文教委員会速記録第六号

平成十四年三月十九日(火曜日)
第三委員会室
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長福島 寿一君
副委員長服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
理事遠藤  衛君
理事執印真智子君
後藤 雄一君
野上じゅん子君
小美濃安弘君
野島 善司君
曽根はじめ君
山本賢太郎君
比留間敏夫君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長押切 重洋君
理事小田原 榮君
総務部長小海 博指君
学務部長比留間英人君
施設部長松田 紀子君
人事部長中村 正彦君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
人権・企画担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
局務担当部長千葉 和廣君
参事近藤 精一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 教育庁関係
  契約議案の調査
  ・第百五十四号議案 都立大田地区単位制工業高等学校(仮称)(十三)建設工事(その二)請負契約
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第五十九号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第六十号議案  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
  ・第六十一号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
  ・第六十二号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・第六十三号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
  ・第六十四号議案 学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・第六十五号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
  ・第六十六号議案 東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
  ・第六十七号議案 東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
  ・第六十八号議案 東京都近代文学博物館条例を廃止する条例
  ・第六十九号議案 東京都美術館条例の一部を改正する条例
  ・第七十号議案  東京都現代美術館条例の一部を改正する条例
  ・第七十一号議案 東京都現代美術館及び東京都美術館運営審議会条例を廃止する条例
  ・第七十二号議案 東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
  ・第七十三号議案 東京都生涯学習センター条例を廃止する条例
  ・第七十四号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例
  ・議員提出議案第二号 学校職員の給与の特例に関する条例
  ・第百九十九号議案 学校職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例(継続分)

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書中、意見書一件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

食品表示対策の推進に関する意見書(案)
 食品は直接口に入れるものであり、人の生命・健康に直接大きな影響を与えるため、食品衛生法やJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)の品質表示基準などによって、食品の安全と品質について正確な表示が義務付けられている。
 しかしながら、相次ぐ食品の虚偽表示事件は、この表示制度の信頼性を根底から揺さぶる重大な問題となっている。雪印食品の牛肉虚偽事件によって表面化したこの問題は、その後、豚肉や鶏肉などでも同様の事実が発覚していることもあって、消費者の食品表示に対する不信を増大させ、消費生活、経済社会に深刻な影響を与えている。
 今回の一連の出来事によって傷つけられた食品表示制度の信頼を早急に立て直し、二度とこのようなことが発生しないよう抜本的な対策を講じることが求められている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を早急に実現するよう強く要請する。
一 食品の表示について、安全や品質基準の制定から監視指導までを一元的な食品行政に基づき行われるよう、食品に関する基本法を制定すること。
  また、食品行政の一元的に当たっては、消費者の基本的権利を明確にし、生産者サイドでなく消費者の立場に立って、消費者の参加を保障した第三者機関を設けて検討するとともに、リスク評価や情報公開を担保できる行政組織とすること。
二 食品表示の監視について、人員の拡充を含め体制の充実強化を図ること。
三 「原産地」の虚偽表示など、品質表示に関する悪質な違反については、氏名公表の仕組みや罰則を強化すること。
四 食品表示の真偽を店頭で判別できるよう、食品の社会的検証の仕組みを確立すること。特に、牛肉については、現在整備を進めている生産地から市場までのトレーサビリティ(追跡可能性)の仕組みを拡充し、消費者が店頭で原産地等が分かる仕組みにすること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年三月 日
      東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣 あて

○東委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承願います。
 なお、その他の意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○東委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、平成十四年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十四年三月七日
     東京都議会議長 三田 敏哉
文教委員長 東ひろたか殿
契約議案の調査について(依頼)
 このことについて、左記により財政委員長へご報告願います。
  記
1 調査議案
 第百五十四号議案 都立大田地区単位制工業高等学校(仮称)(十三)建設工事(その二)請負契約
2 提出期限 平成十四年三月十九日(火)

○東委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五十四号議案、都立大田地区単位制工業高等学校(仮称)(十三)建設工事(その二)請負契約を議題といたします。
 本案について理事者の説明を求めます。

○横山教育長 過日の本会議におきまして追加提案をいたしました議案の概要につきましてご説明申し上げます。
 契約案一件でございますが、仮称都立大田地区単位制工業高等学校の建設工事請負契約でございます。この高校は、都立高校改革推進計画に基づきまして、港工業高校全日制課程及び定時制課程、羽田高校定時制課程、鮫洲工業高校定時制課程、羽田工業高校定時制課程を発展的に統合しまして設置いたすものでございまして、平成十六年四月の開校を予定いたしているものでございます。
 詳細につきましては総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小海総務部長 お手元にお配りしてございます平成十四年第一回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして、契約案の説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。
 今回提案いたします契約案は、都立大田地区単位制工業高等学校(仮称)(十三)建設工事(その二)請負契約一件でございます。
 一ページをお開き願います。契約の方法は、一般競争入札、契約金額は三十八億五千三百五十万円、契約の相手方は、東京都千代田区三番町六番地一、飛島・古久根・辻建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日から平成十六年三月十日まででございます。
 三ページをごらん願います。学校の案内図及び配置図でございます。
 四ページから九ページにかけましては各階平面図を、一〇ページに完成予想図をそれぞれお示ししてございます。
 一一ページは工事請負契約議案の概要でございます。
 以上、追加提案いたしました案件につきましてご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 それでは、特に発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○東委員長 次に、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 初めに、第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、教育庁所管分及び第五十九号議案から第七十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小海総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
 今回ご要求のございました資料は、1、公立小・中、高等学校の三十人学級の実現(学年進行方式)に必要な学級数、教員数及び経費から9、盲・聾・養護学校の施設整備費の推移(五年間)までの九件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、公立小・中学校、高等学校の三十人学級の実現(学年進行方式)に必要な学級数、教員数及び経費でございます。
 三十人学級を実施した場合につきまして、平成十四年度を始点とした学年の進行によります必要経費等を現行の四十人学級を維持した場合と比較しまして、小中高等学校別にお示ししてございます。
 二ページをごらん願います。2、平成十三年度に学級編制の弾力化を実施した他府県の状況でございます。
 学級編制の弾力化につきまして、実施形態別に区分し、実施している他府県の状況をお示ししてございます。
 三ページは、3、いじめ、不登校、中途退学の推移(過去十年間)でございます。
 (1)は、いじめの発生件数、(2)は、不登校児童生徒数、(3)は、中途退学者数について、それぞれ校種別に過去十年間の推移をお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。4、平成十三年度都立高等学校における習熟度別授業実施状況でございます。
 学区別、全日制、定時制別に、平成十三年度における習熟度別授業を実施している学校数をお示ししてございます。
 五ページは、5、都立高校改革推進計画のこれまでの推移及び今後の計画でございます。
 平成七年十二月の都立高校白書の発表から、本年秋に予定しております都立高校改革推進計画の新たな実施計画の策定までを時系列にお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。6、高等学校への進学率、公私別の計画と実績(平成九年度から平成十四年度)でございます。
 都内公立中学校の卒業生の進学率並びに都立高校及び都内私立高校の進学者数の計画と実績について、平成九年度から十四年度までお示ししてございます。
 七ページは、7、都立盲・聾・養護学校スクールバス予算及び配置台数の推移、平均運行時間、最長乗車時間の推移でございます。
 (1)にスクールバス学校種別台数及び予算額を、(2)に平均運行時間を、(3)に最長乗車時間を、それぞれ盲・聾・肢体不自由養護学校及び知的障害養護学校の別に平成九年度から十三年度までの推移をお示ししてございます。
 八ページをごらん願います。8の知的障害養護学校の教室不足数の状況でございます。
 知的障害養護学校に関しまして、平成十三年五月現在において、保有教室数と必要教室数を比較し、不足の状態となっている学校につきまして、それぞれお示ししてございます。
 九ページは、9、盲・聾・養護学校の施設整備費の推移(五年間)でございます。
 盲・聾・養護学校の施設整備費につきまして、平成十年度から十三年度までの予算額及び十四年度の予算案並びに備考には十二年度までの決算額をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いをいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、主に三点の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、公立学校に加配されております時間講師、いわゆる非常勤講師の時間数の配分についてお伺いをいたしたいと思います。
 非常勤講師時数につきましては、正規職員を補完するために配当していると認識をしております。心身障害学級を含め、小中学校の講師時数の配当事務については、区部や市町村部の学校の事務を今どの部署で行っているのでしょうか、まずそれをお伺いいたします。

○中村人事部長 配分につきましては、多摩地区につきましては多摩教育事務所、その他につきましては私ども人事部の方で直接やっております。

○小美濃委員 講師時間の配当は、学校ごとの教育方針にかかわる大変重要な事項であります。二十三区と三多摩とで問題の生じないよう十分注意をして、以前も行っているでしょうけれども、これからも行っていただきたいと思います。
 さて、小学校の講師時数配当一般方針では、身障学級について一校当たり最高六時間の範囲で配当と。ただし、学校の実態を考慮する--これは、恐らく身障者の重度のあり方ですとか、人数ですとかということなんでしょうけれども--とあります。学校の実態を考慮し配当がなされていると今でも思っているわけでございますが、こうした一つの裁量がある判断を伴うものにあっては、区部と市町村部で担当が分かれていると、ややもすると、担当部署ごとで判断内容に違いが生じる可能性も出てくると思いますけれども、この辺はどうでしょうか。

○中村人事部長 私ども人事部と、それから、先ほどいい忘れましたけれども、島しょについては支所でやっておりますので、それから多摩教育事務所については、お互いに事務連絡は密にし、そごがないように努めております。

○小美濃委員 最近、特に三多摩の事務関係の統合がクローズアップをされておりまして、我々も当然一部は理解を示しているところはあるわけでございますけれども、都民の中には三多摩と二十三区という関係について大変に気になさる方もいらっしゃいます。時間講師の配当などは、そういった意味では余り表に出ないことかもしれませんけれども、同じ都民として、適正な事務を行っていただけますようにまず要望して、一点目の質問は終わりたいと思います。
 さて、二点目の質問でございますけれども、卒業式のシーズンであります。都立高校の卒業式も大分終了したことと思いますけれども、従来から国旗掲揚、また国歌斉唱といったことではさまざまな議論が文教委員会でもされてきたことと存じます。国旗掲揚よりも国歌斉唱の実施率の方が従来より少なかったということでありまして、本日は、主に卒業式における国歌斉唱についてお伺いをしたいと存じます。
 まず最初に、本年度の都立高校の卒業式の国歌斉唱の実施状況についてお伺いをいたします。

○斎藤指導部長 三月十八日現在でございますが、都立高校全日制課程二百二校のうち二百一校が卒業式を実施済みでございます。卒業式で国歌斉唱を行ったという報告を受けているのは、全校でございます。(「全校」と呼ぶ者あり)はい。

○小美濃委員 すべての学校で国歌斉唱を行っている、こういったご答弁でございましたけれども、平成十年のデータでは七・二%しか実施をされていなかったということで、この点におきましては、都教育委員会は、今まで各都立高校に対してどのように指導してここまで上げてきたのか、その辺のところを具体的にお願いいたします。

○斎藤指導部長 都立高校への国歌斉唱につきましての指導でございますが、平成十一年十月に、都立高等学校長に対しまして、東京都教育長名で、入学式及び卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の適正な指導についての通達を出しました。その通達に基づきまして、平成十一年度卒業式においては格段の改善が図られ、実施率が大幅に向上いたしました。
 その後、都教育委員会といたしましては、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱を学習指導要領に基づいて適正に実施するよう、継続的に学校を指導しているところでございます。

○小美濃委員 しっかりと指導していただき、その結果、本当にいい方向に向かっていると思われ、この辺につきましては大変評価をいたします。が、しかし、私、先日、某都立高校の卒業式に参列をいたしましたので、その感想を含めて少し意見を述べさせていただき、質問をさせていただきます。
 その高校の卒業式の式次第には、確かに国歌斉唱と記されておりました。そして、式の中でも司会者の方が国歌斉唱と、そういうふうに発せられました。しかし、その後なんです。通常、私は、その後、ご起立くださいとか、起立とかというのを待っていたんですけれども、その声がなかったので座っておりましたら、いきなりもう前奏がかかってしまったので、慌てて立ちました。そして斉唱したわけですけれども、私の隣に保護者の代表の方が座っていらっしゃって、私と校長先生と教頭先生、それしか立っていないんです。あとはだれも立っていない。
 私は国旗の方を向いていましたから、視界に入るものしか見えていませんので、後ろの方は何人立っていたかわかりませんけれども、少なくとも私の視界に入っている中では立っていなかった。これは本当に異様な光景でしたね。私の声しか広い体育館の中で響き渡らない、こういう非常に異様な光景を体験させていただきました。そのうち、実は何人かの生徒が自発的に立ち始めました。私は、これは勇気のある行動だなと、本当にそう思ったわけであります。
 しかし、今、一〇〇%国歌斉唱が行われたということでございますが、確かに国歌斉唱という儀式は行われたのかもしれないけれども、やはり斉唱というのは、何人かが歌うというだけでは違うんじゃないのかなと思うわけであります。
 そこで、このように国歌斉唱でも、その学校学校において、恐らくさまざまな実施態様があるんではないかと思っております。その実施態様について、課題のある学校、私はここは課題のある学校なのかなと思っておりますけれども、個別にどのように指導を行っているのか、お伺いをいたします。

○斎藤指導部長 学習指導要領におきまして、入学式、卒業式などの儀式的な行事につきましては、生徒に厳粛で清新な気分を味わわせ、新しい生活の展開の動機づけとして役立たせる、こういう示し方がされております。この趣旨に基づきまして、また、我が国の国旗・国歌を尊重する態度を育てるために、国歌斉唱を適正に実施するよう、学校での実施態様に課題のある学校につきましては、個別に指導助言を行っているところでございます。大部分の学校におきましては、今お話しの様態とは違った、おおむね学習指導にのっとった国歌斉唱を行っているところでございます。

○小美濃委員 私のお邪魔させていただいた高校は、世間ではかなり優秀な高校といわれております。本当に国歌斉唱のこの場面だけを除けば、非常に感動的な、すばらしい卒業式だったんです。しかし、国歌斉唱で、あの重苦しい雰囲気、あの空気、あれは一体何だったんだろうと、私は本当に今でもそう思っているわけであります。
 恐らく、これは私の私心ですけれども、生徒自身は、国旗とか国歌に一定の敬意を払うという国際社会におけるマナーは当然認識しているものと思っております。それなのに、あえて全員がそれに対して拒否行動を起こした。これは、またあくまでも自分の考えとつけ加えますけれども、特定の思想を持った、生徒に非常に影響力のある大人が、その主張を通すために生徒たちに特定の考えを押しつけたんじゃないのか、そう考えざるを得ないわけであります。(発言する者あり)いや、そう思いますけれどもね。先ほど、途中から何人かの生徒が自発的に起立したと私はいいましたけれども、これは、そうした大人の圧力にも負けず、自己主張を通した、本当に勇気ある行動だなと評価をいたします。
 一番問題なのは、そうした困惑した子どもたちをつくってしまうということなんです。立とうか立つまいか困ってしまう。本当にどうしようかと思って、でも、集団ですから、集団の中で一人勇気を持って立つということは、本当に大変なことだと僕は思いますよ。そういった困惑した卒業式の雰囲気を少なくとも大人がつくっちゃだめだな、そういうふうに思うわけであります。
 先日、東京都教育庁指導部高等学校教育指導課が出している資料をいただきまして、これも読ませていただきました。時間がないので少しだけ紹介させていただきますと、これは某都立学校、都立高校の卒業式に参加した保護者の方が、余りにもその卒業式に対して問題ありきとお手紙をくださったものであります。
 公表されているものですから、ちょっとだけ読ませていただきますと、三月某日に挙行された卒業式に際し、日の丸掲揚を東京都教育委員会の押しつけとして、あなた方教員は教育者としてあるまじき行動をとり、卒業生及び保護者を高等学校生活最後にして非常に不愉快な思いをさせたことはいうまでもなく、生徒に対する無責任さに保護者として怒りを覚えるとともに、子どもたちにとっても人生の節目というべく卒業式を組合活動の場として利用したことは、日の丸、君が代について賛否とは別に、記念すべき式典においても想像もしなかった事態を引き起こした責任は重大といわざるを得ません。
 私、保護者の中にもこう思った方は何人もいらっしゃるんじゃないか、そう思うわけであります。少なくとも大人の理論で子どもの卒業式を犠牲にしてはいけないな、そんなふうに思っているわけであります。
 そこで、入学式、卒業式における国歌斉唱の改善について、教育長、そのご決意をぜひお願いしたいと思います。

○横山教育長 学校におきます国旗掲揚あるいは国歌斉唱の指導につきましては、生徒に我が国の国歌・国旗の意義を認識させまして、これを尊重する態度を育てる。それとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てる。これは世界に通用します人材育成にとって大切なことでございます。
 ここ数年でかなり改善されたとはいいましても、ご指摘のとおり、なお一部に国歌斉唱の実施に課題のある学校もあるという実態は、私どもとしても看過し得ないところでございますので、今後とも、学習指導要領に基づきまして、国歌斉唱を適切に実施するよう各学校を強力に指導してまいります。

○小美濃委員 さて、それでは、三点目の質問に入りたいと思います。
 平成十四年、ことしの三月十一日に東京都高等学校教職員組合が主幹制度導入反対を目的として、全日制については一時限目カット、定時制については四時限目カットのストライキを実施いたしました。本来、地方公務員法の三十七条〔1〕に書かれているように、「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業」、ストライキですよ、「怠業」サボタージュ、「その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」こう書いてあるわけです、地方公務員法。しかし、都立学校の現場において実際に行われた。これはゆゆしき問題だと思うわけでございますが、都立学校の現場において、過去五年間、どのような争議行為が行われたのか、その内容と回数をまずお伺いいたします。

○中村人事部長 平成九年につきましては、一時間ストライキを一回、十年は、一時間ストライキを二回、職務時間内の大規模集会が三回、十一年におきましては、一時間ストライキが二回、勤務時間内の大規模集会が二回、十二年は、勤務時間内の大規模集会が一回及び二十九分の職場集会が一回、十三年につきましては、勤務時間内の大規模集会が二回ということになっております。

○小美濃委員 違法であるにもかかわらず、争議行為は毎年行われているわけであります。地方公務員は、団結する権利が認められて、団体交渉権も認められている。その上、毎年行われているということは、団体行動、すなわち争議行為だって実質的にやっているじゃないですか。これは、私、本当にどういうことなのかと思います。これでは、民間私企業に働いている労働条件とそんなに変わらなくなっちゃいますよ。公務員は、仕事の公共性とか公益性から、確かに労働三権が制限されていますよ。制限されていますけれども、そのかわり、私企業にはない、民間企業にはない身分保障をしっかりとされているわけであります。
 しかし、一方で労働条件はほぼ民間並み、しかも、今、民間ではばっさばっさとリストラが行われているときに、片や公務員はしっかり身分保障もされている。これじゃ、民間の私企業の人は怒りますよ。(発言する者あり)全体の奉仕者である公務員にとってはとんでもない。当然何らかの処分はされていると思いますけれども、処分は一体どういうふうになっているんですか。

○中村人事部長 ストライキも含みます争議行為に対する処分でございますけれども、争議行為を企て、その行動を唆した者を中心に、争議行為の時間、参加者の規模等に応じまして、停職等の処分を行ってきております。

○小美濃委員 それでは、処分された方々はどういう立場の方なのか。争議行為を企てた組合の幹部職員の方なのか、それとも、争議行為に参加した、参加して授業を行わなかった教員の方なのか、お伺いをいたしたいと思います。

○中村人事部長 争議行為につきましては、争議行為を企てた組合幹部の指令に基づきまして実施されることから、組合の幹部職員を中心に処分を行っております。一般の参加者につきましては、ピケや座り込み等の実行行為を行った者を処分しております。

○小美濃委員 そうすると、争議行為に関しては組合幹部の方を処分なさっている。そもそも、争議行為の責任者である組合のトップの方は公務員なんですか。地方公務員法で責任を問えるんですか。

○中村人事部長 東京都高等学校教職員組合の委員長は離籍専従者でございまして、地方公務員ではありませんので、法の適用は受けないということで、処分、罰則の対象にはなりません。

○小美濃委員 組合のトップの方は離職専従者で、地方公務員法の処分は受けない。また、ストをやっても処分されるのは組合の幹部の方だけである。これは、処分自体に果たして抑制効果があるのか、非常に疑問であります。だから、恐らく毎年争議行為が繰り返されているんじゃないのかな、そういわざるを得ないわけであります。
 地方公務員法でも禁止をされておりますし、私、調べましたら、昭和五十一年の最高裁判決で岩手教組事件というのがあるわけですけれども、この中でも、若干読ませていただきますけれども、地方公務員は、地方公共団体の住民全体の奉仕者として、実質的にはこれに対して労務提供義務を負うという特殊な地位を有し、かつ、その労務の内容は公務の遂行、すなわち直接公共の利益のための活動の一環をなすという公共的性質を有するものであって、地方公務員が争議行為に及ぶことは、右のようなその地位の特殊性と職務の公共性と相入れずと書いてあるわけです。
 これは、結局、法律でも当然禁止をされていますし、司法の最高の最高裁判所の判断も出ているんですよね。これは、争議行為を地方公務員がやってはいけないというのは明らかなわけであります。ましてや、私は、ここがもっと問題なんですけれども、教職員の方がこれを行っているということが本当に問題なんじゃないかと思います。教職員の方は、一般的には生徒に社会の規範だとか、もっというならば、法律を守れと、こう教える立場にあるわけでありますので、その法律を守れと教えている立場の先生が、みずから法律を犯している、これは生徒の信頼関係とか、そういうことから考えると非常に問題があるんじゃないかと思うわけであります。これは、違法ストに参加した教員の方に何ら行政処分が行われないということも一つの要因になっているのかなと私は思うわけであります。
 この際、違法ストに参加した教員に対しては、これは、地方公務員法〔2〕には、「職員で前項--これは一項をさっき読みましたね--の規定に違反する行為をしたものは、その行為の開始とともに、地方公共団体に対し、法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に基いて保有する任命上又は雇用上の権利をもつて対抗することができなくなるものとする。」ということになっておりますので、ひとつ教育庁も一丸となってこの辺のところは考えていただいて、行政処分の対象とすることも視野に入れて考えていただいたらいかがかなと思いますが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 委員お話しのように、教員につきましては、児童生徒と直接かかわるということでございまして、争議行為を実施した場合には授業等に影響が出るということで、一般公務員よりは影響が非常に多いというのは事実でございます。
 先生ご指摘のとおりの点もございます。今後、その点を踏まえまして、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。(「検討するんじゃなくて、やらなきゃしようがないんじゃないの」と呼ぶ者あり)

○小美濃委員 まさしくそれをいおうと思ったのですが、検討するじゃなくて、本当に意気を見せていただきたい。
 そこで、教育長、これはぜひ一言答弁してください。今、検討と部長がおっしゃられたけれども、ぜひお願いします。

○横山教育長 まさに今お話のあったように、法を守るべき公務員としての教員が、まして健全な子どもたちを育成する、そういう任にある者が法を犯して争議行為をやる、これは断じて許されることではございません。
 いずれにしろ、その争議行為を行った一般教員に対してどう対応するのかについては、今人事部長がお話をしましたが、もろもろいろいろな検討すべき事項がございます。ただ、私どもとしては、厳正な対応の方向で検討してまいりたいと思います。

○小美濃委員 るる申し上げましたけれども、やはり東京に住む子どもたちがしっかりと教育を受け、そしてしっかりとした大人に育っていくように、教育庁一丸となって頑張っていただきたい、そう要望をいたしまして、質問を終わります。

○和田委員 実習とか実験、こういうものに重点を置く専門高等学校のあり方について、十四年度の予算編成に関連をしてまずお伺いをいたしたいと思うんです。
 先週末から都立高校の卒業式が始まっています。私は、平成十年のときの文教委員にもなりましたが、そのときに、都立高校は二百以上ありますけれども、地域の都議会議員の方々に、入学式や卒業式にぜひどうぞという招待状を出している学校は幾つありますかと文教委員会で尋ねましたら、悲しいことに一けたでありました。二百を超す都立高校の中で、地域、地域というのは選挙区といっていいのですが、そこに出している学校は一けたでありました。
 それを、しばしば機会あるごとに、もっとふやす方向で努力したらどうですかということを聞いてまいりましたが、すなわち、ここにも区議会議員さんや市会議員さんを経験した方がいらっしゃいますけれども、ほとんど自分の身近なところからは各行事ごとにご招待があって、自分の日程が合えば出て、さわやかな新入生の子ども、あるいは成長して立派になった卒業生の生徒、そういうのを見て、なるほど、地域の教育力はここまで満ちてきているのか、充実しているなということを実感する貴重な機会がそこに提供されているんですが、都議会においては、私の経験では全くなかったのを踏まえて、そのような質問に入ったわけです。
 年々ふえてきているわけでありますが、しかし、なぜ招待をそれまで出さなかったのかということをある方に聞いてみますと、いや、それは、都議会議員さんに来られて、壇上に日の丸が飾ってなかった、あるいは君が代を歌わなかったということをつぶさに見聞されると困るので招待はしないんだよという俗論も--俗論だと思うんですが、あったと聞いております。しかしながら、法整備はともかくとして、当然セレモニーに不可欠なある一定の儀式、形式は踏むべきだというふうなことで、私は、そのこととは別に都議会議員の招待人数を聞いてまいりました。
 さて、そこで、平成十一年度、十二年度の当局、教育指導課の方で結構なんですが、把握をされている--来る、来ないはいいですよ、地域の都議会議員さんに招待状を出した学校が何校あるのか、学校の数だけとりあえずお伺いいたします。

○斎藤指導部長 学校行事における都議会議員の方への招待数でございますけれども、平成十二年度の数で申し上げますと、合計で三百七十三人でございます。学校数で百二十七校でございます。それから、平成十一年ですが、二百四十七名の方にお出ししておりまして、八十一校でございます。平成十年度につきましては、百七十八人の方に出しておりまして、七十三校でございます。

○和田委員 私の一けたというのは平成十年のときの数字でしたから、それ以前だったのかもしれませんけれども、少なからず二百校からある高校が、百五十どまりというような形になっています。私は、都立高校はとりわけ閉鎖的だといわれておりまして、地域の小中学校ですと、私は剣道を教えておりますが、地域の体育館などを開放して、小学校、中学校で毎週日曜日、土曜日に教えるということは可能なのですが、都立高校の学校の校庭も含め体育館開放というのは、希望者が多いせいもあるかもしれませんけれども、望んでも余り開放されない。高校生がそれだけクラブ活動をやっているということもあるんですけれども、そういう傾向もあって、閉鎖的だという印象が極めてあります。
 したがって、これからも、来る、来ないにかかわらず、二百校を超す学校がすべて招待状を出して、そして自分たちの学校の中の清掃の状況、あるいは備品の適正管理の状況、見ようによっては監査するような形で外部の目がそこにしっかり入ることによって緊張感も入ってくるし、そして治外法権的な都立高校にもっと批判の目が出たり、あるいは賛意の目が入って、民主的な学校になるだろうというふうに思いますから、折に触れてこの問題には言及させていただきたいと思うんです。
 さて、そんなことを前触れにしながら、三月九日に、私のところには幸いに高等学校から卒業式のご案内がありました。それは、都立王子工業高等学校の昼夜間両方招待状がありました。私は出てまいりましたが、それから、同じ九日なのですけれども、これは都立城北高等学校からも招待状がありまして、これも出てまいりました。
 そこで、どんな感想を持ったかということをまず報告したいんですが、夜間の王子工業高等学校は、毛利昭さんという校長さんが立派にやっておられましたけれども、四年間皆勤の方がお一人、一年間皆勤の方がお二人、精勤一年間された方がお二人、都合五人の精皆勤が出て、立派にセレモニーがなされておりました。それから、昼間の方は九十九名卒業されたのでありますが、そのうち、三年間皆勤の生徒さんが七名もいました。それから三年間精勤の方は実に十三名、九十九人中二十名の方が皆勤、精勤の賞を受けていらっしゃる、こういう学校もあります。
 それから、都立城北高等学校は定時制でありましたけれども、登場された方は、一年生に入って一学期は勤めたんだけれども、いじめでやめてしまった。それから二年間はフリーターというのでしょうか、自由なことをやっていたんだけれども、いろんないきさつから、もう一回同じ都立城北高等学校に戻って、四年かけて卒業して、今は本当に返り咲いてよかったということをおっしゃっている、そういう都立城北高等学校の定時制の場面にも私は遭遇しました。これは、天井勝海さんという校長先生が、ここも立派に生徒を指導しておりました。
 このように、入ってつぶさに見てみると、感動や感激を我々に与えてくれる高等教育をやってくださっている現場もあるんですね。したがって、できるだけ多くの招待状を出して、それまで疎遠であった都議会議員さんや社会人の方々にも校内を見ていただく、あるいはおしかりをいただく、お褒めをいただく、そういう開かれた高等学校にぜひしていただきたいということも関連してお話をさせていただきたいと思うんです。
 さて、そういう関係から、専門高等学校というものをより強く、特に工業高校ですとか、農業もそうですし、あるいは商業もそうですけれども、それを私は、もっと労働に価値を置いた高等教育をしていくべきだという視点をずっと貫いてきたつもりでありますけれども、その関連の質問に入りたいと思うんです。
 ともすると、失敗をすればもうだめだといってしかるのが我々ではありますけれども、逆に、失敗から学んで、失敗から何か物をより積極的につくり出していく、そしてまたそれを成功につなげていく、そういう実験、実習を重視した、こういう高等教育が必要だというふうに私は思っているのでありますが、指導部長になりますか、どのようにこの件についてはお考えでしょうか。

○斎藤指導部長 今お話しのように、生徒はさまざまな学習場面でつまずいたり失敗することが多くございます。このような失敗した経験を生かして、自分から新たに課題に積極的に取り組んだり、あるいはみずから課題を解決できる人間を育成する、こういう形成が必要だと思います。
 現在、都立の専門高校におきましては、実験、実習を重視しました教育課程を編成、実施しているところでございます。その中で、課題研究をすべての生徒に履修させる科目として位置づけまして、問題解決能力の育成を図っております。
 今後とも、生徒同士が課題解決の方策を出し合い、あるいはともに学び合うような課題解決型の学習を一層充実させてまいります。

○和田委員 公立高等学校の存在理由の、いろいろありますけれども、大きなものの一つは、今、斎藤部長がお答えのとおり、実験、実習をしっかり認識することだと思うんです。例えば私学で、工業学校が用意している大きなプレスの機械ですとか、あるいは自動車実習の車に乗って実験できるような広さとか、そういうものを潤沢に持っている、豊富に持っている私学というのはほとんどありません。公立高校であるがゆえに、立派な設備もつけ、そしてまた、広い空間で自由にその実験、実習ができるという利点があるわけでありますから、私は、都立高等学校が実習、実験に力を入れて、工業的な、あるいはバイオでもいいんですけれども、そういう実験型の特色をより強調していくべきだというふうにかねがね思ってまいりましたけれども、最近の傾向からますますその感を強くしているところなんです。
 そこで、今ご答弁をいただいた、その必要性はわかりましたけれども、具体的な教育課程の中にどのような編成例を私どもに報告していただけるのでありましょうか。

