文教委員会速記録第十三号

平成十五年九月二十九日(月曜日)
第三委員会室
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長渡辺 康信君
副委員長服部ゆくお君
副委員長河西のぶみ君
理事執印真智子君
理事中嶋 義雄君
理事遠藤  衛君
福士 敬子君
野島 善司君
相川  博君
石川 芳昭君
小美濃安弘君
山本賢太郎君
曽根はじめ君
大西 英男君

 欠席委員 なし

 出席説明員
大学管理本部本部長山口 一久君
管理部長飯塚 宏子君
参事大村 雅一君
参事宮下  茂君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 大学管理本部関係
  報告事項(質疑)
  ・都立の新しい大学の構想について

○渡辺委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○渡辺委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部関係の報告事項に対する質疑を行います。
 大学管理本部関係に入ります。
 報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○飯塚管理部長 去る九月十七日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元にお配りしております資料を一枚おめくりいただきたいと存じます。
 目次でございますが、ご要求のございました資料は、ごらんの十点でございます。
 一枚おめくりくださいませ。一ページでございますが、現都立四大学の収入及び支出でございます。収入と支出それぞれにつきまして、科目別に決算額と収入合計に対する割合を、都立の四大学と私立大学とを比較する形でお示ししてございます。
 二ページをごらんくださいませ。教員一人当たりの学生数でございます。分野ごとの教員一人当たりの学生数を、都立の四大学と規模及び学部などの構成の近い私立大学とを比較する形でお示ししたものでございます。
 三ページをごらんくださいませ。進路状況でございます。平成十五年三月の卒業者の進路状況につきまして、分野ごとに、都立の四大学と全国の状況を比較する形でお示ししてございます。
 四ページをごらんくださいませ。特色ある学際的な学部を設置している大学の例につきましてお示ししたものでございます。
 次に、五ページをごらんくださいませ。現都立四大学の今後の学生定員の推移でございます。現都立四大学の学生定員につきまして、十五年度から新大学開学後の二十年度までの推移を、学部、大学院に分けてお示ししたものでございます。
 六ページをごらんください。大学院への進学状況でございます。平成十五年三月の卒業者につきまして、学部ごとに大学院への進学状況をお示ししたものでございます。
 七ページをごらんくださいませ。新大学設立に向けての検討組織につきまして、平成十五年七月までの組織と、平成十五年八月以降の組織をそれぞれお示ししてございます。
 八ページをごらんくださいませ。新しい大学の構想の策定結果につきましてまとめたものでございます。
 九ページをごらんくださいませ。新しい大学の構想と東京都大学改革大綱の比較でございます。大学の使命、学部構成、大学院の構成、キャンパス、教育の特徴のそれぞれの事項につきまして、東京都大学改革大綱と新しい大学の構想を比較したものでございます。
 一〇ページをごらんくださいませ。新大学設立までの現時点における主要スケジュールをお示ししたものでございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○服部委員 今ご説明を伺いましたけれども、私どもも資料請求をさせていただきましたが、常々知事がいわれているように、大学は教育のターミナル、いわゆる終着点であって、これをつくりかえることによって、日本の教育全体へ、その改革の成果を波及させていくことが必要であります。この意味で、大学改革は、これまで東京都が取り組んできた東京発の教育改革の集大成であって、大変に重要な課題である、そのように私も認識をしております。
 東京都が設置する都立の大学は、都民の負託にこたえ、そして社会的責任を果たす大学とならなければなりません。独立行政法人化の後も、引き続き都民からの多くの税金で運営されることには変わりはありません。これらの点を踏まえて、今回の新しい大学の構想はどのような理念により策定したのか。特に、新しい大学が都民にとってどんな意義のある大学になるのかを明確に示すべきだと、そのように思いますけれども、まずこの点について考え方を伺います。

○大村参事 今回の構想では、新しい大学の使命を、大都市の人間社会の理想像の追求を明確にいたしまして、これを踏まえまして、大都市の課題に対応した具体的な教育研究の目標といたしまして、都市環境の向上、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築、活力ある長寿社会の実現の三つを設定いたしました。このため、既存の都立の四大学を廃止いたしまして、新しい大学を創設することといたしました。そして、都市環境学部、システムデザイン学部、保健福祉学部など、大都市の課題に対応した実践的な分野を中心に学部を再編し、アジアに共通する都市への人口集中や、それに起因いたします都市問題などに取り組むなど、現実に立脚した教育研究を行うことといたしました。これによりまして、産業活性化を初めとする都市の課題に大学として十分に対応していけるようにいたしたいと考えております。
 また、単位バンクを初めといたしまして、大都市の特性を生かした教育、東京全体をキャンパスとする現場重視の教育や、人格形成を促す寮の創設などによりまして、個性や独創性にあふれ、大都市のさまざまな場で活躍できる有用な人材がこの新しい大学から育っていくようにしたいと考えております。

○服部委員 最初に、大学改革の意義といいますか、理念といいますか、その点についてもう少し私の方から述べたいと思うんです。
 これは平成十三年の十一月に東京都大学改革大綱として出されたものでありますけれども、この中で石原知事は冒頭、日本の大学が社会に対して閉鎖的である、そして教育研究のあり方が問われている今日、大胆な改革を早急に行う必要があります、そして教育研究の活性化を図り、社会に貢献する大学として再構築しようと考えています、こう述べておられます。
 ちょうど先週ですけれども、我が党の萩生田議員さんが、今月の二十六日ですか、一般質問の中で、都立大学改革についてこのようにも述べています。ちょっとこれはご本人のご了承を得て、原稿ですが……。
 知事は所信表明で都立大改革に触れて、これまでの日本にはないさまざまなシステムを導入し、大学教育の限界を打ち破ると決意を示されました。当然といえば当然、遅きに失した感もあります。特に、都立大学と最前線で接してきた私は--これは八王子の出身の議員でございますが--失礼ながら、なぜ都が膨大な経費を投じてこの大学経営をやらなくてはならないのだろうか、だれのための大学なのか、常に疑問を抱いておりました。八王子は、二十一大学の集う学園都市と呼ばれており、さまざまな大学が、それぞれの個性を生かし、また地域活動やボランティア活動でも多くの学生が参加しておりますが、学園都市推進会議や大学連絡協議会といったさまざまな組織の中でも、教職員も学生も全くその顔の見えない、透明な存在が都立大であります。そして最後に、新大学は、やはり期待感を持って、存在感のある、都民から期待をされる大学となってほしい、そういう強い思いもいわれています。そして、常に愛校心を抱いて、学校を愛する気持ち、そして東京の最前線でさまざまな大都市の課題と立ち向かい、地域に貢献できる人材を絶えず輩出し続けることが都立大のアイデンティティーとなり、そして都民にとってかけがえのない大学として、オンリーワンの教育機関となり得ると思います、こう一般質問で述べています。
 私たちも、今の都立大学のあり方が、現状が、これでいい、そのようには認識はいたしておりません。今のお話のように、やはり多くの期待を持ちながら、いい都立大学になってもらいたいんだという気持ちがあるわけですが、また、ここに、一方では、都立大学の改革に対して、これはことしの八月四日に、都立の新しい大学の構想に対して抗議をするという、都立大学と短期大学の教職員組合中央執行委員会の文書がありますが、要約すれば--要約すればじゃなくて、この中で、組合は、大学管理本部主導で策定された大学改革大綱に反対してきた、こうもいっているわけです。要するに、この大学大綱に反対してきたと。
 私は、これから具体的に都立大学のことについてさらに触れてみたいと思うんですけれども、新しい大学は、大都市の大学の使命を明確にして教育研究に取り組み、有用な人材を育成するということにありますが、この点について、現大学の就職状況を見ながら、さらに伺っていきたいと思うんです。
 資料によりますと、ただいま配られたこの資料ですが、それによりますと、ことし三月卒業者の都立の大学の就職状況を全国の大学の状況と比較して、都立大学の人文学部、法学部、理学部、工学部、科学技術大学で就職者の割合が低くなっている。特に人文学部ですね。
 この資料に基づいてさらに具体的に数字で申し上げますと、都立大学の人文学部ですが、卒業者総数のうち就職した方が一七・六%。これは全国と比べますと、全国では五三・一%の方が就職をしている。もちろん、大学院に進学をされた方もいらっしゃると思うんですが、その進学者は、都立では一〇・一%、全国では五・二%。そして、ここに家事手伝い、無職等とありますが、これは都立では四・四%、全国では三五・二%ですね。で、その他という項目があるんですが、卒業生のうち、都立の場合はその他の方が一番多くて六七・九%。要するに六八%の方がその他なんですね。就職でもない、進学でもない、家事手伝いでもない、その他。全国では、このその他の数字はわずか六・四%にしかすぎないことが、この資料に記されております。
 そこで、まず伺うのは、このその他が大変、極端に多いわけですが、これはどういう理由なのか、あるいは毎年こういう傾向なのかについて伺います。

○大村参事 その他につきましてでございますが、このページの右下の(注)の3をちょっとごらんいただきとうございます。その他につきましては、大学を卒業した直後に亡くなられたとか、そういうケースも入ってございますが、主に大部分は未把握分ということで、進学したのか、就職したのか、どのような方向になったのか、大学として、学部として把握できてないというところが、このその他の数字になってございます。

○服部委員 未把握分ということですけれども、学生と教師あるいは教授、そういった方々の信頼関係といいましょうか、密接な関係があれば、把握しないということ自身、私はおかしいと思うんですね、当然、自分の教え子ですから、大学の先生は。それが、どこへ進学したのか、あるいはどこへ就職したのか、あるいは今何をやっているのかとか、あるいはまた、卒業した学生も、先生、私はここにこうやって、先生から教えていただいたことを今このようにやっていますよとか、そういう交流が当然あるべきだと思うんですね。この辺がどういう意味で未把握なのか私もわかりませんが、単に学生の進路状況を把握できてないという今のご説明だけではなくて、全体的に人文学部は、就職者の割合も低いですね、今の数字で。実際には、社会が求める人材育成ができていないのではないか。すなわち、これは大学としての社会的な責任を果たしていない。社会に貢献しているのかどうか、そういう点も私は疑問に感じます。
 そこで、新大学では人文学部に対する分野はどうなっていくのか、また、新大学ではこの分野は社会の求める人材育成が行われるようになるのか、この点について伺います。

○大村参事 前段のお話の現在の都立大の人文学部の就職率その他の関係でございますけれども、前のページの表にございますように、教員一人当たりの学生数は非常に低い中で、このような未把握率が高いというふうなことにつきましては、私どもといたしましても、学生の就職という卒業後の進路に対します学部側の意識が十分ではなかったのではないか、その結果、卒業した学生も、学部側に何も報告しないという状況がつくられてきたのが一因ではないかと考えておりまして、残念なところでございます。
 次に、新しい大学では、従来型の学問分野別に縦割りの学部構成をとりませんで、都市教養学部、都市環境学部といったような、大学の使命を踏まえました大都市の課題別の学部に再編することといたしました。そのうち、都市教養学部では、人文社会分野を含みます広い学問一般を一つにまとめまして、都市の文化とか経済、あるいは都市の文明などを学びながら、創造力と幅広い視野を養う人間教育を行ってまいります。
 このような現代型の都市型の教養教育によりまして、物の本質を見きわめる力であるとか、決断する力、実行する力ができるような人材を育成しまして、社会が求める人材として送り出すことができればと思っております。
 なお、新しい大学では、単位バンク制度で、外部の有識者や企業の経営者の方などによる卒業評価を行うことによりまして、大学教育と社会が求める能力とのミスマッチの解消にも努めてまいりたいと存じます。

○服部委員 今、教員一人当たりの学生数が非常に低いという説明がありますが、これも数字的に出してみますと、現在の都立大学の教員一人当たりの学生数、この人文科学系では四・六人なんですね。法学部あるいは経済学部になると二十名というふうな数字もあります。他の私立大学で人文系の教員一人当たりの学生数は、例えば上智大学では、神学は九・一ですが、あと文学部が二十五・一、外国語学部が十七・七、比較文化学部が十四・八。また、例えば成蹊大学では、文学部関係は教員一人当たりが三十五・八とか、いろいろ数字があるわけですけれども、ですから、教員一人当たりの学生数がわずか四・六で、学生の先が把握されていない、あるいは学生が報告をしていない、また教授も、自分の手塩にかけた学生ですよ、それが卒業後、今どういうふうになったのかというのは、人間として、教育者として当然把握する必要があると私は思うんです。
 次に移りますけれども、石原知事のこの第二期ですね、大学改革については、大学改革大綱の方向性を見直して全く新しい大学をつくるというところからスタートしたといえますが、そうした新しい方向性を出す上で、今回発表された構想は、どういうメンバーで検討され、策定されたのか、伺います。

○大村参事 今回、社会経済情勢の変化などを踏まえまして、東京都大学運営諮問会議の専門委員会といたしまして、諮問会議の会長である岩手県立大学の西澤潤一学長を座長といたしまして、専門家による検討会を五月から七月まで行いまして、検討を行っていただきました。
 今回の構想では、この検討会の議論も踏まえまして、大都市東京の大学としての使命も明確化するなどいたしまして、設置者である東京都の責任として取りまとめたものでございます。

○服部委員 十七年四月の新大学の開設ということですが、もう既にあと一年半となっているわけですけれども、構想発表後、設立の準備についてはどのような体制で行われているのかも伺います。

○大村参事 八月一日に今回の構想を発表したわけでございますけれども、その後、大学管理本部長をトップといたします新大学設立本部を設置いたしまして、そのもとに教育研究の具体化を行います教学準備委員会、それと、法人経営を検討いたします経営準備室というのを置きまして、外部の専門家も入れまして構想の今後の具体化を進めているところでございます。

○服部委員 先ほど申し上げたように、教職員組合を初め、あるいはまた現状維持を志向する教員からいろいろ反対もあるようです。しかし、従来のように大学の教員を入れた検討では、一定の限界もあって、思い切った改革案はやはり内部からは生まれてこない、そのように私は感じます。
 今回の構想のように、外部の人材を活用して、これは責任はあくまでも設置者ですから、設置者の責任でまとめていかなければならないと考えています。新しい大学の構想の実現に向けて、設置者の責任で断固として進めていくという、まず本部長の決意を伺います。

○山口大学管理本部長 東京の大学を改革するのは設置以来初めてのことでして、そういう意味からさまざまなご意見があることは事実ですが、ただ、新しい時代の共通の認識というのでしょうか、例えばロースクールが出てきたり、ビジネススクールが出てきたり、あるいはエンジニアリングスクールが出てきたり、あるいは文学系でも、英米文学、仏文、ドイツ文学など、そういう文学以外に、中国文学でないアジアの文化、あるいはイスラム文化とか、さまざまな文化とか文明に対する理解が必要になってきております。そういう意味で、それに対応する大学をつくるためには、どうしてもスクラップ・アンド・ビルドが必要という形になるのは不可欠でありますが、そういう意味では、内部だけの検討ではなかなかスクラップというのは難しいのが現実であります。
 したがいまして、先ほど答弁申し上げましたように、外部の人材を加えました新大学設立本部を立ち上げまして、教員改革も含めまして、新大学の設立準備に設置者の意向を迅速に反映できる体制をしきました。これにより、大都市東京にふさわしい大学の実現に向けて、構想の具体化を強力に進めてまいります。

○服部委員 都立大学は、いわゆる大都市の大学としての使命というもの、これは、設置者はもちろんですけれども、教職員も、あるいは学生も一緒になって、その使命というものをまず自覚しながらも、大都市における人間社会の理想像の追求を目指して、そして新大学はやはり、都民の負託にこたえて、また社会的な責任を果たす大学として、新しい大学になるんですから、建学の精神をしっかりと持って、それが広く都民の共感を得られて、また理解が得られるようになるよう、一層の努力をお願いして、私の質問を終わります。

○河西委員 まず最初に、平成十三年十一月の東京都の大学改革大綱発表以後、わずか二年後のこの時期に、どのような理由で大学改革大綱を見直したのか、また大学改革大綱と今度の新構想の違いは何か、これを明らかにしていきたいと思うんです。
 そこで、過日の委員会で、今回大学改革大綱を見直した理由は、平成十三年の大綱作成以降の状況変化への対応の必要性、そして、工業等制限法の廃止に伴う区部等における大学設置に関する規制の撤廃、都が国に要求してきた公立大学等を法人化するための地方独立行政法人法の制定、知的財産の創造や活用について大学の責務をうたった知的財産基本法の制定など、大学を取り巻く状況や、大学への社会的要請にはさまざまな変化が生じてきている、今回の構想はこれらに対応したものであると、見直しの背景について説明をされました。
 この見直しの理由やその背景は、大綱作成時にも予想されていたものであるというふうに私は思っておりますし、現に大綱の中身にも、状況の変化を先取りしたものが盛り込まれていたと認識しています。しかし、この今回の見直しの構想を見てみますと、学部の大幅な見直しなど、先般の委員会説明の理由では納得するには不十分であると考えています。
 そこでお伺いをしたいのですけれども、平成十三年十一月の東京都の大学改革大綱発表以後わずか二年しか経過していないこの時期に、新たな大学の構想を打ち出した理由を改めてお伺いしたいと思います。大学をめぐる法制度や大学に求められるものなど、社会経済状況の変化を理由に挙げておりますが、そうした変化が東京都の大学改革大綱のどこをどのように見直しさせたのか、ご説明をいただきたいと思います。

