文教委員会速記録第十六号

平成十四年十一月十四日(木曜日)
第三委員会室
午後一時三分開議
 出席委員 十一名
委員長渡辺 康信君
副委員長服部ゆくお君
副委員長河西のぶみ君
理事執印真智子君
理事中嶋 義雄君
理事遠藤  衛君
小美濃安弘君
野島 善司君
石川 芳昭君
大西 英男君
曽根はじめ君

欠席委員 三名

 出席説明員
大学管理本部本部長鎌形 満征君
管理部長飯塚 宏子君
調整担当部長久保  大君
改革推進担当部長菊地 輝雄君
参事清水 克則君
生活文化局局長三宅 広人君
総務部長嶋津 隆文君
広報広聴部長佐藤  広君
都政情報担当部長二ノ宮 博君
文化振興部長荒川  満君
都民協働部長中島 建夫君
交通安全対策担当部長脇  憲一君
心の東京革命推進担当部長島田幸太郎君
私学部長中澤 正明君
消費生活部長高田 茂穗君
参事金子 良江君
参事保持眞二郎君

本日の会議に付した事件
 生活文化局関係
  事務事業について(質疑)
 大学管理本部関係
  事務事業について(質疑)

○渡辺委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、今後の日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及び大学管理本部関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○嶋津総務部長 去る十月二十九日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご案内申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます文教委員会要求資料の目次をお開きいただければと思います。今回要求のございました資料は、1の私立高等学校(全日制)経常費補助各割単価の推移から、10の都有地の一時開放状況までの十件でございます。
 一ページをお開きいただければと思います。私立高等学校(全日制)経常費補助各割単価の推移でございます。
 平成九年度から十三年度までの過去五年間につきまして、各区分ごとの単価の推移及び配分方法の変更点を記載してございます。
 二ページをお開きいただきたいと思います。私立高等学校経常費補助及び都立高等学校教育費の推移でございます。
 平成九年度から十三年度までの私立高等学校の生徒一人当たりの経常費補助額と、都立高等学校の生徒一人当たりの教育費の推移を記載してございます。
 三ページをお願いいたします。私立高等学校(全日制)の入学者数の推移でございます。
 これも、九年度から十三年度までの都内の私立高等学校における入学者数の出身校別の内訳を記してございます。
 恐れ入ります、四ページをお開きください。私立高等学校における授業料減免制度の活用状況でございます。
 平成九年度から十三年度までの過去五年間につきまして、私立高等学校における授業料減免制度の利用者の数及び高校生全体に対する利用者の割合並びに減免補助額の推移を記載してございます。
 次をお開きいただければと思います。五ページでございます。消費生活相談件数の推移でございます。
 飯田橋にございます消費生活総合センターと、立川の方にございます多摩消費生活センターの消費生活に関する相談件数の推移を記載してございます。
 なお、標注にございますように、平成十四年度から、ことしでございますが、飯田橋の消費生活総合センターに相談事業を一元化しております。
 六ページをお開きいただきたいと思います。都民相談室における相談件数の推移でございます。
 平成十二年度から平成十四年の半ば、九月末までの都民相談室の相談件数を、表の区分ごとに取りまとめてございます。
 次のページ、七ページをお開きください。東京ウィメンズプラザ及び東京都女性相談センターにおける相談件数、一時保護件数の推移でございます。
 東京ウィメンズプラザ及び東京都女性相談センターにおける相談件数の推移並びに東京都女性相談センターにおける一時保護件数の推移を記したものでございます。
 標注にございますように、DV、ドメスチックバイオレンスに関する件数につきましては、括弧で内書きにしてございます。
 八ページをお開きください。各都道府県の配偶者暴力相談支援センターにおける配偶者暴力が関係する相談件数でございます。
 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV防止法で、都道府県の機能として規定されております、配偶者暴力相談支援センターにおける配偶者の暴力が関係する相談件数の、本年の四月から半年分の実績でございます。
 次のページをお開き願います。夫から妻への犯罪検挙件数でございます。
 平成九年から十三年までの過去五年間につきまして、全国の犯罪検挙件数の推移を表の区分ごとに記載してございます。
 恐れ入ります、一〇ページをお開きいただきたいと思います。最後でございますが、都有地の一時開放状況でございます。
 平成九年度から平成十三年度までの過去五年間につきまして、所管局別に、箇所数及び面積を記してございます。
 以上、簡単でございますが、資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○野島委員 二件ほどお尋ねをいたしたいと思います。
 多摩消費生活センターの相談機能が飯田橋に今年度から集約された、こういうことでありました。私、ことしの二月十八日だと記憶しておりますが、請願審査の段階で、提案を含めて何点かお伺いしたところであります。四月一日からそういう体制になって、半年以上過ぎましたので、そのときの質疑を思い出しながら、そういう相談窓口機能、より広くは東京都の消費者相談機能が充実、発展をしているのかどうか、こんなところからお尋ねをしたいと思います。
 そのときのキーワードといいましょうか、大きな柱は、各市区町村とも消費者相談窓口がかなり充実されてきた、それと相まって、市区町村と都の役割分担というのがありますよ、こういうことだというふうに記憶しております。そういう立場から、東京都はより広域的な、または専門的な立場から、そして行政措置権能を有しているわけでありますから、そういうものを発揮してセンター・オブ・センターズ的な機能を果たしていきたい、そんなところに立っていますよ、というふうに集約できたのかなと思っております。したがって、多摩の相談窓口を一元化するということは、そこを切り捨てるということではない、そういう視点に立ったとき、より充実した事業展開をしていくんだ、こういうふうなことで私はとらえております。
 そこで、相談は電話が中心だったと。窓口がなくなったけれども、電話はあって、そこからつなげるよとか、いろんなことがあったわけでありますけれども、その辺、今、ここの資料を拝見いたしまして、件数の推移、全体的なところは把握をしておりますけれども、飯田橋で受け付ける相談件数の変化、こんなところを、多摩との絡みも含めてひとつ教えていただきたいというふうに思ってございます。

○高田消費生活部長 今お話がございました、相談業務を飯田橋の消費生活総合センターに集約いたしました本年四月以降、東京都が受けました相談件数は、九月末までの六カ月間でございますけれども、資料でお示ししてございますが、一万五千六十八件でございます。ほぼ前年度並みで推移してございます。これは、飯田橋の総合センターにおける相談電話の回線数を、前年度まで立川の多摩消費生活センターに設置しておりました回線数を合わせた十回線にしたということと、相談員も全体数を維持して新年度から事業に臨んでいる、こういうことによるものと思っております。

○野島委員 数字的なことは、これは九月末までで、一年間でどこが多くなるのか、少なくなるのか。暮れになってくると、いろんなテクニックを駆使して、この際、というのがあるから、暮れになるとふえるのかな。それはそれとして、全体としては微増というふうな感じになるのかな。
 それと、相談員を飯田橋に集約して、より専門的高度なということで、その辺、心配する側からは--その部分というのは、立川に行って相談しているが、相談を受ける皆さんの側は飯田橋という違いはあるにせよ、その辺は人的なシフトは何ら問題ない、こういうことだろうと思っております。
 それで、これは東京都の相談件数なんですね。冒頭申し上げましたように、市区町村のそういう窓口もかなり充実してきた。その辺のデータというのは資料には出てないんですけども、把握をされておったら教えていただきたいと思います。

○高田消費生活部長 市区町村が受け付けました相談件数でございますけれども、これも九月の末までの六カ月間で、前年度と比較いたしますと約一六%程度増加しているという集計がございます。また、市区町村の相談員の配置延べ人数も同じく五・六%の伸びを示しているという実績がございます。

○野島委員 市区町村の相談もふえてきておる。実は私、東久留米に住んでまして、そこも窓口を持っているんです。そうしますと、十三年度と十四年度を対比しますと、十三年度が三百四十八件ですね。十四年度が、十一月十一日現在なんですが三百九十八件で、対前年比一四%ふえてきた、こういうことのようでございます。まあ、窓口があれば相談に行きますよ、ということでもありましょう。それで、昨今はいろんなテクニックで、けさも何か、〇九金融とかやってましたけど、いろんなテクニックで、いろんなトラブルがあるんですよと。窓口で全部消化し切れないものは、当然、東京都の方に指導を仰ぐとか、そちらに案内するとか、そんな話を伺ってきました。
 それで、この間、読売新聞に、立川では四五%増、こういうことのようなんですね。立川の市役所に直近してセンターがあって、そこの相談に行ったら、うちは相談は飯田橋の方ですからと、あるいは、連絡して出張してきて相談しますよといっても、せっぱ詰まっているというか、わらをもつかむ思いで、ネガティブな話の部分ね、ポジティブじゃなくてね、行くわけですから、わきに行くよ、立川市に行くよ、こういうことの一つかなというふうには思っております。いずれにしても、相談件数は、世情も反映して、全体としてはかなり増加傾向にあるというふうに思っております。
 そこで、先ほどもいいましたように、相談機能を立川から飯田橋に集約した、こういう中で、それでは、都民のそういう相談に都として対応していって、こういう消費生活の相談関係の仕事は何ら心配ない、こういう形で受けとめられるべく、どんな形のものを四月以降おやりになってきたのか、こんなところをお伺いしたいと思います。

○高田消費生活部長 相談業務を飯田橋の総合センターに集約いたしましたことに伴う、都の具体的な対応策でございますけれども、四月以降に立川の多摩消費生活センターの旧相談電話、前年度まで使っていた相談電話にかかってきた電話、これはすべて飯田橋の総合センターに自動的に転送されるような形にしてございます。
 それから、相談業務が立川で廃止されたということをご存じなくて、立川のセンターの方に来所された人、この人に対しましては、事務所内の特設電話を利用していただきまして、飯田橋の総合センターに相談を行っていただいているということがございます。
 それから、立川のセンターでの相談を希望するという方につきましては、あらかじめ予約をしていただきまして、飯田橋の総合センターの方から相談員が出張して相談を受けるということなど、きめ細かな対応を図っているところでございます。

○野島委員 そこで、冒頭、二月の質疑をちょっと私なりに整理をしてみた中で、役割分担論、相談機能の高度化、専門化、それから行政措置権能、都でしか持ち得ない権能があります。この紋どころが目に入らぬか、こういうことだろうと思うんですがね。その辺で、四月以降、どんなふうな形で執行体制の充実に当たってきたのかというふうなことをひとつ教えていただけますか。

○高田消費生活部長 都は、相談内容が多様化、複雑化しておりますので、これに対処するために、本年度から、飯田橋の総合センターに相談員が二十四名おりますけれども、この相談員の方々を八つの分野別にグループ編成いたしまして、専門的対応が必要と判断される案件について統一処理する体制を本格的にしいた次第でございます。この結果、区市町村と連携して、同一事業者と交渉する統一処理の案件が、前年度は年間を通じて九件でございましたけれども、今年度は、七月までの四カ月間で既に二十九件と大幅に増加してございます。また、個別事業者に対する相談処理方法を記述した相談実務メモを区市町村の相談窓口にファクスで送ったり、区市町村で相談を受けられている相談員の研修回数をふやすなど、区市町村への支援を充実させております。
 行政措置権能というお話がございましたが、区市町村からの通報を受けた悪質な事業行為に対しましては、法令や条例による規制指導を強化いたしまして厳正に対処しているということでございます。

○野島委員 最後は、権能を行使できるという都の行政があるわけですけど、そこまで行きつかないことの方がむしろ好ましいんで、そのためには、通常一般的な業務、もちろん専門性であるとか、あると思うんですけれども、正直なところ、こんなことをいうと市区町村に怒られるかもしれませんが、市区町村でそういうプロパー職員を育て上げて、すべからくそこで消費者窓口、高度あるいは専門的な--権能行使は、もちろん市区町村はありませんからこっちへ置いておいて、なかなか実態の組織体系として、あるいは人組みとして難しいと思うんですね。したがって、そういう東京都のいわゆる連携というのが、日常の業務の中でもかなり助かるといいましょうか、大きなバックアップ体制として力強く感じなければいけないし、力強くなければいけないと思うんですね。そんな観点から、その辺はどんな形でおやりになっていらっしゃるのか。いわば市区町村の指導というと語弊があるでしょうけれども、こういうことをやることによって、より市民の皆さんが、だまされる人は一回か二回か知りませんが、そういういろんなことがあったときに、あ、市区町村の窓口に行けば、市区町村のわかる範囲もさることながら、より高度なといいましょうか、より困難な課題に対しても、ちゃんと東京都の方からのバックアップがあって、アドバイスができるとなれば、市区町村に対する、相談窓口の信頼感の向上にもつながるというふうに思うんですね。そんな視点から、日常のそういう業務の中でお取り組みいただいているようなことがあったら教えていただきたい。

○高田消費生活部長 先ほど申し上げましたように、窓口に寄せられる相談の内容は多様化、複雑化しているということで、これに区市町村、それから東京都挙げて、統一的、一体的に対応していくことが必要である。このためには、相談員のレベルアップをしていくということがございます。そのための研修などは、先ほどご答弁申し上げたわけですけれども、日常の業務の中で具体的にやっておりますことといたしましては、例えば、いろいろ専門的な相談に対して、こういうふうな形で臨んでくださいというワンポイントアドバイスでありますとか、個別の相談マニュアル、こういった形で資料を作成いたしまして、相談窓口にお届けしてございます。
 それから、都を含めまして、相談処理ではどうしても被害の救済は図れない、こういうものもございますので、これらにつきましては、その処理の過程の情報を詳細に分析いたしまして、東京都の消費者被害救済委員会に付議するということで救済を図っていくということをしてございます。
 このほかに、こうした支援や連携に加えまして、具体的に今どういう相談が寄せられているかということにつきまして、相談情報のオンラインシステムというのをつくっておりますので、それによってネットワークを組んで情報を提供する。あるいは、ホームページにいろんな情報を掲載してございますので、それをごらんいただくなど、区市町村に対し適切な情報発信を行っているわけですが、今後ともそういったことに努めてまいりたいというふうに考えております。

○野島委員 ありがとうございました。質問はこれで、この件については終わりますけど、前回の委員会で、これだけ通信機器も発達してきたので--ファクスなんていうと、三十年ぐらい前は、送ってもにじんじゃったんだよね。今なんか本当にきれいに、そのもので出てくる。それから、テレビ電話とかそういうこともあります。そういう相談というのは、フェース・ツー・フェースというのが一番安心感があると思うんですね。そういう意味では、各区市町村の窓口とのテレビ電話とか、そういうものも将来の課題としてひとつ考えていただきたいと思うんですね。ただ、テレビ電話をそこに置いたら、区市町村で処理できるやつも、面倒くさいから東京都の方に電話しろ、これじゃ何にもならない。大前提として都の行政と市区町村の役割というかな、そんなところも明確に、これから各市区町村とも連携を図りながら意識していきませんと、忙しいから、ちょっとそっちのテレビ電話があるから電話してよ、これじゃ、もとのもくあみになっちゃいますんでね。その辺は意識をしながら、まあ、いつとはいわないでしょうし、まだ金かかるんでしょう、結構テレビ電話というのは。でも、最近は、写メール、あんなものもあるようですから、ひとつそんなところをご検討、将来に向けてしていただきたいというふうに要望しておきます。
 消費生活の関係については以上で終わります。
 次に、ウィメンズプラザの関係について、ちょっと何点かお尋ねをしたいと思うんです。
 十三年度から、それまで東京女性財団への委託事業であったものを、おととし直営として、十三年、それから十四年の今日まで、事業実施をしてきておるというふうに承知をしております。行政のさまざまな事業を、直営から委託であるとか、官から民へと、そういうふうなことをしながら、民間の自主性、創造性を発揮しながら、あわせて行政コストを低減していく、こういう大前提だろうと思うんですね、今の行政といいましょうか、大きな意味での社会システムの中での行政の役割、あり方というのはね。そういう大前提に立ちながら、一般的に行政事務を委託しますよ、というふうなことには、当然のことながら、委託によって行政責任を放棄するものではないということが確認されなきゃいけないだろうと思うんですね。それから、委託することによって行政サービスの低下を来さないことはもちろんでありますけれども、受託側の専門性であるとか、あるいは柔軟性。柔軟性というのは、組織であったり、人であったり、事業であったりね。行政の事業ですと、予算も議決しなきゃいけないとか。もちろん団体の事業だって、理事会を開いたりいろんな手続はあるにせよ、行政よりは柔軟性が当然あるというふうに思うんですね。あるいは施設管理、こんなことでもいろんな形がとれるのではないかと思います。また、委託事業以外の、都から、この事業は有益性があるから補助事業としてやってくださいということで、補助金を支出してやる事業もあるでしょうし、専らその団体が自主的に事業を展開して、広く公益に資する、そういうことによって、むしろ行政がやるよりもサービスの向上につながっていくということが確認されなきゃいけない。同時に、当然のことながら、とりわけ施設管理等のコストの縮減も含めて、全体の事業費の圧縮につながらなければいけないだろう。私は、そんなフィルターが、行政事務の委託に当たってはあるなというふうに思っているんですね。そんなことで、十三年から直営化されたというふうに伺っておりますけれども、なぜ都の直営になったのか、こんなところをひとつ教えていただきたいと思っています。

○金子参事 ウィメンズプラザ事業を直営化した理由でございますが、一つには、女性財団は運営費の九八%が都からの補助金、委託料で賄われておりまして、さらに常勤職員のすべてが都からの派遣職員であるなど、直営に近い組織であること、これが一つ目でございます。
 二つ目には、現在、各区市町村の女性センターが次々と設置されておりまして、区市町村においても普及啓発事業などが積極的に取り組まれるようになってまいりました。都としても当然、これらの事業も継続して取り組む必要があるのでございますが、今日、重要課題といたしまして、企業等における参画促進や、家庭等における暴力対策などに関しまして、庁内を含めた関係機関との連携の強化、あるいは、先ほど来、消費生活行政の関係で委員がおっしゃっておられますように、広域センターとして区市町村などへの支援機能の充実など、都が広域行政として行政責任を直接持って取り組むべき事業にシフトさせていく必要があること、こうした理由で直営化したものでございます。

○野島委員 私は、委託から直営に切りかわって、受託先である東京女性財団、それは一つの東京都の監理団体ですか、意思決定機能を持ち、それだけの法人格もあるわけですが、そこをどうのこうのということは一切ないんですね。
 実は、私どもも東久留米市で財団をつくったんですよ。そのときに東京都から徹底的に指導されたのは、施設管理だけならばなぜ財団なんだと。もっと民間の企業にやった方が安いのではないか。それから、市の補助事業が大宗を占めている。管理運営とそういった補助事業、何が財団で公益性を発揮できるんですかということで、私、当時、コミュニティ振興公社の理事長をやっていたんですが、さんざんいわれましてね、最後は設立を認めていただきましたけれども、そんな経過があるんですね。
 それはそっちへ置いておきまして、今のお話を伺ってますと、冒頭、私、いろんな前提を申し上げました行政コストの問題、これが九八%で二%のあがきがあるから、どっちが安いかといったら、二%のあがきがある方が、九八の方が安いわけだね。職員が派遣されると身分はこっちですから、恐らく労働条件なんかも、全くそこに転籍して、専らそこの就業規則でやっていいですよということにならなければ、これは柔軟性が出てこない、したがって、というふうな部分だと推測をいたしますが、金目の問題はこっちに置いておきまして、今、担当部長さんのお話がありました、私がいったように、行政が責任を放棄するものではないという、こういう部分だと思うんですね。
 そういう意味では、現下のいろんな状況の中で、先ほどこの資料を拝見いたしまして、ドメスチックバイオレンスですか、相談事とか、かなりふえているわけですよね。そうしますと、こういう問題というのは、確かに民間で取り扱えないという問題じゃないと思うんですが、ドメスチックバイオレンスというのは、ある種、暴力行為だし、刑法犯ですから、それなりのいろんな所管との連絡とか、あるいは対処の仕方というのが、極論すると、何で一般の人が私たちの家庭の中のドメスチックバイオレンスに介入するのか、余計なことをしないでくださいというのも一つあると思うんです。それはやはり行政権能でやっていかなきゃいけないだろうという部分もあると思うんですね。
 それから、市区町村がかなり充実してきたよというふうなお話を伺いました。十三年度から直轄事業になりました、こういうことでございます。答弁にありましたように、今までの事業も継承しつつやってきたということなんですが、その辺もうちょっと、恐らく事業の中に、施設管理をしなきゃいけないという事業と、東京都の皆さんの言葉でいうと、センター・オブ・センターズとよく使ってますけど、各市区町村への支援を含めての啓蒙活動とか、あるいは、何としてもこれは都が直轄でやらなければ、都民に対する行政としての責任が果たせないと。そういういろんな要素の事業があると思うんですよ。その辺の今の実情をちょっとお聞かせいただけますか。

○金子参事 東京ウィメンズプラザにおける事業でございますが、平成十三年度から、東京ウィメンズプラザにおいて、これまで財団が実施してきた事業を継続しますとともに、広域センターとしての機能の強化を図りまして、企業等における参画促進、家庭内における暴力対策など、現在の重要な課題の解決に向けて積極的な取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、先ほど委員ご指摘のように、家庭内における暴力問題等への対応を強化するために、平成十三年度においては、暴力相談に対する専門相談、それから夜間相談等、新たに実施いたしまして、相談機能の充実を図りました。加えて平成十四年度からは、DV防止法、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律でございますが、この施行を受けまして、東京都におけるドメスチックバイオレンス対応の中核となる配偶者暴力相談支援センターとしまして、相談機能の一層の充実、これは専務的非常勤職員でございますが、職員体制の充実強化を図るとともに、配偶者からの暴力の防止と被害者の支援に積極的に取り組んでおります。
 また、先ほど、区市町村への支援という点では、暴力被害者の相談支援をする職員の方々に向けた講座等の実施も積極的に行っているところでございます。
 加えまして、雇用の分野におきます男女平等の促進につきましては、企業の人事担当者を対象にした講座、女性社員の能力活用や開発、こういったものをテーマにした集中講座、あるいは企業に出かけていく出前講座等を実施しているところでございます。

○野島委員 これで終わりにします。
 そういう意味で、行政がある種の基幹的な立場にあり、企画し、実施していく、各行政への連絡、あるいは民間への啓蒙も含めて、そういうものはやっぱり直轄で、行政責任を放棄しない、行政責任を果たしていくという意味で、というふうに私は理解をいたしました。
 男女平等参画社会をつくるというのは、一つの社会システムをつくっていくわけでありますから、その中で行政というのも--行政は、国、都道府県、市町村とありますよね。いわば社会の制度の中では一つのジャンルだと思うんですね、一つの行政体という。それに民間があったり、民間でもそういう法人格を持つところがあったり、NPO法人があったり、いろいろあると思うんですね。そうすると、事業を都の施策としてやっていくときに、何をどう整理して、これは市区町村でやってバックアップをするとか、これはもう民間に全く任せていい、しかし、この部分は責任を果たさなきゃいけないから、何としても基幹的に取り組んでいきますよという、そういう役割分担があると思うんですよ。そういうところをしっかりとしませんと、委託すればいいというものでもないし、委託しなければいいというものでもないと思うんですね。現状の十三年から十四年で、一年半しかたっておりませんから、私は別に性急に評価を急いでいるという立場でも何でもないんです。ただ、冒頭申し上げましたような視点から、何でなのかなという疑問を、去年も持っていたんですけども、去年聞きそびれちゃったんで、ことし、いろんな社会情勢の変化もありますし、女性の就業機会の確保だとか、あるいは育児休暇だとかいうこともどんどんやっていかなきゃいけないにしたって、女性どころじゃなくて、今まで男性社会で、その男性がリストラになっちゃうというときですから、そういうものはしっかりと行政責任を果たして、社会全体のシステムをつくっていく中で、東京都の役割はこうですよと。しかし、その施策を担っていくときには、これは直轄でやる、これは委託でやる、これは民間に任せるという、こういう枠組みの中で、この課題というのはぜひ取り組んでいくべきだろうというふうに思いますので、最後に意見を付して、おおむね四十分という約束でございますので、これで終わります。ありがとうございました。

