろ述べさせていただきましたけれども、地域の中でつくり上げてきた力というのは、これから教育に生かさなきゃいけないと思うんですよ。それで、ずうっといっているように、心身障害教育の方向を変えるのであれば、性教育も含めて、地域の力が絶対必要なわけだから、このことで東京都の教育委員会が、適正、不適正出しました、もう出したんだから、あとは学校長の判断で、知りませんということじゃなくて、その地域の思いをくみ上げるような、そういう進め方をしていただきたいんですけど、教育長はどのようにお考えでしょうか。

○横山教育長 お話しのように、学校運営連絡協議会を設置した目的からしまして、運営連絡協議会の意向を学校運営に反映させる、このことは重要でございます。その問題と、現に学校現場で不適正な教育課程が行われている場合に、それを是正するのは都教委の責務でございます。その問題はまた違うと思います。

○執印委員 だから、今、適正、不適正ということをだれが判断するかというところで、もともと問題があるんだと思いますから、そのことをちゃんと教育委員会が--申し上げたように、本当に保護者の悲鳴が聞こえるようなんですよ。ですから、関係ないことじゃなくて、やっぱり地域というものがあって、そして、東京都の教育委員会の判断があるというふうにしないと、私はもう、こんなことがずっと続いていったら、子どもたちのためにならないというふうに思いますから、ぜひ……(発言する者多し)質問があるなら、自分でしていただきたいんですけど……。

○渡辺委員長 ちょっと静粛にしてください。

○執印委員 ぜひ教育長にも、子どもたちは学習指導要領に沿って生きているわけじゃありませんので、その辺は十分に把握していただきたいし、私がなぜこんな質問をしているか、そのことを十分に把握して、今後、進めていただきたいと思っております。いつまでも笑っていて済む話じゃないというふうに思いますので、そのことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○渡辺委員長 ちょっとお諮りしますが、あと二人、小一時間残っておりますし、そういうこともありまして、この際、議事の都合によって、おおむね十分間休憩をしたいと思います。
午後四時四十五分休憩

午後四時五十六分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○福士委員 第二十回の日本思春期学会で、国立公衆衛生院看護技術室長の山田和子氏が、性虐待の割合は欧米に比べて低いものの、徐々に発生件数が増加しているというふうにおっしゃって、性虐待を含めた児童虐待の防止対策の充実が急務だというふうに話されたようです。ことし一月には、児童虐待の防止等に関する法律が施行されて、ようやく国を挙げた児童虐待防止対策が本格化し始めているこの時期、この流れに沿って考えれば、性教育は充実されることが重要であるにもかかわらず、今回の報告は実に後ろ向きの姿勢だというふうに思われますし、実態を無視したものというふうに私には思えました。特に教育委員会での対応は、性教育を矮小化していると思われますので、性教育に絞って質問をさせていただきます。
 教育庁として、人形そのものはごらんになったというふうに思いますが、人形が教育の場で実際に使われているところについては、先ほど、ビデオでというお答えがありましたので、それだけなのかなというふうに思いましたが、一度も実態というのはごらんにならなかったのかどうか、もう一度確認させていただくことと、それから、人形の使われ方については、どういうふうに感想を持たれたのか、そのことをお伺いいたします。

○近藤指導部長 東京都教育委員会では、学校を訪問いたしまして、授業で使用された人形を確認しております。
 また、学校に保管されておりました平成十一年度から十五年度までの性教育の授業を記録したビデオ百二十三本を見まして、性器つきの人形を授業で使用し、性交の仕方を示している場面を確認してございます。
 また、この人形の使われ方についての感想でございますが、教員が生徒の前で、性器つき人形を裸にして男性器を女性器に挿入させる場面を実際に示したことは、極めて不適切な指導であると考えております。

○福士委員 私も、大きい方の人形は拝見してないんですけれども、小さい方の人形は、アメリカの幼児用カウンセリング用だということですし、手づくりで、非常に温かな感じのお人形だというふうに私は感じました。
 で、性教育というのをどうとらえるかというところで、多分、先ほど来、違っているんだと思うんですけれども、教育としては、私は適切じゃないかなというふうに思いましたので、そういうふうな論点でもう一度お伺いしたいんですが、盲・ろう・養護学校でなぜあの人形を使用したのか、それはどういうふうにとらえているのか、もう一度、確認の意味も含めてお答えいただきたいと思います。

