文教委員会速記録第十八号

平成十三年十二月十四日(金曜日)
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長福島 寿一君
副委員長服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
理事遠藤  衛君
理事執印真智子君
後藤 雄一君
野上じゅん子君
小美濃安弘君
野島 善司君
曽根はじめ君
山本賢太郎君
比留間敏夫君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長押切 重洋君
理事小田原 榮君
総務部長小海 博指君
学務部長比留間英人君
施設部長松田 紀子君
人事部長中村 正彦君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
人権・企画担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
局務担当部長千葉 和廣君
参事近藤 精一君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百七十三号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
  ・第百九十八号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・第百九十九号議案 学校職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・主任制度に関する中間のまとめについて

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十三号議案、第百九十八号議案及び第百九十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○野島委員 それでは私は、第百九十九号議案、給与特例条例の一部の改正条例に関して何点かご質問を申し上げたい、このように思っております。
 給与関係でありますから、必ずしも行政委員会の教育委員会がみずから主体的に、あるいはほかとのかかわりがなく判断できるものと、こういうふうには思ってございません。そんな前提で質疑をさせていただきますが、私は、東京都の職員の皆さんが、広く都民に理解を得られる適正な給与水準、あるいはほかの労働諸条件、こんなことのもとで公務に精励なされまして、都民福祉の向上のために頑張っていただけると、そのことが、結局、私たち都民にとってもプラスになると。とりわけ教育は人なりと、こういうことでありますから、教育庁予算を見ましても人件費がその大宗を占めている、こういう実情だろうということでございますので、私は、直ちに民間ではとか、民間だからとかいう、そういう「ではの守」の信仰はしておりませんで、公務と民間はおのずから違ってくるわけですから、そういう前提に立ちながら質問させていただきたいと思います。
 四%カットを管理職は続けますよという条例の改正の提案でありますから、裏返しますと、四%カットを続けてきた一般職については条例から削除しますよということですから、単純に申し上げれば、この条例が可決されれば、管理職は四%カット、その他の職員は本則に戻ると、こういうことになろうかと思います。二年前から続けられている制度と伺っておりまして、現下の厳しい都財政のほか、都政をめぐるさまざまなことを考えますと、私は、この間、二年間にわたっての給与カットというのは、広く都民の理解を得られてきたというふうに思っておりますし、議会も賛意を示して今日に至っていると、こんなふうに受けとめております。
 申すまでもなく、公務員給与の決定要素というのは幾つかあると思うんです。民間準拠、人勧尊重、それから状況適用、労使間の協議、こんなことになろうかと思いますが、私は、給与を含めて都政を預かる全体の責任者は、最終的にはその自治体の長、すなわち都知事だろうと、こんなふうに思っております。そういう意味では、人事給与政策をどうとるかというのはそこにあって、それが反映されて、その中での労使間交渉と、こういうことに相なろうかというふうに受けとめております。
 したがいまして、去る十一日の本会議で、本文教委員会の委員でもあります我が党の比留間政調会長の方から代表質問させていただいておりまして、それに対する知事の答弁、そして公明党さんからも質問、そして知事の答弁があったと、こんなふうに記憶をしておりますし、昨日の総務委員会におきましても厳しい指摘が続出したというふうに仄聞をしております。
 したがいまして、多くを語っていく立場にありませんけれども、一点目は、行政委員会である教育委員会、東京都教育庁における職員の給与の決定システムというのはどうなっているのか、その辺のところを教えていただきたいと思います。
 冒頭申し上げましたように、給与その他の労働条件というのがありますね。ですから、給与はこういう形でこういうふうに決めていきますよと、あるいは労働条件、例えば特勤手当だとか、いわゆる身辺手当、それから、教育分野におけるということで、恐らくは勤務形態等も一般職とは違ったものになるだろうというふうに思うんですね。そういう、いわば教職員を含めて東京都の教育委員会の中の給与等の決定システムというのか、そんなところを最初に前提としてお伺いをしておきたいと思います。

○中村人事部長 学校職員の給与に関します事項につきましては、教育庁が所管しております学校職員の給与に関する条例、これで定められております。
 この職員の勤務条件のうち、今回問題になっております給与改定、あるいは住居手当、それから期末勤勉手当など、東京都の職員全体にかかわります事項につきましては、副知事が一括、統一して都労連と交渉を行うというふうなことになっております。また、一部の特殊勤務手当など学校職員特有の事項、これにつきましては、教育庁において各職員団体との交渉を行っているという状況でございます。
 したがって、今回の給与削減措置につきましては、東京都職員全体にかかわる事項でありますことから、副知事と都労連との交渉の結果に基づきまして、学校職員についても知事部局職員と同様に取り扱うと、こういうことにしたものでございます。

○野島委員 わかりました。
 冒頭申し上げたように、いわば長部局というのか、知事部局があって、全体にかかわる部分は当然のことながら知事部局の判断だと、したがって、本件のような給与の問題、それから住手とか期末とか身辺手当、こういったような問題は専らそっちで、それを横引きにするよと、こういうふうに理解をいたしました。なお細かいいろんな勤務条件とか、その辺は専ら、その職場がうまく動かなきゃいけないわけですから、特殊性にかんがみて、それは教育長の専権といいましょうか、教育長ということになろうかと思います。
 そうしますと、今回の、四%を一般職については来年度からやりませんというこの条例そのものは、ある意味では、当然のことながら労使間協議もないわけだし、冒頭申し上げましたように行政委員会ということで、知事部局の給与政策そのものを横引きするということにかんがみますと、ある意味では教育委員会は当事者ではないと、こういうふうに私は結論づけられると思うんです。そんなことでよろしゅうございますか。その確認だけとらせてください。

○中村人事部長 給与の条例に関しましては、知事が専ら提案権がございます。提案権がある知事に対しまして教育委員会が条例の提案依頼をすると、こういう制度になっております。したがって、全く当事者能力がないといわれると、ちょっと語弊があるかと思いますけれども、そういうかかわり方をしているということでございます。よろしくどうぞお願いします。

○野島委員 失礼いたしました。当事者能力というふうには申し上げておりませんので、当事者の立場に立つ部分というのが、知事部局との割合でいけば行政委員会としては専ら薄いであろうと、こういうことを申し上げているので、当事者能力がないとか無能力者だとか、そういうことを申し上げているわけではありませんので、これ以上の質疑はいたしませんということで、細かいことはやりませんけれども、一つ、最初に申し上げましたように、状況適用というのがあると思うんですね。もちろん状況適用というのは、人事委員会で民間給与水準等を調べて、それを反映させて、だからこうですよということがあると思うんだけれども、やっぱり都政を取り巻く状況というのはかなり厳しいと思うんですね。ますます経済がデフレスパイラルみたいないわれ方をしまして、失業率も五・四とか、そのくらいの高水準になってきたと思っております。民間企業は専ら、リストラであるとか、あるいは倒産の憂き目に遭ったりして大変な思いをしている。
 僕は、冒頭申し上げましたけど、必ずしも公務社会と民間社会がイコールという見方をする必要はありませんが、公務社会は民間の税等によって成り立つわけですから、それはやっぱり状況適用して見ていかなきゃいけないと思うんですね。
 そういうことで、大変厳しい中と同時に、連合あたりは--それは連合の運動方針がどうかわかりません。あるいは一部の幹部の方の発言かどうか、その辺の整理は私自身もできていませんが、いわば雇用を守っていくしかないだろうと。給与を上げるとか何とか--下げるということをいう人は余りいませんけど、上げるとか何とかじゃない、雇用を守っていく、ワークシェアリングの導入も視野に入れながらみたいな、こういうこともいわれているわけですね。一方、今後の状況を見ますと、アメリカ経済の失速、あるいは来年度もマイナス成長になるのではないかと、こんなふうにいわれているわけですね。
 こんなことを考えますと、私は、二年前に四%カットを決めたよりも、公務に対する、あるいは公務員の給与に対する感覚というのは、極めて厳しいなというふうに思っています。冒頭申し上げましたように、職場があればいい、働き口があればいい、あるいは自分一人だと失業者が出るからワークシェアリングしましょうという、こういう状況になっているわけでありまして、そういう意味では、トータル的にみれば、いわば状況適用という概念が、それを踏まえて、狭義の意味でいきますと人勧反映ということでしょうけれども、広く都政ということで考えた状況判断からいけば、私は、この四%カットは続けていくべき状況ではないかなと、こんなふうに理解をしております。
 それから、都財政の関係ですね、代表質問等でも、本年度の当初予算の歳入確保についてはかなり厳しいだろうと、こんなふうにいわれているわけですね。それから、来年の税収も、まだ財務局試算ですから正確なことはわかりませんが、予算編成のさなかで、いろいろ予算要望が出てきて、恐らく四千億から五千億の一財の昇騰といいましょうか、そういったようなことと、減収も予想される、こんなことがいわれているわけであります。一方、いろんな意味で石原改革、あるいは東京から日本を変えるということで、広く都民に還元していくという政策がメジロ押しだと、そんなことを考えますと、ますます都財政というのは厳しい状況に落ちていくのかなというふうに思っているんです。
 そういう中で、大宗を占める人件費について、その部分だけがなぜなんだという、こういう部分というのは、私は当然のことながら出てくるだろうというふうに思っているんです。
 それから、財政再建ということで、恐らくは来年度、都民の皆さんのいろんな負担もお願いしていこうということが出てくるだろうと思うんです。もちろんこれから予算編成でありますから、多くを知っている立場でございませんので、一概に、だから幾らというふうなことを私も持っているわけではございませんが、いずれにしても、まず都がみずから徹底的な内部努力をしていく、こういうことが大前提になると思うんです。いわば都民に痛みをお願いすると同時に、あるいはその前手で、私どもはこんな形で都財政の再建に向けて努力をしていきますと、このことを考えたら、私は、一般会計のおおむね三割を占める給与関係費、このことを真剣にとらえなきゃいけないだろうし、都民から見ますと--役所は、民間はというのは、僕は意識はありますよ--余り意識ないです。公務員の皆さんはいいですね、この不況になっても給料はちゃんとあるんでしょう、あるいは倒産することはないでしょうね、職場があっていいねと、こんなことが現実だと思うんです。その現実に対して、今度は、だがしかし都財政の再建もあり、こういうことで都民の皆さんの負担をお願いしていきます、どうぞよろしくといいながら、だがしかし身内の部分については、うちの比留間政調会長が申し上げましたように、井の中のカワズたちの決着になってはいけないなと、こんなふうに思っています。
 最後に、都政運営との関係につきまして私の考え方を申し上げておきたいと思います。
 こういう状況で、るる申し述べたようなことでございますので、都政全体に与える影響を考えるときに、私は、この条例についてはいささか懸念を持っております。と同時に、私は良好な労使関係を否定する立場にはありません。冒頭申し上げましたように、よき労使関係はすなわち都民福祉の向上につながるものと、こんなふうに思っておりますけれども、それ以前に、東京都政として給与政策はどうあるべきか、その理解がなかったら、良好な労使関係というのは、文字どおり井の中のカワズたちの話でありますから、私は、都民の厳しい目を考えたときに、この条例についていささか懸念を持っていることを重ねて話をしておきたいと思います。
 冒頭申し上げましたように、この二年間は、都民の理解と議会の賛意を得てという、まくら言葉を使わせていただきましたけど、まさしく今日、そこの段階に至りながら、なおかつ取り巻く状況が一層きつくなりながら、その中でも管理職だけなぜなんだと、こんなことを極めて懸念をいたしております。
 そこで、冒頭申し上げましたように、行政委員会の給与の関係でありますから、これ以上多くは語りません。私が今まで申し上げたことに対して所見がございましたらお伺いをさせていただいて、質問を終わります。
 以上であります。

○中村人事部長 先日の代表質問に質疑がありまして、また、昨日の総務委員会で熱心なご議論があったというのは仄聞しております。現在の財政状況のもとで職員の給与削減の措置を終了することについて、各方面からさまざまなご意見があるということは十分承知しております。教育庁としましては、今後、このことにかかわります推移を見まして、もし現状と違う結果が出るということであれば、所要の措置を講じていきたいというふうに思っております。

○和田委員 第百九十九号の議案であります学校職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例に関連して、質疑をさせていただきます。
 この説明はもう既に済んでいるわけですが、平たくいって、この百九十九号はどこをどう変えようという議案なんでしょうか。

○中村人事部長 二年前に四%カットの附則をつけましたけれども、それが時限立法になっておりました。したがって、ほうっておきますと、一般職員はもちろん管理職についても四%カットがなくなるという事態になりますので、今回の条例改正では、管理職のみ引き続き続けるという規定の整備をするものでございます。

○和田委員 要するに、二年前に、十九万二千とも十九万四千ともいわれている都の職員全体に四%カットの網をかけた。かけたんだけれども、その期限が二カ年ということだったために、それを続けるか断ち切るかという判断が、第一回定例会、来年の一月以降の判断よりも、今四定が望ましいということで提案されたと思っているわけです。状況はそういうことだと思うんです。
 さてそこで、この条例そのものは、管理職だけを取り上げて四%カットの継続を図るということを決めるわけですから、自然的に管理職以外の方々は四%に戻るというふうな見解でいいんですか。

○中村人事部長 先生ご指摘のとおりでございます。

○和田委員 平成十二年度から二カ年間ということの特例条例というか、そういう形になってきました。さてそこで、全職員を対象にしたわけでありますけれども、全職員を四%カットして、ならしてみて平均的に一人当たりどのくらいのカットになりますか。

○中村人事部長 今、一人当たりの数字を探しておりますので、ちょっとお待ちください。総額では、オール都庁で年間三百四十億円程度が削減されたというふうに見込まれております。

○和田委員 私のところの数字だと約三百億となっていますので、四十億円ぐらいの誤差はどうかなと思うんですが、これまで二カ年にわたって、今、中村部長のお話の三百四十億というふうにとらえていいでしょう、それを一年間にわたってカットされてきて、これは二カ年ですから六百八十億ですよね。
 私どもは、本会議質問の中でも少し触れましたけれども、個人消費が全GDPの六割に及ぶ数字になっている。その個人消費を喚起するのには所得収入をふやさなきゃだめだと、当然の帰結です。有効需要をふやしていくということです。そうなってくると、カットをこのまま続けて消費性向を抑えていった方がいいのか、あるいは、カットをやめて財政の側の方にシフトしていったらいいのかという、政策的な一つのトレードオフの状態に、今、都政ははまっていると思うんです。その点については中村さんはどうですか。

○中村人事部長 この問題につきましては、先生ご指摘のとおり、いろんな方面からいろんな議論があるというふうに私も考えております。

○和田委員 確かに、このように困惑してきた時代でありますから、一つの事実や一つの真理や一つの正解はないと思うんです。ただ、その時々の政策判断、政治判断で、これがよかろうと思って、二年前、確かに四%カットを全都職員に出したわけですね。ですから、それが二年たってみて、見直しの時期のことは間違いない。私もそのように聞いていたんですが、しかし、さかのぼってみて、石原知事の答弁の中に一回か二回、私は三年と思っていたんだけれども、というようなことが出ていますね。私どもは二年と思っていたのに、石原知事が三年というのは、どういう判断でされたと思いますか。

○横山教育長 二年前に私、総務局長をやっておりまして、給与財源の当事者でございましたので、その経緯をご説明しますが、当時、組合に対する提案は、四%、三年で提案しました。その結果、労使協議の結果として、三年先の経済情勢をにらんで、三年というのは組合としては非常にのみづらいと、そういうことから、四%というのは当時、日本で最高の削減率ですが、四%で二年、ただし、二年後にその状況の変化によって再度協議をすると、こういう決着になっております。

○和田委員 今の前総務局長の答弁、今の教育長の答弁でいいと思うんですが、二年後にもう一回話し合いをするというののとらまえ方が、それを石原知事は三年のつもりだったけれども、二年でというふうに考えているわけですね。これは相手方がいるわけですから、労働組合というんでしょうか、そちらの方はどういうふうに考えていると、その話し合いの中ではどういうふうにまとめられたんですか。労働組合はどういうふうに考えていると判断されていますか。

○横山教育長 私どもは、当時の経過からして、私が今申し上げたような理解をしていると思っておりますが、ただ、組合のいろんな新聞といいますか、そういうものを聞くと、二年で決着をしたという理解がかなり強いようでございます。

○和田委員 教育長答弁で申しわけありませんけど、その理解のずれがありますよね。二年間たったらそこで見直すというのと、もう決着がついちゃったというのとであるんですけれども、結局、そこのところの文書的なものは交わされているんですか。

○横山教育長 当時の記憶をたどって、詳細なあれはいえません。当然、労使合意の段階では、メモ的な確約書といいますか、それはあるはずです。

○和田委員 当該の委員会ではないので、そこのところは詰められませんけど、ただ、この種の話は、グレート東京、大東京の話です。それから、石原さんと、向こうの担当者のお名前、矢澤さんだか何だか知らないけど、そういう人とのきちっとした話で、十九万、二十万近い人の生活をこうしましょうというふうに二年前に決めたわけじゃないですか。それがひとり歩きして、いやおれは三年だと思う、いや二年で決着する、このあいまいもことした一年間の空白を、管理職でいらっしゃった皆さん方も、と思う、という判断だという、そういういいかげんなことで動かしていいのかなというふうに僕は疑問に思うんです。もう一回答弁してください。

○横山教育長 当時の、私が先ほど申し上げた考え方に基づいて、今回、そういう協議のテーブルに着くように要請したはずだと私は思っています。

○和田委員 思うとか何とか、その辺の玉虫色の今までの話し合いが労使の一つの慣行なのかなと思わざるを得ないくらいに、大変奇怪な話し合いというか、妥協だと思うんですね。今おっしゃったとおり、確約書のようなものを交わすはずだとなっていて、それがいまだに私どもが見る場面にも出ていないわけでありますから、その労使の話し合いがあいまいもことした中で、今回の、きのう総務委員会がありましたか、それからきょう文教委員会があったりして、これは教職員絡みの条例をやるわけでありますけれども、そういうあいまいな上に我々議会が乗って、詰めをした議論というのはなかなかできにくいという矛盾を感じています。
 しかし、今そこに資料がない限りは、私どもは、できるだけ今の現状に近い形の事実を求めながら判断をする糧にしたいと思うんですけれども、従来、先ほど答弁がありましたが、知事の方と、いわゆる都労連というんでしょうか、それとの話し合いの今までのルール、今までの流れ、それをもう一回、どういう形で、どういうところから始まって、どういう決着が大体の交渉の流れなんだということをご説明いただけますか。それは教育庁に限ってで結構ですから。

