委員長 | 渡辺 康信君 |
副委員長 | 服部ゆくお君 |
副委員長 | 河西のぶみ君 |
理事 | 執印真智子君 |
理事 | 中嶋 義雄君 |
理事 | 遠藤 衛君 |
福士 敬子君 | |
小美濃安弘君 | |
野島 善司君 | |
相川 博君 | |
石川 芳昭君 | |
大西 英男君 | |
曽根はじめ君 | |
山本賢太郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 横山 洋吉君 |
次長 | 幸田 昭一君 | |
理事 | 斎藤 尚也君 | |
総務部長 | 中村 正彦君 | |
学務部長 | 比留間英人君 | |
人事部長 | 臼井 勇君 | |
福利厚生部長 | 岡本 宏之君 | |
指導部長 | 近藤 精一君 | |
生涯学習スポーツ部長 | 鈴木 雅久君 | |
教育政策担当部長 | 石川 武君 | |
都立高校改革推進担当部長 | 山際 成一君 | |
参事 | 星川 敏充君 | |
参事 | 渋井 信和君 | |
参事 | 瀧川 清君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都青年の家条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 東京都立多摩社会教育会館条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例
請願の審査
(1)一四第七三号 水元青年の家の存続に関する請願
(2)一四第一五四号 青少年の居場所である水元青年の家の存続に関する請願
○渡辺委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の平成十五年度予算の調査並びに付託議案及び請願の審査を行います。
これより教育庁関係に入ります。
予算の調査並びに付託議案及び請願の審査を行います。
第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分及び第五十号議案から第五十七号議案まで、並びに請願一四第七三号及び請願一四第一五四号を一括して議題といたします。
予算及び付託議案につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中村総務部長 去る一月三十一日の事前説明におきましてご要求のございました資料についてご説明申し上げます。
今回ご要求のございました資料は六件でございます。
お手元の文教委員会資料の一ページをお開き願いたいと思います。都立高校改革・新たな実施計画に対する意見の一覧でございます。
(1)は、平成十四年十月二十四日に開催されました教育委員会における新たな実施計画に関する主な意見をお示ししてございます。
(2)、次のページでございますが、平成十四年六月二十七日に新配置計画案を発表しました後にいただきました主な意見を関係団体別にお示ししてございます。
次の三ページをごらんいただきます。二番目は、都立高校改革に対して区市町村議会から提出された意見等の一覧でございます。五ページにかけまして、都立高校改革推進計画における第一次実施計画、第二次実施計画、新たな実施計画ごとに意見書等を年月日順に記載してございます。
六ページをごらん願います。盲・聾・知的障害養護学校給食の調理業務における直営と委託の経費比較でございます。
学校給食調理業務委託につきましては、直営方式による平成七年度と委託方式によります平成十四年度の所要経費等をお示ししてございます。
七ページをごらん願います。盲・聾・養護学校における普通教室保有状況でございます。
学校ごとに保有しております普通教室及び、内数になりますが、普通教室に転用いたしました管理諸室等を転用教室数としてお示ししてございます。
八ページをごらん願います。社会教育費の推移でございます。
平成六年度から十五年度までの十カ年の社会教育費とその内訳を百万円単位でお示ししてございます。
九ページをごらん願います。視覚障害者サービスの一覧及び予算の推移でございます。
視覚障害者サービスにつきまして、都立図書館と本庁に分けまして、事業ごとの予算額を平成十年度から平成十四年度までの過去五カ年間についてお示ししてございます。
資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○渡辺委員長 説明は終わりました。
次に、請願について理事者の説明を求めます。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 一四第一五四号、青少年の居場所である水元青年の家の存続に関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、葛飾区青少年育成水元地区委員会会長小島修一さんほかから提出されたものでございます。
請願の要旨は、水元青年の家を存続させ、引き続き利用できるようにしていただきたいでございます。
本請願についての現在の状況でございますが、都教育委員会は平成八年六月の第二十二期東京都社会教育委員の会議の助言に基づきまして、都内に七カ所ある青年の家を再編整備し、新しい青少年社会教育施設ユース・プラザを区部と多摩地域に一カ所ずつ建設する、青年の家再編整備計画を平成十年一月に決定したところでございます。
同計画に基づきまして、平成十年第三回都議会定例会におきまして東京都青年の家条例の一部を改正し、平成十二年度末に五日市青年の家、平成十三年度末に八王子、青梅、狭山、武蔵野の各青年の家を廃止したところでございます。
なお、区部ユース・プラザにつきましては、平成十四年六月に本契約を締結いたしまして、平成十六年三月三十一日の開館に向けて現在着実に計画を推進しているところでございます。
水元青年の家につきましては、青年の家再編整備計画におきまして、区部ユース・プラザの開館に合わせて廃止することとしており、今定例会に東京都青年の家条例の一部改正議案を上程しているところでございます。
あわせまして、次に、一四第七三号、水元青年の家の存続に関する請願についてご説明申し上げます。
本請願は、水元青年の家の存続を求める会代表鈴木育美さんほかから提出されたものでございます。
請願の要旨は、水元青年の家を存続していただきたいでございます。
本請願につきましては、平成十四年十一月二十九日の文教委員会においてご審議いただきまして、保留となったものでございます。
本請願についての現在の状況でございますが、さきにご説明いたしました請願一四第一五四号と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○渡辺委員長 説明は終わりました。
先ほどの資料を含めまして、これより、予算、付託議案及び請願に対する質疑を行います。
発言を願います。
○遠藤委員 学力調査につきまして何点かお尋ねいたします。
今年度から、すべての土曜日が休日となる学校週五日制が実施されまして、授業の時間数や教える内容が削減をされたと聞いております。このことで多くの都民や保護者は、子どもたちが、いわゆる読みあるいは書く、計算を初めとする基礎学力がしっかりと身につけられないのではないか、こういう不安を持っていると聞いております。
そもそも学校は、子どもたち一人一人が生涯にわたって学び続け、心豊かに生きていくために必要な学力を身につけさせるところであります。各学校においては今年度から、新しい学習指導要領に基づいて、基礎、基本の確実な定着を目指した指導を行っていると受けとめております。しかし、子どもたちにどの程度学力が身についているかを的確に把握する必要もあるわけであります。学力が低下しないよう、指導の工夫、改善を図っていくことが必要であります。そのためには、学力の実態を把握し、その結果を踏まえて、子どもたち一人一人の学力の向上を図ることが、都民の信頼にこたえることになるのではないかと思うところであります。
そこで、十五年度の予算として計上されている学力調査についてお伺いいたします。
初めに、そもそも学力とは何だとお考えになっているのか、都教委の基本的認識についてお伺いいたします。
○近藤指導部長 都教育委員会では、学力とは、知識や技能だけではなく、学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などを含めたものであるととらえております。
したがいまして、こうした学力の定着を図るためには、体験的な学習や問題解決的な学習などを通しまして確かな学力を身につけ、いわゆる生きる力を育成することが大切であると考えております。
○遠藤委員 そのような学力が子どもたちに身についているかどうか、学力の状況を把握するために都教育委員会ではどのような調査をしていくのか、お伺いいたします。
○近藤指導部長 来年度、平成十五年度から、中学校二年生全員を対象にいたしまして、国語、社会、数学、理科、英語の五教科につきまして、知識、技能だけではなくて、学ぶ意欲や考え方も含めましたいわゆる新しい学力観に基づいた学力調査と、学習に関する意識調査を実施する予定でございます。
○遠藤委員 今、中学校での学力調査を実施するとのお答えでございましたけれども、小学校という時期は、基礎的な学力を身につける大変重要な時期であるというふうに思っています。そのためには、学力の向上を図る調査であれば、小学校も対象にして実施すべきではないかというふうに考えますけれども、ご見解をお尋ねいたします。
○近藤指導部長 来年度、十五年度につきましては中学校二年生のみを対象として実施いたしますが、今後、小学校五年生も対象にして同様の調査を実施することも必要であると考えておりまして、検討してまいりたいと思っております。
○遠藤委員 ぜひこのことは実施していただきたいというふうに思います。
通常、学力調査というのは、最終学年といいますか、小学校でいえば六年、中学では三年で実施することが妥当ではないかというふうに思っておりますけれども、今いわれるようになぜ小学校五年、中学二年で実施をするのか、お伺いいたします。
○近藤指導部長 この調査につきましては、小学校五年生と中学校二年生の三学期に実施するものでございますが、その結果を、小学校、中学校それぞれ最終学年の指導に生かして、確かな学力を身につけてそれぞれ卒業させていきたいという願いから、そのようにしたわけでございます。
○遠藤委員 今、答弁をいただいたわけでありますけれども、この調査が子どもたちにとっても教師にとっても有意義なものになるように、ぜひひとつしていただきたい。
しかしながら、結果を教育委員会や学校にとどめるだけではなくて、広く保護者や都民に公表することも大切であろうと。公表についてはどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
○近藤指導部長 調査結果についてでございますが、都教育委員会は、都全体と区市町村ごとの調査結果を公表いたします。また、各学校ごとの結果の公表につきましては、設置者であります区市町村教育委員会の判断にゆだねたいと考えております。
いずれにいたしましても、公表の具体的な方法等につきましては、今後、区市町村教育委員会と十分に連携しながら進めてまいりたいと考えております。
○遠藤委員 調査結果を保護者や地域の皆さんに公表し、それに基づいて教育のあり方を絶えず見直していくことが大切だろうというふうに思っています。このことについては大いに評価するところでございますけれども、この調査結果をどのように生かしていくかについてお尋ねいたします。
○近藤指導部長 各学校におきましては、この学力調査の結果を踏まえまして、指導上の課題を明確にし、一人一人の児童生徒が授業がよくわかる、授業が楽しいといえるような授業改善を行っていくことが大切であると考えております。
このため、都教育委員会は、この調査結果をもとにいたしまして、学習状況や指導上の課題を明らかにし、確かな学力を身につけるための指導のあり方についてまとめた指導資料を作成、配布などいたしまして、教員の指導力及び授業力の向上を図ってまいりたいと考えております。
○遠藤委員 学力向上ということは都民すべての願いであり、こうした新しい考えに基づいた学力調査は大変重要だというふうに考えます。熱心な教員は、子どもたちの学力向上のために懸命に努力しているわけであります。こうした教員には本当に頭が下がる思いでありますけれども、しかし、何回もこの委員会でいっていますけれども、問題は指導力不足の教員であります。このような教員には研修をしっかりと積んでもらって、都民の信託にこたえるよう熱心に教育活動に取り組んでいただきたいということを強く望むところであります。
子どもたちの学力の伸び悩み、こういうものは、子どもたちのせいばかりではなくて、指導する教員にも責任があるわけであります。私は、以前にこの委員会でも、テレビで放映した百升計算を引用させていただきましたけれども、この中でも、子どもたちになかなか理解してもらえない先生がおりまして、その悩みを職員室に戻って先輩に相談した。相談を受けた先生は男性でありますけれども、この先生が、その担任の教室に行って百升計算の指導をしたところ、非常に理解を早めたということ、これはテレビの放映であります。
このことは、この相談した方は女性の先生でありますけれども、大変勇気のあるすばらしいことだというふうに思うんですね。こういう先生がふえることを望むし、また先生の間でもこのようなことが何の抵抗もなく相談できるような、そういう社会になっていくことをぜひ希望する。変なプライドを持っているということは、かえって子どもが一番迷惑するということになります。こういったことは子どもたちの楽しい勉強、そして楽しい学校づくりにつながる。このことがひいては子どもたちの学力アップにつながるというふうに私は思っているのであります。
そういったことを考えたときに、指導の工夫、改善こそ教員の職務であります。そもそも教員というのは、みずからの専門性と指導力の向上のために不断に研さんを積むことが大切だというふうに考えます。この調査が、子どもたちに確かな学力を身につけさせることはもとより、教員の指導力向上につながることは非常に重要であります。
したがいまして、この調査項目をいただきましたけれども、この項目にありますように、今回のこの調査結果をしっかりと分析して、子どもたちの学力向上や教員の資質向上、そしてまた指導力の向上、こういうものに有効に生かされることを強くお願いして、質問を終わります。
○河西委員 それでは、二問質問をさせていただきたいと思いますが、まず性教育についてお尋ねしたいと思います。
中高生、小学生も含めて、学校における性教育のあり方、実態については、これまでにも本会議の一般質問等でもございましたし、昨年の予算委員会でも取り上げられましたし、また最近も議論されているところです。もう一つ、最近、議会からの指摘を受けて、性教育に関する調査を各区市の教育委員会を通してされたという、そのまとめもいただいているところです。
私も性教育の重要性については認識をしておりますけれども、基本的に東京都として性教育についてどういう認識で、今後どういう取り組みをしていくのかということを明らかにしたいので、質問させていただきます。
私から申し上げるまでもなく、中高生を含む若者の性に関する意識の変化や性行動の早期化といいますか、低年齢化、あるいは望まない妊娠や性感染症の増加など、指摘をされているところです。つい最近の全国紙の実態調査も紙上で見ました。この傾向が一段と進んでいると。同時に、望まない妊娠や性感染症などについては、HIVを含めて大変心配される。この対応策を、単に学校で教科として性教育ということで教えるだけではなくて、健康を守る、あるいは母体を保護するという観点からも取り組まなきゃ大変だ、こういう記事の報道でございました。
こういう現在の状況について、都の教育委員会は実態をどのように把握しているのか、まずお伺いしたいと思います。
○近藤指導部長 東京都教育委員会といたしましては調査はしてございませんが、健康局の調査によりますと、報告を求めております都内四十一医療機関から報告された性感染症の罹患者数は、平成十三年は全体で六千百五十一名でございます。うち二十歳未満は四百七十九名で、全体に占める割合は七・八%であり、五年前と比較いたしまして三・五ポイント増加してございます。
また、都内の人工妊娠中絶の数は、平成十二年度のデータでありますが、全体で二万八千五百八十九名であります。そのうち二十歳未満は二千九百十二名で、全体に占める割合は一〇・二%であり、五年前と比較いたしまして四・三ポイント増加しているという状況でございます。
○河西委員 今、数字を挙げて現状の認識をお伺いしたんですけれども、五年前と比較して、これは二十歳未満ですから、中高生という限定で調べてみると、この数字がどうなるかというのは別にあると思いますけれども、性感染症の罹患者数あるいは人工妊娠中絶の未成年の数、いずれも予想どおり、五年前と比べると三・五ポイントあるいは四・三ポイント増加しているというご答弁をいただきました。
私は、ぜひ中高生、小学生までになるかもしれませんが、中高生の実態は、今後とも健康局を含めて各区市の教育委員会を通して、より実態を把握するご努力をいただきたいというふうに思っております。これは要望させていただきますが、今お話しいただきました実態認識なんですが、その背景、どうしてこういう増加傾向にあるのか等々について、教育委員会のご認識をお伺いしておきたいと思います。
○近藤指導部長 中学生、高校生の性にかかわる問題の背景には、一つは心身の発育、発達が早期化していること、一つは性情報がはんらんしていること、また一つは、携帯電話やインターネット等の普及により人間関係が希薄化していること、一つは自尊感情が低下していること、さらに一つは性に関する価値観が多様化していることなどのさまざまな要因があると認識してございます。
○河西委員 確かにこの増加傾向の背景にある要因というのは今ご指摘のあったことだろうというふうに思いますが、もう一つ、全体として、東京都も基本条例をおつくりになりましたが、男女共同参画、平等参画社会の実現という、この認識が学校教育の中でどのぐらい徹底しているのかということもあるのではないかなというふうに思っています。
これについては最後にまた触れたいと思いますけれども、そういう現状とその背景、原因を押さえた上で、もちろんこれは学校だけの仕事じゃありませんし、家庭、地域を通じて取り組まなきゃいけない、考えなきゃいけない問題だというふうに思いますが、とりわけ学校、特に中高生の性に関する意識の変化や性行動の実態を踏まえますと、今後、学校において性教育をどのように進めていったらいいのか、このことについてお伺いしておきます。
私の問題意識としましては、変化する社会環境や児童生徒の心身の成熟の早期化ですとか意識の変化、こんなものに対応する指導内容やその方法というのはやっぱり見直す必要がある、こういう認識に立っているわけでございますが、どのように今後進めていこうとされているのか、お伺いしたいと思います。
○近藤指導部長 都教育委員会では昨年三月に、学校における性教育が児童生徒の発達段階に即して体系的、計画的に実施できますよう、新たな性教育プログラムの開発を作成いたしました。これに基づきまして、本年三月には、新たに性教育の指導資料を作成し配布することとしております。
また、来年度十五年度には「性教育の手引」を改訂いたしまして、各学校で適正な性教育が行われるよう進めてまいりたいと考えております。
○河西委員 私も、昨年三月に出されました新たな性教育プログラムの開発、改めて内容を読みました。基本的なところはきちんと押さえて、時代に合った学校における性教育の指導の基本的な考え方、これは網羅されているかなという印象を持っております。
そこで、「性教育の手引」は今見直しの時期に来ているということで、十五年度の改訂、そして各学校での活用というお話がございました。来年度に改訂されますこの「性教育の手引」の見直しの視点と方向性、また、子どもたち自身も含めて広く多様な意見を聞きながら作業を進める必要があるというふうに私は思いますけれども、具体的な進め方について、現時点でのお考え方をお聞きしたいと思います。
○近藤指導部長 来年度改訂いたします「性教育の手引」は、新しい学習指導要領に基づいて作成するものでありまして、性情報への対処や新たな性に関する問題などにも対応するため、特に指導事例を多く取り入れまして、学校が使いやすいように工夫、改善していく予定でございます。
また、この手引の改訂に当たりましては、校長、教頭、教諭、養護教諭及び医師等による委員会を設置いたしまして、多様な意見を幅広く取り入れてまいります。
○河西委員 今あります「性教育の手引」、小学校編と中学校編、内容を見ますと、かなり細かい計画といいますか、手引になっていますね。私が、今度改訂されるときにどういう視点ですかとお伺いしたのは、ちょっと言葉が悪いんですが、専門何とかという言葉がありますけれども、自分の担当しているその分野だけでずうっとなりますと、そこの領域については深く専門的になるんだろうと思いますが、事この性教育の問題等々につきましては、余りそれをやっていると全体状況が見えなくなる。一個の人格を持った人間であり、近い将来社会人として、地域であるいは社会で活動していく、生き抜いていく一個人として見る視点が欠落するおそれがあるというふうに思うんです。
そういうことで手引を見てみますと、本当に細かい指導の方法が、内容を含めて、時期の問題も含めて網羅されているわけですけれども、ぜひ改訂をされるときには、今おっしゃったメンバー、校長先生、教頭先生、教諭、養護教諭あるいは医師などもということをお答えいただきましたけれども、そういう視点に立って、本当に生きた学校における性教育、その手引になるような工夫をぜひしていただきたいということを注文をつけておきたいと思います。
同時に、性教育を推進するために教職員の研修が必要だというふうに思っています。先ほど申し上げた性感染症とか望まない人工妊娠中絶、これが低年齢化しているということ、そこをとらまえますと、社会の変化、さっき携帯電話のどうこうというのがありましたけど、出会い系サイトによるどうこうという問題の発生などもあります。そういう時代の状況の変化にしっかりついていける、あるいはそういう状況の中で育っている子どもたちにきちんと寄り添えるような、そういう教職員の能力といいますか、これがやっぱり求められるというふうに思います。
改めて、教職員の性教育を推進するための研修ということで、今後どのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。
○近藤指導部長 性教育は人間形成に深くかかわる内容でございまして、学校全体で組織的、計画的に取り組むことが重要でございます。そのためにも教職員の研修が大変大切であると考えております。
現在、東京都教職員研修センター等におきまして、健康教育や体育、学校保健等の研修会で性に関する内容を取り上げて研修を進めているところでございます。
今後とも、こうした研修の充実を図るとともに、「性教育の手引」の配布に合わせまして説明会なども行い、教職員の性教育に関する資質の向上を図ってまいりたいと考えております。
○河西委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
もう一つ、この手引に直接関係するかどうかはちょっと私自身もわかりかねますけれども、私どもの若いころ、幼いころと、片方で全然状況が違っている。でも、例えば男性と女性の性行為の問題にしても、あるいは性に対する認識にしても、やっぱり基本的なところは変わらないだろうというふうに思っているんですね。それで、それを学校教育の現場、あるいはこういう議会等々で赤裸々に議論すること自身が何かためらわれる、こういう認識もまだまだあるわけですけれども、私は、先ほど申し上げました新聞報道で、HIVの感染が低年齢化しているということ、それから性交渉そのものがさまざまな健康被害の原因になっているというような指摘に接しますと--一方では、あるべきではないという議論もあります。若いころ、小中学生、高校生がみだらな性とかいうことで、性交渉そのものを否定する、そういう視点に立った議論もあります。それもわからないではないのですけれども、現状として、そういうことによる結果として人工妊娠中絶がふえ、母体が破壊される、あるいは心まで傷を負う。これは女性だけではなくて相手方の男性もそうでしょうけれども、そういう現状等々を見ますと、東京都では「ラブ&ボディー」のあの本を実際には中学校現場では使わなかったというご報告も受けているところなんですけれども、また、ピルが一番いい避妊具だとか、いやコンドームがいいとか、そういう議論もさておいて、私は、現実にそういう被害を受けている中高生がいるんだったら、そこはとめなきゃいけないというふうに思うんですね。性交渉をするなといっても、それはしているわけです。その結果、そういう被害が現に出ているわけです。その被害の重要性について認識をしない中高生がいる。こういう中では、私は避妊の方法等もやっぱりきちんと教えていくということも一方では必要じゃないかというふうに思っているんです。
私の経験で申し上げて申しわけないんですが、海外で薬物中毒がすごく広がって、しかも注射器を使い回しにして、それによって感染症がずっと広がっていく。こういう中で、私が行ったのはスイスのチューリヒだったんですが、ちょうど泊まっているホテルの横に大きな公園がありまして、そこが、薬の売買を含めて、回し打ちというのでしょうか、そういう場所になっているということで、現場をたまたまホテルから見たんです。そのとき、あちらの方は、保健関係の行政の方でしたけれども、薬は悪い、回し打ちするのも悪い、だけど現にあるんだから、感染を防ぐために新しい注射針を配るという対応策もやむを得なかったというお話を聞いて、かなり前の話なんですけれども、この問題を考えるときずっと、いつも思い出すんです。現に中高生で性交渉によって感染症に罹患したり、あるいは望まない妊娠で中絶を行うということによるリスクを防ぐ手だてを、私は、同時に子どもたち、当事者にきちんと認識させるということも必要ではないかなというふうに思っているところです。
具体的にどうされるのかというのは、今お答えいただきました性教育の推進というところで、手引も含めてお知恵を絞っていただいて、実害をなくすという視点でも取り組みをお願いしたいというふうに思っています。
それから、この問題では最後になるんですけれども、先ほど申し上げました性のはんらんですとか社会状況の変化等々、感染症の罹患率の増加や中絶の低年齢化など、増加傾向にある背景について五点にわたってお話しいただきました。
私は、もう一つ大事なのは、やっぱり男女の望ましい人間関係のあり方、具体的にいえば、異性をきちんと尊重する、そういう男女平等の価値観、お互いをお互いに尊重し合う、そこら辺の価値観の徹底というのも、性教育に取り組むときには不可欠であろうというふうに思います。
男女平等教育の推進の状況について最後にお伺いしておきたいと思うんですけれども、その実態と基本的な考え方についてお伺いいたしておきます。
○近藤指導部長 男女平等教育は、性別にかかわりなく個人として尊重される男女の本質的平等の理念を児童生徒に理解させ、その具体化を図ることが極めて大切であると考えております。
現在、各学校では、社会科や家庭科、道徳などの教科等において男女平等教育を計画的に進めておりますが、学校全体としての取り組みが必ずしも十分ではないため、今後とも都教育委員会は、各学校が組織的、計画的に指導するよう助言してまいりたいと考えております。
○河西委員 ですから、今、学校における性教育と男女平等教育というのは表裏一体といいますか、有機的に連携を図りながら進めていくことが非常に効果が上がっていくんだろうというふうに思っています。
東京都は既に、男女平等教育につきましては、平成元年から今年度まで十四年間、男女平等教育推進校を指定して、例えば小学校では十校、中学校で七校、高校では十四校、盲・聾・養護で五校、幼稚園も含めると、幼稚園で六校、こういう推進校指定の実績をお持ちでいらっしゃいます。私は、この実績の上に立って男女平等教育をしっかりと進めていっていただきたいと。そのもとにありますのは、東京都がつくった男女平等参画基本条例だというふうに思います。そのもとにつくられた行動計画でもうたわれています、教育の分野での男女平等教育の推進というのは、きょうは触れませんけれども、具体的に混合名簿の導入ですとかを含めて、都みずからがつくった計画の中にも盛り込まれているわけですので、そういうことでぜひ男女平等社会の実現、その中での平等教育、性教育、こういう位置づけで、ぜひことしの手引の改訂あるいは性教育の推進に取り組んでいっていただきたいということを申し上げて、次のテーマに移りたいと思います。
二問目は、学校におけるシックハウス症候群の問題についてでございます。
多摩地域の小学校、これは私の地元の調布市の市立調和小学校のケースなんですが、シックハウス症候群の問題が発生しましたことについては、もう新聞報道も行われておりますので、委員の方々も十分ご存じのことだというふうに思います。
少し説明させていただきますと、調布市立調和小学校は、旧小学校を統廃合して調和小学校として九九年四月に開校して、昨年の七月には、公立小中学校として全国で初めてPFI事業によって新校舎を建設いたしました。けれども、新校舎が完成した七月と翌八月に事業者が実施した化学物質の濃度の調査で、国の学校環境衛生基準を定めた基準値を上回るホルムアルデヒド、これは二カ所から、トルエン、十一カ所から検出されました。
これを受けまして調布市の教育委員会では、二回の測定の間に化学物質の濃度が低下しているということから、授業開始までさらに改善されるんだろう、こういう見込みで、当初予定どおり九月の二日から新校舎での授業を開始いたしましたけれども、児童の一部が頭痛や目の痛みを訴えたことから、学校におけるシックハウス症候群の発生が大きな問題となっていったわけでございます。
調布市の教育委員会がNPO法人の協力をいただいて児童の健康診断を実施しましたところ、新校舎を使用開始した九月の時点ではシックハウス症候群が発生していた可能性が極めて高いということがわかりました。また、同小学校の校長先生が保健所にシックハウス対策についてご相談し、保護者の協力を得て、授業時間以外にも教室の換気を行うなどの対策を行った結果、現在は新たにシックハウス症候群が発生するおそれは少なくなったというふうに見られています。
このような学校におけるシックハウス症候群の問題の重要性を見てみますと、私は平成十四年の第四回定例会一般質問でこの問題を取り上げさせていただきましたが、その質問の中で、一つは都立学校における室内化学物質対策についてお尋ねし、もう一つは、室内化学物質対策に関する区市町村の教育委員会への都の支援についてお尋ねし、教育長から力強いご答弁をいただいたところです。
この委員会におきまして、先日ご答弁いただきました内容について、その後どうなったのか、現時点での実施状況、そして今後の取り組みについてお尋ねをしていきたいというふうに思っています。
初めに、都立学校における室内化学物質対策についてお伺いしたいと思います。
昨年の第四回定例会においてご答弁もいただいておりますが、過去十年以内に改善等を行った都立学校について、計画的に室内化学物質濃度の測定を行っていくということでしたが、具体的な測定計画についてお伺いしておきたいというふうに思います。
○比留間学務部長 シックハウス症候群の原因になります化学物質につきましては、使用する建築材料や塗料、接着剤が主な発生源でございまして、校舎等が比較的新しい場合に発生することが指摘されております。
このため、新築、改築等を行う学校については、平成十四年度、本年度から、国の基準に基づき、竣工時に施工業者等によるホルムアルデヒド、トルエン等の室内化学物質濃度の測定を実施することといたしました。
また、過去十年以内に改築等を行った都立学校につきましては、来年度から室内化学物質濃度の測定を開始いたしまして、平成十七年度までの三カ年を目途に調査を実施していく、こういう予定でございます。
その他の都立学校につきましても、室内化学物質が発生しやすいとされておりますコンピュータールーム等の特別教室や、近年、室内環境に影響を及ぼすような改修を行った教室等について、本年夏に、簡易な測定方法を用いましてホルムアルデヒドの測定を行ってまいります。
○河西委員 昨年の四定で、十年以内に改築等を行った都立学校については全部測定するんだよというご答弁をいただいて、各区市の教育委員会の方でも、うちはどうだろうかということで問題意識を強くしていただいたという報告を幾つか聞いております。東京都が先行的に計画的にこの測定を行うということはとても大事ですので、その結果報告も公表するということでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っています。
それから、室内化学物質対策についてのマニュアルを作成して、説明会や研修会を通して周知を図っていくというご答弁もいただいていたわけですけれども、具体的な内容についてお伺いさせていただきます。
○比留間学務部長 学校において室内化学物質対策を効果的に実施するためには、学校の環境衛生検査に携わる学校薬剤師や児童生徒の健康管理にかかわる教職員が、シックハウス症候群について正確な知識を持って適切に対応する必要がございます。
このため、室内化学物質についての基本的な知識や教室における適切な換気方法、化学物質を発生するおそれのある製品の情報等について、シックハウス症候群が発生しやすいとされております夏前ということで、本年六月を目途にマニュアルとして取りまとめまして、各学校に周知してまいります。
○河西委員 この対策マニュアルは、シックハウスを防止するということから考えますと非常に参考になると思います。完成した折には、ぜひ区市町村教育委員会にも送付されるように強く要望しておきたいというふうに思います。
次には、区市町村への具体的な支援についてお伺いしたいんですけれども、学校建築等における材料あるいは工法の技術指導、これに関する相談会を開催するということでしたけれども、その状況についてお伺いいたします。