○近藤指導部長 盲・ろう・養護学校におきましても、人形等を使用し、性交の仕方等を学ぶ学習は不適切であると考えております。

○福士委員 今のお答えが一番私はひっかかるんですけど、なぜ性交を教えるかということの背景については何にもお答えないんですよね。特に養護学校のお子さんで知的障害のあるお子さんというのは、先ほどもどなたかちょっとおっしゃってたと思うんですけど、抽象思考というのが非常に難しいお子さんたちですよね。そういう子どもたちに対して、教師の方も試行錯誤をしながら、性教育で、性交についてだけではなくて、社会的な虐待も含めて、いまさっき申し上げたように虐待がふえているわけですから、社会的虐待も回避する意味も含めて、性を教えていたんじゃないかというふうに思いますし、私は、伺った限りではそういうふうに聞いております。で、性交とそれにつながる行為だけを短絡的にとらえていいのかなというふうに思うんですね。教育者ともあろう方がそういう考え方だったら問題じゃないかというふうにさえ思うんですが、人形使用の問題点は何だというふうに思われますか。

○近藤指導部長 人形使用の問題点でございますが、学習指導要領の内容に示されていない、性交の仕方を具体的に理解させるための教材として使用する意図がございまして、児童生徒の発達段階や障害の程度、学習指導要領を踏まえておらず、不適切であると考えております。仮に性交の指導以外の目的で人形を使用するのであれば、一体数万円から十数万円もする性器つき人形をわざわざ購入する必要はないと考えております。

○福士委員 先ほど申し上げたように、抽象思考がしにくい子どもたちに対してどうかということが、多分、観念の中には全然入っていらっしゃらないようなご答弁だというふうに思うんですね。
 不適切って何なんでしょうね。国としても、学習指導要領の範囲を緩やかにという方向で、今、考えられている時代ですし、現在でも、各教科に関しては、示されていない内容を加えて指導することができるというところは、文言として入ってたんじゃないでしょうかね。いつまでもがんじがらめに考えなきゃいけないのか。それから、その流動性のなさが非常に問題だというふうに私は思います。子どもや保護者の方たちも、教育委員会のとらえ方、それから産経新聞の報道の仕方については、傷ついていることはご存じだというふうに思うんです。申し入れ書もありますよね。そこではそういうふうにおっしゃっておりますし、それから、そういう申し入れにかかわらず、子どもや保護者への対応の仕方の方が、はるかに不適切じゃないかというふうに、私は、先ほど来ずっとご答弁を聞いていても気になるんですけど、その辺はいかがお考えでしょうか。

○近藤指導部長 学校教育におきましては、学習指導要領に基づきまして、児童生徒の人間としての調和のとれた育成を目指し、また、地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達段階、特性を十分に考慮して教育課程を編成し、実施することが学校教育の目的でございます。

○福士委員 段階、段階というふうにおっしゃっていますけど、その段階的な考え方にずれがあって、お母さんたちというか、保護者の方たちと教育委員会の考え方が違ってきているんじゃないかというふうに思うんですね。「からだうた」に関しても、先ほど来、ペニスやワギナといった性器の名称がついているからいけないというふうなお話がありましたけれども、小学校四年生以下の子どもにペニスやワギナという言葉を教えることによって、どういう問題が含まれているのか。私、先ほど来お話を伺ってても、全然理解できないんですよね。生まれたときから、口や鼻やら、普通に見えるところがありますね。それと同時にペニスとかワギナもあるわけで、それを嫌らしいという発想がまだ生まれないような低学年の方で、単純に体の一部として教えることの方が、私は理解がしやすいんじゃないかというふうに考えるんですよね。そういう意味でいえば、低学年に教えたから問題があるというふうには思えないんですが、その辺はもう一度ちょっと、どういうふうにお考えになるか教えてください。

○近藤指導部長 学習指導要領を踏まえ、発達段階を踏まえて指導することが大前提でございます。平成十四年度の七生養護学校の学校運営連絡協議会におきまして、ある協議委員から、七生養護学校の卒業生が人前でペニス、ワギナという歌詞のあれを歌うので困っているという指摘も、私どもの方に入っているところでございます。したがいまして、ペニス、ワギナという言葉が、十分にその意味を理解できないで、その段階で教えるということは、私はやはり不適切な性教育であると考えております。

