文教委員会速記録第五号

平成十五年二月二十五日(火曜日)
第三委員会室
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長渡辺 康信君
副委員長服部ゆくお君
副委員長河西のぶみ君
理事執印真智子君
理事中嶋 義雄君
理事遠藤  衛君
福士 敬子君
小美濃安弘君
野島 善司君
相川  博君
石川 芳昭君
大西 英男君
曽根はじめ君
山本賢太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
大学管理本部本部長鎌形 満征君
管理部長飯塚 宏子君
調整担当部長久保  大君
改革推進担当部長菊地 輝雄君
参事清水 克則君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 大学管理本部関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 大学管理本部所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第五十八号議案 東京都立大学条例の一部を改正する条例
  ・第五十九号議案 東京都立科学技術大学条例の一部を改正する条例
  ・第六十号議案 東京都立保健科学大学条例の一部を改正する条例
  ・第六十一号議案 東京都立短期大学条例の一部を改正する条例

○渡辺委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○渡辺委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部関係の平成十五年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 この際、予算の調査について申し上げます。
 平成十五年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年二月二十四日
      東京都議会議長 三田 敏哉
文教委員長 渡辺 康信殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、二月二十四日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
  記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 二月二十八日(金)午後五時

(別紙1)
文教委員会
 第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中
     歳出
     債務負担行為
         文教委員会所管分

(別紙2省略)

○渡辺委員長 これより大学管理本部関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、大学管理本部所管分及び第五十八号議案から第六十一号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○飯塚管理部長 去る一月三十日、当委員会でご要求のございました資料につきまして、私からご説明申し上げます。
 お手元に文教委員会資料が配布してございますが、表紙をおめくりくださいませ。
 ご要求のございました資料は、公立大学の法人化の法整備の現状と今後の見通しについてでございます。
 1では、地方独立行政法人制度につきまして、法人化の対象となる事務及び事業などを、2では、制度創設の背景について、国におけるこれまでの検討経過を、3では、地方独立行政法人法案(仮称)の今後の見通しについて、それぞれお示ししてございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。
 どうぞよろしくご審議のほどお願いいたします。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野島委員 私の方は、甚だ概要で、何点かお聞かせいただきたいと思っています。
 この都立大学の関係は、保健科学大学院の修士課程の設置、それから将来的には博士課程もやっていこうという方向が示されています。また十五年度予算では、ビジネス・スクール、都心部でね、これもやっていきましょうということで、プレスクールというのかな、それも一月でしたか、都庁でおやりになる。こんなことで、そういういろんな改革、改善を積み重ねながら、当面、十七年度の都立新大学の設立を目指して、こんなことだろうと思うんですね。
 そこで、その十五年度予算が示されましたので、大学改革の進捗状況について幾つかお聞かせいただきたいと思っています。
 都立大学が倒産するというのはありますか。まずそれを冒頭お聞かせください。

○飯塚管理部長 現行の都立の大学の場合では、仮に大幅に定員割れが生じましたとしても、休校といった事態はありますが、即、経営破綻、倒産ということは考えにくいものでございます。

○野島委員 と、私も思うんです。いわば倒産というのはどういう意味かということになりますと、借りてた債務が返せないよ、あるいは経常の収支が回らないよ、累積してはねたよ、こういうことだと思うんですね。都立の場合には、いわゆる税金という公費投入ですから、そういうことはないだろうと。ただ、魅力がなくなれば定員が割れてくる。あるいは、その結果、休校とか廃止とかはあるだろうけれども、経済的な側面での倒産という事態はないというふうに、今の答弁で私は受けとめているんですね。
 教育庁所管で都立高校改革というのを今やっています。で、実は私学の関係者とお会いすると、そんなに都立高校改革をどんどんやってもらうと、私学の存在感や経営基盤が脅かされますよというふうな、悲鳴とはいいませんけれども、意見を聞くときがあります。
 いわば、都立高校がある種の金太郎あめ的なことをやってきた。今回その改革によって、進学重点校を指定したり、中高一貫教育をやったり、あるいは総合学科にしまして、魅力あることになりますから、そうすると学生さんはそちらに向いちゃうだろうと。今まで都立高校が、いいかげん節とはいいませんけれども、そういう実態であったから、私たちは特色を持って進学にバイアスをかけた教育をやっていく、あるいは附属との一体感の中で魅力を売ってきた、こういうことなんですね。いわば裏腹の関係にあるところですね。そういう意味では、私は、都立大学の改革も全く同じ視点に立つべきだろうというふうに思っておるんですよ。
 実は、きのうの日経新聞に「大学が消える」という記事が出ておりました。経営の甘さ露呈ということで、全部これを読んでいく必要もないんですけど、いわば経営と教学、両方の側面があると思うんですよ。で、さっきいった優位性でいくということになれば、倒産ということはないよということでありますけれども、今まで築き上げてきた都の持つ教育資源ですから、ぜひそれを有効に活用して魅力ある都立大学ということになれば、私も一納税者ですけれども、私なんかにとっても、東京の持っている大学はこんなにすばらしいんだということで、胸を張って、別にその辺歩くわけじゃないですけれども、東京の大学ありきということがいえれば、これにすぐる喜びはないわけであります。
 そこで、そういう大変な競争時代に入ってきた。よくね、例え話なんですが、一枚の紙がありますと、この一枚の紙を、ここにあったのを持ち上げるというのは物すごく大変なんですよね。大変だというのは、僕の力で持ち上がるんだけれども、比喩的にいえば、こっちとこっちを持たなきゃいけないし、あるいはもっと大きければ何人かで持たなきゃいけない。ところが、一枚の紙を真ん中をつまみ上げると、意外と全体が上がってくるんですよ。
 私は、競争というのは差別化じゃないと思うんです。そういう意味で、重点的にどこをやるかによって全体の底上げがなされるということが一番大事だと思うんですね。よく競争と差別を間違えたり、競争していくことがとんでもないことだという議論がありますけど、私は、今の社会の中ではむしろそういうやり方、視点を持たなければ、何となく力だけ入れて結局上がらない。そういう視点からぜひ都立の大学の改革に取り組んでいただきたいと思っております。
 さて、ところで、十七年度が開設予定と伺っております。準備期間が約二年となったわけであります。現在、当局、組合交渉じゃないから当局なんていっちゃいけないですな、担当所管では、大車輪で具体的な設計が行われるというふうに思っておりますが、十五年度予算が示されまして、それを見ますと、おおむね形が見えてきたのかなというふうに思ってございます。
 予算編成につきましては、厳しいシーリングの方針に基づきまして行われまして、一般会計総体では三%ぐらいの縮減がなされているわけでありますが、大管の関係は四・二%増ということで大変注目されているわけであります。そういう意味では、どこに銭をつけていくかというのが、その時々の政治のあり方でありますから、大変大きな期待が寄せられているものと、こんなふうに私ども予算総体の中では受けとめております。この大幅増に寄与しているのは、恐らく大学関連の改革関連経費であろうと思うんですね。施設をつくれば、そのときでかくなりますよと。しかし、その施設だって、ともかくつくりゃいいというものじゃなくて、何をするために箱物をつくるのであり、箱物をつくって何をやるかという二つのことがリンクしながら動いていかないといけないわけでありますから、その辺の改革の関連事業の内容について、大ざっぱで結構ですからご説明いただきたいと思います。

