委員長 | 東ひろたか君 |
副委員長 | 福島 寿一君 |
副委員長 | 服部ゆくお君 |
理事 | 石川 芳昭君 |
理事 | 遠藤 衛君 |
理事 | 執印真智子君 |
後藤 雄一君 | |
野上じゅん子君 | |
小美濃安弘君 | |
野島 善司君 | |
曽根はじめ君 | |
山本賢太郎君 | |
比留間敏夫君 | |
和田 宗春君 |
欠席委員 なし
出席説明員大学管理本部 | 本部長 | 鎌形 満征君 |
管理部長 | 二村 保宏君 | |
調整担当部長 | 中山 洋一君 | |
改革推進担当部長 | 佐藤 広君 |
本日の会議に付した事件
大学管理本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出 大学管理本部所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十五号議案 東京都立大学条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 東京都立科学技術大学条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都立保健科学大学条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 東京都立短期大学条例の一部を改正する条例
○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部関係の平成十四年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより大学管理本部関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、大学管理本部所管分及び第七十五号議案から第七十八号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○二村管理部長 去る二月十八日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の文教委員会資料を一枚おめくりください。目次でございます。ご要求のございました資料は、ごらんの八点でございます。
一枚おめくり願います。一ページでございますが、大学及び短期大学に係る授業料及び入学料の推移でございます。
四年制大学と短期大学の授業料と入学料を、それぞれ都立の大学と国立大学とに分け、平成六年度から、今回提案させていただいております平成十五年度(案)までお示ししてございます。
二ページをごらんください。都立の四大学の授業料減免許可者数の推移でございます。
平成九年度から十三年度までの授業料の免除者数と減額者数の推移を、都立の四大学についてそれぞれお示ししたものでございます。
三ページをお開き願います。都立の四大学の奨学金受給者数の推移でございます。
平成九年度から十三年度までの奨学金受給者数の推移を、都立の四大学についてそれぞれお示ししたものでございます。
その他の奨学金とは、地方公共団体及び公益法人等の各種奨学金のことでございます。
四ページをごらんください。法人化に向けての検討組織と検討状況でございます。
既存の都立の四大学を再編統合いたしまして、平成十七年度を目途に一つの総合大学の設立を目指しておりますが、あわせて、都にふさわしい形での法人化を目指すため、大学改革推進会議幹事会のもとに、各大学等から構成されます法人化小委員会を設置して、事項の整理や法的な課題検討などを行っております。
五ページをごらんください。都立の四大学における常勤、非常勤別教員数でございます。
平成九年度から五年間、都立の各大学別に常勤、非常勤別教員数をお示ししたものでございます。
六ページをごらんください。国における大学改革の検討についてでございます。
国における大学改革の検討状況を、平成十年十月の大学審議会答申から本年二月の中央教育審議会答申まで、それぞれの答申や報告ごとに、その内容についてお示ししたものでございます。
七ページをお開きください。国公立大学の附属高等学校一覧でございます。
全国にございます国立及び公立大学の附属高等学校につきまして、学校名、全生徒数、所在地について一覧でお示ししたものでございます。
八ページをごらんください。総長特別研究費についてでございます。
都立大学総長のリーダーシップのもと、重点的に推進すべき研究などを学内公募し、採択されたものに重点的に配分する競争型の研究費制度でございます。
平成十三年度から実施しておりまして、その実績は特別重点研究、若手奨励研究、その他の研究、合わせまして、採択件数が四十八件、配分額合計が二億円でございます。平成十四年度も同様の規模で実施する予定でございます。
以上、甚だ簡単でございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○東委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山本委員 今回の平成十四年度予算案では、都全体で三十四条例、規則の使用料、手数料の改定が予定されております。都立の大学、短期大学においても、授業料が四・八%、入学料が一・八%の改定が提案されております。
私は、このことで大変複雑な心境に立たされているわけでありますが、それは何かといいますと、都財政再建のために、私たち議員は五年前から報酬の五%をカットしてきております。そしてまた、来年度もまたこれを継続していこうとしておりますが、しかし、このことは職員の皆様にも大変厳しい中で申しわけない。しかし、二年前と比べてみると、経済状況はむしろ悪くなっているのではないかというふうなことで、我慢をしていただくよう提案をしているところであります。
そういう中でありますのに、都政再建プランの一環として、あるいは都財政再建のためとはいいながら、学生や都民の負担増になる改定を行うのですから、その理由が十分都民の皆さんに理解できるものでなければならない、こういうふうに思うわけです。
そこで、まず第一点、今回の値上げをするための基本的な考え方を伺います。
○二村管理部長 大学の授業料について申し上げますと、大学という東京都の施設で教育を受けている学生から、そのサービスの対価として徴収する使用料でございます。受益者負担の適正化の観点から、学生の教育に実際に支出している経費を、適切に負担してもらう必要があると考えております。
今回の提案は、大学が実際に支出している学生一人当たりの経費のほかに、他の国公私立大学の動向、あるいは大学のサービスを受けない他の都民との均衡などを総合的に勘案した上で、国立大学の改定額と同額の値上げをお願いするものでございます。
○山本委員 今日、世情、私たちはデフレスパイラルとでもいうべき今日的経済状況の中で、消費者物価は下降ぎみといわれております。そんなときに、消費者物価が下降ぎみなのに、この時期にあえて値上げをしなきゃならないという、この理由は何でしょうか。
○二村管理部長 経済情勢が依然低迷しておりまして、都民の家計が厳しい状況にあるということは、私どもとしても認識しているところでございます。
しかし、都においても財政状況が大変厳しく、財政再建推進プランの実現のためには、大学運営もその例外ではないということ、収支構造を可能な限り改善していく必要がございます。
一方で、授業料等については、適時適切な見直しを行いまして負担の公平を図ることが求められております。今回の改定額は、学生一人当たり実際に要する経費を基本に置きながら、他の国公私立大学の動向等も勘案した上、急激な都民負担の増とならないよう配慮しているところでございます。
○山本委員 他の国公私立大学との均衡--改定に合わせて均衡、同じようだということは、この資料にありますね。ありますが、では、これによって収入増は幾らになるの。
○二村管理部長 今回の改定によります増収見込みは、授業料、入学料合わせまして、十五年度予算ベースで一億七千万円、十六年度予算ベースで一億九千万円程度になる予定でございます。
○山本委員 聞いてみると、一億七千万とか一億九千万。その程度なら、都民や学生に負担をかけないで、例えば大学の施設の有効利用を図るとか、見直しをするとか、そういうふうな内部努力によって解決して、そういうふうなことを吸収できるのではないかと素朴に思うのだけど、どうだろう。
○二村管理部長 今回の提案は、繰り返しになって恐縮でございますが、学生の受益者負担の適正化と負担の公平化を図る必要があることから、さらに、大学の収支構造を改善していく必要があるという、そういう基本的な考え方に基づいているものでございます。
大学につきましては、これまで財政再建推進プランに基づいて職員定数の削減、あるいは業務の効率化によるコスト縮減などに取り組んできたところでございます。
しかしながら、都民に負担増を求める以上、今後、より一層むだを省くとともに、コスト意識を持って、事務事業の全般にわたる厳しい見直しを行いまして、大学に対する都民の期待にこたえていきたい、こう思っております。
○山本委員 値上げをするというなら、例えば教育研究の環境がよくなるとか、何か見返りというか、上げたのですから見返りが必要だと思うのですが、値上げをすることによって、学生には、俗な言葉ですが、どんな還元があるのか、教えてください。
○二村管理部長 今回の授業料等の改定は、受益者負担の適正化、収支構造の改善を図ることを主眼としておりまして、改定による増収分をそのまま新たな事業などに充てることは想定しておりません。
しかし、学生や保護者に新たな負担を強いることは、また事実でございます。今後とも、厳しい財政状況ではありますが、予算の効率的な執行に努めるとともに、財政当局と十分協議しながら、学生の教育条件の維持向上を図っていきたい、こう思っております。
○山本委員 受益者負担の適正化とか収支構造の改善とかと、先ほど、今もいいましたのですが、都立の大学は、ここにあるように、十七年度から独立行政法人化することがこのとおり予定されているようですね。
そうすると、授業料の設定なんかも皆さんの手元から離れて、その法人として自由に決定できるようになるだろうと思うんですが、そういう法人としての経営判断の中で、値上げがさらに強化といいますか、強行されていくんではないかと懸念されるというか、心配されるだろうと思うのだけれども、独立法人として経営をやっていくのですから、当然今までとは、皆さんのところから手が離れるわけですから、その点ではどうだろう。
○二村管理部長 独立行政法人化後の授業料の設定についてでございますが、現在まだ法人制度全般の検討段階のため、どのようになるかはまだ明らかではございません。
しかし、法人化されるとはいいましても、私学とは異なり、東京都が設置すること、また、都から交付金として公金が投入されることが想定されることなどから、法人として公的責任を果たしていくためには、全く自由に授業料を設定できるとは考えにくく、今回の改定の考え方を十分に参考にして授業料等が設定されるべきものというふうに私どもは考えております。
○山本委員 今、二村さんがいったように、そういうふうなことをよく考えますと、現下のような厳しい経済状況の中で値上げを認めるということは、先ほど私が前段にいいましたように、いささかちゅうちょせざるを得ない。
しかし、一方考えてみると、月額二千円程度の増で、そして国立大学に書いてある、国立大学並みというのであれば、この程度は仕方がないかな、許容範囲かなあ、そういうふうなだけの負担はできなくはない額だとも思います。
また一方、今まで我々よく経験してきたのですが、よく今まで我々は水道料だとかいろんなことで経験がありますけれども、放置しておきますと、今後値上げするとき、幅がうんと上がっちゃうという、非常に大きくなるということもあるわけです。
一方で、法人化に当たって財政構造を改善し、財務体質を強化しておくという必要も今あるわけです。受け渡していくために、必要もある。これらを総合的に考えると、今回の提案はやむを得ないかなと思います。
しかし、私はここで一言皆さんにいっておきたい。それは何かといいますと、今、都民にある意味において痛みを背負わせるわけです、負わせるわけですよ。そういうことでありますから、大学自身の経営努力も、目に見えるようなものを持って、どんどん行ってほしいということ。さらにまた、値上げの効果ができるだけ学生に還元されるよう、皆さんの内部努力、あるいは財務当局、財務局に働きかけを強めて、しっかりやってもらいたいと思う。