○大村参事 平成十三年十一月の大学改革大綱の発表以降、先生の方が今ご指摘されましたように、さまざまな情勢の変化がございました。これらの大学をめぐります法制度や大学に求められるものなどの社会経済情勢が急速に変わってきたというふうなことに対応いたしまして、大綱及びその大綱後の検討が、これらの状況に十分対応してきたとはいいがたかったところもございますので、それを見直したところでございます。
 例えば工業等制限法につきましては、区部での大学の新増設について規制がございまして、事実上、区部から大学を追い出すという政策となってございました。昨年、東京都を初めとするさまざまな方面の努力でこれが廃止されますと、実にこの一年間に二十二もの大学が、区部での展開をもう既に申請してきております。
 ところが、大学改革大綱では、南大沢、日野、荒川の三キャンパスを拠点キャンパスといたしまして、それぞれに特色を持たせて学部、大学院を配置することとしておりましたが、その後の検討では、保健関係では荒川キャンパスを使う以外、教育関係は南大沢に集中いたしまして、日野は産学公連携センターのみという方向で検討がされてまいりました。大綱でも、日野には先端関係のものを置くというふうなことも書いてございましたけれども、それも含めて南大沢集中ということになってございました。
 今回、この工業等制限法の廃止や、それも含めた各大学の動向や何かも踏まえまして、また、都心キャンパスを、東京という大都市に集積している人材や情報、都市文化施設を活用するために、東京という大都市全体をキャンパスとするという考え方を打ち出しまして、具体的に都心方向へのキャンパス展開も検討するということにいたしたものでございます。
 また、学校教育法の改正がこの四月にございましたが、ここでは、学部、研究科の設置手続の簡素化や学生定員の抑制措置の撤廃が行われたところでございます。これは、国公私立を問わず全国の大学で、社会情勢に合わせた学部構成の見直しがここ数年多く出てきておるところでございます。これらは学生のニーズにも対応したものでございまして、本日の資料4にもその一部が挙がっておりますけれども、このような動きの中で、やはり学生ニーズその他も踏まえまして、大学ではどうしたらいいかというふうなことで考えたところであります。
 大学改革大綱では旧来の学問縦割りの学部構成で、その後の検討もそのまま進められてきたところでございますが、今回の構想では、学部構成を、大都市の大学としてその使命に合わせて再編することといたしてございます。

○河西委員 今ご答弁ございましたが、私の質問に対する全般的なご答弁じゃなくて、特に改革大綱から新構想への理由の中で、合理的なといいますか、そういう部分の回答があったという印象を持っています。
 結論からいいますと、今、服部副委員長の質疑にもありましたけれども、今度の構想が大学改革大綱の延長線上にあるのか、それとも、大学改革大綱の方向性、構想を、根幹にかかわる部分あるいは根底から変更した新たな大学の創造なのか、創設なのか、端的にご答弁いただきたいと思います。

○大村参事 今回の構想は、大綱のベースにもなってございます平成十三年二月の東京都大学改革基本方針に述べられております考え方を基本的には踏まえてございます。また、大綱のかなりの部分については、それを引き継いでございます。幾つかの部分では大綱とは異なるところの展開もございますが、基本的にはこの基本方針の考え方は変えていないところでございます。
 学部構成については、構想では、この大学の使命に合わせた形で、大綱とは少し違う学部構成をしてございますが、教養教育や人間教育を行う寮の設置、都市教育の根本部分につきましては、大学改革大綱の考え方を具体化してきたものでございますし、またキャンパス配置につきましては、大学改革大綱の後の検討のものをもう一度見直したものということでございます。

○河西委員 先ほどの答弁と今の答弁で、基本的な方針は踏襲をしているということなんですけれども、私は、改革大綱をまとめて二年経過していますが、それと今回の構想が果たして延長線上なのか、根幹にかかわる大きな変更を伴う全く新しい大学の創設なのかということは、ちょっと今のやりとりの中では十分理解できないというか、納得がまだつきかねているところです。
 私は、学部編成の変更あるいは学科コースがどういうふうになるのかという見直しというのは大きな変更で、やっぱり根幹にかかわる変更だというふうに認識をしていますし、過日の本会議の一般質問にもありましたけれども、正確ではないかもしれませんが、都知事選における石原知事の公約にもあったように云々というくだり、それから、先ほどの質疑の中で引用されておりました、やはり石原知事の発言から受けた、全く新しい大学の創設だというようなご答弁を踏まえますと、やっぱり大綱でいっている都立の大学のあり方と今回出された構想、あえていえば知事の意思、ここら辺で大きく変わったんではないか、こういう疑問を都民の間に生じさせているということは否定できないんではないかなという印象をいまだに持っています。
 さらに次の質問に移りますけれども、大学の使命として、今回構想の中で示されました都市環境の向上、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築、活力ある長寿社会の実現、この三つのキーワード。大学改革大綱の中で、知の創造拠点として存在感のある大学、都市の活力生成拠点として東京の持続的発展に貢献する大学、学術・教育・文化等の交流拠点として都民が活用できる大学、これを目指す大学だと大学像をうたい上げております。一見つながりがないように見えますけれども、相互の関連をどのように考えていらっしゃるのか、ご認識を伺いたいと思います。

○大村参事 新しい構想の中で大学の使命とされました部分、その中の目標といたしまして、都市環境の向上など三点をキーワードとして、大都市の大学としての使命の明確化を図るということにいたしました。これにつきましては、大学の使命の中での教育研究の具体的目標として設定したものでございます。
 これにつきましては、大学改革大綱の中にも、教育研究の重点化による東京への貢献という項目がございまして、そこに三点、都市の生活や文化など社会を支え、その抱える問題等に取り組む、二、新産業の創出に寄与するなど、東京の産業の活力を高める、三、都民の福祉・医療・保健の向上に寄与するといったような項目がございますが、これを発展させたものでございまして、先生のおっしゃった大学部分につきましては、これは大学像ということで、ここを大きく変えたというところはございません。

○河西委員 その位置づけ、それから大綱なり今回の構想で言葉として表現されているその部分だけでやりとりしていても、ちょっと抽象論議に陥るかなという危惧もございます。今後、構想の基本的な考え方あるいは大学像が具体的にどのような形で表現されていくのか、あるいは実施されていくのか、ここに注目をしたいというふうには思います。
 特に、大綱で示されていた学術・教育・文化等の交流拠点として都民が活用できる大学、こういう大学像というのは、私は、多くの都民が抱いている大学像であり、現状の改革もそういう視点が抜け落ちるということであってはならないというふうに思っているんです。重要なポイントではないかというふうに思います。今後の課題であろうということだけ、ここでは指摘をさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、今回の発表は非常に唐突な印象で、策定手続がよくわからないということが多くの都民の受けとめ方でもあり、特に大学関係者、OBを含めた職員、学生の中からも、非常にわかりにくい、唐突だという声が多数届けられています。
 そこで、この新構想の検討経過と今後の構想の具体化についてお伺いしたいんですけれども、先ほどの質疑でもございまして、この請求された資料の中にも、どういう機関でどのようにやってきたのかということは載っておりますので、ちょっとダブってしまうかもしれませんけれども、基本的な部分だけ、経過と今後の構想の具体化についてお伺いしておきたいと思います。

○大村参事 今回の構想は、社会状況の変化を受けまして、東京都大学運営諮問会議のもとに設置いたしました新大学の教育研究に関する検討会というところで、外部の専門家、その中には都立の大学の総長、学長経験者も含む外部の専門家を中心に検討を行いまして、その結果に基づきまして、設置者たる東京都が取りまとめを行ったものでございます。
 今後の検討は、授業科目とか入試方法など、より専門的な内容になりますので、引き続き専門家や大学の教員を中心に検討を進めてまいりたいと存じます。
 なお、ご承知のように、ことしの都議会の第二回定例会での知事の所信表明、大学改革につきまして、現在、専門家による検討会で新しい大学における教育研究の具体的な内容について精力的に論議しており、夏までに一定の成果を得て、大学の全体像を明らかにしたいと考えておりますというものを受けまして、八月に本構想を発表したところでございます。また、この委員会には、そういう形で前回の委員会で報告させていただき、きょうご審議をいただいているという内容でございまして、唐突というよりも、一応、手順を踏んだものと考えております。よろしくお願いいたします。

○河西委員 大学管理本部としては手順を踏んでいるということなんですが、先ほど質問でも申し上げましたけれども、一部では、大学改革大綱とは異なり、一歩進んで全く新しい大学だという表現がされたりしております。
 そういう中で、私は、合意形成のあり方というところで、今までの質疑を踏まえて、ちょっとご注文、ご要望も兼ねてお尋ねをしたいと思うんですが、今のご答弁ですと、引き続き専門家や大学の教員中心に検討を進めていくということです。私は、その検討経過をオープンにするという基本姿勢が必要だというふうに思っています。広く都民の声を聞くということも必要でしょう。今後、八月一日に発表された新構想、そしてその具体的な検討、そして事業認可から十七年四月の設立に至るそのプロセスの中で、私は、もう少し都民合意といいますか、合意形成の考え方をきちんと位置づけていただきたいというふうに思っているんです。
 具体的にはどこの段階でどういう形で広く関係者及び都民の意見を聴取して反映させていくかということを、今私の方から申し上げませんけれども、少なくとも大学の概要を発表する際には、都民の声を聞くという機会をぜひつくって、そのことによってより詳細な制度設計の参考にしていくべきではないかと思っておりますけれども、この情報提供あるいは説明責任、都民の意見の反映等についてご見解をお尋ねしておきます。

○大村参事 今回の構想は外部の専門家を中心に検討を行ってきたところでございますが、その過程では、学生を受け入れていただく立場の企業の経営者や、都立の大学の学生、その他各層からの意見を聞くなどして取りまとめを行ってきたところでございます。
 今後の検討課題は、授業科目とか入試方法など、より専門的な内容となりますので、引き続き専門家や大学の教員を中心に検討を進めていくことにしてございます。
 なお、現在、新しい大学の名称につきましては広く都民から募集しておりまして、必要に応じまして都民の声を聞いていきたいと存じます。

○河西委員 学生等の意見を聞いたということですが、企業経営者のご意見は聞いたのかもしれませんが、学生の意見を聞いたとおっしゃいますけれども、今回の構想の内容に対する意見という形できちんとした意見聴取とその反映はされていないように、この間の当局とのやりとりの中でも感じております。そして、この議会、当委員会に対しても、三、四ページのペーパー以上の中身の説明というのはないわけです。改革大綱の検討経過、まとまった大綱の公表等と比較しましても、今回の構想の発表ないし具体的な作業の着手のプロセスは、私は、合意形成のあり方としていささか問題があるというふうに申し上げておきたいと思うんです。
 きょう提出されています資料にも、個々のスケジュール等も示されておりますし、新しい大学の名称について公募するということは、ホームぺージで既に広くやっていまして、間もなく締め切りになるでしょう。けれども、それ以外に、私どもや、少なくとも関心がある都民の意向、関係者の意見反映、こういう機会をしかるべき時期に設けるように、ぜひご検討いただきたいと思っています。
 繰り返しになりますけれども、行政の情報提供の責任、そしてその中身の説明責任、これは今や行政手続上もう不可欠であるという認識は、私から申し上げるまでもないと思いますけれども、改めてそういうご認識を持っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、具体的な内容に触れるのですけれども、構想で導入するとされています単位バンク制度についてお伺いしておきたいと思います。
 基本的に私は、全国的にもこれは画期的な制度ではないかというふうに思っていますし、都民あるいは学びたいと思う人にとっては非常にいい制度だというふうに評価はしているところなんですが、この配布されました資料を拝見していて、選択と評価というところでうたわれておりますけれども、新しい教育システムを有効に活用させるために、カリキュラム評価委員会、それから学位認定委員会を設置するということなんですが、それぞれの機能と構成なども明らかにできたらお願いしたいと思います。

○大村参事 単位バンク制度は、学生一人一人のキャリア形成に応じましてカリキュラムをつくりまして、自分の大学の科目に限らず、他大学で取得した単位とか、あるいは青年海外協力隊等、一定の経験を単位として認定いたしまして、また弾力的な修学年数の設計も可能にする制度でございまして、大学教育の限界にも挑戦するものでございます。
 カリキュラム評価委員会は、外部の有識者も含めた委員会でございまして、履修しようといたします授業が、あるいは経験が単位として認定するに値するかどうかの評価を行うものでございます。
 また、学位認定委員会は、同じく外部有識者も含めた委員会でございまして、社会が求める必要な能力を学生が身につけているかどうかを客観的に評価するもので、これによりまして卒業生の社会的評価が定まるというふうなことが期待できると存じます。
 なお、これらの具体的な内容につきましては、現在、外部の専門家及び大学の教員などによる準備委員会で検討をしているところでございます。

○河西委員 この単位バンク制度について一点だけちょっと確認したいと思うんですが、単位認定するときに、国際経験などで、海外協力隊あるいは青年協力隊の経験もカウントされていく対象になるという説明がございましたが、国際経験、交流だけではなくて、私は、福祉の分野でのボランティア活動ですとか、環境の問題もそうかもしれません、それに限らず対象になる経験というのはあるかと思うんですが、そこら辺について現時点でお考えになっている内容がございましたら、ご報告いただきたいと思うんですが。

○大村参事 単位バンクのシステムの中で、有用な経験としてどういうふうな経験を今考えているかということでございますけれども、今の段階で具体的なものについて特にあるわけではございません。それから、同じ経験でございましても、ある学生さんにとって有用な経験が、別な学生にとってはキャリア形成に必要かどうかというところもございます。これらにつきましては、一定のものはある程度考えてございますが、具体的に出てきた段階で、このカリキュラム評価委員会などで評価をすることになろうと思いますが、先生のおっしゃいました、いろいろなボランティア活動も含めたものでかなり幅広いものがとれるのではないかと考えてございます。

○河西委員 わかりました。
 最後の質問になりますが、今回、独立行政法人としてこの新大学が運営されていくということになります。で、現行の四大学の運営と比べて、例えば予算や人事など、東京都や都議会と新大学のかかわりがどのように変化をしているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。

○宮下参事 新しい大学が公立大学法人になりますと、現在の直営方式に比べまして、より自主性を持って柔軟な運営ができるようになります。これは予算、人事含めましてそうなります。しかしながら、法人の重要事項につきましては、引き続き設立団体である都や都議会のチェック機能が働くことになります。
 都や都議会の関与といたしまして主なものを挙げますと、法人の設立、知事による理事長の任命、運営交付金などの財源措置、料金の上限の設定、それから中期目標の作成、評価委員会による各年度及び中期目標に関する評価などが挙げられるところでございます。

○河西委員 今までのいわゆる都立大学とは違って、直営から公立大学法人への運営の変更が伴うわけですが、実は私ども民主党は、地方独立法人法の制定に関してはさまざまな角度から意見を申し述べてきたわけですけれども、結論から申し上げますと、反対をしている立場でございます。ただ、我々の主張に同意をされて、この法律がどのように運用されていくのかということに関して、これは国会、衆議院の総務委員会ですけれども、自民党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守新党を含めて、六会派の共同提案による附帯決議をつけております。五項目にわたって附帯決議をつけておりますけれども、その中でぜひご留意いただきたい二つの点だけ申し上げたいと思うんです。
 地方独立行政法人化に当たっては、雇用問題、労働条件について配慮して対応するとともに、関係職員団体または関係労働組合と十分な意思疎通を行うこと。そしてもう一つは、公立大学法人の定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可に際しては、憲法が保障する学問の自由と大学自治を侵すことのないよう、大学の自主性、自律性が最大限発揮し得る仕組みとすること。その他三点にわたっていますけれども、今、私ども文教委員の方に寄せられている不安や疑問等も、やはりこの附帯決議に盛り込まれている点と関係がございまして、ぜひ、広く都民の合意を形成して、そして本当に東京の大学として他の大学に誇れる、あるいは自慢となる東京の大学として今後の運営ができますように、ぜひ以上の点ご留意されて今後の準備を進めていただきたい。
 重ね重ねになりますけれども、やはり行政は持っている情報を積極的に提供し、そしてその説明をきちんと果たしていくアカウンタビリティーの精神を忘れずに進めていただきたい。新年度には設立認可申請などもやるというスケジュールになっておりますので、私は、その前に何らかの形でより一層の合意形成が図れる方法、手段をぜひお考えいただきたいということを重ねて要望して、質問を終わります。