○比留間学務部長 区市町村教育委員会の施設担当者などを対象に、学校新築、改修等に関する建築材料、工法や技術についての情報を提供することを目的といたしまして、本年二月五日に東京都教職員研修センターにおきまして、公立小中学校施設のシックハウス対策講習会を開催したところでございます。
学校の工事等に係る質疑応答や意見交換とあわせまして、化学物質の発生量を減少させるための建築材料の選定方法や換気の方法、施工の方法等について説明することによりまして、シックハウス対策の重要性について周知徹底を図ったところでございます。
この講習会につきましては、参加者から、学校におけるシックハウス対策の必要性について理解が深まったというようなご意見もいただいておりますので、来年度以降も開催をしていく予定でございます。
○河西委員 この調布の調和小学校のケースも、事件が発生して被害者が出て、改めて化学物質の人体への被害ということ、特に、大人よりも被害を大きく受けるであろう子どもに対する化学物質の被害について改めて認識をした。それがわかってからの調布市の教育委員会、学校関係者の取り組みは、非常に頑張ったというふうに私は認識はしているんです。
この講習会、成果があったというご答弁がございましたが、まず、いかに恐ろしいことなのか、あるいはどういう被害がどういう形で出てくるのか等々の基本的な認識を関係者全員が熟知するような、ぜひそんな工夫をしていただきたいなというふうに思っています。
次は、室内化学物質の検査方法や健康への影響について、この研修も非常に大事だというふうに思っています。この研修の充実を図るということをご答弁いただいておりましたが、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○比留間学務部長 東京都教育委員会では、毎年度、校長、教頭を初め教職員を対象に、児童生徒の健康づくりに関する専門的な知識や情報の提供を目的とした研修会を実施しておりまして、本年夏に開催いたします研修会において、学校におけるシックハウス対策を取り上げて、広く教職員に周知徹底を図ってまいります。
また、来年度、東京都教職員研修センターにおいて実施いたします養護教諭を対象にした専門研修の中でシックハウス症候群を取り扱いまして、児童生徒の健康に直接携わる養護教諭の理解を深めてまいります。
さらに、本年度中に、小中学校を含めた公立学校の学校薬剤師等を対象とした講習会につきましても実施いたしまして、学校環境衛生の基準や検査の方法、化学物質対策等に係る具体的な情報を提供することを予定してございます。
○河西委員 よろしくお願いいたします。
最後に、ちょっと視点が変わりますけれども、学校におけるシックハウス症候群による健康被害、これに対する災害共済給付の適用についてお伺いしておきたいと思います。
今回、調布の調和小学校でも何人かの子どもたちが病院に行って診断を受け、治療をしております。その費用に関係することでございますが、この共済給付の適用についてお伺いしておきたいと思います。
○比留間学務部長 学校の管理下におきます児童生徒の災害につきましては、日本体育・学校健康センターが、学校の設置者である各教育委員会との災害共済契約に基づきまして、医療費などについて必要な給付を行っているところでございます。日本体育・学校健康センターからは、学校の新築等に起因するシックハウス症候群による健康被害につきましても、原則として災害共済給付の対象になるというふうに聞いております。
○河西委員 ただ、ここで一つだけ申し上げておきたいのは、シックハウス症候群だという診断書をきちっと出せる医療機関というのが大変少ないということを聞いております。個名を挙げるのはあれですけれども、東京でお願いできるのは、近隣を含めて三病院ぐらいだろうというふうにも聞いておりまして、その診断書がないと本来給付が受けられないわけですけれども、幾つかの条件をクリアすれば、はっきりシックハウス症候群という診断書がなくてもこの給付金を受けられるという判断で取り扱いをしているようでございます。
そこで私は、これは病院経営本部の話になるかと思いますけれども、都立病院の中でやっぱりこれの診断書が書けるということも、今後そういう医師の確保なり研究の力をつけるということも必要なのかなということを、現場でお話を聞いていて感じました。そういうことも教育委員会の方から、教育庁の方から担当局の方に機会があったらお伝えいただきたいなというふうに思っています。
もう一つは、定期検査の費用なんですね。調布市でも、市内の二十八の学校を全部やってみようというふうに教育委員会は考えているようでございまして、その費用についても何とかしなきゃいけない。けれども、重要なことなので、それは考えたいというふうにお話をされていました。
それぞれの区市町村でも、財政状況から、この定期検査をやっていくのは非常に苦しい状況があるというふうにも聞いております。こういう状況を踏まえて、定期検査の費用負担等については東京都もお考えいただきたいんですが、東京都として国にご要望するということも必要じゃないかなというふうに私は思っています。
また一つ、調布市調和小学校では、測定はきちんとやるけれども、その原因を特定して、特定されたら、それを何とか対策をしなきゃいけませんから、除去をすることで、また改築等も必要に迫られてきます。そんな費用も、せっかく借金を減らしてきたのにまたここで新たな起債を起こすのかなというお話もあるんですけれども、そういう費用負担についても、都としてできることがあればご検討いただきたいな、そういう意味での区市町村のバックアップ、支援ということもお考えいただきたいなというふうに思っています。
それからもう一つは、身近にある公立の保健衛生機関としては保健所でございますので、学校の方からすぐ保健所にご相談して、測定にも協力していただいたという経過がございますけれど、多摩の保健所、現在十二の保健所が五つに統廃合されるという計画を都はお持ちで、四月の統合はちょっと先送りになっておりますけれども、そういう状況の中で、逆に保健所の機能の強化ということも、このシックスクールの問題を通して考えますとあるのかなということを、この調布のケースをずっと経過を振り返ってみても強く感じているところでございます。これも健康局の所管になるんだろうと思いますけれども、関係局と連携をとっていただきたいということを申し上げたいと思います。
ほかにもいろいろ要望はあるんですけれども、学校だけではなくて、保育園とか幼稚園とか、あるいは高齢者のいる施設ですとか障害者施設ですとか、そういうところでの化学物質の被害というのは、健康な大人の被害に比べると大変に大きいわけでございます。今回、食品の問題ではリスクコミュニケーションという考え方を東京都も取り入れるということになりますが、この化学物質についての許容限度というのは個々違うわけでございまして、そういう観点からいきますと、学校だけではなくて福祉施設、子どもの施設等でも必要だということになりますので、学校でのこういう具体的なケースの教訓を他局へも何らかの形で生かしていけるようなご努力もあわせて要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○石川委員 最初に、十五年度の東京都重要施策の重点事業として、東京都教育ビジョンの策定が選定されております。そして、教育庁の予算案の中に一千万の予算が計上されておりますので、このビジョン策定の目的とスケジュール、そして一千万の経費の内訳についてお示ししていただきたいと思います。
○石川教育政策担当部長 まず、教育ビジョンの策定の目的でございますけれども、現在、東京都で行っている次代を担う子どもたちの育成という視点の行政というのは、ご案内のとおり、学校教育あるいは社会教育、さらには関係の部局でそれぞれ行っているというのが現状でございます。
また、次代を担う子どもの育成という観点からすれば、子どもが生まれてから一定の年齢になるまでの連関性というのが当然あるわけでございますけれども、個々具体的な所管で行っているのは、それぞれの年齢に応じた、それぞれの社会状況に応じた施策をとっているわけでございまして、それらが個々独立した形で行政を進めていく、施策を進めていくということは、次代の子どもを育成するという観点からは必ずしも効果的ではない、このように考えております。
そういうことから、各局で行っているそれぞれの施策を有機的に結びつける基本的な方向を示すものとして教育ビジョンを策定したい、このように考えているところでございます。
また、一千万円の予算計上をなされているわけでございますが、その内訳といたしましては、調査委託経費が五百万円、印刷経費が約三百五十万円、外部講師謝礼が約四十万円などとなっております。
さらには、今後のスケジュールということになりますが、十五年度の事業ということで、最終的には十六年の一月を目途に具体的な方策をまとめて、都民の前にお示ししたいと思っておりますけれども、その過程におきましては、教育関係者を初め議会の方々、さらには広く一般の都民の方々からご意見を伺い、途中で中間のまとめというようなことを都民の方々に広くお示しし、その方々のご意見を踏まえながら検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
○石川委員 東京の教育は、ご案内のとおり、公教育と私立、私学が相助け合いながら進んできているわけですけれども、このビジョンの中には私立、私学の考え方はどんなふうにとらえているんでしょうか。
○石川教育政策担当部長 先ほど申し上げましたように、この教育ビジョンというのは、個々のそれぞれの所管で行っている事業を有機的に結びつけなければ意味がないというふうに考えております。その中には当然、公教育の一端を担う私学というものも忘れてはならない重要なセクションであるというふうに考えておりまして、今後検討するに当たりましては、それらも視野に入れながら進めていきたいというふうに考えております。
○石川委員 経費の中に調査委託費五百万円が計上されておりますけれども、ビジョン策定に当たってどのような調査を実施する予定ですか。
○石川教育政策担当部長 教育ビジョンの策定に当たりましては、二十一世紀の東京の創造的な発展を担う子どもたちを育てる、こういう観点から、家庭、地域あるいは学校など、子どもたちを取り巻く社会の現状及び将来展望、さらには行政への期待、要望など、子どもたちの育成に関する都民の意識を調査いたしまして、教育関係者からの意見を聞き取り、その結果を合わせて教育ビジョンの検討の基礎資料としたいというふうに考えております。
○石川委員 教育の現状について語られる際に、学校、家庭、地域の教育力の低下が、子どもたちの学ぶ意欲の低下、公共心、倫理観あるいは規範意識などの希薄化を招いているとの指摘がされるのが常でありますけれども、私は、必ずしもこれらの指摘は実証的な根拠に裏づけられたものではないと思っております。特に、家庭や地域の教育力の現状については、教育ビジョン策定に当たってしっかりした客観的なデータを踏まえた検討、議論が必要ではないかと思いますが、ご所見を伺います。
○石川教育政策担当部長 学校、家庭、地域の教育力の低下ということがいわれて久しいわけでございますけれども、ご指摘のとおり、児童生徒を含めまして、都民を対象として、まとまった形での教育の現状あるいは将来展望など、教育の全般につきまして例えば意識調査というようなことを実施したことはございません。とりわけ、家庭でありますとか地域における教育力につきましては、今後その向上を図っていく上で、正確な現状あるいは都民ニーズを踏まえた課題の分析とその方向性の検討が重要であるというふうに考えております。
○石川委員 これまで教育行政はともすれば学校教育に偏り過ぎていたといっても過言ではないと思います。子どもたちの豊かな人間性をはぐくむためには、家庭や地域をこれまで以上に重視し、福祉や医療など、他の領域と連携した取り組みも必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○石川教育政策担当部長 子どもたちの豊かな人間性をはぐくんでいくためには、家庭、地域、社会の果たすべき役割というのは非常に大きい、このように考えております。また、学校、家庭、地域の連携はもとより、福祉、医療、産業など、子ども、青少年の支援あるいは人材育成にかかわる関係者との連携についても重視していく必要がある、かように考えております。
教育ビジョンにおきましては、こういう視点に立って、教育、福祉、医療、産業など関係局による組織横断的なプロジェクトチームを設置いたしまして検討を進めていきたいと考えております。
○石川委員 一方、都は現在、全庁的な取り組みとして心の東京革命を推進しているところであります。その取り組みは、主として青少年の健全育成にテーマを絞った行動計画だと理解をしているところであります。
一方、今回の教育ビジョンが掲げるのは、二十一世紀の東京の発展を担う人材育成ということであります。一人一人の子どもの能力を伸ばし、人格の完成を目指すとともに、国家社会の構成員として有為な人材を育成していくためのビジョンともいえるわけであります。そうした観点に立ったときに、今後は、幼児期における教育や教育的支援を重視していく必要があるのではないでしょうか。
例えば、本会議でも述べましたけれども、読み聞かせなどの読書活動による情操教育など、幼児期から豊かな心をはぐくむ教育を、家庭、学校、地域社会全体が連携して取り組む仕組みづくりやその支援を今後重視していくべきと考えますが、教育ビジョンではどのように考えているのか伺います。
○石川教育政策担当部長 心の東京革命では、委員ご指摘のとおり、子どもたちの健全育成をテーマとして取り組んでいるところでございます。
一方、来年度策定いたします教育ビジョンにおきましては、二十一世紀を担う人材育成をねらいとして、幼児期から青年期までの発達段階をトータルにとらえた教育改革のビジョンでございます。
お話のように、幼児期の教育は、基本的な生活習慣あるいは善悪の判断、思いやりや心の規範意識など、豊かな人間性の基盤を形成していく上で重要な教育でありますことから、家庭教育の支援も含め、そのあり方について検討してまいります。
○石川委員 一年間という限られた時間でございます。また、多くの都民の皆様がこのビジョンに期待しておりますので、ぜひ多方面、多角的な立場から、都民の皆さんが納得するビジョンを策定していただきたいと思っております。
次に、エンカレッジスクールの入選結果についてお伺いいたします。
学区制が廃止された中で行われました平成十五年度の都立高校の入学選抜では、学力重視を打ち出した進学指導重点校や体験学習などを取り入れたエンカレッジスクールに多くの志願者が集まり、また、都立高校全体の応募者も増加してまいりました。都民に信頼され魅力ある都立高校づくりを目指すという都立高校改革の成果が、ようやく都民に支持されつつあるのかなと受けとめているところであります。
特に注目すべきは、課題のある生徒を受け入れ個性や能力を伸ばすことを目指す、エンカレッジスクールの応募倍率が高いことであります。こうした学校を設置することは、我が党としてもその必要性を主張してきたところであり、一定の成果があったと理解はしておりますが、都教育委員会ではエンカレッジスクールの応募倍率についてどのように分析、評価しているのか伺います。
○山際都立高校改革推進担当部長 エンカレッジスクールに指定しました二校の応募倍率についてでございますけれども、分割前期募集におきまして、男子で定員の二倍、女子で定員の三倍を大きく上回る応募状況でございました。また、推薦入試で不合格であった生徒のほとんどが再び分割前期募集に応募しているというふうに聞いておりまして、エンカレッジスクールへの生徒及びその保護者の期待の高さが応募倍率に反映したものというふうに受けとめております。
○石川委員 生徒や保護者がエンカレッジスクールに対しまして高い期待を寄せているとなりますと、このような倍率になるとあらかじめ想定しておりましたでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 指定した二校の学校説明会への参加人数が、前年の約二倍あるいは三倍であったことなどから、エンカレッジスクールに対する関心の高さはうかがえたところでございまして、私どもも一定の応募倍率があるのかなというふうに考えておったところでございます。しかし、分割の前期募集におきまして都立高校全体の応募倍率の最上位になるということについては予想はしておりませんでした。
○石川委員 ところで、エンカレッジスクールは、既設の高校を指定したことにより、教育課程が異なる一年生と二、三年生がいわば同居する形態になります。学校行事や部活動あるいは生徒会活動等の教育活動については全校一致体制で行うこととしておりますが、また、昨年六月に指定して四月から実施に入るというかなりスピードのある改革となりました。これまで入学してきた二年生や三年生との間に亀裂が生じることは、あるいはそうした課題はありませんか。
○山際都立高校改革推進担当部長 委員ご指摘のように、一年生あるいは二、三年生が同居するというような形になるわけでございますが、しかし、例えば学校行事あるいは生徒会活動、これらにつきましては全学年が一体で行うということ、あるいは時間割の工夫、さらには教職員間の連携を図ることなどによりまして、学年間のあつれきは生じることはないというふうに考えております。
○石川委員 ぜひそうしたことが生じないように最大限の努力をお願い申し上げたいと思います。
さて、この人気の高さなどから見て、エンカレッジスクールに対する都民の期待の高さが明らかになりました。こうした期待にこたえていくためには、入学した生徒の志望動機等を十分に把握するとともに、二校の実績等を踏まえて指定の拡大を図るべきと考えますが、所見を伺います。
○山際都立高校改革推進担当部長 エンカレッジスクールの指定の拡大についてでございますが、ご指摘のとおり、入学した生徒の志望動機や、あるいはパイロットスクールとして指定した二校の実績等を踏まえることは重要と考えておりまして、このため、本年四月に入学する生徒及びその保護者に対しまして、志望動機等を把握するためのアンケート調査の実施を予定しているところでございます。
こうした調査結果、あるいは今後の教育活動の実施状況を踏まえるとともに、中学校関係者からの意見聴取を行った上で、今後の指定について決定することになるわけでございますが、現時点では、昨年三月に教育課題校検討委員会の報告を出しましたが、その検討結果に基づき、地域バランスを考慮して全都で五校程度指定していく、そのような考え方でございます。
○石川委員 ぜひ五校の実現を目指してご努力をお願い申し上げます。
次に、狛江市地区協の結果について伺います。
昨年の四定の文教委員会において我が党の中嶋理事が、平成十二年度に問題となった、正規の手続を経ずに行われた勤務時間内職員団体活動の都教委の調査において、狛江市教育委員会が問題はないと報告した件について質問をいたしました。また、この件については住民監査請求も出されました。教育長が当時不在であった狛江市教育委員会が、あたかも調査結果について都教委のお墨つきをもらったかのような発言を狛江市議会で繰り返していたことについても、中嶋理事が質問をしたところであります。
その中で、この調査について都教育委員会は不適正な手続はないと判断したのかという問いについて、人事部長は、法律上、県費負担教職員の服務監督権者である狛江市教育委員会からの報告であり、不適正な手続はないものと判断したとの回答がありました。都教委が直接調査したのではなく、服務監督権のある狛江市教育委員会が調査し、都教委に報告したことが明らかになりました。またさらに中嶋理事の、そうなると、狛江市教育委員会が都に虚偽報告をしたか、事実が判明した後も都教委に報告をしなかったことになる、また、都からの調査に対してずさんな調査を行い都に報告を行ったとも聞いている、このことが事実なら、都教委は今後どう対処するのかという質問に対して、監査請求が出されたとの連絡を受け、狛江市教育委員会については事実確認をするため調査を行っている、今後、調査結果を検討し、不適正な事実があれば厳正に対応するとの答弁がありました。そこで、その後について報告するよう求めたところでありますが、これまでの経過と結果について伺います。
○臼井人事部長 狛江市教育委員会に対しまして昨年の十一月以降計三回の調査を行いました。その結果、二十七名の教職員について不適正な手続であったことが判明いたしました。
その内訳でございますが、休息時間の事前申請不備の者が二十五名、休息時間の事前申請不備で、かつ無届けで参加した者が一名、無届けで参加した者が一名、合わせて二十七名でございまして、なお、この二十七名につきましては現在、給与減額の手続を行っているところでございます。二十七名合計の総減額時間数と総返納金額は、平成十五年二月二十四日現在で八十五時間、二十四万四千七百五十七円という報告を受けております。
○石川委員 平成十五年四月から、改正されたながら条例が施行されます。今まで、給与返納問題や都教組北多摩東支部の問題など、ながらを取り巻く問題が全都地区協で問題が起こっております。
新年度からは、交渉と一体とみなすことができる機関運営のみについては認められる。教育庁の場合、本部の機関運営の一部が認められる。問題のあった支部等の機関運営への参加は一切、職免、給与減免を認めないということであります。今までと違うところは、交渉を前提とした機関運営のみが認められるわけで、交渉事項がない場合は当然機関運営が認められないこととなります。この機関運営についても、勤務時間内に行われる以上、どんな会議を行ったか、職員団体に資料等を求めることは当然可能であると考えます。都教委は、給与支払い者として厳格な取り扱いを行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○臼井人事部長 今ご指摘のありました、勤務時間内の機関運営においてどのような内容の会議を行ったかを確認するため、その会議資料等を提出させることは、給与を払っている以上当然のことと考えております。
また、適法な交渉の範囲といたします職員団体の機関運営は、あくまでも交渉との関連において認められるものでございまして、個別の機関運営の開催に当たりましては、事前に議題を確認するにとどまらず事後にも内容等を確認するなど、職務専念義務免除及び給与減額免除の承認についても厳正に対処し、万全を期してまいります。
○石川委員 最後に、水元青年の家について、これまで本委員会において、二度にわたる請願審査の中で廃止問題の議論をしてまいりました。東京都教育委員会は、同施設が建設後三十数年を経過し、建物及び設備の老朽化と、宿泊室や活動室など機能面でも現代の青少年が求めるものに十分こたえ切れないとの課題があり、新たな青少年施設の建設が急務となり、青年の家再編整備方針を策定しました。この方針に基づき、青年の家を再編整備し、新たな青少年社会教育施設として、ユース・プラザを区部と多摩地域に一カ所ずつ建設することとなり、このうち区部ユース・プラザは、水元青年の家の廃止に合わせ平成十六年三月三十一日にオープンする状況にあります。
しかし一方では、水元青年の家に対する深い思いのある皆様から、今回の請願にもあるように、施設の存続を求める要望があることは十分理解できます。
そこで、私からぜひ二つほど意見を述べさせていただきたいと思います。
一つ目は、新たに開館する区部ユース・プラザのことであります。
区部ユース・プラザは、江東区夢の島に新たに宿泊施設を建設するとともに、既存の夢の島総合体育館の施設を一部改修しオープンするわけですが、水元青年の家と比べ、宿泊定員が百名ふえ、一度に二百五十名まで宿泊することが可能となります。水元青年の家では兼ね備えていなかった設備として、エレベーターの設置や可能な限り段差をなくすなどバリアフリーにも力を入れて、身体障害者の方々にも安心して利用いただける施設となっています。
こうした二百五十名の宿泊定員と体育施設など機能が充実した施設であれば、学校が宿泊を伴う球技大会や自然体験活動などを実施することで、日ごろ学校での取り組みが難しい、子どもたちの集団の中におけるルールやマナーの習得など、基本的な生活習慣を身につけることに役立ててほしいと強く思うものであります。
こうしたすばらしい施設であることを考えれば、多くの都民の皆さんに利用していただくほかにも、学校と連携を図り、子どもたちにとって有意義な活動の場となるよう、さらに教育庁が努力するよう求めたいと思います。
二つ目は、多くの皆さんから水元青年の家の存続要望が出されていることを考えると、今回廃止が決まったとしても、廃止までにはまだ十分期間が残されております。その間に、地元区や関係機関等の声を真摯に受けとめ、施設の有効活用等について話し合っていただきたい。しかし、場合によってはこの期間で解決できないことも考えられますので、廃止の時点で話し合いを打ち切られることがないよう強く要望し、私からの意見表明とさせていただき、質問を終わります。
○曽根委員 初めに、今の石川委員の質問とちょっと関連なんですけれども、狛江のながら条例違反、不適正なあれがあったということで、ちょっとわからないのでわかりやすく教えてほしいんですけど、休息時間の事前申請違反ですか、これって要するにどういう、ある先生がこういう違反をしたというのは、大体どういうようなことが想定されるんですか、具体的にいうと。
○臼井人事部長 休息時間につきまして具体的に申し上げますと、午後四時に出かけていきまして、四時四十五分から十五分間の休息時間、これは勤務時間ですので、その手続がなされていない、こういう事実でございます。
○曽根委員 ちょっとわからないんだけれども、四時から四十五分まではいいわけね、出かけても。四十五分から十五分間、五時まで、これが勤務時間なの。四十五分まで行って、そのまま五時までいない場合は十五分間の届けが必要ということですか。
○臼井人事部長 四時から四十五分間は休憩時間で、その後休息時間は勤務時間ですので、その手続をとらないで……(「休憩しっ放し」と呼ぶ者あり)そういうことで、その時間を合わせると、ああいう合計時間になるということでございます。
○曽根委員 昼休みは給食指導で仕事になっちゃっているものだから昼休みはないわけですね、担任は。そういうことで四時からの休憩時間があるのかなと思う。休憩というのは外に出られる時間ですよね。休息というのは学校内にいなきゃならない時間なのかな。だから、最後の十五分間に学校に戻っていなければ、その時間は違反なんだね。わかりました。そういう違反が二十五人あったということね。これが大半ですね。わかりました。
それから、もう一つなんだけれども、今後、ながら条例が実質的に交渉に絞られてきたわけですよね。昨年、労使合意があった。これは私たちも尊重するという立場で、条例についても賛成をしました。
ただ、先ほど部長がお答えになった中で、時間内に行われる労組の活動、これは交渉に直結したものでなければならないと。しかも、その中身については、時間内で給与支給の中でやるんだから、事前に会議の内容を全部というか、要するに何をやるのかということをチェックしたい、会議が終わった後も、それがそのとおりやられたかどうかを再チェックしたいという話があった。これは労使合意の中に入っていることなんですか。
○臼井人事部長 先ほど申し上げましたとおり、個別の機関運営に当たりましては、事前に議題を確認するにとどまらず事後にも内容を確認するなど、職務専念義務及び給与減額免除の承認について厳正に対処し、万全を期していくというふうにご答弁申し上げましたけれども、今後、具体的な手続等につきましては職員団体と協議をしていきます。
○曽根委員 これは大事な問題だから確認したいんだけど、そうすると、労使合意にはなっていなくて、これから協議ということね、このことについては。つまり、労働組合の活動全般についてこれをやったら、労働組合の自立性なんかないわけですよ。勤務時間の中についてはこれをやりたいということでしょう。これはこれから協議なのね、労組団体と。
○臼井人事部長 先ほどご答弁しましたように、今後協議をしてまいります。
○曽根委員 今まで教育庁は、私の知る限りは、労使合意が調ってもいないのに、こうやりますとさっき断言したわけですよ。やりたいと考えているからこれから協議するなんていう答弁じゃなかったんです、さっきは。これは労使の話し合いを前提にしなきゃならない問題だと思いますよ。労働組合活動の根本にかかわる問題。中身を全部さらけ出さなきゃならないとなったら大変なことになるわけですよ。
ただ、時間内の問題については、確かに労働組合側にも、給与をもらいながら活動する以上は一定の責任が生じるということはあり得るでしょう。だから話し合いは前提になるかもしれない。しかし、まだ話をこれからやるというのに、もうやりますということを先ほど答弁されたので、これはおかしいというふうにいわざるを得ないと思うんです。基本的なこういう労使間の条件にかかわる問題は、やっぱり労使でちゃんと話し合って、一定の合意ができてから議会の中で態度表明をすべきだということは、これは私は意見として申し上げておきますからね。
それでは、予定されていた質問に入りたいと思います。(発言する者あり)うるさいな。
少人数学級についてお聞きします。
私、代表質問の準備の中で、少人数学級をいち早く実践した長野県の方に行きまして、教育委員会の担当者にお会いしたわけです。そこで、まさかと思ったんだけれども、長野県では、まだ去年の春始まったばかりの三十人規模学級というんですけど、これについて既に、年度が終わらない前に成果をまとめて報告書をつくっていた。行政としてはなかなかできないことですよね。普通は一年終わってからですよ、まとめるのは。それを代表質問の中でも紹介をして、東京都も、全国の流れになっているので、ぜひこういうものを参考にして考えてほしいということを率直に提案したわけです。
私、事前にご紹介してあるので、教育庁の方もこれは多分持っておられると思うので、読んでいただいてどういう感想をお持ちか、これについての評価をお聞きしたいと思います。
○比留間学務部長 長野県は本年度より、小学校一年生で一学級当たりの児童数が三十五人を超える場合には学級担任を一名増配置するという制度を取り入れてございます。
これに関して、今お話がございましたように、長野県教育委員会は昨年の十月に、信州こまやか教育プランの成果等についてという報告書を発表いたしまして、この中で、児童が落ち着いて学習に取り組むようになったり、係活動等の経験回数がふえたなどの成果がある一方、学級に集団のエネルギーが感じられなくなったり、人間関係の固定化が懸念されるなどの課題があるということを報告してございます。長野県教育委員会は今後も、この弾力的な学級編制の成果と課題については検証を行っていくものと考えられることから、都教育委員会といたしましては引き続きその状況の把握を行ってまいります。
○曽根委員 その成果の部分と課題、これで十分なのかという疑問点ですね、両方並列して今お答えになった。確かにそのように書いてあるんですね。
しかし、私、ここで特徴だと思ったのは、成果の方については、一つ、子どもの様子はどうか、二つ目に、担任の先生はどう感じているか、三つ目に、保護者の反応はどうかというふうに三つに分けて、それぞれの角度から、三十人規模学級になった、要するに学校の中で変化した学級ですよね、変化しない学級もあるわけですからね、そういう学級についてかなり細かく調べて、こちらの方は当然のことながら、子どもも落ち着いてきて学習に取り組めるようになったということや、担任の反応も、じっくり丁寧に教えられる、個別指導の時間がふえたなど、先日も紹介したようなことが書かれている。保護者の反応も、全体大変歓迎されているということです。
ところが課題の方については、今お話のあったように、人間関係の固定化が懸念されるとか学習集団のエネルギーが感じられないことがあるというようなことについては、だれがそういうふうに感じているのかが書かれていないんです。ただここに行政として四つほど並べてあるんです。
私は、学校の現場にいる先生や子どもたち、それからそれを見守っている父母の人たち、ここからはこういう声は出ていないと思う。だから、だれがこういうふうに感じているのかということがここに書かれていないというところが、みそかなと私は思っているんですよ。
それで、では実際に学校の現場の方はどうなのかなと、もう少し詳しく知りたいと思って、先生方のアンケートをまとめたものをいただきました。膨大な声、長野県の各学校の先生方ですから、全体で百八十三人の方にアンケートをとって、それぞれがもう相当なことをいろいろ書いてきておられるんですね。もうだれ一人として、こういう学習集団のエネルギーが感じられないなんて答えている人はいないんですよ。やっぱり落ち着いて指導ができるようになったということをいっているんですね。
この報告書の最後にも、これも行政のレポートとしては珍しいんだけれども、最後にちょっと吹き出しが書いてあって、こういうふうに書いてありますよ。先生あのね、と話しかけて、先生が返事をし、お話をしてくれるのがうれしそうだ。休み時間にも多くのことが話せる。一日に数回会話できるのは人数が少ないからだ。帰るとき、先生と握手をして、一声かけてもらって教室を出るのが楽しみらしい。十五分の帰りの会では、子どもが多いと全員にさよなら握手はできない。こういう先生の声があったんでしょうね。それが最後のところで紹介されている。
行政のレポートもなかなかいきなことをやると思うんですが、全体としての行政のレポートでもここまで反映されているわけです。頑張っているなと思いますよ、私は。率直にこれを評価してもらいたいんですよ。やりたくないという立場からばかり見るのではなくて、客観的に見ていただきたい。
それで、長野県と東京都はもちろん違う自治体ですし、こちらは大都市ですよ。長野県にはいろんな市町村がある。それで、東京都として、この少人数学級は採用しないという態度を貫いてきた、そのことについて改めて、地域的な特徴が東京は違うからなのか、財政事情なのか、教育方針なのか、どこが違って、長野や山形や福島や岡山や、その他の二十二の道府県などのような少人数学級への踏み出しはできないというふうに考えておられるのか、お聞きします。