○斎藤指導部長 高等学校の学習指導要領におきまして、工業に関する各学科において、原則として工業に関する科目に配当する総授業数の十分の五以上を実験、実習に配当することと示されております。
 お尋ねの都立工業高校における教育課程の具体的な編成例につきましては、学校の実態や生徒の履修形態等によってさまざまでございますけれども、おおむね専門科目の総単位数のうち、約五割から六割の間で実験、実習に関する時間を配当している学校が多くあります。

○和田委員 学習指導要領でも十分の五と規定してありますよね。それから、現場でも五〇%から六〇%が実際に動かしているよというのでありますが、そこはちょっと私自身の感触では、今おっしゃった五割、六割というのはもっと少ないように思うんです。それというのは、どうしても、工業高校といいながらも実験、実習よりも理論の方に偏っているような、そんなふうな傾向を、ある複数の工業学校を視察してまいりましたけれども、考えているわけでありまして、そのことは今、こちらにいらっしゃる斎藤さんと現場の先生方のお声は少しずれがあるなということだけ申し上げておきたいと思うんです。
 私は逆に、まず理論があってから実験、実習じゃなくて、とりあえず実験、実習をさせてみて、それから、なるほどという、いろいろな気づきから理論に立ち返るという帰納法的な、そういう学習も一つの方法だろうというふうに思っておりますから、演繹法だけではなくて帰納法的に、まず実験、実習から入ってみて理論に行くという方法も有効な教授法だということをある先生から聞いてまいりましたけれども、そんなことも参考にしていただきたいというふうに思うのでありますが、いかがですか。

○斎藤指導部長 今お話のあったように、帰納法的実験や実習を、実学を重視した学習は極めて大切であると受けとめております。
 各学校におきまして、校内における専門的な学習のほかに、例えば総合技術教育センターでの実習とか、あるいは工場見学、あるいは物づくりの実際の体験、こういうことを学校外でやっておりまして、その体験を通して実践的な能力の育成に努めているところでございます。
 今後は、企業現場における就業体験とか、望ましい勤労観、職業観を身につけさせる方向で、お話しのような人材育成に向けて各学校を指導してまいりたいと思います。

○和田委員 特に、実験、実習をやる学校というのは、理論と実験、実習というのが分かれていますので、校内でも動きがあるものですから、授業時間が移動するときに随分食われてしまうということも聞きますので、そんなところも現場の声をよくしっかり受けとめていただきたいというふうに思っております。
 次に、インターンシップに関連して伺います。
 高校生のインターンシップについて、当局はどのようにお考えになっていますか。

○斎藤指導部長 インターンシップにつきましては、先ほどのお話し申し上げた続きでございますが、望ましい勤労観、職業観を育成する上では、この体験的な学習について大変意義があることと受けとめております。

○和田委員 意義はわかりましたが、では、具体的に今二百校を超す高等学校の中で、どういうインターンシップの実態がありましょうか。

○斎藤指導部長 インターンシップを実施している都立高校でございますけれども、平成十二年度は二十六校、平成十三年度は五十四校で実施しております。成果としましては、職業意識が高まった、あるいは自己を見詰めるきっかけとなったという感想が報告されております。
 課題としましては、受け入れ先の企業を開拓すること、また、実施コースをふやすこと、内容を充実させて積極的に単位認定していくことなどが挙げられます。現在、実施しているインターンシップ推進校を継続しながら、実践の成果を他の高校に広めていくなど、今後とも一層推進に努めてまいります。

○和田委員 インターンシップ制度を導入することは大変結構なんですが、それをより呼び水的にいえば単位につなげていかないと、生徒さんの方もインターンシップというものの特典といいましょうか、インセンティブというのでしょうか、そういうものに触れられない。したがって、どれだけの学校数がインターンシップを具体的に単位につなげて、単位認定をしながら導入しているか、お答えください。

○斎藤指導部長 平成十三年度にインターンシップを単位認定している都立高校は五校でございます。その主な内容としましては、工業高校では専門科目の実習の単位の一部でございます。それから、普通高校におきましては、学校設定科目の単位の一部として扱っております。また、総合学科高校においては、産業社会と人間の増加単位として扱っております。
 今後は、これらの実践の成果を多くの都立高校に広めて、単位認定を行う学校数がふえるよう、具体策をこれから考えて指導してまいります。

○和田委員 平成十三年度、今五校とおっしゃっていましたけれども、十二年度も同じく五校なんですよね。これは、あくまでも教育委員会の方が、教育庁の方がやってほしいといっても、受ける企業なり組織の方がなければミスマッチで終わってしまうわけでありますから、このように不況下の中では、直接労働的に助けにならないインターンシップよりもという形になるのかもしれません。しかし、企業によってはインターンシップを大いに歓迎しているフィランソロピー的な哲学を持っている企業も多いわけでありますから、より幅広くこのインターンシップ制度の広報と導入を依頼するような形をお願いしたいと思うんです。
 そこで、単なる単位企業対単位学校とは違って、東京都の工業高等学校や商業高等学校の組織と、それから東京にも商工会議所とか、その他いろいろ経済団体がありますけれども、そういう組織対組織でインターンシップの情報を交換したり、受け入れやあるいは要請というような、そういう協力体制を面の面で、面的に構築することは可能なのでしょうか。

○斎藤指導部長 お話しのように、教育庁、学校だけでは、このインターンシップの推進はなかなか難しい面がございます。例えば、産業労働局とか商工会議所とか関係機関とも十分連携をとりながら進めていく。現在も多少はしておりますけれども、さらに充実してこれを進めていかないと、この単位認定までいく日数をインターンシップとして体験するというところまではなかなかいかない面がございます。そういった意味では、関係機関との連携が何よりも大切だと思っております。

○和田委員 単位学校から組織的な教育組織と産業組織というものは、うまく情報交換したり協力関係に結びつくことによって、インターンシップが単年度五校というようなことではなく、もっとその倍も倍もふえていくだろうというふうに思いますので、より一層の努力を要請しておきます。
 次に、小学生の放課後の時間の利用についてお伺いをいたしたいと思うんです。
 新学習指導要領の導入が間近でありますけれども、それを受けて、余暇時間の活用というのは、父兄も教育関係者もそれぞれが関心を持っているところです。私は、横浜市にあります、はまっ子ふれあいスクールという組織を見てまいりました。これは、小学校一年生から六年生までの間に、放課後学校にとどまって、そして、おおむね六時ごろまでなんですが、時間まで自分の宿題をしたり、体育館を使って球技をしたり、あるいはマスゲームをしたり、さらに手作業をしたりしながら時間を費やすという制度であります。
 私は、横浜市の汐入小学校というところに行って見てまいりましたけれども、ここでは異年齢の子どもたちが五十名ぐらい登録をしてありまして、大変活発にやっておりました。私は、空き教室がこれからふえてくる、あるいは新学習指導要領によって空き時間がふえてくる、あるいは放課後及び土曜日の子どもたち、とりわけ小学生の子どもの時間利用というのは大変貴重であり、重要だろうと思っておりますが、このことについての感想をお伺いいたします。

○嶋津生涯学習部長 子どもたちが積極的に社会体験や自然体験など体験活動に取り組んでいったり、あるいは地域の大人や異世代の子どもたちとの交流をするなど、多様な活動の機会と場を意識的につくり出していくということは、生きる力をはぐくむという点からも大変大事なことだというふうに考えてございます。
 子どもたちのこのような活動を活発にするために、地域社会全体で子どもを育てる、そういう観点から、学校と家庭と地域が協働し合って、さまざまな地域の人々の参画を得まして、地域の教育力の再構築、そういったことに向けた取り組みを行っていくことは、まさしく大切なことであるというふうに認識してございます。

○和田委員 学校、学園の中の教育力の向上は当然なんですが、地域そのものの教育力が極めて衰退化してきたと我々は思っているわけでありますから、この横浜の例を見るまでもなく、しっかり東京都においてもこういう雰囲気をつくっていく必要があると思います。
 私がお話を聞いた地域パートナーという称津さんという退職された方は、教職員関係の経験者でありましたけれども、民間の地域から推薦された女性方と一緒に、六年生のわんぱく盛りの子、それから一年生のまだ幼い子も含め、しっかり指導している姿に触れて、なるほど、こういう積み重ねが、お互いに異年齢でいたわり合ったり、あるいは慕うというような、そういう関係が、家庭ではできないものを、こういう環境でつくっているなということで調べてきたわけでありますが、今お答えのあった、地域の教育力という点で、東京都は施策を持っているはずでありますが、十四年度、どのような施策を東京都の地域の子どもたちに提供しようと考えていらっしゃるんでしょうか、その予算及び概要についてお伺いいたします。

○嶋津生涯学習部長 東京都の教育委員会では、その地域の教育力の再構築に向けた施策といたしましては、例えば心の東京革命の関連施策などさまざまございますけれども、ここでは新規事業の一つとして、地域教育サポートネット事業というものを考えてございますので、その内容からご案内を申し上げたいというように思ってございます。
 この事業は、学校と連携して地域住民が主体となって、地域全体で子どもたちの学校内外での活動を支援する仕組みでございまして、例えば、総合的な学習の時間を初めとする学校の教育活動への地域の人材の紹介とか、あるいは児童生徒の体験活動の受け入れ先の紹介とか、そういったことの活動を想定してございます。
 予算につきましては、区市町村への二分の一の補助でございまして、一地区当たり百五十万、四地区を十四年度はモデル事業として考えてございますものですから、全体としておおむね六百万ということを考えてございます。

○和田委員 教育は、家庭だけでも地域だけでも学校だけでもなく、その三位が混然一体となってお互いが補完し合うという、そういう機能するものでなければならないと思いますから、今ご提案いただいた四地区の実験的な結果に注目をしていきたいと思います。
 次は、環境教育についてお伺いをいたします。
 十四年度の予算の中には、小学校における環境教育という点での具体的な数字が見受けられません。私は、キッズISO一四〇〇〇sということについて触れてみたいと思うんです。
 これは、ある自治体などでは、夏休み、家庭のごみあるいは電気、ガス、水道、そういうものに一定期間子どもたちが注目をして、自分の生活によってどれだけエネルギーが消費されるのか、そのコストはどれだけなのかというようなことをISOの基準に基づいて設定したものを導入して、自分たちの生活にこれほどエネルギーがかかっているのか、むだに使ってはいけないというようなことを実験することをやっている自治体もありますし、成果も上げてきています。
 私自身も、過般、ことしになってから太陽光発電を導入して売電もしておりますが、自分が使った電気のメーターと売った電気のメーターが常に時間によって出ておりますから、これは余りむだ遣いしちゃいかぬなというようなことがすぐ目の前でわかるわけでありますが、そんなことをもう小学生のうちからキッズISO一四〇〇〇sなどはやっているわけで、大人になってから浪費を心がけるよりも、子どものうちから、子どもたちがお父様やお母様に、こんなふうな実験をして、うちのエネルギーはこんなふうに浪費をされているのでお互いに気をつけましょうよというようなことで、小学生が大人あるいは兄弟に環境問題を中心にしてアドバイスするというふうな、そういう雰囲気になれば、随分とまちは変わってくるだろうというふうに思っておりますが、小学生における環境教育の現状について、キッズISO一四〇〇〇sに関連してでも結構ですが、お答えをいただきたいと思います。

○斎藤指導部長 小学生の段階から、家庭のごみとか、あるいは水の量を調べたり、むだについて気づくことは、自分の生活とか環境とかのかかわりを考える上で大変意義がある活動だと思います。こうした身近な活動を通しながら、自然とか環境の問題に関心を持たせ、みずからの生活を見直し、進んで自然保護や環境保全に参加する態度を育てることは、環境教育においても重要なことでございます。
 都教育委員会としましては、環境教育に関する指導資料を作成しておりまして、これを各学校に配布したり、あるいは子どもたちの環境問題について関心を高め、実践的な態度を育てる観点から、活動の発表会を開催しております。そうした意味で、環境教育の取り組みを奨励しているところでございます。
 今後とも、子どもたちが環境に負荷をかけないで生活を送る態度を育成するため、区市町村教育委員会と十分連携しながら、各学校を指導助言していきたいと思います。

○和田委員 エネルギーを多使用しないで省エネでいこうよというのは言葉は易しいんですが、いざ、自分たちが生活をしてみると、こういう紙でも一枚で済むものを二枚使ってみたり、両面使えばいいものを二枚使ってみたり、極めて反省するところが多いんですが、実生活の中で忙しいとか効率だとかというようなことで意外と浪費をしているところがあります。それを子どものうちからエネルギー浪費をさせないという、そういう教育はぜひ、これは市区町村レベルの話でありますけれども、東京都が率先してそういう自治体には応援するような仕組みをつくっていただきたいということを要望しておきます。
 最後に、ADHD関係について触れさせていただきます。
 要するに、注意欠陥多動性障害という子どもたちの精神的な一つの障害だといわれております。これは、今までは東京都においても衛生局がおおむねADHDについては専門的に所管をしておりましたけれども、私も二、三年来これを取り上げてまいりましたが、もう既にその対象になっている、幼児、小学生、中学生、高校生に対象を移す、すなわち教育委員会のレベルにこのADHDの子どもの対応をシフトしていくべきではないかというふうに思っているわけでありますが、現在、東京都の教育委員会はどのような対応を行っているのか、お伺いいたします。

○斎藤指導部長 ADHD、注意欠陥多動性障害の子どもたちの正しい理解を深めるために、平成十一年度は、LDとADHDの理解と指導、こういう小冊子を公立幼稚園、小学校、中学校、都立学校全校に配布しました。また、平成十三年度でございますが、注意欠陥多動性障害、ADHD児等について理解を深めましょう、こういうタイトルの啓発リーフレットを七万部作成しまして、全教員に配布したところでございます。
 今後とも、ADHDの子どもたちの指導に関するリーフレットを配布する予定でございますので、配布し、教員の理解を一層深め、啓発に努めてまいります。間もなく配布する予定でございます。

○和田委員 これは、こういうところに外見上出てくるものではありません。行動として出てくるものでありますから、極めて特定しにくいという難儀がありますけれども、しかし、事実、ADHDというこのある意味で精神の障害は、学者によって違いますけれども、一%から五%まで発症率がふえておりますけれども、大変高い数字を物語っているわけであります。
 そこで、国は、厚生省あるいは文部科学省も含めて大々的な調査をしていると思っているんですが、それについての進行状態についてお知りでありましょうか。

○斎藤指導部長 文部科学省でございますが、特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議において、LD児・学習障害児、ADHD児・注意欠陥多動性障害児等の実態把握をしまして、判断基準あるいは指導方法を確立する必要があることから、全国的な調査を行っておりまして、この結果につきましては本年の秋ごろにまとまる予定と聞いております。
 また、厚生労働省の方でございますが、この研究班の方におきまして、注意欠陥多動性障害の診断、治療のガイドライン研究として調査研究を行っているというふうに聞いております。

○和田委員 この文部科学省や厚生労働省の動きよりも前に、東京都の梅ケ丘病院では、日本で一番早くこの問題に対処しています。私は何度も視察に行ってまいりました。逆にいえば、東京都の方からプログラムを国に提供していいようなぐらいに大変データも持っていらっしゃるわけでありますから、国のこの種の、この秋の報告も大事でありますけれども、東京都が進んで今持っている梅ケ丘のデータなどを含めて、何らかの形で前に向かって対応策をつくっていくというようなことを--これは教育委員会ではありません、衛生局ですから、そちらに譲りますけれども、そういう構えが必要なのかな。病理の解明よりも、今は、実際、もう一%、三%発症されている児童生徒あるいはそれにかかわる教職員や父母の問題にも広がっているわけでありますから、早急な対応が必要だと私は思っているわけです。
 さて、そこで、今ご報告のあった教員に対する平成十二年度と十三年度の研修がなされたということを聞きましたけれども、今後、十四年度以降の計画についてはどのような研修を予定されているのでありましょうか。

○斎藤指導部長 公立の幼稚園、小学校、中学校、都立学校の教員を対象にした研修でございますが、平成十四年度につきましては、今後検討して、予定はございますけれども、実績で申し上げますと、平成十二年度の講習会につきましては四百二十四名、平成十三年度、四百二十五名が参加しておりまして、平成十四年度も引き続き実施する予定でございます。これは、教育庁指導部が主催しております。
 また、教職員研修センターの方では専門研修がございまして、平成十二年度は百三十七名、平成十三年度が百二十三名で、来年度、十四年度につきましては定員を百五十名に広げて実施する予定になっております。

○和田委員 各種研修は、あくまでも教員というか、そういう現場の方々に対する研修なんですよね。したがって、子どもたちの行動形態を見ながら、ああ、これはこうかなという判断の材料を提供する、研修するということだろうと思うんですけれども、その成果はどうなっているのかということと、それから、さきに申し上げた梅ケ丘病院なども含めて、衛生局が病理的に今までずっと詰めてきました。それと今、現場の教育委員会、教育庁との連携がなされるときだろうと思うのでありますけれども、それはどういうふうに考えていらっしゃるのかということと、最後に、一番悩んでいらっしゃる保護者へのADHDに対する理解というものをどういうふうに図っていこうとされているのか、この三点についてお伺いいたします。

○斎藤指導部長 まず、研修の成果でございますけれども、研修会の参加者からの感想としまして、研修を通して障害のある児童生徒への指導に自信が持てるようになった、あるいはLD児やADHD児の理解を通して、他の児童生徒への理解も深まったなどとの感想、意見が寄せられております。
 また、校内研修におきましても、ADHD等の指導について取り上げることが多くなっておりまして、学校における取り組みが広がりつつあるというふうに受けとめております。
 次に、庁内の関係局との連携でございますけれども、平成十二年九月から、教育庁を中心に福祉局、衛生局、産業労働局の各局の関係課と学習障害児等に関する連絡会を設置しまして、ADHD、注意欠陥多動性障害や学習障害等の子どもたちの共通理解を深め、情報交換を行う中で、今後の援助のあり方について協議を進めているところでございます。
 最後に、保護者の相談でございますけれども、ADHDの子どもたちの教育相談には、学習指導や生活指導上の諸問題に関する相談が多くあるわけでございますが、これらの相談につきまして、随時区市町村の教育相談機関や、あるいは東京都の教育相談センターで行っておりまして、障害の状態等に応じまして専門的な医療機関等への紹介もあわせて行っているところでございます。

○和田委員 このADHDというのは耳なれない方も多いと思うのですが、最近引退された、だれもが知っている野球の監督さん、あるいはいまだに続いている長寿番組の司会の女性、また、具体的な名前を挙げればエジソンも含めてこれだったというくらいに、才能の生かし方によっては、極めて社会貢献や、あるいは豊かな人生を送れるという、そういう性格のものであります。
 したがいまして、偏見なくこのADHDを含めて、LDも含め社会で受けとめて、その治療も含め生活態度に応用していくというような雰囲気をつくることが大事だということを申し上げて、私の質問を終わります。

○野上委員 私の方からは、平成十五年度より施行されます高等学校学習指導要領に新設された新しい教科、情報についてお伺いいたします。
 皆様ご存じのように、この教科情報には普通教科と専門教科があって、その専門教科情報は、国語とか数学と同じように、すべての高校生が学習する教科として新設された教科でございます。全く新しい教科、情報ということで、教える教師も免許を持っていなかったわけであります。
 そこで、平成十二年より約三年間の間、すべての都道府県で新教科の情報、現職教員等講習会が実施されているわけでございます。各学校に教科、情報の教員が配置されるように計画的に養成が行われているところであります。
 しかしながら、免許を取得させるための教科は、数学、理科、家庭科に絞っている。あと、看護とか農業、工業、商業、水産業、情報技術、情報処理の高等学校の普通免許を有している者に限る。英語の先生とか、社会、国語の先生にはそういう免許を取る資格が与えられていないわけなんです。今、私がとても心配していますのは、都立学校で教科情報を指導するのに本当に必要な人数と、今実際に十五年度から始まってくるときに、そういった教師が果たして間に合うのだろうかということをとても心配しているわけで、そこで質問させていただきます。
 都立学校で教科情報を指導するのに必要な免許取得者数は何名で、そして現在確保している人数は何名か、お伺いしたいと思います。

○斎藤指導部長 高校生の必修科目として設定されます普通教科情報の指導に必要な免許取得者数でございますが、四百二十三名が必要でございます。現在、都立学校として二百名を確保しているところでございます。

○野上委員 平成十二年、十三年を通して、約二百名の免許取得者ができたわけです。あと二百二十三名が不足している。これを何とか平成十四年度中につくっていかなければいけないというのが現状であるわけです。これから多分学校現場の中で校長先生を中心として、そういう免許を取るように指導がなされると思うんですけれども、現場の教員の場合、例えば数学を教えている高校の先生が、この教科情報の免許を取得した場合、今度はずっと教科情報の教師としてやっていくようになるわけです。
 そこで、ちょっとお伺いするんですけれども、希望者を出すためには、例えば既存の、もとの教科を、例えば数学を教えている先生ならば、数学も教えながら情報という教科も担当できるような、そういった仕組みが可能なのかということと、もう一つは、希望すれば、やはり教科情報よりも、もとの数学の教師に戻りたいといったときには、そういう戻れる仕組みができるのかどうか、このことについて都の教育委員会にお尋ねしたいと思います。

○中村人事部長 情報の免許を取得した教諭は、教科情報に専念することを原則といたしますけれども、校長が学校運営上の必要を認め、かつ持ち時間の余裕がある場合には、これは二単位でございますので、場合によっては余裕が出てくるということもあります。そういう余裕がある場合につきましては、もとの教科と情報の両方を担当するということも可能でございます。
 それから、情報の免許を取得した教諭は、原則として平成十五年度以降、この教科情報の教諭となりますけれども、本人の希望によりまして、四年目にもとの教科に戻るという機会がございます。

○野上委員 例えば、高校一学年が七クラスあるとします。そうしたら、PCを教える場合、余り多い人数だと行き届きませんので、一つのクラスを二つに分けて、二十人、二十人で教えます。すると、十四グループができるわけです。それが二単位ですので、一週間に二十八時間のこま枠がとられるわけですね。そうすると、今まで普通の教科の中で、英語の授業のようなときにパソコン教室を使っていたときに、部屋がずっと目いっぱい教科情報のために埋まっているので、なかなか使えないというようなこととか起きてくるような気がいたします。これは実際に機能してみないと、どういう問題が現場の中で起こってくるかわからないので、これはいいんですけれども、質問はいたしません。
 あと、私が理不尽だなと思うのは、数学と理科と家庭科という教科に限られていることも、非常に文部科学省の方に文句をいいたいなと思っているところなんですけれども、これは国の制度ということで、なかなか都としては変えていけないということをお聞きしておりますので、何とかそこら辺もこれからも考えていただければということを要望しておきます。
 それからもう一つは、情報教育についていいますと、私はよく新宿駅を利用しているんですけれども、電車を待っている人、三人に約一人ぐらいは携帯電話で遊んでいるのか、メールを送っているのか、使っております。子どもたちも携帯電話を使ってメールのやりとりをしたり、インターネットを活用していくことがふえてきます。これは、知らない間に子どもたちが事件に巻き込まれたり、また、インターネットは匿名性がありますので、情報化社会の陰の部分というのか、そういったものもあります。私も実際に現場にいたときに、他の学校で、インターネットを利用して子どもたちが悪いことをしてしまったということもありました。そういう意味でも、非常にこの情報教育に関しましては、しっかりと指導する側が理念を持ってやっていかないといけないんじゃないかなというふうなことも要望しておきます。
 それから、もう一つ別の件なんですけれども、主幹制度についてお伺いしたいと思います。
 これもやはり人数的なことが私はとても心配なんですけれども、主幹を平成十五年の四月から導入するとお聞きしておりますけれども、必要な人数は何人要るのか、小学校、中学校、都立学校別に教えていただければと思っております。

○中村人事部長 主幹制度の導入初年度でございます平成十五年度の配置予定数は、都内の公立学校一校当たり一人という試算で計算しておりまして、二千四百名程度だというふうに考えております。内訳は、小学校で千三百七十名、中学校で六百六十名、都立学校で三百七十名程度になるというふうに考えております。

○野上委員 都内公立学校で一校一名、全体で二千四百名、この人数を確保することは非常に難しいのではないかと私は懸念をしております。特に、高校、校種によっては受験者数だけでも確保することが難しいのではないかと思うんですけれども、そういった対応はどういたすのでしょうか。

○中村人事部長 校長会等におきまして、主幹制度導入の趣旨、意義を周知徹底させまして、例えば主任として学校運営の円滑な推進に努力しているというような、校務運営においてすぐれた教員を推薦していただくというふうなことも考えております。
 それから、これから教員に対しましてリーフレットを配ります。研修もいたします。本制度の目的、意義、これを周知徹底していきたいというふうに考えております。

○野上委員 主幹制度に対して反対をしている職員団体もございますし、また、本当は自分が主幹になってもいいかなと思っている人も、そういう中間管理職的なことに悩まされることにとても懸念を抱いて、申し込まないでおこうかなと思っている方もいろいろあると思うんですけれども、受験者数が足りなくなりますよね。足りないからといって、校長に対して推薦者を出すように割り当てをするということがないようにしていただければと思っているんですけれども、そういった認識でよいのでしょうか。

○中村人事部長 主幹職は、今までもご説明いたしましたように、学校の組織的な課題対応能力を向上させるということで、学校の運営組織における中枢を担うものでございます。この選考に当たりましては、当然昇任試験ということになりますことから、学校運営、学校教育に対して一定の能力実証を経た者を厳正に選考したいというふうに考えておりまして、お話しのように、機械的に校長が一人推薦しろとか二名推薦しろとかいうものではございません。現在抱えている学校の課題に対して、これによりまして十分に対処していきたいというふうに考えております。

○野上委員 では、確認なんですけれども、ある一つの学校でどうしても主幹希望者が、受験者がいない場合は、それはそれで仕方がないという形でとらえていいんでしょうかね。
 もう一つは、主幹の選考方法についてなんですけれども、この手引を見ますと、推薦書、業績評価、面接というふうに書いてあるんですけれども、選抜試験のような論文、一般常識とか、そういったものも行って公正的に判断することも必要なのじゃないかなというふうに私は思っているんですけれども、ご所見を伺いたいと思います。

○中村人事部長 前段ご質問の、もし受験者がおらなくてということになりますと、すべての学校に一名配置ということは過渡的に無理な場合もありますので、その場合は主幹が配置できない学校も出てくるというふうに考えております。
 それから、後段ご質問の点ですけれども、主幹職の選考は、校長の推薦、お話しのように業績評価、面接を予定しております。論文などの筆記試験等は現在のところ予定しておりませんけれども、能力、業績を客観的、公正に評価する業績評価を活用したいというふうに考えております。真に主幹としての資質、能力を有する者を選考することがそれでできるというふうに考えております。

○野上委員 私は、この主幹制度に対しまして、主任制度が導入されたときと同じような二の舞を踏まないようにとても心配しているものです。主任制度も職員団体から推薦が上がってきまして、これを校長の推薦として出しているケースが大変多うございます。教育委員会から、そういうことをしないように校長から指導をするといっても、校長の方は自分で選考して決めたといって出せば、それはちょっとわからないと思うんです。そういった意味で、この制度が真に、本当に子どもの幸せにつながるような制度になるようにしていきたいというふうに思っております。
 ちょっと難しいところもあるんじゃないかなと本人は気にしているんですけれども、例えば、学校現場をそのまま正直に報告をすると、やっぱり校長は指導力がないというふうにいわれるわけなんです。それから、そういう主幹でも自分の学校から推薦者が一人も出せないとなると、業績評価で校長もDとかEとかそういう評価をされたりして、現場的にも混乱する部分があるんじゃないかなと、とても私はそこを心配しているんですけれども、現場の実態に合わせながら、また、かつこの主幹制度がスムーズに、本当に教育現場に混乱を来さないように導入されるように見守っていきたいというふうに思っております。
 要するに、子どもたちが健全な教育を受けられるように、これが原点ではないかと私は思っておりますので、これを主張して終わります。
 以上です。

○曽根委員 私からは、ちょっとテーマが幾つかあるので、順次やっていきたいんですが、それに先立ちまして、先ほど小美濃委員の質問の中で、今度、国旗・国歌として法制化された日の丸、君が代の卒業式などでの扱いの問題のお話がありました。私も小美濃委員の実体験ということで大変印象深く聞いたんです。
 私の素直な印象を申し上げると、やっぱり高校生は、もういろんな社会の問題にも関心を持っていく世代ですから、その高校生の人たちの心の自由をどう保障するのかという問題としてとらえる必要があると思うんです。小美濃さんが、この君が代以外は非常に感動的な卒業式だったというふうにお話しになったので、素直にとらえれば、やっぱりその卒業した子どもたちは心の自由が侵されていたということはないんじゃないかと。その君が代のところだけが、何というか、おかしければ、見ていて大体わかるわけで、私は心の自由が守られているからこそ感動的な卒業式を行って、巣立っていったんじゃないかなというふうに思います。(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)それは私の素直な印象なんです。
 いずれにしても、学校教育の中で特定の思想や何かで子どもたちが侵されるのではないかということを心配する人は、いろんな角度からあるわけです。したがって、本当の意味で子どもたちが伸び伸びと必要な学力を身につけ、教育を受けるにはどうしたらいいか。これは、私は、後に出されたストライキの問題なんかも含めて、タブーなく大いに議論していくべき問題だろうというふうに思います。
 確かに、法を守らなければならないというストライキの問題が現にあります。同時に、戦後五十七年たっても、いまだに公務員に労働基本権が認められていないという国際的におくれた現状もまたあるわけで、その克服が急がれていることも私は当然だと思うんです。それと同時に、私は、形式論ではなく、学校の現場で先生方がどういう状態に置かれ、本当に教育に打ち込める状況になっているのか。それを解決するために、一労働者、一教育専門家として誇りを持って、いわばいいたいことをいい、自分の権利を守ることができるようになっているのかということについて、やっぱり実態から語っていきたいし、また話もお聞きしたい。
 いつも卑近な例で申しわけないんですが、もう学年度末になりますので、毎晩、私のかみさんも遅くなって帰ってきます。通信簿を家に持って帰るようなことになったら、万が一にも途中でひったくりに--私のかみさんも途中で自転車でひったくりに遭ったことがあるものですから、絶対に持ち出せないんです。そのひったくりの被害に遭ったら、それでもうテレビと新聞に名前が出て、その先生は終わりですよ、たとえ一被害者という立場であってもね。ですから、それは全部学校でやらなきゃならない。学籍簿なんかも特に大変です。
 ですから、学年末、学年度末になると、大体九時、十時、十一時と学校に残らざるを得ないという事態になり、最近は学年度末じゃなくて、これが常態化している、日常茶飯事になっているという状況です。それでもって翌日の授業の準備をまじめにやろうと思ったら、何時になったら家に帰れるかわからないと思います。したがって、どうしても学校でやらなきゃならないものはやって、あとはふろしき残業をやっているわけです。したがって、こういう状態で本当に教育に打ち込めるのかどうか、ここの実態から私は出発したいと思っています。ちょっと長くなるとあれなので、質問に入ります。
 さて、それで、最初に養護学校の関連で、二つの緊急課題について質問したいと思います。
 一つは、港養護学校の日照権問題です。
 最近、港養護学校の関係者から連絡がありまして、隣にありました政府の港湾合同庁舎跡を民間業者が購入して、四十階建ての超高層マンションを建設する計画が浮上している。これによって、港養護学校の午前八時半から午後三時くらいまでの日照がほとんどなくなってしまうということが心配されているそうです。東京都は、この計画についてご存じでしょうか。