○石川委員 今回新たに新大学設立に向けての構想が示されまして、我が党としても定例会代表質問で知事に対して、新しい大学の姿、またどういう教育を目指すのかということについては、知事から答弁をいただいたところでございます。
 そこで、今までも幾つかの議論がございましたので、重複を避けながら何点かお伺いしたいと思いますが、まず今回のこの構想に対しまして、ご案内のとおり「都政新報」では一面広告が出される、また朝日新聞には広告が出される、こうした事態が今起こっているわけでありますけれども、それらの指摘を見ますと、八月一日に発表された新大学の新構想の策定過程については、当事者である大学に相談もなく出され、手続的に問題があるのではないかという主張になっておりますし、また私のところにもそうした声が届いておるところでございます。
 そこで初めに、この指摘について大学管理本部はどのように考えているのか、伺います。

○大村参事 平成十三年十一月に東京都大学改革大綱を発表したところでございますけれども、今回の構想は、その後の工業等制限法を初めといたしますいろいろな社会情勢の変化を踏まえまして、主に教育研究の専門的な内容などを中心に見直すというふうなことで、東京都大学運営諮問会議のもとに設置した新大学の教育研究に関する検討会で、都立の大学の総長、学長経験者を含む外部の専門家を中心に検討を行いまして、そして大学の設置者としての東京都が、その結果に基づき取りまとめを行ったものでございます。
 そういう意味では、大学改革大綱、そしてそれを踏まえたその以降の検討につきまして、いろんな社会情勢の変化に基づいた部分を修正したというふうなことで、手続的には問題ないと考えてございます。
 今後の検討につきましては、授業科目や入試方法など、より専門的な内容となりますので、引き続き専門家や大学の教員を中心に検討を進めたいと存じます。

○石川委員 そこで、先ほど来のご質問で、大綱と新大学の新構想の違いを、なぜそうなったかという理由はるる述べられていますが、ちょっと細部、細かいことになりますけれども、確認をさせていただきたいんですが、いただいた七ページの資料に、新大学設立に向けての検討組織というのがございますよね。いわゆる十三年に出した大学改革大綱のときと、新しい構想に向けての検討、それぞれ組織があるわけですが、いわゆる大綱をつくる際には、大学関係者は四大学の学長のみというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○大村参事 七ページの新大学設立準備委員会、これは大綱が出ました後、それを具体化する委員会ですが、その前の大綱推進委員会では、学長などの入った委員会のほうで大綱も検討してまいりました。

○石川委員 学長などっておっしゃいますけれども、学校関係者はどの範囲まで入られたんですか、大綱をつくるまでは。

○大村参事 大綱をつくる時点では、学長以外にも、課題別の分野では一部教員の方も参加をしてございました。それらについてはちょっと手元に詳細がないので、改めましてまたさせていただきます。

○石川委員 大綱をつくる前までは、基本的には大学管理本部長が中心になって大綱をまとめたという理解でよろしいんですか、改革大綱は。

○大村参事 この大学改革大綱は、大きくは東京都大学運営諮問会議という外部の専門家の会議がございまして、これらの意見を聞きながら設置者としてまとめた。その過程の中では、先ほどいった推進委員会や何かでも一部検討しましたが、基本的には設置者である東京都の責任でまとめたものでございます。

○石川委員 今回の新しい構想は、八ページの資料によりますと、いわゆる諮問会議の専門委員会として新大学の教育研究に関する検討会を設置して、構成メンバーはここに記載してある方々で検討されたというふうに理解してよろしいんですか。

○大村参事 今回の構想をまとめるに当たりましては、この運営諮問会議の専門委員会という正式な機関の位置づけといたしまして、新大学の教育研究に関する検討会というのを設置いたしまして、外部の委員のメンバーで検討いただきまして、それを受けて設置者である東京都の責任でこの構想をまとめさせていただきました。

○石川委員 そうしますと、これは表によると、五月から七月までの二カ月間が専門委員会の検討時間。で、専門委員会の報告がなされて、どのくらい時間があるんでしょうか。これでは八月一日に発表されていますから、わずか……。大学管理本部の責任としてまとめる時間はどのぐらいあったんでしょうか。また、その時間で検討は十分であったのかどうか、その辺ちょっと所感をお伺いします。

○大村参事 この検討会はかなり具体的な、先生方に具体的な内容につきましてもご検討いただきました。それを受けた形での取りまとめでございますので、期間的には短い期間ではございましたが、かなりまとまった内容を取りまとめることができました。
 そういう意味では、この座長が指名した外部の委員の中に、都立の大学の元の学長、総長も入っているほかに、現在いろいろな改革をしている大学や何かの若手の教員の方も入っており、活発な意見が出まして、それらを踏まえましてこういった形に取りまとめるもののベースが出されましたので、それらをもとに今回構想として取りまとめることができたものでございます。

○石川委員 九ページに、大綱と構想の比較が出ているわけでありますけれども、やはりここで一番大きく一般の方々が不安というんでしょうか、なぜここまで極端に変わってしまったんだろうかと思っているのが、やっぱり学部構成だろうと思うんですよね。大綱では比較的これまでの概念の学部構成というものがなされていた。ところが新しい構想では、言葉的には初めて出てくるような、都市教養学部、都市環境学部と、大きく分けますとこの二つに既設の学部が統合されている。
 それでお伺いしますと、この細部の編成について、これから行うんですというふうに述べられているわけですけれども、新構想を受けての現在の四大学の学部学科の設置は、新大学ではどう変わっていくのか、ちょっと具体的に、イメージがわくように教えていただけませんでしょうか。

○大村参事 これまでの大綱の検討の中では、縦割りの学部というふうな形で進められてきたところでございますが、従来の大学教育では、一つの学問分野をマスターするということで、基礎から専門に向けて縦に狭く学ぶというふうな部分が効果的だとされてきました。ただ、実社会におきましては、いろいろな分野が複数にまたがるいろいろな諸問題が出てくるということで、必ずしもそのものが十分ではない。また基礎知識についても、専門とのかかわりでどのようなものが必要になるのかという自体に、実際に学生一人一人に基づいて違ってくるという部分がございます。
 このような中から、今回の見直しの中では、新しい大学の使命を、大都市における人間社会の理想像の追求と明確化いたしまして、その中に三つの教育目標を立てたところでございます。
 そして、その三つの教育目標に合わせた学部、都市環境学部、システムデザイン学部、保健福祉学部と、また一方で、戦後教育の画一化を打破する人間教育を実現するベースとなる都市教養学部を設けることといたしたものでございます。
 なお、都市教養学部につきましては、他の三学部も含めて、一年あるいは二年のベースになる部分では共通で学ぶというふうな形を設定いたしまして、これらの学部設置によりまして、次の時代の大都市東京を担う人材を育成できる大学としていきたいというふうな考え方でございます。

○石川委員 そこでちょっと具体的にお伺いしますけれども、新大学になることによりまして、新大学の学生定員が現在の都立四大学の昼間部--夜間部はまた別にね、昼間の学生定員を下回るような事態になれば、都民の入学機会の低下という観点から、私は看過することができません。
 そこで質問ですけれども、新学部のそれぞれの学部、コース等の学生はどの程度の規模にと考えているのか、お伺いします。

○大村参事 学生数の総定員につきましては、現在、廃止予定の短大分も含めまして、昼間の総定員が千四百九十一名でございますけれども、新大学の総定員につきましてはそれを上回るようにいたしたいと考えてございます。
 なお、新大学のそれぞれの学部、コースなどの学生数がどの程度の規模になるかにつきましては現在検討中でございまして、この秋に発表を予定しております新大学の概要の中で、その数とか規模などについてお示しできればと考えてございます。

○石川委員 定員というのはぜひ拡大の方向で、しかも新たな都市の課題に必要な人材を育成する大学ですから、ぜひご検討いただきたいと思います。
 もう一面、今度は学生の方じゃなくて教職員の方なんですけれども、これだけの大幅な改革が行われるとなりますと、新学部の設置に対応するための教職員の配置はどうなるのか伺いたいと思いますし、さらに必要な教職員の確保など、人材確保の取り組みについては今後どう取り組んでいくんでしょうか。

○大村参事 新大学の学生が総合的、学際的に学ぶことができる教育環境づくりのために、各学部あるいは系などは、旧来の学問体系にとらわれない、大都市の課題に対応した構成となっておりまして、そのために、その中で教員を配置することを検討してございます。現在、外部の専門家の方や大学の教員も入れました検討組織の方で、具体的なカリキュラムなどを検討してございますが、その中で、どういう分野にどういうふうな形というものを行いまして、人材確保につきましては、その中で必要に応じ外部の人材を積極的に登用するなど、現在の都立の大学にいる人的資源の活用と新たな人材の投入を図ってまいりたいと考えてございます。

○石川委員 また、いうまでもなく、新大学設立後も当分の間、三年間になるんでしょうか、現行大学の学生が残るわけでありますけれども、現在、四大学に在学している学生の新大学設立後の履修体系はどんなふうになっていくんでしょうか。

○大村参事 現行大学の学生が卒業するまでは、責任を持って現在の大学のカリキュラムを提供いたします。したがって、十七年四月以降も、今、都立大学なり都立の大学に入っている学生さんは、今の体系の中で授業を持っていくということになります。具体的には、新しい大学の教員が現在の大学のカリキュラムに沿った授業を新しい大学で現行大学の学生向けに提供する場合もございますし、また、一部の授業科目につきましては、新しい大学の授業科目で実施する科目を現在の大学の学生の授業科目として両方から認定しまして、新旧両方の学生が同時に受けるというふうな科目もございますけれども、いずれにいたしましても、現在の在学している学生が卒業するまでは、責任を持って現在の大学のカリキュラムを提供するという考えでございます。

○石川委員 初年度の受験は十七年の春に行われるわけでありますけれども、時間がありません。現在の高校二年生にとりましては、一日も早く、新しい都立大学がどういう形で募集が行われ、またどういう学部構成、学科構成で受験を行うのかというふうに非常に関心のあるところでありますが、具体的にこの作業はどのように進めていかれる予定でしょうか。

○大村参事 大学の入り口である入学者選抜につきましては、現在、具体的な内容につきましては、外部の専門家や大学の教員などによります準備組織で検討を進めてございますが、いずれにせよ、入試の基本的な考え方として、暗記中心から思考力を試す試験にウエートを移す。また、さまざまなタイプの学生を受け入れる入り口を拡大するなどという方向で、獲得したい人材に応じた入学選抜制度に転換していくことが必要であろうというふうに考えてございます。
 具体的な入試科目などにつきましては、この秋に出す予定の新大学の概要の中で、具体的な中身などについて、あるいは入試科目、人数などにつきまして発表する予定でございます。

○石川委員 十七年の春ですか、いずれにしても一年ちょっとしかないわけでありますから、新しい都立大学に進もうとする高校生からすれば、一日も早い情報提供というのが待ち望まれるところでございますので、ぜひ準備万端、お願いを申し上げたいと思います。
 最後に、先ほどもちょっとございましたが、独立行政法人となりますと、新大学の運営方式についてお伺いしたいと思います。現行の四大学の運営と比べて、予算や人事、また都と新大学のかかわりがどう変化していくのか、あわせて、議会がチェックする場があるのかないのか、その辺も具体的に教えていただきたいと思います。

○宮下参事 大学が法人化いたしました後は、現在の直営方式のもとでの予算、人事のような事前統制は極力抑制されまして、大学は自主性を持って、より弾力的な運営ができるようになります。
 少し例を挙げさせていただきますが、例えば年度途中で生じた喫緊の課題に対しましても、中期計画等の範囲内であれば、当初の予定からの流用や前倒し執行が可能。それから、予算の繰り越しにつきましても、特段の手続を経ずに可能となります。これらによりまして、年度内に予算を消化するといったような行動パターンからの脱却が可能になるものと思われます。
 しかしながら、法人運営の主たる財源は、設置団体であります都からの交付金になりますので、法人の事業内容につきましては、都としても十分な事後チェックを課す必要がございます。そこで、各年度、それから中期目標期間終了時におきましては、都に設置される評価委員会の厳正な事後評価を受けまして、その評価につきましては議会に報告されることとなってございます。

○曽根委員 それでは、私からも何点か新大学構想について質問いたしますが、確かにダブっている部分はありますので、その点も考慮しながら進めたいと思います。
 しかし、それにしても、八月一日に発表された新大学構想については、各委員からも指摘があったように、非常に唐突というよりも、内容はもちろんですが、手続上も各方面に大きな衝撃を与えるものであったということは事実だと思うんです。大綱路線についても、事実上、全面変更というふうにいわざるを得ないと思います。また、設立準備委員会もこれを機に廃止をされ、全く別の組織で新しく今後の準備が行われることになった。また、新構想を準備した組織も、設立準備委員会と全く別の組織が、しかも非公開で行っていたということも明らかになってきました。
 これに対して、先ほど紹介があったように、教職員組合はもちろんですが、現学長さんや、また学生、OBの方々などからも大きな声が上がっておりまして、私のところにも、新潟だとか北海道とか、都立大学の卒業生の方から心配してメールが届いております。一体大学はどうなるんだということであります。昨日は、三百人近い参加者で緊急のシンポジウムも行われ、大学管理本部に対する公開質問状も何か決議されたと聞いております。
 そこで、この議会として明らかにできることはきょう明らかにしておきたいんですが、まず、新構想策定のいきさつについて、先ほども質問ありましたが、私、だれがいつどこで策定したのかというふうに資料をお願いしたら、この資料が出てきたんですが、これでは全く具体的なことはわからないと思うんです。
 まず、検討会というもののメンバーなんですけど、これはどういうメンバーが入っていたのか。西澤さんはわかりました。それから、前学長、総長がいたと。そのほかにどういう方が入っていたか、具体的に名前と肩書を教えてください。

○大村参事 今回の新大学の教育研究に関する検討会につきましては、座長を岩手県立大学の西澤学長が務められまして、都立の大学のOBといたしまして、もとの都立大学の総長さんと科学技術大学の学長さんが入ってございます。それ以外に、国立大学の大学院であります日文研というところの教授をされております川勝平太先生、また、慶応大学の冨田勝先生が入られまして、これらの検討を行ったところでございます。

○曽根委員 このメンバーというのは、これまでどこかで公表されていましたか。今回初めて、具体的な名前が出るのはここが初めてなんですか。

○大村参事 議会にご報告とか、あるいはプレス発表したという形での公表はしてございませんが、特に聞かれれば、一応いろいろご説明をしてきたという部分はございます。

○曽根委員 私、聞かれればっておっしゃるから申し上げるんですけどね、促進派かと誤解されかねないぐらい、私、繰り返しこの委員会で、この大学改革はどうなっているんだ、大綱に基づく新しい入試要項、学生定員なんていつ出るんだということを繰り返しお聞きして、確かに去年の十一月ぐらいに一定の学部、コースその他が出ましたが、最終的に発表されたものは全く違うものが出たわけです。そうしたら、実は五月から別の組織で検討していたと、この五人のメンバーで。これは、私自身が無関心だったら別ですけど、これだけ関心を持って、私は非常に批判的な立場ではありますけれども、先ほどお話のあったように、再来年の春には受験する学生にとっては、やっぱり新しいものが、もちろんいいもので決まるのが一番いいんですが、はっきりしないと、都立大学そのものが受験の中で見放されてしまうんじゃないかということを申し上げたと思うんです。それが、全く発表もせずこういうメンバーでやっていたということ自体、この委員会に対しても、私自身の質問に対してもちゃんと誠実に答えてこなかったということの一つの具体的なあかしだと思うんです。
 それから、先ほど知事の所信表明の話があったんですが、そうすると、二定の六月末に行った知事の所信表明にある、現在、専門家による検討会でというふうにあるのは、設立準備委員会ではなくて、この五人のメンバーの検討会を指していたわけですか。

○大村参事 第二回定例会の所信表明で知事が述べておる、専門家による検討会というのは、先ほどご説明いたしました東京都大学運営諮問会議のもとに専門委員会として置かれました新大学の教育研究に関する検討会を指してございまして、専門家というのは、そのメンバーの外部の先生方のことを指してございます。