そして何よりも、十七年度から新大学がスタートするわけですから、その法人としての財政運営がきちんとできるような検討を今から進めて、どういうふうにすればいいかというノウハウなんかも考えてほしいと、こういうことを思います。
ちょっとそういう注文をつけましたけれども、本部長、予定していなかったかもしれないが、何か一言どうぞ。
○鎌形大学管理本部長 確かに、大学の授業料を値上げするというのは、こういう時期に、今山本先生からお話があったように、都民にとって大変厳しいということは、我々も十分承知しております。
これは、今までの経過も踏まえて、結果として国立大学に合致した改定になっておりますが、これは先ほど管理部長からご説明したように、教育の原価といいますか、そういったものも十分我々の方でも精査をした上で、できるだけ負担額が少ないという形で判断をするとなると、じゃあどこでということになると、これもなかなかきちっとした尺度がないわけでございまして、結果として、国立大学にそろえるという形になっております。
我々が目的とするところは、いい大学、いい教育をするということが目的でございますので、ただいまいただきましたご意見を十分参考にさせていただいて、新しい大学においてはきちっとした学校経営、学校運営、教育ができるように、これからその検討を十分重ねてまいりますので、今後ともよろしくご指導いただきたいと思います。
○山本委員 どうぞ頑張ってください。
以上です。
○和田委員 席上に、国公立大学の附属高等学校一覧をお願いしてあります。国立が二十の公立が三ということになっております。意外と国立が多いのかなと思ったりしておりますが、さて、その国公立大学の附属高等学校の一覧でありますけれども、ここでは、いわゆる附属というと、私学の場合には、このうちのすべての方か、あるいは一定の成績なり要求を満たした人は上級の大学に行くというふうに私どもは考えるのでありますが、この附属高等学校からの進学制度というのは、一般的に、国公立高校から国公立大学の場合はどういうふうになっていると考えればいいでしょうか。
○中山調整担当部長 一般的には、私立大学のような内部からの進学制度はございませんで、入学を希望する場合には、通常の受験生と同じ条件で試験を受けることになってございます。
○和田委員 都立大学も附属高等学校を目黒に持っています。これは男子が三百九十の女子が三百四十五、都合七百三十五名の高校生が学んでいます。
都立大の附属高等学校から都立大学へ、できればつながっているのかなと思ってもいるのですが、現状はどのようになっているのでしょうか。
○中山調整担当部長 都立大学におきましても、附属高校体験学習会ですとか、これは大学生と一緒に受ける授業体験でございますけれども、あるいは大学の施設の見学、あるいは都立大学の教員が附属高校へ出張いたしまして連続授業を実施するなどの連携を図ってございますけれども、しかしながら、入学者選抜につきましては、やはり都立大学附属高校に限定した特別な制度はございませんで、一般の受験生と同じ入学試験を受けることになってございます。
○和田委員 都立大学を初め四つの都立関係大学が、今度、十七年に制度改革で一本化されます。聞くところによると、平成十八年度に高等学校においても中高一貫教育という新しい制度が生まれるというふうに思っていて、都立高校も大学も、十七、十八が激変する時代に入るんですね。
こういうときだけに、今までのあり方はわかりました、国立にしても公立にしても、二十三がそれぞれ名前だけは同じなんだけれども、上下に断絶していて、全く関係ない。私が知り得るところ、東大附属などは、高等学校は中高大とありますが、中高は連結しているのですけれども、大はありません。中高は、双子のお子さんを主にとって、その双子の方々が成長過程でどういうふうに変化をしていくのかというのを専門的に研究しているやに聞いているのでありますけれども、それでも大学にはつながらない。
こういうときに、十七、十八の高校、大学の改革時期が、たまたま一年前後してあるわけでありますが、新しい中高一貫という連携を、大学等含めてどのような形で考えていったらいいのでしょうか。
○中山調整担当部長 過日、教育庁の方から、中高一貫教育校の整備に関する基本的方向についてという中間のまとめが発表されたところでございます。この中で、中高一貫教育校と大学との連携接続について、特に新たな都立の大学との連携接続を積極的に図っていくことが掲げられております。
今後、中高一貫教育校の教育内容等の具体化にあわせまして、大学側といたしましても、その連携のあり方について積極的に検討を進めていく所存でございます。
○和田委員 今、中山担当部長がお示しになった中高一貫教育校の整備に関する基本的方向についてというのが、十四年の二月十四日、教育庁から出されました。ここに私はやはり注目せざるを得ないのです。今度の十八年度の都立高校の中高一貫と十七年度の大学改革というのを、一年ずれてはいますけれども、おおむね時期的にダブっているととらえた場合に、大学の連携接続という、この今説明いただいた新たな都立の大学との連携接続を積極的に図っていくという、この文言は、今までの国公立の中高あるいは大という形の連携を新しく組みかえていく形の言葉に、私は理解をするわけなんです。
そのことを前提にしながらなんですけれども、確かに都立の高校と中の一貫性と、都立大学と都立高校の一貫性というのは、当然あってしかるべきなんですが、都立大学である以上、ほかに二百以上ある都立の高等学校との連携、これも当然視野に入れて、この際ダイナミックに考えていくべきだろうというふうに思うんです。
都立だからという関係だけで縦につながるのではなくて、都立大学であって、都立高校という--都立校、附属じゃなくてですね、そういうものを、二百を全部分子として考えながら、より都立大学の持っているよさを二百以上の都立高校に広げて、そこからも有為な人材を吸収していくというような革命的な考えも、この十七、十八の中高一貫や、あるいは大学改革という時期に照準を合わせて、考えていくべきだというふうに思うのでありますが、どのようにお考えでしょうか。
○中山調整担当部長 一般の都立高校と大学との連携についてでございますが、大学改革大綱におきましても、都立の高等学校との連携強化を進めていくための高大連携事業を幾つか示してございますけれども、その第一歩といたしまして、平成十四年度は、都立の四大学の教員による都立高校への夏季集中型の出張講義を計画しているところでございます。
また、文部科学省が平成十四年度から行いますスーパーサイエンススクール事業、これは、科学技術、理科、数学教育を重点的に実施する高校を指定いたしまして、一定の補助金を交付する事業でございますけれども、その取り組みの一つとして、大学等の連携強化が掲げられてございます。都立高校がこの指定を受けた際には、都立の大学として当該高校との積極的な連携を図っていく予定でございます。
○和田委員 ともすると、都立大学というのは、公立という意味もあって、地味な学校だというふうに私どもは受けとめてきましたけれども、今、中山部長のお話をお聞きすると、しばしば申し上げる十七、十八年度を境に、それこそ劇的に変わっていくだろうと思っておりますし、また変えていかなければならないというふうに思うんです。
特に十四年度の、四つの大学が都立高校に夏休みに集中して、出前というか教えに入り込んでいって、有為な生徒に教育をしていくというふうなこと、大変大事なことだと思いますし、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール、これも受け身でいいのかどうかは別にして、より積極的に都立高校からこれに手を挙げて、文部科学省の方の選択の中に入れてもらって、都立高校に、全国でそんなに数多くある試みではないと思いますから、それを積極的につかみ取ってきて、私学に対抗する意味でも、都立高校が活発な、スーパーサイエンスですから、科学的な工業的な意味だと思いますけれども、そういうものをぜひ導入してほしいと思うんです。
私は非常に積極的に中高大一貫を唱えたいと思ってはいるのですが、しかし私の経験からも、私学の場合、中高、小もありますし幼もありますが、その場合に、ともすると、歴史がたっていくと、外から受験してきた生徒よりも内側の生徒の方がどうしても学力的にも素行的にも劣るというふうなことを、しばしば聞くのでありますが、そのことを前提に入れながらも、やはり中高大一貫を積極的に進めていくべきだと思うのでありますが、今私の申し上げた中高大のよさもあるのだけれども、マイナスについては、どのような危惧といいましょうか、防護策といいましょうか、もしもやるとすればお考えになるでしょうか。
○中山調整担当部長 一般の都立高校におきましては、平成十六年度の入学者から、特定の都立高校を対象といたしまして指定校推薦制度を試行的に実施する予定でございますけれども、実施に際しましては、入学者の大学での学業成績等の追跡調査を行い、指定校のあり方についても数年ごとに見直しを行うなど、委員ご指摘のとおり、制度が形骸化しないように努めてまいりたいと思ってございます。
○和田委員 次に移りたいと思います。
次は、これもまた資料要求した総長特別研究費であります。
これは各委員も理事者の方もごらんになったと思いますけれども、三月十四日の、これは朝刊だと思うのですが、視覚、聴覚に影響、相互作用を都立大が確認したということで、都立大学の市原茂教授と北川智利助手とおっしゃるのでしょうか、この方々の研究が、既に発行されていますが、十四日のイギリスの科学誌のネイチャーに報道されたということで、それまで視覚と聴覚は脳の領域分野が違うものですから、それは全く分離されているものだと思ったのですが、視覚の見る残像が、その刺激が聴覚にも影響を与えるぞという、新しい大変ビッグニュースが都立大学の先生方によってネイチャーに公表されたということで、新聞にも大きく報道されています。
私は、こういう先端的な研究をどんどん都立大学がすることによって、さきに申し上げた地味だと思われていた都立大学が、もっと活発になってもらいたいということで、今回の質問をしたいと思うんです。
それは、予算書では一億円と、こうなっておりまして、それがなぜなんだろうかというふうなことを指摘をしたかったわけです。今、平成十四年度の予算を見ましても、四つの大学を合わせて、研究費は十二億五千万円ほど計上されているんです。その成果なり結果はどういうふうに社会に還元されているのか、また、この研究費はどういうふうな配分方法になっているのか、それをまずお伺いいたしたいと思います。
○二村管理部長 四大学で若干異なる制度となっておりますけれども、大学の講座単位または教員単位で措置している一律的な配分のほかに、学内公募による選択された研究に対して措置する競争的な配分を行うものでございます。研究費全体のうち約九割が一律的な配分となっておりまして、研究内容や成果の評価によって配分額が決まるものではございません。
そのため、研究活動の活性化を進めるインセンティブに欠ける、あるいは都立の大学として社会に貢献し得る研究を強力に推進していくことは難しく、研究の内容や成果が見えにくいとの批判も否定できないところでございます。
○和田委員 成果が見えにくいと、みずから二村さんがおっしゃっているとおり、私もそうだろうと思うんです。さきに紹介した、こういうふうに新聞に報道されると、なかなか都立大の心理学の先生もやるなというふうな形になるのですが、ともすると、どこの大学でもそうでありますけれども、地味になりがちであるだけに、できるだけ見える形で、税金で賄っている大学でありますから、都民に見せてほしいんです。
さきにご説明いただいた競争的研究費を、総長特別研究費というふうに位置づけられておりますけれども、これが一律、横並びの研究費に、何か特色、やる気のある先生だとか、可能性のある研究にこれをつけようというふうな、何か個別に奨励的な意味があるというふうに理解をしているのですが、それでよろしいですか。
○二村管理部長 総長特別研究費は、バイオテクノロジーや情報技術などの先端的分野、あるいは福祉、環境など社会的ニーズの高い分野などに、都立の大学として重点的に進める研究、そういったものに、あるいは若手研究者の将来性ある研究を学内公募して、総長のリーダーシップのもとに採択を行い、研究費の重点的な配分をするものでございまして、十三年度から都立大学において実施しているものでございます。
この制度は、研究費の重点配分によりまして、都立の大学として求められております分野等の研究を推進するとともに、競争的な学内公募を行うことで、研究者に研究へのインセンティブを与え、その活性化を図るねらいがございます。