○比留間学務部長 長野県の先ほどの学級編制の弾力化は、長野県としての工夫であろうというふうに考えておりまして、東京都教育委員会は、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要と考えており、一方、基礎学力などの向上に配慮し、きめ細やかな指導を行っていくには、学級とは異なる少人数の学習集団を編成し指導していくことがより効果的であるというふうに考えております。
また、この少人数による指導とあわせまして、小中学校においては、学年進行に伴い学級数が増減する際に弾力的な学級編制に配慮する学級維持制度を導入しているところでありまして、今後とも、こうした方針に基づき教育内容の充実を図ってまいります。
○曽根委員 学級維持制度は、現在の四十人学級の中で最小限ひずみを抑える制度として私たちは評価できますが、本格的な三十人学級には遠く及ばないと思うんです。
今のお話をずっと聞いていると、東京は大都市だからということでもないし、財政が厳しいからということでもない。教育に対する、授業とかそういう具体的な教育の内容に対する考え方の違いなのかなということですね。ここは、お答えがそういうことだから確かなんでしょう。
だとすれば、先日も教育政策研究所の内容も紹介したので、また繰り返しませんが、教育の内容についての考え方、これはかなり違いがあるのは、いろんな考え方があるのは事実なんで、だからこそ、高校で今いろんなことをやっているように、モデル実施とかそういうことがあるわけですね。教育政策研究所も、あるモデルを取り上げて、それを研究している。モデル校というのは、そういう形のものというのはあり得ると思うんです。
それでちょっと私どもで計算してみたんです。いつも教育庁につくっていただく、三十人学級を小中高それぞれ学年進行でやったら財政は幾らかかるのかというやつですね。これでいうと、小学校一年生スタートするだけでも八十六億円かかっちゃう。これは大きいですよね、一年生だけでも八十六億円。非常にハードルは高い。しかし、ではモデル実施ということで北区でやったらどうか、私は北区なんですけれども。そうすると、小学校一年生ふやすのに、先生八人ふやせばできるんですよ。思わず希望がわいてしまうんですけれどもね。そうすると、七千八百万円でできるんですね。そういう希望をする自治体が仮にあって、全額そこは保障してモデル実施をやってもらいましょうと、ある区で。一億円以下でできるわけですね。まあ百歩譲って、そういう自治体は半分出すんならやってもいいよと。四千万円弱でできるわけです、都の負担がね。
私は、そういうことをやって、やっぱりモデル実施--絶対だめ、こんなのやっても全然効果がないという状況ではもうないと思う。どっちがよりすぐれているかという話にもうなってきているわけだから、モデル実施をしてみて、比較して、教育内容なんですから、絶対はないんですから、やっぱりこちらだという実証的な検証をしていく段階に入らざるを得ないと。一日も早くそういうことを考えていただきたい。これは要望にしておきます。
次、障害児の教育のことで、どうしてもこれは緊急課題なのでお聞きしたいんですが、昨年、栄養士さんたちからの請願陳情があって、養護学校の学校給食が民間委託になってからいろいろ事故が多い、もう給食としてまともなものにならない事態になっている、全部じゃないけど、一部の学校でそういう事態が起きているということで陳情があって、私たちもいろいろ聞いたり調べたりしたんです。私が問題提起したのは--つまり教育庁の方は、やや不良は何校かあるけれども、不良、だめの出た業者はいないという結論だったんですね。だから全体としてはうまくいっているんじゃないかという話。しかし、現場の方にお聞きすると、不良を出すわけには絶対にいかない。不良が出るということは、その日子どもが食べないでうちに帰るということになる、障害児が。それは絶対できない。だから、結局は栄養士さんが現場に契約違反を承知で入って、一緒に作業もして間に合わせて、何としても食べさせて帰す。そうすると、どんなに悪くてもやや不良程度の評価。それ以下だったら、もう給食事業が破綻していることになりますから、その学校においては。それはできないという実態があるということを問題提起しました。
これについては、率直に調べてみればわかることだと思うんです。それで、こういう問題、私がいったことを全部認めるかどうかじゃなくてもいいんですけれども、やはり問題はあるというふうな認識に立っているのかどうかと、それならば、今やっている養護学校についても改善が必要じゃないかと思うんですが、この点についての現在の認識と対策について考えがあったらお聞きしたい。
○比留間学務部長 盲・聾・養護学校、障害を持った子どもたちの盲・聾・養護学校における給食というのは非常に重要な位置を占めておりまして、この給食の向上というのは学校としての大きな課題であるというふうに考えております。
今、委託でお話がございましたけれども、委託校だけではなくて直営校も含めて、さまざまな課題を解決して給食の質の向上を図っていくということは極めて重要な課題であろうというふうに思っています。
○曽根委員 二つ一緒に質問したんですが、具体的な課題を抱えている、その課題の解決方法として、具体的にちょっとわかりやすくいってください。
○比留間学務部長 給食の場合、特に安全性の確保というのが非常に重要な課題でありまして、何年か前にO157の問題等もございましたけれども、先ほど申し上げましたように、委託校も直営校も含めて、子どもたちに提供する食の衛生の管理の徹底を期していくということは非常に重要なことでございまして、具体的に東京都教育委員会としても、各学校を直接回りながら、調理室の中も見せてもらいながら、そういう指導を各学校に対してしているところでございます。これは一つの衛生という面の例でございます。
それから、献立等の作成についても、各学校、栄養士さん、給食関係の職員がおりますので、質の向上を図るために具体的にどういう献立をつくっていったらいいか、そういう具体的な相談にも学校に対して応じているところでございます。
○曽根委員 全体にはそういうことをやっていらっしゃるようですが、もう少し具体に聞きますけれども、例えば栄養士さんは、これは委託ですから、指揮監督関係にないわけですよね、調理員さんは民間の業者なんですから。したがって直接指導ができないじゃないかというふうに私は思ったんだけど、そうすると、どうしても文書とか口頭だけでのやりとりでは伝わらないものがある。一緒に直接指導しなければどうにもならない事態というものが起きているというのが、栄養士さんたち、学校職員の人からの訴えであったものですから、それはどうなのかと。それができないと、やっぱり給食としてはまともなものにならないことを防げなくなってしまうということがあると思うんですが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 学校と委託業者の関係につきましては、学校の職員が委託業者の調理員を直接指揮監督することは、これはできないというふうにされております。したがいまして、指示等は文書によることが基本でございますけれども、栄養士が調理室内で調理内容を適宜確認して、緊急を要するとか、こういった必要な場合には委託業者の責任者に対して指導等を行うことはできるというふうにされており、学校に対して今後とも的確な委託管理が行われるよう指導してまいります。
○曽根委員 つまり、責任者に対してであれば指導できると。これは、今やっている、中間検査といって、できかけのものを取り出して、煮えぐあいはどうかとか、かたさはどうかということを検査して、不十分ならばそこでまた指示を出すというのもあるんだけど、それはやっているんですけど、そこから先、もうちょっと具体的に指導する、検査じゃなくてね、そういうことの中でこれができるのであれば、やっぱり今も毎日毎日給食があるわけだから、その改善というのは、私は本当に一歩でも二歩でも、いい給食のために現場に頑張ってもらいたいんですよ、委託との関係でできない限界ぎりぎりまでね。
ただ、結局最終的には、給食の現場で全面的に栄養士さんも入ったり、調理員さんと一緒に協力して、とにかくつくり上げるという全面的な責任を負えないんだよね、これ。私はその限界が非常にもどかしいわけですよ。それは改善はやってもらいたいんですよ。やっぱり六年間やってきて、その限界はどうにも--これは法律上の枠だから、人材派遣会社から人材でも派遣してもらわない限りできないわけですよね、指揮監督は。この限界はやっぱり超えられないんじゃないかなというふうに私は感じているんです。
人間が食べる食べ物で、しかも、のどに詰まらせれば生死にもかかわりかねないという障害児の給食です。ましてやこれから、今三校でしたか、予定しているのは。肢体不自由児といって、流動食を口から流し込むのに、流し込む角度さえ間違ったら大変という相手もいるわけですね、みんながみんなそうじゃないけど。私も江戸川に行って見てきたけれども、そういう相手にこれからやろうというときに、今までのマニュアルからちょっと前に進めました程度じゃ全く間に合わないと思うんですが、肢体不自由については何か対策を考えているんでしょうか。
○比留間学務部長 肢体不自由養護学校の給食調理業務の委託では、摂食機能に障害のある児童生徒が多いことを踏まえまして、調理師有資格者を他の障害の学校よりふやす契約内容とするとともに、障害に応じた調理形態の要点等を記載したマニュアルの作成、実施校の栄養士に対する研修などを実施したところでございます。
また、今後、委託業者が決定した段階で調理員への講習会を行いまして、調理業務委託の円滑な実施と給食内容の一層の充実を図ってまいります。
○曽根委員 マニュアルをつくるということですが、そのマニュアルの中身についても大変心配です。その現場にいる栄養士さん、また栄養士さんの一定のまとまった意見を聞ける場があれば、本当にそれを生かしてもらわなきゃとてもできないし、今のお話の範囲だと、私は率直にいって--これからは形態をいろんな種類をつくらなきゃならないわけです。少なくとも四種類ですか。そこから先、教室に行って、また何十種類に分かれていろんな形で、かたいものから物すごい流動食まで分かれていく。それを最初につくっていく給食の調理室でも、恐らくかなり難しいだろうなというふうに思わざるを得ません。
ですから、私は率直にいって、肢体不自由校に拡大するということは非常に危険だなというふうに、否定的にならざるを得ないんですけれども、今やっている盲・聾・知的養護、ここについて、栄養士さんがかなり一人で奮闘しているという状態が見られるようです。学校給食、なかんずく障害児の学校の給食は、いわば学校の中で一番楽しい、まさに生きているあかしというか、そういう一番盛り上がる時間なので、そこは学校全体としてバックアップしていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 肢体不自由養護学校の給食調理業務の委託を円滑に実施して給食内容の充実を図っていくためには、校長を中心に、栄養士を初めとする学校の教職員全体で取り組む体制を整備することが重要であるというふうに考えております。
都教育委員会といたしましては、学校において給食に関する方針、計画の策定、給食委員会等の校内組織の整備、委託業者との連絡会の設置などが適切に行われるよう、学校を指導してまいります。
○曽根委員 次に、社会教育関係について何点か質問したいんですが……(発言する者あり)五分以内に質問は終わります。
まず第一に、多摩の社会教育会館の機能の見直しで、聞くところによると、看板は多摩社会教育会館とかかっているけれども、来年度から中の職員は一名になるという話を聞きました。職員一名で、あの社会教育会館をどう維持していくのか。率直にいって、多摩の社会教育団体の指導育成の本来の仕事はできないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 運営体制についてでございますが、多摩社会教育会館の組織の見直しにつきましては、平成十三年度の行政評価によりまして会館の抜本的な見直しが求められたことにより、効率的、効果的な運営を図るために実施するものでございます。体制としては、常勤職員を一名配置し、業務遂行に必要な嘱託員も配置し、施設貸出業務に支障が出ないよう体制の整備を行い、従来のサービス水準を維持してまいります。
なお、今年度から、ホームページの開設によりまして、施設の空き状況の提供、学校へのダイレクトメールの実施など、サービスアップに努めているところでございます。
また、従来、多摩社会教育会館が対応しておりました研修あるいは情報の提供、これらの業務につきましては、私ども生涯学習部が一本化しまして対応してまいります。
○曽根委員 社会教育というのは会館を維持することではないと思うんです。会館の維持だったら別の名前があっていいんですよ。
社会教育のさまざまな活動、団体活動、個人の活動、今はむしろ、社会教育という枠をある意味では超えていろんな活動が広がっている。そういう時代に、それを育成指導していく行政の部門に、要するに会館の貸出業務の正規職員が一名いるだけで実質はない。これで看板を掲げていることがおかしいと思う。
もう一つ、都立の中央図書館の視力障害者のサービス、これは多摩にももちろんありますが、これがどうなっているかということで資料をお願いして、きょうの資料に出ていますけれども、この四年間ではっきりいって半分に減っちゃっているわけです。特に対面朗読の関係が非常に下がっているんじゃないかと思うんです。いずれも半分ぐらいですか。
それで、対面朗読の方というのはボランティアではなくて、お聞きしたところ、一定の費用を払ってやってもらっているんですね。なぜそうしているかというと、区や市町村の図書館では、一般の小説や何かを読みたい希望者に応じて読んであげるというのが対面朗読ですが、都立の場合は専門的な書籍の朗読というのを主にしていて、例えば地図を読んであげるとか、古文書、漢方などの古い医学の文書、外国の文書、そういったものを視力障害者の方に読んであげるのが仕事なんだそうです。これはもちろんボランティアでできることではなくて、専門的な知識と技能が必要なんですね。地図を読むなんていうのは私はちょっと想像がつかないんだけど、それを言葉で全部わかるように説明するそうなんです。それが一時間千円ちょっとでやってもらっている。交通費なしです。これを今削られてきているんですよね。
視力障害者というのは、大体我々が情報を得られるものはほとんど八割が視覚情報といわれていますから、情報を入手する手段というのは極めて限られている。しかも、区や市町村で一般の小説を読んでくれるボランティアはあるけれども、専門的な知識を得られるのは、東京ではこの中央図書館と多摩図書館。中央図書館ですね、専門の方は。ここに限られているということで、これは何とかもう少し充実を図ってほしいんだというのが率直なお願いで来ています。これは指摘だけにとどめますけれども、利用者が限られているので、その声を生かしてほしい。
やっぱり利用者の声を無視してどんどんどんどん削れるところを削っていくというやり方は、特に対象が限られている部署の場合は、文句をいう人は少ないわけですよ。しかし、その人たちにとっては、いってみれば文化的な生活の唯一の手段であるかもしれない。そこを切っていくというのは本当に忍びないことなので、ぜひそういった声を聞く場を持ち、それを生かしてもらいたいということを要望しておきたいと思います。
以上で、休憩をお願いいたします。
○渡辺委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○渡辺委員長 速記を始めてください。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二分休憩
午後三時十五分開議
○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○曽根委員 それでは、まずユース・プラザと夢の島体育館、これから併設の施設としての工事をやっていくので、一年間ぐらい休館になるらしいんですけど、そのことに関連して、昨年の今ぐらいだと思いますが、これも請陳の審査のときに、夢の島体育館を利用しているアマチュアスポーツ団体から、今受けている減額制度、利用の上での便宜を図ってもらっているこの制度を継続してほしいという請願が出されて、これは趣旨採択になっているわけですね、全会一致で。ところが実際には、これはPFIによる民間事業者の施設になるということで、利用についてはユース・プラザと一体というふうになっていくわけです。体育館のみ利用するこうした都段階でのスポーツ団体は、施設が極めて限られているわけですね、何カ所かに。そういう中で、行事利用の減額制度について、これは尊重していける方向で取り組むべきだというふうに思うんですよ。これは議会でもそういう方向でということで趣旨採択されているわけですね。
夢の島体育館は私もよく行くんですけれども、大変堅牢で、地味ではあるけれどもしっかりした建物で、東京体育館は最近建て直しましたけど、都のスポーツ施設、全体にかなり老朽化もひどくて、施設的にも不十分なところもあるんだけれども、あそこの体育館は、場所もよくなったということもあって利用には非常にいいところだと思うんです。だからこそユース・プラザに組み込んでリニューアルしようということになるんでしょうけれども、それにしても、現に重宝に利用されているということを重視して、事業者に対して、基本的には今の利用について後退しないように働きかけていただく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○瀧川参事 割引料金につきましては、PFI事業契約の中で、事業者が事業の公共性を踏まえつつ、あわせて採算性を考慮しながら、施設の利用促進等を目的として、みずからの裁量によって設定できることになってございます。
これまで長年にわたって夢の島総合体育館においてスポーツ競技を実施してきましたアマチュアスポーツ団体の方々が引き続き区部ユース・プラザのスポーツ施設を利用できるよう、都教育委員会として、アマチュアスポーツ団体が競技大会で利用する場合については割引料金を設定するよう、事業者と協議をしておるところでございます。しかしながら、二十年間の運営期間中、全面的に需要リスクを負うこととなる事業者側では、採算性の確保が困難等の理由で非常に難色を示している状況でございます。
○曽根委員 なかなか厳しい状況ですね。
確かに社会教育施設というか、公共の施設でなくなるわけで、東京都のユース・プラザだけれども、公共施設ではないということからくる問題だと思うんです。だからこそ私たちは、このユース・プラザの構想をPFIでやるということについては批判せざるを得なかったわけですが、しかし、大丈夫だと、東京都がやるんだから、民間事業者に任せるけれども、いいものになるんだという話をしてこられたわけですから、事業者が渋ったとしても強力に指導していただきたい。働きかけていただきたい。その上で、これはもう利用団体、大きいところは卓球連盟とか新日本スポーツ連盟とかあるわけですから、そういう当事者のスポーツ団体とも協議の場を持って努力していただくことをお願いしておきます。
それで、この体育館を組み込んでユース・プラザができると、来年の春からオープンして、水元青年の家を今利用しているような団体が、その代替施設としてユース・プラザに移ってくるというのが、理屈の上では東京都の方針なんです。ところが、私がこの間も指摘したように、ちょっとそれは無理なんじゃないのと。水元青年の家のある水元公園周辺地域、これは利用団体が一番多いわけです。大体半分近く地元が利用している時期だってある。こういう団体が、では夢の島体育館のあるあそこに新しい施設ができて移ってくるのかなと、大変疑問なわけです。
それで、ユース・プラザとして、水元青年の家の現利用団体に対する宣伝などが行われているのか、その反応はどうか、現水元青年の家利用団体で、いや、今度来年からはこっちへ移ってきますよというようなことをいっているところがあるのか、見通しはどうなのか、これをあわせてお聞きします。
○瀧川参事 ユース・プラザのご案内や宣伝の件、それからご利用の意向のことだと思います。
事業者におきましては、この二月から、学校利用等の随時受け付けを開始したところでございます。これに先立って利用案内のパンフレットを作成いたしました。
都教育委員会においては、このパンフレットを水元と府中の青年の家に置いて現在の利用者にご案内をしているほか、今後、生涯学習スポーツ部の広報誌である「みんなの生涯学習」、青年の家の利用者向け広報誌の「ゆーす・めーる」、さらに「広報東京都」にお知らせを掲載する等、ご案内、周知を図っていきたいと思っております。
二点目の、実際にこれまで水元をご利用の方がユース・プラザに行かれるのかどうか、意向を把握しているかということでございますけれども、間接的にでございますけれども、そういう声は私ども聞いております。
○曽根委員 そういうところもあるんですか、やっぱり。
しかし、水元から来るのに大体一時間以上かかるんですね。ですから、直近の方にとっては、しかも料金も違うという点では、やっぱり非常にハードルが高いと思うんです。
関連して、水元青年の家の請願が出されており、審議ですから、この問題もあわせてやりたいんですけれども、最近、江戸川養護学校の先生方から水元青年の家存続の要請書もいただきました。聞いてみたら、江戸川養護の子どもたちも宿泊しているそうなんですね。かなり広い範囲で水元は利用されているんだなということですね。
それから、昨日、存続を求める会の方からお手紙をいただいて、審議に当たり訴えますということで、あくまでも都立で残してほしいというお手紙をいただきました。
私、率直にお聞きしたいんですけれども、この問題相当長くかかっていますから、担当の部長さんは何度も水元に行かれたと思うんです。それで泊まったこともあるかもしれない。なかなかいいところだと思うんですよ、率直にいって。東京都の施設でなかったら、あれはなかなかいい場所だし、建物をちょっと手当てをして残ればいいな、利用できればいいなというふうに率直に、感想的にどうですかね。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 ご指摘の水元青年の家でございますが、都立の水元公園の中にございまして、そういう点では周辺環境は非常にすぐれた場所だというふうに私も感想として思っております。
ただ、昭和四十五年に開設されまして、施設の老朽化が著しいということもございまして、そういう点でいえば、今回の区部ユース・プラザにいわば変更いたしまして、そこでのご活用を今後ご期待申し上げたいというふうに申し上げます。
○曽根委員 どうしても東京都の責任者としての立場、逃れられないんだよね、やっぱり。
ただ、シチュエーションはいいですよね。建物というのはあくまで人間がつくるものだから、しかし、水元公園をもう一個つくるというのは大変なことなんだよね。だから、あの中にある建物を何らかの形でリニューアルしたり直したりしながら使えるのであれば、これは悪くない話ですよね。問題は費用と責任ですよ。だれが責任とるのか。
それでお聞きしたいんですけれども、葛飾区ではどうなんでしょうね。行政と区議会と地元の方々、町会やそういう方、それから利用者団体の方、この間、例えば都立じゃなくてもほかの方法でとか、そういう声が出ているのか、それとも意見が少しずつ分かれてきているのか、どうなんでしょう。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 葛飾区とは、都の基本的な姿勢をお示ししまして意見交換を行ってまいりました。また地元からは、区長、教育委員会、葛飾区青少年育成地区委員会会長連絡協議会から存続の要望書が寄せられております。さらに葛飾区議会からは、存続を求める意見書が提出されております。要望内容はいずれも、水元青年の家を区部ユース・プラザ完成後も引き続き都が運営することを求めているものでございます。
したがいまして、そういう点では、この話以外の部分については私どもとしては直接お伺いはしていないという状況でございます。
○曽根委員 私もそう思うんです。地元に行くと、葛飾区では、本当に関係者は一致して都立で残してほしいと。そのほかの声は一切出ていない。極めてよくまとまっているんだよね。これだけ地元がかちんかちんとまとまっている中で、きょう、廃止条例の審査なんですよ。こういう例は私は聞いたことがないんです。地元の区、議会、地元の利用者、市民、何とかほかの方法でとかいう人はだれもいない。だれ一人としていないんです、はっきりいって。そんな声は一つもない。ないですよね。だって、我々議会だって各党とも紹介議員になっている。この間、何か集まりもあって、自民党の方も決意表明の文書を出されている。
こういうときに廃止条例が出された例というのは、私、記憶をいろいろたどってみてもないんです、今まで、どの分野を見ても。世田谷の母子保健院が去年の暮れに廃止になったけど、あれは区の方が代替施設とか、国立があるじゃないかとかいろんなことが地元で意見が確かにあった。この場合は全くないんです。都立でという、その中で廃止条例が出るというのはほかに例がないと思う。初めてだと思うんですが、いかがですか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 私ども、すべての公の施設を所管しているわけではございませんから、事この水元青年の家に限っては、現在ご指摘のような状況にあるということでございます。
○曽根委員 横山教育長もいろんな部署を経験されているので、多分記憶はないですよね。地元で行政、区民、住民が完全に一致していて、しかし東京都はそれは受け入れられないという関係になっちゃってる例はないと思うんです。それで決めちゃっていいのかということなんですよ。もちろん、まだ一年間は会館はあいているわけです。青年の家はあいているわけだ。時間はあるといえばあるんだけれども、条例は廃止されちゃってからの話になる。行政としてはもう手の打ちようがなくなっている関係の中で話し合いが始まるのか、それとも、やっぱりもう少しいろんな選択肢を考えられる段階で歩み寄りがあるのかないのか、検討ができるのかということでは、根本的な違いがあると思うんです。
葛飾区も地方自治体であり、東京都もそうです。自治体同士の関係で、私はやっぱりフェアな関係で話し合いが継続されるようにしてもらいたいと思う。要するに、廃止条例が決まっちゃうと、東京都と葛飾区の関係は明らかに今とは違っちゃうんです。そういう点では、本来望ましいのは、お互いにいろいろな選択肢が考えられる状態で話し合うのがいいことじゃないかと思うんですが、これは教育長の基本的な考え方を聞きたい。
○横山教育長 今回の水元青年の家の問題は、今突然浮上した問題ではなくて、これまで長い、平成八年ごろから議論している話でございます。特に、東京都が設置する施設というのは広域的な施設でございますので、その施設がどういう状況にあるのか。一体青少年のニーズにマッチしているのかどうか。あるいは、当然広域的施設ですから、負担そのものは全都民が負っているわけで、その利用実態がどうであるのか。
今回、水元青年の家を廃止して、青年の家としての機能を廃止して、代替施設がないかといえば、区部ユース・プラザをつくるという方向に行っているわけで、そういった意味では、私ども、今回の条例の廃止の提案というのはこれまでの経過の中で出したという認識でございますので、この辺はご承知おきいただきたいと思っております。
○曽根委員 私も、時間をかけて、やっぱりそれなりにお互いにこういう方法しかないのかなというふうになっている段階であれば、それは考えようがあると思う。しかし、八年ですか、この話が出てから。時間がこれだけかかって、しかし、なおかつ地元が全く納得しないというケースも珍しいわけですね。普通ならばもうちょっと何かあるわけですよ。それだけに、やっぱり区としても譲れない線なんだと思うんです。議会も全くまとまっているし、地元の利用者も住民もまとまっちゃっているんだから、区も動きようがない、妥協のしようがないという段階で、これはもう完全な行き詰まり状態なんですね。
ですから、これを打開するのに、条例を決めてしまうのは極めてまずいやり方だろうと私は思います。自治体間としても話し合いが必要だし、関係者ともまだまだ話し合いが必要なので、そういう点では、この議案の処理についてはいろんな方法があり得るじゃないかということを最後に申し上げて、これ以上やっても水かけ論になりますから、これでこの問題については終わりにしたいと思います。
最後に、高校改革に関連して何点かお聞きしたいと思います。
最初に、先ほどもちょっと話がありましたけど、また新しいタイプの高校が誕生しようとしている。それはエンカレッジスクールです。これは、普通科高校を進学重点校にするというのもありますけれども、カリキュラムその他が全く新しいものになるという点では、チャレンジスクールに次ぐあれじゃないでしょうか。この新タイプの高校がどういう役割を果たしていくのか、私たちは非常に危惧の念も持っているわけです。
つまり、率直にいえば、教育委員会の中である委員が、はっきりいった方がいい、これは落ちこぼれの学校なんでしょう、落ちこぼれのための学校なんでしょうという発言をしたということが報道されて、しかし議事録にはそれが削除されているようですね。したがって、この発言はないことになっているんですが、報道はされています。そういうような思いを持っている人がどうも教育の中枢にいるらしいということは間違いない。
しかし、それは社会的差別の反映であります。したがって、この学校が誕生した後にどういうふうに見られるのか。その本人たちだけじゃなくて、周りからの扱われ方というのもあるわけですね。これは教育庁だけではコントロールできない問題があるはずです。したがって、こういうことについては慎重でなくちゃいけないと思う。
ただ、もう二校指定されて、受検が始まっているわけですね。推薦、それから今、前期の入試が終わって、きょう発表がもうあったんですね。その二回の入試の倍率、定数と倍率をそれぞれ二つの学校について教えていただきたい。
○比留間学務部長 平成十五年度入学選抜の両校のお尋ねですけれども、足立東高校の推薦選抜の募集人員は五十五人で、受検倍率は二・〇倍でございました。分割前期募集の人員は五十三人で、受検倍率は三・一倍でございます。
秋留台高校は推薦選抜の募集人員は七十人で、受検倍率は二・五倍でございます。分割前期募集の募集人員は七十二人で、受検倍率三・〇倍でございます。
次に、分割後期募集でございますが、これから三月六日に実施いたしますけれども、募集人員は足立東高校が八十人、秋留台高校が九十六人でございます。
○曽根委員 分割後期の募集人員が一番多いというのは、ほかならぬ、この学校の持っている性格が、ほかの普通科高校ではなかなか学力的にもついていきにくい子どもたちの受け入れという性格を持っているために、普通科高校がだめだった子どもたちが最後のよりどころとして受けることも考えて、そこの枠を大きくしているんじゃないかなと。その配慮は私も認めたいと思う、もう二校スタートしちゃっているんですから。スタートして募集をかけて、生徒が多いところでは三倍以上集まっているということですね。それで、後期の最後の選抜、学力テストはないわけですね、ここは。もうすぐ行われます。
私の勝手な推測ですけど、恐らく足立東なら足立東、秋留台なら秋留台を三回目受ける人がいると思うんです。推薦で一回受けるでしょう。だめだった。でもほかに行くところがない。ここの学校こそ自分の目指すものだと前期を受ける。だめだった。三回目、最後のチャンス。受ける子が必ずいると思う。こういう学校をつくれば期待を集めますから、そう思います。そういう子が三回目を受ける。この意欲は、私は受けとめなきゃならないものがあるなと思うんですが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 エンカレッジスクールの受検倍率が高いこと、さらには推薦、分割前期、分割後期と三回にわたって受ける子どもがいるだろうという点について、これらのことについては、生徒やその保護者の期待の高さを反映しているものでありまして、この学校の趣旨が理解され、入学に強い気持ちを持つ生徒が多いというふうに受けとめております。
○曽根委員 これは初年度だから、いろんなことが今後考えられる。つくるからにはいいものにしなきゃならないと私は思うんです、もう踏み出しちゃっているからね。それで、要するに学力試験じゃないんだね、この選抜は。推薦もそうだし前期もそうだし後期もそうなんだ。学力ではかっちゃいけない子どもたちなんだ。だから、何かといえばやはり意欲しかないと思う、私は。そこの学校を目指して三回も受ける。何か考えなくちゃいけないと思います。ただ、三回目を受ける人は全員入れますよという宣言は、恐らくこの制度そのものの根幹にかかわるから難しいでしょう。しかし、その意欲を買うのがこの学校の根本性格で、そういう制度的な隘路があると思うんですよ。ほかの普通科高校にどうなんだろうか、行けないかもしれないという不安な子どもたちが集まってしまうんです。間違いなく集まってきているんだ。で、そこしかないから三回受ける。それで最後も、全く初めて受ける、つまりほかの普通科高校を落ちて受けてくる子と全く同じに、三回目を受ける子も初めてそこを受ける子も同じにやって、それで三回受けたけれども、だめでしたと。これは本当に期待を集めて、それを求めて来ている子に対してとるべき態度かなというふうに私は思う。こういう制度をつくった以上は、そういう問題が出てくるということなんだ。ここは考えていただきたい。私はどうこうしろとはいえないからね。でも、つくる以上は責任があるんで、やはり教育庁としてはそこまで考えなきゃならないと思うんです。少数かもしれないよ。計算すれば二、三十人のことかもしれない、一つの学校では。しかし、その二、三十人をやっぱり泣かしちゃいけないと思うんですよね。そういうことも考えて、この入試の問題は慎重に取り扱っていただきたいことを希望しておきます。