○曽根委員 これは本当に人を食った話であって、私、これ、所信表明ね、てっきり設立準備委員会だと思いましたよ。だって、その前提、何も書いてないんですから。しかし、今になってみればですよ、全く新しい大学とかいうふうに書いてあるのを見ると、ああ、そうかと。これって、ちょっとね、私たちも本当にこけにされたなって感じですよ。もしかしたらだれかにこっそり伝わっていたのかもしれませんが、少なくとも私には全くこういう公式な場で説明をされていないということなんです。
 で、一番この矛盾をかぶったのは設立準備委員会の方々だと思います。つまり、私が聞くところでは、七月末までに大変莫大な事務量をこなして、各学部、学科の学生定員から、どの先生をはめ込むかまでほぼ決まってきていたと。それが一夜にしてひっくり返った。
 もし、五月につくられて、六月には知事も所信表明でこのことに触れていたとするならば、当然、大学改革大綱に基づく具体化はその時点でストップをしてやらなきゃならぬということになるのが必然だと思うんです、それ自体いいことかどうかは別にしてですよ。そういうふうになるのが手続上の当然の手順だと思うんですが、なぜそれをしないで七月末までほうっておいたんですか、設立準備委員会を。

○大村参事 今回の構想は、大学改革大綱そのものを全部見直すというものではなくて、大学改革大綱のうち、それ以降の社会情勢の変化に応じたところについての見直しを図った。また、大学改革大綱以降に検討した部分について、もう一度社会の変化に合わせた見直しを行ったところでございます。で、準備委員会の方でいろいろ検討してきた内容のうち幾つかの部分は、必要に応じて今後の検討にも有効に活用されるものでございまして、これにつきましては、そういう形で方向転換を図る中で有用なものについて取り入れていくという形でございます。

○曽根委員 少なくとも学部構成は全く変わるわけですよね。これからですよね、この構成もね。したがって、学部構成に学生定員をどう割り振って、それから先生方をどうはめ込むか、配置するかということは、少なくともこれを今日の社会情勢に合わせて大きく変えていくというふうにしたからには、その時点でストップしなきゃおかしいと思うんですけど、学部構成を大きく変えなきゃならぬと検討会の中でなったのはいつで、それで、その時点でなぜ設立準備委員会との関係ですり合わせをしなかったんですか。

○大村参事 今回の検討会、新大学の教育研究に関する検討会でいろいろご議論いただいた上に、検討会での議論を踏まえて八月一日に知事が発表した、構想として決定したものでございますので、その時点で学部構成などについて見直しが決まりました。したがって、その時点で作業をストップさせたところでございます。

○曽根委員 そうすると、あくまで七月末までの二カ月間は内々の検討過程であって、固まったのは八月一日の発表直前と。それで、その時点で設立準備委員会の作業をとめたということになるわけですね、発表直前と。

○大村参事 七月までの教育研究に関する検討会の検討を踏まえまして、八月一日に知事として発表いたしましたので、その時点で作業をとめて、新しい方向への作業転換を図るための準備組織を立ち上げました。

○曽根委員 私たちにとっては、五人のメンバーも今聞いたばっかりですし、二カ月間の検討期間がどれぐらいの、何回ぐらい会議を開いてどうやったのか、全く私たちは知りませんから、はっきりいって表に出た八月一日しかわからないわけです。そして、設立準備委員会にもその時点で作業をとめたと。それで新しい組織をつくったと。つまり、表に出た限りにおいては、まさに一夜にしてひっくり返ったという実態はそのままだというふうに考えざるを得ないと思うんです。
 私、二つの点で問題があると思うんですけど、一つは、大学改革大綱というのは、東京都で石原知事が表書きを書いて正式に決めたものですよ、大綱として。それを、理念も含め、学部構成もキャンパスも大学院も、全部、全面的に見直しをしたものを出しながら、その検討過程は全く秘密裏で、しかも、具体的に作業が進められていた前の大綱の具体化作業についても何らすり合わせをしていない。で、一夜にしてひっくり返ったというこのこと自体の手続問題、これははっきりいって関係者の首が飛ぶぐらいの問題だと思うんですよね。
 もう一つは、設立準備委員会は……(発言する者あり)これは大事なところですからね、大学の中の教員の人たちで構成するとなっているわけですね、管理本部のメンバーとね。それが、外部の人を入れて、しかも別の計画をつくって、それを最初から八月一日に、これでいきますというふうになった。大学側の意向は何ら反映できる仕組みになっていなかったという二つの点で重大だと思うんです。
 それで、私、関係者のいろんな情報や教職員組合のニュースなどを見ますと、新しい山口管理本部長が出かけていって、八月一日に説明をしたというふうになっていますよね。その後何回か学長さんたちに話をしているようですけれども、設立準備委員会に参加してきた人たちのこれまでの具体化の努力や、反対や批判はあるけれども、やっぱりそこを受けてくる学生のためにいいものをということで、いろいろなことを苦しみながらもやってきた作業を、これをほごにした責任について、何らかの謝罪なり反省なりがあったのか、それともしなかったのか、どうなんでしょうか。

○大村参事 この大学改革大綱につきまして、今回これを全部ほごにしたということではございません。これ以降、社会経済情勢の変化に応じて、この中にある一部のものについては見直しました。また、キャンパス配置につきましては、ここには三つのキャンパスを学部、研究科で使うと書いてあったのが、その後の検討の中で南大沢に集中するというふうなことになったところを、都心も含めて東京全体に展開するというふうにしたものでございまして、この東京都大学改革大綱そのものを否定したとか、あるいはなくして全部改めたものではございません。
 そういう意味で、今回の構想策定につきましては、この大学改革大綱を取りまとめるに当たりまして、東京都大学運営諮問会議の意見を受けて東京都が決めた、それを決めたのと同じ形で、今回、東京都大学運営諮問会議の専門委員会として検討会を設けまして、そこの意見を聞いて、設置者である東京都が決めたというものでございまして、手続的に何ら問題があるというふうには考えてございません。
 なお、これまでにいろいろご検討いただいて、この大学改革大綱を具体化していくために、その中身については専門的な教職員の力が必要だということで、準備組織としては教職員の方を中心にやっていただきましたけれども、それを設置者のほうで、この部分を変えてくださいという形で、今回新しい組織を打ち立てたところでございます。
 なお、今後の検討の中では、これまでのいろいろな検討の中で必要なものについては、かなり活用する部分があると思いますので、決してご検討いただいた部分はむだではなかったというふうに考えてございます。

○曽根委員 それは先ほどの答弁と同じなんですけれども、私が聞きたいのは、これは本部長自身にお答えいただいてもいいんですけれども、この間、学長さんを初めとする設立準備委員会の方々の、これまでの大綱そのものを具体化していく過程で、キャンパスが具体化されたり、学科の校舎が決まったりしたのは大綱以降ですよね。そういう部分もありますよ。しかしそれは、もとの大綱に戻ったり、もしくは基本方針に戻ってやり直すということでしたわけでしょう。したがって、その作業はいわば大幅な見直しを迫られるわけで、そのことについては何らかのおわびが必要だと思うんですよね、やらせておいて、かなり具体化が進んだ段階で大幅な変更になったんですから。そういうことをしたのか、それとも別のことをいったのか、その辺をお聞きしたいんです。

○大村参事 今回八月一日に新しい構想を発表するに当たりまして、四つの大学、短大の学長の先生をお呼びしまして、私どもの本部長が、それまでの経過と今後のものにつきまして詳しくご説明し、そして、それぞれの大学に所属する教員の方を初めとする部分にご説明いただくということで、お願い申し上げたところでございます。

○曽根委員 この教職員組合のニュースによると、管理本部長は、反省とか謝罪はなかったということ。それから、新しい大学をつくるのは、いわば廃止される現大学のメンバーではなく、今の学長さんたちはどうするかというと、個人として新しい大学づくりには参加してもらいたいと。なぜ参加してほしいかというと、あなた方は先生方のことをよく知っているから、だから新しい教員体制だとか学部体制をつくるには必要だと。しかしそれは、現大学の学長とか学部長とかいう資格ではなくて、肩書の上ではなくて、要するに個人として入ってほしいというふうにいったと聞いているんですが、それは事実ですか。

○大村参事 今回、新しい大学をつくるものでございますので、そこの大学の教育研究の責任者は学長でございますけれども、学長あるいはそれにかわる方が最終的に責任を負うというふうなことで、そういうふうなところの責任を負える方を中心に新しい大学を設計していく必要があるだろうということでございます。その過程で、新しく公募をする人材も含めますが、大部分の人材は都立の四つの大学、短大からの人材を得るというふうなことで、現在の大学でそのような人材に詳しい学長さん、学部長さん方に今回の検討に加わっていただくことで行ったものでございます。
 そのような経緯からでございまして、あくまでも今の大学の学長さんや何かが新しい大学の責任を持つのではなくて、新しい大学の学業の責任者が新しい大学の教育研究に責任を持つものでございますので、そのような趣旨からそのような体制をとったものでございます。

○曽根委員 確認しておきたいんですけれども、要するに個人の資格で入ってほしいというふうに、そういう趣旨からおっしゃったわけですね。

○大村参事 個人というよりも、実際の各大学学部の人材についてわかっている学識経験者の一人として入っていただくということでございます。

○曽根委員 こういう説明に対して、各学部長や学長さんたちが、自分たちはやっぱり学部の先生方のいろんな問題意識だとか不安を代表しているんだということから、即座には返答できないというふうな態度をとった方もいたと。今、そういうことを置きながらも、新しい大学づくりに参加をせざるを得ないというところに来ているわけです。しかし私は、こういうやり方で押し切っていくということで、今大学にいる先生方が基本的には新しい大学を構成するわけですから、学長さんがだれになるかは知りませんが、少なくともこういうやり方で、きちんとした信頼関係や協力関係を結ぶことは不可能だということをこの際厳しくいっておきたいと思うんです。申し上げておきたいと思うんですね。
 教育研究の体制をどう引き継ぐのかという問題でも、まだほとんど何も決まってないみたいですけれども、少なくとも確認しておきたいのは、現在の教職員の方々は、希望すれば新大学に移行して仕事をすることはできるというふうに思いますが、どうなのか。そして、その配置についてはどのように決めて、本人に対してはどのように示されていくのかをお聞きします。

○宮下参事 現大学の教員が希望すれば新大学に移ることができるかどうか、可能かというご質問に対してでございますけれども、新しい大学の構想に賛同し、新しい大学で教育研究の向上に寄与しようという意欲のある教員の方々にはぜひとも参加して新しい大学に移っていただきたい、このように考えているところでございます。

○大村参事 後段の配置についてのご質問の方に、私の方からお答えさせていただきます。
 新大学の部分につきましては、旧来の学問体系にとらわれない新しい学部体系になるということなので、教員の方の再配置が必要になってくるところでございます。これにつきましては、新しい大学の設計をするということで、学識経験者として入っていただいている都立の大学の教員の方の意見も聞きながら配置をしまして、それを決めた段階では、現在の大学の学長さん、学部長さんを通じてご連絡をして、どのような配置になるか、それをもとに教育研究の今後のカリキュラムを展開するためにどういうふうにしていくかということで、各先生方にご協力いただくという段取りにしていきたいと考えてございます。

○曽根委員 先ほど宮下さんがご答弁になった中で、基本的には意欲のある先生方に入ってもらいたいと。ただ、この新大学構想に同意し、積極的にこれに賛同するということを条件として付する、それに賛同できない人は入れないことにするということは、その先生方の……(「同意しない者は入れるわけがないんだよ」と呼び、その他発言する者あり)いや、最終的に確定したものについては別ですよ。現在、構想段階ですから、この構想にはいろんな意見があるのは事実ですよね、先生方の中にね。それについて、全面的にこれに賛同しなければだめというようなことを今から条件づける必要はないと思うんですが、いかがですか。

○宮下参事 現在、この構想をもとにどのような大学にしていくかと、細部にわたって設計をしているところでございまして、それをもとに、できました新しい大学に行きたいという方について、意欲があれば新しい大学で教員として働いていただきたいと、このように考えております。

○曽根委員 これは、大学の先生に限らず、実際上は今の大学をベースにして、新しいキャンパスにしても教職員にしても移行していくと。そのときに、いわばその先生方、働いている労働者でもありますわね。そういう方の考え方、つまり思想の中身を条件にして採用を云々するということは、明らかにこれは法的に問題があります。このことは厳しく指摘しておきたいと思います。
 構想が固まって、学長予定者も決まり、そして学部構成が完全に決まった後に、それに従えないという場合と違うんですよ、まだ。学長さん予定者だってまだ決まっていないですからね。で、二年間準備してきた大綱だってひっくり返っちゃったんですから、学部構成が。この先まだ何が起こるかわからない段階ですよね。そういう段階でのこういう条件づけは非常に問題があるというふうにいっておきたいと思うんです。
 それで私、新しい学部構成を見て、いろいろ意見がありますし、いいたいこともあるんですけど、これはこれからのことなので……。ただ、ちょっとお聞きしたいんですけれども、新しく都市教養学部と都市環境学部に理工系は分かれるわけですよね。で、理工学系が都市教養学部には入りますが、一部、環境・物質化学が都市環境学部に入るということで、私よくわからないんです。環境というのはわかるんですけど、物質化学というのは何か大阪大に例があるようですけど、どういう……。今までの構想には全くなかったものなので、どういうものか、わかったら教えていただきたい。

○大村参事 現在、各学部の中の具体的なコース設定であるとかカリキュラムの内容につきましては、これを具体化するために、教員の方、外部の専門家も含め、また大学の教員の方も入って検討してございます。その検討でこれを決めることになってございますので、具体的な内容につきましては、その検討を待っているところでございます。

○曽根委員 今まで先生方が検討してきた設立準備委員会の学科コースのどこを見ても、この物質化学というのは入ってないんだけれども、新しい概念でつくるんですよね、これね。そうであるからには、恐らく検討会ですか、この五人の方の中でこういうものが必要だというふうになった議論があったと思うんだけど、大体どういうふうなものを考えているのか、それぐらい、もしわかれば教えてくださいよ。

○大村参事 具体的な中身については現在検討会で検討しているところでございますが、この都市環境学部の、この前ご報告した学部構成の中の白い部分につきましては、現在ある都立大学や都立の他の大学の関係分野を再編する形をベースにしたことを考えてございますので、全く新しい分野にいくということではございません。なお、前回ご報告の表のうちの黄色く塗ったコースについては、全く新しい分野として設定を考えているところでございます。

○曽根委員 今もお話にないので、恐らく詳しいことは、検討会の方々のお考えだと思うんですけどね。これは、理学、工学の現在の学問体系で、いわば学科体系ですね、できているものを二つに分けて、都市教養と都市環境と二つに分離することがいいのかどうかという問題も、私は大きな問題としてあると思うんですよ、理学関係でね。それからもう一つは人文科学ですか、それから法律、経済、こちらの方も都市教養ということでくくられていますけど、どうなってしまうのかという声は各方面から聞いているわけです。これが本当に、半世紀かかってつくられてきた都立大学のこれまでの知的財産を継続発展していくものになるのか。それとも逆に大きな財産を崩壊させることになるのか。これは非常に重要な問題で、大学の本質問題ですから、慎重な検討が必要だと思います。
 しかし、もうスキームができ上がっていて、物質化学という、今、説明を聞いてもなかなか出てこないような新しいものに分類をされることがもう決まっているわけですよね、各講座の中で何人かの先生は。そういう形で上から計画をつくって、先生方に、あなたこっちに行きなさい、あっちに行きなさいということが今やられつつあるようなんですけど、私、とんでもない話だと思っているんです。
 それぞれもう何十年も研究職を務めて、また教育を務めてきた先生方のそれぞれの、いわばいろんな考え方を、そういうのを聞いているとまどろっこしいと思ったんでしょうか、上から全部はめ込んでいくというやり方では、絶対にいい大学の研究体制も教育体制もできないという点を申し上げておきたいと思うんです。
 各学部の人数さえまだはっきりしないようですから、具体的なことはまた追って機会を見つけてただしていきたいと思います。
 先ほど、学生の今後の身分保障といいますか、現学生の勉学保障については、先ほど石川さんへのご答弁でありましたので、それは結構です。
 最後に、年俸制や任期制を導入したい、徹底したいというふうになっています。これは、すぐれた基礎研究の教員が腰を据えて教育研究に打ち込みたいと思うと、都立大学にはなかなかいにくくなるだろうなというふうに想像されます。
 例えばノーベル賞をとった小柴先生にしても、今回名誉都民になられましたが、まさに下積みの期間が十年ぐらいあって、やっとニュートリノを見つけた。それから、島津の田中さんにしても、本当にそれが成功するかどうかは非常に不明確な分野を担当していて、偶然と失敗から新しい境地が開けたと。それから、日本ではなかなか基礎研究が評価されずに、海外に出かけたときの研究でノーベル賞をとった方もいるなど、ノーベル賞をとった方々の書いたものを読むと、共通して、国際的なレベルの研究成果というものは一朝一夕にはできないと。長い下積みと、それからやっぱり偶然も必要という場合もあるというようなことを共通して語っているわけです。
 年俸制は、年々、年ごとに賃金が変わってくる可能性がある。それから任期制は、何年かで、任期を継続するか、雇用を継続するかどうか、切られていく。こういうやり方で本当にこうした国際レベルの研究者を育てることが果たしてできるのか。都立大を見限って、他の大学または外国に流出しないのか、この点についてはいかがでしょうか。

