文教委員会速記録第二号

平成十四年二月十九日(火曜日)
第三委員会室
午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長福島 寿一君
副委員長服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
理事遠藤  衛君
理事執印真智子君
後藤 雄一君
野上じゅん子君
小美濃安弘君
野島 善司君
曽根はじめ君
山本賢太郎君
比留間敏夫君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長押切 重洋君
理事小田原 榮君
総務部長小海 博指君
学務部長比留間英人君
施設部長松田 紀子君
人事部長中村 正彦君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
人権・企画担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
局務担当部長千葉 和廣君
参事近藤 精一君
生活文化局都民協働部長中島 建夫君
参事島田幸太郎君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
  第一回定例会提出予定案件について(説明)
  ・平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 教育庁所管分
  ・平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 教育庁所管分
  ・東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
  ・学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
  ・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
  ・学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  ・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
  ・東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
  ・東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
  ・東京都近代文学博物館条例を廃止する条例
  ・東京都美術館条例の一部を改正する条例
  ・東京都現代美術館条例の一部を改正する条例
  ・東京都現代美術館及び東京都美術館運営審議会条例を廃止する条例
  ・東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
  ・東京都生涯学習センター条例を廃止する条例
  ・東京都体育施設条例の一部を改正する条例
  ・都立立川養護学校(十三)改築工事請負契約
  ・地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
  報告事項(説明・質疑)
  ・学校運営組織における新たな職「主幹」の設置に向けて
  ・都立図書館あり方検討委員会報告について
  請願陳情の審査
  (1)一三第一八五号 都立久留米高校の存続に関する請願
  (2)一三第一九二号 都立高校の統廃合改編計画の見直しに関する請願
  (3)一三第二二七号 都立高校改革推進計画の都民参画による見直しと教育諸条件の改善等に関する請願
  (4)一三第一九四号 東京都立片浜養護学校の存続に関する請願
  (5)一三第二三七号 都立片浜養護学校の存続と教育条件の充実に関する請願
  (6)一三第二二〇号 すべての子どもたちにゆきとどいた教育の保障に関する請願
  (7)一三第二二九号 すべての子どもに豊かな高校教育を保障することに関する請願
  (8)一三第二二二号 「多摩地域・市民活動・NPOサポートセンター(仮称)」設置に関する請願
  (9)一三第二二三号 東京都立多摩社会教育会館における市民活動サービスコーナー事業の継続に関する請願
  (10)一三第二三九号 東京都近代文学博物館の存続に関する請願
  (11)一三第二四四号 都立多摩図書館の役割と機能の維持発展に関する請願
  (12)一三第二五六号 日比谷図書館児童資料室の移転、多摩図書館の蔵書の廃棄を中止することに関する請願
  (13)一三第二四九号 都立夢の島総合体育館屋内プールでの生涯水泳活動の継続に関する請願
  (14)一三第二五一号 「モラル都市宣言」の採択に関する請願
  (15)一三第二五二号 都立夜間定時制高校の教育の振興に関する請願
  (16)一三第二五三号の一 都民が生き生きとスポーツ活動が展開できる振興策に関する請願
  (17)一三第八四号 平成十四年度東京都公立高等学校定時制通信制教育振興に関する陳情
  (18)一三第九六号 東京都体育協会による東京都バレーボール協会への加盟団体脱会通告の撤回に関する陳情

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承をお願いいたします。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○横山教育長 平成十四年第一回都議会定例会に提案を予定しております議案の概要についてご説明を申し上げます。
 第一回都議会定例会に提案を予定し、ご審議いただきます教育庁関係の案件は、平成十四年度教育庁所管予算案一件、平成十三年度教育庁所管補正予算案一件、条例案十六件、契約案一件、諮問一件、合わせて二十件でございます。
 初めに、平成十四年度教育庁所管予算案についてでございますが、ご説明申し上げる前に一言お断り申し上げます。
 一昨年の十二月に策定されました都庁改革アクションプランに基づきまして、来年度から、これまで教育庁で所管しておりました文化振興にかかわる事務が生活文化局に移管される予定でございまして、これに伴いまして、文化施設四施設の管理運営及びその他文化振興事業の一部の経費については、生活文化局で計上されております。
 それでは、平成十四年度教育庁所管予算案についてご説明申し上げます。
 都教育委員会は、時代の変化に主体的に対応し、日本の未来を担う人間を育成する教育がますます重要であるとの認識のもとに策定しました教育目標に基づきまして、子どもたちが知性、感性、道徳心や体力をはぐくみ、人間性豊かに成長することなどを目指しますとともに、直面するさまざまな課題を解決すべく、教育改革に向けて具体的な施策を進めているところでございます。
 平成十四年度におきましては、東京都の政策課題の一つとして、子どもが健やかに成長し、未来に希望の持てる社会をつくることが位置づけられまして、教育委員会が立案した基礎的、基本的な学力の向上、都民に信頼される学校運営の確立、都立高校改革の推進、思いやりと規範意識の涵養の四つの施策に基づいた事業が東京都の重要施策事業として選定をされております。
 都教育委員会は、これら重要施策に基づく事業を中心にさまざまな事業に積極的に取り組み、さらに教育改革を推進し、都民の期待にこたえてまいりたいと考えております。
 以下、平成十四年度教育庁所管予算案の概要についてご説明申し上げます。
 教育庁所管歳出予算額は八千十億八千万円で、前年度に比べ四十七億三千六百万円、率にして〇・六%の増となっております。都教育委員会といたしましては、都財政の深刻な状況を踏まえた全庁的な予算編成方針に基づき、内部努力と事業の見直しによる徹底した経費の削減を行う一方、教育施策の充実を図り、教育改革を推進するため、重要施策にかかわる事業を中心として重点的な予算の配分に努めたところでございます。
 なお、東京都一般会計歳出予算に占める教育費の割合は一三・六%となっております。
 次に、教育庁所管歳入予算額は二千六百十四億円余でございます。前年度に比べ百七十六億九百万円余、七・二%の増でございます。
 次に、歳出予算案のうち、主な事業についてご説明申し上げます。
 初めに、児童生徒の健全育成に関する事業でございます。
 いまだ憂慮すべき状況にございます、いじめや不登校等の解決を目指しまして、引き続き学校、家庭、地域社会、関係機関との連携協力を図りますとともに、スクールカウンセラーの配置につきましては、国の補助制度を踏まえまして、平成十五年度の中学校全校への配置に向けてさらに拡大を図ってまいります。
 また、東京都の重要施策でございます心の東京革命につきましては、昨年度、都教育委員会が策定しました教育推進プランに基づき、トライ&チャレンジふれあい月間、道徳授業の公開、日本人としてのアイデンティティー教育あるいはアドベンチャースクールなどの諸事業を引き続き実施してまいります。
 来年度は地域住民が主体となって、児童生徒の学校内外の活動を支援する地域教育サポート事業や、地域における子育て中の親の相談相手を養成、配置を支援します子育てパートナー事業を新たに実施するなど、さらに区市町村との連携を図り、学校、地域、家庭でのさまざまな取り組みを拡充、推進し、より一層児童生徒の思いやりと規範意識の涵養を図ってまいります。
 第二は、高等学校教育の振興に関する事業でございます。
 都立高校の改革につきましては、来年度、新しいタイプの高校として、都立で二校目の総合学科高校である、つばさ総合高校を開校するほか、進学指導の充実や特色ある学校、開かれた学校づくりを進めるなど、第一次及び第二次実施計画に基づく諸施策を実施し、着実に都立高校の改革を進めてまいります。
 また、入学選抜制度の改善として、生徒の学校選択幅を拡大するため、来年度実施する入学者選抜から学区制を撤廃しますとともに、学力検査問題の自校作成校を拡大いたします。
 都立高校の改革推進計画は、平成十八年度までの計画でございますが、平成十四年度までの第二次実施計画に続き、来年度にはその集大成として、新たな実施計画を策定いたします。都立高校を取り巻く状況の変化を踏まえまして、新たな都立高校の改革を推進するものとして、中高一貫教育校の具体化や、新しい教育システムに取り組むなど、都民に信頼される、魅力ある都立高校の実現を目指してまいります。
 都立高校の施設整備につきましては、改革推進計画に基づく施設整備のほか、老朽校舎の改築や大規模改修、震災対策としての校舎の耐震補強などを計画的に進めてまいります。
 第三は、心身障害教育の振興に関する事業でございます。
 心身に障害のある児童生徒の教育につきましては、それぞれの障害の程度や発達の状態に応じた適切な教育を行い、能力を最大限に伸ばし、社会参加ができるようにしていくことが重要でございまして、平成十四年度におきましても、こうした観点に立って心身障害教育の一層の充実を図ってまいります。
 まず、聾学校における早期乳幼児指導でございます。聴覚に障害のあるゼロ歳から二歳までの乳幼児の正常な発達を、より専門的、効果的に促進するため、新たに医師や言語聴覚士などの専門家を確保しまして、教員と連携して、それぞれの障害に応じた適切な指導を実施してまいります。
 また、来年度から、盲・聾・養護学校の普通教室に冷房設備を計画的に整備し、心身に障害のある児童生徒の教育環境の改善を図ってまいります。
 このほか、老朽校舎の改築や校舎の増築など、学校施設についても整備、充実を進めてまいります。
 第四は、学校教育指導の充実に関する事業でございます。
 来年度から実施されます小中学校の新学習指導要領では、ゆとりの中でみずから考え、みずから学ぶなど、生きる力を育成することを目指しておりますが、そのためにも児童生徒の基礎的、基本的な学力の向上を図ることが重要でございます。このため、学年や教科の特性、及び一人一人の習熟度等に応じた少人数指導の実施について拡充、推進するとともに、大学生をティーチングアシスタントとして活用し、児童生徒の学習活動を支援してまいります。
 また、児童生徒の指導に当たる教員の資質、能力の向上につきましては、昨年四月に教職員研修センターを設置し、新しい研修体系のもとで、教員のライフステージに応じた研修をさらに拡充するとともに、新たに進学対策のための指導力向上研修を実施するなど、教員のより一層の資質、能力の向上を図ってまいります。
 次に、学校運営組織の整備でございます。
 現在、学校は多くの教育課題を抱え、また、保護者や地域の要望も多様化してきております。しかし、これらの課題等に学校としての組織的な対応が十分でないことから、学校の運営組織を整備し、都民に信頼される学校運営を確立していくことは急務でございます。このため、平成十五年度から、現行の主任制度とは異なる指導監督層として新たな職、仮称でございますが、主幹を設置する計画でございます。来年度はその準備を進めてまいります。
 第五は、生涯学習及び体育、スポーツ等の振興に関する事業でございます。
 今日、都民一人一人が生涯を通じてみずから学び、文化やスポーツに親しみ、社会参加できる機会の充実を図ることが必要となっております。平成十四年度も、都立学校公開講座を実施しますとともに、学校の特別教室、図書室などを開放し、多様な学習活動の機会の提供を進めてまいります。
 青年の家にかわる新たな社会教育施設としてのユース・プラザ、これは仮称でございますが、これにつきましては、区部は、PFIの事業手法によりまして、平成十五年度開館に向けて着実に建設等を進めてまいります。また、多摩地域についても、区部の手法を踏まえて準備を進めてまいります。
 次に、体育、スポーツに関する事業につきましては、引き続き都立学校体育施設の開放を実施するほか、都民のだれもがスポーツに親しむことができるよう、地域スポーツクラブづくりを支援する広域スポーツセンター事業を新たに実施するなど、区市町村、学校、スポーツ団体との連携を一層図り、その充実に努めてまいります。
 以上、平成十四年度教育庁所管予算案について、主な事業についてご説明申し上げました。
 都教育委員会といたしましては、これらの事業を着実に推進し、都民の教育への期待にこたえてまいる所存でありますので、ご理解とご協力をお願いを申し上げます。
 次に、平成十三年度一般会計補正予算についてご説明申し上げます。
 このたびの補正予算の目的は、国の緊急雇用対策によるものでございまして、緊急地域雇用特別交付金に基づき措置いたすものでございます。そのうち、教育庁所管分についてご審議をいただくものでございます。
 次に、条例案十六件についてご説明申し上げます。
 まず第一は、東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。学校教育法の一部を改正する法律の施行等に伴い、規定を整備いたすものでございます。
 第二は、学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例でございます。児童生徒数の増減や学校の新設及び廃止等に伴いまして、各学校種別ごとの学校職員の定数を改めるものでございます。また、再任用職員の定数管理につきまして、新たに規定いたすものでございます。
 第三の学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例及び第四の学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例、第五の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例、並びに第六の学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例につきましては、それぞれ学校教育法等、関係法令の改正等に伴いまして規定を整備いたすものでございます。
 第七の東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、都立高校改革推進計画に基づきまして、都立千歳高等学校及び都立烏山工業高等学校を廃止しますとともに、都立羽田工業高等学校の位置を変更するものでございます。
 第八の東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例は、高等学校の授業料等に関する地方交付税算定基準及び国立高等専門学校における授業料等の改定を考慮しまして、都立高等学校及び都立高等専門学校の授業料等を改定いたすものでございます。
 第九の東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例は、大島セミナーハウス等の使用料の限度額につきまして、原価の算定額に基づき改定いたすものでございます。
 第十の東京都近代文学博物館条例を廃止する条例は、入館者数の現状のほか、文学関連事業にかかわる社会情勢の変化を考慮しまして、東京都近代文学博物館を廃止するものでございます。
 第十一の東京都美術館条例の一部を改正する条例及び第十二の東京都現代美術館条例の一部を改正する条例、第十三の東京都現代美術館及び東京都美術館運営審議会条例を廃止する条例並びに第十四の東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例につきましては、文化行政に関する施策の充実強化を図るため、その事務を機能的に集約しまして再編する観点から、現在、教育委員会において所管しております文化振興にかかわる事務を、本年四月に生活文化局に移管すること、及び利用料金制の導入を図りますとともに、原価計算に基づき料額の改定を行うことに伴いまして、規定の整備等を行うものでございます。
 第十五の東京都生涯学習センター条例を廃止する条例は、IT化の進展によりまして都民の情報収集手段が多様化していること、区市町村において関連施設が充実されてきたことなど、生涯学習振興事業にかかわる社会情勢の変化に伴いまして、東京都生涯学習センターを廃止いたすものでございます。
 条例案最後の第十六、東京都体育施設条例の一部を改正する条例は、教育委員会所管の体育施設につきまして、利用料金制の導入を図りますとともに、原価計算に基づく料額の改定を行うことに伴い、規定の整備を行うものでございます。
 次に、契約案でございます。
 都立立川養護学校につきまして、建築後三十年余りが経過し、老朽化が進んでいるため、移転を伴う改築工事請負契約を行うものでございます。
 最後に、諮問でございます。
 東京都公立学校の元教員からの公務傷病による恩給の請求につきまして、処分庁である都教育委員会が請求を棄却したことに対し、改めて元教員が都知事に対し審査請求を行ったものでございます。そこで、法令に基づきまして、議会に諮問し、答申をいただくものでございます。
 以上が平成十四年第一回都議会定例会に提案を予定しております教育庁関係の案件でございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○小海総務部長 教育庁関係の提出予算案件につきまして、お手元に配布してございます資料によりご説明を申し上げます。
 初めに、平成十四年度教育庁所管予算案についてご説明申し上げます。
 平成十四年度教育庁所管予算説明書をごらん願います。
 まず、目次をお開きいただきたいと存じます。教育庁所管予算につきまして、歳出予算については、教育委員会及び事務局の運営以下十の項目に分けてお示しするとともに、文化行政一元化に伴う移管事業及び債務負担行為のⅠ、Ⅲをお示ししてございます。
 それでは、二ページをごらん願います。教育庁所管の予算の総括表でございます。
 歳出予算の総額は、ただいま教育長から申し上げましたように、八千十億八千万円でございまして、これは前年度に比べて四十七億三千六百万円、率にして〇・六%の増でございます。
 歳入予算額は、歳入の計の欄にありますように、二千六百十四億円余でございまして、前年度に比べて百七十六億九百万円余の増でございます。
 次に、歳出予算につきまして、主要な事業を中心にご説明させていただきます。
 三ページをごらん願います。まず、教育委員会及び事務局の運営に要する経費でございます。
 歳出計は、上から三行目にございますように、二百八十六億三千九百万円でございます。
 経費の内訳でございますが、三ページから四ページにかけて、教育委員会の運営費、総務部等の人件費を記載してございます。また、五ページから六ページにかけては、教育施設の運営委託や調査、広報等に要する経費でございます。
 七ページをごらん願います。事項欄(6)の3及び八ページの事項(8)の2は、新たな学校運営組織の整備として、主幹の設置に伴う選考業務及び人事・給与システム修正の経費を計上してございます。都民に信頼される学校運営を確立するために、平成十五年度から、新たな指導監督層としての職、主幹を設置する計画であり、その準備のための経費でございます。
 九ページをごらん願います。学校保健給食費でございます。
 まず、概要欄の2にございますように、副読本「環境と公害」の作成、エイズ対策としての啓発パンフレットの作成等、健康教育の推進などに要する経費を計上してございます。
 一一ページに参りまして、概要欄7の定時制高等学校及び盲・聾・養護学校の給食の運営等で、給食の調理業務委託の経費を計上してございます。
 一二ページをごらん願います。小中学校の運営に要する経費でございまして、歳出計は、三行目にありますように、四千七百二十四億百万円でございます。
 一三ページをごらん願います。小学校の運営でございます。
 右側概要欄に小学校の規模をお示ししてございますが、学校数は、本校、分校合わせまして千三百五十八校、児童数は五十二万九千四百三十五人、教職員数につきましては、定数外を除きまして、二万八千九百一人でございます。
 なお、本年度からの国の教職員定数改善計画に対応した少人数指導の実施等に必要な教員につきまして、来年度はさらに小学校が二百四十三人、また、次の事項にございます中学校につきましても百四十五人を増員し、それぞれ拡充推進を図ってまいります。
 一五ページをごらん願います。中学校の運営でございます。
 規模でございますが、学校数は、本校、分校合わせまして六百五十四校で、うち一校は通信教育を併設してございます。生徒数は、本校、分校及び通信教育を合わせまして二十二万七千八百三十三人、教職員定数は一万五千二十五人でございます。
 一八ページをごらん願います。高等学校の運営に要する経費でございまして、歳出計は千五百四十六億三千二百万円でございます。
 規模につきましては、全日制は本校、分校合わせまして二百二校、定時制は合計で百一校、通信制は二校で併置校でございます。生徒定員は、全日制が十三万九千百八十人、定時制は二万九百十人、通信制は二千四十人、専攻科八十人でございます。また、教職員定数は次の一九ページに記載してございますが、一万三千二百十七名でございます。
 経費の内訳につきましては二〇ページをごらん願います。概要欄の1職員費は、高等学校の教職員の人件費などを計上しておりますが、この中には新しいタイプの高等学校である、つばさ総合高等学校の開校等による増員の経費が含まれております。
 二一ページをごらん願います。概要欄(4)に、都立高等学校の改革の推進に要する経費を計上しております。
 平成十四年度までの第一次及び第二次実施計画に基づく諸施策を着実に実施するとともに、来年度は改革推進計画の集大成としまして、平成十五年度から十八年度までの新実施計画を策定いたします。この計画は、都立高校を取り巻くさまざまな状況の変化を踏まえまして、中高一貫教育校の具体化や、新しい教育システムの導入など、新たな都立高校の改革を推進するために策定するものでございます。
 二三ページをごらん願います。概要欄1、多様な選抜方法の推進は、高等学校入学者選抜において、全日制高校六校で実施する学力検査問題の自校作成に要する経費を計上しております。
 二四ページをごらん願います。工業高等専門学校の運営に要する経費でございます。
 歳出計は三十一億六千六百万円でございます。
 規模でございますが、学校数は、工業高等専門学校、航空工業高等専門学校の二校で、学生定員はそれぞれ千人、教職員定数は合わせて二百二十人でございます。
 二六ページをごらん願います。盲・聾・養護学校の運営に要する経費でございます。
 歳出計は五百八十八億九千六百万円でございます。
 まず、盲・聾学校でございますが、概要欄にお示ししてございますように、学校数が十二校、幼児、児童、生徒数は九百七人、教職員定数は、二七ページに参りまして、合計で七百二十八人でございます。
 次に、二八ページに参りまして、養護学校でございます。
 都立養護学校が四十四校一分校、児童生徒数は六千六百六十五人、区立養護学校は学校数が五校、児童生徒数は二百二十三人でございます。
 二九ページをごらん願います。教職員定数は都立、区立合わせまして、合計で四千三百九十六人でございます。
 三〇ページをごらん願います。概要欄の1、職員費については、盲・聾・養護学校の人件費などを計上してございますが、この中には、先ほど申し上げました国の教職員定数改善計画に伴います、自立活動指導の充実等を図るための増員に必要な経費が含まれております。
 三一ページをごらん願います。概要欄(6)の聾学校における早期乳幼児指導でございますが、聴覚に障害を持つゼロ歳から二歳児までの指導につきまして、本年度から聴覚障害に係る医師等の専門家を新たに委嘱し、教員と連携して、より専門的、効果的にそれぞれに応じた適切な指導を実施するものでございます。
 三四ページをごらん願います。教職員の福利厚生に要する経費でございます。
 歳出予算額は二十四億三千六百万円でございます。
 三五ページをごらん願います。教職員住宅の維持管理及び建設に要する経費でございます。
 三六ページをごらん願います。退職手当及び年金に要する経費でございます。
 歳出予算額は四百八十八億七百万円でございます。
 三八ページをごらん願います。教育指導の充実に要する経費でございます。
 歳出計は三十五億四千三百万円でございます。
 経費の内訳につきましては、三九ページをごらん願います。
 概要欄の1は、児童生徒の健全育成でございまして、スクールカウンセラーの配置に要する経費などを計上してございます。このうち、中学校へ配置するスクールカウンセラーにつきましては、国の補助制度を活用して、平成十五年度に中学校全校へ配置する計画でございまして、来年度は百五十校拡大し、四百五十校に配置いたします。
 2は、小中学校における児童生徒の基礎的、基本的学力の向上を図るための経費でございます。先ほど小中学校の事項に計上し、ご説明いたしました少人数指導を拡充、推進するための教員を増員するほか、少人数指導のより効果的な指導方法や内容を研究、推進するとともに、教員養成系大学の学生をティーチングアシスタントとして活用するための経費等を計上してございます。
 3の都立高等学校の改革の推進は、高大連携推進校、インターンシップ推進校や、新たに設置いたします学校間連携研究推進校等に要する経費でございます。
 4は、トライ&チャレンジふれあい月間の推進やアイデンティティー教育など、「心の東京革命」教育推進プランに基づく事業に要する経費でございます。
 次に、四二ページをごらん願います。13は、教職員研修センターにおきまして、教職員の資質、能力の向上を図るため、ライフステージに応じて多様な研修等を実施するための経費を計上してございます。
 なお、本年度から新たに進学対策のための指導力向上研修を実施いたします。
 四三ページに参りまして、2は、教育相談センターにおけるアドバイザリースタッフの派遣、子どもテレホンサポートなどの実施や、相談体制の充実として、教育相談機関等とのネットワーク化を図るため、連絡協議会を実施する経費等を計上してございます。
 四四ページをごらん願います。社会教育の振興に要する経費でございます。
 歳出計は六十七億二千四百万円でございます。
 経費の内訳でございますが、四六ページの生涯学習審議会等の運営のほか、四八ページに参りまして、概要欄の10にございますように、「心の東京革命」教育推進プランに基づく諸事業を実施するための経費を計上してございます。十四年度は、新たに地域における教育力を高める取り組みとして地域教育サポート事業を、また、家庭の親への支援として子育てパートナー事業を実施いたします。これらの事業や、先ほどご説明いたしました学校での取り組みを推進することを通じて、子どもたちの思いやりと規範意識の涵養をより一層図ってまいりたいと考えております。
 五二ページをごらん願います。体育、スポーツの振興といたしましては、概要欄の2に、総合体育大会の開催や児童生徒の体力調査の実施など、学校体育の振興に要する経費を計上してございます。
 五三ページに参りまして、都民体育大会の開催や国民体育大会への選手派遣など、都民体育の振興に要する経費が計上してございます。
 また、五四ページに参りまして、概要欄7は、十四年度から新たに地域スポーツクラブの設立を支援する広域スポーツセンター事業に要する経費を計上してございます。
 概要欄8に、区市町村が行う地域スポーツクラブ育成モデル事業等に要する経費を計上してございます。
 五五ページをごらん願います。都立学校等施設整備に要する経費でございます。
 歳出予算額は二百十八億三千六百万円でございます。
 経費の内訳につきましては、五六ページをごらん願います。
 まず、都立学校整備費でございます。概要欄の1の新しいタイプの高等学校建設等では、新宿地区単位制高等学校外五校の建築工事に要する経費等を計上してございます。
 五七ページをごらん願います。都立学校校舎等の増改築でございますが、(1)の高等学校六校、及び五八ページに参りまして、(2)の盲・聾・養護学校三校の老朽校舎改築に要する経費等を計上してございます。
 五九ページに参りまして、(4)の都立学校の震災対策といたしまして、校舎等の補強工事に要する経費、また、(5)として、大規模改修の経費を計上してございます。
 六〇ページに参りまして、(8)の盲・聾・養護学校の環境改善といたしまして、来年度から順次、すべての普通教室に冷房設備を設置する計画でございまして、来年度は八校分の経費を計上しております。
 六一ページをごらん願います。社会教育施設整備費でございます。
 概要欄の1のユース・プラザの建設につきましては、区部はPFI方式による契約締結のため、また、多摩地域についても同様の方式を検討しておりまして、事業者の公募、選定のため、それぞれアドバイザリー委託に要する経費などを計上してございます。
 六二ページをごらん願います。体育施設整備費として、多摩スポーツ会館の改修に要する経費を計上しております。
 以上で教育庁所管歳出予算に関する説明を終わらせていただきまして、次に、文化行政一元化に伴い、生活文化局へ移管を予定しております事業についてご説明申し上げます。
 六四ページをごらん願います。文化施設及び文化振興事業でございますが、東京文化会館外三施設の管理運営委託等及び地域文化振興事業補助などの文化振興事業に要する経費、合計で三十六億四千五百万円余でございます。
 次に、債務負担行為のⅠについてご説明申し上げます。
 六六ページをごらん願います。都立学校校舎等新改築工事にかかわる債務負担行為でございます。
 3の全体計画にお示ししてございます新しいタイプの高等学校の建設、高等学校老朽校舎の改築などにつきましては、工期が複数年度にわたるため、平成十五年度から平成十七年度までに歳出を予定しております経費について、債務負担行為を計上するものでございます。
 六七ページをごらん願います。教職員住宅賃貸借にかかわる債務負担行為につきましては、公立学校共済組合との教職員住宅譲渡契約締結に伴う譲渡代金の二十年間にわたる元利金支払いにかかわる債務負担行為を計上するものでございます。
 六八ページに参りまして、都立学校給食調理等業務委託にかかわる債務負担行為でございます。
 調理業務の安定的な運用や内容の充実を図るため、平成十五年度及び十六年度に支出を予定しております経費について、債務負担行為を計上するものでございます。
 六九ページに参りまして、区部ユース・プラザの建設及び運営等について、PFI方式で実施するため、平成十六年度から平成三十五年度までに支出を予定しております経費について、債務負担行為を計上するものでございます。
 次に、債務負担行為のⅢでございます。
 七一ページをごらん願います。教育庁厚生貸付資金原資損失補償でございます。
 財団法人東京都福利厚生事業団が教職員に対して実施する一般生活資金等の貸し付けに要する資金の融資を、都が当該金融機関に対して損失補償するものでございます。
 以上で平成十四年度教育庁所管予算案の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、平成十三年度教育庁所管補正予算案につきましてご説明申し上げます。
 平成十三年度一般会計補正予算説明書をごらん願います。
 今回ご審議いただきます教育庁所管補正予算は、緊急地域雇用特別基金によります追加事業にかかわるものでございます。
 一ページをごらん願います。補正歳出予算額は二億二千二百五十九万円でございます。
 また、歳入予算額は、緊急地域雇用特別交付金から繰入金として歳出額と同額を計上してございます。
 二ページをごらんください。概要欄にございますように、情報教育を推進するため、都立学校にITの専門家を情報教育アドバイザーとして派遣し、教員の研修、教材作成の補助等を行う事業の外八事業に要する経費を計上してございます。
 簡単ではございますが、補正予算案につきましては以上でございます。
 続きまして、平成十四年第一回都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案についてご説明申し上げます。
 まず、目次をお開き願います。
 目次に記載してございますように、今回提案を予定しております条例案は、一、東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例など、計十六件でございます。
 一ページをお開き願います。
 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例でございますが、二ページの改正理由にございますように、昨年の第一回定例会におきまして条例改正されました学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例の施行に伴いまして、再任用短時間勤務職員の勤務時間の取り扱いに関し、区市町村が処理する事務の範囲を改めるものでございます。
 また、学校教育法の一部改正によりまして、条例にある「寮母」の名称を「寄宿舎指導員」に改めるものでございます。
 三ページから四ページが新旧対照表でございます。
 次に、五ページは、学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 国の教職員配置改善計画による小中高等学校の少人数指導の実施及び養護学校の自立活動指導の充実、並びに児童生徒数の増減等に伴い、各学校種別ごとの学校職員の定数を改めるものでございます。
 また、再任用短時間勤務職員の任用を行うことに伴い定数上の扱いを定めるなど、規定を整備するものでございます。
 改正の内容につきましては、八ページをごらん願います。新旧対照表でございます。
 小学校について、現行の二万八千八百三十人を二万八千九百一人に改めるほか、中学校、高等学校、盲・聾・養護学校につきまして、それぞれ記載のとおり改め、合計では現行の六万二千六百四十四人を六万二千四百八十七人に改めるものでございます。
 次に、一一ページをごらん願います。学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 一三ページから一四ページにかけまして、条例の新旧対照表をお示ししてございますが、学校教育法の一部改正によりまして、条例にある「寮母」の名称を「寄宿舎指導員」に改めるものでございます。
 次の一五ページは、学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 一七ページの条例の新旧対照表をごらん願います。保健婦助産婦看護婦法の一部改正によりまして、表下段の現行条文にございます「看護婦、看護士、准看護婦及び准看護士」の名称を、上段の改正案の「看護師及び准看護師」に改めるものでございます。
 次に、一九ページをごらん願います。義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 二一ページの新旧対照表をごらん願いたいと存じますが、さきの条例改正案と同様「寮母」の名称を「寄宿舎指導員」に改めるとともに、教職調整額を給料とみなして算定している特殊勤務手当を削除するものでございます。
 次に、二三ページをごらん願いたいと存じます。学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 この条例改正案につきましても、「看護婦」や「寮母」などの名称を改めるものでございます。
 恐れ入りますが、二七ページをごらん願いたいと存じますが、東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例におきましては、組織改正による部署名の改正につきまして、本条例改正案の附則におきまして行っております。
 二九ページをごらん願いたいと存じます。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございますが、三二ページの新旧対照表をごらん願いたいと存じます。
 都立羽田工業高等学校が、隣接しております都立つばさ総合高等学校内に移転することのほか、都立千歳高等学校及び都立烏山工業高等学校が本年度末をもちまして閉校となることに伴いまして、条文から両校を削除するものでございます。
 次の三三ページは、東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例でございます。
 都立高等学校の授業料、通信教育受講料、聴講料及び入学料、並びに都立高等専門学校の授業料及び入学料について、受益者負担の適正化を図るため、地方交付税算定基準及び他の道府県の動向を考慮の上、改定を行うものでございます。
 三六ページの新旧対照表をごらん願いたいと存じます。
 高等学校全日制の授業料の現行額十万八千円を十一万一千六百円に、同じく入学料五千五百五十円を五千六百五十円に改定するほか、ごらんのとおりそれぞれ改定するものでございます。
 次に、三九ページをごらん願いたいと存じます。東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例でございます。
 大島セミナーハウス、土肥臨海学園及び聖山高原学園におきます社会教育団体等の利用に際しての使用料について、受益者負担の適正化を図る必要から改定を行うものでございます。
 四一ページに新旧対照表がございますが、現行の宿泊料の限度額を、一千六百五十円から二千四百円に改めるものでございます。
 なお、使用料は、限度額の範囲内において、教育委員会規則により定めることとなっております。
 次に、四三ページをごらん願います。東京都近代文学博物館条例を廃止する条例でございます。
 四四ページに提案理由をお示ししてございますが、少ない入館者数の状況や、文学関連施設が多数設立されていることなど、文学関連事業に関しての社会情勢の変化に伴い、東京都近代文学博物館を廃止するものでございます。
 次に、四五ページは、東京都美術館条例の一部を改正する条例でございます。
 この条例を含め、後ほどご説明いたします四つの条例につきましては、先ほど教育長からご説明いたしましたとおり、本年四月から生活文化局に所管が変わることから、施設の使用承認の権限が教育委員会から知事に移るなど、規定を整備することを伴っております。
 東京都美術館条例についてですが、五六ページの新旧対照表をごらん願いたいと存じます。
 改正案の第四条にございますように、現行の第五条の使用料にかわり、利用料金の制度の導入を図っております。この利用料金制の導入により、管理受託者の効率的、自主的な運営と、都民サービスの一層の向上を図ることを目的としております。
 条例においては、第四条第二項において、利用料金の額を管理受託者が条例で定める額の範囲内において定めること、第三項におきまして、利用料金を管理受託者の収入とすることなどを規定しております。
 次に、六〇ページをごらん願います。利用料金の額をお示ししてございますが、現行の展示室の全階全室の一日の使用料五十万四千円を、公募展示室として六十八万四千円の限度額として規定するなどしております。
 また、六二ページの改正案の表にございますように、現行使用料の徴収の対象である児童及び都内在住、在学の中学校生徒等について無料とする一方、六十五歳以上の高齢者を利用料金徴収の対象としております。
 次の六三ページは、東京都現代美術館条例の一部を改正する条例でございます。
 七三ページから八〇ページにかけまして、条例の新旧対照表をお示ししてございますが、先ほどの東京都美術館条例の一部を改正する条例と同様、利用料金制の導入を図るとともに、料額の改定等を行うものでございます。
 次に、八一ページをごらん願いたいと存じますが、東京都現代美術館及び東京都美術館運営審議会条例を廃止する条例でございます。
 東京都現代美術館及び東京都美術館の両美術館について、一つの審議会を設け、運営に関しての審議等を行ってきたところでございますが、改めて、美術館の運営にかかわることにつきましては、生活文化局所管の監理団体が運営委員会を設置し、実施する予定でございます。したがいまして、今回、この運営審議会条例を廃止するものでございます。
 次に、八三ページの東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例をごらん願いたいと存じます。
 一〇二ページから一一一ページにかけまして、条例の新旧対照表をお示ししてございますが、さきの条例改正案と同様、利用料金制の導入を図るとともに、料額の改定等を行うものでございます。
 次に、一一三ページをごらん願いたいと存じます。東京都生涯学習センター条例を廃止する条例でございます。
 先ほど教育長がご説明いたしましたように、IT化の進展により、都民の情報収集手段が多様化したこと、及び区市町村におきまして関連施設が充実されてきたことなどにより、東京都生涯学習センターを廃止するため、同条例を廃止するものでございます。
 次の一一五ページは条例案の最後でございますが、東京都体育施設条例の一部を改正する条例でございます。
 一三三ページからが新旧対照表でございますが、先ほどの文化施設にかかわる条例改正案と同様、利用料金制の導入を図るとともに、料額の改定等を行うものでございます。また、東京辰巳国際水泳場における健康体力相談室について、利用者数やかかる経費の観点から、廃止することとしたものでございます。
 続きまして、平成十四年第一回東京都議会定例会議案(契約)に基づきまして、契約案の説明をさせていただきます。目次をお開き願います。
 今回提案を予定しております契約案は、都立立川養護学校(十三)改築工事請負契約一件でございます。
 一ページをお開き願います。契約の方法は指名競争入札、契約金額は二十億一千六百万円、契約の相手方は東京都港区芝浦一丁目二番三号、清水・林建設共同企業体でございます。工期は契約確定の日から平成十五年十月三十一日まででございます。
 二ページをごらん願います。都立立川養護学校につきまして、案内図及び配置図でございます。
 三ページから七ページにかけまして各階平面図を、八ページに完成予想図をそれぞれお示ししてございます。
 九ページは、工事請負契約議案の概要でございます。
 以上が契約案でございます。
 最後に、平成十四年第一回都議会定例会議案(諮問)に基づきまして、諮問の説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。今回の諮問は、地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問についてでございます。
 一ページをごらん願います。都教育委員会が行いました東京都公立学校の元教員に対しての公務傷病による恩給請求棄却処分につきまして、当該の元教員が知事に対し審査請求を行いました。この審査請求については、地方自治法第二百六条の規定によりまして、知事の決定に先立ち、議会に諮問いたしまして、ご意見を伺う必要があるものでございます。
 二ページをごらん願いたいと存じます。審査請求の内容についてお示ししてございます。
 一は審査請求人の氏名、二は審査請求の年月日、三は審査請求の趣旨及び理由でございます。
 三の(二)にございますように、元教員は、平成六年三月三十一日の退職時におきまして、昭和三十六年十月二十日に負った公務傷病による障害が残っているとして、恩給の請求を都教育委員会に対して行いましたが、都教育委員会は、本件事故と当該の元教員が主張する障害との間に相当因果関係がないとして、請求を棄却したものでございます。元教員はこれを不服として、棄却処分の取り消しを求めているものでございます。
 以上、平成十四年第一回都議会定例会提出予定案件につきましてご説明を申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。

○曽根委員 八点ほどお願いします。
 一つ目は、東京都で学級編制を三十人以下学級に実施をする場合、小学校、中学校、高校の各学年ごとに教員増、経費増がどれぐらいになるのか、わかるものをお願いします。
 二つ目、三十人学級を実施する試みが各方面で始まっていますが、県段階で四十人よりも下回る定数の学級編制に取り組み、または検討しているところの状況がわかるものをお願いします。
 三つ目、東京都内での少人数授業の実施状況がわかるものをお願いします。
 四つ目ですが、いじめや不登校、中途退学などの推移を十年のスパンでお願いします。
 五つ目、都立高校改革推進計画のこれまでの推移、これからの計画について具体的にわかるものをお願いします。
 六つ目、盲・聾・養護学校の施設の整備費の推移を五年間。それから、スクールバスの配置台数、平均乗車時間、一番長い時間、どれぐらいかかるかなどの推移も、五年間のスパンでお願いします。
 七つ目ですが、知的障害の養護学校の教室不足の現況をお願いします。
 八つ目に、高校への進学率、公私別の計画と実績の推移を五年間。
 以上、お願いします。