それから、先日、本会議だとかで高校生の授業評価の制度を導入するという話がありました。これも高校改革の一環だと思うんです。授業評価というのは確かに私たちも全面否定はしたくない制度なんです。生徒自身が本当に先生の授業についても客観的に物をいえる場が欲しいというのは、希望としてはあるんです。ただ、今の高校の中で本当にそれが生かされるのかなという思いがあります。
そこで、率直にお聞きしたいんですけれども、もし授業評価を導入し、来年度はモデル実施、再来年度は全面実施とする場合に、自分が評価したことが生徒に戻ってくるということがやっぱり保障されなきゃならないと思うんです。いいっ放しにさせない、これはいろんな意味で大事なことだと思うんです。制度をつくるのは今これからなんでしょうけど、こういうことをお考えになっているかどうかをお聞きします。
○近藤指導部長 生徒による授業評価は、教員の指導力の向上や授業の改善を図ることを目的として行うものでございます。
お話の生徒による評価結果についてでございますが、すべての学校で一律に生徒に公表するということについては、今のところ考えておりません。しかし、授業は教師と生徒の信頼関係に基づいてつくり上げていくということを考えますと、状況によっては、評価結果を生徒に示しながら授業の改善を図っていくことは当然あり得るべきだと考えております。
○曽根委員 ここは、どういう考え方で臨むのかという点で非常に大事な点だと思うので、要望したいんですけれども、生徒さんに例えば評価してもらう、これは、具体的な先生がやっている授業なので、全部わかっちゃうわけですよ。そのアンケートを無記名にしたとしても、どの生徒が書いているか大体わかっちゃう。どの先生の授業かももちろんわかる。そういう個別的な評価が出てくる。統計的に処理するとかいろんな方法はあったとしても、その生徒個人がその先生をどう思っているかというのは、学校側は見えちゃうわけですね。しかし生徒の側は、書いた結果がどうなるのか、どう自分に返ってくるのかわからないとすると、これは書けませんよ。だって、自分が点数をつけるのは自分の先生なんだから。例えば、この先生の授業はどうも眠いなと思っていても、それは自分だけが思っているのか、みんなは書かないのかと考えたら、なかなか書けませんよ。しかし、みんな率直に書いているということが後でわかって、いやもっと率直にいろいろなことがいいたいというふうになってくるのか、それとも、いや、怖くて書けないというふうになるのかね。
これは、生徒と先生の関係がもちろんあるんだけれども、学校全体の中の、内側にも開かれていなきゃならない学校のあり方の根本だと思うんです。校長先生も教頭先生も、それから先生方、生徒と、完全な対等、平等とはいいません。しかし、お互いに評価し評価され合うという関係がこれからつくられていく以上は、お互いにオープンにしないとだめだと思うんです。
東京都のやっていることは、はっきりいって、オープンにする場がないまま評価を個別にやるということによって、下手をすると、校長先生や教育庁の方からの先生に対する管理指導の道具に生徒の評価を使うということになりかねないと思うんです。そんなことに使われるんだったら生徒の側はたまったものじゃないと思う。問題教師だ、教育力不足、そういうレッテルを張るために生徒の評価を使う、都合のいいところを。こういうふうになったら大変だということなんです。そうならない保障が必要だということです、この制度をやるからにはね。
私はそれを何で思ったかというと、高知県に行って、高知県は、その評価制度を導入するのに先生方に物すごい抵抗があるわけです。嫌ですからね、やっぱり。それは僕は、その抵抗感というのはもう取り払う必要があるとは思うんだけれども、しかし、抵抗があるのを実現するために、まずオープンな場をつくったんですよ。市町村につくったわけだ。市段階につくり、そして各学校につくり、三者協議会、四者協議会、つまりPTA、生徒、学校、もしくは地域の人も入るというような三者協議会か四者協議会をつくっていって、オープンに議論ができる雰囲気をつくって、その上で評価制度なんだ。そうしないと評価制度はできないし、生きない、これが高知県の考え方なんです。これは私は当を得ていると思うんです。
東京都も、順番はいろいろあるでしょうけれども、しかし、本格的導入が再来年というのは、私は非常に時期尚早だと思います。だったらば、オープンに生徒が物をいえる場を、少なくとも学校の中にきちんとつくるということを必ずやっていただきたい。それなしにはこの制度はねじ曲がってしまう危険が高いということを申し上げたいと思うんです。
それで、あわせて申し上げたいんですが、生徒の声を教育庁がちゃんと聞いているのかということで、前々から私、ずっと今度の統廃合問題について--定時制を守る生徒の会というのがつくられて、生徒の学校を超えた組織は初めてだと思うんです。そういう組織ができた。そうすると、一人の生徒もしくは学校内の生徒がまとまって物をいうときには、校長先生を通しなさいというふうにやってきた。しかし、もう学校を超えていろんな生徒の集まりができてきている。教育庁に当然直接物をいいたい。しかし、校長先生が許さなきゃだめだと、今つくっているわけだけど、これはある意味でもう意味がなくなってきている。
この間、二十四日ですか、私たちのところにも訪ねてこられましたが、生徒の会が、定時制をなくさないでくださいという新たな要望書と、アンケートを引き続きとっていて、ついに千人を超しました、千七人のアンケート回答を、こんな簡単なものですけど、持ってきました。知事本部にも行ったようです。知事本部は受け取ったようです。
この内容について、もう知っていると思うんですけれども、把握しているかどうかと、これについての受けとめをお聞きしたいと思います。
○山際都立高校改革推進担当部長 今お話がございましたように、去る二十四日に、定時制を守る生徒の会から都知事あてに、定時制高校をなくさないでくださいというような趣旨の要望書が提出され、知事本部の担当者が受け取っているところでございます。
これについての取り扱いについてでございますが、生徒の意見表明に対する必要な対応については、校長が判断することが望ましいというふうに考えておりまして、要望書につきましては該当校の校長に送付いたします。
なお、校長の判断によりましては、校長同席のもとで私どもが対応することもあり得るというふうに考えております。
○曽根委員 結局そこに戻っていくんだけれども、例えば学校の中で、生徒の意見を大いに聞こうとか、また役立つものは大いに取り入れていこうとかいうふうなことがもしこれからやられていくんだとすれば、教育庁だけは、学校長を通さないと会いませんとか、意見を聞きませんとかいうことはあり得ないと思うんです。現に私たちの会派に生徒が訪ねてきたって、それは受け取りますよ、当然のことながら。請願陳情だって出せるでしょう、別に未成年は出せないという制度はないんですから。議会にだって正面切って出していける。知事本部に行っても受け取ると思う。受け取ったんです。教育庁だけ校長だと。校長という関門をつくっちゃう。これはあり得ないことだと思うんですよ、もうこれから。だって、ほかのルートで要望は入ってくるんだから。入ってこざるを得ないんですよ。ここだけオープンにできないというのはもう間尺に合わなくなってるわけですよ、実態も。
ほかの県の教育委員会はどうかといったら、私の調べた限り、十ぐらい聞いたけど、どこも、校長が立ち会いとか校長を通してなんていうところは一個もないんです、相手は高校生ですから。そういう点では、もうはっきりいって頑迷な態度を変えてもらいたい。それがなしに学校の中で生徒に授業評価やらせて、それでもって授業がよくなるなんていうことをいう資格は、私は問われると思うんです。そういう態度をとっていて、生徒の声は聞かない、校長を通しなさいといっている片方で、授業評価はやっていいよ、我々の方で使うから。こういうんじゃ、生徒だって幾ら何でも信用しませんよ、教育庁を、ということを申し上げたい。
生徒の会の方のホームページを読んだら、今度、国連に提訴するそうなんです。まだお金がないから行けないと書いてあったけど、少なくとも東京弁護士会には人権擁護ということで提訴して、弁護士会の中に人権擁護委員会というのがあって、そこで判断、審判してもらいたいというふうにやっているらしい。その先は国連だといっている。国際的に、東京都のいわば生徒の人権や意見表明権に対する姿勢が問われてくる。私は、そこで国際的に恥をかく前に、東京都の教育委員会には態度をやっぱりオープンにしてもらいたいということを強くお願いしておきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○執印委員 それでは、まず、請願も出ております青年の家に関して質問をさせていただきます。
今まで水元青年の家で主催事業というのがあったと思いますが、そうした事業がPFI事業の区部ユース・プラザではどのように反映されていくのか、まず伺います。
○瀧川参事 水元青年の家や夢の島総合体育館の主催事業で、青少年あるいは都民にとって有意義な体験、交流事業などについては、区部ユース・プラザに引き継ぐよう検討してまいります。
今後、都教育委員会としては、区部ユース・プラザにおける主催事業の実施に向けて事業者と十分調整してまいります。
○執印委員 それから、これまでの質疑でもいろいろあったんですけれども、私のところにも何度も訪ねてこられて、この水元青年の家というのが、利用になっていらした皆さんからして本当に大事な施設だったのだなということを改めて私も感じているわけですが、この廃止後の施設の有効利用については、地元の区などと検討するべきであるというふうに考えるんですね。
特に、これまでの質疑を伺うと、地元との関係もかなり厳しそうだなということのようです。今、条例が提案されて、これがどうなるかは最終日までわからないわけですけれども、もし今の想定の期間内で話し合いがつかなかった場合どうしていくのかも含めて、この施設の廃止後の有効活用について伺いたいと思います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 水元青年の家の廃止後の施設の有効活用についてでございますが、この青年の家は、実質的な廃止までには一年程度の期間がございます。その間に、地元区等からご意向があれば、関係局を含めて調整に努めてまいりたいと考えております。
また、万が一その期間内で話し合いがつかなかった場合でも、その時点で一定の猶予期間は設けたいというふうに考えております。
○執印委員 ぜひ話し合いを進めていただきたいということと、先ほども申し上げましたように非常に大事な施設であったということがあると思いますし、施設は古くなったけれども、愛着を感じながら、どのようにそれを大切にしていくかというような議論がいろいろなところでわき起こっている時代でございますので、東京都としても十分に対応していただきたいということをお願いしておきます。
次の質問に入ります。
次に、NPOに関して、地域の教育への参加ということについて伺いたいわけですが、十四年度から総合的な学習の時間が始まっておりまして、それぞれ模索しながらさまざまな取り組みが始まっているというふうに聞いております。
それで、学校の教育活動を支援するために地域教育サポートネットを事業化したというふうに聞いておりますが、実施の状況と、地域の団体が学校を支援することの意義を都の教育委員会としてはどんなふうに考えていらっしゃるかを伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会では、総合的な学習の時間など、多様な学校教育活動の支援を目的といたしました都単独の補助事業として、地域教育サポートネット事業を平成十四年度から三カ年の予定で都内五地区において実施しております。本事業は、地域社会におけるさまざまな生活体験や社会人外部講師による指導等、従来の枠を超えた取り組みにより、環境や福祉などの生活課題に関する問題解決的学習などを通じて、子どもたちの生きる力をはぐくむための学校教育活動を支援するとともに、地域に開かれた学校づくりにも寄与するものであると考えております。
○執印委員 今お話のあった環境とか福祉というのは、いろいろな市民団体が特に力を入れて活動している部分でもありますし、今お話があった意義からしますと、NPOが重要な役割を担うものだというふうに考えます。
私どもの市でも、環境基本条例を直接請求したという流れで、市民がこういった環境の団体をつくって活動をいろいろしているわけですが、この地域教育サポートネットにおいてNPOは現実的にどのようにかかわっているのか、また、その結果のメリットはどのようなものがあったかを伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 モデル地区の五地区のうち杉並区では、NPO法人の認証を受けましたスクール・アドバイス・ネットワークが地域教育サポートネットの中核的な役割を担っておりますほか、板橋区でも、ボランティア・市民活動学習推進センターいたばしという団体が現在、NPO法人の認証申請をしているところであると聞いております。
両地区におきまして、これらの団体は、総合的な学習の時間を初め、各教科、特別活動等における地域の人材活用に関する橋渡しの役割をなし、学校ニーズと地域ニーズのミスマッチを解消する役割を担っております。いずれのNPOも、学校支援の立場を明確にした活動を展開しているため、学校と学校外の人材の連携がスムーズになり、学校側も外部人材の活用に積極的に取り組むことができるようになったという報告を受けております。
○執印委員 今お話しいただいた例では、なかなかうまくいっているということがあると思いますが、学校を地域に開くということはずっとこれまでもいわれてきたんですが、期待もしているわけなんですけれども、いざとなるとなかなか具体的になっていかないとか、本当に開いてほしいところが開かれないというようなことがあるわけですね。
それで、今お答えいただいたんですけれども、NPOの関係者の話では、学校はなかなか敷居が高くてパートナーシップがとりにくいというふうに聞いているわけなんです。
例えば、私も随分聞いているのは、これはNPOといっても地域の団体ですけれども、地域の少年野球が、学校の子どもたちも入ってその活動がされているわけですけれども、学校のクラブ活動の担任教師がかわった途端に、休日に地域の野球クラブに出るんだったら学校のクラブ活動をやめろというような話になって、どちらか選択しろというふうに先生がいうので、結局地域の野球クラブをやめざるを得ないというような問題が起きているわけなんですね。
それは、その校長の考えとか、その地域の力とか、地域の教育委員会の問題がもちろんあるというふうに思いますが、それから、こういう判断に至る状況がいろいろあったんだろうというふうにも思いますけれども、実際にこういうことが起きている中で、都教委もこういった事業を進めているわけですから、NPOだけに限らず、地域と学校をつなげる努力というのを今後もされるべきだというふうに思いますが、どのようにこれから進めていかれるのでしょうか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 地域と学校が相互理解を深めることを目的といたしまして、都教育委員会は、モデル地区である板橋区教育委員会及びNPOの協力のもとで、学校と地域の連携と題した教員向けの研修会を昨年八月に開催したところでございます。
また、学校支援に関心のある都民及び関係団体、また教員を対象といたしました、地域と学校の協働をするためのフォーラム等の開催を通じまして、今後も地域と学校の結びつきを深めるための取り組みを展開してまいります。
○執印委員 フォーラムも進められるということで、たくさんの方に声をかけて、特に先ほどお話ししたクラブ活動などに携わっている先生とか地域の方に十分声をかけて、ぜひ成功させていただきたいというふうに思っておりますが、この事業は三年間のモデル実施だということですけれども、今後どのような形でこの取り組みを東京都全体に広げていかれるのかを伺います。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会といたしましては、本事業の成果を事例集として取りまとめ、都内全域に普及させる取り組みを進めるとともに、学校支援を行う団体に対しまして、地域において自立した活動が行われるよう、活動マニュアルの作成等、技術的な支援を引き続き行ってまいります。
○執印委員 活動のマニュアルもつくるということで、どんなふうなものになるのか、ぜひ見せていただきたいと思います。お願いをしておきたいんですけれども、多種多様な地域の団体やNPOが学校にかかわるということによって、そのかかわり方だとか内容、いろんな意見や評価が出てくるだろうなというふうに思うんですね。学校を地域に開くという意味では進めていただきたいんですけれども、いろんなことが出てきたときに、だれがどのようにその評価や意見をまとめて全体をまとめていくかというような検討課題が発生することが想定されるんです。喜んだり悲しんだりはするでしょうけれども、少し長いスパンで見ていくということも含めて、三年間の間に、子どもも含めて地域と一緒に評価基準というようなものも、どういうふうにそれを評価していくかというようなものもつくっていっていただきたいというふうに思います。
心配は、先ほどの野球の例のように、だれが見てもそれはちょっと学校側の努力が足りないというようなものもあれば、いろんなケースが考えられると思いますし、そこに地域の人の好き嫌いから趣味の問題からいろいろ入ってくることが考えられますので、マニュアルをつくるのとあわせて、そういった問題を実例を整理しながら進めていっていただきたいということをお願いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会といたしましては、当然のことながら区市町村の取り組みに対して支援を行っていくわけでございます。そういう点では、事業の成果につきまして取りまとめる際には、その内容について評価をしてまいりたいと考えております。
○執印委員 評価に関して、ぜひ子どもの評価とか地域の評価というのを十分に反映させていただきたいというふうに思います。それでこの件は結構です。
次に、教育ビジョンについて質問いたします。
先ほども質疑がございましたので、重複するところは省かせていただきます。策定の目的と、私立の学校まで含めたのはなぜかということについては先ほどご質疑がございましたので、これについては質問をいたしませんので、次の質問から入らせていただきます。
この教育ビジョンのつくり方とまとめ方、それからメンバーの関係局についてですが、これについては重点項目のところでいただいたものにある程度入っておりますが、この重点項目の中でいただいた資料の中には、地域コミュニティの崩壊というものが地域の問題として挙げられております。それで、この地域のコミュニティについては、例えば再開発をすると六〇%から七〇%の人が転出してしまうというような問題も現実に東京では起きているということで、この関係局の中に都市計画局のような局は入るのかどうか、そのこともあわせて、メンバーとつくり方、まとめ方について伺います。
○石川教育政策担当部長 教育ビジョンのつくり方とまとめ方、あるいはメンバーはどのようなものかというお尋ねでございますが、教育ビジョンの策定に当たりましては、教育のみならず、福祉あるいは医療、産業など、子どもの育成にかかわる関係局によりますプロジェクトチームを都庁内に設置いたしまして検討してまいります。その際、地域での取り組みを重視していく、こういう観点からも、検討プロジェクトには、地域コミュニティを所管いたします生活文化局にも参画してもらう予定でございます。
なお、お話のように、まちづくりにコミュニティの視点を取り入れていくこと、このことは大変重要なことというふうに認識しております。今回の重要施策の一つといたしまして、先行まちづくりプロジェクト、これが各局横断組織として設置されております。その中で、都市計画局あるいは知事本部のほかに、教育でありますとか福祉、生活文化局なども参加しているところでありまして、そうした場で地域コミュニティの視点を取り入れたまちづくりを検討していくことがより効率的である、かように考えているところでございます。
○執印委員 今、都市計画的な部分は先行まちづくりプロジェクトというものが設置されていくということで、そこには教育も入るということですね。
私、今の子どもの問題を考えるときに、場の確保というようなものが特に大事で、そこをきちんとしていかないで--心はもちろん大事なんですけれども、心の部分だけ押しつけても、それはとても子どもも育ち切れないというふうに思っておりまして、あいている都の土地などはすべて子どもに開放するぐらいの気持ちで子どもの問題を考えていかないと、本当の問題解決はできないんじゃないかというふうに考えておりますので、そこも含めて、これからぜひ都市計画的にもかかわっていっていただきたいということをお願いしておきます。
次に、この教育ビジョンの取り組みの視点がどこにあるかと確認をさせていただくために、何点か質問させていただきます。
先ほども質疑がありましたけれども、ここの重点項目の中には、学校、家庭、地域の教育力の低下というふうにあります。これはもう当然のことのようにいろいろな資料に書かれるように、このごろ--このごろといっても、私も入ってから一年七カ月ですからあれですけれども、当然のことのように書かれているなというふうに私自身も思うわけですが、どのような調査結果に基づく判断なのかということですね。
先ほど、客観的でなかったというようなご意見やら質疑がありましたけれども、その判断と、同様に、凶悪犯罪も続発しというふうにあるんですが、これは青少年の凶悪犯罪なのか全体的なものなのか全く書かれていないということと、これもいわれているわけですが、数字的な裏づけがどのあたりにあるのか、これを教えていただきたいと思います。
○石川教育政策担当部長 先ほど石川委員のご質問の中で、トータルな教育のものとしては調査したことはございません、かようにお答えしたかと思いますけれども、東京都の教育委員会では、毎年、児童生徒の問題行動など生徒指導上の諸問題に関する調査、これを実施しております。また、国立教育政策研究所が実施しております、家庭の教育力再生に関する調査研究、これらを見て判断したところでございます。
具体的に申し上げますと、都内の公立小中学校でのいじめの発生件数、あるいは不登校児童生徒、この数は減少傾向にあります。減少傾向にあるわけでございますけれども、依然として高い水準にある、これもまた事実でございます。また、四十五歳から五十四歳までの方々の七割以上の人たちが、最近の家庭の教育力が低下していると思う、かような答えをしているところでございます。
さらに、凶悪犯罪も続発しということは、青少年の凶悪犯罪なのか、あるいは具体的な数字はどうなのかというお尋ねでございますけれども、政府の青少年育成推進会議の報告によりますと、平成十三年度中の少年非行は、前年に比べて刑法犯検挙人員が平成十年以来三年ぶりに増加したこと、そのうち凶悪犯の検挙人員は前年に比べて増加し、平成九年以降五年連続して二千人を超えるなど、非行の凶悪化、凶暴化の状況がうかがわれること。さらに、少年による殺人が昭和三十五年以来の記録となるなど、極めて憂慮すべき状況にあることなどの指摘がなされているところでございまして、これらを踏まえたものでございます。
○執印委員 今の凶悪犯罪の数字については、今お話があったとおりだというふうに思うので、平成十三年に昭和三十五年以来の記録となったということですね。そういう現実があるんだというふうに思いますが、これを、どこら辺までさかのぼって子どもの様子を見ていくかということが一つあるのかなというふうに思っているんですね。
戦後の混乱期というのは随分いろんなことがあったというふうに聞きますし、そういうところからこれを見ていくのか、この三年ぐらいのスパンで見ていくのか、そういったものが一つはあるのかなということで、こういったことも含めて、もう少しきちんと見ていっていただきたいということと、それから、家庭、学校、地域の教育力の低下については総合的な調査もなかったということなので、これについてはやっぱり--私も都議会に来てからいろいろ勉強させていただきまして、経験はすごく大事だと思っておりますが、経験だけで語ってはいけないと。よく伺いますと、本当にそうだと思うわけですが、例えば家庭の教育力の低下というふうにいわれてしまうと、子育てというのは、自分が子どもだったころは子育てはしていないわけですから、大人になって子育てをしているときに、あなたの家庭の教育力は落ちているよといわれたら、比べようがないというか、そういうことがあるわけですね。ちょっといっていることがわかりにくいですかね。
つまり、そういわれちゃったら、確かに完璧な親はいないわけだから、それはそうかもしれないなと思うしかなくて、こういうきちんとした裏づけがないものがひとり歩きをして、それがさらに悪い方に行ってしまうということ、自信をなくすとかいろんな意味で悪い方に行ってしまうということはあり得るわけですから、この資料が、そういった意味では、先ほどご答弁もあったようにちゃんとした調査に裏づけられていないものかもしれないということも十分に頭に入れていただく必要があるんじゃないか。こういった調査はきちんとして実態を見ていく必要があるのではないかというふうに思いますので、指摘をさせていただきます。
それから、同じように、規範意識とか倫理観が低下しているということが書かれておりまして、一つ一つこうやって聞かせていただきますのは、教育ビジョンそのものが、一体どういうものをつくろうとされているのか、予算の最初の説明のときにも伺いましたし、その後もいろいろ伺ってきましたが、なかなかイメージがつかめないものですから、この問題として挙げられたところをようく読ませていただきまして、これは一体どういうことなんだろうということで今聞いているわけです。
今お話をしました、規範意識、倫理観が低下しているというふうになっておりますが、これは、子ども、青少年は将来の夢や目標を描けぬまま、学ぶ意欲、考える力が弱くなるとともに、規範意識、倫理観が低下している、そういう流れで書いてある、その一部分ですけれども、その規範意識や倫理観が低下しているのはまず大人社会だというふうに私は考えているわけですが、それに関しては教育委員会はどのような見解をお持ちでしょうか。
○石川教育政策担当部長 生活文化局が平成十四年の一月に、首都圏と東京に関する世論調査というものを行いました。その結果によりますと、社会のルールとマナーを守れない人が多いと思う世代はどこかという質問に対して、それは十代後半だという回答を挙げた方々が圧倒的に多かったという事実がございます。
しかしながら、一方で、正しい社会ルールとマナーを守れない子どもたちがふえた原因は何だろうかという設問に対しましては、正しい社会ルールとマナーが身についていない大人の増加だという指摘がなされているところでありまして、これらは重要なこととして受けとめなければいけないと考えております。
○執印委員 わかりました。そういった見解をきちんと持っていらっしゃるということだと思います。
次に、行き過ぎた平等主義や過度の知識偏重により、子どもの個性や創造性を伸ばす教育が軽んじられているというふうに、同じようにこの文章の中にありますが、この文章そのものが主語がございませんで、軽んじられているという文章になっていますけど、だれが軽んじているという指摘なんでしょうか。これは何かとても、主語がない文章なので人ごとのように見えるんですが、教育をやってきた都の教育庁として、教育委員会が当事者ではないかというふうに思うわけですが、これに対しての見解はいかがでしょうか。
○石川教育政策担当部長 ここの表現は、国が進めてきた戦後教育の弊害なんだということが一つあります。しかしながら、それを打破できなかった都の教育行政の問題でもあるという認識に立っております。さらには、学校ばかりでなく、家庭や地域で子どもの教育に責任を持つ大人たちの問題でもある、かように考えているところでございます。
○執印委員 東京都の教育委員会にも責任があるけれども、みんな責任があるよということをおっしゃっているんだというふうに思います。
それで、その中で東京都の教育委員会の責任をどう考えていくかということもあると思います。今のご答弁にもあったように、戦後教育の弊害というようないい方もございましたが、同じこの中に、行き過ぎた平等主義云々の中に、これに対して国の教育への取り組みは遅く、都も国の画一的な教育行政を打破できずにいるというふうになっております。これから進めようとするものは、国との関係でいえば、例えば学習指導要領との関係はどのように整理をされていくのか伺います。
○石川教育政策担当部長 新しい学習指導要領のねらいでございますけれども、ゆとりある教育活動を展開する中で、基礎、基本の確実な定着を図り、みずから学び、みずから考える力を育成するとともに、個性を生かす教育を充実すること、これがねらいでございます。
都教育委員会といたしましては、こうした視点に立ちまして、各学校での個性化、特色化の取り組みをより一層推進し、適切な競争関係の中で各学校が互いに切磋琢磨し、都民にとって魅力ある学校づくりと教育の質の向上を目指してまいります。
○執印委員 最初に学習指導要領のねらいというふうにおっしゃったので、これは全体的なものとして使っていくというご答弁だと思うんですけれども、そこをどう考えるかということを実はやっていかなきゃいけないんじゃないか、もう少し都独自のものを出してもいいんじゃないかという意味で、そう考えていることを伝えておきます。
次に、子どもの権利条約、これは一九八九年ですね、日本でも批准したわけですが、批准したときに、学校教育の中で特に何かを変える必要はないということが一緒にその当時伝わっていったというふうに思うんですけれども、この教育ビジョンをつくるときに、子どもの権利条約の取り組みというか、つまり、それをどう生かしていくかという意味の取り組みですけれども、それが検討を一緒にされていくのでしょうか。
○石川教育政策担当部長 お話の児童の権利に関する条約でございますけれども、各国が世界的な視野から、すべての児童の人権の尊重あるいは保護及び福祉の促進を目指して取り組む、かようなことを明らかにした条約でございます。
一方、今回策定いたします東京都教育ビジョンでございますけれども、二十一世紀の東京の発展を担う人材の育成、これをねらいとして策定しているものでございまして、そのねらいとするところはいささか異にするものではないかというふうに考えているところでございます。
教育ビジョンの内容につきましては、今後各局が組織横断的に構成いたしますプロジェクトチームにおきまして検討していくことになるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、人材育成という観点から、その方向性について検討してまいります。
○執印委員 今いろいろご説明いただきまして、そのねらいは異にするものと考えているということでしたが、私、子どもの権利条約を生かして条例をつくれという質問したわけではなくて、その精神は生かされるべきではないかという趣旨の質問なわけです。
国が条約を批准するということは、すべての国内法の上位にその条約が位置づけられるわけですので、もう一度申し上げますが、条例化を一緒に検討しろといっているわけではなくて、この教育ビジョンに取り組むときに条約の精神が生かされるべきだと思いますし、それを生かすことが--このビジョンは人材育成という観点からと何度もございますが、要するに育つ人だけ育てばいいということではないと思います。一人一人の子どもの人権とか、特に命を大切にするという視点からのビジョンというものも必要だと思いますので、条約の精神が生かされるのかどうか、改めて質問いたします。
○石川教育政策担当部長 児童生徒に命の大切さを理解させる、あるいは、自分のみならず他人の生命あるいは人権、これらを尊重する態度を培っていく、こういうことは人材育成以前の問題であろうというふうに考えております。人間としての生き方の基盤を形成する上で極めて重要なものというふうに認識しております。
一方、条約の精神、これも、つまるところ自他の生命あるいは人権を尊重するものというふうに理解しているところでございます。その意味からすれば、条約の精神というものはビジョンにおいても生かされるものと考えております。
○執印委員 次に、子ども参加、市民参加はあるのかということを改めて伺っておきたいと思います。
○石川教育政策担当部長 教育ビジョンの検討に当たりまして、教育に関する都民意識調査を実施する予定でございます。その中で児童生徒あるいはその保護者も対象としていく、かように考えているところでございます。
また、中間段階に当たりましても検討状況を公表し、老若男女を問わず広く都民の方々の意見を聞いて、その意見を検討にさらに反映させる工夫を講じてまいりたい、かように考えております。
○執印委員 アンケートというのは、アンケートのつくり方、それからまとめ方というものによって、どう反映させられるかとか、どう意識を、都民の気持ちを反映できるかということがあるというふうに思いますので、その点は指摘をさせていただきます。
最後に、教育ビジョンというのがなかなか見えないわけですが、現在の教育基本法とか東京都の教育目標、または学校ごとにかなり具体的に自主的な目標を今出して進めていこう、特に都立高校はそういうふうになっているわけですが、学校ごとの自主的な取り組みで十分対応できるのではないかとも思うわけです。その点に関してはいかがでしょうか。
○石川教育政策担当部長 教育を取り巻く現在の諸課題でございますけれども、学校、家庭、地域の教育力の低下を背景とするものである、かように考えているところでございます。これらにつきましては、個々の現場ごとだけの取り組みでは問題解決には不十分である、このように認識しているところでありまして、トータルな視点を持った教育改革がぜひ必要だと、そのために教育ビジョンを策定いたしたい、このように考えているところでございます。