○宮下参事 現在、大学の置かれております状況を見ますと、少子化の影響で、今後、大学間の競争がますます激化していくものと思われます。中には淘汰される大学も出てくるであろうというようなことがいわれております。こうした状況の中で、各大学は生き残りをかけまして優秀な教員の確保にしのぎを削るようになるのではないかと予想されるところでございます。
 そのため、意欲や能力のある教員のモチベーションを高め、インセンティブを与える制度、それから、成果を適正に評価し処遇する人事制度が必要ということで、そうした観点から任期制や年俸制の導入は不可欠、そのように考えております。
 先ほどお話のありました、ノーベル賞級の研究者という話がございましたけれども、そうした基礎研究におきましては、確かに結果は短期間では出せない分野であろうと思われますが、そのプロセスの評価というのは可能であろうと思われます。小柴さんの研究にいたしましても、ニュートリノの発見に至るまでの過程は、カミオカンデをつくる、あれだけの施設をつくる、その前段では非常な予算がかかるわけですが、文科省からそうした予算を獲得してくる、こういういろんなプロセスがあったわけでございまして、そのプロセスを適正に評価していくということは可能であろうというふうに考えております。

○曽根委員 これまでの日本の大学もしくは研究機関では、辛うじて小柴さんのような成果を上げるまで辛抱強く予算をつけるというようなことは確かにありました。いろんな番組でも、一定の成果を上げるまでに、どれだけ苦労して予算を獲得したかという話や何かも番組になっています、今、ドキュメンタリーで。しかし、これからどうなるのか。モチベーションを引き上げるということを理由にして、年々やっぱり評価をされる、され直すという中で、果たして本当にそのプロセスが正しく評価される客観的な保障があるのかというと、現在のところそれは、国の方もいろいろやっていますけれども、東京都は独自の評価機関をつくるというふうになっていまして、全く未知数です。少なくとも今までよりは年々の成果が試される、具体的に評価の対象となることだけは間違いない。したがって、それを評価する人のいわばレベルによっては、せっかくの優秀な人材または研究者が、もっとましな、腰を据えて研究ができる海外や他の大学に流出してしまう危険性が非常に高くなるということは指摘せざるを得ないと思うんです。
 新しい理事長は知事が選任するというふうにいっていますし、最初の学長は、そういう意味では理事長が選任するという形をとるんでしょうが、私は、これはあくまで提案ですけれども、もしも理事長、学長を分離して決めるという場合についても、また独立行政法人になる、ならないは置くとしても、この大学を引っ張っていくリーダーを決める際には、やっぱり現大学を支えている全構成員の意見がきちんと民主的に反映される方法をとるべきだということは申し上げたいと思うんです。たとえ学外から幾人かの先生方を招き入れるとしても、圧倒的多数は現在の大学の構成員によって新大学はスタートするわけです。どんな形であれ、そういう人でつくっている組織を、上からぽんとだれか持ってきて、それでうまくいくというものは絶対ないということは、これまで繰り返し失敗を重ねてきているわけですから、これは絶対に轍を踏んではならないということを申し上げておきたいと思います。
 それから、新構想については、やはり基本方針まで立ち戻って大綱を事実上大幅手直しをしてやり直すという事態になったわけですね。私は、その原因の一つは、二年間、議会、文教委員会に何も報告しないで、それで、こそこそこそこそ中でやってきた、そのプロセス自体が要因の一つだと思うんですよ。もっと本当にオープンに、正しい改革だというんであればオープンにして、都民の意見も聞き、それからシンポジウム、私も繰り返しいっているんだけれども、シンポジウムをどんどんやって、本当にいいものを、都民の、税金を払っている方も含めて、都民の参加でやり直すべきだということで、私、そういう点では二〇〇五年度の新大学オープンをこだわる必要は何もないと思うんです。本当にいい大学をつくるために、本当に仕切り直しでやるべきだということで、新構想は白紙撤回して再検討すべきだということを申し上げて、終わります。

○大村参事 今回の構想を取りまとめるに当たりましては、専門家の方に、最先端のいろんな国際情勢も含めました学問、教育体系のことも含めましてお聞きし、また、その過程では、先ほど申しましたように学生を受け入れていただく企業の方、あるいは現在の学生さん、それ以外の各層からの意見を聞いたところのものとして、今回の構想を取りまとめさせていただきました。そういう意味では、都民の意見その他も全く聞いていないということでなく、アンケート的にとるのが必ずしも意見を聞いたことになるとは限りませんので、私たち、そういう最先端の意見や学生の意見なども聞きながらやってきたところでございます。
 そういう中で、学生の意見などの中でも三点、特にカリキュラムの自由度、もっと自分の勉強したいことを勉強したい、それから就職はやはり今一番心配だ、キャンパスなんかはもっとまちの中にあるといいねなんというふうなものを踏まえまして、今回こういうふうなことをやってきたところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
 なお、今後の検討につきましては、かなり教育的な、専門的な部分になりますので、そういう意味では、一部の教員だけじゃなくて、今度の新しい大学という立場から、その資源となります現在の大学の先生たちにいろいろご協力をいただいてやるというふうなことで、そういう意味では、新しい大学に移る予定の各先生たちに、自分の教科目や何かを今度は設計していただくというふうな形でお願いを申し上げることになると思いますので、そういうふうな形で進めていきたいと存じます。

○曽根委員 では、せっかくだから。
 そういうのをつまみ食いというんですよ。自分たちの都合のいいときだけ必要に応じて意見を聞くって、先ほども答弁ありましたけどね、学生の意見なんかを。そういうのをつまみ食いというんで、私がいっているのは、やっぱり積極的に都民の意見をオープンにして聞くと。大綱をつくって以来、ホームページでさえ意見を受け付けてないんですから、本当に閉ざされた世界でやってきたんですよ。
 最後だから、せっかく山口さんになって初めての質問なんで、管理本部長、今まで二年間、よしあしはともかく、私、しつこく、しつこく聞いてきたんだけど、何一つそちら側から積極的に報告なかったんですよ。これからはまめに報告していただけますね。この一点だけちょっとお答えいただきたい。

○山口大学管理本部長 曽根委員のご指摘がありましたけれども、どなたが反対しているのか、私は事実よくわかりません。
 要は、都立大学だけが大学じゃありませんで、日野にある科学技術大学、荒川にある保健科学大学、それから今廃止を目的としている昭島にある短大、どの学長も賛同しています。それから、都立大学の各学部長、今回の構想に対して賛同を得まして、それで教学準備委員会という委員会を設けて作業をしております。ですから、曽根委員おっしゃいましたような、どの人のご意見なのか、私にはちょっと理解不可能でございます。
 それから、議会への報告のお話がありましたけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、都議会を含めまして、中期計画、中期目標の計画、それから運営交付金、議会関与になってきますので、我々も、新しい大学が十七年四月を目途にしていますので、機会あるごとに委員会なりにご意見を伺いたいと思っています。

○渡辺委員長 ちょうど三時ですから、議事の都合上、暫時休憩をいたします。十分間休憩します。
午後二時五十五分休憩

午後三時八分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○執印委員 それでは、質問させていただきます。
 この新たな構想については、代表質問の中でも質問させていただきまして、すべて評価できないわけではないんですけれども、余りにも手順が不透明であるということと強引であるということは指摘をさせていただいております。
 今回、大学改革大綱からこの新たな構想になったわけですが、大学改革大綱にはどのような問題があって、なぜ今回の新しい構想を出す必要があったのか、改めてここでお聞きしておきます。

○大村参事 今回の構想は、大学改革大綱そのものを全部つくりかえたとか否定したものではございません。その中で、大学改革大綱の発表以降、いろいろな社会経済情勢の動きに合わせて見直しを行ったところでございまして、その中の一つが例えば工業等制限法であったり、あるいは都市再生の動きや知的財産についての動き、あるいは学校教育法の改正など、大学をめぐる法制度とか社会の動きに合わせたものでございます。
 特に工業等制限法は、いわば区部から大学を追い出すというふうな形で、次々と都心から周辺部への展開が各大学でされてきたところでございますが、これにつきましては、昨年、東京都その他の要望によりまして平成十四年に廃止をされました。それ以降、各地の大学で都心回帰といいますか、区部への再展開の動きが活発化してございまして、現在、二十二もの大学が区部で展開するという申請をしてございます。
 ところが、大学改革大綱では、南大沢、日野、荒川の三キャンパスは拠点キャンパスとしてそれぞれに特徴を持たせて、学部、大学院を配置するということにしてございました。ところが、その改革大綱、その後の検討で、保健関係は荒川キャンパスを使うということにいたしましたが、日野キャンパスにつきましては、産学公連携センターのみで、大綱でいわれていました先端関係のところも入らず、通常の学部学生や研究科の研究生、教員が、産学公連携以外の者はだれもいないというふうなキャンパスに使用するような形の検討がされて、残りは全部南大沢にというふうな展開がされたところでございます。
 ただ、学生の教育その他を考えますと、大都市に集積する人材とか情報、文化施設等を活用し、その中で学生が育つ、そういう大都市の中で活性化されて育っていくというふうなことがございますので、東京という大都市全体をキャンパスとする方向を今回打ち出させていただきました。その中に、具体的に、都心方向へのキャンパス展開という考え方を打ち出させていただいたものでございまして、この部分については、その後の情勢に応じて、大学改革大綱後の検討を見直したところでございます。
 また、大学改革大綱そのものの、見直したところの一番大きなところは学部の構成でございまして、これにつきましては、学校教育法がことしの四月に改正されましたけれども、それらの背景といたしまして、今全国の大学でかなり学部構成、学科構成の見直しをし、それらが、社会の情勢、学生のニーズや何かに合わせた大改正である。それらを受けまして文部省の方でも、学部、研究科の設置手続の簡素化や学生定員の抑制措置の撤廃が行われたところでございます。
 こういったところから、改めまして社会のニーズ、学生のニーズなども踏まえまして、今回、大学の使命、それをもとに三つの目標を立てて、その目標に合わせた形で学部の構成を検討し直させていただいたところでございます。
 その他ございますけれども、基本的には、この改革大綱をベースに、その後の情勢に合わせたところの変化でございますので、ご理解いただきたいと思います。

○執印委員 丁寧にご説明いただきましたが、大学改革大綱をベースにしているというのと、先ほどの質疑の中でも、大学改革基本方針というものをベースにして行っているということですが、私、平成十三年の第四回の定例会のときに、大学改革大綱が余りにもわかりにくいので、例えば病院改革のときに改革大綱をつくったらマスタープランがあるように、もう少しわかりやすい形で都民にも示すべきではないかということを質問したんですけれども、そのときには、大学改革大綱でやりますと、それでわかりにくいことはありませんというようなご答弁がありまして、そのときは、今のままの大学改革大綱であれば、虫食い実施になってしまうのではないかというように思って見ていたわけなんです。
 今いろいろご説明の中で、工業等制限法とか、地方独立行政法人法の法制定があったということ、その他もろもろのご説明もあったわけですけれども、こういった点については当時から予想できたことだというふうに思いますので、そのときのご説明、平成十三年の四回定例会のご説明と変わったことがいけないと思うわけではありませんけれども、大綱を見直すに当たっては、予想できたもののほかに、何かこれ以外の理由があるのではないかとも考えるわけですが、これ以外の理由があるのかどうか、伺います。

○大村参事 例えば今回の工業等制限法につきましては、やはり学生が学ぶ場合、都心でのいろいろな文化施設であるとか研究施設、あるいは都内で開かれるいろいろなシンポジウムも含めました、そういった部分で活性化されて学生として育っていくという部分があるというふうなことから、単に工業だけでなくて大学の部分につきましても、都心のキャンパスがぜひ必要だというふうな動きが、あるいは要望が非常に強く出てきたところでございます。
 ただ、平成十三年の段階では、要望しているだけで、この工業等制限法は変わってございませんので、そういう中ではやはり検討には一定の限界があったというふうに思っております。昨年、一年前に工業等制限法がようやく廃止されましたので、遅まきながら今回それの見直しを図ったところでございますが、この一年だけでも二十二件の都心キャンパスへの展開を図ろうという大学があるところを見ますと、かなり多くの大学で、そういう方向に合わせた改正を急に検討し、そして見直しをして、今回そういうキャンパス配置をしてきたというふうなことでございます。
 そういう意味では、今回、これらの動きを踏まえまして、もう一つ大学の使命というものを明確にした上で、目的を明確にし、いろいろなものを展開していこうということで今回の見直しを行ったところでございます。

○執印委員 先ほど来質疑がありまして、五月に立ち上がった専門委員会の中でこの新しい大学の構想が出てきたわけでして、こういう切りかえの中で、私ども、余りにも手順が不透明だし強引だし、粗いなということは感じているわけですが、今まで、新大学の設立準備委員会というものがありましたけれども、それがどういう組織だったのかということと、この設立準備委員会で検討されてきたものというのは、構想の具体化の中では生かされていくのかどうかを伺います。

○大村参事 新大学の設立準備委員会は、東京都教育委員会の教育長を委員長といたしまして、各大学の学長等を委員といたしまして、そのもとに各大学の教員と大学管理本部の職員が参加して、主にこの改革大綱以後、課題別あるいは部局別の具体化をするための検討組織として検討を進めてきたものでございます。
 なお、この組織は、今回の発表に伴いまして、七月末をもって廃止し、新たな準備体制としまして準備本部を設置したところでございます。
 なお、これからの検討に当たりましては、今まで設立準備委員会で検討してきた内容のうち、新しい大学の準備に必要な部分につきまして、必要に応じて生かしてまいりたいと存じます。

○執印委員 検討してきた内容の中で、必要に応じて生かすものは生かすということだと思いますけれども、具体的にはどういったものが生かされるというふうにとらえていったらよろしいんでしょうか。

○大村参事 これにつきましては、現在、例えばカリキュラム構成であるとか入試の内容などにつきまして、外部の専門家とか現在の大学の教員たちに検討していただいておりますが、そのときのいろんな資料として、今までの検討内容ももちろん一つの資料となりますので、その中で参考にするものもあろうかと思います。
 具体的には、現在検討していただいておりますので、その中で生かされるものは生かされていくというふうな形になろうかと思います。

○執印委員 大枠の部分が大きく変わっているわけですから、どれぐらいまで本当に生かされるかというのは、今後見ていかなくてはいけないというふうに思います。
 次に、いろいろなご意見、ご心配をいただく中に、文系の学部の詳細はどうなるのかというのがございました。この新たな構想で見る限り、なくなるんだろうというふうに思いますが、英文学とか独文学、日本語文学、それから法学部というのが学部としては新たになっていくわけでして、積み上げてきたものが途切れるのではないかというご心配が随分あるんだというふうに思います。学部としては新たになるわけですけれども、これら積み上げてきた学びというのはどのように展開されていくのか、伺います。

○大村参事 新しい大学では、従来型の学問の縦割りの学部構成から、大都市の課題に対応した学部構成に再編いたします。この中で都市教養学部、ここが、従来の伝統的な学問分野でいくと文系と理系の基礎的な部分が入った学部でございますが、この都市教養学部につきましては、従来の伝統的な学問分野ごとに分かれていた部分を一つにしまして、英文学とか法学とか物理学といった個々の分野を単に学ぶだけでなく、より幅広く学際的に学ぶようにするというふうなコンセプトでつくられてございます。

○執印委員 さまざまな学びをしていくということだと思いますけれども、その深さがどうなっていくのかというご心配だと思いますので、今後十分に検討していただきたいというふうに思っております。
 それから、現大学の学生に対する教育については、先ほどほかの方からご質問もございまして、きちんと保障していくということですから、これは十分にお願いをしたいと思います。
 次に、いろんなご意見をいただく中で、今後の検討の進め方について、さまざまこれまでもやりとりがありましたけれども、大学関係者への説明が非常に不足しているというふうに感じているわけです。いろんな物事を進めるときに英断は必要だと思うんですけれども、必要な説明や手間を省いたらどんなこともうまく進まないんじゃないかというふうに、日常の活動の中で感じているわけなんですけれども、これからどのように説明をされていくのか、検討への参加というのはどのようにこれまでの関係者の方に保障されているのか、伺います。

○大村参事 八月一日に今回の構想を発表いたしました時点で、今後の検討の進め方につきましても、各大学の学長を通じて伝えてございます。今回の構想の内容につきましては、各大学の学長が大学に戻りまして、教授会なり評議会の方でそれぞれご説明いただいておりまして、都立の科学技術大学、保健科学大学あるいは都立短大の方では教授会でもおおむね好意的に受け取って、積極的に参加するというふうなことがございまして、その後都立大学の方では、評議会を受けて、必要なところはまた各学部ごとの教授会その他でご説明されたということであります。
 それから、今後の検討でございますけれども、今後の教学部分の検討には、外部の専門家と、現大学の状況をよく把握している教員の参加を得て進めてまいりますが、また今後、具体的な授業科目の設計等には、関係する教員が入りまして進めていくという予定でございます。