○中村人事部長 職員の給与のうち、先ほど申し上げました給与改定、それから住居手当、期末勤勉手当、こういった東京都の職員全体にかかわります事項につきましては、副知事が統一しまして都労連と交渉を行うということになっております。それから、一部の特殊勤務手当、こういった学校職員特有の事項につきましては、教育庁において各職員団体と交渉を行っております。
 職員の給与につきましては、条例で定めるということになっておりますから、条例の制定、改廃の提案権を持ちます知事が、職員団体との交渉結果に基づき都議会へ提案を行う、こういうことになっております。
 それから、先ほど、一人当たりの金額でございますけれども、年間約十九万円でございます。

○和田委員 一人当たり十九万円、十九万四千とも十九万二千ともいわれる方々が、ならしてカットされてきたということで、その辺の消費的な役割、貢献度というのは、決してないわけじゃなくて、大きいものだと私は思っています。
 その反面で、知事は三年だというふうに本会議答弁をされている。今、そのときの衝にあったと思われる横山さんは二年で決着はついたというふうに、あいまいな状況の中でこの議論が進んでいるわけです。
 ただ私は、今、百九十九号議案については、これについては管理職等についての二年前の削減をそのまま続けるということの条例であるわけでありますから、一般職員の給与削減を続けないということに対する条例ではないということで、これはカットするということになるわけでありますから、どちらにしても、財政を重要視する側にしても、あるいは職員の年間十九万円の所得をしっかり保障するにしても、この条例に関してはかかわりがない、いわゆる幹部職員等の方々の給与に関する条例の改正だということでありますから、大きく財政の再建時におけるカットの是正復元ということの、トータルにはつながってこないと思っているんです。
 さてそこで、もしも管理職等の四%カットをこのまま存続したとして、どのくらいの額になるんでしょうか。

○中村人事部長 今回の管理職の四%削減に伴いまして、東京都全体で約二十二億円の経費節減になります。

○和田委員 大きな議論をして、そして二十二億円の節減というか、節約ということ。それから一方で、この委員会とは関係ありませんけれども、ホテル税で十五億ともいわれているような数字の、東京都税から見れば小額が議論の焦点になっている、そういう場面だろうと思っています。
 さてそこで、管理職全体で二十二億という答弁をいただいたんですが、しからば、都の教職員、教育庁に関してはどれだけになるんでしょうか。

○中村人事部長 教職員の中ですと、学校職員分で約十一億七千万円になると推計しております。

○和田委員 さきに返って、三カ年という石原知事の認識と、組合の方の二カ年という認識が、一年間の大変あいまいなところを残しながらこの議論を進めるということで、私自身、少しく満足できない土俵だろうと思っています。
 ただ、現下の経済情勢や財政状態、あるいは東京都の財政再建プラン等々の絡みからしてみても、この問題は真剣に考えていく必要があるというふうに表明させていただいて、私の質疑を終わります。

○石川委員 今、野島さん、和田さんからお話がありました。二年前に四%カットが導入をされ、その間、期末手当の削減等々ありまして、この四%措置の導入前と現在の教職員の一人当たりの年間の収入はどれぐらい減収になっているんですか。ちょっとその辺の数字がわかりましたら教えてください。

○中村人事部長 年間約十九万円の減収でございます。

○石川委員 今、教育関係は大変厳しい中にありまして、教職員の皆さんに大変ご努力をいただいて、そうした措置がとられている。当然、先ほど来議論がありますとおり、危機的な都の財政を再建しなければならないという形で、四%削減にも踏み切ったわけでありますから、都民の目からすれば、それでは二年前に比べて都の財政状況は改善されたんですかということに当然なってくるだろうと思うんです。一方では、来年度の税収見込みも大変厳しい、新たな課税措置も独自に図ろうという議論がされている。
 そうした中にあって、労使間の話し合いの結果、四%削減は一般職について打ち切りますよと、こう提案をされましても、やはり私は、都民の今日の経済状況、そしてまたそれぞれの生計の抱えている厳しさを感じれば、到底理解が得られない決断ではないかなと、こんなふうに考えている次第であります。
 したがいまして、この百九十九号議案に対しては慎重な対応を求めていくということを表明いたしまして、終わらさせていただきます。

○曽根委員 さてそれでは、都立学校の条例に関して質問させていただきたいと思います。
 今回、都立の養護学校の中で、足立ろう学校と綾瀬ろう学校が合併移転して葛飾ろう学校になると。それに伴って足立ろう学校の場所があくわけで、足立養護学校の本校が足立ろう学校の跡に入り、花畑分校が足立養護学校に入る、玉突きといいますか、そういう形になるわけで、なかなか複雑な移転が今年度から来年度にかけて行われるわけです。
 聾学校については、かつては統廃合問題ということで、父母、関係者の皆さんの中にいろいろ不安もあったけれども、新しく設備もいいものにという要望が取り入れられてきたので、これについては促進ということで、合意はされていると聞いています。これは、そのために足立ろう学校の場所に分校が本校化して移る条件が生まれてきたわけですから、そういう点では大変よい話だなというふうに受けとめております。
 その上でなんですけれども、現地の方々の今までのさまざまな運動、分校を一日も早く本校にしてほしいという取り組みが行われ、要請もされてきたと。その中では、足立ろう学校が現在あるすぐ隣に分校が校舎を持っているので、足立ろう学校の場所があけば、自然に考えると、向かい側にある花畑分校がそのまま聾学校に入れば、それだけで移転は完結するといいますか、そういうのが割と自然な受けとめだったように聞いているんです。
 しかし、今回はそうではなくて、足立養護学校を聾学校の方に持ってくると。足立養護学校の跡地に花畑分校を持っていくということで、玉突き移転になる。場所としては、分校が本校化するに当たって足立養護の方に行き、足立養護は聾学校の方に行きですから、クロスをするということになりますね。移転のさまざまな手間暇を考えると、同じ条件であれば、近くの足立ろう学校に入ればいいじゃないかというふうに思うのは自然なことだと思うんですが、今回こういう移転の仕方をした理由をお聞かせいただきたい思います。

○比留間学務部長 移転の理由についてでございますが、何点かございますけれども、第一点目は、養護学校の小中学部の児童生徒の通学条件ということでございまして、これを考えますと、小中学部につきましては、学校の位置はできる限り通学区域の中心にあることが望ましいというふうに考えてございます。現足立ろう学校と現足立養護学校を比較いたしますと、足立養護学校が通学区域の中心に近いと、こういう状況が一点ございます。
 次に、二点目に運動場の広さについてでございますが、足立養護学校は約二千平米の面積でございます。それに対しまして、足立ろう学校は約三千九百平米ということで、知的障害養護学校高等部のグラウンドという観点で考えますと、足立ろう学校が適しているというふうに考えてございます。
 また、知的障害養護学校高等部におきましては、生徒の卒業後の社会的な自立に向けまして、職業教育が極めて重要でございますけれども、足立ろう学校は、今お話しにございました隣接する花畑分校の校地、校舎、これを利用いたしまして実習棟と作業地を整備することができると、こういうようなことを考えまして、現足立ろう学校に高等部単独校でございます足立養護学校を移転いたしまして、現足立養護学校に小中学部の花畑分校を移転して本校化することによりまして、それぞれの学校の教育環境の整備を図ってまいりたいということでございます。

○曽根委員 現在の足立ろう学校及び分校が持っている敷地を考えると、そちらがキャパシティーが大きいと。小中年齢が分校の方ですから、高等部が今だんだん大きくなって、一般の小中学校からも来るんですか、養護学校に上がってくるということで、どうしても手狭になっていくだろうということで、足立ろう学校の方に高等部を持ってくると、これはこれで一つの、物理的な条件からいうと、やむを得ない面もあるかなと思うんですが、やはりわざわざ足立養護まで動かすことによって、いってみれば、今ある四つの学校の教育環境にかなり大きな変化をもたらすことになるわけです。
 したがって、これは、まずもって通っている生徒さんへの影響、それから、学校の現場で働いている教職員の方への影響や、それに伴うさまざまな負担について配慮が必要だろうと思うんです。
 一つには、生徒さんの方は、大多数は多分、通学のバスを使っていると思うんですが、バス路線の変更が当然あるわけで、その点での条件はどういうふうに変わり、それに対する手だてをとる必要があるのかどうか。それから、もし歩いて通学している方がいれば、それが変化することについては手だてがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。

○比留間学務部長 足立養護学校及び花畑分校のスクールバスでございますけれども、現在、両校で共同運行を行ってございます。移転後も現在と同じ形で共同運行を行うということで、運行コースも基本的に変更はいたしません。
 したがいまして、乗車時間について、児童生徒数の増減による若干の変更はございますけれども、おおむね変わらないものというふうに考えてございます。
 なお、学校の位置が変わりますので、移転後のコース設定において、小中学部の児童生徒の年齢や体力面ということに配慮いたしまして、まず小中学部の南花畑養護学校を経由してから高等部の足立養護学校に運行する、こういう形で運行したいというふうに考えてございます。

○曽根委員 歩いて通学の生徒さんはいらっしゃいますか。その点はどうかということで、ありましたらお聞かせください。

○比留間学務部長 現在、スクールバスに乗っている児童生徒でございますけれども、平成十三年度で申し上げますと、小学部については九八・五%、それから、中学部については九一・二%という児童生徒がこのスクールバスに乗ってございます。それに対しまして、高等部は一七・四%ということでございまして、基本的に、小中学部につきましては、スクールバスを利用なさりたいというお子さんにつきましてはスクールバスで対応していく。高等部の生徒につきましては、社会的な自立に向けて、自力で学校に通学ができるようにと、こういう指導をしてまいりたい。その時間等の変更については、学校で十分配慮してまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 要望にしておきますけれども、今、足立養護に通っている高等部の大半のお子さんは歩いて通っていると。それが少し北に奥まったところに、現在の聾学校の位置に移るわけで、距離にしますと結構な距離があると思うんです。したがって、年度当初は、別の学校に移るわけですから、その点では、障害の子どもさんたちが混乱のないように、必要な手だてをぜひとっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それからもう一つ、職員の方々の準備の関係なんですが、聞くところによると、今、都立の養護学校の事務職のところで、病欠が出れば、前は、アルバイトといいますか、賃金職というんですか、補充ができたんだけれども、本年度の予算をもう使い切ってしまって、最近では病欠が出ても補充できないと。もともと事務職は数が少ないですから、そういうところに病気が一人二人出たら相当な戦力ダウンになる。それで、今まではアルバイトで埋めていたんだけど、それができなくなったというお話を聞いています。
 足立養護学校や分校がどうかということではないんですけれども、そういう中で学校が丸ごと移転をすると。制度的には準備室を立ち上げるようなものではないというふうになるかもしれませんが、実態からして、やっぱり丸ごと移転ですから、準備室ができないにしても、それにかわる体制を何かとる必要があるんじゃないかと思うんですよね。子どもたちを連れて全部移転して、教室の配置から何から何まで全部やり直しになると思うんで、その点での現在考えている手だてがありましたらお願いします。

○比留間学務部長 まず、準備室について考え方を申し上げますと、東京都教育委員会といたしましては、全く新しい学校を設置する場合、また、統合により既設校とは異なる教育内容の学校を設置すると、こういう場合には、開校に向けて開設準備室を設けるということにしてございます。
 今回の聾学校二校の統合は、既設の幼小中学部の聾学校と高等部の聾学校を統合して一校にいたすものでございます。また、足立養護学校花畑分校につきましては、既設の小中学部を移転いたしまして本校化するものでございます。
 以上のことから、開設準備室は設置をしないで、既設校の両校の教職員の対応によりまして準備を進めていきますけれども、この点につきましては、移転が円滑に進むように万全を期してまいりたいというふうに考えております。

○曽根委員 私は、分校が本校になるわけですから、花畑分校については、今度は事務長さんか何か、新しい事務職がふえることになると思うんです。新しい学校がスタートしてからふえるというよりも、大変なのは移転までですよね。準備と、それから新しい学校づくり、今からだと思うんです。今、まさに大変なときだと思うんですね。
 ですから、もし配慮がされる、万全の体制でいきたいというのであれば、前倒しで事務職をつけて、準備のところから新しいスタッフとして加わっていただくとか何か、形式論ではない対応ができないだろうかというふうに思いますので、これは強く要望しておきたいと思います。
 以上です。

○執印委員 それでは、百七十三号議案に関連をいたしまして一点お伺いいたします。
 今後の聾学校全体の再編整備計画を東京都はどのように考えて進めていかれるのでしょうか。

○比留間学務部長 東京都教育委員会では、平成九年の東京都聴覚障害教育検討委員会の答申を受けまして、今後の東京都における聴覚障害教育を総合的に推進するために、平成十一年七月、早期乳幼児相談体制や職業教育等の一層の充実など新たな聴覚障害教育ニーズへの対応、聾学校児童生徒の減少に対応した教育の充実、学校と家庭、地域社会との連携などを内容とする東京都聴覚障害教育推進構想を策定したところでございます。
 今回、聾学校二校の統合を行いますが、これはこの推進構想に基づき実施したものでございまして、今後、諸情勢も勘案の上、聾学校の再編を含めまして、聴覚障害教育の充実を図る観点から、推進構想を適切に推進してまいりたいというふうに考えてございます。

○執印委員 生徒や保護者の皆さんからの希望もあるようですので、できる限り早い段階に構想を進めていただきたいと思います。特に、杉並の幼児期から高校までの一貫教育というのが待ち望まれているということですので、ぜひお願いをしたいわけです。
 また一方で、今後の教育の中で、障害のあるお子さんも地域の学校に通えるようにしていくことが非常に大事だというふうに考えております。すぐ目の前に地域の子どもたちが通っている学校があるのに、一時間も一時間半もかけて遠くの学校へ通わない限り、自分の特徴や個性に合った教育が受けられないということについて、私はいつも胸が痛むわけなんです。
 バスで通うお子さんは、危ないから、車いすの方ですと、一度、車いすが動かないように固定すると、ずっとそのままの形で学校まで行かなければならないというようなことも聞いておりますので、そういった意味では、私たちがつくり上げてきた社会の責任だなというふうに思っております。
 実際に、聾学校に通っていらっしゃるお子さんの保護者の方にお話を伺いましても、地域の学校に通うと--要するに、社会全体が障害のあるお子さんを受け入れる体制、それは大人の側もそうなんですけれども、そういう考え方ですとか視点がきちっとないために、非常に通いにくいということがあって、同じようなお子さんがおられる学校を選ぶということが現実としてはあるようなんですけれども、そのことも含めて、まだまだ私たち自身の考え方がきちんとなっていない、そのことが今、私たちは問われているんだというふうに思っております。
 片方でこういった計画を進めるということもありますし、非常に難しい問題だと思いますし、時間がかかると思いますが、今、世界の教育の流れというのは、インクルージョン、障害があるといわれているお子さんも、それから普通児といわれているお子さんも、一緒に学ぶという方向になっていると思いますので、ぜひこういったことを視野に入れていただきながら仕事を進めていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

○後藤委員 百九十九号議案についてお尋ねします。
 ここでは、管理職の方たちの給料を四%カットするというふうになっていますけれども、減額の理由なんですが、とりあえず、二年前に何で減額をしようというふうになったのかお尋ねします。

○中村人事部長 二年前の財政状況が赤字転落寸前、起債制限団体にもなりかねないと、こういう非常な財政危機でございまして、まず内部努力から始めようということで、四%カットを始めたところでございます。

○後藤委員 中村部長の見解で結構なんですが、例えば二年前と現在と比べましたらば、どちらが悪くなっていますか。

○中村人事部長 先ほど申し上げましたように、いろんな見方はあるかと思いますけれども、社会的には、戦後最悪の失業率の時代、あるいは企業倒産がどんどんふえているということで、社会的な厳しさは当時よりは進んでいると思います。
 片一方で都財政の状況ですけれども、これは私、財政部門から離れておりますので、よくわかりませんけれども、厳しいことは相変わらず厳しいというふうに思います。

○後藤委員 今回の百九十九号議案に関しましては、管理職の方たちだけですけれども、四%という数字は二年前の数字だと思うんですが、例えば中村部長も今おっしゃったように、二年前と比べても、現在の方が悪いんじゃないかというふうに思われているという趣旨ではなかったかと思うんですけれども、何で今度四%なんですか。仮に皆さんがもっと悪いというふうに判断なさっていたらば、例えば五%だとか六%というふうなことは考えられなかったんですか。

○中村人事部長 先ほどご説明いたしましたように、都労連との交渉は副知事が一括して処理しておりますので、私どもがこの問題について云々する立場にはございません。ご容赦いただきたいと思います。

○後藤委員 そうしましたら、例えば知事部局と教育庁の職員の比率はどのぐらいですか。

○中村人事部長 一般会計に占める我々教育庁の職員は、人数的に約四割でございます。

○後藤委員 ストライキをやるとかやらないとかというふうな話で、組合の方たちが庁内で集まりを持たれていたのを私は見たんですけれども、例えば教育関係の組合の方たちというのは、今回の四%のことに関しまして、ストライキをやるとかやらないとか、団体交渉とかというふうなことはやられたんですか。