○福士委員 人前でどこまでいっていいのかというのがわからないお子さんというのは、知的障害じゃなくても、ほかでもあるかもしれない。そうしたら、そのときにそれを、こういうところでいっていいとか悪いとかというのを教えるのも教育の一つだと思いますし、じゃ、ほかの国語や何かでも、わかっているから全部そのことを話しているかどうかというのは、わからないことがいっぱいあると思うんですよね。そういう言葉をしゃべってはいけない。じゃ、今後、障害者への性教育はどういう形で行うのが望ましいというふうにお考えなのか、その辺はいかがでしょう。

○近藤指導部長 障害者につきましても、学習指導要領に基づき、発達段階を踏まえて指導することが大切でございますが、ただ、障害のある子どもたちは極めて個人差が大きくあります。したがいまして、各担任がつくります個別指導計画と連動して、性教育を緻密にやっていくことが必要であると考えております。

○福士委員 確かに、そのことは私、否定しませんよ。だけど、今でも、保護者の方からのお話を伺いますと、学年の輪切りじゃなくて、グループごとに確かに教えていらっしゃるんです。理解度が同じ程度でなければ、同じ学年でもやっぱりグループを別にしたりして教えていらっしゃるという意味では、一人一人の障害に応じて結構やっていらっしゃるんじゃないかというふうに私は理解したんです。そして、先ほどもどなたかおっしゃってましたけど、ご家庭の事情も配慮されてきめ細かな指導をしているというふうに、私には見えました。
 で、どこがどういうふうに、皆さんがおっしゃっている一人一人の障害の程度に応じた指導計画というのと、今やっていらっしゃるのと、違うのかというのが、私は何遍伺ってもよく理解ができないんですよね。多分そちらの方に、教育長あてにも、申し入れ書というんですか、出しておられますけれども、保護者が必要ないと判断した場合、一対一で別の授業も行われているというようなことも書かれておりますし、かなりかなり細かにやっていらっしゃると思います。それから、保護者と教師の往復書簡というのかな、意見交換みたいな、そういう書類を拝見しても、やはりきめ細かい配慮をしながら--これが絶対正しいよといって無理無理押しつけるような形の教育というふうには、私には見えないんですよね。そういうところも含めて配慮をしているにもかかわらず、指導計画に沿ってないからというようないい方で決めつけるということ自体が問題ではないかと思うんですが、性教育に対する今回の東京都の方針、それから方向性というのは、知事もどの程度理解をしていらっしゃるのか、あるいは承知をしていらっしゃるのか、その辺のところをお伺いいたします。

○近藤指導部長 知事がどの程度了承しているのかということでございますが、学校における教育課程を適正に実施することは、都教育委員会の責任と権限で行うものでございます。知事も、さきの第二回定例都議会の一般質問において、不適切な性教育を是正していくことは教育委員会の役割であることと述べ、教育委員会に対しては、是正に向け、今以上にアクティブに行うことを期待するという旨の話をしてございます。