○執印委員 市民参加については一番最後にお伺いしますが、新たに出てきたものについて少し伺います。
 先ほども大変丁寧に都心方面へのキャンパス展開についてご説明いただいたんですけれども、それが必要な理由というのも片方でわかりますけれども、都心への集中をすることによって多摩格差を拡大することになるのではないかと。文化的なものといいますか、さまざまな美術館やら博物館やら、都心にすべてといっていいくらいあるわけですけれども、この多摩格差の拡大ということについては、大学から見たときにどのようにお考えでしょうか。

○大村参事 今回、大学のキャンパス配置の大前提といたしまして、東京のまち全体をキャンパスとするというふうなことを設定してございます。学生は、閑静なキャンパスでいろいろ勉強する部分と、大都市の中で美術館とか映画館とか、そういった文化施設、あるいは最先端の研究者との交流などを通じてさまざま刺激を受けて成長し、また戻ってきて、閑静なキャンパスでそれを熟成するというふうなことがございますもので、どちらか一方だけということでなくて、東京全体をキャンパス、そしてそれを必要に応じて使い分けていくということで、現在では学部を四つ展開してございますが、そこのベースとなる一年生、二年生は南大沢キャンパスで共通して都市教養を学び、そしてそれ以降については、それぞれ必要に応じて各キャンパスに散っていく。また具体的に都内の各地でインターンシップをしたり、いろいろな経験を積むことによって、有用な人材として社会に輩出するようにしたいというふうに考えてございます。
 そのような形から、多摩格差とかそういうことではなくて、東京全体をキャンパスということで、学生が東京全体で勉強していくという体制にしたいと存じます。

○執印委員 学生のまちというよさが、それぞれ多摩の方でつくられてきたということがあると思いますので、バランスのよい進め方をぜひお願いしたいというふうに思います。
 それから、ちょっと細部について伺いますけれども、先ほどご説明がありました、人格形成を促すための寮というものが今回提案されております。これまでは全寮制ということでしたから、まあ一、二年生が全寮制ということで、何て現実に合わないことを考えているんだろうと思っていたわけですが、今回具体的に人数とかも示されてきました。ご説明の中で、現代に適合した寮生活というふうな表現もされていますが、どのような構想がソフト面ではされているのでしょうか。

○大村参事 今回の寮の構想では、まず情熱のある人物を寮長といたしまして、留学生も含めた学生同士が切磋琢磨して互いの個性とか創造性をはぐくみながら人格形成をしていくという設計をしたいと考えてございます。この寮では、寮長の薫陶を受けながら、学生、留学生、時にはゲストティーチャーなどを交えて闊達に議論をしたり交流したりすることによりまして、異文化理解も含めまして全人格的な成長、丸ごとの交流が行われるものと期待してございます。
 なお、具体的な寮の中身につきましては、寮長を決め、その内容を詰めていきたいと思ってございます。

○執印委員 情熱のある人物を寮長にというところで、ここがちょっと心配なわけです。一体どういうことを考えているのかということと、それから、学生の年になった人たちがこういう場を公につくってもらわないと議論できないというような学生を集めてどうするんだろうかというふうな、そういう思いもあるわけですけれども、この寮の費用負担の基本的な考え方というのは、今の段階ではどのようになっているんでしょうか。

○大村参事 現在、都立大学にありますのは寄宿舎でございまして、ここについては一定の費用負担が決まっているところでございますが、今回の構想で打ち出しました寮につきましては、これまでの寄宿舎とは趣旨が異なるため、その費用負担につきましては今後検討してまいりたいと存じます。
 なお、参考までに、現在ある都立大の寮は、寮費は低廉に抑えておりまして、月額四千七百円となってございます。

○執印委員 学生の経済を支援する形での今の寄宿舎というのは否定するものではありませんが、今構想しているような形の寮というのは、公立の大学法人が行う業務としては適当ではないのではないか、不適切ではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○大村参事 今回構想しております寮は、あくまでも大学における学生教育の一環というふうなことで行われるものでございまして、まさに公立大学法人が行う教育業務の一部だと考えられます。

○執印委員 全体の大学の人数というのも、先ほどのやりとりでもまだ明らかになっていない中で、何千分の五十になるのかわかりませんけれども、この寮を都民の税金で運営することについては問題があるというふうに思っておりますが、その点に関してはいかがでしょうか。

○大村参事 この寮は、先ほど述べましたように学生教育の一環として行うものでございまして、単なる住居を不特定多数の者に提供するとかいうものではございません。このために、ここから育った学生が、人格を形成されて、広く社会で活躍していくということができれば、都民の理解も得られるものと思ってございます。
 なお、寮の費用の負担のあり方については今後検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。

○執印委員 この質問の一番最初に、すべて評価できないわけではないというふうにお話し申し上げたんですけれども、私どもの会派で、この計画の中で一番理解できないというのが寮だったわけです。本当にこの時代に必要なのかどうか、必要ないのではないかというふうに思っておりますので、あえてこの点に関して聞かせていただきましたので、今の大学の意向だけでこういったことが進まないように、ぜひ広く意見を聞いていっていただきたいというふうに思います。
 それから次に、これも私がこの春でしたか質問させていただきましたが、大学として、大学生が、女性が妊娠、出産しても学べるような対策、それからまた父親になった学生が学べるような方策として、保育室などを検討すべきだというふうに質問と提案をしてまいりました。
 今、大枠のものを出している段階ですから、恐らくそこまで頭がいっていなかったのではないかとは思いますが、ここで次世代育成支援法もできまして、それぞれの事業体でも考えていかなければならないし、これから若い人たちが、若くない人も入学するかもしれませんけれども、さまざまな立場の人たちがさまざまな学びをできる大学というものを早い段階からきちんと計画の中に入れ込むべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○大村参事 さまざまな年代の方、さまざま事情のある方の学びができるように、今回、構想の中の目玉の一つといたしまして、単位バンク制度というのを導入させていただきました。これは、学生一人一人に応じました柔軟な修学年数の設計、カリキュラム設計が可能となりまして、さまざまなライフスタイルに合わせて学習計画をつくることができるようなものでございます。
 このため、単位バンク制度を活用いたしますと、例えば出産の機会を挟んでもまた学び続けることが可能になる、あるいはまた、子育てをしながら、長期にわたってゆっくりとしたペースで単位を積み重ねながら卒業するというようなことも可能になりまして、この単位バンク制度によりまして、少子化対策あるいは生涯学習的な対策につきましても有効に活用できるというふうに考えてございます。

○執印委員 単位バンクもその一つだと思いますけれども、なるべく早く、学校に行きながら早く、子育てをしつつ大学を出たいという人もいると思います。片方で寮はつくる予定のようで、公側の議論する場の提供までしながら、片方で妊娠、出産、また子育てによって学びが中断されることがないような対応というものをぜひお願いしたいと思います。
 それから、代表質問に関連してのやりとりの中では、独立行政法人にするかどうかも今後の検討事項、決定事項というふうにやりとりがあったと聞いておりますが、この法律の第二条に掲げられている法人の目的というのがあります。「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものを効率的かつ効果的に行わせること」を目的としているということですが、法律ができても、大学を法人化するかどうかというのは各自治体の判断であるはずですし、あえて法人化する理由は何か。それから、教育を行う機関ですから、ここにあるような効率的、効果的、経営的な観点からのみ法人化するという判断はあり得ないんだろうと思いますが、この法人化に向けているという理由を改めて伺っておきます。

○宮下参事 ご質問には、三点のご質問があったかと思います。
 最初に、読み上げられました地方独立行政法人法の第二条に掲げられている法人の目的に大学が対応するのかというご質問ですが、法第二条は包括的な設置目的を規定しているということでございまして、具体的な対象業務は法第二十一条で規定されてございます。その第一項第二号に、大学の設置及び管理というものが掲げられているところでございます。
 二番目のご質問ですが、大学を法人化していくかどうかというのは各自治体の判断であるけれども、あえて法人化する理由は何かという趣旨であったかと思います。
 先ほども申し上げましたが、今、大学の置かれている状況というのは非常に厳しいものがございまして、少子化の影響で大学間の競争がますます激化していまして、これからいろいろ生き残りをかけた競争になってくるだろうというふうに考えております。そういう状況の中で、いろんな変化に機動的、弾力的に対応して大学を運営していかなければならない時代になっているのであろうというふうに思います。
 そうした場合に、地方独立行政法人制度というものを導入することは、現在の直営方式に比べまして、意思決定の迅速化、予算執行の弾力化、効率化、人事管理の弾力化などさまざまなメリットがございます。新しい大学につきましては、これらのメリットを活用して、都民の期待にこたえられるように運営していく必要があろうかと思っております。
 それから、最後のご質問ですが、教育を行う機関について経営的な視点を導入するという判断はあり得ないのではないかというご意見でございましたが、私どもといたしましては、教育機関につきましても経営的な視点が必要であろうというふうに考えてございます。
 例えば、学生は大学にとりまして顧客でございます。そして教育は、学生に対するサービスの提供ということであろうと思います。教育内容の向上、教育方法の改善、それから就職の支援など、顧客満足度を高める方策を経営的視点から検討していく必要があるだろうというふうに考えてございます。こうした経営的な視点が希薄なままでは、いずれ受験生からも見放され、大学は生き残っていけないのではないかというふうに考えておりまして、こうした観点からも法人化を行い、経営的な視点を強化していきたい、このように考えてございます。

○執印委員 大学がサービスを提供する側というのはそうだと思いますけれども、バランスの問題があるかなと思いながら、ご回答を伺いました。
 ストレートに聞かせていただきたいんですけれども、今回、大学改革大綱から新たな構想になりましたが、多摩に基本的なキャンパスを置いて、東京全体をキャンパスとして展開していくということなんですけれども、では一体、一般財源の投入というのはこれからどうなるのか。これは、公立の大学法人の財政全体がこれからどうなるかということだと思いますが、先ほど、法人化されれば交付金という形で出していく、東京都から出されるということだったんですけれども、一体どれぐらいの一般財源を投入するというような新しい構想になっているのか、その点を伺います。

○宮下参事 現在の都立四大学につきましては、平成十四年度決算で約百九十五億円、そのうち一般財源が百四十億円という規模でございます。法人化した後どうなるかということでございますが、これはまたそのときの議論になろうかと思いますが、公立大学法人の業務運営につきましては、まず中期目標を設立団体の長が議会の議決を経て定めると。その中期目標に従いまして法人が中期計画を作成いたしまして、これを設立団体の長が認可する。で、年度計画も法人が作成いたしまして設立団体の長に届け出る、こういう手続がございます。こうして定まります法人の業務運営に、法律では、必要な金額と記載されておりますが、この必要な金額を設立団体が運営費交付金として交付するということになっております。したがいまして、設立団体は、各年度、所要の運営費交付金を予算に計上いたしまして、都議会の議決を経るということになります。
 したがいまして、ご質問の、公立大学法人に対する財政措置のあり方、いいかえますと法人の業務運営に必要な金額というのが幾らなのか、何なのかということは、こういった手続の中で、都議会も含めまして種々議論されていくことになるであろうというふうに考えております。

○執印委員 これまで、東京構想二〇〇〇の中で、外部監査報告で大学が赤字だというふうになってきたんですかね。その中でこういう統合も出てきたわけですから、一定の何か目安のようなものがあるかというふうに思いましたが、今のご説明だと、どれぐらいのものと想定しているのかがちょっと私にはわかりませんでしたけれども、わかった段階で十分にその情報というのを出していただきたいと思います。
 それから、最後の質問になりますが、市民参加について、これも本会議場でお聞きしましたんですけれども、あれからご回答が進んでいるのではないかというふうに思いますので、質問させていただきます。
 今いろいろやりとりもさせていただきましたし、この間の経過で、市民参加、都民の意見を聞くという場が余りにも少な過ぎて、いろんな場面でストレスが起きているように思います。今、東京都もさまざまな場面で都民の意見を聞いていこうということで、特に今、教育委員会では、心身障害教育の中間まとめというのを、外に出ていって丁寧に説明をしているところだというふうに思います。そういった意味では、これまでの教育委員会と違う対応で、いいなというふうに私も思って見ております。義務教育と大学という違いはあるにしても、都民の税金が入って運営されていくわけですから、そういったことの理解も十分得られるように、都民の参加の場所の保障、これをする必要があるというふうに思いますが、その点に関してはいかがなのか。代表質問では、必要があれば都民の意見は聞くということですけれども、都民の側からしますと必要があるんです。で、大学の方は必要がないと思っているのかなというふうにも受け取れるわけですが、その点に関してはいかがでしょうか。

○大村参事 これからの検討内容につきましては、具体的な授業科目であるとか入試方法、入試科目など、より専門的な内容となるところでございますので、これにつきましては引き続き外部の専門家及び大学の教員を中心に検討をしていくということで考えております。
 なお、現在、新しい大学の名称については広く都民から募集しており、けさまでに四百三十三件の応募があったところでございますけれども、今後、必要に応じて都民の声を聞いてまいります。

○執印委員 ご答弁は変わらないのですけれども、大学名の公募も悪くはないと思いますが、するなとはいいませんけど、それが都民参加というふうな受けとめだとすると、都民の……。(「大江戸大学だけは勘弁してくれ」と呼ぶ者あり)今、そういう声もありました。私もいおうかどうか迷っていたんですけど、大江戸大学だけは勘弁してくれということで、私もそう思いますけど、そういう、もう少し突っ込んだ都民参加の中でこのことが進められていかないと、法人化される方向とはいえ交付金が入っていくということになれば、いつまでたっても都立大無用論がついて回るんじゃないかなと思うと、そういうことになれば非常に残念なわけですから、今の段階で十分に都民参加を保障していただきたいというふうに思います。
 何回質問しても答えは同じだと思いますので、これでやめますが、十分に質問と提案と要望の願意を酌んでいただいて対応していただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。

○福士委員 それでは。
 何か、何回聞いてもよくわからないんですよね。執印理事もおっしゃっていましたけど、工業等制限法の廃止や何かももう既にわかっていたじゃないか、その中で何で今、五月から諮問会議を始めて、そして八月一日にがらっと変えなきゃいけなかったのかというのは、どうも私、理解できない。今の、改革大綱の手直しではなくて--改革大綱の問題点は、いいです。執印理事お聞きになったから結構ですが、本構想によってどんな目的、目標をお立てになったのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○大村参事 今回の構想での一番のところにつきましては、大都市の大学としての使命をまず明確化したということでございます。大都市における人間社会の理想像の追求という使命をもとに、三つの目標を立てまして、都市環境の向上、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築、活力ある長寿社会の実現、この三つをとりまして、これに基づいて、これからの教育及び研究を含めました新しい大学の展開をしていこうというふうなところが一番のキーコンセプトでございます。
 そういうことで、今回の構想はこれらに対応して、東京の新しい大学として、東京全体をキャンパスとするという構想も含めまして、この使命を明確にしたというところが一番の特徴でございます。

○福士委員 それの明確化についてが、学部改定があって、その学部改定の中で目新しいというのが、観光・ツーリズムが一番ぱっと目に入ってくるんですけど、こういう観光・ツーリズム等の教育は、もう既に多くの私立大学や専門学校で行われているようですよね。コースなんかも含めてどのくらいの学校が実施しているのか、実態把握は行っておられますでしょうか。

○大村参事 ツーリズムの関係でございますけれども、観光関係なんかにつきましては、例えばことし七月に政府の観光立国関係閣僚会議が観光立国行動計画などを出しておりまして、そこでは例えば、世界が大交流を迎える中で、日本には訪れる外国人が非常に少なく、一方で出る日本人が多い。そういう意味では世界で第三十五位であるということで、国際観光については後進国であるというふうな記述がございます。それらの分析の中から、このような中で観光概念の革新が必要だというふうなこともうたわれております。観光の原点は、ただ単に名所や風景など、光を見ることだけでなく、地域に住む人々がその地に住むことに誇りを持つことができ、幸せを感じられることによって、その地域が光を示すことになるというふうなことも書かれてございます。そういう意味から、旧来の観光概念からの転換期にもあるというふうに考えてございます。
 そういう意味では、大都市で今必要な観光概念は、旧来からのものではなくて、都市づくりや都市文化、都市経営なども基礎といたしまして、総合的な概念としての大都市のツーリズムとして展開されることが必要かなと考えてございます。
 もちろん、先生がご指摘のように、日本には観光と名のつく学部、学科を持った大学は多くございまして、学部を持つ大学三大学、学科を持つ大学十七大学などございますけれども、新しい大学では、この観光地とか観光業といった旧来の観光概念ではなく、先ほど申しましたような新しい形のツーリズムというふうな形で展開しようかと考えてございます。
 世界的に見ましても、まだそこまでなかなかいかないようでございまして、私どもの調べの中では、例えばイギリスのバーミンガム大学の政策学部の中にツーリズムのコースがあるようでございます。同大学では、エコツーリズムとかネーチャーツーリズムとかカルチャーツーリズムなどについて分析をしていくコースを進めておるようでございますが、そのような形と同様、東京の新しい大学の中でも、新しい大都市としてのツーリズムを展開していきたいというふうに考えてございます。