○中村人事部長 教職員の組合も都労連に参加しておりますので、都労連方針のもとに行動しております。

○後藤委員 今、都労連に参加なさっているというふうにいわれたんですけれども、ならば、現在の民間の景気というのは、本当にすごく悪くなっているということは、私も小さな店をやっているのでわかるんですけれども、例えば学校の先生ですとか、こういうふうな教育の関係をなさっている方たちの影響というのは、ちまたでも結構影響力があると思うんですけれども、学校の先生たちが民間とはここまでかけ離れた考えを持っていらっしゃるのかというので、非常に驚いたんですが、学校の先生たちは、危機的な財政状況に陥っているというふうな認識は皆さんお持ちなんでしょうか。

○中村人事部長 学校の先生方は当然新聞も読みますし、組合からの情報もありますし、もちろん我々からの情報も十分に達していると思います。

○後藤委員 とりあえず今回の条例に関しましては、ほかの会派の方もおっしゃっていたんですけれども、もうちょっと考えていただきたいと思います。

○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○東委員長 次に、主任制度に関する中間のまとめについての報告事項に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○遠藤委員 我が党が一般質問でも取り上げたとおりでございますけれども、現在、教育委員会が検討している主幹制度に関しまして幾つか質問させていただきます。
 教育は国家百年の計といわれていますように、これからの日本の将来は、ひとえに次代を担う子どもたちの教育にかかっているといっても、決して過言ではないと思います。
 しかしながら、現在、学校においては、いじめ、不登校あるいは学級崩壊、およそ子どもたちが安心して学校生活が送れるような状況にはない。そもそもこれは教える側の教師の、もう長年いわれておりますけれども、私も何度か質問しておりますが、教師の質の低下といいますか、そういったところにほかならないと私は考えております。
 特に、児童生徒を掌握できない指導力不足の教員、あるいは不祥事を起こす不適格な教員などの存在が、現在の学校に対する不信感を一層助長させているといえると思っています。さらに、学校や地域の教育力が低下して、昨今、子育ての放棄や児童虐待など、残念な状況が続いているわけであります。
 これらは、我慢をすることや人に対する思いやり、あるいはまた人を思いやる心、そういったものを大切にしてこなかった今日の教育に大きな原因があるのではないかというふうに私は考えております。このような、子どもたちを取り囲む教育環境を思うときに、日本の教育は将来どうなってしまうのかと、一国民としても、これ表現が難しいんですけれども、気持ちが非常に暗くなるといいますか、重くなるといいますか、そんなような状況であります。来年から新学習指導要領が完全実施されるわけでありますけれども、このような状況で、果たして期待される効果があらわれるのかどうか、大変心配をしているところであります。
 先日発表されました主任制度に関する中間まとめ、これを読んでみましたけれども、その趣旨は、要するに校長の責任の下に教職員が組織的に教育活動を展開し、さきに述べましたように、学校教育を中心とする教育の現状の改革を目指すところにあるというふうに私は受けとめているところであります。
 そこで、なぜ今この時期に学校組織に主幹という新たな職が必要なのか、まずお伺いいたします。

○中村人事部長 遠藤理事ご指摘のとおり、学校には、残念ながら、いじめ、不登校、暴力を初めとしまして、最近では携帯電話の普及に伴います問題行動、こんなことなどさまざまな課題が山積しております。保護者や地域の方々は、こうした教育課題の解決に向けて学校が積極的に取り組むことを当然期待されているだろうというふうに思います。
 しかし、現在の学校には、このような課題に対して組織的に対応できる体制が十分整っているとは、残念ながらいえない状況にございます。少なからず校長先生のリーダーシップあるいは教職員個々の能力に期待しているという面が見られるのが現状でございます。このために、学校に監督権限を持ちます主幹を設置しまして、組織として機能させることにより、学校全体の教育力を高めていくということにしたものでございます。

○遠藤委員 人事部長の答弁の中で、学校が課題に対して組織的に対応するという発言がありましたけれども、組織的な対応というのは具体的にどういうことなのか、教えていただきたいと思います。

○中村人事部長 主幹は、校長の学校経営方針を下に伝えるというばかりではなくて、この主幹を導入することによりまして、教職員一人一人、現場の先生方一人一人の思いを学校運営に一層反映させることが可能になるというふうに考えております。このことによりまして、子どもたちの教育が一層充実し、保護者からの期待に十分こたえられる、そんな学校を創造することができるというふうに考えております。一部に管理強化とか上意下達だとかというふうなご批判もありますけれども、決してそういうものではございません。

○遠藤委員 主幹制度の導入の必要性については、それなりに理解します。それでは、この制度が導入されることによりまして、先ほど私が述べましたような、職員の資質の向上にどのような効果があるのか、お伺いいたします。

○中村人事部長 主幹が各教員の職務状況を的確に把握できることになりますことから、指導に行き詰まりを感じている教員などが早期に発見できること、それから、その教員の実情に応じた対応が可能になります。また、主幹は人材育成の役割を担うことから、学校におけます職場内研修、この体制が確立されます。教員を計画的に育成することが今後は可能になるというふうに考えております。このことから、結果として子どもたちの教育環境が向上し、より質の高い教育を提供できることになるというふうに考えております。

○遠藤委員 このような主幹制度を導入した学校運営組織をつくったにしても、指導力不足の教員や不適格な教員がすぐなくなるわけではないわけでありますし、その組織が十分機能しなければ何の意味もない。答弁にあったような成果が上がるように、しっかりとひとつ頑張っていただきたいと思います。
 また、このたび法律が改正されまして、不適格な教員を転職させる制度があるようでありますけれども、いずれにしても、問題のある教員は、子ども、保護者にしてみれば、いい迷惑であるというふうに思っています。厳しいいい方をすれば、子どもは被害者といっても決して過言ではない。
 そこで、次に不適格な教員について幾つか質問をさせていただきます。
 指導力が不足するなど不適格な教員を、これは余りいい言葉ではないかもしれませんが、たらい回しにしているような実態があるのではないかと思いますが、その辺はいかがですか。

○中村人事部長 指導力に問題がある教員につきましては、人事考課制度を踏まえ、校長が問題点を指摘しまして、校長の指導のもとに改善を促すことを基本としております。校長が適切な指導を行いましてもなお改善されない場合、この場合につきましては、指導力不足等教員として決定しまして、指導力ステップアップ研修の受講を命じまして改善を図るよう指導しております。
 教員を異動するに当たりましては、必ず業績評価の確認を行っております。指導力に問題のある教員に対しましては、十分な指導をせず安易に異動させることのないよう、今後とも校長を指導してまいります。

○遠藤委員 教育委員会は校長をただ指導するだけではなくて、教育委員会としてもしっかりとその辺を把握していただきたいと思います。
 指導力不足教員についてはわかりましたけれども、不祥事を起こすような不適格な教員とはどのような教員をいうのか、また、その教員に対してはどのような対応をしているのか、お尋ねいたします。

○中村人事部長 教員の不祥事につきましては、非行の程度に応じて厳格に懲戒処分を行っております。懲戒処分を行った者に対しましては、非行の種類に応じた再発防止の研修を実施しまして、教育公務員としての自覚を促し、自己啓発に努め、モラルの向上を図るとともに、監督責任者であります管理職に対しましても、事故を招いた原因を究明し、自覚を促す機会としております。
 不祥事の防止を徹底するために、主な非行事例について懲戒処分の基準を示しておりまして、さらに懲戒処分等を全件公表しております。よく新聞等でごらんになるかと思いますけれども、公表をしております。

○遠藤委員 いずれにしても、社会から批判されるような問題のある教員に対する厳しい措置は当然でありますが、同時に、部下の育成を十分できなかった学校のトップである校長に対しても、私は厳しい指導をしっかりとする必要があると考えております。教育委員会はこれからも校長に対しても十分指導していただきたい、このように思います。
 それから、教育委員会は、問題のある教員に対して今後どう対応していくかについてはわかりましたけれども、こういったことを必ず実行していただきたい。事故を招いた原因の究明、あるいは自覚を促す機会とか、処分を公表するといっておりますけれども、これは毅然とした姿勢でしっかりと実行していただきたい、このことを強くお願いしておきます。
 さきに述べましたように、すべての教員にこのような問題があるというふうには私は決して思っておりません。私も、多くの先生が本当に涙ぐましい努力をして救い上げたといいますか、そういった例を知っておりますけれども、大変努力している先生もいるわけであります。
 十二月六日の朝日新聞にも、これは皆さんも見たと思いますが、都立高校の教員が予備校で教え方を学ぶ、そのための研修に行ったということを見ましたが、塾から研修を受けることの恥ずかしさとか情けなさ、こういうことを胸に秘めながらも、生徒のために、指導力の向上のために、努力をされた、あるいは参加された先生のお気持ちは、いかばかりかというふうに私は思いますし、この勇気といいますか、それに対して、私は敬意を表するといっても決していい過ぎではないと思います。こうした先生がどんどんふえて、都立高校が一層都民から信頼される学校になることを願っているわけであります。
 また、十一月の十七、十八日に、NHKで九時から「学校を変える、問われる教師の力」という番組を放映されておりました。これも私はじっくりと見させていただきました。
 そこで、一つ例を挙げますと、百ます計算を取り上げた授業風景が紹介されておりました。その計算方法がなかなか子どもさんが理解できない。テレビで見たときは若い先生に映りましたけれども、なかなかうまく教えられない。今の先生というのは、昔もそうだったかもしれませんけれども、能力とかそういうものはありますが、教え方がなかなかできないんですね。要するに座学で得たものだけだから教え方ができない。これは典型的な例だというふうに私は見ましたけれども、それで、職員室に戻って先輩の先生に相談をしている、それが画面に出ていたんです。それで、その先生が女性教師の教室に入って教えたところ、本当にするっと子どもさんが理解できたということであります。これは事実、テレビでやっていたんですから。そういうふうに、若い先生が先輩の先生に相談して、すばらしい成果があらわれたことを見たわけであります。
 これは中学校の先生でありましたけれども、これからも小学校、中学校の先生においても、従来の教育方法といいますか、そういうものに安住することなく、新たな時代の要請にこたえる学校教育の創造に邁進していただきたいということを強く願うものであります。
 要は、まず問題のある教員を排除することが大切であります。このことによって、熱心に教育活動に取り組んでいる教師のモラールを高め、学校教育に対する社会の信頼を回復することにつながるというふうに私は信じるのであります。悪貨は良貨を駆逐するということわざがありますが、一部の心ない教員によって、学校教育は社会の厳しい目にさらされているわけであります。主幹制度の導入は、こうした問題教諭の減少にも効果があらわれるのではないかというふうに私は期待をしております。
 来年から新しい学習指導要領が全面実施されます。総合的な学習の時間が始まりますが、そこでは、これまで以上に教師の創造力あるいは指導力が求められているわけであります。総合的な学習の時間の特色というのは、教科書のない授業、マニュアルがない、そこで教師の人まねといいますか、人のいいところをまねることはいいんですけれども、創造力が問われるわけであります。子どもたちにいかに興味を持たせ、子どもの持っている力をさらに伸ばしていくことができるかの力量が、今まで以上に教師に求められているというふうに私は思っています。私の第三回の定例会の一般質問の中でも、教師の社会体験の必要性を強調しましたけれども、そのことはまさにこの辺にあったわけであります。
 いうまでもなく、総合的な学習の時間は、さきにも述べましたように、学校の独自性、先生の創造力によってこそ可能となるわけであります。座学だけで得た知識では、先ほどいいましたように、まさに真の力とはいえないのであります。
 いよいよ学校が選ばれる時代に来ております。教育は何でも平等の時代から競争の時代、また、教師も選ばれる時代が間もなく来るであろうというふうに思っております。今までのように、ほかの先生のやっていることに口を出さないとか、お互いに干渉しないなどといっている時代ではない、もうおしまいだというふうに思っています。ましてや総合的な学習の時間となればなおさらであります。お互いの教師が協調し合い、学習を展開しなければ、学校による格差が出るばかり、国民から信頼を失い、国際競争にもついていけなくなってしまう、こういうふうに思っています。
 教育は人なりという言葉がございます。今日、これほど教師の指導力が問われ、あるいは求められている時代はない。この原因は、さきにも触れましたけれども、教育者としての自覚、適性の問題でもあると思います。指導力の向上に向けて教育委員会が対応していくことが、とりもなおさず大変必要であります。
 そこでお伺いしますが、総合的な学習の時間は、各学校で創意工夫することが大切であると聞いておりますけれども、教育委員会は今日までどのような対応をしてきたのか、また、総合的な学習の時間に対応するため、教師に対して特別な指導、研修がなされてきたのか、お伺いをいたします。

○斎藤指導部長 総合的な学習の時間につきましては、今、遠藤理事がおっしゃったように、地域、学校、子どもの実態等に応じて、各学校で創意工夫を生かした教育活動を行うことでございます。一人一人の子どもの問題解決能力を高め、生き方について学ぶ時間でございます。
 都教育委員会は、平成十年の学習指導要領の告示以来、教員で構成いたします教育研究委員会あるいは研究開発委員会などにおきまして、総合的な学習の時間の指導方法、あるいは指導内容の研究開発を進めるとともに、教職員研修センターでは、キャリアアップ研修、これは三部ございまして、一部、二部、三部におきまして、小中高等学校教員を対象に総合的な学習の時間にかかわる講座を設けまして、教員の指導力の向上を図ってまいりました。
 また、学校の独自性や創造性を生かした取り組みを支援するための指導資料を作成、配布したり、あるいは都内全校対象の教育課程説明会等におきまして、この総合的な学習の時間の趣旨の徹底を図ったり、あるいは学校訪問において、指導主事が校内研修の活性化に向けて支援をする、あるいは指導助言するなど、教師の指導力の向上を図ってまいりました。

○遠藤委員 答弁の趣旨はわかりましたけれども、私は、その成果が今日どのくらい上がっているかは、率直に疑問に思っているところであります。総合的な学習の時間を実りあるものにするためには、地域の教育力を生かしていくことであるというふうに考えますし、またそれが必要であると思っています。今日、文部科学省においても地域の教材を生かす方向に向かっていると聞いております。このことは、総合的な学習の時間をより充実させるための大きな機会になるというふうに考えます。
 しかし、今日、これも長くいい古されたことでありますけれども、家庭、地域、学校、それぞれが不信感を持っている状況では、その役割は果たし切れないのではないかというふうに私は思っています。この三者の信頼をいかに回復するのか、その基本的な認識についてお伺いいたします。あわせて、今日までどのような努力をしてきたかについてもお伺いをいたします。

○嶋津生涯学習部長 家庭、地域、学校の三者間の信頼関係をどういうぐあいに築いていくかということでございますが、それぞれが子どもたちの教育に対する責任を自覚し、お互いが協働して地域全体で子どもを育成していくという視点が重要であると認識してございます。
 また、これまでの実績でございますが、東京都の教育委員会といたしましては、トライ・アンド・チャレンジキャンペーンにおいて、特に学校と地域の連携による子どもたちの体験活動への支援に取り組むこと、あるいは都立学校公開講座で親子の触れ合いを目的といたしました子ども教室等を実施するなどして、家庭、地域、学校の協働に向けた取り組みを進めてまいったつもりでございます。

○遠藤委員 この問題は本当に長年の課題でありますけれども、今日になっても、答弁にあったように努力はされているということでございますが、私の目には、なかなかそういったものが映ってこない。なお一層の努力をお願いしておきます。
 それでは、三者の協働をさらに進めていく上でどのような方策が必要であると考えているのか。私は、とりわけお互いを取り持つコーディネーターの役割が必要であると思いますけれども、この点についてお伺いいたします。

○嶋津生涯学習部長 三者の協働につきましては、私ども教育委員会といたしまして、家庭、地域、学校が協働して、地域全体として教育力を向上させていくような仕組みづくりが大切であるというぐあいに考えてございます。
 お話のように、その仕組みにつきまして、地域の中でさまざまな団体間の連絡調整や情報の収集、提供などを担うコーディネーター的な役割を持った人材の存在が大変大事ではないかというぐあいにも認識してございます。今回導入を図ります主幹制度につきましては、学校と家庭、地域を結びつけるコーディネーターの、まさにその機能を充実させるという意味におきまして、大変期待を申し上げているところでございます。

○遠藤委員 コーディネーター役は非常に重要だという認識をされておりますから、しっかりと頑張っていただきたい。私は、これは非常に重要な役割というか、仕事だというふうに思っております。繰り返しになりますけれども、これからの教育というのは、やはりこういった三者の協働あるいは信頼関係がなければ、なかなか信頼される教育あるいは学校経営がなっていかないと思いますので、しっかりとひとつ頑張っていただきたいというふうに思っています。
 以上、主幹制度に伴って幾つか質問させていただきましたけれども、いずれにいたしましても、主幹制度の導入によって、総合的な学習の時間等が有効に機能して、今日の学校教育の現状が改善され、学校が社会の信頼を得る大きな原動力になることを私は大きく期待しております。
 私は常々、教育というのはすべての原点であるというふうに考えております。そこで最後に、東京の教育の最高責任者である横山教育長に、今日、大きく変わろうとしている教育に取り組む決意をお聞かせいただきまして、質問を終わらせていただきます。

○横山教育長 私も常々、教育の主役といいますのは、当然のことながら子どもたちでございまして、昨今、いろいろ指摘されております教育をめぐるいろんな問題に対する対応といいますのは、先ほど先生もご指摘されましたけれども、やはり子どもたちがある意味では被害をこうむっていると、こうした視点に立って考えるべきだと思っております。
 今回の主幹制度の導入につきましては、学校側が校長の指導と責任のもとに、教職員が生き生きと意欲的に教育活動を組織的に展開する、これを目的としたものでございまして、そうした学校組織をつくり上げることによりまして、教育の主体でございます子どもたちに、学習指導要領でねらいとしております生きる力を確実に身につけさせることができるものと考えております。
 私ども教育行政を担う者としまして、これからの東京、ひいては日本をやがて担っていくのは、これは紛れもなく現在学校で勉強している子どもたちでございまして、その子どもたちの教育環境にもし問題ありとするならば、これは一区市町村あるいは一都道府県の問題ではなくて、まさに国家的な課題として対応すべきであると、こういう基本的な認識に立ちまして、今後とも教育改革に万全を尽くす所存でございます。

