文教委員会速記録第九号

平成十五年六月十九日(木曜日)
第三委員会室
午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長渡辺 康信君
副委員長服部ゆくお君
副委員長河西のぶみ君
理事執印真智子君
理事中嶋 義雄君
福士 敬子君
小美濃安弘君
野島 善司君
石川 芳昭君
大西 英男君
相川  博君
曽根はじめ君
山本賢太郎君

 欠席委員 一名

 出席説明員
生活文化局局長三宅 広人君
総務部長嶋津 隆文君
男女平等参画担当部長金子 良江君
広報広聴部長島田幸太郎君
都政情報担当部長二ノ宮 博君
文化振興部長荒川  満君
都民協働部長高島 茂樹君
交通安全対策担当部長脇  憲一君
私学部長中澤 正明君
消費生活部長高田 茂穗君
参事高嶋  明君
参事奥秋 彰一君
参事八木沼今朝蔵君
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
理事斎藤 尚也君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長臼井  勇君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長鈴木 雅久君
教育政策担当部長石川  武君
特命担当部長岡本 宏之君
都立高校改革推進担当部長山川信一郎君
参事齊藤 一男君
参事井出 隆安君
参事瀧川  清君

本日の会議に付した事件
 生活文化局関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・第十七次東京都消費生活対策審議会の答申について
  請願の審査
  (1)一五第四号 私立専修学校の教育・研究条件の改善と父母負担の軽減に関する請願
 教育庁関係
  第二回定例会提出予定案件について(説明)
  ・学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・都立葛飾ろう学校(十五)改築工事請負契約
  ・都立大塚ろう学校(十五)改築工事請負契約
  ・多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業契約の締結について
  報告事項(説明)
  ・東京都心身障害教育改善検討委員会の中間まとめについて
  請願陳情の審査
  (1)一五第五号 両国高校定時制在校生の台東地区昼夜間定時制高校校舎への移転の再検討に関する請願
  (2)一五第六号 久留米高校の統廃合計画の見直しに関する請願
  (3)一五第一五号 都立夜間定時制高校の統廃合計画の見直しと生徒の就学保障に関する陳情
  (4)一五第一七号 小石川高校の中高一貫化の再検討に関する陳情
  (5)一五第六号 都立中央図書館視覚障害者サービス削減の見直しと情報格差是正の支援に関する陳情

○渡辺委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○渡辺委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がございましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の清水健吾君です。
 議案調査課の担当書記の齊藤さゆりさんです。
 よろしくお願いいたします。
〔書記あいさつ〕

○渡辺委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
 この際、先般の人事異動に伴い、大学管理本部長及び幹部職員に交代がありましたので、大学管理本部長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○山口大学管理本部長 大学管理本部長の山口一久でございます。
 当委員会の委員長を初め委員の皆様方のご指導を賜りまして、当本部の事務事業の適切かつ円滑な運営に全力を挙げてまいる所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、去る六月十六日付で当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 参事で改革推進担当の大村雅一でございます。議会との連絡に当たらせていただきます総務課長の櫻井務でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○渡辺委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○渡辺委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、教育庁及び生活文化局関係の報告事項の説明聴取並びに教育庁及び生活文化局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び教育庁関係の報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。また、生活文化局関係の報告事項につきましては、本日は説明を聴取した後、質疑終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、生活文化局長から幹部職員の紹介があります。

○三宅生活文化局長 四月一日及び六月十六日付の人事異動で当局の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介申し上げます。
 参事で調整担当の高嶋明でございます。男女平等参画担当部長になりました金子良江でございます。広報広聴部長の島田幸太郎でございます。都民協働部長の高島茂樹でございます。参事で心の東京革命推進担当の八木沼今朝蔵でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○渡辺委員長 紹介は終わりました。

○渡辺委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○高田消費生活部長 それでは、お手元にお配りしております第十七次東京都消費生活対策審議会答申につきまして、概要によりご説明申し上げます。
 本答申は、社会経済状況の変化に伴い増加、深刻化しております消費者被害から、都民が適切かつ迅速に救済を受けられるよう、昨年の七月五日に知事から諮問を行いました、社会経済状況の変化に対応した消費者被害救済のための新たな仕組みづくりについて、消費生活対策審議会において審議が重ねられ、去る五月二十六日に答申されたものでございます。
 表紙をおめくり願います。一ページをごらん願います。「はじめに」では、審議に当たりまして、都が実施した被害救済の調査結果等を活用し、被害救済の機能強化充実のための都が果たすべき役割と課題、実効性ある新たな仕組みの提案を目指したこと、また、三月に提出した中間報告に対し、多くの都民や団体から意見等が寄せられ、参考にしたことなど、審議及び諮問の経緯が記載されてございます。
 次に、第1、消費者被害の救済にかかわる基本的視点といたしまして、まず、高度情報社会の到来や経済のグローバル化などの社会経済状況の変化と、インターネットをめぐる相談や、新手の悪質商法などによる消費者被害の増加、深刻化を指摘し、これに対しまして、市場メカニズム重視社会への移行及び苦情処理、紛争解決機能の重要性という消費者政策の変化と、裁判外紛争解決促進の動きを述べてございます。
 次に、二ページに参ります。このような状況にあって、消費者被害救済機能の充実強化のために都が果たすべき役割と課題につきまして、まず行政に求められる消費者被害救済機能について述べ、その上で、(2)のところでございますが、都が果たすべき役割として、都は、広域自治体としての責務があり、消費生活総合センターには、消費者から直接寄せられる苦情、紛争を適切に処理することに加えまして、第一に、区市町村では対応困難な複雑多様な被害や広域的被害の対応、第二に、高度専門的処理を必要とする被害への対応、第三に、民間型相談・ADR機関との連携、そして第四に、個別紛争の解決だけでなく、行政施策につながるセンサー機能を指摘しております。さらに、区市町村及び都の取り組みに触れ、右側の三ページに移りますが、最後に、今後、都に求められる課題を四点、先ほど申し述べました都が果たすべき役割に沿って指摘しております。
 次に、三ページの中ほどに参りますが、第2といたしまして、消費者被害救済の新たな仕組みを四つのポイントに取りまとめております。
 ポイントの第一は、紛争解決機能の強化に向けた取り組みと、区市町村支援の仕組みの構築でございます。ここでは、相談処理基準の明確化や指針等の作成、四ページに参りますが、統一処理の仕組みの確立等による区市町村の領域を超えた被害の的確かつ迅速な救済、さらには、相談員、職員の研修の充実などによる区市町村の相談処理機能の充実や体制整備への支援が提言されております。
 五ページに参ります。ポイントの第二は、解決困難案件を処理するための高度専門的相談の仕組みの構築でございます。ここでは、これまで解決が困難であった紛争や新たな取引形態などによる被害に対応するため、弁護士や建築士等の専門家の関与による二次的相談処理の仕組みや、相談員、職員が緊急に専門家から助言を受けられる仕組みなどが提言されております。
 次に、六ページに参ります。ポイントの第三は、民間型相談・ADR機関との連携の仕組みの構築でございます。ここでは、的確かつ迅速に相談処理が行われるための情報の共有化を初め、各機関の特性を生かした苦情紛争処理の仕組みなどが具体的に提言されております。
 最後に、七ページの下段でございますけれども、ポイントの第四、広域的、多様な被害の救済と未然、拡大防止を図るための連携の取り組みでございます。ここでは、次の八ページに参りますが、取引指導、貸し金、不動産取引等の他の行政機関とのネットワークの構築や、福祉施策等の他の行政施策との連携の取り組みが提言されております。
 簡単ではございますが、以上で、第十七次東京都消費生活対策審議会答申の説明を終わらせていただきます。
 都といたしましては、この答申を十分生かし、東京における消費者被害救済の新たな仕組みづくりを着実に進めてまいる所存でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石川委員 若干、質問をさせていただきます。
 今日、ご案内のとおり、高利のやみ金融あるいは使ってもいない国際電話の高額な料金請求など、深刻な消費者被害がふえております。今回、東京都消費生活対策審議会が消費者被害の実態について多方面にわたる調査を行い、一年間という短期間に審議をし、答申にまでこぎつけたことを、一定の評価をする立場でございます。
 今後は、この答申を、いつまでにどのように具体化していくのかが実は問われてまいります。答申は、仕組みづくりを中心に施策を提言しており、その実現には、消費生活総合センターを中心に、区市町村も含めたマンパワーの充実強化が欠かせないだろうと私は考えます。答申の実現のための取り組みについて、その考え方を伺います。

○高田消費生活部長 答申の目指す都域全体の消費者被害救済を積極的に進めるためには、都みずからが紛争解決能力を高めることはもとより、都民に最も身近な自治体である区市町村が紛争解決能力を高め、被害救済に取り組んでいくことが重要でございます。
 区市町村の相談処理能力を高めるために、都はこれまでも、総合センターが所有します豊富な相談処理実績を生かしました助言や、専門家によるアドバイザー制度を活用することなどによりまして、区市町村支援を実施してきたところでございます。
 来年度に向けましては、消費生活相談処理情報システムの改善によりまして、被害情報を迅速に把握し、提供する。また、区市町村で受け付けた相談案件につきまして、都の被害救済委員会への積極的な付託など、さらなる区市町村支援の強化を図っていきたいと考えます。
 区市町村の相談員、職員の研修の充実強化など、お話のございましたマンパワーの育成につきましても、支援策を一層充実させていきたいと考えます。

○石川委員 また、都内全域で毎日発生しております消費者被害に対し、被害が起こってからの指導だけではなく、いかに未然に防止するかが重要であります。被害に遭いやすい高齢者などに対して、適切な情報を未然に発信し、仮に被害に遭っても、一日も早い救済の仕組みを機能させることが重要でありますが、情報の発信及び迅速な被害救済についての考えをお伺いいたします。

○高田消費生活部長 ご指摘がございましたとおり、高齢者などの社会的弱者を対象にした悪質商法による被害は高額になりやすく、深刻な事例が多いということでございます。高齢者本人はもとより、民生委員、ケアマネジャー、ホームヘルパーなど、福祉サービスを支える現場の関係者への注意情報の発信など、他の行政施策との連携によりまして、効果的な情報提供や注意喚起が必要だと考えます。
 また、都の施策だけではなく、区市町村とも連携いたしまして、高齢者が被害に遭わないよう、仮に被害に遭ったといたしましても、すぐに通報できるような体制の整備などについて、今後、区市町村とも検討してまいりたいと考えます。

○石川委員 この答申に述べられているすべての仕組みを機能させるためには、相応の手間と時間が必要だと思いますが、一日も早く仕組みを構築し、被害者を出さないための未然防止施策が都全域で推進されるよう要望し、この質問を終わります。

○河西委員 それでは、質問させていただきます。ただいま石川委員の方から質問がありまして、多少ダブる部分がございますけれども、お伺いさせていただきたいと思います。
 答申の中で、新たな仕組みづくりの四つのポイントが挙げられております。このさまざまな仕組みづくりの提言についてなんですけれども、増加あるいは深刻化する消費者被害、これに迅速、的確に対応するために、この提案の具体化が、また計画的な事業の構築が早急に進められることが大切だろうというふうに思っています。全体、この答申の中身は、どれも一日も早く着手してほしい、精力的に取り組んでほしいという審議会の意向も受けて答申をいただいているということを踏まえますと、では一体今後どのようなスケジュールで、いつごろまでに何ができるのか、何をしようとしているのかという理事者側の姿勢がここで問われるだろうというふうに思っています。
 この四つのポイントの中では、行政内部の仕組みとして早期に着手し強化を図っていくことが求められているものと、新たに民間機関との連携などで、その内容、方法などについても期待はされますけれども、逆に慎重な検討が求められている、こんなところもあるかというふうに思います。
 まず第一に、早急に着手できるのではないかと考えられますのは、都内の消費生活センターのレベルアップであると思います。大変重要な課題でありますが、今、質疑のやりとりがございました。関連いたしますけれども、都民に最も身近な区市町村の支援強化について、早急に取り組むべき施策について、もう少し詳しくご答弁いただきたいと思います。

○高田消費生活部長 区市町村への支援といたしましては、都は既に、区市町村の領域を超えた同一事業者による広域被害につきまして、例えば内職商法におけるパソコンのマルチ販売で契約処理が難航した案件、そうしたものなどにつきまして、東京都が中心になって統一的な処理を行っております。
 また、相談員による専門分野別相談処理を平成十四年度四月から本格実施いたしまして、専門的な処理を必要とする案件についての対応への支援を強化しております。
 さらに、今後の区市町村の相談機能の充実が求められるわけでございますが、それに向けまして、相談員に対する研修を充実するとともに、相談員を支援して解決困難な案件の処理を促進するということのために、例えば住宅リフォームのトラブルに建築士の助言を得るというふうな形で、積極的に専門家の活用を図っていきたいというふうに考えます。

○河西委員 区市町村によっては、その持てる能力といいますか、機能が、温度差がございまして、これは基礎自治体の規模にもよるんだろうと思いますけれども、そこら辺も十分に配慮しつつ、それぞれの自治体で、区市町村で十分な対応ができるような指導、助言等も重ねてお願いをさせていただきたいと思います。
 もう一つは、民間の相談、それからADR機関との連携についてなんです。
 民間機関は、性格、機能などさまざまなものがございます。この審議会の中でも問題になった、課題とされたのが、この民間の相談あるいはADR機関との連携の中で、透明性とか中立性をどう確保できるのかということだったように思います。透明性や中立性など、連携先として適切な機関かどうかの判断、あるいは連携方法について、これは急ぐけれども慎重な検討が必要だろうというふうに考えております。つきましては、この民間との連携について、今後どのような手順で仕組みづくりを進めていくのか、スケジュール的なものもあわせてお伺いできればと思いますが、手順についてお伺いいたします。

○高田消費生活部長 民間の相談・ADR機関には、弁護士会等の専門家集団、消費者団体や事業者団体が設置しているものなど、お話しのようにさまざまございます。したがいまして、連携の対象となるような機関につきましては、まず都自身が、その機関の組織運営の目的や相談処理の実態を調査する必要があると考えます。
 次に、その調査を踏まえまして、その機関が相談処理に当たって、お話がございましたような透明性や中立性を確保しているかどうか、これを都自身が判断するための基準をつくる必要があると考えます。この基準につきましては、外部有識者の意見なども取り入れながら検討してまいりたいと考えています。
 そして、実際、協定を結ぶ場合になるわけでございますが、個々の団体と、その連携の方法などについて具体的に定めまして、相談をともに処理していくことによりまして、都域全体の消費者被害が適切に救済されるような仕組みづくり、こういったものを目指して進めてまいりたいと思います。

○河西委員 お尋ねしたいのは大筋今のところなんですが、東京都が行います新たな仕組みづくり、これがきちんと機能するようになるということは、私は、消費者の被害救済にとどまらないで、市場そのものが健全化していくというか、そういうことにもつながるだろうというふうに思っています。本来、みずから生産し、流通、販売に携わる者は、その被害が発生した場合には責任を持って救済に当たるというのが、民間での責任だというふうに思いますけれども、なかなかそうならない、あるいはそうではなかった歴史を考えますと、東京都が果たしてきた役割というのは大変大きなものがあって、東京都の相談センターに対する信頼もかなり大きいというふうに思っています。
 したがいまして、民間にお願いをするということの中には、期待と同時に、東京都が消費者行政あるいは消費者の被害救済から手を抜くのではないかという不安もなきにしもあらずだという消費者の受けとめ方も踏まえて、しっかりとシステムづくりに挑戦をしていただきたい。できれば、なるべく早く、かつ慎重にと、矛盾することを申し上げますけれども、ぜひそういう姿勢で取り組んでいただきたいと申し上げて、質問を終わります。

○曽根委員 今回の答申について、私も消対審の委員でしたので、何回かにわたって審議会の中で意見を申し上げてきまして、大体それらの意見は、最終答申の中にかなり盛り込んでいただきました。それで、議会の場でも改めてこの答申に基本的に賛成するとともに、都によって積極的な施策の具体化と推進を求めていく立場から、大きく二つの点について意見を申し上げておきたいと思います。
 まず、今回の答申の特徴は、消費者被害の広域的な拡大傾向や、詐欺的な商法が、例えばITなども使ったかなり巧妙なものになり、広域行政である東京都が専門知識と権限を強化しながら、新たな被害救済の対策に急いで乗り出すことが求められていることを明らかにしたこと、また、都がそういう点で全国の自治体のトップランナーになるように求めている点が特徴だと思います。
 その際、現状で、公的な窓口に都民被害者の相談がまだ三%程度しか届いていないという現状から見て、都民の相談窓口としての都の消費生活総合センターの役割は引き続き重要であり、都民、関係者の期待も強い。したがって、これまで都が果たしてきた相談機能の役割を絶対後退させることなく、むしろ強化充実していくことが、多くの委員から発言されました。これに沿って文言も書き加えられました。
 以上の点も踏まえて、新たに、専門性を高め、また、他のさまざまな機関や団体との連携を強めてネットワークをつくっていく取り組みを進めると同時に、これまでの都民相談の受け皿機能も充実を図れるように求めておきたいと思います。
 その点で、九六年以来減らされてきたセンターの職員や都の関係職員の体制を改めて充実を図るよう、強く要望しておきたいと思います。
 もう一つは、被害者救済を質量ともに高めるため、民間団体との連携は不可欠ですが、とりわけ企業側の団体については、それが消費者被害への救済に前向きかどうかの客観性、公平性の厳密な検討が必要とされ、都として一定の基準を設けるべきことが最終答申に書き加えられました。
 先ほどもお話がありましたが、私は、この問題と関連して、都と民間団体の連携を進める場合、民間団体の中で、特に、あくまで消費者の利益を守るという立場で一貫して活動し、歴史も実績もある消費者団体との連携を重視し、必要な支援も行いながらネットワークづくりを進めるよう要望いたしました。
 例えば、都の消費生活センターが休みの休日も含めて相談窓口を開いている団体など、さまざまな努力がこの分野で行われております。これらをきちんと評価し、協力し合うことが必要だと考えておりますので、この点も改めて都に推進を求めておきたいと思います。
 それから、以上のほかにも、センターの職員の方からは、自分たちの専門性を高め、またそれを区や市町村に伝えていくためにも、研修などの充実、権限の強化が必要との要望が出ておりますので、現場の声を真剣に受けとめて受け入れる努力をお願いしたいと思います。
 以上で意見は終わります。