○飯塚管理部長 大学管理本部の平成十五年度予算歳出額は、二百二十二億八千七百万円でございます。うち大学改革関連経費は二十七億五千六百万円でございます。内容は、新大学における施設整備二十四億三百万円、産学公連携推進拠点の整備二千五百万円、法人化の制度設計三千万円、法科大学院準備経費四千九百万円などでございます。
 このうち最も額の大きな施設整備は、新大学における基礎教養教育の充実などに必要な施設として、新大学の入学定員千五百名を前提に、南大沢キャンパスに基礎教養教育校舎二棟と、先端科学技術系校舎一棟を建設するものでございます。

○野島委員 今のご答弁で、支出細目を大ざっぱにご答弁いただきました。それで、その南大沢キャンパス、私も一度お邪魔したことがあるんですけれど、大変広大な敷地で、多摩の雰囲気を十分感じさせるところだろうと思っております。そこに三棟の建物を建てるというお話でございます。
 新大学は、教育研究組織の基本構想が昨年の五月に示されております。その器、つまりどこでどのような教育環境を整備して学生を教育していくのか、これについては特段、私、お話を伺った記憶がないんです。キャンパスをどのように配置いたしまして、校舎や教室など、どんな教育環境を用意していくという考え方なのか、いわばそれが、新しい大学、施設をつくるわけですから、そこに精神が宿らなきゃいけないわけでありますから、教育の精神をあらわすものだろう、そんなふうに思っております。
 そういう意味で、キャンパス配置の考え方と施設整備の考え方についてお聞かせいただければと思っております。

○飯塚管理部長 まず、新大学におけるキャンパス配置でございますが、一つの総合大学を創造するという大学改革の考え方や、学生の教育環境等の点から、次のような配置の方針といたしました。
 まず第一に、現在、都立大学のある南大沢キャンパスは、教育研究の拠点として大部分の学部及び大学院を集約するとともに、徹底した基礎教養教育を行うこと。
 第二に、現在、科学技術大学がある日野キャンパスは、大学の社会貢献の拠点として、産学公連携センター等を配置していくこと。
 第三に、現在、保健科学大学がある荒川キャンパスは、保健医療に関する教育研究の拠点として、保健科学部及びその大学院を配置することでございます。
 なお、現都立短期大学晴海キャンパスや都庁舎等の都心キャンパスは、高度専門職業人養成の拠点として、法科大学院やビジネス・スクールなどに活用してまいります。
 また、施設整備の考え方でございますが、南大沢に建設を予定している三棟は、新大学において目指す教育研究のあり方を最大限実現できるような方向で、現在、基本設計を進めております。具体的には、きめ細かく少人数で行う基礎ゼミナールや外国語教育のための教室、教養教育充実のための教室など、新大学の教育の精神の実現に必要な機能を極力配置することを基本といたしております。
 今後、新大学のカリキュラムや教員配置などの検討と整合をとりながら、実施設計の中でさらに詳細を詰めてまいりたいと存じております。

○野島委員 概要はわかりました。日野にあったり、あるいは荒川にあります、いわば東京都域全体にある大学教育資源をそれぞれ役割を持ちながら動かしていこう、こういうことだろうと思っております。またその辺は後日聞くようなこともあろうかと思いますので、きょうはこの程度にいたします。
 そこで、極論しますと、教育は、今はそんなことをいったら笑われちゃうかもしれませんが、ミカン箱と紙と鉛筆があればできるというふうに僕は思うんです。最近はミカン箱、段ボール箱ですからつぶれちゃいますけど、昔は木の箱だったから、ミカン箱と紙と鉛筆があれば教育できたというふうに思うんですね。そういう意味では、今伺いました施設整備と、その施設でどういう機能を発揮してどういう教育をやっていくということについてはわかりました。
 大学改革の成否を握る、このことは運営の改革であろうというふうに私は思っております。国会においてもいろいろこれから議論がなされるというふうに思っておりますけれども、国立とか公立を問わず運営のあり方を根本的に見直していって、新しい時代の要請にこたえていくということだろうと思うんですね。
 この間、日経新聞に、大学改革の視点みたいな論点で書いてありました。それは別に、私、全部血肉化して紹介するほどの能力はありませんので、全くさわりませんけれども、そこでも同じようないい方がされているんですね。さっき管理部長さんから、今の全体の流れも伺いました。国立大学を法人化するための法案は今国会に提出される予定である、こういうことであります。で、国立大学の法人化に関する法の整備についてはどういう状況になっているのか。特に今回、現在、所管する総務省と関係省庁との間で細部を調整中ということが資料として示されておりますけれども、具体的にどういう点が課題となっているのか。
 それから、今までの答弁でも、国の大学の独立行政法人化と違う形を都は目指していきたい、こんなふうにおっしゃっているわけですね。今までいただいた資料でも、東京都の場合は経営と教学を分離する形のものでやっていきたいというようなことをお話しされておるわけであります。法整備に当たって、それらが可能となるように国に働きかけていると聞いておりますし、平成十五年度、国の予算編成に対する東京都の提案要求、この中にもそんなことが書かれているわけでありますけれども、その辺の状況について教えていただきたいと思います。

○久保調整担当部長 法人化に関します何点かのお尋ねのうち、まず国の法整備の状況についてですが、公立大学の法人化に関しては、地方独立行政法人法案の中に規定される見込みで、同法案を所管します総務省からは、今通常国会への法案上程に向けて準備中であると聞かされております。
 また、地方独立行政法人制度は、提出資料にも記載しておりますとおり、公立大学だけでなく、公立の試験研究機関や公営企業その他を広く対象とすることにしているために、この法案には主としてこれらに共通する通則的な規定が設けられることになると思われます。
 その上で、公立大学に関しては、その実態を踏まえまして、どのような点で特例的な扱いが必要になるかを総務省と文部科学省との間で検討しているところであると聞いております。
 次に、国の法整備に対する都の働きかけについてのお尋ねでございますが、法人の設立に当たりましては、各設置団体の法人運営についての考え方を十分に反映できる制度とするよう、都単独ではもちろんのこと、全国公立大学設置団体協議会の意見表明などの機会も利用して、積極的に要望活動を行ってきたところであります。経営部門と教育研究部門の分離という都の考え方につきましては、法案の検討に当たって国も十分に理解をしてくれたものと認識しております。

○野島委員 国の場合には、日本標準、別にテスト会社の名前じゃないですけど、ジャパンスタンダードでつくっていきますから、そういう中において独立行政法人法はそうなっちゃうわけですね。だから、今の答弁のように、ほかの試験研究機関や公営企業、こういったものも幅広く、じゃ、その中の大学はどうなんだ、こういうふうなことで制度設計の中でどう生かされるかということだろうと思うんですね。
 僕は、大学の運営の国公費のあり方というのはよく知らないんですけれども、設置しますと地方交付税の算定基準になるということであれば、これは国の関与が出てきちゃいますわな。そうやらないと対象外ですよといわれちゃったら、いろいろ問題があったって、やっぱり国に準じ、その中でというふうな形になっちゃうと思うので、都はそうじゃないと聞いてますし、ぜひそういう意味で都の独創性を果たしていただきたいというのが一つ。
 それから、一回制度を構築しちゃいますと、それをまた風穴あけていくのは大変ですよ。今回の場合には、これから法案が出ていくわけですから、東京都はこういう形でやりたいということをどんどんどんどん国に提案して要望していくということが、私は一番大事だと思うんですよ。そのことこそが地方分権であり、そのことこそが都立大学を再活性化させまして、都民に広く期待にこたえられることだろうというふうに思っておりますので、都におきましては法人化について現在どのように検討を進めているのか、去年の十一月の本委員会で報告された以降で結構でございますので、その辺の状況について教えていただけますか。