○東委員長 ほかに……。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 それでは、ただいま曽根委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。理事者におかれては、要求された委員と調整の上、ご提出をお願いいたします。

○東委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、学校運営組織における新たな職「主幹」の設置に向けて、を聴取いたします。

○中村人事部長 主任制度に関します検討委員会の中間のまとめにつきましては、昨年十二月の第四回定例会の本委員会でご報告したところでございますけれども、その後も鋭意検討を進めまして、関係方面からの意見も聴取し、一月二十四日に最終報告、これでございますけれども、を公表させていただいたところでございます。
 本日は、この二枚物がございますけれども、この概要版に基づきまして、この最終報告の内容をご報告したいと思います。
 まず、Ⅰ番の学校運営組織の現状と課題でございます。一部字句修正がございますけれども、内容的には昨年ご報告しました中間のまとめと同じものでございます。
 次に、Ⅲ番目の新たな職の設置についてですけれども、次のページ、二ページの中ほどに4というものがございますけれども、この4の新たな職の設置時期、これがつけ加わっております。都立学校につきましては、平成十五年の四月から実施する予定でございます。また、小中学校におきましても、東京都の公立学校の教育環境を一定水準に確保するという必要から、同時に実施できるよう、今後とも区市町村教育委員会と連携を図る必要がございます。
 小中学校への主幹職の設置は、区市町村教育委員会の学校管理運営規則の規定整備が必要でして、今後とも区市町村に協力要請をしてまいります。
 Ⅲ番目の学校運営組織への新たな職の配置についてでございますが、これは中間のまとめと同じでございます。
 次のⅣ、教頭職との関連について、これ以降が今回の最終報告で新たにつけ加わった部分でございます。教頭との関連につきましては、主幹は担当する校務に関しまして、教頭を補佐することが主な職責となります。このことによりまして、教頭の管理スパンが適正なものとなり、学校の管理職としての役割を十分に果たすことが可能となります。
 Ⅴ番の主幹の選考についてでございますが、選考の名称は主幹級職選考としたいと考えております。
 受験資格でございますが、教育管理職のA・B選考との関連などから、主幹級職選考の受験資格は満三十八歳以上五十六歳未満、都教職歴経験が十年以上にしたいというものでございます。
 合格者の人数につきましては、校種ごとに必要な主幹数を算定いたしまして、任用及び異動管理上の計画に基づきまして数を設定してまいります。
 次に、選考方法でございますけれども、書類選考、業績評価及び面接の三本立てで選考したいと考えております。
 選考の実施時期についてでございますけれども、通年ですと七月から九月ころ、夏場に実施いたしたいと考えておりますけれども、初年度、平成十四年度につきましては、人事委員会勧告で、教員の給料表に新たな級を設けるという勧告をいただきたいというふうに考えておりますので、十一月下旬ないしは十二月上旬の間にこの選考を実施したいと考えております。
 次のⅥ番目の主幹職の任用管理についてでございますが、昇任時の任用につきましては、現任校あるいは現任校以外の学校等に異動の上、主幹級に任用いたします。これは、一般的に行政系の場合ですと、昇任時には異動するということが原則となっておりますけれども、さきの当委員会でも、地域の実情等を理解していないとその職責を十分に果たせないのではないか、難しいのではないかというご意見をいただきました。学校には、特にその地域の実情等を理解していた方が、持てる能力を十分に発揮できる、発揮しやすいという実態等があるということを考慮いたしまして、現任校における昇任という道をつくったものでございます。ただし、現任校で昇任する場合は、その学校における勤務年数にかかわらず、三年以内で異動させるということにいたします。
 次に、異動についてでございますが、主幹は原則として六年を超える者を異動対象とし、八年になる者は必ず異動させたいと考えております。
 なお、異動方法でございますが、これは東京都教育委員会の指定する学校に異動いたさせます。
 配置計画ですが、平成十五年度には全校種で二千四百名程度を配置していきたいと考えております。現任校で主幹に昇任できるのは小学校及び盲・聾・養護学校では二人、その他の校種につきましては三人までといたします。十六年度以降につきましては、段階的に配置していきたいというふうに考えております。
 4の「その他」でございますけれども、一般教諭とは別に、主幹職としての業績評価を行い、さらに主幹の研修を実施していくというものでございます。
 「おわりに」についてでございますけれども、主幹制度を実施するためには、この最終報告以外にも、人材育成の方法あるいは今後検討すべき課題がまだございますので、引き続き当検討委員会を継続させていくというものでございます。
 次の四ページは、中間のまとめのときにご報告いたしましたが、中学校での組織図の例示でございます。
 最終報告の説明は以上でございますけれども、主幹制度の導入に向けまして、三月半ばまでに都立学校管理運営規則を改正し、都立学校に主幹職を設置することを規定いたします。
 また、先ほども申し上げましたが、東京都における公立学校の教育環境を一定水準に確保するという必要から、ほぼ同じ時期に各区市町村でも学校管理運営規則を改正していただきたいというふうに考えております。
 報告は以上でございます。

○東委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し質問等がありましたら、発言を願います。

○遠藤委員 まず最初に、二月十五日の朝日新聞の朝刊、子どもの気持ちが大切だという社説が載っておりましたけれども、この内容についてどのような感想を持ったかお聞きしたいと思います。読んでなければしようがありませんけれども、もし目を通していたら、ご感想を承ります。

○斎藤指導部長 二月十五日の朝日新聞の「自宅授業」という記事でございますけれども、不登校児童生徒が不登校になるというその原因につきましては、一人一人それぞれ異なっておりまして、不登校が継続している理由につきましても、複合的な要因が多いわけでございますが、そのほか、不安など情緒的な混乱、あるいは無気力、遊び、非行など多様でございまして、不登校問題の解決には、不登校児童生徒一人一人に応じたきめ細かな適切な指導が必要かと思います。そのために、学校における教育相談体制を充実させるとともに、関係機関とかあるいはスクールカウンセラーと連携を図るなどしまして、学校として組織的な対応を進めていくということが重要であるというふうに受けとめております。

○遠藤委員 私はこの記事を読んだのでありますけれども、このような子どもになってしまったというか、してしまったというか、こういうようなことは、きのう、きょう始まった問題ではないんですけれども、こういった背景あるいは原因といいますか、これは何なのか、真剣に考えなければならない非常に重要な問題だというふうに私は受けとめております。皆さんもぜひ二月十五日の朝日新聞の朝刊を、もし時間があったら目を通していただければというふうに思っています。
 ところで、今お話がありましたように、教育庁は学校の組織的な問題解決能力を向上させる必要ということから、先日、主幹制度に関する最終報告を出されました。前回の文教委員会で質問を行っておりますので、この制度を導入する目的とか必要性についてはある程度理解はしておりますけれども、国が主任制度の見直しを行わないというところから、都が率先して学校運営組織を整備していく。つまり東京から日本の教育を変えていくという姿勢も、私は評価をするところでございます。
 また、報告書に書かれておりますけれども、主幹制度を導入して学校を組織的に機能させることにより、これまで一人で問題を抱え込んでいた教師が、必要以上の責任感等から解放されて生き生きとして教育活動が行える、こういった効果もあるというふうに書かれておりますけれども、しかし、幾ら学校運営組織を整備しても、実際に児童生徒に教育指導を行うのは教員であります。この教員の意識改革、つまり教員が変わらなければ主幹制度は機能しないというふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか、ご見解をお聞きします。

○中村人事部長 お話しのように、学校運営組織をいかに整備しようとも、やはり教員の意識改革がなければ、主幹制度も絵にかいたもちに終わってしまうということになりかねないというふうに考えております。こういうことから、都教育庁では、従前から、長期社会体験あるいは人事考課制度、それから民間人校長の登用ということで、全国に先駆けましてこういう制度を導入して、教員の意識改革に努めてまいったところでございます。
 今回ここに、学校に主幹を置くことによりまして、学校の意思決定システムが確立され、また、教員が学校運営に主体的に参加できるよう環境が整うことになります。
 それから、学校と家庭、地域を結びつけますコーディネーター的な機能を充実させるという役割を果たしますことから、保護者、都民の要望、意見等を積極的に取り入れることが可能となります。結果的に、開かれた学校づくりがより推進できるというふうに考えております。
 また、OJT、職場内研修の体制が確立されまして、校内におきまして教員の計画的な人材育成、これが行うことができることになります。
 こういったようなことが期待できますことから、教員の意識改革につながっていくというふうに私どもは考えております。

○遠藤委員 私は、学校に主幹を置くだけでは、職員の意識を抜本的に変えるということは大変難しい。主幹制度が成功するか、しないかということは、私は職員の意識改革をどのように進めるかにかかっているというふうに思っております。指導力不足の教員もいる一方で、立派に努力をしている先生もいるわけであります。
 例えば、単純な比較にはならないと思いますけれども、私は近くの幼稚園の入園式とか卒園式に行きますけれども、特に入園式のときには、若い先生が、お母さんから離れている子どもが泣きわめいている、こういう子どもを一生懸命なだめて席に座らせたりして、最後まで立派に入園式を終わらせる。そういう姿勢とか、あるいはそういう子どもが秋の運動会には本当に--私たちも、あるいは当然お父さん、お母さん、おばあちゃんなんかも大勢来ますけれども、そういう人たちが感動するように立派に遊戯をしたり、徒競走をしているんですね。これは幼稚園の先生が子どもを本当に好きで、子どもを愛し、子どもを育てていこうという心があるからだというふうに私は思っております。そういう姿を、ぜひそういう関係者にも見ていただきたい。先ほどいいましたように、幼稚園の先生と単純に比較することはどうかと思いますけれども、子どもとか生徒に対する心は同じだというふうに私は思います。
 教員の意識改革には、教員の資質の向上を図る一方、子どもを愛する心、教育に対する情熱を育てることが特に重要であるというふうに考えております。
 私は十二月の文教委員会でも質問いたしましたけれども、その中で、都立高校の教員が予備校に教え方を学びに行くというような努力、また、来年度からは私立高校にも研修に行くというふうに聞いております。また、NHKで放映されたテレビでの、学校が変わる、問われる教師像という番組も見ましたけれども、若い先生が先輩の先生に、百ます計算などの指導方法を相談したわけでありますけれども、その結果、すばらしい成果が上がっているということが報道されていたわけであります。こういうことは教員が自分自身のためと同時に、子どもたちのために恥をかき、情けないという思いを心に秘めて努力している、そういう先生方に私は敬服するところであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、教育委員会は、この最終報告にもありますけれども、教員の意識改革、こういうものをどういうふうに進めていこうとしているのか、お伺いします。

○斎藤指導部長 教員の意識改革につきましては、今お話があったように、主幹制度の導入だけではなくて、開かれた学校づくりを進める中で、教員研修の充実を図っていくということが大事だと思っております。開かれた学校につきましては、学校の教育活動を積極的に外部に公開するとともに、学校運営連絡協議会における地域の方々の評価を学校教育の改善に生かすなど、一層推進していく必要があろうかと思っております。
 教員研修につきましては、今後とも人事考課と連動した能力開発型の研修、あるいは主任などを対象としました学校運営の充実を図る研修など、教員のライフステージに応じた研修の充実を図ってまいります。

○遠藤委員 これもまた新聞の記事で、二月十六日、つい二、三日前でありますけれども、この新聞であります。これもやはり朝日でございますけれども、このたびの文部科学省が検討していた教員の免許改正法案が記事になっているわけであります。この中で、懲戒免職になった職員も、現在は二年でありますけれども、これを三年後、これは調整中ということでございますけれども、そうすると、免許の再取得ができるという道が残された。懲戒免職になった先生が、現在は二年でありますけれども、改正三年になったとしても、また再交付によって教鞭がとれる、これは私はどうしても理解ができない。ただ何年か休職をしているようなものでありますから、これについては何かの機会にぜひひとつ進言をしていただきたいというふうに思います。
 また、ここでは、在職十年程度の中堅職員に対する研修を義務化する、教員の能力や適性などに応じて実施することを示しております。この研修の具体的な内容は、都道府県教育委員会にゆだねることとしております。このことからも、教育委員会の責任はますます重要になってくるわけであります。しっかりとこの責任を果たしていただきたい。
 あわせてこの制度、このたびの主任制度の導入のみならず、今後とも教員の資質の向上に向けて最大の努力をされ、都民に信頼される学校運営などに、横山教育長初め関係する皆さん方に大いにひとつ頑張っていただくと同時に、私は大きく期待をいたしております。非常に教育という問題の重要性、日々高まってきております。教育は人なりといわれると同時に、教育というのは、人間が生きていく上でのすべての原点であるというふうに私は考えておりますので、どうぞ皆さん方の一層のひとつ努力をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○曽根委員 昨年十二月に一度、中間まとめの段階で審議しておりますので、きょうは意見と若干の要望を述べさせていただきます。
 昨年要望した、この制度のあり方については根本的に検討をやり直してほしいという私は意見を申し上げたわけですが、非常に残念ながら、全く内容的には変わらないものが最終まとめとして出てきました。私があのときに疑問を呈した中心点は、結局、主任制度を見直して主幹制度を導入するという場合、今学校で起きている子どもの間でのいじめや不登校や、果ては学級崩壊に至るようなそういう事態を、頭には振ってあるけれども、そういう問題を解決する上で、学校が一丸となって教職員が当たらなければならないときに、なぜ主任制度では間に合わなくて、主幹制度でなければならないのかという理由が、子どもとの関係では一切書かれていないということについて指摘をしましたが、この疑問はいささかも解決をされていないということをいわなければなりません。
 それから、先ほど教員の意識改革に役に立つんだという答弁がありましたけれども、前回質疑の際に、私は最後に申し上げたと思うんですが、今度の主幹制度を導入しようとする教育庁の姿勢というのは、余り例えたくはないけれども、傾きかけた企業によく似ているんじゃないか。大体危なくなっている企業というのは、経営者が、社員がまじめに働かないとか怠けているとか、そういうことをまず、さんざんけなす。しかし、現実にはほとんどの社員はまじめに頑張っている。しかし、業績が上がらないという事態が長く続いている。そういうときに、倒れていく企業というのは、普通は経営者の経営方針が間違っているんだ、時代おくれなんだということに最後まで気がつかない、そのために企業が倒れていくというのが通り相場なんですが、今の教育庁の姿勢はまさにその傾きかけ、これから倒れていく企業に似ているんじゃないか。意識改革が必要なのは、子どもたちや、ましてや教員よりも、文部省や教育庁じゃないかということを申し上げておきたい。
 いずれにしても、今後の導入のプロセスなどについては今回新しく報告がありましたので、若干ながら予算審議の中で質疑をさせていただきたい。その際に、私が前回要望したように、少なくとも主幹制度の導入に一体どれだけの予算をかけなければならないのか、これぐらいのことは材料としてきちんと提供していただかないと、審議をやる上でのいわば条件が整わないと思いますので、その点を強く要望しておきたいと思います。

○執印委員 それでは、質問いたします。
 昨年の十二月の本委員会で各委員から、新たな職の必要性を含めて、さまざまな意見、疑問が出されております。中間のまとめから最終報告に至る中で指摘された点について、先ほどもご説明はございましたが、特に教育庁の内部職員、学校現場では管理職のみが参加して、学校運営組織のあり方を検討してきたということがおかしいのではないかという指摘をしておりますが、その点についてはどのように対応をされたのでしょうか。特に現場の先生の声というのはどのように反映されているのでしょうか。

○中村人事部長 今回の最終報告は、小中高校を初め、さまざまなPTA連合会、それから教員系の職員団体、そして全国からいろいろなご意見、これもファクスだとか手紙だとかいろいろ来ておりますけれども、そうしたご意見、もろもろを踏まえた上で検討、発表したものでございます。
 なお、主任制度に関する検討委員会は、学校の管理運営にかかわることについて検討しているものでございまして、特に学校運営について一定の見識を有する、すべての校種の校長、教頭、これを検討委員に委嘱しております。こういう構成員にしていることから、学校の実態を踏まえた検討になっているというふうに考えております。

○執印委員 随分私も現場の先生からもいろいろご意見もいただきましたし、私どもも子育てをしている側としてこの制度を考えていったときに、一応声は聞いたけれども、決めるのは集まった人が決めた、そういう感じしか残念ながら持たないわけなんですね。そこがやはり大きな問題点として残っていくというふうに私は思っております。
 それで改めて伺っておきますが、この主幹という新たな職を設置するに当たっての法的根拠というものはどこにあるのでしょうか。

○中村人事部長 法的根拠ということでございますけれども、法律上は、各教育委員会は職を設置することができるというふうな規定がございます。今ちょっと条文を持ってまいります。--学校教育法の施行規則で定められております主幹制の見直しについてでは今回はございませんで、教育委員会の持つ組織編制権に基づきまして、学校運営組織に新たな職を設置しようというものでございます。学校教育法では、学校には「必要な職員を置くことができる。」というふうに規定されておりまして、地方教育行政法で、教育委員会は学校の組織編制を管理し、及び執行すると。教育委員会はその所管に属する学校の組織編制の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとする、このことから教育委員会が主幹職を設置するということにしております。

○執印委員 今までの説明では、主幹は教員のリーダーだということでございますけれども、今お話がありました条文は何条なのかということをきちんとお答えいただきたいのと、私は、学校教育法の第五十条二項に規定されている「その他必要な職員」の範疇というふうに考えているのかというふうにも考えましたが、法的な正当性というのはどのように議論されているのでしょうか。

○中村人事部長 条文上は、学校教育法、例えば小学校の場合は二十八条でございます。小学校の設置者はその他必要な職員を置くことができるというふうに二十八条で書かれております。

○執印委員 その二十八条のことはわかったんですけれども、それでは学校教育法の第五十条二項に規定されている「その他必要な職員」の範疇ではないということですか。法的な正当性については議論がきちんとされているんでしょうか。

○中村人事部長 学校教育法二十八条の二項において、そのように定められております。
 この見解につきましては、当然、文部科学省ともいろいろ話し合いをして、一応こういうことでもって文部科学省は、口頭ではございますけれども、ご了解をいただいておるところでございます。

○執印委員 今のお話ですと、文部科学省の了解を得たということで、口頭ということですが、確認のために伺っておきますが、どなたとどなたが口頭で確認をされたんでしょうか。

○中村人事部長 初等中等教育局の初等中等教育企画課長だと思いますけれども、辰野さんと私が話し合っております。

○執印委員 もう一つ伺いたいんですが、こういった大切な問題について、東京都の教育委員会と文部科学省が口頭だけの話でこういったものが進められるのかどうか、その見解をお尋ねしたいと思います。

○中村人事部長 法律の解釈の問題でございますので、文書であろうと、口頭であろうと--昔は文書でお伺いを立てて、左のとおり、お見込みのとおりとか、そういう時代ですけれども、こういう分権化の時代でございますので、私たちの主張は主張で、文部科学省はそれで是とするということでございます。

○執印委員 随分、学校というところは何でも文書で持ってこいと保護者にはいうところなんですね。今はどうかわかりませんけれども、昔は、子どもがちゃんと宿題をしたかどうか、読む宿題をしたかどうかを親が印鑑をついて持ってこいというようなところでございましたので、本当にこれがこの見解だけで進んでいいのかどうかということについて疑問を投げかけますのと同時に、また改めて私の方も調査をしていきたいというふうに思います。
 それでは次に、学級担任を持たない主幹という教員を、中村部長は前回、学校に配置することができるというふうに考えているというふうなお答えが十二月の委員会であったわけですが、現実的にこれはどうなっていきますか。私は先生の労働の問題からこの点をお伺いしたいわけですが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 第四回定例会でもお答えしましたけれども、小学校におきましても、この主幹職は担任を持つことが原則になります。しかし、学校の実態を踏まえた上で、最終的には校長先生が判断するということになります。主幹職自体は現行の主任等の調整をするという新たな仕事になりますけれども、学校全体としては仕事の量がふえるわけではなくて、むしろ主幹が機能することによって仕事がスムーズに流れるというふうになると考えております。

○執印委員 この点については、現場の先生の仕事がどうなんだろうか、また、それが子どもたちにどういう影響を与えるんだろうかという部分がちょっとずれているように私は思います。
 それから次に、現在の学校運営組織の問題点についてというところで、ここにも三ページに書かれておりますが、「民主的かつ平等の名の下に、同じ学校の教職員は、管理職も教員も、その経験や力量、職責や職務内容の違いにかかわりなく、対等な立場で学校運営に携わるべきだという、学校独自の慣習、いわゆる『学校文化』が根付いていることがある。」ということが問題点として指摘をされているわけですが、新たな職を導入した後、学校運営組織の改善が図られるのか、図られないのか。図られなかったときは、その責任の所在はどこに求めるべきなのかということをお伺いをしたいと思います。

○中村人事部長 その中間のまとめ、あるいは最終報告でも、現状から出発しまして、この主幹の導入の必要性を説いておりますけれども、当然、そういう課題を踏まえた上で主幹制度を我々検討しましたので、主幹制度を導入することによりまして、そういう課題が解決されるというふうに考えております。
 うまくいかなかった場合の責任ということでございますけれども、これは当然我々教育委員会もそうですし、それから当該校長、教頭、主幹、広くいえば教育界全体の問題で、もしお話のようなことがあれば、これは改めて大議論をしなきゃいけないというふうに考えております。

○執印委員 みんなの責任ということですね。いろいろな意味で、担当の方は常におかわりになるということが行政のさまざまな問題を、悪気はないと思いますけれども、引きずってきたという一つのことがあるというふうに思います。
 それで、新たな職、その制度そのものの評価というのは、どの時点でだれがどのように行っていくのか。当然、評価をしていくんだと思うんですけれども、どういう形で、何を評価の基準として行っていくのかということを伺いたいと思います。

○中村人事部長 これは学校運営全体の問題でございますので、当然、学校の経営目標の設定、それから業績評価、自己申告、こういうあらゆる機会を通じて我々も検証してまいります。それから、何よりも実際の子どもさんたちあるいは保護者の皆様、これからこの制度を導入したことによって、いろいろなご意見もまた出てくるだろうと思います。そういったことも参考にしながら、私どもは評価していきたいというふうに考えております。

○執印委員 学校内部のことと、それから子ども、保護者の意見を参考にしながらということで、参考にしながら評価をするのであれば、制度をつくる段階から保護者や子どもの意見をきちんと入れていくということが本当は必要だというふうに思います。いきなりここで子どもと保護者が出てきて、しかも参考にしかしないというのは、大変教育委員会の姿勢としておかしいというふうに思います。
 昨年十二月の本委員会での人事部長答弁の確認になりますが、区市町村においては、各教育委員会の判断で、主幹を置かないという独自性、自主性が尊重されるというお答えがありましたけれども、改めて確認させていただきます。

○中村人事部長 十二月にお答えしたのは、置かないことを尊重するといった覚えはないのでして、これは区市町村は、それぞれの教育委員会が、分権化の時代で、当然学校の管理運営規則は制定する権限があります。これは独自の権限でございます。
 ただし、今回私どもが導入を図っております主幹制度につきましては、これは小学校、中学校、高校、すべての学校で問題がある、これを解決するためにこれを導入しようということを考えておりますので、全区市町村ができれば足並みをそろえてこの制度を導入していただきたいということで、当然検討委員会にもそれぞれの区市町村の教育委員長、それから小中学校の校長先生たちもお入りいただいて、検討を進めてきたということでございまして、現在も区市町村に対して、東京都が導入するのとなるべく時期を一にして導入をしていただきたいということで連絡調整を行い、協力要請をしているところでございます。

○執印委員 尊重されると答えた覚えはないということなんですが、組織的に置かないことを教育委員会が決めることは、それはできるということですね。今働きかけをしているのは、それは東京都の問題ですから、自治体の問題として、それは当然できるということですね。確認させてください。

○中村人事部長 できます。

○執印委員 こちらがもし百歩譲ったとしまして、ここまで進めたものですから、進められるんだろうというふうにも思うわけなんですけれども、例えば先ほども、各自治体に三月に決めていただきたいと思っていると。ということは、ことしの三月なんですかね。少し、本格実施する前に、都立高校だけでやってみるとか、小中学校はその自治体としての自主性というのがもちろんありますから、余り介入しないでもらいたい。都立高校でやってみて、主任制度との問題もあるわけですから、相当ややこしくなることが想定されますよね。うまくいかないことだって想定されるわけですから、例えば期限を区切って、東京都の教育委員会が責任を持てる範囲だけにしてやってみるというようなお考えはないですか。それによってはこちらも対応を考えたいというふうに思うわけですが。

○中村人事部長 先ほどお答えしましたように、検討の段階から区市町村にも当然お入りいただいて、今も協力要請をしているところでございます。公立学校の教育環境を一定水準に確保するというのは、同じ東京都として、しかも県費負担職員で財政負担もしているということを考えますと、全校種、全区市町村で同時に実施することが望ましいというふうに考えております。
 十五年の四月には小中学校にも配置できますように、区市町村の教育委員会と今後とも連携を図っていきたいというふうに考えております。

○執印委員 この件については、これを我が市は導入しない、独自でやりますというような市がもしあったとすれば、逆説的にいうと、こんなに教育が悪くなってないだろうなということも私は考えるわけですが、最後に意見を申し上げて終わらせていただきます。
 三つの理由から、導入には慎重に対応してもらいたい。反対の立場です。
 一つには、先生の労働の問題です。自分のクラスも見て、隣のクラスの担任の子どもたちも見て、必要があれば校長や教頭に意見もするという仕事の仕方は超人的だというふうに思います。そういった労働超過が自分のクラスの子どもたちへ影響するという、現実的に合わないのではないかと考えます。
 それから二つ目は、都教育委員会が考えているいい学校、いい校長、いい先生と、保護者、子どもが求めているいい学校、いい校長、いい先生との落差が大きいということです。それはこれから行われる卒業式などで、いろいろなところで保護者の意向と校長の意向が非常にずれているということでもあらわれているというふうに思います。
 それから三つ目は、主幹制度の導入後、保護者や市民に意見を聞くのであれば、きちんとメンバーとして保護者や市民を入れて制度をつくり上げるべきだということです。決めるときは学校関係者や管理者のみというのは、教育委員会の身勝手であるというふうに思います。はっきりと反対をいう会派もあれば、そうでない会派もありますけれども、前回の中間まとめへの各会派の質疑の雰囲気を、もっと正確に東京都の教育委員会は受けとめるべきではないかというふうに思います。ぜひ各市に、区に強制することがないように、最後に申し上げます。

○野島委員 この制度については、中間報告があり、最終的な報告があって、十五年度導入に向けて準備もされる、こういう流れだというふうに理解しております。
 先ほど、今さらこんなことをやるのはというか、この制度の導入がつぶれかけた企業に似ているやにご指摘がございましたけれども、私は再生される企業だろうと思っております。経営方針は広く、当然のことながら、義務教育ですから子どもの健全な育成、それから保護者の期待にこたえると同時に、公教育として、東京都教育委員会が広く都民の期待にこたえていかなければいけないわけですから、私はそういう意味では、むしろつぶれかけた企業という視点ではなくて、立て直す企業だろうというふうに思っております。
 いわば経営論でありますから、それに向かってどう組織をつくっていくか、これはどこでも意識することでございまして、そういう観点から行きますと、とりわけ昨今の不登校であるとかいじめであるとか、さまざまな問題で子どもたちも傷ついている。あるいは保護者も学校教育に対する信頼が十分でない。あるいは子どもを持たない都民からもいろいろな意味で学校教育に対する意見が多く出てきている、こういう実情でございますから、こういう危機管理といいましょうか、そういうときこそしっかりした組織立てをしてやっていきませんといけないと私は思いますから、そういう意味では、ぜひ再建の意気込みでやっていただきたいというふうに冒頭申し上げておきます。(「方針間違ったら、もう終わりなんだから」と呼ぶ者あり)人の質問時間だから、あなた、終わったんだから静かにしてください。
 それで、その制度について幾つか伺いたいんですが、校長先生がいらして、教頭先生がいらして、今、主任という方がいて、教職員じゃないんですね。校長先生、教頭先生、主任の先生がいて、こちらに先生がいる。主任制度は連絡調整機能みたいな形になっていますんでしょう、今まで聞いた話では。したがって、十分な指導力が発揮されない部分もあるだろうし、みんなで責任を持つ組織というのは、結果だれも責任を持たない組織なんですね、私にいわせれば。
 したがって、今回これを導入するというふうに伺っております、それでは、まず、主幹の方と主任の方との関係がどうなってくるのか。校長先生がいて、教頭先生がいて、主幹の先生がいて、主任の先生がいて、教職員という形の中で、どんな形になってくるのか、その辺をまず冒頭押さえておきたいと思いますので、ご答弁をお願いいたします。

○中村人事部長 主幹は、担当する校務に関する事項につきまして、教頭を補佐するとともに、教諭等を指導監督するということがその職責になります。したがいまして、指揮系統は、校長、教頭、主幹、それで一般の教諭、こういうことに流れとしてはなります。主任はあくまで校務分掌を担っているという役割分担の一つでありまして、立場としては主任と教諭とは全く同じ立場にあるということでございます。

○野島委員 そうしますと、今、指揮命令系統という話でお伺いをしたわけでありますけれども、中間管理職、こういう形になろうかと思いますね。
 組織の中で、もちろんリーダーは大変でありますし、極めて困難な立場に立つと思いますが、組織の中で中間管理職というのが極めて私は辛い立場だと思うんですね。あるいは極めて大変な立場だと思うんです。現場をよく把握しながら、あるいは上司といいましょうか、一つの指揮命令系統の中で十分意思疎通を図りながらやっていくわけですから。そういう意味では、今までこういう辛い、大変な立場がなかったという組織が私にはわからない。なぜ組織論として教育の中にそういうものを持ち込んではいけないという、こういう部分があったかというのを私はいささか不思議に思っているんですね。
 最終報告を見ると、上意下達の命令により管理システムを強化し、競争と差別、選別の教育を推進するものだ、こんな部分もあるんですね。世間でいわれているのは、要するに反対する立場になりますと、管理システムの強化、こういうことがいわれているんですね。管理だとか強制だとか統制は教育現場にふさわしくないというのが論点になっていますね。これは私の見解ですから、特に答弁は求めないです。教職にある方で、かなりこういう見解のある方が、それでは教育委員会なり、行政委員会である教育委員会、あるいは東京都でいえば都政の中で、教育というのは何なのといったときに、あるいは市町村に置きかえてもいいです、どういういい方をしますかというと、それは行政委員会だから、施設整備にとどめ、人を振り、その必要な金を用意すればいいんだと。学校現場というのは自分たちが--先生方ですよ、がすべて管理運営していくから、余計なことはいってほしくない、こういう論点もあるんですよね。なるほど、私は、それらがしっかりした、例えば学習指導要領に基づいて教育する、これは当然のことですよね、教育公務員として遵法精神を持つのは当然のことだと思うんですね。ところが、そういう観点に立ちますから、これを立証しろといっても立証できないんですが、私どもの方の学校では、校長先生や教頭先生が授業を拝見したい--拝見したいというのはおかしなものですね、学校に校長先生がいて、教頭先生がいて、先生方が授業しているわけですけれども、やめちゃうという先生がいるんですよ、授業するのを。何をかいわんやということがあるんですね。
 そういういろいろな意味で、私がさっき申し上げましたように、みんなで協調していくよという組織は僕は必要だと思うんですよ。理念を共有する、あるいは課題を共有するというこの共通理解と、それでともにやっていくという共同意識が必要ですが、さっきいったような形でいきますと、最終的には責任はだれも負わない、こういう組織体をつくってしまいますね。
 それと、これは教育公務員の方で関係ある方がいたら大変ごめんなさいというふうに申し上げておきますけれども、校長先生になりますと、特にある年齢になりますと、もう私はこの学校で終わりなんだから難しい問題は持ち込まないでほしいという、私がその年齢になって、そういう立場になったら、恐らくそう思うかもしれません。何をいっているかというと、やはり一つの組織体としてやっていこうということがないから、それなりに全体に乗っかっておって、問題が起きたときには目をつぶっていようかなというふうな意識が私はなきにしもあらずだろうというふうに思っております。
 そういうことでは、その責任体制というのは確立できない。何でもかんでも従えということじゃないですよ。今の学校教育なりあるいは我々の生きている社会が、強権発動して全部管理統制なんかできるわけないわけですから。課題は課題として共有し、最後に責任を持ってだれがやるかという、こういう組織を学校の中につくっていかなければいけないだろう。そのことが私は、冒頭申し上げた、いわゆる広く、あまねく都民の公教育に対する信頼を回復する一助だと思っているんですよ。したがって、私はぜひ積極的に進めていただきたい、こういう立場に立っております。そういう意味では、保護者、地域に対しても、あるいは広く都民に対しても、より有効な学校運営ができるだろう、こんなふうに思っていますね。
 ただ、組織というのは、一つの現状を分析して、こういうふうがいいだろうという理想なり理念なりでつくったけれども、その日が最高なんですね、発足させた日が。次の日から大体もう陳腐化しちゃうんです。したがって、ここにどう魂を入れていくかというのは、横山教育長以下東京都の教育委員会の置かれた一番の課題だろうというふうに思ってございますので、この制度を導入することによってどんな効果が期待され、東京都の教育委員会が広く都民の負託に、公教育を牽引する立場として果たし得るのか、こんな決意も伺っておきたいと思います。

○中村人事部長 今、委員ご指摘のとおり、教職員の共通理解あるいは共同意識といいますか、これが必要以上に強調されている部分が垣間見えるのは事実でございます。したがいまして、課題に対して迅速、的確に対応できていないという現状もございます。これは報告の中に書かせていただいております。
 これは学校の運営組織が、校長、教頭以外すべて職員に差がない、みんな平等な教員から構成されているという意識がございまして、結果的にご指摘のとおり責任の所在が非常にあいまいになっている、こういうことにも一因があろうかと思います。主幹制度を今回実施することによりまして、保護者、地域に責任を持った、開かれた学校づくりをより一層推進できるというふうに確信しております。

○野島委員 私も、もう子どもは義務教育を終わったんですが、預けていたときもあります。いろいろ問題も学校の中で発生して、その対応のあり方、こんなことについてのいささかの経験談も持っておりますが、きょうは別にそれを話す場ではありません。それからPTAというのがありまして、これはペアレント、ティーチャーのアソシエーションですから、こういう中でいろいろな学校の運営に関することとか、あるいは学校が地域と、あるいは特定の団体とどう結びついて、どういうふうにやってきたかとか、こういう実情はいろいろあります。
 そういう意味でも、私はそれらが悪いといっているんじゃないですよ、そういういろいろな実情の中で東京都がこの制度を始めようということですから、さっき申し上げました学校教育の危機管理にぜひこの制度に魂を入れて頑張っていただきたいと同時に、国に対してこの制度の改正を働きかけているやに伺っておりますけれども、現在そういうことがないということでありますから、このことをもって、やはり東京から日本の教育を変えていくんだ、こんな牽引車としてご努力を賜りますようお願いを申し上げながら終わります。

○東委員長 ほかにありますか。--ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。

○東委員長 次に、都立図書館あり方検討委員会報告についてを聴取いたします。

○嶋津生涯学習部長 先般、一月二十四日に発表いたしました、今後の都立図書館のあり方について説明をさせていただきます。
 お配りをいたしました、この報告書が本文でございます。
 説明は、一枚のペラにいたしましたこの概要版でご案内を申し上げたいというように思ってございます。
 まず、第1の検討の背景と経過でございます。
 私ども東京都教育委員会は、区市町村立図書館の量的、質的な充実や、近年における情報化の急速な進展、あるいは地方分権の進行などの社会経済の変化を踏まえまして、都立の図書館が広域自治体としての図書館として果たす役割を明確にし、効率的な運営のもとで、区市町村と連携した質の高いサービスを都民に提供していくことが必要であるという認識に立って検討することにいたしました。昨年四月から十カ月にわたりまして検討を重ねてまいりました。その間、区市町村の関係者などに検討状況を報告し、ご意見も伺いながら、最終的な取りまとめを先般行ったものでございます。
 次に、第2の都立の図書館の役割でございます。
 都内にはご承知のように現在三つの図書館、すなわち中央図書館と、それから日比谷の図書館と多摩の図書館とがございます。そのほかにも、国立の図書館として国立国会図書館及び上野に国際子ども図書館、二つがございます。そして区市町村には三百九十一の図書館が現在設置されてございます。この三百九十一の区市町村立図書館の役割といたしまして、私どもとしては、住民のために資料や情報を提供するなど、地域の情報拠点として地域の実情に即したきめ細かな直接サービスを行うことが期待されているものと考えてございます。これに対しまして、私どもの都立の図書館の役割は大きくいって二つではないかというぐあいに思ってございます。一つは、広域的、総合的情報拠点として、高度専門的な情報サービスによる都民の調査研究への支援を行うこと、もう一つは、図書館の図書館として、さまざまな協力支援事業を通して区市町村立の図書館をバックアップしていくこと、この二つではないかというふうに認識してございます。
 三番目に、今後の都立図書館のあり方のポイントでございます。
 ポイントが三つ、概要版にもしたためてございますけれども、まずその第1といたしまして、広域的、総合的情報拠点としてのサービスの提供ということでございます。
 四点ほど掲げてございます。まず一つ目は、区市町村からの強い要望でもあるわけですが、専門書、それから貴重書などを活用して、高度、専門的なレファレンスサービスを引き続き提供してまいるということでございます。
 二つ目は、都立の学校に対しまして、協力レファレンスを行ったり、あるいは小中高の学校の司書教諭の専門研修に協力するなど、学校への支援といったものに力を注いでまいりたいというふうに考えてございます。
 三つ目は、こういう時代ですので、ITを利用いたしまして、利用者がわざわざ館に来なくても必要な資料にアクセスできるよう、あるいは各種の申し込み受け付けができるようにする、そういうサービスの提供を図ってまいりたいというぐあいに考えてございます。
 四つ目は、都立の図書館の所蔵している資料を、年齢にかかわらず調査研究の必要に応じて利用できる、そういうチャンスを保障するために、現在、中央図書館とそれから多摩の図書館で設けております年齢制限を撤廃いたしたいというぐあいに考えてございます。
 次に、ポイントの二つ目でございます。市町村立図書館への支援というところに書いてございまして、丸が三つなってございます。
 まず第一は、区市町村立図書館との役割分担を踏まえまして、都立の図書館の方で専門書や高価本などを中心に幅広い資料を収集保存して、区市町村や利用者の期待にこたえてまいりたいということでございます。
 第二は、区市町村の図書館に対して、都立の図書館の所蔵資料を貸し出す協力貸し出しや、あるいは図書館業務に関する専門研修の支援など、各種の協力支援事業の充実を図ってまいりたい。そのために区市町村立図書館が求める協力支援のニーズを把握する仕組みを、きちっと新たにつくってまいりたいというように考えてございます。
 第三は、都立の図書館は広域的立場から、現在幾つかの自治体で取り組まれているような区市町村間のブロック化による図書館の広域利用や相互協力が都内全域で拡大できるよう、区市町村立図書館の相互協力のネットワークを築いてまいる、そのことを提案して、サポートしてまいりたいというように考えてございます。
 最後にポイントの三番目でございます。効率的な図書館の運営、やはり四点したためてございます。
 まず一つ目は、現在、三館の都立図書館がそれぞれに行っています予算、企画、収書などの機能を中央図書館に集中化いたしまして、中央図書館の統括のもとで資料購入や書庫管理を行って、都立の三館が一体となって効率的な運営とサービスの充実を図ることにしてまいりたいというように考えてございます。
 二つ目は、中央図書館と多摩の図書館の役割分担を見直しまして、現行の地域分担という考え方から機能分担に変更いたしまして、日比谷図書館を含めた三館がそれぞれ機能分担をしながら、都立の図書館として一体的な運営を行ってまいりたいというぐあいに考えてございます。これによって、もう少しつぶさに申し上げますと、中央図書館は主に専門書、多摩の図書館は文学、児童、それから多摩関係の資料、日比谷は新聞、雑誌あるいは視聴覚関係の資料を中心とした機能を分担していくことにいたしたいというように考えてございます。
 三つ目になりますが、こうした機能の分担に合わせまして、図書購入につきましても、原則といたしまして一タイトル一冊とし、幅広い資料の収集を保存することによって、区市町村に対する支援機能を充実してまいりたいというふうに考えております。
 そして最後でございます。四つ目でございますが、現在、重複して収蔵してございます本、資料につきましては、区市町村立図書館を中心に、今年度は約十万点の再活用をお願いしていきたいというぐあいに考えてございます。現在、既に多くの区市町村から要望いただいてございまして、合計で約二十万を超える申し込みをいただいているところでございます。この申し込みの状況を踏まえまして再活用計画を立て、区市町村の利便に供してまいりたいというように考えてございます。
 今後、この報告書を指針といたしまして、都立の図書館は広域的自治体の図書館として、効率的な運営のもとで、区市町村と連携した、質の高いサービスを都民に提供できるよう努めてまいりたいと考えてございます。よろしくお願い申し上げます。
 以上、報告とさせていただきます。