○執印委員 それでは質問させていただきます。
 時代の必要に応じて丁寧に話し合われて出された答申だというふうには受けとめておりますが、ほかの委員の方からもお話がありましたように、実現に向けてどのように進めていくかということが問題であるというふうに思います。それぞれ進められやすいところ、少し時間がかかるところというふうにあるかと思いますが、当面、優先して着手すべきものとしてどのようなことを考えられているのか、お伺いいたします。

○高田消費生活部長 まず、広域自治体としての東京都にとりわけ求められておりますのは、区市町村では対応できない複雑多様な消費者被害や広域的被害への対応にあると考えています。そのため、解決困難な案件を処理するため専門家の活用を図るとともに、区市町村の領域を超えた同一事業者による広域被害を、都が中心になって統一的に処理を進めていくということに取り組んでまいりたいと思います。
 次に、いわゆる総合センターの持つセンサー機能といわれるものでございますけれども、都域全体の被害情報を収集、探知し、事業者指導等の行政施策につなげる役割を果たすことが求められていると思います。情報の分析能力の向上などを図るため、研修の充実に取り組んでまいりたいと思います。

○執印委員 次に、この件についても質疑がございましたが、裁判外紛争解決、ADR機関についてです。こういったものの必要性はこれから高まるというふうに思うんですが、答申を読ませていただいて、じゃ、一体どれくらい今そういったものがあるのか、都として現状をどのように把握されているのか、それから、今後の検討に向けて働きかけはどのように進められていくのかをお伺いいたします。

○高田消費生活部長 民間における裁判外紛争解決の場といたしましては、数までは明確につかんでいるわけではございませんけれども、弁護士会や司法書士会等の専門家の方たちがつくっているもの、それから、消費者団体、事業者団体が設置している相談窓口。そのほかにも、最近では、電子商取引推進協議会のように、ネットトラブルについての相談を受け付ける団体など、多様な主体があらわれております。
 これらの機関の中には、学識経験者の助言などに基づきまして高度で専門的な対応が図られている、そういうものがある一方で、処理結果等の公開がなされていない機関もあるなど、その運営方法はさまざまでございます。
 こうした民間の相談・ADR機関と連携するに当たりましては、組織運営の目的やその実態を十分に調査する必要があると考えております。そして、その調査結果を踏まえ、その機関の相談処理に当たっての透明性や中立性を判断するための基準を東京都みずから用意いたしまして、その基準に基づいて、連携先との情報の共有や連携の方法について個別に協定を結ぶなど、都域における被害救済機能の充実を図ってまいりたいと考えております。

○執印委員 今のご説明を伺っても、こういった被害が、ネットトラブルも含め、非常に広い分野で起きているということかと思いますが、この答申にもありましたけれども、それでは、庁内の事業者の規制部署との連携については現状どのような取り組みがされているのか、それからまた、この答申を受けて今後どのように展開をされていくのか、伺います。

○高田消費生活部長 消費生活総合センターに寄せられます相談は、まず、最近特に多いのが消費者取引をめぐる相談でございます。そのほかに、不動産、金融、食品、医療等、多岐にわたってございまして、庁内の関係規制部署との連携は欠かせない状況にございます。
 特に近年増加しております貸金業者とのトラブルにつきましては、ことしの四月、産業労働局に設置されました貸金業対策室から派遣された講師による相談員向け研修の実施、悪質事業者情報の共有などを図っております。また、ダイエット用の健康食品被害などにつきましても、健康局から緊急情報の提供のほかに、共同いたしまして市場商品の品質チェック、事業者指導などに当たっております。
 今後は、住宅関連規制部署や医療相談部門などとの連携につきましても、単に機関を紹介するということに終わることなく、消費生活総合センターの受け付けた相談の内容がそういった機関に適切に引き継がれるよう、仕組みを検討していきたいと考えております。

○執印委員 次に、この答申の中では二九ページになりますが、福祉施策等との連携というのがございます。社会的な弱者を対象にした悪質商法による深刻な被害を未然に防止するために、福祉施策との連携が有効であるとして、判断力が低下した高齢者の被害が例に挙げられております。私どものところに実はこういった高齢者の方だけではなくて、いわゆる知的な障害がある方について、保護者の方からご心配のご相談なども上がっているわけですが、こういった知的障害者の方たちも悪質商法の対象となって被害を受けている実態もあるというふうに伺っております。判断能力の不十分な方が消費者取引を行った場合、法による回復というのは可能なのかどうか、まずそこをお伺いいたします。

○高田消費生活部長 障害の程度が重く、契約時点で契約の内容を理解していなかった場合、それから、障害が軽度でありましても、契約の重要な部分に思い違いをしていた場合は、民法により無効を主張することができる。また、事業者が消費者の判断能力の不十分さに乗じて行った契約は、民法の公序良俗に反する合意として無効を主張することができるというふうに認識しております。ただし、いずれの場合も、立証は、その無効を主張する人が負わなければならないという仕組みになってございます。
 なお、判断能力の不十分な人を保護するために、重要な取引を代理により行います後見制度というものが別にございます。

○執印委員 法によって回復は可能だけれども、立証は無効を主張する側が行うということで、この辺が非常に難しいところなのかなというふうにお聞きいたしましたが、現実の問題として、判断能力が不十分な高齢者または知的障害者など、いわゆる社会的な弱者といわれる方たちの被害の実態と、その救済の状況というのはどのようなものか、都としてはつかんでいらっしゃるでしょうか。

○高田消費生活部長 国民生活センターが本年四月に発表いたしました「知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者の消費者被害と権利擁護に関する調査研究」によりますと、国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられた知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者等が契約の当事者である相談は、平成九年度では二千八十二件でございましたものが平成十三年度には五千三百三十六件へと、この五年間に二・六倍に増加しているというのが出てございます。
 その相談事例を見てみますと、契約した本人は事情が説明できないため、本人が相談を寄せることは少ない。家族や介護サービスの関係者が気づいて相談してくることが多い。それから、相談処理におきましては、痴呆性高齢者では介護保険による要介護、要支援の認定や医師の意見書など、知的障害者、精神障害者では障害者手帳や診断書などをそれぞれ活用して、実際、問題解決のための交渉を行うケースが多く、こうした場合、あっせんによりまして無条件解約に応じる事業者の例も多いというふうに出てございます。

○執印委員 五年間で二・六倍ということですので、いろいろな場面でこういった被害が広がってきているということがわかるわけですが、特に、この答申でも未然防止策として福祉施策との連携を打ち出されていますので、東京都としても、判断力の不十分な方たちの被害救済について対応していく必要があるというふうに思いますが、今後どのような対応をされていくのか伺います。

○高田消費生活部長 知的障害者など、いわゆる判断力が不十分といわれる方たちは、周囲とうまくコミュニケーションがとれない、そのために、被害に遭ったことを伝えられないということで、被害が深刻化しがちでございます。被害に遭った場合、家族や介護者が早めに状況を把握し、地域で日常生活支援を行っている福祉サービス関係者などと連携して、消費生活センターの相談につなげるなどの方法によりまして、未然防止と事後救済を図るセーフティーネットといったものが築けるわけでございますので、そういったセーフティーネットづくりが重要であるというふうに考えます。
 都は、福祉サービスを行っている関係者との連携によりまして、判断力の不十分な高齢者あるいは知的障害者の特性に応じた啓発を行いますとともに、被害に遭った場合などの連絡体制づくりにつきまして区市町村と協議してまいりたいと考えます。

○執印委員 最後にお願いをさせていただきますが、今、答申の中にはっきりと書かれていない知的障害者への対応について伺ったわけですが、知的障害があるといわれている方も、契約をする権利などが保障されて当然だというふうに思いますが、片方で、いろいろな面で周りの方も不安を持っている、保護者の方も不安を持っているということがあるようですので、ぜひこれから、この答申を進めるときに、十分に知的障害者に対しての対応も進めていただきたいということと、今もお話がありましたけれども、周りの方への情報提供を十分にして、未然に防げる方法というものを考慮に入れていただきながら、この答申全体を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○福士委員 それでは、簡単に質問させていただきます。
 この答申、ずいぶん丁寧におやりになったという印象は私も持っておりますが、都への課題として、区市町村支援強化とともに、都自身の相談体制の充実強化、それから被害者救済充実を提言しておられます。ただ、多摩センターを廃止して消費生活総合センターへの相談窓口の一元化の後に、この審議会答申を得たことを、都としてはどういうふうにお考えになるか、伺っておきます。

○高田消費生活部長 昨年四月に実施いたしました相談窓口の消費生活総合センターへの一元化は、専門分野別相談処理を充実し、高度専門的な相談処理や広域的な案件の統一処理を進めるなど、都道府県消費生活センターとしての被害救済機能を重点化していく、さらに充実を図っていくことを目的に行ったものでございます。
 答申におきましては、社会経済状況の変化に伴いまして、消費者被害がますます複雑多様化、広域化し、高度専門的な処理を必要とする解決困難案件が増加していることから、都みずからが被害救済機能を充実するとともに、広域自治体である都の役割といたしまして、さらに区市町村支援も強化することが提言されております。
 提言を踏まえまして、都域における消費者被害救済機能を一層高めるために、都としても、その実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。

○福士委員 今回の答申は、市民側から相談しやすいかどうかということよりも、組織のあり方から見られておりますので、そういうお答えになるだろうというふうに思いますし、そのことは否定するようなものではありませんので、それはそれで結構だとは思いますが、ただ、社会状況の変化に伴って、被害者増とか被害内容の複雑さというようなことなどは、消費生活センターとか総合センターの重要性を増しているのだということを、都ご自身が認識されていれば、答申に頼らずともセンター拡充政策を図るべきだったんじゃないかなというふうに思うんですけど、その辺はいかがですか。

○高田消費生活部長 昨年七月に消費生活条例を改正しておりますが、そこにおきまして、相談対応について規定しております条文、これは二十八条一項でございますけれども、そこに、助言のみならず、仲介によるあっせんという言葉を加えまして、消費生活相談の充実強化を明記するなど、セーフティーネットの強化を図っていただきました。
 私どもといたしましては、改正された消費生活条例がより適切に機能するよう、今後の都の被害救済のあり方と、その効果的、効率的な方策につきまして改めて諮問を行ったものでございます。
 審議をお願いするに当たりましては、消費者被害救済の実態、それから、各機関、どういうお考えのもとに相談等に当たっておられるか、その実際につきまして調査を実施いたしました。そういったものについて幅広く意見をいただいたというふうに認識してございます。
 東京都といたしましては、この答申を受けて、消費者被害救済施策の一層の充実を図っていきたいと考えております。

○福士委員 審議会を置かなくても、本当は、内部からそれなりのアイデアとかそういうものを次々出していくことによって、行政の早い対応というんですか、そういうことがだんだん行われていかなければいけないんじゃないのかなと。審議会そのものというのは、どうしても行政だけではわかりにくいこと、それから、もっと広いアイデアを受けたいとき、そういうときに使うものではないのかなあというふうにも思っております。まあ、それがなくても頑張っておられるというのは、私、否定しているわけではありませんが、なお一層、内部の職員の方々も含めて頑張っていただきたいなあというふうなのがあります。
 区市町村の相談窓口の整備ですが、これは、ここにも書かれておりますけれども、不均衡があるという、それはもう事実としてあります。特に多摩地域においては、相談体制の整備がおくれている自治体が多いというふうに見られますが、答申を受けて、今後、区市町村への支援をどういうふうに行っていかれるのか、その辺はどうでしょうか。

○高田消費生活部長 区市町村の相談体制につきましては、相談窓口や相談員の数が増加するなど、整備が進んでございますけれども、いまだ区市町村間では、お話がございましたように、不均衡が見られたり、それから未整備のところもございます。
 都は、区市町村間における相談業務の共同対応や窓口の共同設置などが、この答申で具体的に提言されておりますので、区市町村に対しまして相談窓口の設置充実を働きかけるとともに、ここで提言されている事柄につきましても、区市町村との協議を進め、支援策を講じていきたいと考えております。

○福士委員 被害者の居住環境とか、あるいは地域によって対応にばらつきが出るというのは問題がありますし、孤立しやすい地域ほど、相談窓口も、行きやすさとか受け入れ体制の充実とかというのは望まれますので、地域と十分協議されて、体制づくりはぜひ十分整えていただきたいというふうに要望しておきます。
 それからもう一点、これも要望なんですが、今回の答申は、被害者救済のための組織整備が重点となっているように見られます。ですが、今やもう一歩進めて、被害が起きない対策というものを考える時期になっているのではないのかというふうにとらえていただきたいんですね。そういうふうに思いました。
 国の方でも、「二十一世紀型の消費者政策の在り方」というふうにして、国民生活審議会消費者政策部会ですか、そこでは、消費者団体訴訟制度が検討されたようですが、私も昨年、ヨーロッパの消費生活対策関連を勉強してまいりましたけれども、もうEU全体で、企業も含めて、被害者保護から予防的活動というふうにだんだん移行しておりました。しかも推進されているようでした。ドイツの消費者センター連合会では、活動目標に掲げているのが、被害者保護ではなく、被害が起きないよう援助し、消費者保護を行う。また、消費者の意向をくみ上げ、その意見が経済活動に反映し、国にも提言する活動を行うというふうにいっておりました。現実に、一九六六年以降、制度が確立されて、訴訟が約三百件ぐらい行われていて、九〇%が勝訴しているということでしたし、二〇〇一年からはもう、損害賠償の訴訟も行いながら、法改正とともに、企業の自粛規制まで幅広く視野に入れながら活動されていました。これからは、このような形の、原因を絶つというんですかね、未然防止策が重要になってくると思います。その辺も視野に入れて、ぜひ力を入れながら、今後の政策というか、策を練っていただきたいというふうに要望しておきます。
 以上です。

○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○渡辺委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願一五第四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中澤私学部長 私学専修学校の教育・研究条件の改善と父母負担の軽減に関する請願についてご説明申し上げます。
 ご審査いただきますのは、千代田区の東京私立学校教職員組合連合代表緑川進さんほかからの一五第四号、私立専修学校の教育・研究条件の改善と父母負担の軽減に関する請願でございます。
 請願の要旨につきましては、お手元に配布しております説明表の一ページに記載されておりますように、私立専修学校の教育及び研究条件等の改善に関するものでございます。
 現在の状況をご説明申し上げます。
 まず、1の教育設備整備費補助につきましては、昨年度に引き続き予算を増額しておりまして、その充実に努めているところでございます。
 次に、2の教育振興費補助を私立高校経常費補助並みに増額し、専門課程にも適用することについてでございます。
 教育振興費補助は、補助率を堅持しており、その充実に努めているところでございます。また、専門課程につきましては、高等教育機関であることから、国に助成制度の創設などを要望しており、都議会におかれましても同趣旨の意見書を提出しているところでございます。
 次に、3の専門課程研究用図書等整備費補助につきましては、各学校のニーズなど、その状況を踏まえながら予算額を堅持しており、その充実に努めているところでございます。
 次に、4の東京都育英資金貸し付けにつきましては、予算を増額しており、その充実に努めているところでございます。
 次に、5の国への要望についてでございます。
 (1)の専修学校の経常費助成につきましては、都は国に対して、専門課程について短期大学と同様の助成制度の創設を、また高等課程につきましては、高等学校と同様の助成制度の創設を要望しておりまして、都議会におかれましても同趣旨の意見書を提出しているところでございます。
 次に、(2)の専修学校設置基準につきましては、学校に対し、国の基準を遵守するよう、都として施設設備等に関する具体的な内規を設けて指導を強化しているところでございます。
 次に、(3)の専修学校大型教育装置整備費補助の整備補助対象の拡大から、(6)の授業料減免事業特別経費の適用対象の拡大につきましては、さきの専門課程への助成制度の創設及び高等課程への経常費補助の創設などを第一義に考えて国に要望しているところでございます。
 最後に、(7)の三年制以外の高等専修学校に対する通学定期割引率についてでございます。大学入学資格が付与されている三年制の高等課程につきましては、平成六年四月から通学定期券割引率が高等学校と同率とされているところでございます。その他の高等課程の取り扱いにつきましては、各鉄道事業者等の動向を見守りつつ適切に対応してまいります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 今回出されました請願の項目は幾つかありますけれども、大きく分けると、一つは、現在都が行っている、例えば設備の整備とか図書購入整備に対する補助、また育英資金の貸付額の増額、充実という内容、もう一つは、国に対して、または都が独自に経常費の補助などを行うという新しい分野の助成を求めている内容に分かれるかと思います。
 それで、専修学校が、私立学校に比べても決して見劣りしないさまざまな教育的な要望にこたえた活動をしており、その社会的役割が非常に大きいということはいうまでもないと思います。逆の意味で、昨年起きました千代田学園問題を見ても、一つの専修学校が一たん健全な経営が維持できなくなり破綻するという事態になれば、数千の生徒と父母に何がしか影響が出るということは、私たちも経験したわけです。
 したがって、その社会的な役割から見て、私は、今までの個別の支援、設備や図書購入などに限られている支援を、やはり国へも要望しながらも、都が経常費の補助というものを考えていく必要があるだろうというふうに思いまして、少し調べてみました。
 すると、東京と同じように大都市を抱える大阪府では、経常費の補助をもう既に行っているということを知りました。それで、都の方もつかんでおられると思いますので、大阪府でどのような専修学校への経常費補助を行っているか、ご紹介いただきたいと思います。

○中澤私学部長 大阪府における専修学校専門課程への補助についてでございますけれども、この対象経費は経常費全体ではありませんで、その一部である教育研究費を対象としております。つまり、人件費は対象外ということでございます。経費は年間約二億三千万円の予算規模となっておりまして、また補助対象も、府内の学校法人全体ということではありませんで、幾つかの除外事項を設けて、全体のおおむね八分の一程度の学校に限定し実施されていると聞いております。