○和田委員 主任制度に関する中間のまとめに関連してお伺いいたします。
 ここでは、主任制度に関する中間のまとめということで、私ども報告いただいておりますが、ストレートに主幹制度とはもとよりうたっていません。
 そこで、主任制度というのは、昭和四十六年の中教審答申を受けて、五十年十二月の学校教育法の施行規則を改正することによって誕生した制度であるということはわかります。ただ、昭和四十六年の中教審の答申は時代背景を受けてなされたわけでありますが、どういう時代背景から中教審答申はなされてきたのか、また、その中身についてはどういうふうにお考えでしょうか。

○中村人事部長 当時のさまざまな制度改革の中で、教育の問題について大きく取り上げられまして、お話のように、昭和四十六年六月の中央教育審議会の答申におきまして、学校が校長の指導と責任のもとに、生き生きとした教育活動を組織的にできるよう、校務を分担する必要な職制として主任制を導入すべきだということがまず提言されました。

○和田委員 学校長の指導と責任のもとで校務分担をする必要な職制を定めるということなんですが、学校長が忙しかったりいろいろ、体が一つだというようなこともあったりしますから、それをいろんな職制を分担して担うべきだということだと思うんですが、どういう主任がそのとき考えられていたんでしょうか。

○中村人事部長 学校の種類、それから規模、それぞれの職務の性格に応じまして、校長を助けて校務を分担する教頭以下が当時考えられた主任ですけれども、教務主任、学年主任、教科主任、生活指導主任など、管理上、指導上の職制を確立しなければならないというふうに考えられておりました。

○和田委員 そういうふうに四十六年の中教審は理念的に考えたわけですが、それを四年たった昭和五十年に学校教育法の施行規則を改正して、具体的に学校現場におろすということになりました。
 さてそこで、今回、主任制度にかわってといっていいと思うんですが、このまとめによると、主幹を置いたらいいんじゃないかということになりました。「幹」と「任」を入れかえて、「任」から「幹」に変えても、どういうふうに変化があるのかなというふうに私ども門外漢は思うんですが、主任の欠点といいましょうか、機能不全があるがゆえに主幹ということを東京都は考えたと思うんですが、東京都レベルで、東京都の中で、主任はこういうことだからとても機能できていない、したがって新しい制度をつくるべきだという結論があって、今回の中間のまとめにそれがあると思うんですが、具体的にどういう主任制度における機能不全があったので、新しい思考が出されたんでしょうか。

○中村人事部長 これは昭和五十年、東京都の場合は五十三年にやっと主任制度が発足しましたけれども、発足当初の経過から、当初考えられていた主任は、文部省は監督権限を持つという考えだったんですけれども、国会等の審議の結果、監督権限は持たない、連絡調整に当たるというふうな、いわば役割がやわらかくなったというか、低くなったといいますか、そういう経過があり、それから、その間、組合活動等もございまして、ストもありまして、中間管理職ではないということ。それから、当然のことながら、すべての教員がなるべく経験した方がいいという文部大臣見解が出るというふうなことがございまして、現在の主任制度が始まったわけですけれども、結果的に、一年交代で主任が交代するというふうなところもありまして、指導するといわれながら、ことしは指導するけど来年は指導されるというふうな、お互いに自覚できないような制度になってしまったということ、職として設置していないということがそういうことなんですけれども。
 それから、一つは、主任手当といって一日二百円の手当が出ておりますけれども、これは一部組合の方に拠出するとか、いわば形骸化されておって、本来考えられておる主任としてなかなか機能していないという実態がございます。
 私どもも、主任制度を定着させるために、発令方式を変えたり、いろんな仕組み改正をやってまいりましたけれども、やはりそれだけではだめなんだということで、今回、主任に欠けている職として位置づける、それから、給料もちゃんとした給料表として位置づけるというふうな大幅な見直しをすることによって、主任制度は国制度でございますので、これは変えられませんけれども、新たに東京都独自に全国に先駆けて主幹という制度をつくりまして、この主幹をして一部重要な主任を兼務させるというふうなことにしたものでございます。

○和田委員 質問しようとすることまで先にお答えいただいたので……。要するに主任制度は、中間管理職か、あるいは指導調整職であるかというようないろんな議論があったり何かしましたけれども、中間管理職じゃないんだよということで、当初、中教審なり、あるいは学校教育法の施行規則などが考えていたようなことからずっと後退して、四十六年、五十年、東京都は五十三年から導入するわけですが、その時間の流れとともに形骸化して、一日二百円を一年ごとに交代で、輪番制のように先生方が受け取り役をぐるぐる回していくということで、ことしは主任だから少し指導的な立場だけど、来年は指導される立場におりることが明白でありますから、当然、そこに役割的な勢いなり、あるいは資格的な意欲なりというものがなくなってきて、通り一遍の主任ということの存在が広がってきてしまったんだろうと思うんです。
 さてそこで、今回、主任の「任」から「幹」に変えることによって、今、先に答弁というのはそこなんですけれども、手当とすると、具体的に一日二百円だったものがどういうふうになるのか。
 それから、今、答弁されてしまったんですが、東京都の主幹と国の主任と、法律的な問題を含めて障害はないのかどうか、お尋ねをいたします。

○中村人事部長 今回の主幹に考えておりますのは、手当ではなくて、本俸で給料に組み入れて主幹級を位置づけようというふうに考えております。給料をいかほどにするかというのは人事委員会の権限でございまして、人事委員会の勧告を待たないと、我々は何とも積算のしようもございません。
 それから、主任と主幹と変わるというのか、主任は主任で今後も、国制度ですから、存続します。主幹を置くことによりまして、まず主任にはなかった監督権限を持たせたい、それから職として位置づけたい、それから彼らに後輩の能力育成をしてもらいたい、それから給料表に位置づけたいということで、主任と主幹の大きな違いはその点でございます。

○和田委員 そうすると、機能しているかしていないかは別にして、国レベルの主任と東京都が新設をする主幹が同じ教員の中に併存するわけですよね。
 私は、例えば東京都が考えている主幹と主任が兼職するということならば、国も都も一人で調節つくんだけれども、私は国から依頼された主任、私は東京都から任されている主幹というふうに、二つが併存した場合どういうふうな形になるんですか。

○中村人事部長 主任の任命もあくまで東京都教育委員会が任命しておりますので、主幹も主任も東京都教育委員会の任命という点では変わりはございません。
 それから、主任の場合は、例えば生活指導主任とか進路指導主任とかおりますけれども、それぞれ何人かの先生が生活指導に当たることになるうちのリーダーが主任でございます。主幹はそれの上位に立ちまして、複数の生活指導だとか教務だとかいろんな主任がおるわけですけれども、その主任たちの仕事がうまくいくようにコーディネートする、あるいは校長からの指揮命令を伝える、それから、それぞれの所管の分掌事務を行っている主任たちが問題があればそれを吸い上げる、あるいは課題を発見させる、こういうふうな主任の上のリーダーで、教頭、校長を助ける立場、補助する立場、こんなふうにお考えいただければいいと思います。

○和田委員 それは難しいと思うんです。主任が機能不全だったから主幹を設けるわけですよね。この主幹という人に、今申し上げた権限、監督権を与えるということもわかるんだけれども、私はそこで思うのは、かつて私も文教委員会のときにかかわったんですが、人事考課制度を導入しました。この是非論はともかくとして導入されて、私どもは賛成して導入してもらったわけでありますが、この人事考課制度などが、今回の主任、主幹、特に主幹制度の動かし方の中でどういうふうに具体的にかかわってくるんでしょうか。

○中村人事部長 これは、今、最終報告に向けまして、主幹をどうやって選ぶのか、その試験の方法あるいは任用の方法等を検討しておりますけれども、これは当然、東京都教育委員会が主幹の選考を行うことになります。したがって、その中では人事考課制度をフルに活用しまして、過去の業績等も、主幹になるのにふさわしいかどうか、それも重要な要素として加味していきたいというふうに考えております。

○和田委員 決して屋上屋だと私は思っていません。ただ、さきに中村さんお話しのとおり、主任制度がこういう経過の中で、四十六年から最近までの間の中で、東京都においては少なくとも不満足な形であった、それを補完する形で主幹が入っていくんだよということのきちっとした総括というんでしょうか、そのことのプラス・マイナスを評価あるいは自己自戒した上で次につなげていきませんと、主任制度だって、昭和四十六年に導入したときに、私も覚えていますが、やっぱり現行がだめだから入れようよというふうにして入れた、だけどそれが今日になってみて、東京都の評価では役に立っていない、したがって主幹を導入しようということで、いろんな制度が出てくるけれども、それがしっかり機能してきたのかしてこなかったのか、してこなければ、どういうところを改善して新しい制度をそこに注入するのかということが、この中間まとめでは少しは書いてありますけれども、そういうことが、文言だけじゃなくて、現場の先生や、対象となるであろう主幹候補だとか主任候補の方々に自覚されない限り、幾らレポートをきれいに書いて、我々に見せてもらって、都民に知らせても、学校現場の中にそれが浸透していかない限りは、私は、主任、主幹、また新しい何か、わかりませんけど出してきても、全く子どもたちには響いていかないだろうと思っているんです。
 そこで、今、一般的に--主幹制度あるいは主任制度のことに触れましたけれども、ちょっと話は変わりますが、東京都の小学生とか、東京都の中学生とか、東京都の高校生とかというようなイメージを、中村人事部長はどういうふうにとらえていらっしゃいますか。

○中村人事部長 これは東京都だけなのか、あるいは日本全国にわたってしまうのか、こういう都会の中で育っている子どもたちに生きる力を与えていくというのは、まさに先生、それから家庭、地域が一丸となって当たっていかないと、子どもは結局、今ある現状に甘んじてしまうということになる。これは日本の将来あるいは地球の将来にとって非常に残念なことでございますので、これはまさに学校、地域、家庭が一丸となってやっていかなければならない。それで、現実に子どもと接触する時間が一番ないのは、結果的には今先生になっておりますので、ぜひ教員の方々には頑張ってもらいたい、こういうふうに考えております。

○和田委員 今、中村さんは、都会の中の小学生、中学生、高校生ということだったんだけれども、私は、このように情報化社会になってくると、東京だけの小学生、中学生、高校生はこうだよと特徴づけられないかもしれないんですが、ただ、東京都の教育委員会がかかわる小学生、中学生、高校生という、ほかの、北海道とは違う、九州の子どもたちとは違う、そういう何かを子どもたちが身につけていってこそ、東京都が独自に導入しようとしている主幹であり、全国的に導入してきている主任の生かし方が子どもたちに反映されて初めて効果があったと思うんです。
 それを、先生方や組合の顔色ばっかり見ていて、そこへだけ焦点を合わせることによって、だんだん換骨奪胎されて、制度が制度としてなくなってしまうというようなことになって、最終的に子どもたちがそのツケを背負うというようなことになってきたのが、今日までの東京都の教育の一つの欠陥ではないかと思うんです。
 したがって、自信を持って導入するのであれば導入する、しかしその結果は教育庁が責任をとるというような形で、制度の導入に当たって、検討に当たっても、それこそ子どもの一生涯を左右するという、そういう視点でこの主幹制度を考えていかなければならないというふうに私どもは考えてきているところです。
 さて、主幹制度が導入されることによって、いいことづくめのように、今、中村さんはおっしゃっていたんですが、不安材料はないんですか。

○中村人事部長 まだ最終報告に向けて検討中でございますので、今のところ、これは私としては不安材料はないような最終答申をつくり、実施していきたいというふうに考えております。

○和田委員 意欲的に中間のまとめから最終報告まで努力している人に酷な質問だったかもしれないんですが、しかし制度というのは、先ほどいった主任だって、そのときにはよかれと思って導入したんですよ、くどいんですけれども。しかし、やっぱりだめだったかなというので、今度主幹になったり、東京都のレベルはそうなっている。
 だから、パーフェクトのものはないということを前提にしながらも、常に対象となる児童生徒が、今、どういうふうに東京都の教育の制度の中で遇せられているのか、待遇されているのか、指導されているのか、この視点をしっかり忘れずに、中間まとめ以降、最終まとめに向けて、今、努力されていると思うんですが、鋭意努力をしていただきたいということを要望して、私は終わります。

○野上委員 では、教育は児童生徒、子どもたち一人一人の幸せのためにあるという、そういう認識に立って発言させていただきたいと思います。
 今の学校教育の抱えている課題、たくさんございます。いじめとか不登校とか学級崩壊など、さまざまな課題がございますけれども、この主幹制度を導入することによって、これらの課題がよい方向に本当に行くのかどうか、いろいろな問題点を解決できるのかどうかという観点に立って質問をしていきたいと思っております。
 まず、先ほど和田委員からの質問と、それから遠藤理事からの質問とちょっとダブったりするので、削除させていただきながら発言したいと思うんですけれども、主任手当が一日二百円出されているという経過がありました。例えばこの十二月でいうと、先生たちが通ってくる日数、十八日ぐらいありますので、二百掛ける十八ぐらいが主任手当として出されるわけなんですけれども、大体月額五千円ぐらいになると思います。夏季休業中は出勤した日数掛ける二百なので、全く出勤しなければゼロ円という形になるんですね。
 私も、教育業務連絡指導手当を毎月書いていましたので、先生が何日出勤して、幾ら払えるかというのを、事務をやっていたものでよくわかっているんですけれども、現行の主任手当が支給されていますが、一部職員団体へ拠出されているということをよくお聞きします。その拠出の総額は一体どれぐらいになって、それがどのように使われているのか、ちょっとお知らせいただければと思います。

○中村人事部長 平成十二年度、私どもが先生方にお支払いしました、いわゆる主任手当は、総額でおよそ五億八千五百万円でございます。
 職員団体への主任手当の拠出状況ですけれども、実は確認する手段はありませんが、職員団体への加入率などをもとにして、従前の方法で試算しますと、平成十二年度に支給された主任手当総額の約三割程度が拠出されているのかなということでいきますと、一億七千万円程度になろうかと思います。
 この使い道ですけれども、各団体によりまちまちだと思うんですが、我々が知っている範囲内でいきますと、東京都教育委員会に主任手当を返すというふうな行動に出た先生もいらっしゃいます。これは当然、受け取り拒否しております。あるいは、それぞれの団体で映画会あるいは教育相談活動等の事業に使うと、こんな例も見られるようでございます。

○野上委員 そういう実態をお伺いいたしますと、主任手当はあくまでも個人の職務に対しての特殊勤務手当だという形で出されているわけですけれども、かなり趣旨を逸脱して、適正に支給されていないような現実があるのではないかと思っております。
 また、現行の主任制度に対しましては、教職員側で順番を決めて、あなたはことし教務主任、来年はあなたというふうに、主任の選出方法なんですけれども、順番で決めているような学校もあって、例えば教務主任をする人が教育計画を立てなくちゃいけない、時間割を組まなくちゃいけないという、五月になってもなかなか時間割も組めないというような現実があって、学校が混乱したというような事例もお聞きいたしました。
 やっぱり力のある教務主任というんですか、本当に学校をきちんと経営していけるような主任が、処理能力などもしっかり備えた主任が選ばれますと、学校も大変スムーズに運営していくわけですけれども、そういったことが全くできないような教務主任とかが選ばれてしまうと、その職務は一体だれにいくかというと、大体が教頭が兼務して、全部つくっていったりするようになるわけです。
 そういった意味で、現行の主任制度が教職員の互選とかによって選ばれてしまって、今一番大事な校長のリーダーシップが思うように発揮できないという実態があると聞くんですけれども、そのことについてお伺いしたいと思います。

○中村人事部長 お話のように、残念ながら、主任を単なる校務分掌の一つにすぎないとしまして、一年ごとに教職員の間で互選をしまして決定している学校もあります。このために、必ずしも主任の職務を遂行できる資質能力を備えた者が選ばれるという保証はございません。校長の意思を各教諭に十分浸透させていないなど、校長の学校経営に支障を来している例も見られる状況でございます。

○野上委員 そうなりますと、私が本当に心配しているのは、主任制度同様に、現行の校長のリーダーシップが発揮されてうまくいっている学校は、多分、主幹制度を導入してもうまくやっていけるだろう、機能がきちんと成り立っていくだろうと思うんですけれども、現実、校長のリーダーシップが本当に発揮できなくて、現在でも混乱しているようなところは、ますますそれが厳しくなってしまうのではないかなということも考えられると思うんです。
 この中間まとめを読みますと、学校の実態にはかなりな温度差があると思います。小中高という校種別の違いもありますし、また、それぞれの地域によって独自性があると思うんですけれども、その実態についてお話し願えればと思います。

○中村人事部長 先生お話しのように、児童生徒の発達段階の違いから、校種によって教育課題や教職員の意識が異なっております。また、学年の進行に伴い、おおむね学校規模は大きくなりまして、所属教職員あるいは校種ごとの職員団体の影響力も異なります。また、地域による学校運営の差も見られます。また、校種や地域の差にかかわりなく、校長のリーダーシップによっても学校運営の実態は大きく異なっております。この中間まとめをまとめるに当たりましては、こういうさまざまな校種あるいは実態、それをすべてかんがみまして、いわば平均的な姿で中間のまとめをまとめさせていただいております。

○野上委員 主幹制度を導入した後、現在の主任制度が同時並行で行われるわけですけれども、国の制度である主任制度に対して、都教育委員会としては今後どういうふうに進言をしていかれようとしているんでしょうか。

○中村人事部長 従前から国、文部科学省に対しまして、要望といたしまして、都道府県教育長協議会を通じまして、主任制度の抜本的見直し、職として設置してほしい、職務権限を明確化してほしい、それから処遇改善をしてほしいと、この三点を要望してきました。しかしながら、国においては全く動きが見られません。そういうことで、今回、東京都では主幹制度の導入に踏み切ったということでございます。
 今回、都が全国に先駆けまして新たな主幹制度を定着させまして、学校運営組織のあるべき姿を具現化することによりまして、国初めさまざまな関係機関に広く訴えていきたい、こういうふうに考えております。