○東委員長 報告は終わりました。
 なお、本件に対する質問等につきましては、後ほどご審査いただく関連の請願審査の際、あわせて行いますので、ご了承をお願いいたします。

○東委員長 次に、請願陳情の審査に入ります。
 初めに、請願一三第一八五号、請願一三第一九二号及び請願一三第二二七号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山際都立高校改革推進担当部長 都立久留米高校の存続に関する請願など、請願三件についてご説明申し上げます。
 最初に、一三第一八五号、都立久留米高校の存続に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、久留米高を守る会代表、佐伯忠彦さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都立久留米高校の廃校計画を中止し、存続していただきたい、でございます。
 東京都教育委員会は、平成九年九月に都立高校改革推進計画第一次実施計画、平成十一年十月に同第二次実施計画を策定したところでございます。この計画は、生徒の多様化に対応した特色ある学校づくりを推進するとともに、生徒の大幅な減少に対応して、都立高校の規模と配置の適正化を進めるものでございます。第九学区の生徒減少に対応して、全日制高校の適正配置を進めるため、久留米高校と清瀬東高校とを発展的に統合し、両校の伝統や教育実績を生かした、東久留米地区総合学科高校を平成十九年度に設置してまいります。
 次に、一三第一九二号、都立高校の統廃合改編計画の見直しに関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、都立高校統廃合計画の見直しを求める該当校連絡会代表世話人、鳥井幸雄さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、まず、1、地域の実情とニーズに基づいた学校づくりを目指すため、計画を見直すこと、でございます。
 第一次、第二次実施計画策定の必要性及び経過は、請願一三第一八五号と同様ですので、説明は省略させていただきます。
 今後ともこの計画に基づき、既設校の発展的統合や改編により、新しいタイプの高校等を設置してまいります。
 次に、2、地域住民や学校関係者の意見を再度くみ上げ、計画に反映させることでございます。
 東京都教育委員会は、平成十一年六月に第二次実施計画、適正配置計画案を該当校の校長に示し、その後も教職員、PTA、同窓会等に対して説明や話し合いの場を持ち、理解を求めた上でこの計画を決定したものでございます。計画決定後におきましても、必要に応じ関係者との話し合いを続けておりまして、今後とも引き続き理解を求めていきたいと考えております。
 また、新たな学校の教育課程の編成や施設設備等について検討する基本計画検討委員会には、該当校の校長や教職員が委員として参画するとともに、検討の節目において中間のまとめを示しまして、学校関係者あるいは地域関係者の意見、要望を伺う機会を設けたところでございます。
 次に、3、実施計画にかかわる情報の開示や意見聴取の機会を十分に設けること、でございます。
 都立高校改革推進計画を推進するに当たりましては、広報誌、インターネットのホームページ等を通じまして、広く都民に対し計画の内容等について周知するとともに、教育モニター等を通じまして、都民の意見、要望を聴取するよう努めてきたところでございます。
 また、平成十三年十月には、現在推進している都立高校改革に対する都民の評価及び都民の都立高校等に対するニーズ等を把握し、今後の都立高校のあり方について検討する際、参考とすることを目的といたしまして、五千人の都民を対象に、都立高校に関する都民意識調査を実施した結果を公表したところでございます。今後とも都民への周知や、都民からの意見、要望の聴取に引き続き努めてまいります。
 次に、一三第二二七号、都立高校改革推進計画の都民参画による見直しと教育諸条件の改善等に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、都立高校のいまを考える全都連絡会代表、國松芳美さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、まず、1、都立高校改革推進計画について、(1)、計画に基づく統廃合・改編は、関係者の理解と納得を得ないまま一方的に実施しないこと、でございます。
 実施計画策定の必要性及び関係者等との話し合いの経緯は、請願一三第一九二号と同様ですので、説明は省略させていただきます。
 次に、(2)、第三次実施計画策定業務を凍結すること、でございます。
 都立高校改革推進計画は、平成九年度を初年度として平成十八年度までの計画期間における改革の方向とその道筋を示す長期計画を定めておりまして、この計画の実現に向けた具体的な計画として、平成九年九月に第一次実施計画、平成十一年十月に第二次実施計画を策定いたしました。平成十四年度には、平成十五年度から平成十八年度までを計画期間とする実施計画を策定する予定でございまして、今後とも、都立高校が抱えるさまざまな課題を解決するとともに、都民の高校教育に対する期待にこたえ、都民に信頼される、魅力ある都立高校の実現を目指しまして、着実に都立高校改革を推進してまいります。
 次に、(3)、生徒、保護者、教職員等の学校関係者及び地域住民等の都民参画による見直しを行うこと、でございます。
 都立高校改革推進計画を推進するに当たっては、教育モニター等を通じまして、広く都民の意見、要望を聴取するように努めてきたところでございます。また、新たな学校の教育課程の編成や施設設備等について検討する基本計画検討委員会には、該当校の校長や教職員が委員として参画するとともに、検討の節目におきまして中間のまとめを示し、学校関係者や地域関係者等の意見、要望を伺う機会を設けたところでございます。今後とも都民の意見、要望等を聴取しつつ、この計画に基づき、既設校の発展的統合や改編により、新しいタイプの高校等を設置してまいります。
 次に、(4)、改革に当たっては、三十人--定時制の場合二十人でございます--以下の学級の早期実現など、教育諸条件の整備を優先すること、でございます。
 都教育委員会は、都立高校改革推進計画で、生徒減少期を都立高校の量的拡大から質的充実への転換を図る好機ととらえ、教育諸条件を整備していくことといたしております。このため、都教育委員会は特色ある学校や開かれた学校づくりを進めるための教育諸条件の整備とともに、新しいタイプの高校等の設置、ホームルーム定員等の改善、教職員配置の改善、資質向上、学校施設設備の整備等を計画しているところでございます。
 次に、2、希望するすべての子どもたちに高校進学の機会を保障し、長引く不況のもと、保護者負担の軽減など公私を含めた公教育全体の責任を果たすこと、でございます。
 都内公立中学校卒業生の高等学校への受け入れは、毎年、生活文化局、平成十二年度までは総務局でございました、そして教育委員会、東京私立中学高等学校協会等で構成いたします公私連絡協議会を設置し、都立、私立が協力して就学対策を講じてまいりました。全日制高校への就学対策は、学ぶ意欲と熱意のある生徒が一人でも多く進学できるよう、前年度の公立中学校三年生全員を対象に行われる都立高校全日制志望調査の志望率を上回る九六%を計画進学率といたしております。
 また、都立高校の授業料や入学金は、保護者の収入が一定の基準以下となった場合、申請による減免制度を設けているところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 今ご説明をお聞きいたしまして、高校改革の全体像については十分理解をいたしました。生徒に多様な選択肢を用意して、みずから学習していく、社会に出ていくインセンティブを与えよう、こういうことで大変私は基本的に是としております。
 ただ、請願第一八五号は都立久留米高校の存続に関する請願なものですから、私、実はそこの地区に住んでおりますので、大変ドメスチックな話題で恐縮ですが、何点かお伺いしたいと思います。
 十九年に新しいスタートを切ると伺っております。新しい学校に生まれ変わりまして、これからは地域の高校としてみんなに愛され、さらに活性化をして、地域の教育の核になってほしい、こんなことを期待をしておるところであります。
 一つはハード面のことなんですが、前につばさ高校でもちょっと質疑をしたようなことがあると思うんですが、教育というソフトをしっかり実現する担保としてハードの施設があるだろう、こういうふうに思っているんですね。財政状況が厳しいというのはよく承知をしておりますけれども、今後清瀬東がどうなるのか、こういう課題はまだこっちに先に置きまして--よくいわれるんですね、中途半端なものをつくっちゃうと、何年もたたずにやり直さなきゃいけない、あるいはつくり直さなきゃいけない、改修しなきゃいけない、非常にある意味で結果的にはコスト高になってくる、こんなことがあるわけですね。久留米高もかなり老朽化をしているわけでございますので、思い切っていい学校をつくってもらいたいと思うんです。いい学校をつくるとお金がかかるのはわかっておりますけれども、とりわけ、いろいろな系列がありますね。そうすると、実習であるとかあるいは準備室であるとか、具体的な整備計画はこれからなんでしょうけれども、その辺の基本的なところだけ、きょうはお聞かせいただけますか。

○山際都立高校改革推進担当部長 新しい学校に関しての施設整備の考え方についてでございますが、東久留米地区総合学科高校につきましては、昨年度出されました基本計画検討委員会の報告にございまして、そこで、先ほどご指摘もございましたが、自然科学探究とかあるいは国際人文科学、そして健康スポーツ、さらには看護福祉など、六つの系列を置きまして、具体的な施設といたしまして、例えば体力測定室、看護実習室、デザイン実習室など、系列の特色を生かすような、そうした教育内容に必要な施設を整備するということといたしております。具体的な整備計画については今後詰めていくことになるわけでございますが、新しい学校にふさわしい施設となるように努力してまいります。

○野島委員 次に、今、久留米高校がさまざまな活動を繰り広げております。新聞報道によりますと、競争率が一番高いということの報道に接しました。定数を絞り込んだり、あるいはスタンダードなところに応募者が殺到するとか、いろいろなケースがあると思うんですが、私のところに送ってきてくれた新聞等を見ましても、生物部が活躍をされているとか、サッカーというのも結構前々から高名をはせていたんですが、こんなところで、整備に当たっても、とりわけ運動部の関係とかなんとかというのは、切れちゃいますと、なかなか受け継ぐ--教える側はもちろん必要ですけれども、部員として受け継いでいくものも切れちゃうような気がするんですね。そんなところに対しては、運動施設はどんなふうに確保されていくというふうにお考えなのか、その辺をお伺いしたいと思います。

○松田施設部長 工事のために久留米高校の運動施設が仮に使用できないというようなことになった場合につきましては、近隣の学校、その他の運動施設を久留米高校の活動に利用できるよう配慮していく所存でございます。

○野島委員 ぜひそういう形で努力をいただきたいと思うんですね。それで足りない場合は、ぜひ--東久留米にも大した運動場はないんですよ、残念ながら。しかし、久留米高校はサッカーで頑張っている、高名をはせているということもありますから、東久留米市教育委員会でも、あいているところをぜひ貸してくれ、こういう要望がありましたら、ぜひそんなことで全体に久留米の子どもたちも相当数がお世話になるはずですから、理解が得られると思います。具体的なことはこれから先ですけれども。
 そこで実は、サッカー部の話を申し上げました。部活動は先輩とか後輩、こういった関係を通じて僕は人間教育の効果が非常に大きいというふうに思っているんですね。したがって、そういう実績はぜひ新しい高校に引き継いでいくべきだろう、こんなふうに考えております。新しい学校が開校する前に、募集停止によりまして久留米高校の生徒がいなくなってしまう、こういうことになりますと、今申し上げました先輩、後輩、こういうことも切れちゃうわけでございます。具体的な形はどうなのかというのは私はまだこれからというふうに伺っておりますから、言及いたしませんけれども、施設の利用方法などを考えながら、ぜひそういったふうな伝統のある部分を部活という中で生かしていく。
 私は実は部活動をやっていなくて、授業が終わると、帰宅部に入っていて、すぐ帰宅しちゃったんですね。子どもたちに聞きますと、あるいは私の子どもも部活をやっていますけれども、大変楽しそうにといいましょうか、いろいろな意味で幅が広くなっているな、子どもに教えられている。部活をやって、教えられているような実情でありますので、ぜひいろいろ工夫をされまして、新しい学校に引き継いでいただきたい。そんなところで久留米高校の募集停止も--当然、久留米だけが高校改革の対象じゃなくて、ほかでもやっていますから、均衡の問題もあるやには十分理解しておりますけれども、ぜひその辺の見解についてお伺いをしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 久留米高校の募集停止についてでございます。
 改革対象校の募集停止の時期につきましては、公立中学校卒業生の都立高校の受け入れ枠を決める、これは毎年度決めるわけでございますが、就学計画の中で決定していくことになります。また、募集停止を行う前年の秋に停止予告を行うということにいたしております。
 委員ご指摘ございましたが、久留米高校は地域のサッカー部あるいは文化部なども含めて、そうした拠点になっている、そういう実績がございます。これらについては十分評価していまして、今後もそうした実績を生かすように努めてまいります。

○野島委員 これで終わりにしますけれども、実はこの請願そのものは、要旨としては、廃校計画を中止、存続していただきたい、こういうことなんですね。いろいろな意見があることは当然でございますけれども、この新しい学校を、東京都教育委員会あるいは統合される対象校でなく、地域の保護者、卒業生、こういったふうな多くの協力を得ながらつくっていくことが望ましい、こんなふうに思っているんですね。
 内容については言及しませんが、私がいろいろ反対される立場の方やら、あるいは卒業生、PTAの方、こんな方からいろいろなお話を聞きますと、全部とはいいませんけれども、ぜひいい学校をつくってくれ、しかし、こういう点には配慮をしてくれというふうなことがいわれているわけですね。個々には申し上げませんが、PTAのOB会であるとか、あるいはさっき申し上げましたサッカー部じゃなくて、東久留米市のサッカー協会というところからも、サッカーのそういったふうな継続性についての要望も、東京都の教育委員会の方に行っているのかな。それから同窓会からも、いわばいい学校をつくっていくためにこういうことに配慮してください、私たちもそういう協力をしていきますよ、こんなメッセージが発せられているわけなんですね。
 こんなふうないろいろな要望や意見、こういったふうなものを、組織的にというと、校長先生が最終的に集約する、あるいはこれから準備室ができて、その段階ということになると思うんですが、私はそういうものが都教委に伝わっていくというのが一番望ましいと思いますので、地域の高校教育に期待する一人として、そういう部分については、関係者とも十分協議を私自身もしたいと思うんですが、そういったふうなことを受け入れていただけるというか、十分協議していただけるような形が望ましいというふうに思っておりますので、その辺の見解についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 新しい学校づくりに向けまして、いい教育をするとかあるいは協力するというような、地域や学校関係者の方々から積極的あるいは建設的な意見を寄せていただくのは、大変ありがたいことだというふうに受けとめております。そうした組織ができれば、直接、間接にご意見を伺い、可能なものについては新しい学校づくりに反映をしてまいります。

○野上委員 久留米高校について質問させていただきます。
 私も平成五年、ちょっと前なんですけれども、久留米高校の生物の研究授業の参観をさせていただいたことがございます。そのときに非常に担当の教師の方が一人一人にきめ細かな指導をしていらして、本当にすばらしい学校だなというふうに感じたことがございました。
 先ほど説明がありましたけれども、都立高校の改革推進計画の第二次実施計画が先ほど出されておりましたけれども、久留米高校と清瀬東高校を発展的に統合して、東久留米地区の総合学科高校を設置するというふうにいわれておりますけれども、これは普通科同士の統合ですよね。そして総合学科を設置するということで、総合学科のイメージがまだなかなか、ちょっとイメージがわきづらいんですけれども、この東久留米地区の総合学科は特にどのような特色を持つ総合学科にしていかれるのか、そこら辺をお聞きしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 新たな総合学科高校の特色、理念に関するご質問でございますが、東久留米地区の総合学科高校におきましては、久留米高校のこれまでの盛んな運動部活動などの教育実績、こういうものを考慮して設置いたします健康スポーツ系列、あるいは清瀬東高校、これは看護医療コースがございますが、そうした教育実績を考慮して設置をいたします看護福祉系列を初めとしまして、情報ビジネス系列、あるいはアートデザイン系列などを設置いたしまして、一人一人の目的意識を育て、進路実現を図る学校ということを目指しております。また、体験学習あるいは学校行事、部活動なども重視してまいります。

○野上委員 それぞれ総合学科に向けて特色を生かしながらやっていくんでしょうけれども、今ある学校が統合のために閉校になってしまうということは、この守る会の人々を初めとして、学校関係者にとってもとても残念なことだと思うわけです。
 特に私は請願の陳情に来られましたサッカー部をやっていらっしゃる方からいろいろお話を聞きまして、全国大会にも出場するような非常に有名なサッカー部、これまで多分汗と努力で積み重ねてこられたサッカー部だと思うんですけれども、こういった今までせっかく軌道に乗っている部活動が白紙になってしまうのではないか、それをとても心配をするわけなんです。五千二百七十九人を超える人たちの署名が集まっておりますけれども、こういった人たちの声をどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 統廃合に伴いまして、今まで努力して積み上げてきました両校の教育実績、こういうようなものがすべて失われるというようなことは、これは避けねばならないと考えております。もしそうしたことを学校関係者が懸念するというようなことがあるとするならば、さらに理解を得るように努めるとともに、新しい学校にこれまでの実績あるいは伝統が引き継いでいけるよう努めてまいります。

○野上委員 続きまして、まだサッカーのことなんですけれども、この久留米高校のサッカー部は近隣の小中学生のサッカー活動にも協力をしている、また、地域に非常に深く結びついた活動をしてきているということをお聞きしております。
 この統廃合に当たっては、このサッカー部を中心とした地域の核としての久留米高校のこれまでの活動実績をぜひ新しい学校につなげていくことが必要ではないかと思います。もし募集停止がされますと、生徒がいなくなってしまって、そういった今までの実績を引き継いでいくことが難しいのではないかと思います。今、野島委員のときにありましたけれども、具体的に募集停止の時期が前々年の秋とおっしゃっていましたけれども、サッカー部を中心とした久留米高校の実績をぜひ新しい高校に引き継いでいくためには、さまざまな配慮をしていくことが求められると思います。
 特に指導者の存在が私は一番大事ではないかと思います。指導者が部活の活動の行方を決めるといっても過言ではないと思うんです。サッカーだけではないんですけれども、そういった指導者の継続的な配置についてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか、お伺いいたします。

○山際都立高校改革推進担当部長 ただいま委員から、サッカー部を例にとりまして、地域の振興あるいはいろいろな意味での貢献を果たしているというようなご指摘がありましたが、まさにそのとおりでございます。
 組織の継続性、指導者の配置というようなご質問でございますが、統合の対象校でございます久留米高校、そして清瀬東高校の伝統を生かす教育活動を行っていくに当たり、指導者の果たす役割が大きいことはただいまの指摘のとおりと考えております。
 具体的な点については、開校の準備を進める中で検討を進めてまいります。

○野上委員 長期にわたって地域と連携をして繰り広げてこられた実績をぜひ、この久留米高校のサッカー部の活動をぜひつなげていっていただきたい。スポーツというのは、地域の児童生徒の健全育成にも大変大きな成果を上げております。今後も新しい学校の開校の準備に向けて、今まで積み重ねてきました実績を維持、発展させて、受け継いでいけるような、そういったシステムづくりをお願いしたいと思います。要望して、終わりにいたします。

○曽根委員 初めに、私も久留米高校の存続要望の請願について何点かお聞きしたいと思います。
 今、総合学科高校になってしまうことを前提にした幾つかのやりとりがあったんですが、存続要望が請願の趣旨ですので、ちょっともとに戻ってという形になりますが、私もこの佐伯さんという方にお話を伺ったところ、まず最初に疑問なのは、近隣に四校の普通科高校がある。これはたまたま歴史的な経過はあると思うんですね。近接四校の普通科高校があり、そのうち清瀬東と久留米が統合して総合学科になる。なぜ清瀬東と久留米--清瀬東の方ではなく、今回は久留米ですから、久留米高校がなぜ統合の対象になるのか、そこがどうしても最後までわからないんだということなんですが、その点についての理由をまずお聞きしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 統合の理由についてお話をさせていただきます。
 九学区の都立高校の適正配置をするために、清瀬、東久留米地区で統廃合を行う必要があった、これが統合の背景の一つでございますし、また、生徒が通える範囲内に総合学科を設置していくために、九学区に総合学科高校を一校設置する必要があるということがございます。
 ただいま委員ご質問の、久留米高校についてはというお話でございますが、久留米高校につきましては、清瀬、東久留米地域の四校がございますが、都立高校の中で校舎が最も老朽化している、統廃合を機に施設を整備することが望ましかった、そんなような状況で対象校にしたところでございます。

○曽根委員 前の委員の方もこもごもおっしゃったように、普通科高校として四校近接しているということから、それぞれ自然の成り行きで特色を持った学校にしていこうという努力がされてきたんだと思うんです。
 久留米高校の場合には、今話にあったとおり、サッカーを中心にしたスポーツ活動、それから文化活動、非常にレベルの高いところを築いてきたと。普通科高校は基本的な、いわば全日制普通科としての役割を持っていて、基本的な学力を子どもたちに保障するという役割は必要だと思いますが、同時に、この四校の場合は特に近接しているだけに、それぞれ特色を持った発展の仕方があり得たし、また、やってきたということで、普通科高校としてのあり方としては私は大いに評価できるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 繰り返しになりますが、久留米高校がこれまで部活あるいは学校運営についていろいろと教育実績を残してきたというようなことは事実でございます。
 今回、久留米高校と清瀬東高校を統合して総合学科高校を設置するということにいたしたわけでございますが、総合学科高校は普通科と専門学科の系列をあわせて置き、生徒が幅広い選択科目の中から自分が学ぶ内容を選べる、そういう学校でございます。久留米高校の活発な部活動など多くの実績について、先ほど申したとおり評価しておりまして、それは総合学科高校の中でさらに生かされていくというふうに受けとめております。

○曽根委員 二つの点で大きな疑問があります。
 一つは、普通科高校としての役割、これまでの実績を評価されるという趣旨のご答弁でしたが、しかし、今のお話の中でいうと、久留米高校についての特定の統廃合理由は老朽化ということだけですよね。結局、老朽化を何とかしなきゃならないという問題が、普通科高校としての学校としての成果、実績、歴史を覆すことになるのかなと。現にほかにも普通科高校で残すところはあるわけですから。久留米は老朽化しているけれども、普通科高としての建てかえじゃなくて、総合学科にしなきゃならないという、教育庁の側の計画上の都合が優先されているのじゃないかということが一つです。
 もう一つは、総合学科にするということが、普通科高校としてスポーツ活動などを熱心にやってきた久留米高校のよさを本当に生かす道なのかということなんです。先ほども紹介があったので、私は詳しくはいいませんが、山口先生という方が長年勤めておられて、今は日本サッカー協会の非常に重要なポストにおられるようですが、地元の小中学生、特に四歳のころからサッカーは育てなきゃいかんということで、地域に深く根差して育ててきた。それが今、久留米高校の歴史の非常にレベルの高いものをつくっている。東京の中の清水市みたいなものですかね。
 そういうことというのは、では総合学科になってどうなるんだ。よさを生かしますと抽象的にはいえるかもしれないけれども、地域の小中学生と深くつながっていて、後輩をどんどん招き入れているわけですよ。地元からの入学は非常に高いと思うんです、四校の中で。総合学科というのは、第九学区全域から、少なくともそこに一校つくるわけでしょう、第九学区全域の中で一校。したがって、地元中心というわけにはいかなくなる。もちろんサッカーは広がるかもしれませんよ。しかし、今まで久留米高校として独自につくってきた特色、地域とのつながり、小中学生の指導、こういうものは少なくとも拡散せざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 先ほど触れさせていただきましたが、総合学科高校については、生徒が通える範囲内に総合学科高校を設置するということで、九学区につきましては、総合学科高校を久留米高校の地に置くというようにいたしたところでございます。
 久留米高校の部活動等特色ある教育活動につきましては、総合学科高校にすることで、例えばスポーツについて、今回の総合学科高校では健康スポーツ系列というようなものを設ける予定になっておりますが、そこでは、今まで普通科の中ではなかなか選択できなかった、例えばコーチ入門あるいはスポーツ理論、体育理論、そういうようなことも選択可能になるわけでございます。総合学科高校にすることによって幅広い科目を設置して、生徒の多様な要望にこたえる学校になると考えております。

○曽根委員 私が申し上げた、地域の小中学生からのいわば人でつないでいく系列と、よき指導者のいわば先生の集団、こういったものをどういうふうにしていくかという具体的な展望というのは、なかなか総合学科になっても生かされないと思うんです。現実に、例えば今具体的にできている京橋高校から晴海総合学科になった。京橋の先生はだれ一人晴海高校に残ってないですよ。全部かわっちゃっているわけです。ここはだれか残すかもしれません。しかし、今まで普通科高校でつくってきたものが、次善の策として何らかのつなぎはつくれたとしても、そっくり生かすことはできないし、逆に、スポーツ学科とかそういうものをつくるんだったら、普通科高校のままでも、カリキュラム改善で幾らでもできることだと私は思います。
 もう一つ、こういう久留米高校が残してほしいという要望が出たときに、総合学科や東京都の計画がどうしても優先なんだ、聞く耳持たんという態度ではなくて、何らかの調整策、もしくは具体的に生かす道というのを取り入れていくという、その保障というものが私はいつもないと思うんですね。この点ではいかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 教育委員会では適正配置計画案を該当校の校長に示して、その後、教職員、PTA、同窓会等に対して、説明あるいは話し合いの場を持って理解を求めた上で、実施計画を決定したところでございます。
 計画策定後におきましても、必要に応じ関係者との話し合いをつづけているところでございます。今後とも学校関係者あるいは地域関係者と誠意を持って話し合い、理解を求めるとともに、新しい学校のあり方などにつきましては、可能な意見を取り入れていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 東京都は少なくとも、総合学科も含めて、絶対に計画がコンクリートされていて、その枠組みの中でしか意見を聞かないという態度は改めるべきだと思うんです。場合によっては、十九年度開校なんですから、まだ少なくとも五年はあるわけですから、十分に計画の組みかえもできる余地があるというふうに思いますので、募集停止を予定しているのは十六年度ぐらいになると思うんですけれども、来年の春ぐらいには募集停止を決めなきゃならないというときが来るので、少なくとも、それまでに抜本的に意見を聞いて、これは存続の請願なんですから、取り入れるように強く求めておきたいと思います。
 それから、ほか二件の請願がありますので、高校改革全体の問題について二点ほど簡潔にお聞きしておきたいと思います。
 今の久留米高校の問題でもそうだったんですが、私が文教委員会になって、去年小石川工業の問題をやりました。その前にも、毎年必ず何本も高校存続の請願が出てくる、陳情が出てくるという状況です。数えてみれば、九七年に第一次の計画が出されまして、その前から進んでいたものも含めると、十を下らない高校の統廃合について、それがすんなり行く方が少なくて、どちらかというと、生徒さんや父母の方やPTAやOB会や、そういうところから地元の方から存続の請願が出る、陳情が出る。
 議会というのは、いってみれば、行政と当事者との間でどうしても問題が解決しない、議会の方で何とかしてくれということで、最後のよりどころみたいに出てくるわけですが、その前に何で調整ができないのか。計画に上った高校の大半で請願陳情が出てきて、議会で何とか審議してくれと。私はちょっと異常だと思うんです、今度の計画の進み方については。それで、少なくとも各校別に、一番当事者である生徒さんや父母やPTA、そういう方の代表も含めた検討の場を持って、お互い対等平等に、計画は最初に東京都が出すにしても、それをコンクリートしないで話し合うという仕組みを学校別につくるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 新たな計画を策定する際に、ご提言という意味でいえば、ご参考にさせていただきたいと思います。
 今回の高校改革につきましては、都民の多くの方に理解されて、さらに学校関係者からもおおむね理解をされているというふうに受けとめております。ただ、一部の方にまだご理解いただいていないということも事実でございまして、今後とも話し合いの機会を設けて理解を求めていきたい、かように考えております。

○曽根委員 いや、そういういい方というのはおかしいと思うんですよ。例えば久留米高校で五千人を超える地元の署名が集まっている。それは東京都民全体に久留米高校について考えてくれといっても、直接知らない高校については何もいえないと思うんですよ。だから、高校改革全体の計画自体はあれこれいうかもしれないけれども、おおむねの理解になっちゃう。
 しかし、少なくとも久留米高校関係者六千人近くが、待ってくれといっているというのが、一部の声になるのかと。いつもそういうことで教育庁の姿勢があるから、各学校のところで問題が解決しないというように思うんですが、私が申し上げた個別の学校での一番の当事者である生徒さんや父母、PTAの代表なども対等平等に入った形での検討会、コンクリートしないで話し合うということができないんですか。

○山際都立高校改革推進担当部長 これまでの高校改革におきまして、各学校においては個別にきめ細かく対応をしてきたところでございます。
 先ほど申し上げたとおり、まだ一部の方にご理解いただけない、そういう事実があることは事実でございまして、引き続き話し合いの機会を設け、可能なものについては施策に反映させるようにしてまいりたい、かように考えております。

○曽根委員 あくまで一部だというんだから、東京都の姿勢はよくわかりました。しかし、少なくとも、例えば都議会で審議するときも、もうちょっときちっとやってもらいたい。
 実は、きのうの夜、先日問題になった小石川工業のOB会というか、関係者の方が来られて、この審議を前にやったときに、新宿区議会で存続の意見書が上がったと。そのことについて我が会派の議員から質問したら、いや、これは区議会の意見書じゃなくて、区議会議長個人の要望なんだというふうな答弁をしていると。区議会として意見書を決議しているんですよ。それを聞いているのに、区議会議長の個人的な要望だというふうに答える。そういうような不誠実な答えや、答えの間違いが多過ぎるということをその方は指摘していました。私は、そういうイロハの問題だけはきちっとやってもらいたいと思う。これはいっておきます。
 もう一つ、この統廃合計画を含む全体の計画を進めていく上で、私は大きな矛盾が起きていると思うのは、去年、ことしあたりの高校入試の中で、全日制を希望する生徒が、実際には計画進学率が達成できなかったために、三千人近く結局進めないという事態が起きていると思うんですが、その実際の目標、進学計画、就学計画と、現実の乖離というのはどれぐらいになっているか、ちょっと教えていただきたいのです。

○比留間学務部長 平成十二年度、平成十三年度、両年度とも計画進学率は九六・〇%でございます。実績の進学率については、これも両年度九二・二%となってございます。

○曽根委員 私は、あるところで、ことしの春は九一・六%という数字を聞いたことがあるんですが、今九二・二%だということですが、その違いはどこにあるんでしょうか。

○比留間学務部長 平成十三年度、今年度からこの計画進学率、就学計画の考え方を若干変えた部分がありまして、これは具体的には昼間定時制高校についての扱いでございますけれども、これを含めるということにした点で数字が若干変わってきているものでございます。

○曽根委員 九六%の計画に対して、九二・二%ですか。しかし、これも十一年度につくった公私合意ですね、公立私立との合意で、お互いの割合を決めているときには含めなかった昼間定時制を入れての数字ですということですよね。
 それにしても四%の開きがあるわけです。二千人以上の子どもたち、二千七百人ぐらいですか。そうすると、これは例えば四十人クラスの定員にすれば八十学級ぐらいになるわけで、学校数にすれば十校程度をつくらなければならないぐらいの子どもたちが、全日制を求めながら、入れないで終わっているということになるわけです。
 これは、計画をつくった当初に比べても、なお私立に行くよりは都立に行かざるを得ない、もしくは都立を希望する生徒がふえてきたことが最大の原因じゃないかと思うんですね、今日の経済状況から見て。そういう点で見れば、私は、公私立の合意はまだ十六年度まで五年間あるそうですけれども、やはりここで見直して、希望と実態に合わせた公私の進学、就学計画をつくるべきだと思うんですが、いかがですか。

○比留間学務部長 現在の就学計画は、平成十一年十月の公私連絡協議会におきまして、平成十二年度から十六年度までの五カ年の中期計画として合意をしたものでございます。
 主な合意内容でございますが、計画進学率を九六%とすること、公私の受け入れ分担を、都立五九・六、私立四〇・四とすることなどでございます。
 公私はこれまで緊密な協力関係のもとで生徒急増期に対応するとともに、近年の生徒減少期におきましても、公私協調のもとで就学計画を策定してきたところでございまして、今後も、中期計画に基づき就学対策を講じていくことが必要であるというふうに考えてございます。

○曽根委員 私は、そういうことをいっていても、現実には乖離が生じて、都立高校は少し枠を広げなきゃならない、定員以上広げなきゃならない事態も起きている。それでも間に合わないということですから、もう見直さなきゃならないと思うんです。そして同時に、その就学計画というのは統廃合による高校改革計画による高校定員数とセットになっているわけですから、これは整合しているわけですから、十校分の学校をつくるぐらいの定員を、高校改革の計画を見直して、どこかに生み出さなきゃならないというところに来ていると思うんです。第二次計画もそういう点の大きな矛盾を持っているということを指摘したい。
 さらに、もっと大きい乖離が今後生じると思うんです。これはやはり高校の統廃合問題での協議の中で出てきたグラフだということで、関係者の方にいただいたんですが、東京都がつくったものですね。平成十三年度東京構想二〇〇〇などによる人口集計、人口推計のやり方は、東京の人口は若干ふえていくというふうに修正されましたので、平成二十二年度によると、今の推計で行く人数七万二百十四名に対して、新しい人口推計でいえば、七万四千七百五十八名と、約四千五百名の乖離が出るだろうということは、東京都の人口推計の中でも出てきているわけですね。そうすると、この第二次計画が終わって、統廃合が済むころには四千五百人の生徒の高校が足りなくなる。これは四十人のままの学級だとしても、二十校ぐらいの学校をつくらなきゃならなくなるわけですよ。これは一体どこで修正するのか。私は、第三次計画を何か計画しているようですけれども、新しい学校にその矛盾を全部しわ寄せすることはできないから、第一次、第二次でまだ統廃合がやられていない学校についても、少なくともキャパシティーの問題、定員の問題については見直さなきゃならないときにもう来ていると思うんですが、いかがですか。

○山際都立高校改革推進担当部長 委員ご指摘のとおり、長期推計の概況については先ほど挙げられた数字のような現象が起きているわけです。この長期現象の原因については、近年の社会経済状況等を背景に、都からの転出数が大幅に減少しているということが大きな原因となっているものと受けとめております。
 都立高校改革推進計画の中では、都立高校の規模と配置の適正化に当たりましては、教育人口推計、高校進学率、公私比率について大幅な変更がある場合には調整を要しますというふうにしております。この推計を踏まえながら、新たな実施計画の策定に向けて検討を進めていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 我が会派は、第三次計画については、第一次、第二次の流れを見る限り、決していいものにならないだろうという点から凍結を求めていますが、それでもやるというなら、少なくとも第一次、第二次の未実施校についても含めて、また、地元からのさまざまな今出た請願なども含めた要望を受けて、全面的に定員も含めて見直すべきだということを申し上げて、終わりたいと思います。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一八五号、請願一三第一九二号及び請願一三第二二七号は、いずれも保留と決定いたします。
 この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩をいたします。
午後三時五十分休憩