○曽根委員 大阪の経常費補助のやり方というのはなかなか実態に即しているなと思ったんですが、もちろん額は二億数千万円ですから、東京都の行っている設備や図書購入の補助と大体同等額ですよね。しかし生徒数が、東京の場合は二十万近く、大阪の場合は十万弱ぐらいですから、ちょうど半分ぐらいになりますか。生徒数の全体の規模からいうと、大阪は都の二倍程度の割合になるのかなというふうに思うんですが、ここは、何でも専修学校であれば専門課程で援助するよというのじゃなくて、結構もうかっている有名なチェーンの英会話学校なんかありますよね。そういうところは自力で十分できるじゃないかと。だから、利益が十分計上されているところは対象としない。むしろ、いろいろ社会的役割はあるんだけれども経営が厳しい分野、そういうところに絞って、全体でいえば八分の一程度。しかし生徒数にしてみれば、一人当たり一万円をちょっと超える額の補助になっているんですね。これはかなり大きいと思います。
 そういう意味で、国に求めるのは当然としながらも、大阪の場合を一つの参考にしながら、これは、専修学校というのは集中しているわけですから、大都市特有の需要の一つとして国に求めていくためにも、都が独自の経常費補助の具体化を検討すべきときではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○中澤私学部長 都は従来から私立専修学校の振興に努めてきているところでございますけれども、専門課程の運営費補助につきましては、大学、短大と同じように高等教育機関として位置づけられていることから、国と都の役割分担に基づいて、国の責任において補助制度を創設するように要望してきたところでございます。
 大阪府などでの実施例は確かにございますけれども、生徒数や学校数の規模を勘案いたしますと、都においての分担の考え方を超えて実施に踏み切るのは、都財政への影響も少なくないことから、慎重を期さざるを得ないという状況にあるというふうに考えております。
 このため、都としては、専修学校の専門課程に対しては、教育設備整備費補助及び研究用図書等整備費補助などの充実に努めてきたほか、高等課程でも今年度から新たに専修学校障害児教育事業費補助を創設したところでございます。
 今後とも、私立専修学校が環境の変化に対応してさらに個性的で魅力ある学校づくりが進められるよう、振興策を推進していくつもりでございます。

○曽根委員 ぜひ検討を要望しておきたいんですが、今お話の中でいわれた、高等教育課程であるというお話なんですけれども、例えば大学には都の育英資金はやめたわけですが、高校と同じように、この専修学校の生徒さんを対象にしているわけですよね。そういう意味で、解釈いかんによっては、これを大学とは区別して補助をするという考え方もあろうかと思います。
 それから、都財政の問題ももちろんあるわけです。無視はできません。しかし、大阪で二億ちょっと。全体の一千億を超える私学助成等の規模から見て、今芽を出すといいますか、一つ大きな踏み出しをして、額はともかくとしても、そういう制度を国に求めていくための一つの--大阪と東京は最近いろんな意味で連携していますから、ほかの問題もともかくとして、この分野でもぜひ協力して、東京もやり大阪もやっているということで、国に対して大都市の自治体が要求していく一つの分野にしてほしいということを要望して、私の質問を終わります。

○福士委員 私も意見だけちょっといわせておいていただきたいと思います。
 ご趣旨はごもっともだというふうに理解はしておりますし、専修学校の重要性というのは私も一応認識はしているつもりでおります。
 しかし、この要旨の中の二番目なんですが、これはむしろ逆に国に対して要請する事項かなと思いましたので、ちょっと願意に沿いがたいというふうに思いました。
 それから、5の項目の中で(2)以下については、私は、専修学校は非常にばらつきが多い中で、一律にというのはいかがなものかなというふうに思いましたので、願意に沿いがたいものもあるかなというふうに思いました。
 これは毎年毎年出されていて、毎年同じような結果の委員会の決定がされているようですけれども、少しこの辺についても研究をしていただいた方がいいのかなというふうに思います。また、組合連合の方たちもたくさんの署名を受けて、そして、その意向に関して、毎年同じような結果ができるものについては、やはりこれは請願される方たちもご一緒に、もう一度研究をさせていただきたいというふうに思いました。
 以上です。

○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件のうち、第一項、第三項、第四項及び第五項の(1)を趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認めます。よって、請願一五第四号中、第一項、第三項、第四項及び第五項の(1)は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 以上をもって生活文化局関係を終わります。

○渡辺委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、教育長から幹部職員の紹介があります。

○横山教育長 さきの人事異動で教育庁幹部職員に交代がございましたので、紹介をさせていただきます。
 教育庁次長の鮎澤光治でございます。総務部長の比留間英人でございます。学務部長の山際成一でございます。福利厚生部長の幡本裕でございます。特命担当部長の岡本宏之でございます。都立高校改革推進担当部長の山川信一郎でございます。参事で学校経営指導担当の齊藤一男でございます。参事で人事企画担当の井出隆安でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○渡辺委員長 紹介は終わりました。

○渡辺委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○横山教育長 平成十五年第二回都議会定例会に提出を予定いたしております議案の概要につきまして、ご説明申し上げます。
 本定例会におきましてご審議いただきます教育庁関係の案件は、条例案二件、契約案二件、事件案一件でございます。
 初めに、条例案二件について説明申し上げます。
 第一は、学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例、第二は、東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 学校職員及び東京都教育委員会職員の特殊勤務手当について、社会情勢の変化等により、手当の種類及び支給額を改めますとともに、規定を整備いたすものでございます。
 次に、契約案二件についてでございますが、第一は、都立葛飾ろう学校(十五)改築工事請負契約でございます。老朽化に伴いまして、校舎棟及び体育館棟の改築工事を行うものでございまして、工事期間は平成十六年十一月まででございます。
 第二は、都立大塚ろう学校(十五)改築工事請負契約でございます。同じく、老朽化に伴い校舎棟の改築工事を行うものでございまして、工事期間は平成十七年二月まででございます。
 次に、事件案についてご説明申し上げます。
 多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業契約の締結についてでございます。多摩地域ユース・プラザは、青少年を中心とした多くの都民に、文化・学習活動、スポーツ活動及び野外活動の機会と場を提供する施設でございまして、本契約は、PFI手法によりまして、その整備、運営及び維持管理を行うことを内容としているものでございます。
 以上が、平成十五年第二回都議会定例会に提案を予定しております教育庁関係の案件でございます。
 詳細につきましては、総務部長から説明をいたさせます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○比留間総務部長 お手元の資料、平成十五年第二回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案の説明をさせていただきます。
 まず、目次をお開き願いたいと思います。目次に記載してございますように、今回提案を予定しております条例案は二件でございます。
 一ページをお開き願います。学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 内容につきまして、九ページの新旧対照表をごらん願います。
 第二条は、特殊勤務手当の種類を規定しておりまして、このうち、十六号の不規則勤務者業務手当につきましては、十二号の交替制勤務者等業務手当に統合するものでございます。
 第十四条の交替制勤務者等業務手当につきましては、支給限度額を減額するものでございます。
 次に、一〇ページの第十九条、小笠原業務手当につきましても、支給限度額を減額するものでございます。
 一二ページをお開き願います。東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 内容につきまして、二〇ページの新旧対照表をごらん願います。
 現行の第二条七号の不規則勤務者業務手当につきましては、九号の交替制勤務者等業務手当に統合するものでございます。また、十号の工業教育実習指導手当につきましては、対象者がいなくなったことから削除するものでございます。
 学校職員の特殊勤務手当と同様に、交替制勤務者等業務手当及び小笠原業務手当につきましては、支給限度額の減額を行うものでございます。
 以上、二件の条例の施行日は、いずれも平成十六年一月一日でございます。
 ただし、減額する手当につきましては、本則の適用は平成十七年四月一日からでございます。
 次に、お手元の資料、平成十五年第二回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして、契約案の説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。目次に記載してございますように、今回提案を予定しております契約案は二件でございます。
 一ページをお開き願います。都立葛飾ろう学校(十五)改築工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は二十一億七千六百六十五万円、契約の相手方は東京都千代田区九段北四丁目三番一号、前田・小松建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日から平成十六年十一月三十日まででございます。
 二ページをごらん願います。学校の案内図及び配置図でございます。三ページから六ページにかけましては各階平面図を、七ページには完成予想図をそれぞれお示ししてございます。
 八ページをごらん願います。都立大塚ろう学校(十五)改築工事請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十五億八千五百五十万円、契約の相手方は東京都豊島区南池袋二丁目二十二番一号、西武・鈴圭建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日から平成十七年二月二十五日まででございます。
 九ページをごらん願います。学校の案内図及び配置図でございます。一〇ページから一三ページにかけましては各階平面図を、一四ページには完成予想図をそれぞれお示ししてございます。
 一五ページは、両校の工事請負契約の概要でございます。
 次に、お手元の資料、平成十五年第二回東京都議会定例会議案(事件)に基づきまして、事件案の説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。目次に記載してございますように、今回提案を予定しております事件案は一件でございます。
 一ページをお開き願います。多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業契約の締結についてでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は六十四億四千八百七十万二百六十四円、契約の相手方は東京都新宿区新宿三丁目一番二十四号、京王ユース・プラザ株式会社でございます。契約期間は、契約確定の日から運営期間が終了する平成二十七年三月三十一日以後、事業者の東京都に対する本件施設及び土地の返還に係る一切の手続が完了する日まででございます。
 二ページをごらん願います。多摩地域ユース・プラザ(仮称)の案内図及び配置図でございます。三ページから六ページにかけましては各階平面図を、七ページに完成予想図をそれぞれお示ししてございます。
 八ページは、本件契約についての概要でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○服部委員 条例案の改正の中で出てきたんですが、特殊勤務手当の種類がありますね。第二条のところですが、項目が十七項目まで。削除した部分もありますが、残っている部分について、どういう手当なのか、その辺の説明がついたものを資料としてお願いします。

○曽根委員 多摩ユース・プラザの契約に関する事件案について、何点かお願いします。
 一つは、区部ユース・プラザも昨年審議をいたしましたが、同じように公共で事業化した場合との比較考量の資料をお願いします。
 二つ目、入札予定額と落札金額、それぞれの施設改修費と運営費など、内訳のわかるものをお願いしたいと思います。
 三番目に、旧高陵高校の新築当時の建設事業費の資料をお願いします。
 四番目に、ここができ上がると廃止ということに予定されている府中青年の家、この利用者への対策や配慮についてどのように考えているかの資料をお願いします。
 五番目、府中青年の家の利用状況、団体数、利用者数、宿泊、日帰り、会議室などの利用割合など、五年分お願いいたします。
 以上です。

○渡辺委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 なければ、ただいま、服部副委員長、曽根委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出を願います。

○渡辺委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○山際学務部長 去る五月二十九日の第九回東京都心身障害教育改善検討委員会におきまして、「これからの東京都の心身障害教育の在り方について」の中間まとめが決定されましたので、ご説明申し上げます。
 本検討委員会は、東京都における心身障害教育の今後の基本的な方向についての諮問事項を検討するため、昨年七月に設置されたもので、委員の構成は、学識経験者や保護者、関係団体の代表、区市町村教育長などの外部委員を含めた二十七名でございます。これまでに延べ九回の審議が重ねられ、中間まとめの決定を見たところでございます。
 それでは、お手元にございます、東京都心身障害教育改善検討委員会の中間まとめについて、という表題の概要版に基づきまして説明をさせていただきます。
 まず、1の東京都の心身障害教育の現状と課題等につきましては、(1)の現状認識と今後の在り方にございますように、社会のノーマライゼーションの進展や児童生徒の障害の重度重複化、多様化の進行など、都の心身障害教育をめぐる状況は大きく変化をしております。
 さらに、小中学校の通常の学級に在籍するLD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育的対応が緊急かつ重要な課題となっております。
 このため、国においては、これまでの障害の程度等に応じて特別な場で指導を行う特殊教育から、小中学校の通常の学級に在籍するLD等を含む障害のある児童生徒一人一人のニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援教育への転換を、今後の基本的方向としております。
 本検討委員会では、こうした状況を踏まえつつ、都独自の教育環境や社会環境に十分留意しながら、新たな特別支援教育への展開を目指していくという方向を示しております。
 (2)の都における心身障害教育の現状と課題についてでございますが、児童生徒の障害の重度重複化、多様化への対応や、盲・聾学校の在籍者の減少、知的障害養護学校及び小中学校の心身障害学級の在籍者の増加などに応じた教育環境の整備が必要となっております。
 また、専門的な教育の充実のため、教員の専門性の向上や外部の専門性の活用が必要でございます。
 さらに、小中学校のLD等の特別な教育的支援を要する児童生徒への新たな対応や、乳幼児期からの一貫した支援体制の構築が重要な課題となっております。
 次に、2の今後の都の特別支援教育への展開に向けた基本的な方向につきましては、改善の理念を、〔1〕の障害のある幼児、児童、生徒等の特別な教育ニーズにこたえ、一人一人の能力や可能性を最大限に伸長する多様な教育を展開するといたしております。
 また、改善の指針を、〔2〕にありますように、Ⅰの児童生徒等の個に応じた指導の充実、Ⅲの都と区市町村との連携による地域の実情に応じた特別支援教育体制の充実、Ⅲの学校の専門性と教員の資質、専門性の向上、Ⅳの教育環境の整備の推進の四点を挙げております。
 概要版の二ページをごらん願います。(2)のエリアネットワーク構想でございますが、都の特別支援教育の環境や体制の整備を進めるため、全都を複数のエリアに分割し、エリアごとに、盲・聾・養護学校と小中学校及び福祉、保健、医療、労働等の関係機関でネットワークを構築し、迅速で総合的な支援を行うことを提案しております。
 次に、3の主な改善の方向についてでございます。
 (1)の特別支援教育の推進とそのための都と区市町村との連携と支援について、まず、〔1〕では、盲・聾・養護学校における特別支援教育を推進するため、個別指導計画を充実し、児童生徒の障害特性やニーズに応じた教育を推進していくこと。また、盲・聾・養護学校の児童生徒が地域との関係を継続するため、居住する地域の学校に副籍を置くことについて検討することを提案しております。
 〔2〕の小中学校における特別支援教育の推進についてでございますが、現行の心身障害学級での指導から、LD等を含む障害のある児童生徒が通常の学級に籍を置き、仮称でございますが、特別支援教室で必要な指導を受ける体制への移行が必要であるといたしております。
 また、小中学校の校内支援体制を充実するために、関係機関との連携、調整などを行う特別支援教育コーディネーターとなる教員を配置するとともに、校内全体の取り組みを推進するための委員会の設置を提案いたしております。
 〔3〕のライフステージに応じた連携、支援体制の充実につきましては、教員研修、教育相談、指導内容・方法等の充実を図るため、盲・聾・養護学校と小中学校等が日常的な連携体制を形成すること。さらに、地域の教育、福祉、医療、労働等の関係機関が、乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援体制を形成して、児童生徒一人一人のライフステージを通じた個別の支援計画を提供するといたしております。
 このパートナーシップや特別支援プロジェクトにつきましては、三ページに説明図がございますので、後ほどご参照願います。
 (2)の専門性の向上と多様な教育ニーズに対応した教育環境の整備についてでございますが、まず、〔1〕にありますように、学校と教員の専門性の向上を図るため、外部の人材の活用や教員の採用、異動等の改善について検討する必要があること。
 また、〔2〕にありますように、児童生徒のニーズや社会の変化に応じた教育の充実のため、障害の状況に応じた専門的指導の充実や、社会参加と自立に向けた後期中等教育の充実、民間活力の導入等についての検討が必要といたしております。
 さらに、〔3〕にありますように、適切な学習集団の確保や通学負担の軽減などを図るため、盲・聾・養護学校全体の再編整備による学校の規模と配置の適正化について検討すること。
 〔4〕では、盲・聾・養護学校全体の質的向上を図るため、学校経営計画に基づく自律的改革を進めるとともに、都民に開かれた学校づくりを推進することを提起しております。
 (3)では、一人一人のニーズに応じた教育の展開を目指して、改善の推進に当たって留意すべき事項として、校長のリーダーシップに基づく学校の主体的取り組みなど、五点を挙げております。
 以上が、中間まとめにおいて示している、今後の心身障害教育の展開に向けた方向性の基本となる考え方でございます。
 なお、参考図表といたしまして、四ページに、検討委員会が提案している方向性に基づき、今後は学校がどのように変わるのかをイメージ図として示しております。
 また、五ページと六ページには、中間まとめ本文の全体構成を示す資料として、横書きの概要図を添付いたしております。
 最後に、本検討委員会の今後の予定についてでございますが、五月の第九回検討委員会での中間まとめの決定後、区市町村教育委員会、校長会、保護者団体等関係団体への説明、周知を進めており、また、七月には、パブリックコメントの実施やシンポジウムの開催をするなど、都民や関係者からの意見募集や周知を進めていく予定でございます。
 その後、寄せられました意見も参考にしながら、さらに審議を深めて、本年秋には最終答申を取りまとめてまいります。
 以上で、東京都心身障害教育改善検討委員会の中間まとめについての説明を終わらせていただきます。

○渡辺委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○曽根委員 五月二十九日に中間まとめがまとめられたわけですが、その前の四月二十五日の検討委員会でたしか素案が出たというふうに聞いております。それで、四月二十五日の検討委員会での素案の段階から、中間まとめの段階で書き加えられたり訂正されたりした部分は、どういう部分が論議の中で直っていったのか、それがわかるものをいただきたいと思います。
 それから、できましたら、これまで九回行われたといわれましたが、検討委員会での主な提出資料、発言の要旨など、全体像が見えるものをお願いしたいと思います。
 それから、たしか三月の末に、国も同じ趣旨の検討会の報告を発表していると思いますが、この要旨をいただきたいと思います。
 最後ですが、盲・聾・養護学校やいわゆる心身障害学級、また通級学級、これ、分布図はこの後ろについているんですが、区市町村別にわかるものを、できましたら資料としていただきたいと思います。
 以上です。

○渡辺委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 なければ、ただいま曽根委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出を願います。