また、総長が配分額の決定を行うことによりまして、そのリーダーシップの確立にも資するものというふうに考えております。
○和田委員 そのように、今、二村さんのお答えだとすると、全部もう初めから競争的研究費にどかっとしちゃって、一億一億とかというふうに分けないでやった方がよりわかりやすいかなと思うのですが、それはどうなんでしょうか。
○二村管理部長 今回の制度による効果が一層期待できれば、配分枠をふやすことも考えていきたいと思っております。
しかしながら、研究費全体で見ますと、基礎基盤的な研究や長期間に及ぶ地道な研究の継続が必要なものなど、必ずしも学内公募などの競争的配分になじまないものが少なからずございます。
学術、文化の発展においては大きな意味を持つこれらの研究には、その内容について客観的な外部からの評価を受け、その必要性の認証を得ることは必要であるというふうに考えますけれども、一定程度の経常的な研究費は、引き続き必要があるものというふうに考えております。
○和田委員 確かに基礎体力としても研究費は必要だと思うんです。ただ、そこに余り視点を置き過ぎると、ユニークな研究開発だとかそういうものに、ともすると予算が割けなくなって、横並び的になってしまうのかなと。総枠のパイを三億、五億にふやせればいいのだけど、こういう事情の中では、二億だったら二億に限られているとなると、政策的にどっちに力を入れるかという課題になってくると思うんです。
私は、ここで大胆なことを申し上げたいのですが、都立大学十カ年ノーベル賞受賞作戦というようなものをつくって、十年間で、都立大学のどのような分野でもいいから、ノーベル賞をとってくる、そのくらい戦略的に予算を組んで、研究費を組んで、産・学・公共同でもいいですけれども、都立大学が研究費をしっかり使っていくべきだし、また、それは財政当局に要求していくべきだ。今までの守りの都立大学から攻めの都立大学に変えていくことによって、社会貢献もできるし、都民貢献もできるし、経済貢献もできるわけでありますから、そういう意味で、新大学の創設ももう十七年からでありますし、視野に入っておりますし、将来の都立大学における研究をどのように、私の申し上げた十カ年ノーベル賞受賞作戦も引っくるめて、積極的に考えていらっしゃるか、どなたか答弁願います。
○二村管理部長 研究費は、大学の研究活動にとりまして不可欠なものでございます。その中には、地道な基礎基盤の研究など、競争的配分になじまないものの重要な研究も数多く行われております。
しかし、大学において研究費が有効に活用され、成果に結びついていくことで、都民あるいは社会に還元していくことが強く求められております。そのためには、すぐれた研究に取り組んでいる研究者に研究費を重点的に配分するなど、研究への評価システムの構築による競争的な研究環境を拡大いたしまして、そのインセンティブを高め、研究全体の活性化を図ることが必要であるというふうに考えております。
今後、こうした考え方に立ちまして、新大学における研究費、制度全体を検討していきたい、こう思っております。
○和田委員 最後になりますけど、都立大学ノーベル賞受賞十カ年戦略というのもしっかり具体的に考えるくらいの意欲的な運営を期待して、質問を終わります。
○石川委員 初めに、付託議案四議案についてお伺いいたします。
先ほど山本委員からもお話がございました、今、大手企業の春闘が山場を迎えておりますけれども、テレビ、新聞報道で、大半がゼロ回答。ゼロ回答どころか、新年度からいわゆる給与の削減を発表する企業が日増しにふえているというふうな経済状況の中で、しかも、今、十七年度を目指して都立の新しい大学を設立をしようという時期に、なぜ授業料を改定しなければならないのか、ということを提案されますと、私も実は首をひねらざるを得ない状況であります。こうしたことを踏まえながら、若干ダブるかもしれませんが、質問をさせていただきたいと思います。
先ほど、今回の授業料改定の理由について、るるご説明がございました。しかし、これまでの授業料改定の流れを見てまいりますと、国立大学の授業料に連動をしながら値上げをしてきた、こういうことが見えるわけでありますけれども、他の公立大学の動きはどうなんでしょうか。
○二村管理部長 他の公立大学の動向でございますが、条例提案の時期が自治体によって異なっておりますことから、いまだ未定のところもございますけれども、過去の例で見ますと、ほとんどの公立大学が国立大学の額を基準として授業料の設定を行い、適用時期についても国立大学に合わせて実施しているところでございます。
○石川委員 まだ状況が見えないということなんですけれども、改定の動きのある公立の大学はあるんですか。
○二村管理部長 公立大学の、先ほど国立大学にほとんど合わせているというご説明申し上げましたけれども、国の改定に合わせる内容については、国の省令改定前の年度に改定するところ、東京都もそれに入ります、それから、国の省令改定前ではあるけれども、国と同じ年度で改定するもの、それから、国の省令改定後に同じ年度に改定するもの等がございます。
○石川委員 都立大学の授業料を、何で国立大学と同額で提案されなければならないのかという素朴な疑問がわくのですけれども、都は国とは独自路線をとるものではないのですか。
○二村管理部長 都立の大学の授業料の設定でございますが、大学の設置者である東京都が、独自にその必要性を判断して決定するものではあります。
しかしながら、その決定に当たっては、学生教育に実際にかかる経費でありますとか、他の国公私立大学の状況を把握する一方、教育の機会均等への配慮や、大学に進学せずに働きながら納税している、そういう都民の方等との社会的公平性などを十分考慮して検討する必要があるものと考えております。
こうしたことに加えまして、大学教育において国立大学の比重が大きいことなどから、結果として、これまで国立大学と同額を設定してきたものでございます。
○石川委員 今回の改定の、実際適用されるのは、十五年度からですよね。そうすると、二年後の十七年度には新しい大学に移行していくわけですね。その時点で、いわゆる新たな法人化の大学の適正な授業料を定めて実施をする、こういうわけにはいかないのでしょうか。
○二村管理部長 都立の大学の授業料は、基本的には、大学という公の施設を利用して教育を受ける学生から、受益者負担の観点から、使用料として徴収するものでございます。今回の改定を見送るとすれば、本来負担すべき金額との間に乖離が拡大しまして、将来の改定幅が過大になるなどの問題も残すことになります。
十七年度に法人化を控えた都立の大学におきましては、少しでも財政の健全化を図っていく必要がありまして、それまでの間、改定を見送ることは極めて困難であろうというふうに考えております。
○石川委員 しかし、現実に経済状況が厳しいわけですから、そうしますと、授業料の支払いに困窮しているそうした方々に、どういうふうに救済制度を充実していくか、こういうことになってくるのだろうと思いますけれども、この修学援助の現状について教えてください。
○二村管理部長 経済的理由などによりまして授業料の納付が困難な学生に対して、授業料の減額、免除制度、それに授業料の分納制度、年二回授業料を支払っていただくわけですが、それをさらに三回に等分割して払う制度でございます、この分納制度がございます。
都立大学を例にとりますと、平成十三年度後期において、減額二百四十八名、免除三百人の五百四十八名でございまして、学生現員の八・五%が利用してございます。そのほか、先ほどいいました分納制度を利用しているものが三十九人でございます。
また、各自治体を初め公的団体、民間団体による多くの奨学金制度が設けられておりまして、都立大学ではこれらの奨学金受給者は、平成十四年度一月現在千九百三人、学生現員の三〇・二%となっております。
○石川委員 現下の都財政の状況から、減免制度の拡充はなかなか厳しい、こういう状況であります。しかし、大学によっては減免の枠に余裕がある場合もあると、こういうふうに聞いております。設置者機能を一元化するために大学管理本部ができたのですから、学費の減免は、四大学全体で予算枠ぎりぎりまで使うべきと思いますが、いかがでしょうか。
○二村管理部長 確かに、大学ごと、年度ごとといいますと、授業料減免の対象となっている学生には増減がございまして、各大学ごとに歳入予算の一定割合と定めております減免可能総額に余裕がある場合も見られます。
これまで大学の所管局が分かれておりました関係で、大学間の調整はこれまでしてこなかったわけでございますが、大学管理本部ができて設置者機能が一元化されたということで、都立の大学全体としての予算管理が可能になりましたので、ご指摘のような調整を行うことが求められているものというふうに考えております。
今後、都立の四大学の減免可能額を全体として管理しまして、その範囲内で少しでも多くの学生の減免が実現できますよう、財政当局と協議をしていきたい、こう思っております。
○石川委員 十七年度開校になりますと、新しい大学では奨学金を初め、都としての修学支援策を幅広く考えていくべきだと思います。独自の支援策を打ち出していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○二村管理部長 新しい大学設立に合わせまして、独立行政法人化を行うこととしております。その中で、授業料については、受益者負担の原則や教育の機会均等などに配慮いたしまして、法人において適正な授業料設定が行えるものと考えております。
一方で、大学開校を進めるに当たりましては、学生の学ぶ意欲を引き出すためのインセンティブを用意しますとともに、学生が安心して勉学に専念できる教育の環境に一層努めていく必要があるものというふうに考えております。
今後、ご指摘の点も含めまして、他の大学の動向も参考にしながら、総合的に検討していきたいと思っております。
○石川委員 せっかく新しい都立の大学をつくろうというわけですから、授業料については、これまでどおり、国に合わせて一律改定、値上げ幅も国に横並びというのでは、全国に先駆けて公立として存在感のある大学をつくるという改革の方針に合わないのではないかと私は思います。
法人化後の新大学では、法人としての経営判断でかなり自由にできることが多くなってくるはずでありますから、授業料設定などについては、都民のため、また通う学生のためにも、弾力的に考えていただきたいことを要望して、次に、予算に関連して、ビジネススクールについて伺います。
今回提案されております十四年度予算案の中に、我が党が提案してきました社会人を対象としたビジネススクールの開設に要する経費二億五千四百四十九万六千円が計上されております。いよいよ都立の大学もビジネススクールを開設するわけでありますが、非常に心強く思います。
そこでまず、この経費の内訳はどのようなものか、伺います。
○中山調整担当部長 経費の内訳でございますが、平成十五年四月開設予定のビジネススクールの間仕切り設置等の工事費、それから学生用図書費、パソコンなどの初度調弁費、約三千万円を計上してございます。
○石川委員 十五年四月の開設とのことで、入学考査料、入学金が特定財源として計上されています。入学考査料が三万円、入学料が都の住民の場合十四万一千円、その他の住民の場合が二十八万二千円となっています。
既に他大学でもビジネススクールが開設されていますが、他大学の状況はどうなっているのか、授業料等についてお答えいただきたいと思います。
○中山調整担当部長 他大学の状況でございますが、都内にも数多くの大学がビジネススクールを開設してございまして、例えばビジネススクールとして専門大学院の認可を受けました一橋大学大学院では、受験料が三万円、入学金が二十七万七千円、それから、私立初の専門大学院でございます青山学院大学大学院では、受験料が三万円、入学金が二十八万円となってございます。ほとんどの大学院がほぼこの金額に近い受験料、入学金となってございます。
また、授業料につきましては、既存の大学院と同額を予定しております。他の私立の大学院と比べまして、授業料につきましては、私立大学が都立の大体二倍から三倍の授業料となってございます。
○石川委員 それから、入学定員は四十人、志願予定者を百二十人と見込んでおりますが、このビジネススクールを開設するに当たって、需要調査等は実施されましたですか。
○中山調整担当部長 需要調査についてでございますが、一昨年十月に都政モニター五百名、それから都内の企業千社を対象に、都立の大学に関するアンケート調査を実施してございます。