午後四時二分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 請願陳情の審査を続行いたします。
 請願一三第一九四号及び請願一三第二三七号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○比留間学務部長 一三第一九四号、東京都立片浜養護学校の存続に関する請願、及び一三第二三七号、都立片浜養護学校の存続と教育条件の充実に関する請願について、この二つは内容が同一でございますので、あわせてご説明申し上げます。
 本請願は、東京都立片浜養護学校存続を求める親の会代表、藪内節子さんほか、及び東京都立片浜養護学校の充実・発展を求める連絡会会長、吉田喜久雄さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、まず1は、学校を存続することでございます。
 都立病弱養護学校は、医療技術の進歩や生活習慣の変化等によって、転地療養が必要な結核などから、アレルギー性疾患、肥満等に病類が変化する中で、在籍する児童生徒数が減少し、集団生活を通して身につく教育効果が十分に期待できない状況にございます。そのため、適切な学級、学校規模を確保し、教育内容の一層の充実を図ることを目的として、平成十五年度末をもって都立片浜養護学校を閉校し、都立久留米養護学校に統合をいたします。
 次に、2は、教育内容を一層充実させることでございます。
 都立久留米養護学校では、都立片浜養護学校の教育の特色を継承するとともに、統合による児童生徒数増の効果を生かし、習熟度別少人数指導による教科学習の充実、個々の生徒に応じた多様な生活指導の展開、部活動等のより一層の充実を図ってまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 簡単にお伺いいたします。
 先般、現地の視察もさせていただきまして、子どもさんの体験談やら、あるいは学校の授業の実態、こんなものをつぶさに拝見をさせていただきました。学ぶ意欲がありながら、病弱等、あるいは肥満、こういったふうないろいろな事情で学べない子どもたち、とりわけ義務教育でありますから、その教育の場を保障していく。したがって、それはほかに代替するところがないとか、それをつぶしちゃったら、もうそういう子どもたちが学習意欲もなくなってしまうというか機会がなくなるということなら、私は、何億かけようが、何十億かけようが、やっていくのが公教育としての義務教育の立場だろう、こんなふうに思っております。
 それで、久留米養護学校に統合する、こういうことであります。先般、ここに高等部をつくってくださいよ、こういう請願があったときに申し上げたんですが、施設面では私は久留米養護というのは大変すばらしいなと思っているんです。寄宿舎あるいは学舎、それから周辺の環境も、白砂青松はありませんけれども、東久留米の場合は、黒目川がたおやかに流れておりまして、雑木林もまだ、三多摩といいましょうか、東京では極めて多いんですよ。周辺には都立の高校も久留米高、西高、こういったのがありますし、ぜひ、すばらしいところですからというのは情緒論ですから、そんなことはこっちに置いておきまして、教育効果という視点から、先ほど部長の答弁でも、一つの集団教育ですから適正な規模等も維持していかないといけない、こういう話もございましたけれども、教育効果という視点からと同時に、あとは個々にいろいろなそういう病気をお持ちでございますから、やはりこれに対する対処も考えていかなくちゃいけないだろう、こういうふうに思うんですね。その二点からお伺いをいたしたいと思います。

○比留間学務部長 教育効果についてでございますけれども、両校の統合によりまして児童生徒数がふえることで、学習の習熟度に応じた集団を適切に設定をすることができる。このことによりまして、学習指導の効果が高まるとともに、幅広い対人関係を築くことができるなど、社会性が広がるということがいえると思います。
 また、児童生徒の前籍校や地域との連携がより緊密になるとともに、保護者との面会も容易になり、親子の触れ合いが増すということも期待できるところでございます。
 一人一人の子どもに合ったという医療的な面でございますけれども、久留米養護学校には医師が配置されているということが特色でございまして、こうしたことから、児童生徒一人一人の病態に応じた健康管理、これを行うことができるというふうに考えてございます。

○野島委員 実はそのときに、親御さんとのかかわりはどうなんですかというように視察のときにお聞きしたんですね。月に一回、こういうお話でございました。もちろん沼津という東京との距離感の問題があるというふうには思っておりますけれども、この年代の子どもたちが--それはどっちが環境いいかということになって、亜硫酸ガスだとか排気ガスの濃度を調べれば、沼津の方がいいかもしれませんけれども、週末には家に帰るとか、私はそういう本来的に家庭との連携というものをもっともっと重視していくべきだろうと思うんですよ。子どもたち、あの年齢にして親元を離れるというのは大変なことだと思いますよ。いろいろ体の事情があるから自立をしてということ、それはわかります。そういうみずからを律して生活していくということも大事ですし、専門的なお医者さんのケアも受けていく、こういうことも大事だろうと思うんだけれども、心という問題で、家庭と比較的直近でありたいなというのが正直なところなんですよ。そんなところも意見としては持っております。
 それから、二つ目は、そんなことでやっていきますよと。当然のことながら疾病を持っているわけですから、こういったふうな場合の不登校児童あるいは生徒、この方たちを久留米養護学校にどういうふうに受け入れていけるのか。私は施設の差違ということは質的な面でお話を申し上げました。量的にもそんなにタイトになってないなというふうに思うんですが、その辺で、受け入れをしていくよと、教育効果においてはさっきいったような部分で遜色がないよ、なおかつ受け入れの態勢も十分だよということになれば、私が冒頭申し上げた、代替機能がなければ何億かけてもやるべきだと思うんですが、そういう代替機能が十分発揮されるのかどうか、その辺ひとつお伺いをさせていただきたいと思います。

○比留間学務部長 片浜養護学校の教育の特色についてでございますけれども、疾病を原因とした不登校児の進学指導あるいは生活指導、さらには活発な部活の指導、こういったことが挙げられると思います。久留米養護学校におきましても、さまざまな疾病を原因とした不登校児童を含めまして、多様な課題を持つ子どもたちをこれまでも受け入れてきているという実態がございます。こうした中で一人一人の病状に応じたきめ細かな生活指導や習熟度別の少人数指導による教科学習、こうした充実に久留米養護学校におきましても努めてきたところでございます。
 統合に当たりまして、これまでも両校の校長を交えまして、教育内容の充実に向けて検討を重ねてきておりますけれども、今後、両校の連絡会を立ち上げまして、具体的な実施計画を定めて、教育内容の一層の充実を図ってまいることとしてございます。

○野島委員 これで終わりますけれども、普通の健常な子どもを家庭で養育し、学校に送り出すについても、それはいろいろな不安がありますよ。こういう方の場合はもっともっと不安があると思うんですね。したがって、今ご答弁がいろいろありました。久留米養護に統合していくということでありますけれども、ぜひ、そういうことでやっていくのであれば、今ご答弁なされたようなものを具体的に関係者の皆さんに十分周知をしていくべきだろう、こんなふうに思っておりますので、その辺は要望にとどめますが、お願いを申し上げて終わりたいと思います。

○石川委員 では、私からも若干質問をさせていただきます。
 昨年の十月末に都教委の方から、片浜養護学校の廃止の方針であるということをお聞きいたしまして、公明党として、十一月十四日に片浜養護学校を視察をし、二十二日には久留米養護学校を視察をさせていただいて、関係者といろいろご意見を交換をし、課題を話し合いをしてまいりまして、さきの、昨年の第四回定例会の代表質問で、懸念をされるところにつきまして質問をさせていただきました。
 関係者の話を聞きますと、大変片浜養護学校の評価は高いというふうに私も実感をいたしましたし、また、二つの養護学校を比べまして、保護者の方も、久留米の方は若干病気の状況が重いのかな、また、片浜の方が若干病気の状況が軽いのかなと。したがって、訪問した際にも本当に明るく、元気に、しかも先生方は習得度別に授業をされているということを目の当たりにしまして、本当に一生懸命努力されているなということを実感して帰ってきたわけでございます。
 昨年の十月末の段階では、平成十四年度末をもって廃校にしたいという方針でありましたけれども、我が党の代表質問の中で、そうしますと、今一年生の方は三年生の段階で転学をしなければならないから、その辺もぜひ考えてほしいという要望を出させていただき、また、これまで六十年間培った片浜養護の教育成果を、今新たに子どもたちをめぐる環境が大きく変わってきております。現にさまざまな理由で不登校されている子どもさんたちが大勢いらっしゃるわけですよね。そうした方々にその教育の経験、ノウハウが生かされるようなこともぜひ検討してください、などなどの質問をさせていただいたわけでありますけれども、そうした経緯を受けまして、最終的に、都教委としてはこの片浜養護学校の進むべき方針をどのように決定されたのか、改めてお伺いをしたいと思います。

○比留間学務部長 都教育委員会といたしましては、転地療養が必要な結核などから、アレルギー性疾患、肥満等に病類が変化する中で、都立病弱養護学校に在籍する児童生徒数が減少し、教育効果が十分に期待できないということから、適切な学級、学校規模を確保し、教育内容の一層の充実を図ることを目的といたしまして、昨年の十二月十四日に、平成十五年度末をもって都立病弱養護学校を統合するということの方針決定をさせていただきました。
 具体的には、今後、片浜養護学校につきましては、平成十四年度には二年生、三年生の在籍、平成十五年度末に最終学年の、現在一年生でございますけれども、十五年度段階での三年生が卒業する、その十五年度末をもって閉校をする、こういうことでございます。

○石川委員 今のご答弁の中で、在籍する児童生徒数が減少し、教育効果が十分に期待できないというご答弁がありました。では、現況、片浜、それから久留米、それぞれ定数というんでしょうか、それに対して何人在籍されておるのか、ちょっと教えてください。

○比留間学務部長 二月十二日現在で申し上げますと、久留米養護学校は現在五十一名でございます。片浜養護学校は三十二名の在籍ということになっています。

○石川委員 定数といいますか、受け入れられる可能なあれは何人ですか。

○比留間学務部長 失礼いたしました。定員は、久留米が六十名。これにつきましては、来年度寄宿舎の増築をいたしまして、八十名とする予定でございます。片浜養護学校は五十名でございます。寄宿舎定員でございます。

○石川委員 関係者、保護者の皆さんに聞きますと--学校側に聞きますと、片浜養護学校はPRに努めている、こういうようにお話を伺うんですけれども、一方、今在籍させている保護者の皆さんに聞きますと、まだまだ片浜養護があるということを知らない、こういう声を聞くんですよね。
 もう一つ、就学の相談に都の機関に行きますと、なかなか保護者の思いと、実際の病弱養護学校に受け入れる制度と若干乖離があって、保護者の方からいわせると厳しい審査があって、やっと片浜の方へ入学ができる。この辺を改善すれば、片浜への在校生というのはふえるんじゃないかというような声も聞くんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○比留間学務部長 都立病弱養護学校では、医療や生活規制を伴う児童生徒を受け入れる、これを目的とした養護学校でございまして、転入学を希望する場合、まず、区市町村教育委員会での就学相談を経た上で、都立病弱養護学校が就学先として適当である、こういうふうにされた者について都の就学相談に引き継がれます。都の就学相談におきましては、学校医による診察を行いまして、医療的管理の必要性や家庭との連携、また、学校関係者の意見とあわせて保護者の考え方、こういったことなども総合的に判断をいたしまして、それぞれの子どもに合った適切な就学先を決めている、こういう形で進めてございます。

○石川委員 それでは、病弱養護学校だけで結構ですから、平成十二年度あるいは十一年度のいわゆる就学相談実績、そして相談を受けた方で何名が片浜の方へ行って在籍したのか、実態を教えてくれませんか。

○比留間学務部長 大変恐縮ですが、今手元に平成十二年度のデータしかございませんので、十二年度の就学相談の内容についてご説明申し上げます。
 両校合わせまして、十二年度の相談件数は三十八件でございます。久留米に入りたいというご希望のあったものが二十件、片浜については十八件で、このうちの転学の決定の件数は、久留米に十九件といいますか、人といいますか、それから片浜養護学校に十八件、合計三十七件でございます。

○石川委員 就学相談を受けられた方はほぼ希望どおりの転学ができているという実態はわかりました。
 もう一つ、今片浜養護に通わせている保護者の危惧は、久留米と比較すると、ちょっと自分たちの方よりも重い子がいらっしゃって、その子たちに影響されて、片浜のような効果が出ないのではないだろうか、こういう危惧をされておりますけれども、そうした危惧に対してはどのように対応されていきますか。

○比留間学務部長 統合によりまして児童生徒数が増加し、学校内で集団としての一定の規模が維持されることから、運動会等の学校行事、あるいは寄宿舎生活、また、学習面で活性化するとともに社会性が培われるなど、教育効果の向上が図れるというふうに考えています。
 一方で、児童生徒個々の病状の程度や学習の進度等に応じた学習グループを編成するように工夫をいたしまして、少人数によるきめ細かな指導を行うことにより、一人一人の子どもの病状等に応じた教育を推進していきたい、こういうふうに考えております。

○石川委員 お一人お一人状況が違うわけですから、今ご答弁ありましたように、まさにきめ細かく、その子が病気を治し、またもとの学校へ戻れるような教育を私はぜひ行っていただきたいと要望いたしておきますし、さらに、もう一つ要望されている点は、十五年度末まで、来年度は二年生、三年生、十五年度は三年生は片浜にあるわけですから、その期間、二年生、三年に転学を希望したい、こういう児童が出た場合には、ひとつケース・バイ・ケースで私は対応していただきたい、このことも要望をしておきたいと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 以上で終わります。

○曽根委員 片浜養護学校の存続の請願について、ほぼ内容は同じ請願が二つ出されているわけですが、まず、今いる生徒さんたちの教育効果について評価が厳しいなというふうに思いますが、生徒さん自身はどうなのかという点は極めて明快なんですよ。ここは私、現地に行ってみないとやはりわからないなと思ったんですが、うちの会派で視察に行きました。十一月ごろでしたか、去年。三十二名の生徒さん全員、一人はお休みしていましたが、ほぼ全員と会いまして、全員がこの学校に残りたい、学校を残してほしい、後輩たちにもこの学校を残してほしいという希望を持っていました。こういうところは珍しいと思います。統廃合計画が出て、ショックで、校長先生のところに涙ながらに抗議したりというようなことが、前は私、厚生委員会のときに衛生局所管の成東の児童保健院のときにもあったんですが、病弱児で、そこで暮らしてやっと自分を支えているという子どもたちが、自分の住まいと教育の場を、学びの場を奪われるということで、非常にショックを受けたということも聞きました。
 教育効果が低いというのは教育庁側、大人の側の判断としてあるかもしれませんが、少なくとも子どもたちにおいては、非常に自信も持ったし、成長もしたし、高校にその後進んでだめになるような子はほとんどいないという話も先日の委員会の視察のときに聞きました。まず、このことを申し上げておきたいと思います。
 したがって、教育庁が残念ながら去年の暮れ、教育委員会の了承を得て廃校を決定した、一年ずらしたとはいうものの、その中身についても、また、検討の不足という点や子どもたちの気持ちも含めて関係者の合意が得られていないという点も、私たちは認められないというのが基本的立場です。
 それにしても、もう来年春、ことしの春からの入学停止になります。今石川理事からもお話があったように、少なくとも今の学年が残っている以上は、残っている学年の生徒さんの仲間をふやすということはあっていいんじゃないか、卒業までいられることになったんですから。それだけは何とか手だてをとってもらいたいなと。ケース・バイ・ケースでという話もありましたが、この点について、ケース・バイ・ケースで考えるということはあり得るということでしょうか。

○比留間学務部長 東京都教育委員会といたしましては、現在、片浜養護学校、久留米養護学校の両校とも児童生徒数が減少しておりまして、社会性や集団性の育成などの面で十分な教育効果が期待できないということがございまして、片浜養護学校については十五年度末をもって閉校し、久留米養護学校に統合するという方針を決定したところでございます。
 こうした両校の状況を踏まえまして、できる限り早期に教育内容の充実を図りたいということで、新たな児童生徒の受け入れにつきましては、久留米養護学校で行い、集団としての一定の規模を確保していきたい、こういうことでございます。
 現在、片浜養護学校に在籍する児童生徒につきましては、環境の変化による病状の回復のおくれ、あるいは転学が生徒に与える心理的負担、こういったことを考慮いたしまして、閉校時期を現在の在校生が全員卒業する平成十五年度末ということにしたものでございます。

○曽根委員 直接の私の質問にお答えなかったんですが、閉校時期はわかったんですが、すると、閉校までの一年間というのは、今在籍している一年生六人がそのまま残ったとしても、六人だけの学校になるわけです。そうすると、教育庁がいう教育効果の低い最たる事例になってしまう、一年間は。久留米の方はその分、片浜に行くはずだった子どもも受け入れて、久留米の方は若干改善されるかもしれないが、募集停止で入ってこないわけですから、六人が六人だけで教育を受けなさいということになる。これが本当に正しい解決の道なのかなということは、極めて疑問と思わざるを得ません。
 それからもう一つ、これは例が実際にあったそうなんですが、病弱養護学校ですから、病気が回復すれば地元に戻るということがあるわけですね。実際に戻った子どもさんがいたそうなんですね。トライアルというんですか。戻ったけれども、やはり残念ながら地元の地域の学校では続かなくて、また片浜に転学してきたという例があったそうです。これから二年間あるわけですが、二年余りの間にそういった例があった場合、今在籍している子どもが、病気が一定回復したということで地域に戻ったけれども、続かなくて養護学校に行く場合には、それはやはり片浜に戻るということは配慮されていいかと思いますが、いかがでしょうか。

○比留間学務部長 現在、片浜養護学校には三十二名の生徒が在籍しているわけですが、先ほど申し上げましたとおり、この病弱養護学校については、生活管理を通して復帰を目指す学校でございます。したがいまして、前籍校に戻るというケースは当然あるわけでございますけれども、現在片浜養護学校で学んでいる子どもたちが前籍校に戻って、もし仮に今のようなケースがあった場合については、十分保護者、本人と話し合いが必要だというふうに考えますが、基本的には片浜養護学校での受け入れを検討してまいります。

○曽根委員 今いる子どもたちについては最大の配慮をお願いしたいというふうに思います。
 それで、片浜の今後の問題にちょっと戻るんですけれども、先日、委員会の視察のときに、先生方に質問する時間を与えていただいて、全体で一時間の短い視察でしたが、非常に私ども勉強になりました。というのは、いただいた学校要覧でも、これは去年の五月のデータなんですが、二十七名、今は三十二名だそうですが、二十七名のうち十二名が肥満の病類ということで入っている。四割ぐらいになりますね。これはふえていると。東京全体でも確かに小中学生の中で肥満児はふえていると思います。そういう点でいうと、肥満という病類に属する病弱児の病気回復が片浜養護で非常に効果があるということが知られていくならば、これは非常に需要があるといいますかね、変な話ですが、それを必要とする子どもは無数にいるんじゃないかというふうに思いました。それで、先日、教育長を初めとして一緒に行かれたと思うんですが、例えば私が直接話した三年生の男子生徒は、入学時八十四キロだったのが六十五キロに体重も下がり、サッカーなどをやって、スポーツで自分に自信がついたというふうに本人が話してくれました。また、校長先生のお話では、百八キロという体重で入学した生徒が、七十一キロまで体重を落として、普通の体重に戻ったという例も報告がありました。そういう点では、これはそのときにお話が出たんですが、家庭ではなかなか食事のコントロールができない場合があるが、家庭から離れて寮生活を集団で送ることによって、集団の中で食事のコントロールや規律ある生活を送るという訓練ができて、そういう意味で片浜の役割が非常に貴重だなというふうに思ったんですが、この点の評価はいかがでしょうか。

○比留間学務部長 片浜養護学校で肥満傾向にある子どもたちを受け入れて、教育をして、成果を上げているというのは、それはご指摘のとおりだというふうに考えております。
 ただ、肥満傾向にある児童生徒の健康改善につきましては、久留米養護学校におきましても、医師や家庭との連携を十分に図りながら、個に応じた食事指導や適切な運動等を通して生活習慣の改善を指導しており、十分な教育効果を上げてきてございます。したがいまして、片浜養護学校を閉校いたしましても、肥満傾向にある児童生徒への対応につきましては影響はないというふうに考えてございます。

○曽根委員 今の比留間さんのご答弁は非常にわかったようなことなんですが、よく考えると、それは今片浜にいる子どもたちぐらいの人数だったら、久留米でも肥満児を受け入れて、訓練して回復することができますよという範囲でのお答えだと思うんです。それはできると思いますよ。久留米は久留米で特色があるのは、現実に重い子どもさんがいるし、それと同時に、肥満がふえている中で、肥満児を受け入れて、それも回復していくということはできると思うんです。ただ、東京全体の小学校、片浜は中学校しかありませんが、小中学校の中での肥満の子どもさんが非常にふえているという現実を踏まえると、なかなか家庭で食事のコントロールができない場合に、寮生活を送りながら回復するという一つの実践が片浜で築き上げられてきている。その特長を生かして考えるならば、これは片浜や久留米、両方のキャパシティーである--今度は八十と五十、八十になったとしても合計百三十ですね。それをはるかに上回る、必要とする子どもたちがいるのではないかというのが私の実感なんですよ。そういう意味で、片浜については、私は、今閉校を決めてしまって、ましてや跡地を決めてさっさと東京が手放してしまうのは非常に早計じゃないかというふうに思うんです。その点で、もし跡地計画があるならあれなんですが、跡地計画がないのに、とにかく十五年度末で閉校だというのは、そういう意味でもちょっと早計なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○比留間学務部長 先ほど来ご説明申し上げておりますけれども、現在、都立の病弱養護学校二校は児童生徒の数が減少してきておりまして、増加する傾向にないということで、両校とも教育効果の面で課題を抱えているというふうに考えてございます。適正な学級、学校規模を確保して教育活動の活性化を図ることを目的として、今回都立の病弱養護学校を統合する、こういう考え方でございまして、片浜養護学校の跡地の利用につきましては、今後関係部局と協議しながら十分に検討をしてまいります。

○曽根委員 最後に意見だけ申し上げますが、私は、跡地の利用が決まっていない以上、急ぐ必要ないということが第一点。
 それから、今生徒数が減っているという現実は、実際には片浜養護学校については、まだ廃校が決まっていない去年の春の時点から、入学したいという希望について制限が加えられた、いろいろいわれたということを実際には私たち聞いておりますので、宣伝をしないだけではなく、希望者まで門戸を狭めていたのではないかという強い疑いを私は持っております。そういう点では、逆に、片浜でこれだけの子どもさんたちの回復があったということをどうして教育庁は大いに、東京じゅうの肥満で苦しんで悶々と自宅で閉じこもったり、引きこもりになったりしている子どもたちに知らせてあげないのかということを強く思います。その点で、活用はまだできる、大いに活用の道はあるということを申し上げて終わります。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一九四号及び請願一三第二三七号はいずれも保留と決定いたします。

○東委員長 次に、請願一三第二二〇号及び請願一三第二二九号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○比留間学務部長 一三第二二〇号、すべての子どもたちにゆきとどいた教育の保障に関する請願についてご説明を申し上げます。
 本請願は、ゆきとどいた教育をすすめる都民の会代表、丸木政臣さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、まず1は、小中高の三十人学級(高校職業科は二十五人、定時制は二十人)を早期に実現し、教職員の数をふやして、行き届いた教育が行われるようにすることでございます。
 都教育委員会は、学級が持つ社会的集団としての教育効果等の観点から、学級編制基準については変更せず、国の教職員定数改善計画を踏まえ、平成十三年度から教科等の特性に応じて多様な学習集団を編成し、少人数の授業を実施するなどの指導の充実に努めております。
 なお、高校の学級編制に関する国の基準は四十人となっておりますが、定時制につきましては、東京都単独で三十人学級としております。また、全日制につきましては、職業学科のホームルーム定員三十五人を平成十八年度までに全学年で実施することとしているところでございます。
 次に2は、都立高校の一方的な統廃合、学級減、学区の拡大を行わず、希望者全員が入学できるように計画進学率を引き上げること、入学者選抜制度について公私立を含めて抜本的に見直すことでございます。
 都内公立中学校卒業生の高等学校への受け入れは、毎年、生活文化局、教育委員会、東京私立中学高等学校協会等で構成する公私連絡協議会を設置し、都立、私立が協力して、学ぶ意欲と熱意のある生徒が一人でも多く進学できるよう、公立中学校三年生の志望率を上回る九六%を全日制高校の計画進学率としております。都立高校の入学者選抜制度につきましては、毎年、入学者選抜検討委員会などで十分に検討を行い、選抜方法等の改善を図ってきているところでございます。また、私立高校を含めた入学者選抜に関することにつきましても、公私連絡協議会で私学関係者から意見を聞き、協議しているところでございます。
 次に3は、義務教育の完全無償化を進めるとともに、都立高校の授業料等の値上げを行わず、教育費の父母負担を軽減することでございます。
 義務教育にかかわる費用のうち、公費で負担すべきものについては既に無償化されております。また、修学旅行費、卒業アルバム代などにつきましては、受益者である保護者の負担となっておりますが、こうした費用等につきましても、経済的な理由により負担が困難な児童生徒の保護者に対して、区市町村教育委員会は必要な援助を行っているところでございます。
 都立高校の授業料等の改定につきましては、地方交付税算定基準が既に平成十三年四月に改定されていること、また、多くの道府県が地方交付税算定基準と同額に改定または改定予定にしていることなどから、今回改定を行う必要がございます。
 次に4は、障害の重度重複化に応じた学級、学校の増設と、教職員の配置基準を改善すること、病弱養護学校に高等部をつくること、学校五日制の完全実施に向けて社会教育の一層の充実を進めることでございます。
 重度重複学級の編制につきましては、児童生徒数の推移及び障害の状況等を十分に把握した上で適切に対応してまいります。
 また、教職員定数につきましては、国の教職員定数改善計画を踏まえ、定数改善に努めてまいります。
 病弱養護学校高等部につきましては、今後、対象となる生徒の見込み数や進路状況等を十分調査し、検討してまいります。
 学校五日制の完全実施に向けた社会教育の充実につきましては、平成四年度から都立盲・聾・養護学校において、心身に障害のある児童生徒の学校外活動事業を行っており、六年度からは、心身に障害のある児童生徒の地域活動促進事業を実施しているところでございます。また、十三年度から都立盲・聾・養護学校と区市町村が連携して、心身に障害のある児童生徒の地域活動のための指導者養成モデル講座を実施するとともに、公開講座におけるボランティア講座の実施校についても拡大を図っております。
 次に6は、老朽校舎を改築し、地震対策を強化して、子どもたちに安全で快適な学習環境を保障することでございます。
 都立学校校舎の改築につきましては、学習環境を確保し、地震災害時における生徒の安全を図るとともに、近隣住民への一時避難場所に供するため、計画的に進めているところでございます。
 次に7は、長期不況下の子どもたちの就学保障のために、公立、私立の児童生徒に授業料減免制度や奨学金制度を講じることでございます。
 都立学校の授業料、入学料の納付が困難な生徒の就学の援助につきましては減免制度があり、今後も制度の周知を図ってまいります。また、経済的理由によって修学が困難な生徒に対しては、日本育英会や東京都の奨学金の制度があり、今後とも学校を通じてこれらの制度の周知を図ってまいります。
 次に8は、すべての子どもたちに基礎的な学力が身につくよう、学習指導要領を見直し、押しつけはやめることでございます。
 新学習指導要領では、児童生徒に基礎的、基本的な学習内容を確実に身につけさせるとともに、総合的な学習の時間等を通して生きる力を育てることをねらいとしております。このため、各学校が児童生徒や地域の実態等を十分に踏まえ、個に応じた指導の充実を図るとともに、創意工夫を生かした教育活動を展開していくよう指導助言をしてまいります。
 続きまして、一三第二二九号、すべての子どもに豊かな高校教育を保障することに関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、三多摩高校問題連絡協議会代表、福長笑子さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、まず1は、都立高校統廃合計画を見直し、第三次計画を凍結することでございます。
 都立高校改革推進計画は、平成九年度を初年度として平成十八年度までの計画期間における改革の方向とその道筋を示す長期計画を定めており、この計画の実現に向けた具体的な計画として、第一次実施計画及び第二次実施計画を策定したところです。平成十四年度には、平成十五年度から十八年度までを計画期間とする実施計画を策定する予定であり、今後とも着実に都立高校改革を推進してまいります。
 次に2は、高校進学希望者全員が入学できるように計画することでございます。
 このことについての現在の状況は、ただいまの請願一三第二二〇号と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に3は、全日制三十人、定時制二十人の学級定員を即時実施することでございます。
 このことについての現在の状況も、さきの請願一三第二二〇号と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に4は、働きながら学ぶ青年、全日制に行きたくても行けない生徒のために、これ以上定時制の統廃合、廃科を行わないことでございます。
 現在、定時制高校では生徒数の減少による学校の小規模化が進んでいることから、選択科目の設置や特別活動の実施などにおいて、生徒の多様なニーズに十分対応することが困難な状況が懸念されるところでございます。したがいまして、今後も生徒の実態に応じた多様な選択科目が設置でき、集団活動を通じた教育効果が得られるよう、学科ごとのバランス、交通の利便性及び地域の特性に配慮しながら、規模と配置の適正化を進めてまいります。
 次に5は、差別、選別を一層強める新しいタイプの高校づくりをしないことでございます。
 生徒の興味関心、進路希望などの多様化が近年一層進んでおり、こうした多様な生徒の幅広い学習希望や進路希望にこたえるため、都立高校の個性化、特色化を推進していく必要がございます。そのため、都立高校改革推進計画に基づき、総合学科高校やチャレンジスクールなどの新しいタイプの高校を、既設校の発展的統合や改編を基本として計画的に設置してまいります。
 次に6は、推薦制を含め現行入試制度を中学、高校の生徒や父母、教職員、都民の意見を聞いて抜本的に見直すこと、また、推薦についてはデータを公開することでございます。
 都立高校の入学者選抜制度につきましては、毎年、入学者選抜検討委員会などで十分に意見を聞き、改善を実施しているところでございます。
 また、推薦選抜につきましては、毎年多くの中学生が受験を希望しており、今後とも一層の充実を図ってまいります。
 なお、推薦選抜は学力を客観的に評価する検査とは異なり、面接等を中心とした検査であるため、選考基準等のデータを公開することは適切でないと考えております。
 次に7は、学区撤廃を見直し、現在の学区を守ることでございます。
 平成十三年七月、学識経験者やPTA関係者などを含む都立高等学校学区制度検討委員会から、学区廃止を内容とした答申を受けたところでございます。都教育委員会としては、これを受けて、生徒の学校選択幅の拡大を図るとともに、特色ある学校づくりが推進できるよう、平成十五年度入学者選抜から学区を廃止することといたしました。
 次に9は、教員定数については、国並みの専任教員定数を実現し、行き届いた教育が行えるように加配することでございます。
 都立高校におきましては、非常勤講師を複数教科にわたって活用し、弾力的な教育課程が編成できるよう教員定数を振りかえているところでございます。また、嘱託員を配置し、教科指導のほか、校務分掌の業務を行い、学校教育の充実を図るほか、習熟度別授業の実施等のため、学校の特色や生徒の実態に応じて教員の加配も行っているところでございます。これらのことを勘案いたしますと、高校の教員定数については、必ずしも国の標準法を下回っているものではないと考えております。今後、特色ある学校づくりに応じた教員配置が必要であると考えており、非常勤講師による定数振りかえの制度を維持するとともに、国の教職員定数改善計画を踏まえ、教員定数の改善が図られるよう努めてまいります。
 次に10は、作業(技能)に偏った教育や障害の程度による教育保障の差別をせず、すべての障害児に発達を保障し、人格を伸ばす高校教育を保障することでございます。
 盲・聾・養護学校の高等部におきましては、生徒の可能性を最大限に伸ばし、将来、社会的に自立し、社会参加をすることができるよう、障害の状態や特性等に応じた教育課程を編成し、個別指導計画に基づくきめ細かな指導の充実に努めております。
 次に11は、進路指導は学校教育に基本を置き、その自主性を尊重し、生徒、父母、教職員の合意によって行うことでございます。
 高等学校における進路指導におきましては、生徒が将来の職業生活についての理解を深め、みずからのあり方や生き方を考えながら、目的意識を持って主体的に将来の自己の進路を選択し、決定することを指導、助言、援助していくようその充実に努めているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件については質問はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 発言がなければ、初めに、請願一三第二二〇号をお諮りいたします。
 本件のうち、第五項の(1)、(2)、(5)、第六項及び第七項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二二〇号中、第五項の(1)、(2)、(5)、第六項及び第七項は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、請願一三第二二九号をお諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二二九号は保留と決定いたしました。

○東委員長 次に、請願一三第二二二号及び請願一三第二二三号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○嶋津生涯学習部長 一三第二二二号、「多摩地域・市民活動・NPOサポートセンター(仮称)」設置に関する請願外一件についてご説明申し上げます。
 請願一三第二二二号は、東京から「市民活動サービスコーナー」をなくさない二〇〇一連絡会代表、奥田泰弘さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、市民活動サービスコーナー事業について、まず一つに、同コーナーの機能を継承し、より充実発展させるために、多摩地域・市民活動・NPOサポートセンター(仮称)を設置することでございます。
 市民活動サービスコーナーにおける市民活動は、基本的には市民団体が主体的、自主的に地域社会において取り組むべきものであり、その活動への支援は、市民のニーズをより的確に把握できる基礎的自治体である区市町村のまずは役割であるというぐあいに考えてございます。東京都教育委員会は、広域的立場から区市町村事業の支援を中心に実施することとし、市民活動サービスコーナーの事業は平成十三年度末をもって廃止することといたしたいと考えてございます。したがって、請願の趣旨に沿った多摩地域・市民活動・NPOサポートセンター(仮称)の設置につきましては、考えてはございません。
 次に、二つ目でございますが、同サポートセンターが設置されるまでは、市民活動サービスコーナー事業を平成十二年度の職員体制、規模で継続することでございます。
 市民活動サービスコーナー事業は、平成十三年度末をもって廃止するということにいたしておりますものですから、同事業につきましては、平成十二年度の職員体制の継続は考えてございません。
 次に、一三第二二三号、東京都立多摩社会教育会館における市民活動サービスコーナー事業の継続に関する請願でございますが、東京公務公共一般労働組合都立多摩社会教育会館分会代表、山家利子さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、市民活動サービスコーナー事業について三つほどございまして、一つに、同事業を平成十四年度も継続すること、二つに、継続に当たってはこれまでどおり社会教育指導員を配置するとともに、平成十二年度を下回らない事業予算配付をすること、三つに、市民活動サポートセンターとして発展させるための検討に着手することでございますが、内容は先ほどの請願一三第二二二号と同様でございますので、説明は省略をさせていただきます。
 以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野上委員 行政と市民が一体となって活動していくということは、これからのさまざまな地域課題に対応していく上では大切なことだと思っています。現に我が葛飾区でもこういったグループの方々が地域貢献活動を行っているところです。例えば子どもの読み聞かせ運動とかクラブ活動に自分たちが積極的に参加をして、子どもたちの育成に励むとか、そういった意味で大変助かっているという例もたくさんございます。
 この市民活動サービスコーナーは、利用団体も百近い団体が使っているというようなことを聞いておりますけれども、実際の使用状況と集会室の稼働状況はどのようになっているのでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 サービスコーナーの利用状況についてでございますが、立川市、国立市など近隣自治体の市民団体の利用が多く、必ずしも広域的な利用が十分なされているとはいいがたい状況であろうというふうに考えてございます。私どもの調査では、十二年度の利用団体は九十一団体でございまして、そのうち、複数回あるいは定期的な利用は十団体余りでございます。また、十三年度は、利用団体といたしまして、今のところ二十五団体という実態にございます。
 それから、集会室の稼働状況でございますが、三五%程度でございます。

○野上委員 こういった市民活動サービスコーナーの運営に対してどれぐらいの経費がかかっているのでしょうか。例えば光熱費とか施設の維持管理費なども含めた額でお示しいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 運営費でございますが、平成十二年度の決算で申し上げますと、同サービスコーナーの事業費、直接的な事業費のほかに、社会教育指導員などの人件費及び同サービスコーナーにかかわる光熱水費、それから施設維持管理費などを含めますと、三千百六十七万円でございます。

○野上委員 三千百六十七万円を、安いか、わずかなお金であると考えるか、多額なお金であるかという感覚は、それぞれ個々のものだと思うんですけれども、市民共有の財産として今までの活動の成果を何らかの形で残していくとか、今まで築き上げた人の輪をずっと継続をしていくということはとても大事なことだとは思っております。でも、そういった費用の面で、二十五団体ぐらいの方が使っているという現状があるようなんですけれども、例えばこういった方たちが、このコーナーが廃止になった後、どこかほかの施設を利用することはできないんでしょうか。せっかく今までのノウハウとか、大変すばらしい冊子とかをつくっていらっしゃったんですけれども、そういった印刷とか、そういった自分たちが今までやってきた活動が維持できるために、そういう支援体制みたいなものはないんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 多摩の市町村の市民活動支援施設の状況でございますけれども、集会室や印刷機を提供する施設は、多摩全体で公民館が八十二、それから社会教育会館が三つ、生涯学習センターが五つ、女性センターが八つ、地区の市民センターなどコミュニティ施設が二百四十一、青少年施設が四つ、合計で三百四十三の貸出施設が整備されており、その多くに印刷機の提供が行われているというぐあいに伺っております。
 また、市民活動の相談、助言に当たるボランティアセンター及びNPO、市民活動の窓口となる行政組織も多摩の市町村すべてに設置されてございまして、現在支援業務が行われているところでございます。
 なお、このほか広域的な多摩の支援施設といたしまして、多摩交流センターがございます。

○野上委員 今のをお聞きすると、びっくりしたんですが、三百四十三の施設があるということで、こういったところはどういった団体でも自由に入って、印刷機とかを貸していただいたりできるわけですね。これからもそういった意味で、市民活動やボランティアの方々とも、教育行政を進めていく上ではとてもこういったことも大事だと思うんですけれども、都の教育委員会といたしましては、広域的自治体の立場から今後こういった市民活動などをどのようにサポートしていかれるんでしょうか。その基本的な考え方をお聞きしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 市民活動やボランティアとの協働は、東京都といたしましても重要なことというぐあいに考えてございます。ご指摘のとおり、私ども教育委員会にとりましても、今後の教育行政を進めていく上で、市民活動やボランティアとの協働は同様に重要なものというぐあいに認識してございます。したがいまして、東京都の教育委員会は、広域的な自治体としての立場から、市民活動団体などを直接支援する区市町村や中間団体に対する支援に重点を置くということにいたしまして、情報提供、それから相談、助言などを通して市民活動やボランティア団体などと連携、支援してまいりたい、このように考えてございます。