○渡辺委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願一五第五号、請願一五第六号、陳情一五第一五号及び陳情一五第一七号は、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山川都立高校改革推進担当部長 両国高校定時制在校生の台東地区昼夜間定時制高校校舎への移転の再検討に関する請願など、請願二件、陳情二件につきまして一括してご説明申し上げます。
 最初に、一五第五号、両国高校定時制在校生の台東地区昼夜間定時制高校校舎への移転の再検討に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、両国高校定時制を守る会世話人代表北村守さん外二千二百六十人から提出されたものでございます。
 本請願の趣旨は、両国高校定時制在校生の台東地区昼夜間定時制高校校舎への移転を再検討し、生徒たちが通いやすい両国高校など身近な校舎で卒業できるようにしていただきたいでございます。
 これに関する現在の状況ですが、東京都教育委員会は、平成九年九月に都立高校改革推進計画及び第一次実施計画、平成十一年十月に第二次実施計画、昨年十月二十四日には、教育を取り巻く環境の変化を踏まえ、都立高校改革の締めくくりとなる新たな実施計画を策定したところでございます。
 定時制課程につきましては、多様化する生徒、保護者のニーズにこたえ、全定併置校が抱える施設利用や指導時間の制約などの課題を解決すると同時に、定時制教育の条件改善を図るため、夜間定時制課程を統合して、昼夜間定時制独立校の整備拡充を図ってまいります。
 両国高校定時制課程につきましては、台東商業高校全日制課程及び定時制課程、墨田川高校定時制課程、小松川高校定時制課程、小岩高校定時制課程と統合して、台東地区昼夜間定時制高校を平成十八年度に開校するものでございます。
 中高一貫教育校の開校に際しましては、部活動の拡大に伴う施設利用の制約が大きくなるなどの理由のため、夜間定時制課程を併置しないこととしております。
 墨田地区中高一貫六年制学校の開校は平成十八年度となり、両国高校の定時制課程につきましては、統合対象校となる台東地区昼夜間定時制高校に平成十八年度から通学場所を移すこととしたものでございます。
 この移転計画により就学に直接影響が及ぶことになる、平成十五年度以降に両国高校定時制課程に入学する生徒に対しましては、受検時及び入学時に十分な周知を図ることとしております。
 また、通学場所の変更によって教育条件を低下させないため、学習時間の弾力化や三修制の導入など、昼夜間定時制高校のさまざまなメリットが享受できるように努めてまいります。
 なお、学校の移転時におきまして、個別のやむを得ない事情によって他の夜間定時制課程で学ぶことを希望する生徒につきましては、学校と連携をいたしまして、円滑に転学ができるよう配慮してまいります。
 次に、一五第六号、久留米高校の統廃合計画の見直しに関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、久留米高を守る会代表佐伯忠彦さん外四千二十四人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、久留米高校について次のことを実現していただきたいとして、1、統廃合計画を見直すことでございます。
 これに関する現在の状況ですが、久留米高校については、平成十一年十月に策定をいたしました都立高校改革推進計画、第二次実施計画におきまして、清瀬東高校と発展的に統合し、両校の伝統や教育実践を生かした東久留米地区総合学科高校を平成十九年度に設置することとしております。
 今後とも、都民の高校教育に対する期待にこたえ、都民に信頼される魅力ある都立高校の実現を目指して、着実に都立高校改革を推進してまいります。
 2、全日制の募集停止を行わないことでございます。
 現在の状況ですが、久留米高校につきましては、東京都全体の就学計画上の必要から、募集停止を行う予定でございます。募集停止時期につきましては、公立中学校卒業生の都立高校受け入れ枠を決める就学計画の中で決定し、募集停止を行う前々年の秋に停止予告を行うこととしております。
 久留米高校の部活動の実績につきましては十分評価をしており、新しい学校に継承できるよう努めてまいります。
 3、校舎の補強工事を早急に行うことでございます。
 久留米高校校舎棟につきましては、平成十年三月に実施いたしました耐震診断調査で、耐震性に問題があるとの結果が出ております。この結果を受け、耐震補強工事を既存校舎の大規模改修工事にあわせて実施することとし、平成十五年度に実施設計を行い、十六年度に着工を予定しております。
 次に、一五第一五号、都立夜間定時制高校の統廃合計画の見直しと生徒の就学保障に関する陳情についてご説明を申し上げます。
 本陳情は、都立定時制高校を守る会・連絡会代表近藤みつるさん外七千九十九人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都立夜間定時制高校について次のことを実現していただきたいといたしまして、1、定時制高校関係者や地域の意見を十分に聞き、都立高校改革推進計画・新たな実施計画を見直すことでございます。
 これに関する現在の状況ですが、昨年十月二十四日に策定をいたしました新たな実施計画におきまして、定時制課程については、多様化する生徒、保護者のニーズにこたえ、全定併置校が抱える施設利用や指導時間の制約などの課題を解決するため、夜間定時制課程を統合して昼夜間定時制独立校の整備拡充を図っていくこととしております。引き続き関係者の理解を得るよう努めつつ、都立高校改革推進計画・新たな実施計画を着実に推進してまいります。
 2、特に、区議会や市議会等から意見書が出されている地域については、夜間定時制高校の存続を再検討するため十分な話し合いをすることでございます。
 現在の状況ですが、地元自治体や学校関係者などに対して、これまでも説明しているところであり、引き続き十分な説明を行うことにより、都立高校改革推進計画に対する理解を得られるよう努めてまいります。
 3、大島南分教場の廃止並びに小石川高校及び両国高校に在学中の生徒の通学場所変更をやめ、母校校舎で卒業できるようにすることでございます。
 現在の状況でございますが、大島高等学校定時制課程大島南分教場につきましては、現在の生徒数では十分な教育効果が期待できないこと、代替施設として本校の定時制があること、生徒数と教員数が同じであり、効率の点から課題があることから、本校への通学手段の確保や教育課程を工夫するなどの条件を整備した上で、平成十五年度末に廃止することといたしました。
 小石川高校及び両国高校の定時制課程につきましては、平成十五年度以降に両校に入学する生徒に対しては、受検時及び入学時に十分な周知を図ることとしております。
 なお、通学場所の変更によりまして教育条件を低下させないため、学習時間の弾力化や三修制の導入など、昼夜間定時制高校のさまざまなメリットが享受できるように努めてまいります。
 4、都立高校改革等につきましては、関係者の意見を尊重し、強引に進めないことでございます。
 現在の状況でございますが、新たなタイプの昼夜間定時制高校や産業高校などにつきましては、基本計画の検討に先立って、同窓会等の学校関係者を委員に加えました基本構想検討委員会を設置し、学校設置の理念等について意見をいただいているところであります。委員会の検討結果につきましては、より広く学校関係者の意見を聞く場を設けているところでございます。
 また、個別の学校ごとに基本計画検討委員会を設置し、検討の中間の段階で、学校関係者等の意見を聞く場を設けてまいっております。
 こうした取り組みを通じて、新しい学校づくりに関係者の意見が反映できるよう努めてまいります。
 次に、一五第一七号、小石川高校の中高一貫化の再検討に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、これからの小石川高校を考える会代表木村広人さん外四百五十二人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、小石川高校の中高一貫化について、次のことを実現していただきたいとして、1、中高一貫化を再検討することでございます。
 現在の状況でございますが、昨年十月二十四日に策定いたしました新たな実施計画におきまして、小石川高等学校を改編いたしまして、文京地区中高一貫六年制学校を平成十八年度に設置することといたしております。都民の中高一貫教育に対する期待にこたえるため、新たな実施計画に沿って中高一貫教育校の整備を着実に推進してまいります。
 2、生徒や学校関係者の意見を十分に酌み取り、都立高校改革推進計画・新たな実施計画に反映させることでございます。
 現在の状況でございますが、新たな実施計画の策定に当たりましては、昨年六月二十七日に新配置計画案を該当校に提示し、関係自治体や、求めに応じて、保護者、同窓会、教職員などの学校関係者への説明を積極的に行い、昨年十月に新たな実施計画を策定いたしたところでございます。今後とも、関係者の理解を得るよう努めてまいります。
 3、同実施計画にかかわる情報の開示や意見聴取の機会を設けることでございます。
 現在の状況でございますが、近々、関係校の校長、教職員等が参加する基本計画検討委員会を設置し、新たな学校の教育内容等について検討していくことになりますが、この検討委員会の中間のまとめを公表いたしまして意見を求め、検討委員会での議論に反映させるとともに、検討委員会で策定された基本計画に対する意見についても、実際の学校づくりの参考としてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○山本委員 私は、まず、両国高校の定時制課程の生徒の通学場所について、この件について質問をいたします。
 人間の世界というのは、動物の世界と違いまして、理念の世界であり、また情念の世界でもあるといわれます。私は、ある一つの事実に出会いまして、お互いに立場を異にしながらも、お互いに情理を尽くして語り合うことによって、相手方の思わぬ感性に触れて感激することがありますが、このたびの両国高校の定時制を守る会の方々とお会いいたしまして、私はその感を強くいたしました。
 さて、私ごとでありますが、かつて私の弟が都立の本所高校の定時制課程に学ばさせていただきまして、私はそのときPTAの会長をさせていただいた経験があります。そのときに思ったことは、他人の子どもが一生懸命勉強しているときに、自分は働かなければならず、そして勤め先の会社のご好意によって、四時まで仕事をさせてもらって、そして急いで五時の授業に駆けつけていくという、当時の昼間の学生や子どもたちとは、高校時代は違った勉強、勉学に対する熱意というものを、私は十分見てまいっております。
 そこで、お伺いいたしますが、都教育委員会は、夜間定時制高校の持つ意義をどのように考えておりますか。そしてまた、先ほどいろいろお話があったようでありますけれども、それをどのように制度改革をしようとしているか、まずお答えをいただきたいと思います。

○山川都立高校改革推進担当部長 夜間定時制高校の意義などへのお尋ねでございますが、夜間の定時制教育につきましては、勤労青少年に後期中等教育の機会を提供する場として、これまで大きな使命を果たしてきたと認識しております。しかし、一方、今日では勤労青少年である生徒が減少し、かわりに不登校経験のある生徒や高校の中途退学者が多く入学するようになってきておりまして、かつての夜間定時制課程の役割が変化してきているというふうに考えております。
 昨年十月に策定いたしました都立高校改革推進計画・新たな実施計画では、こうした多様化する生徒、保護者のニーズにこたえまして、昼夜間定時制高校の整備拡充を中心に定時制教育の条件改善を図っていくことといたしております。

○山本委員 確かに私の弟の時代から見ると、この定時制課程に学ぼうとする生徒は、条件が多様化しているということは事実であります。そして、それに対応する教育環境の整備が求められていくこと、これまたよく理解できることであります。
 一方、中高一貫教育というのは、都内に二百三ですか、約二百校の全日制の都立の高校がありますが、その中で、このたび十校だけ選んで特色のある教育ができるということは、私は大変意義があることだと思っております。
 そしてまた、この間、百年の記念祭をやりましたが、百年の伝統を持つ両国高校が平成十八年度、第二番目に開校し、従来の進学校として両国高校、で、さらに個性重視の才能教育を目指すということは、私は墨田区民の一人として大変うれしく思っております。
 ところで、いわゆる新しき酒は新しき革袋にということわざのように、新制度の中高一貫教育には、学校の先生、教員を含めて、教育環境を十分に整備していかなければならないと私は思います。
 そこで、素朴にまずお尋ねをいたしますが、定時制課程の在校生を全部卒業させてから十八年度を迎えるべきではなかっただろうかと思います。そして、すなわちどういうことかといいますと、十五年度は、ことしは募集を停止すべきではなかっただろうかと思いますが、さて、いかがでしょう。

○山川都立高校改革推進担当部長 十五年度に募集停止すべきではなかったかというご指摘でございますが、ご案内のように、定時制課程を発展的に統合する際には、定時制課程への進学を希望する生徒の受け皿を確保するという視点から、新しい学校が開校する時点で統合対象校の募集を停止することといたしております。
 このため、両国高校の定時制課程につきましても、台東地区昼夜間定時制高校が開校する前年の平成十七年度まで生徒募集を継続することによりまして、定時制課程への入学を希望する生徒の進路希望にこたえていくことが必要であると判断したものでございます。

○山本委員 それでは、両国高校の定時制課程の生徒をなぜ移転させるのですか。その場へじっと置いておけばいいじゃないですか、卒業まで、という疑問が起きますが、さて、いかがでしょう。

○山川都立高校改革推進担当部長 中学校部分と高等学校部分が併存いたします中高一貫教育校におきましては、クラブ活動の時間の拡大が今まで以上に求められることや、生徒の自主活動の徹底が図られることなどから、定時制課程の併置による施設利用や教員の生徒指導等の制約による影響が大きく、複雑になり、現在の全定併置校が抱える諸課題より、より大きな課題を生じさせるおそれなどがあります。こうしたことを考慮して、生徒の通学場所の変更を行うことといたしたものでございます。

○山本委員 ありがとうございます。
 今、何とおっしゃいました、全定併置校、全日制と定時制高校を一緒に持ったという意味ですね、併置校、何か課題を抱えているといいましたが、どんな課題ですか。具体的にはどういうことですか。

○山川都立高校改革推進担当部長 全定併置校が抱える課題についてでございますが、全定併置校では異なる課程が同一の学校にありまして、通常、午後五時など一定の時間を区切って、全日制課程の生徒と定時制課程の生徒の登下校時間が定められております。このため、施設利用の面や教員の指導時間等につきまして相互に制約を生じております。
 具体的には、全日制課程では、夜間定時制課程の授業開始の時間、通常は午後五時でございますけれども、この時刻に合わせて生徒が下校しなければならず、部活動、学校行事、補習の実施等の放課後の活動に制約を受けております。
 一方、定時制課程の生徒は登校時間が定められておりまして、授業時間での教員の指導時間が十分確保できず、図書館や体育館等の共用施設の利用も制約を受けております。
 以上でございます。

○山本委員 私ども見ていて、一見うまくすみ分けができているように思っておりましたが、そんな課題があるということをよく知りました。
 そうだとすれば、通学場所の変更についてはやむを得ない面もあるかなと思うんですが、しかし、通学時間の問題など、例えば両国から台東区の台東商業のところへ行くなりすると、新たな負担といいますか、そういうものが生じてまいりますね。
 通学場所の変更を行う生徒に対して、それでは教育委員会はどんな配慮を考えておりますか。

○山川都立高校改革推進担当部長 通学場所の変更によりまして実際に影響を受ける生徒は、移転計画を策定した後の本年度、平成十五年度以降に入学する生徒でありまして、それ以前に入学した生徒につきましての影響は基本的にはございません。
 しかしながら、移転によりまして影響を受ける生徒に対しては、事前に十分その旨を説明し、そのことを理解して入学していただくことが必要であることから、十分な説明の機会を設けて入学をしていただいております。したがって、通学場所の変更の趣旨については十分に理解していただけるものと信じております。

○山本委員 教育委員会は十分に理解をしていただけると信じているというけれども、では、一年生には十分に理解させるように周知したということは、どんな方法で、どんなことを周知させたんですか。

○山川都立高校改革推進担当部長 十五年度入学生に対する移転することの周知についてでございますが、平成十五年度の入学者選抜の出願時、学力検査当日、合格発表、入学手続の各時点におきまして、個々の生徒に対しまして、平成十八年度に台東商業高校所在地に移転する旨を記載した文書を配布した上で、説明を行っております。
 また、保護者には入学式終了後、一年生の全員の生徒には入学後のオリエンテーションの際に、定時制課程の教頭から、平成十八年度に通学する場所が変更になる旨、説明をし、理解を求めております。
 なお、学校のホームページにも同様の内容の文書を掲載して周知を図っているところでございます。

○山本委員 そういうことになりますと、そういうふうな入学の要項にいろいろ周知させるようなことが書いてあるとすれば、そのために、両国高校へ行こうと思ったけれども、両国高校の四年生になると変わるんだということで、そこを選ばなかったという人も出てくるわけですね。そういうふうなことが公知の事実として皆さんに見られるようならば、そういうことになりますと、そういうふうな周知を図っているとすれば、安易に通学場所の変更、今になって変えるということは、これはやっぱりちょっと、行政の安定性といいますか、我々勉強してきた、あるいは行政の継続性といいますか、行政の信頼性というか、そういうことに欠けるというそしりを免れませんね、だとすればね。
 だから、そうなると、教育委員会としては、もしそれを変えていけば、朝令暮改という言葉がありますが、やっぱりそんなそしりを免れないということにもなるだろう。そうすると、着々とそれを進めていくのも一つの方法かなとも思います。しかし、先ほど述べていましたように、この一年生の居住、通学のこれを調べてみると、私の墨田区の人たちと、隣の江東区の人たちと、また隣の江戸川区の人たちが大部分を占めているように思いますね。この人たちはずっと遠くなるわけですからね。そうした場合に、他の定時制高校に、例えば、遠くなる台東商業に行くよりはもっと近いところに、両国高校だけれども、戻った方がいいかとか、いろいろなことがあると思うんですが、そういう希望があった場合については、教育委員会は特別な配慮、考慮などを考えておりますか。

○山川都立高校改革推進担当部長 特別措置は考えられないかということでございますが、移転する時点で、個別のやむを得ない事情によりまして就学に支障が生ずるケースは考えられることですので、そうした場合で、他の夜間定時制高校で学ぼうとする意欲のある生徒につきましては、他の学校と連携をいたしまして、円滑に転校できるような対策についても積極的に検討してまいりたいと考えております。

○山本委員 両国高校の定時制の生徒が、最後の三年間の人たちが緊急的な対応になるわけですが、実は私はきのう、移転先といわれる台東商業、この学校に行って、見てきました。築後十五年ということで、その割に中はそんなに汚くはなかったし、リニューアルするときれいな学校になるだろうと思って、設備もいいなと思って、見てまいりましたが、なるほど両国高校から比べると、両国高校は錦糸町の駅から歩いて四、五分のところ、片や銀座線の浅草駅、あるいは東武線の浅草駅、あすこから歩いて十五分ぐらいかかりましたね。私の足で十五分ぐらいかかります。当然、あすこに二百台ぐらいの自転車がありましたけれども、それだけ違ってくる。いわば負荷がかかってくるということですかね。そういうことで、両国高校とは通学の便においては違いがあるというふうに感じてきました。
 そこで、例えば今、来年の開校を目指して江東地区のチャレンジスクールが一生懸命宣伝をやっております。このチャレンジスクールに統合する深川商業、これは私ども墨田区の横川というところにありますが、ここを暫定的に生徒の通学場所にできないかな、そこに勉強のところができないかなというようなことを、地元の者としてね。ここは錦糸町の駅から歩いて七、八分のところですから、対応はないだろうかと思うんですが、いかがでしょう。

○山川都立高校改革推進担当部長 ご提案の深川商業高校の敷地に通学場所を確保することにはさまざまな課題がありますが、両国高校周辺の他の定時制高校とも十分な連携をとりまして、その対策を検討するなど、生徒の教育条件の確保には万全を期していきたいと考えております。