○比留間学務部長 港養護学校敷地の南側に隣接する国有地が民間に売却をされまして、高層マンションの建設計画があるということについては承知してございます。具体的な建設計画の詳細につきましては、今後正式な説明が学校に対して行われる、このように伺っております。

○曽根委員 こういうのは現場に行かないとわからないものですから、行って、写真を撮ってきました。(写真を示す)ちょっと遠い方は見えにくいかもしれませんが、ここの向こう側はもう運河でして、その運河べりにあるのが港養護学校で、ちょっと白い線で囲ったんですが、こういう低い建物の学校です。築二十数年だそうです。ここにある合同庁舎跡のビルがそのまま残っていて、間もなく取り壊されて、これぐらいの高さのマンションが建ちます。これだけであればお昼ぐらいまでで日照は回復するわけですが、既にここにマンションが一つあるわけです。ちょうどこの二つのマンションの関係で、十二時ごろにこのマンションの影が切れたときには、次のこのマンションの影がかぶってきて、午後三時までの日照がなくなってしまうということになるそうです。
 したがって、この環境を守るためには、教育庁としても当然法律は守って計画しているんでしょうけれども、既にある高層住宅の影響を受けるという点も含めて、建設業者に対して養護学校の通学生の教育環境を守るという立場で全力を挙げていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○比留間学務部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、今後、正式な説明が学校に行われる予定になっておりますので、その正式な説明を受けまして、具体的な対応を図ってまいります。

○曽根委員 ぜひ子どもたちの立場でやってもらいたいんですが、この学校のちょうど裏側、この写真を撮った裏側に玄関があります。逆光になってちょっと見えにくいんですけれども、玄関の前は産業道路といいまして、非常に車の激しい通りで、それから、すぐ目の前に東京モノレールが通っている。こちらにあるのは新幹線、それから湾岸道路がこのすぐそばに高架で通っている。物すごい交通量です。騒音が切れるときがありません。私は日曜日に行ったんですけれども、それでもごうごうたるものです。
 前に私も決算委員会か何かで、この学校のスクールバスの出入りが極めて危険だということで、ここに警戒灯といいますか、黄色いランプをつけるのをお願いして、見たら、ついていました。
 しかし、今回、マンション問題で環境を守るために頑張っていただきたいんですが、どう考えてもこれ以上、この養護学校の環境がよくなるとは思えません。前々から、こうしたことから移転の要望が出ているようなんですが、これについては検討はどうなっているのでしょうか。

○比留間学務部長 港養護学校につきましては、今お話しのように、周囲を交通量の激しい幹線道路に囲まれているという状況がございまして、学校の教育環境や児童生徒の通学の安全等を確保するため、これまで学校と協議しながら必要な整備を行いまして、環境の改善を図ってきたところでございます。
 現在、都の財政が非常に厳しい状況にあること、あるいは都心の周辺地域で必要となる校地が適切に確保できるかなど、いろいろ難しい問題もございますけれども、港養護学校の教育環境の向上に向けて、移転も含めて今後総合的に検討してまいります。

○曽根委員 通学区域は港区だけではなくて、品川、大田の方がどちらかといえば多いように聞いていますので、そちらも含めて探せば、何とかいい場所が見つかるのではないか。少なくともここよりも環境がいいところを一日も早く見つけて、移転を実現させた方が子どもたちにとってはよりよいのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 二つ目の緊急課題は、養護学校の寄宿舎で、つい最近明らかになったらしいんですが、寄宿舎の指導員の方が、定数はもう来年度に向けて決まっているらしいんですけれども、急に欠員があちこちの寄宿舎で八名ぐらい出た。それが埋まらない見通しだという話を聞いたんですが、何とかしてほしいという陳情も受けたんですけれども、これはどうしてこういうことが起きてるのでしょうか。

○中村人事部長 寄宿舎指導員の配置につきましては、平成十六年度、片浜養護学校が閉校になることに伴いまして、寄宿舎指導員が過員となることが見込まれております。このため、新規採用職員による補充はできず、結果として欠員となっているという状況でございます。

○曽根委員 これはいろんな事情があるにしても、まだ二年先の片浜の廃校、これも私たちはこの間本当にいろいろ陳情を受けて、何とかならないかと私はまだ思っているんですけれども、それにしても、そこの寮がなくなると、そこで働いている指導員の方--養護学校の寄宿舎というのは限られた職場で、今度、寮母という名前から寄宿舎指導員と正式に名称も変わるわけですが、職種としては極めて狭い限られた範囲しかない。今度片浜がなくなるので、初めて本格的な減員が出るわけです。それを都内に持ってこなきゃならないので、その方々を二年前の今から欠員にしてあけておくということですよね。それでなくたって寮の指導員というのは限られているわけですから、ちょっと私はひどいんじゃないかなというふうに思います。
 第一、片浜養護学校の廃校ということは決めましたけれども、その先の使い道、あの寄宿舎も含めて決まってしまったのならまだしも、まだたしか決まっていないはずなんですが、その点はいかがですか。

○比留間学務部長 片浜養護学校閉校後の跡地の利用計画につきましては、今後、関係部局と協議しながら検討をしてまいります。

○曽根委員 片浜の活用法はまだ決まっていないわけですね。あそこの寄宿舎の施設、食堂などを本当に全面的に活用しようと思えば、私は、やっぱり何らかの養護学校なり、障害児か病弱児の入れる寄宿舎として活用するのが、一番今までと同じような形で活用できるんじゃないかと思うんです。そういう点では、まだ今後もいろいろ検討の余地がある。
 それから、都内に今欠員が生まれようとしている養護学校の寄宿舎ですけれども、実態としては、それぞれかなり重度の子どもたちを扱っていると聞いております。寄宿舎のあり方については、今回、定員が減るという問題が出たんですけれども、私は、やっぱり父母の皆さんが要望しているように、寄宿舎全体として拡充が必要じゃないかと思うんです。確かに、かつての国の基準でいう遠隔地からの通学が困難な子どもたちというのは、実態としては減っているかもしれません。しかし、重度の障害児の自立のためのいろんな訓練という点では、今、新しい時代で新しい役割を十分果たしていると私は思います。それで、ぜひ養護学校のあり方として、この寄宿舎の充実ということを検討してもらいたいんですが、いかがでしょうか。

○比留間学務部長 まず、都立盲・聾・養護学校の寄宿舎の入舎の対象について申し上げますと、一つとして、通学困難と認める者、二つ目として、家庭の事情により入舎させることを適当と認める者、三点目といたしまして、教育上入舎させることを必要と認める者、こういうふうになってございまして、寄宿舎の設置当初の大きな役割でありました通学困難な者への対応は、交通機関の整備、スクールバスの増車、学校の新増設、こういったことに伴いまして大幅に減少している現状にございます。
 このため、寄宿舎のあり方につきましては、その必要性や果たすべき役割を含めまして、現状を踏まえつつ検討をしていく必要があるというふうに考えてございます。

○曽根委員 少なくとも、はるか昔の国の基準が現状に合わないからといって、今果たしている大変重要な役割を無視して後退させることがないように、実情にこたえた充実策をお願いしておきたいと思います。時間の関係があるので、次に行きます。
 学校週五日制に伴う対策については、私も前回の代表質問、それから文書質問でもお願いしたことがあります。特に今回、養護学校の通学生の対応についてお聞きしたいんですが、地元の小中学校の障害児学級に通っている障害児もいますが、特に私が今度の完全週五日制実施で心配しているのは、遠隔地の養護学校に通っている重度の子どもさんたちです。地元にほとんど、いわば地域との結びつきがないわけですね、スクールバスで一時間とかそれぐらいかけて遠いところの学校に通っている。今度、土日が完全に毎週休みになってしまうと、地域に出るのもなかなか困難。かといって、家庭だけではとても面倒を見切れない。今までは隔週で土曜日があったけれども、なくなるということで、父母の方々からも心配の声が出ています。また、学校の先生からもそういう話を聞いています。
 それで、お聞きしたいのは、教育庁は、月二回土曜休みが実施された際に、七年前になりますか、区市町村に対して障害児の土曜日対策の事業に補助を始めたと思うんですが、現状はどうなっているでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 障害のある児童生徒の学校週五日制の対応事業の一つといたしまして、心身に障害のある児童生徒のための地域活動促進事業というものを平成七年度から実施してございます。

○曽根委員 その事業が時間経過の中で終わりを迎えようとしているというふうに聞いているんです。たしか十二年度、二〇〇〇年度で新規の事業が打ち切りになって、今続いているところはまだやっているところもありますが、そういう計画になっているんでしょうか、その点を確認したいと思います。

○嶋津生涯学習部長 この障害のある児童生徒の地域活動促進事業でございますけれども、この事業につきましては、本来的にいえば、区市町村が地域の実情に合わせてなしてしかるべきものかというふうに考えてございます。しかし、この事業を開始いたしましたころ、まだ障害のある児童生徒の地域での受け入れ体制が未整備である、そんなこともございまして、東京都として先導的にこの事業をやる必要があるのではないかということでやってまいりました。しかし、それが今一定の定着を見まして、既に地元の自治体の方からは違う要望が出てまいりまして、地域活動を支える人材を養成する事業を行うことということで出てきております。そんな背景の中で、この地域活動促進事業については変更を考えているところでございます。

○曽根委員 違う要望が区市町村から出たかもしれませんが、教育庁が独自に月二回のときに始めた事業が間もなく終わる。今度は、毎週、少なくとも今までの二倍以上土曜休みがふえるというときに、それじゃ、新しい事業を何か立ち上げて、都立の養護学校に通っている子どもたちの地元でのさまざまな受け皿をつくることを支援するということに取り組むことが考えられているのかどうか。それとも、それじゃなくて別の事業を考えているのかどうか、新しい事業についてお聞きします。

○嶋津生涯学習部長 心身に障害のある児童生徒の地域活動促進事業でございますけれども、平成七年から始めまして、二十五の自治体にこの間実施をしてまいりました。先ほども申し上げましたけれども、それぞれの自治体はそれを継承して発展させていく、そういう形で今進められており、そういう点では一定の成果があったものというぐあいに考えてございます。
 それにかわるものとして、改めて地域の要望の強い、これからは地域活動を支える人材を養成する事業、そういったものに取り組んでまいりたいというぐあいに考えてございます。

○曽根委員 実際に、各区市町村は週五日制の対応で非常に今苦労しています。予算も相当つけてやらなきゃならないということで、北区なんかも、先日の本会議で紹介しましたが、やっぱり億の単位の金を積んで対応をやっています。そういう中で、まだ障害児の分野が非常におくれているわけです。したがって、これは国や区市町村任せだけではなくて、都立の養護学校に通っている子どもさんたちの問題ですから、東京都が独自の補助事業をやってもらいたいと思うんです。
 そして、その中で一つお願いしたいのは、今、障害児の学童保育に取り組んでいる自主グループが都内にたくさんあるわけです。今までは地域福祉財団から補助を受けて頑張ってきましたが、今度、地域福祉財団が廃止されて、老人研究所でしたか、そこの財団と一緒になるわけです。補助は継続されるとは思いますが、今度、土曜休みについてもそういう自主グループが取り組もう、積極的に受け皿になっていこうと考えたときに、私はこういう趣旨からいって、教育庁が何らかの援助をしてもいいんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 心身に障害のある児童生徒の地域活動促進事業につきましては、都が区市町村への補助として行うものでございまして、民間の団体への直接的な補助を行うというものではございません。

○曽根委員 私は、都の社会教育団体の助成もありますから、民間団体に対しても助成は現に教育庁でも行っているので、また、福祉局は地域福祉財団というものを通じて援助をするというやり方もとっています。いろいろやり方は工夫できると思います。ぜひ、教育庁としての独自の障害児の土曜日の休み対策拡充をお願いしておきたいと思います。
 次に、都民負担の問題で幾つかお聞きしたいのですが、一つは、今度、文化・スポーツ施設を含めて全庁的な方針のようですが、利用料金制が導入されることが提案されています。また、これが導入されると同時に、利用料を改定しようとする動きもあるようです。
 この問題は、今まで、ほかの局ですけれども、例えば駐車場公社とか若洲海浜公園とか部分的には実施されていました。これを全庁的に広げるわけです。上限額を設定して、その範囲の中で知事の承認があれば利用料金が値上げもできる、いろんなバージョンもつくれるということのようです。これを文化・スポーツ施設に適用することでどういう問題があるかという点で幾つか質問をしたいと思います。
 今までは、文化・スポーツ施設の都からの出費というものは、一定の予算を組みますが、もし収入が、利用料金、使用料がその予定した額に達しなかった場合は、当然今出費している都の支出をふやして最後に清算をする。決算の段階で清算しますよね、これを全額清算方式といっているそうですが、今度利用料金制になった場合は、これは基本的にどういう形になるでしょうか。

○桜井体育部長 東京都は、文化施設、体育施設に対しまして、委託料という形で経費を支出してございます。
 ただいまの質問でございますが、利用料金制におきましては、委託料の額は施設の管理運営に要する経費から利用料金収入見込み額を控除した額となります。原則として清算を行わないために、利用料金収入見込み額を上回って収益が出た場合は管理受託者の収入となり、将来に備えた内部留保や自主事業の原資に充当することなどが可能になってまいります。
 また、収入見込み額の未達成により損失が生じた場合、あるいは経費の増大により支出超過となった場合は、内部留保の取り崩し等により管理受託者が対応することになります。このような取り扱いにより、管理受託者の経営責任を明確にするとともに、自主的な経営努力を発揮しやすい環境を整えるものでございます。
 なお、当分の間は、従来と同様に委託料の全額清算を行うことを予定してございます。

○曽根委員 私も、やっぱり当分の間、今の全額清算方式を行わざるを得ないという事情があると思うんです。つまり、利用料金制になりますと、東京都から出す額は、予算で決めたら、例えば六割出しますよと決めたら、その残りの四割は必ず料金収入で回収しなさいということになります。回収できなければ赤字になりますから、どこかから持ってこなくちゃならない。東京都は出さない。東京都は今財政事情が厳しいですから、こうすれば一定額の委託料を決めて、来年は財政事情が厳しいから一〇%シーリングということでどんどん減らすことが可能になります、全額清算しないんですから。残りはどんどんどんどん広がってきて、使用料を--今度は利用料金ですね--多く取らなきゃならなくなってくる。そういう東京都側の財政の切り詰めは、仕組み上は非常にやりやすくなると思うんです。逆にいうと、運営管理する方は大変なんですよね。もうかればいいですよ、蓄えができるから。しかし、今のご時世で、もうかるぐらい--いろいろ工夫はするでしょうけれども、大変だと思います。
 文化、スポーツというのは、都民が生活を豊かにするために利用している施設であって、何しろ今厳しいですからね。豊かにしたくたって、食べるもの、着るものの方が大変だという状況もありますから、やっぱりどうしても利用が渋りがちになる。そこに来て料金が、収入が減ったので個別料金を高くしなきゃならないということでだんだん上がってくる、私はこれは悪循環になりかねないと思うんです。
 具体的にお聞きします。最初に、体育施設のことからお聞きしたいんですが、東京都のスポーツ施設については、利用料金の上限額というのはどういう基準で設定するのか。それから、あわせて、当面、料金の具体的な値上げを、また改定を計画しているのかどうかをお聞きします。

○桜井体育部長 条例で定める利用料金の上限額でございますが、体育施設につきましては、事業運営に必要な経費として、人件費、維持管理経費及び設備の減価償却費をもちまして利用料金に反映させる原価とした上で、各施設ごとに算定した額を上限額としております。ただし、原価により算出した額が現行額と比較して一・五倍以上の乖離が生じた場合には、激変緩和の観点から、現行額の一・五倍を上限額と考えてございます。

○曽根委員 そうすると、具体的に、当面この上限額は設定をするということになっても、料金改定を、例えばアマチュアスポーツ団体とか、やる予定はまだないということでよろしいのですか。確認だけしておきます。

○桜井体育部長 今回の料金改定に当たりましては、専用使用の場合の入場料等を徴収する場合及び個人使用の場合について原価まで改定するものとしたものでございます。先ほど申し上げましたように、現行額と比較して一・五倍以上の乖離があるときは、激変緩和の考え方から一・五倍までを上限額としてございます。
 なお、アマチュアスポーツに配慮いたしまして、専用使用の場合の入場料を徴収しない場合は、現行使用料の額を維持していく考えでございます。

○曽根委員 私は、スポーツ施設というのは非常に景気の影響を受けやすいところだと思うので、各団体も厳しい中で料金を払って会場使用をしているので、こういう方々にさらに重い負担をかけることのないようにぜひ強く要望しておきたいと思うんです。
 多くの他県、他市などでは、例えば湯沢市などで四十歳以上の市民の無料パスで健康体操などに取り組んだり、むしろ積極的に多く気軽に参加してもらうような企画もやっています。ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 それから、文化施設なんですが、時間の関係で具体的にお聞きしますけれども、やっぱり一・五倍を条件とする利用料金や、それから、もう少し低い割合のもあるようですが、やっぱり原価主義で導入されようとしているんですけれども、特にもう四月から、もしくは近々料金改定を予定しているというところもあるようですが、具体的な料金改定の文化施設の計画が出ているようでしたら教えていただきたい。

○嶋津生涯学習部長 四月以降の使用料等の件につきましては、東京都歴史文化財団とか、あるいは生涯学習文化財団とか、そういったところで管理受託者として検討しているということは伺っております。

○曽根委員 具体的には、どことどの施設が料金改定が見込まれているのでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 財団が検討している関係上、詳細はつまびらかではございませんが、例えば東京文化会館においては小ホール、あるいは東京都の現代美術館においては講堂、研究室、都の美術館においては工房、展示室などを検討しているというぐあいに聞いております。

○曽根委員 過去の駐車場公社の場合にも、最初はそこまでは行かないんだけれども、数年たつとたちまち上限額に張りついてしまうというのが今までの通例でした。今回も四月一日から、上限額を設定した途端に、もう上げようという計画になっているようで、特に東京都美術館については、現管理者である生涯学習文化財団ですか、ここから三月一日付で利用団体に、まだ議会で何も審議していないのに、もう四月から値上げの見込みという通知が行って、関係者はびっくりして、利用団体の方々が問い合わせてみたら、いや、まだ審議がされていないのでということで、文書は間もなく撤回になったそうです。
 しかし、とにかく上げる勢いだということで、利用団体の方々が先日、東京都にも行かれたと思うのですが、私どもの会派にも要望書を持って来られました。とにかく絵画の美術団体もそれぞれ大変厳しいですから、特に美術品の搬送、搬入はこん包その他で大変費用がかかります。したがって、大変な費用をかけて全国から作品を集める、またもとに戻すという作業をやっているわけで、会場使用料だけは据え置いてもらいたいという強い要望がありました。東京都美術館を利用しているほとんどの団体の名前が恐らく連ねて出されたんだと思うんです。三十近い団体がリストアップされていました。
 それで、この三月一日に出された文書が撤回されたというものの、一体何でこういうことが起きたのか、それから、今度は歴史文化財団が生文局所管でやるわけですよね。私は、三月二十八日に仮に議決されたとしても、四月一日から上げるのに三日間しかないわけで、しかも財団は一日から管理がかわるわけですから、その合間に値上げを検討し、決定し、周知するなどということは到底できないと思うんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 先ほども申し上げましたように、館の料額の決定につきましては、受託管理者であります財団が決定するものでございます。したがいまして、手順として申し上げれば、条例の施行日以降、東京都は財団からの利用料金の申請を受けまして、それに対して都が承認をいたしまして、各館が利用者に通知を行っていくということを予定してございます。

○曽根委員 今のご答弁を再確認をしておきたいと思います。条例の施行日というのは四月一日です。したがって、もし仮に値上げの計画がその後検討されるとしても、その後であるということですね。この点は、管理も移らないうちに、もう値上げの問題を移るはずの団体の方で先取りして計画するなどということがあってはならないわけなので、このことは厳に申し上げておきたい。
 もし四月一日に仮に上げてしまったとしても、利用料金の手続というのは、今度は実際にかかってくるのは東京都美術館は秋の申し込みらしいんですね。もう去年の秋から暮れにかけて、再来年度、十五年度の利用は全部決まっている。料金も、ですから現在の値段でやると。今度、ことしの秋に申し込むのは十六年度の利用らしいんですよ。そうすると、何か慌ただしく値上げを決定しても、実際の団体が払う段階というのは秋になるわけですから、もっとその前に利用団体との協議や--大体、この要望書を見ると、声をほとんど聞いていないようですよね。そういうことは当然あってしかるべきだということを申し上げておきたいと思います。
 それから、都民負担という点で、これは資料を個別にお願いはしたんですけれども、都立高校の授業料の、また入学料の値上げが出されていました。全体の影響額といいますか、都立高校全体で今回の改定によるどれぐらいの影響額があるのでしょうか。

○比留間学務部長 現在ご審議をお願いしております高校の授業料等の改定でございますが、平成十四年度における授業料の改定は新しい一年生のみが適用になるということでございますので、それに伴う増収分は約一億六千二百万というふうに見込んでおります。入学料の改定は、平成十五年度入学生からになりますが、実際の歳入は平成十四年度になりまして、それに伴う増収分が約五百万。合計いたしますと、十四年度初年度分といたしまして約一億六千七百万円というふうに見込んでございます。
 この改定は、授業料でございますけれども、学年進行で行いますので、全学年が適用になるのは平成十六年度になります。この十六年度がいわゆる平年度ということになるわけでございますが、この平年度の授業料改定分といたしましては約四億九千五百万、先ほどの入学料の改定分五百万円と合わせまして、合計で約五億円というふうに見込んでございます。

○曽根委員 五億円のいわば収入増になる、高校授業料、入学料の増額になると。この収入増を東京都が受け取ることによる財政的なメリット、それをまた当然還元してもらわなければなりませんが、しかし、払う側の高校生やその家族の負担感、私はそれを考えたら、今、私立に行けずに、公立を目指さざるを得ないという財政事情の家庭が非常に急増しているというときだけに、この五億円という負担を何とか都民にかけないで東京都が吸収できる道は、工夫のしようは幾らでもあるだろうと思います。
 時間の関係でこの程度にしておきますが、高校の授業料改定は国に合わせて行うようですけれども、こんなことで国に横並びにする必要はない、都民の立場や生活実態を見て、東京都として独自に判断していい問題だというふうに思います。
 さて、次に都立図書館の問題で、これは既に何度か質疑をしておりますので、今後のあり方の問題についてを中心にきょうは取り上げさせていただきます。
 まず最初に、かねてより問題になっておりました多摩図書館の約十万冊の図書が、お聞きすると既に処分が実行されつつある、日比谷からの児童書の移転も既に大体終わりつつあるという段階にあるそうです。このことについては、私、これまでにいった意見を繰り返しませんが、厳しく抗議をしたいと思います。
 大体、再活用などと都がいえる立場にはないということを申し上げておきたい。再活用するのは受け取った方の区市町村であります。東京都は、それをあえていうなら再活用をお願いし、してもらったという立場です。本当の再活用というのなら、どういうことを考えるべきかということについては後でお聞きしたいと思うんですが。
 それともう一つ、私、取り上げてきて、まだ決着がついていないなと思っているのは、今後の問題について、あり方検討会報告の中で、日比谷図書館のあり方について抜本的に再検討をするとなっております。今度ばかりは東京都内部で勝手に決めずに、しかるべく図書館協議会という法定の審議会があるわけですから、直ちに協議会を立ち上げて論議してもらう必要があると思います。日比谷図書館の今後のあり方について、図書館協議会に諮問をするなり、意見具申を求めるなりすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館協議会につきましては、来月、四月のうちにはこれを設置して発足させたいというぐあいに考えてございます。その協議していただく中身でございますけれども、私どもといたしましては、この間の都立の図書館をめぐる論議などを勘案いたしまして、そのテーマを整理している段階でございます。

○曽根委員 今まで図書館協議会で取り上げてきたテーマの中には、日比谷のことも何度か含まれていると思うんです。しかも、あり方検討会では今後の検討というふうにゆだねられているわけですから、東京都として最も信頼すべき協議の場である図書館協議会に、これはテーマとしてお願いするということがあって当然しかるべき課題だと思うんですが、もし全く筋違いだというなら別ですが、可能性はあるということでよろしいでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 図書館協議会での議論の素材でございますけれども、二つのプロセスがございまして、一つは中央の図書館長から諮問をお願いするというものがございます。もう一つは、審議するテーマを委員の議論の中で決定して、それを図書館長の方に意見具申するという、その流れがございます。いずれにいたしましても、どういうテーマをいただくかについては、協議会の中で議論されていくことになるというように考えてございます。

○曽根委員 東京都が協議会に対して、昨年行ったような、全く協議会に何も示さずに、並行して内部で検討を進めるようなことをやらなければ、当然、今後の都立図書館、最も歴史の古い日比谷図書館のあり方については、都民の多くの関心もあり、新しい図書館協議会においても自然に論議があってしかるべきだと思いますので、このことを指摘しておきます。
 さて、それで今後の都立図書館が、いわば今まではバックアップ機能を多くの区市町村の図書館について果たしてきましたが、東京都内にある図書館の相互連携を図っていく上では、いずれにしても区市町村の図書館同士の相互連携が必要だということは、私以外の方々からも意見がいろいろ出ていました。ただ、これがなかなか現状では進んでいない。そのネットワークをつくればいいのはわかっているんですね。わかっているんですが、なかなか進まない。このネックというのはどこにあるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 お答えする前に、先ほど図書館協議会について、何の相談もないというお話もございましたけれども、私どもといたしましては、あり方検討会を発足するときに協議会にも報告し、その後、九月にも十月にも十分議論をいただいたというぐあいに認識してございます。
 さて、ネットワークづくりでございますけれども、確かにこのネットワークづくりにつきましてはネックがございます。
 一つは、自治体の間で持っている本の数、蔵書の数に格差がございまして、資料をお互いに貸し借りする際に、受益と負担のアンバランスが生じるということが一つございます。
 それからもう一つは、これから横断検索システムといったものをすべての図書館に導入していこうではないかということを私どもとしては考えているところでございますけれども、この横断検索システムは、インターネットを利用して、各区市町村の図書館の蔵書の中にどこに必要な本があるかということを検索するシステムでございまして、そのためには各図書館が持っているすべての本のデータを入力して、それをホームページの上に公開するということが必要でございます。そうなると、データの入力にお金がかかります。すなわち一定の財政負担を伴うということがございまして、これがもう一つのネックでございます。

○曽根委員 これは案外、技術的には当然可能なはずですが、費用の点でも負担が大きいし、手間の上でも大変だという実態なんだと思うんです。時間的には、やっぱりある程度かからざるを得ない。したがって、都立図書館が今まで果たしてきた個別の区市町村に対するバックアップ機能は今後ますます重要になっていくと思うんです。少なくとも東京都内の公立図書館の全部のネットワークができるまでは、都立図書館が個別の図書館にない本は提供するという関係が続いていくと思います。したがって、かねてからよくいわれてきた都立図書館には、最後のよりどころといいますか、都民の図書館としては最後のよりどころとして、大抵の本はあるという、その役割といいますか、わかりやすくいえば、そういう役割を引き続き堅持していく必要がある。
 そこで、先ほど申し上げた再活用ということなんですが、私、いろいろ調べていてちょっと驚いたのですが、今年度、いわゆる図書の再活用事業といわれるもので、区市町村の図書館が廃棄した図書を都立図書館に引き取るという事業がやられていたということを知りました。最近始まったらしいんですが。もちろん東京都に蔵書があればダブっていますから、それははじいてといいますか、除いて、たまたま区市町村が廃棄するんだけれども、その本が都立図書館になかった場合、これは貴重な図書ですから、都立図書館は引き受けるという事業が始まっているそうなんですね。これを再活用といっているらしいんですが、この実績についてお聞きしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 区市町村の図書館の方で除籍をする資料の都立の図書館での再活用につきましては、今年度、平成十三年度に多摩の図書館で試行的に実施をいたしてございます。試行に当たりましては、三つの条件というか、考え方がございまして、一つは、区市町村から除籍した資料であるということ、二つ目に、都立の図書館の方で未所蔵、持っていないということであること、それから三つ目に、都立の図書館が将来にわたって行うサービスに必要な資料であるということ、これを考え方といたしまして、実績としては三つの市から二百二十九冊の図書を受け入れてきたところでございます。
 いずれにしても、収集率を高めるというのが私ども都立の図書館のスタンスでございまして、そういう一環としてこのことは試行したということでございます。

○曽根委員 公立図書館にとって、本を捨てなければならないというのは最も残念なことだと思うんです。しかし、区市町村の図書館で本を廃棄しても、それが都立図書館にない本で、都立図書館が引き受けてくれるならば、その区市町村も含めて都民全体がその本を再活用できる、これが本当の再活用だと私は思うんです。そういう意味で、その本の価値は守られた。図書館として守ることができた。ですから、冊数としては二百二十九冊ですけれども、譲り受けるのですから当然無償ですよね。
 この事業は試行だそうですけれども、モデル的にやっているのでしょうけれども、当然、何しろ十万冊近くを再活用だといって区市町村に譲り渡しているぐらいですから、逆に区市町村が恐らく東京都に一冊しかないかもしれない本を捨てるのをとどめて、これを都民全体が利用できるように都立図書館は引き取る。わずか二百冊ちょっと。当然、来年度以降も続けられるし、続けるべき事業だと思いますが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 私どものスタンスは、図書の収集率を高める、そのことによって区市町村のバックアップ機能を果たしていくということでございまして、十万冊のお話が出ておりますけれども、必ずしも量にこだわるものではないという考え方をとってございます。
 今回の区市町村からの再活用につきましては、多摩の図書館で試行的にやられたものでございますけれども、今後は都立の三館が一体的になって図書館の運営をやっていくということでございます。したがって、今回の試行の結果を踏まえまして、今後の取り組みのあり方については改めて検討してまいりたいというように考えてございます。

○曽根委員 別にスペースがそれほど必要なわけでもない。お金もかからない。しかし、一冊一冊の本を大事にしようと思ったら、図書館の姿勢として、こういう事業を、ようやく今始まったところなんですが、大事にする。これはお金の問題でも何でもない。都立図書館の姿勢の問題だと思うんです。
 それで、ささやかな事業ですけれども、押切さんに、図書館長としてこういう事業こそ--ネットワークが全部できちゃえばまた違うあれがあるでしょうけれども、まだ当分ネットワークは難しいわけですから、こういう事業こそ大事にしていくべきではないかということで見解をお聞きします。

○押切次長 図書館のあり方検討委員会の報告書にありましたように、これからは都と区市町村が連携をとっていくことが非常に重要だと考えています。この一環として、お互いに不足を補い合うという意味で、この事業もご提言どおり大変大事だと思いますので、前向きに検討してまいります。