○野上委員 最後に、これからさまざまな団体がさまざまな地域貢献活動を行っていくような時代にますますなっていくと思うんです。そうしたとき、NPOを立ち上げたりすることもあると思うんですけれども、そういった意味で、財政的な支援などもやはりある程度お願いをするというか、こちらの方でちょっと要望をいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○曽根委員 まず、サービスコーナーの現状ですけれども、予算は先ほどお話がありましたけれども、私も存在を今まで、この問題が起きるまで知りませんで、昨年、この廃止計画が出たということで知らせを受けて、十一月二十日に現地を見学をいたしました。教育庁に、前にこちらの方におられた大崎さんが館長で行っていらしたので、よく知っている方だったので、いろいろと率直にお話も伺ってきました。それから、三人の嘱託職員の方にも活動の現状についても話を聞いてきたんですが、全体の印象ですけれども、東京都が持っている市民活動サポートのための施設として本当にささやかなものだというふうに思いました。したがって、ここを利用する活動団体がある程度数も限られたり、地域的にも割合近くの方が多いというのも、あの規模からすると、広域的に多人数の団体が利用するには余りにも小さ過ぎて、集会室そのものが二十人ぐらい入ればいっぱいになるような部屋ですから、とても利用し切れないだろうなというふうに思いました。
 そういう点でいうと、現状が非常に東京都としては、私にいわせるとふがいない状態のものを、ふがいない状態だからもうやめますというのか、もうちょっとまともなものにしてほしいというのがこの請願の趣旨だと思うんですね。そういう大きなとらえ方をしたときに、どっちに進むのかなというふうに思うわけです。
 それで、先ほどの部長の答弁で、ちょっと改めて確認をしたいんですけれども、あのコーナー自体の持っている機能が、普通の区市町村並みのものだから、その程度のものだったら東京都がやるものじゃないんだ、むしろ区市町村でやった方がいいというふうにとらえておられるのか、それとも、もともと東京都はこういう市民活動に対して直接場所を提供したりサービスを提供したりするんじゃなくて、間接的な役割が東京都の役割だと思っていらっしゃるのか、どちらなんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 スペースの大小は基本的な問題ではないというように考えてございまして、基本的には、第一義的に市民活動を支えるのは区市町村であって、東京都はそれをバックアップする、広域的な視点からバックアップする、そういう認識を持ってございます。

○曽根委員 市民活動というのはいろいろなものがあるんですよね。ですから、確かにある市町村の範囲の、一つの市町村の範囲の中で、その規模の中でやっているグループももちろんありますが、しかし、あそこを利用している割合少人数の団体の中にも、私がお話を伺ったところでは、幾つか、十近い多摩の地域にまたがってメンバーが存在している、私が聞いたのはシェークスピアの森というちょっと変わった名前の英語のサークルなんですが、ここは青梅を中心として十ぐらいの地域の市民の方が集まってやっていて、そんなに人数多くないので、ちょうどあそこの会議室が使えるということで、非常に便利に使っているというお話でした。そうすると、そういう活動もあるわけですよ、現に。そういう場合は、市町村の公民館や会館を利用する場合、私のいる北区なんかは、メンバーの過半数がその市町村に住んでいないと利用できませんよという制限があるんですよ。多摩にも多分そういう制限がそれぞれあると思う。だから、メンバーの所在をちょっとごまかさないと使えないところがあるわけですよ、公共の施設で。そういう実態があることはご存じですか。

○嶋津生涯学習部長 区市町村によりましていろいろな形態を持っているというのは承知してございます。登録団体のみであるとか、あるいは半数以上のところでないとだめであるとか、そういったところもあることも承知しているつもりです。ただ、現実においては、いずれの自治体もかなり弾力的な運営をしているという実態であるということも伺っております。

○曽根委員 弾力的にはいろいろやっているかもしれません。しかし、規定がそうなっている場合、厳密に適用されたら、どこでも活動の拠点がなくなるというサークルが、私は多摩の方には特に多いんじゃないかと思うんですよ。これは私のいる区部なんかは割合区ごとにしっかりと施設があって、それで活動単位も割合区単位の団体が多いんですけれども、多摩の場合は市町村を越えて活動しているのが結構あるんですよ。また、そういうところが立川のこのサービスコーナーを利用している団体の中に結構あって、そういうところから私たちは陳情を受けているわけなんです。
 それで、今後市民活動との連携は大事だというお答えが先ほどありましたので、大事だというのであれば、私一つの例を紹介したいんですが、ある方から紹介されて、神奈川の県民活動サポートセンターに行ってまいりました。そこは大きなビルの八階から上、十一階の半分まで、面積にして、多摩のサービスコーナーの六十倍の面積を持っています。多摩の人口と神奈川県の人口は、神奈川はちょっと多いでしょうが、大体互角ですから、そういう意味では多摩人口に責任を持つという、規模として、持つのであれば、あのぐらいの規模は少なくとも必要かなというふうに思ったわけです。そこには多摩にある会議室様のものが数十ありまして、そのほかにこういうフロアになっていて、テーブルがそこかしこに置いてあって、フリーに使える場所もあるんですね。ロッカーがあり、レターケースがあって、そこに団体向けの連絡をすれば、職員の方がその団体のレターケースにファクスなり手紙を入れてくれるというふうに、いわば事務局的な役割も果たす。相談員もいる。そういう意味では、あそこは九五年の阪神の震災のあのボランティア活動を見て、知事の一声で、神奈川県も東京も同じだと思いますが、震災の危険が迫っているだけに、ボランティアの受け皿としてそういうものを用意する必要があるということで、急遽あそこを開設したというふうに聞きました。年間三百六十日、年末年始の六日間を除いて基本的に全日開業、朝の九時から夜十時までやっている。非常にそういう意味では腰を据えてやっているなという気がしました。もちろん県民であり、自主的な活動で社会に貢献するという目的を持って非営利であれば、どなたでも利用できるということです。
 私は、東京都で考えるならば、これぐらいの受け皿をつくって、もちろんそこには生文局でやっているNPOの問題やボランティアのセンターも向こうでありますから、教育庁でやればいいのかどうかという問題もあるでしょうが、そういう受け皿を東京都が持つべきだと、今後のことを考えても、市民活動との連帯のために。そういう考えを持つんですが、これは部長さんにお聞きするのは酷かもしれませんが、まず部長さん個人としてどう思いますか。

○嶋津生涯学習部長 先ほども申し上げましたように、東京都は広域的な立場からNPOの団体などの活動がしやすい環境づくりを進めていくということ、これが大事であるという認識を持ってございます。ただ、NPO法人の発足も一九九八年であり、まだまだ言葉とは裏腹に、実体的にNPOの熟成も、あるいは行政側の対応も必ずしも十分ではないという実態がございます。それだけに今の神奈川県のお話とか、全国いろいろなところでいろいろな模索をしているのが実態であろうというように思ってございます。そういう意味でも、東京都もあるべき広域自治体としてのサポートの姿をどういうぐあいにやっていくかということについては、当然考えていかなくちゃいけないものというように考えてございます。

○曽根委員 余り長々と時間をかけられないので、意見として、今、今後のことは考えていかなければならないというお話だったので、私はそれを考えていく上で、神奈川県のサポートセンターができてから、今日に至って、常時利用団体が二千、一回でも利用している団体が八千ある。私は東京にもそれぐらいの団体が活動していると思うんです。問題は、ばらばらにやっているのじゃなくて、こういうセンターができることで自治体ともつながりができ、それだけじゃなくて、お互いにさまざまな情報や活動の交流ができるという点で非常に大きな意味があると思うんですね。ですから、東京都が直接市民活動をサポートする、援助する、受け皿を提供する、そこにこのセンターの意味があるんだと思うんです。そういう方向を目指すべきだということを申し上げておきたい。
 それから、最後にちょっと、いきなりまたサービスコーナーの話に戻るんですが、先ほど印刷機が利用できるところが八十二カ所あるということでした。サービスコーナーの印刷機は、そうするとその八十二カ所についてどうなるんでしょうか。

○東委員長 ちょっと趣旨がわからない。

○曽根委員 ではもう一回。サービスコーナーにある、今活動団体が使っている印刷機はどのようになるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 市民活動コーナーの廃止に伴いまして、今の印刷機はとりあえず撤収するというぐあいに考えてございます。ただ、これ以後の社会教育会館のあり方の中で、住民のいわば使い勝手というか、意向の中で必要であれば、それを何らかの形でまた設けるということは一つの検討の対象であろうかというように思ってございます。

○曽根委員 悪いながらも、最後にちょっと希望の灯がついた感じで。昨日、団体の方が嶋津さんとお会いになったそうで、それで、嶋津さんも多摩の住民だし、あそこを利用したこともあるので、お気持ちはよくわかるという話があったというので、これは人間がやっていることなので、何とか配慮をお願いしたいんですよ。
 つまり、近くに公民館ありますよ、コピーもあり、印刷機もあるところもあるんです。ただ、あそこの印刷機は、一つの原版からかなり拡大していろんなポスターなんかを印刷できる特殊なものなんですね。これを置いているところは、八十二カ所の中にここしかないと私は思うんです、多分。これが特色なんですよ。こういうものを、とりあえず撤収じゃなくて、できれば何らかの形で使えることだけでも考えてもらいたいんですよ。なくならないのが一番いいんだけれども、そういう今利用している人たちの利便は、何としても守ってもらいたいということを要望して終わります。

○執印委員 それでは、この市民活動サービスコーナーの廃止は、市町村との役割分担を見直す中で行うことというふうにご説明を受けているわけですが、多摩地域の自治体に対してはどのように説明をしてきたのでしょうか。また、各市の反応、また、自治体からどのようなリアクションがあったのか、お尋ねしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 市民活動コーナーの事業の廃止につきましては、基本的には東京都教育委員会の責任と判断で決定すべきものというぐあいに考えてございます。さはさりながら、地元市町村とも大変関係の深い事項でございますものですから、この間、市や町村の社会教育主管課長会、あるいは公民館連絡協議会館長部会等で説明をし、理解を求めてきたところでございます。
 反応につきましては、いかがなものかという反応もあれば、地方分権の中で当然だという意見もございました。

○執印委員 各市から意見書または決議のようなものはありませんでしたか。

○嶋津生涯学習部長 国分寺の市議会から、一つ意見書が出てございます。それ以外には公的なものはございません。

○執印委員 国分寺の市議会から意見書が出たということで、意見書については、各市議会が意見書を出すというのは、各政党の総意としてまとまったものが出されてくるわけですから、そういう重要性を近隣の自治体としては感じていたというふうに十分に受けとめていただきたいというふうに思います。
 それで、この請願に対する現在の状況については、大変後ろ向きの回答で、もう廃止することというふうになっているわけですけれども、いろいろやりとりもあったわけですが、昨年、生活文化局が取りまとめて提出をしました、東京都における社会貢献活動団体との協働の推進指針を策定するための検討委員会では、その提言の中で、公共施設を分野を超えて相互に利用できるようにし、活動拠点を拡充するというふうに、ボランティア、NPOの活動支援の充実を図るように提案をしております。
 この請願の説明の状況の中では、請願の趣旨に沿った多摩地域・市民活動・NPOサポートセンター(仮称)の設置は考えていないというふうにご回答があるわけですけれども、NPOに対する基本的な考え方というのを、ここでお聞きをしておきたいというふうに思います。
 今後、教育、特に生涯学習分野で、必要に応じて生活文化局と連携をとりながら、NPOとの協力が重要な役割を持つようになるというふうに考えますが、それぞれ所管の問題もあると思いますが、教育委員会としては、どのように認識をされているのでしょうか、お伺いいたします。

○嶋津生涯学習部長 再三のお話になりますが、私ども東京都といたしましては、NPOを含んだ市民活動のグループの存在及びそことの協働につきましては、大変重要な課題であるというぐあいに思ってございます。
 特に、東京都の教育委員会といたしましても、地域の教育力を高めるという目標を持ってございまして、そういう視点から、子どもたちの健全な育成のために、NPOも含めたさまざまな社会教育関係団体あるいはボランティア団体などとの連携協力には努めてまいりたいというように考えてございます。
 その場合に、必要であれば、全都的な立場から生活文化局とも連携をとるということは、当然のこととして考えてございます。

○執印委員 意見とさせていただきますが、こういう請願が出てくるということは、市民活動をある意味無視をして、東京都が廃止を決めていくということが大きな背景にあるというふうに思います。その辺の、市民活動をどういうふうに東京都として判断していくかということが問われているというふうに私は考えております。
 それから、今後に向けましてですけれども、教育委員会の一方的なといいますか、そういう姿勢がある限り、何をどのようにつくっていっても、市民の側は安心してその施設を利用することはもちろんできないわけなんですが、NPOに関しては、一応区部の方にはNPOのセンターがあります。やはり市部にもこれは必要だというふうに、どうしてもこれは思うんですね。
 特に、一三の二二二号の請願については、この主たる願意というのは、もちろん市民活動サービスコーナーの継続もありますけれども、NPOの活動の保障を東京都全体としてどれだけしていくか、そこをきちんと保障をしてもらいたい、そういうのが主たる願意だというふうに思っております。
 先ほど、NPOに関しては、NPO自身も東京都もまだ、どういう表現でしたかね、未熟だといういい方じゃなく、途中だというふうにおっしゃったんですかね、そういうようなお話もございましたけれども、だからこそ、NPOセンターをきちんと市部にもつくって、各自治体の上にある、傘のような形のNPOセンターが必要だということを教育委員会としても十分に認識をして、主管課ではないから主管課の対応を待ちますということではなくて、こういった請願が出てきていることをしっかりと受けとめて、積極的に進めていただきたいということをお願いをいたします。

○後藤委員 部長がさっきおっしゃった言葉で、例えば、利用団体なんですけれども、立川近辺の方だけだとおっしゃいましたけれども、教育委員会の方から資料をいただきましたらば、市町村名というのは、代表者の連絡先ということですから、使われている方というのは立川近郊というのは間違いじゃないかと思うんですけれども、この辺、いかがですか。

○嶋津生涯学習部長 先ほどお答えいたしましたのは、こういう表現であったかというぐあいに思います。立川市、国立市など近隣自治体の住民団体の利用が多く、ということでございまして、もちろん、ひとり立川だけ、ひとり国立だけということはございませんで、そこを多くしながらも、いろんな人たちがお使いになっているという趣旨を申し上げたつもりでございます。

○後藤委員 こちらで持っています資料によりますと、例えば、日の出ですとか、三多摩市民の会、矢川ですとか多摩、市町村というふうな形があるんですけれども、部長が先ほどおっしゃいましたように、広域ですか、広い場所からの視点に立ってやっていらっしゃるというふうにいわれているんですが、例えば日の出ですとか矢川の方たち、市民サービスコーナーというのは、十四年の三月三十一日で廃止されるということになっていますけれども、今まで利用なさっていた方には、廃止をするということはいつごろ通知なさっているんですか。

○嶋津生涯学習部長 ことしの一月に広く周知してございます。

○後藤委員 広くといいますと、例えばどのような方法でやったのか教えていただけますか。

○嶋津生涯学習部長 あそこの市民活動コーナーの入り口に掲示するとともに、そこに来る人たちにも、こういう状況になっているということを折に触れてお話しもしてございます。

○後藤委員 そうしますと、現在、利用なさった方でなければ知らないわけですね。例えば、ことしの一月に張り紙を出したとおっしゃいましたよね、今。利用なさっている方には皆さんの方でお話をしているというんですけれども、ことしの一月前にお使いになっていた方というのは知らないわけですか。知らせていないわけですよね。

○嶋津生涯学習部長 こういうご議論をいただく中で、いろいろな形でアピールもしてございますけれども、正式に決まりますれば、改めて館の方でビラを配り、あるいは会報を配ったり、あるいはインターネットでいわば周知をしていく、そういったことは当然進めていくべきものというぐあいに考えてございます。

○後藤委員 廃止をした場合なんですけれども、例えば現在の場所がありますよね。現在のサービスコーナーは、どのように運営なさるのか、教えてください。

○嶋津生涯学習部長 まず、変わらないものと申しましては語弊があるかもしれませんが、変わらないものといたしましては、今あそこに資料室がございます。そこには三多摩の幾つかの市民活動の資料がかなり豊富に取りそろえてございますけれども、それはそのまま従来どおり閲覧に供していきたいというぐあいに考えてございます。
 それから、集会室、相談コーナーの提供につきましては、今回はそれで終了するということでございまして、それ以外は社会教育会館の活動の中で利用していくという形になります。

○後藤委員 そうしましたら、観点をちょっと変えて、もうあと二点だけお尋ねします。
 例えば経費なんですけれども、十二年度で三千百六十七万円かかっているとおっしゃいましたけれども、サービスコーナーを廃止をした場合には、どのぐらいかかるんですか。
 今のお話からいきますと、例えば資料コーナーはそのまま残るとおっしゃいましたよね。例えば水道光熱費というふうにおっしゃいましたけれども、たしか私が聞いたところによりますと、事務室は残るというふうに聞いているんですけれども、先ほど三千百六十七万円というふうにいわれましたけれども、サービスコーナーが廃止になっても、かかる費用という部分は結構あるわけですね。

○嶋津生涯学習部長 質問の趣旨がちょっとわかりかねるんですが、基本的な裸の意味での事業費としては七百四十万程度ございます。それにつきましてはなくなりますので、必ず浮きます。それから、今、社会教育指導員という形で四人の方が勤務してございますけれども、この方たちの人件費は確実に支出しなくても済むようになるということでございます。

○後藤委員 できたら、人件費がどのぐらいかかっているか、教えていただけますか。

○嶋津生涯学習部長 人件費は、トータルといたしまして一千三百四十五万円強でございます。

○後藤委員 最後の僕の質問になるんですけれども、例えば、資料コーナーが残るというふうにおっしゃいましたよね。多分これからも、知らないで利用なさる方ですとか、今まで利用なさっていた方、または、資料コーナーを利用に来る方だとか、いろいろいらっしゃると思うんですけれども、できましたらば、この方たちの集まるスペースといってはおかしいかもしれませんけれども、何らかの形で、今まで利用なさっていた方たちのためにスペースを何とか残してあげるということはできないかということが一点。
 多分、皆さんが考えていることの一点は、経費がかかり過ぎるからだというふうなところもあると思うんですけれども、仮に、例えばNPOの方ですとかボランティアの方たちが、運営とまではいかなくても、例えばお手伝いをするというふうな形で、今よりは形はもちろん小さくなると思いますけれども、何らかの形で残してあげるというふうなことは考えられませんか。

○嶋津生涯学習部長 基本的に、都道府県の、あるいは府県行政としてのサポートのあり方は、場所の提供等ではなくて、それは基本的に区市町村の役割であるという認識を持ってございます。
 そうは申し上げても、今のスペースを、多摩社会教育会館においてスペースの活用の仕方はないかということでございますれば、研修室というのがございます。今までは全く無料でしたけれども、研修室は有料ではございますけれども、そこがあきがあればお使いいただくということは、もちろん可能でございます。
 それから、NPOが運営の中に加わって進める、そういったことは考えられないかというお話でございますけれども、それも先ほど申し上げましたように、一つのあり方としてそういう方向は考えられるのではないかというぐあいには思ってございます。ただ、NPOが、まだやはりなかなか未熟であり、行政もそれに対してもまだ未熟であり、そういう過渡的な段階においては、いろんなことを検討していくということはやってまいりたいというように思ってございまして、そういう方向では考えてまいりたいというように思ってございます。

○東委員長 ほかに発言がなければ、初めに、請願一三第二二二号の採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第二二二号は不採択と決定いたしました。
 次に、請願一三第二二三号の採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第二二三号は不採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、請願一三第二三九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○嶋津生涯学習部長 一三第二三九号、東京都近代文学博物館の存続に関する請願についてご説明申し上げます。
 請願一三第二三九号は、東京都近代文学博物館を守る会代表、原田亮さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、東京都近代文学博物館を東京都教育委員会の直営で存続し、充実、発展させていただきたいということでございます。
 東京都近代文学博物館は、昭和四十二年に目黒区の駒場公園の中の旧前田侯爵邸の洋館の建物を利用いたしまして開館をいたしました。以来、近代文学に関する資料を収集、保管及び展示をいたしまして、都民の利用に供し、その教養、学術及び文化の発展に寄与したところでございます。
 しかしながら、当館につきましては、少ない入館者数、交通の利便性の問題点及び文学関連施設が多数設立されているという今日の時代状況を踏まえまして、東京都が近代文学に限定した小規模な施設を運営するという意義は薄くなっているということから、教育委員会といたしましては、この平成十三年度をもって廃止することといたしたいというぐあいに考えてございます。
 なお、収蔵資料の有効活用につきましては、基本的に江戸東京博物館へ移管し、広く都民に公開をしてまいりたいというぐあいに考えてございます。
 また、都の指定文化財でございます前田侯爵邸でございますが、これについては、今後幅広い活用方法を検討してまいりたいというぐあいに考えてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○石川委員 時間も経過しておりますので、端的に何点かお伺いしたいと思います。
 まず、十三年度末廃止に至った経緯について、改めて説明してくれませんか。

○嶋津生涯学習部長 繰り返しになりまして恐縮でございますが、近代文学館の廃止につきましては、少ない入館者数、交通の利便性などの問題点、それから、文学関連施設等が多数設置されている、そういう状況を踏まえまして、東京都が近代文学に限定した小規模な施設を運営する意義は薄くなってきている、そういう認識のもとに、十三年度をもって廃止することにいたしたものでございます。
 ただし、もう一つの背景といたしまして、少数のコストで最大のサービスを提供するという、この間の行政改革プラン、アクションプラン等を含めた行政運営の基本的な原則に基づいては、事業実施に当たり常に踏まえるべきものとして進めてまいってきてございます。

○石川委員 昨年の十二月十一日に出された平成十二年度行政評価報告書の中で、いわゆる高尾自然科学博物館と近代文学博物館については廃止または休止を検討しなさい、こういう報告がなされたわけでしょう。これは総務局で出された報告書でしょう。ちょっと確認します。

○嶋津生涯学習部長 あの報告は、総務局というより知事本部で出されたものですけれども、おのずと東京都全体の方針であるというぐあいに認識してございます。

○石川委員 行政改革の一環として廃止を決定したというふうに私もやっぱり理解せざるを得ません。確かに東京都から見れば、入館者あるいは類似施設等々の整備で、その必要性はなくなったと判断されるんでしょうけれども、こうした博物館というのは、端的にいって、ざっくばらんにいって、採算性がとれるから存続するんだ、コストがかかるからやめるんだという判断に立つべきではないと私は考えている一人なんです。
 しかも、他県の同種の博物館と比較をしても、年間五万五千人を超す方々が利用されて、さまざまな文化活動、芸術活動等々を展開をされているという意味では、大変親しまれている博物館ではなかろうか、こんな思いがする一人であります。
 そこで、都教育委員会としては、今日の入場者数が多いのか少ないのか、この辺はどんな認識でおられるんでしょうか。改めて見解をお伺いします。

○嶋津生涯学習部長 入館者数につきましては、平成十二年度で五万六百二人、平成十三年度は、この二月の六日現在で五万二千六十八人でございます。
 ただ、私どもといたしましては、一千二百万都民の利用する東京都の施設としては、年間五万人前後の数値は、すなわち、一日平均百五十人という数値は少ないものというぐあいに私どもは判断してございます。

○石川委員 この博物館の要覧を見ますと、運営協議会が設置をされておりますよね。この運営協議会は、この廃止の方針に対してどんなご意見、あるいは状況だったんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 近代文学博物館における運営協議会の意見でございますけれども、運営協議会がこの一年で三回ほどございました。十三年の三月六日と十一月一日、それから、年が明けまして二月十二日に開催をいたしまして、その都度、廃止の方向をお示ししたところでございます。それに対しまして幾つかのご意見がございまして、特に収蔵資料の有効活用を図るということと、寄贈を受けた資料については、寄贈者や、その遺族の意向を尊重すること、そういった意見が出された上で、基本的な方向を了解いただいているというぐあいに考えてございます。

○石川委員 この要覧の中に、十三年度の事業計画と十二年度の事業実績が載っておりますけれども、これらの事業というのは、博物館廃止に伴ってどんなふうになってくるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 先ほども申し上げましたように、基本的には、ここでの資料が江戸東京博物館の方に移管されます。そういう意味においては、江戸東京博物館において、幾つかの企画展とか、あるいは常設展の中の一環に配置されるとか、そういったことが期待されているところでございます。

○石川委員 ぜひ、非常に多くの皆さんに愛されている事業でありますので、江戸博物館とも協議をして、こうした事業が継続されるように、都教委としても一生懸命働きかけていただきたいと思います。
 先ほど来、収蔵資料については、大半が江戸博物館に移行されるというお話でしたけれども、江戸博物館に移行される所蔵書籍は何なんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 具体的にどんな形のものが移管されるかにつきましては、ここしばらく時間をかけまして、江戸東京博物館の方との調整に入る予定になってございます。できるだけ生の資料は向こうに持っていきたいというふうに考えてございます。
 それから、済みません、この場をおかりして、先ほど行政評価につきましては知事本部というぐあいに申し上げましたけれども、おっしゃるとおり、総務局でございました。訂正させていただきます。

○石川委員 これから種々検討されるということですけれども、この要覧を見ますと、図書、生資料その他、合計十六万七千八百十九点、これらをすべて江戸東京博物館にお願いをするということは何か不可能だというふうにも伺っております。そうしますと、これまで一カ所にあった貴重な文学・芸術資料が、多岐というんですが、行き先が幾つかに分かれてしまうという危惧があるんですけれども、ぜひこれまで利用されてきた方々のご意向も踏まえて、できる限り、当然、寄贈してくださった方々のご意向も大変重要でありますけれども、ぜひ、私はできるだけ一カ所に移されて、いわゆるこの博物館の機能がさらに都民の皆さんに愛されるように、また、利用されるような方向を考えていただきたいということをご要望して、終わります。

○曽根委員 石川委員とダブるところは省略して、簡潔にお聞きしたいと思います。
 廃館に至った理由についてはご質問がありましたので、この五年間、入館者数について、簡単に数字を挙げてください。

○嶋津生涯学習部長 五年間の入場者数について申し上げます。
 平成八年度が三万五千六百八十四でございます。九年になりまして三万六千九百七十三、十年度はふえまして、五万一千八百四人でございます。十一年度が四万三千百九十三、十二年度が五万六百二人でございます。

○曽根委員 三万五千から五万一千の範囲で、割合にすれば、かなりの割合ででこぼこがあるわけですが、どうしてでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 年度によって入館者数の幅があるのではないかというお話でございますけれども、毎年実施いたします企画展や、あるいは常設展の展示内容、あるいは期間によって、かなり影響を受けているところでございます。
 ちなみに、この五年間で五万人を超しました平成十年度につきましては、人気が結構高い明治期の文学を扱った「文学のある風景・東京-明治-」を百三十日にわたって開催をいたしまして、それが二万三千人を動員したということでございます。
 もう一つつけ加えれば、少ない観客数なものですから、天気がいいとか、そういったことも結構影響がありまして、余り定かな根拠にはなりませんが、一応そんな状況になってございます。

○曽根委員 他県の施設も、大体五万人前後のところが多いですよね。それで、文学館、文学博物館というものは、やっぱり愛好者は限られているということと、それから、企画展の中身によって、やっぱり一般的に非常に大衆的に人気のある作家などが集まっている場合とそうでない場合で、かなりの幅があるということがあると思うんです。
 私も現地に行ってみて、ついこの間なんですが、これですよね、人気があったのが。なかなかいいパンフレットをつくっていただきまして、十年度の分ですけれども、まだ置いてあります。
 じゃ、その人気のある作家だけを特集を続けていればいいのかというと、こういう博物館の性格としては、そうではないと思うんですね。全部で十七万点ですか、これを満遍なくやっぱり順次公開しながら、愛好者を広げていく。それも爆発的に広がるものではないので、あくまでじわじわと、そういう文化を浸透していくというのが、この博物館の役割だと思うんです。そういう意味で、入館者が、例えば数十万人や百万人単位でやってくる、施設的にも物理的にも限度がありますし、そういう性格のものではないんじゃないか。先ほど行政評価の話がありましたが、行政評価にはそういった観点というのは、私が読む限り一切なかったので、非常に残念な思いがします。
 それから、もう一つ、全国でも、多くの自治体の文学館が大変予算の縮小で悩んでいるということがあります。昨年、東京都が廃館を決めた直後の十一月二十一日の朝日に、中村稔さんという有名な文学者ですけれども、この方が載せていまして、全国の主要な文学館、文学者の記念館の連合組織である全国文学館協議会の会合が山口で開かれたときに、東京の近代文学博物館の担当者から、来年三月の時点で廃館を決定されそうだ、収集した資料の処分などで悩んでいる状況について痛切な報告がされた。参加者の多くが、あすは我が身かという思いに沈んだという文章がありました。全国共通なんだなと思いました。
 この中村さんは、今、国会で、文化芸術振興基本法案がすんなりと成立するという時代にもかかわらず、一方で、実際の文化芸術の現場のところがこういう事態では、この法律は単なる作文の夢物語ではないかという厳しいご指摘をしているんですけれども、全国的にこういうふうに文学館が次々と縮小や廃館に追い込まれている事態について、これは単に東京だけの問題じゃないんですが、こういう流れについては、生涯学習や社会教育の立場からいうと、やっぱり憂うべきことじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○嶋津生涯学習部長 おっしゃるように、文学施設等、文化的なものが少なくなっているという側面もございまして、やはり率直に申し上げてせつないものもございますが、その一方で、東京におきましても、幾つか、武者小路実篤記念館であるとか、ここ何年間に、小粒ながら大変きらりと光る文学館のようなものがいっぱいできておりまして、そういう点では、まだまだ捨てがたいものがあるというぐあいに思ってございます。

○曽根委員 個人の文学館はできるんですけど、こういう近代文学館のような網羅的なものがなかなかないんですよね。それで、建物は前田家の邸宅ということで、大変立派な建物なんですね。文化財に指定されているそうで、何でも今後も建物は公開を続けるというお話を聞きました。そうすると、今考えている来年度の財政はどういうふうになるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 文学館につきましては、今年度廃止なものですから、来年度、十四年度につきましては、資料等の移管の整理を行う一方で、この前田侯爵邸の維持管理、それから、公開する経費を今見積もっているところでございます。

○曽根委員 これは教育庁にお聞きしたんで、私から数字を申し上げて恐縮ですが、建物の維持費が三千四百万ぐらい。管理運営費も入れると、年間予算の大体四割ぐらいは建物の維持管理などでかかるということで、あとは人件費と、資料とか事業費ですね。そうすると、四割ぐらいは今後もかかる予定にしていて、かつ、江戸東京博物館に移すわけですから、その費用もかかると思うんです。
 したがって、費用的には余り節約ということにもならないのかなという点でも、何だか資料だけ分散してしまって、非常にもったいないという気がしました。
 現地で、ちょっと雨が降っていたりして、入館者は少な目かなと思うんですが、それでも、近くにある東大の学生さんが何人かグループで来ていまして、どうですかと聞いたら、江戸東京博物館へ行ったことがあるけれども、あんなところへこの資料を移すのはちょっと賛成できないという意見がありました。
 それから、学校時代の同窓生だという、私よりちょっと年配ぐらいの男女のグループが来ていまして、みんな他県の方なんですね。初めて来たそうです。でも、こういう文学館があるということについては、これから私たちのような年代の人がいろいろ見て回るのに、非常にいいところじゃないかと。他県の人も利用しているということを、ぜひ議会でいってくれというふうにいわれましたので、伝えておきたいと思います。
 そういう点で、現地に来た人は、入館している方は、みんなそれぞれその雰囲気を楽しんでおられるように思いましたし、私は、文学博物館という本来の性格から、社会教育といいますか、今後、人生八十年時代、そしてまた、学校五日制も始まり、土日を中心に子どもたちにとっても社会教育、生涯学習が大事だというときに、こういう施設はきちんと今の形で残すべきじゃないかという要望を強く申し上げて、終わりたいと思います。

○東委員長 ほかにご発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第二三九号は不採択と決定いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩いたします。
午後五時五十九分休憩

午後六時十分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 請願陳情の審査を続行いたします。
 次に、請願一三第二四四号及び請願一三第二五六号は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○嶋津生涯学習部長 一三第二四四号、都立多摩図書館の役割と機能の維持発展に関する請願外一件についてご説明申し上げます。
 請願一三第二四四号は、都立多摩図書館があぶない!住民と職員の集会実行委員会代表、守谷信二さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都立多摩図書館について、まず、都道府県立図書館の役割と存在意義の中心が区市町村立図書館のバックアップであることを再認識し、真に都民の図書館利用の利便性を維持発展させることを目的とした再編計画を立案することでございます。
 地域住民の情報ニーズに応じた直接サービスは、第一義的には区市町村立図書館の役割であり、他方、区市町村立図書館に対する図書の貸出支援や、高度で専門的なレファレンスサービスの提供、そういったものが都立図書館の重要な役割であると認識してございます。
 今後、都立図書館を取り巻く環境の変化や区市町村との役割分担を明確にした上で、都民ニーズに的確にこたえる新しい都立図書館のあり方についての指針を示したところでございます。
 次に、二つ目といたしまして、計画の策定に当たっては、検討経過と計画の概要を事前に都民及び区市町村立図書館に明らかにし、その意向を反映させるようにすることでございます。
 都立図書館あり方検討委員会での検討経過において、都立図書館協議会や、区や市町村の関係者に説明し、幅広く意見を聞いてきたところでございます。都立図書館あり方検討委員会の報告の取りまとめに当たりましては、こうした意見を参考にいたして取りまとめてまいりました。
 次に、三番目といたしまして、計画策定の間、現在の役割と機能、資料収集の方針を変更しないことでございます。
 都立図書館あり方検討委員会では、多摩図書館も含めた都立図書館全体のあり方について取りまとめたところであり、その結果を踏まえて、平成十四年度から、多摩図書館の役割、機能等を見直していくこととしております。
 次に、四番目でございますが、多摩図書館の資料、約十四万冊の処分を平成十三年度中に実施するという決定を白紙撤回することというものでございます。
 都立中央図書館と多摩の図書館との役割分担の見直しに伴い、従来、両館で重複保存しておりました資料につきましては、再利用計画を立て、区市町村立図書館などで有効活用を図っているところでございます。
 続きまして、一三第二五六号、日比谷図書館児童資料室の移転、多摩図書館の蔵書の廃棄を中止することに関する請願についてご説明申し上げます。
 この請願は、東京の図書館をもっとよくする会代表、佐々木順二さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、まず最初に、日比谷図書館につきまして、児童資料室を引き続き継続することでございます。
 来年度、国立国際子ども図書館が上野に本格オープンすること、他方、多摩地域には児童資料の専門図書館がないことなどから、児童資料は、来年度から、日比谷図書館から多摩図書館に移すこととしてございます。
 次に、改築計画を速やかに策定し、実施することでございます。
 日比谷図書館は、施設の老朽化が現在著しいため、利用者の安全確保のための工事を実施しているところでございます。
 次に、二番目といたしまして、多摩の図書館の蔵書十四万冊を廃棄せず、現在行っている多摩地域の公立図書館へのサービスを低下させないことでございます。
 都立中央図書館と多摩図書館との役割分担の見直しに伴い、従来、両館で重複保存しておりました資料につきましては、再活用計画を立て、区市町村立図書館などで有効活用を図っているところでございます。
 次に、三番目として、都立図書館各館の資料費を復元、増加することでございます。
 都立図書館は、区市町村立図書館との役割分担を踏まえつつ、その機能に必要な予算を措置し、府県行政としての広域的立場から、都民サービスの充実に努めているところでございます。
 次に、四番目といたしまして、都立図書館の保存機能を十全に発揮できるよう、必要な施設と書庫を拡充することでございます。
 都立図書館全体の書庫等を一体的に管理し、相互活用することで、都立図書館の効率的な運営を図っていくことと私どもとしてはしてございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件は、先ほどの都立図書館あり方検討委員会報告とあわせて質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、時間も大分経過しておりますので、簡潔に質問をさせていただきたいと存じます。
 図書館は、国立、公立、区市町村立と、いろいろある中で、今回の請願もしくは先ほどの図書館のあり方についての議論を考えますと、公立の図書館の役割は何なんだ、こういったことを明確にする必要があるのではないか、これが重要ではないかと考えているわけであります。先ほどご説明もありましたとおり、都立の図書館の役割は、高度専門的なレファレンスサービスの提供または区市町村立図書館への支援、こういったことが主な理由として挙げられているわけであります。つまり、この説明書の中にも書いてあるんですけれども、区市町村立の図書館のための図書館、こういうような内容もあるわけで、私は武蔵野選出、多摩の議員でございますので、今回は、多摩図書館の再構築について中心にお伺いをしていきたいと思っております。
 都立の多摩図書館は、これまでも多摩地域の市町村立図書館にとって大変重要な役割を果たしてきたということは、これはだれもが認めているところであります。今後、多摩図書館の蔵書が、先ほどの説明にもありましたとおり、児童、青少年の図書または文学書中心になる、こういった機能が特化される図書館になるというご報告がありました。そうすると、今まで多摩図書館に対して、主に市町村立の図書館が受けていたサービスが低下をしないだろうか、そういった心配があるわけであります。この辺について、まず一点目、お伺いをしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 多摩図書館が機能を特化することによりまして、都立図書館全体で資料の収集率が向上し、幅広い資料の提供が可能になるということが、まずございます。それに伴って、区市町村立図書館への協力レファレンスの充実もなされるものと考えてございます。今回の機能の特化はあるにせよ、都立図書館三館が一体となって区市町村立の図書館への支援を行うというスタンスに立ってございますものですから、多摩図書館のサービスの低下は来さないものと考えてございます。

○小美濃委員 ちょっと抽象的な答弁なので、もう少し詳しくお伺いしたいんですけれども、確かに資料の収集率が都内全体的に見ると向上するということはあり得るのかなと思いますね。これは評価ができることなんですけれども、今まで多摩の図書館にあった専門書が中央図書館に集約される、そういったことによって、今までは多摩の図書館でも専門書についてレファレンス機能は持っていたわけですよね。そういったことが中央図書館のみで行われるということがあったら、これは多摩の住民からしてみたら、やはりサービスの低下といわざるを得なくなるわけであります。ですから、専門書が中央図書館に移行した後でも、今までどおり専門書に対してしっかりと多摩の図書館で住民サービスが行われるのかどうか、そこら辺をお伺いをいたします。

○嶋津生涯学習部長 都立三館でお互いに機能を分担し合って、トータルでサービスを維持していくというスタンスに立ってございます。したがって、多摩で専門図書が見たいという場合には、おのずと中央にあればそこから持ってくる。その持ってくるシステムについては、それを充実することで多摩のサービスの低下を来さないようにするということを考えてございます。

○小美濃委員 そうすると、例えば、それなりのしっかりとした職員体制だとかもやっていただけるのかどうか、それと、これもちょっと説明になかったのでお伺いしたいんですけれども、今までは閲覧ができたと思うんですけれども、こういったことも多摩の図書館で今後できるのかどうか、その点についてお伺いします。