○野上委員 先ほども意見が出たんですけれども、現行の主任制度の欠点として、適材適所の人材の配置ができないとか、なべぶた組織ですよね。だから、校長、教頭の意向が全教職員に伝わるということがなかなか難しい、反映しにくいということもございますが、別の面を考えますと、開かれた民主制というんですか、だれでも、いつでも自由に物がいえるというところも、確かにこれはあったんですけれども、そういうことも踏まえまして、今のように教育課題がひしめく中で、現場の教員が一人で自分のクラスの問題を抱え込んで、それをだれにも相談できないで、発覚したときには重い事態になっているということが結構多いんですね。
 そういった意味で、導入された主幹制度の主幹の人の役割というのは非常に大きいと思うんですけれども、その人が力があって、学校全体をうまく把握して、教職員を守り立てながら、校長と教頭の連絡をとってという、物すごい力のある方だったらよろしいんですけれども、なかなか現実問題、その人にかなりな負担がかかるのかなというような懸念も私はしておりますが、主幹制度が導入されることによって、そういった状況が改善されるのかどうかをちょっとお聞きしたいと思っております。

○中村人事部長 学校に山積しております課題を迅速、的確に解決するためには、組織としての対応能力を高める必要がございまして、その点から、この主幹の役割は極めて重要であるというふうに考えております。
 従前の主任も同じようなことを期待されておったわけですけれども、しかし、従前の主任は、先生お話しのとおり、教員に何とかをやろうよと指導しても、従ってもらわないと、自分がやるか、自分がやらないと、結局、お話のように教頭先生、校長先生に回っていってしまう、こんなふうな状況にございました。
 これは、主任が職務命令を発するという監督権限も何も持っていないという従前の主任制度から、当然こういうことになるわけですけれども、今回、職務命令といいますか、監督権限を持たせるということがございますので、これに従わないということは命令違反ということになりますので、これをとって管理強化という方もいらっしゃいますけれども、そればかりではなくて、やはりそういう権限を持っている傍ら、いろんな先生のご意見を吸い上げて、フリーなご意見を聞き、それを学校の問題として取り上げていくというふうなことも非常に重要なことでございます。
 したがいまして、この主幹制度が導入されることによりまして、現行の主任制度が多くの限界を持っている中で、新たな学校の主幹として機能していっていただきたいと、こんなふうに考えております。

○野上委員 しつこく繰り返すようですけれども、主任制度が発足して二十五年ですね、約四半世紀といわれて、この主任制度すらなかなかきちんと定着していかないわけですよね。だけれども、主幹制度を東京都全体の子どもたちの教育レベルアップのために定着させるということで、どのような仕組みを考えていらっしゃるのか、これをお聞きしたいと思っております。

○中村人事部長 主任制度の発足には、さまざまな関係団体との議論がありまして、その結果、主任の職務権限に監督権限を付与しない、あるいは指導助言にとどめてしまった、こういった経過がございます。このために主任制度の形骸化を図る口実を与えたことになりまして、学校運営を進めていく上で大きな隘路になっている、定着しないまま今日に至っている状況にございます。
 しかし、主幹制度は、現行の主任制度定着のためにこれまで行ってきた改善にとどまることなく、都教育委員会が学校制度の問題に真正面から取り組みまして、新たな職である主幹に監督権限を付与させた制度でございまして、学校運営組織に定着するものというふうに確信しております。

○野上委員 この中間まとめというのをごらんになった方々からいろいろとお電話とかいただいたりしております。その中で、一番心配していらっしゃる方の意見というのは、校長、教頭、主幹、主任みたいな縦組織ができることによって、教育が右翼化していくのではないかということを一番心配しているというような話をよく聞くんですけれども、一番もとにある理念みたいなものが、私が冒頭にいいました、本当に子どもの幸せのためという、その一点で貫かれていれば安心なんですけれども、そこら辺をとても私は危惧しているところではあります。
 この主幹制度のあり方を理解してもらうためにどのような努力をしていらっしゃるのか、それをお聞きしたいと思います。

○中村人事部長 中間のまとめの報告に至るまでの間、検討委員会を何回も開きましたけども、この検討状況につきまして、会議要旨あるいは資料を逐次ホームページに掲載しております。教育長会あるいは指導室長・課長会、あるいは各区市町村教育委員会に周知徹底、理解を図る。また、各校種の校長会、それから教頭会におきましても説明を行っております。なお、小中高を初めそれぞれのPTA連合会にも説明を行っておりまして、学校運営組織について理解を深めているところでございます。

○野上委員 今お話があったのは、管理職とか、運営をしていく側ですよね。あと、現場の小中高の教員に徹底を図るためにも、PTA連合会もありますけれども、一部の機関に説明しただけでは、私は不十分ではないかと思います。これから検討委員会において最終報告が取りまとめられるわけですけれども、今後さらにこれをどのようにPRしていかれるのか、お聞きしたいと思っております。

○中村人事部長 今後は、教職員のみならず、保護者、それから都民に対しましても、主幹の設置によりまして学校運営が適正に実施されることを積極的に周知し、理解を得たいというふうに考えております。具体的には、さまざまな媒体を利用いたしましてPRすることを検討していきたいと思います。
 なお、当然、教職員に対しましては、引き続き研修などを通しまして周知徹底を図り、制度の円滑な導入と浸透を図っていく予定でございます。

○野上委員 最後になりますけれども、主幹制度に関しましていろいろな問題点があるのではないかと思います。例えば定数との関係ですけれども、現行の教育の教員定数との関係はどうなのかとか、仮にプラスアルファでやるとすれば、高校の場合、教科のバランスはどうなのかとか、それからもう一つは、主幹に合格した人の任期をどう設けるのか、これは給与になるわけですから、とんでもない人が主幹になった場合、その人の降格はあり得るのか、転換はあり得るのか、あるいは主幹にならないと教頭とか校長になっていけないのか。また、高校の場合は、全日制が六名、定時制が一名という差がありますよね。そうなってくると、定時制を希望する人が非常に少なくなるのではないかとか、そういったいろいろな課題があると思います。今、検討中であるということを認識しておりますので、これらのことについてはまた改めて質問したいと思います。
 以上で終わります。

○東委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分程度休憩をいたします。
午後三時四分休憩

午後三時十二分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○曽根委員 それでは、主任制度の見直しに関する中間のまとめについて幾つか質問したいと思います。幾つかダブっているものについては省略して、できるだけ簡潔にやりたいと思います。よろしくお願いします。
 今度、主任制度では限界があるということで、新しい職としての中間管理職制度を設けるということですが、この検討の過程も含めて、いろいろ手間暇かけてここまで、中間のまとめまで持ってきたんだと思うんですが、どうしてもう少し幅広い議論をしてくれなかったのか、もっと学校関係--ここには校長先生なんかは入っていたというふうに聞いていますが、現場の先生方の意見や、場合によっては子どもたちや父母の意見や、我々議会も含めて、もうちょっといろんな意見を聞いて検討すれば、こういう制度の導入という結論にはならなかったんじゃないかという思いがして残念でならないわけなんです。
 それで、その疑問をある程度皆さんにもきちっとただしておきたいなと思って、幾つか質問したいと思うんですが、主幹制度というものを設けて、学校の先生がそれを担うと。先ほど定数の話がありましたが、まとめの中には書いてありませんが、今お聞きするところ、定数は基本的にはふやさない、現定数の中で主幹制度を設けるというふうな方向だと聞いているんです。
 また、では主幹という職になった方はクラス担任を外してもらうような、やっぱりその仕事に専念できる体制になるのかというと、そうもならないようだと。特に小学校なんかは子どもの数が減っていますから、学校にいる先生方のほとんどがクラス担任を持っているわけで、専科の先生は少ないですよね。そうすると多くの場合、やっぱりクラス担任を持っている先生がならざるを得ないんだと思います。自分のクラスを持ちながら、ほかの先生方の指導監督、指導というよりは監督、校長、教頭の補佐と。先ほどの話ではないんですけど、なった人は本当に大変だろうなと。
 私が一番心配なのは、そのことによって、子どもたちに対する教育、学習内容に、いささかでも影響があるようだったら、これは全くの逆効果になる。教師の本分はやっぱり子どもたちを教えることにあるわけなんで、そういう懸念がないのかどうかについて、まずお聞きしておきたいと思います。

○中村人事部長 今回、学校に主幹を置くことによりまして、学校全体の仕事量がふえるわけではございません。仕事のやり方、仕組みを変えようというものでございます。各校務分掌におきます企画立案等は、これまでどおり各校の校務分掌の教員が行うということになります。このことから、主幹に仕事が集中することはなく、授業への影響はないというふうに考えております。

○曽根委員 学校全体の仕事はふえないと、それはちょっと疑問がありますけど、つまり学校全体で何か新たに生み出すというものではない、学校の中の職員関係といいますか、教職員関係の中での調整の中身なんだという意味では、そうだと思います。しかし、学校の中で教員同士がお互いに監督管理される、また、する関係が新たに生まれるわけですから、それに伴う事務は明らかにふえるわけで、減ることは絶対ないと思うんです。
 例えば、ほかの先生方の、先ほど、授業がうまくいかなかったり、いろんな問題が起きる、そのことに対して、ある程度中身も含めて、力を持った先生が主幹になった場合に援助するというようなことが考えられるというふうな話がありましたが、教員一人一人がクラス担任を持っていれば、小学校なんかほとんど、朝から晩までクラスの子どもたちに全責任を持っているわけなので、ほかの先生の授業を見るとか、先生の仕事の仕方、指導の仕方をかいま見るというチャンスは、はっきりいって非常に少ないわけなんです。それから、先生方の悩みを聞く時間というのも、休憩時間のごく短時間以外には持たされていないんですね。主幹になった先生方は一体どこで、そういうことをできる条件があるのか。教頭先生は担任がないから別ですよ。その点はどういうふうに保証されると思っていらっしゃいますか。

○中村人事部長 先生は特に小学校を例に出されましたけれども、小学校は確かにほとんどの先生がクラス担任を持っております。ただ、当然休憩時間だけしかあいていないということではなくて、子どもが帰った後も時間がございますし、それから、専科教員が配置されているところでは専科の時間も、事実上は授業がないということになっております。
 いずれにしても、学校の実情に応じまして、この主幹が導入になりましたらば、校長がそれぞれの判断をして設置していきたいというふうに考えております。

○曽根委員 私は、それぞれのクラスに責任を持っている先生方に、ある意味で本格的に、今までの主任では無理だというんだから、本格的にほかの先生方の援助ができる力も持ち、権限も持たせようというんだったら、それのよしあしは別にしても、もうちょっときちんとした保証をしなければ、本当に主幹になる先生に無理がかかってしまうというふうに思うんです。それでなくたって過労死はふえているし、公務員の中で先生が一番過労死が多いんですから、そのことをまず申し上げておきたい。
 それから、当然、制度を設けることによる都の行政の負担もあるわけですよね。これはきちっとお聞きしておきたいんですが、人件費は、主幹になった分の昇給があるでしょうから、その分はふえるわけで、今検討されているところでは、小中高合わせて六千三百人ぐらいですか、その主幹の方がふえたときに、昇給される分の給与費の増額分といいますか、大体どれぐらいになると思っておられますか。

○中村人事部長 これは先ほど和田委員のご質問にもございましたけれども、給与を決めますのは、人事委員会勧告に基づきまして決まってまいりますので、私どもは、積算するすべが今のところはないというのが実情でございます。

○曽根委員 私は、ある程度の試算は大ざっぱにできると思うんです。それはまた必要だと思います。検討の上でも、やっぱり都の財政を使って一つの制度を設けるんですから、費用対効果という言葉は教育の面では使いたくないですけど、どれぐらいの財政をかけてつくる意義があるのかないのかというのは、ある意味では我々はてんびんにかけなきゃならないわけです。
 それで、私は勝手に試算したんですが、今、教頭職になった場合、実態として大体平均して三万円ぐらい給与が上がるというふうに聞いているので、その半分の一万五千円上がったとすると、六千三百人ですから、一時金といいますか、賞与の関係も含めると十五億円ぐらいですよね。二万円上がったとすると二十億円、これぐらいの費用がかかることになると思うんです。これは大ざっぱにいって違っていないですよね。

○中村人事部長 先ほど申し上げましたように、人事委員会の勧告をもって我々はやりますので、人件費を積算できる段階にはございませんけれども、結果的には、先生のご試算もそんなにはかけ離れてはいないのかなという感じはしておりますけれども、これは勧告が出ないと何とも申し上げられません。

○曽根委員 いろいろ言葉に尾ひれがつきましたが、そんなに外れてはいないようなので、私は、今、学校の先生方が、お金をかけるとすれば何を一番求めているのかなと考えると、先ほども、まくら言葉のように必ずいわれるいじめ、不登校、学級崩壊、こういう問題を解決するためにもというふうに繰り返し出てくるわけですけど、こういう問題に直面している先生方が今一番求めているのは、全力でそのことに真っ正面から向かうだけの自分自身の時間が欲しいと。たくさんの子どもがそういう状態に陥っているとすれば、できるだけ一人一人の子どもにかける時間が欲しいということだと思うんです。別に、だからといって少人数学級だとか何とかということに引っ張るつもりはありませんが、そういう先生方の求めているものと、この主幹制度をつくるということがかみ合っているのかなというところで最初の疑問ですね。本当に皆さん、実情を知って、声を聞いてやっているのかなという疑問があるわけです。
 例えば十五億円なり二十億円のお金があれば、新規の教員採用でいえば、二百人から三百人ぐらいの先生が採れるわけですよね。単純にそういうふうになるかどうかはともかくとしても、私は、そういう形で、とにかく子どもたちのことを考えて教育をやろうとする人を学校にふやすべきじゃないかなということをまずもって申し上げたいんです。
 管理職を、これだけの財政をかけてつくる、どうしてもつくらなきゃならぬという必要性というのは、今までの主任制度に比べて、主幹というのはどういうところにあるのか、お聞きします。

○中村人事部長 何遍も申し上げるようで恐縮なんですけれども、現在、主任の方々がすべてだめだといっているわけではございません。一生懸命やっている主任の方も非常に多いわけです。
 ただ残念ながら、これもたびたび出して申しわけないんですけれども、現在、学校の抱える課題に対して学校が組織として機能できていない、こういうことを踏まえまして、現在の主任も、新たな主幹制度を導入することによって主任も動きやすくなり、普通の先生方も動きやすくなる。現場の先生方の声が校長、教頭にきちんと届き、地域とも連携できると、こういうことをしないと、まさに子どもが今、この状況の中でも、あした学校へ行こうかどうしようかという不登校の子どもが悩んでいるわけですから、我々はそれをぜひ救いたいと、こういうふうに考えております。

○曽根委員 今、子どもの問題の解決が何よりなんだというお話の趣旨だと思いますが、それにしては、中間まとめの七ページに、新たな職の設置について説明があるんですが、現行の主任制度の限界ということで、四つの項目で挙げていますよね。監督権限を持っていないから校長の方針の徹底がしにくいんだと。第二は、主任が職として設置されていないので、校長が求める人材を主任に充てることに支障がある。第三は、主任としての能力の育成が難しい、研修なんかがやりにくいと。第四は、給料がきちっとしていないと。いずれも校長先生の、先ほどリーダーシップといいましたが、そういう方針や何かを徹底するのにどうしても支障があるという角度から、主任制度では限界があって、主幹制度が必要だという角度ばかりなんですよ。どうして、子どもたちの問題が主たる問題であれば、子どもに対する授業の問題とか、不登校の対策とか、それから、荒れている子どもに対する対応とか、そういうことを解決する上で、主任制度では限界があって、そして主幹制度が必要だという、説得力が僕はないと思うんです、この文章を読んでも。子どもが出てこないんですよ。だって書いてないものね。
 例えば一人の子どもが問題を起こしたと。いろんな問題があるでしょう。そうすると、今だったら学年主任、教務主任、生活指導主任が、そのクラス担当の先生と一緒になって、だれが指導とか監督とか関係なく全力で当たらなければならないという事態だと思うんです。そういうときに、主幹制度を設けると解決が早いんだとか何か、そのことがもうちょっと説明されないと、やっぱり現場の先生は、先ほどもお話があったけど、ちょっと納得できないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 先生ご指摘の点につきましては、中間のまとめの第一章といいますか、学校見直しの必要性、それから現在の学校運営組織の問題点、特に四ページの上段あたりに書き込んであるつもりでございます。
 先ほど申し上げましたように、こういう学校のいろんな課題を解決するために、では何が問題があるんだというと、現在の主任制度があるんだけれども機能できていない、ではどうやって子どもたちを救っていくんだという観点で、この中間のまとめは、全体をお読みいただくとそういう流れがご理解いただけると思うんですけど、よろしくお願いいたします。

○曽根委員 ちょっと立ち入った話になりますけど、主任制度で限界があり主幹が必要だというこの四つの柱は、すべて教育委員会もしくは校長先生のリーダーシップもしくは方針の徹底に関することなんですよ。もしくは校長先生が選びたい人を指導監督の位置に選びたい、研修もしたいという意思が通らないという問題なんです。そのことが、いじめや不登校や学級崩壊問題の解決の最大のネックなんだと、校長先生、教育委員会の方針が、先生方がいうことを聞かないからその問題が解決しないんだというお考えなんですか。

○中村人事部長 学校が抱える問題を組織論だけでもって解決するということは、これは実は不可能でございます。先生おっしゃるように、個々の教員の資質による部分が非常に大きいわけです。ただ、我々は、現在の子どもをめぐる状況を改善するためには、少なくとも組織で最低限の制度をつくってあげないと、これは現場の先生も動きにくい、教頭先生、校長先生ももちろん動きにくい。
 それから、現在の主任制度の欠陥をいっておりますけれども、現在、一生懸命やろうとする主任の先生方も、現在の主任制度の中では、自分が持っている力を発揮しようと思ってもなかなか、横並び意識があったりして十分な機能ができないということで、我々は、子どもの幸せを願うための一つの方策として、組織論で今回の問題を取り上げているということでございます。