○山本委員 それでは、最後に申し上げます。
 今回の生徒の通学場所、両国高校の定時制の新一年生の通学場所の変更については、今回の改革の一つの柱である中高一貫教育の開校に際して、定時制課程との併置の問題を解消するということですかね。そういう教育条件をよくすることになるということで、理解をしなければならないと思います。
 しかし、私はここで思うんですが、よく批判をされることの中に、行政はよくやるんですが、これはもう決まってしまっていますからといって、問答無用といって一蹴してしまってはいけないと私は思います。なぜなら、今いる生徒にとっては、学校が、教育委員会が、あるいは父兄が、この問題を解決しようとして一生懸命努力しているという姿を見せること、これまた教育なりと私は思うんです。でありますから、そういう熱意を持って、だけれども、とどのつまりはこういうふうになったんだという説明ができるような、そのような努力の仕方を、私は教育委員会に望みたいと思います。
 でありますから、この問題は今、簡単に、これはできませんよといって否決するのではなくして、これはやはり保留として、もう少し時間を置いて考えるべきだと思います。
 以上、私の意見を申し述べて、終わります。

○渡辺委員長 答弁は要りませんか。

○山本委員 もういいです。あったら、いってください。

○渡辺委員長 ちょうど三時ちょっと過ぎましたので、この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をしたいと思います。
午後三時五分休憩

午後三時十六分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○石川委員 私からも、請願二件、陳情二件につきまして若干質問をさせていただきます。
 都教育委員会は、ご案内のとおり、第一次、第二次、新たな実施計画、これに基づきまして、特色のある学校の配置などのハード面の改革、そして学校経営の視点に立ったソフト面の改革を一体化させて、都立高校改革に現在取り組んでいるところでございます。魅力ある都立学校を築く、構築するというその目的には、大方の都民の皆様の賛同も得ているところであり、十五年度の入学者選抜等の倍率等を見ましても、そのことが端的にあらわれているのではなかろうかと思います。
 しかし、この都立高校改革計画がさまざまな分野に広範囲に及ぶものであるだけに、これを着実に推進していくためには多くの課題を克服していかなければなりません。当然、改革対象となった個々の学校では、この計画を実現するために地道で現実的な対応が迫られており、今回の四件の案件を初め、対象校になった学校からそれぞれ請願陳情を出され、これまでも幾つかの議論をしてきたところでございます。総体的に申し上げれば、ぜひ請願陳情の趣旨が生かされた都立高校改革がなされるように、冒頭私からも要望しておきたいと思います。
 今回の議題になっております両国高校につきましては、先ほど山本委員からもるる質疑がございました。今年度入学された児童の皆さんが四年生のときに移動しなければならないという事実、両国高等学校が中高一貫校として生まれ変わるために移動せざるを得ないというのは既定の事実であり、中高教育、中高の施設が優先された措置と、これはいわざるを得ないと思います。
 そこで、私からも具体的に幾つかお伺いさせていただきますけれども、この両国高校の定時制課程の生徒の通学場所の変更の問題でございます。定時制の生徒をこうした形で移転させることは、定時制の生徒が犠牲になるような印象を与えますが、改めて、なぜ通学場所の変更を行うのかお伺いいたします。

○山川都立高校改革推進担当部長 通学場所の変更の理由についてご説明申し上げます。
 中学校部分と高等学校部分が併存いたします中高一貫教育校におきましては、中高一貫教育校においてさらに定時制課程を併置した場合には、クラブ活動の時間の拡大が今まで以上に求められることや、生徒の自主学習の徹底が図られることなどから、施設利用や教員の生徒指導等の制約による影響が大きく、複雑になるなど、現在の全定併置校が抱える諸課題より、より大きな課題を生じさせる結果を招くおそれがあることを考慮いたしまして、移転をさせていただくこととしたものでございます。

○石川委員 新しい中高一貫教育校において、中学生を迎えて、放課後も部活動や課外教育指導を徹底させ、生徒、保護者の期待にこたえていこうとする都教委の姿勢は理解できますが、通学場所を変更することになる生徒に新たに負担を求めることになるのではないでしょうか、いかがでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 通学上の時間の負担については、委員ご指摘のとおり、負担がかなり出てくるというふうに思われますが、新しい移転先の台東地区昼夜間定時制高校の中でさまざまに行われます教育課程の中にも参加できるようなことも工夫を図りながら、移転先の中で今まで以上の教育条件が確保できるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○石川委員 ところで、通学場所を変更することになる現在の一年生の居住場所は、どのように分布されておりますか。

○山川都立高校改革推進担当部長 両国高校の平成十五年度入学の新一年生の居住区分域でございますが、墨田区が十一名、江東区が十二名、江戸川区が七名、葛飾区一名、足立区二名、大田区一名となっております。

○石川委員 それでは、現在の一年生の勤務状況はどのようになっておりますか。

○山川都立高校改革推進担当部長 同じく十五年度入学生の就業状況でございますが、正規雇用の生徒はおりませんが、自営業の生徒が一名おります。アルバイトをしている生徒は十名で、他の二十三名の生徒につきましては現在働いておりません。

○石川委員 ただいまの答弁ですと、勤務上の問題はほとんどないのかなとも思いますが、居住地からしますと、台東地区昼夜間定時制高校に移転することにより、通学時間や交通費などの生徒の負担はふえると思います。通学場所を変更する生徒に対しては、入学に際して相応の説明は行っているとのことですが、負担がふえることには変わりありません。そうした生徒に対してプラスになる積極的な施策が必要であると考えますが、何か対応策はないでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 通学場所を変更いたしました生徒が、先ほども申し上げましたように、変更先の台東地区昼夜間定時制高校が実施いたします、午前や午後などの時間帯の授業や多様な選択科目が受講できるようにするなど、昼夜間定時制高校のメリットを享受できるよう教育条件の改善を図るとともに、三修制の導入などについて今後積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。

○石川委員 台東地区昼夜間定時制高校に移転する際に、通学時間等に関して新たな負担がかかる生徒が、他の定時制高校への転学に強い要望があった場合に、特別の措置は考えられるのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 移転する時点で、個別のやむを得ない事情によりまして就学に支障が生ずる場合、他の夜間定時制高校で学ぶ意欲のある生徒につきましては、ほかの学校と連携をいたしまして、円滑に転校、転学ができるような対策についても積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。

○石川委員 わざわざ両国高校定時制課程を移転させることによって、生徒にはどのようなメリットがあるのか、またデメリットは何か、伺います。

○山川都立高校改革推進担当部長 メリットとデメリットについてでございますが、デメリットにつきましては、従来通いなれた場所から離れて通勤時間が長くなっていくというデメリットはございますが、メリットといたしましては、生徒数がどんどん減りまして、閉課程に伴い学校規模がどんどん小規模化することからくる学校の活力の低減といいますか、そういうものを回避できると同時に、先ほども申し上げました、移転先の台東地区昼夜間定時制高校が実施いたしますさまざまなカリキュラム等に参加できるようなメリットを--連携がとれるように考えてまいりたいというふうに思っております。

○石川委員 さらに、一つの施設に、生徒、教育、カリキュラムが異なる、いわば四校が併設されることになりますが、それぞれの学校が独自に教育活動を行っていくことは可能なんですか。

○山川都立高校改革推進担当部長 昼夜間定時制に移行する学校間の接続の問題については、私どもも課題であるというふうに考えております。台東地区昼夜間定時制高校に併設される学校の教育活動につきましては、例えば各フロアに専用教室を設置する、あるいは生徒指導においては、学校間連絡協議会などをつくって、教員相互の連携やカリキュラムの工夫などをいたしまして、各学校の教育活動に支障が生ずることのないように努力をしていきたいというふうに考えておりますが、具体的には、これから設置いたします台東地区昼夜間定時制高校基本計画検討委員会の中で具体的に議論をしてまいりたいというふうに考えております。

○石川委員 都民の期待にこたえていくために、都立高校改革推進計画の着実な推進が強く望まれてはおります。しかし、改革を進めていく過程で、生徒に新たな負担を課すようなことは避けなければなりません。この両国高校定時制課程の生徒の通学場所の変更の問題については、移転する生徒の教育条件がより充実するよう、都教委として万全の対策をとることを強く要望し、質問を終わります。

○河西委員 それでは、私の方からも質問させていただきますが、この都立高校改革につきましては、もう既に第一次計画、第二次計画、そして昨年の実施計画の発表と、改革に向けての動きが具体化をしてまいりました。いずれにいたしましても基本的には改革はしなければいけないという立場から、この改革案を具体的に見ていきますと、遠い将来、改革が終わった後の長い目で見た都立高校の役割あるいは教育水準のレベルアップ等、貢献度が高いというふうには判断いたしますけれども、この過渡期におけるさまざまな問題ということで、現在関係していらっしゃる生徒、そして学校OB、あるいはそのほかの学校関係者がさまざまな心配をされているということであろうと思います。
 結論を先に申し上げますと、基本的にはこの改革を進めていく、その改革を進めるに当たって、当事者の、特に主体者である生徒たちの意向を十分に酌んで、合意、納得、これを図るためにいま一層のご努力をいただきたい、その推移を見守っていきたいということでございます。
 今回、請願二本、陳情二本が審査の対象になっておりますが、両国高校定時制の問題につきまして、私ども民主党の会派の初鹿議員も請願紹介議員になっておりますので、具体的には、この両国高校について二、三お尋ねをさせていただきたいと思います。
 既にお二方質疑がございまして、私の用意いたしました質問項目もほとんど重なっております。例えば台東地区昼夜間定時制高校に統合される定時制高校の中で、両国高校のみが現在の校舎で卒業することができない、それはなぜでしょうか。まず、このことについてお尋ねさせていただきます。

○山川都立高校改革推進担当部長 両国高校の生徒が移転することになる理由についてでございますが、中高一貫教育校につきましては、夜間定時制課程を併置しないことを原則としておりまして、併置をする夜間定時制課程を閉課程した後に開校することを原則としております。しかし、両国高校を母体校とする墨田地区中高一貫六年制学校の開校は平成十八年度になるため、両国高校の夜間定時制課程につきましては、統合対象校となる台東地区昼夜間定時制高校に平成十八年度から通学場所を移すこととしたものでございます。

○河西委員 それでは改めて、中高一貫教育校に定時制課程を併置しない理由は何なのか、端的にお伺いしたいと思うんです。
 平成十八年度で必要な両国高校のクラス数というのが、六学級だというふうに思います。先ほども、施設上の制約ということが理由に挙げられておりましたけれども、六学級であるということと、定時制の教員の職員室も現在の東館を使えば確保できるのではないかと、関係者からのご意見もございます。これもあわせて端的に、中高一貫教育校に定時制課程を併置しない理由について改めてお伺いいたします。

○山川都立高校改革推進担当部長 中高一貫教育校に定時制課程を併置できない理由についてお尋ねでございますが、中学校部分と高等学校部分が併存する中高一貫教育校におきまして、さらに定時制課程を併置した場合には、部活動の拡大や生徒の自主学習の徹底等に伴いまして、施設利用や教員の生徒指導等の制約による影響が大きく、複雑になるなど、現在の全定併置校が抱える諸課題より、より大きな課題を生ずるおそれがあるためでございます。
 また、六クラスなので何とか残せないのかとのお尋ねでございますが、台東地区昼夜間定時制高校への移転につきましては、中高一貫教育校に定時制を併置することから生ずる課題を解消することなどが理由でありまして、ホームルーム教室や職員室の確保の問題とは別の課題だというふうに考えております。

○河西委員 ことしの四月に新一年生になった生徒は、入学時にこの計画については十分知らされているということなんですけれども、これから十五年、十六年、十七年と、現在の学校で教育あるいは高校生活を送っていくということになりますと、いざ移転のときにはやはり抵抗感があるのではないかなというふうに思います。
 高校生、この世代の子どもたちは、学校における教育のみならず、内面形成の中で多感に、また新たなものに挑戦するという部分も含めて、さまざまな変化が著しく生じる、そういう年齢にも当たるわけでございます。そんなこともあわせて、抵抗感があるだろうということです。これはもちろん推測でありまして、果たしてそうならないかもしれない、こういう段階ですが、これも先ほど来お話がございますが、交通の便が悪くなる。それは個別に対応をというお話なんですが、JRの総武線でほかの高校に移る、こういう生徒の希望も出てくるかもしれません。これらについて柔軟に対応されるのかどうか、重ねてお伺いいたします。

○山川都立高校改革推進担当部長 通学場所の変更によりまして通学時間が長くなる生徒もおりますが、通学時間の短くなる生徒もおります。が、全体といたしましては、東京の交通事情等を考慮すれば、通学可能な範囲内ではないかというふうに考えております。
 しかし、移転する時点で、個別のやむを得ない事情によりまして就学に支障が生ずる場合で、他の夜間定時制高校で学ぼうとする意欲のある生徒につきましては、他の学校と連携をいたしまして、円滑に転校できるような対策についても積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。

○河西委員 交通の便のことを考慮するということでいいますと、今、JRの総武線という話を出しましたけれども、同じ沿線の一橋高校、あるいは先ほども出ましたが、深川商業などで三年間はどうなのかなという思いも聞いております。これにつきましては、先ほどの答弁以上にはお出にならないと思いますので、そういう声があるということをもう一度ご認識いただくということで、質問は避けたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、一般常識的にいえば、三年間ぐらいは併置、併存させてもいいんじゃないか。感情的にも、常識的にもそういうふうに思うのです。この改革を進めていく過渡期という言葉が妥当かどうかわかりせんけれども、長い将来にわたってはこの改革が大いにプラス面を発揮して、改革が実を結ぶということを期待しつつも、この過渡期における対応策として、やはり生徒の意向を十分に尊重すべきだというふうに思います。
 昨年も、定時制高校に通学している生徒たちの動機といいますか、背景、理由についてのアンケート調査なども私どもいただいているわけですけれども、それから見ますと、まだ高校一年、二年、三年、四年、この時期は、もっと小さい世代というのは特にそうですけれども、子ども同士の集団が持つ教育力といいますか、育ち合う力といいますか、生きていく上での力というのはやっぱり集団の中で発揮できるという大きな要素があるというふうに思うんですね。そんなことも含めて、個々ばらばらになるというよりも、まとまってという思いも十分に理解ができるところなんです。したがって、生徒の意向を十分に尊重して計画を実施に移していくということについて、重ねてお伺いをしておきたいと思います。これは、この両国高校だけではなくて、ほかの、生徒にさまざまな変化を伴う、支障を来すだろうと予想される学校についても共通でございますので、生徒の意向の十分な尊重という点について最後にお伺いいたします。

○山川都立高校改革推進担当部長 今の生徒の意向を十分に尊重すべきではないかということでございますが、中高一貫教育校に定時制課程を併置する際のさまざまな課題を考えまして、今回の措置をとらせていただいたわけでございますが、ご指摘のように、影響を受ける生徒に対しましては十分な配慮をしていかなければならないと私どもも考えております。通学場所を変更する生徒が、変更先、この両国高校の場合は台東地区昼夜間定時制高校でございますが、ここで他部の授業や多様な科目が受講できるようにするなど、昼夜間定時制高校のメリットが享受できるような教育条件の改善を図ることや、三修制の導入など、今後積極的に検討してまいりたいというふうに考えておりますし、また、先ほどお答えいたしましたように、他の夜間定時制高校で学ぼうとする意欲のある生徒につきましては、他の学校と連携いたしまして円滑に転校できるような対策を講ずるなど、影響を受ける生徒の意向にも一定の配慮が必要と考えております。

○曽根委員 それでは、四件の請願陳情について順次質疑をしていきたいと思います。
 最初に、都立夜間定時制高校の統廃合計画の見直しと生徒の就学保障に関する陳情、これと内容的には両国定時制問題がダブっておりますので、両方を提起しながら、特に具体的には、両国の問題がかなり今も意見が出ていましたが、非常に重大な問題でありますので、ここを中心にまずお聞きしたいと思います。
 この夜間定時制統廃合計画、これは三部制への移行という問題が、定時制に入学する生徒にとって、夜間定時制が持っている教育条件、それのよさである少人数でまとまりのあるクラス、教員との距離の近さ、近距離の通学、ハンディやさまざまな障害など、夜間だからこそ通いやすい条件を崩すことになってしまうおそれが強いということは、さきに、既に昨年、私ども指摘をしてまいりました。そして、何よりも三部制を受検する子どもが、当然全日制志望から移ってくる場合の方が数の上でも多いことを考えますと、今、夜間定時制を志望したり、またはそこを受検せざるを得ないというさまざまなハンディを抱えた受検生にとっては、三部制の受検でもはじかれ、行き場を失いかねないという問題が今後予想されるということも指摘をしました。
 さらに、両国の場合には、台東商業の場所に三部制をつくった場合に、都内のほかの統廃合に比べても、現在の夜間定時制への通学に比べて、例えば小岩地域など、一時間ぐらいも通学時間が延びる場合が出てくるなど、二重に不利な条件が重なっております。またさらにいえば、移転先の台東商業の敷地が極めて狭いという問題もあります。
 これらの問題について、我が党は繰り返し、当事者であり最大の影響を受ける生徒が、今、夜間定時制に、どんな家庭や仕事などの社会環境の中で通ってきているのか、また、生徒自身が今の学校環境をどう思い、後輩のためにはどんな定時制高校を望んでいるかを本格的に調査し、意見を聞くことなしには真の改革の方向は出てこないし、それを無視して統廃合を進めれば、改革どころか必ず大きな禍根を残すことになるといってまいりました。
 この全く象徴的な問題が、この台東商業への両国定時制の移転問題だと思います。残念ながら、問題は引き続き何の根本的解決も得られないまま事態が進んでいるといわざるを得ません。で、夜間定時制の生徒による弁護士会への人権問題としての提訴も既に行われ、今後、国連の人権委員会への訴えなどに拡大しようとしています。改めて、夜間定時制統廃合問題の抜本的な解決をこの場で求めておきたいと思います。
 以上を踏まえまして、この両国高校定時制に関するさらなる理不尽、今回の請願で問われている内容に入りたいと思います。
 まず、この両国定時制の生徒を、今年度入学生からは、卒業前の学年進級段階で現在の台東商業に移転させるという問題、これは、昨年六月の統廃合案の段階では出ておりませんでした。その後、十月の最終的な決定の直前に持ち出されたものです。当事者の生徒にとっては、例をいいますと、大島南高校と同じく、同じ統廃合対象の生徒の中でもさらに不公平な扱いをされる重大な問題であるにもかかわらず、時間的にはじっくり検討される余地もなく決められたものであります。しかし、昨年十月の決定を受けて、その報告質疑の中で、この委員会で、我が党も含めて多くの質問が集中したところです。指摘は共通していまして、第一に、中高一貫校を立ち上げるために仮に定時制が台東に移転するとしても、いきなり両国が一貫校の生徒で満杯になるわけではなく、学年進行の段階では、少なくとも両国夜間定時制に入学した生徒が同じ学校で卒業できるように配慮するだけの物理的な条件はあるんじゃないかと、先ほどもちょっとありましたが、その問題。第二に、逆に、狭い台東商業の校舎には、厳密にいえば新旧四つの学校の生徒がひしめくことになり、余りに条件が悪いんじゃないかという問題。第三に、何より、学年進級途中で移転させた場合、通学条件悪化のために心ならずも中退という生徒が出たらどうするかという問題などが指摘をされました。
 これらの指摘を受けて、当然、今まで教育庁が、当事者、関係者等の理解と協力が不可欠であり、そのために最大限努力するとしてきたこれまでの姿勢からも、何らかの検討と移転計画の改善を考えてきたと思いますが、その点についてどうか。また、できないとすれば、その最大の理由は何かをお答えください。