その調査結果によりますと、都立の大学に期待することとして、専門職業人養成のための大学院を挙げる方が約七割、また、社会人教育に役立つ分野として、経営学を学べる場や技術力向上支援の場が挙げられております。これらから推測をいたしますと、経営学を学べる専門大学院への需要はかなり高いものと思われます。
また、他大学の十三年度の入学倍率は、二倍から七倍とかなりの競争率になってございまして、これらのことからも、都のビジネススクールにもかなり需要があると見込んでございます。
○石川委員 これまで入学金や授業料などについて詳細にお聞きしましたのは、ビジネススクールに入学しようとする社会人のことを考えたからであります。厳しい経済社会環境の変化の中で、決して安いとは思えない入学金等を支払ってまでビジネススクールに入学し、みずからのスキルアップを図ろうとする社会人の要望にこたえていく必要があります。
第一には、通学のしやすさであります。平日、仕事を終えて通学するために、極力ターミナル駅のそばがよい。社会人らの学びやすい場所で開校するのが一番よいわけで、他大学の中には、八重洲駅周辺のビルの中で開校したりしております。
都が開設するビジネススクールは、都庁舎の会議室を有効活用すると聞いていますが、新宿、それも都庁舎で開設するならば、これは反響は大変大きいと考えますが、いかがでしょうか。
○中山調整担当部長 ただいま委員ご指摘のように、通学のしやすさ、ビジネススクールなど社会人を対象といたします大学院にとっては、大変重要な要素であると認識してございます。
新宿は、日本を代表するビジネス街の一つでございます。多くのビジネスマンがいるにもかかわらず、現在のところ、ビジネススクールのいわば空白地帯となってございます。経営学修士を取得できる大学院はございません。都庁舎の会議室の中で夜間余り利用されていない会議室を教室として活用し、ビジネススクールを開校することは、ユニークな大学院として多くの社会人学生を集めることができるだけでなく、大学と都政が連携する拠点として、広く活用できるものと考えてございます。
○石川委員 私も、ユニークな大学院になると思います。
場所だけではなく、やはりその教育内容が学生への魅力となってくるわけであります。都が開設するビジネススクールの特色とは、一言でいえば何でしょうか。
○中山調整担当部長 東京の産業育成、経済の活性化に貢献し、グローバルな競争に打ち勝っていくためには、ベンチャースピリットを持った、国際的に活躍できるビジネスリーダーが求められていると思います。
都立のビジネススクールでは、経営学修士を取得するだけではなく、戦略的な思考能力と高度な経営管理に関する知識を有したビジネスリーダーや、起業家になり得る高度な専門職業人を養成していくものでございます。
科目等の詳細につきましては、これから検討してまいりますけれども、実務経験者を講師といたしまして、実践的なケーススタディーの授業科目を多く取り入れたり、あるいは理工系の技術教育や、開設を予定してございます法科大学院と積極的な連携を図り、学生に魅力のある質の高い講義を提供してまいります。
○石川委員 先ほども述べましたが、都立の大学のビジネススクールに大いに期待するものであります。ぜひとも、どこの大学にも引けをとらないビジネススクールになるよう、開校まで最善の努力をお願いして、質問を終わります。
○曽根委員 私から最初に、大学改革大綱に基づくその後の具体化の問題、それから、先ほどもありましたが、授業料の問題についても触れたいと思います。
前回、たしか十二月の文教委員会で大学改革大綱の報告がありまして、私も質問いたしました。そこで、大きくいうと四点の内容でただしたつもりです。
一つは、改革の検討経過が極めて性急で、諮問会議などをつくっていろんな意見を聞く形はとりながらも、大事なことは全部、ほとんど本部の内部でつくってきたこと。
それから二つ目に、法人化の仕組みについては、国よりもさらに踏み込んで、学長とは別に、知事任命の法人の長を置き、事実上財政権、運営権を知事サイドが握って大学運営をコントロールするこういう露骨な大学介入の仕組みになっているということ。
三つ目に、研究教育費の配分が、経済界の要求にこたえて、もうかる研究ということに重点が置かれ、基礎研究や社会的意義は大きくても企業利益になりにくい研究は冷遇される仕組みとなる危険があること。
そして四点目に、都立大学の特色であり、学生から大変喜ばれているB類、そして短期大学の廃止を含めて、教職員の大幅削減を計画し、かつまた公務員資格を外して身分を不安定にする可能性が高いことなどについてそれぞれただしてきました。
以上のことから、改革大綱に基づく路線は、これまでの大学の自治、学問研究の自由を乱暴に破壊するものとして、白紙撤回と抜本見直しを求めてきたところです。しかし、その後も本部は法人化の検討会をつくって、さらに具体化を進めております。
その中身について資料をお願いしましたが、この委員会に出された資料は、四ページにあるような全くの概要程度であり、何が論議されているかも一切報告がないというものです。これじゃ、日程がわかるだけということですよね。私は少なくとも、第一回から四回までは開かれているのですから、この検討会で何を論議したか、目次ぐらいは出してもらってもいいのじゃないかと思うし、事前のすり合わせのときにはそれぐらいを出せるような話だったと思うのですが、このことも含めて、何でこの程度の資料しか我々には出せないのか、ちょっとお聞きしたいと思うんです。
○佐藤改革推進担当部長 今回の資料にお示ししましたとおり、現在、大学と我々大学管理本部の中で、大学の法人化につきまして基礎的な検討を行っているところでございます。我々といたしましては、基礎的な検討を整理した段階で、それらについての資料を明らかにしていきたい、そういうふうに考えております。
○曽根委員 これじゃ、その後の具体化について我々論議のしようがないんですけれども、年度末に向けて、とにかく結論を急ぐというあせりといいますか、性急さというのが目立つわけです。これまでと同じです。あたかも国の法人化におくれをとるなと強制するような印象があります。議会にも、全くといっていいほど資料を出さない秘密主義も続いています。私はこのやり方では、開かれた大学づくりなどはできるはずがないと思います。
その一方で、国の大学法人化の検討は、きょうそれも資料をいただいたのですが、まだ都立大学の大綱に比べても形がはっきりしない。したがって、私は、都の大綱に基づく改革の動きとまるで並行しているというよりは、おくれて引きずられるように進んでいる国の方の法人化の検討との関係で、近い将来そごを生じるのではないかという危険を感じます。
それは、都立大学を含めて公立大学の法人化というのは、私たちはこれについては反対ですけれども、少なくとも国の法律ができなければ、できないわけです。国の法律がどうなるかが決まっていない、まだ形も見えないのに、東京都の法人化構想がどんどん固まっていって、大きな食い違いが出たらどうするのかということになります。
それで、国の法人化の検討状況、一体いつ法律が出されて、どうなるのか。都はどういう見通しを持っているのか。それとの関係で、東京都の法人化の検討というのは、全く調整せずに進んでいくつもりなのか、この点をお聞きしておきたいと思うんです。
○佐藤改革推進担当部長 国立大学の法人化に関する法整備につきましては、今年度中に文部科学省の調査検討会議から、新しい国立大学法人像について最終報告が出される予定になっておりまして、それを受けて、国では平成十六年度の法人化を目指して、十五年の通常国会での成立に向けた準備が進められていくというふうに聞いております。
公立大学につきましても、同時ではないにしても、大きくおくれることがないよう、法整備が進められることになると理解をしているところでございます。
私どもの検討に当たりましても、この国の法整備の状況については十分情報を得て、注視しながら検討を進めていく所存でございます。
○曽根委員 国と調整なしにはできないということは間違いありません。しかし、既に法人化のあり方については、大綱に示された考え方と国とでは幾つか大きな食い違いが出ていると思うのですが、都の方では、その食い違っている点についてはどう認識されていますか。
○佐藤改革推進担当部長 東京都の改革大綱では、大学法人の経営にできる限り民間の経営感覚を導入する観点から、経営部門と教育研究部門の役割を区分をいたしまして、それぞれの責任の所在を明確にするとともに、学長は教育研究部門で選考をし、法人の長は知事が選任する方向で検討するというふうにしております。
これに対しまして、国立大学の法人化の案では、法人化後の経営と教学の一体性を重視をいたしまして、学長を経営と教学双方の責任者とするとしております。
また、教職員の身分につきましては、都では大綱で、特に非公務員型の制度について積極的な検討を行うとしております。
国立大学の法人化の最終報告案では、法人化のメリットを最大限に生かし、弾力的で多様な人事制度を実現する観点から、教職員の身分は非公務員型を選択としております。
都といたしましては、現在検討中でございまして、身分関係について最終的結論を得ておりませんが、仮に同じ非公務員型となったとしても、その具体的な任用形態、勤務条件の面では異なることもあり得ると、このように考えております。
○曽根委員 教職員の身分の問題は、まだちょっとこれから先のようですが、少なくとも教育研究と経営の責任者を分離するという都の考え方だけでも、国とのいわば法人化の根本が違うといわざるを得ないと思うんです。私、なぜここにこだわるかといいますと、今都立の各大学で、大学内に非常に切迫した不安といいますか、うわさというか、情報というか、流れているというふうに私たちに聞こえてくるからです。
都の大学法人化検討会に資料を要求すると、我々にはこれしか出てこないのだけども、大学内では既にかなり具体的な検討会の資料や記録などが示されていて、教職員の間ではほとんど知られている、そこからもいろんなうわさや情報が飛び交っているというふうに聞いているのですが、この検討会の中身については、大学の方に対する公開はどうなっているのでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 現在、大学教員と我々行政から成る大学改革推進会議の幹事会のもとに、各大学から推薦をされました教員と事務局で構成する法人化小委員会を設けまして、主に運営、組織のあり方、それから人事制度のあり方などを中心といたしまして、法人化の実現に向けた課題を整理している状況でございます。
大学内に対しましては、小委員会で出しました資料はできる限りオープンにする、そして大学教員の意見を、推薦されたその小委員会構成メンバーを通じて検討の場に上げてくるという考え方をとっておりまして、小委員会の資料を学内での議論に供しているということでございます。
○曽根委員 各大学で教職員の方々、関係者の方には事実上オープンになっているわけですよね。ですから、少なくとも私たちにも、この大学問題を都議会として真剣に議論していくための、少なくとも必要最小限の資料として、大学側に公開しているものを--こっちにはこれじゃあ、余りにも秘密主義じゃないかというふうに思うんで、また後でちょっといいますけど、それはお願いしておきたいと思います。
それで、いろんな議論がされている中で、共通して各大学で出ているのは、都の考えている法人化の構想では、大学の将来に希望が持てないという非常に強い不信感があって、教員にとっては、国立大学の法人化された、もしされればその後よりも、都立大学の法人化の方が、教育研究者にとって環境はどうも悪そうだ、条件も厳しそうだという声が強いことなんです。これは、非常にこれから教育研究者は流動化していきますから、私は重大な問題だと思うんです。
したがって、これは、都の方でそういう声が出ていることをつかんでいるかどうか。そして、つかんでいれば、何が原因でこういう不安や声が出ているかという点を、ご認識をお聞きしたいと思うんです。
○佐藤改革推進担当部長 東京都が進めております大学改革は、教育の中でも、とりわけ教養教育の重視や多様な履修システムの導入など、学生にとって魅力的な教育の場を提供しようとするための改革を目指しております。
また、教員の業績を適切に反映した給与制度の導入など、教員に教育研究活動へのインセンティブを付与していこうと、そういうふうなものとなっていると考えております。