○福士委員 私、大分質問をはしょっていますので、短く終わらせていただきますけれども、知事の発言なんですけれども、不健全図書指定処分取り消し請求訴訟という中で、上智大の名誉教授が、意見書の補遺として、知事の著作を引用していらっしゃるんですね。それによりますと、かなり先ほどの知事のおっしゃりようと違うかなという感じがするんですよ。
 これは、「真実の性教育」ということで知事が書かれて、「学校では教えない人間の性」というふうになっておりますけれども、知事は余り性については偏見にとらわれていらっしゃらない、これは今までの大方の評価だったと思うんですね。その中で、性科学や性教育に長年かかわってきた専門家としても、石原慎太郎さんの、知事の態度については深い敬意を表するというふうに、福島章さんとおっしゃる上智大学の名誉教授で医学博士でもありますけれども、受けとめておいでになります。大人が子どもに対して性教育をすることの重要性を知事も繰り返して説いておられるというふうにおっしゃっていまして、その文章の中で、知事が書かれておられるのは、わいせつ云々というが、わいせつという言葉の定義ほど流動的であいまいなものはないということ、それから、男女間の肉欲上の行為に関するみだりがましいこと、というようなことで、このわいせつという言葉を定義されているけれども、みだりがましいという形容詞もまたあいまいである、わいせつという概念そのものが定義不能な虚構にほかならないことを指摘するというふうに、知事もおっしゃっているみたいなんですね。で、わいせつそのものについても、わいせつとは性そのものでなく、人間のわいせつさである、そういうふうに書いておられるようなんですよ。
 で、今回の性教育を不適切としてとらえることしかできないというのも、都教育庁も、わいせつという概念でとらえているからそういう話になるんじゃないのかなと思って、私は心配をしているんですけれども、きちんと教育としてやるということの重要さで、インドあるいは中国の敦煌なんかに行くと、仏教の中の神々でも、性交しているレリーフというのがあちこちに見られるということで、知事はそれを子どもさんの性教育に使ったというようなお話も、この文章では書いておられるようなんですね。神仏にしてすらが、人間がかつては間違った価値観で、忌まわしい、浅ましい、汚らしいものとしていた性を、その属性として備えているということを知るべきであって、性に関する従来の古い道徳観が云々した道徳、不道徳というものが、実は神の名においても否定されるべきものであることを知るべきだというふうにまでおっしゃっているわけですよ。そしてまた、性器を隠すことに反対であるばかりでなく、性行為そのものも子どもに見せることが教育的であるというふうに考えているという文章もあるようで、食欲と性欲というのは、お料理の本はいいけれども、性の本はいけないよというような概念で分けるのではなくて、食欲と同時に性欲もそれほど切り離して考えるべきものではないよというようないい方をしていらっしゃいますのでね、それから思ったら、今の性教育に対して人形を使うことがいけないとか--アダルトビデオじゃないわけですからね。非常にかわいらしいお人形で、本当にあったかいお人形で、手づくりのお人形でということからすると--確かに、性行為はどういうものかというのを教えておかないと、先ほどどなたかもおっしゃってましたけれども、私も、二十年前ですけれども、やはり知的障害のある方が、男の方を見るとくっついていっちゃうとか、いろいろな問題があって、やっぱり苦労して、周りで、だめよ、だめよといったり何かして、それがよかったのかどうか、今でもわかりませんけれども、苦労した事実は確かにあるわけで、性というものをどう考え、そして、自分の体がどれほど大事か、それから、性行為によって子どもが生まれることも含めて、堕胎することばっかりを何回も繰り返すことのないようにという意味も含めていえば、やはり教えなきゃいけないことっていうのはあるんじゃないのかなというふうに私は思うんですね。
 そういう意味で、石原氏はまた、精神分析医であるロバート・リンドナーのことについてもちょっと触れておられるんですが、いかなるタイプの書物であろうとも、非行あるいは犯行をそそり、教唆したりすることは絶対になく、仮に好ましくない本のすべてがこの社会になくなったとしても、犯罪とか非行とか反動とか反社会的な行為は減少しないという説に同感だというふうにおっしゃっています。私は学者じゃありませんので、こういうことが正しいとか正しくないとはいえませんが、感覚的にいえば、私もそういうことであろうなと。どんなに隠しても隠してもあらわれるものはあるわけで、やはりきちんと教える。それから、正しく教える。正確に教えるというべきですかね。そういうことがどれだけまさるかということが、教育が性犯罪に向けても勝っていけるかどうかという問題だろうと思うんですね。
 で、今の人形を使った性教育というものが非常に問題があるのであれば別ですけれども、保護者の方たちからも、抽象的な概念でとらえられない知的障害の子については、人形をあえて使ってくださいというご要望まで出ているわけですから、どういう形でどうやったら教育がうまくいくかなということの方に、前向きに考えていただきたいと思うんですよ。あれだめ、これだめ、それから、あれをしたらこんなことになるというような形で、抑える、抑える、抑える形ばっかりではなくて、そこはしっかり考えていただきたいというふうに思います。
 最後に、教育長、知事のここに書かれたものと、先ほどおっしゃってた、知事があえて不適切な性教育を是正していくというふうなところと、すごく乖離があると思うんですけど、そこはどういうふうに埋めていくのか。あるいは知事にも確認をしていただきたいんですよ、どういう性教育ならいいのかということを。ぜひお願いをしたいと思うんですが。

○横山教育長 先ほど来担当部長が答弁していますように、私どもは、性教育を実施することは決して否定しているわけじゃないんです。ただ、その性教育がどういう形で行われるのがいいのかということを、先ほど指導部長から、三つの要件を前提に話をしましたが、そういった意味で、性教育のやり方そのもの、性教育の重要性は重々わかっているんですが、そのやり方について不適正なものがある、こういうことでございますので、決して否定しているわけではございません。