○執印委員 最後に意見を述べさせていただきます。
今、お話があった教育ビジョン、少しずつ見えてくるのかなという感じもしますけれども、今つくろうとしている教育ビジョンも、心の東京革命も、いずれにしても行政的な施策のくくりだというふうに思います。生まれてきて、生きている子どもの目からのくくりというものが、もう一つ必要ではないかなというふうに思っております。
というのは、人材育成とか健全育成という、どう育てるかという視点だけではなくて、子どもがみずから力をつけていくという子ども本位の視点の計画、子どもの生きる力を子ども自身がつけていくという視点の計画がもう一つ必要ではないか。そのためには、常々お話をさせていただいておりますように、子どもの権利条例の必要性もそこにあるのではないかというふうに思いますので、それを指摘して、最後の質問に移ります。
次に、男女平等教育について質問させていただきます。
本会議、予算委員会で教育長がいろいろ答弁されていらっしゃるのを聞かせていただいております。男女平等教育は、男らしさ、女らしさを否定するものではないというふうにお答えになっているわけですが、男らしさ、女らしさについて教育長はどのように考えていらっしゃるのか、まず最初に伺います。
○横山教育長 男らしさ、女らしさといいますのは、基本的には、その生物学的な差異によるものではなくて、社会的、文化的に形成されてきた性差といいますか、意識によるものであろう。何をもって男らしい、あるいは女らしいというか、そういった意味では、個人個人によって違いましょうし、また時代によって違いましょうし、構成する社会によって異なると思いますが、一般的に、らしいという場合には、私の経験からしましても、ある意味では、相手に敬愛の情を込めて使われる場合が多いかと思います。
そういう意味から、男らしい、女らしいを、では具体的にどういうイメージをするんだと。その問題として、先般、読売新聞社が実施しました世論調査の中で、男らしさ、女らしさはどういうことだと思いますか、こういう設問に対しまして、かなり高い回答がありましたのが、男らしさにつきましては、頼りがいがある、あるいは決断力がある、女らしさにつきましては、細やかな気配りができる、思いやりがある、こういったものが高い率で挙げられております。
当然、女性にも決断力のある人はおりますし、男性にも思いやりのある人はおりますので、そういった意識が固定的なものとしてパターン化してしまう、そういったことになりますと、一人一人の持つ個性と能力をある意味では制約をしてしまう、そんなおそれがあるのではないかと考えております。
○執印委員 最後の方で、新聞による男らしさ、女らしさの話と、それによって規定してしまうことによって、何とおっしゃったんですかね、性によって、とにかくそれによって、らしさによって行動が規制されるとか、判断が規制されるとかいうことがあってはいけないという意味のことをおっしゃったんですね。わかりました。
今、そういうご回答でございまして、今お話のあったように、それぞれらしさというのは、これまでの時代の中で、時代によっていろいろあったと思いますし、今おっしゃったようならしさと違う人は生きにくい社会だったかもしれないですね。
よく私、昔、教科書で習った虫めずる姫君の話を思い出すわけですが、当時は、虫は女性はさわらないというような中で、とても虫が好きだった姫君をどうとらえるかということを、たしかあれは何のときでしょうね、古文か何かでやったような記憶があるんですけれども、そういった性によって規定されることがないようにということを、教育長は最後におっしゃっていたんだと思いますので、その立場でこれからも進めていただきたいというふうに思っております。
男なんだから泣いちゃだめとか、男なんだからさっさと決めなさいとか、そういうことで傷ついてきた方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思うので、そうではない社会をぜひ、ともにつくって、女性も男性も自分らしく生きられるということを、教育長、進めてくださるだろうなというふうに今の答弁の中で思いましたので、よろしくお願いいたします。
次に、いろんなところで、男女の違いを一切排除するとか、男女を画一的に扱うということは、どのようなことを指しているのか伺います。
○近藤指導部長 男女の違いを一切排除しとか、画一的に扱うということ、これは例えば体育の授業の着がえを男女一緒に同じ教室で行わせたりとか、男子も女子も一律にさんづけで呼ばせる、そうした事例を指していっているわけでございます。
○執印委員 こういったことも、男女平等に余り賛成でない方は誤解していらっしゃるところもあるように私も思うんですけれども、何でも一緒であればいいかというと、もちろんそんなことはなくて、その成長段階に応じて男女、きちんと整えるということが、それが人権だというふうに思います。ですから、いろんな試みの中でいろんなことがされてきたんだというふうには思いますが、その辺はそんなに違わないというふうに思っております。
ついでにいわせていただくと、学校の中で、体育の授業のときにまず着がえする場所がないという問題がありますので、そういったことについては、そういう問題があるんだということをぜひついでにご認識いただきたいというふうに思います。
ただ、やっぱり時代によってそういうことも変わっていくんだと思うんです。NHKのテレビで今、「アリーmyラブ」という番組がありますけど、あれは男性も女性もトイレットは一緒なんですね。そこがまた交流の場にもなっているというようなのを見ますと……(「ふろ場ならわかるけど、トイレでどういう交流するんだ」と呼ぶ者あり)今度見てください。私もそこは確認をしたことはないんですけれども、いろんな状況によって、そこの場所のとらえられ方というのがやっぱり違っていくものなのかなと思って見ているということだけですので、それがいいのかどうかは私にもわかりませんし、今の日本には余りふさわしくないだろうというふうに思いますし、障害者の方のトイレをどうするかという問題でも、同性介助の問題とか、介護をしている人が入りやすいトイレのつくり方というものが今いわれているわけですから、何でもかんでも一緒にというふうに思わないことが大事なのかというふうに思います。
それでは、あともう少し質問があります。教育委員会は、固定的な性別役割分業に関してはどのような見解を持っているのでしょうか。
○近藤指導部長 固定的な性別役割分業とは、男女の特性や役割を固定的に当てはめる見方、考え方であると考えております。例えば、一般社会においては男は仕事、女は家庭、また学校においては、掃除の時間に男子は重い机を運び、女子はほうきで床を掃くということなどでございます。
いずれにいたしましても、一人一人が自立した個人としてその能力や個性を十分に発揮し、男女による固定的な役割分担意識を持つことなく、自己の意思と責任により多様な生き方を選択することができることが大切だと考えております。
○執印委員 それでは、次に、男女平等教育を進めると、日本のよき伝統や文化を破壊することにつながるという考え方がありますが、都教育委員会の見解を伺います。
○近藤指導部長 男女平等の参画社会というのは、我が国の長い歴史の中で培ってきた伝統や文化などを大切にするとともに、一人一人の個性を尊重し、個人の能力を十分発揮することにより実現されるものだと考えております。
○執印委員 私もいろいろこの男女平等の問題をずっとやっていると、進めたくないかに見える側は何が不安なんだろうなと思うと、多分こういう文化とか伝統が破壊されるというふうに思っていらっしゃるのかなというふうに思うんですけど、いろんな国のように、文化の大革命というような国もあったようですけれども、日本というのはそんなふうには動いていかないんじゃないかなと私は思っているんですね。
それで、文化でうまくつながらないものがあるとすると、例えばひな祭りとか、こどもの日で見てみると、男女平等教育を推進したからというよりも、家のスペースの問題などが大きいんじゃないかなというふうに私は思っているわけでして、それがおひな祭りとか、こどもの日というのは、するかしないかはその家の問題もあるし、それが例えばおひな祭りだったら、三月三日が終わったらすぐ片づけないと嫁に行くのが遅くなるとかっていうのがセットになっていること自体が嫌らしかったわけだと思うんですけれども、そういうことは、そういうものだったということを客観的にみんなで勉強していけばいいものだというふうに思っておりますので、見解を伺うだけでは失礼かと思いまして、私の方もお話をさせていただきました。
それから、国会でも例として出されておりますが、「ももからうまれたももこちゃん」というのを扱っている教科書というのがあるそうです。これは都議会でも出されたことがあるようですが、これは都内でどれくらい使用される予定なのか。また「ももからうまれたももこちゃん」の話は、その教科書でどのように扱われているのか、お尋ねいたします。
○近藤指導部長 お話の教科書につきましては、来年度、平成十五年度から使用する教科書でございまして、都立高等学校では二校が使用する予定でございます。
この「ももからうまれたももこちゃん」というお話は、家庭科の学習の導入として扱われておりまして、高校生が日々の暮らしの中から課題を見つけ創作したものを掲載しているということでございます。
○執印委員 ありがとうございました。私も、いろんな議事録を読んだときに、「ももからうまれたももこちゃん」という題材を使って、どうやって教えるんだろうなというふうに思ったわけですが、私も見せていただきまして、今お話があったように、問題を考える導入であるということで、大変かわいらしい絵ですよね。もしもの仮定の中でつくられたものであって、本当に家庭科をどう学んでいくかという導入の部分だというふうに思います。学校は、こういった指摘があって面食らっているんじゃないかなと思います。
今後、授業が来年度から行われていくわけですが、トータルな視点で進められるということと、この授業の一部分の指摘で、また今後混乱することがないように、都教委としても対応していっていただきたいなというふうに思います。
一年間かけて学ぶものでしょうから、ここだけあるから授業がすべておかしいというようなものでは当然ないし、これは皆さんにも見ていただいたらいいんじゃないかと思うんですけれども、大変いい発想の中でこのお子さんは考えられて、生徒さんが考えられたものですから、この問題をこのような形で、絵本にするというような形でこういったジェンダーの問題を考える、そういう発想もあるんだなということで、私も学ばせていただきました。
それから、昨年の十一月十五日に、内閣府が、男女共同参画は性差の否定ではないという旨の文書を都道府県に送付することを決めたというふうに報道にありましたが、どのような文章で東京都に送付されているのでしょうか。
○近藤指導部長 内閣府男女共同参画局から東京都生活文化局に送られてきた文書は、男女共同参画に関する国会の質疑についてでございます。その後、生活文化局男女平等参画室長から教育庁指導部指導企画課長に送られてきたものでございます。
○執印委員 生活文化局にも伺い、資料もいただきましたが、参考文書で情報の提供というふうに私も聞いております。
最後に、改めて、いろいろ私なりに男女平等の問題を今伺ってきたわけですが、東京都における男女平等教育の基本的な認識を最後に伺います。
○近藤指導部長 都教育委員会では、固定的な性別役割分業意識を克服し、男女平等観に立った人間形成の推進に努めてございます。
学校教育におきましては、人権教育の推進に努めるとともに、東京都男女平等参画基本条例に基づき、性別にかかわりなく個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を児童生徒に理解させ、その具現化を図るよう努めているところでございます。
○執印委員 ありがとうございました。いろんな議論がいろいろ出て、議論する中でお互いに合意できるところを出しながら、この男女平等の問題を進めていくことが必要だというふうに思いますし、そのときに、議論のための議論になっていて、子どもたちが置き去りにならないことが何よりも必要だというふうに思って、この質問をさせていただきました。
これまでの歴史を踏まえて、現状の問題をしっかりととらえて分析をし、そして問題解決をして、新たな時代を子どもとともに切り開いていく視点が大切だというふうに考えますので、今後ともぜひ、男女平等というのは新たな時代をつくり上げるものとして取り組みをお願いしたいと思います。
最後に、セクシュアルハラスメントの都立高校の対策について、横山教育長を初め担当者の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。意見です。
セクシュアルハラスメントに対応していただきまして、都民の方からお手紙をいただいたんです。ことしは都立、これは学校をいっていいですかね、日野台でPTAにかかわっていますが、そこで、娘が卒業した高校の先生と親同士として知り合い、娘の在学中に、教師の女子生徒に対してのセクシュアルハラスメントがあった話を聞きました。そのとき、学校側もきちんとした対応ができず、PTAも問題の解決に協力しなかったこと。被害者の親はとても大変だったとのことです。そして、その一部の教師で、その教師を学校から追い出したことなどを聞いて、心が痛みました。親の立場として、PTAが立ち上がらなかったことは本当にショックな話でしたということで、お手紙が来ましたが、これは都立日野台に通わせている人の話で、この日野台の高校でセクシュアルハラスメントが起きたということではありませんので、名前を出させていただきました。
今回、こういった要綱をつくって相談窓口をつくるということについては、的確な対応だったというふうに思います。
ただ、一度、教育長もおっしゃっていたように、そういうことを絶対しない先生にとっては、そんなふうに思われているかと思うとすごく心外な気持ちも多分あるであろうというふうに、私もそれは思います。だけど、こういったものをつくることを通して、先生も気がつかなかった、自分で気がつかないけれどもセクハラだったということもあると思うし、その時代を生きる子どもたちとのずれのようなものがもしかしたらあるかもしれないし、そういったものを認識される場としても使っていただきたいし、それから、子ども自身も自分自身に力をつけて、嫌なときは嫌というふうにいえる力をつけるためにも使っていただきたいというふうに思っております。
それから、きのう、大阪の方で、中学生のお子さんが裁判を起こして判決が出たという記事がありました。朝日新聞にそのお子さんのことが取り上げられていましたが、お読みいただいているでしょうか。自分がいうことによって先生が裁判を受けたわけですけれども、その二次被害というものもまたすごく大きなもので、あなたがそういうことをするから先生が困ったんだというような、そういった意味のことも含めて二次被害があったということでございますので、そういったこともぜひ情報として持っていただいて、この窓口を有効に使って、都立高校がこういった面ではどこからも指摘されることなく、大変信頼がある学校になるというようにぜひお願いをしたいと思います。
ありがとうございました。
○福士委員 それでは、最初に、都立学校の耐震補強についてお伺いいたします。
昨年十二月に、都立学校の耐震診断調査結果というものをいただきました。大変丁寧な、ファイルまでついていただいたんです。問題のある学校を調査されたと思いますので、結果がよくないのは当然だと思いますけど、数字にすごくばらつきがありまして、Y方向だと一・九とか、一・三とか、すごく高い数値が出ているのに、X方向で〇・二九一などという少ない数字が出ているところもあったりして、ばらつきが多いところについての理解がしにくいことと、また、今後に向けての取り組みについてもちょっと不明なので、二、三お伺いさせていただきます。
二〇〇二年度は、校舎などの補強工事で新規に一校、それから継続で五校、準備で一校、調査が四十一校というふうになっていまして、合計で九億八千万余の予算が組まれていました。昨年十二月に二十五校に対する耐震診断結果が出されて、残りは年度内に出されるようですけれども、今年度に耐震診断調査がされた学校はどういう基準で選ばれたのかをまず伺っておきます。
○比留間学務部長 都立学校の耐震診断調査につきましては、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき実施しているところでございます。
本年度に対象といたしました学校は、過去の簡易な耐震調査におきまして耐震性能に問題があるとされている、構造耐震指標、Is値というふうにいっておりますけれども、これが〇・六未満の学校を対象として選定し、詳細な耐震診断調査を行ったものでございます。
○福士委員 今年度の耐震調査で、耐震性に疑問のありそうな学校の調査はすべて終わるんですか。全都立学校に対する補強調査の状況をお教えください。
○比留間学務部長 現在、都立高校及び高等専門学校は二百十四校ございます。それから、盲・聾・養護学校五十六校で、全体の都立学校数は二百七十校でございますが、このうち、耐震診断の必要がない新耐震基準で建築された学校が九十六校ございまして、これと、現実的に耐震診断ができない三宅高校を除きますと百七十三校になりますが、この百七十三校のうち近々閉校が予定されている学校を除きまして、本年度末ですべて詳細な耐震診断調査が終了いたします。
○福士委員 来年度では、校舎等の補強で新規に十一校、継続で一校、準備が二十六校で十三億四千万円の予算が出されていますけれども、今年度の耐震診断調査結果などと、それに絡めて来年度予算についてはどう対応していくのか、お伺いします。
○比留間学務部長 今後耐震補強工事が必要な学校数は、本年度耐震診断調査が終了いたします四十校と、前年度までに調査が既に終了している十一校の合わせて五十一校でございますけれども、この五十一校の学校につきましては、耐震診断調査の結果によるIs値などに基づきまして優先順位を決定いたしまして、改築や大規模改修等とあわせて実施する学校を除いて、平成十八年度までに計画的に耐震補強工事を完了させることとしております。
また、平成十五年度予算には五十一校のうち三十一校の設計費用を計上しておりまして、残りの二十校についても、十六年度以降、計画的に実施してまいります。
○福士委員 順番は、私もあの数値がわかりませんから、プロの方がきちんと考えておやりになったらいいと思うんですが、補強工事に関しては、盲・聾・養護学校は優先的に工事を行うというふうにおっしゃっておりますけれども、特に盲・聾・養護の学校は数も少なく、避難の困難さを考えましたら、十八年度のうちよりも、一日も早く前倒しをしても耐震補強工事を完了させるべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 盲・聾・養護学校の耐震補強工事につきましては、幼児、児童生徒の障害の状況や、学校により幼稚部の幼児や小学部の児童等も在籍することから、優先的に工事を行うということにいたしまして、平成十五年度、十六年度の二カ年で必要な十三校の補強工事を完了する予定でございます。
○福士委員 来年度で実施計画をして、十六年度で工事をするということですから、精いっぱい努力されるということなのかなというふうに思いますが、なお、ちょっとついでに申し上げておきますと、耐震補強というのは命にかかわる事業ですし、緊急性も高いことから、重点事業に入れるべきではなかったかなというふうに思うんですね。今年度、もう予算もついておりますので、そのことをちょっとつけ加えておきたいと思います。
知事も危機突破・戦略プランの中で、東京は震災に対して脆弱な都市であるというふうにおっしゃっていましたし、重点事業の予算化の中にも災害対策は考えられているんですよね。そこで考えられている災害対策というのは、危機管理体制が整うということですので、そのこと自体は、私はそれはそれで大事なことだというふうには思いますけれども、危機的状況になったときに、いかに被害が少なくて済むかということを考えますと、その体制づくりこそが問われるべきだというふうに思いますので、華々しい事業とかということではなくても、目配り、気配りをしていって予算組みを進めていただきたいというふうに、これは申し上げておきます。
次に、副読本についてお伺いいたします。
都内の公立学校、小中高には幾つかの副読本の予算が計上されていますが、今回、特に「環境と公害」についてちょっとお伺いします。
大変おもしろく読ませていただきました。配布状況については資料をいただいたんですけれども、どのように使われているかということが大事になってくると思うんですね。何冊配ったからいいよじゃなくて、実践活動集も読ませていただきましたけれども、活動奨励賞は小中学校バランスをとって表彰されているのかなというふうに思いますが、表彰外学校の実際の活動状況というのは、いま一つわからないんですね。小学校ではまあまあ使われているのかなと、あの表彰の中でも推測はいたしますけれども、中学で努力賞の数が非常に少なくなってきています。ということは、中学では応募自体が少ないのではないのかなと思いましたので、ならば、高学年に行くほど副読本が積んであるだけってなっているんじゃないか、そういう可能性が高いのではないかということをちょっと心配します。どのように活用されているのか、それをまず伺っておきます。
○近藤指導部長 都教育委員会では、児童生徒の発達段階や教科等の学習内容を踏まえまして、副読本「環境と公害」を作成してございます。そして、環境教育を推進するための資料としての活用を今進めているところでございます。
この副読本「環境と公害」は、小学校、中学校、高等学校におきまして、社会科や理科、家庭科、総合的な学習の時間などで活用しております。
○福士委員 中身はわかりました。で、利用実態、例えば、どの学校もちゃんと使われているかどうかというのがもしもおわかりだったら、後で教えてください。
特に高校の環境読本ですけれども、これは、何もわからない大人が読んでも、なかなか興味を持てる形で書かれておりました。わかりやすくもできておりますので、あれだったら中学校に移行して、中学校の中に入れていっても、中学生としてでも理解できるんじゃないのかなというふうに思ったんですね。そうなりますと、高校生まで、小中の延長で、ただ内容が詳しくなっていくという副読本である必要はないんじゃないのかなというふうに思ったんですよ。
むしろ今、人間の消費生活が環境に大きな影響を及ぼしていますし、その改善が求められているところでもあります。また大学生などの若者は、ネット販売とか、電話で呼び出されて高価な教材を売りつけられたとか、さまざまな相談も多いようです。そのほか食品安全なども含む消費者教育の方が、むしろ逆に重要になってくるのではないのかなというふうに思いましたので、こうした実態も踏まえて、高校生向けの消費者教育に関する副読本がむしろ必要になってくるのではないかと思いますけれども、いかがお考えかなというふうに思いました。お答えいただければと思います。
環境、防災と固定化して、副読本は環境と防災ですよみたいな、そういう固定化して考えるのではなくて、年代によってそれぞれ必要なものを考えていくべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○近藤指導部長 お話のように、消費が環境に及ぼす影響が極めて大きいということから、副読本「環境と公害」は、環境に配慮した商品の購入やリサイクル活動の推進など、消費者教育にかかわる内容を含めて構成しているわけでございます。
特に、高等学校用の副読本「環境と公害」につきましては、青少年の消費者被害の増加や消費者問題の多様化などの実態を踏まえまして、今後とも消費者教育を視野に入れながら作成してまいりたいと考えております。
○福士委員 あの本をつくるのに大変な努力をされていると思いますし、安くはないということですので、なるべく有効に使われるように努力をしていただきたいというふうに思います。
それでは、次に参ります。
先ほどもちょっと出ておりましたが、性教育調査についてお伺いいたします。
学校における性教育の指導に関する調査結果の中間まとめが出されましたけれども、これはどういう目的で調査をされたのか、まず伺います。
○近藤指導部長 本調査につきましては、区市町村の小中学校や教育委員会における性教育の指導に関する実態を把握するとともに、指導上の課題等を明らかにし、性教育の改善充実を図るために行ったものでございます。
○福士委員 この調査結果はどう利用されるのですか。
○近藤指導部長 調査の結果につきましては、区市町村教育委員会や各学校にこの情報を提供したり、また、今後、都教育委員会が作成いたします指導資料の参考資料としていく予定でございます。このことによりまして、各学校や教育委員会における性教育に関する指導の充実改善に努めてまいりたいと思っております。
○福士委員 年間指導計画の作成状況をこのアンケートの中で拝見しますと、小学校で約五二%、中学校では一五%弱にしかすぎないんですね。自分の体を大切にするという意味で--必ずしも計画が出ていなくても授業は行われている場合もありますので、これが実態だというふうには思っておりませんし、先ほど来、河西副委員長からも性に関する問題点というのは出されておりましたので、繰り返して申し上げませんけれども、でも、自分の体を大切にするための性教育であるというふうに私は思っておりますし、そういう意味では、なるべく早期教育を充実していく、そして、それを進めるように指導すべきだというふうに思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○近藤指導部長 学校における性教育は、各教科等のねらいや内容に基づきまして、児童生徒の発達段階に即して計画的に進めることが大切でございます。各学校においては、教科等の年間指導計画に基づきまして、性に関する内容を指導しているところでございますが、今後、性教育の年間指導計画を作成し、組織的、計画的に性教育を行うよう、指導助言をしてまいりたいと思っております。
なお、児童生徒の発育、発達には個人差がございますので、それらに対応することも極めて重要であることから、必要に応じて個別指導を行うことも進めてまいりたいと考えております。
○福士委員 個別指導も含めてということですので、先生方はそれなりに考えていらっしゃるのかなとは思いますが、先ほど来ちょっと気になるのが指導の改善充実。これ、いい方に改善充実されればいいんですけど、もう一つ気になりますのは、今、学校の独自性とか学校長の裁量ということがうたわれながら、現実には、性教育の問題では、都の指導計画を超えた指導がされると、いかにも悪いことをしたような、そういう指導がされたり、あるいは抑えつける指導がされるような実態がありまして、例えば国立五小でインターセックスを一年生に教えたことが大変重大ミスのように騒ぎ立てられて、マスコミにも流されていて、新聞記事にもなっておりました。指導計画は基本的な計画であることは大事だというふうに思いますけれども、ある程度の裁量を認める自由はあってもいいのではないのかなと思うんですね。
現実にこの国立五小の場合は、普通の私の体という延長線上でプライベートゾーンの話がされていまして、自分の体については、足のぐりぐりしているところをくるぶしと覚えたよということがあって、大変よく知るようになりましたというような子どものコメントとか、手の指紋がそれぞれ違っているということがわかったというような延長線上に、ペニスって恥ずかしいことじゃないからお兄ちゃんにも教えてあげようとか、そういうペニスとかいろいろな名前を覚えてうれしかったよというような子どもたちのコメントもありまして、インターセックスについても、問題があるというか怖がった子どももいるようではありますけれども、インターセックスという人がいるんだなということがわかりました、あるいは、インターセックスの人がいるんだったら、男とか女とかそういう人しかいないよとは絶対にいわないよと、差別感が逆に薄れて子どもは受けとめているんだなと思って、私は結構感心したんですよ。
こういう差別意識を持たないで成長していくことこそが大事なことではないかなというふうに思いますので、何でもかんでも隠せばいいよねという話ではないのかなというふうに思いました。一年生は一年生なりの理解の仕方も、どっちもありだということを考えておけばいいのかなと。
このことについては、先生も事前にチームで検討されていた上で、なおかつ批判があったということに対しては、自分たちが正しいと突っ張っておられるわけじゃなくて、悩みつつ、その後の対策というのもどうしたらいいんだろうみたいなことを考えていらっしゃるので、そういうときには、ご注意ぐらいはあってもしかるべきなのかもしれませんが、これ以上のことをやってはいけないとか、この枠からはみ出してはいけないとか、余りがんじがらめの教育というのは決していい結果を生まないんじゃないのかなというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
○近藤指導部長 性教育等の指導計画を作成する際の根拠となる学習指導要領は、大綱的な基準を示したものでございまして、地域や学校の実態及び児童生徒の発達段階に応じて弾力的に扱うことができるものでございます。
いずれにいたしましても、都教育委員会は今後とも、性教育に限らず、各学校における教育課程の編成、実施及び管理が、校長の権限と責任のもとに、学習指導要領に基づいて適切に行われるよう、区市町村教育委員会と連携を図り指導助言を行ってまいりたいと考えております。
○福士委員 年齢に応じた教え方があるので、なるべくわかりやすい理解ができる段階でというふうに思われるのは、それは私も理解できます。ですから、そのことをどうこういうつもりはないんですけれども、早く教え過ぎたからけしからぬといい切れるものでもないでしょうという意味で、先ほどの例はお示ししたわけです。
だから、どっちにも問題があったときに、授業に不安を覚えた場合には、その後の対応がどうできるか。もし枠からはみ出した場合に、その後の対応がどうできるかということが重要な問題だというふうに考えるべきだと私は思うんですね。大人というか、教師まで枠の中でしか動けないような、型枠にはめ込んだような教育というのは、決して本物の教育とは思えませんし、むしろ、そういう教育で社会人になった人が、さまざまな現実面に対応し切れないで困った問題というのは、今、社会的な問題として取り上げられてもいますので、その辺のところは、組織的、計画的というご答弁が、余り枠をはめるという形でないように望んでおきたいと思います。
昔も、私なんかの時代も、はみ出し先生というのはたくさんおられまして、同窓会なんかでは、今でもあだ名で相変わらずその先生たちの懐かしい話としていっぱい出てきます。社会通念上の悪ではない限り、許容範囲の判断というもの、それは、先生方も教育庁もきっちり判断できるような教育現場であってほしいなと思いますので、それは申し上げておきたいというふうに思います。
それでは、次に参ります。
教育に関する新たな枠組みの設定について伺います。
教育基本法改正の中教審の中間報告というのが出されました。私も新聞で拝見しただけですけれども、見直し方向として、家庭(保護者)の果たすべき役割や責任という規定が挙げられていますけれども、教育基本法というのは基本的には公教育についての法律であって、家庭や保護者について定める法律ではないというふうに思うんですね。
教育長のお考えをちょっとお聞かせください。
○横山教育長 現在、家庭教育につきましては、現行法上、社会教育法におきまして、国及び地方公共団体において奨励されなければならない旨の規定がございます。
このたびの中央教育審議会の中間報告では、家庭教育の現状を考えるときに、それぞれの家庭(保護者)が子どもの教育に対する責任を自覚し、みずからの役割について改めて認識を深めることがまず重要である、こうした観点から、家庭(保護者)の役割や責任について新たに規定することが適当と考える、こういう報告がなされております。
こうした家庭における基本的な役割や責任を明確にした上で、家庭教育に対する支援施策の充実を図っていくことが必要であると私自身も考えております。
○福士委員 ほかの方からも出ていましたけど、大人になるまでにどれだけ自己確立ができる教育がされるかということの方を充実していけば、家庭教育も自然とよくなるんじゃないのかなというふうに思うんですね。
それはそれとして、この一月に出された「心の東京革命」教育推進プランは、何を目指しているのかなと思いましたが、ちょっとよくわかりませんでした。結局、教育基本法の中間答申の先取りで、学校教育の責務を家庭教育にすりかえようとしているのではないのかな、そういうふうに見えてしまうんです。例えば、やはりこの一月に出された心の東京革命行動プランの中で、教育庁関連として書かれている子どもの読書活動の推進において、親子の語り合いということが述べられていて、考える機会を提供していくと書かれているんですけど、これはどのようなことを考えているんでしょうか。
○近藤指導部長 読書は、子どもの人間形成を図る上で極めて重要な役割を担っていると考えております。子どもは、親からの読み聞かせなどによりまして、初めて本と出会い、読書に対する興味、関心を高め、自主的に読書をするようになっていくことから、家庭における読書は大切であると考えております。
学校におきます朝の読書活動は、教育活動の一環として行うものでございますが、子どもの読書習慣の形成や情緒の安定、学習意欲の向上などにも教育的な効果があり、こうした学校での読書活動の体験を親子で話し合うなど、学校と家庭が連携し、子どもの読書活動を推進することが大切であると考えております。