○曽根委員 お互いに相互提携と、それはもう当然です。しかし、私はあえて最後に意見として申し上げるんですが、東京都の都立図書館を離れた本は、行った先の区市町村では利用されても、ネットワークがない関係で、都民全体の利用にはなりません。逆に区市町村を離れた本が都立図書館に来れば都民全体の利用になるという、そこはやっぱり大きな質的違いがあります。それだけ都立図書館の役割は大きい。こういう数百冊のささやかな事業ですが、ここに僕は図書館の本質があると思うので、ぜひよろしくお願いします。
 それでは、次に行きます。
 最後に、主幹制度の導入について時間の範囲内で頑張りたいと思います。それで、これも幾つか質疑をしています。前回、意見だけ表明して、導入の過程などについて質問するということで予告したんですが、その際要望した、これに係る経費の試算、これは、財政的な措置がはっきりしないのに、もう再来年度導入ということはあり得ないので、ぜひはっきりさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 これについては、前回もお答えしましたとおり、給料表の作成は人事委員会の勧告をもって行うものでございまして、現時点で私どもとして人件費を試算できる状況にはないということで、現時点ではお示しすることはできません。

○曽根委員 もう余り時間がないので、率直な話、私もこの間、個人試算を、個人的な試みの計算を出しました。部長さんの個人的な計算でいいですから出していただけないでしょうか。

○中村人事部長 私が申し上げた答えがひとり歩きをしないだろうという前提のもとに、個人的な見解として申し上げますと、制度が全面的に導入された段階では六千三百人に適用になります。これに仮に一人当たり月額--これは一般教員と教頭との中間で当然人事委員会は決めてきますので、大体一人当たり月八千円上がるかなと。仮に八千円だとすれば、これに十二カ月、それから諸手当のはね返り、これを入れると六千三百人で十二億円程度になろうかなというふうに私は考えております。

○曽根委員 私の計算より大分少ないんですけれども、そうですか、八千円ぐらいしか上がらないんですか。(「八千円もだろう」と呼ぶ者あり)そうですか、大変な仕事だと思うんですけれどもね。
 それで、主幹制度の問題点については、私の主張は前回述べたとおりです。この最終検討報告にも載っていましたが、学校現場で何よりも重視しなければならないのは子どもたちの問題です。とにかく不登校が非常にふえていて、相変わらず上がり続けていることや、それから学校の中でのいじめもなくならないだけではなく、学級そのものが成り立たないということが中学生から小学生までおりてきているという状況です。したがって、これを解決するために、現在の主任制度ではどうしようもない限界があって、主幹制度が必要なんだと、ここのところに私はこだわりました。その主任制度では不十分で、主幹制度が必要だという理由は、四つほどありましたが、大体どれも校長先生のリーダーシップを発揮するいろんな条件が悪いということが中心でした。しかし、現場で起きている問題の本質はそこではないというふうに私は思います。ここが私が主幹制度導入でこの子どもたちの事態は解決しないと思う最大の理由です。
 同時に、いろいろ心配するご意見があるわけですよ。教師間の人間関係を心配する意見もあります。先ほどの野上さんのご意見もありましたし、それから、主幹という仕事が新しくできれば期待が集まる面もあるので、どんどん仕事が集まってくるということもあり得ます。本当に大丈夫だろうかと、私はそのなった方の過労死も心配ですよ。学校現場では、または区市町村の教育委員会ではどういう検討をされているのか、率直なところをお聞きします。今、区市町村で正式にこの主幹制度導入を決めたところはどれぐらいあるんでしょうか。

○中村人事部長 東京都教育委員会では三月八日に規則改正を行っております。この旨、各区市町村教育委員会に通知しまして、それぞれ学校管理運営規則を改正していただきたい、こういうお願いをしたところ、二つの市、ここで学校管理運営規則を既に改正しておりまして、学校に主幹級を設置することを教育委員会で決定しております。

○曽根委員 何か語気強くおっしゃったんですが、もう既に中間報告が出て、年を越えて、三月八日には最終決定されているわけですから、待たれていた制度であれば、もっと多くの区市町村が手を上げるのではないかと思いますが、まだ正式決定は二つしかないというところにも、区市町村の側の戸惑いといっておきましょうか、があると思います。今後はまだわかりませんよ。恐らく東京都は大宣伝をかけるでしょうからね。
 それから、現場の教職員の方々はどう考えているか。これは東京都の方にも恐らく伝わっていると思いますが、都教組の投票がこれで行われています。また、現場のだれでも参加できるという形で、都教組の組合員以外の方もたくさん投票したようですが、それによると、もちろん都教組ですから小中学校、幼稚園ですね、教職員四万一千百五十名のうち投票参加が三万一千七百九十九名で、七二・五%が参加し、参加したうちの九五・一%、二万九千八百四十五名が導入に反対だと。導入賛成は七百八十二名で二・六%にとどまったということであります。あわせてアンケートが記入できるようになっていたらしいんですが、いろいろな意見がありますが、明らかに管理職の方が書いたなと思われるのもありますよ。
 ですから、うまくいっている学校をなぜこの主幹制度導入で混乱させなければならないのかというのは、前回だったか、どなたかもおっしゃっていたと思うんですが、学校の校長先生の中に相当あるんですよ。私、北区の小学校の校長会の会長さん、中学校の校長会の会長さんにお会いして意見を聞いたら、二人とも、とんでもないと、共産党は頑張って何とかやめさせてほしいというんです。こんなことは珍しいですよ。(笑声)めったにありませんよ。何しろ校長会の会長さんですからね。名前はわかっちゃうんですから。そういう方でも、やっぱりこれは困ると。その方は、都立高校はいざ知らずというんですよ。しかし、小中学校は何といったって職場の人数が少ない、中間管理職を設けるほど人数がいないんだというわけですよ。それで、前に心配されていたような人事異動の問題もあったり、これは若干変更があったようですけれども、という意見が出ているわけです。こうした声について、人事部といいますか、東京都はどう受けとめておられますか。

○中村人事部長 校長会の話は情報としてお聞きしておきますけれども、教職員組合のこのアンケートといいますか、投票したということは私ども聞いております。このような投票結果になったのは、組合主催の投票であったということもございますけれども、新しい制度であるということから、教職員会に、これは野上先生からもお話がありましたけれども、ある一定程度の不安がまだおありになるのかなと。それから、主幹制度を導入する趣旨がまだ教職員に周知徹底できていないと、我々も十分反省しております。このために、全教職員に対しましてリーフレットを配布するとともに、今後、研修を実施して、本制度の目的をより周知徹底させていきたい、こういうふうに考えております。

○曽根委員 私は、東京都の教育環境を公平にするということを絶えず強調されておられる以上は、これほど足並みのそろわない制度を再来年度、一年後に東京都だけでなく区市町村も全部といっても、実際には足並みはばらつきが出ることは今から予想されるので、これは本当によくないと。事の是非はともかくとしても、置くとしても、これだけ足並みがそろわない制度がスタートしてしまうのは非常によくないと思うんですね。後で、なった人だって傷つきますよ。何か浮いちゃったみたいになりますからね。したがって、これは何といっても、区市町村も一緒にというのであれば、東京都自身の実施も待って、全体の合意を図るべきだ。私は、そういうふうに慎重に議論をしていけば、また現場の声も吸い上げれば、これは実施は難しいと思いますけれども、少なくともそういうことは手だてをとるべきだという意見を申し上げておきたいと思います。

○中村人事部長 既に導入したところは二つの市だというふうに申し上げましたけれども、既に私どもにそのほかの六つの区市町村から、近々教育委員会に提出する、こういう報告が参っております。
 なお、そのほかの区市町村につきましても、教育長会、それから指導室課長会、これの事務的な折衝に入っておりますので、私どもは全区市町村が足並みをそろえていただける、こういうふうに考えております。

○曽根委員 先ほど申し上げましたように、職場の圧倒的な教職員が異論を挙げているということも含めて、ぜひ慎重に検討していただきたいし、私たちはこの問題は白紙撤回すべきだという意見を申し上げておきます。
 いずれにしても、区市町村はともかくとして、東京都は都立高校、養護学校については、とにかく来年春に実施ということを考えており、これは東京都自身の責任においてやろうとしています。そこで私は、都立高校で今どういう学校の中の現状があって、主幹制度の導入がその中でどういう役割を果たすかということについて、一つは、私の母校であります都立小石川高校で最近非常に残念なことが起きました。そのことをちょっと紹介しておきたいんです。
 それは、校長先生が新しくなりまして、進学校として重点的に頑張っていきたいという表明をされて、来年度から始まる五日制対応では土曜補習だとかそういうものをどんどんやっていきたいということに対して、異論を唱えた教師が一人、異例の異動を本人の意思に沿わずさせられる結果になりました。これはその学校の先生方、職員の方々、大半の方が待ってくれと校長先生にお願いもし、いろんなこともあってPTAにも情報が漏れ、またそれが、たまたまきっかけが、PTAの運営協議会で三年生の学年主任だったその先生が校長先生に対して発言したことがきっかけだったものですから、PTAの会長さんもいろいろ努力をされたんですが、結局異動になりました。
 その先生は、学校をこれ以上混乱させたくない、皆さんに迷惑をかけたくないということで異動を最終的には合意されたわけです。しかし、後に混乱が残ったわけです。PTAの方から相談がいろいろ私たちの方にも入りましたし、その校長先生の前任の校長さんのところにも入りました。その方はたまたま北区の教育長に今なっているんですけれども、その方のところにも相談がいったそうです。
 最後にPTAの会長の所感が出まして、その中で、残念ながら校長先生と教職員側の間で歯車がかみ合わず、意思の疎通を欠いた事態になったのは事実のようです。これまで九年間、その先生がそのことを愛し、尽力くださった小石川高校の何でも話し合える自由な校風をこの先も残してもらいたいという強い思いを残して去っていったと。他の教職員の方々も全く同じ思いでおられるように感じられます。そして、菅沢校長先生も今回の件を深く踏まえた上で、この小石川高校の校是であります立志、開拓、創作と、自由、まことという創立以来の伝統を維持発展するよう、今後の運営にご尽力くださると伺っております。今後このようなことが決して起こらないよう学校運営をお願いしたいと強く要望いたします、こういうことです。
 私、自分の卒業した高校であるだけに、進学率、東大に何人入るかという点では確かに私立に抜かれ、都立高校の中でもランクが落ちたかもしれません。しかし、脈々と自由に何でもいい合えるという校風や、自分のやりたい勉強を思い切ってやれる。しかし、卒業してみんなそれぞれ一浪はするけれども、大体自分の目指す大学に入っていくという、なかなかいい校風の高校だと自分では思っているんです。それが、とにかく進学指導重点ということでこういう事態になってしまった。
 ここに今、主幹制度が導入されようとしているんですが、私は率直にいいまして、今までは校長先生が一人、とにかくおれはこういうふうにしたいんだといっても、教職員の人たちが、いや、学校はみんなでこういうふうにつくってきているものだからといって--そうするとワンマンになってしまう。そのワンマンを助けるための制度にしかならないんじゃないかと。校長先生のいうことを聞く職員を、とにかく味方をふやすというんですか、そういうことにしか都立高校の場合でもならないんじゃないかと思えてならないわけです。現にこういう問題が起きている中で、主幹制の導入を強引に進めることは、私は、都立高校のそれぞれの学校でも、教職員や生徒たちの思いや願い、努力に反する結果を生み出す危険性が非常に高いのではないかと思うんですが、全体、いろんな話をしましたけれども、どうでしょうか。

○中村人事部長 例で示されましたその異動の件ですけれども、これは異動基準にのっとって異動しているものでございまして、そもそも異動自体がご本人の希望どおりに異動するなんていうことはあり得ないわけでして、これはオール都立学校の中で私どもが異動基準の中でやっているものでございますので、その点はご承知おきいただきたいと思います。
 それから、その異動あるいは校長の権限を強化するために主幹制を導入するわけではございませんで、児童生徒のために、よりよい学校教育のために導入するということをぜひご認識いただき--ご認識といいますか、失礼ですけれども、私ども説明しているわけでございまして、児童生徒の現状をよりよくするために学校を組織として機能させる。いろんな課題がありますけれども、これに対する課題解決能力を高めるために、この主幹制を導入するものでございます。よろしくどうぞお願いします。

○曽根委員 こういう小石川の例、これは表ざたになってしまった問題だったので具体例を申し上げましたが、名前はいえないけれども、たくさんの高校の中の方々からの訴えが私どもに届いています。私の知人の先生の訴えも、ここも進学重点校になりたいということで、校長先生がとにかく六時限授業を七時限にしようとか、三学期制を二期制にしようとか、今まで何年かかけてつくってきたプランを全部捨てて、校長先生の考え方でやろうとする。その中で、もう主幹には、君に頼むよというようなことで、教頭先生にいって飲み会を開いて、そこで組合員じゃない先生に、肩をたたいて、君にお願いするからねと、何というんですか、隠れ内定みたいなことをやっていると。こういう校長先生のやり方に、一人の先生を除いて、みんな辟易としているという訴えが来ています。
 これは複数、たった一つの学校じゃなくていろいろ来ているから、私、本当に心配なんです。こういう校長先生が何でこんなにふえたのだろうなと思うぐらい不思議なことですが、現にそういった訴えが来ております。私は区市町村の小中学校はもちろんですけれども、都立高校、養護学校においても、今こういったものを導入することが決して子どもたちの教育を高めることにならないだけじゃなくて、学校教育の教育労働者としての現場そのものを破壊しかねないということを厳しく指摘して、質問を終わりたいと思います。

○東委員長 それでは、この際、議事の都合によりおおむね五分間休憩いたします。
午後三時四十三分休憩

午後三時五十分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○執印委員 それでは、まず条例の関係で二点質問しますので、簡潔にお答えをお願いしたいと思います。
 まず、六十八号の近代文学博物館の廃止の件ですが、この近代文学博物館の設立及び事業実施の目的ということにつきましては、近代文学に関する資料を収集し、保管し、展示して都民の利用に供し、その教養、学術及び文化の発展に寄与することであると。また、事業実施の目的としては、設立の目的を達するために、東京にゆかりのある文学者を扱った常設展や企画展による展示、都内の文学施設をめぐる文学散歩や講師を招いた文学講座の実施及び文学サークルなどへの集会室や学習室の提供などを行ってきたということですが、行政評価の二次評価によりますと、近代文学に限定された小規模な博物館を所有する意義は薄いというふうにあります。それは当初からいえたことだと思いますが、なぜ今になって廃止することにしたのでしょうか、お願いいたします。

○嶋津生涯学習部長 近代文学博物館につきましては、確かに当初、近代文学の関係に限った資料を収集、保存するということを目的にしてもございますし、また、施設につきましても、ご承知のように加賀百万石の前田家の個人邸宅を活用いたしましておる関係上、小規模なものでございます。
 ただ、なぜ今になって廃止かというご質問でございますけれども、この博物館ができましたのは昭和四十二年でございました。当時、東京には十五前後の文学関係の施設しかございませんでした。そういう点では、東京都が文学専門の総合博物館として先駆的な役割を担わなくてはいけないということの中で発足をいたしました。
 それから現在に至りまして、今日、都内では四十五前後の文学施設ができまして、しかも、それが例えば青梅の吉川英治の博物館のように、地域にゆかりの持つものという形で設立がされてきてございます。それに加えまして、東京都も総合的、広域的な博物館である江戸東京博物館を平成五年に開館する、そんなような背景の中で、現在、東京都がこの博物館を運営する意義が薄くなったというぐあいに判断したものでございます。

○執印委員 近代文学博物館の行政評価についてですけれども、教育庁の一次評価と総務局の二次評価での相違点というのは効率性と必要性だというふうに思いますが、行政評価での効率性はどのように判断しているのか。また、近代文学博物館は効率性で二次評価はどのような評価結果であったのか。また、入館者一人当たりの経費については、他の施設と比べて必ずしも高いものではないと思いますが、事業主管局としての効率性はどのような資料に基づいて把握したのか。博物館という資料収集という点でいえばスパンの長い仕事だと思いますが、効率性とは直接無縁な公的な役割を指しているのではないかと思いますが、この件について行政評価の点について質問をいたします。

○嶋津生涯学習部長 四点ほどご質問があったというぐあいに思います。少々長くなりますが、逐次ご案内申し上げたいというように思ってございます。
 まず、行政評価においての効率性とは一体何なのかということでございます。これにつきましては、平成十二年度の行政評価制度の試行に関する評価結果報告書という中に効率性の評点基準が定められており、そこにこうございます。効率性を評価する場合には、一つに、事業の内容は妥当か、二つに、費用対効果など効率性を示す数値は良好か、三つに、現在の実施方法が最も効率的な方法か、業務プロセスの改善の余地はないか。この三点でもって検証するということがございました。
 それを受けまして、この近代文学博物館の効率性においての二次評価でございますけれども、これではこう指摘がございました。まず、入館者一人当たりの経費は三千三百十七円、対前年度比で四百四十九円の増加、率にして一六%の増加となっている。それから、もう一つございます。博物館として近代文学に関する資料を広く都民に公開する上で、近代文学に限定された小規模な施設において展覧会を開催するよりも、江戸東京博物館のような潜在的に集客力のある施設で行う方が効率的かつ効果的である。したがって、効率性は不十分という評点がございました。
 それに対しまして、事業部局としての教育委員会の効率性の把握でございますけれども、これが一次評価という形で私どもとして取りまとめたものでございますが、事業内容の精査、それから維持管理経費の見直し、あるいは積極的な広報活動によって、この博物館は経費の削減に努めているとともに、入館者数の増に努めてきている。その結果、行政評価をした時点では全体としての効率性は向上しているものと判断いたして、効率性はおおむね十分ではないかという評価を私どもはいたしました。
 そして、四つ目のご指摘でございますけれども、博物館における資料収集、それは公的な役割ではないかというご指摘でございますけれども、おっしゃるように、体系的かつ継続的にこの資料収集を行うということは公的な役割であるというぐあいに私どもも認識してございます。さはさりながら、その方法において、その過程におきまして、最少のコストで最大のサービスを提供するという行政運営の原則は常に踏まえてやっていかなくてはいけないものと考えてございます。

○執印委員 効率性はおおむね十分と事業局としては評価をしたというお話もございましたけれども、都民の声も一応は聞いたんだと思いますけれども、どうも一度決めたらもう変えないというのが、こういうところにも姿勢として出てきているというふうに思います。意見を申し述べさせていただきますが、今回の廃止案というのは非常にもったいないという感じを持っております。必要なものが評価にしっかりと含まれていないのではないかという感じがいたします。心というようないい方をしますと、心の東京革命にくくられちゃうと嫌なんですけれども、何かそういう大事なものというものが余り評価をされていないという、そういう印象を持っております。
 また、先ほどお答えの中で、江戸東京博物館が効率的、効果的であるというお答えもありましたし、博物館などが東京の中でふえてきているというお話もございましたけれども、特に江戸東京博物館との比較でするならば、施設の存在意義ですとか配置のバランスですとか役割分担というのを十分に検討しないまま、新しい施設をつくってきたという問題も片方にあるのではないかなというふうに考えます。
 今、私が一番最初に申し上げましたもったいないという言葉そのものが死語になりつつあるのかなという感じもいたしますが、改めてもったいないということを繰り返しまして、この件についての質問は終わります。
 次に、美術館なんですけれども、今回、利用料金制の中で六十五歳以上も有料ということですけれども、東京都現代美術館、東京都美術館それぞれ観覧料の有料化によって高齢者の入場者数は減少するのではないかと思いますが、その点に関してはどのようにお考えでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 高齢者の入場者数が今後減るのではないかというお尋ねですけれども、率直にいってわかりません。わかりませんけれども、ただ、時代の流れで申し上げれば、人生九十年という大変高齢の時代になりまして、元気なお年寄りもおりますし、お金のあるお年寄りもおります。そういうことの中で、美術館を利用する人たちは結構多いのではないかというぐあいに思ってございますけれども、ただ、美術館によりましては若干の減少する場合もないわけではないというぐあいに考えてございます。

○執印委員 若干減少があるのではないかということですが、ここはいろいろ議論があるところだと思いますが、そういった楽しみをするのであれば、ちゃんとお金を払ってという方もいらっしゃるでしょうし、いろいろ議論が分かれるところだと思いますが、やはり高齢者の皆さんにとっては、どうしてもこの時代に、介護保険料から含めて、何でも高齢者から持っていくというような、そういう感触をお持ちのようで、地域でも時々いわれることがあるんですが、そこで、東京都としては今までのように高齢者が気軽に美術館へ行けなくなるかもしれない、または、今のお答えの中で若干減るかもしれないというようなお考えもあったわけですけれども、それにかわる特別な配慮というのを何かお考えでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 新しい使用料とか、あるいは閲覧料ということにつきましては、財団の方で基本的には検討しているということでございますものですから、私の立場からは、その議論の中で、例えば今の高齢者の負担減をすることがどんな形で可能かという議論の一つとして、月に一日程度は無料にしてはどうか、そんなような議論もなされているということは聞いております。

○執印委員 財団との関係の問題もあるというふうには思いますが、今、月に一日無料という、そういう考えもあるということですから、議会でもこのような指摘があったということをぜひお伝えいただきまして、行きたいけれども行けない方が出ることがないように、この件に関しては対応をお願いしたいというふうに思います。恐らくいろんな地域で同じような指摘を高齢者の方から受けているというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、男女混合名簿について、東京都の基本的な考え方をお伺いをいたします。この男女混合名簿の導入につきましては、生活者ネットワークとしましても、これまでも何度か指摘をさせていただいてきた件でございますが、東京都が一〇〇%実施をするということを方針として出されたというふうに伺っておりますが、導入についての基本的な考え方をまずお伺いいたします。

○斎藤指導部長 都教育委員会は女性に対する差別意識や固定的な性別役割分業意識の克服、あるいは男女平等化に立った人間形成の推進に努めております。学校においては東京都男女平等参画基本条例に基づきまして、性別にかかわらず個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念の理解、それから、その具現化を図るよう努めております。都教育委員会としましては、従来から出席簿等の扱いは男子優先の固定観念を植えつけることのないよう十分配慮するよう指導してきたところでございますが、今後、出席簿等の名簿において男女に順序をつけるような取り扱いをすることのないよう、学校における男女混合名簿の導入の推進を図ってまいります。
 今後とも、校長が出席簿等の名簿の扱いにつきまして男女平等観に立った人間形成に努めるよう、人権尊重、男女平等の観点から教職員にその趣旨を周知徹底するよう、都立学校及び区市町村教育委員会について指導、助言してまいりたいと思います。

○執印委員 私は地域でも十二、三年前からこの問題に取り組んでまいりまして、当時から男女別名簿というのは世界の中でもインドと日本しかないというふうにいわれていたんですね。性別によって名簿を分けるということは非常に特異なことだったというふうに思いますし、ある先生が調べたら、小学校だけだったと思いますけれども、千五百回ぐらい男が先、女が後というふうに呼ばれるというような、そんなようなこともあるということもございました。
 当時は、東京都の教育委員会がどのようにおっしゃっていたかわかりませんけれども、市の教育委員会などでは、男女別名簿というのは差別ではありません、区別ですというふうにおっしゃっておりましたので、そういった状況からしますと、今回、東京都の教育委員会がこれを出したということは、重い腰を上げたんだなという印象は持ちますけれども、歓迎をするものでございます。
 それで、男女混合名簿の実施率と、都立学校では全校実施というふうに聞いておりますけれども、大体何年ぐらいをめどに全校実施に向けていかれるのかをお尋ねいたします。

○斎藤指導部長 まず、実施状況でございますが、都教育委員会は平成四年度より隔年で男女混合名簿の実施状況について調査しておりまして、平成十二年度の実施率については、小学校四四・三%、中学校九・八%、高等学校の全日制の方は五八%、定時制につきましては八五・六%、盲・聾・養護学校は八二・六%でございました。
 中学校の実施率が低い理由としまして、従来から出席簿等の名簿においては男女別の様式を使用しており、体育の授業が男女別に行われる場合が多く、男女別の出席簿の方が便利であるというような理由を述べることが多く聞かれます。
 また、都教育委員会としましては、都立学校長に対しまして、男女混合名簿実施に向けて強く指導、助言していく考えでございまして、何年度までという約束は、これは校長が出席簿の扱いについては定めますので、男女混合名簿推進に向けて私どもは積極的に推進してまいりますが、できるだけ早い段階で一〇〇%を目指したいと思っております。

○執印委員 今お話を伺いますと、高校の中でも定時制は八五・六%と高い。これは以前もそうだったと思うんですけれども、要するに、同じ年の子どもたちがいるところになると男女別にしたくなるという、そういう感じがあったんだろうなというふうに私自身は感じております。高校の全日制が五八・〇%だそうですから、ぜひ拍車をかけていただきたいというふうに思います。この名簿の問題は、最終的には校長先生が決めるということで、そこが逃げにならないように、教育委員会としては、先ほど基本的な考え方を伺いましたけれども、これに沿って十分にやっていただきたいというふうに思っております。
 また、中学校は今、体育の授業だけが取り上げられましたけれども、高校の入試に当たって男女別に名簿をつくっておいた方が便利だというようなことがあるということで、そうなりやすかったというふうに聞いておりますので、男女平等の社会をつくるよりも現場の便利さが優先されるということはおかしいと思いますので、十分にこれも働きかけをしていただきたいわけですが、東京都の教育委員会と区市町村の教育委員会との関係がありますから、強制をするということは、こういった問題についてもあってはならないと思いますが、区市町村の教育委員会への働きかけというのはどのようにされていくのでしょうか。

○斎藤指導部長 区市町村教育委員会等への働きかけでございますけれども、男女混合名簿導入に向けまして、区市町村教育委員会と連携した具体的な取り組みを、例えば、申し上げますと、男女平等教育推進資料等の活用、推進委員会の設置、推進校の設置、それから男女平等教育についての啓発等を行って充実に努めております。
 教員に関する研修でございますが、教育管理職研修、初任者研修、現職研修Ⅰ部、Ⅲ部等におきまして、男女平等教育の理念、あるいは指導内容、方法について研修を行っております。区市町村教育委員会におきましても、各区市等の実情に応じて男女平等教育推進のための研修会を開催し、教職員の意識高揚と指導内容、方法の充実に努めております。各学校においても校内研修の中で道徳教育、性教育、進路指導等の関連を図りながら、男女平等教育についての研修を進めており、都教育委員会としましても、これらの内容、方法について推進の方向で指導してまいりたいと思います。
 なお、都立高校入試の成績一覧表については、男女別名簿という形の記載は既に今外してございますけれども、私立高校の方の男女別の学校もございますので、中学校側ではその方が便利だというような声もございますけれども、これは意識の問題ですので、それも含めまして推進に努めてまいりたいと思います。

○執印委員 いろいろ今お話もございましたので、ぜひしっかりと進めていただきたいというふうに思います。ずっとこういったことにかかわってまいりますと、教育委員会というのはいつかやらなければならないことを延ばし延ばしにしているなということを随分感じるんですよね。この件もそうなわけですが、やるということですから、しっかりと今後も見ていきたいと思いますし、先ほど調査が隔年調査だということでしたけれども、全校実施の方針を立てたわけですから、ぜひ隔年ではなくて、毎年きちんと調査をして、最後の方は個別に校長先生にきちんと話をして伝えていかないと進まないということにも、もしかしたらなってくるのかもしれませんけれども、そういった形で丁寧にこの件については対応していただきたいというふうに思います。
 それでは次に、セクシュアルハラスメントについて質問させていただきます。
 この件は前回十月でしたか、一度取り上げまして、私が知っている都立高校の女子高生から先生の件で相談を受けて、対応してくださいということでお願いをしてありましたが、その際に横山教育長は、個々の事案が私どもに本来ならば上がる前に、区市町村教委で多分いろいろな相談ルート等がつくられているでしょうけれども、そういった実態が必ずしも適切に上がってくるようなシステムは多分ないんだろう、その辺のそういった情報がどうやったら、個々の子どもたちが安心して情報を上げられるルートというのはどうやってつくっていくのか、この辺は私どもとしても検討していくべきだろうというふうに思っておりますと答えておりますし、子どもたちが容易に情報を上げられるような何らかの策を検討してまいりたいと考えておりますというふうにもう一度お答えになっているわけですが、その後、どのような対応をされてきたのかをまずお伺いいたします。

○横山教育長 教師による子どもたちに対するセクシュアルハラスメントというのは、まさに弱い立場にある者に対して絶対に許される話ではない。仮にそういう事案があった場合に、子どもたちが相談できる相手というのは、保護者であるとか教員、あるいはスクールカウンセラー、さらには相談センターの相談員など多々あるわけで、そういうルートそのものはございますけれども、問題は、そういう仕組みを幾らつくっても、それが子どもたちに本当に周知をされているのか、あるいは周知をされたとしても、子どもたちにとって本当に利用しやすいような中身になっているのか、この点だろうと思っております。
 そういった意味では、相談センターは非常にこれについては周知を図っております。いろんなカード等をつくりまして図っているわけでございますが、本当に今申し上げたような二点について、詳細に、子どもたちの立場に立って検討する必要があるだろう。実は現在でも相談センターの方でいろいろ対応策を考えておりますが、平成十四年度予算の中で、これは一番詳しいのは区市町村の教育委員会あるいは個々の教員でございますので、予算が認められれば、十四年度予算の中で公立教育相談機関等連絡協議会というのを立ち上げることになっております。そういうところにおいて早急に検討してまいりたい、こう思っています。

○執印委員 最後は検討してまいりたいというお答えだったので、必要だと思うし、ある程度やってきたけれども検討したいということで、そういうふうに受けとめさせていただきますが、今、教育相談センターの話がありましたが、セクシュアルハラスメントに係る相談が十三年度、今年度何件あったのか、内容をお聞かせいただきたいと思います。

○斎藤指導部長 本年度四月一日から三月十四日までの件数でございますけれども、教員の生徒に対するセクハラ行為にかかわる可能性のあるいじめ、体罰等相談として六件が寄せられております。相談は本人や保護者などからの匿名で、内容は、先生からセクハラを受けた、先生が着がえをのぞく等の相談でございます。匿名でございますけれども、具体的な内容につきましては、相談の内容でございますので、今、少し抽象的で申しわけないんですけれども、その相談を受けて、その基本的な対応姿勢としましては、セクハラはあってはならない、こういう基本的な姿勢のもとで相談者の心の痛みを十分考慮しながら対応しておりますけれども、残念ながら当該者からの積極的な情報は続きませんで、具体的な対応までは至らなかったという事例でございます。