○福士委員 だから、性教育について否定しているというふうには、私は思っていませんよ。だけど、先ほど来いっているように、抽象論ではわかりにくい子どもたちに対しては、人形を使う方法だってあるじゃないか。それはワン・オブ・ゼムでいいんですよ。それをすべてやれといってるわけじゃないです。ただ、私の感覚でいえば、抽象的な思考ができる普通の子どもについても、あの人形で性教育をするということは決して否定するようなものではないというふうに思いますし、先ほど、一番最初に、あれはアメリカの幼児用のカウンセリング用の人形だということを申しました。必要性から生まれた人形だというふうに、私は理解いたしました。必要性から生まれたものについて、否定するということがやはり問題なんではないかと思いますが、それだけ最後に伺って、質問を終わります。

○近藤指導部長 学習指導要領につきましては、性交という文言は一切出てこないわけでございます。先ほどからお話のある、恐らくスージーとフレッドという人形のことだと思いますが、あの人形の解説書といいましょうか、テキストには、性交の仕方を学ばせるためのものであるという解説書がついているわけでございます。したがいまして、そのような解説書がついていることは、そうしたことを目的として使うための人形であると理解しておりますので、やはりその人形については不適切なものであると考えております。もちろん、その人形自体が不適切ということじゃなくて、それを発達段階を踏まえずに使うことが不適切であるといっているわけでございます。

○福士委員 済みません。終わりにするつもりでしたけど、もう一言だけいわせていただきます。
 先ほどからも出ていましたように、知的障害のあるお子さんが、性交というものをきちんと認識しないがために、いろいろな男の人たちと性交してしまう、そして、思わぬ子どもができてしまって出産に至った例も、私自身も知ってます。知ってて、そして、自分が子どもを育てられないために、また施設に預けなきゃいけないとか、あるいは、避妊の仕方も知らないために次々と自分の体を痛めつけるということもあるわけですから、性交そのものがいいとか悪いとかという話じゃなくて、教育上の問題としては、それがどういう結果を生むかということも踏まえて教えておかなければいけないし、性教育の中では、自分の体、それから自己決定、知らない間に勝手についていって、知らない間に何かを行ってしまうということではなくて、ノーといえる、そういうことも含めてきちんと教えていらっしゃるように、私はお見受けしました。そういう意味で、性教育というものを、人形を使ったから、だからけしからぬというような短絡的な発想をしてはいけないんじゃないかという意味で質問をさせていただいているわけです。
 以上です。

○小美濃委員 それでは、大分遅くにもなってまいりましたので、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、冒頭、質問に入る前に、一言意見をいわせていただきたいんですけれども、先ほど来聞いておりますと、本当に基本はどこにあるのかということだと思うんですよね。いうまでもなく日本の国は法治国家でありまして、法律や、その法律の範囲内でつくられる条例などの一定のルールの中で社会が構成されているということでありまして、また、教育におきましては、教育基本法にのっとって教育が行われて、また、その教育基本法をもとにして学習指導要領がつくられ、これをもとに教科書や、また適正な教育が行われている。また法的根拠もこの学習指導要領にはあるということを、やはり最初にしっかり認識するべきなのかなと私は思っております。
 先ほど、学習指導要領は尊重しなくてもいいんではなかろうかというような、ややもするとそういう意味にとられるような発言もありましたけれども、私はそうではないんではないかといわざるを得ません。法律も時としては国会で改正をされたり、司法の判断で違憲の判断が下されまして、そういった意味では、法律も、悪法も法という言葉がありますけれども、しかし、悪法が法だとしても、原則それを遵守しなければならない。我々はそれがルールだと思っていますし、このルールが崩れてしまったら、それこそ何でもありであります。私は、まずこのことを押さえて質問に入りたいなと、そんなふうに思っております。
 性教育に関しましては、さまざまな議論がありまして、出尽くしたのかなという感もありますので、私は勤務時間の調整について質問をさせていただきたいと思います。
 いうまでもなく、勤務時間の調整は四項目に限られております。もしそのほかで、その他のことで調整が行われているとするならば、明らかな違法行為であるだけでなくて、正規の服務時間内に服務もしないで通常の給与を受け取るということですので、これは税金の不正支払いともいえるわけでありまして、もし不正支払いが行われているのであれば、返してもらわなくてはなりません。しかし、現実問題として、実態としては、今回明らかになった七生養護学校を初めとした数校にとどまらず、恐らく多くの学校で調整が行われている可能性も否定できないわけであります。都民の税金が不正に使用されることは絶対に許されないわけでありまして、このことについて都教委はどうお考えになっているのか、まず、ご見解をお伺いしたいと思います。