○久保調整担当部長 全体としての枠組みの検討をしているということにつきましては、委員ご指摘のとおり、十一月の本委員会でご報告申し上げました。
 現在は、法人の具体的な中身につきまして、大学の教職員を交えて検討を進めているところでございます。具体的には、運営組織の機能や構成、それから学長や教員の選考、任免方法あるいは給与、服務などといった、非公務員化を前提とした人事制度について、そして企業会計をベースとした新しい財務会計制度の仕組み、こういったさまざまな課題につきまして制度の設計を行っております。
 なお、今後、地方独立行政法人法案の詳細が明らかになった段階では、あるいはあわせて法の規定と整合を図るための調整も必要になる場合があるかと考えてはおります。

○野島委員 そういう形で進めておられて、ここにも陳情だったかな、教職員の方の身分の問題とかいろんな議論もされております。曽根委員を中心にご質疑がなされまして、それを仄聞いたしておりますけどね。進む中では、それはいろんな意見があって結構ですし、そういうものを全体として集約しながら、さっき申し上げましたように、時系列、時間というのはありますから、どんどん進めていただく。制度をつくるなんていうのは、ある意味じゃなかなか、今までのことを変えていく部分もあるんだし、困難であろうし、慣れてない形に移行する不安を持つのも、これは人の常でありますけどね。冒頭申し上げましたように、大前提、時代の背景、これからどうする、そのためにこうあるべき、こんな形で進めていただきたいと思いますし、また国との関係については、なかなか国がそういう形でうまくいかないということであれば、ぜひ私どもも国に対して積極的な働きかけを皆さんと一緒にやらせていただきたい、こんなふうに思っております。そういう意味で、ぜひ引き続き精力的な検討をお願いしたいと思うんですね。
 十七年度開設ということは、都民への約束事だというふうに私は理解しております。恐らくはそれを目標に受験されている、目指して勉強している方もいるでしょうし、最近は法律の受験者が物すごく多くなったんですね。あれは法科大学院が視野に入っているからというのもあるんです。学生というのは意外と世情に敏感なんですね。そういう意味では、十七年度都立大ようし、という形で頑張っている方もいると思うんで、ぜひ、今まで申し上げましたような進行管理には万全を期して促進していただきたい、こんなふうに思っております。
 自治体にとっては独立行政法人化は初めてのケースでありますし、先例のないものをつくっていくという、知恵を絞っていくということは大変な作業であろうと思っておりますけれども、全国自治体の中での東京都ということでございます。さっき申し上げましたように、私どももそのことで胸を張れるような、そういう制度になっていくために、立派なものをつくっていただきたいと思っております。
 それぞれ今まで四つの異なる大学があるわけであります。それぞれルーツがあるわけですから、なかなか大変な作業になろうかと思いますけれども、強い信念とリーダーシップでひとつ進めていただきたいというふうに思っております。
 最後に、改めて大学管理本部長の決意を伺いたいと思っております。

○鎌形大学管理本部長 現在、東京都が取り組んでおります大学改革は、ただいまお話がございましたように、四つの大学を統合して、さらに教育研究や大学の社会貢献、それから大学の運営のあり方に至るまで抜本的に改革しようというものでございまして、検討事項は大変多岐にわたっております。限られた時間の中ではございますが、先ほどご答弁申し上げましたように、法人化の制度設計につきましては、国に対して、各地方公共団体が--各地方公共団体と申し上げますと、いろんな大学運営についての考え方をお持ちでいらっしゃいます。そういった考え方も実現できるようにということで、地域の実情に応じて弾力的な制度設計が行えるように強く要請を繰り返してきたところでございまして、国の理解もおおむねいただけるものと考えてございます。
 後に続きます地方公共団体も多くあると聞いておりますので、引き続き各大学サイドと十分な議論を尽くしながら、都立ならではの先駆的な、かつ特色ある大学づくりを目指しまして、全国のモデルとなるような大学の創設に向けて、これからも最大限の努力をしていく所存でございます。

○野島委員 今、本部長の固い決意と強い意志をお聞きいたしました。決意は固いけど意志が弱くちゃいけませんし、意志はやわらかいけど決意は固い、これもあきませんから、両方とも固いということで頑張っていただきたいと思っております。
 約束の二十五分で終わりますので、終わります。

○石川委員 東京都は十五年度の重要施策の一つとして、東京都教育ビジョンの策定を挙げております。この策定は教育庁が中心になって行うものと伺っておりますが、それに関連して何点かお伺いいたしたいと思います。
 都立の大学改革の目的の一つは、東京の将来を支える人材を育成し、いかに社会で活躍できる優秀な人材を輩出していくかということで、現在、改革が進められているわけであります。
 都立の新大学では、次代を担うリーダーを育成することを目標として、基礎教養教育の充実を打ち出しておりますが、その具体的な内容は何か、また入試制度についてもどう考えているのか、お伺いいたします。

○清水参事 新大学における基礎教養教育では、社会で役立つ実践力を身につけさせるために、課題探求能力やプレゼンテーション能力を養成いたします基礎ゼミナールや、都市や環境などの学際的な課題を学ばせる課題プログラムを検討しております。
 具体的には、基礎ゼミナールは、少人数の演習形式によりまして、すべての新入生に対して必修科目として実施するものでございます。また課題プログラムは、次代のリーダーに欠かせない幅広い教養の習得と多角的な視野を養成するために、学際的な課題を複数の学問体系から幅広く学ばせるものでございます。
 また入試制度につきましては、ペーパーテストだけでははかれない受験生の個性や独創性等に着目した選抜方法によりまして入試の多様化を検討しております。このように、大学で必要な基礎学力に加えまして、小論文やプレゼンテーション等を通じて受験生の個性や意欲を評価する、いわゆる人材発掘型のAO入試を導入してまいります。

○石川委員 人材発掘型の入試を行うということでありますけれども、人材発掘型入試を行うには、高校生の大学で学ぶ目的意識を高めていくことが重要であります。その点では、昨年の夏休みに都立四大学が二十三区内の都立高校生を対象に大学レベルの授業を行った都立サマーキャンパスは非常に重要な取り組みでありました。この都立サマーキャンパスを拡充していくことを検討していると仄聞しておりますが、具体的にはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。