○福士委員 大学の中でも三十数校とか、あるいは短大でももう四十校近くある中で、確かに観光というのを、観光経済あるいは観光産業ととらえているところもありますが、観光文化というふうにとらえているところもありますし、立教なんかは、戦後すぐ一九四六年から始まって、一九六七年にはもう学科をつくったりなんかしている、息長いというか、かなり長く長くやっている学校もあるわけで、そういう中であえて都立大学がやる必要があるのかなという気はしないでもないですね。研究のあり方によっては必要なのかもしれませんから、これがいいとか悪いとか、今私は申し上げるつもりはありませんけれども、ただ単に新しい名称だからいいんじゃないかということにならないようにだけは申し上げておきたいと思います。
 そういう意味でいえば、大都市のニーズに対応するためのものとして、私立ではなく、わざわざ都立の大学で行うべきことはどういうふうに考えていらっしゃるのか。新構想の考え方が、私立で既に行っている大都市のニーズ対応という、流行だけではぐあい悪いなというふうに思うんですね。
 私立と都立の大学の性格をどうとらえていらっしゃるのか、それから都立の大学の意義というものをどういうふうにお考えなのか、伺います。

○大村参事 新大学では、大学の使命を、大都市における人間社会の理想像の追求ということを明確にいたしまして、大都市の抱える課題を具体的に解決できる人材を育成していく。また、大都市東京の最前線でさまざまな課題と立ち向かい、解決できる人材を新大学で育てていく、そしてまた、大都市のいろんな課題にこたえた研究を進めていくというふうなことを考えてございます。このことがまさに東京都が設置する大学として必要な、そして大学として目指す社会から期待される大学につながるものではないかというふうに考えてございます。
 私立大学が行っている大都市ニーズ対応というお話もございましたが、これは具体的な商品ニーズとかそういうふうなものでございますけれども、今回私どもの出した構想で考えております大都市ニーズというのは、大都市のいろいろな課題、大きな行政課題になるような大きなものについてそれぞれ解決していくというふうなことでとらえさせていただいてございます。

○福士委員 能書き、ご立派だなというふうに思いますけど、それをやり得る教授の方々が、私立大学との間でとり合いになったりするんじゃないのかなという気がしないでもないですね。で、どういう地域にどんな人を送り出そうとしているのか、下世話にいえば、どこに就職させようとしているのかも含めて、その辺をもうちょっと確認をさせてください。

○大村参事 具体的な就職先は、民間企業や官公庁も含めましていろんな分野、あるいはNPOとかそういったような組織もあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、この大都市東京、あるいは東京圏といいますか、そこを舞台に世界的に活躍する部分も含めまして、そこで有用な人材。で、そういうふうなことは、大都市で起きるいろんな事象というものは、過去に例がないこともたくさん起きてまいりますので、そういったようなことが出てきても、それをしっかり分析して、それに対応して決断して実行できる人材を育成していくことが必要かなというふうに考えてございます。

○福士委員 それはそれで結構なんですけれども、大都市という立地のほかに、都立大というのは公の大学として今まで、私立では追いかけきれない地道な事業についてずっと営々と行ってこられたという歴史がありますね。それらの受け皿はどういうふうにすべきだというふうにお考えになっているのか。また、既存の大学の中でも、都立の人文学部については非常に高い評価があるというようなことが、全国から私のところにもメールが入ってきています。それを不要とする理由は何なのかというふうなのは疑問に思うんですね。
 観光というものを本気で考えるとすれば、人文学といっても語学だけではなくて、比較文学などでは外国への理解とか知識とか、そういうことを広げる。あるいは、国際化を目指す観光・ツーリズムを目指すのであれば、かえってそういうものが必要になってくるんじゃないかというふうに思うんですね。都立大の卒業者の方々からも大変心配した声が上がっているわけですが、それを切り捨てればいいよねというふうには、私、単純にはいえないと思うんですね。こういう必要性、観光・ツーリズムなり何なりをやるについても、必要性というのはあるだろうというふうに思うんですが、その辺のところでどういうご検討がされたのかというのが、今までのお答えの中でちょっと見えてきませんので、あえてもう一度伺わせていただきます。

○大村参事 これまでの都立の大学の学部構成、あるいは今まで検討してきた学部構成につきましては、従来型の学問縦割りということで、英文学なら英文学、法律なら法律、物理学なら物理学という縦割りの構成をしてきたというふうなことでございます。今回、大都市の使命に合わせまして四つの学部に編成をし直したわけでございますけれども、この中の都市教養学部、ここにおきましては、人文社会分野も含みます広く学問分野を一つにまとめて、都市の文化とか経済とか、また外国のいろんな文化も含めました総合的なものとして学んでいく。そういうふうな中で、例えば英文学を志そうという方についても、幅広いそういう知識や教養、そういうふうな切り込み方を得た上で、そういうふうなものをさらに学んでいくというふうなことができるようになりますので、今回の学部構成は、縦割りの学部、学科構成よりもさらに学生が深く広く学べるようになるものではないかと考えてございます。そういう意味では、これからの都市における必要な創造力と幅広い視野を養う人間教育ができるのではないかと考えてございます。
 中身につきましては、現在、有識者や現在の大学教員などで構成される準備の会議で検討してございますけれども、そういうふうなことで進めてございます。
 なお、地道な事業というものについて、中身がちょっとよくわかりませんけれども、そういう意味では、大学は大学であるというふうなところで、創造と知の伝承のベースになる部分、これについては当然、大学である限りは引き続きやっていくというふうな部分がございます。
 それから、人文の評価というふうなことについては、私の方では、人文学部の研究レベルを評価する立場にございませんけれども、教育面では、本日の資料にあるように、例えば学生の卒業後の進路把握率が極めて低いというふうなところがございます。そして一方で、教員一人当たりの学生数が少ないというふうな部分を見合わせますと、これで卒業後を見据えた教育がちゃんとできているのだろうかというふうなところの不安、あるいは教員と学生の間に信頼関係ができているのだろうかという不安がぬぐえない部分もございます。

○福士委員 大学改革についていえば、私は、大学側からもっと自発的に改革案が出てきて、常に出てきていなければいけないんじゃないかというふうな部分も感じるわけですね。旧態依然として、今までの中で、そのままでいいよというふうにどっぷりとつかっていること自体は問題があるかなというふうには思います。
 例えば、研究費使用の形式的な規制なんかについても、先ほどもちょっとお話が出ていましたけれども、実態からかけ離れていることをそのままにして、その枠の中で何かやりくりして、そして自分の私的なものに使ったわけでもないのに、何というのですか、とったというふうに思われたりしてしまうというようなことも、新聞の中では出ておりました。詐欺まがいのことをしたみたいな記事も出ていたりなんかしておりましたけれども、そういうことじゃなくて、実態に沿って自主的に、今もお話がありましたように、縦割り社会が問題であれば、そこをもう少し融通をきかせるとか、そういうことの改革も含めて、実態に沿って自主的に行われる改革が必要だというふうに、私もその点は思いますけど、それは今後に向けてもどういうふうになっていくのかということを、もう一度、財政面については先ほどどなたかのご質問にもあって、ご答弁もいただいたみたいですので結構ですけれども、それ以外のものについても何かありましたら、お答えいただきたいと思います。

○大村参事 前段の、いろいろな分野を進めるときの考え方なんかについてのご質問について、私の方から先に答えさせていただきます。
 今回、進めますときに、いろいろな--大変失礼いたしました。担当参事の方から申し上げます。

○宮下参事 研究費の使用に関するご質問かと思いますけれども、大学の研究費につきましては、ご指摘のとおり、いろいろ使い勝手が悪いということがございます。これは、やはり直営方式のもとで、大学も官庁会計のもとでいろいろやっていかなければいけないという中での制約がございまして、使い勝手が悪いということがございます。
 私どももそういう声はいろいろ聞いているところでございまして、そのためにも、地方独立行政法人制度を導入いたしますと、予算執行がはるかに弾力化、効率化することが可能となりますので、法人化後の新大学におきまして研究費をより使い勝手のよいものといたしまして研究の活性化を図ってまいりたい、このように考えております。

○福士委員 さっきも、年度途中で起きた喫緊の課題については、中期年度内のものであれば裁量でというようなお話もありましたけれども、どれだけやわらか頭でやれるかなということが、研究費以外のものについても、大学改革としては必要になっていくかなというふうに思うんですね。そこがどれだけ担保されるかなというのをちょっとお聞きしたかったんですが、まあいいです。
 大学院構成について、学長予定者が決定後というふうにご説明がありましたけれども、大体それはいつごろ決まるのか、その際、現在の学生の希望というのはどういうふうに受け入れられるのかというのが、再三再四、学生の意見もという話が出ていますけど、どうもよくわかりませんので、もう一度確認をさせていただきます。

○大村参事 大学院の構成その他につきましては、現在、外部の専門家や大学の教員で構成している組織で検討中でございます。
 なお、大学院の基本的な考え方につきましては、この秋発表予定の新しい大学の概要の発表時に、その内容を盛り込みたいと考えてございます。

○福士委員 何か学生、かわいそうな気がしますね。随分心配しながらいらっしゃる方が多いんじゃないかというふうに思います。そういう意味では、余り拙速にやるんじゃなくて、本当に大学改革そのものも少しゆっくりやってもいいんじゃないかなというふうに思います。
 それからもう一つ、学生たちの意見も聞きました、聞きましたというお話が再三出ております。しかし、私の方にいろんなご意見もいっぱい来ておりまして、その中では、九月の二十一日で声明文も来ていますね。その中では、都立新大学設立準備作業において、学生、院生、教職員が協議過程から排除され、情報から遮断され、意見を述べる自由、情報を伝達する自由を制約されている状況を、民主社会で共通に承認されている意思決定手続から逸脱しているものと考え、この事態に強い反対の意思を表明しますという声明文がネットで出ているみたいですが、これに対してはどういうふうにお感じになられますか。

○大村参事 今ある大学をそのまま継承しようというふうな検討を現在行っているところではなく、全く新しい大学にしようというふうなことでございますので、全く新しい大学の理念、経営理念も、あるいは教学理念も含めました新しい理念のもとでの設計というようなことをしてございます。そういう意味で、全く新しい大学の理念のもとに、それを設計できるメンバーでやっていこうということで、外部の専門家、そして大学の教員で今検討しているところでございますが、さらに今後、具体的なカリキュラムの編成の中では、新しい大学に行ったらどういう立場になるかというふうなことを踏まえた上で、各教員の方に参加して設計してもらおうというふうな形で進めようと考えてございます。
 なお、大学院生につきましても、現在、都立の大学の大学院あるいは専門課程、修士課程も含めまして、在学している方につきましては、新大学の大学院ができても、その後も現在のカリキュラムを保障するという立場で考えてございますので、今の大学の学部の学生と同様に、心配には及ばないというふうに考えております。

○福士委員 心配には及ばないのであれば、そういう説明をきちんとすることがまず第一だろうと思うんですよね。そうじゃないから、多分こんなにいっぱい私どものところにもメールが来たり、こういう声明がインターネットで回ったりしているんじゃないかと思います。
 情報公開というのは、言葉だけじゃなくて、きちんと本当に情報が公開されて、そしてきちんと相互の協力を得ながら、--先ほど、大学改革がだめよという人は入れないとかという話がありましたけれども、だめよというのは、どこにだめといっているのかという中身が大事なんであって、だめというからだめというようないい方は、私、ちょっと問題じゃないかなというふうに思います。その辺のところもしっかり考えていただきながら、何でも排除することがいいのではなくて、どっちもどっちというときもあるかもしれませんけれども、きちんと相互に話し合いできる大人の社会としてやっていただきたいなというふうに思いますので、それは申し入れておきます。
 それから、先ほど来、執印理事からも東京塾の話が出ていました。ほとんど同じような考えなので、私も一言だけ申し上げておきたいというふうに思いますけど、授業時間外まで人間教育って何なのかなというふうに思うんですよね。大学の中でなくて、大学の外に行ってまで何を教育するのかなという気がして、ちょっと怖いなと思いました。自主性をつぶすようなことをして、命令どおりに動くような人間づくりにだけはしていただきたくないということだけは申し上げておきたいと思います。
 これからの国際社会の中で日本が生き抜いていけるためには、ちゃんと自分の考えを持っていること、意見の違う人ともきちんと話し合えること。それから、観光事業が本当に目玉になっていったりするのであれば、あるいは環境学でもそうですけれども、地震や災害や事故のときなども含めて、とっさに何かしなければいけないときにきちんと判断できる人が大事なのであって、何か人にいわれたことを、はい、はい、はいと、そういうことだけが正しいというふうに思うようなことでは困るんですよね。八月一日で、今までの積み上げを一夜にしてひっくり返したような感じで、今までのご説明を私も伺っておりましたけれども、そういうことに唯々諾々と従う人だけができていって本当に大丈夫なのかなというふうに心配します。そこできちんと議論ができること、それから、行政側もきちんと議論をする姿勢を持っていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。

○山本委員 委員会でこんな活発な発言があったのはしばらくぶりじゃないかなと思いますね。かつては、学生同士が、自治会がAとかBとかいって、その自治会の部屋をとり合いをして、あるいは自治会費のとり合いでもめたことが、この委員会の中で話があったことがありますけれども、それ以来、この八月一日に大学の構想ができて、議論をこんなに活発にやったのは、遅かったのか、いやそうじゃなくて、これからがちょうどいいのか、そう思って先ほどからお聞きしておりました。そしてまた、各委員のお話も十分聞かせていただきまして、私は少し質問いたします。
 まず、先ほどから、少子化の影響で大学が競争の激化の中に投げ込まれ、大学の経営は非常に難しくなってきているだろうと。そのために新大学は法人化されて、学長と別に理事長が置かれる。これまでの大学経営を改革する、今は大きな転機となるだろう、そんなことを先ほど、こちらの宮下さん、いっておりましたね。
 そこで質問いたしますが、この間の我が党の代表質問を、ここにおいでの大西さんがしたわけですが、そのときに知事は、これまでの都立の大学は経営の視点が希薄であった、こういうふうに述べております。約二百億近い額を、この資料にありますように支出している中で、最も経費がかかっているのは、この資料のとおり、人件費である。全体の約六割を占めている。したがって、法人化後のこの新大学の経営を考える場合に、この人件費をどのようにしていくかが最大の課題であると私は思います。この点について、今のところ皆さんはどのように考えておりますか。

○宮下参事 ご指摘のとおり、人件費をどのようにするかということは、新しい大学を経営していくのに避けて通れない大きな課題でございます。今後、評価の高い私立大学がどのような経営をしているのかといったことも十分に研究しました上で、新しい大学の人件費につきましても、そのあり方を検討していく必要があろうかと思います。
 新しい大学を公立大学法人として設立するに当たりましては、中期計画を策定することが義務づけられておりますが、人件費につきましても、その中期計画に具体的な数値目標を定めて盛り込み、効率的な経営に努めていく必要があると考えております。

○山本委員 今、参事は、人件費についても中期計画に盛り込むというようなことをおっしゃっていますが、この資料を見ると、学部により教員の数はかなりアンバランスになっておりますよね。特に、先ほどお話のあった人文学部については特異な数値を示しております、数がね。この点は改善すべきだと、私は素人目に思うんですけれども、具体的にはこれはどうやって改善するんですか。

○大村参事 人文学部はご指摘のとおり、全学の一般教養を受け持っているという事情もございますけれども、他の大学の人文学部や都立大学の他学部と比較いたしましても、教員一人当たりの学生数が極めて少ないという状況になってございます。
 今後、新しい大学の学部ごとの設計をしていく中で、教員定数の適正化については非常に重要な課題であると認識してございまして、設置者の責任によりまして是正をしてまいりたいと存じます。

○山本委員 この資料、先生方ごらんのとおり、同じような規模の上智大学、成蹊大学、国際基督教大学、これらの人数に比べてみて、教員一人当たりの学生数が非常に少ない、四・六とか。よその学校は先生がもっとたくさんの生徒を教えているといっている。ここら辺のことを含めて問題にしていかなきゃいけないと思うんですがね。
 この間、先ほどから前の先生方からお話があったように、全国の都立大学の卒業生の方々、しかも自分が都立大学を出て教職に入っておられる方々、この方々から私にもたくさんメールをちょうだいいたしました。さすが大学の助教授とか講師とか、そういう先生だけあって、理路整然として礼を失しない立派な言葉で結んであったと思いますが、その中の言葉を要約いたしますと、先ほど先生方がお話し申し上げたこともありますが、私はこういうふうに思ったんですよね。まずそこで、英文学科を初め多くの文学あるいは語学系の学科がなくなるのではないですか、こういうふうに非常に心配されていると思うんですが、この点についてはどうなんでしょう。