○福士委員 悪い話じゃないんですけど、ただ、家庭というのはいろんなご事情がありますよね。朝から晩まで中小企業で働いていて、とても本なんか読んでやれないというお母さんだっていらっしゃいますし、そういう意味で、イベントなのかなというふうにちょっと思ったものですから、イベントでなきゃそれはそれでいいんです。親が本を読んであげちゃいけないというふうにいっているんじゃないんですけれども、そこまでいう必要があるのかなというふうにちょっと思いました。とりあえず教育庁でもし書くとすれば、そういうお話であれば、子どもの読書活動を推進するということでいいんじゃなかったのかなというふうに思います。その後のことは、おうちで、子どもが帰って、こんな本を読んだよと、朝の読書活動で読んでも、こんな話があったよとか、先ほどの性教育の話でもそうですけど、おうちで話をしたよと、それで話が膨らんでいけばいいことであって、何かそこまで突き詰めて書くような話なのかなとちょっと疑問に思ったものですから、お伺いしました。
公教育で……(「親の責任というのをどう考えるのか」と呼ぶ者あり)今、親の責任はということがありましたけど、親の責任をきちんと考えられる親をつくるのは、そこまできちんとした自己判断のできる大人、親かどうかじゃなくて、大人をつくれるかどうかという教育になっているので、あれせい、これせいという話ではないというふうに思います。
次の質問に移りますけれども、今まで問題になっているのは、そういうことをきちんとやらないで、がんじがらめに一足す一は二ですよという教え方、少なくともそれ以外の考え方があって、十引く八も二になるというような、いろんなやり方でそっちの方向に答えを出していくんだよというやり方の教育がなされていなかったことが逆に問題になって、親もいろいろ考えられなくなっているんじゃないのかなというふうに思います。
先ほど来ご答弁でも、教育庁側も、それから国側も、さまざまな問題が教育の中にはあったというご答弁がありましたので、むしろそこの反省はしっかりしていただくということで、公教育として考えるべきことは、読書をもしやるんだったら、公教育としての読書活動を進めるのであれば、学校図書館の司書教諭の配置、そっちの方がむしろ重要で、子どもたちが読みたい本を選ぶときにアドバイスするとか、子どもが調査をするときに、どういう本の選び方ができるか、あるいはどういう調査の仕方ができるか、そういうアドバイザーとしての方が、公教育としての役目ではないかなというふうに思いますけど、いかがでしょうか。
○臼井人事部長 学校図書館の司書教諭のお尋ねというふうに思います。
平成九年に学校図書館法が改正になりまして、平成十五年四月一日、本年四月から、十二学級以上のすべての学校に司書教諭を配置することが義務づけられました。都教委としましては、平成十年度から計画的に有資格者を養成してきたところでございますが、今後とも区市町村教育委員会と連携しながら、該当校に司書教諭を配置できるように努めてまいります。
○福士委員 法改正があって、でも十二学級以上ということはあるわけですが、学校図書館法で改正された十二学級以上の学校となりますと、全体でどのくらいのパーセンテージを占めるんですか。
○臼井人事部長 公立学校約二千三百校ございますが、そのうち対象となる学校は約一千四百校で、全体で占める割合は六割程度になると見込んでおります。
○福士委員 その六割の中で、高校は割といいんですが、それから小学校もまあまあいいというか、十二学級ぐらいになるんですが、中学校が一番少なくなるはずですね。
私、杉並の区の状況を、昔ですが調べたことがあって、今でも余り変わっていないような状況なんですけれども、司書教諭が国語の先生だったりするわけですね。そうすると、国語の先生なんかはまだいいんですが、全然違う担任で、ただ司書教諭の肩書があるということで学校図書館に配置されている方がいても、読書に熱心じゃない先生の場合は、すごく子どもの図書の取り組みって違ってくるんですよ。学校によっては、年間百冊読んでいる子どもがいる学校と、年間三冊ぐらいしか読まない学校と、物すごいばらつきが出るという実態がありまして、そのことを考えましたら、やっぱり十二学級が云々ということは、今すぐどうこうせいと申し上げているわけではありませんけれども、司書教諭の重要さというのはもうちょっとご認識いただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
ぜひ頑張って、子どもの教育ということは、本を読むことで自分が考えるということも習慣づけられることでもありますし、読書というのは、だれかに教えられたらどうこうということじゃなくて、私なんか子どものときはだれに教えられることもありませんでしたし、そんなに今のように丁寧な教育というのはありませんでしたから、ただその辺にある本を読みあさるというような状況でもありましたけれども、でも、せっかくこれだけのことが進んできておりますので、司書教諭の配置についてもしっかり考えていただきたいというふうに思います。
最後の質問は、ダブりますので省きます。
以上で質問を終わります。
○渡辺委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
午後五時十七分休憩
午後五時二十七分開議
○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大西委員 平成十五年度の教育委員会の重要施策の中で極めて意義があると思うのは、教育のとらえ方を、学校教育にとどまらず、家庭や地域社会、こういったものを含めてしっかりと構築していこうというような方針を出されているということは、大変心強いことだと思うんですね。そういった中で、未来塾の問題についてちょっとお尋ねしていきたいと思うんです。機構横断的に、教育庁なら教育庁のセクションに限らずに、全庁的にこういった教育改革を取り組んでいく先駆けをなしていこうということで、期待もしているわけですけれども、この未来塾の設置の趣旨についてお話を伺いたいと思います。
○近藤指導部長 東京未来塾は、都立の大学と高校が連携しまして、日本の将来を担う改革型のリーダーを育成することを目指して設置するものでございます。ここでの学習成果に基づきまして、都立の新大学への推薦入学の道筋をつくっていこうとするものでございます。
○大西委員 改革型のリーダーということで、大変心強いと思うんですね。男は男らしく、女は女らしく、そして二十一世紀のリーダーとしてふさわしいような人材を育成していこうということですけれども、その教育内容はどういう内容なのかについて、具体的にお話を聞かせてください。
○近藤指導部長 東京未来塾は年間百日程度開講し、第一線で活躍する社会人や大学の教員などを講師に招きまして、問題解決を図るための学習や特別講義、ゼミナールなどを行います。こうした活動を通しまして、社会における課題に目を向け、その解決に向けて努力する志や解決法を探る能力など、リーダーとして必要な資質を育成してまいります。
○大西委員 これは都立大学と連携して教育をするということですけれども、こういった講習が終了した後に、都立大学への入学問題というのが生じてくると思うんですね。これについてはどういうお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
○近藤指導部長 東京未来塾では、都立の新大学に進学することを前提として、大学と連携した教育を行うものでございます。したがいまして、塾の修了者には、都立の新大学に推薦で入学できる力を身につけさせたいと考えております。しかし、この未来塾での学習を修了すれば必ず入学できるということを保証されているものではございません。
なお、この東京未来塾の生徒の推薦入学のあり方につきましては、今後、大学管理本部と連携を図りながら検討を進めてまいります。
○大西委員 こうして大学と連携して講習を百日間も受けられる。そして今、もちろん指導部長の立場としては、都立大学優先入学の門戸が開かれていますよとはいえないだろうけれども、私どもとしては、そうした生徒が育ってくると思うんですね。しかも目指すべきものは、来るべき時代のリーダーを育てようということですね。
そういう意味では、都立高校からはもちろんたくさんの応募があると思いますね。しかし、私立高校の生徒に対して門戸が開かれていないのはおかしいのではないかなと思うんですね。その辺について、なぜ私立高校生は対象となっていないのか、お聞かせいただきたいと思います。
○近藤指導部長 私立学校では、それぞれの建学の精神に基づいた特色ある教育を進めてございます。大学との連携した教育についても、それぞれの学校の教育理念に基づいて取り入れているものと考えております。東京未来塾の趣旨に賛同いたしまして、生徒を受け入れてほしいという希望が私学の団体等からございますれば、今後検討してまいりたいと考えております。
○大西委員 それでは、決して私立高校に通う生徒をシャットアウトするものではないというふうにとらえさせていただきたいと思うんですね。
やっぱり教育のとらえ方として、もちろん教育庁の所管は、高校レベルであればそれは都立高校であるかもしれないけれども、やっぱり私学に通っている子どもたちというのも五〇%以上いるわけですよ。そして、あくまでも今までは、逆に私学に押されっ放しで、教育のあり方というものを見事に示して実践してきたのが、私学の一部の熱心な教育者たちだったという経緯もあるわけですね。ですから、父母が都立高校離れをして、優秀な子弟はみんな私学の受験校というか、立派な教育が行われている学校に集中したような時代を乗り越えて、今、都立高校改革をして、父母の信頼や生徒の信頼も取り返して、そして、本当に社会のリーダーとなるべき人材を養成しようということで取り組んでおられるというのは、これはこれで高く評価をしているわけだけれども、そのときにやっぱりこれは競争じゃない。私立も都立高校も、みんな我が東京都のあすを担って立つ大事な大事な青少年なわけですから、そういう意味では、教育庁ももう少し幅を広く、そして包容力をしっかりと持って、これからは私立に対しても、都立高校の改革を成し遂げることによって教育のあるべき姿を示していくんだと。そして、都立高校が高校教育界のリーダーとして、全国にも教育の本来あるべき姿を示していくんだというぐらいの気迫を持って取り組んでいただきたいと思うし、そういう意味では、この未来塾についても、都立高校生に限定するんじゃなくて、広く門戸を開いて、私学に通う子どもたちにも開いていただきたいと思う。
そして、この未来塾というのは、ある意味では、これからのエリート教育というと、また、いろんなつべこべいう人たちもいるし、教育にとって公平で機会均等というものは、よく石原知事もいっているけれども、これは大切だけれども、しかし、そこに競争が生まれて、優秀な生徒をしっかりと育てていくことも大切なわけだ。
ですから、この未来塾というのは壮大な、壮大というとオーバーかもしれませんけれども、ある意味では大切な試みだと思うんですね。これにつきまして最後に教育長のお考え、決意のほどを伺いたいと思います。
○横山教育長 これまでの都立高校の学校教育の欠点の一つが、確かに理解度の低い子どもたちのための施策というのは結構あったわけですね。ところが、能力を持ちながら、それを伸ばす教育というのがまさになかった、こんな感じを持っている。
そういった意味で、この東京未来塾といいますのは、まさに日本の未来を担う改革型リーダーの育成を図るという理念のもとに、高等学校の教育の基礎はしっかり行った上で、大学と連携した教育を行いまして、学問の真髄に触れさせる中で、生徒の将来の進路に向けた意欲や、みずから問題を解決する力などを育てていくものでございます。
来年度は、こうした教育理念を実現するために、大学管理本部と連携を図りながら、カリキュラムの検討等を精力的に行いまして、平成十六年度の開設に向けて鋭意努力してまいります。
○大西委員 私も、予特の中でも、横山教育長のいろんな答弁をずっと聞いてきました。私なんかはまだまだ諸先輩と比べれば議会経験は少ないけれども、十年近い議会経験の中で、最も改革派的な、最も信念に燃えた教育長の答弁だなということで、つくづく感心をしているんですね。
今までは、都市計画局の検討局じゃないけれども、そういうご意見があることを十分承りまして今後鋭意研究をしてまいりますとか、何か教育というのは魑魅魍魎な世界であったことが多分にあったと思うんですね、だれかれと、今までの歴代の教育長を批判するわけじゃないけれども。そういった中で、横山教育長がやっぱりしっかりとご自分の信念に基づいて、いうべきことはいい、そしてやるべきことをやってくる。これは、私ども教育改革を願う議員にとっても大変心強いことだと思うんですね。これからもぜひ積極的にお進めいただきたいと思います。
次に、東京都教育ビジョンについてお尋ねいたします。
これについては、策定をするについてのねらいであるとか、その位置づけだとか、内容については、先ほど執印理事の質問で私もよく承りましたので、先に進めさせていただきたいと思います。
そこで、やっぱり教育のビジョンを打ち出していくからには、もちろん平成十五年度の教育庁の方針である、全庁的な、組織横断的な形での教育というものを考えていこうという姿勢の一環だと思うんです。そして一方では、家庭や学校や、あるいは地域社会の役割もしっかりとビジョンとして打ち出していこうというお考えではないかと思うんですけれども、もう一つ、今論議されていた男らしさ、女らしさを含めて、それじゃ人間らしさとは何かとか、要するに社会人として生きていく、人間としてどうあるべきかとか、こういうようなビジョンが今示されていないんですね、はっきりとこの社会の中で。
ですから、私どもなんか本当に悲しくなってきたのは、予特でもお話ししたように、今の例えば保育園に入園させたいという親たちの心情ですよ。もちろん生活が厳しいから共働きしなければいけない、あるいは、両親のうち病人がいてどうしても介護をしなければならないから、子どもを保育園に預けざるを得ない、当初はそういった角度から、この保育行政というのは法的にも充実されてきた。
それが今、ともすると親の欲望を満たすために、ローンを払うためにパートに行く、それじゃ子どもが邪魔だから子どもを預けようとか、そういう形で待機者がはるかにいるから、こんなにいるから全部入れるようにしなさいとかいうような主張が議会の中でなされていくということは、本当にこれは社会をむしばむ、心をむしばむ一番大きな問題じゃないかと思うんですね。そういう点では、これはやはり教育で、学校教育だけじゃなくて、そういった家庭の中でも、あるいは父母がどうあるべきかも含めて、今、大事な事態を迎えつつあると思うんですね。
そういう意味で、二十一世紀を担っていく人間像というか、そういうイメージが示されるべきと思うわけですけれども、お考えはいかがでしょうか。
○石川教育政策担当部長 東京におけます教育の現状を踏まえまして、また、ご指摘の少子高齢化あるいはグローバル化、高度情報ネットワーク化、これらの状況も踏まえながら、社会経済の中長期的な潮流を見通した上で、しからば二十一世紀の東京の発展を担う人材に求められる資質は、あるいは能力は何か。都民意識や教育関係者、各界の有識者の意見などを参考にいたしまして、二十一世紀の東京の発展を担う人間像を描いていきたいというふうに考えております。
○大西委員 このビジョンの中でぜひ取り上げていただきたいというのは、さまざまな分野で今、社会をむしばみ、国をむしばんでいるのは、権利ばかり主張して義務や責任を放棄していることが多いということですよ。男女共同参画社会もそれは大切だ。しかし、社会人の一員である以上、社会人としての責務が果たせる、あるいは女性とはどうあるべきか、そのくらいのきちっとした厳しい自己認識の中で、それぞれがそれぞれの立場を主張していくべきであって、義務と責任を伴わない、権利ばかり主張するような論議がこれから進んでいったら、日本の社会は大変なことになるんだと思うんですね。そういった意味では、教育における家庭の役割や、あるいは義務。
教員についてもそうです。教員についても、待遇改善、そして労働条件の改善ばかりを主張して、本来の教師としての使命を忘れている。そうした論議がなされていくというのは本当に悲しいことだと思うんですね。ですから、教員の使命、あるいは道徳の教育なんかも大切なことだと思うんですね。そういったことについてしっかりと教育ビジョンの中で示していくべきだと思うんですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石川教育政策担当部長 教育ビジョンの中では、家庭、学校、地域、それぞれの役割を明確にしたいというふうに考えております。そしてまた、相互の連携、協力のあり方についても検討してまいりたい、かように考えております。
また、児童生徒の可能性を伸ばしていく上で教員の果たすべき役割、これは極めて重要であるというふうに考えておりまして、教員の使命でありますとか役割、さらには資質向上のための方策についても検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
また、お話の道徳教育、これにつきましても、児童生徒に基本的な生活習慣でありますとか、あるいは善悪の判断、思いやりの心や規範意識、これらをはぐくむ上で重要なものと認識しておりまして、教育ビジョンの中でもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○大西委員 教育勅語なんていうと、私もなじめないところもありますし、今いろんなご意見も出てくると思うんですけれども、しかし、戦前の教育において教育勅語が果たした役割というのは本当に大きなものがあったと思うんですね。そして、現代史に対する認識についてもいろんな論議がなされてきているけれども、あの日本がたどった明治維新後の、西欧列強から植民地化されないために、日本が自立自助の国づくりをしていく中で必要だった部分もたくさんあるんじゃないかと思うんですね。ちょうど戦後六十年、七十年近くなってきている、そういう意味では--別に教育勅語をつくれといっているんじゃないんですよ。そういった、これからの二十一世紀の教育の指針になる、そんなビジョンをぜひつくっていただきたいなと思うんですね。
さらに、これはビジョンだけに終わらないで、教育庁はもちろんだけれども、各局がそのビジョンに基づいて具体的な行政計画を立てて、そして、それらのビジョンが実現できるような仕組みもしっかりとつくっていくべきじゃないかと思うんですね。ですから、ようやく教育改革元年、一つのビジョンがここででき上がる、それに基づいて全庁的にこれに取り組んでいくということが、東京のあしたに大きな希望を与えていくことだと思うんですね。これ、要望にとどめるか、教育長、最後に答えてもらえますか。よろしく。
○横山教育長 ただいま、戦後教育の総括的な意味といいますか、いろんな問題、課題が出ております。国におきましても中央教育審議会で教育基本法の議論がなされて、そういった面では、これは一都道府県の問題ではなくて、国家的な課題として、現在、議論がされている。そういう中で、東京は東京の特質というのがあるわけですから、東京が持つ特質に基づいた東京都の教育ビジョンというのがあってしかるべきで、そういった意味では、戦後教育を総括した上で、今後どうあるべきなのか、その辺についてのあり方を示してまいりたい。
当然、今お話があったように、単にビジョンを示しただけでは何にもならないわけで、これが実効性あるものとなるような仕組みづくりそのものも取り組んでまいりたいと考えております。
○服部委員 それでは、私の方からは二点、簡潔に伺わせていただきたいと思います。
最初に、教育の日の制定についてまず伺いたいと思うんですけれども、これは、昨年の第三回定例会で請願を当文教委員会で趣旨採択いたしました。その後どう検討されたのか、まず伺います。
○石川教育政策担当部長 教育の日の設定についてでございますが、ご指摘のとおり、昨年第三回定例都議会で請願が趣旨採択されたところでございまして、これを踏まえまして、先般、「心の東京革命」教育推進プランの今後の取り組みの方向を示す取りまとめをしたところでございますが、その中で、平成十五年度に教育の日を設定することといたしました。
都教育委員会は、すべての都民が教育に参加することを目指していくことを教育目標の中でうたっているところでありますが、教育の日を設定し、その趣旨に沿った取り組みを学校や地域で行うことで、教育への都民参加をより一層進めていきたいと考えております。
○服部委員 平成十五年度に教育の日を設定する、はっきりそういう答弁がありましたが、それでは、この教育の日のねらい、また、来年度はどのように取り組もうとされているのか、この点について伺います。
○石川教育政策担当部長 教育の日は、都民が教育に関する関心を高め、こぞって東京の教育を見詰め直し、将来にわたる子どもの育成について考える日として設定するものでございます。
このため、教育の日の設定に向けまして、東京の教育に関する都民意識調査や教育関係者との意見交換を実施するほか、道徳を初め学校の授業公開をさらに推進していくことなど、都民の教育への関心を一層高めまして、教育の問題に社会全体で取り組む機運を醸成してまいりたいと考えているところでございます。
なお、これからの東京の教育のあり方をトータルにとらえます教育ビジョンを来年度検討してまいりますことから、この中におきましても、教育の日のあり方等についても検討することを考えております。その際、有識者、教育関係者を初め広く都民の意見を伺いながら、幅広い都民の理解と支持が得られ、継続的な取り組みとなるような方策について検討してまいりたいと思っておるところでございます。
また、十五年度は、教育の日の記念行事といたしまして、十一月上旬に東京の教育を考える都民の集い、このようなものの開催を予定しておりますほか、その時期を中心といたしまして、学校や地域でさまざまな教育関係行事を集中的、効果的に実施するなど、その趣旨に沿った取り組みを行っていきたいと考えております。
○服部委員 今回の趣旨採択をされたことを重く受けとめられて、来年度からいよいよ設定をするということですが、これを出された退職校長会を初めとして、学校の関係者ですとか有識者ですとか、そういった方々の意見をよく聞いていただきながら取り組んでいただきたい、そのように思います。
他府県でも今、この教育の日の設定がされています。先ほど長野県の例も挙げられましたが、長野県では昨年十一月に信州教育の日ということを設定されて、その創設大会を開かれましたし、既に栃木県では平成四年から教育の日を設定して取り組まれ、また、広島、岡山でも平成十三年から、これは条例化しておりますけれども、教育の日を設定して取り組んでおられます。また、地方の市町村でしょうか、例えば和歌山県の貴志川町でしょうか、平成十三年からこれを設定し、また山口県の和木町、これは平成二年からですが、教育の日ではなく教師の日ということで、毎年五月の第四金曜日に実施されている、そういうことも伺っております。
そこで、初年度から、難しいことかもしれませんけれども、例えば功績を上げた教師をたたえたり、あるいは教育の日東京宣言を採択する。教師も、指導力不足の教師に対してはやはり厳しくやっていかなければいけないと同時に、教育に情熱を燃やしている教師、そういった教師に対しては、これはやはりたたえる必要があると私は思うんですね、それだけ子どもたちのために真剣に頑張っておられるわけですから。そういうことも含めて、しかも、今、他の府県の例を取り上げさせてもらいましたけれども、他の府県は他の府県として、東京はやはり東京の教育の日があるべきだ、私はそのように思うのです。
そこで、東京の独自の取り組みもぜひ検討するように要望いたしますが、この点についていかがでしょうか。
○石川教育政策担当部長 よく教育は人なりということがいわれるわけでございますけれども、児童生徒が心豊かに成長していく過程では、教員の存在あるいはその影響というものは極めて大きいものがあるわけでございます。子どもたちのために一生懸命汗を流して顕著な成績を上げた教員を正当に評価して、その功績を児童生徒に、あるいは保護者に伝えていくということは、教育の質の向上、さらには教員のモラールアップを図る上で有効な方策の一つであるというふうに考えております。
聞くところによりますと、お隣の韓国では、このような趣旨から、教師をたたえる教師の日が制定されて、さまざまな記念行事が行われているようでございます。教育の日を中心とした行事など、東京にふさわしい具体的な取り組みについて、お話のような例も含めまして、今後検討していきたいと考えております。
○服部委員 今、韓国の例も取り上げていただきましたけれども、世界、今二十一カ国かで教師の日を制定して、それぞれやはり教育に取り組んでおられます。東京にふさわしい教師の日が制定されるように、これからもぜひご努力いただきたい、そのように思いまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、先ほどからちょっと議論がありました三十人学級のことについて伺いたいと思うんですが、いわゆる小中学校における学級編制ですね。学級崩壊だとか、あるいはいじめ、あるいは不登校、こういった背景として、学級の規模を小規模にしたり、あるいは少人数による指導を充実すべきではないか、そういう議論があるわけですけれども、そういう中で具体的に三十人学級の提言もなされています。
こうした学級編制や少人数による指導について、都の教育委員会の基本的な考え方をまず伺わせていただきます。
○比留間学務部長 東京都教育委員会は、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要であると考えております。一方、基礎学力などの向上に配慮し、きめ細やかな指導を行っていくには、学級とは異なる少人数の学習集団を編成し指導していくことがより効果的であるというふうに考えております。
こうしたことから、学級編制基準につきましては、国の標準も踏まえて四十人として、教科等の特性に応じて多様な学習集団を編成して少人数の授業を実施するなど、指導の充実に努めているところでございます。
○服部委員 今、都教育委員会の基本的な考え方について説明をいただいたわけですけれども、具体的に、都の小中学校の学級編制の現状がどうなっているんだ、そういうことについて伺います。と同時に、仮に東京都が三十人学級をすべて実施した、そういうことにした場合、何人の教員が必要で、また幾らの経費がかかってくるのか、その点についてもお答えいただきます。
○比留間学務部長 昨年五月に実施いたしました学校基本調査によりますと、小学校では二十人未満の学級が二・四%ございます。二十人から三十人の学級が四四・七%、三十一人以上の学級が五二・九%となっておりまして、小学校の一学級の平均人員は三十・五人というふうになっております。
中学校では、二十人未満の学級が〇・七%、二十人から三十人の学級が一四・六%、三十一人以上の学級が八四・七%となっておりまして、一学級の平均人員は三十四人でございます。
それから、仮に来年度、小中学校のすべての学年で学級編制基準を三十人とした場合は、現在と比較いたしまして六千九十四学級が増加し、これに伴い、七千八百七十二人の教員増と約七百六十億円の経費増が見込まれます。
〔「実態は三十人になっているでしょう」と呼ぶ者あり〕
○服部委員 そうですね。私は台東区ですけれども、実態は三十人以下の学級が今もう進んでいるわけ、実態はね。もちろん、今、数字的なものも出されたように、既に三十人以下の学級が約四七%になりますね。いわゆる小規模学級といわれる二十人未満の学級が、現在もう二・四%であるということです。また、今のお話の中にありましたように、三十人学級を実施するということになると、現在よりも六千九十四学級がふえて、七千八百七十二人の教員増が必要で、しかも経費が七百六十億円ですか、これはほとんどすべて人件費だと思いますけれども、そういう巨額の費用が必要である、そういうことです。
次に、他の道府県の中で学級編制を弾力的に行っているところはどのくらいあるのか。また、その中で特に三十人以下の学級を実施している道府県は幾つあるのかについてもお答え願います。
○比留間学務部長 平成十四年度の国の調査では、何らかの形で学級編制の弾力化を実施しているのは全国で二十五都道府県でございます。その方法といたしましては、例えばある県では、学年三学級以上で一学級の平均児童数が三十八人を超える学校について、区市町村の要望に基づき三十八人以下で編制する、こういう例がございます。また、ほかの例といたしましては、生徒指導が困難など特別な事情がある学校について四十人を下回る学級編制を認める、こういう例もございます。
東京都では、小学校二年生及び六年生、中学校三年生に学年進行する際に学級数が増減する場合には現在の学級とすることができる、こういう制度を取り入れてございます。
それから、三十人以下で学級編制をしている団体はというご質問ですが、この三十人以下の学級編制を導入している団体は三県ございまして、福島県では小学校一年生と中学校一年生、鳥取県では小学校一年生と二年生で三十人以下の学級編制をするとしております。また宮崎県では、小学校一年生で児童数が三十六人以上の場合には三十人以下の学級編制をする、こういう制度としております。
○服部委員 他府県の学級編制弾力化の状況、こういったものを見ても、財政面の負担ですとか、あるいは生活集団としての規模などの課題を踏まえて、それぞれの自治体がきめ細やかな教育を行うために、学年とか、あるいは地域の特性に応じてさまざまな工夫を行っている、そういう結果であって、小中学校のすべての学年に画一的に三十人学級を導入しようということではない、そういう実態が明らかとなったと思うんです。
次に、学級の規模についてですけれども、長野県の教育委員会が平成十四年の十月に取りまとめた信州こまやか教育プランの成果等について、これは先ほどお話がありましたね。小学校一年生で三十五人学級を実施した結果、これは成果のこともいわれましたが、やはり成果と課題を踏まえた上で検証して、どうするかという基本的な考えに立たなきゃいけないと思うのです。三十五人学級を実施した結果、十八人と十九人の学級が生じて、この課題の中に書いてありますけれども、学級に集団のエネルギーが感じられなくなったり、あるいは人間関係の固定化が懸念される、そういったものが報告されているわけですね。児童生徒が社会性を養うためには、生活集団としての学級にはやはり切磋琢磨、こういったことができる一定の規模が必要である、そういう考えを私も持っています。
そこで、都の小学校では、一学級が二十人未満の小規模の学級が現在は何校に何学級あるのか、また、仮に三十人学級を導入した場合にはどうなるのか伺います。
○比留間学務部長 東京都における心身障害学級を除いた小学校の学級で、一学級の規模が二十人未満の学級がある学校は百三十八校で、学級数は四百七学級でございます。
仮に学級編制基準を三十人といたしまして試算をすると、二十人未満の学級がある学校数は三百九十一校に、学級数は千五百七十九学級に増加いたします。これは、今年度の小学校千三百五十四校の学校数でいいますと、二九%に当たる数字になります。
○服部委員 この三十人学級を実施した場合に、三十一人の学級はやはり二つに分かれますよね。今度は十五人と十六人のクラスができることになるわけですね。こうした小規模な学級は、子どもの一番大切な、児童生徒の社会性を養う、そういう点では非常に課題が多いと私は考えております。今の答弁でも、三十人学級を実施したとすれば、二十人未満の小規模の学級が小学校では三百九十一校で、千五百七十九学級にふえる、そういうことでしたね。そういったことはやはり児童の社会性を養うという観点から必ずしも好ましいこととはいえない、そのように私は思います。
やはり教育というのは、ただ三十人学級にすればいいということではなくて、総合的に考えていくべきだと思うんですね。当文教委員会としても、いろんな角度から教育改革ということで我々は取り組んできましたよ。ですから、こういった総合的な中で何を取り組んでいくのか、そういう観点が必要だと私は思うんです。先ほどどなたかが申されましたけれども、教師の指導力不足ということから、何か教師の本来果たすべき役割をおいて、ただ教師の労働条件だとか、あるいは待遇を改善するために--書いてはないんですけれども、その辺が見え隠れするということがあるとすれば、これは大変困ったことだな、そう思うんですよ。
現に、日教組が、これは随分古いんですが、昭和二十六年、古いといっても倫理綱領はいまだに変わったと聞いておりませんから、ちょっと例に取り上げさせていただきますけれども、その年の五月、第八回大会を開いて、そのときに教師の倫理綱領の作成と教研大会の開催、これを決定したんですね。教師の倫理綱領、これは十項目出されまして、その中に、教師は労働者である、それから、教師は生活権を守る、こういうことが明記されて、その後どうなんでしょう、これは生きているんでしょうね。まだ私も倫理綱領を変えたという話は聞いておりません。こういう教師は労働者である、教師は生活権を守る、そういう根底で、例えば教職員組合の方からいろんな条件が出されていたとすれば、私は、これは子どもにとって大変不幸なことだと思うんですよ。ですから、私たちはそういうことをよくわきまえた上で、公正な判断のもとに、こういったものを考えなきゃいけないと思っています。
「国民の教育」という本が出されましたよね。この「国民の教育」、渡部昇一先生が書かれた本ですが、その中にこういう記述もあるんですね。渡部先生と槙枝元日教組委員長の会見、何か会話があったそうですが、その当時、まだ拉致事件がなかったからかもしれませんけれども、槙枝委員長は、理想の教育は北朝鮮のようにやればいいと、こういう話をされているということが「国民の教育」という本に書かれております。
日教組の方はそういう流れの中でずっと来ている、倫理綱領もずっとそういうことで来ているということは、我々はきちんとここで押さえておく必要があると思うんですが、今、三十人学級の話ですから、ちょっと戻りますと、都の教育委員会でも、こうした問題点、児童の社会性を養う、そういう点も踏まえて、子どもたちのためにさまざまな工夫とか配慮を行っていると思いますけれども、その内容について伺います。