○清水参事 都立サマーキャンパスについては、都立四大学と都立高校との連携を強化する取り組みの一貫として実施したもので、高校生の大学で学ぶ意欲等の向上を目的としております。
 第一回目として実施いたしました昨年は、会場となった都立隅田川高校に延べ三百七十名の受講生が参加いたしました。受講生のアンケート調査では、大学で学ぶ学問に関する認識を新たにしたという意見や、目的意識が高まったという意見が多数寄せられております。これらを踏まえまして、来年度については、対象を二十三区内の都立高校から全都立高校に拡大いたし、会場も二十三区と多摩地域の二カ所に設ける方向で検討しております。また講義内容等につきましても、アンケート調査等を踏まえまして充実してまいりたいと考えております。

○石川委員 都立サマーキャンパスなどのように、新大学設立に向けて優秀な人材を育成するための意欲的な取り組みが行われております。まさに新大学と都立高校の連携ということは非常に重要な問題でありまして、先ほど申し上げました、来年一月を目途に東京都教育ビジョンを策定するという、この大きな柱にもなってくるのではなかろうかと私は思います。
 このビジョンについては、単に高校、大学だけではなくて、二十一世紀の東京の創造的発展を担う人材を育てるという視点から、いわゆる幼児教育から家庭、地域、社会全体を視野に入れた、発達段階をトータルにとらえたものと聞いております。東京の将来を担う人材育成という点では、都立の大学改革にも通ずる部分があります。このビジョン策定に当たって大学管理本部はどのようにかかわっていくことになるのかお伺いいたしますし、また、新大学設立のスケジュールと教育ビジョン策定のスケジュールは、若干時期が異なってまいりますけれども、この二つの検討は整合性を持って進めていくことが必要であると思いますが、いかがでしょうか。

○清水参事 東京都教育ビジョンは、教育庁が主管局となりまして関係局による横断的なプロジェクトチームで検討されることになっており、ここに大学管理本部も参画してまいります。
 都立新大学の検討につきましては、十七年四月の開設に向けまして、十五年度中には具体的な設立準備作業を進めていく予定であります。一方、教育ビジョンの策定は十六年一月を目途としておりまして、ビジョン策定に当たりましては、これまで検討してまいりました大学改革の成果を生かすとともに、教育ビジョンで検討された内容についても、今後の大学改革に反映させてまいります。

○石川委員 この東京都教育ビジョンの策定作業は新年度に入ってからであります。これは、今後の東京都における人材育成のあり方を示す重要なものになってまいると思います。そこで、このビジョンの策定過程で都立の大学は重要な役割を果たしていく必要があります。大学管理本部の教育ビジョン策定に向けての所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○清水参事 将来を担う人材育成を考えていくには、個々の教育段階における取り組みの充実とともに、子どもの発達過程をトータルにとらえていくことが重要でございます。こうしたことから、大学を教育のターミナルと位置づけ、都立高校改革との一体的な教育改革など、初等中等教育をも視野に入れ、大学改革を進めてまいりました。
 東京都教育ビジョンの策定は、大学改革にとっても大変重要なものでございます。これまでの大学改革の検討成果を生かし、積極的にかかわってまいります。

○曽根委員 予定されている二〇〇五年度、平成十七年度の都立大学の統廃合と合わせた独立行政法人化の日程が近づいてきているわけですが、根拠法を含めての事態は、私の見る限り大変おくれているように思います。
 国立大学の独立法人化の法案は国会にまだ提出されていないと思いますが、どういう段階にありますか。

○久保調整担当部長 国立大学の法人化のための法整備の状況につきましては、現在のところ、文部科学省から正式な発表がございませんので、準備がどこまで進んでいるのか、都として正確には承知しておりません。

○曽根委員 私たちも、法案の要綱もまだ出ていないので、国会議員の方を通じて概要というものは手に入れたんですが、まだそういう段階なんですね。
 一方で、大学関係者からは、国会提出をさせないという大きな世論が今広がっておりまして、たとえば昨日ですが、「大学改革」に反対し国立大学法人法案の国会提出のとりやめなどを求めるアピールが、千三百人以上の賛同者のもとで出されたわけです。この中には、もとの国立大学の学長十一人ぐらいが入っているのと同時に、映画監督の山田洋次氏とか、そのほか文化人、赤川次郎さんとか、いろんな方が入ってのアピールになっているようです。私も内容をまだ詳しくは知らない、きのうのことなんですが、こうした大学関係者だけではなくかなり幅広い層に、文部科学省によるかなり強硬なスケジュールでの国立大学の法人化、また関係者の意見を無視した動きがいろいろあるということについても、疑問や不安が広がっている状況だと思います。
 それで、国立大学が平成十六年度、二〇〇四年度にもし法人化された場合、受験するのは、今度高校三年になる生徒さんですよね。その人たちは、もう二年生ぐらいから志望校を決めなきゃならないという状況になっているはずなんですね。ところが法人化の法案すらまだ出てないわけで、自分の受けようとする大学、もし国立大学を受けようと思えば、どういう大学の姿になっているのかがわからないまま、今、受験準備に入っているということですよね。この法案がもしおくれて、秋、さらには来年なんてことになれば、もうこれは絶対できないわけですよね。
 こういう中で、いわば大学に法人化の準備を、法案ができる前から文部科学省によってこっそりさせている、いろいろな実務準備を、こういう動きが起こって問題になっていたことはご存じですか。

○久保調整担当部長 この点につきましては、既に国において独立行政法人化ということで、国の検討組織から国立大学法人化についての報告が出ておりまして、詳細には、平成十四年三月に、「新しい『国立大学法人』像について」という報告書でございますが、これに基づいて各大学とも準備作業を進めているというふうに聞いているものでございます。

○曽根委員 ところが、そういう問題じゃないんですよ。つまり、国会で法律もまだ出ていない、もちろん通っていない状況で、その法律がなければできないような実務をもう既に準備を始めたということについて、昨年の五月に我が党の石井郁子議員が国会でただしたら、そんなものは指示してません、各大学が自主的にやってるんじゃないかと答えたわけですよ、担当局長は。そうしたら、間もなくして、その指示文書が出てきたわけですよ。全然指示してないといったのが、指示してたんですね、もう公式の文書まであるんですから。それで、担当局長は陳謝するという事態になったわけですよ。
 私ね、都立大学ももちろん国立大学のように--全く同じではありません。私は率直にいえば、国立に比べればはるかに大学関係者と東京都との間には話し合いの場があるということは知っています。しかし、東京都の場合であっても、独立法人にならなければ絶対あり得ないような実務について、それをもう大前提として、直接それにかかわる実務を準備する、この議会の中で条例もまだ形も見えない段階で、ということはやっぱりまずいと思うんですよね。議会軽視になってしまうと思います。この点については、国の方の出来事を教訓として、やっぱり慎重に取り組んでいくということはあってしかるべきだと思いますが、この点についてはぜひ鎌形さんの方から考え方を示していただきたい。

○鎌形大学管理本部長 今の曽根先生の国会の質問を、私も議事録を読みまして、よく存じております。
 法律が先か準備が先かというのがございますけれども、先ほど久保部長が話しましたように、私たちは私たち東京都としての大綱を発表しまして、それに基づいてそういった制度設計をお願いすると。先ほど冒頭でも申し上げましたように、国の方に、あの大綱に基づいてこういった大学をつくっていただきたい、つくれるような制度設計をお願いしたいということで、文科省、総務省双方にお話をさせていただいて、おおむねそういった方向で行けるんじゃないかという感触を得ているわけでございまして、その限りで、法を前提にした準備をすることについては一向に差し支えないというふうに考えております。
 これは、法律ができなければ新しいものをつくっちゃいかぬかというと、そうじゃないわけでして、一般的にはその前にいろんな物事があって、それが法案となって、具体的に執行できる、実施できるのは法成立後ということでございますので、事前に、我々の考え方をもとにした準備をすることについては一向に差し支えないと。ただし、さっき久保部長がご説明申し上げましたように、法律がそのとおりになってない場合は、それは当然法律に従うべきでございますので、その限りにおいては再度調整させていただくということでございます。