○臼井人事部長 勤務時間の調整につきましてのご質問ですが、東京都教育委員会は、平成十三年度に、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の解釈、運用を改正いたしまして、休憩、休息時間を含めた勤務時間の是正を図ったところでございます。しかし、今回、一部の都立盲・ろう・養護学校で不適正な調整が行われていた事実が判明したわけでございます。東京都教育委員会は、こうした事態を重く受けとめまして、不適正な調整を含む職員団体との確認事項等の実態につきまして、各都立学校及び区市町村教育委員会に対しまして、現在、実態調査を実施しているところでございます。ご指摘のように、公務員として服務の厳正を確保することは当然でありまして、税金が不正に使用されることはあってならないことと考えております。

○小美濃委員 ただいまのご答弁で、市区町村教育委員会に対して実態調査を行っている、こういったことが述べられたわけであります。これについては一定の評価をしたいと思っております。
 しかし、実態調査を行っても、果たして本当に不正が明らかになるのか、この点を実は大変心配しているわけであります。なぜならば、時間の調整というのは、教師と管理職、主に校長先生なんでしょうけれども、教師と管理職との間で、しかも密室の中で行われるわけであって、いわば組織ぐるみで行われるわけでありまして、管理職も校長も、不正と知りつつ実は行っていることでありますので、なかなか表に出づらい問題であります。ですから、たとえ実態調査を行ったとしても、よほど正義感のあるどなたかからの内部告発でもない限り、これは学校ぐるみで隠ぺいされてしまうおそれも多分に可能性としてあるわけであります。実態調査をするには、かなり、それこそ実効性のあるものにしていかなくてはならないと考えますけれども、その点についてご見解をお伺いします。

○臼井人事部長 東京都教育委員会では、今回の調査にあわせまして、都立学校長だけではなく、すべての区市町村立学校長に対しても、直接、説明会を開催しまして説明をし、違法な労使慣行をそのまま放置することなく、速やかに実態の把握と適正な是正措置をとるよう注意を喚起したところでございます。
 今後、調査結果を取りまとめの上、必要があれば新たな措置を検討するなど、より実効性のあるものとしていくよう努めてまいります。

○小美濃委員 今回の問題提起は、本当に大きな問題提起だったと思います。ですから、ぜひとも実態調査などなど、実効性のあるものにしていただきたい、こう要望しておきます。
 また、調査委員会報告においては、都立七生養護学校において勤務時間中の飲酒が明らかになりました。これもまた問題であります。しかし、これもややもすると、勤務時間中の飲酒は七生養護学校だけに限らないのではないかとも思えるわけでありまして、過去の事例では、どのようなときに服務時間中に飲酒を行っていたのか、教えていただきたいと思います。

○臼井人事部長 飲酒の件でございますが、過去の服務事故におきましては、運動会や文化祭の反省会あるいは昼食会の際、組織的に飲酒が行われていたほか、修学旅行など生徒の引率中にも飲酒の事故の事例がございます。

○小美濃委員 組織的にさまざまな場面で飲酒が行われていたということは、大変残念なことであります。恐らく大勢の職員が学校ぐるみでそういったことを行ったと思うんですけれども、しかし、こういったことは決して都民の信託を得られるものではなく、ぜひとも今後も一層厳しく指導をしていただきたいと思っております。
 このように、都立の盲・ろう・養護学校におきまして飲酒行為を初めとした服務規定違反や、また不適正な学級編制、学校教育の管理が適切に行われず、学習指導要領を踏まえない性教育が実施されておったり、このことによりまして盲・ろう・養護学校の約半数の学校の校長が処分を受けた、こういったことは、まさしく異常事態ですよね。新聞報道を読んだ都民が本当にどう思ったかというのは、察して余りあるわけであります。
 このような事態を招いた原因は、問題はどこにあったのか、都教委は一体何が問題だったと思っているのか、ご見解をお伺いします。

