文教委員会速記録第十号

平成十五年七月三日(木曜日)
第三委員会室
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長渡辺 康信君
副委員長服部ゆくお君
副委員長河西のぶみ君
理事執印真智子君
理事中嶋 義雄君
理事遠藤  衛君
福士 敬子君
小美濃安弘君
野島 善司君
石川 芳昭君
大西 英男君
相川  博君
曽根はじめ君
山本賢太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
理事斎藤 尚也君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長臼井  勇君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長鈴木 雅久君
教育政策担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山川信一郎君
参事齊藤 一男君
参事井出 隆安君
参事瀧川  清君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 教育庁関係
  契約議案の調査
  ・第百六十六号議案 都立葛飾ろう学校(十五)改築工事請負契約
  ・第百六十七号議案 都立大塚ろう学校(十五)改築工事請負契約
  PFI法に基づく議案の調査
  ・第百七十四号議案 多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業契約の締結について
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百五十号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百五十一号議案 東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項
  ・東京都心身障害教育改善検討委員会の中間まとめについて(質疑)
  ・東京教師養成塾(仮称)の設置について(説明・質疑)

○渡辺委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○渡辺委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○渡辺委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案及びPFI法に基づく議案の調査、付託議案の審査並びに報告事項に対する説明聴取、質疑を行います。
 契約議案及びPFI法に基づく議案について申し上げます。
 契約議案及びPFI法に基づく議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件につきましては、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年七月二日
      東京都議会議長 三田 敏哉
文教委員長 渡辺 康信殿
議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
  記
1 契約議案
 第百六十六号議案 都立葛飾ろう学校(十五)改築工事請負契約
 第百六十七号議案 都立大塚ろう学校(十五)改築工事請負契約
2 PFI法に基づく議案
 第百七十四号議案 多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業契約の締結について
3 提出期限 平成十五年七月四日(金)

○渡辺委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案及びPFI法に基づく議案の調査を行います。
 第百六十六号議案、第百六十七号議案及び第百七十四号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る六月十九日の事前説明において要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 今回要求のございました資料は五件でございます。
 お手元の文教委員会資料(事件案)の一ページをお開き願いたいと思います。1、多摩地域ユース・プラザ(仮称)の財政負担額の比較でございます。表の区分欄にございます支出、収入のそれぞれの項目につきまして、直接執行の場合とPFIの場合の財政負担額について比較してお示ししてございます。
 二ページをお開きいただきたいと思います。多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業に係る入札予定額と落札金額の経費内訳でございます。表の区分欄にございます経費、収入及び差し引きにつきまして、入札予定額及び落札金額をお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。3、都立八王子高陵高校の新築工事費でございます。新築工事(建物)、給水衛生ガスその他設備工事など五項目の工事内容ごとに、金額と工事時期をお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。4、府中青年の家の利用状況でございます。利用状況につきまして、宿泊利用者、日帰り利用者別にそれぞれ団体数、人数を、平成十年度から平成十四年度までの過去五年分についてお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。5、多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業に係る青年の家利用者への対応でございます。これまでの経過、今後の予定といたしまして、平成十年十二月以降本年度まで、今後の予定を含めまして、利用者への対応とその内容をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山本委員 まず最初に、昨日、一昨日の本会議場で議員各位から教育委員会へ鋭い指摘があり、また要望もありました。それに対して横山教育長は、淡々というか、堂々というか、粛々というか、いろいろ答えておりましたが、改めて教育行政の難しさといいますか、大変さを痛感させられたわけであります。
 今日、多様な価値観を持つ人が多い中で、例えばの話、最高の技術をもってしてでもつくり得ない人間の、精巧な人間の性別を平準化して、下等な単体動物のカタツムリの雌雄同体をうらやむようなばかげたことを、私にいわせればばかげたことを最近主張している人々もおる中で、今日、そういった各人各様のいろいろな意見を持っている中で、教育行政は大変難しいというように思いましたので、改めて教育長初め各職員の皆さん、しっかり取り組んでいただきたいということをまずもって要望しておきます。
 次に、私は、多摩地域のユース・プラザの整備事業について、今、要求資料がありましたが、これについて幾つか質問させていただきたい。というのは、かつて区部のユース・プラザ、夢の島のあれについても私は質問いたしましたので、関連がありますので、ご質問させていただきたいと思うんです。
 教育庁においては、多摩地域のユース・プラザは二件目のPFI事業でありますね。ご承知のようにPFIというのは、平成十一年の九月に法律が施行されて以来、全国でも百件程度の事業が導入が図られたといっておりますが、実際、契約されたのは四十件程度だろうといわれております。仄聞いたします。この意味において、まだ未開な、これからの事業分野であって、今後いろいろな創意工夫が図られなければならない事業であると思います。
 私は、昨年二定で区部ユース・プラザの案件を審議した際に、応募業者が一者であった状況を踏まえて、今後は、たとえ応募が一者であっても、厳正にその内容を審査し、適切な落札者が決定できるように基準値を見直すように指摘をさせていただきましたが、今回、その点についてはいかがでございますか。

○瀧川参事 昨年の議会でのご指摘を踏まえ、今回のユース・プラザの審査にありましては、あらかじめ定める落札者の決定基準において、落札できるために必要な最低の得点を設定いたしました。これにより、応募が一者の場合はもちろん、複数の提案であっても、出された提案が一定以上の水準でなければ落札できないようにいたしました。また、評価基準を変更し、入札価格を考慮しながらも、性能面でよりすぐれた提案を評価できるような工夫を行いました。
 具体的には、基礎となる点数と加算する点数の割合を変更し、事業者の工夫やサービス水準の向上がより以上反映できるように、加算する部分の配点を多くし、事業者の意欲的な提案にこたえるようにいたしました。

○山本委員 ただいま、性能面という言葉がありましたが、性能面の競争を促すことはPFI本来の趣旨でありまして、すなわち、民間の創意工夫やノウハウを発揮させることを重視する、その競争によって、より質の高い提案が得られるものということであると思います。
 そこで私は、区部のユース・プラザと今回の多摩地域のユース・プラザの置かれている状況を対比してみました。そして質問いたしますが、前者は、都心や臨海部に近くて、かつての夢の島体育館のあった、総合体育館を生かした文化・スポーツの施設でありました。一方、後者は、今回の多摩地域のユース・プラザは、緑が色濃く残る多摩の大自然の懐の中にあり、立地や周辺の環境、それから交通条件等に視点を置いた整備が必要であると思いますが、今回の提案にはどんな特色がありますか。

○瀧川参事 国内で初めて学校施設をリフォームして使うRO方式、改修運営方式のPFIとなってございます。
 今回の提案は、学校という既存の施設の特性を十分に生かした施設構成と、社会教育の領域で長い歴史と経験を持つ運営会社による多様な事業や活動が提案され、中身の濃いプランが示されてございます。
 また、多摩地域の自然を生かすということで、ビオトープ、畑、コンポストセンター、ツリーハウスなど多様な屋外施設を整備し、自然体験や野外活動、環境学習などに力を入れた提案となっております。
 施設整備については、当然バリアフリーに配慮したものとなっております。宿泊や室内活動はもちろん、緊急時の避難や野外活動の散策等において、障害の有無や年齢に関係なくあらゆる人々が使いやすいように配慮した提案がなされてございます。
 さらに、閉校する都立高校の校舎を活用することに配慮し、一部の教室を卒業生たちの思い出の場としてほぼ現状どおり残しながら、低廉な活動施設として上手に活用しております。
 事業者である京王電鉄グループは、公共交通事業を中心として、古くから、多摩地域に根差すさまざまな生活サービスを展開してきております。そうした実績や企業グループのネットワークを生かし、グループ全体で総力を挙げて多摩地域ユース・プラザを支えていくことが表明されております。

○山本委員 ROとは何ですか。また、ビオトープとかツリーハウスとか片仮名文字が、今はやりの文字が並びますが、これは何ですか。

○瀧川参事 わかりにくい片仮名語が多くて、大変申しわけございません。
 ROとは、改修を意味するリハビリテートと運営を意味するオペレート、それぞれの頭文字をとった用語でございます。これまでのPFIでは、建設を意味するビルド、これのBを使ったBOという方式が一般的でございました。多摩地域ユース・プラザは、先ほど申し上げたように新築ではございません。既存の建物を改修して転用するやり方でありますので、施設の改修業務と運営維持管理業務を行う、その意味でRO方式といたしました。
 ビオトープとは、生物が生息できる空間のことで、多種多様な生物が自然のままに生息、共存できる環境を整備したり保存したりするものでございます。多摩地域ユース・プラザの提案においては、雨水をためて生態系を再現した池をつくり、自然観察や環境学習などに活用する計画でございます。
 また、ツリーハウスとは、端的にいえば木登り小屋といったようなものでございます。ユース・プラザの敷地の一角の高い樹木の上に小屋のようなものを設置し、木に直接触れたり木の上から眺めたりする木登りの楽しさ、あるいは木に囲まれた、いわば子どもの秘密の基地のような楽しさを演出する施設となります。
 ツリーハウスは、文字どおり木の上の家として、この施設における野外活動のシンボルとなると考えております。

○山本委員 わかりました。
 このユース・プラザの利用者にとって何が大事かというと、魅力のある、使いやすい施設であるということがやっぱり第一要件だと思うんですが、同時にまた、料金が安いということも利用者にとっては大事な関心事、一番大事な関心事かな、であると思います。
 たしか区部ユース・プラザの料金が定められていると思うんですが、今回の多摩地域のユース・プラザの料金の設定はどうなっておりますか。

○瀧川参事 事業者は、料金の設定に当たりまして、独自に調査や聞き取りを行い、近隣にある類似の宿泊施設の料金や、想定される利用者層の負担力を踏まえた料金を設定してございます。総じて、区部と比較いたしますと、どの施設も安い設定となっております。
 主な宿泊室の一泊の料金は、今回は、少年が千五百円、青年が二千二百円、一般が三千円であり、区部の少年が二千円、青年が三千円、一般四千円に比べ、いずれも安い設定になっております。
 スポーツ施設にありましては、学校体育館の活用であることから、本格的な体育施設があった区部と比べると半額程度の水準となっております。
 文化学習施設については、区部と同水準の部屋もあるものの、既存教室を活用した極めて低廉な活動室も設置されております。

○山本委員 利用料金に区部と多摩地区ではちょっと差が、格差があるようですね。多摩格差という言葉がよく使われるんですが、これは何ですか、区部格差ですかね。まあ、そんなことでやってもいいと思うんですが、料金は利用者にとって、利用するかどうかを決める大きな判断材料であります。特に青年の家は、かつての青年の家は、八王子のあそこなんかもそうだったんですが、極めて安い料金だったですね。それらと今度の料金と比べると、大きな変化であると思う。実際には割引料金制なども実施されると思うんですが、利用者のニーズに合ったサービスや経営方法を具体化する中で、より適正な料金で施設を利用していただけるように、事業者との調整に当たっていただきたい。お願いしておきたいと思う。
 この間、新聞に出ておりましたね。東京湾のアクアラインの料金が高いから通過車両が少ないのか、通過車両が少ないから料金を高くしなきゃならないのか、鶏と卵みたいなこともありますよね。それらのことを踏まえて、余り料金が高ければ行かなくなるだろうし、十分ひとつご考慮を賜りたいと思うんです。
 ところで、多摩地域のユース・プラザは、周辺の施設や地元とはどんなかかわり方を持とうと考えておりますか。

○瀧川参事 多摩地域ユース・プラザの周辺には、高尾山を初めとした豊かな自然環境がございます。また、すぐ近くには、少年野球やサッカーができる川町の運動場や、夕やけ子やけふれあいの里など八王子市の施設や、国の指定した八王子城の跡など、名所旧跡等が多数ございます。
 周辺施設との関係ですが、落札者は提案に際して、市役所や周辺施設に直接取材等を行い、事業連携の可能性を調査いたしております。その結果、ユース・プラザを核として、周辺地域の自然環境と各種施設とが一体のものとして地域全体の魅力を高め、集客向上につなげていくことが期待できるものと判断しているようでございます。
 また、開設後は、施設運営のアドバイザー機関として、地域住民を交えた運営委員会を設置することや、地元から要望があった、選挙の際の投票所としての機能の継承などが予定されております。地元との対話、連携を強く志向したものとなっております。

○山本委員 どうぞ、地元が大事、地元が、あのユース・プラザはいいよ、行ってごらんなさいというような言葉が出ていくと、利用者がどんどんふえてくる。地元が鼻も引っかけないということもありますが、そうであっては困ります。社会教育施設として、区部と多摩に二つのユース・プラザが本格的な軌道に乗ったということになりますが、この二つの施設が、先ほどいいましたように、都民に喜ばれ、将来にわたって広く利用されるように、私は心からお願いをしたいと思うんです。
 考えてみますと、顧みると、昭和三十年ころ、全国的に雨後のタケノコのように、青年の家を我も我もとつくり始めました。しかし、年を経て、経年によってそれらの施設は老朽化し、そして利用する人々のニーズが変わってき、加うるに今日の財政的危機の中で、どうしようかと。これは、いわば全国的に迷っている事柄だと思うんです。東京都がいち早くPFIを利用して新たな施設づくりに着手したということは、全国的にも画期的な出来事であろうと私は思います。そういう意味において、教育庁においては今後とも、パートナーである京王電鉄ですか、この民間とのパートナーシップに基づいて確実に事業を進めて、みんなに利用され、喜ばれるような施設になっていただくようお願いをいたしまして、終わります。
 以上です。

○比留間総務部長 大変申しわけありませんが、先ほどご説明申し上げました要求資料の中に一部誤りがございましたので、訂正をお願いいたしたいと思います。
 文教委員会資料(事件案)の一ページ、1、多摩地域ユース・プラザ(仮称)の財政負担額の比較でございますが、ここに記載してございます数値に誤りがございました。深くおわび申し上げたいと思います。
 お手元に配布してございます資料につきましては、差しかえをお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○曽根委員 多摩地域ユース・プラザの契約にかかわる事件案について、先ほど質問に準備しようと資料を見ていましたら、最初の質問で使う資料の数字が、どうも去年の区部プラザの数字だということに気がついて、指摘をさせていただきました。この後、質疑が数々のテーマで夜の八時近くまでかかるというような予定なので、時間の省略のために前もって用意していただきました。
 では、新しい資料を使って質問させていただきます。
 昨年の第二回定例会で、PFIによるユース・プラザの第一号として、夢の島体育館を取り込んでの区部ユース・プラザの契約が審議され、私も質問いたしました。その中で、我が党は、以下の点で問題点を明らかにして、このユース・プラザの整備は当然だが、都のPFIのやり方には反対をしてまいりました。一つは、ユース・プラザ自体が、青年の家とは別に計画をされてきた経過がありながら、結局は統廃合の代替施設にされてしまい、しかも区部の場合、残された水元青年の家の利用者を吸収できるとは思えない場所、また高い料金が設定されたことです。二つ目に、新たに取り組むはずだった引きこもりなどの相談事業や、社会教育の企画事業なども事実上できないか、もしくは規模を縮小せざるを得ないことが明らかになったこと。三つ目に、活動室が当初の計画の三分の一程度、八つしかなく、二百五十人の泊まり定員に比べて、日帰り利用や研修向けはほとんど期待できず、限りなくホテルに近いものになってしまうこと。そして、PFIによる建設や運営の事業費も、公共で行った場合とほとんど差がなく、財政的メリットも見られないこと。こうした点を指摘してまいりました。
 今回の案件、多摩のユース・プラザについては、確かに料金は区部よりも若干安く、また財政的にも、今新しく資料が出てきたように一〇%程度下げるとか、競争入札になったことだとか、会議室の数など、また二十年の事業を十年にしたことなど、いろいろ手だてを講じたように思います。
 しかし、昨年と共通した社会教育施設としての問題点、それから多摩のプラザに特有の問題もありますので、絞って質問いたします。
 一つは、今回、PFI法に基づく、公が行った場合と民に任せた場合の比較考量が定められていますが、この比較考量の資料をいただいたわけですけれども、これが、直接執行の場合が実質財政負担で七十三億、現在価値ベースで六十億、PFIで実質財政負担六十四億何がしで、現在価値五十三億何がし。これが、実は直接執行の場合の金額というのが、今回の五社が入札に応じたという契約の入札の予定額として提示されている。そして、PFIの場合の資料の(B)ですね、この金額というのは、東京都が試算して、民間がやればこの程度だろうというふうに試算した額ではなく、京王電鉄その他のJVによる落札価格そのものが比較の表に、ここに出てきているということだそうです。そうすると、去年のやり方と全然違うなと。
 大体、PFIにするかどうかを判断するために、公でやった場合は幾らかかるか、それから、民間に任せた場合は東京都が考えてもこれぐらいは下がるよということがあって初めてPFIの入札にいくというふうになっているわけですが、最初から落札額を比較の対象に出してくるというのは、最初からPFI決まっているよということが前提にあったとしか思えないんですが、どうしてこのような比較のやり方をしたのか。
 それから、公がやった場合の金額を入札の提示額にする、予定入札額にするというのも前回と違うと思うんですが、その点の考え方をお聞きしたいと思います。

○瀧川参事 PFI法等では、PFI事業の選定に当たりましては、民間にゆだねることによりまして、事業期間全体を通じた財政負担の縮減を期待できること、あるいは、財政負担が同水準の場合にもサービス水準の向上が期待できることなどを客観的に評価、検証して、PFIで行うということを公表することが定められております。
 これに基づき、多摩地域ユース・プラザについても、先行する区部ユース・プラザ同様に、公民の比較は行いました。その結果、公共が直接実施する場合に比べて五・四%程度の財政負担の縮減が図れることが見込まれました。これにより、PFI事業として実施することを決定いたしました。
 一方、入札予定価格の決定につきましては、公共直営の額でやるか、あるいは民間のPFIの想定でやるか、どちらでやるかにつきましては、特に規定やガイドラインはございません。お話にもありましたが、区部はPFIの基準でやったわけですけれども、今回は、公共が直接実施した場合の想定額を入札の予定価格として設定いたしました。
 その理由でございますけれども、それは、できるだけ多くの入札参加を促し、競争効果によりまして、結果的に低い額で良質な提案を得ることができると判断したためでございます。当初のVFMの見込みに対して、現実に入札で実現したバリュー・フォー・マネー、VFMは約一一%となりました。
 ちなみに、公共の金額を入札の予定価格とする例は、他の自治体のPFI案件でも数多く見られるところでございます。

○曽根委員 ほかの自治体に例があるかどうかはともかくとして、東京都としてPFIは前回が第一号、本格的に運営まで含めて委託するのは第一号で、今回は第二号ということになります。そういう点では、PFI法の拡大解釈を行うのではなく、本当にこれが、だれが見ても民間、しかもPFIで行う場合の方がメリットがあるんだということが明らかになる、そういう厳しい比較考量をすべきだという点からも、早速一年でこれだけ後退しているということは指摘せざるを得ません。これでもし東京都が考えたよりも高い金額で入札されたらどういうことになるのかということになります。たまたま結果オーライで一〇%以上下げてきたということだから、今回はこれを直接比較に出してきたんですが、東京都の比較でも五%ちょっとしか差がないわけですよね。で、私が前に指摘したように、税の還流まで入れて、直接教育庁の収入にはならないものまで含めて、やっとそこそこの比較ができる程度の差がつくという程度ですから、私はこういう問題、財政的な点でも引き続き問題が大きいということをまず指摘したいと思うんです。
 それから、先ほどの質問にもありましたが、このユース・プラザについては、都立八王子高陵高校というコース制の都立高校を廃校にして、まだ三年生が今勉強しているわけですが、来年の春廃校になる、その跡を使うわけです。地元の声はもう当然ご存じと思いますが、もともと十五年前に八王子高陵ができるときには、コース制ではなく普通科の都立高校にしてほしいということだったんですね。ところが、これが新しい時代の流れだということで、情報化、国際化の流れに乗ってということで、それぞれの科目、コースを設定したコース制になって、十年ちょっとたったら、九九年の統廃合計画でこれは廃校ということになったわけで、そういう点でも地元にはいろいろ意見があるわけです。反対運動もあったというふうに聞いています。二万人以上の署名も集まって、とにかく学校を残してほしいという地元の声があった。お金も相当かかっているわけです。ここには建設費二十五億円が出ていますが、その前に土地を三十億円近くで買っているわけですよね。五十億円以上のお金をかけてつくった高校をつぶして、また二十数億円の改修をやってユース・プラザにするという経過になるわけです。
 したがって、地元の住民の皆さんの要望は、特にこの多摩ユース・プラザの場合は尊重しなければならないと思いますが、そういうことを酌んだことがされているのかどうか。
 特に、率直にお聞きしますけれども、地元の強い声、最大の声というふうに聞いていますが、ここにあるプールですね、これを残して、地元の方がユース・プラザの利用の一部としてプールが利用できるようにしてほしいという声が強かったと聞いていますが、実際に計画には入っていないとお聞きしているんですが、いかがでしょうか。

○瀧川参事 地元との関係でございますが、現在、八王子高陵高校は、選挙の際、投票所として利用されているほか、災害時における緊急避難場所として指定されております。今回の落札者の提案では、いずれの機能も引き継ぐことが表明されております。また、地元の方々にも楽しんでいただける陶芸等の活動プログラムや、地元を意識したイベントなどの計画も提案されているなど、地元の方々に親しんでいただけるための配慮がなされております。これらは、いずれも昨年の夏でございますが、地元の方々にユース・プラザの整備計画を説明させていただいた折に、私どもがご要望として受けたものでございます。
 また、事業者は、開館後も施設運営のアドバイザー機関として、先ほど申し上げました運営の委員会というのを組織して、地域の方々が施設運営にかかわる仕組みを提案するなど、地域の方々との対話を特に重視した形で運営すると考えております。
 次に、地元から強い要望がありましたプールについてでございます。現在、高校にあるプールにつきましては、ユース・プラザに機能変更することにより新たに必要となる諸施設を精査する中で、必ずしも今回のユース・プラザに必須の施設とはいえず、また現状のままでは、年間の特定の季節に限られますから、想定の施設には入れませんでした。
 また、地元の要望として、温水プールの要望があったわけでございますが、温水プールの設置につきましては、多額の建設費、維持管理費がかかることから、採算面も考慮いたしまして、PFIの入札に際しまして都が整備を義務づける施設とは位置づけませんでした。
 なお、実際の提案はありませんでしたが、事業者の判断や工夫により温水プールを設置、運営することは妨げてはおりません。

○曽根委員 結局、教育庁が積算見積もりをし計画をする段階で、地元の要望があったにもかかわらず、プールは外して提示をしているわけですよね。で、事業者が提案するのは妨げないというけれども、事業者の方は民間ですから、やっぱりペイしないもの、年間の維持費がかかるものについては落としてくるというのは、これは民間の鉄則です。せっかくこの高校の中に、これはこの間行って撮ってきたんですけれども、建物の屋上に設置されているわけですよね。今でも十分立派に使えるプールなわけで、これをわざわざつぶして、民間の方々が気軽に利用できる施設の一つになるはずだったものをなくしてしまうというのは、これは民間のPFIにしたことの一つの大きな弊害になってしまうと私は思います。
 それから、もう一つお聞きしたいんですが、この事前にいただいた図面では、学校のグラウンドの中に植栽を設けて原っぱみたいにするというふうになっています。つまり、グラウンドをなくしてしまうわけなんです。グラウンドを使いたいという団体があった場合は、隣にある市営の、八王子市営の川町グラウンドというグラウンドを、利用者に施設の方からあっせんするという計画だとお聞きしました。ちょっとこれは話が違うんじゃないかと思うんですよ。つまり、もともとこの高校の中にグラウンドがあったものを使えないようにしてしまって、利用者が使いたいグラウンドは市営のものをお借りくださいと。これは全く筋違いじゃないかと思うんですが、こういうことを計画の中に織り込んでいるんでしょうか、事業者は。

○瀧川参事 原っぱについてでございますが、事業者提案によると、原っぱは、屋外スポーツ施設としても位置づけられております。野球やフットサルなどで利用することは可能でございます。また、ユース・プラザに隣接して、お話に出ましたけれども、すぐ近くでございます、少年野球や少年サッカーのできる八王子市の川町運動場があり、連携、調整をこれから図っていきたいと考えております。
 相互利用を含めた連携の具体的な内容、方法等については、今後、八王子市と協議してまいりたいと考えております。

○曽根委員 この二つの問題は、いずれも民間事業者は、自分のところのコンセプトで、できるだけ維持費の少ない、しかし利用者にとって、民間事業者から見て売り物になるといいますか、お客さんを呼べる施設はつくるけれども、地元の住民の方が気軽に利用できる施設としてのプールや、せっかくサッカーもできる、野球も本格的な試合ができるグラウンドがありながら、これをなくしてしまうという計画になっている点を指摘せざるを得ないと思うんです。
 あと、区部のときに問題にしましたけれども、もともとユース・プラザが負うとされていた青少年のさまざまな教育相談、社会的引きこもりも含めた心の悩みの相談事業、それから、青年の家、今、府中の方が残っていますが、ここで取り組まれている年間九つの企画事業、こういったものが、区部の場合は年間七百万円程度の社会教育予算で二十年間やるというお話でしたが、八王子のこのユース・プラザにきちんと取り込めるとは思えないわけなんですが、この社会教育の予算など、また規模などについてはどう考えているんでしょうか。