○大村参事 今のご質問の、学部、学科がなくなるのではないかという部分でございますけれども、新しい大学では、従来のような学問縦割りの学部構成から、大都市の課題に対応いたしました学部に再編するところでございます。その中の都市教養学部では、従来の伝統的な学問分野ごとに分かれていた学部、学科を一つにすることで、英文学とか法学とか物理学といったような個々の分野を学ぶだけでなく、より幅広く学際的に学ぶことができるようにするものでございまして、英文学を学びたい者も、非常にさまざまなベースがあってこそ深い理解ができるものでありますので、当然、そのようなもので、英文学を学びたい人は、英文学だけではなく、幅広い知識のもとに英文学をさらに学んでいくという体制ができるものでございます。

○山本委員 そうすると、我々、簡単に考えると、自分が大学に入ったと考えると、縦割りといいますか、枠がありますね、英法だとか、英法の中の何々とかありますね。そういう枠を取っ払うということだ。それで、英文学を学びたいという人はそこで学べるということだね。そういうことだね。
 それでは次に、またもう一つは、文章の中に、私はこういうふうに受けたんですけど、先生方どうだったんでしょうかね。学問の自由、思想信条の自由はどうなんだろう。憲法で保障されているはずですよね。憲法二十二か二十三か、そこら辺に書いてあると思うんですけれども、保障されているので、我々は当然、そんなことは当然のことだと思っていたんですが、今度の大学の改革は、学問の自由や研究の自由が阻害されることがあり得るんですかね。ここら辺はっきりしたいと思う。

○大村参事 学問の自由につきましては、当然、憲法の方でも保障するということになっていますけれども、当然のこととして、大学は大学である限り保障するものでございます。
 ただ、従来、学問の自由というのは、先生の立場からの研究の自由、教授の自由。教授というのは教えるということですけれども、教えるの自由といわれておりましたが、世界的には最近、学生の学ぶ自由というのもいわれ始めてございまして、今回、この大学の構想の中でも、その考え方を含み、学問の自由を守りたいと考えてございます。

○山本委員 よく、象牙の塔にこもって世間知らずなんていうような、これはいい言葉か悪い言葉かわかりませんが、そんなことがあって、その中で学問の自由は保障されている。国家権力からの保障なんということは、我々、憲法を学んだときによく出てきましたよね。そこで、そうじゃなくして生徒が学ぶ自由、これは新しい、いわば社会学的発想的な法律の論であるとすれば、それは理解できますがね。今日、東京都でも国でもそうである、道路公団の問題だってそうであるように、行政行為が、あるいは投資行為が、すべて今反省されておりますよ。そして、今すべて再検討の対象になっている。それで、都立大学であっても、都立高校も、これは例外ではなく再検討の対象になっている。
 私は、ただ人件費を減らせ、削減せよといっているのではないんです。都からの支出に見合った効果を上げてもらうことが必要であるということなんですよ。すなわち新大学では、優秀な先生方、教員を集めて有能な人材を育てて社会に送り込んで、そして社会に貢献する自分の研究活動を積極的にやってもらいたい、こういうふうに思うんです。
 そこで、教員の人事制度について、これも先ほどからお話がありましたが、若くて成果を上げている優秀な教員にはそれ相応のインセンティブを与え、処遇する必要があると私は思うんですよ。そういう教員を見て、そうすると、ほかの教員もそれを見て刺激をされて、全体のレベルが上がっていくんじゃないかと思うんですが、どうですか。

○宮下参事 新しい大学に人材を確保するためには、ご指摘のとおり、若くて成果を上げている優秀な教員に対しましてインセンティブを与え、処遇できる制度が必要であろうというふうに思います。このため、現在、教授、助教授、講師、助手というこれまでの教員組織を簡素化し、若くても有能であれば教授になれる道を開くような制度を検討中でございます。また、任期制と年俸制を導入いたしまして、業績主義を徹底し、若くて有能な教員が適正に処遇されるような仕組みにしていこうと考えているところでございます。

○山本委員 それは私は大変結構なことだと思いますね。既に先ほど先生方からもお話が、任期制と年俸制の話がちょっとありましたんですが、今、よその日本の大学あるいは研究所で、これを導入しているところがありますか。

○宮下参事 任期制の導入例でございますが、東北大学では附置研究所の研究員に対しまして、それから立命館大学では、法学研究科など一部の部局の教員に対しまして取り入れている例がございます。
 次に、年俸制の導入例でございますけれども、高知工科大学は、今年度採用の教員及び昇任対象の教員に対しまして導入してございます。また、経済産業研究所、理化学研究所では、任期制が適用される一部の研究員に対しまして年俸制を導入しているところでございます。

○山本委員 今お話を伺うと、対象者は新規採用者に限定されているのかな。実態上制度が変わるのは相当先なんじゃないのかな。我らの新大学の場合は、既存の教員に対しても任期制や年俸制の適用をすべきである、私はこう思うんですが、どうでしょう。

○宮下参事 現在の都立の大学の教員の中にも優秀な教員がおります。こうした教員が他の大学に引き抜かれないようにするためにも、インセンティブを与える必要があろうかと思っております。したがいまして、基本的には、既存の教員につきましても任期制や年俸制を適用する方向で制度を設計してまいりたいと考えてございます。

○山本委員 私はこう思うんですよ。大学がここで変われないようでは、約二百億円もの金額を都が支出している意味がないと思う。それならいっそ大学を民間になんというようなお話が出かねないと私は思うんですね。全教員へ任期制や年俸制の導入は、恐らく強い抵抗があるかもしれない。しかし、こういう例えがあります。新しい酒は新しい革袋に、こういう言葉がありますが、思い切ってこの際採用するように、不退転の決意で臨んでもらいたいと思うんです。
 そして最後にもう一つ、私は、大学の自治や学問の自由は本当に尊重されなければならないと思う。しかし、今、司法制度の改革が叫ばれている。それは何か。裁判官が単なる法律の虫であってはいけないということなんです。そして、実社会の体験も積んだ裁判官でなければならないということで、実社会に裁判官を出すようにしている。研修させているんですよ。同じように大学の先生も、ひとり象牙の塔に閉じこもっているのではなくして、幅広い視野を持って、そして我らの都立の大学の生徒を指導していただきたいということをお願いして、終わります。
 以上です。

○中嶋委員 もう大体出尽くして、あえて質問する項目が残っておりませんが、一点だけ。
 単位バンク制、単位バンク制と本会議でも知事も答弁されていまして、知事の答弁では、どこの大学でもどんな講座でも単位としてそれは我がものとできる、非常にいい制度。ただ、単位の互換制というのはかつてありましたね。その場合は、大学同士で契約を結んで、お互い了承しなければ、それは単位の互換制は成立しない。単位バンク制というのは、もっと幅広く、どこの学校でもいいということになると、すべての大学の了解をとるのかという気がしますが、単位の互換制と単位バンク制、どこがどう違うのか、まず教えてください。

○大村参事 単位互換制度につきましては、先生おっしゃるとおり、大学間で単位互換協定を締結いたしまして、提携された科目を相互に履修することによりまして、他大学の科目であっても単位として認めるというものでございます。
 今回単位バンクとして考えておりますのは、別に他大学の協定というものを必ずしも前提としておりませんのが一つと、それから、その学生のキャリア形成に必要な科目という部分でございますので、そういうふうな部分について、新しい大学がキャリアの形成に必要だと認めたものにつきましては、他大学の科目、その他の経験を有用な経験として単位として認めるという制度でございます。
 そういうふうな意味では、教育機能が極度に集中して、さまざまな分野の学問ができる、あるいはeラーニングなども整備されている大都市の東京でこそ最も発揮できる、そういう制度だと考えてございます。

○中嶋委員 これから詳細な制度の整備はするんでしょうが、ぜひ魅力ある制度にしてもらいたいと思います。
 全部出ました。例えば、私のところにも膨大なメールが来ておりまして、さまざま質問したいことがございましたが、各委員の質問で出尽くしました。最後に、要望だけしたいと思いますが、およそ三十年前、都立大学経済学部A類の劣等生であった私が大学改革を議論するのは、大学にとって不幸か幸せかよくわからないところがありますが、財政環境も含め、時代は変わった。したがって大学も変わらざるを得ない。これは必然的な流れだろうという気がいたします。つまり、東京都があえてこういう環境の中で大学を保有する意味が問われている、こういっても差し支えありません。したがって、改革はこれは推進せねばならぬ、こう思います。
 ただ一点、先ほど答弁がありましたが、すべてに大都市、大都市という冠がついておりました。心配なのは、大都市というすべての冠が大学を矮小化しないか、そういう心配がちょっと聞いていてありました。必要条件ではあるけれども、決して十分条件ではないと思っておりますので、大都市の冠は必要だけれども、それで大学改革を矮小化しないように、ぜひともご注意をお願いしたいと思います。
 また、この大学改革の論議の初めに、いろんな声が聞こえてまいりました。知事周辺では、あんな大学は要らないなんて声が上がっているとか、特定党派の拠点校だなんという話がございました。もしもこうした話をきっかけに改革の議論が進められるのであるならば、これは非常に不幸なことだと。また、今後、大学改革の議論が政治性や党派性を帯びたら、これまた不幸なことだと。ぜひそうならないように注意をしていただきたいというふうに思います。
 いずれにしても、東京都があえて大学を保有している意味が問われてきた、こういう時代です。で、名称に関しては、もしも東京都が保有する大学の意味をこれから追求するのであったならば、それこそまさに東京都立大学で十分だと、僕は個人的には思っておりますが、それはどこか記憶の片隅にとどめおいてください。
 ここからなんですね、劣等生の僕がいうのはちょっと口幅ったいのはね。都立大というのは、かつては、意欲のある学生にとっては極めていい環境だったんですね。本当に勉強するやつは勉強しておりました、私は違っておりましたけれども。学生にも教員にも、それから研究者にも、そして市民にも一定程度の信任と信頼がございました。これは都立大学のやっぱり財産でしょう。で、知事は永遠じゃありません、かわります。我々議会も構成は変わります。また、大学の職員もかわるでしょう。学生もかわる、四年たてば、かわっちゃうわけだから。人は皆かわる。だけど大学の事業は、これは息の長い事業ですから、ぜひとも腰の据わった取り組みと、腰の据わった取り組みと、都民に新しい財産を残す、そういう覚悟を決めた取り組みをぜひともお願いをしたいと、かつての都立大の劣等生の切なるお願いをしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○遠藤委員 質問、最後のようでありますけれども、皆さんから出ていたように、大分多くのファクスとメールが来ております。秋田あるいは、都内はもとより関東周辺、大分多く来てますけれども、学生や大学関係者のファクスやメールは、やはり学部がなくなるということの不安が多いんですね。そういうことに対する反対、あるいはその不安を解消してほしいという要望のようなものが非常に多いのであります。特に、人文系からの不安と反対意見が多い。その中では、今回の改革が学生にも不安を与えているようであります。都立大人文学部の教授会の抗議声明文も見させていただきましたけれども、私から見ると、大変学生に不安を与えるような文があります。なぜこの人文系だけにこういう不安や反対が多いのか、もしおわかりになったら教えてください。

○大村参事 確かに、今回構想を発表しました後、都立大学以外の大学ではすぐに賛意が示され、また、都立大学の中でもほかの学部では、それほど強いいろいろな意見は出ていないところで、人文関係のところからのいろいろな情報が先生方のところへ行っているというふうに聞いてございます。
 直接お話ししたわけではないのであれでございますけれども、人文関係については、今回、学部設計を大きく変えるというふうなところに対する考え方の違いがございまして、それらをもとに非常に不安を示しているところもあろうかと存じます。
 私どもといたしましては、今回、学部設計に当たりまして、大きくくくりまして、なるべく幅広い教養、例えば文学につきましても、欧米関係の文学だけではなくてアジア、例えばイスラム文化圏、あるいはラテンアメリカといった部分の文化もベースとして必要であろう。そういうふうなものも踏まえまして、幅広い分野の教養をベースに、そして、それらの中から、それなりの人格形成、人間教育が達せられるのではないかと考えてございます。
 それに対しまして、縦割りの学部、学科を構えていないと何か心配だというところもあるのか、ちょっとその辺はよくわかりませんが、このあたりのご不満あるいはご不安があるのではないかと存じます。
 ただ、その不安、不満を、例えば抗議声明文という形で人文学部教授会が人文学部の掲示板に張っているようでございまして、それが一層学生の不安をあおっているという部分もございます。
 学生に対しては、現在の学部学生さんに対しても、大学院の学生に対しても、今のカリキュラムは新しい大学ができた後も保障しますというふうなことでございますので、無用な不安をあおることについては、これは行為としておかしいのではないかと思います。ほかの大学などは、学長が不安のないようにいろいろ説明しているということも聞いておりますので、そういう中でちょっと異常な行動ではないかというふうに考えてございます。

○遠藤委員 この抗議声明文を構内に掲示したということに対して、それについては何か対応策をとられたんですか。

○大村参事 これについて特に、教授会が自分たちで出したものでございますので、対応ということはございませんが、逆に不安のないように、現在いる学生さんに不安のないように、いろいろと措置をしてもらいたいというふうに、大学の方には申し入れていきたいと存じます。

○遠藤委員 そういう不安がないように、しっかりと努力していただきたい。
 特に、今回は五十年に一回の教育改革でありまして、それについて不安とか反対があると思うのでありますけれども、改革には痛みというものは、あえていえばつきものであります。しかし、その痛みを少しでも和らげる必要があるというふうに私は思っております。教育の本分として、学生にそういった心配をかけてはいけないというふうに思っております。大学管理本部として、しっかりと理解をしてもらい、学生に不安を与えないような改革を進めていく努力をすべきと思いますけれども、本部長の見解をお伺いします。

○山口大学管理本部長 先ほどお話がありましたように、昭和二十四年の都立大学設立以来五十四年たちまして、既にその間、南大沢に移転後の大学改革だと思いますので、それぞれのところに不安なり、何といいますか、期待なりもあるのかと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたように、例えば文学部の話がありましたけれども、今、英文とか仏文とかドイツ文学とか、昔、西欧のキャッチアップみたいのをやっていたところですけれども、現在はやはり多くの委員の方から、人口の稠密性ということでの共通点としては、アジアにもう目を向けなきゃだめだ、あるいはイスラム文化を理解しなければこれからの社会はだめだというご意見も伺っています。
 したがって、そういう中で、どうしても文系のところについては見直しをしなければならないわけでございますので、そこに対して私たちは、新しい時代に適応できる大学として見直しを果敢にやっていきたいと思っています。
 それから、お話にありましたように、先ほどもいいましたが、科学技術大学、保健科学大学、短期大学と、大学は四つあります。それぞれのところの学長さんにはご賛同を得ていますし、ごく一部の学生に不安をあおるような行動がもしあるとすれば、非常に残念でございますけれども、我々も力を合わせて、それぞれに理解のある多くの方と、新しい大学をつくっていきたいと思っています。
 現大学の学生については、現行の教育課程のもとに責任を持って教育することにしておりますので、その点は、先ほどの掲示板の問題もありましたけれども、各大学に、私の責任をもって周知を図ってまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、一部の反対する意見にとらわれることなく、新しい大学構想に対して強力に進めてまいりたいと思っております。

○遠藤委員 どんないい改革といいますか、そういうものであっても、関係者に十分理解をしていただかなければ、その成果が出ない。要するに、絵にかいたもちとよくいわれますけれども、そのとおりになっちゃう。したがって、理事者においてはしっかりと説明責任を果たしていただきたい。そして、学生あるいは大学関係者に理解を得て、信頼関係を持ってもらう。そういうことで、この新大学構想、大都市の大学としての使命を持つ大学が実現していくだろうというふうに思います。その使命が果たせるというふうに私は信じておりますけれども、それには、繰り返しになりますけれども、皆さん方のしっかりとした説明が何よりも必要であろう。今まで、きょうの質疑を聞いていても、やはり説明が不十分であったから混乱を招いているのかなというような部分も多分にあります。ぜひ皆さんの努力によってこの構想の実現を、私は期待していますし、これからの非常に変化の激しい社会、そしてまた先ほど少子化というのが出ておりましたけれども、そういった中で、しっかりとした教育を受けてこの日本をしょって立つすばらしい学生をぜひ輩出していただきたい。どうぞ、そういった皆さん方の責任といいますか、そういうものを十分果たしていただくことを強く要望して、質問を終わります。

○渡辺委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますけれども、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十八分散会

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