○執印委員 六件ということで、具体的にはおっしゃらなかったわけですけれども、例えば私どもが望んでいるのは、教育相談センターの相談を受けた方が実際にそこの被害を受けている学校に行って対応できる、そういう仕組みを一つつくることをこれまでも求めてきたわけなんですけれども、そこまでは至っていないんだと思うんですね。
 それで、私、ほかに電話相談を民間でやっている方にお話を伺ったんですよ。東京都の相談の六件は途中で電話が切れたとか、そういうようなお話でしたけれども、そういうことなんだけれども、どうなんだろうかというふうに聞きましたらば、電話による相談は非常に難しくて、例えばこちらが少しでも疑うようなことをいったら、途端に電話は切れる。だから非常に難しいんだとは思うんですけれども、要するに、電話は入ってきているけれども、解決できていないというのが今の相談センターの現状なんだと思います。
 ごめんなさい、私、相談センターにいらっしゃる方の力量が悪いというふうにいっているんではないんです。非常に難しいし、恐らく相談を受けたときに解決に乗り込むだけの権限が与えられているかどうかということも問題にはなるというふうに思うんですけれども、今の様子では、相談は受けたけれども解決には至っていないというふうに私は受けとめさせていただきます。
 それで、そのことについては、今後も十分に相談員の方ともお話をしていただきたいというふうにしか申し上げられないんですけれども、今六件ということで、よく作業所なんかで、冷やりはっとというのだそうですけれども、一つ事故が起きる、その下には冷やりとかはっとするような事故が幾つかあって、それが重なって大きな事故に至る。それがハインリッヒというアメリカの哲学者の方がいっていらっしゃるんだそうですけれども、一つ事故が起こるとすると、その下には軽症のものが例えば二十九、それからそれ以前のものが、その背景には三百件の微小な災害があるというふうに労働の部分ではいっているんだそうですけれども、これがそのままセクシュアルハラスメントのようなものに対応できるのか、もっとすそ野が広いのか、それはわかりませんけれども、六件が六件というふうにはお考えにならない方がいいだろうというふうに思いますが、その辺の受けとめについてお伺いいたします。

○斎藤指導部長 相談センターの方に寄せられる相談件数は先ほど六件と申し上げましたが、当然、執印理事の方からおっしゃるように、ここには背景がございますし、その中の何件かはかなり深刻な問題を持っていたかもしれない。それは確認できなかったのでありますけれども、しかし、背景としては恐らく間違いなくセクハラの問題はあるというふうに受けとめております。深刻な事態だとは思いますけれども、残念ながらそれを吸収する--かなり相談員の方も配慮しながら聞いたんですが、途中でやめてしまったというふうな事態でございます。

○執印委員 教育相談で相談センターがありますからというお答えは、それを対応していますという言葉に置きかえないでいただきたいということをお伝えをしておきたいというふうに私は思います。
 それで、ただこれじゃだめ、あれじゃだめといっていただけでも問題は解決しないと思いますので、相談カード--相談カードについては配布されているお話を打ち合わせの中で聞きましたが、平成九年度から始めて、配布枚数が百五十五万枚、百十万枚、二十五万枚、二十万枚、二十五万枚、二十万枚と、平成十四年度は二十万枚の予定だそうですけれども、だんだん少しずつ数が減ってきているんですね。それで、平成十一年度までは私立も含めて小学校一年生、中学校一年生、全生徒に配っているわけですけれども、十二年度からは小学校五年生と中学校二年生、全生徒になっています。
 一番いじめや不登校が多いと想定される学年に配布したということですけれども、この配布の仕方ですと、小学校一年生の子は四年間は情報がないということになるわけですね。ポスターも張ってあるということですけれども、小さい子どもですから、いつも筆入れに入れおいて何かあったらかけられるというような、そういうような状況にしておかないといけないと思うので、二十万枚ということも足りないとは思いますけれども、配布の形というものを検討していただきたいと思います。
 時間の都合がありますので、もう一つ二つ提案したいことがあるのですが、一つは、私、前回も出しました、そのときの文部省が平成十一年の四月に、公立学校での性的言動問題の防止についてという通知を出しておりますが、その後、文部省の初等中等教育企画課がこの件を引き継いでいるということで、ちょっと聞いてみました。そうしましたら、平成十二年の四月一日現在、この通知に沿ってどんなことが各県でされているかという調査がされているということなんです。
 それで、訓令とか要綱などの中に規定上保護する対象者を入れているのが、それは教職員は一〇〇%なんですが、児童生徒を入れているところは四十二の七一%。これは都は今、入っていないですね。つくられたセクシュアルハラスメントの防止のパンフレットの中には入っていますけれども、要綱上はきちんと入れられていない。それから学校ごとの相談窓口、これは四四%。東京は丸になっていませんでしたけれども、組織的にはつくってあるというふうにも聞いてはいるので、調査の仕方と回答の仕方があるのではないかと思いますが、そういう状況。それから、マニュアルの作成、これが三十九で六六%。この調査をかけたところは都道府県と指定都市の全部で五十九です。
 こういう形で東京都もセクシュアルハラスメントに関する研修会もしているようですけれども、その資料を見させていただいても、子どもというのが入っていないんですよね。だから、それはきちんと取り上げて、きちんと研修の中に入れていくということも必要だと思うんですが、そのためにも要綱をきちんと改正して、問題意識をきちんとみんなで持っていくということが必要ですが、その件についてはいかがお考えでしょうか。

○斎藤指導部長 執印理事おっしゃるとおり、要綱については子どもの部分は入っておりません。これは教員の服務の関係で出しております。それからもう一つ、子どもも含めたセクシュアルハラスメントの防止のために研修資料として別に教員全員に出しております。お尋ねの子どもの視点については、今後前向きに検討してまいりたいと思っております。

○執印委員 検討ではなくて、前向きにというお言葉をいただきましたので、即刻やっていただきたいというふうに思います。
 それから、もう一つ提案させていただきたいんですが、私、調べまして、幾つか子どもを要綱の対象にしている県から資料をもらいました。その中に、島根県ですね、「あなたへのメッセージ」というものをつくっておりました。これはセクシュアルハラスメントを受けたらという、そういうもので子どもたちに配られているものなんですけれども、それには、低学年用と高学年用とつくったようですけれども、もしセクシュアルハラスメントを受けたら一人で悩まないでというのが入っていまして、不快な経験で悩んでいるあなたへ、こんなことをされていませんか。触れられたくないのに触れられたり、性的な冗談をいわれたりしていませんか。あなたが不快に感じるなら、それはセクシュアルハラスメントです。セクハラはあなたを不快にさせたり傷つけたりする性的な言葉や行動などを指します。でも、あの先生は嫌だというような自分の好みの問題とは違います。このことを認識しておきましょう。
 もう一つは、こういう働きかけが私は子どもに必要だというふうに思ったんですけれども、できるだけ早く相談をしましょうというふうになっております。セクハラをする人は、だれにもいっちゃいけないなどと口どめをしていることが多くあります。そのままにしておくと、繰り返し被害を受ける可能性があります。できるだけ早く家族や友達、先生など信頼できる身近な人にまず打ち明けてみましょうということで、はっきりノーをいいましょうとか、相談窓口に相談しましょうということも書いてあって、相談できる相談機関が全部載せてあります。後で見ていただきたいと思うんですけれども、こうやって大人の側にいっています、いっていますというだけでは絶対だめですから、子どもへのメッセージをぜひ出していただきたいんです。
 先ほどの混合名簿の件では十三年の十二月にリーフレットをつくって、各学校に配布しているということですから、新しい年度の予算でやろうと思えば、先延ばしにしないという思いがあれば必ずできるものではないかというふうに思いますが、お考えをお尋ねいたします。

○斎藤指導部長 先ほどもちょっと申し上げました東京都教育相談センターの十四年度のカードの配布、PRの仕方についてはまだ未定のところがございますので、今ご指摘の部分も踏まえながら、できるだけ子どもにアピールするような、相談しやすいような、そういうことを検討して--また検討で恐縮ですけれども、検討してまいりたいと思います。

○執印委員 済みません、カードもそうなんですけれども、メッセージの方はいかがでしょうか。

○斎藤指導部長 カードも含めまして、メッセージも含めまして検討してまいりたいということで、先ほど失礼いたしました、抜けました。

○執印委員 ぜひよろしくお願いいたします。教育長に今いろいろやりとりも聞いていただいて、東京都の教育委員会もしっかりやっていただいているとは思いましたけれども、私も、あなたのメッセージで、できるだけ早く相談をしましょうと、さっき読み上げた部分を読んでいたら、自分も子どものときにこういうことを教えてくれるところがあったら、いろんなことを、例えばセクハラに遭って嫌なそういう思いというのは、だれもないということはないと思うんですけれども、嫌なときには嫌といえたかなというふうに思ったものですから、ぜひ東京都の教育委員会も、私が今提案しましたことを、直接見せていないのであれですけれども、ぜひご検討いただきたいのですが、教育長のお考えをお伺いしたいと思います。

○横山教育長 今お話をるる伺っていまして、要綱の点を一つとりましても、かなり東京都はおくれているなという気がいたします。今、三つ四つご提言いただきましたけれども、ご提言の趣旨を踏まえて前向きに対応してまいります。

○執印委員 よろしくお願いいたします。それでは、期待をして待っておりますし、いろいろ情報はお互いに共有し合いたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、指導力不足教員について質問いたします。
 指導力不足教員の判定までの流れというのはどのようになっているのか、まずお伺いをいたします。

○中村人事部長 校長はまず人事考課制度に基づきまして授業観察をします。そのときに、これはおかしいなというふうに気がつく場合、それから、保護者等からの指摘によりまして児童生徒の指導に適切さを欠く教員、これを把握する、大きく分けてこの二通りがございます。いずれにしましても、校長、教頭が繰り返し指導を行うということがまず最初に行われます。
 区市町村の教育委員会はこの事実を確認しまして、必要に応じて指導を行います。指導を継続しましても、なお問題点が改善されない教員につきましては、校長が指導力不足教員等という申請を区市町村教育委員会を経由しまして都教委に提出する、こういう流れになっております。都教委は、校長からの申請に基づきまして、当該教員の授業を指導主事など教育専門職員が観察した上で、判定会におきまして指導力不足等教員という決定を行っているのが流れでございます。

○執印委員 判定の流れについては今お伺いしたわけですが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正によりまして、四十七条の二第一項第一号で三つ、こちらでは指導が不適切であるということで出されているわけですが、教科に関する専門的知識、技術が不足しているとか、指導方法が不適切とか、児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠けているというようなことが挙げられているわけですが、この三点のほかに、東京都の規則の第二条第二項第四号の中では、前三号に掲げる者のほか、教員としての資質に問題があり、学習指導、学級経営、生活指導等を適切に行うことができない者というふうに、そのように規定してあります。文部科学省のものに一つつけ加えてあるということだと思いますけれども、どのような場合を想定しているのでしょうか。

○中村人事部長 文部科学省で示しました三項目は、これは例示でございまして、これによりまして指導力不足教員等のタイプがすべてカバーされているというふうには考えておりません。東京都におきましては、ご案内のとおり平成九年度から先行的に指導力不足教員等の制度を発足させておりまして、現在まで約五十人の指定をしております。その中で、校長並びに同僚等の意見を聞き入れずに自分勝手に授業あるいは行事を進めるということで、同一歩調がとれずに、結果として児童生徒を適切に指導できない、こういうふうな例もございます。

○執印委員 現状の中からつくってきたということだと思いますが、次に、判定会のメンバー、これは指導力不足教員というふうに判定するメンバーは東京都の教育委員会のそれぞれの役職の方というふうになっておりますが、審査委員会のメンバーは職員の方のほかに学識経験者というふうになっております。三人いらっしゃるというふうに聞いておりますが、判定会には外部の委員が参加をしていないわけですが、その理由は何なのでしょうか。

○中村人事部長 指導力不足等教員の決定は、指導力が不足しているという教員に対しまして、研修を受けさせるということを目的としておりまして、純粋に教員としての専門的能力の有無、これを判断するということが重要でございます。そういったことから、教育庁の職員で対応しているものでございます。
 これに対しまして、一方、審査委員会、ここにおきましては免職等の教員の身分にかかわる問題を扱うということから、外部の専門家の意見を聞くこととしたものでございます。指導力不足等教員の申請された者に対しましては、必要に応じまして医師の判断を仰ぎ、あるいは休職等が必要な者に対しては休職させるというふうな適切な対応をしているところでございます。

○執印委員 つまり、東京都の場合、平成九年から始めていたので、判定会は今までのメンバーでやって、国の法律の改正に合わせて審議会をつくって、その審議会には法律に沿って外部の方も入れたということだと思うんですけれども、指導力不足教員を決めるときには判定会、それから解除するとか、その先どうするかということを決めるときは審査会がやっているんだというふうに思いますが、一つの流れだというふうに思いますので、判定会も審査会も同じメンバーがいいのではないかというように考えるわけですし、そこで、外に向けて余り疑念を生じさせないためにも、判定会にも外部の方を入れるということが必要ではないかというふうに感じるわけですが、その点は今後のことについてはどのようにお考えでしょうか。

○中村人事部長 今の審査委員会、これはことしの二月から発足したばかりでございまして、法改正に伴いまして、その施行に合わせてつくったというものでございます。法律上は、この判定会については云々されておりませんけれども、先生ご指摘のとおり、メンバーも同じであってもいいのではないかという論は我々もございました。制度発足したばかりでございますので、執行状況を見ながらやっていきたいと思いますけれども、医師の意見を聞くというのは現行制度上もありますので、なるべく多くのお医者さんにかかわっていただきたいなというのも片方でございますので、執行状況を見ながら検討させていただきます。

○執印委員 それでは、次の質問をさせていただきますが、要綱の中で指導力不足等教員として申請された方に対しては、本人の意見を聞く機会というのを設けております。その際、立会人を同席させることができるということを明記または本人に通知をされるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 指導力不足等教員として申請された者に対しまして、自由に意見を表明してもらうという場で設定したものでございまして、基本的には、その先生の授業のやり方、あるいは基本的知識、こういうものを問うものでございまして、立会人を置く必要性は高くはないというふうに認識しております。ただ、いずれにしても将来的には身分にかかわるという問題もございますので、過去に弁護士の同席を許可した例がございます。弁護士の同席は可能であるということは伝えていきたいというふうに思います。

○執印委員 立会人の同席は可能であるということですので、次の質問に移らせていただきます。
 指導力不足教員の決定を行う場合、保護者または市民からの意見を聴取する必要があるというふうに考えますが、その点はいかがでしょうか。

○中村人事部長 決定は、研修を受けさせる必要があるかどうかということを決定するために、専門的見地から判断すべきだというふうに考えておりまして、決定段階で外部の意見を聞くということは適当ではないというふうに考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、もともとの発端の段階で住民の方々、あるいは保護者の方々の指摘に基づいて、この指導力不足等教員に該当するという例が非常に多いということ、それから、申請の段階では校長、あるいは区市町村教育委員会が必要に応じて保護者等の意見を十分に聞くということをしておりまして、これは非常に、差し支えがないというよりも、むしろそういう事実に基づいてやるということがこの制度でございますので、ご了承いただきたいと思います。

○執印委員 組織的に意見を聞いているという、そういうことだというふうに思うんですが、地元でいろいろ見ておりますと、そこの部分が非常に保護者からは見えにくくて、いろいろ状況を話していくんだけれども、市の教育委員会も区の教育委員会もそうなのかもしれませんけれども、都の教育委員会が一体今何をどのようにやっているのかさっぱりわからなくて、子どもの日々の状況を見ていくと、とにかく何をやっているんだということになってしまうわけなんです。指導力に課題のある教員が指導力不足等教員に決定されるまでの間、もしくは決定されないにしても、話し合いをしながら立ち直っていただくというか、そういう状況までの間というのがあると思うんですけれども、子どもへのケア体制というのはどのようになっているのかをお伺いいたします。

○中村人事部長 児童生徒の指導に課題のある教員が発見された場合ですけれども、校長は即座に指導を行うとともに、TT教員、あるいは教頭等が支援体制を組みまして、子どもへの影響を極力少なくするよう区市町村教育委員会等に指導しております。校長等の指導によっても問題点が改善されず、学校現場の混乱が続いている場合には、年度途中においても指導力不足等教員の申請を受け付けております。

○執印委員 ここのところは以前も申し上げましたけれども、その方が指導力不足教員と決定されたかどうかはわかりませんけれども、結局、ケア体制がきちんと早急にならないものですから、結果として公立離れを引き起こすんですね。それは小学校の例だったんですけれども、もう公立の学校にはやりたくない、私立を受けさせますということで、公立離れを、私が知っているケースは起こしていったということと、そうでなければ学校に行けなくなる不登校になるとか、それをきっかけにして、不登校がそのまま引きこもりにつながるわけではないというふうに聞きますけれども、そういうことにもなりかねないということがあるんですが、そういう状況をぜひ認識いただければというふうに思います。
 もう一つ、どうしても市の教育委員会、校長さんなどを見ておりましても、都の教育委員会に対しての遠慮があるんじゃないかというような感じがするんですね。だから、なかなか本当のことがいえない。人の配置についても、ストレートに今これが必要なんだということがなかなかうまく通っていかないというような感じを持っておりますので、それはお伝えをしておきます。
 それから、最後の質問でございますが、そのことも含めて、校長は、指導力に課題があるというふうに保護者から指摘を受けた教員の処遇ですとか、それから指導力不足の判定を受けた教員の方が指定を解除されて学校に復帰する場合など、保護者に対して適切に説明をする、その説明責任、これも見ていると、非常にあいまいだなといつも思うんですけれども、その必要があるというふうに思いますけれども、今のところどのようにご指導されているんでしょうか。

○中村人事部長 ご指摘のとおり、もともとの発端が、例えば保護者からおかしいよといわれたのが指導力不足教員になるのか、戻ってくるのか、これは本当に保護者の方々にとっては一抹の不安が当然あると思います。これに対して、校長としてその状況、事情を説明する一定の責任は当然あるというふうに考えております。

○執印委員 時間もありますので意見とさせていただきますが、今、保護者に対しては一定の説明の責任があるというふうにおっしゃったんですけれども、この一定というところが実にあいまいで、保護者が求めるものと校長先生が判断したものと教育委員会が判断したものとが非常にずれていて、先ほどお話ししましたように公立離れを引き起こすような結果になってしまっているということを十分に認識していただきたいと思います。
 指導力不足の教員についての質問をさせていただきましたが、判定を受ける方にとっては、公平に公正に判定がされるように、また、保護者の側からは十分な説明の責任と、それから子どもへのケア体制、両方の面からお願いをしたわけですが、ぜひ大人の利害関係に左右されたり恣意的に運用されることのないよう、先ほどもいろいろお話が出ておりました国旗・国歌の問題等も含めまして、恣意的に運用されることのないように、東京都の教育委員会が公正、中立な機関としての役割を果たしていただきたいことをお願いいたしますとともに、東京都の教育委員会の、または地域の教育委員会の対応のまずさによって子どもにしわ寄せが行って、学校嫌いになることのないように、子どもの立場できちんとこの制度を運用していただきたいということを強くお願いいたしまして、質問を終わります。

○後藤委員 私はちょっと変わったお尋ねをしようと思います。環境の教育について教育庁の取り組みがどのようになっているのか、ちょっと教えていただけますか。

○斎藤指導部長 子どもたちが自然と触れ合うということが大変大切でございますけれども、例えば東村山市の学校で校地、学校内にある土地にナシの木や、あるいはリンゴ、サクランボなどを十五種類、百二十本の実のなる木を苗木から育てている活動事例がございます。
 子どもたちは収穫までの過程において、自分たち自身で人工受粉とか、あるいは実が膨らむことを観察したり、水やりや追肥をしたりして一年間その世話を行うことで、季節の変化とか自然に対する関心を深めております。子どもたちの願いは、育てている木をこのまま大きくして、地域の人々と一緒に実を食べたりジャムをつくったりすることに、また、それらをプレゼントしたいということに願いがありまして、そういった意味でも、さまざまな意味でこの環境教育は成果を上げているという事例を一つご紹介申し上げます。

○後藤委員 部長が今おっしゃったことをまとめてみますと、結局、環境教育の先生というのは、どちらかといえば学校の先生というより、自然で、仮に物理的に完全なる自然が無理だとしたらば、少しでも自然に近いものというものが環境教育の先生に当たるんではないかなと私は考えます。
 学校に、学校の片隅でも構わないと思うんですけれども、例えばミカンですとかカキ、ビワ、イチジク、ブドウだとかというふうに、昔だったらば私たちの周りに幾らでもあって、学校の帰りにかっぱらうといういい方は悪いと思いますけれども、特に子どものころだったらばカキをとって食べたり、ああいうふうなことをやったと思うんですが、環境教育の中で、例えばミカン、ビワ、イチジク、指導部長が今お話しいただいたような東村山にあります学校で十五種類、百二十本の木を植えているというふうな事例があるんですけれども、今後、学校--例えば学校の片隅でも構いませんし、できるんだったらば多少の広さをとっていただければいいと思うんですけれども、環境教育の一環として収穫ができる木ですね。普通、学校を見てみますと、緑樹率というんですか、緑のことばかり考えまして、葉っぱが落ちないような木を植えていますけれども、葉っぱの落ちない木も確かに大事だとは思いますけれども、木の実、食べれる実があるというのは、言葉をかえますと収穫です。
 金をかけて皆さんは子どもさんたちを教育しようというふうに考えられているかもしれませんけれども、金をかけた教育を今までやってきて、資料の三ページにありますように、不登校児は人数を見ただけでも約倍ぐらい、三年度から十二年度まで見たときに、千四百六十人から二千三百二十二人というふうに上がっていますけれども、自然をもっと取り入れて教育問題に取り組まれたらばどうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○斎藤指導部長 今お話しのあった実のなる木などを育てたり、それからその実を食べたりということを通しまして、自然とのかかわりに気づき、自然の豊かさに触れるということは教育上大変意義がある活動だと思います。都教育委員会はこのような自然とのかかわりに触れる活動につきまして、環境の日行事、子どもメッセージという体験活動発表会もございますけれども、その中で優秀な活動を表彰したり、あるいは事例集として冊子をつくり、各学校に配布して広く周知したり、そういうこともしておりまして、子どもたちの活動、特に自然との触れ合いについては今後とも積極的に応援してまいりたいと思っております。

○後藤委員 指導部長が今お話しになりました東村山というのは典型的な例だと思うんですけれども、では実際の高校はどうなのかということで、私の家の近所にあります松原高校なんですけれども、松原高校には木が何本ぐらい植わっていて、果樹が何本ぐらいあるかというのを教えていただきたいんです。

○松田施設部長 都立松原高校には、平成十三年五月現在の調査におきまして、敷地外周部の緑化を図るためのツツジ等の低木を含めて、おおむね千二百本の樹木がございます。このうち果実のなる木はカキの木が一本、ビワの木が一本で、合計二本ございます。

○後藤委員 カキの木ですけれども、甘いカキですか渋いカキですか。

○松田施設部長 カキの味については存じておりません。

○後藤委員 だったらいわせていただきますけれども、これは渋ガキなんですよ。千二百本のうち、食べられるというんですか、カキの木が一本、ビワの木が一本というふうなことですけれども、確かに渋ガキでも食べられますから。確かに緑をふやすというのは前までよくいわれていたことだと思うんですけれども、ヨーロッパの方、たしかドイツだったと思うんですけれども、町並みにリンゴの木がずっと植わっているところもあるというふうなことを聞いています。
 そうしたらば観点をちょっと変えたいんですけれども、果樹ですとか木が植わっているときに、例えばご近所からの何か苦情があったようなケースがあると思うんですけれども、具体的に教えていただけますか。

○松田施設部長 具体的な事例といたしましては、特に市街地に立地する高校につきまして、例えば果実をついばみにカラスが来て鳴き声がうるさい、あるいはふん害が生じるというような苦情が参りまして、対応に苦慮している状況にございます。

○後藤委員 部長は今、対応に苦慮しているというふうにおっしゃいましたけれども、言葉をかえますと、バードウオッチングが楽しめるわけですよね。カラスだったらばバードウオッチングじゃなくて、小鳥だったらばバードウオッチング。うちにもカキの木があるんですけれども、カラスがいなくなれば小さい鳥が寄ってきます。結局、カラスの問題は全く別だと思うんですけれども、バードウオッチングができるということ、鳥が寄ってくるということは、環境の教育にもすごい見合っている教育ではないかなというふうに考えます。住民の方にはカラスは我慢できないかもわかりませんけれども、結局、カラスだとかがうるさいというふうなことがもしわかっているんだとしたらば、次回植えるときには、カラスの声もご近所のお宅には届かないようにぐらいの配慮をなさればいいと思います。
 できましたらば施設部にお願いをしたいんですけれども、学校の校庭に果樹を植えるというふうになったときに、何の木がいいのか、果樹は嫌だというふうな学校もあると思いますけれども、仮に果樹を植えたいというふうに校長ですとか先生ですとか父兄が思ったときに、果樹に関する知識というのは、多分、都会に住んでいる方たちは余りないと思います。そこで、低木だったらば例えばブルーベリー、例えば何とかかんとかがありますよ、中木だったらば何がありますよ、例えばカキだったらば赤ですけれども、ビワだったらば黄色だとか、そういうふうなリストをできたらば考えていただけないかというのが一点。
 果樹を植えた場合、例えばビワか何かですと、大きくなるというふうに皆さんお考えですけれども、ビワの産地に行きますと低く切ります。カキもそうです。産地に行ったら大きなカキの木は絶対にありません。こういうふうな剪定のやり方ですとか、果樹の育て方だとかというのもあると思いますので、ここいらの、マニュアルといういい方はおかしいですけれども、必ず専門誌がありますから、専門誌からとってきたり、いろいろな形ができると思うんですけれども、学校がもし果樹が欲しいといったとしたらば、こういうものがありますよというふうなリストをつくれないかと思うんですけれども、いかがですか。

○松田施設部長 環境教育を進める上で、高校に果実のなる木をふやすことにつきましては、まずは高校の段階におきまして、環境教育の内容としてどのようなものを教えるべきかという学校教育上の議論があるかと思います。そのような議論を受けて、施設面での対応を検討していきたいと存じております。

○後藤委員 とりあえずわかりました。果樹を学校の方が植えたいということになりまして、果樹を仮に植えたとしますと、肥料が必要になってくると思います。普通、一般的に考えますのが、例えば給食の余りだとかは(「都立高校の話をしているんじゃないのかね」と呼ぶ者あり)ですからコンポストを--例えば給食の残りか何かでコンポストか何かをおつくりになっているケースがあると思うんですけれども、失敗談というのがあるというふうに聞いたんですけれども、できましたら給食関係の……。

○桜井体育部長 都立学校におきましても、養護学校などで学校給食の残滓をコンポスト化し、堆肥にしている学校が若干ございます。これにはいろいろ課題がありまして、今の失敗談というお話がありましたので、例えばにおいの問題、それから食べ残しの問題についての処理の問題、例えば塩分が入っている、それを取り除かなければいけない等々の問題があります。それから、校内で処理できる量には限界があります。また、引き受け場所がないなどの課題がございます。それにコンポストには季節的な限定がされるという幾つかの問題がございます。

○後藤委員 結局、私がいいたいのは、例えば塩が多過ぎて、肥料がうまくいかないとか、いろいろな話はあると思うんですけれども、先生方が環境教育というものをもしやるんだとしたらば、先生方にまずは環境教育をやらなければいけないのではないのかなというのが私の提案です。部長が今おっしゃってくれたので助かったんですけれども、例えば養護学校には果樹がたくさん植わっているというふうな話も聞いています。養護学校で果樹が多く植わっている理由は何なんでしょうか。

○斎藤指導部長 やっぱり障害者の情緒不安定とか、挫折とか、さまざまな課題を抱えておりますので、成長段階において困難な中で成長しているのが障害者の児童生徒だと思います。そうした意味では環境を整える上でさまざまな関係の方が樹木を多く植えてきたというような経緯を私は伺ったことがございます。

○後藤委員 ここで話が戻るんですけれども、例えば不登校の方たちも、養護学校とは違うとは思いますけれども、心に悩みを持っている方たちもおります。果樹というのを一つ考えていただきたいなと思います。
 そうしましたら、二点目です。財団法人東京都学校給食会の仕事についてちょっとお尋ねいたします。財団法人東京都学校給食会の仕事の内容の大まかを教えてください。

○桜井体育部長 学校給食会でございますが、都立の公立、私立学校の給食用物資を適正、円滑に供給し、あわせて学校給食の普及充実を図ることを目的としてございます。

○後藤委員 この給食会に都立の学校の給食に関する学校の巡回指導とか、衛生基準ですか、こういうふうな仕事を委託していると思いますけれども、私が調べてみましたら、ほとんどが栄養士の仕事だというふうになっていたんですが、できましたらば、この辺のご見解をお願いします。

○桜井体育部長 都立学校の給食につきましての学校給食会の委託の業務の内容でございますが、学校巡回指導の問題、あるいは衛生状況についての調査の問題、それから、普及業務。これは受託業者の研修会、あるいは衛生講習会、学校給食栄養管理システム講習会等々でございます。もう一つは、保存食の保存業務等がございます。ただいまご指摘の栄養職員の職務の内容にかなり近いところがございます。

○後藤委員 今部長がおっしゃいました巡回指導と保存食に対する委託というのを、できましたら具体的に、内容がどのようなものなのか。特に保存食に関しましては、事務の流れを明確に教えてください。

○桜井体育部長 保存食のことでございますが、給食につきましては私費会計、いわゆる父兄の方が負担するということで、各児童生徒に対する給食を供給してございますが、この中の保存食につきましては、後々の食中毒、あるいはその他のふぐあいに対します対応策といたしまして、一食分を冷凍保存しまして、後々の検査対応をするわけでございます。そのための保存食業務を委託しているということでございます。

○後藤委員 そうしましたらば、保存食を給食会の方に持ってくるわけではないと思います。結局、例えば給食を何百食分かつくった場合に、このうちの一食を学校にとっておくことだと思うんですけれども、この学校にとっておくのに、何で給食会の方に仕事を委託するのか。

○桜井体育部長 保存食、給食一食分につきましては、ご指摘のように、各学校の冷凍庫で保存してございます。各学校の保存食業務につきましての事務の効率化を図るために学校給食会へ委託し、その費用弁償を東京都が学校給食会に支給しているものでございます。

○後藤委員 結局、わかりやすくいいますと、金を払っているというだけですね、学校に対して。保存食一食分のお金を、学校にお金を払うときに、本来だったらば、教育庁が、例えば銀行振り込みでお金を払えばいいのに、わざわざ給食会に委託して、給食会の方から各学校に銀行を通して振り込んでもらっている。にもかかわらず、部長が今おっしゃったのは、給食会計の事務の効率化を図るなどというふうに今おっしゃいましたけれども、反対に、効率化を図るんだとしたらば、給食会を通さないで、教育庁の方から銀行を通して払えばいいんじゃないかなと思いますけれども、その辺はいかがですか。

○桜井体育部長 保存食の経費につきましては、先ほど私費会計というお話を申し上げました。その一食分につきましては、東京都教育庁に支払いの義務がございます。それを各学校ごとに行うのではなくて、学校給食会に一括して委託することにより、会計上の効率化を図ったものでございます。

○後藤委員 とりあえず来年度からはここいらのことを根本的にまず見直していただきたいと思います。
 次に、もう一点だけです。主幹制度というのが近々行われてくると思いますけれども、できましたらば、生徒の観点から見まして、例えば組合と執行部の方と必ずあつれきが起こるのではないかなと思うんですけれども、この辺の対応策をどのように考えていらっしゃいますか。

○中村人事部長 主幹制の導入につきましては、児童生徒のためにこそ導入するものでございまして、導入の過程で、委員ご指摘の組合等に対しては十分な説明を行い、スムーズな導入を図っていきたいというふうに考えております。
 この主幹制度は、もともと学校の組織的な課題対応能力を高めようということでやっているわけですので、児童生徒に対してより質の高い教育が最終的に提供できるというふうに考えております。そのためにも、教員にこの制度の理解をしてもらわなきゃいけませんので、リーフレットを配ったり、あるいは研修を実施したりということを今後精力的に進めていきます。