これらにつきましては、十分に学内に今後もその趣旨を浸透させていきたいと思っておりますが、さらに今後の検討に当たりましては、学生、教員にとって魅力ある大学づくりという観点から、具体的な制度設計を行っていきたいというふうに考えております。
○曽根委員 前半にお答えになった抽象的な話は、国だって出ているんですよね。どっちも同じような不安があるわけです。だから、国立の方がいいとか都立の方がいいとかいう話には必ずしもならないんです。
私が聞いた話はもっと具体的で、法人化の検討会の中で、東京都の本部の方が来て、もう都の予算はふえませんよと、大学予算はこれから景気が相当よくならない限りはふえないと。マイナスシーリングでずうっといくんだと、一〇%のマイナスシーリングがかかっているんだと。教職員も二〇%ぐらい減らしますよと。それでお金が足りない分は、外部資金でとってくるんですよ、この制度は。そういうふうにもうきっぱりとおっしゃったと。
そうすると、じゃ、まだ国の方がはっきりしないわけですから、東京都の方は相当、都が出すお金を絞ってくるようだと。いろいろそれはそれぞれ大学で外部資金導入は工夫はするだろうけれども、もとの東京都が税金をきちんと必要に応じてつぎ込んで大学を支えていこうというところが、どんどん細ってきそうだと。教職員の身分も、もうわからない。ここが具体的な不安となっているようなんですけど、そういうお話をやっぱり検討会でされているのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 検討会におきましては、大学が従来のままの教育、研究環境にはないということで、都全体の厳しい財政運営状況、これに無縁であるとはいえないということを、教員との検討の中ではこちら側も申しております。
しかしながら、我々が大学を改革する意図は、今まで社会に対して閉ざされてきた大学運営というものを社会に適合させていくという観点からすれば、さまざまな経営努力を今後していかなければならないというようなところもあわせて申し上げております。
○曽根委員 前半おっしゃったことが、かなり露骨に示されたために、相当やはり大学の内部での不安が広がっている。後半いわれたことは、それは大義名分として、大綱の路線ですよね。
私、きれいごとはいろいろいえると思うんです。看板も掲げられるでしょう。しかし、そんなにいろいろ名目や目標と麗々しく掲げることはできても、結局のところ、改革の結果、教員の人たちにとって魅力のある大学になるのかどうか、学生の人たちにとって魅力のある大学なのかどうか。いい研究者が集まらなければ、結局学生の側も、いい研究者を慕って集まってくる大学生が減ってくるわけですから、そこが判断されるわけですよね。これから選ばれるわけです、大学は。公立大学でも全部。そのときに、幾らきれいごとをいっていても、中身が魅力がなければみんな去っていくわけです。
私が聞いたところ、既に都立大学や科学技術大学で非常に優秀な先生が、これは偶然だとおっしゃるでしょうけれども、今年度末で転出される方もいる。それで、こういう傾向がさらに広がっていく危険性を私は感じるわけです。これは杞憂にすぎなければいいですけれども、私は、このままではどんどん優秀な人が都立大学を見捨てていく危険はないのかということを申し上げておきたいのです。
それで、私は、都が国より先行して、国の法人化の方向がまだ固まらないうちに、どんどんどんどん先走っていくと、かえって不安を広げて、国よりもどうも悪くなりそうだ、強引にやられそうだということでやられていく。少なくとも、国の法人化のあり方や何かの検討を慎重に見て、また、私たちの議論をよく聞いて、関係者の話もよく尊重して慎重に進めるという姿勢が私は欲しいと思うんですが、そうじゃないといい人材が集まりませんよ、大学に。いかがでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、国の状況は、平成十六年度の法人化を目指して、十五年通常国会での法案成立に向けた準備が進められていくものというふうに理解しております。十四年度中に国の検討の状況をつぶさに情報を得ながら、我々としても、国におくれることがないよう積極的に法整備についての国への要求をすると同時に、我々としての内部検討を遅滞なく進めていきたいというふうに考えております。
また、先ほどございました他大学への流出の件につきましては、都立の大学については、従前から教員の他大学間との流動化は一定程度ございまして、ご指摘のような教員の流出というような認識は持ってございません。
○鎌形大学管理本部長 ちょっと補足させて説明させていただきます。
先ほど曽根委員からるるお話ございましたけれども、私どもがやっております改革はなぜあるかというところに問題意識を持って取り組んだわけでして、先生方が不安になるか不安にならないかはともかくとしまして、今のままの大学ではだめだということを前提に改革に取り組んでいるところでございます。
したがって、私たちがやろうとしている、教育研究を含めて--教育研究と一言でいうと、ちょっとこれは全く平らな話になってしまうんですが、教育と研究で大学は構成されているわけでして、今までは、どちらかというと研究に重点が置かれた大学であったと。ところがこれから、我々が今やろうとしているのは、基礎、教養を含めて教育にも重点をきちんと置いて、大綱に掲げた立派な人材を育成したいということと、それから、あわせて研究の方もこれは当然やっていかなくちゃいけない問題がございますので、それはそれとして、きちんと研究ができる環境も整えておこうということを前提に今、改革に取り組んでいるところでございます。
したがって、先ほど来ございますように、国がどういうふうにやるかは別にしまして、私どもは東京都が考えている基本的な考え方を打ち出したわけでございまして、それに基づいて、今、文部科学省、総務省に対して、こういったものを実現できるような法整備をお願いしたいということでお願いをしているわけでございます。したがって、国と必ずしも同じになるかは、これは、法律に抵触するような制度はできませんけれども、各自治体がみずからの独創性に基づいて大学をつくっていきたいという考え方があるわけでございますので、そういった大学がつくれるような法整備をお願いしたいということで今、国にお話をしているということでございますので、どちらが先かということでは私はないと思います。国の方が今回新しい大学像の考え方を打ち出しますので、それも当然私どもは参考にさせていただきたいということでございます。
○曽根委員 国の方に、東京都としては自治体の裁量で、独自の方向を認められるような幅を設けた公立大学の法人化の法律を求めていきたい。いい意味でなら、我々もそういったことはあり得るかもしれません。法人化については、私たち反対ですが、大学の改革をいわば自治体で独自に進めていこうということ自体は大いに議論をすべきだし、前向きにやっていきたいといつも思っています。
その中で、最後はしかし、国内の中でも国立大学の法人化問題では統廃合の計画も出ていますよね。大学の教授の人たち、先生たちの集まりがいろいろあって、非常にいろんな意見が出ているんですよね。ああいうまとまらない段階でどんどん進められるのかなと。文部省は本当にこの夏ぐらいですか、まとめて、法案提出して、押し切れるのかなと、大学問題で。それが、私は、もっと国立大学についても大学人の声を尊重しなきゃならないと思うし、そうなってくるという可能性は大いにあると思うんです。スケジュールがおくれる可能性はあると思う。東京都がどっとこどっとこ進めて、先走ってしまう。そうすると、先生たちにとってみれば、東京都の大学にいるよりも、まだ国の方がましだということになりかねない。そうすると、本当にすぐれた先生方は見限るということも出てくる。現に出てきていると思うんです、私は。
こういう点で、しかも国全体が法人化、法人化ということで、五十歩百歩でしょうね。そういってなってしまえば、先生たちは、今度は国外に出ていく。もう既に出ていますよ。ノーベル賞をとっていない人たちは--ここ数年割と続いていますけれども、結局業績を実らせたのは、プラスチックの伝導性の問題でもアメリカの大学に行ってからなんですよね。なぜかといったら、日本は何年も論文を出さないでいると日干しになってしまうからなんですよ、今でも。これがますます強まるんじゃないか。
したがって、私は、少なくとも都立の大学の改革というならば、国の動向について、やっぱり国の大学の方でどういう論議がされているのか、それから、都立の大学の中でもどういう意見があるのか、どういう不安があるのか、もっともっと酌み尽くしてほしいと思う。
そこで、さっきもお話ししましたが、少なくとも、私たちも真剣に議論したいので、今後の検討会、いろんな検討会が予定されているようですが、そこに出した資料については、全部委員会に積み上げろとはいいませんが、インターネットで公開するとか、積極的に求めたいと思ったら、私たちが手に入るような方法をとっていただきたい、それぐらいはできると思うんですが、いかがでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、現段階ではいわゆる内部の検討をしている状況でございます。内部の検討状況を一定の整理をした上で、都民にもわかりやすく、また誤解の生じないような段階に至って初めて資料を提出をしていくというふうに考えております。
○曽根委員 私たちは、少なくともその検討会の、そのものの資料を要求します。ただ、今のお答えですと、何らかの整理をした上で出すということを考えているようですから、早急に一定の整理はあったとしても、わかる内容をいただきたいんです。そうじゃないと、なかなか議論ができませんので。
それと、この機会に、本部として大学の方々の意見、都の教育委員会の意見、都議会、一般都民の方、学生、それぞれからは意見を聞く場を持ったり説明の場を持ったりしているのはわかりますが、それぞれ全部個別にやっているわけですよね。したがって、一堂に会する論議の場もあっていいんじゃないか、こういう閉鎖的な、それぞれ個別通行的な議論のやり方を改めて、公開の論議の場を設けてよいんじゃないかと思うんですが、こういう考え方はいかがでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 都民を含めまして、広く大学改革についての意見をお寄せいただくということは重要なことだというふうに認識しております。今後とも、適切な情報提供並びに意見の収集に努めてまいりたいと思っております。
ご提案のシンポジウム等の開催につきましては、方法として効率的に適切なものかどうかも含めまして検討をいたします。
○曽根委員 ぜひ一回はきちっとやってもらいたいと思います。
それで私、今度、大綱の中で、この間論議しませんでしたけれども、都民とやっぱり違うところで議論しているとこういうものが出てくるという典型が、全寮制の問題だと思うんですよ。この間、余りに唐突なあれが入っているんで、議論しにくかったんですけれども、これはどこから出てきた構想で、全寮制をしくことによって都立の大学の存在意義が高まるとか、価値が高まるとかいう何らかの見通しを持って提案されているんでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 全寮制につきましては、東京都大学運営諮問会議におきまして、基礎、教養教育の重視についてご議論をいただく中で、学生の豊かな人間性をはぐくむという観点から、教室だけではなく、同じ世代の若者同士が寝食をともにし、時間を忘れてさまざまな議論をするなどして、刺激し合う環境を用意することも重要であるとのご意見をいただいたところでございます。東京都大学改革大綱におきましては、再編統合により設立する都立の新たな大学では、これまでの学部教育を再構築をいたしまして、幅広い見識や豊かな人間性、それによって涵養される判断力を学生が身につけることができるように基礎、教養教育を重視していくという考え方、方針を打ち出しており、この諮問会議での意見も踏まえまして、全寮制も一つの試みであるという観点から、そのあり方の検討を盛り込んだところでございます。
全寮制につきましては、学生の生活にも大きな影響を与えるということもございますので、今後そのあり方につきまして、十分検討をしてまいります。