○河西委員 まず消費生活関連で、食の安全の確保という観点からお尋ねしたいと思います。
 これは大変、都民、全国的に消費者にとりまして、食の安全確保が強い要望になっているというのは、いうまでもないというふうに思います。ただ、生文局の消費生活、食の安全のところで所掌できる範囲は極めて少なくて、取引の問題あるいは食品の表示の監視というところに限られているということを改めて認識しつつ、最後に申し上げたいんですが、関連の庁内各局との連絡体制等、より緊密にとられて、包括的に食の安全の確保ということを、主要には消費生活部が所管をして推進していただきたい、こういう願いでおります。
 食品の表示監視について具体的にお伺いさせていただきたいと思います。
 昨年のBSEの事件を発端にいたしまして、牛肉から始まりました表示の偽装事件、これは次々に、さまざまな食品の偽装が明らかになってまいりまして、消費者は食品の表示への不信感、いまだにぬぐい切れていない、こういうふうに思います。大変残念な事態であろうと思っています。その中で、消費生活部の表示の適正化に対する取り組みというのは、従来から取り組まれてきております。それなりに、十三年度、十四年度実績を見ますと、適切な対応がされていると思いますが、とりわけBSEから始まるこの間の偽装表示の問題に対応すべく、本年度から東京都は、都民参加による消費生活に対する新たな監視制度、消費生活調査員制度を構築したということでございます。まず、この制度の目的と事業の内容についてお聞かせいただきたいと思います。

○高田消費生活部長 お話がございました消費生活調査員制度でございますが、都民五百人を調査員として委嘱しまして、都民が地域で生活しながら調査を行うことを通じて、事業者による不適正行為や事故情報の収集を行いまして、都の事業者指導や行政施策に反映させることを目的にスタートいたしました。
 主な事業といたしましては、調査員を、一つは法令に基づく品質表示の調査に二百人、それから、広告や、一括表示欄以外に記述されます任意表示というものがございますけれども、これらの調査に二百人、それから量目調査に百人と、三つのグループに分けまして、それぞれ分野ごとのテーマを決めた調査を年六回行っていただく。また、調査員全員による、商品の危険、危害に関する調査を年二回実施していただく、こういうことでスタートさせております。

○河西委員 各区市町村の中で、消費生活展とか消費者まつりとかいうような取り組みがずうっと続いているんですが、私の選挙区であります調布、狛江市でも、この十月に消費者展が開かれました。その中で、さまざまなパネル展示ですとか、実験ですとかやられているんで。その参加者の中から、この担当になった方だと思いますが、以前は物価調査の担当をされていた市民から、今度こういうことをやっているのよ、という話を聞きました。非常に熱心に、都の調査員制度の中で活動されているということもお聞きしてまして、今お話にありましたように、品質の表示調査に二百人、任意表示調査に二百人、量目調査に百人、計五百人の都民、消費者が、本来ですと都の職員がやるべき仕事だろうと思いますが、消費者の皆さんが協力をして調査されているということで、これからも期待したいと思うんですが、本年度から始まったこの調査員制度、既に表示については何回かの調査を実施しているというふうに聞いておりますけれども、どのような調査を行ったのか。また、実施した調査の内容と、その調査結果についてお伺いさせていただきたいと思います。

○高田消費生活部長 調査は本年七月から開始いたしました。既に、先ほど申し上げました各グループとも、テーマ調査を九月、十一月と、計三回実施してございます。で、品質表示のグループでございますけれども、JAS法に基づく食肉、それから野菜、果実、水産物の義務表示について調査いただいております。また、任意表示のグループは、景品表示法に基づく表示全般のチェック、それから大豆製品の有機、国産の表示、それから油、油脂製品の健康に関する表示について、それぞれ調査をお願いしてございます。いずれも店頭に出向いていただきまして、商品の表示チェック、それから事業者への聞き取りなどを行っていただいています。
 七月に実施いたしました食肉の原産地等の調査で結果が出ておりまして、スーパー、百貨店、専門小売店など二百八十九店舗、八千五百三十三品目を調査していただきました。その結果ですけれども、品目数で見たところ、専門小売店では二四・五%の品目に、それからスーパー、百貨店では一・二%の品目に、その他の店舗では〇・四%の品目に、それぞれ不適正な表示がなされていたという結果が出ております。

○河西委員 これらの調査結果を今後どう活用していくかがポイントだろうというふうに思います。今の食肉に関する調査結果の数字もお聞きしましたが、この違反の疑いもあったと。数が随分多いのか少ないのかというのは、今後の調査との比較でまた明らかになっていくのだろうと思いますが、消費者の立場に立ちますと、このパーセントはゼロであってほしいと思うのです。この調査結果をもとにして、今後、事業者をどのように指導されていくのか、既に調査結果が出てますので、何らかの対応がされているのかもしれませんけれども、事業者の指導についてお聞かせいただきたいと思います。

○高田消費生活部長 都は、先ほどご答弁申し上げました調査結果に基づきまして、不適正な表示の疑いのある商品を販売する店舗につきまして、今度は職員による確認の調査を行い、改善指導を行ってございます。第四回以降の消費生活調査員による調査におきましては、今申し上げました改善指導を行った店舗につきまして、再度、調査員に伺っていただいて調査を行っていただき、改善がなされていない場合は必要な措置をとっていく、こういうステップを踏んでいきたいと考えております。
 また、日常生活の中で調査員の方が不適正と思われる表示を発見した場合には、年六回の回数をお願いしています調査とは別にということでございますが、直ちに都に対して通報してもらうことになっておりますので、そうしたことにつきましても、職員による随時の確認調査をあわせて実施していくことにしてございます。

○河西委員 私たち都民が生活している地域を拠点として、都民の協力によって表示に対する監視、人の目が行き届いていくということは、事業者にとりましても大変な牽制効果もあるのだろうと思いますし、消費者自身も、見る目を養っていくということになるのかと思います。制度の趣旨を十分に生かして、この制度を根づかせて発展させていってほしい、そう思っています。
 この調査員は、研修も受けながら、報酬、この多寡については今後いろいろご意見が出てくるのかもしれませんが、一定の報酬を受け取るということになりますけれども、これだけの、五百人の都民の皆さんのご協力をいただいて、それなりの、あるいはかなりの効果が出るのではないかと私は期待しておりますので、ぜひ今後とも発展させていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、表示監視において、科学的な検証も重要だというふうに思っています。この事業概要の中にもありますけれども、遺伝子組みかえ食品を使用していないという表示や、新潟産コシヒカリという表示が正しいかどうか、消費者にとりましては、表示を見ただけでは、内容と一致しているかどうか判断ができません。店頭に並ぶ商品のDNAの鑑定など、新しい分析技術を生かしたチェックが重要ではないかと思います。これにつきましてのご見解を伺いたいと思います。

○高田消費生活部長 副委員長ご指摘のとおり、表示内容を確認する際、品種の判定につきましては、DNA鑑定という新しい分析技術を利用する科学検証は有効でございます。東京都は、遺伝子組みかえ食品につきましては平成十二年度から、精米につきましては平成十三年度から、研究機関等に依頼いたしまして品種判定を実施しております。原産地などの情報につきましては、帳簿や伝票による生産、流通の履歴を追跡する社会的検証、これを実施しているわけでございますが、これら二つの手法を組み合わせまして、今後とも、不適正な表示の効果的な監視に取り組んでまいりたいと思います。

○河西委員 最近配布されました「くらしねっと」の中にも、お米に関する特集記事が出てまして、地域の消費者の中でも話題になっておりまして、関心が高いということとあわせて、科学的な検証ということについて、国でもやっているわけですけれども、東京都としても積極的な対応をお願いしたいというふうに思っています。
 無登録農薬の使用。無登録農薬というの、何だかよくわからないんですが、使っていい農薬からは抹消されたということで、使ってはいけない農薬というふうに理解しますが、この無登録農薬の使用や、中国産の野菜から残留農薬の検出がありました。食品の安全について、都民は大変不安を募らせております。表示監視がしっかりと行われ、表示が信頼できて初めて、私どもは食品を安心して選ぶことができると思います。表示監視に新しい仕組みを導入したことを評価しながら、今後も手を緩めることなく、都民の安心のために施策に取り組んでいっていただきたい。そして、冒頭申し上げました関係各局との連絡会、これを適切に開催する、協議をするということで、包括的な食の安全対策ということをぜひお願いしたいということを申し上げて、この表示の問題は終わりたいと思います。
 続きまして、男女共同参画についてお伺いいたします。
 ただいま野島委員の方から、ウィメンズプラザが財団から都直営になった経過を含めて、現在のウィメンズプラザの事業内容について一定明らかになりました。この財団廃止、それから直営の問題につきましては、一昨日ですか、財団の理事会、評議員会も開かれております。正式には近々はっきりするだろうというふうに思いますので、その段階で質疑させていただく機会があれば、この廃止問題については改めて質問させていただきますが、直営化された後、ウィメンズプラザの事業、成果が上がっているのかどうかということ、ちょっと前質問者とダブるかもしれませんが、最初にお伺いしたいと思います。

○金子参事 東京ウィメンズプラザにおきましては、直営化後、普及啓発、相談業務など、これまで財団が実施してきました事業を継続しますとともに、企業等における参画促進、家庭内における暴力対策など、現在の重要な課題の解決に向け、本庁部門と一体となって事業の再構築を行いながら、積極的に取り組みを進め、事業の充実を図っているところでございます。その結果、直営化した平成十三年度におきましては、講座、研修事業の参加者数、相談室に寄せられる相談件数、またホール、会議室の施設貸出件数など、いずれも増加しているところでございます。

○河西委員 私も、直営化後の男女共同参画施策事業が推進されているのかどうか、それの評価はもうちょっと時間が必要かなというふうに思います。そんな中で、ウィメンズプラザは広域センターとしての役割を持っているんだ、あるいはセンター・オブ・センターズとしての役割を持っているんだ、こういうお話がされてきました。それでは改めて、広域センターとしての役割をどのように果たしているのかについてお聞かせください。

○金子参事 ウィメンズプラザにおきましては、区市町村における女性センターの整備や、普及啓発、相談等の事業の実施状況を踏まえまして、副委員長ご指摘のように、センター・オブ・センターズとして専門的な人材の養成や情報の提供等を行い、区市町村や企業、民間団体等への支援機能を発揮していくことが求められていると思っております。このため、一つには、区市町村の職員や企業の担当者、地域のリーダーを対象とした、人材養成のための専門的な講座を実施しております。また、地域の女性センターや企業向けの情報提供も行っております。加えまして、区市町村や民間団体等との連携によりまして、全都的な交流、普及啓発のための場の提供を行っております。

○河西委員 今、三点にわたって、広域センターとしての役割についてご答弁いただきました。財団がやっていて、直営化されて、なくなってしまった事業の中に、調査研究、出版活動というのがあったんです。これが事業としてなくなってしまうことに対して、多くの皆さんから、残すようにという声が届けられたことはいうまでもないと思うんです。それぞれの区市のセンターでは、人的にも、財政的にも、自分のエリア内の状況はわかりますけれども、全都的な、あるいは東京が全国に果たしている、首都圏としての東京の施策、あるいはジェンダーフリーの状況がどうなのかということ、それぞれの区や市のセンターにはなかなか難しいところがありまして、そういう意味では、私は、財団が行ってきた調査、出版活動、これは東京都の役割ではないかと今でも思っています。一たん廃止してしまった事業ですから、すぐに復活というのも難しいのかもしれませんけれども、今後の課題として、やっぱりセンター・オブ・センターズ、広域センターとしての東京都の役割としてぜひ検討していただきたいということを、きょうは指摘にとどめますが、申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、女性のパワーをどう生かすかというと言葉は失礼ですが、民間の女性たちの長年にわたる運動があったわけです。現状を築いてきた先輩たち、あるいは先進的な取り組み、これが持っている経験等、あるいはノウハウとか、いってみれば女性のパワーをどう東京都の施策に生かすのかということについて、私は真剣にお考えいただきたいというふうに思っています。
 財団の廃止方針ができて以降--五十何団体、もっとあるかもしれません、小さいグループを入れれば。そういう団体が何らかの形で、東京都の男女平等、男女共同施策に協力をしてきたという実績を考えると、ここ一、二年、私は、そういう皆さん方のパワーを十分に生かし切れてないというふうに感じ取っています。これはデータがあるわけじゃありませんから何とも申し上げられませんが、私は、都の施策への協力、いわゆる民間との協働の問題を真剣にお考えいただきたい。その中で、東京都が果たすべき役割、責任を持ってやらなきゃいけない仕事、これがより明確になっていくのだろうというふうに思います。
 野島委員がおっしゃったように、大きな流れは、直営から委託へというふうに流れていく中で、これに逆行する形で財団が廃止されてきたということ、これは、多くの都民が納得できるような、やっぱりきちんとした説明がないと難しいのではないかな、そんなことを思いながら、民間の女性団体、グループのパワーを都の施策に導入、活用する、あるいはそういう力と連携するということの重要性を、ここで指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 具体的に、次に移りますけれども、男女平等参画のための行動計画、チャンス&サポート東京プラン二〇〇二というのが出されました。私は、この三月の予算委員会のときにも、総括質疑、委員会調査でこの問題を取り上げさせていただいたんですけれども、十四年度、半年が経過いたしました。その計画づくり、あるいは計画の進行状況、進捗状況、これについてまずお伺いさせていただきます。

○金子参事 平成十四年一月に策定いたしました男女平等参画のための東京都行動計画は、男女平等参画に関しまして、都だけではなく、都民や事業者みずからが積極的に取り組むことにより総合的に推進することを特徴としております。毎年その実施状況を把握、検討するとともに、あわせて男女平等参画の現状を取りまとめ、年次報告として広く都民に公表していくことになっております。このため、庁内関係局で構成する男女平等参画推進会議や、行動計画に参加している事業者団体等で構成されております男女平等参画を進める会におきまして、各事業の進捗状況や課題につきまして意見交換を行っていく予定でございます。

○河西委員 この行動計画でありますチャンス&サポート東京プラン二〇〇二で、当面、この三年間に重要施策として打ち出した柱は、一つは雇用の問題、企業における平等の実現、もう一つはDV防止だったというふうに思います。それで、この行動計画を拝見しますと、かなり具体的に取り組めて効果の出るものをポジティブアクションとしてつくり出そうと。特に事業所、企業の分野では、このことを取り上げていまして、そのためには、東京都だけではなく、この進める会に参加をされている事業所の代表などと一緒に、具体的に効果が上がる企業におけるアクションプランをつくろうということで、これを大いに期待しているところなんですが、逆に大変難しい社会状況、経済状況もあります。半年たってまだ計画ができ上がってないようですので、また、でき上がった段階で触れさせていただきますけれども、今回のこの行動計画には、そういう意味で本当に家庭と子育て、あるいは育児、仕事と家庭の両立をきちんと支援できるプランになっているかどうかという関心と注目が寄せられていますので、これは産労局の所管でやる話だと思いますが、この行動計画を主管している男女平等参画室でも、ぜひ進捗状況の把握を日常的にしていただきたいというふうに思います。
 この行動計画の施策の推進、これを図るために、私は、具体的な指標をつくって、その指標の達成に向けて進行管理をして評価をしていくことが大切だということを以前にも指摘させていただいたところなんです。この計画の推進の成果を評価する機関として、これ、常設が望ましいんですが、常設は無理かもしれませんが、第三者の評価機関が必要だというふうに思いますが、この設置についてはどのようにお考えでしょうか。

○金子参事 具体的な指標の設定についてでございますが、数値目標として掲げてございますのは、審議会の女性委員の任用、それから一部の団体における女性役員の割合等において明確にしているところでございます。しかし、事業の中には、指標を数値で示すことが困難なものが多くなってございます。こうしたことに加えまして、都民や事業者の取り組みを含めて、総合的な視点から推進するという必要があるところから、行動計画では、各分野において目指すべき方向性を目標という形で設定しております。具体的な指標の導入につきましては、さまざま困難な問題も多うございまして、引き続き研究を続けますとともに、評価の手法、評価機関のあり方についても、今後の研究課題としてまいりたいと思っております。

○河西委員 今のご答弁のとおり、本当に指標を数値で示すというのは難しいと思います。ただ、今おっしゃった審議会の女性委員の登用の割合ですとか、このほかに、労働の分野では、賃金の男女比較だとかいろいろあったと思うんです。従来のそういう指標にとどまらないで、新しい今の社会状況の中で、あるいは女性の社会進出の中で設定できる目標数値というのもあろうかと思います。例えば、NPO活動にどのくらい女性が参加しているかとか、学校の中で、これは賛否両論あるんでしょうけれど、男女混合名簿の採用率がどうだとか、具体的ですが、新しい社会状況の中での男女平等あるいは共同参画をはかる指標というのはつくられてしかるべきだというふうに思います。これは、東京都の庁内の職員だけで考えていても、的確な、適正な指標づくりはできないというふうに私は思っています。国でも努力してますし、先ほど申し上げました、長年女性の平等を目指して、あるいは共同参画を目指して活動してきている女性団体もあります。関心のある学者も含めて、この指標づくりはぜひ、言葉だけではなくて具体的に取り組んでいただきたい。
 それから、やっぱり税金を使って事業を行っていますから、その費用対効果がどうなのかということも含めた評価というのは、私はぜひ行政機関としてやるべきことだと思いますので、この分野におきましても、この評価のあり方、それをどういう機関で、どういう場でやるのかということもぜひ、なるべく早く案をお出しいただきたいな、そんなことを要望させていただきまして、次、DVの防止についてに移らせていただきます。
 きょうも資料が出ております。DVに関連する相談件数も、去年の十月の法施行、ことしの四月からの一時保護等の本格実施を受けて、相談件数、それから一時保護の件数も急増している実態がある。そういう中で、新たにDV関係機関の連絡会議をつくって、具体的な事務事業上の問題点を出し合ってレベルアップを図っていくということで、この連絡会議が開催されているようでございますが、その開催状況と内容について、簡単で結構ですのでお示しいただきたいと思います。

○金子参事 DV関係機関連絡会議のご質問でございますが、DV被害者の支援に当たりましては、さまざまな関係機関や民間団体が相互に連携し協力することが不可欠でございます。このため、東京都はこれまでも、家庭等における暴力問題対策連絡会議を開催いたしまして、主に庁内における連携を図るとともに、今後の施策のあり方について検討を行ってまいりました。
 一方、DV防止法の施行に伴いまして、現実的に相談、一時保護、それから自立支援といった過程を、被害者に対して支援をしていかなければいけないわけで、そういう新たな事態を迎えまして、平成十四年度に、配偶者暴力相談支援センターの機能を持ちます東京ウィメンズプラザを中心といたしまして、区市町村の相談機関、福祉事務所、警察等によりますDV被害者支援関係機関連絡会を設置いたしまして、こちらの方は、具体的な被害者に対する相談、保護等を行っている各機関の実務レベルでの連絡調整を行うことといたしました。DV被害者支援関係機関連絡会は、これまでに、実務担当者会を含めまして四回開催しておりまして、各機関におきます相談や対応の実態について情報交換を行いまして、効果的な被害者支援に向けた具体的な協議を行っているところでございます。

○河西委員 この連絡会議には、今、構成メンバーなんですが、報告に漏れてました民間シェルターの方も入っていらっしゃる。民間シェルターは一時保護の委託先にはなってないんですが、現実的には一時保護なり生活再建、自立に向けて活動している方々です。そういう皆さんも入って、この連絡会が四回ですか、開かれたということなんですが、この連絡会の成果は上がっているのかどうか、これについてお答えいただきたいと思います。

○金子参事 成果でございますが、各関係機関には、相談やカウンセリング、一時保護、自立支援などに関しまして、そういった事業を通じて培った貴重なノウハウが蓄積されております。連絡会は、関係機関相互の情報の共有化によりまして、配偶者暴力相談支援センターを中心としたネットワークづくりに寄与しております。また、それぞれの機関で対応に苦慮している問題、個別、具体的な問題についても、他の機関から解決のための具体的な助言が得られる場合も多く、各関係機関におけるDV被害者支援の業務のレベルアップにつながるものと考えております。

○河西委員 DV被害者支援関係機関連絡会、この開催によって、今ご答弁にありましたように、ノウハウの蓄積やネットワークづくり、また被害者支援業務のレベルアップ、こういうことにつながっているということでございます。このような成果とともに、今後、解決しなければいけない、クリアしなければいけない課題も出ているのではないかと思います。DV防止法の目的であります暴力の再発防止や、自立に向けた課題があるのではないか、こう思っています。
 例えば、たくさんあると思うんですが、今度のDV被害者の法整備に伴って、新たに出てきました保護命令が実際どのように行われているのか。これは裁判所なり国レベルで全国調査で統計をとっておりますが、東京が被害あるいは相談が圧倒的に多いのに、保護命令が出た件数が少ないんじゃないかとか、大阪は件数が多くて、もっと簡単に申請ができるよとか、いろんな情報が関係者から上がってきておるところです。この保護命令の申請の仕方はどうなのかとか、あと、加害者のプログラムと、その実践はどうなんだろうかとか、あるいは、暴力排除のための子ども向けの学習はどうなのだろうかと。小学生や中学生では、CAPの取り組みがあったり、高校生対象の暴力排除のトレーニングの問題など、区や市ではもう取り組んでいるところもあるわけですね。これは教育庁の所管かと思います。
 あるいは一時保護につきましても、その期間が今、二週間ということになっていて、東京では弾力的に二十日ぐらいまで実施されているようですけれども、この期間は短過ぎないのかどうかとか、委託費はどうなのか、費用も十分なのかどうかとか、委託先も、今、東京の場合は婦人保護施設だけに限られていますが、委託先の拡大は必要ないのだろうかとか、生活再建に向けて、あるいは自立に向けて資金を十分に手当てされているのだろうか、あるいは就業の機会はあるのだろうか、あっせんはうまくいっているんだろうかとか、あるいは住宅も大きな課題だと思う。住宅の用意ができるのかとか、また被害者の精神的な、あるいは身体的なダメージ、これに対する適切な対応、回復が行われているかどうかとか、あるいはアドボカシーは十分に行われているかなどなど、現場からはいろんな疑問なり改善要求が出ているんです。この連絡会でも、これまで四回開催の中ではどこまで出ているのか、ちょっとつかんでいらっしゃらないのか、十分にお聞きすることができませんでしたけれども、こういった課題、今後解決しなきゃいけない課題について、もし連絡会の中で浮き彫りになっているものがあればお教えいただきたいし、その課題解決に向けてどのような方策をとっておいでになるのか、お尋ねいたします。

○金子参事 DV被害者支援関係機関連絡会等の意見交換の場では、被害者及びその子どもの心理ケアの難しさや、被害者の生活再建の困難性などが挙げられております。今後、連絡会を初めさまざまな機会を利用しまして、暴力相談支援センターを初めとする各機関での相談、一時保護、自立支援などの場面における状況の把握に努めますとともに、問題点や課題を整理し、連絡会等の場を利用しながら、必要な施策のあり方について検討してまいりたいと存じております。

○河西委員 ぜひお願いしたいと思います。
 この間、DV問題で非常に役に立つのが、DVの被害者みずからが相談なり一時保護なり自立に参与することだということが指摘をされてきたところです。そんなこともあわせお考えいただきまして、この連絡会、あるいはDVの再発防止なり、被害者救済、自立に向けた適切な対応をお願いをして、最後の質問に移ります。
 アジア大都市ネットワークの事業の中で、女性の社会参画についての取り組みがされました。ことしの開催状況、内容についてお尋ねしたいと思います。