○後藤委員 多分、この制度をやっていくと、例えばストライキとか、いろいろなことが起こってくると思うんですけれども、この辺に関しては、できたらば厳正に対応していただきたいというふうに思います。

○服部委員 主幹制度について、改めて私も伺います。
 私は、教師は大変崇高な職業だと思っています。また、聖職者として、私は尊敬もしています。こちらに教務職として奉職された先生もいらっしゃいますが、(発言する者あり)そうですか。ご苦労さまでございます。私は、そういった教師と子どもたちの関係、例えば児童生徒が時に、先生、ありがとうという作文を自発的に書くとか、あるいはまた、卒業した後、自分の恩師を訪ねるとか、さまざまなことがあるんですが、教師の日、教師に感謝する日が韓国や中国、ロシア、アメリカ、あるいはブラジル、既に世界二十一カ国で制定されています。残念ながら、まだ日本にはそういう制定はされておりません。私は、結局、それぞれの国が教師を親として敬う、あがめる、そして、地域社会や子どもたちやPTA、そういった方々と一緒になって、お互いの信頼関係を築き上げる。それが教育にとって一番大事なことだな、そのように思います。教師の日についてはまた別の機会にご提案、あるいはご提言させていただく機会もあろうかと思いますが、この主幹制度について、そういう教師に対する思い等の前提の上で質問をさせていただきたいと思うんですが、既に十二月十四日の当委員会で、このことについてはさまざまな視点から質疑もございましたから、きょうは総括の意味で何点か質問させていただきたいな、そう思います。
 まず、この時期に学校に主幹制度を導入する必要があるのか。教育現場の現況についてお伺いいたします。

○中村人事部長 学校には、残念ながら、いじめ、不登校を初めとしまして、最近では携帯電話の普及に伴います問題行動、場合によっては携帯電話による児童生徒が被害者になる。こんなふうなさまざまな課題が学校をめぐって山積しております。保護者や地域の方々、こうした問題に課題解決を早くしてほしい。学校が積極的に取り組むことを当然期待しております。教育をめぐる現状がまさしく危機的な状況にあるというふうに考えておりますし、今私どもがこうしている間にも、そろそろ終業式、卒業式を終わって、新学期からどうしようかと思い悩んでいる子どもさんたちもいらっしゃるということを私ども考えざるを得ないという現状がございます。
 このために、今回、学校に監督権限を持ちます主幹を設置しまして、学校を組織として機能させるということによって、学校全体の教育力を高めていきたい、こんなふうに考えております。

○服部委員 学校の現場は、きょういただいた資料にもありますように、いじめとか、不登校児童とか、学級崩壊とか、こういった教育現場のさまざまな問題点があります。ですから、今回の主幹制度の導入についても、それでは、今の教育現場でいいのか、これでいいのか、その辺をいろいろ検討された上で一つの提案としてお出しになった、そのように思うんですね。先ほどアンケートの話もありましたけれども、そういう学校現場の方はこの制度に賛成とか、反対という前に、今、自分たちの現場が、置かれている状況が本当にこれでいいんだろうか。子どもや児童のために、よくするためにどうしたらいいんだ。むしろ、私は、提案箱を置いていただきたいな、そんな気持ちがいたします。
 そして、こうした現在の学校運営組織の問題点、また、学校長と教頭、そしてまた主幹との関係をどのように位置づけているのか、伺います。

○中村人事部長 現在の学校は、山積します教育課題に対しまして、組織的に対応できる体制が十分整っているとは、残念ながらいえない状況でございます。少なからず校長のリーダーシップや教職員個々の能力に期待しているという面が見られるのが現状でございます。現在の学校組織は、なべぶた型組織というふうにいわれておりますけれども、校長の経営方針等が十分に教員に浸透しにくい状況にございます。このために、教頭を補佐する主幹を置くことによりまして、学校を組織的に一層機能させていくことができるというふうに考えております。

○服部委員 今度は、主任制度との関係についても伺いたいんですが、かつて昭和五十年ですか、主任制度が導入され、東京都は遅く、五十三年からスタートした、そういうことですが、せんだっての委員会の速記録によりますと、平成十二年度の主任手当は五億八千五百万、職員団体への拠出状況は推定で主任手当総額の約三割程度ということですから、一億七千万円が拠出された、そういう答弁がありました。
 これはあくまでも我々、都民や国民の税金なんですね。みんな汗を流して納めた税金が、主任手当ということで、教育のために情熱を燃やす先生方に対して、手当としてお渡ししよう、そういうことを、返還しているというのか、拠出をしている。それが職員団体だ、そういうことなんですね。我々は、何も税金を職員団体に返金しようと思って納めていません。したがって、もし教職員の方が主任手当を拠出されるとすれば、それはもとである東京都や国に返済すべきだ、私はそう思うんですね。まあ、現状はそうではないようですが。
 そこで、この主任制度、今申し上げましたけれども、主幹制度の導入と主任との関係がどうなるのか、伺います。

○中村人事部長 主幹は、担当する校務に関する事項につきまして教頭を補佐することによりまして、教諭等を指揮監督することをその職責といたします。したがいまして、指揮監督系統は、校長、教頭、主幹、教諭等という流れになります。主任はあくまでも校務分掌の一つでございまして、立場として主任と教諭等とは何ら変わりがないということになります。これは現状もそうでございます。
 なお、主幹は、各校種別に指定する主要な主任を兼務するということになります。

○服部委員 いずれにしても、現在、東京が抱えているさまざまな課題に対して迅速あるいは的確に対応して、教育内容を充実させるためには、学校を組織として機能させる必要がある、そのように思います。一般社会においては大勢の人が共同で仕事をしよう、そういったときには組織が重要なことは当然なことです。今まで学校においてそれができなかった。それが今日の教育の荒廃の一因になっている。これは大変残念なことだと思います。
 こういった今回の主幹制度の導入が、例えば権限の強化につながるのではないかとか、あるいは、足並みがそろわないのではないか--いや、足並みをそろえないんですよ。そろえてほしい、私は。そして、児童生徒のために本当に職員全体が、監督だとかでなくて、一緒になって、チームワークですよ。子どものことですから、一緒になってやっていくことが大変重要なことだと思いますが、主幹制度を導入することにより、どのような効果があるのか、伺います。

○中村人事部長 主幹を置くことによりまして、学校の組織的な課題対応能力が高まりまして、保護者や都民の要望に迅速かつ的確に対応することができるようになります。また、校長、教頭とともに、主幹が教諭等を指導、育成する役割を担うということから、計画的な人材育成が可能となりまして、学校全体の教育力を高めることができます。このことによりまして、学校は、児童生徒に対してより質の高い教育を提供することが可能となりまして、地域に信頼される開かれた学校づくりを一層推進することができるというふうに考えております。

○服部委員 主幹制度が教育界、三十年来の懸案事項、そういった意味で、東京から風穴をあける、そういうものだと私は考えています。また、そうしていただきたい。そして、何事も制度を変えよう、制度を始めようというときには、さまざまな困難が伴っていく。しかし、こういったものを乗り越えて、目的は次代を担う子どもたちの健やかな成長のために都教委はこの主幹制度について全力を挙げて取り組んでいただきたい、そのように思います。
 ところで、先日、この主幹制度反対を理由としてストライキを行ったことが新聞に報じられております。これは読売新聞も、主幹制度に反対、都高教祖がスト、一部学校で授業に影響とか、各紙が取り上げています。このほかにも、子どもたちの健やかな成長を願う場である学校の中で、いわゆる職場集会を行ったり、また、都民の公共の場である広場において座り込みまでする。そういった行為があったと私は聞いています。とんでもない話です。先ほど小美濃委員からも質問がありましたけれども、これは大変重大な問題だと私は思います。
 そこで、さらに具体的に伺いますが、教職員のストライキは法律に違反しているはずだ。これをどう考えているのか。さらに、今回、何名の教員が参加したのか。その人数をお答えください。

○中村人事部長 まず一点目ですけれども、ご指摘のとおり、争議行為は完全に違法行為でございます。厳正に対処する考えでございます。
 平成十四年三月十一日の争議行為に参加した教職員は、全日制で百三十二校、二千五百人、定時制六十三校で約三百人、合計約二千八百人でございます。

○服部委員 合計で二千八百人、教職員が参加している。こうした今の大変厳しい社会情勢の中で、職員団体が主幹制度の趣旨を曲解して、単に管理されたくない、そういう理由だけで、違法ですよ、違法なストライキを行う。これは到底、都民の理解や共感は得られない、そのように私は確信しています。
 そして、過去にも同じ規模のストライキがあったと聞いています。都教委は、厳正なる対処をしたと思いますけれども、そのときの処分となった教員は何名だったのか、伺いたい。子どもたちにこうして教え導く教育者のストライキは、看過することができない許しがたい行為だと私は思っていますよ。特に、授業を放棄してまでストに参加した者に対しては、私は、先ほどのお話のように、厳正に対処するのは当然だと思います。何名だったのか、伺います。

○中村人事部長 平成十一年に同規模の争議行為が行われておりまして、東京都教育委員会は、東京都高等学校教職員組合の幹部職員を中心に、十七人を処分しております。

○服部委員 二千八百人が参加して--違法なストライキに参加しているんですよ、教職員は。適法なストでも何でもない。法律に違反している。それで、処分したのが十七人しかいない。私は、ある意味で、加害者はストに参加した教職員であるとすれば、最大の被害者はだれですか、子どもたちじゃないですか。授業放棄された子どもたちが一番の被害者です。教職員、よくその辺はきちっと反省していただきたい。
 そして、ここにも資料がありますけれども、今まで、先ほどの質問にもありましたけれども、毎年やっている。スケジュール闘争ですよ。毎年やっている。五年分しかありませんけれども、平成九年度は都立高校改革推進計画撤回、平成十年度はあり方検路線反対、管理運営規則改悪撤回、平成十一年度、高校改革推進計画反対、人事考課制度導入反対、平成十二年度も人事考課制度導入反対、そして、十三年度がさっき申し上げた新主任制度反対のストライキをやった。
 これは、私は、処分が甘いというよりも、何回もやっているストライキも、処分が大体似たり寄ったり。何か話し合いでもあるのかどうか、都教委と組合と。マンネリ化ですよ--マンネリ化じゃないけども、今の厳しい状況を考えてない。教育がこれだけ荒廃していることを本当に考えているのかどうか。私は、強くその辺は申し上げたいと思うんです。
 ですから、本来、こういう違法ストに参加した教職員は、都民の目線から見れば、違法なストに参加したんだから、全員が処分されて当たり前である。法を犯せば処分を受けるのが世間の常識ですよ。私はそう思います。
 今申し上げたように、前回の違法スト、もちろん今までもそうでしたけれども、毅然と対応しないから、また同じことが繰り返される、そういう結果になるんですよ。この点は、都の教育委員会の責任は大変重い、私はそういわざるを得ません。
 それはもちろん、多くの先生方は、子どもに本当に情熱を持って、真剣に取り組んでいますよ。子どもの将来を考え、そして、これからの日本がどうあるべきか考えながら、一生懸命教育に情熱を燃やしている、そういう先生の方が多い。たった一部のこういう教職員のために、一生懸命やっている先生方の信頼が傷ついてしまう。子どもたちにも、あるいは親からも、あるいは地域社会からも--本当に真剣にやっている教師に対して、私は本当に申しわけないと思いますよ。
 いずれにしても、ストライキなど、違法行為や、こうしたあるまじき行為については、ぜひ厳正かつ毅然と対処していただきたいことを申し上げて、終わります。

○石川委員 初めに、いよいよ四月一日からすべての公立の学校で完全週休二日制が実施されるわけであります。このことは、生徒の休暇がふえることと同時に、すべての土曜日が教員にとっても週休日となることになります。したがいまして、夏休みや冬休みなどにおける、いわゆるまとめどり週休日がなくなってくるんだろうと思いますけれども、教員の勤務についても大きな変化があらわれてまいります。今日、教員の資質向上や地域に開かれた学校づくりが求められている状況の中で、長期休業期間を有効に活用することが大変重要になってまいります。このような観点から、都立学校教員の長期休業期間中の勤務について伺います。
 まず、平成十三年度の夏休み、冬休み等の長期休業期間中の教員の勤務の状況はどうなっておりますでしょうか。

○中村人事部長 長期休業期間中の教員の勤務につきましては、年間十二日程度割り振られている、いわば本来休みであるべき土曜日に出勤しているので、かわりにまとめておとりいただきたい。いわゆるまとめどりの週休日を除いた日が勤務日となっております。勤務日におきまして、教員は部活動の指導、希望生徒への補習、各種会議、日直、公開講座等の講師を行っております。また、研修センターで研修を受講したり、教育公務員特例法に基づきます学校外での自主研修に充てることができる、こういうのが現状でございます。

○石川委員 一生懸命頑張っている先生の方が大半なんでしょうけれども、学校によっては夏休み、冬休みになりますと、割り当てられた日直二、三日、そしてまた、割り当てられたプールの指導等々に学校へ出てくるだけで、あとは学校に姿を見せない。こういう先生もいらっしゃる。こういうふうに伺っておりますけれども、都教委は実態をどのように、またどの程度把握しておられますか。

○中村人事部長 教員による実態はそれぞれさまざまでございますけれども、ほとんどの勤務日に部活動の指導を行っている教員がいる一方で、ほとんどの勤務日を学校公務員特例法に基づきます学校外での自主的な研修に充てている教員がいることも事実でございます。必ずしも計画的な学校運営、あるいは研修体制が確保されているとはいえない現状にございます。

○石川委員 教育公務員特例法に基づく学校外での自主的研修ができる。これは権利なんでしょうけれども、この権利の扱いというんでしょうか、とり方というんでしょうか。これがいわゆる慣習化といいますか、何というんでしょうかね、もともと持っている権利なんだから、自由に使っていいんだという意識が余りにも強過ぎるんじゃないかと、こんなふうに考えている一人です。
 そこで、ちょっと角度が違って申しわけないんですが、完全週休二日制にすることによって、学力の低下が心配されております。したがって、都立高校においては、補習等を行うという学校もあるようでありますけれども、この場合、土曜日に補習を行った場合の先生が勤務した場合の扱いはどんなふうになるんでしょうか。

○中村人事部長 本年度からそういう学力不足等のあれもあるということで、土曜日等に補習的な授業を行うという教員につきましては特認研修という制度を設けまして、土曜日に授業をするために準備が当然必要でございますので、半日間、その部分を平日に研修準備をする職免を与えるという制度になっております。

○石川委員 半日、平日で研修という職免を与える。ざっくばらんにいえば、休暇を与えるということですね。そうしますと、この土曜日の出勤については、特認研修に振りかえるという理解でよろしいんですか。

○中村人事部長 一つ訂正を、本年度からと申し上げましたけれども、来年度から、四月からでございます。
 振りかえるといいますか、夏休み期間中であっても、土日にそういう--夏休み期間中であっても、月曜日から金曜日までは勤務日でございます。そうじゃない土曜日にやった場合は特認研修を認めるということでございます。勤務日に何かやったというのはまた別の次元の話でございます。

○石川委員 土曜日の扱いは、夏休み、春休みだけじゃなくて、通常あるわけですね。その間に補習授業等々やる、そのために必要ないわゆる研修を半日間与える、こういうことでしょう。平時の土曜日の出勤に対しては、特別の研修のあれを与えることによって、例えば、時間数も、手当も振りかえますよという理解でいいんですか。

○中村人事部長 年間を通じて認めますので、時間も給料も全くそのとおりでございます。

○石川委員 要するに、今年度までは十二日間の振りかえ、十二日間のまとめどりができましたよと。それは認めませんよということでいいんですか。

○中村人事部長 十二日間のまとめどりといいますのが、従前は、我々普通の公務員は土日が完全休みだった。学校は隔週でございましたので、休めなかった。休めなかったのを、夏休み期間中、あるいは冬休み期間中におとりくださいという制度。今お話の特認研修は、ことし四月以降、土曜日に補習授業等を行った場合に、平日にその準備のための研修を半日間認めるという制度でございますので、過去のまとめどりと新しい承認研修とはちょっと制度が違います。

○石川委員 それは時間に余裕があれば、長期休み期間中でなくても、平時の一週間の中でとれるということですか。

○中村人事部長 まず、十二日間のまとめどりはこの四月以降は全くなくなります。それから、その承認研修は、必ず校長がつくった学校の運営方針に基づいた土曜日等の活動に参加した場合に準備活動の研修を認めるというものでございまして、自由にとれるということでは全くございません。

○石川委員 それじゃ、次に、平成十四年度以降、完全学校週五日制の実施に伴い、教員の勤務はどう変化してまいりますか。

○中村人事部長 今までの十二日間のまとめどりが全くなくなりますので、長期休業期間中の勤務日数が増加するということになります。

○石川委員 この変化は非常に大きいんだろうと思いますね。今まで長い間の歴史の中で、まとめどりができていた長期休業期間中のまとめどりがなくなるわけでありますから。
 そこで、教員にとっては戸惑いが出てくるのではないか、こんなふうに危惧するんですけれども、このことに関してきちっと対応していかなければならないと思いますが、都教委はどのような対応策を考えていますか。

○中村人事部長 教諭が教科指導とともに、児童生徒の人格形成に深くかかわるということから、その資質能力の向上が極めて重要でございます。一方、長期休業期間中においても、生徒への対応や学校運営上の課題の解決に積極的に取り組む必要がございます。
 そこで、進学対応や基礎学力向上のために、学校として実施する補習を充実したり、学期中には十分行うことができない学校運営上の各種の会議を計画的に実施するよう学校を指導していきます。
 あわせて、長期休業期間中の特質を生かしまして、教員が地域における社会貢献活動に参加できる、こういった新たな仕組みを設けたいというふうに考えております。
 また、学校内における研修を計画的に実施するよう指導するとともに、教職員研修センターにおける研修メニューを充実したり、大学での公開講座の受講、研究会等への参加等を促進してまいります。
 これらの対応策を確実に実施するため、教員が学校外で自主的に行う研修活動につきましては、従来の一日単位という扱いをやめまして、四時間を限度として承認することとしたいというふうに考えております。

○石川委員 学校外での自主的に行う研修活動については、今年度までは一日という単位で行っていたものを四時間を限度とすると。大変な改革だと思いますね。
 再三述べておりますけれども、一生懸命な先生が大半だろうと思うんです。しかし、今、メニューを述べられましたし、また、いよいよ時間を変更するという改革をすんなり受け入れてくれる先生がいないとも限らないわけです。したがって、今お答えのあったことをどう実効あるものにしていくかということが大事なわけですね。しかも、多分、こうなりますと、今度は校長先生の権限ですからとかなんとかって、また現場ではいろいろ議論が始まるんでしょう。そうしたことをどう解決して、今述べられたさまざまな対策の実効を上げていくのか、その方策をお伺いします。

○中村人事部長 教員の長期休業期間中の研修活動や社会貢献活動が、真に資質能力の向上に結びつくような仕組みをつくっていきたいと考えております。長期休業期間中の教員の過ごし方につきましては、パンフレットを作成しまして、校長、教頭や一般教諭に周知を図ってまいりたいというふうに考えております。学校外における研修活動につきましては、事前に計画を提出させるとともに、研修終了後の報告書を校長に提出することとしまして、さらに、学校訪問等を通じまして、研修の成果が適切に生かされているかどうか、指導、助言していきたいというふうに考えております。

○石川委員 ぜひ先生の意識改革がなされて、この大きな改革に、先生も、そしてまた、子どもたちの方も対応していく環境づくりをお願い申し上げたいと思います。
 ところで、都立学校の取り扱いについてはわかりましたけれども、小中学校についてはどうするおつもりですか。

○中村人事部長 区市町村立学校の教員の服務監督につきましては、区市町村立教育委員会が行うということになりますけれども、各区市町村教育委員会の取り扱いに均衡を失することがないよう、東京都教育委員会としては、都立学校での取り扱いに関する通知を各区市町村教育委員会に対して送付いたします。各区市町村教育委員会におきましては、通知の趣旨を踏まえまして、長期休業期間中の小学校、中学校の教員の勤務について具体的に定めることになります。
 なお、各区市町村教育委員会の取り組み状況につきましては、私ども逐次把握していきたいというふうに考えております。

○石川委員 次に、学校施設に関連してお伺いいたします。
 私どものところに、大規模工事も含め、実にさまざまな学校施設の修理、修繕、また、改修、あるいは建てかえ等々の要望が寄せられております。しかし、残念ながら、財政状況が厳しいということで、なかなかそれもままならないというふうな現状ではないかと、こんな認識を持っております。その中でも、いわゆる校舎の安全性、大きな地震等が起こった際に、都立高校は本当に安心なんだろうかという危惧であります。当然、学校施設は、生徒の生命、身体の安全確保、また、それぞれの自治体の一時避難場所として指定されている施設でありますから、いわゆる大きな地震のときに耐え得る施設にしておかなければならないということは論をまたないことだろうと思います。
 そこで、初めに都立学校の耐震対策の現状及び今後の計画についてお伺いします。

○松田施設部長 阪神・淡路大震災の被災状況を受けまして、都教育委員会といたしましても、耐震対策の重要性を認識し、これまでも校舎の耐震補強あるいは改築により耐震対策を行ってきたところでございます。
 お尋ねの都立学校校舎の耐震対策の状況及び今後の計画でございますが、都立学校、すなわち高等学校、盲・聾・養護学校等合わせまして、現在二百七十三校ございますうち、既に耐震性を有している学校は百六十七校でございます。一方、今後、改築、閉校が予定されている学校二十校を除きまして、耐震補強等の措置を講じる必要がある学校は八十六校でございます。平成十四年度におきましては、補強調査を四十一校について実施いたしまして、既に調査済みの学校三十三校と合わせた七十四校について、今後計画的に耐震補強または改築を実施していく所存でございます。

○石川委員 補強等の必要な学校八十六校のうち七十四校については十四年度までに補強調査が終了する。都教委の姿勢を私は高く評価するものでありますけれども、残りの十二校についてはなぜ残ったのか。今後どのように対応しますか。

○松田施設部長 少し専門的な話になりますが、建築物の耐震性能を判定する基準としてIS値というものがございまして、危険度に応じて〇・一から一の評価がなされております。阪神・淡路大震災を契機に制定されました、いわゆる耐震改修促進法に基づく国土交通省の告示におきましては、この基準で〇・六未満のものは地震振動及び衝撃に対して倒壊し、または崩壊する危険性が高い、あるいはその危険性があるとされておりまして、法令上、耐震のための改築や改修等の措置が求められております。このため、〇・六未満である七十四校につきまして十四年度中にすべて補強調査を終了させることにいたしました。
 一方、文部科学省の通知によりますと、文教施設としての特殊性を考慮し、一般の施設より高い安全性を確保することが求められていますことから、〇・七以上でなければ望ましい耐震性能を有していないとされております。都教育委員会といたしましては、この通知の趣旨を踏まえまして、〇・七に達しない十二校についても、さらなる耐震対策を講ずるよう努力したいと考えております。

○石川委員 それでは、補強調査が終了する七十四校については、いつまでに補強工事を完了するのか、伺います。

○松田施設部長 七十四校のうち、既に補強調査の終わっております学校三十三校につきましては、平成十四年度から順次工事に着手することになっております。また、平成十四年度に補強調査を実施する学校四十一校につきましても、平成十五年度から設計に着手して、平成二十年度を目途に補強工事を完了させたいと考えております。

○石川委員 そこでちょっと伺いますけれども、平成十五年度から設計に着手して、二十年度までに補強工事を完了させたい。これは既に財務当局も了解しているというか、認めている計画なんでしょうか。

○松田施設部長 必ずしもオフィシャルに財務当局が認めているというものではいまだございませんが、都教育庁としてはそのようなことを目途に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○石川委員 例えば、こうした工事計画というのは、今の組織からすると何課が担当するんですか。

○松田施設部長 主として施設部施設計画課が担当いたしております。

○石川委員 施設部の施設計画課という一つのセクションがこうした課題に対応しているということでございます。
 ところで、都教委、教育庁の平成十四年度の組織はどのように変化するんでしょうか。

○小海総務部長 教育庁の組織改正についてでございますが、教育改革をより効果的、かつ効率的に推進するために、教育庁の本庁組織を再編いたします。主な内容は二つございまして、一つは、都立高校改革を初めとした学校改革に関する施策を一体的に推進するために、学校の施設管理業務を学務部に集約するものでございまして、具体的には施設部を学務部に統合しまして、それと体育部の保健給食業務を学務部に移管いたします。したがいまして、現在、建物の整備を担当しております施設計画課でございますが、これは学務部に移管するという形になります。

○石川委員 施設部を廃止し、施設計画課を学務部に統合する。この背景は何でしょうか。

○小海総務部長 先ほど申し上げましたけれども、教育改革を初めいろいろと改革を進めるために、学校の設置管理事務は学務部と施設部にこれまで分かれておりました。それから、体育部の保健給食というのが分かれておりました。これを学務部で一括して執行していこうという考えでございます。

○石川委員 都教委は、都にある局のうちで一番施設を持っている局、庁だと思いますね。そのために今まで施設部という独立した部を持ってこられて、学校教育施設の整備に取り組んでこられたんだろうと思います。ちょっとご答弁ありませんでしたけれども、施設部の廃止の際に、これまで施設部が行っておりました大規模な工事、一定金額、約二億円以上は財務の営繕が執行してきたと、したがって、今後もこのような方法をとりますので影響はありません、こんなご説明を受けましたけれども、私は、学校ニーズに合った施設整備が難しくなってくるのではないかなという疑念を持っているんですが、その点いかがでしょうか。

○松田施設部長 施設部の業務はすべて学務部に引き継がれ、また、学務部におきまして施設整備に係る組織体制を備えることとなります。これによりまして、行政としての継続性が確保されまして、耐震補強工事を初め、また、財務局に委任する工事も含めまして、教育庁において従来と変わらない円滑な対応ができるものと考えております。

○石川委員 ぜひ施設再編に伴って、学校施設のいわゆる整備等がおくれることのないように最善の努力を払っていただきたいことを要望しておきます。
 きょうは、この秋の都立高校改革推進計画の新たな実施計画の策定に向けまして、これまでの都立改革の功罪について伺う予定でありましたが、時間も時間でありますし、次の質疑者もおりますので、次の機会に譲りたいと思います。

○東委員長 この際、議事の都合によりおおむね五分間休憩いたします。
午後五時五十七分休憩

午後六時六分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○遠藤委員 お疲れだと思いますけれども、しばらくおつき合いを願いたいと思います。
 さきの予算特別委員会で、我が党の古賀理事が、いわゆるながら条例について質問いたしました。その中で、勤務時間内の組合活動に東京都全体で十九億七千万円の給与が支払われているということが明らかになったわけであります。総務局長は、必要最小限の範囲で、準備行為を認めていると答弁いたしましたが、十九億七千万円が必要最小限というのは都民感覚からかけ離れているというふうに私は思うわけであります。
 また、教育庁では、正規の手続を経ずに勤務時間内に行った組合活動の給与返納問題で、いまだに五十二人の教職員が返納を拒んでいる実態が明らかとなったところであります。新聞では、これを無届け活動というふうな報道をされておりますけれども、どちらの表現がいいのかわかりませんけれども、新聞にはそう書かれております。
 私は、日本の教育をだめにした原因の一つは、教員の組合活動にあると思っております。もちろん、団結権は憲法上保障された権利であり、それ自体を否定するつもりはございません。しかし、組合活動に没頭する余り、教員としての本来の使命を忘れている方が多い。先ほども出ましたけれども、主幹制度の反対の違法ストを平気でやっているような姿を見たときに、明らかにそれを証明している。また、如実にその姿をあらわしているというふうに思います。
 私は、地域の学校でよく話を聞きますけれども、本当に毎晩遅くまで、あしたのための授業の準備をしたり、休みを返上してクラブ活動の指導に当たっている、こういう先生も多くいるわけであります。こういう先生方には本当に頭が下がる思いであります。こうした教員が一人でもふえていくことを私は願っているのでございますが、しかし、今日の状況が続く限り、まじめな教員は決してふえないといっても過言ではないというふうに思っております。
 常々私が申し上げているとおり、教員というのは、ペーパーテストができる人をただ採用しているだけではだめであります。私は、教員の資質条件につきまして質問したことがございます。平成十二年三月の予算特別委員会でございます。その当時の教育長さんは中島教育長でございますけれども、そのときの答弁を読ませていただきます。
「必須の条件ということでございますが、最低の条件ということで私どもは考えていることでございますが、教師は、まず豊かな人間性を持ち、子どもが大好きであることが大切であると考えております。また、教師としての使命感を持ち、社会人としての常識があること、そして、実践的な指導力を有し、熱意を持って教育に取り組めること」ということであります。まさしくそうでなければならないというふうに思っていますが、なかなかそうはいっていないのが現状であります。
 教員の組合活動に向けられている時間があれば、それを教員の資質向上に向けるべきであり、それを東京都全体あるいは日本全体で積み重ねていけば、はかり知れない効果があるというふうに思っております。本日は、文教委員会でございますので、学校教育にながら条例がどう影響しているかを中心に、何点かお伺いをいたします。
 まず最初に、予算特別委員会で未納状況をお聞きいたしましたが、再度、現在の未納状況についてお伺いをいたします。

○中村人事部長 正規の手続を経ずに勤務時間内に職員団体活動を行ったことによりまして、給与の返納の対象となった教職員の数とその金額でございますけれども、三千百二十三名、一億三千二百余円でございます。このうち返納した教職員の数とその総額でございますが、三千七十一人、一億二千二百万余円でございます。返納率は九二%となっております。いまだ返納を拒否している未納者の数とその額でございますが、ことしの二月二十八日現在で申し上げますと、五十二名、一千五十六万三千七百三十八円でございます。

○遠藤委員 大変な数字になるわけでありますけれども、これらは決められた手続を守らなかった上に、みずからの非を認めず、開き直ると私はとらえますけれども、人の道を教える者の、要するに、教育者としてあるまじき行為であるというふうに私は思っています。
 そこで、ながら条例で、その準備として職免が認められている組合活動がありますけれども、例えば、支部の執行委員会で月に何回、何時間ぐらい認められているのか、お教えいただきたいと思います。

○中村人事部長 支部の執行委員の場合でございますけれども、執行委員会が週一回四時間、分会代表者会議が月一回四時間、支部委員会が月一回四時間、月に換算いたしますと、月六回で二十四時間となります。

○遠藤委員 月に二十四時間、学校を離れて組合活動に参加が可能ということであります。授業に支障がないのか。そもそも子どもがいる時間に組合活動に参加を認めていることが私はおかしいと思いますが、いかがですか。

○中村人事部長 ながら条例によります職免は、職務に支障を及ぼさないことが前提でございます。通常、支部委員会等は固定した曜日を定めて開催しておりますので、次年度の始まります前に学校内で調整いたしまして、時間割の工夫をして、授業に支障のないように調整しているのが実態でございます。