○曽根委員 学生の生活をある意味で縛らなきゃならないものですよ。全寮制ですからね、寮をつくるというんじゃないんだから。しかも、どう考えても費用的に合わないですよ。私もお金の問題だけで教育を云々する気はないけれども、今、新築のアパート、一人部屋、大体一人三百万円ぐらいかかるわけですから、一万人からの大学生の全寮制をつくったら数百億ですよ。数百億のお金をかけて寮をつくって、少なくとも大体都庁の管理費を見たって、それから十億円程度の管理費がずっとついて回るでしょう。学生からの負担も避けられない、授業料以外に負担をしてもらわなきゃならない。しかも生活は縛られる。確かに、イギリスだったらステータスになりますよ、それは。しかし、日本にはそういう教育の場における伝統はないんです。それが結局、じゃ、そういう全寮制を何百億もかけてつくって、学生がそれを目指して来るかということなんですよ。選ばれるんですから、これから大学は。もし、いや、全寮制でみんな寮に入らなきゃならないんだったらちょっと敬遠しますとなったら、何百億のお金が水の泡ですよ。だからやっぱり大学の改革大綱をつくるんだったら、当事者のさまざまな分野の方の意見をちゃんと聞いて、そういう中身を考えてもらいたいというふうに思うんですよね。これは意見として申し上げておきます。
それに関連して、今回授業料の値上げが提案されているわけですね、入学料と。それで先ほど、影響についてもご意見ありました。私、山本委員や石川理事の意見、前半の方で、学生にこの厳しい中で負担を強いるのは非常に問題だということで取り上げておられたのを、私も本当に率直に同感です。
それと加えて、ちょっと予定はなかったんですけれども、確か二年前に、授業料を前回値上げしていますよね。あのときに、スライド制というのが導入されて、在校生も値上げにかかってくることになったわけですね、新入生だけじゃなくて。そのときに、当時、文教委員会で我が党のくぼた議員が質問しているのを見ますと、十二年度入学の新入生については、十二年度と翌年十三年度、今年度ですね、連続してスライド制の影響を受けて連続値上げになるということを指摘しているんですが、そう考えると、今度の値上げは十五年度ですから、十二、十三連続上がって、来年度はないけれども、十五年度にまた上がると、十二年度入学生ですね。三回目の値上げが来るということになるのかどうか、ちょっとそこだけ確認をしたいんです。
○二村管理部長 前回の値上げでございますが、これは、前知事の時代に使用料、手数料の改定が見送られた経緯がございます。その分を取り戻すといいますか、それで十二年度、十三年度と合わせて改定をしたものでございまして、今回の改定はそういった考え方に立っておりませんで、十五年度の授業料一つでございます。
○曽根委員 そうすると、やっぱり十二年度の入学生は、入学した年に上がり、それから十三年度に上がり、ことしはこれ、今決めようとしている段階ですから間に合わないけれども、来年度また上がる。これは間違いないですか、同じ学生が三回値上げになるというのは。前回も二万七千六百円の値上げで、今度は二万四、五千円になりますか、出ていましたよね。それで、今回だけじゃないわけで、大体二年ごとに国の方も改定しているんです。それで、先ほど質問がありましたので、繰り返しません。東京都が独自の大学構想を考えようというときに、何で授業料だけは国にぴったり寄り添うようにくっついていかなきゃならないんだというのは私も思うんですよ、石川理事と同様に。
それで、むしろ考えるべきは、いかに優秀な--研究者の話はさっきしましたよね。優秀な学生を確保するという観点に立てば、負担はやっぱり軽くした方が集まりやすくなるということは間違いないと思うんですよ。もし全寮制なんかしいて、三百億の建設費、毎年十億程度の維持費をかけることを考えたら、学生の授業料に還元してあげた方がよっぽど--全国から優秀な学生が集まってきますよ。だって、B類なんかはほかにないからね。本当に全国から理科系のB類を目指して都立を受けにくるんですから、働かなきゃならない優秀な人たちが。そのぐらいの考え方があってもいいと思う。
私、たしかこの検討会の意見の中に、どこだかよくわからないんですけれども、院生だけでも無料もしくは低廉な授業料にしたらどうかと。大学院生というのは、授業を受けて教育を受けているというよりは、研究に参加している側面が非常に強くなりますよね。授業は余りないと思うんですよ、たしかそれほど。研究に参加している。それで、優秀な院生を集めるということは、大学の研究のレベルを上げることに非常に有効だといわれているのですね。
ですから、そういう点では何か数億円ぐらいで大学院生の授業料をゼロにもできるということでしょう。寮をつくることを考えたら百年ぐらい大丈夫だなと思うんですけれども、そういった思い切った発想をして優秀な学生を、四年制の方で、最初の高校卒業の新入生はいろんな人がいますよね。東京都の人が多いかもしれない。しかし、大学院生というのは、やっぱり大学院を受けるときにはいろいろ全国のを調べて、自分に一番合ったところを選んでくるわけですから、そこで大学院の授業料を安くするというのはなかなかなアイデアだなと思うんですが、これについてはご存じでしょうか。それとまた、こういう考え方についてはどう評価されるんでしょうか。
○鎌形大学管理本部長 先ほど来、全寮制と結びつけられるというのは、ちょっとこれはいかがなものかなという気がいたします。全寮制は、お金がかかる、かからないの問題じゃなくて、教育をどうするかという教育目的のために全寮制をどうするかという議論で今、検討を進めているわけですので、いい学生を集めるためにまず全寮制、そういう意味では、通用するところがありますけれども、教育目的ということでございますので、ちょっと混乱があるかなと思います。
それから、いい大学にするためにはぜひ生徒を集める、これは当然のことでございまして、ただそれを、授業料を安くする、ただにすればいい生徒が来るのかということは、これは少しまた違うんだろうなと思います。大学の教育と研究の質を上げる以外にいい生徒は来ないということでございますので、いい生徒を集めるためには、お金を安くするということよりも、授業料を安くするよりも、むしろ教育と研究のレベルを上げるということだろうと思います。そういった面では、これからの新しい大学の中では、教育、研究の充実はぜひ図っていきたいというふうに考えております。
それからもう一つ、そういった面で学生にインセンティブを与えるという意味では、まだ我々の方も、優秀な生徒をどうするかという意味では、インセンティブのつけ方につきましては、これから検討しなくちゃいけない課題であるというふうにも考えております。
○曽根委員 今お話のあったように、大学は研究、教育、それにはいわばそれを提供する側の先生方、教員の人たちの問題と、そして受ける側の学生の問題がある。私は今、学生の問題をいいました。先ほどいった教員の側の問題もあるわけなんです。両面から見て、どんなにすばらしい美辞麗句をここに書いても、優秀な教授が大学に来てくれなければ教育、研究のレベルは上げようがないんですよ。ですから、教授の人たち、先生方がどういう、自分のやりたい研究を思い切ってできるような環境をこの大学の中に見出していくのか、それをどう保障するのか、ここで本当に真剣に考えておかなければならないと思います。法人化することがそれに資することがあるんだったら、それはもう納得できるように説明しなきゃならないと思うんですが、今のところははっきりいって説明できていないと思うんです。
大学の意見がどういう意見が出ているかは、あとで整理した形でお示しいただきたいと思うんですが、相当やはりみんな厳しい目で見ています。ですから、そこのところが第一点と、それから、鎌形さんがいみじくもおっしゃったように、いい学生をやはり確保すると。単にかき集めるというんじゃないですよね。いい学生が最終的に大学に残って研究に参加してくれて、大学全体の研究のレベルを上げるために貢献してもらうと。欧米では、学生、院生は基本的に学費はかからないわけですよ。ましてや院生については、研究に参加して、大学のレベルアップに貢献するわけですから、一部手当だって出しているところがあるわけですよ。日本は、負担をかけているわけですよ。
したがって、これから新しい大学を考えていくんですから、本当に学生の側からも魅力のある、そして参加しようという気の起きるそういう大学の教育体系をつくっていただきたい。私は、そういう点では、寮をつくる問題も、授業料の問題も、大きな意味ではその考えで、同じ範疇の問題としてとらえるべきだというふうに思います。
今回提案されている授業料の改定については、そうした観点から見て、まず第一に東京都として志を持つべきだと思うんです。ましてや、先ほどお話のあったように、この厳しいときに、おととし入った学生は、もう三回目の値上げですよ。参っちゃいますよ。年間五万円を超えるでしょう、値上げ幅を合わせれば。こういうことの負担を一方的に学生に押しつけて、新しい授業料になると還元があるのかと先ほどお話があったけれども、具体的には何にもないわけですよ。そういう値上げについては全く認められないということもあわせて申し上げて、質問を終わります。
○執印委員 私も、議案の授業料の改定につきまして、何らかのルールに基づいているのかということと、それから、この景気の回復しないときに値上げするということの判断について質問しようと思いましたが、これまで質問がございまして、大体理解をいたしましたので、意見だけ申し上げます。
ルールというよりも、やはり国立の値上げに沿って値上げしているということで、これは東京都独自の考え方を持つべきではないかというふうに思います。それから、景気の回復については、かなり厳しい状況になっておりますので、心配をしておりますのと、本当にこれでいいのかなという感想を持つということをお伝えをしておきたいと思います。
それでは質問に入りますが、この予算書の九ページのところに、新たな大学の施設の基本構想、基本設計経費を計上という経費内訳、新たな大学の施設整備費というふうになっておりますが、具体的にどのような施設についてのものなのか、お伺いいたします。
○二村管理部長 東京都大学改革大綱では、一年次の基礎教育は主として現在の都立大学がございます南大沢キャンパスに集約して行うという考え方を示したところでございます。また、先端科学技術研究の研究科の創設や、産・学・公連携センターの設置もすることとしております。
これらにつきましては、既存の施設や研究設備などを最大限有効活用するとしても、現大学の講義室あるいは実験室等の規模や内容では対応が不可能な部分もございます。これらに対応した施設整備を進める必要があることから、必要な基本構想、基本設計に係る経費を今回予算案に計上しているところでございます。
○執印委員 それでは、この施設整備につきまして、どのようなメンバーで検討を行うのかということと、またいつごろをめどにこの検討の状況が出てくるのかということをお伺いいたします。
○二村管理部長 現大学の再編統合による新大学の設立は、平成十七年度を目途としておりまして、工期等を考えますと、施設整備の検討は早急に進める必要があるかというふうに考えております。
現在、学部のコースや大学院の専攻など、新大学の基本構想において、基本構成について検討を進めておりまして、施設整備については、この教育研究と密接に関係していることから、こうした検討の進行を受けまして、大学と私ども管理本部から成る会議による検討を新年度早々に開始いたしまして、平成十四年度中に基本構想、基本設計をまとめていきたい、こう思っております。
○執印委員 それでは、その中に学生の声の反映というのは、実際に例えばメンバーに入るとかいうような形も含めて、学生の声はどのような形で反映されていくのかをお尋ねいたします。
○二村管理部長 都立の大学をどのような新たな大学として改革していくかにつきましては、東京都大学改革大綱策定の過程で議会や都民を含めた幅広い議論をいただいたところでございます。今後は、学部や大学院の専攻の教育課程をどのように編成していくかなど、大学の教育研究の内容そのものが主な検討の対象でございまして、施設につきましても、それと深く関連する講義室、実験室の改修、増築等が主な整備内容となります。
これらにつきましては、大学の教員を主体とする検討が中心になるものと考えております。もとより現在検討中の学部の学科、コース、大学院の専攻など、新たな大学の基本構成などが固まった時点では、広く都民の方々にもお知らせしてまいりたい、こう思っております。