○金子参事 この事業につきましては、アジア大都市ネットワーク21の十五事業ございますが、その共同事業の一つとして、平成十四年九月四日から六日までの三日間、ソウル特別市の女性プラザにおいてシンポジウムが開催されたものであります。シンポジウムでは、女性の社会参画の社会主流化をテーマにいたしまして、女性の人材育成及び経済的な地位向上、それから仕事と家庭のバランスの二つのセッションが行われました。十都市から約五百名の参加がありまして、アジアにおける女性の地位向上を促進するとともに、今後、都市間の交流と協力を強化するために努力することなどをうたいましたソウル宣言を採択いたしました。なお、東京都からは、パネリストとして女性起業家が参加しております。

○河西委員 実は私、ついこの間まで、これが開かれたというのを知りませんでした。議会の中に男女共同参画社会推進議員連盟というのもありまして、多くの議員が参加しているんですが、そこにも、開催予定、予告もなかったし、報告もなかったというふうに思うんですね。アジア大都市ネットワーク21の事業は、東京都も積極的に参加している事業ですし、その中でそれなりの費用をかけて、女性の社会参画のシンポジウムが開かれたと。後で聞きまして、どういう成果があったんだろうか、これを今後どう反映させていくのかということに関心を持っているところです。
 来年はタイで開くという予定なんでしょうか、正式にはまだ決まっていないんでしょうけど、アジアのどこかの市で開かれる。それに向けて、また参加をするんだ、女性の分野でのシンポジウムなりイベントもあるというふうに伺っておりますが、ぜひ都民に、この事業の周知をしていただきたい。東京都のお金でたくさん派遣しろということをいっているわけじゃないんです。それは、財政的にも限りがありますし、政府間の会議と同時に、カウンター会議で女性たちが民間レベルで独自に呼応しながら現地で開催するような会議というのは、一九七五年の国連の婦人の十年の会議が、中間年を含めて五年ごとに開かれていますが、北京での会議の大きな成果というのはもう十分ご承知だと思うんです。今、国際会議においては、そういう形で、関心のある女性の活動家なり、女性たちが民間レベルでネットワークをつくってまして、こういう機会があれば参加できるということなんです。残念ながら今回、ことしの取り組みについては、終わってから知ったわけですが、ぜひ来年開かれますアジア大都市ネットワークのこの分野での取り組み、行事などが決まったら周知をしていただいて、積極的な女性の参加、あるいは関心のある都民の参加を促していただきたい、そう思うのですけれども、都民への事業の周知についてお伺いしたいと思います。

○金子参事 この事業につきましては、アジア大都市ネットワーク21のホームページにおきまして共同事業の全体を掲載しておりまして、女性の社会参画事業も十五事業の一つとして簡単に紹介はされております。また、十二月発行の「東京ウィメンズプラザニュース」にシンポジウムの報告記事を掲載する予定でございます。
 来年度のことでございますが、実施されるということになりましたら、周知等の方法についても検討してまいりたいと存じます。

○石川委員 私からも若干質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、交通安全対策についてお伺いいたしたいと思います。
 生活文化局は、これまでもこの課題に対しましてさまざまな対策を講じておられることは承知をいたしております。しかし、現実に町を歩きますと、区民の皆様から寄せられる要望の七割近くは、交通安全対策に対する要望といってもいい過ぎではありません。生活の中で常に、道路を移動する際に危険や不安を感じているということから、そうした要望が寄せられるんだろうと思います。既に対策として確立しているものでありますけれども、なかなか予算の問題、あるいはハード面のさまざまな隘路があって解決が進まない。
 例えていいますと、カーブミラーをつけてくださいという相談が非常に多いんです。ところが、それぞれの区市町村はもうその年度の前半で予算を使ってしまいまして、希望にこたえられないという現実がございます。この問題も、平成十二年までは、都道と区市町村道が接続する場合には都で設置しておりましたけれども、十二年度からは、都財政の関係もあって、そうした場合には、それぞれの区市町村の道路管理者が設置許可をとって設置してくださいというふうに変わってきてしまっている。
 また、信号をつけてくださいというご要望も非常に多い。しかしながら、これも予算があって、警視庁に聞きますと、大体年間で百五十基が限界ですということで、警察にお願いに行きますと、たくさんたまっているんです。また、交通事故等の多い交差点の改良工事をお願いしましても、土地の関係とか財源の関係とかで、これもなかなか進まないという状況。
 最近とみに多くなってまいりましたのが、幹線道路の横断歩道の時間帯を延長してくださいという要望なんですね。これも、横断歩道の時間帯を延ばしてしまいますと、幹線道路の渋滞が増幅してしまうということで、なかなかこたえてくれない。
 また一方、道路や歩道に目を転じますと、これまでは大体自動車、オートバイ等も含めまして、自転車、また歩行者、大枠そういう分類でありましたけれども、最近、町のバリアフリーが進むにつれまして、いわゆる歩行者の移動手段というものもさまざまなものが道路上に見られるようになってきているわけですね。例えていいますと、赤ちゃんを乗せましたバギー、それから、子どもたちや青年が行き交っておりますキックボードやスケートボード。最近、スニーカーの下にローラーがついた靴が普及してきているんですね。あれが猛スピードで横切ったり横断したりしている姿を見ますと、事故の増幅がますます高まってきているなという認識を実は持っております。また当然、身体障害者等の車いす、電動いす、それから最近、高齢者にとみに浸透してまいりました電動車いすというんでしょうか、そういうものが道路にあふれているという状況下になってまいりました。当然、それぞれの移動道具というんでしょうか、ルールはあるんでしょうけども、果たしてそのことをきちっと伝えて販売しているのか、また使用する側も、そのルールを知りながら、実際、歩道や道路に出てきているのか、その辺、現状はどのようになっているのか、まず最初に教えていただけませんでしょうか。

○脇交通安全対策担当部長 自転車や電動式車いす等の通行ルールについての件でございますけれども、まず自転車につきましては、道路交通法上の軽車両でありまして、原則として道路左側の端を走行するということになっております。ただし、道路標識で歩道を通行することができるとされている場合には、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、その進行が歩行者の通行を妨げるときは一時停止しなければならないとされております。
 次に、電動式の、今お話しの身体障害者用の車いすとか、あるいはバギーカーなどの小児用の車を通行させている方でございますけれども、法的には歩行者ということになっておりまして、歩道のあるところでは歩道を、歩車道の区別のない道路では道路の右側端を通行するということになっております。
 なお、キックボードとかスケートのたぐいは、ローラースケートに類する遊具でございまして、これらを交通の頻繁な道路で使用することは禁止されております。

○石川委員 それぞれの移動道具には、それなりの根拠があって、それぞれルールが決まっているということがわかりました。しかし、現実にはほとんど守られてないという状況でありますし、私も相談を受けるたびに、移動する側のマナーが向上すれば、そうした危険や不安というものは大きくは改善されるんだろうなと。ですから、第一義的には移動者のマナーの向上ということが、この問題のまず最初の解決する課題ではないか。しかし、それがなかなか、啓発、周知を徹底しておりますけれども、向上しないというところが、今日のこうした問題の解決の進まない一つの大きな原因になっているんだろうと思います。したがいまして、そうしたマナーの向上のために、これまでも都は積極的に取り組んできたことは認めますが、今後、この交通安全教育をどのように適切に進めていくのか、改めてお伺いしたいと思います。

○脇交通安全対策担当部長 自転車の安全利用や歩行者の安全な通行を図っていくためには、ご指摘のように、意外と知られていない交通ルールの周知とか、あるいは人命尊重に根差した交通マナーの向上が重要であるというふうに考えております。そのために、これまでも、春、秋と年末の交通安全運動や各種キャンペーンの実施、さらには、小中学校等における交通安全教育を通じて周知等を図ってきたところでございます。特に今年度からは、地域や学校等の安全教育を充実するため、マニュアルやテキストを作成するとともに、区市町村交通安全教育担当者に対しまして交通安全講習を行い、きめ細かな地域での展開に寄与しているところでございます。今後とも、こういった地域へのきめ細かな展開の充実に努めてまいりたいと考えております。

○石川委員 東京都としては、区市町村にさまざまな施策の徹底をして、区市町村に具体的に取り組んでいただく、こういう流れになっているわけであります。交通安全運動や安全教育は、今申しましたように大変重要であり、繰り返し実施し、着実に成果を上げていくことが必要であります。しかし、現実には、教育あるいは指導だけでは限界に達しているというのが私の認識であります。したがって、都では、交通安全指導員の配置も施策の中に取り組んでおりますので、財政的な負担にはなるかもしれませんが、やはり現実に町の中にそうした交通安全指導員をより多く配置し、現場で一つ一つ啓発、啓蒙に努めていくことが大事じゃないか、私はこういうふうに考えておりますので、ぜひ今後も区市町村へそうした促進方を働きかけていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 ところで、交通安全対策には、ソフト面と、当然ハード面も大きな要因だろうと思います。最近、生活道路での交通事故がふえております。これも、先ほど申し上げましたように、生活道路にさまざまな移動手段が出現している。また、そこへ、いわゆるスピード制限も守らずに猛スピードで通過する自動車が後を絶たない。こういうことからいたしますと、まちづくりとの整合性を図りながら、ハード、ソフト両面から総合的な対策を講ずる必要があると考えますけれども、このたび設置されました第七次東京都交通安全計画では、この点どのような計画になっておりますのか、明らかにしてください。

○脇交通安全対策担当部長 第七次交通安全計画は、交通安全基本法に基づく、平成十三年度から平成十七年度までの五カ年計画でございます。この計画の策定に当たりましては、交通事故の厳しい状況や、今後の交通を取り巻く社会環境の変化を見据えまして、高齢者の交通安全の確保や、自転車の安全利用の促進などを重点施策として位置づけたところでございます。これら重点施策にかかわります具体的な内容についてでございますけれども、ハード面では、バリアフリー化を初めとする歩行空間等の整備、道路照明や防護さくなど安全施設の整備、歩道や自転車道などの自転車走行空間の整備等がございます。また、ソフト面では、先ほどお話しいたしました、学校や地域におけるきめ細かな交通安全教育の推進とか、放置自転車防止の啓発とか、交通安全に関する広報、啓発活動の充実強化に取り組んでいくこととしております。

○石川委員 第七次東京都交通安全計画に掲げられているように、多岐にわたる施策を進めていくためには、高齢者や歩行者、自転車利用者などさまざまな立場の視点を大切にしながら、総合的、効果的に推進していくことが大切であります。その場合、生活文化局は、そういう総合調整を図っていく立場にありますので、例えば、現在、駐車対策として、スムーズ東京21のように、関係各局と連携した取り組みを行うことが重要になってきているのではないかと思います。例えば、計画に掲げられたハード、ソフトの諸施策を、関係各局や区市町村とともに緊密に連携しながら、車や自転車、歩行者が錯綜しているような地域において、重点的、集中的に展開し、その効果を検証していくことが重要ではないかと思いますが、最後に局長の所感をお伺いいたします。

○三宅生活文化局長 委員、いろいろご指摘いただきましたように、歩行者だけではなくて、いろんなさまざまな交通手段がふえておりまして、対策も非常に難しくなっております。しかしながら、都民から見れば、交通安全はすべての都民の願いでございますし、こういった都民の生命にかかわる部分もございます交通安全を進めていくということは本当に重要なことでございます。特に都民の視点で対策をとっていかなければいけないと思っております。特に、高齢者あるいは子どもにとっては、社会環境が非常に変わっておりますので、そういった面についても、私ども非常に敏感であらなきゃいけないということを注意しているところでございます。
 交通安全対策のこの施策を効果的に推進するために、今、委員おっしゃいましたように、関係各機関でやっておりますスムーズ東京21につきましても、さまざまな機関が協力しながらやっておりますし、ハード、ソフト両面でやっておりますが、こういったことを参考にしながら総合調整を図って、都の関係局、警視庁だけではなく、区市町村、あるいは国道もございますので、そういったところとも緊密に連携をとって取り組みを進めていきたいと思っております。先生、ご指摘の点につきましては、真剣に受けとめて研究させていただきたいと思っております。

○石川委員 次に、都内の私立専修学校に関連して伺いたいと思います。
 まず初めに、都内の専修学校の現況はどんなふうになっておりますか、お示しいただけますか。

○中澤私学部長 都内の専修学校の現況ということでございますが、東京都学校基本調査速報によりますと、今春の都内専修学校生徒数は十九万六千百二十五人で、前年より七百十六人、〇・四%の増加を示しております。少子化の時代にあっても生徒数は、微増でございますが伸びてございます。そういう状況にございます。

○石川委員 東京都専修学校各種学校協会というところが出しております文書でも、少子化の時代、高等学校課程も含めて、また大学を卒業した方々もまた専修学校へ戻ってこられるということで、入学者がふえている、こういう状況も、私も実は改めて認識をした次第でございます。生徒数がふえているんですから、経営的には順調にいっているんだろうな、こんなふうに見ておりましたけれども、数少ない例ではありますが、財政的に大変厳しくなり、さまざまな問題を抱えている学校も出てきたというふうに認識いたしておりますが、その辺どうでしょうか。

○中澤私学部長 ご指摘のとおり、確かに微増はしております。しかし、社会のニーズの変化や、バブル後の対応のおくれ等から、人気のない分野の学校では生徒が集まらずに、校舎の拡大と生徒減少による財政悪化によりまして、法人の経営を圧迫するようなケースも出てきているという状況もございます。

○石川委員 そこで、私立学校法上、専修学校を運営する学校法人に対する行政の指導権限、これはどのように規定されていますか、教えてください。

○中澤私学部長 私立学校法では、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図る、とされておりまして、原則として学校の自律的経営努力が求められておるところでございます。このため、私立学校法に規定されている所轄庁の権限といたしましては、強制力のある権限としては、学校法人が行う収益事業の停止命令、それから学校法人解散命令のみで、その発動の要件も極めて限られております。そのほかは、相手の合意に基づく任意の行政指導にゆだねられているというところでございます。
 一方、私立学校振興助成法が適用されます高中小学校などの学校法人につきましては、学校法人会計基準による会計処理や財務計算書類等の提出が義務づけられておりまして、一定の経営改善指導も行える形になっております。しかしながら、私立学校振興助成法が適用されない専修学校につきましては、法令上収支報告義務がありませんので、学校法人の財政状況を的確に把握するのが困難な状況にございます。

○石川委員 東京都は、昭和五十九年度から私立専修学校教育振興費補助制度、高等課程を対象に補助金を交付しておりますけれども、この交付の実態について教えてください。

○中澤私学部長 専修学校教育振興費の補助制度でございますけれども、十四年度予算では、学校法人については単価十五万四千六百円、その他のものについては五万一千五百円、全体としての予算は六億三千七百八十万五千円でございます。

○石川委員 その予算額に対して、交付金を凍結している学校はあるんですか、ないんですか。

○中澤私学部長 現在、一校ございます。

○石川委員 その一校というのは、新聞にも報道されました、また、今、関係者がさまざまな問題解決のために行動しておられる学校法人千代田学園だと思いますけど、間違いございませんか。

○中澤私学部長 千代田学園でございます。

○石川委員 この補助金を交付する場合には、いつごろ交付されるんでしょうか。一般論でいいですよ、この学校じゃなくて。

○中澤私学部長 通常は、学校の申請を、まだいただく状況じゃありませんが、いただきまして、年末には交付をするということになってございます。

○石川委員 事態がここまで深刻化するまで、実は生徒さんの方は情報が足りなかったと。先ほど行政指導権限について伺いました。で、この教育振興費補助制度で学校側が交付の手続をする。当然審査に入る。その際、可能なのか、不可能なのか、凍結なのかということが行政の方から情報開示があれば、打つ手も変わってきたんですというようなご意見もあります。要約すれば、そうした行政指導の立場にある東京都の方で早く情報を示していただければ、関係者の対応も変わったという指摘がございますけれども、その辺に対するご説明があればお願いいたしたいと思います。

○中澤私学部長 千代田学園につきましては、もう一昨年来いろいろ経営上の問題がございまして、そういう意味では指導をしてまいりました。また、やや破綻に近くなってきたという状況が出てまいりましたので、私どもとしては、保護者に必ず説明をするようにということで、保護者会の開催、あるいは情報の提供等を九月来進めてきたところでございます。

○石川委員 最終的には都の権限も限られておりますので、今後残された問題は、現在通っている生徒さんの、仮に学校が破綻した場合の措置でございますけれども、こうしたケースは千代田学園だけだと私思っておりましたら、ある関係者から、実はもう一校、非常事態なんですと、こういう相談がありましたけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○中澤私学部長 その件について、非常事態であるかどうかというのは、今にわかには申し上げにくいところでございます。ただ、経営上に若干の問題が出てきているということは承知をしております。

○石川委員 法令等の考え方はわかりました。そこで、万一学校法人の経営が破綻した場合に、生徒の措置はどうなるのか、行政としてもセーフティーネットのあり方を考えておくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中澤私学部長 私立学校と生徒との関係は、私法上の関係でございます。経営破綻によりまして学校継続ができなくなった場合の生徒の措置というのは、本来的には法人が自己の責任において保障すべき問題であるというふうに考えます。しかし、法人破綻の場合には、一度に多くの生徒の教育が中断されるということになりますので、より円滑かつ速やかに教育の継続が図れるよう、側面的な支援を行う必要があると考えております。このため、破綻した法人と私学団体とが共同で、仮に就学対策本部というようなものを設置をするよう、都としても働きかけるとともに、類似する学科を持つ学校への転学が図れるよう、受け入れ先の確保に全力を尽くしていきたいと考えております。

○渡辺委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩したいと思います。三時まで休憩いたします。
午後二時五十二分休憩

午後三時三分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○曽根委員 私も私学問題について質問をさせていただきます。
 質問に先立ちまして、先ほど石川委員から千代田学園のことについてのお話がありましたが、私どもにも、この学園に通う生徒さんや家族の方から、切々とした要請、要望がされておりまして、既に請願、陳情でしたか、出されております。これは、東京都が六億何がしの補助金を出していくことに伴う行政責任があることはもちろんですけれども、千人以上に及ぶ生徒さんや家族の、何百万もかけて、何年もかけて通ってきた勉学の場がなくなるかどうか、それをまた保障できるかどうかという、東京都に問われているのは、道義的な責任もあると思います。そういう点で、私たち都議会としても無関心ではいられない問題だというふうに思っておりましたので、ぜひこれを機に、文教委員会でもできれば、場合によっては集中審議も含めて、やはり関係者も含めた状況もお聞きするというような場を持っていただければというふうに思っています。過去には、四年か五年前に、同様の問題のときに東京都が、公式か非公式かわかりませんが、専修学校の生徒さんたちが他に転学するために骨を折ったという経過もあったやに聞いておりますので、行政として何ができるかということも含めた論議の場を、ぜひ委員長にはお願いしたいと思います。

○渡辺委員長 ただいまの件につきましては、理事会で一応検討させていただくということで、承りました。

○曽根委員 それでは、質問に入らせていただきます。
 私学行政については、どうしても避けることができないのは来年の財政問題です。これは、予算見積もりの中身については別の機会に譲りますが、ことし七月に、来年度予算の見積もり編成について、依命通達と同時期に、財務局の「財政再建の取組状況と平成十五年度予算編成」と題してのパンフレットが出されまして、この中で、財政再建に向けて何がハードルになっているのかという問いに答える形で、一つは、都税など収入見通しが厳しいことと、二つ目に、高どまりを続ける経常的な経費の存在を挙げています。この例として、給与関係や、また区市町村補助とあわせ、私立学校経常費補助等を例示しているわけです。この財務局のパンフレットの指摘、高どまりを続ける経常的な経費の代表例として私学助成を挙げているということについて、生文局としてどのように受けとめておられますか。

○中澤私学部長 ご指摘の財務局のパンフレットの記載は、厳しい財政状況のもと、総予算が減少している中で、私立学校経常費補助等の減少割合が少ないという点であろうと考えております。私としては、経常費補助等の公費助成が、公教育の一翼を担っている私立学校の運営のために大変重要な役割を持っていると認識をしております。今後とも、私立学校経常費補助について、補助率二分の一を堅持するほか、適切な補助の実施に努めてまいりたいと考えております。

○曽根委員 生文局として、経常費補助の二分の一補助の原則を守っていくというのは当然なんですが、この財政パンフレットでは、高どまりを続ける経常的経費がなお多く存在しており、今後の歳出削減の課題となっていると、かなり踏み込んだ、いわば歳出削減の対象としてとらえているという表現も書かれております。さらに依命通達では、重要施策や重点事業は特別扱いはされるものの、それ以外については、局全体で一律一〇%のシーリングを本年同様来年もかけるということが記されておりましたけれども、生文局の来年度予算見積もりでは、これはそういう形になっていない、削減にはなっていないわけで、本当に財務局のこうした財政締めつけといいますか、そういう攻勢に対してきちんと対抗できるだけの根拠を持っておられるのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。

○中澤私学部長 既に先ほども申し上げましたように、経常経費等の公費助成は、公教育の一翼を担っている私立学校の運営の重要性をきちっと理解されてきた部分があるというふうに思っておりますし、また、現在の経常費補助、教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化、この三つの目的は極めて重要なものであるというふうに思っております。

○曽根委員 私、公教育の中での私学の役割を、もう少しきちんとわかりやすく押さえていくことは、生文局さんとしても非常に重要ではないかと思いまして、勝手ながら少し調べてみたんです。
 それで、二〇〇〇年度の決算ですね、一般会計予算に占める教育費の割合を関東近県と比較してみますと、埼玉では教育費が一般会計の三一・九%、千葉県では二九・九%、神奈川では何と三三・八%も占めているわけなんです。これに対して東京都は、一般会計約六兆円ですが、その中で教育予算の占める割合は一四・六%にとどまっている。もちろんこれは単純な比較はできません。都の予算には都区財調という特別の、他県にはない財政も入っている、一兆円ぐらい。これを除いて厳密な比較は、これは行政の方はいろいろやる方法はあるでしょうけど、私が都区財調を除く大ざっぱな比較をしてみても、東京の教育予算は、都区財調を除いても大体二割。他県は大体平均して三割。この一割程度の違いというのはどこから来るのか。これは、教育庁予算がもちろん入っていますので、さまざまな教育関係の施設や、また人の配置その他、東京都は他県に比べて区市町村にかなり押しつけている面があるなというふうに私は感じているから、それもあるでしょう。しかし、この一割、一般会計でいえば約六千億に及ぶ他県との格差の中には、間違いなく、東京で高校の六割、中学の三割近くを私学に担ってもらっているということによる東京都の公教育負担の軽減がされている分が入っているのは間違いないと思うんですが、私学部長、いかがでしょう。