○瀧川参事 ユース・プラザの社会教育事業についてでございますが、社会教育事業につきましては、その時々の行政課題に即した都の予算と責任で都民に提供していきたいと考えております。
 具体的には、事業者が社会教育主事の資格を持った者を配置して、事業者が実施していくことになっております。
 既に廃止した多摩地域の青年の家では、これまで、野外活動事業あるいは自然体験事業、体験型の環境学習事業、ボランティア体験事業など数多くの主催事業を実施し、成果を上げてまいりました。多摩地域ユース・プラザでは、多摩地域の青年の家が行ってきましたすべての主催事業を実施することは困難であると考えております。しかしながら、青年の家が長年にわたって培ってきました知識やノウハウをユース・プラザに継承するとともに、社会の新たな要請も考慮に入れながら、魅力ある社会教育事業に再構築し、より充実した内容で実施してまいりたいと考えております。
 それから、社会教育事業に係る予算でございますけれども、区部と同じように、年間で約七百万ぐらいを予定してございます。

○曽根委員 やっぱり七百万程度ですと、府中の青年の家の事業さえ取り込みは難しい、実際、全部受け継ぐことはできないし、ノウハウを受け継ぐという程度にしかならないということは明らかです。したがって、青年の家の廃止後のいわば代替的な役割という点でも、私はやっぱり機能が落ちざるを得ないなと思います。
 最後に、この運営、PFIは総額で全部お任せするわけなので、ちゃんと利用者が利用しやすい、人が集まる施設になるのかどうかという点でちょっとお聞きしたいんですが、いただいた資料の二ページに事業者の中での内訳が書いてありまして、工事費のところでは、東京都が三十一億何がしの金額を設定していたのを二十二億まで下げてきたということで、そうすると、全体で六十四億ですから、約四十億円が建設費以外の分野、つまり維持管理費に使われるわけですよね。で、実際の利用の割合なんですけれども、宿泊者で、事業者はどれぐらいの宿泊利用があるという割合を設定しているんでしょうか、東京都の方はどう考えていたんでしょうか。

○瀧川参事 多摩地域ユース・プラザの利用の見込みということでお尋ねかと思います。
 宿泊の見込みとして、年間二万四千八百人を事業者の方は見込んでございます。利用率は、四〇%弱という率でございます。ちなみに、府中青年の家の十三年度の利用率、これが約四六%程度でございます。

○曽根委員 都の方は、このユース・プラザの利用率については、積算する際に、これは利用料金十八億八千三百万円になっていますが、何%ぐらいを考えていたんですか。

○瀧川参事 都が多摩ユースの利用率を見込んだのは、六割で見てございます。

○曽根委員 民間の方は、料金を下げた上に利用率も低く設定してきた。これは、民間の事業者はその分リスクを負うから、当然、周りのホテルその他の類似施設の状況を見て判断したということになると思うんですが、よく考えると、非常にこのPFIの落とし穴があると思うんです。つまり、四割の宿泊率でこういう公共的な施設が運営されていいのかという問題です。東京都でさえやっぱり六割ぐらいはお客さんを入れたいと考えていた。それを四割に落としてきた。この四割がさらに減った場合どうなるかということなんですよ。
 そうすると、私ちょっと考えてみたんですけど、十年間で維持管理費に四十億でしょう。年間四億、これは自動的に入ってくるわけですね、事業者には。で、年間の泊まり客が二万四千八百人程度を考えているわけですから、一人当たりについて一万五千円ぐらいのお金が、泊まり客一人分ですよ、東京都からついているという格好ですよね。本人が払うお金は二千円前後ですよ。そうすると、この収入が、ここは十年間で十二億程度になっていますけど、これが十億以下になったとしても、都からの補助金というか、お金は自動的に入ってくる。泊まり客は減っても、事業者としては、その分だけ掃除だとか従業員だとか経費が落ちる。つまり、泊まり客分については実態は赤字ですから、その分を埋めているのが東京都からのお金ですから、お客さんをふやそうという力が、エネルギーが事業者にはわかないなと思うんですよ、十年間のお金が決まっているんですから。
 だから、これは公共的な施設としてPFIでやることが--もう事業者も四割しか埋まらないだろうといっている。さらにそれよりも落ちた場合も、ペナルティーないわけですよね。もう閑古鳥が鳴いたとしても、自動的に毎年四億は補助が出るわけですよ、東京都から。これはどうかなと。PFIのやり方そのものの根本的な問題として指摘しなきゃならないと私は思うんです。こういうふうになるぐらいだったら、もっと低料金にして、本当に一〇〇%宿泊が埋まるぐらいの、今の青年の家以上に利用されるような割合のもの、本当に公共的な役割を東京都が直接やった方がよっぽどましだなというふうに思う。
 そういう点からも、今回の、十年間しか縛りませんので、事業者は十年間の間に投資したお金を回収しますから、そのためにはやっぱり一定の額が残るように、建設費はできるだけ安くして、維持管理費で四十億円もらって、それでペイさせようと思うと思うんですね。そういう点での問題点をやっぱり指摘したいと思うんです。
 したがって、これは後で意見のときにもいいますけれども、多摩のユース・プラザ十年間の縛りで、事業者は安く出してきたけれども、本当の意味でのユース・プラザの役割を果たせるかという点では、大変厳しい、強い疑問を持たざるを得ないということを指摘して、質問を終わります。

○執印委員 それではまず、両方の聾学校の改築について伺います。
 今回の都立の葛飾ろう学校と大塚ろう学校の改築は、老朽化対策というふうに聞いておりますが、今回の改築における、この間のさまざまな都の取り組みも含めての特色についてまず伺います。

○山際学務部長 今回の聾学校の改築における特色といたしまして、第一に、雨水をろ過処理しましてトイレ洗浄水に使用する雨水利用システムを採用するとともに、屋上緑化に努めるなど、環境に配慮している点がございます。
 また、プールを屋上に設置するなど、狭小な敷地を有効利用している、この点もございます。
 さらに第三といたしまして、幼稚部、小学部を初め各学部をエリア分けをいたしまして、発達段階に対応した配置といたしております。
 最後に、赤外線方式の集団補聴システムの採用など、児童生徒の聴覚障害に対するきめ細かい対応を行っているところでございます。

○執印委員 環境への配慮などがされているということだと思いますが、子どもに対しては、聴覚障害に対するきめ細かい対応を行っている、そういう対応をしているということでご答弁がございましたが、これに関連して少しお聞きしたいんです。
 実は、昨年の十月、都議会六十年を記念して中学生議会が開かれましたときに、都立の聾学校の生徒さんが、お友達とも、要するにいわゆる健常児といわれている子どもとも手話で話がしたいので、普通学校でも手話を教えてほしいという意見がございました。そのとき、横山教育長も出席されていて、とてもいい意見だなというふうに私も思いましたし、そのときお答えになったのが公明党の曽雌議員でしたけれども、曽雌議員も大変前向きなお考えを示されていたというふうに思うんですが、現状のところで、普通学校でも手話を教えてほしいということについて、どのような対応がされているのか伺います。

○近藤指導部長 現在、小学校、中学校におきましては、地域のボランティアセンターや手話協会、聾学校等の協力を得まして、国語や音楽、総合的な学習の時間や部活動などで、手話を学んだり、手話コーラスなどを行ったりしております。現在、少しずつではございますが、手話による活動は広がりを見せているところでございます。

○執印委員 学校の中にもさまざまな機能をつけながら、持っている能力を一〇〇%生かして相手が話すことを聞くように、聾学校の中では対応されているということですが、今いろいろのところで、聾学校そのものでも、手話をコミュニケーション手段の一つとして取り入れてほしいという意見が聞かれております。これは、第一義的には口話による聞き取りというのでしたか、それがされているということなので、このごろテレビ等でも手話を取り入れてほしいというふうなことがいわれているんだと思いますが、現状の取り組みをあわせてお聞かせいただきたいと思います。

○近藤指導部長 聾学校におきましては、聴覚口話法を中心といたしました指導法が行われてきました。しかし、平成十二年度、東京都教育委員会は、コミュニケーション指導等の研究委員会報告を作成いたしまして、その中で、聾学校での手話の活用がコミュニケーション手段の一つとして有効であることを示しまして、一人一人の障害の状態や発達段階に応じまして、聴覚口話法とともに、手話や指文字の活用をするようにいたしたところでございます。
 現在、聾学校におきましては、聴覚口話法のほかに、手話や指文字を活用した指導が行われるようになっているところでございます。

○執印委員 この改築とともに、一人一人のお子さんに向けた対応が、こういった学校を使ってされていくんだと思いますが、あわせて、今お聞かせいただきました面も含めて、十二分に対応していただきたいと思います。
 次に、図面もいろいろよく見せていただきました。この本会議場でのやりとりもいろいろございましたが、子どもが勉強する場所の環境をどう整えるかという点で、今回改築されるそれぞれの聾学校での喫煙場所についてどのような取り扱いがされているのか伺います。
 また、あわせて、学校を全面禁煙にするお考えというのはないのだろうかというふうに、図面を見ながら思ったわけですが、その辺もあわせてお願いいたします。

○山際学務部長 今回改築いたします聾学校の喫煙スペースにつきましては、平成十一年三月に定められました盲・聾・養護学校施設整備基準に基づきまして、職員用休憩室に分煙スペースを設けております。
 受動喫煙の防止につきましては、平成十五年五月からの健康増進法の施行によりまして、学校等の管理者は、受動喫煙による健康への影響を排除するために今まで以上の対策を講じることが求められているところでございます。
 このため、学校での受動喫煙防止の徹底を図る観点から、現在、平成十六年度当初の実施に向けて、都立学校における喫煙の具体的な対策等を含めまして検討していくところでございまして、この検討結果を踏まえて対応してまいります。

○執印委員 ぜひこれも、たばこを吸わない子どもからすると、たばこのにおいというのはすごくよくわかると思うんですよ。私もたばこを吸わないので、たばこのにおいというのは非常に気になるときがあるんです。また、においだけではなくて、受動喫煙というのは、実際に吸われている方よりもその被害は大きくなるというふうにも聞いておりますので、今回の改築の計画については、その辺の東京都の考え方の打ち出し方と、これまでの流れとのずれが出てきてしまうのはしようがないと思うのですが、十分に対応していただきたいと思います。
 この質問の最後に、工事期間中における学校運営の状況と、それから、聾学校であるということもありまして、安全対策上特に配慮がなければいけないのではないかというふうに思いますが、そのあたりどのように対応されているのか伺います。

○山際学務部長 今回の改築工事におきましては、校庭に仮設校舎を建てまして、赤外線方式の集団補聴システムや全教室への空調機能設置など、児童生徒の障害にきめ細かく対応するとともに、教育課程に支障がないよう、必要な特別教室を整備いたしまして、円滑な学校運営の対応を行っているところでございます。
 また、聾学校の改築工事における安全対策につきましては、児童生徒が工事エリアや工事車両に近づくことがないように、児童生徒と施工業者の動線を区分けするとともに、施工業者に視覚に訴える表示を必要な箇所に整備させるなど、安全対策に万全を期してまいります。

○執印委員 ありがとうございました。
 それでは、安全対策を十分にしていただくということと、それから、この改築の質問の中に、手話についての取り組みの質問も少し入れさせていただきましたが、子どもが一生懸命考えて提案をしたことを大人が十分に受けてこたえていけるということがこれから必要だと思いますので、この対応についても十分にお願いしたいと思います。
 それから、シックスクール等については、今回の代表質問でも指摘をし、またお願いをさせていただいておりますので、工事が終わった後に新たな環境の問題が起きることがないように、十分対応していただきたいと思います。
 次に、ユース・プラザについて質問させていただきます。
 まず、今回、業務要求水準書なども読ませていただきましたが、障害があるお子さんに向けての細調理への取り組みなどがあること、こういうことについては評価をしておりますが、全体として、食品の安全について、例えばアレルギーの対策ですとか、子育てをするときに大変気になります添加物や着色料、または遺伝子組みかえ食品など、国の方も食品安全基本法ができて委員会も動き出しているわけですけれども、全体的な動きも出てくるというふうに思いますが、このユース・プラザについて、基本となる約束事というのはどのように設定されているのでしょうか。

○瀧川参事 食品の安全でございますが、業務要求水準書の中では、一般的な利用者の安全等についての基準を定めてございます。また、契約書の中では、食品衛生法等の関連する法令の遵守についても規定されてございます。
 契約の締結後にそうした法令が改正され、高度な安全基準が要求された場合には、当然、その新しい基準を満たすことが求められます。仮に、関係法令が遵守されていないなど不適切な運営が行われた場合、都は、是正勧告やサービス購入料の減額あるいは支払いの停止ができるよう規定されてございます。そうした事態に陥らないよう適正に監視をしていきたいと思っております。
 なお、食物アレルギーをお持ちの方の食事につきましては、事業者の提案の中で、事前に相談があれば対応するという内容になってございます。

○執印委員 それから次に、地元農産物の取り組みについて事業者の方も触れられておりましたが、ここが駅から遠いところにあるということで、そういうことについて、どれだけ利用されるのかという心配はだれしも持つところだというふうに思いますが、逆にそれが環境的に恵まれているわけですね。
 それで、現在、ファストフードからスローフードへという食の見直しもされようとしている中で、こういったPFI方式による設置ではあっても、青少年への食教育、食べる教育、何をどう食べるか、どんな食べ方をするかということは、大人が子どもに伝えるべき重要なメッセージであるというふうに私どもは考えておりますし、それが日本の食文化を伝えていくという役割も果たしているというふうに思うんですが、まずこの地元農産物の取り組みについて、実際のところどのように進められるのか、お尋ねをいたします。

○瀧川参事 事業者からの提案では、地元八王子や周辺でとれたしゅんの素材を新鮮なうちに調理、提供することにより、食を通じて自然の恵みを体験できる工夫がなされてございます。現時点では、これ以上の内容は未確定であります。
 今後、事業者において取り組みの具体化を検討することとなっております。

○執印委員 八王子につくられるということで、地域の特色を生かした取り組みだというふうには思いますし、うまく約束ができて地元農産物が入るようになったときに、生産者の方は、顔が見えるところに納める野菜については特に注意をして、農薬の点等でも大変注意をしてつくられるということは、私、日野ですけれども、日野の学校給食に地元の農産物を入れるときに大変生産者の方が気をつけられるということを見ても十分にわかるわけです。しかし、生産者の意図するところによらない農薬の問題なども出てくるということも考えられるわけですね、昨年もそういったことがございましたけれども。そういったこともございますので、都としても定期的にチェックをする必要があるかというふうに思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○瀧川参事 サービス提供の定期的なチェックについてでございます。
 事業者は、施設利用者を対象にユース・プラザが提供するサービスの評価について日常的にアンケートを実施し、都に報告することとなっております。また、事業者は、定期的にレストランに係る業務報告を都に提出することとなっております。
 都としては、そうしたモニタリング等から、必要と認めた場合には、事前の通知なく運営状況を監査することができる旨、契約の中で規定されております。場合によっては、是正勧告を行うなど必要な措置を講じてまいります。

○執印委員 こういったことについては、今もちょっとお近くからお話もございましたが、要するに市場に出ている規格品ではないので、形が不ぞろいだったり土がついていたりという使いにくさも含めて、事業者が頑張り切れるかどうかということもあるようですし、たびたび日野の例で恐縮ですけれども、使い始めのときはかなり努力が必要、なれることが必要ということがあるようですので、農薬のこともそうですし、それから、使い続けられるかどうか、そのときにどういう支援を東京都としてすることができるのかというようなことも、もしかしたら考えていかなければならないかと思いますので、十分に対応していただきたいと思います。
 それから次に、保育室について、この業務要求水準書の中では、保育者の確保は、中略しますが、利用者団体の責任において確実に行うことを求めることとするというふうにあります。これから読むには、利用者、利用する側が保育者を確保するということだと思うんですが、ご存じのように遠い場所にもありますし、利用者が出かける地元から保育者を連れていくということについては、少し厳しい面もあるのではないかと思いますので、アウトソーシングの中で対応ができないのか。また地元の、地元というのは八王子の、そういった保育のケアをする団体などを紹介するシステムはつくらないのか。こういったものがないと実際には利用しにくいと思うんですが、この点についてお尋ねいたします。

○瀧川参事 事業者からの提案では、整備いたします保育室の中に、授乳室あるいは保育士の控室も設ける内容となっております。一方、具体的な運営面での提案はなされておりません。
 ただ、利用者の利便性の向上を図る観点からは、遠くから保育士の方を連れてくるということは現実的でございません。したがいまして、希望に応じて保育士を紹介するようなシステムの導入について、事業者と今後調整してまいりたいと考えております。

○執印委員 次に、小さなお子さんも、それから障害をお持ちの方も泊まるところですから、いつどんな状況が起きるかわからないということもありまして、この水準書にも書かれておりますが、医療機関とどう連携するかということは大変重要な問題だというふうに思います。それについて東京都としては、これをどのように進め、どのような支援を行おうとしているのか伺います。

○瀧川参事 事業者におきましては、急病患者等の緊急時の対応を含めた安全・事故対策について、未然に防止するための仕組みを準備してございます。しかし、万全の体制を備えながらも、万が一の緊急発生時の対応は必要だと思います。その場合、応急処置ができるよう、救急救命講習など職員の育成を図ることのほか、近隣にある病院で円滑な受診ができるよう調整をしております。
 今後、事業者が提案内容を具体化するに当たり、関係医療機関と円滑な連携が図れるよう、都としても調整、支援をしてまいりたいと考えております。

○執印委員 通常でも救急病院を探すというのは大変なことですから、今、ご答弁としては、今の状況ではこういうお答えなのかと思いますが、相当本腰を入れてやっていただかないことにはいろんな問題が起きてくることが考えられますので、特にこの点、十分に対応していただきたいと思います。
 それから、先ほどもちょっと出ましたけれども、地元から要望の高かったものがプールだったというふうに聞いておりますが、今回プールはどのようになったのか、改めてお聞きしておきます。

○瀧川参事 温水プールの設置でございますけれども、これは、多額の建設費のほか、光熱水費など膨大な維持管理費用もかかりますので、採算面も考慮いたしまして、都で定めた業務要求水準書の中では、整備すべき義務的な設備として位置づけは行いませんでした。
 なお、入札参加者のすべてにおいて、温水プールの設置についての提案はなされませんでした。

○執印委員 整備すべき義務的な設備として位置づけしなかったから提案されなかったんだと思いますけれども、実は、地元の方から要望の高かったものを取り入れることによって、この施設への愛着が生まれたり、ほかの部分も利用してみようかとか、人に紹介してみようかというようなことも生まれてくると思うので、大変残念なことだというふうに思いますので、指摘だけしておきます。
 それから、ユース・スクエアというものがこの中で述べられております。その中で、青少年がボランティアとしてかかわる仕組みをつくり、青少年が自主的、主体的に活動する経験ができる場とするというふうにしてございますが、このとき、中立性の確保というのはどのように行われるのでしょうか。事業者の方が運営されることになるかと思うんですけれども、中立性の確保についてお尋ねします。

○瀧川参事 ユース・スクエアの運営に当たりましては、利用者の活動、交流の機会や場所を公平に提供する必要がありますので、業務要求水準書の中で利用者が守るべき規則を定めることとしております。
 また、契約書の中では、定期的にユース・スクエア等の業務報告を求めております。そうした報告の中で、適正に運営されているかどうか監視してまいります。

○執印委員 それでは、中立性の確保というのは難しい問題だと思いますが、十分にお願いいたします。
 それから、先ほど、ビオトープとかツリーハウスについての質疑もございましたが、かなり広い場所だということでもございますし、このユース・プラザの敷地を利用してプレイパークを整備するような提案はなかったのか、伺います。
 プレイパークについては、子どもたちが余りいろいろな規制をかけられずに自分の責任で遊ぶというところで、世田谷にもありますし、今、朝日新聞では、町田のたぬき山というのが取り上げられて紹介をされています。日野でも、日野の市内にあります千代田区の林間施設があるんですけれども、そこを日野の市民が借りて、プレイパークの試みをずっとしておりました。
 こういう形で、駅から遠いところだけれども特色ある場所というふうなとらえ方をしたときに、外部からこちらに泊まりに来る、または研修に来る子どもさんと地元の子どもとの触れ合いの場としても活用できるのではないかというふうにも思うわけですが、この点についてはいかがでしょうか。

○瀧川参事 プレイパークでございますけれども、事業者は、ユース・プラザの野外活動施設として、お話のありました原っぱあるいはツリーハウスなど多様な施設を提案しておりますけれども、プレイパークの導入は提案しておりません。
 お話のとおり、プレイパークは、自己の責任で自由に遊ぶことができる冒険の遊び場と世上いわれてございます。プレイパークはそういう意味で、このユース・プラザの環境を生かす一つのアイデアであると思います。しかしながら、ユース・プラザは本来、利用目的を持ったさまざまな団体等が予約をして、その目的に沿って利用する施設であるとともに、事業者がまたみずからのノウハウや手法により運営する性格のものでございます。事業者からプレイパーク導入についての提案が示されておりませんのは、今申し上げた施設の性格などを反映したものと考えております。

○執印委員 先日、群馬県に行ってきましたときに、若王子の森というところに行ったんです。ビオトープといういい方をしていましたけれども、行ってみたら、プレイパークのようなものになっておりまして、池があって子どもたちが釣りをしていたり、炭焼きをやっていたりというようなこともありましたけれども、十五分とか二十分ぐらい車で親に連れてきてもらっているというようなお子さんもいたので、こういったものの必要性というのはこれから高まるというふうに思いますので、事業者の方にとっては決してマイナスにならないかなというふうに思うのと同時に、地元の子どもたちと触れ合いの場をつくるということが、一つこのユース・プラザの新たな視点になってもいいのではないかなというふうに思います。これから話し合いが進められるようでしたら、またはこのような指摘もあったということでお伝えいただきたいというふうに思います。
 それから、これは予約して利用するというふうにはなっておりますが、近くに住んでいる子どもたちがどう利用できるかということは、これからちょっと課題なのかなというふうに思いますので、その点も少し視野に入れていただきたいというふうに思います。
 それから、社会教育事業等企画委員会というものが載せられておりますが、このメンバーというのはどのように決定されるのか。また、その中に子ども参加や若者参加、きちんとしたメンバーとして入ることが検討されているのかどうか、伺います。

○瀧川参事 社会教育事業等企画委員会は、都が一定の行政目的を持って実施する公共性や社会性が強い事業を企画するための組織でございます。そのメンバーは、都と事業者等で構成されるものであります。毎年の社会教育事業の企画に当たりましては、子どもや若者を含めた参加者の意向を十分くみ上げ、次年度の事業に反映していきたいと考えております。
 なお、事業者が独自に行う事業や施設運営全般につきましては、事業者がアンケート調査や利用者モニタリングを行い、子どもや若者を含めた利用者の意見や要望を把握して、その反映に努めることになっております。

○執印委員 こういう点についても、東京都のこれまでのやり方にこだわることなく進めていっていただきたいというふうに思います。子どもや若者が特に使う場所ですから、きちんとしたメンバーとして入れるという発想にそろそろならないといけないんじゃないかなというふうに思います。
 それから、先ほども触れましたけれども、予約して使う部分と、地元の子どもたちや、または子どもを連れた保護者が自由に使える部分と当然あっていいと思うんです。そういったようなことも含めて、今後、説明会の中でさまざまな意見が出てくるのではないかと思いますが、この説明会というのは、どの範囲で今計画されているのか。それから、地元の自治会というのが主になるのかと思いますが、それ以外にももっと範囲を広げてほしいという要望が地元から聞かれるわけですが、この点についてはどのように対応されるのでしょうか。

○瀧川参事 今後、事業者との調整も必要でございますけれども、都としては、直接地元に影響を及ぼすことになります工事の説明会を、地元住民を対象に考えております。
 一方、事業者におきましては、本契約締結後、速やかにパンフレットを作成し、関係機関や団体に配布し、多摩ユース・プラザの整備や運営についての意向を調査するとしております。そうした中で、広く都民の方々の意向が反映されるものと考えております。

○執印委員 それでは最後に、こういう施設ですから、子どもたちの健康や安全、環境を考えて東京都としてきちんとチェックをされる部分と、事業者もしくは利用者、または地元の住民の方の意向に沿って柔軟に対応される部分と、いろいろなことが必要になってくるかというふうに思いますので、そこは、今までの東京都のやり方に縛られることなく十分に対応していただきたいというふうに思いますし、地元の住民または八王子市の住民のお考えも非常に大事にしなければならないと思いますので、十分な対応をお願いいたします。
 終わります。

○福士委員 質問はたくさん出ておりますので、意見だけいわせていただきます。
 まず、区部より施設利用が安いこと、それから近隣地域との対話などが重視されていることなどについては、私もこれは是としたいというふうに思いますが、高校の方が、十数年で統廃合した高校の施設を利用ということで、高校増設あるいは統廃合、いずれにしても企画力のずさんな話の延長線でこのユース・プラザがまたつくられるということにも、ちょっと問題があるのではないのかなというふうに思っております。高校存続を願う人の思いがあったことを思うと、ユース・プラザをつくるにしても、もっと計画を練るべきではなかったかということを申し上げておきたいと思います。
 また、もう一つ、ユース・プラザの性格として、PFIにどこまで見合うかどうかも、私はまだ、もうちょっと問題があるのかなというふうに思っております。先ほど共産党さんの方から、相談体制などが十分ではないんじゃないかというようなこともいわれておりましたけど、そういうことも含めて、民間の方々もそういう問題点を理解されてから、やはりユース・プラザの建設ということもPFIで考えていくというふうにやっていかなければいけないのではないかと思います。
 いろんな環境に配慮した建物ということでお考えになっているようではございますけど、ビオトープだのツリーハウスにしても、今はやりという感じで、はやりのものさえ入れれば環境のことがわかっているよというのも、ちょっと違うかなという気がします。
 せっかく自然が周りにあるわけですから、それを理解して、利用者の発想も含めて、民間としてやわらかな発想をしながら、さまざまな教育的配慮を理解される業者選定も課題になるのではないかというふうに思いまして、このPFIには反対します。