○曽根委員 これはつくってみなきゃわからないという話に最後はなっちゃうので、そうなる前に、現場の先生の動きやすさとかいう話が出たので、一つだけ、いつも卑近な例で申しわけないんですけど、私のかみさんは小学校の一年の担任なんですが、職場で最近始まったのは朝八時十五分からの朝礼なんです。子どもの朝礼ではない、職員朝礼です。子どもたちが登校してくる時間、校門やクラスで担任の先生が子どもたちを迎えてあげたい時間に、職員室の校長先生のところに集められて、校長先生の訓示を聞くわけです、短時間ですけどね。そういうのを徹底ということでやられているわけです。
 それで、かみさんが私にちょっと聞いてよというわけですよ。子どもが朝登校してくる一番大事な時間に余りひどいじゃないかと、ほかにもいろいろひどいことがあるけどね。それで、クラスに帰ったら、やっぱりもう一年生は大げんかしている、朝けんかが始まっちゃうと、その日一日、子どもの気持ちがすさんでしまう、朝が大事なんだというわけです。この主幹制度を設けたら、こういう朝の子どもが登校してくる一番大事な時間に教職員を全部集めて、校長の訓示をたれるようなばかなことはやめられるんですか。やめる保証があるんですか。

○中村人事部長 それぞれの学校に応じて、地域に応じて、それぞれの事情があっておやりのことだと思いますけれども、それと主幹制度がどうだこうだというのは直接の関係はないと思いますので、よろしくお願いいたします。

○曽根委員 校長先生の方針を徹底したい、リーダーシップを発揮したいということが主たる目的になっているというから、そういう例として、朝、とにかく教職員を集めて訓示をたれるというやり方を今やられている。主幹制度をつくったら、そういうことはやらなくて済むようになる保証があるのかと聞いているんです。

○中村人事部長 今回の主幹制度は、別に校長、教頭の命令を聞くような主幹をつくるというのが趣旨ではございません。もちろん校長の学校運営方針が末端の先生方にまで到達する、これは非常に結構ですけれども、そのほかに一番のねらいは、学校現場のそれぞれのクラスの先生方が、先生お話しのように問題点があると、こういうふうにした方がいいんじゃないかという声が、組織としてまとまり、あるいは校長、教頭に、学校全体としてこういうふうにやった方がいいんじゃないですかというボトムアップの機能も当然あわせ持っているわけですから、十分機能していくだろうと思います。

○曽根委員 私は、いろいろおっしゃったけど、今、校長先生やそれを指導する教育委員会なんかが、学校現場に対していろんな規制というか、方針を出してきて、教員の方々はとにかくいろんな形で縛られている、それから事務もふえている、そういう話を聞いているので、少しでもそういう余計なものがあれば事務を外したりして、できるだけ子どもたちに教える時間、そのための準備の時間をとらせてやるということが、本当の意味での先生方の教育を大事にすることだと思うんです。それにいささかでも支障があるような制度は、やはりもう少しきちっと意見も聞き、検討してもらいたいということを申し上げておきたいと思うんです。
 最後に、学校の組織体制というのが、なべぶた方式、なべぶたみたいな形でよくないんだというようなお話があったけれども、やっぱり子どもたちに対して教育者として責任を持つという点では、私は、校長先生は管理者としての役割がありますけど、どの先生も同じ、平等の責任を持っていると思うし、また、それにふさわしい力を持たなきゃならないと思うんです。そういう意味では、なべぶたは結構だと思うんです。それをどうやって先生方全体の教育力を上げていくのか、そのことは、やはり一般の企業や公務員の職場に比べても、また違う特殊な性格を持っていると思うんですが、何かなべぶたが悪いような話だったので、その点はいかがお考えですか。

○中村人事部長 一般の組織論では、民間会社等においては中間管理職をどんどん外して、なべぶたまではいきませんけれども、なるべく意思が近くで通るようにというのは、片方の流れとしてはございます。
 ただ、先生おっしゃるように、各教室に入って教えている分には全く平等です、平等でないとおかしいわけですから。しかしながら、学校で生徒に教えるという仕事以外にも学校は仕事があるわけです。子どもの安全を守らなきゃいけない、通学もしているわけです。それから、学校内の休み時間はクラスを離れて子どもたちは遊んでいるわけです。そういう学校全体の中でもって解決しなければいけない問題に対しては、これはやっぱり、なべぶたでお互いに平等ですよということで、逆にいえば、平等ということは、出るくいは許さないという社会でもあるわけです。これは学校運営として、子どものことを考えれば許されないというふうに我々は考えております。ただ、教員間で話し合うことは大いに結構だというふうに考えております。

○曽根委員 最後に意見だけ申し上げておきますが、一般企業の中もいろいろあるというようなお話だったんですけど、企業に比べるのは私は好きじゃないけれども、今の職制をつくるという状況を見ると、私は、ちょっと傾きかけた企業に似ているなと。つまり、最初は社員がいうことを聞かないって社長が文句をいうわけです。社員がちゃんと仕事をやらないから悪いんだと。しかし最近は、やっぱりそうはいってもみんな一生懸命頑張っているわけで、しかし業績が上がらない。そうすると、今度は管理職が足りないんだと。それで中間管理職をつくっていくわけです。しかし最後まで、倒れる企業というのは、社長がいっている方針や経営方針が間違っているかどうかということには考えが及ばない。経営者は、社員がついてこないということは経営方針が時代に合っていないということをまず考えるべきなんです。そういう意味では、今、教育委員会や教育庁がやっている主幹制度づくりというのは、私は傾きかけた企業と似ているなというふうに思わざるを得ないんです。
 そういう点で、最終報告は近く出されるそうですが、時間の許す限り再検討をお願いしたいということを申し上げて、終わります。

○山本委員 委員長、関連。今、曽根さんがいろいろおっしゃいました。いろいろな立場があると思うんですが、今まで主任制度でいろいろやって、いけないから、ではどうすればいいかという一つのプランとして出てきたのであると私は思うし、先ほど和田先生も野上先生もいろいろ、現場を踏まえての体験からお話もあったし、これらのこともやっぱり加味していかなきゃならないと思うんですが、さてもう一回振り返ってお聞きしますが、主幹制度の導入に対して、教職員団体などが、先ほどちょっとありましたが、管理強化につながると反対しているということでありますが、主幹制度はどのような学校を目指して導入しようとしているか、改めてお伺いいたします。

○中村人事部長 学校への主幹制度の導入につきましては、学校が校長の指導と責任のもとに、教職員にそれぞれの専門的な能力などの持ち味を十分に発揮してもらって、生き生きと意欲的な教育活動を組織的に展開することを目的としております。このことによりまして、学校の組織的対応力が一層高まり、子どもたちが生き生きと意欲的に、そして安心して学習や運動に励むことのできる学校をつくることができるというふうに考えております。

○東委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記を始めてください。

○山本委員 かつて私が区議会時代のときでありますが、私の区内の小学校で、先ほど和田先生が指摘した主任制の導入について手当が出るということで、それについて、組合の組合員たちが生徒を自習にさせまして、自分たちは組合の会合をやっていたんです。そうしましたら、そのときに子どもがふざけてけがをして、歯を折りまして家へ帰ったんです。親は、学校はどうなっているんだろうということで、親がそのことを学校に知らせに来て初めて、先生方は子どもがけがしたということがわかったという、こんなことがありましたので、今の主幹制度について思い出すんですがね。さてそこで、管理強化反対を金科玉条のように叫んでいるようでありますが、むしろこれまで余りに管理されていなかった、自由にやり過ぎたのではないだろうかと思うんです。
 昨年、国立市の市立の学校で起きたさまざまな問題にしても、教職員の余りにも自由で勝手気ままな姿勢があのような事態を招いたと私は思うんです。そこで改めて、昨年度、国立市の市立学校で、露見したという言葉を使いますが、露見したさまざまな問題の原因はどこにあるかをまずお聞きしましょう。それで後でまたお聞きします。まずお答えをいただきましょう。

○中村人事部長 国立市立学校で露見いたしましたさまざまな課題につきましては、複雑多岐にわたっておりまして、複合的なものでもございます。一概に申し上げることはできませんけれども、一つは、学習指導要領に基づかない指導など、教育課程を適正に実施してこなかったことが挙げられております。その最も大きな原因といたしましては、校長の指導のもとに学校運営がなされず、学校が組織として全く機能していなかったということにあったと考えております。

○執印委員 幾つか重なる質問もあるかもしれませんけれども、質問させていただきます。
 まず、主任制度に関する中間のまとめの最終報告、予定では十二月に出されるというふうに書かれておりますけれども、既に十二月でございますので、いつ出されるのか。
 それから、最終報告は各関係団体の意見を聞き、まとめるというふうにありますけれども、この関係団体名と、主な意見としてどのようなものが上がっているのかというものをまずお聞きしたいと思います。

○中村人事部長 現在、関係団体から意見聴取を行っているところでありまして、これらの意見を踏まえた上で、今月中に最終報告を取りまとめたいというふうに考えております。
 なお、小中高を初めましてさまざまなPTA連合会や教員系職員団体からご意見を受けているところでございます。
 主な内容といたしましては、PTA連合会からは、主幹制度を導入することによりまして学校や保護者や地域の要望に積極的にこたえられるようになると思う、早急に実施してもらいたいというふうな、中間のまとめに対して共感するものが多いわけです。職員団体からは、教員の自主性及び自立性を阻害するものであるというふうな意見が多く聞かれております。

○執印委員 きょうが十四日ですから、今月中に最終報告をまとめるということは、でき上がりつつあるのかなという感じがするわけですが、今、意見の中で、PTA連合会からは、早急に実施してもらいたいという意見が出ているということですけれども、これは、それだけ保護者の側が困ったことをいっぱい持っているということだと思うんですが、私自身も子どもがおりますし、市議会議員として活動してきた経験を踏まえて、困ったことはたくさんあるというふうには、もちろん同じように思うわけなんです。しかし、今、ほかの方の質疑もいろいろ聞きながら、このまま主幹制度というものを進めていって、本当にうまく機能するんだろうかというのが正直な気持ちなわけです。
 そんな思いを持ちながら質問させていただきますが、新たな学校運営組織をつくり上げるという目的が書かれておりますけれども、新たな学校運営組織をつくり上げる目的、まずこれをお答えいただきたいと思います。

○中村人事部長 現在、学校は、いじめ、不登校、それから指導力不足の教員を抱えるなど多くの課題を抱えております。しかし、このような課題に対しまして、学校が必ずしも適切に対応しているとはいいがたい残念な状況にございます。このために、学校の組織的な課題解決能力を向上させまして、児童生徒に対してより質の高い教育を提供することを目的として、今回の主幹制度を検討しているところでございます。

○執印委員 今、いじめ、不登校、私自身も、学級崩壊になっていて、どうしたものだろうかという相談を保護者の方から受けたこともあるんですけれども、今、組織的な学校の問題解決能力というお話がありましたが、組織が合意を高めながら一つの目標を達成するためには、必要なものは何だというふうにお考えでしょうか。

○中村人事部長 管理職と所属職員間の意思の疎通が十分に図られること、これが非常に重要なことだろうというふうに考えております。
 そのために、管理職は組織目標を明確に示しまして、これを所属職員に円滑に浸透させて、そして組織目標の意義を認識させていく必要があるだろうと思います。また、組織目標を効果的あるいは効率的に達成するためには、職員の意見等を管理職に十分に引き上げるといいますか、ボトムアップの機能を発揮させるということも、十分に大切だというふうに考えております。

○執印委員 本当に私もいろんな相談を受けながら仕事をしてきたわけなんですけれども、やっぱり一つの組織というのは、上から来たものを下におろすだけでは絶対うまくいかない、上にいる人が突っ張るだけでも絶対うまくいかない、どうやって話し合いをしていくかということが非常に大事だと思うんですが、そこのところの、いわゆる校長先生とか教頭先生の能力がしっかり高まっていかないと、先ほどもほかの方からもご意見がありましたけれども、うまくいく学校はうまくいくけれども、うまくいかなくなる学校は、とんでもなくうまくいかなくなるだろうというふうに私は考えております。
 ですから、校長先生のリーダーシップというようなものがどんなふうに--いい意味で、いったように上から来たものをおろすだけでは絶対だめですから、そこのところが一つ問題になるかなというふうに考えております。
 それから、もう一つ、今回、主幹という形で学校の中を強化するということなんですけれども、学校に関する諸問題を解決するために、学校関係者だけで話し合うことは適切なのかどうか、これが一つあると思うんです。片方では開かれた学校制度ということをよく聞きますけれども、本当にそのことがきちんと実施されないと、学校の問題を学校だけで考えてきたのが今に至っているんだというふうに私は考えているんですが、その点はいかがでしょうか。

○中村人事部長 先生ご指摘のとおり、学校のことは学校だけに任せておけばいいという時代ではございませんで、もちろん、地域、保護者の意見を十分取り入れていくことが重要であるというふうに考えております。学校評議員制度というものがございますので、これなどを積極的に活用しまして、地域の意見も反映させていくということも大切だろうというふうに考えております。

○執印委員 今、学校評議員制度などを積極的に活用していくということで、何もかも否定する気はありませんけれども、学校評議員制度については、その評議員になる人を校長先生が選んでいくということでは、やっぱり問題がある。最終的に決めるのは校長先生というところでは問題があるわけなんです。子どもも入っていない、そういう問題もあるわけです。
 それで、私、自分が住んでいるところで、男女混合名簿の実施の運動を市民の皆さんとやったときに、そのときの教育委員会はとてもよくやってくださったわけなんですけれども、校長先生にも集まっていただいてその話をしたときに、校長先生の中から、学校のことは学校に任せておけばいいんだと、保護者が口を出すようなことではないというような発言がありまして、六、七年前だったかと思いますけれども、そういう変なプロ意識というか、社会の風が学校の中に入らないという、その問題を解決しないと、私は、どんな制度をつくっても本当はうまくいかないと思っているわけなんです。
 それで、今回、中間のまとめも、主任制度に関する検討委員会及び幹事会というのがありますが、行政と学校の関係者、それも校長、教頭で構成をされておりまして、教職員の持てる力を発揮し、児童生徒の教育環境を質的に向上させるために、今後の答申に向けては、学校現場の課題に直接対応している教職員の意見反映が必要であると思いますが、こういったまとめ方を見ても、私が指摘をさせていただいている校長先生のいい意味のリーダーシップということも含めて、きちんとした、机上の空論でないものが入っていかないと、実効性がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 主幹制度がよりよいものなるように、現在、さまざまな関係団体から中間のまとめについて意見聴取を行っているところでございます。最終報告にはこれらの意見を反映させていきたいというふうに考えております。

○執印委員 本当に反映させていただきたいんですけれども、この関係者の頭の中でより分けて反映されても、どうなのかなという感じがいたします。
 それで、現状の問題点にあるわけなんですけど、相談ができない教員の孤立化等、課題の深刻化という問題が取り上げられておりますが、この主幹制度で解決できるんでしょうか。

○中村人事部長 学校には、教職員間の横並び意識というのがございまして、学級経営などに問題がありましても、先輩あるいは同僚が指導、助言を行うというのが非常にできにくいことになっております。例えば、隣の教室で荒れているなと思っても、隣のクラスの先生は騒がしいのがわかっていながらも、「先生、どうしたの」と一声欲しいところなんですけれども、なかなか横並び意識だと、同僚に迷惑をかけたくないとか、そういう意識が非常に多いということでございます。
 今回の主幹は、その教員の職務状況、あるいはそういう学校生活の状況を十分に把握しまして、適切に指導、助言することをその職責としますので、問題の早期発見あるいは的確な対応が可能となります。

○執印委員 先ほども少し議論があったわけなんですけれども、主幹の先生は自分のクラスを持たないんでしょうか、これをお尋ねしたいと思います。

○中村人事部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、特に小学校が問題だと思うんですが、小学校におきましては担任を持つことが原則でございますけれども、学校の実態を踏まえながら、最終的には校長が判断するということになります。

○執印委員 校長先生が判断するということは、学級を持たない主幹だけの仕事の方も入ることがあるということですか。

○中村人事部長 学校の規模等によって、職員の加配の関係、専科の職員の状況等がございますので、場合によると、校長の判断でそういうこともあり得るというふうに考えております。

○執印委員 私は、恐らくそれは本当に特別な場合だろうというふうに思っているんです。
 もう一つ、家庭・地域との連携の面というのがここにありまして、一一ページのところに、「学校に寄せられる苦情や要請の内容によっては、個々の状況を具体的に把握している主幹が対応することで、問題解決も円滑に進めることができる」というふうになっているわけなんですが、仕事の中身も含めて、これをやるとしたらすごく大変なことだと思うんですが、教育委員会とか指導主事との関係はどうなるのか。それから、教頭先生の役割というのが、こういう問題を解決するときにどういうふうになっていくのかということをお教えいただきたいと思います。

○中村人事部長 担当します校務や各教員の状況を具体的に把握している主幹が、教育委員会等との窓口になることも可能となりまして、より実態に応じたきめの細かい対応ができるというふうに考えております。
 なお、主幹は教員のリーダーとして、所管する分掌等を適切に進行管理するなど、教頭を補佐することをその職責としますことから、教頭は本来の職務に専念することができるということになります。

○執印委員 例えば、学校に寄せられる苦情や要請の内容の中で、これはどう考えても校長先生と教頭先生が間違っていると、そういうふうにもし主幹の方が判断されることがあったとして、校長先生、教頭先生にいえるかいえないかは本人の資質があると思うんですけれども、役割として、権限として、それは持たせることができるんですか。