○山川都立高校改革推進担当部長 両国高校の生徒を初め、幾つかの定時制高校の統廃合のもとで、台東地区昼夜間独立校に統合するということでございますが、その統合された学校が相互に支障なく教育効果を発揮できるように、これから具体的に検討の場となってまいります基本計画検討委員会の中で、その具体的な対応策について検討してまいりたいというふうに考えておりますし、私どもといたしましても、その検討委員会の中で、今委員からご指摘があったように、いかにしてそれぞれの学校がそれぞれの教育条件を十分発揮できるようにするための工夫を策定するかという観点から、この基本計画検討委員会の中での検討を進めたいというふうに考えております。

○曽根委員 統廃合計画には、先ほど申し上げましたように、私たち基本的に賛成できませんが、しかし、それぞれの学校がそれぞれの勉学条件を崩すことなくやっていけるように最大限努力するという姿勢から見て--私は、皆さんにも行っていると思いますが、この守る会の方々から資料をつくっていただいたんですけれども、つまり、両国高校でこれから中高一貫校になっていったときに、どういうふうにして中高一貫校に移行していくのかという図をいただいたんですよね。そうすると、平成十八年度は中高一貫校は、開校するといっても、今までの両国高校との違いは、中学の一年生の三クラスが入ってくるだけと。これはある想定があると思いますが、中学一年生が三クラス入ってくるだけ。要するにあとは高校生ですよね、全部。それから二年目も、中学一年生と中学二年生の三クラスずつ、六クラスが中学生の部分であると。三年目は中三までで九クラス。つまり、今までの全日制高校との違いである中学生部分が入ってくるというのは、最初の年度は三クラス、次の年度は六クラス、三年目にしても九クラスなんです。大半は高校生なんです。したがって、学習や教育の環境からいって、確かに新しい要素は加わるわけですが、どうして最初の年から定時制、ことしの入学生はわずか三十数名、この生徒たちを台東に押しやらなければ、この教育条件が守れないのか。中学生三クラスのために、別に夜間教室を使っているわけでもない、その一部を使う、二クラスですよ、二クラスの教室を使うだけの定時制を台東に持っていかなきゃならないのか。どうしてもそれが譲れない問題なのかということを、ずっと見ていて思うわけですよ。それがどうしてもそちらの、両方の教育条件を守るために最大限努力した結論とは思えないわけです、これは今までも意見が出てきたわけですが。
 それから、もう一つ申し上げました通学の時間の問題も、先ほどから意見がありましたので細かくは避けますが、これも守る会の方から、皆さんと同じように私も資料を送っていただいた。地図をつくってくれたんですよね。これを見ますと、台東商業の近くからは一人も入学してないわけですね。それは当然だと思います、今入るのは両国高校の場所なんですから。三年先に台東に移りますよということを、入学の際もしくは受検の際に断ったというんだが、入ってくる受検生たちにとってそれがどれほどの意味を持っているのかということを、その受ける生徒の側に立って少しでも考えたら、それがほとんど意味がないといいますか、だから両国をやめますというわけにいかない生徒たちが両国定時制を受けてきているんだということがすぐわかるはずなんです。
 それで、資料を教育庁からいただいて、見ました。これをいただきました。これが受検のときに生徒に配ったものだということです。あとは中学校にも、先生のところに行っているようですが、生徒本人にはこれですよね。これはそちらからいただいたものですね。これは、三年後に台東に行きますという文書じゃないんです。両国高校定時制の入試についてという文書で、受検日が書いてあって、それの第三項目めにちょっと書いてあるだけなんです、三年後は台東ですよということが。それに比べれば小石川の方で配っている、これは学校でつくったものでしょうけど、十八年度から学習場所が変わりますよと、こっちの方がよっぽどわかりやすいんです。これは比べてもしようがないですけど、こんなもので、わかりましたと、周知徹底を徹底してやっているといえるものかというんです、この文書が。この紙一片で、それでもう三年後には文句いえませんよ、あなたたちはと、そういっているだけのことですよ、これは。学校側もしくは当局側のアリバイづくりにすぎないと私は思うんです。これが本当に周知徹底になって、両国定時制を受ける生徒たちがこのことを了解したというふうに信じるとさっきおっしゃったけど、本当にこれで信じられるようなことをやったと思っておられますか。その点をお聞きしたい。

○山川都立高校改革推進担当部長 委員ご指摘の文書でございますが、文書自体はその文書でございますが、機会といたしましては、願書を提出するときの個々の生徒につきまして、あるいは入学選抜の面接のときに、あるいは合格発表のときに、さらには入学手続の段階で、今の文書を文書としてお渡しした上で、東京都の教育改革の改革全体の推進の中でこういうことになっておるということも含めて、口頭で説明をしたというふうに私どもは聞いております。したがいまして、文書としては一枚でございますけれども、各機会、それも学校の先生が一人一人の生徒に口頭できちんと説明をして理解を求めるということをたび重ねてやっておりますので、私どもとしては十分周知されているというふうに考えております。

○曽根委員 周知をやったと。これによって、両国定時制を受けるような生徒がどういう影響を受けるのかなと思って、この春卒業した方ですけれども、両国定時制の生徒の方に話を聞きました。卒業生ですけどね、今の時点では。女性の方なんですけれども、この方のクラスは四学年通じて十人の生徒がいて、十人とも全員そろって卒業できたと。なかなかそういうことは難しいらしいんですけど、そういうふうに非常にまとまったクラスで、その人は中学時代に不登校の経験があって、それから中学校には復帰したんだけれども、高校をどこ受けるかを自分で悩み、いろいろ考えたそうです。その結果、先生に相談したら、最も近い定時制は別の学校なんだけれども、両国の定時制が非常にいいということを先生からアドバイスを受けて、わざわざ自転車で三十分ぐらい毎日通ったそうです。東向島から両国の定時制に通ったと。ほとんど休まなかったそうです。そういうふうにして、みずから定時制の中でいろいろな学校を選んで、両国定時制を受けてきている、そういう生徒が結構いるそうなんですね、この両国定時制というのは。そういう意味で、すばらしい伝統も実績も持っているんだなと思います。そういう生徒にとって、三年後は台東に行きますから、それは我慢してくださいと。だからといってやめるということはあり得ないと思うんです。そういう両国定時制だからこそ受けてきた生徒たちに、最後までその環境を守ってやりたいと思うのは、学校、教育者としては当然だと思うんですね。そのために本当に努力をするのかということが問われていると思います。
 それで、具体的にはいろいろなことがあると思います、これから三年間まだありますからね。先ほど山本委員からも、ある意味で、何といいますか、深川商業ですか、こういうところも含めて検討したらどうかというアイデアもありましたが、例えば、先ほどあったように、台東商業に移ったら、今の一年生では考えられないでしょうけど、来年あたりから、二年両国で勉強して、三年目から台東に行ったときに、本当は二年あるんだけれども、あと一年で卒業できる、そのためには午後の授業も受けるということになるんでしょう。そういう条件をやりたい生徒にはやらせるとか、いろいろなことを考えておられるようですが、では、それだったら、夜間の定時制に残りたい、しかも、台東まで行かなくても、今のクラスがまとまって移れる夜間の定時制を探してほしいというような希望だってあるかもしれない。わずか三十数名。三年たったら、全員残っているかどうかというのはわかりませんが、その人数の生徒たちがまとまって動きたいといったときには、そういう希望も含めて考えてやらなくちゃいけないと思う。それが教育庁としての責任だし、どうしても動かさなきゃならないんだったら、それぐらいのことを考えて当たり前だと思うんですが、最大限生徒たちの--これから三年間かけて生徒たちも考えると思うんですよ。そのときにとれる、最大限尊重する方法をとるとお約束いただけますか。

○山川都立高校改革推進担当部長 現在、両国高校に十五年度に入っていただいている生徒につきましては、働いている生徒、アルバイトも含めて働いている生徒、全く仕事をしていない生徒など、多様な生徒がおりますので、そのニーズについても多様なニーズが考えられるというふうに考えております。そういう点で、例えば台東地区の昼夜間定時制高校に行かれた場合に、例えば夜間よりも昼の午前なり午後なりを受けたいという生徒も、これは出てくる可能性もありますし、あるいは今、委員ご指摘のように、やはり私は夜の中で勉強したいんだという生徒、いろいろな形が出てくるというふうに思っております。昼ないし午前中、午後ないし昼夜間定時制高校のメリットを、さまざまな形でぜひ自分もやりたいという生徒につきましては、そういう形で学べるように努力をしてまいりたいというふうに思っておりますし、また、どうしても夜学びたいという生徒で、現在の両国高校が困難であれば近くの学校でもいいということで学びたいということであれば、他の学校と連携をいたしまして、円滑に転校ができるような対策についても私どもは考えてまいりたいというふうに思っております。

○曽根委員 基本問題はここではなく、夜間定時制を全体で半分以下にしてしまうところに最大の問題があるわけで、これは何としても私は認められないんですが、しかし、事態は進んでいる中で、私がさっき申し上げたように、今三十数名、卒業年度までに何人になっているかわからないけど、そういう生徒たちがクラスごとまとまって動きたいんだという希望だってあり得るというときの対応も含めて考えてください。
 それから次に、夜間定時制の統合計画の見直しの陳情の中で、地元の声をちゃんと聞いてほしいということがどの項目からも共通して出されているわけです。その中に、第二項目めに、「特に、区議会や市議会等から意見書が出されている地域については、夜間定時制高校の存続を再検討するため、十分な話し合いをすること。」というふうにあります。このことがどういう意味なのかというふうに陳情者の方にお聞きしましたら、これは、ある区議会が何度も統廃合見直しの意見書を出している、しかし、全然、教育委員会で論議された様子がない、全く無視されている、これはひどいんじゃないか、教育庁がいつもいう、地元の声を大事にするというのが全く守られていないんじゃないかという不信から、この項目が出ているようなんです。それで、そうした地元の、高校見直し、統廃合に対する異論、反対や見直しを含めて意見書や何かが出た場合に、それが教育委員会できちんと論議されて、しかし、こうなんだというような論議がされたという事実はあるんでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 教育委員会におきまして計画を決定する際には、今お話のありました地元区市町村議会から提出された意見書の提出状況について、詳細に教育委員会にご報告をし、議論の際の参考としております。

○曽根委員 事務局である教育庁が報告していることはわかりました。それを受けて、教育委員の人たちが議論をしたというのは、この高校改革問題での教育委員会の議事録が公開されておりますので、私、この間なるべく見るようにしているんですが、どうも論議された感じがないんですけれども、どこか具体的にありましたか。

○山川都立高校改革推進担当部長 毎回の教育委員会の会議でございますが、各委員の識見に基づきまして熱心な議論がなされているところであります。都立高校改革推進計画についても、熱心な議論を通じて計画が決定されたところであります。

○曽根委員 要は、ないということだね。
 品川区議会の意見書、これは昨年十月の教育委員会の直前に議決されたものなんですけど、石原慎太郎知事と清水司東京都教育委員長両名にあてて出されたものです。この中にはこういうくだりがあるんですね、後半に。「なお、品川区議会は、過去二回にわたり、品川区内の都立定時制高校の存続に関する意見書を提出してきましたが、当該(案)の取扱いによっては、当区議会の意向が無視される事態が生じかねないので、重大な関心を持たざるを得ません。」と書いてある。これはよほど腹に据えかねているなと。文章上は、役所の文書ですからこういうふうになっていますが、要するに、今まで二回出したんだが、ナシのつぶてじゃないかという意味合いがあると思うんです。こういうふうにほとんど、地元の意見書を区議会から出しても無視され続けているというのでは、結局、建前は一応尊重といっても、地元自治体や議会の声すら、それもまとまった正式の意見すら無視されるということに対して、今回の陳情が出されているし、地元の声があると思うんです。
 私、前にも、意見書について質問したときに、たしか新宿の小石川工業に関する意見書も、区議会議長名で出ているから、これは議長個人の意見であるというふうな答弁があったということを批判したことがありましたが、同じように軽視が続いているんじゃないかといわざるを得ないんです。
 それで、教育委員会の懇談会の中で、統廃合を決める十月の前の月、九月には時間をかけて--教育委員会じゃなくて、その後に懇談会をやっていますね。その中ではいろいろと意見書などについて意見も交わされているというふうにちょっと仄聞したことがあるんですが、懇談会の方ではそういう意見なんかは出るんですか。

○山川都立高校改革推進担当部長 先ほどもお答えいたしましたように、公開の会議の席上でも、あるいは懇談会の中でも、関連する事項について、テーマにつきましては熱心な議論がなされているところでございます。

○曽根委員 都民が見えるのは、公開されている教育委員会の議事録だけなんですよ。そこでは、私が見る限り全然、意見書が取りざたされたことはない。しかし、懇談会ではどうも本音でいろいろ、ここにはこういう意見書が出ているけど、どうのこうのという意見が交わされたというふうに仄聞しているんです。これは、懇談会の中身について、非公開ではあるけれども、担当の方からお聞きしたりしているときにちょっと話が出たんです、大島南高校とかね。私は、そういうやり方は、地元の自治体や議会に対して非常に失礼なことだと思います。意見書について教育委員会で論議をするのであれば、やはり公開の場できちっとやるべきだと思う。そうでないと、地元の意見を受けとめたことにならないと思うんです。そういう点で、軽視しないで、今後は、いろいろな場面がありますが、ぜひ地元の議会または自治体の意見については尊重してもらいたいということを申し上げておきます。
 次に、久留米高校について簡単に幾つか質問します。
 久留米高校の問題は、率直にいいまして、請願の文章についてはちょっと抽象的だなというふうな印象を受けたので、代表の方にお話をお聞きしました。そして、追加の資料を後で郵送していただきました。
 それは、「統廃合計画を見直すこと。」というのはわかるんだけれども、「全日制の募集停止を行わないこと。」という意味がどういうことを求めているのか。理由の中には、サッカー部などクラブ活動が盛んなので、募集停止をおくらせてほしいという意味らしいんですが、これを詳しくお聞きしましたら、十九年度新しい総合学科高校として立ち上げる、しかし、そのときまでに今の久留米高校全日制が全員卒業してしまうということになると、完全に生徒がいなくなってから総合学科高校になるということになる。すると、クラブ活動はそこで切れますわね。生徒が、クラブ員がいないんですから、コーチその他の謝礼も出せないので、全部コーチなんかも、お願いしてやめてもらわなきゃならない。完全に伝統が切れてしまう。それで、一学年、二学年、できれば久留米高校の三学年、二学年の生徒がいる間に総合学科の一年生が入って、学校は違うけれども、生徒同士は同じ学校で勉強しているんだから、今大変盛んなサッカー部をうまくつないでいけるようにしてほしいという意味だということでした。この点については非常にもっともな要望で、統廃合はもうとめられないとするならば、せめてそこだけでもということだと思います。この点については、クラブ活動など盛んなこの久留米高校の特徴を残す、生かすという意味でもぜひ実現をしてもらいたいんですが、いかがでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 久留米高校の募集停止時期にかかわるご質問だというふうに理解しておりますが、募集停止時期につきましては、今お話がありましたように、平成十九年度に東久留米地区の総合学科高校が開校いたしますので、その年度を考慮しながら、公立中学校卒業生の就学計画を定める中で決定をしてまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 今申し上げましたように、その募集停止を仮にやるとしても--私はこれもおととしかな、昨年の二月か、統廃合ひどいじゃないかという話をしましたので、もう繰り返しませんが、やるにしても、学年で上級生が残っているうちに次の総合学科の生徒が入ってきて、クラブ活動は一緒にやれる余地を学校側に残すということは可能でしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 いずれにいたしましても、募集時期のこととかかわり合いを持ちますので、今説明を申し上げましたように、募集時期につきましては、十九年度開校を考慮しながら、公立中学校卒業生の就学の計画の中で定めてまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 だとすれば、久留米高校が頑張って全国大会にも何度も出ている。ちょっと私も現場に行って写真を撮ってきました。ちょっと見にくくて申しわけないんですが、学校に行くと、まず正面玄関のところに、定時制サッカー部、三年連続全国大会出場と。これは大変なことですよね。東京にひしめくサッカー部の中で、私立も含めてでしょう、優勝して、もしくは第二位までに入って全国大会に出るというのは。これは三年連続。すごい努力ですよね。こういう努力をしているクラブの活動の伝統を継承していくために、都として最大限の配慮をするということはできないんでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 私どもも、久留米高校のクラブ活動が大変盛んで、数ある貴重な実績をつくっていることについては十分認識しているところでございます。新しい学校の設置によりまして、これまで部活動等、久留米高校が積み上げてきた伝統、実績が失われてしまうのは避けなければならないと私どもも考えております。同窓会等の学校関係者や地域の協力も得ながら、伝統や実績が引き継げるよう努めてまいりたいというふうに考えます。