○渡辺委員長 意見を後から伺おうと思ったのですが、意見ということですね。

○福士委員 そうですか。失礼いたしました。

○渡辺委員長 それでは、戻りますが、発言がなければ、お諮りいたします。(発言する者あり)ちょっと静粛にしてください。
 お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対する意見のある方は、発言を願います。

○福士委員 今のを意見といたします。

○曽根委員 日本共産党の多摩ユース・プラザの契約事件案についての意見を述べます。
 本契約案については、先ほど質問で取り上げましたように、第一に、初めからPFIを前提にし、しかも民間事業者が入札に参加しやすいように入札予定額を高目に設定してやるなど、民間事業者に至れり尽くせりの契約方法になっていること。第二に、区部と同じく青年の家の代替機能にはなり得ず、社会教育事業も予算の枠で縮小せざるを得ないこと。また料金も、多少下がったとはいっても、成人が一泊で食事もとれば五千円近くになってしまい、社会教育施設としては高過ぎること。第三に、地元八王子川町地域の念願でできた都立高校を十五年でなくしてしまい利用するにもかかわらず、採算を理由に、プールなど地元要望にこたえられていないこと。第四に、計画でも四割の宿泊率で、しかも利用者が減っても、都の負担金はサービス購入費として変わりませんので、事業者にとっては事実上、利用者がふえればその分事業者の持ち出しがふえ利益が減る仕組みになっており、広く都民が利用すべき施設としては重大な欠陥があること。以上から、多摩ユース・プラザにおいても、都が直接建設し運営を担うことが都民の立場から見れば望ましいことは明らかであり、PFIによる本契約案には反対いたします。
 以上です。

○渡辺委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 第百七十四号議案につきましては、ただいまの意見を含め委員長において取りまとめの上、また、第百六十六号議案及び第百六十七号議案につきましては、異議がない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案及びPFI法に基づく議案の調査を終わります。

○渡辺委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百五十号議案及び第百五十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る六月十九日の事前説明において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 今回要求のございました資料は、一件でございます。
 お手元の文教委員会資料(条例案)の一ページをお開き願います。1、学校職員の特殊勤務手当についてでございます。表の手当名の欄にあります、多学年学級担当手当から小笠原業務手当まで十七の特殊勤務手当につきまして、それぞれ支給範囲、平成十五年四月一日現在の手当額及び平成十三年度の決算額と対象人員についてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○渡辺委員長 次に、報告事項の東京都心身障害教育改善検討委員会の中間まとめについてに対する質疑を行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る六月十九日の事前説明において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 今回要求のございました資料は、四件でございます。
 お手元の文教委員会資料(報告事項)の一ページをお開き願いたいと思います。1、東京都心身障害教育改善検討委員会審議経過概要でございます。これまで開催された九回の委員会につきまして、実施月日、検討事項及び主要検討内容を次の二ページにかけてお示ししてございます。
 次に、三ページをごらん願います。2、中間まとめ(素案)の主な修正事項でございます。素案の段階から中間まとめまでの間に修正した箇所について、下線を付してお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。3、区市町村立小中学校心身障害学級及び都・区立盲・聾・養護学校配置状況(平成十五年度)でございます。区市町村別に、区市町村立小中学校心身障害学級の設置学校数及び学級数、区市町村別通学区域対象都立養護学校名、盲学校、聾学校をお示ししてございます。
 なお、欄外の注2にございますように、養護学校には二校の区立養護学校を含んでございます。また、注4にございますように、盲学校、聾学校及び病弱養護学校につきましては、通学区域制は設けてございません。
 五ページをごらん願います。4、今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)でございます。平成十五年三月に文部科学省の特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議が取りまとめた最終報告の概要を、次の六ページにかけましてお示ししてございます。
 内容的には、大きく、1、現状認識と2、基本的方向と取り組みに分かれております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、質問者もたくさんいるようでございますので、簡潔に質問させていただきたいと思います。
 今回出されました「これからの東京都の心身障害教育の在り方について」中間報告が出されたわけでありますが、これは、読ませていただきますと、本当に今までにない抜本的な改革であると思っております。
 私も、今回のこの件を審議するに当たりまして、都内養護学校五カ所、また心身障害学級にお子さんを通わせている保護者の方々ともヒアリングを行いましたし、また、お手紙やメールもたくさんいただきました。遠藤先生のところにも随分、こんなにたくさんの保護者の方からのお手紙がありましたが、そういうことも一つ一つ読ませていただいて、さまざまな疑問点、また不安に思われている方がいらっしゃると思いますので、きょう、その点につきまして質問をさせていただきます。
 中間まとめが出まして、これからどのような経緯で本答申に向かっていくのか、これがまず第一の質問であります。当事者、保護者の方々からヒアリングなどなどを予定しているんでしょうか、一連の流れについてお伺いいたします。

○山際学務部長 一連の流れについてでございますが、六月に一部の障害者団体、そして各障害種別のPTAの代表の方を対象にいたしまして、説明会あるいは意見交換会を実施いたしております。七月に、都民からの意見募集を実施するとともに、区部と多摩地域で講演会とシンポジウムを実施いたしまして、趣旨説明を徹底いたします。こうした都民からの意見を参考にしながら、十月末を目途に最終答申をいただきたいというふうに考えております。
 また、最終答申を受けまして、早い時期に、行政計画を含めた今後の施策について検討してまいります。

○小美濃委員 都民の中には、こちらのお手紙にも書いてありましたけれども、こういった説明会でも、限られた時間でしょうから、果たして満足な質問が受けられるんだろうか、こういったことを心配されている方もいらっしゃるわけであります。時間のあることですので、すべての質問に答えるというのはなかなか難しいことだとは思いますけれども、今回の変更は、先ほども申し上げましたとおり、心身障害教育を抜本的に改革する、こういった内容でありまして、当事者や保護者の方々は、大変な関心を持っていらっしゃるとともに、不安も大きく抱いていらっしゃるわけであります。ぜひともそれらのことにしっかりと注目をしていただいて、真摯に対応していただきたい、こういうことを望みたいと思います。
 また、聞くところによりますと、ホームページのパブリックコメントを七月二十日まで行って、いろんなご意見を徴集している。それに対しては、答えもいろいろとお書きになられているということでございますので、こういったことも都民の方に積極的にPRをしていただいて--知らない方もいらっしゃるんじゃないかと思います。より多くの方の意見を集約して、最終報告に反映させることをまず望んでおきます。
 それで、これは実は法改正を伴うということになっております。国の方針によって法改正が行われるわけでありますが、都の対応については、その法改正を受けて一体どうなるのか、これが心配であります。法改正になったら、そのまま東京都も右へ倣えという感じになってしまうんでしょうか。
 私は、地方自治の本旨にのっとって、都ならではの障害児教育、こういったものにしっかり取り組むということが大事なんではなかろうかと思っております。それによって東京都がまた独自性を出すのも大事なことですけれども、東京都がこういう一つの方向性を決めると、次に区市町村の独自性が発揮できるのか、こういう実は心配もあるわけであります。
 私は、武蔵野市から選出いただいておりますけれども、私の市は、種別ごとに障害児学級も用意させていただいていますし、まだまだ十分な数ではないと思いますけれども、しかし、レベル的にはまあまあな施策をやっていると思っております。こういった施策がレベルダウンをしないような、そういったことを望むわけでありますが、独自性についてお伺いいたしたいと思います。

○山際学務部長 特別支援教育体制の推進に当たりまして、東京都独自の社会環境あるいは教育環境を踏まえることが必要でございまして、今回提案している就学支援計画あるいは副籍などの考え方については、これは都独自の考え方でございます。
 また、区市町村の独自性についてでございますが、特別支援教育体制を進めるに当たりましては、区市町村ごとに学校数あるいは交通機関の状況等が異なるわけでございまして、今後、国の動向やモデル事業の成果を踏まえながら、各区市町村がそれぞれの実情に応じて適切に対応していくものというふうに考えております。

○小美濃委員 やはり都としても、副籍などというまた新しいことも、国にはないことをやろうとしているわけでありまして、こういった地方自治の本旨にのっとって心身障害教育のあり方は考えられるべきであると思っております。
 まだ国の方針がすべて出ているわけではありませんので、なかなか細かいところが質問できないわけでありますが、しかし、仮に国の方針が出た後でも、東京都は東京都としてしっかりと方針を出し、その方針に合わないところがあるならば、毅然とした態度で臨むこともひとつ念頭に置いておいていただきたいと思います。
 また、区市町村におきましては、例えばその区市町村によって知的障害の方が多かったり、肢体不自由の方が多かったりと、独自性がある環境もやはりあると思います。こういった区市町村の独自性の教育を行っているところに関しましては、やはり今までどおり担保されなければいけないと思っておりますので、そういうこともしっかりと踏まえておいていただきたいな、そんなふうに思っております。
 それで、私がさまざまな方にお話を伺ったり、こういったお手紙またメールをいただいたりした中で、保護者の方々が本当に一番心配に、不安に思っていらっしゃるのは、心身障害学級で固定学級が解体されてしまう、こういったことに対して大変な心配を持っていらっしゃるわけであります。こういった保護者の不安についてはどうお考えになっているんでしょうか。

○山際学務部長 保護者の不安についてでございますが、まず、特別支援教育の考え方につきましては、児童生徒に、自立や社会参加に向けて、一人一人の教育的ニーズを把握して、必要な支援を行うというものでございます。したがいまして、児童生徒は通常の学級に籍を置くものの、通常の学級で学習をする時間、そして特別支援教室で学習する時間、それぞれ一人一人のニーズに応じて決定されることになるわけでございます。また、中間のまとめでは、特別支援教室は、従来の固定の心身障害学級のように教員を固定的に配置し、週の相当数の時間を特別支援教室において指導するということも提案をされております。
 ご指摘の不安のある保護者に対しましては、最終報告も踏まえつつ、モデル事業等の成果を通して、通学による負担を軽減し、専門的な指導を受けることが可能になるというような意義について理解を得るように、今後とも努めてまいります。

○小美濃委員 この在り方についての中間まとめを見ておりますと、LDですとかADHDのお子さんについては、現状よりも確かに教育効果が上がるのかなということは予想されるわけでありますが、しかし、やっぱり固定学級に通っているお子さんにはどうなのかなという不安が実は残るんですね。
 保護者からいただいたお手紙の内容をすべてご紹介するわけにはいかないんですけれども、例えば、固定学級がなくなってしまうと、特別支援教室と普通学級と両方に籍があるような形になってしまって、一体その子どもの居場所はどこなんだろう、こういった不安もあるわけでありますし、また、ややもすると、自閉症や知的障害やADHDの子どもたちが十把一からげで特別支援教室にごちゃっと入れられてしまうのではなかろうか、こういう不安もあるわけであります。また、固定学級がなくなって、普通学級に籍を置いてあったとしても、学級じゃないですからね、今度は教室ですから、例えばいじめがあったときでも、帰るところがなくなってしまうのではなかろうかなどなど、実は大変具体的に多くの不安を抱えていらっしゃる方がいるわけであります。
 こんなことはないとは思うんですけれども、また、あるべきではないと思うんですけれども、特別支援教室の中に、LDもADHDのお子さんも、また知的障害のお子さんも自閉症のお子さんも一緒になるということは、こういうことをお考えになっているとしたら--誤解だと思うんです。こんなことはないですよね。こういうことに対しては、どうお考えになっているでしょうか。

○山際学務部長 特別支援教育の考え方につきましては、先ほど申し上げましたが、一人一人の教育ニーズを把握して必要な教育的支援を行うというものでございます。
 したがいまして、専門的な指導を確保する観点からも、特別支援教室の設置のあり方等につきましては、障害の状態あるいは障害の特性に応じた指導が行われていく方向で検討していきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 中間まとめでもありますし、国の方針も出てない状態では、なかなか奥歯に物が挟まったようないい方しかできないのかもしれませんけれども、しかし、障害の状態や特性に応じた指導が行われる、この辺のところはしっかりと担保されるわけだと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますし、また、保護者の方々は、この辺が一番ご不安に思っているところでございますので、不安解消のために、少しでもわかりやすい表現でこれからも説明もしていただきたいな、そんなふうに思っております。
 また、もう少し詳しくお伺いしますけれども、先ほどもご答弁の中に少しありましたが、特別支援教室の考え方で、「担当の教員を固定的に配置し、週の相当数の時間を特別支援教室において指導する形態など、児童・生徒や保護者の多様なニーズに応じて、選択が可能となるような柔軟な形態が望まれる。」と、この報告書に書いてあるわけであります。こういったいろいろなことを示唆してあるわけでございますが、ある程度こういったことが、今後、先ほどもありましたけれども、市区町村の教育委員会の考え方によって固定学級をどういうふうに考えていくのかという、固定学級のあり方などにも、区市町村の教育委員会に選択の余地があるんでしょうか。どうなんでしょう。

○山際学務部長 選択の余地というお話でございますが、特別支援教室は、区市町村がそれぞれの教育環境や社会環境に基づいて工夫をし、そして、それぞれの実情に応じた方法で実施していくようになるものというふうに考えております。

○小美濃委員 ということは、それぞれの実情に応じた方法で各区市町村の教育委員会が選択をできる、考えられるということは、先ほども申し上げましたけれども、障害の程度や、例えば極端に知的障害の方が多いとか、そういった市もあるわけでありまして、こういった種類や程度によっては、この特別支援教室という、教室とは書いてありますけれども、限りなく現状の固定学級に近い形態になってしまうこと、これはやむを得ないことである、私はそう思っているわけであります。また、そうならざるを得ないと思っております。これらはあくまでも区市町村の考え方、また社会的なその市区町村が置かれた環境などを第一に考えるべきでありまして、選択肢は多く用意されることを最終答申の中ではしっかりと望みたい、そんなふうに思って、次の質問に移ります。
 先ほども申し上げましたけれども、LDやADHDのお子さんに関しては、これはかなり前進をする答申なのかなというふうに思っております。そのお子さんたちにとってはそう思うんですけれども、このお子さんたちは、今現在、普通学級に通っていらっしゃるお子さんも多いわけであります。そうすると、普通学級に通っているわけですから、普通に子どもたちは接しているわけですよね、例えば一年生からずっと接している。ある意味では理解教育が自然に行われているということでありまして、それを今回、今まで普通学級にいるのに、あなたたちLDの子どもたちとかADHDの子どもたちは今度は特別支援教室に行きなさい、そういうことをすることによって、一つの隔離のような形になってしまうんじゃなかろうか、そういうことも心配をされているわけであります。
 それに伴って、この中間まとめにおける都教育委員会の理解教育は、どういうふうに考えていらっしゃるのかということも、あわせてお伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 特別支援教室の設置は、通常の学級に在籍しておりますLD、ADHD等の児童生徒を通常の学級から切り離すというものではございません。LDやADHD等の児童生徒の各教科等の学習の大部分は、通常の学級の児童生徒と一緒に行うものでございまして、必要に応じて、教科の補充指導や、障害による困難を改善、克服するための指導を特別支援教室で行うものでございます。決してLDまたはADHD等の児童生徒の理解教育を後退するというものではございません。
 また、通常の学級の児童生徒に対しても、LDやADHD等への正しい理解を深め、差別や偏見等を持つことがないように、今後十分に配慮してまいりたいと考えております。

○小美濃委員 LDやADHDの子どもたちの理解教育を後退させるということよりも、むしろ、通常の学級に通っている普通に接していたお子さんたちの理解教育が後退をしては絶対にいけないと思うわけでありまして、この辺は、本当に真剣に、またデリケートな問題でもありますので、慎重に取り扱っていただきたい、そう思っております。
 そこで、関連してお尋ねをいたしたいんですけれども、本来の、本当のノーマライゼーション、こういった世の中を構築していくためには、幼児期からの理解教育、これは大きな大きな要素であると考えています。そこで、全般的な幼児期からの理解教育について、これは全般的な理解教育について、教育委員会また教育庁の考え方をお伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 東京都教育委員会では、昭和六十三年度から心身障害児理解推進事業を立ち上げてございまして、障害のある幼児、児童生徒と、障害のない幼児、児童生徒との交流教育を通しまして、お互いのよさや違いを認め合い、尊重し合う理解教育を進めてきております。
 今後も、幼児期から交流活動の充実を図りまして、障害のある児童生徒への理解、啓発を推進してまいります。

○小美濃委員 実は、私の子どものクラスにも自閉症傾向児といわれているお子さんがいらっしゃいます。一年生のときからずっと同じクラスで接しておりますので、本当に普通に遊んで、普通に学んで、全く普通に接しております。しかし、突然大声を出したり、またはどこかへ行ってしまったり、そういった少し団体になじまないところも、子どもたちは十分把握をしております。でも、みんなでフォローをちゃんとしておりまして、これは本当に理解教育につながっているなということを実感しているわけであります。
 今回、まだ本当に国の方針も示されないうちに、具体的なことも聞けないわけでありますけれども、やはり特別支援教育という今回の考え方は、理解教育としっかりとリンクされているのかな、そんなふうにも思っております。
 お手紙の中にも、実は、固定学級のお子さんが普通学級に通うようになれば、いじめの対象になるんじゃなかろうか、こういうことを不安に思われている保護者の方がいらっしゃいました。ごもっともなご意見、お悩みだと思っております。しかし、この理解教育なくして本来のノーマライゼーションは恐らく達成できないのではないかと思っておりますし、施策の転換期というのは、さまざまなトラブルがやはり予想されるわけであります。しかし、理解教育をしっかりとやることによって、普通学級に通っている子も、また今現在障害をお持ちのお子さんも、大人になったときに、すべての人が生き生きと安心して生活できる地域社会を、やはり今から、幼児期からしっかりとはぐくんでいただいて、つくっていかなくてはならない、心のバリアフリーをやっていかなくちゃならないということを痛感するわけであります。そういった意味からも、この理解教育については、今後さまざまな観点から教育庁としても真剣に取り組んでいただきたいな、そんなふうに思っております。
 さて、先ほどの固定学級の件もそうだったんですけれども、保護者の方々の不安の中でやはり多いのが、専門性の担保ということであります。今まで、特殊学級として、障害種別ごとの専門的なサポートシステムがあったわけでありますけれども、特別支援教室になってしまうと専門性はどうなっちゃうんだろうかというのが、実は不安の大きな要因を占めているんですね。この点についてはどのようにお考えになっているでしょうか。

○山際学務部長 中間のまとめの中では、特別支援教室における指導については、例えば、これまでのように固定的に配置された知的障害のような単一障害に関する専門性のある教員による指導に加えまして、他の障害種別を専門とする特別支援教育担当教員が各学校を巡回することで、児童生徒一人一人のニーズに合った専門的教育が可能になるなど、専門性はより一層向上するものと考えております。固定学級のよさを引き継ぎながら、最終報告や、あるいは国の動向を踏まえ、特別支援教室について検討してまいります。

○小美濃委員 この中の、今ご答弁にもあったんですけれども、巡回をするという、ここが言葉としては非常に不安を与えている一つの言葉だということは、お話を伺って思いましたし、私も読んでて、巡回って一体どういうことなんだろうと思ったんですね。この巡回することで専門的指導が向上するというのは、もっともっと具体的にいうとどういうことなんでしょう。

○山際学務部長 現在の心障学級で学ぶ生徒の中にも重複の子どもたちがおるというようなこともございます。例えば、児童生徒の障害の状態が、知的障害と視覚障害が重複しているような場合、固定的に配置された知的障害の専門の教員の指導に加えまして、視覚障害の専門性を有する教員が巡回することによりまして、障害に応じた専門的指導が十分可能になるような例も考えられるところでございます。

○小美濃委員 専門家という話もありましたし、また、この中間まとめにも書いてあるんですけれども、教育ニーズに応じて、医療や心理、発達などに関する専門家が巡回して指導を行うことも検討する必要がある、こういったことも書いてあるわけでありまして、そうなりますと、先ほどのご答弁にありましたとおり、固定的に配置された教員プラスこうした医療や福祉の専門家が巡回をして指導する、こういう形ができるわけでありまして、これらは確かに教育的サービスの向上につながるかな、これは評価をいたしたいと思っておりますので、こういったこともぜひ最終答申で反映させていただきたいと思います。
 それで、これも国の方針がまだ出ていないんで、はっきりしたことはいえないんですけれども、都の方針が決まり、この特別支援教育をすることによって専門性は上がるといっていますけれども、ひょっとすると、区市町村によってはやはり低下をするという声も、心配の種でありまして、そうなりますと、より専門性を望むという保護者も中にはいらっしゃるんではなかろうかという気がいたしております。
 専門性を望む保護者は、恐らく希望としては、固定がなくなっちゃうんだったら、じゃ、養護学校に行きたいわというような保護者もいらっしゃるんじゃないかと思うんですね。養護学校も選ぶとなると、そういう方々が多くなると、この間養護学校に行ってきた、何校かの一つに、小金井養護学校に行ってきたんですけれども、居住環境がパンク寸前というか、もうパンクをしているのかもしれませんけれども、廊下をつぶし、特別教室をつぶし、今クラス編制をしておりました。物すごく人気がある反面、やっぱりこれはもう少し何とかした方がいいのかなという感じがあるわけでございますけれども、こういったこと、養護学校を望むことによって、教育環境が保てなくなるのではなかろうかという心配も実はあるんですね。こういったことについてはどのようにお考えでしょうか。

○山際学務部長 特別支援教室での指導は、教育的支援の向上につながるものでございまして、児童生徒一人一人の特別な教育ニーズに基づいて行われるものでございます。
 また、盲・聾・養護学校へ就学する児童生徒の障害の程度等は、特別支援教育体制への移行後も、就学基準に基づいて行われるものでございまして、保護者の希望等で自由に選択できるというものではございません。したがいまして、委員ご指摘のようなことが起こらないように、特別支援教育への移行に伴い、特別支援教室での専門的教育が充実できるよう、都教育委員会としても、特別支援教育担当の教員の専門性の向上に努めていくとともに、ご指摘の施設面での教育環境についても、低下することのないように今後とも対応してまいります。

○小美濃委員 今回の議論とは違うんですけれども、やっぱり小金井養護は少し教育庁としても考えてあげた方がいいのかなというふうに思っております。
 また、実は久我山盲学校にも行ってきたんですけれども、盲学校は今、児童生徒が大変少なくなってきております。そうなりますと、学校の規模としては結構な規模を持っておりますので、かなり教室に余裕があるわけですよね。こういった余裕のある教室を他の種別の併置とともに考えられないだろうかと実は思っております。こういったことは可能なんでしょうか、どうなんでしょうか。お願いいたします。

○山際学務部長 特別支援教育体制のもとでは、障害種別を統合したような形での特別支援学校を想定しているものでございまして、そういう形態もあり得るというふうに考えております。

○小美濃委員 今回の中間答申には、エリア・ネットワーク構想というのが実はあるんですね。このエリア・ネットワーク構想というのは、肢体不自由養護学校(知・肢併置校を含む)の学区域をエリアとして、また、エリア内の盲・聾・養護学校の中からセンター校を指定する、こういうふうな形になっております。しかし、このエリアの中に、例えば盲学校とか聾学校とかという種別が抜けてしまうことも、これは当然あり得るわけでありまして、こうした抜けてしまっているところに対して、特別支援教室はどういう連携をとるのか。とれないわけですよね、結局ないわけですから。こういったことからも、専門性が欠けてしまうのではないかという危惧が実はあるわけであります。
 私はやはり、都内全域でやる施策ならば、こういった種別の不均衡さがあってはならないと考えております。都教育委員会といたしましては、このエリア・ネットワーク構想センター校の種別の不均衡さについてはどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

○山際学務部長 エリアのセンター校につきましては、エリア内の保護者、都民等からの相談に応じたり、あるいはエリア内の関係機関とのコーディネート、すなわち連絡調整の役割を果たすわけでございます。
 一方、盲・聾・養護学校には、小中学校を支援するためのセンター機能が期待されているところでございます。特に学校が少ない盲学校、聾学校、あるいは病弱養護学校におきましては、複数のエリアにおいてセンター機能を果たすことが求められている、このように認識しております。

○小美濃委員 ぜひとも不均衡がないように、こういったことも最終答申に盛り込んでいただきたいな、そんなふうに思っております。
 また、これは障害の有無にかかわらないわけでありますが、社会的に人が自立するということの大きな要素に就労ということがあるわけでありまして、例えば養護学校を卒業して就労するにしても、民間企業の一般就労の数は極端に少ないというのが、実は私、養護学校を回ってわかりました。現在、福祉就労にほとんどが頼っているという現状なんですけれども、福祉就労はかなり行政の財政負担に頼っているところもありまして、恐らくこのままでは、この先パンクしてしまうかもしれないということが予想されるわけであります。
 また、民間企業就労の数が、養護学校の中でも極端に格差があるんですね。同じエリアを回りましたんで、地域的な不利益というのは多分ないんじゃないかと思うんですけれども、やっぱりこれは、都教育委員会のかなりの強いバックアップ体制が必要だと考えています。これは産労局ともしっかり連携をとって、情報交換をやっていただきたい。特に、自立しなければならない方の就労支援に積極的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、就労対策の取り組みについてはどのようにお考えでしょう。