○中村人事部長 それは、おかしいと思ったら、当然、校長、教頭にいっていただかないと、学校は全然よくなりません。

○執印委員 そこから先が実は私は問題だと思っておりまして、ずっと今、ほかの方のやりとりも聞き、私自身も質問させていただいているわけなんですけれども、これだと、主幹が苦しくてつぶれちゃうんじゃないかなというふうに私は思うんです。
 先ほど、校長が判断すれば、クラスを持たない主幹も入れられるということですけれども、とにかくお金もかかることですから、そんなにそういうことが許されるわけはないと私は思うんです。
 結局、要するに、先ほど屋上屋を重ねるみたいな話がありましたけれども、私は、そういうことになってしまうんじゃないかなというふうに実は思っているんです。すごい仕事量になるだろうと思うんです。自分のクラスも持ち、隣のクラスも見、それでしかも、いわば中間管理職ですから、おかしいと思ったら、それはいってもらわなきゃ困るとおっしゃるけれども、そこから先、やっぱり解決できるという権限をきちっと持っている人でないと、私は解決できないと思うんです。今だって、結局、そういうことだったから解決できなかったんだろうと思うんです。
 それで、私も本当にたくさん相談も受けたんです。学級崩壊の相談を一度受けまして、どうにもならなくなった状態で受けたんです。それで、そのときは、教育委員会に、クラスが荒れているということを何回もいいに行ったけれども、ちっとも動いてくれないということで、私のところに来たわけなんです。結局、学級崩壊で、それは若い先生ではなくて、四十代後半ぐらいの先生だったんですけれども、先生が、さっきいったことと今いったことと違うものですから、子どもが先生を信用できなくなっていて、それが少しずつ荒れにつながっていくんですけど、早い段階で見つけていけば解決できるものが、対応がおくれていくものですから、どんどんだめになっていくということで、結局は、指摘をすることによって、三学期の初めになってからやっと人がつくというようなこともあったわけなんです。私はそのことを経験して、どんな制度をつくってもそうなんですが、学校が、これは大変だと思って動き出すということも、もちろん一つあるんですけど、子どもが何かおかしいといっても、保護者が、おかしい状況なんですといっても、すぐ動き出すようなことがない限り、それを第三者的にきちんと見て、対策を立てるということがない限り、一番最初にいったように、学校の中だけで問題解決しようとしても、私はきっと無理があるというふうに思っているんです。
 それで質問させていただきたいんですが、教諭の服務監督権というのは区市町村教育委員会の役割だと思いますが、区市町村が制度の導入を拒否したときには、この主幹制度というのはどうなるんでしょうか。

○中村人事部長 東京都の公立学校の教育環境を一定水準に確保する必要性から、全校種、全区市町村で同時に主幹制度を実施することが望ましいというふうに考えております。仮に主幹制度を導入しなければ、校務運営にすぐれた資質、能力を有する教員を、その区市町村に配置するということができなくなるという問題が出てまいります。このために、検討委員会としましては、各区市町村教育委員会及び小中学校の校長の代表にも出席してもらうなど、主幹制度の同時導入に向けまして、区市町村教育委員会との綿密な連絡調整を行って、準備を進めているところでございます。
 なお、この制度は、学校の組織的対応力を高め、結果として児童生徒の教育環境を向上させるものであることから、区市町村教育委員会が足並みをそろえていただけるものというふうに我々は考えております。

○執印委員 今のお答えは、教育委員会の取り組みに向けての状況と、各区市町村の教育委員会への働きかけの部分だと思うんですが、私の質問は、制度の導入を制度的に入れないことができるのか、拒否ということはちょっとあれかもしれませんけど、市区町村の教育委員会が制度的に拒否できるのかという質問なんです。

○中村人事部長 教育の地方分権の観点から、各区市町村が学校管理運営規則をつくるということにしておりますので、主幹制もこの規則で定めることになります。したがって、定めない区市町村は、制度上は、うちは嫌だよということはできます。

○執印委員 今、地方分権のお話もあったわけなんですけど、そうしますと、当然、いわゆるペナルティーというものも存在しないということですね。

○中村人事部長 先ほどいいましたように、もし主幹制度を導入しなくなる市が出てくることになりますと、主幹級は職として我々選任しますので、主幹級の職の人たちが、いわば資質的にすぐれている主幹級が行かない市が、あるいは区ができるということ。それから、この主幹制度は、任命権は、県費負担職員ですので、東京都教育委員会が主幹級の選考試験をやります。そのときに、うちの区、市は主幹を規則で定めていないから、受験に行ってはいかんということはできません。したがって、もし受験に来て東京都の試験に合格したら、そこに主幹制がないから、自分の市には戻れないことになります。これをペナルティーといいますか、制度上そういうことになります。

○執印委員 そのように、ある意味、締めつけといっていいのかどうかわかりませんけど、そういうものが出てくるということですね。ただ、市区町村については独自の考えで判断できるということだと思います。
 私は、先ほども申し上げましたように、かなり厳しい制度になっちゃうから、導入は本当によく考えた方がいいんじゃないかなというふうに思います。先ほど、例えば学級崩壊したとき、何かあったとき、子どもでも保護者でもいっていったら、すぐ動き出すような、そういう仕組みを第三者的につくらない限り、私は学校の中がよくなるとは思えないんです。
 それで、実際に今、そういう形で持っているところもあるわけですから、できないことはないと思うんですけど、それは東京都と市区町村がそれぞれ考えるべき、つくるべきものだと思いますから、東京都にやれということはいいません。東京都は東京都の管轄のところはやるべきだと思いますけど、市区町村にやれというものではないと思いますが、やっぱり私も、いろんな先生を見てきた、いろんな相談も受けてきた中で、子どもの権利の視点を持たない限り、制度をつくっても無理かなと思っているんです。
 余り長くなると申しわけないんですけど、一つだけ紹介させてもらうと、知り合いの先生がいらして、子どもが忘れていったそろばんを、あいている時間にぐすぐずにしておくんだそうです。枠を緩めておくんだそうです。それで、子どもが悪さしたときに、そのそろばんで子どもをたたく、そうすると、緩くなっているわけですから、そろばんの枠が外れて、玉が教室じゅうに散らばる。そうすると、子どもは恐怖心を持って、次のときからいうことを聞くようになるんだよという話を聞いたことがありまして、学校の中では決して問題教師ではなかったんだろうと思うんです、その後、議員になった人なんですけれども。そういうようなことが日常的に行われているというような--ごめんなさい、日常的にとはいわないけど、それだけじゃないものですから、いろんなことが学校の中で起こっていると私は思っているんですけれども、本当にそこに耐えられなくなった子どもたちが不登校になったり、子ども同士がいじめ合う、または何かをきっかけにして学級崩壊が始まっていくというような、そういうことがあると思うんです。
 私は、全部の先生が悪いとはもちろん思っていませんし、全部の先生がそんなことをしているとも思わないし、全部の先生がわいせつ行為をしているとも思わないし、そんなふうには思っていませんけれども、そういうような根底にあるもの、つまり教室に入ったら治外法権みたいな、その先生が一番偉いんだと、そういうようなところにきちんと触れてやっていかない限り、つまり子どもの権利というものをきちっとやっていかない限り、今の教育の問題は解決できないと思っております。
 それで、先ほどありましたけれども、地方分権一括法で、自治体と自治体は対等の関係に、東京都と自治体も対等の関係になりましたので、教育の分野は一部縛りがないとはいえないと思いますけれども、独自の判断をする市町村があったときは、ぜひ強制することなく尊重していただきたいということをお願いして、質問を終わります。

○後藤委員 私は、主幹制度ができたとして、このような問題点が出てくるのではないかなという観点からお尋ねします。
 例えば、現在行われています主任制度なんですが、先ほどの議論の中にもあったんですけれども、主任手当が五億八千五百万円、このうちの三〇%が組合の方に還元されているというお話があったんですけれども、主任制度が、これまで職員団体によって形骸化されてきたんじゃないかというふうに思うんですが、仮に主幹制度が今度できたときに、主任制度と同様に形骸化される心配はないか。どうですか。

○中村人事部長 主幹は学校に職として置かれますことから、東京都教育委員会が行う選考によりまして任用いたします。この選考は、業績評価結果を取り入れまして、日常の職務遂行状況を重視していくものでございまして、形骸化を目的として主幹選考を受験した者が任用される心配はないというふうに考えております。
 また、主幹は職として設置するために、例えば主幹を除いて意思決定をしようというふうなことも、そういう形骸化もできなくなるということになります。

○後藤委員 例えば、主幹として資質ですとか能力に問題がある職員というのが、仮にですけれども、出てきた場合に、どのように対応なさいますか、例えば降格ですとか、いろいろな処分があると思うんですけれども。

○中村人事部長 先ほども申し上げましたように、東京都教育委員会の行う選考によって任用されますことから、資質、能力に問題のある教員が選ばれるということはないですけれども、しかしながら、主幹として任用後に、これは人間でございますから、何かの拍子に仮にその職責を果たせなくなったということになれば、その時点で程度に応じて厳正に処分していきたい、対処していきたいというふうに考えております。

○後藤委員 これは資料でいただいたんですけれども、例えば主任の研修の内容、数ページにわたっているんですが、主幹が形骸化されないように、研修体制、普通一般的に考えますと、研修体制といいますと、主任と同じような研修をやっていたらだめだと思うんです。ですから、例えば主幹という制度がこのままできたとしたらば、研修はどのような研修を考えていらっしゃるのか。主任の方々にやる研修とは違う研修をやっていただかなければいけないと思うんですけれども、この辺についてお考えをお願いします。

○中村人事部長 主幹選考合格者には、主幹昇任前、それから昇任後におきましても、必要な研修を実施してまいります。この研修内容でございますけれども、主幹が学校の指導・監督層として教員を指導、育成する役割を担うことになりますことから、リーダーシップ、問題発見能力、企画力、課題解決能力、これを向上させていく研修を実施してまいります。

○後藤委員 主幹制度と主任制度が併用するというふうになっているんですが、確かに兼務もありますけれども、併用の部分もあると思うんですが、主任が何で毎年毎年変わらなければいけないんですか。普通で考えましても、民間の場合でも、主任という制度ですとか職があった場合に、毎年上と下が変わるというのは、民間感覚からいってもおかしいと思うんです。こちらに配られました七ページに、多くの教員に経験させることが望ましいというふうに書いてあるんですが、教育委員会の方で、毎年毎年変えないで、例えばこの方は二年間やっていただきたい、三年間やっていただきたいということは、不可能なんですか。

○中村人事部長 現在の主任制度につきましては、先ほど経過のところでお話ししたように、昭和五十年当時、当時の文部大臣が、最初にいった監督権限まで持たせるというのを、いや指導調整だと、できるだけ多くの人がということを日教組が、日教組というより--固有名詞を出してあれですけれども、職員団体側は、そういう制度なんだということで一年交代にさせろと、一年交代なんだから我々が互選するよというふうな制度をずっととってきた。それでは問題があるということで、東京都の教育委員会は、校長が選んだ人たちについて教育委員会が任命するというふうな制度改正も図ってきたところでございます。民間では当然考えられないことだろうと思います。

○後藤委員 そうしましたら、再度お尋ねしますけれども、この七ページには、法制化に当たってというふうに書かれているんですね。仮に法制化というふうに書かれているんだとしたらば、法律になっているのか、例えば申し合わせだとかそういうふうな形でなっているのか、仮に申し合わせだったとしたらば、本当にここまでおかしくなったとしたらば、申し合わせというのが法律的根拠があるのかどうなのか、最後にお尋ねします。

○中村人事部長 文部大臣の補足意見という形で出ております。だから、法律の中にそういうふうに書いてあるわけではなくて、法制化に当たって文部大臣がそういうふうに補足意見をつけているということです。

○小美濃委員 それでは、多くの委員が質問をしておりますので、できるだけダブらないように、しかし大事なことですので、簡略にお伺いをしたいと思っております。
 今回の質問は、中間のまとめに対する質問でございますので、十二月には、今月いっぱいには本答申のようなものが多分出されるのではないかと思っております。また、そういったものにぜひとも反映させていただきたく、要望も含めて質問させていただきたいと思っております。
 先ほどから出ていますように、何億というお金が、主幹制度を導入することによってアップするわけであります。本当に我々は、先日来、一般職員の給与四%もいかがなものかといっているこの時期に、職員の給与をアップしてまで主幹制度を導入しなければならない、なぜ今導入しなければならないのか、そういった理由を、真意をまずお伺いしたいと思います。時期的な話です。

○中村人事部長 教育をめぐる状況は非常に厳しいわけでございまして、いじめだとか学級崩壊だとか、いろんな問題があり、さらに、日々新たな課題が発生しているという中で、当然、ご父兄の方々、地域の方々も、今の学校は何をやっているんだと、本当に組織なのかと、こういうお話があります。
 我々、それに向けて人事考課制度を導入したり、先ほどいいましたように、主任制度の強化といいますか、定着化を図ったりと、いろんな努力をしてきましたけれども、いかんせんまだそれが完全にクリアできないという状況の中で、今こそ主幹制度を導入して、学校教育現場、ひいては子どもの教育のことを考えなきゃいかぬというふうに考えた次第でございます。

○小美濃委員 まさしく今の部長の話は、もう教育現場は待ったなしだと、そういった状況をご説明していただいたんじゃないかと思います。
 私は、これは個人的な主観ですけれども、今回の主幹制度の導入の本当に大きなきっかけは、都立の新宿高校の一連の不祥事から始まった高校改革、こういったものが、現在の学校運営の組織が本当に破綻しているということを露呈してしまって、それを立て直すために、待ったなしの状態を今変えなきゃいけないと、こういった状況から主幹制度が生まれてきたのかなと。また、そういったものを改善するために、しっかりとした能力を持った、教師のリーダーである主幹をつくっていくと、こういったことなのかなというように考えております。
 これは、今、高校改革の話をしましたけれども、高校改革だけに限らず、先ほどるるお話がありましたが、某市の小学校、また中学校にも見られることでありまして、こういったことは大変憂慮されるべきであります。
 しかし一方では、私はいろんなところを取材したんですけれども、主任制度がしっかりと機能しているところもあるんです、実際に今の小中学校でも。校長先生が学校内の人間関係をしっかりと把握して、校長先生の任命のもとに主任が活躍をされている学校もあるわけであります。そういった学校にも主幹を導入する必要が本当にあるのか、この辺について、これは、これから主幹制度を導入するに当たって、恐らく一番の疑問点になってくるんじゃないかと思いますので、明快なご答弁をお願いしたいと思います。

○中村人事部長 校長の的確なリーダーシップによりまして、学校運営に主任を機能させている学校があります。しかしながら、校長や主任の個人的な資質あるいは能力に期待しなければならないという組織には、やはり大きな問題があるというふうに考えております。
 このために、主幹制度を導入することによりまして、学校の組織的な問題解決能力を高める必要がございます。現在、主任制度が機能している学校におきましても、人事異動というものがございますので、場合によっては課題解決能力が低下する危険性をはらんでいるという状況にあります。このことからしても、制度としての主幹制の導入がぜひとも必要であるというふうに考えております。

○小美濃委員 校長や主任という個人の資質や能力に頼っている組織には問題があると。先ほどからいわれているのは組織論なんですよね。この組織論の中で主幹という制度を導入することによって問題を解決していくんだと、こういったご答弁が先ほどからいわれているわけでございますけれども、もう少し詳しくお話をお伺いしたいんですが、主幹を置くことによって具体的にどのように組織がよくなっていくのか、機能していくのか、この辺をもう少し説明をいただくとわかりやすいのかなと思うので、お願いいたします。

○中村人事部長 主幹を設置することによりまして、校務分掌の教諭等の意見を取りまとめ、管理職の学校運営に対しまして意見具申を行う、これが一つございます。また、分掌の教諭等に校長の経営方針等を周知徹底することが可能になります。また、主幹は監督権限を持ちますことから、担当する校務を適正に進行管理していくことも可能になります。こういったことから学校が組織的に機能するということになります。

○小美濃委員 今のご答弁をお伺いしておりますと、先ほど他の委員からもお話がございましたけれども、いわゆる教頭先生が今まで主にやってこられた仕事ではないかなというように感じるわけです。教頭先生の仕事を補佐するということで、今回の中間のまとめにも、また、先ほどの他の委員へのご答弁にもそのようなことをおっしゃっていたわけですが、教頭先生の仕事はこうだ、主幹の仕事はこうだという明確な違いというのはありますか。

○中村人事部長 教頭は学校の管理職でございまして、各主幹間の調整、校内人事の調整、それから、校長が行います校務を助けるということを主な職責としております。今度新たに設けます主幹は、教員のリーダーとして、所管する校務分掌を適切に進行管理することが主な職責ということになります。主幹は、担当する校務につきまして校長を補佐する役割がございまして、このことによりまして、教頭が本来の職務に専念することができるということになります。

○小美濃委員 教頭先生が本来の教頭先生の仕事ができると、これは私はいいことであると思っております。そして、ただいま答弁にありましたように、一種の教員の中のリーダーとなって、所管する分掌を適切に進行管理することが主幹の主な仕事、これはこれでしっかりとした仕事であると思っております。
 ただ、教員のリーダーであるべき仕事を、現在は主任が担っているわけですよね。この主任を、先ほどのご答弁でもありましたけれども、教職員の互選で決めている学校があるというのは、私、聞いて本当にびっくりいたしました。校長先生の意思を抜いてこういうことが行われているから、まさしく学校がおかしくなっちゃうのかなと、そういうふうに感じた次第であります。
 しかし、新しく導入される主幹制度も、果たして教員みずから望んで受験しようという、そういった魅力ある制度にしていかなかったら、手を挙げる先生がいなかったら、これはどうしようもないわけでありまして、よし、主幹になろうという意欲を燃やして、教員が手を挙げていただけるような、そういった工夫を教育委員会みずからやっていかなきゃならないと思うんですけれども、その辺の工夫はされておりますか。考えておられますか。