○近藤指導部長 都教育委員会は、国の第七次教職員定数改善計画を踏まえまして、少人数指導のための定数改善を計画的に進めるとともに、研究推進校を設置し、児童生徒の習熟の程度などに応じたきめ細かな指導を推進しております。
今後とも、研究推進校による実践研究の成果をリーフレットにまとめるなどしまして、少人数指導の推進を一層図ってまいりたいと考えております。
○服部委員 今、答弁をいただきましたように、いろいろ工夫とか配慮をして、習熟度とかそういった点もありますけれども、こうした取り組みを始められて、教育の効果とか成果、この点についてはいかがでしょうか。
○近藤指導部長 少人数指導の研究推進校の児童生徒を対象としたアンケート調査によりますと、小学生の約八割、中学生の約七割が、勉強がわかるようになったと答えております。また、小学生の七割、中学生の六割が、授業に集中できるようになったと答えております。また、各推進校からは、児童生徒が学習に意欲的に取り組むようになった、教員が児童生徒の学習状況を正確に把握できるようになった、また、個に応じたきめ細かな指導を工夫できるようになったなど、少人数指導の効果が報告されております。
今後とも、児童生徒の習熟の程度に応じた少人数指導を推進してまいります。
○服部委員 今、ご答弁がありましたように、いろんな工夫をされたり、また配慮して効果を上げている。そういうことでございますが、こうした都の教育委員会の努力に加えて、よりきめ細やかな指導を行うために--この問題はまた別の機会に触れさせていただきますが、先ほど遠藤理事から学力の問題にも触れられました。教育というのは昔から知育、徳育、体育、そういうことでありますけれども、徳育はまた、心の東京革命などでも、社会全体で取り組んでいくことでもあるわけですけれども、体育の面ですね、今、都の教育は体育の方にどうなのかな、そんな気もするんですね。
例えば、今、小学校の場合に、専科としては図工、音楽等があるんですけれども、高学年になると、とても皆さん、今のお子さん、大きいですから、そういった子どもたちに本当に体育の指導ができるのかな、そんな心配もするんですね。また新しい教員を配置するということもあるかもしれませんけれども、あるいは、これも先ほどの知恵や工夫といいますか、小学校の高学年の体育に専門性の高い教員の配置とか、あるいは指導を充実すると同時に、中学校の教員、中学校の体育の先生、そういった方との連携をするようなことも検討してもいいのではないかな、そう思いますが、その点はいかがでしょうか。
○臼井人事部長 小学校の体育指導の教員の充実についてのお尋ねでございますけれども、都教委としましては、専門性を有します教員の配置にとどまらず、校内研修の充実あるいは一部教科担任制の導入、あるいは、今ご指摘のございました中学校教員あるいは地域の連携など、各学校の工夫によりまして、教育活動全体を通じたさまざまな取り組みがなされることが望ましい、このように考えております。
都教育委員会としましては、こうした取り組みに対しまして、区市町村教育委員会の意向を踏まえまして、今後とも適切な支援を行ってまいります。
○服部委員 体育の先生もそうだし、一度また機会がありましたら、この問題について質疑をさせていただきたいと思っておりますが、例えば部活の問題なんかもあるわけですね。子どもたちの部活に指導する先生がなかなかいないとか、その辺の問題もありますので、後ほど機会を改めてさせていただきますが、私は、今の質疑をさせていただきながら、学級編制や少人数による指導についての都の教育委員会の考え方については、今伺ったように、子どもたちにきめ細やかな指導を行うために学級編制のあり方を考える場合、子どもの社会性を養うことに十分配慮した上でなければならないと思っていますし、画一的に、あるいは短絡的に、あるいは一律に学級編制について考えるのは適当でない、そのように申し上げたいと思います。
さまざまな工夫や配慮を行って、習熟度別の少人数指導の充実に努めるという都の教育委員会の方針は妥当なものだ、私はそう思いまして、より一層子どもたちのために推進していただくように期待をして、質問を終わります。
○野島委員 先ほど、明るい話題で質疑をしろというお話がありましたけれども、私の質疑は、どちらかというと服務規律であるとか制度論という無味乾燥な部分でございますので、おもしろくありませんけど、雰囲気に免じてご寛容いただきたいと思っております。
先ほど、曽根委員さんの質疑の中で、ながらの手続論の問題がありました。職員団体とのかかわりで、職員団体と合意をしていないのに、そういう方針をこういう場で示すのはいかがなものかというか、否定的な部分でのお話でありまして、私が不規則発言をしたら、静かにしていなさいということだったので、静かにしていたんです。それでご注意をちょうだいしましたので、私の持ち時間の中でひとつご確認させていただきたいと思うんです。
組合との関係なんですが、先ほどの答弁の中で、ながらの事後確認手続について職員団体と協議していくとのことであります。これは必要なのか、あるいはまた合意が絶対条件なのか、こんなところについてまずお伺いしたいと思います。
○臼井人事部長 ながらの事後確認の手続について職員団体との協議が必要かというご質問でございますが、従来から、ながらの手続につきましては職員団体と協議を行ってきておりまして、今回も一定の協議を行い、理解を求めてまいりたいと考えております。
○野島委員 同じ公務員でありますし、理解を求めていくということは当然必要なことだろうというふうに思っておりますし、今回、このながら条例の改正に当たっても、労使双方が真摯な態度で臨んでいただいて、広く都民の負託にこたえる条例改正ができたと私は理解をしております。そういう意味では、ぜひそういう方向で理解を求めていっていただきたいと思っています。
ただ、立場が違いますと、どうしたって追っつかない話というのは世の中にいっぱいありますわな。協議が調わない場合はいかがなされるのか、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
○臼井人事部長 協議が調わない場合はどうするのかというお尋ねでございますけれども、給与を受けながら組合活動をするわけでございますので、会議内容が適法な交渉に関するものであったかについての説明責任は職員団体側にあるというふうに考えております。説明責任が果たされる保証がない以上、職務専念義務を免除することはできない、このように考えております。
○野島委員 私は、公費による職員組合活動、職員団体としての行動は、ある意味では保障するわけですね。したがって、当然のことながら、納税者である都民の理解が得られなければならないと思うんですね。と同時に、私ども都議会に籍を置いていまして、都民の負託を受けたというふうに自負をしておりますから、私どもが理解できる話でなければならないというふうに私は思っております。説明責任を果たしていただくことは当然のことだろうというふうに思ってございます。
それで、そういうことについて執行側が、ながらの改正に基づいてこういう方向でやっていきたいということを公の場で話すのは当たり前だと思うんですね。今までそういうことじゃなくして、労使の慣行であるとか、あるいはなれ合いとまではいわないけれども、相当そういう部分でのものがあって、実は私どもに理解できない部分というのが結構あったんですよ。したがって、ぜひそういう方向で進めていただきたい。
もちろん、手弁当で組合活動をやることをとやかくいってはいけない。これは当然不介入の原則でありますし、組合側からいえば団結の自由でありますし、どう行動するかというのはとやかくいうことじゃないだろう。私が以前、組合活動はどんどんやったらよろしいんじゃないですか、ただし手弁当でと。その方が組合もアピール力があると思うんですよ。だから、きょうはそんなことはとやかくいいませんけれども、ともかく公費による組合活動、この前提で、また、前回のながら条例のときに労使合意に至ったように、真摯な態度で双方取り組んでいただきたいというふうに思っております。
そこで、次の質問をいたします。
ながら条例の改正というのは、実は自民党の問題提起で、その後、労使双方の、さっき申し上げました真摯な交渉を経て決着いたしました。今さらとやかくいう立場にありませんけれども、いわば今までの実態がどうであった、それがどう是正されていくのか、あるいは現場の教職員の感覚は、それに対してどういう思いでこれを眺めているか、こういう三つの視点から何点かお尋ねしたいというふうに思っております。
十五年四月一日から、ながら条例が適用されることになるわけであります。今まで職員団体の機関運営を何時間認めていらしたのか、平成十二年度及び平成十三年度の実績について、まずお伺いしておきたいと思います。
○臼井人事部長 ながら条例の適用の、何時間認めてきたかというご質問ですけれども、平成十二年度は十一団体、約三十万時間でございます。また平成十三年度は十二団体、約二十七万五千時間でございます。
○野島委員 だから一時間幾らだなんていうことは、私は申し上げる立場にありません。このながら条例に基づいて勤務時間内に行える機関運営は、地方公務員法五十五条に基づく、いわば勤務条件について話し合う、当然のことだと思うんですね。働く、公務に精励する者として、よりよい勤務条件でありたい、あるいは人勧制度等もありますけれども、給料表のあり方、これ、いろいろ意見があって当たり前だと思うんですね。そういう前提で認めてきたわけでありますけれども、それでは、そういうながら条例に基づいて機関運営をしていく、開催内容につきまして、個々に確認をして、結構ですという形になっておったのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
○臼井人事部長 これまでの手続の中で確認しているものは、会議名、開催日時、開催場所だけでございます。
○野島委員 その三つの要件で承認していた、こういうことだろうと思うんですね。
先ほどというか、さきの一般質問で私どもの古賀議員が、都教組北多摩東支部の権利労働安全対策委員会について質問を申し上げました。勤務時間内に東京自治労連都庁職執行委員長が、石原都政の問題点と都知事選勝利への展望と題し講演を行った、こういうふうに私は聞いております。これが勤務条件なのか。北多摩東支部というのは、実は私がこよなく愛しております東久留米も多分その範囲に入っていると思うんですが、こういうもので、ながらで認めますよ、こういう予定表等を出すと思うんですよ。そこには何というふうに記載してあったんですか。さっき、名前と日付と場所、こういうことが要件として示されて、それで判断することになっているという。どういう名前で承認申請をお出しになったのか。
○臼井人事部長 都教組北多摩東支部が関係する市の教育委員会に提出した月間行事予定表には、権利労働安全対策委員会とのみ記載されております。
○野島委員 機関の運営で、ながらの勤務条件についてということは、ある種、風が吹けばおけ屋がもうかる論なんですよね、本当に。だから、これ、僕は今聞きまして、都知事選への勝利の展望とした講演を行って、聞いてよしあしを判断するということなのか。そういうことはないでしょうな、一つの団体で。今までの経過をいえば、それなりの主張を持っている団体ですから。まあ、石原さんが知事でなければ給与カットもなかった、あるいはカットの延伸もなかった、それから、このながら条例も改正することはなかっただろうというふうに考えますと、やっぱり石原さんが知事であっては困るよ、これもやっぱり関連するのかなというふうに思うんですよ。ところが、それは世の中いろんな人がいまして、大西先生のように石原知事にぞっこんという人もいますから……(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)そうですか。失礼しました。それぞれの判断があって、私も都民なんですね。やっぱりそれは自前でやってくれれば、僕はとやかくいいませんよ。我々の税金でやっているわけでしょう、結局。それは逸脱していますよ。
それと、実はこういう勤務条件というのは、労使ということですけれども、労働側にとってはどっちかというと受け身ですよね、物すごく。だって人勧制度があるんですもの。それから給料表だってそんなにドラスチックに変えるということもできないでしょう。あるいは、住宅手当だとかいろんな身辺手当だって、それなりのルールが今までに構築されているんですから、勤務条件について何十日も悩んだり、何時間も議論をするということは、僕は、推定ですけれども、そんなにあり得ないだろうと思うんですね。
そうしますと、その反面として、労働条件というのは地公法で認められていますよと。それから管理運営事項というのがありますわな。これは、当局側にいろいろこういうふうな制度が必要だとか、こういう施策をと。これというのは実は非常に楽しいんですよ。だから、今のように、ある意味の勤務条件を逸脱して、そういう石原知事に対する問題点と、知事が都知事選勝利への展望を切り開いちゃいけないだろうからやったという政治的な集会が、私ども納税者の税金で、職務免除されてやられているということは、これは納得しないですよ、双方にとって。納得する人も中にはいるかもしれないけれどもね。
そこでお伺いしたいんですが、そういうながらの関係は、勤務条件について話し合う機関運営だろう、こういうふうに、私は今までの答弁を伺って承知をいたしました。内容も確認せずに、今日まで野方図に機関運営を認めてきた経過があるのではないかと私は推測をするんです。それで、先般の教育長の答弁によりますれば、その機関運営をとめたと聞きましたけれども、いかなる理由でそれをおとめになったのか、この辺をひとつご答弁をお願いします。
○臼井人事部長 いかなる理由でとめたのかというご質問ですけれども、都知事選につきましては、当然勤務条件ではございませんし、時間内組合活動として認められるものではないと考えております。
都教育委員会は、都教組北多摩東支部が行いました当該機関運営の活動内容について、事実を明らかにするように求めましたが、回答がなかったため、平成十五年二月六日から、北多摩東支部の時間内組合活動を一切認めないことといたしました。
なお、当該機関運営に参加いたしました教職員につきましては、給与の返納手続に入っておりまして、現在、関係九市の教育委員会に対しまして、参加した職員名、減額時間、返納金額を確認しているところでございます。
○野島委員 なお以下もご丁寧にご答弁ありがとうございました。別にそこはどうでもいいんです。所定の手続でしっかりやっていただければ結構でございます。
そこで、四月からその準備行為が削除になったわけですね。機関運営についてはどうなっていくのか。それで、この改正によりまして従来の機関運営がどれくらい削減されるのか。実は、この労使関係にかかわるいろんな資料を私も取り寄せてみたんですよ。読んでいるうちに頭が痛くなっちゃったんです。なぜかというと、全体として何でもありとはいいませんが、かなり幅の広い判断ができるようになっちゃったんですよ、これ。所属長は校長先生ですわな。これで、これを認める認めないなんてやっていたら、こんなもの小田原評定で何も決着つかないですよ。そんなことにウエートがかかっちゃうから、学校の校長先生は疲れちゃうんです、教頭先生も。したがって、今後はびしっと決めて--びしっとというのは情緒論ですけれども……(笑声)どういう形でやっていくのか。その結果、東京都教育委員会が所管する職員団体についてどうなるのか。
特に、いわゆる都庁の中の事務職と違いまして、児童生徒を抱えている現場です。職務専念というのは、全身全霊を打ち込んで職務に専念しなきゃいけないということですから、児童生徒がいるのにそれをすっぽらかして、全身全霊をほかのところに持っていって活動してもらっちゃ困るわけですよ。そういう意味では、一つの問題点が教育現場にあると思う。問題点というか、そういう条件がほかと違うね。
それと、あと一つは、職場が分散しているんですよね、組合員の皆さんの。学校はいろいろあるわけです。そういうことにかんがみて、どのようになっていくのか、その辺について教えていただけますか。
○臼井人事部長 十五年四月から、ながらの改正がございましたけれども、その改正になった後の機関運営につきましてご説明します。
職員団体の機関運営のうち、交渉とみなし得る必要最小限の機関運営は適法な交渉に位置づけますが、そのほか、これまで認めてきた準備行為につきましては、勤務時間内には認めないということにしました。特に、ご指摘のありました学校現場におきましては、勤務時間内の職員団体活動のために授業や児童生徒の指導に影響があってはなりませんし、教職員にとって職場を離れることの重みは、行政系の職場と全く異なっている、そのように考えております。
東京都教育委員会は、学校現場の特殊性を踏まえまして、適法な交渉の範囲の中で認める職員団体の機関運営を以下のように定めました。一つは、支部、分会レベルについては認めない。二点目は、大会も長期休業中に限り一日、本部委員会につきましては年三回、四時間以内、また本部執行委員会は週一回、四時間以内にする。三点目につきましては、小規模な職員団体がございますけれども、小規模な職員団体については別途定めますが、それは、今示した以上に厳しく範囲を狭めて考えております。
こうした機関運営を定めまして、この内容につきましては、知事部局と比べてより一層縮減した内容に改めております。その結果、従来認めてきました勤務時間内組合活動につきましては、この措置によりまして八割以上削減されることになります。
○野島委員 はい、わかりました。ぜひそういうことで、教育現場のそういう要件、置かれている特殊性も踏まえて、適切な対応をしていただきたいと思います。
実は私、このながら条例というのは大変関心がありまして、市議会に籍を置いて二年目に取り組んだんですよ。そのときにいろいろ調べていったら、職員団体は何をやっているんだ、いや、それはながらでいいんですよという話なんだ。で、その職員団体は選挙になると、自民党とんでもないなんていっているわけですね。別に、とんでもなくないですよといってほしいわけじゃないですけどね。だから、そういう部分は、自由民主党に籍を置く私どもにとっては、公費でやってくれるなと。これが実は私がながらに取り組んできた原点なんです。今回、都議会に籍を置かしていただいて、こういう形でいい方向になってきたというのは、本当にある種、感慨深いものを感じます。
途中、理事者側にいてね、いささかゆるふんでやっていたなということも反省もしておりますけどね。それはそれといたしまして、最後に申し上げておくんですけれども、古賀議員の北多摩東支部についての質問、こんなことについて、いろいろやりとりを聞き、きょうまた細部にわたってご確認させていただきました。勤務時間内に職免、給与減免が認められている以上、参加手続を事前確認、事後確認を含め説明責任を持っていただくというふうに厳しく改めて、厳格な手続をなさるよう要望しておきたいと思っております。このことは、繰り返しいいますけれども、子どもが学校にいる以上、また給与を受けながら仕事をしている以上、それ相当の報告、その責任がある、労働側にもね。そのことを意見として申し上げておきたいと思っております。
次に、ながらと並んでいまして、昨年来やっと改善されました教研集会に関する服務の取り扱いについて、こういうことで伺いたいと思います。
区市町村によって、いまだに職免での参加を認めるところがあると聞いております。大分改善してきたようでございます。ただ、対応に温度差があるというふうなことは実情だと思いますし、私も関心を持って各市のいろんな実情を聞きました。やめたというところもあれば、まだ検討中、こういったこともあるようでございます。
現時点で各区市町村教育委員会の対応状況及び今後の見通し、こんなことでお伺いしたいと思います。
○臼井人事部長 教研集会の職免の今の状況でございますけれども、平成十五年の一月の時点で調査しました結果、六十二の区市町村教育委員会のうち四十が年休扱いとし、二十二が今、研修扱いとなっております。
また、平成十五年四月からは、先ほどの四十の教育委員会に加えまして、新たに、その二十二のうちの十五の団体、教育委員会が年休として扱うということにしておりまして、残り七つの区の教育委員会については、現在検討中という回答をいただいております。
○野島委員 東京都教育委員会が方針を明確にしてから一年たちます。検討中ということであります。都市計画局長は検討局長といわれているらしいですが、それは別といたしまして、なぜなんだろう、こんなふうに思うんですね。これも枠組みは一緒だと思うんですよ。東京都の身分を持つ教職員、この方がそれぞれのところでお仕事をなさっている。その扱いについて、とりわけ給与ということにはね返ってくるわけですから、その辺の部分はね、例えば、給与は払いませんよ、その教研集会が大事だから、ある市によっては、教研集会の費用は日当を出しましょうとか、それは考え方としてあるでしょうけれども、少なくともこういう方針に対して、それは早急に職務免除をして教研集会等を認めるということはないように、東京都教育委員会として、区市町村、まだ検討中のところに対して指導を行うべきではないかというふうに私は思っているんですが、その辺についてお答えをお願いいたします。
○臼井人事部長 現在検討中の七つの区の教育委員会につきましても、研修扱いを認めない方向で現在検討しているというふうに聞いておりますので、都教育委員会としましては引き続き、そういう研修扱いを認めないということで指導をしてまいりたいと考えております。
○野島委員 次に、先ほどのながら条例に関連いたしまして、いわば本部のこれこれは認めますよ--例えば一行政区の職員団体というのがありますね。例えば東久留米ですと東久留米市地区協。正式な名前は、僕、失念しちゃって、地区協、地区協といっているんですね。そういう場合の総会を開きますということは、今まで認められていたのか。先ほどの今後の扱いということで、ぐちゃぐちゃ、私、ここに書いたんですけれども、今後は多分認められないんじゃないかと思いますが、その辺ちょっと確認をお願いいたします。
○臼井人事部長 ご指摘の地区協を抱える支部等の時間内組合活動の取り扱いにつきましては、交渉相手が重複することになりますことから、平成十三年度に都教委としては見直しを行いまして、地区協の大会につきましては、平成十四年四月から職務専念義務免除、給与減額免除を認めないこととしております。
今回のこのながらの見直しでは、さらに支部、分会についても職免、給与減額免除を認めないといたしたところでございます。したがいまして、支部の下部組織である地区協の大会は、今後も職免、給与減免を認めないということになります。
○野島委員 確認をさせていただきました。
次に、先ほど、狛江の勤務時間の割り振りの問題での質疑もありました。教員の皆さんの通常一般的な勤務形態として、平日--土曜日は休みのところがありますからね。日曜日は休みです。平日ですよ。平日の午後三時半以降は勤務時間に当たるのか当たらないのか、この辺についてお聞かせいただけますか。
○臼井人事部長 勤務時間の割り振りにつきましては、学校長の権限で割り振ることができるとされておりまして、平均的に、多くの学校では、勤務時間を八時十五分から午後五時までというのが多いわけでございますけれども、仮に勤務時間を八時十五分から午後五時までとした場合には、休憩時間を四十五分とったといたしましても、午後三時三十分以降には必ず勤務時間が割り振られることになります。
○野島委員 それで、地区の大会は認めませんと、それから勤務時間もそういう制約があります。通常一般的なということは、いろんな学校もありますし、そういう中でいろんな工夫をされているというケースはあると思うので、通常一般的なというふうな話をしたんですけど、ここに、東久留米市地区協議会議長という方から東久留米市内の小中学校学校長、教務主任殿というふうに書いた文章があるんです。これは収受簿に載っておりますから、確かなものだというふうに思っております。ここに、地区協議会というのはさっきの北多摩東で、そこに包含されるというふうに伺っていますけど、こういうふうに書いてあるんですよ。
日ごろより東久留米市の教育向上のため各学校でご尽力されていることに、心から感謝申し上げます。さて、各学校ともこれから次年度の教育課程の作成の時期になります。一番大事な時期になると思うんですよ。私ども地区協は引き続き、教育基本法改悪反対、三十人学級の早期実現を初めとする民主教育発展のため奮闘する決意です。このことは、その団体がどういうふうな取り組みをしていくかということですから、私はとやかくいう立場にありません。そのためにも、二〇〇三年度の活動を下記のとおり決定しましたので、学校行事など重ならないよう特別のご配慮をよろしくお願いいたしますと。記といたしまして、地区協総会五月二十一日、水曜日。五月二十一日は休日じゃないですよね。十五時半から十七時。さっきの答弁によれば、通常一般的には勤務時間内、こういうことであります。秋の教研集会、十月十五日、水曜日、十五時半から十七時。十月十五日、カレンダーをちょっと持っていないんですが、休日じゃない。これも十五時半から十七時、こういうふうに出しているんですね。今までの流れでいけば、当然地区協の総会、ながらから、その機関運営は対象外ですよ、こういうことであります。それから、一般的には、時間がこういう割り振りの中では勤務時間に該当する、こういうことだと思うんですね。
ところで、これを、学校の行事があるよというようなことで--校長先生を初め現場の皆さんは、これから一年間、新入生を迎え、あるいは学年進行した中で、どういう教育を我が校としてやっていこうかと、一番大事なときですね。手回しがいいんですよ、非常に。五月二十一日、十月十五日、なかなかこの先まで日程を決めていくというのは大変なことだと思いますよ。東久留米市の地区協の総会ですから、東久留米市全体で学校が二十二、三あるんです、小中学校でね。そういう中で早めに決めていきたいという、この気持ちは、組織を預かる者としてわからぬでもない。しかし、どうかな、こういうことであります。
年休扱いとすることについては、これは当然だと思うんですね。例えばこういう教研集会を企画した、あるいは地区協の総会を開催する。私、うがった見方をするタイプじゃないんです。ただ、今までの経過をある程度かいま見ているものですから、あえてうがっちゃうんですが、一斉に年休をとらせる、職免じゃないから。それで集会に参加させる。総会に出てください、こういうふうに働きかける行為があったとするならば、それは休暇闘争というふうな意味合いになるんじゃないかと思うんですが、その辺の見解はいかがでしょうか。
○臼井人事部長 職員団体が教員に対しまして一斉に年休を取得させまして、教研集会へ参加させることによりまして、学校の授業等を妨害した場合につきましては、争議行為になる可能性もあると考えております。休暇闘争に該当するかどうかにつきましては、個々に判断する必要がございますが、一斉休暇闘争であると判断される場合につきましては、年休の許可を取り消すことになるというふうに考えております。
○野島委員 たかだか授業を午後に入れないでくださいというお願いをした文章じゃないか、こういうふうにおとらえになる方もいらっしゃると思いますよ。いうのは、ただですからね、やる方はお金がかかりますけどね。
それで、実はほかの市でも、きょうは文章は持っていないんですけど、こんなこともいわれているようなんですね。来年度は休暇をとって参加を予定しています。休暇は個人の権利ですが、参加しやすいように、会議や学校行事等をできるだけ避けていただくようにお願いしますと。いわば教研集会なり、あるいは地区協の総会があるから、そちらを優先してくれ、私たちは労働者として休暇をとる権利がある、あるいは団体結成の権利もある、こういうことだろうと思うんですね。で、三十人学級の実現、子どものためだということをいっているわけですね。果たしてそうなのか。
気持ちは、僕、よくわかりますよ、組織運営していく立場としては。だけど、今、学校現場が一番大事なときですよ、これから年間のスケジュールを立てて。そのときに、このお手紙を持ってきて、無言の--無言じゃない、書いてあるから、圧力をかけているのではないかなと私は思うんですよ。
そうしますと、校長先生だって人の子ですよ。学校というのは物すごく狭い社会。まあ、いいあんばいにやっておけば、両方、傷つかない。ついては、この部分については極力避けて学校行事等、あるいは授業等をやることによって、何とか学校の運営を、適切にとはいわない、うまくやっていって、いい校長先生と思われたいと。下手にやって、校長先生、そんな私たちの権利や組合の団結権を認めないような立場に立つ校長先生であれば、私たちはこれからの学校運営について協力できませんというふうに、私がこの人の立場だったらいいますな。この方がいうかどうかは別。私がその機関運営の責任者だと必ずいいますよ。そのことで、冒頭申し上げた教育現場が--本来、子どもたちのためにあるわけでしょう。さっきの日教組の倫理綱領がしっかり生きちゃっているんですよ、ここでもまだ。やっぱりその辺からしっかり直していきませんとね。
実は意識改革なんていうのは、いうはやすく行うは極めて困難であります。大体かたい決意と強い意思というのが一番いいんです、教育長さんみたいにね。大体私ども凡人は、かたい決意と弱い意思ですよ。いろんな状況があれば、それはひるむわ。いわんや今までながら条例で、さっき申し上げたように、極めてアバウトな運営をしてきたときに、今度はこれだからといったら、当然抵抗してきますよ。だから、こういう既得権ありきみたいな文章を出すわけですよ。
そこで、こういう組織的なことに対して校長さんが一人で立ち向かうというのは、さっきいったように限界がありますよ、正直いって。それで、ぜひとも各市区町村の教育委員会が学校を支援する体制をとっていく必要がある、明確にしていく必要がある、私はこういうふうに思うんですね。
特に、各教育委員会の事務局が学校に直接出向いて、教職員の服務等の状況を把握していく、いわゆる服務監察がしっかりと行われていけば、私は相当の改善になってくると思うんですよ。孤立無援で校長先生がこういう状態の中に置かれているときに、本来の法の制度に乗っかって、教育の現場、子どもをしっかりと育てるということは、これは都民にとって当たり前のこと、市民にとっても当たり前のことですから、そういうためには、やっぱりこういうことをやっていくべきだと思うんですね。そういうことが改善の一里塚になっていくと思うんですよ。したがって、ぜひ東京都の教育委員会としても、各市区町村教育委員会に対して、服務監督の充実、とりわけ服務監察の体制整備、こんなことを組織的に取り組んでいただきたい。
このことは、今、私、るる申し述べてきました、今までの時代背景というか、労使の関係、あるいは学校現場という中では、実はその辺が一番欠けていたんですよ。だから、主幹制を入れて経営体としての責任を持っていきましょう、こういうことも一つ。だから、僕は大いに賛成もしているわけですね。やっぱりそういう制度的なことを援用しながら、しっかり学校の現場の支援体制をつくっていかないといけないなと思いますので、要望させておいていただきたいと思っております。
以上で、このながらの関係については終わりたいと思っております。
さて、次に、学校評議員制というのがあります。私どもの方にもあるんですね。都立高校というか都立学校ですね、これでは学校運営協議会というふうに、ネーミングというか名称を定めていると思うんですが、そもそもこの評議員制度というのはどういう目的を持って、どういう制度なのか、この辺についてお聞かせいただけますか。
○近藤指導部長 学校評議員制度は、学校運営について、保護者や地域住民等の意向を把握し、反映するとともに、学校に関する情報の発信などを通して適正な学校運営を進めることを目的として実施されている制度でございます。
○野島委員 それでは、その学校評議員制度の実施状況、こんなところはどんなになっているのか、お尋ねをいたします。
○近藤指導部長 都内の公立学校におけます設置状況でございますが、平成十四年八月一日現在、類似の制度も含めてでございますが、小学校では九三・七%、中学校では九三・四%でありまして、全国的に見ても設置率が高くなっておりまして、各学校においては、学校評議員会等を通しまして、学校運営や教育内容、家庭と学校、地域の連携等についての意見交換がなされてございます。
○野島委員 ありがとうございました。制度の枠組みと、目指すところと、実施状況についてはわかりました。
よく地域に開かれた学校というふうにいわれるんですね。私も立場上、市議会を代表してというようなことで、結構周年行事に行きまして、そのお祝いの言葉の中で、貴校は、地域に開かれた学校として地域の市民や保護者の皆さんと連携をしながら、しっかりとした教育を積み重ね今日に至っていることを大変うれしく思います、こういうふうによくいうんです。本当かいなというところも、僕は思ってはいたんですよ。だけど、議会を代表してですから、その程度で終わっていた。
いろんなやり方があると思うんですね。例えば、いろんな地域の人の意見を聞くというのは、PTAでも聞けますわな。それから、校長先生がどこかの集会に行って、そこでの意見交換、これも地域からの意見をどうするか。あるいは学校運営協議会なり評議員の中に地域の有識者に入ってもらって聞く。いろんな形があると思うんですね。ただ、PTAというのは校長先生が仕切っているわけじゃないですね。校長先生なりは、今の学校の状態はどうですか、こうですよということを話すために来るケースがあるわけですね。
そういう意味で、この学校評議員制度というのは、主が、呼びかけ人が学校長さんなんですね。校長先生なんですよ。PTAとかなんとか、そうじゃない。そういう意味の重みというのは、僕は物すごくあると思うんです。PTAだっていろんな意見がありますよ。PTAとしてまとめてどうだというのは、教育のあり方や授業内容なんかについてまとまるわけがないです。行事のあり方についても、これもまとまらない、いろんな意見があるから。