○中澤私学部長 ただいまの他県との比較は、私どもは現在しておりませんので、今にわかにお答えするということはちょっとできないと思います。

○曽根委員 私も、大ざっぱな話をしていてもしようがないので、その逆の面から、つまり、私学に通っている子どもたちが東京で他県よりも多いことははっきりしているわけですから、そういう子どもたちをもし他県並みに公立で受け入れた場合に、どれくらいの違いが出てくるのかという面からいろいろ積算をしてみたんですよ。試算をしてみた。
 例えば、高校でいえば、高校生一人当たり教育費で、これは大体東京都が九九%ぐらい負担してますから、百十六万円ぐらいかかる。これに対して私学に行っている高校生には、三十五万円ぐらいの私学助成を都が負担している。その差額である約九十万円弱、他県からの高校生もいますから、その分を除いても、約八百億円ぐらいの違いが出てくるんですね。他県では大体三割ぐらいが私立高校生ですから、その差を考慮すると、約八百億円ぐらいの違いがある。小中はもう少し複雑で、これは義務教育ですから、東京都は人件費のみの負担で、大体四割ぐらいの負担です。それにしても、中学では二五%ぐらいが私立、小学校でも、東京では五%近くが私立へ行っていて、他県では一%程度です。そういうことも考えると、小中でも、都の負担として約三百億程度、つまり高校の半分かちょっと少ないぐらいは、やっぱり差がある。合計すると、小中高だけでも大体一千億から一千二百億程度、他県と比べて私立に多くを担っていただいている。それには、父母の大変な負担や、私立学校関係者の経営努力があるわけですね。それに負っているために、東京都が、教育費の負担が軽減されている部分があるというふうに--これは、担当局である生文局の方でも数字的には出てくると思うので、ぜひ調べていただいて、これがもしちゃんと正確なものが出れば、私学助成一千億ちょっと、高どまりどころか、むしろそれを上回るぐらいの額を、いわば東京都は教育予算の中で負担を、私学の人たちに負っているんだという意味では、私学助成というのは、高どまりどころか、むしろ私学の人たちに還元するさらなる充実が必要じゃないかということになると思うんですが、これは、三宅さん、局長になって初めての場なので、私学助成の充実に向けて、改めて決意をお聞かせいただきたいと思います。

○三宅生活文化局長 ご指摘のとおり、特に東京におきます私立学校は、江戸時代からの寺子屋の伝統を踏まえて、長い歴史がございます。そういったことを踏まえて、それぞれ私立学校では、独自の校風や教育理念のもとに、さまざまな教育を展開していると理解しております。
 それから、先ほど来部長からも申し上げていますように、私立学校全体としては、通常の府県よりは私立学校に通う生徒の数も多いわけでございます。そういう意味では私立学校が公教育を、都立あるいは公立の学校ともども重要な一翼を担っていると理解しております。
 私どもとしては、厳しい財政状況ではございますけれども、私学振興の意義を十分に認めて、それを踏まえながら今後ともさまざまな努力をしていきたい、こう思っております。

○曽根委員 局長さんの決意をお伺いしましたが、引き続き今の立場で努力をお願いしておきます。
 それで、先ほど部長さんがお答えになった二分の一補助の問題についてなんですが、標準的運営費の二分の一補助の原則、これを堅持していきたいというお話でしたが、この公立学校の二分の一という建前は、実際は実態と乖離しているというのが前から問題になっていました。きょう資料をいただいたわけですが、資料の二ページにあります私立高等学校生徒一人当たりの経常費補助額、これに対し都立高等学校生徒一人当たりの教育費、これが実際にかかっている費用で比較した場合の割合になるわけですが、最新の決算が出ている十二年度でいえば、補助額三十五万八千円に対して百二万六千円ですか、約三五%になりますね。これは以前はもう少し高かったんじゃないかと思うんですが、財政健全化計画で減額が始まる前の私学助成の段階では、平成五年あたりではどういう割合になっているでしょうか。

○中澤私学部長 平成五年度で申し上げますと、私立経常費補助が一人当たり三十三万六千六百三十円でございました。都立が八十五万五千九百六十一円でございまして、その割合は三九・三%。平成六年度で三七・七%、平成七年度で三五・六%、平成八年度で三五・〇%、こういうふうになっております。

○曽根委員 もともと平成五年の段階でも三九・三%ですから、標準的運営費の半分といっても、実態は四割。要するに標準的運営費そのものが実態の八割をカバーしているに過ぎなかった。しかし、今日は、三五%掛ける二ですから、七割しかカバーしてない。それもだんだん下がってきている。実態から離れてきている、補助の基準になるものが。これはどういう原因が考えられますか。

○中澤私学部長 約四割から三五%前後、四、五%落ちてきているわけですけれども、その前に、全体としての割合が四割、三五%で少ない、こういうお話がございますけれども、公立にあって私立にない経費、あるいはまた、その逆もありまして、一人当たりの経費が必ずしも二分の一になるということはございません。その辺はご理解いただきたいと思います。
 今の原因でございますけれども、公立の決算値である地方教育費と経常費補助の生徒一人当たりの額を単純に比較することは大変難しゅうございます。原因の一つは、公立と私立の生徒数の減少率と教職員数の減少率に差があるということが挙げられるのではないかと思っております。平成五年度と十二年度を比べますと、都立の全日制高校の生徒数が一九・九%、約二〇%減少しているのに対しまして、教職員は九・七%の減でございます。一方、私立高校のそれは、生徒数が一四・七%の減少に対しまして、教員数は九%減、こうなっておりまして、教職員数がほぼ同程度の割合で減少して、運営費中のウエートが高い教職員の人件費が同様に減少したにもかかわらず、生徒数の減少割合が公立の方が多いために、一人当たりの単価が公立の方に高く出るというふうに考えられます。

○曽根委員 かつて八割程度。これは、ほかにも私立、公立の違いを見なければなりませんから、今、部長がおっしゃったように、単純にこれが一〇〇%になるのは、というふうにはいえないでしょうが、それにしても、その後、落ちているということについては、明らかに標準的運営費の算定の仕方がだんだん実態から離れてきていることは間違いないと思うんです。これは、青島知事時代に行った財政健全化計画で、共済組合の負担分など幾つかの削減項目をつくって、それが昨年度、今年度までやられてきているということが大きな原因だと思いますが、最近、私どもの会派に私学協会の方々が要望に来られて、その中でも、時代の趨勢に見合った標準的運営費の見直し、改善が必要じゃないかということが掲げられておりました。これは生文だけの権限ではもちろんないわけですが、担当している私学助成の根幹を担っている問題ですので、生文局としてこうした要望にこたえていく努力をすべきだと思いますが、この点でのご見解をお願いします。

○中澤私学部長 経常費補助につきましては先ほど申し上げましたが、教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化という三つの大きな目標を持って進めてきているところでございます。極めて重要な施策でありまして、今後も、東京都の厳しい財政の状況を踏まえながら、私学振興の観点から適切な予算の確保をしていきたいと思っております。

○曽根委員 標準的運営費の算定基準について、直接のお答えはなかったんですが、ぜひ算定基準の見直し、改善も含めて、実質的に私学助成が、本当の意味で公立の二分の一に近づくような手だてを打っていただきたいと思います。
 もう一つ、極めて今日的な問題として、不況の影響で家庭の経済事情の悪化で、私学への進学や通学を断念したり、授業料の滞納をせざるを得なくなるケースが急増している問題があります。我が党も強く要望してきましたが、これに対応するための授業料減免制度に、都の三分の二の補助が実現いたしました。しかし、その普及が必ずしも思わしくないように見受けられます。現在、減免制度を持っている学校は、私立高校でどれぐらいの割合になるでしょうか。

○中澤私学部長 授業料の減免規定を設けている学校でございますけれども、都内私立高等学校二百四十校中、平成十二年度に、補助対象となり得る、家計状況による授業料の減免規定を設けていた学校は六十七校、二八%、平成十三年度は七十四校、三一%でございまして、平成十二年度に、補助対象となり得る、家計急変による規定を設けていた学校は六十校、二五%、十三年度は七十二校、三〇%でございました。

○曽根委員 まだ三割という段階です。今、生徒の家庭の状況の厳しさに対する学校側の認識、また、学校の伝統やグレードといいますか、そういうものにまだこだわっている風潮があるように聞いております。今までならば、一流企業や一流の金融機関の管理職など、間違いないといわれていた家庭が、今では必ずしも安泰ではないという状況です。そういう点で、これは学校で採用しなければ、その生徒さんは適用できないわけですから、この制度をできるだけ一〇〇%の学校で用意することが可能になるように、PRも必要じゃないかと思いますが、いかがですか。

○中澤私学部長 授業料減免補助につきましては、各学校が減免規定を整備しまして、学校がそれを積極的に活用して、児童生徒の修学継続に役立ててもらうことが重要であると考えております。理事長・校長会、あるいは説明会を初めとして、これまでも機会あるごとに趣旨を訴えてきたところでございますし、今後とも積極的なPRに努めてまいりたいと考えております。

○曽根委員 ぜひお願いしたいと思うのです。
 それで、この事業については、都の単独事業で、国からの補助が出ていません。今、国の制度もつくっているんですが、聞くところによれば、都の事業を参考にして国も立ち上げたというふうに聞いているんですが、残念ながら国は当年度主義、都は前年度の実績で補助をするという制度の違いのために、国の補助が出ていないというふうに聞いています。これはぜひ他県同様国の補助が受けられるように、政府に対する要望を強めていただきたい。あわせて、私どもは、現在三分の二の補助を、都としては全額補助に拡充する決意が必要だということも指摘しておきたいと思います。
 次に、都民相談の分野について幾つかの問題を取り上げたいんですが、最近、直接都民が相談に出かけたり電話をかけたりして、相談に応じてくれる窓口、都民利用の施設が相次いで閉鎖されたり縮小されています。この文教委員会で扱っている教育庁の方も数多くの施設を廃止しているわけですが、生活文化局でも、今年度になって相次いで、都民相談の場所がなくなったり縮小しました。
 まず取り上げたいのは、第一回定例会でも質問しましたが、都民相談室の法律相談の廃止問題です。昨年に比べて、ことしは体制を八割に縮小し、来年度はもう一切やらないというふうに計画されているようですが、年間八千件もの相談者が来るわけです。
 それで、今年度についてお聞きしたいんですけれども、八割に規模を縮小したというふうにされていますが、相談件数の方はどうなっているのか、どういう対策を講じているのかをお聞きします。

○佐藤広報広聴部長 法律相談でございますが、今年度の法律相談は、従前どおり月曜日から金曜日まで毎日実施しておりますが、担当弁護士の人員を十三年度の八割規模に設定をして実施しているところでございます。十四年度の前半期における相談実績は、三千六百八十七件となっております。その相談内容を見ますと、例年と同様の傾向でございますが、不動産売買契約や賃貸借契約などの住まいの関係、それから財産相続や離婚などの家族関係、さらには、金銭貸借や購入商品の解約などの消費関係の相談事項が上位を占めている、そのような実情でございます。

○曽根委員 八割の体制にもかかわらず、前半期で既に、昨年のペースからいって、実際には九割ぐらいですか、半期ですから。年末、年度末にかけて相談はふえる傾向にありますので、昨年同様の件数が相談に来る可能性が十分にあると思うんです。実際には弁護士さんの数を減らしているのにもかかわらず、それだけの件数をこなせるというのは、どういう工夫があるんでしょうか。

○佐藤広報広聴部長 後半期の方が、開設日が日程上多少少なくなりますので、必ずしも、今、委員ご指摘のとおり前年並みという形になるかどうかはわかりませんが、現在、八割の設定の中で、それ以上に実施している実情でございますが、相談内容によりましては短時間で済む案件等がございますので、若干の範囲ならば、現場サイドで弾力的な対応が可能である、こういうところで工夫をしているところでございます。

○曽根委員 都の相談は、区市町村などと違って平日毎日やっている。大体曜日が限られている区市町村に比べて、休みがとりにくい人や緊急の相談者には非常に助かる制度であります。また、最近、先ほど例のあったように、相続や住宅問題など、法律問題のトラブルはふえてきていまして、我々議員の事務所でもそれぞれやっているわけですけれども、予約がふえております。年間八千件もの相談があって、これを来年はもう完全に廃止する。区市町村で吸収するにしても、今どの区市町村でも、相談の充実は、大体行革のあおりで、むしろ減らす傾向なんですね。一体どこで吸収するのかというふうに思うんですが、都としては、どこかでやってくれるという見通しを持ってやっているんでしょうか。

○佐藤広報広聴部長 都内での法律相談の実績でございますが、東京都は、今お話しのとおり、年間約八千件を実施してきておりますが、ほかに区市町村の窓口で、全区市で既に窓口を開設し実施してきております。区市で年間約六万件ほど受けております。また、そのほかに、財団法人の法律扶助協会が無料で相談をしておりますのが約三万三千件、さらには弁護士会で、これは若干の料金を払いますが、ここで相談を受けておりますのが約三万八千件というようなことが、法律相談の都内での実績ということで、合計約十三万九千、十四万件近い法律相談を受けているところでございます。
 そういう中にありまして、都の占める割合は非常に少ない。この全体でいけば五・八%というような状況になります。さらには、十三年度以降、法律扶助協会なり弁護士会でも窓口の増をしているというような状況にもございまして、区市の全部で開設されている等々の状況をあわせかんがみますと、都が重複して実施していく役割は極めて薄くなったというふうに判断しているところでございます。

○曽根委員 有料のものを入れれば確かに十四万件ありますが、自治体でやっているものや法律扶助協会は無料相談ですね。これから見ると、一割近い割合を都が担ってきたわけです。無料相談としては非常に大きな位置を占めているし、ほかの自治体で取ってかわることは難しいと思うんです。どこの自治体も、全体としては今減らす傾向ですから、満杯です。そういう点では、都が直接都民のこうした相談に応じる姿勢をきちっと堅持するということが、都政を進める上でも重要ですし、また、その実態から見ても、これをいきなり切るということになれば、必ず大きな混乱が起きるということを指摘しておきたいと思うんです。再開、今の体制を維持できるよう、再検討を強く求めておきます。
 もう一つの都民相談窓口である消費者総合センターについてお聞きします。
 ことしから多摩の窓口が廃止されて、電話相談が飯田橋の本部に一括をされました。電話の本数は確保したということですが、先ほどお話のあったように、スタッフを本部としては強化して、チームをつくったりして、重要な案件については統一処理ですか、そうしたものもできるようになった。その成果も上がっている。二十九件ぐらいあったということでした。その点は評価できると思うんです。しかし、その犠牲によって、多摩の方は窓口に来ても、いないし、電話は転送されるという体制になっているわけです。私は、電話相談についても決して足りている状況じゃないと思うんですよ。
 ちょっと一例だけ簡単にいいますけれども、私のところに相談が、秋ぐらい、九月ぐらいにありまして、それはインターネットで、インターネットは普通無料で見ていけるわけですが、知らないうちに有料ゾーンに入って、後から請求が来たというものです。そういった、要するにわからないように有料に誘導するようなやり方が、一部の業者、それもKDDIとか非常に大きな電話通信会社が間に入ってやられているという相談で、これは大きな問題だから、都の方に電話したそうなんですよ。そうしたら、つながらないと。しようがないから北区の相談室にかけた。これまたつながらない。それで、しようがなくて議員のところに電話が来たというわけなんです。私の方も電話をかけたけど、やっぱり東京都もつながらない。北区もつながらない。それで、やむなく担当の課長さんにお電話したんで、担当した方は覚えていらっしゃるかもしれませんが、それで聞いてもらったら、それが非常にふえていると。もしかしたら二十九件の統一処理の中に入っているのかもしれませんが、相談がふえているということで、それで、苦情の受け付け先の電話番号や何かを教えていただいた。いってみれば、わきから消費者相談センターを利用させてもらったんですが、こういうことはよくないと思うんですよ、はっきりいってね。議員にたまたま知り合いがいる人しか利用できないんですよ、これは。(「何で出なかったんだ」と呼ぶ者あり)電話かけると鳴るんですよ。出るかなと思うと、テープが流れて、東京都の方は、地元の区市町村でも相談を受け付けていますと誘導するわけです。それで区市町村へかけると、北区は、ただいま電話が込み合っております、一たんお切りになって後でかけてくださいと。何度かけてもかからないんです。北区だけじゃないですよ、恐らく。
 そういう意味で、やっぱり電話の相談が、少なくとも二、三回かければつながるぐらいのところまで持っていかないと--スタッフは非常に強化されて、こういう悪質なケースに対応できるネットワークを今つくっているというお話もあったから、それはいいことなんですけど、その成果が、いろんな形で入ってくる相談につながるところまでいかないと思うんですよ、電話がこれだけ込んじゃうと。電話がかかりにくいという話は聞こえているんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○高田消費生活部長 お話がございました、消費生活総合センターに相談電話をせっかくかけても、なかなかかかりにくいというふうなお話でございますけれども、相談処理に当たりましては、内容にもよりますけれども、時間をかけて丁寧な聞き取りや助言に努めていることもございまして、回線がふさがっていて電話がかかりにくいという苦情もいただいている状況は確かにございます。
 私ども、相談を受けて解決に当たるということのほかに、確かに類似の相談がいろいろございまして、そういったものを適切に情報提供することによって、未然に被害を防止する、ないしは自主的に解決していただく手だてがないかというふうなことで、例えばホームページ上に相談事例集や、実際クーリングオフの仕方などを紹介するとか、都民にわかりやすい形での一方での情報提供にも努めてございます。毎号十二万五千部発行してございます消費生活情報誌「東京くらしねっと」にも、最近こんなふうな問題が出てますよ、というふうなことの情報提供は行って、図書館などの公共施設のほかに、都民が手にとりやすいような銀行、スーパーマーケットなどにも置いていただいて、情報が流れるようにしてございます。
 それから、新手のいろんな被害をもたらす事業者のやり方、いろいろ出てくるわけですけれども、そういったものにつきましては、緊急消費者被害情報というのを発しまして、報道機関を通じるとともに、ホームページ上にも掲載して、くれぐれもご注意いただくようにというふうな形でのさまざまな工夫をした情報提供もとうにやっております。

○曽根委員 都民が出かけていけば、いろんな窓口や何かにそういう情報が置かれていたり、インターネットを使える人はのぞいてみることができると。一方通行の形ではあるけれども、そういうものはありますというお話はわかりました。
 しかし、こういう相談事業というのは、やっぱり最終的には相談者の身になって体制をつくらなければならないと思うんです。区市町村であっても、都であっても、電話相談を受けたときに、これは都の方で処理すべき問題とか、これは簡単に身近で解決できる問題とか、振り分けができて、それで、どこにかけても大体つながるのであれば、そういうネットワークができていれば申し分ないわけですが、実際にはどちらもかかりにくいというのが率直な現状です。したがって、長年の実績がありますから、東京都の消費者相談は、そういう点で東京都に信頼を寄せて、電話が期待してかかってくる以上は、電話相談の数に対応できるよう、台数と人をふやすことがやっぱり必要じゃないかということを求めておきたいと思います。
 それから、人的相談といいますか、直接の相談の窓口の話なんですが、多摩のセンターが閉鎖になって、直接相談は、飯田橋に行くか、もしくは予約をして、多摩のセンターに相談員に来てもらわなければなりません。私は消費生活対策審議会の方にも出ておりますが、最近、広域にまたがる悪質商法がふえていることだとか、また、大手メーカーの偽装表示だとか、違反の添加物の使用とか、都道府県のセンターの役割は非常に、むしろ重要になってきていると。区市町村では賄い切れない問題が多いという点で、都の消費者相談はさらに充実が必要だという論議がされております。それもあって、最近、都の条例の改正で、都の相談員に、被害者と業者の間に入ってあっせんを行うという権限も付与されたわけです。そういう点では、区市町村ではなかなか処理し切れない大きな問題がふえている現状のもとでは、そしてまた、悪質化しているものが出ている現状では、直接の相談を都としてきちんと受けていく、できるだけ身近なところに相談の窓口をつくっていくという、都の広域行政としての相談事業の役割はますます大きくなっていると思うんですが、いかがでしょうか。

○高田消費生活部長 確かに、委員、お話がございましたように、さまざまな消費者をめぐる問題が出ておるわけでございますが、消費者問題というのは、とりもなおさず毎日の日々の生活の中で生じてくるものでございます。そういったことでは非常に身近な問題でございまして、まず第一義的には、区市町村の窓口においてこれを受け付けるというのが、行政の中における基本的な役割というふうに私どもは考えてございます。
 ただ、お話がございましたように、新手の手口が出てきたり、非常に複雑巧妙化しておりますので、それを個々、区市町村の窓口でばらばらにやっていては、なかなか十分な対応がし切れないというふうなところがございます。あるいは、区市町村の窓口ではまだ十分体制が整ってないというふうなこともございますので、そういったことについて、東京都として広域的ないしは区市町村と連携する、あるいは区市町村に対する支援をする意味で、専門的な機能を高めて、連携しながら、こういった相談にはこういうふうに応じてください、あるいは、問題を起こしているこの会社は最近こういうふうな状況にありますよというふうな情報を適宜流しながら、それぞれの窓口で、あるいは連携して、そうした問題にこたえられるようにしているわけでございます。

○曽根委員 いずれにしても、今、部長さんがお話しのように、悪質なケースや広域にわたるそうしたトラブルがふえているのは事実であって、この分野は、いずれにしても思い切った拡充が必要だという認識では一致していると思うんですね。で、当然、あっせんの権限も持ち、直接、業者と被害者の間に入るということも、今後大規模に出てくる可能性があります。そういう点では、飯田橋に質的にも量的にもスタッフを強化して、どんな問題が起きても対処できるようにという研修や研究を深めていくことは、大変すばらしいことと思うんですが、多摩がその犠牲になっているというのは、同じ都内に住んでいる都民としては、私は、多摩の住民は納得できないと思うんです。そういう点で、飯田橋のスタッフの強化は当然としながらも、多摩の窓口がせっかくまだ残っているんですから、直接相談の窓口を再開していくということも検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○高田消費生活部長 相談業務を飯田橋の消費生活総合センターに集約いたしましたのは、都の相談処理の専門化を進めることによりまして、区市町村への情報発信や専門的助言の提供などを充実し、区市町村への支援につなげていくことをねらいとして始めたものでございます。都は、現行の相談体制を維持しながら、都域全体の相談処理のレベルアップを図っていく考えでございます。
 なお、来所により相談を希望する方々に対しましては、多摩消費生活センターにおいて、お話がございましたように予約による相談を受け付け、きめ細かな対応を図っているところでございます。

○曽根委員 最後に意見を申し上げますけれども、今、質的な強化と迅速な対応ができるようにというようなお話は、一方ではやられていると思うんですが、消費者対策の予算として見れば、今はかつての半分ですよ、都の消費者対策予算は。そういう点で、そのしわ寄せは、極端ないい方をすれば、押しなべて多摩の方に集中しているような気がするんですよ。ほかの福祉や保健衛生や教育その他の分野も、やっぱり都の多摩の施設がどんどん削られていく。この生活文化局に関しても、多摩の都民はなぜいつも一人前の都民サービスが受けられないのかという問題は引き続き残るということも指摘しておきたいと思う。改めてまた別の機会にやりたいと思います。
 終わります。

○執印委員 それでは、質問させていただきます。いろいろ資料を作成していただきまして、ありがとうございました。
 まず、青少年事業の中の子どもの遊び場の確保についてから質問いたします。
 都有地の一時開放についてですが、都有地については、財政難の折、不要不急のものは処分していこうという方向であることは理解しております。しかし、使えるところについては、このような形で都民に開放していくことが大事だという立場から質問をさせていただきます。
 まず、子どもの遊び場確保のための都有地の一時開放について、この制度全体の概要と現状について伺います。

○中島都民協働部長 この制度は、子どもの遊び場などの不足を補完するため、昭和四十一年度より、都有地の一時開放による幼児・児童の遊び場並びに青少年及び老人の運動広場等の設置に関する要綱に基づき、未利用の都有地を、その本来の行政目的に供するまでの間、暫定的に地域の幼児、児童の遊び場並びに青少年及び老人の運動広場等として利用させてきたものでございます。この五年間の都有地の一時開放の推移でございますけれども、平成九年四月一日現在では、所管が十二局、二百一カ所、九十八万八千百四十四平米でございました。これに対しまして平成十三年四月一日現在でございますが、十局、百五十六カ所、九十万七千五百九十三平米と、やや減少しているという状況にございます。