○遠藤委員 非常に厳しいというか、そういう表現をせざるを得ないのでいわせていただきますけれども、要するに、授業をほっぽかして、組合活動に参加しているんですか。

○中村人事部長 ただいまお話ししましたように、年度が始まります前に、決まった曜日等に活動が決まっておりますので、授業に支障がないように調整しているのが実態でございます。

○遠藤委員 今、時間割の話が出ましたけれども、校長は、自分の教育理念といいますか、その実現のために、時間割を組むべきである。人事部長からの発言もありましたけれども、この職免は、職務に支障を及ぼさないことが前提であり、権利ではないはずであります。このような職員団体のことで気を使わなければならない実態があることはおかしい。理解しようにも理解できません。ながら条例の準備の意義について、都教委はどうお考えになっているのか、お聞かせ願います。

○中村人事部長 準備行為がありますことにつきましては、交渉を迅速に行い、労使間の調整を円滑に処理するという点にメリットがあるというふうに考えております。その準備のための機関運営に参加する場合、事前に教育委員会に、場所、時間、参加者名を届けることになっておりますので、教員の服務管理を容易に行えます。こういう実態にございます。

○遠藤委員 ながら条例の準備は必要ないと考えますが、これがなくなったら、機関運営、いわゆる組合活動への参加はどうなりますか。

○中村人事部長 機関運営の参加自体が職免及び給与の減額免除の対象外ということになりまして、機関運営を時間外に行うか、あるいは年次有給休暇をとって参加するということになります。

○遠藤委員 それが本来の姿であるというふうに思います。必要ならば、勤務時間外に行うとか、休暇をとればいいわけであります。さらに、必要があれば、土日に行えばいいというふうに考えます。ながら条例の準備がなくなると、何か支障があるのか、お聞かせいただきたい。

○中村人事部長 機関決定に時間がかかることを理由に回答をおくらせるということが想定されるなど、交渉を迅速かつ円滑に行うことが困難になるのではないか。それから、ながら条例制定以前には、いわゆる鉛筆休暇とか、口頭年休、こういわれた慣行もあったやに聞いております。その準備がなくなりますと、教育委員会が機関運営を把握することが困難になりまして、校長が今まで以上に教職員の服務管理に労力を費やすということになります。

○遠藤委員 鉛筆とか何とか出ましたけれども、それは後でどういうことか聞きますけれども、ながら条例があるのは、県単位では東京都と新潟県だとお聞きしております。当然、ながら条例のない県では勤務時間内に組合活動ができないわけですが、新聞報道で、三重県や広島県、北海道の職員団体の組合活動が話題になった。東京と同様に給与返還の問題になったのであります。これらの県でどういうことが行われたのか、説明をしていただきたいと思います。

○中村人事部長 北海道と広島県では、いわゆる破り年休、これは年休あるいは給与免除申請を出しておいて、何事もなく戻ってくれば破いてしまう。それから、鉛筆年休といいますのは、一応、休暇簿に鉛筆で書いておいて、何事もなく戻ってこれれば、消してしまう。あと、口頭年休といいますのは、口だけで校長、行ってくるよ。はい、わかったと、こういう、口頭年休で何もつけない。こういわれるものがありますけれども、いずれも、一たんは年次休暇を申請しまして、勤務時間内に職員団体活動を行うために職場を離れて、職場に戻ったときに年休を取り消す、こういう行為を行っていたというふうに報道されております。
 三重県につきましては、慣行で職員団体活動が行われていたと報道されております。

○遠藤委員 傍聴者の方もお忙しいところ、今お聞きになって、よく実態がわかったんじゃないかというふうに思います。
 これには、一つは、もっと管理職が毅然とした態度で臨んでいれば、こうした行為はなかったというふうに思っております。管理職たる校長が服務の管理をすることは当然であり、今、三重県、広島県、北海道のような事例をもって、その準備が必要という根拠にはならない。監査などを行うチェックの方法はあるし、不適正な事例は別に処分すべきであります。当然のことでありますけれども、働いていない時間に給料を払うことができない、いわゆるノーワーク・ノーペイの原則からして、私はおかしな制度だと。おかしいどころじゃない、理解できない制度。当然廃止をすべきだと思います。ながら条例につきましては総務局の所管でありますので、本日の文教委員会では、ながらの給与返還問題の今後の推移や、職免手続の不適切な運用があれば、私どもは、いつでも議員提出を行う準備があることを申し添えておきます。
 また、教育委員会は、校長の服務管理等についてしっかりと指導して、リーダーシップのある管理職を育てていただきたい。また、その責任が非常に大きいというふうに思っています。特に、さきも述べましたように、将来を担う子どもたちのためにも、今日の教育現場の状況を少しでもよくするために、早期に主幹制度を定着させて、学校の組織の体をなすことを申し上げまして、教育長、しっかりひとつ、特に管理職の指導には力を入れていただきたい、このことを重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わります。

○野島委員 委員長、関連。今、遠藤理事の質問、それから、答弁を聞きながら、若干、関連事項についてお尋ねを申し上げたいというふうに思っております。
 ながら条例は、今、答弁がありましたように、いわゆる職務専念義務違反に問われない。すなわち職務を遂行しながら、給与カットもない。そういう中で、組合活動ができますよ、こういうことだろうと思うんですね。どういう理由でというのは先ほど聞きました。どんな形のものに認められているのか。どんな会議体とか、打ち合わせと会議というのは違うと思うんだけど、その辺の実情についてまず一点お伺いしたいと思います。

○中村人事部長 その準備の会議が認められる基準は三点ございます。一点目の基準は、職員団体の規約その他によって定められている基幹的機関運営で、職員団体が適法な交渉を行うに当たって、必要不可欠なものと認められるものという観点です。これで例示しますと、大会、本部委員会、執行委員会等がございます。
 二点目でございますけれども、特定の事項に関し、職員団体の執行機関から権限の委任を受け、適法な交渉上の議題にかかわる事項について、調査、研究、諮問等を行う専門的または補助的な機関の運営で必要不可欠なものと認められるものということで、各職員団体によって呼び方は異なりますけれども、専門部、あるいは専門委員会、あるいは本部の招集する支部や単組または分会の代表者会議等がございます。専門部につきましては、例としまして、女性部とか、事務職員部とか、青年部、こういったものがございます。また、専門委員会の例としますと、賃金専門委員会、僻地対策委員会、こういったものがございます。
 三点目でございますけれども、職員団体の所属する上部団体の規約その他に定める機関運営のうち、当該職員団体が行う適法な交渉と有機的な関連を有する機関運営で、必要不可欠なものと認められるものということで、例えば日教組、全教、都労連などの大会、あるいは中央委員会、部会、総会等がございます。

○野島委員 随分細かく聞きたいんですけど、時間がないので、いわば適法な交渉に至る前手で意思決定もしなきゃいけない。あるいは、二番目だと、専門的な調査もしなきゃいけない。あるいは、上部機関との関係もある。こういう中で認められる、こういうことであります。
 そこで、先ほど遠藤理事の方から東京と新潟県だけだ、こんなふうに伺っております。実は、先日、私どもの幹事長代行が予算特別委員会で、るるその辺のことを、これが設定されたことについては仄聞いたしておりますけど、この際、なぜその準備行為が追加されたのか。先ほど人事部長の方から、労使の円滑なためにと。あるいは、反面解釈として、枠をかけることによって破り年休とか鉛筆休暇がなくなるよ、こういう意味だろうと思うんですが、その辺の事情についてお聞かせいただきたいと思います。

○中村人事部長 昭和四十一年のことでございまして、私もまだ入都しておりませんけれども、当時の、昭和四十一年第三回都議会臨時会で、企画総務首都整備委員会の委員長さんが報告しております。その報告の中で修正理由を述べておりますけれども、その要旨は、適法な交渉と因果関係を有する準備行為というものは、第一号で規定されている適法な交渉に当然付随し、適法な交渉と直接関係を持つ必要な行為であるとの見解に達し、このことを--この議事録では--加入することの必要性を認め、労使間の無用の紛争を避けることになると判断したという理由を述べられております。

○野島委員 要は二つの要素があると思うんですね。適法な交渉に当然付随しという。しかし、世の中で一つの結論を出すのに、さまざまな要素があって、機関の決定も積み上げていかなきゃいけない。調査研究もしなきゃいけない。あるいはアンケートをとらなきゃいけない。こういうこともあるとしますと、風が吹けばおけ屋がもうかるということで、線の引き方は難しいと思いますよ。かつてに比べれば、ながら条例で認める部分というのはかなり整理されてきたなというふうな認識をしていますけれども、そういう部分があるのかなと思っております。無用の紛争を避けるということは、先ほど答弁もありましたけれども、私は、逆に認める認めないで無用な紛争が出てくるんじゃないかと思うんですね。
 当局側--当局側じゃない。僕は労組側じゃないんだから。執行側としては、いきなりずどんで、鉛の扉から両方が出てきてずどんやるよりも、障子の向こうに人影が見えたり、声がしたりして、意思決定もしていきたいという、その気持ちはわからぬでもない。わからぬでもないが、私はこんなふうに思うんですよ。これから先は、そもそも教育委員会が、前回、僕が委員会で申し上げたように、横引き条例で持っているんだろうから、細かくは聞きませんけどね。要は、その当時、この間の仄聞する限りでは、なぜそういうふうになったかという部分がはっきりしないんです。今、答弁をもらったけれども。当時、労組の委員長を参考人としてお呼び申し上げて、見解を聞いたと。知事提案はなかったというふうにいうんですね。だから、修正で出しているわけですよ。したがって、私は、昨今、労使合意、労使合意といっていますけど、使用者は条例として出してないんですよ。議会が修正して可決したんですね。その後再議に付しているというふうには伺っておりませんから、こういうのを何というんですかな、労議合意というのかな。労議合意なんですよ、一つはね。
 背景にあるのは、労働政策論として、いわば労議合意が労務政策として議会と労組でやっちゃったというふうに僕は思いますよ。あくまで僕の思いだから。当時を知らないし。それで、その背景は、私は公務労働の率先垂範性というのがあったと思うんです、当時。東京オリンピックで、もはや戦後ではないといわれた。しかし、経済成長の中で負の部分があった。あるいは、労働も民間の労働市場を、官が引っ張っていくんだという。要するに、公務員労組の率先垂範性という背景が一つはあったろうと思う。
 あと一つは、自治法でも管理運営事項というのは、本来、専ら当局ですよ。結果として投影される労働条件の改善については話し合わなきゃいけませんよとなっているんだけども、当時の革新といわれる部分というのは、逆に、労働側から見て、私たちが革新市政なり革新都政とともに国をつくっていくということで、私たちがこうありたいということを前提として政策要求をしていたというふうに僕は思っておりますよ。
 そういうことで、管理運営事項まで了解して、ああでもない、こうでもない。しかし、対市民的にはそんなことをいってないから、例えば民間委託すると都民サービスが落ちちゃうとか、こういう制度をすると福祉が充実するとか、そういうことになるんですよ。僕は、それは、勝手にいうのは、一向に構わないと思う。だけど、選挙になると、自民党、とんでもないというビラを出したり、この間もうちの方の市であったんですよ。僕は、それは団結権だし、意見表明権、大いに結構だと思う。だけども、その労働組合が本来適法な交渉をする準備を、さっきいったように、風が吹けばおけ屋がもうかる式で認める必要はないですよ。ぴったり交渉はやりましょう。それ以外は自前でやってくださいといっていいと思うんです。そうしたら、僕は、そんなこと一切、どうぞご自由ですから、どんどんやってくださいといいますよ。ところが、皆さんの血税で成り立っている、先ほど遠藤理事ご指摘のように。したがって、私は、その辺は時代の中から見直していくべきだろうというふうに思っています。
 先ほどタブーなき議論という話がございました。ぜひ、そういう戦後の、私にいわせれば、五五年体制の残滓、こういうものを明々白々に議論して、しかるべき制度に変えていかなきゃいけないだろう、こんなふうに思っておりますので、行政委員会ですから、これ以上答弁を求めたりしませんけれども、もし機会がありましたら、労政当局にそんな話もあったということをお伝えいただければ結構でございますので、以上で関連質問は終わります。

○山本委員 鋭い質問が出たり、いいご提言があったりしましたけれども、私は立場を変えて、別の面から最も大事なことを教育長を初め皆様に問いかけをしてみたい。それは、今の教育で教育委員会は命を大切にするということをどういうふうに教えているかということを伺いたいんです。
 最近、私は、新聞で社会面を見るのが大変つらくなりました。それは毎日毎日、皆様見てください、どこかでだれかが人殺しされているという記事が必ず目につきます。きょうも水戸で事件があったことが報じられております。命の尊重がうたわれ、人の命は地球より重いとかいわれていながら、いとも簡単に他人の命が奪われていく現代社会は、決して正常な社会ではないと思います。他人の命の大切さをなおざりにしている社会は、病んでいる社会だともいわれております。国家の基本的な理念、国家の使命は、国民の生命と財産を守ることにあるといわれますが、その構成員である個々の国民の資質が今問われていると思います。
 戦後教育は、自分の生命の大切さを、他人の命の大切さを教え込んでいないのではないか、私はそう思えて仕方がありません。有害図書の一つに「完全自殺マニュアル」というものが発行されているそうでありますが、とんでもない話で、そんな話を聞きますと、私は、山本有三の「路傍の石」の主人公、吾一に対して、受け持ちの先生が、吾一君の肩を抱いて、この世にたった一人しかない自分を、たった一度しかない一生を輝くものにしなければ、人間として生まれてきたかいがないと諭す、あの一節を思い出します。
 また、先日、山口県光市の本村洋さんという方が悲痛な面持ちで叫びを上げていたことを、私はテレビを見て衝撃を受けました。皆様も何人かごらんになっていると思うんですが、それは、約三年前、最愛の妻と子が、レイプ目的で上がり込んだ十八歳の少年によって殺された二審裁判の判決に対しての記者会見での発言でありました。法治国家なるがゆえに、自分で復讐することができない本村さんは、犯人に死刑という極刑を求めて、一審、二審、訴え続けました。しかし、強盗強姦致死罪という極悪な犯罪に対して、裁判官は、十八歳という少年なるがゆえに、無期懲役という判決を下しました。無期懲役は、七年間もいれば、経過すれば、仮釈放ということでまた出てきます。本村さんの怒りと死刑を望む、その理由はどこにあるか。それは本村さんが血を吐くような思いでいっているんです。犯人が死刑の判決をされてみて、初めて死の恐怖を知り、おのれが殺した自分の妻や子の恐怖を思い知ることができるんだと。だから、死刑なんだということをいっているんです。
 さらにまた、もう一つ大事なことは、判決では、少年なるがゆえに更生の可能性があるということ。だから、無期懲役にしたという。本村さんは、ならば、再犯、累犯の可能性はないのか。そして、もし再犯、累犯した場合のその責任はだれがとってくれるんだ。全く深く考えさせられる出来事でありました。
 そこで、私は、教育委員会に、今命の大切さをどのように教えているか、お伺いしたいと思うんです。そして、私は、子どもたちには、こういうことを提案したいんですが、小さいときから、人を殺したら自分も殺される。他人のものをとったら、後ろに手が回される。だれも見ていないと思っていても、天道様はちゃんと見ているというようなわかりやすい言葉で、教育をする必要があると思いますが、いかがでございましょうか。斎藤さん及び後で横山さんもひとつ全体としてお答えをいただきたい。以上であります。

○斎藤指導部長 山本委員のお話のように、児童生徒に命の大切さをしっかりと理解させ、自分のみならず、他人の生命を尊重する態度を培っていくことは極めて重要なことであると受けとめております。学習指導要領におきましては、総則、道徳、国語、理科等におきまして生命に対する畏敬の念を育成したり、あるいは生命を尊重する態度を育てることが示されておりまして、児童生徒のそれぞれの発達段階に応じまして、今、山本委員がおっしゃったように、わかりやすい例を出して、学校教育の教育活動全体を通しながら指導が行われている実態でございます。今後とも、お話の生命を尊重する指導につきましては、できるだけわかりやすい例をとりながら、具体的に指導に努めてまいりますとともに、道徳授業地区公開講座を全校で実施しまして、家庭、学校、地域が一体となって教育を推進し、生命を尊重する指導の徹底を図ってまいりたいと思います。
 なお、山本委員が今例としてお出しになりました「路傍の石」につきましても、副教材で使っている中学校もございます。そういうふうに具体的な例を出して考えさせていく。これが今の道徳授業でございます。
 また、最後におっしゃった、わかりやすい言葉で、例えば、お天道様が見ているとか、こういうことを具体的に教えるかどうかはともかくとして、子どもがわかりやすい言葉で場面をつくりながら、例えばカエルの話とか、ライオンの前に子犬を出したら、そのライオンは食べなかった。どうしてだろう。それで、見物人から拍手が起きる。どうして拍手が起きたんだろう。お金とか、いろいろな大切なものはあるけど、一番大切なのは何でしょうかと、寓話的に例を出したりしながら、考えさせるような授業も進めております。

○横山教育長 今、切実なお話を聞きましたけれども、私自身も、朝、新聞を開くのが非常に怖いというような心境になることがございます。具体的に今のような問題を学校教育の中で何をやるかといえば、簡単にいえば心の教育の問題だろう。ただ、心の教育を具体的にどういう形でやっていくか。私は、四月から実施されます新学習指導要領に盛り込まれた総合的な学習の時間、例えば他者に対する思いであるとか、あるいは社会規範の醸成であるとか、これははっきり申し上げて、教室の中の座学だけではまず無理だろう。今度の総合的な学習の時間がまさに今後の教育のポイントとなるというのは、学校の外に出て、奉仕体験等いろいろな体験活動をする中で、子どもたちが、いろいろな社会規範とか、他者に対する思い、自分の行動で相手が喜ぶ感動であるとか、そういったものが積み重なって、健全な心の育成につながっていくんだろう、そういうふうに思っております。
 確かに今の子どもたちのある意味では残酷なああいった行為についての原因というのは、識者はいろいろ議論しておりますが、私ども教育を担う者としては、今後のポイントは、まさに総合的な学習の時間で、いかに教室から離れた体験学習の中で、感動的な場面といいますか、そういった感動を受けるような教育をどうやってやっていくか、そこがポイントだろうと考えております。

○野島委員 時間の制約がありますので、二点お聞きしたいと思っていますが、一点だけにさせてもらいます。
 地域の教育力の向上、こんなことで、地域教育サポートネットというのが新規事業になっていますが、これまた後で、この次、機会を見て聞きます。
 一点だけ教えてください。
 実は、病弱養護学校の高等部の設置ということで、去年、請願の審査をしたことを記憶しております。その際に、私の方も質問させていただきました。しかし、いろいろな大きな課題があると。実情であるとか、あるいは、高等学校になりますと、義務教育とは違いますからね。それをどうやっていくのか。そういったさまざまな課題があるので、私は、要望で検討していただきたいと、このことだけ申し上げて終わったんです。去年の四定で公明党さんの代表質問でしたよね。これについては検討していきますという答弁が出ました。公明党さん、ありがとうございました。ということで、今後、どういうふうな形で検討を進めていくのか、このことだけお聞かせいただきたいと思います。

○比留間学務部長 病弱養護学校の高等部につきましては、現在、対象となる生徒の見込み数や進路状況について把握するために、調査の準備を進めているところでございまして、また、あわせて学校のあり方についても検討を行っているところでございます。近々、庁内の管理職と病弱養護学校の校長等をメンバーとする検討組織を設置する予定でございまして、ここで具体的な課題について検討を進めていく、このように考えてございます。

○野島委員 ありがとうございました。
 これから具体的なということで、折に触れ、また、検討の経過とか、課題、こんなこともご教示いただきたいと思います。そのときに申し上げましたように、向学心に燃えた人、病弱であるがゆえに向学心が達成できない人に対して、それなりの対処をしていく必要があるだろうというふうなことを申し上げたと同時に、久留米高の総合学科に移行すると、教育資源が多様化していく中で、そういうものを考えたらどうだろう、こんなことも議事録に残っているはずでありますから、ご参照の上、ご検討いただきたい。
 終わります。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○東委員長 次に、議員提出議案第二号及び第百九十九号議案を一括して議題といたします。
 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 それでは、速記を始めてください。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 ただいま一括議題となりました二議案、議員提出議案第二号並びに第百九十九号議案について、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、理事者に確認を含めて質問をさせていただきたいと思います。
 今回、給与削減案が議員提出議案という形で提案されておりますけれども、給与条例案は、従来、労使合意を受け、知事が提案をし、議会が承認するという常道を考えれば、この種の条例が議員提案されることそのものが、理事者側の都政を取り巻く状況認識及び対応能力そのものが問われているとも考えられるわけであります。
 そこで、まず、来年度予算においてこの給与削減措置の取り扱いはどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。

○中村人事部長 管理職の給与削減措置のみ予算に反映されております。

○福島委員 昨年来、今日に至るまで、さまざまな場面において労使合意を目指してご努力をされていると拝察させていただいておりますけれども、現時点での労使交渉の進捗状況を詳細にご説明いただきたいと思います。

○中村人事部長 給与削減措置につきましては、都労連に対し、繰り返し協議したい旨の申し出を行いまして、去る三月八日に開催した団体交渉の場におきまして、都労連委員長から、給与の削減について、新たな交渉に入る旨の発言がございました。近日中に団体交渉を持ち、具体的な案を示す予定になっております。

○福島委員 現在実施の給与削減措置は、平成十二年度から平成十三年度までの二年間、給与の月額を四%削減するというものでありますが、今回、当局が新たな提案を行うとのことでありますけれども、その提案の位置づけをお伺いしたいと思います。

○中村人事部長 十三年十一月の労使合意の内容は、前回、平成十一年でございますけれども、労使合意を踏まえ、現在実施中の給与削減措置は今年度で終了するが、都をめぐる厳しい状況にかんがみ、今後、都財政の状況いかんによって給与削減措置については再度協議することとなっており、これに基づくものでございます。

○福島委員 仮に交渉の中で、今後提案された合意内容と議員提出議案とが異なった場合、どう対応されようとされているのか、お考えをお示しいただきたいと思います。

○中村人事部長 基本的には議会で決めていただくということになりますけれども、私どもといたしましても、仮に合意内容ができますれば、合意内容について都議会のご理解をいただくように努力してまいります。

○福島委員 ただいまの理事者側の答弁を踏まえて、自由民主党の野島先生にお伺いをさせていただきたいと思います。ご案内のとおり、公務員の給与に対しては地方自治法並びに地方公務員法に基づく人事委員会勧告制度という一定のルールがあるわけでありますが、この人事委員会勧告制度について、どのようなお考えか、基本的な認識をお伺いさせていただきたいと思います。

○野島委員 お答えを申し上げます。
 実は、この提出議案は私どもと公明党さんの共同提案になっております。そんな関係で、もし補足がありましたら、委員長さんのご許可を得て補足をさせていただく、こういう前提で、私はご答弁をさせていただきたいと思います。
 ご指摘のように、人事委員会勧告ということの制度論、これは私どもも承知をいたしております。いわば行政委員会としての人事委員会が公務員給与を決める際に、あくまでも一つの指標として出してくるものというふうに思っておりますし、いわば私どもは給与政策どうあるべき論ということの中で議員提出議案を提出しておりますので、そういう意味では、人事委員会の勧告については、制度の中で当然出されるものというふうに理解をいたしております。
 一方、公務員の給与決定原則は給与条例主義というふうにいわれております。これは二つの側面があるというふうに思いますが、一つ目は触れませんが、いわば公務員給与というのは、当然のことながら、財源が納税者の負担によってなされているわけでありますから、民意を代表する議会においてこれを条例として可決しなさいよ、こういうことだろうというふうに思っております。
 それで、勧告制度の関係でありますけれども、もちろん、中立的な立場で、当然のことながら、さまざまな作業をやってお出しになってくるわけでありますから、民間準拠といいましょうか、そういうことも盛り込まれているというふうには理解をしておりますが、さきの人事委員会の給与に関する報告と勧告の中にもありますように、一〇ページだったかな--私どもの方から都民の給与実態といささか乖離しているんじゃないかみたいな話も出ておりましたけれども、人事委員会の方も、精度を高めていくためには、調査のあり方、こんなことも考えていくということもいわれておりますから、そういうことも引き続きやって、人事委員会としての職能というか、そういうものを十分果たしていただきたいという思いも含めて、人勧制度については理解をある程度はいたしております。

○福島委員 給与政策はどうあるべきかという立場に立って提案されているということでありますけれども、人事委員会の勧告は、都知事のみならず、都議会の議長にも提出されているわけであります。この勧告と異なり、かつ当事者である労使の合意とも異なる条例を制定することは、人事委員会勧告制度を否定することにもつながりかねませんが、どのようにお考えでしょうか。お尋ねいたします。

○野島委員 先ほどご答弁申し上げましたように、決して否定しているという立場には立っておりません。前段で確認をしておいてほしいと思うんですが、地方自治といいましょうか、自治体の運営というといささか語弊があるかな。私は、それぞれの機関の均衡論に立っていると思うんですよ。当然のことから、知事は条例を提出できるという権限があります。議会も条例の制定、改廃ができるという権限があります。それから、行政委員会である人事委員会は、しかるべき役割を果たして出してきますよと。労使合意というお話ですが、労使ということが制度論的にどこまでということをこちらに置いておいても、いわば適法な交渉の相手方に立つということであれば、やっぱりそれも機関ですから、それぞれの機関がそれぞれの権能を発揮しながら、全体として、最後は、法定されている権限といえば、条例の制定、改廃権でありますから、私は、そういう意味では、それぞれが機関均衡論を持っているということと、それはすなわち相互牽制であり、相互抑制作用で自治体が成り立っているという、こういうふうに理解しておりますから、それを前提にしてお答えを申し上げております。
 先ほど都議会議長に勧告が出された、こういうことでございます。私どもは、それはそれとして、ルールとして、先ほど申しました機関均衡論で、当たり前の話だというふうに思っております。そこで、それが出てきたから、住民の監視による給与条例主義はこっちに置いておくべきだという議論には立ちませんので、そういう考え方でこの条例を提出するということでございます。
 特に質問--じゃ、なぜ給与条例主義であり、かつ私どもは給与政策を問うているということをお話をしましたけれども、極めて深刻な社会経済情勢でございます。納税者たる都民が苦渋の中で生活している、こういうことも実態としてあろうかと思います。その血税によって成り立っているわけでありますから、また、きょうも質疑がありましたけれども、いろいろな手数料とかなんかも負担をお願いしている、こういうことでございますので、労使合意は労使合意として、機関均衡、給与政策、こういう中で提案を申し上げる、こういうことであります。
 したがいまして、私は、人事委員会制度を否定するとか、そういうことじゃなくて、機関均衡論、自治体として当然のこと、議会としての権能を当然に発揮していると、こういうふうに思っておりますので、ご理解いただきたいと思います。

○福島委員 改めて申し上げるまでもありませんけれども、公務員の労働基本権は制約されているわけであります。その代償措置として、人事委員会勧告制度があります。この種の議員提出議案、提案が正しいとするならば、同時に、公務員の労働基本権に対する制約解除もあわせ含めて議論するのが妥当だと考えておりますけれども、いかがお考えでしょうか。

○野島委員 ご指摘は二点あろうかと思うんですね。人勧が三権制約代償措置だと。したがって、それを当然のことながら尊重していくべきだろう、こういうことだと思っております。私どもは、勧告制度そのものを全く意味がないとか、らち外だというふうに否定しておりません。あくまでも機関均衡論として、人事委員会は機能していただきたい。この思いを私は強く持っていることを冒頭申し添えておきたいというふうに思います。
 それで、労働三権の制約事項の関係でございます。さっきストの件がありましたけれども、いろいろなことはそっちに置いておきます。そこで、いろいろな意味で、私は、これは自民党としての見解じゃないですよ、提案している一人の見解として、今ほど--公務員の労働基本権に対する制約解除を含めてと、こういう話でございました。私は、個人的には--公安職は別ですよ。公務労働者にも別に認めてもいいんじゃないかと個人的には思っております。
 そこで、また福島先生とも勉強させていただきたいんですが、ILO勧告というのがあるんですね。古い話なんですよ。昭和四十年にILO八十七号条約を批准しています。これが日本の労働、とりわけ公務社会における団結権とか、交渉権とか、争議権とか、いろいろな絡みで、消防職をどうするかという扱いがあるんですね。日本の消防は、警察から派生しておりますから、公安職掌なんです。海外ではサービス職掌という部分もありますからね。そういう全体を取り巻く状況の中で、先ほどタブーなき議論ということがありましたけれども、二十一世紀になりましたから、労働条件の制約解除、こんなことも、私はある段階では議論をしていく--国の制度ですけどね。機会がありましたら、ご指導いただきたいと思います。

○福島委員 労使合意の一方の当事者は石原知事であります。石原知事が合意をした労使合意と異なる条例を制定することは、石原知事の当事者能力そのものに疑問を持ち、石原知事の当事者能力への不信への表明の一端と受けとめるわけでありますけれども、どのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。

○野島委員 実は、去年の四定の段階で、私どもの比留間政調会長が本件知事の姿勢を伺いました。その後、公明党さんも伺ったというふうに記憶いたしております。その中での知事の発言を聞いておりますと、議事録を皆さんお読みでしょうから、るる申し上げる立場にはいませんけれど、むしろ知事の真意は我々と基本的な立場にあるのかな、こんなふうに私は思っております。
 なおかつ、その後、先ほど執行側からも答弁がありましたけれども、労使交渉について入り口に立ったといいましょうか、これからやっていきますよ、こんなことで、知事はみずからのリーダーシップでこの問題に取り組んでいるというふうに思っておりますから、不信とか、そういうことではございませんし、東京都民一千二百万、有権者は一千万ぐらいあるんですかな。その方から直接、公選で選ばれた知事に対して、このことをもって不信とかいうことではございませんで、あくまでも東京都政の中で石原知事が果たす役割の中の、私たちは給与政策について、こうあるべきですかという意味でご提案を申し上げておりますので、ご理解いただきたいと思います。

○福島委員 今、労使間で合意に向けて議論が積み重ねられているわけでありますけれども、この種の、その経過を踏まえた中で、議員提出議案をするということは、当事者間、あるいは理事者側のその能力そのものを剥奪するものにつながると危惧するわけでありますが、その混乱を招く以上は、大きな混乱にもつながってくることと考えておりますけれども、その辺のご見解はいかがでしょうか。

○野島委員 時系列的に私どもは、当局側と労働側が本件について交渉のテーブルに着くよという以前に提案しておりますから、その時系列だけはひとつご確認をいただきたいなというふうに思っております。
 そこで、知事の側に対していろいろなあつれき等、あるいは混乱が生じるのかというふうなご指摘でございますけれども、先ほど申し上げましたように、機関均衡論ですから、議会が議決しても、団体意思にはならないというふうに私、理解しています。議会が議決して、知事がそれを受け取って執行しますよということであれば、東京都としての給与が団体意思で確定するわけですけれども、それは再議に付すという手段もありますから、文字どおり、機関均衡に立っているというふうに思いますから、その辺での混乱はないというふうに思っております。
 なお、労使合意、労使合意というお話でありますけれども、もちろん、私は組合の団結権であるとか、あるいは職員の皆さんがよりよい勤務条件の中で、企業も含めて、都政の進展のために都民サービスを通じて奉仕していくという公僕の精神を、組合員とてひとときたりとも忘れてないというふうに理解しておりますし、私どももある意味では苦渋の選択をしたというふうに理解しておりますので、むしろ職員の皆様には、都政に寄せる、あるいは都の職員に寄せる大きな期待の中で理解がいただけるもの、そのことが都政の信頼回復につながり、執行側と労働側の円滑な運営に資するもの、こんなふうに考えております。