○近藤指導部長 知的障害養護学校を卒業した生徒の一般就労率は、地域の企業の受け入れ状況等によりまして、学校間に大きな格差が生じているという現状がございます。このため、特に一般就労が困難な知的障害養護学校につきましては、東京都就業支援研究連絡・運営会議や、校長会が主催いたします就業促進協議会を設置いたしまして、福祉局、産業労働局、企業等の関係機関との情報交換を通しまして、また連携を深めまして、民間企業等への就労率の向上に努めているところでございます。

○小美濃委員 学校は努力しているんですよね。就職担当の先生も本当に、何というんでしょう、広告を見て、新聞を見て、就労雑誌を見て努力をしておりますし、校長先生も本当に努力をしているという姿がございました。特に知的障害の養護学校の一般就労がかなり数字的には低いわけでありますが、具体的に東京都教育委員会として積極的に取り組んでいただきたいと、これについても思うわけですけれども、どうでしょうか。

○近藤指導部長 東京都教育委員会では、これまでも、国に先駆けて個別移行支援計画の作成や職業教育アドバイザーの派遣などを行いまして、障害のある生徒の一般就労に努めてきております。このような都教育委員会の独自の取り組みを、国の機関であります東京労働局が設置しております障害者雇用連絡協議会の中で積極的に提言するなどしてまいりたいと考えております。
 また、進路指導主任研修会などにおきまして、職場開拓に関する情報提供を行ったり、現場実習に関する研修を行ったりして、就職率の向上に努めたいと考えております。

○小美濃委員 この問題も、実は民間企業の理解度が著しく不足しているということが一つの要因ではないかと考えています。
 先日、私の住んでおります武蔵野市の青年会議所で、企業向けのアンケートを行いまして、障害のある人に対する雇用についての理解度をアンケート調査したんですね。その結果、企業によっては理解度に極端な差がありまして、民間企業にはこれからも、障害を持った方でもこういった仕事はしっかりとできるんだっていう、こういったことを、理解度を向上させていかなければならないと思っております。
 ただ、こういうことはやっぱり各学校でやっていくというのはなかなか大変なことでありますので、都全体で、教育庁はもちろんですけれども、産労局も含めて取り組むべきであると思います。この「在り方について」は、就労についてまで書いてないんですけれども、しかし、自立をするためにはかなり重要な、教育の次の段階でありますので、就労についての考え方も、最終答申にはやはり盛り込むべきだなと私は思っておりますので、よろしくお願いをしたいなと思います。
 次に、寄宿舎についてお伺いしたいんですけれども、実は、通学負担の軽減と寄宿舎の必要性という項目が中間報告にあります。この中で「盲・ろう・養護学校の設置やスクールバスの整備等の推進により、現在、通学困難を理由に入舎している児童・生徒は、ほとんどいない状況にある。」と書いてあるんですね。通学困難な人はほとんどいないと書いてあるんですけれども、私は、ここまでいい切ってしまっていいのかなと実は思っています。
 盲学校に行ってまいりまして、通学が困難な人はほとんどいないとは思えないんですけれども、今回は盲学校の寄宿舎についてちょっとお尋ねしたいんですが、盲学校の寄宿舎の必要性についてどうお考えになっているか、伺います。

○山際学務部長 中間まとめの記述に関してでございますが、ちょっと全般的にお話をさせていただきますと、寄宿舎に入舎している児童生徒のうち、通学困難を理由として入舎している割合は、平成十三年度から十五年度の三年間平均で、聾学校、肢体不自由学校がゼロ%、知的障害養護学校が四・五%、盲学校が二六・二%、全体では一三・四%となっております。
 盲学校についてのお尋ねでございますが、盲学校での通学困難を理由とする寄宿舎への入舎は、このように他の障害の寄宿舎よりも比率が高くなっておるところでございます。盲学校の寄宿舎のあり方については、この実態を十分踏まえながら検討を行ってまいりたいと思います。

○小美濃委員 盲学校は、数字にもあらわれていますけれども、やっぱりほかの養護学校に比べると、まだまだ圧倒的に通学困難を理由としている方が多いわけでありますし、また実は盲学校の場合は、生活の場としての寄宿舎という考え方もあるんですね。生活の場が地域に絶対数が少ないですから、そうなってしまうのかもしれないんですけれども、なかなか居場所が地域にないということが現状でありまして、これは寄宿舎の本来の目的ではないんですけれども、寄宿舎に行けば仲間がいて、そこには居場所がある。社会の中にインフラ整備ができるまでは、ある程度、盲学校の寄宿舎の必要性はあるのではないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

○山際学務部長 これまで、都立の盲・聾・養護学校に通学している児童生徒は、地域との関係が日ごろから希薄になりがちであるというような状況は理解しているところでございます。このため、今回の中間まとめにおきましても、居住する地域の小中学校に地域指定校として副籍を置くことで、継続的かつ密接な地域でのさまざまな支援を受けることが可能となり、地域交流も期待される新たな施策を提起したわけでございます。
 寄宿舎のあり方を検討するに当たりましては、地域における動向も十分に配慮しながら対応してまいります。

○小美濃委員 将来的に地域の理解度がどんどん高まっていって、障害がある人も地域の中でしっかりと生活の場が担保され、また、各地域に徒歩で通学可能な特別支援教室が設置されれば、おのずと寄宿舎はその必要性を失うと思っております。
 しかし、盲学校に限っていいましたら、絶対数が少ないんで、学校からの通学区域が物すごく広くなっているんですね。また、半分の人が実は知的障害を重複しておりまして、知的障害を持っているだけでも、通学的には、普通の障害を持っていないお子さんに比べれば厳しいところを、視覚障害もあるということで、これはやっぱりかなり苦労が予想されるわけであります。こういうことから、寄宿舎を考えるに当たっては、盲学校については当面存続させる方向で考えていただければな、こんなふうに思っております。
 そこで、最後の質問になるわけですけれども、特別支援教室が、部門別併置設置校として、自宅から通える中学校単位ぐらいでできたら、これは、障害をお持ちのお子さんにとっても、また地域の理解度にとっても大変いいことだと考えておりますけれども、これについてはどうお考えになっていますでしょう。

○山際学務部長 特別支援教室の設置につきましては、地域の実情を踏まえ、区市町村教育委員会が適切に配置していくことが望まれるところでございまして、地域との関係の深化に加え、巡回指導を効率的に行うことなど、そうしたことについて、最終報告を踏まえて検討する必要があるというふうに考えております。

○小美濃委員 区市町村の事情もあるでしょう。しかし、今回のこの答申を読んで、いろいろな可能性の中で、こういう形ならばご納得がいけるのかなと思うのは、現状の固定学級にも限りなく近い形態で特別支援教室を設置して、ADHDや、LDや、知的障害や、自閉症などなど、こういった障害に合わせた部門別的な教室をそこに設置するということが一番いい形なのかなというふうに私は思っています。
 また、徒歩通学は、当事者の自立教育にも大変効果があるといわれているわけでありまして、できるならば中学校学区域に一つ程度の部門別併置の設置が望まれるところであります。現在でも、心障学級を設置している小中学校は、設置していないところに比べまして理解度がかなり高いともいわれておりますし、中学校区に一つの設置は、地域全体の理解度アップにもつながると考えております。しかし、これには、職員配置などなど、まだこれも明確にはなっていません、どういう職員配置をするかというのはわかっていません、まだまだわからない部分は多いわけでありますが、しかし、やはり財政的な負担がかなり大きくなるのかなということが予想されております。
 これは、今後の重大な課題になると思っておりますけれども、お手紙を読みましても、ひょっとしたら財政的なことで今回の計画をするのではなかろうか、こういうことをお考えになっていらっしゃる方もいらっしゃるんです。こういう誤解はやっぱり正していくべきだと思いますし、決して財政的な理由で本来進むべき方向を見誤ってはいけないと考えています。教育は国家百年の大計ともいわれているわけでありまして、必要な施策ならば、子どもや保護者の方が納得のいく、本当に真に安心な、安全な教育環境づくりのために、東京都も大英断をしていかなくてはならないと考えています。
 一部の保護者からは、この議論と、普通学級の三十人学級をリンクさせて議論している方もいらっしゃるんですけれども、現状、都内の小学校、平均一クラス三十・五人、中学校三十四人、ほぼ三十人程度のクラスが担保されているわけでありまして、今回の中間まとめに対しては、三十人学級をあわせて議論するということは、私は余り意義を見出さないわけであります。また、三十人学級を行うことによりまして、現状より六百億円とか七百億円とかという人件費がアップするということが試算されているわけでありまして、それだけのお金を三十人学級にするためにかけるんだったら、一部でも、今あるこの心身障害教育の充実に充てるべきだと考えているわけであります。
 とにかく、まだ中間まとめということでもありまして、これから保護者や当事者、また関係者の方々のご意見をよく聞いていただいて、真に東京都の心身障害教育がより前進するような最終報告をつくっていただくことを心から要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○渡辺委員長 ここで、議事の都合上、おおむね十分間休憩をしたいと思います。
午後三時十七分休憩

午後三時二十八分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○河西委員 それでは、質問させていただきますが、心身障害教育改善検討委員会中間まとめにつきましては、昨日の一般質問、一昨日の代表質問等でも、私どもの民主党幹事長の代表質問にもありましたが、ほかにも何人か質問をされておりました。また、今、私の前に、小美濃議員がかなり詳細にわたって、中間まとめの解釈についてご質問がありましたので、重複するところは大幅にカットをして、何点かご質問させていただきたいと思います。
 まず冒頭に、私は、日本の義務教育開始以後の障害児の教育の環境整備、これについて、まあ、一定の流れがあったんですが、就学猶予ということで、教育の現場、学校に来ないでいいですよという形から始まって、その後には、歴史はありましたけれども、健常児と障害児を分離するという形で行われてきた教育。その体制の中にあっても、やはり統合がいいんだということで、保護者や一部の先生を含めて、分離ではなくて統合だ、そういう運動を伴った歴史があったと思います。
 その後、今日の状況に至っているという認識を持っておりますが、分離か統合かという議論の中で、それぞれの地域で、私も狛江市で市会議員を務めておりましたが、この十数年間、保護者の皆さんと一緒に、障害を持っていても普通学級に通うということの条件整備等も、市教委あるいは都教委、あるいは養護学校から地域の学校に戻すということも含めて、さまざまな取り組みをやってまいりました。
 その中で、今回のこの中間まとめは、いってみれば一人一人の障害特性、あるいは一人一人の個性に合わせてきめ細かな障害児教育をというこの理念は、歓迎をしたいというふうに思っています。
 ただ、これをまさに理念どおり実現していくためには、本当に大変なこれからの体制の整備、あるいは法制度の改正も必要だなということを思っています。今回、中間まとめということで、秋に、十月に最終報告ということですから、三、四カ月の期間がございます。この期間の中で、それらの課題が十分に関係者にご理解いただいて、都教委と市教委、連携をとってきちんと進むかというと、余りにも期間が短いなという印象も持っております。
 ただ、新しいこのノーマライゼーションの考え方に沿った教育現場での障害児教育がきめ細かく行われるということについては、私どもも積極的な提言をさせていただきながら、実現に向けて頑張っていきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
 それで、先ほどもございましたけれども、今回の検討委員会の中間まとめの内容と、国の調査研究協力者会議のまとめた報告、この違いについて一点確認をさせていただきたいと思うんです。いってみれば、国と比べて、都独自の先進的な取り組みについて、端的にご報告いただきたいと思います。

○山際学務部長 中間まとめにおきましては、都独自の先進的な取り組みといたしまして、特別支援教室における指導を充実させるために、担当教員を固定的に配置し、児童生徒や保護者の多様なニーズに応じた指導形態を工夫することや、乳幼児から学齢期への円滑な移行を支援するために、教育、福祉、あるいは保健医療等の連携に基づく就学支援計画を作成することなどについて提言をしているところでございます。
 また、都立盲・聾・養護学校に在籍する児童生徒やその保護者が地域とのつながりを実感できるように、居住地域の小中学校に副籍を置き、学校行事への参加などを通して地域との日常的なつながりを継続する試みなどが提言されているところでございます。

○河西委員 これまで東京都の制度としてあった、いわゆる固定学級、通級学級を伴う心障教育、これが、このまとめでも指摘がありますように、新たな多様化した障害に十分対応できるものではない、こういう認識で、一つは、今の固定学級が、知的障害、肢体不自由、病弱、情緒障害、こういう障害児を対象として、また通級学級では、弱視ですとか難聴、言語、情緒障害、これを持った子どもたちが学んできた。そのほかに、今おっしゃった盲・聾・養護の学校があったわけですけれども、ここで不十分だったLDですとかADHD、それから高機能自閉症、きのうも民主党の青木議員が一般質問で質問をしておりましたが、従来の教員の対応では不十分であった、より複雑な、新たな障害特性に対応するというところで、抜け落ちていたといいますか、不十分だった子どもたちへの対応ということを非常に重視されている。ここはとても、関係者にとっては大きな救いになっているのではないかというふうに思います。
 それで、それに伴って、LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガー症候群等、こういう子どもたちの就学相談の問題なんですが、現在の就学相談の実施の方法、あるいは判定といいますか、判断の手順、私はこれも見直す必要があるのではないかというふうに思っておりますが、改善検討委員会でこの点についての議論が行われたかどうか、お知らせいただきたいと思います。

○山際学務部長 現在の就学相談の見直しなどについてでございますが、東京都心身障害教育改善検討委員会におきましては、LD等の児童生徒に対する教育的対応のあり方について、これまで議論をしてきたところでございます。
 ご指摘の件については、障害のある児童生徒の就学に関する調査、審議機関でございます東京都心身障害教育就学指導委員会におきまして、例えば児童生徒の就学相談の実施方法、あるいは判断を行う際の組織、その構成員のあり方等について、現在議論を始めたところでございます。

○河西委員 大変ここが、現実問題としては、就学相談あるいは就学時健診、そして判定によって行き先が決定する、この過程での問題も少なからずあったというふうに思います。新しいフォローすべきLD等の障害児の進路については、私は、従来の方法だけではちょっとカバーし切れないと。その判定に携わる人の問題とか、その子どもの保護者ですとか、こういう方々の理解と合意といいますか、それも必要だろうというふうに思います。
 いずれにしても、今、東京都の心身障害教育就学指導委員会ですか、審議が行われているということですので、この経過、内容も踏まえて、最終報告の中には取り入れていただけるというふうに認識いたしますが、よろしいですね、反映をさせていただくということで。

○山際学務部長 ご指摘のとおりでございます。

○河西委員 ここで、就学相談とか、あと個別指導計画、今回特徴的な就学支援計画等々に、保護者、親の意思といいますか、これがどのように尊重されていくのかなということです。不幸なことに、今まで、判定会議の結果に合わない親の決定というのがあって、会議と違った進路を持った子どもたちがいたわけですね。後になって、それがよかったかどうかということが絶えず議論はされてきたんですけれども、私は、就学相談とか個別指導計画策定の過程、あるいは就学支援計画などに、やはり親の決定権というと、ちょっと法的な裏づけもなくちゃいけないのかななんて思います。親あるいは保護者の意思の尊重といいますか、それがとても大事だというふうに思いますが、この点についてのご見解をお聞かせください。

○山際学務部長 保護者の意思についてでございますが、都教育委員会では、就学相談を進めるに当たりまして、保護者の十分な理解と納得を得ることを基本方針としておりまして、就学相談の過程におきましては、保護者の教育に対する意向に十分に耳を傾けるように、区市町村教育委員会に対しても周知徹底を図っておりまして、今後もこうした基本的な方針が変わることはないというふうに考えております。
 また、お話の個別指導計画におきましても、各学校では、保護者に十分な説明を行った上で作成することとしておりまして、今後とも、保護者との連携を十分に図りながら、指導内容、指導方法の充実に努めてまいります。

○河西委員 都教委は各市区町村教育委員会にそのような指導をしている、周知徹底を図っているんだとご答弁でしたが、現実はちょっと違うんですよね。保護者がこの指導計画の存在自身を知らなかったり、知っていても中身を見たことがない、そういう保護者、親御さんが大変多いということも一方ではございます。
 私は、これを機会に、教育委員会、学校、保護者、そしてまたその障害児を担当している医者等、そういう方々と、やっぱりその子にとってどういう指導計画がふさわしいのかということで、今以上に関係者、特に親と主治医等の合意を、同意を取りつける努力をしていただきたいというふうに思っています。
 アメリカなどでは、この指導計画書に保護者のサインが必要だというところまで進んでおりまして、一挙にそれが東京でできるかどうかは別ですけれども、ぜひこれも今後の検討の中に入れていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、先ほど、特別支援教室に今の心障学級が名称変更され、組織が変わっていっても、固定学級的に、固定的な教員の配置等も一つの選択肢として残るんだということ、それから、巡回という形で専門的な教員が子どもの教育に当たるということ、そのいずれかを選択できる、そういう余地を持っていくということが確認されました。
 ここでちょっと改めて、東京都の固定あるいは通級の心身障害学級の利点について、あるいはこれまでの評価といってもいいんですが、これについてお聞きしておきたいと思います。

○山際学務部長 現状と利点ということでございますが、近年、東京都の心身障害学級の在籍者数及び学級数は増加の傾向にございます。平成十四年度の学級数につきましては、平成四年度の学級数に比べまして三百八学級の増加でございます。
 次に、利点といたしまして、固定の心身障害学級では、障害のある児童生徒が一定の集団を形成して社会性をはぐくみ、安定した人間関係の中で成長することを可能にするなどの利点が挙げられております。また、通級指導学級におきましては、地域や通常の学級の児童生徒との関係を継続しながら専門的な指導を受けることが可能になる、このような利点がございます。

○河西委員 ぜひ、先ほど来の議論の中で確認されました東京都の姿勢、最終答申にも反映されるように、引き続きご検討いただきたいというふうに思っています。
 ここで問題になりますのが、今後新たに校内委員会の設置とコーディネーターの配置ということが盛られているんですが、これはとても大切といいますか、重要だなというふうに思っています。
 改めて、校内委員会の機能と役割について、また、コーディネーターの役割とコーディネーターとして求められる資質についてお伺いして、今後、校内体制をどのようにつくっていくのか、あわせてお伺いしたいと思います。

○山際学務部長 まず、校内委員会でございますが、これは、特別な支援を要する児童生徒やその保護者に対しまして適切な教育や支援を行うことを目的として各学校に付設され、その機能は、学校内の体制整備や障害のある児童生徒の実態把握、指導に対する助言であるとされているところでございます。
 また、特別支援教育コーディネーターは、校内委員会の運営や、外部の関係諸機関や盲・聾・養護学校との連絡調整役を担うものでございまして、連絡調整能力に加えまして、専門的知識を有することが望まれるものでございます。
 都教育委員会といたしましては、コーディネーター養成研修等を実施いたしまして、その人材の育成、資質の向上を図るともに、モデル事業の実施等も含めまして、今後の校内体制の構築を支援してまいります。

○河西委員 このコーディネーターなんですが、特に自閉症、アスペルガーの親たちにお話を聞きますと、その障害の特性が新しいといいますか、今までの類型別にはもう入らないということでもあって、例えば養護学校とか知的障害に携わってきたベテランの先生とか、そういう方、経験が長くて、まじめで一生懸命やればやるほど、逆に障害特性が違う子どもにとってはマイナスになるというか、逆効果だ、そういう側面もあるようでございます。
 それで、養成研修をしてコーディネーターを配置していくということなんですが、このまとめを読み取りますと、今いる学校の教員の中からコーディネーターを養成した後、配置するということになっているようでございますが、それが果たして、実施がずっと先の話なら別なんですけれども、国の法律が変わって、制度が変わって、切りかわっていくのが近々だということになりますと、ここのところ、非常に心配されるところだろうというふうに思います。これについても、現場の声も聞きながら、あるいは障害の専門的な知識あるいは対応策を身につけられる方策についても、十分にご検討いただきたいというふうに思います。
 それから、都立の盲・聾・養護学校の再編整備の問題なんですが、適正規模、適正配置ということを検討するんだということになっておりますが、この理由と基本的な考え方が明らかにできれば、お知らせいただきたいと思います。

○山際学務部長 今後の計画というようなお話でございますが、近年、都立盲・聾・養護学校に在籍する児童生徒の障害の重度重複化が顕著でございますし、また、盲学校、聾学校の在籍者数が減少傾向にある一方では、知的障害養護学校の在籍者数が増加している状況がございます。
 こうした現状に基づきまして、改善検討委員会の中間まとめでは、盲・聾・養護学校から特別支援学校への移行という国の動向も踏まえまして、障害の重度重複化に対応した複数の障害種部門を併置した学校の設置や、適切な学習集団の確保、児童生徒の通学条件等に配慮した学校の適正配置などを進めるために、都立盲・聾・養護学校の再編整備が必要であると提言されているところでございます。
 都教育委員会といたしましても、最終報告を受けまして、今後の施策について検討を進めてまいります。

○河西委員 都立の高校の改革のときにも大きな問題になりましたが、改革はいいと。二、三年後、数年後に改革に全面的に移行していく、それまでの間の過渡期の問題というのが、生徒あるいは関係者の不安という形で出されてきたところだと思うんです。
 やっぱりこの都立の盲・聾・養護の再編、あるいは適正規模、適正配置ということになってきますと、現状のまま存続するわけじゃありませんから、そこら辺は、過渡期に引き起こされる諸問題、あるいは関係者の不安解消ということについては、十分に、心障教育が前に進むんだという中身の問題とあわせて、きちんと丁寧に対応をしていただきたいというふうに思います。
 そして、どういう統廃合が行われるのかということも、現段階ではまだお知らせいただける段階じゃないと思いますけれども、答申を受けた後、行政計画に落としていく過程で、やはりここも十分な関係者への対応をお願いしておきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、寄宿舎の問題なんですが、このまとめによりますと、大変誤解をさせるような書き方になっておりまして、通学困難な方が減っていると。先ほども数字がありましたけれども、通学困難な者というのが一三・四%、家庭の事情による者と合わせると五十数%というお話がありました。ただ、今、東京都が寄宿舎入舎の基準としています理由の中には、通学困難と家庭の事情と教育上の理由というものがあって入舎を許可しているわけですから、通学困難だけを、減少したからといって、入舎の基準にするというように読み取れるようなまとめは、誤解を随分呼んでいるんだろうというふうに思います。
 これにつきましても、全くなくなるということではなくて、今までやってきて、寄宿舎が必要だということですから、その入舎の理由がなくならない以上、続けられるというふうに私は受け取っておりますけれども、この点の確認をお願いいたします。

○山際学務部長 寄宿舎のこれからについてのお話でございますけれども、現在、盲学校が四校、聾学校が一校、養護学校七校の計十二校に寄宿舎が設置されておりますが、副委員長ご指摘のように、その利用状況は非常に低い、六〇%を割っているというような状況もございます。
 今後、こうした利用状況を勘案して検討を進めていくことになりますが、その際には、障害の特性、あるいは島しょの児童生徒の受け入れなどについて十分な配慮が必要であろうというふうに考えております。

○河西委員 通学困難な子どもについてはそうだと思いますが、この中間まとめの中に一貫して流れていますのは、就学前から就学、そして就職という一貫したプログラムをつくっていくということも流れています。それから、社会性を身につけるですとか、生活習慣を身につけるとか、そういうのを含めて教育だというとらえ方も中にはあるわけですね。ですから、この寄宿舎の問題につきましても、これまで寄宿舎によって子どもたちにメリットとなってきた点についてはきちんと評価をしつつ対応をしていただきたいというふうに思います。
 もし通学困難者だけということであれば、東京都の規則の変更も伴うだろうと思いますが、そこら辺は、それも必要なんだという、規則の改定もあり得るんだということ、現時点では出てないだろうというふうに思いますが、そこのところだけちょっと確認させてください。

○山際学務部長 寄宿舎の本来の目的は、先ほど申し上げたとおり、通学することが困難な児童生徒のために寄宿舎を提供して就学を保障するということでございますが、交通機関の整備、あるいはスクールバスの増車等によりまして、その目的は薄れているところでございます。
 副委員長ご指摘でございますが、寄宿舎の入舎のあり方については、改善検討委員会の最終答申を踏まえて検討をしてまいります。