○執印委員 こういう時代ですから、やや減少しているという状況になっているのかと思いますが、このつくっていただいた資料を見ても、ずっと箇所数と面積と変わらないところもありますし、この一時開放が、一年以上使わないところを半年というように要綱上なっているようですけれども、ずっと使われているところもあるのかなというような感じがいたしました。
 今回、一番広いところが調布の飛行場の跡地の二十四万三千七百九十五平方メートル、財務局の持ち物だということで、ここは、私、一度行ったことがあるものですから、今回は行かなかったんですけど、一番小さいところが新宿区富久町の百三平方メートル、建設局の持ち物だということで、ここに行ってきましたのと、国立の水道局が開放しているところというのを見にいってきました。百三平方メートルというところは、一番小さいところですから、緑の提供というような面が強いのかなと思いましたけど、遊具もあったように思いますので、都民の利用があるということだというふうに思います。
 先ほども申し上げましたように、要綱では、一年以上休閑地であるところを六カ月以上開放できるときに開放していこうということで、それについては、地元の区市町村との連携が要綱でもうたわれておりますし、あとは、そこをどういうふうに管理をして、どこが管理費用を持つかというようなさまざまな問題が生じるのかと思います。しかし、こういった時代ですから、都の未利用地を子どもの遊び場として今後とも積極的に開放するように取り組んでいくことを期待するわけです。で、今、一体、都有地のどれくらいの割合が開放されているのかという割合については、ちょっと担当も把握がないのかなと思うんですが、どれぐらいあとできるのかということを、私自身もつかみ切れていないわけですが、一年以上使わないところを六カ月開放するという条件ですから、もう少し働きかけをしていけば、さらにその期間、都民が使えるところがふえていくのではないかというような感じを持っているわけですが、今後の取り組みへの所見を伺います。

○中島都民協働部長 都としてはこれまでも、未利用の都有地というのを、本来の行政目的に供されるまでの間、事業に支障のない範囲で地元区市町村に暫定的に貸し付ける等、子どもの遊び場などとして提供してきたという状況にあるわけでございます。今後とも、区市町村からの要望に基づきまして、都有地を所管する各局の協力を得ながら、事業に支障のない範囲で子どもの遊び場の提供に努めていきたいというふうには考えております。

○執印委員 なかなかほかの局の協力がないとできない事業なので、大変なんだろうなということも、やりとりの中で感じましたけれども、意見を申し述べさせていただきます。
 まず、開放に当たっては、その趣旨や期間を掲示するものとするというふうにありますけれども、長く続けて開放され続けているところについては、それがきちんと表示されているかどうかというチェックも、担当局としては必要ではないかというふうに思いますので、チェックをお願いしたいというふうに思います。
 それから、この要綱に関して、これは東京都全体の用語の使い方なんだと思いますが、青少年及び老人というふうになっておりまして、これは、高齢者じゃなくて老人という文言の使い方なのかなというふうに思いましたので、統一してあるのであれば、直される方がいいのではないかなというふうに思いましたので、意見として述べさせていただきます。
 それから、質問の中で、十分に都有地の開放をしていただきたいということをお願いしてきたわけですが、危険箇所をなくすということは当然ですけれども、あとは、ただの原っぱでいいと思います。そんなに手を加えなくても、遊び場があるということが、この時代、大事なのではないかというふうに思いますので、今までも十分積極的にやっていただいたということはわかっておりますけれども、さらに対応をお願いしたいというふうに思います。
 今、子どもたちの体力も非常に低下しているというふうに、それも、今の子どもたちが大人から批判されているところにもなるわけですけれども、子どもが遊ぶ場所、遊びながら知らず知らずのうちに体力がついていくという場所を確保するということも、大人の大きな責任だというふうに考えますし、これまで、土地はお金を生み出すところという価値基準がほとんどだったと思いますけれども、今、少子化の時代で、東京都も心の東京革命を進めている中では、土地は子どもを育てるところ、土は子どもを育てるものという価値への転換が必要ではないかなというふうに考えております。
 心の東京革命については、決算の中で、いろいろ問題も感じていることは指摘をさせていただいたんですが、こういった基本的な、大人が何を子どものために整えていくかという、そこの部分の話し合い、そういう部分を、私が主張しています、土地はお金を生み出すところという視点を少し変えた方がいいんじゃないか、子どもが育つ時間とか場所の確保が必要ではないかというところで合意をしていただけると、非常に東京そのものがよくなるのではないかというふうに考えておりますので、ぜひ積極的な対応をお願いいたします。
 それでは次に、男女平等のことについて質問をいたします。先ほど来質疑もございましたので、私の方から、少し細かいところにも入るかもしれませんが、質問をさせていただきます。
 まず、企業への働きかけについて、平成十四年度、特に力を入れていきたいということで、三月の生活文化局の質疑でお答えがありましたけれども、どのように実施されてこられたのか伺います。

○金子参事 雇用の分野における参画の促進につきましては、平成十四年一月に策定いたしました男女平等参画のための東京都行動計画におきまして、重点課題の一つとして掲げ、積極的な取り組みを進めているところでございます。具体的には、現在、産業労働局が実施している、雇用の分野における男女平等参画状況に関する調査や、ポジティブ・アクション・プログラムの策定等の取り組みと連携いたしまして、生活文化局におきましては平成十三年度から事業者団体との連絡会を開催し、参画促進を進めるための意見交換や、専門家による助言等を行っているところでございます。また、東京ウィメンズプラザでは、企業の人事担当者等を対象にいたしまして、女性社員の能力開発や活用をテーマといたしました集中講座や出前講座等を実施しているところでございます。

○執印委員 これにつきましては、始まったところということでもございますので、お答えがありましたように、産業労働局との連携ですとか、それから、いろんな企業も男女平等の委員会などもつくって、動きをつくっているようですので、ぜひ今後も積極的にお願いしたいと思います。
 次に、先ほど、被害者支援関係機関連絡会などの質疑もございましたが、私からは、ドメスチックバイオレンスの相談事業と一時保護に関して、福祉局とどのような連携を図り実施していらっしゃるのか伺います。

○金子参事 東京都におきましては、DV防止法の施行に伴いまして、ウィメンズプラザと福祉局が所管しております女性相談センターとが連携して、法に基づく配偶者暴力相談支援センターの業務を実施しております。ウィメンズプラザでは、総合相談窓口として、さまざまな状況にある被害者からの相談に、電話や面接により幅広く対応し、必要に応じて弁護士や精神科医による専門的なアドバイスなども実施しております。ウィメンズプラザでは、相談を受けた被害者のうち、緊急に一時保護が必要とされるケースにつきましては、女性相談センターにおいて速やかに一時保護が実施できるよう、必要な連絡調整を行っているところでございます。
 なお、ウィメンズプラザの相談から女性相談センターの一時保護につなげた件数は、平成十四年四月から九月末までで十三件となっております。

○執印委員 夫から妻への犯罪検挙件数という資料もつくっていただきまして、ありがとうございました。九ページにありますけれども、これによりますと、大体毎年三日に一人、暴力で死亡しているということがわかります。それから一日大体三人が、傷害で夫が検挙されているんですね。それから、二日半に一人が暴行で検挙されている。これまでは、家庭の中の問題としてきちんと対応されることがなかったものが、こういう形で明らかになってきたということで、十二年度、十三年度を見ていくと、傷害とか暴行という数が大変ふえていって、そういう意味ではきちんとした対応が、まずは取りかかられているのかなという感じがいたします。十三年度で見ると、殺人は、夫から殺された妻というのは十二年度より減っておりますが、傷害は二百二十七件ふえて二七%のアップ、暴行は二十八件ふえて二三%のアップということがいえるかと思います。
 先ほど、ウィメンズプラザで相談を受けた中から、平成十四年度、一時保護につないだのは十三件というお話でしたけれども、先ほども、シェルターですね、一時避難のシェルターの話が出てきまして、その中でNPOの話も出てきましたけども、実際にNPOを運営されている方のお話を伺いますと、入所希望があっても、二件に一件は断らざるを得ないという状況なんだそうです。だから本当は、施設さえきちんとしていれば、ここで出していただきました殺人、傷害、暴行という数ももう少し減らすことができて、心と体に残る傷というのを防げる女性がふえるのではないかと思います。ぜひ福祉局と十分に相談をしていただいて、ここは、行政が足りているというふうに考えてしまうと、もうそれ以上は展開ができない事業ですから、その実態というのをぜひきちんとつかんで対応していただきたいというふうに思います。ここから先は福祉局の所管だと思うので、ここで伺っても、生活文化局にとっては答えにくいと思いますので、ぜひ福祉局とお話をしていただきたいというふうに思います。
 次に、こういった暴力を振るう側、主に男性だと思いますけれども……(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)男性相談の実施状況について伺います。

○金子参事 男性相談の実施状況でございますが、ウィメンズプラザでは、平成十三年六月から、男性の抱えるDVを含めた夫婦や家庭等の問題など、男性の側の問題解決を支援していく男性相談を実施しております。毎週一回、専門のカウンセラーによる電話相談として実施しておりまして、夫婦や人間関係の悩みなどについて、平成十三年度は百三十件、十四年度は九月末までに八十件の相談が寄せられております。そのうちDVに関する相談は、昨年度二十五件、今年度は半年間で三十二件と増加しております。また、男性からのDV相談の多くは加害者からのものでございます。

○執印委員 ドメスチックバイオレンスに関する相談が、昨年度の二十五件から、半年で三十二件ということで、増加しているということ。つくっていただきました資料のウィメンズプラザと東京都女性相談センターの相談数を見ても、半年で、前年の半年の倍以上になっているという状況です。ウィメンズプラザは特にそういう状況ですから、このことは、こういう法律もできて、今まで家族の問題として自分の胸の中に秘めるしかないと思っていたことが表に出てきたんだというふうに思います。
 先ほど、男性からのドメスチック相談の多くは加害者からのものであるというご回答で、自分が暴力を振るってしまうという相談がふえているということだと思いますが、加害者への対応について、やはり対応が必要だというふうに思います。社会的には、今、ドメ男というような言葉も出てきて、ドメスチックバイオレンスを振るう男はドメ男というふうにいわれて、だんだん、そういう男はドメ男だから相手にしなきゃいいのよ、そういう価値の転換みたいのができてきているんだと思うんですけども、ただほうっておくわけにはいかないし、きちんと対応しないと次の被害者が出るということも考えられますので、こういった点についても、相談を受けている立場として、整えていく必要があるかと思いますが、今後の取り組みについて伺います。

○金子参事 配偶者からの暴力を防止するには、被害者の保護や支援とともに、理事がおっしゃられましたように、加害者に対する対策も大変重要であると考えております。しかし、我が国においては、加害者に対する実態の把握を初め、加害者の立ち直り、あるいは更生のための具体的な取り組み事例はまだ非常に数が少ないという状況にあります。また、加害者対応については、法制度の整備も重要な課題と考えております。東京都といたしましては、今後、国が実施している調査の結果なども踏まえまして、法制度の整備を国に求めていくことも含め、都として可能な対応の方法について検討してまいりたいと考えております。

○執印委員 今のところ、法整備も必要だということで、このドメスチックバイオレンス法は三年たったら見直しという方向でしたから、ぜひ東京都から国に意見を上げていただきたいと思いますし、こういった立ち直りプログラムについては、NPOなどが既にやっているところもあるというふうに聞いておりますので、調査の上、連携をするなど、対応していただきたいというふうに思います。
 それから、決して私も、ドメスチックバイオレンスを振るうのが男性のみというふうにいっているわけではなくて、以前も、フライパンで夫を殴り殺してしまった女性というのもいたように思うんですけれども、いろんな状況があると思います。そのフライパンの事件はちょっとまた別だと思いますけど、ドメスチックバイオレンスに耐えかねて夫を殺してしまうというケースは、自分が殺されるから殺すしかないと思ってそういう行為に及んでしまうので、そういう意味では、意思があったとみなされて有罪になることが多いというふうにも聞いております。いろんな状況があるというふうには思いますが、一人一人の人権にかかわる問題ですので、ぜひこの件に関しても十分に対応いただきたいと思います。
 次に、さまざま、こういった男女平等の施策を進めるに当たって、まず職員の方が男女平等についてのきちんとした意識を持たれていることが大事だと思いますが、研修はどのように実施をされているのでしょうか。

○金子参事 都におきましては、男女平等参画についての職員の意識を高めることを目的として、研修所におきまして、講師や職場リーダーの養成を目的とした中央研修を実施するとともに、各局においても、広く職員を対象にした男女平等推進のための研修を実施しております。
 なお、十三年度におきましては、すべての局でこの研修は実施されております。
 研修の内容は、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止や、DV問題についての認識を深めるもの、人権問題としての男女平等推進を考えるものなど、さまざまな角度から職員の男女平等参画についての理解と意識を高めることをねらいとして実施されております。

○執印委員 十三年度はすべての局で実施されたということで、昨年伺ったときには、たしか三局ぐらいやっていないところがあったかと思いますが、働きかけをしてくださった結果だというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 用語使用の問題ですとか、都民に対応するときに、男女差別というのがきちんとクリアされていませんと、それがそこはかとなく出てしまうということがございますので、ぜひ十分に対応していただきたいと思います。
 それから、セクシュアルハラスメントについては、都庁の中のセクシュアルハラスメントの相談は、十三年度で三十八件あったということで、うち男性の相談が六件あったというふうに総務局の方から伺っておりますが、研修の結果、それがどのように反映したかということも含めて、他の局との連動も十分に行っていただきたいというふうに思います。
 次に、事業概要の中にありましたスクール・セクシュアル・ハラスメント講座について、スクール・セクシュアル・ハラスメントとキャンパスのハラスメントの講座がございましたけれども、ここではスクール・セクシュアル・ハラスメントの研修で結構なんですが、生活文化局であえてスクール・セクシュアル・ハラスメントの研修講座を実施している理由をまず伺います。

○金子参事 ウィメンズプラザでは平成十一年度から、教育の場でのセクシュアルハラスメントを防止するため、教職員や学校関係者を対象にした研修講座を実施しております。これは、セクシュアルハラスメントが人権を侵害する行為であるとともに、職場や学校等において個人の能力の発揮を妨げ、男女平等参画を阻害するものであるところから実施しているものでございます。教育の場でのセクシュアルハラスメントの相談は、ウィメンズプラザにも数多く寄せられ、その受け皿となっております。このため、教育の場でのセクシュアルハラスメント防止の取り組みを推進するリーダーの養成に主眼を置き、研修講座を実施しているところでございます。また、講座開催の周知や受講者の募集に当たりましては、区市の教育委員会の協力を得るなど、教育庁との連携により実施しているところでございます。

○執印委員 本当に残念なことですけど、新聞紙上でわいせつ教諭の問題などが取り上げられまして、そのことだけは何とかしてほしいと私も思っているわけですが、今、ウィメンズプラザに数多く教育の場でのセクシュアルハラスメントの相談があるということで、こういったものについても、私も図書館でいろんな本を見てみると、女性で子どもで、つまり少女に関するこういった人権保障というようなものを特に取り上げた本というのが非常に少なかったものですから、まだまだ対応がおくれている部分なのかなというふうに思って見てきましたので、ぜひ十分にお願いしたいと思います。
 それで、それぞれの年度の講座の受講者数ですね、平成十一年度から始まっているということですので、十四年度までお示しいただきたいのと、わかればで結構ですが、どのような方が受けられているのか、お教えください。

○金子参事 平成十一年度から十四年度までの教育の場における、特にスクール、小中高を対象とするということなんですが、セクシュアルハラスメント防止のための講座の参加者数でございますが、平成十一年度が三十二名、十二年度が二十七名、十三年度が四十二名、十四年度が五十名となっておりまして、多くは教員の方というふうに聞いております。

○執印委員 ありがとうございました。年々受講者もふえているということで、必要によっては、講座の場所の問題ですとか開催回数ですとか、検討していただきたいというふうに思います。
 また、教諭の関係の方が多いのではないかということですが、今後の展開について、そういった方たちが学校に戻って、どんなふうに、そこの講座で受けられたことを展開されているのか、例えばアンケートをとるとかなどしながら、連携を密にして、その講座がさらに生きるような形をお願いしたいんですが、その点に関してはいかがでしょうか。

○金子参事 この研修講座は、受講者が研修の成果を生かして、各学校でセクシュアルハラスメント防止のリーダーとしての役割を発揮することを期待して実施しているものでございまして、そのためには学校側の協力が必要であります。今後さらに教育委員会との連携を図ってまいりたいと考えております。

○執印委員 最後に、もう一つだけお聞かせいただきたいんですが、セクシュアルハラスメント、またスクール・セクシュアル・ハラスメント、またドメスチックバイオレンスを含む男女平等の問題については、各局がそれぞれの役割分担の中で進めているということは承知をしておりますが、いろいろ調べていきますと、局間の連携ですとか情報の一本化、一括化というところが、あるのかもしれませんけども、十分でないのかなというふうに思うところがございます。そんな中で、いろんな施策を集めて、そして、その施策の効果のチェックとか、次に向けての展開というのが必要というふうに思います。そういった部分で、情報の一本化、一括化、それから施策の効果のチェックなど、生活文化局が中心になるんだと思いますが、今進められている部分があれば、お答えいただける範囲でお答えいただきたいということと、不足している部分に関して、今後の課題としていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○金子参事 ただいまのご質問の庁内の連携でございますが、これは、行動計画を策定したときに構成いたしました男女平等参画推進会議がございます。そういうところを活用いたしまして、関係局間の調整というものを図ってまいるとともに、やはり担当者間、それぞれ実務を担当している者が実質的に連携を図っていかなければ進まないということもございますので、実務担当者レベルでのいろいろな場での連携協力、情報交換というものを積極的に進めてまいりたいと考えております。

○執印委員 ありがとうございました。そうやって庁内でいろんな組織をつくりながら進めていくということと、そこの担当にいらした方が、自分がこの場にいる間にこの問題は必ず解決するぞというような、それぐらいの意気込みを持って進めていただかないと、なかなか解決に向かわない部分もあるかと思いますので--ごめんなさい。最後の質問をさせていただいたのは、実は、スクール・セクシュアル・ハラスメントの講座を生活文化局でやっていますよ、というお話をしましたところ、教育委員会の方がご存じなかったということがあったものですから……。もしかしたら、それは直接の担当者じゃなかったのかもしれなくて、その辺の確認は私もしてないわけなんですけれども、せっかくこうやって生活文化局でいい講座をされているので、それを生かすためにも十分な連携をお願いしたいことを強く求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○小美濃委員 それでは、私も男女平等の行政につきまして質問をさせていただきたいと存じます。
 男女平等参画社会を実現するに当たっては、職場、家庭、地域社会など、あらゆる分野においてだれもが対等な立場で参画し、個性を発揮できることが大切であるといったことは、万民一致した意見であると存じております。しかし、男女平等、国会では男女共同参画という表現も使っておりますけれども、この平等とか共同参画という、ある種の言葉の魔力というんでしょうか、いい回し、こういったものに幻惑をされて、十分な議論がされないまま、国の法律として男女共同参画法が成立を見たということもあるわけであります。
 人権を尊重し男女差別をなくしていくことは、大変重要なことではありますが、しかし、現在進められている男女共同参画には、人権の尊重という表の顔とは別に、いわゆるジェンダーフリー思想という裏の顔があるということもしっかり認識することが必要であると考えております。今月十二日の参議院内閣委員会でも、ジェンダーフリー教育について議論されたということが新聞報道でありました。これを見ても、男女共同参画に対する議論は政治的要素が多分に含まれており、慎重に取り扱わなくてはいけないと考えているわけであります。
 さて、ジェンダーフリーを提唱する、いわゆるフェミニストたちが躍起になって推奨しているのが男女混合名簿であります。東京都が一月に策定した男女平等参画のための行動計画の第3章、男女平等参画を推進する社会づくりの中の学校での男女平等の項で、男女混合名簿の導入を推進する、こうしているわけであります。また、男女混合名簿については、導入を推進するために実施率を調査するなど、実施を強制している。これは教育庁の範囲ですけれども、こういったこともこれから行われようとしているわけであります。導入について、私は、校長のリーダーシップで決めるべきである、こう考えているわけでありますが、男女平等行政を主管する局として、まずその所見をお伺いしたいと思います。

○金子参事 男女混合名簿の導入の推進につきましては、学校において個性を伸ばす教育を実践し、男女平等参画の考え方を身につけた児童生徒を育成するための取り組みの一つとして、男女平等参画のための行動計画に位置づけられております。この趣旨を踏まえまして、所管である都教育委員会におきまして、男女混合名簿に関する啓発、指導など、適切な対応が図られることが望ましいと考えております。

○小美濃委員 男女混合名簿自体は、男女平等の教育における一つの手段であるということは私も認識をいたしております。しかし、学校長が考える男女平等教育のそういった方針や教育目標、こういったものをしっかり持っていらっしゃる校長先生にしてみたら、やはり押しつけがましいことは避けるべきであり、そういったところはしっかりと考慮するべきであると思っております。男女混合名簿は、そういった意味で私はオールマイティーとは思っておりませんので、これは教育庁でまた詳しくお伺いいたしますが、その点につきましては、所管である生活文化局としましても、ご認識いただきたいなと思うわけであります。
 さて、この問題は、千葉県の男女共同参画条例案の審議においてもかなり議論をされたということが新聞報道でありました。これは、どういったところが問題だったかといいますと、個性や能力が発揮される教育活動の促進という条文の中に、性別にかかわりなく個性や能力を十分発揮することができるようになる取り組みを促進する、こう書かれていたわけであります。こういったものに対して議会側が、性別にかかわりなくという文言を削除するか、例えば、互いの違いを認めつつ、こういったものに変えた方がいいんじゃないか、こういうふうに知事に求めたわけでありますが、千葉県堂本知事は、修正はしない、こういった態度をとったわけでありまして、対立の構造ができてしまったというわけであります。
 そこで、また、東京都が一月に策定いたしました、先ほどの男女平等参画のための行動計画、今度は第3章、男女平等参画を推進する社会づくりの中の教育・学習の目標では、こう書いてあるんですね。「学校教育における男女平等を推進し、性別にかかわりなく個人を尊重する男女平等の意識を持った児童・生徒を育成する。」と書いてあるわけであります。この目標の下に実は説明文が書いてあるんですけれども、この説明文には、「学校教育においては、児童・生徒が、男女の互いの違いを認めつつ、」こう表現をされているわけであります。これはまさしく千葉県で問題となっていた部分でありまして、東京都としてもしっかりとした姿勢を明確にすべきである、こう考えているわけであります。現状、この目標文と説明文を読む限り、何か表現が矛盾しているのではないかな、そんなふうに思うわけでございますが、所見をお伺いしたいと思います。

○金子参事 東京都が一月に策定いたしました男女平等参画のための行動計画の第3章でございますが、今のご指摘の部分について、東京都男女平等参画基本条例の前文には、「男性と女性は、人として平等な存在である。男女は、互いの違いを認めつつ、個人の人権を尊重しなければならない。」とございます。条例に基づき制定されました行動計画は、このような条例の考え方に沿って目標を設定し、施策を推進しているところでございます。

○小美濃委員 なるほど。男女は互いの違いを認めつつということでご答弁をいただきました。
 それでは、もう少し詳しく具体的にお伺いいたしますが、条例前文の「男女は、互いの違いを認めつつ」の「違い」とはどのようなものなのか、お伺いしたいと存じます。

○金子参事 男女の違いには、生物学的な差異はもとより、社会的、文化的に形成された差異もございます。男女の違いを画一的に排除するのではなく、事実としてこれらの違いを認識しつつ、男性も女性もともに個人の人権が尊重され、一人一人の個性と能力を十分発揮する機会が確保されることが重要であると考えております。