大体、学校にかかわるいろんな部分というのは、実はノイジーマイノリティーの意見がどちらかというと反映されちゃう。サイレントマジョリティーというのは、そうはいっても、学校に子どもは行っているし、そんなことで一々目くじら立てて、損でも得でもないことをがちゃがちゃやるよりも、この際よろしいんじゃないですかというふうなところになっちゃうというのが、子を持つ親を経験した私にとってはあるんですよ。そうしますと、いろんな行事のあり方についても、実はそんな感覚で見ちゃうところがあるんですね。
ですから、私は、そういう意味では、学校長が評議員制度の中で、私に意見を聞かせてください、あるいは学校運営についてのご意見を聞かせてください、こういうことは大変価値のあることだと思うんです。それは、制度論的に申し上げた、来賓として話をすることや、あるいはその辺に出ていっていろんな話を聞くこととはまた別に、重立った、やっぱり重い意味合いがあると思うんですね。そんなことを私は思っているんです。
そこで、実はここに「六小だより」というのがあるんですよ。六小というのは東久留米市立第六小学校で、私のところから極めて至近距離にあるというところです。すべて読んでいますと時間がなくなっちゃいますからやめますが、卒業式のあり方を考える、こういうことで、校長先生がこの便りに書いているんですね。いわんとすることは、式という厳粛と清新さを基調としてやるべきだろうと。それで、卒業を祝う会、よくある子どもたちが実行委員会をつくったり何かして、これはやっぱり楽しく趣向を凝らしてやっていこうと。子どもが、自分たちがここまで成長をしたのは、どういうことで成長できたのか、あるいは卒業していく子どもたちに、自分たちは何を期待しているのかなと、こういうことをやっぱり厳粛な式典の中で理解してもらうということが必要だと私は思うんです。子どもが主役なのは当たり前の話で、子どもがわき役だなんて思っている人はだれもいないですよ。その子どもたちの成長の過程で、卒業という厳粛な式典はやっぱりあるべきだと思う、僕は。あとは、実行委員会でも何でもいいですから楽しくやるという、その二つでいいんですよ。
ところが、実行委員会でやりますよというと、学芸会もどきの卒業式って結構あるんですよ。私、文句をいったことがあって、一回。それは周年行事だったんだけど、来てくださいというから行ったんです。そうしましたら、別に校長先生があいさつするわけでもなくやっているわけ。いろんなことを子どもたちが、それは大いに結構だけれども、やっぱり学校が育ってきた、何十年たったということに対する思いというのは全然出てこない、学芸会の延長だもの。僕はそのとき文句をいったんだけれども、それはそっちに置いておきまして、それで、六小の卒業式のあり方について幅広くご意見をいただくために、学校評議員の皆さんを卒業式に関する職員会議にお招きしました、こういうことなんですね。実は卒業式というのは、今まで国旗・国歌も、うちの方の小美濃委員さんがいろいろいった、議論をしてきましたけれども、実はその辺が一番ぶつかり合うところ、みたいなところがあるんですね。だから、その辺について皆さんの意見をお聞かせいただきたい、職員会議という中で、クローズされた中でやるよりも、世間の皆さん、保護者の皆さん、評議員の皆さん、意見を聞かしてくださいと。私は大変勇気ある行動だというふうに感服しているんですよ。
そこで、東京都教育委員会はこういうことに対してどういうふうに評価をなさるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
○近藤指導部長 お話の東久留米市立第六小学校の校長先生は、年度当初から、学校運営の改善のために学校評議員の意向を反映するよう、意図的、計画的に進めてきております。学校評議員による職員会議への傍聴も、開かれた学校づくりを進めるための有効な方法であると都教育委員会は考えております。
今後とも、一層開かれた学校づくりを推進するよう、各学校等を支援してまいりたいと考えております。
○野島委員 意図的なというのは、わざとみたいなとらえ方をしちゃいけないと私は思うんですよ。目的に従ってどうプロセスを組んでいくか、こういうことの意図的というふうにとらえなきゃいけないと思うんですよ。
そこで、私は今るる申し述べてきました。これから、公教育のあり方もいろいろ議論もあります。で、今回、教職員の服務規律の関係でのながら条例の話もありました。私は、新しい教育の形をどうつくっていくかという大変重要な時期にかかってきていると思うんですね。教育ビジョンもまた重点施策としてあります。
そういう意味では、そこの学校に在籍する子どもたちをどう育てていくか、子どもたちは未来からの留学生ですから。そのために、ながら条項とかそういう制度をしっかり直して、今やったような、こういう学校評議員制をもっともっと広げて、本当に開かれた学校をつくっていくために、横山教育長以下、東京都教育委員会のさらなるご努力を心からご期待申し上げまして、終わります。
○小美濃委員 それでは、大分時間も過ぎてまいりましたので、簡潔に質問をさせていただきたいと思っております。
その前に、やはり一言、三十人学級のことについて触れさせていただきたいんです。
先ほど来、議論をお伺いしておりましたら、三十人規模学級という話が最初にございまして、三十人規模学級はこんなにいいんだという論説を述べられた後に、だから三十人学級はいいでしょうという展開になったわけでございまして、この辺が実は都民の方々に非常にわかりづらいところなんであります。
先ほど我が党の服部副委員長からもお話がございましたが、三十人学級というのは十五人学級ができてしまうかもしれない、こういう危険性を都教委としては、絶対に都民の方にしっかりと認知をしていただきたいな。十五人学級ができるということは、男女同じぐらいの数がいるとすると、例えば女の子としましょう、女の子の七、八人が集まったら、二グループぐらいに分かれるわけですね。ここでもしもいじめがあったりしたら、すぐ不登校ですよ、これは。こういった危険性が内在しているということをしっかりと都民の方に訴えていかないと、都教委としても、三十人学級をこれから議論していくに当たって、なかなか難しいのではないかなということを一言申し上げて、質問に入りたいと思っております。
実は、先ほど来お話があるように、教員の質の向上、これについて第一点目として質問させていただきます。
私、先日、予算特別委員会で教職調整額の支給について問題提起をさせていただきました。教育長のご答弁をいただきまして、その中では、指導力不足などの教員にも支給されている、こういった問題点をご答弁をされたわけであります。
そもそも教員の給与は、人材確保法、世にいう人確法で優遇措置を講ずることが定められておりまして、一般職員よりも高い給与水準になっております。それにもかかわらず指導力不足教員に認定されて、その方は教壇につかない場合があるわけですね、ずっと研修を受けられていて。教壇に立つこともなく研修をずっと受講している、そういった教員に対しても手当がそのまま支給されている。これでは、頑張っている教職員の方々、モラールが低下してしまうのではなかろうか。本当に心配をするところであります。また、本当に多くの都民感情からしても、これはなかなか受け入れづらい。非常に問題ではないかと思っております。
なぜ指導力不足などの教員に教職調整額や義務教育等教員特別手当などの給与の支給をとめることができないのか。本給はいいかもしれませんけれども、公務員の方ですからね。こういった特別な教職員であるからこそ支給される特別な給与に対しては、私はいかがなものかなと思っておりますので、その辺をまずお伺いしたいと思います。
○臼井人事部長 お尋ねの教職調整額及び義務教育等教員特別手当につきましては、それぞれ法律に基づきまして国に準拠して支給しているところでございます。現行法令上、研修受講等により長期に教壇を離れている場合でも支給対象から除外する規定がないことから、東京都においても支給しているものでございます。
〔「法律を変えろ、法律を」と呼ぶ者あり〕
○小美濃委員 今、遠藤理事さんからも不規則発言がございましたけれども、法律、法律なんですね。でも、これはおかしいと思わざるを得ないわけであります。だって、研修している人に教職員ならではの手当を払う必要がどこにあるのかな。せめて研修費用を、長期にわたる、例えば二年とか三年とか研修している場合には、研修費用の一部ぐらいは負担してもらうぐらいのことはしてもらわなきゃ、都民感情としてはなかなか納得いかないな。今後、そういうことも含めて、国に強く求めていただきたいと思います。
さて、指導力不足などの教員には、そういった意味ではこれからも厳しく接していただきたいなと思いますが、こういった指導力不足の教員をまず生み出さないことが大切なことであると考えるわけであります。そういった意味では、東京都教育委員会といたしまして教員の資質向上をどのように行っていくのか、お伺いいたします。
○近藤指導部長 都教育委員会は、平成十五年度から新たな研修体系のもとに、一人一人の能力や課題に応じた研修を行ってまいります。特に、教員のライフステージを三つの段階に分けまして、それぞれのステージにおいて、各教員が人事考課に基づく校長の指導助言のもとに、それぞれの課題に応じた研修計画をキャリアプランとして策定することを義務づけさせ、計画的に教員の資質向上を図ってまいります。
○小美濃委員 来年度から新たな研修体系をとっていくというご答弁でございましたが、こうした取り組みによって指導力不足の教員を一人でも出さないように、努力を希望したいと思います。
実際、実はつい最近、私の身近でも小学校の担任の先生が登校拒否状態になってしまいまして、この方も本当にかわいそうなんですね。知っている方ですし、かわいそうなんですけれども、一人の担任が欠けることで、この間、私も予特で問題提起させていただきましたけれども、教頭先生が結局その負担を負わなくてはならない。これから主幹を導入して、さてやっとこれから学校経営を組織的に充実させようというときに、一人の担任がこういったことになってしまいますと、せっかくのこういった意気込みに水を差す結果にもなりますし、ぜひこういった研修を有効に利用して計画的に資質向上を図っていただきたいな、こんなふうに思っております。
さて、幾らこういった研修を積んでいても、残念ながら、なかなか向上されない教員の方もいらっしゃるのではないかな。こういった教員の方には本当に、この方には不本意かもしれないけれども、先ほど子どものためにというお話がございましたが、やはり未来を担う子どものためには、その教員の職を辞していただかなくてはならない、そう思っているわけであります。しかし、現在の法体系の中では、長期間の研修による能力実証が必要でありまして、その間の給与支払いなど、先ほども申し上げました都民の負担も大変大きな、非常に不合理な問題が起きているわけであります。このような事態を事前に防ぐために、採用時や、また採用直後に教員の資質をしっかり見きわめることが必要なのではないのかな、そんなふうに考えております。
都教委といたしましては、昨年度、条件つき採用教員に対して厳しいチェックを行ってきていると聞いておりますが、その実態と今年度の対応についてお伺いいたします。
○臼井人事部長 教員につきましては、教育公務員特例法によりまして、条件つき採用期間が一年となっております。その間、良好な成績で職務を遂行した場合、正式採用となることになっております。
都教育委員会としましては、条件つき採用期間の途中におきまして指導育成状況を把握し、研修内容や指導育成方法の充実を図るために、新規採用教員の育成に関する報告を、七月と十月の年二回、各区市町村教育委員会及び都立学校長に求めているところでございます。
昨年度におきましては、各区市町村教育委員会に対しまして、年度当初からの教員の指導、それから指導記録の蓄積について徹底を図りまして、厳しいチェックを行った結果、条件つき採用教員につきまして、五名につきまして正式採用をしないということにしました。
今年度につきましても、昨年度と同様、厳正な手続を進めてまいる所存でございます。
○小美濃委員 教員になってから適性を判断するのが果たして適正なのかどうか。私は、ある意味では手おくれな面もあるのかな、そんなふうに思っております。先ほどのご答弁でも明らかになったように、五名の不採用が出たということでございますけれども、就職後一年間、こういったいろんなものを見られて、一年たって、あなたはもう不採用だよといわれてしまったら、その人にとりましても、人生設計として大変大きく狂ってしまうのではないかな、そんなふうに思っております。本来ならば、教員養成の段階から教員としての資質向上を図っていただいて、適性を見きわめていくことが重要なことだと考えているわけであります。
そういった意味では、教員を目指す大学生の資質向上を図るために東京都教育委員会はどう取り組んでいるのか、お伺いいたします。
○近藤指導部長 教員の養成は、これまで大学が担ってきましたが、大学生の実践的な資質向上を図るため、教育委員会も積極的に関与していくことが求められております。
このため、都教育委員会は今年度よりティーチングアシスタントモデル事業を実施いたしまして、大学生を小中学校の学習の補助として活用することを通して、教員を志望する大学生の資質向上を図っているところでございます。
大学生からは、児童生徒理解が深まったとか、教科の指導力が高まった、教員になることへの自信が深まったなどの声が寄せられているところでございます。
○小美濃委員 教員養成の段階で大学生を指導することはとても重要なことであります。しかし、こういった大事なことは、今モデル事業というお話がございましたが、モデル事業だけに終わらせるのではなくて、制度自体の改正が必要であると考えています。例えば大学生のためのインターンシップのようなものを導入すべきだと考えておりますが、見解をお伺いいたします。
○近藤指導部長 お話のインターンシップにつきましては、国の制度の改革が必要でございます。今後、都教育委員会といたしましては、ティーチングアシスタントモデル事業の成果も見据えながら、また教育実習の充実も含めまして、教員養成のあり方につきまして、大学と連携しながら検討してまいりたいと考えております。
○小美濃委員 国の、また国がここでかかわってくるわけでございますけれども、実は新卒の離職率、それも一年、二年の離職率が大変多いというのが、今、社会問題になっております。ほとんどが、実際、職についてから、実はこんなはずじゃなかった、こういったことが理由の多くを占めていると聞いておるわけであります。教育は国家百年の計といわれているわけでございますが、未来を担う子どもたちにとっても、親と並んで最も影響力のある教員が、こんなはずではなかったというわけにいかないわけですよね。そういった意味から、しっかりと適性を見きわめていくことが重要であり、ぜひともインターンシップの導入を真剣に、前向きに都教委としても取り組んでいただきたいと強く要望いたしたいと思います。
さて、次に、先ほど野島委員からもお話がございましたが、開かれた学校づくりについてお伺いいたします。
開かれた学校づくりと、非常に抽象的にいわれているわけでございますが、先ほど来お話を伺っておりまして、子どもたちの健やかな成長を図っていくためには、学校が家庭や地域と連携し協力することが重要だ、そんなようなことが先ほど来、議論されておりました。
都教委といたしましては、開かれた学校づくりの意義というのは、ちょっと根本的な質問になっちゃうんですけれども、どのようにお考えになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○近藤指導部長 開かれた学校とは、校長の適切なリーダーシップのもとに、保護者や地域住民の意向を学校運営や教育内容に反映させたり、学校みずからが情報を発信したり、また地域行事などに積極的に参加する学校でございます。
こうした学校が開かれることにより、生きる力をはぐくむ教育や心の教育が一層推進され、学校は地域の実態を生かした特色ある教育活動を展開し、保護者や地域住民の信頼にこたえることができると考えております。
○小美濃委員 ただいまのご答弁をお伺いして、開かれた学校づくりにおいては、学校が地域行事などに積極的に参加することが重要である、そういったことが述べられたわけであります。しかし、これは私の地域に限ったことなのかどうかわかりませんけれども、実際には、そういった地域行事などなどには校長先生や教頭先生の管理職だけしか、参加している実態がないんですね。実は私のところだけかもしれません。他地域は一般の先生がたくさん参加しているかもしれませんけれども、少なくとも私のところでは、地元では、管理職だけの参加が多く目立っているということが現実であります。
本当は、本来ならば学校全体で取り組むべきだと思っておりますけれども、ぜひともご見解をお伺いしたいと思っております。
○近藤指導部長 先ほどお話しいたしました開かれた学校づくりの意義を具体化するためには、学校が全体で組織的、計画的に取り組む必要がございます。特に来年度から導入されます主幹には、家庭、地域とのコーディネーターとしての役割が期待されております。今後、主幹を初め教職員一人一人が開かれた学校づくりの意義を理解し、学校全体として組織的、計画的に取り組むよう、開かれた学校づくりを一層推進してまいります。
○小美濃委員 私どもの地域も、地域の団体、青少協というのがあるんですが、この青少協と学校は大変大変親密な関係でありまして、そういった意味では、家庭、学校、そして地域の連携強化はしっかり推進をされているわけであります。しかし、青少協が行う会議は主に夜間が多く、先ほども申し上げましたけれども、今まで校長や教頭しか実は参加していないということが現実であります。
青少協の行う行事といたしましては、権利教育というんですか、CAPですとか、あとは地区運動会、夏の山に連れていく二泊三日のジャンボリーとか、こういうのも青少協は行っているわけでありまして、また、子どもたちが自転車で危なくないように教習所を借りて、夜間自転車教習なんていうのも、青少協が主催してやっております。また、不審者にねらわれた、追いかけられたときにすぐどこかの家に入れるように、子どもを守る家なんていうのも実は青少協が中心にやっているわけでありまして、本来こういった話は、校長や教頭ももちろん聞いてほしいんですけれども、実際には学校にいる指導主任の先生ですとか、そういった先生とともに情報交換をしながら行っていくのが一番いいのかなと私は思っているわけであります。
また、学校にもこういった地域のさまざまな年間行事が送付されているわけでありまして、学校内でも、少なくとも年に一回ぐらいは、教師一人一回ぐらいは、そういった行事に参加できるような学校の雰囲気づくりというのをまずつくっていかなくてはならないのかなと。そのためにも、先ほどご答弁のありました、主幹がまず地域とのコーディネーター役になっていただいて、そういった雰囲気づくりをぜひとも行っていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
さて、この四月から主幹制度が導入されるわけであります。都内の公立学校に指導監督層として、新たな職として配置されるわけでありますが、このような学校運営組織の見直しに伴いまして、教頭の学校経営者としての役割がさらに重要になるということは、私、予算委員会でも述べましたし、先ほども述べました。東京都のすべての公立学校で、教頭の名称を、学校経営者としてふさわしい名称として、副校長に変えていくということを、そのときにあわせて提案させていただいたわけであります。一部の自治体では、教頭を副校長と称していると聞いておりますけれども、都内のすべての学校で同様に称することによって、学校経営者としての自覚を促すとともに、教職員や都民、保護者に対して、校長を補佐して、ともに学校経営を行う管理者ナンバーツーとしての位置づけを明確にできる、また意識改革を図ることができると考えているわけであります。
そこでお伺いするんですけれども、教頭の名称を副校長とした場合、実施上、何か問題があるのかどうかお伺いいたします。
○臼井人事部長 教頭の名称を副校長とする場合の問題点があるかというお尋ねでございますけれども、現在、分校や夜間学級など、校長不在の状態を補う必要のある一部の学校に、校長の権限の一部を委譲しまして、教頭より広い権限を持った職を設置し、副校長と称しておりますので、その名称との整理が必要だと考えております。
また、都立学校の教頭につきましては、東京都教育委員会の規則で改正が実施できますが、小中学校につきましては区市町村教育委員会の権限でございます。したがいまして、教頭を副校長と称する場合には、私どもとしては、すべての区市町村で統一的に実施することが望ましいと考えておりまして、各区市町村教育委員会の理解を得ることが必要であるというふうに考えております。
○小美濃委員 今のご答弁によりますと、都のレベルにおいては、実務的に多少解決すべき問題はあるようでございますけれども、法律上は特に問題はないと考えるわけであります。だとするならば、東京都は今回、全国に先駆けて主幹制度を導入するわけでありますので、学校経営者としての教頭の意義をPRするとともに、教頭のモラールアップを図り、学校の教育力を向上させるため、ぜひとも教頭の名称を副校長に変えていくべきであると考えますが、ご見解をお伺いいたします。
○臼井人事部長 ただいまのご提案の趣旨を踏まえまして、今後、区市町村教育委員会の理解を得ながら、前向きに検討してまいりたいと考えております。
○小美濃委員 実は、私、この主幹導入のときにも問題提起をさせていただいたんですけれども、主幹導入に伴って教頭の役割というのが非常にあいまいになってしまうのではないかということを危惧しております。せっかく主幹を導入するんですから、この機にしっかり教頭の役割、校長の役割、主幹の役割、こういったものを明確にする必要があるのではないか、そんなふうに思っております。そういった意味での名称というのはとても大事であります。まず先ほどの答弁によりますと、今回は国は余り関係ないということでございますので、まず都立高校ぐらいからしっかりと導入していただいて、十五年度夏ぐらいをめどに、全市区町村教育委員会の理解を得て、副校長という名称を実施されることを強く望んで、次の質問に移ります。
ところで、都立高校の管理運営にかかわる重要な機関として、企画調整会議があると聞いております。企画調整会議とはどのようなメンバーで構成され、今度主幹が入るわけでございますので、主幹導入後にはどのようになるのか、お伺いしたいと思います。
○星川参事 企画調整会議のお尋ねでございますが、企画調整会議は、校長の補助機関として、校長の学校経営方針に基づき、学校全体の業務に関する企画立案や各分掌組織間の連絡調整などを行い、学校運営の円滑かつ効果的推進を図るものでございます。構成メンバーは、校長、教頭、事務長や教務主任、生活指導主任、進路指導主任などでございます。
このように、企画調整会議は校長の学校経営にとって極めて重要な役割を果たすものでございますので、主幹を企画調整会議の構成メンバーとして明確に位置づけてまいります。
○小美濃委員 校長、教頭、事務長のほかに、教務主任、生活指導主任、進路指導主任といった主任さんが今までは構成メンバーであったということでありますが、主任というのは往々にして、今までですと一年交代でみんなで回していたわけですね。また職としては確立されていないわけでありまして、こういったことからも、企画調整会議は今までは余り重きを置かれていなかったという話も聞いているわけであります。
しかし、このたび主幹導入に当たって、主幹が構成メンバーに入ることによって、より組織的になるのかな、そう考えておりますので、ぜひともそういった企画調整会議にするよう、都教委といたしましてもよく指導していただきたいと思っています。
しかし、都立高校の中には、いまだに職員会議を中心として意思決定している学校があると聞いており、大変残念に思っているわけであります。都教育委員会としてはこういうことに対してどう取り組んでいくのか。私は、学校運営の中心は、先ほどもご答弁があったとおり、企画調整会議であると明確に位置づけるべきではないのかなと思っているわけでございますが、所見をお伺いいたします。
○星川参事 職員会議が校長の補助機関であることは、学校の責任者である校長が校務をつかさどる権限を有することから、自明の理でございまして、法的にも校長の補助機関であることは、学校教育法施行規則及び東京都立学校の管理運営に関する規則に確認的に明記いたしております。
企画調整会議は、平成十年十月に教育長通達により導入したものでございますが、企画調整会議が学校経営上、重要な役割を果たしますことから、都立高校改革推進計画・新たな実施計画の中に企画調整会議の活用を明記したところでございますが、今後、東京都立学校の管理運営に関する規則の中に企画調整会議を盛り込み、根拠を一層明確にしてまいります。
職員会議が校長の補助機関であることを明確にしつつ、主幹を構成メンバーとする企画調整会議を活用して、学校を組織的に機能させるよう、都教育委員会は、校長連絡会や個別の学校訪問など、あらゆる機会を通じて指導助言してまいります。
○小美濃委員 大変力強い答弁でございまして、今後、東京都立学校の管理運営に関する規則ですからね、規則の中に企画調整会議をしっかりと盛り込んでいただくというご答弁でございましたので、本当にしっかりお願いいたします。
また、このことをただ規則に盛り込むだけではなくて、一般教員、特に組合系の教員にはしっかりと周知させていただきたい、そう願うわけであります。
先ほど来いろんな例がありましたけれども、校長が職員会議でつるし上げを食ってしまうようなことは、もう二度とあってはならないわけでありまして、少なくとも都内の公立学校においては、この企画調整会議をしっかりと位置づけて、校長の権限拡大、十分に広げていただきたいと思っております。
主幹導入に伴って、学校を組織的に機能させるよう、企画調整会議が今後有効に活用されることを本当に心から、心から望みつつ、質問を終わらせていただきます。
○山本委員 ご苦労さまでございます。私もこれから一時間十分、八時四十分ぐらいまでと思いますが、隣の先生が人権問題であるよということを……(「いや、いってませんよ」と呼ぶ者あり)そういわれるといけませんので、幾つかに絞って、三点に絞ってちょっとお伺いし、あるいは私の意見を述べさせていただきたいと思います。
きょう、実は都立高校の合格発表で、ごらんになられた方もいると思うんですが、テレビで、あれは日比谷高校を受かった女のお子さんと男のお子さん、頑張ってよかったという言葉、頑張ったから、私、受かったんだという言葉がありました。私は、大変印象的な場面だったと思ってまいりました。
そして、きょう、ごらんになった方もいると思うんです。きょうの読売新聞の「論点」、共立女子大学の鹿島茂先生という先生が書いているのをごらんになった方がいると思うんですが、「都立高復権への道険し」という題で書いてあるんです。それは、山際さん初め皆さんが一生懸命やって、高校改革をやられたと。しかも、かつて小尾教育長がやった、三十六年前、四十二年ぐらいになりますかな、あのときにやった学校群制度、これについて痛烈に批判をしているんですね。
ちょっと読んでみますと、私は、これは示唆に富む大変な論文だと思って読んだんですが、三十六年前に導入された学校群制度は、国家百年の大計を誤った大ミステークだったと思う。都立高校を軒並み没落させ、私立高校をエリート校化させ、さらに、日本人唯一の財産である刻苦勉励というメンタリティーを失わせた。努力する者がばかを見るという沈滞した風土をつくり上げてしまった、こういっているんです。その結果、俗流平等主義が育ってきた。俗流平等主義とは、自分より上にある人間への嫉妬から出発して、自分並みの水準に引き下げることを要求する考えだそうであります。
先ほど大西先生からお話があったように、いろいろ高校改革の問題がありました。卑近な例、私が想像したのは何かというと、よく小学校なんかの運動会で、一等、二等をつけると差別だ、みんなで一緒にゴールに飛び込もうとやった学校があったやに仄聞いたしますが、そんなものじゃなかったかなと思います。それは今はこういうことで厳しく批判されているわけでありますが、このことをぜひ申し述べたかったわけであります。
さらに、次に、今、私どもの墨田区では学校を統合させております。今、三つの学校を一つの学校にしようとして、閉校式が行われております。六十五年の創立の学校、七十何年の創立の学校、これらがみんな、子どもたちが減って、ある学校は、一年生から六年生までで二十四名、教員が校長以下八名という学校もあります。かつては千百人ぐらいいた学校が、時の流れとともにそういうふうに減ってきたわけですね。そして、これから学校へ入る子どもを持った親たちは、あの学校には学級に人が少ないから、もっと生徒の集まる学校へ行こうと。
今、そのことを思うと、先ほどの三十人学級の話になりますが、三十人学級でいいとなれば、それこそ先ほどいいましたように十五人と十六人の学級ができるわけであります。だから、そのことを私は見てきたわけです。その閉校式に行ってみました。何と三十人以下のクラスがほとんどなわけですよ。いわなくとも三十人以下の学級になってやっているわけですね。四十人ですから、二十何人、あるいは四十名にならなければ一学級でありますが。
そのことと、さらに、今、私立の学校の募集をやっていて、皆さん、ごらんになっているでしょう。あの中で三十人学級の募集はないはずですよ。みんな四十人あるいは四十人上の学校でやっている。そういうこと、ああいうこと、いろいろ考えてみますと、今三十人学級を主張する方も、それなりの考えを持っているでしょうけれども、まだまだ時期が早いだろうと私は思ってまいりました。
さらに、きょう、先ほどから、昼からここにおいでの方が、水元の青年の家のことについて心配しておいでになっております。このことについて、先ほど曽根さんからも、執印さんからもお話があったので、余り詳しいことは申し上げませんが、簡単にいいますと、私たちはかつて、多摩地区にあった青年の家を四カ所、やはり残してくれという存続の大変な希望があったにもかかわらず、それを存続でなくて廃止して、多摩地区のユース・プラザを一つつくることにして、納得してもらっております。だとすれば、今では区部の方では、水元の青年の家を残しておいて、こちらに代替の、夢の島のところに区部のユース・プラザがあるのに、それはどうだと、多摩出身の議員の皆さんからいわれたら、私たちも大変つらい立場にある。と同時に、私たちの同僚の議員が一生懸命地元の人たちと、そして、こんなにたくさん書いた手紙を見せていただいて、なるほど一理ある。そしてまた、こういうふうにまじめに一生懸命存続を望んでいる人がいる。この現実を見るときに、私たちは判断に非常に困る。
けれども、そこで、私はこういうふうに思うんです。財政的な効果など余りいってもいけないけれども、念のために申し上げますと、今の水元の青年の家は、一年間にあそこに何人かの職員が派遣されています。そして、いろんなことで経費が約一億九千万円かかっていた。しかし、その収入として入ってきたのは八百万ぐらいなわけですね。だから、これも大変つらいことだと思うんですよ。
ただ、そうだからといって、金の勘定でやったのでは、やっぱり教育施設ですから、経済的効果があるとかないとかで廃止してもいいというわけにはいきません。先ほどいいましたように、代替施設がなくているならば、またちょっと別なんだけれども、来年の四月から、今までよりもっといい施設が、青少年向きの施設ができるというんですから、ここではたと私たちも困るわけであります。
そこで、地元の住民が……(「これは保留かな、そうすると」と呼ぶ者あり)そこで、前回は保留にしたのでありますが、しかし、これは一区切りつけないと、新たな展開にはなっていかない。いつまでも保留でやったのでは、いつまでも物はできない。だから、ひとつ区切りをつけて、そこで次の段階に私たちは進んでいかなきゃならない。それがやっぱり人類の英知じゃありませんか。
ですから、そこで、今、地元からのいろいろな要求が十分あります。そこでもう一つ、実は私も調べてみたんですが、知事が議会で、水元のあそこのところをレガッタのメッカにしようというような話があって、ボート協会では、これについて一生懸命やっております。三郷の教育委員会に、当然、東京都の建設局の人と、それから葛飾の人と、職員と行っておりますし、埼玉県の県庁にも行っているんですよ。そこもレガッタのことでどうかという、そういう一つの要件もあります。
それらを踏まえて、私は、廃止までこれから一年間もあるわけだから、その間にじっくり話をして、一番いいのは、葛飾区がそのまま引き取ってもらえばいいわけですよ。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)一番いいのはそうなんです、葛飾区が。私は葛飾でないからいっているんじゃありませんが、本当はそれが一番いい。葛飾区がやってくれればいいんですよ。けれども、葛飾区も事情があるというならば、これから一年後に廃止しても、廃止したからというんでそれを更地にしちゃって建設局に返すのではなくして、さらに半年ぐらいは建物をあのままにしておいて、存続させておいて、建物の有効活用を、葛飾区や関係各機関や、地元のこういう熱望している皆さんともっともっと話し合いをやることが、誠意ある我々議員の、我が自由民主党の、皆さんもそうですが、対応であろうと思うんです。
そして、今その廃止決定がされたとしても、我々自由民主党としましては、積極的に地域住民の皆さんからのご意見を伺って、率直に意見を聞いて、行政に、教育委員会に伝えていく、こんなことを私は申し上げて、けりをつけたいと思うのであります。どうぞよろしくお願いいたします。
以上であります。
○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び請願に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 異議なしと認め、予算、付託議案及び請願に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時四十六分散会
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