○福島委員 知事のリーダーシップを期待しつつ、提案をされるという立場に立っておられると思いますけれども、この定例会の冒頭に、知事は本会議場で、決断すべきときは速やかに決断をする、覚悟を持って事の解決に当たり、今定例会の期間には何らかの方策を示すと、力強い答弁があったわけでありますけれども、この知事の答弁をどう受けとめておられるのか。先ほど答弁がありましたけれども、再度確認をさせていただきたいと思います。

○野島委員 現在、この条例を審査していただいている段階でございますので、仮定の話になりますと、質疑に大変失礼に当たるというふうに思っていますので、ご答弁を遠慮させていただきたいというふうに思っておりますけれども、いわゆる交渉に入りまして、労使間のいろいろな交渉もあるでしょう。そういう意味では、知事と職員、その構成する職員団体は、使用者と職員、被使用者ということになるわけでありますね。そういう立場は、私どもは労使合意絶対論というふうには思いませんけれども、知事の立場については、それなりにそれとして受けとめる、こういうことだろうと思っています。

○福島委員 労使合意ができる条例案が議会に提案された場合、この提案と条例案と競合することになりますけれども、その場合の対応方をお示しいただきたいと思います。

○野島委員 条例の制定権は知事にあり、条例の制定、改廃権も議会にある、こういうことでございますので、具体的にどういうことになるということは仮定の話ですから、いささか踏み込んでの答弁は遠慮申し上げますけれども、先ほど申し上げましたように、それぞれの機関がそれぞれの立場で、都民の声、あるいはさまざまな情勢、こういったようなことを勘案されて判断されるべきものと。したがって、知事提案があったから、あるいは議員提出議案を今出しているから、だからということについてはお答えは差し控えさせていただきたい、こんなふうに思っております。

○福島委員 石原知事の本会議での発言は、単に議員や議会に表明していることにとどまらず、一千二百万都民への表明であり、一千二百万都民との約束だと理解している一人であります。労使の立場こそ違えど、その目的は一つだとも理解をいたしておりますし、全体の奉仕者としての使命、あるいは誇りは軌を一にしているものだと確信してやみません。一日も早い労使合意を切望して、質問を終わりたいと思います。

○曽根委員 それでは、私から議員提出議案の方について質疑させていただきます。
 この議案は、既に教育以外の職員については総務委員会で質疑をして、都の方への必要な質問はかなりされてきておりますので、ここでは議員提出議案に絞って、もとから提案されている自民党の説明役の野島委員に主にお聞きしていきたいと思います。
 この委員会の最初に申し上げましたように、私はタブーを置かず、形式論ではなく、職員の皆さんの実態や都民の実態に基づいて、ぜひお答えいただきたいと思っています。
 私が聞きたいのは二つだけです。
 これは既に総務委員会でも、我が党の木村委員からお聞きしていますけれども、一つは、二年前に労使合意がなって、二年間の時限措置として四%の給与削減が議会に提案されました。このとき、我が党も総務委員会で、人事委員会の意見が出ているにもかかわらず、それをさらに削減すること自体については、大いに異論があると。しかし、ぎりぎりの労使交渉のもとで決定したわけですから、その合意については尊重するという立場を表明いたしました。都議会でも、自民党さんを含めて、各会派がいろいろな意見を述べたと思うんです。不満はいろいろあった。しかし、お互いぎりぎりのところで議決が全会一致でなされたんだと思います。したがって、これを決定した我々都議会の各会派についても、この決定について二年間の時限措置、職員がきちんとそれを守るというだけではなく、私たち議会人として、この決定に対する責任があるというのは当然だと思うんですが、先日、総務委員会でこのことをお聞きしたとき、あんまりはっきりした反応がなかったような気がするんですね。それで、野島委員にも、この点を改めて、我々政党、会派としての政治責任の問題をお聞きしておきたいと思います。

○野島委員 時限措置ということでおやりになってきたから、すなわち、期限が到来すれば、本則に戻るだろうから、当然、職員の期待可能性というのは推測されただろう。それを改めて二年間どうだというのは、政党としていささかという話がございました。私は、大変申しわけないです、答弁にならない答弁で申しわけないんですが、当時、事実関係とか、質疑録を読んでなくて申しわけなかったんですが、その臨場感がないものですから、十分な答えができないというふうに思っておりますけれども、私どもは、二年間やってきたということについては労使合意がありじゃなくて、労使合意もあって知事の給与政策として二年間やってきましたよ、こういうふうに私は理解をしております。したがって、それが二年が来たと。状況の変化がいろいろあったよと。したがって、またお願いするのが筋だろうし、都民の都政に対する目、あるいはよく状況適応といいますけど、きょうの新聞報道でもまたほかの県でもそんな話が出てきたというふうに思っておりますが、責任をということであれば、二年間を議決した責任と、今厳しい状況の中で、なおお願いをしなきゃいけないという苦渋の選択でありますけれども、そのことによって自由民主党としての責任は果たしていきたい、こういうふうに思っております。

○曽根委員 つまり、労使合意を踏まえて、提案されたことについて、これを尊重し、議決したことに対する責任は当然あると。しかし、状況が変わったというふうにいわれました。私、二年前の決定について、もし本当の意味で議会を構成する会派として責任を持つのであれば、これは単に四%、二年間ということだけではなく、労使合意で時限立法を労使がお互いぎりぎりの交渉の末に決めたわけですから、そこで決められたルール、仕組みはきちんと最後まで全うすると。時限立法ですから。その上で、新たな状況の変化があれば、交渉を開始するなり、次の方法を考える。これが筋だと思うんですが、そのことについて明確なお答えがなかったのでもう一度……。

○野島委員 一つは、労使合意があったからというふうに私は認識してないんです。労使合意があり、知事の給与政策として議会に提案されたという経過の中で、私どもの自民党も賛成したというふうに認識しております。次の、二年たったんだから、まさしくそのとおりでございまして、今の条例は三月三十一日で終わりになるわけですね。四月以降、厳しい状況も踏まえてお願いしたいという条例でありますから、日にち的にはなるほど三月三十一日、四月一日だということで、連続性ということは、結果としては出てきますけれども、背後にある都政への都民の目、あるいは情勢適応、こういうことの背景の中でご提案を申し上げている、こういうことでございます。
〔服部委員発言を求む〕
〔曽根委員「基本的には説明員の方にお願いしたいんです」と呼ぶ〕

○東委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記を再開してください。

○服部委員 今の質問に対して、私も正確にお伝えしていかなければいけないと思いますが、これも昨年十二月十四日の当文教委員会の速記録です。これは同席されていましたから、ご存じと思いますけれども、和田委員が教育長に質問したときの答弁がありますので、それを読ませていただいて、答弁とさせていただきたいと思うんです。
 和田委員の質問に答えて、横山教育長は、こう答えられています。「二年前に私、総務局長をやっておりまして、給与財源の当事者でございましたので、その経緯をご説明しますが、当時、組合に対する提案は、四%、三年で提案いたしました。その結果、労使協議の結果として、三年先の経済情勢をにらんで、三年というのは組合としては非常にのみづらいと、そういうことから、四%というのは当時、日本で最高の削減率ですが、四%で二年、ただし、二年後にその状況の変化によって再度協議をすると、こういう決着になっております。」これは横山教育長が当時総務局長だったことで、答弁された速記録です。

○曽根委員 私は、先ほど申し上げましたように、四%、二年間の結論だけを我々は受けとめてやったんじゃないと。先ほどから申し上げておりますように、人事委員会の意見は既に出ていて、なおかつ、その上に労使の交渉の中で、ぎりぎりのお互いの、先ほど三年間という提案があったけれども、二年間という結論が出た。議会にもいろいろ意見があった。しかし、これまでの労使間の関係を、やっぱり我々は尊重して、人事委員会の結論があったけれども、労使がお互いに話し合って、みずから決めたルールを、議会も尊重した。その結果としての四%、二年間削減ですが、それは尊重されるべきもので、我々はそれを受けとめて議決したはずです。違うというだったらば、それでは、労使合意で--これは一般論じゃなくてですよ。全国最大の削減をぎりぎりの交渉で決めたと。それが議会に提案されたということについて、野島さんは先ほどそれについて尊重するというようなことは必ずしもないというんだけど、これは尊重しないでどうするんですか。これは当然尊重すべきものでしょう。労使合意ですから。ぎりぎりの交渉をやったんですよ。その点だけ、はっきりさせてください。

○野島委員 労使合意を、私は否定もしませんし、先ほど申しましたように、機関均衡論の中で、私は、地方自治体というのをとらえていますから、給与決定もそれであるわけですね。今までのいろいろな経過の中で労使合意をなさったよと。尊重をしますよと。それはあり得ると思いますし、そうでいいと思いますよ。だけども、だから、指一本触れるなということにはならぬだろうと思うんですね。都政を取り巻く状況とか、あるいは都民の意識、あるいは制度論的な機関均衡論で考えたときに、私は、そういう意味でこの議員提出議案を提出しているというふうに思っていますから。労使合意ありき論と尊重論と否定論ということであれば、どこですかということであれば、それは尊重はされるけれども、申し上げたような背景の中で給与政策が決定されてしかるべきだろう、こういう立場に立っております。

○曽根委員 いろいろおっしゃったけれども、尊重はするということだと受けとめて、言葉はいろいろあったけれども、尊重するということで受けとめて、私、単純に申し上げます、意見だけ。
 二年前は労使合意を提案されてから、我々、それを議決したわけです。今回は労使合意がされる前に自民党さんが提案されたわけです。(「公明党も」と呼ぶ者あり)公明党さんも同じですね。そして、労使合意が始まったのにおろしてないわけです。そういう点で、私は、二年前と明らかに態度が違うし、尊重したとはいえないということを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)
 何かお答えはありますか。尊重するというんだったら、二年前と同じルールでやるべきじゃないですか。(「二年前とは違うよ」と呼ぶ者あり)どこが違うんですか。労使合意を尊重するということに関して二年前とどこが違うんですか。
(傍聴席にて発言する者あり)

○東委員長 傍聴者はお静かに願います。

○曽根委員 いいでしょう、もう、はっきりしていると思うんです。
 我が党は、もともと労働基本権が制限されている公務員については、人事委員会の意見を最優先すべきだ。少なくともそれぐらいのことは守ってやらなくちゃなりませんよ、やっぱり。五十何年もスト権を奪われているんだから。それで--まあ、いいや、そのことは。奪われているわけですから。しかも、人事委員会の見解をあえて踏まえつつも、独自の交渉で独自の合意をなし遂げたんですから、そのことを受けとめないわけにはいかない。私たちは、二年前、いろいろ不満はあったけど、そういうことで議決に参加した。自民党さんもいろいろ意見があったし、あのとき、ストのことについても批判されていましたよね、あの議会の中で。しかし、全会一致で受けた。その尊重は、今日、経済悪化があるかもしれない、都民の暮らしも悪くなっているかもしれない、しかし、直接の、そのことに責任を負っていない都の職員に、そのことに配慮せよというふうに、求めるのは自由ですけれども、それに対して縛りをかける都の条例案を出すのであれば、労使合意尊重の二年前の態度は変えるべきじゃないということを申し上げたいと思います。
 もう一つ、二点目です。これも簡単なことです。総務委員会には眞仁田さんという人事委員会の委員長さんが出席されたそうで、私、直接聞けなくて残念だったんですが、この四%カットを、自民党、公明党の提案のように--知事側の提案は管理職について一年延長でしたよね。そうではなくて、管理職、一般職員ともに二年延長という提案をされた。四年間延長といいますか、続けるということですね、削減を。この提案は、職員に対する影響は余りにも重過ぎて、忍びがたいという発言をされたそうです。私は、この発言は非常に重いと思うんです。(「忍びがたいとはいってないよ。影響が大きい」と呼ぶ者あり)そうですか。影響が大きいと。松本さんがおっしゃっているんだから、間違いないでしょう。そういうことですから、私はこの発言は重く受けとめるべきだと思うし、当日、木村委員が松本委員に質問したときにも、松本委員からもこの影響についてはやっぱり受けとめるという話があったように思います。この点を改めて野島委員に確認しておきたいと思います。

○野島委員 影響という部分が、本来、給与本則を持っていまして、この特例、四%ということですから、当然のことながら、手取りという生活にかかわる費用と。生活にかかわる費用、要するに、給料としてもらう分が減額されるということの影響は当然あるというふうに思ってございますし、一方、大変厳しい事情の中で、人事委員会の意見といいましょうか、それはそれとして、私も真摯に受けとめるべきだろうというふうに思いますが、最終的な給与の決定、こういうことは財源論も含め、都民の目を含め、あるいは先ほど申し上げました機関均衡論に立つときに、ぜひともご理解をいただきたい、こういう立場でございます。

○曽根委員 受けとめていただいたと思いますが、あのとき、私、ちょっと現場にいなかったので、詳しくはわかりませんが、大関局長が、生活者ネットワークの大西さんの質問の答弁の最中に、答弁ができなくなってしまったという場面があったそうで、どういう話のときになったのかなと思ったら、(「難しくて答弁できなかったというんじゃないんだよ」と呼ぶ者あり)そうじゃないんですね。大西さんが、二年前のルールを議員提案で変えようとしていることについての見解を求めたんじゃないかと思うんですね。詳しい速記はまだ出てないものですから。そうしたら、成績率とか、五十五歳昇給停止とか、人事制度の見直しとか、いろいろやってきたと。都民にわかりにくかったかもしれないが、二百二十億円ぐらいの人件費を浮かしてきたと。また、退職金など、今後に大きな効果も上がるはずだ。残念ながら都民に理解はしにくかったかもしれない。恐らく都の職員も非常に残念だったと思うが、二年間、ほかの全国の自治体がほとんど給与削減をやらない中で、協力してきた経緯がある。国もやっていない。二年前に協力した都の職員が、今回、これをもとに戻すことが、あたかも都の職員が、といったところで、発言ができなくなったらしいんですね。一分ぐらい、速記停止になっていまして、それから後はつながってなくて、わかっていただいた上で、今回の提案内容を、社会状況を踏まえて、新たな解決を目指したい、こういうふうにおっしゃっています。
 この言葉としてはつながっていない中に、大関局長の万感の思いがあるんじゃないかと私は思います。つまり、四年間、四%を続けるということは、あのときにも明らかになりましたように、四十七都道府県の中で、今、東京都の給与水準というのは四十六位だそうで、四%切られていますから。これをさらに二年間延長することになると。全国一物価が高い東京で、しかも遠隔地通勤を余儀なくされている職員が大半の中で、なおかつ全国四十六位、沖縄の一つ上の給与水準をあと二年間続けさせなきゃならないとすれば、せめて幹部職員は一年間は泣くとしても、一般職員はもとに戻させてやりたいと。そのためにほかにいろいろ苦労してきたけれども、都民にはわかってもらえなかったかもしれない。こういう提案を受けたことについてのじくじたる思いですよ。
 しかし、この局長の思いは、私、議会としては、やっぱり受けとめなきゃならないと思うんですよね。自民党さんだって、都の職員が怠けているとかいうことでない。都民の暮らしにもっと、何というか、配慮してくれということでしょう、要は。しかし、ほかの自治体、国と比べても、十分過ぎるほど配慮してきた。全国最大の削減なんですから。二年間やってきたんですから。私は、この重みを受けとめ、今後のことについては余りにも影響が大きいという眞仁田委員長の言葉を多とすべきだと思いますが、いかがですか。

○野島委員 質問は、要するに、眞仁田委員長の、非常に影響が大きいということを答えろということなのか、大関局長の総務委員会の答弁の絡みの中でのある種の空白期間、そのことの重みをとらえるということなのか。二つあっていいんですか。(曽根委員「両方で結構です」と呼ぶ)
 私も、実は傍聴を申し上げておりました。なるほど、そういう場面に遭遇いたしたというふうに記憶いたしております。なるほど、労政当局の事務方の最高責任者という立場に立てば、二年前のことが脳裏を横切り、あるいはまた、その後積み上げてきたさまざまな制度改正、組合とも合意が得られた。大変ご苦労なさっている。そのことが都民に理解されてない。そういうことに対する思いというのが、私は、当然あるというふうに思っております。不肖私も、ある自治体の助役をやっているときに、議場で涙したことがあります。それは、なぜわかってくれないんだ、こういう涙を流したのは事実でございます。したがって、前段の部分は、労政当局の事務方の最高責任者としては、当然、そういう気持ちになるだろうというふうに私は受けとめております。
 後段の眞仁田人事委員会委員長の言葉は、先ほどもご答弁申し上げましたように、影響が大きいと。そのことは十分理解をいたしておりますし、そういう中でも、なおかつ、こういうことで都政の進展のために、給与という面で、職員の皆様にもご協力をお願いを申し上げていきたいという立場で議員提出議案をいたしておりますので、ひとつご理解をいただきたいと思います。

○曽根委員 本当に率直なご答弁、ありがとうございます。失礼があったらお許しください。今の野島委員のご答弁をしっかり受けとめさせていただきます。
 私は、結論は、今、大詰めに来ていますから、やっぱり都の職員の立場を守ってやるのも、いわば、それを縛るのも、我々議会の権能として両方持っているということを深く受けとめて、私たちもこれから仕事をしていきたいと思います。
 我が会派の立場は明瞭ですので、説明するまでもないと思います。終わります。

○執印委員 今までの方の質問と重なる部分もあるとは思いますが、せっかくの機会でございますので、質問をさせていただきます。
 まず、教育委員会当局に伺いますが、公務員の給与決定における人事委員会勧告制度及び労使協議の位置づけについて説明をしてください。

○中村人事部長 人事委員会の勧告制度は、地方公務員法の規定に基づきまして、現在の給料表及び諸手当について、民間との比較の結果、改定の必要がある場合に人事委員会が知事及び議会に対して勧告する制度でございます。公務員の労働基本権制約の代償措置の一つでございますことから、都としても尊重すべき立場にあると認識しております。
 また、同じく地方公務員法によりますと、地方公共団体の当局は、勤務条件等に関し適法な交渉の申し入れがあった場合、職員団体と協議しなければならないということになっております。

○執印委員 制度の説明から認識までお伺いしたわけですが、議員提案者の方にお伺いいたしますが、提案者側も先ほど来、いろいろご説明もございましたが、人事委員会の勧告制度と労使のルールを尊重するという認識があるというご答弁がございましたけれども、改めてその点をお伺いいたします。(「どっちの提案者」と呼ぶ者あり)野島さんに。

○野島委員 先ほども福島副委員長さんの質問にご答弁申し上げましたけれども、私どもは、人事委員会制度があるということ、そして、今日までそういう形でいろいろな勧告や報告がなされているということ、このことについては理解をいたしております。労使合意ということの部分についても、先ほどご答弁を申し上げたとおりでございます。

○執印委員 それでは、次に、教育委員会当局にお伺いいたしますが、これまでも人事委員会の勧告制度が尊重されなかった例があるというふうに思いますが、その際も労使合意を経て行われたのかどうかをお伺いいたします。

○中村人事部長 一般職員について、人事委員会勧告の内容と異なる内容で給与改定が行われた最近の例としまして、平成十年度におきまして給与改定を一年間凍結したケースがございます。その際、労使合意を経て実施しております。

○執印委員 そうやって、労使の合意というのを大切に、仕事を進める上でそれは大事なことだから、大切にされて、実施されてきたんだというふうに思いますが……。
 次に、野島委員にお伺いいたしますが、先ほどもこの議論もございましたけれども、給与に問題があるということでしたらば、労働基本権の回復などの制度改革というものを先行させなくてはならないのではないかと思いますが、改めてお伺いいたします。

○野島委員 私も、先ほど福島副委員長の質問に対して、ご答弁を私見という形で申し上げました。いろいろ社会経済情勢の変転、あるいは公務員を取り巻く労働を含めて、その中の一つとして三権をどうするか。こういう議論は大いにすべきだと思います。ただ、これは国の制度でありますから、直ちにそのことを私どもの都議会という立場、あるいは東京都という立場でできるものではないだろうというふうに思ってございます。先ほどILOのお話を若干お話しさせていただきましたが、もし執印理事にも機会がありましたら、一緒に勉強させていただきたいというふうに思っております。

○執印委員 その部分が随分、私からしますと、中途半端な今回の提案というような気もするわけですが……。
 次に、教育委員会当局に伺いますが、十三年度で終了する四%カットのほかの労使合意を説明していただきたいというふうに思います。

○中村人事部長 主な事項といたしまして、一般職員への成績率の導入、それから、五十五歳昇給停止等を実施するという、今後、人事給与制度の抜本的な見直しについて協議するなどでございます。

○執印委員 つまり、カットの部分だけではなくて、その他さまざまな労使の問題についても協議するということが決められてきたということだと思いますが、その意義はどこにあるのか、お伺いいたします。

○中村人事部長 短期的には、現在実施中の給与削減措置を今年度で終了いたしますけれども、都財政の状況いかんによって再度協議することを確認したことで、今後の財政危機等への対応に資するための体制を確保したこと。一方、中長期的には、成績率の導入や五十五歳昇給停止の実施、さらには人事給与制度の抜本的な見直しの協議を確約することによりまして、年功制の賃金体系を改め、人件費を長期的に抑制していくという改革の口火を切られたということだろうと思います。

○執印委員 つまり、財政危機にも対応するために、表面的なといういい方はちょっと変かもしれませんけど、給与の問題だけではなくて、これからどういう形で東京都を立て直しをしていくかということを話し合うところに立って進んできたという意味だというふうに思いますが……。
 次に、提案者の委員の方にお伺いいたしますが、両方からお答えをいただいてよろしいのであれば、野島委員と石川委員からお願いしたいんですが、今回の事態の前提となる、財政危機が理由ということで、大変いろいろな意味で財政が厳しい、社会状況も厳しい中で四%カットを継続するということでございましたけれども、その財政危機の責任というのは、どこにあるというふうにお考えでしょうか。

○石川委員 都税収入の根幹をなしますのは法人二税でございます。これは、景気、経済状況に大きく影響されるということは皆さんご案内のとおりであります。しかも十年近く続く経済情勢、これが都財政を最大限厳しくした。そういう中にあって、これまで私たちも行政改革を迫りながら、当局も財政改革のための努力を重ねながら、また、議題になっております十二、十三の二年間、組合員の皆さんにも給与カットという措置をお願いしながら、努力をしてまいりました。しかし、現下の経済情勢は、ご案内のとおり、さらに厳しい認識に至っております。したがって、私どもは、今回の条例提案に当たりまして、本来、議論がありますように、労使の協議に基づき、合意を得て決定するものでありますけれども、しかし、今回、議員提案を提出したからといって、この本来のルールを犯すものではないという認識であります。あくまでも、本来のルールにのっとり、一日も早く労使協議を行って、都民の求める合意に至ることを促すための議案提出でありました。今、流れがそういう方向に傾いたということでは、私たちの提案は意義があったのかな、こういうふうに認識をいたしております。

○東委員長 野島委員も何かありますか。答弁。

○野島委員 特にありません。

○執印委員 職員の給与のカットを継続することが財政危機に対応することになるのかどうかというあたりの判断の違いなんだというふうに思いますが、私は、このことを、都議会は半年、八カ月ぐらいですかね、来ておりまして、今回の件について、実は一番感じましたのは、知事の姿勢なんですね。労使合意のもとに本来は責任を持って議会に出すべきものであるにもかかわらず、議会に指摘をされると、実は、本音の部分ではそうではなかったという、そういう流れだというふうに思うんですが、そういう意味では、非常にこういった自治体の長として腹のくくりが悪いなという感じを私は持っております。その意味では、議会としても、労使合意の中で、四%カットだけではなくて、さまざまなことがこれから先進められていくという話が進んできたということですけれども、そういったいろいろな意味を含めて、人が働くときに何のために働くかとか、どんな思いを持って働くかとか、そういうことも含めて、私は、知事に対しての責任のとらせ方が非常に甘いなという感じを持ったわけなんです。私は、男女平等を常にいっておりますから、男がとか女がとか、そういうことは申し上げません。けれども、知事として、非常に責任のとり方が甘い、責任のとらせ方が甘いなということを感じているわけですが、そこについてはどのようにお考えでしょうか。(「知事にあなたがいうんだよ」と呼ぶ者あり)違います。そういうことについて、議会としてこのような提案の仕方そのものが、結局、責任のとらせ方が甘いことになるのではないかというふうに考えますが、提案者としてはそこはどのようにお考えでしょうか。

○野島委員 千二百万都民を代表する石原都知事の発言の心底あるいはその内想を私が論評するほどの立場にございませんので、それについては、知事は執行機関の長として、それなりの発言をされているものというふうに思います。私どもは、それらも十分踏まえながら、自民党としての責任という立場で議員提出議案をしております。仮に知事から提案されたら、それは知事の考え方をお聞きいただく部分もあるやには思いますけれども、今日の審査は議員提出議案、こういうことでございますから、言及は差し控えさせていただきたいと思います。

○執印委員 質問の仕方が少しわかりにくかったのかもしれませんけれども、知事の責任というものを考えたときに、議会の対応というのが当然あると思うので、その辺の責任に対するとらえ方の違いというものが当然出てきているんだというふうに思いますが、そこも含めて、私は提案者の側に、甘やかしちゃいけないんじゃないかということを申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、うまく伝わらないのかもしれないんですけれども、そこは責任をどういうふうに考えていくかということだというふうに私は思いますので、それはお伝えしておきたいというふうに思います。それで、こういう形をとることが、結局は無責任を引き起こしていくというような感じが私はしているということをお伝えしておきたいと思います。
 次に、議案提案された方々に伺いますが、提案者は、どなたかがおっしゃったかと思いますが、労使交渉の開始の促進剤だというふうな側面もあるというふうにお聞きしているわけですが、組合の委員長の決断で交渉が開始された。これは先ほども質問がありましたけれども、既に状況が変化してきているというふうに思いますが、政治的な決断の時期が提案者の側にも来ているのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○石川委員 我々の提案によりまして知事がリーダーシップを発揮されて、労使合意を目指して動き出したことについては高く評価いたします。しかし、今、話し合いが始まっている途中でありますので、その推移を見守っていきたいという立場で、この時点で我々の提案を取り下げるという意思はありません。

○執印委員 いろいろな流れを私も聞いておりますので、質問はここまでにいたしますが、私どもの意見を述べさせていただきます。
 これまでの議論によりますと、今回の議員提案というのは、端的にいいますと、不況の中で公務員の給料をカットしなさい。給与条例主義だから、議会が決めるということであります。私たち生活者ネットワークは、都の財政危機が今後とも深刻になることを考えれば、都政に税金のむだをなくしていくことや事業の見直しに、今後、見直しが今まで以上に問われているというふうに考えておりますが、基本的なところで提案者の皆さんとは違うというふうに感じております。
 生活者ネットワークは、行政評価とバランスシートをさらに展開して、都民参加と職員参加を進めて、細かく事業ごとに施策原価を出し、第三者機関のチェックを担保して、事業の代替案と比較するなどして、事業を徹底して見直していくことが基本でなくてはならないと考えます。
 やはり労働条件にかかわる細部については、法的に労使協議が保障されているのでありますし、実態として議会は責任を最後までとれないというふうに考えます。先ほどの答弁を受ければ、今後のためにも労使協議を尊重することが大切だというふうに考えますし、責任という問題をどういうふうに考えていくかということだと思います。この点を強調いたしまして、質問を終わります。

○後藤委員 私は、納税者の立場でできたらやらせていただきます。本当は賛成意見だけやろうと思ったんですけれども、そうしましたらば、共産党さんの方が、一般の組合員は今回のことには一切責任がないというふうにおっしゃられたので、できましたらば、教育庁の方に振ってみたいと思います。
 血税をむだにして社会問題になりましたカラ会議、カラ出張、カラタクシーとか、いろいろありましたけれども、これに関しまして、一般の職員の方たちは関連していなかったんでしょうか。

○中村人事部長 ただいま議題になっております継続議案についてですか、それは。関係ないように思いますけれども……。

○後藤委員 第百九十九号議案の方は、四%カットをもとに戻すというふうなことです。例えば四%カットをもとに戻すということの中で、一般職員の方たちが、今回の財政赤字というんですか、積み上げられてきた財政赤字がたくさんあると思うんですけれども、人事部長もカラ会議の中では不適正な支出ということでお金を返されていると思いますが、一般の公務員の方たちは、地方公務員法でたしか違法行為を見つけたらば告発しなければいけないというふうに決まっていると思うんですが、だったら、観点を変えて聞きますが、一般職員の方から、カラ会議、カラ出張とか、いろいろなことに関して、刑事告発みたいなのがありましたか。

○中村人事部長 告発は警察、検察にやられるものでして、人事部長である私に告発があるということは制度上あり得ません。

○後藤委員 結局、私がいいたいのは、職員の方たちも、今回の財政赤字に関して全く関係がないというふうにはいい切れないんじゃないかというふうなことをできたらば答弁していただきたかったんですけれども、質問のやり方が悪いのかもしれませんけれども、もう一回だけ聞いていいですか。

○中村人事部長 私ども職員は、教育庁でいえば教育長から学校事務の職員に至るまで、不正がないのは当たり前でございまして、ましてや都財政に危機を及ぼすような意識で仕事をやっていないわけでございます。それは、先ほど委員の方からご説明がございましたように、今回の財政危機に至った主な原因は、バブル崩壊とか、日本経済、あるいは世界経済の動向の中で生まれてきた。個々の職員が--それは警察に捕まったりなんかはございます。だけども、総体として職員全体が赤字の原因をつくったということは絶対にございません。

○後藤委員 あえてそこまでいわれてしまいましたらば、最後に意見としていわせていただきたいんですが、例えば人事部長と私も随分やり合ったことがあります。ちょうど人事部長が議案課長をやられていたときに私と随分やり合いました。私も裁判でいろいろやりました。結果的に青島知事が八億円を返された経緯はあります。できましたらば、八億円を返したか返さなかったかだけ、それだけいってください。それで結構ですから。

○中村人事部長 当時、不適正な支出として東京都の公金会計にお返しいたしました。

○後藤委員 そうしましたらば、ここからは賛成意見ということでやらせていただきます。
 都庁の赤字をつくった責任は職員にもあるのではないでしょうか。地方公務員法の中には、公務員は、違法行為を知ったときには告発をしなければならないと書かれていると思います。行革一一〇番が今まで摘発しましたカラ会議、カラ出張、カラ残業、これらの不適正支出には職員がすべて関与または知っていたんです。ですから、今回の赤字の責任は、多少なりとも職員にあるものだと思います。このようなことをやっていたらば、民間だったらば、必ず会社はつぶれています。納税者から見れば、組合は人事委員会から守られている護送船団みたいなものだと思います。今回のことは、非常事態です。このような場合には、議会の見識で給与のカットをすることもやむを得ないと思います。ですから、賛成です。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会は閉会いたします。
   午後七時五十二分散会

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