○小美濃委員 先ほども申し上げましたが、今月十二日の参院内閣委員会でこの問題が取り上げられました。担当大臣であります福田官房長官は、男らしさ、女らしさを強調し過ぎるのは問題だが、時代や社会情勢が変わっても、男女の性別に起因するものは否定できない、こう答弁をしているわけであります。しかし、いわゆるフェミニストの間では、男らしさ、女らしさ自体を否定するだけでなく、文部科学省の委嘱で発行されたパンフレットが、こいのぽりやひな祭りを否定的に記述するなど、伝統的男女間の排除が教育現場に及んでいる状態も見受けられるわけであります。
 また、これは実は図書館で調べたんですけれども、都の外郭団体であります財団法人東京女性財団が出しました「ジェンダーチェック」という冊子であります。時間の関係がありますので内容は詳しく申し上げられませんけども、私が感じるところ、物すごくバイアスがかった内容であります。これはさすがに都も問題だと思われたんでしょう。新しく改訂版をつくられたわけでありますけれども、これは、東京都という公平を旨とする行政機関がかかわっていても、こういう外郭団体では、一部のフェミニズム運動家の勢いに乗せられてしまう可能性があるのではなかろうかという、一例であるのではないか、そういう感想を持ったわけであります。
 男女平等行政の難しさを改めて知らされたわけでありますが、先ほども申し上げましたけれども、男性も女性も同一であらなければならないとして、男らしさ、女らしさを否定する動きが実際あるわけですけれども、男女平等の名のもとに、歴史的な伝統や文化を否定していいものなんでしょうか。ひな祭りもこいのぼりも、日本の文化を継承する大切な行事でありまして、これらを大事にしたり、家庭で男の子には男の子らしく、女の子には女の子らしくしつける、そういったしつけの分野まで行政が否定をするのは、これはおかしいことではないかと思っているんですが、見解をお伺いしたいと存じます。

○金子参事 文化や伝統を理解し尊重することは、これは大切なことであると考えております。一方で、男性も女性も、性による固定観念にとらわれて、一人一人の個性と能力を十分発揮する機会が失われるとすれば、その個人にも社会にも損失であると思っております。男女平等参画行政といたしましては、先ほど申しましたように、男女の違いを画一的に排除するのではなく、その違いを認めつつ、男性も女性も多様な選択肢の中から、みずからの考えに従って、その個性と能力を生かすことができるように、個別具体的な課題について必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 平成十二年の四月に地方分権一括法が施行されまして、地方の自主性が叫ばれておりますので、何でも国のいいなりになるということはないと思うんですが、福田官房長官の、性差を否定するものではない、こういった答弁は、私は正論であると考えておりますし、東京都としてもその姿勢を継承していくべきだと考えているわけであります。また、日本の古きよき文化、伝統の保護、推進こそ、文化という名前を持った生活文化局の大切な大きな役割であると認識し、ひな祭りやこいのぼりなど、否定することなく、これからもしっかりと文化伝統を守っていただくよう要望をしておきたいと存じます。
 しかし、こういった議論をしても、この計画書、チャンス&サポート東京プラン二〇〇二、これはできてしまったわけであります。東京の男女平等のこれからの行動計画は、これにのっとって施策が行われていくわけでありますけれども、行動計画の策定に当たって、所管の文教委員会にはヒアリングの機会があったのだろうかと改めて思い返すわけであります。策定過程でどのように文教委員会が関与できたのだろうか。私も文教委員会にいたときもあるでしょうし、その前だったのかもしれませんし、その辺を教えていただきたいと思います。

○金子参事 東京都の行動計画は、男女平等参画審議会の答申を受けて策定したものでございまして、審議会の答申を取りまとめる前の段階で、中間のまとめとして、文教委員会の先生方にご配布させていただきました。あわせて、広く都民、事業者、区市町村からのご意見をいただいたところでございます。(「いつ」と呼ぶ者あり)中間のまとめでございますので、平成十二年六月ごろでございます。

○小美濃委員 私、十三年の七月からですかね、任期をいただきましたので、なるほどと今思いましたが、しかし、こういった計画が出てしまってからは、例えば先ほど来、男女混合名簿について議論をしているわけですけれども、これに対して、もう少しお考えになった方がよろしいんじゃないかということを幾ら申し上げても、石原慎太郎都知事が出した計画ですからと、こういってしまわれますと、何もいえなくなってしまうのが現実ではないかと思うわけであります。これは、行政側もそうとしかいいようがないと思うわけでありまして、なかなか難しい問題なんですけれども、先ほどの答弁で、中間まとめとして文教委員会に平成十二年に配布をしたと、こういうご答弁でございましたが、このような大切な、ある意味では基本的人権にかかわるような計画を、中間まとめだけ委員に配って済ませてしまうというやり方には、今後少し疑義を申し上げざるを得ない、審議いただきたい、こう思っているわけであります。
 行動計画が出されてしまっては、もう意見も、我々もいえないわけでありますので、せめて策定段階で意見がいえるよう、委員各人に説明するとか、そういった配慮をいただきたかったなあ、こんな感想を持っているわけであります。
 我々が計画策定に何のかかわり合いも持てず、出てきた計画に対して承認をするだけ、こういった形ですと、所管の文教委員会、一体何をしているんだと、都民の方からも不満の声が上がってこないとも限らないわけであります。また、特に男女共同参画の推進に関しましては、先ほど来問題提起をいたしておりますけれども、一部のバイアスがかった理論がございまして、これはいわゆるマルクス共産主義の系譜に連なるフェミニズム、こういった社会の徹底破壊を目指す対立闘争の思想が本旨だということを書いてある本もあるんですよ。そういう本もある。私がそう思っているだけではなく、そういう本もある。すべての計画とは申しませんけれども、今いったような、こういった政治運動に利用されるおそれがあるような計画や、また人権問題という大変重要な問題に関しては、こういったものに関する行動計画に関しては、文教委員会も何らかのかかわりを持てるよう、ぜひとも今後、所管局といたしましてもご配慮いただくよう要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○金子参事 大変申しわけございません。先ほどの文教委員会のご配布でございますが、平成十二年と申し上げましたが、平成十三年の二月の間違いでございます。失礼いたしました。
 それから、本答申と行動計画そのものにつきましても、文教委員の先生方にはご配布させていただいておりますので、つけ加えさせていただきます。失礼いたしました。

○遠藤委員 私は、文化の振興の役割について何点か質問をいたします。
 人生観というのは人それぞれ違うと思いますけれども、今、どんな人生に価値があるかを模索している時代であろうというふうに思っております。私は先日、地元の小学校の文化祭に行きましたけれども、そのときに、子どもたちの感動体験に関する調査研究で、メディアから間接的な影響が強く見られ、全体的に、感情が刺激され、心が震えるような本物の体験が少ないという報告を受けました。そのときの資料、ここにありますけれども、時間の関係で内容はいえませんけれども、もし興味のある方は、ごらんになっていただきたいと思います。
 まさに今の子どもたちに必要とされるものは、本物に触れた感動ではないかというふうに思うわけであります。そうした観点から、文化というものは、見て楽しみ、参加して楽しみ、感動する。私たちの心の豊かさをはぐくんでくれる、非常に重要な要素であると考えております。しかし、現状はどうかといいますと、子どもたちを集めて有名なクラシックを聞かせても感動が少ないのに、アーチストと直接話をしたり、手ほどきを受けたりする子どもたちの目は非常に輝いている、そういう状況もあります。
 例えば、今、地域でいろいろ催し物がございます。そこでよくお年寄りの方が、竹トンボ、竹細工ですね、あるいはわら細工、こういうものを教えている光景がございますけれども、そのときの子どもの真剣さというのはすばらしいものがあります。本当に目を輝かせて教わっている光景がございます。このように考えたときに、本物に触れて感動する機会を、文化の面でもぜひ積極的に取り入れるべきであると考えています。学校や地域において、単に芸術文化を鑑賞するだけでなく、文化の面でも本物に触れる事業を積極的に展開すべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○荒川文化振興部長  ただいま、本物に触れる事業を積極的にというご指摘でございますけれども、私どもの方も、次の時代を担う子どもたちが文化の面で本物に触れて感動する機会を持てるようにすることは、将来大きくなったときに文化に興味を持ってもらう、あるいは、子ども自身がアーチストになって東京の新しい文化を創造してくれるようになる、そういう意味でも大変重要であるというふうに思っております。
 これまでも、そういう観点から、現代美術館やトーキョーワンダーサイトなどで、アーチストと一緒に作品づくりを行うワークショップですとか、あるいは江戸東京博物館で琴や三味線を弾いたりする子ども邦楽講座などを開催してまいりました。今後も、こうした本物に触れる機会を拡大しまして、例えば、この十二月から来年二月にかけまして、現代美術館の方では、アーチストを学校に派遣する事業をやったり、あるいは江戸東京博物館や都内の各地域で、子どものための伝統ワークショップを開催する計画でございます。それから、ちょうど文化行政が生文局に一元化されたというメリットも生かしまして、従来教育庁が所管していました歌舞伎などの各種鑑賞教室も、本物を体験できるワークショップ事業に転換することなども考えておりまして、芸術文化の創造性をはぐくむ環境づくりにさらに努めてまいりたいと思います。

○遠藤委員 次に、地域の特性を生かした文化が非常に重要であるというふうに考えておりますので、その点についてお伺いいたします。
 今日の青少年の健全育成にも大きな役割を果たす、これは地域文化のことでありますけれども、実は、十一月の十日の日曜日に、狛江市、私の隣の市でありますけれども、市民祭りがございまして、そこへ参加いたしました。そこで、沖縄のエイサー、皆さんも聞いていると思いますけど、エイサーという、この辺では盆踊りのようなものでありますけれども、その踊りが紹介をされました。私も、このエイサーは前からちょっとは聞いていましたけれども、ちょうどいい機会でありましたので、それを見させていただいたんです。大体七、八人の青年がグループになって、非常にテンポのいい踊りなんですね。いろいろな踊りがあるようでありますけれども、私の見たのは、太鼓を持ってやる、そういうものでありまして、非常に乗りがいいものであります。沖縄では、県を挙げて、このエイサーを支援しているということを聞いております。青年団が中心になって、地域の公園でそういう催し物をしたりしている。これは全国大会もあるようであります。
 また、私の住む調布市内の公立学校で、ボランティア部が中心になりまして、先生の指導で、よさこい踊りを取り入れて、老人ホームや地域活動に積極的に参加をして、非常に人気を博しているわけであります。このように、人を楽しませたり喜ばせるということは大変な生きがいにつながる。本人もそうであるし、また、それを見ている人にもつながるというふうに思うのであります。このような地域の特性を生かした文化活動に対しても、場所の提供など、何らか協力ができないかと考えておりますけれども、所見をお伺いいたします。

○荒川文化振興部長  青少年が地域でいろいろと文化活動を行う際には、いろんな課題があると思いますけれども、特にその中でも場所の確保ということが大きな課題であることは認識しております。これまでも、地元の町会や自治会などに都立公園などを開放しまして、イベントやサークル活動に利用していただいているところでございます。今後、生文局といたしましても、場所の提供を関係各局に働きかけてまいりたいと思います。同時に、ヘブンアーティスト事業で行っていますように、公共空間での活動を支援することによりまして、町そのものを文化活動の舞台に変えていきまして、多くの都民に気軽に文化を楽しんでもらい、東京の活性化につなげていきたいというふうに考えております。

○遠藤委員 次に、若手アーチストの支援についてお伺いいたします。
 都は、一昨年十二月に、「当面の東京都の文化政策手法の転換と取組」この本であります。皆さんも読んだと思いますけれども、これも発表し、特にこれからの文化の担い手である若手アーチスト等の活動を支援する文化政策にも力を入れていくということで、非常に結構なことであります。そこで、都が行っている若手アーチスト支援にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。

○荒川文化振興部長  現在、都が行っております若手アーチストの支援施策としては、いろいろあるわけでございますが、分野別に代表的なものを申し上げさせていただきたいと思います。まず美術関係では、都庁舎を活用しましたトーキョーワンダーウォールですとか、あるいはトーキョーワンダーサイトの作品展示の事業がございます。それから現代美術館では、その年に評判になった若手作家を紹介する展覧会がございます。音楽関係でございますけれども、東京文化会館で開催しております新進音楽家によるフレッシュ名曲コンサート、それから音楽大学の学生によるオーケストラ演奏会がございます。また、演劇関係では、東京芸術劇場で開かれております東京国際芸術祭というのがございますけれども、その中で、若手劇団によるプログラムがございます。
 それから、こうした事業面での若手支援に加えまして、制度面におきましても、都立の美術館ですとかホールなどの施設使用料を免除する仕組みをこの四月につくっております。今後、こうした仕組みも具体的に活用していきたいというふうに考えております。

○遠藤委員 答弁にありましたトーキョーワンダーサイトは、十二月に開館して一年を迎えるわけでありますけれども、これまでにどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

○荒川文化振興部長  今お話がございましたように、昨年の十二月にトーキョーワンダーサイトを、あいている庁舎を活用しまして御茶ノ水に開設したものでございます。これまでの事業としましては、公募した若手作家による展覧会を十四回、それから、現代美術が展示された中で、現代音楽のコンサートというのを開きまして、それを四回、若手作家と子どもたちとのワークショップを七回、その他いろいろな企画展や音楽会などを開催しております。十二月二十五日でちょうど開館一年を迎えることから、さまざまなジャンルのアーチストに参加してもらいまして、トークショーですとかコンサートですとか、あるいはマジックパフォーマンスなどの催しをしたり、あるいは飲食をできるカフェを開いたりして、一周年記念事業を開催したいというふうに検討しているところでございます。都民の皆さんにも参加を募集する予定でございます。

○遠藤委員 都として、若手支援に使われるということは大変すばらしいことでありますけれども、しかし、若手アーチストの活動にとって、東京は物価が高く、住宅事情も非常に厳しい。また、大きな音を出すことが非常に難しい。出しにくい。演劇や音楽演奏のための練習場も、そんなことから非常に限られているわけでありますけれども、そうしたさまざまな課題を抱えているわけであります。そうした中で、都として東京の文化を高めるためにも、若手アーチストの支援策のさらなる充実を図るべきと考えておりますけれども、所見をお伺いします。

○荒川文化振興部長  今、先生のお話がございましたように、確かに若手アーチストの立場に立ってみますと、物価ですとか住宅事情ですとか、あるいは音の問題があるんだろうと思いますが、活動場所、特に練習場や稽古場が不足していること、それから、どのような助成金があるとか、あるいは自分たちが参加するコンテストがどのようなものがあるかといったような情報もわかりにくいということが指摘されているところでございます。
 生文局としましては、これらの問題を解決するために、インターネットを活用しまして、アーチストの自己PRですとか、あるいは作品展示、舞台公演の活動情報をみずから発信できる、逆に今度は、助成金やコンテスト情報、あるいは活動のスペースがわかるようなホームページを新たにつくりたいというふうに考えているところでございます。また、音楽の練習の場として、文化会館ですとか芸術劇場のホールがございますけれども、そういったものも活用できるようにしたいというふうに考えております。それから、海外の新進気鋭のアーチストなども呼びまして、東京のアーチストと交流をしてもらい、お互いに切磋琢磨してもらうというようなことも検討していきたいと考えております。このように、今後とも、次代の文化を担う才能ある若手アーチストの育成支援を積極的に行ってまいりたいと存じます。よろしくご指導のほどお願いいたします。

○遠藤委員 ありがとうございました。人々に感動を与え、地域の活性化をもたらし、都市に魅力を持たせる文化の振興に引き続き努力をしていただきたいというふうに思っています。
 文化というのは、こうだという定義というものはございませんけれども、やはり文化の振興、あるいは文化を愛する、そういう心がこれからは非常に重要だと思いますし、先ほど申しましたけれども、人間の心を非常に豊かにする。そういうことからも、文化の振興により一層ひとつ努力をお願いいたしまして、この質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
午後四時五十五分休憩

午後五時五分開議

○渡辺委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより大学管理本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○飯塚管理部長 去る十月二十九日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の大学管理本部文教委員会資料をごらんくださいませ。表紙の次の目次でございますが、ご要求のございました資料は、ごらんの四点でございます。
 一枚おめくりくださいませ。都立の大学改革(法人化)の検討状況でございます。都立の新大学の法人化につきまして、運営組織のあり方、人事制度のあり方、目標・評価制度のあり方について、それぞれ基本的な考え方や検討中の内容についてお示ししたものでございます。
 二ぺージをごらんください。都立の新大学における学部・大学院の構成等についてでございます。上段の表では、学部、大学院研究科別に、その主な専攻構成を示してございます。ぺージ中ほどの表は、各キャンパスへ配置を予定しております学部等の内容についてお示ししたものでございます。
 なお、ご参考までに、現大学の取り扱いや新大学設立準備委員会の設置について、あわせてお示ししております。
 三ぺージをお開き願います。国立大学の法人化と都立新大学の法人化検討案の比較でございます。運営組織、人事制度、目標・評価につきまして、それぞれ国立大学法人と都立の新大学の法人化の検討案をお示ししております。
 なお、国と異なる検討案につきましては、都の考え方として表の右側に整理してございます。
 四ぺージをごらんくださいませ。都立四大学の教員数・職員数の推移等でございます。都立の四大学別に、上段の表では教員数、職員数を、下段の表では教員及び職員一人当たりの学生数を過去五年間の推移として一覧にしたものでございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○渡辺委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野島委員 何点かお伺いをいたします。
 この資料を拝見いたしまして、かつこの事業概要というのを見まして、わあ、なるほどなという感を持っておるんです。なるほどなというのは、実は、大学管理本部の事務事業というのはロジスティックな部分なもんですから、華々しさもそんなにないし、しかし、昭和二十四年に都立大ができて、時代の変遷を経て、いろいろな短大をつくったり、そういうことがあって、それを集大成して新しい形で、都立にふさわしい大学をつくっていこうということだろうと思うんですね。そういう意味では、本部長以下皆さんの本当に地道な努力に心から敬意を表したい、こんなふうに思っております。
 さて、これで見ますと、去年の十一月に東京都大学改革大綱を策定したわけであります。間もなく一年ということになろうかと思います。それから、今後のスケジュールということになりますと、新大学を平成十七年度をめどにつくっていきたいと。あと二年余りに迫っているわけであります。とりわけ、ことしの五月には都立新大学設立準備委員会を設置なされて、具体的な検討に入り、現在の法人化の検討状況というようなことで、本日資料も示されているのでありますけれども、この間の、私たちが直接的にかかわった条例というのは、保健科学大学の大学院修士課程ということなんですね。そういう意味では、極めて大きな事業でありながら、直接的に議論をする機会がなかなかないもんですから、現在、そんな検討状況がどう動いてきているのか、こんなところをひとつ、時系列的にでも結構でございますので、教えていただきたいと思います。

○菊地改革推進担当部長 昨年十一月の大学改革大綱策定以降、ことし五月には、学部のコース、大学院の専攻など、新大学の基本的な構成を取りまとめ、引き続き、新大学の設立に向けた検討準備組織として、都立新大学設立準備委員会を設立したところでございます。現在は、この準備委員会におきまして、新大学での基礎教養教育などの教育内容や入学者選抜の方法、大学の社会貢献としての産学公連携推進の仕組みなど、具体的な内容の検討を進めているところでございまして、これらの基本的な事項につきましては、おおむね今年度中に検討を完了させたいと考えています。
 また、この間も、実施できる改革から着実に取り組んでおりまして、大学の研究・技術シーズのインターネット上での公開、四大学の単位互換、四大学共同の公開講座や、都立高校生向けの特別講義としてサマーキャンパスなどを実施してまいりました。また、大綱に掲げました高度専門職業人養成のため、この四月には都立保健科学大学に大学院を開設し、第一期生を迎えており、さらに来年四月には、この都庁舎で、都立大学の大学院に経営学専攻、いわゆるビジネススクールを開設する予定でございます。

○野島委員 全体の流れの中で、まだこれから検討を完了させて、その段階でいろいろ質疑もあるでしょうし、私もしっかり勉強しなきゃいけないなとは思っております。
 そこで、去年の十二月の定例会だったのかしら、保健科学大学の修士課程のね、そのときの議論もいささか思い出しておるんですけれども、設置の目的が、いわば高度職業人を育成していかなきゃいけないと、時代の背景もあって、そういうことでございました。そのときに、こんな議論があったんです。現場で働いているよと、そういう社会人も受け入れて、現場の課題をより高度に研究、調査をする。身につけたそういうものを、現場にまたフィードバックするというふうな、リフレッシュ教育というのかな。僕らも、学校を卒業して、学校におるときには親から銭出してもらって遊んでいた。社会に出たら、お金をくれていろいろ教えてくれる。そうすると、社会で得たことを、もう一回大学に帰って勉強したいなという気持ちになるんです。時期を逸しちゃったし、その能力もないから、そのまま今日に至っておるのが実情でございますけどね。
 そんなことで、そのときに議論した中で、そういう目的を持ってといいましょうか、そういうことも視野に入れて大学院を、修士課程をつくるよ、こういう議論だったと思うんです。その実態、大学院生の一期生という表現でいいんですか、四月からいらっしゃるわけですけど、応募の実態をちょっと教えてほしいなと思うんです。皆さん、去年の四定で議論した部分と、もくろみが達せられたのかという表現はよくないけれども、その辺の最初のプログラミングと実態がどうであったか、そんなところを教えてほしいと思います。

○菊地改革推進担当部長 保健科学大学の大学院の四専攻合わせまして、募集人員三十名のところ応募者は九十七名でございました。そのうち約六五%に当たります六十三名が社会人特別選抜であり、合格者につきましても、三十六名中二十四名が、この社会人特別選抜からでございました。この結果は、実務経験に基づく問題意識を持つ社会人を受け入れるという本大学院の設置趣旨に合致しているものと考えています。また志願倍率も、看護学専攻の四・九二倍を最高に、四専攻平均でも三倍を上回るなど、志願状況もおおむね良好だったと考えています。

○野島委員 社会人から応募なさった方が比率的に大変多い。そういう意味では、去年のいろんな質疑の中での一定の目的が達せられた。倍率が高い、低いというのは、まだことしだけですから、一朝一夕に評価を急ぐ必要はないだろうというふうには思っております。
 さて、修士課程は二年間ということになるわけでありますね。それで、昨今、特にこういう医療、福祉関係というんですか、そういうところの技術革新もすさまじいし、そういう意味では、修士課程、それから博士課程というのがありますよね。博士課程はまだないわけですね、修士で二年間ということですから。その辺は、将来的にはどういうふうにお考えになっていかれるのか、その辺お聞かせいただけますか。

○菊地改革推進担当部長 ことし入学いたしました大学院の学生は、平成十六年三月に修士課程を修了する予定でございます。このため、これらの学生が引き続き博士課程に進級できるよう、十六年四月の設置に向けて現在検討を進めているところでございます。

○野島委員 学ぶ意欲があり、社会的な要請もあって、それにこたえていくということが、私は基本になると思うんです。そんなことでは、僕も実態はよくわかりませんけれども、その辺もぜひ積極的に検討を進めていっていただきたいと思いますし、前段申し上げたような部分がはっきりと検証できるんであれば、ぜひ実現をしていただきたいと思っています。
 いろんな大学が、いろんな研究機関だとか、あるいはさまざまな、ここでいえば民間のいろんな資本といいましょうか、資源とも連携していかなきゃいけない、これは当然のことだと思うんですけど、都立の大学として--例えば東京発医療改革、これは健康局の所管になってますわね。それから、ことしは病院経営本部を組織立てした。とりわけ病院経営本部の方は、東京都としてやる医療行政は行政的医療だという言葉を使っているんですね。すると、東京都がそういうことをやっていくに当たって、では、都立の大学が何をどうできるのかと。要するに局間連携以上のものですよね。恐らく後々の議論になるんでしょうけど、大学という独立行政法人をつくっていこうということでしょう、都立の今の大学を再編整備してね。だから、その辺はどういうふうに意識をなされていかれるのか。いわば東京都のやる健康施策、病院経営と、東京都が公費を突っ込んでやる大学経営とどう連携を図っていくのか。それ、一朝一夕にばあんとできないでしょうから、いろんな石を置きながら、効果も見定めながらということがあるんですが、その辺はどういうふうにお考えになっていくのか。