○河西委員 それでは、この五月二十九日の中間まとめの発表がされましてから、私どものところに、やはりたくさんの当事者、関係者のご意見が寄せられています。直接会って、お話を伺ったりしますと、これはちょっと当事者には失礼かもしれませんが、このまとめの全体の把握が不十分だなという気がいたしました。ご自分の関係のあるところは一生懸命お読みになるけれども、全体を通して、この今回の改革が何を目指しているのか、今後の心障教育がどうあるべきかというところの把握がなかなかできていない。
 これは、ご本人たちが悪いのではなくて、このまとめ方も、私どもにも非常に難解で、十分な理解がなかなか得られない。そして、ホームページで流しても、それだけで理解ができないという中で、やっぱり関係者へのきちんとした説明責任を果たすということと、それから当事者の意見を十分に聞く、このことがきちんと保障されなければいけないというふうに改めて痛感したところです。
 それで、先ほど、今後のスケジュールのところで、説明会をおやりになり、講演会、シンポジウムを予定し、またパブリックコメントを受けて、十月に最終報告にまとめていくんだというお話がございましたけれども、私は、この検討委員会の主催で、その会議の場に当事者をお呼びして意見を聞くとか、あるいは、この検討委員会のメンバーに今入っておりませんけれども、保護者代表とか設置校の校長先生とかをメンバーに加えていただいて、意見をきちんと反映させていただくということも必要ではないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○山際学務部長 本検討委員会におきましては、区市町村の教育長三名に委員を委嘱するとともに、小中学校の心身障害学級の設置校長二名に委員会において意見陳述をお願いするなどしまして、小中学校の現状把握に努め、審議の充実を図ってきたところでございます。また現在、区市町村教育委員会及び障害者あるいは保護者の団体等に対しまして、中間まとめの答申内容の説明を行っているところでございます。
 ご指摘の、保護者代表あるいは設置校長等を委員に加えることにつきましては、要望があった旨、当検討委員会の委員長に報告をいたします。

○河西委員 中間まとめですので、これから三、四カ月の間に、多くの都民の声あるいは直接当事者、関係者の声が届くだろうと思います。ぜひそれを真摯に受けとめて、東京の心障教育が一歩でも二歩でも前進するように、新たな制度の中でご検討いただくという方向性を確認していただきたいと思っています。
 それで、最後に、これは要望でもよろしいんですけれども、この心障教育の新たな段階の実施に向けて必要な条件整備、これは一つには教員配置の問題、それから専門家等の確保の問題があろうかと思います。新たな制度改正を伴うこれらの条件整備については、私は、国に対して、十分な体制が確保できるように、東京都は積極的に働きかけをすべきだというふうに思っています。このまとめでも、それについて触れておりますけれども、国のスケジュールを勘案しながら、しかるべき時期に、早急に国への働きかけをぜひお願いしたいということを要望して、終わります。

○石川委員 それでは、私からも、東京都心身障害教育改善検討委員会の中間のまとめについて若干質問をさせていただきます。
 この中間のまとめが出され、私たちに報告がある前に、既に関係者から、先ほど小美濃委員もおっしゃっておられましたけれども、さまざまな形でご意見、また要望、そしてまた答申に対する進め方について、いろいろなお声をいただいてまいりました。その一部につきましては、関係部署にもお届けしてあるところでございます。
 一口で申し上げれば、今回の中間のまとめによって、これまで、心身に障害のある方への教育が主でありましたけれども、新たな課題になっております、一言でいえば学習障害児等への施策体系が整ってくるのかな、こんな思いがいたしました。また、私たち公明党も、これまで手のつけられておりませんでした、こうした学習障害児等への施策の充実も訴えてきたところでございます。
 そこで、私も具体的な声をさまざまいただいてまいりましたし、きょうは関係者の方も傍聴に見えられておりますので、そうしたことも踏まえながら、基礎的なことを若干お伺いさせていただきたいと思います。
 それは、心身障害児を持っておられる保護者の方から見ますと、これまでの心身障害教育がなぜ特別支援教育に変わらなければならないのかという素朴な疑問でございます。その点についてご説明願えますでしょうか。

○山際学務部長 今日、社会のノーマライゼーションの進展、あるいは医療科学技術の進歩等によりまして、心身障害教育をめぐる状況は、ご案内のとおり大きく変化をしているところでございます。また、これまで、その定義あるいは判断基準が明らかでないなどの理由から、適切な指導体制の確立等の十分な対応が図られてこなかった、六・三%いるというふうにいわれるLD等の児童生徒に対する、先ほど来議論もございましたけれども、新たな対応が求められているところでございます。
 都教育委員会といたしまして、こうした状況や特別支援教育体制への転換という国の動向も踏まえながら、心身障害学級の制度から特別支援教室へ移行することを検討することとしたものでございます。

○石川委員 国の動向もこれあり。国の動向を見ますと、平成十三年の「二十一世紀の特殊教育の在り方について」からこれは始まっておりまして、この三月に「今後の特別支援教育の在り方について」という最終報告が出され、今後、さまざまな法改正等も行って、十七年度四月からの実施を目指して、これから諸条件が整備をされていくんだろうと思います。
 ところで、これまで、心身障害教育を必要とする児童生徒、また保護者の皆さんは、それぞれ小学校、中学校に上がる際に、本当にさまざまな苦しみ、悩み、そして東京で行われている心身障害教育、例えば固定学級あるいは通級学級、そして養護学校、こういう選択をするんだろうと思います。しかし、今、新たな課題になっております学習障害児等の保護者の皆さんは、でき得るならば通常学級の中で学びたい、こういう選択でそれぞれの方向性を決めるだろうと思います。
 したがって、今、東京の心身障害教育の一つの柱になっております固定学級、それから通級学級というものは、大きな成果を上げられて、今日まで発展してきたんだろうと思いますが、今度、特別支援教育、教室ということになりますと、今、特別な教育が行われております心身障害児を持っておられるご父兄の皆さんは、そうした悩みがなくなるんでしょうか。その点、ちょっと教えていただけませんでしょうか。

○山際学務部長 現に区市町村の小中学校の心身障害学級に在籍している生徒の保護者は、例えばこの十月から特別支援教育体制に移行する、あるいは来年の四月から特別支援教室に移行するということならば、大きな不安を抱くということになろうかと思います。
 私どもは、そのための条件整備をする、あるいはモデル事業を実施する中で、そういう知識の蓄積をしながら、それをオープンにして、多くの方々に明らかにしていく、そういうステップを講じて、具体的な移行に入っていきたい、こういうふうに考えております。そういうことで、多くの保護者の方々にはご理解いただけるのではないかというふうに考えております。

○石川委員 こんな声もございました。もともと通常学級での教育が困難だということがはっきりしている。だから保護者の皆さんは、教育的配慮が絶対不可欠である子どもの場を求めて、いわゆる固定学級に子どもさんたちを進ませている。それで、都教委の皆さんもご案内のとおり、大きな成果を上げてきているわけですよね。ですから、今回、新たな視点で障害者教育を行うというときに、これまでの障害を持っておられる児童生徒の教育と、新たに必要な教育的支援、これを一緒にこれから行いますよということで、いきなりこの中間発表で打ち出されたものですから、今、関係者の皆さんは大きな不安を実は抱いているのではなかろうかと思います。
 当然、国の動向も定まっておりませんし、また今回は中間まとめですから、特別支援教育へのスケジュールは明らかにされておりません。また、先ほど来さまざま議論がありましたように、これは理念としては私も正しいと思いますし、これが実現できれば、またすばらしい障害者教育が展開されるんだろうと思いますけれども、しかし、これを実現するためには、多方面、さまざまな部門で解決をしなければならない課題もありますし、また、それを支える教師、それから専門家等々の育成も必要になってくるわけでございます。
 したがって、先ほど来るる進んでおりますから、具体的には申し上げませんけれども、例えば、今一つ心配されておりますのは、先ほど申しましたように、最初から通常学級に通わせれば、この子は通常の子どもたちにいじめられるのではなかろうか、あるいは先生に大変なご迷惑をかけるのではなかろうかという思いがあって、固定学級、通級学級に通わせている。それをいきなり通常学級へ行きなさいよといっても、これは保護者、関係者のご理解は得られないと思いますが、その辺の作業は今後どういうふうに進めていかれますでしょうか。

○山際学務部長 ご指摘のように、特別支援教育は、地域の身近なところで子どもの実態に合ったような教育をしていこう、あるいは逆に、健常な子どもが障害のある子どもを支えて、ともに生きていこうという理念を持ったもので、多くの方々の理解を得ているというふうに考えております。
 しかしながら、それを実現していくためには、ご指摘のようにさまざまな条件整備をする必要があろうかと思います。特に重要な点は、やはりそういう教育を支える小学校の教職員の意識、そういうノーマライゼーションという時代の流れの中で、どういうふうに認識していくのか、そういう意識改革が非常に重要な話ではなかろうか。また、先ほどご質問がございましたが、健常児の理解教育も非常に重要なことでございます。そうした専門性について、今後、研修、そういうようなものを通じて展開するとともに、モデル事業を実施するなどして具体的な内容を煮詰めていくという形で展開をしていきたいと思います。
 委員ご指摘のとおり、法律改正がいつごろ行われるのか、そして、人的配置等、そういう条件整備が国の方でいつごろ展開するのかというふうなことについては、まだ明確にはなっておらないところでございますが、私ども、この検討委員会の報告を受けて、具体的な検討に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○石川委員 このノーマライゼーションの社会を実現するためには、実は心身障害教育というのは小学校からでは遅過ぎるんだろうと私は思います。
 ところが、今回の中間まとめで、いわゆる幼児教育については全然触れられてないんですけれども、この辺はどんなふうに検討されているんですか。

○山際学務部長 現在のところ、幼児教育については、特に障害種別に応じた教育に限定されているところでございまして、今後、最終報告に向けて検討を進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。

○石川委員 ぜひお願いしたいと思うのですよ。今、私立幼稚園なんかは、障害を持っておられれば玄関払い、これが保護者の皆さんのご意見です。当然、この高い理念を実現していくわけですから、ぜひ幼児教育という視点も含めて、この問題を検討していただきたい、このようにお願い申し上げるところでございます。
 それから、説明責任といいますか、説明が不足だ、こういうふうにいわれます。都教委が出されましたこの中間まとめを見ましても、実はどこにも、固定学級の廃止があり得る、通級学級がなくなるという表現は一言もないんですよね。ましてや、都の広報媒体でありますホームページ、中間まとめのダイジェストにも、こうしたことは触れられてませんし、多分「広報東京都」にも載っかったろうと思いますけれども、そこまでは具体的に書いてない。
 したがって、大きくこの制度の変革が検討されている部分というものは、やっぱり正しく情報として提供していくことが大事ではないかなというふうに思いますし、七月一日からパブリックコメントを募集しておりますけれども、なかなかそうした意見が反映しにくい情報しか提供されてないなという感じがするんですけれども、その辺どんなふうに工夫しておられますか。

○山際学務部長 東京都教育委員会といたしまして、これまで、固定の心身障害学級あるいは通級学級が東京の心身障害教育の充実に大きな役割を果たしてきた、これは周知の事実でございます。
 今後の国の法改正の動向を踏まえる必要がございますが、法改正が行われ、固定の心身障害学級が特別支援教室に移行された場合には、固定の心身障害学級の果たしてきた役割を新たな制度で継承できるよう、指導の形態等を工夫し対応することになるわけでございます。こうした取り組みを保護者等に安心していただけるように、今後とも十分に説明をいたし、理解を求めてまいります。

○石川委員 それから、先ほども出ておりましたけれども、これは、実施自体は区市町村の教育委員会でございます。当然、中間まとめを発表されまして日にちが経過しておりますから、この中間まとめに対する区市町村の意見等々ございましたら、ちょっと教えていただけますか。

○山際学務部長 区市町村教育委員会の教育長との協議は現在進行中でございまして、総論的なことについて今の段階でお話はできませんが、特別支援教育というのが、地域で障害のある生徒一人一人のニーズに応じた教育を行うという趣旨について、多くの教育長は、理解できる、賛成である、そしてまた、保護者のニーズもあるというような答えをしております。しかしながら、懸念するところにつきましては、今後の教育条件が、あるいは教育条件整備がどうなるか、そのあたりが懸念している大きなところだろうということで認識をいたしております。

○石川委員 国の動向といたしますと、来年の通常国会で関係法令の審議が行われるのかなというふうに伺っております。そうしますと、今後、本報告にまとめまして、もう少し時間をかけて、そしてまた関係者等の意見も十分聞きながらまとめ上げていくという考え方も、私は必要なのではないかと思いますが、この本報告をまとめるまでのこれからの考え方、進め方についてお伺いいたします。

○山際学務部長 本報告をまとめるに至るスケジュールでございますが、先ほどもご質問にあった中でお話をいたしましたが、学校関係者への周知のための説明、あるいはご意見を聞く、これについては今後ともやってまいりますし、さまざまな要望があれば、それにお答えしたいというふうに考えております。また、都民へのシンポジウムをこれから開催する、あるいは意見聴取を行うというようなこともございます。
 そうしたものを踏まえながら、ことしの十月に最終報告として取りまとめたい、このように考えております。

○石川委員 これは、十月までに本報告をまとめないと、その後の準備作業に影響が出てくるのでしょうか。

○山際学務部長 最終報告の報告内容によるわけでございますが、例えば最終報告の中でも、さまざまな点に、今後検討するようにというようなことがございます。検討委員会の報告が出た後にまた検討するというようなスケジュールを踏まえてやるというようなことで、一定の期間は必要であるというふうに考えております。

○石川委員 確かに中間のまとめを見ましても、この用語の解説に見られるごとく、一つ一つ用語の説明をいただかないと、どういう仕組みなのか、どういう内容なのかというのが、私もよく理解できない言葉が大変ありました。
 今後、さまざまな計画をつくったり、センターをつくったり、いろいろされるわけですけれども、この作業だけでも、あるいはこれを策定する人材の確保だけでも大変な作業ではないかな、こんなふうに考えております。ぜひ、今申し上げましたように、さまざまな方法を尽くしまして、関係者のご理解等々を得ていただきたいと思います。
 最後に、実は盲・聾・養護学校の再編整備については、先ほどもありましたが、簡単に触れられております。いわゆる構想策定から四年経過したので再編の計画をしなければならないという文言になっております。しかし四年前の構想策定のときと、今、特別支援教育への移行という新たな発想が出てまいりましたので、この辺の考え方も、そうした新たな特別支援教育、しかも今度は学校が特別支援学校と変わるのですかね、そういうふうに変わってきますから、ぜひその辺も十分勘案の上、検討していただきたいと思います。
 それから、寄宿舎につきましても、先ほど来の論議で、その意義は薄れてきたというお話であります。しかし、今、寄宿舎に入っておられる児童、そしてまた保護者の皆さん、確かに通学という面だけではなくて、生活支援という意味合いも含めまして、大変貴重な機関だ、こういうご意見がございますので、この寄宿舎の廃止につきましても、十分関係者のご意見を聞いてご検討していただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○曽根委員 これまでもかなり質問がありましたので、ダブりを避けながら簡潔にやりたいと思います。
 今回の中間まとめは、国の検討作業とちょうど並行して行われてきた経過があって、資料でもいただきましたように、三月二十八日には国の最終報告が出ているわけです。その中で、特別支援教育という名前、これも大変気になるところですが、しかし、その中身は、これまでの養護学校や心障学級、通級学級などに通っている障害児に加えて、通常学級に六%程度はいるであろうADHD、LD、高機能自閉症も、この教育の対象とする。それで、一人一人の教育ニーズにこたえて教育的支援を行うというそれ自体は、それが本当に障害児の教育と正面から取り組むという立場で行われるならば、障害児教育をかつてなく大きく前進させる可能性を持っているということは確かだと思うのです。
 ただ、その規模はどの程度になるかというふうに考えると、現在、都内で養護学校に通っている児童生徒が七千五百人、心障学級、通級学級などが八千五十人ぐらい、合計一万五千人を超える子どもたちが通っている。これに対して、通常学級にいると思われるADHD、LDその他の子どもたちが、推定ですが四万五千人程度となっているわけですね。これを加えると、六万人強の子どもたちを対象にした教育ということになる。
 これは、人数からいっても、今までの四倍の規模を対象にした教育を行っていくということで、本当にまじめに一人一人について、値踏みをしないで教育をしていこうと思ったら、やはり、これはこれからのいろんな状況、実態調査も、きのうの本会議で話がありましたようにしなければなりませんが、今の養護学校や心障学級や通級学級に欠けている教育の手間暇を四倍に広げるという覚悟が要ると私は思うのです。そういう覚悟を持って取り組むのであれば、私は大いに歓迎だと思うのですよ。
 しかし、気になる部分がありまして、中間まとめの序章のところにも、それから終わりの文章のところにも、繰り返し、現有の教育財産や人的資源を最大限に活用していくなど、現在の厳しい都財政を取り巻く社会経済状況を踏まえて、既存事業の見直しを行いつつ、より効果的な成果を上げられるよう創意工夫が必要だというような文章が出てきます。これは抽象的な言葉ですけれども、もし現在の障害児教育の予算や枠組み、人的な定数などを余りいじらない中で調整しよう、再編しようというのであれば、到底賄い切れない多くの子どもたちを抱え込む。そうすると、一人一人の障害児に対する教育が極めてレベルダウン、もしくは薄れてしまうんじゃないかという危惧を持たざるを得ない。これが私の第一印象なんです。
 そこで、まず盲・聾・養護学校の分野について、これは、私どもの会派で、昨年十二月、第四回定例会の池田議員の質問も含めて、これまでも繰り返し求めてきた具体的な課題がありますので、その点を含めてちょっと質問したいと思うんですが、私もこの委員会で取り上げましたけれども、これまでも、例えば教員、教室の不足の問題、耐震補強がまだ不十分である問題や、スクールバスの乗車時間が片道一時間半を超えてしまっている子どもが出ているという問題など、個々の待ったなしの課題について、養護学校の改善を求めてまいりました。それから、青鳥養護久我山分校の本校化の課題、港養護のように、隣のマンションのために昼間真っ暗になってしまうような養護学校の移転問題など、緊急の改善も求めてきました。
 これらの課題について、中間まとめ、最終案を固めていくというのを待つことなく、どんどん取り組んでいく必要があるということは、ぜひ、取り組む姿勢として持っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 都教育委員会はこれまでも、スクールバスの増車あるいは教室の増改築、耐震補強工事、普通教室の冷房化など、緊急に対処すべき事項について適切に対処をしてきたところでございます。
 今後とも、盲・聾・養護学校の児童生徒の教育環境の整備に向けて、財政状況を踏まえつつ、創意工夫を図りながら適切に対応してまいります。

○曽根委員 これは、中間まとめや最終案を固めるまでもなく、緊急の課題として取り組んでいただくよう、改めて要望しておきます。
 それから、中間まとめの最終案を決めるまでに九回の検討委員会が行われているわけです。私も、各回に出された資料や議事録を一通り読ませていただきました。かなり膨大なものでしたけれども、その中で、本当に関係者の方々が大変な労力をかけて検討してこられたということがわかりました。
 しかし、非常に気になったのは、中間まとめの案をまとめる手前の段階では明記されていた、例えばスクールバスの乗車時間を六十分を標準とするという目標や、知的養護などで足りない高等部の増設、病弱養護の高等部設置、これも前からの課題になっていますが、こういった目標がある程度具体的に書き込まれていた部分が、最終的には抽象的な表現になってしまったということがありました。
 私は、教育庁としては、この検討会の事務局として案をまとめる中で、実際の課題としてぶつかっている問題を出されたんだと思っていたのね。ただ、中間まとめだから、最終的には方向を示して、最終案まで待つということになったようなのですが、少なくとも、出されたスクールバス乗車時間六十分以内とか病弱養護の高等部など、かねてから課題になっている問題については、この事業計画を具体化する中で、目標どおり解決していくというふうに考えておられるんでしょうか。

○山際学務部長 中間報告、中間まとめに関連してのお尋ねでございますが、中間まとめについては、四月に行った第八回の改善検討委員会におきまして、これまでの審議内容をもとにして素案を示し、審議を行い、委員長、副委員長を含む各委員からご意見、ご提案をいただいたところでございます。これらを踏まえて事務局で整理し、委員長、副委員長の承認を得てまとめたものでございます。

○曽根委員 最終的には、承認を委員長さんから得られたということだと思いますが、この中では、最終日、五月二十九日の検討委員会では、その前の素案の段階まであった、先ほどいったようなスクールバスの乗車時間の目標なんかがなぜ消えちゃったんだという意見が委員からも出されていて、これは方向性ですからというお話があったんだけど、少なくとも前の段階で、素案の段階でのせた以上は、これは前向きに考えているんだよということの表明として受け取っていいんでしょうね。

○山際学務部長 検討委員会はあくまでも、今後の二十一世紀の心身障害教育の基本的方向について諮問をし、答申をいただくということでございまして、具体的な施策の方向を義務づけるような内容では、答申の方向としては違うのではないかというようなお話をし、ご理解をいただいているところでございます。

○曽根委員 これ以上やりとりしても、らちが明かないんですが、二十一世紀の方向も結構なんですが、しかし、一たんこの検討委員会に、事務局としてここまで考えているんだよという案が出ているわけですから、少なくとも、これからの具体化の段階でこれが後退しますというようなことは絶対ないようにしていただきたいと思います。
 それから、寄宿舎については先ほどお話があったので、私も繰り返し質問はしませんが、十二月の検討委員会で、本当に当事者の、関係者の方から、委員の中から、これはコストの問題はあるけれども、教育的に非常に重要な施設である、役割を持っている、今日的役割があるんだということが強調されて、これを否定する発言は、少なくとも委員の中からはほとんどなかったわけです。教育庁の側からは報告として、通学時間が延びる、長過ぎてという問題は解消されているというお話はありましたが、教育に現場でかかわっている方や父母の方からは切実な訴えがありましたので、これをぜひ尊重していただきたいと思います。
 それから、これも私ども前から取り上げてきたことなんですが、養護学校は、知的養護を初めとして、その学校自体が、子どもたちの増加によって、また対象や役割の拡大などによって、私はどう考えても増設が必要だと思うんです。これから、適切な規模、配置を考えていくということですけれども、その中で、例えば通っている子どもたちも、平成八年の六千四百人ぐらいから、現在もう七千五百人近くなっている。千人近くふえているわけですよね。これからもふえていくでしょう。養護学校に今、通っているような子どもたちを通常学級に戻すようなことがない限りは、養護学校自体はふえているわけですから、増設しながら、中でどうしていくのかということを考えざるを得ないと思うんですが、この点では、増設を含めて今後再編を考えていくのか、お聞きします。

○山際学務部長 都立盲・聾・養護学校の再編整備に当たりましては、各障害種別の在籍者数の状況や、あるいは適正な学校配置の視点等、総合的な対応が必要でございまして、今後の最終答申を踏まえた上で、増設の必要性も含め検討をしてまいります。

○曽根委員 私は、やっぱり今のキャパシティーでは到底間に合わないということがはっきりしている以上は、これの最終答申による事業計画、具体化、また法律の整備を待ってとなれば、一年、二年はすぐ過ぎてしまうわけなので、待ったなしの課題として、増設は今からでも計画をすべきだと思いますので、申し上げておきたいと思います。
 それから、今後の方向の問題で、まだ抽象的ではありますが、盲・聾・養護学校の総合化というような方向が出されています。また一方で、地域のセンターとしての役割というものが強調されているわけです。それには、やはり新たな役割を持たせるわけですから、どこまで総合化するのか。つまり、いろいろな障害の種別の子どもたちを学校に通わせていくのか、クラスまで同じクラスに、そこまで混在させるのか、そういう問題や、それから、地域のセンターの役割を果たすといえば、相談窓口その他ができてくることになりますが、そのための人材は新たに配置するのか、今の定数の枠内でやっていくのか、どういったところまで検討されているのでしょうか。

○山際学務部長 総合化の問題とセンター化の関係の二つの質問があったと思います。
 まず、総合化についてでございますが、中間まとめにおきましては、障害の重度・重複化、多様化に対応するために、複数の障害種部門を併置した学校の設置について提言をしているところでございます。都教育委員会では、国の動向や改善検討委員会の最終報告を踏まえて、具体的なあり方について検討してまいります。
 また、地域のセンター機能としての養護学校に必要な人材の扱いについてでございますが、今後の最終報告あるいは国の動向、都財政の状況などを踏まえて慎重に検討してまいります。

○曽根委員 まだこれからの検討のようですけれども、実は、国の検討が進む中で、その検討委員会に入っている京都市の障害児教育の担当者、この地元のところで既にモデル事業が始まっているということで、私も現地に行って調べてまいりました。
 京都市は市立の養護学校が、今度四つ目ができて四校になる。来年度からは、モデル事業として知的障害と肢体不自由を四校とも全部混在させた学校になる。総合化の学校になる。どこまで混在させるのかと思ったら、一つのクラスの中に、重度・重複の子どもたちが多いですから、三人ないし四人ですけれども、片や肢体不自由で車いす、片や多動の知的障害という子どもが同じクラスの中で一緒に授業、指導を受けるという状態を、今からモデル的にもう始めているということでした。担任は先生が一人、副担任はなし。で、トイレなんかのときには、当然行き方が違うわけですよね、車いすの子どもと多動の知的障害児ではね。もう大変らしいんですね。しかし、そのときは、必要なときに応援を呼ぶだけで、一人の担任が基本的に責任を持たなきゃならない。東京都から研究授業などを見学に行った東京の先生は、もう何が起こるのかはらはらして、本当に怖くて見ていられなかったというお話だったんですよ。
 そういうことが既にモデル事業で、国の検討会のメンバーの担当のところで始まっているということで、私はやっぱり総合化というのは、本当に子どもたちの、障害児の教育にとってプラスになるかどうかについては、東京都で考えていく場合、相当慎重に考えていただきたいということを、これはこれからの検討ですから、お願いをしておきたいと思います。
 さて、次に心障学級の問題で、これは先ほど来お話が出ているように、今まで質問をされた三人の方はいずれも、私もそうなんですけど、ファクスや手紙やさまざまな形でご連絡を受けて、心障学級がなくなってしまうことのないようにということを要望を受けております。大変な不安が広がっていて、けさもファクスが来たのですが、心障学級を残してほしいという陳情署名、もうこれは出されると思うのですけれども、四万二千筆を超えたというお話もいただきました。わずか一カ月ちょっとの間に、これだけの心配の声が上がっているという点では、このことは本当にその方々の声を生かしていかなきゃならないというふうに痛感しています。
 それで、今までもご質問はありましたので、私は一つだけ、検討委員会の中で、経過についてちょっとお聞きしたいんですが、一月二十八日に素案のたたき台という形で出された、今後のあり方の中間まとめの素案のたたき台ですね、この中には、都の説明の中にこういうくだりがあります。
 特別支援学級・教室のあり方としまして、国では特別支援教室としているが、東京都では、学校の配置状況や交通手段、心身障害学級の実績等を勘案すると、特別支援学級(現在の固定の心身障害学級)と特別支援教室(現在の通級指導学級を改編した教室)が必要ではないかと考える。そして、この特別支援学級・教室を強化充実するために、校内委員会の設置や特別支援教育に対する方針の提示や、特別支援教育コーディネーターの指名とその養成などが必要である。
 これは明らかに特別支援学級、つまり今の心身障害学級を、名前は変えるけれども固定学級として残しつつ、それに加えて特別支援教室もつくるよという方針を、考え方を、都の側から提示していたという経過があるわけなんです。
 それが四月二十五日の素案の段階では消えてなくなって、固定式のいわゆる心身障害学級は、それにかわる特別支援教室に移行するとされた。これはやっぱり不安になりますよね。一たんは現状の成果を認めて学級を残すとしながら、なぜ最終段階でこれが落ちてしまったのか。国の方針が間に出ているわけで、私は国の影響かなと思うのですが、その点いかがでしょうか。