○嶋津生涯学習部長 多摩の図書館において閲覧することは、もちろん可能でございます。

○小美濃委員 職員体制は……。

○嶋津生涯学習部長 職員体制につきましては、三館が一体的に運営されるという形においては、一定の合理化は当然するものでございますけれども、それは、その三館がトータルで運営されるということで進めてまいりますものですから、人数は減ったとしてもサービスの低下はないものというぐあいに考えてございます。

○小美濃委員 じゃ、もう少し突っ込んでみます。図書館に蔵書されている本は、多岐、多数、いろいろあるわけですよね。例えば、私が調べ物をしに直接図書館に行く場合でも、開架式の場合は、直接手にとって、例えば調べたい項目や、調べたい内容を、いろんな本を見ながら、手にとりながら見つけていきますし、閉架式の場合でも、やはりそこにいる司書さんに相談をしながら--奥にあるわけですよね。こういった本や、こういったことを調べたいんだけれども、どこだろうかということで目的に達していくわけでございますけれども、中央図書館に専門書が集約されてしまうと、多摩の図書館でそういったことができるかどうかということをお伺いしたかったんです。

○嶋津生涯学習部長 もしその専門書が中央図書館にございますれば、多摩でその申請を受けて、向こうに照合し、あれば向こうからすぐ取り寄せて、そのリクエストのあった住民に提供するという仕組みになってございます。

○小美濃委員 本があるなしを調べるのに、今までは、開架式ならば、自分の手にとって--本って、デジタルじゃなくてマニュアル的なものじゃないですか、自分でとってみたりとか、相談をして本を探したりとかいうものだと思うわけですよ。
 ちょっと先に進みますけれども、インターネットの検索ができるわけでしょう。こっちの報告書の中に書いてあります。インターネットの検索と、要するにIT化をしたことと、職員の方々との連携によって充実をしていくというようなことが書いてあるわけですけれども、その辺のところが、例えば、調べたい項目があったとする、そうすると--本来、書名だとか、著者だとか、出版社だとかがわかって図書館に行くわけじゃないわけですよ。この項目が知りたくて、項目があって、例えば、日照権なら日照権を調べたい、日照権とは何かなというので、こうやってやるわけですよ。そういったことが、果たしてIT化されて合理化されても、そこにいる司書さんとの間で多摩でしっかりとできますかということをお伺いしたかったんです。

○嶋津生涯学習部長 ITの進展に伴います改良につきましては、本格的に取り組んできているつもりでございます。都立の図書館といたしましては、平成十一年度に、従来の電算システムを大幅に改良いたしまして、新しい電算システムを導入いたしました。これによって、都立図書館のホームページを公開して、いつでも、だれでも、どこからでも、この三館の蔵書が検索できるという形になってございます。多摩の図書館に所蔵してない資料でも、取り寄せサービスを行うことなどによって、多摩の図書館での閲覧がもちろん可能となりますし、そういう点ではサービスの低下の懸念はないというぐあいに考えてございます。
 また、先ほど委員のおっしゃられるように、本のタイトルだけでなくて、地名とか、あるいは人名とか、そういったキーワードをつけることで、資料のデータの入力も工夫してございまして、そういったサービスも利用できるようになっているというぐあいに考えてございます。
〔「何日かかるんだよ」と呼ぶ者あり〕

○小美濃委員 非常に懸念をしているところなんですけれども、恐らくそれ以上のことを聞いても、なかなか答弁としては返ってこないようなので、要望として、ぜひとも--結局、人が減ってしまって、ITに頼る。IT化の社会だから、それはそれでいいんですけれども、我々は本当に非常に小さいデータでしか図書館に行けませんので、それをしっかりと、今までどおり専門書が多摩の図書館でも手に入るようなシステムをつくっていただきたい。これは要望にしておきます。
 次の質問に入ります。
 今のような協力貸し出しという制度で、今まで多摩図書館を中心に、市町村の図書館は非常に潤っていたわけですけれども、今度、中央図書館に全部専門書が行ってしまった。そうすると、二十三区は二十三区で、やはり専門書を読みたい方がいらっしゃるでしょうから、多摩から申請したのと二十三区から申請したのと、そこで区別があっては絶対にいけないというような気がいたしております。そういうことがないように、これはないと思いますけれども、議会の場でございますので、改めてご答弁していただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 ご心配の件は、ありません。

○小美濃委員 格差を生じないように、二十三区にある専門書も多摩でしっかりとやれるようにしていただきたい。
 そこでまた問題になってくるのが、今回の蔵書、一タイトル一冊にする、こういったことが書いてあるわけであります。これは確かに図書館も器でございますので、一タイトル一冊にするということで、多くの種類がそろえられるというメリットはあるかもしれません。しかし、今までは、多摩にあり、中央にあり、また日比谷にもあった。また、複数存在したものが、専門書に限っては中央図書館に一冊になってしまう。そうすると、二十三区プラス二十六市、何市何町、約五十近いところがその一冊を取り合うといったらおかしいんですけれども、そういうことだってあり得ないとも限らないわけで、こういう点についてはどういうふうに取り組んでいかれるのか、お伺いします。

○嶋津生涯学習部長 ご心配の利用の競合についてでございますけれども、実は現在でも、都立の図書館の蔵書のうちの九割近い、八五%が一点保存の資料になってございます。そうした中で、現実にこの協力貸し出しあるいは直接来館者との競合はほとんどなく、不都合なく行われているというのが実態でございます。
 そういうことを考えますれば、先ほどお話がありますように、需要の高い資料は必要に応じて複数配置するということが、まず前提としてございます。その一方で、先ほどの実態としての八五%の一点保存という今までの経緯を考えますれば、懸念されるような競合の問題は基本的に生じないものというぐあいに考えてございます。

○小美濃委員 複数配置を必要に応じて行っていただくということは大変評価できるところでありまして、恐らくこの一タイトル一冊というのは、多摩の各市町村の図書館の皆さんも非常に懸念をしているところだと思っておりますので、その辺はきょうご答弁をいただいて安心をいたしました。
 本は大変高いもので、財政的にも市町村もかなり苦しいところがございますので、特に高い専門書に関しては、要望に応じていただきたいと思っております。
 それで、多摩の図書館で十万数千冊の再活用が予定されているということを聞いております。再活用をしなければならないわけでございますが、再活用をするに当たっての基本方針をお伺いをしたいと思いますし、また、とあるところから僕が聞いた話なんですけれども、特定の自治体のみに配分されるようなことがあっては、これは不公平につながりますし、また、二十三区に偏ってしまったり、多摩に偏ってしまったりということになりますと、また不公平感があると思われます。都としての、その辺の計画みたいなものがあったらお聞かせをいただきたいと思っています。

○嶋津生涯学習部長 図書の再活用計画、配分でございますけれども、この件につきましては、まずは区市町村立図書館及び都の機関を対象の基本といたしまして、特に、多摩地域及び島しょ地域、それから、人口一人当たりの蔵書数の少ない区市町村立図書館を優先することを基本的なスタンダードにしてまいりたいというぐあいに考えてございます。
 また、行政、郷土資料などは、当該地域に関係する図書館に優先的に配置するといったことも考えてまいりたいというように思ってございます。

○小美濃委員 意見を述べて、最後にしたいと思うんですけれども、私のところにも地元の教育委員会から要望がありまして、非常に心配をしているといっております。これは恐らく武蔵野市だけではなくて、多摩全域の教育委員会の方々は同じ思いではないかと思うんです。さりとて、都財政も逼迫をしておるようでございますし、三つの図書館を再構築、リストラしていくことは、ある意味ではやむを得ないのかな、そう考えております。
 しかし、先ほど申しましたけれども、専門書などは、本当に高くて、今はどこも裕福な市町村はないわけですね。ですから、そういった意味では、東京都がしっかりとその辺はサポートしていただきたいと思っております。
 また、サービス低下につながらないように、協力貸し出しにつきましては、ITをしっかりとまた駆使していただいて、多摩地域の図書サービスが絶対に低下をしないように強く要望いたしまして、終わりたいと思います。

○福島委員 ただいま一括議題となっております本請願二件につきましては、我が会派から尾崎正一議員、小林正則議員、富田俊正議員、河西のぶみ議員、真木茂議員の五名が紹介議員となっておるわけでありまして、五名を中心にして我が会派でも、部会あるいは政調会で、この願意を反映させるべく議論をし、精査をさせていただいて、先ほど来説明を聴取いたしましたので、何点かにわたって質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の四月に、先ほどご説明のとおり、都立図書館のあり方検討委員会を発足させ、都立図書館三館のあり方を見直す検討を重ね、このたび、その最終報告がまとめられ、この四月から、この最終報告に基づいた新体制がスタートするということであります。
 最終報告を拝見いたしましたけれども、インターネットなどの情報通信技術を活用した高度なサービスの充実、学校への支援、行政における政策立案への支援、さらには、産業活動の活性化への支援など、現代の社会的な諸課題に対して図書館が積極的にかかわろうとしている姿、評価する点が多々あるものだと理解をしております。
 しかし、一方、具体的な改革案では、その柱の一つとして、現在、多摩地域をサービス対象としている都立多摩図書館の役割や機能が大幅に見直される、こういうことがあります。これに対して、多摩地域の都民、市町村立図書館、東京都市教育長会、西多摩郡町村教育長会などからも、少なからず危惧の声が上がっていることも事実であります。
 従来、都立多摩図書館は、市町村立図書館へのバックアップ機能をそのサービスの中心に据えて、全国の県立図書館の模範となるようなすぐれた活動を展開してまいりました。それは多摩図書館が設立される以前の都立立川、都立八王子、都立青梅、三館の時代から引き継がれたサービスであります。
 具体的には、市町村立図書館で所蔵していない古い本や雑誌をすぐに貸し出してくれる。普通は、調べ物用の資料として貸し出しをしていないレファレンスブックも気軽に貸し出してくれる。市町村の図書館で解決できない調べ物も、多摩図書館の担当者が調べてすぐに連絡をしてくれるといったところであります。
 今回の改革案では、こうした都立多摩図書館の機能を中央図書館に一元化する。蔵書も、同一の本は今後原則として都立図書館で一冊のみにする。多摩図書館は、児童・青少年資料、文学資料、多摩地域に関する行政資料の図書館とする。書庫についても、現有書庫の範囲内で、今後拡張はしないということとなっております。こうした改革で、果たしてこれまでされてきたような都立多摩図書館のサービス水準が維持できるのでしょうか。大いに気になっているところであります。
 今回の請願は、都立多摩図書館の存在を前提に図書館サービスを構築してきた市町村立図書館や、そのすぐれたサービスを日常的に享受してきた多摩三百八十五万都民にとって、その根底が揺らぐものではないかと受けとめられております。
 いうまでもなく、高度情報化社会とは、良質な情報を必要なときに入手できるか否かが極めて肝要であると考えております。
 また、昨年の七月には、文部科学省が告示をした公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準が、図書館法制定以来初めて告示をされ、市町村立の図書館をバックアップするという都道府県立図書館の重要な使命が明記をされております。
 さらに、同年十二月には、子どもの読書活動の推進に関する法律が施行され、子どもたちのために良好な読書環境を整備する責務が国及び地方公共団体に課せられたことは、承知のとおりであります。
 したがって、都立図書館は、さらに充実、発展されるべきものであって、その役割や機能見直しは、都民や区市町村立図書館との十分な協議と合意の上に、慎重の上にも慎重を期して行われるべきだと考えております。
 そこで、まず、質問に当たって、二本の請願に多くの都民の方がご署名をしたと拝察しているわけでありますが、多摩地域において、同趣旨のものが、もし市議会等で意見書の採択あるいは議決がされているところがあれば、具体的にご披瀝をいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 今回の都立の図書館のあり方検討委員会につきましては、その検討過程におきまして、まず議論の素材として中間のまとめを発表いたしました。それにつきまして、いろいろなご意見を伺っております。その中に、例えば、東京都の市教育長会、要するに、多摩の市の教育長会からの要望書もございます。それから、西多摩郡の町村の教育長会からの要望書もございます。それ以外にも、十三の市議会から意見書も出てございます。

○福島委員 今、多摩地域の十三の市から意見書が提出をされているということでありまして、くしくも、先ほどご説明を受けた、今後の都立図書館のあり方についての中でも、平成十二年の四月に地方分権一括法が施行される。したがって、直接的なサービスは、基礎的な自治体として区市町村の役割が極めて大きく、期待も増大をしているということでありますけれども、私も実は区議会の出身者でありますけれども、市の意見書という重み、どのように担当部長はお受けとめをいただいておりますでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 図書館行政におきまして、都民にサービスを提供する第一義的な責任という、第一義的な機能を果たす拠点としては区市町村でございます。それだけに、図書館のあり方について、地元区市町村からの意見書あるいは要望書は、大変重いものというぐあいに考えてございます。

○福島委員 今、担当部長から、極めて重いものだということでありますから、十分に踏まえていただいて、報告書に従って、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 最終報告の冒頭に、報告書に当たっての文中で、都立図書館協議会や区市町村などの関係者にも検討状況を説明し、ご意見を伺ってまいりましたとありますけれども、その説明もしくは意見を聞いた経過と、区市町村側から出された意見、そして、それに対する都側の回答について、具体的にお示しをいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 今回の検討委員会で議論の素材として発表いたしました中間のまとめとその後の検討状況につきましては、まず、市の教育長会に昨年の十一月とことしの一月にご説明し、ご議論をいただきました。それから、西多摩の町村の教育長会にも、一月、十一月にご案内を申し上げました。それから、昨年の十月に市町村の図書館長会に説明し、意見を伺ってきたところでございます。それから、この間の秋を中心に、先ほど申し上げました十三の市議会からの意見書も出てございまして、これに伴う内容につきましても、私どもとしては検討してまいりました。
 こうした内容をいただきましたポイントは幾つかございますが、三つほどここでは挙げさせていただきます。
 一つは、都立図書館としては、専門書、高価な本、それを東京都が幅広く収集、提供するようにということがございます。
 二番目に、資料の協力貸し出し、研修など、区市町村立図書館へのさまざまな協力・支援活動を充実をせよということでございます。
 三つ目は、十四万冊の資料廃棄については、慎重を期せというものでございます。
 こういったご意見は十分に議論をいたしまして、検討委員会の報告の取りまとめの中に盛り込んでございます。

○福島委員 今回の改革案に関して、東京都市教育長会、西多摩郡町村教育長会から、現況を危惧し、従来の都立多摩図書館のサービスを維持するよう要望書が出されていると聞き及んでおりますが、その内容と、今回の最終報告が、その要望をどのように踏襲されているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 東京都の市教育長会と西多摩郡の町村教育長会からは、全く同趣旨の内容が出てございます。朗読をさせていただきます。
 一つに、多摩地域に在住の約三百八十五万人の都民が、広域行政としての都の行政サービスを享受できるよう、最大限の努力を払うこと。
 二つに、都立図書館と区市町村立図書館との連携により、多摩地域の利用者に対するサービスの現行水準の維持と、一層の充実を図ること。
 三つほど細目がございまして、まず、区市町村立図書館が用意できない高価な専門図書等は都立図書館が提供すること。二つに、専門書等を利用状況に応じて複数配置し、利用の便に支障を来さないこと。三つに、レファレンスサービスをより充実させるため、司書を含む職員配置は現状を維持すること。
 以上が内容でございます。
 私どもといたしましては、これらの要望に対して、最終報告の中身に盛り込まさせていただきました。例えば、第一番目にございます、区市町村立図書館が用意できない高価な専門書は都立図書館で提供せよということにつきましては明記して、報告書の中に入れてございます。
 それから、専門書等の複数配置につきましては、一タイトル一点の収集、保存を原則とするということにいたしまして、資料の収集率をアップするということにいたしました。
 それから、レファレンスサービスにつきましては、高度専門的なサービスを提供していくという形で、これも最終報告書に盛り込まさせていただきました。

○福島委員 ただいまの答弁の中で、一タイトル一点の保存は資料の収集率を上げるとの考え方が示されましたけれども、私が理解しているところでは、すべてを複数配置してほしいとの要望ではなしに、区市町村のニーズを的確に把握して前向きな対応を求めているものと理解をしているところであります。今後、都立図書館全体で同一の本は一冊のみの収集とし、保存を現有書庫許容範囲内とするならば、あふれた蔵書は保存しないということ、あるいは、できないということになりますけれども、それで都民の多様な資料要求にこたえることができるでしょうか。
 例えば、埼玉県立図書館でも再編計画が進められておりますけれども、埼玉では、同一の本を最低二冊、県立で保存をしているということであります。この点をどのようにお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 中央と多摩の図書館での同一の本は原則一タイトル一冊の収集、保存とするということによりまして、同じものを二冊買うよりは、別々のものを買って収集率を高めるという選択をしたつもりです。そのことによって、都民の多様な資料要求に応ずることができるということが一点ございます。それから、現有書庫の範囲内での収蔵能力も高めることが可能になる、そういうメリットがあるというふうに認識してございます。
 ちなみに、さっき委員の方でおっしゃられた埼玉の件でございますけれども、埼玉県も、従来のものは原則二点を保存してございますけれども、今後は原則一点の購入の方針に変えていくということで伺ってございます。

○福島委員 国立国会図書館を資料提供の最後のよりどころとしているようでありますけれども、国会図書館の本は館外に貸し出しすることができないばかりか、一館で申し込みできる冊数にも制限があります。さらに、貸し出しを受ける館として登録する場合も、きちんとした閲覧スペースがあることが条件で、多くの区市町村の地域図書館では登録さえできない場合があり得ます。その点の改善を国会図書館に求める意向があるのか。もう既にその意向を申し伝えているのか。また、改善の可能性はあると考えているのか。見解をお伺いをしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 国立の国会図書館に対する期待と申しますか、私どもの今回の改革につきましては、そこを最後のよりどころという形であるよりは、むしろ、それぞれがそれぞれの機能を果たす中で、住民のサービス、国民のサービスを全うしていくという認識に立ってございます。
 したがって、国立国会図書館につきましては、もちろん国内唯一の納本図書館として、資料を半永久的に保存する、あるいは、国民への資料提供の最後のよりどころとする、そういうサービスを提供しているものでございまして、これはこの範囲におきまして、この機能が全うされることを我々としては期待するものでございます。

○福島委員 都立多摩図書館では、これまでレファレンスブックの市町村への協力貸し出しをしておりましたが、新体制になっても、それが本当に可能であるのか。また、都立中央図書館の資料を協力貸し出しで借り出す場合が多くなると思いますが、中央図書館では、直接来館して利用する都民も多いわけでありますけれども、区市町村への協力貸し出しと直接来館者の利用とが重なるケースも出てくると思います。その場合の対策として、どのように考えておられるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 協力貸し出しと直接来館した方の競合の問題でございますけれども、現在でも、都立の図書館の蔵書のうちの八五%は一点保存の資料でございまして、そうした中で、協力貸し出しと直接来館する人のサービスは不都合なく行われているものというぐあいに認識してございます。
 ただ、先ほど申し上げましたけれども、必要に応じて複数配置するということはもちろんございまして、その範囲においても不都合のないものというぐあいに考えてございます。

○福島委員 最終報告の立論の前提として、中央図書館が平成十五年度末、多摩図書館が平成十八年度末にそれぞれ満杯になるとありますけれども、必ずしもそうではないというお話も承っております。この年限で満杯になるのは間違いないのかどうか、確認をさせていただきたいと思いますし、また、日比谷図書館は児童・青少年資料を多摩図書館に移すわけでありますが、日比谷の書庫スペースは活用しないのでしょうか。あわせてお答えをいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 満杯になるのではないか、あるいは、ひょっとしてならないのではないかというお話でございますけれども、現在、毎年数万冊の新規本が発行されてございます。そういう事態の中で、現在のペースで推移いたしますとすれば、収蔵量も、中央図書館は平成十五年度末に、それから、多摩の図書館は平成十八年度末に限界に達するというぐあいに懸念してございます。
 また、日比谷図書館の書庫スペースの活用についてでございますが、今後は耐震改修によって縮小する閲覧スペースの代替、それから、視聴覚資料の保管及び中央図書館の書庫が満杯になった後の保管、そういったことが予想されてございまして、そのための活用のスペースとして考えてございます。

○福島委員 昨年の出版件数に対して都立図書館が収集をしている点数の割合が低下をしているということであります。そのために、都立図書館で今後同じ本を一冊だけ購入して、浮いた分で別の本を購入するということであります。購入点数が減少しているのは、むしろ大幅な図書購入費の削減にあるのではないのでしょうか。都立三館の過去十年程度の図書購入費と、平成十四年度の図書購入費をお示しをいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 図書購入費の削減の件でございますけれども、その前提として、東京都の財政が今大変危機的な状況にあるということは申し上げなくてはならないというように思ってございます。都全体の歳出予算の削減方針の中で、都立の図書館の資料収集費も、もちろん例外ではございません。
 過去の資料費につきましてですが、十年のものはちょっとございませんで、五年に限らせて、恐縮でございますが、ご案内申し上げたいというふうに思ってございます。平成七年が四億五千七百万でございました。八年が四億四千九百万、九年が四億五千三百万、十年度になりまして四億二千九百万、十一年が四億一千七百万、十二年が三億五千九百万、そして十三年度が二億六千三百万でございます。十四年度の予算購入費につきましては、今、議会のまさに案件になってございますので、その過程で明確になってくるものと考えてございます。

○福島委員 東京都は、いうまでもありませんけれども、情報公開を積極的に推進をされていますし、最終報告では、行政の中での図書館の役割として、都民に都政への理解を深めてもらうのが都立図書館の役割であると強調しています。多摩図書館に置く行政資料が多摩地域に関するものだけという今回の改革案と、軌を一にしているのでしょうか。ご所見をお伺いをしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 都民の都政への理解をどう深めるかということにも関連するお話かと存じますが、蔵書の構成につきましては、都立三館の機能分担に応じて行うという考え方に立ってございまして、多摩の図書館に多摩地域の行政・郷土資料を置くという形にしたものでございます。それ以外の一般的な行政資料につきましては、都民に対するサービスは、まさに都立三館が一体となってこれを支えるという仕組みの中で、支障のないようにしてまいりたいというように考えてございます。

○福島委員 先ほどの説明で、中央図書館と多摩図書館の役割を、従来の地域分担から機能分担に変更するものだとお伺いをいたしました。多摩図書館は、児童・青少年資料、文学資料、多摩地域の行政資料を分担する図書館とし、これらについてはレファレンスも含め多摩図書館が専門的に対応すると理解をしていいのか、お答えをいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 児童・青少年、文学、多摩の行政資料等につきましてのレファレンスは、おっしゃるように主として多摩図書館が対応していくことになります。ただ、内容等に応じましては、中央図書館と当然連携協力して当たることになってございます。

○福島委員 最終報告がまとめられたばかりでありますけれども、実務作業としては、既に中央図書館と重複をしている多摩図書館の蔵書、十万冊余りが再活用に回されようとしております。これだけの本が、書庫も十分にない区市町村の図書館で、本当にいわゆる有効活用ができるのでしょうか。その申し込み状況と、最終的な再活用先をお示しをいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 十万冊の再活用につきましては、この二月の五日に区市町村からの要望を締め切ったところでございます。申し込みの状況といたしましては、三十を超える自治体から、延べの冊数といたしまして二十二万冊の図書のリクエストがございました。したがって、有効に活用されるものというぐあいに考えてございます。
 ただ、具体的な再活用先の選定につきましては、区市町村立の図書館及び都の機関を基本とするとしながらも、特に多摩地域、島しょ、それから、人口一人当たりの蔵書数の少ない区市町村の図書館を優先してまいりたいというぐあいに考えてございます。

○福島委員 都立図書館では、電子図書館構想も進めております。都内の区市町村図書館の資料を横断検索できるシステムも構築すると聞き及んでおります。そういう体制が整えば、区市町村の図書館で持っていない本がたちどころに検索でき、大変有効だと思っています。しかし、今は残念なことに、まだその体制が整備していませんから、今、都立図書館の本を処分してしまうのではなしに、その体制が整うまで、一たん処分を見合わせるお考えがあるかどうかをお尋ねをしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 今回の再活用は、重複した資料について実施するもので、都立図書館といたしましては、資料一冊は、まさに都立図書館の責任において保管、収蔵するものでございます。
 再活用の資料につきましては、先ほど申し上げましたように、今、大変多くの自治体から要望もございまして、二十二万冊という冊数になってございますが、これらは提供先の区市町村立図書館を通じて都民に有効に利用していただけるものと考えてございます。

○福島委員 平成十三年度の行政評価の結果についてお尋ねをしたいと思っています。図書館に関しては、知事本部の第二次評価では、必要性という項目で、区市町村立図書館の業務を支援し、都民の生涯学習需要にこたえる情報基盤として基礎的で重要な役割を担っておると明確にあらわしておりますし、また、効率性、総合評価の項目でも、特に区市町村立図書館への協力・支援機能を強化すべきであると明言されています。文字どおり、この改革案が、都立図書館として、区市町村立図書館への協力・支援を従来以上に強化する方向であるか、見解を改めてお伺いをしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 区市町村立の図書館のバックアップは、都立図書館の基本的な役割であるというぐあいに認識してございます。今回のあり方検討委員会報告にもありますような方向で、区市町村立図書館への協力・支援の充実を私どもとしては図ってまいりたいというぐあいに考えてございます。

○福島委員 最終報告では、区市町村立図書館と都立図書館との役割が分担をされ、区市町村のニーズを把握するシステムの必要性等が強調をされております。役割分担にしろニーズの把握にしろ、両者が十分な協議をし、協力をしなければ、でき得ることではありません。まして、都民や関係者にとっては、今回の最終報告は初めて目にするものであります。
 したがって、この最終報告の性格としては、先ほども、こちらにも書いてありますけれども、指針とすると明記をされておりますが、今回は、具体的な提案をしたと受けとめていいのかどうか、見解をお伺いをしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 あり方検討会の報告につきましては、幾つものファクターを入れ込んだつもりでございます。基本的な指針としての内容もあれば、具体的な提案を盛り込んだものもございまして、幾つか内容に応じて、すぐさま実施できるもの、今後引き続き検討していくもの、そういったたぐいのものが盛り込まれているものと考えてございます。

○福島委員 この改革案をより現実的なものに、あるいは実効性あるものにするために、都と区市町村立の図書館、あるいは都民の方も、あるいは関係者も入って、さまざまなレベルで継続的に協議、検討することが極めて肝要だと思っておりますけれども、そうした意向があるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 区市町村との連携協力は、重要なものであるというぐあいに認識してございます。今回のこの報告書の中にも明記いたしましたが、区市町村立図書館が都立図書館に求める協力・支援のあり方についてなど、ニーズを把握する仕組みをきちっとつくっていきたい、その検討に入りたいというぐあいに考えてございます。

○福島委員 先ほど、あり方の報告の中で、担当部長が明快に、ポイントが三つあるということでありました。一々ここで申し上げませんけれども、私も全くそのとおりでありますけれども、この三つのポイントが、果たしてその経過を踏まえて、都民の目線に立っているかどうかだと思っておりますので、実効性ある改革案、そして実の上がりますよう、十分な議論のもとに実行されますよう心から要望して、私の質問を終わります。

○東委員長 速記を少しとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記を再開してください。
 質問を続行します。

○野上委員 では、時間も押してまいりましたので、さっきのお二人とかなり共通しているところは全部省かせていただきます。短くいたします。
 私は、ちょっと別の観点から、日比谷図書館の今まで大変充実していた十六万冊の児童図書を、多摩図書館になぜ移さなければならないのかについて質問したいと思います。日比谷図書館の児童図書の利用状況というのは、どうなっていたんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 日比谷図書館の児童図書資料の利用状況につきましては、来館者による利用と個人貸し出しの二つの側面から申し上げたいというように思ってございます。
 まず、来館者の数でございますけれども、平成八年度の都立図書館の利用実態調査の結果によりますと、来館者のうちで児童資料を利用する人の割合は約〇・五%であり、二百人に一人でございます。それから、個人貸し出しにつきましては、これは平成十二年度の統計結果でございますけれども、貸出冊数は年間一千六百二十三冊、一日平均約六・二冊となってございます。
 ちなみに、近隣の千代田、中央、港の三区の区立の図書館の児童資料の貸し出しの冊数でございますけれども、平均して年間約二万四千冊、一日約八十冊でございます。

○野上委員 こういう官庁街というんですか、なかなかそういうところで、子どもたちが利用するのが少ないのが実態だとは思うんですけれども、日比谷図書館の児童資料コーナーは、全く一切なくしてしまうんでしょうか。それとも、本当に少しでも、そのコーナーに、子どもの児童資料を残す予定なんでしょうか。全くゼロになるんでしょうか。そこをちょっと確認したいと思います。

○嶋津生涯学習部長 お気に召さないでしょうが、全部移動させていただきます。

○野上委員 全くゼロですか。

○嶋津生涯学習部長 はい。

○野上委員 私としては、やはり少しでも子どもの児童資料コーナーを、少なくても今はやりの人気の本とかを置いてほしいというふうに要望したいなと思って、ちょっといったんですけれども、全くそれは改革される余地はなく、ゼロということでやっていくわけですね。それは区立に任せるという確認でよろしいですか。
 それから、これからは、私も結構インターネットで国立国会図書館とかいろいろ引いたりして調べることが多いんですけれども、この都立図書館の電子化というのは、どのように進んでいくんでしょうか。いつごろまでに、どのようにできるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 図書館の電子化につきましては、平成十一年度に、従来の電算システムを大幅に改良いたしまして、新電算システムを導入をいたしました。このことによって、都立の図書館のホームページがオープンになって、いつでも、だれでも、どこからでも、都立の図書館の蔵書の検索や、電子メールによるレファレンスのお申し込みができるようになってございます。
 さらに今後は、区市町村立の図書館の蔵書につきましても、都立の図書館のホームページで一括して検索のできるような、横断検索システムといったような内容のものを築いてまいりたいというぐあいに考えてございます。

○野上委員 これは平成十四年度から利用できるわけですね。それは確認してよろしいですね。
 あと、都立図書館を改革することによって、職員とか人件費がどれぐらい減ったのか。そして、私が心配しているのは、人が減るということは、必ずやはりサービスが低下するのではないかと、だれでも共通に考えるわけなんです。そこら辺の確認をしておきたいんですけれども、本当にサービスは低下しないんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 今回の都立の図書館の改革に伴います、職員、人件費につきましては、平成十四年度、来年度は十七人の人員を削減することによりまして、約一億四千五百万の節約がなされるものというぐあいに考えてございます。
 また、そのことによります影響でございますが、この人員の削減につきましては、図書館の効率的な運営、三館一体的な運営というものを図って、予算、企画、蔵書などの機能を中央図書館に一元化したことによるものでございまして、この一元化による機能を維持する限り、都立図書館全体としてのサービスは低下を来さないものというぐあいに考えてございます。

○野上委員 子どもの読書活動の推進に関する法律案というのが昨年の十一月に成立をいたしました。その中で、地方自治体も、子どもの読書の推進のために施策を打ち出しております。第十一条では、国及び地方公共団体は、子どもの読書活動の推進のために必要な財政上の措置と、その他の措置を講ずるように努めるものとすることというのが書いてあります。
 私は、本が死ぬときに暴力が生まれる、これを信条としております。子どもたちが言葉を学んで感性を磨いて、想像力を豊かなものにし、人生を深く生きる力を身につけていく上で、本というのは欠くことのできないものではないかなと思っております。ぜひ、都民にとって使いやすい、ニーズに応じた都立図書館であってほしい、このことを要望して、終わりたいと思います。
 以上です。

○曽根委員 野上委員と同じく、前に質問した人とダブったところは大胆に省略をして、できるだけ今まで質問した以外のところについて簡潔に聞いていきたいと思います。
 まず、一点目に、今回のあり方検討会の報告を出すに当たって、関係者に現状を説明し、意見を伺ってきたということがあって、先ほど関係者からの要望書、市議会などの意見書その他が紹介されましたが、一つ出てなかったのは、図書館協議会のことなんですけれども、私、二月三日にこの問題での集会があったときに伺ったんですが、そこに四百人ぐらいの方が参加していましたけれども、発言の中で、図書館協議会の酒川さんという事務局長さんでしたかね、この方が涙ながらに訴えていまして、とにかく図書館協議会には、図書館の運営に関して最も最初に相談すべき組織であるにもかかわらず、任期の最後の十月十九日になって、初めてこの検討状況の説明があった。それも、協議会側から要求をしなければ説明に来なかったという厳しい指摘があって、そういう点でも今回の手続には最初から問題があるというふうに指摘されていたんですが、この経過については、そのとおりなんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館協議会につきましては、公募も含めた都民の参加もこれあり、大変重要な組織であるというぐあいに認識してございます。今回、中間まとめを議論の素材として出しましたときに、この図書館協議会の委員には、八月の九日に原本を送付してございます。それから、九月の七日に中間のまとめの説明を改めていたしました。十月の十九日に、都立のこの図書館協議会で改めて検討状況も説明してございます。

○曽根委員 少なくとも酒川さんについては、十月十九日、最終日、押切さんの最後のあいさつがあって、一年間ご苦労さまでしたという日になって、初めて自分は説明を聞いた。その前は、その方も欠席があったのかもしれませんが、詳しい話も論議もされていないというふうにおっしゃっていました。
 少なくとも四月から検討していたのであれば、途中経過で、もっと前に詳しい説明があってしかるべき相手だと思うんですが、しかも、内容的にも、この方は、図書館の今後のあり方について根本的な検討をしているにもかかわらず、図書館協議会でやってきた議論が全くむだになるようなことが一方で決められてしまったということで憤慨していました。ここの冒頭にある文章には、説明してきたとありますが、その関係者の理解を得たとは書かれていません。少なくとも図書館協議会など、最も信頼し、頼りにしなければならないその方々の理解と納得は得られていないということは、私、ここで確認しなければならない事実だと思うんですが、いかがでしょう。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館協議会につきましては、先ほども申し上げましたように、図書館を運営する上で大変重要な組織であるというように考えてございます。ただ、いろいろな方たちの考え方があり、いろいろな人たちの意見もございますものですから、幾つか理解を求める作業は私どもしてまいったつもりですけれども、その合意を得るという形のものでは必ずしもないというぐあいに了承してございます。

○曽根委員 これは非常に重大なことです。しかも、あえていわせていただければ、十一月から発足すべき新しい運営協議会が、その後、この決定の最近まで発足しなかった。つまり、図書館協議会をつくらずに、このあり方検討会の最終報告をつくってきたということも、事実として指摘しなければならない。もう協議会なんかそっちのけで、教育庁の中でつくっちゃったということに、実態としてなっているということです。これが第一です。
 それから、教育長会の要望書が、東京都の横山教育長あてに出ているわけですが、この教育長会に対して、多摩の市町村立図書館長協議会、ここからそれぞれの教育長あてに要望が出ているわけです。これは教育庁を通して取り寄せていただきましたので、ごらんになったと思うんですが、ここに先ほど部長さんが読まれたことよりも非常に率直に、例えば、多摩地域の市町村立図書館の運営や利用者は、この東京都の方針で大きな影響を受ける、このような大規模な変更が都立図書館内部の検討で決定されたことに大変驚いている、多摩図書館資料の大量廃棄の作業が始められていることにも大きな危惧を抱いているなどなど、非常に率直に、東京都のやり方に対する批判が、この要望書の中に書かれているんです。公式の文書でこれだけ厳しい指摘をするということは、私は異例のことだと思うんです。
 これらを受けとめるならば、既にこれは中間まとめが出された後にこの指摘がされているわけですから、ここでいわれている、例えば大量の処分は慎重を期すこと、それから、一タイトル一点などではなく複数を配置してほしいこと、それから、職員についても、教育長会の要望の中には、現職員体制を維持してほしいという要望などは、これはこの検討の報告の中では反映されていないというふうにいわざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 市町村立の館長協議会につきましては、幾つか、その場所を使い、説明し、意見を交換するということをやってまいりました。ただ、同協議会からの要望書は、直接私どもあてには参っておりません。もっとも、この協議会の意見につきましては、その上部団体ともいうべき市の教育長会であるとか、あるいは、西多摩の町村の教育長会であるとか、そこが窓口となって受けとめられているものと考えておりまして、その二つの教育長会から出された要望書を、私どもとしては重いものとして受けとめて反映をさせてまいりました。

○曽根委員 現職員体制、現状を維持されたいという教育長会の要望が、直接横山教育長あてに来ていますね。それで、この要望についてなんですけれども、先ほど合理化は当然、十七名削減でも大丈夫なんだという話がありました。そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、本の購入は中央図書館で管理するとはいっても、児童書関係とか、多摩の資料とかは多摩でも購入するし、それから、日比谷も場合によってはあるかもしれません。そういう意味では、購入はそれぞれ実務はあるだろう。
 それから、接客サービスといいますか、対利用者サービスが中心の図書館ですから、どんなに削減するといっても限度があるし、IT化は既にかなりの程度されているというふうに、私、この間多摩図書館に行って伺っておりますので、削減の余地は余りないんじゃないかと思うんです。しかも、今度、中央図書館に一点だけというふうになった場合、本の移動を頻繁にやらなきゃならなくなると思うんですよね。それは回数をふやす計画なんかも立てなきゃならないでしょう。一体どこから人を出してくるのかなと思うんですが、同じ人が二回も三回も回ることにならざるを得ないのかなというふうに思うんですが、一体これで両立するんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館には前向きな職員がいっぱいおりますので、十分消化できるものと考えてございます。

○曽根委員 人間のやる気だけに期待するというところがすごいと思いますが、教育庁の考えはよくわかりました。
 それで、私、やっぱり非人間的なやり方だと思うんですよね。職員に対しても、それから、本という一つの文化財に対しても、非常に乱暴な扱いだと思います。
 その極端な矛盾が、日比谷図書館に結構あらわれているなと思って、現場へ行って驚いたんですけれども、日比谷図書館は今改装していて、間もなく完成するわけですよね。数億円かけて、かなり頑丈な建物に生まれ変わろうとしています。その中には、四十七万冊の蔵書のスペースがあって、現在二十七万冊ぐらい入っていて、そのうち十六万冊が多摩に行くわけですから、残りは十一万冊程度になるわけですね。したがって、三十五、六万冊のスペースができるわけです。
 したがって、例えばこれから毎年購入したとしても、今の金額でいえば数万冊程度ですから、十年近い余裕が今の予算の規模でいえばあって、今、図書館の本が都立図書館からあふれ出すというような状況ではないのは明らかだと思うんですが、なぜ日比谷のスペースが、そういう東京都の都立図書館の全体の本を守っていこうという計画の中に入ってこないんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 あり方検討委員会では、都立図書館全体で機能を分担し、書庫の管理も三館一体で計画的に実施しようというものでございます。したがって、日比谷図書館の児童資料を多摩に移転させることも、機能分担の一環としてこれを行うものでございまして、スペースがあるか否かという問題では必ずしもございません。
 また、日比谷図書館の書庫については、当面、耐震工事で減少した閲覧席の代替や、視聴覚資料の収蔵スペースとして利用しておるところでございまして、また今後は、中央図書館の書庫の補完として活用が予定されているところでございまして、必ずしも余裕があるということではございません。