○菊地改革推進担当部長 ご指摘の医学系の試験研究機関とは、昨年度と今年度に二件の連携大学院協定を締結いたしまして、現在、教育研究所の相互交流を進めているところでございます。また、ことしから、都立病院等と連携いたしまして、看護管理職候補者を対象といたしました、学部レベルの看護管理講座を開講いたしました。
 ご指摘の東京発医療改革につきましても、医療の担い手の質的向上がそのまま医療の質的向上につながりますことや、東京に医療機関が集中していることから、東京の医療人材の高度化を図ることが、ひいては東京発医療改革、日本への影響を与えていくことと考えております。引き続き、教育現場と臨床現場の交流を深めながら、高度専門職業人の養成に努めてまいりたいと思います。

○野島委員 今のことは、前回の修士課程の設置に当たっての、ここまでの評価ということだろうと思います。今後なお一層そういう形で進めていただきたいと思うんですね。
 今回の大学改革のポイントは、一つには教育の改革、社会貢献、運営の革新というふうになっているんですね。特に、いわゆる独立行政法人化、都立の大学を法人化していこうということで進められてると思うんです。国においてもそういう意向がある。ここの資料にも、国との違いといいましょうか、運営あるいは人事制度、目標・評価、こんなことでいろいろ書いてあります。今後、年度内には大綱といいましょうか、大きな方向が示されて、ということのようです。それで、既に、大学の独立行政法人化には反対ですというふうに教職員組合が声明を発表したという新聞報道に接しております。いろいろ意見があって、それは大変いいことだというふうに思っております。それで、もちろん、こういう部分でいきますと、ここには、非公務員化は教職員の身分を不安定にし、学問の研究の自主的発展を阻害することになりますよというふうに書いてあるんですね。国立の大学法人化も、非公務員を選択していきたい。東京都も、非公務員の制度について積極的な検討を行うというふうになっているんですね。
 それで、人事の問題なんかでも、こんな議論が何カ月か前にあったですよね。一橋大の教授が、どこか民間会社の顧問だか何かになりたいと。公務員である以上、それは無理ですよ。じゃあ、どうするという議論がありました。いわば現場を体験しながら、学問の体系化をしていく。体系化された学問が、民間なり経営、それはたしか経営の絡みだったと思うんですが、そういうところで生かされるかどうか。こういうものというのは僕は非常に大事だと思うんですね。それがすなわち、今まで象牙の塔で研究だけしてりゃいいという--とはいい切りませんが、そういう大学像と違ったものになっていくだろうというふうに思うんです。
 私は私立なんですが、私がゼミで教わった先生は民間から来たんですよ。私立大学、民間ですけどね。何をやったかというと、その人は商事法務の専門家だったもんですから、株主対策、とりわけ特殊株主対策をどうやるかという話がほとんどなんですね。実情は余りわからないから、話としてはおもしろいなという感はしてましたけど、事ほどさように……。
 いろんな人材が教員になる、あるいは教員がある程度兼職を認められて、自分たちの体系化したものを社会に直接的に還元していくとか、私は、今日そういうことが必要だろうというふうに思うんです。そんなところから、法人化をしていくということのねらい、こんなふうなことをどうとらえているのか、そんなところをお伺いしていきたいと思います。

○久保調整担当部長 法人化につきましてのお尋ねでございますが、都といたしましては、大学における教育研究活動を活性化するという観点から、大学の自主的、自律的な運営、責任ある運営体制、人事や財務会計制度の弾力化などの実現と確立を可能にするような、都立の大学にふさわしい形での法人化を目指しているところでございます。委員ご指摘の非公務員化もその一環でございまして、特に大学教員が、学内である学外であるを問わず多彩な活動を展開し、先ほど例に挙げておられましたような一橋大学のN教授のようなジレンマに陥らないというようなことも、私どもの一つの改革の課題というふうに考えているところでございます。

○野島委員 法人化を十六年度に予定していると。国立の方もそういう動きでございます。ここで見ますと、国立大学法人、都立新大学、今現在の比較だというふうに思うんですね、都の方は検討中ですから。教職員の身分は非公務員、非公務員、学長の選考の仕方とか、いろいろあるんですが、決定的な違いというのはどこに求められるのか、その辺をひとつ教えていただけますか。

○久保調整担当部長 国立大学の法人化の考え方、まずご説明いたしますと、経営部門と教育研究部門を区分しつつも、学長が両部門を統括する責任者になるというものでございます。これに対しまして都立の大学の法人化では、やはり経営部門と教育研究部門とを区分した上で、それぞれに責任者を置くということにしている点が最も大きな相違点であろうかと考えております。

○野島委員 そうすると、国立大というのは、当然のことながら、その大宗を国費、国民の税金でやってますよ。都立の方は、その大宗を都費。これも当然公費ですね、都民の税金ですから。そういうふうになってるんですから、なぜ、都立のこれから目指す独立行政法人は、そういうふうに経営と教育研究を分離させていくんですよという立場に立つのか。そのメリットというか、物事すべて裏腹だと思うんですね。国立は国としての考え方、都では都としての考え方があると思いますので、東京都がそういう方向でいきたいというメリットみたいなものがどこにあるのか、教えていただけますか。

○久保調整担当部長 これからの大学法人の運営に当たりましては、大学の特性を踏まえながら、できる限り民間の経営感覚を導入していくということが求められるわけですが、こういった認識につきましては、国の場合であれ、都の場合であれ、同じものであるというふうに考えております。しかしながら、東京都におきましては、法人化によるメリットを最大限に発揮しつつ、経営責任と教育研究責任の所在を明確に区分していく。これが実は、都の財政支出で支えられる大学としてのアカウンタビリティーを果たすための前提ではないかというふうに考えたものでございます。
 また、現実論といたしまして、責任者につきましても、経営と教育研究の両面にわたって卓越した能力を持つ人材を得るということはなかなか得がたいことでございます。むしろ、それぞれの部門ごとにすぐれた能力、実績を持った方々は大変数多くいらっしゃいますので、その中からすぐれた人材を選んでお願いをするということが、大学法人の運営にとって最も効果的な手法ではないかというふうに考えた結果でございます。

○野島委員 正直なところ、まだ私も整理がつかないんですよ。整理がつかないで、一生懸命やってる皆さんに説明されると、なるほどなというふうに思うんですね。
 今の答弁の中で、都の財政支出によって支えられる大学のアカウンタビリティーを明確にしなくちゃ。要するに経営責任。これだけ金突っ込んでて、これだけの研究なりやってますよと。したがって、そのことのバランスシートというか、都の皆さんの税金を使ってることは、経営という視点から見れば明確にこういうことですよというふうにやっていきたい、こういうことでよろしいですか。--よければ、そういうことで理解をします。
 そこで、人材の問題は、これも僕、よくわかりません。たくさんの人がいるけれども、そういう形でやっていくのが望ましいのかなという気がするんですね。正直なところ、そんなところなんで、まことに申しわけないんですけど、いわばメリット、デメリットをそれぞれ持っているというふうに思うんです。だけど、東京都が、昭和二十四年の都立大に始まって五十三年。私が二十四年生まれで、ちょうど五十三ですから、五十三年の変革をしていく中で築き上げてきた一定の方向ですから、ぜひその実現に向けて--国も、これ、法律を改定するか何かしていかなきゃいけないのかな。ですから、その辺ひとつ積極的に取り組んでいただきたい。国と東京都が違ったっていいと思うんですよ。それで、それぞれが特色を発揮して経営にも当たっていくというのは当たり前の話で、そのことの方がむしろ、東京都はこれなんだという方向の方が、私は都民の理解を得られると思うし、アカウンタビリティーという意味でいけば、まさしくそこだろうというふうに思います。
 最後に、年に一回ぐらいしか、事務調査でこういう話題って出ないもんですから、本部長の決意を伺って、終わりにしたいと思います。

○鎌形大学管理本部長 今日の東京が、そして広くは我が国が置かれております現在の社会経済状況を踏まえて、そして将来展望をいたしますと、これから求められる人材の育成、さらには拡充すべき研究の分野だとか産業の活性化、生涯学習、さらなる社会貢献といったものなど、大学に期待される役割は大変大きなものがあるというふうに考えております。そこで、都立の大学がこうした期待にこたえていくためには、これまでのように国立の大学との横並び的なものではなくて、東京都が設置いたします大学として、先ほどご答弁申し上げましたように、自主的、自律的、さらにはその責任を持って運営できる新しい体制を構築することが不可欠だと、このように考えております。このため、これまでも繰り返し、設置者たる東京都が、その特性等、東京都の考えに基づいて定めることができる法制化、制度化というものを国に求めてきたところでございまして、国もそれなりに理解を示してきているところでございます。今後とも、その実現に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えております。よろしくお願いいたします。

○中嶋委員 引き続き、独立行政法人化について質問をいたします。若干ダブる部分があるかもしれませんが……。
 実は、大学改革は、四大学の統合と独立行政法人化が一番の重要なテーマなんですが、野島委員が今議論されましたけども、なかなか議論が表面化してまいりません。今後も継続的にどんな法人を目指すべきか、議論すべきテーマではありますが、何点かここで確認をしたい、こういう質問をさせていただきます。
 そこで、独立行政法人化自体には正反対の評価があります。これは、文部科学省の大学、主に国立大学の構造改革の方針についてという文書で、その中の大学の法人化、さまざま意義が書いてございます。例えば、欧米諸国では、国立大、州立大を含め大学には法人格が付与されているのが一般的であるが、日本は依然として国の行政組織の一部として位置づけられ、独立した法人格がないから、現行設置形態のもとでは改革に限界があると。したがって、文部科学大臣の広範な指揮監督の下に置かれ、大学みずからの権限と責任において運営に当たることに限界があって、なおかつ、組織、人事、予算面でさまざまに規制が残った結果、自由で濶達な教育研究ができない。そこで、法人化して--いいこといってるんですね。法人化は、大学の自律性を拡大し、すぐれた教育や研究の展開という、国立大学の本来の機能を充実するためのものでなければならず、その制度設計に当たっては、予算、組織、人事などの諸規制が大幅に緩和され、自己努力が報いられるという法人化のメリットを最大限に活用して大学改革を促進する、こういうふうに文部科学省はいっております。これは国立大学だけれども、公立、都立大の法人化も、違いはあるにしても、ほぼこれに沿って、大体こういう骨格で進むだろうと思いますから、あえて挙げたんですが、こっちは、文部科学省とは全く正反対の、国立大学独立行政法人化の諸問題と題するサイトから引っ張った文章。これは全く別なことが書いてございます。
 例えば、先ほど、民間の経営感覚の導入という答弁がございました。ところが、ここにはこう書いてある。国立大学を法人化すれば、大学の経営基盤が不安定化し、学長も構成員も、創意工夫に伴うリスクがとれず萎縮してしまう。それから、経営責任と教育責任の両方にアカウンタビリティーを負うんだという答弁があった。その経営責任というのは、いってみれば即効的な成果を求める立場。つまり、経営のバランスだとか収益性だとか、そういう効率性ですわな。それから、教育責任というのはどちらかというと、効率性とか経済性とは違った、もうちょっと成果の出るのが遅い、いわば学問の本質的な成果となるわけです。これ、両方同時に満足するのは極めて無理だと、こういってる部分が実はあるんです。例えば、政府による大学の直接的コントロール。この政府を東京都と見てもいいし、地域と見てもいいわけだけれども、大学の直接的コントロール強化や、財界、産業界からの使途限定出資--これは、いい方によるんだね--への依存度増大がもたらす教育研究活動の寡占化、矮小化が始まるなんてこともここに書いてあるんです。そうすると、一体どっちが本当なんだと。両方調べると、よくわからなくなってしまうんですね。
 さらに、これはある国立大学の大学院に行ってる人物の論文らしいんですが、効率化の達成状況は芳しくない。独立行政法人は改廃の対象とされてしまう。それが法律で決められる。逆に、独立採算性への移行が可能になった場合には、民営化への圧力がさらに強まってしまう。だから、どっちにしても都立大学は、今の形態とは全く違う、改廃か、あるいは完璧な民営化に行かざるを得ないというふうに読めなくもないわけです、あえて都立大学に当てはめればね。さらに、こんなことも書いてあるんです。結局、政府は、独立行政法人に移行させる組織の職員数は国家公務員を削減したものとみなす、こうしている。したがって、いわば定数隠しの一つの手段なんだと。それにしかすぎない。
 非公務員化というのは、こういう観点から眺めると、いろんな問題が出てきてしまう。つまり、文部科学省の独立行政法人化に対するスタンスと、それに批判を加えるスタンス、今、両方議論が飛び交っております、まだ余り表面化しておりませんが。じゃあ、一体、東京の大学管理本部はどんな認識で、どんな方向性を持って法人化を進めようとしているのか。その方向性についての認識をまずお示し願いたいと思うんです。これは確かに、一つのことをどんな形でも議論できますから、いいっ放しになるおそれは十分ありますが、しかし、姿勢として、目指す方針として明確なものを我々は知りたいと思います。どういう方向を向いて進むんですか。

○久保調整担当部長 ただいま理事ご指摘のように、この問題につきましては、我が国に大学制度が導入されて以来の大改革ではないかというふうに認識しております。したがいまして、当然、賛否両論、いろいろな立場からの意見が飛び交うということは、我が国の言論にとってもむしろ正常なことではないかというふうに思っております。ただ、その上で私どもも、やはり改革を進めたいという志は一にするものでございますから、いうべきことは主張していきたいという立場でご答弁申し上げたいと思います。
 私どもは今回、大学を法人化する主たる目的の一つといたしまして、これまでも行ってきました大学の諸活動に対する大幅な規制緩和と、大学自身の裁量権を拡大したいということをねらいとしているものでございます。もう少し具体的に申し上げますと、組織、人事、財務などの面において大学が自主的に決定できる範囲を広げ、大学として力を入れるべき分野に、大学みずからが資金や人員を機動的、重点的に配分することを可能にしたいというものでございます。それによりまして、大学や教職員が持っている能力を十二分に発揮させることにもつながるし、このような方向で進めば、法人化のメリットとして最大に生きていくのではないかというふうに考えているところでございます。

○中嶋委員 要するに、規制緩和と裁量権の拡大だと。ところが、規制緩和というのはいってみれば、乱暴にいえば、冬の荒海に大学をおっぽり出すという話になるし、裁量権の拡大というのは、もしも失敗したら自己責任であると。非常にシビアな話になる。そこで今度は、経営責任と教育責任の相克みたいなことから始まって、じゃあ、最終的に一体だれが責任とるのかというふうに発展しちゃうわけだけれども、その前に、どっちにしても成功してもらいたいと僕は思っています。規制緩和と裁量権の拡大によって、都立大学のさらなる活性化にぜひともつなげてもらいたいと思っておりますが、そうなると、規制が緩和され、裁量権が拡大されればされるほど、実は教職員のモチーフ、あるいは意欲をさらに高めていく必要が、これは断じてございます。これがなくなったら、もうおしまいですから。大体、この間の文部科学省の選考で漏れてしまった、あれ、各決ではいいましたけれども、あんな恥ずかしい結果を出してるような教職員じゃ、とてもこんな大きな改革には立ち向かうことはできないと僕は思ってますから、今の教職員をはるかに上回る意欲とモチーフを持たせるためには、人事制度は大事になります。ところが資料を見ると、教員の人事については、適正な資源配分を行うとか、あるいはルールを適切に定めるとか、教職員の業績等を適切に反映させる。だけど、問題は、何が適切か、何が適正かということが大事なんで、そういうことが問われてるのに、適切にやりますよといわれちゃってるんじゃ、これは答えにも何にもならないんで、これ読んでも、人事制度の中身は全然わかりません。大学改革を成功させるため、職員のモチーフを高めるための人事制度、どうあるべきと考えていらっしゃるのか、次に教えてもらいたいと思います。

○久保調整担当部長 法人化後の人事制度につきましては、教育研究や大学運営を活性化するという観点から改革を行おうと思っておりまして、その方向で検討しているところでございます。そのねらいと改革の方向をもう少し具体的に申し上げますと、第一に、非公務員化することによりまして、大学教員が学内、学外を問わず多彩な活動を展開し、その能力を十分発揮させられるようにすることであります。これは、先ほど野島委員のご質問の際にもお答えいたしましたように、兼業・兼職規制を緩和するなどしまして、産学公連携を初め、地域社会に貢献する教員の学外活動を促進することにもつながるというふうに考えているわけでございます。
 また、第二には、適任者の幅広い登用が可能となるよう、教員の任期制や公募制の採用を積極的に導入したいというふうに考えていることでございます。これによりまして、例えば、従来の終身雇用等を前提とする制度のもとでは困難でありました、いわば世界的な研究者を短期間招聘することも制度的には可能になると思っております。
 さらに、第三には、中嶋理事のご質問の核心でございますが、業績に対する厳正かつ的確な評価システムの導入と、これに対するインセンティブの付与を通じまして、大学の教育、研究、社会貢献活動を活性することでございます。具体的に申し上げますと、業績と処遇を連動させることによりまして、よりすぐれた人材を確保したい。あるいは、それをインセンティブとして、教員が持っている潜在的な能力を発揮させる。あるいは、みずからの研究成果を社会や産業界に還元しようとする意欲を喚起することができるようにする。こういったことができるのではないかと考えているものでございます。

○中嶋委員 さっきも答弁にありましたが、一橋大学の何といいましたっけ、あんなばかなことは二度と起こすべきじゃありませんし、それよりも、ノーベル賞の田中さん、今、あちこちで引っ張りだこらしいですね。おっ取り刀で東北大学が名誉教授か何か贈ったんでしょう。これもちょっとみっともない話だよね、それはいいんだけれども。例えば、あんな人を呼ぶとかできれば、これは最高にすばらしいと思いますから、これは評価いたします。
 ただし問題は、例えば、非公務員化、任期制、公募制の導入、業績評価と、三つ分けて人事制度のあり方の答弁をなさいましたけれども、一つ一つ見ていきますと、まず第一に、非公務員化ということには、さっき、人事というのは教職員のモチーフを高めるためにあらねばならぬといったはずですね。ところが、非公務員化することによって、非常に不安とか出てくることが予想されるわけです、立場がなくなると。で、国もそうですけれども、あえて非公務員化。それは、法人になるんだから、当然非公務員だといっちゃえばおしまいなんだけれども、非公務員化ということを人事制度の頭に持ってきて、そこに突き進むのか、そのメリット。それから、多分、不安の一番大きな点は身分保障、それから退職金、年金面で今に比べて不利になりはしないかという抵抗が予想されます。これはクリアしないと、職員のモチーフを拡大することにはとてもつながりません。この辺いかにお考えか。非公務員化することのメリットと処遇の面での考え方。

○久保調整担当部長 最初にメリットの点でございますが、都におきましては、教職員の多彩な活動を可能とするためには、先ほど来、例で出ておりますように、公務員であるための諸規制にとらわれない弾力的な人事制度を採用することが望ましいという理由で、現在、非公務員型の採用を前提とした検討を進めているところでございます。このことは、国における検討に当たりましても共通する観点でございまして、まず、公務員法の考え方にとらわれない、つまり柔軟で弾力的な雇用形態や給与、勤務時間等の勤務条件を考えることができるという点。それから、兼業、兼職につきましても、社会の要請や大学としての方針に基づいて適切に対応することができるようになること。そして三番目といたしましては、これは珍しいケースになるかもしれませんが、すぐれた教育研究能力を有する外国人の方を学長や学部長などの管理職に登用する、こういう一つの売り物をつくることができる。こういったことが長所として挙げられているわけでございまして、これらの長所をどうやって本当に伸ばしていくことができるのか。伸ばしていくことができれば、これはメリットになるだろうということで、私ども、検討を進めているところでございます。
 その反面は、理事ご指摘のように、一定の不安もあるということでございます。特に、お尋ねの身分保障につきましての問題もございます。こちらにつきましては、今までの身分保障、従来の法律、条例等による身分保障にかわりまして、法人として制定いたします就業規則等において、休職あるいは退職、定年その他の事項を規定することになるわけでございます。ただ、その場合、当然のことながら、労働法制における規制、そして保障は働くことになりますので、問題は特段生じないものというふうに考えているところでございます。
 また、不安の別の側面でございます医療保険の問題、年金、退職手当等の扱いという問題があるわけでございますが、これにつきましても、独立行政法人化した後の職員につきましては、引き続き公務員であったときと同様の扱いとなるよう、国においては必要な法的措置を講じるということを検討していると聞いております。私ども都といたしましても、公立大学の教職員が同様の扱いとなるよう、国に法的な措置を強く要求してまいる所存でございます。

○中嶋委員 途中で、長所を指摘することはできるが、しかし、それは、その要素を伸ばさなければ長所にならないという答弁がありました。まさにそのとおりなんで、冒頭述べたとおり、一つの法人化でも、左右両極端に評価が分かれるわけですから、今、管理本部が考えていらっしゃる法人化のメリットは、引き伸ばす努力をぜひ継続的にお願いしたいと思います。
 三点目の人事の任期制のメリットは、先ほど答弁がございました。例えば優秀な海外の研究者の招聘等もできるし、あるいは企業経営者なども時には任期を定めて招聘して、その経営能力を大学の活性化に生かすことができる。この任期制のメリットは十二分に認められますが、これも同じく、反面不安があります。つまり、任期制のために、やっぱり長期の安定した雇用が保てないのではないか、こんな声もあると聞いておりますが、この辺はいかがなんですか。

○久保調整担当部長 ただいまご指摘がございました任期制の長所につきましては、理事ご指摘のとおりでございますので、あえて繰り返しませんが、その反面の不安という部分でのご指摘でございます。これにつきましては、私どもといたしましては、むしろ適切な行政評価を行う。この適切についてもう少し明確にしろというのは別にさせていただきまして、こういった業績評価を行うとともに、質の高い教育研究の業績に対しましては、それに見合った処遇を確保する仕組みをつくりまして、それを通じまして優秀な人材を確保することが可能になるのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。
 また、任期制をとって任期が満了した場合でも、当該教員が期待された能力を発揮している限り、雇用契約を更新するなど実質的な長期雇用を維持しつつ、他方で年俸制等の優遇された処遇を受けることも可能になる、こういうことを現在考えておりまして、こういうことを通じまして、任期制に伴う不安の払拭ということを、これから先、十分検討してまいりたいと思っております。

○中嶋委員 優秀な業績を残していれば、雇用契約の更新も十分考えられるし、年俸制で優遇措置も考える、こうおっしゃったわけですね。そうすると、独立行政法人化に反対するグループというのは、教育の現場に競争原理、市場原理を持ち込むのはおかしいといういい方をしているんです。で、古い、僕も昭和二十四年生まれで、もう立派な中年でございますが、我々が学生時代、あるいはそのちょっと前までは、大学の自治というとアンタッチャブルだったんですね。ところが、それに甘えて、知性も教養も知識も能力もない学生が勝手なことやって学校を壊してしまったということも実は幾つかございました。
 それで、競争原理が入ってくる、あるいは市場原理が一定程度導入される、僕はこれは必要だと思いますが、必ず反論が出てきます。それは、大学の自治とか、あるいはさっきいいました、ここにも出てくる、即効的効果と遅効的効果のせめぎ合いです。競争原理を取り入れた。で、一番大事なのは評価です。その評価が正確かどうか。あるいはまた、評価は分かれます。効率性に主眼を置いた評価か、あるいは、具体的な効果は出なくても、しかし、基礎研究分野、あるいは地道な教育分野で、この人はよく頑張ったと。この両方の評価というのはなかなか合致しないんです。こういう矛盾が出てくるわけです。したがって、その人間の業績を評価する、適切にやるとおっしゃいました。まさに適切にやるために、何かの仕組みが不可欠です。この仕組みを実は今から考えておいていただきたい。検討の現状をぜひお聞かせ願いたいと思います。