○曽根委員 私も、都立大学の大綱の範囲で考えられることを一定程度準備するということは、全くスケジュールがおくれるようなことをやれといっているわけじゃないので、ここで決まったことを実行するのは当然ですから。しかし、その範囲を超えてもう細かいことまで準備するということには慎重であってほしいと思うんです。ですから、先ほどお話のあったように、今度の予算で一定のキャンパスの中の施設をつくる、これは一定の年月かかりますからね。だから、それを我々は否定しているわけじゃないんです。いろんなある程度の見通しを持ってやるということは当然だと思うんですよ。ただ問題は、法人化しなければできないような細々とした問題がもう既に全部準備されている。国立大学なんか相当やられているようなんですよね。国会で決まらないうちに、もう全部決まっているみたいな、これはやはりまずいと思うんです。このことは申し上げておきたいと思います。
 それで、地方大学の独立行政法人化の法案というのは、どうも国立大学と関連はするけれども、別法律になるようですね。どういう段階に来ているのか、法案の形というのはもう大体わかっているのか。それから、これについての国会への提出その他の日程というのはどういうふうに考えられているんでしょうか。

○久保調整担当部長 先ほどもご説明申し上げましたとおり、仮に地方独立行政法人法案ということで仮称で申し上げておりますが、この内容につきまして詳細をまだ公表されている段階ではございません。ただ、法案を所管する総務省からは、今通常国会への法案提出に向けて準備作業を進めていると聞いておりまして、現段階で私どもが予定しております平成十七年度の開設、法人化には十分間に合うというお話を伺っております。

○曽根委員 これは文部科学省だけの問題ではなくて、聞くところによると、この地方大学の独立行政法人化というのは、例えば地方の公立の医療機関の法人化などとも抱き合わせで法案が準備されていると。大学の問題もありますけれども、公立病院の独立行政法人化という、これまた関係者にとっては非常に大きな問題を抱えたのと一緒になっているわけですよね。審議がどうなるのか、関係者の合意はできるのかという点では、これはかなり、国会に提出までももちろんですけれども、提出されたとしても議論を呼ぶ問題じゃないかと思うんですが、これは間違いなく十七年度に間に合っているというふうに、確実だというふうに保証がどこかあるんですかね。

○久保調整担当部長 これは国会のご論議にゆだねるべきものでございますから、私どもが保証するとか保証できないとかというものではないと理解しております。しかしながら、私どもは、法案の成立のいかんにかかわらず、仮に法案が無事に法律として成立した場合のことを想定して、十七年度の予定に向けて着実に準備を進めていかなければならないだろう、かように考えているところでございます。

○曽根委員 随分自信のあるようなご答弁なんですけど、全国に地方大学を持っている自治体などの団体が幾つあって、その中で、東京都のように期限を切って独立行政法人化を今検討している自治体というのは幾つなんですか。

○久保調整担当部長 法人化の検討を進めている自治体のお尋ねでございますが、全国公立大学設置団体協議会で昨年の四月に調査をしております。これでは、全国五十五あります設置団体のうち二十六団体が法人化の検討を進めているというふうに聞いております。また、公立大学協会の方で昨年夏に行いました調査によりますと、六割強の公立大学で法人化の検討が進められているという結果になっております。それらのうち、具体的に平成十七年四月までに法人を設立するという形で表明しておりますのは、聞き及んでいる範囲では都を含めて四団体でございます。

○曽根委員 先ほど、東京都が引っ張るというようなお話も出されていましたが、大きいところでは東京都と大阪府ですよね、期限を切って今進めているのは。しかし、東京都や大阪府のように大きな自治体が、府立大学、都は都立の大学の統合と合わせた独立行政法人化、これが全国に及ぼす影響は非常に大きいわけですね。うまくいけばいいだろうというふうに思っているでしょうが、ミスリードということだってあり得るわけですよ。特に国との関連でこれは非常に微妙な段階ですから、私はその点でも慎重であるべきだというふうに考えます。
 で、恐らく独立行政法人化の法案は、地方自治体の分権化の時代ですから、この法案が通ったとしても、独立行政法人化をするかどうかは自治体の判断で決められるはずですよね。ですから、法人化の検討をしている団体が半分ぐらいしかないんだと思うんです。そういう点からも都は独自に判断を持って慎重に対処すべきだ、これは意見として申し上げておきます。
 そういう中で、それでは東京都の内部検討、都立大学の内部での検討は今どういう段階に来ているかをお聞きしたいと思うんです。
 前にもちょっとお聞きしたかと思うんですが、受験の要項などを再来年受験する受験生、今度二年生になるわけですが、その受験生の人たちに示すというのはいつごろになるんでしょうか。

○久保調整担当部長 大学の概要を受験生に対して示すという問題は、ただいまの関連で申しますと、法人化の問題とどういう関連になるかというところの説明からさせていただきたいと存じますが、法律によりまして検討内容に影響が生じる可能性がございますのは、あくまでも法人化に伴う運営組織や人事制度などでございまして、新大学における入試や教育内容など、受験生に伝えるべき情報は法律に左右されることはないと考えております。したがいまして、委員ご指摘のとおり、大変重要な事項であります新大学における入試やカリキュラムなどにつきましては、法律の成立する時期いかんにかかわらず、その内容が固まった時点で受験生に対して適切に周知を行いたいと考えております。

○曽根委員 聞いたことより聞いてないことの方が詳しく答えがあったんですけど、そんな先読みしないで、もう少し順序よく答えてほしいんです。
 率直にいって、年度内という話でしたよね。私、前にしつこく聞いたんです。そうしたら、年度内には受験のための何らかの要項みたいのを出すという話だったんですよ。で、資料もお願いしたけど、出なかったわけですよね、今回。いつごろになるんですか。

○菊地改革推進担当部長 十七年度入試の受験生に対します入試概要の公表につきましては、当初はご指摘のとおり年度内に実施する予定でございましたが、若干作業がおくれておりまして、現在、七月の大学説明会に向けて、六月上旬には公表できるよう準備を進めているところでございます。