○臼井人事部長 何が問題だったのかというお話ですが、東京都教育委員会は、ここ数年来、職員会議の位置づけの明確化、人事考課制度の導入、主幹制度の導入、学校運営連絡協議会の設置など、学校運営の正常化の取り組みを進めてまいりました。しかし、学校運営を支える制度はおおむね整ったわけですが、教職員の横並び意識や慣例、慣行は残存し、実質的にはいまだ十分に機能していない部分もございます。このため、教育公務員としての自覚や法令遵守の意識が浸透しておらず、教育内容、学級編制及び服務について、慣行に流される一方、リーダーシップをとるべき校長自身も管理職としての経営責任を果たしていなかった結果、都立盲・ろう・養護学校において今回のような不適正な事態を招いた、このように認識しております。

○小美濃委員 この議論は本当に長年やっているわけでございますけれども、やはり最後は校長先生のリーダーシップというところもあるわけですよね。しっかりとしたリーダーシップをとれる校長先生は、これからもしっかりと教育の推進に当たっていただきたいと思うわけでありますが、例えば校長の資質もしくは能力に課題があるために適切なリーダーシップを発揮できない、こういったことによって学校経営に大きな支障を来すような校長に対しては、都教委はどのように対応していくおつもりか、お伺いします。

○臼井人事部長 課題のある校長に対する対応ということでございますが、学校経営を行っていく上で課題のある教育管理職につきましては、これまでも人事考課制度を活用して個別に指導してきたところでございますが、今後、指導を行ってもなお、学校経営を行っていく上で課題があると認められる教育管理職に対しましては、新しい指導、処分ルールの確立を今後検討してまいります。

○小美濃委員 強いご決意をいただきましたので、意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、今まで、ここ数年、人事考課制度の導入や主幹制度の導入、また、つい先日も議論いたしましたけれども、新異動要綱の導入などなど、学校を組織的に運営していくに当たってのルールがどんどん確立されてまいりまして、校長は、かつてに比較すればかなりリーダーシップがとりやすくなったと、これはいえると思います。しかし、学校という職場というんでしょうか、勤務は、八時から五時までという、そういった一般職の職場とはなかなか事情が違うわけでありまして、児童のために校長が教職員に超過勤務をお願いする場面というのは、まだまだあろうかと思います。しかし、この部分で、こういった部分で、校長が教職員に借りをつくるというような、そういうような状況は決してつくってはいけないと思っています。なぜならば、そういう借りがどんどんどんどんたまっていくことによって、校長のリーダーシップが著しく低下をしていくと考えられるわけであります。ですから、都教委はこのことを抜本的に是正しない限り、幾らさまざまな制度を導入しても、やはり校長のリーダーシップを担保することはなかなか難しいのかなというのが、正直な私の考えであります。
 前にも申し上げましたけれども、本当に児童生徒のために朝から夕方の遅くまで頑張っている教職員もいるかと思えば、超過勤務なんか絶対するものかというような、意地でもやらない、そういった教職員もいるようでありまして、これらを十把一からげにして、本給の四%を超過勤務の調整の手当として支払っているところに、そもそもの大きな問題点があると考えております。
 ことしの三月、私の予算委員会の質問で、教育長から、国の制度が変わるので、給与体系の抜本的改革に向けて強い決意をいただいたところでもありますし、ぜひとも積極的にその辺は取り組んでいただきたいと思っております。本当に制度はよくなってきているんですから、校長につまらない不安を感じさせない、そういった制度というか、そういったインフラ整備をしていただきたいなと思います。その上で校長のリーダーシップがしっかり示せる、そういったことを考えるべきでありまして、また、課題の残る校長に関しては、適切な指導や、時としては処分をしていくという方針で、強い態度で臨んでいただきたいと思っております。
 先ほど来議論されていますけれども、学校現場の主役は、本当にいうまでもなく児童生徒であります。教職員ではありません。教職員の都合も決してわからなくはありませんけれども、やはり児童のため、児童の健全育成や良好な教育環境を私たちは第一に考えていかなくてはならないと考えております。そのためにも、我々議会と都教委が車の両輪となって、これからもしっかりとした教育論を闘わせていかなくてはならないと思っております。
 私も文教委員会、今回でとりあえず終わるというか、次は委員会が違うわけでありますが、ぜひともその点は教育長にお願いしたいなと思っております。東京の児童の今後のさらなる公教育の発展に大きな期待をいたしまして、私の持ち時間が終わりましたので、質問を終わりにします。
 ありがとうございました。

○渡辺委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十八分散会

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