○山際学務部長 改善検討委員会の初期の検討段階におきましては、従来の固定学級に近い形態を特別支援学級、通級学級に近い形態を特別支援教室という形で整理をしてきましたところ、検討委員会の委員あるいは幹事から、両者の考え方が非常に理解しづらいという意見が多数ございました。特別支援教室では、従来の固定学級のように週の相当数の時間を指導する形態も可能であることから、委員長、副委員長と協議した上で、特別支援教室という言葉に統一したものでございます。

○曽根委員 確かにそういう発言があったんですね。一転して、この学級を解消して、支援教室一本になった。しかし、私はこれが大きな、東京の場合には大きな混乱のもとになるというふうに懸念するんです。
 他県を見ますと、京都や何かも含めて、小中学校に置かれている心障学級は大体その学校ごとにつくって、その学校で一人か二人の子どもが、対象がいれば、その学級に先生を一人つけるという形でつくられている県が圧倒的なんです。東京はそういうのと違って、拠点方式の学級をつくっている。大体八人ぐらいですかね、そういう定員でつくっているということで、やっぱり東京の実績やこれまでの歴史がある。この中でつくられた成果を東京都も評価しているわけですから、これを基本的に解消するというようなやり方が、国の全体の流れに合わせて行われるということは、やっぱり地方自治体としての独自の考え方に基づくこういう方向を出していく上では、極めて大きな問題を残すだろう、禍根を残すだろうというふうに私は思うんですね。
 私も、心身障害学級、中野の学級を見学させてもらったんですが、やっぱり教室というのは、いろんな形を工夫しても一つの器だと思います。しかし学級というのは、そこに通う子どもたちの、だれだれちゃんの決まった机があり、いすがあって、ロッカーもある。週番、日直が決まっていて、朝のあいさつは、きょうはだれの当番というふうに、クラスの一つのまとまりの中で運営されていくわけです。朝夕は、最後はみんな集まって、そこでまたお昼も食べたりするという、これは器ではなくて場なわけですよね。学びの場だと。これは本質的に、例えば特別支援教室が仮に週の多くの時間をそこで子どもが過ごすことができたとしても、そこには、その子だけの決まった場があるわけではないという点では、本質的な違いがあると思うんです。しかも、学籍はやはり通常学級の方に置かれているという点で、私はそういう点で、今の心障学級が果たしている役割がなくなってはいないということが成果としてはっきりしているのであれば、これを解消して全部を特別支援教室に移すのではなく、いってみれば、支援教室の形で新たな教育の場所をつくり、支援のシステムをつくるということが必要な子どもも当然いるでしょうから、それを加えていくということが、東京のとるべき方向だということを申し上げておきたいと思います。
 それで……(「答弁が出ているじゃない、もう」と呼ぶ者あり)混乱するから、なるべく時間を簡潔にやりたいものですから。(「いや、もうオーバーしてる」と呼ぶ者あり)そんなことないですよ。
 それで、この心障学級の問題を検討するときに、検討委員会に心障学級を設置している学校の校長先生がいなかったというのが大きいと思うんですね。したがって、これからの最終段階に向けて、一つは、心障学級を置いている学校の校長先生ほか、教員、父母の方々の意見を、やはり今までできなかった分を十分に酌む必要があるということが一つと、それから、やはりこれは各区市町村に置かれていますので、したがって、大変でしょうけれども、各区市町村ごとに少なくとも説明会を持つということが、東京都の責任として必要だと思いますが、またそこで意見も聞くということが必要だと思います。いかがでしょうか。

○山際学務部長 中間まとめにつきましては、さまざまなツールを通じて、都民への周知あるいは意見聴取に努めておるところでございます。
 ただいまの小中学校あるいは心障養護学校についての説明についてでございますが、これらにつきましては、PTAの会長とか、あるいは校長会の役員の方々に内容に関する説明を行いまして、これらの代表者の方から、各学校長あるいは会長さんに説明していただくというような形で対応を行ってきたところでございます。
 今後とも、校長会等とはいろいろと意見の交換をする機会もあろうかと思いますが、そうしたときに、例えば要望があったというようなこともあるわけでございまして、そうしたことについては可能な限り対応してまいります。

○曽根委員 区市町村それぞれにありまして、しかも、全部合わせると五百校ぐらいに配置されているわけなんで大変だと思いますが、少なくとも、区市町村単位で説明会をやりたいから都から説明に来てくれ、または意見を聞いてくれといったときには、今のお話のように、積極的にそういう場を持っていただきたいというふうに思います。
 通級学級の方も、これは意見にとどめますけれども、私、北区にある桜田学級という、ADHDやLDの子どもさんが通っているところに行って、担当の先生の話を聞いてきたんですが、その先生は、もともとは二十年ぐらい普通の小学校の先生をやって、それから五年ぐらい心障学級の先生をやって、それから桜田学級という学習障害、多動性障害などの発達障害の子の担当をやって三年になると。やっぱり全部違うそうなんですよ。心障学級の子どもたちと、もちろん養護学校の子どもたちも違うし、また、それとも違う形で、通級でなければ学ぶことのできない子どもたちが、北区ですけれども、全体で二十三人、小学生で通ってきている。
 例えばLDでは、例えば算数なら算数だけできない。ほかの科目は全部普通どおりできるし、決して知能が劣っているわけじゃないんだけど、算数だけできないために、どんどんどんどん追い詰められていって、それで学校に行けなくなってしまう、そういう子どもの指導。そういう子どもたちが集まってきて、そこには小さい体育館がついているんですが、いろんなゲームやスポーツなどを通じて、自分がいる場所と、それから仲間と、その仲間の中で、その先生はヒーローといっていましたが、自分がヒーローになれる場所がある。そのことがその本人の自信になる。生きる力になって、将来的には大きな力を、能力を発揮する、その土台ができていく。そのためには、通常学級の中だけではできない、自分が主人公になれる場所がどうしても必要な段階がある。そういう子どもたちが、数は限られているけれども、いて、そういう子どもたちにとっては、この通級学級でなくてはならないという話をされていました。
 私、そういう子たちというのは一定数いるだろうなというふうに思います。そういう点で、今までつくってきたいろんな場があります。それは決して多くはないかもしれないけれども、そこが必要だからこそ、今、通ってきている子がいるわけで、それを簡単に、何か新しい形だということでそっちに流し込むということだけは、慎重に考えて、避けていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 引き続き十月の最終答申ということでしたが、私は、都民からのさまざまな意見が出れば、場合によっては時期もおくらせてでも十分慎重な検討が必要だと。恐らく東京の障害児教育の百年の計を決める大きな転換期です。三十年近く前ですけれども、全員入学を決断したときの、すべての障害児に学びの場をという決断のときと同じぐらいの決意が必要で、そのためにも多くの方の意見を尊重して、特に今、一番問題の心障学級に通っている子どもさんの親、また先生たち、関係者の意見も尊重して進めていただきたいことを申し上げて、終わります。

○執印委員 中間のまとめということで、なかなか見えづらい部分もございまして、私なりの把握をしたいということ、それから、都民の方への説明をしていきたいということ、その上で、よりよい道を模索していきたいということがございますので、質問が今までの方と重なるところも若干あると思いますが、よろしくお願いいたします。
 まず一問目といたしまして、今回のこの中間まとめは、国の特殊教育から特別支援教育への転換を受けての改善の基本的方向であるというふうに認識をしておりますが、日本全国では六・三%、LD児、ADHD児等がいるようだということですが、東京全体の実態把握というのはどのように行われるのでしょうか。この間の質疑でも少しございましたけれども、その実態把握のことと、それから、プライバシーへの配慮というものが絶対に必要だというふうに思いますが、その点はどのように考えられているのでしょうか。

○近藤指導部長 調査は、本年七月から九月にかけまして、小中学校の通常学級に在籍するLD、ADHDの児童生徒の実態並びに各学校が必要としている教育的支援の内容につきまして、都独自の調査を行います。
 なお、実態調査に当たりましては、個人情報やプライバシーに十分配慮するよう、区市町村教育委員会へ事前の説明を行い、徹底してまいります。

○執印委員 次に、そういったLD児、またはADHD児などの児童生徒が特別支援教室で学ぶということを、これはだれが認定するようになるのでしょうか。

○山際学務部長 障害のある児童生徒の就学に関する事務につきましては、これは各区市町村教育委員会の判断と責任によって行われるものでございます。したがいまして、LD等の児童生徒が特別支援教室において学習を受ける必要があるか否かについての判断は、当該児童生徒の所在地の区市町村教育委員会が、保護者の意向や専門家の所見等に基づいて行うことになるわけでございます。

○執印委員 これは先ほども質疑がございましたけれども、これまで就学時健康診断というのがありまして、私どもは、これも必要ないのではないかということを、実は地域では運動してきておりますけれども、これについては基本的には現行どおり残るのかどうか、伺います。

○山際学務部長 就学時の健康診断につきましては、これは学校保健法に基づきまして、区市町村教育委員会が就学予定者に対しまして健康の状況を把握し、保健上必要な助言や適切な就学指導等を行いまして、義務教育が円滑に実施されるように行われるものでございます。就学時の健康診断につきましては、適切な就学相談や就学指導を行うためにも、引き続き実施をしてまいります。

○執印委員 現場ではさまざまな調整が必要なのかなというふうに思います。
 それでは、次に、これまでの都立の盲・聾・養護学校というのは特別支援校になって、心身障害学級は特別支援教室になるということだと思いますが、これまで心身障害学級に通っていた児童生徒は、通常のクラスに在籍し、特別支援教室に、必要がある時間数または日数、通うことになるというふうに思いますが、それでよろしいでしょうか。
 その場合は、ここに書かれておりますエリア・ネットワークというものが意味を持ってくるというふうに思いますが、将来的には、このエリアは行政区ごとになるというふうにイメージしていらっしゃるのでしょうか。

○山際学務部長 国の「今後の特別支援教育の在り方」によりますと、盲・聾・養護学校は特別支援学校に、特殊学級は、LD等を含む障害のある児童生徒が通常の学級に在籍しながら特別支援教室に通うという制度に変わることが提案されているところでございます。
 お尋ねのエリア・ネットワーク構想につきましては、都の特別支援教育の推進に当たりまして、全都を複数のエリアに分割し、エリア内の盲・聾・養護学校や小中学校等の教育機関と、保健、医療、福祉、労働等の関係機関の連携協力を推進していくシステムでございます。
 エリア・ネットワークが有効に機能するエリアの大きさや、あるいは範囲などにつきましては、今後、最終報告を踏まえまして具体的に検討を進めてまいります。

○執印委員 最終報告を踏まえてということですが、十月を待たないと出てこないということなのだと思いますが、このエリア・ネットワークにおけるパートナーシップというものが示されております。都立盲・聾・養護学校と区市町村立の小中学校が連携していくということになるのだと思いますが、LD等の児童生徒の教育方法、指導方針を決めるのはだれが行うのか、どこになるのか。そして、そのとき、パートナーシップということですから、東京都の都立の学校との連携ということになっていくのだと思います。市区町村と都の連携というものが出てくるのだと思いますが、東京都としてはどのような支援ができるというふうにお考えなのか。
 今までのご説明の中で、例えば普通学級に障害があるといわれているお子さんが在籍することになると、そのことに反対をしているわけではありませんが、人的配置というのが見直されない限り、現実的ではない、非常に現場が混乱するのではないかというふうに思うわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

○山際学務部長 学校における教育は、校長の責任で編成する教育課程に基づきまして、担当教員が、児童生徒の障害の状況、状態に応じて指導内容、方法を決定するものでございます。したがいまして、特別支援教室で学ぶ児童生徒の教育内容、方法につきましても、在籍学級の担任と特別支援教室の担当教員が連携を図りながら、必要な教育内容を定めていくことになります。
 その際、都立盲・聾・養護学校は、パートナーシップに基づきまして必要な支援を行っていくわけでございますが、具体的な支援に当たりましては、現在の人的資源を有効に活用しながら、地域の実情に応じた方法を工夫していくことが大変重要であるというふうに考えております。

○執印委員 次に、専門性については先ほど質疑もございましたが、専門性の向上という記述のところで、民間活力の導入によるPFI方式の活用などについて検討が必要であるというふうになっておりますが、これが具体的にイメージができないものですから、どういったことが話し合いとしてあった上で、どのようなイメージとして載せられているのか、お尋ねをいたします。

○山際学務部長 中間まとめにおきましては、今後の多様な学校設置形態について、あるいは教育資源の有効活用というところで、PFIなどの活用について触れておりますが、これは、民間の持つ多様な専門性を学校の特色や教育資源の有効活用に生かそうという趣旨で、一つの例として載せたものでございます。

○執印委員 例として載せてみたというふうに受けとめさせていただきます。
 次に、これも先ほど来質疑がございましたが、寄宿舎の今後の取り扱いについては、どのように教育委員会としては考えられているのでしょうか。

○山際学務部長 寄宿舎の本来の目的は、通学することが困難な児童生徒のために宿舎を提供し、就学を保障するというものでございます。
 現在、盲学校四校、聾学校一校、養護学校七校の十二校に寄宿舎が設置されておるところでございますが、入舎率は、病弱養護学校を除くと、寄宿舎総定員の五八・九%でございます。
 今後、この利用状況等を勘案した適正配置を考えていくことになりますが、その際、障害の特性、あるいは島しょの児童生徒の受け入れについては十分な配慮が必要であるというふうに考えております。

○執印委員 次に、パブリックコメントについて伺います。
 既に一日から始まっているわけですが、ここに寄せられた意見はどのように集計をし、最終報告に反映させていくのでしょうか。

○山際学務部長 意見募集の広報につきましては、「広報東京都」、東京都教育委員会ホームページあるいは「教育庁報」などによりまして、都民に広く周知をしたところでございます。
 意見募集につきましては、七月一日から二十日間の間に、ファクス、郵送、Eメールによって受け付けをいたします。都民の意見につきましては、項目ごとに整理するなどいたしまして、改善検討委員会に報告し、今後の最終報告に向けて審議の材料とさせていただきます。

○執印委員 その最終報告が出されます後に、十月ということですけれども、例えば保護者の代表などからさらに意見聴取はあるのでしょうか。パブリックコメント後の検討日程がどのようになっているのか伺います。

○山際学務部長 パブリックコメント後の検討日程についてでございますが、八月当初に、都民から寄せられました意見についての審議を行った後、この審議を踏まえまして、九月に答申案についての検討を行う予定でございます。その後さらに答申の最終的な検討を行い、本年十月末を目途に答申をいただきたいというふうに考えているところでございます。
 お話の意見聴取のことにつきましては、要望があった旨を委員長にご報告いたします。

○執印委員 特に必要なものについては、コメントを寄せられた方から直接話を聞くというような場の設定も検討していただきたいと思います。
 それで、最後に、この特別支援教室、それから特別支援学校というふうになっていくわけですが、特別支援教室については、以前から私ども、インクルージョンによる教育を主張してきましたので、この取り組みそのものを否定するものではないわけです。ただ、この中間まとめですと、盲・聾・養のお子さんは今までどおり別の学校に通うという計画になっております。私としては、ぜひ長期的な視点で--これは今出して、平成十七年から、今の中間まとめを受けた最終報告に沿って進んでいくということだと思いますけれども、もう少し長い視点で、盲・聾・養のお子さんも含めて、ともに学べる学校づくりを目指すべきではないかというふうに考えておりますが、その点についてはいかがでしょうか。

○山際学務部長 特別支援教育の意義といたしまして、一つには、小中学校に在籍する障害のある児童生徒が、一人一人の状態や教育的ニーズに応じまして、必要な専門的指導を特別支援教室で受けることができるということでございます。
 また、交流教育が一層進展することで、通常の学級の児童生徒にとっては、思いやりの心、あるいは仲間意識などが培われるなどとともに、障害のある児童生徒にとっては、経験を広め、積極的な態度を養うなどの効果があり、障害児を囲む教育を一層充実、発展させるものというふうに考えております。これによりまして、社会のノーマライゼーションの進展を踏まえた教育効果が期待できるというふうに考えております。

○執印委員 この今の流れに沿って進めるというお答えだと思いますが、最後に意見を述べさせていただきます。
 まず、約三十年近くをかけて障害児の全入を進めてきたというふうに聞いておりますので、二十年、三十年の長いスパンでの計画を基本的につくっていただきたいということです。
 私どもがイメージをしておりますのは、お国柄が違うというふうにいわれてしまわないようにぜひお願いをしたいのですが、昨年、生活者ネットワークでニュージーランドに、教育、保育などの視察に行ってまいりましたときに、小学校を視察いたしました。そのときには、ニュージーランドですから、人口密度も低いということもあるんだと思いますけれども、学校はすべて平家でしたが、通常のクラスは二十四、五人、それから、障害者が入っているクラスは十八人、さらに、重度の子どもは同じ敷地の中の別のクラスで学んでいるけれども、お帰りの会の際にはすべての子どもたちが一堂に会して、歌を歌って、それも各国の歌とか、ニュージーランドですから、マオリ族の歌というようなものもあったようですけれども、そういう形でお帰りの会をするというようなものも見てまいりました。今のお答えの中で、お互いの理解を深めるということも重要だと考えていらっしゃることは十分にわかりましたけれども、そういった形、私が今お話をしましたような形を、ぜひ長いスパンをかけて計画の根本に置いていただきたいというふうに思います。
 二番目として、その上で、途中経過として、今回のようなエリア・ネットワークごとの進め方が必要であるのであれば、そのことは理解をしたいというふうに思います。
 それから、この計画で、この計画というか、中間まとめですから、最終的に変わってくるところもあると思いますけれども、これでいこうとするならば、私は人の手配なしに進まないというふうに考えます。
 保護者の方々とも何人かお話をしました。この計画そのものを否定しているわけではないんですけれども、現状で、例えば先生の人数とか、それから先生の専門性というものを考えたときに、とてもこれが十七年度から実施できるというふうに思えないと。そのことを考えると、時間的なものを見ると不安しかないということでございましたので、この保護者の不安にこたえるには、小中学校にも人的な配置をすること、また特別支援学校にも人的措置をすることなしには、この計画そのものが絵にかいたもちになるしかないと思われますので、その点を最終報告までに話し合っていただきたいというふうに思います。
 それから、人的充実の面で、NPOの力をかりる必要があると考えているのであれば、NPOについては以前にも質問させていただきましたけれども、最終報告後の実施計画を練る段階で、NPO等の話し合いの場への参加保障をしていくことが必要ではないかというふうに思います。というのは、今、私の住んでおりますところで、障害者の雇用や、それから地域参加ということで、環境とか農業とか福祉とか、一体としたものとして発想してNPOが仕事を進めているということもありまして、新たな発想による展開が必要ではないかというふうに思いますので、このことをお願いしておきます。
 それから四番目として、寄宿舎については利用率が約六〇%ということもございましたけれども、統廃合するとなれば、実家からの距離が遠くなって帰省が不便になるということもあるでしょうし、私もお話を伺いましたが、生活支援の必要性もあって、そういう意味では、保護者に対する援助といいますか、そういう面もあると思いますので、その点に配慮していただきたいと思います。
 それから、最後、五点目ですが、寄宿舎の関係の方がおっしゃっていましたけれども、非常にお金がかかるといわれているということでございましたが、障害児にかけるお金、税金というのは、決して障害児やその家族のためだけではなくて、社会全体のためのものであるということをお互いに認識する必要があるというふうに思いますし、教育委員会にも十分に認識をしていただきたいということを意見として申し上げまして、質問を終わります。

○福士委員 それでは、二十年ほど前に私も、障害者を普通学級にという運動にかかわった経験がありまして、したがって、今回の提案は全面否定はいたしません。しかし、その運動された保護者の方は、お子さんを普通学級に通わせることがよかったのかどうか、障害者としての個人教育に重点を置いた方がよかったんではないかと、もうお子さんは大人になっていらっしゃるんですけど、今、悩んだりしておられます。いずれにしても、正解というのがあるのかどうか、それも私もわかりませんが、ノーマライゼーションの社会としても、あるいは障害者一人一人にとってもプラスになるかどうか、これが大事なところでして、この中間答申を読む限り、何を考えているのかよくわからないので、単純にわからない点をお伺いいたします。
 中間答申の中でも、これまでの教育については、個に応じた指導を実施して、国に先行した養護学校の希望者全員就学など、都独自の施策を推進してきたというふうに書いていらっしゃいますし、現状として、LD、ADHDなど、その他が加わって、障害者の重度化とか、そのほか複雑な状況を抱えていることは理解いたしますけれども、じゃ、今まで築き上げた制度を充実させるのではなくて、がらりと変えなきゃいけない理由はどこにあるのかというのがなかなかわかりません。で、今の制度の問題点は何か、改善理由及びその改善によってどのような効果が得られるのかというのを、いま一度確認したいと思います。

○山際学務部長 改善あるいは改善の効果についてでございますが、都におきましては、児童生徒の障害の重度・重複化、多様化などに対応いたしました教育環境の整備、あるいは通常の学級に在籍するLD等の特別な教育的ニーズのある児童生徒の適切な対応が課題になっておるところでございます。そのために、特別支援教育への転換という国の動向を踏まえ、全都的な視点に立って心身障害教育の改善を進める必要があるというふうに考えているところでございます。
 また、特別支援教育体制を整備することで、児童生徒やその保護者が、より身近な地域で、特別な教育ニーズに応じた専門的指導や、あるいはライフステージに応じた適時適切な支援を受けることができる、このような効果があるというふうに考えております。

○福士委員 それでは次に、エリア制について、今、地域では、児童館とか学童保育などでも障害者との交流が行われているというふうに聞いておりますし、また、在宅地域とは異なりますけれども、私の近くには杉並ろう学校というのがありまして、そこだけではなくて、近隣の一般校との交流を通して、地域性とか社会性とかというのは育てていらっしゃるという例があります。
 このような形を一般化した方が、受け入れる側の子どもたちも障害者との交流の仕方を知っている、それから障害者の方たちも一般の子どもたちとなじみがあるということで、その方が障害のある普通学級の子どもたちにとってもいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。そっちの方が先じゃないかというふうに思うんです。

○近藤指導部長 学校間の交流につきましては、これまでも心身障害児理解教育推進事業の中で、盲・聾・養護学校とその近隣にある小中学校が運動会や文化祭などで活発に交流を進めてきておるところでございます。
 今後、特別支援教育に移行した後も、これまでの成果を十分に踏まえまして、盲・聾・養護学校の児童生徒が居住する地域の小中学校との交流は実施できるよう進めてまいりたいと考えております。

○福士委員 地域、地域というのがどういう、住んでいるところだけが地域というふうに考えていいのかなという面もあるんですよね。子どもの交流の広がりという意味で、今の形を進めながら、プラスアルファという形で地域というのももちろんやっていかなければいけないでしょうけれども、がらっと変わるときにどうなのかなという思いで、私は今のお伺いをしております。
 もう一ついえば、今の盲・聾・養護学校体制というのは、子どもたちの教育上の専門性は少なくともずっと確保されてきましたし、資料でも書いてありますけど、特殊教育教諭の免許証を持つ教員が四七・三%ですか、低率であっても、その中に入っていく一般教諭の方々も、その先生方とご一緒に活動することによって育てられて、子どもたちとの対応にも、うまく対応できるようになっていくというか、そういうプラス面もあったと思うんですね。また、教育方法として、今までの一カ所に集めるというのがいいかどうかの問題点はあるんですけれども、金銭的な効率的な面とか、そういうものも含めて今の形が進められてきたんじゃないかなというふうに思うんです。その点、新提案ではどういうふうになっていくんでしょうか。

○近藤指導部長 現在、盲・聾・養護学校や心身障害学級の教育においては、教員の専門性の向上が保護者等から強く求められております。このため、東京都心身障害教育改善検討委員会の中間まとめにおきましても、盲・聾・養護学校及び心身障害学級の教員の専門性を高めるとともに、LDやADHD等に対応する通常の学級の教員の専門性を高めていくと示してございます。