○曽根委員 でも、これは現場へ行って実態を見れば一目瞭然なんですよ。私、日比谷図書館、周りの開架スペースの本は工事中なので移動していましたが、真ん中にある閉架書庫の部分は棚がそのまま残っていて、本も入っていました。入っている本は、すべて移動する十六万冊の児童書が入っていて、それも余裕がありますから、何しろ三十万冊分ぐらいの閉架書庫があるわけですから。半分ぐらいしかないので、棚はかなりあいているわけです。ここは今回の工事でいじってないので、今後そのまま使えるわけです。しかも、この十六万冊が多摩に移るとすれば、私たちはこれは反対ですけれども、移るとすれば、大量のスペースが少なくとも閉架書庫についてはあくわけですよ。雑誌を入れるといったって、現場へ行けば、スペースに余裕があることは、もう一目瞭然なんですよ。
 私は、こうして日比谷図書館に、今後の都立図書館の図書の蔵書を当てにしないということの背景に、去年の十一月八日に教育委員会で教育長がおっしゃったように、かねてから財務当局から、日比谷図書館は廃館に向けて検討せよといわれていて、そして、なかなか今後の都立図書館の構想の中に入れにくいんだ、そういうのが背景にあるというふうにはっきり発言されている。そういうことがやっぱり影響しているといわざるを得ないんですが、いかがですか。

○嶋津生涯学習部長 日比谷の図書館のあり方につきましては、今後、この都立三館のあり方を含めて検討していくということが予定されてございまして、当面は、改修工事をする中で、都民サービスの継続を図っていくということでございます。

○曽根委員 私は、日比谷図書館が現に耐震工事も間もなく完了して、そして、三十五、六万冊のスペースを抱えた図書館として立派に機能できる設備になるわけですから、ここを活用するならば、都立図書館の本を大量に処分し、東京都から手放してしまうという必要は全くないということを申し上げたいと思います。
 それから、一タイトル一冊というのを原則とするという考え方についてなんですが、先ほどそれについては、よく使われる本は複数持つということは、今回、検討会の中で入れましたという答弁がありました。
 そこで、つまり、あんまり利用されない、貸し出しがされなかった本というのは、やっぱり一冊にしてしまうわけですよね。一五%だけですけれども、ダブルで持っているものでも一冊にしてしまうわけですが、そういう方針で、本当に今まで借りられなかったものでも、ある日突然借り手があらわれるというようなことが、図書館では起こり得るんじゃないですか。いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 住民にとりましての図書サービスは、基本的には四百近い館数を持ちます区市町村の役割であるというように考えてございます。それをバックアップする機能として都立の図書館は存在し、そのために一冊の図書は持つという機能を全うするつもりでございます。

○曽根委員 これも二月三日の集会で私お聞きして、なるほどなと思ったんですが、まず、国会図書館のように閲覧しか認めていない図書館の場合は別として、都立図書館のように、図書館を通じてレファレンスがあって、貸し出しもやるという場合には、紛失という可能性を考えなきゃならない。それから、個人に貸し出しを認めている以上は、破損ということも避けられない。長い年月保存するためには、複数を持つということは、少なくとも現在持っている本については必要だという意見がありました。もっともだと思います。
 それから、私、先ほど聞いたのは、こういう例があったからなんですよね。これは都立図書館の中央館の職員の方に、偶然経験したこととしてお聞きしたんですが、最近、二年ほど前に、ある新聞に草川八重子さんという作家の「空飛ぶおばあさん」という作品が連載されたそうなんですよ。草川八重子さんという方は私も知らないんですけれども、その連載が非常に反響を呼んだらしいんですね。その本は、二〇〇〇年一月に本の泉社から出版されたそうです。これは三館とも所蔵されていますし、本屋さんでもまだあるかもしれません。
 ところが、その直後に、同じ作家の、恐らく処女作だと思うんですが、「海を抱く」という小説が、急に借り手がついたらしいんですよ。たまたまその職員が勤務していた時間に、他の図書館からレファレンスがあった。探してみたら、ない。調べてみると、館内でそのとき閲覧をしている人がいた。つまり、複数の人が同時期に、余りそれほど名前が知られていない作家の十年ぐらい前の作品ですが、一度も借りられたことのない本に、複数の借り主があらわれたということがあったそうなんですよ。
 こういうことというのは、私は今後も起き得るし、また、それが起きたときに希望にこたえるのが図書館だと思うんですよ。したがって、複数タイトルを持つというのは、たとえ今まで利用がなくても、少なくとも今持っている本については大事にすべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 必要のある資料につきましては、複数を設けるということを考えてございます。ただ、その一方で、極めて例外的なケースを想定して、すべてのものを持たなくてはならないという論理は、現実的ではないというぐあいに考えてございます。

○曽根委員 私は、もちろん都の財政状況もありますし、これからすべて二点ずつ買えといっているわけじゃないんです。しかし、これから買う冊数、二点買った方が私はいいと思いますよ。しかし、それはいろいろ判断があると思うんです。しかし、今複数以上持っている本をなぜ処分して、東京都が手放さなきゃならないのかということについては、先ほどいいましたように、十年分のスペースがまだあるわけですから、十分に検討の余地があるし、また、図書館が持っている役割からいっても、これは当然、先ほどわざわざ例示した事態もあるわけですから、こういうことをかんがみて、都立図書館は、やはり図書館らしい、そして、個人の貸し出しもする、大変利便性の高い、そして、市町村をバックアップするという、多くの機能を持った図書館として発展させるということが必要だと思います。
 その点で、今回のあり方検討会は、もちろん中にはいい部分もたくさんあるんですけれども、重要な根本的な部分で、やはり都立図書館のあり方として、私は問題がやっぱりあるといわざるを得ないと思うんです。その点での再検討を強く求めて、この請願については趣旨を酌むべきだということを申し上げて、終わります。

○執印委員 それでは、多少視点が違いますので、質問させていただきます。
 今後の都立図書館のあり方を検討する過程で、これまで市区町村図書館や、利用者である都民の意向調査をどのように行い、また、反映をさせてきたのかということを思わざるを得ません。説明では、検討過程において、都立図書館協議会や区市町村などの関係者に説明し、幅広く意見を聞いてきたといっておりますが、中間まとめまでの段階で、図書館協議会は検討内容について知らされておらず、幅広く意見を聞いてきたというのは疑問です。とりわけ多摩図書館については、一九八七年開館以来、協力貸し出し及びレファレンス支援を初め、市町村立図書館との緊密な連携を図ってきております。今回示された地域分担から機能分担へという根本的な図書館の再編問題について、素案の検討段階から、市町村立図書館の職員、利用者と協議することが必要だったのではないかと考えます。なぜ内部のみで検討してきたのでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 区市町村との連携協力は大変重要なものであるというぐあいに認識してございます。さはさりながら、議論をする素材として何もないところから議論はできません。中間のまとめをつくりましたのも、まさに区市町村の皆様方と議論する素材としてつくったという経緯がございまして、それ以後、数多くの検討の場と議論の場を設けてきたつもりでございます。

○執印委員 あり方検討委員会のメンバーが、すべて教育委員会の方、東京都の関係者の方というところを見ましたときに、こういうやり方では、私はやっぱり足りない時代にもうなっているというふうに思うわけです。本当に必要な事柄が反映されていないんじゃないかと思うんですが、その一つとして伺いますが、一部の関係者から伺いますと、都立図書館のあり方検討委員会の最終まとめが報告されるより先に、多摩図書館では既に、日比谷の児童書が移管されることになれば、廃棄されることになる十四万冊にも及ぶ収蔵図書データを削除するという作業が行われているというふうに聞いておりますが、事実でしょうか。事実とすれば、だれが何を根拠に行っているのでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 十四万冊の収蔵資料のデータの削除作業ということでございますけれども、これらを含めた今後の都立図書館のあり方につきましては、平成十三年の十一月の教育委員会で報告をいたし、了承されているところでございます。基本的に図書館の規則の権限は、教育委員会の責任の中で行われるものとなってございます経緯の中で判断したものでございます。
 そうはいっても、この再活用計画を含め、市や町村の皆様方に大変大きな影響を及ぼすということもございますものですから、それぞれの教育長会に今回の作業に入ることのご報告を申し上げ、その上で作業を進めてきたというものでございます。

○執印委員 都の教育委員会として説明したということと、相手が納得したということは別だというふうに私は思うんですが、その確認はどのようにされているんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 多摩の市の教育長会、それから、西多摩の町村の教育長会、それぞれにご説明を申し上げまして、この件については、これ以上申し上げることはないということをおっしゃっていただきました。

○執印委員 本当にその答えでいいんですか。そうであれば、各市から、または、ここにありますように、東京都の市長会から要望書が出されるということはないと思うんですね。ですから、強引に決めたことを決めたようにやるというその姿勢に問題があるというふうに思いますが、質問を続けます。
 これは質問もございましたけれども、私なりの質問をさせていただきますが、現在でも、地域の公立図書館で必要な図書を都立図書館から取り寄せますと、二週間ほど待たなければ手にすることができないというふうに聞いております。都立図書館で一タイトル一点しか資料収集、保存しないことになれば、サービスの低下は避けられないと思います。一千二百万都民のニーズにこたえることができないのは明らかです。世代を超えて受け継がれる知の財産の継承と、都民の文化、教養を高め、生涯学習環境を整えるべき都の責任について、お考えをお伺いいたします。

○嶋津生涯学習部長 広域的な自治体でございます東京都の図書館といたしましては、原則一タイトル一点を収集、保存することによって、同じものをダブって持つよりは、二冊違うものを持つという、そういう収集率の向上を図ることで、より多くの区市町村立図書館への支援機能を拡大でき、そして、そのことが都民に幅広い資料を提供することになる。そういう意味では、知の財産の継承と、都民の文化、教養を高めることは、むしろこちらの方がよろしいのではないかというように考えてございます。

○執印委員 実態と違う、都民が求めているものと違う、そういう判断をしていらっしゃるということだと思いますが、続けて質問いたしますが、ことし、国立国際子ども図書館が開館されることから、日比谷図書館の児童資料室を廃止して、多摩に児童・青少年資料を移管しても問題がないかのようにいわれておりますが、国立図書館の役割と都立図書館の役割との違いについて、特に都民サービス及び公立図書館との協力連携という視点をどのように考えているのでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 国立国際子ども図書館と都立の図書館との役割の違い等でございますが、ことしの五月に上野に全面開館いたします国立国際子ども図書館の役割といたしましては、一つに、全国の図書館や学校図書館の活動を支援して、児童書のナショナルセンターとしての役割を持つということがございます。もう一つは、子どもたちに読書の楽しさを伝え、図書館の世界に親しむきっかけが得られるようないろいろなサービスを実施する役割と、その二つを持つというぐあいに認識してございます。
 他方、私ども都立の図書館における児童資料のサービスといたしましては、広域的な行政の立場から、区市町村立図書館への協力・支援や、今回力を入れてまいりたいと考えています学校への支援、連携協力を、その役割として考えてまいりたいというように思ってございます。

○執印委員 ご説明の中では、国立の国際子ども図書館ができるのでカバーできるということだったんですけれども、今のご説明があるように、それぞれ国立の図書館の役割と都立の図書館の役割というのがあるわけですから、だから日比谷から児童図書をなくすということについては、非常に安易な考えだというふうにいわざるを得ないというふうに思います。
 それで、都立の図書館は、これまで都道府県の図書館と公立図書館との協力連携のあり方として、先導的な役割を発揮してきたというふうに思いますが、他の県立図書館等では、収蔵資料の保存方法に関してどのような工夫がされているんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 収蔵資料の保存につきましては、各自治体とも大変頭を悩ましておりまして、例えば、埼玉県の県立の図書館では、四館ございますけれども、それを歴史、社会科学、自然科学、文学などの図書館の分野によって、それぞれ収集、収蔵を分担しているのが実態でございます。それから、神奈川県につきましては、県内の公立図書館を対象としたデポジットライブラリー、共同保管庫とでも訳しましょうか、それについての検討も行われているところでございます。
 なお、千葉県も、埼玉県も、神奈川県も、収集につきましては、今後原則一点収集をしていくということと伺ってございます。

○執印委員 だから東京都もそれでいいという説明にはならないと私は思いますけれども、滋賀県では、平成四年に県立資料保存センターを完成させて、県内の市町村立図書館と連携して、計画的な資料収集・保存体制を整えているという、共同保管庫の事例があるそうでございます。区市町村図書館が数の上で整備されたといっても、各館ごとの蔵書内容が充実しているとはいいがたく、保存体制にも課題があるという点からも、都立図書館への期待度が高まっているというふうに考えております。
 それで、私、この審議を通しまして、ぜひ横山教育長にお伺いをしたいんですが、一三の二四四の一項、二項については、不採択の意向の会派はないのだろうというふうに思いますが、この間の、いろいろきょう審議してきたものも含めまして、計画の策定手法そのものが間違っているのではないかというふうに私には思えるわけなんですね。東京都の教育委員会の関係者だけが計画を考えていくということでは、いろいろ多様化した都民のニーズにこたえることはできないというふうに思うんですよ。
 今後のこととして、やはり大きな行政体ですから、やり方の工夫は必要だと思いますけれども、都民参加というものをきちっと進めた上で、さっき、たたき台として中間まとめを出したんだから、それでいいじゃないか、意見も聞いたんだから、ちゃんとやっているじゃないかという趣旨のご答弁がありましたけれども、それではもう足りない時代になっているんだというふうに思うんですが、こういう計画のつくり方そのものを見直すべきときに来ていると思いますが、教育長のお考えをお伺いしたいと思います。

○横山教育長 先ほど来、担当部長の方からるる説明しましたが、私としましては、この図書館のあり方については、かなり前からいろいろ問題提起がされ、議論されてきた経過がございます。私が承知している限りにおいても、各機関といろんな事前の話をしておりますし、先生がおっしゃるように、どこまで相手に話し、了解を得たら、それが都民参加の担保になるのかというのは非常に議論がございますが、私は、十分な議論がなされてきた、そういうふうに認識しております。

○執印委員 いろいろなところで申し上げておりますように、都立高校の改革も大学の改革もそうですけれども、行政の担当者が計画を出していって、反対があって初めて都民の存在に気づくというような行政手法が、まだまだとられているのではないかというふうに思います。私は市議会でも議員として活動させていただきましたが、率直にいわせていただきますと、ちょうど十二年ほど前に市議会に入ったときの行政の計画の立て方が、これと同じ。今は大きく変わってきているということを、ぜひ認識をしていただきたいというふうに思います。
 今回、合わせると五万五千人ほどの署名が出されたこの請願のほかに、各市議会からも意見書、東京都の市教育長会からも要望書が出されているということですけれども、それでも再編計画の見直しをする必要がないと考えているのは非常におかしいというふうに思います。計画の策定手法を見直すということを、私はぜひやっていく時期だというふうに思います。それは東京都の行政体全体が問われていることだというふうに、私は考えております。
 その上で、入札ですとか、契約ですとか、財政の見直しの方法というのは、別にまだまだ検討の余地があるというふうに私は思っておりますので、契約、入札については教育委員会ではやれないというふうに聞いておりますけれども、幾らでも見直しの方法はあるわけですから、教育委員会として、財政だけを理由にして知事部局に負けるのはおかしい。最後まで都民のために頑張るのが、私は教育長初め教育委員会の仕事だというふうに考えております。
 最後に、区市町村、そして本と図書館を愛する都民、利用者の意向を反映させ、都立図書館の機能再編計画の見直しをするように強く求めますし、重ねて、都の計画策定の手法を根本的に見直すことを強く求めておきます。
 終わります。

○野島委員 若干時間をください。重複を避けてというふうにいいたいんですが、私の能力で重複を避けるほどの能力がないものですから、お許しをいただきたいと思っております。
 ずっとお話を伺っていまして、これは請願と、先ほど聴取した報告をあわせて質疑だ、こういうことでございます。そこで、基本的に行政サービスをする側は、国における図書館行政、都道府県における図書館行政、市町村における図書館行政、この三つはわかるんです。受ける側からしますと、市民にとっても、イコール都民でありますけれども、それを余り意識してないんですよね。そういう意味では、それの理解を得ていくということは、私は大変重要なことだろうし、それがなければ進まないだろう、こう思っております。あわせて、今回の図書館行政の今後については、機能分担論だ、こういうことでございます。先ほどのNPOもそうでありますし、所管は違いますが、生文のきのうの消費生活も、市町村と都道府県のいわゆる機能分担論、こんなことで来ていると思うんですね。
 そこで、結果としてサービスが低下しますと、これはさっき申し上げたところからいきますと、それは市町村行政ですよ、あるいは、それは都道府県行政ですよといっても、受ける側は、余り関係ないんですよ。したがって、結果としてサービスが低下しますと、それはとんでもないということになるのは理の当然だろうと思うんですね。ただし、地方自治体がやることですから、当然、行政資源、人、物、金、こういったものの制約があるわけですから、私は、過去がどうであったのか、そして現状はどうなのか、将来どう展開していくのか、こういう中でサービスが低下しませんよということが明確になりませんと、なかなか理解が得られない、こんな前提で何点かお尋ねをしたいと思います。
 私は、直接市民に密着する、イコール都民でありますけれども、そういうサービスは基本的には市町村で行うのが一番望ましいし、それが地方分権の流れだろう、こんなふうに思っております。それで、先ほど説明を受けましたけれども、都立多摩図書館、これはその前の立川、八王子、青梅の三図書館を集約して、ここに多摩図書館というふうにやった、こういう話でございます。そもそも最初からそういうことで、機能分担論でやってきたのではないというふうに私は思うんですね。いわば多摩地区にこういう図書館をつくった背景が何であったのか、この辺をやっぱり見てとらえませんと、さっきいったように、イコールの行政サービスが、都であれ、市であれ、国であれ同じだということになりますから、そこをとらえる必要があるというふうに私は思っているんですよ。
 そこで、多摩地域における図書館の過去の経過、こんなところで把握できることがありましたら、教えていただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 戦後から申し上げたいというように思ってございますが、戦後、昭和二十年代から三十年のころについてでございますけれども、多摩地域の市町村立の図書館は三館だけでございました。武蔵野の町立の図書館、東村山町立の図書館、それから氷川町立の図書館、この三館だけでございました。そのために、都立の立川、青梅、八王子の三つの図書館が、多摩地域の図書館サービスを支える図書館として設置されたと伺っております。
 そして、その際、多摩地域に不足してございます移動図書館の配備や、地域読書会の育成、映画会などの多彩な活動を展開してきたというようにも伺ってございます。

○野島委員 三館しかなかった、そのためにという接続詞のご答弁でございます。いわば、本来的に図書館行政をやっていかなきゃいけないけれども、空白地帯といいましょうか、全くサービスのないところに、地域に対してサービスをしていかなきゃいけないという、こういう地域分担論というのかな、そんな形で私は出てきたなというふうに、そのためにという接続詞の中で理解をしているんですね。
 それで、これを立川に三館に集約した、都立の三館をつくって、その後、立川に集約したということは、すなわち、そのためにという接続詞の部分が、かなり量的に、あるいは質的な部分もあるでしょうけれども、充足してきたからこそ、そういう方向に変えたのかなと思っておりますが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 都立の多摩図書館を立川に集約をいたしました経緯は、昭和四十年代に入ってから、市町村立の図書館の整備が急速に進展してきた状況を背景にしてございます。市町村立図書館と都立の図書館の役割分担と、その相互関係を検討した結果、立川に集約したものというぐあいに聞いておりまして、なお、この当時の多摩地域における市町村立の図書館数は百四十二館にふえております。

○野島委員 さっき、町立三で、都立三で、六、それが百四十二、そして、先ほどの報告でも、現在三百九十一、こういうことで図書館行政が充実してきたということですよね。翻って、私どもの市においても、こういう経過なんですよ。多摩の各市は人口急増ですから、必要な社会教育としての図書館行政という重要性は理解しつつも、正直なところ、児童福祉とか義務教育とか、そういう部分であっぷあっぷでしたから、私ども、東久留米市ですけれども、社会教育部というのができたのが昭和五十八年ですよ。その前は教育委員会の中の図書館だったんですね。
 そういう意味では、時代の流れの中では確かに充実してきたというふうに思っておりますし、機会があれば私も調べてみたいと思うんですが、蔵書数ですとか貸出冊数というのを、例えば区立のどこかと比べて、多摩のどこかと比べて、僕は決して遜色ないというふうな資料を、三年ぐらい前にいただいたことがあるんですよ。だから今回大いにやってください、こういうことじゃないですよ。いわば、そういうふうな地域のサービス機能が、図書館のサービス機能がなかったところに都立図書館を持っていったという、そういう意味では先駆的な役割を果たしていたということは、私は現実だと思うんですね、市町村のバックアップをしながら。
 それで、ここにありますように、多摩の図書館の場合には、そういうふうな役割分担と、地域サービス機能というのかな、地域分担論ね。多摩については多摩図書館ありますよ、こういう中で来たと思うんですね。それで今回は、それを大きくシフトを変えて、機能分担論にするわけですね。
 そこで、最初申し上げましたようなサービスの部分であります。どんなふうな形で機能分担や連携を図っていくのか。今までいろいろお話もありました。大体概要は理解しておりますけれども、その辺、レファレンス機能がどうなるとか、図書の貸し出しを頼んだら一週間が二週間になっちゃうとか、そういう議論もいろいろあると思うんです。そういう部分はまた改めてやります。そういう基本的なところで、今まで地域支援としてやってきたことと機能分担論を、多摩図書館は持っていたわけですよ。今度、こっちがなくなるわけでしょう、機能分担論になるわけですから。その部分はどういうふうに高めていくのかということをお聞かせいただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 市町村立の図書館の機能につきましては、地域の情報拠点として住民のために資料を提供するなど、地域の実情に即したきめ細かな直接サービスを担うものであるというぐあいに考えてございます。
 他方で、都立の図書館の機能は、繰り返しになりますが、高度専門的なレファレンスなど、広域的、総合的な住民ニーズにこたえ得る図書サービスと、それから、図書館の図書館として区市町村立図書館に対して行う協力・支援であるというぐあいに認識してございます。

○野島委員 今回の見直しで、さっき申し上げましたように、いわば機能分担型として図書館行政、とりわけ多摩の図書館は動かしていきますよ、こういうことだろうと思うんですね。冒頭申し上げましたように、この歴史の中で、三多摩各市が図書館行政の量的な、質的な充実を図ってきたというのは、私は評価をしております。
 一方、質的なところになりますと、各市の図書館の方が悪いとかいいとかじゃないですよ、やっぱり歴史の重みというのがあると思うんですね。今回、機能分担型になりますよということになりますと、逆に、各市町村の図書館の意識も変えてもらわなきゃいけないわけですよね。今までと違うわけですから。
 したがって、それら今まで抽象的に、いや、レファレンス機能は充実させますよ、あるいは、バックアップ体制といったようなこともやっていきますよというふうに伺っておりますが、より具体的には、どういう組織があるのか、あるいは、どういう会議体があるのか存じておりませんけれども、仮にこれでやっていくとすれば、より密接、より強力に、こういう東京都のものを、当該市町村の図書館行政にかかわる人にいっていかなければ、今までと同じじゃないわけですから、変革をするわけでしょう。やっぱりその辺は強力に、なおかつ密接にやっていただきたいと思うんですよね。いわばそういう意味では、意識改革がやっぱり市町村側でも求められているだろう、こういうふうになると思うんですね。
 したがって、その具体化として、具現化として、どういうふうにこれからそういったふうなものに取り組んでいかれるのか、その辺ちょっとお聞かせください。

○嶋津生涯学習部長 区市町村立図書館との連携協力の仕組みをつくることは大変大切なことであるというぐあいに考えてございます。先般の市の、あるいは町村の教育長会との議論の中でも、市町村自体のお互いの協力体制を都と一緒になってつくっていこうではないか、そういうご意見もございまして、そんなことを踏まえながら、私どもとしては、今後、区市町村立図書館長協議会の活用なども含めた方法を前提としながら、公立図書館間相互の協力のネットワークづくりというものを重要な課題として検討してまいりたいというぐあいに考えてございます。

○野島委員 これで終わりにいたします。いささか自分の体験談みたいな話で恐縮なんですが、実は私どものところも、図書館というのはあったんですよ。大体四十平米程度のやつです。さっきいったように、人口急増ですから、そこに手が回らなかった。しかし、団地を中心に多くの方が移り住んだ。そういうときに、四十平米程度の図書館をずっとつくったわけですよね。とてもじゃないけれども、状況変化の中で、それでは対応できないということで、一中央館、三分館にいたしまして、相当蔵書数も整理しましたし、あるいは、小さい分館であっても人を張るわけですから、大変な人件費をぶつけた。トータルとして図書サービスを高めるために、そういうふうに切りかえたという経過があるんですね。それは市町村行政と都道府県行政とは違いますけれどもね。その結果、今、大変な利用率が上がっておるというのが実情なんです。
 したがいまして、機能分担論をやっていく中では、そういうことの東京都の持っている方向というのも明確に打ち出しをして理解をいただくことが必要だろうし、冒頭申し上げましたサービスの低下は来さないというのは、これは当たり前の話でございますから、それに向かっていろんな手法を用いて努力されることを要望して、終わります。

○和田委員 数点お伺いいたします。
 嶋津部長に、まずお答えをいただきたいんです。テストするわけじゃないので気を悪くしないでください。
 中央図書館と多摩図書館の入館制限年数がありますね。お答えください。

○嶋津生涯学習部長 入場者の年齢制限がございまして、中央図書館が十六歳以上、それから多摩の図書館が十三歳以上でございます。

○和田委員 日比谷図書館は児童用の図書があるのでこれは例外で、年齢制限ありません。ただ、昭和四十八年にできた中央図書館は、十六歳なんです。それから、昭和六十二年にできた多摩図書館は十三歳から入れるというふうになっております。私は三年前の文教委員のときに、こんな閉鎖的な図書館行政ってあるのか。少なくとも私どもの市区町村の図書館でしたら、それこそ乳飲み子とまではいかないけれども、閲覧に、あるいは読書に支障がない限り、おんぶしても入れますよということをいいました。そのときには、いや、図書館・オブ・ザ・図書館だか何だか知らぬけど、そういう言葉で都立図書館の地位を強調されて、当時の説明員の人は、私の素朴な年齢制限は都立図書館におかしいでしょうということに、そう答えられた。
 今回のこの検討委員会では、なくすということになりましたから、私の主張は三年ぶりに解決することになるんですけれども、しかし、今、私が最後になると思うんですが、議論を聞いていて、いまだに残滓として、都立図書館はほかの図書館と違うんだぞという、ちょっと高いところから議論をしているような気がしてならないんです。例えば、当然当たり前だと思って、十三歳、十六歳の年齢制限を承知の方が大部分だと思うんですけれども、都立というのは、極めて市民的、民主的に開かれた図書館だというふうな、まあ知らない方もいると思うんですけれども、そういう方がいるとなると、それほどまでに年齢が来なければ入れないかた苦しい図書館が--今もそうなんですよ、この四月の一日から変わるんだけれども、三月三十一日までは、十三歳以下、十六歳以下の人は入れないんですから、都立の図書館は。
 そういう制約の中で、皆さん、自由に、知的生産活動の現場である図書館に行って勉強してください、あるいは活動してくださいということを、一方では宣伝するわけですよ、行政の側は。しかし、行ってみたら年齢制限があるよというのが実態じゃないですか。それを今回は少なくとも取り外そうということで、少なくとも私は年齢制限については満足しているわけだけれども、しかし、まだひれひれの部分、その周辺部分については、依然として地域の図書館や市民というものとの距離があるなというのが今実感で、率直に、まず、他の委員、とりわけ私どもの民主党の福島議員などの問答を聞いていて、その感を強くしたので、まず所感を申し上げておきたいと思っております。
 さて、請願に返りたいと思うんですが、請願一三第二四四号と請願一三第二五六号のそれぞれの請願文案の要旨を見ますと、多摩図書館の資料(約十四万冊)の処分を平成十三年度中に実施するという決定を白紙撤回することというのが二四四号です。それから、二五六号は、多摩図書館の蔵書十四万冊を廃棄せず、現在行っている多摩地域の公立図書館へのサービスを低下させないこと、こうなっています。それぞれ日にちは昨年の十二月十四日と十二月十八日なんです。請願者は、それぞれ違うのです。町田市と板橋区で違うんですが、この時点で請願者は、廃棄あるいは処分という情報を得て、この請願を作成したと思うんですが、このような理解を、あるいは、このように解釈されるような情報を当局は流したというふうに自覚されておりますか。

○嶋津生涯学習部長 中間まとめの段階で、私どもは廃棄、再活用という表現を使いました。ただ、残念なことに、その廃棄ということだけを取り上げて、こういっては何ですが、一方的にマスコミ等で情報が流された。そのことによる混乱が今回の不幸を招いたことかなというぐあいに思ってございます。

○和田委員 これは大変な混乱というか、誤解のもとをまき散らしたことになります。それはマスコミにも問題があります。しかし、今しばしば委員から出てきている再活用とかという言葉とは、全く百八十度違う願意の文書が二枚も出てきているわけですよ、昨年の十二月の半ばの日付で。これが、聞いていておかしいなと。最終答申の中では、再活用とかいう言葉がしばしば出てきているのに、都民の受けとめ方は、廃棄だ、処分だ、そういうような受けとめ方になって、極めて乖離された状況で、きょうがあったわけですよ。
 したがって、都民の皆さん方は、なになに、三十数団体、二十二万冊というような数字を聞いて、何だ、残すんじゃないか、廃棄じゃない、処分じゃないじゃないかというような実感が、きょう初めて、この文書、そのあり方の最終答申を見ない限りはですよ、自覚をされた方も多かっただろうと思うし、そのことの混乱については、どのように思いますか。

○嶋津生涯学習部長 私どもといたしましては、重複した図書の再活用については、基本的な方針として考えてきてございました。たまたまそれが、繰り返しになりますけれども、一部の報道等によって流された誤った内容によりまして混乱が生じたことにつきまして、大変残念であったというぐあいに思ってございます。

○和田委員 残念だという言葉と同時に、そのことに不安を感じて、きょうの請願が二本上がってきたとは思いません。他にいろいろ図書館行政全体の不安もあるし、改革案もここに求められているからだと思うんです。ただ、二十二万冊、各自治体から要望があった。三十数団体の組織、自治体から要望があったということは、相当大きな、廃棄じゃなくて、処分じゃなくて、再活用なんだよというところのリアクションが数字にあらわれてきたと思うんですよ。そうなってくると、今日までにもう一回、廃棄処分じゃなくて再活用なんですよという情報を流すタイミングはなかったんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 中間のまとめを出しまして以降、教育長会を中心に、幾つかの議論の場所を設けてまいりました。その場所を初めといたしまして、すべての場で、今回のこの図書につきましては廃棄することなく再活用であるということを、私どもとしてはいい続けてきたつもりでございます。

○和田委員 その努力も、情報管理の問題から、結果としてこのような一部誤解、それから、一部は全く怒りになるのかもしれませんけれども、もっと早く何らかの伝達方法で我々に知らせてくれればという方が多かっただろうと思うし、今でも多いと思うんです。そのことに、私、厳しく批判をしておきますけれども、これ以上は詰めませんが、大きな混乱がここにあったということだけは指摘をしておきます。
 さて、具体的に今回のあり方についての中身に入っていきたいと思うんですが、関係団体からいろんなご要望を聞かれたということです。例えば、私、今、手元に、日野市議会からの意見書も持っておりますし、それから、社団法人の日本書籍出版協会からまとめられたものもあります。それらをそれぞれ集めた結果、当局とすると、要望の中身はもう結構ですから、それらを凝縮して、どういう対策というか、どういう答え、レスポンスを考えているのか、考えようとしているのか、お伺いいたしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 要望の出されました主な項目に対する私どもの対応でございますけれども、まず、大きく要望として出されました、都立図書館として専門図書、豪華本などを幅広く収集、提供することといった内容につきましては、原則として一タイトル一点を収集、保存とする、そういうスタンダードを設けるとともに、収集率の向上を図ってまいることにいたしたいというように思ってございます。これによって、約一〇%の収集率のアップが見込まれるものと考えてございます。
 それから、区市町村立図書館への各種の協力・支援事業の充実を図ることという要望につきましては、区市町村が都立の図書館に求める協力・支援のニーズを把握する仕組みをつくるとともに、区市町村間の新しい相互協力のネットワークづくりを提案し、その形成に協力をしてまいりたいというぐあいに考えてございます。
 それから、中央図書館と多摩図書館との間の資料の移動方法を俊敏にすることという内容がございます。このことにつきましては、両館の搬送車の増便を図って、円滑な資料の協力貸し出しに努めてまいりたいと考えてございます。

○和田委員 さて、そこで、今、二番目に、要望を濃縮して、当局の方が改革をしたいということがあります。それは、市区町村立の図書館への各種の協力・支援事業の充実を図るということと、相互協力ネットワークということでありました。私は、今、我々に配られたあり方検討委員会の最終報告の資料の〔3〕を見ますと、都立図書館のあるべき姿(概念図)というのがここにあります。ページ数は、ちょっと書いてありません。資料〔3〕ですね。そこに都立図書館というのが真ん中にありまして、その上に区市町村立図書館(地域情報拠点)となっているんです。ここは、奇態なことといっていいのかどうかわかりませんが、都立図書館から一方的に矢印が区市町村立図書館の方に向かっているんです。今、しきりに問題となって議論になってきている、都立図書館各館に一冊しか置かないよという原則を、しきりに嶋津さんはおっしゃっていましたね。それは当然一冊しかなければ、一冊借りたら、もうゼロになっちゃうわけだから、もうお手上げになってしまうわけです。
 ところが、ここの概念図を、これ一方的に東京都が、おれたちは協力するんだから、市立図書館の皆さん、資料要求してくれば貸しますよというだけならば、これでいいでしょう。だけど、手持ちになくて、そのときどうするんだという委員の皆さん方のご指摘もあったときに、ここの矢印を相互にするわけよ。例えば、都立図書館が、区市立図書館が余っている、例えば、ハリー・ポッターの本でも何でもいいです。それを我々も借りたい、ネットワークを張りましょうというふうにすれば、何も都立図書館から区立図書館の方に一方的な矢印じゃなくて、都立図書館に要請があって、ない本については、どこかの区市立図書館さんが貸してくれない、困っているんだよと情報を出せばいいじゃないですか。何でここのところの矢印が双方にならないんですか。

○嶋津生涯学習部長 区市町村の図書館と都立の図書館が相互に連携を取り合ってサポートし合うという側面は、これから当然に持っていかなくちゃいけない内容であるというように思ってございます。それに加えまして、市町村の間での壁を取っ払って協力し合うということも非常に大事なことであるというように考えてございます。
 これも、先ほど申し上げましたように、市の教育長会、あるいは町村の教育長会の中でも、積極的にそういう方向でやっていこうじゃないか、そういう声もございました。その内容は、この報告書の中にもございますように、私どもの基本的な方向であるというぐあいに認識してございます。
 そういう中で、今、委員ご指摘の、この矢印を見ますと、やっぱり片っ方が抜けているなというぐあいに思ってございまして、今度これを増刷するときには、両方の矢印がしっかり入るように工夫をいたします。

○和田委員 増刷という表面的な問題じゃなくて、もちろん今、嶋津さん、そういうふうにおっしゃったと思うんだけれども、ないときには借り--もうお互いに上下関係じゃないんだ。さっき僕が申し上げた、十六歳、十三歳のそういう制限じゃなくて、足りないところはどんどん補完し合うという、そういう横の列の都や区や市町村立図書館にしていかなければならない。そういう意味では、ここは今表現上だけじゃなくて、内実を込めて、足りない本は双方でお互いに補完し合うというふうに、きちっと中身も含め、表現上もここに書いてください。いいですね、それは。

○嶋津生涯学習部長 基本的に最も大事なこれからの都市間行政の仕組みだというぐあいに考えてございますので、そのような方向で対応させていただきます。

○和田委員 そうすれば、一冊なくて困ったらどうするという議論も、あるところ解消されてくるし、皆さんのわかりもよくなるというふうに私は思うんです。
 さて、その次の、中央図書館と多摩図書館の間の資料の移動方法の問題です。今は、先ほどのどなたかの質問で、週二回とおっしゃっていましたよね。移動というのは、いわゆる本を、中央図書館、多摩図書館というのは、週二回のことでおやりになっているというんですが、これはこの際、やはりその回数をふやして、できるだけその便宜を図っていくべきだろう。別に宅急便を使えとはいいません。しかし、今までの週二回、このIT化を一方でうたい上げているこの検討委員会の報告書の中で、いまだに一週間に二回しか交換便がないというか、運搬車が動かないというのではなくて、この回数は、例えば三度とか四度とか、具体的に増発していくという、現状を改革するという方向が、お答えできますか。

○嶋津生涯学習部長 サービス水準を落とさないということは基本的な責務でございますので、増便を考えまして、週四便は確保してまいりたいというぐあいに工夫をしてまいります。