○曽根委員 よろしくお願いしたいと思います。何よりもかぎになっているのは、募集停止の時期をどうするか、この問題で、学校の関係者は、もうこの統廃合が避けがたいのであれば、募集停止の時期を教育庁が適切な時期におくらせることによってそれが可能なんだということを切に訴えておりますので、よろしくお願いします。
 それからもう一つ、第三項目の校舎の補強工事について。
 これも抽象的な表現なので、耐震工事はもちろん必要なことなんですけれども、どういう真意なのかと。その中で聞いたことなんですけれども、実は総合学科をつくるときに、もともとは建てかえて新しい校舎をつくるという話があった。校長先生によると、そのとき、晴海高校の写真を持ってきて、こういう学校になるんだという説明があったと。ところが、その後しばらくすると、建てかえはできなくなった、現校舎を活用するということで話が変わっちゃったと。それはもうさんざんやりとりをして、そういうふうになったんだと思いますが、しかし、せめて、校舎の改修をするなら、今盛んな運動部、サッカー部だけじゃなくて、野球部もテニス部もバスケットもある、これが練習できるように、グラウンドの中に出っ張っている格技棟を体育館と合築することによって、グラウンドをいわば使いやすくできるんだということをいわれました。そこで現場で写真を撮ってきたんですけど、これが大きなグラウンドの方で、公式のサッカー場のコートがとれる、都内の高校では唯一の場所だそうです。しかし、本当にぎりぎりなんです。ところが、こっち側に格技棟があるんですが、格技棟を挟んで、もう一個サブグラウンドというのがあるんですね。これはもう猫の額のような感じです。細長い土地なんです。格技棟が体育館に取り込まれて引っ込めば、このサブグラウンドと大きいグラウンドがつながって、一遍に二つのクラブの練習などができるようになる。全面改築はできないまでも、これぐらいのことはやってもらいたいというのが切なる願いでした。これは、この項目だけ見たんじゃわからないんですけど、そのことが非常に大きな要望であるということなので、この点についてもぜひ配慮をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 新しく発足いたします総合学科高校の施設整備につきましては、これまでも学校関係者と教育庁関係者の話し合いの中で、協議の中で、具体的な形態も含めて現在話を進めているところでございますが、今年度実施設計を行う中で、また具体的なものを策定してまいりたいというふうに考えております。今お話のあるような部活動の問題も含め、学校関係者ともさらに話し合いながら、新しい学校にふさわしい整備内容としていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 ぜひ、校長先生を初め学校の先生方や生徒さんと話をしてもらいたいと思うんです。校長先生はことしの年度末で退職なんだそうですけど、「校長室より」というのを出していまして、なるほどなと思ったんですけど、ことしの目標は「生徒が躍動し、生徒のためなら何でも取り組む地域と連携した開かれた学校!」。この「生徒のためなら何でも取り組む」というのが、校長先生のみずからに課したスローガンらしいです。ですから、生徒のために、自分は退職するんだけど、財産を残すとすれば、このクラブ活動とグラウンドだといっているわけなので、私は、これは本当に最後の最後の非常に切実な願いだということで受けとめていただきたいと申し上げておきます。
 最後に、小石川高校の中高一貫校見直しについての陳情について聞きたいんですけれども、これも陳情者の方が訪ねてこられて、実は木村さんというのは生徒さんで、今、三年生の人で、外四百五十二人の署名についても、このうち五十人程度は父母も入っているけれども、四百人ぐらいは生徒自身の署名だということでした。ただ、とったのがことしの二月から三月にかけてなので、既に卒業した生徒さんも、何でも卒業式の前日ぐらいに卒業生のクラスに行って署名を協力をお願いした。全部のクラスを回っているんですね。そういう努力をして集めたそうです。
 この人たちがどうしてこういう署名に取り組んだのかと思ったら、もともとは生徒会で一時ニュースを出したりして、中高一貫校になることが自分の学校にとってどうなのかというニュースが出回っていたのが、結局、昨年かおととしですか、生徒会が、もう中高一貫校にすることについては生徒会としては反対をしない、あとは、それぞれ生徒さんで自主的にやるのはご自由にというようなニュースが出たんだそうです。それで、全体、がっかりしてしまったんだけれども、どうしても納得のいかない、あるクラスの六人の生徒が呼びかけて、署名をやろうということになった。
 ただ、どういう署名をやるかも全く手探りだったので、まずアンケートをとって、中高一貫校になることについて賛成か反対かという意見をいろいろ集めたんだそうです。そしたら、その中で、賛成の中にも反対の中にもあったのが、上で勝手に決めてやっているんじゃないかという不信感だった。だから、もっと自分たちの意見や学校生活をきちんと見た上で、中高一貫が本当に小石川にふさわしいのかどうかについて見直してほしいというのが、この陳情の趣旨だそうです。
 そこで、私も前からいっておりますが、やはり高校改革は生徒自身の願いや要望を聞くこと抜きには本当の改革はできないという、これは一つの非常に象徴的な例だと思います。
 そこで、小石川のこの生徒さんも含めて、現在高校に通っている生徒さんたち、この署名に先立って行ったアンケートを見る限りは、大変しっかりした考え方を持っています。賛成も反対もある。非常に冷静に、教育庁の取り組んで検討した経過も知っています。ですから、そういう生徒さんたちが、なおかつ自分たちの後輩に何を残したいと思っているのか、その点について直接意見を聞くべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 生徒たちの意見も直接聞くべきではないかというご意見でございますが、教育庁の関係者や、また学校の校長、教職員等をメンバーといたします基本計画検討委員会が現在立ち上がりつつございます。この委員会の今後の運営の中で、必要に応じて、何らかの方法で生徒や学校関係者の意見を聞くことは可能であるというふうに考えております。

○曽根委員 検討委員会の中で生徒たちの意見が直接聞けるように、反映できるようにすることはまず何よりも必要だと思います。同時に、請願陳情がこのように都議会に直接、生徒から出されたのは極めて珍しいことで、昨年、定時制の生徒の皆さんからの要望書が教育庁の方にありましたけれども、こういうように生徒自身の声が、ほかの県はもちろんですけれども、東京都だってどんどん出てくるわけです。中高一貫校というのは新しい試みですから、生徒たちの意見も大いに聞くべきだというふうに思います。
 それで、中高一貫校についてこの生徒たちが心配していることの中で、一点だけ聞いておきます。例えば中等教育学校になった場合、小石川への入学ができなくなるような、今、六年生ぐらいの子どもでしょうか、小学生が出てくる可能性があるというふうな心配が地域にあって、こういうことについてもどうなるのか気がかりだという声があるようです。割合あの学校が名前が知られていることから、小石川高校を受けたいと思って、前々から目指しているという子どもたちが現にいるわけですね。そういう子どもたちが、中高一貫のはざまでちょうど受けられなくなってしまう、受検できないということはやっぱりあってはならないと思いますが、こうした場合のことについては考えているでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 今ご指摘のような事態は、これから中高一貫校として開設する場合の、例えば工事が必要なのか必要でないのか、その期間がどのくらいかかるのか、あるいは就学計画がどうなるかということの関連で、募集停止の時期がいつになるかによって、理論的にはそういう事態が生ずるケースは考えられます。
 現行の高等学校と中高一貫教育校の接続方法については、現在検討を行っているところでありますが、中高一貫教育校への移行に際しましては、小石川高校への進学を希望する生徒が受検機会を失うなどの不利益をできるだけ受けないよう、さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 残念ながら、中高一貫校に対する見直してほしいという陳情請願は、私の知る限り、たしかこれ一件なんですよね。大人の人たち、例えばPTAや地域の人、または学校の先生たちやOBの人たち、そういう人たちから出た意見や要望については直接聞くこともするし、受け取るけれども、生徒の声は直接は聞きません、校長を通じてくださいというような姿勢では--中高一貫について、今ようやく都議会に声が届き始めたところだと私は思うんです。一番まじめに考えているのは生徒自身なんですよ。その声をやっぱり貴重なものとして受けとめる姿勢が、私はどうしても必要だと思う。今までのようなかたくなな態度を改めて、生徒自身の声を直接聞く、校長とかを立ち会わせるようなこそくなことをしないということを強く求めて、高校改革についての質問を終わります。

○執印委員 それでは、質問をさせていただきます。
 両国高校につきましては、これまでたくさんの方から質疑がありましたので、意見のみといたします。
 残り一年を残して通学場所を変わらなければならない生徒の気持ちを考えたとき、入学時に了解したということを盾に、かたくなに現計画を推し進めるのではなく、請願の願意、また、この委員会の質疑を十分に酌んで対応していただきますことをお願いしておきます。
 次に、久留米高校について伺います。少し重なっているところもありますが、質問させていただきます。
 請願では、伝統を引き継ぐために募集停止の見直しを求めておりますが、現状ではどのように計画されているのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 久留米高校の募集停止時期についてでございますが、平成十九年度に東久留米地区総合学科高校が開校することを考慮しながら、公立中学校の卒業生の就学計画を定める中で決定することとしております。

○執印委員 先ほどの説明でも、前々年の秋には募集のことが発表されるということでしたけれども、そろそろ方針というのは出つつあるのではないかと思いますが、その中で、この請願が求めているように伝統は引き継がれるというふうに教育委員会としてはお考えでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 委員ご指摘のように、部活動等の久留米高校が積み上げてまいりました伝統、実績が失われてしまうのは避けなければならないというふうに私どもも考えております。したがいまして、同窓会等の学校関係者や地域の協力も得ながら、伝統や実績が引き継げるように努めてまいりたいと考えております。

○執印委員 次に、校舎のことについて伺いますが、これまで全面改築をして総合学科をつくる予定だったというふうに伺っておりますが、現状の計画と、それからスペースの確保、これは少し最初の予定と変わってきているように聞いておりますけれども、その中でスペースの確保は十分にできるのかどうかを伺います。

○山川都立高校改革推進担当部長 施設整備についてのお尋ねでございますが、平成十年三月に実施いたしました耐震診断調査の結果を踏まえつつ、一部の増改築も含めて大規模改修を行い、施設整備を進めていく方針を立てておりますが、今年度から実施設計に入ります。
 今後も、学校関係者の意見を聞きながら、新しい総合学科高校に設置される健康・スポーツ系列、看護・福祉系列等の授業に必要な教室等の施設整備を行ってまいる所存でございます。

○執印委員 じゃ、この久留米高校については意見とさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、募集停止は前々年の秋までに発表ということですので、ことしの秋に募集停止が発表されると仮定すると、募集停止は十七年の四月になるというふうに思われます。つまり、最後の入学者は十六年四月の入学生で、十七年度、十八年度と学んで卒業して、総合高校の開校予定が十九年の四月からとしますと、久留米高校の生徒たちが卒業して総合高校が始まるということですから、伝統は引き継ぐと回答されましたが、生徒同士による伝統の引き継ぎとは、このやり方でなり得ません。生徒や関係者の立場から見たときに、大変冷たい対応であり、人間的、教育的でないといわざるを得ません。
 例えば、伝統ある和太鼓を引き継ぐときに、和太鼓だけ右から左に手渡しても、技術ですとか、リズム、ハートというのを引き継がれることがなければ、伝統の継承とはいえないわけです。伝統や実績を引き継ぐ必要性を本当に認識していらっしゃるならば、生徒同士の引き継ぎができるような募集をしていただくように、強くお願いをしておきます。
 次に、小石川高校について質問をさせていただきます。
 私も陳情者の方にお会いいたしました。この都議会に来て、いろいろ説明をしてくださったわけです。こういったことに関心を持ってみずから動き出す、行動を起こすという意味では、大変頼もしい、次の世代に期待できるなということを思ったわけですが、まず、教育委員会として、この小石川高校の学校のよさというのをどのように考えていらっしゃるでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 小石川高校をどういうふうに認識しているかということでございますが、ご案内のように、本校につきましては、立志、開拓、創作を教育目標といたしておりまして、自由な校風のもと、独創性を持った人材の育成を目指す、創立以来の伝統に基づく教育活動が良好に行われていると考えております。実績ある伝統校、進学校として、地域、都民からも信頼の厚い学校であると認識しております。

○執印委員 大変すばらしい学校だということがわかるわけですが、この請願には、中高一貫にしたときに、年齢による差が六歳差というふうになってくるわけですから、年齢による成熟度の差が出てきて、これまであった生徒の自主的な活動が十分にできなくなるのではないかという心配をされております。それについては、恐らく、小学校卒業時で入ってきた生徒に対して、余りに指導し過ぎて管理色が強くなって、自由な校風が損なわれるのは嫌だという、そういった在校生の皆さんの思いだというふうに思いますが、そういうことに対してきちんと教育委員会としては説明をしながら、方法も示し、心配を取り除いていく必要があるというふうに思いますが、今ご説明にもあった、この小石川高校のよき伝統が損なわれないように対応される必要があると思いますので、現状どのように考えていらっしゃるのか、伺います。

○山川都立高校改革推進担当部長 ご案内のように、中高一貫教育の意義の一つには、異年齢集団による活動を通して、生徒の社会性や人間性を育てる教育の充実を図る側面がございます。新しい学校では、こうした新たな教育的な意義を大事にするとともに、これまで小石川高校の培ってきた伝統、校風については、学校関係者とも話し合いながら、その維持、継承に努めてまいりたいというふうに考えております。

○執印委員 学校関係者と話し合いながらということですが、先ほど請願の最初のご説明のところにございました中高一貫教育校の基本計画検討委員会というのは、どういったことを検討していくのか、また、メンバーはどのように今考えられているのか、伺います。

○山川都立高校改革推進担当部長 基本計画検討委員会では、新しい学校の教育課程、施設等について具体的な検討を行う場でございます。メンバーといたしましては、関係校の学校長と教職員、教育庁関係者などでございます。
 なお、新たな実施計画に関しまして設置をいたします基本計画検討委員会につきましては、学校と地域の連携のあり方等も新たな検討項目に加えることといたしまして、学校長の推薦によりまして、同窓会やPTA関係者、さらには地域、地元の関係者等も委員に加えることとしております。

○執印委員 今ご説明をいただくと、やはり生徒本人の参加が考えられていないんだというふうに思います。この中高一貫校については、必ずしも私どもは否定をするものではありませんが、その中に関係者、関係者は今入るというお話がありましたけれども、生徒自身の意見を今後に反映させる必要があるというふうに思うわけですが、生徒参加の保障というのはどのように考えられているのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 生徒の意見の反映をということでございますが、今お話し申し上げました基本計画検討委員会の今後の運営の中で、必要に応じて何らかの方法で生徒や学校関係者の意見を聞くことは可能であると考えております。

○執印委員 ここから先はいつものやりとりになってしまいそうな気もするんですけれども、生徒の意見を聞くことは可能であるという、やらないことはありませんという程度のお答えだというふうに思います。
 この五月に、長野県の平谷村で、中学生が市町村合併の住民投票に参加いたしました。これは全村民が六百十三人という、そういう意味では小さな村ということもあるのかもしれませんが、中学生、一年生から三年生まで二十五人が投票したとテレビで見ましたけれども、こういうふうに物を決めたことによって、自分が決めたことに非常に責任を感じるというような発言を生徒がしていたという記憶がございます。
 また、高知県では、橋本知事の二期目の九六年から、土佐の教育改革を考える会というのを設置して、これは完全公開で行われたということです、職員の皆さんも情報は十分にお持ちのようでございますが。そして、すべての公立小中高校に開かれた学校づくり推進委員会が設置されて、保護者や地域住民に加えて、児童生徒を必ず入れることを県の教育委員会は強く求めたということ。それから、構成人員の半数以上を子どもに充てているところも少なくない。これは、大人と子どもの現状の力関係の中では、子どもが意見をいいやすくする配慮というふうに思いますが、こういう形でやっているということで、私は、こういうふうに陳情を出す問題意識をきちんと持っている若い人たちの声をくみ上げながら次の計画をつくっていく、反映させていくということが必要だと思いますし、今お話ししましたような事例も、この同じ日本の中にあるわけですから、やってできないことはないというふうに思うんですが、もう一度見解を求めます。

○山川都立高校改革推進担当部長 生徒の意見反映という点で、さらにということでございますが、先ほども申し上げましたように、本校の生徒は自主的に自律的に学校生活を送っているということで、さまざまな意見を持っていることについては十分承知しておりますが、それゆえに、学校の教育課程や施設等について、あるいは地域との関連等についていろいろ議論する、そういうテーマを検討する基本計画検討委員会の中で、何らかの方法で生徒や学校関係者の意見を聞くことは可能であるというふうに考えております。

○執印委員 ぜひメンバーの中に入れていただく検討をしていただきたいと思います。
 最後に、改革というふうにいいながら、東京都の教育委員会が、子どもの意見反映という面で実は一番時代おくれだったということにはならないように強くお願いいたしまして、質問を終わります。

○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも保留とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認めます。よって、請願一五第五号、請願一五第六号、陳情一五第一五号及び陳情一五第一七号は、いずれも保留といたします。

○渡辺委員長 次に、陳情一五第六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 一五第六号、都立中央図書館視覚障害者サービス削減の見直しと情報格差是正の支援に関する陳情についてご説明申し上げます。
 陳情一五第六号は、都立中央図書館視覚障害者サービス利用者有志の会代表長谷川貞雄さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都立中央図書館の視覚障害者サービスについて、晴眼者との情報格差是正を図るため、次のことを実現していただきたい。1、視覚障害者サービス係の職員定数三名を維持すること。2、同サービスに関する予算の削減を見直し、少なくとも平成十一年度の水準に戻すこと。3、同サービスを視覚障害者の情報障害軽減、克服の柱と位置づけ、計画的に制度と予算を拡充することでございます。
 本陳情についての現在の状況でございますが、都立図書館の視覚障害者サービスは、日比谷図書館において昭和四十五年から開始され、都立中央図書館が設置されました昭和四十八年以降は、日比谷図書館から中央図書館に場所を移し、今日まで実施しているところでございます。
 1につきましては、都立中央図書館視覚障害者サービス係の勤務ローテーションを工夫するなど、内部努力により、平成十五年度も平成十四年度と同様な事業を実施しているところでございます。
 次に、2についてでございますが、今日の厳しい都財政の状況下、東京都全体の方針の中で、都立図書館全体の予算も縮小しております。視覚障害者サービスの予算を平成十一年度の水準に戻すことは極めて難しい状況にあり、限られた予算を有効に活用し、視覚障害者サービスに努めているところでございます。
 最後に、3についてでございますが、都立中央図書館の視覚障害者サービスにつきましては、厳しい都財政の状況を踏まえ、全国の公立図書館との連携を図りながら、サービスの維持向上に努めているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○小美濃委員 時間も五時近くになってまいりましたので、簡潔に何点か質問をさせていただきます。
 ご説明にありましたとおり、社会情勢の変化によりまして、総合的な都の職員定数の見直しが行われているわけでありますが、これについては我々も一定の理解を示しているわけであります。また、今回の改正につきましても、正規職員が一名削減をされ、また嘱託職員を一名雇用するということも漏れ伺っているわけでありますが、しかし、障害者を取り巻く環境は今までも決して万全といえるわけではありませんで、さまざまな施策の見直しによって、サービスの低下につながらないよう努めていかなくてはならないと考えているわけであります。
 そこで、数点お伺いするわけでございますが、まず第一点に、都立中央図書館における視覚障害者の現状の利用状況についてお伺いしたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十四年度の実績によりますと、対面朗読の利用は二百五十七人で、平成十一年度の四百二十人に対して約三八%の減という状況でございます。録音図書の個人貸し出しにつきましては、タイトル数で二千百一点、平成十一年度の三千五百五十九点に対して約四一%減と、減少傾向にございます。次に、点字図書の個人貸し出しにつきましては、タイトル数で五十二点、平成十一年度と同数でございます。なお、これら五十二点のうち一一%の六点につきましては、点字図書館及び他府県の図書館からの借り受けによるものでございます。