○福士委員 ですから、今までのあり方の中で、今でも専門性がどうなんだろうかというご心配がいっぱい出ているわけですから、それに加えてLDとかADHDとか、そういう問題をまた新たに抱え込まなきゃいけないわけで、そういう専門性も含めて、もっと土台がしっかりしていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。そういう意味でいえば、今までの流れの中で、LDとかADHDとかいう方たちの専門教育も含めて、もうちょっと前進するような形を考えながらやっていかないと大変なことになるのかなと。先ほどから、その辺のところは結構皆さんも心配していらっしゃるので、気になるところではあります。
 在宅地域を重視していきますということで、そこでもいろんな形で専門性は確保できるよみたいなお話も出てきてはおります。そして、その子どもたちの在宅地域を重視するというのは、私もすごくよく理解はしているつもりではありますけれども、新たに提案されている副籍制度というのはどういうのか、私は非常にわかりにくいですね。
 副籍制度の意義とか目的とか、これは、副籍制度があることによって、一般教諭の方々も、あるいはその地域の学校の方々も、障害者に対して思いやりなり、あるいは意識なりをきちんと持って日常的に活動するというのが目的というか、考え方なんだろうと思いますけれども、具体的には、内容とか効果というのが、副籍があって、それで年に数回の交流ぐらいでなるのかなという部分もありますし、その辺は具体的にはどのように考えておいでになるのか、お伺いをしておきます。

○山際学務部長 中間まとめにおける副籍の趣旨につきましては、都立盲・聾・養護学に在籍する児童生徒や、あるいはその保護者が、居住地域とのつながりを実感できるようにするというものでございます。
 副籍校におきましては、所属学級を決定して、例えば運動会や学芸会等の学校行事、あるいは地域活動に一緒に参加することや、学校・学級だよりを副籍地の家庭に送付するなどして、日常的なつながりを継続させる試みも考えられるところでございます。
 これらの活動によりまして、都立盲・聾・養護学校に通学する児童生徒に対する地域社会の理解が進むとともに、小中学校におきましては、障害のある児童生徒の教育に関する理解、啓発がより進展するものと期待できると考えております。

○福士委員 地域の方々もより理解を進めてくださればいいかなと、本当に期待というよりも、神様に祈るような感じですかね。そういう感じがいたしますけれども、ただもう一つ、先ほども出てましたけど、一定の集団の中にいた児童生徒が、少人数ずつ地域の中に入っていくわけですから、その場合、同じ障害の集団性の中で精神的にも安定し、そして安心していた状況で、自己の確立とか、あるいは教育の向上が図られてきたことは、これは否めないというか、そういうことはプラス面として絶対にあったと思うんですね。その部分が壊れて、少数でぽこんと一般学級の中に入れられて、孤独感を生じることはないんだろうかという心配はしておりますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。

○近藤指導部長 特別支援教育におきましては、小集団によります指導内容、方法等に十分配慮した指導を行いまして、障害のある児童生徒が生き生きと意欲的に学校生活が送れるようになることは大変必要なことだと考えております。

○福士委員 十分配慮していただかなきゃいけないことだと思うんですね。
 で、私が心配しますのは、今の東京都の方向性では、例えば中高一貫校とか、日比谷高校の入試倍率がアップして喜んでいるとか、現在の公教育をエリート化することで進めている教育が一方ではあるわけですから、そんな中で特別支援教育への転換を進めるということになりますと、例えば授業がおくれてしまうんじゃないかとか、そういう形で普通学級でいじめなどの問題が発生しないんだろうかというふうな心配が出てくるわけですね。その点はどういうふうにお考えでしょうか。

○近藤指導部長 都教育委員会では、いじめ防止のための教員研修資料の作成や、いじめ点検月間の実施、推進モデル地域の指定などを通しまして、児童生徒に自他の尊重や思いやりの心を育ててきておりまして、昨今、いじめについては激減している状況でございます。
 心身障害学級設置校においても、交流教育を通しまして、お互いのよさや違いを認め合い、尊重し合う理解教育も現在進めているところでございます。
 将来、特別支援教室が設置された場合におきましても、いじめ等の問題が発生することがないよう努めてまいりたいと考えております。

○福士委員 本当に激減しているんでしょうか。私、個人的な話を長々とすると時間が延びるので、今申し上げませんけれども、私の知っている周りでも、結構それは気になるお話がいっぱいありますので、そこは本当にしっかり見ていただきたいと思うし、生徒に教育したからって、すぐにぱっと子どもたちがわかるわけはありませんし、子どものいじめというのは必ずしも、けんかもしてはいけない、何をしてはいけないというお利口な教育が、障害者に対しても理解を生むというふうには思っておりません。ある程度けんかをしたり、いろんなことをやりながら、お互いを知り合っていくということも含めて、話だけでは済まない部分がいっぱい出てくるんじゃないかと思うんですよ。そのときにどう対応できる先生の力量があるかということがすごく気になるんで、伺っているわけですが、ご答弁はご答弁としてお伺いしておきます。
 今の制度の中で、いいかなと思うのは、毎日毎日子どもと接しているから、一人一人の個性もわかっていますし、きょうはどういう状態であるとかいうことがわかりながら、その子に合わせた対応をできるというプラス面があると思うんですね。先生方もそういう意味では、つき合いながら向き合っていけるということがあるんじゃないかなというふうに思います。副籍制度でたまに一緒に会ったからというだけで、地域校に籍があるだけでは、先生方の理解度がどのくらい高まるんだろうかなというのは、ちょっと気になるところです。そういう意味では、副籍制度の、無意味といってしまえば余りにもいけないことかもしれませんが、ちょっと気になりますね。
 で、副籍制度では具体的にどのように生徒の状況を把握して、受け入れなども含めてどのように対応していくのか、そこもお伺いしておきます。

○山際学務部長 副籍を有意義なものにするためには、副籍校の教師が副籍児の状況を適切に把握することが必要であるというふうに考えております。
 そのためには、保護者の理解を得て、在籍校で作成しております個別指導計画を活用することや、学校・学級便りの交換を行うこと、学級担任間で連絡会を開催するなどの方法によりまして、当該児童生徒の障害の状態や保護者の要望等について共通理解を図ることが有効であるというふうに考えております。
 また、小中学校の行事や学習への参加など、副籍校における活動を支援するためには、在籍校の学級担任や保護者、ボランティアの協力を得るなどの方法が考えられるところでございます。
 なお、副籍の導入によりまして、相互の教員の交流が密に行われ、教員の専門性の向上にも資するものというふうに考えております。

○福士委員 今まで交流のないところで、だんだん交流することによって実績を積んでいかなければいけないという現実が出てくるわけですからね。そこのところは私も否定はいたしませんが、お忙しくなられるでしょうねという心配はあります。今でさえもゆとりがなくて右往左往していらっしゃる先生方が、ゆとりもないまま、ただ振り回されることのないように、これは申し上げておくだけにいたします。
 今までもずっと出ておりましたけれども、今回、新しくするに当たっては、学校及び教員の専門性の向上こそがまず最初に挙げられて、そして何よりも優先すべきことであるというふうに私は思うんですね。専門性の高い人材を確保するために、今後どのような対応を行っていかれるのか、伺います。

○臼井人事部長 心身障害教育に意欲と情熱を持つ教員の確保策についてでございますが、東京都教育委員会はこれまで、現職教員につきましては、特殊教育免許状取得促進を目的として、心障学級担任も含めました認定講習を毎年開催しております。今年度は、昨年度より定員枠を二百八十名拡大いたしまして、一千四百八十名で実施することとしております。
 また、採用選考に当たりましては、平成十六年度から、盲・聾・養護学校の従来の選考枠に加えまして、新たに、技術、保健体育、音楽、美術、家庭の区分を設けるとともに、盲・聾・養護学校免許状を取得できます大学からの推薦制度を導入することといたしました。その結果、三百十三名の申込増となりました。
 今後とも、国における免許法の改正の動向を見据えながら、心身障害教育に意欲と情熱を持つ教員の確保のため、教員採用方法の改善等を検討してまいります。

○福士委員 先ほど申し上げたように、今までの盲・聾・養護学校というのは、それなりに財源的にも効率性ということが考えられていたのではないかなというふうに思いますが、今回、心身障害教育のあり方を大きく変えた場合、国の財政支援はどのように考えられているんだろうかということが気になるところです。お答えいただきたい。

○山際学務部長 特別支援教育への移行に伴う国の財政支援につきましては、まだ具体的な内容は明らかにされておらないところでございますが、都といたしましては、区市町村とも連携をしながら、今後国に対して、十分な体制が確保できるような制度化や必要な人的、物的条件整備について働きかけていきたいというふうに考えております。

○福士委員 どんどんどんどん動いていくときは早いですから、ぜひぜひそこのところは強い働きかけを頑張っていただきたいと思います。
 最後に一言だけ申し上げておきますが、寄宿舎についても先ほど来出ておりますけれども、社会性の確立という意味で、自立を促す点では、自宅だけでは解決できない問題もあるというふうに保護者の方からも伺っております。その点も含めて検討していただきたいというふうに、これは要望しておきます。
 今回、中間まとめが、私、何回読んでも非常にわかりにくかったんですが、それにしても中間まとめの段階でこうやって質疑もできましたし、意見もいえるということで、行政と一般市民の方々の相互情報交換もできることはよかったかなというふうに思っております。
 ぜひ市民の要望なども含めて十分把握していただきまして、答申まで持っていっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

○渡辺委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後五時三十二分休憩

午後五時四十五分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○野島委員 今まで皆さんのいろんな質疑をお伺いしていまして、これ以上聞くようなことはしませんし、とりわけ我が党の小美濃委員が、現地視察や保護者を含む関係者の皆さんのいろんな心配事を共有しながら、しっかりとした質疑をしていただきましたので、これ以上は特にありませんけれども、長らく座っていますと、エコノミー症候群というのになりまして、いささか聞かなきゃいけないかなという義務感みたいなものも出てきますので、感想も含めて--感想を含めちゃいけないのかもしれないけれども、お許しいただきます。
 ノーマライゼーションというようなことで、福祉の現場でも、当然のこと、地域で健常者と同様に障害を持っている方が生きていくんだ、こういうことでありますし、これから教育の場でもそういう方向でやっていく、大変いいことだと思うのです。
 ただ、さっきいろんな意見もありました。かつて全入運動をやっていた福士委員は、これをやっちゃっていいのですかという、こういう意見もありまして、なかなか大変だなというのが実感であります。
 実は私、こんな経験を持っているんですよ。これは教育のジャンルの問題じゃないんですが、知的障害者の生活訓練寮を立ち上げるときに、お手伝いをしたんです。そのときに親御さんがいうのは、私たちが死んだ後、この子はどうやって地域の中で、社会で生活していくのか、こういう不安を持つんですね。比較的重度の知的障害ですから、このジャンルでいきますと、恐らく養護学校に行って、卒業されて、その施設に入って、本来であればそこの施設で生活訓練をして、地域に戻る、あるいは知的障害者のグループホームに入るという、そういうことなんですね。
 何をいっているかというと、いわば一つの属性でずっと来たときに、ぽんと切れたときにどうするんだ、こういう心配は当然あると思うんですね。
 あと、一つは、また逆の話なんですけれども、これも福祉のジャンルで恐縮ですが、放課後の対策としての学童保育というのがあります。あれは、学校が終わりまして、我が市の実情なんかですと、学校の中にある学童保育施設に行っちゃうんですよね。私はむしろ、一回学校が終わったら地域に返せと。しかし、地域に返したって、かぎが締まっている、親御さんがいないわけだから。であれば、児童館に行って、その中で学童クラブ事業をやろうじゃないか。そういう中に、一回、家庭に帰って、児童館に来る人もいるんだから、そういう親御さんの属性が違った人たちが一緒に放課後を過ごすということがすばらしいじゃないかというふうに私は思いまして、そんなことも進めてきたことがあるんですが、これはとんざいたしました。
 なぜとんざしたかというと、保護者の皆さんは、学校の中に置いてもらった方が安心なんですよ。外に出ていって事故があったらどうするのと。だけど、子どもはいきなり小学校一年生になるわけじゃないんですよね。それまで社会経験をしながら、いろんなところに寄り道なんかもしているんだから、そんなに心配はないんだけれども、保護者の側からすると、クローズの状態にしておいていただいた方が安心だという、こういう感覚は持っているんですね。
 二つの裏腹のことを申し上げましたけれども、障害をお持ちのお子さんがこれから学校に上がりますと、こういう状態の中の最初の窓口は、先ほど河西副委員長もご質問なさってますけれども、就学相談、こういう部分がありますよね。具体的にそういうものの中で、いろいろ情報をやりとりしたり、あるいは就学時健診というのもある、こういうふうに伺いました。
 その制度をどんな形で、どんな人が参加しながら、保護者の意見を十分聞きながら、最終的に決めていきますよ、こういうことでありますけれども、その辺の実態をひとつ最初に、制度の概要というかな、そんなところをひとつお聞かせください。

○山際学務部長 就学相談の手続や制度の現状についてでございますが、障害のある児童生徒の就学手続につきましては、各区市町村教育委員会の責任において行われているところでございます。したがいまして、その手続については、保護者が所在地の教育委員会に就学相談を申し込むことから始まりまして、保護者面接や対象児の行動観察、医師診察等を行い、就学先を判断するために必要な資料を収集することになります。
 その収集された資料をもとに、教育学、医学、心理学等の専門家から構成されます就学指導委員会におきまして審議が行われ、児童生徒一人一人にとって最もふさわしい就学先が決定をされていくということになります。
 なお、盲・聾・養護学校に就学すべき児童生徒の障害の程度については、学校教育法施行令第二十二条の三によって規定をされているところでございます。

○野島委員 そういうことでご相談をしながら、それぞれ専門家がいろんな場面から見ていく。普通の--普通のといいましょうか、親御さんからしますと、うちの子は普通学級でぜひやらしていただきたいというケースもあるだろうし、逆に、あなたのところは普通学級で大丈夫ですよといわれても、いや、そうはいってもというケースがあるのかどうか知りませんが、先ほどの感覚からしますと、むしろそちらにというふうなご意向も出てくると思うんですね。
 実は、小学校に入るまでに時間があるわけですから、身体障害の場合は比較的類型化というとおかしいですけれども、比較的判断しやすいと思うんですね。重複障害になりますと、これは非常に難しい話だと思うんです。だから、今、学務部長が答えたように、いろんな角度から見ていかなきゃいけない。親の気持ちは親の気持ちとして、その子の豊かな学習を保障する、そして発達もちゃんとカバーしていきますよと、こういうことをいわれても、大変難しいといいましょうか、大変困難な課題だろうというふうに思っているんですね。
 そこで、そういう場合に、それを全体として精度を高めていくためにどうしていったらいいのかな、こんなことを思っているわけであります。もちろん、子どもの今までの、入学までのいろんな特徴というのは、親御さん、つかんでますよ。あるいはお医者さんにかかっている、こういうケースもあるでしょう。あるいは、例えば就学時前でも児童福祉ということで、身体障害者の方の就学時前の施設があるところもあります。そういう全体像があれば、より精度が高まっていくと思うんですけれども、いわば義務教育のスタートの時点で、親御さんが安心をしながら、じゃ、こっち、じゃ、こっちというふうな判断をしていく必要があると思うんですけど、その辺の課題といいましょうか、どうしていったらいいのかなというのが正直なところあると思うんですよね。
 もちろん、今の状況の中で、そういう専門家も含めてやっていますというのはわかりますけれども、今回、この中間報告によれば、それぞれのライフステージに応じて特別に支援をしていく、それは学校のみならず、こういう前後の関係があるわけですね。そういう視点から、就学段階におけるそういう情報といいましょうか、そういうものに対してどう課題があるのか、そんなことを教えていただきたいと思っています。

○山際学務部長 障害のある児童生徒一人一人の可能性を最大限に伸長させるためには、就学前の段階における成長、発達の経過を適切に把握することが重要であろうというふうに思います。そのために、各区市町村教育委員会では、関係諸機関との連携を図りながら、必要な情報の収集に努めているところでございます。
 就学前の療育機関等との連携による福祉等からの情報は、各区市町村教育委員会における就学相談において、一人一人の特別な教育ニーズに応じた教育内容、方法について審議する際に活用されることになります。
 なお、課題についてでございますが、こうした関係機関との連携の現状は必ずしも十分ではないということがございます。また、保護者からは、就学前の療育機関等における療育内容あるいは方法が学校教育に引き継がれにくいというような指摘もございます。こうした課題については、今後の特別支援教育体制に進む際に十分に検討してまいります。

○野島委員 いわばそういういろんな情報を総合的に行政が収集していく。もちろん、例えばその子どもが就学時前はさっきいったような身体障害の福祉施設に通っていたというか、行っていたよ、そういう情報をこっちから一方的にとるようにいかないんでしょう、これ、プライバシーとかなんとかって難しい問題もあるわけですから。あとは、縦割り行政というのはどこでもいわれていますし、それはある種の部分で、どうしても超えられない部分というのは出てくると思うんですね。いわば最初のスタートの全体像をとらえる、前っ手のいろんな状況をとらえる、全体像をとらえることによって適切な教育が施される。それはまた、例えば放課後のこともありますよね。そちらに帰してやる。また、卒業後の進路の指導に向かってどうしていくか。いろんなジャンルがある。プロセスがあると思うんですね。
 そこで、ここで見てましたら、今後の特別支援教育のあり方のイメージ図ね。特別支援プロジェクトと、保健医療から福祉、労働という横のというか、それぞれのジャンルがあり、教育庁の仕事というのは、この場合には教育の部分ですけれども、そういうジャンルと時間という系列の中で、ここの特別支援プロジェクトというのはどんなふうなイメージを持って臨まれていくのか。
 話としては、ああ、なるほどなというふうには思うんです。思うんですけれども、その制度設計なんか、これは中間報告ですから、とりわけ教育部分だけで完結する問題じゃないだけに難しいと思うんですけど、その辺のイメージというと、もうイメージはいいましたよと怒られちゃうかもしれないけど、その辺ちょっと教えてほしいなと思っています。

○山際学務部長 改善検討委員会の中間のまとめにおきましては、障害のある子どもやその家族に対する、乳幼時期から学校卒業期まで一貫した相談支援体制を整備するために、区市町村を基本的単位とした教育、福祉、保健医療、労働等の連携によるプロジェクトチームをつくりまして、児童生徒のライフステージを見通した個別の支援計画を作成することについて提言をしているところでございます。
 お話のように、関係機関の連携による支援は非常に重要でございまして、障害のある児童生徒やその保護者が、ライフステージに応じて適時適切な支援を受けることのできるような体制整備のあり方について検討をしてまいります。

○野島委員 追ってまた陳情等も出るようですから、そこでまた必要があれば質疑をいたしますけど、実は皆さんの意見、委員の皆さんの意見を伺っていますと、理念としては大変すばらしいと、では具体的に、意識改革も含めて制度設計をどう進めていくんですか、こういう心配、こんな課題も引きずっているんじゃないですかと、こういうことだろうと思うんですね。
 私、実は一番大事だと思うのは、きのうも一般質問で私自身の体験で申し上げたんですが、いわばこういう理念というのは、なるほどで終わっちゃうと思うんですよね、例えば私が障害を持つ子どもを持っていたら。何がといったら、やっぱり直接自分の子どもがどうなるのかなと。とりわけ、冒頭申し上げたように、自分が死んじゃった後、この子はどう生きていくんだろうと思ったら、やっぱり意識は、理念はすばらしいから私もそういうふうに行きますよってなかなかいかないと思うんです。形が見えてきて、ああ、なるほどということにならないと理解が得られない。したがって、実態調査もされるように伺いました、それからモデル事業もやっていく、ぜひそういうことで、そういう積み上げをしていっていただきたいなというふうに思ってます。
 というのは、一つの属性の中で生きるのは、実は私なんかも体験的に極めて楽なんです。そうじゃないところに、全体にすばらしい理念があって、その中にそれぞれの属性があって、その理念を生かすためにこの属性をどういうふうにサポートしていくかというのが、今回の大きな課題だと思うんですね。反面、属性をまとめちゃったら、これほど楽なことはないと、私は正直なところ思っているんですね。だけど、いろんな課題がありますけれども、そういう視点に立ってぜひ取り組んでいただきたい、こういうふうに思いまして、終わります。

○中嶋委員 野島委員がもうちょっと長いかと思って……。もうほぼ質疑は出尽くしたので、繰り返しの質疑は避けたいと思いますが、若干時間を。
 今、福祉の親亡き後の話が出ました。まさにそのとおりでございまして、社会事業大学の京極高宣学長の本、ちょっと今、読んでいるんですが、興味深いことがいっぱい書いてございまして、福祉の原点は障害者福祉である、障害者福祉の原点は自立あるいは自立支援であると。自立とはいったって、別にすべて自己責任あるいは自己完結で自立せいというのはこれは無理があって、例えば経済的には、福祉的就労であれ何であれ、個人の所得あるいは障害者年金、障害者手当すべてひっくるめて自立を支援する、これが社会経済的に極めて生産的だというような論文が書いてございまして、まさに障害児教育も、二十年、三十年のタームで考えれば、いかに自立を促すことができるかという教育に転換するという意味で、今回の文部科学省の方針は、基本的には僕は大賛成でございます。
 何事も、変化あるいは進化の過程では摩擦が生じます。その摩擦を極力抑えて不安感を抑えるのが、実は本来、行政や政治家の我々の責務であるはずですが、残念ながら、逆にその摩擦をあおって、不安をあおる動きが相も変わらずございます。
 これ「新聞都教組」、都教組の新聞ですね。まず、質問第一は、「現場への調査も聞き取りもなく」なんて、でっかく凸版見出しで載っているんですね。都教組新聞でこう書いてある。事実このとおり、現場への調査も聞き取りもなく、今回の中間まとめはまとめられたんですか。質問です。

○山際学務部長 小中学校における特別支援教室のあり方を検討する前の本年一月十七日に、渋谷区立神南小学校の固定学級と通級指導学級を視察いたしまして、現場で、担当の校長初め現場の教員と意見交換をしております。
 また、一月二十八日の第六回改善検討委員会では、お二人の心身障害学級設置校長から意見陳述をいただいているところでございます。

○中嶋委員 結局、この凸版見出しは間違いだと。文中に「区市町村教育委員会の関係者との話し合いもまったく無いに等しい状況のなかで、きわめて強引にすすめられていること」ここで、いいわけになる文章は載っているんですね。だけど、「現場への調査も聞き取りもなく」こういう見出しを載せるというのは、これは明らかに意図的な間違いだと思います。
 それから、この中で、こうも書いてある。この黄色くしたところね。「障害をもった子どもたちを通常学級に在籍させ、子どもたちは『特別支援教室』に出向いて週何時間かの指導を受ける」と書いてある。あたかもこれが新しい特別支援教室のあり方だと。これを読んだら、親御さん、保護者、不安になりますよね。
 で、中間まとめの特別支援教室での指導体制、ここに書いてあるとおりなのかどうなのか、これも答弁願いたいと思います。同じ答弁になっちゃうけどね。

○山際学務部長 中間まとめでは、特別支援教室につきまして、特別支援教室は、特別支援教育担当の教員が特別支援教室を訪問し、週の数時間のみ巡回指導を行う形態や、従来の固定の心身障害学級のように、特別支援教育担当の教員を固定的に配置し、週の相当数の時間を特別支援教室において指導する形態など、と提案をしております。

○中嶋委員 そうなんですね。これ、特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議、この資料です。その二五ページにこう書いてあります。ちょっと読みますね。
 特別支援教室の運営形態としては、障害の状態によって、〔1〕、従来の通級指導の対象となる児童生徒のように週の数時間のみこの教室で指導を受ける場合。これが〔1〕だと。〔2〕、従来の特殊学級における教育の対象となる児童生徒のように週の相当の時間をこの教室で指導を受ける場合。これは〔2〕だと。〔3〕、小学校の低学年で集中的に特別の指導をこの教室で受け、一方、高学年ではほとんどの時間を他の児童生徒とともに学習する場合等さまざまなものが考えられ、従来の特殊教育の機能を包含しつつ弾力的な対応を可能とすると、まずもって国のこの報告に書いてあるんですね。書いてありながら、それを無視して、こういうことを書く。僕は、どうもこのやり口はよろしくないと思います。自分の都合のいい部分だけを記事にして、保護者や本人の不安をあおり立てていて、政治的に利用しようとする意図が見え見えだと、こういっても決して過言ではないと思います。明らかにこれは間違いです。自分たちの新聞だから何でも書いていいとは決していえません。どこかの週刊誌じゃあるまいし、事実についてきちんと訂正するよう話し合いをするべきだと思いますが、見解、いかがですか。

○山際学務部長 事実と違うことを書き、不安をあおることは、これは決してあってはならないというふうに考えております。明日、都教組と、説明と意見交換をする予定になっておりまして、強く申し入れたいというふうに思います。