○曽根委員 これはやはりいろいろ事情があるんでしょうけど、私はむしろ、余り強引に急ぎ過ぎて、合意が形成されないうちに、どっと行けというふうなのはまずいと思うんです。慎重であっていいと思うんですよ。ただ、だとすると、七月には大学説明会、これは要するに今度二年生になる生徒さんですよね。受験志望校をもう二年の夏休みぐらいには選ばないと受験準備ができない、こういうことになりますよね。したがって、受験生に影響があるわけですよ。もちろん、それに間に合わせるおつもりなんでしょうが、そこで先ほどの久保さんのお答えの問題なんですけど、法人化は、受験生が選ぶ上でも当然ひっかかってくる問題があると私は思うんです。さっきは関係ないとおっしゃったけれども、それは多くの受験生、本当に大学で何を学ぼうか、これからどういう道を進もうかとまじめに考えている受験生にとっては無関心ではあり得ないと思うんですよ。
 例えば都立大学だって、大学四年卒業して大学院に残る学生さんは相当いるでしょう。半分以上じゃないですか。理科系なんかはかなり残りますよね。残ったうちのまた何割かは大学で研究室に入る人が出てくるわけですよ。そうすると身分の問題が出てくるわけだよね、大学の教員の一部になるわけだから。まさにかかわりがあるわけですよ。また、その将来を考えて都立大学を選んでくれるような学生さんが欲しいわけでしょう。そうですよね、違うんだったら話にならないんだけれども。都立大学をそこまで考えて選んでくれる受験生が欲しいわけですよね。だとすれば、法人になって教職員の身分がどうなるか、無関心でいられない問題ですよ。そう思いませんか。(「それが全員じゃないわけですよ」と呼ぶ者あり)全員だなんていってないんだよ。そういうまじめな学生がいるっていってるんだよ。

○久保調整担当部長 委員ご指摘のように、そのような学生もいるかとは存じますが、それとは別に、都立の新大学を希望する受験生すべてがそのような将来設計を持っているかどうかも現段階ではわかりませんし、これは先般来お答えしておりますとおり、法人化になりましても実質的に不利にならないように、身分については十分に教職員と話し合いを進めていくというご答弁を申し上げたところから趣旨をご理解いただきたいと思います。

○曽根委員 その後半の話が、教職員との間でもう大体合意に達しているならいいですよ。まだ全然でしょう、はっきりいって。そういう中で、再来年受ける、つまり受験校を選ばなきゃならない受験生に影響があるという問題は、一部か全部かはともかくとしても、そういうまじめな受験生にとっては大きな問題だと思いますよ。それは否定できませんよね。
 それから、もう一つは授業料の問題ですね。これは聞いていらっしゃると思うんですけれども、もう既に国立大学の方では法人化は来年の春ですから、授業料をどうするかについての検討がやられている大学があるようですよね。大体どういう考えで--今五十二万円ぐらいですか、年間。それがどれぐらいになろうということが検討されているかご存じですか。これはまさに受験生に影響することなんですけれども、知っていたら教えてください。

○久保調整担当部長 申しわけございません。手元に資料等、情報がございませんので、承知しておりません。

○曽根委員 これは別に予定していなかったので、申し上げていなかったので、数字はいいです。後ほど調べてほしいんですけどね。これは本来なら知っていていいと思うんですよ。
 例えば名古屋大学の組織改革検討委員会というところでは、学生納付金について、国からの運営費交付金の配分額が学校経費の五〇%になった場合、これはかなり可能性が高いんですけど、授業料を七十から八十万円程度に設定せざるを得ないというのを中間報告で出しているんです。同じように新潟大学でも検討専門委員会中間まとめというのを出して、ここは附属病院がありますが、附属病院を除いた五〇%ということになると、八十六万円という額が出ている。さらに、ここでは単位ごとに学費を設定することも検討されていて、医学系、歯学系は百三十六万円、自然科学系は八十三万円、教育学系四十八万円など、格差を設けるということも検討されている。これはまさに受験生の入った後の負担の問題ですよ。教育費の負担の問題は学問の内容とは別だと前におっしゃったけれども、しかし、そうはいったって、かすみを食って生きてるわけじゃない、学生だって、その家族もね。こういう厳しい世の中ですから、学費がどうなるのかということは、これはもうまさに無関心でいられない問題だ。
 そういうことも含めて、六月ぐらいに出すというその受験の要項の中に、こういう問題はもちろん入ってこないでしょうけれども、それを前提に都立大学を選んでくれた学生に、そういうことで今後迷惑をかけないんだということをここできちんと保証すべきだと思うんですよね。そういう決意を持たないと、これから大変なことになっていくのでね、形も中身も全部変わっていくとすれば。そういう点について、ぜひ今考えている点をお示しいただきたい。

○久保調整担当部長 授業料等につきましては、現在進められている考え方によりますと、いわゆるプライスキャップ制、上限方法を設定するということで検討が進んでいるやに聞いております。この場合には、当然のことながら、地方自治体において設置しております公立大学につきましては、何らかの形で議会のご審議が必要となるのではないかというふうに理解をしております。

○曽根委員 もちろんそういうふうに議会にかけていただくようなものにしていただかなきゃ困ると思うんです、都立大学であることは間違いないんでしょうから。しかし、国の方でいえば、設置者は国であるというふうにいっていたのが、今、法案になってみたら、もう国じゃなくて独立行政法人そのものが設置者になるというふうに、大学関係者に約束してきたことまで変わっていっちゃってるわけですよ。それでまた一もめしているわけですけどね。そういう状態ですから、都立の大学の改革についても、この問題はどれだけ時間をかけてもかけ過ぎということはないので、根本にかかわることですから、十分慎重な検討を引き続きお願いしたいと思うんです。
 それから最後に、今回、予算の中で負担増の問題としては、学生寮の値上げがあるんですね。説明の中では、もとが低いんだから、一・五倍になるんだけれども、勘弁してくださいという話がありました。勘弁じゃないか、認めてほしいんだという話がありました。
 私は、月々の負担何千円の範囲で、それが学生の生活を脅かすとかいうことは、実態から見てそういえないと思います。しかし考え方は、つまり、今度のさまざまな東京都の関係する公共料金の考え方によると、要するに基本的には受益者負担、実費負担という原則に向けて、現在の料金から最大限でも一・五倍にすると。だから、一・五倍以上にはならないという考え方で今回やるわけですよね。既にほかの局のやっている料金改定の中では、これから繰り返し繰り返し一・五倍ずつやって、相当上げていくんだという説明までされているところもあるようです。そこまで露骨にやられればはっきりするんですけど、だから、もとが低いから、そういう意味では一・五倍といってもそれほど大きな額になりませんが、これは今後、大学の授業料、もし新しくなったとすれば、その大学の授業料の考え方にも当然つながっていく問題だというふうに考えます。そういう点でいうと、実費負担、受益者負担の原則をどこまでも進めていくと、先日来私どもがいっておりますように、家計は苦しいけれども、負担能力は低いけれども、学問を志して頑張ろうという受験生にとっては非常につらいことになるというふうに思います。それを受け入れるのが公立大学の役割だという点からしても、学生寮の値上げについても、この考え方そのものを認めるわけにいかないということを申し上げておきたいと思うんです。
 以上です。

○執印委員 それでは、私からは、都立の大学の中での男女平等に関して幾つか質問させていただきます。
 このチャンス&サポート東京プラン、十四年の一月に策定されておりますけれども、この中に、大学管理本部が取り組む施策として幾つかの事業が挙げられております。大変うれしい思いでこれを拝見したわけですが、どのような考え方でこれを掲上されたのか、それから、大学管理本部として、こうした男女平等の取り組みを進める意義をどう考えていらっしゃるのかをまず伺います。