○中村人事部長 主幹職は、教員が児童生徒と触れ合う場から離れることなくて、リーダーとして自分の教育理念を実現できるという点で、教員にとりましては非常に大きな魅力のある職だというふうに考えておりまして、今後、さまざまな場面でPRを図っていきたいというふうに考えております。
 また、主幹は学校運営上の重責を担うことから、その職責にふさわしい処遇となるように、教職員給料表に、教頭が三級でございまして、一般教諭が二級ですけれども、その間に新しい職務の級、特二級を設けて、これを適用していきたい、処遇面で魅力を一つはつけたい。今後、検討委員会の中で、主幹が意欲を持って職務に取り組めますような対策を検討して、周知を図っていきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 昇給は確かにうれしいですよね。昇給はうれしいんですけれども、教頭先生の補佐をするということで、先ほどの質問にもありましたが、本当に大変な仕事になるのではないかと思っております。そういった仕事でも、ぜひやってみたいという気持ちにさせる職というものでなければ、私は、なかなか手を挙げる教員の方はいらっしゃらないのではないかなと思っております。より工夫を凝らして、ぜひとも、本当に能力のある方が、本当に優秀な方が主幹に多数手を挙げて、また、輩出されることを心より願うわけであります。
 さて、私は地域で市議会議員もやっておりました関係上、本当にいろいろな地域活動に参加をさせていただいております。私の子どもも現在公立小学校に通っておりますので、そこで感じているところでございますけれども、高校はさておいて、小中学校だけに限らせていただければ、本当に小中学校というのは地域に密着をいたしております。これは、小中学校に在籍していらっしゃる教員の方も含めて、非常に地域に密着をしているんですね。学校の先生、家庭、そして地域の市民の方々がしっかりと連携をして、そしてよりよい子育ての環境を整えていくということが、今までるるいわれてきたことだと思うわけです。
 そこでお伺いしたいんですけれども、例えば主幹制度の選考に合格をいたします。そうすると、ややもすると、いきなり知らない地域にその主幹の教諭が配属されてしまうということが考えられるわけであります。せっかく有能な先生が主幹の選考に合格して、意気揚々と他校から異動してきても、地域の実情も子どもの事情も余りよくわからずに配属をされてしまって、教師のリーダーだといっても、今まで在籍している一般の教員の方々との関係がうまくいくのかなという気がいたしております。主幹が本来の職務をそういった場合でもしっかりと果たせるような工夫をしていかなきゃならないと思うんですけれども、そういうことを考えていらっしゃるかどうかお伺いいたします。

○中村人事部長 これは先生ご指摘のとおり、主幹職に限らず、人事異動後にすぐ地域の実情を把握するということは非常に困難でございます。このために、人事異動に伴います影響をできるだけ小さくするために、校長、教頭、その他の主幹の異動等を調整を図るなどして、工夫していきたいというふうに考えています。
 また、主幹合格者に対しましては、任用前研修を実施するなどして、主幹としての能力開発を図っていくということにしております。

○小美濃委員 校長先生とか教頭先生とか、これは私の実感ですけれども、異動してきても、その異動年数が、校長先生、教頭先生というのは短い期間ですから、地域もそれなりに理解をしているんですよね。しかし教諭の場合は、最長八年ぐらいですか、在籍している年数も長いものですから、地域の目は期待と心配と両方まじりながら見ているわけであります。ですから、ぜひとも、他校から異動してきた主幹の先生も一日も早く職務に取り組めるような対策を、まだ中間のまとめでございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 さて、今回質問するに当たって、市内なんですけれども、校長先生やさまざまな管理職の先生、また教育委員会などに取材に行ってまいりました。特に校長先生が心配をされていたことがございますので、ご紹介をしながら質問したいと思うんです。結局、校長先生としては、せっかく自分が手塩にかけて育てた優秀な職員、そういう優秀な職員だからこそ主幹にならなきゃいけないんですけれども、そういった職員が主幹選考を受ける、受かってしまったら異動させられてしまうんじゃないかと。せっかく自分が育てた優秀な職員、これから小学校、中学校を自分とともに、子どもの健全教育のために、健全育成のためにやっていこうと思っているのに、優秀な先生が選考合格した瞬間に、一回東京都に吸い上げられて、どこかよそに飛ばされてしまうと、これでは安心して校長先生が優秀な先生を出さないんじゃないかという心配を私はするんです。こういったことに対しては何か対応を考えていらっしゃいますか。

○中村人事部長 校長の立場として、自分が育てた優秀な教員が異動しちゃうということに抵抗感がある、これはある程度は理解できるんですけれども、しかし校長の立場として、自分のところの教員の育成を図るというのも校長先生の大きな仕事でございまして、主幹に挑戦し、受かるということは、その教員の能力開発の一つでもございます。そういう意味で、校長先生方が悩むのはわかるんですけれども、ぜひこれを受けさせていただきたいというふうに考えております。
 人事異動につきましては、最終報告の検討課題にはなっておりますけれども、今の校長先生の意向等も踏まえまして、柔軟な対応ができるような仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 本当に有能な人が主幹になるためにも、私は、校長先生の推薦は絶対不可欠であると思います。さりとて先ほどのようなことがありますので、本当にお願いをしたいと思います。
 例えば、中学二年生の担任を持っている優秀な先生がいて、選考試験に受かってしまったと。来年進学だからぜひとも残りたいんだけどなというような先生に対して、やはり少し考えていただけたらなと思います。ですから、これは提案ですけれども、主幹試験に合格したら、最低でも二年間ぐらいは地元の学校に残れるような、残りたくないという先生は別にいいですけど、残れるような、そういった理解ある制度を、環境整備をしていただきたいと思っておりますので、この辺は提案ですから、ぜひご検討いただきたいと思っております。
 少し細かいことをお伺いしますけれども、主幹配置をしていくのが平成十五年度からですよね。初めから全員配置というわけにはなかなかいかないと思いますが、初年度の配置予定と、その後の経年の配置計画についてお伺いしたいと思います。

○中村人事部長 主幹は五年から七年をかけて段階的に配置していきたいというふうに考えております。導入初年度となります平成十五年度につきましては、一校当たり一人という試算で配置人員を決定する予定でございます。

○小美濃委員 先ほどの質問にも出ていたんですが、ちょっとうやむやになってしまったので、もう一度改めてお伺いしたいと思うんですが、選考方法は決まっているんでしたか、ちょっとお答え願います。

○中村人事部長 選考方法は中間のまとめ以降の問題で、最終報告になりますけれども、主幹としての適任者を選ぶための業績の重視、あるいは選考の公平性、公正性、こういう視点におきまして、最終報告に向けて現在検討中でございます。

○小美濃委員 ペーパーテストをやられるのかどうかわかりませんけれども、そういった画一的な点数評価だけではなくて、やはり日ごろの授業態度ですとか、子どもに対する接し方もしくは子どもに対する教育指導、こういったものがしっかりと十分にくみ取られて、優秀な主幹の先生を輩出していただきたい。これは要望しておきます。
 次に、学年主任との関係をお伺いしたいと思います。
 これは主に中学校の話です。中学校では、多くの学校で学年主任が非常に重要な役割を果たしております。例えば学年ごとの行事、または学年ごとで地域活動をしようとか、そういったことは学年主任の先生を中心に行っている学校が多いと聞いておりますし、私の地域はそうです。これが実は非常にうまく機能しているんですね。学校では校長先生もこれに非常に期待をしているところであります。
 しかし、今回の主幹制度は、学年主任は兼務できないということになっていますよね。学年主任の横の流れ--学年主任というのは横の流れだと思うんです、それと、主幹というのは縦ですよね。学年主任の横の系列と主幹の縦の系列、この辺をどのように整合性をとっていくのか、これが、現場に入ったときに恐らく問題になってくるのではないかと思っております。今のうちから解決をしておいた方がいいんじゃないかなと思っておりますので、ぜひともお考えをお伺いしたいと思います。

○中村人事部長 各校種別におきます主幹の人数は、管理スパンを考慮しながら決定したものでございます。このことから、中学校では原則三名というふうに提言したものでございます。
 学年間におけます学校運営方針の統一性を図る観点から、学校運営全般にかかわる教務、生活指導、進路指導主任を主幹に兼務させることにしたものでございます。
 なお、主幹が兼務します主任につきましては、今後、国の主任制度の見直しの動きを見ながら検討してまいりたいというふうに考えております。

○小美濃委員 先ほどもるる申し上げましたけれども、これは中学校の話ですが、学年主任の先生の力というか、影響力は非常に大きいものであります。地域にもしっかりと根づいておりますしね。
 心配なのは、結局、主幹は職として来るわけです。地域に根差した学年主任がいると。じゃ、何か一つのトラブルがあったときに、一体どっちがイニシアチブをとるのかというような問題になったときに、これはごたごたしてしまうと、結局、影響を受けてしまうのは子どもですから、子どもが、ある意味では大人の理論で影響されないような配慮をぜひとも要望いたしておきますので、本答申に間に合うかどうかわかりませんけれども、これはぜひともお考えをいただきたいと思います。
 先ほど質問も出ていましたが、学校に配置される主幹の人数--これは希望です。学校規模によって、こういったことを少しでも緩和させるためにも、私は、そのうち学年主任も兼務できるような形があればいいのかなと思っております。
 ただ、今の配置基準ではこれはなかなかできませんので、先ほど部長さんも学校規模というお言葉がありましたけれども、学校規模に応じては主幹の人数をふやしてもいいじゃないかと、そういった緩和も場合によっては必要になってくるのかなと思っております。例えばそういった柔軟なことは今後考えられるのかどうか、ちょっとくどいようですが、お願いいたします。

○中村人事部長 中間のまとめでは、各校種別に学校に置く主幹の基本人数を提言したものでございます。同じ校種でありましても教職員数が大きく異なっておりますので、主幹の人数につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいというふうに考えております。

○小美濃委員 ぜひともお願いをいたしておきます。
 さて、今までさまざまな観点から、主幹という制度についてお伺いをしてきましたけれども、冒頭述べましたように、私の主観ですが、都立の新宿高校の不祥事や一部の公立小中学校の学校としての機能不全、こういったものの改善のために、主幹という制度をある意味では導入せざるを得ない状況に、今、陥っているわけですよね。このもともとの問題は、こういった状況になってしまったことが問題なわけなんです。これは、先ほど遠藤先生がおっしゃっていましたけれども、やはり有能な教師が自分の仕事にしっかり自信を持って、子ども本来の教育をしっかりと行っていれば、主幹なんていう制度は本来は要らない制度だと、私はそう思っております。
 主任制度がうまく機能している学校があるんですから、これはちょっと意見としていわせていただきますが、学校運営が主任制度で本当にうまくいっている学校の中には、この制度が導入されることによって、多少不安に思っている保護者の方もいらっしゃるということだけはぜひともご認識をいただきたい。一部の問題のある学校のために、ある意味では全体が影響されてしまうということは、これは一言苦言を呈しておきたいと思います。
 もともとの問題は、くどいようですけれども、子どもを教育する能力が欠けているような教員や、学校教育以外に精を出しているような教員を都教委が採用してきたということに、本当の根っこがあるわけです。これは今の皆さんにいっているわけじゃなくて、でも機関としては続いているわけですから、こういったことをぜひとも忘れていただきたくないと思っております。幾らいい主幹制度を導入しても、要するに教師なんですよ、優秀な教諭をこれからもどんどん採用していかないと、幾ら制度をつくったって、永久にこの問題は解決しないわけでありますので、このことはぜひともお願いをしておきたいと思います。
 もう一言つけ加えるならば、今までの多くの制度が、ややもすると教育の論理から発したものではなくて、例えば教職員の労働時間の規制の緩和ですとか、綱紀粛正の関係ですとか、または予算に伴うものとか、そういったものから今までの多くの制度が出てきたんじゃないか。そういったことはたくさんあります。本来の制度は子どもの教育のためにあるわけでありまして、教育長にお伺いしたいと思うんですけれども、今回の主幹制度も、制度ありきではなくて、教育ありきなんだと、児童の教育が大事なんだという姿勢をぜひとも最後にお聞かせ願いまして、質問を終わりたいと思います。

○横山教育長 先ほど来、いろんな議論の中で出てまいりましたけれども、子どもたちをめぐります教育の場面というのは、家庭であるとか地域社会、学校、こういう三つの場面があるといわれていますが、そのいずれの場面の教育力も低下してきている、これが一つの大きな教育の問題であろうと。したがって、その教育力をどうやって高めていくか、それがまさに現在行っている教育改革の本質であろうと、私自身は認識しているわけです。
 ただ、こうした教育力を高めるためにも、今回の主幹制度も含めまして、制度面も含めた教育環境を整備していく、これは必要ですが、これはあくまでも手段であって、その目的は教育内容の充実であることはお話のとおりでございます。私どもも同じような思いを持って教育行政の任に今後とも当たっていきたいと思っております。

○東委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記を始めてください。

○山本委員 名委員長と理事の皆さんのお計らいを感謝いたします。先ほど来、突然申し上げてご無礼いたしました。
 私は簡潔にいろいろ申し上げたいと思ったんですが、先生方のお話を伺いながら幾つか感じたものがあります。例えば、学校によっては、教頭にもなりたくない、何にもなりたくないといって、何もしないでいる先生もいるんです。そして、退職間近でありますので、何年間とありますから、それでしない先生もいるし、二、三年でかわる校長先生、教頭先生のいうことをなかなか聞かないということも現実でありますので、それらのことがいろいろふくそうして、そこだけじゃなくて、野上先生なんかその点で一番ご苦労されて、おわかりになると思うんですが、そういうこともあるということを、ぜひひとつ先生方もご理解賜りたいと思います。
 さて、昨今問題になっております国立の教育委員会について申し上げますが、この間は市長との関係でありましたが、そうではなくて、昨年、東京都の教育委員会は、国立市の教育委員会に対して国立市立の学校教育の改善を要請いたしましたよね。では、現在、国立市の学校はどのように改善されておりますか、お伺いいたします。

○中村人事部長 国立市立学校の教育の正常化につきましては、東京都教育委員会の国立市立学校教育改善検討委員会報告に基づきまして、教育課程の編成、実施の適正化と組織的な学校運営の推進につきまして、現在、段階的に進められているところでございます。組織的な学校運営という面では、各学校とも主任の選出は校長の指導と責任のもとに行われておりまして、各主任の役割が明確にされ、校内で機能しつつあります。また、職員会議の適正な運営が図られるなど、以前と比べ改善が図られております。

○山本委員 今、以前と比べてと、しかしながら、この間、先生方もごらんになったと思うんですが、「正論」という雑誌の一月号に、例の国立第二小学校の嘱託員になっている方が、現在勤務している学校の現状について投稿しております。お読みになったと思うんですが。また、この間、産経新聞に、教員同士が金銭の授受があったと。私はできないからあなたやってよといって月々十万円払ったという、こんなことが載せられていましたよね。これで国立市の学校教育の改善はできていると思いますか。私はまだ道半ばに達しないと思うんです。
 国立の第二小学校は、昨年度の卒業式において、国旗・国歌の実施をめぐって不名誉な処分をたしか教育委員会がしたはずです。私は、そういうときには教員の人事の異動をさせるべきだと、こう思うんですが、国立第二小学校の今年度の教員の異動はありましたか。実態はどうであったか、お知らせいただきたいと思います。

○中村人事部長 国立第二小学校の教員数は昨年度二十二名でございました。平成十三年度の人事異動におきまして、五名が国立市以外の地区に転出いたしました。これに伴う転入者につきましては、組織体制強化のために、管理職合格者や教頭昇任予定者を含む六名を配置しておりまして、昨年度と比較して一名増の体制となっております。

○山本委員 今、いろいろな方がいろんなことをいっていますが、福岡教育連盟事務局長の木村貴志さんという方がこういっております。教師たる者は、子どもたちのために命を投げ出すことができるかどうかという問いに、一度は真摯に向かい合わなければならないといっております。さらにまた、日本の伝統と文化、父祖の教育に学ぼうとする謙虚な心、大自然を大切にし、郷土を愛し、父母を敬う深い感謝の心を子どもたちに涵養することが何よりも大事であるといっております。けだし名言であると思います。教育者としての使命感を物語るものだと私は思います。
 そうしたときに、これもこの間、新聞に出ていたんですが、去年の大阪の池田小学校の女性の担任の先生が苦悩の日々をつづった文章を、先生方はお読みになったと思うんです。まさにかわいそうに、自分の命を投げ出そうとした、それがちょっとそごになったための日々の自責の念、父兄に責められる念を書いたことが報じられておりましたが、まさに教師というものはそうでなければならないと私は思います。
 そこで、学校に主幹制度を導入することによって、先ほどからお話がありました国立市の学校を初め東京の学校は、先ほどから教育の話がありましたが、保護者が安心して子どもを送り出すことができるような学校になるのかどうか、お伺いいたします。

○中村人事部長 主幹制度は、子どもたちの健やかな成長を願って、生き生きとした教育活動を組織的に展開できるようにするためのものでございます。主幹制度が機能することによりまして、子どもたちを取り囲むさまざまな教育課題を、子どもたちや保護者の立場に立って迅速、的確に対応することが一層可能となります。子どもも保護者も、この学校に入学してよかった、そう思えるような学校を実現できると確信しております。

○山本委員 最後に、聞くところによりますと、東京都が進めている主幹制度について、東京都を初め全国の教職員団体から反対の声が届いているとのことであります。しかし、物事は何事も、改革を行おうとすると必ず反対が起きてまいります。東京都教育委員会は、先ほどいいましたように、次代を担う子どもたちの健やかな成長のために、これらの声にひるむことが断じてあってはならず、主幹制度を初めとして教育改革に邁進してほしいと思いますが、横山教育長、いかがですか。

○横山教育長 きょう、長時間にわたって、現在の東京都あるいは日本が抱える教育の問題についてるるご議論いただきました。教育というものは、先ほど話がありましたが、まさにすべての原点であると私どもも思っておりますし、教育の改革なくして、まずあすの東京、あすの日本はあるんだろうかと、こういう思いを、私どもは非常に強い思いを持っております。したがって、現在、まさにその制度は手段ではございますが、まず手段たる制度を整えないことにはその先に進めませんので、私どもは、いかなる困難があろうと断固として教育改革は進めてまいると、そういう所存でございます。

○山本委員 委員の皆様どうもありがとうございました。終わります。

○東委員長 それでは、ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る