○執印委員 大学の先生とか職員の方が中心になって議論されていくということだと思いますし、ある程度の時期を経て都民の声を聞くというふうにおっしゃったので、学生の声を直接聞くというようなお答えではなかったのかなというふうに思うわけですが、先ほど、いろんなやりとりの中で、学生に判断力を身につけさせることが大事だというようなお話がありましたので、私は、本当は、こういう大学の改革についても、きちんと学生の声を聞きながら、基本設計に係る部分についても学生の声をきちんと聞きながらつくっていくということが大事だと思います。今、東京都のそういったいろんな物事の進め方の中に、そういった発想が余りないようなので、私、ここで質問してもかなり厳しいんだろうというふうに思っておりますが、要望しておきます。
それから、この件については、議会に対して、基本設計に関してどのような形でいつごろ示されるのか、お伺いいたします。
○二村管理部長 施設整備でございますが、今後基本構想、基本設計を経まして、実施設計から工事へと進んでいくことになります。実施設計や建設工事費の予算はもちろん、工事契約につきましても、議会案件になるものと想定されます。こうした過程の進行に合わせまして、施設整備の内容等を議会に提案後、ご審議していただくことになるものというふうに考えております。
○執印委員 今の大学改革の様子というのを見ておりますと、議会の側から意見をいっても、都民の側から意見をいっても、ある程度の線がもう決まっていて、なかなか耳をかしていただけないような感じがあるわけですが、さまざま指摘をさせていただきましたことを十分に反映をさせていただきたいというふうに思っております。
次に、公開講座について伺いますが、都民カレッジが昨年の九月に廃止されまして、これにかわるものとして、市民団体との協働でオープンカレッジを実施するということで、私も以前質問させていただきました。昨年秋からどのような講座があって、どのくらいの受講者があったのかをお伺いいたします。
○中山調整担当部長 昨年秋から、都立大学教職員、地域の市民代表、都民カレッジ受講者有志など、合計約三十名から成りますオープンカレッジ実行委員会を発足させまして、都立大学キャンパスで七講座、それから都心部の会場で三講座の合わせて十講座を企画、運営してきたところでございます。
講座の内容といたしましては、「民族と国家の哲学を超えて」ですとか、あるいは都民とともに企画、立案する講座といたしまして「生涯年金獲得一億円戦略講座」など、多岐にわたるテーマ設定となってございます。まだすべての講座が終了したわけではございませんけれども、受講者数はおよそ五百六十名程度となる見込みでございます。
○執印委員 今お聞きしましても、なかなかおもしろい題で講座をやっていたんだなというふうに思いますが、参加者五百六十人ということで、広範の人数ですから、結構受講者があったというふうに思いますが、受講者の反響はどうだったかということと、また、運営には三十名ぐらいの方が実行委員会としてかかわったということですが、この方々の感想などはどうだったのか、お伺いをいたします。
○中山調整担当部長 受講者の反響でございますけれども、受講者のアンケート調査などによりますと、講座内容がとてもよかったが四四%、それから、よかったとする者が四二%と、合わせて八割以上の受講者が講座に満足していることがうかがえます。
また、運営に携わった市民委員からは、講座実施の企画にもかかわりたいという意見、あるいは聴講者と講師双方の意欲がかみ合う内容の講座を実施し、それを継続していくことが重要であるといったような意見が聞かれてございます。
○執印委員 大体八割の方がよかった、そういう感想を述べていらっしゃるということですが、この半年間の成果を受けて、十四年度は四大学に関する予算の中でもあるわけですけれども、どのように対応されることを考えていらっしゃるのかをお尋ねいたします。
○中山調整担当部長 今年度のオープンカレッジは、生涯学習事業の新しい運営方法の試みの一つとしてスタートしたものでございます。市民団体とも比較的良好な関係のもとに実施され、一定の成果が上げられたものと認識しております。
平成十四年度につきましては、都立大学の教員を中心といたしました体制で新たにおよそ二十講座を開講する予定でございますけれども、そのうち年に何回かは、その企画に際しまして、市民の意見を取り入れたいわゆる手づくりの公開講座を予定しているところでございます。
○執印委員 わかりました。生涯学習支援の四大学共同公開講座等の中に、その予算が組み入れられているんだというふうに思います。ぜひ、せっかくつくってきた地域の力、市民の方との力ですから、積極的にこれからも伸ばしていっていただきたいと思います。
それで、もう一つ質問があるんですが、先日新聞に、三月九日の日経新聞、「東京・多摩の45大学 産官学で地域活性化 住民と地道に連携 幅広く12プラン具体化へ」、そういう記事がございました。新聞記事を読みますと、さまざま、公立中学校へ学生たちがお兄さん、お姉さん先生として派遣されていくというようなものを含めて、おもしろい試みがされているなという感じがするわけですが、この新聞記事では、「これまで産官学連携といえば、ともすれば、米国を参考としてITやバイオテクノロジーといった先端的なトピックスに対する国家戦略とのかかわりで議論される場合が多かった。しかし、地域が抱えている諸問題の解決のために、住民を巻き込んだ形の産官学連携を地道に進めて行くことも、大学にとって重要な課題である。」と。学生にとっても大きな教育効果があるし、地域の活性化に有効であるというモデルを示すことは、地方分権の時代に地域に力強いエールを送るということが書かれているわけですが、これに対して、都立大学ではどのようなかかわりをされているのか。また、今質疑をさせていただきましたオープンカレッジと何らかの関係を持ちながら進めていくのか、そこをお尋ねいたします。
○中山調整担当部長 今、委員からお話がございましたのは、都立大学を含む多摩地域の四十五の大学と自治体、企業、市民等が連携いたしまして、生涯学習事業や産・学・公連携事業等を行う組織として、学術、文化、産業ネットワーク多摩、そういった組織が本年七月ごろに設立される予定であるというふうに聞いてございます。ここで公開講座を行うということで、都立大学も参加してございまして、多摩地域の複数の大学と、自治体、市民が連携して実施することが今、検討されてございます。今回の都立大学におけるオープンカレッジの成果は、そういった中でも生かされていくものと考えてございます。
○執印委員 ぜひ、多様な形の文化を地域からつくるという意味でも、積極的に都立大学としても参加をしていただきたいということをお願いしますとともに、オープンカレッジもいい形で地域をつくる一つの力になっていくと思いますので、積極的に進めていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。
○東委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後二時五十四分休憩
午後三時二分開議
○東委員長 休憩前に引き続き委員会を続行いたします。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○後藤委員 私の方からは、資料をまず配らせていただきたいのですが、お許しください。
〔資料配布〕
○後藤委員 とりあえず私の方からは、小さい話をやらせていただきます。
都立大学の寄宿舎があると思うんですけれども、この寄宿舎の家賃と、入っていらっしゃる人数をできたらお答えください。
○二村管理部長 寄宿料は条例で定めておりますが、月額三千三百円でございます。入所定員は、男性が百七十四名、女性が六十名の二百三十四人でございます。
○後藤委員 大学が負担している部分があると思うんですけれども、どの部分を負担をしているか、お答えください。
○二村管理部長 基本的には、寄宿生が私生活のために使用する光熱水費、あるいは電話料は寄宿生が負担しておりまして、個室分の経費は個人が、また共同使用しますふろなどの経費は全員で負担しております。大学は、寄宿生の使用の有無にかかわらず、必要となる基本的費用を支出しておりまして、平成十一年度決算で管理委託料など二千七百二十万円となっております。
○後藤委員 資料をいただきまして、水道光熱費が一千九百二十六万八千円、それから一般需用費は三十八万円、委託料、これが多分管理人さんだと思うんですけれども、六百九十六万九千円、それから備品の購入費としまして、冷蔵庫だとか洗濯機、五十八万三千円というふうになっているんですが、水道光熱費が一千九百二十六万八千円というのが異常に高いと思うんですけれども、何に、例えばどこの部分ですか。
○二村管理部長 水道料金でございますが、学生のおふろは一カ所しかございませんので、そのおふろが中心だと思いますけれども、漏水もあるというふうに聞いております。
○後藤委員 この一千九百二十六万八千円というのは、見ましたならば水道とガスと電気というふうになっているのですが、ちょっと高いかなというふうに思ったのですが、できましたら後でまた教えていただければいいと思います。
先ほど答えていただいたのですが、これの合計が二千七百万円、これを人数で割りますと、一人頭十一万六千二百五十円になるんです。たしか家賃が三千三百円ですから、結局三千三百円ということは、一年間で三万九千六百円。一人当たりの都立大学で支払っている金額が十一万六千二百五十円、個人が払っている金額が三万九千六百円なんですが、先ほどから山本委員のご質問の中で、授業料に関しては受益者負担というふうなことをずっといわれていたんですが、寄宿舎に関しては、こちらの方は受益者負担というのは考えなくてもいいのですか。
○二村管理部長 現在の寄宿料の月額三千三百円の根拠でございますが、まず、寄宿舎の面積が五千三百二十四・四五平米ございます。これに、入寮している学生二百三十四人で割り返しますと、二十二・七五平米という数字が出てまいります。この二十二・七五平米といいますのが、国の方で寄宿舎等に適応しております金額三千三百円と同一でございまして、私どもは、こういったことも参考にして金額を設定させていただいているところでございます。
○後藤委員 観点を変えて聞きます。例えば都立大学の近所の民間のアパートの家賃が大体幾らぐらいになっているのか。それと、寄宿舎に対する希望があると思うんですけれども、簡単にいえば倍率だと思うんですが、倍率がどのぐらいになっているのか、教えてください。
○二村管理部長 寄宿舎は六人部屋になっておりまして、六人共通のダイニングルームのほかに個室がございます。それが一つのユニットになっておりまして、そこにトイレがございます。ふろは入所者全体の共用のおふろということで、これを民間アパート等に適応するというのはなかなか難しい問題がございます。ですが、あえていいますと、ちょっとこれは大学から遠いんでございますが、自転車で四十分程度のところで四畳半で一万八千円、それからもう一つの例では、六畳間で三万円というのはございます。
入所希望者の倍率でございますが、過去三年間で見ますと、おおむね二倍程度でございます。
○後藤委員 片や授業料の方では受益者負担というお言葉をお使いになるんだとしたら、こういうふうな話にも一貫性を持たせておかないとまずいんじゃないかなと思いますので、できましたならば、この辺は考えていただいた方がいいんじゃないかなと思います。先ほどから、国に倣っているといいますけれども、これはあくまでも寄宿舎ですから、例えば近隣のアパートだとかというふうなことも考えるべきだと思います。
次に移ります。資料としてお配りしました件になるんですが、この四つの大学の清掃委託についてお尋ねします。
資料によりますと、例えば清掃委託だけを見まして、十四年度の予算と十三年度の予算で比べますと七千八百万円減額されています。これを十年度と比べますと、約半分になっています。十年度から十四年度までの減額の幅を、例えばということで都立大学を見てみますと、十一年度には三千二百五十三万円が減額されています。十二年度には六千八百八万円の減額、十三年度には四千百三十四万円が減額されています。十四年度、ことしの予算ですが、五千三百八万円の減額というふうになっているのですが、これだけ毎年毎年予算で減額をしていく、多分大変だったと思うんですけれども、どのように改革をなさってきたのか、できたならば具体的に教えていただきたいと思うのです。
○二村管理部長 大学も、東京都の施設としまして、財政再建推進プランに基づくシーリングによる予算の縮減を求められております。清掃委託につきましても、仕様の見直しによりまして、経費を削減してきたところでございます。具体的には、衛生上の問題がある場合を除きまして、清掃作業の回数を大幅に縮減するなどしてきた結果、このような大幅な経費縮減になったものでございます。