○和田委員 要するに、そのように一つ一つ目に見える形で、確認できる形で、新しい体制で変わっていくんだよというのであれば、利用者も、あるいは関係者も、なるほどな、変わるんだな、不安がなくなるんだなというふうになると思うんですよ。だから、私どもは別に誘導しているわけじゃないんだけれども、そういうふうにこたえてくれば、一つ一つ、薄紙がはがれるようなという言葉がありますけれども、当局に対する理解がいくような形になるだろうと思っています。
 もう一つ、中身についてお話ししたいんですが、これは図書館行政全体のことです。私ども都議会民主党は、一月二十七日から二月の五日まで、都議会の海外派遣団の命を受けて、三名で、ロンドンに、狂牛病、あるいは税制の問題、あるいはナショナルトラスト等の視察に行きました。そのときに、ブリティッシュ・ライブラリー、いわゆる大英図書館も見てまいりました。図書館行政の一環であります。あそこは、ご承知の方も多いと思いますが、一千万冊の本が回廊にぴしっと入っておりまして、カール・マルクスが使った机などにもさわらせてもらってまいりましたけれども、静かに皆さんが図書と親しんでおられて、こういう図書館もあるのだなあというふうに、私は感慨にふけってきたところなんです。
 私ども、つたない翻訳をしたり、本を書く立場でありますから、好んで図書館を利用して、そんな作業をさせてもらうわけでありますけれども、そういう図書館を愛する立場からしても、子どものうちから、やっぱり司書とのつき合い方、図書館とのつき合い方、それを学校教育の中から入れていくべきだというふうに思っています。
 そこで、今回のこの検討会の最終的な報告の中に、学校教育の中で実際に子どもたちが図書に親しむルール、レファレンスの中身、あるいは、わからないことをどのようなツールを使って、自分の疑問解明にまで到達するのか、そういう仕組みを、都立図書館や市町村立図書館を使って学校教育の中にも導入しながら、図書館と日常の中で接点をつくっていく必要が求められていると思うんです。
 つい最近出された、「まちの図書館で調べる」という本などを見ると、よくその細かな手づるが書いてありますけれども、こういう庶民的なものを読むと同時に、実際学校現場や図書館現場の中でも、図書館とのつき合い方、いわゆる司書さんとのつき合い方等についても、教育や学習する機会を図書館行政の中で求めていくべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 私ども、日本の将来を考えまするときに、子どもたちの読書離れを初めとして、大変憂慮すべき課題が多うございます。そういう中で、今回、図書館を媒介にした子どもの読書への戻りというか、読書離れの克服というか、それは大きな課題であるというぐあいに考えてございます。
 したがって、今回、入館の年齢制限を撤廃したことも含め、あるいは、週五日制への移行も含め、子どもたちにとりまして、調べ学習といったものも大変重要になってございます。そういった場所として図書館が大いに活用されるような仕組みをつくってまいりたいと考えてございます。

○和田委員 平成九年に学校図書館法が改正されて、もう間もなく、十五年から、十一クラス以上の学校には司書配当が義務づけられるんですね。もう来年からなんですね。そんな学校教育の状況もあるし、都立図書館の改革という、こういう機運の盛り上がったときに、東京都の学校教育と図書館行政がきちっとかみ合うという絶好の機会だと思うんで、この司書さんの学校教育とのリンクは、ぜひ図書館側の方からも進んで手を差し伸べるし、都立の高等学校や市区町村立の中小当局にも、こちらから優しく呼びかけていくような、そういう方針をぜひ立てていただきたいということを、これは要望にしておきます。
 さて、今まで問題になってきた再活用図書の配分などです。これについて嶋津さんは、しばしば今まで、基本方針を立ててからと、こうおっしゃる。基本方針とは何なんですか。くどくて済みません。もう一回、きちっと説明してください。

○嶋津生涯学習部長 再活用に当たりましての基本方針でございますけれども、私どもといたしましては、区市町村立図書館及び都の機関を対象とすることを基本といたしまして、しかし、特に多摩地域、島しょ地域、人口一人当たりの蔵書の数が少ない区市町村立図書館を優先することを基本方針としてございます。
 ただ、その上で、行政の郷土資料など、その地域に関連の深い図書館がございますれば、そこを優先することもございますし、あるいは、本のサイドで、すなわち、全集本であるとか、あるいはシリーズ本であるとか、そういったものの内容につきましては、これらを散逸することがないよう、一括的に受け入れられることが期待できる場合には、それを優先するなどの再活用計画を考えてまいりたいというぐあいに思ってございます。

○和田委員 もとより、全集本、夏目漱石でも森鴎外でもありますけれども、それをぶつ切りにして、Aという自治体、Bという学校に送るということはないと思うんですが、しかし、要望が強ければ、そういうふうに、おこたえするために分断することもあるのかなと思いますから、今私どもに述べられた原則をしっかり確認をしてほしい。そういうことも地域に知らせてほしいんですが、さきに申し上げた、中間のまとめのときに誤報として伝わってしまった、処分廃棄じゃない、再活用だよといったにもかかわらず、実際はそうなんだけれども、廃棄処分でずっとびまんしてしまって大混乱になってしまったという教訓を生かすとするならば、じゃ、この基本方針の明示、各団体や関係者の方に、いつごろ、その基本方針を、しっかり、誤解のないように提示できるプログラムがおありなんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 図書の再活用の計画につきましては、現在、先ほど申し上げましたような内容で議論をしているところでございます。それにつきましては、なるべく早いうちに各区市町村と関係者に通知をいたしたいというぐあいに考えてございまして、それもでき得れば今月の末、二月の末に通知をいたしたいというぐあいに思ってございます。

○和田委員 それぞれ数字、係数が上がって、基本方針の通知、通達は二月の末ごろをめどだというふうになりました。これが誤解じゃなくてきちっと伝わる。それから、多摩、中央図書館の搬送車も、週二回だったのを四回にする。こういう具体的な改善方が確認されることによって、随分と東京都の図書館行政の改革と当局がおっしゃっているものについての、賛成反対は別だけれども、理解が深まったことは間違いない。そういう作業をぜひ続けていただきたいと思うんです。
 最後に、冒頭に事例を引いて恐縮だったんですが、中央図書館と多摩図書館の年齢差、それがまた、あたかも都立図書館の方が市区町村図書館よりも優位であって、おまえたち来る者は十三歳にならなければだめ、十六歳にならなければだめというように排他的に見えるような、そういう残滓が少しでもまだ皆様方の髪の毛一本にでもあったとすると、都民の図書館行政に対する期待は裏切られ続けることになると思うので、ぜひともきょうを境に、しっかり都民を愛し、都民の前で図書館行政の将来を語れるような、そういう雰囲気を、嶋津部長を含めて皆さんに持っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、本件及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 請願一三第二四四号及び請願一三第二五六号は、いずれも保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二四四号及び請願一三第二五六号は、いずれも保留と決定いたします。
 速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記を始めてください。
 それでは、五分間ぐらい休憩いたします。
午後八時三十五分休憩

午後八時四十一分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 次に、請願一三第二四九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○千葉局務担当部長 一三第二四九号、都立夢の島総合体育館屋内プールでの生涯水泳活動の継続に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、都立夢の島プールで生涯水泳をめざす会代表、永井幸裕さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都立夢の島総合体育館屋内プールにおける自主クラブの活動について、1、ユース・プラザ移行に当たっても、これまでのクラブ活動の継続ができるように配慮することでございます。
 東京都教育委員会は、PFI方式による区部ユース・プラザの建設、運営及び維持管理等を行うに当たり、民間事業者に対し、ユース・プラザをだれにでも開かれた親しみやすい施設とし、自主的に活動する団体、サークルや学校等の教育機関はもとより、個人、家族等あらゆるものが利用できる施設とするよう業務要求水準書で定めております。
 したがいまして、現在の夢の島体育館の屋内プールを利用していただいている方々は、ユース・プラザ移行後も継続して使用することが可能であると考えております。
 2が、申し込み優先順位について配慮することでございます。
 区部ユース・プラザの利用申し込みにつきましては、休日等について青少年団体に対する一定の配慮はございますが、原則としてあらゆる団体を公平に受け付けることとしております。なお、プール利用につきましては、主な利用者が個人であるため、青少年団体を含め、特定の団体について特に優先はしないこととしております。
 3は、利用料金は現状を維持することでございます。
 区部ユース・プラザの施設利用料金につきましては、施設の公共性及び市場動向とのバランスに十分配慮するとともに、現行の施設及び類似施設の状況等を総合的に勘案し、より適切と思われる料金を民間事業者が設定することとしております。
 以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野上委員 私、夢の島のプールをちょっと見学に行ってまいりました。大変に広い場所で、割とゆったりと水泳活動を行っている様子を見学をしてまいりましたけれども、この夢の島の屋内プールの利用状況はどうなんでしょうか。年間じゃなくても、わかる範囲で結構なんですけれども、利用状況について……。

○千葉局務担当部長 夢の島体育館のプールの利用状況でございますが、プールの利用者は、平成十二年度で年間八万八千七百八十四人でございます。このうち団体に対します貸し切り利用に対応する人数は一万六百七十九人でございます。また、この団体貸し出しに関しまして、二十五メートルプールの稼働率、二八・三%という状況でございます。

○野上委員 この夢の島のプールの近隣のスポーツ施設、特に、泳げるところは近くにはないんでしょうか。

○千葉局務担当部長 夢の島近隣にありますプールが利用できる場所でございますけれども、近隣に都立辰巳水泳場がございます。それから、江東区ということでは、幾つかのスポーツ会館等がありまして、それぞれ利用ができ得る状況になってございます。

○野上委員 このPFI方式によるユース・プラザで、だれにでも開かれた親しみやすい施設として引き継いでいくことになるわけなんですけれども、このユース・プラザが行う経営の実態、その性格とか、そういったものを簡単にお示しいただければと思います。

○千葉局務担当部長 区部にできますユース・プラザにつきましては、スポーツを中心としたプラザにしてまいりたいというふうに考えておりまして、そこで果たされます機能は、宿泊機能、スポーツ施設の活動ができ得る、そしてまた、新たに文化・学習施設をつけ加える、そういった活動ができる施設として計画してございます。

○野上委員 特にこのユース・プラザは青少年の育成を目的としているという趣旨もあると思うんですけれども、この請願に出ていらっしゃいます自主クラブ、たくさん書いてありますね。あめんぼ水泳クラブとか、スイスイスイミングクラブ、さざなみクラブとか、二十五年にわたってずっとここで活動をしてこられたグループなんですけれども、こういったグループが引き続き今までと同じような活動をしていくことは可能なんでしょうか。

○千葉局務担当部長 ユース・プラザは、青少年の自立と社会性の発達を支援するとともに、広く都民に文化・スポーツ活動の機会と場を提供することを目的としております。したがいまして、利用者としては、青少年のほか幼児から高齢者まで、幅広い年齢の都民を想定してございます。このため、施設の利用受け付けについては、青少年団体と一般団体を原則として同時期とするよう、整備要求水準書において定めております。
 したがいまして、これまで夢の島体育館で活動してきた団体が引き続き活動を続けていかれるよう配慮をしているところでございます。

○野上委員 じゃ、そのことを銘記していただいて、私の質問を終わります。今後ともよろしくお願いいたします。

○曽根委員 簡潔に質問します。
 まず第一に、この夢の島体育館の屋内プールは四半世紀にわたって運営されてきたもので、その隣にPFI方式によるユース・プラザができることによって一体運営となる。そうすると、さまざまな条件が変わってくる。料金の問題は先ほど説明がありました。
 もう一つ、申し込みの受け付け時期なんですけれども、プールについては、たしかお聞きしたときは、半年前から受け付けじゃないかと思うんですが、ユース・プラザと一体となることによって、PFIのホテルの--ユース・プラザの宿泊受け付けと同じ時期になるのか。そして、それはいつぐらい前から受け付けというふうになるのか、その点をお聞きします。

○千葉局務担当部長 ご指摘のように、PFI方式というのは、民間事業者に主体的に我々が要求する業務要求水準に従って案を提出してもらおう、こういうことでございます。したがいまして、区部ユース・プラザの施設の利用受け付けの手順については、東京都が業務要求水準書に定めた条件、例えば、団体は原則としては同時期に受け付けることであるとか、そういったことを満たした上で民間事業者が設定することとしてございます。

○曽根委員 そうすると、それは、現在のプールの申し込み時期は半年前ぐらいなんですが、何カ月前というようなことは、都の側からは、いわば縛りをかけていないということでしょうか。

○千葉局務担当部長 東京都の側といたしましては、業務要求水準を基本的に満たすべきことは、今申し上げたとおりでございますけれども、それを徹底するのに当たって必要な参考データとして、現状の夢の島体育館の利用受け付け時期、そういったものについてはつまびらかにしてございます。それを参考にして定めるように、このような指定の仕方でございます。

○曽根委員 そうすると、参考にはするけれども、徹底的に縛るということはできないということになりますよね、PFI方式の原則からいえば。そうすると、利用料金についても、最終的にはユース・プラザの事業者が決める。プールについてもそうなる。申し込み時期についても、何カ月前から申し込みできるのかについては、ユース・プラザと一体になるでしょうから、これもまだ変動する可能性がある。
 そうすると、この自主クラブの方々からのお話を伺うと、単純に夢の島体育館だけを使っているのであればまだしも、近くの辰巳プールなんかも使ってうまく組み合わせてやらなければ団体の活動を維持できない。辰巳プールは、今後も都立でやっていくとすれば、申し込みの時期が異なっていくということは、この夢の島体育館の活用について不安が出るというのは当然だと思うんです。もともとはスイミングクラブの方々が、このユース・プラザをつくることについて物をいうチャンスは余りなかったと思うので、いつの間にかユース・プラザにいわば体育館も巻き込まれてしまったというふうな思いで受けとめられても仕方ないと思うんですね。
 そういう点では、今ある活動が維持できるために、東京都側では最大限の配慮をするやはり責任があるだろうと思います。この点を、まず申し上げておきます。
 それから、青少年団体と、スイミングクラブも含めた一般の団体、これは基本的にどちらが優先ということではなくて、原則同格ということは先ほどご答弁がありましたが、そういうことで、この方々の心配している点については、同格ということのお答えでよろしいですね。

○千葉局務担当部長 基本的にはそのように考えていただいて結構だと思います。ただ、休日等につきましては、プール利用を除きまして、青少年団体は一般団体よりも一定期間優先して受け付けるといったことを業務要求水準書で指定してございます。

○曽根委員 今のご答弁の中で、休日のプール利用を除くその他の利用についての青少年団体への一定の優先があるということだったので、プールを利用している団体については基本的には同格であり、土日についても影響はないというふうに考えて受けとめさせていただきたいと思います。
 だとするならば、今後の利用で、団体がこの夢の島体育館を、今までどおりに引き続き活動していけるようにするために、申し込み時期等も、周りの体育施設を考慮した時期になるように、いわば同じ時期に申し込みができるように、やっぱり東京都の側から事業者に対して強く働きかけをしていただきたいというふうに思うんですが、この点について、今後の事業者との関係での東京都の姿勢についてお聞きします。

○千葉局務担当部長 基本的に、より多くの都民の方に、そしてまた、今使われている方に、さらによりよく使っていただきたい、そういうことでございますので、さまざまな形での現状を示し、配慮をお願いするというふうに考えております。それらをもとに、より民間事業者のノウハウを活用して、いい形での設定をされることを期待しております。

○曽根委員 最後に、プールの利用については、現在もある程度コース分けをして、個人の利用する部分と団体が利用する部分とで区別して使っているようなことをお聞きしているので、こういうやり方は今後も大いに活用すれば、個人も利用できるし、団体も同時に並行して利用するということが、よほど利用者が爆発的にふえない限りは十分やっていけるというふうに思いますので、その点もぜひ考慮して、今使っている人たちが、間違っても締め出されたり、使いにくくなったりすることがないように強く要望して、終わります。
 以上です。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件のうち第一項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二四九号中第一項は趣旨採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、請願一三第二五一号を議題といたします。
 なお、本件は、生活文化局の所管事項とも関連がありますので、本日は、生活文化局の中島都民協働部長及び島田心の東京革命推進担当参事にご出席をいただいております。ご了承をお願いいたします。
 理事者の説明を求めます。

○嶋津生涯学習部長 一三第二五一号、「モラル都市宣言」の採択に関する請願についてご説明申し上げます。
 請願一三第二五一号は、日本を考えるMC東京会会長、児玉久寿さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、地域住民が家庭、学校、地域社会のそれぞれの場で教育の再建と青少年の健全育成に取り組むため、モラル都市宣言を都議会の総意として採択することでございます。
 東京都では、心の東京革命行動プランを策定し、心の東京ルール、七つの呼びかけを設けるなど、都民と一体となった社会的な運動を展開しております。その推進母体として、都民や団体から成る心の東京革命推進協議会を組織し、子どもたちに正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくみ、社会の基本的ルールを育てていく全都的な取り組みを行っているところでございます。
 私ども教育委員会でも、「心の東京革命」教育推進プランを策定し、心の東京革命の趣旨を浸透させるため、トライ&チャレンジキャンペーン、とうきょう親子ふれあいキャンペーンを実施するなど、さまざまな事業を展開しているところでございます。
 今後とも、家庭、学校、地域との連携を一層図り、親や大人への働きかけに努め、心の東京革命を引き続き積極的に進めてまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言をお願いいたします。

○服部委員 この請願は、地域の住民が、家庭、学校、地域社会、それぞれの場において教育の再建と青少年の健全育成に取り組むために、モデル都市宣言、これを都議会の総意として採択していただきたい、こういう趣旨でございます。教育の現状を憂えて、また日本の将来を考えて、やむにやまれぬお気持ちで今回の要望となった、このように私は理解をしております。
 なお、これに反対のご意見もあるようでございますので、私は賛成の意見をこれから述べさせていただきます。
 これは昨年の十二月ですが、生活文化局が実施された、首都圏と東京に関する世論調査、社会のルールとマナーに関する意識調査、これが行われました。これを拝見いたしますと、社会のルールとマナーが守れないのは、十代の後半女性が八一%、十代の後半男性が七八%。十代の後半が圧倒的に高いんですね。もちろんこれは複数回答なんですが、こういった現状があります。
 そして、さらに、社会のルールあるいはマナーを守れない子どもたちがふえた原因、これを尋ねましたところ、これも複数回答ですが、何と第一位が、正しい社会ルールやマナーが身についていない大人がふえているから、これが七九%。第二位が、悪い行為をしたときに子どもをしかれる親が減っているから、これが七八%。第三位が、しつけを学校だけに任せる親がふえているから、これが六〇%。このような状況で、こうした地域社会のモラルが喪失された、これは私はゆゆしき状況である、このようにいわざるを得ません。
 こういいますと、すぐまた学校が悪いとか、社会が悪いとか、国が悪い、そんな話になるんですが、そうではなくて、私はやはりこういった問題は第一義的には、まず家庭ですよね。母親であり、父親である、私はそう思いますが、この点を踏まえて、心の東京革命でも、時代を担う次の子どもたちに対して、親と地域の大人が責任を持って、正義感、あるいは倫理観、あるいは思いやりの心をはぐくんで、これを次代に引き継いでいく、そういう取り組みを心の東京革命はこれからもしていく、そのようにいっています。
 実は、これは先月の中旬ですか、文教委員会で、区立の忍岡中学校を私どもは視察をさせていただきました。これは一月の、冬の寒い時期に、五日間ですけれども、朝七時から八時までの一時間、子どもたちが、生徒が、柔道あるいは剣道、またはできない方はジョギング、そういったことを五日間にわたって、この四十年間ずうっとやってこられた。四十年ですよ。一年、二年じゃない。それで我々も視察をして、大変感動を受けました。
 これはやはり学校だけではできません。子どもたちと学校と、そして地域社会、あるいは地域のいろんなボランティアが一緒に協力をして、そして、この耐寒訓練をずっと続けてこられた。まさに地域社会と一体となった、連携となった、そういったいいお手本でもある、私はそのような気がいたしました。
 今回のこの請願は、教育の再建、そしてまた青少年の健全な育成、こういったものを願うものでありまして、教育の再建というのは、今申し上げたように、ひとり学校現場だけではなくて、地域社会、そして家庭や学校が相互に密接な連携をとって、地域住民挙げて教育の再建に努力する以外に道はないんだ、そのように請願にも書いてあります。私はそのためにも、ぜひ地域社会のモラルを再建することが重要である、そのように思いますから、ぜひこの請願の趣旨を採択願いたい、そのように意見を簡潔に申し上げさせていただきました。

○曽根委員 今の服部副委員長のお話も、私も共感するところがたくさんあります。子どもたちの市民道徳を育てることは、学校においてはもちろんのこと家庭や地域において必要ですし、私たちも努力がまだまだ足りないというふうに思っております。
 この陳情者の理由書の中にあります、青少年による凶悪犯罪が続発したり、いじめや不登校の問題などが次々と深刻になっている。このことの解決が急がれていることももちろん、そのとおりだと思うんですが、しかし、その原因や解決の道というのは単純ではないことも、我々痛感しているところです。都市宣言をするということについては、私は一定の条件のもとで行われるべきであろうというふうに思います。それは、例えば私たちが求めている平和、非核の都市宣言のように、既に都民の大きな運動があり、都民の平和の日の行事があり、また、そこでのアピールも出されている、それを踏まえた形での総意というのはできるだろうと思うんですが、モラル都市宣言については、いわばそういった意味での、今どうしても都市宣言を上げなければならないのかというと、むしろ個々に解決すべき問題がそれぞれの分野であるだろうというふうに考えます。
 したがって、問題の解決はもちろん我々も頑張りますが、ここで議会の総意として都市宣言を上げるという必要までは私は感じていないので、そういう意味では、都市宣言についての賛成はしかねるという態度を申し上げたいと思います。

○東委員長 ほかに発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 それでは、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○東委員長 起立多数と認めます。よって、請願一三第二五一号は趣旨採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、請願一三第二五二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○桜井体育部長 一三第二五二号、都立夜間定時制高校の教育の振興に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、新宿区、東京都区職員労働組合都立学校支部支部長、菊間孝之さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、東京都教育委員会の施策を平成十四年度から次のように改めていただきたいとのことであります。
 1、高等学校定時制夜間課程の給食を自校調理方式からグループ方式への変更及び予約申込制の導入を中止し、現行方式を維持すること。
 2、全日制定時制併置高等学校の用務職員の定数削減を撤回し、民間委託の補助業務を中止すること。
 3、勤労青少年の学びの場であるとともに、不登校など困難を抱えた子どもたちの教育の場である定時制高等学校に対する施策及び予算の充実を図ることでございます。
 現在の状況でございますが、1の高等学校定時制夜間課程の給食につきましては、これまで自校方式により行ってまいりました。しかし、給食調理数が小規模化し、非効率となったため、改善する必要がございます。
 そこで、平成十三年度から、隣接する複数の学校をグループ化し、調理校で調理し、受配校に配送するグループ方式を導入し、実施しております。
 また、喫食の申し込み及び複数の献立からの選択のため、予約選択制、いわゆる予約申込制を導入しております。
 平成十四年度実施に当たりましては、該当校への説明会や、十三年度実施校の見学会等を行いまして、新システム導入の準備を進めているところでございます。今後とも、各学校の要望を聞きながら、きめ細かに対応してまいります。
 次に、2の高等学校の用務職員についてでございますが、用務職員は、学校の環境の整備その他の用務に従事するものでありますが、その職務内容は、民間活力の導入が可能であると考えております。このため、職員総定数抑制の観点から用務職員の業務について見直しを行い、都立高等学校において一部業務委託を導入したところでございます。今後とも、民間活力の導入により、学校教育環境の整備に努めてまいります。
 次に、3の定時制高等学校に対する施策及び予算の充実についてでございますが、現在、定時制高等学校には、生徒の学習歴や学力の多様化、生徒数の減少等の課題があることから、都立高校改革推進計画に基づき、必要な改革を実施し、その改善、充実に努めてまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 簡潔に一点だけお聞きしたいんですが、自校調理方式からグループ方式に変えた。この点については、我が会派からも、かつて質問をしておりますので、改めて、先ほど、調理室が小規模になったというようなお話がありましたが、むしろ、今、全体として定時制の学校は減っておりますし、学校間の距離もだんだんだんだん遠くなっている。しかも、学校での生徒数も減っている傾向にあると思うので、調理室が手狭になるということはちょっと考えにくいように思うんですね。
 そういう点からいっても、私は自校方式を続けていることと、配送して、何校かを回ることとの手間を考えると、そんなに経費の節減にもならないし、かつまた、何といいますか、つくっている学校の生徒と、配られる遠くの学校の生徒の、この格差はどうにも埋めようがない。定時制の生徒は、大体いろんな形で差別を受けてきたり、惨めな思いをしてきたりしている子が多いので、その中でもまた、温かい給食と冷たい給食という格差がつくというのは、どうにもやり切れない思いが、理不尽な感じがして仕方がないんですが、これはあくまでも全校に徹底していくという考えなんでしょうか。

○桜井体育部長 ただいまの質問の中で、調理室と、お話承りましたが、調理数でございまして、喫食数も含めて調理数が少なくなってきた、そのために小規模化してきた。児童生徒の数にあわせて、数が少なくなったということでございます。
 今、ご質問にありましたが、高等学校の、特に夜間課程の給食におきますグループ方式、これにつきましては、給食制度の趣旨を尊重しながら、実情に合った合理的な給食を実施していると考えております。あわせて、効率化を図りまして、現在、十三年度から始めたわけでございますが、三カ年計画ですべて、百一校、今ございますが、おおむね単独校も含めまして五十校程度の調理校にしたいと考えております。
 自校方式のときと比べまして、現在の適温配膳車を使うことによりまして、遜色なく給食の提供ができていると考えておりますし、約四割近くの経費節減が図られることから、自校方式と何ら遜色のない、これから先も提供できるものと考えております。

○曽根委員 意見を申し上げます。
 私も何年か前、まだ自校方式で全部やっていたところですが、地元の赤羽商業高校の定時制の給食を見に行ったことがあります。定時制は、一クラス少ないですけど、五、六十人でしょうかね、給食室に集まって、そこは定時制高校の一番にぎやかな時間ですよね。先生と生徒が一緒に食べていて、朝、昼、食べてない生徒もいるんですね。家庭の事情や仕事の事情か何かで。そうすると、先生が自分の給食を分けてあげたりして、ああ、これは教育というのは、こういうところにも教育というのはあるんだなというふうに実感をした思い出があります。
 そういう点からいって、私は、規模が小さくなった、先ほどちょっと間違って申しわけありませんでしたが、一校一校の調理数が少なくなった、だからまとめて四割削減で結構なことだというのでは、私は教育じゃないんじゃないかな。規模が小さくなったらなったなりの調理のそれぞれのやり方を考えていけば、そんなに経費をかけなくても改善は自校方式でできるんじゃないかというふうに思うので、ぜひこれについては、先ほどの答弁は余りいい答弁ではありませんでしたが、もとに戻してもらいたいと切にお願いしまして、この請願については採択をお願いしたいと思います。
 以上です。

○東委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第二五二号は不採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、請願一三第二五三号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○桜井体育部長 一三第二五三号の一、都民が生き生きとスポーツ活動が展開できる振興策に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、豊島区、新日本スポーツ連盟理事長、伊賀野明さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都民が生き生きとスポーツ活動ができるよう、次の振興策を実現していただきたいとのことでございます。
 1、スポーツクラブ対象の都の総合的な助成制度をつくること。
 2、都立体育館の施設と事業の民間化をやめること。
 3、都民が納得のいく区部ユース・プラザ建設方式にすること。
 4、都立夢の島体育館の公の施設を廃止しないこと。
 5、アマチュアスポーツ団体の現行の減額制度を堅持すること。
 6、教育庁所管のスポーツ施設について、一部利用料金制の導入のための条例改正をしないことでございます。
 現在の状況でございますが、1のスポーツクラブの助成制度についてですが、都は、地域スポーツクラブの育成、支援を図るため、地域スポーツクラブマネージャー等の養成・研修事業やスポーツ施設の実態調査を行っておりまして、今後も情報提供や指導者の派遣等による育成・支援事業の実施に努めてまいります。
 個々のスポーツクラブに対する助成制度についてでございますが、区市町村との役割分担の観点から、都の制度としては検討してございません。
 次に、2の体育館の施設と事業の民間化についてでございますが、現在、都立体育館の管理運営及び館におけるスポーツ事業については、財団法人東京都生涯学習文化財団を通じて行っております。今後、都立体育館の運営については、収支比率の改善や施設利用の効率化を図るため、財団とともに多様なサービス提供のあり方を検討してまいります。
 次に、3の区部ユース・プラザ建設方式についてでございますが、区部ユース・プラザの建設に当たっては、平成十三年四月に、民間の資金やノウハウを活用したPFI手法によることとする実施方針を公表し、五月にその導入を正式に決定したところでございます。PFIの導入により、都の財政支出の縮減及び平準化が期待できるとともに、利用者ニーズに応じた良質なサービスの提供が可能となるので、都民の十分な納得が得られる建設方式であると考えております。
 次に、4の夢の島体育館の廃止についてでございますが、区部ユース・プラザをPFI事業として円滑に運営していくためには、民間事業者の自由な創意工夫を最大限に認め、利用者サービスを向上させることが重要でございます。区部ユース・プラザの一部である夢の島総合体育館について、公の施設の制約を外すことにより、より弾力的、効果的な運営と質の高いサービスの提供が可能になると考えてございます。
 次に、5のアマチュアスポーツ団体の減額制度についてでございますが、アマチュアスポーツ団体が運動競技大会のために使用する場合の使用料減免については、現行の東京都体育施設条例施行規則において、その五割減額が規定されております。利用料金制の導入後におきましても、スポーツ振興の観点から、従来と同様に一定の減免制度の実施を検討してまいります。
 次に、6の利用料金制についてでございますが、都立体育施設における利用料金制については、平成十四年四月からの導入に向け、条例改正等の準備を進めているところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 簡潔に、意見だけ述べておきたいと思います。
 全体としてこの請願が求めている内容は、アマチュアスポーツクラブに対する東京都の総合的な助成の仕組みや制度を確立することと、そのこととあわせて、都立のスポーツ施設の民間化ではなく、責任を持って公共の施設を守ってほしい。料金制も、現状、少なくとも上げないでほしいということだと思います。
 この団体に話を伺ってきたんですが、東京都のスポーツ施設は、全体として非常にまだ不足しているということと、同時に、大変老朽化が進んでいるということを私も知りました。例えば、駒沢屋内球技場、オリンピックのバレーボールをやったところなんですが、既に上の方の窓ガラスは破れて、中にカラスやハトが飛び交っているという現状や、お金をかけて直した東京体育館のトラックも、三百メートルを都合上二百メートルにしたために利用が激減してしまった。その分が、お隣にある織田フィールドの四百メートルトラックの方が非常に利用がしやすいということで混雑しているなど、スポーツ施設のあり方については、もう一度全体的によく利用者の立場に立った見直しが必要だというふうに私も思っております。
 それから、料金制については、先ほどPFIの問題をちょっとやりましたが、どうしても民間事業者、今回は大林、ゼクタ、セノーの三社のグループ、一グループのみが登録をして申し込んだ。ここが落札することはほぼ間違いないと思うんですが、ほとんど無競争状態で事業者が決まった。逆にいうと、なかなか採算性というのは民間の側から見て厳しいのかなと思います。
 そういう点でいうと、料金にそのことがはね返らなければいいなということと、やっぱりこういう民間の営利を基本とした企業に施設を任せていくということは、都として大変危険な道もあるんじゃないかということは考えざるを得ない。
 そういう点で、これらの請願の趣旨については、趣旨を採択していただきたいということを申し上げて、意見とします。

○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件のうち第五項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二五三号の一のうち第五項は趣旨採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、陳情一三第八四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○比留間学務部長 一三第八四号、平成十四年度東京都公立高等学校定時制通信制教育振興に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、東京都公立高等学校定通PTA連合会会長、大滝文男さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、まず、1、定時制通信制高校の明確な位置づけの(1)、全日制、定時制、通信制併置の解消でございます。
 平成九年九月に策定した都立高校改革推進計画では、既設校の再編統合を進めながら、昼間定時制高校を独立校として設置することとしており、昼間定時制の単位制高校を平成十七年度に開校する予定でございます。
 また、昼間定時制総合学科のチャレンジスクールは、既に桐ヶ丘高校、世田谷泉高校が開校しており、今後、平成十六年度に江東地区チャレンジスクール、平成十七年度に港地区チャレンジスクールを設置する予定でございます。
 次に、(2)、三年間でも卒業できる学校の整備拡充でございます。
 昼間定時制高校や単位制の定時制高校では、三年間で卒業が可能であり、また、新宿山吹高校の定時制や通信制での併修により、三年間で卒業可能としている学校もございます。
 さらに、学校間連携の推進による他校との併修を拡大し、ボランティア活動等校外での学習活動を教育課程に位置づけての単位認定や、技能検定の成果の単位認定等を行っているところでございます。
 次に、(3)、地域の特性を生かした新たな特色ある定時制高校の増設でございます。
 既に、昼間定時制単位制の新宿山吹高校、単位制の飛鳥高校定時制課程、昼間定時制総合学科の桐ヶ丘高校及び世田谷泉高校を設置しておりますが、今後、地域の特性を生かした伝統工芸系列を取り入れる予定の江東地区チャレンジスクールの平成十六年度の開校を計画してございます。
 次に、2、定時制通信制課程の管理運営の(1)、事務職員のローテーション勤務に伴う問題点の解消でございます。
 事務職員のローテーション勤務に伴う課題につきましては、学校内の教職員全体で工夫して適切に対応していくこととしているところでございます。
 次に、(2)、非常勤講師時数の確保でございます。
 非常勤講師の活用につきましては、原則として各学校の教育課程、教員の配置状況等を考慮して、予算の範囲内で措置しているところでございます。今後とも、厳しい都財政の中ではありますが、必要な講師時数の確保に努めてまいります。
 次に、(3)、学校の特色や生徒の実態に応じた教職員数の確保でございます。
 教員配置につきましては、これまでも学級に基づく基本定数のほか、習熟度別授業の拡大等、学校の特色や生徒の実態に応じて配置してございます。今後とも、厳しい都財政の中ではありますが、国の動向を踏まえつつ、教育条件の改善に努めてまいります。
 次に、3、定時制通信制教育振興のための行事の(1)、音楽鑑賞教室、演劇鑑賞教室、生活体験発表会、総合体育大会に対する補助金の増額と運営への支援でございます。
 音楽鑑賞教室、演劇鑑賞教室、生活体験発表会、総合体育大会に対して予算の範囲内で運営への支援を行っているところでございますが、増額は、現在の財政状況から困難でございます。
 次に、(2)、部活動費の増額でございます。
 部活動に要する経費は受益者負担が原則でありますが、部活動の振興を図るため、指導員謝礼や各種大会への参加費及び生徒が共同で使用する物品購入費等の経費について予算化しているところでございます。現在の厳しい経済状況の中で、この予算の増額は困難な状況にあります。
 次に、4の施設・設備の整備拡充等の(1)、食堂の冷房機器等の完備でございます。
 高等学校の冷房化につきましては、音楽室、LL教室、パソコン室や職員室等を計画的に冷房化を進めてきたところです。また、交通騒音等により授業に支障がある学校につきましては、教室や食堂など空調設備の整備を進めているところでございます。食堂の冷房化につきましては、今後の課題として認識しているところでございますが、現段階においては困難な状況にございます。
 次に、(2)、専用普通教室の確保でございます。
 普通教室や体育館などの施設につきましては、全日制課程と定時制課程が共有することとしておりまして、専用の普通教室を確保することは困難な状況にございます。
 次に、5の多様な生徒の受け入れの(1)、生徒の実態に応じた習熟度別授業、少人数指導の強化でございます。
 教員配置につきましては、これまでも習熟度別授業の拡大等、学校の特色や生徒の実態に応じて配置をしてございます。今後とも、厳しい都財政の中ではありますが、国の動向を踏まえつつ、教育条件の改善に努めてまいります。
 次に、(2)、夜食費、教科書代に対する補てんでございます。
 定時制生徒の給食費、教科書代の助成は、勤労青少年の修学を促進するため、国の補助を受け実施しているところでございます。なお、平成七年度から、国の補助制度の改正により、有職者、求職中の者、疾病の者、心身に障害のある者等に限定して実施しているところでございます。
 次に、(3)、奨学金制度の拡充でございます。
 このことにつきましての現在の状況は、さきの請願一三第二二〇号と同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 次に、本連合会の活性化促進の(1)、東京都公立高等学校定通PTA連合会への補助金の増額でございます。
 定通PTA連合会に対する補助金は、社会教育関係団体補助により実施しているところでございますが、現在の厳しい財政状況の中におきまして、補助金の増額は困難でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件のうち、第一項の(1)、第二項の(2)、(3)及び第五項の(1)を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一三第八四号中第一項の(1)、第二項の(2)、(3)及び第五項の(1)は趣旨採択と決定いたします。

○東委員長 次に、陳情一三第九六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○桜井体育部長 一三第九六号、東京都体育協会による東京都バレーボール協会への加盟団体脱会通告の撤回に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、豊島区、財団法人東京都バレーボール協会理事長、岩崎清さんほかから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、平成十三年四月二十七日付で、財団法人東京都体育協会が、財団法人東京都バレーボール協会に対して行った脱会通告を撤回していただきたいとのことでございます。
 現在の状況でございますが、都体育協会には、種目別競技団体や地域別体育団体等が加盟しており、国民体育大会の東京都予選会や競技力向上事業等、スポーツ振興事業に取り組んでおります。
 バレーボール種目の競技団体として都体育協会に加盟していた財団法人東京都バレーボール協会には、十年以上にわたる内紛がありました。教育庁の指導も受け、都体育協会は中立的立場から、話し合いの場の設定等、解決に向けた取り組みを行ってきました。
 都バレーボール協会は、この数年間、内紛により、国民体育大会の予選会等、都体育協会の事業を執行できなかったため、都体育協会は、平成十三年三月の常務理事会及び四月の理事会において、都バレーボール協会の責任者から事情聴取を行い、弁明の機会を与えました。都体育協会は、都バレーボール協会が、バレーボール種目に関し、都体育協会加盟団体の資格要件である唯一の全都的統括団体の実体を有していないと認定いたしまして、寄附行為第二十七条及び加盟団体規程第十四条により脱会させることを決議し、四月に文書通告をしたところでございます。
 これに先立つ平成十二年七月、都バレーボール協会は、財団法人日本バレーボール協会から除名されております。十三年一月、内紛の当事者以外の方が東京都バレーボール連盟を結成し、同年二月に日本バレーボール協会に加盟するとともに、都体育協会へも加盟を申請いたしました。都体育協会は、同年五月の理事会で、東京都バレーボール連盟を都のバレーボール種目の統括団体と認定し、加盟を承認いたしました。これら一連の手続は、都体育協会の寄附行為や加盟団体規程等にのっとっており、都体育協会の決定は適正に行われております。
 教育庁は、この問題について、これまで正常化に向けた指導を行ってきたところでございますが、今後とも、都のスポーツ振興のために、都体育協会に対し必要な指導助言を行ってまいります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一三第九六号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分で執行機関に送付することを適当と認めるものについてはこれを送付し、その処理経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承を願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時三十三分散会

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