○小美濃委員 おおむね減少傾向にあるのかなということが理解できたわけでありますが、録音図書や点字図書と違いまして、これも大事な事業でございますけれども、特に対面朗読は、対人サービスを必要としておるわけでありまして、この陳情書にも、理由にも書いてありますけれども、「対面朗読などを通して専門書や資料の情報に直接触れることのできる唯一の図書館である」こういったことが訴えられているわけであります。
 そういったことを考えますと、職員の削減ではないんですけれども、正規職員をかえ、嘱託職員にすることにより影響があり得そうなところが、この対面朗読のところなのかなという感じがしているわけでありますが、この対面朗読の昨年度の実績についてお伺いしたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立図書館における対面朗読の利用者でございますが、平成十四年度の実績で、都立中央図書館が年間で二百五十七件、一日当たりの平均利用者としては一・〇人ということになります。また、都立多摩図書館につきましては年間で百二十四件、一日当たりの平均利用者としては〇・四人という数字でございます。

○小美濃委員 ただいまのご答弁によりますと、中央図書館で平均一日一人、多摩図書館でもやっていらっしゃるということで平均〇・四人ということで、対面朗読というのは、朗読のボランティアさんとの調整を図るのが職員の仕事だということで認識をしているわけでありますが、そうすると、この正規職員を削減し、嘱託職員を導入するということは、この対面朗読についてはさほど大きな影響はないのかな、そんなふうに認識をするわけであります。
 それでは、今回のこの改定によりまして、一体、具体的にはサービスはどのように低下する、もしくは向上するのかわかりませんけれども、どのようなことが考えられるのか。先ほどざっとご説明いただきましたけれども、少し具体的にご説明をしていただきたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十四年度の視覚障害者サービスの開室日数が陳情の要旨の中にございますが、これにつきましては、十四年度の開室数が二百六十二日、平成十五年度につきましても昨年度と同様の開室日数、時間を確保しており、都民サービスの低下にはなっておりません。
 具体的には、正規職員二名と、視覚障害者サービスを経験したことのある司書の嘱託員を配置、活用いたしましてサービスを実施しているところでございます。

○小美濃委員 昨年同様のサービスが実施されるということで、また、嘱託職員の方も技術者というか、資格を持っていらっしゃる方だということでありまして、その辺は納得をするところでありますが、今回、定数が一名削減をされて、嘱託職員の活用などによりまして、今のご答弁のとおり、サービスは維持されるということをお伺いさせていただきました。
 そこで、これは年齢とかがあるので、一般論で結構なんですけれども、東京都の正規職員と嘱託職員の人件費の差はどれぐらいあるんでしょうか。お伺いいたしたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十四年度の人事委員会の調査によりますと、都の正規職員の給与月額は約四十五万円となってございます。一方、月十六日勤務の嘱託員の場合、報酬月額は約二十万円でございまして、正規職員の給与は嘱託員報酬の約二・二五倍となっております。
 なお、正規職員に支給される期末勤勉手当等を考慮いたしますと、約三倍程度の差になるかと思われます。

○小美濃委員 なるほど、三倍差がついてしまうと。これは正規職員と変わらぬ技術を持っていらっしゃる方がなっているならば、嘱託職員の方を雇用するというのは、一定の都民の理解も得られるのではないのかな、こんなふうに思っているところであります。
 そこで、都立中央図書館では視覚障害のサービスを今までも行っているわけでございますけれども、教育庁以外の各局や区市町村の図書館などと連携だとか協力体制はとっていらっしゃるんでしょうか。お伺いしたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立中央図書館では、福祉局が事業委託をしております社会福祉法人日本点字図書館との間で、録音・点字図書の相互貸借や製作情報の共有化といった連携協力を行っております。また、区市町村立の図書館に対しましては、都内公立図書館の製作情報を掲載した、録音・点訳図書、拡大写本新作情報の発行や、資料の協力貸し出しを実施しております。
 さらに、住民に身近な区市町村立図書館における視覚障害者サービスを一層充実させる支援策といたしまして、都内公共図書館職員を対象とした専門研修会などを都立中央図書館が定期的に実施している実態にございます。

○小美濃委員 市区町村との連携もしっかり行っているみたいでありますし、やはり、特に視覚障害の方は移動の規制がかなりかけられますので、本来ならば、身近な自治体の図書館でこうした視覚障害の方のサービスが行われるということが一番望まれることだと思っております。しかし、まだまだ市区町村では財政面のことなどが問題となっておりまして、一律、中央図書館のような障害者の方に対するサービスを充実できる環境を整えるには、まだまだ時間がかかるところもあるようなことを認識しております。そういったことを考えますと、都のサービスは引き続き一定の役割を持っているのかな、そんなふうにも認識しております。
 しかし、基幹サービスは正規職員が行うということに、これはなっているようではございますけれども、すべてのサービスを正規職員が行う必要はないというのは、私、思っております。そう考えますと、少なくとも、先ほどご答弁いただきましたけれども、正規職員と嘱託職員の給与の差が三倍だということになるならば、これからも嘱託職員の雇用は時代に合ったものなのかなというような感じも持っておりますし、また、今、就職に関しましては、中途リストラ等々行われまして、中高年の方々が大変職にあぶれているということもありますので、そういった方々や障害者の方々も、そういった資格を持っていれば、またこれから採るということを前提にして、雇用の拡大に向けて考えていっていただけないかなということも一つ要望させていただきたいと思います。
 しかし、この障害の問題というのは大変多岐にわたっておりまして、特に障害者福祉はことしの四月から、実はサービスの体制が抜本的に変更になりました。今までの行政が措置をするという体制から、いわゆる支援費制度が導入されまして、措置から、ある意味では選択に、そういった形に切りかわったわけであります。しかし、まだまだ社会的な整備、インフラ整備ができておりませんで、特に視覚障害の方々のインフラ整備というのは、実はまだまだおくれているというような状況であります。こういったことで、今、障害者の方々全体が大変混乱をしている中で、視覚障害の方も実はその例外ではなく、知的障害者の方々に比べても、やはり感覚的には視覚障害の方の方が、サービスの提供事業者が少ないものですから、混乱しているのかなというふうに思っております。
 こうしたときに、一応嘱託職員を補充するということで考えられているわけでありますけれども、しかし、障害者の方には、変更というのが、十分注意をして取り組んでいただかないと、サービスの低下につながるんじゃないかという危惧を与えかねないので、これは十分注意をして行っていただきたいなと思っております。
 また、先ほど、一人の方をやめさせて一人の方を入れるということでございますけれども、そうすると、一般論ですけれども、簡単に単純計算で、三分の一の費用で人を雇えるということでございますので、思い切って、こういった場合は現状の三人ではなくて、もう一人嘱託職員をふやして、四人体制でしっかりとサービスは低下させませんよという、それぐらいの意気込みがあってもよかったのかなというように実は私は思っております。それだって、経費的には正規職員を雇うよりも低く抑えられるわけでありますので、そういった配慮も今後ぜひともお願いをしたいな、こんなふうに思っております。
 教育庁だけではなくて、今、障害者福祉が大きく変わっているところでもありますし、福祉局ともよく連携をとっていただいて、社会環境に十分に留意をしていただいたサービスを、これからも障害者の方に提供していただくよう、くれぐれも要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○石川委員 小美濃委員からいろいろご説明がありましたので、またご質問もございましたが、いずれにいたしましても、陳情の願意は職員定数三名を維持することにあるんだろうと思います。今、小美濃さんの質疑の中で、嘱託職員を配置することによってサービスの低下は招かない、こういう決意がございましたので、ぜひ私からも、視覚障害者へのサービスが低下しないよう、くれぐれも要望をしておきたいと思っております。
 ところで、サービス向上の一つといたしまして、陳情項目には入っておりませんが、都立中央図書館そのものは通年開館であります。ところが、視覚障害者サービス室のみは実は月曜日が休室となっております。視覚障害者サービスの利用者は、ただいま答弁がありましたように、少人数であり、また、都財政の厳しい状況下、経費の面では月曜休室もやむを得ない状況と察しますが、私どもは今、子どもの読書活動を積極的に推進しております。障害を持っている利用者にも晴眼者と同様なサービスを提供すべきであると考える立場から、限られた人員と予算で、視覚障害者サービス室の月曜日の開設は大変であることは理解できますけれども、月曜日の開室実施について工夫すべきと考えますが、所見を伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 ご指摘の点についてでございますが、現在、都立中央図書館の視覚障害者サービス室は月曜日を休室としてございます。これは、昭和六十一年から始まりました通年開館が開始された当時、視覚障害者サービス室が少ない職員数で運営されていたという事情で、やむなく月曜日を休室したという経緯があるようでございます。限られた人員と予算のもとではございますが、現在、月曜日開室のためのさまざまな条件について整理をいたしまして、多様な角度から検討を行っているところでございます。

○石川委員 都立中央図書館の視覚障害者サービスを一層充実するためにも、月曜日の開室については実りある検討を行っていただき、ぜひ開設できるよう改めて要望し、質問を終えます。

○曽根委員 前のお二方と一部ダブりますので、そこは簡潔にやりたいと思います。
 先に、今、石川委員からお話のあった月曜開室、これはたしか、以前、月曜日は中央図書館も休館だったものが、一般の利用者の方には月曜日もあけるようになった時点で、やっぱり頑張って視覚障害者のサービスの部屋もあければ、こういう問題はなかったと私は思うんですね。その時点で、視覚障害者の部分だけあかないで、一般利用者の方はあいた、ここから格差ができちゃったわけです。ですから、一日も早くこの格差は埋めてほしい。これは教育庁の努力次第でできることだと私は思いますので、要望にとどめますが、ぜひ一日も早く実現をお願いしたいと思います。
 それで、サービスの低下をしないようにということで、職員定数のお話が出ているんですが、私の記憶では、非常勤の方を正規の職員のかわりに一名雇ったということですが、たしか経験のある方だというふうに先ほどもお話がありましたけれども、それにしても、勤務時間については、非常勤ですから、正規職員の方に比べれば大幅に時間数は減らざるを得ない。ということは、同じサービスの事業はしているけれども、そこの窓口や職場に複数いたものが一人になってしまう時間があるとか、そういった点での違いがあるというふうに理解してよろしいでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十五年度に配置をいたしました嘱託員につきましては、勤務日数が少なくなるということから、平成十四年度に比べまして、全体の出勤延べ人数ということでは減らざるを得ない状況にございます。しかしながら、これまでの利用実態に応じまして勤務のローテーションを設定するということで工夫をしておりまして、したがいまして、現在までに特に利用者対応について問題があるということはございません。

○曽根委員 わかりました。もちろん、利用実態が落ちることがあれば、この陳情の趣旨からいって、やはりどうしても問題が残ると思うんですが、そういうことは教育庁の側から見ればないとはいうものの、障害者の利用者の方から見れば、例えば、陳情者のお話でこういうのがあったんです。あそこは公園の中にある図書館なので、公園の入り口から図書館の入り口まで行くのにも、初めて行く視力障害者の方にとっては非常に難しいということから、前もって連絡をすると職員の方が案内をしてくれる。ガイドヘルパーがついていない場合には、そういうこともサービスの一つとしてやってもらっていた。こういうことがなかなかできにくくなるんじゃないかというおそれを感じているというお話がありました。こういう点でも、きめ細かいサービスがレベルダウンしないようにお願いしたいと思います。
 それにしても、やはり正規職員で三名を確保しなければ、時間数でいうと下がってしまうので、どうしてもどこかにやっぱり無理がくると思いますので、正規職員の確保、これに全力で取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 それから、予算全体で大幅に減っているということから、確かに対面朗読や利用数が減っているというお話が先ほどありましたが、結局、対面朗読をしてくれるボランティアや、また専門の委託者の方がいるわけですね。この方の報償費が一時間当たり変わることがないとすると、予算全体が減った分、対面朗読ができる時間数、回数が減ってしまうことになるんじゃないかと思うんですが、単価の方は、この間、どの程度でやっているんでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十五年度の対面朗読に対する有償ボランティアの報酬につきましては、前年度と同額でございます。
 ご指摘の対面朗読につきましては、私どもとしても、利用者に対して即時性が求められるサービスであるというふうに認識しております。したがって、お断りすることがないよう配慮をし、事業の執行については十分留意してまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 実は、教育庁の担当課長さんにお聞きしたところ、対面朗読は一時間千二百円、録音朗読が千五百円ということで、これ以上は単価は下げられないと。ボランティアという名前はついているが、実際には非常に専門的な仕事で、なかなかそれができるというのは、一般の市民の方がぽっと来てボランティアできるものではないということから、これ以上下げると本当に交通費も出なくなってしまうということから、この単価は維持していきたいというお話でした。したがって、予算が減った分は、やっぱり利用回数の方を減らさざるを得ない。対面朗読は断れないとすると、録音朗読の方が減ってしまうということが、利用者の方が心配されている点だと思います。この点についても改善を求めて、質問を終わります。

○執印委員 少しやりとりもありましたけれども、都立中央図書館の対面朗読の利用者数が平成十二年あたりからちょっと落ちているわけなんですが、これはどういう理由なのかということを伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 近年、区市町村立図書館におきましても数多くの視覚障害者サービスを実施するようになってきておりまして、区市町村立図書館における録音図書の貸出件数は、対前年で比較いたしますと微増という傾向でございます。
 都立中央図書館の対面朗読利用者の減少理由につきましては、詳細な分析はしてございませんが、都立図書館が保有している視覚障害者の図書、資料の協力貸し出しとあわせまして、自宅に近い区市町村立の図書館でもサービスを受けることが可能になったということも、一つの要因ではないかと考えております。
 なお、対面朗読に限定をいたしますと、これを実施している区市は二十二区十八市となっております。島しょを除き大部分の自治体で実施されている状況にございます。
 また、都立図書館では、視覚障害者の図書、資料である録音図書や電子化されました点訳図書、これはフロッピーでございますが、これを自宅に郵送でお届けすることが可能となっておりまして、わざわざ都立図書館まで足を運ばなくても自宅でサービスが受けられるということから、そのことが都立図書館の対面朗読の利用者の減少につながっているとも考えられます。

○執印委員 市区町村の図書館でもサービスが受けられるようになっているというお話もございましたが、その受けられるところがふえたということと、きちっと量が確保されているかということは、丁寧に見ていかなければならないことだというふうに思いますので、利用者の立場に立った状況の把握を今後もお願いしたいと思います。
 いただいた資料では、いわゆる健常者が見られる本が百十万冊であるのに対して録音図書が二千五百二十五点、点字図書が百六十一点、点字雑誌が七種ということですから、そういった意味では、情報的には非常に厳しい中にいらっしゃるのではないかなというふうに感じております。
 次に、都立中央図書館のこの視覚障害者サービスというのは、こういった直接的なサービスに加えて、自治体との連携や、自治体の支援というのもその役割の中に入っているというふうに思いますが、どのようなことをなされているのか、また、今年度の状況はどのようになっているのか、伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立図書館におきます視覚障害者サービスの区市町村への支援といたしましては、都立中央図書館においては、区立図書館職員等を対象といたしました朗読者専門講習会、また、都内公立図書館職員を対象といたしました障害者サービス研修会を開催しております。同様に、都立の多摩図書館におきましても、市町村立図書館の職員を対象とした同種な研修会、講習会を開催しております。
 なお、平成十五年度につきましては、朗読者の登録者数の減少がございまして、これに応じまして実施回数が減る予定となっておりますが、一回当たりの受講者数の増加や内部職員の活用など、限られた予算のもとで工夫をして対応してまいる予定でございます。

○執印委員 先ほど来質疑もありましたが、正規職員の人員削減ということについては、サービスの面では嘱託員をふやしているということですけれども、実は、こういった市区町村との連携の中で、これから影響が出てくるのではないかというふうに想像をいたしますので、今後も十分に見ていていただきたいと思います。
 最後の質問といたしますが、都立図書館の視覚障害者サービスについて、児童生徒への対応を伺います。
 平成十三年度に、国の子どもの読書活動の推進に関する法律というのが制定されて、東京都では昨年度の末に、子ども読書活動推進計画が策定されております。すべての子どもたちへの読書活動の推進を目的として、公立図書館と学校との一層の連携協力が必要とされております。子どもの読書活動に対し都立の図書館は、盲・聾・養護学校の児童生徒及び心身障害教育のあり方について、今回、中間まとめで出されておりますが、この特別支援教育体制に対する支援、バックアップなどをどのように進めていくのか。また、この子どもの読書活動推進計画に沿って、今、少し進められていることがありましたらば、あわせてご答弁をお願いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立中央図書館の都立学校支援といたしまして、昨年度から、モデル校として五校の高校を指定し、実施しているところでございます。具体的な例といたしましては、高大連携を進める都立国分寺高校に対しまして、レポート作成における調べ学習の指導や、レファレンスサービスなどを実施しております。
 また、盲・聾・養護学校との連携、支援につきましては、私ども、今後の検討課題として受けとめているところでございます。
 昭和四十五年に、先ほどからお話のございます視覚障害者サービスを開始して以来、今日まで培ってまいりましたさまざまなノウハウを生かしまして、盲学校に対するサービス支援、連携について、現在、図書館内において検討をしているところでございます。

○執印委員 新たな時代への対応というものも必要になってきていると思いますし、この陳情は私どもは趣旨採択を主張しておりますが、さまざまな状況を見ていきながら、子どもたちの読書への関心、興味、力を育てるということも含めて、このサービスが後退しないように今後も取り組みをされることをお願いいたしまして、質問を終わります。

○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○渡辺委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一五第六号は不採択と決定をいたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上をもって教育庁関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 以上を持ちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十分散会

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