○久保調整担当部長 業績評価は、教育、研究、さらには産学公連携活動を初めといたします社会貢献の各分野につきまして、大学教員に求められる役割を踏まえ、それぞれの教員が果たした活動の成果を多面的かつ客観的に評価できる仕組みにしたいと考えております。こういう意味での総論的な部分は、現在、方向として出しているわけでございます。しかし、理事ご指摘のとおり、具体的な評価項目や、その基準を含めまして、客観的かつ合理的な評価の仕組みをつくることは大変重要な課題でございます。したがいまして、詳細につきましては、今後さらに、さまざまな方々のご意見や諸外国における業績評価の仕組みなども参考にしながら、納得のいただけるような方法でまとめるべく検討してまいりたいと考えております。

○中嶋委員 さっきいっておきながら、自分で適切という言葉を使うのは……。適切な評価のシステムを考えてください。
 ノーベル財団が田中さんを選んだのは大したもんですよ。そういう眼をぜひ持っていただきたいというふうに思います。先ほど、野島委員の質疑を聞いておりました。しみじみ改めて実感しましたよ。たとえ法人化しようとも、東京都が大学を保有するのは、これは意味がありますよ。語弊を恐れずにあえていえば、使い勝手のいい大学、大都市として使い勝手の、利用価値の高い大学を持っているということは、行政的にも意味があります。そういう大学にぜひしていただきたい。四大学の統合と法人化に向けて、さまざまに議論が分かれているからこそ、実は鎌形本部長の決意、最後に必ず局長の決意を聞くのは定型で、余り聞きたくないんだけど、やっぱりトップの決意が必要になるんですよね。こういう評価の分かれる行政法人化に関して、大学管理本部はこう臨むんだという最後の確認を、本部長からお伺いしたいと思います。

○鎌形大学管理本部長 今回行っております大学改革というのは、先ほど来お話が出ておりますように、教育だとか研究、社会貢献、さらには運営体制の刷新ということでございまして、都立の大学としてのあり方そのもの、社会の変革を踏まえて、抜本的な改革、見直しを行うということでございまして、ただいま挙げましたようなことは、新しい大学をつくっていく上でいずれも極めて重要な課題というふうに考えております。
 しかし、こうした課題に取り組んでいくためには、何よりも大学の最大の資産といいますか財産でございます教員一人一人が、大学の果たすべき役割を理解し合っていただいて、その能力を最大限に発揮でき、また、我々も最大限に活用できる仕組みをどのようにつくり上げていくかということにかかっていると思っております。今後も、本部と大学教員が一体となりまして、こうした課題の解決に取り組みまして、十七年四月には、二十一世紀にふさわしい新しい都立の大学として発足できるように、準備万端進めてまいる所存でございます。

○曽根委員 もう既にお二方質問されておりますので、その流れの中で、できるだけ簡潔にやりたいと思うんです。
 今、お話を聞いていて、例えば、非公務員化問題でも賛成、反対論があると紹介されて、今、久保さんがお答えになった内容だったら、相変わらず反対論がそれなりに根拠を持って、また反論が出るだろうと。最後は、それをまとめられるような適切な方法をということで、適切で逃げられるということで、最終的な結論が出るまで、こういう議論の繰り返しをやっていたんでは、やっぱり本当の意味での改革論議にならないというふうに思うんです。その観点からちょっと申し上げたいんですけど、一つは、都立の大学ですから、改革ならば、最終的には都民の負託にこたえられるものにしなければならない。そういう点で、現在、何をどう検討しているかについて、都民がほとんどわからない状態で進んでいるということがあれば、これは大問題ですよ。ところが、昨年十一月に大綱発表以来もう一年になりますけれども、保健科学大学院とかビジネススクールとか、個々の事業の報告や議案はありましたが、都立の大学の改革の全体像がどうなっているのかについては、五月にペーパーが二枚出ただけですよね。これも委員会には報告されてません。議論もしてません。それで、例えば、四月まで法人化の検討の小委員会が行われていたわけですけど、それが設立準備委員会にどう引き継がれたのか。その節目があったわけですから、議会に報告があってもいいんだけど、なかった。
 それから、もう一つ非常に重大だなと思ったのは、四月までは、少なくとも大学の中では、この検討小委員会に出席していた各大学の代表の先生方が詳細の報告のメモをつくったり、検討委員会の資料はすべて学内でインターネットで公開していた。私たちものぞこうと思えばのぞくことができたわけです。ところが、その後、五月に設立準備委員会が始まってからは、この法人化問題を初めとして、ほとんど資料が出てこない。だから、職員や教員の方々も検討のあれに参加できなくなったという声が聞かれるんです。私は、すべてとはいいませんが、少なくとも学内で、当事者である大学の先生や職員の方、学生さん、そういう人たちを含めて、準備委員会でやっている議論の記録や資料については全面的に公開すべきじゃないかと思うんですけど、いかがですか。

○菊地改革推進担当部長 大学改革の検討状況でございますが、昨年発表いたしました大学改革大綱は、改革の全体像をお示ししたものでございます。現在、四大学と大学管理本部で構成する都立新大学設立準備委員会のもとに、さまざまな分科会を設けまして、教育課程や入学者選抜など、大綱に掲げました基本的な計画の具体化を図るため、専門的な検討を進めています。各大学の教職員に対しましては、その過程や、この準備委員会などの開催の機会ごとに、必要な情報を明らかにしているところでございます。
 また、都民に対しましても、昨年の大学改革基本方針、大学改革大綱のほか、本年五月には新大学の基本構成を、七月にはチャレンジ入試、ゼミナール入試、九月にはビジネススクールの検討状況などと逐次公表してまいりました。さらに、運営諮問会議の議論につきましても、委員からの主なご意見等を開催の都度明らかにしているところでございます。
 現在、設立準備委員会におきましては、教育研究の実施方法等に関する専門的かつ内部的な検討を進めておりまして、今後とも、検討の進捗状況を勘案しながら、一定の取りまとめができる段階ごとに、都民にもわかりやすく明らかにしてまいります。

○曽根委員 ちょっと確認しておきたいんですけど、今、必要な資料を出していると。さっきは、適切なものをつくると。適切とか必要というのは、大学の管理本部の側で判断してると思うんですけど、じゃ、なぜ全部公開できないんですか。四月まで、検討委員会、小委員会では、出された資料は全部、先生方が学内で公開していたわけですよ。だから、多くの都民の人たちも見ようと思えば見れたわけです。それが今できなくなっちゃってるわけですよ。なぜ隠す必要があるんですか。

○菊地改革推進担当部長 先ほど申し上げましたが、現在の検討は、設立準備委員会等の中での分科会の専門的、内部的な検討、かなり技術的なものでございますが、この設立準備委員会を初め、このもとに置かれましたさまざまな分科会等の資料につきましては、可能な限り学内には公開しており、また、大学改革に関する有識者ヒアリング等につきましても、大学の教職員の自由な参加を得ているところでございます。一方、検討が緒についたばかりで、案としても未成熟な資料や、学内に公開することによって、かえって誤解を招くおそれのある資料などにつきましては、むしろ混乱を避けるためにも、会議に参加している教員の了解を得ながら、公開を差し控えていく責任もあると考えております。今後とも、学内に対しましては、可能な限り必要な資料の公開に努めていく考えでございます。

○曽根委員 私、そういう発想が、最終的にはやっぱり誤解を招くことになると思うんですよ。ですから、今までもやってきて、大きな支障があったのならともかく、私ははっきりいって、そういうふうにオープンに議論しようという努力をしてきた検討小委員会の先生方、今度の設立準備委員会になってからは、そういうことをやる人を排除したんじゃないかと思うんですよ。そうすると、もう、技術的なことだとか、必要ないからとか、これは誤解を招くとかいうことで、管理本部の側がシャットアウトして、要するに情報を隠してしまう。そうすると、都民から見ればますます何をやっているんだろうかということになるんですね。四月までは支障なかったんですから、すべてオープンに、少なくとも当事者の学内についてはちゃんとオープンにして議論してやるべきだということを私は申し上げておきたい。
 そして、都民周知でこういった議論をすべきだという立場でいうと、聞こえてくるのは、組合の方の資料によると、結論として、先生は一八・六%削減しますというようなことが具体的にもう提案されている。我々には知らされていない。それから、キャンパスは、きょうの資料で見ると、現都立大学にほとんど集中するだろうということになっている。短大、夜間は廃止される。研究費も、かつての六割まで落ちてるんですけど、さらに減らされる可能性が強い。改革というからには、もっと夢や希望が出てくるのかと思えば、聞こえてくるのは、どうも統廃合、夜間、短大を廃止、キャンパスも縮めて教職員も減らすという話ばっかりなんですよ。ですから、これでは、将来こういう大学を、イメージとしても、中身としてもつくります、そのためにこうなんだというんじゃなくて、とにかく人、物、金を削るという話が先行して聞こえてしまうという点でも、私、この推進の側に立って考えても、非常に下手なやり方だなというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 それで、今年度いっぱいで何らかのまとめをするというお話がさっきちょっとありましたが、はっきりいって、それの内容を、例えば予算議会の中でとか、我々に報告をし、また都民にわかるような形で、何らかのビジョンなり構想なりを具体的なものとして出す用意があるんですか。

○菊地改革推進担当部長 今、議員ご指摘の人員等の関係でございますが、これらは、具体的な検討の前提といたしまして、大学管理本部としての予算や人員を要求していくための案でございまして、今後、議会での予算審議などを経て決定される性質のものであると考えております。また、大綱にも既にお示ししてあるとおり、新大学におきましては、確かに夜間課程及び短期大学課程は置かないこととする一方で、ビジネススクール、法科大学院を初めとした新たな取り組みを考えております。また、新大学の教員定数につきましては、適切なスクラップ・アンド・ビルドと教育研究の維持発展を勘案の上、適切に定めていく必要があると考えております。

○曽根委員 ちょっと答弁、いろいろ考えていくというのはいいんですけど、それをまとめた形で、例えば予算審議するには、こういうものをつくるので予算を通してくださいという話になるわけですよね。そういった何らかの、今年度いっぱいでまとめたものの結果を、我々に見える形で報告するとか、都民に具体的なものとして出すとか、何か用意があるんですか。

○菊地改革推進担当部長 これまでも、検討の節目節目におきまして、まとめたものを作成しておりますし、そのような形でまた取り組んでまいりたいと考えております。

○曽根委員 大学の構想全体については何か出すんですか。

○菊地改革推進担当部長 昨年出しました改革大綱におきましては、全体の基本的な計画を出してきたところでございますが、さらに具体化したものを作成してまいる考えでございます。

○曽根委員 いつごろ出すんですか。

○飯塚管理部長 今の委員のご質問でございますが、予算等につきましては予算審議の中で十分ご議論いただきたいと思っておりますし、また、新しい大学についてまとめましたものについては、できるだけ早く新大学の全体の募集概要のようなものとしてまとめるつもりでおります。なるべく早い段階で年度内にお示ししていきたいと思っております。

○曽根委員 募集概要なので、十七年度開設だから、十六年度ぐらいになっちゃうかと思ったら、年度内ということで……。

○飯塚管理部長 今、募集概要と申しましたが、大変失礼いたしました。募集概要となりますとかなり詳細になりますが、入試の概要全体像でございます。例えば、どういう基本的な構成の学部であるとか、何名程度募集するとか、そういう全体の概要でございます。大変失礼いたしました。

○曽根委員 最初から大学現場の先生方や学生や、そういう方々の声が十分聞かれたという話もなかったし、また、都民共通の財産であるにもかかわらず、インターネットではご意見伺いますと出てるけれども、都民の要望や意見を広く集約していこうというような、例えば調査活動だとかアンケートとかいうことも聞きませんし、いってみれば、具体的なことは、知事や、または少数の諮問委員の方や都庁の方でいろいろとまとめてきた。そういうことで大綱がつくられて、しかし、その後の議論はなかなか表に出せないと。いってみれば、今、そういうやり方のツケが回ってると思うんですよ。はっきりいって、都民から本当に魅力的に見られて期待が集まっているという状況じゃないと思うんですよ。例えば全寮制の問題だとか、それから、諮問会議でも、聞くところによると、戦前の旧制中学がよかった、ああいうような場にしたいみたいな話が出てみたり、都民が本当に期待して、これはいいことだと求めているものとは違うんじゃないかというようなものが出てきて、それに振り回される。大綱にも全寮制と出てますけど、あれ、どうなるのか。私は、こういうやり方を本当に改めて、前から繰り返しいってますけれども、例えば都民参加、そういった関係の専門家も参加できる公開のシンポジウムとか、そういったものをやって、いろんな意見を集めるという努力もあってしかるべきだと思うんですよ。検討するというような話だったんですが、いかがですか。

○菊地改革推進担当部長 大学改革の検討に当たりましては、初期の段階でも、学生の意見を聞く会、また教職員の意見を聞く会等を、十二年、十三年、十四年と回数を重ねております。また、これまでの議会でのご議論はもちろんのこと、都民からのご意見、都政モニターや企業を対象にいたしましたアンケート結果、外部有識者から成る運営諮問会議の意見などを踏まえまして、都立の四大学の教職員等で構成する大学改革推進会議での検討を経て、昨年十一月に大学改革大綱として計画を策定し、公表させていただいたところでございます。
 現在は、この大綱の基本計画に基づきまして、四大学の教員とともに、教育研究の実施内容の設計など専門的検討及び実施作業を進めているところでございますが、既に五月以降八十回以上の検討会議を重ねております。これも全部、教職員と一緒に検討を重ねているものでございます。現段階での大学改革に関するシンポジウム等の開催については考えていませんが、都民を対象といたしました教育研究のテーマ別の講座、セミナーや中小企業等の参加も得た大学のシーズマッチング交流会などの機会を通じまして、都民の方々の新大学へのご理解、ご意見をいただいているところでございます。今後とも、それぞれの場面、目的に沿った効果的な方法を考えてまいります。

○曽根委員 何かいろいろ数を並べたんですけれども、大学改革の全体像そのものについての公開的なものは今のところないということなんで、改めて検討を求めておきたいと思うんです。
 それで、あともう少し、具体的な問題についても幾つか聞きたいんですが、一つは、先ほども質問がありましたが、国の法人化と違う道を歩もうとしているだけじゃなくて、私が聞きましたところ、五月に出された公立大学の協会、この第三次試案というところでも、また、八月の公立大学協会の申し合わせですか、の中でも、いずれも、公立大学の法人化は国立大学のそれをモデルにするというふうにされていまして、都立のように、法人の中で経営と教育研究の長を分離する方向はとっていないわけです。そういう点では、全国の公立大学協会でさえ、もちろんこれは法人化の推進の立場ですが、経営と教育研究の責任者が分離するのは好ましくない、国の方向で行くべきだとしているときに、法制化との関係でも、東京都が突出して、いわば異質な道を歩むということで、法整備上の問題はないんですか。それから、こういうことをやった場合に、教職員が本当に都立の方に、いわば求めて来るというふうになるんでしょうか。

○久保調整担当部長 まず、ご指摘の公立大学協会のご意見でございますが、これは委員ご指摘の資料でございます。公立大学等に関する懇談会資料というところでお話を申し上げますと、各公立大学の法人化に当たりましては、国立大学法人をモデルとすることを試行しつつも、その運営組織につきましては全国画一的な制度を義務づけるのではなく、各設置者や公立大学が、それぞれの地域ごとの多様な性格に最もふさわしい運営形態を選択できるメニュー方式を採用すべきであるとしております。
 また、公立大学の設置者で構成いたします全国公立大学設置団体協議会におきましても、国立大学法人型の形態にとどまらず、公立大学を設置する各自治体の考え方に基づき多様な設置形態が可能になるよう、国に公式に要請しているところでございます。
 また、もう一点ご懸念の教員の異動についてでございますが、私どもも、これを妨げるような内容の改革をするわけではございません。教員の採用に当たりましては、公募制を原則とするなど、むしろ現在以上に適切な人事交流が進むことを目指しているところでございます。

○曽根委員 そういうふうに、東京都は東京都らしくというのは、いいことをやるときはいいんですよ。しかし、これが本当に教職員の、特にまじめに頑張ろうという人たちを引きつける力になるのかどうかですよ。経営の長と教育研究の長を分離するということは、先生方、研究や教育を担っている方々が、直接はお金を握れないということなんですよね、単純にいえば。それは知事の意向、知事が任命する経営の長によっていわば采配される、それに従わなきゃならないという大きな問題が起きますよ。そういう点では、ほかの大学に比べて都立大が、教育研究者の側から見て魅力的になるかどうかというのは、根本問題としては難しいと思うんです。
 それから、もう一つ、非公務員化という問題がありますよね。これについて、先ほども、兼職ができるようになるとか、学内外での多彩な活動が活発にできるんだとかおっしゃったんだけど、じゃ、大学管理本部として、今、都立大学で頑張ってる先生方、多くの方には残ってもらいたいと思うと思うんですけど、そういう教職員の人たちに、こういう方針を受けて何らかの意向調査をやったのかどうか。そして、還元しているのか。特に、まじめに腰を据えて研究や教育に打ち込もうという先生方が、この非公務員化を受け入れようという方向になっているんですか。

○久保調整担当部長 この非公務員型の採用の問題は、既に大学改革大綱の中で検討する趣旨を示しておりまして、現在、これを受けまして、その詳細を大学教員とともに検討しているところでございます。この非公務員型を採用することにつきましては、何分にも大学教員の方々にとっても経験のないことであり、戸惑いもあるものと思われます。もちろん賛成する教員の方もいらっしゃいますし、戸惑いを示す方もいらっしゃるということを私どもも承知の上の改革でございます。しかし、先ほど来ご説明してきましたメリットを考えれば、この採用は、国立大学を含めまして、いわば社会と時代の要請であり、今後、詳細な制度設計の段階で教員の方々とも十分に協議をしていくことで理解していただけるものと考えております。
〔発言する者あり〕

○曽根委員 今お話がちょっとありましたが、私立大学では既に教職員は非公務員でやってるわけです。経験はもちろん国立大学の先生方にないんだけど、私立大学では既にやられていて、それなりに歴史があるわけですよ。もちろん、かなり共通の部分もありますが、はっきりいって、私立大学の教職員の置かれている身分や立場は、国立大学の先生方から見ると、やっぱり学問研究に、後でちょっといいますが、本当の意味で公立大学が担わなきゃならない、基礎的、基本的なものをベースにした学問研究、今、産業にすぐに役立たないとしても、将来大きく社会に貢献できる、そういう展望を持った、長期的視野に立った研究などができにくいということははっきりしていますよ。私の子どもも某私立大学に行ってますけど、はっきりいって、大学院に行ったけれども、企業の委託研究の下請をやらされる。それで、ちゃんと名前を出しますということで、ある研究の一定の部分を担うんだけれども、約束違反で、論文の中に名前も出ないと。そういったことが繰り返されているんですよ、私立では。私、やっぱり公立と私立の差は歴然としてあると思うんです。この点はもう少し今後も議論していきますが、そういう点で、私はやっぱり、公立の大学である以上、そこで働く教職員が公務員であるのは当然だという立場に立って、これからも議論していきたいと思います。
 もう一つ、学生の問題なんですが、大綱で全く触れられていない入学料や授業料の問題です。これは、学生にとっては教育の内容と同じぐらい重要な負担の問題になります。それで、授業料はどういうふうに考えていこうとしているのか。法人化した場合は、今までのように国の横並びではもうできないわけで、どういう設定になるのか、考え方があったらお示しください。

○久保調整担当部長 平成十七年四月に新大学が発足いたしますが、その時点での入学金、授業料等につきましては、今後、都の内部でも検討すべき課題ではございますが、遅くとも、新大学の募集要項を配布する平成十六年四月ごろまでには決定したいというふうに考えております。
 また、新しい法人が発足した後は、法人が検討することが基本ではございますが、その際には、妥当な受益者負担の水準、法人の財政状況、設置者である都や都議会のお考えなども反映させつつ、適正な授業料等の額を決定する必要があると考えているところでございます。この点につきましては、新しい法人制度の検討の中で、具体的にどのように決定すべきかの議論を尽くしてまいりたいというふうに私どもは考えているところでございます。

○曽根委員 今まで国の横並びできたわけですよね、かつては独自の基準がありましたけど。今度はそうはいかないで、一定の基準を設ける必要がありますよね。私はこの際提案しておきたいんですけど、やっぱり都民に魅力ある改革、学生、院生、優秀な人材を集めるという点でいえば、極めて単純ですが、わかりやすい方法がある。それは、他の公立よりも学費を下げることなんですよ。そうしたら本当に、例えば院生なんか、どれだけ優秀な人材を集めるかという点は、これは都立大学の先生方も口をそろえていうんですけど、全国から集まりますよ、きちっと低廉な学費で募集をかければ。本当に公立大学としては最も有効なんで、全寮制なんかにする、数百億これにかけるんだったら、こういうやり方でこそ都民に魅力をアピールすべきだと。これは提案をしておきます。
 最後にもう一点だけ。ビジネススクール、来春、開くわけですよね。対象として、大学卒で現在働いている人などが通いやすい形を考えていると思うんですが、そういう点でやっぱり都庁を選んだと。これは利便性を重視したということで、コンセプトとしては、実業界にいる、実業で働いている方々が受けられるようなという形を考えたんですか。

○久保調整担当部長 都立のビジネススクールについてのお尋ねでございますが、このビジネススクールは、これまで研究者養成を目的とした大学院とは若干目的を異にいたしておりまして、いわば高度専門職業人の養成を目的とした大学院として考えているものでございます。また、こういったビジネススクールは、近年、他の大学においても、都心部を中心に開設、または開設を予定しておりまして、ビジネススクールをめぐる競争が今後さらに激化することが予想される状況にある、こういう中での船出でございます。したがいまして、ビジネススクールの立地条件は、その成否のポイントの一つになると考えております。こういった二つの要素を勘案した上で、対象及びキャンパスの場所を決定したものでございまして、その主な対象を、文系、理系にとらわれず、将来のビジネスリーダーを目指すビジネスマンや起業家、いわゆるアントレプレナーを志す方々などの社会人とし、都庁をサテライトキャンパスとして開校することにしたものでございます。

○曽根委員 横文字いっぱい出たんで笑っちゃったんですけど、結構ですよ、ビジネススクールとしてはそういうコンセプトになるでしょう。現場で働いている人を本当にグレードアップさせたいという点でいえば、都心じゃないと勝負になりません、これは。しかし、一方で、八王子キャンパスでは、夜間の学生の需要が薄れたという理由で、B類が廃止されようとしているわけです。私、はっきりいって、都内で職業人として働きながらも、厳しい条件でも大学に行きたいという若者に、ビジネススクールと同じように利便性を配慮すれば、規模はともかくとしても、夜間の大学も十分に可能だし、需要はあると思うんです。最近、調べてみたら、B類の受験の比率が、かつては一・何倍だったのが、ここ二、三年、四倍以上にはね上がってるわけですよね。入試制度の変更もあるかもしれませんが、A類に極めて近い倍率になっている。これは不況の問題もあると思うんですよ。だから、条件、厳しくなって、昼間は働かざるを得ないんだけれども、大学に帰りたいという人には、国立大学では夜間はほとんどありませんから、公立大学の一つの役割として、受け皿を何らかの形で維持すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

○渡辺委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますけれども、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時二十五分散会

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