○中嶋委員 学務部長、元気よく申し入れをしてください。
 それから関連しまして、ちょっと前の話になるんですが、こんなチラシ。「えっ?!固定の障害児学級や通級学級がなくなるってホント?!」って、でっかい活字の見出し。これはチラシですね。それで、「障害児学級の保護者の皆さん、先生方。今、大変なことが起きています。」という書き出しで、何と書いてあるか。「子どもたちが生き生きと学んでいた学級がなくなり、すべての子どもが通常学級に在籍し、週に一、二回の巡回による支援教育だけで済まされることになりそうです。」という、まさに不安をあおり立てるようなチラシ、これは調布市のお母さんから僕のところに連絡がありました。子どもが持ってきたと。教員が、こういう不正確なチラシを子どもに持たせて保護者に渡させる、これはおかしいと、僕は実は都教委に情報提供して、善処方を要望いたしました。三月から四月にかけての出来事でございます。
 で、都教委として、この種の出来事、子どもたちにチラシを持たせて保護者に配る、これは明らかにやってはならぬことです。どのような対応をされたか、報告をお願いしたいと思います。

○臼井人事部長 ご指摘の点につきましては、東京都教育委員会としまして、直ちに該当します市の教育委員会に事実関係の調査を依頼し、また東京都教職員組合から事情聴取を行いました。
 その結果、ご指摘のような事実が確認されましたので、東京都教職員組合執行委員長に対しまして、四月八日付で、今後不適切な事態を招来することのないよう、文書をもって厳重に注意をいたしました。同時に、各区市町村教育委員会あてにも、教職員の指導と服務の厳正につきまして徹底を図るよう、文書により通知をいたしました。

○中嶋委員 先ほどの質疑の中でもございました。こういう新しい展開には、とりわけ教職員の意識の変革が極めて重要だと、そういわれていながら、こんなことをやっていては、前途がおぼつかないと僕は思いますので、服務に関する厳しい指導をやるべきであると思います。
 それで、今回のこの事例に関しては、今、厳しく対応されたということですが、今後同様なことがないように取り組んでいただきたい。
 実は、私も子どもがおりまして、末っ子はもう高校生ですが、小学校のころ、何度か、極めて政治性の強い署名のチラシを学校から自宅に持ち帰ったことがございました。もう何年も前のことですから、今さら蒸し返す気はありませんが、同じことがまた繰り返されるようでは、これは看過できません。今後の対応方、どうなさいますか。

○臼井人事部長 ご指摘のような、教員としての勤務と職員団体活動を峻別しない、不適正な行為につきましては、都民の公教育への信頼を損ねるものと考えております。到底容認できないというふうに考えております。
 今後、このような事態が発生しないよう、あらゆる機会をとらえまして、教職員の服務の厳正につきまして徹底を図ってまいります。

○中嶋委員 ぜひしっかり取り組みを要望したいと思います。
 今回のこのテーマ、大変重要なテーマでございます。戦後、営々と続いた障害児教育が大きな転換期を迎えた、これはある意味で必然かもしれません。慎重な、真剣な議論が必要なテーマです。そこに過度の政治性と党派性を持ち込んで議論をゆがめてはならない、私はそう思いますので、ぜひとも今後とも都教委の厳正な対応をお願いして、質問を終わります。

○渡辺委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に関する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○渡辺委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○近藤指導部長 それでは、東京教師養成塾の設置につきまして、ご配布いたしました資料に基づきましてご説明申し上げます。
 東京教師養成塾は、東京都教育委員会が教員養成を行っている大学と連携し、教師としての実践的指導力や社会性を備え、即戦力として活躍できる教師を育成するための講座でございます。
 まず、(1)の東京教師養成塾設置の必要性でございます。
 一つには、現在、大学で行われております教員養成に対しまして、なお一層の実践的指導力や幅広い社会性の育成が求められていること。
 そして、二つには、現在、教員に対しましては、学校教育の新たな課題への対応や学力向上を図るための指導力の育成が強く求められていること。
 三つには、教員養成の段階から、短期間の教育実習ではなく、年間を通した教育実習を行い、子どもの成長を見据えながら実践的な指導力や指導方法等を身につける必要があること。
 そして四つには、何よりも教師として社会人としての資質、能力が強く求められていることでございます。
 以上四点の教員に対する社会的要請などから、東京教師養成塾を設置することにいたしました。
 このようなことから、東京教師養成塾の目的を、(2)にお示ししましたように、実践的指導力や社会性を身につけた教師を養成することと定めたところであります。
 実施主体は、東京都教育委員会でございます。
 対象は、東京都の公立小学校の教員を強く希望する大学四年生約五十名でございます。
 教員養成塾の開塾時期は、来年度、平成十六年四月でございます。
 次に、2の目指す教師像でございます。
 三点示してございますが、究極的には、子どもに確かな学力を身につけさせ、夢や感動を与えることのできる教師を、東京教師養成塾の目指す教師像としております。
 次に、3の東京教師養成塾で行う講座の種類と内容でございます。
 講座の種類は、特別教育実習とゼミナール、講義、体験活動の四点でございます。内容につきましては、お示ししたとおりでございます。
 最後に、4の塾生の進路についてでございます。
 教師養成塾の学生に対しましては、東京都公立学校教員採用候補者選考において特別選考を実施し、教職への道をたどることになります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○渡辺委員長 報告は終わりました。
 これより、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○遠藤委員 それでは、東京教師養成塾について何点か質問させていただきます。
 教育改革が進む中で、教員の資質や能力は極めて重要であります。昨日の本会議における一般質問でも、我が党の田代議員あるいは民主党の土屋議員から、性教育の問題が取り上げられました。特にこの中で、男性教員による「からだのうた」による教育方法が紹介されたわけでありますけれども、教育長は、この答弁の中で、「からだのうた」の内容についてでありますけれども、ご指摘の歌の内容は、人前で読むことがはばかられるものであり、男女の性器の名称が、児童の障害の程度や発達段階への配慮を欠いて使用されている、極めて不適切な教材である、このようにいわれたところであります。
 このように、いえないような内容の教育をする教員が学校にいるということが、今日の実態であります。常識では考えられない教育をする先生、これは全体から見ればごく少数であろうというふうに私は思っていたんでありますけれども、いや、そうでもない、とんでもない、あちこちにこういう先生がいるんだという声も聞きました。
 こういう先生の教育というものは、非常に大きな迷惑をかけている。もっと厳しくいえば、これによって被害を受ける子ども、あるいは保護者もいるわけであります。このような教員を排除するためにも、また将来の日本を担う人材を育成するためにも、教員に寄せる期待は大変大きいものがあるわけであります。
 私は、東京の教育が日本の教育をリードし、果敢に教育改革を推進すべきと考えております。教育は人なりといわれますけれども、子どもと日々接触する教員の資質や能力がすぐれていなければ、形だけの改革に終わってしまいます。子どもの目が輝き、未来への展望が開ける教育を実現するためにも、このたびの東京教師養成塾は、まさに画期的な事業であると信じております。
 来年度の開設に向けて、東京教師養成塾について何点か質問をしてまいります。
 東京都の教員採用試験は、応募倍率も非常に高く、極めて狭き門であると聞いております。そのような難関を突破した新任教諭は、教職への意欲もあり、優秀な人材であると思いますが、正式採用に至らなかった者が少なからずいると聞いております。
 まず最初に、平成十四年度に新規採用された教員で、条件つき採用期間後に正式採用されなかった教員の人数及び理由について、お伺いいたします。

○臼井人事部長 平成十四年度新規採用者のうち、一年間の条件つき採用期間を経まして、正式採用が不可となった教員の数は十一名でございます。その主な理由でございますが、指導力不足、児童理解欠如、心身の故障、勤務成績不良などでございます。

○遠藤委員 私はかねてから、大学における教諭養成の段階から、教員としての資質、能力を育てるよう主張してまいったところでありますけれども、これまでの教育委員会では、大学と連携してどのような事業を行っているのか。また、それらの事業の成果はどのようなものがあったか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 都教育委員会では昨年度より、教員を希望する大学生を対象に、ティーチングアシスタントモデル事業や指導主事による特別講義を実施してきております。これらの事業に参加した大学生からは、児童生徒理解が深まった、教員になりたいという意欲が高まったなど、教職への意識や志を高めることに効果があったという声が多く寄せられております。

○遠藤委員 ところで、教師養成塾の塾生は五十人ということでありますけれども、五十人では余りにも少ないのではないか。私は、実践的な指導力や社会性を身につけた塾生を各小学校に配属し、その能力を十分発揮してもらうことが急務であると考えています。少なくとも、今の小学校数からしたら三百人くらいは必要ではないかというふうに考えておりますけれども、塾生をふやす考えはあるのか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 お話のありました実践的指導力や社会性の育成は、教員を目指す者にとって不可欠の要件でございます。実践的な指導力や社会性を身につけた教員を育成するためには、教師養成塾に加えまして、先ほど申し上げましたティーチングアシスタントモデル事業などの充実も図ることが大切であると考えております。
 なお、東京教師養成塾の人数につきましては、ご指摘の点も踏まえまして検討してまいります。

○遠藤委員 そこで、教師養成塾に入った学生は、一般の教員採用選考ではなく、特別選考して教員にさせるということであります。いうなれば非常に短期間だというふうに思いますけれども、この期間の養成だけで、教育委員会が期待するような教員が養成できるのか、また確保できるのか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 東京教師養成塾におきましては、さまざまな講座を通して、実践的な指導力や社会性を身につけた教師を養成いたします。特別教育実習では、一年間を通しまして、週一日、小学校で実習を行い、また五日間連続した実習の機会も年三回組み入れるなどいたしまして、すぐれた現職教員の指導など受けながら、実践的指導力を育成するものでございます。また、ゼミナール、講義は土曜日を利用いたしまして、また体験活動は夏期休業中などを利用いたしまして、それぞれ年十回以上予定しているところでございます。
 このような講座を通しまして、社会性や実践的指導力を備え、子どもや保護者、都民から厚い信頼の得られる教師が育つと確信しております。

○遠藤委員 教師養成塾の学生は、一般の教員採用選考を受ける学生より、格段といいますか、厳しい内容の勉強をすることがわかったわけでありますけれども、しかし、せっかく養成塾で教員としてすばらしい能力や技術を身につけたとしても、実際に教員になってから、時には挫折することもあるというふうに思います。この塾生に限らず、今までの先生の中でも、情熱を持って教員になって、いろんな人間関係、聞くところによると、子どものいじめのように職員室の中でもいじめがあるというようなことを聞いておりました。このような教員になってからのフォローがないと、養成塾での成果の実りのないものになってしまうのではないか。教員になってからの対応について、どのようなお考えがあるのか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 養成塾を卒塾した後も、養成塾で学んだ仲間と情報交換を通しまして切磋琢磨する機会を設け、さらに、先輩として塾生に対し実践的な事例などの情報を提供し、互いに学び合う機会を設ける予定でございます。
 このような育成計画に基づきまして、卒塾生が将来、各学校また地域等においてリーダーシップを発揮し、東京の教育を牽引する教師に育っていくよう支援したいと思っております。

○遠藤委員 東京の教育を引っ張っていく教師に育つよう支援をしていくということでありますけれども、先ほどいいましたように、先生を取り巻く環境をしっかりと整えていきませんと、なかなか思うような教師の育成が難しいのじゃないかというふうに思っていますので、その辺はしっかりとひとつお願いいたします。
 ところで、私はこれまで文教委員会で体験活動の必要性をいってきました。このたび、講座の中にも体験活動がありますけれども、これは大変重要なことであります。実際、この体験活動はどのようなことを行うのか、お伺いいたします。

○近藤指導部長 この体験活動では、幅広い視野から課題をとらえる力や、子どもや保護者への的確で柔軟に対応する力、そして社会人として責任のある態度を養うことをねらいとしております。現段階では、奉仕活動などの体験を重視し、社会貢献の志を育成することを検討しております。

○遠藤委員 体験活動というのは、人間の幅を広くし、あるいは人の心が理解できるようになるなど、今日一番必要なことだというふうに思いますので、ぜひひとつ頑張っていただきたいというふうに思っています。
 最後になりますけれども、私は東京教師養成塾の事業を強力に推進していきたいと思っております。そのためにも、事業全体を十分検討されて、都民の期待にこたえられるような事業にしていただくことを強く要望するところであります。そこで、この事業に取り組む教育長の決意をお伺いしておきます。

○横山教育長 ただいま、るる議論がございました。また、先ほど先生の方からいわれましたように、まさに教育は人なりといわれますように、かけがえのない子どもたちの将来を担いまして、人格の形成にかかわる教師の役割というのは極めて重要でございます。
 教育に対する信頼の回復に向けた教育改革を行う中で、今、教師に求められておりますのは、教育に対する熱意と使命感、社会性の涵養と柔軟な対応力、そして子どもたちに確かな学力や豊かな心を育てる実践的な指導力でございます。
 二十一世紀の東京の教育を担う中核としまして、高い志を持つ教師を養成しますとともに、教育の場での実践を目指しまして、この東京教師養成塾を実効性あるものとするための検討を今後精力的に行いまして、平成十六年度の開設に向けまして万全を期してまいります。

○遠藤委員 横山教育長の力強い決意を聞いたところであります。
 私は、何といっても学校運営の責任は学校長にあると思っています。したがって、養成塾でしっかりと勉強して、体験活動を通して得た社会性に富んだ実践的指導力をいかんなく発揮できるような環境をつくるのも、学校長の大きな仕事の一つであると思います。学校長もしっかりとリーダーシップがとれるよう、学校長養成も教育委員会にしっかりやってほしい、そのことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○河西委員 二点だけ、お伺いいたします。
 今の教師の実態からいきますと、指導力のアップあるいは社会性を身につけた教員の輩出ということについては、この養成塾も一つのアイデアだというふうに思っております。
 ただ、基本的には教員養成というのは本来大学の側の仕事だというふうに認識しております。都の教育委員会が、本来大学がやるべきことを今回やるわけですけれども、これはどのようにとらえたらいいのか。大学を補完するということになるのかどうか、その基本的な考え方についてお伺いしておきます。

○近藤指導部長 教育委員会と大学がそれぞれの役割を果たすことは当然のことでございます。と同時に、子どもに夢と希望を与えることのできる教師を育てるために、教育委員会と大学が緊密に連携していくことは極めて大切なことであると認識しております。

○河西委員 次に、特別選考の件が出ましたけれども、開塾に向けての準備の手順、それから選考の具体的な内容ですね、決まっていましたらお知らせいただきたいと思います。

○近藤指導部長 現在、来年四月の開塾に向けて、今後の手順を進めているわけでございますが、九月中には、入塾に係る選抜の方法、そして事業の概要をまとめる予定でございます。そして、十月以降にその内容を周知いたしまして、塾生の募集を行い、二月に選抜を行う方向で考えております。

○河西委員 わかりました。五十人ということでスタートするわけですけれども、新採で学校に入る段階の養成塾ですが、その後、学校現場において果たして期待される教師像が実現できるかどうかというのは、その後の問題だというふうに思うんですね。
 今回のこの塾生、塾卒業生と、そうではない教師との関係等、こういう教育現場にも競争原理が少なからず持ち込まれている中で、学校の現場の混乱までいかないにしても、さまざまな問題というのが惹起されるんだろうというふうに思います。
 ですから、一挙にトップスタートするというのも手でしょうけれども、実践をする中で、その実績なども勘案して、拡大の方向にいくのか、再考を促されるのか、それは様子を見るということでいいのではないかなというふうに私は感じています。
 それと関連しまして、区市町村の教育委員会の理解と、それから、関係大学と接触されていることと思いますけれども、関係大学の受けとめ方、これについてお知らせいただきたいと思います。

○近藤指導部長 まず、区市町村の教育委員会等に対しましては、七月の特別区教育長会並びに東京都市教育長会において趣旨説明を行い、ご理解をいただく予定でございます。
 また、都内の小学校教諭一種免許状が取得できる大学にも説明をしたところでございますが、子どもたちの教育の充実のために、ともに連携を強めていきたいという声を、すべての大学からいただいているところでございます。

○河西委員 小学校の第一種免許を取得できる大学ということなんですが、この対象大学、関係大学についても、もう少しご検討いただければなというふうに思います。先ほど来議論のありました特殊教育の免許取得等も、私は、養成塾をオープンするんでしたら必要かなという気もいたしておりますので、対象の学生が就学している大学ということですが、関係大学、対象大学といいますか、ここら辺についても再度ご検討いただければなというふうに思います。
 以上でいいです。

○石川委員 現在、教師の質の向上を目指して、任用の段階、そしてまた現場の先生にさまざまな施策が展開されている中で、新たに養成段階から教師を養成しようという東京教師養成塾、仮称でありますけれども、設置が発表されたわけでございます。
 若干お伺いしますけれども、まず平成十五年度の教員採用試験の小学校、中学校、高等学校の受験者に対する採用倍率について、ちょっと教えてくれますか。

○臼井人事部長 教員の採用倍率についてのお尋ねですけれども、小学校、中学校、高等学校の受験者に対します採用倍率は、それぞれ小学校二・五倍、中学校九・二倍、高等学校十一・六倍でございます。

○石川委員 そうしますと、本年度の小学校の教員採用数は何名になりましたか。また、あわせて、今回の五十名という人数枠は、この採用人数に戻しますと、どのくらいの率になるんでしょうか。

○臼井人事部長 四月一日付の採用数は、今年度、約一千百名でございました。今年度の四月一日付の採用人数一千百名をもとに計算しますと、五十名は全体の四・五%に当たります。

○石川委員 実施主体は東京都教育委員会、こうなっております。今後も都教委がさまざまな準備をされて、この採用に向けていかれるんだろうと思います。
 そこで、今後、区市町村との関係、それから奉仕活動等の体験ということになりますと、またさまざまな関係機関、それから企業体験等も行うということであります。この塾の成果、それから進みぐあい、こういうものは第三者機関をつくって検証されていくんでしょうか。あくまでも都教委が判断して進めていくんでしょうか。

○近藤指導部長 この教員養成塾は、一年間をかけまして、教員としてふさわしいかどうか含めまして見ていくわけでございまして、そこではもちろん教育委員会の担当者もおりますし、そしてその他、実際に学校を経験してきた校長先生方も含めまして講師陣として張っておりますので、そうした多くの人方が総合的に判断して、教員としてふさわしいかどうかを求めていきたいと考えているところでございます。

○石川委員 いわゆる都教委が最終的に判断されるんですか。

○近藤指導部長 すべての講座に参加し、そして特別選考を通った者ということで、都教委が最終的に判断いたします。

○石川委員 都教委が判断をされて、特別選考試験を受けられて、採用される。と、この塾生の配置先というのにつきましては、どんなふうに考えておられるのでしょうか。

○臼井人事部長 塾生が採用された後の、どんな学校に配置されるかというご質問でございますが、塾生が採用された場合につきましては、塾講座の中で特別教育実習を行っておりますので、その特別教育実習を行った区市への配置を中心に考えておりまして、今後、当該教育委員会の意向を踏まえながら、配属校については決めてまいりたいと思っております。

○石川委員 そうしますと、実習をされた区市町村の教育委員会に配慮した配置をしますよということでよろしいんですか。

○臼井人事部長 そのとおりでございます。

○石川委員 そうしますと、区市町村の教育委員会の協力も得られやすくなると私は思っております。
 大変いい塾なんですけれども、実は近県からしますと、いわゆる養成段階から東京都が特別に塾をつくって養成をする、甚だ心配だな、いい学生は東京都へ持っていかれてしまうのではなかろうか、こういう危惧が出てくるのも自然の理かなと思いますけれども、その辺の都教委の考え方についてお伺いして、質問を終わります。

○近藤指導部長 この東京教師養成塾の塾生は、東京都の公立小学校の教員を強く希望している者でございまして、採用に当たっては、特別選考を合格することや、また小学校の教員免許を取得すること、この塾での講座をすべて終わることなどを条件としているわけでございますので、早期に採用を確定するものでもございませんし、また、他の道府県においても理解を示してくれるものと考えております。

○曽根委員 かなりダブりましたので、幾つか、前の方とダブらない範囲で聞かせていただきます。
 五十人でスタートするという今回の規模と、それから五十人、希望は殺到する可能性もあると思いますが、そういう希望学生の中から五十人程度をまず選ばなきゃならないという選び方などについて、検討中だと思いますが、大体どういうことを考えているのでしょうか。

○近藤指導部長 塾生の選考の方法でございますが、一般的には学長推薦また小論文、面接などが考えられるわけでございますが、現在、検討しているところでございます。

○曽根委員 入塾した学生の身分なんですが、もちろん四年生の大学生のままではあるんですけれども、実習期間が一年にわたって長い、回数も相当多いわけで、どういう形で実施をするかわかりませんが、仮に同じ学校で一年間、先生たちと一緒に子どもたちと接するとなれば、ほとんど子どもたちにとっては先生と同じような接し方になっていく可能性もあります。この一年間を通じての学校における実習の実習生というのですか、塾生の身分というのは、通常、二、三週間程度の実習がありますよね、その実習生と全く同じと、同じ扱いであるというふうに考えていいですか。

○近藤指導部長 通常の教育実習生と同じ大学生という立場でございます。

○曽根委員 それから、実習を受け入れる学校やその指導に当たる担当教員、これは、二、三週間の実習生の指導だけでもかなりの負担があるというふうに聞いていますが、学校や指導担当の教員に対する配慮、もしくは場合によっては教員のある程度の加配というか、そういった対応は考えているんでしょうか。

○臼井人事部長 特別教育実習につきましては、この東京教師養成塾の意義に賛同しまして、通常の授業に支障のない限度で受け入れに協力できる学校を区市町村教育委員会から選んで、出していただいて行うものでございまして、教員の増はないものと考えております。

○曽根委員 すると、現行の学校の体制の枠の中でやるということですね。
 最後に、この塾を通じて、ここに掲げられている目指す教師像の〔1〕から〔3〕まで、社会の変化や子ども、保護者の願いを的確にとらえ、実践的指導力や企画力を高める教師とか、幅広い教養を身につけるとか、それから地域や社会貢献の活動に取り組むと。それぞれ立派に実績もおさめたという学生だけれども、いかんせん、例えば文部科学省の学習指導要領には多少批判的であるとか、東京都の教育目標については異論があるというような考え方の学生もいないとは限らないんですが、そういう学生の扱いについてはどのように考えていますか。

○近藤指導部長 この東京教師養成塾は、東京都教育委員会の教育目標の実現に向けて設置するものでございます。また、学習指導要領に基づいて適切に教育を行うことのできる教師を育てる場でもございます。

○曽根委員 私は、大学の四年生で教員になりたいと強く希望している学生が、こういう機会を得られたとすれば、やっぱり本当に先生になりたければ、学校現場で体験もできて、そういう機会を与えられるということで、非常に希望が出てくる可能性があると思います。
 したがって、そういう学生の芽が伸び伸び伸ばせるというような場であれば、非常に価値あるものになる可能性があると思うんですが、そういう点を、もう少し中身が具体的になった段階で、機会があればまた改めて質問していきたいと思います。

○福士委員 それでは、私はもう説明抜きで、単純にお伺いしてまいります。
 新聞報道でも、教員採用は三年前から急増しているということでしたので、採用予定者数に見合う人数ではなく、先ほども質問のご答弁で、全体の四・五%で五十名という話ですから、この五十名とした理由をお伺いいたします。

○近藤指導部長 小学校におきましては、四月着任と同時に担任を持つことが多く、学級経営などの実践的な指導力が求められているということで、とりあえず小学校に絞ったわけでございまして、そうした観点から五十人ということを予定したわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、人数につきましては今後検討してまいります。

○福士委員 今後の検討は、どの程度の人員規模を考えていらっしゃるのかなというのをちょっとお伺いしたいところですが、わかったらお答えください。

○近藤指導部長 人数についてでございますが、現在五十名ということでお話をしておりますが、今後は、検討いたしまして、ふやしていきたいと考えております。

○福士委員 まだ数字的には余り考えられてないということですね。余り少数でしたので、この少数の養成で、将来の主幹とか校長のための教育とつながるのかなというふうに思ったんですが、その辺はどうなんですか。

○近藤指導部長 東京教師養成塾の趣旨は、塾生が、年間を通じた教育実習を初め、各講座を通じて実践的指導力や社会性を身につけるということでございます。将来の主幹や校長を養成するものではございませんが、塾で培った高い志や深い教育愛は、主幹や校長が携える志と変わるものではないと考えております。

○福士委員 あとは、今現在、四週間くらいの教育実習では、実習生も体験が身につくとは思えませんし、短期でいいとは思わないのですが、養成期間を一年とした理由は何なのか。

○近藤指導部長 実践的な指導力や柔軟な対応力等を身につけるためには、子どもの成長や学校の動きを実感しながら、一年間程度の実習期間が必要であると考えております。

○福士委員 養成塾からの選考者は、先ほどもちょっと出ていましたが、一般の教員試験を受けないようですけど、教員試験を受けた者と同等もしくはそれ以上に適性があることはどういうふうに担保されるかなというのを、もう一度ちょっと確認をさせてください。例えば、一年間の教育実習の結果はどういうふうに扱われていくんでしょうか。

○近藤指導部長 東京教師養成塾は、都の教育委員会が養成の段階にかかわりまして、さまざまな講座を通して、実践的指導力や社会性を身につけさせていくものでございます。また、採用に当たりましては特別選考を実施いたしまして、教師としての適性を見ることになっております。
 この一年間の実習の成果につきましては、実践的な指導力を身につけ、即戦力として活躍できる基礎になると考えております。

○福士委員 最後に、現在の教員制度で新人に問題があるのか、それから、あるとすればどういう問題が生じているのかだけお伺いをして、質問を終わります。

○近藤指導部長 現在の初任者の現状を見ますと、実践的な指導力や柔軟な対応力が不足していること、そして社会性が乏しいことなどの問題があると把握しております。

○渡辺委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五十二分散会

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