○後藤委員 資料の下の段から七行目になりますけれども、科学技術大学、科学技術の交流施設というのがあるんですが、この科学技術の交流施設の委託料を見てみますと、九年度と十年度というのは五千六百六十五万八千円で変わらないんですが、十一年度には二百万下がっています。十二年度からは十一年度に比べますと何と七三%下がりまして、一千四百七十万円。そして、今度は十三年度になりますと、十二年度と比べまして約二倍の二千八百十四万円になっているのですが、例えば七三%の減額ですから、十一年度から十二年度にかけまして交流施設の清掃委託の仕様が変わっていると思うんですけれども、大幅に変わっているのかどうか、できたらその辺をお願いいたします。
○二村管理部長 予算額の削減に伴いまして、契約の予定価格が年々縮減していることは事実でありますが、各業者がその時々の入札価格を決定する方法は市場原理に基づいておりまして、競争の結果であろうと推測されるわけでございます。いずれにいたしましても、この間の事情については都としては知り得ないということでございます。
お尋ねの契約でございますが、財務局において執行されておりまして、入札等の手続きは規則等に基づいて行われ、特に手続上何らの瑕疵がないものと考えられます。
また、清掃委託の仕様見直しの件でございますが、十一年度は清掃回数の見直し、これは各日清掃分等の回数の減少でございます。十二年度は単価の見直し、また清掃回数の見直しもあわせて行っているところでございます。
○後藤委員 例えば、部長の今のお話を聞いていますと、何で前からやらなかったのかなと思うんですけれども、結局、前からそういうふうな見直しを確固とやっていれば、現在のような赤字、金がない、金がないというふうなことにはならなかったんじゃないかなというふうに思います。
それで、私がつくりました表の上から七、八行目になると思いますが、国際交流会館の宿舎の清掃というのがあるんですが、これだけが例えば十年度と比べましても高くなっているんですよ。それで、ほかのものに関しましては、例えば半分になっているものもあります。例えば二割、三割下がっているのもありますけれども、国際交流会館の宿舎の清掃に関しましては、十年度と比べましても六十九万円高くなっているんですが、私がいいたいのは、結局、予算を立てるときの積算をもう少し正確、例えば厳しくやるべきだというふうに思います。
例えば大学なんですけれども、法人化をされた場合には、このような契約というのは、多分大学がやると思うんですけれども、現在でしたらば、例えば契約だとかすべてのものが情報公開の対象になっていると思うんですが、仮にというよりは、今度は法人化されるわけですが、法人化された場合の情報公開、例えば今回の契約に関することみたいなことの情報公開はどのようになるのか、お答えください。
○二村管理部長 法人化後の財務契約につきましては、まだ検討段階のため未定でございますが、法人が独自の予算で行う契約行為については、基本的には法人が独自に基準を設けて実施することになるというふうに考えております。
情報公開の件につきましては、したがいまして、法人独自の基準を設けることになりますが、現行の東京都情報公開条例の適用から、そういった意味では外れることになるというふうに私どもは考えております。しかしながら、独立行政法人がどのような制度設計になるかまだちょっとわかりませんけれども、仮に都から一定程度の運営交付金を投入するということを前提にいたしますと、出資等法人については公開条例の三十三条で公開することになっておりますので、独立行政法人においてもこれに準拠した制度の整備が行われるものというふうに考えております。
○後藤委員 できたならばまとめさせていただきたいのですが、例えば予算の積算なんですけれども、もう少し一貫性を持たせていただきたいと思います。例えば仕事の内容が全く変わったものだったならばいいんですが、例えば今回みたいな清掃で、片や半分になっている、片や二割、三割。例えば二割下がっている、三割下がっているぐらいだったならばいいんですけれども、例えば高くなっているというのは、これはやっぱりまずいと思いますので、この辺の予算を立てるときには一貫性をできたならば持っていただきたいというのと、例えば寄宿舎の件なんですけれども、こういうふうに受益者からお金を取るようなケースがありましたならば、片や取る、片や取らない、片や上げる、片や上げないというふうに変なふうな、例えばダブルスタンダードというのかわかりませんけれども、できたならば、役所がやることですから、ひとつ一貫性を持っていただきたいということをお願いします。
終わります。
○小美濃委員 それでは簡潔に質問させていただきます。大分質問も出ておりますので、簡潔に行います。
昨年十一月に東京都立大学の改革大綱、これが発表されました。都立大学の改革の具体化、また新大学の設立準備に関する検討など、順次進められていることと思います。先日の委員会、また本日のさまざまなご答弁などによって、十四年度の予算案の中にも大学の改革の推進に要する経費が計上されております。
そこで、お伺いをいたしますけれども、現在改革の検討状況、また、十四年度にはどのような改革に取り組んでいく予定なのか、ダブる部分もあるかもしれませんが、よろしくご答弁をお願いをいたします。
○佐藤改革推進担当部長 東京都大学改革大綱の策定以降の検討状況についてでございますが、大綱では平成十七年度を目途に設立をいたします新たな大学につきまして、学部や大学院の研究科といった単位での大学の組織を示したところでございます。現在は、主にその下の専攻やコースの設計など、新大学の基本構成について検討をしております。
また、新大学の発足を待つまでもなく、現行の大学でできる課題につきましては速やかに実施することを基本として改革に取り組んでおります。例えば、学生の教育の面では、都立四大学の単位互換制度を平成十四年度から開始することにいたしました。一方、大学の研究成果を広く都民や企業等に知らせ、活用していただくために、工学系を中心といたしました研究成果約三百件をデータベース化いたしまして、先月インターネットを通じて提供を開始したところでございます。
今回の予算案でも、四大学共同での公開講座や新たな学習機会の提供としての社会人聴講生制度の導入、また、第四回定例会で議決をいただいた保健科学大学の大学院の開設、平成十五年度開設を予定しているビジネススクールの準備経費など、これらを盛り込んでいるところでございます。
○小美濃委員 学生や都民の期待にぜひこたえていただくために、引き続き改革に向けて取り組んでいくことを要望いたしておきます。
また、この大学改革大綱では、平成十七年度を目途に都立の四大学の再編統合により設立する新たな大学、これには夜間課程を置かないとされております。先ほど質問にも出ておりましたが、都立大学の夜間課程、いわゆるB類の取り扱いについては、さまざま質疑が行われておりましたが、従来の意味での勤労学生の割合が著しく低下をしているなど、新大学にはこれを置かない、つまり廃止をすることについては、私は十分理解をしているつもりであります。
ところで、この四月からの新一年生については、夜間についても従来どおりの入学試験を実施をしているようでございますけれども、B類の募集はいつの時点で停止をしようと考えているのでしょうか。大綱で廃止を明らかにした以上、都民、とりわけこれから都立大学を目指そうという受験生に対しては、社会的責任から、いつから募集停止をするのかということをできるだけ早期に明らかにしていく必要があるのではないかと考えているわけであります。
昨年の文教委員会では、大学とも協議をしながら検討中、また夜間課程の見直しについて、大学で学生への説明の場を設定しているなど説明があったわけでございますけども、その後の状況と、現在どのように考えているか、お伺いをいたします。
○佐藤改革推進担当部長 ただいま委員ご指摘のとおり、いつまで募集をするかどうかは大学への入学志願者等への影響が大きいことから、早期に募集停止時期を明らかにしていく必要があるというふうに考えております。
都立大学の夜間課程の見直しにつきましては、昨年の文教委員会の後、都立大学において、大学主催で一回、また学生主催で一回、計二回学生への説明会を実施したところでございます。この説明会では、開催時間につきましても、学生の希望を聞いて夜間の授業の終了後に開催をしたところでございます。その後、都立大学におきましては、大学としては、平成十五年度の入学者を最後にB類の募集を停止することを決定したところでございます。また、都立短大においても、夜間課程について平成十五年度の入学者を最後に学生の募集を停止することを、大学としては決定したところでございます。これを受けまして、近く都といたしまして、最終的に募集停止時期を決定する予定でございます。
また、先ほどご説明申し上げましたとおり、現在学部のコース、学生定員など、新大学の基本的構成を取りまとめておりますけれども、この検討とあわせまして、都立大学のB類や短大を含めました現行の課程の募集停止時期など、新大学の設立に向けました段取りについても早期に発表していきたいというふうに考えております。
○小美濃委員 大学改革大綱では、夜間課程を廃止する一方で、都民ニーズや修業形態の多様化を踏まえた新しい学習形態の整備などに取り組むことになっております。中でも、長い年月をかけて大学を卒業することができるパートタイム学生制度、これは、勉学意欲のある社会人から期待されておりまして、先日NHKでも取り上げられておりました。国における制度の検討状況についてお伺いをいたします。
○佐藤改革推進担当部長 去る二月二十一日、中央教育審議会から、「大学等における社会人受け入れの推進方策について」と題する答申が文部科学大臣あてへ提出をされました。この中で、いわゆるパートタイム学生制度につきましては、長期履修学生という名称で導入が提言をされておりまして、今後大学設置基準等の改正を経て、早ければ平成十四年度から制度化される予定になっております。
○小美濃委員 早ければ平成十四年度から長期履修学生として制度化されるということでありますが、それでは、都立の大学としては、今後どのような形で、いつからこの制度を導入することを考えているのかをお伺いをいたします。
○佐藤改革推進担当部長 都立の大学といたしましては、新大学の設立を今検討しておりますが、この設立に向けまして、この長期履修学生制度につきまして具体的な導入のあり方について検討をしてまいります。
○小美濃委員 確かに従来の夜間課程が想定していたような勤労学生、夜間でないと大学で学ぶことができないという人は、ごくごく少数になっていると思います。その一方で、社会人の学習意欲は高まっておりまして、これからの時代、生涯学習という観点からも、都民の学習需要へ新たな形で対応することが非常に重要になってきていると思っております。
長期履修学生制度以外にどのような仕組みで対応することを考えていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと存じます。
○佐藤改革推進担当部長 今日、社会経済状況の変化や技術革新が急速に進んでおり、一たん社会に出たものの、もう一度大学院等でより高度なことを学びたいという社会人の学習意欲が高まっております。そのため、大綱でも述べておりますが、夜間における教育の重点を学部レベルから大学院レベルに移しまして、都庁舎を活用したビジネススクールを平成十五年度開設に向けて準備をするなど、都民の学習ニーズに対応いたしました社会人向け大学院コースの拡充に取り組んでまいります。
また、先ほどご紹介申し上げましたように、平成十四年度から社会人聴講生制度を導入することとしております。これは、一般の学生と同じ授業を低廉な聴講料で提供するものでございまして、幅広い都民の生涯学習ニーズにこたえることができるものというふうに考えております。そのほか、先ほどの長期履修学生制度や公開講座など、多様な履修機会の提供に取り組んでまいります。
○小美濃委員 今後、広く社会人、そして都民の学習需要にも十分配慮しながら、公立らしい大学改革、新しい大学づくりを進めていくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で大学管理本部関係は終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時三十分散会
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