○飯塚管理部長 東京都では平成十二年に東京都男女平等参画基本条例を制定いたしまして、また、平成十四年一月に、これに基づく行動計画、チャンス&サポート東京プラン二〇〇二を策定いたしまして、男女が対等な立場で社会のあらゆる活動に参画し、責任を分かち合う、男女平等参画社会の実現を目指しております。
 男女平等参画を進めるためには、東京都の各局がその事業を通じまして施策を着実に推進していく必要があるために、大学管理本部といたしましても関連事業を掲上したものでございます。こうした取り組みの積み重ねを通じまして、東京都の男女平等参画社会の実現に寄与する意義があるものと考えて策定したところでございます。

○執印委員 取り組みへの意義をいろいろお話しいただきましたわけですが、具体的に都立の四大学で男女平等参画を進めるためにどのような取り組みが行われているのか伺います。

○飯塚管理部長 行動計画に掲上いたしましたとおり、三点の取り組みを進めてございます。
 第一に、大学におけるセクシュアルハラスメント防止体制を強化いたしております。具体的には、都立大学、保健科学大学ではセクハラ防止委員会等を設置いたしまして、研修を実施し、相談員を置いてございます。科学技術大学、短期大学ではガイドラインを策定いたしまして、必要の都度、相談対応をしております。
 第二に、社会法や社会学の講義や演習におきまして、女性労働、ジェンダー研究など、男女平等参画に関する授業を実施しております。
 第三に、社会人聴講生等の制度の活用や公開講座などを通じまして、広く社会で女性が活躍するための能力向上や再就職準備の学習機会の提供などに取り組んでおります。

○執印委員 三点お話しいただいたわけですが、セクシュアルハラスメントについては、少し形は違うけれどもそれぞれの大学にあるということでございますので、キャンパスという場でこういったことが起きないようにいつも願っているんですけれども、都立高校などでいうとやはりあるようですから、ぜひ都立の大学でも十分に対応していただきたいというふうに思っております。
 二点目のジェンダー研究ですね、それから女性問題などについて男女平等に関する授業科目の提供というのは、社会学部ですか、社会法でしたか、社会学などの中でされているようですが、全体に対してどれくらいの割合と思われるかお尋ねしたいんですが、担当の教員数と単位数でそれぞれ示していただきたいと思います。

○飯塚管理部長 先ほどの行動計画の実施状況としてご報告いたしました、都立大学の法学部で行われている授業科目についてお示しいたしますと、担当教員数では三・〇%、単位数では三・二%でございます。

○執印委員 三%といいますと当初の消費税ぐらいで、そうですね、全体的にすると割合はちょっと少ないかなというような感じがしないわけではありません。しかし、都立の大学でこういった形で取り組んでいる姿勢というのは評価をしたいと思いますし、教授とおっしゃるんでしょうか、先生もどのような方が入っていらっしゃるか、ちょっと見せていただきましたけれども、頼りになるなという感じがいたしましたので、心強く思ったわけですが、今までもいろいろ議論がありましたけれども、十七年度に予定をしております都立の新大学については、男女平等についてはどのように取り組んでいくのでしょうか。
 先ほど来ご説明がありましたように、東京都は男女平等参画基本条例というのを制定しまして、男女平等参画社会の実現を進めるということでございまして、このチャンス&サポートにもいろいろな取り組みが書かれているわけですが、新大学の特色として、男女平等参画への取り組みを売りにするくらいの考え方があってもいいというふうに私は思っているわけです。現在は、環境とか都市というのが特色として挙げられているようですけれども、男女平等というものをしっかり入れていただきましたらば、私も税金を出すことにさらに価値を見出すことができるわけですが、その点に関してはいかがでしょうか。

○飯塚管理部長 新大学におきましても、引き続き学内におけるセクシュアルハラスメント防止などを推進するとともに、学生の教育におきましても、男女を問わず一人一人がその個性を伸ばし、能力を十二分に発揮できるような多様な学習機会等を提供いたしまして、都が設置する大学として男女平等参画社会の実現のための役割を果たしていきたい、かように考えてございます。

○執印委員 男女平等という問題については、いろいろな立場とか、いろいろなこれまでの暮らし方とか生き方とか、そういうものがあって、いろいろな議論がそれぞれの場でされているわけですが、そういったものについても、これからの二十一世紀をつくる上で、どんな話し合いをしながら男女平等を進めていくかということも含めて、ぜひ都立の大学がその中心となっていただきますように、ぜひ取り組みを強めていただきたいということを改めてお願いをしておきます。
 それで、先ほど、学生教育や、それから女性が社会で活躍するための多様な学習機会の提供というようなご答弁もいただきましたが、この新たな大学において、子育てしながら学生をするという人々のためや、それから教職員の支援のために、保育の施設というのを用意するお考えというのはないでしょうか。

○飯塚管理部長 新大学の施設につきましては、学生の教育環境の充実や福利厚生の向上のための施設、研究環境の充実のための施設など多くの整備ニーズがございますが、財政状況、施設面積とも非常に限られた厳しい状況であることから、優先順位に従って整備していくこととなります。現在、保育施設の要望は届いておりませんが、今後、学生等の意見を聞きながら、将来的課題として検討いたしたいと考えてございます。

○執印委員 今、声が届いていないということがございましたが、こういうものというのは、そういうことをいっていいという頭がまずないと、なかなかいっていけないものなんですよね。私も子育てしているときに、今は随分変わりましたけれども、当時は、駅に行っても、新幹線に乗っても、子どものおむつをかえるところがございませんで、それはみんな同じように苦労したんだと思うんですけれども、赤ちゃんだったことがない大人はただの一人もいないのに、何でこんなに子育てしにくいんだろうというふうに随分思っていたんですね。だけど、そのことと、だから必要なんだというふうに声を出していいんだというそのことがつながらなかったものですから、声を出すということがまずできなかったということがあったんですね。そのような自分の経験からしても--経験だけで物を語るのは愚者だというふうによくいわれておりますが、経験というのも大事だと思うんですけれども、そういう経験からしますと、なかなか声が出にくい部分なのではないかというふうに思うわけです。
 それで私もちょっと調べてみましたが、今、「子育て学生応援します」ということで、これはアサヒ・コムというところ、そこによるニュースでございますが、日本女子大生涯学習総合センターは二年前の開設当初から託児ルームを設け、民間に委託した、半年間は十人程度の利用だったが、この一年で延べ六十人にふえた、対象はゼロから五歳児、同センターの講座は社会人や学生が利用しており、約九割が女性という、と書いてありまして、一割は男性の方もいらっしゃるということですね。
 それから、早稲田大学は四月から保育所を開く、一歳の子を持つ社会人院生が教員に、子どもを預ける施設が大学にあれば、と相談したのが契機の一つという、と書いてありまして、さまざまな方が運営形態などを検討して、学部生、院生、エクステンションセンターの受講生のほか、地域にも開放する、将来は、東京都が独自の基準を持つ認証保育所を目指すというふうに、この記事によればなっております。
 それから、早稲田大学の学生生活課の山田さんという方は、学生数は減り、大学は冬の時代を迎える、早稲田という伝統と人気だけでは生き残れない、社会人がふえている院生に照準を合わせ、子育てで大学に通えない人たちを支援したいと話す、となっております。
 それから、早稲田は私学ですけれども、国立大学も検討を始めているということで、お茶の水女子大学、ここは、附属幼稚園の一室に試験的に保育室を開設しているということですね。
 それから名古屋大学は、男女共同参画推進委員会が三年前に発足をして、保育施設の設置に向けたアンケートに答えた院生や教職員ら約千人のうち、約一割が保育施設が必要と答えた、独立法人化したときの売りになる。ここでは、独立法人化したときの売りになるというふうに副総長さんがコメントしているようですけれども、検討していると。
 それから広島大学でも、職員から託児所設置の要望を受け検討中ということなんですが、今のところ要望は届いていないけれども、意見を聞きながらということですので、今のところ、今ご紹介したものも含めて六十二の大学が保育施設に対応するという話も聞いておりますし、この時代、少子化の時代でもありますし、十分にニーズはあるかというふうに思うんですが、そういったニーズ把握のための調査をするというお考えはいかがでしょうか。

○飯塚管理部長 今後、社会経済情勢や他大学の動向、学生の意向、財政状況等も勘案しながら検討していくべき課題の一つかと考えてございます。

○執印委員 実際に私どもの周りでも、学生結婚をして子どもができたので女性がやめざるを得ないというような実例もありまして、こういった提案を今させていただいているわけですが、先ほどのニュースのつながりで、「文部省が実態を調査」と。今、社会人の院生は約二万五千人から約三万人に増加をしている、子育て中の女性が生涯学習を進める上で託児サービスは大きなポイントと見て、昨年の秋からことし一月にかけて、都市部を中心とする国公私立大学四百校を含む生涯学習関連施設計三千に、託児施設の有無などを尋ねる調査をした、三月にも結果をまとめるということで、このような調査も出てくるようですけれども、都立の大学、新大学に向けても、南大沢キャンパスとか日野とか、それから都庁を使ったとかというのがあると思うんですけれども、都立大学だけこういったニーズが全くないということは考えられないんです、これを読んでいく限りね。だから、ぜひ十分に調査をしていただきたいというふうに思いますし、必ず高まってくるし、それをつくれば、それを利用したいという人は必ずいるというふうに私は思っております。都立大の計画の中には全寮制というのがありまして、この時代にすごいお金をかけて、何の必要があるかと私は思いますけれども、全寮制よりはよっぽど時代に即しておりますし、また、現実性と必要性があるというふうに思っておりますので、本部長を初めとしてぜひ積極的な検討を期待し、お願いをさせていただきまして、質問を終わります。

○福士委員 先ほど来、独立行政法人制度についていろいろご質問も出ておりましたが、私も、今度の都立四大学が統合して新法人になったときに、どんな大学になるのかなというのがちょっとよくわかりませんので、簡単に質問させていただきます。
 今でも、大学予算の三分の二を占める約百五十億円は都の一般財源が充当されています。今度、東京都大学改革大綱によると、新しい大学法人は、教育研究内容や資金、人員などを含む中期計画を作成し、都の認可を受けるというふうになっていますけれども、この認可に際し、議会への報告や意見徴取というのは行われるのかどうかお伺いします。

○久保調整担当部長 ご質問にお答えする前に、全体の仕組みについてご説明させていただきたいと存じます。
 新しい法人は、現在、法整備のための準備が進められている地方独立行政法人法に基づいて設立されることになるため、都や都議会と新法人との関係もこの法律の規定に基づいて定められることになるわけであります。現段階では法案の内容が明らかにされていないために、正確なことは大変お答えしにくいんですが、法案は、昨年八月に国の地方独立行政法人制度の導入に関する研究会から出された報告書、この趣旨に沿って検討されていると聞いておりまして、この報告書の中では、地方独立行政法人制度の導入の意義に照らして、法人に対する議会の一定の関与と住民による監視機能について十分な検討が必要であるとされていますことから、少なくとも、ルーチン的なチェックは長及び第三者機関にゆだねつつも、重要な部分のチェックには議会も関与する仕組みがとられるのではないかと想定しております。
 さて、お尋ねの中期計画と議会の関与についてですが、中期計画は、あらかじめ地方公共団体の長が設定する中期目標に基づいて法人が作成するものとされております。そこで、先ほどのご紹介したような考え方に立てば、議会の関与は、この中期計画の段階よりも、むしろこの中期目標の作成の際に重点的に行われるものと想定しているところでございます。

○福士委員 今の、一番最初の段階でチェックができるということですが、国ではもう研究機関など五十七が独立行政法人に法人化されていて、これに都も倣うというようなことが書かれておりますけれども、国では、独立行政法人が国民のニーズと無関係に自己増殖的に業務を拡大することを防止するというふうに書かれています。都の新法人では、中期計画のローリング時の報告あるいはその他の機会に議会や市民の意見を入れることによって、国の趣旨と同様というよりは、むしろ都の独自性が上回るようなことが可能になる形がとられるんだろうかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○久保調整担当部長 どういった時点でどのように議会が関与するかにつきましては、先ほど来申し上げたとおり、詳細がわかっておりませんので、ご了解いただきたいと存じますが、ただ、法人の業務は、認可を必要とします法人の業務方法書や中期目標等によりましてその範囲を決められます。このため、ご指摘のような、都民のニーズと無関係に自己増殖的に業務を拡大するということは制度的にできないものと考えております。
 国の独立行政法人の例では、法人は中期目標の形で国から指示を受け、また、中期計画について認可を受けるなどの仕組みを通じて事前にチェックされるだけではなく、その業務実績を第三者機関である評価委員会で厳格に評価され、公表され、事後的なチェックも受けることになっています。地方独立行政法人の場合にも同様に規定されるものと思われますので、実態上も法人の業務が不適切に逸脱することはないものと考えております。

○福士委員 さっきからいろいろ心配されておりますので、その辺のところはしっかり今後もまた確認していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますけど、新法人における情報公開では、目標、計画のほか、決算報告や監査結果とか、役員報酬、退職金なども公表するというふうにされていますけれども、どのような形で、どのようなタイミングで情報公開が行われるのでしょうか。

○久保調整担当部長 これも国の独立行政法人の例で恐縮ですが、国の独立行政法人の例では、中期目標、中期計画等は作成、認可の時点で公表する、毎年度の業務実績、中期目標に係る業務実績については遅滞なく公表する、財務諸表や決算報告書等については会計監査と大臣の承認を経て官報で公告される、それから役員報酬等についても、法人はその支給基準を定め公表する、などのことが定められておりまして、地方独立行政法人の場合もこれに準じた形で法令に規定されるものと想定しております。
 いずれにしましても、いろいろな媒体を利用して、都民の方々にわかりやすい形で速やかに情報を公開するという仕組みにしたいと考えております。

○福士委員 官報での公告ということは信頼に足るものではありますけど、見にくいということもありますが、今のご説明ですと、加えて都民の方にわかりやすい情報公開も考えられているというお話でした。
 ただ、この情報公開というのは、公開すればいいということではなくて、それに対してどれだけ意見を酌み取れるような形が使えるかとか、さまざまなことが出てきます。むしろそちらの方が重要だというふうに思いますので、まだ不明な点もいろいろあるんですけれども、機会機会においおいまた伺っていくことにしますので、質問を終わります。

○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十九分散会

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